午前10時00分開会
○末永直 委員長 ただいまから
まちづくり委員会を開会いたします。
お手元の
タブレット端末をごらんください。本日の日程は、
まちづくり委員会日程のとおりです。
傍聴の申し出がございますので、許可することに御異議ありませんでしょうか。
( 異議なし )
○末永直 委員長 それでは、傍聴を許可します。
(
傍聴者入室 )
○末永直 委員長 初めに、
建設緑政局関係の所管事務の調査として、「
羽田連絡道路の事業進捗について」の報告を受けます。
なお、
関係理事者として、
臨海部国際戦略本部から
佐藤国際戦略推進部担当課長及び
森田拠点整備推進部担当課長が出席しておりますので、御紹介いたします。
それでは理事者の方、よろしくお願いいたします。
◎奥澤
建設緑政局長 おはようございます。それでは、「
羽田連絡道路の事業進捗について」、
新西広域道路整備室担当課長から御説明申し上げますので、よろしくお願いします。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 おはようございます。
広域道路整備室担当課長の新西でございます。
それでは、
羽田連絡道路の事業進捗につきまして御報告させていただきます。お手元にございます
タブレット端末の1(1)
羽田連絡道路の事業進捗についてのファイルをお開きください。
本日は、平成28年度から事業に着手し、平成29年度から工事を進めてまいりました
羽田連絡道路につきまして、事業の概要とともに、工事の進捗や今後の工程の見込み、そして今後議会でお諮りさせていただきます工事の請負契約の
変更予定等について御報告いたします。
それでは、画面の表紙を1枚おめくりいただき、資料の2ページをごらんください。
初めに、資料の左上、1の事業目的でございますが、国が主催する
羽田空港周辺・
京浜臨海部連携強化推進委員会におきましては、
羽田空港周辺地域と
京浜臨海部の連携を強化し、
成長戦略拠点の形成を図るため、必要な都市・
交通インフラの整備等に取り組むこととし、これまでその一環といたしまして、川崎市、東京都、
国土交通省航空局が施行者となり、
羽田空港跡地地区と川崎市殿町地区とを結ぶ
羽田連絡道路の整備を行ってきたところでございます。
次に、2の事業概要でございますが、路線名は、川崎側が
都市計画道路殿町
羽田空港線、東京側が
都市計画道路補助線街路第333号線でございまして、道路延長は約840メートル、幅員は17.3メートルから21.3メートルでございます。事業主体は川崎市及び東京都、施行主体は川崎市でございまして、
計画事業費は、整備に要する工事費や
用地補償費などを見込み約300億円でございまして、このうち、東京都の負担分を除いた本市の負担分は約170億円で、そこから
国庫補助金、県補助金を除いた
本市負担額は約68億円でございます。
また、事業の経緯でございますが、平成28年11月に
自主的環境影響評価審査書が公告され、同年12月に都市計画の変更、平成29年1月に事業認可を取得、同年6月に
設計施工一括発注方式による工事契約を締結し、工事に着手したところでございます。
次に、
羽田連絡道路の位置でございますが、3の位置図をごらんください。
羽田連絡道路は、川崎市殿町地区及び
羽田空港跡地地区の中央部におきまして、国道409号線と環状第8号線を結ぶ道路でございます。
次に、資料右上、4の工事の概要でございますが、工事名は記載のとおりでございまして、受注者は五洋建設など6社から成るJVで構成されており、契約工期は平成29年6月23日から令和3年3月31日までとなっております。
また、
羽田連絡道路の横断面の構成でございますが、(2)の平面図、(3)の横断図をあわせてごらんください。(3)横断図の
A-A断面にお示ししましたとおり、
羽田連絡道路の一般部は、片側1車線の車道と、その両側の歩道及び自転車道で構成しております。なお、
B-B断面にお示ししたとおり、交差点部につきましては、付加車線を設置して交通の円滑化を図っております。
また、工事の内容でございますが、資料の下段、(4)の側面図をごらんください。図面左が東京側、右が川崎側となっておりますが、川崎側の国道409号線の接続部からA1橋台までは、両側に擁壁を設置した
盛り土構造となっております。次に、A1橋台からP2橋脚までは取りつけ部の橋梁となっておりまして、橋長約72メートルの鋼2径間連続鈑桁橋という形式で整備いたします。次に、P2橋脚からP5橋脚までは多摩川を渡河する橋梁となっておりまして、橋長約602メートルの鋼3径間連続
鋼床版箱桁橋という形式で整備いたします。また、P3、P4の2基の橋脚は河川内に設置いたします。
なお、東京側のP5橋脚につきましては、
国土交通省により施工されております。
続きまして、工事の進捗について御説明いたしますので、資料の3ページをごらんください。
初めに、資料上段、(1)の現在の工事進捗をごらんください。図面左が東京側、右が川崎側となっております。右側の写真にお示ししたとおり、現在、川崎側の陸上部は、擁壁、A1橋台及びP1、P2橋脚がおおむね完成し、道路の形状があらわれてきたところでございます。また、中央と左側の写真にお示ししたとおり、河川内のP3、P4橋脚は完成しており、P4橋脚の上部には橋桁の一部を架設したところでございます。
なお、8月中旬には、P3橋脚の上部におきましても、橋桁の一部架設に着手したところでございます。
次に、
資料中段左側、(2)のこれまでの工事の経緯(下部工)をごらんください。
まず、Aの準備工・浚渫工についてでございますが、平成29年6月の工事契約後、河川内の測量及び
水域利用者や関係機関との調整などといった準備工を経まして、作業を行うための船の航路や作業場所の水深を確保するため、水深が浅くなっている河床を掘る
しゅんせつ工に着手いたしました。当初は、青色の網かけ部分だけを
しゅんせつする予定でございましたが、測量の結果、想定以上の土砂堆積が明らかとなり、航路である河口部の赤色の網かけ部分につきましても、
しゅんせついたしました。その後、平成30年1月からBの河川内の橋脚工に着手し、基礎工及び
橋脚躯体工の構築を経て、本年8月にP3、P4橋脚が完成したところでございます。
次に、
資料中段右側、(3)のこれまでの工事の経緯(上部工)をごらんください。
本工事におきましては、現場での下部工と並行し、上部工も進めておりまして、Aの
鋼橋製作工につきましては、平成30年1月から広島県尾道市、大阪府堺市、和歌山県海南市の3カ所の工場におきまして、鋼橋、いわゆる橋桁の製作を開始いたしました。また、平成31年1月から、3カ所の工場で製作した小さなブロックを大きなブロックに組み立てるBの
鋼橋地組工を千葉県富津市で行っておりまして、大ブロックの組み立てを経て、令和元年6月からCの
鋼橋架設工として、P4橋脚上部の架設に着手したところでございます。
次に、今後の工事についてですが、資料左下、(4)の今後の工事の流れをごらんください。
今後は鋼橋の架設が主な工事となりますが、まずは
図面中央①の台船架設により、P3からP4橋脚間におきまして、約80メートルの大ブロックを3回にわたって架設する計画となっており、来月9月に1回目の架設を予定しております。また、次の段取りといたしましては、図面左の東京側は、②の台船架設により、P4からP5方向へ大ブロックを架設し、続けて③の張出架設により、小さいブロックを張り出しながら架設してまいります。
一方、図面右の川崎側の段取りといたしましては、①に引き続き
生態系保持空間を守るため、②の張出架設により、P3からP2方向へ小さいブロックを張り出しながら架設し、これと並行しながら、③の送出架設により、P2からP3方向へ川崎側で組み立てた橋桁を送り出しながら架設してまいります。また、A1橋台からP2橋脚間の陸上部は、④の
クレーン架設により、橋桁をクレーンで移動させて架設してまいります。
次に、現時点における工程の見込みでございますが、資料右下、(5)の工事工程をごらんください。
羽田連絡道路につきましては、当初、東京五輪までの開通を視野に入れながら、令和2年内の開通に向けて取り組みを進めてまいりましたが、河口部における想定以上の土砂の堆積や台風の襲来等による作業の中断、地盤の影響による
橋脚基礎ぐい打設の施工効率の低下などにより遅延が生じておりました。これまで、この遅延を取り戻すため、
しゅんせつ時の作業船の増加、
基礎ぐい打設時の高性能な建設機械の活用、さらには早出・夜間作業の実施などにより工程を精査、検討いたしまして工期短縮に努めてまいりましたが、令和2年内の開通が厳しい状況となっております。今後につきましても、河川内の工事が続くことから気象などの影響を受ける可能性がございますが、早期の効果発現に向け、契約工期であります令和2年度内の一日も早い開通を目指して取り組んでまいります。
次に、工事の変更契約を予定しておりますことから、その内容について御説明いたします。資料の4ページをごらんください。
まず、工事契約にかかわる経緯でございますが、資料左上、(1)の経緯をごらんください。
当初契約につきましては、平成29年6月に約217億円で契約しております。その後、平成30年3月に、
設計労務単価に係る特例措置によるものや河川内の地形測量の結果による
しゅんせつ工の数量増加などにより、約5億3,000万円を増額する第1回変更契約を締結いたしまして、変更後の契約額は約222億5,000万円となっております。その後、平成31年3月に、工事費の増減はございませんが、工事内容の精査に伴う内容変更として第2回変更契約を締結しております。そして、今回予定しております変更契約につきましては、構造検討や詳細設計の深度化に伴うもの、関係機関との協議等の結果に伴うもの、工事の実績に伴うものにより約29億7,200万円の増額を見込んでおりまして、このうち、東京都の負担分を除いた本市の負担分は約16億100万円で、そこから
国庫補助金、県補助金を除いた
本市負担額は約8億5,600万円となる見込みでございます。また、
工事費総額としては約252億2,500万円となる見込みであり、このうち、
本市負担額は約56億7,000万円となる見込みでございます。
なお、契約工期につきましては、変更ございません。
また、今回の変更契約における項目別の内訳につきましては、
資料左側中段の(2)をごらんください。
項目といたしましては、大きく分けて3点ございまして、アの構造検討や詳細設計の深度化等に伴う工事費の増額につきましては約12億5,500万円、イの
関係機関協議等の結果に伴う工事費の増額につきましては約7億6,100万円、ウの工事実績に伴う工事費の増額につきましては約9億5,600万円でございまして、合計といたしましては約29億7,200万円を見込んでおります。
各項目の内容でございますが、資料左下の表をごらんください。
最初に、アの構造検討や詳細設計の深度化等に伴う工事費の増額についてでございますが、橋桁を維持管理していく上での経済性を考慮いたしまして、防食等にかかわる
維持管理性や構造等にかかわる安全性等の向上のため、一部の継ぎ手において、
ボルト継ぎ手から
溶接継ぎ手へ
継ぎ手仕様を見直すとともに、防食性にすぐれた
溶射ボルトを採用するものでございます。また、多摩川の
生態系保全などの環境への配慮から採用しております低位置照明につきましては、
交通安全等の向上のため、まぶしさを抑制する照明方式を採用するなどいたしまして、こうした橋面工や
橋梁付属物などの仕様の見直しによる工事費の増額分を計上しております。
次に、資料右上、イの
関係機関協議等の結果に伴う工事費の増額についてでございますが、東京側の環状第8号線や川崎側の国道409号線との接続部における、国や
交通管理者等関係機関との協議に伴う追加施工や仕様変更などによるもののほか、東京側の緑地に接続いたします階段部における、国や大田区
等関係機関との協議に伴う基礎工法の変更などによる工事費の増額分を計上しております。
また、ウの工事実績に伴う工事費の増額につきましては、今後の気象や河川環境の影響に伴う、工事を実施していくための
維持しゅんせつや施工に伴う安全対策、賃金または物価変動などによる工事費の増額分を計上しております。
続きまして、今回の変更契約に伴う補正予算について御説明いたします。資料右側、(3)の補正予算(案)についてをごらんください。
まず、令和元年度の予算額につきましては、
国庫補助金が認承増となっておりますため、これに伴う補正予算を予定しております。具体的には、今年度の現契約額であります17億800万円に、
国庫認承増等に伴う令和2年度からの前倒し額13億5,200万円を追加し、合計30億6,000万円を予定しております。また、令和2年度の
債務負担行為の追加につきましては、現契約額であります39億4,400万円から、
国庫認承増に伴いまして令和元年度へ前倒しいたしました13億5,200万円を減じ、そして先ほど御説明いたしました
増額予定額の29億7,200万円を追加しまして、合計55億6,400万円を予定しております。
予算の推移につきましては、黒枠内にお示ししましたイメージをごらんください。
最後に、今後の予定でございますが、資料下段、(4)の今後の予定をごらんください。
令和元年第4回定例会におきまして、令和元
年度歳入歳出予算の補正及び
債務負担行為の追加を、令和元年第5回定例会におきまして、
工事請負契約の変更につきまして、議会にお諮りする予定でございます。
御報告は以上でございます。
○末永直 委員長 説明は以上のとおりです。ただいまの説明について質問等がございましたらお願いいたします。
◆石川建二 委員 今、工事契約の内容が変更されるという報告がありましたけれども、細かく議案の提案も行われるということなので、そちらのほうでも議論ができるかと思うんですが、今回、全体で言えば30億円近い変更ということで、それは事業費の10%以上を占める割合ということだと思うんです。いろいろ変更する原因がここに3パターンほど書いてありますけれども、例えば継ぎ手の変更、安全性の向上。安全性の向上ということは、もちろん否定はできないと思うんですが、こうしたことがなぜあらかじめ予定されなかったのか。12億5,500万円と、こうした分野で当初から見込めたのではないか。予算の変更が結構大きいので、その点についての見解をお聞きしたいなと思います。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 ただいまの御質問でございますが、本工事につきましては、
設計施工一括発注方式によりまして発注をしてございます。これは、まず基本設計を我々のほうで行いまして、その結果に基づきまして積算し、入札をかけて発注していると。そして、その後、受注業者さんに設計と施工を一括して行っていただくという方式でございます。そのため、基本設計の段階で我々で知り得る、検討し得た情報に基づきまして積算をしておるところでございますが、
継ぎ手仕様につきましても、その基本設計の段階で標準的な方法によりまして設計いたしました。その後、受注した業者さんに詳細設計をしていただきまして、その中で、この工事の工法ですね。仮設方法ですとか、また仕様などの詳細が決まってきたという経緯がございます。
その中で、このボルトにつきましては、12列以上の配列があるものについては安全性に問題があるというところが、
道路橋示方書という橋梁の本があるんですが、それによりますと、ボルトの応力が不均衡になるということで安全性に問題があると判明いたしました。そのため、当初の設計では見込めなかった。しかし、その後の詳細の検討の中でわかり得ましたので、今回、
ボルト継ぎ手から
溶接継ぎ手に、一部ですけれども、安全性に問題がある箇所だけ変更させていただいたというところでございます。
◆石川建二 委員 当初の標準設計では見込めなかったということですが、もともと12列以上あるものは安全性に問題があるということ自身は新しい規定ではないと思いますので、そのところをもう少し具体的にこちらのほうであらかじめ予定していれば、こうした変更がなく、当初から安全性を確保した設計になったのではないかと思うんですけれども、一括方式というのが、そのところの安全性だとか、そういうものがないがしろにされてきたのではないかということが懸念されるんですけれども、この一括方式に問題があるということなんでしょうか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 今回、
設計施工一括発注方式にさせていただいたという背景でございますけれども、
羽田連絡道路の工事につきましては、やはり自然環境を保全するといったことですとか、航空制限があるとか、または構造的に結構複雑な部分がございまして、かなり難易度の高い工事になるということが予測されておりました。そういったことにおきまして、
設計施工業者さんの新技術ですとか、またはノウハウですとか、そういったものを取り入れながら工事を進めていくということが経済性または工期的な問題等も含めまして有利であろうという考えに基づきまして、今回、
設計施工一括発注方式というものを取り入れさせていただいた経緯がございます。そういった意味におきまして、当初設計において、なかなか詳細がわからない部分で、その時点でわかり得る最大限の情報をもとに積算しておりますために、着手後、契約後にこうした形で変更するという状況になっておりますが、今回の発注においては問題なかったのかなとは考えております。
◆石川建二 委員 発注の方法に関しては問題がなかったという見解ですけれども、実際、これだけ大きな変更を生じてしまったということ。また、実際、難しい工事であることはあらかじめ予測もできた。事業者のノウハウをここに生かさないと、どういうふうに施工するかということも、市のほうとしての対応を持ち得なかったというところに、非常に無理な工事だったんじゃないかなと。市のほうでそれをしっかりと管理する能力を超えた工事だったんじゃないかとも思われますけれども、
一括発注方式で、それを事業者の方に丸投げをするというか、委ねるというところはもうちょっと市の技術部門として、さらにあらかじめ精査が今後できるように行うべきではないかと思うんですが、その点、今後の問題としてはどうなんでしょうか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 委員のおっしゃるとおり、我々の技術力を向上させて、直営でそのような技術的な部分もかなり高度なところまで考えて発注できることは望ましいことかと思いますけれども、やはり施工という部分におきましては、我々独自でやっていない部分もございますし、大手のゼネコンさんの技術力というものも、我々は受注者と発注者が一体となって工事を進めていくことがとても重要なこととも考えておりますので、我々の
技術力向上ももちろん図ってまいりたいと思いますけれども、そうしたさまざまな協力していただける業者さん等と協議しながら、よりよいものをつくり上げていくということで、今回、この方式は我々としてはよかったと考えております。
◆石川建二 委員 この程度にしますけれども、いずれにせよ、30億円という非常に大きな金額の変更、いわゆる上積みということに関して、今の御答弁では余りにも責任感を感じていない、そういう御答弁だったんじゃないかなと思うんです。やっぱり税金の使い方に関して、もっとシビアに正確に行うということが市にも求められるんじゃないかと思いますが、この点について、もちろん、いろいろやむを得ない事情はあったとしても、増加したことに対して今後もっと改善が必要だと思うんですが、その点は担当としてどのようにお考えですか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 委員のおっしゃるとおり、我々もとうとい税金を使って工事をさせていただいておりますので、極力コストの縮減に努めて、少しでも安価に工事を行っていくことが大変重要なことであると認識しております。今後も無駄なお金といいますか、なるべくコストを縮減することを重点的に行いまして工事を進めてまいりたいと考えております。
◆石川建二 委員 私はコストを削減しろと言っているわけじゃないんです。当初予算を低く見込んでおいて、それで結果的に高くなりましたということ自身が非常に無責任じゃないか。もともとかかるべきものはしっかりとかかると。
これから質問したかったんですが、今、建築現場では週休2日制を進めようということで、ただでさえ、コストも従来よりも上がらなければならない、そういう工事の内容も持っているかと思うんです。このところで工期の短縮とか、いろいろ努力をされてきたようですけれども、週休2日制に見合った工事の発注になっているのかどうか。その点は精査ができているんでしょうか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 週休2日制という問題につきましては、これからさまざまな取り組みが行われていくことと思いますけれども、本工事におきましては、やはり当初の工期を見据えながら、かなり詰めた形での工程になっていたかなとは思います。そういった意味では、週休2日制というところでの工事工程というものはなかなか引けない部分はあったのかなと思いますけれども、その中で業者さんもなるべく効率的に業務を行うという観点で工事を進めていただいておりますので、そういった観点では労働者の待遇というんでしょうか、そういったものも守られながら工事が進められてきたのかなとは考えております。
◆石川建二 委員 室長にもうちょっと全体的なところでお聞きしたいんですが、先ほどの労働環境の改善、これは本当に全庁を挙げて取り組まなければならない問題だと思いますけれども、こういう工事で、どうしてもおくれてくると現場のほうにしわ寄せが来るということを逆に非常に懸念するわけです。そのところの担保というのが、事業者に対して指導なり、援助なり、また、この賃金ではやれないよという実態があるならば、どういうふうに局内で精査、検討されているのか。その辺のところもお話しいただけますか。
◎河合
広域道路整備室長 連絡道路につきましては、川崎市の中でも大変大規模な事業でございます。上流側には大師橋がございますが、大師橋よりも難しい工事といたしましては、羽田に近くて高さの制限がある広い河口干潟があるので、そこに配慮しなくてはならないという意味では、工事の発注の仕方、あわせて我々としても勉強になる具体的な難しい工事の内容です。そのほか、我々も多分、大規模な工事は初めてだったと思うんですが、自主的なアセス、そうした環境に配慮した取り組みは今なお調査をしたり、有識者にアドバイスをいただいたり、そういう意味ではたくさんの経験をさせていただくとともに大きな仕事をしっかりやらなきゃいけないということで、当然、事業者さんのほうとの連携というものが大変重要になってくると思います。
そうした中で、今回少しおくれることにはなりますが、当然ながら、まずは安全、安心した工事の執行というものが重要なところだと思います。それを具体的に実現するためには、当然、働いていただいている方々の労働環境がしっかり担保されることがベストだと思っておりますので、我々発注者側としては、毎週、現場のほうと工事工程とか、そういったところの打ち合わせ等もさせていただいております。まずは無理のない仕事で、その中でも最大限努力し、一日も早い成果を出していくというのが我々の仕事だと思っておりますので、そういう意味では、我々としても、受注者側にもそういったところに最大限配慮していただく。我々もしっかりと監督できるようにしていきたいと思っています。
◆石川建二 委員 週休2日制など、労働環境の改善が守られている、行われていると理解してよろしいんですか。
◎河合
広域道路整備室長 実際に工事契約をしたのが平成29年度でございますので、その時点で提案いただいた内容で全体的な工事工程はできております。そういうことも踏まえますと、完全週休2日とか、そういったところにつきましては精緻に担保されているかというと、なかなか難しいところもあると思いますが、現在、働き方改革も含めて全国的にそういう流れでございますので、我々としても、無理がないようにしっかりと監督をしていきたいと思っています。
◆石川建二 委員 当然、契約した当時はまだそういう状況はなかったかと思います。今後、改めて工事の工期などを検討する際、そういう方向に工事全体を指導していくというのは市の責任だと思うんですが、今後の対応として、こうした労働環境の改善を事業者と一緒に進めていくという姿勢でよろしいんでしょうか。
◎河合
広域道路整備室長 当然、姿勢として、しっかりとその姿勢で仕事には向かっていきたいと思っております。
◆石川建二 委員 ぜひ経過、現場の声なども聞きながら実態についても精査していきたいと思います。
もう一つだけ、先ほど環境保全のことで干潟があって工事が難しいということで、干潟のほうも有識者との会議も持ちながら定期的な点検活動を行っていると思うんです。鳥の問題や魚介類の問題、また、植物の植生の問題なども点検をされているようですけれども、このところで、ちょうど春とか、夏とか、季節ごとによって変動もあり得るということで、年間を通した変動、変化ということをこの間見てこられたと思うんですが、調査を始めて、これでちょうど2年ぐらいになるんでしょうか。その間の中で変動はどうなんでしょうか。それぞれ植物、鳥類、あるいは魚介類に何か顕著な変化が見られたとか、そういうところを教えていただけますか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 おっしゃるとおり、今、四季を通して年間約4回、現場の環境調査をさせていただいて、環境アドバイザリー会議というものを年3回開催させていただいておりまして、その中で調査結果に基づく専門家の御意見をいただきながら施工を行っております。そして、今までの結果に基づいた会議の中では、特に大きな環境への影響というものはないということでお話をいただいておりまして、さらに有識者からの御意見を踏まえてさまざまな取り組みをして環境保全に極力努めているという状況でございます。
◆石川建二 委員 これについてはデータも公表されているようなので、ぜひ議会サイドとしても、その変化について確認をしながら、とにかく有数の干潟ということで、教育的な価値も非常に高いということですので、そこのところの環境の変化がないように今後とも見守っていきたいなと思います。とりあえず結構です。
◆雨笠裕治 委員 4ページのア、構造検討や詳細設計の深度化等に伴う工事費の増額というところにボルトの継ぎ手のイメージがあるんですが、考えてみたら、これは
溶射ボルトの6つどめで1列と考えていいんですか。これが12列あるとやっちゃいけないと。それは何の規定によって決められているのか。それを教えてください。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 図面では説明しづらいのですが、継ぎ手部分に働く応力が全部のボルトに均衡に働くのが一番いい形なのですが、12列を超えて並んだ場合、端部と真ん中のところでかかる応力が変わってくるという検証結果が出ている中で、「
道路橋示方書」という本がございますが、その中に継ぎ手構造について書かれているところがございまして、そこに、施工にあたっては12列を超えた配置というものは、そういった意味で安全性に問題があるので12列以下とすることと規定されております。
◆雨笠裕治 委員 基本設計を川崎市でつくったわけですよね。そのときに、その規定があるにもかかわらず、12列分設計したんですか。ちょっとそこがわからないんです。そうすると、従来の橋脚は大丈夫なのかね。こういう構造を見ているんだけれども、例えば従来の大師橋とか。これはちょっと特殊工事だから、送り出しとかがあるから
溶接継ぎ手にしなきゃいけないのかもしれないんだけれども、角度とか、そういうものがあるから
溶接継ぎ手にするのか。それとも、川崎市はそういう基本的な要件を満たさなきゃいけないというのがありながら基本設計の12列組みをしたのか。そこはすごく重要なところなので教えてください。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 部分的には12列を超える場所もあったかもしれません。済みません、詳細は私は把握してないんですが、ただ、基本設計でしたので、そのまま工事をするということではございません。当然、発注してから詳細設計をして、改めて示方書に照らし合わせて安全性が担保されているのか、構造上問題がないのか、そういった観点で照査いたしまして、施工方法を確定していくというプロセスを経ております。そういう意味では、今回の工事に限らず、川崎市のほかの橋梁につきましても、最終的に施工する段階におきましては、示方書に倣って安全性に問題のないような形で施工しておりますので、川崎市の姿勢といたしましては、当然、安全性に問題があるような施工は一切していないと認識しております。
◆雨笠裕治 委員 あなたが設計したのではないのかもしれないけれども、ちょっとそれは無責任じゃないかな。12列やっちゃいけないという仕様があるのに、基本設計で12列組みをしていたなんていうのは大問題だよ。その結果、問題がある基本設計をやっておいて7億円上がったと言うけれども、これはどういう説明をするの。安全性を担保するのは当然だよね。だけど、基本設計はある程度の設計ですから、安全性を含めて仕様書に間違ったことがあっても、基本設計は出しました、あとはゼネコンが直してくださいって、それは川崎市がやっている意味がないでしょう。
◎河合
広域道路整備室長 今回、設計施工一括発注の前に、私ども、先ほど申したとおり、可能な限り想定できることということで発注いたしました。今回、設計施工一括発注の中で一番いいのは、いろいろな提案をいただいたりした中で工事費が下がったり、場合によっては、将来的に維持メンテナンスがすごく有利に働くような提案です。我々は標準だったり、我々の経験からは想定できなかったという言い方は間違いになってしまうかもしれませんけれども、より効率的といいますか、効果的な提案があれば、それを受け入れるという中で、一部、桁の鋼材の量が変わるぐらい提案を業者から受け、ある意味で桁の厚さとかが変わったりして、それによって当初のボルトの数が変わったりするという現象は当然ながら起こってまいります。そういったことも踏まえて、今回、標準的な知り得る範囲での発注をしているので、基本的には仕様書に支障がないであろうという想定のもとに発注させていただいているんですけれども、詳細設計だったり、いろいろな提案を検討して、我々と事業者さんのほうとのやりとりの中で、どうしてもかなりボルトの数がふえる傾向になる。ただ、構造上は当然溶接のほうが安定しますし、そのほか、実は
溶射ボルトの関係とかも提案というか、いろいろといただいている経緯もございまして、そういったところをやりとりしていく中で今回規模の大きな変更に至ったというところはございます。
トータルで言うと、鋼材が当初よりも減ったりとか、そういったいい部分もあるんですが、ボルトに関しては、やはり溶接に変わったことで事業費が大きく変わったという意味では影響が出ているので、そこについては非常に大きく、正直言うと、目立つ形にはなっているんですけれども、そういった形で効率化が図られている部分はございますので、我々としては、こうした設計施工一括発注でのいい部分と悪い部分といいますか、出ているので、今回については、こういった経験も踏まえて、基本設計も含めたトータルのやり方については今後とも検討していきたいというか、生かしていきたいなと思っています。
◆雨笠裕治 委員 僕が申し上げたのは、そんなことを言っているんじゃない。設計施工一括発注だから、そんなのは当たり前のことで、だけど、基本仕様として、
溶射ボルトを使った――ボルトの継ぎ手は、基本設計では継ぎ手は使うということだけで、列までは考えてなかったなら、わかる。それが、最初から基本設計のときに12列組んでいましたと言ったら大問題だと。でも、それを組んでなくて一般的な継ぎ手のイメージでやって、室長が言うようなことになりましたというのだったら、わかる。そこを聞いている。そこを端的にお答えください。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 今の御指摘のとおり、基本設計の段階から12列を超えていたのであれば、きちんと12列以下におさまるような形の基本設計をして、それから発注して詳細設計に移るということが一番望ましいと私も思います。ただ、今回の場合は申しわけございません、超えている部分はあったということですけれども、そのときの考え方としましては、今後、詳細設計をしますと、先ほど室長も申しましたが、架設方法ですとか、または鋼材の厚みですとか、そういったものも全て変わってくる可能性がありましたので、その詳細設計の中でボルトの配列がどうなるのかというのが最終的に決まってきます。その決まってきたボルト配列をさらに見た中で溶接に変える必要があるのかどうか。そういったものを、改めて結果を見させていただいた中で、必要な箇所について今回溶接工事に変更させていただいたという形でございます。
◆雨笠裕治 委員 これ以上言わないけれども、ここのことはすごく大事だと思う。これから例えば357号とか、そういうのをやっていく中で、それからまた、中原区に1本つなげるでしょう。そのときにまた、こんな説明をされて、例えば中原区はわかりました。ただ、これからもあの橋のところが一般的な建築方法でできると思うなら、ここは特に厳しい施工を迫られたものなら、もう少しスピード感を持ってやるというのが福田市長の方針でもあったから、こういう形になったあれですけれども、重要なことだと思って指摘をしておきますので、取り上げてください。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 今の御指摘を踏まえて今後気をつけてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
◆上原正裕 委員 今の継ぎ手の件なんですけれども、工法を見直して増額になりました。ただ、工法を見直す観点として、今、資料を拝見すると、4ページ、概要の防食等にかかわる
維持管理性、安全性の向上とある。今は雨笠委員から安全性の向上というか、当たり前に担保する意味で話をされたんだと思うんですけれども、
維持管理性の向上は何か金額ベースで示せるものというのはございますでしょうか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 維持管理性につきましては、溶接というよりも、一番右側の写真にございます
溶射ボルトを採用したというところにございます。この
溶射ボルトにつきましては、従来のボルトと違いまして、アルミニウムとマグネシウムの合金を吹きつけたボルトになります。これは、アルミニウムやマグネシウムのほうが鉄よりもさびやすいという性質がございまして、その性質を使って、先にアルミニウムやマグネシウムをさびさせて、本体の肝心な鉄をさびさせないという理論に基づいたボルトになってございます。これを採用いたしますと、初期コストはやはり高いんです。それで増額という形になるんですが、この橋を100年もたせるというスパンでライフサイクルコストを試算しましたところ、当然、普通のボルトを使った場合には、何年かに1回、もう1回塗りかえみたいなものをしないともちませんので、そういうコストはかかってまいりますが、この
溶射ボルトを使うことによって、メンテナンスを100年間しなくてもいいというところで、60年後には、これを使ったほうがコスト的に安くなるという試算結果が出ましたので、今回、
溶射ボルトを採用して
維持管理性の向上につなげたというところでございます。
◆上原正裕 委員 金属の電気陰性度の違いの差みたいな、そういう話ですね。もしもこうやってコストの増――今回、事業進捗についてと言いながら、実際は工事契約の変更の内容もしくは増額についての御説明だったかと思っています。その場合に、この金額に何の意味があったのかということの御説明がまだ抜けています。せっかく今のように、60年後には費用対効果が出るという結果があるのであれば、事前にお知らせいただいたほうがわかりやすかったのかなと私は思っています。
あと、もう1点お願いします。今回、計画予算が300億円に対して、当初が210億円ぐらいですので、252億円まで到達しているところです。これは今までのところで言うと、ほとんどは工法の変更であったりとか、追加の部分があったり、今、物価変動であったりとか、人件費の向上なんていうのは見込んでいないと。多少は入っているんですけれども、説明要因で言うと、ほとんどない状況でして、令和3年の工期の最後までに、これがいかほどまで上がっていくのか。今後の見通しを教えていただきたいと思います。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 今回の変更の中もそうなんですけれども、第1回変更のとき、第2回変更のときも含めまして、物価の変動につきましては考慮させていただいて、物価変動分を見込んで増額等の変更はさせていただいております。今回の増額の変更に伴いまして、当初計画額として300億円というのを上げさせていただいておりましたが、今回の変更で合計252億円ほどになります。そのほかに用地費ですとか、補償費ですとか、そういったものも含めて300億円という計画額を設定しておりましたのが、今のところ、この増額の見込みを踏まえますと、トータルで約270億円の全体事業費の見込みとなっているところでございます。
◆上原正裕 委員 わかりました。ありがとうございます。今おっしゃった270億円でおさまるように、しっかり精査して進めていただきたいと要望申し上げて終わりにさせていただきます。
◆浜田昌利 委員 今、上原委員がおっしゃられたようなところで、60年後に費用対効果が出て、コストに対する効果が出ていると。確かにここにもし盛り込めるなら、それは非常にわかりやすいかなと思うんですけれども、なかなか難しいということなんですよね。そのことを例えば数値化するとか、または、それによって、やっぱり100年もたせる、長寿命化が図れるんだとか、そういうことをここに盛り込むというのは難しいんですか。
◎河合
広域道路整備室長 今回、資料の中にというお話だと思うんですが、我々としても、それを理由に、やはりこれだけ大規模な橋梁になりますと、当然、そういった作業を何度もやるには仮設をしてということで、そのたびに大きな費用がかかってまいりますので、そうしたことを見越して今回の増額になっております。そういう意味では、それをいち早く、わかりやすく委員の先生方にお伝えするという意味では、資料への記載がわかりやすかったと思います。今回、資料に記載しておりませんが、理由についてはそういうことでございますので、そういう形での理解をしていただければと思います。
◆浜田昌利 委員 数値までは書けないとしても、例えばやっぱり100年の、要するに長寿命化につながるものと考えていいんでしょうか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 そのとおりでございます。
◆浜田昌利 委員 もう一つの点の構造等にかかわる安全性の向上とあるわけなんですけれども、要するに12列以上のことを先ほどおっしゃられましたけれども、それは、そういう安全性にかかわる不安が払拭されるということなのか。それとも、やっぱりそうはいっても、12列あったから、それが欠陥とまではいかないのかなと。これによって、
溶接継ぎ手にしたことで強度がこのぐらいアップするとか、そういうことは何か言えないんでしょうか。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 具体的にボルトの場合と溶接の場合とで強度がどれぐらいというところは、細かい計算をすれば出てくるかもしれませんが、基本的にはボルトにしても溶接にしても、100年間、安全に橋梁が供用されるというところが大切でございます。そこは絶対安全だというところで12列というのが決まっていますので、最大12列あったとしても安全性が損なわれるとか、不安があるということではないと考えております。
◆浜田昌利 委員 わかりました。そうすると、やっぱりボルトの継ぎ手から
溶接継ぎ手にすることで安全性が向上するということは強度がアップすると。
◎新西
広域道路整備室羽田連絡道路建設担当課長 今回、
溶接継ぎ手に変更したところは、12列を超えてしまうところについて
溶接継ぎ手にしておりまして、12列以下のところにつきましては、
ボルト継ぎ手のままで施工いたしますので、そういう意味では、溶接のほうが安全だとかということではございません。
◆浜田昌利 委員 わかりました。
○末永直 委員長 ほかにないようでしたら、以上で「
羽田連絡道路の事業進捗について」の報告を終わります。
ここで理事者の一部交代をお願いいたします。
( 理事者一部交代 )
─────────────────────────
○末永直 委員長 次に、所管事務の調査として、
建設緑政局から「平成30年度
公益財団法人川崎市
公園緑地協会「経営改善及び連携・活用に関する取組評価」について」の報告を受けます。
それでは理事者の方、よろしくお願いいたします。
◎奥澤
建設緑政局長 それでは、「平成30年度
公益財団法人川崎市
公園緑地協会「経営改善及び連携・活用に関する取組評価」について」、
村石みどりの
企画管理課長から御説明申し上げますので、よろしくお願いします。
◎村石 みどりの
企画管理課長 みどりの
企画管理課長の村石でございます。よろしくお願いします。
それでは、平成30年度
公益財団法人川崎市
公園緑地協会「経営改善及び連携・活用に関する取組評価」について御説明させていただきますので、お手元の
タブレット端末の1(2)平成30年度
公益財団法人川崎市
公園緑地協会「経営改善及び連携・活用に関する取組評価」についてのファイルをお開きください。
画面の表紙を1枚おめくりいただき、資料の2ページをごらんください。
初めに、1、本市が法人に求める経営改善及び連携・活用に関する取組についてでございますが、本市施策における法人の役割については、1点目に、緑のボランティア育成及び持続的な活動の支援を行うこと、2点目に、民有地に対する助成事業を行い、緑の保全、緑化の推進及び緑化意識の向上を図ること、3点目に、公園緑地施設等の管理運営を実施することを挙げております。
次に、資料中段の4カ年計画の目標についてでございますが、緑の保全と緑豊かな街づくりの推進及び公園緑地の円滑な運営を通して市民に健全な利用の促進を図り、潤いと安らぎのある街づくりを行うことによって、地域社会の健全な発展に寄与するという
公園緑地協会の目的を達成するため、緑の街づくりの推進及び普及啓発に関する事業、公園緑地の運営及び健全な利用促進に関する事業、収益事業の3つを柱に、川崎市の緑の保全と緑豊かな街づくりを推進し、法人を市民などの緑の活動支援や育成、普及啓発のためのボランティアセンターとしての機能を有する緑の拠点として位置づけ、緑に関する事業運営を推進拡充していくことを掲げております。
これを受けまして、2、本市施策推進に向けた事業取組として、次の3つの事業を位置づけ、目標達成に向け、それぞれ指標を設定しております。
1つ目の緑化推進・普及啓発事業につきましては、その指標といたしまして、広報出稿等回数、記念樹配布本数、事業別の行政サービスコストの3項目を設定しております。
広報出稿等回数につきましては、目標値の243回に対し実績値が228回と目標達成率60%以上、現状値未満となったことから達成度はc、記念樹配布本数につきましても、目標値1,140本に対し実績値は1,079本となり、前指標と同様に達成度はc、事業別の行政サービスコストにつきましては、目標値5,050万円に対し実績値が5,054万1,000円と、実績値が目標値の100%以上110%未満のため達成度は2)となり、これらの達成度から、本市による達成状況の評価はDの「現状を上回るものが多くあった」、費用対効果の評価は(3)の「やや不十分」、今後の取組の方向性はⅡの「改善を行い取組を継続」としたものでございます。
2つ目の緑のボランティア事業につきましては、その指標といたしまして、各種講座受講者満足度、各種講座受講者数、事業別の行政サービスコストの3項目を設定しております。
各種講座受講者満足度につきましては、目標値の92%に対し実績値が93%と目標値以上となったことから達成度はa、各種講座受講者数につきましても、目標値3,870名に対し実績値が4,071名と目標値以上となったことから達成度はa、事業別の行政サービスコストにつきましては、目標値6,130万円に対し実績値が6,313万4,000円と、実績値が目標値の100%以上110%未満のため達成度は2)となり、これらの達成度から、本市による達成状況の評価はAの「目標を達成」、費用対効果の評価は(2)の「概ね十分である」、今後の取組の方向性はⅠの「現状のまま取組を継続」としたものでございます。
3つ目の公園緑地の運営及び健全な利用促進に関する事業につきましては、その指標といたしまして、各種イベント等実施回数、ばら苑来苑者数、事業別の行政サービスコストの3項目を設定しております。
各種イベント等実施回数につきましては、目標値36回に対し実績値が43回と目標値以上となったことから達成度はa、ばら苑来苑者数につきましては、目標値9万5,200人に対し実績値が8万6,867人と現状値以上目標値未満となったことから達成度はb、事業別の行政サービスコストにつきましては、目標値2億900万円に対し実績値が1億9,596万4,000円と、実績値が目標値の100%未満であったため達成度は1)となり、これらの達成度から、本市による達成状況の評価はBの「ほぼ目標を達成」、費用対効果の評価は(1)の「十分である」、今後の取組の方向性はⅠの「現状のまま取組を継続」としたものでございます。
これら事業取り組みのうち、①緑化推進・普及啓発事業につきましては、現状を下回るものが多くあったことから、詳細について御説明いたしますので、資料の4ページにございます当該事業の個票ページの実施結果(Do)の欄をごらんください。
指標1関連、広報に当たって、広報誌、チラシ、パンフレット、タウン紙などの紙媒体及びホームページ等の電子媒体などの幅広い媒体を活用し、特にフェイスブックの内容を充実させ、リアルタイムの情報提供、周知を実施し、広く市民の緑化意識の向上、普及啓発の推進を行いましたが、前年度実績と比べ、ホームページ更新回数がやや減少いたしました。
次に、指標2関連としまして、思い出記念樹をPRする上で、チラシなどにQRコードを活用し、記念樹として配布できる16種類の苗木の写真と説明書が見られる環境を整備し、周知を行いましたが、前年度実績と比べ、記念樹配布本数はやや減少いたしました。
次に、資料の5ページ下段の改善(Action)をごらんください。先ほど御説明いたしましたとおり、目標未達成の取り組みがございましたので、今後の取り組みの方向性といたしましては、ホームページ、フェイスブックの回数をふやすとともに、記念樹配布に関するチラシの配布対象、配布場所の見直しなどによる効果的な情報発信を行うことにより、目標を達成できるよう取り組むものとしております。
資料を2枚お戻りいただき、3ページをごらんください。
3、経営健全化に向けた取組として、経費の削減を位置づけ、その指標といたしまして一般管理費を設定しております。一般管理費につきましては、目標値2,350万円に対し実績値が2,269万9,000円と、目標値以上のため達成度はaとなり、本市による達成状況の評価はAの「目標を達成」、今後の取組の方向性はIの「現状のまま取組を継続」としたものでございます。
次に、4、業務・組織に関する取組として、人事給与制度の改革及びコンプライアンスの徹底を位置づけ、1つ目の人事給与制度の改革の指標である役員報酬、正規職員給与につきましては、目標値8,700万円に対し実績値が8,777万円と、現状値以上目標値未満のため達成度はbとなり、本市による達成状況の評価はCの「目標未達成のものがあるが一定の成果があった」、今後の取組の方向性は、Ⅱの「改善を行い、取組を継続」としたものでございます。
2つ目のコンプライアンスの徹底の指標であるコンプライアンスに反する事案の発生件数につきましては、目標値ゼロ件に対し実績値ゼロ件と目標値以上となったことから達成度はaとなり、本市による達成状況の評価はAの「目標を達成」、今後の取組の方向性はⅠの「現状のまま取組を継続」としたものでございます。
資料中段の本市による総括として、各取り組みの評価結果を踏まえ、本市が今後法人に期待することと対策の強化を望む部分などでございますが、緑のボランティア事業、公園緑地の運営及び健全な利用促進事業などにつきましては、おおむね目標を達成し、緑豊かな潤いと安らぎのあるまちづくりに寄与しており、本市が求める役割を果たしておりますが、緑化推進・普及啓発事業につきましては、目標未達成であり、広報面で課題がございます。
緑化推進・普及啓発事業につきましては、川崎市の緑の魅力を発掘し、あらゆる広報媒体を活用し、出稿回数の増だけでなく、情報発信の質の向上を図ることにより市民の緑化意識を高めるとともに、多様な主体をつなぐ機会の創出を期待するところでございます。
緑のボランティア事業につきましては、重要な取り組みでございますので、引き続き緑のボランティアセンターとしての強みを生かし、次世代の緑のパートナーの核となる子どもたちを対象とした新たな企画や緑の人材バンクの活用など、緑の活動の担い手となる人材育成の積極的な取り組みを期待するところでございます。
公園緑地の運営及び健全な利用促進事業につきましては、適正な管理運営を維持するとともに、さらに魅力あるイベントの実施により、公園の魅力向上、にぎわい創出に寄与することを期待するところでございます。
経営健全化、業務・組織に関する取組につきましても、事業の効率化、経費削減を図るとともに、持続的な事業執行体制について検討し、経営の安定化に向けた取り組みを期待するところでございます。
資料の4ページから15ページの本市施策推進に向けた事業取組、経営健全化に向けた取組及び業務・組織に関する取組の各個票につきましては、先ほど御説明いたしました取組事業・項目ごとに、計画(Plan)とそれに対する実施結果(Do)及び評価(Check)と改善(Action)の詳細を記載しており、資料の16ページの法人情報につきましては、法人の財務状況と本年7月1日現在の役員、職員の状況について記載しておりますので、後ほど御参照ください。
なお、資料17ページから25ページまでの参考資料1につきましては、経営改善及び連携・活用に関する取組評価の実施経緯などについて、また資料26ページ以降の参考資料2については、昨年度策定した当該法人の経営改善及び連携・活用に関する方針となっておりますので、計画時の指標や目標値の設定の考え方などをお示ししておりますので、後ほど御参照ください。
平成30年度
公益財団法人川崎市
公園緑地協会「経営改善及び連携・活用に関する取組評価」についての説明は以上でございます。
○末永直 委員長 説明は以上のとおりです。ただいまの説明について質問等がございましたらお願いいたします。
◆浜田昌利 委員 経営健全化に向けた取り組みで経費の削減とか人事給与制度の改革ということで、職員の方の給料を何%削減するとあるわけなんですけれども、なかなか大変なんじゃないかなと思うわけです。これも大変なんでしょうけれども、給料を下げるというのではなく、職員とか役員の方の人数を減らすとか、こういうような方向性というのはないのですか。それで給与水準を維持するとか、そういうような方向性というのは検討の中ではなかったんでしょうか。
◎土田 緑政部長 職員の給料の減額というものにつきましては、平成26年当時から5カ年行っておりまして、そちらにつきましては、理事長、専務、役員関係は最大で50%減の場合もありました。さらに、職員につきましても、平均で5%から10%削減ということはございましたけれども、令和元年度、今年度になりまして黒字が続いたところによりまして、正規職員についての給料の減額というのはなくなったということで、ただ、役員につきましては、多少なりとも、10%から20%の減を行っているところでございます。
あと職員の減ですけれども、こちらについては、定年退職はそこで削減ということになりまして、新規採用を行っていないということでの人件費の削減というのがございます。
◆浜田昌利 委員 わかりました。職員については、定年に対する補充をちょっと見送るとか、役員の方も、ここでは40%カットみたいに書いてありますけれども、先ほど50%カットしたときもあったとおっしゃいましたけれども、役員の方の人数の減少によって給与水準を維持するとか、そういうような検討というのはされたんですか。
◎土田 緑政部長 役員につきましては、今現在で理事長1名、
専務理事1名ということで、減少というわけではなくて、給料カット、過去にさかのぼって言いますと50%のときがありましたけれども、昨年度は理事長が40%、
専務理事が20%という状況でございます。
◆浜田昌利 委員 わかりました。すごく大変だなということを思うわけです。
あと、きのう資料提供というか、いろいろと教えていただいたんですけれども、公園緑地の魅力向上に向けたサウンディング型市場調査をするということがありましたけれども、そこで伺ったのは、例えば公園緑地内に飲食店を設ける、またはイベントを行う、それによって収益を上げる。それで維持管理に充てていくって、なるほどなと思ったわけですけれども、要するに、こうやって改革、いろんな案をされていらっしゃいますが、さっきもサウンディング調査をするとおっしゃっていましたけれども、そういうことで収益を上げていくということで、
公園緑地協会さんが公園の活用で収益を上げていくとか、こういうことも考えられる可能性はあるんでしょうか。
◎土田 緑政部長
公園緑地協会につきましては、目的が財団法人という形になりまして公益財団法人でございますので、収益を上げるというわけではなくて、ある程度市の助成で行っている部分もございます。さらに、自主事業というような形のもので収益を上げるというのは、公園内に自動販売機を置くとか、あと管理許可によって売店とかレストランということはございますけれども、それを主に行っているものではございません。
◆浜田昌利 委員 わかりました。経営改善ということで収入と支出があって、何となく支出を下げるという、こういったことをいろいろ示されていたんですけれども、収入を上げるためのできる範囲での努力というのはあるんだろうか。または、いろんな規制緩和とかがあるわけなので、そういう中で何かができるなら、そういったことも検討していただいて、そういうことによる経営改善という方法についても検討していただければと思います。要望します。
◆秋田恵 委員 いただいている資料の6ページの実施結果なんですけれども、「こどもや親子を対象とした新たな講座の企画を行いました」とありますが、具体的に何をやられたか教えていただけますでしょうか。
◎武久 みどりの協働推進課長 これは、子どもを対象にこども黄緑クラブという自然体験教室を実施しております。子どもと保護者を合わせて延べ301名ぐらいの参加者をいただきまして、川崎の緑などを感じていただけるような体験活動を実施しております。
また、ほかにも、市内の学生さんを対象にしたチャレンジボランティア体験学習。夏休みの期間中に花壇の草刈り等を体験していただいて、若い世代の人たちに緑に親しんでいただくというような体験学習を実施しているところでございます。
◆秋田恵 委員 その募集の方法は、広報、フェイスブックですとかホームページを使って募集されたんですか。
◎武久 みどりの協働推進課長 基本はチラシ等の配架による募集を行っております。また、ホームページでもこちらのほうの募集をかけております。
◆秋田恵 委員 チラシとホームページということだったんですけれども、参加された方はどちらの情報をもとにこのイベントを知って参加されたのか、把握されていらっしゃいますか。
◎武久 みどりの協働推進課長 参加者が何を見て参加したかという統計はとっておりません。
◆秋田恵 委員 わかりました。効果的な方法で周知に力を入れたほうがいいかなと思いますので、各イベントにおける参加者が把握した経緯ですとか、あと参加しようと思ったきっかけですとか、そういったところもリサーチしながら進めていただきたいなと感じたので、この質問をしました。
○末永直 委員長 ほかにないようでしたら、以上で「平成30年度
公益財団法人川崎市
公園緑地協会「経営改善及び連携・活用に関する取組評価」について」の報告を終わります。
ここで理事者の一部交代をお願いいたします。
( 理事者一部交代 )
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○末永直 委員長 次に、所管事務の調査として、
建設緑政局から「塩浜3丁目
地区内公園予定地について」の報告を受けます。
それでは理事者の方、よろしくお願いいたします。
◎奥澤
建設緑政局長 それでは、「塩浜3丁目
地区内公園予定地について」、
木村みどりの
保全整備課長から御説明申し上げますので、よろしくお願いします。
◎木村 みどりの
保全整備課長 みどりの
保全整備課長の木村でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、塩浜3丁目
地区内公園予定地について御説明させていただきますので、お手元の
タブレット端末の1(3)塩浜3丁目
地区内公園予定地についてのファイルをお開きください。
画面の表紙を1枚おめくりいただき、資料の2ページをごらんください。
初めに、今回の報告要旨について御説明いたします。
本件の公園予定地につきましては、昭和45年に塩浜中公園として整備することを都市計画決定しましたが、整備の着手まで猶予があったことから、下水道処理場の整備のために立ち退き対象となっていた産業廃棄物の処理を営んでいた者に対して、昭和48年に公園予定地の使用を暫定的に許可いたしました。その後、長期の使用を認め続けることはできないとして、ほかの土地への立ち退きを求めましたが応じなかったため、昭和55年に使用を不許可としました。しかし、その後も立ち退かず、昭和56年に土地の明け渡しを求めて提訴し、昭和60年には立ち退きを命じる判決が確定いたしました。しかし、この者は判決に従うことを拒否して産業廃棄物の搬入を続け、周辺の環境は劣悪となっていき、平成17年ごろに業者は営業を停止したものの、廃棄物はそのままの状態で残され、家電などのごみが不法投棄されるようになりました。
こうした中、隣接する事業者から市に対して環境の改善を求める強い要望があるとともに、周辺の土地利用の計画が具体化したこともあり、判決の確定から30年以上が経過した平成29年から、当該公園予定地の適正化を図るために入江崎クリーンセンターの造成工事に着手いたしました。当該用地の適正化については、結果的に多くの歳月と多額の費用が発生する状況となっていることから、改めて塩浜中公園に関する市の対応等を含めた経過について取りまとめ、その結果と現在の取り組み状況について、議会へ報告するものでございます。
塩浜中公園の概要をごらんください。塩浜中公園は、川崎駅から東側の臨海部に約4.2キロメートルの場所に位置し、航空写真でお示しした公園の左側が貨物線、下側が入江崎水処理センターとなっております。
資料の右側、2、市の対応等を含めた経過をごらんください。ここからは塩浜中公園に関する年表と、その下に市の対応等を記載しておりまして、年表下の記載文を中心に御説明させていただきます。
(1)塩浜中公園の使用許可ですが、現在の入江崎水処理センター内の一部について、被告の父などに不法占拠されていたため、一方の不法占拠者であるA社については、昭和44年に提訴し、昭和50年に当該地から立ち退かせました。被告の父は昭和44年に市と和解し、旧再開浜公園予定地に移転しましたが、その後、そこが下水処理場の拡張用地として必要になったため、塩浜中公園を都市計画決定した上で昭和46年3月から許可をいたしました。その後、昭和48年に被告の父が亡くなり、同年10月から被告が許可を得て使用するに至ったものでございます。
次に、(2)裁判と任意交渉をごらんください。昭和48年から昭和55年に至るまで許可の更新を繰り返しながら被告の使用を認めていましたが、この点について、昭和44年時に存在した不法占拠者の一方に対しては、訴えを提起して最終的に立ち退かせたのに対し、被告の父については、和解後に近接する公有地の使用を認めていることが不適切であると議会から指摘されました。市としても、これ以上、当該地を私人に対して長期間にわたって使用させ続けることはできないと判断し、これまで継続してきた使用許可については不許可とし、被告と立ち退き交渉を行いましたが、市の要請に応じなかったため、昭和56年に提訴いたしました。
次のページをお開きください。この裁判については、昭和60年に市側の勝訴が確定いたしましたが、判決当時においても、撤去に数億円程度はかかるとされ、被告に弁済能力がないために強制執行に踏み切るのは多くの課題があった状況の中、被告が外国籍であったことで、その関係団体が窓口となって市との交渉にかかわるようになりました。関係団体を窓口とした任意解決を期待しましたが、交渉は不調に終わり、判決後に数年を経過した段階になると、被告から費用を回収する見込みがないことに加え、これまでに関係団体と多くの交渉を重ねてきたことで、市としては、結果的に強制執行に踏み切ることが困難な状況となっておりました。
次に、(3)強制執行の検討をごらんください。関係団体を窓口とした任意解決が困難な状況となったことを受けて、市は平成9年から塩浜中公園問題改善検討委員会を設置し、当該地の現状把握や強制執行に向けた被告の資産調査等を行っており、平成16年当時の弁済能力としては約9,500万円の債務超過であると推定しておりました。
また、平成16年3月の市の方針として、①市が建物収去や廃棄物撤去を行って相手方に経費を求償する方法のほか、②一定の廃棄物を残したまま明け渡しとする方法が検討され、現場の対応としては、柵、有刺鉄線を設置して新たな廃棄物を搬入させず、廃棄物の山について当面現状を固定することといたしました。なお、②の方法については、判決から長期間が経過し、判決時とは現地の状況が大きく異なっていたことを踏まえ、解決策の一つとして弁護士からも同様の助言もあり、建物等の一部のみを強制執行し、残りは市で処分するとの方法についても検討する必要が生じていた状況でございます。
右側のページをごらんください。(4)強制執行の実施についてでございますが、塩浜中公園に隣接する事業者から、堆積物による被害に対して対応を求められ、また、現地においても道路部分の撤去を実施せざるを得ないほど危険な状況を生じさせておりました。このため、市によって廃棄物の撤去を行うものと判断し、費用が約10億円、期間は3カ年程度、撤去後は今後の公共施設等の更新整備に合わせて公共用地として活用し、それまでの間は駐車場等での利活用を行うとの方向性を持っておりました。しかしながら、仮処分の効力を維持したまま、市が廃棄物の撤去を行うことが法的に困難であることや、強制執行を申し立てた場合でも、判決確定から長期間が経過し、被告以外の第三者による不法投棄もされていた状況では、廃棄物の全てを強制執行の対象とすることが難しいとして執行不能となる可能性があるといった課題がございました。
廃棄物の撤去に向けて、このような法的課題を整理し解決するため、平成26年3月に弁護士と委任契約を締結し、被告の妻を相手方として執行文付与の申し立てを行った後、被告の妻に対する強制執行申立書を地裁川崎支部宛てに提出しました。委託された弁護士は、執行不能となる事態が生じないように執行官と協議を行い、これにより裁判所は、建物の収去とタイヤや廃材等の一部動産の撤去による土地の明け渡しを執行の内容として、山状になった廃棄物については、土地に付着するものとして執行の対象外と判断いたしました。強制執行の完了によって廃棄物は市が所有する土地に付着するものとなり、塩浜中公園の堆積物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第3条第1項の事業活動に伴って生じた廃棄物と同義であるとして、市が処理をしなければならず、また、廃棄物の処理をしない前提の保管は認められない状況となりました。
次のページをごらんください。(5)被告等への請求でございますが、市は被告に対して、昭和60年に確定した判決において認められた土地使用料損害金を有しており、判決に基づく金額としては、市が不許可処分をした昭和55年から明け渡しが完了した平成27年9月までの期間、約3億2,000万円となっていましたが、判決後、市は被告による廃棄物の撤去及び土地の明け渡しを優先させた交渉を行い、この債権に関して被告へ請求しておりませんでした。期間の経過によって時効消滅している部分があり、市としては、約6,000万円については現在も存在している債権額と考えて、この全額について、相続人と推定される被告の妻や子らに対して請求しております。
この土地使用料損害金について、被告から相続人に承継させた上で、強制執行により徴収するため承継執行文付与を申し立てたところ、平成30年1月に被告の子ら3名から市に対して、限定承認の申述を行ったとする文書が送付されました。日本における限定承認の手続については、相続が開始されたことを知ったときから3カ月以内に行う必要がありますが、相続は相続人の本国法によるとされ、本件の被告が外国籍であることから、日本の法律は適用されません。
被告の子3名は、被告とは長年にわたり別居し、財産や負債は何もないと考えていたため、平成29年10月末に被告の妻に対して、過去の判決に基づいて行われた強制執行の費用が確定したとの処分通知があった際に、被告が川崎市に対して債務を負っていることを知り、この事実を知った日から3カ月以内に限定承認をしたと主張しております。市において、本件に適用される国籍の相続法を調査したところ、被告の子らが主張する事実に基づく限り、限定承認の手続は適正に行われていると考えられる状況でした。しかしながら、限定承認の手続が適正であるとしても、相続発生後に生じた損害金については相続人固有の債務として存在し、平成21年6月から平成27年9月まで損害金約5,700万円は徴収できると考えて、本件に適用される相続法について弁護士相談等を行ったところ、被告の子らが行った限定承認については、被告が死亡した後に発生した土地使用料損害金についても及ぶとの考えが示されております。
以上を踏まえると、被告の子らは市に対する支払い義務はないこととなりますが、被告の妻については、債務の免責を得る手続を行っていないため、土地使用料損害金の支払い義務を負っています。妻への強制執行に向けての承継執行文の付与に当たっては、引き続き戸籍謄本の入手方法を検討してまいります。
なお、建物の強制執行費用の約113万円についても被告の妻に請求しておりますが、これまで支払いはございません。
右側のページ、3、これまでの市の対応をごらんください。産業廃棄物の処理を営んでいた被告に塩浜中公園の使用を認めたことで、後に廃棄物が堆積されていく結果を生じさせておりますが、当初の使用許可に当たっては、既に都市計画が廃止された旧再開浜公園予定地を使用していた者への代替地としての役割がありました。さらに、旧再開浜公園予定地の使用許可に当たっても、別の公有地からの移転に伴う代替地として使用を許可しており、どちらの許可についても公園整備や土地利用の予定がなく、あくまでも公園予定地であったとの点が使用を認めやすい状況を生み出していたと考えられます。
しかしながら、もともと被告の父などは公有地を不法占拠して産業廃棄物の処理業を営んでいたものであり、公共事業を推進するため、早期に不法占拠を解消する必要があったとの点を考慮しても、代替地として公有地の使用を認めることは適切ではありませんでした。また、旧再開浜公園予定地に移転する前、当初の不法占拠への対応として、被告の父とは和解し、不法占拠していた土地から近い土地に移転させたのみであったことに対し、もう一方の不法占拠者に対しては訴えを提起して完全な立ち退きを迫っており、不法占拠者という点では二者とも同じ状況であるのに、公平性に欠けるような異なる対応を行っている点も不適切と考えます。
このように当初の不法占拠への対応を誤り、最終的に塩浜中公園の使用許可を行ったことで、訴訟を提起した時点でも、撤去には多額の費用を要する廃棄物が搬入されました。その後、昭和60年に市側の勝訴が確定した後、直ちに強制執行に踏み切ることで現在のように廃棄物が山状になることは防げたと考えられますが、これについては、判決時においても数億円程度はかかるとされた撤去費用を被告が捻出することが難しかった状況でもありました。そこで、関係団体が解決に向けて責任を持って対応する意思を示したこともあり、市としては、廃棄物処理業を続けることで撤去に要する費用を工面し、被告が徐々に廃棄物を撤去していくように、関係団体を窓口として解決するよう交渉しておりました。
関係団体との交渉が決裂し、被告による自主撤去が実現しなかった後も当該公園利用の適正化に向けて、この間、その時々の状況に応じて対応してまいりましたが、隣接事業者からの環境改善を求める強い要望や周辺の土地利用の計画の具体化などもあり、造成工事を実施するに至っております。こうしたこれまでの対応により、結果的として多くの時間と費用が発生する状況となったものでございます。
資料の5ページをごらんください。4、公園予定地の適正化への取組についてでございますが、塩浜中公園の堆積物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第3条第1項の事業活動に伴って生じた廃棄物と同義であるとして、市が処理をしなければならないものとなっております。その一方で、塩浜中公園が立地する塩浜3丁目周辺地区では、大規模工場の移転に伴う土地利用の転換や、公共施設の老朽化等に対応した更新整備が進んでおり、これらを契機とした臨海部の活性化などの取り組みを機会と捉え、当該公園予定地についても適正化の取り組みを進めております。
(1)塩浜3丁目周辺地区の取組についてですが、当地区の取り組みを示した塩浜3丁目周辺地区整備基本方針や塩浜3丁目周辺地区土地利用計画において、公共公益施設などの更新計画等を示しており、右の図の右上にある造成工事箇所である塩浜中公園用地については、入江崎クリーンセンターの機能を移転すること、また、移転後の入江崎クリーンセンター跡地と入江崎公園とを一体的に公園機能を集約することと位置づけております。
次に、(2)塩浜3丁目地区内土地造成工事についてでございますが、当該工事は入江崎クリーンセンターの移転に向け堆積物を処理し、土地の造成を行うものでございます。
ア、工事概要ですが、履行場所は川崎区塩浜3丁目21地内、契約金額は16億3,687万3,920円、契約工期は平成29年6月27日から平成31年12月31日まで、請負者は東洋・岡村共同企業体でございます。
次に、イ、これまでの変更内容についてをごらんください。四角囲みの年表の一番上ですが、本工事は平成29年6月27日に当初契約金額8億8,454万1,600円、当初完成期限は平成30年7月31日として
工事請負契約を締結しました。工事着手後の7月から8月にかけて実施した土壌調査において、フッ素と鉛の基準値超過による土壌汚染や、堆積物中にスレート建材の破片が見つかり、成分分析を実施したところアスベスト含有を確認したため、その処理方法等の検討に期間を要したことにより、平成30年4月24日に完成期限の変更を行いました。10月19日には、その処理を行うため、契約金額を16億3,687万3,920円、完成期限を平成31年12月31日までとして契約の変更を行っております。
資料の右側、増額の変更理由をごらんください。
1つ目の丸ですが、土壌汚染対策法に基づく分析結果により、フッ素及び鉛の基準値超過が確認され、堆積物中にあるスレート建材から法定基準を超える非飛散性アスベスト繊維の含有が判明しました。2つ目として、それらの処分を適切に行うため、アスベスト含有廃棄物及び汚染土壌を受け入れ可能な管理型処分場に持ち込む必要があり、また、飛散防止対策として大型土のう袋詰めによる搬出等が生じ、作業時間、運搬距離が大幅に増加するため、増額変更及び工期延長が必要になったものでございます。
次に、ウ、現在の状況ですが、年表の一番上、平成30年10月に中間検査を行った際に、掘削積込量に対し、搬出した堆積物の重量が当初設計より重いことが判明いたしました。堆積物処理が主となっている本工事において、処理重量の増加は工事費に大きく影響することから、平成31年1月には現場作業の一時中止を指示し、同年2月末まで安全確保のための搬出や斜面安定のための種子吹きつけ作業を実施するとともに、
まちづくり委員会へ、工事費が大幅に増額になる見込みであることと、工事の一時中止及び今後の対応を検討することを御報告いたしました。平成31年1月から4月には、工事の施工方法や処理方法について専門家などの意見聴取や庁内検討を行い、令和元年5月の
まちづくり委員会に検討結果や大幅な増額の見込みについて報告し、同年第3回定例会において、補正予算議案についての承認をいただき、同年7月には工事を再開しておりまして、今後、9月の第4回定例会へ工事変更契約議案を提出する予定となっております。
次に、エ、変更契約予定について御説明いたします。
①変更後の契約額予定といたしましては約36億7,400万円、増額予定分としては約20億3,700万円、変更後完成期限としては令和3年3月31日までの456日間の延長を予定しております。
次に、②変更理由についてですが、右の写真にありますように、堆積物の中には、土砂だけでなく、多くのコンクリートガラや塩ビ管等の廃棄物が散在しております。そういったことから、堆積物重量の単位当たりの数量はばらつきがあり、堆積物全体の処分重量を搬出する前に想定することは困難な状況にございますことから、次ページに示す理由により、現在の状況に応じた契約内容の変更が必要となっております。
資料の6ページをごらんください。具体的な変更理由といたしましては、1つ目の丸、これまで搬出した堆積物の単位当たりの数量は、現段階では当初設計よりも3倍程度重いことが判明しており、管理型処分場への処分費及び運搬費の増額が必要となりました。
次に、増加する工事費の低減に向けた検討の結果、施工工程や施工方法上で可能な範囲において、コンクリートガラなどの重量の大きな廃棄物の中でサイズが大きいものについて分別し、近隣の処分場の追加等を行っております。
3つ目として、工事の一時中止期間や処分重量の増大に伴う作業により工期の延長が必要となっております。
次に、主な変更の内訳について、下の表にお示ししておりまして、表の真ん中、②変更後の契約額の予定として、堆積物処分費約28億3,600万円、鉱さい処分費約5,800万円、諸経費等として約7億8,000万円となっております。