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令和 1年 10月大都市税財政制度調査特別委員会-10月01日-01号

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  1. 川崎市議会 2019-10-01
    令和 1年 10月大都市税財政制度調査特別委員会-10月01日-01号


    取得元: 川崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-06
    令和 1年 10月大都市税財政制度調査特別委員会-10月01日-01号令和 1年 10月大都市税財政制度調査特別委員会 大都市税財政制度調査特別委員会記録 令和元年10月1日(火)   午後2時00分開会                午後3時30分閉会 場所:602・603会議室 出席委員青木功雄委員長浜田昌利委員長野田雅之本間賢次郎各務雅彦、渡辺 学、      赤石博子市古次郎川島雅裕、春 孝明、押本吉司、林 敏夫、月本琢也委員 欠席委員:なし 出席説明員:(参考人明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科 兼村 髙文 教授 日 程 1 大都市における税財政制度の諸問題に関する調査・研究について     2 その他                午後2時00分開会 ○青木功雄 委員長 ただいまから大都市税財政制度調査特別委員会を開会いたします。  お手元のタブレット端末をごらんください。本日の日程は大都市税財政制度調査特別委員会日程のとおりでございます。  それでは、日程第1としまして、「大都市における税財政制度の諸問題に関する調査・研究について」を議題とさせていただきます。  本日は、明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科の兼村髙文氏を参考人としてお招きをさせていただきまして、「大都市における税財政制度の諸問題について」、御意見をお聞かせいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  なお、兼村先生経歴等を掲載いたしておりますプロフィールタブレット端末にございまして、そちらのほうを御参照いただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
     それでは、僭越でございますが、委員長をさせていただいておりますので、御挨拶だけさせていただきたいと思います。  改めまして、先生、きょうは本当にお忙しい中、ありがとうございます。まちは、きょう10月1日から税金の制度が大きく変わって、小さい子どもからお年寄りまで軽減税率の話、消費税の話をしているところでございますが、どうしても我々市議会の中では大きい大都市の話、特に税財政の話をしていかなければいけないということで、そういう中で、先ほどプロフィールも皆さんにお配りさせていただいておりますが、私からも少し御紹介させていただきながら御挨拶にさせていただきたいと思います。  兼村先生総務省、エネルギー庁、東京都、茨城県、また浦安市と、いろいろなところで行政関係委員もお務めでございますということをお聞きさせていただいているのと、国と地方のことも深く研究されているということでございました。  また、大学では、先ほど私の先輩の議員でございます、歴代の議長の石田先生からも直接御挨拶をされておりましたが、生徒さんということでございまして、本当に先生にはいろんなところで我々議会の議員も勉強させていただいているということでございました。そういう意味では、市民のガバナンスについても非常に見識が高く、いろんなことを研究されているということでございました。  先ほど議長、副議長、浜田副委員長と私と先生でお話をさせていただきましたが、きょうは1時間半だと全部話せないので、決算議会が今開会されていまして、その決算をどのように見るかということも、できれば講演の中で触れていきたいということをお話をいただきました。それによって来年度の予算につなげていけることに少し貢献できればいいというお話もいただきましたので、楽しみに聞かせていただきたいと思っております。  本当に短い時間ではございますが、先生、きょうはお越しいただきまして、まことにありがとうございました。  それでは、講演をよろしくお願いいたします。 ◎兼村 参考人 今、御紹介いただきました明治大学の兼村です。卒業生がいるということで、すっかり忘れていました。失礼しました。  大学院のほうでは地方財政とか、あるいは市民参加。最近、財政も、議会で議決されて執行するという民主的な手続を踏んでも、とんでもない赤字を今抱えているわけで、これは財政の問題ではないなということで、やっぱり民主的な問題だろうと。最近は市民参加をテーマにあちこち海外へ行ったり、今、市民参加予算というのがあるんですけれども、そんな検討をしております。  地方財政についても、今、100分授業ですけれども、大体、半期15回で終わるので、きょうは90分ということは、15分の1しか通常の講義を話せないということですので、きょう、これではとてもわからないよという方は、ぜひまた、ガバナンスのほうに来てしっかり学んでいただいて、財政というのはどういうものだ、どういう資料で見ればいいのかという、そんな話をさせていただこうと。ですので、ちょっと大都市税財政とは違うかもしれませんけれども、本日は実質的な財政分析のお話をさせてもらおうかと思います。  お手元にパワーポイント資料がお配りされていると思います。きょうお話しいたします内容は、来年度予算に向けて編成が動き始めましたので、どんな方向になるのか。令和という初めての呼称がついた予算ですけれども、財務省から概算要求の額が出て、予算額が100兆円を超えて毎年上がってくるということでありますけれども、そういった来年度予算と、それからあと、地方財政計画ですね。これはまだわからないんですけれども、総務省がどんなことで要求を出したのか。そのことをちょっと見て財政分析、特に川崎市の財政というのはどういうふうになっているのかという話をさせていただきたい。  財政分析をする場合には、通常、決算カード決算統計というものですけれども、決算統計の指標を見ながら、どういうふうになっているのかということが分析のツールであります。ただ、平成22年度財政状況資料集というのが十二、三ページで出まして、これを見ると、より詳しく、それから類似団体との比較も含めて出ていますので、今、川崎の財政がどんなポジションにあるのかということもあわせて理解できるかと思います。  もう一つ財務書類です。これも平成27年度版から統一的基準。それまで東京都とか、それから基準モデルとか、総務省はいろんな会計モデルがあったんですけれども、それを一つモデル基準にまとめて公表されています。川崎市の財務書類も公表されていますので、財務書類をどういうふうに見ればいいのか。きょうの資料の中にも財政局でつくられたポイントがあると思いますけれども、ただ、財務書類というのは会計的な知識がないと、なかなか理解できないところもあります。簡単にその辺も触れて、財政分析で、それをどういうふうに今後活用できるのかというところでお話をできればと思います。  早速、本題に入らせていただきたいんですけれども、通常の予算編成は、御承知のように、いわゆる骨太の方針が6月下旬ぐらいに閣議決定されて政策を決めていくんですけれども、ことし発表された基本方針2019を見てみますと、副題に「「令和」新時代:「Society5.0」への挑戦」というのがあります。ずっと読んでみますと、既に御承知のことと思いますけれども、全体的に内容としては余り目新しいものがないように思うんですけれども、ただ、「「令和」新時代:「Society5.0」への挑戦」ということで、この辺に特別に4兆円ぐらいの予算をつけて、いわゆるAIとかIoTをどんどん進めていきましょうと。クラウド技術しかり、無人ロボット、あるいはスマートシティ、ドローンなど、こんなことで新たな展開を書き込んでいると。骨太の方針というのは昔は随分注目されてマスコミも取り上げて、来年度の骨太はこうなりますよという話もありましたけれども、最近、骨太の方針という言い方をしないで、すらっと出て、そのまま余り話題にも取り上げられてないんじゃないかなと。それだけ予算に対して国民も議論してないんじゃないかなと思います。  もう一つ、それを受けて概算要求基準というのが示されますよね。来年度の概算要求基準閣議了解の内容を見てみますと、そこにポイントとして書いてありますとおり、10%削減。その一方で重点施策ということで、削減額3倍、4兆4,000億円を盛り込みましょうということでずっと出てきました。  概算要求基準自体は、コメントのところに書いてありますように、1961年度からずっと来ているんですけれども、小泉内閣のとき、歳出の削減をずっと進めてきて、たしか一般会計予算も80兆円を割ったときがありましたよね。その後、リーマンショックなんかがあって、どんどんふえてきました。民主党政権でまたさらにふえて、安倍政権になってシーリングを取っ払ったということで、際限なく、ずっと膨らんできたのかなという感じがします。昨年度、臨時の措置を含めて100兆円を超えてしまったと。当然、令和2年度の予算も100兆円を大きく超えていくのではないかということです。  ちょっと注目したいのはここなんですけれども、概算要求基準を出した当日、諮問会議が中長期のPB、プライマリーバランスの黒字、今は2025年にしてあるんですけれども、その2025年で赤字が2兆3,000億円上回るという見通しを出しております。ですので、諮問会議でも黒字化は望めないよと。恐らく25年というのは27年なり何なり、また延ばしていくのではないかなということで、財政再建、まだまだ先なのかなという印象であります。  結果を受けて、8月31日に締め切って、9月5日に財務省が発表した総額が約105兆円ということになりました。ここからそれぞれを抑えて、ことしが臨時を含めて101兆円。それを含めないと98兆円ぐらいでしたか。恐らく臨時を含めないで100兆円を超えてくるだろうということで、どの辺まで抑えるかということです。  景気もちょっと足踏み状態になっています。ドイツがマイナスに沈み込んだ。きょう発表された3・4半期、景況感は悪化をしているということで考えると、ここでもう一発、何かアベノミクスとして打ち出さなければならない。そうすると、やっぱり予算をもう少し上げていくのかなと。そうすると、財政再建、もっともっと先送りされてしまうんじゃないかという懸念がいたします。僕は若い学生には、君たちは大変な思いをする。こんな予算を組んでいて、君たちはこれを全部払っていかなくちゃいけないんだからということを言っていますけれども、実際に痛みがありませんので、学生もなかなか説得を受けてくれないんです。そんな状況であります。  地方財政計画は、今のところ総務省が要求しているのは17兆1,000億円、プラス事項要求。それから、今年度が16兆6,000億円ですので、5,000億円ほどプラスになっている。税収はそこそこ入ってきていますので、恐らく来年度の交付税――本市は交付税は関係ありませんけれども、地方財政制度としては現状維持ということではないかと思います。  そんな状況で粛々と来年度予算が編成されていますけれども、また漏れ聞いたことがあれば何かの機会にお伝えします。  本来のきょうの目的である財政分析ですけれども、改めて、なぜ財政分析をするのかということをここで挙げておきました。地方財政法の第2条で、こういうことが書かれているわけです。健全な財政の運営に努めなければなりませんよと。  では、健全な財政の運営というのはどういうことなのかということで、これは法律にはもちろん規定されていない。一般的に言われているのは、財政構造が弾力的であるということ。それから、収支が均衡している、自立性が確保されている、効率性、あるいは効果性が確保されている。  財政構造弾力性というのは、通常は経常収支比率、そういう指標で判断をしていきます。  収支均衡、これも歳入と歳出のバランスですね。民間の場合、これは極大利潤の追求ですから、プラスが多ければ多いほど優良ということですけれども、政府ですから、余りプラスを出すとまずい。かといって、マイナスになると失敗になりますから均衡程度がいいということです。  それから自立性、これは自主財源ですね、地方税はどのぐらい確保するか。あるいは、それに対してどのぐらい取り組んでいるか。受益者負担なんていうのがありますけれども、自分のところで自立性を確保するというのはなかなか難しいんですけれども、そういうような歳入の確保という面であります。  それから、効率性効果性。これは何をもって効率というのかは判断が難しいですけれども、ずっと言われていますように効率的な運営に努める。効率というのは、無駄な歳出を抑えましょうということ。これも、最近は財務書類が作成されていますので、そんなところで見ています。  それから、事務事業評価というのも一時よりも下火になりましたけれども、そういった数値を用いながら、健全な財政が確保されているかどうかというものを決算書分析しましょうということなんです。決算書といっても、実は我が国では3つつくられています。  そこで、資料の1をごらんください。そこにありますように、これは会計区分なんですね。通常、決算議会で配られる資料一般会計特別会計決算書、この分厚いものです。これは予算対比決算書でありますので、これを見ても財政分析はできないんです。財政分析をするときには決算統計決算を使います。決算統計のときの会計区分というのは、一般会計特別会計会計区分の隣の普通会計公営企業会計の2つの会計になっております。  普通会計決算は、これは基本的には現金主義出納整理期間がありますので修正現金主義と書いてありますけれども、基本的には現金主義決算しています。  それから、公営事業会計のうち公営企業法が適用されるのは給与会計と同じような決算で行われております。  そうしますと、こちらのほうは貸借対照表。企業と同じような決算が作成されますので、割合と財政分析がしやすい。ところが、普通会計、いわゆる一般会計のところですと現金主義ですので、これで見ても効率性とか効果性というのはわからない。それから、資産がどのぐらい残っているかというストックもわからないんです。それで今、総務省が言っているように、財務書類を作成するということになっています。  どういうふうな関係にあるかというのがこの図です。今、自治体では3つの決算書をつくっているわけです。こんな3つも決算書をつくるというのは日本ぐらいなんですけれども、お手元に決算議会で配られる一般会計特別会計の分厚いもの。それから、これをもとにして、これは法律によって作成が義務づけられています地方財政状況資料集、いわゆる決算統計と言われるものなんです。  お手元にありますような、通常の決算カードというのはこれ1枚です。それから、決算状況資料集というのはこれです。きょうの資料の中に入っていると思いますけれども、この決算カードを使ってお話をしたいと思います。  それはどういう関係になっているかといいますと、行政のほうでは条例による予算決算をまずつくるわけです。この数字を使って決算統計をつくっていきます。決算統計自体は全部で97ページ。該当しないというのもありますので、六、七十ページだと思いますけれども、それがつくられます。  これを集計したのがこれになるんです。そうすると、この集計したもので、先ほどの、では弾力的にどうかというような比率がここに入ってくるんです。そうすると、この資料を見ることによって、弾力的かどうか。ただ、これは現金主義ですから、資産、負債がわかりません。それから、コストも現金ですので、例えば建物を使っていろんなサービスをするときに、建物の減価償却というのは認識されないわけですね。公務員も、それぞれ毎月払う給料を現金で払いますから計上されますけれども、実は退職金が毎年発生しているわけです。それは給料の後払いですから、コストとして認識しなくちゃいけない。企業の場合には、必ずそういうものが全部入ってきますから、そうすると、民間企業とこの行政サービスを比べるときに、行政はそういったものが一切入ってない。民間のコストというのは、そういうのが入っている。比べることができませんので、それで、こういう決算統計もきちっとできているんですけれども、分析ができないということで、この財務書類というのをつくり始めたんです。  これは行政の場合、バランスシートも必要だということで、平成13年に総務省がマニュアルを出しました。それからずっといろいろ改良を重ねて、平成27年度決算から総務省が統一した基準を示して、それに基づいて作成しましょうということになって、今、全ての自治体で同じ基準でつくられますので、他のいろんな自治体と比較することができる。  もう一つのメリットは複式簿記。借方、貸方をきちっと主張して、それに基づいて財務書類をつくる。  もう一つは、固定資産台帳を全部きちっと整理しましょうということで整理されましたので、資産はそういった台帳に基づいて計上されまして、きちんと整理されたバランスシート、それから行政コスト計算書発生主義コストというのが作成されるようになりましたので、この財務書類、それから決算統計のいろんな財政指標を用いながら財政分析をしていくというようなことなんです。  そういうことで、これは以下、幾つか書いてあります。  それで、3つの決算書であります。実際に財政分析をしていきたいと思います。  資料1、それから資料2の財務状況資料集、お手元のファイルの中にあると思いますけれども、それで分析をしていきます。  どういうふうにして見ていくかという、おおよそのところですね、詳しくやると、この時間では済みませんので、簡単に見て、どういうふうな見方をするかという評価のおおよその基準です。  一つ財政規模、どのぐらいの規模がありますか。川崎市の場合は、今出ているのは29年度。恐らく、もう30年度決算総務省の公表されているのは、今、最終で29年度版です。30年度は恐らく来年の3月以降になるかと思いますけれども、総務省のほうでとったものですけれども、29年度の歳入総額歳出総額はそこにありますとおり、7,000億円ぐらいです。そのぐらいの規模になっている。  川崎の類似団体というのは、政令市ですから、20政令市と比べてどんな感じなのか。ただ、政令市の中でも人口は物すごい違っていますので、一つの目安としてどうなのかということです。それから、これは過去の推移でどんな変化が起きてきたのか。昨年度、約6,000億円。歳入歳出とも随分上がっていますから、そういった要因というものを見ていこうということです。  それから、自主性ということでいけば財政力指数がどうなのか。地方税の割合はどうなのか。財政力指数は御承知のように1を基準としていますので、本市はちょうど1ぐらいですので不交付団体。ただ、1という不交付団体というのは、これは制度的には非常に厳しいと。名目上の不交付団体であって、交付税措置が一切受けられない。むしろ0.9のほうが財政にとってはありがたいということ。一応、財政力指数ですね。  それから、地方税の割合、本市は44%ぐらいです。これは地方財政計画が大体40%ぐらいです。ですから、地方財政全体としては4割自治。昔は30%ぐらいでしたので、よく3割自治ということを言っていましたけれども、税源移譲等々があって、地方税収も拡大してきました。大体、地方財政計画は4割ぐらいです。それと比べると若干税収はいいと。東京都なんかは7割超えていますから、地方税収でどのぐらいの自主性があるのか。そういった地方財政全体として4割から比べると、どうなるか。これは比べる基準はないですけれども、大体、税収がどのぐらいあるかというのは一つの目安になると思うんです。  それから、収支均衡。これは一つポイントでありまして、実質収支比率、これは経験的に言っているんですけれども、3から5%ぐらいが適正だろうと。2%、1%、あるいは6%、7%は、別にそんな問題ないんです。ただ、これまでの経緯を見ながら、マイナスになったら財政運営は失敗ですから。ただ、10%を超えてくるようだと、なぜそんな収支が開いてしまったのか。これはやっぱり原因をきちっと調べる必要があるんです。この程度だったら、ある程度財政運営の範囲内ということで考えていただければ。ただ、収支均衡がどうかということは絶えず見ておく。  もう一つ重要なのは、そこの表紙にある、このところを見てください。歳入歳出総額の下の欄です。これは決算カードのほうですけれども、ここが歳入歳出総額なので、見てもらうと、実質収支の下に積立金繰上償還金積立金取り崩し、それから実質年度収支とありますね。つまり実質収支というのは、これは前年度からの繰り越しが含まれているわけです。前年度から多額の繰り越しがあると、当然、その分が当期に反映されます。当年度だけではどうだったのかというのを見るときには、実質収支ではなくて、その下の単年度収支を見るわけです。そうすると、前年度からの繰り越しが入っていない単年度。単年度収支積立金を取り崩したりなんかしていますので、そうすると、積立金がなかったらどうなのかということになる。  積立金がなかったらどういう数字だったのかというのが、その一番下に実質年度収支とあります。これが重要でして、実質収支比率というものと、それから実質年度収支を見てもらって、当年度だけの収支はどうだったのか。ここではプラスになっていますけれども、これが結構マイナスのところが多いわけです。そうすると、単年度だけでこんな赤字出ているじゃないかと。実質収支プラスになっている、あるいは単年度収支プラスになっているのは、積立金を取り崩したらプラスになっているのに、当年度だけだったら、これはマイナスじゃないかと。これは当年度、どうしてマイナスになったのかをきちんと分析しておく必要があるんです。  財政が非常に厳しいときは積立金を積み立てようと。2年ほど前、地方財政財政調整基金積立金が20兆円を超えて過去最大になったと。これで財務省総務省で結構議論して、年末の議論で、諮問会議でそのことを指摘して、こんなに積立金があるんだったら余裕があるんじゃないか、国がなぜ借金までして地方の財源を補填しなくちゃいけないんだということで、地方財政計画、もう少し下げようじゃないかという議論がありました。そのときは幸い地方財政計画に反映されなかったんですけれども、やはり20兆円を超えるという金額が地方財政全体で積み立てられているという問題はどういうふうに解釈すればいいのかという議論があったわけです。  ただ、地方の言い分としては、都道府県で10%ぐらい、市町村で10%から15%の標準財政規模に対する積み立ては、リーマンショックほどではないにしても、いずれにしても、厳しくなったときは、そのぐらいは必要だよという議論になったんです。だから、標準財政規模の10%か15%ぐらいは財政調整基金として積み立てておくべきだと。財務省もその後、それ以上言わなくなりましたので、一応、議論としてはそんな感じです。ですので、実質、単年度収支が黒字をある程度確保されているということ。これは気をつけておくべきところなんです。実はこれはマイナスのところが結構多いんですね。景気は財政が少しおかしくなると、ぽーんと赤字になる。  今、非常に厳しいと言われているところの、御存じの銚子市です。これは今、イエローカードがゼロです。もうそろそろイエローカードが出るんじゃないか。その広報――広報と言ったら失礼ですけれども、ちょっと銚子危ないよということを言われている。それを見ていると、ここのところ赤字になっているんです。だから、やっぱりここのところは気をつけて、きちっとチェックをする。行政も、それを見ながら財政運営しているということになるんですけれども、これは収支のところの問題であります。収支の均衡。  もう一つ経費構造弾力性、これも非常に重要な指標であります。経常収支比率というのがあります。これは毎月の給料で生活がどのぐらい賄えているかという話ですね。ここにはローンの返済とか、そういうストックは入ってないんですけれども、そうすると、経常収支比率というのは低ければ低いほどよろしい、弾力的であるというわけですね。収入はどのぐらい経費をカバーできているかとか、収入が多い、あるいは経費が少なければ数値は低くなります。  一つの目安としてどうかというと、かつては市町村が75、都道府県は80から85と言われていました。これは随分昔の話ですけれども、今は大体90から95ぐらいになっているんです。川崎市を見ると、残念ながら非常に高い数値になって100を超えているわけです。経費構造は非弾力的である、硬直的になっているということです。  通常、臨財債を含めてですけれども、臨財債を含めても100%、含めないと100何%でしたっけ。かなり高い数字になっている。ただ、大都市財政というのはどうしてもそういう傾向にありまして、市町村の中でも政令市大都市ほど財政というのは厳しい状況にあります。これは特有の財政需要がありますので、それを反映しているということで、今、とにかく少子化対策ですね。こういった福祉経費は毎年増加しているわけです。  来年度予算についても、今年度6,000億円。それを5,300億円の増に抑えると。制度をそのままにしたら、どんどん膨れて、来年度も6,000億円を超えていく。ところが、医療費、薬価、少し下げて5,300億円までしていましたよと。それでも、これだけ、どうしても毎年毎年ふえていきますので、地方は当然、少子高齢対策として、やっぱり扶助費、あるいは民生費というのは、どうしてもふえてくるわけです。大都市はそういうことの経費が多いですから、そうすると、やっぱりこの経常収支比率というのは高どまりしちゃうんです。これは、しようがないことなんです。その中でどういうふうにやりくりするかということであります。経常収支比率というものを見ながら弾力的な度合いを見る。  あと、義務的経費というのがあります。人件費と公債費と扶助費ですね。扶助費は25%ぐらいです。大阪市に至っては30%を超えています。経常収支比率も100%をかなり超えていますので、大阪市のほうはもっと厳しいんですけれども、そういう状況にありながら、やはり義務的経費。扶助費は率で決まっていますから、これは自治体でどうのこうのという問題ではありませんので、これはしようがないんですけれども、あとは人件費と公債費。  公債費は随分押さえてきましたけれども、やっぱり大都市政令市あたりになると、いろんな交通インフラ云々というのはどうしても高くなってきますので、将来負担比率120%ぐらいということになってしまうわけです。人件費は抑え切れないぐらい下げてきました。非常に厳しい状況であることは間違いない。こういう指標をチェックして、今どんな状況にあるか、それから傾向としてはどうなのかということはやはりチェックをしておく必要があるということなんです。  もう一つ財務書類なんです。私も幾つか研究会に加わっていますので、せっかく、こういった財務書類、これは義務づけじゃないんですけれども、全自治体でつくっていますから、ほぼ義務づけみたいなものなんです。つくっていて、人手がないところは外注に出して頼んだり何かしているんです。  せっかくコストをかけてつくって、では、これをどういうふうに見ればいいのかということなんです。財政局財政課で29年度版の財務書類をわかりやすくポイントを上げながら解説したものを出しています。この財務書類は、要は決算カードで見れない部分、これがいわゆる資産、負債のバランスシートなんですね。どのぐらい資産がありますか、どのぐらい、それに対する負債がありますか、その差額は幾らですか。これをどう見るかということなんです。  企業の場合には、企業会計で財務諸表の分析がずっと行われています。それぞれプロの公認会計士等々、あるいは財政部局の人もそれなりに会計学に精通した人がいて、あるいはステークホルダー、株主も自分が投資した会社はどんな状況になっているか、一生懸命ですから、やっぱりある程度知識を持って見ていく。分析の方法も、企業会計は随分関与されていますので、いろんな指標もあります。  それで会社の状況を見ていくわけですけれども、ところが、公会計、いわゆる政府の財務書類というのは全く違うわけです。例えば、ここでいきますと3兆2,289億円の資産がありますよと。そのうち、ほぼインフラ資産になるわけですけれども、これだけの資産がある。  それに対して、負債がこれだけあります。負債は、ほぼ地方債です。では、この3兆2,000億円という資産がどれだけの意味を持つのか、どれだけの価値を持つのか。企業の場合は資産が多いほど優良、あるいは借金が少ないほうが優良という評価ができますけれども、政府の場合、借金がないということはあり得ないわけです。逆に借金をしないで、地方債は全部、適債事業ですから赤字調査はありませんので、これは全部、公共事業に使われているわけなんです。そうすると、地方債を借りないでインフラを整備するという、これはかえって不公平なわけです。その世代で全部資産を賄う。ところが、資産はずっとサービスがで提供されますから、そうすると公債を発行しない、地方債を発行しないでインフラをつくるって、これは世代間で不公平になります。そうすると、ある程度負債は必要になってくる。  では、どのぐらい資産と負債の関係で地方債があればいいのか。これは別に基準があるわけじゃないので、それぞれ、その自治体の政策、あるいは状況によって決めていくべき。だから、資産がこれだけある。優良な自治体ですよ、財政は非常にいいですよと、これはなかなか言えないんです。それは自治体によって、抱える資産は違いますから。そうすると、これをどういうふうに評価すればいいのかという話なんです。  別にこうですよ、ああですよという議論があるわけじゃないんです。そうすると、では、どういうふうに使いましょうか。結局、これは川崎市全体のものなんです。全体のものを見て、うちは財産いっぱいありますよ、人口1人当たり、こんなにありますよ。それで比べても余り意味がないわけです。  実際に比べたものが、この後ろのほうに載っているんです。左上に(12)と書いてあるんですけれども、ここに「市町村公会計指標分析財政指標組合せ分析表」と書いてあります。これは決算統計の比率と、それからバランスシートによって得られた資産を組み合わせて、これは類似団体等と比較して、どうなのかというのがここに出ている。  これは統一的な基準が先ほど申しました平成27年度から公表されてきましたので、それをもとに、こういうグラフをつくり始めたんです。このグラフは全部5年単位ですので、これはずっと毎年度発表されると、これが5年分で、経過として、どういうふうになっているのか。  それから、類似団体、つまり政令市と比較してどんなポジションにあるのか。あるいは、全国平均と比較してどうなのか。それから、神奈川県内と比べてどうなのかということがこうやって図で示されますので、わかりやすいのではないかなと。  ただ、これも今申し上げましたように、例えば12のうち、一番左上の有形固定資産減価償却率とあります。これ、実は全部の減価償却額なんです。個々を見たわけじゃないので、市全体の減価償却費を見て計算しているわけです。  それから、減価償却の耐用年数ですけれども、これは個別ではありませんので、それから長寿命化をしても伸びないんですね。だから、ここの償却率をまともに細かい数字まで見てしまうと、やっぱりちょっとミスリーディングしてしまうのかな。大ざっぱなところで、今、大体こんな感じなのかなという程度で見ていただかないと、まだいろんな細かいところでは問題がありますので、そういうことになっています。  それからもう一つ、右のところに分析欄がある。これは財政の担当課が記入をしているわけです。これは行政の方もいらっしゃるんですけれども、行政はどういうふうにこの数値について捉えていくか。やはりそこは議会として、これはちょっと違うんじゃないのとか、一つの突っ込みどころになるかもしれませんけれども、やっぱりそれはそれぞれいろんな意見があると思うんです。行政の立場として、こういうふうに、この数値を分析していますよ。それを我々議会としてはどう考えるかというような一つの議論になるかとは思うんです。  ただ、余り細かいことまで言いますと、今出ましたように、減価償却耐用年数の問題とか、そういうところが若干大ざっぱなくくりだったりしますので、それから長寿命化の問題もありますので、大ざっぱとして、こういうふうになっているんだなという捉え方でいいのではないかと思います。  こういうものが、いわゆるストックですね。財務書類をつくることによって、この12表以下、だんだん整備されてきますので、ストックとしての決算というものが少しずつ活用されているのかなということです。  先ほど見ましたように、財務書類、これは全体でやります。市の一般会計を見て、資産がどうのこうのという議論にはなかなかならない。これ、本当に使おうとするのはやっぱりセクションごとですね。事業ごとに財務書類をつくっていくと、それぞれ、その事業についてはどのぐらいの資産があるのか、それから行政コスト計算書が出てきますと、そういうことも可能であります。  例えば東京都が平成13年度からずっと研究をやりまして、18年度から公表し始めました。目的は、事業別の財務書類をつくることによって、それぞれ事業が、では、この事業をそのまま行政が提供してもいいのかどうか。  例えば大江戸博物館へ行って、事業別に財務書類をつくっているわけ。そうすると、1人当たり、幾らかかっている。それは、ほかの博物館は高いのか安いのかということが比較できるわけ。これは東京都方式を早くやって、町田市がそういうことをやっているわけですね。そこまでやると、かなり個別の財務書類として使うことができるということ。だから、市全体の財務書類を見ても、これだけやりますよという程度。そんなことです。  では、そこまでやるかというと、やっぱりこれも大変な手間がかかりますので、セクション別の財務書類をつくることになれば、こういったものが使えるということであります。  それから、もう一つ大きな問題は、こういった財務書類をつくる側、それから利用する側に専門的な会計知識が十分ないということなんです。これはPDCAという言葉もそうなんですけれども、日本が公共経営、ニューパブリックマネジメントというのをイギリスやヨーロッパ、アメリカでやっているよと、どんどん言う。バランスシートもみんなつくっているじゃないか、行政評価も向こうでやっているから日本はやらなくちゃいかんということで、説明責任を果たせということで一生懸命言ってきたんですけれども、ところが、例えばイギリスで財務諸表を随分前からつくっているんですけれども、担当監は全部、会計の専門家なんです。僕は毎年向こうへ行って、いろいろ話す。ことしも8月に行っていろんな話を聞いてきたんですけれども、みんな専門家なんです。公会計士という資格を持った人が財政課。財政課はその人しかいない。だから、専門家がこういうものをつくって、そういうものを議会のほうに持っていって利用する。議会も、専門家はいませんけれども、こういった決算書を読めるという人たちがそれを見て、では、予算をどうするこうする、あるいは政策をどうするという、そんなことをやっているわけです。だから、日本の場合、公務員試験は会計学はありませんから、専門家というのはほとんどいないわけです。だから、こういうものを総務省から言われたようにつくっても、どうやってつくるのと。これは数字だけ抜き出して議論しても、なかなか使えないということなんです。  今、総務省では、こういうものをどういうふうに使うかということを示していますけれども、身近なところでは、せっかくこういった財政状況資料集というのも毎年少しずつ整備されてきます。僕も総務省委員会にいたときに、これはまだなかったんですけれども、この決算カードをずっと見て、これは1枚に全部入っていますから非常に便利なんですけれども、例えば特別会計のところはわかりませんよ。それから、ほかの特別会計との関係であるとか、いろんな細かい数字が出てきません。それから、類似団体との比較もこれではわかりませんので、こういった複数のページをつくって、その後随分進化して毎年加えるような形で整備されてきました。ですので、こういった財務資料集をぜひ見ることによって、いろんなことがわかります。これは特別会計も全て出ていますから、そういう意味では、これを毎年見ていただいて、今、財政がどのポジションにあるのか。それから、後ろの12ページ以降、取得、財務書類との関係で整備されてきましたので、ここを見ることによって、いろんなところで見ていただければなと思います。  せっかくですので、これは規模別に見た財政状況なんです。先ほどもちょっとお話ししましたように、実質収支、それから経常収支ですね。ちょっと見づらくて恐縮ですけれども、政令市、これはずっと一番上、95%を超えて推移しているんです。町村レベルになると85%ぐらい。大都市ほど財政状況が硬直して厳しいということです。  このグラフは公債費のところで、借金は健全化法ができて、みんな一生懸命減らしてきました。それから、公共投資も抑えてきましたので、ずっとよくなっているんです。ただ、一番上、政令市あたりがまだ厳しいということです。  これは地方債、臨財債です。公共事業の企業債もずっと減ってきています。だから、インフラがどんどん老朽化する。この間の台風で千葉県はかなり大きな災害がありましたけれども、整備ができない、つまりケア、雑草を刈ることができないような状況。だから、一遍、大風が吹くと、ああいうのが倒れてしまって、ああいう災害になってくるということで、そういうところはやっぱりどうしても後回しになっている。やはり社会保障のところにどうしてもお金を回さざるを得ないということになれば、どこから削減するか。人件費は削減されないような状況になっておりますので、やっぱり公共事業にいかざるを得ない。公共事業にいくと、そういう問題がこれからどんどん起きてくるという状況であります。そうすると、やはり財政としては、もっと膨らましていく必要があるのかなということです。  日本は国民負担率がかなり上がってきました。ヨーロッパに近づいてきているんです。それは社会保険料がどんどん上がっているんです。ところが、税負担というのはまだまだ低いんです。きょうから消費税が10%になりましたけれども、10%なんて、EUの付加価値税率は平均が20%ですから、半分しか取ってないということなんです。今、社会保障サービスはヨーロッパ並みです。保険制度でありますけれども、それでも非常に優良な医療サービス、日本はどこへ行っても直接病院に行けるわけじゃないですか。ヨーロッパは病院には直接行けませんからね。それから、待ち時間も全然ないわけでしょう。僕もイギリスで病院へ何回か行ったことありますけれども、とんでもない待ち時間があって、待っているうちにみんなくたばっちゃうんですよね。そういう状況で社会保障が先進なんて、これはとんでもない間違いであって、そういう意味では、確かに、まだまだ高齢者の福祉施設が充実してないところもありますけれども、かなり先端的に進んでいるところもあります。そういうところも評価をして考える。やっぱり負担という問題でいきますと、25兆円ほどの借金を抱えて、それを賄っているわけですから、これはやっぱりその負担をしていかなければいけないんじゃないかなとは思うんです。そういうことであります。  きょう、いろいろお話しましたけれども、それぞれ決算統計から見えた現状、収支均衡はどうなのか、あるいは弾力性自主性、健全性はどうなのかということ。それから、ストック面、コスト面、あと類似団体の比較というところで幾つかお話ししたかと思います。  活用としては、やはり財政分析から予算審議へ臨むべきだと。私は常々、こういった議員の方々のお話のときに言っているんですけれども、そのときの一つのキーワードとして、身の丈がどのぐらいあるのかを押さえて議論すべきだなと。身の丈というのは標準財政規模のことなんです。標準財政規模というのは、地方税と普通交付税。ここは普通交付税はありませんので、44%ぐらいです。それが、財政の身の丈は幾らぐらいなのかと。それを考えながら予算の妥当な規模、あるいは公共事業の適切な水準ということを考えていくべき。それから積立金とか、あるいは借入金事業の大きさということも、これと比較しながら議論するということが必要ではないか。いろんな指標の分母は大体、標準財政規模です。これで標準化をしているわけです。  それから、もう一つはキャッシュです。資金収支計算書というのがあります。これはそれぞれ事業別に書いてあるわけですけれども、このキャッシュが、どこで赤字で、どこがプラスになって、どういうふうにそのキャッシュが回っているのかということに注目して、やはり予算にこういった問題が生かせると。企業会計の中で資金収支計算書というのは一番最近加わったものであります。  それからもう一つ貸借対照表のストック情報で計画的契約投資。せっかくバランスシートというのが出てきました。それから、先ほどの資料集の後のほうでいろんな指標等の組み合わせも出てきていますので、そういったストック情報を活用するということも予算の中で。  それから、老朽化。減価償却累計額で、わかりやすく言うと老朽化比率を見ながら、どのぐらい公共インフラが老朽化しているのか、あるいは、耐用年数に近づいているのかというのを見ることができると思うんです。  それからもう一つ、公共施設等総合管理計画。今、計画を進めつつある。ただ、自治体によっては進んでないというところもありますけれども、これもインフラの整備は非常に重要で、また橋なんかが落ちたらとんでもないことになりますので、バランスシートもこういった財務書類を見ながら計画の遂行ということ、あるいは予算審議ということに活用していただければと思います。  ちょっと足早にお話をしてきましたけれども、私のほうからは以上であります。 ○青木功雄 委員長 兼村先生、どうもありがとうございました。  それでは、御講演が終わりましたので、ただいまから質疑応答の時間に入らせていただきたいと存じますが、委員の皆様から質問、御意見等ございましたらお願いいたしたいと思います。 ◆月本琢也 委員 先ほどのお話の中で決算統計分析のところですが、財政調整基金については標準財政規模の10%から15%程度が望ましいという話の中で、本市もちょうど今、決算議会中ですので、基金のあり方というところで、今、どうしても収支不足のところを減債基金からの借り入れになっているということで、その理由の一つとしては、財政調整基金が、先ほど標準財政規模が3,610億円という説明でしたので、そうすると、10%で考えるうちの360億円ぐらい、必要なところは157億円ぐらいしかないということもあったので、そういったところで減債基金から借り入れを行っているという実情なんですけれども、今後、川崎市も人口がふえて収入が増になっていっても、もちろん大規模事業との兼ね合いはあるんですが、やっぱり財政は硬直化してきていて、今後のことを考えた場合に財政調整基金のあり方、それから減債基金のあり方という見方を改めて見直していかなければいけない時期にあるにもかかわらず、なかなかこれが調整できてないという状況なんですが、そういった状況に対して、基金のあり方を示していくということの中で基金の動かし方というんですか、運用の仕方ということで先生の御意見をいただければと思います。 ◎兼村 参考人 例えば特目の基金というのを、それぞれ議会で議決して、それは目的ですので、それはそれでいいと思う。  財政調整基金の問題ですけれども、私が云々言う問題ではないので、それぞれ自治体で決めていくことでしょうけれども、ただ、財政運営の中で、こういう状況で、また米中の問題で日本も少しずつ影響を受けていると。これはまた次年度以降、税収が落ち込む可能性もあるわけですよね。そうした場合、実質年度収支がぽんと赤字になったりします。これはどうしますかということです。やっぱり持続可能性ということでいけば、これは別に総務省とか、向こうで議論した話じゃなくて、我々でいろんな議論をする中で、では、どのぐらいなのかな。たまたまそういう問題があったので、いろんなところで議論した中で、やっぱり15%ぐらいは安全圏としては持っておいたほうがいいんじゃないかという経験則なんです。  イギリスの場合は法律で決まっているんです。これだけ積み立て。イギリスはくしくも日本と同じように、過去最大の積立金になった。リザーブというんですけれども、これも当時、キャメロン首相のときですけれども、若干議論になったんです。ただ、これは法律で決まっています。積み立てなければならないとなっているので積み立てたんですけれども、日本は別にそうじゃなくて、だから、それをどのぐらい積み立てるか。それぞれの自治体の決定なんですけれども、ただ、経験則としてはそのぐらいなのかなというような議論なんです。それはそうだとしても、それだけ余裕がないというところもありますから。今後の持続ということを考えれば、ある程度はあったほうがいいのかな。ただ、積み立てといっても、積み立てられないところもあります。銚子市は非常に厳しい状況。富津市でしたか、前、市長が財政危機宣言したと。この調子でいくと財調がなくなるから、ここで危ないですよという話をしたわけです。そういうようなところで、財政運営の中である程度積み立てたほうがいいんじゃないかという議論で、そこはぜひ、また議論を深めていただければと思うんです。 ◆月本琢也 委員 ありがとうございました。 ◆各務雅彦 委員 2点ありまして、1点が、世代間公平性に着目した分析のところで純資産比率というのがあると思うんですけれども、これは比率が高いほど将来世代も利用可能な資源を蓄積されたことがわかるかなんですけれども、企業会計で言うと、純資産の勘定科目とか、そういったわかるような項目がないかと思うんですが、公会計のほうでは、そういうものがあるということでよろしいでしょうか。 ◎兼村 参考人 それは純資産といいます。公会計財務書類をつくるときに、最初は資本金と言ったんですよ。でも、やっぱり資本金というのはおかしいだろうと。差額って、その後言ったりした。東京都もまた、違う。それぞれ会計に対する考え方が違うんですけれども、今は総務省の統一的な基準では純資産。要は、これは差額のことなんですよね。結局、純資産の部分というのは、負債の部分がほぼ公債ですから借りていますので、将来に返さなくちゃいけない将来世代の負担ということ。純資産の部分は今までの税金で賄ってきたので、これまでにすればいいという名前のつけ方をしているんです。
     だから、企業会計というところの資本金とか、あるいは剰余金という部分ではなく、公会計というのは、そういうところではきちっとはしてないんですよね。公会計基準というのはないんですよ。一応、総務省の統一的公会計基準というのが出ましたので、それに基づいて今は全部そっちにやりましょうと。東京都もそれを全部やろうということになっています。余り名称にこだわると、ちょっと間違ってしまうかもしれない。 ◆各務雅彦 委員 2点目は、自立性に着目した分析のところで受益者負担比率というのがあると思うんですけれども、これはもし高ければいいということであれば、例えばごみの収集とかも有料化にするという考えになるかと思うんですが、その辺、ちょっとお考えをお聞かせください。 ◎兼村 参考人 これは個別対応でのサービス。だから、どのぐらい公共料金でカバーするか。公共サービスだから、もちろん民間と比較して安いほうがいいだろう。あるいは、どのぐらい料金として取るのかという議論があるんです。受益者負担というのは、要はこれは行政の側なんですよね。適正な受益者負担というのもある。ある程度試算をしてくださいよという話なんです。公共サービスは無料でもいいということもあるわけ。ところが、特定の受益が及ぶ人については、それなりの負担をしましょう。  一般的な公共サービスは税金でやりますから、もちろん無料なんですけれども、個別に受益が及ぶものについては、それ相応の負担をしてもらいましょうというのが受益者負担の原則なんです。では、どのぐらい負担をしてもらうかというのは、これはそれぞれの自治体の条例で決めるということですから。 ◆各務雅彦 委員 比べても余り意味がないですか。 ◎兼村 参考人 僕は意味はないと思います。大体二、三%ぐらいしかカバーしてないですから。本当にまともに取れば大変なもの。  ところが、外国へ行くと、手数料使用料20%って、かなり大きいんですよ。そういう意味では、日本は受益者に負担してもらっているというのは少ないんです。今後、水道の民営化ということになれば、結局、受益者負担じゃなくて、自分が料金を払わなくちゃいけないわけでしょう。やっぱり公共サービスじゃなくなると、もちろん、どんどん高くなるということにはなっていくんです。 ◆各務雅彦 委員 ありがとうございます。 ◆押本吉司 委員 先ほど月本委員から財政調整基金と減債基金の話があったんですけれども、後段の減債基金について聞きたくて、我が市は、今、減債基金の残高が2,200億円ほどあって、今後、2027年には3,000億円を超える額になってきます。その中で、要するに積立額の適正規模はどの程度なのか。お隣の横浜市なんかは、令和元年度でいくと1,300億円程度積み立てている状況なんですけれども、同じような財政調整基金という考え方を用いるのか、また新たな指標だとか考え方があるのであれば、ぜひとも教えていただきたいなと思います。よろしくお願いします。 ◎兼村 参考人 それが先ほど言った、いわゆる身の丈の標準財政規模に対して何%ぐらいかということなんです。議論の中では、それが10%、あるいは15%というような、これは総務省でその議論になったときに調査した報告書が出ているんです。それを見ると、それぞれの自治体はどのぐらいのパーセンテージになるのかというのが出ていますので、そんなのも参考になるかと思うんです。 ◆押本吉司 委員 その中でも川崎市はかなり高い状況があるのかなと思っているんですけれども、ほかと比べるというのも、残っている市債残高の額であったりだとか、そういう見方もいろいろあって、今、1兆600億円が一般会計で残っているような状況の中で毎年560億円ぐらい返しているんですけれども、そういった見方の部分ではどのような見方をすればいいのか。ちょっとそこら辺も教えてください。 ◎兼村 参考人 それは僕が言う話ではないです。 ◆押本吉司 委員 いろんな他都市を見た中で。 ◎兼村 参考人 他都市もいろいろなんです。ばらばらです。例えば一般の多くなったときの議論として10%とか15%という話があったので、それをただ、このぐらいあればいいんじゃないかという話で、別に根拠があるわけじゃないんです。 ◆押本吉司 委員 わかりました。ちょっと視点を変えて、今後、財政を改善する川崎市の課題点が3つぐらいあるかなと思っていて、2つが国にかかわることで、1つが法人市民税の一部国税化と、あとは、ふるさと納税というのが今ピックアップされて、特に先ほどお話があったとおり、不交付団体ですから75%の補填がされないと。これは政令市なんかですと、20政令市、川崎市だけの課題として、政令市長会だとか、あと九都県市の会議だとか、なかなか改善の要望が上げられないような部分があるんです。なかなか声を上げていく自治体も少ない中で、国に対して、どのような要望の仕方をしていけば、こういったものが改善していくのか。そういったこともぜひ教えてもらえるとありがたいなと思うんですけれども、財政局のほうもかなり困っているというか、どのような手段を使って改善していくのかということをかなり悩んでいる状況があるので、もし先生の経験則の中で、こういった言い方だったりとか、こういった手段を使えば、それが一歩前進するんじゃないかという、そういった御示唆があれば教えていただければと思います。 ◎兼村 参考人 それはちょっと言いにくいというか、何というか、実は決算統計のあれで、地方公共団体の財政分析に関する委員会みたいなものをやっていたんです。そういう中で、別に総務省が云々ということではなくて、そういう問題というのは、恐らく税の関係って、財務省との関係だと思うんです。総務省は、むしろ交付税財源、地方の固有財源と言っているぐらいですから。今でも言い続けているわけですけれども、そこのところ、例えばどうするこうするということになれば財務省との関係なのかなと。  でも、それを今言ってもしようがないような気がして、だって、今、分権も下火でしょう。恐らくこれ以上分権を言うと墓穴を掘ってしまう。逆に今度、そっちで何とかしなさいよという話になっちゃう。ひょっとしたら川崎市も持ち出しになってしまうかもしれませんよね。ほどほどの今の状況がいいのかなと。余りかきまぜると、余計なところを突っつき出されるような可能性もあるので、問題なければ、僕は余り突っ込まないほうがいいかなと。 ◆押本吉司 委員 ありがとうございます。 ○青木功雄 委員長 本日は、委員の皆様以外の委員外で多くの議員の方が御出席していただいていまして、委員の皆様に諮ってからでないと御質問を受けられないということでございましたので、委員の皆様、委員外の皆様の御質問を受けてよろしいでしょうか。                 ( 異議なし ) ○青木功雄 委員長 そしたら、多くの方が御出席でございますので、質問があれば。 ◆織田勝久 議員 ありがとうございました。先ほど押本委員のほうからふるさと納税の話なんかもありましたけれども、川崎市単体の財政をしっかり分析するということはもちろん大切だと思っているんですが、川崎の場合はある程度行財政改革も進めてきましたし、その中で自前の財源の確保の議論をしっかりしていかないと、財政需要に十分対応できないと。端的に言えば、行革をすればするほど基準財政需要額の部分の議論の中で財政力は弱くなっちゃうわけですよね。だけど、市民サービスがいいというのと財政力とつながらないわけです。  神奈川県の中でも、固有名詞は挙げませんけれども、西のほうの小さな自治体のほうが財政力はよくないけれども、市民サービスがいいなんていうのは幾らでもあるわけですよね。例えば小児医療助成の問題とか、中学校給食の問題とか。そういうときに私どもが市民から責められるのは、何で川崎市は財政力があるのに市民サービスが悪いのよと言われることがやっぱり多いわけです。特に東京から居住してきた方なんかは多いですから、そういうときに一生懸命市民の皆さんに、川崎は県の権限も含めて大体年間150億円ぐらい、県の仕事持ち出しでやっているんだよと。そんな話をしても、市民の皆さんはどうでもよくなっちゃうんです。特に大都市特例事務にかかわる課題をどういうふうに解決していくのか。それについて、逆に先生から何か一つお知恵をいただければありがたいなと。ちょっと御示唆いただければありがたいんです。 ◎兼村 参考人 市民も下手に知識があると、財政力で不交付団体だろうなんて言っちゃう。ただ、先ほどもちょっと見たように、経常収支は100なんですよ。日々の生活で目いっぱいになっているわけですよね。こっちを言わないと、大都市だから財政力がいいのは当たり前なんです。浦安の1.5ぐらいであれば、確かに財政力はいいです。だから、そういうサービスをしていますよと。大都市財政力は1、大体0.9幾つになっていますから、たまたま1であって、別に富裕団体、いわゆる不交付団体だからいいというわけじゃないでしょう。大都市でも特別の大事業って、物すごくあるわけです。やっぱりそっちを強調して、むしろ経常収支というのは、毎年の税収で経費を賄えてないという、こちらのほうが重要だと思うんです。  さらに、扶助費、福祉関係のサービスがどんどん膨れて、これは抑え切れない。むしろ、それによって公共事業はどんどん削減。だから、あんな台風が来て、あれだけの被害が出てくる。結局、何も整備できてない状況になってしまっていますよということなんです。やっぱりそこのところは、むしろ声高に言ったほうが僕はいいと思うんです。  小さいところは、先ほどもちょっと言いましたように、経常収支は低いんです。だから、ちょっとしたお金ぐらい回るんです。これだけきちきちになっていると、ちょっとしたものが回らないような状況になっていますので、ぜひ不交付団体ということより、経常収支のところの非常に厳しい状況というのをきちっとお話しされたほうがいいんじゃないかと思うんです。  不交付団体ということばかりが出て、不交付団体イコール富裕団体だろう。これだけ大きいんだから、そのぐらい何とかなるだろうと思う。何もならないような状況に実はなっていると思うんです。大都市というのは、いろんな行政サービスというのが法定されていますから、そういう意味で、どうしてもそういうところで誤解を持たれてしまうということがあると思うんです。だから、そんなこと言えないですけれども、市民の人も、もっとちゃんと学んでもらって、ちゃんと知識を持ってもらってね。やっぱり議会としても、きちっとそういった説明をね。経常収支って、なかなかわからないかもしれないけれども、実は毎月の給料で毎週の食費は賄い切れない状況になっていますという、そんな話で理解してもらったらいかがですか。  そういう意味で、僕は市民参加予算というのをあちこちで推奨しているんです。実は隣の韓国は法律で全自治体市民参加予算を義務づけられています。これは予算をつくるときに市民にも参加してもらっている。これはある一部ですけれども、議論してもらう。こういうふうな予算をつくっていますよという意見を求めたり、あるいはヨーロッパまで行くと政策を出していて、その政策について市民に投票してもらう。そうすると、市民の人はわかるんですよね。予算って、こうなっているんだな、こういうふうになっているんだと。自分が要望したのがどういうふうに実際の政策に反映されるのか。そういうことをずっとやっていくと、市民の人も予算というもの、あるいは議会の議論というのをだんだん理解してくれるんです。そういう機会を市民に与えるということも重要ではないかと。今、ヨーロッパで3,000ぐらいの自治体がやっています。大体、日本は入ってくるのが10年ぐらいおくれますから、恐らくそのうちどこかで始めるんじゃないかと思うんです。 ◆織田勝久 議員 ありがとうございました。 ○青木功雄 委員長 よろしいですか。  それでは、お時間も来ましたので、これで「大都市における税財政制度の諸問題に関する調査・研究について」を終わらせていただきたいと思います。  改めまして、先生には本当にお忙しい中、まことにありがとうございました。(拍手)  それでは、御退席をお願いいたします。                 (兼村参考人退室) ○青木功雄 委員長 委員外の先生方も、これで講演は終わりです。ありがとうございました。         ───────────────────────── ○青木功雄 委員長 次に、その他として、今後の委員会日程について御協議いただきます。   協議の結果、10月7日(月)に開催することとした。         ───────────────────────── ○青木功雄 委員長 その他、委員の皆様から何かございますでしょうか。                  ( なし ) ○青木功雄 委員長 それでは、以上で本日の大都市税財政制度調査特別委員会を閉会いたします。                午後3時30分閉会...