平成 9年第 3回定例会-09月09日-03号平成 9年第 3回定例会
平成九年九月九日(火曜)
議 事 日 程 第三号
平成九年九月九日(火曜)午前十時開議
第 一 質 問
午前十時二分 開議
○主海偉佐雄 議長 ただいまより本日の会議を開きます。
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○主海偉佐雄 議長 日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。島田俊六議員。
〔二十番 島田俊六議員 登壇 拍手〕
◆島田俊六 議員 おはようございます。公明の島田俊六でございます。
質問通告に沿って簡潔に質問いたしますので、明快なる答弁をお願いします。
まず最初に三角市長に伺います。
三角市政がスタートして十二月で丸三年になります。田尻市政を引き継ぎバブル崩壊という大変な財源難のときであったがゆえに、市政のかじ取りに大変御苦労されたと思います。ハード面では、財源難のため事業が見直されたり先送りされたり、三角カラーが出しにくい現状になっております。
このような市政の中で三角カラーをどう打ち出していこうとされているのか、率直な感想を伺いたいと思います。
また、市役所は市民に対して最大のサービス産業であります。ソフト面においても、市長就任以来一貫して人情味あふれるやさしいまちづくりを訴えてこられました。この思いがどれだけ全職員に徹底されたのでしょうか。市長の思いとは裏腹に、市民税や固定資産税等の課税ミスが発覚し、市民から厳しい批判を受けました。
四年の任期まで一年三カ月、三角市政が問われるのはこれからではないでしょうか。今後の市政の運営をどのようにされるのでしょうか、お伺いいたします。
続いて、市の財政について総務局長に伺います。
平成七年度
決算審査意見書を見てみますと、財政上の能力や財政構造の弾力性を判断するため、
普通会計ベースで財政力指数、
経常一般財源比率、
経常収支比率、公債費比率について分析、年度比較を行った結果と、市債、
債務負担行為額、
財政調整基金について詳細に述べられています。現在の財政が非常に厳しい状況にあることがわかります。
例えば、まず決算収支の中でも、実質収支に示される黒字または赤字は地方公共団体の財政運営の状況を判断する重要なポイントであり、おおむね三ないし五%程度が望ましいとされています。熊本市の実質収支比率を平成五年、六年、七年と見てみますと、五年が〇・六、六年が〇・五、七年が〇・九、
類似都市平均値──類似都市とは新潟、金沢、姫路、尼崎、静岡等十九都市です。中核市がほとんど含まれております。平成五年が二・八、平成六年が二・六、平成七年度が二・六になっております。
次に財政力指数を見てみますと、財政力指数は地方公共団体の財政力の強弱を示す指数で、一に近いほど財政力が強いと見ることができ、一を超える団体は普通交付税の不交付団体であります。本市は、平成五年が〇・六七九、六年が〇・六七一、七年が〇・六七八。類似都市が、五年が〇・九七〇、六年が〇・九五八、七年が〇・九五六になっております。
次に
経常収支比率。この数値が高いほど余剰財源が少なく、当該団体の硬直化が進んでいると言える。一般的に、都市においては七五%程度におさまることが望ましいが、八〇%を超える場合にはその財政構造は弾力性を失いつつあると。その数値が本市では、平成五年が七九・八、六年が八二・七、七年が八三・二になっております。類似都市は、平成五年が七七・九、六年が八四・一、七年が八三・八になっております。
次に公債費比率。通常、財政構造の健全性が脅かされないためには公債費比率が一〇%を超えないことが望ましく、一五%を超えれば将来財政硬直化を招くおそれがあり、
財政運営上注意が必要とされています。本市では、平成五年が一七・一、六年が一七・七、七年が一八・三。類似都市が、五年が一二・四、六年が一三・四、七年が一三・四になっております。
この公債費比率に一部補正を加えたものが
地方債許可制限比率で、この数値が過去三年度間の平均で二〇%以上になると地方債の発行の許可が一部制限されるとなっております。熊本の場合が、平成五年が一三・九、六年が一三・九、七年が一四・三。類似都市が、五年が一〇・〇、六年が一〇・三、七年が一〇・六になっております。
最後に、市債及び
財政調整基金を見てみますと、市債現在高は、平成五年が二千百五十四億七千九百万円余り、六年が二千三百四億三千五百万円余り、七年が二千七百二十九億一千五百万円余りとなっております。
逆に、
財政調整基金残高は、五年が九十四億八千三百万円余り、六年が五十三億八千百万円余り、七年が四十五億一千二百万円余りと、だんだん減っている状況になっております。
市民一人当たりの市債額を計算してみますと、平成七年が四十二万九千八百六十四円となっており、類似都市より十三万一千五百二十二円高い数値になっております。
どれをとっても市財政は厳しいものになっております。総務局長、平成八年度はどのような状態になっているのでしょうか、明快に数値で答えていただきたいと思います。
また現状をどのように認識されているのでしょうか、お伺いいたします。
次に、長年代表監査委員として市の財政を見てこられました
服部代表監査委員にも率直な感想をお尋ねいたします。
〔三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 島田議員にお答えをいたします。
財政状況等々お述べをいただき、私が平成六年十二月に就任をいたしまして二年と十カ月たったわけでありますけれども、大変やりにくい状況だったろうというふうなお話をいただき、こういった中で、どういう思いでやってきたか、あるいは今後の市政運営についての考えということであったかと思います。
お説のとおりに、社会経済情勢は大変変化をいたしておりまして、バブル崩壊の前に、大概の方々が、このような経済状況が来るというふうなことは余り思ってもいなかったのじゃなかろうかというふうに思います。
私どもの税務担当の者にいろいろ状況を尋ねてみましても、このように税収の落ち込みが長く続くとは思わなかったというふうな答えが返ってくるわけでありまして、大方の方々がそういう見込みであったものですから、決して見間違いがあったというふうに私は思ってないところであります。
そのように、財政が豊かであったときに、市民のために、市民サービスのためにというふうなハードの面でお金を使っていくということは大変大事なことでもありますし、先人たちの、そういったような時期に市政を運営をし、施設等々についてもお金をつぎ込んでいったという面について大変私は敬意を表するものの一人であります。
そういった中で、このような経済状況の変化に伴い、今の状況においては、借金を二割返していかなければならないと。これは、現在私どもが担当をしていく上では当然のことであるわけでございまして、今までの財政状況に対するツケの支払いということになっていくわけでありますけれども、このツケをいかに早く返していくか、そしてまた、このツケを返しながらも、市民生活に支障がないようなことでまた債務をつくっていくというふうなことに対して、そのバランスを考えていかなければならない時期でありまして、私に課せられたこの二年十カ月は、そういう意味では、バランス感覚の中で市政を守っていくというふうな形の中で、ソフトの面に力を入れて来たつもりであります。
今後、この市政運営につきましては──きょうもラジオで、
南九州財務局管轄の中で、上位二十社の企業が、昨年に比べて一五%の落ち込みというふうに発表がされておりました。この数年で税増収が考えられるということはなかなか難しいことではなかろうかというふうに思っておりますが、市政は片時もとまるわけにはまいりません。
そういうことで、私が掲げておりました市政運営の根幹と申しますか、「安全で健やかなまちづくり」「心のかようまちづくり」「生きがいを感じるまちづくり」「豊かな感性を育むまちづくり」、一番最初は、やはり安全で健やかな、防災面とか医療、福祉の面とかいうものについては力を注いでいかなければならない。「心のかようまちづくり」、人間関係が常に良好である。また四番目の「豊かな感性を育むまちづくり」、この問題については、やはり行き着く先は教育でございまして、教育の面については惜しむことなく金を使っておかなければならんというふうな思いをしておるところであります。
そういう面からいきますと、当然税の増収を図るためには、経済効果を考えながら、幾らこれが経済振興に役立つか、その辺のバランスを考えて投資もしておかなきゃならんというふうな思いをいたしておりまして、まずハード面に力を注いでまいりたいと。そして、計画を立てながら、借金を返しながら、債務をつくってでもやるべきことはやっていかなきゃならんというふうに思っておるところでございます。
何はともあれ、すべての市民の皆さん方が熊本市に住んでよかったと幸せを感じられるようなまちづくりに向かって、今後とも懸命に頑張ってまいる所存でございますので、議員各位の御支援を心からお願い申し上げます。
〔野田晃之総務局長 登壇〕
◎野田晃之 総務局長 平成八年度の決算状況についてのお尋ねでございます。
平成八年度の決算分析については、現在、
地方財政状況調査を県を通し国に報告いたしているところであります。また、その内容については、去る八月末に監査委員に提出し、ただいまその審査をお願いいたしているところでございます。
このような状況でありますが、現段階での数値を申し上げますと、一般会計で、歳入総額約二千二百十七億六千三百万円、歳出総額約二千百九十四億五千八百万円、この
歳入歳出差し引き額から翌年度へ繰り越すべき財源を控除した実質収支は約七億六千三百万円の黒字となっております。
また、議員御指摘の
各種財政指標等でございますが、実質収支比率は〇・七%、財政力指数は〇・六七、
経常収支比率は八九・三%。なお、同比率は減税補填債を本来の一般財源として試算しますと八五・二%となります。公債費比率二一・九%、起債制限比率一五・三%、市債現在高約二千九百四十一億二千五百万円、
債務負担行為額約三百八十七億二千百万円、
財政調整基金現在高約二十八億七千百万円という状況であります。
この決算を踏まえた本市財政状況についての認識でございますが、ただいま申し上げました
各種財政指標等の数値にあらわれておりますとおり、まことに厳しい状況にあると考えております。特に公債費比率は、平成七年度の開発公社清算の際借り入れした市債の元金償還が始まったこともあり、二〇%を超える数値となりました。
ここで、公債費比率と起債制限比率の違いについて若干申し上げさせていただきますと、公債費比率は、公債費がどの程度後年度の財政負担になるか計数的に見る一つの指標であり、これが直接的に起債借り入れの制限等に結びつくものではなく、公債費比率の算式に、
地域総合整備事業債等、償還時に交付税に算入される公債費の額を控除し算出する起債制限比率が実質的な起債制限を判断する指標となっております。
また、その他の指標につきましても、その水準の低下が見られるところでございまして、議員各位並びに市民各位に御心配をおかけし、まことに申しわけなく存じているところでございます。
今後の財政運営におきましては、これら数値の改善を含め、全庁挙げてその健全化に真摯に取り組まなければならないと考えているところでございます。
〔
服部公雄代表監査委員 登壇〕
◎服部公雄 代表監査委員 現在の財政状況についての感想ということでございますが、感想と申しますと、無責任な第三者が適当な論評を加えるというようなことで、ちょっとそぐわないかと思いますが、どのように認識をしているかということでお答えを申し上げます。
今総務局長が申しましたように、八年度の決算を今週から審査に入ったばかりでございまして、具体的に分析した数値は持ち合わせておりません。したがいまして、わかりやすいように、昭和六十年度、それから十年たった昨年の平成七年度、こういう二つの年度を比較しながら御説明申し上げたいと思います。
今総務局長の方から二つ財政指標が報告されたわけですが、一つは経常収支比率、一つは公債費比率ということでございます。
経常収支比率というのは財政のゆとりを示す比率でございまして、これが高いほどゆとりがないということでございます。平成七年度が八三・二、その十年前の昭和六十年度が七九・七、今のお話ですと平成八年度は八九・三ということでございます。
これは、一般財源のうち、例えば平成六年度で申しますと八割が経常経費に食われてしまうと。したがって、政策的にいろいろ考えて投資をする、使う財源といういうのは二割しかないということですね。それが今の話で、平成八年度は八九・三ということは、約九割になった。政策的に充当する財源というのが二分の一だったと、こういうことを示しておるわけでございます。したがって、それだけ財政にゆとりがなくなったということですね。
それから公債費比率でございますが、これが昭和六十年度が一五%、平成七年度が一八・三、今のお話で平成八年度は二一・九%と。非常にこの十年で伸びておるということは、この十年間起債の借り入れがあったということでございます。
バブルというのが平成に入りまして二年あるいは三年の初めにはじけたわけです。この低迷が続いておるわけですが、国は景気浮揚として公共投資の拡大をした。それに呼応して市も拡大したわけですが、本市は特に単独事業を中心に事業の拡大を図った。その事業の拡大の財源はいわゆる起債であり、
財政調整基金の取り崩しだということです。だから、その当時の財政運営のツケが現在顕在化してきていると、こういう認識をいたしております。
ただ、こういう財政指標は一朝一夕には改善できないわけでございまして、今後、中長期的な視野に立った財政運営をそこに望むものでございます。
具体的には、やはり行政改革の推進、事務事業の見直し、あるいは事業のプライオリティー(優先順位)、こういったものを十分考えた事業の選別、こういうことをしなければならないなと、このように考えております。
〔二十番 島田俊六議員 登壇〕
◆島田俊六 議員 代表監査委員より詳しく状況を教えていただきました。総務局長より答弁がありました平成八年度と七年度を比較してみますと、実質収支比率はマイナス〇・二ポイントになっております。これは数値が下がれば財政運営が厳しくなることを示しています。財政力指数はマイナス〇・〇〇八ですから、大体横ばいになっております。
経常収支比率は六・一ポイント、これは高い数値で上昇しております。公債費比率は三・八ポイントと大きく伸び、今発表がありましたように二一・九%にもなっております。起債制限比率は一・〇ポイント上昇。市債現在高は二百十二億円余り膨れ上がっております。逆に
財政調整基金は十六億四千万円余り少なくなっております。
また、一人当たりの地方債残高は四十六万八百七十三円で、平成七年度より三万一千円余り増になっております。平成八年度の実質収支は七億六千三百万円黒字となっておりますが、一方では、
財政調整基金から十六億四千万円余り取り崩しをしていることになっております。市民一人当たりの借金も三万二千円ぐらい多くなっているというのが、平成七年、平成八年度という二つの年度を見たときに言えるのではないでしょうか。
このように、どれ一つとっても厳しいというか最悪の状態になっていると思います。
ここで、平成五年、六年、七年度の決算意見書の最後の部分、平成五年は、「今後は不透明な景気動向のなかで、減税等に伴う市税の伸び悩み等も予想されるため、
各種事業施策の優先順位を峻別し、中長期的な視点に立って、効率的な行財政運営をより一層望むものである。」と言っています。
平成六年度は、「財政環境が景気の低迷を受けて税収の動向が一段と厳しいなかで、本市の財政構造は新規の行政需要に即応し得るような弾力性を有しているとは言えない状態にあり、このようななかで、市民の身近な社会資本の整備、高齢化社会への対応など重用施策を実施するためには、大胆な事務事業の見直しを含め、限られた財源の重点的、効率的な配分と中長期的視点に立った節度ある行財政運営、早急な財政健全化に取り組まれるよう望むものである。」 平成七年度は、「財政再建への取り組みは評価するものの、地方債現在高の増嵩等、ますます厳しい財政状況の中で社会構造の変化に柔軟に対応して行かなければならないことを考えると、その前途は険しく、多難なものである。従前にも増して大胆な事務事業の見直しを行い、不要不急の事業を廃止、抑制し、重点的、効率的な財源配分を図り、財政健全化を進め、中長期的視点に立った行財政運営を望むものである。」と言っております。
平成八年度は、今
服部代表監査委員が答弁されたとおりであります。
もう四年前から、中長期的視点に立った行財政運営が望まれていました。これは監査からの警告ではなかったかと思うのです。
本市の行革を推進するのはもちろん、財政再建五カ年、十カ年計画を立て、それを議会にも、全市民にも、全職員にも公表し、御理解と御協力をお願いし、強力なリーダーシップで推進する以外にこの厳しい財政再建はできないのではないでしょうか、総務局長の所見を聞かせていただきたいと思います。
このように厳しい財政状況の中で、田尻市政から引き継いだ事業、また新しい事業の推進が計画されているものを申し上げますと、企画調整局の美術館建設。教育委員会の新図書館、新教育センター、市立二校の建てかえ。保健衛生局の熊本保健所の建設、熊本産院の建てかえ、斎場建設の推進、墓地公園の拡張。経済振興局の金峰山・
有明海沿岸観光開発の推進、
水産技術センター、
都市農業技術センターの建設、
食品工業団地フードパル熊本の支援、熊本港背後地整備。都市局の
下水道整備建設、
西部浄化センターの建設、熊本駅前再開発、北バイパス、
西回りバイパスの建設。建設局の大井手川
新屋敷リバーサイド建設。交通局の上熊本基地の建設等々、どれも大きな財源が要るものばかりです。このプロジェクトの中から三点。
交通局の
上熊本電車基地の現在の問題点と今後の取り組み。
二点目が、食品工業団地が十一月オープンする予定になっておりますが、問題点と取り組みについて。
三点目が、先ほど市長が、教育にはどんどんお金を使わなければならないと言われていましたが、私が最優先で建設してほしいのが新教育センターであります。どんな時代になっても教育が一番大切で、その中枢的存在が教育センターであります。その建設はどのようになっているのでしょうか。
以上三点、各局長にお尋ねいたします。
三角市長に現在の市の財源を踏まえてのお尋ねをいたします。
交通局の
上熊本電車基地のおくれも、高度な政治判断が要求されているのではないでしょうか。三角市長は、
熊本経済同友会で、熊本駅周辺整備、熊本城整備、
都市ゾーン交通整備、
総合防災公園建設等々、九項目を発表されていますが、これが事業の優先順位なのでしょうか。これだけ厳しい財政状況の中で事業を推進するためには、優先順位を明確にするとともに、高度な政治判断が求められています。
三角市長の見解を伺いたいと思います。
〔野田晃之総務局長 登壇〕
◎野田晃之 総務局長 財政状況改善のため中期の財政見通しを明らかにすべきではないかというお尋ねでございます。
今日、国、地方を通じ、その財政状況は極めて深刻な状況にあり、国においてはこのような状況を踏まえ、財政構造改革を強力に推進することといたしております。特に平成十年度予算の編成に当たっては、従来までのシーリングを廃止し、新たに主要経費ごとに上限を定めるキャップ制を導入し、その中で、公共事業については七%削減を打ち出すなど、厳しい姿勢を示しているところでございます。
このような中で本市におきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、まことに厳しい財政状況下にあり、今後は
行政改革大綱推進プログラムの着実な推進はもとより、
各種財政指標等の改善に留意しつつ、財政の健全化に向けできる限りの努力を重ねなければならないと考えております。
そこで、議員御指摘の
中期財政見通しについてでございますが、私
ども都市自治体が中期財政の見通しを作成しようとする場合、特に歳入の大宗を占める市税、地方交付税等の見通しが非常に立てにくいという現状にございます。
すなわち、これらの歳入が景気の動向等で大きく変動することはもちろんでございますが、より以上に、これらの歳入の根拠となります地方税法、地方交付税法が、毎年国レベルの税制改革、
地方財政計画等によって決定、変更されるという実情にあり、その動向が都市自治体の主体的意思によって決定されるものではないということが一つの大きな要因となっております。
しかしながら、本市の財政運営を行うに当たり、私どもといたしても中長期の財政見通しの必要性は十分認識いたしており、内部的には、一定の仮定のもとではございますが、中期的な試算をいたし、予算編成作業にそれを活用いたしているところでございます。
この試算につきましては、先ほど申し上げました要因等もあり、変動要素を多く含むものであって、かつ
随時見直し変更を行うべきものでございますが、これを公表いたしますと、それが固定的な見通しであると受け取られる可能性もありますので、現段階では直ちに公表することは控えさせていただきたいと存じます。
なお、現段階での試算を踏まえ、今後の財政運営について申し上げますと、今後の市税、地方交付税については、現在の景気の動向等を考慮すると多くは期待できない状況にあり、一方、歳出面では、今後行政改革大綱にある削減努力を行ったとしても、義務的経費でございます公債費、扶助費等の増嵩がやむを得ないなど厳しい状況が続くものと見込んでおります。
したがいまして、
起債制限比率等各種財政指標の数値に留意し今後の財政運営を考えますと、例えば、普通建設事業については、ここ数年単独事業の縮減を行いつつも、一方で大型事業の推進もあり、総額的には縮小された姿とはなっておりませんでしたが、今後は、補助、単独を問わず思い切った縮減に取り組む必要があると考えておりますので、議員各位の御理解、御支援をお願い申し上げます。
〔
行徳健次交通事業管理者 登壇〕
◎行徳健次
交通事業管理者 上熊本電車車両基地の問題につきましてお答えをいたします。
議員御承知のとおり、
上熊本電車車両基地は、一般会計との複合施設として
上熊本ターミナルビル計画が検討されてきた経緯がございます。現在のところ、福祉関係施設の整備計画案で引き続き検討いただいております。
交通局といたしましては、種々制約もありますが、車両基地用地を高度利用することによる収入も念頭に置いておりますし、本市の北の玄関口であり、JR上熊本駅、熊本電鉄、そしてバスとの交通結節点でもありますことから、電車基地だけの整備にとどまらず、地域の活性化につながる施設として整備する必要があるのではないかと考えているわけでございます。
したがいまして、現在のところ、車両基地は、公共施設との複合施設として整備することを基本方針に取り組んでいるところでございます。
御承知のように、老朽化が著しい現状と、基地用地を購入して五年目を迎えており、また企業債の元金償還も始まっておりますので、今後、一般会計での検討の行方を踏まえつつ、基地の整備計画の一日も早い実現に向け取り組んでまいる所存でございます。議員各位の御支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。
〔坂田憲一経済振興局長 登壇〕
◎坂田憲一 経済振興局長 食品工業団地の件につきまして島田議員にお答えを申し上げます。
現在、協同組合フードパル熊本は、十一月上旬の落成に向けまして工事その他最後の準備を鋭意進めているところでございます。
現在、協同組合十二社におきましては、新しい時代にふさわしい地域中小企業として精いっぱいの決断と努力を続ける中、自社の経営計画のほか、工房村、あるいは朝市、さらには大型レストランなど、にぎわう施設づくりを共同事業として取り組まれております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、企業用地十万四千七百平米のうち約五万平米分がまだ入居企業未決定になっており、このことにつきましては、本来的には組合が残余を負担すべき事柄でございますが、先ほど述べましたように、共同事業に加えまして、これらを組合に負担させることは、組合自身の負担能力を超え、今後の組合運営に大きな支障を及ぼすことが予想されます。
したがいまして、財政事情大変厳しい時期ではございますが、未決定企業用地のうち貢地区約二万九千平米を市の企業誘致ゾーンとして位置づけ、一時これを取得することによりまして、協同組合への支援を検討させていただきたいと考えております。
今後の入居企業の見通しにつきましては、現在二社と具体的な交渉中でございますが、これが決定いたしますと七〇%の充足率となります。今後も引き続き、事業団、協同組合と協議をしながら、平成十年度中を目標に、全区画入居決定ができますよう精いっぱいの努力をしていきたいと考えております。
議員各位の温かい御理解、御支援をいただき、全国でもユニークな地域中小企業の躍進の舞台として、ぜひとも実現しなければならないと考えておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。
〔後藤勝介教育長 登壇〕
◎後藤勝介 教育長 私の方からは、教育センターの改築と申しますか、取り組み状況について御報告をさせていただきます。
現在の教育センターは昭和六十二年に建設をいたしましたが、大変特色のある施設として現在まで活用させていただきました。しかし、いじめや不登校等の相談等が増加します中で、メンタルフレンド、フレンドリー、スクールアドバイザー等の事業を開始したりしておりまして、部屋の数が足りなくなり、あるいはまた設備面で不足が生じてきているのが現状でございます。
そういう中で昨年、教育委員会内にプロジェクトチームを設置しまして、教育センターの現状と課題、さらに新教育センターの機能等について検討を重ねているところでございます。現在、生涯学習も含めた教育の総合的施設、及び教育の中枢センターというとらえ方も視野に入れまして、新教育センターの基本理念について検討を行っているところでございます。
しかし、建設後まだ十年しか経過していないという点、ただいまもお話がございましたが、建設財源をどう確保するかという点などについていろいろ困難な問題を抱えております。
しかしながら、きのうからいろいろ答弁があっておりますように、日本には人材という資源しかないと私も考えております。そういう意味では、今こそ教育をどうするかということが問われていると思います。そういう視点に立ちながら、今後もこの教育センターをどうするかということについて検討を重ねてまいりたいと考えております。
〔三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 本市が抱えておりますプロジェクトのあり方についてのお尋ねでございますが、このことにつきましては、総合計画に基づき既に着手をしているプロジェクトを初め、超高齢化社会の到来を目前に控え、将来に備えた事業、あるいは本市のさらなる発展に向けて策定中のものなど、数多くの事業を抱えていることは議員御指摘のとおりであります。
しかしながら、これらの中には、近年の社会経済情勢の急変により、その事業規模あるいは手法等において社会ニーズと乖離するものもあり、また、先ほど申し上げましたように、極めて厳しい財政状況の中、これらすべてのプロジェクトを総花的に実施していくことは困難な局面を迎えているのも事実であります。
このようなことから、何よりもまず、行政改革の実行により、新しい時代に迅速、的確に対応するスリムな行財政システムの再構築と職員の意識改革を図り、徹底した行政運営の効率化による歳出の抑制と、自主財源も含め安定した歳入確保に努めていかなければならないと考えております。
なお具体的には、プロジェクトを初め、あらゆる事務事業につきまして、財政の健全運営を基本に、不要不急な事業の廃止、延期はもとより、費用対効果、将来性等について十分吟味の上優先順位をつけ、より効率的、計画的な市政運営に努めてまいりたいと考えている次第であります。
先ほど議員お述べになりました二十項目に上るプロジェクトチームでありますけれども、やや完成に近づいたものが五つあるわけでありまして、進行中のもの、可能性があるものについても三つぐらいあるところでございますので、先ほど申し上げましたように、状況を考えながら計画的に取り組んでまいりたいと思います。
また、九つの項目について指示した点につき御質問がございましたけれども、この問題は、財政難というようなものを見据えながら計画をしたものでございまして、一つは欠かせないもの、あるいは行革に適応した問題、あるいは長期的展望に立たざるを得ない問題、あるいは夢を追っかける問題というふうなものもございまして、この九項目につきましては、そのような形で内部プロジェクトをつくりながら指示しておるところであります。
例えば駅前開発等々につきましては、県との合意ができたところで、すぐというわけにはいきませんから、長期計画施行というふうな形の中で取り組んでいかなければならない問題と。防災計画とかリサイクル社会とか、こういったものにつきましては即対応していかなければならないと。水資源につきましては、この地下水におきましてもやはりそう長々とあるものではございませんし、そういう問題については、中水道計画等において、多目的ダムに参画をしながら三十年後の水源の問題についても計画を立てていかなければならんと、長期にわたって計画を立てていかなければならない問題もございまして、そういう問題を九項目指示をしたところでございます。
施設の計画につきましても、やはり、今これはやっていかなければならん、これはもう今の時代にそぐわないというようなものにつきましてはやっぱり合併してやらんといかん。そしてまた、どんどんつくりましても管理に大変困るわけでありまして、そういう施設管理整備計画等々もその九つの中に入っておるところでございます。
事業計画に再考が必要なプロジェクト等につきましては、次期総合計画の策定作業の中で、時代に対応した見直しに取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
〔二十番 島田俊六議員 登壇〕
これが私が常々申し上げている「心のかよったわかりやすい市政」であり、この実現に向けて本市行政改革を推進し、実現することが、本市の二十一世紀の展望へとつながっていくものと考え、本年度を行革元年として積極的に取り組んでいく覚悟でございますので、議員各位のさらなる御理解と御支援をお願い申し上げます。
〔十一番 古川泰三議員 登壇〕
◆古川泰三 議員 行革に対する市長の意気込みというものがわかったわけでありますけれども、原点は市民サービスの向上のための行政改革である、そのためには、ちょっと大げさでありますけれども、多少血を流すこともやむを得ない、こういう心境であろうと御推察いたしました。市長さん、そういうふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。──うなずいておられますから、そのとおりというふうなことで理解をいたします。橋本総理は行革については火だるまになってやるんだということでありましたから、私は市長さんには血まみれになっていっちょう頑張ってもらいたい、こういうふうにお願いをするわけであります。
次に、熊本駅周辺地域整備についてのお尋ねでございます。
現在、国土審議会計画部会におきまして、二十一世紀を展望した次期国土政策の長期ビジョンの策定作業が進められておりますが、その中で、本市を中枢拠点都市圏と位置づけ、各都市圏の規模、特性に応じた機能整備を重点的に推進するとの検討報告がなされております。
このように、今や人口六十五万人を擁する熊本市は、県勢を牽引するのみならず、九州の中枢を担う都市としてさらなる飛躍が期待されているところであります。
そのためには、活力ある都市活動を支える都市基盤である道路、港湾、あるいは駅等の交通インフラ整備の必要性が叫ばれているところであります。このような中で、新たな広域高速交通基盤としての九州新幹線の建設や、JR鹿児島本線高架化を初めとする駅周辺の整備は、二十一世紀の県、市の浮揚に欠かせない最重点事業として、早急に実現する必要があるとだれもが認識をしているものであります。
しかしながら、御存じのように、当該整備事業は昭和四十年代に整備構想が策定されて以来遅々として整備が進まず、はや三十年の歳月が経過してしまったのであります。なかなか整備が進まなかった要因といたしましては、新幹線熊本駅を含む九州新幹線鹿児島ルートの建設スケージュールが不透明であったことや、駅周辺地域の立地環境が背後地に乏しい、商圏人口も少ない、経済界の積極的な参画が得られなかった、あるいは大店法の規制緩和に伴い出店コストの安い郊外への大型店の進出が増加し、従来の駅前開発を主導してきた大型店の参画が期待できなくなったことなどなどが挙げられますが、県市行政側の、何が何でもやり遂げるぞと、こういう覚悟が示されなかったのもその要因の一つであろうと思うわけであります。
このように推移してきました駅周辺地域整備を取り巻く最近の状況は大変明るい兆しが見られます。昨年十二月には、この整備事業実現のかぎを握る九州新幹線鹿児島ルートの船小屋-新八代間が新規着工区間に決定をされました。また、本年度の国庫補助調査として、九州新幹線と三位一体で進めるべき鹿児島本線の高架事業や、最重点事業の一つである駅周辺の土地区画整理事業の調査採択や、さらには七月二十八日、県市間で「JR鹿児島本線等鉄道高架及び熊本駅周辺等の整備に関する協定」が締結されまして、事業実現に向けて大きな第一歩が踏み出されたところであります。
この協定は、駅周辺地域の整備方針を公表するとともに、九州新幹線の熊本駅開業時までに鹿児島本線高架事業や、土地区画整理事業、駅前広場整備、及び東西連絡道路整備など、駅周辺整備に関する主要事業が完了するよう事業主体と役割分担等を明確にし、県市が一致協力していくことを確認するために締結されたと、こういうふうに聞き及んでいるところでありますが、県市が本腰を入れて駅周辺整備に対して力を合わせ、計画的、総合的に取り組んでいくという不退転の決意を内外に表明をされたと、こういうふうに理解をいたしているものであります。
この協定締結によりまして、これまで必ずしも一枚岩とは申せなかった県市の関係が、駅周辺整備という大目標の達成に向けてかたく結ばれ、二十一世紀の熊本の発展に欠かせない壮大な事業の礎が築かれましたことはまことに喜ばしい限りであります。三角市長を初め関係当局の御尽力に対しまして深く敬意を表する次第であります。
いよいよ熊本の未来を開く駅周辺整備が現実のものとして具体的に動き出すことに深い感慨を覚えるところでありますが、これらの事業は総事業費二千億円にも及ぶ大事業であると想定されており、一方では、莫大な事業費の捻出や地元経済界等の理解と協力をいかにして求めていくかなどの課題が山積みいたしているわけであります。
まだ現時点では駅周辺整備の基本方針が公表されたにすぎませんが、今後、個々の事業ごとに具体的な事業手法や、事業範囲の決定が行われていくことになろうかと思いますが、地域住民の方々や経済界に対しまして、駅周辺整備の具体的事業の展開方法やまちづくりの必要性を訴えるとともに、官民一体となったまちづくりへの機運を盛り上げ、いかにして事業への理解と積極的な参画を求めていくかが重要になってくるものと考えます。
特に、西口駅前広場や都市計画道路等の公共施設用地を生み出す駅周辺の土地区画整理事業は、既成市街地における大変困難な事業であります。事業計画策定に当たっては、熊本の発展のためという錦の御旗で押し流すことなく、個々の住民の意向を可能な限り尊重し、計画協議に十分な時間をかけて進めていく必要があると思うものであります。
そこで、都市整備局長にお尋ねをいたします。
まず、第一点目として、今後、駅周辺整備を進めるに当たって、具体的にどのような事業から取り組まれるのか。また、特に、熊本市が経験したことのない既成市街地における駅周辺の土地区画整理事業に対して、どのような手順で取り組んでいかれるのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
次に、二点目でありますけれども、このような壮大な事業を推進するためには県市の強力な連携が必要であり、福井駅周辺に見られるような県市合同事務所の設置が待たれるところでありますが、この合同事務所の設置についてはどのような所見をお持ちなのかお答えいただきたいと思います。
また、三点目は、地域住民、経済界の駅周辺整備に対する参画が不可欠でありますが、今後どのようにして駅周辺のまちづくりの機運を盛り上げ、地域住民、経済界への協力要請と参画を求めていかれるのか。
以上三点につきまして御答弁をいただきたいと存じます。
〔田尻紘都市整備局長 登壇〕
◎田尻紘 都市整備局長 古川議員にお答をいたします。
まず、一点目の熊本駅周辺整備にどのような事業から取り組むかでございますが、去る七月二十八日に締結をいたしました県市協定に基づき、現在準備組合が設立されております東A地区の再開発事業の早期立ち上げを目指して積極的に支援をしていきたいと考えております。
このため、同地区内にあります郵政省所有の鉄道郵便局跡地について本年末までに購入を終え、市も権利者として再開発事業に参画するとともに、このための公共施設について庁内関係各課で検討しているところであります。
また、これに加え、鹿児島本線等の鉄道高架事業の採択に向けた取り組みと、鉄道の東西でのまちづくりに欠かすことのできない駅西側を中心とする土地区画整理事業の立ち上げを図っていきたいと考えております。
次に、この区画整理に対する取り組み姿勢についてですが、この事業は、議員が申されましたように、本市が経験したことのない難しい事業であると認識しております。
熊本の陸の玄関口であり、六十五万都市にふさわしい熊本駅周辺整備を進めるためには、駅周辺の道路網や駅前広場の整備が必要であります。特に西側一帯については、東西連絡道路や西口広場等の基幹的都市施設とあわせて、地区内道路、公園等を一体的に整備し、宅地の形状を整えることで都市環境や防災上の向上を図ることが必要であります。このため、熊本の将来を見据え、地区住民と十分な話し合いを行いながら、その実現に向けて邁進する覚悟でございます。
次に、二点目の熊本駅周辺整備に係る県市合同事務所の設置についてでありますが、これらの事業の円滑な遂行のためには県市の緊密な連携が必要不可欠であり、今後直ちに県市連絡会議を設置し、事業推進に向けた課題の整理を行うとともに、その設置時期について検討してまいりたいと考えております。
最後に、三点目の地域住民や経済界への協力要請と参画をいかに求めていくかでございますが、議員申されますように、この壮大な事業を推進するためには官民一体となった取り組みが不可欠であると認識いたしております。
このため現在、地元の自治会、企業等で構成されております熊本駅周辺地域まちづくり協議会が中心となり、九月二十一日を皮切りに整備方針の地元説明会が予定をされております。これを踏まえ、さらに今後、地区別の勉強会等も積極的に開催し、地域住民の皆様との合意形成を進めてまいりたいと考えております。
またこの十一月に、当まちづくり協議会を中心として商工会議所等の経済団体との共催によりまして、まちづくりの機運を盛り上げるシンポジウム等が開催予定であります。市といたしましてもこうした動きを積極的に支援するとともに、経済界に対する具体的な参画要請につきましては、さきに述べました県市連絡会議の中で論議をし、具体的方策等について早期に明らかにしてまいりたいと考えております。
〔十一番 古川泰三議員 登壇〕
◆古川泰三 議員 駅前の周辺整備事業については、その施策といいますか実施計画を、話し合いをしながらいろんな意見を聞いたわけでありますけれども、率直に申し上げて、余りにも気宇壮大である。これは非常に難しい、大変多難であるという感を持ちました。御答弁の中にもありましたけれども、これは熊本百年の大計を見据えるんだと、そして地域住民とのコミュニケーションを図りながらその実現のために邁進するんだ、そういう覚悟ができている、こういう御答弁もございました。私ども大変期待をするものでございます。
九州新幹線が開業すれば、熊本、鹿児島県から中国・近畿間の鉄道利用客が最低でも年間百二十万人ふえる、こういう試算もされているようでございます。この事業は県民にとっても、私たち熊本市民にとっても、特に私の住む西部地域の活性化にとりましても、その恩恵は多大なものがあると想像するわけであります。
大変御苦労が伴います。これは私たちも本当にそういうふうに思っておりますけれども、一日も早く実現が図られますよう頑張っていただきたいと思います。
それでは、市長さんにまさに単刀直入にお伺いをするわけでありますが、本来は教育委員長さんにお尋ねした方がいいかもしれませんが、今日の教育の問題であります。
余りにもいろいろな問題、大きな問題が子供たちの前に立ちはだかっていると、こういうふうに思います。したがって、いじめの問題、不登校の問題、あるいは非行、自殺、校内暴力、まさに挙げればきりがありませんが、結果的にこういう形の問題があらわれていると言いますか、昔はそういう問題が本当にあったのかというと、私自身は余りなかったような、そういうふうな感じがするわけであります。
なぜこのような問題が次々と子供たちに降りかかってくるのか、市長さんからこれらのことに対しまして、その問題解決のための御助言を賜りたいと思うわけでございます。よろしくお願いを申し上げます。
〔三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 大変単刀直入にお聞きをされましたので、私も大体簡単に答弁しなきゃならんということだったんだろうと思います。
この前もちょっとお答えをいたしましたけれども、教育問題に対する考えということで、今古川議員は助言ということでありましたけれども、私の方から助言をするということではございませんで、思いを申し述べさせていただきたいというふうに思います。
最初に岡田議員にいろいろ教育問題についての考えということは申し上げたところでございますけれども、率直に言いまして、今の子供たちは大変かわいそうだなというふうに思います。オランダの人は、身長が、男性百九十以上、女性が百八十以上で何か会をつくっているそうでありますけれども、その会が六千名を超えたと。非常に背が高い人が多いと。どういうふうなことだろうかと学者が研究いたしましたところ、大体子供のころのんびりと育っておるからというふうな結論が出たそうであります。
今見ておりますと、本当に子供たちの周り自然は消えていく。遊びというものも、グループとか縦のつながりで遊んでいくというのも見られない。親はやはり学歴偏重で、子供に対する毎日の言葉が、「勉強をせんとどぎゃんなるぞ。」とか、そういう話ばかりで、伸び伸びと育つ子供というのが本当に少なくなったような気がいたします。
いじめというふうな問題につきましても、私たちの時代にもあっておったように思います。古川議員は、聞くところによりますと随分けんかが強かったそうでありますから、いじめるというよりもいじめっ子の味方だったろうというふうに思いますけれども、そういう時代を思い起こしてみますと、随分よき時代だったなというふうに思っております。
何か事がありますと、町内ぐるみで、中学二年を筆頭としながら、小学校の低学年まで一緒になって取り組んでいくというふうな行事がたくさんあったというふうに思います。その中で、人の道あるいは楽しみ等々も随分教わってきたような感じがいたします。
そういうことで、今、その置かれた小さな社会、これは家庭と集落でありますけれども、こういった中で、どういう教育が施されているだろうかと。岡田議員に申し上げましたように、家庭教育のあり方というふうなものにかなり不信感を私は抱いておるものの一人であります。
そういう意味からしますと、子供たちの側に立って見ますと、居場所がないというふうに感じておるのじゃなかろうかなという思いがいたしておるところであります。そういう意味でも、学校の空き教室を利用しながら、家庭教育のコンサルタントというふうな事業も始めておりますし、行政といたしましても、家庭教育についての御支援をできるだけ申し上げていきたいというふうに計画を立てておるところでございます。
そういう中で、親がどうあるべきかというふうな問題になってくるわけでありますけれども、我々の時代を思い出し、親が物のない時代に自分の子供に物を与えてやらなきゃいかん、自分がなかったからいうふうな考え方で果たしていいものだろうかという思いをいたしております。
この前の議会でも申し上げましたけれども、苦労をさせてこそ、トラブルに強い子供を育成をしておかなきゃ社会の波に乗っていけないのではないかというふうな思いをいたしておるところでございまして、そういうふうな親でなくてはいけない。家庭教育の先生でないといかんというふうな思いと、それから子供たちが伸び伸びと育って、二十一世紀をいかに豊かな心を持って支えていってくれるかというふうな面を考えながら、我が子だけじゃなく向こう三軒両隣、あるいは町内すべて我が子というふうな感覚の中で育てていかなくちゃならないのじゃないかなと。そして、自分の生きざま、生き方、これは必ず後ろから子供が見ておるのだというふうなことを常に思いながら生活をしていかなければならないのじゃないかなというふうに思います。
今こそ大人が変わること、日本の二十一世紀を支える若者が自分の姿を見ておるという思いの中で生活をし、そして子供たちを育成していかなければならないのじゃないかなという気がいたしておりますので、行政に携わる私どもといたしましても、教育関係者の皆様方と、大人はいかにあるべきかという点について今後懸命に考えていかなければならないと思っておるところであります。
〔十一番 古川泰三議員 登壇〕
◆古川泰三 議員 市長さんの教育論といいますか、お伺いをいたしまして大変ありがたく思いました。
今日子供を取り巻く状況といいますか、環境といいますか、そういうふうなものが余りにも劣悪過ぎるのではないか。教育のシステム、制度、これが悪いのではないか。あるいは戦後、自由とか、平等とかあるいは権利とか、そういうことを過って教えた。したがって、自分のことだけしか考えない、そういう人が多くなったからこういう社会になったのか。いろいろと思い悩みをするわけではありますけれども、なかなか結論に達するまでには至りません。
簡単明瞭、市長が、大人が変われば子供が変わると、こういうふうにおっしゃいました。確かに私ども、生徒が悪いというふうなことを言いますと、同じような言葉を言うわけでありますけれども、教師が変わると子供が変わるとそういうことを言っておったこともありました。
しかし、今教育の問題は非常に小さいなところ、非常に大きな問題として出てきているわけでありますけれども、その問題問題に、解決をするためには、こつこつと努力をすると。そういうふうなことが必要ではないかと、こういうふうに思います。
それでは、続いて教育の問題について具体的な事例を挙げながら質問させていただきます。
まず、公立校の中高一貫教育制度についてお尋ねをいたします。
公立校としては全国唯一の中高一貫校であります宮崎県立五ヶ瀬中学校・高等学校では、地域を基盤にした体験学習などによりまして、感動と感性の教育を展開しております。
例えば、恵まれた自然の中で、星座の観察、動植物、化石調査、民謡など伝統芸能学習、ホームステイ、スキー教室など、自然体験や社会体験を通して豊かな人間性を育てるとともに、個性の発見やその伸長を重視する教育が行われております。
ことし三月に第一回の卒業生を送り出しておりますけれども、その進路状況は、親子ともどもに納得のいく進学をされたのではないかと思われる結果が出ております。ちなみに、京都大学、九州大学、筑波大学、早稲田、慶応など大変学力を必要とする大学に合格をしております。まさに知、徳、体、この三位が一体となるという今後の学校教育が理想とするものがそこにあるという感じを持ったものでありました。
ところで、この中高一貫教育制度は、子供たちの個性をゆとりある教育の中ではぐくむことを目指すとともに、学校制度の複線化構造を進める観点から、現行教育制度にさらに加えて、選択的に導入をするというねらいがあります。
現在の教育改革の流れの中で、昭和六十年に臨教審第一次答申で六年制中等学校が提唱されて以来、既に十数年にわたって論議をされている問題であります。
そして、第十六期中教審第二次答申、さらに、この八月に文部省が示しました新教育改革プログラムにおいて、にわかに公立学校の中高一貫教育制度の導入の具体的な姿が見えてまいりました。
既に検討を開始している東京都では、十年先を見通した都立高校改善策の中に、中高一貫校を新しい学校の一つとして検討しているとのことであります。
この制度の導入に当たっては、高校受験の緩和や教育のゆとりをもたらすというプラス面がある一方、逆に、受験の低年齢化をもたらすとか、エリート教育が促進されるなど議論百出、評価が分かれているところであります。
文部省は、この中高一貫教育制度の導入に向けた条件整備を着々と進めているようですが、市教育委員会としましては、この問題にどのように取り組まれるおつもりか、市立高校、市立商業という市立の二高校を所管するものとして教育長にお尋ねをいたします。
次に、いじめ、不登校対策及び問題行動のある生徒に対する出席停止についてお尋ねをいたします。
本年に入りまして、小中学生が犠牲者となる痛ましい事件が続発いたしました。子を持つ親ばかりでなく国民に大きな不安と恐怖を与えました。特に神戸の事件では、容疑者が中学生と判明をしまして、事件の特異性もさることながら、大きな衝撃を社会に投げかけました。
このような凶悪な事件ばかりでなく、青少年の短絡的、衝動的、そして興味本位からと思われる行為、行動が社会問題化しつつあります。このような問題行動への緊急な対応とともに、いじめ、不登校問題へのさらなる対応が急務であります。
いじめの状況ですが、文部省の調査によりますと、平成七年度は、全国の小学校で二万六千六百十四件で、一校当たり一・一件、中学校では二万九千六十九件、一校当たり二・八件となっております。
熊本市では、小学校九十五件、一校当たり一・二件、中学校百三十八件、一校当たり三・七件発生をしております。平成八年度については調査中とのことでありますが、若干の減少傾向にあると伺っております。
不登校につきましては、平成八年度は、全国小中学校合わせて九万四千二百四十五人に上りまして、前年度より一千三百人ふえまして、小学校で四百人に一人、中学校で六十人に一人と、それぞれ過去最高の割合になっております。
本市におきましても、小学校七十一人、中学校四百三人の児童・生徒が該当し、深刻な状況にあるようであります。
いじめ、不登校の原因がどこにあるのか、原因はどのように絡み合っているのか、個々のケースに応じた専門的な知識と経験を有する指導者の対応が必要であります。特に不登校の生徒に関しては、十人いれば十人ともその原因が異なるわけでありまして、当然対処、指導の方法も違ってくることは御案内のとおりであります。
本年度から、託麻原小学校、出水中学校に、国の委託事業によるスクールカウンセラーとして臨床心理士が配置されていると伺っております。また熊本県では、県職員の採用とは別枠で心理判定員を採用し、諸施設へ派遣をしております。
そこで、熊本市もスクールアドバイザーの活用に加えまして、そのような専門家を採用し、市独自で心理判定員や臨床心理士を拠点校に配置をする。そしていじめや不登校で悩む子供や、その保護者及び担当しておられる先生方の相談に当たられたらいかがでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。
次に、問題行動のある生徒に対する出席停止についてお尋ねをいたします。
平成七年度、校内における生徒の暴力行為は全国で四千六百九十三件、本市については二十八件発生をしております。校内暴力については今も昔もありましたが、今日の荒れは、複雑な家庭環境や社会的背景が要因になっているように感じます。
学校は、家庭や地域社会と異なった集団生活の中で人間形成を行う大切な場であります。しかし、どうしても学校生活になじむことができない子供たちが授業を妨害したり、物を壊したり、さらには対教師暴力まで発展することが現実の問題として起こっているわけであります。このような状況では学校の秩序は維持できない、そういうふうに思うわけであります。
学校教育法では、児童・生徒の出席停止を命ずることができると規定をしております。授業やその他の教育活動を妨げたり、施設設備の破壊等を行ったり、さらには教師に暴行を振るう子供たちに対しては出席停止等の措置を考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
その場合の対応について、もし出席停止の措置をした場合、どのような対応と対策が考えられるか。逆に、出席停止が現段階として無理であるとすれば、学校の秩序回復のために、教育委員会としてはその対応と対策をどうお考えか、教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
〔後藤勝介教育長 登壇〕
◎後藤勝介 教育長 教育の問題に関連をいたしまして三点お答えを申し上げたいと思います。
まず中高一貫教育制度についてでございます。
教育改革が国の重要な課題となります中で、文部省におきましては中高一貫教育制度の導入について検討を始めますとともに、来年度から、各都道府県の実情に応じた設置形態や、教育活動のあり方について実践研究を行うための協力校を指定するようでございます。
この制度につきましては、ただいま御紹介がございましたように、プラス面、マスナス面からさまざまな論議がなされておりますし、それに加えまして、教職員の教科免許や給与の問題など、いろいろ解決しなければならない課題も多く、学校教育法を初めとする関係法令の整備も待たなければなりません。
いずれにしましても、教育制度の大きな改革であり、市民の皆様方の関心も大変高いと思われますので、今後さまざまな評価や意見が寄せられるものと考えております。教育委員会といたしましては、所管しております市立の両高校、そして三十七の中学校において、中高一貫教育の問題にどう対処するのか研究する必要性を認識いたしております。
今後、国、県の動向を見守りますとともに、市議会を初め広く意見をお伺いしながら対応してまいりたいと考えております。
次に、臨床心理士や心理判定員等の配置の問題でございます。
いじめや不登校につきましては、子供たちを取り巻く社会環境や家庭環境が変わり、親や子供の考え方、価値観が複雑多様化しております中、その原因の解明や対応が大変難しい状況にあります。
そういう中で、御指摘がございましたように、臨床心理学等の専門的な知識が今求められております。本市におきましても、本年度から国の委託事業として託麻原小学校、出水中学校の二校に、臨床心理に関して高度の専門的な知識、経験を持っておられるスクールカウンセラーを配置し、児童・生徒、保護者、教職員などの相談に当たっていただいておりますが、その効果を期待しているところでございます。
そこで、市独自に臨床心理士や心理判定員を配置してはどうかというお尋ねでございますが、この国の委託事業がまだ調査研究の段階でもございますので、その成果を見定めながら対応してまいりたいと考えております。
なお、本市におきましては、市教育センターにスクールアドバイザーを配置し、学校へ出向いての教育相談を実施しておりますが、その中に心理学、教育学を専攻しているものを心理判定員として採用するなども今後検討してまいりたいと考えております。
また国は、来年度も学校へ配置する臨床心理士を増員すると聞いております。本市といたしましては、国や県に、さらに本市にも配置していただけるよう要望してまいりたいと考えております。
次に、問題行動のある生徒に対する出席停止についてお答えを申し上げます。
学校では、大多数の生徒たちは授業に真剣に取り組んでおります。しかし、議員御指摘のとおり、一部に授業妨害や教師に暴力を振るう生徒がいるのも事実でございます。このような生徒に対します出席停止は、これまで九州では二件、全国では、平成七年度に五十一件の事例がございますが、その効果につきましては厳しい状況であったと聞いております。法的に認められている措置ではありますが、出席停止をされた生徒の受け皿の問題などもあり、本市では今のところ難しいと考えております。
しかし、特に問題行動の多い学校につきましては、教育委員会といたしまして、生徒指導担当の指導主事をある一定期間派遣し、現場の先生方と協力しながら、これらの生徒に対応してまいる考えでございます。
問題行動のある生徒指導のためには、校長を初めすべての教職員が心を一つにして、親身になって指導を行うことができるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〔十一番 古川泰三議員 登壇〕
◆古川泰三 議員 中高一貫教育については、国、県の動向を見て対応していきたいと、こういうことでありますが、熊本県は平成九年それから十年で検討をしていくとのことでありました。それから、東京都、北海道、宮城県は既に導入の方向で検討を開始いたしました。そして何よりも先ほど申し上げましたように、宮崎県立五ケ瀬中学校・高等学校という中高一貫教育の具体的な事例があるわけでありますから、今日、受験戦争とまで言われるゆがんだ状況を少しでも解決すべく、本市におかれましても検討していただくようお願いを申し上げます。
また、心理判定員については採用を検討するということでございます。市独自での臨床心理士の採用については、国が増員の見込みであるということでございますので、本市にも増員があるものと期待をしておりますが、できれば市独自で採用してほしいと、こういうふうな質問でございました。
いじめ、不登校については、今日まで登壇をするたびに質問をさせていただきました。その対策をお願いしてまいりました。これからもいろいろな施策を行政と一体となって、問題解決のために頑張っていきたいと思います。
それから、市当局に一言御礼を申し上げます。
私が間接的に指導している不登校の子供がおりましたが、その子供は六年間家に閉じこもっておりました。私がかかわりを始めて三年になりますが、昨年より、市当局の御配慮を賜りまして、臨時職員として採用をしていただいております。聞くところによりますと、毎日非常に楽しく働いているというふうなことでございました。こういうところで御報告を申し上げるのはどうかと思いましたけれども、市当局に厚く感謝を申し上げたいと思います。
また、出席停止については、教育長、大変難しいという答弁でございました。私といたしましても出席停止は本意ではありません。したがって、問題のある学校に対してはよりきめ細かい指導を実施するということで、生徒指導の指導主事等をその学校に派遣をし、そして問題解決に当たるということでありますので、これは大きな前進であると思います。御配慮を賜りまして、大変厚く御礼を申し上げる次第でございます。
次に、学校教育における薬物乱用防止教育の取り組みについてのお尋ねでございます。
この件につきましては、さきの議会でも東議員の方から質問がありました。薬物汚染の蔓延に大きな危惧を感じる一人として質問をするものであります。
最近、覚せい剤等薬物の乱用により補導される中学、高校生が増加する傾向にあります。また、小学生が覚せい剤を乱用して補導されるという事件が発生をするなど、児童・生徒の薬物乱用の実態は極めて憂慮すべき状況にあります。
平成八年に覚せい剤の乱用により補導、逮捕された中学、高校生は、警察庁の資料によりますと、平成元年以降最高を記録し、二百三十五人でした。五年前の平成四年の五十三人と比較をすると、実に四・四倍にも上っております。
また、新聞報道によりますと、ことし上半期の覚せい剤取締法違反による摘発者数は、前年同期より四・六%増の一万百二十人で、うち中学、高校生三七・六%増の百二十八人となり、年間では昨年を上回って過去最悪、こういうふうになる勢いであることが報じられております。
一方、熊本県警の資料によりますと、県内では覚せい剤事件の摘発者数は、昭和六十一年以降緩やかな減少傾向を示しておりましたが、平成七年より増加傾向を示し、昨年は百七十五人でありました。うち少年の検挙は十二人で、前年と比較をして二人の増加で、楽観ができない状況にあります。このような最近の少年による薬物乱用事件の増加の背景には、容易に薬物を入手できる社会的状況にも問題があると思われます。
これは福岡の例でありますが、今月三日の新聞に、覚せい剤一キロ所持、末端価格約一億七千万円の疑いで逮捕という記事がありました。既に、福岡県警で一キロ以上の覚せい剤押収は、ことしだけでも四件になっているということでありました。
また、覚せい剤乱用を助長する原因として、少年の自制心の欠如も大きい問題であります。遊び感覚やファッション感覚による使用や、ダイエット、眠気覚ましの薬と誤解しての使用など、薬物への誤った意識や理解などが複雑に絡み合っているものと考えております。
現在、市では、文部省の薬物乱用防止についての手引を活用して授業に取り組んでおられると聞いております。しかしながら、薬物の乱用は、御存じのとおり、心身の健康のみならず人格の形成にも重大な影響を与えるものであり、早い時期からの薬物乱用の防止教育の充実が重要であると考えます。
東京都や横浜市、福岡市の他都市においては、小学校高学年から薬物乱用防止教育に取り組まれております。具体的には、たばこやアルコールの害、シンナーの恐ろしさなどを題材として、小、中、高と段階的に授業で指導をしておられるということでございました。
こうした薬物乱用は他都市の出来事ではなく、本市におきましても緊急の教育課題であります。児童・生徒の健全育成を推進する上からも、小学校高学年から薬物乱用防止教育に取り組む必要があると考えますが、いかがでしょうか。
また、中学校、高校ではどういう教育、指導が行われているのか、教育長にお尋ねをします。
さらには、福岡市におきましても薬物乱用についてその対策に大変苦慮されておりました。その結果、喫煙、飲酒、薬物防止に関する研究会という組織、つまりプロジェクトチームを設置されたということでございました。
ちょっとその構成を申し上げますと、会長に学校教育部長、校長は小中高から一名、教諭も小中高から一名、保健主事も小中高から一名、教育委員会からは保健体育課、初等教育課、中学校教育課、高等学校活性化担当おのおの一名、計八名で構成されております。
目的は、指導者である教職員が正しい知識と指導力を身につけ、他の教職員に対する研修の実施や、児童・生徒が発達段階に応じて効果的な取り組みができるよう資料の提供等を確立し、具体的な助言指導を推進することを目的とした組織であるということでございました。もちろん、外部の組織とも連携を密にとっておられます。
本市におきましても、第三次乱用期に突入するおそれがあるとされるこの状況に対して、薬物乱用防止のためのプロジェクトチームを組織されるべきと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
また、薬物乱用が体に及ぼす弊害が多大であることは御案内のとおりであります。したがって、保健衛生の面からも教育委員会と連携を持ち、その対応に取り組む必要があると思われますので、保健衛生局長にも御答弁をお願いいたします。
次に、免許外教科担任の解消についてお尋ねをいたします。
免許外教科担任許可制度は、へき地等小規模校における教員採用を考慮し、免許状主義の特例措置として設けられたものとお聞きしております。しかしながら、熊本市におきましては、小規模校が数校あり、また、教員間の持ち時間を調整する方法として、免許外教科担任がなお相当数見受けられると聞き及んでおります。
私の経験から申し上げますと、教師の生命というのは授業であると、こういうふうに思います。私自身は授業は大変下手でありましたが、授業がうまくできなくては生徒からの信頼は得られない。授業の下手な先生には、子供は大変正直でありまして、態度であらわすわけであります。授業中眠る、私語をする、あるいは早弁をする。中学では、教室から出ていく生徒もいると思います。そこには、先生と生徒の信頼感は生まれません。そういう意味で、免許を持った先生が、その専門的知識を持って指導することこそが重要であるとこういうふうに考えるわけであります。
福岡市におきましては、免許外教科担任の解消の方法として非常勤講師を配当しているとのことであります。一人の非常勤講師が複数校をかけ持ちしながら、その解消に向け努力をしていると、こういうことをお聞きしてまいりました。教員定数は学級数により算出されますが、学級数と教科数との兼ね合いで、十分な配置ができていないような学校もあるようであります。
学校現場におきまして、免許を持った先生が新たに配置できるということは、教科の指導の充実、また、子供、保護者からの信頼確保にもつながると信じております。
そこで、熊本市におきましても福岡市同様の取り組みについて検討できないか、教育長のお考えをお聞かせください。
最後に、教育委員会の組織についてお尋ねをいたします。
今、教育は大きな転換期にあります。教育改革を初め、いろいろな教育課題が山積みしておりまして、取り組むべき政策といいますか、事業も多様化しております。
私は常々、このような状況の中、教育の総合的調整並びに長期的展望に立って教育施策を考える部門が必要ではないかと考えておりましたが、先般の機構改革によりまして、教育総務部に教育企画課が新設されました。まさに時宜を得た御判断であると思います。
そこで、その設置の意図と、活動の内容及び今後の取り組むべき内容についてお聞かせください。
〔後藤勝介教育長 登壇〕
◎後藤勝介 教育長 教育に関する問題につきまして三点お答えを申し上げます。
まず、薬物乱用防止に関する問題でございます。
ただいま覚せい剤等の問題について大変詳しく御紹介がございましたが、薬物乱用の低年齢化はまことに憂慮すべき状況にあります。薬物乱用防止のためには、早い時期からシンナーや覚せい剤などの薬物乱用の有害性や危険性などを十分認識させ、絶対使用しないという強い心を育成する教育をしなければならないと思っております。
したがいまして、御指摘の小学校高学年からの取り組みにつきましては、本年度から、小学校の教職員や保護者を含む学校関係者を対象に少年の薬物乱用についての講演会を開催しますとともに、教職員のための指導用ビデオの作成などに取り組んでいるところでございます。
今後はさらに、指導者養成のための計画的な研修を通して教職員の指導力の向上を図りますとともに、発達段階に即した題材や指導内容を検討しながら、小学校高学年からの取り組みができますように努力をしてまいりたいと考えます。
次に、中学校、高校での薬物乱用防止教育の実情についてでございますが、平成七年度から文部省の指導の手引をもとに、中学校では三年の保健体育の授業で「たばこの害と健康」「薬物乱用と健康」などを題材として年間四時間程度、高校では二年の保健体育の時間に「喫煙や飲酒」「薬物乱用と健康」「医薬品と健康」などを題材として年間五時間程度実施をいたしております。
また、本年度初めて中学校三校で薬物乱用防止教室を開催しましたが、今後はより充実しますため、他の中学校にも広げて開催できますよう警察など関係機関と密接な連携を図りながら、薬物乱用防止教育を推進してまいりたいと考えております。
それから、教育委員会内に薬物乱用防止のプロジェクトチームをつくってはいかがというお話であったと思います。大変時宜を得た御提案だと考えます。今後は関係部局や関係機関の指導や協力を得まして、設置する方向で検討してまいりたいと考えます。
次に、免許外教科担任の解消についてお答えを申し上げます。
議員は既に十分御承知でございますが、学校の教員数は学級数などにより算定されます。その中で、中学校におきましては教科実数と教員の受け持つ時数との関係により、教科の免許を持たない教師が教科を担任する場合を免許外教科担任と言っております。
この免許外教科担任教師を解消し、免許を持った非常勤講師を配置してはどうかという御提案でございますが、配置が実現しますならば、教師の負担を軽減しますとともに、生徒や保護者、地域からの期待にこたえ、信頼を得ることにつながっていく有効な手だての一つであると思います。
したがいまして、教育委員会といたしましても非常勤講師の導入について、ただいま御紹介がございました他都市の状況等の調査を行いながら、任命権者であります県教育委員会と導入の方法について協議をし、解決に向けて努力、検討してまいりたいと思います。
最後に、教育委員会の組織についてお答えを申し上げます。
教育改革が叫ばれております中で今、地方教育行政には二十一世紀に向けて時代に即応した事業を効率的、計画的に推進することが求められております。
また、教育の抱えるさまざまな問題を解決しますために、学校、家庭、地域社会がそれぞれ本来の役割を担い、相互に連携し合った取り組みが求められており、さらに、福祉教育や環境教育など多くの分野で市長部局との深いつながりも生じているところでございます。このようなことから、行政内部の調整を図り、計画的かつ円滑な事業の推進を図るために本年度から教育企画課を設置したところでございます。
具体的な取り組みといたしましては、学校や地域社会の声を反映した教育行政を進めるための情報の収集や活用、行政改革という視点に立った事務事業の総合的見直し、複数の部や課にかかわる主要事業の調整のほか、学校や子供の実情を広く市民に理解していただくための広報活動にも力を注いでまいりたいと考えております。
〔工藤磐保健衛生局長 登壇〕
◎工藤磐 保健衛生局長 薬物乱用防止対策の取り組みについて古川議員にお答えいたします。
議員御指摘のように、麻薬や覚せい剤などの薬物乱用は個人の心身に重大な影響を及ぼし、その弊害ははかり知れないものがあります。
この薬物の乱用を防止するために、熊本県では知事を地方本部長とする熊本県薬物乱用対策推進地方本部を設置し、また熊本市ほか十地区に推進協議会が設置されております。
この地区推進協議会は、保護司連盟、防犯協会連合会、社会教育委員連絡協議会、ライオンズクラブ国際協会、地域婦人会連絡協議会、薬剤師会、薬種商協会の七団体から参加されており、熊本市の推進協議会は現在五十九名で構成されております。
この推進協議会が行います各種広報、啓発活動、推進員の研修等に衛生部の担当職員も参加をしておりますし、また、二カ所の保健所に相談受付の窓口を設置しているところでございます。
しかし、議員御指摘のように、薬物乱用防止対策は健康の面からも非常に重要な課題であり、保健衛生局としましても積極的に取り組む必要があると考えております。今後、教育委員会で検討されますプロジェクトチームへの参加とともに、現在、本市の重点施策の一つとして「健康と生命を大切にするやさしいまちづくり事業」を進めておりますので、この中でも薬物乱用防止対策の具体的な取り組みを検討してまいります。
〔十一番 古川泰三議員 登壇〕
◆古川泰三 議員 覚せい剤の問題については、今後、私たちを悩ませるような状況が必ず来ると、こういうふうに思います。
早急な対策をお願いいたしましたところ、幸いにして、関係部局や関係機関の指導や協力を得ながらプロジェクトチームを設置の方向で検討すると、こういう御答弁をいただいき安心いたしました。
また、体を守るといいますか、そういう面からも保健衛生局長さんからも、教育委員会と連携をとりながら薬物乱用防止の具体的な取り組みをするという大変積極的な御答弁をいただきました。ありがとうございます。今後ともひとつよろしくお願いを申し上げます。
また、免許外教科担任の解消に向けては、解決に向け努力をするということでございました。これを全面的に解消をするということは無理であるということは私自身も承知しておりますが、できるだけ解消をしていただきたいと、こういうふうに願うものであります。
先ほど申し上げましたように、先生と生徒の信頼を築くのは授業である、わかりやすい楽しい授業、これこそ教師の使命であります。ぜひよろしくお願いを申し上げます。
また、教育企画課の位置づけにつきましては、学校教育と社会教育部門、福祉教育や環境教育との連携、その意見を集約して教育行政を計画的に効果的に実行に移す、こういうことではなかろうかというふうに思います。民間もそうでありますけれども、特に役所は往々にしてセクショナリズムに陥りがちであると思いますが、それを打破して、行政改革の一環としても教育行政の効果を上げること、それが教育企画課の役割であると、こういうふうに認識をいたしました。
教育の問題について質問させていただきました。教育長の御配慮大変ありがたく思います。二十一世紀の熊本を担う人材でありますから、これからも次から次へといろんな手だてが要るわけであります。大変だと思いますけれども、教育長さんとともに頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、西部地域の活性化についてお尋ねをいたします。
まず、観光開発についてでありますが、平成八年度の熊本市観光統計を見ますと、平成三年以後の入り込み観光客の長期低落傾向にようやく歯どめがかかり、平成七年度に比べ二十二万八千人、五・四%の増加となったと報告がなされております。
この理由として、平成八年度には第一回お城まつりを初め、夏目漱石来熊百年を記念した漱石博、本市を主会場とした県民文化祭、世界の蝶と昆虫博覧会などなど集客力のある多彩なイベントが、三角市長の積極的な御尽力により開催されたことによるものであり、本市の経済浮揚策として、観光施策に取り組まれる市長の姿勢に大変敬意を表するものであります。
しかしながら、観光客の海外流出の増大や、一方で安い、近い、短いという旅行が加速度を増し、周辺地域の新たな温泉施設、あるいはレジャー施設への観光客の分散化が続いております。
さらには、長崎のハウステンボス、北九州のスペースワールド、宮崎のシーガイア、福岡のキャナルシティなどなど、まさにテーマパークアイランドと言われるほど大変巨大なアミューズメント施設が集合しており、これらの施設への観光客の集中が進んでおります。
また、これらの施設は、国内のみならずアジア地域をも集客圏域として営業活動を展開しておりますが、いずれも従来の自然や遺跡を見て回る「静」の観光に対し、観光客みずからが動き回る「動」の観光でありまして、若者から高齢者までが一日じゅう楽しめる魅力を備えていると言えます。さらに高速道路の整備が観光客の移動時間を短縮し、魅力あふれる宿泊地に移動してしまうという現状は、観光への対応を一層難しくしているものと思うわけであります。
このような本市の観光を取り巻く状況の変化を考えますと、今日までの本市の観光の根幹であります熊本城や水前寺公園等のいわゆる「静」の観光施設をより魅力あるものとして整備を図るだけでは、観光というものの質の転換期に耐え得るのであろうかと、いささか疑問を感じるものであります。
このように、地域経済に大きなウエートを占める観光政策に対し、本市は今までとは違った視点から、具体的に実現可能な施策の創出に取り組むべきであると真に願うものであります。
幸いに、本市の西部地域は金峰山県立自然公園の山々から成る豊かな自然と、有明海の海原から遠く雲仙まで広がる眺望など手つかずの魅力的な観光資源に恵まれており、今後はこれらの貴重な資源の活用が観光振興、さらには地域振興に大きく寄与するものと思われます。
これらの地域には既に平成四年に策定された金峰山・
有明海沿岸観光開発基本計画がありますが、現下の厳しい財政状況の中で本当に実現できるのか、また投資効果という面からも不透明な事業が多くあるように思われます。
時代の大きな変革の中では、過去に策定されたこのような大規模なプランを再度見直し、本当に市民に求められているものであるかいなかを検討、整理する必要があるのではないかと思うわけでありますが、その中でぜひ検討をお願いしたいのは、この基本計画の中にあります金峰山ロープウエー構想の実現であります。
この件につきましては、本年一月、県の企業局がロープウエー「オレンジライン」の建設構想を打ち出されました。私は先ほど述べましたように、本市の観光が熊本城、水前寺公園を中心とする「静」の観光である以上、市内観光の滞留時間が短い、観光客の宿泊が今後ますます減少する、そういう危惧を持っておるわけでありまして、そういう立場から、ぜひともこのロープウエー構想を実現に向けて推進すべきであると考えるものであります。
この構想は、金峰山の南斜面、松尾町地区から全長三千メートル以上のロープウエーを設置するものでありますが、金峰山から雲仙、天草や遠く阿蘇、九重という両国立公園、さらには市街地の夜景も楽しめるすばらしい展望の魅力だけでなく、山ろくの出発地や頂上の到着地を整備することにより地域の経済的活性化に大変効果のあるものと思われます。
既に、二十年来浮かんでは消えを繰り返してきた話ではありますが、九州における本市の観光が地盤沈下を続ける以上、新たな起爆剤を起こすほかはないと、こういうふうに思います。県企業局によって打ち出されたとはいえ、本来は金峰山・
有明海沿岸観光開発基本計画にあったプランの一つでありますから、本市も経済性を十分検討の上、県と連携して積極的に実現に向けて努力をすべきであると思うものであります。
また、西部地域に集客力のある新たな施設が建設をされるならば、私が常々申し上げております小島下町権現山一帯の、国指定遺跡である千金甲装飾古墳など、貴重な文化遺産も多くの人々に見ていただくことができるのではないかと思いますし、あるいは、平山地区の岩戸観音、さらに二百年の伝統を誇る近津の鹿島神社の勇壮な火祭り、また、日本五大稲荷の高橋稲荷などなど、これらの地域の魅力的な行事を発掘すれば、観光資源としての可能性も広がってくると思いますし、また、整備が進められております熊本新港の利用客増大も見込まれるのではないかと、こういうふうに思います。
そこでお尋ねをいたしますが、本市の経済的浮揚を図るための観光政策は今後ともその重要性が増すことと思いますが、本市の貴重な観光資源を数多く有する西部地区の観光開発基本計画を見直す予定はないのか。
またその起爆剤である金峰山ロープウエー構想の実現に本市として取り組む意思があるのか、県の企業局としては、市の協力、拠点整備に尽力いただければ、さらに民活も利用すれば実現は可能であるとのことでしたが、いかがでしょうか。経済振興局長の明快なるお答えをお願いいたします。
〔坂田憲一経済振興局長 登壇〕
◎坂田憲一 経済振興局長 西部地区の活性化につきまして二点ほどのお尋ねでございます。お答えを申し上げます。
まず、西部地区の観光開発基本計画の見直しについてでございますが、本市は平成三年の合併によりまして、豊かな資源を本市の新たな観光魅力として生かし、さらには西部地域の観光の活性化を図ることを目的として、金峰山・
有明海沿岸観光開発基本計画調査を実施したものでございます。
調査の内容といたしましては、金峰山及び有明海沿岸地区の観光を核とした地域整備の今後のあり方と、当面着手すべきプロジェクトを明確にし、その整備内容を明らかにしたものであり、いずれの事業も今後の本市の観光振興に向け期待できるものでありますが、バブル経済の崩壊に端を発し、今まで厳しかった経済状況の中でも、先行きが不透明な時代を迎えております。近年の本市経済事情も極めて厳しい状況にある中で、現時点ではすべての事業に着手することは非常に困難な状況でございます。
そこで、今後、この厳しい現状に即しながら、費用対効果があるのか、また市民のニーズに即しているものかどうか十分に検討し計画の見直しを図り、実現できるものから順次進めてまいりたいと考えております。
次に、金峰山ロープウエー構想への取り組みについてでございますが、この金峰山ロープウエー構想は、去る一月熊本県企業局の構想として発表されましたが、本市でも議員御案内のように、金峰山・
有明海沿岸観光開発基本計画の中で掲げられているものでもございます。
しかしながら、先ほども申し上げましたように、国内経済の不透明感や本市の厳しい財政状況などから、金峰山・
有明海沿岸観光開発計画の中でも莫大な予算を伴う事業には着手できないでいるのが現状でございます。
このような中、県の企業局の方で金峰山ロープウエー構想について、ルート、事業の採算性、需要予測、連携すべき他の事業、あるいは環境問題などあらゆる面から検討されているということは、私ども大変期待をいたしているところであり、本市といたしましても、金峰山ロープウエー構想が県企業局の新たな事業として実施可能なものとなるように連携を図り努力してまいりたいと考えております。
〔十一番 古川泰三議員 登壇〕
◆古川泰三 議員 西部地域の観光開発基本計画については見直しを図るということでございました。市民が何を望んでいるか、今後そういうことを十分検討されてしかるべきだと思います。
金峰山ロープウエーにつきましては、本市の観光の大きな目玉であると、こういうふうに認識をいたしておりますし、さらに西部地域の活性化に大きく寄与するものであるとも思います。
県の方に参りましていろいろお話をお伺いいたしましたところ、今後、市と積極的に連携を図っていきたいということでありました。今局長からは、実現可能なものになるように、県の企業局と連携を図りながら努力をしていく旨の御答弁をいただきました。したがって、双方が土俵の上に上がる条件が整ったわけでありますから、大いに期待をいたしております。
さて次に、熊本市の西部地域の経済活性化策についてお尋ねをいたします。
本市西部地域は、米、野菜、果物からノリ、特に私たちが住む中島校区沖新町のノリについては、行政の指導と相まって、ノリの従事者の方々の並み並みならない努力のかいがありまして、ノリの価格が最高値で一枚四十五円、平均十二、三円ぐらいと大変高いものとなっております。ちょっと傍聴席を見てみますと、ここにおいでの方でことし四千万円以上稼いだと、収益を上げたという方もおられるようでございまして、大変な努力の結果があらわれているわけであります。
さらには、有明海でとれた魚介類などの新鮮な農産物の生産によりまして、本市の食糧生産基地として、またその生産額から本市経済の重要な一翼を担ってまいった地域であります。
しかし、これまで農業、漁業が中心であったために、道路交通網整備のおくれや、干拓地であるがゆえの排水問題、軟弱地盤等のため、東部、北部地域に比べまして、その整備開発がおくれてきたことはやむを得ないとはいえ、大変残念でならないわけであります。しかしながら、私は本市が中核市としてさらなる発展を図るためには、都市として均衡のとれた整備、開発が必要であると考えるものであります。
三角市長におかれても、このようなお考えから、みずからの陣頭指揮により熊本港の整備促進活動に積極的に取り組まれ、本年七月には熊本-本渡間を一時間で結ぶ高速船が就航をいたしまして、乗客数も八月には約五〇%と、予想以上のすべり出しという状況だそうであります。さらに、平成十一年春には五千トン級の岸壁が完成予定であるなど、着々と重要港湾に向けての将来展望が開けてまいりました。
一方道路につきましては、本市東西を分断しておりました鹿児島本線が、西部第一区画整理事業の一環として平成十一年を目指して高架化されつつあり、東バイパスからそのまま西部につながる近見沖新線が現実のものとして姿をあらわしつつあります。
また、都市計画道路の新土河原出水線、野口清水線、また国道として五百一号線など地域内での幹線道路の整備も順調に進んでおりますし、これらの都市機能の整備は、必ずや西部地域の開発ポテンシャルを高めるものと期待をするものであります。
このように社会基盤整備が進む中で、これらインフラを西部地域発展のために有効に生かし、おくれた地域経済の浮揚を図るためには、今後とも多種多様な政策の展開が必要と思いますが、今回は、いろいろな問題を抱えております熊本港、あるいはファズ、さらには田崎市場、みかん実験農場の四点に絞ってお尋ねをしたいと思います。