金沢市議会 > 2020-12-09 >
12月09日-02号

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  1. 金沢市議会 2020-12-09
    12月09日-02号


    取得元: 金沢市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-05
    令和 2年 12月 定例月議会          令和2年12月9日(水曜日)-----------------------------------◯出席議員(38名)     議長  野本正人     副議長  源野和清     1番  荒木博文      2番  田中美絵子     3番  喜成清恵      4番  上原慶子     5番  稲端明浩      6番  熊野盛夫     7番  大桑初枝      8番  粟森 慨     9番  新谷博範      10番  前 誠一     11番  麦田 徹      12番  中川俊一     13番  小間井大祐     14番  坂本泰広     15番  高  誠      16番  喜多浩一     17番  上田雅大      18番  高岩勝人     20番  久保洋子      21番  松村理治     22番  下沢広伸      23番  山本由起子     24番  森 一敏      25番  小林 誠     26番  宮崎雅人      28番  広田美代     29番  玉野 道      30番  森尾嘉昭     31番  秋島 太      32番  澤飯英樹     33番  中西利雄      34番  清水邦彦     35番  黒沢和規      36番  福田太郎     37番  横越 徹      38番  高村佳伸◯欠席議員(なし)-----------------------------------◯説明のため出席した者 市長        山野之義   副市長       相川一郎 副市長       村山 卓 教育長       野口 弘   公営企業管理者   平嶋正実 都市政策局長    鳥倉俊雄   総務局長      松田滋人 文化スポーツ局長  山森健直   経済局長      山田啓之 農林水産局長    長谷進一   市民局長      高村政博 福祉局長      高柳晃一   保健局長      荒舘 誠 環境局長      吉田康敏   都市整備局長    坪田英孝 土木局長      川島 篤   危機管理監     坂本敦志 会計管理者     宮本博之   消防局長      清瀬 守 市立病院事務局長  西尾昭浩   財政課長      村角薫明-----------------------------------◯職務のため出席した事務局職員 事務局長      中宗朋之 議事調査課長    小村正隆   議事調査課長補佐  木谷保博 議事係長      山口賢一   調査係長      嶋田健治 主査        富川朗人   主査        前田和紀 主査        北本剛太   主任        竹村太志 書記        辻 卓也   書記        梶 嵩弘 総務課長補佐    関戸浩一   主査        打越洋平-----------------------------------◯議事日程(第2号)  令和2年12月9日(水)午前10時開議 日程第1 議案第42号令和2年度金沢市一般会計補正予算(第5号)ないし議案第58号市道の路線変更について                               (質疑) 日程第2 一般質問-----------------------------------◯本日の会議に付した事件  議事日程(第2号)に同じ-----------------------------------     午前10時1分 開議 △開議 ○野本正人議長 本日の出席議員数は、ただいまのところ38名であります。 よって、会議の定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △会議時間の延長について ○野本正人議長 あらかじめ本日の会議時間を延長いたしておきます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~議案上程 ○野本正人議長 これより、日程第1議案第42号令和2年度金沢市一般会計補正予算(第5号)ないし議案第58号市道の路線変更について、以上の議案17件を一括して議題といたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △質疑・一般質問 ○野本正人議長 これより、質疑並びに日程第2一般質問を併せ行います。 通告がありますので、これより順次発言を許します。 36番福田太郎議員。     〔36番福田太郎議員登壇〕(拍手) ◆福田太郎議員 おはようございます。 私ごとではありますが、昨日、肋骨を若干けがをしまして、途中で痛みのために若干声が震えるかもしれませんが、それを御承知おきくださいませ。 それでは、質問を始めます。 金沢美術工芸大学・柳宗理氏について質問をいたします。 金沢美術工芸大学は、昭和21年、戦後の混乱と虚脱の中、学問を好み、伝統を愛し、美の創造を通じて人類の平和に貢献することを希求する金沢市民の熱意により、工芸美術の継承、発展と地域の文化と産業の振興を目指し、金沢美術工芸専門学校として開学、創立され、昭和25年に3年制の金沢美術工芸短期大学、昭和30年には4年制の金沢美術工芸大学となり、昭和45年、金沢刑務所が現在の田上町移転に伴う代替地として本市に引き渡された跡地への移転が決定し、昭和47年に現在地に校舎が完成したのであります。これまで、本市は、まちの個性である歴史や伝統、学術、文化を保存、継承するとともに、歴史都市と創造都市の取組を両輪に、創造的なまちづくりを進めており、本市の最上位計画に位置づけられております世界の交流拠点都市金沢重点戦略計画では、金沢美術工芸大学の移転整備が重点的に取り組む施策として上げられ、角間地区へ移転した金沢大学工学部跡地は、まちなかの広大かつ貴重な公共用地であると同時に、本市のまちづくりにも大きな影響を与えることから、利活用について、金沢大学、石川県と連携を図り、検討を進めた結果、敷地正面の崎浦交差点から兼六園側約3万4,000平方メートルに石川県立図書館、湯涌側4万7,000平方メートルに新金沢美術工芸大学が建設されることとなりましたことは、議員各位も御承知のとおりであります。本12月定例月議会におきまして、金沢美術工芸大学建設工事として、建築工事その1、その2、空調設備工事給排水衛生設備工事電気設備工事、合わせて総額135億5,652万3,200円の工事請負契約の締結の議案が上程されておりますが、基本構想で定めた基本理念を実現するための施設整備方針に基づき、キャンパス整備のコンセプトである「開かれた美の探求と創造のコミュニティ」と定め、方針1、未来を担う人材育成拠点、方針2、世界に飛翔する美と知の研究拠点、方針3、地域に開かれた文化芸術の交流拠点と決められていますが、具体的に、各方針それぞれに沿った建築の教室や部屋、工房など、どのようなものが造られるのか、具体的にお教えください。 移転整備基本計画の中に、施設整備に対する留意事項として、地域性(景観・地場振興)として、施設の外観は金沢らしさを考慮した新たなシンボルとなる意匠とし、隣接する石川県立図書館をはじめ、周辺環境に配慮したランドスケープとするとあり、駐車場や駐輪場は各施設からの利便性を確保しつつ、外部からは見えにくい配置や植栽を設けるなど、景観に配慮して整備し、また、建設予定地は、風致地区に挟まれた地域であり、積極的に緑化を行うなど、良好な自然環境との調和を意識して整備するとあります。植栽工事は、建設終盤の工事でありますので、いまだどのような植栽をなされるのか見えてはきませんが、お隣で建設中であります新石川県立図書館敷地では、読書の森やお話の森と名づけ、かなりの面積で造り上げ、周りの植栽もかなりのボリュームがあるとお聞きしております。本議会にて、議案第52号から議案第56号まで議員の皆様方から御承認をいただければ、新金沢美術工芸大学の建築がスタートするわけでありますが、この風致地区に挟まれた新キャンパスを緑あふれるすてきなキャンパスに出来上がるよう、植栽などをふんだんに行い、緑あふれるキャンパスをぜひ造っていただきたいのですが、植栽に関して市長のお考えをお聞かせください。 また、順調に工事が進みますと、令和5年度には新校舎が完成し、キャンパス移転となり、現校舎が空っぽとなるわけであります。金沢大学工学部が角間地区に移転した後、工学部の空き校舎は何年も放置され、廃墟化し、無残な姿が何年にもわたり存在し、巨大廃墟としてテレビ番組にも取り上げられ、ぼや騒ぎや、何者かが侵入し窓ガラスなど建物を破壊し放題、荒れ放題の巨大廃墟と化し、地域住民の方々は長年悩まされてきました。現校舎は、斜面緑地を含めれば5万4,840平方メートル、空き建物元校舎は、床面積2万7,953平方メートルもの巨大空き家になるのであります。移転後は、旧工学部のような巨大廃墟の出現は絶対に避けなければなりません。このようなことが起こらないよう、建設スタート時に、キャンパス完全移転を見据え、跡地利用を考えておかねばならないと考えますが、市長は跡地について現時点でどのようなお考えをお持ちかお聞かせください。 次に、柳宗理氏関係の資料についてお聞きします。現在、柳工業デザイン研究会が所有し、金沢美術工芸大学に寄託されている柳宗理氏関係の資料が、このたび金沢美術工芸大学に寄贈されると報道でお聞きしました。戦後の日本を代表するデザイナーであり、本市の文化功労者でもある柳宗理氏の手がけた作品、模型、設計図など6,000点以上のデザイン関係資料が、将来にわたり散逸することなく、この金沢の地で保存されることは、文化都市金沢にとって大変喜ばしいことであります。これら資料には、1964年の東京オリンピック聖火運搬用コンテナトーチホルダーなども含まれているとお聞きしており、来年の東京オリンピックに向けた機運の醸成にも一役買ってくれるのではないかと思っているところであります。現在、金沢美術工芸大学には柳宗理記念デザイン研究所が設置され、展示なども行われておりますが、私の目には、活用内容がまだまだ控えめで、多くの貴重な資料を生かし切れていないように感じます。今回の寄贈に向けた合意締結式の際には、山野市長が立会人になったとお聞きしておりますが、寄贈を機に、金沢美術工芸大学や市として、これらのデザイン資料を教育や研究、さらには対外的発信などにおいてどのように活用されていくのか、市長にお考えをお伺いいたします。 次に、五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン事業についてお聞きいたします。 五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンは、9月定例月議会において8億3,000万円が上程され、可決され、内容を検討し、まとめられたと思いますが、このキャンペーンは本年10月1日から令和3年3月30日宿泊分までとなっておりますが、私は、このキャンペーンの具体的内容を知ったのはマスコミの記事で知ったのでありますが、キャンペーン自体は、コロナ感染で苦境に立たされている宿泊業、飲食業、旅行代理店、交通事業者、また、全国から金沢へ訪れていただく方々には大変ありがたいお得なキャンペーンであることは間違いないのであります。キャンペーンの内容は、宿泊と夕食、昼食、または体験の組合せのプランとなると思いますが、現在、このようなプランは何通りの登録があるのかお教えください。 このようなプランに助成金が出る場合、比較的高額なプランに人気が高いとされておりますが、直近の割引単価1万円から2万円の申請の予約人数、助成額、また、それぞれ全体の何割になっているかお聞きをいたします。 11月1日より、北信越地域だけではなく、対象となる宿泊者の居住地域が全国に拡大されましたが、北信越地区以外からの利用者の数をお伺いいたします。 本12月定例月議会に補正予算として、五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン事業費5億5,000万円、五感にごちそう金沢リピートキャンペーン事業費4,800万円が上程されておりますが、報道によりますと、リピーター獲得に向け、キャンペーン利用者に市内の飲食店や工芸品を扱う店舗で使える5,000円分のクーポン券を抽せんで贈る事業とのことでありますが、飲食店と一言で言っても、まちの中華屋さんからチェーンの牛丼屋さん、加賀料理、高級日本料理店など様々なお店がありますし、工芸品店舗でも、個人的小売店、百貨店など様々でありますが、具体的にどのような店舗で使用できるようにするおつもりか、具体的にお聞かせください。 本議会終了予定日翌日の16日から、宿泊キャンペーンの助成上限額を従来の2万円から1万円に引き下げるとお聞きしていますが、その理由をお教えください。 また、本日現在、札幌市と大阪市に居住する方の新規の予約、既存の予約を問わず、それぞれの旅行に伴う感染リスクを慎重に判断し、12月15日24時までに出発予定のゴー・トゥー・トラベル事業を利用した旅行を控えていただくよう要請が出ており、今後、旅行者を本市に呼び込む五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンなどの継続に関し、ゴー・トゥー・トラベルの自粛や緊急事態宣言を発出した県や地域からの旅行者に対して何か措置を考えておられるかお聞きいたします。 次に、屋外広告とラッピングバスについてお聞きします。 本市は、平成元年より、屋外広告物誘導指針に基づく本市独自の方法で、屋外広告のデザイン誘導を行っておりましたが、屋外広告の設置許可は石川県屋外広告物条例に基づいて行われており、その窓口は石川県であり、屋外広告物の指導が2つの窓口で行われていたことから、デザインに関する指導内容にそごを来す場合も多かったと聞いております。平成5年、本市は、石川県から一部事務委任の形で屋外広告物許可事務の移管を受け、県条例に基づく規制と金沢市の指針に基づくデザイン誘導を一元化し、屋外広告物の適切な規制誘導の推進を図り、平成7年に、金沢市屋外広告物条例を制定し、中核市に移行した平成8年に、同条例を施行いたしました。本条例は、特に広告物の在り方については、本市の美しい景観の形成に配慮したものでなければならないと明記され、また、屋外広告物禁止区域として、伝統環境保存区域こまちなみ保存区域などの独自条例による指定区域を追加されております。その後、平成21年に屋外広告物条例を金沢市屋外広告物等に関する条例に改正しました。主な改正点としては、景観や環境に配慮する規制への見直し、特定屋内広告物の規定を新設、優良なデザイン、文化的付加価値の推奨と蓄積、屋外広告物審査会を条例に規定の以上の4つであります。ラッピングバスについては、平成13年9月、バス事業者から車体全体面へのラッピング広告導入の要請があり、屋外広告物審議会都市景観審議会において導入の可否が審議されましたが、一般公共交通機関である路線バスは、日常的に公共空間を移動するものであり、移動景観として市民や観光客の目に無条件に飛び込んでくる、そのため金沢市の良好な景観に配慮することが求められるとして、デザインの質の仕組みを設定できなければ、その導入は時期尚早であり、引き続き検討、審議する必要があるとの結果にとどまり、導入は見送られたのであります。しかし、7年後の平成20年、バス事業者から、バス停の維持管理等にラッピング広告の収入を使用することを条件に再度審議の要請があり、屋外広告物審査会において検討を始め、地色の色彩は4以下とするやイメージキャラクターは1種類、金沢の景観に配慮した調和の取れた色使いとし、兼六園周辺の走行は禁止するという条件の下で、7台が試験的に走行を開始したのでありますが、この時点で、36中核市中、ラッピングバスが導入されていない都市は本市と熊本市、鹿児島市の3都市でありましたが、現在での本市と同程度の人口規模中核市におけるラッピングバスの導入状況をお教えください。 その後、平成22年7月の審議会で審議した結果、試験的な走行を平成24年9月まで2年間延長することとなり、その際、運用基準を一部変更し、色彩の彩度制限をなくし、広告内容は商品の販売促進ではなく、企業イメージの向上を主たる目的とすること等を加えられることとなりました。ここで、運行実験の経緯をまとめますと、平成20年10月から平成22年9月、同じく10月から平成24年9月までの4年間に、13台のラッピングバスが走行しておりました。その際、市民の1,270名の方々にアンケート調査を行い、その結果、ラッピングバスを御存じですか、知っている67.8%、今後ラッピングバスが走行することについてどう思いますか、走行してもよい81.1%、ラッピングバスが兼六園周辺を走行することに違和感を感じますか、感じない81.1%、この結果は今から8年前の平成24年8月2日に開催された建設企業常任委員会でも報告され、私は次のような発言をしております。  ラッピングバス運行実験アンケート調査について、この結果を見るとおおむねよかったものと思っています。運行実験を検討した審議会の議論は慎重意見もあったと記憶している。少し華美になるのではないか、兼六園周辺、まち並みにそぐわないのではないかといった様々な意見があったが、試験的にやってみようということになった。現在走行しているラッピングバスは、私個人的には非常によいと思う。私のような田舎者が見ると少し都会っぽくなったなというか、ちょっとハイカラな感じもし、このラッピングバスはまちの活性化とか、まちがちょっと元気になったとか、そんな雰囲気を出していると思っている。資料を見ても分かるように、常識のある非常にいいラッピングデザインをしていると思う。個人的にはどんどん続けていけばよいと思う。審議会で審議されると思うが、ある程度の節度を持って、金沢らしい、金沢のまちに合う、斬新なデザインのラッピングバスを今後とも増やしてほしいと思っているので、このような意見が委員の中からもあったということを審議会の中でも報告してもらいたい。 と発言させていただき、当時の中村景観政策課長の御答弁で、委員指摘のとおりであり、この後、屋外広告物審議会で有識者の委員から意見をもらい、最終的に審議会に諮って金沢らしいラッピングバスの導入について9月末をめどに決めていきたい。委員の意見は、今後、重く受け止め、引き続き考慮していくとの御答弁をいただき、翌月の審議会において了承を得、翌年4月から金沢市ラッピングバスガイドラインを策定し、本格運営を開始したのでありますが、ラッピングバス走行台数については、本格運用から7年を経ても、いまだに路線走行台数のおおむね10%という台数はいかがなものかと思っております。現在、金沢市内を走行する路線バスは何台あるのでしょうか。 私は、ラッピングバスが現在よりも台数が増えても、ラッピングのデザインのセンスが大事であり、現代美術のアートなデザインや金沢の子どもたちのデザインなど、すてきでわくわくするようなラッピングバスをもっと増やしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。市長のお考えをお聞きします。 次に、広告景観についてお聞きします。最近、目に余る屋外広告物で、いわゆるのぼり旗が沿道に目につきます。敷地の間口の長さに関係なく、何本も立てての野放し状態をよく拝見しますが、景観はもちろん、歩く方や車での通行時の視界不良も招いています。このようなのぼり旗の規制をぜひやらなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。市長のお考えをお聞きし、私の質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手) ○野本正人議長 山野市長。     〔山野之義市長登壇〕 ◎山野之義市長 36番福田議員にお答えいたします。 まずは、金沢美術工芸大学、そして柳宗理先生のことについてお尋ねがございました。金沢美大の新キャンパスですけれども、施設整備方針を具現化するため、全ての学生が領域を超えて使用する、これは全国でも珍しいんですけれども、共通工房なるものを整備していきたいと考えています。キャンパス全体に分散して、アートコモンズと呼ばれる展示スペースも配置していきたいと考えています。学生さんはもちろんのこと、市民の皆さんにも様々な芸術作品に触れることができる、そんな環境をつくっていければと考えています。また、教育面では、新たにメディアセンターを整備し、大中小3つの撮影スタジオやシアターを配置するなど、メディア芸術分野も強化していきたいと考えています。御指摘のように、「金沢から世界に拓く美と知の創造拠点」として、本市の新たなシンボルになるようにしっかりと取り組んでまいります。 また、新キャンパスでは、アクセス道路側に、イベントの開催も可能な広場を整備していきたいと考えています。南側の道路に面して、歩行者空間を兼ねた緑地を整備するなど、景観に配慮した上で、積極的な緑化に努めていきたいと考えています。辰巳用水沿いに整備する遊歩道には、地域に長年親しまれています既存の桜を生かすとともに、新たに四季折々の変化に富んだ植栽を行い、地域の方々が気軽に散策に訪れたくなるような緑豊かな空間を創出していきたいと考えています。大学の活動や作品を目にするアートプロムナードも設ける予定であり、豊かな緑に加えて、芸術に触れることができる市民と地域に開かれたキャンパスにしていきたいと考えています。 新キャンパスへは、令和5年度中の移転の予定で、今、準備を進めているところであります。いわゆる跡地予定地にという表現になるかと思いますけれども、現校舎は築50年近く経過もしていますので、再利用することは現実的には難しいんではないかと考えています。御指摘ありましたように、廃墟化することのないように、周辺住民の安全・安心にも意を用いていきたいと考えています。この跡地予定地の利活用策については、現時点では未定ではありますけれども、新キャンパスの移転整備の進捗に併せて、具体的な検討の在り方等を考えてまいります。 柳宗理先生のことについてお尋ねがございました。私も、格段に思い入れを持っています。議員時代、南砺市と御縁のある柳宗悦先生、そして金沢美術工芸大学とゆかりのある柳宗理先生を顕彰する活動ができないかということを議会で提案したこともあります。市長になって間もない頃、間に立ってくれる方がいらっしゃいまして、当時の久世学長と共に柳工業デザイン研究所に足を運ばさせていただきまして、いろんな意見交換をさせていただきました。まずは、金沢美術工芸大学を含めた金沢市側の受入れ体制もありましたので、寄託という形でお預けいただきました。このたび、寄贈していただくことになりまして、感慨ひとしお深いものがあります。柳宗理先生の資料6,701点が寄贈されることになります。先生のデザインは、今でも多くのデザイナーの貴重な資料となっています。金沢美術工芸大学で学ぶ学生にとってのデザインの変遷過程の学習、設計図面から得られる新たなアイデアの創造など、教育や研究の幅が広がるのみならず、市民にとっても、私はこれ財産だというふうに思っています。今後は、この資料を有意義に生かすべく、金沢美術工芸大学と連携しながら、企画展内容のさらなる充実、新たな展示形態の在り方など、その利活用について検討し、国内外への情報発信強化に向けて、市としても積極的に取り組んでまいります。 五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンのことについてお尋ねがございました。クーポン券ですけれども、金沢市観光協会が発行しています金沢美味クーポン、市内の店舗やギャラリーで工芸品の購入や工芸体験に使用できる工芸クーポン、dining gallery銀座の金沢のダイニング及びギャラリーで使用できるクーポンの3種類を予定しています。市内の様々なジャンルの飲食店に参加していただいておりまして、宿泊キャンペーンの実施に合わせ、この美味クーポンの店舗数を70店舗から128店舗に拡大いたしました。工芸クーポンの取扱店ですけれども、現在、デジタル工芸展出品者の作品を展示、販売しています市内のギャラリーや小売店等から募集し、決定していきたいと考えています。 上限額の変更についてですけれども、今般の宿泊キャンペーンは、金沢市内のホテル関係者、また、簡易宿所関係者に大変高い評価をいただいているところであります。これから冬になってきます。観光客が落ち込むというふうに一般的に言われています。一方では、食文化がさらに豊かな時期でもありますので、その旅行需要に備え、今回、予算の増額をお諮りいたしました。何としても、当初予定していました10万人の方に御利用いただけるように、助成上限額の一部を引き下げさせていただきたいと考えています。ただ、御存じのとおり、ゴー・トゥー・トラベルとの組合せで御利用いただく方がほとんどでありますので、利用者の負担が大幅に増えることはないということも御理解いただければと思います。 第3波に向けてのことについて御心配をいただきました。首都圏、関西圏、北海道を中心に、重症者も増えてきているということに憂慮しています。幸い、この金沢市におきましては、比較的、現在のところは落ち着いているところであります。決して油断はしてはいけないと思っています。引き続き、対策をしっかり取っていかなければいけないと思っています。ゴー・トゥー・トラベルに関しましては、国と都道府県知事が感染状況等を見ながら話合いをし、さらに地域を細かく分けて自粛等々を対応するということをお聞きしています。現在、今ほど申し上げましたように、金沢市、石川県はその状態にないというふうに思っていますし、大阪市や札幌市、東京23区等におきましては、知事さんが適切に御判断をされると思いますし、ぜひ、その地域の皆さんにはその判断に遵守していただきたいというふうに思っています。ただ、金沢市は、繰り返しですけれども、その状態にはありません。安全対策を事業者と共に徹底しながら、体制を整えていきたいというふうに思っています。ただし、その感染状況というものは注視をしていかなければなりません。この運用見直しの影響が本市に及ぶようなことになれば、速やかに適切に対応しなければならないというふうに思っています。 屋外広告・ラッピングバスのことについてお尋ねがございました。ラッピングバスは、議員、具体的に数字もおっしゃっていただきました。私は、市民の皆さんの御理解をおおむねいただいているんではないかというふうに思います。デザイン配慮に対する事業者の理解も深まってきているというふうに思っています。また、これも議員お触れでございましたけれども、その広告収入がバス事業者に入ってくるものでもあります。そんな視点も考えていきながら、バス事業者の意向、さらには希望する事業者の動向なども踏まえながら、運用の見直しを検討していきたいと考えています。 のぼり旗等々のことについてお尋ねがございました。市当局のほうにも、多くの市民の方からいろんな御意見をお聞きしているところでもあります。特に安全パトロールも今月から行っているところでありまして、歩道に越境しているもの、破損しているもの等、安全・安心の観点から支障となっているものを対象に、管理者に対し直接指導を行い、改善を求めていきたいというふうに考えています。加えて、次年度より実態調査を行い、他都市事例も参考にしながら、設置する本数や間隔についての基準を設けるなど、のぼり旗の適正な掲出に向けた規制の強化というものにも取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。しっかりと取り組んでまいります。 私のほうからは以上です。 ○野本正人議長 山田経済局長。 ◎山田啓之経済局長 五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンにつきまして、3点お答えいたします。まず、組合せプランのことでございますが、11月末時点で、宿泊と食事を組み合わせたプランは648件、宿泊と体験を組み合わせたプランは141件、合計789件のプランが登録されております。 次に、直近の割引単価1万円から2万円の申請の状況でございますが、11月末時点の利用及び3月までの予約の人数は合計で5万811人、助成見込額は約6億7,000万円となっております。そのうち割引単価1万円のプランの人数、助成見込額は1万2,417人、1億2,000万円余、1万5,000円のプランは1万1,097人、1億6,000万円余、2万円のプランは1万7,098人、3億4,000万円余となっており、人数で、それぞれ全体の24%、22%、34%となっております。 北信越地区以外からの利用状況でございますが、利用者の居住地につきましては、実績報告で確認をしており、予約の段階では把握できないことをまずは御理解いただきたいと存じます。現時点で把握しております11月中の利用実績約1,500人のうち、北信越地域以外に居住される方の利用割合は全体の約60%となっており、このうち首都圏の1都6県からの利用は全体の24%、関西圏2府4県からの利用は16%であります。 以上であります。 ○野本正人議長 坪田都市整備局長。 ◎坪田英孝都市整備局長 ラッピングバスについて、本市と同程度の中核市における導入状況についてのお尋ねでございます。人口40万人以上の中核市、全てにおいてラッピングバスが導入されている状況でございます。 次に、市内を走行する路線バスの台数についてのお尋ねでございます。現在、市内を走行する路線バスは、おおむね北陸鉄道グループで280台、西日本JRバスで20台で、その合計は300台でございます。したがいまして、その10%に相当する台数は約30台となります。 以上でございます。 ○野本正人議長 換気のため、しばらくお待ちください。 35番黒沢和規議員。     〔35番黒沢和規議員登壇〕(拍手) ◆黒沢和規議員 質問の機会を得ましたので、市議会自民党議員会の一員といたしまして、以下数点についてお伺いいたします。 質問の第1は、新型コロナ感染症に関わる財政課題についてであります。 新型コロナ感染症は、今日に至るも終息の兆しは見えず、県内では今のところ感染が低く抑えられているとはいえ、全国的には第3波とも言われる感染症者の拡大が顕著になっており、国・地方自治体では、経済対策に意を用いながらの感染拡大防止策の強力な推進が求められています。新型コロナ感染症は、流行し始めてからやがて1年、この間、国においては、感染症拡大防止策、医療体制強化策、雇用を含む経済対策、国民生活安定化策等のコロナ感染症対策で、既に事業規模で234兆円、財政支出として121兆円を予算化しているところであります。そのための追加公債発行額は57兆円、当初予算計上額と合わせると90兆円にも上るものとなっています。このことは、国の一般会計当初予算全体の歳入102兆円余が160兆円余に増加し、そのうち公債金の占める割合は56.3%、その中で建設公債を除いた特例公債は44.6%の71兆4,000億円余となり、歳入の半分近くを公債で賄うという、通常では考えられない実態となっております。この数字は、現在検討が進められている国の第3次補正予算により、さらに上積みされることになります。このような状況は、現下の状況からしてやむを得ないものであることは理解できるものでありますが、と同時に、それが次世代への大きな負担を残すのではとの懸念を持つものであります。本市においても、コロナ感染症関連で、既にこれまで三度にわたり補正予算が組まれているところであり、今定例月議会でもコロナ感染症関係予算を含めて、一般会計26億3,000万円余の補正予算が提出されているところであります。堅実な財政運営を行ってきている本市においては、さほど懸念すべき状況ではないとも存ずるのでありますが、市長は、国の財政状況を含めて、現在の市の現状についてどう認識されておりますでしょうか。次世代への負担増についての思いに併せて、まずお尋ねをいたします。 ところで、市当局におきましては、さきに令和3年度(2021年度)当初予算編成方針を各部局に示しました。その中で、予算編成における基本的な考え方として、「交流拠点都市の実現に全力を挙げるとともに、地域コミュニティーの活性化と市民協働・広域連携の促進、子どもを育む環境や子育て支援策充実に積極的に取り組む」とし、「中長期を見据えた健全財政にも意を用いる」としております。来年度は、コロナ感染症が落ち着いていくと想定したとしても、財政状況、特に市税収入にあっては、今年度よりもさらに厳しい状況で推移することになると思われます。飲食・宿泊・接客業、交通事業、観光関連事業等、多くの産業、業種は、現在も大変な窮状の中にあります。市民や事業主の所得や企業の収益は、当然に減少するでありましょう。それに伴い、個人市民税や法人市民税、消費税等、市税収入が落ち込むことは予想されるところであります。このような状況の中、来年度は、これまでのように、市政をその基本方針に沿って進めていくことはかなり困難ではないかと思えるのであります。市長には、今から具体的に着手されていく来年度の予算編成に感染症対策と経済振興策という二律背反する施策に配意しつつ、市長の標榜される交流拠点都市の実現に向けての本市のまちづくりの基幹的施策の推進について、どのような思いを持って臨まれていくのかお尋ねをいたすものであります。 また、本年度の市税収入は、現在のところどの程度確保できる見込みなのか、また、来年度についてはどうなのか、大変関心の持たれるところであります。その上、来年度は固定資産税の課税見直しの年とも伺っておりますが、評価額の据置きといった議論もあるやに聞くのであります。そうした要素も踏まえ、来年度の市税収入の見込みを含め、市財政全般についての影響等について、現在どのような想定をされているのかお尋ねをいたすものであります。 さて、新型コロナ感染症の流行は、社会経済活動、ひいては私どもの日常生活に大きな変化を与える一つの大きな機縁となりました。経済社会活動は、これまでとは違う新たな態様を求められるようになりました。その中の最たるものは、国・地方を問わない社会全体のデジタル化ということであります。質問の第2は、その私たちの社会全体が大きく変化をしていく一大要素であるデジタル化に関わる問題、具体的には、行政のデジタル化に伴う市政運営と職員についてであります。 企業活動をはじめとする社会活動全般は、オンライン、テレワークといった新しい形でのライフスタイルが浸透し、学校教育でもデジタル化が進められ、国においても、日本の社会、官公庁におけるデジタル化の遅れを取り戻すべく、その推進を図るためのデジタル庁の設置を進めているところであります。本市におきましても、昨今、市役所業務のデジタル化に積極的に取り組まれてきているところであり、今議会でも行政手続のオンライン化を進めるための条例を提出し、今後、電子申請の拡充化を図るなど、業務の効率化に取り組むとのことであります。スマートフォンや今定例月議会から導入された議員のタブレットでさえ使いこなせず、情けない思いで日々を送っている私などは、昨今のこうした流れについていくことができず、おまけに横文字の多さに困惑しながら、会派の若い議員に迷惑顔をされながらも手取り足取り教えてもらい、何とかこなしている毎日でありますが、デジタル化は、これからの新しい日本社会をつくり上げていく上で避けて通れない根幹となるものであり、官公庁をはじめ、社会経済全般におけるデジタル化に大きな期待を持っている一人であります。市長には、まず本市業務や各種施策の推進におけるデジタル化について今後いかに進められていくのか、改めてお尋ねをいたすものであります。 私は、過日、市役所内のある課に参りました。当該の管理職の方の姿が見えないので、それとなくその所在を聞きましたら、今日はテレワークで自宅ですとの答えが返ってきました。また、別の日に別のある課に参りましたら、フリーアドレスの導入により、当該課の様相がかなり変わっており、少しばかりの戸惑いも感じたところであります。テレワークやフリーアドレスについては、職員からは、仕事がしやすく効率も上がるなどとする意見も多くあり、おおむね好意的に受け入れられているとお聞きしております。これとて、異論を差し挟むものではありませんが、職場管理や職員間の協調、職員の研修といった観点から、市職員の仕事の在り方として、全てがそうした方向に進んでいくことには、住民サービス等の観点からすると、少しばかり留意をしなければならないのではないかとの思いも一方では持つのであります。市職員の仕事は、直接市民と接し、市民の思いも聞き、また、職員間では、直接顔を合わせての話合い等によって意思の疎通が図られ、また、情報交換ができる場合も多く存在いたします。市職員の仕事の多くがテレワークで処理できるものではないでありましょうし、全てがオンライン化で済むものでもないと存じます。職員と市民、職員と職員、上司と部下など、顔と顔を合わせることにより、そこに信頼関係が生まれ、意思の疎通が図られ、課題の解決が済むというような業務も多くあるのが市役所であります。これからの職場管理や職員の育成というような点等からして、新しい時代を迎えて、今後の職員研修等についてはどのように取り組んでいかれるのでありましょうか。OJT等は、いわばアナログ的な職員研修でもあろうかと思われますが、今日においても有益性を持つ部面もあるのではなかろうかとも思うところであります。そこには、課制、係制が存在する意味もあります。要は、市役所が市民の皆様にいかによりよい行政サービスを提供していけるのか、金沢の発展と個性あるまちづくりをどう進めていくのか、その視点に立った上で、デジタル化時代を迎えて、職場の在り方、職員研修等を行っていくのか、市長のお考えをお聞きしたいと存ずるのであります。 第3の質問は、デジタル社会における文化芸術活動についてであります。 新型コロナ感染症により、今年は全国的規模の大会から地域の小規模な発表会まで、多くの文化や芸術活動、特に舞台芸術にあってはほとんどの公演が中止、または縮小となりました。そこで、それらを補完する形で行われたのがオンラインによる各種の演奏会であったり発表会であったかと思うのであります。しかしながら、誤解を受けることを承知で申し上げるならば、あくまでもそうしたことは、実際に目に触れる、耳で聞く、体を動かすという、私どもが体験し五感で感じていくという文化芸術活動を画面という媒体によって単に見ているだけにすぎないのではということであります。もちろん、舞台芸術活動についても、本年は国・県・市のコロナ関連施策により種々の支援策が実施されてきたところでありますが、高度な芸術性を持つ分野は別として、生活文化であったり伝統芸能等においては、このコロナ禍にあって、発表、練習等の機会が少なくなったことにより、高齢化と相まって、長年なれ親しんだそうした場から人が離れていったという事例も聞くのであります。演奏、演劇、舞踊等、舞台芸術はいわばアナログの世界でもあります。それは、伝統的なものであろうと現代的なものであろうと同じであります。演ずる者は舞台上で表現をすることに生きがいを感じ、意義を見出し、それを見た者は自らの魂を揺さぶられ、感動する、そこはオンラインなどでは補完できるものではないと申したら言い過ぎかもしれませんが、だとするならば、文字どおり、そうした表現をする場所を持っている、発表する場所を持っている公共ホール等の施設設置者側においても、感染症対策として十分な対応がされ、少なくても発表のできる場や機会が増えることが望まれるのであります。この点、市長はいかがお考えになるでありましょうか、所見をお伺いするものであります。 また、さらにこの質問の第2として、デジタル化社会の進展に伴い消えゆく伝統文化・生活文化の継承・保護についてであります。昨今における最大の関心事は、やはり印章、いわゆる判こ、押印の不要化かと思うのであります。官庁や企業を問わず、日本はいわば判こ社会であります。その判こ社会が、今大きく姿を変えようとしています。特に役所関係では、国・地方を問わず、種々の行政事務のデジタル化により、押印不要化が進められようとしております。本市では、今日までにも、行政文書の電子決裁化等が進められ、押印廃止が進められてきているようでありますが、さきに市長は、さらに1,600件近くに上る押印不要化を進めていく意向を示したとのことであります。今後、市としては、この点についてどのような手順で押印不要化の作業を進めていくのか、まず明らかにしていただきたいと存じます。 しかしながら、一方で、そうした市民の利便性向上といったこととは裏腹に、これまで私どもの日常生活の中で息づいてきた判こ文化、いわば生活文化とも言ってよいかもしれませんが、またもやそうした文化の衰退につながっていくのではないかとの思いも持つところであります。押印不要化によって、結果として、印章店、つまり判こ屋さんがやがてこの社会から消えていくのではないかという、杞憂にも似た思いを持ってしまうのであります。今日の状況は、いわゆる実印の用に供されるような印鑑までが不要ということにはならないようでありますが、判この需要は大きく低下することは必定でありましょう。私は、文明は文化を花開かせる一方で、文化を廃れさせもすると日頃思っている者でありますが、例を挙げれば、傘は和傘から洋傘に、履物は草履やげたから靴に、衣服は和服から洋服に、建物は木からコンクリート等になどなど、その例には枚挙にいとまがなく、それらは効率性や利便性が求められたがゆえに衰退していきました。文明が進むとともに生活様式が変化し、それとともに多くの伝統産業は衰退したり消えていったのも事実であります。印鑑を彫る職人さんがいなくなり、その技術を伝える者もいなくなるかもしれません。さらには、今日では、印鑑以外では私どもの日常ではほとんど見ることがなくなったとも言える篆書や隷書といった漢字の書体も目に触れる機会さえ少なくなり、漢字文化がさらに私どもから遠ざかっていくのではと思えるのであります。時代の流れとともに衰退していきかねない伝統産業的文化の保護、継承のため、あるいは広く無形文化財の保護、強化のため、金沢独自の登録制度を設けるなど、印鑑に限らず、手厚い施策を展開していくことも、文化都市を標榜する金沢の使命ではないかと思うのであります。印章に関わることでもありますだけに、印象深い前向きな市長の御見解を承っておきたいと思うのであります。 質問の第4は、泉鏡花文学賞についてであります。 去る11月21日、文化ホールにおきまして、48回目の泉鏡花文学賞の授賞式が行われました。今年の受賞作は、高樹のぶ子さんの「小説伊勢物語業平」でありました。私も、受賞作が発表されてから、斜め読みではありますが、読ませていただきました。それはそれとして、第48回ということは、賞ができて再来年は50年ということになります。そもそもこの文学賞は、泉鏡花の生誕100年を記念して制定されたものであることは御存じのとおりでありますが、半世紀もの間、文学界での高い評価を受けながら、よくぞ続いてきたものだと思うのであります。これもひとえに、第1回から賞の選考委員長を務められ、制定時は言うに及ばず、今日まで何かと御尽力をいただいてきた五木寛之氏の存在があったればこそと思うところであります。今から48年前、この文学賞は難産の末に誕生いたしました。制定する条例と予算を審議する当時の金沢市議会の3月定例議会において、その必要性について賛否の議論が錯綜し、所管の常任委員会の審査は深夜に及び、あわや否決もという状況の中にあって、当初、現在の本賞だけだった賞の原案に、金沢市にゆかりのある者を対象とする金沢市民文学賞を併せ制定するということで決着を見、生まれたものであります。経済第一主義が当時の日本の大きな流れの中にあって、金沢が輩出した三文豪の中で、日本人の心、精神性を見直そうという思いから、近代日本浪漫主義文学の泰斗である泉鏡花の名を冠した文学賞を設け、現代における日本文学の一つの道標となり得ればという崇高な思いは、戦後いち早く、金沢美大の前身である美術専門学校を立ち上げた金沢市民の文化に対する思いと共通するものがあったと思うのであります。その泉鏡花文学賞も、半世紀を迎えることとなります。半世紀という長い年月を経た今日、その在り方、意義について、私どもは改めて考証すべきかとも思うのであります。いま一度、その制定の趣旨を再認識し、今日まで蓄積されてきた貴重な評価をも鑑みながら、再来年に50回目を迎える機会に、泉鏡花文学賞が金沢の文化を担う一つのシンボルとして、また、文学界においてさらなる評価と存在価値を高めていくものとして、より充実した形に昇華されたものになることを期待するものであります。今年の授賞式では、村松友視氏は、48回目の今年は泉鏡花文学賞にとってまさに胸突き八丁だと話されました。第50回という大きな節目を迎えるに当たり、賞の新たな在り方の模索があるとするならば、今年の48回を検証し、来年の49回にその結果をつなぎ、50回目以降の泉鏡花文学賞の方向性、ひいてはさらなる飛躍、発展を目指す上での胸突き八丁ではないかと、そういう意味もあったのではないかと私には感じられたところであります。そして、市民文学賞については、その持つ意味、授賞の実態、時代的な変遷等からして、新しい形に見直していくことも必要ではないかとも思っているところであります。再来年に50回目を迎える泉鏡花文学賞への市長の思いと、さらなる賞の価値を高めるための賞の今後の在り方等についての考えをお披瀝いただくことを求め、以上で私の質問を終わりたいと存じます。(拍手) ○野本正人議長 山野市長。     〔山野之義市長登壇〕 ◎山野之義市長 35番黒沢議員にお答えいたします。 このコロナ禍における財政課題についてお尋ねがございました。この新型コロナウイルス感染症が全国に拡大し、リーマンショックを超えるとも言われる国難に直面している中で、国民の命と健康を守りながら、我が国経済の回復に向けた施策を打ち出すためには、国の財政出動が私は必要不可欠であったというふうに思っていますし、これからも期待をしたいというふうに思っています。そして、その財源を国債の発行で賄うということもやむを得なかったというふうに考えています。本市でも、これまで、感染拡大防止と地域経済への緊急対策を数次にわたって講じてきました。国交付金の積極的な活用であったり、中止となった事業の財源の組み直しであったり、また、議員各位にも御協力もいただきながら取り組んで、財源の確保に努めてきているところであります。今のところ、本市において財政状況は健全な範囲内に収まっているというふうに思っています。ただし、御指摘ありましたように、将来世代への負担増加には十分注意をしなければなりません。市としても、予見性を高めながら、中長期的な視点に立った財政運営に取り組んでまいります。 市税収入の見通し、さらには来年度主要重要施策の推進につきましてお尋ねがございました。市税につきましては、現下の新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受け、今年度、来年度ともに大幅な減収が見込まれるんではないかというふうに思っています。例年にも増して厳しい財政環境にあるということは認識しているところであります。ただ、市政というものは日々の生活の中で動いていくものであります。停滞ということはあってはならないと考えています。持続的な形で成長、発展をしていかなければいけないものだというふうに思っています。そのためにも、未来を担う子どもへの投資をはじめ、まちの魅力と活力をさらに高める交流拠点都市の実現に全力を挙げるとともに、SDGsの推進、そしてこの後お答えいたしますけれども、デジタル化、スマートワークの実践など、社会変容への対応にも重点を置いた予算の編成に積極果敢に取り組んでまいりたいと考えています。     〔議長退席、副議長着席〕 本市行政推進のデジタル化についてであります。今般、市民サービスの向上につながる行政手続のオンライン化を進めるための条例をお諮りし、来月から、幼児を対象にした任意予防接種費の助成、町会のごみステーション設置の届出などの電子申請を可能なものから順次開始していきたいと考えています。加えて、住民票写し等の手数料のクレジット払いを年度末までに対応することで、合わせ100種類程度の手続を今年度中にオンライン化する予定としています。このほか、業務の効率化や職員の事務負担の軽減を図るため、AI、RPAなどの先端技術を積極的に活用し、デジタル化を推進していきたいと考えています。国が示す方針の動向も見極めていきながら、デジタル化をより一層推進するため、新年度予算に合わせ、新たに取り組む施策、そしてその方向性というものを示していきたいと考えています。 市職員の職務体制と研修についてお尋ねがございました。市民サービスの向上、職員の働き方改革の観点から、行政のデジタル化をより一層推進し、職場環境の整備、デジタル技術の進展に対応した人材の育成に取り組んでいくことが必要であるというふうに思っています。一方、テレワークやテレビ会議等々が普及してくるこのデジタル化時代にあっては、黒沢議員と全く同じです。このコミュニケーションを取るということが、僕はこれまで以上に大切になってくるんだというふうに思っています。こうした時代に求められる新たな時代の変容をしっかりと捉まえていきながらの職場内でのコミュニケーション、さらには面談というものも、これまで以上に大切になってくると思っています。OJTの在り方というものも見直さなければいけません。これまでのよかった点も引き継いでいきながら、時代の変容に合わせていかなければいけないというふうに思っています。直接の会話、職員間のつながりを重視した職場づくりや職員研修に取り組んでいきたいというふうに思っています。 文化芸術活動の点についてお尋ねがございました。今回のコロナ禍の中、文化芸術活動に携わる方たちは、練習や発表の機会が失われることに加え、感染対策のため、これまでどおりの活動が難しくなっていることを大変心配しています。このため、まずは文化芸術活動の継続を第一に考え、5月から、ネットでの発信事業などに対し、最大50万円の支援を行ったところであります。市民の文化芸術活動が徐々に再開されつつあった9月からは、文化芸術公演の再開を後押しするため、新型コロナウイルス感染症対策を含む運営や設営などに係る経費の2分の1、最大50万円を支援しているところであります。ただ、私もアーティストの方に直接意見を聞くことがありますけれども、今の答弁の最初に申し上げましたけれども、自主練習の環境さえままならない、さらには合同練習となると、もちろんオンラインで行ったりだとか、安全対策に万全を取るといえども、従来のとおりにはならない、ちょっとしたニュアンスというものを十分に埋め切ることができないというジレンマに陥りながらも、新たな時代に対応をされていらっしゃる声をお聞きするところであります。今後とも、現場の方の御意見をお聞きしながら、市民の文化芸術活動を支援していきたいと考えています。 押印のことについてお尋ねがございました。市民や事業者に押印を求める様式、約2,200種類がありました。国・県等の法令の定めのあるもの、さらには押印以外での本人確認の手法を精査するものを除きました約1,600種類につきましては、可能なものは年内に、その他のものにつきましても年度内には、規則や要綱を改正して、廃止することにしていきたいと考えています。今ほど申し上げた残る600種類につきましても、国等の状況であったり、また、今ほど申し上げました本人確認の手法を精査していく中で、廃止に向け、速やかに対応していきたいというふうに考えています。 ただ、一方では、議員御指摘のように、文化的な側面というものも考えていくのが文化都市金沢の務めではないかという、これは私も同感であります。私、よく揮毫を頼まれます。私なりに練習をして、心を込めて、その段階で精いっぱいの心を込めて書かさせていただきます。ただ、やはり落款を押したものを見ることによって、馬子にも衣装といいましょうか、それなりのように感じることが間々あります。篆刻というものを趣味であったり、相当レベルの高いところまで極めていらっしゃる方もいらっしゃいますし、これは間違いなく日本、アジアの文化であるというふうに思っています。大切な視点だというふうに思っています。今までも、伝統文化や無形文化財の保護、継承のため、様々な施策を講じてきたところでありますが、市独自の登録制度の在り方を含め、現在策定中の金沢市文化財保存活用地域計画の中で検討させていただければと思っています。 泉鏡花文学賞のことについてお尋ねがございました。第48回の授賞式が先般行われました。選考委員の先生方も大変御心配をいただきましたけれども、所管の部署、頑張ってくれました。万全の安全対策を取った上で、授賞式を行わさせていただきました。多くの市民の方、むしろ例年以上に多くの市民の方に会場にお越しいただいたというふうに思っています。選考委員の先生方からも評価をいただいたところであります。もともとは、文化の地方分権、金沢からの文化発信という熱い思いにより制定された賞であり、これまで、歴代の選考委員の先生方もそうそうたる方たちに選考委員になっていただいているところであります。何といっても、五木寛之先生のお力が大きかったものだというふうに思っています。かつて、五木先生は、こんなふうに選考委員会の御挨拶の中でおっしゃっていました。賞が長く続くかどうかは、市民の関心で決まるというふうにスピーチでおっしゃっておられました。市民の皆さんはもちろんのこと、私を含めた金沢市当局も心しなければならない、そんなことを強く感じさせていただきました。玉川図書館でも、泉鏡花文学賞というコーナーを設けています。入ってすぐに目につくところに場所も移させていただきました。また、地元の本屋さんの御協力もいただき、鏡花文学賞が発表されてから、そしてまた、この授賞式近辺には、本屋さんのほうでも工夫をしていただいて、特別コーナーを設けていただいているところでもあります。また、若い方たちに関心を持ってもらわなければならない、そんな思いから、金沢市内の大学生、文学部であったり、文学に関心のある大学生にお集まりいただいて、お手伝い等をしていただくということも試みてまいりました。様々な工夫を重ねていかなければいけないというふうに思っています。第50回に向けて、今、改めて黒沢議員からも問題提起をいただきました。最初のときの常任委員会の様子もお聞かせいただきました。先人の思いをいま一度胸に留めながら、第50回に向けて、さらに多くの市民の皆さんが参加しやすい、そのためにはどうしたらいいのかということを選考委員会の先生方の御意見もお聞きしながら考えていきたいと、取り組んでいきたいというふうに思っています。 また、市民文学賞ですけれども、市民の文芸活動の充実に寄与し、本市の文芸文化を下支えする役割を果たしてきた、私は意義深いものであると思っています。ただ、一方では、応募者の高齢化が目立ってきました。幅広い年代からの応募が課題であるというふうに思っています。先ほど申し上げたような学生さんなど、若い方たちにも関心を持ってもらって応募していただけるような、そんな働きかけというものも大学にしていくことも大切ではないかというふうに思っています。いずれにいたしましても、第50回をしっかりと迎えるためにも、様々な準備に取り組んでまいりたいというふうに考えています。 以上です。
    ○源野和清副議長 換気のため、しばらくお待ちください。 24番森一敏議員。     〔24番森 一敏議員質問者席へ移動〕(拍手) ◆森一敏議員 みらい金沢の一員としまして、以下、御質問させていただきます。 まず、第1点目は、当初予算編成における歳入予算についてお伺いいたします。 この1年、新型コロナウイルス感染症対策に充当した追加分を含めました、五たびの補正予算総額は554億6,700万円余に達し、さらに実質13億5,000万円余の12月補正が提案されております。特別定額給付金事業費や新型コロナ対応地方創生臨時交付金など、国庫支出金が主要な財源ではありましたが、財政調整基金や予備費の取崩しなど、本市も独自の財政出動を行ってきました。そこで、新型コロナ禍の下での本市の財政状況について、市長の御所見をまず伺います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 さきの3月の追加補正におきましては、もう災害と言ってもいい緊急かつ臨時的な措置といたしまして、財政調整基金を取り崩しました。その後、数次にわたりまして講じてきた感染拡大防止と地域経済への緊急対策では、国交付金の積極的な活用を図るなど、財源の確保に努めてきたところであり、今のところですけれども、市の財政状況は健全な範囲内に収まっているというふうに理解しています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 さて、日本経済の景況判断で共通しておりますのは、歴史的な落ち込みからは緩やかな回復基調にあるけれども、コロナ以前の水準への回復は2023年度にずれ込む。感染状況によっては大きく下振れし、雇用政策いかんでは失業率の大幅悪化が懸念されるということです。こうした中、市長は新年度の本市の税収をどのように見通しておられますでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 市税につきましては、国の予算編成や税制改正等の動向を慎重に見極める必要があると思っています。現時点で詳細に見積もることはなかなか難しいんですけれども、現下の状況を考えますと、大幅な減収になると見込まれています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 緊急的な財政出動、固定資産税などの猶予、減免による経済支援が自治体財政を圧迫するというジレンマにあって、全国市議会議長会は、予算編成に向けて地方財源確保を国に包括的に要望しております。本市としても、財源確保と地方財政計画に対する課題をどう認識し、どのように取り組むのか、方針を伺います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 今後示される地方財政計画におきましては、高齢化の進展に伴う社会保障費が増嵩する一方、コロナ禍の影響を受けた税収の落ち込みにより、財源不足を生じることが見込まれていますことから、地方の行政運営に必要な一般財源総額が確保されるかが大きな課題になってくると考えています。本市におきましても、やはり大変厳しい財政環境だというふうに考えていまして、選択と集中を徹底した施策の重点化をはじめ、事業の年度間調整、基金の有効活用、国庫補助金の導入等にこれまで以上に知恵を絞り、工夫を凝らしながら、財源の確保に取り組んでまいります。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 基本的な方針を伺いました。私たちみらい金沢としましても、年末に今年も政策予算要望書という形でいろいろな御提案を申し上げたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、2点目に移ります。ガス事業・発電事業の民営化についてです。 ガス事業・発電事業の一体譲渡準備は、ブラックボックスの中で2月の2次審査に向けて動いております。しかし、この間の各関連委員会での審査、調査により、さらに深めるべき論点が浮き彫りになりました。まず、その第1です。市民が抱く一体譲渡方針への疑問について御質問します。ある住民からの電話です。職員の熱心な勧誘にほだされ、都市ガスへ切り替えたばかりなのに、民営化するとは何事か、企業局なら先行き安心と思っていたのに。こうした声は、裏返せば、公営ガス事業への信頼と言えます。経営戦略2016は、5事業には公共性及び公益性が求められるため、今後も引き続き企業局が水とエネルギーの総合ライフライン事業者として市民に貢献していくとしております。しかも、これは2022年4月のガス導管事業の法的分離までの自由化を織り込んでおります。では、経営理念、経営ビジョン、さらにエネルギー自由化対応戦略についてどう書かれているか、市長にお尋ねします。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 経営理念ですけれども、「快適な水環境の創造とエネルギーサービスを通して、豊かな市民生活に貢献します」、これが経営理念であります。事業は具体的には、私は、水というのは、水道であり、公共下水道であり、工業用水道だと思います。エネルギーというのは、ガスであり、発電であり、また、公共下水道や工業用水道も広い意味でのエネルギーという側面もあるんだというふうに思っています。経営ビジョンですけれども、基本方針といたしましては、安定供給の確保を基本とし、投資と料金のバランスを図るため、投資の選択と集中、経営の高度化及び効率化を推進するというふうに書かれています。また、エネルギー自由化対応戦略、これちょっと長くなりますので、都市ガスと電力のことを申し上げますけれども、そのことを、エネルギー自由化を踏まえて、新たな営業戦略を展開する、そして電力のことにつきましては、事業形態を再検証し、適切な見直しを図っていくというふうになされています。制度が変わる前のものではありますけれども、しっかりと私は理念、ビジョンを明確に示しているものだというふうに理解しています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 この経営戦略の掲げている私たちに対するお約束だと思うのですけれども、これについては、今、市長がおっしゃったように、大変大切な記述がなされているというふうに思います。この間、様々に議論させていただいてまいりましたけれども、現在の企業局のこの5事業体制、この形態はドイツのシュタットベルケ、これは公営総合企業と訳したらいいでしょうか、これに最も近く、改革方向になり得ると。このことを私、もう一度取り上げてお話しておきたいと思うわけです。企業局経営戦略2016について言及していただきましたので、この5つの事業の形態というものが将来の新しい可能性を秘めていると、こういう指摘が今の言葉で表されておるんですが、これをお聞きになってどのような感想をお持ちなのか、もう一度お答えいただけますでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 様々な考え方があるというふうに思っています。私は、理念というものは、絶対によって立つところですから大切なものでありますけれども、やはり時代を捉まえた上で、その理念を実現していくためには、柔軟性を持って対応していかなければいけないと思っています。理念というものは、しっかり守っていきたいと考えています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 第2に、コンサルタント調査、あり方検討委員会、一体譲渡基本方針の流れに対する疑問について御質問します。まず、その1は、2017年度、2018年度の局内検討に加え、昨年のガス事業・発電事業あり方検討委員会での支援業務もPwCアドバイザリー合同会社であったことが判明しました。現在の譲渡先選定委員会アドバイザリーまで、5年連続の受注です。制度上の委託手続とはいえ、いかにも不自然ではないでしょうか。特別な関係との批判に、公営企業管理者はどうお答えになりますか。 ○源野和清副議長 平嶋公営企業管理者。 ◎平嶋正実公営企業管理者 いずれの年度も、法令等に基づきまして、適正に契約事務を執行してきたところでございます。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 法令や制度手続にのっとって行ってきた結果であるということですが、2017年、2018年、2019年、2020年、2億2,500万円余の委託料を金沢市はPwCに支払っております。これだけのことを続けてまいりますと、お金はもちろんのことですが、情報もこのPwCに集中的に提供されていくという経緯とも言えるんではないんでしょうか。そうしますと、一般競争入札といえども、そうしたことが作用すると、それが特別の関係と市民には見えると、このことを指摘させていただきたいと思います。 次に、2点目に移ります。パネルをちょっと御覧いただきたいと思います。 (パネルで説明) 今回、ちょっと大きくいたしました。見えますでしょうか。そのPwCアドバイザリー2018年報告書、2019年あり方検討支援業務報告書、これにはガス事業売却による経営改善への効果の疑問、民間譲渡による収支改善は困難、それから競争環境の見通しから緊急的課題ではない、競争激化は考えにくいという指摘、これです。それから、事業価値評価によっては巨額な資産価値の可能性があるということ、数字を上げました。水力発電については相対的価値が高まる、それから売電単価の引上げで5億円から15億円の純利益の可能性がある、そしてガス事業でも最大420億円という試算の手法がある、発電でも最大133億円という試算の手法がある、こういうことが書かれております。この水力発電の価値がさらに高まっていくということから、ガス企業債全額返済のための発電事業の譲渡という手法が言及されております。ここは非常に議論のあるところです。そして、一番下ですが、公営でもセット販売に公的制約なし、電力小売に法的制約なし、発電事業がガス事業に出資または長期貸付けも可能、こういう記述もなされております。これらの調査報告を市長は直接目にしておられましたでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 逐次、企業局から報告を受けているところであります。そして、その調査内容であったり、他の公営事業者の動向に関しましても、2019年度予算編成の過程の中でも報告も受けているところでありますし、後日、その資料も手にして、目にしているところであります。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 御自身で御覧になって、それを認識した上で、この間の施策の推進の御判断をなさってきたと、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 企業局と意見交換を重ねながら、様々な資料を拝見しながら、判断したものであります。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 そうしますと、このような流れにどうして判断をなさったのかということが改めて私には疑問に思えると申し上げなきゃいけないと思います。 3点目ですが、既に指摘したように、あり方検討委員会は意見の違いを残したまま、答申に至りました。その答申すら、基本方針では変えられております。それは留意事項の第1、地域エネルギーの在り方に対する責任が消えました。留意事項第3、市民の安全・安心を確保するため出資を行う、これに柔軟な企業活動を阻害しない範囲内でを加えたこと、これらを高橋元あり方検討委員長は市の御判断と答えておられますが、市長の御判断なんでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 冒頭、市民の方のお話もおっしゃいました。やはり私は、市が一定の範囲で関わっていくことが大切だというふうに思っています。ただ、やはり柔軟な企業活動というものも大切になってきますので、企業局と話合いをしながら、そういう判断をしたところであります。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 現在、募集要項に沿いまして第1次審査が終わったという段階に入っておりますが、この募集要項に、あり方検討委員会、そして基本方針、そして募集要項という、この流れの中に、この中で議論された大変重要な視点、その2点だけ、私は今言及いたしましたけれども、このことを左右するような内容が、市長と公営企業管理者と共に協議をして判断をなさったということが色濃く反映しているということですので、大変お二人の責任は重いものがあるということを私、改めて申し上げたいと思います。 3点目、譲渡基本方針並びに譲渡準備スケジュールの見直しについて御質問いたします。今ほど御紹介しましたように、私たち議員も含めて、まさに聞いていないことがあったなと、こういう事実経過や両事業に対する評価内容が議員サイドの深掘りによってようやく明らかになってまいりました。ほとんどの市民には、あの恣意的だと批判されているパブリックコメント、あの段階での情報提供しかなされていません。公営企業の経営責任、説明責任、そして市民のエネルギー自治への参加の権利に応えるには、3月の優先交渉権者選定から6月に条例改廃に至るというスケジュールは、いかにも拙速です。方針とスケジュールを見直す勇気ある判断を求めます。市長の見解を伺います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 国の制度改正、また、他の公営事業者の状況も勘案していきながら、電力・ガスを合わせた総合エネルギー市場へ市場の形態が変化しているということ、さらには人口減少や地球温暖化など、事業を取り巻く環境が大きく変化しているということ、将来にわたり、市民に対し安全で安心で安定したエネルギー供給を確保するということ、また、先人たちが培ってきた両事業を生かし、消費者にメリットのある多様なサービスの提供を図ることが私は必要であるというふうに考えています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 この基本的なお考えというのが何度か伺ってきたわけですが、市民の利益、利用者のメリット、これは一体何なのかということについて、この先ほど見ていただいたPwCの報告書の中にもいろいろと考えさせられる指摘がありますし、あり方検討委員会の中での議論も、何のために経営形態を変えるのかということについての、一体目的は何なのかということについての深掘りがなされないまま答申になった。しかも、その中で議論された一番眼目の重要な点が基本方針からも消える、消えた状態のまま現在の募集要項になる、こういう流れをたどっているわけです。このままいくのは大変拙速です。もう一回繰り返し申し上げておきますけれども、経営戦略2016を含めて、既に始まっている自由化のプロセスを織り込んで、想定して、それを前提にしてあの戦略はつくられているということをもう一度確認しておきたいと思うのです。住民監査請求が今なされております。審査が始まったようです。この中に市長を含めて公営企業管理者含めて共に、これからさらに考えたいという記載がありますので、それを申し上げたいと思います。経営戦略2016の公共サービス、総合ライフライン供給の視点を発展させた場合、どのような将来像を描くことができるのか。先ほど、法的規制なしということを申し上げました。どのような将来像を描くことができるのかという点は、市長、議会、市民の判断に大いに貢献する知見となり得る。企業局の解体、再編に話を短絡させてはならなかった。現段階において有用な、昨年は合わせて13億円を超える純黒字だったと、決算審査をいたしました。エネルギー部門を切り売りすることは、市民の共有財産の一つを失うだけではなく、企業局が多部門経営型の総合地方公企業として発展する道を閉ざすものである、こういう指摘がなされています。この可能性、私は非常に注目をしますし、これを閉ざすということをお二人の責任者の方によってなされるということになってはいけないと、私たちもそれを追認するということになってはいけないという思いが改めていたします。市民の関心も今高まってきておりますので、市民が参加しながら、この私たちの財産、特にエネルギーライフラインというものを市民のためにどうすることがより発展させることになり、課題を克服することになるのか、その議論の場を設けていただきたいと思います。もう一度、スケジュールの見直しについて、市長のお考えを確認しておきたいと思います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 先ほど申し上げました多様なサービスの提供を図ることが大切だというふうに考えていまして、令和4年4月1日の譲渡に向けて準備を進めていきたいと考えています。議論を進めていきたいと思います。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 民営化だけで解決する問題ではないという指摘を重く受け止めて、今後も議論させていただきたいと思います。 3点目へ移ります。ごみの減量化と循環型社会構築の取組についてです。 1点目、ごみ減量化への評価について。スタートした第6期ごみ処理基本計画では、パネルを御用意いたしました。 (パネルで説明) 3区分しておりますけれども、前期分の末、これを令和6年度末に置いております。ごみの総排出量を家庭系で8万6,000トン、事業系で5万8,000トン、これは一番右側のグラフです。これが令和6年の目標です。有料化導入年の平成30年度からのごみ排出量の推移を見ますと、家庭系の燃やすごみと埋立ごみの合計は、平成30年度は前年比17.4%減、この動きです。7万2,248トンへと大きく減少しております。しかし、令和元年度は1.4%増の7万3,272トン、令和2年度は上半期の速報値ですけれども、昨年上半期比で3.3%さらに増加しております。懸案であった事業系では、搬入手数料の引上げと事業者への働きかけによって、家庭系を上回る割合で減量実績が順調に上がってきております。家庭系を前期、後期に分けてグラフ化したものが、このブルーの濃いのが前期、薄いのが後期、今年度はまだ集計値は出ておりませんので、ここが入っておりません。前期、後期、それぞれこの幅は少し拡張してありますが、これは別に悪い意図を持ってしているのではありません。分かりやすくするために、上昇傾向にあるという、このことを知っていただきたいという、この意味でグラフ化しました。コロナ禍の影響を考慮しても、この傾向では、家庭系での目標達成は楽観できないように思うのですけれども、市長の御所見を伺います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 御指摘のとおり、家庭系のごみが増加傾向にあります。これは、いわゆる巣籠もりであったりだとか、テレワークということがまさに普及してきた、そうした自宅で過ごされる時間が多くなってきたということが大きな原因であるというふうに思っています。事業系ごみにつきましては、もちろん事業者の御努力もありますけれども、やはり社会経済活動が一定期間停滞してしまったということによるものが大きいんではないかというふうに思っています。家庭系ごみがちょっと増えつつありますけれども、今先ほど申し上げたような理由だと思いますけれども、ただ、そうはいっても、指定ごみ袋収集制度導入前と比較して、上半期で13.9%の減となっています。減量効果というものは、私は持続されてきているというふうに思っています。まだ推移を見極めていかなければいけませんけれども、引き続き、市民の皆さん、そして今年度、事業者の皆さんのところに入っていって説明会をする予定でありましたけれども、一、二回、私も直接行ったことはありますけれども、さらに感染状況を見ながら、御理解をいただけるならば、事業者の皆さんにもさらなる御説明をさせていただきながら、御協力をいただくように取り組んでいきたいと考えています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 有料袋の売却収入に関する御質問に移ります。家庭系ごみ有料化とコミュニティ活性化基金に関してです。本市は、有料袋販売収益は、地域コミュニティ活性化基金を通じて地域コミュニティ活性化事業に充てるという仕組みをつくりました。この基金が年々大きくなっております。有料化導入年、年度末に残額が3億666万円余でありました基金は、令和元年度末には6億97万円余に増え、本年度は予算額としてですけれども、残額が6億9,297万円余となる、そういう予定を置いております。有料化は税の二重取りとの批判を本市は否定しますが、基金の使途である地域コミュニティー活性化施策は従来の一般会計業務、これを辛辣な市民は資金洗浄とやゆするんです。高齢者や生計が不安定な世帯では、有料袋価格を下げてほしいとの声がやみません。その一方で、使途の拡大を求める地域住民の声も上がっております。有料袋販売益を同基金を経由して一般会計事業に充当するという施策は再検討が必要ではないんでしょうか。見解を伺います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 制度変更に当たりまして、この議場でも何度も議論をしており、当初から地域に還元したいというふうにずっと意見を申し上げてきまして、基金をつくらさせていただきました。現に、多くの地域の皆さんにも有効に使っていただいているところであります。ただ、やはりいろんな御意見をお聞きしながら、大きな方向性としては、私はこの方向性でいいというふうに思っておりますけれども、さらなる充実ということを考えていかなければいけないというふうに思っています。今ほど申し上げました大きな方向性につきましてはしっかりと堅持していきながら、柔軟に対応していけるところは柔軟に対応し、多くの方に地域コミュニティーの活性化に利するように使っていただければというふうに考えています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 分かりにくいと、一言で言うと、そういう感覚を持った住民の方が多いわけですけれども、私は、施策の基本理念とか整合性とか、そういう問題を宿したまま基金が膨れ上がっていると、この根本的な問題についてやはり問題意識を持っていただきたいということを重ねて申し上げます。 本来、手数料を徴収するならば、戸別収集すべきというところです。地域住民の善意によってステーション収集体制が維持されております。地域住民も高齢化に直面しております。これから、気候変動対策やプラスチックごみ削減などの地球的規模の課題に立ち向かう時代にあって、経済的インセンティブと行政の都合を優先するのではなく、市民生活に根差した具体的な目標設定の下で、市民の環境意識と参加意識に直接働きかける施策の工夫が重要だと思います。ごみ減量化の施策体系についても再考する必要がないか、市長の課題意識を伺います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 御指摘のように、これまでも、市民の皆さんの環境意識や参加意識に直接働きかける様々な施策に取り組んできました。これも議場でも何度か申し上げていますけれども、平成5年に、国は全国の市町村に有料化を提言されました。金沢市も所属している全国市長会も、平成5年の段階で、全国市長会としても取り組んでいくということを意思表示しました。本市におきましても、半透明ごみ袋であったりだとか、また、粗大ごみの有料化ということを取り組んでいきながら、皆さんの御理解をいただきながら取り組んできているところでもあります。また、食品ロスを減らしていかなければならないという現況の課題に対応すべく、推進計画に基づく様々な施策に取り組んでいます。これも市民の皆さんの環境意識に期待するところでもあります。雑紙の回収等の徹底などもそうであります。また、多くの皆さんに御理解をいただくべく、出前講座をさせていただきながら、市民の皆さんに参加意識を持ってもらう取組もしてきました。引き続き、そういうことを続けていくことによって、森議員御指摘のように、環境意識、参加意識に直接働きかける形での取組を進めていきたいと考えています。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 この体制を支える地域の実情、これに対する配慮、これは怠ってはならないということを思います。そして、経済的インセンティブだけに頼っていくということは、リバウンドというものにやはり直面をする可能性が高い。ですから、やはり市民の意識、環境に対する問題意識、これを生活にどう落とし込むかというあたりの市からの提案や市民との対話、そういう取組をぜひ進めていかなければならない、これは私も課題として持っております。 では、4点目の質問に移ります。市民のつぶやきから。 特別支援教育指針改定は、どの子も共に学べる共生教育へという願いに関してです。就学相談の時期になると、地域の通常学級への就学を願う保護者から、思いがなかなか届かないという悩みを聞きます。今般、指針改定のためのパブリックコメントでは、骨子案で基本理念、共生社会形成に向けてに賛意が寄せられる一方、そのためにインクルーシブ教育ではなく特別支援教育の推進を掲げていることが疑問視されております。共生社会形成に向けての特別支援教育とは、インクルーシブ教育と同義語なのか、また、本指針改定により、同じ場で共に学べることがどう進むのか、教育長の見解を伺います。 ○源野和清副議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 まず、初めのほうの特別支援教育はインクルーシブ教育と同義語なのかということについてお答えさせていただきたいと思います。特別支援教育指針の基本理念につきましては、インクルーシブ教育システムの視点に立ちまして、学校が全ての児童・生徒に対し、多様できめ細やかな学びの場になることを示しているものであります。特別な支援を必要とする児童・生徒への教育をより一層充実させることが共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のために必要不可欠なものだと考えています。今後も、インクルーシブ教育システム構築のために、特別支援教育を着実に進めていきたいと考えています。 もう1つ、お尋ねがございました。指針改定によって、どう同じ場で共に学ぶことが進むのかということでございました。まず、この中身についてはいろんな考え方があると思いますが、私は今考えているのは、障害の有無に関わらず、保護者の希望や子どものニーズを踏まえ、児童・生徒の健全育成の観点から、多様な学びの場や環境の充実が図られるよう取り組みたい、このことを大事にしたいと、しなければいけないと思います。もう1つは、全ての児童・生徒が多様性を受け入れられる心情や態度を育むことができるよう、指導の充実に努めていかなければならない。こうしたことを大事にしながら、新たな指針の基本理念の具現化を図っていきたい、そのように考えております。 以上でございます。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 前回の指針に比較しますと、このインクルーシブ社会への方向性というものを重視して、それを1番目に掲げるということについては大変な前進だと思うし、そのことを保護者の方々、関係者の方も大変評価しているということです。ただ、今、教育長がお答えになった障害の有無に関わらず保護者や本人の希望を尊重する、ニーズに対応する、きめ細かな学びの場を保障すると、このことは否定されることはもちろんないし、大変重要な課題なんですけれども、インクルーシブ教育と特別支援教育の違い、インクルーシブ教育とスペシャリー教育と、この違いというのは、それらが基本的に同じ場でなされる、そういう仕組みを整えなきゃいけないというところが大きく異なってくるわけです。この分けた場でこれらに対応しようとする指針にとどまってしまうんじゃないかという懸念が表明されているし、私もそのような思いがあるんで、取りまとめは来年の2月あたりかなと思いますので、さらに深い議論をしていただきたい、これは要望します。 続いて、設置する特別支援教育サポートセンターに、移転予定の小将町中学校から特学分校を切り離し、中央小学校芳斎分校と一体整備することは、同じ場で共に学ぶことから逆行する分離教育にはなりませんか。教育長の見解を伺います。 ○源野和清副議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 少々長くなりますけれども、自分の思いも述べさせていただきたいと思います。私は、金沢の子どもたちには、日々学んでいる場において、いつも友達を慈しみながら、共に仲よく学んでほしいと考えています。そうした学びの場について考えたときに、インクルーシブ教育システムの考え方に立ち、居住している地域の小学校、中学校で学ぶことが子どもたちの本来の姿ではないのかなと考えています。しかしながら、同じ障害のある児童・生徒同士の集団での学びを希望していらっしゃる御本人や、また、保護者の声も多くありますことから、今回、中央地区の教育施設の再整備や特別支援教育サポートセンター、これは仮称でありますが、この整備等、教育環境の向上に向けた取組を行う中で、小学校から中学校まで9年間の専門的でよりきめ細やかな切れ目ない支援を可能とする場として、学びの場の一体整備を図ることにいたしました。新たな施設の機能とか教育環境等につきましては、両分校に通う児童・生徒とその保護者に丁寧に説明をさせていただきながら、いま一度、どちらが将来にわたって児童・生徒の成長に適しているか考えていただきたい、そんなふうにして思っております。なお、障害のある児童・生徒と障害のない児童・生徒が交流とか、または共同学習を通して相互理解を図ることは大変大切であると捉えておりますので、新たな中央小学校と移設後の中学校、特別支援教育サポートセンター(仮称)がこれまで以上に近接すること、また、ICT機器を有効活用すること等で、教育効果がさらに向上するように最大限努めてまいりたいと考えております。 ○源野和清副議長 森一敏議員。 ◆森一敏議員 保護者の希望というものは、現実にはあると思います。しかし、そうした保護者が希望を持つという背景、情報源、これらを含めてインクルーシブの立場から見直すということが指針の方向性でなきゃいけないというふうに思います。国連の子どもの権利委員会が複数にわたって日本政府に対して勧告を出しております。2019年2月にも勧告が出ておりまして、統合された学級におけるインクルーシブ教育を発展させること、適切な配慮を提供する教員も統合された学級に配置すると、こういうことが勧告されているんです。この一体整備がそれに逆行することがないように、さらに議論していただきたいと思います。 最後に、市長にお願いします。特別支援教育支援員、これは金沢市が国に先駆けて2007年に導入したものです。現場は増員を求めております。ぜひ来年度予算編成に向けて検討していただきたいと、そのことを最後に申します。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 しっかり受け止めていきたいというふうに考えています。(拍手) ○源野和清副議長 以上で、24番森一敏議員の質疑並びに一般質問は終了いたしました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △休憩 ○源野和清副議長 この際、暫時休憩いたします。     午前11時59分 休憩-----------------------------------     午後1時2分 再開 △再開 ○源野和清副議長 出席議員数は、ただいまのところ37名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △質疑・一般質問(続き) ○源野和清副議長 休憩前の議事を継続して質疑並びに一般質問を続行いたします。 25番小林誠議員。     〔25番小林 誠議員質問者席へ移動〕(拍手) ◆小林誠議員 金沢保守議員会の一員として発言の機会を得ましたので、以下数点にわたり質問をさせていただきます。 初めに、コロナ禍における首長の役割--リーダーシップについて伺いたいと思います。 コロナ禍において、感染症対策や経済対策など、様々な課題を解決する上で、首長のリーダーシップというものがさらに重要になってきたと思います。また、10月の富山県知事選挙では、民間出身の新人が4期の現職を破り、当選を果たしましたが、新たなリーダーの誕生は、現状打破を期待する住民の意思の表れだったと言えると思います。また、先月のアメリカ大統領選挙でも、トランプ大統領は、当初、新型コロナウイルス感染症対策が拡大する前までは再選間違いなしとも言われておりましたけれども、この感染症対策の対応によって、バイデン大統領民主党政権が今後誕生する見通しであるとも言われております。そうしたことから、国民の意思が大きく動いた選挙だったと言えると思いますが、そこでコロナ禍において住民がリーダーや行政に求めるもの及びリーダーのあるべき姿について、山野市長にお伺いしたいと思います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 今回のこのコロナ禍は、私は2つの特徴があったと思っています。1つは、高度に専門的なことであったということ、もう1つは、その専門家でさえ分からない未知のジャンルであったということであります。私は、金沢市政でこのコロナ禍において様々な判断をする際、心がけてきたことは、未知なことであるだけに、市民の皆さんと情報を共有化するということを常に心がけてきました。テーマごとに何度も記者会見を開催し、金沢市の方針、そしてどうしてその方針に決めたのかということを記者会見で提示、説明をいたしました。そのお配りした資料はPDFにして、いつでも見られるようにさせていただきました。また、記者会見を終えた後、私なりに私の言葉でSNSで情報発信をするということを心がけてきました。何度もさせていただきました。やはり、このコロナ禍であるからこそ、トップが矢面に立って、トップの言葉で述べていく、そしてその段階で理路整然と述べていくということに心がけてきましたし、大切なことだというふうに思っています。そうじゃないと、私は職員の皆さんはついてこないという思いで取り組んできました。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 全国的に新しいリーダーを求める風潮がある中で、今後、石川県民も新たなリーダーを求めるということも考えられるわけでありますが、大阪府の吉村知事や北海道の鈴木知事などは、コロナ禍における対応について、住民に分かりやすい基準というものをいち早く示すことによって、政治、行政への信頼を得たと思いますが、石川県のリーダーに求めるものは何だとお考えでしょうか。石川県の県庁所在地である金沢市の山野市長にお伺いしたいと思います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 私は、この議場でも、リーダーに求められるものとして何度か述べてきておりますが、1つは、方向性を示すということ、ビジョンを示す、我が県、我が市、我が町、我が会社はこっちのほうにいくんだというビジョンを示すということ。そして、トップ一人では何にもできません。社員さん、職員の皆さん、市民の皆さん、当然、議会の皆さんの御理解がなければ進みません。やはり仲間のモチベーションを高める、私は、これは県政であろうが、市政であろうが、民間の会社であろうが、私はリーダーの資質にとって大切なことだというふうに考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 今、市長がおっしゃられたように、ビジョンを示すこと、そして先を見据えた取組ということも、やはりリーダーとしては必要なことだと思っております。 そこで、統治機構について伺いたいと思います。大阪では、11月に、いわゆる大阪都構想の住民投票が実施されました。5年前と同様に、大阪都構想は実現こそ至りませんでしたが、大阪府と大阪市の二重行政を改めることについての山野市長の御所見を伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 新聞やテレビ、ネットのニュース等でしか情報を知り得ておりません。現場のことを詳しく知っているわけではありませんので、一般論的な答えになりますけれども、大阪府と、そして政令市ですので、金沢市をはじめとした中核市や一般市とは事情が違うんだというふうに思っています。同じ行政サービスでも、二重サービスというものもあり得るということもお聞きしているところでもあります。そういうことを、バーチャル大阪都構想という表現で吉村知事はずっとおっしゃっておられましたけれども、この10年余り、知事さんと市長さんはおおむね同じ方向を向いて様々な改革をなされてきたというふうに報道でお聞きしているところであります。ただ、大阪市民の皆さんの御判断でありますので、引き続き、知事と市長が連携を取りながら大阪の発展につなげていってくれるものだと期待しています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 石川県と金沢市は、金沢港クルーズターミナルや国立工芸館の開館など、様々な事業で協調してきたと思いますが、一方で、似たようなスポーツ施設が、石川県西部緑地公園であったり金沢城北市民運動公園、両方に存在しているわけであります。便利だという市民の声が圧倒的ではありますけれども、一部市民からは、協調により一元化してもよいのではないかという声もあるわけであります。石川県の金沢市における統治機構の在り方について、市民にとってはメリットのある事業であっても、やはりそれぞれの自治体の財政的なこと、観点を考えた上で、改めていくべき点というものもあろうかと思いますが、その辺についての市長の認識についてお伺いいたします。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 今ほど具体的にお示しありましたように、金沢港の開発、国立工芸館、また、金沢大学工学部跡地のことも、県・市連携をしながら取り組んできました。一般論になりますけれども、県は、それぞれ個々の事業もそうですけれども、広域行政を担うということも県にとっての大きな役割であるというふうに思っています。やはり基礎自治体と、そこは役割は違うところもあるんだというふうに思っています。もちろん、金沢市も、今4市2町で広域的に様々な連携を取っているところではありますけれども、やはり権限としては、その2つの違いは大きいというふうに思っています。引き続き、県・市連携できるところは連携し、個別で役割分担をして取り組んでいくところは取り組んでいきたいというふうに思っています。ただ、一方では、必ずしも右肩上がりの時代ではありません。財政規模も含めてですけれども、そういう財政の在り方、統治の在り方も含めて、検討していかなければいけないとは思っています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 コロナ禍で、東京への一極集中に今まで以上に是正の動きがあるとも言われておりますが、私自身、地方分権を推進する立場ではありますけれども、今後、地方分権がさらに進むと、負担の増加につながるということも容易に想像できるわけでありますが、地方自治体が取り組むべき具体策について、地方行財政を所管する総務省出身の村山副市長にぜひ力を発揮していっていただければと思いますが、村山副市長の思いをお聞かせください。 ○源野和清副議長 村山副市長。 ◎村山卓副市長 本市は、地方分権改革の趣旨を踏まえまして、中核市初となる児童相談所の設置、また、景観に配慮した道路標識の規格の設定など、本市の実情に合った独自のまちづくりを進めてきたところでございます。一方で、権限の増加は行政の負担増加にもつながりますので、権限とともに財源は一体的に移動すべきであると考えてございます。その際には、国と地方公共団体との役割分担の明確化も必要だというように考えております。また、地方自治体自らが自主自立の気概を持ち、個性に富んだ地域社会づくりに挑戦していくことが大切だと考えておりまして、そのためには地方交付税の財政調整、また、財源保障機能の充実強化が欠かせないと考えております。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 今、村山副市長の思いをお聞かせいただきましたけれども、そういった点を踏まえて、山野市長、来年度、どのような思いで予算編成方針に臨まれるのか、また、組織運営についてはどう考えて反映されていくのか、また、行財政改革をどのように行っていくべき点があると考えるのか、市長の思いをお聞かせください。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 コロナの状況を受けた場合、例年にも増して厳しい財政環境にあるというふうに思っています。行政改革実施計画の実践に努めていくということはもちろんのこと、選択と集中を徹底した施策の重点化をはじめ、事業の年度間調整、基金の活用、国庫補助金の導入等に、これまで以上に知恵を絞っていきたいというふうに思っています。 東京一極集中の是正のことについてですけれども、これまでも、流入人口を増やすということに取り組んできましたけれども、この時代でありますので、さらに一層、デジタル化ということを念頭に置いたことに取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。具体的にはテレワークや、はやりの言葉で言うワーケーションということも意識をしながら、定住人口という表現になるのか、交流人口の増加という表現になるのか、そういう視点も盛り込んだ形で、東京一極集中の是正に具体的に金沢市も取り組んでいければと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 コロナ禍の時代で、ぜひ、山野市長におかれましては、新たな挑戦を含めた来年度予算編成に臨んでいただければと思います。 西部地区をはじめとしたまちづくりについて伺いたいと思いますが、8月に開業したクロスゲート金沢は、地域と来訪者が交わり、にぎわいや新しい価値が創造される施設を目指しているということでありましたが、開業が完了した当該施設における本市の今後の関わりについて伺いたいと思います。
    ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 確かに開業はいたしましたけれども、隣接するホテル--ハイアットは、特にハイアットハウスは中長期滞在の方を念頭に置いたものであります。このコロナ禍でありますので、十分にその機能が発揮できているというふうにはまだ思えません。その環境を待ちながらも、ホテル側も準備をしっかりされていらっしゃるというふうに思っていますし、期待をしていきたいというふうに思っています。今月1日には、駅西広場に隣接する事業者から成ります金沢駅西広場周辺活性化協議会なるものが発足したところであります。私は、金沢市といたしましては、協議会が道路の維持管理を担うことを条件に、オープンカフェであったりだとかイベント等の実施を認めて、支援もしていければというふうに思っています。クロスゲート金沢は、オープンもいたしました。このエリア一帯で活性化につながっていくことができればというふうに期待しています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 金沢港クルーズターミナルについては、コロナ禍でクルーズ船の寄港がない中、イベントでの活用等により活性化が図られているわけでありますが、本市においては、今後、クルーズターミナルを核とした周辺地域への波及効果をもたらす取組、これをどう考えていらっしゃるのか伺います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 クルーズ船が、残念ながら、まだ来ておりません。土日のたびに様々な事業を行いながら、また、新しいものでもありますので、多くの市民、県民の方がお越しいただいています。これを機会に、私は、ぜひ金石・大野地区を中心としたこのエリア、後背地という表現を使ってもいいかもしれませんけれども、の魅力を多くの方に知っていただきたいというふうに思っています。金石・大野地区のシャトルバスの運行実験、これは金沢駅から金沢港を経由してのものであります。まちのりのポートも設置いたしました。地域の魅力を発信するマップも作成いたしました。様々な民間の活動もありますので、サポートしていきたいというふうに思っています。50周年の事業に合わせまして、金石・大野タウンウォッチを開催いたしました。天候に恵まれたこともありまして、1万人を超える方がお越しいただきました。また、シャトルバスにつきましては、去年、今年と実験的に行っているところでもありますので、引き続き、交通事業者や地元の皆さんとも相談しながら、回遊性向上策や地域の魅力発信に取り組んでまいりたいと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 今ほど市長からいろいろと答弁いただきましたけれども、来年の8月に白山市で大型ショッピングセンターが開業される予定でありますが、本市西部地区から海側環状道路で非常にアクセスしやすい位置に開業を予定しているわけでありますが、消費者が市外近郊の大型ショッピングセンターに今後流れ出ていくことは、地元の経済活性化に大きなダメージを与えかねず、地元商店街としても大変危機感を持っているわけでありますが、今後、西部地区のまちづくりを進める上で、このような課題をどう解消していこうとお考えかお聞かせください。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 今ほどお話ありました白山市の大型ショッピングセンターは、西部地区はもちろん、まちなかにとっても脅威というふうに考えています。そういうところから、関係機関、関係者にお集まりいただき、経済団体、消費者、学識経験者にもお集まりいただき、検討会議を設け、様々な対応策を今議論しているところであります。コミュニティーの連携強化であったりだとか、商店街の個性を生かしたにぎわいづくりであったりだとか、まちづくりと調和した商店街の形成といったアイデアも出ているところであります。具体的な方策を取りまとめていただきまして、来年度の予算で反映していきたいというふうに思っています。先ほど、基礎自治体である市と広域連携を担っていく県というお話もさせていただきました。ここはやはり都市機能や商業環境の形成という観点からも、やはり県御当局のほうで広域的な調整というものもぜひお願いしたいというふうに思っています。引き続き、強く働きかけていきたいというふうに考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 道路整備が進むことは、市外へのアクセスがよくなる半面、通過交通により空洞化が進むおそれもあり、金沢市としては、広域的な視点を持って今後対応していく必要があろうかと思いますので、ぜひ来年度予算にそういったことも含めて対応していただければと思います。 北陸新幹線の敦賀開業の延期は、非常に重要であると考えておりますが、各県をはじめとする沿線自治体の首長は、自治体の費用負担を認めない旨、主張しておりますけれども、山野市長の率直な思いをお聞かせいただくと同時に、延伸にストップがかかることは、見方を変えれば、金沢駅が終点となる期間が延びるということも言えるわけでありますが、敦賀開業の延期、そして大阪への予定どおりの全面開業の不透明さが増す中で、ピンチをチャンスに変える取組が必要になってくると思いますけれども、市長の思いをお聞かせください。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 2023年春という前提に、様々な準備を都道府県で、石川県もそうですけれども、取り組んできました。私は、大変残念なことだというふうに思っていますし、費用負担のことにつきましては、やはり国のほうで責任を持って財源の確保、そして工期の遅延回避に努めていただきたいというふうに思っています。金沢終点の期間が延びるというふうにおっしゃいましたけれども、長野の事例を見ても、私は、やはりつながったほうが金沢市にとって福井方面から多くの方がお越しいただくチャンスだというふうに思っていますし、金沢、石川県の皆さんも福井に行っていただいて、相互交流につながるチャンスだというふうに思っています。ただ、そのチャンスの期間が延期になったのは残念なことではありますけれども、引き続き、具体的には小松市や加賀市といった石川県内の市とも連携しながら、場合によっては福井の皆さんとも連携しながら、この間、準備をしっかり進めて、活性化につなげていくように取り組んでいきたいというふうに考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 大阪までの全面開業が大きな目的でありますから、それに向けて山野市長も積極的に取組を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。 次に、教育施設の充実について伺います。 学校トイレの洋式化ですが、現在のトイレの洋式化率はどれぐらい進んだのか、また、この1年間の進捗率と併せて伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 トイレの洋式化につきましては、各家庭での生活スタイルの変化によって、ほとんどが洋式化されていることもあり、できるだけ学校トイレの洋式化を進める必要があると認識しております。なお、児童・生徒が日常的に使用しております校舎、体育館の洋式トイレの設置率は、本年4月時点で約44%であり、昨年から88か所の改修を行った結果、約2%上昇し、平成28年度からは約15%上昇しております。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 昨年度から今年度にかけては、小中学校への空調設備の整備の前倒しをして、来年の夏には全ての小中学校でエアコンの設置が普通教室でされるということでありますけれども、エアコンの設置等は、トイレの洋式化と同じぐらい、学習環境を向上する上で大切なことであり、限りある予算の中で前倒しという決断をした市長に対しての評価をする声も多く聞かれるわけであります。昨年6月定例月議会で、私の質問に対する山野市長の答弁では、小中学校の普通教室へのエアコンの整備完了後には、トイレの洋式化に係る計画的な改修が実施できないか検討していくとのことでありましたけれども、来年の夏以降、トイレの洋式化に係る計画について、また、その計画では、いつをめどに全ての小中学校での全面洋式化を目標とするのか伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 6月定例月議会で申し上げたことは、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。国の内示を受けましたので、前倒しをさせていただきたいというふうに思っています。具体的なスケジュールをお聞きになりましたけれども、国の補助を受けながら取り組んでいきたいと思っています。毎年度、事業費が確定しているわけではありませんので、今の時点で何月何日までにということは申し上げることはできませんけれども、できるだけ早くに達成すべく、その手法の検討も含め、整備計画の策定とその実現に取り組んでいきたいと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 先日、地元紙に学校トイレについての記事が大変大きく掲載されておりました。市立の小中学校でのトイレの洋式化率が、県内では最低、そして県庁所在市で39番目とのことでありましたが、お隣の富山市では、昨年時点では洋式化率については本市と大差がなく、この1年間で一挙に洋式化をして、今、県庁所在市で富山市は日本1位となったという記事でありました。これは洋式化率を上げるという富山市長の意思を反映したものだと聞いておりますが、これを受けての山野市長の率直な感想をお聞かせください。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 先ほど手法も検討させてほしいというふうに申し上げましたけれども、いろんなやり方、考え方があるんだと思っています。便器だけを替えるということでしたら、金沢市も1年、2年で数字は大きく変わることはできるかもしれません。ただ、御存じのとおり、金沢市内の小学校、中学校というものは、建築されてから相当の年数がたっているものが多くあります。やはり便器だけを替えるということだけではなくて、その機能性であったりとか、特にコロナのこの時代ですから、環境衛生の向上ということも併せて取り組んでいくことが私は大切なんではないかというふうに思います。そうなりますと、しかるべき予算がかかってきますので、国の補助を受けていきながら取り組んでいくことになるかというふうに思っています。ただ、その手法も工夫しながら、できるだけ早い段階で取り組んでいきたいと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 確かに、今、市長がおっしゃったように、本当に洋式化率だけを上げるんであれば、富山のように本当に便器だけを替えてというようなやり方もあるんでしょうけれども、果たしてそれが子どもたちの環境にとっていいのかというような議論もありますので、ぜひ様々な工夫をしながら、この洋式化率のアップに向けて取組を進めていただければなと思っておりますし、今回、この質問をするに当たって、改めて私自身、金沢市議会の会議録検索システムを使って調べてみました。私自身、この学校トイレの洋式化については、5年前から取り上げているわけですけれども、平成10年に取り上げている議員がいました。我が会派の新谷議員であります。そのとき、20年以上前ですけれども、やはり20年以上前はまだ早かったテーマかもしれませんが、やはり20年以上前からこういった視点で本会議で取り上げている議員がいるということも、またぜひとも心に留めておいていただければと思いますし、その5年後には、粟森議員が災害に関する学校施設のトイレの重要性についても取り上げていたわけでありますので、ぜひそういったことも踏まえながら今後進めていっていただければなと思っております。 学習の椅子について伺いたいと思いますが、先日、小学校の児童の椅子に座る機会というものがありましたけれども、自分が小学生のときとほぼ同じ座面が堅い木製で、スチールのフレームの椅子でありましたが、現在、我が国においてこれだけ技術革新が進む中において、いまだに変化のない学習椅子に違和感すら覚えたわけでありますけれども、今でも小中学校においてこのような椅子を使用していることへの教育長の認識をまず伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 本市の小中学校で使用する椅子につきましては、使用するところが教室内だけではなく、運動会等で屋外での使用ということもありますので、多様な学習形態を考慮した上で、学校用家具のJIS規格に適合したものの中から採用いたしております。なお、椅子を使用するに当たりましては、必要に応じて座布団等を使うなどして、それぞれの考え方として使っていただいております。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 児童の学習環境をより向上させるためにも、やはり児童の負担が少ない椅子、今、座布団云々という話もありましたけれども、やはり通気性のよいものであったり、また、子どもたちの姿勢が正せるような椅子であったり、様々な負担のない椅子というものが今後導入されてもいいんじゃないかなという思いもありますので取り上げさせていただきましたけれども、改めていかがでしょうか。 ○源野和清副議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 学校で使用しております椅子につきましては、児童・生徒の学習能率や発育と密接な関係がありますことを踏まえて、常に成長する児童・生徒の体格に合わせて自然な姿勢が保持でき、安全で丈夫であることが大切であると考えておりまして、加えて木のぬくもりや温かさを感じることができるよう、座面が木質のものを選定いたしております。今後、児童・生徒用の椅子も含めて、教育環境の充実が図られますよう、学校の意見もお伺いしながら取り組んでまいりたいと考えております。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 今後も、児童の学習環境の向上に向けて、様々な視点でもって取り組んでいっていただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、歯と口の健康づくりについて伺います。 幼児への施策についてでありますが、令和元年度に、全ての金沢市立保育所でフッ化物洗口が本格実施され、私立の保育所等に対しては補助事業が始まりました。現在、10か所の私立の保育所でフッ化物洗口が実施されているわけでありますが、その効果が出てきているという声も聞くわけであります。先般、子どもがいる親御さんから聞いた話ですが、保育園を選ぶ際に、保育園のホームページにてフッ化物洗口をしているとの記載があったことから、そこの保育園に通わせてみようと思っているというような話をしておりましたけれども、今や、フッ化物洗口を実施しているかどうかが保育園を選ぶ際の基準の一つにもなっているということであります。フッ化物洗口の効果も併せ、積極的にフッ化物洗口を行っている保育園を例えば金沢子育てお役立ちウェブのびのびビーノに掲載してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 フッ化物洗口の補助事業は、まだ2年目であります。歯科医師会のほうにおきまして、様々な検証を行っていただいているところであります。御指摘の子育てお役立ちウェブは、保育、子育て支援のサービスを掲載することとしておりますので、フッ化物洗口のように保育所ごとの特色のある取組につきましては、各園において周知をお願いしている段階であります。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 のびのびビーノに関する掲載はなかなか難しいということでありますけれども、様々な形で、やっぱり親御さんに伝えるような方策を今後考えていっていただければなと思っております。 最初に補助を受けた私立の保育所への補助事業が今年度で終了するわけでありますけれども、事業規模の拡大を含めた新たな施策について伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 2年間を上限に補助をしているところでありますけれども、やはり一定の効果が各保育所のほうからもお聞きしているところでもあります。子どもの歯と口の健康づくりの取組を推進するために、補助内容の充実について、先ほど申し上げました歯科医師会の先生方等の御意見もお聞きしながら、充実について検討を重ねていきたいと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 次に、児童・生徒への施策についてであります。新型コロナウイルス感染拡大に伴って、飛沫の飛散のおそれがあるため、フッ化物洗口を今年度は中止しているということでありましたけれども、保育施設でできて小学校でできない理由、改めて伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 昨年度の成果と課題を踏まえながら、今年度についてはもう少し一歩前進した取組ができないかと考えておりましたけれども、この新型コロナウイルスの感染が拡大してまいったという状況がございます。特に金沢市立小中学校では、2学期に入りまして、2校で児童・生徒と教員が新型コロナウイルスに感染したことによりまして臨時休業を余儀なくされたことを踏まえまして、まずは学びの保障を第一に考え、国の衛生管理マニュアル及び市のガイドラインに基づいた感染症対策をこれまで以上に徹底をしながら、可能な限り感染リスクの低減に努めていることをまず御理解いただきたいと思っています。モデル校でのフッ化物洗口の試行につきましては、感染拡大の状況や、また、保護者の理解が重要でありますことから、こうしたことを見極めて再開してまいりたいと考えております。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 もちろん感染拡大の防止というものは大変大切なことだと思っておりますので、そのことに意を用いなければいけませんけれども、改めて、このフッ化物洗口というものも効果がある事業でありますから、今、モデル校に指定されている学校におかれましては、今の状況を踏まえて、速やかにフッ化物洗口が実施できるようにまた進めていっていただければなと思いますので、お願いいたします。 保育所だけでなく、昨年度からこういった小学校でもモデル事業が開始されたわけでありますが、今年度はなかなかコロナ禍で実施できていないという状況でもありますけれども、改めて今後、モデル校を増やしていくのか、また、本格実施していくおつもりなのか伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 今後につきましては、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策を最優先に学びの保障に努め、モデル校での試行再開後は、フッ化物洗口の取組につきまして校長会等と協議を重ねてまいりたいと考えています。なお、試行再開まででありますけれども、フッ化物洗口に関する教材やリーフレットをしっかりと準備しておりますので、そういったものを活用した保健指導を通して、家庭での実施を促す取組を行っていきたいと考えております。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 高齢者施策について伺いたいと思います。今年の6月に、九州大学の共同研究チームがいわゆる認知症と歯周病の因果関係があるということを発表したわけであります。高齢者にとって口腔機能の向上が重要であるということを改めて証明したものでありますけれども、これを受けて、山野市長の所見を伺いたいと思います。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 仰せの研究論文ですけれども、私がお聞きしたところでは、動物による実験結果であるということをお聞きしています。人に関しても同様のことが言えるかどうか、さらなる研究成果を進めていくというふうにお聞きしているところであります。ただ、この今回の九州大学の場合はともかくとして、様々な事例で、歯と口の健康がフレイル対策に大いに役立つという事例もお聞きしているところでありますので、そういうことを意識をしながら施策に取り組んでまいりたいというふうに思っています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 市内の多くの歯科医院で、歯つらつ健康プログラムが実施できる体制を整えてから1年が経過をしましたが、今年度はコロナ禍ということもあり、このプログラムの利用状況はわずか5件程度だったと聞いております。検診を受けるだけでも病気になるリスクが下がるというような話もありますけれども、来年度に向けて、コロナ禍を踏まえた施策の充実及び新しい施策を講じていくことに対する市長の思いをお聞かせください。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 コロナの関係もありまして、大変残念なことになっています。明年度ですけれども、中止した事業もありますけれども、十分な感染防止対策を講じることがまず一番だというふうに思っています。さらには、ICTを活用したオンライン講座の手法を導入するなどして、どんな形でできるか研究を重ねていきながら、何とか再開していきたいというふうに思っています。また、出前講座なども行っています。運動もそうですけれども、口の中をきれいにするということがフレイルに大変意義があるんだという情報発信を強化していくことによって、コロナ禍における高齢者の積極的なフレイル予防事業への参加というものを促していきたいと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 最後の質問項目に移ります。 働き方改革についてでありますが、本市職員については、コロナ禍を踏まえ、育児、介護等を理由とした時差出勤や在宅型テレワークが7月から希望により可能になったということでありますが、現在までの利用状況をどのように捉えているのか、また、今後の目標値があるのか伺います。 ○源野和清副議長 松田総務局長。 ◎松田滋人総務局長 時差出勤につきましては、育児、介護等を理由に、11月末までに11人が行っており、コロナ禍における職場の3密回避を理由に実施したものを含めますと、198人が時差出勤を実施いたしました。また、テレワークにつきましては、7月から10月までに、対象職員の8割に当たる約1,500人がテレワークを体験したところであります。現在は試行の第2段階として、育児、介護中の職員のほか、課などの職場全体でテレワークに取り組んでおり、11月末時点で9課72人がテレワークを実施したところであります。ただ、こうした取組につきましては、柔軟な働き方として定着を目指しているものでございまして、目標値を設定することは考えておりません。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 来年度からは、本格実施する予定はありますでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 今、局長が申し上げましたように、11月から新しいステージで今行っているところであります。情報を収集していきながら、来年度から新しい取組、さらに進めていければというふうに思っています。ただ、どんな進め方がいいかということは、今の第2段階、新しい段階での情報を収集しながら考えていきたいと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 どんなということでありますが、少し提案させていただければと思うのですが、子育てに合わせたフレキシブルな働き方を応援するため、いま一歩進んだことを提案させていただきますけれども、やはりテレワークによる仕事の復帰及びコアタイムの撤廃というものが重要になってくるんじゃないかなと思いますが、例えば子どもの昼寝中や子どもが寝た後など、都合のよい時間帯に自宅でテレワークを実施することで、単純な時短勤務と比べて、しっかりと育児に向き合いつつ、職場や社会とのつながりが確保できるため、罪悪感の解消、スムーズな職場への復帰につなげることができるのではないかと考えます。育休からテレワークによる仕事復帰、通常の時短勤務により職場復帰、そしてフルタイムへの復帰というものがステップを踏むことができると思いますが、いかがでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 テレワークによる仕事復帰については、既に試行しているところであります。まさに試行の期間でありますので、情報を収集しながら、これから課題になってくるというふうに思っています。 コアタイムの撤廃について御提案いただきました。ただ、御存じのとおり、金沢市は窓口職場の取扱いという課題もあります。市民に直接、基礎自治体ですので、触れ合う機会が多いということ、また、職員の服務管理など、課題もまだまだ多いんではないかというふうに思っていますので、今のところ難しいんではないかというふうに思っています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 意識改革について伺いたいと思いますが、女性は家庭、男性は仕事という無意識の偏見の克服が大きな課題であると思います。ある企業は、この無意識の偏見を認識するためのテストを導入しているということでありましたし、また、別の企業では、子育てや介護の当事者になり切って働く取組ということを行っているとお聞きしますが、本市においても、こういった意識改革を促す取組として、このようなテストや取組の導入を検討してみてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 テレワークの推進ということが私はその一つの取組だというふうに思っています。まず、そこをしっかりと進めていきたいというふうに思っています。本市では、新規採用職員研修、新任課長級研修の中で、育休取得男性職員の体験談の紹介、職員のワーク・ライフ・バランスを考える研修などを実施しています。そして、毎週水曜日にノー残業デーとして、各職員のパソコンへのメッセージの表示や庁内放送による注意喚起を行い、早く帰宅するように指導しているところでありまして、さらにそれを徹底させるというところから始めていきたいと考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 民間企業への働きかけについて伺いたいと思いますが、働き方改革関連法の施行により、来年1月からの子どもの看護休暇や親の介護休暇の時間単位での取得が可能になることや、令和5年4月から、中小企業に対する60時間超の割増し賃金率5割の適用など、経営者としても今後の変革を見据えた取組が求められると思いますが、やはりこの市役所においても民間企業に対してロールモデルを示すことが重要であると思いますが、市長はどう捉えていますでしょうか。 ○源野和清副議長 山野市長。 ◎山野之義市長 本市におきましても、休暇の取得の促進、時間外勤務の縮減等を図るため、デジタル技術を活用した効率的な業務遂行を推進するほか、年次有給休暇使用計画表の作成や業務改善研修の実施など、職員次世代育成支援プランに基づく様々な取組を行っています。こうした内容を発信していくことが大切なんだというふうに考えています。 ○源野和清副議長 小林誠議員。 ◆小林誠議員 ぜひ民間企業に対しても啓発を含めて、市長のほうからぜひ様々な発信をしていっていただければと思います。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○源野和清副議長 以上で、25番小林誠議員の質疑並びに一般質問は終了いたしました。(拍手) 換気のため、しばらくお待ちください。 31番秋島太議員。     〔31番秋島 太議員登壇〕(拍手) ◆秋島太議員 質問の機会を得ましたので、公明党金沢市議員会の一員として、以下数点にわたって質問いたします。 2年ぶりの質問になりますので、最後まで一生懸命頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。 最初の質問は、令和3年度予算編成方針についてであります。 新型コロナウイルス感染拡大により、社会情勢が一変した本年、感染拡大防止の対応や新しい生活様式が求められる中、経済活動の回復はいまだ先行きが見通せないままであります。令和3年度の予算編成は、相当額の歳入減が予想され、歳出の削減が焦点となる厳しい予算編成とならざるを得ません。そこで、今回提出された令和3年度予算編成方針についてお伺いします。予算編成方針では、予算を大胆に重点化するとして、市民生活の安全・安心の確保、世界の交流拠点都市金沢に向けた重点戦略の実践と市民協働・広域連携の促進が重点化の項目として上げられています。歳入減が見込まれる中、コロナ感染防止の十分な対応が必要不可欠となります。加えて、基本的な考え方の中では、子どもを育む環境や子育て支援策の充実に積極的に取り組むとされています。まずは、令和3年度予算編成に当たって、コロナ感染防止の施策や重点を置くとされた子育て支援策をはじめ、どのような市政運営を目指す予算とするのかお伺いいたします。 令和2年度中期財政計画では、リーマンショック時のデータが参考にされています。来年度における歳入減の規模の想定は難しいものの、リーマンショック以上の減額が免れない状況となるのは誰の目に見ても明らかであります。加えて、経済の回復が2年、または3年かかるとも言われる中、複数年にわたり歳入減が続くことも十分想定されます。このような中、リーマンショックの影響払拭に10年余りかかったことを考え合わせると、歳出額の大きい公共事業の進め方は最も慎重な判断が必要であります。金沢美術工芸大学の移転や中央地区の教育施設整備など、現在進行しているものやインフラ再整備、長寿命化に係る事業は優先せざるを得ませんが、次に着手される中央卸売市場、市立病院、金沢歌劇座の建て替えなど、大規模な公共工事、公共事業をどのように進めていくお考えか、御所見をお伺いいたします。 また、各施策においても、個々の業績評価を厳しく精査し、統廃合や効果が期待できる事業に集中させることはもちろん、社会状況の変容に対応するとの編成方針に鑑み、全く新しいアプローチを模索するなど、大胆な選択と集中の手法が問われます。明年の施策の予算化をどのような判断基準を持って行われるのかお伺いします。 次年度は、行政のデジタル化の推進が大きな課題となります。しかし、この取組においては、相当額の支出が必要となります。コロナ禍の厳しい財政状況における投資は、その成果をより確実なものにすることが求められます。行政分野における生産性の向上や働き方改革の市民サービスにどのように波及させていくのかお伺いします。 さらに、扶助費については、市単独の制度について、持続可能な制度への再構築に向けて見直す、また、その他一般行政経費については、各種補助制度の補助対象の明確化や交付要件の厳格化について言及されていますが、これらの視点と市民サービス維持向上についてどのようにバランスを取るのかお伺いいたします。 質問の2点目は、獣害対策と森林環境譲与税についてであります。 経済環境常任委員会での報告によれば、熊の10月の目撃・痕跡回数は、昨年度の31件に対して今年は136件となっており、人身被害も発生しています。本市における熊による人身被害は、11月末で4件、4人となりましたが、農業被害も出ているとお聞きします。市民相談を受けた神谷内町のリンゴ園では、9月下旬からリンゴの被害が相次ぎ、森林再生課におりを設置していただきましたが、その後も例年になく被害が続き、リンゴの実だけでなく、木の下枝もほとんど折られてしまいました。収穫量がどこまで落ちるのかと落胆した事業者に、かける言葉がありませんでした。現在までの熊、イノシシ、猿による農業被害の状況をお聞かせください。 さきのリンゴ園では、3年ほど前から、熊が秋の時期の農園に来るようになり、これまでは大きな被害となっていませんでしたが、今年は例年になく被害が続いているとのことで、市内においても何か所も被害が報告されています。里山に人が入らなくなり、里山が荒廃することで熊やイノシシの被害につながっているとの指摘は以前からあり、今後は、より効果的な対応が必要となっていると考えます。電気柵やおりの設置などの対処的な対応では、事業者が農業を続けていく気力を失いかねない状況になっております。農業を次の世代に継がせることにもちゅうちょする状況が続けば、さらに里山や農地は荒れていきます。次年度に向けて、市民の安心・安全確保の点からも、早急かつ効果的な対策を検討し、実施していくべきだと考えますが、御所見を伺います。 獣害対策として、既に電気柵設置に対して助成制度があります。しかし、電気柵は、下草による漏電防止のために除草作業が増え、農家にとっては負担であり、広範囲での設置は難しいとお聞きしています。今後、費用はかかりますが、ワイヤーメッシュの防護柵への転換が必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。 昨年、森林経営管理法が制定され、全国において管理不足が問題となっている森林の適正な管理と林業の成長産業化を目指す森林経営管理制度が新たにスタートし、森林の整備を市に委託することができることになりました。一方で、従来から、ふるさとの森づくり協定制度においても森林の整備を市が支援しているところですが、それぞれ2つの制度の活用状況と今後の課題をお伺いいたします。 森林を管理、保全する財源として、国は国税として、2024年から1人年額1,000円の森林環境税を徴収します。現在は森林環境譲与税として譲与されていますが、本年度の本市への譲与金額は幾らあり、今後どのように推移するのかお伺いいたします。 全国において、森林環境譲与税がスタートした2019年度の取組実績は、間伐などの利用が全体の53%、基金への積立てが38%だったと報じられております。本市における状況をお伺いいたします。 獣害対策は、石川県の管理計画に基づくものではありますが、熊の頭数が増えているとも言われ、人身や農業の被害に至っている中で、捕獲数増など、県に対してどのような要請をしているのかお伺いいたします。 里山整備の一例として、富山市では、里山の整備による健康施策として、呉羽丘陵フットパスが1周5キロ程度のコースとして整備されています。フットパスとは、イギリスで歩行者専用の道のことを指し、牧場や森林などの田園地帯から市街地の緑地帯まで、全土に網の目のように道が張り巡らされているものです。そこは歩くという権利が認められているので、たとえ私有地であっても、フットパスと認められれば誰でも自由に通行できるようになっています。熊やイノシシの人身被害の防止をした上でのことになりますが、本市においても、市民の健康づくりや自然を楽しむための道として、里山の緩衝地帯を整備するという方法もあるのではないかと考えます。里山の活性化に向けた新たな施策として検討する価値があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 質問の3点目は、ESD・SDGsの担い手を育む教育についてであります。 本市は、金沢版総合戦略においても、SDGsを重要な視点として位置づけ、先進的な取組を行っています。その取組の評価として、本年、政府よりSDGs未来都市に、加賀市、能美市とともに選ばれました。その中でも、本市は、先進的と評価されたモデル事業の10自治体の一つとして県内では唯一選ばれたことに対し、敬意を表したいと思います。これまでの本市におけるSDGsの取組及びモデル事業のどのような点が先進的と評価されたのかお伺いいたします。 これまでの取組は、市御当局や金沢青年会議所の皆さんが主体的に取組を進められてこられたと思います。次の段階に進むに当たり、市民に広く理解され、金沢SDGsの取組に参加していただくことが不可欠だと考えます。そこで、お尋ねいたします。現状の本市における市民へのSDGsの認知度はどの程度であり、取組への参加の意欲はどの程度あるとお考えかお聞かせください。 SDGsの目標達成は2030年、あと10年となりました。これまで1992年に、国連環境会議において、持続可能な開発のための教育の重要性が指摘されました。様々な取組が大切ですが、中でも永続的な取組としていくための次世代の担い手づくりが必要であります。そこで、国連は2005年から2014年までを持続可能な開発のための教育の10年と定め、取組を展開、これがESDの推進につながっています。本市においても、ESDを推進するため、ユネスコが提唱する国際的ネットワークであるユネスコスクールへの市立小中学校の加盟を推進し、金沢に学び世界に発信する質の高い教育の実現を目指しております。その中で、平成30年度には、全ての小中学校がユネスコスクールへの加盟を果たし、環境教育や国際理解教育、伝統や文化に関する教育等のESDに関する実践を進めていると聞いています。そこで、本市の小中学校におけるこれまでのESDの取組の成果について御所見をお伺いいたします。 また、ESDが単なる知識の習得ではなく、家族や地域と協働した具体的な活動を通して学ぶことにより、SDGsの市民や地域への広がりを築いていけると考えます。さらには、学びの場における多様性や共生社会の実現に向けての大きな啓発を呼び起こすものであるとの期待もしています。そこで、本市の小中学校においては、これまでのESDの取組を生かしてSDGsにどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 質問の4点目は、ヤングケアラーの対応についてであります。 来季は第5次となる金沢市障害者計画--ノーマライゼーションプラン2021がスタートとなります。次期の計画が、多様性を認め合う共生社会を構築するために大きな役割を担うものになることを期待しています。ノーマライゼーションプランには直接含まれないかもしれませんが、障害のある家族を介護する18歳未満のヤングケアラーについて、最近問題として取り上げられるようになりました。18歳未満の児童・生徒が介護に携わる理由は、家族が障害者の場合だけでなく、難病や認知症、高齢者の介護と、多様な要因があります。また、家族をケアする形も多様であります。買物、料理、掃除などの家事をしている、兄弟の面倒を見ている、アルコールや薬物、ギャンブルなど、問題のある家族の対応、家計を支えるために労働しているなどが上げられます。家族形態の多様化や高齢化の影響により、このような状況に置かれている児童・生徒が身近でも見られるようになってきています。全国のヤングケアラーの人数や実態に関する公式なデータはありませんが、2016年に大阪府の公立校10校を対象に行われた研究調査では、生徒の5.2%が家族の介護をしているとの報告があります。また、総務省の就業構造基本調査によれば、15歳以上30歳未満で介護を担う人は、2012年の17万7,600人から2017年には21万100人と、3万人以上増えました。ヤングケアラーを支援するためには、行政や学校など、幅広い関係機関の理解が不可欠ですが、ヤングケアラーの概念の認識については広がりつつあるものの、まだ十分とは言えない状態であるとの指摘もあります。そこで、本市はヤングケアラーの概念をどの程度認識されているのかお伺いいたします。 ヤングケアラーは、同世代に悩みを共有できる人が少なく、孤立しがちであるとも言われています。さらに、手伝いと過激なケアの線引きが難しい、介護が日常となって支援が必要な状況を子ども自身が認識していないことなどが支援を難しくしているとも言われています。今後、さらなる高齢者の増加や少子化が進むことに加え、親の働き方改革によって就業期間が延長されることにより、ヤングケアラーが増加する可能性を踏まえ、本市においてもヤングケアラーの実態調査及び職員に対して広く認識を共有すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない過重負担によって心身が疲弊し、学業や進路に影響するケースが報告されています。要保護児童対策協議会が行った調査によれば、ヤングケアラーの31.2%が学校等にもあまり行けていない、休みがちと回答しています。また、進学や就職に支障を来す場合もあり、早期に子どものSOSに気づく仕組みをつくる必要があると考えます。今後、このような子どもたちをどのように支援していくか、支援の在り方も問われます。支援においては、児童・生徒に直接関わる部署や間接的には子どもに介護されている側を担当する部署など、多くの課が関わることになります。本市において、どの部署が支援の主体となり、どの部署が関わっていくのか、御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手) ○源野和清副議長 山野市長。     〔山野之義市長登壇〕 ◎山野之義市長 31番秋島議員にお答えいたします。 明年度予算のことについてお尋ねがございました。何といっても、感染拡大の防止、医療提供体制の充実、さらには市民の暮らしの安定を最優先に、地域経済の活性化と雇用の確保というものを第一に考えていきたいと思っています。あわせて、御指摘ありましたように、未来を担う子どもへの投資ということにも格段に意を用いていきたい、そしてまた、SDGsの推進、デジタル化、スマートワークの実践など、社会変容への対応にも重点を置いた持続可能な予算編成に取り組んでいきたいと思っています。 大規模な公共事業に関してですけれども、高度成長時代から昭和の時代に造られた大規模な施設が老朽化してきました。建て替えであったり、大規模修繕ということが必要になってきます。その際は、規模の適正化、民間活力の導入等を十分検討し、新たな財源の開拓、基金の有効活用、さらにはコロナ禍における地方財政対策を見極め、財政の健全性を常に念頭に置きながら、計画的な事業遂行に進めてまいります。 大胆な選択と集中が必要ではないかと、全く同感であります。交流拠点都市推進特別枠という枠、さらには新たな日常推進特別枠を設けるなど、要求基準の重点化を図ったところであり、既存事業の見直しと併せ、これまで以上に選択と集中を徹底した予算に取り組んでいきたいと思っています。 デジタル化の投資をどう市民サービスにつなげるかということです。限られたマンパワーであります。多様化、複雑化する住民ニーズに対応していくためにも、私は、行政のデジタル化、さらには職員、担っていくのは職員ですから、職員の働き方改革を進め、生産性を高めることが必要であるというふうに思っています。今回、略称ではありますけれども、デジタル行政推進条例をお諮りし、市役所窓口に訪れることがなく手続が完了する電子申請を大幅に拡大していきたいと思っています。これは、市民にとっても職員にとっても有益なものだというふうに思っています。さらに、国の動向を踏まえながら進めていきたいと考えています。     〔副議長退席、議長着席〕 少子化、高齢化という大きな流れはなかなか止めることはできません。国に合わせ、扶助費の見直しを検討するということは、これは国・地方にとって喫緊の課題であるというふうに思っています。各種補助制度につきましても、交付団体や市民生活への影響に十分配慮しながら、公益上の必要性、費用対効果、さらには行政と市民との役割分担を明確化する中で、補助事業の効果をより一層高めていきたいというふうに思っています。市民の要望に応え得る財政体質を維持していくことによって、市民サービスの維持、向上に努めてまいります。 獣害対策、森林環境譲与税のことについてお尋ねがございました。今年になりまして、農産物の被害だけではなく、人身事故も幾つか発生し、対策が必要だというふうに思っています。やぶの刈り払い等による近づけない環境整備、電気柵等による農地、農作物の防護、さらにはおりの設置による捕獲の3つを組み合わせた総合的な取組を実施することが大切だと思っています。また、熊につきましては、ドローンを活用した探索など、先端技術を生かしていきながら捕獲の強化に努めており、今後、より効果的な対策ができないか研究していきたいというふうに思っています。 ワイヤーメッシュの防護柵について御提案をいただきました。電気柵と比べますと、設置費用が大変高くなります。中山間地域全体に設置するとなると、地元負担など課題が多いというふうに思っています。専門家の先生からお聞きしておりますけれども、電気柵による対策が最も効果的ではないかということもお聞きしています。まずは、この電気柵の設置を基本とし、地元負担の軽減が図られるように検討を重ねていきたいというふうに思っています。 里山のことにつきまして、フットパスについてお尋ねがございました。住民の健康づくりに有効であるということをお聞きし、また、地元の魅力の再発見にもつながり、国内でも、少しずつではありますけれども、広がりを見せていますし、そのことが里山の活性化に寄与するともお聞きしています。本市におきましても、古道や従来の散策路などを活用した史跡巡りや自然散策の取組などが各所で行われているところであります。新たな整備ですけれども、民有地も本市の場合は多くありますので、御理解もいただかなければなりません。地域の皆さんの声をお聞きしながら、対応することができるのか、少し宿題として研究させていただければと思っています。 SDGsのことについてお尋ねがございました。未来都市に認めていただきました。これは、これまで担当部署を中心に、SDGsの行動計画--金沢ミライシナリオの策定の段階から、本市だけではなくて、国連大学、金沢青年会議所、さらには多くの活動主体の皆さんと議論しながら具体的な取組を進めてきた、私は、そのことが評価をいただいて未来都市に選定してもらったんだというふうに思っています。モデル事業につきましては、消費型観光から責任ある持続可能な交流型観光への転換を意識した提案であるということ、観光地のモデル形成は広く他地域への貢献も期待できる、そんな視点から、観光以外にも幅広い経済社会の取組、共に取り組む関係者を広げる仕組みも期待できるというところから評価を受け、モデル事業に選定をいただいたものだというふうに思っています。 7月にeモニターを行いました。SDGsという言葉を聞いたことがありますかという設問で、全体で約6割の方が知っているということでありました。今回、金沢市が未来都市に選定されたのを契機に、新聞、ラジオ、リーフレット、ホームページ、SNS等による周知広報を実施しているところであり、少しずつではありますけれども、認知度も高まってきているんではないかというふうに思っています。この7月に、本市と共にSDGsに取り組んでもらうパートナーズ制度を創設しました。60を超える企業、団体に登録をいただいています。11月には、市民講座を開催し、ワークショップを実施するなど、多様な主体が連携して取り組む機運が高まっており、様々な機会を捉まえて、さらなる啓発活動に取り組み、パートナーズへの参加を促していきたいと思っています。 ヤングケアラーのことについてですけれども、障害のある家族や高齢者の介護を行っているヤングケアラーと呼ばれる子どもたちは、家族愛を基に介護を行っていることも考えられますが、これが日常的に強いられているとするならば、子どもとしての健やかな成長への影響、教育を受ける機会が阻害されるおそれがあると懸念しているところであります。 国が実態調査を行う予定とお聞きしておりまして、現在、調査方法等を調整中であるとお聞きしています。まずは、その動向を注視していきたいと思っています。本市職員については、子どもに関わる部署のみならず、高齢者や障害のある方たちの支援に関わる部署が、その業務において同居する子どもの状況を把握するなど、ヤングケアラーについて認識することが必要であるというふうに思っています。 家族の介護を担っている子どもの支援につきましては、まずは子どもと接することが多い機関による早期発見が必要であり、子どもが孤立しないような速やかな対応というものが必要だというふうに思っています。子どもに関する様々な相談、支援を担当するこども相談センターに加え、日々、子どもの状況を把握している各学校が主体になるとも考えられます。高齢者や障害のある方の支援に関わる福祉局、保健局、教育委員会各課が関わっていくとともに、金沢こども見守りネットワークにおいても連携を強化していきたいと考えています。 私のほうからは以上です。 ○野本正人議長 長谷農林水産局長。 ◎長谷進一農林水産局長 獣害対策と森林環境譲与税につきまして、本年の農業被害についてお尋ねでございました。熊、イノシシ、猿による農業被害につきましては、ナスやカボチャなどの野菜類、ナシ、リンゴ、桃などの果樹及び水稲などで被害があり、現在のところ、農作物の被害は約1,200万円でございます。 次に、森林管理施策の現状として、新たな森林経営管理制度と従来からのふるさとの森づくり協定制度の活用状況と今後の課題についてでございます。本年度、森林経営管理制度におきましては、モデル地区の北袋町、牧山町で、所有者より管理を委託された人工林の広葉樹林化や間伐を実施しておりますが、管理の委託を希望された森林の一部で相続登記が行われていないなどにより、所有者の特定に時間を要することが課題となっております。一方、ふるさとの森づくり協定の制度におきましては、協定を締結しております137町会を対象に、21ヘクタールの竹林伐採の支援などを行っておりますが、要望が多くございまして、効果的な伐採方法を検討しているところでございます。 次に、森林環境譲与税の本年度の本市への譲与額と今後の推移についてでございます。本年度及び次年度の譲与額は各年度約6,000万円で、令和4、5年度は各年度約7,700万円、令和6年度以降は毎年度約9,400万円で推移していく見込みでございます。 次に、森林環境譲与税の使途について、2019年度の本市の状況でございます。本市では、昨年度スタートした森林経営管理制度の市民への周知のほか、モデル地区において実施した森林の現況や所有者の意向調査に係る費用などに全額を充当しております。 次に、県への熊捕獲数要請についてであります。熊の捕獲数につきましては、石川県ツキノワグマ管理計画に基づき、年度当初40頭の許可を得ておりましたが、9月に捕獲数が40頭に近づいたため、追加の要請を行い、直ちに許可をいただきました。なお、同じように、10月、11月にも追加要請しておりまして、合計で85頭許可されております。 以上でございます。 ○野本正人議長 野口教育長。 ◎野口弘教育長 初めに、これまでのESDの取組の成果についてお答えいたします。仰せのとおり、全小中学校がユネスコスクールに加盟を果たし、総合的な学習の時間を中心に、金沢ふるさと学習において、金沢のまちに愛着と誇りを持ち、まちづくりの担い手としての資質を養うことを目的に、ユネスコスクールの趣旨を生かした実践が行われております。このように、教育課程に環境教育や伝統、文化に関する教育などのテーマを位置づけ、各教科との関連を図りながら、ESDの取組を着実に行ってきたことが大きな成果だと捉えております。 次に、これまでのESDの取組を生かしてSDGsにどのように取り組んでいくのかとの御質問についてお答えいたします。SDGsにつきましては、教科書においても触れられており、SDGsの目標や取組、理念についての理解を深めますとともに、これまで行ってまいりましたESDの取組をSDGsの視点で再評価し、持続可能な社会の担い手の育成につながるよう、金沢ふるさと学習等の探究学習をより充実させていきたいと考えております。 以上でございます。 ○野本正人議長 換気のため、しばらくお待ちください。 30番森尾嘉昭議員。     〔30番森尾嘉昭議員質問者席へ移動〕(拍手) ◆森尾嘉昭議員 私は、日本共産党市議員団の最初の質問者として、以下質問いたします。 最初に、核兵器禁止条約についてです。 核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約が来年1月に発効することが確定いたしました。3年前の2017年7月に、国連でこの条約が採択され、署名した国は85か国に上りました。その後、発効の条件となる50か国・地域が批准し、この条約が発効することとなりました。これを受けて、先月20日、広島と長崎の両市長が政府に対して、この条約への署名と批准を求める要請を行いました。市長は、昨年の12月本会議で、核兵器禁止条約を求めるヒバクシャ国際署名に自らも署名したことを明らかにしました。この条約が来年1月に発効することが確定したことについて見解を伺うとともに、政府に対してこの条約への署名と批准を求める考えはないか、まず伺いたいと思います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 世界の恒久平和、核兵器なき世界の実現は、人類全ての願いであると私は思っています。広島、長崎のような悲惨な状況が二度と繰り返されることのないよう、不断の努力をしていかなければならない、そういう思いを強くしているところであります。ただ、一方、政府といたしましては、唯一の被爆国として、核兵器保有国と、さらには条約支持国との間の国際社会におけるかけ橋になり、現実的、実践的な取組を粘り強く進めていくという考えであります。私は、それは一つの見識として理解しているところであります。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 次に、菅内閣の発足と首相が打ち出された自助、共助、公助について伺います。 菅内閣が発足し、臨んだ国会所信表明の中で述べたのが自助、共助、公助。新型コロナウイルス感染拡大が急速に進む中、国としての感染予防対策が示し得ていないとの厳しい声がございます。国民には自己責任を押しつけるこの表明は、国民の命と暮らしを守るという政治の最大の責任を投げ捨てるに等しい宣言です。市長、こうした状況の下で政治の責任が問われています。自助、共助、公助についてどのような見解をお持ちか伺います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 私は、政治家として最も大切にしたいと思っていることは自由であります。自主自立の自由というのが最も理想的なのかもしれませんが、現実的にはなかなかそういう方はいません。私も、家族であったり職員の力を借りながら、何とかこうやって仕事をできています。ただ、やはり自由を大切にしたいという思いは、政治家としての強い理念、信念であります。理想とすれば、繰り返しになりますけれども、自主自立ではありますけれども、いろんな方のお力をお借りしながら取り組んでいく、時には公のお力をお借りしながら自由というものを獲得していく、そのことが大切なんだというふうに思っています。総理は、国民のために働く内閣というふうにおっしゃっておられます。私は、総理の思いは、そこにあるんだというふうに思っています。自助、共助、公助というものも、私は素直な気持ちで受け止めたいというふうに思っています。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 この自助、共助、公助論というのは、2000年代に入って新自由主義が登場し、自助を基本とするのが成熟した国家の姿だということを打ち出して、社会保障の後退、規制緩和、公営事業の民営化などが進められてきました。その結果、貧困と格差の拡大、社会のひずみが一層広がりました。市長に伺います。地方自治体の役割というのは、そこに暮らす住民の福祉の向上を進めることだとしています。行政はどんな役割を果たすのか、行政のリーダーがどのような責任を果たすのかが問われていると思うのです。改めて伺いたいと思います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 私は、先ほどの議論でもありましたけれども、リーダーというものは、方向性を示し、仲間と一緒に取り組んでいくことだというふうに思っています。行政のことにつきましては、さらに福祉であり、環境であり、スポーツであり、様々な分野におきまして優秀な職員がいます。その職員と共に市民の福利厚生の安定のために取り組んでいく、その環境をつくっていくのが行政としてのリーダーだというふうに思っております。
    野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 そこで、新型コロナウイルス感染対策について伺います。 全国の新規感染者数が連日2,000人を超え、重症患者数が過去最高となっています。東京、北海道、大阪などでは、医療体制が逼迫し、医療崩壊が心配される事態となっています。ところが、菅内閣は、国としての有効な感染予防対策を打ち出さず、ゴー・トゥー・トラベルの一部見直しを表明しました。これに対して、危機感に乏しい、国としての責任が欠けるものだとして、国民から怒りと不安の声が上がっています。市長は、現状をどのように受け止めて、本市の感染予防対策を進めていかれるのか伺いたいと思います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 東京、大阪といった大都市、さらには北海道におきまして第3波とも言われる状況になっている、特に重症者がここに来て増えているということに大変心配しているところであります。ただ、本市は比較的落ち着いている状況にあります。これは、私は、市民、県民の皆さんが様々な工夫をなさっている、事業者や医療関係者の献身的な御努力であるというふうに思っています。決して油断することなく、引き続き、私たちができることをしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。インフルエンザがはやってくる時期でもありますので、そこはさらに意識をしなくちゃいけません。県のほうで、かかりつけ医等において相談、受診できる体制が整備されているところでもありますので、本市としても、この体制につきまして、様々な手段を用い、周知に努めていかなければいけないというふうに思っています。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 先月27日に、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が次のように述べています。人々の個々の努力に頼るステージは過ぎたと発言し、政府と自治体の対策強化を求めました。市長は、提案理由説明の中で、新しい生活様式の実践を市民に呼びかけ、お願いしました。市民の命と暮らしを守る立場に立ち、本市として感染予防対策を抜本的に強化することこそ今必要だと考えます。見解を伺います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 3月の追加補正予算、4月の臨時議会、6月、9月と議会の皆さんからのいろんな御提案もいただきながら、様々な対策を取ってきました。県とも連携をしながら取ってきました。一定の成果が出ているんではないかと思っています。これは繰り返しになりますけれども、市民の皆さん、医療関係者の皆さん、事業者の皆さんのお力添えの取組があったからこそでありますので、引き続き、油断することなく、これらの施策を進めていきたいと考えています。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 そこで、3点、具体的に伺います。第1は、PCR検査の実施を拡充していくことの課題です。とりわけ医療機関とか高齢者施設などでの職員、入院・入所者を対象に、一斉、定期的なPCR検査の実施を行うことが必要であります。高齢者施設入所前の検査について、谷本知事は前向きな発言を行っています。小松市では、65歳以上の方を対象に、検査費用の半額を助成するとして打ち出しています。加賀市では、介護施設への入所予定者の方に対して、検査費用の全額を補助するとしています。津幡町などでも、検査の補助を行うとしています。本市でも、社会的検査の実施について検討が求められると考えます。その際、国に対して検査費用の全額を補助するよう求めるべきと考えますが、市長のこの点での見解を伺います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 PCR検査体制は、現時点におきまして、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に備え、症状のある方や濃厚接触者等の感染が疑わしい人を対象としているところであります。社会的検査のことにお触れでございましたけれども、私は、今のこの体制をしっかりと維持していくことが大切だというふうに思っています。県のほうでは、介護施設等の入所者や職員の検査につきまして、サービス提供に当たって必要な場合、その費用を補助しているところでありますので、まずはこの制度の周知に取り組んでいきたいと考えています。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 PCR検査を巡って、先日、地元新聞の報道がありました。それによると、11月21日、市内に住む男性が県発熱患者等受診相談センターに相談して、PCR検査を希望したが、検査を受けられず、4日後に死亡していることが発見され、死後、陽性の判明がされたということです。この42歳の男性は、単身赴任で金沢に勤め、独り暮らしをしていたとのことです。この方の奥さんは、検査が間に合い入院できたら助かったと悔やんだと新聞報道がされております。市長、PCR検査について希望があれば受けられる体制をつくることが必要だと考えますが、見解を伺います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 お尋ねの件は、報道でしか私も知り得ておりませんので申し上げることはできませんが、現在のところ、先ほど申し上げた状況で取り組んでいるところでありますので、御理解をいただければと思っています。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 では、金沢市保健所としては、今回の事例についてどのような対応を取ったのか、報告を求めたいと思います。 ○野本正人議長 荒舘保健局長。 ◎荒舘誠保健局長 今回の件につきましては、県の受診相談センターのほうで電話を受け取ったという報道がなされております。保健所のほうでは、警察のほうから、死亡者がいたということで、その検査をお願いしたいということで関わったものでございます。 以上です。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 市民の命に関わることを考えれば、行政として、PCR検査を希望のある方も受けられる体制づくりを強く求めておきたいというふうに思います。 そこで、2番目の課題として、感染拡大が急速に進むという状況を考えれば、強化しなければならない点が2つあると考えます。1つは、無症状の感染者をいち早く発見して、接触者追跡を行い、封じ込める対策を行う、そのためには保健所の強化が必要ですし、1つの保健所と3つある福祉健康センターでの体制強化が私は必要だというふうに考えます。2つ目の点では、やっぱり何といっても医療体制の強化が必要だという点では、市立病院の体制の強化とともに、市内の医療機関に対する財政支援が必要だというふうに考えます。今後の感染拡大が急速に進むことを予想するならば、本市として今強化しなければならないこの2つの点について見解を伺いたいと思います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 前段の部分におきましては、保健師さんの募集もさせていただいているところでありますし、いい方がいらっしゃったらすぐお願いしているところでもあります。また、春先4月、いわゆる第1波と言われているときには、事務職員を派遣しながら事務的なサポートもさせていただいているところであります。御指摘のように、その充実というものは大切なことだというふうに思っています。後段、市立病院の件ですけれども、その経営支援につきましては、適正な地域医療体制を確保するための広域的な観点から、これまでも、国や県が主体となり、感染防止に向けた医療資機材の配布や設備投資への助成をはじめ、融資の拡充や医療従事者への慰労金の支給などといった対策を講じてきたところでもあります。引き続き、医療機関の現状把握に努めながら、全国市長会を通じ、国や県に必要な支援を求めてまいります。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 3番目の課題は、ゴー・トゥー・トラベルについてです。全国一律の方針はやめるべきだと考えます。既に感染拡大地域での一時中止が始まっています。ゴー・トゥー・イートについては、10都道府県が販売停止を明らかにしています。そこで、本市が打ち出している五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンの継続と拡大を市長は打ち出し、クーポン券の送付とか修学旅行への助成などを打ち出しています。感染拡大が始まってからの見直しでは遅過ぎると考えます。市長は、提案理由説明の中で、適切な事業実施を述べていますが、適切でないとの判断はどのように考えておられるのでしょうか。見解を伺うとともに、観光業、宿泊業などへの支援として、全ての事業者に直接的な財政支援が必要だと考えます。併せ、見解を伺います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンは、御存じのとおり、ゴー・トゥー・トラベルと組み合わせて御利用される方がほとんどであります。国と都道府県知事がその感染状況を見ながら、そして地域経済の様子も見ながら、できるだけ地域を細分化して運用の見直しを行うという方針を掲げているところであります。幸い、金沢市は今その状況にはありませんけれども、決して油断することなく対応し、もしそういう状況になったときには、その方針に準拠することになってくるんだというふうに思っています。 また、直接的な財政支援ですけれども、これも先ほど申し上げましたけれども、3月の追加補正であったり、4月、6月、9月の議会におきましても直接的な財政支援を行いながら、私は、皆さん様々な施策に取り組んできているところであると思っています。9月定例月議会の段階から、局面が変わりつつありますので、ウィズコロナを見据えた施策がバックアップ体制が必要だという中で、五感にごちそうのキャンペーンを提案させていただいたところであります。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 この質問の最後に、新年度予算編成について伺います。新型コロナウイルス感染拡大を防ぎ、市民の命と暮らし、営業を守ることが最大の課題というふうに考えます。そういう点では、不要不急の課題を見直すという点が必要だと考えます。第1は、新しいサッカー場の建設を見送ると。建設費70億円、関連する事業を合わせると100億円の規模になります。現在のサッカー施設を利用できることから考えれば、この新しいサッカー場の建設を見送る考えはありませんでしょうか。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 新サッカー場の整備につきましては、スポーツ施設整備計画に位置づけられて取り組んでいます。また、北部地区の防災拠点という役割を担っていきたいというふうに考えています。財源の確保に努め、できる限り予定どおり進めていくことができればというふうに考えています。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 先日、市長が金沢経済同友会との話合いの中で、香林坊の日銀金沢支店の跡地について、市長は取得することも選択肢の一つだと発言したと報じられました。その跡地に歌劇座の移転新築との方向も議論されたと報じられています。事業に要する費用は、用地の取得費と建設費と合わせて数百億円規模になろうかと考えられます。市長の真意を伺います。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 意見交換の中で、日銀、まだ仕事をされていらっしゃいますけれども、跡地になった場合のことについてお尋ねになられました。ただ、御存じのとおり、まだ日銀は具体的なスケジュールを発表しているわけではありません。そして、金沢市に働きかけがあったわけではありません。ですので、一般論として3つの選択肢があるというふうにお答えいたしました。1つは、民間が取得して民間の責任で開発するということ、2つには、公が取得して公が開発するということ、3つには、公が取得して官民連携で取り組むということ、この3つが可能性としてはあり得るということを申し上げたところであります。ただ、繰り返しになりますけれども、具体的なスケジュールが発表になっているわけではありません。提案があったわけでもありません。しかも、以前でしたら、土地開発公社がありまして、先行取得ということもあったかもしれませんけれども、今は利活用というものを明確にしてから取得するということでありますので、その作業を全くしておりませんので、そのことも申し上げてきているところであります。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 質問の最後に、本市ガス事業・発電事業譲渡方針について伺います。 この10月に、この2つの事業譲渡に向け、業者の募集要項を明らかにしました。最低譲渡価格は186億円以上とし、来年3月までには優先交渉権者を決定して、事業譲渡を受ける会社が設立され、令和4年4月には事業譲渡すると、こういうことの方針で取り組まれています。そこで、この問題についての議会審議を通じて、2つの調査報告書が明らかとなりました。2018年と2020年の調査報告書です。いずれもPwCアドバイザリー合同会社が委託事業として行ったものです。この中に、ガス事業については、公営事業でなくなることによる会社負担の増加が大きいことから、民間譲渡によるガス小売業の収支改善は困難だと、そして発電事業については、金沢市発電事業は売電単価の見直しにより収益が大きく増加することが明らかとなったと、こう述べ、民間譲渡の緊急性は低いと、こう報告書が述べています。公営企業管理者に伺いたいと思います。この2つの報告書は、あり方検討委員会にも示すことはありませんでした。議会にも報告されませんでした。その理由を明らかにしていただきたいと思います。 ○野本正人議長 平嶋公営企業管理者。 ◎平嶋正実公営企業管理者 御指摘の調査報告書でございますが、小売全面自由化の進展状況、また、他社とのサービス比較、さらに財務分析、不確定要素等を含めた様々な方式による試算なども含めまして、調査を行ったものでございます。昨年度開催のあり方検討委員会におきましては、予断を持つことなく議論を進める必要があることから、この調査報告書に記載の事業価値、あるいは経営形態等についての検討委員会資料への引用を控えたところでございます。 以上でございます。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 要するに、本市企業局がこの情報を知らせたくなかった、それゆえあり方検討委員会に提出しなかった、これは隠蔽なんです。その一方で、示した資料もあります。2019年8月28日、第3回あり方検討委員会には、経営形態の比較という資料について説明がされました。経営形態を比較検討した結果、市民サービスや経営の柔軟性などの面で、株式会社化が最も望ましい経営形態だと考えられるという比較検討資料なんです。これは、譲渡方針にとって都合のいい内容だったんです。そうすると、一方では都合の悪い情報は隠し、一方では都合のいい情報は提示する、情報提供を勝手に企業局が取捨選択したんですよ。これを情報操作というんです。隠蔽して情報操作を行って、この2つの事業譲渡方針がつくられた。もう、もはやその信頼性、正当性が失われているんじゃないですか。公営企業管理者に、このまま譲渡方針を進めていいんでしょうか、見解を伺います。 ○野本正人議長 平嶋公営企業管理者。 ◎平嶋正実公営企業管理者 昨年度のあり方検討委員会では、公営企業としての役割が希薄化しているのではないか、あるいはまたもう1つは、小売全面自由化の中で市民にとって有益な経営形態というのは何なのかといった、その2つの視点で、1回、2回と検討が進められた。今御指摘のところは、3回目でございますけれども、そういったことを踏まえながら、市民にとっての最善のよき経営形態とは何なのかといったような視点の中で、それぞれ検討の対象となる経営形態として客観的な資料に基づいてお示しした。当然その中には、公営企業という経営形態も当然含めて御議論をいただいたところでございます。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 そこで、市長に伺います。2018年の調査の委託費は1,500万円、2020年の調査資料は770万円です。この費用を投じて行った2つの調査報告書なんです。先ほどの本会議でのやり取りから聞きますと、2018年の調査委託については、2019年度の予算編成の段階で報告を受けたという答弁でした。では、2020年の報告書というのは、2020年2月28日に最終報告書がされているんです。これは、いつ知ったんですか。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 あり方検討委員会に報告した資料ですので、その都度、報告を受けているところであります。逐次、様々な形で報告を受けております。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 答弁にならないんじゃないですか。もう一度、ちょっと明確に言ってほしいと思うのです。先ほどは、2018年の調査資料については、2019年度予算編成の段階で報告を受けたと言ったんですよ。2020年の資料は、その後なんですよ。答弁を求めたいと思うのです。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 逐次、報告を受けているところであります。あり方検討委員会に出された資料ですので、その都度、報告を受けているところであります。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 これは答弁にならない。報告を受けたということは、知っているということとはまた違うんですよね。じゃ、今の答弁のやり取りからすると、市長、知らなかったんじゃないんですか、この2つの資料の中身。本当に知っているんですか。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 報告を受けた後、資料も手にしながら確認をしているところであります。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 今年の9月24日、市議会のガス事業・発電事業民営化に関する特別委員会が開かれて、高橋前あり方検討委員会の委員長が参考人として御出席をいただきました。その際に、私は、この2018年の調査報告書について資料を示し、御存じですかとお聞きしました。高橋前委員長は、知りませんと答えました。今年11月12日、市議会の企業会計決算審査特別委員会が開かれて、委員会として、この2つの資料の提出を求め、その結果、この2つの調査報告書が提出されました。そうしますと、2018年の調査報告書は、2019年の予算編成の過程の中で報告を受けたと先ほど答弁されました。一方、あり方検討委員会は、この提案報告書を受けていないと言うんですよ。受けていない。仮に市長は知っていた、あり方検討委員会はこの提案は知らない。市長は、その後、あり方検討委員会に諮問したんでしょう。そして、10月に、あり方検討委員会から答申を受けたんですよ。この報告書については、知っていたとするならば、知っていたのはあなた、あり方検討委員会は知らない、そして答申を出された。この2つの事業の譲渡方針というのは、これ問題じゃないんですか、知らないと言っているんですから。市長は知っておったと。もう、どう説明されるんですか。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 あり方検討委員会では、予断を持つことなく議論を進める必要があることから、調査報告書に記載の事業価値や経営形態についての検討資料への引用を控えたということを御理解いただければというふうに思います。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 じゃ、もう1つ伺います。2018年の調査報告書の中に、発電事業について、売電価格を現在よりも1.93円上がると純利益が2倍以上になるとして、他の公営の入札価格や非化石価値を考慮した場合、金沢市発電事業の事業価値評価が472億円から1,098億円との記載があります。この内容は、市長は知っておったんですか。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 報告を受けておりますし、知ってはいます。ただ、その都市や、その電力会社によって、その規模にも違いますので、単純に金沢市の場合当てはまるというわけではないということも理解しているところであります。知っていました。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 本市ガス事業・発電事業譲渡方針による募集要項では、この2つの事業の最低譲渡価格は186億円以上としています。市長は、この調査報告による、本市の発電事業が将来1,000億円以上の事業価値があるというのを知っていたと。このまま売却を進めていいんですか。公営事業として存続することが最善の選択じゃないでしょうか。市長、どうでしょうか。 ○野本正人議長 山野市長。 ◎山野之義市長 公営事業として存続するためには、やはり地産地消という視点が私は大前提であるというふうに思っています。1,098億円というお話が出ましたけれども、今ほど申し上げましたように、事業規模であったり、これまでの電力会社の話もありますので、金沢市の場合に、それがそのまま当てはまるものではないというふうに理解しています。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 昨年の11月から今年2月にかけて、本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電事業の企業を訪問して、本市ガス事業・発電事業譲渡について意見交換という名の売り込みを行っていたことが明らかとなりました。しかも、それが本市ガス事業・発電事業譲渡方針について調査委託を請け負っていた企業であるPwCアドバイザリー合同会社からの指示によるものと、しかも訪問先にも同席していたということが明らかとなりました。公営企業管理者に説明を求めたいと思います。 ○野本正人議長 平嶋公営企業管理者。 ◎平嶋正実公営企業管理者 昨年のあり方検討委員会からの答申を踏まえまして、市としての方針を検討していく上で必要な事業譲渡の公募に対する参加意欲や応募要件等につきまして、民間譲渡した他都市においても同様に実施されております訪問による調査手法を参考に行ったものでございます。訪問先につきましては、経営状況、あるいは事業戦略等を踏まえまして、委託業者と協議の上、選定したところでございまして、相当数の企業を訪問し、多岐にわたる調査を行う必要があるため、同行したものでございます。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 事業譲渡に係る公募への参加意欲、応募要件やスケジュールなどについての意見とか要望をお聞きするという目的で訪問したと、いわば、これは事業譲渡に向けたセールスだと。時系列的に考えると、本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電事業の企業訪問を終えたのが今年の2月、そして3月に譲渡基本方針を打ち出したんです。そして、7月に譲渡先選定委員会が設置されて、10月に募集要項が公表されるということになります。とすると、本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電事業の企業の訪問を終えて、参加の意欲とか応募要件とかスケジュールの様々な意見を聞いてきたと、そしてこの本市のガス・発電事業を買い取っていただくために、企業の側の意向とか要望を聞いて、譲渡の環境を整えて、募集要項に反映したということが言えます。本市の2つの事業を廃止して民間に売却するということは、議会も議決していません、譲渡先の企業も決まっていません。これは、企業局の越権行為じゃないですか。見解を求めたいと思います。 ○野本正人議長 平嶋公営企業管理者。 ◎平嶋正実公営企業管理者 昨年度の民間企業に対する訪問調査につきましては、あり方検討委員会からの答申の後に、市としての方針を検討していく過程におきまして、パブリックコメントにおける市民からの意見、それから議会における議論に加えまして、事業譲渡の実現性や応募要件の具体化等に向けて民間企業の意見を聴取するため実施したものでございます。あくまでも調査検討のためのものでございまして、先行事例におきましても同様に実施されているものでございます。御理解いただきたいと思います。 ○野本正人議長 森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 市長に伺いたいと思います。情報を隠蔽して、情報操作まですると、そして譲渡方針を打ち出すということが明らかとなってきました。そして、譲渡方針をつくる過程の前に、前にですよ、10社の有力ガス・発電企業を訪問して意見を聞いてきた、そして募集要項を打ち出すと、こういうことを進められてきたわけです。このPwCアドバイザリー合同会社は、今年5月に約2億円で契約を結んだんですよ。これは、もうあってはならないというふうに思います。見解を伺っておいて、最後にします。 ○野本正人議長 以上で、30番森尾嘉昭議員の質疑並びに一般質問は終了いたしました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △散会 ○野本正人議長 これにて、本日の質疑並びに一般質問を終わります。 次の本会議は、明日10日午前10時から開きます。 本日はこれにて散会いたします。     午後3時8分 散会-----------------------------------  〔参考〕----------------------------------- 令和2年度金沢市議会12月定例月議会              発言者順序表発言予定日発言順序議席番号議員名会派等名12月9日(水)136福田太郎自民党235黒沢和規市議会自民党324森 一敏みらい425小林 誠金沢保守531秋島 太公明党630森尾嘉昭日本共産党12月10日(木)717上田雅大自民党816喜多浩一市議会自民党923山本由起子みらい1010前 誠一金沢保守115稲端明浩公明党1228広田美代日本共産党136熊野盛夫創生かなざわ1414坂本泰広市議会自民党12月11日(金)151荒木博文自民党1615高  誠市議会自民党173喜成清恵みらい189新谷博範金沢保守197大桑初枝日本共産党2029玉野 道創生かなざわ212田中美絵子みらい2220久保洋子自民党...