平成 4年第 1回定例会−03月11日-03号平成 4年第 1回定例会
平成四年三月十一日(水曜)
議 事 日 程 第三号
平成四年三月十一日(水曜)午前十時開議
第 一 質 問
午前十時二分 開議
○議長(嶋田幾雄君) ただいまより本日の会議を開きます。
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○議長(嶋田幾雄君) 日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。荒木哲美君。
〔二十五番 荒木哲美君 登壇 拍手〕
◆二十五番(荒木哲美君) おはようございます。自由民主党の荒木哲美でございます。平成四年度の大綱を決める第一回定例市議会におきまして、自由民主党を代表し、その冒頭に一般質問の機会をお許しいただきましたことに対し、先輩議員、
同僚議員各位に対しまずもって深く御礼を申し上げます。
振り返ってみますと、平成三年は、年明けから勃発した湾岸戦争と我が国の国際貢献問題、全世界を震撼させた
ソビエト連邦の崩壊、それに伴う世界体制の変革、国内的には
バブル経済の崩壊や政治改革の問題、さらには雲仙・普賢岳の噴火や台風十九号などの
自然災害対策等、内外ともに揺れ動いたまさに激動の年でありました。
このような中で本市は、昨年二月一日の飽託四町との大合併を成就、三月には新熊本構想の策定、さらに本年一月には、この構想の具体化を示す基本計画の策定など、計画的で揺るぎのない都市として新たな一歩を踏み出したのであります。田尻市長の御英断のもと、この熊本は大きくそしてたくましく生まれ変わろうとしており、平成四年度は
ヒューマンシティーくまもと創生元年としてさらなる飛躍がなし遂げられるものと確信する次第であります。
そこで本日は、国際交流、財政、
都市づくり、環境、あるいは福祉といった本市の重点課題につきまして順次質問をしてまいりたいと存じます。田尻市長初め執行部の明快なる御答弁をお願いする次第であります。
さて、田尻市長は国の諮問機関であります
経済審議会並びに
生活環境審議会の委員として昨年御就任をされております。歴代の市長の中で初めての国の
審議会委員への御就任であり、このことは私どもの誇りとするところであり、加えて去る四日にはこの熊本で
地方経済審議会が開催されましたが、全国にあまたある都市の中からこの熊本市が全国五都市の会場の一つに選ばれましたことも、田尻市長の並み並みならぬ行政手腕のあらわれであろうと心から敬服をいたす次第であります。田尻市長の各審議会での一層の御活躍を心より期待いたしたいと存じます。とともに、本日はぜひ九州の雄都を目指す市長としてのみならず、全国の
行政リーダーとしてのお立場から、どのようなお考えをお持ちになり、国の経済計画の策定、はたまた地球的問題となっている生活環境問題に対しどのようにお臨みになっておられるのか、ぜひお聞かせいただけないものかとお願いする次第であります。
引き続き、国際交流につきましても市長にお尋ねいたします。
本市においては昭和三十九年、当時の石坂繁市長が
ドイツ連邦共和国・
ハイデルベルク市を訪問されたのが本市の国際交流の幕あけであり、昭和五十四年の中国・桂林市との
友好都市締結、さらに
田尻市政誕生後の昭和六十二年、米国・
サンアントニオ市との
姉妹都市締結を果たしたところであります。桂林市、
サンアントニオ市との交流は、
友好姉妹都市締結以来、市民友好の翼を初め産業を中心とした熊本展の開催、高校生の桂林市派遣、さらには
サンアントニオ市との少年野球の相互交流など各分野にわたり幅広く行われているところであります。
また、ドイツ・
ハイデルベルク市とは、これまで正式な調印こそなされておりませんが、親密な交流を深めてきたところであります。特に
熊本市制施行百周年に際しては、記念式典を初め
歴史都市サミット、国際交流の夕べなど各種の行事に積極的に参加いただき、一昨年の六月、
歴史都市サミットの合意に基づき開催されました
水資源国際会議において、豊かできれいな水を後世に残すために一層の努力をすることなどを盛り込んだクマモト・アピールが採択されたのは記憶に新しいところであります。
こうした背景を受けて、
ハイデルベルク市の要請を受け、
友好都市締結に向けた事前の協議のため、新年早々執行部からは御厨助役、さらに議会からは各派の代表が訪問されたのであります。訪問団の御労苦もあって、いよいよ今年五月には友好都市の正式調印のため田尻市長が訪問される予定と伺っております。石坂元市長以来二十七年という歳月の後、本市の念願であった同市との
友好都市締結がいよいよ成就しようとしているところであります。
調印に際しましては、今後の交流の方向をはっきりと定めておくことが極めて重要であろうかと思います。私としても、
ハイデルベルク市は六百年の歴史を誇る世界でも有数の文教都市であり、文化面での交流、また本市と同様に上水道水源を地下水で賄っているなどの類似点からしても、環境面での交流などが考えられようかと思うわけであります。
そこでお尋ねでありますが、
ドイツ連邦共和国・
ハイデルベルク市との
友好都市締結を機に今後両市の交流をどのように進めていかれるのか、その基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。
さらにいま一つ、フジモリ・
ペルー共和国大統領の来熊についてお尋ねをいたします。
もとより、日本人のペルーへの移住は一八九九年に始まり一九二三年に終了したのでありますが、その数一万七千人にも上っております。移住者及びその子弟の現地での活躍は目覚ましく、ペルー国の国づくりに大きく貢献していると言われております。
御承知のとおり、アルベルト・
ケンヤ・フジモリ・ペルー大統領は御両親が旧河内町の御出身であり、世界で初めての日系二世の大統領であります。一九九〇年六月の
ペルー大統領選挙には、熊本はもちろん日本国じゅうが熱中し、テレビで放映された選挙の模様に一喜一憂し、当選決定に沸き上がる感動を覚えたのは記憶に新しいところであります。
フジモリ大統領は、ペルーのみならず日本国民の英雄であると同時に、熊本市民の誇りであり名誉でもあります。
報道によりますと、三月十五日に国賓として訪日され、寸暇を割いて里帰りのため三月二十日に来熊されると伝えられております。そのために県、市挙げて熱い歓迎の準備が進められていると伺っております。また田尻市長におかれましては、宮沢総理より、三月十七日
内閣総理大臣官邸における国賓としての
フジモリ大統領歓迎晩さん会に御案内状が届いているとお聞きいたしておりますが、本会議中につきこれをお断わりされたやに聞いております。熊本市民の代表としてであるだけに、まことに残念であろうかと拝察いたすわけであります。
昨年九月、この議会において我が党の河村議員からも切実に要望がなされましたが、今回の御来熊を千載一遇のチャンスととらえて、この機に、
フジモリ大統領御就任の栄誉をたたえ顕彰されてはいかがでありましょうか。田尻市長の御見解を賜りたいと存じます。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 荒木議員にお答えをいたしたいと思います。ただいまは私の国の
審議会委員就任に当たりまして身に余るお言葉をちょうだいいたしまして、まことに感激にたえない次第でございます。
議員御指摘のように、図らずも平成三年十二月、厚生大臣より
生活環境審議会委員、そしてさらに平成四年二月には
内閣総理大臣から
経済審議会委員に就任を委嘱、拝命いたしたわけでございまして、さきに全国五カ所で開かれました
地方経済審議会にも出席をさせていただきました。親しく熊本の各界の代表の方々とお目にかかりまして、我が熊本市、そしてまた本県の持ついろいろの課題につきまして、今後中央に対しまして全力を挙げてその意見を集約、反映させていきたいと決意を新たにいたしているところでございます。
なお、今回の私の委員就任は、これひとえに荒木議員初め議員各位の日ごろの御精進によりまして、我が熊本市が今や我が国におきましてもまさに近代的な、しかもすばらしい都市として強い期待とそして評価を受けているたまものでありまして、私自身まことに望外のことでございますが、任命を受けました以上は、議員各位の御期待にこたえるべく全力を挙げてこの偉大なる
ふるさと熊本市のために身命を賭して頑張っていきたいと、このように決意をいたしている次第でございます。今後とも荒木議員のますますの御支援を賜りたいと思うわけであります。
この委員就任は、
全国市長会の代表として私がこの席を汚したわけでございますが、激動の国際情勢の中で世界の日本としての役割が改めて問われております。そしてまた真に豊かな生活大国の実現を求めるこの国民の声に対して、私どもは今や地方、中央がそれぞれの役割を分担しながら、まさに子々孫々のために熱い血と汗を流し、そして涙を流していかなければならない、このような気持ちに立ちまして一層の勉励に努めたいと、このように思うわけでございます。
次に、国際交流につきまして
ハイデルベルク市との交流について格調の高い御見解を承ったわけでございますが、議員御案内のとおりに、約二十七年間にわたりますドイツの古い六百年の歴史を持つ
ハイデルベルク市との交流は、まさに私どもの長きにわたる念願であったわけでございます。昨年の十一月に
ハイデルベルク市
ヴェーバー市長から正式に友好都市を締結したい旨の書簡が届きまして、直ちに議会に御報告申し上げましたところ、本年一月には議会を代表されまして、自民党からは
島永慶孝先生、
矢野昭三先生、西田続副議長、
佐々木亮議員、
森田粹彌議員、それぞれの各派各党の代表の方々が事前協議のために、大変御多忙の中にもかかわりませず
ハイデルベルクへお出かけいただいたわけでありまして、執行部からは御厨助役がお供をいたしまして、順調に友好関係への軌道、基本的な合意が整いました。私はこのことにつきまして改めて、今回お出かけいただきました議員はもちろんでありますけれども、議員各位に対しまして心から感謝を申し上げる次第であります。
なお、この
ハイデルベルクとの今後の交流につきましては、荒木議員御指摘のように五月には正式調印もできるかと思うわけでありまして、今後、アメリカは
サンアントニオ市、中国は桂林市と、世界を代表するすばらしい都市でありますが、加えてヨーロッパを代表する六百年の歴史を持つ
ハイデルベルク市、このすばらしい市とも
友好都市締結ができるわけでありまして、今後交流に当たりましては、まさに世界の平和とそしてまた環境に対する共通の責任を認識する、そういう考えのもとに、学術、経済、文化、このような相互交流を推進いたしまして、熊本市の今後の市民生活の向上に努めてまいりたいと、このように考えております。
幸いにいたしまして、今回ドイツの方にお出かけいただきました議員各位の努力によりまして、市民友好の翼の派遣問題、留学生の交換を初めとする青少年問題、あるいはまた経済の交流等、既にその会談の俎上に上った由承っているわけでありまして、この具体化に対しまして、今後市議会の議員各位の御支援のもとに進めさせていただきたいと、このように考える次第でございます。
次に、
ペルー共和国大統領アルベルト・
フジモリ閣下は、御案内のとおりに御両親が旧河内町の御出身でございまして、熊本市とは非常にかかわりの深い大統領でもあられます。今回
大統領閣下におかれましては、いよいよ国賓として訪日、そしてまた熊本県、この熊本市に御訪問の予定でございまして、既に外務省当局からも、
国賓フジモリ大統領閣下に対する便宜供与方の御依頼が正式に通知されているわけでございまして、さきの
議会運営委員会に御報告を申し上げた次第でございます。今月十五日に来日されまして、二十日、二十一日熊本市に御視察と、このようになっているわけでございます。したがいまして、今回の御来熊の機会をとらえまして歓迎式を県市共催で開催する、そして
大統領誕生を支えてこられました令夫人並びにお母様のムツエ様に対する熊本市民の熱い思いを表するべく、大統領と市民の皆様の触れ合いを
総合婦人会館・
カルチャーセンターにおきまして実施することといたしました。今外務省並びに県当局との打ち合わせを進めているところでございます。
また荒木議員御提案の顕彰についてでありますが、旧河内町の名誉町民という経緯を踏まえまして、またさきの河村議員の御質問等も踏まえまして、我が熊本市の誇りであります
フジモリ大統領閣下に対しまして、議員各位のお許しをいただくことができますならば、
市議会ともども熊本市民栄誉章を差し上げ、六十三万市民とともにその栄誉をたたえ、かつまた
大統領閣下のますますの御精進と御奮闘を心からお願いしたいと、このように考えております。
〔二十五番 荒木哲美君 登壇〕
◆二十五番(荒木哲美君) ありがとうございました。田尻市長の豊かな国づくり、そしてまた市政に対する限りない情熱と新たな決意のほどがひしひしと伝わってまいるわけでございまして、深甚なる敬意を表しますとともに、今後の政治手腕に期待をいたすものであります。
国際交流につきましても、最近本市にもアマコスト駐日米国大使など要人も数々訪れていらっしゃるわけでございます。民間レベルでの国際交流も活発になってきており、これを支援するために
財団法人国際交流振興事業団の設立や
国際交流会館の建設など、まことに時宜を得たものであり高く評価をいたすわけでございます。三都市につきましても相手に不足はなく、市民一同お茶の間外交ができるものと期待をいたすわけでございます。
また日系人初の大統領で、我々熊本市民の誇りとする
フジモリ大統領に対しましては、
市民栄誉章という称号を授与されその栄誉をたたえるということでございますが、早速御英断をいただきました田尻市長に感謝を申し上げ、
フジモリ大統領の御活躍を期待するものでございます。
続きまして財政についてお尋ねをしてまいりたいと存じます。
経済企画庁の今年二月の月例報告によりますと、昭和六十一年十二月から始まった大型景気も
バブル経済の崩壊により、減速しながらも拡大傾向にあるという昨年の暮れの表現から、減速感が広まり調整過程にあるとの表現に変わってきており、景気の判断が極めて微妙な状況になっているようであります。また、昨年暮れの平成四年度
国家予算編成の大詰めの段階においても、
景気減速傾向が国の歳入不足につながるという深刻な事態に直面し、このため国の税収入見込みは、平成三年度当初とほぼ同規模の建設国債を限度額いっぱいまで発行してもなお二兆二千億円の不足が生じるという大問題が生じているところであります。
その対処方法として取り上げられたのが
地方交付税の削減措置問題でありました。御承知のとおり、この
地方交付税は国と地方の事務分担などに応じて税源配分されている
地方自治体固有の財源であります。
全国市長会を初め地方六団体では、
税率引き下げ措置の阻止に向けて懸命の運動を行ったことは皆様御案内のとおりであります。提案理由の中でも田尻市長から御報告がありましたように、
特例減額措置こそ継続されたものの、何とか
税率引き下げ措置は回避できたところであります。
このような国の平成四
年度予算編成の過程から推察いたしましても、我が国の景気は先行き不安定、いわゆる不透明感ばかり漂い、まさに平成不況の時代に突入したと言っても過言ではないと思います。こういう状況の中で国の新年度予算が編成されたのでありますが、伸び率は対前年度二・七%と五年ぶりの低い伸びとなっており、厳しい状況と言わなければなりません。
しかし反面、地方自治体の指標となる
地方財政計画では対前年度伸び率四・九%となっており、中でも経済浮揚の最大の起爆剤とも言える公共投資は、
地方単独事業で実に一〇%を超える一一・五%に設定をされております。このことは、裏返せば、国家財政が歳入不足にあえぐ中で地方自治体に大きな期待が寄せられているということであります。とりわけ
都市自治体には、自主的、主体的な地域づくりの推進、市民生活に直結する社会資本の充実、
地域経済活性化につながる単独事業の展開、あるいは高齢化社会の到来に備えた
保健福祉施策の拡充など、その期待にこたえなければならない問題が山積をいたしているのであります。
このような中で編成されました本市の平成四年度の当初予算は、新総合計画の実質的なスタートとなる予算になるわけであります。この新年度予算では、環境問題への対応、あるいは福祉の充実、人づくりと文化の振興、国際交流の推進、社会資本の整備と地域経済の活性化など、各部門においてきめ細かに措置をなされており、予算規模においても一般会計一千六百八十億円、対前年度伸び率一〇・九%という、昨年の合併予算を除けば昭和五十四年度以来の高い伸び率で設定されております。このことからいたしましても、田尻市長の市政に対する並み並みならぬ御意欲がうかがわれるわけであります。もちろん、これらの施策を実現するためには確固たる財政基盤があってこそ可能となるわけであり、新熊本構想や
合併建設計画の実現のために中長期的な財政展望も必要であると思うのであります。
そこでお尋ねでありますが、この平成四年度の予算編成に当たっては大変な御苦労もあったと思うわけでありますが、この予算の編成方針、そして市政運営に関する基本的な考え方を田尻市長にお尋ねいたします。
さらに、新年度の
財政見通しとそのベースとなる平成三年度の
決算見込みについて、あわせて総務局長にお尋ねをするものであります。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 荒木議員にお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、今や我が国内外極めて諸情勢が大きく転換しつつございます。その中におきまして、私
ども市民生活にとりましてはまさに物と心がともに豊かさの実感できる、こういうふるさとをつくり上げていかなければならないと、このような私どもの念願を果たしていかなければならないと、思いを込めて新
年度予算編成に当たったわけでございまして、これはこの議会におきまして、日ごろ議員各位の日夜にわたる大変な御奮闘によりましていろいろの諸政策が集積されてまいりました。その皆様方のお気持ちを十分酌みながらこの予算に反映していきたいと、これが私の基本的な考え方でございます。
したがいまして今回の新年度予算に当たりましては、いわゆる飽託旧四町の合併によりまして今や新しい熊本を構想していかなければならない。そしてこれを具体化するための基本計画が一月の末に正式に決定をいたしたわけでありまして、この基本計画を着実に実施していかなければならない。予算に具体化したいと、この念願を持ちまして意欲的、積極的な予算編成に取り組ませていただいたわけでございます。もちろん、予算編成に当たりましては荒木議員御指摘のように、環境問題への対応、福祉の充実、人づくりと文化の振興、国際交流の推進、そして社会資本の整備と地域経済の活性化、さらには拠点開発、そして旧四町の行政水準をさらに高めていくと、このような考え方に立ちまして予算の編成に臨んだわけでございます。
今後の市政運営の考え方でありますが、まさに民生多難なる今日でありますが、二十一世紀を目指しまして、変革、激動してやまないこの時代の中で、市民の皆様方の思いが込められたこの基本計画を忠実に実施していくと、このような気持ちで今後とも市政の運営に当たってまいりたいと、かように考えるわけでありまして、質の高い文化の香りの高い行政の展開をいたしてまいりたいと、かように考えております。
〔総務局長 野田晃之君 登壇〕
◎総務局長(野田晃之君) 私から財政問題につきまして二点のお尋ねにお答えを申し上げたいと存じます。
まず最初に、平成三年度の
決算見込みからお答え申し上げたいと存じますが、現段階では
歳入歳出両面にわたりましてなお不確定な要素が残されております流動的な段階にございます。したがいまして、現時点での大まかな試算ということで申し上げますと、まず歳入面では、その大宗をなします市税につきましては、前年度が四町合併の関係で新熊本市としての通年予算ではないいわゆる変則な形となっておりますので、見かけ上は一〇・七%、一〇%台の伸びとなっておりますものの、引き続く減税措置、さらにはただいまも御指摘のございました景気の
減速傾向等がございまして、実質ベースでは前年度比六%程度の伸びにとどまろうと予測いたしているところでございます。
いま一つの主要財源でございます
地方交付税でございますが、
普通交付税が今年度から五カ年間に限りまして旧四町が存続したと仮定して算定いたします合併算定の特例措置等もございまして、対前年度三八・六%と比較的に大きな伸びを示しております。これにその他の財源も合わせますと、
国庫支出金等の特定財源を除きます
一般財源ベースで一千百五十億円を超える額が見込めるものと考えているところでございます。
歳出面でございますが、現年度が旧飽託四町との合併を契機とした新たな町づくりのスタートの年であるということから、当初予算段階から、
合併建設計画に基づきます事業はもちろんでございますが、都市基盤の整備、教育、福祉等の重点施策に積極的に財源を配分させていただいたところでございまして、さらに先般の台風十九号の災害復旧等臨時的な経費も含めまして、今回三月補正までの
所要一般財源といたしまして一千百五十億円弱をお願いいたしているところでございます。この結果、さきに申し上げましたとおりなお流動的な要素もございますが、現時点で数億ないしは十数億の実質収支の黒字が見込めるものと考えております。
次に平成四年度の
財政見通しでございますが、景気が減速基調となります中で、ただいまもお触れになりましたように国の平成四年度予算の対前年度伸び率は二・七%、
地方財政計画の伸び率は四・九%となっておりまして、地方財政を取り巻く環境は、御案内のとおり昨年に引き続く投資的経費に係る
国庫補助負担率の
暫定引き下げ措置、あるいは新年度の国の
予算編成過程におきまして大きな論議となりました
地方交付税の
特例減額措置等が講じられまして、さらに景気を反映しての税収の伸び悩み等も懸念される状況でございます。本年度にも増して厳しい状況になろうかと考えております。
このような状況下、本市の財政事情も、先ほど申し上げました現年度の見通し等もあわせ考えますときに必ずしも楽観を許しませず、むしろこれまで以上に厳しさの募る状況になろうかと存じております。しかしながらただいま市長が御答弁申し上げましたとおりに、本市は本年一月新熊本構想に基づく基本計画を決定、新たなる発展に向けましてスタートしなければならない極めて重要な時期に直面いたしているわけでございます。こういう意味で新熊本市の計画的建設に向けまして財政にもまた財源の確保、涵養あるいは重点配分等懸命の工夫を凝らすことが求められていると考えておりまして、新年度当初予算につきましては各局にも協力いただきながら節減すべき経費につきましては極力節減いたしまして、基本計画との整合性に十分配慮しながら
重点施策課題に可能な限り優先的に財源を配分させていただいたところでございます。
一般会計につきましては
東部清掃工場第二期建設事業が事業費的にピークを迎えたという特殊要因もございますが、この結果、対前年度比一〇・九%となったところでございます。
そこで、現時点におきます平成四年度の
財源見通しでございますが、まず歳入面におきまして、市税収入が景気の減速傾向のもと大きな伸びを期待しにくいということが一点ございます。また
地方交付税につきましても、国の出口ベース、すなわち地方に配分されます交付税が本年度当初と比較いたしまして五・七%の伸びとなっておりますが、従来の国庫補助金が制度改正に伴い一部交付税に算入されるといった新たな措置もございまして、通常ベースでは必ずしも大きな伸びは期待できないと、いずれも厳しい状況となっております。しかしながら
決算見込みでの一般財源総額では、今回財政調整基金の一部活用をお願いしていることもございまして、現年度
決算見込みを上回ります一千二百二十億円台になるのではなかろうかと見込んでいるところでございます。
歳出面につきましては、今回お願いいたしております当初予算のほか、従来のベースで今後の補正予算を想定し試算いたしますと、
所要一般財源で同じく一千二百二十億円程度になろうと考えているところでございまして、この結果、一応収支の均衡は保てるものと考えているところでございます。
〔二十五番 荒木哲美君 登壇〕
◆二十五番(荒木哲美君) ありがとうございました。
ただいま市長より、現下の財政事情を踏まえながらも、今後の町づくりのために意欲的な姿勢で頑張るというような決意を受けたわけでございまして、今後の御活躍を期待するものであります。
私自身もかねてより、市長が申されておりますように意欲的な財政運営、とりわけ社会資本の充実を積極的に行うということが本市の経済活性化につながるであろうと、また将来の財源涵養にも通ずるであろうと考えている一人であります。今後の御努力を期待しますとともに、財政については何とか採算が保てるという総務局長の御答弁で安心をいたしたわけでございます。財政論についてほかにいろいろとお尋ねをしたい問題もございますけれども時間がありませんので……。
公債費比率一五%攻防の話がよく出るわけでございます。
しかし先ほど申し上げましたように基本構想の推進をするためには、いわゆる自治体の経営論から申しましてもいずれ税収が出る都市の経営、このためにはもう少しいろいろと積極的に財政を打ち込んでいただきたい、そういう気持ちでいっぱいでございます。
それでは、次に
都市づくりについてお尋ねいたします。
本年一月に策定されました新熊本構想基本計画の中でこれまでとは違った特色はと申しますと、重点プロジェクトの明示、将来の熊本市の都市構造を図式の上で示した点であり、さらには、熊本市を五ブロックに割った上での地区別計画の提示、このような点ではないかと考える次第であります。
特に都市構造の図式化や地区別計画の提示などは、今後熊本市がどのように地域の個性、特色を町づくりのために生かすか、かつまた全体的に効率的な
都市づくりに努めていくのか、そういったグランドデザインの大筋を示すものとして大変興味をそそる部分でございます。そこでは従来の熊本城周辺への一点集中型の都市形態から多核的な市街地構造への転換を図るという考えがベースとなっており、交通結節点としての熊本駅周辺、上熊本駅周辺、水前寺駅周辺、南熊本駅周辺、商業活性化地区として子飼地区、健軍地区、新町地区などが核となる地区として位置づけをされております。多少大げさかもしれませんが、加藤清正公の城を中心とした熊本市の町づくりが四百年ぶりに変更をもたらすという意味に考えてもいいのではないかと思うわけであります。
本市がさらに力強く成長し魅力ある雄都となるには、こうした交通結節点や経済活動の拠点と特色づけられる地区の一層の活性化が必要であると考えるわけであります。既に熊本駅前再開発や新町地区での町づくり等動き出した地域もありますけれども、本日は上熊本駅周辺、健軍地区、さらには中心市街地拡大の引き金となるであろう大江地区の整備についてお尋ねをいたします。
まず最初に上熊本駅周辺の整備についてであります。
この地区は、JR、私鉄、市電、市バス、民営バス等かなりの交通機関が行き交う交通の要衝であり、また明治二十九年夏目漱石がおり立ち──今日では私立大学や総合ビジネス専門学校が立地し、周囲は市役所までわずか車で十分足らずの住宅地となっております。近年では工場や倉庫の郊外への転出も見られ、県営上熊本団地、県立体育館、井芹中学校などはそうした跡地に建設されており、今後も特に電車通り沿線で町並みが変わっていくものと予測される地域であり、行政のビジョンが示されるべきところであります。
また、当面開発が可能ないわゆる種地としてJR清算事業団所有の約九千平方メートルの旧貨物ヤード跡地があります。この用地は交通局が大江の局庁舎の老朽化に伴う建てかえ計画に関連し新しい車両基地の候補地として買収交渉に臨んでおられる土地でございます。用地交渉に際しましてはいろいろと御苦労があるやにお聞きしておりますが、本年の田尻市長の年頭記者会見でその買収に関し積極的な御発言があり、いよいよその時期が到来しているものと大いに期待をしているところでございます。
いずれにいたしましても地域整備を図る上で公共施設の果たす役割は大きく、その地域の今後の性格を左右する場合もあるわけであります。この九千平方メートルのJR用地を行政がどう利用するのかという問題は、上熊本駅周辺地区を今後どのように整備していくかというビジョンのもとに大いに論議されるべきところでもあります。例えばでございますが、この地区が北の玄関口、都市型住宅の誘導地域として考えられているのであれば、この用地には車両基地だけの機能ではなく、商業、住宅、公共などといった機能が付加された施設が似つかわしいと思うのであります。
そこでお尋ねであります。この地域に描かれております整備ビジョンについて都市局長はどのようにお考えになっているかお尋ねいたします。
また交通事業管理者には、JR用地の取得のめど、また交通結節点であることの有利性をどのように生かすのか、さらには土地の高度利用をいかに図られるのかお尋ねいたします。
次に健軍地区についてであります。この地区についてはたびたび本議会でも論じられておるところでありますけれども、最近新しい動きも出ているようであり、論点を絞りお尋ねいたします。
さてこの地区を簡単に説明いたしますと、熊本高森線、いわゆる電車通りで南北に二分されております。まず北側の地区では大規模な住宅団地、県や国の公共公益施設、また高校、税務大学、広域医療施設などがゆったりとした区画割りのもとに立地している状況が見られます。しかし南側は老朽化した木造家屋が数多く立地し、夜間人口の減少が顕著になっている住宅地と、活性化が必要となっている健軍商店街とが併存している地区でもあります。ただし、健軍商店街につきましては、現在中小企業局サイドの助成によりアーケード建設事業が進んでおりますし、平成四年度には商店街活性化のための基本構想の策定が予定されており、今後その活性化が進んでいくものと期待をいたしておるところであります。くどいようですが、この地区は市電の終点地であり、また動植物園、江津湖という大規模な行楽地を背景として今後ますます発展する地区でもございます。ぜひこの地理的有利性を生かし、この商店街に対し夢のある構想を描かれ、市街地再開発事業などの手法を駆使され、アミューズメントエリア構想を実行されますようお願いをしたいところでもあります。
そこで、課題が残っております健軍第二地区と言われる住宅密集地域に関してであります。さきにも述べましたように、この地区では夜間人口の減少が顕著となっております。本市の東部地域では人口の増加が全体的な傾向であるにもかかわらず、また幹線道路、下水道等の一応の社会資本整備が済んでいるこの地区において夜間人口が減少しているというのは、都市経営上からも非効率と言わなければなりません。そこでこうした人口の減少傾向に歯どめをかけるためにも、老朽化の進む住宅密集地に対し、神戸の真野地区で一千戸を動かし成功したような町づくりの母と言われる土地区画整理事業の具体化をぜひ検討すべきではないかと考える次第であります。
幸い、本市の土地区画整理事業の歴史は古く、現在の市街化区域のおよそ一六%はこの事業によって生み出されたものであります。土地区画整理事業を実行する経験と能力を本市は十二分に持っているわけであります。しかしながらこの地域のように住宅が大変密集し、安全上、機能上、再整備が必要な地域に対する土地区画整理事業の実施に関してはいまだ実績がないのもまた事実であります。本地区以外にも再整備の必要な住宅密集地はいろいろと存在するわけでありますが、東の副都心としての位置づけも可能なほど本市にとって重要な地区でありますだけに、最初の事業化に向け検討されることは考えられないものでありましょうか。都市局長の御見解をいただきたいと思います。
〔交通事業管理者 谷 壽夫君 登壇〕
◎交通事業管理者(谷壽夫君) まず上熊本用地の取得のめどについてお答えいたします。
用地購入につきましては、平成元年から国鉄清算事業団と交渉を続けてまいりました。当初事業団の条件は大変厳しいものがございましたが、市長会からも要請いたしまして、その結果条件も緩やかになってまいりました。そこで交渉が急速に進んでいるところでございますが、購入の時期につきましては事業団の事務処理上の都合から本年七月以降に価格交渉を開始したいということでございます。私どもといたしましてはできるだけ早くと考えておりまして、平成四年度中には購入できるようにしたいというふうに考えております。
次に、上熊本用地の交通結節点としての整備の考え方あるいは公共施設等を併用しての土地の有効利用についてでございますが、上熊本駅周辺の地理的あるいは機能的特性につきましては議員御指摘のとおりでございまして、交通結節機能の強化、土地の高度利用の必要性につきましては私どもも全くそのように考えているところでございまして、吉田助役を会長といたしまして、委員に企画調整局長、総務局長、都市局長、建設局長、交通事業管理者をもって構成いたします検討会を先般設置いたしまして、当該地区の町づくりの活性化になりますような施設とそのあり方について本会議終了後から直ちに検討に入ることといたしております。
〔都市局長 本田吉継君 登壇〕
◎都市局長(本田吉継君) 荒木哲美議員にお答えいたします。
多核的な市街地形成を図るための上熊本駅周辺地区についてのお尋ねでございます。
旧池田駅であります上熊本駅は、明治二十四年に本市の北の玄関口として南の春日駅と同時に設置されたものであります。以来時代の変遷を経て、今日では通勤通学駅としてその機能を色濃くいたしております。ただいま交通局長が申し上げましたように、交通局ではそのことをも踏まえ電車基地の建設、交通結節点としての強化のための施設整備を進めようとしておられるところであります。都市局といたしましてはそのことを支援いたしますとともに、その周辺の整備計画策定を検討しているところでございます。
当該地区の現況を見ますと、鉄道から自動車への輸送手段の移行によりまして高度に利用されていない鉄道駅に関連する工場や倉庫等の用地が数多く見られます。これらにつきましては、交通結節点としての優位性や本市中心部に至近距離にあることなどから、商業業務施設等への土地利用の転換を図るための再開発が必要であろうと考えております。したがいまして、この地区の再整備のための調査に平成三年度から入っておりまして、その調査結果を踏まえて上熊本駅周辺整備基本構想を策定したいと考えておるところでございます。
次に健軍地区についてお答えいたします。
健軍地区につきましては、本市の基本計画の中で多核的な市街地構造に転換していくため東部地区の拠点として整備促進が望まれている地区としておりますし、さきの十二月の本会議でも市長は、健軍地域を新都市として位置づけ、その発展に全力を挙げ取り組んでいきたいと答弁されております。都市局としましては市街地再開発事業等の手法をフルに活用いたしまして整備促進を図っていく所存であります。
お尋ねの健軍商店街周辺の住宅密集地域でありますが、この地域は昭和二十八年の四月から県施行として地籍の整理などが行われた地域であります。その後急速な市街化が進む中で、安全上、機能上再整備が必要であることは議員御指摘のとおりであります。
御案内のように神戸市真野地区での地域を挙げての町づくりの例もございますので、これらを参考にしながら土地区画整理事業等の整備手法を検討してまいりたいと思います。これが整備されますとゆとりのある町づくりができますし、動植物園や水前寺江津湖公園への交通アクセスもよくなりその利用にもつながると思われます。
〔二十五番 荒木哲美君 登壇〕
◆二十五番(荒木哲美君) ありがとうございました。
いずれにしても本市が九州の一大雄都として飛躍するためには、一点集中型の都市形態から多核的な市街地構造へと転換を図り、熊本駅前を初めただいまお尋ねを申し上げました上熊本地区、健軍地区などの拠点整備が極めて重要であり、お説に同感をいたすところであります。特に交通事業管理者の御答弁にありましたように、今後の交通事業の安定経営のためにも検討会で十分なる今後の見通しを立てていただきたいと思う次第でございます。
引き続き大江地区についてお尋ねをいたします。
現在の市の都心部と申しますと、熊本城、長六橋、大甲橋を結んだエリア内をイメージするのが一般的ではなかろうかと思います。面積にしておよそ百ヘクタールぐらいであり、ちなみに、福岡市が都心として整備を目指している面積のわずか九分の一であります。そこで今回の基本計画では、いわゆる内環状道路に囲まれている地域、面積でおよそ七百ヘクタールを中心部と位置づけ、高次都市機能として分類される施設の建設、誘導を打ち出そうとしておられます。そして、事実熊本駅前の整備が進んでおり、西への都心の拡張は着実なものとして期待されるところに来ております。むしろ、東への都心の拡大が問題であります。簡単に言えば白川がどうしても、関所の役目と申しましょうか、華やかさ、あるいはにぎやかさという都心特有の雰囲気が大甲橋を渡りそうにないということであります。
やや前語りが長くなりましたけれども、この都心的なにぎわい、華やかさが大甲橋を渡るには、大江地区の頑張りいわゆる活性化が必要であり、殊に交通局庁舎用地を本市がどのように考え利用していくのか、それが最大の焦点となりはしないかと考えたのが本日のこの私の質問であります。
先ほど交通事業管理者の御答弁にありました交通局の上熊本移転が実現いたしますと、白川を越え、しかも中心部に隣接している大江地区の長さ二百二十メートルも電車通りに面した一等地約一万一千平方メートルが開発可能な用地として出現するわけであります。これは今後二度とないチャンスであります。ただやみくもに思いつきのようなことで決してこのチャンスを逃してはならないと考えるわけであります。
そこで、この用地の利用に当たっての前提条件を私なりに整理をしてみますと、まず大きな観点から申しますと、先ほど述べましたように、都心の拡大を牽引するようなインパクトを備えた施設建設計画であろうかと思います。この土地と白川の間に立地している中央病院の移転が平成六年に予定されているやに聞いておりますが、その跡地も六千平方メートルほどあり、近い将来、民間による開発が期待されるところであります。さらには、他都市においても多くの公益的施設の建設等を行い地域活性化に協力を行った実績を有するNTTが、電車通りも含めてこの病院跡地に隣接していることなどからして、交通局庁舎用地の利用計画次第によっては大甲橋から交通局までの町並みが大きく変わる可能性があると、私どもはこのことを認識するべきであろうと思います。そして、むしろ民間の開発を誘導するようなインパクトのある施設を計画すべきでありましょう。
いま一つの観点から申しますと、交通局に何らかのメリットを及ぼす計画が必要であろうかと思います。交通局による交通事業は、公営交通の使命を受けて熊本市民の足として大変な貢献をしているばかりでなく、これまでも用地の活用など交通局財産の活用により危機的経営をたびたび乗り切ってこられたのであります。したがいまして、今回の計画に際しては、交通局に収益をもたらすような十分な配慮も必要だと考えるわけであります。このような課題をクリアする一つの案を全くの私見ではありますが提案してみますと、いまだ九州に一本もない超高層ビルの建設を考えてみたらと思うのであります。熊本城をシンボルとして、その歴史、文化を培ってきた熊本に、平成の新都心形成のシンボルとして、熊本の二十一世紀を象徴するような霞ケ関ビル規模の建築物を建てる、このような計画がこの用地には可能ではないでしょうか。
それではこのような建物を建ててどう利用するのかと申しますと、勝手なお願いごとになるかもしれませんけれども、熊本城の城郭内に位置している合同庁舎にこのビルの片側半分へ移っていただくわけにはまいりませんでしょうか。しかもこの合同庁舎の移転が約束されますならば、高層ビルの残り半分の床に対する民間需要は非常に高まり、売るなり貸すなりする一つの経営が夢ではないわけであります。したがいまして、残り半分の床の何割かの部分を交通局の権利部分として保証すれば、交通局にとっては半永久的に経営基盤の一助となるわけであります。
さらにはいま一つの機能として、シティーホールやコンベンションホールなど、公共サービス機能を含めたカルチャー的にぎわいを感じる都市機能も可能ではないかと思うのであります。もし合同庁舎の移転が実現すると仮定いたしますと、坪井川リバーウオーク構想の具体化や熊本城の整備推進にも大きく寄与することになるわけであります。
いずれにいたしましても、この交通局庁舎用地の活用策が本市の活性化を牽引するような力強さを持つものであるということであります。熊本駅から大江地区までの市電通り沿いが本市の都市軸として完成していくのではないかと、さらには水前寺、神水、健軍地区にまで広がるのも夢ではないと私は考える次第であります。
そこで、大江地区の今後の整備についてどのようにお考えなのか、田尻市長にお伺いをいたしたいと思います。
これまで基本構想、基本計画の実現に向けて、これからの本市の
都市づくりに関して拠点整備、都心部の拡大案の推進などるる述べてまいりました。さらに都心部の活性化については、現在地下駐車場の建設、シンボルロードの整備、
国際交流会館の建設、あるいは坪井川リバーウオーク構想など、熊本城を中心とした都市機能の充実により大きな活力を生み出すことと存じます。加えて、田尻市長におかれましては、手狭になった本庁舎の機能を拡充するため花畑新庁舎構想も打ち出されております。新しい庁舎については、市民に親しまれる多機能を持った斬新な庁舎の建設を期待するものであります。私は、これから市民と行政が一体となって新しい町づくりに汗を流すならば、本市のさらなる発展はもはや疑いもなく、必ずやその将来に大きな希望が持てると確信するものであります。
さて、本年四月より千葉市がいよいよ全国十二番目の政令指定都市となります。政令指定都市指定について国の方針によりますと、人口で言うならば次に位置するのは八十万人を擁する堺市ということになります。我が熊本市は既に人口六十三万、人口規模では全国で十四番目であり、堺市にこそ及ばないものの、都市的形態及び都市機能、言いかえますならば、地域の中核都市としての中枢管理機能の集積においてはむしろ本市の方がすぐれていると言ってもいいのであります。
新行革審においては、既に第二政令指定都市構想が論ぜられておりますし、これを受けて、その後の行革審の答申でも地方分権特例制度いわゆるパイロット自治体の導入を検討する必要があると述べられております。国が現在の方針を変更しない限り、少なくとも堺市が指定を受けたとしても、そのあとは八十万都市があらわれない限り新たな政令指定都市は生まれないわけであります。そこで国においては何らかの地方自治の育成策を講じてくるものと思われるのであります。
最近、東京一極集中を是正するために地方拠点都市整備法を制定し、六月以降に具体化を進めるようであります。しかしその対象となる都市が、県下の二、三番目の規模の都市ということで、本市の指定については都市規模からしても期待できず、もはやこのような新法の手をかりなくとも、将来の輝かしい雄都論をみずからつくり出していくということに邁進すべきであると思うわけであります。
政令指定都市については本議会でもたびたび論ぜられておりますが、それだけ市民の関心のあらわれ、渇望が高まっていくと言えるわけであります。昨年も本議会において、田尻市長におかれましては、「今回の新熊本構想は、まさに政令指定都市に対する第一歩であり、当然政令指定都市を目指さなければならない一つの命運を持っている。」と言われておりますが、今後は、さらにその一歩を踏み込んだお考えを期待するものであります。あわせて田尻市長の御見解を賜りたいと存じます。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 荒木議員にお答えをいたしたいと思います。ただいま大変大胆なしかも二十一世紀を目指す町づくりにつきまして感銘の深いお話を拝聴いたしまして、今後私は、荒木議員の町づくりに対しますいろいろの御見解等十分参考にいたしまして市政の運営に心がけてまいりたいと、かように考えるものであります。
ただいま荒木議員のお話の中に、大江地区の持つ高い魅力を生かして、しかもその中心地である交通局の用地を活用したらと、このような御提案でありました。まことに論を得た、また私どもに対します都市計画の基本論として極めて傾聴に値する御提案と受けとめているわけでございます。
我が熊本市の発展が福岡市に比べて大変おくれをとりました最大の原因の一つに、都市計画の基本論といたしまして都心の設定が非常に狭かったと、このことは専門家の一致した御意見でございまして、ただいま荒木議員も、いわゆる百ヘクタール程度の非常に狭い地域に都心を設定して、そこに一点集中型の都市を考えた、そこに今日の交通渋滞初めいろいろの障害が起こっていると、このような御指摘でありまして、まさに同感であります。したがいまして、私は今回の新熊本構想基本計画の中におきまして、各地域の持つ歴史と伝統を生かしながら、しかも豊肥線の内側で発展をさせていくという狭い考え方を脱しまして、熊本駅周辺、南熊本駅周辺、あるいはまた水前寺、上熊本地域、このような地域にさらに拡大をしていく、整備をしていく、そして商業、文教行政のいわゆる機能集積を促進していかなければならない、同時に健軍あるいは子飼と、このようなすばらしい商店街をもっと生かしていかなければならない、そしてその拠点性を高めることによって熊本市の発展がさらに点から面につながっていくと、このように考えている次第であります。
〔総務局長 野田晃之君 登壇〕
◎総務局長(野田晃之君) 公債費比率と起債の問題についてお答えを申し上げたいと思います。
ただいまも申されましたように地方債は地方公共団体の資金調達の一つの手法でございまして、例えば道路、公園、その他の社会資本の整備等の場合、その受益が後年度の市民にも及ぶということなどからその活用が図られているところでございます。しかしながら、たとえ適債事業に限定され、現行では国、県の許可制度のもとで発行されていると言いましても、その発行が過度に及びますと確かに後年度の市民に過重な負担を強い、また財政の健全性の確保の視点からも問題になると受けとめているところでございます。
本市の場合、地域経済の活性化を目指してはもちろんでございますが、新熊本市の新たな発展に向けまして社会資本の整備に特に力を注いでいかなければならない時期に現在直面していると、そういう事情もございますし、また過年度でございますが、例えば昭和六十二年度の場合、国の内需拡大策の一環として一般公共事業の起債の充当率が引き上げられる、あるいは道路、河川等につきまして従来のベースを上回る拡大事業費に対する一〇〇%の起債充当が認められる。さらには、本来国庫補助金で参るはずの財源がNTT資金の活用ということでNTT債の充当という形になるといいましたような国の政策的な起債措置、こういうものが講じられましたこともございまして、地方債現在高は年々増大いたしまして平成二年度末で一千五百億台に上っているのは御指摘のとおりでございます。
さらに、一般にその健全性のバロメーターとされております公債費比率につきましては、ただいまお触れになりましたように財政の一般的通説といたしましては一〇%を超えないことが望ましく、一五%を超えたら黄信号、二〇%を超えたら赤信号というふうに言われているところでございまして、この意味では本市の場合、六十二年度、六十三年度が一六・一%、平成元年度が一五・〇%、さらに平成二年度におきましては一五・三%でございましたので、このようにいわば横ばい基調ではございますけれども、現在もある程度高水準であると言わざるを得ないと受けとめているところでございます。この意味で今回監査の御指摘もいただいたと受けとめております。したがいまして財政担当部局といたしましては
予算編成過程におきまして、これに対する対応といたしまして、財政事情を見ながら、将来の公債費の償還財源となります減債基金への積み立てを行わしていただきましたり、あるいは公債費償還が将来過重にならないよう極力配慮をさせていただいたところでございますが、最初に申し上げましたように、現下の本市の町づくりあるいは今後の発展ということを考えますときに、今後ともある程度は起債の活用を図っていかざるを得ないと、このように考えておりますので御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。(「健全なのかどうか。」と呼ぶ者あり)
先ほど申し上げましたように、公債費比率の一般的な通説からしますと現在の水準はある程度高水準にあると、そういう意味では完全に健全であるとは公債費比率だけから見ますと言い切れないかと思いますが、ただ起債の活用というのはそういう意味でなお必要でございますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) なかなか強気の総務局長の答弁でありますが、健全財政だとは言い切れぬところをよく認識されておりますので多くは言わないことにしますが、より慎重な対応をお願いして、次に教育問題に移らせていただきます。
今最も危機状態にあるのが教育と言われております。受験競争の激化、偏差値教育の偏重によってひずむ我が国の教育、中途退学者の急増、不登校児等といった深刻な様相を増している教育問題に対しまして、公明党では新たな人間教育の展開を求めて、生き生きした教育のために七つの提言を一月三日発表いたしました。その各項目を紹介しますと、一、子供の内面が豊かに育つ感性教育の確立。二、人間と自然との調和の視点に立つ環境教育の確立。三、思いやりと強靭な意思力の育つ家庭と地域環境づくりを。四、学級編制の弾力化と専門教職員等の充実で魅力ある教育を。五、学校五日制で家族の触れ合いとゆとりを。六、個性の開花を目指す単位制高校教育の展開を。七、大学教育の抜本的な改善改革と国際化の推進をというものであります。
今あらゆる人が教育の目的を見失っている。少なくとも教育の目的は子供に文化を伝達することだと思う。人間の生き方の多様性を子供にがっちり伝えてやる必要があると精神科医の河合洋さんが講演しておりましたけれども、まさにそのとおりだと思いました。
ちなみに熊本市公立小中学校の不登校、いわゆる登校拒否児童・生徒の推移を見ますと、昭和六十一年百二十七人、六十二年百十六人と十一人減ったものの、六十三年には百三十七人と二十一名増加し、平成元年には百五十九人と二十二名の増、さらに平成二年には百八十九人と三十人の増。いずれも前年度よりふえ続けている状態であります。それらの直接のきっかけでは、いじめやけんか等友人関係をめぐる問題が多く、次いで学業の不振、いわゆる授業がわからない、試験が嫌い等によるもの。三番目に教師との関係をめぐる問題、そして家庭生活に関するもの、親子関係、家庭内の不和等によることなどであります。また、生徒の問題行動として代表的なものに中学生による金銭恐喝事件があり、単車無免許暴走事件や中学生の乱闘事件、さらにエスカレートして対教師暴力事件まで発生しております。表面に出たのはわずかでありまして、日常的に多くあるんじゃないかと。先生からPTAにパトロールの要請があり授業をガードする状態の学校もあっております。校内暴力、いじめ、不登校、中途退学等教育病理的な問題が後を絶たないのはなぜなのか。その原因の一つとして現場教育での落ちこぼれ、落ちこぼしが指摘されておりますが、これらの問題点解決のために、児童・生徒それぞれの個性を尊重し一人一人に目が行き届く教育、ゆとりと魅力ある学校教育の実現を図ることが重要なポイントと思うが、いかがでしょうか。
また学校週五日制がスタートします。文部省の最終的な目標は毎週土曜日を休みにする完全週五日制とのことであります。熊本市では当面月一回の土曜休校を模索しているようですが、授業編成など具体的な実施方針はどうされるのか。土曜日の授業をそのままカットするのか、平日に振り分けるのか、お尋ねいたします。
ちなみに、公明党千葉県本部で県下全域を対象に学校五日制に関する千人アンケートを本年二月実施しております。それによりますと全体的には、戸惑う母親、教師、子供は歓迎といいます。また地域の受け皿づくりが課題であるとの結果が出ております。これらの結果から、慎重なる対応、受け皿が求められておりますが、本市ではどのように取り組まれるのか具体的にお知らせいただきたい。
また、予算面の教育費では二百三十九億四百三万六千円で構成比が一四・二%でありました。平成三年度の構成比は一五・六%でしたので、伸び率は〇・九%ではありますが、構成比率では一・四%の減少であります。そんな中で旧北部町の小中学校の子供たちやPTAから合併後のサービスの低下の声がしきりでございましたので、現場で調査いたしましたところ、給食の量が少なくなったとか、おかわりができなくなったとか、味もまずいとの声も聞かれます。また旧北部町の小中学校の学校運営費の推移を調べてみましたら、需用費である消耗品、食糧費、医薬材料費、修理費、燃料光熱水費等が、平成元年度の決算で小学校で約二千八百三十五万円が三年度の
決算見込みでは約二千五百万円であり、約三百三十五万円の減少であります。また中学校では平成元年度決算で約一千二百八万円だったのが、平成三年度
決算見込みで約一千百八十七万円となりこれも約二十万円の減少となります。また使用料や賃借料もいずれも約百万円台であったのが、小学校で三万三千円、中学校で一万二千円と大幅に、約七十万から八十万円も減少しております。八〇%も減少というと、余りにひどい話であります。備品購入費もいずれも減少しております。ということは、合併前の旧北部町での財政が豊かだったので教育費にも十分なる配慮がなされていた、子供たちは幸せであったということになるのでしょうか。子供たちにはそんな現在のような思いはさせてほしくない。そんな現場の状態なのに、先ほど申し上げましたとおり平成四年度の教育費の構成比率は前年度より一・四%の減少であります。これでいいはずはありません。
いじめ問題等教育病理的問題の原因とその解決方法、そして学校五日制に関しての取り組み、さらには旧北部町の学校運営費問題について明確なる御答弁をいただきたいと思います。
〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕
◎教育長(谷口弘毅君) 亀井議員にお答えをいたしたいと思います。学校の諸問題につきまして三点にわたりましての御質問でございます。
まず最初に、児童・生徒の校内暴力あるいはいじめ、不登校などの問題行動が増加しております原因といたしましては、教師の力量不足とか、家族関係の破たん、あるいは本人の問題、その他いろいろ考えられるところでございますが、特に教師の資質向上が指摘されているところでございます。教育は人なりと申しますとおり、教育の基本は教師と子供の信頼関係を大切にすることであると考えております。したがいまして本年度も、先生方が専門的な知識や指導力を身につけて、子供たちや保護者から信頼される教師としての人格を備えることができますよう、研修会等々をいたしまして指導しているところでございます。また保護者あるいは地域の方々の中には、教育のあり方やあるいは教師の資質向上につきましていろいろ御意見をお持ちでございますので、幅広くそれらの御意見をお聞きするために新年度より教育センター内に相談窓口を設けまして、今後の児童・生徒指導のさらなる向上に役立てていきたいと考えておるところでございます。
次は第二点目でございます。学校週五日制に絡みましての保護者の方々等の不安、あるいは受け皿についてでございます。
学校週五日制の導入につきましては、平成四年度の九月から月一回第二土曜日を休業日にするという方針が文部省から示されておるところでございます。このことに対しまして保護者の方々の不安は議員御指摘のとおりであると存じます。したがいまして、四月から試行予定いたしております本市の調査研究協力校におきまして事前に調査いたしましたところ、実施によって学力低下が起こるのではないか、また子供の受け皿はどうなるのかといったような点が問題点あるいは不安として上がっているところでございます。そこで、学力低下に対しましては授業時数を確保するために学校行事の精選を図ったり、あるいは指導内容の改善、また指導方法の工夫をしたりするなどいたしまして、今後学校とも十分連携、協議しながら進めてまいりたいと考えております。
また子供の受け皿に関しましては、現在学校の運動場や体育館の開放、また児童育成クラブのある学校等につきましては土曜日の午前中の開設等についても検討をいたしておるところでございます。さらに公民館などにおきますファミリーボランティア活動とか、あるいはPTAその他各種地域団体によります奉仕活動など、地域に根差しましたきめ細かな活動を学校、家庭、そして地域の方々と連携しながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。
次に、第三点目の学校運営費の点でございます。
本市教育委員会の学校運営費につきましては、各学校の学級数、児童・生徒等の状況を基礎にいたしまして算出して各学校に配分いたしております予算と燃料光熱水費など教育委員会で留保いたしております予算から成っておるところでございます。この運営費が旧飽託四町の一部の学校におきまして、合併前に比べまして若干減少しておりますことは議員御指摘のとおりでございます。
そこで、各学校の事務担当者とのヒアリング等を通じまして
決算見込み額をにらみながら追加の配分なども行ってきたところでございますが、必ずしも十分な結果には至っておらないところでございます。教育委員会といたしましても、旧四町の学校における運営費の減少は好ましいことではないと認識いたしております。今後、本市全体の学校教育活動のさらなる活性化を図る上からも、学校運営費のより一層のレベルアップに全力を挙げて努力してまいります。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) 教育長より、学校の諸問題については新年度より教育センター内に相談窓口を開設するとのことでございました。教育のあり方や教師の資質等に関する悩みなどの、子供さん初め父兄のそういったふうな意見を言う場所が今までなかった。これを教育センターでやるということでございますので、子供たちを含めたところの一一〇番みたいなものかと思いますが、何かと今後向上が図られると思います。期待しておきます。
それから、学校五日制に関しては、決して週休二日制という労働の延長でとらえるべきではないということを申し上げておきます。そして、豊かな感性を育てる心の教育を拡充していただきたいと思います。
さらには、旧北部町の学校運営費減少の問題では全体的にレベルアップするとのこと、あすを担う子供たちを決して犠牲にしないでいただきたいということを強く申し上げ、次の福祉の問題に移ります。
一九九〇年の国勢調査確定値によりますと、我が国の老年人口、六十五歳以上は約一千四百八十九万人で、前回との比較で約二百四十三万人増ということであります。また、総人口に占める割合も老年人口が一二%で、前回との比で一・七%の増と、これまでの最高になり、高齢化社会の現実化を裏づけております。熊本市の状況も他都市と比較して決して若い方ではなく、老年人口は多い方であります。ちなみに平成元年で六十五歳以上は六万三千二百七十人で、全人口に対する割合は一一%でありましたし、さらに年々増加の状況にあります。また、総理府がこのほどまとめた長寿社会に関する世論調査では、六十歳未満の国民のほぼ二人に一人が老後の介護や現在の年金制度の維持に不安を持っているとありました。改めて国民の不安を浮き彫りにしております。
そこで、特に老人福祉の最前線での積極的な対応が期待されるわけであります。そしてまた、高齢化社会を迎えお年寄りを抱える家族の悩み事もふえてまいりました。そんな中で、本市においては福祉、保健、医療各分野の悩み事を同時に抱えたお年寄りとその家族に対して、相談を受けケアをサービスする行政のそれぞれが次第に充実しつつありますが、窓口がそれぞれがばらばらでございまして、一回の手続では所管内のサービスしか受け付けできないといった状態で市民の不満を買っております。自治体のお年寄りの援護に関する事業は百以上に上ると言われております。ちなみに主なものだけ述べてみますと、福祉サービスでは、ケースワーカー訪問、巡回入浴サービス、ヘルパー派遣、デーサービス、ショートステイ等、保健サービスでは、保健婦訪問、訪問看護、訪問・通所リハビリ等、そして医療サービスでは、医療相談、往診相談、医療ショートステイ等であります。
一方、サービスを受ける住民のニーズも多種多様で、しかも要望は常に一つとは限らない。相談内容がふえれば一つの窓口だけでは対応ができず、相談者は次々と窓口を渡り歩くことになります。それでも窓口が同じ庁舎内にあるならばまだいい方で、中にはバスに乗って別の建物へなどというケースもあります。同じ高齢者問題を扱うのになぜこのように窓口が別々なのかといった住民の素朴な疑問はもっともなことであります。
さらに、福祉関係のサービスは、えてして住民がその制度の存在に気づかず利用しないケースが多いのであります。近年、自治会長や民生委員、そして老人会等にお願いして、ボランティア活動に依存するケースがますますふえてきます福祉行政、やたらに横文字も多くなりました。ボランティアでできる限りお役に立とうとされるもろもろの方々、せっかくの心に報いるためにも、わかりにくい縦割り行政を横軸にサービスしてもいいのではないか。それらの窓口は老人福祉課、衛生課、保健所、福祉事務所、社会福祉協議会、医療機関等々多岐にわたります。特に在宅ケアを必要とする住民はどこの窓口に相談に行けばいいのか迷ってしまうのが実情であります。ケアシステムを線で結びますと、相談から訪問、そして協議、最適なサービス提供というぐあいになりますが、それらを、コンピューターにそれぞれの状況をインプットしてオンライン化、そうすればどこの窓口でも一つの窓口ですべてが解決されることになります。
東京板橋区では平成三年四月、福祉、保健、医療の三分野の在宅サービスの窓口を一本化したお年寄り保健福祉センターを開設しております。各機関ごとに別々に管理していたお年寄りに関するデータを一元化して区民の要望に迅速に対応するとともに、各種のケアサービスの組み合わせによるきめ細かな出前ケアを実現し、お年寄りや介護家族の負担軽減を図っております。非常に喜ばれておりますので、いかがでしょうか。
だがしかし、症状の程度によっては在宅介護にも限界があります。専門的なケアを受けられる老人のための公的な病院、介護施設をもっとふやすことがやはり何より必要であります。社会の中にどういう老人福祉制度があればいいのかということは、その種の悩みを実際にくぐり抜けた人にしかわからないものです。そういったことから、公明党市議団で要望してまいりました福祉公社が、仮称熊本市在宅福祉サービス公社事業として九千万の予算で四月より発足、ホームヘルパーも募集になっており、その機能が早くも期待されておりますし、地域福祉コミュニティーセンター建設事業、在宅福祉センター建設事業等、すばらしい事業に着手され、市長の英断を高く評価するものであります。在宅福祉の面ではその充実に希望が持てますが、一方、どうしても要介護老人をめぐる問題の中に、症状の程度によっては、先ほど申し上げましたとおり在宅介護にも限界がありますので、そこでやはり専門的なケアを受けられる老人のための公的な病院や入所介護施設が必要なのであります。寝たきりや痴呆症など介護を要するお年寄りの実態には厳しいものがありますので、今後の入所介護施設の整備計画はどうされるのか、あわせてお尋ねいたします。
さらに在宅福祉センター建設事業の中に、中央地区として今年度予算の中に寺原の労働課坪井詰所跡地が決定され、調査費が二百五十万計上されております。この場所は主海議員のおひざ元で、平成二年九月に町内の方々と一緒に、これは十二町内ですね、住民と一緒に陳情があっておりました。さらに平成三年七月より壷川校区の有志の数多くの方々と陳情をしてきたところでありますが、早速調査費が計上されております。非常に期待されております。そのもろもろの陳情の要望の内容は、幾度となく大水害に見舞われることから避難の施設を、また老人が憩う場、住民が集会に利用できる場所、PTAを初め子供たちの体育活動にも利用できるような場所にとのいろんな要望がありました。この土地は約四千平米の広大な面積であります。そしてまた中央に位置しております。
こういった立地条件から、高平台校区とか、黒髪校区、碩台校区、城東校区、そしてまた当然中心の壷川校区といった広域の市民に利用できる施設をぜひ建設していただきたい。市営バスも去年の十二月一日より既に大幅に増便されて待っておりますので、いかがでございましょうか、計画の抱負でも発表していただきたいと思います。
〔企画調整局長 出田四郎君 登壇〕
◎企画調整局長(出田四郎君) 亀井議員にお答え申し上げます。議員お尋ねの福祉相談窓口の一本化は、単に福祉部門のみならず、保健医療、年金や税の御相談、あるいは住宅、住環境の問題など非常に広範囲に及んでいることも御指摘のとおりであると認識いたしておるところでございます。先般策定されました新しい基本計画の中におきましても、このような課題に対応するため、福祉と保健医療、あるいは教育などとの連携強化、さらには総合相談窓口の充実などを掲げているところでございます。しかしながらこの福祉分野に係る相談内容につきましては、非常に広範にわたっていることに加えまして、その内容一つ一つをとりますとかなり専門知識を要する場合が多いこともまた事実でございます。
このようなことから、お尋ねの窓口の一本化につきましては、現在の窓口においてどのような相談内容が多いのか、またそれらの相談の中でどのくらいの範囲まで一本化できるのか等につきまして、まず十分な調査検討をいたしますとともに、その事務量の多さ、あるいは内容の複雑さなどを考えますに、やはりコンピューターなどの先端技術の活用も図らなければならないというふうに考えております。いずれにいたしましても、この福祉窓口の一本化につきましては、各部局間にまたがる検討課題もあり、今後市民サービスのより一層の充実を図るため、議員御指摘の趣旨を踏まえ、その実現に向けて研究に努めてまいりたいと、かように考えております。
〔市民局長 坂西奏一君 登壇〕
◎市民局長(坂西奏一君) 全庁的な福祉窓口の一本化につきましては、ただいま企画調整局長の方からお答えをいたしましたとおりでございます。私の方からは現在の福祉の窓口についてお答えを申し上げたいと、このように存じます。
御案内のとおり、高齢化社会を迎えまして福祉施策も多種多様化いたしまして、その取扱窓口も専門分化しているのが実情でございます。今日の複雑多様化いたしました市民生活にあって、このような専門分化した個々の窓口では解決できないケースも増加しており、関連する福祉サービスを一体的に提供する総合的窓口を設置したらどうかとのお尋ねでございます。
私ども、ただいま建設を計画いたしております総合福祉会館あるいはまた既存の市民センター、また複数化を予定いたしております福祉事務所、在宅介護支援センター、さらには平成四年度から新たに取り組む在宅福祉センターなどを結ぶ情報のネッワークの構築と、それぞれの福祉本庁窓口が役割分担のもとケースマネジメントの手法によって市民が必要とする福祉サービスを適切、的確に組み立てることができる行政システムのあり方について検討をいたしているところでございます。
また人権尊重が強く叫ばれております今日、公開できないプライバシーにかかわる、例えば扶養の希薄化に伴う親子の離反の問題、夫婦間の問題、さらには近親間の複雑な問題等、法的問題も含めた解決の難しい専門的な相談もございます。このような問題を含めた総合相談窓口体制のあり方につきましては、先進都市の実情等も含めて検討をさせていただきたいと存じます。なお当面の対策といたしまして、福祉部の各窓口が従来にも増して強く連携を図り、市民の方々の御相談に十分対応できる思いやりあふれる心の福祉サービスの確立に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
次に、寝たきり老人、痴呆性老人の入所施設についてのお尋ねでございます。これにつきましては、昨年九月議会に引き続く御質問でございます。前回、ただいま策定中の基本計画に組み入れまして検討をさせていただきますと、このようにお答えをいたしました。
去る一月決定いたしました新熊本構想に基づく基本計画の中に痴呆性老人専門施設の整備検討を組み入れております。痴呆性老人、寝たきり老人の入所施設は、医療機関あるいは老人保健施設への入院、入所を除けば、ただいまのところ特別養護老人ホームになろうかと思います。特別養護老人ホームの整備につきましては、先ほど申し上げました基本計画を踏まえて、早速、民間ではございますが、平成四年度に新設一カ所、平成五年度に新設一カ所、増設一カ所を計画いたしております。その後につきましては、市町村に平成五年度中に策定が義務づけられております老人保健福祉計画の中で適正配置等も考えながら検討をしてまいりたいと、このように考えております。
なお、痴呆性老人在宅対策といたしまして、痴呆性老人向け毎日通所型デーサービス事業が今国会において審議中でございます。今後、本市といたしましても積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
次に第三点でございますが、在宅福祉センター建設についてのお尋ねでございます。
在宅福祉センターの建設につきましては、田尻市長が年頭の記者会見で明らかにいたしましたように平成四年度から新しく取り組む事業でございまして、南部、東部、中央の三カ所を計画しているところでございます。南部は元特別清掃管理事務所を活用して改築、東部は防衛庁共済組合所有の敷地を買収しての建設、中央は坪井の放置自転車置き場を活用しての建設を考えております。この在宅福祉センターは地域住民の在宅での生活をより身近なところで支援するため整備をするものでございます。機能的には、在宅福祉の三本柱のうちホームヘルプサービス事業、デーサービス事業等公的サービスを直接提供する前線基地としての機能や、子供から高齢者まで多世代の地域住民が利用できる施設機能、あるいは今後の努力目標ではございますが、社会福祉協議会や福祉公社の活動支援機能などをあわせ持つ施設として、また建設を計画いたしております総合福祉会館のブランチ施設としても位置づけてまいりたいと、このように考えております。この在宅福祉センターにおけるホームヘルプサービスは、従来の朝八時三十分から夕方五時までという限られた時間帯ではなく、二十四時間体制を考えているものでございます。
今日の日本社会の繁栄に貢献された社会の大先輩であります寝たきり老人に対し、親子のように血の通った思いやりあふれるホームヘルプサービス、そして在宅で寝たきりや痴呆性老人を介護している方々への介護相談、あるいは家族で介護に当たられる介護人にゆっくり休んでいただくための介護人のための介護、いわゆるケアリング・ザ・ケアラーの体制の確立も図ってまいりたいと、このように考えているのでございます。
また先ほどお触れになりましたように、先般実施をいたしましたホームヘルパーの採用試験には、募集人員二十名に対し二百二十二名の受験者がございましたが、これは福祉に寄せる市民の期待と関心の高さを如実に物語っているものでございまして、我々も意を強くしている次第でございます。このように福祉に対する燃える情熱をお持ちの地域住民とともに、熊本型の思いやりあふれる福祉社会の開発に向けて積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
なお、中央地区の在宅福祉センターに予定しております壷川校区十二町内の坪井放置自転車置き場の用地は市街地からも近距離にございますので、ただいまお触れになりましたように広い範囲の住民の方々が活用できると、このように考えております。平成四年度、施設整備につきまして研究するために二百五十万円の調査経費を今議会にお願いをいたしております。今後の構想につきましては常任委員会等の御意見も伺いながら、二十一世紀を展望した福祉のあり方を探るために一生懸命努力をしてまいりたいと、このように考えております。
それから御参考まででございますが、けさほどの新聞各社におかれては、在宅事業の立ちおくれの問題、また進む高齢化、進まぬ福祉というように大きく報道をされておりました。これは福祉の三本柱でありますショートステイ、ホームヘルパー、デーサービスの年間の利用状況が報道されていたわけでございます。これを熊本市と比較をいたしまして御紹介を申し上げたいと存じます。
ショートステイにつきましては年間利用日数が全国平均六・一日でございます。熊本県平均が三・五日、熊本市が八・八日。ホームヘルパーにつきましては年間利用日数が全国平均四十二・二日、熊本県平均五十六・一日、熊本市平均百四日。それからデーサービスでございますが、年間利用日数全国平均十六・一日、熊本県平均三十六・二日、熊本市が五十二日となっております。またそのほか、先ほど市長が申し上げましたように、熊本市の福祉行政に対する評価、全国第四位となっておるわけでございます。これもひとえに亀井議員初め議員各位の福祉に対する御理解と御協力のたまものと心から厚く御礼を申し上げましてお答えといたします。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) 市民局長から何か褒められているような感じで──男から褒められたら気持ちが悪いという人がおりましたけれども、福祉の問題に関しましてはどうか今後とも心の通うそれぞれの推進方、充実をお願いしておきます。
さて、質問通告を一部変更しましてその他の項に入ります。
まず初めに競輪場に関する問題。競輪場の問題では場外車券といいますか、その事件が発生したのは、平成元年の九月ごろからの議会でいろいろ論議がされました。各都市にもいろいろ迷惑をかけ、平成二年の九月議会でやっと終結したと、こういう経緯があるわけでございますが、ちまたのうわさでは、もうそろそろ始まるのではないだろうかとか、そういう期待する方々の声があるもんですからちょっと心配になってチェックしたいと思うんです。そのときいろんな問題点が明らかになっておりました。簡単に言いますといろんな実態へのチェック機能と言いますか、組織関係のチェック機能が甘いところがあったと。それから競輪従業員の賃金等に関する賃金支給及び雇用状態の把握が困難というそういう問題点があったと。それから場外制度の問題点ということで、派遣職員の職務分担とか補職の付与及び責任の所在等の明確さを欠いたとか、そういったふうなことが指摘されておりました。そういううわさがございますので、現実はそういう問題点はもう既に解決されているのかどうか確認をしたいと思います。
〔産業局長 竈 啓一郎君 登壇〕
◎産業局長(竈啓一郎君) 競輪場の場外車券の取り扱いにつきましては、御案内のとおり問題発生以来取り扱いを自粛してきたところでございます。しかしながら、各地で行われます特別競輪等の場外発売につきましては、その後多くのファンの方から再開してほしいという強い要望が寄せられているところでございまして、さらに競輪選手会、従事員、あるいは関係団体からも要請があっておりまして、再検討の必要に現在迫られているような状況にあるわけでございます。過去の競輪事業の運営に当たりましての問題点といたしましては、大きく分けまして三点に集約できるのではないかというふうに考えているわけでございます。その第一点は自転車競技法に基づきます執務体制と組織機構に基づきます権限と責任の不一致がございましたこと、それから第二に会計制度上のいわゆる内部牽制組織と言いますか、この確立がされていなかったこと、第三に従事員の賃金を含めまして金銭の取り扱いの責任体制が不明確であったこと、こういったことが挙げられるのではないかというふうに考えているわけでございます。さらに場外車券の取り扱いにつきましても、本場施行者いわゆる特別競輪を開催するところでございますが、それと場外を扱います場外施行者との契約内容、方法等について不備な面があったというふうに考えているわけでございます。
このようなことから、これまで自転車競技法上の開催執務委員長、これを中心といたしましての組織になるわけでございますが、この組織体系と市の組織体制との権限と責任体制を一致させたわけでございます。さらに内部牽制組織といたしまして事業推進と予算経理を担当いたします二課体制といたしまして相互にチェックし合うという体制を確立させていただいております。また予算経理につきましては、本市の財務会計システムでの処理はもちろんでございますけれども、従事員の賃金につきましても独自に賃金電算システムを導入いたしまして処理しているわけでございますが、これとあわせましてIDカードの使用によりまして出退勤の管理確認、こういった事務をあわせて実施いたしまして確認することにいたしております。さらに、金銭の取り扱いを極力人手を避けると、少なくするという意味におきまして、全従事員了解のもとに振り込み制度に改善したところでございます。
さらに、ファンサービスの向上と人手によります事務の間違いを最小限に抑えますために、平成三年度現在車券の発券支払い機の導入工事を進めているところでございます。しかしながらサイクルスポーツとして、また愛される競輪場といたしまして再出発をいたしますためには、特に内外の環境整備がまず必要不可欠でございまして、同時に競輪事業に対します信頼回復を図ることが重要であるというふうに考えているわけでございます。
なお、場外車券の取り扱いにつきましても、全国競輪施行者協議会におきまして本場、場外間の契約内容の見直しが図られたというふうに聞いているところでございますが、これまでの教訓を踏まえまして今後さらに検討を加えまして、また経済委員会等議会の御指導をいただきながら今後慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) 事業が推進されるとなれば、二度とこのような過ちが起こらないような万全な対応をお願いしておきたいと思います。
さて次の問題ですが、熊本市の基本構想が発表になりまして、ヒューマンシティーくまもとを実現するために都市像が設定されました。二十一世紀へ向けた
都市づくりとして、基本姿勢も、都市の主役は市民である、広範な市民の参加のもとで市民の創意とエネルギーを結集した
都市づくりを進めるとし、行財政の効率的な運営はもとより、市民と市政がそれぞれの役割と責任を果たしながら一体となって熊本らしい特色ある
都市づくりを進めるとしております。すばらしい基本姿勢であります。当初予算でも早速
国際交流会館、職員厚生施設の建設事業が発足し、熊本都市圏交通体系調査、花畑新庁舎建設調査があり、社会資本の整備、地域経済の活性化そして公営住宅建設事業、道路、橋梁整備事業、公園整備事業、公共下水道築造事業等が図られます。
またさきの二月二十四日には、田尻市長の諮問機関であります熊本市二十一世紀のあるべき職員像検討委員会では五つの職員像を盛り込んだ中間報告をまとめ市長へ提出されております。それには、新熊本構想を実現するため市職員にはすぐれた資質と能力が必要であるとし、基本的なあり方を、常に公私を区別し市民の疑惑を招くことのないようにみずからを律する。窓口は住民との信頼を形成する最前線であり役所の顔などと位置づけ、信頼される職員、協力し合う職員、学ぶ職員、考える職員、チャレンジする職員という五つの職員像を設定されておりました。これは、倫理厳しい職員憲章とも言えるもので、その心意気が伝わってまいります。
ところで現実問題をお尋ねいたします。
東部清掃工場第二期工事の電気設備工事の競争入札で地場企業の指名を受けた業者全社が入札を辞退するという異例の事態となって、結局県外大手の業者二社による入札を再度行い六億二千八百万円で落札しております。入札辞退の本当の理由は何であったのでしょうか。施工能力、六社というジョイントの組み方、工事期間、利益の問題等々考えられます。業者間でよく言われるのは、赤字工事もしくは低採算工事とわかっていても、落札しなかった場合の発注機関の報復を恐れて落札しているケースが多いと言われています。指名制のもとで、発注側が圧倒的に優位な立場にある力関係のもとでの入札が行われるために、業者は以後の指名への影響を恐れて低採算性を承知で落札せざるを得ないのが実情ということであります。この電気設備入札問題ではさきの建設委員会で木下局長が、全員辞退という事態は市の信頼を裏切る行為だと、指名停止の処分を当面続けるという考え方を表明しておりましたが、行政側には何の落ち度もなかったのでしょうか。建設省の指導要綱には、入札契約制度の中では入札手続のあらゆる段階において入札自体が自由であることも指導していますが、本市はどうなのか。また業者にはそれなりの理由があるとして、例えば六社のグループにおける共同企業体に無理はなかったのか。同じAランクでも施工能力がない業者もあったのでは。工事期間の問題等による利益の問題等々お尋ねいたします。
さらに、土木工事ですけれども、鹿帰瀬町戸島線道路改良工事、これは平成二年度の補助事業でございますが、平成三年の三月に入札が行われておりまして、その後契約変更が平成三年の九月に行われ、さらに十二月に今度は工期の変更、四月一日にまた変更という四度にわたる変更がなされております。そしてまたその間に、Aという業者は今度は下水道築造工事百五十五工区、長嶺汚水一号幹線枝線下水道築造工事、これを落札しております。普通一般的指名競争入札になりますと、公平さを期するために、工事中の場合は辞退するか入札には入らないというふうに聞いておりますけれども、もろもろのその実態、状況を御説明願いたい。
〔建設局長 木下實也君 登壇〕
◎建設局長(木下實也君) 入札問題で二点ほど御質問をいただきましたのでお答えを申し上げます。
まず第一点目の
東部清掃工場第二期電気設備工事の入札辞退について行政側には落ち度はなかったかと、そういうお尋ねであったと思います。
工事に当たりましては従来から地場企業育成を念頭に置きまして厳正公平に指名競争入札を原則として執行いたしておるところでございます。本件につきましては建設委員会で御議論をいただいているところでございますが、業者の過去の一件当たりの受注額、工期なども十分考慮いたしまして熊本市工事指名等審査会に諮り、地場企業の御要望にこたえるべく自信を持って入札を執行いたしたわけでございますけれども、全業者辞退というかつてないまことに残念な結果に相なったわけでございます。したがいましてその後は御承知のとおり、指名停止審査会で決定いたしましたとおり信頼回復するまでは指名を回避しているところでございます。
次に第二点目の、道路工事が完成していないのに下水道工事に指名しているのは公平公正に反するのではないかという御質問のようでございますが、業者選定につきましては熊本市工事競争入札参加資格審査委員会における審査結果、技術的適性、工事の成績、信用状態、地域性などを総合的に勘案いたしまして熊本市工事指名等審査会に諮り厳正公平に行っているところでございます。工事着手後突発的に発生する地元対策など、現場の都合により工事ができず手待ちの状況や地域性など、事情によっては完成を待たず熊本市工事指名等審査会に諮り入札に参加させていることもございます。御指摘につきましては厳粛に受けとめ、今後とも入札に当たっては厳正公正をモットーに行ってまいる所存でございます。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) 今局長の方からいろいろ理由を述べられましたけれども、どうも納得できません。それはなぜかと言いますと、一般的に言いまして、各業者が言うことなんですけれども、すべてのことでなかなか一回入っておればみんな入れないと、そのように厳正公正な審査基準があると、審査委員会の意向であると、このように聞いております。それなのになぜここが入ったのか。その内容がですね、ちょっと言ってみますと、平成三年三月に鹿帰瀬町戸島線道路改良工事の設計価格が、試算したところによりますと五千三百八十余万円ぐらいです。それを競争入札で四千五百六十六万五千七百七十一円で落札した。約八百万の値引きであります。ということは大変な出血サービスだったことがうかがえます。そして平成三年の九月に契約変更がなされている。この契約変更の理由が定かでない。そこのところをお願いいたします。
〔建設局長 木下實也君 登壇〕
◎建設局長(木下實也君) お答えいたします。
御指摘の道路工事につきましては、これは国庫補助事業でございますので、当初入札いたしましたその差額が出まして、その差額につきましては翌年度以降の事業がございますので、事業区間内で変更いたしたわけでございます。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) 簡単な答弁で、まだ席に座った瞬間でございますのであきれましたけれども、私が申し上げたのは契約変更の理由がわからぬから明確に言うてくれと、こう言うたわけでございます。今まさに、私は小さなことを言っているようですけれども、決してそんなことじゃないんですよ。これは目に余る行為ということで、すべての人がみんな知っているわけなんです、こういう状況を。そういった上での質問でございますので、どうか丁寧に、これこそ先ほどの職員像にもありましたように市民の前に明らかにしてもらいたい。
〔建設局長 木下實也君 登壇〕
◎建設局長(木下實也君) お答え申し上げます。ただいま申し上げましたとおりでございます。(「なぜ指名に入っているのか言ってないぞ。なぜ指名に入れたのかということ。それも答弁して。」と呼ぶ者あり)
先ほど申し上げましたとおり──なぜ指名に入れたかということでございますが、地域性、それから工事の──いわゆる工事が完成できるような状態じゃなくて手待ちの状況であったということでございますので、その二点を加味いたしまして審査会にお諮りしたわけでございます。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) 今国会ではロッキードとかリクルート事件以来の共和事件、佐川急便事件が論議されておりましてね、政治倫理、政治改革が国民の間で叫ばれておるときでございます。そしてまたその疑惑の究明が現在東京地検において行われ、国会の場でも腐敗構造の実態が徹底的に究明が行われようとしているそういう時期でもございます。我が熊本市におきましてはそんなことはないと思っておりましたけれども、どうもきな臭い変な状況でございまして、今回の本市の競争入札に絡む問題、業界では、目に余る強引なやり方に、度が過ぎるやり方にみんな不信を持っている。それに当たる職務権限を持つ者がなぜそれほどまでに、加担しているのじゃないか、いる理由がわからない、いるんじゃないか、そういったふうな疑惑の目を持っておるのでございます。
なぜ疑惑があるかと申しますと、先ほど申し上げましたとおり約八百万の値引きをして落札した。そして契約変更されたのが、調査をしてみますとこまどめブロックとか上層路盤工、歩道舗装工などの追加でございます。これは舗装部門に当たる。最初出たのは土木部門、八百万残ったから舗装部門に契約変更した。その八百万を入れますと当初の設計価格と同じ金額になる。それよりもちょっと超える感じかもしれません。ということは最初から競争入札でないような仕組みでもあります。
そしてまたその次取った長嶺汚水一号幹線枝線下水道築造工事もそうです。これは設計価格が七千六百二十余万円ぐらいですが、落札価格が七千五百六十五万三千五百円で落札、約五十万円の値引き、それも埋設物なんかがあったということで設計変更がなされて約五十万円ぐらい同じように追加されておる。どうもこう、しっくりしない、納得できない。何回言っても局長は口がかたくて──かたいのかわからないのか知らされていないのか、実態を把握していらっしゃらないようですので今ちょっと詳しく述べたんですけれども、こういうことがあっていいものなのか。まず第一に契約変更の理由が定かでない。もう一回契約の変更、これでいいのか、こういうやり方でいいのか。今後も続けられるのか、そこのところを明確にしてもらいたい。
〔建設局長 木下實也君 登壇〕
◎建設局長(木下實也君) 先ほど申し上げましたように補助事業につきましては国からの事業決定がございます。それによりまして入札にかけますと、それに差額が出ました場合にはそれを国に返すことなく翌年度以降の事業があればそれに充当しておるということで変更いたすわけでございますので、どうかひとつ御理解のほどをいただきたいと思います。
〔四十四番 亀井省治君 登壇〕
◆四十四番(亀井省治君) 私は業者じゃありませんので、どちらかというとやわらかい方の商売をしとったものですから、御存じと思いますけれども、その方がわからないんですけれども、なぜ入れたのかということを聞きたいわけですね、その理由。補助のことをおっしゃいましたけれども、八百万の残があってそれを入れたと。原則としては国に──まあ補助率の問題ですから半分ですか、四百万ぐらい原則として返すことになると。だけども契約変更そのものはまだ余裕があるわけなんです。平成三年の九月ですから年度末までは半年あるんです。当然これは別発注しなければいけない。それもCクラスに。土木事業で受けて。その変更の理由によりますと、舗装問題ですから、八百万ということになるとCクラスの舗装業者が入札をする、こういうふうな仕組みなんだけれども、なぜ同じ、それも同じ八百万値引きして競争入札した業者が取るのか。そういったふうな指名業者に入れたのか。ちなみに入札状況の調書を見てみますとAが落札していますけれども、先ほど申し上げました落札業者と失格業者というのがおりまして、七百円の違いなんですね。最高は五千百八十八万円でCという業者が金額を入れておりましたけれども、大分の差があるわけです。そういうことで到底これは納得できないわけです。もっと明確に私ども素人にもわかるように懇切丁寧に説明をお願いしたい。
〔建設局長 木下實也君 登壇〕
◎建設局長(木下實也君) それでは、再度御答弁申し上げます。
工事関係で、工事に着手いたしますと突発的に地元あるいは地権者の皆さんからのいろんな御要望がございます。したがいまして、そういった地元対策に相当の日数を要したわけでございまして、その間ほとんどその他のそれに関連してない、そういったいろんな要望があったところについて、あとのところについてはほぼ工事が完了いたしておったということで、あとは完成を手待ちの状況であったということが第一点でございます。
それともう一つは、地域性ということを考えまして、熊本市の工事指名等審査会に諮りまして指名をやったということでございます。(「議長、答弁になっていない。二転三転して全然わからんぞ」と呼ぶ者あり)
○議長(嶋田幾雄君) 暫時休憩いたします。
午後三時三十三分 休憩
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午後四時四十九分 再開