田尻市長におかれましては先般、二週間の日程でヨーロッパとアメリカを訪問されました。スイス・ローザンヌにおける
ハンドボール男子世界選手権大会の招致活動では、熊本開催の確かな手ごたえを得られてきたとのことであります。これが実現をすれば、熊本を世界にアピールするまたとない絶好のチャンスとなると思われます。私もその実現を大いに期待しているところであります。
また、
ハイデルベルク市においては、世界的な
がん研究家クラウス・ムンク教授らと交流され、本年九月に予定されております
国際交流会館の落成式に来熊され、講演会を開かれることが決まったと聞いております。これも田尻市長の御尽力によるものでございましょうが、世界の
トップレベルの方のお話が聞けるということは、本市の医療レベルの向上に大いに役立つであろうと期待しております。
また、
サンアントニオ市においては、熊本園開園五周年記念式典に出席され、記念式典に駆けつけられた
ヘンリー・シスネロス住宅都市開発省長官と会談、その折、
国際交流会館の落成式に御招待されたところ、快諾を得られたと伺っております。
一方、今回の欧米の外遊期間中に、友好を記念して、
ハイデルベルク市からは感謝の品が、また
サンアントニオ市からは栄誉市民証が田尻市長に贈られたそうでございますが、これは、田尻市長のこれまでのさまざまな分野にわたる国際交流の成果が高く評価された結果であり、このことは私どもといたしましてもまことに喜ばしく、また誇りに思うものでございます。
このように、田尻市長におかれましては国際化の時代を牽引するかのごとく国際交流の推進に取り組まれているわけでありますが、国際交流のあり方は、いわゆる国レベル、都市レベル、あるいは行政、民間レベルによってそれぞれ形態は異なろうかと思いますが、二十一世紀を展望した場合に、都市レベルにおける交流はいかに展開すべきであるか、このことについて、これまでの国際交流の実績あるいはさきの外遊の成果等を踏まえまして、その御所見をお聞かせいただきたいと思います。
次に、本年三月には
財団法人熊本市
国際交流振興事業団が設立され、また交流の拠点施設として
国際交流会館が来る九月一日に落成式の運びとなるということであります。これにより国際交流に不可欠のソフト、ハード両面の体制が整うこととなり、本市の国際化は今後加速度的に進展するものと大いに期待をしているところであります。
ところで、本市の国際化が進むにつれて、本市の
外国人登録者数は、平成四年三月末に二千百九十八人だったものが、平成五年三月末には二千六百八人、平成六年三月末には二千七百五十三人と年を追うごとに増加いたしております。そこで今後は、内なる国際交流と言われるこの在熊外国人の方々へのいろいろな情報提供、あるいは在熊外国人の方々と市民との交流活動等もますます必要になってくると思うのであります。
そこでお尋ねいたしますが、
国際交流振興事業団では今後どのような交流事業を展開され、そして国際交流の拠点施設として期待されている
国際交流会館をどのように運営していかれるのか、市長公室長にお尋ねいたします。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 鈴木議員にお答えをいたしたいと思います。
その前に、ただいま
国際交流事業につきましては身に余るお言葉をいただきまして、また的確な御指摘と御指導を賜りましたことに厚く御礼を申し上げる次第であります。
今日国際社会の中におきまして我が国が果たすその使命と責任、そしてまたその貢献につきましてはまさに御指摘のとおりであるわけであります。私は、お許しをいただきまして去る四月二十七日、ローザンヌに参ります途中ジュネーブの方に寄ったわけでありまして、このジュネーブは──一九三三年二月、あの有名な、松岡全権が国際連盟を脱退いたしました。このことから我が国の国際社会における孤立化が始まったわけでありまして、この
国際連盟脱退が、残念ながらいわゆる大東亜戦争、そして一九四五年終戦という非常に悲劇的な民族の敗北を味わったわけでありまして、私どもは再び、この平和、そしてまた戦争の悲劇というものを、ジュネーブのあの地に立ちまして感慨深いものを覚えたわけであります。そしてさらに、自分は今六十一年たったこの四月二十七日に、こうして
世界ハンドボール大会、そして二十一世紀を背負って立つ若い人々のスポーツの祭典を我が熊本市に誘致に来ているんだと。この平和こそ、そしてまた二十一世紀を背負って立つ我々の若い次の世代の人たちに永遠の平和を与えなければならないと、このように考えまして、深く感慨にふけったわけであります。
私どもは御案内のとおりに、戦争の時代そして戦後の時代、まことに不幸な時代を味わってまいりました。しかしながら同時に、日本民族のまさに一億の国民が一致協力したいわゆる経済大国というすばらしい事業をなし遂げたわけであります。今後私どもは、あの一九三三年の
国際連盟脱退、このような悲劇を再び繰り返さないように
国際交流事業を通じて、先ほど来鈴木議員の御指摘のように、まさに平和とそしてまた繁栄と、国際貢献に全力を挙げて取り組まなければならないと、このようにかたく決意をいたしているところであります。
したがいまして、この約八年間にわたりまして、鈴木議員初め議員各位の大変な御支援によりまして、我が熊本市も自治体外交、いわゆる地方の国際化という大事業に取り組んでまいったわけでありまして、その一つの結晶としていよいよ来る九月一日には
国際交流会館が落成を見るわけでありまして、この会館落成を機といたしましてさらに自治体外交、そしてまた国際化と、この大事業に取り組んでいかなければならないと、このように決意を新たにいたしているわけでございます。
今後、私どもは経済問題、環境問題、あるいはまた文化交流の問題、世界の各国、特に姉妹都市の皆さんとともに、お互いの交流を通じて、そして永遠に平和がありますように心から願いながらこの大事業に取り組んでいきたいと、このように考える次第であります。
〔市長公室長 岩本洋一君 登壇〕
◎市長公室長(岩本洋一君)
財団法人熊本市
国際交流振興事業団における今後の交流事業につきましてお答え申し上げます。
当事業団は、ただいま田尻市長が申し上げましたように、変革する国際社会の中で地方レベルでの国際交流を一層進めるため、資産二億円をもちまして昨年三月設立し、今日まで市民及び在熊外国人への
情報サービス事業、市民の
国際化推進事業、市民と在熊外国人との
触れ合い事業を中心に事業を実施してまいりました。今年度からは、来る九月一日に
国際交流会館が落成いたしますことから、この会館を拠点といたしまして各種の事業を実施いたす所存でございます。
具体的な話で申し上げますと、二階の
交流ラウンジにおきまして、書籍やビデオ等による
情報サービス事業、あるいは面談等によるきめ細かな相談窓口の充実を一層図ってまいりたいと考えております。また、この会館が広く市民の国際化の拠点となり、市民と在熊外国人の触れ合いや研修の場として利用されますように、当事業団といたしましても各種講座を開催すべく鋭意準備を進めているところでございます。
さらに、中国への市民友好の翼を初め、議員御指摘のように増加の一途をたどる在熊外国人、特に留学生に対しまして本市への理解を深めてもらうための施設見学とか、あるいはお互いの交流を深める火の国まつりへの参加、また
ホストファミリーボランティア制度の充実等も図っていく所存でございます。特に本市若者の海外での勉学、いわゆる私費留学生につきましても、十分な成果がおさめられるよう親身になった対応を図ってまいる所存でございます。
次に、熊本市
国際交流会館の運営についてでございますが、この会館は建設前のみゆき会館が
職員厚生施設であった経緯もございまして、
国際交流機能と
職員厚生機能とをあわせ持つ複合施設といたしております。したがいまして、この会館の運営は、
国際交流施設につきましては当事業団が市から委託を受けて行いまして、
職員厚生施設につきましては職員厚生会が行うことといたしております。今後、事業団と職員厚生会が相互に連携を図り、市民と職員が活発に利用できるような会館運営に努めてまいりたいと考えております。
〔二十九番 鈴木昌彦君 登壇〕
◆二十九番(鈴木昌彦君) ありがとうございました。
田尻市長の国際交流に対する熱い思いをお聞きいたしまして心から敬意を表します。今後とも、友好都市を初めとして経済交流、医学交流、青少年交流等さまざまな分野において積極的な交流を進めていただき、世界に開かれた
国際都市熊本市を実現されるように期待するものであります。
また、
国際交流会館では市民レベルでの交流事業を積極的に展開し、相互理解を深めることに努めていただくようお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
地方分権についてお尋ねをいたします。
御案内のとおり、今日の国、地方を通ずる内政の最重要課題の一つに地方分権の推進が取り上げられております。私も、東京一極集中を是正し、国土の均衡ある発展を図ることにより、国民の一人一人が我が国の経済力にふさわしい豊かさと生きがいを享受できる多様で活力ある地域づくりを実現するためには地方分権の推進が不可欠であると考えております。
そのためには、何と申しましても、肥大化した現在の中央集権的な
行政システムをスリム化し、国と地方の機能分担を根本的に見直し、国と地方が適切に責任と役割を分担し合う効率的な体制の確立が必要であると思うのであります。
すなわち、住民生活に密接に関連する地方の行政については、住民に最も身近な行政主体である地方団体の自主的な判断と責任のもとで、地域の実情に即した運用ができるように、国から地方への大幅な権限移譲を図ることが必要であると思うのであります。
昨年六月には連立政権が誕生したわけでありますが、連立政権ではこの地方分権問題に積極的に取り組んでおり、その第一段として、人口三十万人以上の
地域中核都市に政令市に準じた権限を持たせる中核市と、都道府県、市町村の区域を越えて特定の広域行政を担当する広域連合の創設を柱とする
地方自治法改正案を今国会に提出しているところであります。
御承知のとおり、この中核市制度は、全国市長会の堤言などを受けて、第二次、第三次
臨時行政改革審議会や
地方制度調査会が創設を答申していたものでありますが、今回の
自治法改正案では、一つとして、人口三十万以上を有すること。二つ、面積百平方キロメートル以上を有すること。三つとして、当該市の人口が五十万未満の場合にあっては、昼夜間人口比率が一〇〇を超えることを指定の要件としております。熊本市を初めとして全国で二十七市が該当しております。
またこの制度においては、事務配分の特例として、
政令指定都市に移譲されている事務のうち、国道や県道管理など、都道府県が一体的に処理することが効率的な事務など、一部の例外を除いて政令市に準じた特例が設けられております。保健所業務、
都市計画事務、
環境保全事務などの事務が都道府県から移譲されるわけであります。
本市では既に保健所業務を初め特例として挙げられている事務の多くを処理しているという現状から考えますと、今回の中核市制度が十分なものかどうか疑問もありますが、将来的に
政令指定都市を目指している本市にとっては超えておかなければならないハードルであるのもまた事実であると思うのであります。
今国会で自治法の改正案が成立すれば、平成七年には第一次の指定が行われるようであります。私は、本市の都市規模、能力から見ても、全国の先陣を切って第一次の指定を受けなければならないと、このように思います。多くの
指定対象都市もこの中核市の指定に向け積極的に取り組んでいるようであります。
また、中核市をステップとして政令市を目指している堺市や、あるいは中核市を契機に周辺自治体との合併を進め一気に政令市を目指そうとしている静岡市や大宮市などの例があるように、中核市制度の創設は
地方中核都市の
あり方そのものに一石を投じたようであり、本市の将来像にも大きな影響を与えると思います。
この中核市制度は、
地方拠点都市などの
地域振興立法と異なる新たな都市制度であり、政令市と同様、指定と同時にすべての事務を県から引き継ぎ処理しなければならないということであり、事前に県と十分に協議をしておかなければならないということであります。さらに、国への指定申請を行う場合には、あらかじめ市議会の議決を経て、都道府県議会の議決を経た都道府県の同意が必要ということであり、平成七年の指定に向けては迅速な対応をすべきであると考えます。
そこでお尋ねいたしますが、この中核市の指定あるいは将来的な課題である
政令指定都市の指定に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、また推進体制をどのように考えておられるのか、さらには中核市指定までの
スケジュールはどのようになるのか、
企画調整局長の答弁をお願いいたします。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 鈴木議員にお答えをいたしたいと思います。
ただいま我が熊本市の今後の重要な政策課題であります
政令指定都市問題につきましてお触れいただいたわけでありまして、ひとしくその問題につきまして私の率直な見解を申し述べたいと思います。
鈴木議員御案内のとおりに、平成三年二月一日四町大合併、いわゆる平成の大合併は我が熊本市の新たな、まさに進むべき進路に大きな運命を与えたと、私はこのように考える次第であります。かつては福岡市と並び全国有数の都市として発展してまいりました我が熊本市に、まさにこれは神が与えた一つの啓示であると、このように私は認識をいたしておりまして、議員各位とともに、今後本市の発展のために全力を挙げて、しかも本市発展の過程で決して避けて通ることのできない重要な課題である
政令指定都市制度に取り組んでいかなければならないと、このように考える次第であります。
御承知のとおりに、我が国における市制町村制は明治二十二年四月に施行されたものであります。これは極めて中央集権的かつまた官吏的な性格を帯びてまいりました。そして戦後、昭和二十二年、国民主権、基本的人権を保障、このような大原則に立った新憲法が制定されました。その附属法典としての地方自治法が施行されたわけであります。そして戦後、私どもはいわゆる地方の時代を創生すべく全力を挙げて取り組んでまいりました。しかしながら、中央の地方に対する不信の念は強く、今日なお三割自治というまことに残念な事態にあることも否定できないわけであります。
改めて申し上げるまでもなく、地方自治は可能な限りその地域に住む市民の皆様の身近なところで立案そして実施されることが好ましいわけでありまして、私は全国市長会を代表いたしまして、国の機関であります経済審議会、
生活環境審議会に出席をいたしました。あるいはまた
衆議院地方行政委員会におきまして、全国市長会を代表いたしまして地方交付税の改正問題につきまして率直な見解を申し述べてまいりました。地方自体は既に政策決定に必要な規模、能力を十分に備えている、そしてその能力に比べて政策決定の権限が不足しており、今や権限の拡充をさらに図っていかなければならないこと、権限の拡充に当たってはその事務量に見合う財源の適正かつ確実な配分が必要であること、同時にまた人口だけを各基準とせず、その自治体の歴史と伝統、文化と、こういうものに目を当てるべきであると、このように私は主張してまいったわけであります。
今回、このような歴史的な背景のもとに、第二
政令指定都市制度とも言うべき中核市制度の創設が
地方制度調査会から提言されて、関係法令の改正案が今国会に提出されておりますのは鈴木議員御指摘のとおりでありまして、熊本市を初め全国二十七市が指定の対象とされていると、このように聞き及んでいるところであります。しかしこの中核市制度は、地方分権の促進という観点から見れば一定の評価はできますものの、まだまだ私どもが考えているような、まさに地方の時代をつくり上げていく、そこには達していないと、このように私は考えておりまして、制度としてはいまだ不十分であると、このように考える次第であります。
したがって中核市は、あくまでも鈴木議員が言われますように、本市が
政令指定都市を目指していく上での
ワンステップとしてとらえ、同時にまた新熊本構想に掲げる活力ある魅力に満ちた我が熊本市の建設に向かって、政令都市を目指し全力を挙げてまさに実力ある都市の形成に力を入れなければならないと、このように決意をいたしているところであります。
〔
企画調整局長 竈 啓一郎君 登壇〕
◎
企画調整局長(竈啓一郎君) 私の方から、中核市指定に向けました推進体制並びに指定までの
スケジュールにつきましてお答えを申し上げたいと思います。
ただいま議員御質問の中でも述べられましたように、中核市制度につきましては従来の国、県、市町村というこの行政事務の流れの中で、これまで特例といたしまして
政令指定都市制度が設けられていたわけでございますが、都市規模が大きく、また
行政処理能力を有します一般市に対しましても
政令指定都市に準じた権限を与えていこうという考えのもとの新しい制度でございます。
現在国会に提出されております地方自治法の一部改正案によりますと、申請手続につきましては、
政令指定都市と同様に市議会の議決をいただきまして県議会の議決、さらに県の同意を得て自治大臣に申請するものとなっているわけでございますが、ただ、中核市として指定が決定いたしますと同時に、御指摘のとおり移譲事務の処理を即刻実施しなければならないというものになっているわけでございます。したがいまして、今後の取り組みといたしましては、地方自治法の一部改正、これと関連の三十五法令の改正案も同時に上程されているわけでございますが、それぞれの移譲されます事務の種類、内容、事務処理の手順、方法等につきまして精査をいたしまして、また移譲される事務につきまして県と本市関係各課との協議が円滑に進むような総合調整を図ることが必要であるというふうに考えているわけでございます。
当面私どもは、この企画部門を中心といたしまして、関係部局によります庁内検討組織を設置したいというふうに考えているわけでございますが、内容いかんによりましてはこれを専任いたします検討組織も設置することが必要であろうというふうに考えております。
次に、中核市の指定までの
スケジュールでございますが、今国会で関連法案の改正が成立いたしますと、平成七年一月ごろに関連の政令、省令等々の法令制度が施行されるものと考えているわけでございます。また、国の方におきましてもできるだけ早くという考え方がございまして、平成八年の四月ごろには最終の指定を行いたいという考えもあるようでございますが、現在この改正法案、国会において論議をされている途中でもございます。また、これが成立をいたしました後も国への申請の手続、そういったものがあるわけでございまして、若干時間がかかるのではないかというふうに考えております。
いずれにいたしましても、先ほど市長が御答弁申し上げましたとおり、今後の地方分権に向けましての一つのステップというふうに考えているわけでございますが、中核市の制度内容につきましては今後とも国会の論議あるいは関係各庁の動向を見守りながら、市議会の御論議をいただきまして、その指定に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
〔二十九番 鈴木昌彦君 登壇〕
◆二十九番(鈴木昌彦君) ありがとうございました。
政令指定都市を目指して田尻市長から力強い御見解を拝聴いたしまして大変心強く思った次第でございます。また、新熊本構想の実現は、ひいては熊本市が
政令指定都市に大きく近づくものでありまして、その意味からも総合計画の積極的な推進をお願いしたいと思います。また、そのための
ワンステップとして、まずは中核市の指定に向け全力を傾けていただきたいと思います。
次の質問に入ります。景気対策についてお尋ねをいたします。
長引く平成不況の中、昨年、田尻市長の御英断によりまして、旧飽託四町との大合併を記念して火の
国フェスタ・くまもと’93が開催されました。この結果、景気低迷の折にもかかわらず約四百四億円という大きな
経済波及効果をもたらしております。そして、本年もまた
国際交流会館の落成や水道、交通事業の七十周年、国際家族年などを記念してファミリーフェスタを開催されるとのことであり、火の国フェスタの経済効果の継続という面でも大いに期待をしているところであります。
また先日、
九州新幹線開業が本市の観光に及ぼす影響についての調査結果が明らかにされておりますが、それによりますと、新幹線の誘発効果により入り込み観光客数は年間百八十二万人、観光消費額は二百二十二億円増加することが予測されております。このことからも新幹線の早期着工が待たれるところでありますが、私は、以上のようなことから、この景気低迷からの脱出、ひいては本市のさらなる発展のためには、何としても内外の多くの人から注目され、そして訪ねてみたいと思われる観光コンベンション都市としての熊本の魅力を前面に打ち出した施策を展開すべきであると考えております。
平成二年の第三回定例会におきましても、私は国際コンベンションに関する質問を行い、市当局からは、熊本コンベンション推進協議会を法人化し、より強力な誘致活動を展開していくという御答弁をいただいております。その結果、平成三年十一月には、御答弁のとおりに
財団法人熊本国際コンベンション協会を発足され、全市を挙げて国際会議の誘致、さらには観光の振興に懸命に取り組まれております。さらに、いよいよこの九月にはコンベンション機能をあわせ持ち、本市の国際交流の拠点施設として大きな期待が寄せられている
国際交流会館が落成いたします。その会館落成に花を添えるかのように、先日運輸省は、本市を初めとする三十五都市を国際会議観光都市としてこの秋にも第一次認定する方針を固めたということであり、まことに喜ばしい限りであります。この国際会議観光都市に認定されますと、国際会議等に関する定期的な情報提供や宣伝用パンフレット、ビデオの作成、海外の専門誌への紹介記事掲載などの支援が受けられるということであり、本市の観光コンベンション行政推進の大きな牽引力となるとともに、大きな
経済波及効果が期待できるわけであります。
そこで第一点目のお尋ねでございますが、
国際交流会館の落成を間近に控え、あるいは国際会議観光都市への認定といった動きの中で、本市としては、景気回復の起爆剤となるべき国際コンベンションの誘致に対し、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。
また、そのことに関連いたしましてもう一点お尋ねいたします。
この不況で本市の観光客数は伸び悩んでおります。国際観光コンベンション都市としてさらに大きく飛躍していくためには観光施設の整備充実はもとより不可欠でありますが、中でも国際化が進展する中にあって、外国の方々に対し本市の魅力を十分理解していただくためには、外国語による観光案内の整備を一層充実させなければならないと思います。
本市には実に数多くの歴史文化遺産や観光資源があります。本市を訪れる外国人観光客の方々は、皆さん一様にすばらしい歴史文化遺産の数々に驚嘆され、賞賛の言葉を残してお帰りになりますが、その由来やいわれなどを自分の国の言葉で知ることができるなら、より一層熊本への理解と感動を深め、歴史観光都市熊本の魅力を末永く記憶されるに違いありません。幾つかの施設には英語と日本語併記の案内板を設置してありますが、さまざまな国の方々が本市へ観光に訪れていることを考えますと、その他の外国語、例えば
友好姉妹都市の言葉である中国語やドイツ語への対応も必要なのではないかと私は感じておりました。
〔議長退席、副議長着席〕
そのようなやさき、市当局におかれましては、熊本城において、城郭としては全国初という外国語による観光案内システムの導入に取り組んでおられるということを伺い、まさに我が意を得たりという気持ちがいたしたわけであります。
そのシステムは、日本語、英語、中国語、韓国後、ドイツ語の五カ国語で利用でき、外国の方々だけでなく国内の観光客や市民の方々も活用できるとのことであります。私はこの先駆的な試みに対し大いに期待を寄せるものであり、一日も早いシステムの導入が待たれるところであります。
そこで、熊本城で進められているただいまの観光案内システムの整備について、現在その進捗状況はどのようになっているのか、以上の二点につきまして産業局長の御答弁をお願いいたします。
三点目に、不況対策についてお尋ねいたします。
皆様御案内のとおり、長期化する経済不況に本市の中小企業は一様に苦しんでおります。景気回復のため、国や各地方自治体は公共料金値上げの凍結や公共事業の前倒しなどあらゆる対策を実施し、本市においても昨年四月に中小企業不況対策特別融資制度を新設するなどのさまざまな対策を講じておられます。このような不況対策が功を奏したか、先月まとめられました平成五年度下半期の中小企業経営動向調査によりますと、調査開始以来初めて市内の中小企業の景気判断がやや上昇に転じ、景気に光が見え始めたことが明らかになっております。
また九州経済調査協会は、九州七県の景気は緩やかながら回復に転じたとの見方を示し、平成不況に底入れ宣言を出しております。しかしながら、熊本県中小企業団体中央会がまとめた中小企業動向実態調査では、今年二月の調査において、県内中小企業の約七割が経営悪化を訴えているとの結果が出ております。このことから、数値にあらわれている景気回復の兆しは極めて不透明なものがあり、私の実感としては、本市の中小企業の危機感はかなり深刻であることがうかがえ、個々の企業の経営努力はもちろんでありますが、行政サイドからのさらなる支援対策が必要であると考えます。
そこで、長引く不況に苦しむ中小企業に対する今後の振興策について、具体的にどのように考えておられるのか、中小企業局長にお尋ねいたします。
〔産業局長 市原敏郎君 登壇〕
◎産業局長(市原敏郎君) 鈴木議員にお答えを申し上げます。
熊本市におきましては、平成三年に熊本国際コンベンション協会を設立し、官民一体でコンベンションの誘致を進めてきており、その結果、設立前と比べますと、平成五年度では開催件数で約三百十一件、参加人員で十四万二千人と大幅な伸びを示してきておるのが現状でございます。
このような中、鈴木議員御案内のとおり、熊本市はこの秋、運輸省が認定を予定している三十五の国際会議観光都市の候補の一つに上がってまいっております。この認定を受けますと、国際観光振興会を通じて国際コベンションの情報の収集等数々の支援策が講じられることとなっており、認定後は同振興会の中に設立が予定されておりますコンベンション誘致センターと連携をとりながら、国際コンベンションシティーくまもとを海外に大きくPRをしてまいりたいと考えております。
また、これに加えまして、昨今、東南アジアを中心といたしまして外国人の観光客の皆さんが大変多く見られます。中でも香港につきましては目覚ましい数と聞いております。航空路線を持つ鹿児島市は本市の約五倍の宿泊客を数えてかなりの開きが出てまいっております。そのようなことの対策といたしまして、本年八月に香港で観光と物産展を開催するなど、観光・コンベンションの誘致に積極的に取り組みを図ってまいりたいと考えております。
次に、熊本城国際観光案内システムについてでございますが、これは昨今外国の観光客の皆さんが大変多くなっております。それに対しまして質の高いサービスを提供すると、このような観点から、英語、中国語、ドイツ語、韓国語、それに日本語の五カ国語による電波を使いました案内を行うものであり、現在八月からのスタートに向け作業を進めさせていただいております。
〔中小企業局長 木村和臣君 登壇〕
◎中小企業局長(木村和臣君) 鈴木議員にお答えをいたします。
中小企業に対する振興策についてでございますが、まず中小企業の活力を誘発し、積極的な経営活動の基盤づくりを進めるため、食品工業団地づくりや健軍商店街活性化文化施設の建設などに全力を挙げて取り組んでいるところであります。
次に、中小企業の発展を左右する人材育成にこれまで以上に力を入れて取り組もうと考えております。従来行ってきました研修事業に加えまして、この不況に打ちかつための不況下における経営戦略、財務改善、販売力の強化等の新規特別セミナーを開催する予定であります。
次に金融支援策についてでございますが、平成五年度より実施してまいりました不況対策特別融資制度を本年度も引き続き延長したところでございます。本年五月末日現在で、融資件数百九十三件、融資総額六億八千万円を超える御利用をいただいているところであり、中小企業の皆様の資金調達の円滑化にお役に立てているものと思います。
雇用環境もやや明るさが見えてまいりましたが、有効求人倍率は相変わらず低水準で推移しております。このような中、国が休業、出向に要する経費を補てんする雇用調整助成金制度の申請数は、五月末日現在、熊本職業安定所管轄内で延べ九十件、四千六十人に上っており、今後申請企業の増加が見込まれますよう制度の普及啓発に努め、雇用の安定を図っていく所存であります。
また、このほかエリアマーケティング調査によるライフスタイルの分析等の情報提供や地場産業振興フェア、グルメフェア、インポートフェアを初めとする各種イベントにも積極的に取り組むことにしており、一刻も早くこの不況を乗り切るべく中小企業の支援に当たっていきたいと思っております。
〔二十九番 鈴木昌彦君 登壇〕
◆二十九番(鈴木昌彦君) 今後とも国際コンベンションの誘致に積極的に取り組んでいただき、あわせて観光案内システムの整備を促進し、国際観光コンベンション都市としてさらなる飛躍を期待しております。一つだけ要望を言わせていただけば、六十四万熊本市におきまして、施設といいますか会場といいますか、三千人以上入るような会場が現在のところ見当たりません。一万人規模ぐらいのコンベンションが開催されてもなかなか熊本は受け入れができないということです。調査費でも計上されて、お金も絡みますけれども、一万人規模ぐらいの施設をできれば検討をお願いしたいと思います。
また、不況対策について中小企業局長から御配慮ある御答弁をいただき感謝申し上げます。長引く不況にあえぐ中小企業に対するより一層の支援を心からお願い申し上げます。
さらに、あすを担う子供たちの夢をはぐくむために開催されますファミリーフェスタ・くまもと’94が、本市の景気回復の一助となることを大いに期待しております。
引き続きまして、本市東部地区の整備、開発についてお尋ねをいたします。
東部地区は、本市の南西部と比べ広々とした台地であるという地理的条件に加え、県庁、九州縦貫道熊本インターの建設、旧空港移転跡地の利活用による免許センター、日赤病院、熊本県立大学の建設等、公共施設整備の充実が図られたこと等により近年目覚ましい発展を遂げ、人口の急増とともに市街地も拡大してきたことは御案内のとおりであります。反面、都市化の急激な進展に比べ、幹線道路及び河川等の都市施設の整備が伴わないといったいろいろな都市問題を抱えているところでもあります。
私は御領町に住んでおりまして、中心市街、健軍へ出かける機会も多いわけでありますが、時間帯によりますけれども、そのたびに国道五十七号東バイパスと第二空港線に囲まれた地区で交通渋滞に巻き込まれまして、予定の時間に間に合わず困ったことがたくさんございます。したがいまして、前々からこの地区の道路改善の必要性を痛感していたところでありますが、本日はせっかくの機会でもございますので、東部地区の諸問題の中でも、特にこの地区の道路問題についてお尋ねをしてみたいと存じます。
御存じの方もおられるかとも思いますが、産業道路と国道五十七号東バイパスの交差点から託麻南小学校までの道路、さらにはビッグウエイから県道戸島熊本線の伽羅奢書店を結ぶ県道小池竜田線、この二路線においては交通混雑が日常化しており、ドライバーのいらいらによって、道路横断に伴う子供、老人等の死亡事故がたびたび起きている状況であります。また最近、地域住民の中には、祝祭日のちょっとしたショッピング等は、この交通渋滞を避けて、中心市街、健軍のデパート、スーパーへ行くよりは大津のスーパーへ行くといった人もかなりいらっしゃると聞いております。
本市ではこのような交通問題に対処するため、産業道路と国道五十七号東バイパスの交差点と小峰郵便局付近を結ぶ熊本駅新外線、健軍自衛隊とビッグウエイ付近を結ぶ下南部画図線、免許センター通りと小山町のトーヨド団地付近を結ぶ保田窪菊陽線、桜木小学校通りと小峰郵便局付近を結ぶ新外秋津線の四路線を都市計画されており、うち二路線について現在整備が進められているようでありますが、確かに現在の計画路線を整備することにより一時的には、また一部分では交通問題の改善を生むかもしれません。しかしながら、将来のまちづくりを見据えた場合、これだけでは地区の現況課題の根本的な解決にはならず、やはり私は、将来に向けては新たな都市計画道路を建設し全体的な道路網の整備を図るべきではないか、このように思うのであります。
そこでお尋ねいたします。将来に向けた東部地区の活性化と健全な発展を図っていくためには、中心市街、健軍との結節はもとより、地区の都市機能強化を図っていく必要があり、例えば国道五十七号東バイパスのサンピアン付近と第二空港線のレストランFBI付近を結ぶ新たな南北道路が必要ではないかと思いますが、当局においてはどのように考えられているかお答え願います。
また、第二点目は、産業道路と国道五十七号東バイパスの交差点と小峰郵便局付近を結ぶ都市計画道路熊本駅新外線についてお尋ねします。
この道路を地図で見てみますと、市街地を斜めに分断し、しかも保田窪菊陽線と交差するところは五差路となっており、交通処理が困難をきわめる道路と言えるのではないでしょうか。私は、交通混雑を緩和させるためには、むしろこの道路を県道戸島熊本線の小峰郵便局付近と熊本社会保険センターを結ぶ県道小池竜田線に沿った道路へ計画を変更した方がいいと思います。この二点について都市局長の御答弁をお願いいたします。
第三点目に、平成十一年開催予定の熊本秋季国体に向けた道路整備、いわゆる国体道路と呼ばれる保田窪菊陽線と県道熊本空港線のトラックターミナル付近と小山町のトーヨド団地付近を結ぶ道路の整備状況についてでございます。
御承知のとおり、幹線道路は円滑な都市活動と快適な都市生活の実現に欠くことのできない最も基本的な施設であり、本市においても他都市と同様、今日までその時々の時代の要請にこたえ鋭意整備が進められてきたところであります。しかし、財源の問題や急激な市街地の拡大、人口集中等の要因により、その対応は必ずしも社会の要請を満たしているとは言えません。
また、近年は特にライフスタイルの変化や社会、経済の変化等により、人、車の動きも多様化し、幹線道路の整備のあり方にも影響を及ぼしております。したがいまして、今後は良好な市街地形成のための計画的、効率的幹線道路の早急な整備と、その推進方策が最も重要な課題であると考える次第であります。
そこでお尋ねいたします。国体へ向けての保田窪菊陽線の整備と、地域住民の生活関連道路であります県道熊本空港線のトラックターミナル付近から小山町トーヨド団地を結ぶ一級幹線市道長嶺町小山町第二号線の整備はどのような進捗状況か、このことについて担当局長の御答弁をお願いします。
〔十番 大江政久君 登壇 拍手〕
◆十番(大江政久君) 日本社会党の大江政久でございます。本年第二回定例会に当たりまして、先輩議員、同僚議員の皆様に初日の登壇の機会を与えていただきましたことに心から御礼を申し上げます。
本日は午前中鈴木議員の方から御質問がございまして、私が扱うのと重複するところがございましたけれども、これにつきましては私がNTTの出身でございまして、鈴木議員は郵政省でございますので、私どもの監督官庁でございます。そういうところから考えると思いは同じだったのかなという気がしております。この後質問に入ります前におわびなんですが、話の流れの中で重複することが多々あるかと思います。その点についてはどうぞ御容赦をいただきたいと、なるべく重複を避けて質問をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。中にまた不手際なことも多々あるかと思いますが、よろしくお願いをさせていただきます。それを前提に、何とぞ田尻市長初め執行部の皆様の温かい御厚情によりまして最後まで御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、早速質問通告に従って入っていきたいと思います。
細川連立政権から羽田連立政権に移り、羽田内閣は少数与党政権になって、その政権基盤は不安定で脆弱なものになりました。その上この内閣は、永野前法相発言や集団的自衛権の見直し、国連安全保障理事会の常任理事国入りに対する安易な積極姿勢への転換、軍縮の方向を示した細川政権とは異なる防衛計画大綱の見直しなど憲法の精神に逆行する姿勢を見せており、予算委員会の審議においても閣僚発言の撤回、取り消しが続くなど、スタートから不安定さを露呈しているありさまです。さらには、まず消費税率アップありきという税制改革の姿勢のもとで、地方も含めた公共料金値上げの一元的な凍結など、内外の諸課題が山積をしております。現在、地球上では、米ソの冷戦構造の崩壊の後、地域間紛争、民族紛争、宗教による対立、飢餓、あるいは地球環境の問題など新たな課題に直面しております。
このような中で、日本国内においても、ただいま述べてまいりましたように、昨年八月の細川連立政権誕生による五五年体制の崩壊に端を発した政界再編の動きは一段と激しくなってまいりました。しかしながら、私どもが目指したところの五五年体制からの脱皮は、平和、民主主義などその意義を大切にしながら、二十一世紀に向けての新しい日本の創造に積極的に挑戦することであります。その新しい時代の政治理念として、私は、平和と民主主義、社会的公正と人権、そして地球環境の問題を中軸に、この歴史的転換期の中でより広範な価値観を共有しなければならないと思っております。
このようなことを踏まえて、私たち地方自治体を取り巻いている状況を改めて見回してみますと、二十一世紀に向けて私たちが挑戦すべき重要な課題の一つに地方分権の問題があると思うのであります。明治二十二年地方自治制度の発足以来、第二次世界大戦後の新しい憲法の制定を経て新たに生まれ変わった現在の地方自治制度は、戦後五十年の歳月を経過し、近年では地方の時代などと言われて久しく、それぞれの自治体によるさまざまなまちづくりの取り組みなどが国民の間に大きな関心を呼ぶようになってきておりますが、それぞれの団体に応じた権限や財政の確保など、本当の意味での自治権はいまだ確実なものになっておりません。国が行政のあらゆる分野において、省庁の系列を軸としたいわゆる縦割り行政で自治体に介入してきております。例えば、機関委任事務、交付金や補助金、地方債の問題など、国の関与によるさまざまな問題が自治体の施策の遂行に影響を及ぼしており、自治体がみずからの創意工夫によって独自のまちづくりを行う上で大きな障害になっています。
しかしながら、今や地方分権は時の流れであり、細川連立政権においても積極的に取り組み、国会においても昨年の地方分権推進決議を受けて、地方分権推進基本法の議員立法化の作業が進められているところであります。自治体がその役割を果たすためには、過度に国に集中している行政権限と財源を自治体に大胆に移譲していくことが不可欠です。行財政改革とともに、環境問題への対応、高齢化社会への対応、都市交通問題の解決など、地方自治体のまちづくりにおける役割とその責任はますます高まっています。地方分権はこのような問題を解決する上で避けて通れない問題であります。近年、政治の改革を目指す新しい政治の波は永田町だけでなく、幾つかの知事選挙や二十歳代市長の登場に端的に見られるように、地方に向かって確実に波及してきています。
このような時代にあって、我が熊本市においても住民の新しい要求とその動きをしっかりととらえ、惰性にのまれることなく、地方の時代に対応できる力量を身につけることが絶対に必要だと思います。
政令指定都市は御案内のとおり、大都市における行政をより効率的に遂行し、住民の福祉向上を図ることを目的として府県から独立した権限を与えられたものでありまして、地方自治法によって福祉、衛生、都市計画等の十七項目が一括して移譲されているほか、個別の法律によってさらに市内の国道、県道の管理などの権限が移譲され、都道府県とほぼ同等の行財政能力を持つものであります。現在の
政令指定都市の指定の要件は、自治法上は人口五十万人以上の都市ということになっておりますが、実質的にはおむむね人口は百万人程度であり、人口密度が一平方キロメートル当たり二千人以上、第一次産業就業人口の割合が一〇%以下であること、さらには、都市的形態、機能を備えていること、行財政能力(区制事務を処理する体制)を備えていることなどの基準があるようであります。
本市は、総合計画の中で、平成十二年(西暦二〇〇〇年)における市域人口を七十万人程度、近隣の市町村を含めた広域都市圏人口を百万人程度と想定し、交通網の整備や都市基盤の整備、多核的な市街地構造の形成、あるいは地域経済の活性化、さらには環境、福祉、教育などあらゆる面において都市機能の強化を図るために施策を展開していくことになっていますが、この総合計画の推進こそが本市の
政令指定都市実現につながっていくと確信するものであります。
また国においては、今般、人口三十万人以上などの一定の条件を満たした都市に対して
政令指定都市に準ずる権限を与える中核市構想を実現させるために、今国会において法制化を目指していると伺っていますが、今や本市にとってこの中核市の指定は
政令指定都市への通過点にすぎないと言っても過言ではないと思うのであります。
そこでお尋ねをいたします。田尻市長におかれては、本会議において、間近に迫った二十一世紀に向けて、我が熊本市が九州の一大雄都になるためには
政令指定都市の問題を避けて通ることはできないと、また中核市についても
政令指定都市に向けての通過点であると、このようにおっしゃっております。
私は、この田尻市長の意気込みに深く感銘するとともに、大いに期待をするものでありますが、今後、
政令指定都市に向けて、その指定にふさわしい都市開発をよりダイナミックに展開していくことが求められると考えるところでございます。
市長におかれましては、これをどのように進めていかれるのか、その基本的な考え方をお聞かせいただきたいと存じます。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 大江議員にお答えをいたしたいと思います。
ただいま
政令指定都市の問題につきまして大江議員の極めて高い御見識を拝聴いたしたわけであります。午前中鈴木議員にも
政令指定都市につきまして、私の率直な見解を述べさせていただいたわけでございまして、ただいまも大江議員のお話を承りまして私も全く同感であるわけであります。国政の基盤であります都市自治体、このたゆまない発展こそが将来我が国の一層の繁栄をもたらすものであると、このような確信を持つ一人でもあるわけであります。廃藩置県以来、従来の国から県あるいはまた市町村、こういう地方制度を今こそ根本から見直すそういう時代が来ていると、このように私は考えている次第でございます。
戦後、国、特に自治省の考え方はナショナルミニマム、いわゆる行政水準の向上によって画一的な都市をつくっていくと、このような傾向にあったことは否みがたき事実でありますが、それはまた国の地方に対する不信の念、こういうものが一つの基礎的な考え方になっていたと私は思うわけでありまして、これは国が今こそ深く反省すべきである。むしろ私どもは今後、歴史と伝統に輝く熊本市のような風格ある都市づくりに全力を挙げて初めて、我が国が世界の中で最もすばらしい国づくりができるということを私は確信をいたしているわけでございます。
ただいま議員仰せのように、新熊本構想は、まさに平成三年二月一日に実現いたしましたいわゆる平成の大合併を基本といたしまして、そしてまた
政令指定都市へ向かう第一歩としての基本構想であるべきである、このように考えているわけでございます。したがいまして、具体的には、都市開発の方向を九州全土に向けてその総合的な施策を進めていかなければならないと、このように私は考えます。例えば新幹線の導入、あるいは有明海に新空港を実現する、あるいはまた百年の念願を果たすことができました新しい港の整備に全力を挙げまして、そして九州全体を代表するようなそういうまちづくりを私どもは考えていきたいと、このように考えているわけであります。
そのためにはやはり実力のあるまちをつくると、その意味におきましては各主要都市を結ぶ主要幹線、こういう問題にも目を向けまして、しかも熊本駅周辺あるいは南熊本駅、上熊本駅、水前寺、子飼、健軍、このような熊本の歴史を支えてきたすばらしい町並みをさらに充実していくことが大事である、あるいはまた今日話題になっております新交通システム、この導入を積極的に進める必要がある、あるいはまた鹿児島本線の連続立体交差はもちろんのことでありますが、豊肥線の連続立体化もいよいよ取り組んでいかなければならないと私は考えているわけであります。
したがいまして議員御案内のとおりに、本年四月の機構改革によりまして都市局の部内に拠点整備課、南熊本駅周辺整備推進室、市街地再開発課、鹿児島本線連続立体交差対策室を新設いたしました。今鋭意取り組んでいるところでございます。さらには今後、
国際交流会館の建設あるいはまた
国際交流事業団の設置によりまして、いよいよ国際化の時代に対応した新しいまちづくりに全力を挙げていかなければならない、このように私は考えております。四町合併は我が熊本市に一つの天の啓示を与えました。その合併を機として私どもはいよいよ歴史的な
政令指定都市へ向かって勇気を持って大きく踏み出すべきであると、このように考えております。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) ただいま市長のお話をお聞きしまして、以下の質問について非常に意を強くして質問をしていけるというふうに思っておりますが、以降につきましては
政令指定都市を前提に質問を進めさせていただきたいと思います。
次に、
政令指定都市を目指すまちづくりの中で、本市の都市開発の推進による拠点機能の強化とあわせて、周辺の市町村と連携したいわゆる広域都市圏の整備強化がもう一つの大きな課題であります。と言いますのも、本市と周辺市町村とのつながりの中で、本市の広域的拠点性は現在でも大変強く、この都市圏の問題を抜きにしては本市の発展は考えられないからです。
例えば通勤・通学の依存率で見ますと、九州経済調査協会によれば、五%以上あれば十分に拠点性を持つと言われておりますが、平成二年の時点で既に三十五以上の市町村、人口にしまして百万人を超える市町村が本市を中心とした都市圏としてとらえられるのであります。また最新の消費動向調査によれば、本市の商業圏は人口八十万人を超えているのであります。
これに加えて、本市の場合、特に本市の生命線とも言うべき地下水問題を抱えており、地下水涵養域を含めた関係市町村が一体となってその保全に取り組むことが不可欠であります。また、近年とみに厳しさを増している交通問題についても、広域的視点に立った根本的解決が求められているのであります。
このようなことから、新熊本構想においても、周辺市町村との結びつきの強まりの中で、その緊密な連携による百万人規模の活力を備えた熊本広域都市圏の形成が掲げられ、具体的には、住宅、生産、研究、医療、福祉、レクリエーション等の都市機能の拡充や適正配置、また幹線道路や公共交通網の整備などに国、県や周辺市町村と一体となって取り組むともされております。
また県においても、その新総合計画「生活創造くまもと」の中で熊本広域都市圏を県勢発展の牽引車として位置づけ、九州の拠点にふさわしい都市機能の拡充や広域拠点性の強化をうたっているようであります。例えば、本市と県内の主要都市を九十分で結ぶいわゆる九十分構想や、本市と九州の各県都を百五十分で結ぶ百五十分構想などが掲げられ、九州の中心という本市の位置的優位性を生かした拠点性の強化が挙げられております。
このような中、地下水問題や交通問題を初め都市圏の抱える諸課題については既に個別的に本市や県が中心となっていろいろな取り組みもなされているようですが、関係市町村との調整や、事業、プロジェクトの合意形成、財源の問題等困難な問題も多くなかなか進まないのが実情のようであります。しかしながら、広域都市圏そしてその中核となる本市の発展のためには粘り強いコンセンサスの形成と事業推進の努力が期待されるものであり、本市としても広域都市圏の諸問題に総合的かつ主体的に取り組むべきだと考えます。
そこでお尋ねですが、本市の県都としての広域拠点性の強化、また広域都市圏の形成に向けた取り組みについて
企画調整局長にお答えをお願いいたします。
〔
企画調整局長 竈 啓一郎君 登壇〕
◎
企画調整局長(竈啓一郎君)
政令指定都市の指定を前提としていうことでございますが、県都としての広域拠点性、あるいはその広域拠点機能の強化といいますか、そういったものに対してどう取り組むかという御質問でございます。
御案内のとおり、熊本市につきましては、周辺の市町村と通勤・通学、あるいは買い物、娯楽、生産、流通と、こういった住民の日常生活や経済活動におきましてますます一体感を強めているところでございます。このような中で、特に平成三年二月の飽託四町の大合併を踏まえました熊本市の総合計画を策定されているわけでございますが、この中でも平成十二年におきます熊本市と周辺の市町村を含めた広域都市圏の人口を百万人程度と想定いたしまして、国、県や周辺市町村との緊密な連携のもとに広域都市圏として一体的な振興発展を図ることとしているところでございます。
都市圏行政につきましては、これまでにも熊本中央広域市町村圏協議会、あるいは熊本都市圏連絡会議などをつくりまして、広域的協力体制のもとで、例えば廃棄物処理、伝染病対策、下水道整備、青少年の健全育成などの事業を展開しているところでございます。
また最近では、熊本市外十五市町村における広域的な地下水保全対策の推進のために、平成三年に熊本地下水基金というものを設立いたしまして水源涵養林造成事業、あるいは地下水涵養対策などを進めておりますほかに、県市共同での都市圏交通問題調査なども実施しているところでございます。
さらに、白川の洪水を防ぎますために、県、熊本市、さらに関係の二町からの費用の一部負担によりまして立野ダムの建設、あるいは市町村振興協会内に熊本市からの出資による基金を設立いたしまして、市町村職員の海外派遣研修等も
行っているわけでございます。
さらに、都市圏の一部自治体からではございますけれども、交通問題等のいわゆる共通の課題につきまして熊本市との連携を深めていきたいという動きも実際に出ているわけでございます。しかしながら、ただいま御質問の中でも触れられましたとおり都市圏の問題は市域を越えた取り組みでありますために、県、関係市町村との合意形成、あるいは協力という体制をつくっていきますのが不可欠でございますけれども、なかなか困難な問題が多いのも事実でございます。
このような中で、県におきましても熊本広域都市圏におきます懸案事項の解決と九州におきます拠点性の強化を図りますために、熊本広域都市圏整備に関する調査に現在取り組もうとしているわけでございまして、本市といたしましてもこの調査の中で積極的にタイアップいたしまして都市圏の一体的発展に努めていかなければならないと、かように考えているわけでございます。また、このような広域的な会合を積極的に進めることが、議員御指摘の
政令指定都市に向けての一つの基盤をつくっていくものだと理解をいたしまして、今後対応させていただきたいと考えております。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) どうもありがとうございました。ただいま
企画調整局長からも話がございましたように、広域都市圏を中心とする市町村と価値観をともにするようなものが多くできてきますと、
政令指定都市あたりもテンポが早くなるのではないかというふうに考えるところで、そういう意味からしますと、ただいまのお答えの中にもございましたようにぜひ広域拠点性の強化なり、また共有ができるもの、そういうものを模索をしていっていただきたいというふうに思います。
それでは次に、高度情報化社会への対応についてお尋ねをいたしたいと思います。
高度情報化社会、高度情報化の都市づくりということにつながると思いますが、昨今そういう中で新聞紙上、マスコミを含めてテレビ、ラジオのニュース番組をにぎわせている言葉にマルチメディアという言葉がございます。マルチメディアと申しますと、何やらまた小難しいカタカナの言葉が出てきたなと、つい敬遠してしまいそうになりますが、実はマルチメディアとは私たちにとって案外身近な言葉なのです。
これまで私たちは、文字や音声、映像などのさまざまなメディア(媒体)を利用して多様な情報を伝達してまいりました。文字は新聞や書籍、音声は電話やラジオ、そして映像は映画やテレビなどに代表されますが、それらはお互いに強い影響を与えながらもそれぞれ独自に発展し、私たちの生活の中に溶け込んできて、今ではどれもがなくてはならないものになっています。
そのような中で、情報通信技術の急速な進歩により、これらのメディアを融合し、複数の機能と付加価値を持った新しいメディアが生まれようとしています。それがマルチメディアなのです。
例を挙げますと、Jリーグという言葉の意味を調べるとします。これまでであれば、まず分厚い百科事典を本棚から取り出してページを開き単語を検索をいたします。そしてそこに細かく書き込まれた小さな文字を必死に読んで、ようやくその意味を理解することができました。文字以外に私たちの理解を助けてくれるのは、せいぜい挿絵や写真程度です。
しかし、もしパソコンとCD・ROM──CDを入れて処理をする装置なんですが、これを使った音と映像のついた百科事典を実現したとしたらどうでしょうか。調べたい単語「Jリーグ」を入力しますと、瞬時にJリーグの画面が表示され、文字情報だけでなく、試合の模様を伝える映像が臨場感あふれる歓声とともに流れてくるのを楽しむことができます。これがマルチメディアの百科事典です。しかし、これだけではただパソコンの性能が格段によくなったというだけの話ですが、米国のスーパーハイウエー構想に端を発し、今や世界じゅうがその構築に全力を傾けています光ケーブルによる情報通信基盤が全国的に整備されればどうなるでしょうか。
これについても例を挙げますと、ビデオなどのデータベースセンターと各家庭の端末をネットワークで結んで、家にいながら見たいときに見たい映画が見られるビデオオンディマンドや、スポーツ中継を見ながら好きなときに選手のプロフィールを呼び出したり、画面で紹介された商品を家庭内の端末から注文、購入することができるインタラクティブTVなど双方向が可能な映像通信が実現をいたします。つまり、従来のテレビのように一方的に情報を受け取るだけでなく、視聴者の側からも信号を送ることで必要な情報を選択することができるようになるわけです。もちろん、テレビ電話も夢の話ではなくなりますし、国会図書館にアクセスして希少な文献を自分の家のディスプレーでいながらにして読むなどということも技術的には可能になるなど、さまざまな要素を融合したマルチメディア社会が実現をいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
このように、マルチメディアは私たちの生活に密着し、しかも大きな可能性を秘めた新しい情報伝達手段なのです。このマルチメディアを創造する情報通信産業は二十一世紀にかけての最大の発展分野であり、二十一世紀のキー・インダストリーだと予測していることから、最近政府筋や経済団体などからもさまざまな方向を示唆する答申などが発表されております。
経団連がこの四月にまとめた情報通信分野の規制緩和に関する要望の中では、日進月歩の勢いで技術革新が行われている情報通信分野は潜在的な可能性が大きく、これを最大限に活用することによって生産性の向上、創造性の発揮、及び新規事業の発展を促し、我が国経済の構造改革、産業の国際競争力の向上に結びつけていくことが重要である。また、政府においては、新規事業創出の観点から、我が国の情報通信分野における規制のあり方の将来展望と当面の緩和方策、及び情報化を総合的、計画的に展開するための諸規制の見直しについて検討することとしているが、その成果に大いに期待していると述べられております。
また、郵政省の諮問機関である電気通信審議会は、これは午前中の答弁の中でもあったわけですが、この五月に二十一世紀の知的社会への改革に向けて、情報通信基礎プログラムと題した答申をまとめております。その中で、マルチメディア市場全体の規模を約百二十三兆円、また新たに創出される雇用者は、答弁の中でございましたように約二百四十三万人と試算しているわけでございます。同時に、同プログラムの中で、情報通信基盤整備の効用として、先ほどこれも紹介があったのですが、高齢化社会への対応、一極集中の是正、経済構造の改革、ゆとりのある豊かな生活の実現、国際社会との調和、環境問題など、こういうふうに例を挙げて、マルチメディアが果たす役割は単なる生活のハイテク化にとどまらず、人間社会の多方面にわたる諸問題の解決手段としての認識を示して高く位置づけられております。
このほか通産省、厚生省、建設省、自治省と政府機関のほとんどにおいて高度情報化社会に向けたプログラムの検討が進められており、その波は今にも地方に及びそうな勢いであります。
これを地方行政の現場の観点から検証してみますと、まず住民票や印鑑登録証明書の交付事務についてはコンピューター処理が導入をされ迅速化が図られてはいますが、ファクシミリによる発行や銀行預金の自動サービスのような自動発行システムの導入などの利用者の利便向上という観点からの改善はおくれているようです。また、電子投票による選挙方法も少なからず話題には上りますが、選挙の当日みずから投票所に行きとか、氏名は自分で書く、これを投票箱に入れなければならないといった公職選挙法の規定が、障害者や寝たきり老人及び遠隔地居住者などの投票の機会を奪っています。
次に医療分野ですが、現在、過疎地の医療体制や専門分野の医師不足などさまざまな問題を抱えており、情報通信分野の技術進歩が貢献でき得る側面は非常に大なるものがあるにもかかわらず、直接患者に会わずに電話などの通信手段で患者の状態を聞いて治療方法を指示するなどの行為は違反とされており、マルチメディア機器を通じて患者の顔色や症状などを見て診断することは不可能になっています。また、医者不足で往診の難しい地域では、患者は高熱を押して遠い病院に出向き、多数のほかの患者さんにまじって待合室で長時間を過ごし、その後ようやく医師の診断を受けるといった旧態依然とした状態が改善されないままであります。このようなことから、医療における高度情報化の整備を早急に望む声は非常に強いものがあります。特に今後の日本は世界有数、もしくは世界一の高齢化社会になると言われているだけに、通信画像技術による在宅検診など世界の最先端を行く医療体制を構築することが望まれます。
最後に教育分野についてですが、今の学校教育は制度上通信教育がありますが、基本的に対面教育が原則となっています。しかしながら、通学事情とか心身の病などにより勉学を断念せざるを得なかったり、また仕事につきながらも向上心を発揮し、学業を継続したいとする人々のためにも、情報通信を駆使した在宅学習が認められてもよいのではないでしょうか。民間の予備校などでは、有名な講師の講義を通信衛星を利用して全国の各教室で一斉に受講できるような方法が先取りされて行われておりますが、教育行政の分野でもこのような観点から、映像システムなどを使った遠隔教育が正式な教育の履修と認められるように、教育体系と関係法の整備を望みたいと思うところです。
以上、高度情報化社会の展望とその効用について所見を述べさせていただきましたが、このような高度情報化社会への対応について、現場でございます市民サービス窓口への活用研究、これについては市民局長にお願いしたいと思いますが、医療分野への活用研究にということで保健衛生局長、教育分野への活用研究ということで教育長に、それぞれ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
〔市民局長 野田雅水君 登壇〕
◎市民局長(野田雅水君) 大江議員にお答えを申し上げます。
市民課窓口業務の情報化への対応につきましては、証明事務の電算化という形でこれまで進めてきたところでございます。しかし先般、御案内のとおり光ファイバーも二〇一〇年を目標に全国整備するという電気通信審議会の提言がなされたところでございまして、情報通信技術の目覚ましい発展ぶりを実感いたしますとともに、市民サービスの窓口部門におきましても、これからは、大江議員申されますように高度情報化というものに十分目を向けていかなければならないと認識を新たにいたしているところでございます。これから国におきましても光ファイバー網の公的な利用法の開発など、実用化へ向けた研究がなされると伺っておりますので、そういったことに大いに関心を持ちまして、市民サービスの窓口における活用につきまして研究してまいりたいと存じます。
〔保健衛生局長 工藤 盤君 登壇〕
◎保健衛生局長(工藤磐君) 大江議員にお答え申し上げます。
情報化時代における医療分野での情報システムについて、平成四年の三月議会におきまして議員から御紹介をいただき、また市民病院での取り組みや本市の健康管理情報システムについて御質問をいただいたところでございます。中でも市民病院の電算化システムの導入につきましては、患者サービスあるいは診療の質的向上につながることからこれまでにも調査研究を進めてまいりましたが、平成六年度におきましても、窓口部門を中心に早期電算化に向け努力してまいります。
お尋ねのマルチメディアを通じての在宅医療の取り組みについてでございますが、議員御案内のとおり、二十一世紀を直近にして、超高齢化社会の対応のため、医療、保健、福祉の連携が強く求められており、それぞれの機能を有機的に活用する必要があります。特に、今回の診療報酬改定の現状を見ましても、訪問看護の充実等、在宅医療の推進が国の重要施策となってきています。
そのような中で、医療あるいは健康管理といった面から、病院と家庭を結ぶマルチメディアの応用も研究が進められているようであります。市民病院におきましても、時代の流れに沿った医療体制の確立という面から、マルチメディアの医療面での活用について今後勉強をしてまいりたいと考えております。
〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕
◎教育長(谷口弘毅君) 大江議員にお答えをいたしたいと思います。教育分野への活用研究についてでございます。
今日、我が国ではコンピューターを初めとした情報機器が社会のさまざまな分野で活躍し、日常生活でも大きな変化をもたらしているところでございます。本市におきましては、将来の高度情報化社会に生きる生徒に必要な情報活用能力を養うために、すべての中学校に二十一台ずつのコンピューターを導入いたしまして、キーボードに親しむ教育を進めているところでございます。
議員御指摘のとおり、現在は病院に入院している児童・生徒の教育につきましては病院内に病弱学級をつくり、主治医の指示のもとに病弱学級担任が少人数を相手に指導教育を行っているところでございます。
また在宅で病床に伏している児童・生徒に対しましては、養護学校の担当教員が自宅を訪問して指導を行う訪問教育がなされているところでございます。
議員御案内のとおりに、教育はいかなる状況下の子供にも一人一人に授けるのが原則でございます。今後は、教育の分野におきましても、情報通信を駆使した映像システムの活用など、情報通信の分野での教育利用の研究を進めてまいりますとともに、関係法令等の整備につきましても関係機関に働きかけてまいる所存でございます。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) どうもありがとうございました。ぜひ身近なところで、先ほども申し上げましたようにマルチメディアというのは創意工夫をしてやっていけば、いろんなところで利用価値があるのではないかというふうに思います。特に
政令指定都市を目指していきますと、人間も足りなくなっていきますでしょうし、そういうことから考えますと、人間ができない分野、また人間がやらなくてもいいようなそういう分野、利用できるところはどしどし利用していくべきではないかというふうに考えるところでございます。
特に、私も第一回目の登壇から高度情報化社会に向けてということで幾つかのシステムを提案させていただきましたけれども、最終的にはこのマルチメディアの利用に行き着くのではないかというふうに考えております。それぞれ研究をされるということでございますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。
それでは次に、国際観光都市としての環境整備について提言を交えてお尋ねをいたします。
今日、労働時間短縮の促進や週休二日制の普及などに伴い自由時間が増加し、この自由時間を積極的に観光レクリエーション活動に振り向けようとする傾向が増大しております。また、観光レクリエーション活動に対するニーズも多様化、高度化の傾向を示しており、従来のただ見るだけの形態から、訪れる地域の独自の文化に触れて参加し体験する形態へと質的転換が浸透してきているところであります。
このような中、先日、十年後は観光客数で約百四十万人、消費額で約百九十二億円の自然増が見込まれ、新幹線が開業すればさらに約百八十二万人で、約二百二十二億円の増加が予測されるとの本市による試算が新聞に掲載されたところであります。しかしながら私は、この試算に対して疑問を抱く者の一人であります。なぜならば、新幹線の開通や高速自動車道の整備促進などによる交通利便の向上は移動時間の飛躍的短縮をもたらし、観光客の誘致圏を大幅に拡大することになります。その反面、熊本市自体に魅力がなければ、他の市町村へ行くための単なる通過地点になってしまう可能性を含んでいるからであります。
我が党は、本市の観光行政に関しまして、熊本城と水前寺公園だけに依存する、いわゆる二極化構造から脱却すべきであるとの主張を行い警鐘を鳴らし続けてまいりました。しかし、修学旅行や団体旅行のルートを検証いたしますと、残念ながらいまだこの構造から抜け切れていないのが現状であります。この二本の大黒柱にいたしましても、平成四年の統計によりますと、熊本城の入場者は、昭和三十年代の二カ年を除けば過去最低の数字となり、また水前寺公園の入場者もここ数年の最低を記録し、往年のにぎわいにも陰りが見え始めております。さらに観光関連業界の方々からは、長引く景気の低迷も災いし、平成五年は平成四年にも増して深刻であったとのお話をよく耳にするところであります。
このような中、本市では、昨年の火の国フェスタなどのイベント開催により地域経済の活性化や地場産業の振興に大いに寄与したところですが、これも根本的な解決にはなり得ないのではないかと理解するものであります。
それでは、どうすればよいのでしょうか。空港、熊本駅、熊本新港、それぞれの交通結節機能強化や既存観光施設相互の交通アクセス整備、さらには宿泊施設の拡充や観光関連産業の充実強化、また本市だけではなく九州の横断ルート、縦断ルートなどとの広域的連携強化などさまざまな課題が山積しておりますが、その中でも私は、本市の歴史的、文化的特色を生かした大型の観光資源の開発を早急に推進すべきであると提案するものであります。
九州経済調査会は、昨年四月にオープンした福岡ドームの
経済波及効果が年間六百五十九億円にも上ったとの試算を発表しています。内訳を見ますと、ドーム関連需要を二百四十一億円、福岡市を中心にした周辺への
経済波及効果二百四十五億円に、生産額の増加に伴う消費刺激効果を加算すると総額四百十八億円の生産を誘発したとしています。また新たな雇用者もアルバイト、パートを中心に四千七百九十人としており、九州経済調査会も福岡ドームの開業で福岡市経済は厚みを増したと評価しております。
私は何も福岡市のまねをしてドームを建設すべきであると申し上げるものではございませんが、本市にも、このように熊本市のみならず周辺にも波及効果を及ぼし、増大する観光レクリエーション活動需要の受け皿となるユニークな大型の観光施設が必要ではないかと申し上げるものであります。
例えば、熊本城にしても、城郭としての熊本城だけに依存するのではなく、広く地域をシンボルとしてとらえ、市内各所に残された貴重な歴史的建造物などを城内に移築・復元して保存することにより、熊本城ひいては本市の魅力を増大させ、観光客の滞留時間の向上に資するべきであると考えるものです。また、旧飽託四町との合併によってもたらされた有明海と金峰山山系という雄大な自然と、それぞれの歴史によってはぐくまれた伝統、文化を生かすべく策定された金峰山有明海沿岸観光開発基本計画調査とあわせてシーフロントピアくまもとの早期実現を図ることが新たな熊本市の姿を全国にアピールし、多くの観光客を広範囲から誘致するものと考えるものです。さらに、現在本市には大型レジャーランドがございません。動植物園の周辺にそういった施設をつくってもいいのではないかというふうに思うわけです。
そこでお尋ねですが、国際観光都市として、その魅力の増大を図るために新たな観光資源の開発にどのように取り組んでいかれるのか、産業局長のお答えをお聞かせいただきたいと思います。
〔産業局長 市原敏郎君 登壇〕
◎産業局長(市原敏郎君) 大江議員にお答え申し上げます。
我が国の国際化が一段と進む中で、国際観光の振興を図ることは、観光の推進に寄与するばかりでなく、国際間の相互理解や国際親善の増進にも大きく寄与するものであり、極めて大きな意義を持っているものと考えます。
近年本市への外国人観光客は、地方の国際化や国際航空路線の充実などを背景に年々増加の傾向にあり、特に地理的優位性から、香港、韓国、台湾からの伸びが目立っております。
このような中で、本市はこれまでも国際観光都市づくりを目指し、国際コンベンションの振興を図るとともに、本市を訪れる外国人のための観光案内施設や、英文併記による道路標識の設置を初め受け入れ体制の整備に努めてきたところでございます。特に本物をごらんいただきたいという観点から、本市が世界に誇る熊本城宇土櫓、旧細川刑部邸、数寄屋丸二階御広間、それに小泉八雲旧居など文化遺産の復元集積を図ったところでございますが、これは御承知のように内外から大変高い評価を得ているところでございます。
今後は国際化の進展に対応するため、熊本城に五カ国語の国際観光案内システムの導入に加え、午前中の鈴木議員の御質問にもお答え申し上げましたが、香港での観光展への出展などによる積極的な誘致活動を展開していく予定でございます。さらに、運輸省の国際会議観光都市の認定を目指すとともに、本市が誇ります金峰山や有明海あるいは伝統芸能や祭りなど、歴史的、人的に豊かな観光資源を掘り起こし、この熊本という城下町の特性を生かしつつ、その開発整備について研究を重ねていきたいと思います。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) 大変ありがとうございました。私自身が経済委員でございますので、経済委員会の中でお話をすればいいのですが、この中でも申し述べましたように、熊本市の性格づけといいますか、そういう中で国際観光都市というのを訴えて、ぜひ皆様にも認識をいただきまして、観光部門に多額の予算をつけていただきたい。特に総務局長にお願いをしておきたいというふうに思うわけです。そういうことも含めまして質問をさせていただきましたので御了承いただきたいと思います。特に大型プロジェクトを控えておりますので、そういう意味では大変お金がかかるものでございますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。
それでは、
政令指定都市関係はここで終わらせていただきまして、次に、梅雨時でございまして、梅雨期の対策についてお尋ねをいたします。
この時期になりますと、ことしは大雨になるのかどうかと心配される市民の方もいらっしゃるというふうに思います。また執行部の皆さんも私どもと同様に、この時期は雨の行方が気になるのではないかと思います。徐々にではございますが、執行部の皆さんの努力によりまして河川工事も進んでいるというふうには思っておりますが、一気にできないジレンマも皆さんもお持ちのことと思います。
ことしも熊本市の地域防災計画が出されましたが、その中を見てみますと、特に急傾斜地崩壊危険箇所が九十八カ所、山腹崩壊危険箇所が五十三カ所で、直接保全対象施設(人家戸数は一千二百四十七軒、公共施設が十二カ所)、崩壊土砂流出危険箇所三十二カ所で直接保全対象施設(人家戸数一千十三軒、公共施設が七カ所)、それからがけ地近接危険住宅六カ所、危険住宅総数二十七軒というふうに出ているわけであります。梅雨時にもなりましたし、ぜひ個々の部分について対策、それからまた今後の危険箇所の取り組み、引き続き総合治水計画の進捗状況と東部地区の河川改修工事の状況、また現在まで河川改修が終わっている箇所の効果についてお尋ねをします。
また引き続きまして、平成五年第三回定例会の質問で東バイパスの冠水対策について質問させていただいたのですが、東バイパスの冠水対策については道路管理者の建設省に要望をされるということになっておりましたが、その対応についてお尋ねをしたいと思います。
また、都市型水害の解消の一環としての一般家庭の雨水浸透ますの設置状況についてもお尋ねをしたいと思います。まことに簡潔にお尋ねしたわけですけれども、関係局長に御答弁をよろしくお願いいたします。
〔建設局長 齊藤 聰君 登壇〕
◎建設局長(齊藤聰君) お答えを申し上げます。
環境保全局長 後藤勝介 産業局長 市原敏郎 中小企業局長 木村和臣
都市局長 本田吉継 建設局長 齊藤聰 消防局長 吉原準二
交通事業管理者 谷壽夫 水道事業管理者 出田四郎 教育委員会委員長柏木明
教育長 谷口弘毅 人事委員会事務局長 代表監査委員 服部公雄
行徳健次
総務部長 三嶋輝男
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田尻紘 事務局次長 岡本央 議事課長 北村政典
議事課付参事 松本豊...