14日朝、岩手県内陸南部を震源とする強い地震が発生いたしました。この岩手・宮城内陸地震では、宮城、岩手、福島、3県で、死者・行方不明者22名という大きな被害が生じております。被災者の皆様に対しまして心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い行方不明者の発見と復旧を願っております。
それでは、通告に従いまして質問してまいりますので、市長並びに執行部の明快な答弁をよろしくお願い申し上げます。
最初に、観光政策についてであります。
熊本城築城400年祭と
熊本シティブランド戦略プランについてお尋ねいたします。
2006年の年末から1年半近くにわたった熊本城築城400年祭が5月の上旬に閉幕いたしました。この築城400年祭では、熊本城の有料ゾーンの入場者も100万人を超える入場者があったと聞いております。また、その数は10年ぶりということで、売店でも2年前の4倍、旅館やホテルでも、大型連休のときは例年より一、二割程度ふえたそうです。多彩なイベントや広報活動も県内外の来客を誘致し、市民の関心を高めることにもなりました。
そこで、まず市長にお尋ねいたします。
さきの400年祭閉幕の市長会見では、協力、協賛の皆様に対する感謝の意やイベントの様子、来場結果を述べられ、観光資源としての今後の活用意欲をお話になりましたが、400年
祭実行委員会会長でもある熊本市長として、この400年祭の事業評価をどのようにお考えでしょうか。また、この400年祭には約2億9,000万円を投入しておりますが、事業としての成功は、どの部分の成果を見て、どのように判断されているのか、考えをお尋ねいたします。
次に、先月19日に
観光事業実行委員会が発足し、火の国まつり、お城まつりなどのイベントの連携が計画されていますが、観光行政としてもっと戦略的な基本計画が必要ではないかと考えます。イベントを開催することは、市民の意欲向上、来客誘致に必要不可欠ですが、より有効な費用対効果も考え、戦略的かつ計画的に進めることが重要です。
熊本城築城400年祭の集客については良い結果となりましたが、これを一時的なものでなく継続させることが大切であるとだれもが言いますが、イベントが終了してから考えていたのでは遅いのです。イベントはあくまで方法であり、手段なので、目的をはっきりとさせ、段階的に評価しながら改善を図っていくためにも、構想や計画が必要であります。総合的な視野を持った計画がなく、イベントを単発で開催していても効率のよい結果を得ることはできません。
もちろん、現在進められている
熊本シティブランド戦略プランは、一番核となる部分で、この熊本市のイメージを構築し、県内外に普及していくことがかぎとなることは皆さんも御承知のことだと思います。恐らくその中でも商品づくりとイベントは中心となっていくだろうと思います。しかし、熊本市のイメージをつくり上げることは、個別のブランドだけを追いかけていても成功しません。
近年、地域活性化の手法として、
地域ブランドに対する関心は大変高くなってきていますが、
地域ブランドへの取り組みの歴史は短く、理論的な蓄積も不十分ではないかと思います。政府による
地域ブランドの発掘、育成、保護に関する支援も、その多くは地産品や観光など
個別ブランドの強化に主眼を置いたもので、地産品等の従来型の
個別ブランドと
地域イメージのブランド化の関係が十分に整理されないまま
地域ブランド施策として実施されていることが少なくないのです。
地域ブランドと
一般的ブランドの大きな違いは、
一般的ブランドが、
ブランド構築のために行動する実施者の範囲が限定的であるのに対し、
地域ブランドでは、実施者が非常に広範であります。その結果、一般的なブランド化として
企業ブランドや
商品ブランドに用いられた手法をそのまま適用することには限界が生じます。しかし、実際には、このような理論的裏づけを整理しないまま、各自治体が試行錯誤で
地域ブランド構築への取り組みを進めていることが多く、施策としての実効性が懸念されるところでもあります。
全国的に、地方自治体でもブランド化への取り組みが盛んとなり、特に、農産物や加工品の
個別ブランド資源を持たない政令指定都市の場合は、
地域イメージのブランド化を進めるところが多くなってきています。その場合、関連施策を立案し、庁内の横断的な取り組みが結果を大きく変えていくこととなっております。
仙台市では、2002年に検討を始め、仙台市の地域資源や外部からのニーズ、強み、弱み等を分析するための
アンケート調査を実施、2003年4月には、企画局内に交流施策課が設置され、庁内の統括、調整、全体の企画を行う体制が整備されました。ちなみに、仙台市の
シティセールス戦略は、交流人口の増加、成長分野産業の誘致、対内投資の推進、高次な技術やノウハウの蓄積、人的資源の獲得、活用という4つの目標を達成するために、全体戦略である
ブランド戦略を中心として、分野別戦略(
産業誘致、経済交流戦略、
観光集客戦略、
コンベンション集客戦略、
学術文化交流戦略、
スポーツ交流戦略)を相互に関連づけ、有機的に結びつけながら展開しようとしています。仙台市の場合は、
地域イメージを関連施策によって形づくられているものと言えます。
今回の熊本市におけるプランは、地域のイメージをつくることが地域の
ブランドづくりと理解しておりますが、その構築のためには関連の施策が必要となります。関連した施策を実行し、その目的が
地域イメージの成立ということです。
地域ブランド関連施策は、企業の
ブランド戦略に比べて、より広範な
ブランド便益の確保をねらっております。また、
企業ブランドにおける
ブランド便益に近い地産品等の販売拡大のみならず、投資、人材、移住者、観光客の引きつけ、あるいはその結果生じると想定される地域活性化を施策の対象として実施するものとなります。
しかし、
地域ブランドは、一般企業のように、必ずしも個人や企業に影響を及ぼすこと、つまり知識影響を目的としておらず、一義的な目的ではないのですから、自治体の実施する
地域ブランド関連施策の対象を複雑にしています。
そこで、関連施策を、例えば4つに整理いたします。1つは、
地産品販売拡大、次に、観光交流、そして、投資促進、産業振興、最後に、人材定住。それぞれに施策を立て、その目的を
地域イメージ、
都市イメージとするのです。
この一つ一つは簡単に実行できるものではなく、それぞれに戦略も必要となります。しかし、この
ブランド関連施策を立てることにより、
都市イメージの浸透を図る材料となり、ブランド化の評価として数値で検証しやすいものとなります。
例えば、観光では、明確な目標、市内宿泊客数など数値目標を持ち、戦略のポイントを明確にし、
観光集客シティセールスと
アクションプランを具体的に立案しなければなりません。情報発信、広報が重要な戦術ですので、修学旅行の誘致や
コンベンション誘致、またそれを受け入れる環境の整備など大きな計画となってきます。
また、熊本市は、第10回
日本水大賞グランプリを受賞しました。今まで熊本市が取り組んできた
地下水保全条例の制定や行政区域を越えた水田涵養や森林整備などの
地下水涵養事業、また市民の皆さんとともに進めている節水市民運動や熊本水遺産の登録制度など地域全体を巻き込んだ水文化の普及活動など、長年にわたる地下水保全の総合的な取り組みが高く評価されたものだと市のホームページでも紹介してあります。これこそブランド化を図る上での要素でもあり、結果でもありますが、では、この特徴を生かしながらどのようにしてブランドを確立していくのでしょうか。
漠然として、熊本市は地下水が豊かでこれを売り出そうと、個別のブランドとしてとらえてしまうならば、単なる商品化のみとして着目されることになりかねません。それでは、
地域イメージを
個別ブランドと混在させてしまい、戦略を見失ってしまう、または有効な戦術が立てられないことになってしまいます。
基本計画をしっかり立てて、例えば、「水」というテーマを埋め込んだ
地域イメージでいくならば、
地産品販売拡大計画では、おいしい水を使った商品の開発、観光交流の計画であれば、水めぐりや水博物館、水の世界会議の誘致、そして、投資促進、産業振興であれば、きれいな水のある熊本だからこそ精密機械工場は熊本にというような企業誘致、人材定住の計画では、第二の人生は水のきれいな熊本で心も透き通る落ち着いた終の棲家をなど、美しき水をテーマとして、
地域イメージをそれぞれの計画全体でつくり出すことが有効かと思います。その結果、熊本は水だよねという
地域イメージへとつながっていきます。
このように、
地域イメージづくりはしっかりとした基本計画のもと構築されていくべきものなのです。単発のイベント開催だけ行い、自己満足的に結果を見ることは大変危険であります。もちろん、計画の進行と成果を見るための
評価システムも同時に検討、開発しなければなりません。
冒頭にも申し上げましたが、各地方自治体では試行錯誤しながら取り組みを進めているところもあります。これから
都市イメージをつくろう、強化しようとしている熊本市では、施策としての実効性が懸念されるような戦略を立ててはいけないのです。稚拙ではない論理的な裏づけをして、表面的なことばかりでなく、失敗は許されないのだという覚悟で臨まなければなりません。
なぜならば、さきにも申し上げましたが、都市の
ブランドづくりは、実施者が広範になり、多方面に協力を求め、ネットワークをつくらなければなりません。その中では、地方自治体も一つの構成員だという自覚をしなければなりませんし、何年もかかって取り組むべきものなので、戦略が中途半端にでき上がり、
評価システムもないまま進めてしまえば、信頼をなくし、2回目がない、後ろがないということになります。
そのためにも、
地域ブランド関連施策を策定し、基本計画を立案することが望まれます。選ばれる地域になるためには、覚悟と努力が必要であります。
そこでお尋ねいたします。
今まで述べましたように、
ブランド戦略を立てていく上で必要不可欠と考えられるそれぞれの施策、またそれぞれを実行する基本計画が必要と思われます。特に、熊本城築城400年祭の集客を一時的でなく、持続的に考える観光政策を考えるならば、
観光推進基本計画などは必須です。今後、立案に早期に取り組まなければならないと思われますが、市長の考えをお聞かせください。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 ただいま、佐々木議員から、観光について、あるいは
ブランド戦略についてお尋ねがございましたが、答弁いたします前に、私のほうからも、先ほど議員も触れられましたとおり、先般、宮城県、岩手県を襲いました大地震、震度6強ということでございましたが、多くの皆様方が亡くなられております。また依然として行方不明の皆様方もいらっしゃいます。私のほうからも、被災に遭われました皆様方に対しまして心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復旧をお祈り申し上げる次第でございます。
それでは、答弁に入らせていただきますが、まず、熊本城築城400年祭の総括についてということでございますので、答弁の中身に入らせていただきます前に、築城400年祭が5月6日をもちまして終了いたしましたこと、それから、4月20日に本丸御殿の落成を見ましたことなど、これまで長きにわたり御理解、御協力をいただきました議会の皆様方、さらには多くの市民の皆様方に対しまして、この場をおかりし、心から感謝を申し上げたいと存じます。大変お世話になりました。ありがとうございました。
それでは、答弁に入らせていただきます。
築城400年祭でございますが、一昨年の大みそかからことし5月6日までの1年5カ月にわたり、熊本城をメーン会場としてさまざまな催事を展開してまいりました。その中には、観桜大茶会や創作舞台、清正公の新春の言祝に代表されます熊本の歴史や伝統を披露した各種イベントを初めといたしまして、築城当時から幕末まで、時代に沿って
肥後スピリットを探った
リレーシンポジウム肥後の品格、さらには肥後の先哲展や激動の三代展〜加藤清正、忠広、細川忠利の時代〜等の企画展、また
韓国蔚山広域市長をお迎えし、国際色豊かに開催いたしました
日韓友情コンサートなど、いずれのイベント、催事にも多くの皆様においでいただいたところでございます。
また、
ブルーインパルスによる祝賀飛行やディズニーの公演、
YOSAKOI九州中国まつりの開催など、県内外の多くの団体、企業からも御協力いただき、400年祭を大いに盛り上げていただきました。おかげをもちまして、期間中には100万人を超える皆様にお越しをいただいたところでございます。
一方、広報におきましても、テレビ、ラジオ、新聞はもとより、旅雑誌や
フリーペーパーなど、さまざまな媒体を活用いたしまして、積極的な広報活動を展開してまいりました。特に、企業や団体の御協力によりまして、400年祭のロゴ入り商品が約170品目にも上り、その中でも幾つか例を挙げさせていただきますと、ふるさと切手が800万枚、カップラーメンが150万食、県産酒150万本など全国規模で発売されたものもあり、400年祭のPRに大変効果があったものと思っております。
このように、行政と民間が一体となって400年祭を進めることができましたことが今回の成功につながり、熊本城への入園者も、19年度実績で目標の100万人を大きく上回る121万人を記録し、400年祭が閉幕しました現在も、本丸御殿落成の効果もあり、昨年をさらに上回るにぎわいを見せているところでございます。
また、先週、地元紙では400年祭のフィナーレに参加した高校生の投書が紹介されておりました。この中で、熊本城への人々の熱い思いと、人と人とのつながりのすばらしさを再確認することができた。400年祭、私は一生忘れない。という大変うれしい感想も述べられていたのは皆様方も御承知かと存じます。このほかにも、いろいろな御意見、御指摘をいただいているところでありまして、今後、
アンケート調査等の分析を進め、
経済波及効果等を算出してまいりますが、400年祭につきましては一定の評価をいただけているのではないかと考えております。
いずれにいたしましても、今回の400年祭を契機といたしまして、本市の最大の観光資源でございます熊本城が、これまでになく多くの皆様の関心を集めておりますことは、将来に向けた本市の観光振興に大きなはずみがつくものと確信いたしております。先ほど御指摘もございましたが、400年祭を一過性に終わらせることなく、将来の本市の観光振興につなげていかなければならないと考えております。
それから、一過性に終わらせないという意味におきまして大事な視点であろうかと思いますことから、
ブランド戦略につきましてお答えさせていただきます。
平成23年春の
九州新幹線鹿児島ルート全線開業を契機といたしまして、九州の一体化が加速される一方、都市間競争がさらに厳しくなることが想定されます。
そのような中、本市が目指します九州中央の
交流拠点都市の実現に向けましては、広域的な交通基盤の整備や都市機能の集積を図りますことはもとより、本市の
都市ブランドを確立し、これを広く内外に発信し、多くの人から、訪れてみたいあるいは住んでみたいと思われるような選ばれる都市になることが必要であります。
そこで、先般、
ブランド推進の専門家、マスコミ、旅行関係者、市民公募委員などで構成いたします
熊本シティブランド戦略プラン策定委員会を設置いたしまして、本年秋ごろをめどに、
都市ブランド確立に向けた施策展開の基本指針となります
熊本シティブランド戦略プランの策定に現在取り組んでいるところでございます。
議員御指摘のとおり、この
都市ブランドの確立に向けましては、単に個別産品をブランド化するというだけではなく、熊本市を象徴する核となるブランドの設定と、それにまつわる魅力ある
ストーリーづくりを行い、各種施策を効果的かつ継続的に実施していかなければなりません。
現在、その具体的な戦略につきましては、策定委員会で検討中ではございますが、私といたしましては、今議会に御提案いたしております熊本市第6次
総合計画基本構想の目指すまちの姿でございます「湧々(わくわく)
都市くまもと」を強く印象づけるような核となるブランドとストーリーを形づくり、これを内外に広く情報発信してまいりますとともに、熊本市の知名度やイメージ向上を図るための事業や、これらの活動を継続させるための推進体制の確立にも取り組んでいきたいと考えております。
また、御提案の
観光推進基本計画についてでございますが、築城400年祭による集客効果をさらに継続発展していくことが大変重要であると考えておりまして、3年後に迫りました
九州新幹線鹿児島ルート全線開業を見据え、関西・山陽道沿線や韓国を初めとする東アジアをターゲットとしたPR活動の推進、桜の馬場の整備など、
観光振興施策の積極的な展開を図っているところであります。中長期的な視点からの観光振興の基本となる計画策定の必要性につきましても、十分認識いたしておりますので、今後検討してまいりたいと考えております。
また、繰り返しになりますけれども、今回の築城400年祭あるいは熊本城の復元を契機といたしまして、今後迫っております九州新幹線の全線開業を見据え、さらには市政の再重要課題といっても過言ではないと思っております。
合併政令指定都市の実現等々を重ね合わせることによりまして、熊本市の持ちます魅力を全国あるいは世界に向けて大いに発信していくことが使命であると思いますので、今後も全力で取り組んでまいります。皆様方の御理解、御協力をよろしくお願い申し上げます。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
今回、私が質問を行ったのは、400年祭のどの部分を見て、どう評価するかということであり、それを数字的に表現していただければ良かったわけです。行った事業内容の紹介ではなく、その結果なのです。感覚的な感想だけでは費用対効果は図れないと思います。今後はぜひ評価基準を示していただきたいと思います。それが準備されてからこそ、一過性ではない観光振興が行えると思います。
計画は、プロセス確定とツールの準備です。それができていなければコンセプトも成立いたしません。着地点をどこに持っていくのか、目標が明確でなければ、どんな戦略も机上の空論となってしまい、ひとりよがりのイベント事業の繰り返しになってしまいます。新規の観光客の誘致とリピーターの獲得を戦術として計画の中に盛り込んでいくことが重要となります。ぜひ、観光立市熊本にふさわしい、完成度の高い
観光推進基本計画が策定されますことを望みます。
それでは、次に交通政策についてお尋ねいたします。
まず、歩行者天国と
トランジットモールに関してであります。
4月20日、
熊本城本丸御殿落成式を記念し、通町筋の電車通りでは、約400メートルを歩行者天国として、
くまもと城下まつりが開催されました。
当日は、天候にもめぐまれ、
ステージイベントや飲食物販売、
オープンカフェが並び、7万人余の市民や観光客でにぎわいました。
歩行者通行量調査の結果からも、1週間前の日曜日と比べ、上通が約43%の増、下通が約70%の増、新市街では倍増となるなど、各地点において大幅な伸びが見られ、町中一帯の回遊性の向上につながったと分析されています。
さて、この
くまもと城下まつりは、当初計画の中で、通町筋は市電の
トランジットモールとして予算が組まれていました。通町筋での
トランジットモールの取り組みは、これまで何度も取り上げてきた課題でありましたことから、お城まつりとの連携による社会実験が実現できると喜んでおりました。
しかし、それはかなうことなく、歩行者天国へと変更されてしまいました。
聞くところによりますと、交通管理者の理解が最後まで得られなかったとのことのようであります。既に、浜松市、岡山市、福井市、八戸市、京都市、岐阜市では
トランジットモールの社会実験が行われており、なぜ熊本市ではできなかったのか、まして400年祭のメーンである
本丸御殿落成記念の
くまもと城下まつりが開催された特別な日であったのに、非常に残念であります。
言うまでもなく、
トランジットモールは、中心市街地から一般車両を排除することにより、従来の
自動車利用者が公共交通に転換して中心市街地を訪れるようになる、快適な歩行者環境と乗ってみたくなる公共交通が来街者の回遊距離と滞留時間を増加させるため、商店街のにぎわいと1人当たりの消費額の増加をもたらす、
トランジットモールが導入された商店街は、公共交通が水平に動くエレベーターの役割を果たし、あたかもモール全体が一つの大規模店舗のように機能することから、集積の魅力による来街者が増加するというものです。
さて、当日は、市電が終日無料運行したことで、日曜日の平均利用者約2万5,000人に対し、2倍以上の5万2,000人の方が利用したということです。バスは、市中心部で迂回運行したとのことでありますが、周辺道路の渋滞もなく、円滑に運行できたと聞いております。また、このバスの運賃収入も迂回運行したにもかかわらず、1割程度伸びたということを聞いております。
このことから、TDMの手法の導入により、マイカーから
公共交通機関へと利用者をシフトすることができたとする結果を得ることとなりました。今回の手法は、中心部へのマイカーの乗り入れ規制と同時に市電の運賃を無料にしたということ、熊本城築城400年祭と通町筋のイベントが同時開催することにより、多数の市民、観光客を呼び込んだということが、
公共交通機関の利用の増加につながったものであります。公共交通の利用促進と中心市街地の活性化には、今回の歩行者天国の取り組みは有効であったと言えます。
そこで、お尋ねいたします。
1つに、交通政策としての側面から見た今回の取り組みについて、どのように分析し、評価しておられるのか。
2つに、当該商店街の受けとめはどうであったのか、また、今後も継続して取り組もうという展望はあるのか。
3つに、
トランジットモールの導入についてはどう考えるのか。
今回の市電の運行では、目的地が通町筋の利用者ばかりではなかったはずです。本来の路線としての機能が損なわれ、目的地へ行くのに時間がかかった市電利用者もいたはずであります。そのようなことからも、市電を途中で折り返し運転することは問題が残ったと考えられます。
先ほども触れましたが、交通管理者の理解が得られず実行できなかったようであります。過度な警戒が必要であるという想定による規制によって、本来の事業ができないというのでは納得がいきません。そのことによって、交通規制の周知徹底、警備員による安全確保対策経費などが当初計画以上に必要となり、今回補正予算が計上されているわけです。
今後の対策について、関係局長にお尋ねいたします。
〔村上博一都市建設局長 登壇〕
◎村上博一 都市建設局長 4月20日に実施しました
くまもと城下まつりに関し、私のほうから2点についてお答えいたします。
まず、1点目の交通政策としての側面から見た今回の取り組みの分析評価でございますが、
くまもと城下まつりを実施するに当たり、最大の課題と考えておりましたのが、1日約3万台の交通量がある通町筋をとめることによる国道3号線や周辺道路の交通渋滞でございます。
イベント当日と通常の日曜日である5月11日に観測調査を行いました結果、中心市街地付近での国道3号線の交通量は、イベント当日のほうが通常より数%程度少なく、迂回により大幅にふえると危惧された銀座通りや主要地方道熊本玉名線などの道路でも、イベント当日の大きな増加は見受けられなかったところでございます。あわせて実施しました渋滞の長さの調査においても、一部の時間帯で、藤崎宮から水道町までの国道3号下り線で若干の渋滞が見られた程度で、予想された大きな渋滞はなかったところでございます。
これらの結果、市電の無料運行やパーク・アンド・ライドの実施、さらには事前や当日に交通規制を告知する広告を広範囲に行ったため、来街者の多くが
公共交通機関を利用され、そのことが大きな要因となっております。また、今後の交通政策として、大きな参考になるものと考えております。
次に、2点目のドランジットモールの導入についてお答えします。
今回のイベントを行うに当たり、御案内のとおり、当初は、市電をイベント会場内に走らせながら、あわせて歩行者天国とする方向で関係機関と協議を進めてまいりました。しかしながら、本丸御殿を祝う集客力のある大イベントを限られた空間の中で行う際、市電の走行により、来街者の安全を100%確保することは困難で、さらに南北に分断されたイベント空間が最適な空間と言いがたいことから、市電を折り返し運転させる今回の方法となったところでございます。
実際のところ、当初見込んでおりました来場者数に対し、3倍近い方々が会場にお越しいただいており、当初どおりの計画では、安全の確保が困難な状況にあったことから、適切な判断だったと思っているところでございます。
今後についてでございますが、通町筋での取り組み検討の際、歩行者天国とあわせて市電を通行させることについては、イベントの規模や内容によって条件が異なってくるものと思いますが、まずは来街者の安全を第一に考えながら、通町筋の取り組みを検討することとなります。
〔谷口博通経済振興局長 登壇〕
◎谷口博通 経済振興局長 私のほうからは、通町筋の歩行者天国と
トランジットモールに関連して、商店街の受けとめ及び今後の継続取り組みについてお答え申し上げます。
商店街の受けとめにつきましては、中心商店街へのアンケート結果によりますと、アーケード内の通行量がふえ、活気が出てきてよかったとの意見が多く、イベントの出展者も含め、定期的に開催してほしいとの意見もございました。
また、売り上げにつきましては、歩行者通行量の増加率ほどではないものの、おおむね一、二割の売り上げ増につながった店舗もありましたが、調査した半数の店舗では増減なしなどの回答でありました。
今回の催しは、築城400年祭と本丸御殿の落成記念による催事の一環として実施し、あわせて市電の無料化も行ったところでありまして、交通事業者を初め関係機関や通町周辺の商店街、事業者、自治会の皆様、また多くの市民の方々の御理解と御協力があって実現したものであります。
今後は、
くまもと城下まつりで得られました成果を踏まえ、イベントに限定するのではなく、
公共交通機関の活用やバーゲンセールのような商店街の購買につながるメニューなどを効果的に組み合わせるなど、戦略性のある取り組みを商店街や関係の方々と検討してまいりたいと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
いずれにしても、今回の
くまもと城下まつりは成功に終わったと言っていいと思います。また、関係者の受けとめもおおむね良好であり、今後の取り組みとして発展していくものと期待しております。交通政策としても大きな社会実験であり、次は
トランジットモールが実現できますよう要望しておきます。
次に、シンボルロードと花畑地区、桜町地区再開発の取り組みについてであります。
桜町交通結節改善の検討において、市電の軌道移設の3つのルートについて検討がなされております。A案の産文会館の南を通り、くまもと阪神南側に電停を設置する案と、B案の花畑公園から進入し、交通センターに電停を設置する案では、どちらも再開発を考慮した場合に費用対効果が見込まれるという検討結果が出ております。また、シンボルロードを通り、くまもと阪神南側に電停を設置するC案も可能性があるとされております。
この検討案は、桜町地区の交通結節を強化するという目的で3つのルートを想定し、費用対効果と市民アンケートを実施したものであります。
交通結節の拠点整備といった面では、市電の軌道移設による方法も有効であると思います。しかし、事業化していく上で考慮しなければならないことがあるということ、それは行政サイドの問題だけで済まない民間の再開発事業であります。つまり、官民の動きが連動していなければ効果は望めないし、無駄な投資になってしまいます。しかし、逆に有機的に機能していけば相乗効果が望めます。
このことを検討する段階で3つのルート以外の計画も考えられるのではないかと思っております。
そこで、お尋ねいたします。
1点目に、花畑地区と桜町地区の民間による再開発が計画されておりますが、それらの計画との調整と進捗にあわせた計画が必要であります。現段階でのスケジュールはどのようにお考えでしょうか。再開発の進捗状況とあわせてお聞かせください。
2点目に、中心市街地活性化策として、シンボルロードを熊本城、桜の馬場再開発地域との一体感のある整備とするために、シンボルロードの
トランジットモール化の検討を行い、新市街、下通へのアプローチとして位置づけたらどうかと思いますが、考えをお聞かせください。
3点目に、バス網の再編と連動した交通センターのバスターミナル機能のあり方と分散も含めた配置を検討すべきと思いますが、考えをお聞かせください。
都市建設局長の答弁を求めます。
〔村上博一都市建設局長 登壇〕
◎村上博一 都市建設局長 シンボルロードと花畑地区、桜町地区再開発に関する3点のお尋ねについてお答えします。
1点目の花畑地区と桜町地区の民間再開発と桜町交通結節のスケジュールについてでございますが、議員御案内のとおり、現在この地区では2つの再開発が計画されております。
まず、花畑地区につきましては、当初の産業文化会館を含む花畑公園南側地区に加え、花畑公園北側へのエリア拡大を図り、今後地権者で構成します熊本市花畑開発協議会を主体として、約5年後の完成を目指して事業に取り組んでおります。
また、桜町地区につきましても、法定再開発として事業を実施するために、熊本桜町再開発準備株式会社が設立され、平成26年の竣工を目指しているところでございます。
いずれの地区におきましても、事業主体が決定し、今後本格的に再開発事業が推進される予定でありますが、バスと市電の乗りかえ利便性を向上させる交通結節強化は、両地区のまちづくりの重要な要素であると考えております。
そこで、本年度は、桜町地区、花畑地区の再開発に伴う周辺交通の変化を踏まえた上で、軌道とバスターミナルとの結節性を高める方法について、軌道を移設する場合としない場合も含めて道路交通への影響や技術的課題を整理し、関係機関と協議を進め、具体的な方法の絞り込みを行いたいと考えております。
その際には、中心市街地の回遊性や新市街等へのアクセス性の向上を視野に入れながら、桜町地区の再開発に伴うバスターミナル計画等との整合を図り、本年度内には交通結節強化の基本方針を示したいと考えております。
次に、2点目のシンボルロードでの
トランジットモール化でございますが、御案内のとおり、シンボルロードは、桜町、花畑地区の両再開発が予定されております間に位置し、熊本城のエントランスとして期待されるところであり、熊本城、新市街、下通などとの回遊性向上を考えても非常に重要であると認識しております。
また、地元自治会や企業で構成されます熊本城下のまちづくり協議会桜町地区会議からも、先日、シンボルロードの
トランジットモール化などの要望がなされているところでございます。
シンボルロードの
トランジットモール化につきましては、桜町、花畑地区でのまちづくりや中心市街地の将来の交通のあり方などを踏まえながら、実現の可能性を探ってまいりたいと思います。
次に、3点目のバス網再編と連動した交通センターのバスターミナル機能のあり方についてでございますが、議員御案内のとおり、本市におきましては、将来にわたり利便性の高いバスサービスを提供できる交通体系を確立することを目的に、先月、熊本市におけるバス交通のあり方検討協議会を設置いたしました。
この協議会では、本市が目指すべきバス交通のサービス水準や、幹線や支線の導入も視野に入れた路線網の検討を行うこととしており、議員御指摘のバスターミナルのあり方につきましても、分散化も含め検討してまいりたいと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 今年度中には交通結節強化の基本方針を立てるということでありますので、シンボルロードを中心とした2つの再開発地区と熊本城を一体的な中心市街地の拠点の一つととらえ交通計画を立ててもらいたいと思います。また、再開発事業がそれぞれ五年、六年後に完成するようでありますので、それまでに効果的な交通結節強化策が策定されるよう要請しておきます。
トランジットモールに関しては、通町筋と同様に、交通管理者の規制や法的な問題もありますが、通町筋と違って一般車両の交通量も少ない路線でありますので、何とか実現できるのではないかと思っております。また、特区等の適用も視野に入れながら検討していただきたいと思います。
バスターミナルに関しては、あり方検討協議会での検討ということでありますので、その中で私も論議してまいりますが、行政としての基本方針は示してもらってもよかったのではないのかなと思っております。
それでは、次に、バス網の再編と電鉄の都心結節についてお尋ねしていきますが、その前に、地方の公共交通を支える交通事業者について触れさせていただきたいと思います。
地方民鉄おいて、旅客輸送人数は、昭和50年から平成16年までの間約65%に低下しており、減少傾向にあります。このような中、鉄道事業者は、地域の暮らしを支える公共交通としての役割を果たすために、さまざまな取り組みを行い努力してきています。しかしながら、利用者の減少傾向に歯どめがかからず、経営赤字の拡大等、地方鉄道の経営を取り巻く環境は近年一層厳しさを増してきています。そして、燃料高騰が追い打ちをかけている状況です。
現に、鉄軌道の廃止は、平成12年度以降、地方路線を中心に路線廃止が続いており、廃止延長は約600キロメートルに上っております。
地方バス事業者についても、旅客輸送人員は、昭和50年から平成17年までの間約33%に低下しており、減少傾向にあります。バス路線廃止は、平成8年度以降、廃止延長は約9万キロメートルを超えております。経営状況は、保有車両30両以上の乗合バス事業者においては、民間事業者の67%、公営事業者は100%が赤字である状況です。
このような状況の中、熊本電鉄が7カ年の再建計画をまとめ、経営陣が総入れかえというニュースが流れました。電鉄線の廃止とバス事業からの撤退という最悪の状況は避けられ、今後新たな体制で立て直しを図るということで一安心いたしましたが、地方の交通事業を取り巻く環境はさらに厳しさを増していくものと考えられます。
新聞報道では、経営の多角化が引き金になったとされておりますが、地方の交通事業者は、本来の運輸部門だけでは収益が見込めない構造的な問題を抱えております。もちろん、交通事業者はこれからも路線維持のために最大限の経営努力をしていかなければなりませんが、持続可能な公共交通を確保していくための支援を行政は行っていく必要があると考えられます。
それを踏まえた上でバス網の再編についてお尋ねいたします。
昨年第3回定例会の市長答弁では、バス事業全体の体質強化を図り、将来的に安定した運行ができる運行体制の確立及び利用者の利便性確保の視点に立ったバス路線網の構築が喫緊の課題と考えており、現在、運行体制の見直しと需要と供給のバランスがとれた路線網及びダイヤの策定を行っている。さらに、持続可能なバスサービスを市民の皆様に提供する方策として、民間バス事業者の経営体力を強化し、今後その運行状況を監視、指導していく方向が望ましいと考えている。と述べられました。
先ほど申し上げましたように、予想以上に交通事業者の経営環境は厳しく切迫した状況であります。そうした中、どのような手法で民間バス事業者の経営体力を強化していかれるのでしょうか。行政がどのように、またどの程度関与すれば運行状況の監視と指導ができるのでしょうか。果たして、それだけで持続可能なバスサービスが維持できるのでしょうか。市長の考えをお聞かせください。
また、理想的なバス路線網の構築については、利用実態のみを勘案した路線網は、理想的な路線網とは言えないと思います。そこには、潜在的な市民のニーズを酌み上げ、マイカーからバス交通に誘導するという意思を反映したものでなければならないと考えます。
19年度の事業であった路線網の策定においての基本的な考え方と、それを実行に移していくプロセスとスケジュールについてお聞かせください。
次に、電鉄の都心結節についてであります。
都心結節計画検討委員会の委員長も務められている森田副市長は、昨年の本会議で、19年度中をめどに事業概要案の取りまとめを行い、その後、関係機関を含めた協議会の設立を目指したいと述べられました。
この検討委員会は、電鉄と市電を結節することを目指し、国道3号ルートと坪井川ルートについて、道路交通への影響、可能なルート、事業主体、採算性、スケジュールなどを取りまとめることになっておりました。しかし、4月の市長会見で、検討委員会の検討内容とは異なる電鉄線延伸にかわる新バスシステムの導入と電鉄線の上通並木坂方面への延伸の2案を検討し、本年度中に結論を出すと発表されました。
私は、電鉄の都心結節イコール電鉄のLRT化と考えておりました。その前提でこれまでも議論してまいりました。
幸山市長におかれても、これまで一貫して鉄軌道を基軸とした公共交通体系の再構築を図るとおっしゃってこられました。その中において、電鉄の都心結節は重要な課題として位置づけられ、取り組まれてこられました。今年度においても、熊本都市圏鉄軌道活用検討経費1,500万円も計上されております。
そこで、お尋ねいたしますが、方針転換された経緯と理由を御説明ください。
また、このことで市長御自身の交通政策の中での鉄軌道の位置づけ、役割が変わったのでしょうか、お聞かせください。
BRTやガイドウェイバスは、新バスシステムといってもバスはバスなのです。鉄軌道とバスは、公共交通というカテゴリーが同じでも特性は異なります。
地方鉄道は、地域の基礎的な社会的インフラであります。鉄軌道は、大量性、速達性、定時性という鉄道特性、すなわちほかの交通機関との比較においても優位性を有し、経済性や環境保全等の面でも大きな効果を発揮することができるものであります。都市の装置として利便性と快適性を高め、まちづくりの核として活用していくべきものだと思います。ですから、電鉄線は、地域の財産であり、地域で支えていかなければならないと考えます。
もう一つ、お尋ねいたしますが、電鉄線の都心結節事業そのものは、熊本電鉄の再建計画が出されたことにより、どのような影響があるのかお答えください。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 交通政策の中でのバス網の再編及び電鉄の都心結節につきましてお答えさせていただきます。
まず、バス網の再編について、行政の果たすべき役割についてのお尋ねでございますが、平成15年の九州産交の再建問題、また、先日の熊本電鉄の報道など、公共交通事業者を取り巻く経営環境はまさに厳しい状況にあると認識いたしております。
一方、バス交通は、市域を隅々まで網羅する市民に最も身近な交通手段でございまして、今後本格的な高齢社会を迎えます中で、また環境問題を考えます中におきましてもますます重要な役割を果たすこととなってきております。
そこで、本市におきましては、これまでバス専用レーンや優先信号、利用者が多いバス停でのバス接近表示システムの導入など利用促進策に取り組んでまいりますほか、民間事業者の経営体力を強化いたしますため、市営バスとの競合8路線の移譲を行い、来年度には市営本山営業所管轄路線の移譲を行うことといたしております。
私は、民間バス事業といえども、市民の移動の利便性を確保していくためには行政が適切にかかわっていくことが重要と認識いたしておりまして、先ほど申し上げましたバス交通のあり方検討協議会におきましても、本市がバス事業者とともに今後行うべき利用促進策や民間バス事業者の経営体力の強化につながる運行体制のあり方につきましても、御議論いただきたいと考えております。
次に、バス網策定における基本的な考え方とプロセスでございますが、昨年度実施いたしました熊本都市圏バス路線網検討調査では、バスの利便性を高めることを基本的な目的とし、具体的には、潜在的な需要がありながら利用の少ないバス停や路線を特定し、利用者増に向けての路線新設や運行本数の増便、バス停位置の変更など改善案をまとめているところでございます。
この改善案につきましては、本年度に引き続きバス事業者と実施に向けました検討を進めてまいりますほか、検証が必要な路線につきましては、実証運行などにもつなげていきたいと考えております。
続きまして、電鉄の都心結節に関する御質問にお答えさせていただきます。
まず、これまでの検討経緯、理由、交通政策における鉄軌道の位置づけ、役割について、あわせてお答えさせていただきます。
昨年6月、県、合志市及び本市で都心結節計画検討委員会を立ち上げ、道路管理者や交通管理者も参加いただきました中で検討を進めてまいりました。
その結果といたしまして、国道3号ルートと坪井川ルートにつきましては、軌道を敷設することにより広範囲の交通渋滞を招くこと、また、費用対効果や採算性から、北バイパスや西環状道路といった環状道路ができた時点におきましても、LRTの導入は非常に厳しいという結論を本年3月に示したものでございます。
一方、
九州新幹線鹿児島ルート全線開業により、今後ますます都市間あるいは都市圏間の競争が激しくなることが予想されます中、都市を訪れる人にも便利でわかりやすい公共交通ネットワークが必要と考えております。
特に、鉄軌道につきましては、地球環境や高齢者などにも優しく、また定時性や輸送力の高いすぐれた公共交通システムであり、都市圏における公共交通の基軸としての役割を果たすものと考えております。
しかしながら、新幹線開業を見据えた対応が重要と考えることから、熊本電鉄の都心結節につきましては、本年度、鉄軌道である上通ルートにあわせ、道路に軌道を敷設する必要がなく、定時性や輸送力におきましても鉄軌道に準じた効果が期待できるバス系システムについて精度を上げた検討を行うこととしたものでございます。
次に、熊本電鉄の再建計画による影響についてでございます。
お聞きするところによりますと、今後、鉄道やバス事業を中心に再建を目指されるとのことではございますけれども、都心結節のみならず熊本都市圏北部地域の公共交通のあり方につきましても、新たな経営陣と十分に協議してまいりたい、その必要があろうかと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 御答弁いただきましたが、どうも私の問いにお答えいただいていないようであります。
前回の質問での市長答弁の意味をお尋ねしたのに、市営バスの本山営業所を新バス会社に移譲することがすべてのようなお答えであります。行政が適切にかかわっていくことが必要であるとおっしゃっておりますが、具体的には、これもバス交通のあり方検討協議会で議論をされるとなっております。非常に不満であります。交通事業者の実態ははたから見るよりも非常に厳しい状況にあります。いつ撤退してもおかしくない状況だと危機感を持っております。そのような事態が起きないよう行政は対応していかなければならないと考えます。危機意識を持って対応していただくようお願いしておきます。
電鉄の都心結節についても御説明はわかりましたが、この件については、バス交通あり方検討協議会と同様の地方公共交通活性化再生総事業を活用し、検討していっていただきたいと強く要望しておきます。
それでは、次に新幹線全線開業に向けた取り組みについてであります。
九州新幹線全線開業に向けての取り組みとして、熊本駅周辺整備事業に関して二、三、お尋ねいたします。
平成23年春の全線開業まで残すところ2年半余りとなりました。新幹線の建設工事も順調に進んでいるようであり、先月には新幹線高架工事による田崎陸橋、春日陸橋、段山陸橋の落橋に伴うつけかえ工事が行われるとともに、高架工事なども着々と進められております。
特に、熊本駅周辺においては、熊本駅部の工事や熊本駅西土地区画整理事業の進捗に伴い、まちの様相が一変しており、新しいまちが誕生することを予感させます。かつての国鉄時代、活気に満ちあふれていた町並みや操車場や機関区など、思い出のある鉄道施設がなくなってしまったのは大変寂しい思いもありますが、一方で、どのようなまちに生まれ変わるのか大変楽しみでもあります。
この駅西土地区画整理事業は、駅の西側18.1ヘクタールの密集市街地を安全で快適な町並みにするとともに、新幹線口となる西口駅前広場を整備するものであります。密集市街地であっただけに、地元の住民の皆様はもとより、区画整理にかかわる現場の職員の皆さんの御苦労は並大抵のものではないと拝察いたします。新幹線開業時、東口が暫定的な整備にとどまるわけでありますので、ぜひとも西口は県都の玄関口にふさわしい町並みの形成を図っていただきたいと思っています。
そこで、観光客などが新幹線口におり立って最初に目にすることとなる西口駅前広場についてお尋ねいたします。
先日の新聞報道によりますと、熊本アートポリス事業の一環として整備されることとなった西口広場の設計者に東京の佐藤光彦建築設計事務所が選定されたとありました。
選定に当たっては、公開コンペも行われたようであり、審査委員長を務められた伊東豊雄氏によりますと、広場の中に回廊のように壁を立てるデザインが、屋根を多用する東口駅前広場とおもしろい対比になっていることを評価したとのことであります。
この西口広場のデザインが決定されるまでの経緯とデザインに対する幸山市長の感想並びに期待についてお尋ねいたします。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長 西口駅前広場のデザインに関する決定までの経緯と、また私の感想や期待という御質問にお答えさせていただきます。
西口駅前広場につきましては、県のくまもとアートポリス事業に参加いたしまして、1月末から約2カ月間の応募期間の中で、総数205件と全国各地から大変多くの御提案をいただいたところであります。
審査は、先ほど御紹介もありました建築家の伊東豊雄氏を審査委員長とする審査会が最優秀賞を決定する方式でございましたが、協働のまちづくりの理念に基づきまして、応募をいただきましたすべての作品を公開いたしますとともに、市民の皆様から御意見をいただき、審査の参考とさせていただいたところであります。
〔議長退席、副議長着席〕
そのような中、3月の第1次審査では5件が選定され、公開で実施いたしました5月の第2次審査で、佐藤光彦建築設計事務所の作品が最優秀賞として選定されたところでございます。
この作品に関しまして、私は、新幹線駅舎のデザイン、花岡山、万日山等の緑、あるいは区画整理で生み出されます新しい町並みなどとの調和が図られた作品であると感じましたし、審査委員長も総評の中でおっしゃっておられましたように、半屋外の公園のような駅前広場というコンセプトや熊本城の黒壁をイメージさせる独創的な外壁のデザインなどは、熊本らしさを巧みに表現されているのではないかと思っております。
今後、詳細な設計を進めていくということになりますが、新幹線口にふさわしく、県民市民のみならず、全国から熊本を訪れる方々に親しまれるような駅前広場になるものと期待いたしているところでございます。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 東口駅前広場が完成するまでは、西口が熊本の表玄関になると言えるわけでありますので、もっと市民にもPRし、関心を持ってもらうべきであるというふうに思いますが、いま一つのように思います。市政だよりや市政番組等で市民に周知してはどうでしょうか。
また、駅舎のデザインでありますが、新幹線駅舎は、昨年5月、鉄道運輸機構から久留米駅や鳥栖駅などほかの5駅と同時にそのデザインが発表されたところであり、西口広場はこれと調和したデザインが選定されたようであります。
一方、在来線駅舎については、昨年3月の熊本駅周辺整備に関するトップ会議で、安藤忠雄氏によるデザインスケッチが示され、その後、ことし3月のトップ会議でも議論がなされたとのことであります。
新聞報道によれば、建設費が当初見込みの12億円から10億円以上上回る可能性があると県の試算も報告されたようであります。世界的に有名な安藤氏に設計を依頼した以上、ある程度の出費は覚悟する必要があるとは思いますが、県市とも厳しい財政状況にある中での負担でありますので、県市民に対する十分な説明が不可欠であると思います。
熊本市も費用の一部を負担するわけであり、また、政令指定都市になれば事業主体が熊本県から市に移管されることになりますので、今のうちから積極的に関与し、全国に誇れる駅舎にしていただきたいと思います。
次に、東A地区の市街地再開発事業についてお尋ねいたします。
現在の東A地区は、昨年11月に角のホテルが解体され、更地の部分が大きく広がり、事業が一挙に進んだ感がありましたが、その後思うように進捗していないように思います。残留予定の銀行などの建物以外にも依然として古い建物が点在しております。当初の予定では、平成19年度中に用地買収が完了することになっていたと思いますが、このままでは新幹線開業までの事業完了に支障が出るのではないかと心配しているところです。
そこで、お尋ねいたしますが、現時点での用地買収の状況並びに今後の見通し、さらには再開発事業の事業スケジュールはどうなっているのか、都市建設局長にお尋ねいたします。
さらに、総事業費等についてお尋ねいたします。
御承知のとおり、原油価格の急激な上昇がさまざまな分野に影響を与えており、特に資源価格の上昇による鋼材価格の高騰が建築業界では大きな問題となっております。トン当たりの鋼材価格は、昨年から50%以上も値上がりし、11万円となっているとのことであり、今後も毎月1万円ずつ上昇する可能性もあると言われています。
このようなことから、再開発事業にも少なからず影響が出てくるのではないかと思いますが、現時点での総事業費に変動はないのか、また、今後急激に物価が上昇したときにどう対応するのか、これも都市建設局長にお尋ねいたします。
〔村上博一都市建設局長 登壇〕
◎村上博一 都市建設局長 私からは、東A地区市街地再開発事業に関するお尋ねにお答えいたします。
東A地区の再開発ビルは、新しい熊本駅周辺のシンボルとして、商業、オフィス等の都市機能の集積をリードすることにより、新幹線開業による福岡、鹿児島等との都市間競争への対応、さらには中国、関西圏等への交流の促進につなげるという意味で、本市の将来を担う大変重要な事業の一つであると認識しております。
九州新幹線鹿児島ルートが全線開業する平成23年の春の完成を目指して事業を進めてまいりました。そのためにも、用地取得に関しましては、昨年度中の取得完了を目指しておりましたが、複雑な権利関係や管理処分の困難性などから、現時点でも面積ベースでの取得率が73%にとどまっており、後ほど御説明申し上げます事業スケジュールにも影響を及ぼしているところでございます。
そこで、取得に難航している物件につきましては、法的な手続をするための準備を進めているところでございますが、並行し可能な限り早期解決に向けて、任意による交渉に全力を傾注してまいりたいと考えております。
次に、事業のスケジュールでございますが、工事の着手につきましては、用地取得等が難航しておりますことから、早くても来年1月ごろにならざるを得ない状況でございます。このようなことから、再開発ビル全体としての完成は1年程度おくれることを予想しておりますが、市の情報交流施設については、平成23年秋の完成を目指し事業を進めてまいりたいと考えております。
私といたしましても、新幹線開業という節目の時期にこの再開発ビルを完成させることは、至上命題として取り組んでまいりましたが、このような結果となってしまい、じくじたる思いでございます。今後、可能な限り工期短縮等の検討を行い、一日も早い完成を目指してまいりますので、御理解と御協力のほどお願い申し上げます。
次に、事業費についてお答えします。
現状といたしましては、契約時期までの物価上昇等を加味したところで、総事業費は205億円程度と見込んでおり、そのうち情報交流施設の整備を含めた最終的な市の負担額については67億円程度になるものと考えております。ただし、今後も物価上昇や世界的な建築資材費の高騰が想定されますが、契約後の対応につきましては、国土交通省において単品スライド条項の運用を発動されたところであり、その動向を見きわめつつ、本市の契約担当部署等とも十分連携しながら対応してまいりたいと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 用地交渉の難航や予測を超える物価上昇など厳しい状況があるようでございますけれども、私ども心配しておりましたように、新幹線開業までには物理的に間に合わないというのが現実のようであります。しかしながら、熊本の浮沈がかかる事業でもありますので、一日でも早く事業が完了するよう努力していただきたいと思います。
続いて、今回の6月議会に条例改正が提案されている熊本駅南A地区の地区計画に関してお尋ねいたします。
この南A地区については、熊本駅周辺整備基本計画の市街地整備ゾーンに位置づけられており、民間開発や個別建てかえに伴い、良好な町並みが形成されるよう誘導する方針が示されていました。
今回の地区計画決定により、熊本の玄関口としてふさわしい魅力あるまちづくりの実現に向けてのルールに基づく町並み形成や建築物の誘導、駅前広場や都市計画道路整備にあわせた道路整備などを行い、都市機能を更新していくことになります。
そこで、この地区計画に関連し、駅周辺全体の機能配置の中で、南A地区の特性やポテンシャルをどのようにとらえ、どのような町並みの創出を図ろうとされているのか、また、この地区計画の内容について具体的にお示しいただきたいと思います。
都市建設局長の答弁を求めます。
〔村上博一都市建設局長 登壇〕
◎村上博一 都市建設局長 熊本駅南A地区の地区計画についてお答えいたします。
この南A地区は、熊本駅と合同庁舎建設地の間に位置しており、駅周辺のにぎわい創出を図る上で大変重要な区域の一つであると考えております。
そこで、熊本駅周辺地域整備基本計画では、駅周辺にふさわしい良好な町並みを形成し、商業、業務施設や都市型住宅等の立地する都市型サービスの拠点地区と位置づけているところでございます。
これを具体化するために、これまで地権者や地元の方々とまちづくりの話し合いを進めてきた結果、戸建て住宅などの建築制限、建物壁面位置の2メートル後退、建物容積率を500%から600%へ引き上げるなどのまちづくりのルールを定めるとともに、回遊性の向上を図るため、幅員6メートルの区画道路を配置した地区計画の案を策定したものでございます。
この地区計画案につきましては、本議会に上程しております熊本市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の議決をいただいた上で、都市計画決定を行い、秩序ある魅力的なまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
この地区がモデルケースとなり、ほかの地区においても地区計画の策定や優良建築物の助成制度などの活用により、良好な町並みが形成されることで、魅力ある熊本駅周辺のまちづくりが進むことを期待したいと思います。
次に、豊肥本線の活用と整備方針についてであります。
JR九州の地方交通線の中で沿線人口が増加している唯一の路線が、豊肥本線です。近年、熊本駅−肥後大津間の沿線には、宅地開発等市街化が進み、光の森駅が開業されるなど、平成駅から肥後大津駅間の利用者数はこの20年で約2.3倍に伸びており、豊肥本線は都市圏における基幹的な
公共交通機関として運行されています。また、都心部への移動の利便性向上のために、平成23年度には新水前寺と市電の結節強化が図られ、さらに利用者の増加が見込まれております。
このように、JR豊肥本線は、都市内、都市間鉄道として、また観光地阿蘇と熊本市と結ぶ基幹公共交通の役割も担っております。今後は、九州新幹線という縦軸に対して横軸の交通アクセスとして、重要な位置づけがなされております。つまり、豊肥本線は、熊本都市圏においても、本市の都市戦略にとっても重要な基幹交通であります。
交通渋滞対策や地球温暖化対策としての公共交通利用促進のためにも、豊肥本線の輸送力増強が必要であります。現在の運行本数は、肥後大津までの電化によって特急が乗り入れ、一日に上下25本、普通が上下111本となっております。
輸送力増強のためには、編成車両数や列車本数をふやす方法があると思いますが、そのためにはスピードアップとインフラ整備が必要であります。
具体的には、豊肥本線の高架化と複線化を実現しなければなりません。今後の活用方針と整備方針をお示しください。
都市建設局長の答弁をお願いいたします。
〔村上博一都市建設局長 登壇〕
◎村上博一 都市建設局長 豊肥本線の活用と整備方針についてお答え申し上げます。
議員御案内のとおり、JR豊肥本線は、熊本都市圏における8軸公共交通の一つと位置づけられ、本市中心部から北東部方面、さらには阿蘇地域までを結ぶ基幹的な公共交通の役割を担っており、沿線は宅地開発等の市街化が進むなど、利用者数も増加しております。
また、九州新幹線開業時の供用を目指し、新水前寺駅と市電の結節事業を進めているところであり、乗りかえの利便性が高まれば、さらなる利用者の増加にもつながり、それに対応した輸送力の改善等も必要になってくると考えられるところでございます。
豊肥本線の複線化や高架化につきましては、既に北バイパスや産業道路等の幹線道路と立体交差化されている区間もあることから、工法上も事業費の面からも困難な事業となることが予想され、早急な実現はなかなか難しいと思われます。
そこで、九州新幹線開業後は豊肥本線の特急運行がなくなることから普通列車の高頻度運行、車両連結数の増加、列車の行き違い施設の設置などによる輸送力の増強を進めることが必要であると考えております。
今後は、事業主体でありますJR九州はもとより、県や沿線自治体とも連携し、豊肥本線の利便性向上や輸送力強化等について取り組んでまいりたいと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。具体的な取り組みをよろしくお願いいたします。複線化、高架化についても、将来的な展望を持って取り組んでいただきますようお願いいたします。また、阿蘇くまもと空港への乗り入れ検討についても、県と連携をとりながら進めていただきたいと思います。
次に、市電の導入車両についてであります。
今年度、新たに2編成4両の市電の車両が導入される予定であります。私は、市電はただの乗り物としてとらえるのではなく、観光資源として、見て、乗って、楽しい、夢のある乗り物であってもらいたいと思っております。
思い起こしますと、平成9年に全国発の超低床電車が導入されたときは、連日視察ラッシュと大勢の鉄道ファン、観光客が来熊されました。今、広島電鉄のグリーンムーバMAX、富山ライトレール、土佐電鉄の坊ちゃん号などに乗るため、見るために多くの人々が訪れています。話題性のある車両は十分に観光資源となり得ます。
そこで、提案でありますけれども、市電のKUMAMOTOブランド化を目指して、国産車両メーカーとの共同開発によって新型車両をつくったらいかがでしょうか。これまでも熊本市交通局は、幾つものローレル賞を受賞した実績があります。ぜひ、鉄道ファンのメッカ熊本市を目指してもらいたいと思います。
8月には、初めての取り組みとして、市電の体験運転イベントも企画されています。こういう取り組みを通じて、市民、利用者の皆さんに、おらがまちの市電という親しみと誇りを醸成してもらい、利用者の増加につなげてもらいたいと思います。また、市電を情報提供の場や市民交流の場として活用するといったことも必要かと思いますが、いかがでしょうか。
交通事業管理者の考えをお聞かせください。
あわせて、今年度導入予定の車両の概要とスケジュールについてお答えください。
〔石田賢一交通事業管理者 登壇〕
◎石田賢一 交通事業管理者 市電の導入車両についてお答えいたします。
御案内のとおり、市電の車両は、過去ローレル賞や国際交通安全学会賞を受賞し、全国的に高い評価を受けてきた経緯がございます。また、これまでも市電が、映画、ドラマを初め数々の番組に取り扱われてきたところであり、今後とも市電が熊本ブランドの一翼を担うよう、さらにさまざまな取り組みを行ってまいりたいと考えております。
具体的には、今年度新たな企画として、議員御案内のとおり、8月に市電の体験運転を計画しておりまして、遠くは東京や横浜からの申し込みもあっております。また、年末にはイルミネーション電車の運行も予定しているところでございます。
これからも、市民を初め県内外の方々にも、親しみやすく喜んでいただけるような魅力ある車両の運行を企画し、市電の乗客増だけでなく、お客様の輸送のみにとどまらず、付加価値のある
公共交通機関として活用できるよう検討を続けてまいりたいと思っております。
なお、今年度導入予定の車両の概要とスケジュールについてでございますが、本年6月6日に鉄道建設・運輸施設整備支援機構から補助の決定通知をいただいておりまして、来年3月中には運行開始予定でございます。
現行車両と比較しますと、車両の長さはほぼ同じですが、座席定員は若干名ふえる予定でございます。また、車両デザインは、現行車両よりも丸みをおびた形となっており、車体側面の、肥後ツバキをイメージした赤いラインが特徴となっております。
いずれにいたしましても、今後とも市長部局と連携をとりながら、魅力ある市電の導入や運行に努めてまいりたいと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
今回の導入車両については、富山ライトレールと同一の車両だということで楽しみにしておきたいと思いますが、先ほどの交通事業管理者の答弁を幸山市長がよしとされているのなら、それはどうかなというふうに思わざるを得ません。交通局は、身の丈に合った答弁しかできないということで、私の提案には前向きの答弁をされませんでした。そうであれば、市長部局が本市の政策として、熊本独自の新型車両の開発、導入を考えてもいいはずであります。市電は基幹交通というだけではなく、熊本市の大きな観光資源でもあります。それをさらに魅力的なものとして全国に発信していける素材であると思います。ぜひ実現に向けて検討していただきますよう要請しておきます。
次に、合併、政令指定都市について、市長にお尋ねいたします。
現在、合併に向けて3町とそれぞれに熊本市・城南町合併任意協議会、熊本市・植木町合併問題調査研究会、熊本市・益城町合併任意協議会において鋭意協議がなされており、市長並びに事務局、協議会委員の皆さんの御尽力に敬意を表します。
お聞きをいたしますと、それぞれの協議会、研究会では、市町間で異なる住民サービスや税負担、事務事業をどう調整するかの協議が熱心にされているとのこと、合併後の不安を解消するためにしっかりと議論して、住民の皆さんに御理解していただくということは当然のことであります。将来、熊本市と合併してよかったと言われるような協議会での合意が求められます。
しかし、制度やサービスの違う複数の地方自治体が合併するからといって、それぞれの言い分をすべて取り入れるということは、将来に禍根を残すのではないかと考えます。経過措置は必要かと思いますが、合併したら単一の地方自治体になるんだという基本的なことを忘れて協議を進めてはならないと思います。
また、協議題の内容次第では、法定協で協議すべき項目も任意協、研究会で出されているようであります。残り2年を切った合併特例法の期限内での政令市を実現するためには、時間の猶予が余りないのではないかと危惧いたしております。
そこで、お尋ねいたします。
3町それぞれに現在までの取り組み状況を御報告ください。
その上で、21年度中に合併を完了するスケジュールを考えた場合に、協議日程も勘案して、法定協議会への移行はいつまでに完了したいとお考えでしょうか。
また、合併と政令指定都市移行の事務手続も含め、スケジュールをお示しください。あわせて見通しについても考えをお聞かせください。
〔幸山政史市長 登壇〕
◎幸山政史 市長
合併政令指定都市につきましての御質問にお答えさせていただきます。
まず、近隣町との合併に関する取り組み状況についてでございますが、現在、城南町とは、これまでに任意協議会を5回開催いたしておりまして、7月9日に開催する会議で協議を終了したいと考えております。
植木町との合併問題調査研究会、益城町との任意協議会につきましては、どちらも全5回の会議を計画しているところでありますが、先月までに2回開催いたしておりまして、今後、8月をめどにすべての協議、研究を終了する予定といたしております。
3町との任意協議会、研究会につきましては、富合町との法定協議会での協議項目をもとに、約700項目にわたる事務事業の調整方針についての協議や将来像について検討を行っているところでございます。
次に、法定協議会への移行時期についてでございます。現在行っております任意協議会や研究会に当たりましては、本市はもとより、各町の住民の皆様の御理解を深めていただけるよう、住民生活にかかわりが深いと考えられる項目や将来像につきまして、お互いに丁寧な協議を行っているところでありまして、任意協議会等での議論を踏まえまして、できるだけ早い時期に協議事項を決定できる法定協議会の設置が必要であると考えております。
法定協議会移行の具体的な時期につきましては、それぞれの町や市の議会での御判断が前提となってくるわけでございますが、法定協議会におきましても丁寧な協議を行いますためには、できれば本年9月ごろにも法定協議会設置の議決をいただきたいと考えております。これに向け、各町との協議をさらに進めてまいりたいと考えております。
次に、
合併政令指定都市移行に向けたスケジュールについてでございますが、合併に関しましては、法定協議会を終えました後、市・町議会において、廃置分合議案の議決をいただき、県議会での議決を経て、県知事が合併の決定を行い、その後、総務大臣が廃置分合告示を行うこととなります。
こうした手続を踏みまして、合併特例法の期限であります平成22年3月末までに合併を完了し、人口70万人を超える新市を誕生させたいと考えております。
また、政令指定都市に関しましては、合併のめどが立ち、政令指定都市実現の可能性が固まった段階におきまして、県市間の事務移譲について正式に協議し、移譲事務を確定させる必要がございます。その後、市議会、県議会での政令指定都市移行の意見書採択を経て、総務省を初め各省庁との協議を行い、閣議決定をいただくこととなります。
新市の誕生から政令指定都市移行までの期間につきましては、他都市の事例を見ますと、一番短い堺市におきまして1年2カ月、その他の都市では約2年を要しております。
今後とも、合併特例法の期限を意識しつつ、ただいま申し上げました取り組みを議会の皆様の御支援、御協力を得ながら着実に進め、魅力と活力に満ちた政令指定都市をぜひとも実現したいと考えております。
〔34番
佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
3町との合併協議会の設置を9月の議会までには行いたいとの考えを示していただきました。相手があることではありますが、今後のスケジュールを考えますと、この時期までには設置する必要があると思いますので、取り組みをよろしくお願いいたします。
それでは、次に技術者、技能者の育成についてであります。
先日9日、厚生労働省が2007年度能力開発基本調査結果を発表いたしました。調査対象は、従業員30人以上の7,018事業所で、回答率60.9%でした。
それによりますと、団塊世代の退職に伴う技能継承について問題があると答えた事業所は32.7%でした。このうち5,000人以上の事業所は79.3%に上っており、従業員数が多い企業ほど技能継承で困難を抱えている傾向が示されました。
また、労働政策研究・研修機構の調査では、中小企業の多くが人員不足でそもそも伝える相手がいないと回答、後継者不足も深刻な状況となっております。同機構は企業は団塊世代の退職を5年ぐらいおくらせて後継者がふえるのを待つことも検討してほしいと話しております。
このように、団塊世代の退職については、2007年問題として以前から対策の必要性が言われていました。もともと2007年が注目される理由は、定年を60歳とすれば、1947年、昭和22年生まれを中心とした団塊世代の退職者が最も多く発生するためです。
そして、いわゆる2007年問題の発端は、金融機関等企業の根幹業務を支えるメーンフレームコンピューターの保守について団塊の世代が主に担っているため、定年退職後、保守を行う技術を持つ人間が企業に存在しなくなり、その結果、業務が滞り経済に重大な悪影響が出るのではないかという懸念から生じたものなのです。
この2007年問題は、コンピューターの保守に限らず、ほかの分野においてもマニュアル化しづらい現場固有の技術の継承が困難となり、それによって企業活動自体が停滞するおそれがあるという問題として認識されるようになりました。特に、製造業のうち職人的作業や機械化が困難な作業の多い企業においては、危機感が強く、深刻にとらえられています。例えば、電気設備の保守点検業務においても同じで、実務経験が必要な資格はますます継承していくことが困難であると言えます。
民間企業では、ベテラン社員の大量退職に対して、何も対策をとらなければ、今日まで培われてきた高度な技能継承が途絶え、ベテラン社員とともに技能が企業から失われていきます。企業としては、技能をいかに企業の強みとして残すかという課題に取り組まなければなりません。しかし、多くの企業は、技能継承に多くのコストを要し困難をきわめているというのが現状です。効果的かつ確実に技能を継承することができなければ、生き残りができないとも言われています。中小企業においては本当に深刻な問題であります。
そこで、行政としてこのような問題にどう支援できるのか。神奈川県では、2007年問題に対応するために、県内中小製造業における技術、技能継承を総合的に支援する拠点として、川崎高等職業技術校京浜分校内に技術・技能継承プラザを設立しました。このプラザでは、現場経験を持つ在職者訓練コーディネーターが、直接企業にも足を運び、さまざまな相談に応じています。
そして、相談事業と並ぶもう一つの柱が、従業員の技術力アップを目的としたスキルアップセミナーの開催です。相談等で寄せられた企業の要望に応じて個別に内容を設定するオーダー型のセミナーも用意し、土日や夜間にも開催しています。こうした取り組みの結果、オープン以降、企業からの相談やスキルアップセミナーは、多くの企業や従業員に利用されているそうであります。
そこで、お尋ねいたします。
本当の危機は2012年に来ると言われておりますが、熊本市においては、支援策として今後計画を立てられるのでしょうか、考えをお聞かせください。
続けて、お尋ねいたします。
この技能、技術継承は、我が熊本市役所においても同様の問題があります。
内閣府のレポートによると、すべての公務員の4分の3を占める地方公務員は、これまで毎年3万人程度であった60歳の退職者が、従来同様に退職するとした場合、2008年から2009年にかけては毎年約7万人の地方公務員が減少することになるそうです。ほとんどの地方自治体においては、行財政改革を推進しており、退職者に見合う補充をしておらず、この5年間で約15万人の地方公務員純減が行われてきました。
2007年以降は、この動きがさらに加速することに伴い、より若い世代が重要な役職につくことが予測されるため、20、30代の自治体職員へのノウハウの継承と行政サービスの低下を防ぐことが今後の課題となり、最小の経費で最大の効果を生み出すことのできる効率的な行政運営を行わなければなりません。
また、行政として、検査や確認業務が発生する有資格者を必要とする業務の場合でも同様に団塊世代の退職の問題があります。例えば、建築職員では、現在120人の職員のうち、そのうち55歳以上が33人、全体の4分の1です。また、1級建築士の有資格者は39人でありますが、そのうち55歳以上が21人と、有資格者の割合は過半数を超えております。50歳以上となりますと26人で、3分の2の有資格者がこの10年で退職していきます。土木設備関係も同じような実態です。
建築主事に関して言えば、33人中17人が55歳以上です。50歳以上で言えば23人となっており、このままの状況であれば、ベテランの職員が退職した後、間違いなく業務に支障を来たします。
若い職員の有資格者が少ない理由は、それぞれ個人の理由があるのでしょうが、資格を取ることが難しい、または取ろうとする意欲がないということを聞きます。
地方自治体の首長は、ローカルマニフェストのもと、政策実現に向けて強いリーダーシップを発揮していると思われますが、しかしながら、首長自身は、職員の人材育成についてはほとんど携わっていないのが現状ではないかと思われます。それは、目の前に課題が山積し、その解決に向けた取り組みに専念せざるを得ず、職員の人材育成まで携わることができないためであると思われるのです。
しかし、地方自治体の課題解決や政策実現に向けた取り組みを実際に実施するのは職員であり、職員を育成することは大変重要であります。首長には、このことを常に意識しながら人材育成についても強いリーダーシップを発揮することが求められております。そして、行政を取り巻く環境は激変しており、求められる能力も大きく変化している現実では、職員の自己創造を促し、働きがいや人材組織の活性化の実現のため、自律性に基づくキャリア形成への関心を高めることが不可欠ではないでしょうか。
また、技術職員に対する資格取得のための支援策を講じることも必要であります。さらに、職務上、必要な資格者には手当等の措置は当然のことと思いますが、いかがお考えでしょうか。
以上、団塊世代の退職に伴う問題で、行政としての中小企業支援策の計画と熊本市における団塊世代職員の退職に関する対策についてお聞かせください。
関係局長の答弁を求めます。
〔谷口博通経済振興局長 登壇〕
◎谷口博通 経済振興局長 私のほうからは、団塊世代の退職に伴う中小企業支援策について、技術者、技能者の育成に関連してお答え申し上げます。
中小企業において技術、技能を担っていますのは、団塊世代を初め高年齢労働者が多く、団塊世代の大量退職に伴い、技術、技能継承の問題が生じることが予測されます。
そのような中、本市では、伝統技術、技能の継承並びに中小企業の技術者、技能者の育成を支援するため、5カ所の認定職業訓練校等への助成を行っております。
中でも、熊本市職業訓練センターの職業訓練短期大学校では、今年度より建築製図及び設備の2コースを増設し、建築科目6コースで3年間にわたる技術、技能訓練を実施しており、また、熊本市事業所内高等職業訓練校では、左官科を初め5科目を設置し、2年間の技術、技能訓練を実施いたしております。
今後とも、国や県、関係団体との連携を図りながら、認定職業訓練校等での技術者、技能者の育成を通して、中小企業における技術、技能の継承を支援してまいりたいと考えております。
〔寺本敬司総務局長 登壇〕
◎寺本敬司 総務局長 私のほうからは、職員の技術、技能の育成についてお答えいたします。
議員御案内のとおり、団塊世代の退職を迎える職員の技術、技能継承につきましては、大変重要な問題と考えております。本市におきましても、行財政改革の中で職員数の計画的な削減を進めており、今後、技術者の確保につきましては、職員の計画的な採用や再任用職員の確保に努めることで、現在の業務への支障や住民サービスの低下を招かないよう最善の努力を行ってまいりたいと考えております。
13番 大 石 浩 文 14番 高 島 和 男
15番 田 尻 善 裕 16番 上 野 美恵子
17番 東 美千子 18番 有 馬 純 夫
19番 三 島 良 之 20番 齊 藤 聰
21番 津 田 征士郎 22番 白河部 貞 志
23番 藤 山 英 美 24番 田 中 誠 一
25番 村 上 博 26番 東 すみよ
27番 日和田 よしこ 28番 藤 岡 照 代
29番 坂 田 誠 二 30番 下 川 寛
31番 田 尻 清 輝 32番 北 口 和 皇
33番 中 松 健 児 34番 佐々木 俊 和
35番 田 尻 将 博 36番 田 辺 正 信
37番 家 入 安 弘 38番 鈴 木 弘
39番 竹 原 孝 昭 40番 古 川 泰 三
41番 税 所 史 熙 43番 落 水 清 弘
44番 江 藤 正 行 45番 主 海 偉佐雄
46番 嶋 田 幾 雄 47番 益 田 牧 子
48番 上 村 恵 一 49番 西 泰 史
説明のため出席した者
市長 幸 山 政 史 副市長 西 島 喜 義
副市長 森 田 弘 昭 総務局長 寺 本 敬 司
企画財政局長 前 健 一 市民生活局長 原 幸代子
健康福祉局長 甲 斐 節 夫 子ども未来局長 木 村 正 博
環境保全局長 宗 村 收 経済振興局長 谷 口 博 通
都市建設局長 村 上 博 一 消防局長 神 原 節 生
交通事業管理者 石 田 賢 一 水道事業管理者 加 耒 英 雄
教育委員会委員長 黒 澤 和 教育長 小 牧 幸 治
代表監査委員 濱 田 清 水 農業委員会会長 森 日出輝
財務部長 岡 昭 二
職務のため出席した事務局職員
事務局長 松 本 豊 事務局次長 山 田 利 博
議事課長 木 村 建 仁 議事課長補佐 大 村 淳...