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平成 4年第 4回定例会−12月09日-03号
平成 4年第 4回定例会−12月09日-03号

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  1. 熊本市議会 1992-12-09
    平成 4年第 4回定例会−12月09日-03号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成 4年第 4回定例会−12月09日-03号平成 4年第 4回定例会   平成四年十二月九日(水曜)   議 事 日 程 第三号   平成四年十二月九日(水曜)午前十時開議   第 一 質 問                午前十時二分 開議 ○議長(嶋田幾雄君) ただいまより本日の会議を開きます。     ────────────────── ○議長(嶋田幾雄君) 日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。牛嶋弘君。           〔五番 牛嶋 弘君 登壇 拍手〕 ◆五番(牛嶋弘君) おはようございます。自由民主党の牛嶋弘でございます。本年三月の第一回定例会で初めてこの壇上に立たせていただきました。そしてまた今回、平成四年を締めくくるこの第四回定例会に早々と登壇の機会を賜りまして、先輩並びに同僚議員に対し厚く御礼を申し上げる次第でございます。田尻市長初め執行部の皆様には明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に一言申し上げたいことがございます。と申しますのは、熊本市の姉妹都市でありますアメリカ・サンアントニオ市の前市長ヘンリー・シスネロス氏が、このたび、アメリカの次期大統領でありますクリントン政権のもとに、その要職につかれるとの話を仄聞いたしました。このシスネロス氏は御承知のとおり、サンアントニオ市長として本市との調印時はもとより、その後も歴史都市サミット水資源国際会議などの際にたびたび来熊されるなど、日本への深い理解と友情をお持ちの方であります。私はこの朗報を耳にし、本市がこのようなすばらしい方を友人に持つことを心からうれしく思いますとともに、大きな誇りとするところでございます。これもひとえに、田尻市長が特に国際交流に対し積極的に取り組んでこられたことが今まさに大きな花を咲かせたわけでございます。  昨今、貿易を初め日米間の問題が多い中、この信頼関係は大変意義あるものと確信いたすものであります。田尻市長に対し一言お礼を申し上げまして質問に移らせていただきます。  さて、昨年二月の旧飽託四町との合併から、早いもので二年近くの歳月が過ぎようとしております。この間、田尻市長におかれましては、新たに策定されました総合計画いわゆる新熊本構想に基づき、都市基盤の整備を初め環境、教育、福祉、経済等々、市政全般にわたり積極的な都市づくりを展開されております。そして市長は常々、この合併を契機に我が熊本市は二十一世紀に向け九州の雄都としてさらに大きく飛躍、発展していかなければならないと力説されております。まさに私も同感でございます。  ただここで、今回の合併の意義を考えてみますと、まず一義的には、市民から見た場合と言ってもいいかと存じますが、道路、公園あるいは福祉施設など身近な環境の整備や、産業、経済の活性化など市民みんなが合併して本当によかったと心から思える、そのような都市をつくらなければならないと存じます。そしてこのことが今回の合併の基本精神であると存じます。また対外的には、全国でただ一つの六十万都市になったわけであり、大都市の象徴とも言える政令都市に向けて、その第一歩を踏み出したということではないかと存じます。  この政令都市の問題につきましては、この議場におきましてもたびたび論議されてきたところでございますが、田尻市長におかれましては、本年の第一回定例会における我が党の荒木哲美議員の質問に対し、もはや政令都市問題は本市にとっては絶対に避けて通ることのできない政治、行政の最大の課題であると認識しており、何らかの形で検討を加えたいと、このように極めて積極的な答弁をされております。私は、政令市ともなれば、市民もその誇り、プライドといったものが高まりましょうし、職員の皆さんもやる気が増し、その結果、必ずや熊本市のさらなる活性化に結びつくものと思うものでございます。札幌、仙台、広島、福岡等の現在の発展ぶりがその何よりの証拠であろうと思います。そして、本年四月には千葉市が政令都市になり、また大阪の堺市も将来の政令都市に向けて既に調査を実施していると仄聞しているところでございます。いよいよ次は熊本市との思いを強くするものでございます。  もとより、政令都市の指定を受けるには、現実には人口が八十万とも百万とも言われております。この人口の問題を初め政令都市に向けてはいろいろな課題が山積しているでありましょうが、少なくとも政令都市を想定した取り組みを今から始めても決して早くはないと思うものでございます。  私見ではございますが、政令都市に向けた具体的な取り組みとして、例えば将来の区制を見据えた上での福祉、保健衛生あるいは文化施設などの適正配置、交通体系の整備などが考えられます。またその場合、どの辺を整備するかが問題になりましょうが、私はまず熊本駅周辺、上熊本、水前寺、健軍、それに南熊本など既にある程度の機能集積を見せているところを整備すべきではないかと思うものでございます。新熊本構想にうたわれた多核的な市街地構造への移行、すなわちこのような拠点整備が政令都市に向けた取り組みの第一歩ではないかと思うものでございます。
     加えて昨今、九州新幹線の早期着工や九州国際空港をどこにつくるかといったことが話題になっておりますが、仮に熊本市が政令都市であるか、それともそれに近い力があったなら、新幹線も八代─鹿児島間がよもや先行して着工されるなどといったこともなかったことだろうし、国際空港にしましても、すんなり熊本につくるということになっていると思われます。このようなことを考えますと、今まさに熊本はその実力が問われているのではないでしょうか。  いずれにいたしましても、私は、田尻市長が常々申されております九州の雄都の実現とは、実力を備えた都市、政令都市の実現であると解している次第でございます。今後、田尻市長は、この政令都市問題に対しどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いするものであります。           〔市長 田尻靖幹君 登壇〕 ◎市長(田尻靖幹君) 牛嶋議員にお答えをいたしたいと思います。  その前に、私どもが大変尊敬いたしておりますヘンリー・シスネロス氏が、いよいよクリントン新政権におきまして重要な国家的なレベルにおつきになるというお話を聞いておりまして、これひとえに市議会議員各位の国際交流に対します御熱意と、そしてまた御支援によりまして、私どもにとりまして大変喜ばしい一つの大きな国際交流の現象が出てまいりました。御同慶にたえない次第でございまして、この上は、ヘンリー・シスネロス氏が、アメリカと日本の橋渡しとして国際外交の面におきましてもますます御活躍いただきますように心から御祈念を申し上げる次第でございます。  政令指定都市の問題につきましての御質問でございますが、私どもは今二十一世紀を目指す町づくりにつきまして、我が熊本市が一地方都市で終わるか、それとも二十一世紀には政令指定都市として再び九州の一大雄都になるか、その選択を迫られていると、こう申し上げても決して過言ではないと、このように私は感ずる次第でございます。  御承知のとおり熊本市は、九州全域を総括する九州財務局、九州農政局あるいは郵政局など十指に余る行政官庁を初め、熊本大学、熊本商科大学、含めまして大学が十を数える、そしてまた四世紀の星霜をしのぐ世界的な熊本城、あるいはまた水前寺等に代表されるすばらしい文化遺産も数多く残っております。まさに歴史と伝統に輝くすばらしいふるさとでもございます。さらには、日本赤十字の発祥の地といたしまして医療福祉先進都市としても世界に有名な熊本市でございまして、あの世界の名門ハイデルベルク市が熊本市に対しまして、環境問題を中心とする友好都市、この問題につきまして非常に積極的であったと、それが実現した。このことは世界的な評価を受けている証左であると、このように私は考えるわけであります。  また経済的な面につきましても、議員各位の大変な御協力によりまして、今や流通センターは全国に誇る存在でありまして、流通拠点都市として熊本市は明確な位置づけをいたしているところであります。さらには四町合併によりましてすばらしい都市農業地帯として、これまた本県を代表するすばらしい農業地でもあるわけであります。そしてまた国道が五本も熊本を貫流する、そして熊本空港も、六十三年四便でありましたのが今日八便と、東京に向けまして大きく飛躍をいたしているところであります。しかも、いよいよ西部地域発展のまさに起爆剤となるであろう熊本新港が来年早々には開港の運びとなりまして、多年にわたる市民の念願を果たすことができたわけであります。  我々はまさに天の時、地の利、人の和、この三位一体をもって全力を挙げて取り組んでいけば、私は決して政令指定都市は難問題ではないと、このような考え方を持つ一人でもございます。そしてまた、熊本市は、御案内のとおりに新熊本構想の実現によって新しい町づくり、九州におきましても特色ある町づくりを目指しているわけでありまして、牛嶋議員御指摘のとおりに、例えばかつて熊本の繁栄の中心地でありました熊本駅周辺、あるいはまた南熊本、上熊本、大江、水前寺、健軍と、このようなすばらしいそれぞれの歴史を持つ町々をさらに私どもは拠点性を向上させていく、そして新しい開発によりましてさらにその底力をつけていく、そういうことも新構想におきまして今後実現をしていきたいと、このように考える次第であります。  今、新幹線が通っていない六十万以上の都市は札幌市と熊本市でございます。この新幹線の問題が中央の政治力によって決定されると、このようなことから熊本市に新幹線がいまだ貫流していない、まことに残念な現象でございます。これほどの立派な町に新幹線が通っていない、これは私どもにとってまことに残念なことでありますから、今後、議員各位とともに、そのすべてを結集いたしまして新幹線問題につきましては全力を挙げて解決していかなければならないと、このように強い決意を持って進みたいと考えております。  いろいろ申し上げたいことばかりでございますが、要は、新熊本構想の実現によって再び九州の雄都として私どもは政令指定都市へ向かって全力を挙げて進んでいかなければならないと、このように決意をいたしております。           〔五番 牛嶋 弘君 登壇〕 ◆五番(牛嶋弘君) 田尻市長が常々申されている九州の雄都とは政令市と解するなどと多少乱暴な質問をいたしましたものの、市長には真摯に受けとめていただき、また熱い胸のうちを、思った以上に、また積極的な御答弁をいただきましてまことにありがとうございました。  次の質問でありますハイデルベルク市との医療交流とエイズ対策に移りたいと存じます。  去る九月十二日、本市の友好都市であるドイツ共和国連邦ハイデルベルク市から、友好都市協定の再調印のため、ベアーテ・ヴェーバー市長を初め代表団の方々が来熊されました。そしてその際、ヴェーバー市長は、本市主催のくまもと環境フェア’92にも出席され、「ハイデルベルク市における環境政策」と題し、大変見識のある、そして学ぶべきことの多い講演をされたところでございます。単に調印式といったセレモニーに終わらず、このような催しにも参加いただいたことは極めて意義のあることと思った次第であります。  加えて、今回の来熊には、日独医学交流代表者の一人であり、がん研究、小児病の診断、予防、治療における世界的権威であるクラウス・ムンク博士が同行されました。そして、このムンク博士には、今回市民病院において、がん治療における新しい診断技術や治療方法について御講演をしていただいたわけであります。ムンク博士の大変貴重なまた感銘深い話は、市民病院のみならず熊本県全体の医療レベルの向上に大きく役に立ったのではないかと感じるところでございます。今後もこのような機会がさらに増すことを心から期待するものであります。  このハイデルベルク市は、ノーベル賞受賞者を多数輩出しているハイデルベルク大学を中心とした質の高い教育文化都市であり、またドイツがんセンターに代表される充実した研究機関を数多く有する欧州屈指の医療先進都市であることは御承知のとおりであります。そして今後、このハイデルベルク大学医学部や病院、それにドイツがんセンターといった、これらのすぐれたスタッフと、熊本市の市民病院あるいは保健衛生研究所などとの間で、交流、交換研修などを活発に展開していけば、本市の、ひいては日本の医学界をリードするような優秀な人材の育成にもつながっていくと考える次第であります。  また田尻市長におかれましては、先般の訪独でドイツがん研究センターを訪問された際、ある親子が、お互いがんに病みながらも必死に病苦と闘っている姿を目にされ、小児がんの研究、治療に役立つようにと、私人としてひそかに寄附をされたとのことであります。この話を後日お聞きし、心温まる思いがしますとともに、市長の医学向上に対する御熱意に改めて敬意を表する次第であります。  折しも、市民病院は来年度にも九州で二番という小児心臓外科を開設する予定であり、このような交流による人材の育成はまさに時宜を得たものであると言えます。今後の成果を心から期待するものであります。  そこで、今後、本市とハイデルベルク市とは、環境保全、学術、生活文化など多方面にわたる交流事業を展開していくとのことですが、特にこの医療、学術交流について、どのような取り組みを展開していかれるのかお尋ねいたします。  引き続きエイズ対策についてお尋ねいたします。  御承知のとおり、このエイズは現在のところ有効な治療法はありませんが、感染力は非常に弱く、正しい知識があれば予防は可能であるということでございます。決して恐れる必要のない病気であると伺っております。そのような意味におきましても、当面取り組むべきこととして、特に正しい知識の普及、啓発は極めて大切なことであります。  そこで、この普及、啓発を広くしかも早急に図っていくためには、全庁的にはもとより、場合によっては市民も含めた総合的な組織をつくる必要があるのではないかと考えるものであります。いろいろと難しい点もあろうかと存じますが、今後どのような方策を考えておられるのか、まず保健衛生局長にお尋ねします。  あわせて、市民病院長にお尋ねします。  と申しますのも、先般ある病院でエイズ患者が、受け入れ体制が整っていないという理由で治療を拒否されたという事例が新聞報道等で紹介されておりました。現在熊本県下では、エイズ患者、感染者の方は幸いにも四名と少なく、全員熊大附属病院で対応していただいておりますが、今後、患者、感染者はさらに増加する可能性もあり、その際の医療機関等における適切な対応を今のうちから考えておく必要があると思います。その意味において私は、地域医療の中核的な公的病院である熊本市民病院においても、将来に備えエイズ治療方法や院内における治療体制の確立等について研究を進めていただきたいと強く思うものであります。  また聞くところによりますと、ハイデルベルク市は、ウイルス研究の分野に関し世界の最先端のレベルにあるそうでございます。つきましては、先ほど触れましたハイデルベルク市との今後の医療交流の中で、エイズ治療の研究にも前向きに取り組んでいただきたいと強く思うものでございます。  以上二点につきまして、市民病院長の御見解をお尋ねいたします。           〔市民病院長 志摩 清君 登壇〕 ◎市民病院長(志摩清君) まず、ドイツ・ハイデルベルク市との医学交流につきましてお答え申し上げます。  議員御指摘のように、ハイデルベルク市はすべてにわたる学問のメッカでございまして、特に私どもが関係いたします医学の分野におきましては、戦前戦後を通じまして世界をリードする立場にあり、またここ十数年来その発展は著しく、したがいまして我が国からも多数の留学生が派遣されております。  かかる中、本年九月十七日、熊本市・ハイデルベルク市友好都市再調印式の際、御同行いただきましたがん研究の世界的権威でありますクラウス・ムンク教授に当市民病院で特別講演をいただき、職員一同深い感銘を受けると同時に大いなる励みにもなりました。医学の最先端を行きますドイツがん研究センター及びハイデルベルク大学医学部と医学交流を持つということは、当院の今後の医療レベルアップに通じるものと確信いたすところでございます。  この意図のもと、市長の御指示を受け、平成五年度以降、まず高度先進医療技術の習得とあわせまして医療体制等につきまして研さんするために、ハイデルベルク市への医師の派遣をするとともに、また一方、ハイデルベルク大学の附属病院から看護婦を招聘いたしまして、当院の看護婦の教育指導を計画いたしているところでございます。  引き続きまして、エイズに対する当市民病院での将来への治療法並びに治療体制の確立等につきましてお答えを申し上げます。  当院におきましては、以前より感染対策委員会なるものを設置しまして、種々の感染症に対応してまいっております。既に昭和六十二年にはエイズについても検討を行い、直ちに手術室に保護眼鏡ゴーグルなるものを配備いたしております。本年四月にはエイズ研究の権威である熊大第二内科高月教授の教室より当市民病院へ熊大講師及び医師に着任していただき、直ちに感染対策委員会の中にHIVすなわちエイズ感染対策小委員会を設け、HIV感染対策マニュアルの作成を見ております。  一方、当院の医療スタッフのエイズに対する正確な医学的理解を深める目的で、昭和六十二年「エイズを理解するために」と題しまして熊大教授を初め講師の方々並びに当院の部長等によりますエイズに関する院内講演会を開き、医療体制づくりに向け努力しているところでございます。  なお、先般、クラウス・ムンク教授からのお便りでは、議員も先ほど御指摘のように、ドイツがんセンターにおけるエイズの現況としまして、エイズビールスの外被糖たんぱくの構造解析の解明によりワクチン並びに抗エイズ薬剤の開発を進めており、HIV(エイズビールス)に対します抗ビールス機構としてのアンチセンス及びライボザイム戦略の開発等、世界最先端の研究を行っているとのことでございます。またムンク教授御自身もドイツ連邦エイズ基金財団のスタッフとしまして教育啓蒙に携わっておられる、こういうことでございますので、今後当市民病院がハイデルベルクとの連携を深める中でエイズに対する治療体制の確立にもよりよきサゼスチョンがいただけるものと考えております。           〔保健衛生局長 工藤 磐君 登壇〕 ◎保健衛生局長(工藤磐君) エイズ対策の中で、正しい知識の啓発のために市民各層を含めた総合的な組織づくりが必要ではないかという御提案を交えての牛嶋議員の御質問にお答え申し上げます。  エイズという病気が初めて報告をされましてからまだ十一年にしかならないわけでございますけれども、今や世界じゅうで患者は百五十万人、感染者は一千二百万人とも言われております。またWHOは二〇〇〇年までに患者数一千八百万人、感染者数四千万人に増大する危険性があると警告をしているところでございます。数年前まで対岸の火事のように思われておりました我が国でも今や確実に広がっているのでありまして、今国を挙げて対策に取り組まなければ取り返しのつかない事態になりかねないのでございます。しかも、昨日宮原議員の御質問に市民病院長がお答えしましたように、確実な治療法やワクチンはまだ開発されていないのでありまして、議員御案内のとおり今最善の予防対策は正しい知識の普及及び啓蒙でございます。  その知識の普及の一環として十二月一日、世界エイズデーにあわせてエイズ講演会を開催いたしましたところ、六百名に上る方々が参加をされ、改めて市民の皆様方のエイズに対する関心の高まりと不安の広がりを感じた次第でありまして、本市としましては今後あらゆる機会をとらえて正しい知識の普及啓発に真剣に取り組んでいかなければならないと痛感した次第でございます。そのために議員御指摘のように幅広い組織的取り組みが必要であり、まずは全庁的に取り組むために庁内にエイズ対策連絡会議を設置し、関係各課の連携による総合的な広報活動の推進と相談体制の拡充を図ることといたしております。さらには、市民の英知を結集し総力を挙げて普及啓発に取り組む必要があると感じておりますので、議員御提案の趣旨に沿って、教育機関や研究機関、医療機関はもとより、自治会やPTAなどの市民団体、さらには商工団体など市民の幅広い協力と参加を得るための組織づくりについても今後各方面と協議を重ねながら進めさせていただきたいと存じます。           〔五番 牛嶋 弘君 登壇〕 ◆五番(牛嶋弘君) ありがとうございました。  答弁をお聞きしていて、平成五年度以降のハイデルベルクとの医学交流、医療の交流を計画しておられるとのことで、またこのエイズ対策にいたしましても熊大高月先生を中心に真剣に取り組んでおられるということがわかった次第であります。何はともあれ、当面は正しい知識の普及啓発が極めて大切であります。総合的な体制が早急に整備されますことを切望いたしまして、次の市立大学の質問に移りたいと存じます。  さきの三月議会においても述べたところでありますが、熊本は明治の初頭からすぐれた内容の教育が行われ、まさに教育立県として全国に名をはせていたのであります。そのすぐれた教育によって我が国を代表する幾多のオピニオンリーダー、あるいは時代の先駆者たちを輩出してきたのであります。  全員を御紹介する時間はございませんが、例えば日本医学の父と呼ばれる北里柴三郎、本県出身の唯一の総理大臣である清浦奎吾、さらには文部大臣として明治教育、教育勅語を策定した井上毅やマラソンの父として我が国のスポーツ発展に貢献されました金栗四三等々、枚挙にいとまがないのであります。中でも私が尊敬している一人に天草出身の森慈秀先生がいらっしゃいます。この方は皆様も御承知のとおり、県議、町長を長年務められた政治家で郷土の英雄的な人物でありますが、天草五橋の最大の功労者として、また夢のかけ橋のエピソードで有名であります。当時、国の役人などから、橋は川にかけるものであって海にかけるものではないとほとんど相手にされない状況にも屈せず、天草の発展のためにはこの橋は絶対に必要であるとの自分の夢を信念を持って訴え続け、ついには五橋の実現を果たした、当時としては非常に先見の明にあふれた方であります。このほかにもまだまだたくさんの立派な方を我が熊本は世に送り出してきたのであります。  しかしながら、戦後から今日まで、我が国の経済が驚異的な発展を見せる中で、教育面においてはいつしか知育のみが重視されるようになり、昨今に至っては小中学生の塾通い、高等学校での過度の受験対策など、学校ではまさに進学一辺倒の教育が展開されていると言っても過言ではないと思うのであります。その一方では、いじめ、校内暴力、登校拒否、さらには集団万引きや傷害事件等が増加し、加えてますます低年齢化の傾向を見せるなどまことに憂うべき現状にあるのでございます。  また、私が記憶しております日米の教育に関するとある調査によりますと、日本の小中学校教育が非常に高い水準にあるのに対し、高等教育、特に大学においては世界的に見てもかなり低いレベルにあるとの結果も出ているようでございます。このことは、ノーベル賞受賞者の数にも如実にあらわれており、アメリカ二百人、イギリス八十四人、ドイツ七十一人に対し、日本はわずか七人しかおりません。人口六百万のスイスでさえ十八人もいるのであります。ノーベル賞受賞者数で教育水準をはかるわけではありませんが、こういったもろもろのことを考えますとき、我が国の教育は何か間違った方向へ向かっているのではないかという大きな不安を覚えずにはいられないのであります。  ところで、私は先日、上熊本にございます装いも新たになった総合ビジネス専門学校を訪問する機会がございました。その折、校内にちり一つ落ちていない同校の状況に、あるいは生徒たちの礼儀正しさに深い感銘を覚えた次第であります。同校は、「無名にして有力、役に立つ人間」の校訓のもと、校長先生みずから先頭に立って、社会人としてのマナーと実践力を備えた人材を地元に供給すべく、一昨年新たに総合ビジネス科を設置し、経理・秘書コース、観光・サービスコース、国際ビジネスコース等を加え内容の充実を図るとともに、しかも日常の礼節を重んじた教育を行っておられます。今後は同校のような目的意識のはっきりとした専門学校が大いに注目されるものと推察されるわけであります。  私はさきの議会の質問の中で、知識の詰め込みだけでなく熊本の地にふさわしい特色ある高等教育機関としての市立大学の設置について夢を述べさせていただきましたが、行く行くはこのビジネス専門学校のように学生が目的意識を持って学問でき、しかも人間関係の基本である礼節を重んじた教育内容を持った大学があればと常々感じているところであります。将来にわたって生徒数の減少が見込まれる中にあって大学の新設は極めて難しいことかもしれませんが、時代の要請等を背景に、福祉や環境あるいは情報等の分野については新設の余地があると思えてなりません。  そこで提案でございます。本市が基本構想の中で目指している市民福祉都市、あるいは人間環境都市等の実現のため、さらには情報拠点都市の形成のため、これらに関する学部を持つ大学をつくることができないものか。そうすれば、地元の有能な人材を私たちのこの熊本の地にとどめることも可能となり、ひいては本市の福祉の充実、環境の保全、あるいは産業の振興にも資するものと思われます。教育立県の再興のためにも、社会のニーズに合った教育の振興と、そして将来的には特色ある市立の大学の創設も考えられないものかお尋ねするものであります。           〔市長 田尻靖幹君 登壇〕 ◎市長(田尻靖幹君) 牛嶋議員にお答えをいたしたいと思います。  現代教育の難しさ、そしてまた深刻な教育状況等を考えますとき、私もまさに憂いを同じくする一人であるわけでございます。私は、まことに微力でございますけれども、就任以来議員各位の温かい御理解の中で、教育委員会の諸先生方と連携をとりながら人づくりの問題につきまして全力を挙げて取り組んでまいったつもりであります。特に小中学校の学校環境の整備、あるいはまた健康、文化、スポーツ振興、あるいはまた私学の振興等につきましてもいろいろと手を尽くさせていただいたわけでございます。特に二十一世紀の我がふるさとを興していく、そのためにはすばらしい有能な人材がいなければこれは絶対に不可能であるわけでありまして、牛嶋議員御提案の市立大学につきましては私もまことに同感でございます。特に百周年記念事業といたしまして市民の多くの方々から多額の御寄附を賜りまして、ただいま御承知のとおりに人づくり基金といたしまして多くの市民の皆様方にこれを有効に利用していただいております。我が熊本市の福祉、文化あるいはスポーツ、そしてまた大学との連携、このような問題が最近積極的に行われているわけでございまして、特に国際交流の問題等につきましては今後さらに人づくりの問題が肝要であろうかと思うわけでございます。  そういう中にありまして、ただいま総合ビジネス専門学校のことにお触れになりました。無名にして有力、世の中のためになる人をつくっていく、これこそが二十一世紀の人づくりの目標でなければならないと、このように私も信じております。今後私どもは新熊本構想の実現の中におきましてこの大学の問題を真剣にとらえていきたいと、このように考えております。  先ほど牛嶋議員お触れになりましたハイデルベルク大学、これはヴェーバー市長と特にムンク博士の連携が、ハイデルベルク大学との連携、さらにはがん研究所、こういう医療教育につきまして非常に効果が上がっていると。あるいはまたアメリカの地域づくりにつきましても、各大学と地域の公共団体が密接につながって地域づくりをしている。また中国の桂林におきましてもそのようなことでございまして、私どもは今後、既存の大学とはもちろんでありますけれども、幅広い国際視野に立つ人材の養成、あるいは子育ての終わった主婦の方々が自由に勉強できるそういう大学、そしてまた牛嶋議員御指摘のとおりに、無名にして有力である、そしてこの熊本のために一生懸命に頑張りたいと、そういう方々のために開かれた大学をつくるべき、そういうことを真剣に考えなければならない時期に来ているとこのように考えるわけでございます。特に新熊本構想の制定の過程におきましても、熊本におきますいろいろの思いを同じくする方々の積極的な御意見があったというふうに私は聞いているわけでございまして、今後各界有識者による懇談会を設置いたしまして、議会のお許しをいただくならば新年度から早速その検討に入っていきたいと、かように考える次第でございます。           〔五番 牛嶋 弘君 登壇〕 ◆五番(牛嶋弘君) 市立大学の設置というのは、いわば私の夢を述べさせていただいたわけでございますけれども、ただいま、大学の設置については真剣に取り組んで懇談会の設置をするという市長の御答弁をいただきまして、思いのほか、これ以上にない御答弁をいただきまして本当にありがとうございました。  それでは、同じく教育問題について二点ほどお尋ねいたしたいと存じます。  まずは、学校教育における英語教育についてでございます。  今日、交通・通信手段が急速に発達し、容易に外国との往来ができるようになり、諸外国との距離が物理的にも心理的にも短縮され、ますます異なる文化との接触の機会が広がってまいりました。このような中で、今後、二十一世紀を担う子供たちは、外国の人々の生活や固有の文化を理解する柔軟な態度を持ち、国際社会に生きる力を備える必要がますます増大してまいります。そのため、現実に即した英語教育の推進が極めて重要になってくるわけでありますが、果たして実際の英語教育の現状はどうでありましょうか。  我が国においては、中学の三年間、高校で三年、さらに短大あるいは大学に進めば通算八年あるいは十年も英語を学んでいることになります。しかし生徒たちは、文法的なことは頭で理解していましても、会話についてはほとんどできないのが現状だと思います。なぜ英会話ができないのか、いろいろと原因を考えてみましたが、第一に学校における英語教育が高校や大学入試のための教育が主になっていること、第二に外国人と話す機会がほとんどないということ、第三に教材の不足、そして第四に現場の英語担任教師の英会話の経験不足等が考えられるわけであります。  このようなことから日本人は外国人との接触を遠慮しがちになり、仮に会う機会があっても、自分の考えをうまく相手に伝えることができず、誤解が生じるようなこともたびたびあるようであります。国際化時代が急速に進んでいる今日、せめて若い人たちには堂々と自分の考えを英語で話せるぐらいの語学力を身につけてほしいし、またそうしないと日本は国際社会の中で生き残っていけないのではないかと痛感するのであります。  そこでお尋ねでありますが、言語あるいは語学というのは会話に始まり、意思疎通の重要な手段であります。あえて申しますならば、会話を重視しない語学教育は大して意味のないものだと思われてなりません。この点についていかがお考えか。また今後、英語教育の充実のため本市としてどのような対応を図るおつもりか、御答弁をお願いいたします。  さらに質問を続けます。  近年、コンベンションの振興に伴い、全国規模のスポーツ大会が各地で盛んに開催されておりますことは御案内のとおりであります。特に昨今は、ジョギングブームを反映してか、マラソンや駅伝大会が盛んに行われております。駅伝大会と申しますと、大学対抗の箱根駅伝、高校では京都駅伝がつとに有名であり、また熊本県内におきましては天草のパールラインマラソン等が県内外に知れわたっているところであります。最近では、子供から高齢者に至るまで男女を問わず多くの人が参加できるさまざまなマラソン大会が開催されるようになり、たくさんのファンを魅了しております。  このような中、先般行われました熊本県高等学校女子駅伝大会におきまして、我が熊本市立商業高校が好タイムで見事優勝の栄冠をかち取りました。県立、私立の強豪校がひしめく中、まことに立派であり、選手並びに関係者に対し心から盛大な拍手を贈るものであります。今月二十日に京都で行われます全国大会に郷土の代表として出場することになっておりますが、全国の精鋭の中にあっても、チャレンジャー精神を持って臆することなく精いっぱいの御健闘を心からお祈りする次第であります。           〔議長退席、副議長着席〕  さらに、来年の暮れには第一回全国中学駅伝大会が本市で開催されることが決定したとのことであります。聞くところによりますと、この大会は、中学生としては初めての全国規模での駅伝大会とのことで、日夜練習に励んでいる選手諸君にとっては何よりの励みであり、大変うれしく思っていることでしょう。また開催する側にとっても、この記念すべき大会を今後恒常的に本市で開催することができますならば、マスコミによる報道等を通じ、より一層の都市のイメージアップに寄与することは間違いないと思いますし、観光面でのPR効果など波及効果も大きいものがあると思うのであります。  現在本市で行われております全国大会と申しますと、先般の私の質問の中でも御紹介いたしました、五月の初旬に開催されております火の国旗争奪高校生全国空手道大会がございます。この大会は高校生だけの大会でありますが、空手に限らず、老若男女を問わずだれでもが参加できる全国規模の大会をぜひ本市で継続的に開催してほしいと強く念願しております。幸いにして本市は昨年全国スポレク祭を経験し、さらには地域における健康文化施設も着々と整備されていますので、受け皿は十分にあると思います。  そこでお尋ねいたします。まず一点目として、さきの全国中学駅伝はどのような内容で行われることになっているのか。二点目には、全国規模のスポーツ大会の招致もしくは主催についてどのような考えをお持ちなのか。また今後の予定としてどのようなものが挙がっているのか、教育長にお尋ねをいたします。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) 牛嶋議員にお答えをいたしたいと思います。二点についての質問でございますが、まず最初に英語教育についてお答えをいたしたいと思います。  議員御指摘のように、今日、語学指導においては現実に即した会話を重視するということは極めて大切なことでございまして、議員と全く同感でございます。日常生活に役立つ英語能力を育成するためには、まず中学校、高等学校における毎時間の英語の指導法を十分検討し見直す必要があろうかと痛感いたしておるところでございます。従来のように、ただ文法がわかり、英文の意味が理解できるだけでは現実に即した英語教育とは言えないわけでございます。自分の考えを英語で表現できるためには、例えば基礎、基本に当たります中学校、高等学校の教科書を徹底して暗記させ、その暗記した文章を使って表現させるなどの指導方法もあろうかと、一例で申し上げるわけでございます。そのような授業をすることによりまして自然に会話力もついてくるものと思うわけでございます。幸いにも、本市には現在七名の外国青年英語指導助手が各学校を巡回訪問しながら英語の指導に当たっておるところでございますが、以前に比べますと、教師や子供たちも話したり聞いたりする機会がふえまして英会話への関心が非常に高まっており、英会話の力がつきつつあると現場の声を聞いておるところでございます。  そこで今後、英語教育の充実のため次のような対応を考えておるところでございます。まず英語主任会とか、あるいは学校訪問等を通じまして毎時間毎時間の英語の時間、英会話により重点を置いた指導法の研究を深めてまいります。二点目に、県教育委員会へ外国青年英語指導助手のさらなる増員を強く要望してまいります。三点目に、各学校では国際理解教育の推進を図りながら、機会をとらえましてできるだけ外国の方を招待するなどいたしまして、英会話あるいは体験、こういった機会をできるだけふやしていく、このようにいたしまして英語の指導法の改善を図りますとともに、外国の方々と接する機会をできるだけ多く持つことができるようにいたしまして、生きた英語教育の充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  次に、二点目の全国中学駅伝大会等に対する御質問でございます。  その前に、市立商業高校の駅伝に対しまして熱い激励を賜りまして心から御礼を申し上げる次第でございます。  それでは、お尋ねの全国中学校駅伝大会でございますが、平成五年度に開催されます火の国フェスタにあわせまして、その時期に全国規模のスポーツ大会をぜひ本市に誘致したいと考えまして、再三にわたり日本中体連へ申し入れをいたしたところでございます。神戸市も立候補いたしておりましたが、日本中体連評議員会におきまして、記念すべき第一回大会の熊本市への誘致が決定した次第でございます。その大会の内容について申し上げますと、大会規模は、全国四十七都道府県代表と、さらに本県代表一チームを加えました四十八チームの男女別大会でございます。期日は平成五年十二月二十七日で、コースは、男子六区間、女子五区間の熊本城周辺周回コースが予定されておるところでございます。また役員等を含めまして総勢約一千二百名程度の参加が見込まれているところでございます。  次に、第二回大会以降につきましては、原則的には各県持ち回りということになっておるわけでございますが、今後県教育委員会、県中体連とも協力しながら本市に誘致できるよう積極的な努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  次に、二点目にお尋ねの全国規模大会の誘致等につきましては、議員御指摘のように観光面のPRや経済面での効果、さらには都市イメージアップを図るためにも多大の効果が期待できると思っております。本市におきましても国際コンベンション都市くまもとを目指しておるところでございまして、あらゆる方面からその推進を図っているところでございます。このような大会の恒常的開催につきましても、今後関係団体とも十分協議しながら努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。  なお、今後の予定でございますが、本年四月に第一回目の記念すべき大会として開催されました全国選抜陸上中・長距離大会の開催が来年もまた熊本で予定されているやに聞き及んでいるところでございます。           〔五番 牛嶋 弘君 登壇〕 ◆五番(牛嶋弘君) ありがとうございました。  先般、アメリカに留学中の日本の高校生が誤って射殺されるというまことに不幸な事件がございました。相手の言葉が理解できなかったことが原因ではないかと言われております。英会話の大切さを痛切に感じた次第でございます。  また、スポーツは明るく健康で本当にすばらしいものでございます。熊本市で初めて開催されます第一回全国中学校駅伝大会の成功を心からお祈り申し上げますとともに、全国規模のスポーツ大会が今後も継続して開かれますよう一層の御努力をお願いするものでございます。  また、熊本市総合武道館建設の御検討も重ねてお願い申し上げます。  では、次に職員研修についてお尋ねいたします。  現在熊本市においては、九州の雄都を目指し積極的な都市づくりが展開されておりますが、市政の最前線で具体的な施策や事業を実行されておる職員の方々の日々の御努力には頭が下がる思いでございます。都市間競争がますます激しさを増す中、その都市がさらに活性化していくか、それとも次第に衰退していくかは、ひとえに職員のやる気、意欲にかかっていると言っても過言ではございません。その意味において、職員研修の充実は極めて重要なことであろうと存じます。  本市では現在、通信教育などの自主研修、保母や保健婦の方を対象とした職場研修、採用時に始まり、その後吏員、係長、課長とその段階ごとに行われる基本研修や、接遇、法令などの実務研修、さらには海外や自治大学校などへの派遣研修など各種の研修が実施されております。平成三年度に研修を受けた人の数も延べで五千人を超えているとのことで、ほぼ一人一回になっているわけでございます。もとより、これらの研修はそれぞれの目的に沿って行われており、その必要性を否定するものではございませんが、さらに充実した職員研修になればとの思いから、特に派遣研修について三点ほど、提案を交えながら質問させていただきたいと存じます。  まず第一点として、民間企業との人事交流を実施されてはいかがでしょうか。利益を追求し、そのためには徹底したサービスを実践する民間企業からは、公務員といえども学ぶべきところは多いと存じます。また、民間企業から市役所へ派遣されてくる人にとっても、公的業務の内容や組織の仕組みなどを知ることも、これまた意義のあることと存じます。  次に第二点として、派遣研修の期間をもっと長くすることはできないかと思う次第であります。自治大学校や国の省庁への派遣は長いようですが、その他の派遣研修は総じて期間が短いように思えてなりません。短期の研修では日常業務の延長のような感覚でしょうし、ともすれば中途半端な成果に終わってしまうのではないでしょうか。日ごろの職場から一定期間離れ、心身をリフレッシュし、新たな視点で学習してこそ、なお一層研修の成果が上がるものと存じます。  三点目としては、海外派遣研修の拡充を図っていただきたいと存じます。現在行われている海外研修は、中堅職員を二週間程度といったものを中心に、桂林市やサンアントニオ市にも一年ほど派遣されているとのことでありますが、私は、特に若い職員の方をもっと長期間派遣していただきたいと思うものでございます。  私事で恐縮ですが、かつて私も四年ほど海外で過ごしたことがございます。もちろん楽しいことばかりではございません。辛いこと、嫌なこと、それに時には怖いこともございました。ただ私の経験から申しましても、若いときに海外でいろいろな経験を積むことは何事にもかえがたい貴重な財産であります。市役所の仕事においても、必ずやその経験が生かされるものと確信しております。隣の福岡市、大分市では一年間の海外派遣が行われているとのことでありますが、もとより、海外そして長期となれば、派遣される人が所属する課では一人欠員の状態になり、多少は業務に支障が生じるかもしれません。また派遣される本人にとっても、家族の問題や生活環境の違いなど気にかかる点もあろうかと存じます。そのほかにもいろいろな問題点があろうかと存じますが、ここは国際的視野を持った職員を数多く育てるといった高所の見地から、これをぜひ実現していただきたいと思うものでございます。以上三点、職員研修についてお尋ねしたいと思います。           〔市長公室長 岩本洋一君 登壇〕 ◎市長公室長(岩本洋一君) 職員研修につきまして牛嶋議員の御質問の三点についてお答えを申し上げます。  まず第一点の民間企業との人事交流でございます。  経済情勢その他行政を取り巻く環境が厳しさを増す折から、職員一人一人が業務の効率的な処理、コスト意識の徹底などを念頭に置きながらより一層の市民サービスの向上に努める必要が生じてまいっております。そこで、御提言いただきましたように、民間企業との人事交流を通して民間企業のすぐれた点を身につけた職員を養成していくことは非常に重要なことでございます。現在、国におきましても制度面につきまして検討がなされていると聞き及ぶところでございますが、本市といたしましても、今後十分研究をいたしまして、民間企業との人事交流に取り組んでまいりたいと存じます。  次に、二点目の派遣研修の期間についてお答えいたします。  長期間の派遣研修につきましては、自治大学校、国の各省庁、全国市長会、中小企業大学校など、現在でも長期の派遣を実施しているところでございますが、ただ議員御指摘のとおり、日常の業務にかかわりの深い、例えば市町村中央職員研修所、国立公衆衛生院、建設大学校、都市派遣研修等々につきましては主に短期間の研修になっておるわけでございます。したがいまして、今後の派遣研修につきましては、御提案の趣旨を踏まえまして、多様化する一方の市民ニーズに的確かつ柔軟に対応でき得るような職員の育成を図るため、中長期的な人材育成という観点からなお一層の内容充実に努めたいと存じます。  最後に、海外派遣研修の拡充についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、昨今の地方におきます国際化の進展に的確に対応するためには、国際的視野を持った職員を多数育成することが肝要であろうかと考えるわけでございます。現在職員の長期間にわたる海外派遣につきましては、友好姉妹都市交流事業が活発に展開されている中で取り組んでいるところでございます。今後とも御提案の趣旨を踏まえて国際感覚の涵養、また国際的な視野の醸成を図るためにさらに検討させていただきたいと存じます。
     以上、職員研修のあり方につきまして貴重な御提言をいただいたところでございますが、私どもといたしましても、社会の変化に適切に対応した行政の運営を確保するために職員個々の能力を高めていく必要があると認識をいたしまして、より一層の内容充実に努めていく所存でございます。           〔五番 牛嶋 弘君 登壇〕 ◆五番(牛嶋弘君) ありがとうございました。  武田信玄で有名な甲斐の国の歌に武田節というのがございます。その歌詞の中に、「人は石垣、人は城」という名文句がございます。市役所を支えておられるのもまさに職員の方々であります。職員研修につきましては今後も積極的に展開していただきたいと思うものでございます。  それでは次の下水道についての質問に移りたいと存じます。  近年飛躍的な経済成長等を背景として、人々の暮らしぶりは確実に豊かになり、近代的な住宅にマイカー、数多くの家電製品、さらには多様なレジャー活動など、その生活様式は大きく変化してまいりました。また、このような個々の家庭の生活レベルの向上はもとより、これを取り巻く住環境等も、例えば道路、公園、下水道などの整備が進み、快適で潤いのある生活空間へと変わりつつあります。と申しながらも、この住環境の整備につきましては、総じてその整備が図られておりますものの、まだまだ地域格差があるのも事実でございます。特に下水道の整備につきましては現在高額な投資がなされておりますが、その普及率は六〇%弱とのことであります。しかし、これは基本計画区域に対しての数字でありまして、基本計画区域の外側や北部流域下水道区域を除いた旧四町などは対象となっておりません。  このような中、都市部ではほとんどの家庭のトイレが水洗化されております。大人はまだしも、このような環境で育った子供たちにとってはトイレが水洗化されていることは当たり前のことであり、その結果、中にはくみ取り式のトイレでは怖くて用が足せないという子供もいるとのことでございます。そのため、下水道の整備がおくれトイレの水洗化が進んでいない地域では、都市部に住む孫たちがおじいちゃん、おばあちゃんの家に寄りつかないという信じがたい話も耳にするところでございます。また子供たちに限らず、後継者の確保に苦慮されておる農村部でも、トイレが水洗化されていないということが嫁不足の原因の一つになっているとさえ言われております。情けない思いがしますが、これが現状であります。今回の合併を希望された旧四町の住民の皆様の思いの中には、下水道は整備してほしい、しかし町単独ではとても難しい、だから熊本市と合併すれば、との大変強い期待があったと聞いております。  田尻市長には、市街部については西暦二〇〇〇年までに公共下水道を一〇〇%整備するとして積極的に取り組んでおられます。また、旧四町などにつきましても漸次公共下水道の整備を推進するため計画区域の拡大について現在見直しが行われているとのことでございます。しかしながら、公共下水道の整備には莫大な経費を要します。周辺部まで整備されるにはまだまだ時間がかかるようであります。  そこで私は、生活排水の処理につきましては、公共下水道のみならず、地域の実情を勘案しながら、例えば現在既に行われております小型合併処理浄化槽の設置や、最近各地で関心が高まっております農業集落排水事業など、これらを組み合わせていくのが効率的ではないかと思うものであります。中でも農業集落排水事業は公共下水道に比べ国の補助率が高く、しかも短期間で整備ができるとのことでございます。  十月二十五日の熊日に、「農村下水道に関心高まる」といった見出しで、佐賀県の東脊振村の取り組み状況が載っておりました。その記事によりますと、この東脊振村は人口が約五千五百人で、平たん部に米などの田園風景が広がる普通の農村地帯とのことでございます。やはりここでも、「都会から来た孫がトイレに行くのを嫌がる」「くみ取り式のトイレでは息子に嫁の来手がない」「水田や用水路に汚水が流れ込み、足を踏み入れるのもためらわれる」といった村民の声は大きく、下水道整備への期待が高まったようであります。そこで村では、下水道の普及率を一〇〇%にするというユニークな目標を掲げ、平成元年から農業集落排水事業に着手、平成七年には工事を終えるとのことでございます。  人口の大小でどうこう言うつもりはございませんが、このような村でさえ生活環境の改善には特段の取り組みをしているわけでございます。本市も清潔で快適な生活環境を確保するため、いろいろな施策を組み合わせながら、投資効果が高くバランスのとれた整備を進めていただきたいと思うものでございます。現在、関係局間で調整が図られているとのことでございますが、下水道計画区域の見直しを初め生活排水処理について、今後どのように取り組んでいかれるのか、都市局長にお尋ねいたしたいと思います。           〔都市局長 本田吉継君 登壇〕 ◎都市局長(本田吉継君) 牛嶋議員にお答えいたします。  議員の御質問の中にありましたように、トイレの水洗化による衛生的な住環境の整備に対する市民の要望は強いものがございます。そのため現在公共下水道の早期整備に向け全力で取り組んでいるところであります。これまで下水道計画区域は市街化区域をベースに定めておりましたが、昨年二月の飽託四町との合併を契機に、旧熊本市の市街化調整区域と旧四町を含めたところの下水道計画区域の見直しを現在行っているところでございます。  トイレの水洗化を含めた生活排水処理施設設置事業として全市をカバーするためには三つの事業手法があると私も考えております。一つは、その大宗をなします建設省所管の公共下水道事業であり、二つは議員御指摘の農林水産省所管の農山村漁村集落排水施設事業であり、三つは、これも議員御指摘の厚生省所管の小型合併処理浄化槽設置事業であります。したがいまして、建設省所管の公共下水道事業につきましては、他の事業手法と今後調整を行いながら、本年度中を目途に、旧熊本市の市街化調整区域と旧四町とを含めたところの下水道区域の見直しを行うことといたしております。           〔五番 牛嶋 弘君 登壇〕 ◆五番(牛嶋弘君) ありがとうございました。  生活排水処理についての今後の基本方針をお聞きしたところでございますが、都市計画の始まりは下水道であるとのことでございます。排出したものをどう処理するかは古代からの悩みの種だったようでございます。より快適な生活環境を確保する上で、公共下水道を初めとした生活排水処理の早急な整備をお願いするものでございます。  本日は、政令都市の問題に始まり、ハイデルベルク市との医学交流や教育問題など大きな五点について質問させていただきました。二回目ではございますが、まだまだ要領を得ない点も多々あったかと存じます。しかしながら、特に田尻市長には政令都市と市立大学の二点についての御答弁を賜り、私としては自分の夢を語らせていただいたつもりでありましたが、極めて積極的な御答弁をお聞きし、きょう質問して本当によかったと、今そのような思いでいっぱいであります。ありがとうございました。  また、最後になりましたが、長時間御清聴いただきました先輩議員各位並びに同僚議員に対しまして、また大変お忙しい中、わざわざ傍聴いただきました皆様に心よりお礼を申し上げます。これで私の質問を終わりとさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)     ────────────────── ○副議長(西田続君) この際、議事の都合により休憩いたします。  午後二時に再開いたします。             午前十一時三十五分 休憩             ────────────             午後 二時  二分 再開     ────────────────── ○議長(嶋田幾雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。     ────────────────── ○議長(嶋田幾雄君) 質問を続行いたします。中沢誠君。           〔四十五番 中沢 誠君 登壇 拍手〕 ◆四十五番(中沢誠君) 公明党の中沢誠でございます。さきに提出しておきました質問通告の一部を変更して質問してまいりますので、田尻市長初め執行部の明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げます。  質問に入ります前に、私はまず政治倫理問題に関して市長に一言お尋ねしておきたいと思います。  佐川急便事件に端を発した今回の問題は日本列島を直撃し、国民の政治家に対する不信感は怒りとなって天を突き、醜態を全世界にさらけ出すに至りました。この事件には数々の問題点があると思います。東京佐川急便から五億円の献金を受け取っていながら政治資金収支報告書に載せず、所得としても申告されていなかったこと。本人からの事情聴取も行わず上申書の提出だけの略式起訴で終わらせたこと。しかも罰金二十万だけで終わらせ、法のもとの平等制が問われたこと。また、政権誕生に右翼、暴力団が関与し、我が国憲政史上最大の汚点を残し、民主主義そのものが問われたことなど一つ一つ挙げてみますと、これでは国民が怒り心頭に発するのは当たり前と思うのは田尻市長も同じだと思います。金丸氏は責任をとって議員を辞職いたしました。竹下氏のさきの証人喚問を聞いていますと、議員辞職については拒否するとともに、質問に対しても誠実に答えていない感を否めません。  先般の臨時議会で、佐川急便事件の徹底解明と政治倫理の確立並びに抜本的な政治改革を求める意見書を満場一致で採択したところであります。田尻市長はこれに対し、今十二月の提案理由の説明の冒頭において、深く敬意を表すると表明されました。  そこでお伺いいたします。疑いを持たれた議員は即刻辞職して責任をとるべきだと私は思います。国民の信頼回復への第一歩はそこから始まると私は思いますが、田尻市長はこの点についてどのように思われるのか、御所見を承りたいと思います。           〔市長 田尻靖幹君 登壇〕 ◎市長(田尻靖幹君) 中沢議員にお答えをいたしたいと思います。  ただいまの御質問につきましては、さきに、市議会におかれましても佐川急便事件の徹底解明と政治倫理の確立並びに抜本的な政治改革を求める意見書を満場一致で採択されまして、国に対し真相の解明と政治改革の断行を迫られたところであります。私もまた今本会議場におきまして提案理由説明の冒頭でも申し上げましたとおり、政治に携わる者の一人としてこの事態をまことに遺憾に存ずるとともに、国民、市民の皆様の政治不信の高まりを強く憂慮いたしているところでございます。したがいましてこの政治の信頼を取り戻すためには、この事件に関係した一連の政治家は一身に責めを負い、みずからの進退によって政治的けじめをつける必要があると、このように考える次第であります。(拍手)           〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) ただいまの市長の明快なる御答弁で熊本市の市民も、この腐敗募る政治不信に対しまして一抹の明かりが見えたと、このように私自身は考えるわけでございます。その点皆様方も御認識いただきまして、これからの政治改革に私たち市民が一丸となって取り組んでいくことを私自身も皆様方とともにここに誓い合う一人でございます。そういう観点からただいまの市長の御答弁を了とするものであります。それでは質問に入らせていただきます。  財政問題についてお尋ねいたします。  議員各位御案内のとおり、今我が国は不景気の真っただ中にあります。企業の経営者から小売店のおばさんに至るまで、どなたにお会いしても、最初に口にするあいさつは「不景気ですなあ。」、私が「もうかっていますか。」と尋ねますと、これもほとんどが口をそろえるかのように「さっぱりいかんですばい。」との返事が返ってきます。気のせいでしょうか、町中も師走に入ったというのに、またもうすぐ新しい年を迎えるというのに、何となくいま一つ活気がないような気もいたすのであります。一つの例を挙げてみましても、不景気の嵐が吹き荒れているという実感がいたします。  しかし、この傾向は二年前の秋ごろから既に始まっていたのです。経済専門家に言わせますと、バブルがはじけた時点でこうなるだろうと予測していたとのことであります。またここ一、二年、田尻市長の提案理由の説明の中でもたびたび、経済情勢は不安定である、あるいは先行き不透明感が漂うなど、大変経済情勢に注目しておられる様子がうかがえたところであります。しかし国の対応はいかがであったでしょうか。私が推測いたします限り、不況に対する国の読みの甘さ、またそれを認知することに対するおくれ、そして景気回復に対する対応のおくれがあったと言っても過言ではないと思うのであります。なぜならば、昨年夏に刊行された経済白書では、五十八カ月続いたイザナギ景気を平成景気が抜くかどうかを大まじめに論議していたのであります。が、その一方で、大方の企業経営者は既に景気が低迷していることを肌身で実感していたのであります。実際、昨年十月から十二月にかけての経済成長率はマイナスだったにもかかわらず、国は昨年末になっても、景気は減速すれども依然として拡大基調にあるという決まり文句を唱え続け、日銀あるいは経済企画庁にしろ楽観的なメッセージを発し続けていたところであります。  国がようやく景気は低迷していると認めたのは今年の一月下旬のことであり、それも九一年三月期決算予想により、八〇年代の我が国経済をリードしてきた電機メーカーや自動車業界が軒並み大幅な減収見込みとなり、これで初めてただごとではないと気づくありさまであったのであります。もっと悪いことには、今春になっても国は、景気は六月ごろには底を打ち再び拡大基調に入ると言い続けていたのであります。今回の平成不況をただ単純な不況と見ていたからであります。その結果、本年三月三十一日に発表された、あえてここでは第一次と表現させていただきますが、いわゆる総合経済対策では、一つには公共投資の前倒し、二つ目には公定歩合の引き下げといういわゆる従来型のありきたりの財政金融政策の発動であり、国はこれで平成不況を乗り切れると考えていたのであります。しかし、結果はどうでありましたでしょうか。言うまでもなく、さしたる効果は上がらなかったのであります。  ともあれ田尻市長が今定例会の冒頭にも述べられましたように、国はことしの八月新たな総合経済対策を公表いたしました。その内容を見てみますと、まず八兆六千億に上る公共投資であり、加えて地価対策、株価対策がその中心であります。具体的に公共投資の中身について見てみますと、一般公共事業に三兆四千億円、地方単独事業に一兆八千億円となっており、そのウエートも地方に大きくなることが予測できるところであります。地方にとっては厳しい経済の中での大きな負担ということで、まことに大変でありますが、国民生活、市民生活の安定のためには地方も国と一体となって景気対策に取り組まざるを得ないと私も考えるのであり、今回の七十二億円を超える景気対策のための補正措置については評価をしたいと思います。  しかしながら反面でその財源が懸念されるのであります。仄聞するところによれば、都道府県等を中心に地方の財源不足も報道され、取りざたされているようであります。現に政府は今国会に総合経済対策予算に合わせて国税収入の減額を提案いたしております。このことはまさに不景気の代名詞とも言うべきものでありますが、その中身は当初予算に比べ法人税税収が三兆一千億円の減収、所得税が一兆九千億の減と、合計五兆円余りの減額補正となっているところでございます。そうなりますと当然、国税三税の三二%となっております地方交付税についても歳入不足が生じてくるのはもちろんであります。これについて国はどう対処するのか。また本市への影響はどうなのか。貴重な財源であります交付税の行方が大変気にかかるところであります。また国税収入についても減収ということであれば、本市の税収入も大変厳しい状況にあるのではないかと心配をいたすものであります。  そこで私はまず、景気対策との兼ね合いも含めて本年度の本市の財源の構造すなわち財政状況についてお尋ねをいたすものであります。  また第二点目は新年度の予算編成についてであります。国においては今月ぎりぎりにも原案内示がなされると聞き及んでおりますが、一般会計の伸び率が対前年度一%前後と圧縮されつつも、公共事業については本年度当初の予算の伸び四・五%を上回る景気配慮型の予算になるとも言われております。新年度においても国税収入が伸び悩むことが予想され、多くの期待は持てない状況にありますが、景気との兼ね合いにおいて、地方に対しては引き続き公共事業に力を注ぐことが要請されるものと思われます。地方も税収等財源の厳しい状況が予想される中でありますし、国レベルにおける地方財政対策の論議もこれから、また本市の新年度予算編成も今後本格化するのが現段階であります。  具体的には答えがたい側面もあろうかと思いますが、事業の推進、財源の確保等、実務的な面から見た現時点における新年度の財政の姿、あるいは対処の方針について総務局長にお尋ねをいたすものであります。           〔総務局長 野田晃之君 登壇〕 ◎総務局長(野田晃之君) 平成四年度並びに新年度の財政状況についてのお尋ねでございますが、まず本年度の財政見通しからお答えを申し上げます。  景気の低迷が長期化する中で、国、地方を問わず財政を取り巻く環境が大変厳しいものとなっておりますのはただいま御指摘になったとおりでございます。このような中で、特に御指摘のございました国税収入の落ち込みに伴います地方交付税へのはね返りにつきましては私たちも大変懸念いたしていたところでございますが、国におきまして資金運用部からの借入金等で対処されるということになり、その利子分につきましても国が負担するということになったところでございます。  また景気対策への積極的な対応と財源との兼ね合いの問題でございますが、この点につきましても国において、例えば公共事業の促進のために起債の充当率の引き上げと交付税における優遇措置、こういう措置を講じておりますし、公共用地の先行取得につきましても、国鉄清算事業団用地等特定用地についてではございますが、その借り入れに際しまして起債許可額の二%について向こう十年間で交付税措置を行うといった対応も行われているところでございます。本市の場合も今回市長の政策方針のもとに総額七十二億円を超える景気対策を講じさせていただいたところでございますが、その編成に当たりましては、財源の有効利用の見地から国のこのような優遇制度をできるだけ活用させていただいております。  このような措置を前提といたしまして本市の本年度の財政見通しについて申し上げますと、歳入歳出両面とも現段階では不確定な部分もございますが、現時点での大まかな試算といたしましては、まず歳入面におきまして、市税が、法人市民税の落ち込みもございまして全般に伸び悩んでおります。総額七百六十億円台、四%台程度の伸び率になるものと見込んでいるところでございます。  また地方交付税でございますが、本年度は国保財政安定化支援事業等の新たな交付税への算入など財源措置の拡充が図られたこともございまして、普通交付税において対前年度伸び率が二〇%を上回り三百十五億円は確保できるものと見込んでおります。その他の財源も合わせますと、一般財源としておよそ一千二百六十億円前後の歳入が見込めるものと考えております。  また歳出面でございますが、景気対策に取り組ませていただきました十二月補正予算までの所要一般財源に三月補正に要する一般財源を合わせました本年度の所要一般財源を、現時点で歳入一般財源の範囲内と試算をいたしており、なお流動的な要素がございますが、収支の均衡は保てるものと考えているところでございます。  次に新年度の財政運営についてでございます。例えばこの一日にまとめられました大蔵省試算によりますと、税収は四年度当初予算との対比で一兆二千億円マイナスの六十一兆三千億円、その他の歳入も加えまして総額で七十一兆七千億円程度と見込まれておりまして、これを歳出概算要求と対比いたしますと三兆一千億程度の財源不足が生じるとされておりますなど、国、地方を取り巻く財政環境は、私どもも本年度にも増しまして一段と厳しさが募るものと受けとめているところでございます。現時点では地方の財政運用の指標となります地方財政計画が具体化していない状況にございますし、また本市の予算編成も今後本格化する段階でございます。  計数的な見通しはこれからの作業ということで、マクロ的に御説明させていただきますが、まず歳入面において、市税は景気の低迷の中で本年度に引き続き伸び悩むものと予測いたしております。また地方交付税につきましては、概算要求の時点で自治省は新年度十七兆二千六百億円を要求いたしたところでございますが、大蔵試算では国税三税の減収見込みによりまして対前年度一・四%、総額で十六兆円程度というふうに見積もっているところでございます。さらに最近の新聞報道によりますと、これに加えまして地方交付税交付金の三年連続の特例減額も論議されるに至っておりまして、今後この問題での対応も地方として極めて重要になってまいると考えているところでございます。  一方で歳出面におきまして、国は厳しい財政状況の中にも公共事業につきましては対前年度四・八%増という景気配慮型の予算を組むものと予想されるところでございます。さらに、住民生活に密着した地方単独事業につきましては、国の公共事業を大幅に上回る事業の展開を地方に期待いたしているようでございます。  このように新年度は、基本的には歳入の大宗をなします市税あるいは交付税が伸び悩む厳しい財政事情のもとで、景気との兼ね合いもございまして、公共事業の推進に大きな期待が寄せられるという、実務面から見ましても財政運営のまことに難しい年になろうと考えております。しかしながら本市にとって新年度は、新熊本構想に基づきまして本市の発展を図らなければならない極めて重要な年に当たります。さらに、昨日市長からも申し上げましたとおり、このような経済情勢下でありますからこそ、景気浮揚を含めましてなすべき施策に積極的に取り組むことが求められているということも言えるわけでございます。したがいまして財政サイドといたしましては、市長の政策意図を体しながら、財源の確保、涵養に懸命の努力を重ね、新年度の予算編成に当たりましては、各局にも協力をいただきながら、節減すべき経費は極力節減、重点政策課題に可能な限り優先的に財源を配分してまいりたいと考えているところでございますので、中沢議員初め議員各位の御理解をよろしくお願い申し上げる次第でございます。           〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) 平成四年度並びに新年度の財政状況は今総務局長から御答弁がありましたが、景気の低迷が長期化する中で、歳入の市税、法人市民税の落ち込みが強く、交付税が伸び悩む厳しい財政事情のもとで景気配慮型の国の予算が予想されるということでありますけれども、基本的に今後の不景気の総合的なしわ寄せは避けられないものであると考えます。そういう意味で、今回の七十二億円の景気対策は改めて評価するものでありますが、不景気のときほど需要の伸びを求めるものでありますし、ただいまの答弁のとおり、景気浮揚に全力を挙げられるよう期待するものであります。当局のなお一層の財源確保の努力をお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。  老人保健福祉計画の策定についてお尋ねいたします。  老後の問題は、やはり自分の健康に不安を持っている人が六割もいるというデータがございますが、住みなれた町で安心して老後を送るためのプランとなる老人保健福祉計画の策定が全国の市町村で進んでおります。高齢者保健福祉推進十カ年戦略、通称ゴールドプランの市町村版とも言われているものであります。住民にとって最も身近な市や町村の手でつくられるこの計画が達成されれば、寝たきり老人ゼロ作戦は成功し、在宅医療も確保され、ひいては老人医療費の適正化も期待できることになります。  この老人保健福祉計画は、平成二年六月の老人福祉法の改正に伴い策定が義務づけられたものであります。法律上の策定期限は平成五年度中となっていますが、実際には同法が施行される来年四月以降のできるだけ早い時期の策定を目指して各自治体は取り組んでおるようでございます。計画に盛り込む内容は、要介護老人の数など高齢者の現状や老人福祉サービスの実態、計画の目標年次における寝たきり老人などの推計人口と、それに対応した各種サービス、施設の目標量やマンパワーの確保策などであると聞いています。また、計画の担当部門は、企画、財政、統計、国民健康保険、建設、住宅など、立案に必要な他の行政部門に計画策定の必要性を理解してもらうだけでもかなりのエネルギーを必要といたします。しかも、各自治体には総合計画、基本計画など各種の行政計画があり、これらとの調整も大作業になると聞き及んでおります。庁舎内の調整作業のほかにも県との整合性など頭を悩ます場面は多いかと思います。だが、このような状況下で、三千二百余りの市町村のうち平成三年度までに約七百市町村がニーズ調査を実施し、平成四年度中に約二千四百市町村が調査の実施を予定しており、作業は各地で進んでおります。  そこで、お尋ねいたします。  一つ、本市はこの老人保健福祉計画について現在どのように取り組んでいるのか。また基礎調査内容についてはどうなっているのか。  二つ目に、老人保健福祉計画のポイントについてどうなっているのか。  三つ目に、老人保健福祉の骨子、策定内容と取り組みについて。  以上の三点について関係局長の答弁を求めます。           〔市民局長 野田雅水君 登壇〕 ◎市民局長(野田雅水君) 中沢議員にお答え申し上げます。  お尋ねの老人保健福祉計画策定への本市の取り組みにつきましては、まず基礎調査から着手いたしております。九月から民生委員さん等に協力をいただきまして、計画策定のベースともなります実態調査を保健衛生局と合同で行いまして、現在その結果の集計、分析を行っているところでございます。  調査の内容につきましては、寝たきり老人等の数、身体の状況、介護の状況、サービスの利用状況、今後の利用意向など多岐にわたるものでございます。  今後この調査の結果を踏まえまして、例えば特別養護老人ホームやデーサービスセンターが将来どのくらい必要となり、またそれをどういった方法で整備していったらいいのか、そういったさまざまな保健福祉サービスの現状と整備目標、その目標を達成するための方法などを盛り込んだ計画を策定してまいる所存でございます。  もとよりこの計画は、本市が将来の都市像として標榜しておりますいきいきとした市民福祉都市を具現するためのベースともなる計画であると認識しているところでございます。これから策定に向けまして関係部局との連携による庁内の策定体制づくりを行いますとともに、対外的には、当事者であります高齢者の方々や専門家の方々などに参画いただきましての策定委員会を設置させていただきまして、各界各層の幅広い御意見を承りながら、熊本という地域にふさわしい老人保健福祉計画を平成五年度中に策定してまいりたいと考えております。           〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) この老人保健福祉計画については、先ほど御答弁がありましたように、地域の高齢者の実態、数やニーズを踏まえて将来必要とされる保健福祉サービスの量を明らかにし、計画的手法で整備を図っていくこと。さらには、老人福祉の計画と老人保健の計画は策定段階から一体のものとして策定していくこと。また、策定に当たっては、保健、医療、福祉関係者等住民参加を図ることなどが求められており、本市においては今年度計画策定のための実態調査はなされているようでありますが、庁内の策定体制づくりもまだ十分にはなされていないようであります。早急に計画策定のための体制整備を図られますよう要望しておきたいと思います。  このように福祉は大きな変革の時期を迎えております。私なりに総括し、今後熊本市として福祉施策をどのように展開していかれるのか、幾つかお尋ねをしてみたいと思います。  経済の高度成長が人口の都市集中、一億総サラリーマン化、一般的に都市化と言われる都市的な生活の広がりといった生活構造、生活パターンの変化をもたらし、多世代同居世帯から核家族世帯へ、またそれに伴う家庭介護力の低下が、今まで家庭内で解決されていた介護等の問題を社会問題としてクローズアップさせ、そこからホームヘルプサービスその他の福祉サービスの問題、言葉を変えれば狭い意味での社会福祉の問題が解決すべき大きな課題として顕在化してきたのであります。  従来の伝統的な福祉は低所得者対象としての福祉といった色合いを色濃く持っていたわけですが、お金のあるなしにかかわらずどんな人にも福祉ニーズは存在しますし、だれもが福祉サービスの提供を期待しているということであります。また、高齢者とか障害者とかハンディを持った人々が、同じ地域社会を構成する一員としてハンディを感じないで生きていけるような社会、要するに高齢者、障害者といった要介護の人々を地域に住むみんなで支え助け合って生きていくという、また道路や住宅、建物など生活環境そのものをそういった人々のために改善して、できるだけ住みなれた地域や家庭で暮らせるようにしていこうと、そういった考え方であります。  今こうしたノーマライゼーションの理念に基づく地域福祉、在宅福祉が強く叫ばれ、市民の方々の生活の質の向上が強く求められております。そして、こうした状況を背景としまして福祉ニーズは年々質的にも量的にも増大してきております。今後、こうした福祉ニーズに的確にこたえていくためには、公的サービスの充実はもちろんのことでありますが、行政による公的サービス、地域住民やボランティアによる相互援助活動といった住民参画型のサービス、さらにはシルバービジネスといった民間営利サービスとが互いに役割を分担し合い連携し合って、全体として福祉サービスを高めていく必要があると思います。  これからは都市化に伴って失われてきた地域コミュニティーの連帯感を再構築していくといった観点から、地域住民相互が互いに支え助け合う触れ合いに満ちた福祉コミュニティーづくりといったものを進めていくべきで、その中心になるのは社会福祉協議会と考えます。  市社協におかれましてはそうした地域福祉の振興、民間団体が行う事業、活動の支援などを目的として、平成二年度より市制一〇〇メモリアル福祉基金を創設され、市からの出資金と合わせて、平成四年度末には累計五億円の基金ができ上がると聞き及んでおります。そしてこの基金につきましては、平成二年第一回定例会において我が党議員の質問に答え、基金の額が五億円に達したら、その利益といいますか果実を運用し、地域在宅福祉の推進を図りたいとの答弁をいただいております。  そこでお尋ねいたしますが、今後この市制一〇〇メモリアル福祉基金をどのように運用していかれるのか、社協の常務理事でもある市民局長に答弁をお願いしたいと存じます。  次に、高齢化の進行に伴って、ひとり暮らし老人や老人夫婦世帯の増加とともに、高齢化の中の高齢化現象ともいうべき七十五歳以上の後期老年人口が急増しております。こうした人々の介護ニーズにこたえるためには、在宅生活が困難となった場合の受け皿としての特別養護老人ホーム、虚弱、寝たきり老人等の心身機能の維持向上と家族介護の負担の軽減を目的とした老人デーサービスセンター、その他在宅介護を支援する施設の整備が必要であります。これからは、生活の本拠は家庭にありながら施設へ出向いてサービスを受ける、あるいは出前でサービスを受けるといった形で、在宅サービスを中心としながら可能な限り在宅生活を維持する。そして、在宅サービスを活用してもどうしても在宅生活ができなくなった場合に初めて施設に入所するといったあり方が望まれ、今後は入所施設と一体となった在宅福祉の拠点施設の整備、必要によっては単独施設ででも在宅福祉拠点施設の整備が必要と思います。  そういう意味で、十二月にオープン予定の長寿の里デイサービスセンターを初め、市内高江町に建設中の南部在宅福祉センター、さらには地域福祉コミュニティーセンターの建設など、田尻市長の積極的かつ前向きな取り組みには深く敬意を表しますとともに、心より感謝申し上げる次第であります。  特に長寿の里デイサービスセンターは施設設備もすばらしく、田尻市長が常々標榜されておりますいきいきとした市民福祉都市を具現化する施設として、今までデーサービスの恩恵に浴していなかった西部地域の住民は心待ちにしているものでございます。今後、この長寿の里デーサービスが全国のモデルとなるデーサービスセンターとなるように大いに期待しております。  そこでお尋ねいたしますが、今デーサービスの人気は高く、既に百四十二人の利用待機者がいると聞き及んでおります。現在、利用者募集中の長寿の里デイサービスセンターの申請応募状況も順調のようでありますし、長寿の里デイサービスセンターができましても、その人気の高さから早晩利用待機が生じると思われます。その解決策はデーサービスセンターをふやすことしかないと思われますが、今後どのようにデーサービスセンターをふやしていかれるのか答弁をお願いいたします。  また、地域福祉ネットの一翼を担う施設として、今年度南部在宅福祉センターを建設されているようであります。来年度以降、東部及び中央地区にも在宅福祉センターを整備していかれる計画をお持ちのようですが、福祉ネットワークの中でどういった役割を受け持つのか、具体的にどのような機能を持っているのかについてもあわせて御答弁をお願いいたします。  最後に、在宅福祉を進めていく上で大きな役割を果たしております在宅介護支援センターに関連して質問をしたいと思います。  在宅介護支援センターは、御承知のように専門の職員が二十四時間体制で在宅介護の相談に応じてくれる老人福祉サービスの申請経由機関として、いろんなサービスの申請をも受け付けてくれるといったところで、住居の身近なところで相談ができる、役所まで行かなくてもサービスの申請ができる、大変便利になったと、市民の皆様にも大変好評のようであります。本市におきましては、田尻市長の御英断により既設五センターに加えて新たに四センターが事業開始の運びとなり、年度内にはあと一センターの予定もあって全国トップレベルの水準にあり、その活動が評価されて他都市からの視察も大変多いと聞き及んでおります。ただ、在宅介護支援センターの役割としては、先ほど申し上げました相談や申請受け付けなどのほか、要援護者のニーズに応じたサービスの総合的調整というのが一つの大きな役割であります。  個々のニーズはひとり福祉にとどまることなく、保健、医療など幅広いニーズを抱えている場合が多いわけで、例えば寝たきり老人といった要介護老人の場合、ホームヘルパーやデーサービスといった福祉ニーズとともに、訪問指導や機能訓練といった保健のニーズ、往診や訪問看護といった医療のニーズを持っている場合が多く、個々人のトータルなニーズに対して、いかに保健、医療、福祉のサービスをコーディネートしていくか、ニーズの評価からサービスの提供、事後のフォローまで、いかにして一貫性のある処遇をしていくかといったことが大変重要であります。それぞれの在宅介護支援センターにおかれましては、専門の職員の方々がそういった活動に熱心に取り組まれているようでありますが、こうした活動はこれからもなお一層充実させていかねばならないと思うのでございます。  そこでお尋ねいたします。サービス調整チームは本市には一つのチームしかなく余り機能していないようでありますが、このサービス調整チームを、サービス調整活動をその本来の機能として持っている在宅介護支援センターごとに設置されてみたらいかがでしょうか。サービス調整チームの活動を活性化させることが在宅介護センターをより充実したものにし、市民福祉の向上につながっていくと思うのであります。高齢者サービス調整チームの在宅介護支援センターへの設置について、市民局長の明快簡潔な御答弁をお願いいたします。           〔市民局長 野田雅水君 登壇〕 ◎市民局長(野田雅水君) 四点についてのお尋ねでございます。  まず、平成二年度から熊本市社会福祉協議会におきまして積み立ててまいりました市制一〇〇メモリアル福祉基金でございます。ただいま中沢議員御指摘のように、本年度末に目標額であります五億円に達するわけでございますが、基金の元金が五億円に達しましたときから事業を開始するというのが基金創設時からの方針でございます。したがいまして、これから一定の準備期間を経まして、元金五億円の果実が生じる来年度からその果実を活用いたしまして事業を開始する予定でございます。このメモリアル福祉基金の目的としますところは、来るべき長寿社会に備えた福祉の基盤づくりでございまして、この基金のより円滑、効果的な運用を図るためには基金運営委員会の設置が必要であろうかと存じます。この基金運営委員会は、基金拠出団体あるいは福祉関係者、学識経験者等で構成いたしまして、この委員会の中で基金の事業計画を立てましてその運用を図ってまいる所存でございます。申し上げた基金運営委員会を本年度中に設置いたしまして来年度の事業開始に備えたいと考えております。  次に、デーサービスセンターの今後の施設整備についてのお尋ねでございますが、本市の現有の福祉施設について概観してみますと、老人関係では、養護老人ホーム二カ所、老人福祉センター八カ所、老人生きがい作業所八カ所、老人憩の家百五カ所、障害者関係では、障害者福祉センター一カ所、精神薄弱者通所更生施設二カ所となるわけでございまして、このように本市ではこれまで福祉施設の整備拡充には全力を傾けてきたところでございます。  さて、かねてより建設中でございました長寿の里デイサービスセンターが今月十九日いよいよオープンする運びとなりました。これにつきましては、ただいま中沢議員から大変ありがたいお言葉をいただいた次第でございますが、当センターは公設単独型の大規模デーサービスセンターとして、歯科診療所を併設するなど他に類のない施設設備と機能を備えておりまして、今後ともこの運営には万全を期してまいりたいと考えております。
     これに引き続きまして、御指摘のように今年度は特別清掃管理事務所跡に南部在宅福祉センターを建設中でありますが、このメーン施設はデーサービスセンターでございます。また民間の特別養護老人ホームが一カ所ほかに建設中でございまして、これまたデーサービス事業を併設する予定でございます。したがいまして、これから来年にかけましてはデーサービスセンターが三カ所ふえる形になるわけでございます。これによりまして、本市におきますデーサービスセンターの利用定員はかなり改善されることになろうかと存じます。今後とも、デーサービスセンターの整備につきましては、冒頭お答え申し上げましたように老人保健福祉計画を策定する中で検討してまいりたいと存じます。  また、在宅福祉センターについてのお尋ねでございます。  高齢化の進行に伴いまして、在宅で援助を要する人々のニーズは多種多様なものとなりまして増加の一途をたどっております。このような状況の中、一連の在宅福祉サービスを総合的に、一体的に供給する体制づくりが肝要でございまして、在宅福祉センターはこのような要請にこたえるものでございます。この在宅福祉センターにおきましては、デーサービスセンターを基幹施設といたしまして、これに会議室や相談室など五つの部屋が加わります。これらの部屋をフルに活用いたしまして、地域の皆様方の福祉活動や交流活動の場の提供、あるいは福祉実習、介護訓練、ボランティア教室を通じまして、福祉のマンパワーの養成あるいは情報の提供やニーズの発掘を兼ねた総合的な福祉相談、こういった機能を考えておる次第でございます。これに加えましてホームヘルパーの前線基地ともなろうかと存じます。  これからの超高齢化社会に備えまして、将来的に考えました場合、全市的な地域福祉のネットワークづくりを強力に進めていくのが不可欠であると存じますが、在宅福祉センターはその一翼を担うものであると位置づけておる次第でございます。このような在宅福祉センターを、先ほど先生お述べになりましたように現在高江町の特別清掃管理事務所跡に建設中でございまして、来年四月にはオープンの予定でございます。  最後に、在宅介護支援センターに関連いたしまして高齢者サービス調整チームについてのお尋ねでございます。  これにつきましては、本市では六十三年十月から老人福祉課内に一チーム設置している次第でございますが、議員御指摘のように、この調整チームの機能をさらに高めるためには、例えばお述べになりましたように在宅介護支援センターごとに設置したらどうか、そして対象者の身近なところでケース検討会を開くなどいたしまして、例えば保健所の保健婦さんあるいはホームヘルパーの皆さん、かかりつけの医師や看護婦の皆さんといった方々がサービス調整チームをつくって具体的に処遇に当たるということは在宅福祉の一層の充実につながるのではないかと考える次第でございます。御提案の件につきましては、このような考え方のもとに進めてまいりたいと存じます。           〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) 市民局長より御答弁をいただきましたが、まず最初の市制一〇〇メモリアル福祉基金の活用には基金運営委員会の設置が必要とのことでございます。より円滑、効果的な運用を図られますようお願い申し上げます。  また二つ目の老人デーサービスセンターの施設の整備は、ニーズに応じた適切な整備を図られますよう要望をしておきます。  三つ目の在宅福祉センターについては、福祉のネットワークづくりの一拠点となり、あらゆるサービスの提供ができるようその施設の整備を図られますよう期待をしております。  四つ目の高齢者サービス調整チームについても、その趣旨を踏まえぜひ在宅介護支援センターごとに設置する方向で御検討されますようお願いし、次の質問に移らせていただきます。  次に環境問題についてお尋ねをいたします。  厚生省が十二月二日まとめた一般廃棄物処理状況によると、全国の生ごみや事業所から出たOA機器用紙などのごみの総量は、一九九〇年(平成二年)の一年間でついに五千四十五万トンとなり、東京ドーム百三十六杯分であることがわかりました。一日一人当たりのごみ排出量も一千百二十グラムと六グラム増加し、処理経費の総額は一兆七千五百六十四億円と一千三百七十四億円もふえております。焼却処理施設の増加によって燃やすごみがふえ、灰を含めた総埋立量は二十万トン減の一千六百八十一万トンだったが、問題は最終処分の確保であります。  環境問題で住民が建設に反対するケースが多く、一九九〇年(平成二年)度に設置されたのはわずかに二カ所で、厚生省によると全国二千三百三十六カ所を合わせた埋立可能容積は一千万トン減って一億五千三百七十万トン、このまま新たな処分場が建設されないとあと七年六カ月で満杯になると計算しております。商品は使われることで価値を生み出すとすれば、現代人はその価値の大半をむだにしています。東京のごみの量は年間東京ドーム十五杯分に達するが、その八割は資源ごみで、まぜればごみ、分ければ資源とも言われており、リサイクルは、資源の回収、ごみの減量化とともに環境破壊のストッパー役であり、まさに一石二鳥であります。例えばアルミ缶一個をつくるには、その缶半分の石油を燃やしただけのエネルギーを必要とします。これに比べ、空き缶を回収してアルミ地金にするにはその三%で済むのです。しかし、現在回収されているアルミ缶は全体の四三%で、いかに多くの資源をむだにしているかがわかります。  こう考えますと、消費型、欲望拡大型から、循環型、欲望調和型へライフスタイルそのものの見直しを迫られているとも言えます。ごみ問題、リサイクルへの関心が高まってきた中、環境問題は既に論議の段階を越え、実行の有無が問われる時期になっております。私たちの身の回りを点検し、できるだけごみを出さない工夫をし、ごみを再利用するリサイクルからごみを出さないプレサイクルへと小さな積み重ねが大事であります。  私は平成二年第四回定例会において、環境問題について、一、とらえ方と啓発活動について、二、各局の取り組み姿勢と対策について、三つ目に市民の協力について、四つ目、教育の位置づけについて、五つ目、国際交流における位置づけについての五点の項目について質問をし、また提案をしておきましたが、市長におかれましては平成四年四月一日をもって熊本市の機構改革をされ、環境問題に対して特に配慮した環境保全局を新設され、従来の保健衛生局とともに環境問題に対する強い意欲を示されております。平成三年の四町合併を機に策定された熊本市基本構想をもとにヒューマンシティくまもと実現のため、熊本市総合計画・マスタープランに、水と緑の人間環境都市を目指してを第一に掲げられ、都市機能の拡充を図りながらも、本市の豊かな水と恵まれた緑を生かしたこれからの理想となる都市づくりを目指しておられますことに対して心より敬意を表するものであります。  ここで、熊本市がこのほどまとめた平成三年度のごみ処理状況を見ますと、台風十九号災害ごみの影響で三十万トンを超えたものの、災害ごみを除く処理量では前年度比で一・五%とほぼ横ばい、家庭ごみが微減する一方で事業ごみが四・六%増加しております。  そこでお尋ねをいたします。第一点として、平成二年十二月以降から今日まで、先ほど述べましたとおりの環境問題に対するとらえ方と啓発活動について保健衛生局長に、各局の取り組み姿勢と対策について中小企業局長並びに産業局長及び建設局長に、教育への位置づけについて教育長に、継続的にどのように取り組んでこられているのかお尋ねをいたします。  第二点として焼却施設でありますが、本市のごみ排出量は年々増加し、昭和四十四年から平成二年度までの二十一年間に三・六七倍となり、平成二年度は旧市域の年間総排出量は二十六万九千トンであり、これに旧四町の排出量約七千トンを加えると約二十七万六千トンとなっており、このうち燃えるごみとして焼却されたものは二十二万九千トンであります。この推移で行けば、平成六年度には約二十七万八千トン、日量にして七百六十一トンになると予想され、現有処理施設七百五十トンでは対応できないことから東部清掃工場第二期建設事業が進められておりますが、事業概要と進捗状況並びに事業費について、また新工場完成後の現工場施設についてはどのような活用を考えておられるのか、保健衛生局長にあわせてお尋ねいたします。  さらに、熊本市漁業指導船平成丸についても、現在までどのような活動、そして環境保全に活用されているのか、産業局長にあわせて御答弁を求めるものであります。           〔保健衛生局長 工藤 磐君 登壇〕 ◎保健衛生局長(工藤磐君) ごみ問題の中で、特に事業系ごみの減量あるいはリサイクルの具体的な取り組みと、それから東部清掃工場に関連しますお尋ねにつきまして中沢議員にお答え申し上げます。  ごみ問題は環境問題の中でも特に市民生活に密接した分野として、ごみ処理のほか廃棄物の有効利用やごみ減量等市民の関心が非常に高まってきているところでございます。また自治体の中にも、ごみ処理経費の高騰やごみ減量対策として、指定ごみ袋の導入や有料化に踏み切っているところもありまして、ごみ問題の深刻さが浮き彫りにされてきているところでございます。しかしながら、ごみ量の増加は現在の社会経済システムに起因しているのでありまして、消費者ばかりでなく物をつくる製造企業にも当然責任の一端があることも周知のとおりでございます。  そのようなことから、国におきましてはこれらのシステムを見直すため、ごみ処理コスト負担という観点から、使い捨て製品等を扱う企業や販売業者に対しごみ税として課税する等の制度が検討され始めており、今後の動向が注目されるところでございます。本市におきましては、ことしの三月、事業系ごみの減量リサイクルの観点から企業ごみのリサイクル実態調査を行い、その中で多くの企業がごみ減量、リサイクルのやり方についての情報提供を望んでいることがわかりましたので、その結果を踏まえて、再資源化を中心とした事業者向けパンフレットを一万二千部作成いたしまして、業界組織を通じて配付をいたしているところでございます。そのほか、紙ごみの再資源化の効率化を図るため、ビル単位あるいは事業団地ごとの集荷ネットワーク化の推進等について検討をいたしております。  また廃家電製品につきましては、最近になってやっと大手家電メーカーを中心にリサイクルへの取り組みが始められてきておりますが、本市におきましてはそれを先取りする形で、ことしの六月から企業のごみ処理コスト負担という観点から、家電販売店の自己処理をお願いしたところでございます。今後とも企業に対しましてはコスト意識の啓発を図りますとともに、大量排出事業所には個別の減量指導、市施設への受け入れ制限等を含めた減量化を推進してまいりたいと考えております。  それから次に、東部清掃工場の二期建設事業の概要についてのお尋ねでございますが、近年本市におきましてもごみ排出量の増加が著しく、平成六年度には現在の東西両工場の処理能力をはるかに上回ることが予想され、この事態に対処するため、平成二年度から平成五年度までの四カ年事業として東部清掃工場第二期建設事業を実施しているところでございます。この新しい工場は、一日六百トンの焼却設備と一日三十トンの可燃性粗大ごみの破砕設備を併設した施設でありまして、今日の科学技術の粋を集めて特に公害防止には配慮いたしておりますし、同時にごみをエネルギー源としてとらえ、発電や余熱利用設備への供給等積極的に余熱の活用をも図ることにいたしております。  これまでの建設経過でございますけれども、平成二年度にプラント工事を、平成三年度には建設工事及び電気、空調設備等の建設設備工事を発注いたしております。今後、外構工事等がございますが、工事の進捗状況を見ながら順次発注していきたいと考えております。  なお、建設事業費は二百三十四億円というこれまでに例がないほどの莫大な費用がかかることになっており、ごみ処理経費の負担の大きさを物語っております。今後ともごみ減量につきましては、市民、事業者の御協力を得ながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、新工場完成後の現東部清掃工場の取り扱いについてのお尋ねでございます。  現工場は本市で初めての本格的連続炉として昭和五十四年から稼働しており、これまでまことに過酷な運転を行ってきたわけでございます。そのため炉を中心としたプラントの傷みも激しく、現在でさえ維持するための保守点検には多大な経費を要しているところでございます。完成後の焼却能力は新工場と西部清掃工場を合わせて一千五十トンとなり、本市の燃えるごみの排出量からいたしましても当分余裕が見込まれ、新工場の完成を機に現工場は廃止させていただきたいと考えております。その後の利用につきましては、現在の省資源・省エネ等の社会的要請を考慮いたしますと、例えばリサイクルセンター等、ごみ減量、リサイクルの情報発信基地としての活用ができないかどうか検討をしてまいりたいと考えております。           〔中小企業局長 木村和臣君 登壇〕 ◎中小企業局長(木村和臣君) 中沢議員にお答えを申し上げます。ごみ問題の企業の対応についてでございますが、資源の有効活用並びに再利用につきましては、世論の高まりを受けまして、本市の企業におきましても省資源、資源の再利用を真剣に検討してきておりまして、例えば一つの取り組みといたしまして、食品メーカー四社が、製造過程から排出される副生物の再資源化を促進するため熊本バイオサイクル研究開発協同組合を設立したところでございます。本市もこの組合の設立当初から指導、支援を続けておりまして、現在豆腐、コーヒー等から出る副生物をキノコ栽培の培地として利用した研究開発も成果をおさめておりまして、いよいよ事業化に向け月に五千パック程度のテスト出荷を行うよう準備を進めているところでございます。  消費流通段階におきましては、省資源、再資源運動も百貨店、大手スーパーなどで活発になっておりまして、簡易包装、それからショッピングバッグの再生紙利用、トレーの回収等実績を着実に上げているところでございます。しかしながら、御指摘のように中小小売店におきましては取り組みが非常におくれておりまして、これまでもキャンペーン活動等につきまして支援し、中小企業の資源の有効活用を訴えてきたところでございます。  なお、本年度から、商店街ぐるみでの省資源、再資源の活動を支援するためにモデル商店街を選定いたしまして実施したいというふうに考えております。来る一月から健軍商店街の協力を得まして本格的に消費者啓蒙や空き瓶、空き缶のリサイクル活動の支援を開始する予定であります。今後とも中小企業者あるいは商店街の御協力をいただきまして、省資源、再資源活動の浸透を図っていく所存でございます。           〔産業局長 市原敏郎君 登壇〕 ◎産業局長(市原敏郎君) 中沢議員にお答え申し上げます。農林水産部門のごみ問題への取り組みの現状につきましては、農漁業の生産に使用された資材が代表的なものであろうと考えます。  まず農業関係につきましては、園芸施設用ビニール類が約三千トン使用されております。その使用済みの農業用ビニールの処理対策につきましては、県、市、農業団体が一体となりまして、適正な処理を図るための啓蒙指導、広報宣伝、回収指導に取り組み、リサイクル業者の回収が図られているのが現状でございます。今後、環境問題に対する認識の向上、連絡協調を図り、一層の適正処理の推進を図る所存でございます。  また、水産関係の使用済みノリみすやノリ網の処理につきましては、各漁協に対して、漁業者の皆さん方個々に処分をされるよう徹底をされるようお願いをしてございますが、いまだ不十分な点が多々あろうかと思います。今後このようなことのないよう各漁協ごとに産業廃棄物業者への依頼や、ノリみすについては購入時に使用済みのみすなどメーカーに引き取っていただくよう今後お願いをしてまいりたいと考えております。  二点目の平成丸の環境保全への活用についてのお答えでございますが、御案内のとおり平成三年二月の飽託四町との合併による調査、指導海域の拡大に伴いまして、漁業指導の充実並びに迅速な対応を図ることを目的に平成三年十月に平成丸を導入いたしました。この指導船は水産業における効率的な漁場管理や利用を図るとともに、ノリの病害指導や水質等の漁場環境調査に活用しているところでございます。特に水産振興を図る上からも有明海の環境保全は最も重要な課題であると認識をし、議員の御趣旨のとおり今後平成丸を大いに活用してまいりたいと考えております。           〔建設局長 木下實也君 登壇〕 ◎建設局長(木下實也君) 建設行政にかかわる環境問題への取り組み、特に建設廃棄物の問題についてお答えを申し上げたいと思います。  環境問題についての基本的な取り組みにつきましては、既に平成二年第四回定例会で中沢議員の御質問にお答えをいたしているとおりでございますが、その後も建設廃棄物の適正な処理に努めているところでございます。建設局で取り組んでまいりました建設廃棄物の処理状況につきまして、平成三年度から四年度の現在までの実績を申し上げますと、建築関係では廃材総量五万六千六百トンのうち再利用したのが一万五千百トンで、再利用の割合は二七%となっております。同様に土木関係では総量五万四千二百トンのうち一万三千トンが再利用で、その割合は二四%となり、トータルで再利用の割合は二六%となっております。再利用の主なものといたしましては、道路、建築現場などから発生しましたアスファルトやコンクリートの廃材を路床材、または小構造物の基礎等に利用いたしております。建設行政に携わる私どもは建設廃棄物処理について、第一になるべくごみを出さない方向で再利用を考え、第二に再利用ができないものにつきましては御承知のとおりマニフェストシステム、つまり伝票方式により適正な処理に努めているところでございます。今後も再生利用技術の開発により実用化したものにつきましては積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、廃棄物を有効に活用し適正に処理することが建設工事を進める上で重要なことと思っておりますので、市としての対応はもとより、国、県とも十分連携をとった対応が特に重要でございまして、さらに関連業界の指導についても進めていかなければならないと考えているところでございます。そのほか、建設行政にかかわる問題としましては、工事の騒音と振動、さらには緑や地下水など各般にわたっておりますので、環境保全の重要性を十分認識いたしまして適正な事業の推進を図る所存でございます。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) 中沢議員にお答えをいたします。学校におきます環境教育についてでございます。  議員御指摘のように環境問題の解決に当たりましては、市民一人一人が人間と環境とのかかわりについて理解を深め、責任ある行動が要請されるわけでございますが、とりわけ未来を担う子供を育てる学校教育の役割はまことに大きいものがあると認識をいたしておるところでございます。  これまで環境教育といたしましては、ごみ問題を含めまして学校緑化や水の副読本の作成などさまざまな取り組みをいたしておるところでございますが、今年度中には教師用の指導手引書や児童・生徒用の副読本を作成いたしまして児童・生徒の意識の高揚を図ってまいります。また資源回収の一環といたしまして、当初十校の牛乳パック回収モデル校を指定したところでございますが、その輪を広げておりまして、現在では三十七校になっておるところでございます。また平成五年には環境教育フォーラム、あるいは環境教育についてのシンポジウムなどを予定いたしておるところでございます。こういった環境教育を取り入れました授業や環境問題をテーマにした子供たちの研究も多くなっておるところでございまして、児童・生徒たちの関心が高まってきておるところでございます。  今後とも環境教育の研究会等で教材教具の工夫や体で学ぶ体験学習の実践など研修を充実いたしまして、環境問題を解決するための意欲と実行力を育成してまいる所存でございます。           〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) その後の保健衛生局の努力の跡がうかがえます。新清掃工場の建設事業費は二百三十四億円とのことですが、熊本市民の世帯数で単純計算をしますと一世帯当たり約十万円強の負担に当たります。これは工場建設だけでのことでありまして、用地から買収となれば三百億を超えることが予想されます。その意味では、これだけの東部清掃工場の用地の確保に当たられた当時の衛生局長、執行部、先輩議員各位の先見性に敬意を表するものであります。現工場の管理棟の活用については、資源リサイクル情報発信基地としての十分なる検討をお願いしておきます。  中小企業局もその対応の実績の跡が見受けられますが、いま一歩、環境にやさしい店、エコストア制度等に力を入れられてはと提案をしておきたいと思います。これは、ごみの減量、再資源化に取り組む小売店、店舗をエコストアと認定することで市民のごみ減量意識の啓発、さらに事業所のごみ減量とごみ再資源化を推進するものです。今後の取り組みを期待しておきたいと思います。  その他の三局もそれぞれの取り組みが行われており、その実績の跡が見受けられますことを了といたします。今後とも事業所関係のごみの減量になお一層の取り組みをお願いしたいと思います。  なお、都市局の方も、下水道処理水再利用が中部浄化センター、旧蓮台寺下水処理場で五百八十戸の農家、水田三百三十六ヘクタールに活用されておりますが、さらに今後他の浄化センターの処理水の活用、また汚泥の再利用、リサイクルの研究に努力されることを要望しておきたいと思います。  さらに環境保全局にお尋ねいたします。  本年四月より新たに環境保全局が発足し、熊本市総合計画で良好な環境の維持と形成がうたわれており、それぞれの事業計画が示されております。施策として環境保全活動の推進、環境への事前配慮となっていますが、環境啓発事業、環境教育及び環境配慮の指針、環境情報システムの整備は、他の各部局との連携をこれまで以上に密にしていかねばならないと思いますが、どのような対策を持っておられるのか。  また県は、県民の間に高まっている環境問題についての意識を実施に結びつけるために環境セミナーの開講を考えており、受講者には環境家計簿をつけてもらい環境に配慮した行動を身につけていくというものであります。本市にあっても取り組む考えはありませんか。さらに、環境配慮の指針策定等は早急に取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。  さらに、地下水保全対策についてお尋ねいたします。  現在本市では、高平台校区の地下水が発がん性のある有機塩素系化合物トリクロロエチレンに高濃度に汚染された地域で、地下水をくみ上げてトリクロロエチレンを除去する揚水方式、ガス吸引方式による本格的な浄化作業に着手され、全国でも初めてのガス吸引方式では一日に約十キログラムのトリクロロエチレンが回収されるなど、その作業計画は順調に進んでいるようであります。全国に先駆け最高の技術を用いて浄化しており、その実験と成果は全国からも注目されており評価されるべきことだと思います。  しかし、この地下水汚染浄化、治療には多額の費用と長期間を必要とします。現在本市で三カ所の地下水汚染対策費が組まれておりますが、これまでの事業別の経費を見てみますと、高平台地区が、平成二年の対策調査費から平成四年度の汚染対策事業費の合計が、熊本市一億六千五百余万円と熊本県三千三百余万円で合計の一億九千八百余万円。春竹地区地下水汚染物質除去実験経費が、平成元年度から平成四年度までの合計額一千五百余万円。東野地区地下水汚染対策経費の合計が、平成二年度から平成四年度までの合計額二千三百余万円となり、これらの三カ所の地下水汚染対策費を合わせますと二億三千六百余万円にも上っております。熊本県として補助金三千万、企業からの寄附三千万を合わせますと約三億円であります。このようにもとの自然な状態に戻す浄化対策、治療には多額の費用と長い時間を必要とし、汚染された地下水をもとに戻すのがいかに大変であるかがわかると思います。  このことから見ても、今後は地下水保全部としても質量ともに予防のための対策が必要であります。これだけの金を予防対策に使えばどれだけの予防対策ができるでしょうか。最近、熊本都市圏の拡大に伴う水田や畑地の急速な市街化、宅地化が進み、熊本地域の涵養域の割合は昭和四十年ごろに比べ約一割減少していることが県の土地調査でわかっております。この熊本地域の土地利用現況図は、都市化が進む熊本地域の地下水涵養の実態をつかむため県と熊本市が共同で作製したものであると伺っております。対象は熊本市、宇土、大津、御船など周辺十五市町村、調査面積は約一千四十一平方キロメートルであります。その結果、平成三年度時点の熊本地域(河内町を除く)の涵養域は約八百十三平方キロメートルで全体の八〇・七%、昭和四十年ごろが約九百十六平方キロメートル、九一・〇%だったのに比べ約一割減少しております。また非涵養域は熊本市街地をコの字に取り囲む地域で増加が著しい。特に、熊本市清水町から健軍町にかけての地域、近見、田迎両町の周辺部で最も開発が進んでいます。このほか熊本市以外で非涵養域が増加しているのは、一、大津町中心部の北側と北東側、二、菊陽町から益城町にかけての熊本空港周辺、三、合志町、西合志町の国道三百八十七号線沿い、四、植木町の国道三号線沿いなどとなっており、年ごとに涵養域が減少し、地下水に黄色い信号がともった感を強くするものであります。このような状況を見たときに、今後は質量ともに予防のための対策が必要であり、そのための全庁的な取り組みや広域的な相互交流が最も必要であると思います。  そこでお尋ねいたします。予防的見地からの地下水保全をどう進めるのか。全庁的な取り組みをどう進めるのか。運命共同体としての広域的な相互交流をどう進めるのか。  以上の点について環境保全局長の答弁を求めます。           〔環境保全局長 後藤勝介君 登壇〕 ◎環境保全局長(後藤勝介君) 中沢議員にお答えを申し上げます。  まず、環境問題に取り組みますために関係部局間の協力関係をどう進めていくのかという御趣旨であったかと思います。  ただいま中沢議員からいろいろ御指摘がございましたとおり、環境問題につきましてはいろいろな分野にまたがっておりまして、部局間の境を越えました協力あるいは取り組みがどうしても必要であろうと考えております。したがいまして、これまで以上に部局間の緊密な連携をお願いしながら、水と緑の人間環境都市の実現に向けまして努力しなければならないと考えております。           〔議長退席、副議長着席〕  そこで環境問題に取り組みますために現在まで庁舎内で組織をしておりますものについて二、三申し上げてみますと、環境行政を総合的に推進してまいりますための環境基本条例推進事務連絡会議、環境総合計画を策定しますための関係各課によりますプロジェクトチーム、地下水の保全について協議しますための地下水保全協議会、資源リサイクルを推進しますための資源リサイクル推進連絡会議、生活排水に対する対応を協議しますための生活排水対策連絡会議、このようなものをつくりまして今日まで仕事を進めておるわけでございますが、今後ともこのような組織を活用しながら対処してまいりたいと考えております。  なお、中沢議員より御提案がございました環境に配慮した行動を促進していくための環境家計簿の活用、あるいは環境セミナーの開催などにつきましては、現在策定中の環境総合計画における具体的な施策として取り組んでまいりたいと考えております。  また、環境事前配慮指針につきましても早急に作成したいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に地下水保全に関連いたしましてお答えを申し上げます。まず、予防的見地から地下水保全対策をどのように進めるのかという点でございます。  将来にわたりまして飲料水のすべてを地下水に依存していこうとします本市にとりまして、御指摘のとおり予防的見地から地下水保全対策を進めますことは極めて重要なことであると認識いたしております。特に高平台地区や東野地区におきます汚染問題の教訓としまして、ひとたび地下水が汚染されますと浄化には長い年月と多額の経費を要するということを身をもって体験したところでございます。したがいまして、万一汚染が発生しました場合には一刻も早く浄化対策を行うことはもちろんでございますが、まずは地下水汚染が生じないように予防的見地から取り組んでいく必要があります。したがいまして、関係部局との連携を十分に図りながら、事業所の指導あるいは排水の検査等を的確に行いますとともに、地下水の監視観測体制を整備し、汚染の未然防止、早期発見になお一層努力してまいりたいと考えております。  さらにまた、このかけがえのない地下水を将来にわたって守り続けるための総合的な研究機関として位置づけております(仮称)環境総合研究所、この研究所の建設につきましては、昨年来市議会の御理解のもとに基本構想、基本計画等の作成を進めているところでございますが、できる限り早く完成させ、地下水汚染対策に役立てていかなければならないと考えております。  次に水量の予防的保全対策でございますが、今日まで行っております家庭での、あるいは工場での、あるいは建築物冷暖房用の節水や使用合理化に引き続き努めてまいりますとともに、中水道等の検討、さらには県と共同して益城町で進めております人工涵養実験の実用化、また国が高遊原台地で進めております地下浸透ダム建設の早期完成についても促進を図っていかなければならないと考えております。  なお、地下水の涵養域の減少に係る問題につきましては、昨日宮原議員にもお答えを申し上げましたが、水源涵養地域の指定などについて田尻市長並びに保健衛生委員の皆様方より国土庁に対しまして要望をしていただいているところでございます。したがいまして私どもといたしましては、今後とも、市議会並びに熊本県の御指導をいただきながら、熊本地域の市町村との連携をさらに深めまして地下水の保全対策に努めなければならないと考えております。  二点目は本市の地下水保全対策の全庁的な取り組みについてでございますが、この点に関しましては、現在、先ほど申し上げました熊本市地下水保全対策協議会の関係部局と連絡をとりながら、水利用の合理化、地下水汚染防止及び涵養対策等の各種事業を推進しているところでございます。例えば最近の取り組みでございますが、土木関係では平成三年度末までに延長約一万九千メートル、面積にしまして約四万六千平米の透水性舗装の実施を行っております。教育施設関係では長嶺小学校、長嶺中学校等の雨水を利用した中水道施設の整備、楡木小学校、託麻原小学校、清水中学校など八校での地下浸透井戸の整備、公園関係では上立田公園、佐土原公園等十二カ所の公園に地下浸透井戸の整備、住宅関係では新地団地、託麻団地、渡鹿団地等七つの団地に調整池や透水性舗装の整備を行っているところでございまして、これらの事業も各局で取り組んでおります予防的見地からの地下水保全対策でございます。  以上、具体的な事業につきまして御説明を申し上げましたが、今後ともこのような事業を進めまして地下水保全対策に取り組んでまいりたいと考えております。  第三点目は運命共同体としての涵養域との交流をどう進めていくのかという点でございますが、御指摘のとおり、涵養域を通じまして結ばれております本市並びに関係十五市町村が相互に協力体制をとりますことは極めて重要なことであると考えております。したがいましてこれまでも熊本地域の人々、企業、行政担当者等を対象にしました講演会を開催しておりますほか、水の大切さを理解していただくとともに、上流域との交流を進めるため、親と子の水の旅バスツアーを計画し阿蘇にございます白川水源の視察を行ったりしてまいりました。今後ともいろいろな機会を通じ、市民レベルにおきましても涵養域との交流を促進することにより、涵養地域の保全を含めた地下水保全の重要性について意識啓発に努めてまいりたいと考えております。           〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) 環境企画課の使命は大きいものがあると思います。環境保全のために市民一人一人が行動しやすい配慮をよろしくお願いしたいと思います。  また、予防的見地からの地下水保全は、いろいろ研究、実験も、そして実施されているようでありますが、全般的にはまだ公共事業の中での対策が中心となっているようであります。今後は各企業に対しても、地球にやさしい環境づくりの一環として、大規模駐車場などのコンクリート張りを見直し、地下浸透しやすい対策とそれに対する市条例等の検討も将来は必要かと思います。当局の積極的な検討を望むものであります。  次に、成人病対策について質問いたします。  本市においても市民の健康の保持増進を図るために老人保健法に基づく各種の保健事業を実施し、成人病予防のための指導と知識の普及に努めておられ、平成二年には大腸がん検診を、また平成三年には肝臓がん検診を開始されております。  そこでお尋ねいたします。  一つ、現在本市で実施されている老人保健法に基づく健康診査について、それぞれの受診者数、受診率はどうなっておりますか。  また、健康診査の中の大腸がん検診の便潜血反応検査費用の三百円が個人負担となっているようでありますが、無料にするお考えはありませんか。  また三つ目に、骨の密度が減って軽石のようにすかすかになる骨粗鬆症が急増しており、患者数は全国で五百万人以上とも言われております。特に寝たきり老人の約一割が骨粗鬆症と言われており、原因は運動不足やカルシウム、燐の密度が減少して起きると言われております。骨は二十歳から三十歳代が一番充実し、その後カルシウムを蓄える能力が低下するため内側から密度が減少し、老化現象の一つで、若いうちにカルシウムを骨に十分蓄えることが予防のポイントであります。現代人の食生活はカルシウムが不足がちで、骨密度が低く、骨粗鬆症にかかりやすい若年層がふえております。骨粗鬆症の症状は腰や背中に慢性の鈍い痛みやだるさを感じる程度なので、気づいたときには既に骨折していたり手おくれのケースが多い。このため早い時期から定期的な骨密度検診を受け、骨の状態や変化を知ることが大切であります。  そこでお尋ねをいたします。保健所や市民病院等でこの患者数は現在どれくらい掌握され、また対策を考えておられるのか、以上三点について関係局長の御答弁を求めます。           〔保健衛生局長 工藤 磐君 登壇〕 ◎保健衛生局長(工藤磐君) 老人保健法に基づきます各種検診の受診率、それから大腸がん検診の無料化の問題につきまして中沢議員にお答え申し上げます。  老人保健法に基づきます各種検診につきましては、本市では心臓病、脳卒中、いわゆる成人病の早期発見を目的としました基本健康診査と、がん検診としましては胃がん、子宮がん、乳がん、肺がん、大腸がんの検診を実施しております。そのほかに本市独自のものとして肝臓がん検診を行っております。平成三年度のそれぞれの検診の受診者数及び受診率は、基本健康診査が三万七百四十一人で二五・六%、胃がん検診が一万五千二百三十一人で一二・七%、子宮がん検診が二万一千四十五人で一九・七%、乳がん検診が九千九百七十六人で九・三%、肺がん検診が二万四千九百六十二人で二〇・八%、大腸がん検診が一万一千二百三十一人で九・三%となっております。肝臓がん検診については基本健康診査を受けた方の中で危険因子の高い人を対象として行っておりまして、その受診者数は三千百二十七人となっております。  議員御指摘のとおり、長寿社会が進展する中で、市民の健康の一層の保持増進のためには、がんや成人病の早期発見、早期治療が必要でございます。本市といたしましては、検診の受診率の向上を目指して、魅力ある検診内容、受けやすい環境づくりに今後とも取り組んでまいりたいと考えております。  次に、大腸がん検診──便潜血検査でございますけれども、その無料化についてでございます。  本市では大腸がんの増加傾向にかんがみ、国に先駆けまして本市独自の事業として平成二年七月よりこの検診を行っておりまして、個人負担が御指摘のように三百円となっております。従来から本市では老人保健法に基づく検診の個人負担金は無料化を図ってきたところでございまして、大腸がん検診の無料化につきましても、市民の健康を守るという立場から従来の方針に従い議員の要望に沿った方向で検討してまいりたいと思っております。           〔市民病院長 志摩 清君 登壇〕 ◎市民病院長(志摩清君) 中沢議員にお答え申し上げます。  骨粗鬆症は、急速な高齢化社会の進展している先進国におきまして社会的問題として取り上げられる機会が多くなってきております。医学的問題につきましてはまだ未解決な点が数多く残っている疾患でございます。人の骨量は成熟とともに増加いたしまして、二十歳から四十歳初めに最大となりまして、先ほど中沢議員も申されましたようにそれ以降は年齢を重ねるに従いまして減少してまいります。すなわち、本症は年齢とともにその発生頻度が増してきまして、進行性でありまして、治癒の可能性が低いというところに問題があります。したがって身体各所の機能障害を生じまして、結果的には高齢者の日常生活に支障を与えるというものでございます。疫学的な問題ですけれども、現在我が国におきましては骨粗鬆症の数についての疫学的な調査はございませんので、その数はいまだ明確ではございません。しかし薬剤の使用量その他から、年間六十万人から約九十万人の方が治療されているというふうに推定されております。  市民病院におきましても、昨年十月から九月までの約一年間で、整形外科外来に限って調査いたしました。その患者数四千九百名中百一名、二・一%に当たります方が骨粗鬆症というふうに診断されております。うち六十五歳以上の患者さんに限って見ますと九百四十四名のうち六十八名ということで、これが七・二%に当たりまして、高い率でございます。また、保健所、保健センターで寝たきり老人の訪問指導を実施しておりますが、本年四月一日現在で把握されております在宅寝たきりの方五百二十九名のうち、骨折が原因で寝たきりになった方は三十二名で、全体の六%を占めているというふうに伺っております。  骨粗鬆症の治療といたしましては、消炎鎮痛剤の投与、軟性コルセット装着、あるいは温熱療法等除痛に有効な治療法もございます。進行防止のために骨量を増加させる治療法といたしましては、日光浴、先ほども言われましたように運動、それからカルシウム摂取ができるような食生活に努めるといったものが日常生活の中での三本柱となっております。これが一様に大切だと思います。これらが即予防につながるものでございます。したがいまして、保健所、保健センターでは、栄養講座や家庭婦人の健康づくり事業、地域の老人会や婦人会などを対象とした健康教育の中で、食生活改善と健康運動の普及に取り組んでいるというふうに聞き及んでおります。  早期発見でございますが、高齢または閉経後の女性で、先ほども言われましたように腰の痛みというのが自覚症でございますので、そういう自覚症があった場合は直ちにレントゲン診断及び骨量の減少検査を行うことで早期発見が可能でございます。早期発見をすることによりましてこの病気の進行を少しでも食いとめる。したがって疾患の改善に通じるものというふうに考えております。早期発見が大事だというふうに考えております。
              〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) 老人保健事業の健康診査については、ただいま衛生局より御答弁をいただきましたが、胃がん、子宮がん、肺がん、乳がんなどの検診はともに順調に伸びておりますが、基本健康診査についてはここ三年間を振り返ってみますと、平成元年の受診率二五・八%、平成二年度二五・五%、平成三年度二五・六%と横ばいの状況であります。成人病予防は先ほども申し上げましたように早期発見、早期治療と言われておりますゆえ、基本健康診査の受診率向上の工夫に力を入れられますようお願い申し上げます。  また、大腸がんの検査費用については無料の方向でぜひお願いをいたしたいと思います。  骨粗鬆症は、これもまた早期発見、早期治療が最も重要な対策の一つでありますし、成人病予防の一環として、早期発見のために医療器具の購入等の検討もよろしくお願いしたいと思います。また、先進地の東京都中野区中野北保健所と大阪府下の二カ所の保健所では、既に骨の量をはかる骨密度測定器を導入して早期発見に乗り出しておりますことを申し述べまして次の質問に移らせていただきます。  エイズ対策について、若干重複いたしますが角度を変えて質問してまいりますので、御答弁のほどをよろしくお願い申し上げます。  十二月一日、WHOが決めた世界エイズデーに、日本全国各地でエイズ予防の取り組みが行われました。そのエイズ対策につきまして、WHO(世界保健機関)推定では、世界じゅうでエイズ(HIVヒト免疫不全ウイルス)に感染している人は約八百万人にも上ると見られ、このままでは今世紀末にはエイズに発病する患者数は六百万人になると警告しています。我が国のエイズ患者は昭和六十年には六人でしたが、年々増加し、平成三年には前年の二倍以上の増加率で、加速度的急増傾向が見受けられるようになりました。ことしの七、八月の二カ月間に国内で確認されたエイズ患者・感染者数(血液製剤による感染を除く)は百人と過去最高を記録していたことが厚生省エイズサーベイランス委員会の報告で明らかになりました。二カ月間に三けたの患者・感染者が確認されたのは初めてであります。また九月、十月の二カ月間には、国内で新たに確認されたエイズ患者・感染者数は九十八人と発表、前回調査七月、八月分より二人減ったものの、ことしに入ってからの累計は四百二十四人と年間で初めて四百人を突破し、昨年同時期の累計百七十七人に比べて二倍以上のペースで患者・感染者が急増していることがわかりました。今回の調査では、低年層は母子感染の乳児一人、異性間性的接触でこれまでの最年少の十七歳の女性、高齢者層では六十七歳の男性の感染例が報告されるなど、あらゆる年代へ感染者が広がっていることが判明し、厚生省は、エイズは自分自身の行動で予防できる病気であることを理解してもらいたいと注意を呼びかけております。  感染経路も、男女間の性交渉が五八%と、麻薬常習者や同性愛者による感染を大きく上回るなど、日常生活の中に浸透してきております。そして十一月には初のエイズ患者が自殺しており、このように感染者の爆発的な増勢が強まっていることから、我が党の政策提言では、特にエイズ必勝三カ年戦略の策定を強く主張。研究、医療、検査体制の充実とあわせて短期集中的に抜本的対策の実現を求めています。また、正しい知識の普及のため、中学生からきちんとしたエイズの知識を身につけ、誤った情報で不幸な結果を招かないための教育の充実を強く求めています。  そこでお尋ねいたします。  一つ、本市においても九月の補正議会に三百万、十二月補正でも一千七百万のエイズ対策費を計上され、その取り組みがなされておりますが、今日までエイズ相談や検査依頼はそれぞれ何件寄せられているのか。またその対策と取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。  また検査費用は幾らぐらいかかるのでしょうか。その費用の無料化、または一部補助の考えはありませんか。  広がるエイズ不安に対して正しい予防、治療法などの専門カウンセラー、正確な情報を提供することができる電話相談、ボランティアの育成充実についてどのように対応されるのか。  また、正しい知識の普及のため中学生への教育をどのように展開していかれるのか。  以上四点について関係局長の答弁を求めます。           〔保健衛生局長 工藤 磐君 登壇〕 ◎保健衛生局長(工藤磐君) エイズ対策の中で三点につきまして中沢議員にお答え申し上げます。  保健所、保健センターでは昭和六十一年の四月からエイズ相談と検査を匿名で実施いたしております。その累計件数は、平成四年十月末現在、相談が二千二百六十七件、検査が一千百三十三件となっております。ことしになってからこの件数が急増しておりまして、昨年一年間で相談が百五十件、検査が五十七件でございましたが、ことしは十カ月間で相談一千三百十六件、検査八百十七件と、昨年の十倍を超える勢いにあります。市民の間にエイズに対する不安が広がり関心が高まっていることのあらわれであろうというふうに考えております。  午前中の牛嶋議員の御質問にもお答えしたところでございますが、今あらゆる機会をとらえて正しい知識の普及啓発に取り組むことが最善の予防対策であり、真剣に取り組んでいかなければならないと決意を新たにしているところでございます。そのために、エイズ対策事業費として九月議会で正しい知識の普及等のために三百万円を計上させていただきましたが、さらに今回、市民のエイズ不安にこたえるために一千七百五十万円を計上させていただきまして、相談と検査体制の充実を図ることにいたしております。  次に、エイズ検査の個人負担金につきましては、保健所条例に基づき現在一千六百九十六円を徴収しております。厚生省は来年度無料化の方向で予算獲得に当たっているとの情報も得ているところでございます。本市といたしましても、議員の御要望に沿えるよう前向きに取り組んでいきたいと考えております。  次に、専門カウンセラーの配置やボランティアの育成、電話相談サービスについてでございます。  議員御案内のように、先日東京で、エイズの患者さんが入院先で自殺をするというまことに悲惨な事件が報道されましたが、患者や感染者に対するカウンセリングなど精神的ケアの重要性が指摘をされているところでございます。したがいまして、議員御案内の趣旨を踏まえまして、庁内外の英知を結集しながら総合的なエイズ対策事業を推進する中で積極的に取り組んでいく考えでございます。           〔教育委員長 柏木 明君 登壇〕 ◎教育委員長(柏木明君) 中学生を対象としたエイズ教育につきまして私よりお答えを申し上げます。  性に対する若者の意識の変化が急速に進んでおりますことから、学校でのエイズ教育が緊急の課題となっております。小学校高学年の段階からエイズについての十分な関心と知識を持つ必要があるとの意見もあるくらいでございまして、議員御指摘のように中学生に対する教育もまた大事であると考えております。また文部省では、小、中、高校のエイズの教師用指導書を近く配布する予定であると聞いております。エイズに対する教育指導の実際に当たりましては、保健体育科、理科、家庭科のほか道徳、特別活動など、そういう多くの分野にわたって全教職員がそれぞれの職務とエイズに関する指導とのかかわりを十分認識して教育活動を行う必要があると考えます。また指導内容によりましては、学級担任の教師よりも養護教諭や学校医など専門性を生かした指導が効果的ではないかとも考えております。  いずれにいたしましても、私は、情感の揺れ動く中学生へのエイズ教育が単なるエイズ予防のための知識の受け売りでなされてはならない、正しい性教育の理解のもとに行われるべきでありまして、エイズを予防さえできればセックスは自由であるというような短絡した意識を子供たちに植えつけてはならない、そうでなければ教育とは言えないのではないかと考えております。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) 中沢議員にお答えをいたしたいと思います。  エイズの対策上、その教育、啓発の重要性が叫ばれておることは議員御指摘のとおりでございます。そこで、学校教育におきましてエイズに関する正しい知識や予防、さらに感染者に対する偏見の問題等について指導する必要性を感じているところでございます。平成五年度から中学生を対象に性教育の一環として年代に応じたエイズ教育を実施していく計画でございます。そのためにはまず指導者の養成が急務と考えておるところでございまして、PTAも含めました講演会あるいは教職員の研修会、授業研究会等を開催いたしまして、各学校での指導力の向上を図ってまいる所存でございます。           〔四十五番 中沢 誠君 登壇〕 ◆四十五番(中沢誠君) ただいま各関係者から御答弁をいただきましたが、エイズの時代とともにどう生きるかが今社会問題として問われております。エイズの特効薬は今現在ありません。爆発的感染を防ぐ最後の機会と位置づけ、まず急がねばならない最重要課題は、正しい知識を普及させるエイズ教育であると思います。そのためにはビデオの制作活用、教える先生方への講習会等々と早急に機会あるごとに取り組む必要があると思います。またエイズ患者や感染者に対する社会的差別、偏見があってはならないし、日常生活で感染しないことを知っていながら、日本でも患者を企業から締め出す動きがあり、エイズそのものに対する誤解、偏見をなくすための取り組みも必要であります。  このような状況の中、田尻市長の英断でエイズ対策の積極的な取り組みに対して深く敬意を表するものであります。エイズに対する不安と偏見をなくすためなお一層の取り組みを期待しております。  なお、あと二つほど積み残しがございますが、時間も参りましたので、あとの二点については同僚議員島田議員の方から再質問という形でお願いをしたいと、このように思っております。  本日は長時間にわたり皆さん方の御清聴を賜りありがとうございました。これで私の質問を終わります。(拍手)     ────────────────── ○副議長(西田続君) 本日の日程はこれをもって終了いたしました。  次会は明十日(木曜日)定刻に開きます。     ────────────────── ○副議長(西田続君) では、本日はこれをもって散会いたします。              午後三時五十六分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり  平成四年十二月九日  出席議員 五十四名   一番 嶋田幾雄    二番 西田続     三番 馬場成志   四番 竹原孝昭    五番 牛嶋弘     六番 北口和皇   七番 下川寛     八番 佐々木俊和   九番 田辺正信   十番 大江政久   十一番 古川泰三   十二番 鷲山法雲  十三番 税所史熙   十四番 岡田健士   十五番 河村寅麿  十六番 田尻清輝   十七番 鍬農健蔵   十八番 田尻将博  十九番 東すみよ   二十番 島田俊六  二十一番 加藤静穂 二十二番 諸熊文雄  二十三番 荒木あきひろ二十四番 江藤正行 二十五番 荒木哲美  二十六番 奧田光弘  二十七番 宮原正一 二十八番 落水清弘  二十九番 鈴木昌彦   三十番 上村恵一 三十一番 磯道文徳  三十二番 西泰史   三十三番 主海偉佐雄 三十四番 伊形寛治  三十五番 中村徳生  三十七番 竹本勇 三十八番 大石文夫  三十九番 西村建治   四十番 本田光夫 四十一番 家入安弘  四十三番 角田勝浩  四十四番 亀井省治 四十五番 中沢誠   四十六番 村上春生  四十七番 田尻武男 四十八番 紫垣正良  四十九番 島永慶孝   五十番 矢野昭三 五十一番 藤山増美  五十二番 白石正   五十三番 村山義雄 五十四番 森田粹彌  五十五番 中山弘規  五十六番 西野法久  欠席議員 一名 三十六番 村上裕人  五十七番 佐々木亮 説明のため出席した者 市長      田尻靖幹   助役      御厨一熊   助役      吉田紀生 収入役     中村順行   市長公室長   岩本洋一   企画調整局長  竈啓一郎 総務局長    野田晃之   市民局長    野田雅水   保健衛生局長  工藤磐 環境保全局長  後藤勝介   産業局長    市原敏郎   中小企業局長  木村和臣 都市局長    本田吉継   建設局長    木下實也   消防局長    吉原準二 交通事業管理者 谷壽夫    水道事業管理者 出田四郎   教育委員会委員長柏木明 教育長     谷口弘毅   代表監査委員  服部公雄   総務部長    柳川彰也 市民病院長   志摩清 職務のため出席した事務局職員 事務局長    佐藤二郎   事務局次長   田尻紘    議事課長    北村政典 議事課長補佐  松本豊...