平成22年 9月 定例会(第3回) 平成22年9月15日(水曜日
)-----------------------------------◯出席議員(39名) 議長 田中 仁 副議長 福田太郎 1番 不破大仁 3番 高岩勝人 4番 野本正人 5番 小林 誠 6番 川 裕一郎 7番 小阪栄進 8番 秋島 太 9番 大桑 進 10番 山本由起子 11番 角野恵美子 12番 粟森 慨 13番 清水邦彦 14番 松村理治 15番 久保洋子 16番 安居知世 17番 宮崎雅人 18番 黒沢和規 20番 横越 徹 21番 田中展郎 22番 山野之義 23番 上田 章 24番 新村誠一 25番 苗代明彦 27番 松井純一 28番 森 一敏 29番 森尾嘉昭 30番 升 きよみ 31番 平田誠一 32番 増江 啓 33番 中西利雄 34番 安達 前 35番 井沢義武 36番 澤飯英樹 37番 玉野 道 38番 木下和吉 39番 高村佳伸 40番 宮保喜一◯欠席議員(1名) 2番
下沢広伸-----------------------------------◯説明のため出席した者 市長 山出 保 副市長 須野原 雄 副市長 森 源二
公営企業管理者 古田秀一 教育委員長 佐藤秀紀 都市政策局長 立岩里生太 総務局長 丸口邦雄 産業局長 山田克俊
産業局農林部長 米林憲英 防災管理監 前多 豊 市民局長 新家俊一 福祉健康局長 澤田 博
福祉健康局健康推進部長 西村賢了 環境局長 坂井修二 都市整局長 出口 正
都市整備局土木部長 市立病院事務局長 山下義夫 堂薗洋昭 会計管理者 山口 亮 教育長 浅香久美子 消防局長 山田 弘 財政課長
相川一郎-----------------------------------◯職務のため出席した事務局職員 事務局長 山森 茂 議事調査課長 宮田敏之
議事調査課担当課長 中宗朋之 担当課長補佐 藤家利重 担当課長補佐 上出憲之 主査 関戸浩一 主査 三屋 陽 主任 守田有史 主任 石川岳史 書記 木下隼一 総務課長補佐 村田英彦 主査 越野哲正 主任
納屋隆史-----------------------------------◯議事日程(第2号) 平成22年9月15日(水)午前10時開議 日程第1 議案第19号 金沢市手数料条例の一部改正について (提案理由説明、質疑) 日程第2 議案第1号平成22年度金沢市
一般会計補正予算(第2号)ないし議案第18号市道の路線変更について及び報告第1号専決処分の報告について (質疑) 日程第3
一般質問-----------------------------------◯本日の会議に付した事件 議事日程(第2号)に同じ----------------------------------- 午前10時4分 開議
△開議
○田中仁議長 本日の出席議員数は、ただいまのところ38名であります。 よって、会議の定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。
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△会議時間の延長について
○田中仁議長 あらかじめ本日の会議時間を延長いたしておきます。 なお、上着の着用は御自由に願います。
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△議案上程
○田中仁議長 これより、日程第1議案第19号金沢市手数料条例の一部改正についてを議題といたします。
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△提案理由の説明
○田中仁議長 市長から提案理由の説明を求めます。 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 ただいま追加提出をいたしました条例案につきまして御説明を申し上げます。 危険物貯蔵所の設置許可の申請に対する審査手数料等の額を引き下げる地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正がこの8日に行われたことを受けて、
本市手数料条例の一部を改正するものでございます。よろしく御審議、御決議のほどをお願い申し上げます。
○田中仁議長 提案理由の説明は終わりました。
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△議案上程、質疑・一般質問
○田中仁議長 これより、議案第19号についての質疑に入るのでありますが、議事の進行上、この際、日程第2議案第1号平成22年度金沢市
一般会計補正予算(第2号)ないし議案第18号市道の路線変更について及び報告第1号専決処分の報告についての議案18件、報告1件も一括して議題とし、これらの質疑並びに日程第3一般質問をあわせ行います。 通告がありますので、これより順次発言を許します。 22番山野之義議員。 〔22番山野之義議員登壇〕 (拍手)
◆山野之義議員 おはようございます。 本議会冒頭の
市長提案理由説明において、市長からは、このところ相次いだ市職員不祥事について陳謝が行われました。私も市民の一人として残念至極でありますし、特に県費負担教職員として公的な会合では金沢市のバッジをつけることにより、市職員としての自覚を促すよう働きかけてきた現場の教員による不祥事は、その内容を含めて愕然とするものがあります。しかしながら、これから大切なことは、やはり提案説明の中にあったように公務員倫理の徹底を図り、再発の防止に取り組んでいくことかと思われます。先般、民間の有識者も交えた
不祥事防止対策検討会も開かれたということですが、今後、どのような対策が進められていくのかお答えください。 当然、これまで行われてきました
公務員倫理研修のさらなる充実が求められるところではありますが、一方では、その不祥事を検証していく中で、必ずしも公務員としての自覚の欠如だけが原因とは言えない事例もふえてきているような気がして仕方がありません。具体的には、高度に専門化された業務による疲弊、もしくは時代の流れの中、個人的な事由等々による精神的なストレスに起因すると思われる事例も散見されると言われています。職員倫理研修の充実とともに、市職員の精神的なケアに向けての、これこそ専門家を交えた議論及び対応策が必要かと思われますが、いかがなものでしょうか。 さて、本議会初日に山出市長の6選出馬表明がなされました。これまでの山出市長の金沢市政における貢献には多大なものがあり、金沢というまちのブランドを高めてきた実績を高く評価するところであります。しかしながら、6期24年とは、生まれたばかりの赤ん坊が成人式を終え、社会に出て活躍するという随分長い期間と言えます。総務省の首長の多選問題に関する調査研究機関において、立憲主義の基本原理の観点から、多選制限は地方公共団体の長の権力をコントロールする合理的な手法の一つとなり得るとし、民主主義の基本原理との関係からいっても、多選制限はその理念に沿ったものと考えることもできるとされています。民主党は、さきの総選挙のマニフェストにおいて、4期目以上を目指す知事及び
政令指定都市市長に対しては推薦しないとした上で、「地方自治体の首長の4選禁止の制度化について検討していきます」と書かれています。自民党においても、知事及び政令市の首長の多選禁止を法制化できないかを検討し、一般市町村においては首長の多選自粛を促すとしています。公明党においても、やはり、首長推薦は3期までとしております。「私は、長過ぎないほうがいいと答えたいと思っております。緊張感を持ち続けなければなりませんし、謙虚さを持ち続けなければならないということから考えますと、やはりころ合いというものがあっていいのではなかろうか、それが率直な心境でございます」、これは平成5年9月議会において、市長就任1期目の山出市長が首長の多選について意見を求められた際に答えられた答弁です。まさに、新人市長の率直な思いが伝わってくるものと言えます。一方、多選批判については、市民が判断するものという声もあるようですが、前述した総務省のみならず主要政党の判断は、まさにそのような発想こそが強者の論理としての多選の弊害であるということを示唆しているものと言えます。そこで、改めて多選批判について、その出馬表明に当たって、どのように答えていかれるのか、また、市長御自身が1期目の際に述べられた率直な思いとの整合性はいかなるものか、これまでも何度か指摘されてはいますが、やはり、議会としては常に確認していくべき課題と思われますので、改めてお尋ねいたします。 さて、このような議論の中、6選出馬表明に当たって、市長御自身はこの任期中にどんなことに最も意を込めて取り組んでいこうとしているのか。金沢のまちに、金沢の市民にどのような市政を提示していこうとされているのか。一つ一つはこれから続く質問の中で答えていかれるにしても、その大きな方向性をここでお尋ねしたいと思います。 いずれにしても、それら施策の基盤になってくるのは財政と言えます。これまでも中期財政計画によって随時の見直しをしながらも、財政の健全性に意を配っておられますが、これからの人口減少、景気の不透明感の中、さらなる厳しい状況が予想されますが、どのような取り組みを考えておられるのかお答えください。 次に、昨年10月いっぱいで北陸鉄道石川線のうち
鶴来-加賀一の宮間が廃線となりました。一昨年の
地域公共交通活性化・再生法改正により、自治体がインフラ部分を保有し事業者側に無償で貸し出す、いわゆる上下分離方式が導入されて、初の路線廃止ということもあり、全国の関係者の耳目を集めることとなりました。また、その際、北鉄は他の路線についても営業収支の赤字を理由とし、存廃は今後の議論次第と述べられています。交通政策は土地利用と並んでまちづくりの根幹をなすものであり、この石川線及び浅野川線の今後のありようは、地域沿線におけるまちづくりに大きな影響を与えるものと言えますし、この課題は次期市長にとっても大変大きな仕事と言えます。まずは沿線2市2町でしっかりと長期的な展望を持った議論をし、明確な方向性を決め、その後、北鉄との話し合いになってくるかと思われますが、どのような展望を持たれているのかお聞かせください。 さらに、全国の事例を見ても、活性化・再生法に基づく取り組みがなされたのは福井県福井鉄道と鳥取県若桜鉄道の2つだけであり、いずれも県が主導的な役割を果たしています。また、現在検討中の岩手県三陸鉄道及び秋田県内陸縦貫鉄道にしても、それぞれ県が中心になって話し合いが進められているということです。よく考えれば当然のことで、県内の複数の自治体にかかわる案件だからこそ、県の存在意義があると言えます。さきの一部路線廃止の際も、県の動きは鈍かったという声が双方の関係者から漏れ聞こえるところでもあります。そういう意味では、第一義的には沿線2市2町の話し合いが大切ではありますが、その間、北鉄はもちろん県においても協力を強く求めていくことが必要と思われますが、いかがなものでしょうか。 次に、
市内中心部付近に多く見られます
駐車場案内電子板は、ITSとして国庫補助事業とされたこともあり、多くの都市で導入されてきました。本市においても、市内41カ所もの案内板が稼働し、その役割を十分に果たしてきたものと言えます。中心部駐車場の位置情報や満車・空車のいわゆる満空情報は、案内板、インターネット、携帯電話、カーナビによるVICSの4種類によりタイムリーに発信されています。案内板が出始めたころは、携帯やPCでのネット配信は現在ほど充実したものではなく、VICS対応のカーナビの普及も決して多くはありませんでした。しかしながら、ここ数年はそれらの普及も一般的となり、案内板の必要性も役割を終えたとして、全国的に見ても札幌市、岡山市、松山市、広島市、高知市、福島市等々撤去が進んでいるのが現状です。また、従前から指摘されておりますように、景観の面からいっても美しいものとは言えません。本市においても、年間700万円もの維持費がかかり、これから恒常的にかかってくる数億円単位でのつけかえ費用を考えると、そろそろ、順次撤去を考えていってもよい時期かと思われますが、いかがなものでしょうか。 ここ数年、本市を訪れる外国人観光客は、21年度は
新型インフルエンザの影響もあり減少しておりますが、それまでは右肩上がりで順調にふえてきています。台湾、韓国、中国等の伸びは従前から指摘されていますが、ヨーロッパ、アメリカの伸びは団体よりも個人で来られる方が多いこともあり、21年度であってもその伸長は維持されるという手がたいものが感じられます。個人客のニーズは、日本人も外国人も同じで、地域の風土に根差した住まい方や食などの独自の生活文化があり、それを個人客がわかりやすく体験でき、結果、リピーターがふえてきている地域が観光の勝ち組となっています。外国の方、特に個人客からすれば、日本の、そして金沢のまさに風土や
生活文化そのものが大変魅力的な観光資源と言えます。そんな中、先般、金沢で外国からの観光客を個人の自宅でおもてなしをするという活動を続けてこられた方たちの有志が集まって、新たな会が発足しました。本市としても、外国からの個人観光客に対して、金沢の生活そのものを感じてもらうという施策に、これからは意を配っていくことも必要かと思われますが、いかがなものでしょうか。 さて、冒頭にも申し上げましたように、本市を訪れる外国人で一番多いのは台湾からのお客様です。国別統計で見ても、全体の約4割を占めるほどとなっています。さきの6月議会で、私は、今年度にも石川県内で予定されている
日台観光サミットの金沢誘致を提案いたしました。県の9月補正予算では、サミット関連費が計上され、いよいよ具体的になってきたかと思われますが、その進捗状況及び現在わかっている範囲での内容をお答えください。 金沢は学生のまちとも言われ、また、全国からのビジネス客や国内外からの観光客も多く見られる都市と言えます。そういう方たちを想定し、金沢市がこれから世界都市として国内外にそのブランド価値を高めていくためにも、私は、金沢市中心部における
公衆無線LANの環境整備を本市として進めていくべきと提案いたします。現在、アイフォンを初めとしたスマートフォンが携帯電話の主流を占めつつあり、アイパッドに代表される
タブレット型コンピューターが驚くべき勢いで普及しつつあります。恐らく3年以内には携帯型の情報端末の多くがそれらに取ってかわられることになると思われます。観光客やビジネスマン、学生たちが21世紀美術館や兼六園でその光景を写真や動画で撮影し、外国を含めた遠方にタイムリーに転送する。さらにはユーチューブにアップすることによって世界じゅうに発信される。観光客がそれら端末を利用して、現地で観光案内をチェックする。もちろん外国の方なら、彼らの母国語で表示されたものを見る。万が一体調異変等困ったことが起こっても、ネットでの翻訳機能を利用し、近くにいるどなたにでも相談できる。観光スポットに定点カメラを備えつけておいて、ユーストリームにアップすれば、その混雑状況も把握できる。さきに取り上げた駐車場の満空情報もしかり。現在、日本においては、幾つかの公共施設や民間の飲食店等での無線LANは見られますが、まちなかにおいての
公衆無線LANは広島市で一部取り入れられているくらいかと思われます。その実現のためには、本市のみならず、総務省、
情報通信事業者等の協力は欠かせないものではありますが、さきに述べましたように、学生の多いまち金沢、ビジネスマンの多いまち金沢、外国人を含めた観光客に優しいまち金沢、世界都市を目指していくまち金沢、だからこそ、そのブランドをさらなる高みに極めていくためにも絶対に必要なことかと思われます。まずは本市がその姿勢を明確にし、2014年度までの実現を期待したいところですし、次なる市長の大切な仕事になってくるかと思いますが、いかがなものでしょうか。 さきの
サッカーワールドカップにおいて、日本がベスト16に進出し、大いに溜飲を下げた日本人も多かったのではないでしょうか。特に、星稜高校出身の本田選手の活躍は、私たち金沢人にとっては格別なものがあります。ところで、この日本チームの活躍により、日本国内におけるその経済効果は数十億円とも数百億円とも言われています。また、佳境に入ってきたプロ野球においても、優勝チームによってはその経済効果は大変大きなものがあると言われています。昨年末、
プロサッカー界において、多くの自治体が注目する出来事がありました。大スポンサーもいない
モンテディオ山形というチームがJ1昇格を果たしました。山形県内に及ぼす経済効果は地元金融機関によると30億円とも言われていますが、実際はその数値以上の効果があると言われています。このチームは、行政からの経済的支援はそれほど多くはありませんが、知事みずからが地元に根づいて、地元を活性化することで財政的に自立してほしいとの思いのもと、当時の
川淵三郎日本サッカー協会会長にサッカー経営のプロの人材の紹介を依頼し、その後の飛躍につながっています。本市においても、
ツエーゲン金沢、
石川ミリオンスターズというプロサッカー、
プロ野球チームがあります。いずれも厳しい財政状況の中、少年チームへの指導等、地域に溶け込む精いっぱいの努力を重ねているところでもありますが、行政としてもそのハード・ソフトを含めた環境整備により一層取り組んでいくべきかと思われますが、いかがなものでしょうか。ちなみに、本田選手がワールドカップの後、谷本知事を表敬訪問された際、知事から賞賛の言葉を受けて、お礼を言いながらも、後に続く後輩たちのために行政の環境整備への尽力を申し述べたことは象徴的なことと言えます。 さて、オリンピックや世界選手権の代表選考会を兼ねる
名古屋国際女子マラソンが2012年から市民マラソンになることが決まりました。これによって、
エリートマラソンから市民参加型のマラソン大会に衣がえし、主催者は東京マラソンの女性版を目指し、大きな経済効果と名古屋のイメージ向上に資するものとしています。ちなみに、
オリンピック誘致をも視野に入れて始まった東京マラソンは、参加希望者が多く抽せんで決めるほどで、経済効果は100億円を超えるとも言われています。さらに、単に経済効果だけではなく、毎回1万人を超えるボランティアによるおもてなしや沿道住民・企業によるマラソン祭りも並行して行われ、にぎわい創出に大きな貢献をしていると言います。さて、
金沢市民マラソンはことしで17回目となります。平成20年度の行政評価において、同時期に民間が主催する同種の大会が、市内はもちろん近隣自治体においても幾つもあることから、その役割を終えたのではないかとの指摘があったものの、その後、工夫を凝らし現在も続いています。私は、他の大会との差別化の意味も込めて、この
金沢市民マラソンのフルマラソン化の検討を提案いたします。北陸地方には、県内を含めて春には幾つかのフルマラソンがありますが、秋には1つも行われていません。山から海まである金沢のまちを快走していただき、市民のおもてなし力で参加者を温かく迎え入れることにより、経済効果はもちろん、金沢のイメージ向上に大きく貢献できるのではないでしょうか。これからの検討準備により、2014年度以降、全国からの市民ランナーが新幹線に乗って金沢を訪れることを期待いたしながら、私の質問とさせていただきます。 御清聴いただきましてありがとうございました。 (拍手)
○田中仁議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 22番山野議員にお答えをいたします。 まず、職員の不祥事にお触れでございました。まことに遺憾でございまして、各位並びに市民の皆様に多大な御迷惑をおかけいたしまして、心からおわびを申し上げる次第でございます。先般開催をいたしました
不祥事防止対策検討会におきましては、これまで実施をしてまいりました研修等に加えまして、職員が心を開けるような職場環境、人間関係をつくることが重要だ、こんな御指摘、御意見をいただいたところでございます。検討会におきましては、今月中に意見を取りまとめることにしておりまして、これを踏まえまして、人間力を高めるための、また、より実践的な研修のあり方、また、悩みやストレスを抱える職員に対する管理職や上司としての有効な指導の仕方、こういうことについて防止対策を早急にまとめまして実践に移してまいりたい、このように思っております。加えまして、こうした対策を持続的に進めるための
システムづくり、こういうことが肝要でございますので、この点についての議論と検討を深めてまいりたい、このように思っております。 職員に対する精神的なケアに向け、専門家を交えた議論が必要だという御指摘でございました。仰せのとおりでございまして、今回の検討会におきましても、精神科医に加わってもらったところでございます。本市におきましては、これまで産業医、それから臨床心理士、精神科医、それに保健師等への個別相談の制度を設けておりまして、職員の精神的ケアに対応しているところでございます。今後はそうした
カウンセラー同士が連携をしまして、より効果的で利用しやすい
カウンセリングシステム、これを構築していくことが大切だと、このように思っております。同時に、
職場内コミュニケーションの活性化、こういうことにも取り組みまして、上司や同僚が悩みを抱えている職員が発するサインを見逃さないような、そういう職場環境、
人間関係づくり、このことに努めてまいりたい、このように思っています。 次に、市長の6選、多選の弊害にお触れでございました。私は、立候補の自由、そして選挙権の自由な行使、これは表裏の関係にあると、このようにされていますし、私自身も思っています。双方ともに基本的人権の一つと、このように解されると思っておる次第でございます。したがいまして、市長なるものは住民が考慮した上で選ぶものでございまして、権力が続くと弊害が生じるとされることへの判断も住民が選挙で決めるべきもの、このように基本的には考えておる次第でございます。多選の禁止とか、多選の自粛につきましても、憲法の規定の趣旨からして問題がある、あるいは望ましいことではないと、このようにもされておりますので、結局は政治的・行政的には住民の投票にお任せすること、このように言わざるを得ないと思っておる次第でございます。 私の健康面にもお触れでございましたが、生身の私でございますので、絶対とは言えないまでも、健康管理には十分気をつけております。また、過日の健康診断の結果から、市立病院の院長より就業については十分可能と、このようにも言われている次第でございます。 さらに、私のかつての発言にもお触れでございました。一般論として、長過ぎないほうがいいと申し上げたものでございますが、今、金沢市の置かれております事情もこれあり、これに加えまして、このことのかなめとも言うべきものは、やはり本人において志と情熱を持ち続け得るかどうか、いわば本人の心のありようが基本である、このように思っております。そうした視点に立ちまして、究極には市民の皆さんが判断をなさってお決めいただくものと、このように思うに至っておる次第でございます。 どんなことにこれから取り組んでいこうとするのかというお尋ねでございました。私は、まず、厳しい経済・財政状況への対応が緊要でございまして、景気・雇用対策、ものづくり基盤の強化、これに努めなければならないと思っています。次いで、北陸新幹線の金沢開業を控えておるわけでございますので、引き続いて魅力と活力あふれるまちづくりに取り組んでいくべきと、このように思っております。具体的に申し上げますと、駅西広場の再整備、都心軸線の近代化、クラフトのビジネス化、2次交通の利便性の向上、そして町家の再生などストックを生かしたまちづくり、こんなことに取り組んでいくべきと思っておる次第でございます。なお、ほかに金沢大学工学部跡地の利活用、このことにめどをつけるべき、そのようにも心得ておる次第でございます。 財政運営についていろいろと御懸念でございました。バブルが崩壊をしましてこの方、日本の国は長い長い不況のトンネルに入ってまいりました。公共事業による景気浮揚、これが国の方針でもあった次第でございます。起債の償還に交付税措置を講じる、こういうことが行われまして、我が金沢市もこの国の方針に積極的に呼応しました。人それぞれに意見があるとしても、結果として社会資本の整備は金沢市の場合は格段に進んでいる。もしも、今だったら、またこれからだったら、あり得ないことだったんではなかろうか、そのようにさえ思っております。結果として起債の残高が残ったわけでございますので、平成15年から中期財政計画を実践して、既に160億円を繰上償還することで、実質公債比率を改善し、その他あらゆる財政指標からいたしますと、本市の財政面の心配は無用と、そのように思っています。これからは行政改革は当然のことでございますが、テクニックという点からいいますと、特定目的積立金の充実、そしてその積極運用、このことを行っていくべきと、こう考えている次第でございます。もちろん財政運用を支えるのは経済戦略でございますが、そのためには、1つは新幹線金沢開業を生かして、観光業、商業など第3次産業の基盤を強化する。2つは、金沢港の整備とかかわりまして、第2次産業、すなわちものづくり産業の基盤を強化する。こうした経済基盤の強化を財政力の強化につなげていきたい、このように思っておる次第でございます。 交通政策にお触れでございまして、北陸鉄道浅野川線、石川線のあり方について、沿線の2市2町で展望を持って、そして議論をして、明確な方向を決めて北陸鉄道と話し合うべきだという御趣旨でございました。仰せのとおりだと思っています。沿線自治体の議論が大切と考えまして、既に2市2町の市長、町長同士で意見交換を重ねてまいりました。 〔議長退席、副議長着席〕 まずは交通事業者が経営努力をすべきものでございまして、そうした努力の確認にあわせて、2市2町といたしましても、これに協力は必要と、こういう共通認識を持っていることを申し上げておきます。今後、交通事業者との協力関係の構築に取り組んでまいりますとともに、地域住民の方々と利用促進について考える機会を設けますなど、利用者の確保に向けて沿線全体で連携をしてまいりたい、このように思っております。 次に、県との関係についてお触れでございました。この点も仰せのとおりだと思っています。鉄道線は複数の市や町にまたがる広域的な公共交通でございます。したがいまして、県の役割は重要と、このように考えております。これまでも交通事業者と沿線2市2町の協議に県の参加をいただいてまいったわけでございますが、さらに議論が深まるように、引き続き、協力を働きかけていきたい、このように思っています。 駐車場案内システムについては、都市政策局長からお答えをいたします。 次に、観光の件でございます。外国からの観光客誘致について、とりわけ個人観光客に留意をしていくということが行政として必要だという御趣旨でございました。ここに来まして、欧米からの観光客が多くなってまいりました。その際は個人旅行が多くございまして、旅行先での家庭滞在、その土地ならではの体験型観光、これが好まれる傾向にあると、そう理解をいたしております。仰せのとおり、現在、外国人を自宅に受け入れている有志の方、15の家庭、これがネットワークをつくるということについて動き出されておりまして、市としても一般家庭で金沢の文化に触れていただくことがリピーターの増加にもつながる、このようにも思いまして、こうした活動を支援しているところでございます。これからも金沢版クラフトツーリズムの充実など、金沢ならではの外国人観光客のおもてなしに留意をしてまいりたい、このように思っています。 次に、
日台観光サミットの件にお触れでございました。6月議会が終わりました後に、県御当局と一緒に日本側の主催者である社団法人日本観光協会に出向きまして、石川県・金沢市での年度内開催を申し入れた次第でございます。今の時点では、来年の3月中旬に県内で開催をされて、そして参加者は日本、台湾双方の政府高官、旅行・航空会社役員、そうした方々など、約130名の規模になるとお聞きをいたしております。会議の開催場所等につきましては、まだ決定しておりませんけれども、金沢での開催に向けて引き続き働きかけてまいりたい、このように思っています。 まちなかにおける
公衆無線LANのことにお触れでございました。市内中心部での
公衆無線LANの活用は、学生あるいは来街者などの利便性を高めてまいりますとともに、本市の情報をリアルタイムで世界に発信するための有効な手だてであると思っております。一方で、不正アクセスの防止でありますとか、ウイルス対策、こうした課題もあることでありますので、国あるいは他都市の状況等も注視をしながら、今後、観光や商業以外の活用方法も含めて、社会実験等の可能性について検討したい、こう思っています。 スポーツについてお尋ねでございました。まず、ツエーゲン、ミリオンスターズについてお触れであったわけでございますが、この2つは地域に密着したプロのチームでありますことから、これまで市のスポーツ施設の使用料の減免措置を講じているところでございます。また、現在、スポーツボランティアを養成いたしてございまして、これらチームのサポーター、それからファンの皆様と連携をとって運営のサポートができないか検討をいたしますなど、今後とも状況に応じ環境整備に取り組んでまいりたい、このように思っています。
金沢市民マラソンにお触れでございました。市民マラソンは健康増進を目的にいたしまして、子どもから高齢者まで多くの市民の方々に参加をいただいて、秋のスポーツイベントとして定着をしているところでございます。マラソン愛好家がふえていることは承知いたしておりますし、私もマラソン愛好家の一人でございます。金沢でフルマラソンを開催することができれば、県内外から誘客を図る上で、また、まちなかのにぎわいという点で大きい効果があるというふうに思いまして、関心を寄せている次第でございます。ただ、まちの構造上のもろもろの課題もないわけではありませんし、交通規制等の関係機関との協議も必要でございまして、直ちには、私は、難しいと考えておりますが、前向きに検討をしてまいりたい、このように思っています。 以上であります。
○福田太郎副議長 立岩都市政策局長。 〔立岩里生太都市政策局長登壇〕
◎立岩里生太都市政策局長 駐車場案内システムの案内板の撤去についてお尋ねがございました。仰せのとおり、案内板については、情報通信技術の進展や景観への影響などを考慮し、そのあり方を検討する必要があると考えております。今後、案内板を設置している道路管理者などの関係機関と撤去も含めて協議をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○福田太郎副議長 14番松村理治議員。 〔14番松村理治議員登壇〕 (拍手)
◆松村理治議員 我々金沢民主議員会は、山出市長が9日の提案理由説明で6選出馬表明を行った後、金沢市議会内でいち早く山出市長の支持を決定したものであります。当然、市長との間には緊張感を持ち、愛する金沢市のために、ともに市勢発展のため全力で取り組んでいく決意を申し上げ、以下数点について質問をいたします。 質問の第1点は、今ほど申し上げた6期目の市長選についてであります。以下、忌憚なく伺っておきます。 その1つは、多選についてであります。4期、5期、そして6期目の挑戦となりますと、多選云々が問われることは避けられませんが、この多選について市長はどのようにとらえていますか。まず、見解のほどを伺っておきます。 2つ目は、多選の弊害についてお聞きしたいのであります。古今東西の例を挙げるまでもなく、長く権力の座にあると周囲が見えにくくなり、周りの意見に耳を傾けることもなく、何事も自分が一番知り尽くしているかのような錯覚に陥りやすいのであります。また、取り巻く関係者もつい取り入ろうとします。山出市長は職員として、また、首長としての半世紀余のキャリアから、市政の隅から隅まで熟知、精通していると申してもよいのであります。このことで市長にかなうべくもないため、つい市長の顔色をうかがい、また、市長の意向や判断を受けて得意然と部下に命令する管理職もいたことも聞く話であります。いかがなものかと苦言を呈したいものであります。これらは多選による弊害の一つではなかろうかと思うのでありますが、お気づきならば率直なところをお話いただければと思うものであります。 3つ目は、5期20年の山出市政の評価についてであります。市町村の地方行政は国の動向や県の動きと密接不離の関係にあることは申すに及びません。この20年間を振り返ってみると、国のトップリーダーである首相が13人も交代。在任1年も満たずに辞職するを見るに、議員内閣制をとる国と二元代表制の地方と比べようもないのですが、山出市長の5期20年は地方自治において傑出していて、尊敬に値するものであります。そこで、20年の市長の評価でありますが、自己評価をしていただくとするならば、点数を何点つけられますか。評価の基準はいろいろあるでしょうが、1つ、行政運営はどうか。2つ、リーダーシップを発揮しているのか。3つ、取り組む施策はどうか。4つ、住民との対話はどうかなどが目安であります。私は、80点に近い点数をつけたいと思うのでありますが、いかがなものでありましょうか。 4つ目は、6期目の市政の課題についてであります。近づく2014年度の北陸新幹線の開業を見据え、そのためのまちづくり、中心市街地のにぎわいと活性化、明年秋の鈴木大拙館の開設等が課題でありましょう。しかし、市民が求める景気・雇用の対策、医療・福祉・保健の充実、少子高齢化の対応も優先されるべき課題だと考えますが、6期目に挑む市長に市政の課題を挙げていただき、実現に向けての決意のほどを訴えてもらいたいが、いかがですか。 5つ目は、選挙に臨む意気込みについてであります。市政はいっときも停滞は許されません。不退転の決意で選挙に臨まれることを期待するものであります。たとえ対立候補の強力な新人候補の出馬があったとしても、敢然と立たれることであります。6期目の選挙に臨まれる意気込みのほどを改めて伺っておきます。 質問の第2点は、職員のメンタルヘルス及び今回の不祥事についてであります。 最近、市役所の各職場に出向くと、これまで元気で仕事をしていた職員が、ある日を機に病気休暇にあるとのことを聞くのであります。休暇の理由はうつ病のようであります。現代は、会社や学校の複雑な人間関係や先の見えない社会の不安など、さまざまな悩み、ストレスを抱えがちな時代で、心の病は深刻な社会問題となっております。精神医療4学会は、このうつ病などの精神疾患をがんや心臓疾患と並ぶ三大疾患に上げ、先進諸国で最優先課題にしていることを重視し、国内でも早急な対策を講ずるべきとの認識で一致しています。聞くところによりますと、県職員で昨年度にうつ病など精神疾患で休職した数は55人を数え、5年間で1.7倍だそうであります。気になるところでありますが、本市の職員及び教職員の実態はどうでありましょうか、伺っておきます。心の悩みに無関係と思われる市長のこの悩みに対する考えをお聞かせ願いたいのであります。 病気の職員について、このうつ病の原因をかかりやすい性格的なもの、複雑多様化する事務・業務、人事異動や昇任問題、職場の勤務環境等、家庭・家族的なもの、また、これらが複合的に起因するのかどうかを調査し、これら対策、予防のための職員研修の徹底などをいかに進めるのか。また、職員はもとより市民の精神疾患の相談につき、福祉健康センターでの対応はどうかお聞きしておきます。 また、さきの公然わいせつ罪容疑や盗撮行為での容疑、さらにストーカー容疑での3人の職員の逮捕は、市民から厳しい批判の声を聞きました。逮捕者が出るたびに繰り返されるコメントには虚しさを感じざるを得ません。職員の処分もさることながら、何をもって再発防止につながるのでしょうか。大学専門教授の
公務員倫理研修を重ねても、解決できるのか疑問なしとしません。職員も人であり、悩みのない者はいないと思うのであり、日ごろから相談したり協力することで、一人で悩まない職場環境をつくることが大切だと思うが、いかがなものでありましょうか。一連の事件から市民の信頼を取り戻す市役所とするための市長の考えを伺っておきます。 質問の第3点は、中心市街地の活性化についてであります。 これまで、中心市街地の活性化については何度か質問をいたしてきましたが、今回は角度を変えてお聞きするのであります。本市はこの4月、全国に先駆け、学生のまち推進条例を施行しました。今、この若者のエネルギーや感性をまちづくりに生かし、学生と市民が交流を深めて金沢の個性と魅力をさらに高めたいものであります。手前みそになりますが、条例に基づく、金沢学生まちづくりコンペティションの採択を受けた「もっと元氣!ほっと元菊!」足湯支援活動のことを申したいと思います。金沢大学「灯」サークルと長田町校下元菊本町会とが連携・協力し、月1回日曜日に足湯を実施するものでありますが、この事業を通して地域のひとり暮らしの高齢者とのコミュニケーションが図られるほか、地域見守り・寄り添い支援構築を目指すことができるのであります。今後の推進には温かい支援を広くお願いしたいものと思っています。このように学生が市内各所で活躍すれば、まちは活性化し、市民は元気になることは受け合いであります。金沢大学がかつて城内にあったころ、市民は学生に対し、温かい目で見守り、支援を惜しまなかった本市の土地柄を考えるとき、この条例の施行は将来を見据え、時宜を得ており、この機に多種多様な学生の参画を求めたいものであります。当面、10月2日から8日までの金沢学生のまち推進週間で各種イベントが多くの人でにぎわうことを期待いたしますが、成功に向けた決意のほどを伺っておきます。 中心市街地の活性化に不可欠である金沢21世紀美術館は、目的に新たなまちのにぎわいの創出を挙げ、コンセプトに子どもたちに見て、触れて、体験できる最適な環境を提供する役割を掲げています。学生はもとより、将来学生になる子どもたちにも、地域文化の振興、伝統工芸の担い手などにも広く参画してもらい、活性化になればと思うのであります。現在、加賀宝生子ども塾、金沢素囃子子ども塾、金沢工芸子ども塾などが金沢芸術創造財団の各施設を利用し、支援を受けているところでありますが、加賀獅子、加賀友禅、金沢箔などの子ども塾の設置要請にも理解を深めていただき、広く将来の本市の芸術・伝統文化の継承発展につなげていっていただきたいと思いますが、考えを伺っておきます。 質問の第4点は、中国人観光客の誘客対応についてであります。 この7月、国は中国人向け個人ビザの条件を大幅に緩和。すなわち年収25万元、日本円で約310万円から、6万元、約74万円に引き下げ、結果、中国人観光客が激増しているのであります。現在のところ、中国人の我が国の人気旅行先は東京、京都、大阪、北海道であり、買い物が目的のようで、客は富裕層が中心と見られています。しかし、今後は日本各地の観光地を訪れ、広域・多様化することは想像にかたくないところであります。かつて、我が国が昭和39年の東京オリンピック、同45年の大阪万博当時に高度成長期を体験したことを思うと、今の中国は2年前の北京オリンピック、ことし10月までの上海万博の開催などがあり、日本の40年前当時の国の勢いを感じざるを得ません。人口約13億人、広大な面積を有する大陸中国は、自国にない島国日本が持つ観光に魅力を感じないわけはありません。国が6年後に600万人の中国人観光客を見込むことは、あながち不思議なことではないようで、人気観光地は広がって、北陸、石川、金沢にと足が向くことは明白であります。彼らは新鮮な海鮮などの日本料理、伝統文化、風光明媚な観光スポットなど、魅力満載の金沢を訪れ、満足し、帰国後それらを伝えるでありましょう。国内観光から海外観光にと目が向く中国人観光客の動向に注目でありますが、市長はこのことをいかにとらえていますか。あわせて、日中韓台の観光交流についてもお考えを伺っておきます。 ことしは日中友好協会創立60周年であり、本市が蘇州市と姉妹都市提携をし、明年30周年を迎えることは、さらに友好交流が深まる好機ととらえたいものであります。知事の中国トップセールスはよく知るところでありますが、市長も労苦を惜しまないことを望みたいのでありますが、いかがでありましょうか。 本市は市内各所に外国人のための外国語表記の案内サイン、観光交流サロンの設置などに鋭意取り組んでいるものの、数年先の大量の中国人観光客の受け入れを考えたとき、もてなしの心、中国語の普及などソフトで多様な対応が必要だと考えますが、いかがでしょうか。 質問の最後は、金沢版クラフトツーリズムについてであります。 この6月、東京の東星学園中学生が修学旅行で本市を訪れ、加賀毛針を使い、犀川でアユ釣り体験をいたしました。金沢の自然、伝統工芸と触れ合ったアユ釣りは、東京では体験できない貴重なもので、最高の思い出だったと多くの感謝の手紙が寄せられました。今後、彼らはリピーターとなってこのことを語り継ぎ、再び本市を訪れることになるでしょう。市長は本件をいかに感じ取られるのでありましょうか、お聞きいたします。 近年のテーマ型観光、体験学習型観光への機運の高まりの中、本市が昨年、ユネスコ創造都市ネットワーク、クラフト・アンド・フォークアートの分野で登録をしたことを受けて、職人との触れ合い、体験型観光の展開により、手仕事のまち金沢を国内外に発信する目的で、今年度、金沢版「クラフト・ツーリズム」発信事業費を予算計上したことは、時宜を得た取り組みであるとともに、本市の大きな魅力である伝統芸能や伝統工芸の振興の観点からも、大変意義のある事業であると考えますが、この事業のこれまでの実績と成果、さらには今後の具体的な取り組みをお聞かせ願います。 私は、このたびの東星学園中学生の修学旅行のエピソードからも、今後、この金沢版クラフトツーリズムこそ、単なる一般観光客の誘客のみの観光でなく、将来のリピーターとなる子どもたちをターゲットとしていくべきだと考えますが、今年度事業の中で、修学旅行や子ども向けの体験学習をこのクラフトツーリズムにどのように活用し、評価を得ているのかをお聞かせください。 また、4年後の北陸新幹線の金沢開業を見据えたとき、自然体験とクラフトツーリズムを組み合わせた修学旅行は魅力的な旅行商品になるものと期待されますが、市としてどのように取り組んでいかれるのか所見をお聞かせ願います。 以上が私の一般質問でありますが、各位には時節柄夏の疲れが残らないよう、体調に十分留意され、市勢発展に邁進されますことを願って、私の質問を終わります。 (拍手)
○福田太郎副議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 14番松村議員にお答えをします。 まず、多選についての見解をお尋ねになり、また、この弊害について、市長の対応をお尋ねになりました。多選について、いろんな議論のあることはよくよく承知をしております。ただ、この問題は究極には本人が謙虚であり続け得るかどうか、また、志、情熱を持ち続けられるかどうか、こうした本人の心のありようにかかわる部分が大きい、そのように踏まえておりまして、そういたしますれば、何よりも市民の皆さんがこうしたことを見てくださって、そしてそれぞれにお決めになられることがいいのではなかろうか、こう思っておる次第でございます。 時折、市長は長いから物を知っておるというふうに言われることが多いのでありますが、この言われ方は正直言って私にとって愉快でありません。私は、好奇心は持っています。そして、調べますし、勉強をそれなりにしていますし、人の意見も聞きまして、自分なりのものに実はまとめているつもりでございます。もしも、部下職員との間にこうした事柄について問題があるとすれば、すべからく私の足らざるところ、こう思いまして、反省をしてまいりたい、こう思う次第でございます。 いろんなことを言われたわけでございますが、私は、御指摘のことがないように、常日ごろから職員とはよく対話の機会を持つことに努めているつもりでございます。管理職だけでありませんで、一般の職員の皆さんとも、車座集会と、こんな名前でもっていろんな機会を通じまして意思の疎通を図っているつもりでございます。市政の方向とか取り組みとか、そういう大きい視点での事柄を職員の皆さんにお知らせをして、私の考えを述べて、そして理解を深めるということも市政運営上大事なことだと、このように思うがゆえでございます。仕事については、私は、厳しい部類だというふうに認識をしています。ただ、その際は何よりも市民の立場に立つこと、これが第一。もう1つは、旧弊にとらわれないこと、絶えず新しいこと、新しいこと、自分で取り組んでいくこと、この2つを私は、職員の皆さんに強く求めている次第でございます。どうか御理解をいただきたい、このように思います。 今までの市政の評価をどうかというお尋ねでありました。この間は、本当に厳しい社会経済情勢の中にあって、長い長い不況のトンネルにあって、その不況はまだ抜け切っていないと、そのように認識をいたします。だからこそ私は、この愛する金沢がどこのまちよりも元気であってほしい、このことに全力で取り組みたい、こう思って励んでまいったつもりでございますし、だからこそ次から次へと新しい政策を打ち出してきたつもりでございますし、何としても、日本の国で際立つ金沢の個性でありますので、この個性を磨き高めて、そして国の内外に発信をする、こんなことを意図してまいりましたほか、市政を市民の皆さんに開いていくと、こういうことに意を用いる、こんなことにいちずに励んできたつもりでございます。私は、権力の座にあると、そんな意識を持ったことは一度もありません。どうぞひとつ深い御理解をいただきたい、このように思います。自分のやってきたことの評価は、自分がすべきでありませんで、市民の皆さんにお任せをする、これが基本だと、こう思っておる次第でございます。 選挙に臨む意気込みを問うということでございました。課題は何かということに尽きると思いますが、景気と雇用対策はもちろん、福祉であれ、環境であれ、教育であれ、こうした市民の日々の暮らしにかかわること、加えて安全・安心のまちづくり、こんなことが重要な引き続いてのテーマであることは間違いありません。加えまして、新幹線の開業を4年後に控えるわけであります。この対応に万全を期してまいりますとともに、やっぱり金沢を国の内外に開いていくと、このことも大事な仕事ではなかろうかと、こう思っております。まちの魅力と活力を高めるためには、歴史都市として歴史文化遺産の保全とか整備に努め、創造都市の登録をいただきましたので、クラフトのビジネス化を図っていく。まちなかのにぎわい創出、ものづくり基盤の整備、そして具体的なことを例示しますと、2次交通の利便性向上などなど、こうしたことに取り組んでいくことが大事ではなかろうかと、こう思っている次第でございます。 金沢市政は今、政治的にも行政的にも変動の時期にあります。また一方、経済・財政事情は極めて厳しいということがあるわけでございますので、引き続き、皆さんが御支持くだされば、私は、やはり市政は基本に忠実に、何よりも確かな運営と、このことが一番大事だと思ってございまして、全身全霊を打ち込んで努力をするつもりでございます。 不祥事についてお触れでございました。相次ぎまして御迷惑をおかけしました。改めて私からおわびを申し上げる次第でございます。これに関連をしまして、職員の間の精神疾患の実態はどうか。これは総務局長からお答えをいたしまして、私からは精神疾患に対する考えをお答えしたいと思います。精神疾患は仕事上の悩みだけではあるまいと。家庭上の悩みもございますし、こうしたことが複雑に絡み合って疾患が起きるものでございます。ストレス社会と、こんな言葉も聞かれるわけでございますが、これまで以上に身近なことといたしまして、このことをとらえていく必要があると、こう思っています。私といたしますと、職員全員が心身ともに健康で生き生きと仕事ができることを第一義に考えています。これまでもいろんな精神疾患を未然に防ぐための研修ということはやってきておるわけでございますし、産業医とか、臨床心理士とか、精神科医師、こんな先生方に相談できる体制の整備に努めてきてはおるわけでございますが、これから職員の心の健康を保つための施策の強化、このことに一層努めてまいりたい、そう思っています。 うつ病予防のための研修の徹底も必要だという御指摘でございました。これまで職員を採用するとか、あるいは昇任の時期等の節目節目にメンタルヘルス研修というものを実施してきておるわけでございますが、これらに今後は加えまして、個々のメンタルヘルスの事例の検証をするとか、職員に対する人間力を高めるための実践的な研修を行っていくとか、さらに悩みやストレスを抱える職員に対する管理職の有効な指導法、こんなことについても研修を行ってまいりたい、こう思っています。 職員ではありませんで、市民全体に対する精神疾患への相談の件は、健康推進部長からお答えをいたします。 不祥事を防止していくためには、やはり一人で悩まない職場環境づくりが大事だという御指摘でございました。仰せのとおりだと思っております。先般も設置をいたしまして開催をいたしました
不祥事防止対策検討会、ここでは有識者の方から職員が心を開けるような職場環境、人間関係をつくることが重要だという御指摘、また御意見をちょうだいしています。したがいまして、これからはメンタルサポート研修の実施、それから
職場内コミュニケーションの活性化施策、こういうことに取り組んでまいりまして、上司、同僚が悩みを抱えている職員が発するサインを見逃さないように、そうした職場づくりに励んでいく必要があると、こう思っておる次第でございます。 市民の信頼を取り戻してほしいという、そういう御趣旨でございました。検討会の意見は、今月中にまとめられるということでありますので、こうしたことを踏まえまして、市として新しい防止対策を早急にまとめて実践に移していきたいと、こう思っています。1つの施策を行って、これで終わりということではいけないわけでございますので、反復をする、繰り返す、そして次から次へと手だてを講じていく、こういうふうに心がけてまいりたいと職員一同改めまして襟を正して職務に懸命に励むことで、市民の皆さんの信頼回復に努めてまいりたい、このように思っています。どうか御理解をいただきますようにお願いをいたします。 次に、中心市街地の活性化についてお触れでございました。学生のまち推進週間に向けての市長の決意を問うということでありました。この週間の中では、地蔵通り・木倉町かいわい、ここでのまちなか交流街、それからまた中心市街地におきまして、まちづくり学生会議によりますところのまちなか学生まつり、こういうものを開催するということになっております。また、学生が市内の文化人とか経済人等といろいろと談論をし風発をする、そんな学生まちなか夜塾、そういうものの開催も計画をされていまして、多彩な事業展開がなされる予定でございます。何分にもことしは初年度であるわけでございますが、多数の学生をまちなかに呼び込みまして、さまざまなイベントを通じて幅広い世代の市民と学生が交流を深めて、まちなかのにぎわい創出につながれば幸いだと、こう思っておる次第でございます。 中心市街地の活性化に関連をしまして、加賀獅子とか、加賀友禅とか、金沢箔子ども塾、こういうものを設置したらどうかというお尋ねでございました。獅子舞につきましては、各地域の保存会が振興や子どもたちへの継承に努めております。市として、引き続き、連携して取り組んでいきたいと、こう思っています。友禅や箔について、業界団体による小学校の高学年を対象にした体験教室とか、ユネスコ・スクールの授業の中で、子どもたちが伝統工芸に接する機会を設けている次第でございます。さらに、現在、金沢工芸子ども塾というものを開いてございますが、この工芸子ども塾では、御指摘の友禅とか箔は扱っておりませんが、しかし、広く工芸の大切さを教える中で、御指摘の子どもたちにも触れてもらえるように、そんな試みを行って、そして、伝統文化の継承発展につなげたいと、こう思っています。 中国人観光客の誘客対応について、幾つかお尋ねでございました。御指摘のように、個人ビザの発給緩和がございまして、中国は極めて有望なマーケットになると、このように期待もしています。ほかの地域におくれをとることのないように、今月の24日から上海で開催されます日中文化観光交流ウイーク、ここに県と協力をいたしまして、ブースを出してPRに努めることにいたしております。一昨年、昨年は台湾誘客集中イヤーでございました。旅行展示商談会、こういうものへの参加等をいたした次第でございまして、ことしと来年は韓国誘客集中イヤーということにいたしてございまして、日本政府観光局のソウル事務所とも連携をとりながら、誘客促進に努めるなど、日中韓台それぞれに観光交流を拡大してまいりたい、このように思っています。 日中友好協会は60周年、蘇州との姉妹都市提携は30周年、市長のトップセールスを期待すると、こういう御趣旨でありました。蘇州市、それから友好交流都市は大連であるわけですが、これまでも数回にわたって訪問をしまして、セールスにも努めてきたところでございます。今後とも市長として友好交流の先頭に立ってまいりますとともに、市民交流、民間交流の後押しにも積極的に取り組んでまいりたい、こう思っております。 ソフト面の多様な対応が必要だという御趣旨でございまして、この点は産業局長からお答えをいたします。 また、私に対して、東星学園中学校の体験学習について感想をお尋ねになりました。この例は、金沢の加賀毛針のわざ、それから夏の金沢の自然との触れ合い、こういうことで多感な青春期を過ごす生徒たちにとって心に刻まれる体験になったものと、こう思っています。生徒たちには、大人になって再び金沢を訪ねてほしいと、こう願いますし、そのためにも金沢の伝統工芸とかけがえのない自然、こういうものを、ぜひ、市民として大事に後世に残していかなければいけない、その責任を市と市民が持つ、こう思う次第でございます。 クラフトツーリズムにお尋ねでございまして、この実績、成果、取り組みについては、産業局長からお答えをし、私からは修学旅行の商品化のこと、このことについてお答えをいたします。ここに来て、修学旅行の形態というのは、単に名所旧跡を回るということだけでありませんで、文化の体験をするとか、自然の体験をするとか、こういうものを取り入れることが望まれているというふうに理解をいたします。したがいまして、金沢版クラフトツーリズムは魅力的な旅行商品になり得る、こう思っておる次第でございます。既に交流都市でございます東京の板橋区、この板橋とは修学旅行誘致に向けて協議を進めてございまして、御指摘のことの実現に向けて今後とも努力をしてまいりたい、このように思っています。 以上でございます。
○福田太郎副議長 丸口総務局長。 〔丸口邦雄総務局長登壇〕
◎丸口邦雄総務局長 本市の職員及び教職員の精神疾患の実態につきましてお答えをいたします。精神疾患が原因と見られる休職者の数で申し上げますと、一般職にありましては、平成17年度は12名、平成21年度は14名となっております。また、教職員にありましては、平成17年度は11名、平成21年度は9名となっておりまして、一般職、教職員ともにここ5年間はほぼ横ばいで推移をいたしております。 以上でございます。
○福田太郎副議長 西村健康推進部長。 〔西村賢了
福祉健康局健康推進部長登壇〕
◎西村賢了
福祉健康局健康推進部長 市民の精神疾患の相談への福祉健康センターでの対応でございます。市民からの相談には、保健師が常時対応し、より専門的な対応が必要なケースにつきましては、月1回、精神科医師が相談に応じております。また、必要に応じて医療機関等と連携しながら、訪問指導も行っております。 以上でございます。
○福田太郎副議長 山田産業局長。 〔山田克俊産業局長登壇〕
◎山田克俊産業局長 中国人観光客の誘客対応につきまして、今後の受け入れに備え、ソフト面での多様な対応が必要ではないかとのお尋ねがございました。本市では、平成17年に中国語の観光パンフレットを作成し、また、一昨年は中国語の観光ホームページを開設するなど、中国人観光客の増加を見据えた対応を進めてきたところでございます。今後は、さらに民間レベルでのソフト面における対応強化が不可欠だと考えておりまして、中国語が話せるスタッフの育成、あるいは中国語メニューの充実などにつきまして、市としてなし得る支援をしてまいりたいと思っております。 続きまして、金沢版「クラフト・ツーリズム」発信事業の実績と成果、今後の取り組みなどについて御質問がございました。まず、5月に開催された日仏自治体交流会議の参加者を対象に、金沢版クラフトツーリズムを実施し、50名を超えるフランスの方々に本市ならではのおもてなしを満喫していただけたと思っております。8月からは加賀象嵌や加賀友禅など伝統工芸を気楽に体験できる金沢手づくり塾を市内4カ所で開設し、これまで延べ200名を超える参加がございました。さらに、今年度は国の海外誘客施策でありますビジット・ジャパン・キャンペーンとも連動しまして、金沢の3茶屋街を会場とする「金沢芸妓のほんものの芸にふれる旅」を実施することとしており、多くの方々の参加を期待しております。 次に、修学旅行や子ども向け体験学習をクラフトツーリズムにどのように活用し評価を受けているのかという御質問でございます。今年度は新たに修学旅行、体験学習向けパンフレットを作成、配布するとともに、8月の夏休み時期に合わせ、金沢まちなか観光交流サロンなどで、子ども向けの体験プログラムを初めて実施いたしました。受講した子どもたちからは、本市伝統工芸に触れる貴重な機会になったとの声も届いており、今後も内容を充実させるとともに、ニーズに合ったプログラムへと発展させながら、息の長い取り組みを続けてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○福田太郎副議長 13番清水邦彦議員。 〔13番清水邦彦議員登壇〕 (拍手)
◆清水邦彦議員 発言の機会を得ましたので、民主クラブの一員として、以下数点にわたり質問いたします。 質問の第1は、危機管理についてです。 今年度に入って、本市職員と市立小学校教員が逮捕されるという事件が相次いで3件発生しました。 〔副議長退席、議長着席〕 今議会、市長提案説明でも、きょうの一般質問の答弁でも、市長は金沢市民に対しておわびの言葉を述べられ、今後こうしたことがないよう公務員倫理の徹底を図り、再発防止に真剣に取り組むこと、そして、改めて職務の精励と市民との信頼関係を取り戻す決意を述べられました。改めて相次ぐ本市職員の不祥事の対応についてお聞きいたします。まず、4月の事件については、公務時間外のプライベートでの事件ではありましたが、職務権限を利用して行った、個人情報保護法に違反した事件でした。こうした事件には公務員として、社会人としての自覚という面だけではなく、人としてのモラルに踏み込んでの指導が必要となってくると考えますが、今後の市職員の指導はどのようにされていくのかお伺いいたします。 一方で、8月の職員逮捕事件は、以前の事件を受けて職員の倫理研修が行われていた矢先に起こった事件だったことを踏まえ、より重く受けとめた対応が求められます。今回、危機管理の視点からどのような指示をされたのでしょうか。 本年4月に施行された金沢市防災管理監設置規則には、防災管理監の分掌事務として、「自然災害、大規模な事故及び事件等の様々な事態に対する市民の安全安心に関する事項を掌理すること」と明記してあり、事件対応に関する初動対応の指揮などがうたわれています。この規則を踏まえて、3カ月以内で3件の事件が発生した異例の事態について、今回、当然所管部署の対応だけでなく、危機管理という立場で関与、指示が必要であったと考えますが、いかがでしょうか。 さらに、報道機関へ情報を発表する以前に、メール、ツイッター等の情報伝達網が進化している今日、事前に情報が流れることも考えられます。この状況のもと、防災管理監は速やかに議会に報告することを指示すべきだと思いますが、今後の対応についてお伺いいたします。市政への信頼をいち早く回復するためにも、危機管理についてより一層の厳正な体制の確立をしていただくよう要望いたします。 質問の第2は、熱中症対策についてです。 気象庁はこの夏に関して、全国的に観測史上最も暑い夏であったと発表しました。9月に入っても、暑さは一向におさまる気配がなく、全国各地で猛暑日を記録し、9月の観測史上最高気温を更新しました。まだまだ、気温が高い気象状況は続くようです。この夏、金沢でも8月の平均気温が観測史上最高を記録しました。この7、8月を振り返ってみても、1日の最高気温が30度以上の真夏日の通算日数は49日を記録し、1日の最高気温が35度以上の猛暑日こそ2日と他都市に比べて少なかったものの、1日の最低気温が25度以下に下がらない熱帯夜の日数が8月末までに通算38日を数えるなど、統計史上最多となり、9月になっても寝苦しい夜が続きました。近年、地球温暖化による影響で1日の最高気温が35度を超える猛暑日が急増し、猛暑に起因すると思われる熱中症の発症件数も比例して増加しています。梅雨明け間もない7月24日には、関東、東海で猛暑日となった地域が相次ぎ、熱中症の症状で病院に運ばれ、少なくとも12名の方々が亡くなられたとの報道がありました。屋外だけではなく、屋内で倒れる事例もあります。特に、高齢者は蒸し暑くても防犯上から窓を閉め、夜通し空調設備を使用することを嫌い、水分補給をしないなど熱中症のリスクが高く、夜間に自宅で倒れる人が多いということです。石川県でも熱中症の症状で救急搬送される人が続出し、各消防局・消防本部によると、7月から8月31日午後6時までで、熱中症の症状で救急搬送された人は539人で、そのうち約半数の262人は65歳以上の高齢者の方だったそうです。また、県警によると、熱中症の疑いで亡くなられた方は13名に上ると発表されています。金沢市では、6月から9月12日まで、熱中症の症状で救急搬送された方は183人で、うち亡くなられた方は1名ということでした。そこで、本市における熱中症対策はどのようになっているのでしょうか。 ところで、この暑さを災害ととらえた視点での取り組みが、現在、大阪府吹田市で行われています。これは、市内消防署の一室を24時間開放し、水や枕、毛布などを用意し、暑い日には3人から10人程度が休息できる体制を整備したという取り組みです。昼間の利用だけでなく、夜間宿泊者もいたということでした。また、環境省では、温暖化対策の一環として、熱中症患者の増加を防ぐため、猛暑日に冷房がきいた公民館などを開放し、水分を提供するといった一時避難所、いわゆる熱中症シェルターの整備が新たに提言に加えられるようです。これらについては、施設の目的外使用など運営上の問題も指摘されているようですが、今後、熱中症対策として臨機応変に対応する一つのアイデアとして活用を検討されることを望みます。一方で、全国的に子どもたちの夏休み期間中にも部活動など課外活動での熱中症の発症例がありました。浜松市では、スポーツテスト中の女子高校生が、そして、新潟県でも体育祭や野球の試合中に小中学校生が熱中症の症状で病院に搬送されたと報道がありました。この夏、本市小中学校の熱中症発症の状況はどうであったのか、その対応はどうであったのか、熱中症に対する予防策として基準なりマニュアルがあるのかお尋ねいたします。 さらに、新学期に入ってからも、運動会や各種体育大会、文化祭など学校行事が続きます。つい先日、9月13日には静岡県伊東市の小学校で運動会の練習中に、6年生34名の児童が熱中症の症状を訴えて病院に運ばれた報道もありました。また、横浜市の小学校では、8月30日に校庭で体育の授業中に、6年生の女子児童6人が頭痛や足のけいれん等の熱中症の症状を訴えて病院で手当てを受けたとの報道がありました。注目すべきことは、当時は猛暑日ではなかったこと、そして授業中は帽子をかぶり、水分補給も行っていたにもかかわらず、一たん保健室での処置をしながら、結局は症状の改善が見られず病院に運ばれたということです。こうした例にあるように、熱中症への対処は現場の裁量や自覚に任されるのが現実です。こうした対処のあり方について、学校での正確な知識と迅速な対応、指導をする中で、個々の児童・生徒に対する健康管理上の観察力と判断力がより一層求められます。新たな対応策が必要と考えますが、いかがでしょうか。 また一方で、暑さがピークを迎える夏休みには、子どもたちは地域で活動している各種スポーツ団体に所属し、猛暑の中、各種競技会やスポーツ大会に参加しています。先月、あるスポーツ大会で、選手である子どもがグラウンドわきの木陰で介抱されている姿が見受けられました。万が一判断を誤れば、重大な事故が起きるかもしれないという、子どもたちにとっては不安な状況も考えられます。このような各種スポーツ団体が主催する大会や練習でも、子どもたちを指導する指導者には安全に対する義務と責任が求められます。本市はこれまでに各種スポーツ団体に対して研修会や講習会を行っており、指導者を育成していると伺っております。こうした機会を通じて、子どもたちの熱中症対策を周知する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 質問の第3は、高齢者の見守りについてです。 今日までの日本社会では考えられないような新たな問題が起きました。それは、7月28日に東京都足立区で111歳とされる男性の遺体が自宅で発見された事件以来、東京都内で最高齢とされた113歳の女性が所在不明になっているケースが発覚し、さらに、この事件を発端として100歳を超える高齢者の所在が確認できない異常事態が各地で相次いでいるという問題です。この問題は、年金の不正受給問題にも発展し、年金行政をも揺るがせています。石川県では、100歳以上の所在不明者は報告されていませんが、今後、高齢者の所在不明の問題は広がりを見せることも考えられます。こうした事件、ケースの背景には、顔の見える、人と人がつながり合う社会が薄れてきた現代社会の影の部分、いわゆる無縁社会と言われる問題が浮き彫りになってきたものであると私は考えます。この問題は単身高齢者の孤立化だけではなく、高齢者を身近で見守る家族でさえ、社会とは無縁になるところまで深刻化しています。かつて日本社会が紡いできた地縁や血縁といった地域や家族、親類とのきずなが失われ、さらに、終身雇用がなくなったために、会社とのきずなである社縁まで失われたといった社会背景があると考えます。こうした生きているか死んでいるかさえわからない所在不明の高齢者の問題が相次ぎ発覚する問題や、このような社会背景を昭和1けた生まれの市長はどのように感じられますか。 平成18年4月の介護保険法改正に合わせ、高齢者の在宅生活や介護方法に関する相談、市の福祉サービスの受付業務等、介護予防に関する業務を行う地域の高齢者を見守る拠点として地域包括支援センターが整備されました。本市では、お年寄り地域福祉支援センターの名称で創設されましたが、こうした問題に取り組むには、センターの役割がより重視されてくると考えます。しかし、現在の取り組みでは限界があるのも事実です。それは、個人情報の保護を理由に、設置主体の自治体でさえ個人情報をセンターに提供できないケースが多く、十分な活動ができていないということです。厚生労働省では、個人情報を保護する対策をとった上で、高齢者世帯の情報を積極的にセンターへ提供するよう自治体に通知したようですが、これを受けての本市の取り組みについてお伺いいたします。 質問の第4は、道路の路線変更による追加要望についてです。 平成20年4月に国道8号の津幡北バイパスが供用を開始したことによって、石川県内の国道の路線が大幅に変更となりました。山側環状道路が国道8号から国道159号に振りかえられ、一部森本地区の国道159号が国道359号と、県管理の道路へと変更になりました。これらの大幅な変更を受けて、その周辺道路でも、順次、県道から市道に路線変更が行われました。これに伴い、道路管理者も変更されました。道路管理者変更により、これまでの整備・改修や道路維持管理にかかわるさまざまな要望事項は、要望先が国から県へ、県から市へと窓口が変わります。また、その道路にはおのおの期成同盟会や整備促進協議会など、地元からの要望団体がついており、さらに県域を越えて要望活動を行っている団体もあるのが現状です。具体的には、吉原町地内の国道304号区間であった路線が国道359号に振りかわった区間の拡幅と安全施設整備要望や、現在、JR森本駅周辺整備事業地域内の旧国道159号、現国道359号拡幅要望があります。こうした要望を国道359号になったことで、国道359号改修促進期成同盟会として追加要望していく必要があると考えます。この期成同盟会には、会長に上田砺波市長がつかれ、平成19年度からは副会長には森富山市長、桜井小矢部市長とともに、山出市長がついておられます。この期成同盟会に森本地区の要望箇所を追加していくことがより整備促進のための後押しとなるのではないかと考えますが、いかがでしょうか、あわせて、要望箇所の整備の見通しについてお伺いいたします。 質問の第5は、河原市地区の工業団地予定地についてです。 平成5年度に基本構想を策定し、平成9年度に具体化計画を発表して、約13年の年月が過ぎました。この間、いなほ・かたつ工業団地の造成に引き続き、河原市地区の工業団地の造成にも取りかかるということで、地元も協議会を組織し、受け入れ体制の準備に取り組んできました。しかし、経済状況の悪化等を理由に、いまだ事業化されずに今日に至っているのが現状です。近くには金沢森本インターチェンジが開通し、山側環状道路が全線供用された現在、最良の交通アクセスが整ってきている条件の中で、本市でも景気が回復しない経済状況にもかかわらず、企業誘致に向けアンケートや企業訪問による立地意向調査等に鋭意努力されてきたと聞いております。そこで、これまでの本市としての企業誘致の取り組みについてどのような状況なのかお伺いいたします。 また、当地区の工業団地予定地については、既に工業専用地域に位置づけられ、保留状態になっています。当然、市街化区域としての土地評価になっています。このような状態が長期に及んでいることから、所有者がさまざまな事情から土地を保有し続けることが困難になる事例や、さらに、相続をしていく上で、経済的に大きな負担がかかった事例もあり、高齢化している工業団地予定地の所有者の間で不安が募っています。こうした問題に対しては、企業進出が決定し、工業団地計画が前に進んでいく状況になることが唯一の解決策になり得るものと思いますが、このような地元の問題について、本市としてどのように対応されていくのかお伺いし、私の質問を終わります。 (拍手)
○田中仁議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 13番清水議員にお答えをいたします。 まず、危機管理についてお尋ねでございまして、私と防災管理監からお答えをいたします。一連の不祥事が起きまして、心からおわびを申し上げたいと、このように思います。再発防止に力を入れることで、ぜひ市民の信頼を取り戻したいと、こう思いますし、各位のお許しをお願いしたいと、こう思う次第でございます。人としてのモラルに踏み込んでの指導が必要だと、こういう御指摘でございました。仰せのとおりでございまして、先般発生した一連の不祥事の内容を見て、これまでの延長線上の対策だけでは対応できなくなっていると、このように思いました。したがいまして、有識者を交えました
不祥事防止対策検討会というものを設けた次第でございまして、今、議論を進めているところでございます。有識者からは、現在行っている
公務員倫理研修の徹底だけでなしに、職員の私生活の分野にも踏み込んだ指導をしていくべきだと、こういう御意見をちょうだいしています。今月中にも取りまとめられる検討会の意見を踏まえまして、開かれた職場づくり、また、管理職の職員に対する指導法等について対策を早急に講じまして再発防止につなげてまいりたい、このように思っております。 8月の事件について、危機管理の視点からの指示のありようにお触れでございました。逮捕が発表されました直後に副市長と全局長出席によります緊急の幹部職員会議を開催しまして、所属の職員に対する公務員倫理の徹底を図ることといたしましたほかに、各局長みずからが所管の職場に出向きまして、再発防止に向けた注意喚起を行った次第でございます。こうしたことに加えまして、これまでの取り組みを検証し、再発を防止するために、有識者を交えた会議を立ち上げまして、有効な手だての検討を行っているところでございます。 熱中症対策についてお触れでございました。異常気象の中で、行政、市民ともに貴重な体験、命にかかわる体験があったわけでございます。この体験を無にすることなく後日に生かしていくということが大事であると思っておりまして、具体のお答えにつきましては、所管の局長、部長からお答えをしたいと思います。 高齢者の見守りでございますが、所在不明の高齢者が相次いでいると、この社会背景というものをどう見ておるかというお尋ねでございました。戦後の経済成長の中で、経済優先の考え方、また一方で核家族化が進行いたしました。バブル崩壊後の経済不況によります格差の拡大、こういうこともあり、少子高齢化の急激な進展もあって、地域において、また、親族間においても人と人とのきずなが失われてきておるということでございます。問題はこうしたことに起因をしているわけでございまして、大変遺憾に思っています。私は、つとにこうしたことを実は大変憂いてきた一人でございまして、そういう意味で金沢市の場合は町内会とか、公民館とか、婦人会とか、消防団とか、善隣館とか、こうした住民組織、これの存在は極めて重要だという思いがございまして、これらの支援にも心を砕いてきたつもりでございますが、さらにこうしたことに心していきたいというように思う次第でございます。 高齢者の見守りについてお触れでございました。個人情報の保護について、ここに来て国から通知があったようだけれども、市の取り組みはどうなるのかということでありました。私ども支援が必要とされる高齢者世帯を把握するために、民生委員が高齢者宅を訪問しまして、高齢者福祉保健台帳を作成しています。この台帳は民生委員と市が保管するだけでなしに、お年寄り地域福祉支援センターにも提供しまして、情報の共有を図って地域の高齢者の支援に役立てている次第でございます。これからも高齢者支援に必要な情報については、個人情報の管理に十分注意を払いながら、適宜適切に提供もしてまいりたいと思います。 なお、このことに関連もするわけですが、高齢者問題の解決のために、地域に対しまして行政情報の目的外利用の余地があるのかないのか、個人情報保護条例の規定の見直しということの可能性があるのかないのか、ここら辺は、私は、新しい事態を受けて十分研究の余地はある、こう思っておるわけでございます。研究をしてまいりたい、このように思います。 行政の組織の中の連携ということを御指摘になりました。これまでも長寿お祝い金の対象となる方で、所在確認が必要な場合には、介護保険の利用状況等の情報の提供を受けてきたわけでございますが、今回の問題を踏まえまして、高齢者の所在、安否確認を強化いたしますために、新たな庁内横断の組織といたしまして高齢者安否確認連絡会を設置しまして、福祉部局だけでなしに、住民情報や税情報を所管する部局との連携を図ったところでございます。 国道359号の同盟会、これの路線変更による追加要望の件は、土木部長からお答えをします。 私からは河原市地区の工業団地予定地のことであります。計画中でございますが、この団地につきましては、交通アクセスがすぐれていることから、流通業務団地としての優位性が高いと考えてございまして、製造業に加えまして運輸・卸売関連企業への訪問調査を重点的に行ってまいりまして、その結果、幾つかの企業から進出に前向きな回答を得ております。事業化に向けた条件は、少しずつではありますが、整いつつあるように感じている次第でございます。ただ、円高でありますとか、株安など、日本経済の先行きにはまだまだ不透明感があるのも事実でございます。進出に意欲のある企業の動向に加えまして、今後の経済状況の動きにも注視をしながら、事業化の時期を見きわめたいと、このように思っています。地権者の方々の事情も理解をしてございまして、これまで以上に情報交換など話し合いを行ってまいりたい、このように思っております。 以上であります。
○田中仁議長 前多防災管理監。 〔前多 豊防災管理監登壇〕
◎前多豊防災管理監 防災管理監として、所管部署に対応を任せるのではなく、関与、指示が必要ではなかったか、また、議会へ速やかに報告すべきでなかったかとのお尋ねがございました。金沢市の安全安心に関する管理基本指針では、市の組織または職員による法令違反なども防災管理の分類の一つになっていることからすれば、今回のようにたび重なる不祥事が起きた時点で、防災管理監といたしましては積極的に関係部局の対応に関与すべきであったと思っています。また、今までも議会への報告は行っていますが、今後は発生した事象レベルを判断いたしまして、適切に議会に報告できるよう、関係部局に指示をしてまいります。 以上でございます。
○田中仁議長 浅香教育長。 〔浅香久美子教育長登壇〕
◎浅香久美子教育長 この夏の市立小中学校の熱中症発症の状況とその対応はどうであったか、基準となるマニュアルがあるのか、また、児童・生徒個々の健康上の観察力と判断力がより一層求められ、新たな対応策が必要と考えるがどうかとのお尋ねがございました。学校では、熱中症の疑いがあった際は、涼しい場所への避難や水分補給、早目の医療機関への受診等に努めております。この夏季休業中の教育活動内において、熱中症の疑いで医療機関を受診した児童・生徒は33人であり、いずれも軽症であったと聞いております。各学校では、環境省の熱中症環境保健マニュアル等を参考に、水筒を持参させるなどの水分補給、運動時における休憩時間の確保等の予防対策や熱中症が疑われたときの応急措置の徹底を図っております。今後とも各学校に対して、学校医とも連携しながら、全教職員の理解をさらに深めるとともに、子ども自身にも熱中症についての正しい知識と対処法が身につくよう指導してまいりたいと思っております。 以上でございます。
○田中仁議長 新家市民局長。 〔新家俊一市民局長登壇〕
◎新家俊一市民局長 各種スポーツ団体や子どもたちを指導する指導者に熱中症対策を周知する必要があると考えるがいかがかとお尋ねがありました。御指摘のとおり、熱中症対策の周知は大変大事であると考えておりまして、これまで猛暑日における対策について、各競技団体に注意を促してきたところであります。今後、子どもたちを指導するスポーツ指導者を対象とした生涯スポーツ指導者講習会におきましても、専門家による研修を実施していきたいと考えております。 以上でございます。
○田中仁議長 西村健康推進部長。 〔西村賢了
福祉健康局健康推進部長登壇〕
◎西村賢了
福祉健康局健康推進部長 本市における熱中症対策はどのようになっているかとの御質問でございます。熱中症の予防方法や相談窓口を市のホームページに掲載し、市役所と福祉健康センターの窓口では、予防方法を記載したパンフレットを配布するなど周知に努めてまいりました。また、特に熱中症にかかりやすい高齢者の方々に対し、老人クラブ、シルバー人材センター、介護事業者などを通じまして、水分補給や扇風機、クーラーの利用などを呼びかけてまいりました。なお、御提案の熱中症シェルターなどにつきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。 以上でございます。
○田中仁議長 堂薗土木部長。 〔堂薗洋昭
都市整備局土木部長登壇〕
◎堂薗洋昭
都市整備局土木部長 国道359号改修促進期成同盟会として、森本地区の道路拡幅など要望箇所を追加していくことがより整備促進のための後押しとなると考えるがいかがか、要望箇所の整備の見通しとあわせて伺うとのお尋ねでございました。森本地区の国道359号は、広域幹線道路であるとともに、生活道路として地域に密着した道路でございます。歩行者の安全確保など道路環境の改善は重要な課題と認識しており、整備が必要な箇所については、今後、同盟会を通じて管理者の県に対し要望してまいりたいと考えております。県からは、まずは現在事業中箇所の早期完成を最優先に取り組み、その他の箇所については、今後の交通量の推移を見きわめながら、整備の必要性について検討を行うと聞いております。 以上でございます。
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△休憩
○田中仁議長 この際、暫時休憩いたします。 午後0時9分 休憩-------------------------- 午後1時3分 再開
△再開
○田中仁議長 出席議員数は、ただいまのところ39名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。
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△質疑・一般質問(続き)
○田中仁議長 休憩前の議事を継続して、質疑並びに一般質問を続行いたします。 32番増江啓議員。 〔32番増江 啓議員登壇〕 (拍手)
◆増江啓議員 平成22年定例第3回金沢市議会に当たり、私は、公明党議員会の一員として市政の諸課題について、以下数点質問をいたします。 今議会の提案理由の説明の中で、山出市長は5期20年の市政運営を振り返るとともに、6期目続投への力強い明確な意思を武者小路実篤の言葉を引用し披瀝されました。その情熱と決意に一議員として敬服するとともに、心から感銘を受けました。人生をかけた闘いに挑む市長に、僣越ながら武者小路実篤と同時代を同志のように生きた志賀直哉の名言、「くだらなく過ごしても一生、苦しんで過ごしても一生、苦しんで生き生きと暮らすべきだ」との言葉を贈らせていただきます。我が会派は、山出市政をスタートから支えてきた党として、生活者の視点で生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義の政治を目指す我が党の政治理念に深い理解を示され、その卓越した行政手腕で施策の具現化を推進してきた市長のこれまでの市政運営を高く評価をしております。また、ここに来て、金沢市の将来の発展のための布石が次々と打たれてきていることにも敬意を表するものであります。一方で、市長を選ぶのは市民の選択でありますが、市民の間からは、市長の激務ゆえ体力を心配する声、多選について世代交代を望む意見や人事の硬直化を懸念する声などが上がっていることも事実であります。さらに、ここしばらくの間に起きた市職員のたび重なる不祥事に対しても、市長の責任を問う厳しい声が私ども公明会派にも届いております。我が党は、かねてから首長の多選については3選、長くても4選が望ましいとしてきたところでありますが、このたびの市長の出馬表明を受け、慎重に対応を党としても協議をすることとしております。山出市長には、今後の市勢発展のかぎを握るであろうと思われる課題について、明確なビジョン、方向性を示していただかなければなりません。市長は現在の市政の重要課題をどのように考え、これからの4年間で何を推進されたいのか、市政運営に臨む所信を公明会派としても求めておきたいのであります。 8月に入って、急激に円高が進み、日本経済を牽引してきた輸出関連企業には大きな損失となり、こうした動きは株安にも連動し、回復傾向にあった我が国の経済はここに来て黄色信号がともっております。特に、中小零細企業は長いトンネルから抜け出すことができず、いつになったら景気がよくなるのか、先行きが全く見えない、雇用を何とかしてもらいたいという切実な声をたくさんいただいております。本市にあっても、地域経済を活性化させ、雇用の創出を図ることが急務であり、とりわけ企業誘致を初めとする工業の振興は、その核となるものであります。これまで本市はテクノパークを造成し、日本を代表する企業の誘致に努められてきましたし、地元中小企業の受け皿として、安原工業団地に続き、いなほ・かたつの両工業団地を造成されてきたことは、市長御自身が金沢のものづくりをしっかりと根づかせたいという強い信念からであり、まさに先見の明があればこそと思うのであります。また、ここに来て、金沢港隣接地のコマツは第1工場から第2工場も操業を始め、本市のものづくりを発展させる上で大変心強い限りであります。しかし、長引く不況でコマツ関連企業の誘致やその受け皿づくりは思うように進んでいないようにも思います。また、テクノパークの新たな企業誘致もなかなか見えてきません。そこでまず、本市の工業振興策における今後の基本的方向性についてどのようにお考えかお尋ねをいたします。 次に、商業振興についてです。中心市街地のにぎわいの創出に大きな効果をもたらした金沢21世紀美術館は、来月開館7年目に入ります。また、県が進める金沢城の第2期復元事業も河北門の完成、いもり堀の段階的復元などの工事が行われ、加えて旧県庁跡地のしいのき迎賓館がこの春にオープンをするなど、中心市街地のにぎわいは大きな転機を迎えております。市は長年の商業振興施策の実務経験を生かしたノウハウや人的ネットワークを保持する職員を指名し、金沢商業活性化センターを設立し、率先して中心街の課題解決に取り組んできたところであります。しかし、中心市街地のオフィスなどの空室率は類似都市と比較をしても非常に高い傾向にあると言われておりますが、近年の推移をお示しください。 しいのき迎賓館の供用開始から、次は旧新館の県広坂庁舎1号館の解体撤去に着手することとなると仄聞をいたします。県事業ということですが、1号館には利用度の高い施設が多く入居していることもあることから、近隣の空きオフィスへの誘導が行われるよう支援策を講ずるべきと考えます。それらを踏まえ、本市商業の振興策をどのようにお考えかもあわせ伺います。 さらに、ファッション産業についてです。本市のかつての基幹産業は繊維であり、繊維機械でありましたが、そうした繊維産業や伝統産業などを生かしつつ、現代に適合したファッション産業を本市の新たな基幹産業に育成しようとする試みは、まさに新たな産業への道を開くものであり、大いに期待をするところであります。おしゃれメッセなどの取り組みで金沢のファッションを国の内外に発信する試みをしてきておりますが、加賀友禅に代表される金沢のファッション産業の先行きになかなか明るい兆しが見えてきません。ファッション産業都市実現への道筋をどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 加えて、林業、木材産業の振興についても伺います。本市は面積の6割以上を森林が占めている緑豊かで自然と調和したまちです。しかし、森林及び林業を取り巻く環境は、木材価格の長期にわたる低迷などにより厳しさが増しており、森林所有者自身による森林の手入れがおくれている状況です。このままでは森林のもたらす二酸化炭素吸収能力や山崩れ、洪水防止などの公益的機能が低下するおそれがあります。そのため、木材の利用推進を図ることにより、森林資源を循環させ、間伐など森林の手入れを促進させることが必要です。特に、市域内の森林から生産される市産材の利用拡大を図ることは、本市の林業、木材産業の活性化と森林の公益的機能の維持増進に有効であることから、市が率先して市産材を利用するとともに、市民の皆さんにも広く利用を推進していくことが大切です。幸い、金沢森林組合は、一昨年、金沢市森林組合、森本森林組合、津幡森林組合、かほく市森林組合の4組合が合併し、新しくスタートしました。組合員、職員の改革への努力で、1年目にして黒字に転換したとお聞きをしております。そして、何より間伐材の無垢材や集成材などの建築資材をより安定的に提供ができるようになりました。加えて、不燃木材や防腐加工などの最新加工技術も進んでおります。住宅補助金の対応を拡充することや、金澤町家の再生に市産材の利用を促すとともに、小中学校や保育所など市営建設工事などの発注に際しては、仕様書に市産材利用の努力規定を明記し、さらなる利用拡大を図るべきと考えます。本市林業、木材産業の振興についてどのようにお考えか、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、本市の拠点性を高める取り組みについて何点か伺います。 その第1は、2次交通の整備、新交通システムの導入についてです。平成26年度の北陸新幹線金沢開業に向け、金沢駅周辺のさまざまな開発整備が進められてきました。ことしは駅西広場の再整備も着手されたところであります。新幹線の開業によって、金沢の乗降客数も飛躍的に増加することが見込まれます。そのため、市民や観光客にとって、観光施設や主な拠点を結ぶ利便性の高い2次交通の充実が求められます。これまでふらっとバスのルート増設や城下まち金沢周遊バスなどが便利な2次交通として利用されております。また、先日から公共レンタサイクルの社会実験も行われているところであります。しかし、路線バスやこれらの公共交通の活性化が望まれますが、本市の路線バスは人口減、少子化などさまざまな要因から年々利用者が減少しているようであります。そのためか、バス料金も他都市と比較をすると割高に感じます。私は、根本的に金沢の都市交通環境を改善させ、人や環境に優しいまちづくりを進め、都市機能を高めていくには、新交通システムの導入が不可欠であると思います。戦火に見舞われなかった金沢は、道路も狭隘で車の増加とともに渋滞が激しくなっております。道路の整備や拡幅などによる対応も年々厳しくなってきており、車にかわる公共交通機関の整備が必要です。これまで長い間、AGTやLRT、モノレールやガイドウエーバス等の論議が本議場でも交わされてきました。国・県への整備促進に向けた要望活動も延々と行われてきたところであります。4年後の北陸新幹線開業を機に、この問題を一歩前に前進させ、新しいまちづくり、総合交通体系の形成を図っていくべきと考えます。最新の金沢都市圏のパーソントリップ調査の結果、本市の都市交通のあり方についてどのように分析をされておられるのか、本市の2次交通の充実、新交通システムの導入についてどのようにお考えかお尋ねをいたします。 市長は去る8月26日、フランスパリのユネスコ本部を訪ね、創造都市ネットワークの世界会議を金沢で開催するよう申し入れました。また、イタリアのベネチア・ビエンナーレ国際建築展では、プレビューイベントで講演し、美術館がまちなかのにぎわい創出に大きな役割を担っていることを語られたと報じられております。特に、ユネスコでは本市の要請に対し、創造都市のネットワークが拡大するよう、未登録の都市を含めた拡大会議を2012年に開催する計画があり、金沢を有力な候補地とすると当局から示されたようであります。正式決定まではまだですが、決まれば金沢を、世界の中で小さくても独特の輝きを放つ世界都市にと、これまで国際都市と言わず、あえて世界都市を標榜されてきた取り組みがまた一つ前に進むこととなります。
クラフト分野での創造都市として、文化のビジネス化、工芸の高付加価値化にも果敢に取り組んでいくことが求められます。今後、ユネスコを初め関係機関との間で協議を進め、金沢開催実現に向けての準備に入られることと思いますが、庁内チームの立ち上げや
クラフト分野の関係者等の方々との連携が大切であると思いますが、どのように取り組みを進めていくお考えかお尋ねをいたします。 さらに、本市ではまちなかのにぎわい創出、交流人口を拡大する企画イベントとして、春にはラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭が開催され、この8月には金沢アカペラ・タウンを開催。全国から参加者を募り、夏の金沢のまちなかの至るところでアカペラストリートライブを行い、まちの活性化が図られ、成功をおさめたようでございます。そして、秋のイベントである金沢JAZZ STREETがいよいよ今月18日から20日まで開催されるわけですが、昨年以上の大きな盛り上がりを期待いたします。金沢は四季を通じて音楽で満ちあふれている、金沢は音楽文化の新しい発信地、そんな魅力的なまちの姿を国内外に発信できたらと期待をいたします。そこで、春、夏、秋と開催される音楽イベントですが、冬のイベントも開催をすることはできないでしょうか。これまで多彩なイベントを企画し、冬の交流人口の増加を図ってきましたが、金沢の冬の気候がネックとなり、爆発的な観光客増加はなかなか図れていないようであります。金沢の冬は、雪などの気候の関係でストリートライブのような屋外での取り組みは不可能かもしれませんが、まちなかの建物の中で市民や観光客が熱くなる、そんな音楽イベントを企画してはいかがでしょうか。春はクラシック、夏はアカペラ、秋はジャズと来ているので、冬はロックか邦楽、例えば、金澤町家や和風旅館を舞台にした邦楽フェスティバルや町家ロック、これまでの史跡コンサートを集中して開催するのも一考かと考えます。音楽イベントを通じてのにぎわいの創出、交流人口の拡大について、これまでの成果と今後の取り組みについて伺います。 次に、市民の安全・安心についてでありますが、厚生労働省がこの7月に発表した日本人の平均寿命は、女性が86.44歳、男性は79.59歳で、男女とも4年連続で過去最高を更新し、長寿国日本を象徴する結果になっています。その一方で、信じられない出来事が起きています。全国各地で所在が確認できない高齢者の存在が相次いで発覚していることです。この高齢者不明問題は、年金・医療・介護などの高齢者福祉施策や想像以上に進んでいる家族間の希薄さなどがその一因と言われております。幸い、本市では事件につながるような事案は起きておりませんが、いつ起きるとも限りません。全国で確認された行方不明者の多くは、身寄りもない高齢者の住民登録だけが過去の住所地に残ったケースが大半を占めているようであります。一方、生活の糧に年金詐取を目的として死亡届を提出しなかった例もあり、自治体として正確な実態把握に努める必要があります。これらの問題が表面化して、本市はどのような対応をとられてきたのか、またその結果を伺います。 最近は他人の干渉を嫌う傾向が非常に強くなってきているように思われますが、そのような中、高齢者の所在不明はどうすれば防げるのか、高齢者ひとり世帯への行政フォローなどいろいろな施策の展開が考えられますが、行政としてなすべきことは何とお考えか、市長の御所見をお伺いいたします。 あの大阪の幼児2人の遺棄事件や、高齢者の行方不明問題などを看過できないと、過日、木越団地のスクールサポート隊や有志の皆さんが地域の平成のおせっかい隊を結成いたしました。地域の力で児童虐待を防ぎ、高齢者の安心を守っていこうとの運動です。メンバーはサポート隊の有志のほかに、地元の商店や新聞配達、宅配業の方も参加されています。御存じのように、この大浦校下のスクールサポート隊は、全国の先駆けであり、金沢型防犯として全国に普及、今では300万人の学校防犯ボランティアの原点の活動であります。参加している皆さんは、何事も動かなければ始まらない、できる人ができるときにできることをとの思いで取り組まれています。そんな皆さんの地域力強化の新しい運動を行政も積極的に伸ばして支援をしていくことが必要ではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。 最後に、学校における熱中症対策の強化について伺います。 ここ数日前から、朝晩秋の気配が感じられるようになりましたが、ことしの夏は異常気象と言われるくらい猛暑が続きました。7月の梅雨明け以降、8月末までに熱中症と見られる症状で亡くなった人が全国で約500人に上っていることが報じられました。これは気象庁の統計で8月の平均気温がほぼ全国で戦後最高を記録する猛暑となったことが影響したと言われています。今回の猛暑は、その犠牲者数から、大災害と言ってもいい状況で、国・自治体を通して本腰を入れた対策が必要です。直接的な熱中症対策のほか、ヒートアイランド対策などのまちづくり、温暖化対策など総合的な取り組みが必要ですが、熱中症被害は抵抗力の弱い高齢者や子どもに多く、高齢者施設や学校における具体的な熱中症対策の強化が望まれます。そこで、本市内の小中学校における熱中症対策について、学習機会の強化、注意喚起の情報提供などのソフト面、エアコンやドライミスト装置、暑さ測定器などの整備が考えられますが、現状と強化策をお伺いして、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○田中仁議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 32番増江議員にお答えをいたします。 まず冒頭に、過日の私の言葉を採用していただきました。武者小路実篤と志賀直哉は、雑誌「白樺」の発刊に当たったまさに2人だったというふうに思います。そのうちの志賀直哉の名言を教えていただきました。感謝します。 市政運営についてのお尋ねの中に、不祥事の責任を問うということがございまして、改めておわびを申し上げる次第でございます。 市長は現在の市政の重要課題をどのように考えているのか、また、4年間で何をしたいのかとお尋ねになりました。何よりも、1つは厳しい経済・財政事情への対応でございまして、雇用と景気対策、これを最優先にして、その景気、雇用に欠かせない経済基盤の強化にも努めなければならない、このように思います。具体的なことを申し上げて恐縮ですけれども、店舗やオフィスへの出店支援とか、都心軸の近代化、小売・卸売機能の強化、クラフトのビジネス化と企業誘致、また1次・2次産業における後継者育成、こんなことなどに取り組みまして、何としてもまちを元気にしてまいりたいと、このように思います。2つは、北陸新幹線の金沢開業への対応でございまして、駅周辺、とりわけ駅西広場の再生、在来線対策、2次交通の充実、こういうことに万全を期してまいりますとともに、歴史文化遺産の保全、町家の再生等、ストックを生かした魅力あるまちづくりにも取り組んでまいらねばならないと、このように思います。もちろん市民生活の安全・安心の確保、美しく環境に優しい持続可能なまちづくり、たくましくて他者を思いやる、そんな子どもたちの育成、こういうことが重要なテーマであろうと思いますし、地方分権の推進には全力を挙げて努力をしていく必要があると、こう思っています。 工業の振興にお触れでございました。独創性と多様性、これが金沢のものづくり産業の特色だというふうに思っておりまして、こうした特色をはぐくんでいって、創造産業都市の実現を将来像に掲げて、金沢固有の文化とか、高度な技術だとか、産学官のネットワーク、こういうものを生かしたものづくりを進めていくことが大事だと、こう思っています。そのために新製品の開発でありますとか、販路の開拓への支援に努めますほか、究極は人材の育成ではなかろうか、そんなことを思っておる次第でございます。加えまして、産業機械、建設機械の工場が立地する金沢港周辺、また、医療・環境関連企業が集積をする金沢テクノパーク、それから多様なものづくり産業の集積を目指すいなほ・かたつ工業団地、ここへの企業立地を進めまして、地域経済の活性化につなげていきたい、このように思っております。 商業の振興についてもお触れでございまして、オフィスの空き室率、このことについては産業局長からお答えをいたしまして、私からは商業の振興策をどう考えていくか、このことについてお答えをいたします。今回、都心軸沿線に広域的な集客力を持つファッション関連店舗の集積を促したいと思いまして、新しい助成制度を設けることにいたしました。また、あわせまして、オフィス進出助成制度、この拡充を図ることにいたしまして、オフィスの誘致を進めてまいりたいと、このように思っています。これらを通じまして、新幹線の金沢開業に向けて、より拠点性を高めて広域商業機能の充実、ひいては金沢市の商業基盤の強化、こんなことにつなげていきたい、そのように思っておる次第でございます。一方、地域商店街の振興も大事でございまして、現在、地域商店街活性化推進チームで商店街実態調査、それから商店街ごとに役員との意見交換を行っております。各商店街の特性や実情に応じたきめ細かな支援策を展開してまいりたいと、このように思っている次第でございます。 次に、ファッション産業都市実現への道筋をお尋ねになりました。ファッション産業につきましては、異業種との交流、学術との連携、人材の育成等を通じまして、質の高いものづくりを目指しておるわけでございますが、業界によってはさまざまな問題を抱えていることも事実でございます。こんな状況を踏まえまして、さきに加賀友禅技術振興研究所、これを立ち上げまして、近く金沢箔技術振興研究所を開設しまして、さらにクラフトを含めたファッション産業の機能強化を目指しまして、クラフトビジネス創造機構、この設置を計画中でございます。今後とも多面的、重層的に産地を支援し、業界や市民の皆さんと一緒になってファッション産業都市の早期実現を目指してまいりたい、このように思っています。 次に、林業、木材産業の振興にお触れでございました。現在、林業、木材産業の振興、それから金沢産材の利用拡大を図りますために、木の家づくり奨励制度、こういうものを設けてございます。また、小学校でぬくもりの教室の整備等を進めております。さらに、「金沢の伝統を支える森」推進委員会におきまして、町家の改修とか伝統工芸品への金沢産材の活用策を検討してございまして、本年5月に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律、こんな法律が公布されたところでもございますので、御指摘の点を踏まえまして、金沢産材のさらなる利用拡大策について検討してまいりたい、このように思っています。 2次交通と新交通システムの整備にお触れでございました。私は、これから金沢市の大事なテーマの一つは、まさに2次交通だというふうに思っておりまして、仰せのとおりでございます。パーソントリップ調査の結果、移動手段に占めるマイカーの割合が依然高いということになってございます。したがいまして、公共交通重要路線の検証、それから潜在需要の掘り起こし、これが必要だと思っております。そのために、2次交通の充実は不可欠なことと、このように認識をしておる次第でございます。 一方、新しい交通システムの導入でございますが、随分と研究を続けてきています。なおかつ研究はやめてはいけないと、こう思っています。走行空間の確保、事業費等の課題もございまして、まずはまちなかシャトルの平日運行等を進めて、公共交通の利便性を向上させて、利用者の増加に努めることがまず先決だ、こう思っておる次第でございます。御理解をいただきたいと思います。 次に、創造都市ネットワーク会議の招致のことにお触れでございました。金沢市は、これまでも日仏自治体交流会議でありますとか、世界創造都市フォーラムを開催するなどいたしまして、国際会議を誘致し運営する素地は十分あると、そのように思っています。創造都市の拡大会議という趣旨での御質問があったわけでございますが、これにつきましては、他の創造都市の意向、それから経費面等の課題もございますことから、ユネスコや関係機関との協議を重ねるとともに、経済界、クラフト関係者等から成る金沢創造都市推進委員会と連携をしまして実現に向けて努力をしていきたい、このように思っています。 次に、音楽文化の発信についてお尋ねになりました。金沢JAZZ STREETは約8万人、それから金沢アカペラ・タウンは約1万人、観客を動員することができました。いずれもまちなかの開催でございまして、参加者がまちの中を回遊して、県内外から多くの学生も参加をしてくださったことから、まちなかのにぎわい創出、学生のまち金沢の発信にもつながったと思っています。ことしの12月には金沢歌劇座がリニューアルオープンするということになってございまして、オペラの公演ができる環境も整うわけであります。したがいまして、御提案の町家や史跡を活用した冬の音楽イベントとあわせまして、四季を通じて音楽があふれるまちになるように知恵を出していきたい、このように思っています。 高齢者の行方不明問題につきまして、まずは高齢者の実態把握について結果をお尋ねになりました。福祉健康局長からお答えをいたします。 そして、私からは高齢者の行方不明問題について、行政がすべきことは何かとお尋ねになった次第でございます。医療保険、それから介護保険の利用状況によります高齢者の所在確認の範囲を順次拡大しまして、実態の把握に努めたいと考えておりますが、行政が単独でできることには限界がございます。地域の福祉力を高めることが欠かせない、このように思っています。これまで民生委員、まちぐるみ福祉活動推進員、それからお年寄り地域福祉支援センターを中心とした見守り、配食サービスを通じて高齢者の安否確認を行っているわけでございますが、これからは、向こう三軒両隣を基本とした地域ぐるみでの見守りが必要であると考えています。このことを市内の54の地区で、地域福祉計画2008が策定をされておるわけでございますが、地域福祉活動計画を見直す際の基本的な視点とするように求めているところであります。これからも地域における協力者、協力団体等を拡大しまして、地域の福祉力を強化したいと考えています。 なお、このことに関連をいたしまして、個人情報保護条例のあり方についてでございます。100歳以上の方々の行方不明のこと、高齢者等弱者に関する災害対応のことなどからいたしまして、個人情報保護条例の目的外利用等についての規定--条例でございますが--条例の規定及びその運営は十分なのかどうか、このことについての検討の余地はないのかどうか、検討してみる価値は、私は、あるように思ってございますので、これから研究をしてみたい、こう思っている次第でございます。 それから、平成のおせっかい隊のような地域力強化の運動を行政も支援をしていくことが大事だという御趣旨でありました。地域の方が安全・安心の立場から、地元の企業を巻き込んでこのような地域福祉に積極的に取り組んでいただいたことは何よりも感謝したいと思います。児童虐待や高齢者の見守りは、地域の協力がなくては確認が難しく、その活動に大いに期待を寄せるところでございます。これからは、地区の民生委員児童委員協議会や地区の社会福祉協議会とも連携を密にして、よりきめ細やかな地域福祉のネットワークを形成していっていただきたい、このように思っています。市としても、地域福祉計画に基づきまして、こうした活動が全市的に広がるように働きかけていきたい、このように思います。 以上でございます。
○田中仁議長 山田産業局長。 〔山田克俊産業局長登壇〕
◎山田克俊産業局長 中心市街地のオフィスの空室率の近年の推移についてお尋ねがございました。民間機関の調査によれば、香林坊から西念、鞍月に至る都心軸周辺地域の空室率は、平成19年3月末には15.4%でありましたが、リーマンショック後の不況等により、本年3月末には25.5%にまで上昇いたしました。最新のデータである6月末時点では0.8%改善し、24.7%となっております。 以上でございます。
○田中仁議長 澤田福祉健康局長。 〔澤田 博福祉健康局長登壇〕
◎澤田博福祉健康局長 高齢者行方不明問題に関連いたしまして、高齢者の実態把握について本市はどのような対応をとられたのか、またその結果を伺うということでございますが、民生委員の方が3年ごとにすべての高齢者宅を訪問調査し、また、毎年新たに65歳になられる方を対象といたしまして補完調査を行うことにより、高齢者福祉保健台帳を作成し、その実態の把握に努めております。今回の問題を踏まえまして、長寿お祝い金の対象となる方のうち、88歳の方につきましては、事前に民生委員に極力面接による所在の確認をお願いするとともに、99歳及び100歳以上の方につきましては、民生委員による所在の確認に加えまして、医療保険及び介護保険の利用状況を調査し、今年4月より利用のない方3人と男女最高齢の方から各5人につきまして、職員が直接訪問し、面接を行い、1,769人全員の所在を確認したところでございます。
○田中仁議長 浅香教育長。 〔浅香久美子教育長登壇〕
◎浅香久美子教育長 学校における熱中症対策の強化についてお尋ねがございました。教育委員会では、この夏、7月当初、また夏季休業前、9月当初などにそれぞれの状況に応じて水分補給、健康観察、学校医との連携など、予防対策、対応を周知徹底し、児童・生徒の熱中症による事故防止を図ってきております。また、小中学校の図書室、音楽室、パソコン教室については、全校で冷房設備が設置されており、これらの教室も活用しながら、熱中症防止に努めているところでございます。 以上でございます。
○田中仁議長 28番森一敏議員。 〔28番森 一敏議員登壇〕 (拍手)
◆森一敏議員 会派社民の一員として、議会冒頭で6選に向けた熱い決意を表明された山出市長に、私なりの観点から幾つかの課題について御質問いたします。 質問の第1項は、地域主権改革と首長と議会の関係についてです。 第2ステージとも言うべき地方分権改革が地域主権改革として進められています。さかのぼれば1995年、地方分権推進法、99年、地方分権一括法と合併特例法、2001年以降の小泉政権では平成の大合併が推し進められ、3,200以上あった市町村は半減をいたしました。一方、小泉構造改革は、税源移譲の名で三位一体改革を断行しましたが、国庫補助負担金と地方交付税が合わせて9.8兆円削減されたのに対して、地方への税源移譲は3兆円にとどまり、7兆円近くが地方から失われて地方財政は深刻な打撃を受けました。 〔議長退席、副議長着席〕 これは本市も例外ではありませんでした。地方財政の逼迫、自治体間の格差拡大や合併自治体住民から聞こえる行政サービスの低下の声を聞くにつけ、今日までの地方分権改革を俯瞰して、私には国のコスト削減によるスリム化と行政負担の地方へのつけ回しの側面が際立っているように思えるのです。翻れば、1980年代からの行財政改革の流れの中で、再三再四提言されてきた経済界の意向、すなわち大競争時代の国際競争力を担保する国家行政コストの削減、市場原理導入による地方行政の効率化が色濃く反映する一方で、地域経済の疲弊、地域コミュニティーの劣化、安定雇用の崩壊といった厳しい現実を前にして、地方分権に求めた地域住民の自治権拡大、地方の復権は果たして進んできたのか、根本的な疑問を感じざるを得ません。この間、分権改革の渦中にあって、一貫して実質的な分権を訴え続けてこられた山出市長に、この間の地方分権改革をどう評価しておられるか、まずはお聞かせ願います。 さて、2006年12月に制定された地方分権改革推進法のもとで、地方分権改革推進委員会が発足し、2008年5月から昨年にかけて4次にわたる勧告が行われてきたことは記憶に新しいところです。こうした流れを受け、2009年末、みずからも地域主権改革推進を掲げる民主党政権は、鳩山内閣で地域主権戦略会議を設置しました。菅内閣ではこの6月、地域主権戦略大綱を閣議決定し、「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」を発表しました。地域主権戦略大綱では、国と地方の対等なパートナーシップをうたい、基礎自治体への権限移譲、国と地方の協議の場の法制化、義務づけ・枠づけの見直しと条例制定権の拡大、国の出先機関の廃止、ひもつき補助金の一括交付金化、国・地方の税源配分の見直しと安定的な税体系の構築が挙げられています。現在、義務づけ・枠づけの見直しにはナショナルミニマム確保との関係が、一括交付金化については自主財源たり得るかについて議論がありますが、これから本格化する地域主権戦略大綱に基づく地域主権改革に市長はいかなる期待と課題を見出しておられるのか、その御所見を伺います。 ところで、地域主権戦略大綱では、地方自治法を抜本的に見直し、地方政府基本法を制定するとしています。その中で、地方公共団体の基本構造、議会制度にも踏み込んでいます。地方公共団体の基本構造として、憲法第93条は、執行機関として独任制の首長と議事機関としての合議制の議会を設置し、首長と議会議員をそれぞれ住民が直接選挙することを定めています。いわゆる二元代表制です。この憲法上一律に定められている二元代表制に対して、それ以外の選択肢を用意し、地域住民がみずからの判断と責任において選択する仕組みを検討するとしています。総務省の「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」には、長と議会の関係の見直しの考え方の中で、議員が自治体の首長、副首長、常勤の職員を兼職することを許容すべきとの意見が一部自治体にあることに言及しています。地域主権戦略会議の委員でもある橋下大阪府知事は、これに関連し、議員が議員の身分を有したまま、執行機関の一員となって行政執行に当たるという議会内閣制なるものを提唱し、物議を醸しています。これに対し、先日、本市議会運営委員会が視察をした議会改革先進県である三重県議会の三谷議長は、そのような議会内閣制とは議会を首長の下に取り込むことであり、議会本来の監視評価機能は発揮できなくなる。二元代表制を壊すことは、憲法に規定されている議会制度の崩壊を意味すると強く懸念を表明しています。地方公共団体の基本構造に関する改革が自治体や住民をらち外に置いて進められることがあってはなりません。阿久根市の竹原市長の議会を無視した専決処分の乱発、名古屋市河村市長の議会リコール運動が全国的に話題になっております。健全な相互牽制機能を発揮するべき二元代表制をめぐるこうした状況や議論について、山出市長はどのように受けとめておられるのか御所見を伺います。また、今後、論議に市長としてどのような立場で臨んでいかれるのかもあわせてお聞かせください。 私も議会のあり方検討委員の一人として、市民の信頼をかち得るための議会みずからの改革は待ったなしである、このことを自覚しつつ、首長と議会の関係のあり方について、分権の旗手として先頭を走ってこられた山出市長の見識をお尋ねするものです。 質問の第2項は、ユネスコネットワーク登録と本市の施策推進について御質問します。 その第1は、創造都市ネットワーク会議の招致についてです。「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」、この有名な一節で始まるユネスコ憲章は、恐ろしい大戦を教訓に、失われない平和は人類の知的及び精神的連帯の上に築かねばならない。当時国は世界の諸人民の教育、科学、文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、かつその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設すると、ユネスコ創設の意思を高らかに宣言しています。先般、山出市長は、パリのユネスコ本部を訪問し、ユネスコ創造都市ネットワーク会議の金沢開催を要請したと報じられました。創造都市ネットワーク
クラフト分野への登録の意義について、私は、昨年3月に市長の見解を伺っておりますが、本年5月に招致した日仏自治体交流会議に引き続く国際会議の招致は、
クラフト分野というものづくり施策にとどまらない金沢の都市構想全体の展開に大きく作用するものではなかろうかと思われます。そこでまず、ユネスコ創造都市ネットワーク関連事業にかける市長の都市政策ビジョンを改めてお尋ねします。 また、ネットワーク会議招致の意義をどうとらえておられるのか、さらには、開催に関する課題は何かをお聞かせください。 その第2は、ユネスコ・スクール・ネットワークの推進についてです。ユネスコ創設の理念からして、最も根源的な事業がユネスコ・スクールではないかと私はとらえています。ユネスコ・スクールが取り組む持続発展教育--ESDは、その理念を次のように述べています。持続発展教育とは、「私たちとその子孫たちが、この地球で生きていくことを困難にするような問題について考え、立ち向かい、解決するための学びです」。将来にわたって持続可能な社会を構築するために、「まずは、問題意識を持つこと。そして、取り組むべき課題について知ること。その課題と自分とのつながりを考え、理解すること。その問題・課題解決のために人と意見を交わし、共にあるべき方向を確認し、行動することです。このように、考え、行動できる人材を育てる教育がESDなのです」。そして、具体的なテーマとして、水資源、ごみ問題、雇用、人権、ジェンダー、平和と人間の安全保障、貧困削減、HIV、移住の問題、気候変動、都市化などが挙げられ、いずれも文化的な背景の中での環境、社会、経済の複合された問題として取り組むことが求められておりますが、ESDは決して特別な活動ではなく、環境教育や国際理解教育など、既に各校で取り組まれている活動はESDになる得るものとしています。私は、持続発展教育が総合的学習の枠にとどまらず、学び全体の質を大きく転換させていく可能性をはらんでいると思うのです。改めて、浅香教育長には、ユネスコ・スクール・ネットワークの持続発展教育にいかなる意義と展望を見出しておられるのかお聞かせください。 ところで、去る8月26日に開催されたユネスコ・スクール・フォーラム in 金沢に私も全日程参加し、新たに加わる13校の加盟認定、加盟校の実践報告、児童代表による子ども会議を拝聴しました。そこでは、地域と結び、伝承されてきた文化や暮らしに学び、身の回りの環境への働きかけから、地球環境の問題に目を向ける体験的な学習が取り組まれておりました。また、経済格差や貧困などグローバルな問題に関心を寄せ、同世代の子どもたちへの共感から生き方を思い描く子どもらしい発言に未来への希望を感じました。もちろんユネスコ・スクールの教育実践は始まったばかりです。その内容の深化は、教育現場の子どもたちとの営みに期待されるわけですが、その条件として、理念と目的の共有のための現場教職員との対話、豊かな実践の前提となる素材の発掘や多方面との連携に必要な時間の確保、そのための仕事量全体のスリム化、人的なサポート体制や予算措置など体制の整備が求められます。さらには、「絆」教育とも共通して、土台である地域に根差す教育に逆行するとの声が強まる中学校選択制度との矛盾も解消される必要があります。ユネスコ・スクール・ネットワークが取り組む持続発展教育が花を開かせるためのこれらの課題に対する教育長の見解をお尋ねします。 質問の第3項目は、大東亜聖戦大碑副碑建立への対応についてです。 私は、2008年の12月議会で、自治体が住民の平和的生存権を守る責務に照らし、田母神論文問題と、それと同様の歴史観が表明されている大東亜聖戦大碑に解説の役割を持たせた副碑の建設が本年秋に予定されていることを踏まえ、戦争の歴史認識問題への所感を伺いました。市長は、端的に戦争は美化してはいけないとお答えになりました。体験に裏打ちされた言葉に深く共感を覚えています。しかしながら、残念なことに、2000年に大東亜聖戦大碑が建立されたときには、本市は当時の都市公園への建立に対して、条例上不必要な建設許可を与え、二重の意味で汚点を残していることもまた思い起こすのです。山出市長はこの2000年当時の許可手続をどのように振り返っておられるでしょうか。 私が改めて言うまでもなく、聖戦大碑が建った護国神社は、石川県風致地区条例が定める第2種風致地区であるとともに、金沢市景観条例における伝統環境保存区域にも当たります。当該区域が都市公園から除外された現在、高さが1.5メートルを超える工作物を設置する場合は、風致地区条例では許可、景観条例では届け出が必要です。景観形成基準に適合しない場合は、助言や指導、勧告を行わなければなりません。県風致地区条例での許可権者は、中核市である金沢市です。申請や届け出があれば、本市が適切な対処をしなければなりません。その際に、私が申し上げたいのは、風致地区の規制基準、周辺の土地と著しく不調和ではないこと並びに景観形成基準を条例第10条に例示的に示す規模、位置、色彩、意匠及び形態といった外形を機械的に当てはめて事足れりとするものであってはならないということです。景観条例の前文に示される歴史や文化に培われた個性豊かで美しい景観、人間性あふれる都市、さらには基本理念にある地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動との調和を踏まえ、本市平和都市宣言にも示された大戦の惨禍を経て平和の建設と文化の発展に向けて歩んできた市民の総意に背くものであってはなりません。本年は敗戦から65周年、韓国併合から100年の節目です。大本営の無謀、無責任な戦争指導によって、人命軽視甚だしい中、倒れていったおびただしい旧日本軍兵士たちの実相が余命少なくなった生還者の憤りに満ちた証言とともに、連日特集されて報じられております。一方、中国蘇州市、大連市、10月に議会代表団の来訪が決まった韓国全州市を初め、日本の植民地支配、侵略の被害を受けた国々、自治体市民との交流が深まっています。自治体外交によって、国際平和に貢献しようとする本市の姿勢が問われる問題でもあります。さらには、今ほど述べたユネスコのネットワーク都市としての責務からも熟考が求められます。なぜならば、ユネスコ憲章の目的及び任務に、「正義、法の支配、人権及び基本的自由に対する普遍的な尊重を助長するために教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和及び安全に貢献する」、「自由の責任に対して、世界の児童を準備させるのに最も適した教育方法を示唆すること」が明示されているからです。市長みずからがユネスコ創造都市ネットワーク登録を平和への貢献と説明し、ユネスコの理念の実現への参画を使命とした本市が、まさに偏狭で独善的な歴史認識を後生に継承しようとする教育的施設として建設された大東亜聖戦大碑関連施設に同意を与えることは、覆うべくもない自己矛盾となりましょう。副碑建立の許可申請が行われた場合、本市は許認可の主体としてどのような対処を行うおつもりか、市長の見解を伺って質問を終わります。 (拍手)
○福田太郎副議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 28番森議員にお答えをいたします。 まず、地域主権改革、そして首長と議会の関係にお触れでございまして、まずは平成の大合併とか三位一体改革、これまでの地方分権改革をどう評価しているかというお尋ねでありました。これまでの分権改革では、まずは機関委任事務を廃止した。これは大きかったと思います。三位一体改革では、国庫補助負担金の廃止・縮減、それに伴う所得税から住民税への3兆円の税源移譲、これができて分権の推進にいささか風穴があいたと。私は、このことの意義は認めないといけないと思っておりますが、三位一体改革にありましては、国の関与を残したまま補助負担金が縮減をされるということがあったわけでございまして、地方にとっては十分ではなかったと、こう思っています。平成の合併につきましても、合併によりまして経費の節減等に一定の効果はありました反面、区域の拡大により行政サービスにかえって非効率な面が生じた、こんなケースもないわけではないと思っております。そのような経緯があるにしろ、私は、地方分権の灯は消してはならないと、そのようにかたく思っております。引き続き、全国市長会等の場を通じまして、推進を国に強く求めてまいりたい、このように思っています。 地域主権戦略大綱に基づく主権改革に市長はどんな期待と課題を見出しているかというお尋ねでありました。地域主権改革は、地方の自立性・自主性を高めることを基本にいたしておりまして、戦略大綱の策定によりまして、政府がこれを強力に推進をしていくべきと、その姿勢を明らかにしたことについては評価をしたい、このように思っています。しかし、私は、その場合の基本は、国が何をし、地方が何をするのか、言いかえれば国と地方の役割分担、この明確化が基本であり前提である、このようにも思っております。例えて申し上げます。社会保障の年金、生活保護、子ども手当、こうした全国画一的な現金給付、これは国が所管すべきが原則と私は思います。一方、保育サービスのように自主性が生かされる分野が地方にある。そして、その分野を地方が担う。こういうことについては、地方に思い切ってゆだねるべきだというふうに思っておりまして、いわば国と地方の役割分担という骨太の部分をしっかり決めていくことが大事だと思っているわけであります。そうして、こんなことを議論する場が国と地方の協議の場でございまして、この法制化は必須の条件だけれども、まだできていません。法律案の早期成立を求めながら、これからの動向を注視しながら、必要に応じまして全国市長会等を通じて、分権改革の実現を国に強く求めたい、このように思う次第でございます。 首長と議会との関係についてお触れでございました。地方自治体における二元代表制でございますが、長と議会がそれぞれ住民の直接選挙で選出をされて、互いに牽制をし合い、協力もし合って、よりよい地方の行政が進められることを期待する、そんな仕組みであろうと思います。このところに至りまして、国が検討会を設けて検討しておるわけでございますが、ここでは二元代表制の中で現行制度とは異なる選択を可能にするような方向性、このことについて議論がなされています。そんな中で、とりわけ大阪府知事でございますが、議員内閣制とは言いませんで、議会内閣制という言葉を使って、一元代表制とも言うべき提案を行っておられます。しかし、議員が執行機関に参画をすることで、長の権限が一層強くなって、相互の牽制機能の低下につながるおそれもないわけではありません。議論はやはり実態論にまで深めなければならない、このようにも思います。いずれにいたしましても、長と議会はそれぞれ執行機関、議決機関として、制度上の牽制手段、これを適切に使いながら、他方、運用面におきましては、緊張感を持ちながら互いにのりは越えない、のりを越えないという思考、姿勢、心がけ、こういうことも大事でございまして、このことでそれぞれの役割を的確に果たしていくことが重要だ、こう思っておる次第でございます。 次に、ユネスコ創造都市ネットワーク会議の招致のことにお触れでございました。金沢市の都市政策ビジョンは、金沢独自の個性を磨いて高めまして、それを国の内外に発信することで、いわゆる世界都市の実現を目指そうというものでございます。ネットワーク会議の開催によりまして、金沢がさらに一歩、世界都市に近づく。同時に、世界の中の金沢として、文化の多様性の実現でありますとか、ひいては世界平和の実現にも寄与できたらと願う次第でございます。一方、他の創造都市の意向、あるいは途上国の渡航費用等課題があるわけでございますので、ユネスコを初めとする関係機関との十分な協議と連携が必要だと、このように思っている次第でございます。 次に、大東亜聖戦大碑副碑建設への対応についてお尋ねでして、まず、2000年当時の許可手続をどのように振り返っておるかというお尋ねでありました。当時、風致条例に基づきまして、本市が形態、意匠など外形的な判断から、周辺地域の風致と著しく不調和でないとして、石碑の設置を許可したものでございます。 副碑建立の許可申請が行われた場合にどんな対処をするのかというお尋ねでありました。申請が仮にあった場合には、私は、設置者には思想信条と表現の自由が保障されておりますので、明らかに法令に触れる場合でないと制限はできない、そのように思っております。したがいまして、風致条例や景観条例の基準に基づいて対応していきたい、このように考えている次第でございます。
○福田太郎副議長 浅香教育長。 〔浅香久美子教育長登壇〕
◎浅香久美子教育長 ユネスコ・スクールについてお尋ねがございました。ユネスコ・スクール・ネットワークの持続発展教育にいかなる意義と展望を見出しているのかとのお尋ねでございました。ユネスコ・スクールが持続発展教育に取り組むことは、人と社会、自然、世界、未来とのかかわりやつながりを尊重できる児童・生徒の育成につながり、価値あることだと考えております。今後、各学校が国内外のユネスコ・スクールとのネットワークを広げることで、本市が進めている金沢「絆」教育の一層の充実につながると思っております。 次に、ユネスコ・スクール・ネットワークが取り組む持続発展教育が花を開かせるためのこれからの課題に対する見解をお尋ねになりました。持続発展教育に取り組む上で、本市においては、金沢のまち全体が教材でございます。多くの方々の協力に感謝しています。地域だけでなく、大学や企業等の協力も得ながら学習を進め、自分の考えを持ち行動できる、そして、金沢に誇りを持つ子どもを育てていきたいと思っております。 以上でございます。 〔「議長、28番、再質問」と呼ぶ者あり〕
○福田太郎副議長 28番森一敏議員。
◆森一敏議員 副碑の問題について再質問いたします。市長がおっしゃいましたように、外形をあくまでも判断をするというのが条例の趣旨であると、このような見解をおっしゃたわけです。私、景観条例を読みますと、例示されている基準というのは、確かに外形、形象と言われるようなものについての基準が例示されています。しかし、最後に市長が必要とする事柄といいますか、そういう項目が1項入っているわけですね。ですから、例示的に外形上の事柄について示されておって、なおかつ市長の判断という部分が項として設置されているということは一体どういうことかと。ここのところに私の質問の趣旨が込められています。きょうの御答弁の中にもう1点、明らかに法令に反しているという場合でなければと、こういう留保が答弁の中につけられていると、そのように思います。この副碑の建設にかかわる情報が公表されましたときに、3つの文案というものが同時に示されているわけですね。それがそのまま石碑になるのかどうかということはわかりませんけれども、これまでおっしゃったことはきちっと実行されてきた団体の方々でありますので、それらの文面が申請されてくるということになれば、このことがさきの戦争に対する歴史認識として示されてきた政府見解とか、国会決議であるとか、これは法令と言えるかどうかわかりませんけれども、長い時間をかけて日本国民の総意を形成してきた、その結果としてのこの認識というものに対して著しく反するものであるということについて、本当に外形上の判断だけで許可していいのかということが、やはり市に対して問われてくるだろうというふうに思います。私の再質問の趣旨は、その明らかに法令に反するというこの解釈と、それから市長の判断という、この事柄について再度見解をお尋ねしたいと思います。
○福田太郎副議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 風致条例とか景観条例というのは、高さでありますとか、色彩でありますとか、そういうことについての基準が設けられておりまして、そのことに従うのがまずすべてだというふうに思っております。私にとりますと、そのことはそのこととして、もう1つ大事なことは、思想信条の自由と表現の自由、これが設置者にあるということでございまして、これは憲法上の要請だろうというふうに思っております。このことは法令に触れる場合でないと制限はできないというふうに言われておるし、私もそのように思っておる次第でございます。何よりも憲法で保障された思想信条の自由、表現の自由にかかわるということであれば、私は行政のかかわれないこと、碑文の内容について審査する規定もありませんので、行政はかかわれないと、このことを思っておる次第でございます。
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△休憩
○福田太郎副議長 この際、暫時休憩いたします。 午後2時22分 休憩-------------------------- 午後2時39分 再開
△再開
○福田太郎副議長 出席議員数は、ただいまのところ36名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。
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△質疑・一般質問(続き)
○福田太郎副議長 休憩前の議事を継続して、質疑並びに一般質問を続行いたします。 37番玉野道議員。 〔37番玉野 道議員登壇〕 (拍手)
◆玉野道議員 質問の1点目は、本市の人口動態とまちづくりに関してであります。 さて、総務省がことし3月に行った住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、1980年の調査開始以来、人口の自然減が最多に、生産人口が最小になり、雇用情勢改善のおくれによる地方から都市圏への流入が4年連続でふえ、三大都市圏の人口割合が50.51%と過去最高になったとしています。また、調査では、今後、生産人口の減少に伴う生産力の低下による税収の落ち込みや投資余力の減退などにより、自治体は安定した財源の確保が一段と難しくなり、将来的に介護や医療などの社会保障費の増大に対応できなくなるおそれがあるとして、早期の対策が重要であると指摘しています。この指摘は、2009年度の県税収入決算でも約169億円減と過去最大の下げ幅となり、本市でも前年度比約37億円の減収となってあらわれています。社会保障費の増加による財政制約が強まる中で、4年後の北陸新幹線金沢開業を見据えた魅力あるまちづくり戦略を完遂させるためには、事業費の財政的裏づけは不可欠な課題となっています。財務省が発表した2010年の国の借金は904兆円余となり、11年度中に1,000兆円の大台に達することも視野に入れており、財政は悪化の一途にあるとしています。全国知事会は、自主財源減少の懸念から、消費税の引き上げを強く求めていますが、地域経済に大きな影響を与えることから、まずは地域経済、産業の振興と雇用情勢の改善などによる財政基盤の強化が必要と考えます。そこで、本市の人口動態予測に伴う財政基盤強化策と消費税論議について、市長のお考えをお聞かせください。 質問の2点目は、北陸新幹線金沢開業と都心軸対策に関してであります。 今補正予算案で都心軸線出店促進事業費補助と中心市街地業務機能集積促進費補助が計上されていますが、民間調査機関によれば、本市のオフィス空室率は1992年の調査開始以来最高値を更新し、全国の主要13エリア中、依然として最下位で推移しています。特に、南町は36.2%と高水準空室にあることから、北陸新幹線の金沢開業を控え、都心軸へのてこ入れの必要性を指摘する声が強まっています。また、金沢国税局の発表した1月1日現在の県内路線価は2年連続の下落、前年より下落幅が拡大し、北陸3県の最高価格地点も15年連続トップであった香林坊からJR金沢駅東に移りました。昨年の通行量調査でも、休日は駅前にある金沢フォーラス前が約1万5,000人、大和香林坊前が約1万人となっており、まちの魅力が薄れ、郊外に客を奪われたとの分析があります。このように大和香林坊前の地価の下落幅の拡大は、中心商店街の不振や老朽化したオフィス空室率の上昇と賃料の下落による収益力の低下が背景にあり、都心軸の空洞化現象が顕著に地価に反映されていると言えます。このように地価はまちの営みを映し出し、地域の経済力のバロメーターとして都市の状況判断に重要な意味を持っていると考えますが、現況についてどのような認識を持っておられるのでしょうか。 市はこうした現況を踏まえ、都心軸拠点性向上チーム発足と同時に、今年度から中心市街地へのオフィス進出促進策として、企業への助成制度の拡充と撤退企業や首都圏などの企業に直接出向き、誘致調査を行っています。また、香林坊・片町地区の老朽化ビル調査や中心市街地のテナントビルを中心としたエリアの再開発に向けた調査と検討も進め、中間報告をまとめています。こうした対策が単に路面店からの移転の誘導や空き商業保留床に業務施設を誘致するなどの小手先の対応であってはなりません。また、本市のオフィス助成第1号のテナントが郊外に移転したことに象徴されるように、都心軸の空き路面店が増加し、連続性が失われています。今後も大企業の支店撤退や事業所の縮小などが見込まれており、商店街の不振と地場産業などの厳しい環境は、若者が地元で就職する機会を著しく減少させる背景ともなっています。本市には全国に先駆け、かなざわファッションストリート創出事業補助制度、オフィス助成制度、中心市街地出店促進事業など手厚い誘致助成制度があります。しかし、各制度利用に大きな差異があることから、経済状況下に合った大胆な見直しや拡充の必要性や制度運用のあり方が課題として指摘されています。そこで、これまでの中心市街地活性化を目指した商業、業務に関する支援制度の評価と課題をお尋ねするとともに、今後の制度のてこ入れや見直しについてお聞かせください。 質問の3点目は、地域活性化特区とにぎわい創出に関してであります。 政府は、新成長戦略に地域活性化施策をパッケージ化した地域活性化特区の創設を盛り込みました。本市の経済同友会は、都心軸の空き店舗が目立つ現状に懸念を示し、テナント誘致には選択と集中、各地区の特徴を生かした特区の考え方が必要として、その具体例も提言しています。また、元気なまちにするためには、中心部で失われた病院や学校などの生活施設や映画館などの娯楽施設の充実なども急務であると考えます。これまでの施策の効率化を図るとともに、より多くの課題に対応するために、まちづくり特区は効果的な手法と考えますが、提言の導入と申請について、あわせてお考えをお聞かせください。 本市は、国土交通省と経済産業省に対して、優良建築物整備事業支援対象外の1970年以前に建てられた老朽ビルを対象とした新たな建てかえ促進制度の創設を要望しています。地価の下落はまちづくり再生のチャンスとも言われていますが、その流れがとまっていない現状では資産価値を目減りさせ、市街地再開発事業の権利変換計画にも支障を来し、さらなる担保価値の減少は事業の新規投資への意欲を減退させるだけでなく、現在の事業の運営にも大きな影を落とし、支障を来すことが推測されます。そこで、建てかえ促進制度の創設要望活動の現状と今後の取り組みについてお聞かせください。 また、片町地区などで権利者の皆さんが中心となって検討している開発計画をしっかり後押しすることがまちづくりの計画遂行には得策と思われますが、あわせてお伺いをいたします。 この都心軸の当該地区周辺は、合流式の下水道区域で、建設から既に50年近く経過しており、浸水対策や公衆衛生上の観点からも、管路の補修など改善を含めた対策が求められています。これらの再整備に当たっては、社会資本整備総合計画を策定し、積極的に進めることが必要と思われますが、現状と計画についてお聞かせください。 さて、学生のまち推進条例に基づき、金沢学生のまち推進会議を設置し、地蔵通り・木倉町かいわい一帯で学生が主体となった事業を多数展開する学生交流街を実現させるため、金澤町家を取得再生し、活動拠点とします。また、金沢大学近くの田上地区周辺では大学門前町学生のまち推進協議会を組織し、学都金沢を反映した学生と市民協働での地域コミュニティーづくりを進展させるとしています。これらの学生に注目した都心のにぎわい創出については、その効果に大きく期待するところであります。一方、約700万人とも言われる団塊世代の方々が2007年を皮切りに定年退職を終えています。その多くの方々は、健康で経済的にも時間的にも余裕がある世代と言われています。この方々を対象に、中心市街地の空きビルとなった1階部分に中高年にぎわい広場やコミュニティー広場や障害者の自立支援スペースなどをつくり、生活必需品などの販売も含め、その管理も中高年に任せる取り組みを行っている自治体もあります。団塊世代は、幼年時代から消費市場の形成と巨大化に寄与し、多くの大量ブランドを生み出してきました。これまで、いろいろな分野で活躍された団塊世代をまちなかでさまざまな活動に参加させるのもにぎわいづくりの大きな視点ではないでしょうか。これからの都心を支えるためには、中高年者を対象としたまちづくりも、学生以上に重要と考えられますが、どのようにお考えになられるのかお聞かせください。 質問の4点目は、歴史都市金沢に関してであります。 生活する人々がまちの個性となる歴史的・文化的資源の優位性を生かす金沢を新しい生活環境モデル都市として官民協働で全国発信していくことが重要であると言われております。今補正予算においても、伝統文化資産保存奨励金を初め、国の重要文化的景観の選定を機に、さまざまな制度創設が計上されています。そして、来年10月の国連教育科学文化機関の総会における歴史的都市景観に関する勧告に合わせ、国の重要文化的景観に選定された「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」の活用と保全に向け、尾張町・大手町周辺を対象に、今年度中に景観のまちを守るための整備方針や区域の将来像とともに、具体的なまちづくり施策を提案するとしています。しかし、ここには80年前に策定された未着手計画道路が現存しています。これにより、長期的に土地利用が制限されるとともに、歴史的建造物の文化財指定も阻害され、この地域での新たな事業展開を難しくするとともに、商店街振興などのまちづくりの方向性さえもあいまいにしていると言えます。こうした都市計画に対して、平成17年の最高裁判例では、余りにも長い都市計画の制限期間は損失補償の対象となるとする補足意見も出されています。尾張町・大手町地区は、本市の歴史都市政策においても重要な地区であり、よりよいまちづくりを推進するためには、早急に未整備都市計画道路に結論を出し、歴史的・文化的資源の優位性を生かしたまちづくりへ踏み出す必要があると考えますが、お考えをお聞かせください。 また、地域の活性化を掘り起こすには、既にある資源で何ができるかという発想も重要です。市中心部の旧横山男爵邸や町民文化館、菓子文化会館などといった県有施設を現在よりももっと積極的に活用してはと指摘する声があります。また、先般、文化勲章受章者で本市の名誉市民でもある金属造形作家の故蓮田修吾郎氏の作品が本市に寄附されることになりましたが、金沢美大には世界的な工業デザイナーで金沢美大教授として多くの一流デザイナーを輩出した柳宗理氏の作品の多くが寄託されているとお聞きしています。そこで、クラフト創造都市金沢を発信するためにも、こうした金沢にゆかりのある方々の財産を生かす方法も問われていると考えますが、創造都市ネットワーク世界会議の取り組みとあわせてお聞かせください。 質問の5点目は、買い物弱者と商業環境形成指針に関してであります。 経済産業省は、地域商店街の衰退などで、高齢者が日常の買い物に不便を感じる買い物弱者問題が深刻化し、今後ますます悪化するとしています。市中心部においても、高齢者が地元で生鮮食料品や日用品などの買い物に行ける店は激減し、行きたいスーパーや病院は郊外にあります。これらは高齢者にとっては生存にかかわる問題でもあることから、高齢者のニーズにこたえられるような商店街をライフラインとして見直し、高齢者の視点からとらえたまちづくりも課題と言えます。めいてつ・エムザが高齢者世帯が多い武蔵地区の高齢者を対象に、期間限定で宅配・配達サービスの導入を試みていますが、ビジネスとして成立することが難しいのが現状です。他の自治体の取り組みとしては、中心市街地でのプチマルシェ事業や移動販売や宅配サービス、商店への送迎支援などに加え、公民館を初めとした公共施設の活用など、自治体・住民・流通業者らが連携した取り組みも見られます。市はこうした商店街の現状と問題点を把握し、支援を検討する地域商店街活性化推進チームを設置し活動を進めていますが、本市の買い物弱者の現状と対策についてお聞かせください。 この買い物弱者の問題とまちづくりに関連し、本市の施策遂行に抱く疑問をお尋ねいたします。今議会の議案の一つに、金沢市地区計画等の区域内における建築物等の制限に関する条例の一部改正が上程されていますが、人口減少、少子高齢社会の到来に対応したコンパクトで効率的な都市構造への転換につながる土地利用制度が求められています。そして、都心における買い物弱者は、急激な郊外大型店の出店が生んだ全国的問題でもあると言えます。これに対して、本市は全国に先駆けて独自条例を制定し、商業環境形成指針による一定の出店コントロールに着手しており、高く評価されるべき施策と考えています。しかし、条例制定から年月も相当経過し、近年の実態を見ると、郊外の区画整理地などで区画整理事業費を捻出するために、大手スーパーなど大型量販店に土地を売り渡すことが一般化し、郊外に出店が相次いでいます。そこでは、個々の店舗は基準の範囲内ですが、一団として大きなショッピングモールを形成し、現在も出店計画が進行中です。これでは、どれだけ中心部に支援しても効果は見込めません。残念ながら、現状は条例制定時に目指した状態から遠く、現行制度は機能不全に陥っていると言わざるを得ません。地権者の権利や意向など問題の難しさは重々理解しており、みんなで知恵を出しながら対応していくことしかないだろうと推察しております。ここで危惧するのは、この現状を前に、市当局は制度はきちっと守られているので問題はないとの姿勢に終始していることで、委員会の席でも同様のやりとりが行われたと聞いております。本来の目的を忘れた制度運用にどれほどの価値があるのでしょうか。現在の郊外大型店の出店状況が条例の目的に合致したものとお考えなのでしょうか。また、そうでなければどのような対応を考えておられるのでしょうか。 質問の6点目は、二元代表制に関してであります。 さて、地域主権改革のもとで、首長の権限が飛躍的に強まる中で、大阪府、名古屋市、阿久根市などで二元代表制の構築をめぐる論議が盛んになっています。地方分権改革推進委員会の勧告は、地方自治法第96条第2項に基づき、議会が独自に定めることのできる議決事件の活用の推進を求めており、政策の重要課題などの審議がどのように行われ、どのように決定されるかなど、議論の過程を公開することも重要な課題となっております。また、政策の決定に当たって問題となった事項や、決定に至った過程などを市民に周知させることも重要になっています。先般、国名勝に指定された園地の復元整備工事をめぐり、市保存管理計画策定委員会で、行政が勝手に判断するなら委員会は要らないとの辛らつな意見が委員から出されたとの報道がありました。地方政府基本法の制定が掲げられ、二元代表制を前提に地方行政が大きな変革期を迎えている中で、多くの自治体で政策や事業の企画立案、決定、実施、評価のマネジメントサイクルの過程において、適切な市民参加と市民の意見をどのように取り扱うかについて、理想と現実の乖離や職員の混迷が深まっているとの指摘もあります。そこで、地域のことは地域でという地域主権が進もうとしている中での昨今の二元代表制の論議を踏まえ、市長がお考えになる二元代表制のあるべき姿をお尋ねし、私の質問を終わります。 (拍手)
○福田太郎副議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 37番玉野議員にお答えをいたします。 まず、本市の人口動態、これについて消費税論議にまで発展をされてお尋ねになりました。厳しい財政状況の中にございまして、財政構造の健全化、効率化に努力をすることはもちろんでございます。一方で、人口減少社会、少子高齢社会が進んでいる今でありますからこそ、定住人口、交流人口をふやすこと、また、ものづくり産業の基盤を強化して、経済の活性化を図って、都市のいわゆる升も大きくする。すなわち拠点性を高めると、こんなこともあわせまして、税財政基盤の強化につながるわけでございますので、大事にしなければいけないと思っています。また、少子高齢社会の進展に伴いまして、医療費でありますとか、社会保障費の増加があるわけでございますので、これに対応するには究極には持続可能な社会保障制度の構築、また、これを裏づける財源として、例えば地方消費税、これなどは偏在性の少ない安定的な財源でございますので、地方としてはこの確保は避けて通れないと、このように思っています。これらはすべて一義的には国が考えるべき部分でございますが、地方としてもやはり地方のためになる仕組み、地方が使いやすい仕組みであることが必要でございますので、国と地方の協議の場等を通じまして、地方の実情を強く訴え、そして地域主権改革、それから地方税財源の充実強化、こういうことを実現してまいりたい、このように思います。 それから、地価の推移にお触れでございました。ここに来ましての地価下落は全国的な傾向でもございます。リーマンショック以降の長引く景気低迷によるところが大きい、このように思います。しかし、都心軸の沿線は、地域経済を支える中枢管理機能や商業・観光の施設、芸術・文化等の発信地が並んでございまして、本市の拠点性を高めている大切な地区でもございます。こうしたことからいたしまして、7月に庁内チームで都心軸の強化ということについて検討を重ねてまいりまして、拠点性を高めてまちなかのにぎわいを生み出すために重点的な取り組みを展開しなければと、このように思って取り組みを始めたところでございます。 これまでいろんなことを考えてまいっております。1つは、中心市街地の出店促進制度でございまして、これにつきましては、運用実績も多うございまして、空き店舗の解消に一定の効果が上がっているものと、このように思っております。一方、ファッションストリート創出事業と、こういう事業もあるわけでございますが、これにつきましては、対象とする店舗を世界的な高級ブランドのお店等に限定をいたしてきましたために、利用件数がどちらかといえば多くはなかったということでもございますので、今回は既存制度を拡充しまして、広域的な集客力を持つファッション関連店舗等の出店を促す、そういう新しい仕組みをつくることにしたわけでございます。新幹線金沢開業に向けまして、魅力のある店舗の集積に一層努めてまいりたい、このように思います。片や、オフィスビルの扱いでございますが、これにつきましては、景気の低迷に加えまして、ビルの老朽化等の課題がございます。依然として空室率が高い状況にあるわけでございます。オフィス進出助成制度の利用件数もここに来て減少もいたしております。したがいまして、今回、補助率とか限度額を拡充するということにいたしまして、オフィス誘致をより強めたいと、このように思っている次第でございます。 お話の中に地域活性化特区の導入の件がございました。現在、創設が予定されている特区の仕組みでございます。規制の特例措置に加えまして、税制面、財政面、金融上の支援措置をパッケージにした仕組みになる、こんなふうにお聞きをしています。法制化に向けた制度設計が進められているところでございますので、内容をよく見ながら活用できないか検討してまいりたい、このように思います。 次に、建てかえ促進制度の創設、こういうことにお触れでございました。都心軸沿線の耐震補強が困難な昭和45年以前の中小老朽化ビル、これの建てかえ促進制度の創設を平成21年から国土交通省、経済産業省へ要望を行っております。地方都市の共通の課題でもありまして、これからは全国市長会を通じまして、面積要件の緩和など、小規模でも身の丈に合った規模での建てかえができるように、国に引き続き要望してまいりたい、このように思っております。 片町地区での開発計画を後押ししないかという御趣旨でございました。ラブロ周辺におきましては、権利者の方が再生推進協議会なるものを設けまして、再開発計画の調査検討を行っております。課題であるビルの共同化、採算性、こういうことについて、まずは権利者の合意形成を図るということにいたしております。市といたしますと、にぎわい創出、活性化につながるように回遊性の向上とか広場の整備等について、計画段階から権利者と協議を進めてまいりますとともに、補助制度の適用も研究しながら助言、指導を積極的に行っていきたい、こう思っておる次第でございます。 合流式下水道区域のことについては、
公営企業管理者からお答えをいたします。 次に、地域活性化特区とにぎわい創出に関連をしまして、団塊の世代とまちづくりのことにお触れでございました。これまでも団塊世代の多くの方々に観光ガイド--まいどさんはまさにその一例でございますが、こうしたまいどさんや都心軸沿線の緑花活動等に参加をいただいております。また、JAZZ STREET、歴史遺産探訪等のイベントには、中高年の方々にも大勢御参加をいただいているところでございます。今後ともさまざまなまちづくり活動への参加を促すということが現代的なことだと思いますので、まちなかのにぎわいに資する機会をつくっておあげしたい、このように思います。 次に、世界都市金沢に関連をしまして、未整備都市計画道路に結論を出したらどうかと、こんなお尋ねでございました。御指摘は、尾張町・大手町かいわいのことでございまして、城下町の伝統と文化に基づく独特の風情を残す地区でございます。その歴史的風格を生かしたにぎわいのあるまちづくりが重要だと、こう踏まえております。都市計画道路は国道でございまして、国道159号武蔵-橋場間の整備ということになるわけでございますが、これにつきましては、国におかれまして、平成20年から地元関係者を交えた委員会を設けまして検討を進めておられます。今後、交通状況調査とか、交通のシミュレーションを実施いたしまして、その結果を踏まえて、さらに検討を進める、このように聞いています。本市といたしましては、これら検討状況を見ながら、引き続き、地元住民や国のほうと協議を進めてまいりたいと、こう思っています。 次に、クラフト創造都市金沢ということに関連をしまして、蓮田修吾郎先生、柳宗理先生の品々を生かしてはどうかということでございました。蓮田修吾郎先生の制作活動に係る多くのお品につきましては、ふるさと偉人館に新たに展示スペースを設置いたしまして、その実績を顕彰し、広く市民に公開をしてまいりたいと思います。一方、柳宗理先生のお品でございますが、金沢美術工芸大学に寄託をされております。学生がデザインを学ぶ上で貴重な教材になっておるわけでございまして、大学とのかかわりの中で活用を検討したいと、このように思っております。今後とも金沢ゆかりの方々の財産を十分に生かし、クラフト創造都市金沢を世界に発信をすることに寄与できるようにいたしてまいりたい、こう思っています。 創造都市ネットワーク世界会議の開催が金沢のクラフトを発信するに当たって有効だと思うけれども、その取り組みの状況についてお聞きになりました。仰せのとおり、創造都市ネットワーク会議の開催というのは、金沢というまちを世界に発信するためには意義のあることと思っております。実現には他の創造都市の意向、これもかかわります。また、経費面のこともございますので、これからユネスコや関係の機関と十分協議・連携を進めてまいりたい、こう思っています。 次に、買い物弱者、それから商業環境形成指針にお触れでございました。このうちのいわゆる買い物弱者でございますが、この実態については、まだ把握してございませんが、高齢化が進む中で、地域の商店が減少しておりますことから、これから買い物に不便を感じる人が増加するということが心配でございます。現在、地域商店街活性化推進チームを設けてございまして、ここで市民生活の基盤でございます商店街の活性化方策について検討中でございます。買い物弱者については、社会問題でもございますので、近々、市と福祉団体と商店街等で構成いたします買い物弱者対策チームを立ち上げたい、このように思っています。買い物代行サービス、それからITを活用した宅配サービス、こうしたことなど、新しい買い物支援サービスのあり方について検討したい、このように思っております。 次に、商業環境形成指針のことにお触れでございました。この指針は、経済の自由競争を確保しながら、消費者の利便性を図って、まちづくり全体として適正な商業機能の配置を目指そうというものでございます。これまで、大型店は指針に沿った地域へ出店がなされておりまして、条例や指針は無秩序な出店の抑制に一定の効果はあったと考えております。しかし、条例、指針の策定時に比べますと、郊外で大型店も増加をして、立地形態にも変化が生じておりますことから、これから指針の内容や運用について商業環境形成審議会、ここにもお諮りをして検討したい、このように思っております。 最後に、二元代表制に関連をしまして、このあるべき姿についてお尋ねになりました。仰せのとおり、二元代表制はそれぞれ市民の直接選挙によりまして選出された長と議会が健全な緊張関係を持ちながら、それぞれの役割を的確に果たしていくことを期待した仕組みでございます。したがって、長と議会の対立によります行政運営の停滞など、弊害や支障を招くものであってはなりません。いたずらな対立によって市政に停滞が起きるというようなことは、決していいことではございません。国の検討会議がございまして、ここでも行われておるわけでございますが、議会の議員による執行機関の構成員の兼職等の議論があるわけであります。全国知事会は、議会と執行機関の融合ということが住民から真に望まれる形態なのか疑問だ、また、相互牽制機能の低下につながるおそれがあると、こういうふうなことからいたしまして、慎重な対応が必要だと、こう見解を出しております。このとおりでございまして、私も課題は多いというふうに考えております。いずれにいたしましても、制度上の議論は議論としてあるわけでございますが、他面、運用面の議論もなければなりません。運用面ではお互いに、先ほども言いましたのりを越えず、この言葉のもとでそうした理念、そのことの理念、考え方、姿勢、心がけ、こういうことをよくよく考えていかなければいけない、そう私は思っておる次第でございます。
○福田太郎副議長 古田
公営企業管理者。 〔古田秀一
公営企業管理者登壇〕
◎古田秀一
公営企業管理者 合流式下水道区域における改善対策につきましてお尋ねがございました。公共水域の水質改善やまちなかの浸水対策といたしまして、主要な汚水幹線や雨水増補管の整備を終え、現在、降雨時におけます貯留施設の建設に着手をいたしております。また、老朽化いたしました管路につきましては、被膜工事を行うことで長寿命化を図ることといたしておりまして、本管につきましては今年度中に事業が完了する予定であります。今後とも、国からの財源を確保しながら、積極的に事業の推進を期してまいります。 以上でございます。 〔「議長、37番、再質問」と呼ぶ者あり〕
○福田太郎副議長 37番玉野道議員。
◆玉野道議員 国の特区についてお答えをいただきました。パッケージ化、いろんな形で国の特区の取り組みについてはまだ骨格が固まってないということで結構なんですけれども、地元経済同友会が各地区の選択と集中という形で具体的な提言をしてます。そういう意味では、その提言について、金沢市政としてどういう形で反映させるのかということが答弁漏れのような気がしますので、再度、金沢市においての提言についての特区の取り組み方、導入のその考え方について答弁いただければ幸いかなというふうに思います。
○福田太郎副議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 金沢駅から片町、香林坊に至る都心軸線、また、その沿線を幾つかのエリアに分けまして、エリアごとに問題点を摘出して、そしてそのことの解決を通じて、都心軸の近代化、拠点性の向上、こういうことを期していこうという趣旨であります。それぞれ課題を見つけてございますし、これをこれから政策の大事な部分に据えまして、そして、みんなで力を合わせてその充実策を講じていきたい。予算等も逐次提案をしていくという運びになろうかと、こう思っている次第でございます。こういうことと国の特区、そのこととのかかわりは、また別だというふうにも思いますが、別であっても関連ということもないわけではなかろうと思いますので、双方にらみ合わせてまちの発展を期したい、こう思います。
○福田太郎副議長 30番升きよみ議員。 〔30番升 きよみ議員登壇〕 (拍手)
◆升きよみ議員 日本共産党市議団として質問いたします。 まず、6選出馬表明された市長の所信と政治姿勢について伺います。 有権者、市民は、昨年の自公政権退場の審判に続き、さきの参議院選挙では民主党政権に厳しい審判を下しました。 〔副議長退席、議長着席〕 長きにわたる自公政治で、とりわけ構造改革路線による貧困と格差の解消を初めとするこれまでの政治を変えたいとした思いが、いまだに民主党新政権下でも示されない中で、閉塞感に満ちた政治の打開を求め、その道を真剣に模索している状況下で市長選を迎えます。さきの市長の6選出馬表明以後、市民の方々のお声をお聞きしました。「えー。市長まだお出になるの。まだ市長は何なさりたいと言うんかね」「世界都市もいいけど、これからどんな金沢にしようと言うがや」「私らの生活のことも考えてや」「次の人育っておいでんがかね」「市長はほかの人に譲れんがかね」「今、私らの生活大変や。若い者には仕事がないし、これから先どうなるのか不安やけど、そんな私らの生活、わかっておいでるかね」などのお声がありました。言葉を荒らげないまでも、市民の中にある率直な思いが語られました。市長は何といっても大きな権限を持つ市のトップの座におられます。それだけに市民の直接の声が聞こえにくいのかもしれませんが、こうした生の声が届いておられますか。このたびの市長の施政方針をお聞きしましたが、今日、市民が求めている願いや今の政治を変えたいと思う市民の声に本当にこたえているのか。それは率直なところ全く聞こえませんでしたが、いかがでしょう。 市長は、北陸新幹線の開業を4年後に控え、このまちを日本の内外に開いていくために、その道程を一歩確かにしていくために意を固めたとおっしゃいました。そして、いま一度、初心に返って市政運営に当たり、志と情熱を持って市政の発展に燃焼し尽くすと表明されました。しかし、そこには今日の市民生活の実態にこたえたメッセージが伝わってまいりませんでした。20年前の市長の施政方針を振り返りますと、市長は、市勢発展と市民福祉の向上に精進する。市民一人一人のあすへの幸せを求めると高らかに語っておられました。その言葉を思い出しながら、今回、お聞きしておりましたが、全く市民一人一人を大切にするとしたことが語られませんでした。この4月からハローワークで、失業により社会保険から国民健康保険にかわり、保険料を軽減する人が1,000人近い離職状況、国保世帯の2割が保険料を納められず滞納し、生活が厳しく窓口に行くと、滞納分の納入を言われ、結局、医者へも行けないと訴える方もいます。老舗の地元企業の自己破産等、倒産や失業と深刻な状況にある方々がふえ続けている現状を見ますと、そうした生活困難の打開方向が示されておりません。少なくとも市長はかつて社会的に弱い人たちに温かい手を差し伸べ、障害のある方や子どもたちの健やかな成長を願って、あくまでも市民本位とした思いやりの市政を進めていくとおっしゃっておりましたが、今や市民一人一人が大切にされ、また、福祉を優先させる政治姿勢が失われつつあるのではありませんか。 ところで、市長は20年前、本市は国際文化産業都市の建設を目指していくとしておられましたが、その到達状況はどうなっていますか。少なくともこの間の市政がどうであったかの検証が必要です。市政のすべての分野を語れませんが、産業都市を掲げるならば、地元の中小企業の方々の苦境打開がどう図られていくかなど示されるべきです。我が党は、これまで税金の無駄遣いや一部の特定企業に偏った市政に厳しい指摘をしてきました。この間、市長は、国の政治に追随しながら大型開発を進め、その結果、市民1人当たり56万円と、中核市でも4番目に高い借金を抱え、今議会でも借金返済に10億円を支出する状況です。市長は今回、コマツや横河電機などの世界企業の立地を見るなど本市産業の厚みは着実に増しているとおっしゃいました。しかし、果たして本市の中小企業の方々の元気が出ているのでしょうか。市長が就任された20年前から見て、今は製造業の事業所の数は2,200件、従業員では1,500人ほどが減りました。同時に卸売業では900店、従業員数では8,000人が減り、小売業では従業員数は余り変わらないものの、2,000店の店舗が減っている現状にあります。地元企業のこうした実態から見て、市長はこれで活力あるまち、産業都市、本市産業の厚みは着実に増していると本気でお考えですか。地元企業が栄えて希望の見える市政が本当に示されるのですか。どんな金沢を描かれているのか、市長の御所見を伺います。 次に、二元代表制についての市長の御見解を伺います。 このところ大阪府の橋下知事の議会内閣制提案や、名古屋市の河村市長の議会解散リコール運動などで、一気に地方自治の原則である議会と首長のどちらも選ぶ二元代表制のことが話題を呼んでおります。私ども議会関係者にとっては、改めて憲法と地方自治法に基づく議会制民主主義の尊重の立場からも、首長と議会のあり方を明確にし、住民の負託にこたえるべく地方自治を進めていかなければなりません。御承知のように、日本の自治制度は二元代表制を採用し、住民から直接選ばれた首長と議会がチェック・アンド・バランスの関係で互いに独断や暴走を防ぐ民主主義を保障する仕組みで行っています。それにより、首長と議会議員はそれぞれ住民によって選挙される公選職であり、その民主的正当性に差異がなく、その意味で首長と議員は対等であり、どちらが上司でもなく部下という関係でもなく、相互に切磋琢磨して牽制と協力によって全体としての自治体運営が適正に機能することを目指しております。ですから、首長と議会が食い違った場合は、両者で一致点を見出していくことは当然です。他都市のことではありますが、名古屋市の河村市長の議会否定の異常や専決処分乱発の阿久根市の市長に道理がないことは明白です。近年、市民の政治への関心や参加が活発になる中では、従来型の町会等を対象のわがまちトークやパブリックコメントなど広報広聴のあり方や市民参加前提での議会との関係も検討されなければなりません。首長の権限等が強過ぎる中で、専決処分までに至らずとも、議会軽視の傾向などに対していろいろ意見のあるところです。市長、市長はこの二元代表制についてどうお考えですか。また、議会に対してどう向き合っておられますか。これまでにも問題はなかったのか。御所見を伺うものです。 次に、職員不祥事に関連してです。 今年度に入り、職員の逮捕者が3人と、不祥事に歯どめがかからない状態に、市職員を比較的温かい目で見ている市民の方でも、さすがに「一体、どうなっているの、金沢市役所は」「市長を初め、幹部の方々はどんな職員教育をしているのか」「上がたるんでいるからではないか」等、ストレートに市民の方から厳しく言われます。人材育成いかんによっては、自治体の将来が大きく左右されるだけに、新しい時代を生き抜くために自治体首長はどのようなポリシーで人材を育てていくのかが問われております。そんな折での市職員の連続不祥事は極めて残念至極です。ストーカー、そのための個人情報漏えいが簡単になされたことや、盗撮や公然わいせつと、モラルに反する恥ずべき行為が行われたことは、規範とすべき幹部職員だけに何とも言いようがありません。近年、公務員に対する市民の目線はより厳しく、賃金や待遇についてのバッシングとなっている折、大きく他の職員全体に影響を及ぼしております。改めて職員においては、パブリック・サーバント--公僕としての意識づけ教育が必要ではないでしょうか。 市長、こうした事態を招いた原因、人事管理のあり方に問題はなかったのですか。職員が誇りと希望の持てる職場環境になっておりますか。人材育成、職員教育がどのように進められていますか。再発防止策について伺います。 ところで、この間、地方行革に基づく職員削減が進み、多様な市民要望と業務量、それに十分対応できない等による過度なストレスの解消の仕方が十分でない職員もあると思われます。職員の心の病気を初めとする健康管理の強化についても伺っておきます。 質問の第4点は、福祉・教育分野での雇用創出と仕事起こしについてです。 1に雇用、2に雇用と言われるほど、今日、雇用問題が深刻化しております。金沢公共職業安定所管内で見ても、職を求める人は1万2,500人、求人倍率0.59と依然として厳しい状況にあります。失業者がふえ、雇用不安が高まる状況では、経済危機に拍車がかかり、少子化への影響にもなる。あるいは自殺や犯罪の増大との関連も指摘される等々、雇用危機を打開し、雇用確保の対策を進めることが重要となっております。それゆえ政治をつかさどる者にとっては、雇用問題の解決策を示すことは極めて重要であります。それには雇用創出の新たな積極的な提案を思い切って進めていかなければなりません。我が党は、たび重ねて福祉・教育分野における雇用拡大を図ることを提案してまいりました。保育士の配置、グループホームや介護施設、障害者施設での職員配置など、人手不足の福祉の現場での積極的な雇用拡大を進めることですが、市長は新たな雇用創出をいかがお考えなのか伺います。 政府は、これまで雇用創出の目玉として、緊急雇用創出事業を時限的措置として進めておりますが、長期に安定した雇用を創出する立場から、自治体の責任で効果ある公的就労を進めることが必要であります。そこでまず、本市の福祉健康局部門や教育部門での積極的な雇用確保が必要と考えます。ちなみに、本市の職員数は現在3,275名、10年前と比べると正規職員は441名も減っており、それにかわって非常勤・臨時職員が248名とふえております。当時と比べ年々業務量がふえ、多岐にわたる市民要求に向き合っている職場、とりわけ福祉健康局、教育委員会の分野での雇用創出が必要であります。そのお考えがおありですか。 そして、不況にあえぐ地元企業への仕事起こしについてです。本市は、住宅支援制度として、まちなかで住宅新築や購入、空き家や町家の改修等に、また、高齢者等の住宅改修等への助成金制度を実施しております。定住促進のための事業のみでなく、地域の小規模な住宅関係の業者の仕事出しにつながっております。こうした住宅支援制度を思い切って拡充する。建築年次の緩和や区域限定を全市域に広げること、さらにはバリアフリー住宅には融資以外に新しい制度を設けるなど改善が必要ではありませんか。行政みずからが仕事を生み出すお考えはおありかお聞きします。 質問の第5点は、高齢者の安否確認と見守り活動強化を目指すために伺います。 高齢者の所在不明問題が大きな話題を呼びました。長寿日本と言われる中での行政の怠慢や家族の崩壊、貧困社会や地域のありようが問われ、私たちに多くのことを投げかけております。ところで、今日、高齢者を見守る活動の重視が言われており、中でも行政が直接にかかわることの大切さがあります。地域包括支援センターとともに、民生委員の方々を初めとする地域の方々との協力を進めることは当然ですが、市役所の果たす役割がますます重要となっております。同時に、本市が実施している配食サービスの拡大や戸別ごみ回収等きめ細やかな対策での見守り活動が必要であります。ひとり暮らしの高齢者の方がベッドの横で倒れているのを配食サービスの際見つけ、救急車を呼んで一命を取りとめたとか、お弁当を届けに行って戸があかないので、家に入ってみて、倒れているので、遠い家族の方に電話をしたとか、いろいろなエピソードがあります。高齢者のボランティアの方が生きがいを感じながら進めている配食サービスなどは大変喜ばれております。しかし、本市ではその実施が約1万6,000人のひとり暮らし、寝たきり、認知症高齢者の10%にも及ばない1,000人程度の実施状況です。積極的な拡大支援が必要であります。また、体の不自由な高齢者の方には、ごみ出しも大変です。近くのごみ集積所に行けない。特に、冬季には難儀しております。このところ川口市を初め他の自治体で、介護保険の認定1以上で65歳以上、障害者手帳所持者の方々など、希望すれば市職員が直接自宅を訪問し、状況把握とごみ収集時に安否確認をするなど、高齢者の見守りを支える活動が展開されております。高齢者の社会的孤立が深刻化している状況下、安否確認など行政による見守り、さらに地域で進める支援体制の強化、声をかけ支え合う取り組みに対しても積極的な支援を図り、地域住民一体となってこそ行うべきと考えます。市長のお考えを聞きます。 質問の最後は、小中学校の規模の適正化についての提言に関してであります。 去る8月4日、市立小中学校の規模の適正化に関する懇話会の提言が発表されました。その内容は、少子化による児童・生徒の減少、中心市街地の減少と郊外の増などの背景や経緯を踏まえ、小中学校の現状と規模による課題や適正規模の考え方などが明らかにされました。その中心点は、おおむね12から24学級を適正規模とすることを基本に、具体的には新竪町、馬場、大野町、材木町、野町、味噌蔵町、菊川町、朝日、俵小の統合及び通学区域の見直し、また、犀生中、小将町中の通学区域の見直しを基本とすることになっております。そこで、まずお聞きしたいのは、今回、教育委員会が懇話会の提言を求めた真意は何でしょうか。教育的見地ですか。経済的・効率的見地からですか。 これまでそれぞれの校下住民から、学校統廃合や通学区域の見直しの要望が出ているのですか。少なくとも地域住民や学校関係者からは、統廃合や通学区域の見直しではなく、一日も早く老朽化した学校の改修、耐震化を求める声ではありませんか。児童・生徒の教育が中心とおっしゃるのであれば、学校規模の前提となる少人数学級の拡大や実施ではありませんか。何よりも児童・生徒どの子も一人一人大切にされ、ゆとりあるわかる授業を進める少人数学級を拡大することが最優先ではありませんか。 学校は地域のセンター、文化の拠点とも言えるものです。学校統合や通学区域の見直しについては、初めに結論ありきの方向でスタートするのではなく、慎重にするべきものと考えます。基本的な御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。 (拍手)
○田中仁議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 30番升議員にお答えをいたします。 私の政治姿勢をお尋ねになりました。先般は、市民の暮らしとまちの安定、持続発展、これに努力をしたいと、こう表現をさせていただきました。暮らしとは日々の暮らし、福祉も環境も教育も、そして安全・安心も含めていると、このように御理解ください。まちの安定、持続発展という言葉の中には、経済政策を含めている、こう御理解をいただきたいと思います。雇用とか景気対策を最優先に考えながら、日々の暮らしを考えますと、公共料金の抑制、こういうことにも最大努めてまいりました。お子さんの福祉には、私は、全国では金沢は先進だと信じています。障害者の福祉、お年寄りの福祉にも精いっぱいの努力をしてございますし、医療や市民の健康づくりの面でも決してひけをとってはいない、このように思っておる次第でございますし、どうぞひとつ御理解を賜りたいと思います。 今、日本の経済の中で、金沢の経済がどういう立場にあるのか。私は、決して元気であるとは思っていませんけれども、しかし、日本の経済そのものがどういう事情にあるか、ここはひとつよくよくお考えをいただきたいと、このように思う次第でございます。経済への目配りも大事であることは当然でございまして、まずはものづくりを大事にしたいというふうに思います。いろいろ新しい製品を開発するとか、販路を開拓するとか、こういうことに市として支援をし、みずから取り組んでまいっておりますし、商店街におきましては、ファッション関連店舗の出店に助成を強めるとか、それから地域の商店街でも空き店舗対策を講ずるとか、難しいけれども、真摯な取り組みを続けておるつもりでございますし、新卒者への雇用対策や制度融資の充実、こんなことについても怠りのないように、至らずとも努力をしておるつもりでございます。 大型開発をやめて、そして市民生活第一に転換をすべきだという御趣旨でありまして、これもかねてからの御主張であるわけでございます。私は、よくよく挙げられる事例の中に、駅武蔵北地区の再開発事業があるわけでございますが、駅通り線が開通をいたしました。歩行者通行量は平成11年度と比べますと約2倍にふえておりますし、景気は悪い中ではございますが、この工区が完成をいたしますと、約900人の居住人口がなると、こういうこともございまして、定住促進の面からも大きい効果があると、こう思っています。よくよく港の整備についても言われるわけでございますが、コマツの進出によりまして、金沢工場への生産移管で約500人の従業員の方々が勤務をなさって仕事を始めていらっしゃいます。固定資産税を初めとする市税の増収も見られますし、いなほ・かたつ工業団地への関連企業の進出もあるわけでございまして、その経済効果は私は大きい、そして、これからも大きく伸びるはずだと、このように信じている次第でございます。 二元代表制にお触れでございました。私は、いろいろよそのうちの事例をお挙げでございますが、市政に混乱があってはならないし、市民生活に停滞があってはいけないと、このように思っております。お互いに長と議決機関の間の牽制の手段も制度上講じてあるわけでございまして、それが長の専決処分であったり、長に対する不信任決議であったり、これに基づく解散権の行使、リコールの実施等でございますが、こうした法律上認められている制度は適切に運用していかなければなりません。同時に、その制度上の運用だけではありませんで、事実上の運営ということも大事と思っておるわけでございまして、そこはお互いに自分の分際、そのことを考えて、そして先ほども何度も申し上げましたけれども、のりを越えないと、そういう精神でもってそれぞれ役割を果たしていく。そして、いたずらな混乱や停滞がないように、市民の皆様の暮らしとまちのためにあるべき姿を求めていく、こうなければいけないというふうに思っておりますし、おかげさまで金沢市議会と長の関係は、私は、円滑に行われておると、こう思っている次第でございます。感謝をしながら、この関係はさらに持続をしていきたい、こう願っておる次第でございます。 不祥事についてお触れでございました。おわびを申し上げたいと思います。不祥事は、いずれも職務外の行為でございます。少なからず精神面の問題に起因する傾向が見られます。家庭の問題等も影響しておると思います。したがいまして、これまでの人事管理の手法では十分とは言えないと思いますことから、職員の私生活にも踏み込んだ対策の強化が必要、このように判断をいたしまして、有識者も加えた対策検討会を設けて検討中でございます。 もちろん、公僕としての高い倫理観を持って、職員が職務の遂行に当たることができるように、職員研修所では公務員倫理、管理監督者の役割についての研修を重点的に進めてまいりますとともに、職場ではOJTを通じまして意識の高揚に努めているところでございます。これからはこうしたことに加えて、人間力を高める実践的な研修を実施するなどいたしまして、職員の育成にも力を注いでまいりたい、こう思っております。 職員の心の病気、こういうことへの対応も必要になってございます。過去5年間で精神疾患による休職者数は、ほぼ横ばいでございますけれども、今回の事件を見ますと、少なからず精神面に問題がある、そういう場合に不祥事が発生する傾向というのは否定できないというふうに思っております。こんなことから、悩みやストレスを抱える職員に対します管理職としての有効な指導法の確立、研修、そしてまた、
カウンセラー同士が連携をして、そして
カウンセリングシステムをつくって、そして効果的な防止対策を講じていく、こういうことに努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。 次に、雇用創出のお話がございました。民間の保育所、グループホーム、障害者施設等の福祉の人手が要る分野で積極的な雇用確保が欲しいと、こういう趣旨でございました。現在、介護、障害、子ども等の各福祉分野で積極的に国の緊急雇用対策に取り組んでいるところでございます。今後、特別養護老人ホーム、グループホーム、ケアハウスと第4期の介護保険施設の整備に加えまして、特別養護老人ホームにつきましては、第5期計画の前倒し整備、こういうことを予定しております。介護福祉士やヘルパーの資格取得の支援とあわせまして、大きい雇用の創出につながるのではなかろうか、こんなことを予想している次第でございます。国におかれまして、各福祉分野での大きな制度改正が予定されているようでございます。雇用環境の変化が予想されますので、動向を見きわめた上で必要な対策を講じていきたい、こう思っています。 福祉・教育で積極的な雇用確保の必要があるという御趣旨でございました。私ども職員適正化計画に基づく人員削減の中にありまして、仰せの福祉や教育の分野におきましては、児童相談所、玉川子ども図書館、生活保護担当課等において必要な人員をふやしております。業務量に見合った人員配置を行っているところでございまして、これからもめり張りのきいた職員配置に心がけてまいりたい、このように思っております。 住宅支援制度について、拡充の方向でお尋ねがございました。これについては、定住促進のほかに住宅の安全性の確保、町家の保存活用、高齢者等の生活自立、こういういろいろの分野でそれぞれの目的に応じた支援制度を実施しています。現時点ではこれ以上の制度の拡充は考えておりません。 次に、高齢者の安否確認、見守り活動の強化についてお触れでございました。これについては、行政が直接かかわるには限界がございます。向こう三軒両隣を基本とした地域の見守りが欠かせないというふうに考えております。これからも地域福祉計画に基づきまして、地域の福祉力の向上に努めてまいりたい、このように思います。市としては、むしろ高齢者の虐待でありますとか、ひとり暮らしの認知症高齢者世帯など、処遇が困難な事例について、お年寄り地域福祉支援センターや民生委員など関係機関とともに、施設入所を含めてさまざまな支援のための福祉サービスの提供を行っていくべきだと、このように思っておる次第でございます。 次に、小中学校の規模の適正化についてお尋ねがありました。少子化が進んでまいります中で、郊外の人口増加に伴いまして、小中学校の児童・生徒数の偏在が生じてきていることは事実であります。こうしたことから、教育環境の維持向上を図る、これがまずは目的でございます。効率優先ではありません。教育の環境を高めるということがまず主体でございまして、市立の小中学校の規模、配置について、総合的に検討する懇話会を設置したものでございます。先般、そこから基本的な方向性が示された次第でございます。ここでの提言をいただいておるわけでございますので、まずはこの提言の内容について、地域の方々に説明を始めています。また、これから説明も十分にしながら、相談をしながら、あくまでも子どもの視点に立って、よりよい方向になるように検討を進めてまいりたい、このように思っています。 以上であります。
○田中仁議長 浅香教育長。 〔浅香久美子教育長登壇〕
◎浅香久美子教育長 学校規模の適正化の前に、少人数学級の拡大に取り組むべきではないかとの御質問がございました。本市においては、県の学級編成基準に基づき、学校長の選択により、小学校1、2年生及び中学校1年生で35人学級を実施しております。また、懇話会からの提言では、学校規模の適正化を進めるに当たっては、1学級当たりの児童・生徒数など、学校に関する諸制度の動向を見きわめ柔軟に対応することとされております。 以上でございます。 〔「議長、30番、再質問」と呼ぶ者あり〕
○田中仁議長 30番升きよみ議員。
◆升きよみ議員 答弁漏れがあるように思いました。 今、ずっと議会全体でも高齢者行方不明問題のところから端を発して、そうした問題が言われているわけですが、今、市長の御答弁の中では、高齢者の見守り活動は地域の福祉力を高めるということで包含されたのかもわかりませんが、待ったなしで、今、敬老の日を目の前にいたしましても、行政みずからももちろん100歳以上の方は調査されるとか、いろんなことをやっておりますが、そのことの関係からいきまして、先ほど質問の中に、より具体的なことをお聞きしておりましたが、例えば配食サービスや戸別ごみの収集の問題というのは、もう全国的に各自治体ではごみ収集の問題等についてもいろいろ実施されているわけですが、こうしたことについては市としては御検討なさっていらっしゃるのかどうか。今、御答弁では、地域の福祉力全体で守ると、そういう抽象論でなく、より具体的な待ったなしの見守り活動のためには、当局として御検討がされているのかどうかお伺いしておりますので、御答弁いただきたいと思います。
○田中仁議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 配食サービスは一つの事例として、民間サイド、地域サイドで行っていらっしゃるということもあります。こういう実態については承知はしてございますが、さらに地域との連携を深めて、行政が支援すべきは積極的に支援を申し上げていきたい、このように思っています。ごみの戸別収集についても研究はしたい、このように思っています。高齢者のお世話をどういうふうにしていくのか、また分別の方法等についても、お年寄りにとっては大変理解が難しいという部分もなきにしもあらずでございますので、そういうものを含めて研究をしたいということになっておる次第でございます。 〔「議長、29番、関連」と呼ぶ者あり〕
○田中仁議長 29番森尾嘉昭議員。
◆森尾嘉昭議員 2年前に浅野川のはんらんが起こって、あの地域も住民も大変御苦労されました。私もその活動を通じて、職員の奮闘ぶりに感動した場面がありました。それは山のように出た泥だらけになった家具やごみ出しを、一生懸命排せつ作業に携わってくれた職員の姿を住民の人は本当にありがとうさんと、時間が早かろうが遅かろうが、それがすべて片づくまで、市の職員も一生懸命やってくれました。泥や排せつ作業に携わった職員も、住民の声をよく聞いて、その要望にこたえた形で一生懸命やってくれた。住民の人は非常にそれに感謝して、ありがとうと。その場面を思い出すと、市の職員の生きがいとかやりがいというのはやっぱりここにあるなと。同時に、住民はそのことを本当に求めていると思うのです。 今回の不祥事問題に対する市長の対応ぶりを見ていると、欠落しているんじゃないかというふうに思う点があります。それは職員の自己責任とか、自己管理だけでこの問題は片づけられない。もっと市長みずからが市の職員としてのやりがいや生きがいがどういう場面であるのか、そこを失ってはいないか、そういうところを、今、やるべきことであって、市長みずからが給料をちょっと減らしただけで、これで責任は終わったということであるならば、これはちょっと違うんじゃないのというふうに思うのです。要は、直接市民に語りかけ、職員一人一人に語りかけ、そこでどういう事態が起こっているのかということを市長みずからが把握をして、必要な改善を図っていくということではないでしょうか。 ごみの収集問題も、私は、直接市の職員が携わってる分はもう50%を割っている。私は、直接市がこのごみの収集作業に当たっている、この部分を残してもらってよかった。しかし、これがどんどん消えていくことであるならば、先ほどの生きがいややりがいや地域住民の声を直接受けて市の行政に反映するという機能がどんどん薄れていってしまうのではないかということを非常に危惧しました。福祉の部門も、各職場も、直接市民への働きかけが薄まって、デスクワークや管理業務に至っているんではないだろうか。市の行政の幹部も、直接市民の声を聞いて政策立案や作業に携わるのではなく、まさしく市長の顔ぶりを見るということに終始はしてないだろうか。この検討こそ、今、必要じゃないんだろうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○田中仁議長 山出市長。 〔山出 保市長登壇〕
◎山出保市長 私は、市の職員が初めて市役所に来たときの、採用されたときのあいさつ、そのほか事あるごとのあいさつの中で言うことは、市の職員は国や県の職員と違う。背中に市民の皆さんがくっついている。だからこそ仕事は難しいし、苦しいことがたくさんある。しかし、喜びもあるはずだと。これを信じて頑張ってほしい。 一例を挙げます。入院をしますと、市立病院の看護師は夜中に懐中電灯を持ってこっそりとカーテンをあけて患者の顔を見に来ます。夜中です。大変苦しい作業だと思います。しかし、私は、看護師にはそうした苦労はあるけれども、患者さんが退院するときに、あなた方にありがとうという言葉を1つ発するはずだと、それを頼りにして頑張ってほしいと、こんなことを申し上げる次第でございます。 補償の交渉、用地の取得の交渉、市役所の仕事はつらいです。生活保護の支給にありましても、大きい声を出して、そして、結構厳しいことを言う人もいます。私の部屋へ来る人もいます。しかし、それでも市の職員は生活保護支給のために一生懸命頑張っています。私は、頭が下がります。それを激励してやることは市長の大事な職責だと、このように思っています。 多くの人はそのように努力をしているにもかかわらず、1人2人の職員のために全体の信用が低下をする。このことは極めて残念であります。私は、犯した職員には厳しい処分をいたしましたけれども、しかし、このことがよその職員の士気を低下させるようなことがあっては決していけない。よその職員こそ力を合わせて頑張ってほしい。ひたすらそういうことを願う次第でございます。森尾議員は市の職員に対して、そういう趣旨で言ってくださったと、このように理解をします。
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△散会
○田中仁議長 これにて、本日の質疑並びに一般質問を終わります。 次の本会議は、明16日午前10時から開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後4時9分 散会--------------------------------------- 〔参考〕--------------------------------------- 平成22年定例第3回金沢市議会 発言者順序表発言予定日発言順序議席番号議員名会派名9月15日(水)122山野之義自由民主党214松村理治金沢民主313清水邦彦民主クラブ432増江 啓公明党528森 一敏社民637玉野 道自民党730升 きよみ日本共産党9月16日(木)815久保洋子自由民主党97小阪栄進金沢民主1012粟森 慨民主クラブ1111角野恵美子公明党129大桑 進日本共産党9月17日(金)1317宮崎雅人自由民主党1410山本由起子社民154野本正人自由民主党1629森尾嘉昭日本共産党1716安居知世自由民主党...