小田原市議会 > 2019-12-17 >
12月17日-05号

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  1. 小田原市議会 2019-12-17
    12月17日-05号


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    最終取得日: 2023-06-03
    令和 1年 12月 定例会         令和元年          小田原市議会12月定例会会議録(第5日)令和元年12月17日-----------------------------------出席議員(27名)         1番     川久保昌彦議員         2番     鈴木敦子議員         3番     清水隆男議員         4番     小谷英次郎議員         5番     荒井信一議員         6番     金崎 達議員         7番     宮原元紀議員         8番     池田彩乃議員         9番     角田真美議員        10番     鈴木和宏議員        11番     鈴木美伸議員        12番     安野裕子議員        13番     鈴木紀雄議員        14番     俵 鋼太郎議員        15番     奥山孝二郎議員        16番     楊 隆子議員        17番     神戸秀典議員        18番     篠原 議員        19番     井上昌彦議員        20番     大川 裕議員        21番     木村正彦議員        22番     武松 忠議員        23番     横田英司議員        24番     田中利恵子議員        25番     岩田泰明議員        26番     杉山三郎議員        27番     加藤仁司議員-----------------------------------説明のため出席した者  市長            加藤憲一君  副市長           加部裕彦君  副市長           時田光章君  教育長           栢沼行雄君  理事・教育部長       内田里美君  企画部長          鳥海義文君  政策調整担当部長      杉本錦也君  総務部長          豊田善之君  公営事業部長        隅田俊幸君  市民部長          加藤裕文君  地域コミュニティ担当部長  杉崎貴代君  防災部長          杉山博之君  文化部長          安藤圭太君  環境部長          神名部耕二君  福祉健康部長        山崎文明君  子ども青少年部長      北村洋子君  経済部長          座間 亮君  都市部長          石塚省二君  建設部長          小澤千香良君  下水道部長         石井謙司君  市立病院病院管理局長    簑島信次君  消防長           穂坂明利君  水道局長          湯川 寛君  総務課長          尾上昭次君  財政課長          石井裕樹君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長          佐藤克明  副事務局長         向笠勝彦  議事調査担当課長      室伏正彦  副課長           渡辺博之  副課長           藤澤信吾  副課長           高橋洋子----------------------------------- ○議長(奥山孝二郎君) ただいまから昨日に引き続きまして小田原市議会12月定例会を開きます。     午前10時0分 開議 ○議長(奥山孝二郎君) 本日の出席議員はただいまのところ26人であります。定足数に達しておりますので、これより直ちに本日の会議を開きます。----------------------------------- ○議長(奥山孝二郎君) この際、申し上げます。会議録署名議員に指名いたしました方の中で、11番鈴木美伸議員が出席されておりませんので、会議規則第119条第3項の規定により、新たに13番鈴木紀雄議員を指名いたします。----------------------------------- ○議長(奥山孝二郎君) 昨日に引き続きまして一般質問を行います。 21番木村議員、登壇願います。     〔21番(木村正彦君)登壇 拍手〕 ◆21番(木村正彦君) おはようございます。通告に従い質問をいたします。 我が国の経済は、世界経済の穏やかな回復を背景に「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」及び「民間投資を喚起する成長戦略」の三本の矢を柱とする政府の経済政策(アベノミクス)によって景気回復が期待される中、「経済の好循環」が回りつつあると内閣府経済社会総合研究所では分析をしています。こうしたことから、2018年に入ってからの我が国の経済動向は、自然災害等の一時的な影響を除けば、消費や設備投資など内需を中心に穏やかな成長が続いているとしていましたが、しかし、中国経済を初めとするアジア新興国経済の減速の影響等もあり、実質経済成長率はここに来て足踏み状態が続いていると内閣府は述べています。 そこで、政府としては、少子高齢化に歯どめをかけ、50年後も人口1億人を維持し、「一億総活躍社会」を実現するため「アベノミクス2.0」とする新経済政策を打ち出し、希望を生み出す強い経済、夢をつぐむ子育て支援、安心につながる社会保障といった「新三本の矢」を表明、政府は、日本経済はデフレ脱却に近づいているとの見解を示しています。しかし、国や政府が目指す方向については理解しますが、人口減少・少子高齢化等により地域経済の状況は厳しいものとなっています。 本市としては、平成24年1月に「小田原市地域経済振興戦略ビジョン」(以下「戦略ビジョン」という)を策定し、民間と行政が戦略を共有し、それぞれが役割を果たしていくこととしています。戦略ビジョンの策定から約8年が経過しようとしていますが、戦略ビジョンによるこれまでの実績と評価についてお伺いいたします。 次に、戦略ビジョンの中では、農林漁業と地場産業においては、担い手の確保やブランドとしての知名度の向上など、商業と工業においては、顧客の確保や販路の拡大など、さらに観光については、恒常的な交流人口の確保や誘客による収益性の向上などを課題としていますが、これらの課題を解決するために、地域経済の振興に向けた基本方針として「需要の拡大」と「企業活動の集積・活性化」を図ることが示されています。 そこで、これまで実施してきた具体的な取り組み内容について伺います。 また、戦略ビジョンの基本方針でもある「企業活動の集積・活性化」においては、新規産業の創出、既存産業・企業などを生かした集積や規模等の拡大が示されていますが、しかし、市内の一部の事業所が撤退し、跡地活用についての方向性が明確でない用地があります。市として、事業所撤退後の跡地活用の協議等の進め方について伺います。また、市内から撤退した理由等のヒヤリングを行い、その結果の検証をされているかお伺いいたします。 次に、我が国の中小企業数は、全体企業数の約99%を占め、中小企業の従業者数は我が国の雇用の約70%を占めていると言われており、我が国経済を支える存在となっていますが、本市においても、中小企業は、各産業において地域に密着した活動をしてきています。特に、地域経済循環の担い手として、経済活動に大きな役割を果たしております。 そこで、市内の全事業所数と第一次産業・第二次産業・第三次産業の各事業所数及び市内全事業所の就業者数についてお伺いいたします。 本市としては、多くの中小企業事業所や従業員を抱えている市内事業者に対し、市が行う発注業務への参入の機会をふやし、発注につなげていくことが、事業活動の活性化や地域経済の循環につながるものと考えます。 そこで、市が行う工事発注や、物品・役務調達等を行う場合、市内事業所への発注機会についてどのような取り組みをしているのか、また、市内事業所への発注状況についてお伺いいたします。 次に、2の「地産地消の推進」についてお伺いいたします。 小田原市は、恵まれた自然環境と、はぐくまれた地域資源を生かした農業・漁業・その他加工品等多くの産業が根づいていますが、地域でとれたものを地域で販売・消費することにより、地元の農業・漁業等の活性化や食に対する理解が深まり、地元の経済等を支えていくことができるものと確信をしています。こうしたことから、小田原市の地の利を生かして生産等された小田原産としてのこだわりが地産地消の原点と思います。私はこれまで、一般質問において、数回、地産地消について質問をしてきましたが、改めて地産地消についてお伺いいたします。 初めに、地産地消は、地元で生産されたものを地元で消費する活動を通じて、生産者と消費者を結ぶ取り組みや関連事業が重要と考えていますが、特に、消費者に安心・安全な農作物を提供するということは、地産地消で期待される大きな役割の一つと思います。 また、農林水産省の統計部による「農産物地産地消実態調査」によりますと、生産者の声として学校給食等への安定的生産は、「品目数や数量の確保が難しい」、「コスト面で見合わない」、また、農産物の加工業者は、新規販路の開拓や付加価値の高い商品開発が困難との声があるとしています。 そこで、本市における農産物等の生産等についての現状についてお伺いいたします。 地産地消の課題の中で、食育施策が考えられますが、食育については、小田原市食育推進計画の中において、食の環境が書いてあります。しかし、生産者側の取り組みや商業者・消費者側からの食についての状況や課題についての記載がありません。地産地消施策としての食育についての取り組みや課題等について伺います。 食料の生産から消費に至る食について、生産者・食育関連事業者・消費者が食の循環を考え、食の安全を確保することが大切であります。こうしたことからも、市内の身近な生産者を支援し、顔の見える生産者の生産物を食卓に提供するためにも、本市の農産物の振興を図り、安全で安心な食を市民に提供することで、豊かな地域社会を創造し、生産者と消費者のかけ橋となる「地産地消の推進」を目的とした条例等が必要と考えます。 これまで、他市の状況について調査をいたしましたが、神奈川県内でも幾つかの市が、地産地消の推進をするため、総合的かつ計画的・効果的な指針として地産地消条例を策定しています。条例化することにより、小田原産の農水産物等を活用し利用促進するための支援策となると思いますが、条例化について検討する考えはないかお伺いいたします。 以上、登壇しての質問といたします。よろしく御答弁のほどお願いを申し上げます。(拍手) ○議長(奥山孝二郎君) 市長、登壇願います。     〔市長(加藤憲一君)登壇〕 ◎市長(加藤憲一君) 21番木村議員の御質問に順次お答えをいたします。 初めに、小田原市地域経済振興戦略ビジョンについての御質問がございました。この戦略ビジョンは、多様な産業を構成するさまざまな民間と行政が連携しながら、小田原らしさを生かした地域経済の振興を目指すものであり、これまで、片浦みかんプロジェクトや港の夜市大作戦、小田原宿場祭りなど多様な主体の参加と連携による地域資源を生かした産業観光、六次産業化などのさまざまな取り組みを行ってまいりました。こうした取り組みは、マスコミなどにも取り上げられ、地域経済の振興に貢献していると評価しておりまして、将来に向けても大きな効果が期待できるものでございます。 次に、「需要の拡大」と「企業活動の集積・活性化」を図るために実施した具体的な取り組みについて御質問をいただきました。需要の拡大に向けまして、産業観光、六次産業などの推進に取り組んでおりまして、具体的には、朝ドレファーミTAKUMI館TOTOCO小田原による地場産品の普及・販売促進、小田原どん、小田原城前魚片浦みかんプロジェクトなど地域資源を生かした取り組みを進めてきております。また、「企業活動の集積・活性化」につきましては、企業誘致推進条例による企業誘致、工場立地法における緑地面積率の緩和、事業者間取引を拡大するためのマッチング機会の提供などを実施してきたところであります。 次に、事業所跡地活用のための協議等について御質問がございました。市内大手事業所から移転・閉鎖等の申し出があった際には、本社を訪問するなどし、グループ企業等で今まで同様の利用ができないか、また、利用できない場合にも、周辺の生活環境等に配慮しつつ、用途地域に合わせた土地利用を図るよう要望してきております。また、売却された場合には、新しい所有者に企業誘致推進条例など、市の支援制度を紹介するなど、市の意向に沿った形で活用するよう要望しております。 次に、撤退企業へのヒアリングと検証についてであります。事業所の撤退の際には、移転・閉鎖に至った理由等について伺っておりますが、企業は変化の激しい社会経済情勢の中で、生き残りをかけて生産の効率化や抜本的な組織再編を迫られておりまして、生産拠点等の集約・再編を行わざるを得ないということが主な理由となっています。本市では、市内に立地しております事業所と定期的に意見交換を行っておりますが、日ごろから操業環境の維持や向上にかかわる相談に対応いたしますとともに、拡大再投資を促すため、企業誘致推進条例による支援や、緑地面積率の緩和などを行い、流出防止に努めてきたところでございます。 次に、市内の全事業所数などについて御質問がございました。平成28年6月1日現在、市内の全事業所数は7763事業所となっております。そのうち第一次産業は25事業所、第二次産業は1205事業所、第三次産業は6533事業所であります。また、平成27年10月1日現在、市内全事業所の就業者数は8万8048人でございます。 次に、市内事業者の受注機会の確保の取り組み及び発注状況について御質問がございました。本市が行う工事等の発注に当たりましては、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律や、同法に基づき閣議決定されております「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」に準じまして、市内事業者の受注機会の確保に努めております。具体的には、例えば工事の入札参加条件には、原則として「市内に本店を有する事業者」を加えておりますほか、大規模工事等で市外事業者が受注した場合においても、下請には市内事業者を活用するようお願いするとともに、ホームページにもその旨を掲示して広報しております。市内事業者の受注状況につきましては、平成30年度では、予定価格130万円超の工事で、220件中188件を市内事業者が受注し、受注割合は約85%、予定価格30万円超の物品で、127件中67件を市内事業者が受注し、その受注割合は約53%でございます。 次に、農産物等の生産等の現状についてであります。本市の農業は、各農家における栽培面積が全国平均と比べて小さく、都市近郊に立地した少量多品目生産を特徴としています。市内で生産される農産物は、生産者の高齢化や後継者不足によりまして、生産量が現在減少傾向にあります。 次に、食育における地産地消の取り組みや課題についてでございます。第2期小田原市食育推進計画では、基本施策の中で地産地消の推進を位置づけており、市内産農水産物の積極的な利用促進を図ることとしております。市といたしましては、学校・幼稚園・保育所等における給食や、生産者団体等との連携による料理教室におきまして、市内産農水産物を積極的に利用するなど食育の推進を図っております。こうした食育の取り組みにおきまして、生産から収穫、食事、堆肥化を経て生産という食の循環を意識し、生産者の顔の見える農水産物を推奨することが重要であると考えています。 次に、地産地消の条例化についてお尋ねがございました。地産地消条例は、一般的に地産地消の普及や意識啓発を目的としております。本市ではこれまで、朝ドレファーミTOTOCO小田原などの整備のほか、農業まつりや小田原あじ・地魚まつりの開催、小田原いちばやさいや下中たまねぎ、片浦レモン、かます棒、小田原城前魚等のブランド化により地産地消の取り組みが進み、市民から農水産物が手に入りやすくなったと好評をいただいております。今後も、このような具体的な取り組みをさらに充実させていくことが、まずは重要であると考えておりまして、地産地消条例の制定は現時点では考えてはおりません。 以上をもちまして、21番木村議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。 ◆21番(木村正彦君) ありがとうございました。 前向きな御答弁をいただけるかなと期待をしていたのですけれども、それはそれとして再質問をさせていただきます。 地域経済振興戦略ビジョンの行政計画としての位置づけについてお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 地域経済振興戦略ビジョンの行政計画としての位置づけについて御質問がございました。地域経済振興戦略ビジョンは、民間と行政が共有する地域経済の経営理念として定めたものでございます。このビジョンは、おだわらTRYプラン(第5次小田原市総合計画)の「地域経済」の政策分野の施策を補完し、経済関連団体、事業者などの民間と行政が連携し、付加価値を与えていくための戦略として位置づけているものでございます。 ◆21番(木村正彦君) 今お話しの件は理解をいたしました。 それで、例えば総合計画の基本計画は6年、実施計画は3年、まち・ひと・しごと創生総合戦略は5年で、それぞれ見直すことをいたしますというふうに書いてありますけれども、地域経済戦略ビジョンは12年間の計画期間としておりまして、戦略ビジョンの見直しは「社会経済情勢の動向や変化を踏まえ、適時、必要な見直しを行うこととします」と書いてあります。これまで、約8年間見直しがされていないということは、必要な見直しをする状況がなかったということで理解してよろしいのでしょうか。 ◎経済部長(座間亮君) 地域経済振興戦略ビジョンの見直しについての御質問でございます。この戦略ビジョンは、小田原らしさを生かした多様な産業を構成するさまざまな民間との連携により、地域経済の活性化を図ることを目的としてございます。重点施策でございます産業観光や六次産業の推進につきましては、片浦みかんプロジェクトや報徳の森プロジェクトかまぼこ通り活性化協議会、地魚大作戦協議会など、民間の多様な主体が連携してさまざまな取り組みが行われてきております。ビジョンが示す目的や方向性が浸透してきたものと感じておりまして、見直しを行うのではなく、こうした取り組みをさらに充実させていくことが重要と考えてきたものでございます。 ◆21番(木村正彦君) それでは、社会経済情勢の動向や変化を踏まえて、適時、見直ししますということは、具体的にどういう状況になったとき、戦略ビジョンの見直しをしていかなければいけないという思いになるのかお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 大きな社会経済情勢の変化があれば、当然変えていくようなこともあると思うのですけれども、今、市のほうで向かっている方向性については、今の経済情勢と合致しているということで、この状態をやっていこうというふうに考えております。 ◆21番(木村正彦君) そうしますと、先ほど私が登壇で申し上げましたけれども、国の動向等の経済状況というものをある程度認めて、それの中に乗った形で経済が振興されているという理解でいるということでよろしいのですね。 ◎経済部長(座間亮君) そういう理解で進めております。 ◆21番(木村正彦君) 戦略ビジョンの目的は、小田原市の経済を活性化するということですけれども、具体的に経済を活性化するためには、それぞれの産業等の課題について具体的に取り組む事業が必要と考えています。特に需要の拡大を図るためにも、交流人口の増加は、地域内の需要を拡大させることで、売り上げ及び収益の向上につながりますが、交流人口の拡大について、これまでの取り組みについてをお伺いいたします。 ◎副市長(加部裕彦君) 交流人口の拡大に向けたこれまでの取り組みについてのお尋ねでございます。平成28年3月に「小田原市観光戦略ビジョン」を策定いたしまして、小田原城やかまぼこ通りなどの魅力向上、小田原DMO設立によるプロモーション強化、また歴史や文化に触れられるまち歩きや体験型観光の促進、インバウンド対策などに取り組んできております。その結果、観光戦略ビジョン策定の際に基礎といたしました平成26年の観光客数は約451万人でございましたが、平成30年には約618万人ということで順調に伸びてきております。今後も、観光誘客を図りながら、来訪者1人当たりの観光消費額を増加させることにより、より一層地域の経済を活性化させていきたいと思っております。 ◆21番(木村正彦君) ありがとうございます。交流人口が約200万人ほどふえているという、いい結果であるという御答弁でございました。 それでは、人口減少社会である現在、定住人口を堅持するための施策として小田原駅周辺の高度地区の変更を行ったようでございますが、生産年齢人口を堅持するためには、小田原市に住みたいと思えるまちづくりを進めることが必要であると思います。その取り組みについての基本的な考え方をお伺いいたします。 ◎副市長(加部裕彦君) 次に、定住人口の堅持の取り組みについてですが、本市では、小田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づきまして、これまで企業誘致による就労を促す取り組みのほか、子育て世代や若年層をターゲットにした都市セールスに係る情報発信、また、子供を産み育てやすい環境づくりといった保育の受け皿拡大などに取り組んできております。本市に定住する人口、特に生産年齢人口を堅持することは、御指摘のとおり地域内における需要と消費の維持を図る上で大変重要であると認識しております。今後も、さまざまな施策を通じまして、「住むことに魅力を感じられるまち」の実現を目指してまいりたいと思います。
    ◆21番(木村正彦君) 先ほど御答弁いただきましたけれども、市内の一部の事業所が撤退して跡地利用が明確でない用地が現在どのくらいあるのか、その面積は大体どのくらいなのかということをお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 事業所撤退後の跡地利用が明確でない土地についての御質問でございます。富水地区の株式会社DNPイメージングコムの跡地、約4万1000平米につきましては、工場の建屋等が現存しており、現在は利用されてございません。国府津地区の株式会社日立製作所4万平方メートル及びHGSTジャパン6万8000平米の計10万8000平米と、豊川地区の株式会社明治の跡地、約1万6000平米の2カ所、約12万4000平米につきましては、跡地を取得した不動産業者が区画を分割、分譲を行っているところであり、順次活用がなされ、また計画中であると伺っております。 ◆21番(木村正彦君) ざっくり言って、大分広い面積があいたままの状態になっているようでございますが、先ほど市長からも、用途地域に合わせた土地利用を推進するために企業を誘致していきたいというような御答弁がございましたが、今お話があった跡地については、用途地域をまず前提にして企業誘致を進めていくというお考えでよろしいのでしょうか。 ◎経済部長(座間亮君) 御指摘のとおりでございます。 ◆21番(木村正彦君) ぜひ用途地域に見合った土地利用が促進されますよう、御努力のほどお願いを申し上げます。 次にまいります。中小企業についてでございますが、中小企業の定義についてお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 中小企業の定義についての御質問でございます。中小企業基本法におきましては、中小企業の範囲は、業種ごとに資本金の額や常時使用する従業員数などで定められてございます。製造業、建設業、運輸業その他の業種につきましては、資本金3億円以下の会社または従業員300人以下の会社及び個人となってございます。また、卸売業につきましては、資本金1億円以下の会社または従業員100人以下の会社及び個人でございます。また、サービス業につきましては、資本金5000万円以下の会社または従業員100人以下の会社及び個人、小売業につきましては、資本金5000万円以下の会社または従業員50人以下の会社及び個人となってございます。 ◆21番(木村正彦君) 先ほど、私は登壇して市内の事業所の99%が中小企業であるというお話を申し上げました。今御答弁いただきました中小企業法に基づいた中小企業という事業者については、小田原市内で全事業者の大体何%ぐらいが中小企業であるということが御判断されるのかお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 申しわけございません。何%という正確な数字は所持しておりませんけれども、多くの企業が中小企業だというふうに認識しております。 ◆21番(木村正彦君) 次に、市内業者への発注の件でございますが、発注について市内業者を優先的に支援するという措置をどういう形でされているのかお伺いいたします。 ◎総務部長(豊田善之君) 市内事業者への発注はどういうふうにされているかというお尋ねでございます。工事あるいは物品等の発注、あるいは業務委託等の発注につきまして、基本的に市内事業者を優先するという方針でこれまでとしては取り組みをしてきております。具体的には、工事あるいは物品の執行につきましては、契約検査課というところが所管しておりますけれども、発注時の入札条件として基本的には「市内に本店を有する事業者」ということを明示して入札条件としておりますし、大手事業者が大きな工事を落札した際も、下請には市内事業者等をできるだけ使ってくださいということをお願いしてございます。それから、業務委託等につきまして、これは各所管課のほうで執行しておりますけれども、それにつきましては、マニュアル等で市内事業者を可能な限り活用するという方針をうたいますとともに、庁内にも通知して、この旨共有をしているということでございます。 以上でございます。 ◆21番(木村正彦君) 今、部長がお話しされたその内容は、何らかの形で明文化あるいは成文化されているのでしょうか。 ◎総務部長(豊田善之君) 市内事業者の発注に係る明文された規定等の有無についてということでお尋ねがございました。先ほど市長が御答弁申し上げましたとおり、本市では、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」、また、それに基づき閣議決定されます「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」、こういった法令等の趣旨にのっとりまして、市内事業者への優先発注に取り組んでいるところでございまして、条例、規則等のような具体的な明文の規定は設けてございません。 以上でございます。 ◆21番(木村正彦君) 具体的に明文化されていないということでございますので、ある意味では内規的なもので、いわゆる支援策を行っているということではないかなというふうに思うのですが、例えば市内の企業を支援するための条例、市内の企業の活性化条例みたいなものを考えて、その中で市内業者を支援していくという明文を考えていくということも必要ではないかと思うのですが、それの御所見をお伺いいたします。 ◎副市長(加部裕彦君) 市内事業者の優遇措置というようなことと関連いたしまして、市内企業の活性化をするための条例等の検討はどうなのだということでございますが、小田原箱根商工会議所を初めといたします各経済団体とは、後継者育成や事業承継また新規創業、融資制度などの支援策や活性化策につきましては、機会を通じて議論し、実施してまいっております。こうした中で、地域における中小企業のあり方やその役割などにつきまして、意見交換をしているところでございますが、その中で中小企業振興条例も話題に上がっております。地域に根差した市内企業の活性化は、地域経済の振興にとって大変重要なものでございますので、21番木村議員の御指摘の点も踏まえながら、経済団体とさらにさまざま議論を進めてまいりたいと思います。 ◆21番(木村正彦君) ありがとうございます。ぜひ小田原箱根商工会議所を忠臣に意見交換をしていただいて、市内業者に対する支援策というものを考えていただきたいと思います。 次に、地産地消についてお伺いいたします。農業協同組合であるとか漁業協同組合に対して、地産地消という問題についての意見交換はこれまでされているのでしょうかお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 農業協同組合や漁業協同組合に対して意見交換を行っているかとの御質問でございました。JAかながわ西湘とは、地元農産物の消費拡大や販路拡大、ブランド化など、さまざまな機会をとらえて幅広く意見交換を行っております。また、各種農産物の魅力発信にも共同で取り組んでいるところでございます。また、市漁業協同組合ともさまざまな機会に漁業全般で意見交換を行っております。こうした中で、小田原の漁業は、定置網漁が主体であることから、漁獲量に変動があり安定的な供給が難しいことに加えまして、近年の環境変動等の影響により水揚げ量が減少傾向であることや消費者の魚離れによる需要の低迷等が課題であると伺っております。 ◆21番(木村正彦君) 私も農業協同組合と漁業協同組合のほうにお邪魔いたしまして、状況についてお伺いいたしました。おおむね今、部長がお話しされたような内容だったのですけれども、特に小田原漁業協同組合の担当の方にお伺いしましたら、やはり魚のとれる量が一定でないということが難しいという問題をおっしゃられておりました。特に、地元での消費の価格であるとか魚料理の奨励というものを、もうちょっと力を入れてもらいたいという問題がございまして、やはりブランド、小田原ブランドとするための認定方法の仕組みとか、その辺を考えてもらえれば大変ありがたいというようなことを話されておりました。 そこで、少し具体的なことをお伺いいたしまけれども、小田原市の農水産業ですが、農業就業人口・販売農家数・経営耕地面積、あとは水稲の種類、そういったものが状況としてどうなっているのかお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 農業就業人口等についての御質問でございます。2015年農林業センサスでは、本市の農業就業人口は1985人、販売農家数は1180戸、経営耕地面積は1073ヘクタールでございます。JAかながわ西湘による平成30年の水稲の集荷実績は、はるみが139.2トン、キヌヒカリが115.5トン、さとじまんが105.3トン、コシヒカリが4.5トンとなってございます。 ◆21番(木村正彦君) それでは、地産地消のメリット・デメリットの内容についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 地産地消のメリット・デメリットについて御質問がございました。一般的には、流通範囲が地域内で完結することで、流通経費の削減につながることや、消費者との距離が近いので、直接販売などを通じて商品価値を説明し、規格外品の販売もしやすくなるなどのメリットがございます。一方、デメリットといたしましては、その地域内で生産と流通を完結させるために、出荷や販売、品質管理や宣伝活動など、農家が農産物の生産以外の能力を求められ対応が厳しいこと、また、本市の場合は、生産が少量多品目であるために、安定した生産量の確保が困難であることなどが挙げられると思います。 以上でございます。 ◆21番(木村正彦君) それでは、神奈川県の、かながわブランドの登録品等は小田原産であると思うのですが、小田原産でかながわブランドとして登録されている品種、そういったものは何かお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 本市のかながわブランドの登録品についての御質問がございました。本市の登録品は、梅、ミカン、タマネギなどの農作物、農産物加工品が12品、水産物は生シラスとその加工品の2品、合計14品となってございます。 ◆21番(木村正彦君) それでは、かながわブランドとして登録されるための要件があると思うのですが、その要件は御承知されているかお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) かながわブランドの登録要件についてでございます。かながわブランド振興協議会が定めております基本要件になりますけれども、組織的生産体制の確保といたしまして、消費者ニーズに的確に対応した生産及び販売対策に組織的に取り組んでいる品目であること、商品の信頼性の確保といたしまして、県民にアピールできる安全性、特徴等の商品特性を有していること、統一の生産基準・出荷基準に基づき生産されていること、販売情報の提供が可能なことなどでございます。 ◆21番(木村正彦君) 小田原産の小田原ブランドとして認定するということが非常に大切ではないかなと思うのですが、今お話がありましたかように、かながわブランドとして小田原産の一部が認定されていますけれども、小田原ブランドとして認定制度を考えていくという検討をされたことがあるかお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 小田原ブランドという認定制度のことについて御質問がございました。本市では、十郎梅ですとか、下中たまねぎ小田原城前魚などが既にブランド化されております。市といたしましては、個々の産品を認定することではなく、小田原としての産地と都市のイメージのブランド化が有効であると考えておりまして、今後もさまざまな具体的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆21番(木村正彦君) 次に、先ほどもお伺いいたしましたけれども、地域経済振興戦略ビジョンの中にも「基本方針に基づくアプローチと重点施策」で、内需の拡大として「地域の住民が地域の豊かな資源を再発見、再認識して、地産地消をはじめとした地域内での消費の拡大と経済の好循環化を目指します」と書いてあります。 そこで伺いますが、重点施策として掲げている具体的な取り組みの一つに地産地消がありますが、その取り組みに必要なことは何かお伺いいたします。 ◎経済部長(座間亮君) 地産地消の取り組みに必要なことについて御質問がございました。朝ドレファーミや交流促進施設TOTOCO小田原など直売所の整備により、地元の方が地元農産物を購入しやすい環境を整えること。また、小田原いちばやさい、小田原城前魚などブランド化を初め、梅やレモンを使ったサイダーやワイン、かます棒など地元農産物を使った商品の開発により市内農産物のよさや魅力を知ってもらうなど、消費拡大の取り組みが必要と考えております。また、生産者の高齢化等に伴い農産物の生産が減少しておりまして、例えば、JAかながわ西湘が取り組んでおりますレモンの苗木供給による補助のように、生産量をふやす取り組みなども必要となってきてございます。いずれにいたしましても、このような具体的な取り組みをさらに充実していくことが重要であると考えてございます。 ◆21番(木村正彦君) 先ほど、地産地消の条例化には、どちらかというと市長としては前向きでない御答弁をいただいたのですけれども、やはり条例化するには具体のデータの現状の把握、あるいはこれからの目標等について数値化することで消費者と生産者とのかけ橋になると考えます。 そこで、地産地消を協議するには、小田原市の農産物のあるべき姿と今後の農水産政策の方向性を検討することが重要と思いますが、小田原産の農産物の多品種・少量生産の特性を生かした地域ブランド化を進めることや、人口減少や高齢化が進む中、都市農業としての農業政策が重要と考えます。 そこで伺いますが、本市におけるこれからの農業の将来像や農業振興施策についての所見をお伺いいたします。 ◎副市長(加部裕彦君) 本市の農業の将来像や農業振興施策についてのお尋ねでございます。今年度から令和2年度にかけまして、本市の農業の将来像や農業振興施策等を定めます新たな計画の策定作業を行っているところでございます。この計画の策定に当たりましては、担い手の確保や、耕作放棄地の解消を初めといたしまして、鳥獣被害対策、農産物のブランド化、六次産業化の推進などについて検討してまいります。既に各地域の農業者へのヒアリングを開始しておりまして、今後は、関係機関との検討会の開催や学識経験者との協議等を実施いたしまして、それぞれの意見を反映しながら、本市におけるこれからの農業のあり方や、農業振興施策等について検討してまいる所存でございます。 ◆21番(木村正彦君) 新たな計画の策定を進めていくという御答弁をいただきました。ぜひ前向きに策定の作業を進めていただければと思います。とは言いながらも、条例化が必要かどうかという議論も、大変申しわけないのですが、その中で議論をしていただければ大変ありがたいと思います。 最後になりますけれども、小田原市の地産地消対策を考えてみますと、それぞれ担当の範囲がかなり多方面にわたっておりまして、私がざっくり数えたところ、約10課以上の課が関係するのではないかなというふうに思います。地域の農水産業の発展を基盤に、小田原市の観光産業等との連携をさらに強化し、活気あるまちづくりを実現するためにも、横断的な取り組み体制をするためにも、条例化というものが必要と私は考えておりますので、ぜひもう一度市長の御所見をお伺いいたします。 ◎市長(加藤憲一君) たびたびのお尋ねありがとうございます。 今、御指摘いただきました地産地消を進める上での、庁内の関係所管が10課ほどにわたるのではないかということでございますが、きょうもるる経済部長を中心に答弁を申し上げましたけれども、この行政内部、経済部内の各課はもちろんでありますが、生産者、また卸、小売業者、関係団体等、こういった民間の方たちの連携も既にかなりできておりまして、直売所での販売ですとか、農業まつりや小田原あじ・地魚まつりといったさまざまなイベントも含め、また品評会といったようなイベントも含めて、再三お話ししているように、これまでも市内では地産地消の取り組みはかなり連携して行ってきております。庁内外において連携体制の実績が今でき上がっている状況ではあるというように思っています。 そういったこともございまして、今後も、こういった取り組みの実態のほうをさらに進めていくことが重要であると考えておりまして、再三御指摘の地産地消条例につきましては、現時点では考えておりませんけれども、ただ、県内でも他の自治体等で制定されてございます。また、今後ますます地域の経済の振興において必要な取り組みであることは間違いありませんので、そういった条例の設置に関する有用性ですとか実効性、こういったものについては少し意識を持ちながら、今後の動きの中で判断していければというふうに思っております。 以上です。 ◆21番(木村正彦君) るるいろいろお話をお伺いいたしました。ある意味では前向きに検討してもらえるような、そんなニュアンスかなというふうに思いますので、ぜひよろしくお願い申します。 私の一般質問は以上で終わります。 ○議長(奥山孝二郎君) 19番井上議員、登壇願います。     〔19番(井上昌彦君)登壇 拍手〕 ◆19番(井上昌彦君) それでは、通告に従い質問させていただきます。 大項目1として、自治会、自治会連合会の負担軽減についてお伺いいたします。 自治会は、住民同士の親睦を深めるための行事を初め、防災訓練、地域内の美化清掃、防犯パトロールなどを行い、安心・安全な地域社会の維持に努めるとともに、市と連携・協力して委員推薦や事務の受託などさまざまな役割を果たしており、小田原市のまちづくりにおいて大変重要な地域活動団体であると認識しております。 現在、自治会に対して、小田原市からは、防災リーダー、広報委員、環境美化推進員などの委員の推薦、自治会連合会に対しては防犯指導員、健康おだわら普及員、青少年育成推進員、民生委員・児童委員などの各種委員の推薦、小田原市や市以外の小田原警察署、小田原市社会福祉協議会などからの各種回覧、ポスターなどの掲示依頼など、多くの団体からの協力要請もあります。小田原市だけでなく、自治会総連合からは、地域活動シンポジウム、自治会長大会などへの参加依頼、小田原市行政改革推進委員会や小田原市公共施設再編基本計画策定検討委員会、国民保護協議会など62もの会への派遣要請などもあります。 また、小田原市の場合、自治会長、自治会連合会長は自治会活動以外に地域コミュニティ組織の委員も兼ね、ほかの地域活動団体の役員とともに課題解決に活動してくださる方が多くいらっしゃいます。自治会役員の皆さんは負担がかかる活動とはわかっていても、自分たちの居住する地域が防犯・防災、環境などの課題で少しでも改善され、安心・安全な環境を築くことができるよう、これらの行政からの委員の推薦や行事の参加に熱意を持って取り組んでいらっしゃっており、本当に頭が下がる思いでいっぱいです。 ところが、その一方で、残念ながら、近年の人口減少、少子高齢化、小世帯化、近隣関係の希薄化などにより、自治会加入率が低下傾向にあるほか、各家庭の中には、人的、時間的余力がなくなり、結果として、地域の自治会でも担い手不足が深刻化しています。幾つかの例を挙げてみますと、民生委員・児童委員の欠員は毎回増加傾向にあり、本年度は26人に上ると聞いています。また、市役所の自治会担当窓口には、自治会役員を選べなくなり、その存続について市の窓口に相談に来られる自治会も幾つかあり、実際、自治会総連合から脱退してしまった地区もあると聞いております。そして、学区子ども会も現在、25小学校区中20地区しかありませんし、単位子ども会も解散が相次いております。これらのことから、地域コミュニティを強化することも対策の一つであると思いますが、地域の負担を軽減することも欠かすことのできない重要な施策であると考えます。 そこで、小田原市として自治会、地区自治会連合会の負担についてどう考えているのか。負担軽減についてどのような取り組みをしてきたのかお伺いいたします。 また、地域コミュニティ組織が自治会の役割を担うことで、自治会の負担軽減につながるような取り組みが行われているのかについてもお伺いいたします。 次に、自治体におけるポイント事業と地域通貨・コミュニティ通貨についてお伺いいたします。 「ポイントカード」と呼ばれる専用カードやスマートフォンのアプリにポイントを蓄積し、次回以降の商品・サービスの購入時などに利用したり、一定数量のポイントを商品券に引きかえることができるポイント制度は、民間の小売業やサービス業において、今や当たり前のサービスとして行われています。典型例としては「支払い額の1%のポイントを付与し、次回以降の支払いで1ポイントを1円として利用可能」というようなサービスが挙げられます。自治体においても、市民のボランティアや市民活動などにポイントを与える制度、事業が、ここ10年くらいの間に急拡大してきました。 筑波銀行グループの筑波総研株式会社による分析では、自治体が実施しているポイント事業は目的別に分類すると、介護支援、健康増進、環境保全・省エネルギー、地元産品購入、社会活動・市民活動の五つに分類できるそうです。介護支援は、65歳以上の高齢者が介護施設などの施設でボランティアをした場合にポイントを付与し、ボランティア活動参加による介護予防、高齢者の生きがい創出効果を期待するもの。健康増進は、市民の健康づくりを推進し、医療費支出負担を軽減するもの。環境保全・省エネルギーは、国による「家電エコポイント」、「住宅エコポイント」事業に代表されるように、地球温暖化対策や再生可能エネルギー利用促進を促すもの。地元産品購入は、商店街活性化や地域産業振興を促進するもの。社会活動・市民活動は、ボランティア活動、社会活動、市民活動、NPO活動などから地域課題を解決、行政との協働を促すものとなっております。 小田原市でも、アクティブシニア応援ポイント事業、健幸ポイント事業というポイント事業を行っていますが、まず、それらの事業の事業内容とその目的、登録人数、成果についてお伺いいたします。 (2)として、小田原市における地域通貨・コミュニティ通貨の可能性についてお伺いいたします。 地域経済・コミュニティの活性化及び持続可能性の向上を進めるために、地域金融システムのあり方が問われています。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても、地域金融システムには地域内で資金を十分行き渡らせ、地域の稼ぐ力を向上させることへの貢献が求められています。このような国の方針もあり、地域やコミュニティ内で流通する地域通貨への注目度が高まり、発行を検討する自治体、金融機関などがふえてきています。 地域通貨は、地域内の消費の囲い込みや資金調達の多様化を進めるとともに、地域内の活動・コミュニティの活性化も期待できます。また、ブロックチェーン技術やQRコードに代表される決済サービスの多様化などデジタル技術の活用、管理コストの低減も地域通貨発行を後押ししているようです。 先進的な地域通貨としては、2017年に飛騨信用組合が発行を開始した電子マネー「さるぼぼコイン」があります。さるぼぼコインは日本円と等価の電子通貨であり、チャージ時に「さるぼぼポイント」が付与され、そのポイントも1円で利用可能です。決済に関してはスマートフォンのアプリでQRコードを読み取る方法を採用し、特別な決済端末も不要です。「円」では買えない、「さるぼぼコイン」でしか買えない商品、例えば、イタリア料理店の裏メニューのカツ丼や地元の子育て女性が作成したグルメマップを販売するなどの消費行動をくすぐる企画で、現在、岐阜県高山市、飛騨市、白川村の1000店以上で利用可能となっており、ポイントによる「消費促進」、「域外流出防止」、「需要掘り起こし」も期待されております。 そこで、小田原市において地域通貨の調査を行ったことはあるのか。また、小田原市と並びSDGsの未来都市に選ばれた鎌倉市では、コミュニティ通貨と呼ぶ「まちのコイン」の実証実験を始めていますが、小田原市においても「まちのコイン」実証実験開始の予定はあるのかをお伺いいたします。 なお、地域通貨・コミュニティ通貨については、私の一般質問に合わせたように、本日の読売新聞全国版に、小田原市の取り組みも含め掲載されております。全国版に掲載された事業の質問です。前向きな御答弁を期待しております。 以上で登壇しての質問を終わります。(拍手) ○議長(奥山孝二郎君) 市長、登壇願います。     〔市長(加藤憲一君)登壇〕 ◎市長(加藤憲一君) 19番井上議員の御質問に順次お答えをいたします。 初めに、自治会や地区自治会連合会の負担についての御質問がございました。自治会や地区自治会連合会には、広報紙等の配布業務や回覧の依頼、各種委員の推薦、地域コミュニティの推進など、さまざまな分野で御負担をおかけしていることは十分認識しております。しかしながら、安心・安全な地域社会を維持するためには、自治会と行政の連携や協働は不可欠であると考えております。市といたしましては、回覧やポスター掲示の依頼の削減、各種委員推薦の窓口一本化や提出期限の集約を行いますとともに、自治会加入促進策への支援や「おだわら市民学校」による担い手育成及び市民活動と地域活動の連携等に取り組んでおりまして、今後も負担軽減に努めてまいりたいと考えています。 次に、自治会の役割を地域コミュニティ組織が担うことで負担軽減できないかとの御質問でございました。地域コミュニティ組織に参画しております各種団体の皆様が、さまざまな知見を生かして自治会の取り組みに対して協力することは、自治会の負担軽減に資するものと考えています。事例といたしましては、広域避難所運営マニュアルや防災訓練時の広域避難所での訓練内容を地域コミュニティ組織で検討することで、自治会や防災リーダーの負担軽減を図った地域や、健康おだわら普及員とウオーキングを共催した地域、これまで自治会等が実施していた交通安全啓発イベントを地域コミュニティ組織が実施した地域などがございます。今後も、自治会及び各種団体の連携・協力を支援いたしまして、負担軽減に努めてまいります。 次に、アクティブシニア応援ポイント事業についてであります。本事業は、60歳以上の市民が介護保険施設等で行うボランティア活動に対して、ポイントを付与し、ポイント数に応じた商品との交換を可能とすることで、高齢者の生きがいづくりを促進し、介護予防に資する活動を支援するというものでございます。登録人数は、令和元年11月末現在で260人であります。成果といたしましては、参加者からは、交流が楽しい、生活にリズムがつき健康に気をつけるようになったなど、また受け入れ施設側からは、入所者が喜ぶ、業務負担が軽減されたといった声が届いています。 次に、健幸ポイント事業についてであります。本事業は、脳血管疾患予防を初めとする健康増進の取り組みとして、20歳以上の市民を対象に本年4月から開始をいたしました。スマートフォンのアプリを利用して、歩数や健康イベントの参加等に応じてポイントを付与し、規定のポイントに達した方の中から抽選でギフト券が進呈されるインセンティブつき事業であります。登録人数は、令和元年11月末現在で1801名であります。成果につきましては、今年度末にアンケート等を実施し、検証してまいる予定でございます。 次に、地域通貨に関連してお尋ねがございました。本市では、これまで地域通貨の導入に向けた詳細な調査は行ったことはありませんが、今回県が開発をいたしました「まちのコイン」を利用し、日ごろの行動がSDGsアクションにつながっていることの体感や、地域の課題解決を自分ごと化する目的で、今年度、試行的な実施を予定しています。現在、神奈川県が鎌倉市で行っております実証実験では、ビーチクリーンイベントへの参加などでポイントを取得し、食品ロス削減に向けたパンの割引にポイントを使うなどが展開され、注目が集まっているところであります。 以上をもちまして、19番井上議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。 ◆19番(井上昌彦君) それでは、順次再質問をさせていただきます。 まず、自治会、地区自治会連合会の負担軽減についてですが、地域コミュニティ組織のほかに地区社会福祉協議会、そのほか各種団体が連携・協力して、地域の課題解決に取り組んでいる組織であるということは理解しておりますが、福祉分野については、それを担う人材や活動がほぼ同じではないかと感じております。そこで、地域コミュニティ組織と地区社会福祉協議会の役割を、小田原市がまず整理すべきではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◎副市長(加部裕彦君) それでは、再質問にお答えいたします。 地域福祉の分野で、コミュニティ組織と地区社会福祉協議会の役割の整理が必要なのではないかという御指摘だと思います。高齢者等の生活支援、見守り、サロンなど、地域の福祉分野の取り組みであります、私どもで推進しておりますケアタウン推進事業につきましては、取り組みを始めた時期の地域コミュニティ組織の規模ですとか委員構成など、地区ごとにさまざまな経緯がございまして、地域コミュニティ組織が分科会の一つとして実施している地域と、地区社会福祉協議会が実施している地域がございます。高齢者や支援の必要な方をどのように支えるかにつきましては、すべての地域である意味共通するテーマでございますから、ケアタウン推進事業につきましては、地域の関係者や所管課とも相談をいたしながら、できれば地域コミュニティ組織に統合していくことを検討してまいりたいと思っています。 ◆19番(井上昌彦君) 地域コミュニティ組織に統合していくということですが、やはりここは逆で、地区社会福祉協議会のほうが地区社会福祉協議会の会費も取っておりますし、かなりの人数もおります。できれば逆のほうが私はすっきりいくと思いますが、その点についてお伺いいたします。 ◎地域コミュニティ担当部長(杉崎貴代君) ただいま地区社会福祉協議会のほうに、福祉分野については統合してはいかがかという御質問がございました。地区社会福祉協議会のほうは、地域コミュニティ組織と一緒にやっておりますケアタウン事業以外にもさまざまな事業をやっておりまして、そういった意味では、ケアタウン推進事業の部分につきましては、地域コミュニティ組織のほうの手助けもある中で展開しておりますので、地域コミュニティ組織に統合していったほうがよろしいかと考えております。 以上でございます。 ◆19番(井上昌彦君) 先ほどの加部副市長の御答弁にあったように、先行している地域とそれ以外でかなりサービスに差があるので、こういう質問をさせていただきました。そこをきちっと、先行していない地域のことも考えてしっかりやっていただきたいと思います。 次の質問なのですが、自治会総連合は小田原市の回覧やポスター掲示に協力して、その対価を市から受け取っており、これは自治会総連合の財源の一つとなっております。そこで、財源確保の観点から、自治会総連合が小田原市以外の回覧やポスター掲示に協力しているのであれば、自治会総連合はそういった団体から手数料を徴収すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◎地域コミュニティ担当部長(杉崎貴代君) 市以外の回覧やポスター掲示に対する有償化についての御質問がございました。市は、行政文書の配布や回覧、ポスター掲示及び市の事業への協力など行政事務について、自治会総連合と委託契約を締結しております。その契約には、現在、国や県など市以外の団体からの回覧等も含まれており、実質その部分については無償で配布していることから、有償化の交渉は不可能ではないとは考えますが、警察や社会福祉協議会等、公共・公益的な団体の情報提供や事業のお知らせが多いため、難しいものと考えております。 以上です。 ◆19番(井上昌彦君) 非常にその点は難しいと思うのですが、削減に努力していただきたいと思います。 次なのですが、山梨県甲府市の場合は、自治会の解散を8割近くの住民が望んでいるという意向調査が出ています。また、福井県福井市では高齢で役職が担えないとして自治会が解散してしまった事例もあります。自治会の負担軽減策として自治会の合併が挙げられますが、小田原市の場合、各単位自治会に長い歴史があり、また合併の合意形成や自治会名称、自治会費の設定等の調整をしなければならず、実際に合併するのは困難なことではないかと考えております。そこで、合併ではなく単位自治会の枠組みを残しながら、健民祭や防災訓練などの業務を複数の自治会が連携して行う仕組みをつくり、自治会の解散を回避することが必要ではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◎地域コミュニティ担当部長(杉崎貴代君) 自治会の合併ではなく、複数自治会による業務連携により、自治会の解散を回避させる、そういった仕組みについて御質問がございました。自治会の合併については、自治会の役員数が半減するとともに加入世帯数の増加によって担い手の確保が期待できることから、負担軽減策の一つになるとは考えております。19番井上議員が御提案の複数自治会の業務連携につきましても、合併と同様に有効な負担軽減策の選択肢の一つであると考えるものでございます。いずれの手法をとるにせよ、自治会の意向を尊重しながら、解散を回避し、地域のつながりを維持できるよう適切に相談・助言してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆19番(井上昌彦君) 今回の質問で、自治会に対して、ポスター軽減、窓口の一本化等負担軽減についてかなりやっていることはわかりましたが、ことしの5月、山梨県甲府市の中心部、桜北自治会が解散したという報道がありました。これは、甲府城周辺の整備で18軒が移転を余儀なくされ、残された31軒の半数が高齢者で占め、参加しない地区イベントへの負担金だけがふえ、自治会維持が難しいと94%の住民が判断し、自治会が解散されました。幸い、小田原市ではまだそのような状況の自治会はないと思われますが、今後、急速に進む高齢化、人口減少でどのようになるか全く予想がつきません。人口減少時代の自治会の役割を整理、単位自治会の連携・連合、地区自治会連合会の解散、さまざまなケースを小田原市で調査研究し、自治会運営に悩む自治会長、連合自治会長へ的確に助言ができるようにしておいていただくよう要望し、1についての質問は終わりにいたします。 2番目の自治体におけるポイント事業と地域通貨・コミュニティ通貨についてですが、まず1点目が、小田原市で行われているアクティブシニア応援ポイント事業、健幸ポイント事業、一定の成果は出ているようですが、その事業の課題と今後の予定についてお伺いいたします。 ◎福祉健康部長(山崎文明君) アクティブシニア応援ポイント事業と健幸ポイント事業の課題及び今後の予定について質問がありました。まず、アクティブシニア応援ポイント事業でございますが、多くの高齢者に本事業を通じた社会参加や生きがいづくりに関心を持っていただきたいと考えておりまして、そのためには、さらに登録者数をふやしていくことが課題でございます。そこで、今後とも、より一層の事業周知を図るとともに、受け入け施設の拡充やポイント交換商品の充実など、高齢者が参加しやすい、参加し続けたいと思うような環境づくりに努めてまいります。 もう一点、健幸ポイント事業でございますが、今後、さらに多くの市民の方に参加していただくための周知方法や、既に参加されておられる方が、継続して歩数をふやしたり、健康への関心を高めてもらえるような仕組みを整えること、これが課題であると感じております。今後でございますが、市民の健康増進及び健康管理に係る実証実験として令和3年度末まで実施いたしまして、事業の成果をしっかりと検証してまいりたいと考えてございます。 以上です。 ◆19番(井上昌彦君) アクティブシニアポイント事業については登録人数をふやし、事業を広めていきたい、健幸ポイント事業は実証実験中ということで、この質問については、コミュニティ通貨を絡めてまた改めて質問させていただきます。 次に、「まちのコイン」なのですが、まず、コミュニティ通貨と呼ぶ「まちのコイン」の実証実験、これは鎌倉市では、フードロスとなってしまうパンなどをコインで受け取ることが可能という商店なども参加して実証実験中のようです。小田原市の場合、SDGsパートナー団体というのが既に立ち上がっております。このSDGsパートナー団体と「まちのコイン」のつながりについてお伺いいたします。というのは、小田原市の場合、SDGsパートナー団体というのはもうかなり認知されておりますので、早目の事業立ち上がりに広がりが見られると思います。それについてお伺いいたします。 ◎企画部長(鳥海義文君) 「まちのコイン」の実証実験に関しまして、おだわらSDGsパートナーの関与、こういったことについての御質問でございます。本市で展開いたしますSDGs体感事業につきましては、SDGsの普及啓発の一環といたしまして、御質問のように県が開発した「まちのコイン」、こちらを活用して、例えばイベント参加はもとより、日々の地域活動へのアクション、こういったものへのポイントの付与、また、店舗等でのサービス等のポイント利用を想定してございます。こうした取り組みにつきましては、先日、第1弾の登録を行いましたおだわらSDGsパートナー、こちらは37の企業・団体でございます。店舗はもとよりマスコミ、いろいろな製造業、また福祉団体、こういったもののさまざまな業種の方に加入していただきました。また、来年の2月には地域の団体の登録も予定してございますので、こういったことから、何らかの形で関与いただきたいというように私どもも考えてございますので、今後の取り組みの進捗に応じまして、登録団体には直接声かけをしていきたい、このように考えてございます。 以上でございます。 ◆19番(井上昌彦君) パートナー団体との連携についてはわかりました。 そこで、アプリそのものなのですけれども、この「まちのコイン」アプリは、小田原版としてカスタマイズが可能なのかということをお聞きします。というのは、先ほどポイント事業で、アクティブシニアポイント事業はより利用者を拡大していきたいということでした。このカスタマイズが可能であれば、現在行われている小田原市のアクティブシニアポイント事業と連動させて、両事業の相乗効果が見込めると思われますが、その見解についてお伺いいたします。 ◎企画部長(鳥海義文君) 「まちのコイン」のシステムのカスタマイズに関する御質問でございます。県が開発いたしました「まちのコイン」は、気軽な感覚の地域活動への参加、またお手伝いでもポイントを付与することができまして、そのポイントを利用できる仕組みでございますが、現在、他の既存の取り組み、こういったものに合わせまして、根本的にカスタマイズを行うことはなかなか難しいのかなというふうに考えてございます。本市で展開いたしますSDGs体感事業の目的は、やはりより多くの方に地域の課題解決にかかわるきっかけを提供するとともに、地域の仲間とのつながりづくりを促進するものでございまして、御質問にございましたアクティブシニアポイント事業とは、趣旨ということでは親和性があるのかなというように認識してございますが、仕組みとして「まちのコイン」にこれを統合していく、こういったことには幾つかやはり課題があると、このように考えております。 以上でございます。 ◆19番(井上昌彦君) カスタマイズは難しいということですが、この「まちのコイン」事業には9月補正予算で1000万円の予算がついていると認識しております。この「まちのコインは」は、ちょっと資料を見ますと、子ども食堂、里地里山保全、フードロスなどにコミュニティ通貨を付与し流通させる、そういうことも可能ということです。であれば、このアクティブシニアポイント事業も容易に連動できるような気がします。これだけの予算をつけているのであれば、もっと小田原市として使いやすいようにアプリを変更していく、これを積極的に県と交渉していくべきと考えますが、この点についてお伺いいたします。 ◎企画部長(鳥海義文君) システムの内容につきまして、これはもともとは県のほうの事業ということで、県のほうとよくその辺の交渉をしていくべきだという御質問でございます。御質問のような趣旨は、よく私も理解できます。この関係につきましては、実際に県のほうは民間業者にこのアプリの開発を委託したという経緯もございますので、御質問の趣旨を県のほうとも打ち合わせなり協議なりし、そういったものにつきましては対応したいと考えてございます。 以上でございます。 ◆19番(井上昌彦君) ぜひ、ビジネスでも使えるようにきっちりと協議をよろしくお願いいたします。 次に、一般的な地域通貨についてお伺いいたします。 飛騨信用組合発行の「さるぼぼコイン」、千葉県木更津市、君津信用組合、木更津商工会議所の連携による「アクアコイン」、これが既に使用開始となっており、地域経済活性化、観光客の利便性向上に一定の成果が上がっております。小田原市として、先ほど答弁ではまだ研究をしたことがないということですが、これらの地域通貨による地域の経済及び市民への波及効果について、どのような見解を持っているのかお伺いいたします。 ◎企画部長(鳥海義文君) 地域通貨の可能性というような御質問かと思います。今回、私どものほうが導入を予定しております「まちのコイン」というものがありますが、御質問がありました、地域限定の電子決済手段でございます「さるぼぼコイン」等のように、消費促進や地域経済の活性化、こういったものを目的した地域通貨は、やはり地域内での資金循環や地域の稼ぐ力を向上させる手段として、また、地域の魅力を発信する手段としての可能性、こういったものがやはり想定されると私も思っております。現在、私どもが活用を行う予定の「まちのコイン」につきましては、地域の課題解決のすそ野を広げるというSDGsの体感事業を今年度から実施いたしまして、まずは来年度の利用の促進につなげていく、こちらを第一に考えていきたい、このように考えてございます。 以上でございます。 ◆19番(井上昌彦君) 私は、地域通貨については、民間企業、地域金融機関、市民のつながりを強め、もし地域金融機関がやれば、南足柄市、小田原市、箱根町等2市8町にも広がるようなことが可能かと思います。木更津市の「アクアコイン」や「さるぼぼコイン」は、かなり機能追加ができます。先ほど質問したように、自治会活動や地域コミュニティへの市民参加や健康増進への参加にもポイントがつけられる。「さるぼぼコイン」では、新電力を「さるぼぼコイン」で支払うと、より安くなるようなサービスも開始されております。これは、加藤市長の目指す施策、市民によるまちづくり、再生可能エネルギーというのがこの地域通貨でより加速すると思われます。そこで、すぐには無理ですけれど、本格的な導入を考えて研究する考えはないのかお伺いいたします。 ◎市長(加藤憲一君) 地域通貨の本格的な導入に向けての研究をしたらどうかという話でございますが、まず、けさの読売新聞を見まして、私も、まさに同じ日に記事が出たということで、タイムリーであったなというふうに読ませていただきました。改めて、各地域の取り組み状況が非常に広がっているということの確認もその紙面でできたということでございました。 市域をまたいで営業している地域の金融機関等とも連携して、この導入を考えていくことがいいのではないかということでありましたけれども、おっしゃるとおり、この地域通貨の可能性というのはかなりいろいろな領域に広がっておりますし、今御提案いただいたようなことを上乗せすることによって、地域限定でのサービスを地域の方たちが享受することによって、地域の経済が循環していくということにつながる仕組みであろうというふうに、そういう可能性を持った事業だと思います。いっとき地域通貨がはやりかけた時期が一瞬あったのですけれども、その後しぼんできましたが、近年、いろいろな意味でキャッシュレスの技術が進んだということもあって、これが非常にリアリティーのあるものとしてできたというふうに思っています。 しかしながら、地元の地域の商業者の状況等に目を向けてみますと、この地域通貨導入の機運というものはなかなかまだ高まっていないというのが実際のところではないかなというふうに思っています。また、地域の金融機関からも、実際に課題が多く、具体的な検討には至っていないという話も聞いているところでございます。したがって、地域通貨を含むキャッシュレス決済、これの過渡期にあるということもございますので、まずは、今後のキャッシュレス決済の地域への浸透状況、こういったことを注視しながら、引き続き、高山市の事例等も含めて他市の研究もさせていただきながら、小田原市での可能性を見きわめてまいりたいと思います。また、並行して地元の金融機関等とは、この導入等についてできるだけ場をとらえて、意見交換等も進めてまいりたいと思います。 ◆19番(井上昌彦君) 今回の地域通貨の質問をして、「まちのコイン」は企画部、地域通貨というと経済部、やはり所管の壁をなくすとすごくいい事案になると思うのです。それをやるのはやはり市長の役目だと思います。また、私は、地域通貨導入によって地域の情報とお金の流れが変わり、神奈川県西2市8町という経済圏の中で、新たな経済循環も生まれ、人もつながり、観光客の利便性向上も可能と考えております。 先ほど、今後、地域金融機関とも話し合っていくということですが、ぜひ、小田原市以外、もう少し広い目で見て、2市8町という広域を考え、商工会議所、地域金融機関、民間企業を巻き込んだ仕事をぜひやっていっていただきたいと思います。 以上で私の質問は終わります。 ○議長(奥山孝二郎君) 9番角田議員、登壇願います。     〔9番(角田真美君)登壇 拍手〕 ◆9番(角田真美君) それでは、通告に従いまして質問してまいります。 大項目1(1)歴史的建造物の利活用についてであります。 先日、12月1日(日)に開催されました「文化財建造物観覧会」では、「国登録有形文化財」や「小田原ゆかりの優れた建造物」に登録・認定された市内6カ所の建築物が一般公開されました。私もかつて訪れたことのある建物ばかりですが、そのほとんどが建築から100年以上となっています。6カ所のうち小田原市鴨宮にある「岩瀬家住宅主屋」は、江戸時代の安政4~5年に建てられたカヤぶき屋根の農家づくりで一番古くからあります。小田原市南町にある「静山荘」は、明治25年の建築物を移築したもの、同じく南町「旧松本剛吉別邸」については、明治政府要人・山縣有朋と親交の深かった松本剛吉の別邸であり、庭園にある雨が香ると書く「雨香亭」という茶室は、待合とともに趣深い造りとなっております。隣町の板橋には、山縣自身が「古稀庵」と名づけた別邸跡地に水流のある見事な庭園が残されています。その近隣には、清浦奎吾の別邸「皆春荘」や、電力王と呼ばれた松永安左ヱ門のついの住みかとなった大欅のある「老欅荘」、松永記念館内には、野崎幻庵の茶室で葉の雨と書く「葉雨庵」といったものが移築されています。ほかにも小田原市内には数多くの歴史的建造物と呼ばれるものが存在し、市で所有するものも多くあります。 こうした歴史的建造物の利活用を今後どのように考えているのか気になっていました。取り壊すのはすぐにでもできますが、この建物をもう一度建てるのは不可能でしょう。と言いますのも意匠を凝らした数々の匠のわざの継承がなされていない昨今だからです。「ローマは一日にして成らず」になぞらえて、私はよく「文化・歴史は一日にして成らず」であると考えています。この小田原市における歴史的建造物の利活用をこれから先どうしていくのか、これは小田原市にとって大きな課題ですし、5年後、10年後に小田原市の街なみをどのようにしていくのか、明確なビジョンが必要です。ことし7月の小田原市都市計画審議会の場を傍聴した際に、かまぼこ通り地区の景観形成基準についての説明があり、建築物の色彩においても細かく基準を設けて、20年、30年かけて整えていくとありました。でき上がったころには私は生きていないかもしれないなど感じた次第ですが、「まちをつくる」というのは並み大抵ではないということを思い知らされました。 そうしたことを考えるときに、かつてイギリス、フランス、ベルギー、イタリアなどヨーロッパを旅したときのことを思い出し、大きなヒントがあると思いました。それは、現地で目の当たりにした中世の古城や名跡が、現在でも住居やホテル、美術館など暮らしの中に息づいているという姿でした。歴史的建造物は観光としてだけではなく、住民の暮らしとしてのアイデンティティーがあり、シビックプライドとも言えるような住民意識の高さを感じたものです。まさにここ小田原の地においても、歴史的建造物という地域資源を生かしながら、本市の魅力と地域のブランド力を高めていき、交流人口、さらには移住人口の拡大を図りながら、市民一人一人の豊かな暮らしを実現することが大事ではないでしょうか。 6月14日に行われた建設経済常任委員会報告の中で、都市部まちづくり交通課による「歴史的建造物利活用エリアコーディネート調査」の報告がありました。そのエリアになっているのは、かまぼこ通り周辺地区、西海子小路周辺地区、板橋旧街道周辺地区の三つのエリアであり、どれも私の育った生活圏内に当たるところですが、特に、板橋旧街道周辺地区とされる板橋の旧道あたりと言えば、幼い当時、大窪小学校へ登校する際には、もくもくと内野醤油の工場から湯気の上がる横を、また松永記念館の黄色い土壁の横を何げなく通ったものです。また、城南中学校へは古稀庵坂の急な斜面を登下校で毎日上りおりし、その坂の名や立ち並ぶ建物の由来も知らずに育ちました。今、改めて立ち並ぶ歴史的建造物のことを知れば知るほど、その歴史と文化の空気の中で育てられた自分の存在のありがたさを感じており、無言の教育がそこにはあると言えます。 最近では、皆春荘、松本剛吉別邸も市の所有となり、公開もされるようになりました。このような市の動きは、将来の展望をこのようにしていくといった市長の明確なビジョンのもと行われていることだと考えています。市長の現在お考えにある5年、10年、いえそれ以上のビジョンをお聞かせいただきたいと思います。 また、エリアコーディネート調査報告から半年以上が経過した今、市では現在どのような計画段階にあるのかを伺います。 また、この計画では、かまぼこ通り周辺地区、西海子小路周辺地区、板橋旧街道周辺地区の三つのエリアが挙げられていますが、選定された根拠となる将来の戦略的なねらいがあるとすれば何でしょうかお伺いします。 次に、大項目2の質問へまいります。市長がおだわらTRYプランの後期基本計画における四つのまちづくりの目標の第1に掲げている「いのちを守る小田原」についてお伺いします。 先日、市役所本庁舎2階ロビーにて「人権メッセージパネル展」が開催されていました。その中には、尾木ママの愛称で親しまれている教育評論家で法政大学教授の尾木直樹さんのメッセージ「ありのままに今を輝く」、シンガーソングライターの谷山浩子さんの「あなたはもうひとりのわたし。わたしはもうひとりのあなた」など心が励まされるメッセージが並んでいました。社会学者・東京大学名誉教授・NPO法人ウィメンズ アクション ネットワーク理事長である上野千鶴子さんのメッセージ「ガマンしない。あなたが被害者でありつづけることが、他の誰かにとって加害者になるかもしれないから」というものは特に印象的でした。そのそばには「パープルリボン・プロジェクト」のコーナーもありました。同じ時期、市民交流センターUMECOでもパープルリボンの飾りがついたツリーが展示されていたのを気づいた方も多いことでしょう。 この「パープルリボン」は、1994年、アメリカ合衆国ニューハンプシャー州ベルリンにおいて、大人のレイプや虐待のサバイバー、医療専門家、セラピスト、法律関係者、関心を持つ市民らによって結成された、インターナショナル・パープルリボン・プロジェクト(IPRP)から始まりました。現在、40カ国以上の国際的な草の根運動のネットワークになっています。2000年にはアジア女性センターがアメリカを視察し、パープルリボンを持ち帰り、日本にも伝えました。この運動は、DV(ドメスティック・バイオレンス)いわゆる家庭内暴力を根絶する目的であり、家庭内暴力を受けるのは女性が多いことから、パープルリボンは「女性に対する暴力をなくす運動」と主に認知されています。 また、児童虐待防止運動のシンボルとなっている「オレンジリボン」があります。日本でのオレンジリボン活動は、2004年に起きた3歳と4歳の兄弟が川に投げ込まれて亡くなるという痛ましい事件がきっかけとなりました。このオレンジ色を決める際、虐待を受けて里親に養育が託されたことのある子供たちが参加し、決められました。オレンジ色は明るいところから開かれた未来を象徴する色であり、無意識に求める温かさに通じる色であるとしています。 昨今では、子供を取り巻く法の整備も進められています。来年4月から施行される改正児童虐待防止法における厚生労働省の検討会では、児童虐待がしつけ目的で正当化されてきたことを受け、体罰を「子供の身体に苦痛や不快感を起こす行為」と初めて定義を明確化する素案をまとめました。例として「ほおをたたく」、「長時間の正座」、「おしりをたたく」、「夕飯を与えない」なども体罰に当たるとしています。 法務省がことし11月に公表した「犯罪白書」によれば、児童虐待の検挙件数は、記録のある2003年の212件から2018年は1380件と6.5倍にふえています。配偶者に対する暴力(DV)も1989年(平成元年)の689件から2018年は8229件と11.9倍に増加しています。 このような背景の中で進められてきた女性に対する暴力をなくす運動・パープルリボンは、国の内閣府男女共同参画局が担当し、毎年11月12日から11月25日の2週間を「女性に対する暴力をなくす運動」としています。また、児童虐待防止のオレンジリボンは、厚生労働省で担当し、毎年11月を「児童虐待防止推進月間」としています。従来、それぞれ別の展開をしてきたパープルリボンとオレンジリボンを、今年度は両者が連携し並べてダブルリボン運動の展開となりました。その意味するものは、DVというものが「パートナーだけではなく子供の心をも壊すものであるから」ということです。子供に直接暴力を振るわなくても、母親がDVを受けているのを目撃することは、子供への心理的虐待に当たります。まさに両者は別々のところにあるものではない一体のものという認識になったのだと思います。今年度、これは国の初めての試みで、横ぐしを入れて連携をするという画期的な取り組みでした。 毎日、テレビや新聞を見るたびに耳を覆いたくなるような子供に関するニュースが続きます。多くの皆さんも、何とかならないものかと思うことでしょう。私はそのときに子供と同時に母親のことをもっと早く何とかしてあげられなかったのかと思うばかりです。両者は一つの因果で結ばれています。ですから、私はこのダブルリボン運動をとてもいい傾向であるととらえています。 ここまでいろいろと申し上げましたが、いずれにしても、暴力というものは決して許されるものではありません。市長は、「いのちを守る小田原」についてを、おだわらTRYプランの後期基本計画における四つのまちづくりの目標の第1に掲げていらっしゃいます。特に、DV、児童虐待ですが、小田原市でも増加傾向にあります。 そこで、DVと児童虐待については、本人が相談に見えたり、他人から情報が入ったりと、さまざまな場面が考えられますが、その際、市では現在どのような対応をとられているのか、また、DVにおいては、どのような未然防止策をとられているのか、以上お伺いし、私の登壇しての一般質問を終わります。(拍手) ○議長(奥山孝二郎君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後1時15分といたします。     午前11時51分 休憩-----------------------------------     午後1時15分 開議 ○副議長(大川裕君) 休憩前に引き続き再開いたします。 市長、登壇願います。     〔市長(加藤憲一君)登壇〕 ◎市長(加藤憲一君) 9番角田議員の御質問に順次お答えをいたします。 初めに、歴史的建造物の利活用について、将来のビジョンに関するお尋ねをいただきました。本市には、明治期以降、風光明媚で気候温暖な小田原に花開いた、政財界の重鎮たちや文化人たちによる邸園文化を今に伝える極めて貴重な建築物や、豊かな自然・風土を背景にした固有のなりわい文化を伝える町屋など、多くの歴史的建造物が残されております。それらを単に建築物として維持保全し、往時のたたずまいを伝えていくだけではなく、多くの市民や来訪者に訪れ利用していただくことで、小田原が本来備えている豊さを実感していただく交流の場に育てていくとともに、そうした人的交流の拡大を通じ、地域経済にも恩恵が行き渡るよう、個々の建築物の利活用はもとより、エリア全体のデザインとコーディネートに民間の力を借りながら、しっかりと取り組んでいく考えでございます。 次に、歴史的建造物の利活用について、現在どのような計画段階にあるのかとの御質問でございました。歴史的建造物の利活用につきましては、本年度、全庁的なプロジェクトチームを設置し検討を進めております。具体には、平成30年度に作成したエリアコーディネートプランに基づき、それぞれの歴史的建造物について、公民連携を視野に入れた利活用の可能性を探るため、歴史的建造物利活用計画策定業務を委託し、現在、民間事業者等にヒアリング調査を実施しているところでございます。 次に、かまぼこ道り周辺地区、西海子小路周辺地区、板橋旧街道周辺地区を対象エリアとしたねらいについてでございます。この3地区は、歴史的建造物や伝統的な祭礼、なりわいなどが一体となって良好な歴史的風致を形成しており、これらを守り育てながら、まちづくりを推進しております。エリアコーデイネート調査におきましては、この3地区の貴重な歴史的・文化的資源を磨き上げ、駅・城周辺から早川地区に至る線的・面的なネットワークを構築することで、幾度も訪れたくなる「賑わいと交流のまち」の実現を目指すこととしたものでございます。 次に、DV被害者に対する支援の現状についてでございます。DV被害者への支援といたしましては、婦人相談員を配置し、相談者の安全面に配慮しながら、相談対応と自立支援を行っておりますが、対象は、被害者御本人からの相談のみとしております。昨年度のDVに関する相談件数は156件でありまして、ここ数年高どまり状態にありますが、その相談内容は複雑化してきております。そのため、婦人相談員だけでは対応が難しいケースも多いことから、定期的に庁内関係各課による連絡会を開催し、重大ケースが発生した際にも迅速な対応ができる体制を整えております。また、研修や連絡会を通じて、近隣自治体や児童相談所、警察等の関係機関とも緊密な連携を図っているところであります。 次に、DVの未然防止策についてのお尋ねでございました。DVの未然防止策といたしましては、DVについての正しい知識を身につけるための啓発が第一と考えております。DV防止には若者への啓発が効果的でありますことから、デートDV対策には特に力を入れておりまして、昨年度は国際医療福祉大学、今年度は小田原短期大学の学園祭で、それぞれ啓発キャンペーンを行いました。また、11月12日からの女性に対する暴力をなくす運動週間には、DV反対の意思表示でありますパープルリボンを、梅丸やえっさほいファミリー等のゆるキャラに着用してもらい、PRに努めました。こうした活動が被害者の心の支えとなり、支援の輪を広げるとともに、パートナーへの理解を深める意識づくりになればと考えております。 次に、児童虐待への対応についてでございます。本市では、こども相談の窓口に児童相談員を配置し、家族や近隣住民、保育所・学校などからの相談や通報に基づき、調査や面談を行い、状況を把握し、虐待の早期発見や予防に努めております。虐待が疑われる案件につきましては、児童相談所、警察、教育や保育の関係者など27の機関により構成されます「小田原市要保護児童対策地域協議会」において、情報の共有と対応について協議し、状況に応じた支援を行っております。 以上をもちまして、9番角田議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。 ◆9番(角田真美君) それでは、順に再質問させていただきます。 大項目1(1)歴史的建造物の利活用について再質問いたします。 これまでも、このエリアは桜の名所があったり、ツーデーマーチのコースにもなったりしているので、大勢の人の出入りを経験されていますが、この計画を本格化すると、日常的にまち歩きでやってくる外国人を含めた観光客がふえてきそうです。先日、テレビで京都の瑠璃光院のニュースがありました。紅葉を見たいと若者たちが行列をつくり、入館できない事態となり、別のエリアへと案内されたというものでした。このようなことがないとも限りません。地域住民の方々への理解、受け入れを促す対策についてはどう考えていますでしょうかお伺いします。 ◎文化部長(安藤圭太君) 外国人を含めました観光客の増加に対する地域の方々への理解、受け入れを促す対策について御質問がございました。昨年度は、エリアコーディネートプラン作成に当たりまして、対象地域の地区自治会連合会と連携して地域への説明や回覧などを行ってまいりました。また、本年度は、歴史的建造物利活用計画の検討に伴いまして、地域へのヒアリング調査や意見交換を行っているところでございます。このように観光客の増加が見込まれます歴史的建造物の利活用につきましては、周知するだけではなく、地域の方々の御意見も十分に伺いながら事業を進めることで、理解をさらに深めてまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ◆9番(角田真美君) これから周知徹底していただいて、さらに地域に住まう方が意欲的に新しい産業を興すような、そういう機運も生まれたらいいなと思っております。 今年9月には、豊島邸を民間に初めて貸し出し開催された「本ときどきカフエ」というイベントがありました。このイベントは、市民が実行委員会を立ち上げて企画したものだそうですが、市立かもめ図書館の協力で用意した市民の皆様から寄せられたお勧めの本と、自家焙煎のコーヒーが提供され、畳敷きの部屋でくつろいだり、ワークショップで楽しんだりできたそうですが、実際どのような様子でしたか。また、先日11月、12月に開催された旧松本剛吉別邸での「本ときどき茶々」について、その様子はどうだったのかお答えください。 ◎文化部長(安藤圭太君) 歴史的建造物で開催されたイベントについて御質問がございました。豊島邸、また旧松本剛吉別邸で開催をいたしましたこの二つのイベントにつきましては、市民の皆さんの御協力をいただいて実施したものでございます。本を楽しみながらお茶を飲んでいただきましたり、また、絵画展や写真展、ワークショップ、古本市なども行われたところでございます。イベント当日は、近隣の方はもとより、県外からも大変多くの方々の御来訪をいただきまして、歴史や文化を感じるゆったりとした空間の中で、来場者が思い思いのスタイルでゆっくりと過ごしていただいたように思います。これらのイベントにつきましては、本市の歴史的建造物に触れていただく大変よい機会になったものというふうに考えております。 以上でございます。 ◆9番(角田真美君) 近隣以外にも遠くから見えたということで、とても盛り上がったことだと思います。よかったと思います。 さて、イベントの資金調達には、クラウドファンディングというものを活用し成功したというふうに伺っております。これは、インターネットを通じて活動を応援したいと思っている人から資金を募るという方法です。このような新しい手法は有効であるので、これからはやるのではないかとも感じました。維持や修繕について費用がかかる歴史的建造物を採算が合うように運営していくということも大事なことです。市民の方々の発想には自由さがあります。私もまだやったことはありませんが、インスタ映えという言葉が生まれたインスタグラムや、ポケットモンスターを集めていく「ポケモンGO」など、今どきのはやりに合わせてみると、思ってもみなかったことが起こると思います。今後も市民の方々との連携などは柔軟に考えておりますでしょうか、御所見を伺います。 ◎文化部長(安藤圭太君) 歴史的建造物の運営等での民間との連携について御質問がございました。今、9番角田議員が御指摘になられましたとおり、歴史的建造物の維持や修繕には相当の費用がかかるということも認識しております。したがいまして、採算性を考えるということも大切なことであるというふうに考えております。そのような状況も踏まえまして、歴史的建造物の利活用につきましては、公民連携も視野に入れた持続可能な運営スキームについて検討しているところでございまして、民間事業者や市民の皆さんの柔軟な発想を取り入れながら、これからの歴史的建造物の保存と利活用に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ◆9番(角田真美君) 南町の西海子小路にある小田原市の所有地である旧保健福祉事務所跡地についての活用方法について伺います。 建設は第一種低層住宅専用地域という条件は厳しいところですが、いい活用方法をとってもらいたいと思っています。この旧保健福祉事務所跡地のある西海子小路は、春の桜の名所であり、小田原文学館、白秋童謡館が隣接、向かい側には旧松本剛吉別邸があり、文化都市小田原を発信する大事な拠点にもなり得ます。毎年5月に開催する小田原あじ・地魚まつりなど、イベント時などには駐車場として開放されているようですが、日常はがらんとしています。南町の西海子小路といえば、春になると両側に並ぶ桜の花が重なり合って、まるで桜のトンネルのような見事な桜の名所であります。その道に面するこの土地の活用に着手していないのは非常にもったいないことであると感じてきました。向かい合う旧松本剛吉別邸が一般公開された今、まさに検討を始めてもいい時期ではないかと思います。現在の状況を伺います。 ◎副市長(時田光章君) 旧保健福祉事務所跡地の活用方法についてでございますが、平成27年に策定をいたしました「小田原市図書施設・機能整備等基本方針」におきましては、小田原文学館の公開機能の強化を主な目的といたしました。取得の目的がそういうことでございますから、旧保健福祉事務所跡地に文学資料等の保存・活用施設を新設するということになっております。まずは、旧松本剛吉別邸や小田原文学館の駐車場としての整備を先行的に進めたいと考えておりまして、西海子小路周辺エリアのまちづくりの方針等を踏まえまして、活用策の検討とあわせまして、地域にお住いの方々の意向も把握しながら、今後、文学のまちづくりを推し進めるための施設整備について検討を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆9番(角田真美君) この旧保健福祉事務所跡地にはサイカチの木が2本植えられています。つまようじのようなとげとげした茎が印象的な木です。歩くと気づくのですが、よく見ると、現地の住民の手で写真つきの解説がされています。それによると、この2本のサイカチの木は、平成7年ごろ地域住民の手で1メートルほどの苗木を植えたものだそうです。西海子小路の名前の由来ともなっているサイカチは、昔の名前であるサイカイシというものがなまったものであると記されています。漢方薬にもなっていたそうで、煎じて飲むとリウマチなどに効果があり、その種の成分は、石けんとして骨とう品や古文書、また女性の髪を洗うなどに用いられていたと記されています。この小路の両側には武家屋敷が立ち並んでいたことから、サイカチが縁起のよい「再び勝つ」の意味で、屋敷の鬼門に植えられていたことにも触れられています。また、地域32区自治会では、このサイカチの木を末永く保存し、地域の安らぎの場としたいとしています。観光で初めて来た方も、これを知るのと知らないで帰るのとは大違いだと思います。現在は目立たないところにあるこのサイカチの木を含めて、旧保健福祉事務所跡地は有効に活用できると思いますので、よりよい方法を今後御検討ください。これは要望といたします。 大項目2(1)DVについての再質問をいたします。 家庭内暴力については、圧倒的に女性が被害者になることが多いのだと認識しておりますが、中には男性が被害者になる場合もあると思います。その場合の対処の仕方は女性の場合と同じですか。それとも違うのでしょうか。また、本市でも4月から導入されたパートナーシップ登録制度により、「家庭」と呼べる形態がさまざま考えられるようになりますが、そうした場合のLGBTの方々への対応についても伺います。 ◎市民部長(加藤裕文君) DVに関する再質問の2点につきまして、私から御答弁申し上げます。 男性のDV被害者に対する支援について御質問がございました。婦人相談員は、女性からの相談のみを相談の対象とさせていただいております。これは、DV被害者は圧倒的に女性が多いということに加え、社会的格差から、女性には特に手厚い支援が必要な場合が多いためで、本市を含む多くの自治体が同様の対応をとっているところでございます。しかし、最近は、男性からの相談件数も増加傾向にあるところでございます。男性からの相談には、神奈川県や民間支援団体が設置しております「男性被害者向けの相談窓口」を御案内しておりますが、被害者が高齢者や障がい者等の場合は、まずは庁内関係課につないでお話を聞くなど、相談内容に応じた柔軟な対応をとっているところでございます。 また、性的マイノリティーの方からの相談への対応について御質問がございました。性のとらえ方は実にさまざまでございまして、身体の性や自認する性、自分で感じる性ですね、性的指向など、単純に男性、女性で分けることは難しくなってきていると感じております。性的マイノリティーの方から相談がありました場合、基本的には相談者の自認する性に基づいて判断することにより、心の性が女性の場合は婦人相談員がお話を伺うこととなりまして、心の性が男性の場合は先ほどの御答弁と同様の対応をとることになります。性的マイノリティーの方からの相談は、今はまだほんの数件でありますけれども、今後さまざまなケースが想定されますことから、関係機関と連携を図りながら、個別のケースに応じて適切に対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆9番(角田真美君) 続いて、大項目2(2)児童虐待についての再質問をいたします。 さきの9月9日に行われた厚生文教常任委員会の中で報告のあった(仮称)おだわら子ども教育支援センターが来年4月から始まりますが、現在は、本庁舎に籍のある児童虐待の担当も同センターへ移転すると伺っています。これまで、同じ本庁舎にあるからこそできたDV担当や生活保護担当との職員連携、近隣の合同庁舎1階の児童相談所との連携など、場所が離れてしまうことで、これまでの体制の妨げになることはないのか心配するところですが、確認させてください。 ◎副市長(加部裕彦君) 児童虐待の虐待相談の窓口移転に伴います関係部署との連携についてお尋ねでございます。現在のこども相談の窓口は、令和2年4月から旧小田原看護専門学校に開設いたします(仮称)おだわら子ども教育支援センター内に移転する予定となっております。相談者の中には、児童への虐待だけではなく、配偶者からのDVや生活困窮など、他の問題を抱えている方もおられまして、相談の内容に応じて庁内各課や関係機関とともに対応しているところでございます。虐待相談の窓口が移転した後でございますけれども、関係機関との連携を図りまして、これまでと変わることのない相談業務ができるように努めてまいります。 ◆9番(角田真美君) 要望として、センター開始の来年4月以降も、これまでと同様の連係プレーというものができるようによろしくお願いしたいと思います。 さて、続いての再質問に移ります。これも大項目2(2)児童虐待についてです。 11月半ばに会派の視察で愛知県一宮市へ行きました。視察目的が駅前開発についてのため、一宮駅前にあるiビルという建物を見学しました。ふと気づくと、「189(いちはやく)」という3けたのオレンジ色の大きな横断幕がビルのど真ん中にありました。この「189(いちはやく)」という電話番号。全国どこからかけても近くの児童相談所につながることになっています。かつては何けたもあり、有料でもありました。平成27年からは、それをだれにでも覚えてもらえる3けたのごろのいい「189(いちはやく)」にし、無料でかけられるようにもなっています。例えば「同じマンションの上のほうで、子供の激しい泣き声がする」、「虐待かもしれない」など、具体的ではない情報を寄せても大丈夫だそうです。児童虐待を早い段階で救える可能性の高いこの電話番号を、少しでも多くの人に知ってもらうために、一宮市の横断幕のように、だれの目にもとまりやすい方法は有効であると感じました。現在、本市では「189」という3けたの番号を伝えるために、どのような周知方法がとられているのでしょうか。 ◎子ども青少年部長(北村洋子君) 児童相談所全国共通ダイヤル、「189(いちはやく)」の周知方法についてお尋ねがございました。本市では、ホームページへの掲載やポスター掲示などを行い、児童相談所全国共通ダイヤル189番を御案内しておりますほか、11月の児童虐待防止推進月間には、市内の保育所、幼稚園、小・中学校、子育て支援センターなどに対し、リーフレットを配布しております。また、189番だけではなく、市のこども相談の窓口につきましても、広報紙やホームページで周知・案内を行っているところでございます。 以上でございます。 ◆9番(角田真美君) 児童虐待ですが、例えば父親・母親自身が親からの虐待を受けた経験がある、また、孤独な子育てを強いられているなど、保護者側の要因、子供側の要因、養育環境の要因など、さまざまな要因が複雑に絡みあって起こるとも言われており、個人の価値観や養育環境が多様化している近年では増加傾向にあると伺っております。市として、このような複雑に絡み合う要因をどのように解きほぐし、今後どのような対応をされていくのかを伺います。 ◎市長(加藤憲一君) 児童虐待のふえ続ける今後に対して、どういった対応をしていくのかということでございました。この問題は、その事件の発生だけではなく、繰り返し、その後の取り扱いも含めて、ほぼ毎日何らかの形で報道がされているわけでございまして、それに触れるたびに、子供たちの悲痛な叫びが聞こえてくるようで非常につらく、また胸が痛む毎日だというふうに思います。また、そういったものが増加してくる傾向については、本当に暗たんたる気持ちにとらわれてしまう思いでございます。この児童虐待に関する相談件数は増加するとともに、御指摘のとおり複雑化しておりまして、国においては、昨年度から「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」に取り組んでおり、その中で、市町村における相談体制の強化を求めているところであります。本市といたしましても、来年3月に策定する予定となっております第2期小田原市子ども・子育て支援事業計画の中で、この「児童虐待防止対策の充実」を位置づけておりまして、今後、相談や支援体制の充実を図ってまいりたいと考えております。 また、加えてでありますけれども、働くことの忙しさですとか、とかく閉じがちな人間関係がある中で、虐待に至ってしまうような親世代の状況に目を向けていきますと、やはり近隣地域とのかかわり合いを通じた、声をかけるですとか、励ますですとか、こういう地域みんなで子育てを支えていくような、そういう地域のありようも、これからますます重要になってくるのではないかと私は考えております。そういった意味からも、地域コミュニティやケアタウンといった取り組みの中でも、特に今後意識をしていくべきテーマではないかと考えているところでございます。 以上です。 ◆9番(角田真美君) 親世代が子供のことを育てていく中で、いろいろ悩みを抱えながらということは、私自身も経験しておりますので感じております。私も、子供が小さいころは子ども会に入会して、地域の方々と顔の見える関係を築いていくことで、いざ何かあったときには助けていただけるのではないかという思いで役員なども引き受けた、そういう経験がございます。そうしたことを親世代にもこれから理解を促して、なるべくそういう形で展開を考えてもらいたいというふうに思っております。 さて、人員をそろえる体制づくりが最優先になるという予算のとり方なども、それは重々わかっております。しかし、児童虐待は、今こうして議論しているときでも、どこかで起きているかもしれません。虐待を受けている子をいち早く救うためにも、体制づくりを待つことなく、一宮市で私が目にしたような、だれの目にも一瞬で目にとまるような、そういう横断幕を至急掲げてみてもいいのではないかと、ここで強く要望もしておきたいと思っております。 最後に、先日、12月7日に大井町で行われた「人権を考えるつどい」の講演会「命の光を大きく輝かせるために」という講演を聞いてまいりましたが、その中で講師を務められた松崎運之助さんが語った心に残っている言葉を御紹介したいと思います。 心は日々の見守るまなざしの中で育つ。3歳の子供でも大人を支えることができるのです。命、光とも言える存在そのもので大人を励ましているのです。そうして最後に、「児童虐待などで死亡してしまうニュースなどに対し、どう思われますか」の問いに対し、「SOSを出すことは大事。出すことで響いてくれる、聞いてくれる人がいる。孤立してつぶれてしまわないようにつながってほしい。みんながSOSを出せる場所があるといいな」とおっしゃっていました。いつでもSOSを受けとめて寄り添い、「いのちを守る小田原」をさらに強く進めていただきたいと思います。 以上をもちまして、私の一般質問を終了します。 ○副議長(大川裕君) 16番楊議員、登壇願います。     〔16番(楊 隆子君)登壇 拍手〕 ◆16番(楊隆子君) 通告に従い順次質問してまいります。 大項目1、災害時の避難所運営について伺います。 毎年のように全国各地で地震・台風・大雨災害などの自然災害が多く発生し、大規模な被害をもたらしています。本年10月の台風第19号においても、台風としてはいまだかつてないと言われるような大規模災害であり、避難場所へ避難された住民が、ここ小田原市においても多い状況でした。このたびの質問では避難所運営に絞って伺ってまいります。 86カ所設置された避難所には、住民総計7118名が避難されたと伺っております。地元の小学校に伺いましたが、自治会長、日本赤十字社の方、市の職員たちなどが住民受け入れをされ、特に市職員の献身的な運営行動には頭が下がる思いがいたしました。避難してきた多くの住民たちが、受け入れ部屋を増加した際の机やいすを運ぶ、備蓄食料の提供など、率先してお手伝いをしてくださり、住民の力、地域の力、いわゆる共助の力を感じる場面に感動いたしました。 その中で避難所運営に関し気づいた点もありました。まず1点目は、体育館が雨漏りしている。トイレも和式トイレで高齢者が使いにくく、やはり洋式化は必要だと思いました。体育館が雨漏りしていたためか、2階、3階の特別教室を中心に使用し、使い勝手はよいのですが、足の悪い御高齢者などは、階段を上れないため、避難そのものができません。校舎内においても雨漏りしていた部分があり、また、窓のへりから横降りの雨が入り、職員が養生テープなどでふさごうにも切りがない状態でした。廊下やトイレが水浸しで滑りやすく、転倒予防のためにも何度もふいてまいりました。 2点目に、学校関係者が不在だったために、物の場所や勝手がわからずに困り、住民の方々からも、学校関係者が一人でもいてくれたら助かるとの要望の声も伺いました。 3点目に、MCA無線機は自治会長宅と学校に設置されておりますが、充電切れの可能性もあり、いざというときに使用できなくては困りますので、学校においては日常から確認の必要があると考えました。 4点目に、避難者の中には、大雨の中、やっとの思いで避難してきたにもかかわらず、避難所がいっぱいだったとあきらめて、自宅へ帰られた方もおられたと伺いました。その道中に、雨や風で被災されたら目も当てられないと思いました。 5点目に、住民のニーズがさまざまであったと見てとれました。 災害発生時には、すべてのことを臨機応変に対応しなければならず、住民の協力の力もおかりしながら、それぞれの実情に対応していく場面がたくさんあります。病人や負傷者も出てくる可能性もあります。 1日滞在しただけで、自分が感じたいろいろな課題が浮き彫りになりましたが、さきに述べた点は、壊れているところは修繕で、無線機の充電については日常的な確認作業でできますし、市と住民により、日ごろの訓練や確認していくことで改善につながると考えますが、本市は今後どのように備えていかれるのか、1点目にお伺いいたします。 このたびの避難所においての住民の滞在は、その日のうちか、一泊で朝にはお帰りになりました。今後いつ起こるかわからない災害発生時の避難所生活がこれ以上長引くようになれば、住民の不安、疲労とストレスがさらに広がり課題も大きくなります。御高齢者、障がいのある方、妊婦や小さな子供たちを含めた要配慮者への御対応については、他の議員たちが質問いたしましたが、臨機応変な対応の必要性とともに、長い避難所生活ゆえに、男女共同参画の視点を踏まえての運営がさらに重要になると考えます。 本市において本年「人権」をテーマに講演会が開かれ、災害時、避難所での女性の視点の現場の状況も伺うことができました。とても有意義な内容でありましたし、もっと大勢の方々に聞いてほしかったと思いました。 2点目の質問として、災害発生時の避難所生活における男女共同参画の視点について、本市はどのようにお考えになるのかをお伺いいたします。 大項目の2、小田原市の生活困窮者自立支援制度について伺います。 平成27年4月に施行された生活困窮者自立支援制度は、経済面や精神的な問題など、さまざまな理由で生活に困窮する人たちの相談を自治体が幅広く受け入れて、就労などの必要なサービスにつなげていく制度です。本市においても、一人一人の状況に合せた支援プランを作成し、専門の支援員が相談者に寄り添いながら、他の専門機関と連携して問題解決に向けた支援を行っています。住宅確保給付金事業や子供の学習支援事業、家計相談支援事業など、さまざまな事業を行われておられるとのことですが、初めに、これまでの本市の取り組みについてお伺いいたします。 自立に向けた就労支援、また、子供たちの学習支援による心の成長や高校進学状況、支払いに負われて経済的に安定できない方への家計改善支援など、この事業がスタートし、4年が経過しましたが、これまでの本市の成果と課題についてお伺いいたします。 大項目3、いじめ防止対策について伺います。 国において平成25年、いじめ防止対策推進法が施行されました。いじめや不登校、自殺の件数は年々増加傾向にあります。文部科学省の調査によりますと、全国の小中高などで平成30年に認知されたいじめは、前年度より約13万件増加し、54万3933件と過去最多を更新したことがわかりました。特に小学校では前年度より3割増加し、心身に大きな被害を受けるなどの重大事態も602件で過去最多となりました。 こうした傾向について文部科学省は、以前は悪ふざけの範囲内と考えられていたものでも積極的にいじめと認知し、早期に対応している結果と分析している傍ら、深刻なケースが急増していることも事実で、自殺者も332人、うち9人はいじめが原因であったと報告されています。このほか、小・中学校の不登校児童・生徒数も過去最多の16万4528人であり、深刻な数字と受けとめ、さらなるいじめ防止対策等の推進が重要であると考えます。 ここで初めに、小田原市の現状として、小・中学校の過去2カ年におけるいじめ認知件数と不登校児童・生徒数をお聞かせください。 「小田原市いじめ防止基本方針」の中から、平成16年に制定した「小田原市教育都市宣言」においては、「一人ひとりが、尊い命です。心身ともに健康で思いやりのある人の育成に努めます」と宣言。平成19年には「おだわらっ子の約束」を制定され、「どんな命も大切にします」、「優しい心で みんなと仲良くします」等を掲げられております。 第5次総合計画では、「いのちを大切にする小田原」をまちづくりの目標とし、平成23年には「小田原市人権施策推進指針」を策定し、「誰もが人として大切にされ、共に生き、支え合う まちづくり」を目指し、これらを踏まえて、市内各学校においては、いじめ問題を含めた児童・生徒指導についてさまざまな取り組みを進められ、平成26年には「小田原市いじめ防止基本方針」を策定、その後改定され、そのポイントの中には、いじめの理解の促進、学校の組織的対応の強化、児童・生徒の状況に応じた支援・指導の徹底、家庭・地域との連携強化などが掲げられており、すべて大切なことだと考えます。 子供たちにとっては、家庭のほかの日常を過ごす大半は学校という場所です。いじめられたり、心の居場所がなくなることは本当に悲しくて、寂しいつらい毎日となり、つらい子供時代を過ごすことになります。家庭や保護者、地域、そして学校が大事になりますが、この質問では学校について質問となります。いじめ防止対策として、学校での対応と対策についてお伺いいたします。 大項目の4、小田原市公立幼稚園・保育所の今後のあり方についてお伺いいたします。 先日、秦野市の認定こども園を視察させていただきました。また、平成31年3月に本市が策定した「小田原市公立幼稚園・保育所の今後のあり方」を読ませていただき、近年、就学前教育・保育を取り巻く状況が大きく転換していることを強く感じ、一般質問させていただくことにいたしました。 本市の歴史をさかのぼってみても、小田原市の就学前教育・保育は、従前から民間施設を中心にして取り組んでこられ現在に至っています。本市にとっても、近年の大きな課題である待機児童解消においても、民間の力の取り組み中心に保育の受け皿を確保しており、これまでの大きな功績があり、今後もますます期待されるところです。 一方、公立施設は、昭和40年から50年代の児童人口が急増したところに、量と区域の不足を補うことを目的に整備されてきましたが、現在では、施設の老朽化や、幼稚園では園児数の減少が深刻な問題となっています。 本年10月よりスタートした「幼児教育・保育の無償化」制度に関する実態調査を、全国の公明党議員が各地の利用者や事業所を対象に聞き取り調査運動を実施し、中間報告を発表いたしました。結果は、利用者の約9割が幼児教育無償化を「評価する」とし、取り組んでほしい政策の問いに対しては「保育の質の向上」との答えが最も多い結果となりました。事業者に対しては、「保育の質の向上のために必要なことは何と考えるか」との問いに対して、第1位は「保育士等の処遇改善」、2位が「スキルアップ」、3位は「配置改善」とありました。また、さらに事業者に対して「安定的な経営のために期待する政策は何か」との問いに対する結果は、「人材の育成・確保への支援」を求める要望が圧倒的に多く、次に「事務負担の軽減」、そして「運営費の補助」との切実な声でした。自由記述の中には、「認可保育所の質は高く、不満はないが、保育士の年収が余りにも低く理不尽を感じた。地位と収入の向上に努めるようにお願いしたい」などの声が寄せられました。 都市部を中心に、待機児童の解消のための受け皿確保が依然として喫緊の課題となっており、国においては、女性の就業率80%に対応できるよう、平成29年に子育て安心プランを発表し、地方自治体は保育所の積極的な推進を行っているところです。また、将来予測として、少子化が進む一方、女性の就業率はますます上昇する中で、保育ニーズは今後も増加した後に横ばいで推移するとしていますが、幼稚園ニーズは大きく減少するという見通しを示されています。 こうした中で、本市の就学前教育・保育の状況については、「小田原市公立幼稚園・保育所の今後のあり方」において、保育ニーズは平成37年度から平成42年度の間にピークアウトを迎える予測や、幼稚園ニーズの低下を予測しているところです。 そこで、本市の就学前教育・保育についてお伺いいたします。本市における就学前教育・保育の現状と課題をどのようにお考えになっているのかお伺いいたします。 また、「就学前教育・保育の重要性への関心の高まり」や「乳幼児期の教育に投資する世界的な動向」、「乳幼児期の遊びを通じた主体的・対話的で深い学びへの転換」などがさまざまな研究により指摘されていると伺っておりますが、質問の2点目に、本市の就学前教育・保育の目指す姿と、また、本市が目指す就学前教育・保育の実現に向けた取り組みについて、どのようにお考えになるのかお伺いいたします。 また、「小田原市公立幼稚園・保育所の今後のあり方」には「公立施設が果たす役割」として5項目が掲げられていますが、小田原市のすべての就学前の子供たちの豊かな学びと育ちを促すために、私は特にこの2点が重要ではないかと考えます。 1点目は、「就学前教育・保育の一体的な実践に基づく研究機能としての役割」です。これまで公立の幼稚園・保育所が取り組んできたノウハウを市全体に広げ、市の就学前教育・保育のさらなる質の向上に向けて果たすべき役割は大きいと思います。 2点目として、「地域の子育て支援の拠点としての役割」です。昨今の幼児や保護者を取り巻く状況として、虐待防止の面も含めて、民間施設と連携して子育て支援の役割はますます重要になると考えます。 このような役割を具体的な形として推進していくためには、「小田原市公立幼稚園・保育所の今後のあり方」にもありますように、公立において認定こども園を整備することが有効ではないかと考えます。 認定こども園の主なメリットとしては、就学前の子供に対し、教育・保育を一体的に提供できることや、親の就労形態の変動によって転園や退園することなく、従前どおりの通園ができることが挙げられます。 先日の秦野市の公立認定こども園の視察の際には、それだけではなく、認定こども園が地域の子供の拠点になっている様子を見て感銘を受けました。そして、園長からの言葉の中に「長い間ずっと根づいているのは、子供は皆平等であり、どこでも同じ教育・保育を受けられるべきだ」という言葉が私の心に残っております。保護者の就労状況にかかわらず、子供を受け入れ、質の高い教育・保育を一体的に行う機能を持つ認定こども園が、公立として本市においても整備されるべきではないでしょうか。 質問の3点目に、本市の公立幼稚園・保育所が果たす役割と、それを踏まえた認定こども園の整備についてどのように具体化していかれるのか、本市のお考えをお伺いして、登壇しての質問を終わります。(拍手) ○副議長(大川裕君) 市長、登壇願います。     〔市長(加藤憲一君)登壇〕 ◎市長(加藤憲一君) 16番楊議員の御質問に順次お答えをいたします。 初めに、避難場所での課題に対する備えについてお尋ねがございました。台風第19号を経験し、市の職員や地域の皆様などに台風に関する振り返りを行っていただき、御質問の中にもありましたような、さまざまな課題があると私どもも認識しております。この課題につきましては、今後、地域、関係部局等と調整・協議を重ねまして、課題の解決に向けて進めてまいりたいと考えております。 次に、避難所生活における男女共同参画についての御質問がございました。市では、間仕切りや授乳スペースの設置、男女別の洗濯物干し場、女性専用物資の配布など、女性や子育て家庭への配慮が必要なことを認識し、各避難所へのパーテーションの整備等を行ってまいりました。また、今年度「過去の災害から学ぶこれからの地域防災~ジェンダーの視点で考える~」をテーマに開催いたしました「人権を考える講演会」では、災害から受ける影響には男女で違いがある点に着目し、社会的要因による災害時の困難を最小限にする取り組みが重要であるとのお話を伺ったところでございます。避難所の開設、運営体制づくり、避難所運営の各プロセスにおいて、男女がともに取り決め、ともにやること、意思決定への女性の参画に取り組むことの重要性を改めて認識したところでございます。 次に、生活困窮者自立支援制度の取り組みについての御質問でございました。本市では、平成27年4月に施行されました生活困窮者自立支援法に基づきまして、相談支援員や就労支援員、家計改善支援員、就労準備支援員を配置し、各種事業を実施しております。相談者が抱える心身の不調や就労、家計の課題、家族の問題等のさまざまな課題を広く受けとめ、各支援員がそれぞれの専門性を生かしながら、必要な情報の提供や助言を行いますとともに、公共職業安定所や社会福祉協議会など関係機関と連携し、支援を行っております。また、子供の学習支援員事業にも、貧困の連鎖防止や、学校や家庭以外の子供の居場所づくりとして取り組んできたところでございます。 次に、この生活困窮者自立支援事業の成果と課題についてでございます。成果といたしましては、事業開始以来、相談者が「制度の狭間」に陥らないよう、幅広な相談サポート体制をとり、相談者の多様な課題への支援ができるようになったことがございます。また、平成29年10月に社会福祉協議会の福祉まるごと相談事業がスタートいたしまして、複層的な相談体制が図られ、早期に支援がつながるようになってきたと考えております。学習支援事業では、参加生徒の学習に取り組む姿勢の定着や、すべての中学3年生が高校に進学するという目標が達成できております。現時点での最大の課題といたしましては、中高年の引きこもりや複合的な課題を抱える相談がふえていることでございます。 16番楊議員の御質問のうち、いじめ防止対策につきましては、この後、教育長より御答弁申し上げます。 次に、本市の就学前教育・保育の現状と課題についての御質問でございます。少子化の進展や女性の就業率の上昇など、乳幼児を取り巻く環境が大きく変化する中で、公立保育所におきましては、保育ニーズの増加への対応が求められており、一方、公立幼稚園では、園児数の減少に対し、適正な集団規模を確保する必要があります。また、いずれの施設も老朽化が深刻な問題となっておりまして、環境の改善が課題となっております。さらに、新しい「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」に沿った教育・保育の質の確保や、特別な支援を必要とする子供が増加していること、小学校との切れ目のない接続がより一層求められていることなど、さまざまな課題への対応が求められております。 次に、本市の就学前教育・保育の目指す姿についての御質問でございます。平成31年3月に策定いたしました「小田原市公立幼稚園・保育所の今後のあり方」におきましては、就学前教育・保育は、保育者の援助やかかわりにより、安心して過ごすことができる環境のもと、子供一人一人の主体性が尊重され、遊びや生活を通して学ぶ力や生きる力の基礎がはぐくまれることが大切であるとしております。その上で、就学前から小学校、中学校に至るまで一貫した考え方を共有し、本市の目指す子供像であります「未来を創るたくましい子ども」に向けまして、子供の発達段階に応じた適切な教育・保育を行うことを目指してまいりたいと考えています。 次に、本市が目指す就学前教育・保育の実現に向けた取り組みについての御質問でございます。子供自身が主体性を発揮しながら成長していくためには、子供の興味・関心をとらえた保育者による適切なかかわりと環境づくりが不可欠でありまして、本市の公立保育所や幼稚園では、子供がみずから遊びに向かうような遊びの場づくりや、保育者が子供に声をかけるタイミングなどを意識し、日常的に取り組みを行ってきております。さらに、今年度は、玉川大学の大豆生田啓友教授をコーディネーターに迎えまして、公立・民間の保育所や幼稚園の枠組みを超えた意見交換会を開催し、現場での実践事例を学びながら、日ごろの取り組みに対する振り返りを行ったところ、幼児教育の質を改めて考え直すよい機会として、参加者からも好評をいただいたところでございます。 次に、公立施設が果たす役割と認定こども園の整備についてでございます。本市の就学前教育・保育は、従前から民間施設が中心となって取り組まれてきておりまして、公立保育は、その量的・区域的な不足を補う役割を担ってまいりました。今後は、将来の児童人口の減少を見据えた施設機能の見直しに加えまして、就学前教育・保育の重要性の観点から、市全体の質の向上を支えるための役割が大変重要になると考えています。こうした役割の実践拠点といたしまして、幼稚園・保育所の機能をあわせ持つ認定こども園は最適な施設であると考えており、公立施設の統廃合を踏まえながら、認定こども園の整備を進めてまいりたいと考えています。 以上をもちまして、16番楊議員の御質問に対する私からの答弁とさせていただきます。 ◎教育長(柏沼行雄君) 16番楊議員の御質問のうち、いじめ防止対策につきましては、私から御答弁申し上げます。 初めに、本市の現状について御質問がございました。本市のいじめの認知件数は、平成29年度は小学校115件、中学校94件、計209件、平成30年度は小学校479件、中学校194件、計673件となっております。認知件数の増加は、国・県と同様の傾向でございまして、市内の小・中学校においても、いじめを初期段階のものから積極的に認知していこう、その解消に向けて取り組むことが何よりも重要であると、そういう理解が進んできていたためととらえております。不登校児童・生徒数は、平成29年度は小学校84人、中学校153人、計237人、平成30年度は小学校94人、中学校224人、計318人となっております。 次に、学校における対応と対策についてお尋ねがございました。各校では、「学校いじめ防止基本方針」に基づき、人権を尊重し、一人一人を大切にする教育を推進するなどの未然防止に取り組むとともに、日常生活の様子に目を配り、アンケート調査や個人面談を行うことによって、児童・生徒の状況を把握するなどの早期発見に努めております。また、「いじめ防止等のための組織」を常設しておりまして、いじめを認知した場合は、早期対応と解消に向けて、特定の教職員で問題を抱え込まず、組織的に対応しているところでございます。 以上をもって、16番楊議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ◆16番(楊隆子君) 一定の答弁ありがとうございました。 まず、災害時の避難所運営についてですけれども、避難所で宿泊が長くなる避難所生活については、男性も女性も含めて、さまざまな視点を踏まえた運営が大切であることはもちろん前提に再質問させていただきます。 東日本大震災や熊本地震でも、女性が率先して活躍している避難所は、長い避難所生活の場合に、着がえや授乳などが気兼ねなくできる女性専用スペースなどの設置など、配慮がある環境が素早く整えられました。また、日常から男女共同参画の取り組みに力を入れている地域では、避難所で女性たちのニーズが生かされやすかったとの事例も報告されております。女性の視点を生かすということは、女性だけではなく、子供や高齢者、生活者の視点を生かしていくことにもなると考えられますので、地域の防災力向上に重要なことであると思います。今後、災害が起こる可能性もあることをかんがみて、いざというときにその力が発揮できますよう、男女共同参画、生活者の視点がどうして必要なのか、引き続き、講演会やワークショップなどで学んでいくことや、地域防災の取り組みに女性が主体的に参画していくべきであると考えますが、本市のお考えをお伺いいたします。 ◎副市長(加部裕彦君) 16番楊議員から再質問をいただきました。過日、16番楊議員も11月の人権講演会に御参加になっていたなと思いまして、それを踏まえて、またこういう御質問を出してただきまして大変ありがたく思っております。 地域防災への女性の主体的な参画についてでございますが、地域防災への女性の主体的な参加を実現するためには、市の地域防災計画にも位置づけられておりますように、自主防災組織における女性防災リーダーの育成などが考えられます。また、広域避難所の運営に対しましても、女性の意見を取り入れるため、男女共同参画の視点を踏まえたものとする必要があると思っております。さらに、民生委員は女性が多いわけですけれども、民生委員が地域防災活動に参画することも有効であると考えております。防災に限った話ではございませんが、さまざまな場面で女性が個性豊かに活躍できる社会の実現を目指し、今後も各種事業を実施してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆16番(楊隆子君) ありがとうございます。 この話をするたびに何回も言ってしまうのですけれども、ハンドブックで以前も提案させていただいたことがございますが、女性が読みやすい防災ブック、東京都のハンドブックはとてもわかりやすくて、女性が見るということは、半数の方が女性で、とてもわかりやすくて、備えにとてもいいし、勉強になるような手にとりやすいものだったのですが、そういう「東京くらし防災」などの防災ブックなどをモデルに、手にとりやすくて読みやすいものをつくっていただくことができないでしょうか。日ごろからの意識啓発や心構えにつながるのではないかと考えますが、もう一度考えていただけないでしょうかお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 女性が読みやすい防災ブックの作成について御質問をいただきました。近年発生している大規模災害の経験から、女性の視点を生かした防災対策の必要性は非常に高まっております。女性向けの資料で防災意識が高まることはとても重要なことだというふうに考えております。女性が資料を手にとることで、例えば広域避難所運営委員会や避難所の運営に参画していただいて、男女共同参画の視点、あるいは生活者の視点を踏まえた運営につながることが期待できるというふうに考えております。そこで、既に御紹介もありましたように、こういった女性の視点を生かした資料を作成して活用している例もございますので、これを参考に資料の作成を進めてまいりたいというふうに考えております。 以上です。 ◆16番(楊隆子君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 それでは、次の質問に移ります。生活困窮者自立支援制度についての再質問をさせていただきます。まず、この支援の相談体制はどのようなものであるのか。さまざまなケースがあると思いますが、支援が必要な方に関係のある各部署との連携体制をどう図っておられるのかお伺いいたします。 ◎福祉健康部長(山崎文明君) 生活困窮者自立支援制度における本市の相談体制と関係機関の連携について質問がありました。まず相談体制でありますけれども、先ほど市長から答弁申し上げましたとおり、相談者が「制度の狭間」に陥らないよう、幅広な相談サポート体制により行っているところでありますが、相談者が抱える課題は多様で複合的でございまして、まずは、各支援につなげる前に、相談支援員が全体として課題を受けとめ、整理し、生活困窮者自立支援事業のほか、必要な支援につなげているところでございます。なお、連携でございますけれども、そのつなげていく際には支援員が同行いたしますほか、支援開始後には、支援検討会議を開催いたしまして、関係課で情報共有を図りながら効果的な支援につなげているところでございます。 以上でございます。 ◆16番(楊隆子君) 例えば、もともとはお仕事をされていた方が病気やけがなどで長期休業し、職からしばらく離れていた方などが、社会復帰するために御相談される場合もあると伺っていますが、まずは中間的就労の場、すぐに働くことができない方に、経験や体調に合わせて、例えば畑の収穫などの職業体験をしてもらうなどの、そういう提供など含めて、自立や就労に向けた支援の充実と、さらなる強化をしていく取り組みをお伺いいたします。 ◎福祉健康部長(山崎文明君) 長期に離職をされていた方への就労支援についてのお尋ねでございました。病気や親の介護など、さまざまな理由で就職ができていないことから、就労支援員が面談を重ねながら、相談者の生活や経歴、経済状況等をしっかりと把握をいたしまして、情報提供や助言を行っているところでございます。さらに、具体的には履歴書の書き方指導や模擬面接、ハローワークへの同行支援など、きめ細やかな支援を行っているところでございます。また、直ちに就労することがなかなかハードル高い、そういった相談者に対しましては、中間的就労支援事業を活用いたしまして、生活習慣の確立や社会参加を促す場の提供など、就労に向けた準備への支援を実施しているところでございます。 以上でございます。 ◆16番(楊隆子君) 市の職員、専門員などが、相談者の皆さんの御本人や御家族へも話をされている、まずは傾聴するというところから、自立した暮らしを送れるようにサポートしていくことをされていると伺っています。一人で悩まずに、まずは御相談くださいという姿勢はすばらしいと思います。やはり機械とかITとかではなくて、人が人をという、人でなければできないことだと思いますし、なかなかすぐに結果につながりにくいこともある、そういう場面も多いかと思うのですけれども、ぜひ、学習、就労、それから生活の相談など、一人の人が一歩でも前進、少しでも開いていけることができれば、本当にその人たちの自信につながったり、本当にすばらしいことだと思いますし、それはまた市にとってもよいことだと思いますので、さらなる取り組みをこれからもよろしくお願いしたいと思います。 次に、いじめ防止対策についての再質問なのですけれども、先ほど御答弁いただきました。市内の小・中学校における、まずいじめの発見のきっかけについてお伺いいたします。 ◎理事・教育部長(内田里美君) 市内小・中学校におけるいじめの発見のきっかけについて御質問がございました。小学校では、学級担任を中心とした教職員による発見、本人からの訴え、アンケート調査、保護者からの相談が主なきっかけとなっております。生徒同士のトラブルが表面化しにくくなる中学校におきましては、アンケート調査、個別面談等による本人からの訴えが主なきっかけでございます。 以上でございます。 ◆16番(楊隆子君) まず基本は、家庭というか保護者たちが、されて嫌なこととか悲しいことはしないとか、反対に、励まされてうれしいねとか、あいさつすると気持ちよくて、あいさつを返されるとうれしいけれど、無視されると悲しいねとか、家の中とか、また地域の中でいろいろ育っていくものだと思うのです。やはり学校の中では集団生活で、人と人との人間関係を学んだりして成長していく場ではあるのですけれども、いじめなどで苦しい思いをする場合もすごくあって、自分を守るために、学校においては、一番は先生がどこでも頼りかなと思います。助けを求める力、助けて、困っているのだよということとか、嫌なことをされたらノーと言う勇気など、自分で思っていることを言葉で伝えていかれることが本当に必要だと思うのですけれども、日常から教育現場で伝えるということがとても大事ではないかと思いますが、この点は教育長にお伺いしたいと思います。 ◎教育長(栢沼行雄君) 助けを求める力、これをつけていくことについての考え方ということでお尋ねがございました。16番楊議員御指摘のとおり、この助けを求める力を身につけていくことは、自分で自分の命をしっかりと守ることにつながる、このように思っておりますし、大変重要なことであるというふうに考えます。学校では、子供たちが自分の思いあるいは考えを進んで表現できるよう、すべての教育活動の中で互いにそれぞれ自分の考えを伝え合う機会、そういったものを意図的・計画的に設定しております。また、すべての子供に対し、いじめをだれかに知らせる勇気を持つことの大切さも指導しているところでございます。しかしながら、お子様によっては、自分の思ったこと、考えとか、伝えたいことをそのまま言葉で伝える、先生に友達に家族に、それもできないような、そういうお子さんもいらっしゃいます。助けを求める力をそういう子につけていくためには、助けを求める方法といいますか、例えば、言葉では直接言えないけれども、書いて手紙で渡すことはできるとか、あるいは日記で書いて見てもらうことはできるとか、あるいは電話ならばそこに助けを求められるとか、あるいはSNSとか、そういった助けを求めるいろいろな手だてが、その子によってやはりできるできないがあると思うのです。そういったことも学校教育の中でいろいろな手法を子供に伝えて、その子なりに自分ができる、助けを求める力をその子なりにつけていく。そういったことが非常に重要なのかなと、そのように思います。 以上です。 ◆16番(楊隆子君) どうもありがとうございました。 過日、いじめや不登校のことについて、元教員だった3番清水議員や4番小谷議員も質問されておられました。教育長もおっしゃっていられましたが、いじめの認知件数というのは、もしかしたらこれがすべてではなくて、いじめられていることを、特に高学年に上がったりすると、親にも、ましてや、どんなに信頼している担任の先生にも、自分がいじめられているなんて恥ずかしくて言えなかったり、また自尊心が傷ついたり、恥ずかしい気持ちはわかるのです。言えない子が絶対たくさんいるのではないかなと思うのです。それがそのまま全部とは言えませんけれども、不登校の原因になったり、先日も3番清水議員が質問されておられました。いじめのほかにも原因はあると、昨日も御答弁を伺っていてありましたけれども、人間関係のつまずきとか、やはり学校に行くのがつらいのは友達とのことが一番多いのではないかなと思うのですけれども、その原因は大いにあると思うのです。自分の心の居場所がなくなってしまったり、心が傷ついたり、自分が否定されたりすること、そういうふうなさまざまな原因で不登校になってしまうこともあるのではないかと思います。また、それがそのまま引きこもりにつながってしまう場合もあります。成年や壮年期になっても、過去の子供のときのトラウマなどで人の中に入っていけなかったりする方、また自殺まで考えておられる方もいらっしゃるし、いわゆる8050問題につながる可能性もあるのではないかと思います。いじめ、苦しんでいる初めの段階、教育長がおっしゃいましたけれども、まずは相談できることが本当に大事だなと思うのです。 いじめられていると言えない子供はたくさんいる思うのすけれども、私も4番小谷議員と同じ提案をさせていただくのですが、多くの若者が利用しているSNSのLINEなどで、今、神奈川県でも試行的に実践されているということなのですけれども、効果が上がっている、利用した子供たちの8割以上がよかったと言っている。余り効果がなかったという人が7%か8%だったと記憶しているのですけれども、そのように、いじめの悩みなどを相談しやすくなるのではないかなと考えるのですが、いろいろ課題があるというのは先日も伺っていて思ったのですけれども、本市で今後導入していくことはできないのかお伺いいたします。 ◎理事・教育部長(内田里美君) 県で実施しました「SNSいじめ相談」を本市で導入できないかという御質問でございました。今年度の8月末から9月にかけての4週間、期間限定ではございますが、県内の全中高生を対象に、県教育委員会が「SNSいじめ相談」を実施したことは承知しております。11月に公表されました実施結果によりますと、先ほど16番楊議員の御指摘がありましたとおり、終了後のアンケートで回答した生徒につきましては、「SNSいじめ相談」を評価しているということから、ニーズがあることは理解しております。現在のところ、小田原市教育委員会として、「SNSいじめ相談」に取り組む予定はございませんが、子供自身が相談できる窓口として、「SNSいじめ相談」を利用することは有効ととらえておりますため、県教育委員会の動向を注視いたしまして、周知等について協力していきたいと考えております。 以上てす。 ◆16番(楊隆子君) わかりました。もちろん、相談できたらそこがゴールではないのですが、だれかに苦しい胸の内を伝える勇気が出て持っていけることができることが、まずすべての第一歩かなと思います。そこで気が楽になったり、また、アドバイスを受けて勇気を出せるかもしれないし、また、考え方にヒントを得たり、解決に少しでもつながっていけば、もう最高だなと思います。生きる力や命を大切にすることなどの応援になればすばらしいと思いますので、それでは県のほうで、どこで相談しても相談ができるのですので、アピールしていただいたり、また動向を見て御検討いただければと思います。ありがとうございました。 最後に、小田原市の公立幼稚園・保育所の今後のあり方について再質問させていただきます。 まず、認定こども園の開設に向けた幼稚園教諭と保育士との相互理解や、また資質やスキルの向上への取り組みについて伺ってまいります。
    ◎副市長(加部裕彦君) 認定こども園の開設に向けた取り組みについてでございますが、幼稚園は現在、教育委員会、それから保育所は子ども青少年部が所管しておりますが、認定こども園の整備に向けましては、組織の統合化が必要ではないかと考えております。現在、組織の統合化に向けて課題の整理に着手しておりますけれども、具体に進めてまいりますためには、幼稚園教諭と保育士が合同研修や教育・保育共通カリキュラムの作成作業などを通じまして、相互理解を深めていくということが大変必要だと思っております。さらには、公立・民間の保育所や幼稚園の枠組みを超えた意見交換会、大学との連携による教育・保育現場へのアドバイザーの派遣などの取り組みによりまして、保育者のスキルや意識の向上を図ってまいりたいと考えております。 ◆16番(楊隆子君) 今の段階で、公立の認定こども園はどの地域に整備するお考えなのかお伺いいたします。 ◎子ども青少年部長(北村洋子君) 公立の認定こども園の整備区域についてお尋ねがございました。今年度策定作業を進めております第2期小田原市子ども・子育て支援事業計画では、令和2年度から令和6年度までの5年間を計画期間といたしまして、幼児期の教育・保育の量の見込みに対して、不足が生じないよう確保策を定めることとしております。この中で、この計画における受け皿確保策の一環として、市域を4分割したうちの川東南部及び川西北部、こちらに公立の認定こども園の整備を想定しているところでございます。 以上でございます。 ◆16番(楊隆子君) 新しい事業を始めるときは、たくさんの課題が出たり、乗り越えていかなければならないことが多いと思いますけれども、秦野市の視察の際に伺った言葉がありました。大人側は、認定こども園がスタートする前は何度も話し合い、どうしたらよいのかとの不安もありましたが、子供たちには全く壁がなかった、スタートしたらとてもスムーズだったということをお伺いいたしました。 また、小田原市は公立よりも民間保育所が圧倒的に多くて、貢献してこられた民間保育所、これまでも、そしてこれからも、今まで以上に大切にしていかなければいけないし、さらなる発展をしていただきたいですし、民間事業所圧迫はしてはならないと思います。その上で、子供たちにとって豊かな学びとともに、保護者の子供を預けたいというニーズ充足をどちらもかなえられる認定こども園の実現、公立としての使命を果たしていただきたいと要望して質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(大川裕君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後3時といたします。     午後2時40分 休憩-----------------------------------     午後3時0分 開議 ○議長(奥山孝二郎君) 休憩前に引き続き再開いたします。 2番鈴木議員、登壇願います。     〔2番(鈴木敦子君)登壇 拍手〕 ◆2番(鈴木敦子君) 本日、最後となります。通告に従い順次質問させていただきます。 初めに、大項目1、地域の福祉的課題等の解決について。 (1)地域包括支援センターについて伺います。 加藤市長は就任以来、一貫して「いのちを大切にする小田原」という政策指針を掲げ、地域コミュニティ施策やケアタウン構想などを進めてきました。地域の課題を解決する仕組みにおいても、地域運営を担うまちづくり委員会や、民生委員、社会福祉協議会との連携において、さまざまな施策を実施してきています。 一方で、国においては、2005年の介護保険法改正により、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関として地域包括支援センターが、地域ごとに高齢者の状態を把握し、介護予防の推進や、ひとり暮らしでの困り事の相談など、高齢者の生活を総合的に支えていくための場所として各市町村で設置されました。 国が示す基準では、主任ケアマネジャー、社会福祉士、保健師、または経験のある看護師など、3職種を最低各1人配置することとしています。 小田原市では2006年に、第一地区(城南・城山中学校区)、第二地区(白山・白鴎中学校区)、第三地区(泉・城北中学校区)、第四地区(酒匂・国府津・橘中学校区)、第五地区(鴨宮・千代中学校区)の5カ所が設置されスタートしましたが、2015年4月に、第六地区(緑、万年、幸、芦子地区)、第七地区(橘南、橘北地区)の2カ所が増設となり、7包括支援センターになりました。2017年までに市内12カ所に設置を目標に進め、現在では、名称を地区名に変えて、地域包括支援センターしろやま、はくおう、じょうなん、はくさん、ひがしとみず、とみず、さくらい、さかわ・こやわた・ふじみ、しもふなか、とよかわ・かみふなか、そが・しもそが・こうづ、たちばなの12カ所となっています。 包括支援センターについては、9月の決算特別委員会総括質疑でも質問させていただきましたが、六つの受託法人が、12の包括支援センターを地域に合った形で運営している中で、地域に即した運営ももちろん大切ですが、受託法人が違うため、12包括支援センターがばらばらで、なかなか共通の意識が持てない、課題解決の共有が難しいという声を伺いました。ある程度地域差があることはやむを得ないとしても、サービスの差があってはならない、何かしらのハブ組織が必要と考えたとき、12カ所の包括支援センターの権能や相互の連携を深めるためには、中央としての機能を持つ基幹型包括支援センターのような仕組みが必要なのではないかと考えます。 国の通知では、基幹型地域包括支援センターの設置について、地域包括支援センター間における地域課題や目標をセンター間で共有しながら、地域包括支援センターが相互に連携する効果的な取り組みを推進していくことを目的に位置づけられています。 そこで、小田原市として基幹型包括支援センターの設置についてどのように考えているのか。近隣市町村では南足柄市が基幹型包括支援センターを設置しているようですが、神奈川県内では基幹型包括支援センターのある市町村はどの程度あるのか、また、その成果があればどのようなものなのかお伺いします。 (2)地域の複合的問題への取り組みについて伺います。 先日、社会福祉士の団体が主催した「ソーシャルワークという名の希望」という講演とワークショップをお手伝いしました。その様子が12月の神奈川新聞に掲載されていました。「身近革命」の担い手という見出しがついており、講師である慶應義塾大学・井出英策教授は、「地域にある人的・制度的な資源を発見し、つなぎ、生かすことで、生きづらさを抱えた人の背後にある環境ごと変える仕事がソーシャルワーク」であり、それに携わるソーシャルワーカーは「身近を革命する人たち」だと訴えています。 ソーシャルワークとは、社会変革と社会開発、社会的結束、及び人々のエンパワーメントと開放を促進する実践に基づいた専門職であり学問であると言われています。代表的な専門職としては社会福祉士が挙げられますが、広義の意味でのソーシャルワーカー(社会福祉事業に従事する人の総称)では、勤務先に応じて呼び名が異なります。福祉事務所(高齢者や障がい者の福祉施設など)では「ケースワーカー」、「生活相談員」、病院では「医療ソーシャルワーカー」、児童福祉施設においては「スクールソーシャルワーカー(児童指導員)」などがあります。 ファシリテーターとして入ったワークショップのグループの中にも、ソーシャルワーカーと言える小田原の総括支援センターに勤務されているケアマネジャーがいました。例えば、このソーシャルワークという言葉一つとってみても、一般的にはまだまだ認知度は低く、学校などの教育の場で子供のときから知識として、また経験として知れば、もっと世の中は変わっていくのではないかといった意見もありました。さらに、地域包括支援センターにかかわる職員の方から聞き取りさせていただくと、包括支援センターとして高齢者対応に伺うと、8050問題に直面したり、不登校のお孫さんがいたり、生活困窮の問題を抱えていたりと、福祉的課題のみならず、問題は複合的で、包括支援センターでは手に負えないと思える案件が多いと伺いました。そういった場合は、ケース会議のようなものもあるようですし、社会福祉協議会の担っている地域での相談対応、協動のためのネットワークづくりを目的に掲げている福祉まるごと相談が当てはまるのだと思いますが、とてもよい仕組みではあると思います。ですが、現場の声を伺いますと、うまく機能していないのではないかという面もあります。例えば60代前半の相談者を、社会福祉協議会から、身体機能的には高齢者なので、包括支援センターに来てもらえないかと逆に相談されたり、認知症だと思うからと包括に相談に回ってきて、行ってみると、明らかに精神の病気だったなど、福祉まるごと相談に対しては、マンパワーと経験値が追いついていかないような事例も伺いました。 現場は、ああでもない、こうでもないという想定会議を必要としているのではなく、その先の現実に一歩進んだ一つ一つに対応する手だてを求めているのだと思いました。先ほど包括支援センターを取りまとめていく機能として、基幹型包括支援センターの必要性に触れましたが、もちろん、それはそれで大変重要であり、必要であると考えます。ですが、介護保険法に基づいて設置された包括支援センターが万能かといえば、不可能なことも多々あります。現場では、介護保険法、高齢者の枠を超えた問題が山積みだからです。今まさに市の中に、もっと広義の問題に対応できるソーシャルワーカー的機能が必要なのではないでしょうか。 地域の複合的問題に対しては、ソーシャルワーカーを配置するとか、せめて福祉部門の職員が窓口担当者となり、課題を分けて最適な部署につなぐ、そんな機能が必要ではないかと思いますが、市長の見解をお伺いします。 次に、鳥獣被害対策について伺います。 猿対策についてですが、鳥獣被害対策の質問は、小田原の課題として先輩議員が過去何回も質問してまいりました。私自身も地域の重要な課題として、平成25年6月議会、平成27年9月議会、平成28年9月議会と繰り返し行っており、継続して取り組んでおります。初めの質問から、みずからの質問を振り返ってみますと、毎回さまざまな角度から被害を訴えています。H群に至っては、現在の被害とほとんど変わらないどころか、猿が私たち住民に対してする加害は、より高度で悪質になっているのではないかと思います。野猿対策は、今まで県の保護管理計画によって行われてきた経緯がありますが、その根拠として、西湘地域のニホンザルは絶滅のおそれのある地域個体群として、2006年神奈川県レッドデータ生物調査報告書内の哺乳類レッドリストに載り、希少な野生動物として生物学的観点から野生動物保護を訴える専門家もいて、あくまで保護に重点を置いた計画となっていました。実際には、主に片浦地区に生息するH群は、湯河原町広河原の頭文字のHで、S群は箱根町須雲川の頭文字Sで、ともに観光目的でえづけされ、そのままになってしまったという経緯があります。 もともと、この地域にいたのかというと、出自を知る地域の農家の方々は、湯河原や箱根がえづけしたのがそのままになってしまっただけではないかと憤りさえ覚えます。あきらめずに何度も質問したり、地域の声、市の取り組みの後押しもあり、平成25年には、まだ県の示すニホンザルに対する計画が第3次保護管理計画と、保護が先にあり、目的であった名称に対して、平成27年5月には管理計画に変更になっています。これは、市民や市が県に対して被害を訴え続けた成果であると言えます。小田原市においても、平成25年の質問の答弁には、猟友会に365日体制で追い払いをしてもらっている、人を恐れるよう学習放獣実施を検討する等とあり、平成23年から平成24年まで県が江之浦地区で行ったニホンザル被害対策モデル事業の分析においては、猿が隠れるやぶなどの刈り払いや、猿がいそうな場所での犬の散歩等をすることが追い払い効果があるといった報告もございました。猿が隠れるやぶに関して言えば、現在は、さらに耕作放棄地が増加傾向の中、鳥獣被害によって就農者のモチベーションは下がる一方で、かなりの悪循環に陥っていると言えます。 平成27年には、S群、H群ともに、それぞれの被害を受けている片浦地区自治会連合会と大窪地区自治会連合会から、野猿対策についての陳情と県への意見書が提出されたことを受け、神奈川県の第4次管理計画の内容を現状に沿った対応、対策にという趣旨で質問しています。 保護管理計画から管理計画に変更になったことで個体数の調整も可能となりました。そして、平成29年の神奈川県ニホンザル第4次管理計画においては、被害を受けていた地域の悲願であった全頭捕獲という方向性に、S群だけではありますが、かじを切ることができ、H群においても、個体数の調整ができるというところまできました。ですが、片浦地区の場合は、今でこそ加害個体でなくても頭数で調整できますが、第3次計画の段階では、加害個体しか調整できず、例えば、苦労して捕獲しても、加害個体でないと学習放獣という形になり、猿本人にしてみれば、悪さをして捕獲されても放してもらえると、捕まるイコール学習して山へ帰るというよりも、捕まっても大丈夫といった逆の学習をしてしまい、どんどんずうずうしく、ずる賢くなっているようなのです。最近では、個体数が減っているにもかかわらず、S群はかなり減ったと伺っているものの、内野邸や松永記念館も室内に入られての被害を聞いております。 そこで、市内に生息している猿は、板橋地区を中心に活動しているS群と、早川・片浦地区を中心に活動しているH群の現在のそれぞれの群れの頭数はどれくらいいるのか、改めてお伺いします。 また、最近の猿被害について、片浦地区では朝から猟友会等の追い払いの空砲が毎日鳴り、八百屋は店先の野菜をねらう猿を毎日警戒して追い払いしなければならず、お客様も怖くて近寄れないと営業妨害も甚だしいと訴えていました。家に押し入られ、お茶菓子を食べられたり、玄関先で威嚇され、仕事におくれそうになったり、夜に猿に出くわすことは今まで余りなかったのですが、私自身も、真夜中に帰宅途中、自宅近くの墓地で出くわし、手招きする小さな子供、幽霊と初めは見間違い、余りの恐怖に心臓がとまるかと思うほどでした。根府川駅でも頻繁に猿が出没し、通学途中の児童を威嚇したり、観光客に近寄ったりしています。 このように、いろいろな被害を私自身も見聞きしていますが、実際に小田原市に寄せられている被害はどのようなものなのかお伺いします。 平成28年の質問で、猿が出没した場合、住民が連絡をする先、ホットラインについての質疑をしています。部長の答弁では、「休日でも環境保護課に連絡をもらえば対応している」とありました。市の職員の皆様の努力も、この猿被害が長年にわたり課題になっている中で、どれほど大変なことかとお察しします。とはいえ、市に連絡したとしても、対応に一定の時間を要することは仕方がないとしても、猿被害対策の一つとして、住民とJAかながわ西湘が連携して、身近な窓口であるJAかながわ西湘の支店に相談窓口を設置し、相談体制を構築すべきと考えますが、市から働きかけていくことは可能でしょうかお伺いします。 猿被害対策の登壇質問の最後に、第4次神奈川県ニホンザル管理計画において、「追い上げや被害防除対策を徹底しても、行動域が住宅地に及び、生活被害が多発し、人身被害が発生、または発生するおそれが高い群れ」を管理困難な群れと断定し、全頭捕獲等の個体数調整を計画することとなっていますが、地区住民のたび重なる猿被害の現状を考慮し、市から県に対しH群も全頭捕獲の実施について要望できるかお伺いします。 次に、イノシシ、シカ対策について伺ってまいります。 猿被害対策同様、この問題にも長年取り組んでまいりました。その被害は、解決に向かうどころか年々増加するばかりです。平成28年にシカの過食圧地について、おだわら環境市民ネットワークの意見交換会に参加し、NPO法人小田原山盛の会の協力を得てフィールドワークをさせていただき、久野の林道のシカ被害の視察をしましたが、当時、既に林道から少しだけ入った場所で、シカにアオキを食い荒らされた様子を見、植林された苗が角磨きによって枯らされている様子を見て驚きました。イノシシの場合は、被害が比較的人里に近い畑であったり、被害が見えますので、市民の皆様も聞き及ぶこともあるかと思いますが、シカの場合、被害事例が山の中で起こっているために、なかなか街なかの市民には伝わらないのが現状かと思います。 平成28年の質問では、平成27年度のイノシシの捕獲頭数は143頭という答弁でした。シカ被害に至っては、小田原市においては目撃情報が得られ始めているという段階で、これから被害状況を把握するということでした。神奈川県ニホンジカ管理計画において、分布拡大防止区域に指定されているので、被害状況の把握に努めていくともあります。あれから現在3年が経過していますが、平成29年度のイノシシの捕獲頭数は313頭、シカは22頭と伺っています。 そこで、平成30年度の被害状況と捕獲頭数について、イノシシ、シカ、それぞれ伺います。 イノシシとシカの被害は、聞き及ぶ限りでは拡大の一途をたどっているように思います。もはや行政だけでは解決は不可能です。積極的に捕獲して、止め刺しできるような市民猟師、わな資格を有する農業者をふやすなどの、少しずつでも被害が減る実感を持っていただけるような施策が必要だと思います。実際、地域の農業者の方は、わな猟で何頭も捕獲して捕獲報奨金をもらっては農業に対してもモチベーションを上げているようです。 そこで、行政と農業者やJAかながわ西湘等との連携状況についてどのようになっているのかお伺いします。 ジビエに関しては、松田町、静岡県熱海市に、民間ではありますが、食肉処理施設が設置されており、聞き及ぶところですが、小田原市にも最近設置されたと伺いました。これからさらに捕獲に拍車がかかると考えます。イノシシ、シカはジビエ肉として活用できれば、ただの獣害ということではなく、命の循環ができると思います。 さらに、市内に新たに食肉処理施設を設置する考えはあるのかお伺いいたします。 次に、大項目の3、酒匂川水系のメダカについて伺います。 小田原市の魚と聞いて、皆様は何を思い浮かべるでしょうか。もちろん御存じと思いますが、一つ目はアジです。もう一つあります。おいしいかます棒のカマスではありません。それはメダカです。童謡「めだかのがっこう」の発祥の地でもある小田原。そんな小田原市の魚にまでなっているメダカですが、神奈川県では絶滅寸前の野生メダカなのです。小田原市の桑原・鬼柳地区が唯一の生息地と言われています。そんなメダカのいろいろについて、今年の夏休み、8月12日から23日に、市民交流センターUMECOにて「めだかサポーターの会 その活動展」の展示を見る機会がありました。この展示を拝見して、市の魚であるメダカの置かれている状況を再確認しました。平成30年の12月議会質問で22番武松議員が鬼柳地区の工業団地の整備についての質問で少し触れています。もっと市民全体に知ってほしいと願い、質問することといたしました。 桑原・鬼柳地区は、神奈川県下でも唯一在来メダカの生息地であるとして、NPO法人神奈川県自然保護協会が生物多様性ホットスポットに選定しています。桑原・鬼柳地区に在来メダカが残った理由としては、市街化調整区域に編入され、農地が残ったこと、湧水が豊富で農薬が希釈され、冬でも水温が維持されること、基盤整備が進まず、通年通水の素掘り土水路が残ったこと等と思われます。また、保全活動をするメダカと田んぼを守る仲間たちとして「めだかサポーターの会」、「酒匂川水系のメダカと生息地を守る会」、「たんぼの恵を感じる会」、「桑原めだか米の会」、一般社団法人「おだわら農人めだかの郷」などがあります。このような熱心な活動をずっと継続してきたからこそ、酒匂川水系のメダカは守られてきました。そんな唯一の生息地において、平成28年には工業団地の開発のため用地買収なども進み、どのようにしてメダカを絶滅させないようにするかについて、メダカの保全活動をしている団体や行政等を交えて、「市民メダカ会議ワーキング」という組織の中で話し合いがあったと聞いております。一面では、工業団地の整備は、地域の活性化を望む市民にすれば、ようやく進んだ開発であり、メダカの生息地を守るということよりも、後継者問題を抱える農業者や地域の活性化が優先だと考える方もいるかもしれません。 そこで、質問の1点目として、「メダカの保全に係る基本方針」というものがあると伺っておりますが、どのような内容かお伺いします。 次に、2点目として、現在開発が進められている鬼柳・桑原地区工業団地内にあった水路のメダカは、現状ではどのようになっているのかお伺いします。 3点目として、先ほどの「市民メダカ会議ワーキング」の中で、鬼柳・桑原地区工業団地内のメダカの保全対策等について議論したと伺いましたが、どのような御意見が出されたのかお伺いします。また、当該地区のメダカの保全にかかわる課題について伺います。 (2)今後の小田原市の方針について伺います。 先ほども申し上げましたが、市の魚であるメダカについては、できる限り大切にしてほしいと考えますが、今回の開発に限らず、メダカの保全にかかわる今後の方針について、どのように考えているのかお伺いし、私の登壇の質問を終わります。(拍手) ○議長(奥山孝二郎君) 市長、登壇願います。     〔市長(加藤憲一君)登壇〕 ◎市長(加藤憲一君) 2番鈴木議員の御質問に順次お答えをいたします。 初めに、基幹型地域包括支援センターについての御質問がございました。基幹型センターは、地域包括支援センターの一類型でございまして、センター間の総合調整や介護予防に係るケアマネジメント、地域ケア会議等の後方支援機能を備えた機関でございます。本市では、平成29年度から高齢介護課に地域包括支援係を設置し、保健師や社会福祉士といった専門職の複数配置やケースワーカーの増員等を行ってきております。この係は、各センター間の総合調整や後方支援の機能を担っておりまして、現時点では基幹型センターの設置は必要ないものと考えております。 次に、県内の基幹型センターの設置状況等についての御質問でございます。県内では、19市中、直営が5市、委託が1市の計6市で基幹型センターを設置しております。設置市からは、「各センターとの連携のかなめとなり、情報把握や意思統一が図りやすい」、「地域課題の解決に向けた市の関係部局等との連携が図りやすい」、「医師会を初めとした関係機関とのネットワーク構築を円滑に進めることができる」などの効果があると聞いております。本市におきましては、基幹型センターの機能を地域包括支援係に位置づけておりまして、同様の効果が得られているものと認識しています。 次に、市の福祉部門にソーシャルワーカー機能を整備すべきではないかとのお尋ねがございました。複合的な問題を抱える人々がふえている現状に対しまして、市や福祉の関係機関においては、従来の所管ごとや制度ごとの支援の枠を超えて、相互の連携を図るとともに、平成29年度からは、市社会福祉協議会に福祉まるごと相談窓口を設置し、包括的な支援に取り組んできたところであります。その上で、さらに専門機関の連携の強化やソーシャルワークと呼ばれる幅広く包括的な支援の拡充が望まれる状況にあることを踏まえまして、引き続き、総合的な相談支援体制づくりについて意見等を加えてまいりたいと考えております。 次に、鳥獣被害対策に関連し、市内に生息するS群とH群の猿の現在の頭数についてでございます。神奈川県が令和元年8月から9月に実施いたしました生息頭数のカウント調査の結果によりますと、H群は27頭、S群は2頭が確認されておりまして、その後、確認できる範囲で頭数の変動はございませんことから、現在もこの数値となっております。 次に、サルによる被害状況についてでございます。本市に寄せられた被害状況といたしまして、かんきつ類等の食害の農業被害のほか、住宅敷地内の物損被害、内部侵入及び威嚇等の生活被害がございます。また、件数は少ないものの、ひっかき、かみつき等の人身被害に加え、生活上の脅威や精神的苦痛を訴える声もございます。 次に、JAかながわ西湘の支店に相談窓口を設けるなど、市からの働きかけの可否についてお尋ねがございました。JAかながわ西湘は、猿を含む鳥獣被害に対する防除や捕獲等の検討を行い、市全体の鳥獣被害対策について取り組む「小田原市鳥獣被害防止対策協議会」の事務局となっておりますことから、今後、相談窓口の設置について、市として機会をとらえ、意見を伺ってまいりたいと考えます。 次に、H群の全頭捕獲の実施に対する、市から県への要望の可否についてでございます。市では、長年にわたり、地域住民や行政、関係機関とともに被害防止に向けて対策を図ってきたにもかかわらず、生活被害が増大している地域の現状を踏まえまして、県にH群を管理困難な群れと認定し、全頭捕獲が可能となるよう継続して要望してきております。また、今年度は、特に本市もメンバーとして出席しております県主催のH群に係る検討会におきましても、H群を管理困難な群れに認定すべきという意見を市から伝えております。今後も機会をとらえまして、県への要望を継続してまいる考えでございます。 次に、平成30年度のイノシシ、ニホンジカの被害状況、捕獲頭数についてお尋ねでございます。イノシシの被害状況は、被害面積2.14ヘクタール、被害金額845万円、捕獲頭数369頭であります。ニホンジカの被害状況は、被害面積0.07ヘクタール、被害金額17万円、捕獲頭数59頭となっております。 次に、農業者やJAかながわ西湘との連携状況についてであります。イノシシ、ニホンジカ等の捕獲、防護対策につきましては、農業者や猟友会、JAかながわ西湘、市で構成する小田原市鳥獣被害防止対策協議会において検討を行い、連携しながら取り組みを実施しているところでございます。 次に、食肉処理施設の設置に関する御質問でございます。近隣の食肉処理施設につきましては、伊勢原市、松田町、静岡県熱海市に設置がされており、本年9月には、市内に民間事業者が運営する施設が設置されております。本市では、伊勢原市を除くこれら3施設と調整を行いまして、今年度から捕獲されたイノシシ、ニホンジカの搬入が可能となりましたことで、捕獲者からは、捕獲鳥獣の処分の負担が軽減していると聞いております。新たな食肉処理施設の設置につきましては、JAかながわ西湘で検討しているところでございますが、施設を運営するには、捕獲頭数や採算性の確保等の課題がありますため、農業者や飲食業者等の関係者の声を聞きながら、慎重に検討していく必要があるものと認識しています。 次に、酒匂川水系のメダカに関し、「メダカの保全に係る基本方針」の内容について御質問がございました。「メダカの保全に係る基本方針」につきましては、メダカの保全意識を啓発する方策、本市の鬼柳・桑原地区における行政主導の開発及び改修計画の実施に対してメダカの生息環境を維持するための方策、及び計画の実施により生息環境が失われる場合に生息地の代替環境をつくる方策などを示しているものでございます。 次に、鬼柳・桑原地区工業団地内にありました水路のメダカの現状についてであります。鬼柳・桑原地区工業団地内にありました水路のメダカにつきましては、9月に、本市の職員のほか、神奈川県水産技術センター内水面試験場の職員や、メダカの保全活動に御尽力いただいておりますボランティア団体に御協力をいただき、採取作業を実施いたしました。現在、採取したメダカにつきましては、神奈川県水産技術センター内水面試験場において管理をいただいているところでございます。今後、採取したメダカの取り扱いにつきまして、市民メダカ会議ワーキングを通じて学識経験者などと協議してまいりたいと考えています。 次に、鬼柳・桑原地区工業団地内のメダカについて、市民メダカ会議ワーキング内で出された保全対策等の意見及び当該地区内のメダカの保全に係る課題についてでございます。市民メダカ会議ワーキングにおきましては、メダカの保護団体の方や学識経験者などを交えまして、メダカの保全に向けた議論を行いました。その中で、本年9月に実施したメダカの採取作業に当たっての効果的な実施方法や、採取したメダカの移設先候補である水路の整備方法などの意見が出されております。なお、課題といたしましては、メダカの生育環境を維持していくに当たりまして、地権者などの利害関係者との間でどのように合意を図っていくかが挙げられております。 次に、メダカの保全に係る今後の方針についてであります。メダカの生息地の保全に努めるため、鬼柳・桑原地区における行政主導の開発及び改修計画につきましては、「メダカの保全に係る基本方針」に基づき、メダカの生息環境への影響が必要最低限度となるように留意するとともに、民間による開発計画におきましても、可能な限り、この基本方針を考慮していただけるように働きかけを行ってまいる考えでございます。また、公募により、酒匂川水系のメダカを配布する「メダカのお父さんお母さん制度」を通じまして、市民等にメダカを飼育してもらうことで、メダカの保全に対するさらなる意識の向上を図りますとともに、保全活動を行っているボランティア団体とも引き続き連携を図りながら、メダカの系統維持に取り組んでまいりたいと考えております。 以上をもちまして、2番鈴木議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。 ◆2番(鈴木敦子君) それでは、大項目の順番に従いまして再質問をさせていただきます。 まず、基幹型包括支援センターに対する再質問なのですけれども、先ほど基幹型包括支援センターの必要性について質問させていただきました。小田原市では12包括支援センターに増設しましたタイミングで、市の担当係名を地域包括支援係として基幹型の機能を兼ねている、そういう意識で日々尽力されていることはわかりました。ですけれども、そのことがそれぞれの包括支援センターに伝わっていて、機能しているかというと、残念ながら、そのとらえ方にはかなりのそごがあると言えます。再度、その認識を、それぞれの包括支援センターに示す必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。 また、現場経験した職員をふやす、それからスキルの高い職員をふやす、研修は現場を主な場とする、数年間は異動がないようにする等、地域課題に直面する地域包括支援センターの職員や地域福祉に従事する方々、団体が安心して働くことのできる体制を整えるべきだと思います。それが、ひいては市民サービスの向上に必ずや、つながっていくと思うからです。この点においてはどのように考えますでしょうかお伺いいたします。 ◎副市長(加部裕彦君) 2点再質問いただきましたけれど、2番目の質問にまず私からお答え申し上げます。 市の職員体制についてのお尋ねでございます。高齢者が住みなれた地域で自分らしい生活を続けていくためには、地域包括ケアシステムにおける中核的な機関であります地域包括支援センターを安定的に運営することが重要でございます。センターの安定的な運営に向けましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、市の担当係に専門職の配置やケースワーカーの増員等を行いまして体制を整えているところでございます。引き続き、市とセンターが相互理解のもと、一体となって業務に取り組めますよう、研修体制の充実やケースワーク等の積み重ねによりまして、市職員のスキルアップも図ってまいりたいと思います。 私からは以上です。 ◎福祉健康部長(山崎文明君) 1点目の、市の担当係が基幹型の機能を兼ね備えているという認識を示す必要があるのではないかとの質問についてお答えをいたします。 地域包括支援センターを円滑に運営するためには、運営方針や支援のあり方を市と各センターとの間で共有し、連携を図っていくことが重要であると考えております。そこで、運営方針や支援のあり方について、センター管理者との定例会や事業の進捗状況のヒアリングなど、さまざまな機会をとらえ、情報共有に努めるとともに、円滑な運営が行われますよう、市と各センターが連携し、適切に対応してきているところであります。引き続き、市と各センターそれぞれの役割分担や連携についての認識が深まりますよう、一層の周知徹底を図ってまいります。 以上でございます。 ◆2番(鈴木敦子君) ぜひお願いいたします。 それぞれがそれぞれの役割で、市は市で、そして地域包括支援センターの職員の方は職員の方で頑張っていただいていることはよくわかるのですけれども、やはりコミュニケーションをとって、そして不満が出ないように、それが本当に市民の方のサービスの向上につながると思いますので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。 登壇でもお話しいたしましたけれども、講演会に私は出ましたけれども、神奈川新聞の記事には、主催者の意見といたしまして「小田原ではケアタウン構想で10年がかりで各地区ごとにさまざまな事業が展開され、自治会や地区社協をベースとした福祉の基盤が形づくられてきた。この土台の上にソーシャルワーカーを配置すれば、小田原の福祉モデルは先端的なものになる可能性を秘めている」とありました。私も同感でございます。先ほど、ソーシャルワーカーなどはそこまでは考えていないのかなということもありましたけれども、先日参加した、地域政策課主催の地域の居場所づくりの研修の事例発表では、地域コミュニティ組織でもあるまちづくり委員会が居場所づくりの担い手として参画しているという事例を伺って、まちづくり委員会などは地域で役立ち、しっかりと根づいていることを実感いたしました。地域包括支援センターもそうですけれども、いろいろな施策、今まで進めてきたケアタウン構想等を、さらに今後どのように推進していくのか、市長のお考えをお伺いいたします。 ◎市長(加藤憲一君) 今後のケアタウンの推進についてのお尋ねをいただきました。今、2番鈴木議員がお触れいただきましたように、これまですべての地区におきまして、26地区全地区におきまして、地区自治会連合会の区域でケアタウンに関する取り組みが立ち上がってきております。取り組みの内容ですとか密度については、多少地域にもちろん差がございますけれども、それぞれの地域の状況に応じた活動が展開されておりまして、見守り、サロン、あるいは、その他、生活応援隊等も含めていろいろな取り組みが育ってきておりまして、今後、非常に期待しているところでございます。今後、そうした地域の主体的な取り組みがより住民ニーズに幅広く対応して、かつ大事なことは持続可能になっていくということでございますので、こうなるように引き続き支援してまいりたいと基本的に考えております。 また、こうした地域の取り組みを基盤としながら、本市といたしましては、市や社会福祉協議会、あるいは福祉の関係機関、こういった人たちともしっかり連携しながら、専門的で複合的な問題に包括的に対応できるような、セーフティネットの再構築を進めていくことも必要であると考えておりまして、SDGs未来都市に認定をされておりますけれども、「誰一人取り残さない」という理念に通じる、市全体としての全世代、全方位型の支援体制の構築に、このケアタウンの取り組みをベースにしてつなげてまいりたいと考えております。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) 大項目の1、地域の福祉的課題等の解決については、地域包括支援センターの基幹型包括についても、またソーシャルワーカーを置くことについても、今後も、私もさらに取り組んでまいりまして、また質問をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、鳥獣被害についてです。猿被害から再質問させていただきます。 登壇で質問させていただきましたとおり、最近では、学校や通学路でも駅でも、人のいるところに出没しており、威嚇したり、子育て中には気が立っていて大変危険です。群れの様子も変わって、雌猿のリーダーがもう一頭、別にリーダーとなっている様子も見受けられます。全体の頭数は、先ほどの答弁で減ってはいますけれども、群れが分かれれば、被害は減るどころか、拡大いたします。何かあってからでは遅いと思います。仮に住民や観光客が猿に襲われ負傷した場合は、その責任の所在はどこにあるのかお伺いします。 ◎環境部長(神名部耕二君) 猿に起因する傷害等による不祥事の責任の所在についての御質問でございます。猿などのいわゆる野生鳥獣に起因する人身被害等の責任の所在についてでございますが、法律的にはだれかが責任を負うということはございません。また、県・市においても補償する制度もないというような状況でございます。 以上でございます。 ◆2番(鈴木敦子君) そうなのですよね。法律的には責められはしないということなのですが、でも、今、世の中にいろいろな事件が起こりますと、SNSなども発達しておりますので、どこに攻撃が来るかわからないわけです。小田原市としても、市民の命を守ることは大切ですし、また、観光客に何かあったら大変な被害でございます。そういった点も考慮いたしまして、また猿対策なのですけれども、さらに取り組んでいただきたいと思っております。 以前、野猿被害について聞いた、生命の・地球博物館の勤務のニホンザル研究者の方は、「これほどまでに人的被害が出ていると思っていなかった、耳に入っていなかった」と言っていました。この方の意見によりましてレッドリストに載ってしまったわけなのですけれども、その方自体も、被害が出ているとはそんなに知らなかったというわけなのです。今回の質問でも、被害が恒常的に及ぶ余り、市民が声を上げることもあきらめてしまっていて、余り行政に伝わっていないのかなという印象もあります。悪循環に陥っていることがわかります。H群、S群ともに被害根絶まで住民に寄り添い、対応していただきたく要望いたします。S群に関しましては、2頭にまで減っているにもかかわらず、内野邸、松永記念館の被害は減っておりません。ぜひよろしくお願いいたします。 次に、イノシシ・シカ対策について伺います。 本日タイムリーなことに、7階の食堂において、JA曽我支店鳥獣被害対策委員会ジビエ料理第2弾ということで、イノシシ肉の辛みそ風焼き肉ランチというのをいただきました。大変おいしかったです。今年はえとも亥年、そして我が小田原市は、小田原は城に摩利支天を置いています。御存じのとおり、摩利支天はイノシシに乗った姿です。イノシシは小田原市の嫌われ者の害獣から、摩利支天印イノシシジャーキーなど、お城の売店で売るなど、名産品になってもよいのではないかと思います。 長野県に視察に行った際に通る駅で、どの駅にもあるチェーンコーヒー店に地場産の御当地メニューとしてジビエカレーがありました。ちなみに、小田原駅のその店には片浦レモンヨーグルトドリンクが御当地メニューとしてあります。本来は腹立たしいことではあるのですけれども、例えば片浦のイノシシは、えさとしてミカンを食べていたり、シカはキウイを食べていたりすると、お肉がおいしいというようなイメージを持つという意見も聞きました。私も同様です。小田原市の名産として、イノシシ、シカなど、ジビエを推奨するくらいの勢いを持って対策に取り組むべきです。止め刺しの仕方や調理の仕方によって、とてもおいしいお肉になります。特にシカ肉は高たんぱく低カロリーで美容にもよいと聞きます。ジビエについて、命の循環という意味においても、先ほど言った小田原の名産という観点からも、例えば、ジビエのレシピを市内のレストランや一般の方に向け募集するとか、給食に出すとか、ヒルトン小田原リゾート&スパや小田原市内の料理店と連携し、商品開発するなど、商業者との連携を行うべきと考えますが、この点において市のお考えをお伺いします。 ◎経済部長(座間亮君) ジビエに関します商業者との連携についての御質問をいただきました。商品開発等ジビエの活用には、商業者との連携は不可欠だと認識しております。ただいま御紹介いただきましたが、捕獲されたイノシシ肉を有効活用する取り組みとして、農業者を中心に組織するJA曽我支店鳥獣被害対策委員会が、本市役所食堂を運営する民間事業者と連携しまして、期間限定でジビエ料理の提供を行っているところでございます。ジビエ事業を安定的、そして継続的に実施していくためには、衛生、安全管理や採算性の確保等が必要になってまいります。今後もこのような試験販売を行っていくとともに、飲食店やホテル等の関係者の声を聞きながら研究してまいりたいと考えております。 ◆2番(鈴木敦子君) ぜひ進めていっていただきたいと思います。 いろいろ伺ってまいりましたけれども、今後の鳥獣被害対策の本市の方向性についてお伺いします。 ◎副市長(加部裕彦君) 今後の鳥獣被害対策の方向性ということでございますが、本市では、平成29年度に捕獲報奨金制度、狩猟免許取得経費等の補助、くくりわな購入費の補助を創設いたしますとともに、侵入防止柵の購入費の補助の大幅な拡充を行うなど、これまで鳥獣被害の軽減に努めてまいりました。これらの対策によりまして、イノシシ、ニホンジカの捕獲頭数は増加しておりまして、農業者からは、被害が減少しているため、取り組みを継続してほしいとの声が寄せられておりますことから、今後も現在の取り組みを継続し、被害の防止に努めていく所存でございます。 ◆2番(鈴木敦子君) ありがとうございます。ぜひ進めていっていただきたいと思います。 最近、片浦地区の農業従事者が感染症により体調を崩されたとの話を御本人から伺いました。病院の所見では、猿やイノシシなど鳥獣が媒介した可能性もあるとのことでした。そして、湯河原でマダニが媒介したかもしれないという被害で感染症になった事例もあるというふうに伺いました。NPO法人小田原山盛の会、私がフィールドワークを一緒にさせていただいた会ですけれども、そちらのシカ調査で、今年度は5月から箱根山地のマダニの分布調査をしています。同時期に湯河原で患者が発生したためです。先ほどのお話です。湯河原から小田原にかけて重点的に採取した結果、紅斑熱を媒介するヤマアラシチマダニが、根府川西部の山地、早川西部の山地、荻窪の農地で確認されたということです。うち2例がイノシシの捕獲個体より採取されています。けもの道の発達した場所、耕作放棄地、シカのえさ場になっているようなところは要注意ということです。これまでに七、八種類のダニが採取されています。ヤマアラシチマダニのすべてが紅斑熱を媒介するのではなくて、発症するのは病原菌を持っている個体にかまれた場合ということです。 静岡県では、現在、紅班熱が伊豆や熱海など各地で発症しており、今のところ、ヤマアラシチマダニが媒介しているようですが、関西の方では、ほかに数種類も媒介しているダニがいて、さらに重症熱性血小板減少症候群というのも発生しているそうです。それがSFTSというそうです。SFTSは静岡県ではまだ出ていませんけれども、来年度は検査を開始するということです。 小田原市内でも、シカやイノシシの出没の多い農地や耕作放棄地、山地のえさ場になっているところでダニが多く採取されています。森林組合の方や里農地の方、捕獲や解体をする方がかまれたという情報があります。いろいろな駆除の殺虫剤もできているということです。ヒョウダニの季節というのは秋だそうで9月から10月ごろ、1匹が産んだ卵から2000匹もふ化するということで、秋は非常に危険な季節ということです。 以上、こちらはシカの調査の方から伺ったことなのですけれども、豚コレラなども、今、日本でも大変ニュースになっております。ジビエを生かしていただきたい反面、今いつどんな大変なことが起きてもおかしくないほど状況は悪化しているというふうに思います。 昔は、サル、イノシシ、シカ等の野生動物は、人間を恐れて人里にはおりてきませんでした。今では、サルやイノシシを人間の方が恐れています。共存できる道を探すことができるのであれば、それが一番ですが、山の中に住んでいるような片浦地区の場合、既に子供を産み育てているすみかが人間と同じ場所であり、猿の場合、泊まり場として追い払う先はなく、江之浦を追われて根府川へ、根府川を追われて米神へ、米神を追われて石橋へ、石橋を追われて早川へ、早川を追われて石橋へ、これの繰り返しです。米神を追われてまた根府川、江之浦は真鶴町との行政境ですので、そこまでしか追えません。また根府川へ戻ってきます。この無限ループです。今まで幾らサルの追い払いに予算を費やしてきたことでしょう。イノシシ・シカ対策に時間をかけてきたことでしょう。どうか国・県と協力し、近隣市町村と連携して、JA等とともに、農業者と市民の悩みを軽減するべく解決していただきますようお願いいたします。 最後に、酒匂川水系のメダカについてですけれども、平成30年12月定例会の22番武松議員の酒匂川水系のメダカについての市長の答弁でも、開発と、市の宝として守ってきた環境を両方うまく並立していかなければならないと答えています。本日もそういう答弁をいただいたと思っております。全く同感であります。長年御尽力いただきました団体の活動を尊重して、やる気を損ねないようにしていただきたいと思います。決して採取したメダカが絶滅せぬよう、環境を生かした観光目的のビオトープをつくるですとか、絶滅しないよう新たな視点を取り入れていただくことも願いつつ、酒匂川水系のメダカを市の魚として大切にしていただけたらというふうに思います。 今回は、一つ目は、小田原市民に対して、次は、サル、イノシシ、シカに対して、最後は、メダカと、生きとし生けるものを大切にする視点に立った小田原市であるからこそ、市長の政策を丁寧に推進していただければと思います。この件に関し、市長の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。 ◎市長(加藤憲一君) 最後、今回のテーマ三つ並べていただきましたけれども、それぞれ、人の命、野生動物の命、またメダカの命ということで、いずれも命ですが、もちろん、我々市民の命を守る立場からは、当然のことながら、これらを同列の視点で扱うことはできませんけれども、それぞれのテーマについてはしっかり向き合っていきたいというふうに考えています。 特に、今回私の視点の中で、今開発が進んで、もうじき入居者が決まって稼働していく鬼柳・桑原の工業団地、ここについては、もう長年にわたって地元で生息している希少種のメダカの保全に向けては、大変多くのたちが尽力されてきました。また一方で、先ほど2番鈴木議員もお触れいただきましたように、地域の後継者不足等に悩む農家の方にとっては、ある意味積年の宿願でもあったということで、非常に期待を受けて動いております。これらについては、何としても両者が両立する、そして共存できる知恵を絞っていかなければならないというふうに思っています。それについては、いろいろな専門家の見地も入れて、私は必ずできるものと思っておりますので、引き続き、周辺の地域の用水路の確保ですとか、環境の整備ですとか、知恵を合せて、両者が円満にこれから生きていけるような、そんな開発にぜひとも収束していただきたいと、私も願っておりますし、開発に携わる方たちともそういう観点でしっかり意見交換をしてまいりたいというふうに思っています。 以上でございます。 ○議長(奥山孝二郎君) 以上で本日予定しておりました一般質問はすべて終了しましたので、あす18日午前10時から続行することにいたします。 なお、改めて再開の御通知をいたしませんので、御承知ください。 それでは、本日はこれをもって散会いたします。     午後3時57分 散会...