皆様、御承知のとおり、我が国では新世紀維新を掲げた小泉新内閣が誕生し、財政構造改革や特殊法人改革など、さまざまな分野で変革の旋風を巻き起こしているところであります。
この中でも、特に、我々地方自治体に直接かかわります道路特定財源や、地方交付税の見直しについては、これまで幾度となく浮かんでは消えていた問題でありますが、今回、それにもメスが入ろうとしており、まさしく聖域なき構造改革が断行されつつあります。
ただ、このような議論の中では、ともすれば、東京、大阪などの大都市部のみが重視され、行政サービスの地域格差が拡大するおそれもあり、我々、自治体関係者はこのような国の動きを十分に注視するとともに、地方として譲れない部分は断固として主張していくことも重要であります。
しかしながら、その一方では、地方自身も国に依存した体質を改め、地方自治の担い手としての能力向上を図り、自立していかなければなりません。
加えて、我々市民もまた、まちづくりのすべてを行政に任せてしまうのではなく、みずから考え、行動し、主体的に取り組んでいかねばならないのであります。
このような中、熊本市では、21世紀という新たな 100年の基礎を築くためのまちづくりの指針として第5次総合計画を策定されたところであります。
そこで、この総合計画に基づくまちづくりについて2点お尋ねいたします。
この計画では、新世紀におけるまちづくりの基本姿勢として、自立と共生に基づく市民総参加のまちづくりを掲げておられます。まさに、これからの時代にふさわしい内容となっております。
今後は、これに基づき、新しい熊本づくりに向けたさまざまな施策や事業が展開されていくことと存じますが、改めて言うまでもなく厳しい財政状況下であります。
一方では、地方分権、少子高齢化、高度情報化、国際化などの時代の潮流にも迅速に対応していかなければなりません。
このためには、これらの時代の変化を的確にとらえながら、本市の特性を十分に踏まえ、新世紀のまちづくりの核となるものを明らかにした上で、これまで以上に施策や事業を精査していく必要があります。
このようなことから、新総合計画では、計画期間中の
重点的取り組みとして、次代を担う自立と共生の人づくり、交流をキーワードとした魅力と活力あふれるまちづくり、さらには地球市民としての責任を果たす環境保全の3つを掲げられております。
これらはどれも重要なものでありますが、中でも都市の活性化という点で、私は交流のまちづくりに大いに賛同するものであります。
そして、この交流のまちづくりの中心となるものは何といっても
熊本城復元整備であり、新世紀のまちづくりにふさわしい大事業であります。
そこで、冒頭の質問といたしまして、新総合計画に基づく新しい熊本づくりの核となる熊本城の復元整備についてお尋ねしたいと存じます。
復元整備事業については、三角市長以下、関係部局の御努力により、着実に推進され、先般は、南大手門、戌亥櫓等の上棟式が古式ゆかしく、かつ厳かに挙行されたところであります。さらに今後は千畳敷きの
本丸御殿大広間の復元整備などに取り組まれる等、一つの区切りとなる平成19年の築城 400年には、どのような雄姿が再現されるのか、私自身今から期待に胸踊らせているところであります。
このような中、先般、熊本県が城内プールを解体し、国に返還するというニュースが飛び込んでまいりました。私はこのニュースを聞き、現在プールに隣接した熊本合同庁舎の移転も取りざたされているところでもあり、これらの土地がちょうど熊本城の
エントランス部分に当たることから、復元整備事業と一体となった活用はできないものかと考えたところであります。
例を挙げますならば、本用地を利用して熊本城の歴史や、当時の風俗等の体験施設、レストランなどの休憩施設、あるいは駐車場の整備を行うなど、活用次第では熊本城の入場者を飛躍的に増大させることも可能になるのではないでしょうか。
確かに厳しい財政状況ではありますが、地方の自律が叫ばれる中において、まちの活力づくりに必要なものについては積極的に取り組んでいくことも重要であると考えます。
もちろん本用地は国有地であり、所有者である国の意向確認が前提であるとは思いますが、熊本城を国内外に広くアピールできるよう、これらの跡地の利用について検討されてはいかがでしょうか。
そこで、お尋ねいたします。
国内外からたくさんの人が訪れるような活力に満ちた新世紀の熊本づくりに向け、その柱となる
熊本城周辺地域の一体的な整備について市長のお考えをお聞かせください。
引き続き、まちづくりへの市民参加についてお尋ねいたします。
先ほど申し上げましたとおり、これからの地方分権化に対応し、新世紀を真に地方の時代にするためには、まちづくりへの積極的な市民参加が不可欠であります。
このようなことから、今回の総合計画では自立と共生を基本に、行政と市民の役割分担に基づく市民総参加のまちづくりを掲げられております。
先ほどの
熊本城復元整備においても、市民総参加で進めるため、市長みずからのアイデアで一口城主などの募金活動等にも取り組まれ、今や市民から寄せられた浄財も約4億円に上っているとのことであります。
このように我々市民一人一人がまちづくりの主役としての責任を自覚し、積極的にかかわっていくようにするためには、まずは行政が市民参加の仕組みをつくり、呼びかけていくことが必要ではないでしょうか。
そこで、お尋ねです。
先般の新聞報道によりますと、市では重要な施策などにより多くの市民意見を反映させるため、
パブリックコメント制度の導入や審議会の公開などについて検討を進めているとのことであります。
このような取り組みにより、政策に対する市民への説明責任が果たされ、透明性が確保できるとともに、市民にとっても市政を身近に感じることができ、ひいては、住民自治意識の高揚に大きく寄与するのではないかと期待するものであります。
そこで、このような新しい市民参加の仕組みづくりについて、今後どのように進められるのでしょうか。企画財政局長にお尋ねいたします。
〔三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長
熊本城周辺地域の一体的な整備についてのお尋ねでございます。
熊本城は申すまでもなく、日本を代表する
歴史的文化遺産であり、また全国から多くの人々が訪れる本市の大切な観光資源でもあります。
そして、城域を取り囲む、歴史的なたたずまいを残す市街地と相まって、この一帯は城下町としての風情や風格を醸し出し、さらには潤い空間をつくり出しているもので、新世紀の熊本づくりにおいても極めて重要な役割を果たす地域であります。
このようなことから、これまでも城郭の保全や周辺の環境整備に力を入れてまいりましたが、これからも本丸御殿などの歴史的建造物の復元はもとより、中長期的には歴史文化を楽しく体験学習ができる場としての整備や、
観光サービス機能の充実、あるいは市民の憩いの場としての緑の育成なども進めてまいりたいと考えております。
さらには、中心市街地とのつながりを高めるために、例えば新市街方面から御幸坂に至る誘導案内板の充実などアクセスの強化、あるいは上通方面からのアプローチや横井小楠、維新群像がある高橋公園との連続性を高める対策など、市民や観光客の皆様が気軽に、そして楽しく歴史空間と近代的な都市空間を回遊できるような整備にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
10年刻みで、30年というふうに長中期の計画を立てておるわけでありますけれども、最初の10年間の一番最終は、先ほどお話がありました本丸御殿というふうに考えております。
本丸御殿そのものは全部で 1,530畳敷きいう大変なものでございました。「昭君の間」を中心として、
継ぎ足し継ぎ足しというふうなことでありまして、本丸御殿櫓というものもありますけれども、今回はその櫓にまでは復元に至りません。
その櫓を将来つくるときには、昔から、少し夢みたいな話をしておりますけれども、トランジットモール化した市役所前の道路から、地下にいわゆる人だまりをつくって、坪井川を掘ってそこから本丸御殿にエレベーターで上がれないかなという思いがしておるんですけれども。こうなりますと、中心市街地の結節というのが非常にやりやすくなるのじゃないかなと。これは将来の夢でありますけれども、そういうふうなものもできればなという思いはいたしております。
このような総合的かつ長期的な整備を考えますときに、今回、廃止の方針が明らかにされましたプール跡地及び合同庁舎の用地は熊本城への入り口という好位置にあり、また、平たんでまとまった土地であることから、議員からも具体的な御提案をいただきましたが、仮にこれらの用地を本市が活用させていただくならば、多くの機能が配置できるまことに魅力的な土地であります。
したがいまして、合庁用地とともに、この一帯の活用につきまして、これから、国及び県と協議をさせていただきたいというふうに考えておりますので、議員各位の一層の御努力をよろしくお願いを申し上げます。
〔
齊藤聰企画財政局長 登壇〕
◎齊藤聰 企画財政局長 私から、まちづくりへの市民参加についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、第5次総合計画に掲げる市民主体のまちづくりを推進するためには、市民一人一人がまちづくりにみずから参加していただくことが必要であります。
このようなことから、これまで本市では、
まちづくり委員会や
まちづくり研究会を組織し、地域住民の自主的な
まちづくり活動への支援を進める一方、
地域コミュニティーセンターや公園などの建設に当たりましては、設計の段階から地域住民と一緒に検討する
ワークショップ方式を試みるなど、市民参加のまちづくりを進めているところでございます。
また、第5次総合計画や新環境総合計画の策定の際には、素案の段階からこれを市民に公表し、幅広い意見を求めてきたところであります。
このような取り組みにより、市の重要な施策に市民意見が反映されることはもとより、市政に対する理解と信頼が深まり、ひいては市民のまちづくりへの積極的な参加が促進されるものと考えております。
そこで、さらなる市民参加を促すためには、例えば素案の段階で広く意見を募集する
パブリックコメント制度や、各種審議会の公開など、幅広く検討していく必要があると考えております。
このような新たな市民参加の仕組みづくりに対しましては、今後、庁内関係課と十分な連携を図りながら取り組んでまいりたいと存じますので、議員各位の御理解と御協力をよろしくお願いしたいと思います。
〔4番
津田征士郎議員 登壇〕
◆津田征士郎 議員 ありがとうございました。
私は、新総合計画の計画期間であるこの10年の取り組みが、21世紀のふるさと熊本の発展を大きく左右することになると考えております。
国内外とも非常に厳しい状況の今こそ、熊本城を活用したまちづくりは新世紀の熊本づくりの中心となる事業であり、築城 400年の際に熊本城がどのような姿で披露されるのか、多くの市民が心待ちにしているのではないかと存じます。
熊本城が21世紀の熊本のシンボルにふさわしいものになるよう、周辺の一体的な整備について、市長を初め関係部局のさらなる御検討を期待しております。
さて、皆様御承知のとおり、三角市長は、その気さくな人柄とだれからも愛されるキャラクターで国や県等に幅広い人脈をお持ちであり、今回の
熊本城復元整備事業にも、この人脈が大いに役立っているところであります。
また、お城の復元整備だけではなく、熊本駅の周辺整備、あるいは国際的なコンベンションや
スポーツ大会等の誘致など、市長の精力的な活動により熊本の活気が生まれていることも周知のとおりであります。
そのような中、今回、
マスコミ報道等で市長交際費等の問題が取りざたされているところであり、先般は市長みずから見直しを表明されております。
私としては、市長として市政推進に全力を傾注するためには、情報収集や人脈づくりも非常に大切なお仕事であろうと存じます。そこで、見直すべきところは積極的に見直しながら、これまでどおり、熊本のまちづくりにその成果を大いに役立てていただきたいと思います。
また、第5次総合計画に基づくまちづくりを市民総参加で推進していくため、市民のまちづくりへの参加を促すような仕組みづくりには今後とも積極的に取り組んでいただきたいと存じます。
次に、高齢者の健康づくりと
生きがい対策についてお尋ねいたします。
御存じのとおり、総人口に占める65歳以上の人口の割合、いわゆる高齢化率は本市では現在15%を超えており、西暦2010年には19%に達するものと予測されております。つまり、5人に1人は高齢者という社会が遠からずやってくるわけであります。
また、その中でも後期高齢者と言われる75歳以上の方々が占める割合が年々増加しており、10年後には高齢者人口の半数を占めることになります。
この後期高齢者の著しい増加は、介護や援護が必要となる可能性が高い市民がふえていくことを示しており、この問題は、熊本市のみならず全国の自治体に共通する緊急の課題となっております。
このような中、核家族化の進行に伴う家庭介護力の低下などによる老後の不安を解消するため、介護の負担を社会全体で支援していくシステムとして、昨年4月から介護保険制度が導入されたことは、皆様の御記憶に新しいところであり、私も前回の一般質問においてこの問題を取り上げさせていただいたところであります。
このように、これまで高齢者問題といえば、どちらかといえば介護問題にスポットライトが当たっていたところでありますが、本来、高齢者の8割以上は健康で過ごされているいわゆる元気老人であります。
今後、明るく、活力に満ちた高齢社会を実現していくためには、高齢者ができるだけ健康を保持し、その意欲や経験などに応じ、積極的に社会とかかわりを持ち続けることができるまちづくりを進めていかなければなりません。
このようなことから、今回は、今後の高齢社会に対応した、健康づくりと
生きがい対策についてお尋ねしたいと考えております。
熊本市では昨年3月、すべての高齢者が健康で生きがいを持って暮らせる長寿社会を構築していくための指針として、熊本市新
老人保健福祉計画を策定されたところであり、この計画策定に当たり
高齢者実態調査をなされております。
その中に幾つかの興味深いデータがございましたので、ここで紹介をさせていただきます。
その調査結果では、ふだんから健康に気を使っている人の割合は在宅高齢者で95%を超えております。同様の質問で、40歳から64歳までの人が82%であったことから比べますと、元気老人の方々が食事や運動など、日常生活での健康づくりに努めておられることがうかがえます。
また、高齢者が生きがいを感じる内容としては、友人とのつき合いが第1で、その後、子や孫との触れ合い、旅行や買い物、飲食、働くこと、文化教養活動と続きます。
このようなことから、高齢者の
生きがいづくりには人との触れ合いが欠かせないことがはっきり示されております。
今後、高齢者が生きがいを感じながら日々の暮しを営むためには、要介護状態にならないよう、できるだけ疾病を予防することが最も重要であります。また、このことがスタートしたばかりの介護保険制度や、現在大きな累積赤字を抱える
国民健康保険制度の健全化につながるのであります。
このようなことから、国においては、すべての国民が健康で明るく、元気に生活できる社会の実現を図るため、国民の健康づくりを総合的に推進する「健康日本21」が提唱されているところです。
そこで、熊本市におかれては、高齢者の健康づくりに対しどのような取り組みをなされようとしているのでしょうか、お聞かせください。
次に、
生きがい対策についてであります。
先ほども述べましたが、高齢者の生きがいは人との触れ合いによって生まれると言っても過言ではありません。遠くの親戚より近くの他人という言葉もありますように、友人や知人、地域住民との触れ合いの場を拡充していくことが最も重要ではないかと思います。
このような中、熊本市では、高齢者の
生きがい対策や、高齢者と地域の交流拠点として昨年6月にお達者文化会館、今年4月には
南部万年青会館を建設しておられます。
そこで、これらの会館について現状ではどのように活用されているのか、また、今後どのような活用を図られるおつもりか、さらに将来、高齢者の
生きがい対策にどのような視点で取り組まれるのでしょうか。
以上、高齢者問題に関し、健康づくりと
生きがい対策について2点、健康福祉局長の御答弁を求めます。
〔福島靖正健康福祉局長 登壇〕
◎福島靖正 健康福祉局長 高齢者対策についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、第1点目の高齢社会の健康づくりについてでございます。
議員御案内の「健康日本21」に示されておりますように、今後の少子高齢社会において、すべての人々が健やかで心豊かに生活でき、そして活力ある社会を維持していくためには、壮年期死亡の減少、及び痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間、いわゆる健康寿命を延ばすことが極めて重要であると考えております。
本市におきましては従来から、老人保健事業として、健康教育、基本健診、がん検診等を実施してまいりましたが、疾病の発生そのものを減らすためには、幼児期から壮年期に至る各世代における生活習慣の改善、いわゆる1次予防が重要な課題となっております。そのためには、市民お一人お一人が健康的な生活習慣を確立されることが肝要となります。
そこで、「健康日本21」の本市における計画である「健康くまもと21」の策定に現在取り組んでおるところでございます。
昨年度は
既存健康データの整理を行うとともに、インタビュー、
アンケート調査によりまして、市民のQOL(生活の質)や、生活習慣等の把握を行ってまいりました。
本年度は、これらの解析を踏まえ、市民、
事業者等各界各層の方々の参画を得て、仮称「健康くまもと21市民会議」を設置させていただき、さまざまな御意見をいただきながら計画を策定することとしております。
次年度以降、この計画をもとに、市民の皆様に対しまして健康づくりに関する情報提供を進めるとともに、健康活動を支援する環境づくりにも取り組んでまいりたいと考えております。
また、健康づくりにつきましては、行政のみならず、関係する皆様方、それぞれの機能を生かしながら連携して取り組むことが必要でありますので、関係する皆様と共同しながら、市民お一人お一人の健康が実現できる健康なまちづくりを進めてまいりたいと存じます。
次に、2点目の高齢者の
生きがい対策についてお答えいたします。
まず、2つの会館の活用の現状と今後の活用についての御質問でございます。
これらの会館につきましては、介護予防に資することを目的に整備を行ってまいったものでございます。
お達者文化会館は、社交ダンスや健康体操等、高齢者同士の
レクリエーション活動の場として利用されており、現在9割近い利用率でございます。
また、お達者文化会館の屋外にあります健康遊歩道は
南保健福祉センターの機能回復訓練にも利用されるなど、高齢者の健康づくりに効果を上げているところでございます。
一方、
南部万年青会館につきましては、この5月から供用を開始したばかりでございまして、南部地域の福祉活動や高齢者同士の交流、さらには世代間交流を推進するため、校区の
社会福祉協議会を初め、地域の関係団体にも会館の運営について御意見をいただいているところでございます。
今後、高齢者の
各種生きがい講座や、相談事業を初め、ボランティアの育成講座、高齢者と児童との交流会の開催等を予定しております。
両施設につきましては、議員御指摘のように、高齢者の皆様が一つの触れ合いを通し、いつまでも健康で長生きされるような観点から、その活用を図ってまいりたいと考えております。
次に、これからの高齢者の
生きがい対策についてでございます。
私もハンセン病療養所に約4年ほど勤務しました。恵楓園にも勤務しましたが、当時まだ若くて人生経験も少なかった私たちは、患者さんに孫や子供のようにかわいがっていただいたことを記憶しております。偶然にも私が学んだ看護学院も3月末で廃止となりましたが、皆で電話し合ったりしながら、この熊本地裁の判決については非常に喜んだところでございます。
さて、今回の判決確定を受けて、政府が挙げている全面的な解決策は、訴訟への参加、不参加を問わずに、全国の患者、元患者さんを対象として新たな補償を立法措置として講ずる、そのために早急に検討を開始する。第2に、名誉回復及び福祉増進のために、可能な限りの措置を講じること。第3に、患者、元患者さんと厚生労働省との間の協議の場を設けるということです。
そこで、お尋ねいたします。
現在療養所に入所されている方々がこれからどのような生活をなさるのか、また私たちに何かできることはないかというふうに考えたときに、例えば退所して熊本市内で暮らしたいと希望される方もいらっしゃるかと思います。そういう方に対して、市営住宅に優先的に入居できるようにするなどの支援策を検討すべきではないでしょうか。
また、市民病院などでの治療、あるいはデイケアとか要介護度に応じたケアが必要になると思われますが、熊本市としては、この辺のことについてもどのようにお考えでしょうか。建設局長並びに健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔吉崎新起建設局長 登壇〕
◎吉崎新起 建設局長 ハンセン病療養所退所者の方の市営住宅への受け入れ態勢についてお答えを申し上げます。
ハンセン病療養所に現在入所されている方々が、これから退所して暮らそうとされますときに、さまざまな苦労があるかと思われます。中でも住宅問題は重要な問題の一つであると考えております。
さて、その退所される方々が市営住宅へ優先的に入所できないかとのお尋ねでございます。
一般的には公募で入居していただいているわけでございますけれども、その例外としての優先入居につきましては、公営住宅法及び施行令等で、その適用の基準が定められておりますが、今回の退所されている方々のケースは残念ながら該当いたしておりません。
しかしながら過去には、阪神・淡路大震災や雲仙・普賢岳の噴火の被災者の方に対し、国の通達によりまして対応した事例もございます。
現在国においてハンセン病患者の方々、元患者の方々の社会復帰支援のための対策等が検討されております。本市といたしましても、今後国の施策の動向を見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
〔福島靖正健康福祉局長 登壇〕
◎福島靖正 健康福祉局長 市民病院での受け入れやケアの問題についてお答えいたします。
現在ハンセン病で療養所に入所されている方は、視覚障害や手足が不自由等の後遺症をお持ちの方、数多くいらっしゃいますし、また、平均年齢も70歳を超えていらっしゃいますので、このような方々が地域で暮らしていこうとされる際には、医療の確保、あるいはケアの問題が大変重要になると認識しております。
市民病院におきましては、これまでも療養所に入所されていらっしゃる皆さんに対して、入院や外来での治療を行ってまいりました。今後とも、ハンセン病患者、元患者の皆様のニーズに合った医療に取り組んでまいりたいと考えております。
また、福祉施策面では、必要に応じて各種福祉サービスの提供を行っていくことになろうかと存じます。介護が必要な方には、要介護度に応じた介護保険の適応がなされ、デイケア等の選択も可能であると存じます。今後、そのような各種福祉サービスに関しましては、関係課や保健福祉センター等で御相談をお受けしてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、今後の国の施策の動向を見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
〔8番 小山久子議員 登壇〕
◆小山久子 議員 それぞれに御答弁がありました。特に住宅などについては、今、市営住宅がどれだけあるか数字は出ませんが、緊急な場合のために幾つかあけてあるというようなことを私聞いたような気がするんです。阪神・淡路大震災のときもそうでした。
そういうことから考えれば、事細かくどういうふうになっているかよくわかりませんけれども、ある程度の国やどこやらと相談するということは、相談していただいても結構ですが、熊本市内にとりあえず、市営住宅にでも住みたいという方がいらっしゃる場合は、何百人も一遍に入られるわけではないですから、そこに何人か、10人かわかりませんけれども、順番にその都度状況が整えば入られるということになるわけですから、決まっていることもいろいろあるのはわかりますけれども、この際は特別な場合ということで、そういう希望者があればぜひ市営住宅に入れるように、特別な配慮をしていただきますように強くお願いしておきます。
また、病院の方につきましては、この間、菊池恵楓園も、例えば国立病院とか市民病院のような設備はありませんので、以前から市民病院に通院なさっている方もいらっしゃるということなので、引き続きその辺のところを充実していただければ大変ありがたいと思います。
住宅の件については、私は不満なんでございますけれども、こういうときに、例えば特別に市長さんに手を挙げて、答弁していただくということはいいんでしょうか。ぜひ、一言お考えをお聞かせいただけないでしょうか。
(発言する者あり)
それでは、局長さんがおっしゃるとおりだそうですので、これ以上のお答えは返ってこないようです。
ただ、皆さんも本当におわかりと思いますけれども、ふだんの場合ではないんです。特別な場合なんです。ぜひ、その辺のところを胸に置いていただいて、患者さんたちの心に触れていただいて、ぜひ実現できるように強く要望させていただきます。
それでは、最後の質問となりますが、パーク・アンド・ライドについてお尋ねいたします。
熊本市の統計によりますと、平成元年度から11年度までの10年間で、自動車の保有台数は約25万台から35万台へと10万台も増加しております。この増加に道路整備が追いつかず、交通渋滞は市内中心地だけではなくて、郊外へも拡散している状況にあります。また、日常の通勤状況を見ておりますと、1人乗りのマイカーが多く、10台のうち8台は1人しか乗っていないように思います。実はこういうことを申し上げる私も、1人1台で乗っておりますので、甚だ申し上げにくいのですけれども、そういう現実を明らかにした上で、今後の施策を早急に考えていくということが必要ですので、ここで申し上げました。とにかく、1台に1人しか乗っていないというのが大部分の状況であります。
そこで、自動車交通量を減らす有効な方策としてパーク・アンド・ライドシステムが考えられているわけでございますけれども、実際海外での事例などを見てみますと、有効に機能していると思われます。
そのような中、本年1月9日より3月8日までの2カ月間にわたりまして、武蔵塚駅、原水駅、肥後大津駅でパーク・アンド・ライドまたはサイクル・アンド・ライドの社会実験が行われました。私も、武蔵校区の住民として、以前1回ありましたが、今回も参加いたしました。
今回はワークショップ形式で、それぞれ参加した方が自由に意見を出し合えて、そして、その中から出た意見を実行に移すときに参考にしていただくような内容であったのではないかと思います。武蔵地域ではコミュニティーセンターでワークショップありましたけれども、地域の方がこのパーク・アンド・ライドについていろいろな意見を出し合われて、その場自身は非常に盛り上がりました。
実験の状況を見ていますと、原水駅では思ったより自転車が多かったように思います。それから、武蔵塚の場合は、ニコニコドーさんの駐車場を借りての実験がありました。何回かありました実験を受けまして、実験結果はいかがだったでしょうか。ぜひ教えていただきたいと思います。
また、本格的な導入に向けては、検討すべき多くの課題があるかと思われますが、かといってこのまま手をこまねいていては、ますます交通渋滞はひどくなり、また、自動車が排出する窒素酸化物などにより大気汚染が悪化するおそれがあります。環境問題から考えても、早急に何らかの対策を講じなければならない時期に来ていると思います。
私自身も地球市民として、こうしなければならないという気持ちと、パーク・アンド・ライドを行うことにより、多少感じる不便さとの折り合いがなかなかつけられなくて、正直言って困っている部分もあります。四、五年前にも、交通対策特別委員会で金沢市に視察に行きましたが、金沢市も同じような問題を抱えていらっしゃるようにお聞きしました。
パーク・アンド・ライドの本格的導入のためには、交通渋滞や環境問題に対する市民意識の啓発もさることながら、公共交通機関の利便性向上が重要だと思いますけれども、大型団地の造成にあわせ、今度、武蔵ケ丘に隣接して菊陽町、合志町になりますが、JRの新弓削駅ができるという予定と聞いております。武蔵塚と三里木駅との間に新しい駅ができるということでは、地域の皆様期待していらっしゃるところです。
一方以前から、新水前寺駅と市電との乗り継ぎの不便さが指摘されております。市だけで解決できる問題ではありませんけれども、この議会でも、私たちの会派の佐々木議員を初め、何人かの議員の方が取り上げられましたけれども、なかなかまだ、実現しておりません。やはり1日、2日の実験だったら少々我慢しても参加するけれども、この不便さが残っている限りは、なかなか簡単に公共交通機関を利用するというふうになりにくいのではないかなと思います。ぜひ、この実現に向けて話を進めていただきたいと思います。
そこで、今回の実験の結果を踏まえてパーク・アンド・ライドについて熊本市では今後どのようにしていかれるのか、どのように考えておられるのか、都市整備局長にお尋ねいたします。
〔中原謙吉都市整備局長 登壇〕
◎中原謙吉 都市整備局長 パーク・アンド・ライドシステムにつきまして、2点のお尋ねでございます。
まず第1点目は、議員もお述べになりましたけれども、1月9日から3月8日までの2カ月間、国と県が中心となりまして、熊本市、菊陽町、大津町のJR豊肥本線の3つの駅を利用して行われた交通社会実験結果についてでございます。
報告によりますと、実験に参加登録をされました方は全体で 175名でございまして、そして1日平均36名の方々がこの実験に参加をされております。
渋滞緩和効果につきましては、残念ながら明確にあらわされておりませんけれども、課題の解消といった条件を含めまして、7割以上の方がこの継続実施を希望されておりまして、このことからも、パーク・アンド・ライドの意義については認識いただけるようになったとの報告がなされております。
なお、この社会実験に対しましては、全国的な事例から見ましても注目すべき取り組みがなされております。
それは、社会実験の実施前に、住民参加を基本方針とした各駅ごとのワークショップ、これには、小山議員さん、上村議員さんも参加されたと伺っております。このワークショップがそれぞれ4ないし6回開催されておりまして、その意見や要望に基づいて、駅周辺のアクセス道路や誘導看板などの整備が行われております。また、車両の増結などJRサイドの御協力を得た上で社会実験が実施されておりますことは大きな成果であったかと存じます。
次に、パーク・アンド・ライドシステムについて本市の考えをとのことでございます。
このシステムにつきましては、自動車交通から公共交通への利用転換を図る有効な手段の一つと考えておりまして、今回の社会実験でも、駅に近接する駐車場の確保や、JRとバス、市電との共通定期による割引制度の導入、公共交通機関の乗り継ぎ利便性の向上など、公共交通利用促進に向けて取り組むべき幾つかの課題が挙げられております。
したがいまして、今後の本格導入に向けましては、何よりも自動車交通を利用される市民の皆様の、公共交通に対する御理解と御協力が必要であり、その啓発に努めますとともに、その受け皿となりますもろもろの課題解決に向けましては、根気強く取り組んでいかなければならないと考えております。
〔8番 小山久子議員 登壇〕
◆小山久子 議員 今マイカーで行っている方がパーク・アンド・ライドを利用して、熊本市に出てこれるように、いろいろな条件整備にお力を注いでいただきますようにお願いいたします。
最後に、一つ要望したいと思います。先日の小学生殺傷事件、非常に胸が痛みます。しかし、その殺人を起こしたという若い人も、やはり育っていく中でいろいろなことがあったとは思いますけれども、本人の責任というのは十分思いながら、やはり親とか、社会がどうだったかというのも思います。
一番大事なのは、乳幼児の時期に愛情をいっぱい注いで、いいとか悪いとかをはっきり教えて、生きていく力を身につけさせるという親の責任といいますか、それは非常に大事だし、大切なことであります。
その乳幼児期にかかわる保母さんあたりが、今いろいろな保育所がありますから、一概には言えませんけれども、一生懸命頑張っている人たちが報われない状況になっていることを私は知っております。
一生懸命頑張っている人が排除されるということは、そこにとっても非常に損をするということなんですけれども、なかなか気がつかないというのが人間であります。
私も今度健康福祉の常任委員会に所属することになりましたので、今後、この乳幼児の問題につきましても委員会の場でいろいろ論議を深めていって、特に小さな子供さんたち、またそれにかかわる人たちが悲しむことがないようにしていきたいと思います。
きょうは半年ぶりの質問でしたので、準備が雑になってしまいましたけれども、どうにか時間内で終えることができました。これも先輩議員並びに同僚議員、そして傍聴席の皆様、それから市長初め執行部の皆様の御協力のおかげです。
どうもありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○岡田健士 副議長 本日の日程はこれをもって終了いたしました。
この際、お諮りいたします。
明14日から6月19日まで6日間は常任委員会開催並びに休日のため休会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○岡田健士 副議長 御異議なしと認めます。
よって、明14日から6月19日まで6日間は休会することに決定いたしました。
次会は6月20日(水曜日)定刻に開きます。
────────────────────────────
○岡田健士 副議長 では、本日はこれをもって散会いたします。
午後 4時01分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり
平成13年6月13日
出席議員 49名
1番 白 石 正 2番 岡 田 健 士
3番 原 亨 4番 津 田 征士郎
5番 鷲 山 法 雲 6番 上 野 美恵子
7番 村 上 博 8番 小 山 久 子
9番 日和田 よしこ 10番 藤 岡 照 代
11番 坂 田 誠 二 12番 竹 原 孝 昭
13番 藤 山 英 美 14番 田 中 誠 一
15番 下 川 寛 16番 重 松 孝 文
17番 中 松 健 児 18番 家 入 安 弘
19番 佐々木 俊 和 20番 鈴 木 弘
21番 牛 嶋 弘 22番 古 川 泰 三
23番 税 所 史 熙 25番 田 尻 将 博
26番 田 尻 清 輝 27番 北 口 和 皇
28番 田 辺 正 信 29番 大 江 政 久
30番 島 田 俊 六 31番 江 藤 正 行
32番 荒 木 哲 美 33番 主 海 偉佐雄
34番 落 水 清 弘 35番 奧 田 光 弘
36番 鈴 木 昌 彦 37番 益 田 牧 子
38番 上 村 恵 一 39番 磯 道 文 徳
40番 西 泰 史 41番 中 村 徳 生
43番 嶋 田 幾 雄 44番 竹 本 勇
46番 宮 原 政 一 47番 矢 野 昭 三
48番 島 永 慶 孝 50番 大 石 文 夫
51番 紫 垣 正 良 52番 西 村 建 治
53番 亀 井 省 治
欠席議員 2名
45番 田 尻 武 男 49番 村 山 義 雄
説明のため出席した者
市長 三 角 保 之 助役 後 藤 勝 介
収入役 岩 本 洋 一 総務局長 古 川 康
企画財政局長 齊 藤 聰 市民生活局長 村 上 智 彦
健康福祉局長 福 島 靖 正 環境保全局長 大 橋 道 雄
経済振興局長 三 嶋 輝 男 都市整備局長 中 原 謙 吉
建設局長 吉 崎 新 起 消防局長 道 越 賢
交通事業管理者 市 原 敏 郎 水道事業管理者 森 高 聖 之
教育委員会委員長 笠 美 雄 教育長 田 尻 紘
人事委員会事務局長瀬 口 芳 生 代表監査委員 野 田 晃 之
市長室長 源 寧 生 財務部長 谷 口 博 通
職務のため出席した事務局職員
事務局長 友 枝 佑 二 事務局次長 松 本 豊
議事課長 山 田 利 博 議事課長補佐 木 村 建 仁...