令和 6年 3月 定例月議会 令和6年3月12日(火曜日
)-----------------------------------◯出席議員(38名) 議長 高 誠 副議長 上田雅大 1番 道上周太 2番 宇夛裕基 3番 柿本章博 4番 坂 秀明 5番 山本ひかる 6番 黒口啓一郎 7番 川島美和 8番 高務淳弘 9番 喜成清恵 10番 大西克利 11番 山下明希 12番 坂本順子 13番 稲端明浩 14番 北 幸栽 15番 荒木博文 17番 中川俊一 18番 小間井大祐 19番 坂本泰広 21番 喜多浩一 22番 麦田 徹 23番 前 誠一 24番 広田美代 25番 熊野盛夫 26番 新谷博範 27番 下沢広伸 28番 清水邦彦 29番 粟森 慨 30番 玉野 道 31番 森尾嘉昭 32番 森 一敏 33番 源野和清 34番 野本正人 35番 久保洋子 36番 福田太郎 37番 横越 徹 38番 高村佳伸◯欠席議員(なし
)-----------------------------------◯説明のため出席した者 市長 村山 卓 副市長 新保博之 副市長 山田啓之 教育長 野口 弘 公営企業管理者 松田滋人 都市政策局長 村角薫明 総務局長 川畑宏樹 文化スポーツ局長 東 利裕 経済局長 鳥倉俊雄 農林水産局長 山森健直 市民局長 紙谷 勉 福祉健康局長 山口和俊 こども未来局長 藤木由里 環境局長 加藤弘行 都市整備局長 坪田英孝 土木局長 坂本敦志 危機管理監 上野浩一 会計管理者 小村正隆 教育次長 上寺武志 消防局長 蔵 義広 市立病院事務局長 松矢憲泰 財政課長
佐野宏昭-----------------------------------◯職務のため出席した事務局職員 事務局長 森沢英明 担当次長兼議事調査課長 議事調査課担当課長 安藤哲也 上出憲之 議事係長 中田将人 調査係長 今川良太 主査 桜田みどり 主査 前田和紀 主査 竹村太志 主査 辻 卓也 主任 小西孝博 書記 奥井 駿 総務課長補佐 多田育代 主査
中村隆俊-----------------------------------◯議事日程(第3号) 令和6年3月12日(火)午前10時開議 日程第1 議案第62号令和6年度金沢市一般会計予算ないし議案第114号包括外部監査契約の締結について及び議案第116号令和5年度金沢市一般会計補正予算(第8号)ないし議案第137号金沢市税賦課徴収条例の一部改正について (質疑) 日程第2
一般質問-----------------------------------◯本日の会議に付した事件 議事日程(第3号)に同じ----------------------------------- 午前10時0分 開議
△開議
○高誠議長 本日の出席議員数は、ただいまのところ38名であります。 よって、会議の定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。
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△会議時間の延長について
○高誠議長 あらかじめ本日の会議時間を延長いたしておきます。
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△議案上程
○高誠議長 これより、日程第1、議案第62号令和6年度金沢市一般会計予算ないし議案第114号包括外部監査契約の締結について及び議案第116号令和5年度金沢市一般会計補正予算(第8号)ないし議案第137号金沢市税賦課徴収条例の一部改正について、以上の議案75件を一括して議題といたします。
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△質疑・一般質問
○高誠議長 これより、質疑並びに日程第2一般質問を併せ行います。 通告がありますので、これより順次発言を許します。 3番柿本章博議員。 〔3番柿本章博議員登壇〕(拍手)
◆柿本章博議員 おはようございます。 質問の機会をいただきましたので、自由民主党金沢市議員会の一員として、以下数点にわたり質問いたします。 初めに、元日に発生した令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた方、被災された方に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、休日、昼夜を問わず復興支援に御尽力されている全ての皆様に深く敬意を表し、能登半島地震に関する質問を行います。 地震当日、私は、地元の自主防災会の一員として諸江町小学校の避難所の運営に携わりました。発災後、テレビアナウンサーの命を最優先に逃げてくださいとの緊迫した呼びかけもあり、500名以上の方が一時的に避難されました。高いところを目指し、自主的に学校4階まで上った方も多く見られました。また、車で山側に移動し、大渋滞が起きたことも確認されており、従来の避難訓練ではあまり想定していなかった津波の対応についても考慮すべき点が多かったと感じています。その他、市内では多くの避難所が開設されましたが、避難所である小学校の鍵が開かず、市民が窓を割って入った、多くの備蓄や暖房が十分でなく、避難所が非常に寒かったなど、各避難所ではかなりの混乱があったと聞いています。来年度当初予算において、地域防災計画及び防災マニュアルの改定が計上されておりますが、今回の経験や反省を具体的にどのように反映して見直していくかについて伺います。 さて、私たち会派数名は、先月、東日本大震災復興における中核都市の役割を学ぶため、岩手県盛岡市を行政視察いたしました。東日本大震災で被害の大きかった岩手県三陸地区と盛岡市の距離は約100キロメートルであり、今回の能登地区と金沢と同じ位置関係にあります。東日本大震災発災の3月11日、主に三陸の被害地域より避難者が盛岡市に避難してきました。最終的には一時避難を含めて約1,000世帯が避難したと推定されています。そして、発災の4か月後、
市内避難者への情報提供、一括相談窓口の必要性から、盛岡市独自の事業としてもりおか復興支援センターを開設しました。時が過ぎ、発災から13年経過した現在、盛岡市には487世帯1,109名が居住しており、そして、その支援や追跡を今も継続しているとのことです。ここで学んだことは、被災自治体からの避難者であっても盛岡市にとっては一市民であり、住民の思いや希望に寄り添いながら支援する姿勢が重要であるということ、また、被災自治体との関係を大切にしながらも、住民への支援は最大限に考える姿勢が必要であるということです。今回の地震の金沢市の役割は盛岡市のケースと合致するかどうかは分かりませんが、いずれにしろ、現在金沢に避難されている方々は金沢市民ではないかもしれませんが、金沢に住まわれる住民であることには違いありません。そして、皆様、能登やふるさとへの思いを持ちつつも、家族、家庭、仕事、学校など、様々な事情から将来的に金沢市民を選択される可能性もあるかと思います。実際に盛岡市でも多くの方々が悩み、その選択肢を選んで今に至っているとのことです。本市では、避難者の受入れ、各種生活支援、そして、本3月定例月議会の初日に可決した
被災者生活家電購入助成費、
能登避難者食事支援費など、独自の被災者支援を実施しておりますが、このような短期的な支援に加え、本市での滞在が1年、2年、さらにはそれ以上になることを想定した中長期的な支援の準備が必要と考えます。また、場合によっては盛岡市のように本市に残る被災者の方々を支援する専任の部署の設置も必要と考えます。それが復興を目指す石川県の県都としての役割ではないでしょうか。本件に関して、市長の考えを伺い、次の質問に移ります。 次に、金沢市都市像のあらゆる分野に横断的に掲げられたデジタル化の推進について数点質問いたします。 今回提示された未来共創計画においては、あらゆる分野にデジタル化推進と明記され、新規も含め多数の項目が記載されております。一方、本市では、デジタル関連の項目は国の各種計画や
デジタル田園都市国家構想に呼応し、社会全体にデジタルの効果を波及させるため、金沢市
DXアクションプランを策定し、運用してきました。まず、この2つの計画の関係性について説明をお願いいたします。 今回の未来共創計画及び来年度当初予算には、各部門でデジタルを活用した施策が多く盛り込まれています。これは単にデジタル化だけではなく、それを基に市民の生活をよりよいものへ変革を目指すDXの実現に向け、大変評価できるものと考えます。以下、共創計画及び予算に記載されているデジタル化、DXに関連した項目について、数点質問いたします。まずは、書かない窓口導入費についてです。市民と行政の接点である窓口業務の効率化の観点で望ましい施策と捉えますが、今回導入予定の書かない窓口の具体的な内容、設置場所、対象の申請や手続、さらには市民側のメリット、どのようなメリットがあるかについて説明を願います。また、マイナンバーカードの利用を想定しておりますが、市民の皆様はマイナンバーカードの利用に関して、セキュリティーへの懸念を持つ方が多数おられます。システムの安全性について問題ないかについても説明願います。 次は、デジタル活用推進費についてです。生成AIであるチャットGPTの庁内の利用拡大と伺いましたが、具体的な利用内容や機密情報漏洩など、セキュリティーリスクへの対応方法について説明願います。また、大阪府など他自治体においては、生成AIを用い、高度な
市民向けチャットボットなど、庁外に向けたサービスを実施している地域がありますが、本市では庁外に向けたサービスの展開の可能性があるかについても回答願います。 3点目は、
健康ポイントアプリ導入費についてです。現在運用している紙ベースのわたしの健康ポイント手帳の
スマートフォン版アプリとのことですが、このアプリ化によりどのようなメリットがあるのか、今回新たな機能が追加される可能性があるのか、また、現状、紙ベースで運用されている方のポイント移行は問題ないのかについて説明願います。 4点目は、
除雪管理システム運用費についてです。これは、GPS機能を使い、除雪の状況を追跡管理するシステムの導入と伺いましたが、その具体的な内容と他自治体にも導入の事例がありますが、本市のシステムが目指す姿や導入後の市民目線でのメリットについて説明願います。また、市民の皆様は本市の管理道路の市道以外にも、当然、国道や県道、そして近隣市町の道路も利用します。その意味では、道路除雪は本市以外の広域な情報連携が必要不可欠です。この実現には、石川県が準備するオープンデータプラットフォームによる県内全域の除雪情報連携も必要に思いますが、本件に関しても見解を求めます。 最後に、
次世代ICT人材育成強化費についてです。デジタルを活用する上でそのリーダーとなる人材を育成していくことは言うまでもなく大変重要です。本市では、中学生以上を対象としたIT部活に加え、今年度はその下の小学生を対象にした金沢ロボ活をスタートさせました。このロボ活の発表の場とも言える第5回
加能ガニロボットコンテストが昨年12月17日に開催されましたが、金沢ロボ活のチームが常勝の小松市のチームを破り、見事優勝を飾っております。これは市長も観戦され、大変喜んでいらっしゃいました。また、今週末の新幹線開業イベントでは、最新技術のメタバースにも取り組むなど、IT部活、ロボ活の先進的な取組は全国的にも注目されております。このように小学生、中高生の育成の場は確実に成果につながっていると感じますが、IT部活を卒業した生徒が進学し、より一層ICT技術を極めていく、さらには、企業に就職し、DXを推進する、またはスタートアップを起業するなど、継続した育成強化が必要と考えます。今回の予算はその内容に沿ったものと伺っておりますが、具体的にはどのようなものであり、また、次世代ICT人材育成における本市の目指すべき姿について市長に見解を伺い、次の質問に移ります。 次は、金沢スタジアムに関して質問いたします。 2月18日、金沢城北市民運動公園内に整備された北陸初の
サッカー専用スタジアム、
金沢ゴーゴーカレースタジアムのオープニングセレモニーが開催されました。その後、こけら落としの試合となるツエーゲン金沢対カターレ富山戦が2月中旬とは思えない暖かい天候に恵まれ、両チームのサポーター8,566人が大迫力のサッカー観戦を楽しまれました。金沢の新しいスポーツ文化のスタートとなる記念すべき一日だったと思います。まず、こけら落としを観戦された市長の感想やこのスタジアムへの思いを改めて伺います。 私は、昨年9月の定例月議会にて、金沢スタジアム周辺の交通安全対策について質問させていただきましたが、その対応として、指定管理者から、Jリーグ試合開催時の警備計画が公表されております。こけら落としはスタジアムの定員1万人に近い盛況となりましたが、まずは警備員配置などが計画どおり行われたかどうかを伺います。また、その際の駐車場、無料バス、電車、徒歩などの利用者は想定数と比較してどうだったかを伺います。さらに、今回新設した沖町交差点の右折レーンについても、どのような混雑状態であったかを伺います。 Jリーグの試合は、本年は残り17試合、北陸新幹線地区のダービーマッチや5月の大型連休中の試合もあります。そのほか、Jリーグ以外の大型イベントの開催も計画されていると聞きます。一方で、周辺の田園地帯はこれから農繁期を迎え、付近の交通状況に関しては地域の住民の不安の声も以前から聞こえております。これらの状況を踏まえ、Jリーグ試合開催時のスタジアム周辺の交通状況の課題とその対応策について、市長の見解を伺います。 オープニングマッチの後、Jリーグのホーム開幕戦であるFC今治戦が3月3日に実施され、この日は、強風に雪やあられなど、あいにくの天候とはなりましたが、この試合にも3,352人の来場がありました。私は、両試合とも試合後のスタジアムの周辺の状況を確認しましたが、想像以上に徒歩の方が多かったと感じています。スタジアムのメインスタンドから東西への流れ、すなわち、IRいしかわ鉄道東金沢駅方面と北陸鉄道磯部駅方面、これは歩道がほぼいっぱいでした。特に磯部駅方面は、9月の一般質問で指摘したとおり、歩道が狭いため、歩行者が車道にはみ出して歩かなければいけない状況が確認されました。観客数が少なかった3月3日の試合においてもです。想定していた浅野川線の電車利用以外にも浅野川添いの歩道を南下し、金沢駅方面まで徒歩で向かう方も多かったことが確認されており、その点が影響しているのではと推察します。このような状況を鑑み、やはり周辺歩道の整備が必要と考えますが、いかがでしょうか。市長の見解を伺います。 私は、金沢スタジアムは「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」のスポーツ文化の起点である市民のためのスタジアムであるべきと考えます。その実現に向けては、広く市民が接する機会をつくることが重要であり、今回予算計上された
金沢スタジアム周辺活性化事業費は有効な施策と評価できます。その具体的な内容については、一部地元紙の報道もありましたが、改めて説明願います。また、市民の皆様は、市民イベントでは実際のスタジアムのピッチに立ってみたいとの声も聞こえており、ピッチに立てるかどうかについてもお答え願います。 本事業を通じて、市民がスタジアムとの接点を持ち、自分たちのスタジアムである意識を深めていただくことを大いに期待いたしますが、金沢スタジアムはスポーツフィールドや観戦以外の機能も有することを忘れてはいけません。試合予定のない日は、VIPルームを含め、会議室としての施設利用が可能です。また、スタジアムは金沢市の防災倉庫としての機能も有しています。そこで、サッカーフィールドに会議室や防災倉庫などを含めた
市民向けスタジアムツアーの開催を提案いたします。このスタジアムツアーにより、市民がスタジアムをより身近に感じ、来場や利用の機会を促すとともに、防災に関する意識向上にもつながると考えますが、いかがでしょうか。市長の見解を伺い、金沢スタジアムに関する質問を終わります。 最後に、市民生活を支える交通ネットワークについて質問いたします。 まず、昨年議論を行ってきた北陸鉄道石川・浅野川両線の支援についてです。本市においては、みなし上下分離方式の導入に向け特定事業計画の策定が必要ですが、この協議のための
石川中央都市圏地域公共交通協議会が延期になっていると認識しております。本協議会の状況、再開の見通し、また、予定していた国の新たな補助制度の活用や、そもそも石川線存続に向け必要不可欠な車両の更新時期が間に合うかなど、支援全体のスケジュールが問題ないかについて伺います。 次に、来年度予算計上されている
公共交通サービス高度化推進事業費についてです。本事業における新規事業として、複数の移動手段の連結点となるモビリティーハブの整備に向けた基本設計の着手という項目が上がっております。第3次金沢交通戦略などにも取り上げられているモビリティーハブは、公共交通サービスの高度利用における非常に重要なポイントと考えますが、本市におけるモビリティーハブの現状と、今回、基本設計をどのように進めていくかについて伺います。 また、モビリティーハブの中の一つの重要施策である
パーク・アンド・ライド、これに関して、現在、IRいしかわ鉄道の東金沢駅、森本駅や石川線の額住宅前駅で実施中、さらには、同四十万駅でも、今、実証実験が進んでおります。鉄道線としては未整備の浅野川線はどのようにお考えなのか、回答を求めます。 さらに、前に質問した
石川中央都市圏地域公共交通協議会におけるこれまでの議論は石川線の存続議論が中心でした。浅野川線については当初から存続とのことであり、多くの議論がなされていないと認識しております。しかしながら、浅野川線においても、利便性向上に向け、機能強化や周辺の交流にぎわい機能など、短期的、中長期的にわたる取組が必要と考えますが、その検討状況についてお答え願います。 最後に、本市の交通サービスに関する提案を行いたいと思います。来年度の交通施策として様々な事業、施策が盛り込まれております。1、市内のバス、鉄道で、クレジットカード、スマホによるタッチ・QRコード決済の導入、2、IRいしかわ鉄道線と石川線の乗り継ぎ円滑化の実証実験、3、金沢市
公共シェアサイクルまちのりは、令和7年4月の供用開始に向けた第3期構築、4、
金沢版MaaSアプリであるのりまっし金沢の利便性、操作性向上、5、
パーク・アンド・ライドの利用促進、これらの施策実現により、市内の交通機能の連携や持続可能な交通ネットワークの形成が進んでいきますが、私は、これらを組み合わせ、さらに一歩進めることにより、本市のバス、鉄道、シェアサイクル、さらには
パーク・アンド・ライドの共通の使い放題・乗り放題、すなわち、サブスクのサービス、これが技術面からも運用面からも実現可能と考え、提案いたします。このサービスを使うことにより、例えば、1泊2日で訪れた観光客は、のりまっし金沢で2日間のフリーパスを購入、兼六園、香林坊、東山、近江町、市内の定番スポットを回るだけでなく、バス、シェアサイクルを使って少し離れたところに気軽に足を延ばし、SNSで気になっていた観光スポットやお店やレストランに気軽に行けるそんな都市。例えば、1か月のサブスク契約をした市民は、晴れた日は、健康のためにシェアサイクル、雨の日はバスで通勤、通勤帰りに少し寄り道をして買物、休日は、
パーク・アンド・ライド地点まで車で行き、駐車時間を気にすることなく、バス、電車、シェアサイクルを制限なく、その日の気分に応じて自由に使い、通勤とは全く違ったルートを楽しむ。市民も観光客も、全てが移動するという概念を覆すような世界観が広がっていきます。これは、MaaS先進国のフィンランドなどが進めるMaaS3.0と呼ばれる世界最先端のサービスで、私の知り得る範囲では、日本国内でこのレベルのサービスの実現はありません。今、金沢版MaaS3.0が本当に手が届くところまで来ていると思います。私は、この金沢版MaaS3.0が「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」に掲げる魅力づくり、暮らしづくり、人づくり、仕事づくり、都市づくりを横断的に実現する象徴的な施策になり得ると考えますが、いかがでしょうか。市長の見解を伺い、私の質問を終わります。 御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)
○高誠議長 村山市長。 〔村山 卓市長登壇〕
◎村山卓市長 おはようございます。 3番柿本章博議員にお答えいたします。 今回の能登半島地震では、これまでに経験したことがない被害が発生するとともに、津波警報が発令され、多くの市民が津波から身を守るため、交通渋滞が起きたほか、一部の避難所においては、開設や運営に混乱が見られるなど、まずは、発災時に多くの課題があったと考えています。また、広範囲かつ甚大な被災地区の迅速な復旧に向けても多くの課題が浮き彫りとなっており、今後、これらの課題に対して検証し、地域防災計画や避難所運営マニュアルなどの見直しに反映させたいと考えております。 現在、本市では、総合窓口での各種対応や避難所の運営において、関係課が連携して被災者支援を実施しております。一方で、被災地からの避難が長期化することも想定されます。仮設住宅の建設状況等も見極めなければなりません。能登の被災者を支援するためにどのような体制が有効であるか。これは私の最初の勤務地が岩手県でありました。そして、奥様を亡くした同僚などもおります。そういったこと、岩手県の関係者からもいろいろ話を伺えればというように思っております。これから他都市の事例について、調査、研究しながら、能登からの被災して避難した方々への支援について検討していきたいと考えております。
DXアクションプランについて御質問いただきました。未来共創計画は、都市像に掲げる5つの分野から成る基本方針ごとに講じるべき主要な施策を取りまとめた市政運営の最上位計画であります。この中で、各分野への横断的視点の一つとして、あらゆる分野におけるデジタル化の推進を掲げています。一方、
DXアクションプランは、デジタルによる社会や地域経済の変革を進めるための方針、また、具体的な取組を定める個別計画として位置づけております。この2つの計画を相互に連携・連動させることで、本市におけるデジタル化を強力に推進していきたいと考えています。 書かない窓口についてであります。マイナンバーカードの暗証番号や顔認証機能を活用することで、申請者が申請書に氏名等を記載することなく、窓口において対面によるヒアリングだけで証明書等の交付手続が完了するものであります。市民課窓口で導入することとしており、住所変更等に伴う住民異動届をはじめ、住民票の写し、戸籍証明書、印鑑登録証明書、税に関する証明書等の諸証明のほか、マイナンバーカードに関する各種手続を予定しております。ただ単に手続が簡素化するというだけではなく、高齢者や障害のある方などにとっても負担の軽減につながります。さらに、待ち時間が短縮されるというということで、窓口の混雑緩和にもつながるものと期待をしております。 続いて、
次世代ICT人材育成強化費についてであります。付加価値の高い新産業の創出に向けて、石川県情報システム工業会--ISAと連携をし、会員企業の技術者によるサポートの下、小学生から大学生までを対象とした次世代ICT人材育成拠点機能をITビジネスプラザ武蔵に構築したいと考えております。具体的には、これまでの金沢IT部活や金沢ロボ活に加えてメタバースやシビックテックなどをテーマに、IT部活の卒部生や大学生がIT企業と共創する金沢IT部活アカデミーベンチャーを創設し、体系的な人材育成を図ることで、金沢の未来を創り上げる産業人材を育成・輩出し、地場産業の成長・発展につなげたいと考えております。 金沢スタジアムのプレシーズンマッチにつきまして、当日は天候にも恵まれまして、8,500人を超えるたくさんの観客を迎えました。北陸ダービー前哨戦となる1戦が行われ、金沢スタジアムの完成を大変うれしく思いました。北陸初の
サッカー専用スタジアムが生み出す臨場感を体感するとともに、大勢のサポーターや市民・県民から熱い声援が送られ、ツエーゲン金沢、カターレ富山、両チームに対する今後の飛躍を期待する気持ちを感じることができました。今後、金沢スタジアムが子どもの夢と憧れの舞台として、そして、市民に愛されるスポーツ交流拠点となるよう、さらなる機運の醸成と本市スポーツ文化の推進に努めてまいりたいと考えております。 当日の交通状況につきましては、駐車場の事前予約や無料シャトルバスでの来場を広く呼びかけたことによりまして、一時、会場周辺で渋滞が見られましたけれども、大きな混乱はなかったと承知しております。一方で、自転車や徒歩での来場者に対する交通整理の必要性など、新たな課題も見られたことから、今後、誘導看板の設置や警備員の効率的な配置により、歩行者の安全確保とともに、円滑な来場・退場を徹底するよう、主催者に対して指導してまいります。 スタジアム周辺の歩道整備につきまして、引き続き、大規模イベント開催時の歩行者と車両の通行状況を把握することが必要と考えております。その結果を踏まえ、整備の必要性について検討してまいります。まずは、できる限り歩道のある道路を利用いただくよう周知に努めてまいりますとともに、車道にはみ出して歩かないよう、警備員から来場者に声かけをしていきたいというように思います。 試合のない期間の施設内の見学ツアーであります。スタジアム内の諸室貸出し利用のPR、さらにツエーゲン金沢の応援機運の醸成等に有効であると考えております。民間事業者である指定管理者の自主事業として実施できないか、提案してみたいと思います。 北陸鉄道線に関する協議会でありますが、能登半島地震への対応のため、県や沿線市町との協議が調わず、1月の開催を延期したところであります。北陸鉄道線は市民にとって欠かせない大量輸送機関であります。車両・施設の老朽化など、安定運行のため対処すべき課題が目前に迫っておりますことから、引き続き、令和7年度からのみなし上下分離への移行を見据え、県や沿線自治体等との協議を鋭意進め、早期の合意を目指してまいります。 本市におけるモビリティーハブについて、地域の拠点となる鉄道駅やバス停などに
パーク・アンド・ライド駐車場や駐輪場、待合空間などを整備し、様々な交通手段の接続・乗り継ぎがスムーズに行える交通結節点として機能するよう構築したいと考えています。現状では、鉄道駅や主要なバス停が交通手段の乗り継ぎ拠点となっているところであります。これらを活用することはもちろん、これに限らず、地域の実情に応じた拠点も必要と考えており、候補地の選定とともに、設置すべき施設などについて、今後、検討を本格化してまいります。 鉄道沿線での
パーク・アンド・ライドは、利用者の利便性を高め、また、まちなかへの過度な自家用車の流入を防ぐ役割があるため、重要な施策の一つであると認識しております。一方で、北陸鉄道浅野川線については、浅野川の堤防と住宅地との合間に敷設された箇所が多く、駐車場や進入路の空間を確保することが非常に難しいという状況であります。整備が進んでいないと認識しております。
パーク・アンド・ライド駐車場の整備が難しい中で、今後、北陸鉄道浅野川線におけるモビリティーハブの構築に向けてどのようなことが可能か、研究してまいりたいと考えています。 浅野川線は本市の公共交通重要路線として大きな役割を担っております。今回の議論においても、利便性向上により、地域の財産として生かしていくことが必要とされております。今後、みなし上下分離の議論と併せ、北陸鉄道線の存在価値を高め、利便性を向上させる取組についても具体策を取りまとめてまいります。なお、鉄道駅のモビリティーハブ機能の強化や新駅の設置などについては、技術的な観点も含め、中長期を見据えて検討すべき課題であると考えております。 金沢MaaSは、鉄道、バス、まちのりなど、様々な交通手段を組み合わせて利用できるようにすることで、市民の移動や生活の利便性を高めることを目指し、デジタル交通サービス、のりまっし金沢を軸とした取組を進めてまいりました。また、令和7年度からの第3期まちのりサービスの開始に向け、鉄道とバスとの公共交通ネットワークの連携強化も進めていきたいと考えております。なお、御提案いただきましたサブスクのサービスは、高い利便性の実現を可能とする仕組みと認識しておりますが、一方で、システム構築に極めて多額の費用が必要となるなどの課題もございます。どのようなことが可能か、引き続き研究してまいりたいと考えております。 私からは以上です。
○高誠議長 紙谷市民局長。
◎紙谷勉市民局長 書かない窓口導入費について、システムの安全性について問題がないか、お尋ねがございました。使用するシステムは、インターネット環境を利用するものではなく、外部に情報漏洩することはございません。あわせて、申請時には、暗証番号の入力や顔認証機能により、厳正な本人確認を行うこととしておりますことから、安全性に問題はございません。
○高誠議長 川畑総務局長。
◎川畑宏樹総務局長 チャットGPTの庁内事業拡大や
市民向けチャットボットなど、庁外に向けたサービス展開の可能性について御質問がございました。本年度実施した生成AI試行利用の結果を踏まえ、明年度は全庁的な利用環境を整備するとともに、各課共通の財務会計システムマニュアル等のデータを学習させた庁内向けAIチャットボットを構築する予定であり、職員間の問合せ対応などの事務負担が軽減されることを期待しております。なお、これらの環境は行政機関専用のネットワークでのみ利用可能とするほか、生成AI利用ガイドラインを策定し、個人情報や機密情報の漏洩を防止することとしております。庁外に向けたサービスにつきましては、明年度の庁内向けチャットボットの実施成果を踏まえた上で、市民サービスで展開できるかどうか、見極めてまいりたいと思っております。 以上です。
○高誠議長 山口福祉健康局長。
◎山口和俊福祉健康局長 健康ポイント手帳のアプリ化についてお尋ねがございました。アプリの導入によるメリットは、歩行数を自動的に記録できるなど、利便性が向上いたしますほか、新たな機能といたしまして、アプリを通じて対象者の性別や年齢層に応じた情報発信が可能となりますことから、この機能を活用して健康づくりに役立つ情報を周知していくこととしております。加えて、スマホ世代である若年層の利用増加につながることも期待しております。また、紙ベースの健康ポイント手帳にたまったポイントについてでございますが、これをアプリに移行することは考えておりませんが、手帳は発行から1年間有効であり、その間は、たまったポイントの利用が可能でございます。 以上です。
○高誠議長 坂本土木局長。
◎坂本敦志土木局長 除雪管理システムの質問で、最初に、内容とメリットでございますが、このシステムは、GPS端末を除雪機械に設置することで、除雪作業本部にいながら除雪機械の稼働状況や作業の進捗状況などをリアルタイムに把握することができるシステムでございます。このシステムの活用により、地区ごとの進捗状況に応じた除雪作業の応援体制が構築でき、迅速かつ効率的な除雪作業が可能となるほか、除雪作業状況を把握することで住民からの問合せに対し、作業開始の予想時刻など、正確な情報を伝えることができるものと考えております。 次に、県内全域の情報連携についてでございます。除雪管理システムで得られるGPSのデータは、石川県が準備している広域連携基盤での活用も可能であると認識しており、今後、発信する内容や方法などについて、県や県内他自治体との協議、調整を進めていきたいと考えております。 以上でございます。
○高誠議長 東文化スポーツ局長。
◎東利裕文化スポーツ局長 金沢スタジアムにつきまして、まず、試合時のスタジアム周辺の警備員配置など、計画どおり行われたかとのお尋ねにつきまして、当日は運動公園内はもちろん、近隣商業施設の駐車場出入口やスタジアム周辺道路に計画どおり33名の警備員を配置し、駐車場整備に当たったとツエーゲン金沢から報告を受けております。 続いて、駐車場、無料バス、電車、徒歩などの交通利用者は想定数と比較してどうであったかとのお尋ねにつきましては、駐車場は事前予約による1,313台の利用がございました。シャトルバスによる輸送は約3,000人の想定に対し4,077人の利用があったと聞いております。IRいしかわ鉄道、北陸鉄道浅野川線につきましては、詳細な乗車人数は現時点では把握できないとのことでありましたが、IRいしかわ鉄道からは、通常の1.4倍程度の乗客数であったと聞いております。 次に、金沢スタジアムの周辺活性化事業について……
○高誠議長 東文化スポーツ局長に申し上げます。 発言時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
◎東利裕文化スポーツ局長 イベントでのスタジアムピッチに立てるかというお問合せですが、金沢スタジアムをはじめ、城北市民運動公園内における施設で、全てにおきまして、複数競技を体験できるイベント、筋力測定、反射神経テストなど、自身の体力、スポーツの適性を測るスポーツ版人間ドックを実施することで、家族で楽しくスポーツに親しむ機会を提供したいと考えております。 また、元サッカー日本代表選手と地元チームの親善試合や教室等も実施を予定しており……
○高誠議長 発言時間が過ぎておりますので、発言を速やかに終了して下さい。
◎東利裕文化スポーツ局長 こうしたイベントの中で市民がピッチに立てるよう計画してまいりたいと思っております。 以上です。
○高誠議長 5番山本ひかる議員。 〔5番山本ひかる議員登壇〕(拍手)
◆山本ひかる議員 発言の機会を得ましたので、公明党金沢市議員会の一員として、数点にわたり質問させていただきます。 初めに、1月1日に発生しました能登半島地震におきまして、犠牲となられました方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災され、大変な状況の中におられる皆様に心からお見舞いを申し上げます。復旧・復興を全力で支えていくことをお誓いし、質問に入らせていただきます。 まず、本市に避難されている能登半島地震被災者の方への対応について伺います。 発災より2か月がたち、まずは身も守るための2次避難から徐々に生活再建のための住居を決めていかれる段階に入ってきました。被災者の皆様に対しては、本市でも、被災者生活支援総合窓口を開設し、生活再建への相談を広く受け付けており、災害救助法適用による制度の下、生活場所の確保として、賃貸型応急住宅や市営住宅などへの入居が進んでいます。日々の生活場所を確保できることは大変に重要なことだと思います。しかしながら、この大災害が与えたダメージは心身ともに大きなものであり、避難して来られている方々にとって、慣れない土地での生活の変化や様々な不安等を抱えての日常を考えると、まず、第一に、皆さんが孤立してしまうことを避けなければなりません。私も市営住宅を擁するある町会から、「金沢市に避難してこられた皆さんをこれから様々にサポートしていく必要があると思う。まずは集会場に気軽に来てもらえるようなサロンや区長さんによる訪問に力を入れていこうと思うが、市ではどのように考えているのか」とのお声をいただきました。被災者に心を寄せ、自主的に支援に動いてくださっている町会、地域団体、ボランティア等の皆様には感謝しかありません。このように善意で支援活動をしてくださっている方々のお力をお借りしていくことは大変に重要なことだと思います。そこで、能登地域からの避難者の方々が賃貸型応急住宅や市営住宅などへ入居される際に、このような地域コミュニティーにつながっていけるように、本市としてどのようなことをされているのかをお聞かせください。 一方、避難者の方々に必要な支援、そこにつながるための情報を届けるには、避難者の方々を把握することが必要となります。賃貸型応急住宅や市営住宅などに入居された方であれば、本市からの情報提供などについては連携が可能かと思われますが、親類などを頼って個別に避難されている方もおられます。石川県では、現在、公式LINEや電話受付により、連絡先情報などについて避難者からの自主的な登録を進めています。住民票を異動させることなく、広域に、また、何度も居場所が変わる可能性がある避難者の方々を埋もれさせることがないようにと考えたとき、この石川県の登録を推進することは重要であると思われますが、本市で特に留意されていることがあれば、お聞かせください。 過去の災害の検証からも、被災者の方々の生活再建のためには、お一人お一人が抱える多様な課題に対し、関係者が連携して寄り添い、必要な支援を行うことが今後ますます重要となると思われます。公式LINEや電話受付により登録された情報は石川県と関係自治体とで共有され、今後の支援に生かされることになると思われますが、本市で生活されている避難者に対し、どのような支援につないでいけるのかをお聞かせください。 次に、本市の空き家対策について伺います。 少子高齢化などを背景に、空き家が全国で増加しています。放置された空き家は老朽化が進み、近隣への安全面や防犯上の悪影響など、大きな問題をはらんでいることは本市においても例外ではありません。また、このたびの能登半島地震のような大災害の折には、周辺への被害を拡大させる要因ともなりかねません。国では、2015年に、空家等対策の推進に関する特別措置法が制定され、倒壊のおそれなどが高い場合は、自治体が特定空家に指定でき、改善などの勧告措置を行えることになりました。それを受け、本市でもその翌年に、金沢市空き家等の適切な管理及び活用の推進に関する条例を制定し、本市の特性に応じた対策を実施するため、金沢市空き家等管理・活用計画を策定されています。そして、国は、改正空家対策特別措置法を昨年12月に施行し、空き家が放置され、危険な状態になるのを未然に防ぐため、管理のよくない物件について、特定空家に至る前に新たに管理不全空家に指定し、自治体が早めに指導・勧告できる仕組みが導入されました。本市では、2018年9月に作成した空き家対策のハンドブックを、昨年9月、さらにバージョンアップし、空き家発生予防のハンドブックを作成されています。また、同じ内容が本市のホームページでも見やすく紹介されています。そこで、本市の空き家対策は、今回の法開始を受け、どのような点に重きを置いて取り組まれているのかを伺います。 市民の皆様から御相談をいただく多くは、近隣の空き家についてのお困り事です。町会として町内の空き家の一軒一軒を把握し、役員の交代とともに情報が引き継がれているという例は少なく、被害を心配されている御近所の方だけで悩まれているケースが多く感じます。本市では、個人から相談があった場合、空き家の所有者を調べ、連絡を取り、その後も定期的に現地を見回っておられることも承知しています。しかし、空き家の所有者がすぐに動いてくださることは少なく、近隣の方も御高齢でありながら、御自宅に被害が及ばないよう危険な作業をされている状況は心配です。金沢市空き家等管理・活用計画には、空き家等の所有者等が入院、施設への入所、遠方に居住している等の理由により、自ら当該空き家等の適切な管理を行うことができない場合に対応するため、所有者等に代わって空き家等の適切な管理を行う専門的な知識を有する事業者や家財の整理を行う事業者等、地域に根差したコミュニティービジネスの育成を図るとともに、空き家管理事業についての広報を行うなど、その普及、啓発に努めますとあります。本市のハンドブックには、空き家の管理代行サービスとして、所有者に代わって、事業者が現地を確認して、建物の外観など、写真で状況を知らせてくれるサービスが空き家対策の一つとして紹介されています。また、現在、この空き家管理代行サービスの一つが本市のふるさと納税の返礼品にもなっています。そこで、本市として空き家の所有者に対し、このようなサービス利用の案内をするなど、何か積極的なアプローチをされているのかを伺います。 本市でも、所有者が施設に入所されるなどして空き家が放置されていくケースは増えているように思われます。もし、災害が発生し、何か法的な処理をするときにも、所有者と連携が取れないことが妨げとなることも考えられます。防災・減災の観点からも、相談のあった空き家については、その現状が速やかに所有者側に伝わり、管理不全空家が減少することを望みます。 さて、昨年、本市と地域連携空き家等活用事業の協定を結んだNPO法人が修繕した空き家が地域の交流拠点としてオープンすることを伺いました。本来は空き家を有効活用していけることが最善です。新たに策定された都市像が具現化される中にあって、今後の本市の空き家活用について、市長の御所見を伺います。 次に、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染を防ぐHPVワクチンの接種について伺います。 子宮頸がんの予防として、2013年より小学校6年生から高校1年生までの女子を対象にHPVワクチンの定期接種が始まりました。しかし、接種後に多様な症状が報告され、国は程なく積極的勧奨を停止することになり、その後、接種の有効性が副反応のリスクを上回ることが専門家会議で認められ、2022年4月よりは接種勧奨が再開されました。その間、接種機会を逃した1997年4月2日から2007年4月1日生まれの女性について、キャッチアップとしてHPVワクチンの公費による無料接種ができることとなっています。そのキャッチアップ期間が2025年3月31日までで終了となっており、本市では、昨年末に市LINE公式アカウントでその案内を掲載していただきました。重ねて、新年度の予算で未接種者への個別勧奨の実施と進学や就職等で県外に住まれる方に対しても助成対象としていただいていることに感謝いたします。その未接種者への個別勧奨についてですが、期限終了までに3回の接種を間に合わせることを想定すると、いつ頃の発送を考えておられるのかを伺います。 現在、能登半島地震で被災されている方については、長期療養の特例と同様に、定期の予防接種については、接種期間に2年間の猶予が与えられることになったと伺っていますが、本市に避難されているHPVワクチンの定期接種対象者はキャッチアップ世代も含め、希望すれば本市でも接種することができるのか、また、1回目の接種等を居住地で済ませている方についてはどうなのか、その対応について伺います。 また、このHPVワクチンについてですが、最近は男性の中咽頭がん等についても、HPVの感染に起因していることが分かってきており、国では、2020年12月に、男性への接種も承認されました。本市においても、男性へのHPVワクチンの接種を行っている医療機関を把握されているでしょうか。HPVワクチンを男性が接種することにより、御自身をがんから守るとともに、パートナーへの感染も防ぐことができ、子宮頸がんの発症も抑えることができると考えます。ぜひ、男性に対してもHPVワクチンで防げるがんがあることを広く周知していただき、今後、男性の接種への公費助成についても検討していただきたいと思いますが、御所見を伺います。 次に、本市の乳幼児健康診査について伺います。 本市では、母子の健やかな健康のための健康診査として、福祉健康センターで行う3か月児、1歳6か月児、3歳児の健康診査のほかに、医療機関に委託する1か月児、6か月児、1歳児、2歳児の健康診査も公費で行われており、合計7回と充実した体制となっています。まず、福祉健康センターで実施されている乳幼児健康診査について、対象となる御家庭にはどのような方法で周知されているのかを伺います。 また、本市では、それぞれの年代での健康診査の受診率も高いものと見受けられますが、福祉健康センターで実施されている3か月児、1歳6か月児、3歳児の健康診査について、未受診のお子さんについてはどのように対応されているのかを伺います。 国においては、2023年度補正予算で出産後から就学前まで切れ目ない健診体制を整備するため、新たに1か月健診と5歳児健診が助成事業となりました。5歳児健診が対象となった背景には発達の障害などを早く発見し、安心の就学につなげることを目指すものとされています。本市では、健康診査で子どもたちの発達に遅れや心配が見えた場合、療育につなげるなど、総合的にどのような支援の体制を取っておられるのでしょうか。また、本市では、5歳児については、現在、希望される方を対象に、就学前発達相談を開設しておられますが、全員が対象となる集団での健診を実施することについてはどのように捉えておられるか、その御所見を伺います。 最後に、若者のオーバードーズについて伺います。 近年、処方箋がなくても、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬の乱用・依存や急性中毒が重大な社会問題となりつつあります。乱用されているのは、一般的なせき止めや風邪薬等です。これらには麻薬や覚醒剤と同じような成分がごく少量含まれ、何十錠も一度に服用すると、一時的に気分が落ち着いたり、高揚したりするものの、だんだんと効かなくなるため、服薬量が増え、肝臓や腎臓の重大な障害に至ることもあると言われています。実際に、市販薬の過量服薬--オーバードーズによる救急搬送が2018年から2020年にかけて2.3倍に増加したという報告や精神科医療施設を受診する患者において、市販薬を主たる薬物とする薬物依存症状が2012年から2020年にかけて約6倍に増加したといった報告もあります。国立精神・神経医療研究センターの2022年調査によると、全国の精神科医療施設で薬物依存の治療を受けた10代の患者の主な薬物において、市販薬が全体の65.2%を占めているとのことです。また、市販薬の乱用経験がある高校生の割合は1年間で60人に1人というデータもあり、深刻な状況にあることも明らかになりました。特にここ数年間のコロナ禍では、自粛生活のストレスや孤立感の深まりなど、子どもたちにとってもやり場のない感情があったのではないかと思われ、本市において、子どもたちの状況はどうであったか、オーバードーズにつながるような事例を把握されていたのかをお尋ねいたします。 現在、乱用等のおそれのある市販薬については、その販売制度も見直しをされてきており、購入者が高校生・中学生等であると思われる場合は、その氏名や年齢、使用状況を確認することになっています。金沢市健康教育推進プラン2024にも、7つの重点的健康課題の一つとして、喫煙・飲酒・薬物乱用防止を挙げ、薬の正しい使い方についてを学校で学ばれると思います。本市の中学校、市立工業高校では、オーバードーズを防ぐためにどのような取組をされているのかを伺います。 また、コロナ禍に続き、大震災を経験することになり、本市にも現地で被災し、帰ってきた子どもたちや能登から避難してきている子どもたちもおられるかと思います。また、本市で被災した子どもたちであっても、発災時に感じた不安や恐怖というものの影響は計り知れません。この子どもたちの心のケアについて、本市の小中学校、市立工業高校では、今後も継続的にどのように取り組まれていかれるのかを伺い、私の質問とさせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○高誠議長 村山市長。 〔村山 卓市長登壇〕
◎村山卓市長 5番山本ひかる議員にお答えいたします。 初めに、本市に避難してきている方々、様々な形で避難をされているというように思います。市営住宅に来られている方、賃貸型応急住宅に入られている方、また、親戚を頼っていらっしゃる方、車中泊の方もいらっしゃるというように思います。そうした市営住宅等での生活を開始した避難者の方々が慣れない地域で孤立することなく安心して生活するというためにも、地域との交流を持つということ、大切だというように思っております。一方で、町会の方からも、地域に住まわれる避難者との関わり方について相談や問合せもいただいております。こうしたことから、本市では、被災者生活支援総合窓口で相談等に来られる方に対しては、地域の御了解をいただいた上ではありますが、町会連合会などの地域コミュニティーの窓口、あるいは、地域サロンなどの地域福祉に関するお問合せ先を記載したチラシの配布などを行っております。引き続き、避難者に寄り添った支援に努めてまいりたいと思います。 そして、石川県では、避難所を離れ、県内の親戚宅等に避難されている方に対して、自治体からの支援情報を届けるため、連絡先の情報を登録するよう呼びかけております。支援を行っていく上で重要な情報であると認識しております。本市としても、広域避難所から退所される際には、登録を行うように促しをしております。登録された情報については、被災した自治体と共有し、支援金をはじめ、生活を再建する上で必要となる重要な情報を適時提供できるほか、本市で避難生活を送る際の健康管理などにも活用できると考えております。 続いて、空き家対策についてであります。本市は、これまでも空き家が及ぼす生活環境の問題の改善や空き家を移住・定住の受け皿として活用を図ってまいりました。引き続き、発生抑制、管理指導、活用・流通促進の3本の柱を軸に空き家対策を進め、とりわけ地域コミュニティーの活性化が期待できる空き家の発生防止と活用・流通の促進に注力していきたいと考えております。 続いて、男性に対するHPVワクチンの接種についてであります。現在、予防接種法において、市町村長が行う予防接種の対象となっておりませんので、接種を行っている医療機関は把握しておりません。また、周知や公費助成の実施について、昨年度、国で定期接種に位置づけるかどうかの検討が開始されました。今後、有効性や安全性等についての調査・研究も行われると聞いております。その動向を注視してまいりたいと考えています。 乳幼児健康診査につきまして、小学校への入学を迎える時期に子どもの発達に不安を持つ保護者を対象にして、小児科医と臨床心理士による5歳児就学前相談を行っておりますほか、保育所や幼稚園に専門家を派遣し、相談等の支援に努めております。本市では、5歳児を対象とした集団健診は実施しておりませんけれども、今後、国から5歳児健康診査に係るマニュアルが示される予定と聞いております。他の自治体の状況も踏まえて研究してまいりたいと考えております。 私からは以上です。
○高誠議長 坪田都市整備局長。
◎坪田英孝都市整備局長 空き家対策につきまして、今回の法改正を受け、どのような点に重きを置いて取り組まれるかとのお尋ねがございました。改正特措法には、所有者の責務の強化に加え、空き家の活用拡大や管理不全空家に対する指導、勧告措置などが新たに盛り込まれました。本市では、これまでも所有者等に対し適切な管理の指導を行うとともに、専門団体の協力を得ながら、活用や流通を促し、空き家の解消を進めているところでございます。今回の法改正を受けまして、より一層、活用の拡大や流通の促進に重点を置いた取組を進めていきたいというふうに考えております。 次に、空き家管理代行サービスの案内についてのお尋ねがございました。仰せのとおり、昨年11月から空き家の管理の方法の一つとして、ふるさと納税空き家管理サービスを開始したところでございます。このサービスの利用は、市内に居住する空き家の所有者に限定されますことから、管理指導の機会などを捉えまして、直接サービスの案内を行っているところでございます。 以上でございます。
○高誠議長 山口福祉健康局長。
◎山口和俊福祉健康局長 HPVワクチンのキャッチアップ世代への個別勧奨につきましてお尋ねがございました。HPVワクチンのキャッチアップ接種につきましては、令和6年度末が期限となっております。3回の接種のために6か月程度の期間が必要となりますことや大学生等が夏休みに帰省する際に接種していただくといったことも考慮いたしまして、7月上旬には対象者に対して勧奨はがきを送付する予定でございます。 次に、避難者のワクチン接種についてでございますが、HPVワクチンの定期接種の対象者で能登半島地震で被災し、本市に避難していている方につきましては、キャッチアップ世代の方や1回目の接種済みの方も含めまして、市内の医療機関において接種することが可能でございます。 続いて、福祉健康センターで実施している乳幼児健康診査につきまして、幾つかお尋ねがございました。乳幼児健康診査の周知につきましては、健診日の約1か月前を目安にお住まいの住所を担当する福祉健康センターから場所、持ち物等を記載した案内文を対象となる御家庭に個別にお送りしております。あわせて、当日、都合がつかない場合も考慮いたしまして、予備の受診日も御案内しております。加えて、本市のホームページや新聞のお知らせ欄等にも健診の予定を掲載しておりますほか、母子健康手帳アプリを活用するなど、広く周知に努めているところでございます。 予定の健診日に受診されない方についてでございますが、再度、新たな健診日について、電話や郵送により通知を行っております。それでも受診されない方につきましては、福祉健康センターの保健師が家庭訪問等を行いまして、子育ての相談を受けるとともに、受診するように促しているところでございます。 また、乳幼児健診の結果、発達に遅れや心配が見られるお子様につきましては、保健師が個別に相談・支援などの対応を行っておりますほか、必要に応じて療育機関を紹介しております。経過を見たほうがよいと思われる方には、保健師が継続的に関わりますとともに、医師や心理士、保育士等専門職による幼児発達相談、5歳児就学前相談につなげ、お子様の特性に合わせた関わりを助言しているところでございます。加えて、幼児相談室や教育プラザの専門相談などの関係機関であったり、医療機関へつなぐなどの適切な時期に必要な支援が受けられるよう、連携を図っているところでございます。 以上です。
○高誠議長 野口教育長。
◎野口弘教育長 若者のオーバードーズについて、初めに、コロナ禍における本市の子どもたちの状況とこの間のオーバードーズにつながるような事例の有無についてお答えいたします。コロナ禍により生活環境が変化して、生活リズムを乱した児童・生徒や学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことに難しさを感じていた児童・生徒は見られたと捉えております。なお、コロナ禍の間、オーバードーズにつながる事例はございませんでした。 また、本市立中学校、市立工業高等学校でのオーバードーズを防ぐための取組についてお答えいたします。本市立中学校、市立工業高等学校の保健体育科の授業におきまして、学習指導要領に基づき、市立中学校では、健康な生活と疾病の予防の単元で、市立工業高等学校では、健康を支える環境づくりの単元で、医薬品は使用方法を守り、正しく使う必要があることを指導いたしております。オーバードーズの内容等につきましては、毎年、学校に学校医や学校薬剤師等を招聘して開催している薬物乱用防止教室で薬物に対する正しい知識や乱用の危険性について指導いたしております。 次に、能登半島地震を経験した子どもたちの心のケアについてお答えいたします。本市では、能登半島地震発災直後の校長会議におきまして、心のケアに当たる際は子どもたちが発するストレス反応等に正しい知識に基づいて対応するため、学校全体でケース会議を行うなどして組織的に取り組むよう、指導・助言をいたしました。各学校では、能登半島地震による不安等の早期発見に努め、能登から受け入れた児童・生徒を含めた心のケアに取り組んでおります。また、要請があった学校には速やかに臨床心理士やスクールカウンセラー、専門医等を派遣いたしております。引き続き、能登半島地震の影響によるストレス反応等の早期発見、早期対応に努め、一人一人の心に寄り添った心のケアに取り組んでいくよう、学校に指導してまいります。 以上でございます。
○高誠議長 6番黒口啓一郎議員。 〔6番黒口啓一郎議員登壇〕(拍手)
◆黒口啓一郎議員 発言の機会を得ましたので、みらい金沢の一員として、当初予算・補正予算に関すること、関連する金沢市政について質問させていただきます。 初めに、令和6年能登半島地震の発生から2か月余り、5人の安否不明の方々の早期救出を願い、亡くなられた241人の方々の御冥福と被災された多くの方々へのお見舞いを申し上げます。 元日夕方に起こった地震はマグニチュード7.3の地震が13秒の間に連続して起きたという分析もある、過去に類を見ない直下型地震です。能登では復旧が急がれる状況にあり、直面する様々な課題があります。と同時に、今から考えておかなければならない本市での防災・減災についても速やかに取り組むべきことがあろうかと考えています。 その中で、まず、地域防災計画の見直しについてお尋ねします。防災体制の強化を図るため、地域防災計画の改定費が予算に盛り込まれました。元日夕方に発生した能登半島地震で、本市では最大震度5強を観測し、戦後の地震では最大の揺れとなりました。本市では、第3次配備体制が取られ、災害対策本部が設置され、初動対応に当たられました。災害は防災計画の読みどおりの内容になることはないとよく言われ、備えたとおりに事が進まないことは多々あろうと思います。今回の地震をめぐって、今後の災害対応を議論する検証会議を立ち上げるに当たり、当時の対応を検証する必要性はどんな点にあるのでしょうか。計画と実際の違いはどんなものがあったのか、備えが薄かった点、計画のように進められなかった点など、災害対策本部長として、この地震への対応から見えてきた今後の改善課題について、市長にお尋ねいたします。 危機管理体制の強化に当たり、災害時における的確かつ迅速な対応を図るために依頼する防災アドバイザーについてもお聞きします。能登半島地震対応で、本市の災害時における対応は的確・迅速という視点で何が足りなかったのか。それを改善するためにどのような助言を得ることを想定しているのでしょうか。具体的に招聘する方が決まっていれば、その方を、まだ決まっていない場合には、どんな分野の専門家を望んでいるのか、人物像についてお尋ねします。 この地震が発生した後の経緯の中で、私としては、この質問で2点、お聞きしたいと考えています。1つは避難所の開設、2つ目には観光客を主とした帰宅困難者対策です。1つ目の避難所の開設に当たっては、震度5弱以上の地震が発生した場合は、市内217全ての指定避難所を開設することになっていましたが、開設されたのはおよそ6割に当たる124か所でした。市民の安全確保のために計画した避難所開設が、4割が開設に至らなかったのはどんな要因によるもので、今後の検証には何が課題となるのでしょうか、お伺いします。 2つ目の帰宅困難者対策です。昨年の9月定例月議会の一般質問で、私は、この対策に取り組む必要性を聞きましたが、令和7年の地震被害想定の見直しが出るまで待つという方針でした。その際の答弁では、なお万一、それまでの間に大規模な災害等が発生した場合には、宿泊事業者などの協力協定締結団体をはじめとして関係機関とも連携協力し、迅速かつ適切に対応していくとのことでした。観光客や帰省客、買物客が行き交っていた元日夕方のJR金沢駅周辺では、そのような連携や適切な対応というものが取られたのでしょうか。ユーチューブに投稿されている元日の金沢駅周辺の様子を撮影した動画では、帰宅困難の状態になった人たちが大勢いたことがうかがえるのですが、どういう状況になり、帰宅困難者は何人規模で生じたのか。市で把握している状況をお尋ねいたします。 また、まさにこうした災害時に備えて協力協定を結んだ宿泊事業者との連携やかなざわ災害時等協力事業所に登録した企業に対しては、協力要請などが機能したのでしょうか。危機管理監の見解をお尋ねいたします。 本市における被災地区の復旧についてお尋ねします。 元日の地震によって、粟崎地区では液状化被害、田上新町では道路の崩落、住宅の倒壊、山の上町の天下台団地では、地滑りの危険性が生じて避難指示が出されるなど、市民生活に影響する地震被害がありました。この復旧については、地震に伴う地盤の液状化や崩落などの被災メカニズムの究明に向けた調査・分析を行い、専門家で構成する技術検討会議で復旧工法などを検討するとのことですが、復旧に望ましい方法など、その結論が出るのはいつ頃となるのでしょうか。見通しをお聞かせください。 また、熊本地震など、過去の地震災害でも同様のケースがあるのではないかと思われますが、本市での本格的な復旧に向けて参考にしているケースでは、復旧完了までどれぐらいの期間を要しているのか、お伺いいたします。 地震防災において、この令和6年能登半島地震で亡くなられた方々の死因を直視しないわけにはいきません。警察庁の1月30日時点のまとめによりますと、この時点での死者238人のうち、死因は圧死が92人で全体の4割弱、窒息・呼吸不全が49人、外傷性ショック等が28人。報道を通じた専門家や医師の見解などを踏まえると、最大震度7を記録した能登半島地震では、多くの人々が元日夕方の大きな揺れで倒壊した家屋の下敷きとなったことによって命を落としたという見解に至ります。また、高齢化が進み、古くから建つ家屋の耐震化が進みづらい状況があり、倒壊家屋が多くなったことの背景として報道されていました。1981年、昭和56年以降、新耐震基準、そして、2000年基準と呼ばれる現行の耐震基準へと国は住まいの耐震化のレベルを引き上げており、本市においても、住宅の耐震化を進めるために、耐震診断や耐震補強工事の補助金を設け、ずっと市民にその利用を促されてきています。こうした中での地震発生後、耐震診断や耐震補強工事に対する市民の関心度の変化は起こっているのでしょうか。問合せ件数や申込みの状況についてお尋ねします。 金沢大学の地震学の専門家は、能登半島地震の分析結果を学会で示されており、その中では、地震を起こした活断層のエネルギーは周辺断層に影響を及ぼし、今後、金沢市内での直下型地震が懸念される森本・富樫断層帯については、将来的な地震発生リスクが増したと報告されています。これまでよりも地震発生リスクの懸念が増す中で、万一発生した際に人的被害を少なくしていくための取組として求められることは、住宅の耐震化を限りなく100%に近づけることではないでしょうか。本市のまちなか区域、その中の特別消防対策区域の中には、昭和時代に建てられた木造住宅が密集する地域もあり、地震防災への関心の高まりが予想される今こそ、従来以上に呼びかけを強め、市民の意識を高めてもらうべきときにあるのではないかと考えますが、市長の考えをお伺いいたします。 次に、能登半島地震で本市に避難され、賃貸型応急住宅、いわゆるみなし仮設住宅に入居された被災者の方々の支援についてお尋ねします。 今、そうした金沢市内でみなし仮設住宅での生活に入られた方々は何世帯、何人おられるのでしょうか、お尋ねします。この数をお聞きするのは3月1日に可決した補正予算で生活家電の購入費用が助成されることとなり、広く行き渡ってほしいと願うことからです。当日の被災者生活支援総合窓口での問合せ状況は、生活家電購入助成や生活必需品の支給を尋ねる相談の割合が大半を占めており、支援を必要とする方々に情報が的確に行き届く状況にあるのか、懸念があります。その日の時点では、民間の賃貸住宅、県営住宅や国家公務員宿舎へ入居した方の情報は本市に共有されていないとのことでした。賃貸型応急住宅、いわゆるみなし仮設住宅に係る手続では、その仕組みを見るに、県が本市のみなし仮設に入られた世帯を把握できていることになるようですが、今日時点においては県から情報共有はされているのでしょうか、お伺いいたします。速やかな情報共有を図ることが支援が行き渡るための重要な基盤となります。みなし仮設に入居した被災者の支援にあっては、県との情報共有をしっかり進めていただきたいと思っております。 この議会の初日、支援の在り方について、市長は、提案理由の説明においては、息の長い支援と、質疑の答弁の中では、被災者に寄り添った支援をとその姿勢を述べられ、全く同感するものです。生活家電の購入費用の助成後に続いて、本市でのみなし仮設住宅に住まわれる被災者の方々には今後どのような支援をされていくのか、どのようなニーズに応えていくのか、市長の所見をお伺いいたします。 次に、今後の人口推移について、その人口は減少が予想され、現役世代の減少などに伴い、税収減となっていることが予想されています。一方では、高齢化社会における団塊世代の方々が75歳以上となり、2025年問題と言われる超高齢化社会へと進んでいきます。この中で、当初予算における石川中央都市圏に係る事業についてお尋ねします。 消防の広域連携です。 消防局の通信指令は、本市とかほく市、津幡町、内灘町の2市2町での共同運用となっていますが、当初予算案では、白山野々市広域消防と連携することを視野に、4市3町での共同運用拡大に向けた通信環境調査が盛り込まれました。この共同運用が具現化した場合、人口規模で言えば、55万人台から72万人台へと政令指定都市並みの規模となり、面積でもかなり広域になってきます。消防行政において、通信指令を広域化することは本市においてはその目的と必要性はどういったところにあるのでしょうか、お尋ねいたします。 次に、行政における様々な場面で進展が見られるDX--デジタルトランスフォーメーションについてお尋ねします。 DXを推し進めていくために、本市では、金沢市
DXアクションプランを策定し、デジタル行政推進リーダーをはじめとするデジタル人材の育成が展開されてきました。今年度において、その成果はどのように現れているのでしょうか。特に迅速な対応が求められたのではないかと思われる能登半島地震における対応で、DXが功を奏した事例がありましたら、具体的にお聞かせください。 令和6年度の当初予算では、データの活用や分析を施策に生かす事業が観光政策、交通政策のほか、学校教育の分野でも取り入れられています。こうした事業では、当初予算のデジタル人材育成事業費の狙いとして示されている、業務の効率化と市民サービスの向上を図るため、デジタル技術を有効に活用して業務を効率化できる職員を育成することが重要になってくるものと思います。DXについての全庁的な理解度を高めるため、データ利活用ができることは今後の業務の質を高めるために重要性を持っているものと考えます。データを生かすことは利活用の中でさらに踏み込んだ分析ができることで、政策を打ち出す根拠や施策の内容の精度が高まることが期待されるところです。民間ではデータサイエンティストという職業が注目され、デジタル人材の育成におけるキーワードの一つとなっていますが、本市におけるデータ分析力を高めていき、観光など、注力する政策でデータ分析を生かした政策の発展を図ることについてどのようにお考えでしょうか。市長の所見をお伺いします。 最後に、人口減少対策に関して、2点、お聞きいたします。 1つ目は、定住移住の促進です。定住移住促進費の事業では、これまでの住宅取得支援制度を改め、新たな制度を開始する方針が示されています。その狙いとして、まちなかや居住誘導区域等における子育て世帯や移住者の定住の促進と区域外への人口流出防止を図ると打ち出されています。この人口流出防止を図るという表現、つまり、人口の社会減対策が本市の施策に表れてきたのは、過去5年の当初予算資料を遡って調べても今回が初めてではないでしょうか。そこで、人口減少時代における本市での社会減をどう捉えているのか、この点、少子化対策にも関わってくるものと見ておりますが、人口データなどから社会減について把握された点をお聞かせください。また、この観点から、近年の人口流出や世代構成に与えている影響とそこから見える課題を踏まえ、この新たな住宅取得支援制度とともに、今後取り組むべき政策について市長の所見をお伺いいたします。 2つ目に、関係人口についてお尋ねします。新たな都市像の策定に取り組まれる中で、市長は、移住・定住の促進とともに、関係人口の創出を掲げられており、当初予算にその施策が盛り込まれました。総務省の言う関係人口とは、移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域と多様に関わる人々を指すとしています。人口減少・高齢化で地域づくりの担い手不足が生じている地域にとっては、その地域外の人材を呼び込んで、地域づくりの担い手となることを期待されているようです。当初予算案では、金石・大野・森本地区での地域おこし協力隊事業のほか、民間の視点や活力を生かし、関係人口の創出につながるモデル事業を計画されていますが、これはどのような人材の呼び込みを目指すのでしょうか。関係人口の創出をどれくらいの規模で、どんな人材を呼び込むことが金沢のどんな活力につながっていくのか、市長のビジョンをお尋ねし、私からの一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○高誠議長 村山市長。 〔村山 卓市長登壇〕
◎村山卓市長 6番黒口啓一郎議員にお答えいたします。 初めに、今般の地震により、避難所の設置については、開設の方法や冬期における運営方法など、様々な課題が浮き彫りになったことから、検証会議を設置することといたしました。この地震では、これまでに経験したことがない大きな被害が発生しており、災害に強いまちづくりを目指す本市において、地域との協働による安全・安心の確保を図っていく必要があると認識しております。 今回の地震では、時間の経過とともに変化する市民の要望について的確に対応ができない状況があったとも認識しております。防災アドバイザーについては、平時においては、地域防災計画や防災マニュアルの改定等に関する支援を、有事に際しては、指揮命令を担う危機管理監に対し様々な助言を行うことを想定しています。人選に当たっては、防災行政や被災地支援等に関して知見のある方を選定したいと考えています。 続いて、今回の地震で地盤の液状化や土砂の崩落などにより、広範囲かつ甚大な被害を受けた各地区においては、復旧に望ましい工法を決定した上で迅速に取り組むとしておりますけれども、地域の方々との丁寧な協議を経た上で進める必要がございますので、一定の期間要するものと想定しております。 住宅の耐震化についてであります。本市の住宅における耐震化については、補助制度を利用した耐震改修などにより、耐震化率は県内でも高い水準にあります。しかしながら、その一方で、旧耐震基準などの木造住宅が密集する地区が多いまちなか区域は、災害拡大のリスクが高いことから、耐震化の重点区域に位置づけ、計画的に戸別訪問を実施するなど、制度の周知に努めてきたところであります。また、住宅の老朽化や所有者の高齢化などの課題がまちなか区域においては顕著に見られるということから、今後は所有者の世代だけでなく、その子ども世代に実家の防災について考えていただくよう、SNS等を活用しながら、さらなる周知を図り、耐震化の促進につなげてまいります。 被災者への支援について、これまでの大規模災害におきましても、応急賃貸住宅に入居するなど、自治体を越えて避難する場合について、その行政サービスの提供が課題であるということがございました。今後、東日本大震災など、広域避難を余儀なくされたケースを参考にするとともに、県や避難元の自治体と協議を重ねて、避難者の方に対しては、例えば、精神的な問題、孤立であるとか、あるいは、健康的な栄養面の課題、そういったところに対しての様々な支援をはじめとして避難者に寄り添った支援を検討してまいりたいと考えています。 続いて、通信指令の広域化につきましては、消防局では、石川中央都市圏を構成する5消防本部の間で、これまでも救急車の相互乗り入れを実施するなど、効率的な消防行政サービスの向上を図ってまいりました。加えて、圏域の指令管制業務については既に、かほく市、津幡町、内灘町と共同運用しております。これに白山野々市広域消防本部が加わり、圏域内で一元化することにより、消防車両を迅速かつ有効に運用するなど、限られた機材、人材を最大限に活用することが可能となり、さらなる住民の安心・安全の向上につながるものと捉えております。 行政のDXにつきまして、これまでに60人のデジタル行政推進リーダーを育成してまいりました。今年度は実際の業務において改善事例が出てきております。例えば、環境局では、廃棄物処理施設への立入検査結果などをその場でタブレットに入力できるアプリを開発し、業務時間や紙文書の削減に貢献をしております。また、能登半島地震における対応についてでありますが、1月6日から救援物資の受入れを開始しましたが、これに当たりましては、3時間程度、たった3時間程度で受付状況管理アプリを作成いたしました。また、輪島市からの避難者の受入れ開始後には、避難者台帳管理や健康管理のアプリを作成し、現在も運用しているところであります。こうした取組につきましては、先般開催いたしましたDX会議におきまして発表したところ、学識者をはじめとした委員の方から、事務の内製化という自分たちでそのアプリをつくることができるということについて非常に高く評価され、効果が非常に早く発揮されているというように評価をいただいているところでございます。 行政経営プランにおきまして、行政データの活用と伝わる情報発信を基本方針の中に掲げて、データ利活用による施策を推進しております。施策の推進に当たっては、職員が収集データの種類や分析方法、活用方法などについての有用な知識を修得できていることが重要と考えております。明年度実施するデータ利活用に関する職員研修において、その内容を有意義なものにしていきたいと考えています。 人口の社会減の関係です。社会動態について、特に20代から30代の子育て世代の流出については、これは直接生産年齢人口の減少にもつながると考えております。これは市の活力の低下を招くことが懸念されております。そして、生産年齢人口の減少とともに、これは将来の自然減にも直接影響してくるということにも捉えておりまして、この20代から30代の子育て世代をいかに増加させるかということ、これまで以上に若い世代や子育て世代に対する支援策の充実を行って、魅力あふれるまちづくりに取り組む必要があると考えております。このため、具体的な施策として、新たな住宅取得支援制度の創設を行いましたが、それのみならず、地域、各種団体、企業等との連携・協力による子育て環境の充実や教育・福祉の連携による総合支援体制の強化をはじめ、誰もが文化芸術に親しむことができる環境の充実、学びの文化の形成と情操教育の推進など、これは子どもたちが成長した後も金沢で住み続けたいと思うような金沢独自の政策になります。そうした政策を積極果敢に推進していきたいと考えております。 関係人口について、関係人口創出民間提案モデル事業につきましては、民間の持つ視点やネットワークを生かして、県外の在住者と本市の地域や住民とが交流を深める機会などを企画し、実践することとしております。金沢のコミュニティーやまちづくりに継続的に関わっていく人材を呼び込みたいと考えております。様々な形で本市と関わり続ける、とりわけ若い世代の方々、1人でも多く生み出していくということ、これが新たな交流と価値を創造していくとともに、将来的な移住者としても期待できると考えております。そうした関係人口を地域の力につなげていきたいと考えております。 私からは以上です。
○高誠議長 上野危機管理監。
◎上野浩一危機管理監 能登半島地震を受けての防災・減災について、何点かお尋ねでした。まず、発災時の避難所開設における課題検証であります。本市において、地震の際に使用できる避難所には、小学校や公民館など、地域の拠点となる避難所66か所と中学校や高校、大学などの指定避難所146か所の計212か所がございます。今回の地震では、拠点避難所は全て開設しましたが、御指摘のとおり、開設されなかった指定避難所がございました。元日で指定避難所の施設管理者が不在であったことなどから、開設に至らなかったものと考えており、休日や夜間などにおける避難所の開設方法が課題の一つであります。今後、開設されなかった理由などを検証・整理した上で、地域の自主防災組織や施設管理者と連携しながら、連絡体制の強化を図り、迅速な避難所開設につなげてまいります。 次に、金沢駅周辺における帰宅困難者に関して、地震発生時、金沢駅周辺に多くの方が集まっていたことは報道等を通じまして確認しておりますが、その人数までは把握することはできておりません。 また、災害時の官民協力に関して、災害時における協力協定を締結している佐川急便については、本市から協力を要請し、能登被災地への支援物資の搬送に絶大な御協力をいただきました。しかしながら、その他の協力協定を締結している事業者やかなざわ災害時等協力事業所に登録していただいている企業に対しましては要請を行うことはございませんでした。これらのことは、今回の地震を受けて判明した課題であると認識しており、今後、要請に至らなかった理由などを検証・整理した上で、各協力事業者等と連携・協力し、迅速に要請を行うことができる体制の強化に努めてまいります。 次に、熊本地震などにおける被災地区の復旧時期について、お尋ねでした。国土交通省の資料などによれば、平成28年に発生した熊本地震においても、議員御指摘のとおり、本市と同様に液状化等の被害を受けた地区が複数ございます。これらの被災地区においては、その地区によって異なりますが、既に復旧が完了している地区もあれば、現在継続中の地区もございます。 次に、被災者支援に係る県との情報共有についてもお尋ねがございました。本市では、市営住宅に入居された方々については、既に県と情報の共有を行っており、みなし仮設住宅や県営住宅、国家公務員官舎など、県が把握している情報につきましても支援が行き渡るための重要な基盤となりますことから、今後、情報共有を図ることといたしております。 私からは以上でございます。
○高誠議長 坪田都市整備局長。
◎坪田英孝都市整備局長 住宅の耐震化についての問合せ件数並びに申込み状況についてのお尋ねがございました。地震発生からの2か月間で309件のお問合せがありました。そのうち、3月5日現在で25件の補強工事に先立ち実施いたします耐震診断の申請をいただいております。 次に、みなし仮設住宅に入居した方の状況についてのお尋ねでございます。本市窓口において、能登2市2町のみなし仮設住宅の申請件数は、3月5日現在で787件でございまして、人数は1,923人でございます。 次に、人口データなどから把握できた点についてのお尋ねがございました。市内から県内市町への転出者を見てみますと、世代別の内訳では、20代から30代の世代が過半を占めており、若者世代、子育て世帯に配慮した定住支援が重要であると認識しております。一方で、近隣市町への転出者に着目いたしますと、約7割が本市の居住誘導区域からの転出となっておりまして、これまで以上に居住誘導区域からの流出防止に取り組む必要があるというふうに考えております。 以上でございます。
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△休憩
○高誠議長 この際、暫時休憩いたします。 午前11時48分 休憩----------------------------------- 午後1時0分 再開
△再開
○上田雅大副議長 出席議員数は、ただいまのところ37名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。
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△質疑・一般質問(続き)
○上田雅大副議長 休憩前の議事を継続して、質疑並びに一般質問を続行いたします。 25番熊野盛夫議員。 〔25番熊野盛夫議員登壇〕(拍手)
◆熊野盛夫議員 令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、震源地の能登地域はもちろんのこと、本市や県内の各市町、さらに富山県、新潟県、福井県にも甚大な被害を及ぼしました。発災より2か月が経過してもまだなお1万1,000人を超える方々が避難生活を継続されており、被害の大きさと復旧・復興への道のりの険しさを示しています。地元紙のアンケート調査では、避難されている方々の85%が地元に帰りたいとの思いを示しておられました。本市にも多くの方々が避難、移住されていますが、まずその気持ちに寄り添って対応していくことが大切だと思われます。また、今回の地震は、能登半島沖の海底の断層帯が150キロメートルにわたって連動し、その後の余震の震源地も大きく動き、激しい揺れによる道路の損傷や寸断は著しく、復旧工事を大幅に遅らせています。さらに、津波による被害も確認され、火災の発生も相まって、各地で多くの貴い人命が失われました。県都金沢市としてこの地震をどのように受け止めておられるのか、さらにそこからどのように市政を展開していかれるのかは極めて重要です。本市の受け止め、この地震から得られた知見をどうやって生かしていくおつもりなのかお聞かせください。 次に、志賀原子力発電所についてお尋ねいたします。今回の地震は、発生当初より志賀原子力発電所を所管する北陸電力から発表される情報が錯綜しました。さらに、目に見えない放射線量を端的に示すデータも、部分的に欠落していました。県議会では、避難路が想定外の被害を受けたことなどに対し、多くの議論がなされています。地元町長も、施設内における破損や避難経路をはじめとする想定外の被害に触れ、再稼働に対し慎重な意見を述べられています。北陸電力の大株主である本市として、この地震における志賀原子力発電所の対応についてどのように受け止めておられるのか、お聞かせください。 このような議論の中、北陸電力は既に、今回の地震から得られた知見を安全対策に生かし、志賀原子力発電所の再稼働を目指す方向性を示しています。本市としても、市民の安全・安心を守るために、北陸電力の考え方や方針を直接聞き、意見することも大切ではないかと思われます。次回の北陸電力の株主総会に出席することも踏まえ、本市の方針をお聞かせください。 次に、情報の伝達についてお尋ねいたします。携帯電話の普及によって遠隔の地であっても様々なデータが瞬時に送受信できるようになりました。しかし、今回の地震で、各地域の道路の寸断に加え、約850の携帯電話用基地局が停止し、情報伝達のための電波が寸断されたことにより、多くの人々が現実的な隔離状態に加え、情報からの隔離状態に陥りました。県が被害の全貌を把握するために膨大な時間を要したのは、このためではないかと思われます。被災地では、この対策のため、アメリカの宇宙企業が手がける衛星インターネットが活用されました。本市も広い中山間地を抱えそのような対策についても考える必要がないとは言えません。本市として、衛星インターネットの活用についてどのように考えておられるのかお聞きいたします。 次に、避難所に関する質問をいたします。まず、避難所の在り方についてです。避難所の収容人員について、避難所指定されている各学校では、教員数プラス児童・生徒数となっています。したがって、地域人口が多いところは、地域の方が全員、指定避難所に入り切ることはできません。入り切れなかった人は、それぞれの避難所に自主的に避難することになります。今回の地震で言えば、例えば集会場や自宅の納屋、ビニールハウスなどが指定避難所に含まれていない自主避難所です。県の調べによれば、100か所以上の自主避難所が開設されているとのことです。今回の地震でボランティアに参加された方から御意見をいただきました。それは、指定避難所以外に避難されている方が、避難所で提供されている炊き出しや支援物資をいただこうとした際に、指定避難所に避難されている方から苦言を呈され、気分を害し、それ以降指定避難所に足が向かなくなったとのお話です。自宅や家財道具、中には家族も失い尋常ならざる心持ちの方もおられるかと思われますが、指定避難所にいても、それ以外の避難所にいても、同じ市民です。今後、本市でも大規模な災害が発生した場合、避難所の指定の有無にかかわらず、被災された市民にはできるだけ同様の対応を求めますが、本市のお考えをお聞きいたします。できれば、災害が発生する前に本市の対応を明確化すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、避難所の鍵の管理についてです。今回の地震で多くの避難所で市民が管理者より先に到着し、待ち切れず、窓等を割って中に入ったという話を何例かお聞きしました。また、発災がお正月であったことから、多くの人が非日常の動きをし、自宅にいない人、ふだんは少ないが帰省のため人数で過ごしていた家庭等、各家でも通常の人口バランスと大きく異なっていたと思われます。そのため、避難所にたどり着けなかった鍵の管理者もいたとお聞きします。この教訓を生かし、いち早く鍵の管理について対応しなければなりません。海に近い某町会の新年度の総会でも、避難所の鍵の管理を含めた初動体制について、まだ決まっていないのか、地震や津波が明日来るかもしれんのやぞとの厳しいお言葉も頂戴しました。本市指定避難所の鍵の管理について、どのような方針で、どのように対応していくおつもりなのかお聞きいたします。 次に、避難所の運営についてです。様々な避難所アドバイザーが指摘するのは、運営者の男女比率です。これは性的マイノリティーの方々にとっても重要なことです。内閣府男女共同参画局総務課の防災担当者は、「性的少数者の視点の取組は、自治体ごとに行っていると承知している。現在の指針は、女性の視点を強化して更新したが、性的マイノリティーの視点が大事であることに変わりはない」と話しています。また、平時の立場の弱さは、災害時には増幅されると言われています。本市として、避難所の運営者の男女比率、性的マイノリティーへの対応についてどのように考えているのか、その考えを現実の避難所運営にどのように生かしていくおつもりなのかお聞かせください。 さらに、避難所のトイレについてもお聞きいたします。今回の地震は、道路に加え、上水道管、下水道管の破損が著しく、断水も広範囲にわたり、生活そのものに大きな支障を来しました。特に、トイレの水が流せないという問題は避難所で暮らす人にとって大きなストレスになったとお聞きしています。そんな中、大と小を分けるだけで臭いが激減するといった情報や、実際に大と小を分ける簡易トイレを作成して、各避難所に届ける活動をされる方もおられました。また、全国の自治体から災害用のトイレトレーラーも提供され、これまでの簡易トイレ以外の様々なトイレが能登に集結しました。本市は、災害時を想定して、マンホールトイレの普及に力を入れてこられたと思われますが、そのほかの避難所のトイレについて、どのような対策を考えておられるのかお聞きいたします。 被災地の衛生管理は極めて重要です。事前の十分な対策がいざというときに物を言います。また、トイレトレーラーはイベント時も使用可能で、他都市の災害時にも派遣し使用が可能です。本市として、将来的にトイレトレーラーを配備するおつもりはないのかについてもお尋ねいたします。 次に、大津波警報発令時の交通渋滞と対策についてお尋ねいたします。今回の地震発災後、間もなくのタイミングで石川能登で大津波警報が発令されました。本市を含む石川加賀は津波警報でしたが、市内の海沿いから山沿いに向かう道は、おおむね大渋滞となりました。幸い本市に届いた津波は80センチメートルと、大事には至りませんでした。しかし、この渋滞の状況で大きな津波が来たら、東日本大震災のときのように車ごと流され、被災してしまう可能性も否定できません。本市として、今回の状況をどのように認識し、どのような対策をお考えなのかお尋ねいたします。 次に、障害者、高齢者の避難誘導と避難所の対応についてお聞きいたします。自治体の調査によると、東日本大震災と熊本地震の災害関連死の2割超が障害者でした。人口に占める障害者の割合は9%であることから、2割超がいかに高い数値であるか分かります。これらのデータの基になった自治体では、障害者らへの支援の課題として、6割が戸別訪問のための人手不足、次いで3割が、支援が必要な人の安否確認の方法がなかったことを挙げています。今回の能登半島地震では、死者の半数が70代から80代の高齢者でした。能登地方は高齢者が多い地域であることは事実ですが、これらの観点から、障害者、高齢者をいかに確実に避難所に誘導するかが、人的被害を少なくするために極めて重要なポイントではないかと思われます。本市のお考えをお聞かせください。 また、誘導した後の避難所での対応も大切です。障害の特性や高齢者の持病など、事前に共有すべき事柄もあるかと思われます。また、専門的ケアが必要な方もおられるかと思います。対応に当たり、本市として、どのような点に留意すべきと考えるかお聞かせください。 障害者らへの支援の課題に挙げられた戸別訪問に対する人手不足や、支援が必要な人の安否確認の方法がなかった点を解決すべく、南海トラフ地震が想定される静岡県富士市では、昨年11月、助けを求める人と救助者をつなぐスマートフォンのアプリを導入しました。きっかけは、2018年の西日本豪雨災害で、岡山県真備町で犠牲になった51人のうち8割超が要支援者だったことです。スマホでSOSを選ぶと、アプリを通じて支援者に位置情報が伝わり、近くにいる人が駆けつける仕組みです。事前に決められた支援者が常にそばにいるとは限らないことを前提にしています。名古屋市でも、同様のアプリをこの3月より運用開始されるとお聞きしています。本市としても、このようなアプリの活用を検討してみてはいかがでしょうか、お考えをお聞きいたします。 次に、避難物資の備蓄についてお聞きいたします。本市の大桑防災拠点広場などの備蓄物資が、1.5次避難所として開設された県のスポーツセンターに運ばれたとの新聞報道がありました。備蓄物資は、被害想定に従って品目や量が定まると言われますが、この能登半島地震を経て、本市として、避難物資の備蓄をどのようにしていくおつもりなのか。あるいは、既に備蓄が完了されているのであれば、どのような点に留意されたのかお聞かせください。 次に、道路の被害状況と今後の対策についてお尋ねいたします。市内全域にわたり、道路の亀裂や陥没など地震の被害が数多く見られます。一度応急処置を施された場所でも、さらに被害が進行している箇所も散見されます。これまでの被害状況や対応状況、今後の対策についてお聞かせください。 次に、上下水道の耐震化についての質問です。今回の能登半島地震でダメージが大きい最大の理由の一つは、道路被害と並んで、上水道管の破損による断水と、下水道管の破損により下水処理の難航が継続的に続いていることではないかと思われます。日に日に水道が開通しているとはいえ、3月に入っても1万9,000戸で断水が続いています。生活はもちろんのこと、工場、農業や漁業のなりわいにも水の安定供給は極めて重要です。電気は通っても、水が来ないとなかなか家で暮らせない、水が来ないと仕事にならないというお話を何度も耳にしました。本市の当初予算で、水道震災対策事業費39億941万円、主要管路や配水池、経年化した配水管の耐震化を推進、さらに、下水道震災対策事業費6億7,660万円、拠点避難所や災害拠点病院に接続する路線のほか、防災拠点に接続する路線のマンホール浮上対策等を推進すると示されています。現在の耐震化の進捗状況と併せその詳細をお伺いいたします。 次に、井戸水等を活用した水の確保についてお尋ねいたします。今回の地震で、改めて水の確保の重要性が認識されていますが、水道管の破損による長期の断水に対する備えとして、井戸水の活用に熱視線が向けられています。ある程度の地区の範囲の井戸水、地下水マップも災害時には有効ではないかと思われますが、本市のお考えをお聞かせください。 次に、罹災証明書についてお尋ねいたします。罹災証明書の発行は、その後の義援金や被災者生活再建支援金など、行政支援を申請する際の基本の書類になります。しかし、能登地方をはじめ本市でも、その対応が遅いという声を非常に多くお聞きしました。現在の本市の対応状況をお聞きいたします。 専門家の中には、今回の地震で家屋倒壊以外にも、道路寸断や断水など家屋被害が軽微でも、事実上生活ができない世帯が相当数あることから、建物の破損状況を唯一の指標とする罹災証明について疑問を呈し、抜本的見直しを求める声も上がっています。村山市長からも、全国市長会や中核市市長会にて、これらの罹災証明についての課題を提言し、抜本的見直しを求める声を上げてみてはいかがでしょうか。多くの被災者から賛同されることが予想されますが、お考えをお聞きいたします。 次の質問は、耐震化率向上に向けての取組についての質問です。2月14日に国土交通省と国土技術政策総合研究所及び建築研究所が、能登半島地震の建物被害の原因の分析と今後の対策の方向性を検討する委員会の開催に当たり公開された調査報告によると、建築年代が古い木造建築物が倒壊または大破していた、輪島市河井町、鳳至町、門前町門前、同道下、珠洲市正院町正院、同宝立町鵜飼、穴水町中心市街(大町)の被害が多く、かつ甚大、津波被害地域の木造建築物が地震で大きく損傷し、津波の波力によってさらに被害が拡大したと考えられるとのことでした。今回の能登半島地震で死因が公表された犠牲者の8割以上が、上記の報告にあるように、家屋の倒壊が原因でした。長きにわたり激しく揺れましたが、それでも倒壊を免れて建っている家屋もありました。それらは、震度6強から7程度でも倒壊しないとされる耐震基準を満たした建物です。原則、空き家を除く住宅総数のうち、1981年以降の新耐震基準で建てられた住宅と、それ以前の旧耐震基準で建てられた住宅でも、耐震診断で耐震性が認められたり、耐震改修工事を行った住宅のことを指しています。そして、高齢化が進んだ能登地域の家屋では、この耐震化の基準を満たしていないものが多く倒壊したと指摘されています。翻って、本市の住宅耐震化率は、2021年のデータで89%という数字が示されています。石川県内でもかなり高い比率でありますが、もし本市が震源となった場合を想定すると、耐震化率のさらなる向上が求められます。本市のお考えと御対応についてお聞きいたします。 次に、液状化の被害対応と今後の対策についてお伺いいたします。震源地から遠く離れた内灘や、本市粟崎町で激しい液状化現象が発生し、家屋や電柱、道路などに甚大な被害を及ぼしました。これらの被害に対する対応と今後の対策についてお伺いいたします。 次に、文化財被害についてお尋ねいたします。今回の能登半島地震において、本市においても、多数の文化財の被害があったと認識していますが、どのくらいの文化財に影響があったのか、また、それらの被害に対し、どのように支援していくおつもりなのかお聞きいたします。 先日、地元紙の社説でも、被害の深刻さについて取り上げられておられました。寺社の灯籠や鳥居の被災には、行政からの資金調達が困難であるとは思われますが、クラウドファンディングなどの手法を紹介するなどの支援はできないものでしょうか、お聞きいたします。 次に、前田家墓所の修復についてお尋ねいたします。野田山墓地の国史跡加賀藩主前田家墓所においても、墓84基のうち、藩祖利家公や正室であるお松の方、さらに2代藩主利長公の墓を含む9割程度が被害を受けたと地元紙で報道されました。幸いなことに、昨年の修復箇所については、被害はなかったとお聞きします。現実的にどのような影響があったのかお聞きいたします。また、復旧に向けて今後どのように進めていかれるのかお伺いいたします。 次に、金沢21世紀美術館についてお尋ねいたします。連日、多くの来場者でにぎわっていた金沢21世紀美術館ですが、今回の発災が正月の閉館日であったことは、不幸中の幸いでした。天井のガラス板が何枚も落下したとの報告をいただいたときは、背筋が寒くなりました。現在、無料ゾーンと市民ギャラリーのみ開館していますが、既に6月22日に全館オープンの方針も示されました。全館オープンは非常に喜ばしい報告ですが、これまでどおりのガラスで修繕するのか、アクリル等の他の素材で震災対策を施すのか、気になるところです。本市の御対応についてお聞かせください。 発災後、関連死対策のために、石川県は被災された方々に、2次避難を呼びかけました。本市も受皿として、当初市営住宅を50戸準備されました。さらに国の支援によって、みなし仮設として市内の借家やアパートも、石川県宅地建物取引業協会を通して提供されました。そのかいあってか、関連死は熊本地震のときよりかなり抑えられたのではないかと見ています。そうはいっても、故郷を離れ何度も住まいを変更することは、ストレスでしかありません。受入れ自治体によるきめ細かなケアと対応が必要です。当初、市営住宅で風呂と給湯器がない状態で受入れを始めたときは、多くの手が挙がらなかったとお聞きします。しかし、1月緊急議会を経て、風呂や給湯器の予算化が承認された後は、徐々に市営住宅への入居が増えたとお聞きしています。現在の市営住宅の被災者の入居状況についてお聞きいたします。 また、3月議会の初日に提案、可決された金沢美味クーポンの給付は、金沢らしく、喜ばれるものだと思われますが、避難されている方で、能登の実家の水道が開通し、道路状況もよくなってくると、実家の片づけや様々な手続、親戚や御近所さんとのやり取りなどで、金沢と能登を往復することも増えてくることが考えられます。年金暮らしや、仕事が止まってしまっている方々は、ガソリン代や物価高騰のあおりをもろに受け、さらにそのような状況で今後の人生設計の決断が強いられています。本市として、雇用対策や被災者のサポート体制をどのように考え実行していくおつもりなのかお尋ねいたします。 次に、災害対応に当たった本市職員のケアについてです。2月の末に能登半島地震の対応のため、1月の残業時間100時間超えの病院職員と教員を除いた県の職員は、全体の4分の1に当たる730人とのことでした。本市も被災地でありながら、県都としての他の被災自治体の様々なフォローをしています。恐らく残業時間も通常のレベルを超え、精神的な疲労も蓄積している職員もおられるのではないかと推察されます。本市のそれら震災対応に当たっておられる職員へのケア体制についてお尋ねいたします。 次に、能登地域との連携についてお尋ねいたします。現在本市は、地元の経済団体が中心となり、金石で開催予定の出張輪島朝市や、近江町市場で既に開催された能登島地域づくり協議会が主催した能登島応援まあそい市などをお支えしていますが、さらなる能登地域との連携や支援など、プッシュ型で展開していく考えはないか、お尋ねいたします。 次の質問は、ドローンの活用と拠点整備についてです。 今回の地震で道路が寸断された状況の中、多くのドローンが活躍しました。能登町当目地区の山間部に飼育肉牛に水を飲ませるために、町から依頼を受けた埼玉県のNPO法人が、水2リットル入りペットボトル12本を積んだドローンが、離着陸スポットから600メートル先の牧場まで40往復させ、半日で960リットルの水を運びました。また、土砂崩れで道路寸断が続いた輪島市沿岸部の鵠巣地区など市内2か所で、DMATの要請を受けた日本UAS産業振興協議会とドローン開発を手がける東京の企業が協力し、重さ3キロの荷物を積んで、7キロ圏内の飛行が可能なドローンを計11回飛ばし、小学校などに避難する約50人分の高齢者の医薬品とおむつなどの衛生用品を届けました。日本UAS産業振興協議会は、小型ドローン開発に力を入れる千葉市の会社とともに、輪島市内で大型商業施設や倒壊家屋など数件の内部調査を実施しました。県は、あらゆる支援の申出を電子申請窓口に一本化したことから、これらの支援も被災後数日たってから行われたということです。そのほかにも、通常の被災現場の撮影等、ドローンが活躍したことは報道等で明らかになっています。さて、本市では旧東浅川小学校を森と市民をつなぐ中継地点として整備する方針を明らかにしていますが、今回の地震を経て、それらの方針を堅持しながらも、ドローンの拠点としての機能を持たすことについて、どのようにお考えなのかお聞きいたします。 本市では、2008年の浅野川水害発生時、道路寸断や孤立集落の発生など極めて緊急な事態を経験しています。これらの災害への備えとしても、ドローン拠点の整備は、気候変動も進行するこの時代、非常に重要な施策だと思われます。これからの技術として、あらゆる方面に可能性を秘めたドローンの拠点整備についてのお考えをお聞きして、次の質問に移ります。 最後の質問はライドシェアについてです。 国が進めようとしているライドシェアについては、それ以前にタクシー業界の規制緩和を求める声、すなわち第二種運転免許取得期間の短期化と多言語化、さらに、地理試験の撤廃を求める声があります。それらの緩和によって、課題であるタクシー運転手不足の解消につなげようというものです。また一方、ライドシェアとタクシーはそもそもビジネスモデルが違い、タクシー業界を基本に考え、その範疇から漏れる無許可の白タクのイメージではなく、運転者も利用者も事前に登録され、運行も料金も全てデータ化される、すなわち、ライドシェアはスマホ、位置情報、データ解析などを駆使したデジタル情報ビジネスで、今後の発展可能性も大きいとの意見もあります。石川県では、新幹線全線開通のタイミングで、加賀市とさらに小松市も、それぞれの自治体で独自に練った形態でタクシー業界とも連携しながら、ライドシェアを開始します。目的として、二次交通の充実と、タクシー運転手不足の課題解決を掲げています。本市も、バス運転手の不足から、路線バスの縮小や本数の減少などの課題を抱えています。このライドシェアが本市の公共交通の課題解決につながる可能性なども含め、どのような見解をお持ちなのかお伺いして、私の質問を終わります。 御清聴いただきありがとうございました。(拍手)
○上田雅大副議長 村山市長。 〔村山 卓市長登壇〕
◎村山卓市長 25番熊野盛夫議員にお答えいたします。 今回の能登半島地震では、多くの方々が亡くなられております。本市において、同規模の地震が発生した際にも、多数の人的被害の発生が想定されます。このため、いつ起こるとも分からない自然災害に対応すべく、地域防災計画のみならず、関連マニュアルなどについても、より実効性の高い内容となるよう見直しを進めていく必要があると考えております。 志賀原発につきましては、報道によれば、北陸電力からの情報が一部錯綜していたとされておりますが、国、石川県、志賀町等へ、逐次状況を報告するとともに、ホームページ等においても情報を発信し、その都度、必要な措置を講じているとの報告を受けております。引き続き、施設の安全対策を徹底するほか、関係自治体との連携を図るとともに、改めて、迅速かつ正確な情報を発信するよう要請したところであります。 原子力発電所の再稼働については、住民の理解が得られることが大前提であるというこれまでの考え方に変わりはありません。さらには、今回の地震による新たな知見も含めて、原子力規制委員会で引き続き厳正な審査がなされ、徹底した安全確保の下、国で厳格に再稼働の是非が判断されるものと認識しております。また、株主総会では、提出議案に対する賛同の可否について、毎回、慎重に検討を重ねた上で、議決権を行使しているところであります。 避難所についてであります。現在、避難所の解錠は、避難所の鍵が入っているキーボックスのカードキーを職員である地区支部要員と自主防災組織がそれぞれ所有し、有事の際に解錠するということにしておりますが、今回の地震時には、解錠に時間を要した箇所がございました。今後、今回の地震による課題を検証し、避難所の鍵の管理や、解錠方法についても検討してまいります。 トイレトレーラーについて御質問いただきました。災害時において衛生管理の視点から大変有効であると認識しておりまして、今回も各地域からトイレトレーラーの支援をいただきました。その活用配置につきましては、他都市の事例を参考にしながら研究してまいりたいと考えています。 要介護者や障害者など、避難行動要支援者名簿に記載された方につきましては、明年度から、避難予定の場所や避難する際に必要な支援等を記載した個別避難計画の作成に着手し、要配慮者が確実に避難できるように体制を整備する予定であります。個別避難計画の作成に当たっては、要配慮者が特性に応じた適切なケアを受けられるよう心身状況等を記載するとともに、避難予定の場所の選定等においても留意したいと考えております。 高齢者や障害のある方が災害時に支援を必要としている状況や位置情報を支援者に通知する機能につきましては、人と人とを結び、共助による迅速な救助支援を可能とすることから有効であると捉えております。一方では、個人情報の取扱いなどの懸念もございますので、今後の研究課題とさせていただきます。 続いて、罹災証明書についてであります。なるべく早い発行が求められる中、自然災害による個人の経済的被害の算定に当たって、道路寸断や断水の状況等まで考慮することは非常に難しいと考えております。今もなお申請が続いております罹災証明書について、できる限り早期に発行できるよう努めてまいります。 耐震化率につきましては、今回の能登半島地震では、旧耐震住宅の倒壊被害について報じられておりますが、本市におきましては、補助制度を利用した耐震改修などにより、耐震化率は県内でも高い水準にございます。その一方で、残る旧耐震住宅については、住宅の老朽化や所有者の高齢化などの課題が、特にまちなか区域において顕著に見られますことから、今後は、所有者世代だけでなく、その子ども世代に実家の防災について考えていただくよう、SNS等を活用しながら、さらなる周知を図り耐震化の促進につなげてまいります。 液状化の被害への対応につきまして、危機管理課に被災地区復旧推進室を設置し、被災メカニズムの究明に必要となる調査・分析を行うとともに、有識者から成る技術検討会議の意見を反映した復旧工法等を検討することとしております。 続きまして、被災者への就労支援につきまして、既に石川県が短期就労に関する相談会を開催しております。本市としても、明年度、市内企業との就労マッチング交流会を早期に開催したいと考えています。あわせて、出張労働相談を同時に行い、可能な限り被災者の状況に即した対応に努めてまいります。また、本市への避難者が、慣れない地域において孤立することなく安心して生活するためにも、地域との交流を持つことは大切だと考えております。被災者生活支援総合窓口に相談等に来られる方に対して、町会連合会など地域コミュニティーの窓口や、地域福祉に関するお問合せ先を掲載したチラシの配布等を行っております。引き続き、被災者に寄り添った支援に努めてまいりたいと考えております。 能登地域への支援としては、能登とタイアップした観光復興キャンペーンをはじめ、市内の経済団体等と能登の団体との連携事業に対する支援制度や、能登地域の中小企業等の本市での一時的な開業への支援制度など、経済的な支援策を今議会にお諮りさせていただきました。また、能登特有の伝統工芸や民俗文化財など、文化の継承についても、本市としてなし得る限りの協力・連携を実施したいと考えてございます。こういったことは、議員のおっしゃるいわゆるプッシュ型に当たると思いますけれども、被災自治体が当面、被災対応で忙しいという中で、被災自治体の求めていらっしゃるであろうということを県都であるからこそできる支援として、知恵を絞って事業化したものでございます。今後とも、能登の復旧・復興に向けて全力で取り組んでまいります。 最後に、ライドシェアについて御質問いただきました。郊外部や深夜帯などで、鉄道やバス、タクシーなどの既存の公共交通サービスが十分に行き届かない地域・場面における移動手段の確保策の一つになると考えております。本市としては、第3次金沢交通戦略において掲げる歩行者・自転車・公共交通優先のまちづくりを実現するため、鉄道、バス、タクシーのほか、地域運営交通を含めた交通ネットワーク全体でのライドシェアの在り方を整理する必要があると考えております。 私からは以上です。
○上田雅大副議長 上野危機管理監。
◎上野浩一危機管理監 能登半島地震について何点かお尋ねでした。まず、大規模な災害が発生した際には、通信網が深刻な被害を受けることも想定されますことから、お尋ねの衛星インターネットの活用につきましては、災害情報等の伝達手段の一つとして研究課題といたします。 次に、避難所の在り方について、大規模な災害が発生した場合、避難所は指定の有無にかかわらず、全て避難者に対し同様の支援を行うことが基本であると認識しております。今回の地震におきましても、堀切町での避難指示発令の際、指定避難所ではない施設を避難所として使用し、避難者に対して食料、飲料水等の支援を実施したところでありますが、これらのことも、今後、避難所の在り方についての検証に加えてまいります。 次に、避難所の運営について、避難所運営においては女性の視点が重要であることから、女性防災士の育成強化に取り組んでおります。また、性的マイノリティーへの対応については、今後、避難所運営マニュアルの見直しの中で、地域の方々と協議しながら検討してまいります。 次に、避難所のトイレについて、本市では平成30年度から5か年をかけて、指定避難所に簡易トイレ処理袋セットを配備してきたところです。今年度からさらに、新たな5か年計画により追加配備を開始しております。 次に、津波について、今回の地震では、津波警報が発令され、多くの方が津波被害から身を守るため、道路渋滞が発生するなど混乱が見られました。今後、初期対応を検証するとともに、新たな津波ハザードマップの市民への配布を通じ、避難方法等について周知を図ってまいります。 次に、物資の備蓄について、本市では、アルファ米や飲料水等の防災備蓄品を拠点避難所や防災備蓄倉庫に備えておりますが、今回の震災を教訓に、地域防災計画の改定に併せ、防災備蓄計画を見直し、必要な物資について備蓄・配備を進めてまいります。 次に、井戸水等を活用した水の確保についてもお尋ねがございました。御指摘のとおり、災害時には井戸水の活用は有効であると考えておりまして、本市では民間企業や、個人が所有します井戸を災害時協力井戸として登録しており、金沢市まちづくり支援情報システムに公表しております。 私からは以上です。
○上田雅大副議長 坂本土木局長。
◎坂本敦志土木局長 道路被害と今後の対策についてでありますが、市道では、発災時から2,000件を超える被害を確認しております。そのうち約8割が、陥没や舗装のひび割れでございまして、そのほか崩土やブロック塀の倒壊、マンホール隆起、倒木などの被害もありました。発災日から随時応急対応を行ってきておりまして、現在でもなお1日20件ぐらいの通報を受けております。随時対応しているところであります。今後の復旧については、下水道などの地下埋設物に被害のある区間については、施設の管理者と施工調整を行いながら進めていくこととしております。また、地下埋設物に被害のない区間については、一定の期間、監視を行い、国による災害査定も受けながら、速やかに復旧工事を進めていく予定でございます。 以上でございます。
○上田雅大副議長 松田公営企業管理者。
◎松田滋人公営企業管理者 上下水道の耐震化の状況についてお尋ねがございました。水道施設については、令和4年度末で、管路の耐震化率は87.9%、配水池の耐震化率は70.2%となっております。当初予算では、震災対策事業費として、基幹管路の4キロメートルを含む約14キロメートルの管路の耐震化工事や、犀川配水池の耐震化に向けた実施設計の費用などをお諮りしております。一方、下水道施設につきましては、令和4年度末で、緊急輸送道路や拠点避難所に接続する管路の耐震化率は72.1%、処理場の耐震化率は69%となっております。当初予算では、震災対策事業費として、液状化によるマンホール浮上対策工事や、城北水質管理センター第1水処理施設における耐震補強工事の費用などをお諮りしております。 私のほうからは以上でございます。
○上田雅大副議長 川畑総務局長。
◎川畑宏樹総務局長 罹災証明書につきまして、1月は4,000件を超える申請がありましたが、島根県からの応援も受けて調査体制を強化するとともに、証明書の発行端末も増台し早期発行に努めてきました。今もなお新規の申請は続いておりますが、3月8日時点で6,478件の申請に対し、約88%の5,716件を発行しており、残る未発行分についても、できる限り早期に対応してまいります。 市職員のケアについてですが、長時間労働によって心身に変調を来すリスクがあることから、これまでも1か月の時間外労働が80時間を超える職員に対し、産業医による面接相談を実施しているほか、今回の地震を受け心身に不安を感じる職員向けに心のケアを呼びかけ、疲労度のチェックや保健室内にある職員相談室の利用を促しているところです。災害対策は長期間に及ぶことが想定されますので、引き続き職員がメンタルヘルスの不調に至らないよう心のケアに努めてまいります。 ドローンにつきましては、今回の能登半島地震の対応で、本市内での崖地の崩落状況等の確認に使用しているほか、能登の被災地においても、本市の派遣消防職員が土砂ダムの状況確認に使用するなど、ドローンの有用性は十分理解しているところでございます。一方、あらゆる災害現場に持ち運べることがドローンの利点であると考えておりますので、拠点を必要とするような活用は想定しておりませんが、ドローンの新たな活用方法につきましては、他都市の事例や技術の進展状況も踏まえながら、引き続き研究してまいります。 以上です。
○上田雅大副議長 東文化スポーツ局長。
◎東利裕文化スポーツ局長 能登半島地震により文化財にどのような影響があったのか、また、どのように支援していくのかとのお尋ねにつきましては、文化財建造物の屋根瓦の落下や壁の崩落、伝統的建造物群保存地区における土塀の倒壊など、多くの被害が確認されております。文化財の修復につきましては、国・県・市の各補助制度の活用を念頭に、所有者と文化財にふさわしい保存・修復方法を協議しながら支援に努めてまいります。 続いて、文化財所有者の修復費用調達について、クラウドファンディングの手法を紹介できないかとのお尋ねでございました。文化財所有者からの要望に応じ、クラウドファンディングの専門家をアドバイザーとして派遣し、資金調達の具体的手法について助言する事業の予算を今般お諮りしているところであり、お認めいただければ、積極的な事業の周知と活用に努めてまいります。 次に、前田家墓所の修復について、地震についてのどんな影響があったかとのお問いですが、前田家墓所については、前田利家の墓や正室である松の墓をはじめ、計63基の墳墓で被害が確認されておりまして、灯籠や墓を囲む玉垣の損壊が顕著でございます。 続いて、復旧に向けての今後の進め方につきましては、まずは倒壊した石造物について、被害状況の正確な把握と記録が必要と考えております。その上で、修理不要の石造物を積み直すなど、着手できるものから順次復旧していきたいと存じます。 次に、21世紀美術館の天井の復旧について、これまでどおりのガラスで行うのか、ほかの素材で対策を施すかのかというお問いでございますが、天井を復旧する際には、建築基準法に適合した上で、展示空間にふさわしい素材を検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○上田雅大副議長 坪田都市整備局長。
◎坪田英孝都市整備局長 被災者の市営住宅の入居状況ですが、3月5日時点におきまして、37世帯が入居済みとなっております。 以上でございます。
○上田雅大副議長 山森農林水産局長。
◎山森健直農林水産局長 旧東浅川小学校でドローンの拠点としての機能を持たすという考えはないかとのお尋ねでございますが、施設の活動において活用することは想定されますが、ドローンの拠点施設とすることまでは考えてございません。 以上です。
○上田雅大副議長 11番山下明希議員。 〔11番山下明希議員質問者席へ移動〕(拍手)
◆山下明希議員 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として以下質問いたします。 本市の2024年度一般会計当初予算案では、市税による歳入が845億円となりました。市民の皆さんからお預かりした税金が地方自治の本旨に基づき、住民の福祉向上に広く生かされることをまず冒頭に求めて質問に入ります。 初めに、災害対策基本法に基づく本市の取組についてお尋ねします。 人命や日常生活に甚大な被害をもたらす自然災害に対して、貴い命が失われないよう防ぐ役割がこの間、政治に大きく求められてきました。私たちは、これまでの災害の教訓や課題を共有してこれたのか、能登半島地震を教訓にしていけるのかが問われます。まず、福祉避難所についてお伺いをします。福祉避難所は、災害対策基本法施行令の中で、災害対策基本法による避難所の指定基準の一つとして規定されています。災害時に、高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児その他の特に配慮を必要とする方の二次被害を避け、命を守るためにも、福祉避難所は重要な役割を担います。そこで、本市には市保有の福祉避難所が幾つあり、どれだけの民間施設と協定を結び、どの程度の避難所開設訓練を行ってきたのか、現状をお聞かせください。
○上田雅大副議長 山口福祉健康局長。
◎山口和俊福祉健康局長 本市の福祉避難所につきましては、市有施設で6施設、協定を締結している施設は81施設でございます。開設の訓練につきましては、平成29年度から開始しておりまして、これまでに市有施設では延べ7施設、協定締結施設では延べ92施設で実施をしております。 以上です。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 私も今回の地震で初めて一般避難所である学校の体育館に行きました。分かるだけで、要配慮者が数名いらっしゃいました。そのうちの1人は、福祉避難所への移動を希望されましたが、受入れ先が決まらず、御家族で自宅へ戻られるということがありました。そこでお尋ねしますが、今回の地震災害で、市内では福祉避難所は開設されたのか、お聞かせください。
○上田雅大副議長 山口健康福祉局長。
◎山口和俊福祉健康局長 今回の地震の発災後、輪島市から避難してきた要介護高齢者等を受け入れるために、福祉避難所を3施設開設いたしまして、受入れの準備を行っておりましたが、要配慮者の状況等を踏まえまして、通常の施設入所という形に至りましたことから、結果的には、福祉避難所としての利用はございませんでした。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 ある福祉関係者の方から、要介護の利用者を福祉避難所に連れていきたかったけれども、市内のどこが福祉避難所なのか分からずに、自宅避難せざるを得なかったという状況をお聞きしました。本市は福祉避難所を公表しているのでしょうか。公表していないのであれば、その理由を明らかにしてください。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 市有施設の6か所については、災害対策基本法に基づき指定福祉避難所として、告示をしております。その他の施設は、あらかじめ公表すると、受入れ準備が整う前に避難者が集中するなど、運営に支障を来すことが懸念されるため、現在は公表しておりませんが、明年度予定している個別避難計画の策定に合わせて、福祉避難所の公表の在り方についても検討してまいります。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 ぜひ公表の在り方を検討していただきたいと思います。今は要配慮者は一旦1次避難所に避難をして、そこから医師や保健師などが判断して、必要な方が福祉避難所に移動するという取決めになっています。知的障害があるお子さんを持つ保護者の方は、一般避難所では心配なので、福祉避難所に直接避難したいというふうに話されていました。また、災害によっては、リスクのある中、再び移動を強いられるということは、要配慮者にとって大きな負担にもなります。要配慮者が直接福祉避難所へ避難できるような仕組みが必要だと考えますが、見解を伺います。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 一部繰り返しになりますけれども、明年度から避難行動要支援者名簿に記載された方を対象に、避難予定の場所や避難する際に必要な支援などを記載した個別避難計画の作成に着手いたします。要配慮者が確実に避難できるように体制を整備する予定であります。計画の策定に当たっては、避難予定の場所の選定等においても留意したいと考えております。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 要配慮者が安全に避難できるような、そうした運営を、ぜひ仕組みを考えていただきたいと思います。 次に、個別避難計画の作成についてお尋ねします。東日本大震災では、亡くなられた方の6割が60歳以上の高齢者であり、また、障害者の死亡の割合は、被災住民全体と比較して2倍以上だったと言われています。こうした状況を受けて、2013年、災害対策基本法を改正し、避難に手助けが必要な要支援者の名簿作成を市区町村の義務としました。さらに、2021年の改正では、要支援者の個別避難計画作成も市区町村の努力義務というふうになっています。能登半島地震では、亡くなられた方の7割が60歳以上、個別避難計画の作成については、能登の6市町で要支援者全体の1割の作成率だったということです。個別避難計画の作成は喫緊の課題ではありますが、作成自体が困難だったということも聞いています。本市においても、個別避難計画を作成するに当たり、考えられる課題をお聞かせください。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 作成に当たっての課題につきましては、要支援者から作成についての同意をいただく必要があるということ。さらに、避難する際に必要となる支援者を確保すること。心身の状況を記載するための福祉専門職の参画が必要であること。こういったことが課題と捉えております。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 本市は今年度、個別避難計画作成の検討会を持ち、優先的に計画を作成する対象者の範囲や計画作成に当たっての体制づくりなど、検討してこられました。市内4か所をモデル区域とした計画作成や、福祉専門職による計画作成のモデル事業にも着手しています。避難の実行性も問われるこの個別避難計画ですけれども、これまでの事業から見えた課題も含めて、今後の取組の方針についてお聞かせください。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 個別避難計画では、これまで実施したモデル事業の結果等を踏まえて、今年度、個別避難計画作成検討会において、計画の様式や関係者の協力体制等を取りまとめたところであります。計画の作成に当たっては、民生委員や自主防災組織など、地域の支援者、ケアマネジャーなどの福祉専門職の協力を得て取り組んでいく予定であります。今般の能登半島地震を踏まえた課題等についても、関係者と検証しながら、一人一人の要支援者に寄り添った計画となるよう意を用いてまいります。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 計画を作成するにおいては、本市の職員の体制ですとか、また、医療・福祉の専門職、そして地区社協や町会、民生委員などマンパワーが必要不可欠となっています。その業務に当たる職員の確保と、また、専門職や町会等に財政的な支援も必要というふうに考えますが、見解を伺います。
○上田雅大副議長 山口福祉健康局長。
◎山口和俊福祉健康局長 個別避難計画の作成に当たりましては、専任の職員の配置をいたしますとともに、各校下・地区町会連合会が主体となる自主防災組織に対しましては、計画策定1件当たり3,000円の作成費に加えまして、1団体当たり5万円の事務費を支給させていただきますほか、ケアマネジャーや相談支援専門員には、計画1件当たり7,000円の作成費を支給する予定でございます。明年度予算において、お諮りしているところでございます。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 早急な計画の作成も求められていると思いますが、ぜひ地域の合意も含めて丁寧な作成をお願いしたいと思います。 次に、介護保険制度についてお尋ねします。 介護保険制度は、介護の社会化として、そして地方分権の試金石とうたわれて2000年に導入されてから、保険者である自治体の役割が変容しています。公的介護保障であった措置制度から契約という申請主義を導入して、福祉の市場化が進む中で、自治体が自ら高齢者の困難を把握し、求められる支援が何かを考える福祉行政の現場感覚と専門性が失われたという指摘もあります。今回の地震における避難所への対応でも、現場からは、丸投げ過ぎるという声もあり、そのことが露呈したと言わざるを得ません。自治体の福祉行政がいかにして住民の生存権保障のための役割を果たしていけるのか、福祉の最終的な責任は行政にあります。保険者としての役割をどのように考えていますか、お伺いいたします。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 介護保険制度につきましては、サービスを必要とする高齢者が心身の状況に応じて必要なサービスを適切に受けられることが大切であると考えております。制度が安定的に運営されるよう、適正なサービス提供について、事業者へ指導・助言をすること、また、介護人材不足の中で、さらなるサービスの質の向上を図るための人材の確保や定着に取り組むことなどにより、必要なサービスが切れ目なく提供され、地域包括ケアを推進するということが保険者としての役割と考えています。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 ぜひ保険者として適切な役割を果たしていただきたいというふうに思います。 来年度の介護報酬改定率はプラス1.59%、3年平均ではプラス1.54%のプラス改定だというふうに言われますが、訪問介護においては、基本報酬が2~3%引き下げられる予定です。市民や介護関係者からは、抗議と撤回を求める声が相次いでいます。訪問看護はこの間、サービス時間が短縮され、介護報酬も削られてきました。同じ介護職でもとりわけ低賃金で職員不足、さらには職員の高齢化が進む事業所にとっては、報酬の引下げが実施されれば、事業を継続する未来が見えません。本市が2022年に実施した在宅介護実態調査では、在宅介護している方へ、施設等を検討していますかという問いに、検討していないとの回答が72.5%と最も多く、多くの方が在宅生活を望んでいることが分かりました。その在宅を支えるのが訪問介護です。この在宅介護の崩壊とも言われる改定が、市内の介護事業所または利用者にどのような影響を及ぼすと考えるか、お聞かせください。
○上田雅大副議長 山口福祉健康局長。
◎山口和俊福祉健康局長 今回の介護報酬の改定につきましては、全体でプラスとなっておりますけれども、サービスごとの経営状況も踏まえまして、一部サービスにつきましては、基本報酬が引き下げられたというふうに認識しております。一方では、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行いますために、ベースアップに確実につながる処遇改善加算が見直され、御指摘の訪問介護につきましては、他のサービスに比べて高い加算率とされているところでございます。報酬の改定につきましては、基本報酬だけではなく、全体で見ることも必要というふうに考えております。今後、改定の影響を注視していきたいと思っております。 以上です。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 全国でもヘルパーステーションの赤字経営、廃業が相次いでいます。また、家族の介護を理由に離職する方が、全国で10万人を超える現状があります。その中でさらに追い打ちをかけるような今回の介護報酬改定です。介護保険制度の保険者として制度を維持し、高齢者の命や生活、その家族の生活を守るためにも、この介護報酬改定は撤回と、国に強く求めていただきたいと思いますが、市長、お伺いします。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 今回の報酬改定につきましては、介護保険制度の安定性・持続可能性を高め、全ての世代にとって安心できる制度を構築するとともに、介護人材不足の中で、さらなる介護サービスの質の向上を図るため、処遇改善や生産性向上による職場環境の改善を推進するものと捉えております。国に撤回を求めることは考えておりません。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 介護事業所の存続が問われる現状です。ぜひ撤回を求めていただきたいと求めて次へ移ります。 市営住宅についてお尋ねします。 住まいは人権と言われるように、住まいは憲法によって保障されている権利です。現在における公営住宅の役割についてお伺いします。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 公営住宅は住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で住宅を提供することで、生活の安定、社会福祉の増進に寄与することを目的としております。住宅のセーフティーネットとして重要な役割を担っていると認識しています。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 本市においても、被災し避難を余儀なくされた方に、市営住宅の空き室を整備し提供しています。整備の要望が強かった風呂釜や給湯器、ガスコンロを設置したことは、大変喜ばれています。本市は所有も管理も直営で行っているからこそ、被災者一人一人の悩みに寄り添いながら住居を提供し、生活の安定を保障できたというふうに考えます。ただ、国の住宅政策を見ると、2006年から、住生活基本法の下で5万戸も公営住宅が減少しました。さらには、2007年の閣議決定によって、入居収入基準が政令月収20万円から15万8,000円と大幅に引き下げられ、安定した住居の供給の推進ではなくて、削減の推進が続く実態があります。資本主義的な政策の下で、住宅確保を自己責任としてきた結果、空き家の増加や、入居者の高い高齢化率で町会役員の担い手がいないなど、地域コミュニティーの維持においても課題が山積しています。今回の予算案には、学生による入居のモデル事業が盛り込まれました。昨年、石川県が県営住宅に学生の入居募集を行ったところですが、本市はどのような目的で事業を進めていくのかお聞かせください。
○上田雅大副議長 村山市長。
◎村山卓市長 議員のおっしゃるとおり、市営住宅で入居者の高齢化が進んだことによって町会活動の担い手が不足している、これが大きな課題となっております。そこで、学生が市営住宅に入居し、町会の一員として地域活動に参加することで、多様な世代間での交流が生まれ、町会活動が活性化することを期待して、まずはモデル事業として取り組むこととしております。
○上田雅大副議長 山下明希議員。
◆山下明希議員 市営住宅の活性化やコミュニティーの再生につながっていくことを期待したいと思います。ただ、やはり公営住宅の根幹は、住居のセーフティーネットという役割です。昨今、非正規雇用の拡大にも見られる雇用情勢の悪化など、住宅困窮に陥る世帯は高齢者だけではありません。若年層、中高年の単身世帯でも、公営住宅の要求は強くなっています。60歳以下の単身世帯が入居できるよう、対象を拡充する検討を求めますが、見解を伺います。
○上田雅大副議長 坪田都市整備局長。
◎坪田英孝都市整備局長 市営住宅への単身入居につきましては、高齢者、障害のある方、生活保護受給者等、民間賃貸住宅への入居が比較的難しい方を対象に、特に配慮し認めているところでございまして、60歳未満の単身世帯を対象とした制度拡充につきましては、現時点では考えておりません。
○上田雅大副議長 山下明希議員。