そして「二兎は追えないというが、少なくとも将来はこうするという財政再建の道筋を示す責任がある。」この追及に、小渕首相は「今何年度に何をすべきかということは残念ながら申し上げられません。」こう答えています。大変な
無責任ぶりです。
国の予算は相も変わらず「二兎を追う者は一兎をも得ず」として公共事業や銀行支援に大盤振る舞いをしています。さきの公聴会では多くの公述人から厳しい批判を浴びました。
税制経営研究所所長の谷山治雄氏は、財政赤字の増大が、増税や
社会保障費の削減、インフレとして襲いかかると警告、「税収の範囲内で歳出を組むことが財政再建の大前提、ほとんどの経済指標が消費の不振を示している中で、「追うべきウサギは消費回復だ。ところが政府のあり方は、年金圧縮、医療改悪、「保険あって介護なし」、
消費税引き上げへの布石など国民不安を拡大し、消費を抑えている。」などと厳しく批判をいたしました。
神野直彦東京大学教授も「財政再建と景気回復はアブハチ取らずではなく、ネットがしっかりしていれば、アブもハチも取れる。
社会的セーフティーネットの拡充を軸に、財政再建と景気回復の両方に同時に取り組むべきだ。」との認識を示しました。
糸瀬茂宮城大教授は、「財政再建は景気回復を待ってからというのでは遅い。むだな橋、むだな道路をつくらないなど、費用対効果分析が必要だ。」と指摘をしています。
三角市長は、このような国の借金体質についてどのようにお考えでしょうか。これで景気はよくなるとお考えでしょうか。
〔
三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 国の
借金体質等についてのお尋ねであります。
国の財政状況が非常に厳しい状況にあることは御案内のとおりであります。平成十二年度末には、
普通国債残高が約三百六十四兆円、これにその他の債務を合わせた国の
長期債務残高が約四百八十五兆円に達する見込みというまことに膨大な数値となっております。これは、国民一人当たりにいたしますと三百八十三万二千円という金額でありまして、大変な値というふうに思います。
国においては、現在、
財政構造改革を推進するという
基本的考え方は守りつつ、まずは景気回復に向け全力を尽くしているところであり、今後、
我が国経済が民需中心の本格的な回復軌道に乗ることを確認し、その上で
財政構造改革に抜本的な措置を講ずることとされております。
したがいまして、我が国の経済状況あるいは
財政構造改革が、国のこの方針どおり着実に進むことを期待いたしているところであります。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 経済は残念ながら期待感だけでは動きません。市長は、昨年の国の予算につきましても「国、地方とも厳しい財政状況にあるものの、現下の景気低迷から脱却を最優先する積極的な予算」と大変な評価をされていました。その結果もはっきりいたしました。
さきの新聞報道では、民主党の
熊谷幹事長代理も、このことにつきまして「自律的な回復と言っていたのは文字どおりの
大本営発表だった。いかにインチキな発表だったか。政策の失敗として小渕内閣の責任は重大。」このように述べておられます。
それどころか、国、地方の借金の多さとその打開の計画さえ持たない無責任政治によって、財政の悪化が長期的なツケを拡大させるだけでなく、現在の
消費者心理をも冷やし始めているのが実態です。
それでは、熊本市の財政状況はどうなっているでしょうか。中核市の中で最悪の指標を示しています。いわば熊本市は中核市の借金王というところです。これはだれも否定できない事実です。なぜこんな状況になったのでしょうか。
その大きな原因として、私どもは再三指摘をしてきましたが、幾度にもわたる国の経済対策に追随してきた本市の財政運営にその大きな原因があります。特に、
普通建設事業、とりわけ突出した市債(借金)に依存した
大型単独事業の推進が最大の原因です。このことは監査委員の意見書でも繰り返し指摘をしています。
九六年、九七年、九八年と本市の財政指標は年々悪化してきており、他の中核市と比較すると本市の財政の悪化は顕著であり、今後、より一段と厳しい財政運営に迫られることになることは明白。
もちろん、このような財政状況に至ったのは、景気の低迷など社会的な構造要因による影響もありますが、先ほども申しましたように、本市の財政能力を上回る公共投資を行ってきた結果です。
それが、九八年決算では、他の中核市と比較して、
公債費比率が二〇%、
地方債許可制限比率で一五%を超えるという最悪の状況に置かれていることが厳しく指摘されています。
そして、これまで同様の手法で財政運営が推移すれば、近い将来、熊本市そのものが破産するという最悪の結果につながることはだれの目にも歴然と予測がつく状況でした。
この破産を防ぐためには、大型事業の徹底した見直しはもとより、これらに対応した
市債借り入れの抑制など、中長期的な視点に立った計画的な確固たる財政運営が必要でした。しかし、実際これらの対応ができるでしょうか。
九八年度は、年度末になって、国の経済対策に呼応して四十一億もの補正予算が組まれるなど、依然として従来の手法が繰り返されました。当然市債の借入も増加し、その結果として、
市債借入残高は、九八年度末には三千億円を軽く突破し、他都市を大きく引き離して中核市一番の借金都市となりました。これは、市民一人当たり実に五十万円の借金を抱えていることになります。
重松議員が昨年九月議会でも指摘しましたように、
画図ゴルフ練習場あるいは
石神山採石場跡地など、不要不急のむだな土地買収がこれだけの借金に拍車をかけているのも事実です。こんな財政運営では将来が危ぶまれるのは当然です。将来を展望したせっかくの
中期財政計画も九九年当初には棚上げになるなど、どう考えても健全財政の方向に進んでいるとは言えません。
二〇〇〇年度の当初予算は、マスコミでは
財政再建予算などと言っています。確かに、これまでと違って、市の借金を抑え、
普通建設事業は昨年より当初予算比でマイナス七・三%、三百七十八億円となっています。しかし、将来に向けて事業費が大きく膨らむ大型事業も調査費等として含まれています。ここで財政のかじ取りをしっかりしないといけないと思うのは私だけではないと思います。
そこで、総務局長に、熊本市財政の中長期的な財政運営の考え方、及び健全財政の
運営見通しをどのようにお持ちかお尋ねをします。
また、二〇〇〇年度予算で借金の返済に充てる公債費は史上最高の三百八十三億円となり、実に一日平均では一億五百万円となりました。熊本市の借金残高は九九年末で一般会計で三千億円を超え、これに特別会計、企業会計を加えると五千億円を突破します。いかに市民の負担が重いかということがおわかりいただけると思います。
今後、公債費の割合がますます大きくなっていくものと予測されます。こういう状況で、
市民サービスは本当に充実、向上していくのでしょうか、大変疑問に思います。
一例を挙げると、当初予算の中で教育予算は一一・一%の伸びとなっています。これだけ見ると、
一見教育予算にウエートを置いた予算措置と思われます。しかし、その中身は、今年から新たに特別会計から移行した
熊本城会計と
市立美術館会計が大半を占めており、これを除くと四・六%の伸び率になります。
むしろ、小中学校の予算は昨年予算よりそれぞれ一億円以上の削減がなされています。そして、この伸びを支えているのが
画図ゴルフ練習場や
アクアドーム運営費などです。こんなことで、二十一世紀の主役である子供たちの教育予算はきちんと確保されるのでしょうか。
高齢化社会を支える福祉予算は大丈夫でしょうか。自治体の本来の仕事である福祉、暮らし、教育の予算をどう確保、充実していかれるつもりか、総務局長にあわせてお尋ねします。
〔松村紀代一総務局長 登壇〕
◎松村紀代一 総務局長 中長期的な財政運営の考え方、健全財政の見通し、福祉、教育予算についてのお尋ねにお答えを申し上げます。
本市の財政状況は、これまでもたびたび申し上げておりますが、
各種財政指標の数値が示しておりますようにまことに厳しい状況となっております。
このような状況を踏まえまして、平成九年度に
中期財政計画を策定し、財政指標の改善等を計画的に進めているところでございます。その後毎年本計画のローリングを行い、財政運営の指針といたしているわけであります。
各年度の予算では、例えば厳しい景気状況を踏まえました緊急的措置など、その時々の状況に応じて的確な対応を行う必要もありますので、必ずしも本計画の数値がすべてではありませんが、中長期的に財政指標の改善を目指すというその基本的な考え方を常に念頭に置き財政運営を行っているところでございます。
今後とも、
中期財政計画を踏まえ、
歳入歳出両面での努力を重ね、財政指標の改善を可能な限り進めてまいりたいと考えております。
また、
財政健全化の見通しであります。
中期財政計画においては、
各種財政指標が、その性格上、短期間で大幅に改善できるものではありませんので、当面の課題といたしましては、地方債現在高の累増体質からの脱却を進め、
起債制限比率等の指標が減少傾向にカーブを描くことを目指しておるわけでございます。
したがいまして、現在
見直し作業を進めております平成十二年度からの計画におきましても、この趣旨を踏まえ最終調整を行っているところでございます。
また、福祉、教育予算につきましては、その重要性を十分認識いたしまして、新年度予算における福祉分野では、
自立認定者対策を含む介護保険への対応、
乳児等医療費助成の拡充等を図った次第であります。
教育分野では、
小中学校全校に対する図書の充実と司書の配置、さらには情報化への対応、トイレの
計画的改修等に取り組むなど、厳しい財政状況ではございますが重点的に財源配分を行ったところでございます。
今後とも、新総合計画を踏まえつつ、福祉、教育を初め必要な分野には的確に財源配分を行い、しっかりしたかじ取りを行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 福祉、教育を重視する、その点については後ほど見てまいりたいと思います。
残念ながら通り一遍の答弁でした。それは、なぜ中核市一の借金を抱えた市になったのか、その反省、総括がきっちりされていないことに原因があると思います。市税の
収入見込みの四五%が借金返済に回されている。これは不健全です。教育予算より借金返済である公債費が七十八億円も上回っています。
国も地方も財政再建の方向は、
五十嵐敬喜法政大教授が地元紙で「結局は公共事業のあり方に行き着く。むだな事業をなくす。そして、土建型から福祉型に転換することだ。自治体には、「福祉はお荷物」「活性化のためには公共事業だ」といった発想が根強い。だが、福祉にも経済効果はある。」と指摘されていたように、国と地方で公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円という
ゼネコン浪費型から福祉型に財政を切りかえる中でこそ
財政立て直しの道が見えてきます。何よりも社会保障と国民の暮らしを予算の主役にすることです。熊本市の財政再建の方向もここにあります。
私どもは、公共事業を決定する仕組みを住民の要求や必要性から出発するものに変え、市民の望む生活密着型の公共事業に転換すべきだと考えています。
そして、完成したものは、建設費や採算性、需要予測が当初の見通しとどのように違っているのか徹底的に調査し、その結果を議会と市民に公開すること、事業途中や着手前のものについては、目的、経済効果、採算性、環境などの角度から徹底的に見直しを図ること、そして、計画から決定、実施に至るすべての経過にわたって情報公開と市民参加を保障すること、これを提言いたします。
それでは、熊本市民にとって必要な公共事業は一体これからどのくらいの予算が必要なのでしょうか。
二〇〇〇年度予算では、先ほど総務局長さんもおっしゃいましたように、
義務教育施設整備事業としてプール、体育館の
増改築経費、
校舎外壁改修整備事業、
校舎トイレ改修事業など、
地元建設業者の皆さんの仕事をふやし子供たちの教育環境の改善に取り組むなど一定の努力は確かに認められます。
しかし学校現場には、改築の必要なプールが三十七校、増改築の必要な体育館は二十六校、
カウンセリング室は六十四校が未整備など、やらなければならないことが山積をいたしております。両市立高校の建てかえも含めて、今後十年間の事業費として四百億円程度の経費を要します。
施設保全課は熊本市
公共建築物保全業務対象物件の
ランク分けをし、計画保全に取り組むとのことです。今までの建築物の管理は、機器の故障や雨漏りなど、異常がはっきり目に見えるようになってから初めて予算措置を行うという事後保全的な対応が一般的でしたが、予防的修繕や改修を行って故障等を未然に防ぎ、出費を最小限度に食いとめるとともに、建築物の寿命を延ばし、機器の能力低下による電気代や燃料代の増加を回避していくとのことです。
これは行政に科学性を持たせ、財政の効率化、環境保全の立場からも大いに進めるべきです。最初の建物のコストは
ライフサイクルコストの三割にも満たないとのことです。そのための予算も必要です。
市営住宅の入居待ちは二千四百六十二世帯、この四年間で一千人以上の増加です。
住宅マスタープランの早期実現、三百億が必要です。市営住宅の畳がえは、二十年以上たっているのが十九団地二千四百八十八戸です。今の予算ではこれだけでもあと十年近くかかります。約四億四千万円あればすべての畳をかえることができます。五ヵ年計画で実施をすべきです。
生活道路の
市道改良率、
舗装改良率も低い水準のままとなっています。
公共下水道事業費だけでも今後十年間で約一千五百億円が見込まれています。公園も、地域密着した公園だけでも約二百億円の予算が見込まれています。
清掃関係の基幹工事だけでも百六十五億円の事業費が見込まれており、大変な金額です。懸案事項の
熊本保健所の建てかえもあります。今度の予算からは
療育センターの予算の影も形も見えませんが、関係者は首を長くして待っておられます。
福祉部門では、介護の基盤整備、
特別養護老人ホームの建設も緊急の課題です。
公立保育園も老朽化が進み十三カ園の大規模改修が見込まれています。市立の大江荘や明生園の個室化等も計画しなければなりません。
市民局では
コミュニティーセンターの建設、経済局でも
水産センター、
農業技術センターの建設もあります。これらは、基本構想に基づく基本計画、実施計画の中で優先順位が決まってくるものですが、市民生活の向上にとって必要なものばかりです。
そこで三角市長にお尋ねしますが、今申し上げました福祉、教育、そして市民生活に必要な事業を行えば、十年間の総事業費はどの程度になるのでしょうか。
市長は、熊本駅周辺開発、
総合防災公園、
熊本城完全復元、中心街の
地下環状トンネル構想など、それぞれ数百億を要する大型事業には大変熱心ですが、この四つの事業だけでも二千億円近くに達するのではありませんか。一体どちらを優先するおつもりでしょうか。
こうして考えてみるとき、
採石場跡地の
石神山公園建設や、倉原商事からの第二次用地買収は直ちに中止するとともに、大型開発も中止あるいは
規模縮小等は当然ではないでしょうか。それをしないというのであれば、市民に必要な事業を削減するということになってしまいます。三角市長のお考えを聞かせてください。
〔
三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 施策、事業の優先性についてのお尋ねであったかと思います。
私は、市長就任以来、市民福祉の向上をいつも念頭に置きながら市政運営に当たってまいりましたが、今後もその思いは何ら変わるものではなく、当面する身近な課題に対処することはもとより、将来を見据えた本市の発展に資するような施策にも力を入れていかなければならないと考えております。
したがいまして、例えば福祉、医療、教育、さらには環境や経済分野の施策を初め、本市の将来的な
活力づくりに不可欠な
駅周辺整備や
中心市街地の活性化にも全力で取り組んでまいる所存であります。
ただ、これを実現していく上で重要となりますのが、厳しい財政状況の中で、限られた財源を効率よくまたバランスよく配分しながらいかに市民生活の質を高めていくかであり、これが私に課せられた責務であると認識をいたしております。
今後とも、必要なものは必要なものとして最大限の工夫を凝らしながら、市民が幸せを実感できる夢と活力のあるまちを実現してまいりたいと考えております。
ただいま議員に市民生活に必要な建物をるる述べていただきましたけれども、これも近々御満足いただけるような形の中で考えておるわけでございます。どうか議員の御理解をいただきたいと存じます。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 基本構想の問題については後ほど論議をすることにいたしております。
私どもは
公共事業全般を否定しているわけではありません。景気回復にも役立ち、かつ財政環境にも無理がいかない住民密着型の公共事業をむしろやるべきだと提案をいたしております。
財政がこれほど厳しいときに、財産の処分でなぜこんなに安売りをしたのかと首を傾けざるを得ない問題があります。
交通センターの株券売却の問題です。
昨年の第三回定例議会におきまして、重松議員が、
交通センターと九州産交に関連をして、熊本市がいかにべらぼうな価格で不要な土地を購入したか、また、
交通センターの
公共的役割が守られずに、九州産交の子会社の機能がますます強化されているのではないかといったことを具体的に指摘をいたしました。
私たちは、九州産交という会社は、六千人近い従業員を抱え、熊本を代表する企業の一つでもあり、ぜひとも健全に成長してほしいと願っています。しかし、これまでの行政との関係は極めて不健全であり、過去の議会でもたびたび問題にされています。
昨年末、九州産交は、熊本市などから
交通センターの全株を取得して、一〇〇%子会社化した上、今年三月一日付で吸収合併しました。問題は、熊本市が所有していた株券を一億五百万円で売却したことです。売却自体はあり得ないことではありませんが、果たして正当な価格であったのでしょうか。
熊本市は、昨年九月三十日現在の決算書を使って、
簿価純資産方式で株券の時価をはじき出しています。それは極めて単純です。帳簿上の純資産額は十四億一千九百万となっていますので、それを発行株式数九万株で割ると、一株当たり一万五千七百七十五円になります。それに熊本市保有株式五千二百五十株を掛けると、時価総額八千二百八十一万九千円ということになります。これに対して、九州産交から一億五百万の提示があったので、過去に少し配当があったことも考慮して、その価格で売却したとのことです。
ところで、その後、九州産交が
交通センターを吸収合併すると同時に、総資産を評価し直して約二百四十億円の含み資産を二月期決算に計上して債務超過を回避する措置をとっています。そして、
自己資本比率を〇・三%から一気に九・五%に引き上げています。
そこで私たちも改めて、
通常税理士や会計士が行う株式の
資産価値計算式を用いて計算してみました。資本の部が単なる帳簿上でなく正当に計上されるためには、固定資産の評価が適正になされていなければなりません。
決算書を見ると、土地の評価額は六十六億八百万円となっています。あの一等地がそんなに安いのでしょうか。一平方メートル当たり二十二万円、国税局が使っている路線価図によると、
交通センター一帯は正面が一平方メートル百六万円、南側、北側が八十万円、裏側で五十万円、平均して八十万円程度です。だとすれば公示価格は一平方メートル当たり百万円ということになり、総面積は三万九十一平方メートルですので、総額三百億九千百万円の資産価値と言うことができます。
これから既に決算書に計上している六十六億八百万円を差し引いた二百三十四億八千三百万を資本の部に加える必要があります。そうすれば資本の部は総額二百四十九億二百万円であり、九万株で割ると、一株当たり二十七万六千円です。これに熊本市所有の株五千二百五十を掛けると、何と十四億四千九百万円になります。
これがたった一億五百万円で売却されています。三角市長は
交通センターの取締役を本年二月末まで務めてきておられます。この大幅な安値での株券売却を一体どのように考えておられるのでしょうか。見解をお聞かせください。
〔
三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 お尋ねの譲渡価額についてでありますが、非上場株の価額の算定方法にはいろいろございますが、
簿価純資産方式によるものが適正と判断をいたしました。
他の幾通りかの計算方法をとってみても、実際に売買した価額を下回り、御指摘の
時価純資産方式だけが突出して高額な計算結果となるわけでございます。
バブル崩壊のときに土地の実態から遊離した地価が指摘されてまいったように、やはり
不動産価値の算定は、その不動産に設定された多数の抵当権など負の部分も勘案する必要があろうかと存じます。
また、
交通センターというバスターミナルが現に存在する土地の問題でございまして、通常の土地取引におけるような評価ができるのかどうかも疑問に思っているところでございます。
したがいまして、今回の株式の譲渡価額については適切な売買価額であったと認識をいたしております。
交通事業管理者の方で──七種類の算定方式がありまして、これを公認会計士とかなり打ち合わせを綿密にいたしまして、議員が先ほどおっしゃいました計算方式が一番高い価格でありましたが、先ほど申し上げましたようないろんな要因がございまして、私どもが算定いたしました
簿価純資産方式によるものが価格では二番目の価格となっておるところでございます。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 三角市長は問題の所在がよくわかっておられないようです。
〔議長退席、副議長着席〕
上場していない株を今回のような形で取引する際には、株価は通常純資産価格方式が使われます。その際、簿価、帳簿上の価格によるのか、実勢価格にし直すのか二通りの計算方式があります。
そういう中で、なぜわざわざ圧倒的に低い価格になる簿価による計算式を選んだのかということが問われているのです。簿価による計算は何が問題なのでしょうか。簿価による土地の価格が実勢価格より大幅に安いことです。しかもその安い理由が、
交通センターが市の資本参加による第三セクターとしてスタートしたために格安で土地を入手できたことです。
交通センターが設立された一九六四年に、県庁跡地を、坪当たり時価四十万から五十万するところを十二万円で取得しており、その後、今の岩田屋があるところも専売公社跡地でかなり安く取得していますが、それがそのまま簿価となっているのです。
簿価で株を譲渡するということは、第三セクターを利用して公共用地を格安でたたき売ったということになるのではありませんか。この点を改めて市長にお尋ねをいたします。
〔
三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 土地の価格の算定につきましては、先ほども申し上げましたように、いろんな問題もございました。その詳細については、企業管理者の方で詳細に計算もし調査もしておりますので、詳細が御必要であれば交通事業管理者にお答えをさせますけれども、今お尋ねの分につきましては先ほど申し上げたとおりであります。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 二つの方法があるにもかかわらず、高い評価となる方法は検討さえしていないということではないでしょうか。普通であれば、買う方は安くなる計算をして、売る方は高くなる計算式を使い、それから交渉して歩み寄るということになるのではありませんか。市民の財産の処分ですから、その程度の慎重さはあってしかるべきではありませんか。
さらに、昨年の第三回定例会での
交通センターに関する質問に対して、三角市長は次のように答弁されています。「現在の
交通センターの経営状況につきましては、十年度決算につきましては当期損失が計上されていますが、これまでの積立金により累積損失は一掃され、次期繰越利益が計上されています。」極めて健全な経営になっていることを得意げに報告されています。急いで安く売ったことも言いわけできません。
この問題は重要ですので、引き続き経済交通委員会で慎重な審議をしていただくことを期待いたしまして、次の質問に移らせてもらいます。
自治体の仕事は市民の福祉、暮らし、営業を守ることです。市民の皆さんの生活の声は三角市長に届いているでしょうか。
社会保障の後退は社会不安を多くし、今でもかたい財布のひもをますますかたくし、個人消費を冷え込ませるだけです。国の政治は、財政危機のしわ寄せをもっぱら庶民に押しつけ、今でも貧しい福祉、医療等の予算を切り縮めています。よかくらしをするための市政の役割は重大です。
いよいよ介護保険実施が目前に迫ってまいりました。今議会には介護保険条例案も出され、注目されていた六十五歳以上の介護保険料は基本料金三千二百五十円などと提案されています。
地元で開かれました介護保険の学習会でも、保険料、利用料、認定のあり方について意見や要望がたくさん寄せられました。本日は、介護の現場の声を紹介しながら、健康福祉局長に介護保険、国保についてお尋ねをいたします。
七十五歳のKさんは、痴呆があり常時見守りが必要です。現在一週間に五回のデイケアと二回のデイサービスを受けておられます。しかし、介護度が一との判定結果です。これでは、とても生活が成り立ちません。
最重度の判定を受けた八十一歳のYさんは、脳梗塞の後遺症で寝たきりの状態で、経管栄養で医療に対する依存度も高く、容体の急変も心配され、家族の介護負担は、物理的にも精神的にも大変です。ショートステイを利用することで夜間の介護から解放され、何とか在宅での介護を続けておられます。本人、家族にとって命綱であるショートステイの利用制限が設けられたことで生活が基本から崩されてしまいます。
八十一歳のIさんは、寝たきりになり、お嫁さんが仕事をやめて介護に当たっておられます。現在月に数千円で済んでいる費用が、介護度五の認定を受けたものの、ショートステイの利用も考えると介護費用は一挙に月四万から五万円にも膨らみ、養育中の子供を抱えており、家計に対する負担は限界を超えます。
これはほんの一例です。多くの方々が、認定は受けたけれど利用料が払えないことからサービスを辞退する、認定の範囲では生活するに足るサービスが受けられないというようなさまざまな困難に直面しています。
昨年九月の重松議員の介護保険の質問に対して三角市長は、「一般福祉を適用して検討しながら、福祉の後退は決してさせないというつもりでいる。」と答弁されました。しかし現在の実態は、さまざまな面で前より悪くなった、なると感じている方々が大半を占めています。
幾つかの自治体では「前より悪くなる。これでは困る。」こんな住民の声にこたえて自治体独自の施策を打ち出しています。福祉の後退をさせないということであれば、熊本市独自の施策が絶対必要です。
そこで健康福祉局長に具体的な点についてお尋ねをいたします。
介護保険料、利用料の軽減の問題です。
そもそもこの問題の根本には、非課税の高齢者からまで保険料を取ることにあります。もともと生活費に課税しないというルールは、憲法二十五条に定める生活保障に関する国の義務を税制の上で具体化したものです。
徳島市では、試算された保険料が全国平均の二千九百十五円を大きく上回ったことから、六十五歳以上の保険料を引き下げるため一般会計から約二億円を繰り入れることにしています。市長は「市民から保険料が高いとの意見が相次いでいた。市として努力する必要がある。」と説明されています。
東京の狛江市では、低所得者対策として六十五歳以上の第一階層の保険料、利用料を全額を軽減することにしています。三千二百五十円と全国平均より高い保険料を、せめて老齢年金受給者など第一階層の免除をする等の手だてが必要ではありませんか。
利用料についても、現在ホームヘルプサービスを受けている方の八割は無料です。住民税非課税世帯は、利用料を免除すれば、現在訪問介護利用者の八割以上が引き続き無料でサービスを受けられます。
川崎市では、生活保護基準以下の生活困窮者の保険料、利用料を、半額から全額を軽減することにしています。
富山県の小矢部市では、生計中心者が所得税非課税の場合、全額無料とする「ホームヘルパー利用料助成事業」を市独自事業として提案しています。
愛知県の半田市でも、非課税世帯に対して、利用料の二分の一の助成を行う条例、予算案を提案しています。
熊本市でも「利用料が払えないために介護サービスを受けられない。」こんな方々が出ないようにしなければなりません。
二つ目は、介護認定を高齢者の生活実態が反映できるように改善すること、特に痴呆高齢者の場合や在宅での酸素使用者についての認定を生活の実態に合わせて改善すること。三、認定漏れ、自立者の支援を十分に行うことです。
視覚障害一級で脳梗塞後遺症のある八十歳のひとり暮らしで、現在週三回の訪問介護、週一回のデイサービスを受けている方が「自立」と認定されました。
こうした方々に対して熊本市は、厚生省のメニューに合わせて従来のヘルパー派遣事業に当たる生活管理指導員派遣事業は週一回、生活援助型デイサービス事業も週一回、生活援助型ショートステイ事業もベッド数、予算いずれも少ないため一人当たり年五、六回しか利用できません。国の補助事業の枠での自立者対策では、現状より後退し自立した生活を送ることができません。以前から私どもが要求してまいりました三百六十五日の給食サービス等も全市内で行えるように具体化を急ぐべきです。
特別養護老人ホームは待機者に見合う増設をすることや、介護保険等の苦情を速やかに処理し、改善を勧告する福祉オンブズマン制度をつくること。
また、介護保険に関連して保険料の値下げを実施すること、この問題では、介護保険料と合わせて徴収される国保料は、今でも収納率は九割を割っています。
熊本市では、介護保険の実施に伴う国保会計から老人医療会計への拠出金は、国の負担分を除き約十億円が減額されます。この分は当然国保加入者の保険料の引き下げに充てるべきです。
新潟市では、医療費の国保会計から介護保険への移行分を国保料の引き下げに充て、一世帯四千百六十五円の引き下げを行っています。
あわせて、今でも滞納のため短期保険証保持者が一万八千世帯にも上っています。制裁措置を強化しても収納率は低下しています。介護保険が上乗せされればなおさらです。健康や命に直結する資格証明書の発行はぜひとも中止をすべきです。
解決策の参考になる具体的事例を挙げてお尋ねをしていますので、市民の実態を踏まえた答弁をよろしくお願いいたします。
〔工藤磐健康福祉局長 登壇〕
◎工藤磐 健康福祉局長 益田議員にお答えいたします。介護保険の諸問題についてであります。
一点目の保険料、利用料の軽減についてであります。
保険料については昨日中松議員にお答えいたしましたように、低所得者の方については最大で基準額の半額まで軽減されますし、主たる生計維持者が災害や長期入院等により保険料負担をすることが困難となった場合などには減免ができることとなります。
利用料は原則一割の自己負担ではありますが、高額となる場合には、医療保険の高額療養費に準じた高額介護サービス費の制度が定められ、所得に応じて利用料の上限が設けられております。
また、今回の国の特別対策により、現在のホームヘルプサービス利用者で低所得世帯については利用料を当面十四年度まで三%とし、障害者ホームヘルプサービスの利用者で低所得世帯については十六年度までの利用料は三%となります。さらに、社会福祉法人が低所得者で特に生計が困難である方に対しては、ホームヘルプサービス、デイサービスなどの利用料を減免できることとなっております。
このほか、保険料や利用料を一時的に融通できない方については、社会福祉協議会が生活福祉資金を貸し付ける制度も設けられております。
二点目の痴呆性高齢者の要介護認定でございます。
最近国が示した「痴呆性高齢者に関する審査判定の一層の適切化のための対応方針」の中で、要介護度の変更の適正化について周知徹底を図るとともに、今後、国が実際の事例を収集、分析して二次判定の際の変更の目安となる指標の検討を行うことを明らかにしています。
また、在宅酸素使用者については、認定調査項目の特別な医療の中にチェックする項目が設けられており、一次判定の中では評価がなされているものでございます。
本市の取り組みといたしましては、介護認定のあり方について、介護認定審査会の代表者による協議機関を設けて研究しているところであります。今後、国における一次判定基準修正の動向もあわせて見守っていきたいと考えております。
三点目の認定漏れ、自立者の支援につきましてはこれまでにお答え申し上げておりますが、非該当(自立)と認定された高齢者の不安解消といった点から保健福祉センターの保健婦等がその一人一人を訪問しているところであり、サービスが必要な方に的確なサービスの提供を目標として、介護予防、介護負担の軽減等の観点に立ち事業展開を図っていきたいと考えております。
お尋ねの給食サービスにつきましては、A型のデイサービスセンターにおいて現在サービスを受けておられる方々に対して継続してサービスを受けられるように、新たな支援事業として給食サービスに取り組んでまいります。
四点目の
特別養護老人ホームの増設についてであります。
施設サービスの目標量については、県が各保健医療圏域ごとの施設整備の目標数を示しております。
その中で、熊本圏域つまり本市内における
特別養護老人ホームの整備につきましては、平成十六年度までに二百四十床の増設枠を示しておりますので、これに沿って整備を図ってまいりたいと考えております。
五点目の福祉オンブズマン制度につきましては、国が十二年度、類似の役割を果たす介護サービス相談ボランティアのモデル事業を行う予定と聞き及んでおります。今後の国の動向に注目し研究してまいりたいと考えております。
次に、国保料の値下げについてのお尋ねであります。
議員お述べになりましたとおり、介護保険施行に伴いまして、国民健康保険の老人医療費拠出金が負担減となります。この負担減に対しまして、国は保険給付費の二五%以上の国保基金を保有する財政黒字の保険者に限り国民健康保険料の引き下げもできるという判断に立っております。
本市の平成十二年度の国民健康保険会計の老人医療費拠出金は約十億円の負担減が見込まれますが、本市の国民健康保険会計は現在三十一億七千万円の累積赤字を抱えており、さらに赤字の拡大が予想される大変厳しい状況であることを勘案いたしますときに、国保料の引き下げは困難な状況であると理解しております。
また、資格証明書の取り扱いにつきましては、介護保険施行に伴い国民健康保険法が改正され、特別な理由がないのに滞納している場合、発行が義務づけられたものであります。
本市におきましては、制度の運用及び取り扱いについて現在検討しているところであります。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 いろいろ御答弁いただきましたけれども、介護保険相談チームなどを除けば、そのほとんどが国の制度の枠内となっています。それでは福祉の後退になる、そのため紹介しましたように全国各地の自治体の努力がなされています。介護保険導入による市財政の軽減分が約六億円あります。せめて老齢福祉年金受給者の方々の保険料の免除、八千四百万もあればできます。非課税世帯の利用料の軽減に取り組んでいただきたいと思います。
また、保険料徴収延期を含めた経過措置期間に、市としても国に対して改善を強く要望し、実施主体である市としては、この経過措置期間中に、高齢者の置かれた一つ一つの状況にこたえる具体的な施策を講じることを強く要望いたします。国保に上乗せすれば、払いたくとも払えない世帯がふえることはもう目に見えています。国保加入者の負担増にならないような軽減策をぜひ講じていただきたいと思います。
次に、社会問題ともなっているホームレス対策についてお尋ねします。
熊本市の昨年の調査では、ホームレスの人たちが百二十二人確認されたとのことです。この数は中核市の中でも地方都市の中では一番多い数字となっています。厚生省の全国調査で約二万人、およそ一年間で四千人程度ふえていると報告されています。
二月二十四日の国会では、
日本共産党の吉井英勝議員がこの問題を取り上げ、その原因として、経済構造、産業構造の変革、つまり弱肉強食の競争原理が大手を振る、その典型がホームレス者の急増であり、最近では、長引く不況でリストラによる失業が普遍化し、正規の労働者も野宿に追い込まれるケースがふえている。とりわけ消費税増税による消費不況が深刻になった以降急増していると指摘。厚生大臣も、大変大きな社会問題として認識し、きめ細かな調査、検討をしたい。できるだけ早く、関係省庁とも相談をしながら具体策を打ち立てたいと答弁されています。
私もここ二年間で六人のホームレスの方のお世話をする機会がありました。最近も地元の公園で二人の男性のホームレスの方がベンチで寝泊まりをしていました。
この人たちは、町内の方や生活保護担当の職員の方の御尽力、保健所職員の奮闘により屋根の下で休むことができるようになりました。しかし、なお多くの人々が寒さをしのぎながらの野宿生活です。人たるに値する最低限度の生活を保障することは緊急の課題です。そこで数点について提案し、健康福祉局長にお尋ねをいたします。
最低限度の生活を保障する生活保護制度も住所がないために申請することができません。生活の実態に合わせて申請を受け付けること。第二には実態調査を行い、生活、健康、労働の実態をつかみ、緊急の対策を立てること。夜間に緊急に保護できる場所を確保することや、医師、看護婦、保健婦、ケースワーカーなど専門家による巡回相談を実施すること。女性ホームレスに対する女性相談員の巡回相談の実施などです。
この際、これまで八十歳以上の敬老祝品事業が一昨年からお金から品物になり、ことしからは、八十歳、八十五歳、八十八歳、九十歳、九十五歳、九十九歳、百歳以上と節目の支給になり、これで一億一千万円が削減をされております。敬老祝金事業について、高齢者にとって一年一年がどんなに大切なものか、私はここに思いをいたす必要があると思います。ささやかな楽しみを奪うものとして許せません。
また、さくらカードの発行に際しまして、所得制限や自己負担についてのアンケートがとられていますが、こちらも自己負担等の導入は絶対にやめるべきです。さくらカードの導入は、高齢者、障害者世帯の可処分所得をふやし、生きがいとともに景気対策にも大いに貢献しています。
また、基本構想の施策の基本方針「高齢者や障害者はもとより誰もが自分の能力を活かして社会参加できるための支援を行います。」この具体化でもあります。さくらカードの存続発展を心から要望いたしまして健康福祉局長にお尋ねをいたします。
〔工藤磐健康福祉局長 登壇〕
◎工藤磐 健康福祉局長 ホームレス対策についてお答えいたします。
ホームレスの実態調査につきましては、平成十一年十月に厚生省社会・援護局の依頼に基づき目視調査を実施し、百二十二人のホームレスが確認できております。
今後の対策につきましては、国は平成十一年二月、「ホームレス問題連絡会議」を発足させ、同年五月二十六日に「ホームレス問題に対する当面の対応策」を取りまとめ、現在、関係省庁及び関係地方公共団体が適切な役割分担のもと、関係施策の推進に努めているところでございます。
本市におきましては、本年三月二十八日に市役所関係部署及び国、県、警察等関係機関との第一回連絡協議会を開催する予定であり、ホームレスの実態等を把握していきたいと思っております。
また、生活保護による対応につきましては、議員がお述べになりましたように、居住地が定まっていない方につきましては、その処遇はなかなか困難であるところでございますが、定住者につきましては現在も検討、対応しているところでございます。
なお、病気等による入院につきましては、生活保護で調査検討し、対処もしくは行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づいて対処しているところでございます。
ホームレス問題は一地方自治体だけではなく全国的なものであり、国、県、他の自治体の動向を踏まえ、今後とも関係各課及び医療、保健、福祉関係機関等と綿密な連携を図り適切に対処してまいる所存でございます。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 ホームレス対策の第一歩は何といっても実態をつかむことからです。私がお世話をいたしましたホームレスの女性の方が「帰る家があることがうれしい。」こうおっしゃった言葉が印象的でした。住む家があることは最低生活の最低条件です。今後の生活保護の実態を反映した運用、施策の具体化を重ねて要望いたします。
また、子供たちのために教育環境の整備について要望いたします。
今度の予算では全校の図書室に司書の配置が決まり、子ども読書年の朗報となりました。また、学校のトイレの洋式化など、環境改善に向け三カ年で改修が進むことになりました。先生方からは、「やっと教育に光が当たったようだ。」との言葉を聞きました。
しかし一方では、学校事務職員の廃止の方向が出され、「行政改革は、教育分野も聖域でない。」などの理由で進められようとしています。これは大変な検討違いです。大型箱物建設などで押しつぶされてきた教育現場にこそ今光を当てなければならないことは先ほども述べたとおりです。
まだまだ教育の分野でやらなければならないことがいっぱいあります。全部の教室にストーブの設置、「せめて小学一年生だけでも三十人学級にしてほしい。」この願いは先生方からの切実な声となっています。教育長にはこの声にしっかりとこたえていただきたいと思います。
それでは、角度を変えて基本構想との関連でお尋ねをいたします。
今議会には、二十一世紀の熊本市のまちづくりの方針を明らかにした熊本市基本構想案が提案されています。「まちの主役は私たち市民です。」「よかひと、よかまち、よかくらし、しあわせ実感、夢と活力の生活首都(とし)」大賛成です。「環境と調和した循環型社会づくり」公共交通機関や自転車の利用の促進など大いに進めるべきです。
ところが、こうした方向に逆行する開発優先の破綻したとも言うべき二十世紀型がでんと腰を据えているところがあります。まちづくりの重点的取り組みとして、「九州新幹線や高速道路などの広域交通網……などの整備を促進するとともに、
中心市街地の再開発や、副都心としての熊本駅周辺の再整備に取り組みます」としているところです。
そして、三角市長が雑誌の対談等で強調されているのは、先ほども言いましたけれども、中心街の地下環状トンネルと大通り公園構想、副都心としての熊本
駅周辺整備、
熊本城完全復元、中でも本丸御殿復元、
総合防災公園などです。
こうしたことにのめり込んでいけば、財政破綻と市民生活圧迫が待っていることはさきに申し上げましたが、基本構想の本来の趣旨に反し、熊本市のまちづくりとしても失敗するということを指摘しなければなりません。
まず、中心街の地下利用構想ですが、これは当初から、水道町と上通の二つの再開発ビルに自動車で乗り入れることが前提になっています。これらの再開発ビルは地下のレベルを全く同じにしており、近い将来の地下利用計画となっています。
こんなふうにしてどんどん中心街に車を呼び込むやり方は、たとえ地下に通しても一層の交通渋滞と環境破壊は避けられません。しかも再開発ビルが中心街活性化の柱というのでは、何のことはない、小型福岡天神を再現するだけではありませんか。二つのビルができたときを想像してみればだれにもわかります。熊本らしい魅力はどこにも見ることはできません。
福岡と違ったまちづくりをすると口では言われますが、ここには従来型の、福岡に追いつけ追い越せの姿勢が如実にあらわれているのではありませんか。
熊本らしい中心街のまちづくりはどうあるべきでしょうか。上通のまちづくりがその方向性を少し見せています。大きなビルの谷間ではなく、人が通りたくなる路地、お年寄りも子供たちも、若者も一緒に住み続けられるまちでなくてはなりません。
さらに、慌ただしく通り過ぎるのではなく、お年寄りがゆっくりできる場所、若者が集える場所、家族が一緒にゆっくり楽しめる場所が必要です。そして、城下町の風情を大切にするために町割りをそのまま生かすこと、歴史が感じられるまちにすることが大事です。せっかくつくった都市景観条例まで破って高層ビルを建てるなどもってのほかです。
上通、下通一帯とその周辺だけではなく、人口が大きく落ち込んでいる周辺まで含めて考えなければ中心街の周辺が空洞化してしまいます。スプロール化と空洞化の促進でなく、これまで多大な社会資本を投下してきた都市中心部に人が戻ってくるような施策こそ求められているのではないでしょうか。そのための住宅政策は重要です。
郊外と違って住宅以外の公的施設、社会資本はほとんどそろっているのですから、逆に安上がりとなります。そして決め手は、中心街に車の乗り入れを少なくして、自動車でなく、公共交通機関、自転車、徒歩で行き来できる交通体系が基本になっていなければなりません。これが基本構想並びに財政計画とも合致するまちづくりではないでしょうか。この点は三角市長にお尋ねします。
基本構想とまちづくりにおいて表裏をなす都市マスタープランについてお尋ねをいたします。
法律によっても、建設省の通達によっても「公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」「基本方針の策定過程それ自体が住民のまちづくりへの理解と参加を得ることや合意の形成に資するものであることにかんがみ」「例えば、地区別に関係住民に対し、あらかじめ原案を示し、十分に説明しつつ意見を求め、これを積み上げて基本方針の案を作成するものとし、この場合、公聴会・説明会の開催、広報紙やパンフレットの活用、アンケートの実施等を適宜行うこと」とうたわれています。
熊本市は、アンケートを一回とったとのことですが、都市計画審議会にかける前に市民に対して地域ごとの公聴会を開く等、市民の意見を聞く機会を設けるべきです。都市整備局長にお尋ねをいたします。
また、熊本駅を副都心としての開発計画が新幹線の開通に合わせて計画されています。九七年熊本駅周辺地域の県、市協定が結ばれ、副都心としての八地区に分けた整備方針、まちづくりの方針が出されました。区画整理や再開発により商業・業務機能や新商業機能を持たせることがうたわれ、それぞれの地区の道路整備計画も立てられています。
県、市協定では、「駅周辺地域等への都市機能の導入・更新を図るため、経済界に対して積極的な参画を要請する」とうたわれています。
これまでにデパートやホテルなどの計画が進んでいるのでしょうか。ビルや道路を整備すれば人が集まり活性化する、このような呼び込み型の開発は至るところで破綻をして、大きな財政負担に自治体があえいでいます。福岡市の再開発ビル博多リバレインの例を挙げるまでもありません。
副都心というのは、少なくとも人口が集積し、そこで市民の生活が完結する機能を持っていなければなりません。熊本駅周辺の場合は、電車で十分足らずのところに市の中心部があり都心の一部とみなすのが妥当ではないでしょうか。
九州旅客鉄道熊本支店長の金子一清氏は最新の経済誌の中で、駅周辺地域における副都心づくりについて、「人口六十五万人の熊本市では副都心は成り立たないと思う。百万都市の北九州市でさえ副都心をつくろうとして失敗し、黒崎では閑古鳥が鳴いている。行政は商業機能や業務機能、居住機能といったぐあいにすぐにゾーイングするが、駅周辺ではむしろエリアを区切らずに、住んでいるところで手軽に買い物ができたり、公共サービスや医療サービスを受けられるようなまちづくりを進めるべき。東京では、商業機能や業務機能を中心に集積させて郊外に住宅地をつくったために、通勤に時間がかかるという問題を抱えた。都心は土地が高いので戸建て住宅を買うことができず、高層化せざるを得なかった。これは失敗だと気づき、都市計画を見直す作業が始まっているが、東京と同じ過ちを繰り返す必要はない。商業機能は上通や下通をさらに強化充実させるべきであって、熊本駅からのアプローチをよくすることの方が大切」「熊本駅は交通結節機能を充実させることが大切」と明快に述べておられます。全く同感です。
西地区、東A地区、鉄道高架化事業のいずれもが二〇〇〇年度中の都市計画決定を目指すとされています。副都心としての人口増はこのままでは到底望めません。
例えば駅西地区で熊本市が進めようとしている区画整理事業では、一般宅地面積が現在の十三・三三ヘクタールから九・二八ヘクタールに、四・〇五ヘクタール、三割も減少する計画です。
一方では、道路、公園、駅前広場等の公共用地は約三倍にふえ、減歩率を八%にする等のためには三・一九ヘクタールも先買いの対象となり、住民は転出を余儀なくされる計画です。既に取り組まれている多くの自治体で大きな財政負担となっています。
県内でも菊池市が、凍結していた隈府中央地区土地区画整理事業を、財政的に成り立たないと正式に中止を表明しました。中止の理由としてほかにも、区画整理事業の先進地が期待に反している、商店街の活性化が望めない、区画整理にかわる街路事業等の方がより現実的としています。
市の計画でも二十年間の計画とされており、一般会計だけでも二百二十億の財政投入が計画されています。計画段階での住民合意、住民参加を行うことが何より重視されなければなりません。
特に基幹道路とされております三十メートル道路は、区画整理地区だけの問題でなく池上地区まで含まれています。住環境に与える影響も大きく、代替案の検討や住民参加の環境アセスメントも計画決定の前に必要です。
安心して住み続けたいという地域の皆さんの願いからも多くの問題があります。何よりも話し合いが始まったばかりであり、住民合意を貫くためにも都市計画決定先にありきのやり方を大いに見直し、そもそも副都心という大ぶろしきを現実に合わせてまずは規模縮小をすべきではないでしょうか。
この点では、長野肥後銀行会長が、アメニティー重視の駅周辺開発を「財界九州」の中で展開されています。「これは大型商業施設を据えた、つまり駅前商店街的な再開発はもはや時代おくれ、発想を転換する必要がある。熊本の長所である水と花と緑の空間をつくり、新幹線からおりた人たちがほっとし、また来たくなるような駅前広場といった考えをベースに据えたらどうかと思う。じっくり腰を据えて取り組まねばならない。」
熊本の特徴を生かした熊本駅という点では示唆に富んでいると思います。さきに民間レベルでの熊本駅研究会が開かれ、新幹線、在来線の半地下化の構想が出されていました。地上は緑地帯、児童公園、自転車道路、歩道などのユニークな夢のある計画でした。ヨーロッパでは既にこのような駅があるとのことでした。
長野会長の夢を発展させた計画とも言えるのではないでしょうか。市街地の中を走る新幹線ですから、騒音公害に対しても極めて効果的だと思うのですが、都市整備局長にお尋ねをいたします。
〔
三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 大型開発事業を例に挙げられ、とりわけ
中心市街地における再開発や大通り公園構想が、今回の基本構想に掲げる生活者優先のまちづくりに逆行するのではないかとの御意見であったかと思います。
私は、
中心市街地は、商業、業務、文化、そして情報通信などの多くの機能が集中する経済活動の場であり、その集積が都市全体の原動力となって人々の生活を支え、ひいては市民福祉向上の基盤になるものと認識をしております。
したがって、基本構想に掲げる生活者優先のまちづくりを進める上でも
中心市街地の活性化は避けて通れない課題であると考えているところであります。
しかし近年、全国でその空洞化が叫ばれ、また本市においても例外ではないことから、昨年活性化基本計画を策定したところでありますが、そのやさきに、上通や手取本町地区で再開発ビルが先般起工したことは意義深く、建築による経済波及効果はもとより、拠点性がさらに高まるものと大変喜んでいるところであります。
今後、都市活力を維持、向上するためにも、
中心市街地に、例えば、熊本城周辺の豊かな緑と歴史的たたずまい、さらには市電を生かした交通体系など、落ち着きとゆとりのあるまちの風情を大事にしながら、熊本の顔にふさわしいにぎわいと活力を再生してまいりたいと考えておるところであります。
〔田尻紘都市整備局長 登壇〕
◎田尻紘 都市整備局長 私から二点について益田議員にお答えをいたします。
まず、現在策定中の都市計画マスタープランにつきましては、地域の現状や課題の把握を行うためにアンケート調査を実施しておりますし、その上位計画となります熊本市基本構想においても市民の意識調査やまちづくりシンポジウムの開催が行われておりますことなどから、住民の意向は反映されているのではないかと考えております。
本市では議員が述べられた都市計画法や建設省通達に沿って進めておりますが、手法につきましては全国、市町村一律といったことではなく、都市の規模や地域の実情に応じた取り扱いのものであってもいいのではないかと考えております。
今後は、熊本市の将来の都市全体のあり方を示しながら、当面、現在策定中の都市計画マスタープランの啓発活動を第一に進めてまいりたいと考えます。
次に、熊本
駅周辺整備についてでございます。
熊本駅周辺地域は本市の玄関口でありますが、車社会の進展とともに商業活動の停滞、人口減少、高齢化が進むなど、現状は著しく衰退をしており、今後、広域交通結節拠点として、また西南部開発の拠点としてその再生が待たれている地域でございます。本市の新基本構想案でも副都心として位置づけ、その整備に取り組むことといたしております。
熊本駅周辺地域整備事業に関しまして、二十一世紀の熊本県及び熊本市の浮揚に欠かせない緊急かつ重要な事業との認識のもとに、平成九年県市協定を締結すると同時に整備方針を公表いたしたところであります。
この整備方針に示しておりますように、整備に際しましては、出会いとふれあいのあるまちづくり、人にやさしく利便性の高いまちづくり、水、緑、歴史性を活かしたまちづくりを基本理念としまして、熊本の陸の玄関口にふさわしいまちづくりを目指すことといたしております。
整備エリアの設定につきましては、熊本駅周辺の一帯約三百二十四ヘクタールを対象にした調査検討を行い、面整備が可能かつ必要不可欠な地域として駅の東西で約六十ヘクタールに絞り込み、財政体力や段階的な整備を勘案しつつ事業計画を検討しているところでございます。
具体的な事業としましては、駅西側の区画整理事業並びに駅東側については市街地開発事業の立ち上げにまずは着手したいと考えておりますが、東A地区の事業については、他都市の事例が示していますように、バブル経済崩壊後、再開発事業への民間投資が極めて厳しい状況であることを十分考慮しまして、公共施設の導入を核とする事業フレームを準備組合とともに検討しております。
西側の区画整理事業の推進につきましては、住民への戸別訪問や地区協議会等での意見交換を行うなど住民合意のまちづくりに努めているところであり、区画整理事業につきましては、昨年八月に事業推進の陳情が一千百五十一名の署名を添えて本市に提出されるなど、住民の皆様の期待も高まっております。
このようなことから、熊本駅周辺の整備につきましては、新幹線建設、鉄道高架事業の着手を絶好の契機としてとらえ実施することが事業効果の上からも望ましく、今後も事業計画等の説明や意見聴取を十分行い、住民合意に意を用いながら、平成十二年度には鉄道高架事業や区画整理事業、駅前広場や道路などの都市計画決定を目指す所存でございます。
議員各位におかれましては、より一層の御理解、御協力をお願い申し上げます。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 市民が主役、主人公と言いながら都市マスタープランは啓発のみ、ぜひとも市民の意見を聞く場を持つべきです。
三角市長は、財団法人九州経済調査協会が第五次基本構想の基礎資料としてまとめられた「熊本市の都市・行政機能の現在と将来展望に関する分析調査」はごらんになったことと思います。冷静に客観的に熊本市の将来像が述べられています。百二ページには、都市のクオリティー政策について二つの側面が述べられ、一つは市民生活の質であり、もう一つは訪問者の与える魅力。
これまでは後者のみが重視をされ、前者が軽視される傾向が強かった。今日では、前者、市民の生活の質を高めることなくして後者、訪問者の与える魅力を高めることもできないという認識が広がりつつある。クオリティーの高い市民生活は、対外的にも都市の魅力を高め、定住、交流人口や企業進出の増加にも寄与すると考えられる。
また、熊本のポジションとしては、熊本市は、福岡大都市圏と鹿児島、宮崎地域経済圏のはざまにあって、次第に存在感を弱めるおそれがある。発展のシナリオとしては、福岡に対抗するフルセット型は財政的にも成り立たない。無理をすれば、市民生活に関連する行政サービスは水準の低下を余儀なくされる。
熊本市の目指す方向としては、一つに自然を生かした生活環境の充実、二つには公共交通機関を生かしたまちづくり、三つには現代と歴史が融合した生活文化空間演出などの方向が示されています。
特に古町、新町、京町など趣のある町並みが残り、大通りを一歩入れば昔ながらの民家が残り地域コミュニティーが息づいている。
また、上通周辺の路地裏には小規模で個性的な衣料品、クラフト店、レストランが点在し、全体として魅力的な雰囲気を醸し出していると注目し、現在、マンション立地や都心空洞化により中心部の趣が失われつつある。歴史的な町並みやコミュニティーの維持を図り、多様な機能を都心部に残すことが求められるとの提言もしています。
総論としては、エコロジカルで日本一暮らしやすい中核市を目標に、生活基盤を整備し、それをてこに産業振興にも結びつけることが基本的な方向性として出されています。
私も読みまして大変意を強くしたところです。
このような調査研究にも真剣に耳を傾ける必要があると思います。くれぐれも都市計画決定を急がれないように強く要望いたします。
次に、地域経済をどうするかという問題です。
私どもは「中小企業は日本経済の主役、それにふさわしく本格的な対策を」という政策を発表し、各分野の皆さんとも積極的に対話をしてまいりました。改めて中小企業が地域の経済のみならず、地域の文化、コミュニティー、まちづくりなどでも大きな役割を果たしていることを痛感しています。同時に今日の経営はかつてない危機にさらされています。
三年ごとに調査している商業統計で、九四年と九七年を比較しても、商店が九百四十六店舗も減少しています。これは、七九年(昭和五十四年)の調査以来最も大きな減少です。従業員数も五千四百七十三人もの減少となっています。五年ごとに調査している事業所、企業統計でも五百六十三事業所の減少です。この調査後にも倒産、廃業は極めて高い水準で推移しています。
私たちの相談の内容からも実感しています。世帯主が脳卒中で倒れ入院したものの医療費が払えない、この不況を反映して、仕事はしたもののお金が入らない、やりくりのためにサラリーローン、ついに高金利の日掛けに手を出してしまった。などなど庶民の暮らしは「よかくらし」からおよそかけ離れています。
熊本市は九九%が中小企業のまちです。この中小企業が元気になってこそ熊本の経済が活性化します。私は、今こそ中小企業に光を当て、抜本的な対策をとるべきだと考えています。
一つは、中小企業振興条例を実態に合わせて拡充し、地元業者、住民、専門家を加えた地域経済振興会議を設置し、中小業者や地域の要求を機敏に正確に反映できるようにすることです。そして、行政としても中小零細の事業所を直接訪問して実態を把握することが重要です。
二つには、中小企業支援センターを設置し、製品の開発、販路開拓、人材確保、創業支援など、中小企業が悩んでいるところに手を伸ばして支援することです。
三つには、大企業の横暴から下請企業を守る問題、銀行の貸し渋り対策、大型店の出店規制など、地元企業、商店街、中小小売店の振興を中心に対策を立てることが求められています。
今回は、地域経済全般について質問する時間もありませんので、以下の基本的立場に基づきお尋ねをしてまいります。
公共事業を地元中小業者に公平に発注する問題です。
公共事業が大型化する中で、公共事業就労者が大幅に減少、労働省の調査では、建設労働者の賃金も九八、九九年と連続して前年を下回っています。政府の調査では、小規模クラスの官公需発注額は十年間で九割も減少しています。地元零細業者に対しての公共事業の発注の機会をどのように広げていくのか。昨年の九月議会での提案は具体化されたでしょうか。
公共事業の発注率においても、県内企業の占める割合は、政令市を除く九州の県都で最低の七一%となっています。鹿児島市九四%、大分市九〇%です。九八年の公共事業費四百八億を鹿児島並みの発注率に仮定すると約九十四億の仕事をふやすことができます。今度の予算では、地場の中小企業への経済効果の高い小規模工事や維持補修工事に取り組むなど、これまでにない特徴となっています。
熊本市にはやらなければならない住民密着型の公共事業がたくさんあります。今後どのようにして地元発注率を高めていくのかお尋ねをいたします。
次に、フードパルについてお尋ねします。
私ども市議団はフードパルに懇談を申し入れ、快く懇談の場を持っていただきました。お話を聞き、大変な御苦労をされていることを実感しました。食品産業も、長引く不況、わけても個人消費の低迷に直撃されています。しかし、問題はそれにとどまらず、当初の計画自体に相当無理があったことが大きな圧迫要因になっています。
確かに、入場者数では、フードパルの皆さんの奮闘、商工課を初めとする経済振興局の努力などで初年度は百万人を突破、今年度も七十万人と当初の計画を少し上回っています。
そんな中で何が大変かというと、一番大きいのは環境事業団への支払いのようです。九七年から四・〇五%の利息、約二億六千万の支払いが始まっています。しかも、今年三月から元金の支払いをしなければなりません。合わせると約五億円となります。せめて二%程度の金利にならないかと大変苦労されています。しかし環境事業団は、財政投融資の資金などで、金利の変更、引き下げは無理と繰り返すだけということです。
ですから、熊本市としてもこの解決に全力をつくしてもらいたいとの要望は切実でした。
実は、この問題で
日本共産党の藤木洋子衆議院議員が、環境委員会で繰り返し取り上げ、昨年四月の委員会においては、「一般論として繰上償還などを認めることはできないというのが原則でございますが、例外的用件に該当すれば、その事情を慎重に審査するということになります。」という答弁を引き出しています。それまでかたくなに例外は認めないということだったのですが、今は少し柔軟になっているようです。この際ぜひとも三角市長を先頭に、フードパルの組合とも協力して、環境事業団に実情をよく訴えていただきたいと思います。
本市の製造業の中で、食料品は、事業者数で三一%、従業員数でも二七%を占め、それぞれ第一位の座をキープしています。フードパルは、これをさらに発展させるために「生活者との交流」「地域経済をリードする意欲的な企業づくり」「質の高い就労環境」「地域農業との連携」「環境との調和」の五つのコンセプトで熊本市が立案したものです。
しかし、構想はよかったものの、市の呼びかけで三十三社集まりましたが、組合設立時には二十一社、環境事業団と契約したのは十八社、その後七社が脱退して十一社でスタートを余儀なくされています。しかも通常の工業団地と比べて、交流型ということで一・三倍の投資を余儀なくされています。その後二社加わったとはいえ、予想をはるかに超える困難な運営を迫られていることは容易に想像できます。
三角市長は、食品交流会館オープンに際して「命がけで取り組む」、こう決意を披瀝されましたが、今まさにそのときだと思います。この時期を失すれば取り返しのつかないことになります。環境事業団に対して利息軽減のために具体的にどのように働きかけるのか、組合の重荷を軽くするために何をすべきと考えておられるのか三角市長にお尋ねをいたします。
また、私ども市議団は、規制緩和で苦しんでおられる酒屋さん、薬局、理容店を訪問しました。
とりわけ酒屋さんからは、ディスカウントの販売価格が店の仕入れ値より安い、自分たちの年金をつぎ込んで代々酒屋を守っている。この上距離規制や人口規制がなくなれば商売ができなくなる。コンビニでは二十四時間営業でお酒を売っている。そのため青少年がアルコールを買う機会が多くなり、健康が心配だ。規制緩和は困ります等々の訴えがありました。現にこの六年間で町の酒屋さんは百十九店もなくなっています。
薬局でも、売り上げ減少だけでなく、医薬品の知識を持った専門家のもとで販売されることの重要性を訴えられました。
地域の酒屋さん、薬局などは、自治会の役員や、PTAなどまちづくりでも大きな役割を果たしておられます。景気対策、まちづくりの上からも、これ以上の規制緩和はどうしても阻止しなければならないと思います。地元商店を守る経済振興局長としての決意をお聞かせください。
〔
三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 私にはフードパル熊本についてのお尋ねでございました。
このフードパル熊本は、我が国で初めての生活者交流型の食品工業団地として全国的にも高い評価を得ております。
今まで御質問をされました事柄については、議員と私の考え方は大変離れておりましたけれども、今御質問の環境事業団へのいろいろな問題についてだけは同じ考え方であります。
環境事業団が最初取り上げた事業として大変注目をいたしましたけれども、私も発足当時の環境事業団の事業についていろいろ検討いたしてみましたが、中小企業といたしましてはかなり負担が大きい事業だなという感がいたしております。
そこで、平成五年十二月の譲渡契約当時の中小企業金融公庫やそのほかの特殊法人全体の中で全国的に設定された金利でございます。これも変動金利ではなくて長期固定金利であるということで、なかなか事業団としては陳情を聞いてはいただけないわけであります。
しかしながら、環境事業団の事業、いわゆる造成、建設工事等々に至りましてもみんな中央で決めると。このときも環境事業団にちょっとどなり込みまして、アフターサービス等々について地場じゃないとどうするかということで、この問題については聞いていただいたところであります。
その後再三にわたりまして、金利の問題あるいは提供した土地の問題についても、少しは国で買い戻しができんかということもいろいろ話をしたところでございます。
私も就任以来、政府資金あるいは公営企業金融公庫からお借りした分についての繰り上げ償還、あるいは借りかえを再三、ブラックリストに載るくらいに申し上げてきたところでございますけれども、やっとこれも三年前から検討していただきましてその恩恵にもあずかったところでございます。
資金運用部資金の政府資金でもそういう形で進んできたということでございますので、中小企業金融公庫、環境事業団に対しましても、組合と一緒になって懸命に今後食い下がってまいりたいというふうに考えております。
また今後、組合のいわゆる手かせ足かせといいますか、運営がスムーズにいくためには、やはり未分譲地を早く処分していかなければならんと。こういうことで皆さん方の御協力あるいは職員の献身的な努力によりまして、この一年で二つは処分できたわけでございますが、あと二、三、今話もあっているところでございまして、いち早く未分譲地を処分していきたいというふうに考えておるところでございます。
実際組合の方々、七社撤退されたということも大変な痛手でございまして、今後、私どもも組合の一員になったつもりで頑張ってまいる所存でございますので、御協力よろしくお願い申し上げます。
〔松下尚行建設局長 登壇〕
◎松下尚行 建設局長 益田議員に公共工事の地元発注についてお答えいたします。
景気対策として、建設業の許可を受けていない地元零細業者を本市に登録させ、一般的な工事の入札に参加させることにより、公共工事の地元零細業者への発注機会を拡大することができないかという昨年九月の議会での御提案に対するその後の取り組みについてお答えいたします。
本市では、公共工事の適正な施工確保のため、建設業の許可を得た業者に発注することは、公共工事の発注者としての立場から今後とも堅持してまいりたいと考えております。
ただ、本市の各種公共施設の現場では、軽微な修理につきましては、例外的に建設業の許可の有無に関係なく発注を認めておりますし、同様の制度を設けております他の自治体についても調査を実施したところでございます。
そこで本市といたしましては、公共工事を適正に施工する能力を有するか否かの判断方法や既登録業者に与える影響、また他の自治体での運用状況等の判断から、今後も引き続き調査研究させていただきたいと考えております。
次に、公共工事の地元発注率を高めることにつきましては、従前から地場産業育成を主眼とし、地元企業優先及び分離・分割方式を原則として建設工事の発注を行っているところでありますが、技術面及び規模の面で地元企業では対応できないものについてのみ県外企業に発注を行うということにしております。
その場合におきましても極力地元企業との共同企業体結成方式を採用して、地元企業の技術向上、受注機会の確保に努めているところでございます。
今後とも、地場産業の育成のため引き続き努力してまいりたいと考えております。
〔竹田克彦経済振興局長 登壇〕
◎竹田克彦 経済振興局長 お答えをいたします。酒屋、薬局などの規制緩和を阻止できないかとのお尋ねでございます
酒店、薬局などの業界の多数が中小企業者でありますため、ただいま国におきましてもいろいろな角度からの議論が行われておりまして、一地方自治体としてどうするかは大変難しい問題と受けとめております。
したがいまして、今後国の動向を見きわめ、また市議会の御意見、御指導をいただきながら進めていくべきものと考えております。どうぞ御理解いただきますようお願いいたします。
〔三十七番
益田牧子議員 登壇〕
◆益田牧子 議員 フードパルにつきましては三角市長の格段の尽力をお願いします。
規制緩和に反対する声はまちにあふれています。熊本市の経済の主役である中小業者の皆さんの声を実際の現場に行きつかみ、国に対しても言うべきは言い、市としてもやるべきことに全力で取り組んでいただきたいと思います。中核市の中で小売販売額は岡山に次いで二位なのに、行政の商工業支援機能は高いと言えないことも先ほどの九経調の分析でも指摘をされているところです。御尽力をいただきたいと思います。
最後に、市民が主人公のまちづくりについてお尋ねいたします。
地方分権により、より地域の特性を生かしたまちづくりの取り組みがより進められるようになりました。今議会にも、
日本共産党市議団として再三取り上げてまいりました墓地建設については、自治事務に四月からの移行に伴い、これまでの「熊本市墓地、埋葬等に関する法律施行」を「熊本市墓地等の設置に関する条例」にする提案が行われています。目的及び手続を定め、自治体の長である市長の権限が明確にうたわれています。この条例にしっかりと魂を入れて運用してもらいたいと思います。
そこで、懸案になっております財団法人敬愛会の独鈷山の乱開発についてお尋ねします。
これまで熊本市は乱開発を黙認し、防災工事として対応してきました。久しぶりに現地に行きびっくりいたしました。第一調整池のすぐ下が霊園として開発をされていました。
熊本市に対しては、一昨年八月に書類を取り下げてから財団法人敬愛会は墓地経営についての相談を行っていますか。また、市はその後敬愛会から事業計画の提出を求めていますか。事実からすれば、敬愛会は無届けの霊園開発を行っているというのが正直な見方です。市は告発等の厳格な対応をすべきです。また、これからの熊本市の対応は当然条例に基づいて行われるべきですが、具体的な対応についてお尋ねをいたします。
花岡山の宗教法人本佛寺の、こちらも無届けの乱開発が続いています。
その整備につきましては、文部省の整備方針を踏まえながら取り組んでまいりたいと考えております。
〔十二番 竹原孝昭議員 登壇〕
◆竹原孝昭 議員 御答弁、ありがとうございました。
いよいよ来年は二十一世紀となります。次の世代にどのような日本を伝えていくのか、社会の基礎をなす教育はますます重要なものとなります。
戦後、我が国は、経済復興を急ぐ余り、独立国家として最も肝心な国のあり方や人の生き方など独自の哲学をおろそかにしてまいりました。
その結果、国民の愛国心や思いやりが薄れ、諸外国からは経済大国として羨望のまなざしを向けられる一方、先ごろの石油採掘権をめぐる交渉で、相手国から法外な要求が出されるなど、何でもお金で解決を図る国というありがたくないレッテルが張られてしまったようです。
二十一世紀の国際社会に通用する人材を育てるためには、確かに英語教育も必要ですが、何よりもまず世界に尊敬される日本人となることが大切であります。そのためにも、先生方には、日々みずからを高めつつ、自信を持って子供たちの教育に当たっていただきたいと存じます。
そこで、来年度から、中核市に教職員に対する研修権限が移譲されるとのことでございます。絶好のチャンスですので、ぜひとも道徳教育を研修の重要テーマに据え、熊本のすばらしい教育を築いていただきたいと思います。
そして、今回の基本構想で掲げられている「よかひと、よかまち、よかくらし」とともに、「よかひと、よかまち、よか教育」を実現していただきますようお願いをして、次の質問に移らせていただきます。
環境問題についてお尋ねをいたします。
皆様御案内のとおり、今日の目覚ましい科学技術の進歩は、私たちの社会や生活に物質的な豊かさと便利さをもたらした反面、地球視模から身近な生活に至るまで、さまざまな環境問題を引き起こしております。
このままだと、私たちの健康への悪影響が心配されるばかりか、生命の源である地球そのものが取り返しのつかない状況に陥ることが懸念されております。
そこで私たちは、この解決のために、日常生活において少々の不便さを我慢し、環境にできるだけ負担をかけない節度のある暮らしへと転換していくことが求められています。
そのためには、産業分野を初め、都市交通や市民生活などさまざまな分野での取り組みが必要でありますが、今回私は、特に市民に身近で、また実施することでその効果が期待できる二つの取り組みについて述べたいと思います。
まず、物質的な豊かさの象徴である、毎日大量に出されているごみ問題であります。
自治体が抱える問題は多種多様にわたっておりますが、中でもごみ問題は全国の自治体が共通して頭を悩ましている問題であります。
焼却場や埋立処分場は建設する場所に困り、数百億の建設費と膨大な処理経費が財政を圧迫し、さらに追い打ちをかけるように、焼却場から発生するダイオキシン問題がクローズアップされております。
このごみ問題こそ環境問題の原点であり、私たち市民一人一人がみずからの問題としてとらえ、真剣に論議していかなければならないのであります。
次に、現代の便利さを象徴する車社会のあり方を見直すということであります。
特に、地球温暖化の主原因である二酸化炭素の多くは自動車から排出され、汚染物質もまた排ガスによるものがほとんどであります。これからも本市の青く輝く清らかな大気を守り引き継ぐため、今日の自動車を中心とした交通体系を根底から考え直すことが必要ではないでしょうか。
このようなことを踏まえ、環境問題に関し二点お尋ねをいたします。
まず第一点目は、都市の重要課題として、深刻化するごみ問題についてお尋ねをいたします。
今般、国において、循環型社会基本法案が国会に提出される予定になっております。この法案は、国民と事業者、そして行政が公平な役割分担をしながら環境負荷の少ない社会をつくることを基本理念としております。
このように、ごみ問題の解決には、市民と行政がそれぞれの役割と責任を果たし、協力して取り組んでいかなければならないことは改めて申すまでもありません。特に、市民一人一人がごみ排出者としての責任を強く認識し、その責任を果たしていかなければならないのであります。
このような観点からこれまでの本市のごみ行政を見ますと、家庭ごみの減量化やリサイクルを推進するためさまざまな啓発や広報活動を実施しておられますが、残念ながら十分な成果が上がってきているとは言いがたいものがあります。
例えば、先日新聞に大きく報道されましたように、せっかくペットボトルの分別回収、リサイクルに取り組んだものの、家庭の出し方が悪く、その半数はごみとなってしまっている現状であります。
そこで、提案でございますが、平成十三年度から家庭ごみの中で大型ごみについては有料化すると表明されておりますが、本当に減らすためには燃えるごみなどについても有料化に取り組まれてはいかがでしょうか。そして、その中で瓶や缶などリサイクルができるものは無料とし、差をつければその回収効果は高まるものと思うのであります。
さらに、有料化により得られた収入は、例えば「グリーン基金」を創設し、再生品の利用促進の経費として、また地域の美化や緑化などの活動支援として、さらには、子ども会の活動などに役立てれば環境保全や環境教育の推進にもつながるものと思います。
またごみの有料化は、見方を変えますと、ごみとして捨てるしかないようなものはできるだけ買わないといった市民の機運を高める効果もあるわけです。そして、これらの結果、四百億円もする焼却場をつくらなくて済みます。市民の負担も軽減されることにもつながるわけであります。
そこで、お尋ねをいたします。
現在、全国で約三割の市町村が家庭ごみ有料化を実施しております。ごみ減量や市民意識の高揚にかなりの成果を上げておると聞いております。
このように、有料化はごみ問題の解決に非常に有効な手段であると思いますが、環境保全局長の見解をお聞かせいただきたいと存じます。
引き続き、自動車交通の抑制という観点から、自転車の利用促進についてお尋ねをいたします。
御案内のとおり自転車は、市民に最も身近で手軽な乗り物として、子供から大人まで、通勤通学、あるいは買い物などに利用されており、市民生活に欠かせない交通手段であります。また、環境にやさしい乗り物として、これからの都市づくりにおいてはその利用を積極的に進めていくべきではないかと考えております。
しかし、本市の利用の現状はと申しますと、特に朝夕の通勤通学の時間帯では、子供たちが自動車の合間を縫うように、また歩道があっても、段差やいろいろな障害物を避け、歩行者とぶつかりそうになりながら運転している姿をよく見かけるわけであります。
また、中心部や駅周辺部においては、自転車が所構わずとめてあり、安全性はもちろんのこと、本市のすばらしい景観を損ねていることも皆様御承知のとおりであります。
そこで、市民の皆様がより安全に、そして今以上に手軽に自転車を利用していただく方策について幾つか提案申し上げたいと思います。
その一つは、安全性を確保するための自転車道整備についてであります。
先ほど申し上げましたように、自転車を利用する人たちは、時間帯によってはまことに危険な状況下にあるわけですから、できれば早急に自転車専用道路を整備してほしいと思うのでありますが、今日の財政状況を考えますと、新たな用地買収を行い、既存道路の拡幅や専用道の整備はなかなか難しいものがあります。
そこで私は、今ある施設、例えば白川や加勢川などの河川敷や水路などの有効活用はできないかと思っております。
実際に他都市では、鉄道敷の跡地や不用となった用水路敷が利用されておりますし、また京都では、鴨川の河川敷を利用した自転車道の整備が行われていると聞いております。
本市にこのような施設がどれだけあって、また本当に利用できるかなど、解決すべき課題は多いと思いますが、ぜひ検討いただきたいと思います。
次に、駐輪場の整備についてであります。
自転車の魅力はちょっとしたスペースにとめられる手軽さにありますが、その手軽さが多くの不法駐輪を招いているのも事実であります。つまり、利用者のマナーによるところが多いわけであります。
しかし、目的地の近くにもし小規模でも駐輪場があるならば、とめてはいけないところに駐輪する人は少ないのではないでしょうか。
そこで提案であります。
先ほど申し上げました自転車道と同様に、既存施設の有効利用を図り、例えば空き地や駐車場の一部を借り上げたり、あるいは場所によっては歩道も利用するならば、駐輪対策は大きく前進するのではないかと思うのであります。
以上、自転車の利用促進策について述べてまいりましたが、本市は平たんな地形であり、もう少し利用しやすい環境を整えるならば、利用者は必ず増加し、ひいては環境にやさしいまちづくりにつながるものと思うのです。
そこでお尋ねです。
今回の総合計画では「自転車の利用を促進する」と掲げておられますが、二十一世紀のまちづくりにおいて自転車をどのように活用していかれるのか、企画調整局長の御答弁をお願いいたします。
〔澤田幸男環境保全局長 登壇〕
◎澤田幸男 環境保全局長 ごみの有料化につきまして竹原議員にお答え申し上げます。
ごみの有料化は、皆様御案内のとおり、ごみ処理費用の一部を負担していただくための有料指定ごみ袋や有料シールなどを用いる方法が一般的であり、ごみを多く出す人は負担が多く、ごみの減量に努めている人は負担が少なくなるため、ごみになるようなものは買わないといったような消費行動に結びつくシステムでございます。
この有料化につきましては、これまで人口規模が十万人以下の自治体で多く実施されておりましたが、最近では比較的大きな都市などでも導入が進んでおり、例えば、大型ごみの有料化を導入された都市では、大型ごみの排出量が半減するなど相当の減量効果があらわれております。
また、議員御提案の燃やすごみなどの有料化につきましても、例えば北九州市で平成十年七月に導入されており、一二%のごみの減量と、資源ごみの一五%増加という効果とともに、市民意識の高揚の面でもかなりの成果が上がっているようでございます。
その一方で、有料化がごみの不法投棄や家庭での焼却など不適正な処理を招いたり、減量効果は一時的というような自治体の事例も聞き及んでおりますが、いずれにいたしましても、市民の皆様の御理解と御協力の度合いが重要なポイントとなるわけでございます。
このようなことから、本市におきまして、有料化の賛否についての市民アンケートを実施しているところでございます。
まず九年度の市民意識調査では、有料化に反対という意見が五七%と過半数を占めておりましたが、十一年度の調査では、逆に賛成意見が六五%にも達しております。この賛成意見のうち九割が、「リサイクルできるものは無料にする」「収入は環境保全に使う」などの内容であれば賛成という条件つきのものでございました。
議員に御提案いただきました「グリーン基金」の創設などもこのような市民の皆様の御意見と合致するものであり、環境保全や環境教育の推進につながる貴重な御提案として検討させていただきたいと考えております。
本市では、十三年度には大型ごみの有料戸別収集を導入する予定でありますが、燃やすごみや埋め立てごみの有料指定ごみ袋につきましても、今後、市民の皆様の御意見や議会の御論議をいただきながら真剣に検討してまいりたいと考えておりますので、御理解と御協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕
◎齊藤聰 企画調整局長 自転車を活用したまちづくりについてのお尋ねでございます。お答えいたします。
近年、道路混雑が顕在化する中、自転車が経済的で機動性の高い乗り物として見直され、年々利用者が増加していることは御案内のとおりでございます。
この利用拡大に対応するため、本市におきましても平成七年に「自転車利用基本計画」を策定し、中心部や健軍地区における駐輪場の整備など、その対策に取り組んできたところでありますが、利用環境の現状は、議員御指摘のとおり、安全確保や駐輪対策にいまだ多くの問題を抱えているのも事実でございます。
このような中、今回の第五次総合計画を策定するに当たり、市民の皆様からさまざまな御意見をいただいたわけでありますが、その中で、とりわけ自転車について安全面や利用促進の要望を多数賜ったところでございます。
このようなことから、新基本構想においても、重点的取り組みの一つとして、自転車を交通問題解決のための有効な手段としてはもとより、環境にやさしい乗り物としてもその利用促進を図るとの位置づけをしたところでございます。
そこで、この三月、早速庁内の関係部署でつくる研究会を立ち上げたところであり、今後、その中で、ただいま議員より御提案いただきました河川敷の利用や空き地の借り上げなども十分踏まえながら、自転車道整備や駐輪場対策、さらには利用者のマナー改善策等について、実現に向けて鋭意取り組ませていただきたいと考えております。
〔十二番 竹原孝昭議員 登壇〕
◆竹原孝昭 議員 ごみ対策は都市の重要課題でありますが、市民の協力やモラルが向上するならば解決策も多く効果が期待できる取り組みです。
このようなことから、私は、市民のモラル向上の有効な手段としてごみの有料化を提案したところでありますが、御答弁にありました市民アンケート調査では、賛成の方が約六割を超えていることをお聞きしまことに意を強くしたところであります。ぜひ進めていただきたいと思います。
また、自転車の利用促進については積極的に取り組みたいとの前向きの御答弁をいただいたところであり、解決すべき課題は多いと思いますが、できるところから取り組んでいただきたいと思います。
次に、福祉行政について二点お尋ねをいたします。
まず、熊本市優待証いわゆるさくらカードの交付についてであります。
御案内のとおり、本事業は、七十歳以上の高齢者を初め、障害者、被爆者の方々を対象に、市内のバスや電車の乗車及び市の施設等が無料で利用できる優待証を交付されていますが、高齢者や障害者の方々の社会参加を促進し、生き生きとした生活を送っていただきたいとの願いを込めて平成八年から実施されております。
これからますます高齢化が進む中で、いつまでも生き生きと生きがいを持って暮らすことは万人共通の願いであり、このように、いつでも無料でバスや電車を利用して外出し、社会との関係を保ち続けていけるのは本当に喜ばしいことであります。
三角市長の英断で始まったこのさくらカードは、スタート当初から市民の皆様に大変喜ばれており、年々交付者もふえ、六万人を超える方が交付を受けておられるとのことです。
しかし、そういった喜びや感謝の声を聞く一方で、一抹の心苦しさを感じておられる方々が少なからずおられるということを耳にしております。
と申しますのは、「電車やバスを気軽に利用できるのはありがたいが、何の負担もしないで無料というのはかえって気持ちの上で負担に感じてしまう。」ということであります。
対象者の大半は七十歳以上の高齢者の方々であり、これらの皆さんは、さきの大戦で荒廃した我が国を、今日の豊かな社会に築き上げるため、これまで身を粉にして一生懸命に働いてこられた方々であり、その貢献に対し私たちは心より敬意を表するものでありますが、むしろ、これらの方の中には、「できるだけ他人様のお世話にはならない。」ということを信条として生きてこられた方々も多く、何も負担せずにサービスを受けることは心理的に受け入れがたいのではないかと思うわけであります。
現に、運賃に相当する金額を何かに役立ててほしいと市にわざわざ届けに来られる方や、さくらカードを持ってバスに乗ったものの使う決心がつかず、結局運賃を払われる方もあるやに聞いております。
また、これまでの新聞投書などにおいて、高齢者の御意見として、「幾ら高齢者といえども、ある程度の自己負担をするのは当然である。一回の乗車につき百円を支払うようにしたら気持ちよく利用できるのではないか。」というような御提案もあっております。
このような状況を見ますと、今や福祉事業といえども、すべてを無料にすることが当事者にとって常に最善策であるとは限らないのではないかと思うのであります。
時あたかも、本市においては、厳しい財政状況の中、行政改革に懸命に取り組んでおられるさなかであります。このさくらカード事業には年間六億円という多額の経費を要しておりますが、これは各バス事業への損失補てん的な性格のものであり、無理をお願いして協力いただいていると聞いております。
今後も対象者が増加する一方で、事業者には経営的に困難な状況が続いており、本市に負担増の要望が予想されるところでありますが、本市が応じるにしてもおのずと限界があると思います。
私は、新しい時代における福祉のあり方とは、自助や公助だけではなく、ともに助け合い支え合うという共助の精神をもっと広げることが必要であると考えております。
さくらカードも、行政とバス事業者、そして利用者の三者の応分の負担があって初めて相互の理解が得られ、事業も末永い継続が可能となるのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〔議長退席、副議長着席〕
引き続き、二点目として、父子家庭に対する援助制度についてお尋ねいたします。
今日、我が国では離婚件数が急増し続ける中で、母子家庭や父子家庭といった一人親家庭も増加の一途をたどっております。
一方で、長引く不況を背景に、所得も伸び悩み、家計を取り巻く状況も極めて厳しくなっており、とりわけ一人親家庭においてはその厳しさはひときわで、そのような相談もたびたびでございます。
このような中、母子家庭につきましては、従来より、児童扶養手当等の経済的な支援や、母子福祉センター等の相談窓口の設置など、十分とは言えないまでもさまざまな公的な援助制度が整備されてきております。
しかしながら、父子家庭に対する施策は、国はもとより、それぞれの自治体においても極めて数少ないのが実情であり、本市でも、父親や子供が病気などのときに無料で介護人を派遣するサービスや、短期間子供を預かる制度があるだけで、このような背景には、これまで、一人親家庭と言えば、父親を失い経済的に困窮する母子家庭という場合が大半であったことがあると思うのですが、昨今は、離婚事情の変化や価値観の多様化に伴い父子家庭も増加しています。そして、父子家庭の場合は、経済的な困難にも増して、家庭生活や子育てにおける不安が大きいのではないかと思われます。
近年、仕事と家庭の両立ができるような社会の構築が叫ばれてはおりますが、現実の社会では依然として家庭より職場を優先させる企業風土が根強く残っており、特に男性に対してはその傾向が強く、子供の成長や家庭の維持に大きな支障を来しているのであります。また反対に家庭を優先させようとすれば、転職などの経済的な不利益を覚悟しなければなりません。
このことは、いわゆる男女共同参画社会の構築にも大きくかかわる問題であります。男女がともに責任や役割を分担しながら社会や家庭を支えていくことがその理念でありますが、このような父子家庭が抱える問題も、実は家庭と仕事の両立に悩む母親たちの問題と根っこは同じであります。
ややもすると女性の社会進出だけに世間の目が注がれがちですが、このような父親たちの問題にも社会はきちんと目を向け支援の手を差し伸べるべきであります。
例えば、子供の修学資金等の貸し付けなども、母子家庭には無利子で行われる制度があるのに、父子家庭ということで法的に対象から外されてしまうのは何とも理不尽であります。
私は、基本的には、母子家庭、父子家庭と区別するのではなく、一人親家庭に対して必要な社会的支援をしていくことがこれからは不可欠であると思います。
そこで、お尋ねをいたします。
まず、一点目として、市の優待証交付について、今後、市はどのような方針で臨まれるのか。
また二点目に、父子家庭に対する支援について、市としてどのような施策を考えておられるのか、健康福祉局長の御答弁をお願いいたします。
職務のため出席した事務局職員
事務局長 友 枝 佑 二 事務局次長 大橋 舜一郎 議事課長 松 本 豊
議事課長補佐 山 田 利 博...