熊本市議会 2014-03-04
平成26年第 1回定例会−03月04日-05号
平成26年第 1回定例会−03月04日-05号平成26年第 1回定例会
平成26年3月4日(火曜)
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│ 議 事 日 程 第5号 │
│ 平成26年3月4日(火曜)午前10時開議 │
│ 第 1 質問 │
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午前10時01分 開議
○齊藤聰 議長 ただいまより本日の会議を開きます。
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○齊藤聰 議長 日程第1「質問」を行います。
順次発言を許します。
益田牧子議員。
〔49番
益田牧子議員 登壇 拍手〕
◆益田牧子 議員 おはようございます。
日本共産党市議団の益田牧子です。
初めに、幸山市長の政治姿勢に関連いたしまして、安倍政権の進める
アベノミクスのもとでの市民生活の実態をどのように見ておられるのかお尋ねしてまいります。
アベノミクスの原点は、大企業が利益を上げれば労働者や国民におこぼれがあるから、まずは大企業を法人税減税などで優遇する、滴り落ちるという意味の
トリクルダウン理論と言われます。しかし、この経済理論は破綻したというのが世界の常識となっています。昨年11月には、
カトリック教徒の最高指導者であるフランシスコ・ローマ法王は、市場経済による経済成長が必然的に成功するという
トリクルダウン理論が事実で裏づけられたことは一度もないと断言しておられます。
地元紙でも子供服店の店主は、東京と熊本では景況感にれっきとした違いがある、国会議員は地方に足を運びもしないで、景気がよくなったなんて気安く言ってほしくないと述べ、4月からの消費税率8%増税による購買意欲の減退という崖への懸念を表明しておられます。
年金暮らしの方々からは、
アベノミクスで調子のいい話が聞こえてくるけど全く別の世界など、厳しい意見ばかりです。マスメディアの世論調査でも、消費税が増税されれば家計の消費を今よりも減らそうと思うという人が大半です。私どものアンケートにおきましても、生活が苦しくなる、この答えが7割を占めています。
幸山市長は、提案理由説明では、地域経済は回復傾向にあると言われておりますものの、中小企業まで景気回復の実感が浸透している状況にはなく、歳入の大幅な増加は見込めないとの経済見通しを示しておられますが、
アベノミクスのもとで年金の引き下げ、消費税の増税、医療費の負担増などによる市民生活をどのように認識しておられますか。また、市民の暮らしや営業を守るために、どう取り組んでいくのかをお尋ねいたします。
私は、昨年8月、たとえ国同士の紛争があっても戦争にはしないと頑張っている
ASEAN外交を知りたいと思い、
ベトナムツアーに自費で参加しました。ベトナムは、NHKの朝のドラマおしんが大人気で極めて親日的でした。
中でも印象的だったのは、ガイドさんが、アメリカのベトナム戦争に韓国は参戦し残虐な行為をしたけれど、日本は参加しなかったと述べたことでした。国際的な平和友好に、二度と戦争をしないと誓った憲法9条の威力を身近に感じることができました。
ところが安倍首相は、歴代内閣が日本国憲法のもとでは
集団的自衛権の行使は認められないとする憲法解釈を改め、日本が攻撃されないときでも、海外でアメリカと肩を並べて戦争できる国にしようとしています。安倍首相が、最高の責任者は私だ、政府の答弁に私が責任を持つと述べたことが、大きな批判を受けております。自民党の古賀誠元幹事長も、立憲国としてとても考えられない、
内閣法制局長官経験者も、選挙に勝てば法解釈は自由ということになれば法律も裁判所も意味を持ちません、そんな国は世界にないと危惧を表明しておられます。
熊本市は、中国、韓国や東アジアの自治体との交流を深め、友好関係を築いてきました。今日の安倍政権の発言は、地方自治体が築いてきた東アジアの自治体との友好関係にも悪影響を与えるのではないでしょうか。
幸山市長に、憲法9条や
集団的自衛権についてのお考えをお尋ねします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それではお尋ねの市民生活の現状認識と今後の取り組み、それから憲法9条と
集団的自衛権、以上2点のお尋ねに順次お答えをさせていただきます。
先ほど御紹介のございましたいわゆる
アベノミクスでございますが、これは長引くデフレからの早期脱却と経済再生を最優先課題といたしまして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢を推進していこうとするものでございます。
政府におきましては、実質GDPなど各種の経済指標の好転を踏まえまして、日本経済は着実に上向いているとの認識でありまして、今国会の施政方針演説におきましても、安倍首相は景気回復の裾野は着実に広がっているとされたところでありますが、同時に経済の好循環を実現し、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けようと訴えられたところでもあります。このことは、
アベノミクス効果が地域経済にいまだ十分浸透していないとの認識を示されたものと受けとめているものでありまして、本市におきましても、先ほど御紹介もいただきましたように、景気回復の実感が市民生活のレベルまで十分に浸透している状況にはないと考えております。
このような中で本年4月には、御案内のとおり社会保障と税の一体改革による消費税率の改定も行われることになりますが、医療、介護、年金、子育て支援など、将来にわたりまして持続可能な社会保障制度を構築し、国民の安心を確保するための極めて重要な取り組みであります一方、消費税率の改定というものは、個人消費や企業活動など、地域経済への影響も懸念されるものであります。
このようなことから、
消費税率改定に伴います駆け込み需要と、その反動減の緩和を目的とする国の平成25年度補正予算に対応いたしました経済対策関連の補正予算を先般議決いただいたところでありまして、本市におきましても教育、土木、農水関連分野を中心といたしまして、経済対策に取り組んでいきたいと考えております。あわせまして、低所得者や子育て世帯への
消費税率改定の影響を緩和するための給付措置でございます
臨時福祉給付金でありますとか、
子育て世帯特例給付金につきましても遺漏のないよう準備を進めてまいりたいと考えております。
また、現在審議していただいております平成26年度当初予算におきまして、
地域経済活性化の推進を重点項目に掲げているところでありまして、地場企業の雇用創出、金融支援、商店街活性化、農水産業の持続的発展の支援などの予算を計上しているところであり、雇用の場の確保や商店街、地場企業の振興に積極的に取り組んでまいりまして、先ほど申し上げましたような景気回復の実感が市民の皆様に十分浸透するように努めてまいりたいと考えております。
それでは、2点目の憲法9条、
集団的自衛権に対する見解につきましてお答えをさせていただきます。
日本国憲法第9条におきましては、第2次世界大戦の悲惨な体験による深い反省から、再び戦争の惨禍を繰り返さないという強い決意のもとに戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を規定しているところでありまして、我が国はこの平和主義の崇高な理念のもとに、今日の平和と繁栄を築き上げてきたものと認識いたしております。
また、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていない場合におきましても実力をもって阻止する権利、いわゆる
集団的自衛権の行使につきましても、これまで憲法上許されるものではないと解釈されてきたところであります。
近年の我が国を取り巻きます状況を見ますれば、尖閣諸島をめぐる情勢など、我が国の安全を脅かすさまざまな事象が発生しておりまして、また世界の情勢に目を向けましても、依然といたしまして戦争や地域紛争、テロの脅威など、恒久平和の実現にはほど遠い状況でございますが、このような中、憲法解釈の見直しによる
集団的自衛権の行使容認につきまして、さまざまな議論が行われているところでございます。このことは我が国の安全保障上、極めて重要な問題でありますために、慎重な議論を重ね、国民の納得と国際社会の理解を得ることが必要であると考えております。
我が国は、平和主義の理念を掲げる憲法を持つ国家として、リーダーシップを発揮し、今後も平和主義に基づく憲法第9条の精神を尊重し、平和のとうとさを次の世代へ伝え、世界の恒久平和の実現に向けて努力していかなければならない立場にあると考えているものであります。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員
アベノミクスの効果が
市民生活レベルまで十分浸透していない。消費税増税による個人消費や地域経済への影響も懸念されております。日本一住みやすい熊本市の実現のためには、こうした消費税増税などにはきっぱり反対、こうした態度を表明すべきだと思います。
平和主義に基づく憲法9条の精神を守り、世界の恒久平和の実現に向け努力するとのことでした。そうであるならば、
集団的自衛権の行使容認発言に対しても、はっきり物を言うべきではないかと思います。
元
外務省国際情報局長だった孫崎享氏は、
集団的自衛権は自国の防衛と関係なく外国に出ていき人を殺す、恨みを買い、復讐とテロを呼び込むという大きなコストを払うことになる、
集団的自衛権行使に乗り出すことは日本の安全を害する、日中の緊張をめぐり、今学ぶべきはASEANが中国との紛争で追求している南シナ海宣言、東シナ海でも武力の不行使を初め
平和的ルールづくりの対話が重要と述べ、国民的な論議もなく、国会審議もやらずに閣議決定一つでやるという安倍首相の政治姿勢は異常と警鐘を鳴らしておられます。大いに学ぶべきではないでしょうか。
ちなみに、日本共産党は、
ウクライナ政府の同意も
国連安保理決議もないもとでロシアによる軍事介入を行うことは、ウクライナの主権と領土保全を侵害するものであり、明らかな侵略として、ロシアによる軍事介入の中止を求めているところです。
次に、12月議会の那須議員の一般質問では、
高齢者生きがい作業所の存続、古町・五福幼稚園の存続問題を取り上げました。各会派からの質問などもあり、話し合いが継続しています。五福幼稚園では、地域の皆さんが子育て応援団として取り組まれるなど、地域になくてはならない施設であることが証明されております。存続の願いが実現することを強く要望いたします。
私は、障がい者及び御家族のささやかな要望であるタクシー券と
ガソリン券選択制について、幸山市長にお尋ねいたします。
この制度は、政令市におきましては、札幌市、仙台市など7市が、仙台市を除き所得制限なしで、年間7,000円から3万円のガソリン券を支給しています。
ところで、本年度の当初予算の要求状況一覧を見て、驚きというか失望いたしました。当事者に対する
ヒアリング調査やアンケートまで実施して、初めて担当課より予算要望された
ガソリン助成券交付経費1,342万1,000円がゼロ査定となっております。障がい者及び御家族の大きな期待があっただけに愕然といたしました。
お出かけパス券の無料化要請のときにも、幸山市長は首を縦に振られませんでした。タクシー券との選択制ですから、経費的にも無理はないはずです。幸山市長に、なぜゼロ査定としたのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それではお答えいたします。
燃料費助成事業につきましては、御紹介もあったとおり、1人で外出できない、より重度の障がいのある方が現行の助成事業を活用した外出ができていない現状を踏まえまして、移動手段の支援策の一つとして検討してまいったところであります。この検討を踏まえまして、平成26年度当初予算におきまして、
健康福祉子ども局より
自家用車向け燃料費助成につきまして、先ほどの金額の予算要求があったものであります。
助成対象者や助成額など、具体的な制度設計につきましては議論を深めてきたところでございますけれども、現段階におきましては、
ICカード導入を踏まえました障がい者の移動手段の支援方策の見直しとあわせまして、総合的に検討することが適当と最終的に判断をいたしまして、今回の予算計上につきましては見送らせていただいたものでございます。
障がい者の移動手段の支援につきましては、障がい者の社会参加の促進と福祉の向上を図るための重要な政策と認識をいたしておりまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 御答弁をいただいたわけですけれども、選択制というのですから、タクシー券の予算をガソリン券につけかえるのが中心でありまして、その事業費内訳を見ますと482万円がガソリン券の交付費となっておりまして、
システム改修費が810万円、これは初年度だけで済みます。見送りになった理由といたしまして、ICカードの導入時に合わせるとの答弁ですが、見当違いではないでしょうか。また、引き続き検討すると言われますが、アンケートなどもとりまして、障がい者の移動手段の支援に関する実態調査結果報告書というのがこのようにして立派にできております。既に委員会におきましても、また担当課での検討は終わっております。
ガソリン代の高騰で困っている障がい者や御家族の思いに立たない、冷たい対応ではありませんか。熊本市のアンケートでは「夜間透析のため、交通機関を利用しづらいので自家用車を使用しています。燃料費など助成があれば一番助かります。」、「足が悪いとバス、タクシーの利用も難しく、自家用車でしか動けないので、燃料費助成が一番ためになります。」、このようにガソリン券を求める声がびっしり書かれております。何度も何度も市役所に足を運び、議会のたびに陳情を繰り返された市民の思いに応えて、ぜひ実現していただきたいと思います。再度、幸山市長にお尋ねします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 基本的な考え方につきましては、先ほど答弁したとおりでございます。この事業の持つ意義につきましては、私自身も十分認識をしているところでございまして、本来、障がいを持っておられる方が、いろいろな程度がありますけれども、やはり基本的にはひとしく外出できるような環境を整えていくということが大事だろうというふうに思っております。
そのような観点の中で、今回は見送らせていただきましたけれども、今後、引き続き検討を急ぎたいと、そのように考えております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 意義を認識しておられるということです。検討を急ぎたいということをおっしゃいました。当局の予算要望にいたしましても、この予算というのは半年分ということになっております。10月からの実施ということでありますので、ぜひ6月の補正などにも計上していただきまして、この熱い思いに応えていただきたいと思います。
私は政治家として、一番大事なことは何なのかということを日ごろ考えているわけですけれども、困っている人に寄り添う福祉の心、これが大変大事ではないかと痛感しているところです。
それでは続きまして、桜町再開発、
MICE施設建設問題につきましてお尋ねをしてまいります。幸山市長は、1期目の公約で未来に責任を持てる財政ビジョンの策定を掲げ、次代に責任を持てる財政プランの作成、新施設建設については費用対効果を厳しく評価して可否を決定する、このように言っておられます。今でもこれは大切な財政運営の指針だと思います。花畑広場、桜町再開発と
MICE施設建設の問題について、お尋ねをしてまいります。
新年度予算には、桜町地区再
開発事業予算として、基本設計、実施設計などを予定した6億8,450万円が提案されております。これまでの論議を通じ、桜町再開発の全体像も次第にはっきりしてきました。総事業費約522億円、MICE部分の床面積約3万4,000平米、熊本市が床を取得するための
保留床処分価格が269億円、そのほかMICEには備品購入費が20億円予定されています。
この再開発には、国補助として
社会資本整備総合交付金が約51億円、市からの補助金が55億円、合わせると国、市の補助金は106億円です。今の時点でも桜町再開発への市の負担は、保留床処分金、補助金を合わせますと324億円もあり、大変な負担です。しかも、今でも高騰しております建築資材は、オリンピックなどの要因によって今後さらに高騰することが予想されております。市の負担額はさらにアップをすることが予想されます。
熊本市が桜町再開発に参加して、床取得による
MICE整備を進めていけば、莫大な負担が生じ、それがさまざまな住民サービスに影響し、サービス後退が予想され、ひいては市財政への影響も大きく、建設費はもちろん年間約9億円程度と予想されている管理運営費や施設整備による市債の返還も含めれば、毎年25億円の支払いを続けていかなければなりません。
私どもは、財政的にも大きな負担を背負うことになる
MICE整備については、これまでも指摘してまいりましたように、今本当に整備する必要があるのか、市民の声をしっかり聞いて、慎重な検討をしなければならないと思います。
私はこの桜町再開発事業について疑問に思うことがあります。そもそも市街地再開発事業は、国土交通省のホームページでも解説されておりますように、敷地を共同化し高度利用することにより公共施設用地を生み出すという都市基盤整備の手法です。都市再開発法では、第一種市街地再開発事業の施行者を個人、市街地再開発組合、再開発会社、地方公共団体、都市再生機構、
地方住宅供給公社と定めております。区域内の地権者、借地者の同意があれば個人施行ができます。再開発組合をつくる場合は、5人以上の地権者、借地人が必要です。再開発会社には地権者人数の定めはありませんが、土地の3分の2以上を所有する地権者が株式の半分以上を持っていなければなりません。
要するに、一般的に市街地再開発事業は、国土交通省が「敷地を共同化し」と説明しているように、複数の地権者の持つ土地や建物などの資産を共同化するということを前提として考えられております。さらに、都市再開発法にのっとり各種施行者が再開発事業を始め、そこに国が定めた種々の補助金、交付金を活用しようとするとき、その対象事業となるか否か、今回の桜町再開発の場合は
社会資本整備総合交付金なので、国の定める
社会資本整備総合交付金交付要綱に沿っていかなければなりません。
そこでお尋ねいたします。
第1に、先ほど紹介した
社会資本整備総合交付金交付要綱では、個人施行者が再開発事業を実施する場合の対象要件は、地権者が複数いることと明確に定めております。要するに、地権者が1人の再開発を個人施行でやろうとした場合、
社会資本整備総合交付金の交付対象とはなりません。その理由も含めてお答えいただきたいと思います。
第2に、桜町再開発の地権者は、
株式会社九州産
交ランドマーク1社です。普通ならば個人施行者となります。しかし、地権者が1人で個人施行の再開発事業をやろうと思ったら、
社会資本整備総合交付金の交付対象とはなりません。1円も交付金は出ません。そこで、今回の桜町再開発の場合は、地権者であります
株式会社九州産
交ランドマークも入った再開発株式会社をつくることで、現段階では準備会社ですが、一地権者であっても
社会資本整備総合交付金の交付対象となっております。
桜町再開発の対象区域約3.7ヘクタールの土地も建物も、
株式会社九州産
交ランドマーク1社が所有しています。個人施行であれば1円の補助金ももらえない、自分の所有する土地にある自社ビルの建てかえに、再開発準備会社という形をとることで一企業が100億円もの補助金をもらうことは、再開発事業の趣旨に合致していると言えるでしょうか。公共性があると言えるでしょうか。違法すれすれのまさに
脱法行為そのものではないでしょうか。
第3に、全国各地で種々の再開発事業が行われておりますが、今回の桜町再開発のように、一地権者でありながら会社施行の形をとって再開発事業を行っているところがありますか。御紹介いただきたいと思います。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは、桜町再開発と
MICE施設に関しまして3点お尋ねがございましたので、順次お答えをさせていただきたいと思いますが、議員、冒頭に1期目の公約、次代に責任を持てる財政プランの作成、新施設建設については費用対効果を厳しく評価し可否を決定するという部分を御紹介いただいたところでございますけれども、その考えは3期目に入りました今も、決して変わるものではございません。その前提として答弁に入らせていただきたいと存じます。
まず、1点目の地権者1人での個人施行の第一種市街地再開発事業についてでございますけれども、補助金の交付対象とはなっておりません。しかしながら、今回桜町地区で予定されております再開発会社による施行でございますが、これは平成14年の都市再開発法の改正に伴いまして交付対象に追加されているところであります。このことにつきましては、議員も御承知かと存じます。先ほど、脱法行為とはおっしゃいませんでしたが、すれすれというような表現をされましたけれども、決してそのようなものではないということは改めまして申し上げたいと存じます。
続きまして、2点目のお尋ねについてでございますが、都市再開発事業は、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新等を図り、もって公共の福祉に寄与すること、このことを目的としているものでございます。
桜町地区再開発事業につきましては、3ヘクタールの敷地全体を一体的に、都市再開発法に定められる再
開発会社施行で実施される事業でございまして、老朽化した複数の施設の共同化による防災性の向上でありますとか、バリアフリーなど市民の利用上の課題が多いバスターミナルのリニューアルもこの再開発事業に合わせて行われますなど、将来にわたり市民の足を支える交通拠点の整備、改善も含まれる極めて公共性が高く、法の趣旨に沿ったものであると考えております。
また、今回の再開発事業におきましては、御案内のとおり
MICE施設も整備を予定いたしておりまして、そのことにより交流人口の増加やにぎわい創出のための大規模集客のかなめとなる拠点施設となり、地域経済への波及効果をもたらしますとともに、都市の知名度、イメージアップ、さらには国際化などにも寄与することから、本市の重要な都市戦略の一つと位置づけている事業でもあります。
なお、補助金の交付についてでございますが、桜町地区再開発事業は、前述のとおり法に沿って実施される事業でございまして、補助要望などの国との協議におきましても事業内容、事業主体の取り扱いも含めまして、十分確認の上進めているというものでございます。なお、今後の補助金の交付に当たりましては、ただいま議員もお示しされました
社会資本整備総合交付金交付要綱に準じまして、厳正に審査を行った上で交付してまいりたいと考えております。
最後に、3点目の会社施行の形態によっての全国事例ということでございますが、会社施行による再開発事業は、平成25年3月時点でございますが、これまで9カ所で実施をされております。今回桜町で予定されております形態は、全国では初めてとなるわけでありますが、先ほども申し上げましたように法の要件や趣旨に沿って設立される再開発会社でございまして、国との協議でも認められているものであるということを改めまして申し上げさせていただきたいと存じます。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 答弁では、一地権者で再開発会社による再開発は、今回の桜町再開発が全国初とお答えがありました。要するに、一地権者が会社をつくってやるような再開発事業は全国でも例がありません。また、地権者1人での個人施行の第一種市街地再開発事業については、補助の交付対象となっておりません。これは一個人、企業のやる再開発に公的補助は出さないということです。再開発事業というのは、目的はさまざまでも地権者の資産形成になります。だからこそ、一個人、一企業が地権者の場合は公的補助金を出さないという規定を設けているのではないでしょうか。
そこでお尋ねいたします。
第1は、一地権者の土地の再開発は補助の対象となっていないというのは、どういう理由からと理解されますか。
第2は、今回の桜町地区の場合、再開発会社の構成は、九州産
交ランドマーク、九州産交ホールディングス、ザイマックスの3者です。同族企業にコンサルが加わっただけの桜町再開発会社は、一企業と同じではないでしょうか。
第3は、桜町再開発株式会社というのは、補助金を受け取るだけのいわばトンネル的な会社で、実際にもうけて資産を形成するのは地権者である九州産交ではないでしょうか。こういう再開発に補助金を出すというのは、一個人、企業の再開発に公的補助は出さないという再開発への補助の考え方に反するのではないでしょうか。
以上、市長に再度お尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 3点のお尋ねがありましたので、あわせる形でお答えをさせていただきたいと存じます。
先ほど、平成14年の都市再開発法の改正がなされたというようなことは御紹介をさせていただきました。そして、都市における都市再開発事業の目的でございますが、このことも紹介をさせていただきました。都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新等を図り、もって公共の福祉に寄与すること、このことを目的としているものでございます。
ですから、先ほどから御指摘があっております一企業に対する云々というようなことにつきましては、法に沿った形で適正に進めているというものでございますし、しかしながら先ほど御指摘のあったような懸念というものを持たれるのは、一般的な考え方からいいましても考えられるわけでございますから、そういうことも踏まえまして、この事業の公共性というものにつきましては、十分に私どもとしても精査した中で進めさせていただいているというものでございます。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 懸念があるということで、精査をするということですけれども、一企業がグループ企業で再開発会社をつくって本来一企業には出ない補助金を引き出させる、まさに脱法的なやり方だからこそ、私は全国にも例がないのではないかと思います。形だけの再開発会社をつくって補助金を出させるようなやり方がまかり通っていけば、再開発が無法地帯になってしまうのではないでしょうか。一企業の資産の形成に100億円もの補助金を出すことは、到底市民の理解も納得も得られません。この問題は引き続き、議会のあらゆる場で徹底して追求していきたいと思います。
市民の理解も市議会での合意形成もいまだ進んでおりませんので、引き続き説明会開催など市民的なコンセンサスを得ることについて幸山市長にお尋ねしてまいります。
これまで市民に対しましては、再開発ビルの都市計画決定についての説明会と同時に
MICE施設の概要説明が、昼、夜2回行われたにすぎません。
MICE施設についてのパブリックコメントには、28名から83件のさまざまな批判的な意見が多く寄せられております。熊本市の2,000人市民委員会のアンケート調査では、桜町再開発全体では商業施設に対する期待が約7割、バスターミナルが約6割に対しまして、
MICE施設への期待度が約3割と低いことがわかりました。アンケート結果からも、現状では市民的なコンセンサスを得ているとは言えません。都市計画決定を急ぐのではなく、300億円を超すビッグプロジェクトなのですから、小学校単位での住民説明会を開催し、同時に市民意見を聴取するべきではありませんか。
第2に、計画推進について行政の主体性がないことも重大な問題です。その1つが大切な雇用の問題です。百貨店、地下街などの商業部門は全てテナントですが、借家人との権利調整はついたのでしょうか。
市長が常々言っておられます2核3モールの1核である県民百貨店、センタープラザ合わせて1,400人の雇用確保はできる見通しはあるのでしょうか。市は、傍観者の立場でなく、事業者に雇用を守るために積極的に要請をする責任があります。国と市で106億円もの補助金を開発業者に交付する事業でありながら、雇用が確保できない状況では、国、市で大きな補助金を交付することはできないと考えますが、いかがでしょうか。
2つは、熊本市が参加する再開発で、景観法に基づく景観計画の高さ基準を突破していることです。花畑広場では、2棟の民間ビル買収の理由として、熊本城への眺望を挙げていました。ところが桜町再開発では、景観審議会では
MICE施設という公益性を理由に、海抜73.6メートルもの基準違反の建築物が許されようとしています。本来、事業者に対して景観指針の尊重を行政が働きかけるべきではありませんか。オンリーワンの
MICE施設と言われますが、そのためには熊本城という歴史的景観を尊重することが最重要課題ではありませんか。これまでも、景観指針突破を市や県が参加する建物で数々認めてきた経緯がありますが、このまま認めれば景観条例、指針そのものが死んでしまうのではありませんか。
以上、お尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは引き続き数点お尋ねがございましたので、順次お答えをさせていただきます。説明責任等のお尋ねでございますけれども、これまでも申し上げてまいりましたとおり、
MICE施設を含みます桜町・花畑地区のこの再開発事業でございますが、中心市街地の活性化、交流人口の増加あるいは知名度の向上など、本市の将来を見据えましても欠くことのできない重要な事業というふうに認識いたしておりまして、そのことの市民への説明責任は当然ながら強く認識しているものでございます。
そこで、平成23年度の熊本市コンベンションシティ基本構想、本年度の
MICE施設整備基本計画の策定過程におきましては、有識者や関係者で組織されます検討委員会での協議を行いますとともに、先ほど御紹介のございましたパブリックコメントでございますとか、オープンハウスなどを実施いたしますことで、市民の意見も反映させてきたところでございます。また、その検討内容をホームページで公開いたしますとともに、議会への報告も行いつつ、この事業を進めてきたところであります。
今後も
MICE施設整備について御理解いただきますために、例えば区ごとに住民説明会などを開催いたしますなど、より一層丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。
続きまして、雇用の確保に関してのお尋ねでありますが、県民百貨店など借家人と再開発事業者との権利調整につきましては、現在百貨店等と再開発事業者との間で協議が進められているところでありまして、雇用の維持や確保といった点にも留意され、話し合いが進められていると伺っておりまして、本市としましても、そのことは大変重要だという認識のもとにその協議の動向を、現時点におきましては注視しているというものでございます。
続きまして、再開発事業に対する補助金についてのお尋ねでございますけれども、都市計画決定後に交付することになりますが、この補助金は国の
社会資本整備総合交付金交付要綱におきまして補助対象要件、補助対象事業、補助率などが定められているものでありまして、桜町地区の再開発事業につきましても、この要綱に基づき適正に交付をしてまいりたいと考えております。
最後、景観条例に関するお尋ねについてお答えをさせていただきます。本市の景観計画におきましては、熊本城周辺地域を重点地域としておりまして、城域からの眺望及び市街地からのお城への眺望を保全するということを目的といたしまして、建築物等の高さの基準を定めているものであります。
この基準には、都市計画で定められております公共性のある建築物などに対しましては、景観審議会の意見を聞いて、景観形成に支障がないと認めた範囲内において基準の高さを超えることができるとのただし書きが設けてあります。
そのようなことから、昨年11月に事業者から高さの基準のただし書きの適用について助言を求められましたために、景観審議会の意見を伺ったところであります。その際、審議会からは、本再開発事業については、背景となる市街地のラインにおさまる高さであり、公益性の高い複合施設であるため、事業計画の建築物の高さを了承する、ただし、建築物の形態については、熊本城天守閣から眺望した場合、壁面のボリューム感に対する抵抗感が感じられ、このボリューム感を軽減するために、壁面の分節化やあるいは山並みに調和したスカイラインの形成など、デザイン面での配慮をしていただきたいとの答申があり、この答申を受けて、事業者に対しまして技術的助言を行ったというものでございます。
今後は、建築計画を進める中で建築物のデザイン、色彩について再度、景観審議会に諮り、いただいた意見を建築計画に反映していくことによりまして、本市のシンボルである熊本城の良好な眺望景観の保全に努めていくことといたしております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員
MICE施設整備について理解を得るために、区ごとなど、一層丁寧な説明を行うとおっしゃいましたけれども、そういうのであれば、3月末に予定されております都市計画審議会の開催は中止して、その前に住民説明会を行うべきではないでしょうか。お尋ねいたします。
また、公益性の高い複合施設だから事業計画の建築物の高さを了承するというのも逆ではないでしょうか。公益性のあるものだからこそ、先ほどから補助金も出すと言っておられるわけですから、ただし書きの適用ではなく、市民の共有の財産であります景観を守ってください、このように指導していくのが市の役割ではないでしょうか。
熊本市は、雇用の確保のために誘致企業に補助金まで出しているというのに、県民百貨店などとの協議を注視する、重要だということはおっしゃったわけですけれども、ここにとどまっております。県民百貨店の存続や雇用確保は全市的な大問題です。具体的に文書などでの申し入れはされたのでしょうか。
都市計画審議会の問題なども大変重要だと思いますので、再度、幸山市長にお尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは3点の再質問に対しまして、お答えをさせていただきたいと存じます。
まず、説明会等の開催についてでございますが、このことにつきましては先ほども答弁したとおりでございまして、重要な事業でありますだけにこれまでできる限り市民に対して説明をし、そして意見を得る取り組みも進めてきたところであります。しかしながらこのことにつきまして、これでよしというものではないというふうに思っております。これから事業も段階的に進んでいく部分もありますし、やはりさまざまな形で市民に対して説明をし、そして意見をいただくような機会というものは、これからも積極的に確保していく必要があるというふうに考えております。そのような思いで、先ほど答弁をさせていただいたというものであります。
それから、雇用のことにつきましても、このことも先ほど答弁したとおりでございますが、文書等でのやりとりをしているものではありません。しかしながら、雇用の確保というものは、本市にとりまして大変大きな問題であるという認識のもとに関係者に対しまして意見を申し述べさせていただいているという状況でありますので、繰り返しになりますが、今の段階におきましてはその協議の動向を注視させていただいているというものでございます。
3点目の景観条例につきましても同様でございますが、この景観条例あるいは景観法等の理念に基づきまして、そして特に熊本市の場合はやはりお城からの眺望、あるいはお城への眺望を維持するというようなことが大変重要であるというような観点の中で、これから審議会等の中でさらに詳細な計画等も出てこようかというふうに思いますので、それがしっかりと維持されていくかどうかというところは審議会の中でも十分にチェックをされていかれるものと思いますが、私どもとしてもそこはしっかり注視してまいりたいというふうに考えております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 市長も市民の皆さんの意見を聞く機会は大変重要だと、私もそのように認識をしております。そうであれば、都市計画審議会というのは、やはり十分市民の皆さんの納得と合意のもとに開催をするべきではないかと思います。肝心かなめの予算であるとか、都市計画審議会をして聞きおくということになってしまうのではないかと思います。公共性を理由に大切な雇用や景観が守れないというのであれば、私は再開発への補助金は出すべきではないとの思いで取り組むべきだと思います。
こうした大型の開発に対しまして、多くの市民が財政的に大丈夫だろうかと心配しておりますので、この財政問題についてお尋ねしてまいります。
パブリックコメントでも、MICEに使うお金があるならばもっと市民のために使うべきは14件ありました。MICEの需要が高いのであれば民間事業者が建設すればよいではないか、施設の維持費がかさみ莫大な赤字が発生するのではないか、他都市と熊本市の経済状況を検討して、十分時間をかけて多面的、総合的に検討すべきだ、こうした声が寄せられております。
先日の答弁では、
MICE施設の採算問題ではランニングコストを5億3,000万円と見込んで、収支は均衡すると説明がありました。利用料設定はこれからとのことですが、市民会館利用の軽減を図るとも言われております。そうであれば、こうした市民会館の使用料金をベースに設定するのが筋ではないかと思います。建設費の償還金を入れますと毎年約25億円もの負担となります。本当に収支はとれるのでしょうか。お答えください。
熊本市財政の特徴は、熊本市が作成した「財政ってなあに?」で明らかにされております。平成の合併政令市と比較し、第二次産業人口の割合が16.8%と他の5市と比較し最低、これが製造品出荷額にもあらわれており4,000億円と最も小さく、年間商品販売額も新潟市、浜松市、岡山市に及ばず2.4兆円にとどまり、税収が少なく、1人当たりの税額は20市で最低、政令市1位の大阪市の約半分、財政力指数は0.66と最下位、1人当たりの負債額は、今のところ他の政令市と比較して低い水準だが、年々増加傾向にあり、将来世代に負担を先送りし過ぎないためにも、今後も地方債の発行に留意していく必要があると述べています。
自主財源に乏しい熊本市において、桜町再開発に参加し、過去最大の投資計画をする予定ですけれども、果たして今後の財政の見通しは大丈夫か、その根拠も示して御答弁をいただきたいと思います。財政局長にお尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは、私の方からは利用料の設定についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。
このことにつきましては、先日の津田議員からの質問でもお答えをいたしましたとおり、
MICE施設整備基本計画案におきましては、施設の維持管理運営費を年間5億2,700万円、大規模改修工事積立金を年間3億3,200万円と概算で算出をしたところであります。一方、収入面につきましては、他の政令指定都市の
MICE施設におけるホール、会議室などの利用料の平均単価をもとにいたしまして、本市の
MICE施設に当てはめて算出しました結果、利用料収入が年間5億3,000万円となり、維持管理運営費の概算金額とほぼ同程度となっているものでございます。
今後、実際の料金設定に当たりましては、九州内の類似施設などの料金も勘案しながら、収入で運営費を賄うということを基本といたしまして、適正な運営ができるよう検討してまいりたいと考えております。
〔岡昭二財政局長 登壇〕
◎岡昭二 財政局長 今後の財政見通しについてお答え申し上げます。桜町地区の再開発事業及び
MICE施設整備事業の実施につきまして、現時点での試算によりますと、それぞれ全体事業費107億円及び289億円のうち、55億円及び269億円の本市負担が見込まれておりまして、これにつきましては市債発行や一般財源での対応を想定いたしております。
平成26年度当初予算をベースとしました財政の中期見通しにつきまして、近々お示しする予定といたしておりますが、その中で両事業の影響も織り込んだ全体の投資水準や財政指標の推移等を明らかにしてまいりまして、計画的な財政運営のもとで着実な事業の推進が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
今後も財政の中期見通しの継続的なローリングによりまして、財政状況を見きわめながら慎重な財政運営に取り組んでまいります。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 収支はとんとんを目指すということのようですけれども、これは
MICE施設の利用を最大限に見積もった結果ではないでしょうか。しかも、建設費も324億円を超える予算規模ですけれども、オリンピック、消費税増税などもありまして、さらにふえることが予想されます。大半が市債の発行となり、大きな金利負担などが発生して、後年度負担の増大となります。
今でも大型施設による維持管理費は、森都心プラザ年5億円、アクアドーム3億円、桜の馬場2億円、地下駐車場1億6,000万円など年間15億円を超え、財政を圧迫しています。14年度当初予算をベースとした財政の中期財政見通しを策定中とのことですが、これから発生する公共施設やインフラの将来の更新、改修費用は計上されているのでしょうか。
少し立ち入ってお尋ねいたします。
特別委員会でも視察されたさいたま市におきましては、公共施設マネジメントに取り組み、公共施設やインフラの将来の更新、改修費用を財源ベースで精査して、一般財源ベースで現在128億円かかっているところ、40年平均で283億円となり、平均2倍以上の更新コストがかかるという試算を算出しています。箱物3原則、インフラ3原則を設定し、原則として、箱物については新規整備は行わないという原則を立てています。
政令市の中でもさいたま市は、財政力指数が0.97で川崎市に次いで2番目に高く、実質公債費も5.4%と良好な財政状況にあっても、箱物についての3原則の第1が、原則として新規整備は行わないとなっています。熊本市は財政力指数0.66、実質公債費比率11.1%であり、新規施設整備についてはさいたま市と同じように、もう新たなものはつくらない、こうした方針こそ必要ではないでしょうか。
第5次行財政改革計画の中では、公共施設マネジメントの構築が掲げられ、平成28年度までの計画策定となっています。そこでは、少子高齢化の伸展などによる人口構造の変化に伴い、今後税収の伸び悩みや社会保障費の増加が見込まれる中、高度成長期に集中的に建設された公共施設や道路、橋梁などの大量更新時期を控えており、本市の財政運営に大きな影響を及ぼすものと考えられると述べ、課題では、市有建築物、道路、住宅、公園などの現状分析と将来負担の推計などについては、現在各所管で行われているが、市全体の状況について総合的な把握、分析がなされていないと指摘しています。熊本市においては、さいたま市のような学校、市営住宅、公共施設、橋梁の長寿命化計画の試算は出されているのでしょうか。
人口減少のこれからの時代は、今あるストックをいかに生かして長く使っていくのかが主流となり、文科省は、小中学校の寿命を適切な改修で70ないし80年に延ばす方針を決め、学校施設の長寿命化改修の手引きを出しています。
そこでお尋ねいたします。都市建設局及び教育委員会での長寿命化計画の推進に必要な費用総額、単年度予算の見通しはどのようになっているのかお尋ねいたします。
〔永山國博都市建設局長 登壇〕
◎永山國博 都市建設局長 都市建設局における長寿命化計画の推進についてお答えいたします。本市では、市営住宅や橋梁、公園といった公共施設の予防保全的な維持管理等を推進することで、施設の長寿命化を図るとともに、ライフサイクルコストの縮減と事業量を平準化することを目的に、長寿命化計画を策定しております。
まず、橋梁でございますけれども、熊本市橋梁長寿命化修繕計画を、現在は橋長15メートル以上の市道橋182橋について策定しておりまして、平成23年度から13年間の計画で、計画期間中の補修の費用は総額約37億円と見込んでおります。単年度予算は、緊急経済対策や対象橋梁の規模により年度ごとに増減がございますものの、おおよそ年間3億円を計上しております。
なお、指定都市移行に伴い引き継いだ国県道の橋梁、城南・植木地区の市道橋及び橋長15メートル未満の橋梁につきまして、現在長寿命化修繕計画を策定しているところであります。
次に、公園でございますが、平成23年度に、昭和63年度までに開設されました132カ所の街区公園を対象に熊本市公園施設長寿命化計画を策定し、当初は平成24年度から10年間で計画をしておりまして費用総額約9億5,000万円を見込み、単年度予算として約1億円を見込んでおりましたけれども、平成24年度及び平成25年度の国の緊急経済対策を活用したことによりまして、平成30年度までに期間を短縮しているところでございます。
なお、今年度は水前寺江津湖公園の長寿命化計画を策定中でございまして、今後は、平成元年から平成6年度までに開設をした1,000平方メートル以上の65カ所の街区公園、さらに32カ所の近隣公園、地区公園や総合公園などの長寿命化計画の策定も予定しているところでございます。
最後に、熊本市市営住宅等長寿命化計画でございますが、平成24年度から10年間の計画で策定しておりますが、この計画は、畳取りかえ、給湯器取りかえなどの計画修繕や外壁落下防止改修、風呂設備新設などの改善による施設の延命化だけでなく、建てかえも計画に含めており、効果的、効率的に事業費を投資することといたしております。
なお、単年度予算については年度ごとに計画修繕等の内容、建てかえの規模が異なりますために、平準化することは難しい状況でございます。いずれにいたしましても、公共施設については、各長寿命化計画に基づき計画的に予防保全的な維持管理に努めてまいります。
〔
廣塚昌子教育長 登壇〕
◎
廣塚昌子 教育長 私からは学校施設の長寿命化につきましてお答えいたします。
必要な経費見通しについてでございますが、小中学校の校舎に限定いたしまして、平成31年度から平成80年度までの50年の期間内で、現時点で長寿命化改修の効果が見込めます築50年未満の施設を対象といたしまして、築40年で同改修を行い築80年まで長寿命化した場合、約1,080億円程度の経費がかかると試算しております。
これによりますと、同じ対象の施設を築50年目以降で全て改築した場合と比べまして、約500億円の削減効果を見込むことができます。お尋ねの学校施設全てについての費用総額、単年度予算の見通しについては現時点ではお示しすることはできませんが、平成26年1月に文部科学省より出されました学校施設の長寿命化改修の手引きを参考にしながら、今後本市における学校施設長寿命化計画の検討を進めまして、平成30年度には計画を策定したいと考えております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 御答弁いただきましたように、橋梁、公園につきましては長寿命化計画の一部の試算が出されておりますけれども、棟数の多い学校は総額で約1,080億円との経費は試算されているわけですけれども、計画策定は4年後となっております。市営住宅につきましても、公共施設の長寿命化計画に基づく財政計画というのはこれからということになっております。
今後の公共施設などにつきましての財政的な見通しもない中で、400億円にもなる可能性のある
MICE施設、大型投資を進めてよいでしょうか。
今でも政令市移行によります国県道の起債償還金15億円、新市基本計画も本年度の予算では96億円に加えまして、市民病院の建てかえ、西部環境工場の建てかえなどは既にスタートいたしております。熊本市のコンベンションは、県のグランメッセの開催も入れて毎年300件前後にすぎません。その規模も1,000人以下が約8割で、2,000人以上は10件以下、全体の2ないし3%にすぎません。しかも、熊本城マラソンなどのスポーツ系が半数を占めています。
大型の
MICE施設建設の緊急性はありません。過度な見通しで開発業者言いなりで進めれば、自治体の本来の仕事であります福祉や教育、今も答弁していただきましたような、これから待っております学校であるとか市営住宅の改修予算などが影響を受けるのではないかと思います。こういうものにしわ寄せはないと明言できるのか。幸山市長にお尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 財政の見通しについてのお尋ねでありますけれども、このことにつきましては、先ほど財政局長が答弁したとおりでございます。平成26年度当初予算をベースといたしました財政の中期見通しにつきましては、近々お示しする予定といたしております。その中で両事業の影響も織り込みました全体の投資水準でありますとか、あるいは財政指標の推移等を明らかにいたしまして、計画的な財政運営のもとで着実な事業の推進が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
そして、その見通しというものを、継続的なローリングを行うことによりまして、財政状況も見きわめつつ適正な財政運営に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 財政運営を適正に行うとおっしゃいましたけれども、冒頭に述べましたように、障がい者の方たちをがっかりさせるということが今まかり通っているわけです。桜町再開発に参加する
MICE施設建設は、本当に中心市街地の活性化に資する事業なのか、規模につきましても、いま一度立ちどまり検証するべきではないかと思います。再度、角度を変えて幸山市長にお尋ねいたします。
先般の都市計画説明会の折に、中心商店街の商店主の方が「城彩苑ができたけど、中心部に人は来ない、だまされた。」と言っておられました。
私は最近、文化による地域再生と題した平田オリザ氏の講演を聞く機会がありました。印象的だったのは、フランス・ナント市の取り組みでした。文化によってナント市を再生させると唱える新市長が登場し、廃墟となった巨大なビスケット工場を大規模改修して劇場、スタジオ、ギャラリーなどをつくり、多角的なアートスペースとしてつくりかえ、周辺のあいているアパートを安く借り上げて、パリから若いアーティストを呼び寄せ住まわせ、ナントは芸術家に優しいまちというイメージを徐々につくり上げて、各種の芸術祭が始まったそうです。
その結果、ナント市はわずか十数年で重厚長大型産業のすすけたイメージのまちから、フランスのマスコミが行う世論調査で常に住みやすいまち、老後に住みたいまちの最上位にランクされるような文化的なイメージのまちになった。富裕層が住み始めるようになり、高級マンションが売れるようになり、産業も復活、観光業も潤うようになった。歴史的遺産を生かし、港を整備し、河川敷をアートスペースにしていくことで豪華客船も寄るようになり、富裕層が富を落とすことになったとのことでした。
日本でも、金沢市が紡績工場を再生させた金沢芸術村などの地道な成功例の積み重ねに加え、金沢21世紀美術館の成功で金沢全体のブランドイメージが向上した例や、八戸市の全く新しいコンセプトの公立文化施設はっちの紹介がありました。
この施設の最大の特徴は、建物の中に大きな集客施設が一つもない点であり、観光と文化を融合させ、市民と観光客がともに楽しめる文化施設で、通行量は90%増、中心市街地全体の通行量も30%増となり、店舗を含む23の新規事業所が開設された。成功の秘訣は大規模な集客に頼らず、小さな企画を丁寧に積み重ねていく職員の献身的な努力にある、このように述べて、結論的には文化による都市再生の時代であり、大型箱物による集客は時代おくれ、自分たちが楽しいと思えないことによそから人が来てくれるわけがない、自分たちの愛するものは何か、自分たちの誇りに思う文化や自然は何か、そしてそこにどんな付加価値をつければよそからも人が来てくれるかを自分たちで判断できる能力がなければ、地方はあっけなく中央資本に収奪されていく、このような話がありました。
私もこの話を聞きまして、熊本市にとってもこの道しかないと確信いたしました。
MICE施設建設先にありきでなく、身の丈にあった熊本らしい文化のまちづくりへ発想を転換するべきではないでしょうか。
幸山市長に再度お尋ねします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それではお答えをさせていただきます。
ただいまナント市を紹介されまして、文化を中心としたお話をしていただいたところでありますけれども、議員がお述べになったことにつきましては、私も共感するところは多々あったということでございます。
ただやはり、文化といわゆる再開発、箱物等対立するような形で御紹介をなさったわけでありますけれども、私はこの花畑・桜町地区というものは、この再開発事業と、文化の振興でありますとか、あるいは市民の皆様方の憩いの場、にぎわいの場でありますとか、そのようなことがやはり両立できる場所ではないかというふうに考えているものでございます。
そういう意味におきまして、桜町地区の再開発事業のみではなく、シンボルプロムナード構想でありますとか、あるいは花畑、辛島公園との一体化でございますとか、そのような中でこの花畑・桜町地区一帯をお城と庭つづきのまちの大広間というコンセプトも打ち出させていただいているところでありますけれども、そのような中でオンリーワンとして、あるいは市民、県民の皆様方もゆっくりとここで時間を過ごしていただけるような、さらにはお話にあったような市民文化の向上にもつながるような、そのような空間を目指してまいりたいと考えているものであります。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 市長も同感していただいたわけですけれども、私はやはりこういう大きな箱物にお金をつぎ込むということが、今の幸山市政のもとでは肥大化しているのではないかと思っております。
先般、熊本市の都市政策研究所が行いました小林英俊氏の講演、元気で楽しい都市に観光客はやってくるにおきましても、市民参加型で市民や近隣の人が喜んで来ると、遠くからも人がやってくる、このように話しておられました。幸山市長も聞いておられましたけれども、交流人口増加を目標に大きな箱物をつくり、外から人を呼び込むのではなく、今あるストック重視のコンベンションや観光のあり方を追求するべきではないかと思います。
この項の最後ですけれども、監査委員は、花畑地区広場用地確保のための産業文化会館解体工事費及び民間ビル用地買収費、建物移転補償費などの差しとめを求める住民監査結果については棄却となったわけですけれども、特別に附記がつけられており、MICEなどの再開発などの計画策定に当たっては、市民参画の理念に基づき、市民及び議会に対して恣意的な情報提供と受け取られないような、正確な事実関係の説明に努めることを求めております。
しかしながら、年間想定催事件数、利用者数は福岡市の国際会議場をもとに試算し、その数字をもとに経済波及効果を586億円とはじき出しており、これこそ恣意的、過大な見積もりではないでしょうか。現実を踏まえ、費用対効果や将来の財政負担を市民に明らかにすべきです。いまだ市民参画のもとで議論を尽くした状況ではありません。市が桜町再開発に参加し
MICE施設を建設することは、市民的なコンセンサスは得られておりません。
私どものアンケートでも、建設に賛成は6%、一番多かったのは、既存施設を利用すべきの78%でした。正確な事実関係の説明に努め、説明会を市内全域、先ほどは区ごととおっしゃいましたけれども、少なくとも市民センターごとに開催して、自治基本条例にも位置づけられました住民投票で決めるべきではありませんか。幸山市長にお尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それではお尋ねにお答えをさせていただきますが、まず恣意的で過大な見積もりという御指摘もございましたけれども、
MICE施設整備基本計画で示します想定催事の件数でございますが、他の政令指定都市の施設における利用率、あるいは催事ごとの開催状況をもとに算出いたしておりまして、また経済波及効果でございますが、この件数をもとに観光庁のMICE経済波及効果測定モデルを利用いたしまして消費額を算出し、その消費額につきまして平成17年度熊本県産業連関表を用いて算定しているものでございますので、決して恣意的なものではないということは改めまして申し上げさせていただきたいと存じます。
また、利用率につきましても議会からの指摘も受けまして、他の政令市施設の平均値とともに最低値の利用率に基づきました厳しい試算も行わせていただいているというものでございます。
そのような中で住民投票も含めた市民参加のお尋ねであったわけでございますが、このことにつきましては、先ほども答弁しましたとおり、節目ごとに市民の代表であります議会に対しましてもちろん報告や説明を行いますとともに、市民の皆様方に対しましてもパブリックコメントやオープンハウスなどを実施し、御意見をいただいたところでありますが、繰り返しになりますけれども、今後も区ごとの住民説明会などを開催することなど、機会を捉えまして市民の皆様に丁寧な説明を行い、広く御意見も伺ってまいりたいと考えているものであります。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 住民投票についてはしないと、丁寧な説明を行っていくということでありますけれども、まだまだこの市のアンケートの中でも3割台ということになっておりますので、十分な説明ということを行うべきではないかと思います。市民の皆さんは花畑広場20億円の差しとめを求めて住民訴訟の準備をしておられます。
MICE施設計画につきましても住民投票を求める直接請求運動に取り組む決意が表明されております。私どもも一緒に頑張りたいと思っております。
〔議長退席、副議長着席〕
関連いたしまして、文化行政についてお尋ねしてまいります。
熊本城の特別史跡、国宝クラスの文化財の保全のあり方が問われております。地元紙では文化財保護委員の矢加部氏から、「保存と利活用の両方を担当する熊本市は近年、利活用へのアクセルを踏み込んでいるのではないか。熊本城はまず厳格な保存があって、利活用はその延長上にあることを再確認する必要がある。熊本合同庁舎や千葉城にあるNHK熊本放送局移転後は、保存管理計画にあるように、まず特別史跡に指定し、その後公園化されるべきだ。熊本城という熊本市の宝を価値を損ねず将来に受け渡すためには、行政の場当たり的、独善的な利活用は厳に慎む必要がある。」と懸念が表明されております。
今後、合同庁舎移転後の利活用の問題もあります。指摘にありますように、まずは特別史跡に指定し、ふさわしい利活用のあり方を検討すべきと考えますが、幸山市長の考えをお尋ねいたします。
姫路市におきましては、今NHKの大河ドラマなどでも注目を浴びておりますけれども、世界遺産の姫路城域からは県営団地などが転居いたしまして、周辺の建物の高さ規制も徹底しております。姫路市の景観政策に学ぶべきではないかと思いますので、姫路市出身の牧副市長には、景観につきまして、姫路市の事例などをお示しいただきたいと思います。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは、文化財保全のあり方についてのお尋ねにお答えいたします。
現在、熊本合同庁舎や城彩苑がございます桜の馬場地区につきましては、昭和57年度策定の熊本城跡保存管理計画策定報告書におきまして、特別史跡への追加指定と整備の方針が定められております。その内容として、施設の移転に伴い地形を復元、補修の上、公園化する場所と位置づけられているものであります。
また、その後平成9年度策定されております熊本城復元整備計画におきましては、公園としての魅力を高めるとともに、史跡としての価値を損なわないように配慮しながら城域へのエントランスゾーンとしての機能を充実するとされております。
このことを受けまして、本市では桜の馬場を熊本城見学のエントランスゾーンとして位置づけまして、城彩苑を整備し、熊本城を訪れるに際しまして加藤清正の肥後入国から細川家の時代、そして西南戦争までの約300年間にわたりますさまざまな歴史文化を体験し、学習していただく機会を設け、熊本城への理解をより深めていただいているというものでございます。
このような中、移転後の熊本合同庁舎の敷地についてでございますが、同じく熊本城見学のエントランスゾーンに位置いたしますことから、熊本城のメーン駐車場として整備したいとの本市の考え方、これは平成22年2月に熊本合同庁舎跡地利用計画の案として取りまとめさせていただいているものであります。
この計画を基本といたしまして、史跡としての価値を損なわないような利活用の方法を検討いたしますとともに、特別史跡の指定に向けましても今後文化庁と協議を行っていきたいと考えているものであります。
〔牧慎太郎副市長 登壇〕
◎牧慎太郎 副市長 姫路市における景観行政についての御質問にお答えいたします。
姫路市におきましては、世界文化遺産にも登録されております姫路城の景観を守るため、姫路城周辺地区を世界遺産のバッファゾーンとして位置づけまして、姫路市景観計画におきましては、このエリアを重点的に景観形成を図る区域として姫路城周辺の景観の形成、誘導を進めております。
具体的には、姫路城への眺望を保全するために、大手前通りなどの都市景観形成地区におきましては、主要な道路沿いの建築物について高さ規制を行っております。また、姫路城周辺の148ヘクタールを風景形成地域として指定いたしまして、建物の色彩、意匠の規制を行うとともに、お城に隣接する区域は都市計画法に基づく高さ制限を行うなど、姫路城と調和した景観形成を図っているところでございます。
次に、議員御指摘の県営団地については文化財保護法の特別史跡区域内にありまして、建てかえは好ましくないといたしまして、平成21年に移転して現在は空き地となっております。特別史跡区域内にはこの移転した県営団地のほか、小中学校、高校など多くの公共施設が存在しておりますが、財務省、文化庁、県、市の4者で協定を結びまして、特別史跡区域の史跡公園化を目指しているところでございます。
熊本城を中心とした良好な景観形成に努めております本市と同様に、姫路市におきましても地域特性を生かしつつ、全体として姫路城と調和した風格ある景観形成を図っているものと承知しております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 牧副市長ありがとうございます。熊本城をめぐる景観問題につきましても、こうした教訓を大いに生かしていただきたいと思います。熊本城の保存については、史跡としての価値を損なわないように、特別史跡の指定に向けた文化庁との協議を早急に行っていただきたいと思います。
文化振興課が教育委員会から観光文化交流局に変更しましたが、姫路市におきましては文化財課は教育委員会に所属いたしております。文化財課は、もとの教育委員会に戻すよう御検討もあわせてお願いしておきます。
熊本市は、2010年、人とまちが元気になる文化創造都市を目指して、熊本市文化芸術振興指針を策定いたしました。そこでは、後世に残すべきすぐれた建築物を保存し、活用することがうたわれております。
そこで、山田守氏の設計によります市役所花畑町別館存続についてお尋ねいたします。これまで水道局の庁舎は公共建築100選にも選ばれ、世界的にも有名な村野藤吾氏の設計で存続を求める声もありましたが、解体し、新築に至っております。花畑別館は、熊本産業遺産研究会、熊本まちなみトラストの熊本の近代化遺産に選ばれ、昭和初期の名建築として紹介されております築78年の建物です。1936年(昭和11年)、山田守氏の設計により逓信省熊本貯金支局として建設された、歴史的なモダニズム建築の傑作とも言われております。建設の当時は最新鋭の逓信建築で、運転手不要の自動式エレベーターなどが設置され、将来の上層増築をにらんだ基礎工事も行われています。熊本大空襲で焼け残り、1975年から熊本市の花畑別館となり、市庁舎別館として現役で活用されております。
現在、施設の建てかえを前提とした場合における最適な事業スキームについて、技術、財務、不動産などの専門的観点に基づく検討が民間事業者によって行われ、近く検討結果が出されようとしています。花畑別館は、熊本の近代化遺産として耐震改修し、活用するべきだと考えます。
北九州市におきましては、築81年の市民から親しまれた旧戸畑区役所を当初は解体し建てかえる方針でしたが、市長の英断もあり、旧戸畑区役所庁舎の歴史ある外観を残しながら、図書館として使い勝手のよい、オープンでゆとりのある空間を確保することを目的に耐震改修し、建てかえより安い約9億円の予算で立派に図書館に生まれ変わり、まもなくオープンを迎えます。
金沢市庁舎も築56年の古い建物もありますが、市長の決断で、財政事情が厳しく景気悪化で税収増も見込めない今、建てかえは選択できないと耐震補強し、改修する工事が始まっています。
熊本市においては、近代化遺産としての存続を明確にし、耐震改修を実施するべきではないでしょうか。幸山市長の考えをお聞かせください。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは花畑町別館の存続についてのお尋ねにお答えいたします。
花畑町別館につきましては、平成23年3月に策定いたしました市有建築物耐震化整備計画におきまして、平成27年度までに耐震化を行う対象施設として位置づけております。
耐震化への対応といたしましては、耐震補強や建てかえ、既存民間施設の賃借などの手法が考えられますが、まずは現在庁舎として活用しておりますことから、執務室の確保を前提といたしまして、さらには中心市街地のにぎわい創出や土地の有効活用、財政負担の問題などさまざまな観点から総合的に検討を行う必要があると考えております。
それぞれの手法における課題などを少し御紹介いたしますと、まず耐震補強につきましては、議員から文化的視点での御提案もあったところでありますが、補強壁の設置に伴います執務室の機能低下でございますとか、エレベーターなど老朽化した設備の更新、また構造物としての寿命などの課題がございます。
また、建てかえにつきましては、民間活力を活用した公民連携手法の導入を含めまして、防災面、財政面、業務効率やまちづくりなど、さまざまな観点から総合的に検討を行う必要がございます。
さらに、既存民間施設の賃借につきましては、執務室の確保が周辺民間施設の空室状況に左右されますことや、執務室分散による業務効率性の低下、またトータルコストの問題などの課題もございます。
このようなことから、現在、花畑町別館の耐震化への対応につきましては、これらの課題を整理しながら総合的な観点からの検討を行っているところであります。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 御答弁をいただき、総合的な観点から検討を行っていると、それぞれの課題についても御説明をいただいたわけですけれども、耐震改修の技術というのは大きく進歩しております。花畑別館につきましてもぜひとも存続の立場で、後世に恥じない論議を強く要望しておきます。
続きまして、日本一暮らしやすい政令市の実現についてお尋ねいたします。
総務省が1月30日に公表した2013年の人口移動報告では、熊本市は転入プラス141人で、政令市におきましては、辛うじて転入が多くなりました。ちなみに、静岡市は政令市でワースト2位、775人の転出超過となったことから、人口維持方策を最優先したいと、子育てしやすい環境の整備や教育と福祉医療施策の充実強化を図る方針を打ち出しています。
熊本市は、全体では転入プラスですが、周辺自治体を見ますと転出者がふえております。例えば、合志市から熊本市への転入者は800人、熊本市からの転出者は1,148人でマイナス348人、菊陽町も熊本市への転入者は648人ですが、転出者は875人でマイナス227人、益城町におきましても転入者が549人、転出者677人でマイナス128人、大津町におきましてもマイナス72人、嘉島町もマイナス56人など、熊本市から周辺自治体への833人の転出となっております。年齢層で見ますとゼロないし14歳はマイナス142人の転出となっており、子育て世代の近隣自治体への転出が推測されます。
その要因となっているのは、周辺自治体の都市化とともに熊本市の子育て支援策、中でも大きくおくれている子供の医療費助成制度です。周辺の自治体は、子供の医療費は中学3年生まで無料です。先日、益城町長にお会いしましたら、高校卒まで無料にすると言っておられました。小中学校のエアコンなどの導入も進んでおります。
幸山市長は、国の内外から選ばれる都市の実現を目指し、中心市街地の再デザインに取り組み、少子高齢化が推進することを前提に交流人口をふやすという戦略ですが、熊本市に住んでよかったと実感できる政策こそ必要ではないでしょうか。このままでは子育て世代の周辺自治体への転出が加速するのではないでしょうか。
熊本市における子育て支援策強化が求められております。そこで、
健康福祉子ども局長、都市建設局長にお尋ねいたします。
第1は、周辺自治体で最低レベルの医療費助成を中学3年生まで拡充し、無料にする計画はあるのでしょうか。子供の医療費中学3年生まで無料化を進めた場合、必要な財源は幾らでしょうか。
第2は、保育料の保護者負担軽減の問題です。熊本市は14年度より所得階層をふやしますが、合志市は熊本市と比較すると上限額が1万円安く、中間層でも同じように1万円ほど安くなっております。熊本市においては、階層区分の見直しだけでなく、保育料を引き下げ、3歳未満児だけでなく全ての第3子の保育料の無料化、認可外保育園の保育施設補助金の増額など、子育て世代への財政支援策を抜本的に強化するべきではないでしょうか。
第3は、非婚のひとり親に対するみなし寡婦控除の適用拡大についてです。非婚のお母さんの訴えを熊本市オンブズマンが受けとめ、税制の改正や抜本的な支援策が実施されるまで待つことはできない問題だと思います、住民生活を支援するという自治体には、住民の切実な必要に応えることが期待されています、離婚母子世帯及び死別母子世帯と同程度に、非婚母子世帯の保育料を軽減することは、子育てを支援する自治体政策の中でも緊急度の高いものではないかと思います、その早急な実現に向けて検討を始めてほしいと思います、との要請を受けて、本年度4月1日からみなし寡婦控除が、保育料減免制度として実現しています。市営住宅の家賃などにもみなし寡婦控除適用を拡大すべきではないでしょうか。都市建設局長にお尋ねいたします。
〔宮本邦彦
健康福祉子ども局長 登壇〕
◎宮本邦彦
健康福祉子ども局長 私からは子供医療費無料化と保育料の負担軽減等について、4点のお尋ねにお答えを申し上げます。
まず、子供医療費無料化についてでございますが、子供医療費助成制度につきましては、中学3年生まで無料化を進めた場合、約6億5,000万円が必要と試算しております。さらなる対象年齢の引き上げにつきましては、今後実施されます子ども・子育て支援新制度や、その他のさまざまな子育て支援策等の中で総合的に検討してまいります。
次に、保育料の負担軽減についてでございますが、本市の保育料は、平成26年4月から徴収金基準額表を現在の8階層から16階層に細分化し、各階層区分の中で生じていた不公平感の解消を図り、また、概して低所得世帯層の負担を軽減し、高所得世帯の階層については負担金額をふやすことで、より所得に応じた負担となるよう改定しております。なお、本市の保育料は、国基準額から全体で約3割の負担軽減を行っているところでございまして、その中でも低所得階層におきましては周辺の自治体と比較しても低く設定しており、さらなる引き下げについては考えておりません。
次に、第3子以降の保育料の無料化につきましては、同一世帯で18歳未満の児童が3人以上いる場合に、3歳未満児を対象として平成23年4月から実施しているところでございます。3歳未満児を対象としたことにつきましては、3歳未満児の保育料が3歳以上児に比べ負担が大きいことを考慮したものでございまして、平成25年10月在園児データから試算いたしますと、無料化の対象児童数は1,271名で、年度総額約2億7,000万円の負担軽減を行っているところであり、3歳以上児へのさらなる拡充は困難と考えております。
最後に、認可外保育施設への助成についてでございますが、市に届け出がある施設を対象に、児童の健康診断や園児の賠償責任保険などの安全安心に直接かかわる経費を助成しており、さらに昨年度から児童の処遇や保育の質の向上を目的に、乳児保育や障がい児保育を実施している施設への助成を行うなど、内容の拡充を図っているところでございます。本年度は補助金算定に係る基準日の変更や申請書様式の改正などを行うなど、助成制度の活用促進に取り組むとともに、来年度は職員健康診断経費の補助単価を増額し、支援内容の見直しを図ることといたしております。
今後とも、子育て家庭への支援充実に努めますとともに、児童の保育環境及び処遇向上を図ってまいります。
〔永山國博都市建設局長 登壇〕
◎永山國博 都市建設局長 私からは、市営住宅家賃に係る非婚のひとり親に対する寡婦控除の適用についてお答えいたします。
市営住宅の家賃については、公営住宅施行令第1条に規定された所得税法の控除基準をもとに家賃額を算定しております。その中で、家賃算定時の寡婦控除については、現在のところ非婚のひとり親世帯への適用は法に規定されておりません。しかしながら、家賃減免制度において、八王子市では非婚のひとり親世帯に対し平成25年度から寡婦控除を適用されており、千葉市も平成26年度から同様に適用される予定と伺っております。
また、本市でも平成25年度から保育所徴収金減免で同様の措置がとられておりますことから、市営住宅の家賃減免についても、非婚のひとり親世帯への寡婦控除の適用を今後検討してまいりたいと考えております。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 子供の医療費助成も中学校卒業まで6億5,000万円ということで、100億円の補助を開発会社にはやるという肝っ玉があるわけですから、やろうと思えばできるわけですね。それもできないと、保育料の引き下げも十分やっているというようなことで、認可外保育園については一歩前進ということもあるわけですけれども、日本一子育てのしやすい熊本市とはほど遠い答弁ばかりではなかったかと思います。
政令市におきましても、また周辺におきましても、この分野では熊本市が大変おくれておりますので、政令市としての魅力が本当に実感できるような対応を要望しておきます。非婚の母子世帯への市営住宅家賃減免の早期実現を心からお願いいたします。介護の問題、国保料の引き下げ、重度障がい者医療の問題なども引き続き準備をしておりましたけれども、時間が迫ってまいりましたので、それは福祉子ども委員会の那須議員に委ねることにいたしまして、教育環境につきまして幸山市長並びに教育長にお尋ねいたします。
第1は、小中学校へのエアコンの設置につきまして幸山市長にお尋ねいたします。
家庭にほぼ100%普及する中で、県下の小中学校では、人吉市、合志市、玉東町、甲佐町、嘉島町、芦北町、あさぎり町、湯前町、錦町など、11自治体が設置、政令市におきましても、新年度、福岡市が設置に踏み出すなど、エアコンの設置自治体がふえてまいりました。しかしながら、熊本市はやっと音楽室に本年設置され、障がいを持つ子供たちのいる特別支援学級につきましては、1学校当たり1教室にとどまっております。地球温暖化が進み、PM2.5の問題などもある中で、対応が大きくおくれております。
国の補助金や元気交付金、市債を活用すれば一般財源は少なくて済みます。熊本市におきましても、新年度は補正予算をつけ、全ての障がいを持つ子供たちのいる特別支援学級に設置するべきではないでしょうか。そして、全ての教室へのエアコン設置につきましても、喫緊の課題ですのでお尋ねいたします。
第2は、体育館、プールの改修や教育環境の整備、運動場や運動場トイレなどの改修促進につきまして教育長にお尋ねします。
私ども市議団は、学校現場から毎年提出されている要望書に基づきまして、現場を見せていただきました。中学校の運動場トイレが男女共用となっているところ、体育館の半地下倉庫から雨水が噴き出る、理科室、家庭科室には扇風機もない、雨が降ると廊下は水浸しになるなど、ひどい状況があります。改善されているところもあり、現場の努力もよくわかりましたが、少ない予算のために積み残しになっています。
京都市は昨年、元気交付金を活用し、学校の改修予算をふやしておられます。現在の学校現場からの要求に対する実現率を100%にするために必要な財源を示してください。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは、私の方から小中学校へのエアコン設置についてのお尋ねにお答えいたします。
これまで学校施設における夏の暑さ対策といたしましては、御案内のとおり扇風機あるいはエアコンを設置してきたところでありまして、平成26年度も、先ほど御紹介のございました国の元気臨時交付金を活用いたしまして、小中学校の音楽室156教室及び特別支援学級125教室、合わせまして281教室へのエアコン設置を行う予定であります。現状ででき得る限りの対応を進めているところでありまして、現在、工事のための設計が終わった段階であると伺っております。この取り組みによりまして、特別支援学級におきましても、学校の実情に合わせた活用や在籍する児童・生徒の心身の状況に応じた利用が図られるものと考えております。
全ての教室へのエアコンの設置につきましては今後の課題でございますが、本市学校施設の整備に当たりましては、現在進行中の分離新設校や特別支援学校の建設、また体育館等の天井落下防止対策などの対応も必要でございますことから、全体的に教育環境の施設整備を進めてまいります中で、緊急度を優先させつつ計画的に取り組んでいきたいと考えております。
〔
廣塚昌子教育長 登壇〕
◎
廣塚昌子 教育長 私からは、学校施設の改修に関するお尋ねにお答えいたします。
平成25年度の全学校からの要望件数は1,800件を超えておりまして、このうち対応を終えたものは約280件で、学校現場からの要望に対する実現率は約15%でございます。学校からの要望内容は多岐にわたっておりまして、実現するためには方策の検討が必要なものや、工夫をすることで学校が個別に対応できるものなどもございます。
今後とも、学校施設の要望等に対しましては、現場を確認し学校と協議を重ねながら、子供たちの安全確保を第一に考え、優先順位をつけて対応してまいります。
なお、全ての項目の経費試算は行っていない状況でございます。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 本当に涙ぐましい努力ということもあるわけですけれども、特別支援学級の未設置は163教室あります。現場に行きまして、3教室並んだり、上下だったり、別の棟だったりという状況もあります。ぜひ、こうしたところには設計を年内に済ませるとか、来年は全てするとか、希望を持てるような対策に取り組んでいただきたいと思います。
人吉市の市長さんにもお会いしましたけれども、学校現場に行き、その必要性を実感して全学校の全教室のエアコン設置に踏み切ったとおっしゃいました。幸山市長も蒸し暑い7月、9月、学校現場に行って、子供たちの状況、またエアコンをつけたらどんなに喜ぶだろうかとその顔を思い浮かべて、今後の課題と言わず、特別支援学級はもちろん、普通教室へのエアコン設置に向けて取り組んでいただきたいと思います。
学校からの修繕の要望、対応しているのが約15%ということでした。100%を目指して頑張っていただきたいと思います。
次に、行財政改革による教職員に対する駐車スペースの有料化についてお尋ねいたします。教職員のマイカーは、学校に公用車が配置されていない中、家庭訪問や子供たちを病院へ連れていくことや、出張、会議出席など公用車の役割を果たしています。先生方にお話を聞くと、公共交通機関を使った移動となると早目に学校を離れることになり、自習になり、子供たちから離れる時間が多くなるなど大変心配されていました。また、自宅での授業準備のための書類の持ち運びにも困る、こんな話を聞きながら、先生方の努力で教育の現場は支えられていることを実感いたしました。
行政経営課、管財課は、中心部など商業地区にある施設は3,000円、ほかは2,000円、公務でマイカー使用が認められている教職員は一律1,500円とし、約1億円、学校現場の試算は5,089万2,000円の収入を見込んでいるとのことです。
子供たちのために頑張っておられる先生方や事務職員などの学校関係者のやる気を大きくそぐことになるのではないでしょうか。全国でも教職員から駐車場料金を徴収している自治体は、まだ少数の自治体だけです。熊本市の場合、合併により市域も広くなり、公共交通機関が不便な地域への通勤者も多くなっております。また、市で雇用している90人の非常勤講師には、通勤手当もありません。学校現場や市職員組合との話し合いも行われているとのことですが、現場の理解は得られておらず、駐車場有料化は教育現場の実態に合いません。
教育長には、公用車配置がない中で教師や事務職員のマイカーが果たしている役割と、県下自治体の教職員の皆さんへの駐車場有料化の動向についてお尋ねいたします。
総務局長には、小中学校教職員や事務員への駐車場料金は中止すべきだと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
〔
廣塚昌子教育長 登壇〕
◎
廣塚昌子 教育長 学校における自家用車の公務利用の現況と県内自治体の動向についてでございますが、学校におきましては約9割の教職員が自家用車で通勤し、そのほとんどが学校敷地内に駐車しております。また、学校には公用車が配置されていないことから、事前に登録することにより自家用車を公務に使用する制度が設けられているところでございます。学校では、校外での会議や研修、生徒指導や家庭訪問などに加えまして、突発的なけがや事故の対応などの公務に自家用車が使用されている実態がございます。なお、県内で有料化を実施している市については、現在のところないという状況でございます。
〔飯銅芳明総務局長 登壇〕
◎飯銅芳明 総務局長 私からも教職員の駐車場有料化につきましてお答えいたします。
職員等駐車の有料化につきましては、市の施設内における職員の通勤用自家用車等の駐車について行政財産の使用許可を行うことにより、市民共有の財産の適正管理を図ることを目的として取り組みを進めております。その検討に当たっては、学校敷地につきましても市の施設と同じ行政財産であることや、児童・生徒の安全確保、校内環境の改善などの適正管理の観点からその対象としているところでございます。
しかしながら、議員が述べられたように教職員は自家用車を公務に使用する機会もあり、職務の特殊性が認められますことから、使用料の設定につきましては考慮したところでございます。現在、学校現場や関係機関等の意見や議会での論議を踏まえ、さらに地域性を考慮した区分や障がい者への対応などについて見直しを検討しているところであり、今後も制度の趣旨を十分に説明し、理解してもらえるよう対応してまいります。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 公用車の配置もない中で、先生方のマイカーがまさに公用車の役割を果たしております。教育委員会には学校現場の声をしっかり聞いて、駐車場有料化を導入しない立場で頑張ってもらいたいと思います。行財政改革の目的は、駐車場の有料化で学校現場に混乱を持ち込むことではなく、大きな
MICE施設建設の無駄遣いにメスを入れることではないでしょうか。
引き続き、学力テストの学校ごとの順位発表の中止について、教育委員長にお尋ねいたします。
全国学力テストは、安倍第1次内閣のときに本格開始しました。民主党政権下で抽出調査となりましたが、昨年から全員調査に戻されました。文科省は、学校別公表については序列化や過度の競争につながらないよう十分配慮するとし、個々の市町村名、学校名を明らかにした公表は行わないとしてきました。
そもそも全国学力テストは昭和30年代にも行われていましたが、学校ごとの順位が流出し、地域によっては順位の高い学校への越境入学を希望することがふえ、順位を上げるために、直前に授業の中でテスト対策の特訓をする学校やテストの点がとれないと判断された子供を学校側が休ませるという、公教育の現場とはおよそかけ離れた事態すら起き、批判が広がり、1966年、10年ほどで廃止された経緯があります。
こうした経緯を踏まえ、序列化や過度な競争を招かないよう、正答率を学校別、市町村別には公表しないことを前提に始められました。ところが安倍首相になり、昨年春からは、市町村教育委員会による個々の学校名を明らかにした結果公表を可能にしました。
学校名公表をしないでも、学力テスト対策として春休みの宿題、朝、放課後の授業時間の補修が行われ、地域や学校間競争が激化し、平均点を上げろと追い立てられる状況が指摘されております。公表を認めた政権の責任は重大です。
大阪市の橋下市長は、学校別成績公表を実質的に義務化し、学校選択の一つの要素とし、平均点競争に追い込む姿勢をあらわにしました。当然教育関係者の反発が広がり、全国連合小学校長会、全日本中学校長会は遺憾の意を表明しておられます。
専門家からも、子供、学校に責任を負う教育委員会として、学校、地域で子供たちに学びと育ちをどう保障するのか考えることが大切、学力テストではかれるのは学力の一部にすぎないなど、数値の結果だけで学校の価値が判断されるようなことにはならないようにしてほしい、学力テストはあくまでも学校自身が自分たちのやってきた教育の成果をはかって、結果は授業をよくするためにあるなどと指摘をされております。
2007年に全国学力テストが始まったとき、愛知県犬山市は、競争をあおり有害無益と不参加を決め、学び合い、少人数授業を進めて成果を上げ、全国から注目されました。熊本市においても、学力テストの学校ごとの公表は中止して、35人学級の全学年での実施など、教育環境整備を進めることこそ大切ではないでしょうか。市教育委員会として学校別の成績公表への対応につきまして、教育委員長にお尋ねいたします。
〔崎元達郎教育委員会委員長 登壇〕
◎崎元達郎 教育委員会委員長 全国学力テストの順位公表への対応についてお答えいたします。
全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストの目的は、全国的な児童・生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題の検証によりその改善を図ること、そして、その取り組みを通じて教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立するとともに、学校における児童・生徒への教育指導の充実や学習状況の改善に役立てることでございます。
この全国学力テストは、PISA等の国内外の学習調査の結果から思考力、判断力、表現力などを必要とする読解力や記述する力、知識、技能を活用する力などについての課題が指摘されたことを踏まえて始まったものであります。その出題内容は知識や技能はもちろんのこと、それに加えて自分で課題を見つけ、みずから学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力、いわゆる確かな学力を身につけたかどうかを見きわめるような問題構成となっておりまして、私も全て解いてみましたが、国語、算数等、相当に長い文章の読解力や判断力が求められる内容であります。
これらのテストとあわせて学ぶ意欲や家庭での学習の様子についても調査をしております。
テストの実施に当たりましては、その結果を活用し、どのように授業改善に役立てていくかが大切であります。そのような観点から、教育委員会では各学校に学力テストの結果とともに、課題と思われる点について問題例及び授業改善のポイント、具体的な指導例を示した授業改善資料を配付いたしまして、それぞれの学校がその学校の課題を踏まえた授業改善や指導計画等への反映を行うことにより、子供たちに確かな学力をつけることができるよう指導、支援してまいりましたし、今後もそのようにいたします。
また、全国学力テストの結果の公表の仕方についてでございますが、本市では現在、国、県及び本市全体の問題種ごとの平均正答率と、平均正答率の結果から見られた課題、質問紙調査から見られた課題等の分析結果をホームページ上で公表をしております。議員御指摘の弊害等もあり得ることから、私としましては、現在の公表方法や内容で本調査の趣旨を十分実現し得ると考えておりますが、今後、公表のあり方につきましては、学校現場や保護者の意見も伺いながら、検討してまいります。
〔49番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 御答弁ありがとうございます。教育委員会として学校別の成績公表には慎重であることがよくわかりました。さまざまな課題を抱える子供たちも多い中で、奮闘されている学校現場の声を十分尊重していただきたいと思います。
住宅リフォーム助成制度や高崎市が実施して大変好評の商店版リフォーム助成の設置についても用意しておりましたけれども、経済委員会の所属でもありますので、委員会で大いに論議をしたいと思います。
桜町の再開発事業につきましては、一地権者、民間の事業者に100億円もの補助金が出されることになっております。こうした企業には大変温かいというか、それに対しまして私どもが要望しております子供の中学までの医療の無料化、こうしたものにはなかなか春は来ないなというような感じを受けたところです。熊本市では、中小企業振興基本条例の制定も議員提案でいたしました。MICEの問題、これからの地域経済の循環をどうするのか、都市整備委員会や経済委員会、それぞれの所管での論議を心から要望しておきたいと思います。
幸山市長は初めての選挙に対して、諸問題を多く抱え、最近では不祥事の続く熊本市をこのままにしてよいのかと思う気持ちが高まったと述べ、熊本市政は必ず変わります、必ず変えられますと訴えておられました。残念ながら、今では多くの市民が幸山市長の市政運営に対して、このままにしていてよいのかと考えているのではないかと思います。私たちも市民が主人公の市政実現のために力を尽くすことを表明いたしまして、本日の質問を終わります。
御清聴ありがとうございます。(拍手)
○鈴木弘 副議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午後 0時11分 休憩
───────────
午後 2時00分 再開
○齊藤聰 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
─────────────────────────────────
○齊藤聰 議長 質問を続行いたします。北口和皇議員。
〔48番 北口和皇議員 登壇 拍手〕
◆北口和皇 議員 自由クラブの北口和皇でございます。
平成26年第1回定例会に当たり、通告に従いまして質問をさせていただきます。
これまで私は、愛してやまない我が熊本をもっとすばらしいまちにしたい、また将来を担う子供たちには無論のこと、市民の皆様が安全で安心して暮らせるまち熊本市とするために、行政は今何をすべきか真剣に考え、さまざまな提案を含め質問をしてきました。
教育分野では、必由館高校の建てかえやグランドピアノ14台の導入、学校給食への熊本の安全でおいしい食材の活用、また治水計画の策定や防災対策、熊本の財産である江津湖の保全に向けた対策、また人権問題や職員の不祥事についても厳しくただしてきたところであり、市長初め執行部におきましては、私の意見を真摯に受けとめていただき、一つ一つ着実に成果が出てきているものと自負しております。
本日も、将来の熊本の活力を維持拡大するために不可欠と思われます
MICE施設や桜町再開発の是非を初め、江津湖の保全、農業問題などについて順次質問をいたします。市長初め執行部におかれましては、明快なる御答弁をいただきますようお願い申し上げます。
まず、MICEです。
今議会は、新年度の予算を審議する大変重要な議会ですが、今回は特に総事業費が289億円とも言われる
MICE施設の整備に熊本市議会がゴーサインを出すのか出さないのかが注目されている極めて重要な会議です。私は、熊本市の重要政策についてはこれまでも政策の一つ一つについて是々非々で論議をし、態度を決めてまいりました。
例えば8年前の市立産院の廃止問題において、市立産院は、長年赤ちゃんとお母さんの安心づくりに大きな役割を果たし、ユニセフ・WHOが産後1カ月の母乳率95%以上など、非常に厳しい条件で認定する赤ちゃんに優しい病院に認定され、早産予防を徹底され、NICUに入るような極小未熟児は1人も生まれない、世界に通用する産科医療機関の水準でありました。また、NICUに入ると1日8万4,000円の費用がかかり、保育器の中でさらに網膜剥離や脳障害などの障害が出ると、1人の赤ちゃんに3億円の福祉費がかかることになりますので、私は徹底して市立産院を存続すべきとの立場を貫いてきました。
そこで、
MICE施設を整備するという政策がどういう意味を持つのかという視点から、質問をいたしたいと思っています。
まず第1に、
MICE施設のことはもとよりですが、桜町・花畑町周辺地区整備計画、ひいては中心市街地活性化のための全体ビジョンをよく知らなくてはならないということです。
2核3モールの一つ、桜町・花畑周辺地区は、中心市街地のにぎわいづくりに重要な役割を担っています。熊本の顔としてどのような整備をしていくのか、全体ビジョンを都市建設局長にお尋ねいたします。
〔永山國博都市建設局長 登壇〕
◎永山國博 都市建設局長 お尋ねの桜町・花畑周辺地区の全体ビジョンについてお答えいたします。
先般市長が答弁いたしましたが、桜町・花畑地区は、本市のシンボルである熊本城から続く空間として大変重要な位置にあり、中心市街地の再デザインを進める上でかなめの地区と認識しており、九州中央の拠点都市にふさわしい熊本の顔として位置づけているところでございます。
そのようなことから「熊本城と庭つづき、まちの大広間」をコンセプトといたしまして、花畑地区では、熊本城とつながるシンボルプロムナードと花畑地区の広場が一体となり、熊本城を眺望できる中心市街地における貴重な憩いの空間として、またこれまでの大にぎわい市などの祭りやイベントに加え、食やアートの祭典や、日常的にもオープンカフェやさまざまな市民活動などにより、一年中アクティビティが催される空間として、にぎわいと潤いに満ちた上質な都市空間を形成することとしております。
また、桜町地区では、再開発事業により
MICE施設、商業施設、ホテル、バスターミナルなどの整備を進め、九州を代表する周遊と交流の複合拠点を実現することにより、わくわくに出会う熊本新城下町として魅力ある空間を形成することとされております。
いずれにいたしましても、都市間競争の激化など本市を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中で、指定都市熊本の顔として桜町・花畑地区を一体的に整備することにより、中心市街地全体の活性化を目指してまいります。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 都市建設局長から御答弁がありましたように、熊本市の中心市街地の道路がシンボルプロムナードや広場になることで、ヨーロッパのすてきなまちのようにカフェやランチをいただくような気持ちのいい時間を過ごすことができたり、ここで毎日のようにマルシェが開かれるようになったら、地産地消の推進はもとより、観光の目玉になるのではないでしょうか。
パリには、道路や広場を利用して80ものマルシェが開かれているそうです。青果や肉、魚などの生鮮食料品を初め、チーズやパンなども売っていて、その場で簡単な食事もできたりします。このマルシェ目当てで大勢の人たちがパリを訪れます。安くて新鮮なチーズや野菜や果物を求める人たちで、マルシェはいつも大にぎわいだそうです。同じフランスのエクサンプロヴァンスに行ってまいりましたが、マルシェはとてもにぎわっていました。
熊本の農産物の品質は世界有数と思っております。外国人が日本に来て、甘くて大きいイチゴを食べると驚きます。熊本が全国に誇る甘いスイカやナス、トマトやミカンといった色とりどりの野菜や果物が山盛りに並べられ、観光客がそれを手にとって買い求めることができたら、きっと楽しい旅の思い出になることでしょう。
そして、こんな場所で農業者の皆さんがみずから栽培した農作物や加工品を販売することができたら、コミュニケーションが広がり、農業の楽しさを実感することができ、農業者の皆さんの意欲もさらに高まっていくのではないでしょうか。楽しい、おいしい、美しい空間がつくられたら、とてもすばらしいことだと思います。
本市が計画している
MICE施設は、人、物、情報の交流拠点として、国の内外から熊本に多くの人々を呼び込み、高い経済効果をもたらす施設となることを目指さなければならないと考えます。
2つ目の論点、都市戦略上の観点からの検証です。
幸山市長は、今後迎える人口減少社会に対して、交流人口を増加すると言われています。これから九州の、いやアジアの交流拠点として、国の内外から多くの人々を呼び込み、高い経済効果をもたらすためにはどのような施設が求められるのか。また、その経済効果について、観光文化交流局長にお尋ねいたします。
〔坂本純観光文化交流局長 登壇〕
◎坂本純 観光文化交流局長 都市戦略上の観点からの検証について、2点の御質問にお答えいたします。
まず、どのような施設が求められているのかでございますが、国におきましては、平成21年、MICE推進アクションプランを策定され、新たな集客施策の枠組みであるMICEの推進が提唱される中で、本市といたしましてもMICEの受け入れ環境を整えるため、コンベンションのみならずコンサート、展示会、イベントなどが開催可能で、国内外からの多くの集客が見込める施設の整備を目指しております。
そこで、このたびの
MICE施設整備基本計画案では、3,000人規模のコンベンションを単独で開催できる施設、ホールツアーコンサート会場として利用できる施設、まちなかの展示会需要に応える施設、熊本城への眺望、屋上庭園との一体的利用など桜町地区に付加価値を持たせる施設、この4点を掲げ、使い勝手のよさを追求するとともに、熊本ならではの魅力を兼ね備えた施設プランを提示したところです。
次に、お尋ねの経済効果についてでございますが、MICEの開催は、一般に国内外から多くの参加者が集われることにより、運輸、宿泊、飲食、お土産などの関連産業の裾野が広く、その経済波及効果は非常に大きいものがあります。
本市での
MICE施設の整備による経済波及効果は、他の政令指定都市の施設における利用率、催事ごとの開催状況をもとに想定催事件数を算出し、観光庁のMICE経済波及効果測定モデルに熊本県産業連関表を用いて試算いたしましたところ、年間168億円と見込んでいるところです。
今後、誘致活動の強化はもとより、MICE関連産業との連携をさらに深め、この経済効果が確実なものになるよう取り組んでまいります。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 私は先月、行政視察で国立京都国際会館を見てきました。1966年開館ということで少し古さも感じましたが、やはり国立ということで格調の高い京都のまちにふさわしい施設でした。しかしながら、そのメーンホールは1,840席ということで、昨今のコンベンション需要には手狭で、近々イベントホールの拡張工事を行うとのことでした。
また、福岡市議会は、福岡市の施設にもっと大きなものをつくれと増床の議論が行われていると新聞で報道されています。そうなると、福岡市のひとり勝ちとなり、さらに福岡市に大きく水をあけられます。このままでいいのでしょうか。
また、私は議員活動ではもとよりJA関係や漁連関係で、JAの全国大会や漁連の全国大会、海づくり大会などに出席するために全国各地を訪問し、多くの大型コンベンション施設を見学させていただいております。
本市の
MICE施設計画について、大規模ホールの利用見込みは大丈夫か、過大な投資ではないのかという見方もありますが、中途半端なものではなく、適切な規模がどうなのかの広い視野からの議論が必要ではないかと考えています。
そこで、幸山市長にお尋ねですが、
MICE施設の必要性が問われる中、なぜ市政の中で優先順位が高いのか、多額の投資をしても必要なのか、市長は
MICE施設の建設を通してどのような熊本市づくりを目指しておられるのか、多くの市民の皆様が理解できるような、丁寧な御答弁をお願いいたします。
2点目として、他都市との誘致競争が激化する中で、この
MICE施設を最大限に生かしていくため、今後どのようにMICE誘致に取り組もうとされているのか、幸山市長の御答弁をお願いいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは、MICEにつきましてのお尋ね、なぜ
MICE施設の優先順位が高いのか、あるいはその施設建設を通じての熊本市のまちづくりについて、そして施設だけではなく、やはり誘致が必要という観点からの誘致の取り組みについて、以上大きくは3点であったかというふうに思いますので、順次お答えをさせていただきたいと存じます。少し長くなるかもしれませんが、お許しいただきたいと存じます。
まず、
MICE施設の整備がなぜ市政の中で優先順位が高いのかという点でございますが、これまで何度か議論されてまいりましたが、本市でも今後、本格的な人口減少社会を迎えることが見込まれます中で、交流人口の増加の取り組みを強化することが必要不可欠であると考えておりまして、今回の総合計画の見直しの中でも改めて柱の一つに位置づけさせていただいているというものでございます。
この交流人口の増加を図ります上で、MICE誘致は観光客誘致とともに、いわば車の両輪ともなる施策であると考えておりまして、本市の強みでございます大学、医療機関の集積でございますとか、あるいは九州中央に位置しております地理的な優位性、そして新幹線の開業や政令市移行といったことを最大限に生かしまして、MICE開催都市として国内外から選ばれる都市となりますために、その受け皿ともなります
MICE施設の整備は、将来を見据えました都市戦略上からも優先的に取り組む事項と考えているものでございます。
あわせまして、多額の投資をしても必要なのかという点につきましては、MICEが地域経済に大きな波及効果をもたらすことにつきましては、先ほど局長の方から答弁をしたとおりでございまして、加えまして都市の知名度、イメージの向上、さらには国際化にも寄与いたしますことから、
MICE施設の整備というものは、本市の重要施策として着実に進めていくことを決意しているところでもあります。
次に、
MICE施設の建設を通しまして、どのような熊本市づくりを目指しているのかという点につきましては、先ほど紹介もございましたが、本市の中心部は2核3モールで形成されていると言われております。すなわち通町筋と桜町・花畑が2つの核となって、そしてそれを上通、下通、新市街の3つのモールで結んでいるというものでありますが、私はこれを単なる本市の中心部の核にとどまることなく、政令指定都市にふさわしい確固たる熊本の顔として、将来にわたり位置づけてまいりたいと考えているものであります。
そこで、本市の
MICE施設につきましては、国内外からMICE開催都市として選ばれますように、主催者や利用者の視点に立った使い勝手のよさはもとより、熊本城の眺望と屋上庭園の活用、さらには熊本城と庭続きのシンボルプロムナード、あるいは(仮称)花畑広場など、これらを一体的に整備し、熊本ならではのオンリーワンの場所を提供したいと考えているものであります。
ただいま議員の方からは、パリのマルシェなどの御紹介もあったところでありますけれども、中心市街地の活性化というものが、ひいては本市の農業の活性化にもつながるということは、私も意を同じくするものでございまして、そのようなマルシェも含めまして、ここに昼夜を通じたさまざまなにぎわいを創出し、中心市街地の活性化、交流人口の増加につなげていきたいと考えているものであります。
このような取り組みによりまして、象徴的な顔を持つ熊本として都市全体の魅力をも高め、人口減少社会の中にありましても多くの交流人口を獲得し、都市の活力を維持できる、持続可能な、いわば日本一暮らしやすい政令市を目指してまいりたいと考えているものであります。
続きまして、今後どのようにMICE誘致に取り組んでいくのかという点についてでございますが、
MICE施設の完成の数年前から3,000人規模の施設の存在をアピールした誘致活動に取り組む必要がありますことから、全庁挙げての取り組みはもとより、本市のコンベンション誘致を担います熊本国際観光コンベンション協会、そしてMICEに関係する68の団体で構成されております、くまもとMICE誘致推進機構との連携のもとに、国内外からのMICE誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
また一方、国内外におけるMICE誘致競争に打ち勝ってまいりますためには、本市だけで活動するというものではなく、オール九州での取り組みもまた必要不可欠であると考えております。もちろん福岡は競合相手の一つではありますが、ときによりましては、やはり連携して取り組んでいくことも必要になろうかと考えているものであります。
さらには国との連携も重要でございまして、関係省庁からの密な情報収集、あるいは連携を図りつつ、国際会議などの誘致にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
もとより、この事業の推進に当たりましては、将来にわたりましての財政運営に支障を来さないように、あるいは大きな価格上昇が見込まれます場合には、基本計画の施設プランを尊重しつつ見直しも行っていくなど、事業費の抑制を図ってまいりますなど、財政面にも十分配慮しながら進めていかなければならないというふうに考えております。
いずれにいたしましても、このMICE、あるいは花畑・桜町事業というものは、ただいま答弁させていただきましたように、本市にとりましての大変重要な事業という位置づけの中で、全力で取り組ませていただきたいと考えております。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 御答弁ありがとうございました。
繰り返しになりますが、絶対に中途半端なものではなく、今検討できる中で最適なオンリーワンの施設を実現してください。50年後、未来の市民の皆様が、あのとき
MICE施設の整備に向けて一歩を踏み出してくれていてよかった、だから今の熊本市があると思っていただけるように、今後も推移を見守りながら論議をしてまいりたいと考えております。
次に、江津湖の生態系の保全及び江津湖の利活用についてお尋ねいたします。
まず最初に、生物多様性の観点から、江津湖の貴重な生態系の保全対策について質問いたします。
江津湖は豊かな自然環境に恵まれ、600種類を超える在来の多様な生物が存在いたしております。しかしながら、一方で外来生物が異常に繁殖している現状であり、このことが江津湖の自然環境や生態系のバランスを壊すだけでなく、在来の絶滅危惧種や希少種が外来生物に脅かされ、種によって絶滅している状況も見られるところです。
特にブラックバスについては、依然としてほとんどの人がキャッチアンドリリースを行っていることから、ブラックバスリリース禁止条例を制定するべきではないかと提案いたしました。
幸山市長からは、外来魚を駆除するためにはキャッチアンドリリースを禁止することも有効な手段と考えており、25年度から条例の実現に向け、検討も行ってまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。
そこで、これらの取り組み状況について、環境局長の御答弁をお願いいたします。
環境を守り続けるための有効な取り組みの一つは、子供のころからの教育が重要であると思います。そのことから、熊本市漁業協同組合では、地元の出水中学校、出水南中学校など周辺小中学校の生徒たちと一緒に、江津湖でアユやウナギの稚魚の放流を続けてまいりました。子供たちが歓声を上げながら、魚に直接触れて手ですくい、無事に育ってほしいとの思いを込めて、元気に育ってと魚に声をかけて放流するのです。
この生徒たちとお話をさせていただくと、魚たちが無事に育つように、子供たちは江津湖を守りたいと一様に言ってくれます。また、江津湖の湖面や水際の美化活動で、水草除去活動にも積極的に参加してくれます。改めて子供のころからの環境教育が極めて重要であるとの思いを強くしたところですが、江津湖の環境保全に向けて、環境教育にどのように取り組んでおられるのか、教育長にもお尋ねいたします。
〔石櫃紳一郎環境局長 登壇〕
◎石櫃紳一郎 環境局長 特定外来魚などのキャッチアンドリリースを禁止する条例の実現化に向けた取り組み状況についてお答えいたします。
この条例化を進めるに当たりましては、市民の皆様へ特定外来生物の影響につきましての適切な情報を提供いたしまして、御理解と御協力をいただくことが重要でありますことから、市政だよりやホームページを初め、生活情報誌などを活用し、特定外来生物等の影響や被害予防3原則の徹底、また特定外来魚の再放流をしないことへの御理解と御協力をお願いしているところでございます。
さらに今年度は、在来魚の生態系保全に向けた条例化を検討するための江津湖の魚類調査を、熊本市漁業協同組合を初め、関係機関の御協力をいただき、昨年11月と本年2月に実施いたしました。この調査では約30種の魚類が確認されましたが、その中には絶滅危惧種でありますオヤニラミ、カワヒガイ、メダカ、ニホンウナギ、ゲンゴロウブナ、イチモンジタナゴ、ヤマトシマドジョウ、カワアナゴなどの8種類の魚類が確認されたところでもございます。
しかしながら、特定外来生物でありますオオクチバス、いわゆるブラックバスやカダヤシ、要注意外来生物のナイルティラピアなど多数確認されておりまして、在来種の保護に向けた早急な取り組みが必要であると考えられます。
現在、この調査結果などをもとにいたしまして、江津湖での特定外来魚等のキャッチアンドリリースを禁止することにつきまして環境審議会において御議論いただいているところでありまして、今後とも関係機関等の御意見なども参考にしながら、条例化に向けた所定の手続を速やかに進めてまいりたいと考えております。
〔
廣塚昌子教育長 登壇〕
◎
廣塚昌子 教育長 環境教育の取り組みについてお答えいたします。
議員お述べのとおり、恵み豊かな江津湖の環境を守り、後世に引き継いでいくためには、未来を担う子供たちが自然に親しみ、環境問題について学習することが重要でございます。
熊本市漁業協同組合が毎年江津湖で開催しておられますアユやウナギなどの稚魚の放流活動では、議員みずから子供たちと触れ合いながら、外来生物から江津湖を守ろうとする強い思いをお伝えいただいているところでございます。
また、江津湖周辺の清掃活動に参加した子供たちからは、近くに住む私たちが江津湖を守らなければならないといった感想が聞かれるなど、江津湖への深い愛情と江津湖を地域の力で守るという強い意識が育まれており、感謝しているところでございます。
学校では、生活科や総合的な学習の時間を使いまして、江津湖に住む生き物を観察したり、調査したりすることによって、アメリカザリガニやウォーターレタスなどの外来の生物が繁殖し、本来江津湖に住んでいた生物の生態系が壊されている現状を学んでおります。また、江津湖の清らかな水を利用して水前寺もやしを栽培する体験を通して、江津湖の自然環境のすばらしさを再確認する取り組みも行われております。
江津湖は、その豊かな水に貴重な動植物が育まれ、熊本市民の憩いの場であるばかりでなく、子供たちにとって身近な自然の学習環境として大切に守っていかなければならない貴重な財産でございます。
今後もこのような体験活動を通しまして、江津湖に誇りを持ち、自分たちの力で江津湖の環境を守るという高い環境保全意識を持った子供たちを育んでまいります。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 市民のオアシスである江津湖に関しては、何といってもその保全が一番重要です。江津湖の生態系の保全に向け、実態調査は着実に進んでおりますので、26年度にはブラックバスのリリース禁止条例を含んだ外来種駆除に向けた条例を制定していただくよう強くお願いしておきます。
また、教育委員会では、江津湖の生態系の保全に向けた環境教育に積極的に取り組んでいただくようお願いしておきます。
次に、江津湖の利活用についてお尋ねいたします。
清らかな湧水、貴重な生態系など、豊かな自然環境を有する江津湖を適正に維持管理され、利活用していくには、非常に繊細な感覚が求められます。
そのようなことから、指定管理後の江津湖の公園管理や自然環境の保全、利活用について協議するため、私も熊本市漁協の代表として参加しておりますが、水前寺江津湖公園協議会が設置されたところです。
今現在、指定管理者がきちんとすばらしい管理をされておりますが、一体的に管理する水前寺江津湖公園について本市が一元的な情報管理や発信を図っていくため、専門部署を設け、早急に関係部署による研究会を設置し、江津湖公園管理、水産振興、環境保全、観光振興などの観点から利活用整備計画を策定するべきと、以前から提案しているところです。
江津湖は、1日40万トンの湧き水で日本一の地下水都市のシンボルでもあり、良好な景観が残る市民のオアシスとして、また文化活動の場としても広く親しまれている、後世に引き継いでいくべき大切な場所でございます。
特に湧水についてですが、昨年の7月13日に開催されました出水中学校の加勢川クリーン作戦、稚魚の放流に協賛いたしました。加勢川改修に向けた国土交通省の魚類調査でアユの生育が認められたことから、国連「生命の水」最優秀賞を記念し、アユの稚魚を初めて江津湖に放流いたしました。今、たくさんのアユの稚魚が群れをなして泳いでいます。
そんな中、ブラジルチドメグサを根からとるために、ウエットスーツを着用いたしまして江津湖の中に足を踏み入れましたら、ずぶずぶずぶと埋まり足をとられ、バランスを崩してひっくり返りそうになったものの、運動神経のよさで何とか大丈夫だったのですが、60センチ以上の深さのヘドロが確認されました。
過去の記録を見ますと、昭和28年の6.26水害で、江津湖には75万立方メートルの土砂が堆積し、湖の中央は覆われました。これらをしゅんせつし、江津湖周辺の健軍、秋津、画図一帯の田んぼに客土されております。
しかしながら、しゅんせつの際に中の島を残したことが、水の流れを悪くし、ヘドロが堆積した原因ではないでしょうか。中の島はもともとはなかったわけで、ヘドロでつくられた人工島で、これがどんとあるために湧水は妨げられ、水が流れないのでヘドロがたまるという弊害が起こっております。また、東海大学の市川先生によりますと、江津湖の湧水量は、1960年には1日に84万トンが湧き出しており、それが今は40万トンと、50年たって半分以下に減っているということでした。
現在のようにそれぞれの部署ごとに対応していては、江津湖の環境保全と利活用整備は進みません。私たちの望んでいる江津湖のあるべき姿は、子供たちが泳げる江津湖をテーマとした江津湖の将来ビジョンなのです。
そこで、これらを包括した総合計画策定についてどのように考えておられるのか、幸山市長にお尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 それでは、水前寺江津湖公園の環境保全と利活用に関する総合計画の策定についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。
利活用につきましては、先ほど議員からも御紹介のありました水前寺江津湖公園協議会におきまして、健康づくりを重視した公園の整備、あるいは活用すべきエリアと保全すべきエリアとの区分、またさまざまな情報の提供と共有の必要性など、貴重な御意見をいただいているところでありまして、今後、より市民のニーズに合った公園整備を検討しているものであります。
このような中で近年、行政に対しまして、地域の特性に応じた生物多様性の保全や、持続可能な利用を推進する役割への期待が高まっておりますことから、本市におきましても、環境局の新年度予算に生物多様性地域戦略策定に向けた基礎調査の経費を計上させていただいているところであります。
この戦略は、生態系の保全に向けまして、市民、事業者、行政などそれぞれの役割の明確化や、協働での取り組みの方向性を示しまして、生物多様性を確保する施策を総合的かつ計画的に推進するというものでございます。中でも江津湖地域でございますが、生物の多様性が豊かでありますことから、本市が重点的に取り組む地域の一つであると認識しております。
新年度の基礎調査におきましては、本市の現状と課題の整理を行いますとともに、さらなる連携強化のために関係部局による庁内会議を設置いたしまして、江津湖地域を含めた重点地域の保全、再生、創造に向けたビジョンや仕組みづくりに取り組んでまいりたいと考えております。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 水前寺江津湖公園の環境保全と利活用に関する総合計画策定に積極的に取り組んでいただけるということで、これまで私が取り組んできたことがやっと実を結び始めたと、少しだけ安堵することができました。江津湖が以前のようにきれいになるためにはどのくらいの時間がかかるかわかりませんが、きらきらと光る江津湖の水で子供たちが泳ぎ、遊ぶ光景を見ることができたらどんなにすばらしいことでしょう。そういう日が来ることを期待しつつ、今後も江津湖の保全に取り組んでまいります。
次に、農業政策について、農業補助の充実と改善についてお尋ねいたします。
農政については、国、県の補助金は充実しているのに対して、市は農業補助の予算が少ないのではないかという指摘がありました。そこで調べてみたところ、意外な事実がわかりました。国の補助で、野菜や果物の集出荷施設や台風に負けない頑丈なハウス、いわゆる耐候性ハウスを整備するのが強い農業づくり交付金ですが、この事業は通常、県は国の補助を受け入れてそのまま市に流すだけで、県の負担はゼロ。国の補助が5割で、残りの5割を事業主体となる地元農家やJAが負担するのですが、本市においては、集出荷施設に対しては独自に10%、上限3,000万円の上乗せ補助を行っています。
平成24年度の大型経済対策において、県が例外的に4割という上乗せ補助を行いましたが、このときの県の補助は元気臨時交付金という制度を活用しており、後から全額、別途国から手当てされたとのことです。その後は通常どおり、国による5割補助に戻っているとのことです。
これ以外にも、市独自の補助事業である農業わくわく化事業は、2,500万円全額、市の独自財源から支出されていたり、農業基盤整備関係では、地元農業者の負担分の6割を独自に市から補助するなど、本市の農業補助はかなり充実していると言えそうです。
しかし、農業補助に問題がないわけではありません。
1点目は、せっかくの予算を無駄にしてはいないかということです。
先般可決されました補正予算において、農業関係補助事業約28億円に対して、6億円と多額の不用額が発生いたしております。いわゆる予算がついたのに使わなかったお金です。
不用額の発生した原因はどの事業にも共通しており、当初、予算要求に予定していた事業が国の査定で不採択となったり、採択されても辞退するなどして、予定していた補助金が受けられなかったというものです。いろいろ理由はあるにせよ、せっかく予算措置していながら結果的に使わないというのは、何ともったいないことでしょう。
2点目は、事業の周知期間が短いなどにより、本来必要とする農業者に届いていないのではないかという問題です。
農業補助は、国の政策の中で目まぐるしく変わっています。一方で農家は、TPPなど先の見えない状況の中では新たな投資にちゅうちょし、なかなか補助事業の活用に踏み切れない状況にあります。
このような中、突然事業の公募があり、公募期間1カ月足らずで、短い場合は一、二週間で応募しなければなりません。応募のためには、必要書類に事業計画を初め、こと細かに記入したり、自分で見積書をそろえたりしなければなりません。農家の人には非常に難しいです。
このような短い期間で自分の経営を大きく左右する投資について決断を迫られても、適切な判断はしにくいのではないでしょうか。また、事業の周知期間が短いため、情報が個々の農家まで行き渡らず、知らなかったから手を挙げられなかったという話や、事業の実施期間がハウスで作物を栽培する期間と重なってしまい、1年作物を植えられずに困るという声も聞いています。
私は、このような状況になる根本の原因は、補助事業が単年度主義で行われていることにあると考えます。例えば、3年なら3年の間に必要な事業を実施できるような仕組みづくりができれば、事業の公募期間も十分確保でき、措置された予算もさまざまな事情に応じて弾力的に活用することが可能になるのではないでしょうか。
そこで、幸山市長にお尋ねいたします。
本市は、農業粗生産額444億円と全国で8位、政令指定都市3位の生産額を誇る、全国を代表する農業都市です。ほかの農業が盛んな都市でも、このような問題は発生しているのではないでしょうか。
本来、補助事業は、厳しい状況にある農家にとって利用しやすいものであるべきと考えます。幸山市長みずからがリーダーシップをとって、農業都市の代表としての自覚のもと、全国市長会などを通じて、複数年度にまたがるような新たな補助制度を構築してもらえますよう、農林水産省に働きかけていただきたいと考えますが、幸山市長のお考えをお聞かせください。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 農業政策についてのお尋ねの中で、国の補助制度に関しまして課題、問題点等も含めましての質問でありまして、お答えをさせていただきたいというふうに存じます。
本市におきましては、これまで国や県の補助制度を有効に活用しながら、また本市の独自事業も含めまして、強い農業づくりに向けて取り組んできたところでありますが、御案内のように国の農業政策が大きく転換しようとしております中で、私ども自治体も、あるいは農業者もそれぞれ迅速な対応が求められていると実感しているものであります。
このため、従来以上に補助事業に関する早期の情報収集でございますとか、事業内容のわかりやすい説明などに心がける必要がありますとともに、意欲ある農業者にとってできるだけ利用しやすい制度となりますように、今後も要望していかなければならないと考えております。
そのような中で、ただいま議員から複数年を事業期間とする新たな制度創設を国に働きかけてはという御提案もありましたが、このことが実現することになりますと、お話にもありましたような申請期間に余裕が生まれるでありますとか、農業者の意向を十分に取り入れることができるなど、多くのメリットもあるものと考えているものであります。
しかしながら、このこともお話にございましたが、一方では単年度予算主義というものがやはり基本的な考え方としてあります中で制約もありますので、先ほどは全国市長会というようなお話もございましたけれども、その組織も考えられますし、また政令指定都市市長会もございます。最近では、本市も含めまして大変農業の盛んな政令指定都市も誕生してきている状況でございますので、そのような農業の盛んな他都市とも連携をとりながら、農業者や自治体にとりまして使い勝手のよい仕組み、例えば基金制度の活用などにつきまして調査研究を行いつつ、国に対して必要な働きかけを行っていきたいと考えております。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 ありがとうございました。
せっかくある制度も、実態に合ったものでなければ効果はありません。幸山市長におかれましては、積極的に国へ働きかけるとのこと、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、安全安心なまちづくりについてお尋ねいたします。
去る2月21日に、市長と熊本市校区防犯協会連絡協議会80人との意見交換会が開催されました。私は、平成24年第1回定例会の本会議におきまして、校区防犯協会と市長との意見交換の場を設けていただくことを要望いたしておりましたが、これが実現したものでございます。
市長には御多用の中、意見交換の場を設けていただきましたことに感謝申し上げます。
この意見交換会では、市内3警察署の単位に設置されております北、東、南の地区防犯協会ごとに意見や要望を取りまとめ、3地区から代表者が意見発表を行いました。私も北地区防犯協会を代表いたしまして、意見を述べさせていただきました。
3地区からの意見要望を合わせると全部で10項目ほどになりましたが、新たな予算措置が必要となるような内容の要望も多く、明快なお答えをいただけなかったものもありましたが、市長にはそれぞれ丁寧に御回答いただきました。
本日は、市長の公約であります、日本一住みやすい安全安心なまちづくりに向けての考え方をこの本会議場で改めて確認しておきたい点もございますので、お尋ねいたします。
まず、防犯協会の位置づけについてでございますが、平成18年に、犯罪を防止し安全で安心なまち熊本市をつくる条例が制定され、この条例に基づいて熊本市安全安心まちづくり推進協議会が設置されております。これにより、昭和31年9月の発足以来、地域の防犯強化に取り組んできた熊本市防犯協会は、発展的に移行するということで平成19年に解散しております。このような設置の経過にもかかわらず、熊本市防犯協会は、協議会の中での位置づけや運営状況という面におきまして、当初の考え方に沿った形になっていないのではないでしょうか。
例えば、校区防犯協会連絡協議会の会長が構成員の1人となっていますが、地域防犯協会の柱であります3地区、北、南、東の防犯協会は構成員となっておりません。活動の実態を踏まえた事業計画を策定するためにも、3地区の防犯協会を構成員として加えるべきではないかと考えます。
また、行政としての熊本市側からの参加につきましても、担当課が事務局になっていますが、構成員としての行政の参加はありません。その場限りの会議で終わるのではなく、協議の結果や情報がそれぞれの構成団体にフィードバックされ、校区防犯協会におきましても共有されることが重要であると考えますので、安全安心まちづくり推進協議会の運営のあり方につきましても、見直しを行っていただきたいと思います。今後、どのようなスケジュールで見直しを検討される予定なのかお尋ねいたします。
次に、防犯協会に対する予算措置ですが、校区当たり年間10万円の補助金はいただいておりますが、青パトの維持費やガソリン代やのぼり旗の買いかえなどで、補助金はほとんど残らない状況です。年間を通じて活動回数が多い防犯協会に対して、予算措置が手薄なのではないでしょうか。活動に必要な物品の提供など、行政としてもっと防犯協会の活動の後方支援を強化することが必要であると考えています。
このことにつきまして市長は、防犯活動に伴って必要となる統一した帽子や防犯ベスト、のぼり旗などについては、可能な限り支援したいと前向きな回答をいただきました。今後、具体的にはどのような支援を予定されているのでしょうか。新年度予算にどのように反映されているのか、以上、企画振興局長にお尋ねいたします。
〔原本靖久企画振興局長 登壇〕
◎原本靖久 企画振興局長 安全安心なまちづくりについての2つの御質問にお答えいたします。
まず、安全安心まちづくり推進協議会に関します御質問でございますが、本協議会は、平成18年に制定いたしました犯罪を防止し安全で安心なまち熊本市をつくる条例に基づきまして、総合的な活動の推進を市民、事業者及び警察その他関係行政機関と図ることを目的として設置された組織でございます。
しかしながら議員御指摘のように、現在推進協議会には地区防犯協会が構成員として位置づけられていない点や、会議は活動報告が主体となっておりますことなど、構成や運営のあり方を見直す必要があると考えております。
今後、関係機関等とも協議をしながら、市職員の参加も含めまして構成員の見直しについて検討してまいりたいと考えております。また、協議された内容等が団体から地域、さらには市民の皆さんにも徹底する仕組みとしたいと考えております。時期といたしましては、今年度新たに委員を委嘱する時期をめどに検討してまいりたいと考えているところでございます。
次に、校区防犯協会の活動に対する支援に関する御質問についてお答えいたします。
校区防犯協会の皆様の地域におけます青パト巡回や登下校時の子供の見守り、防犯パトロールなど、昼夜を問わないさまざまな活動は、安全安心なまちづくりの実現を図る上でも非常に重要な活動と認識しております。
新年度におきましては、要望の多かった防犯ベスト購入経費を予算計上しておりまして、平成26年度から3カ年で防犯ベストを順次更新していく予定でございます。
今後も、警察や防犯協会等関係団体と連携協力しながら、安全安心なまちづくりを推進してまいりたいと考えております。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 企画振興局長からは、安全安心まちづくり推進協議会の運営のあり方や、校区防犯協会の活動支援について御答弁いただきました。市民が安全で安心して暮らしやすいためには、第一線で活躍している校区防犯協会の協力が必要不可欠であります。
今後、市におかれましては、推進協議会と防犯協会との連携協力を推進していただきますようお願いいたしまして、次の質問に移ります。
次に、特別支援教育についてお尋ねします。
皆さん御承知かと思いますが、2013年度子どもたちのこころを育む活動の授賞式があり、私の地元であります出水南小学校が最優秀賞となる全国大賞を受賞いたしました。
この出水南小学校は、昭和55年の創立以来34年にわたり、隣接する熊本支援学校と1,000回にも及ぶ交流を続けておられます。毎週火曜日の昼休みには、4年生が支援学校を訪問し、さまざまな遊びを通して交流を深められています。また、出水南小学校の子供たちと支援学校の子供たちとの交流集会が年2回行われ、一緒にゲームなどの活動も行っておられます。
創立以来34年間継続してこられたことで、この交流は子供たちの心の成長にもつながるすばらしい活動となっておりますので、これからもぜひ続けていただきたいと願っております。
出水南小学校に限らず、各学校においても特別支援学級との交流や共同学習をされておりますし、本市が設置予定の特別支援学校の小中学部は城東小学校、藤園中学校の敷地内にできることとなっておりますが、子供たちの日常的な交流が図られ、障がいのある子供たちへの理解へとつながるものであり、JA熊本市女性部と一緒に行った春日ぼうぶら体験学習においても、特別支援学級の子供たちも生き生きとした表情で一緒に活動し、日常的な交流の大切さを感じました。
このような取り組みが、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合える共生社会の実現につながるものと期待しております。
私は、以前から発達障害に対する理解啓発の必要性や特別支援教育の重要性について議会で訴え、これを推進するための取り組みについて、発達障がいを持つお母さん方と教育委員会に対し時あるごとに意見を申し上げ、平成24年12月に教育委員会では熊本市特別支援教育推進計画を策定されました。その中では、特別支援教育の質的向上が方針として示されており、全ての教職員の専門性の向上を図りながら、支援を要する子供たちへの教育を推進していくとされております。
特別支援教育の推進において核となるのは、教職員の専門性を高めることです。通常学級の教職員を含めた全ての教職員が特別支援教育に関する専門性を備えているのか、本当に特別な支援を要する子供一人一人のニーズに応じた適切な支援が行われているのか、疑問に感じることが多々ございます。
ある発達障がいのある小学校4年生の児童のお母さんからお話をお伺いする機会がありましたので、御紹介させていただきたいと思います。
その子供さんは、生まれたときから大変元気で健康な子供でした。小学3年生のころ、けんかや忘れ物が多くなり、お母さんは不安になりました。養護の先生に相談して勧められた医療機関を受診したところ、発達障がいと診断されました。お母さんは大変なショックを受けられました。それでもお母さんは、年の離れた下のお子さんと2人を必死に育ててこられました。そしてある日、そのお子さんが友達とスーパーで万引きをして学校に呼び出され、家庭での教育をかなり非難されたそうです。お母さんは悲しくて情けなくて、長い間誰にも相談ができなかったそうです。
紹介したのは一例にすぎません。学校が子供の特性を理解できないことで、子供や保護者が苦しんでいるという現実があります。こうした状況をなくして、全ての子供たちが学校で自分らしく生活し、保護者も安心して子供を学校に送り出せるようにしなければなりません。
近年、特別な支援を要する子供たちはますます増加傾向にあり、そのニーズも多様化しており、教職員一人一人がその専門性や対応力を高めていく必要があります。支援が必要な子供たちといっても、一人一人の実態は一様ではありません。初めて支援が必要な子供たちを担任することになった先生は、その子の特性を理解することに戸惑い、指導方法の難しさに悩み、そして中には心の病気になってしまう先生もおられると伺っております。
また、子供たちが持っているすぐれた才能を見出し、生かし、その子の生きる力や喜びにつなげることが大切です。しかし、教職員に十分な知識がなければ、その才能さえ発見できないのではないかと思います。しかし、特別支援学級が急増し、今の制度と予算の制約の中では、専門性の高い教職員を新たに加配するのは難しいのではないでしょうか。
本市は、35人学級、少人数学級を全国に先駆けて進めてまいりましたので、現在、職員の定数条例3,079名に対し、正規職員2,789人、非正規職員294人と、人件費だけで小学校約1億5,600万円、中学校約1億3,500万円、合計約2億9,100万円となっており、これ以上の人的配置や財政負担は難しい状況にあるのではないかと心配いたしております。限られた人数や予算の中で、知恵を絞ることが必要だと思います。
例えば、教員の採用では、特別支援教育に対するゼミを受講した学生や、専門性の高い免許や資格を持つ受験生が有利になるような採用試験を行う。あるいは大学と連携し、教員を目指す学生に特別支援教育の授業の受講を義務づけるなどが考えられます。
このように、教職員の専門性や対応力を高め、特別支援教育をさらに推進するよう教育委員会が積極的に取り組んではいかがでしょうか。教育長のお答えをお示しください。
〔
廣塚昌子教育長 登壇〕
◎
廣塚昌子 教育長 特別支援教育に関するお尋ねにお答えいたします。
子供たちの教育的ニーズを教職員が的確に捉え、それぞれに応じた適切な指導、支援を行うことで子供たちは大きな成長を遂げ、将来にわたるより豊かな生活につながることから、教職員の特別支援教育に係る専門性の向上を図ることは非常に重要だと考えております。
これまでも、先進校への派遣や特別支援学校の教員等を招聘しての授業研究など、継続的に研修を実施してきておりますが、議員御指摘のように、今後の本市の教育を担う若い教員や教員を志望する学生に対する専門性を高める取り組みは、非常に大切であると考えます。
本市は教員の採用に当たりまして、平成24年度から特別支援学校教諭免許保有者を対象といたしました特別支援教育推進枠を設けたところでございまして、今年度は3人を、来年度は8人を採用する予定としております。今後、推進枠の拡大の検討を行うなど、採用時から専門性の高い教員の確保に努めてまいります。
さらに、通常の学級にも支援を要する子供たちが在籍しておりますことから、全ての教員が専門性を有することが必要でございまして、議員御提案の、教員を目指す学生へ特別支援教育の授業の受講を義務づけることは、有効な方策であると考えます。
そこで、熊本大学を初めといたしました教員を養成している大学に本市の現状などについて説明しながら、将来にわたって特別支援教育の専門性を備えた教員が確保できるよう働きかけてまいりたいと考えております。
また、平成24年度には熊本市特別支援教育推進計画を策定したところでございますが、その中で、特別支援学級等担当教員のうち特別支援学校教諭免許を保有する者の割合を、平成30年度までに50%にすることを目標の一つに掲げておりますが、今年度は28.6%という状況でございます。
熊本市におきましては、熊本県、熊本大学とともに、特別支援学校教諭免許を取得するための認定講習を開催しておりますが、受講を促進するため、今年度から2年間で免許を取得できるよう開催方法を見直したところでございます。これによりまして、特別支援学級等の担当教員を中心に156人が受講いたしましたところであり、さらに通常学級担任にも受講を呼びかけ、免許取得を推奨してまいります。
今後は、取り組みの工夫も行いながら、特別支援教育の充実を図ってまいります。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 特別支援教育の現場の実態を見ると、大変厳しい現状にあることがうかがえます。この支援に当たる現場の先生方の御苦労は大変なものがあろうかと思いますが、障がいのある子供たちが周囲から理解され、みんなで寄り添いながら健康に暮らすためには学校の力が重要であると思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、児童福祉について質問いたします。
日本テレビで放映中の「明日、ママがいない」というドラマを御存じでしょうか。これは、養護施設に預けられた子供が、幾多の試練を乗り越えて大きくなっていくというドラマです。
しかし、この内容描写が適切ではないと社会問題にまでなっています。養護施設での職員から子供たちへの仕打ちや処遇も問題にされていますが、主人公のあだ名を赤ちゃんポストに預けられたことを意味するポストちゃんとする演出には、何とも言えない気持ちになりました。これを受け、こうのとりのゆりかごを運営する慈恵病院がいち早く異論を唱え、放送停止と謝罪を求めたのは、皆さん御承知のことかと思います。
その後、全国児童養護施設協議会も放送内容の改善を求め、声を上げています。日本テレビも反響の大きさに驚き、放送内容の修正もあっているようですが、実際施設で暮らす子供たちの心に大きな傷を残すことにならないか、私もそれを心配しながら毎週テレビを見ております。
そのようなことにならないよう、施設のみならず行政も一緒になって、子供の心のケアをしていただきたいと思います。
さて、このドラマが論争の的になったことで、図らずも児童養護施設というものの存在がクローズアップされることになったのも、また事実かと思います。ドラマのような扱いは実際にはないとは思いますが、多くの子供たちがやむを得ない事情で実の親との暮らしができず、長期間にわたり児童養護施設で生活していることは確かです。
当然、施設の職員の方は、我が子同然に考え、接していることと思いますが、数十人、時には100人を超える子供たちが一緒に暮らす児童養護施設では、それぞれの子供に家庭的な生活環境を与えることは困難ではないでしょうか。家庭的な養護を実現できるのが里親制度だと考えますし、国も家庭的養護を推進し始めていると聞いています。しかし、歴史的にも実の親子関係を重視する日本では、なじみの少ない制度と言えます。同時に、里親というと、まるでボランティアをするかのごとく受け取られる方もおり、その制度の内容の周知も十分ではないようです。
そもそも里親は、児童養護施設の個人版と言える養育里親と、行く行くは法律上の親として養子縁組を行う特別養子縁組希望里親の大きく2つに分けられます。一般的に、養育里親が行政による委託事業であるのに対し、特別養子縁組の仲介は、そのほとんどはあっせん業者が介在しますため、仲介料の異常な高さや、あっせん先が日本国内にとどまらないこともあり、その内容の不透明さが社会問題になっています。
実際、長い間子供を望んでいてもなかなか子を授からない夫婦にとって、この特別養子縁組の制度は、我が子を得る方法とも言えます。同時に、望まない妊娠や養育力不足によりやむなく子供を育てることができない親にとっても、我が子が新しい親のもとで幸せをつかむチャンスを与えることにもなります。
特別養子縁組希望里親でなくても、養育里親のもとに委託されれば、子供たちは児童養護施設と違い、家庭的な環境での養育の場が与えられることになります。
しかし、現状はどうでしょうか。平成23年度末に国が発表いたしました里親委託状況は、全国平均で13.5%、熊本市は7.8%となっております。一方、愛知県では、病院などから子供を養子に出したい親の情報を児童相談所につなぎ、児童相談所が育成した特別養子縁組希望里親にあっせんする、いわゆる愛知方式をとって、かなりの実績を上げていると聞いております。
先ほど、国が家庭的養護を推進し始めていると申し上げましたが、具体的には、平成41年度までに現在児童養護の9割を担っている児童養護施設の規模縮小を図るとともに、里親委託の比率を3割程度に引き上げようというものです。
今、るる申し上げてきました問題に関しましては児童相談所の役割が極めて大きいと考えますが、本市児童相談所はいかがなのでしょうか。現在、1割にも満たない里親委託率である熊本市です。今後、どのようにして里親委託率の向上を図っていかれるのでしょうか。
そこで質問です。望まぬ妊娠、望まぬ出産をした母親、そして子供を育てることができない母親たち、また何よりその子供たちの幸せのために、里親制度、特別養子縁組制度に対し、本市が今後どう取り組んでいかれるおつもりなのか、また他の政令市の状況はどうなっているのか、
健康福祉子ども局長にお尋ねいたします。
〔宮本邦彦
健康福祉子ども局長 登壇〕
◎宮本邦彦
健康福祉子ども局長 里親制度、特別養子縁組制度の取り組みについてお答え申し上げます。
本市におきましては、本年1月末現在、356名の児童を児童養護施設等へ委託しておりますが、そのうち22名を里親へ、4名をファミリーホームへ委託しております。里親委託率でございますが、議員御指摘のとおり、平成23年度末で7.8%となっております。
お尋ねの他の政令指定都市の状況でございますが、23年度末で、福岡市と静岡市が27.9%と最も高く、次いで新潟市の27.5%でございます。委託率の低い方では、堺市の4.2%、名古屋市の5.2%、神戸市の5.6%がございまして、指定都市の平均は、単純平均で14.8%となっております。
里親への委託は、子供がより家庭的な環境の中で生活できる上、より高い社会性を身につけることができることや、家庭に対するイメージを持ちやすいなど、子供の良好な育成環境に資するものであると認識しており、今後とも里親委託のさらなる推進に努めてまいります。
そのために1つ目として、里親の新規開拓についてでございますが、区役所機能を生かしながら、地域の中できめ細やかなPR活動を行いますとともに、里親委託率が高い他の指定都市等の例も参考にしてまいります。
2つ目には、里親委託というものを念頭に置いた処遇検討が必要でございまして、また、子供を預ける実親さんに対しても里親の有益性などを積極的に伝え、理解を求めてまいります。
さらに3つ目といたしまして、施設入所中の子供たちの中にも里親委託が適している子供がいると思われますため、施設に対し、里親委託に対する理解、協力を求めてまいります。
特別養子縁組を希望する里親への委託に関しましては、さきに述べました里親制度推進の中で同様に取り組み、御指摘のあった愛知方式も参考にしながら推進してまいります。
いずれにいたしましても、親がやむなき事情で子供を育てることができないケースにつきましては、できる限り早い段階で家庭的環境が提供できるよう、可能な限りの手法を検討し、なお一層しっかりと取り組んでまいります。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 御答弁ありがとうございました。
私は、さまざまな事情で養育が必要な子供たちの幸せのためには、家庭的な環境で養護が実現できる里親制度、特別養子縁組制度を進めるべきだと思います。
アメリカでは、年間12万組の養子縁組が行われております。要保護児童の77%が、里親や養子縁組などの制度により新たな家庭を得ているのです。このように養子縁組が浸透している背景には、法的に期限を決め、親権剥奪の仕組みなどの違いがあるのかもしれませんが、子供を守る一つの形なのかもしれません。
家制度が重視される日本にそのまま通用するとは思いませんが、今後研究していく必要があると思います。市執行部におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、全国高等学校選抜自転車競技大会についてお尋ねいたします。
2月16日に開催されました第3回熊本城マラソンが成功裏に終わったことを大変うれしく感じております。幸山市長におかれましては、早い時期での42.195キロの完走、お疲れさまでございました。
本市では現在、従来のコンベンションに加え、各種イベントや展示会などを包括した新しい集客施策としてのMICEが推進されておりますが、スポーツイベントにつきましては、その枠組みの中でイベント、エキシビションに位置づけられており、私は積極的に誘致すべきであると考えます。
このような中、全国高等学校選抜自転車競技大会の熊本県での次期開催が決定したところであり、この大会は、自転車競技を通じて高校生の心と体を鍛え、あわせて友情の輪を広げるとともに、将来活躍する選手を育成することを目的としたもので、インターハイ、ジュニア全日本、国体と並ぶ高校自転車競技の4大大会の一つになっております。
また、本大会は、高校自転車競技の4大大会の中で唯一女子の競技が開催されるもので、全国から一流のアスリートになることを夢見て、たくさんの女性選手が集まる大会でもあります。私もガールズ競輪を応援している者の一人として、今回の熊本県開催を大変喜ばしく思っているところです。
これまで本大会はさまざまな都市で開催されてきましたが、ロード競技とトラック競技とが別々の県で開催されるなどの問題があることから、このたび全国高体連自転車競技専門部全国専門委員長会において、同一県での開催を条件として次期開催地を公募することが提案され、全国に向けて募集案内が行われました。
そこで私は、熊本県自転車競技連盟のトラック競技をぜひ熊本競輪場で実施したいとの思いを受け、ロード競技の実績がある山鹿市と熊本市の連携による大会開催を働きかけることといたしました。また、本市の関係局は、教育委員会、農水商工局、観光文化交流局にまたがることから、3局の連携会議の開催などについて調整させていただきました。
そして、日本競輪選手会熊本支部、熊本県自転車競技連盟、本市の関係者と大会誘致に向けた協議を重ねるとともに、高等学校体育連盟自転車競技専門部理事長、同運営部会長が会場視察のため来熊された機会をもって、開催誘致のプレゼンテーションを行った結果、本市の熱意を認めていただき、2月16日、平成26年度と平成27年度の2カ年間の熊本県開催が決定いたしました。
そこで同28日には、熊本県自転車競技連盟とともに、市長に対して開催報告を行わせていただいたところです。
全国高等学校選抜自転車競技大会は、選手や競技役員、選手の家族など、延べ4,000人の方々が熊本に宿泊することが見込まれ、その経済波及効果や集客増によるにぎわいの創出が期待されるものと考えます。
また本市としては、全国各地から来熊される皆様に、日本一の米、森のくまさんや地元食材を使ったおいしい郷土料理などで温かくおもてなしをすることで、これからの将来を担う高校生や御家族の方々に熊本のファン、リピーターとなっていただくことができます。わざわざ東京に旅費を使って農作物の宣伝に行かなくてもいいのです。本市産品のPRやブランド化にもつながっていくものと考えます。
先日も熊本城マラソンで、寒い中、懸命に走られるフルマラソンに参加された選手の皆さんに温かくおもてなしをしたいという思いを込めて、1,000個の元気餅とみそ汁を1万2,000食御用意し、ゴールされた方に塩分と水分の補給をしていただき、疲れた体を癒し、喜んでいただいたところです。
今回の自転車競技大会に当たりまして、地産地消の食材を使った熊本らしいおもてなしに取り組むことはできないものでしょうか。観光文化交流局長にお尋ねいたします。
〔坂本純観光文化交流局長 登壇〕
◎坂本純 観光文化交流局長 全国高等学校選抜自転車競技大会につきまして、地産地消のおもてなしについてお答えいたします。
この全国高等学校選抜自転車競技大会につきましては、ただいま議員御紹介のように、先日、県自転車競技連盟の会長から、平成26年度、27年度の2カ年にわたり、本市などで開催される旨、正式決定の報告をお受けしたところであり、北口議員には誘致に対しまして御尽力いただき、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
この伝統ある大会は、本市が掲げるスポーツの振興、競技力の向上、健康づくりなどの取り組みに大きな効果をもたらすものと考えております。
この大会には、選手、大会関係者、保護者など多くの関係者の皆様が全国から来熊していただけるとのことであり、本市の魅力を全国にPRする機会と捉え、お迎えする本市としても万全の体制を整えて準備を進めてまいります。
議員お尋ねのおもてなしにつきましては、本市の食材を使った料理を提供し、熊本の食のすばらしさを実感していただくことで、再び熊本に訪れていただけることにつながるものと考えております。
今後、宿泊施設や旅行代理店などの関係団体とも協議を行い、参加者の皆様に満足をいただけるようなおもてなしについて検討してまいります。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 本市の魅力を全国にPRする機会として、万全の体制を整えて準備を進め、参加者の皆さんに満足していただけるようなおもてなしについても検討するとの御答弁でした。
本市の地産地消の取り組みや熊本の食のすばらしさが実感できるような取り組みをしていただきますようお願いいたします。
また、26年度、27年度、この大会の選手の皆さんの中には、次のオリンピック選手となられる可能性のある子供が含まれています。とても楽しみです。2年間のすばらしい実績を残すことで、3年目、4年目にもつなげたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、競輪事業についてお尋ねいたします。
本市の競輪事業は、昭和25年7月、競輪事業収入をもって財政再建と戦災復興事業に寄与することを目的に創設されました。
このように、昭和25年度から平成24年度までの売上総額は約9,293億円、うち約656億円を熊本市の一般会計に繰り出し、今まで教育予算や福祉予算の充実、いわゆる土木の道路整備や市営住宅の建設など、社会基盤の整備といった市民の生活の向上に貢献するとともに、施設に従事する方々の雇用の場や地域の経済活性化にも寄与してきたという事実を、熊本市が今まできちんと市民の皆様に広報しておられないので、御存じない市民の方々が多数おられます。今まで、656億円という多額の競輪事業収入が市民の皆様の生活向上のために使われてきたのです。
私は、昨年、経済委員会の行政視察で、神奈川県平塚市の競輪場を視察してまいりました。平塚競輪場は昭和25年9月の開設で、本市競輪場と同時期の開設です。競走路は1周400メートルと、熊本の500メートルより短くなっておりますが、競輪場敷地面積は約5万9,000平方メートル、駐車場3,600台のうち3,000台分は、国土交通省が河川敷を駐車場として無償で貸しておられます。観覧席定員3万6,000人、投票所18カ所、職員体制15人と、いずれも本市競輪場よりも充実したものとなっております。
また、基金につきましても、施設整備基金が約30億円、競輪事業基金が約15億円と、約45億円もの多額の基金を、将来の施設整備などに向けて計画的に積み立てがなされているところでした。事業実績を見ましても、平成24年度決算において、売上額が熊本市の111億円に対して180億円の約1.6倍、入場者数は、本市の9万9,000人に対して24万人の2.4倍。熊本競輪場の事業実績を大きく上回っております。
視察の際にお尋ねしてみましたところ、サービスの一環として、日勤のファンに向け、4月から10月までの7カ月間は30日ほどナイター競輪を開催しているとのこと。真ん中が池となっており、ディズニーランドのようなきらきらとしたイルミネーションが、とても夢のあるナイターでした。ナイター開催に伴い、騒音等の周辺住民対策やナイター設備、電気料金、人件費増といった対応が必要ではありますものの、平日の昼間利用ができない競輪ファンにとってはありがたいサービスでありますし、加えてデジタルサイネージによる映像、音響効果などを活用し、若い男女のデートスポットとしてもとても人気があり、注目されてきているとのことでした。
さらに、新規顧客拡大策として、ガールズ競輪の開催、グループによる指定重勝式車券の共同販売なども行っているとのこと。さまざまなアイデアでファンサービスを行い、ひいては平塚市を挙げて競輪事業の振興を図られていることがうかがえました。
ナイターに、平塚市の女子職員が仕事が終わった後、100円ずつ買われていたのも印象的でしたし、教育長も売り上げ協力でお見えになっており、競輪ファンとして平塚市の売り上げに協力するために車券を買われておりました。
このような中熊本市においては、昨年7月、崇城大学の星合教授を会長に、競輪関係者、地元商店街、地元自治会並びに中小企業診断士や公認会計士などをメンバーとした熊本競輪活性化検討委員会が設置され、競輪事業の現状や課題を抽出し、他都市の状況などを踏まえた活性化策の検討が行われ、熊本競輪活性化検討委員会の会議が終わり、幸山市長に答申されております。
検討会におきまして、課題として施設の老朽化、入場者の減少、市民に親しまれる競輪といった3つの課題が浮かび上がってきたようであります。
1つ目の老朽化に関しましては、施設整備を目的とした基金を創設すること、また、2つ目の入場者の減少につきましては、本場レースの土日の開催やモーニングレースの開催、ナイター場外車券発売など、さらに、3つ目の市民に親しまれる競輪に関しましては、施設内でのフリーマーケットやデジタルアワードなどのイベントの開催、自転車競技や趣味のサイクリングをサポートする自転車ファンクラブの組織化や子供向けの自転車コースの試走などがまとめられたようです。
そこでお尋ねいたします。これら活性化検討委員会で検討されました3点の課題について、どう対応していかれるおつもりなのか、農水商工局長にお尋ねいたします。
〔多野春光農水商工局長 登壇〕
◎多野春光 農水商工局長 競輪事業の活性化についてお答えいたします。
近年、本市の競輪事業は、入場者数や売り上げの減少が続いておりますことから、議員からただいま御紹介がありましたように、昨年7月、専門家等で構成する熊本競輪活性化検討委員会を設置いたしまして、競輪場の活性化策に関するさまざまな検討をいただき、先般、市長へ報告がなされたところでございます。
本市では、この報告を参考にしながら、平成26年度に今後10年間の中期経営計画を策定し、事業の活性化策や経費縮減、耐震化等の取り組みを、総合的かつ計画的に進めていくこととしております。
そのような中で、計画の主要項目でございます施設の老朽化や入場者の減少への対応、市民に親しまれる競輪について、3点お尋ねがございました。
まず、1点目の施設の老朽化等に対する施設整備基金の設置についてでございますが、売り上げが減少傾向にある中、喫緊の課題である耐震化工事等も含めた大規模な施設整備の必要性がありますことから、計画策定に先行して、今議会に施設整備基金設置条例の制定及び2億円の積み立てに係る2月補正予算を提案し、先般議決いただいたところでございます。
平成26年度当初予算におきましても、1億円の積立金を計上しているところでございまして、現時点では10年間でおおむね12億円の積み立てを想定いたしております。
2点目の入場者数の減少等への対策につきましては、土日祝日のレース、モーニングレースの開催、またナイター場外車券発売につきましても、新年度から早速開催、あるいは試行できるよう準備を進めております。
3点目の市民に親しまれる競輪に関しましては、これまでも全国初となる競輪場の全面Wi−Fi化などを実施してまいりましたが、検討委員会からはさまざまなアイデアをいただいているところでございまして、関係者と連携、調整を図り、今後具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
そのほか、駐車場の有料化や熊本競輪活性化ビジネスモデルコンテストの実施などにつきましても提案をいただいているところでございまして、これらも含め中期経営計画策定の中で、実施に向けた検討を深めてまいります。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 施設整備基金について、私は以前からその必要性を経済委員会で繰り返し繰り返し訴えてまいりましたが、担当局はなかなか腰を上げてくれませんでしたので、ここに来てやっとできたかという思いです。やはりあれだけの施設でありますし、開設後63年も経過しようとしているわけですから、もっと早く基金を創設し、計画的な整備を図るべきではなかったかと思います。今後、基金を有効に活用し、施設改修に適切に対応していただくことを要望いたします。
入場者の減少対策については、売り上げ、入場者ともに減少している現状にあって、手をこまねいている場合ではないと思います。競輪事業の活性化に向け、土日開催やモーニング競輪、ナイター場外車券販売など、ぜひとも実現に向け取り組んでいただくこと、また、今まで650億円もの多額の収益金が競輪事業のおかげで福祉、教育、市営住宅の建設、道路整備などに使われてきたことを、広く市民の皆様に広報し、競輪のイメージを明るくしていただきたいと思います。
また、平塚市のように市職員はもとより、多くの市民の皆様にも親しんでいただくためにはガールズ競輪の力は大きいものと考えますので、その振興にも力を注いでいただきますよう要望いたします。
最後の、市民に親しまれる競輪につきましては、周辺住民を含め、フリーマーケットやマルシェ、デジタルアワードなどの社会貢献イベント、自転車競技やサイクリングをサポートする自転車ファンクラブの組織化、将来の選手育成をも視野に入れた子供の自転車コースの試走など、いろいろなアイデアが考えられると思いますので、ぜひとも知恵を絞って、やれることから一つ一つ実現されますようにお願いいたします。
次に、お買い物難民問題についてお尋ねいたします。
先日、県営堀の内団地のお買い物弱者の報道がありましたが、この団地は310世帯あり、65歳以上の高齢者世帯が224と7割以上の超高齢化団地です。昨年、近所のスーパーが廃業したために毎日の食料品も買うことができず、大変困っているという陳情が私にありました。堀の内団地の地元自治会長、老人会長、民生委員、出水社会福祉協議会長、自治会連合会長、地域包括センターの皆様からです。
その内容は、電車通りの向こう側のスーパーに買い物に行ったところ、高齢者がよく使われる手押しのお買い物用のカートが市電のレールの溝に挟まり、赤信号になって引っ張っても動かせず、あわや車にひかれそうになったそうです。米やしょうゆ、みそなどの食料品は重く、高齢者の力ではお買い物カートを段差のある道路で動かすのはとても大変な作業です。
団地の方々は、誰かが交通事故に遭うかもしれないという不安を本気で感じながら毎日の食料品や生活必需品を購入して、まさに命がけの思いで歩いてお買い物カートを運んでおられました。
私は、その後十数回関係者の皆さんと話し合いを続け、昨年9月からこの団地において、生鮮食料品などの巡回販売を開始することができました。その結果、お買い物に苦労されていた高齢者の方々に大変喜ばれました。
人口密度が高く、商店も多いと考えられている中央区において、このような高齢化率の高い地区でお買い物不便地域があるという実情を、中央区長は御存じでしたでしょうか。そして、それはどの地区で、どのくらいの高齢者がいらっしゃるのか把握されておりましたか。中央区長お答えください。
〔前渕啓子中央区長 登壇〕
◎前渕啓子 中央区長 中央区の買い物弱者支援について、区としての実態把握に関するお尋ねにお答えいたします。
ただいま議員がお述べになりましたように、中央区のまちなかにあっても食料品や日常の買い物が困難な状況に置かれている方々、いわゆる買い物弱者と言われる方々が多くおられますことは、これまでのまちづくりに関しますさまざまなアンケートや御意見の交換の場などから、十分承知いたしているところでございます。
その具体的な実態の把握についてでございますが、買い物の不便さの実感には個人差もありますし、また民間事業者の出店、廃業によって状況もさまざま変化いたしますので、現時点といたしましては、校区ごとの地域会合やまちづくり交流室の活動を通じて個別的に情報収集を行っているところでございます。
ただ、今、議員御案内のありましたように、古くからの団地あたりで非常に高齢化が進んでおりますので、そういった団地等につきましては、こちらでも何件かそういった移動販売を実施しておられる情報もいただいておりまして、そのような似通ったエリアについては今後さらに情報収集に努めてまいりたいと思います。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 中央区長のお答えは、全く他人事のように聞こえます。区の高齢者の方が毎日、暮らしの中で本当に困っていらっしゃいますのを理解されているのでしょうか、疑問です。
そこでお尋ねいたします。今後、このようなお買い物弱者への支援について、具体的にいつから、どのように取り組んでいくのか、中央区長、明快にお答えください。
また、先ほど事故の不安を申し上げましたが、お買い物に行かれる中央区の高齢者が事故に遭われる可能性があることについて、どのように思われるのかもお伺いいたします。
〔前渕啓子中央区長 登壇〕
◎前渕啓子 中央区長 引き続きまして、中央区の買い物弱者支援について、具体的な取り組みについてのお尋ねでございます。
買い物弱者への支援は、単身高齢者等の多い中央区といたしましては区のまちづくりにおける重要な地域課題と捉えておりますことから、できれば具体的な取り組みの糸口としたいということで、昨年9月、国の経済対策として実施されました熊本市地場企業雇用支援事業における公募テーマの一つに、買い物弱者への支援の推進に係る調査を、区役所から提案させていただいたところではございました。しかし、残念ながら事業者の応募がなく、実施には至りませんでした。
そこで中央区役所といたしましては、まずは近隣の助け合いといった地域コミュニティの機能の強化を図りながら地域の実情や要望の把握にさらに努めますとともに、これは26年度になりますが、関係部局との連携のもと、できればまちづくり懇話会等における論議などを踏まえまして、区のまちづくりを通した支援策について検討し、実施してまいりたいと考えております。
議員のお買い物弱者支援への御尽力に対しましては心より感謝申し上げまして、今後とも引き続き御指導、御助言を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
〔48番 北口和皇議員 登壇〕
◆北口和皇 議員 まず、実態の把握をきちんとやっていただいて、それに的確な対応策というのを考えていただきたいというふうに思います。
車にも乗れない、自転車にも乗れない、歩いて行かざるを得ない、しかしカートは重くて押せないといった、本当に毎日困っておられて、お米やおしょうゆ、みそは非常に重いですし、お野菜も重いですし、そんな中でやはり本当に買い物に行けない、食材が手に入らないといった高齢者の皆様、お買い物弱者の方というのがたくさんいらっしゃいますので、ぜひ対応していただきたいというふうに思います。
堀の内団地におきましては、まず少しあいたところで一緒にお野菜を植えましょうということで、くわで耕してタマネギを150個植えたり、またそれができたらみんなでカレーかシチューにして、収穫祭で旬の野菜を楽しんで、野菜づくりも生きがいづくりにしていただきたいということで、いろいろなお野菜も一緒に植えながらコミュニティをやっているところです。そうした生きがいづくりの対策も、ぜひ中央区では講じていただきたいというふうに思います。
本日は、議員各位におかれまして、御清聴まことにありがとうございました。傍聴席の皆様、応援ありがとうございました。これからも一生懸命頑張ってまいります。お世話になりました。市長並びに執行部の皆様の御答弁にも深く感謝を申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
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○齊藤聰 議長 本日の日程は、これをもって終了いたしました。
次会は、明5日(水曜日)定刻に開きます。
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○齊藤聰 議長 では、本日はこれをもって散会いたします。
午後 3時45分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり
平成26年3月4日
出席議員 47名
1番 齊 藤 聰 2番 鈴 木 弘
3番 小佐井 賀瑞宜 4番 寺 本 義 勝
5番 高 本 一 臣 6番 西 岡 誠 也
7番 福 永 洋 一 8番 田 上 辰 也
9番 浜 田 大 介 11番 大 島 澄 雄
12番 原 口 亮 志 13番 くつき 信 哉
14番 松 野 明 美 15番 田 中 敦 朗
16番 重 村 和 征 17番 上 田 芳 裕
18番 那 須 円 19番 園 川 良 二
20番 藤 永 弘 21番 紫 垣 正 仁
22番 澤 田 昌 作 23番 倉 重 徹
24番 大 石 浩 文 25番 田 尻 善 裕
26番 白河部 貞 志 27番 上 野 美恵子
29番 藤 岡 照 代 30番 満 永 寿 博
31番 三 島 良 之 32番 津 田 征士郎
33番 坂 田 誠 二 34番 藤 山 英 美
35番 田 中 誠 一 36番 東 すみよ
37番 家 入 安 弘 38番 田 尻 将 博
39番 竹 原 孝 昭 40番 牛 嶋 弘
41番 税 所 史 熙 43番 落 水 清 弘
44番 江 藤 正 行 45番 下 川 寛
46番 田 尻 清 輝 47番 古 川 泰 三
48番 北 口 和 皇 49番 益 田 牧 子
50番 田 辺 正 信
欠席議員 1名
10番 井 本 正 広
説明のため出席した者
市長 幸 山 政 史 副市長 高 田 晋
副市長 牧 慎太郎 総務局長 飯 銅 芳 明
企画振興局長 原 本 靖 久 財政局長 岡 昭 二
健康福祉子ども局長宮 本 邦 彦 環境局長 石 櫃 紳一郎
農水商工局長 多 野 春 光 観光文化交流局長 坂 本 純
都市建設局長 永 山 國 博 消防局長 大 塚 和 規
交通事業管理者 中 山 弘 一 上下水道事業管理者宮 原 國 臣
教育委員会委員長 崎 元 達 郎 教育長 廣 塚 昌 子
代表監査委員 平 塚 孝 一 農業委員会会長 森 日出輝
中央区長 前 渕 啓 子 東区長 西 島 徹 郎
西区長 永 田 剛 毅 南区長 永 目 工 嗣
北区長 石 原 純 生
職務のため出席した事務局職員
事務局長 大 杉 研 至 事務局次長 木 村 建 仁
議事課長 富 永 健 之 議事課長補佐 本 田 正 文...