金沢市議会 > 2010-03-10 >
03月10日-02号

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  1. 金沢市議会 2010-03-10
    03月10日-02号


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    平成22年  3月 定例会(第1回)           平成22年3月10日(水曜日)-----------------------------------◯出席議員(40名)     議長  高村佳伸          副議長 横越 徹     1番  不破大仁          2番  下沢広伸     3番  高岩勝人          4番  野本正人     5番  小林 誠          6番  川 裕一郎     7番  小阪栄進          8番  秋島 太     9番  大桑 進          10番  山本由起子     11番  角野恵美子         12番  粟森 慨     13番  清水邦彦          14番  松村理治     15番  久保洋子          16番  安居知世     17番  宮崎雅人          18番  黒沢和規     19番  福田太郎          21番  田中展郎     22番  山野之義          23番  上田 章     24番  新村誠一          25番  苗代明彦     26番  田中 仁          27番  松井純一     28番  森 一敏          29番  森尾嘉昭     30番  升 きよみ         31番  平田誠一     32番  増江 啓          33番  中西利雄     34番  安達 前          35番  井沢義武     36番  澤飯英樹          37番  玉野 道     38番  木下和吉          40番  宮保喜一◯欠席議員(なし)-----------------------------------◯説明のため出席した者 市長       山出 保     副市長      須野原 雄 副市長      森 源二 美術工芸大学          久世建二     公営企業管理者  古田秀一 学長 教育委員長    佐藤秀紀     都市政策局長   立岩里生太 総務局長     丸口邦雄     産業局長     羽場利夫 産業局農林部長  米林憲英     福祉健康局長   梶原慎志 環境局長     城下 謙     都市整備局長   出口 正 都市整備局             市立病院          前多 豊              山下義夫 土木部長              事務局長 美術工芸大学          大路孝之     会計管理者    上田外茂男 事務局長 教育長      浅香久美子    消防局長     二俣孝司 財政課長     相川一郎-----------------------------------◯職務のため出席した事務局職員 事務局長     山森 茂                   議事調査 議事調査課長   宮田敏之              中宗朋之                   課長補佐 担当課長補佐   藤家利重     主査       上出憲之 主査       関戸浩一     主査       安藤哲也 主任       中村晃子     主任       守田有史 主任       石川岳史 総務課主査    越野哲正     書記       中田将人-----------------------------------◯議事日程(第2号)  平成22年3月10日(水)午前10時開議 日程第1 議案第1号平成22年度金沢市一般会計予算ないし議案第86号市道の路線変更について                               (質疑) 日程第2 一般質問-----------------------------------◯本日の会議に付した事件  議事日程(第2号)に同じ-----------------------------------     午前10時2分 開議 △開議 ○高村佳伸議長 本日の出席議員数は、ただいまのところ40名であります。 よって、会議の定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △会議時間の延長について ○高村佳伸議長 あらかじめ本日の会議時間を延長いたしておきます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △諸報告 ○高村佳伸議長 説明員の出席についての通知がお手元に配付のとおり参っておりますので、御報告いたしておきます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △議案上程 ○高村佳伸議長 これより、日程第1議案第1号平成22年度金沢市一般会計予算ないし議案第86号市道の路線変更について、以上の議案86件を一括して議題といたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △質疑・一般質問 ○高村佳伸議長 これより、質疑並びに日程第2一般質問をあわせ行います。 通告がありますので、これより順次発言を許します。 40番宮保喜一議員。   〔40番宮保喜一議員登壇〕   (拍手) ◆宮保喜一議員 おはようございます。 平成22年定例第1回市議会に当たり、自由民主党金沢市議員会を代表して、当面する市政の諸課題について市長並びに関係当局に質問いたします。 質問の第1点は、新年度予算についてであります。 先月、内閣府が発表した平成21年10月から12月期の国内総生産--GDPの1次速報値では、年率換算では4.6%増と大幅なプラスとなっておりましたが、その後発表された2月の月例経済報告では、内需に明るい兆しもあるが失業率は引き続き高水準にあるため依然として厳しいという判断が出されています。しかし、足元を見ると、金沢を拠点とする百貨店が県外支店を閉鎖、業務を縮小しており、また県内の1月の倒産は14件と2けたの倒産件数が18カ月連続しており、内需についても明るさは見えず、依然として地域経済は冷え込んだままです。本市の法人市民税は、平成21年度当初予算においては対前年度比23.4%、26億円余の減少でしたが、平成22年度はそれからさらに対前年度比18.6%、15億円余の減少となっており、経済状況の厳しさを改めて目の当たりにする思いです。このような状況下、平成22年度の一般会計予算は2年連続の増加、しかも増加率は昨年度当初予算の伸び率を上回る4.5%です。特別会計、公営企業会計を含めた全会計では3年ぶりに増加に転じ1.0%増となっています。一部ばらまきとの批判の声もある子ども手当などにより予算規模が膨らむ一方、市税収入が大きく落ち込むという厳しい状況において、地域経済の活性化、雇用の確保、市民負担の軽減に意を用い、大変困難と思われる状況にもかかわらず積極的な予算であり、高く評価できるものです。特に市長におかれましては、今任期最後の予算編成に当たって特別の思いがおありであったと推察されますが、まず予算編成を終えられた市長の今の率直な感想をお伺いいたします。 さて、先ほど述べたように、市税収入は法人市民税を初め、依然として減少が続き、市税合計では対前年度比5.5%、43億円余と大幅な減少となり、一方、新年度の市債発行額は対前年度比27.2%、37億円余の増額、実質は地方交付税である臨時財政対策債を除いても13.3%、11億円余の増額であり、それに伴い一般会計の歳入に占める市債の割合が11.0%と拡大しております。しかし、実質公債費比率は平成21年度の決算見込みと同率である9.2%としています。この数値の裏には大変な苦労があったと思いますが、どのような工夫をされたのでしょうか、お聞かせください。 また、中期財政計画で示された実質公債費比率における安全とされるレベルを堅持していますが、今後の経済状況は依然不透明です。現在のレベルを堅持する見通しについてお聞かせください。 市長は、今回の予算を、「くらしを守り 金沢を世界と未来につなぐ 計画実践予算」と名づけておられます。市民の暮らしを守ることを第一義としながらも、将来を見据え、未来への投資を着実に実践していくという決意が伝わってきます。その重点目標の1番目は、「安全・安心と健康の保持向上」として、引き続き、雇用確保や地域経済の活性化、市民の経済的負担の軽減に努めることとしています。まずは新年度予算において雇用・景気対策で強化した点についてお伺いいたします。 重点目標の2番目に、「ストックを生かすくらしづくり・まちづくり」とあります。このストックという言葉、これまで本市の施策において余り聞いたことのない言葉だと思いますが、金沢が現在持つ歴史的風致、歴史遺産、都市景観、文化などを維持し、生かし、連携させ、金沢というまちの魅力を高めていこうという意気込みがこのストックという言葉に込められているように思います。これまで日本の各都市が古いものを壊し、画一的なまちづくりを行ってきた施策に対し、金沢は一線を画してきたところですが、この言葉はそれを一言で明確に表現していると感じます。歴史都市推進の面からストックへの思いをお聞かせください。 また、このストックを生かすの意味は、新年度予算においては子ども手当、そして西部クリーンセンター新工場や西部図書館の建設事業という大きな増額要素があり、あわせて新規のハード事業がほとんど着手されていることから、ソフト事業に力を入れるとも読み取れます。新年度予算において、特にソフト事業で工夫を凝らした事業、思い入れのある事業はどういった事業でしょうか、市長にお伺いいたします。 次に、重点目標の3番目には、「商業とものづくり産業の基盤強化」とあります。クラフト分野での創造都市の登録を受け、その具現化に向けていよいよ本格的に始動していく年になると思います。その中でもクラフト文化のビジネス化は、伝統工芸を継承する方や事業所を支援するとともに、金沢の工芸文化を将来にわたって綿々と発信し続けていくためには、必然の方向性と思うのですが、ビジネス環境の厳しい状況が続く昨今において、前途は相当多難なものと思われます。市としてクラフト文化のビジネス化を推進していくに当たり決意をお伺いするとともに、成功へと導く戦略についてお聞きします。 さて、新幹線開業に向けた商業の活性化、ひいてはまちなかの活性化を進めていくに当たり、今回の予算の中で学生というキーワードがあります。かつてのまちなかは、多くの学生でにぎわっていたと思います。これをまちなかキャンパスの形成により、かつてのにぎわいを取り戻す施策であるとともに、学生や高等教育機関の持つ可能性を引き出し、まちの発展に生かす方策でもあり、さらに将来の金沢の産業を担う後継者たちをこのまちに引きつけることになり、長い目で見ても的を射た施策と感じます。この施策の推進に当たり、市長の意気込みをお伺いいたします。 質問の2点目は、ことし5月に金沢で開催される日仏自治体交流会議についてであります。 日本とフランスの姉妹都市や友好関係にある自治体のトップが一堂に会し、都市間交流の枠組みを超えた新たな自治体交流のあり方を探るものとして、日本とフランスの修好150周年に当たるおととし、両国合わせ29の自治体の参加のもと、フランスのナンシーにおいて第1回の会議が開催されました。そして来る5月12、13の両日、本市において第2回の会議を開催するわけですが、続々と参加する自治体がふえ、両国合わせて43都市と、会議の規模が前回より大きくなるとのことです。ところで、先日、山出市長がフランス最高勲章であるレジオン・ドヌール・シュバリエ章を受章する旨の発表がありました。19世紀の初め、ナポレオン1世が制定したことに始まり、この章は文化的な功労者に贈られるもので、日本人では世界的指揮者の小澤征爾氏や映画監督の北野武氏にも授与された権威あるものです。私は金沢市政にかかわるものとして、この受章を誇りに思うものであり、まずはその栄誉をたたえたいと思います。サルコジ・フランス大統領からの正式書簡によると、市長のフランスへの貢献と愛情に対する褒章として授与されるとのことですが、このことは、姉妹都市であるナンシー市との積極的な交流に加え、日仏自治体交流会議の開催を通じた日仏両国の関係発展など、これまでの市長の取り組みが評価されたものであり、世界都市を標榜する本市にとって、近年では歴史都市の認定、創造都市ネットワークの登録に続く快挙であり、文字どおり勲章であります。そこで、市長に受章の感想をお伺いするとともに、この受章を機に、改めて5月の交流会議の成功を心に期していることと思いますが、その意気込みをお聞かせください。また、この会議においてどういった議論が交わされ、どのような成果が得られたらよいか、さらに、フランスとの都市間交流に今後どのように生かし、つなげていくか、お伺いいたします。 前回に引き続き、今回も市長は日本側の推進委員長を務めることになりますが、全体テーマなど、会議の具体的な内容についてお伺いいたします。また、準備については万全を期していると思いますが、現段階において開催に向けての課題などがあればお聞かせください。 さて、先月、斉藤泰雄駐仏大使が金沢を訪れ、市長と懇談し、日仏自治体交流会議の成功に向けて応援の約束を交わされました。斉藤大使は、初めて訪れた金沢の印象を、古いものと新しいものとがミックスされたまち、歴史や文化などいろいろな面で特色あるまちと評した上で、フランス人は文化の豊かな地に敬意を払うことから、創造都市ネットワークの登録などは大きな武器になると述べられています。さて、市長は交流会議の開催に際し、金沢の文化を世界に発信する手だてとして、伝統工芸作家の工房などをめぐり、金沢の手仕事に触れる機会を提供するクラフトツーリズムのモデルツアーを考えてこられましたが、ことし1月から本格的にスタートしたこの企画の評判や当日に向けての手ごたえはいかがなものか、今後の国際会議の誘致にも生かすことができる取り組みだけに、この際お伺いいたします。 また、今回、交流会議に合わせ、フランス芸術週間と銘打ったイベントを集中開催する予定ですが、その内容と期待される効果についてもお聞かせください。 質問の第3点は、昨年12月、文化審議会から文科相に国の重要文化的景観に選定するよう答申があり、先月22日、正式に登録となった「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」についてであります。 選定の範囲は金沢城址周辺、卯辰山公園両地域のほか、犀川や浅野川、市中心部を流れる大野庄・鞍月・辰巳の3用水、惣構跡などで構成されており、選定の対象が城下町となるのは全国初、都市部としては京都府宇治市に次いで2番目とのことです。このことは、金沢というまちが今も城下町の都市構造を残し、藩制期からの伝統工芸や生活様式を受け継いだ趣のある景観地として大きな評価を得たものであり、同日に国史跡指定となった辰巳用水や国名勝指定となった末浄水場園地とあわせて、歴史都市にふさわしい金沢の文化資産の価値がさらに高まることは喜ばしい限りであります。今回の選定に伴い、新年度、旧城下町区域について整備計画を策定される予定ですが、市長はこの選定を今後のまちづくりにどのように生かされるのか、お伺いいたします。 文化的景観とは、文化財保護法によると、「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」とあります。言いかえれば、金沢ならではの暮らしによって形成された景観であり、だれもが金沢のものと思えるような景観と私なりに理解していますが、わかりやすい表現で市長は、雪吊りと友禅流しを例に挙げられました。そこでお聞きします。今回の選定には入っていませんが、冬の長町武家屋敷跡に見られるこもかけもそれに当たるのではないでしょうか。北陸独特の水分を含んだぼたん雪から土塀を守るために行うこもかけは、金沢の風土と暮らしの知恵が重なり、形づくられた景観であると思われます。今回の選定範囲には長町武家屋敷かいわいなどが含まれていませんが、長町を初めとした旧城下町区域において、今後、新たに追加選定を国に申し出る構想はあるでしょうか。また、旧城下町区域から離れますが、金石、大野や二俣など藩制時代に物流や特別な産業によって城下町に深くかかわってきた地域に対する取り組みについてもあわせてお伺いいたします。 人々の暮らしが育てた財産とも言える文化的景観は、金沢に住むものとして継承しなければなりませんが、これまでの文化的な営みが生活に根づかなくなれば、変わり、失われやすくもあります。茶室を例に挙げるならば、茶の湯をたしなむ人々がいなければ、茶室という景観が形骸化してしまうと思います。先月行われた金沢の伝統文化・技芸と歴史的景観に関する検討委員会での報告によれば、尾張町や里見町周辺など、まちなか区域に住む市民のうち約8割は金沢は茶の湯が盛んな土地と認識している一方で、茶会に参加した経験や茶室、茶道具を持っている家庭は約2割にとどまっているそうです。新年度において、茶道の再発見をテーマに茶室を活用したイベントが計画されていますが、茶道を初め能楽や華道、伝統的な生業など、城下町の暮らしに息づく文化を守り発展させるには、私たち市民がいかにあるべきか、何をなすべきか、市長なりのお考えを御教示ください。 質問の第4点目は、無電柱化事業についてであります。 本市では、昭和61年から美しい景観の創出や歩行空間の確保などの目的で、国・石川県・電線管理者の協力を得て幹線道路や文化的景観地区、商業地区を中心に無電柱化が進められてきました。そして、2014年の北陸新幹線金沢開業を見据え、まちの魅力をより一層高めていくには無電柱化を景観整備の柱とし、さらに、平成21年1月に認定された金沢市歴史的風致維持向上計画においても、景観を阻害する要因の一つである電線類の対策を講じた道路修景、歩行空間の整備を重要な要素と位置づけ、無電柱化事業を加速することとしています。新年度予算の主要事業として無電柱化を推進し、質の高い都市基盤整備に取り組むとされ、主計町や裁判所前のお堀通り、石引4丁目線は実施設計に着手し、本多歴史の森周辺や犀川左岸の桜橋詰め、大手町のお堀通り、木倉町通りについては用地取得や管路工などに取り組むとされており、事業の推進が大きく期待されます。そこでまず、無電柱化促進区域における進捗状況についてお伺いします。昨年の当初議会の私の質問に対し、市長は、無電柱化事業に力を入れていきたい、その趣旨は、日本の道路行政の最もおくれた部分であり、ヨーロッパと比較して東洋のまちづくりの一番の欠点だと答弁されましたが、私も同じ考えであり、金沢の景観が今後大きな変化を遂げていくことが非常に楽しみであるとともに、他の都市の模範となるまち並みになることを大いに期待をいたします。 さて、無電柱化は景観面もさることながら、道路から電柱がなくなることで道路の見通しがよくなることで安全・安心性が向上したり、災害時には電柱が倒れたり電線が切れるなどの危険性が減少するとともに、消防活動や救急活動に必要な空間を確保するなど、都市の防災機能を強化し、安全性を向上させる効果もあります。本事業はまちなかを中心に進められていますが、今後、市民の安全・安心を確保する上には、郊外部においても幹線道路や住宅密集地などにおける無電柱化を検討していくべきと思われますが、市長の所見をお伺いいたします。 ところで、主計町の無電柱化事業については軒下配線がされると聞いております。決定に至るまで地元の方々と幾たびのワークショップを開催し、その結果として県内初、また県外でも導入が少ないとされる軒下配線が採用されるとのことであります。軒下配線は地中化方式に比べるとコストがかからず、また裏配線やわき道配線に比べると電線類が隠れることから、今後の無電柱化事業の推進において低価格、景観向上を両立した好ましい方法に思われるのですが、主計町での導入に当たって、課題や条件などをお聞きするとともに、この方式を今後ほかの地域で導入を予定しているのかどうか、お伺いいたします。 質問の5点目は、第2次学校教育金沢モデルについてであります。 日本の教育に大きな変革をもたらすであろう新学習指導要領は、小学校では平成23年度から、中学校では平成24年度から全面施行されます。金沢市において平成16年度より推進している学校教育金沢モデルにおいて、学校2学期制により学習指導要領が定める標準時数を上回る授業時数を確保し、また、小中一貫英語教育により、小学校3年生から正規の英語科の授業を実施し、その成果が見られるところです。これらは新学習指導要領より充実しており、学校教育金沢モデルの先進性を示すものです。平成21年度は、この金沢の教育を特色づける学校教育金沢モデルに金沢「絆」教育を加え、第2次学校教育金沢モデルの構築に取り組んできているところですが、このことについて幾つか質問をさせていただきます。 まず、金沢「絆」教育についてであります。平成21年度は全市児童生徒ボランティアの日、全市児童生徒あいさつの日という全市的な取り組みが行われました。この特定の日の活動もさることながら、各学校においても独自の活動がなされてきたところです。これらの成果はどのようなものだったのでしょうか、お伺いいたします。 また、各学校の特色ある取り組みの中には、今後、全市的に広がっていくような活動も出てくるのではないでしょうか。そのためには、まず各学校の取り組みを広く周知することも必要かと思いますが、いかがでしょうか。また、今後、各学校が取り組んでいくに当たり、その充実のためにどのようなことが必要と考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。 本市ではこれまで学校と地域との強固なつながり、すなわち強いきずながあったと思うのですが、このつながりが以前と比べて希薄になってきているとの声も聞きます。今後、金沢「絆」教育を推進するに当たり、学校だけではなく福祉、生涯学習などさまざまな分野においても地域とのつながりを強める施策、いわば地域とのきずな施策が求められると考えますが、御所見をお伺いいたします。 2つ目は、ユネスコ・スクールについてであります。平成21年、金沢市立11の小中学校がユネスコ・スクールに加盟し、世界とのきずなを意識しつつ、持続発展教育の推進を大きな目的として、この1年間取り組んできたところです。そして、平成22年2月には、さらに13校が加盟申請を行ったところですが、まずは今年度の活動の成果についてどのように感じておられるのか、お伺いいたします。 また、2年目に当たり、これまでの成果を踏まえ、ユネスコ・スクールの成果をこれから発信していくことも必要になると思います。世界の中できらりと光る都市金沢を目指すからには、金沢の取り組みを積極的に発信するとともに、先進的な取り組みを行っている他都市との交流の場を設けることも重要ではないでしょうか。この点についてお考えをお伺いし、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。   (拍手) ○高村佳伸議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 40番宮保議員にお答えをいたします。 まず、予算編成を終えてどんな心境かというお尋ねでありました。私は今の社会の事情からいたしまして、市民の暮らしを守るということが第一義でなければいけない、そのように思って予算を組んだつもりでございます。あわせまして、4年後に北陸新幹線の金沢開業が成るということでありますと、交流人口をふやしていく、そのために魅力のあるまちをつくっていく、そしてこのまちを元気にする。あわせまして港の整備が進んでまいりまして、コマツの立地が成る、この際はものづくり産業の基盤強化をして、このまちを元気にしたい、このように思いました。同時に安全・安心の確保、それからストックを生かした暮らしづくり・まちづくり、子どもと教育への投資、こういうことに重点を置いて、そして編成をしたつもりでございます。市税収入が大幅に落ち込みました。財源確保には従前以上に工夫が要ったわけでございますが、こうした工夫を凝らしましたほかは、いつものとおり淡々と組ませていただいたと、こう申し上げておきたいと思います。 実質公債費比率のことにお触れでございました。かねがね公共事業の適正規模というものを模索してまいりまして、また一方で既発債の繰り上げ償還をやるというようなことをいたしまして、実質公債費比率を抑えてきたわけでございまして、この数値の危険範囲と言われるのは18%という数値なんでありますが、その数値の半分以下に抑えることができたと、こう思っております。新年度の予算では実質的な交付税でありますところの臨時財政対策債、この発行によったわけでございますが、結果として、この市債の収入全体に占める割合が大きくなっておることは事実でございますが、臨時財政対策債なる起債は元利償還に対しまして交付税措置が行われるということでございますので、起債のウエートは高まっていますけれども、私は心配はいたしていません。今後とも市債発行に係る将来負担、そして歳入の動向等を十分見て、また、中期財政計画は適時適切にローリングをして、そしていつまでも財政の健全性を堅持していけるように努力をしたいと思っています。 雇用と景気対策についてお尋ねになりました。この対策は待ったなしの事柄であります。最善を尽くしたと、こう申し上げたいと思います。新規の社員とか職員の採用を実施する中小企業を支援いたします中小企業雇用促進助成金制度、この創設をいたしました。また、若者の「夢」雇用支援事業と、このようにいたしまして、雇用期間中の資格取得を支援する、こういう仕組みをつくるなどいたしまして、雇用対策をさらに強化することにした次第でございます。加えて、中小企業振興特別資金等の制度融資につきましては、緩和措置などを引き続き延長するということなどいたしまして、資金繰りの円滑化、新規融資枠の確保、このことに努力をしたつもりでございます。 次に、ストックへの思いを聞きたいと、こうお尋ねになりました。ストックという言葉は、経済的に言いますれば在庫品のことであります。しかし、私の言うストックとは、金沢の先人から受け継がれました歴史文化資産のことでございまして、この歴史文化資産なるものは、よそのまちにはない金沢だけのストックだと、こう言ってはばかりません。それらのストックを守っていくために、調査研究も進めてきまして、1つには、辰巳用水とか末浄水場園地の史跡・名勝指定ができました。旧城下町区域の重要文化的景観の選定もできたわけでございまして、こうした歴史資産について国が価値づけをしてくださったものと、こう踏まえておる次第でございます。これからも歴史文化資産の価値を明らかにして、市民の皆さんと一緒に引き続き資産を磨き高めていく責任がある、このように思っています。新年度は何分にも卯辰山山麓寺院群の国の重要伝統的建造物群保存地区への選定、この仕事に向けた取り組みを職員と一緒になって頑張りたいと、このように思っています。 新年度で特にソフト事業で工夫を凝らしたことは何かというお尋ねでありました。例を挙げさせていただきますと、かなざわ子育て夢プラン2010、これの実践に向けた、新しく生まれたお子さんに贈るところの二俣和紙を使ったへその緒の緒つつみ和紙、これをお上げする。それから、このまち赤ちゃん夢ギフト、それから文化施設、スポーツ施設と連携したかなざわ子育て虹色クーポン、こうしたものの支給事業などは伝統的工芸品産業とのコラボレーションでございまして、工夫を凝らした仕事の一つと、こう申し上げておきたいと思います。また、学生のまち推進条例をお諮りしておるわけでございまして、これをお認めいただくということになれば、このまちの中心部をキャンパスに見立てまして、まちなか学生交流街とでも言うべきものをつくって、にぎわい創出につなげる施策、こんなことも工夫をした次第でございます。とりあえずソフト事業を申し上げました。 次に、クラフト文化のビジネス化を推進していくに当たって決意を述べよということでありました。金沢の伝統工芸ほど種類が多くて、そしてすぐれた技術を持っている、そういう工芸を持つまちは金沢以外にはないと、このように思っています。したがって、大事にしなければなりません。このビジネス化を進めたいということでございまして、その場合には伝統に甘んじることなく技術革新をして、新しい製品をつくって、これを内外に売って出ると。こういうことはもちろんでございまして、あわせまして、つくり手、売り手、この双方で人材をつくっていく、このことも極めて大事だと、こう思っている次第でございます。 まちなかキャンパスの形成ということについてお触れでございました。金沢医学館とか旧制第四高等学校というのは明治期に開学をした文教施設でございます。こういうものの系譜を引きまして、このまち金沢は学術とか文化とか経済等の各界に俊英を輩出してきたという経緯があります。また一方では、学生と市民との交流、そして親しいおつき合いがあって、このことがにぎわいと活力を生んできたという経緯もまたあるわけでございます。したがいまして、こうした伝統的ともいうべき1つの土壌というものをこれからも継承・発展をさせたいという気持ちがございまして、まちなかキャンパス形成事業と、こういうふうに銘を打って、学生さんを大事にしようと、しかし同時に市もこのことに責任があろうということを鮮明にいたしまして、学生の持つエネルギー、これを取り入れてこのまちを希望と活力に満ちたまちにしていきたい、このように願っておる次第でございます。 次に、レジオン・ドヌール勲章シュバリエ章のことにお触れでございました。私にいただくことになりました。しかし、これは私にくださるというよりも、皆さんと、そして市民の方々の御支援があったからでございまして、心から感謝をしたいと、このように思っています。理由といたしますと、金沢市とナンシーとの長年にわたるおつき合い、それから一昨年ナンシーで開催をいたしました第1回目の日仏自治体交流会議の成功、そしてこれを踏まえまして第2回の会議、この取り組み、こんなことがフランス共和国に認めていただいたんではなかろうかというふうに思っておりまして、大変光栄なことでございます。サルコジ大統領、それから東京にいらっしゃる駐日フランス大使のフォールさん、それからナンシー市長のロシノさん、こうした多くの方々のお力もあったわけでございまして、心からお礼を申し上げたい、このように思っています。 それじゃ、日仏自治体交流会議ではどんな議論をするのかというお尋ねでありました。双方の自治体が当面する諸課題について意見交換をするということにいたしています。とりわけ、これまでのおつき合いというのは、1対1の都市間交流でございましたが、この枠組みを超えまして、新しい広がりを持った自治体交流のモデルと、こういうふうに考えて、このモデルをこれからも定着させていくと、このことで日仏両国の関係の発展、そして深化につながることができたらと、このように願っておる次第でございます。 参加自治体の数等をお尋ねになりました。今のところフランス側から18、日本側から25、合計43の自治体が参加を明らかにしています。一昨年ナンシーで集まったときはフランス側が17、日本側が12で合計29でありましたので、それに比べますと第2回会議は参加自治体の数は格段にふえてきたと、こう申し上げていいと思っています。ここでのテーマでございますが、地方ガバナンスと持続可能な発展、こういうことがテーマになっておりまして、5月12日の午前中は全体会議、午後は経済、環境、社会、文化、この4つの分科会を開催しまして、さまざまな課題について議論を深めたいと、このように思っております。13日の午前中には共同コミュニケ、これを発表したい、このように考えています。 現段階において開催に向けての課題はあるのかということでございますが、第2回会議の金沢市開催が決まりましてから、日仏双方で推進委員会を立ち上げまして、フランス側の関係機関と緊密に連絡を取り合いまして、また自治体国際化協会--クレアとも連携をいたしまして、そして準備は順調に進んでいると、こう思っています。何分にも本市にとりまして初めての試みでございますので、庁内外力を合わせまして、勉強もしながら自治体交流の新しい1ページを開いてまいりたいと、このように思っておる次第でございます。当日、それから引き続いての具体的なイベント等につきましては、所管の局長からお話をいたします。 私から、次に重要文化的景観の選定の件でございます。今度、選定をされることが本決まりになりました。選定されました。このことは金沢というまちの都市景観が文化財として認められたということでございます。まちの都市景観、これが文化財だと、そのように国が認めたということでございまして、この意義は私は大変大きいというふうに思っています。歴史に責任を持つべきまちが金沢だということをいつも申し上げてまいりましたが、改めてこの思いを強くしておる次第でございます。そういたしますと、市内に残る町家、これなんかは文化的景観をあらわす大切な歴史文化資産でございます。新しい支援制度も設けまして、積極的な再生・活用を促していきたい、こう思っておりますし、城下町における文化財の指定、こんなことも進めて、金沢というまちの個性を国の内外に鮮明にしていきたい、このように思っています。 そういたしますと、選定の対象から外れている区域もあるので、これを含めるようにという御趣旨でございました。長町武家屋敷かいわいにつきましては、惣構堀の内ということで選定範囲を決めたこととの関係から選定外になっておるわけでございます。このほか港町である金石、大野、藩制期の御用紙すき地である二俣、こういうところには人々のなりわい、暮らし、これが今に伝わっておって、そしてすぐれた景観をつくっておるわけでございますので、これも大切なところだと思っています。とりあえず調査を進めているところでございます。この結果を踏まえまして、価値が認められるということであれば、追加の選定申し出について検討してまいりたいと、このように思っています。なお、こもかけのことにお触れでございました。木とか塀を縄とかこもで守ると、こういうしきたりというのは金沢と富山県西部のしきたりでございまして、富山の東のほうへ行きますと、縄やこもではありませんで、板で囲うというしきたりであります。縄やこもで囲むという、そういう仕組みというものはやはり金沢に住む人の心の優しさ、美しさ、そういうものをあらわしておるというふうに思いますので、私から見ますと、まさに文化的景観の一つだと、こう言いたいと思っています。大きい関心を寄せて、このことを選定の中に加えていくということに努力をしてまいりたいと、こう思っています。 次に、それじゃ文化的景観を発展させるために市民はどういうことをすべきなのかというお尋ねでありました。私は文化的景観の価値とか保全の意義というものを、そして今度の選定の持つ意味というものを市民の皆さんに知っていただきたい、こういうふうに思っておりまして、探訪会なんかはいい試みではなかろうか、このように思っておるわけであります。また、金沢の文化的景観を醸し出す背景の一つに茶道があるという気もいたしておりまして、この再発見ということに努めてまいりたいと、このように思っています。お茶をめぐって醸し出す金沢の暮らしとかなりわいとか、こういうものもぜひ大切にしなきゃならぬということでございまして、こうしたものを継承していくためには、子どもさんに伝えるということが大事でありますので、茶道の子ども塾と、こんなことはどうだろうかなというふうなことも思っておるんでございます。いろんな施策を重層的に展開することによりまして、市民のお一人お一人が金沢の暮らしとかなりわいというものをつくって守っていく、そういう原動力になってくださったら大変ありがたいと、このように思っている次第でございます。 無電柱化のことについては所管の土木部長からお答えをいたします。 それから、後は教育長からお答えをいたしますので、以上で私の答弁を終わります。 ○高村佳伸議長 羽場産業局長。   〔羽場利夫産業局長登壇〕 ◎羽場利夫産業局長 日仏自治体交流会議につきまして、ことし1月から本格的にスタートしたクラフトツーリズムの評判や交流会議に向けての手ごたえはいかがなものかとのお尋ねでありました。国のビジット・ジャパン・イヤーと連動しまして、本年1月から実施した金沢版クラフトツーリズムでは、消防出初め式やフードピアなど、金沢の冬の風物詩の見学と伝統工芸の制作体験があわせて楽しめる内容となっておりまして、他の都市では味わえない金沢ならではの魅力が満喫できたと、参加者から高い評価をいただいております。 5月に実施するモデルツアーにつきましては、新年度、新たな助成制度を創設することもあり、今後の国際会議誘致への活用も視野に入れ、クオリティーの高い内容となりますよう、クラフト創造都市金沢の魅力を広く国内外に発信したいと、このように考えております。 次に、日仏交流会議に合わせ開催されるフランス芸術週間の内容と期待される効果を伺うとのお尋ねでありました。この事業は会議の開催に合わせ官民挙げておもてなしの心を表現し、まちなかににぎわいを創出する目的で開催するものでございます。まちなか全体を会場に見立て、ハープ演奏や大道芸などのフランスの薫りにあふれるさまざまなパフォーマンスや、また、シャンソンを通しての音楽コンサートの開催、さらに地元の食材や器を活用したフランス料理のパーティーなどを予定しております。このような催しを通じまして市民がフランスという国をより身近に感じ、さらなる交流促進につながることを期待するところでございます。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 前多土木部長。   〔前多 豊都市整備局土木部長登壇〕 ◎前多豊都市整備局土木部長 無電柱化事業についてのお尋ねがございました。まず郊外部におけます無電柱化を検討するべきと思うがいかがかというお答えでございます。平成26年度の北陸新幹線開業を見据えまして、金沢方式無電柱化推進実施計画を今年度取りまとめたところでございます。計画では無電柱化促進区域に重点整備エリアを設定いたしまして、順次整備を進めていくことといたしておりまして、まずはまちなかで景観施策の柱となる金沢方式無電柱化整備を推進することが、まちの魅力や活力を高めることで大切なことと考えているところでございます。郊外部での無電柱化につきましては、今後の課題と考えているところでございます。 次に、本市無電柱化促進区域における進捗状況についてのお尋ねがございました。無電柱化を促進する区域といたしまして、まちなかの860ヘクタールで事業を進めることといたしておりまして、計画延長は27.7キロメートルでございます。このうち、既に14.5キロメートルが整備済みでありまして、今年度施行中の彦三通りと大手門中町通りの延長を加えますと、無電柱化促進区域での整備済み延長は15.5キロメートル、その整備率は56%でございます。 次に、主計町で軒下配線を導入するに当たっての課題や条件、また、ほかの地区での導入の予定についてのお尋ねがございました。当地区で導入するに当たっての課題につきましては、軒下配線の管理や財産、将来の費用負担についての取り決めをすることでございまして、このため、住民、電線管理者及び市で覚書を交わすこととなります。いずれにいたしましても、丁寧な説明を行いまして、住民の理解と協力を得ることが重要と考えているところでございます。条件といたしましては、建物が連なっていることや配線する建物所有者の同意が得られること、さらに建物の形態が大きく変わる可能性がないことでございます。主計町では軒下配線導入の条件をほぼ満たしていると考えております。今後の導入地区でありますが、重要伝統的建造物群保存地区に指定されております東山地区で地元の皆様とのお話を進めているところでございます。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 浅香教育長。   〔浅香久美子教育長登壇〕 ◎浅香久美子教育長 金沢「絆」教育についてお尋ねがありました。全市的な取り組み、また各学校においても独自の活動がなされているが、これらの成果はどうかとのお尋ねでした。全市一斉の取り組みは、金沢「絆」教育の大切さを改めて意識する一つのきっかけになったと考えております。また、各学校では学校や地域の特色を生かした独自の取り組みが日々の学校生活の中で意欲的に行われました。「ボランティア 気づけば 人のあたたかさ」、ボランティアの日に児童が寄せた標語です。子どもたちは活動をやり遂げた充実感や協力することの大切さを意識するようになったと聞いており、これからも地道に豊かな心の醸成を図っていきたいと思っております。 各学校の取り組みを広く周知することが必要かと思うが、また今後各学校が取り組んでいくに当たり、その充実のためにどのようなことが必要であると考えるかとのお尋ねでございました。各学校の取り組みは、ホームページや学校だより等で保護者や地域へ伝えられております。また、各学校の取り組みをまとめて金沢「絆」教育実践事例集を作成し、小中学校に配付したところでございます。現在、金沢のまちを生かして「絆」教育を推進する金沢「学びタイム」のカリキュラムを作成中であり、より充実した教育活動を展開していきたいと思っております。 「絆」教育の推進に当たっては、福祉、生涯学習などさまざまな分野においても地域とのきずな施策が求められていると考えるがどうかとのお尋ねでございました。子どもたちはボランティアの日には地域の人たちとともに汗を流し、あいさつの日には早朝から多くの人たちに温かい声をかけていただきました。地域では毎日たくさんの方が子どもたちの安全を見守ってくださっています。本年11月には「絆」シンポジウムを開催し、「絆」教育の取り組みを保護者や市民に発信し、学校・家庭・地域が一体となる取り組みにさらにつなげていきたいと考えております。 次に、ユネスコ・スクールについてお尋ねがございました。今年度の活動の成果をどのように感じているかとのお尋ねでした。今年度加盟した各校においては、持続発展教育の視点を踏まえて、環境、伝統・文化、国際理解などにかかわる取り組みが積極的に行われました。また、1月に開催した加盟小学校10校の児童代表によるユネスコ・スクール子ども会議においては、自信を持って自校の取り組みを紹介する姿や、生き生きと意見を交流する姿が見られ、子どもたちの新たな可能性を感じたところでございます。 今後、金沢の取り組みを積極的に発信するとともに、他都市との交流の場を設けることを考えているかとのお尋ねでございました。本市の取り組みについては、ホームページを活用して積極的に発信していきたいと考えております。また、8月にはユネスコ・スクール・フォーラムin金沢を開催し、本市の取り組みを発信するとともに、他県のユネスコ・スクールの児童・生徒を交えた子ども会議を行いたいと思っております。 以上でございます。
    ○高村佳伸議長 24番新村誠一議員。   〔24番新村誠一議員登壇〕   (拍手) ◆新村誠一議員 発言の機会を得ましたので、金沢民主議員会を代表して、以下数点についてお伺いいたします。 質問の第1は、新年度予算についてであります。 民主党・社民党・国民新党の連立による新たな政府は、地域で必要なサービスを確実に提供できるよう、地方の所要財源を確保することで、住民生活の安全と安心を守るとともに、地方経済を支え、地域の活力を回復させていくための予算編成を行い、既に衆議院では可決成立をいたしました。山出市長も新年度予算で「くらしを守る」ことを第一に掲げられています。市長にとって今回で20回目の予算編成を終えられたことになります。これまで、厳しく難しい時代を乗り越えてこられ、本年の予算編成も堅実にかつ実りのある内容と我が会派は評価をしつつ、幾つかお尋ねいたします。 まず、市民生活の安定について具体的にどのような点に腐心し、施策に工夫を凝らされたのか、お伺いいたします。 政府は、個人所得の大幅な減少や企業収益の急激な悪化により、国税収入が引き続き落ち込む一方、社会保障費の自然増や公債費が高水準に推移し、給与経費が大幅に減少しても、なお財源不足が過去最大規模となると見込んだ上で、地方財政対策の柱として地方交付税の1兆1,000億円の増額確保を予算編成に盛り込みました。本市の新年度予算でも、市税や譲与税の収入は大幅な減少となりましたが、これらを地方交付税の増額で補てんできたのでしょうか。また、財源不足解消策の決め手は何にあり、どのように工夫されたのか、お伺いいたします。 次に、予算の重点事業についてであります。世界と未来につなぐ5つの目標を掲げられている中で、2つ目に、「ストックを生かすくらしづくり・まちづくり」とありますが、この表現からは環境を初めとする資源の有効活用やエコな生活を思い浮かべるところですが、今までにない表現のこの目標は、市長のストックの活用に対するどんな思いが込められているのか、また、具体的にストックとはどのようなことを指しているのか、お伺いいたします。 また、4つ目の「子どもと教育への投資」や最後の「行革・協働・自立」という目標も今までにない新鮮さを感じますが、投資と自立という言葉への市長が込められた思いについてもお伺いするとともに、新たな基金の創設など、次なる布石も数多く見受けられますが、任期を超えた予算編成を終えられた市長の御感想と、通年型予算への思いをあわせてお聞かせください。 ところで、予算編成は一般会計ばかりではありません。料金改定以外は余り議論になりませんが、企業局や病院、市場などの将来設計も重要であります。それぞれの会計で仕事が順調に推移し、成熟期にあるように感じる一方で、医療や介護の特別会計では今後の動向など厳しさもはらんでいるかと考えます。特別会計は独立採算性と収支の健全化を図っていくことが求められますが、これらの特別会計の予算編成について、各会計での将来推計は適切に行われているのか、また収支は健全なのか、お聞きをいたしておきます。 ところで、今回も最終補正と当初予算の連動による予算編成が行われたと聞いております。国の補正予算を活用し、切れ目のない予算執行や公共事業の継続的な確保など、中小企業への配慮をこれまでにも増してお願いしたいところでありますが、早期発注、早期執行への意気込みをお伺いいたします。 質問の第2は、日仏自治体交流会議についてであります。 このたび、山出市長はナンシー市との交流や日仏自治体交流会議の開催を通し、日本とフランス両国の関係発展の功績が認められ、フランス政府の最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章のシュバリエ章が授与されることになりました。このレジオン・ドヌール勲章とは、1802年にナポレオン1世が制定した名誉の軍の国家勲章で、当初は軍人に贈られていましたが、現在は文化的な功労者にも贈られており、複数ある階級の中でシュバリエ章は騎士章をあらわし、日本人では小澤征爾氏、北野武氏を初め20数名が受章しております。今回の受章は金沢市民の誇りであり、私も市民の一人としてお祝いを申し上げます。この勲章の受章に対して市長の所感をお伺いいたします。 一方、一昨年10月に日仏修好150年を記念し、姉妹都市のナンシー市で初めての日仏自治体交流会議が地方ガバナンスと持続可能な発展をテーマに開かれ、日本から12、フランスから17の都市の市長などが集まり、山出市長は日本側の代表を務め、成功をおさめられました。ことしは5月12日、13日に同じテーマで第2回目の自治体交流会議を金沢市内で開催することが決まっており、現時点では、日本からは前回の倍の25、フランスからは18の都市の参加表明があると聞いております。また、分科会は経済、環境、社会、文化の4分科会で、自治体間協力についての役割を探り、声明書としてまとめることになっておりますが、分科会への参加都市に偏りがあり、開催までいろいろ課題もあるようです。開催地のホスト市長として気苦労も多いと思いますが、これら課題の解消や当会議を今後どのように導こうとされているのか、また、この会議を通して何を得ようとしておられるのか、市長のお考えをお伺いいたします。 質問の第3は、学生のまち金沢についてであります。 金沢は加賀藩の学術文化の奨励に始まり、他藩に比べ藩校でいち早く医学を教えるなど、学術のまちとしての歴史があります。そして、明治22年の市制施行に先立つ明治20年に旧制第四高等学校が設置され、今日の学都の基礎が築かれてきました。以降、第1次ベビーブームに生まれた子どもたちの成長に伴い、若者の増加と高度経済成長に伴う高学歴社会の到来により、現在、本市やその周辺には18の高等教育機関が立地し、学生、留学生、専門学校生を含めた学生が約3万5,000人、金沢へ学びに来ております。金沢のまちの発展は、こうした学術機関の集積により全国から金沢への学生の流入が進み、まちを活気づけ、また学生の消費力も本市経済の拡大に大きく寄与してきていると考えます。このようなことで、高等教育機関の集積や学生数の多いことが本市の発展に貢献していると言っても過言ではないと考えます。本市では、平成7年に策定した金沢世界都市構想において、学術との連携により、学術文化都市としての発展を掲げ、これを踏まえ、金沢市・大学間連絡会の定期的な開催や、昨年には金沢大学などの高等教育機関と包括的な連携協定を締結するなど、学術機関との連携を推進してきましたが、今回、学生に焦点を当てた「学生のまち・金沢」という表現と主要事業の柱としての提案は、全国的に見ても珍しい取り組みであると考えますが、この学生に焦点を当てた事業に対する市長の思いをお伺いいたします。 次に、学生の活力を生かした商店街の活性化についてであります。新年度予算では学生のまち推進条例の制定を機に、学生を中心街に呼び込むまちなかキャンパス事業関連の施策を多面的、重層的に展開することになっており、市長の「学生のまち・金沢」の推進に対し、並々ならぬ意欲を感じるところであります。ところで、まちなかに呼び込んだ学生の消費力を生かした活性化については、地蔵通り・木倉町かいわいをまちなか学生交流街として位置づけした新規施策が並び、ややもすれば、点から面への広がりに欠けるのではないかとの思いを持ちます。これまで全国的に見ても元気のある商店街と言われた竪町商店街や隣接する片町商店街においても、最近は空きテナントが目立ち始め、その地盤沈下を危惧するところであります。竪町商店街や片町商店街を含む昔からの金沢の中心である片町・香林坊かいわい全体をまちなか学生交流街として面的にとらえることも大事ではないかと考えます。学生を含めた若者が、常に金沢の顔であるまちなかを闊歩するような生き生きとした学生のまちを推進するためにも、市がまちなかキャンパス事業でまちなかへ学生を呼び込み、商店街や商業施設がそれを商機として生かす両輪の取り組みにより、まちなかの活性化を図ることが大切であると思います。今後、こうした取り組みに市としての支援やインセンティブ策を講じることも必要ではないかと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 質問の第4は、公共事業への対応についてであります。 建設業界は100年に一度と言われる経済・金融危機に見舞われる中、仕事量の減少に歯どめがかからない一方、長年にわたる公共事業の削減による受注の減少、競争の激化に加え、ダンピングとも言える受注の頻発等により、経営が圧迫されております。また、金融機関の融資対応の厳格化や不動産市況の低迷等により極めて厳しい状況で、県内建設業界の10%くらいが倒産予備軍とも言われております。本市の平成12年度の普通建設事業費は468億円で、登録業者数は1,080社でありましたが、平成21年には、事業費は220億円で業者数は780社となり、地元中核企業も相次いで倒産をしておりますが、市長はこうした建設業界の実情をどのように見ておられるのか、お伺いいたします。 建設業界の健全な発展は、防災・減災対策や社会資本の整備を図る上からも、また、大きな雇用の受け皿としても必要不可欠であります。早期発注、早期執行に関しては、既にお伺いをいたしておりますので、ここでは、必要な公共事業量の見通しや入札制度の改善についてどのように考えておられるのかお伺いするとともに、今後の建設・土木業界に関連した維持管理についてのお考えと見通しについて、あわせてお尋ねいたします。 1月22日には、湯涌地区上山町で土砂崩れが発生し、人的被害はなかったものの、発生からはや50日近く経過し、今でも5世帯15人が避難生活を余儀なくされておりますが、心からのお見舞いと一日も早くもとの生活に戻られるよう、執行部はもとより、我々の立場でも全力を尽くしていきたいと思います。災害現場はこれから本格復旧工事に取りかかることになりますが、具体的な取り組みに当たっては、地域の建設・土木業界の力をかりなければなりません。新年度予算ではどのようになっているのか、今後の見通しを含めお尋ねいたします。 質問の第5は、交流人口の拡大についてであります。 平成26年度の北陸新幹線の開業は、北陸地域の発展に必要不可欠な国家プロジェクトであり、東海道新幹線の代替補完機能も有し、また、経済効果も首都圏からの入り込み客が年間91万人、経済効果が年間121億円とも言われており、環境にも優しい交通機関として交流人口の拡大等に寄与し、北陸地域に活力とにぎわいをもたらすことが期待されております。北陸新幹線開業に向けた整備については、用地取得も今年度内には終了する予定であり、いよいよ駅舎を初めとした整備が本格化する中で、これからはソフト施策が重要となってきており、新年度予算では北陸新幹線開業に向けた基盤整備として、推進体制の整備が取り上げられております。そこで、以下数点についてお伺いいたします。 まず1点目は、新幹線建設事業の本格化と駅舎整備などに的確に対応するため、新幹線開業対策室を設置することとなっておりますが、この対策室は具体的にどのような体制でどういう役割を担うのか、お伺いいたします。 2点目は、観光情報センターのあり方を初めとする駅の利便性や駅舎デザイン等を協議する新幹線駅関係者連絡会を設置するとのことでありますが、具体的にはどのようなことを行うのか、また、連絡会に参加する関係者とはどういう方々を想定しておられるのか、あわせてお伺いいたします。 3点目は、北陸新幹線車両の内装に伝統工芸の活用を提案する北陸新幹線金沢クラフト活用研究会についてであります。九州新幹線のつばめでは、九州の伝統工芸品に加えて本市の金箔も採用されており、折しも、本市は昨年ユネスコのクラフト創造都市に登録されており、このクラフトを国内外にアピールするよい機会ではないかと思います。そこで、本市の伝統工芸の中で市長が具体的に想定しているものがあればお聞かせください。また、専門家による研究会を設置することになっておりますが、具体的にどのようなことをお考えになっているのか、あわせてお伺いいたします。 質問の第6は、にぎわいの創出についてであります。 先般の日経新聞の特集記事、日経プラスワン「何でもランキング 家族で楽しめる美術館」の中で、専門家が選んだ子どもから大人まで家族で楽しめる美術館の第1位に金沢21世紀美術館がランキングされました。記事によれば、スイミング・プールなど体感型の現代アート作品が多く、幅広い年齢層が楽しめることや、無料で作品を鑑賞できるスペースがあり、料金面においても利用しやすいことが評価されたようです。ランキングは首都圏以外の部門で第1位であり、また、首都圏を含めた全国部門においても第1位で、評価点の1,560ポイントは、第2位の三鷹の森ジブリ美術館の560ポイントを1,000ポイント引き離し、堂々の第1位となっており、まことにうれしく感じる記事でありました。 美術館の建設当時は、にぎわい創出の効果を含め、さまざまな意見や議論がありましたが、市長は21世紀美術館を核としたまちなかのにぎわい創出の現状をどのようにとらえておられるのか、お伺いいたします。また、日本国内での評価はランキング第1位の結果にあらわれていますが、世界都市金沢を目指す上での国外での金沢21世紀美術館の評価について、市長はどのようにお考えか、今後の課題も含めお尋ねいたします。 一方、まちなかの歴史文化施設の活性策に寄与するいもり堀がいよいよこの4月に完成します。また、旧県庁舎のしいのき迎賓館も同時期に開館し、大正時代のれんがづくりの格調高い姿と現代的な全面ガラス張りの新旧が融合した建物として生まれ変わります。中にはギャラリーや会議室等に加え、世界的に有名なレストランが出店すると聞いております。さらに、鯉喉櫓台石垣の復元工事の完了に続き、玉泉院丸跡は埋蔵文化財の調査により、予想以上に庭園の遺構が良好に残り、他に類を見ない立体的な庭であったことが判明しており、復元に向けた検討が進められております。また、県庁跡地に連続する本多の森周辺では、平成23年秋の開館を目指して、世界的に有名な仏教学者にちなむ鈴木大拙館の整備が進められます。これら施設に加えて金沢21世紀美術館、能楽美術館、石川四高記念文化交流館などの施設があり、市中心部一帯には本市固有の歴史と伝統を生かした数多くの施設がそろうことになります。北陸新幹線の開業を控え、今後、これらの施設をどのように連携させ活用促進して、本市のにぎわい創出につなげていくのか、市長の御所見をお伺いいたします。 質問の第7は、観光誘客戦略についてであります。 本市には、いわゆる都市宣言と名のついたものは、昭和32年の世界連邦平和都市宣言から始まり、平成19年のグッドマナー実践都市宣言まで11の都市宣言があり、また、構想や計画等においては世界都市、学術文化都市などの語句が使われてきました。昨年は1月に国の歴史都市に認定され、また、6月にはユネスコの創造都市ネットワークに登録されるなど、金沢というまちの特徴をあらわす呼称は多種多様であります。私は歴史都市や創造都市という概念は、歴史的風致の維持向上、歴史資産の保存活用、美しい都市景観の形成、潤いのある緑環境の整備、歩行者・公共交通優先のまちづくりなど、突き詰めれば国内外の都市との交流を進め、交流人口の拡大を通して、にぎわいを創出するためのいわばツールではないかと思うのであります。他都市を見ると、本年2月に都市間交流推進事業で視察した松本市は、交流人口を拡大するため国際会議観光都市、同じく高山市は国際観光都市と銘打ち、観光誘客人口の拡大に努めております。ほかにも多くの自治体が国土交通省の国際会議観光都市の認定を受け、特にコンベンションの誘致を核とした観光誘客を進めております。私は、世界に通じるまちの条件とは、独自の歴史と文化があること、そして美しいことだと考えます。その意味でも本市は、藩制期からの歴史性においても、またその文化性の高さからも十分世界に通ずる都市であり、また、中心市街地の代表的な観光施設周辺、中心商店街、都心軸などの主要幹線道路の電線類の地中化を推進してきた結果、美しさという点でも日本の中でも群を抜いていると考えます。そういう意味でも、金沢21世紀美術館やもてなしドームの建設を含め、交流人口拡大のための舞台装置は整ったと言っても過言ではないと考えます。そして、いよいよこうした都市の装置を活用して、都市政策の柱として観光戦略を位置づける時期が到来したと確信しております。これまで、ややもするとないがしろにされてきた感のある観光という呼称を新たに冠し、国内外に観光の推進を表明するべきだと考えますが、交流人口や観光誘客人口の拡大に向けた、観光についての市長の御所見をお伺いいたします。 観光とは、地域の個性、都市の魅力の競い合いであり、観光をキーワードとしてまちに新たな価値を生み出すための施策展開が今後ますます重要になることを考えるとき、現状の産業局観光交流課の組織体制では決して十分であるとは思いません。そこで、観光を統括する専門部署の設置が必要であると思いますが、観光を都市政策の中枢に位置づけた組織強化について、市長の御所見をお伺いいたします。 質問の最後は、県水についてであります。 本市の水道事業は、近年の景気の低迷に伴い節水意識が浸透したことや節水器具が普及していることなどから、販売水量が落ち込む状況が続いている中で、県水の受水量は責任水量制により必ず一定水量を受水しなければならず、配水量に占める県水の割合は年々増加し、平成20年度では54%となっております。このことにより、水道事業費全体に占める県水の受水費用も平成20年度では38%に達しており、水道事業収支を悪化させる大きな要因となっていると思いますが、まず、本市の水道事業の経営状況と今後の見通しについてお伺いいたします。 また、本市を初め県内の受水市町は、これまで県水の受水単価と責任水量の引き下げを石川県に対して粘り強く要望してきていると聞いております。その成果なのか、県では、今般、水道用水供給単価を明年度中に20円程度引き下げる方針を打ち出しておりますが、県水の受水単価が20円値下がりした場合、本市の水道事業に与える影響はいかほどになるのかお尋ねいたします。 そして、市長は、今回の提案理由説明の中で、県水の受水単価の引き下げを踏まえ、一層の経営努力も行いながら料金の引き下げを検討したいと述べられました。本市の水道事業については大変厳しい経営状況にあると受けとめていますが、市民生活に欠くことのできない水道のことでもあり、料金改定にどのように臨まれるのか、そのお考えをいま一度お伺いし、私の質問を終わります。   (拍手) ○高村佳伸議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 24番新村議員にお答えをします。 まず、新年度予算につきましてどのような点に腐心をしたのかというお尋ねでありました。できるだけ、市民の皆さんの経済的な負担を軽くしたいという思いがございまして、保育料を12年連続になりますが、据え置くことにしました。介護保険料、それから直接には広域連合の所管でございますけれども、後期高齢者医療保険料、これも据え置かせていただきました。水道料金、下水道の使用料、ガス料金、これも据え置いたわけでございまして、国民健康保険料にありましては、最終補正予算で一般会計から収支改善のための特別な繰り出しを行うことで、保険料率を据え置いて、そして賦課限度額の改定のみにとどめたところでございます。厳しい経済・雇用情勢にかんがみまして、雇用の確保・創出に努めながら資金繰りの円滑化、公共事業費の確保、こんなことにも心をいたしまして、中小企業等への配慮をした次第でございます。 次に、地方交付税の増額と市税との関係についてお尋ねになりました。市税で前年度を約52億円下回るという見込みになりました。これに対しまして、臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税は40億円程度の増加にとどまったわけでございまして、減収分のすべてが臨時財政対策債等で賄われたわけではございません。このために腐心が要ったわけでございますが、廃棄物処理施設の整備積立基金、こうしたこれまで準備をしてきた特定目的基金がありますので、この計画的な取り崩しを行うということのほかに、交付税措置のある市債を活用すると、こういうことをいたしまして財源確保に工夫したわけでございます。 次に、ストックの活用ということについてお触れになりました。金沢というまちには豊かな自然、歴史的な資産、それから内発的な発展を続ける独自の地域経済システム、こういうものがございますほかに、文化でありますとか学術の蓄積、こんなものがあるわけでございまして、これからはそうしたものをどうやってまちづくり、暮らしづくりに生かしていくかと、このことが極めて大事だというふうに思っています。そうした思いから、蓄積されて現にあるものを生かすと、そういう意味でストックという言葉を使わせていただいた次第でございます。それで「ストックを生かすくらしづくり・まちづくり」を重点に掲げたところでございます。したがいまして、歴史資産の保全による歴史的風致の維持、町家の活用、それから例えて言いますれば歌劇座の改修による文化の向上、こうしたことによる魅力のあるまちづくりを進めていくということ。それから、リユース、リデュース、リサイクル、いわば3Rでございますが、これによる循環型社会の構築、これも進めなければいけません。そして持続可能な環境にも優しいまちづくり、これに資していくということでございまして、そんな意味で「ストックを生かすくらしづくり・まちづくり」と申し上げた次第でございます。 もう1つ、投資と自立という言葉を使わせていただきました。まちの発展のためには、次代を担う子どもたちの健全な育成が欠かせぬ課題でございます。子どもさんを産み、育てるための環境づくり、それから学校教育の充実等が金沢市の将来に向けての布石ということになるわけであります。まさに投資ではなかろうかという思いから、こうした表現を使わせていただいた次第でございます。 一方、分権時代にありましては、都市の自立が大切でございます。国への依存体質から脱却をいたしまして、みずからの判断と責任で個性を大切にした自立度の高い市政を推進していく、このことが問われるわけでございます。このため本市では、歴史都市、創造都市の推進などによりまして、顔の見えるまちをつくって、そしてこの結果を国の内外に自己主張をしていくと、そういう意味で自立という言葉を使わせていただきました。もう1つ、自立には、まちづくりだけではありませんで、行政運営についても責任という視点からの自立が必要だと思いました。健全財政の堅持でありますとか職員の資質・能力の向上、開かれた市政の推進と、こういうことへの取り組みなど行政の自己責任を果たす、このことが自立ということの第2の意味というふうに申し上げたいと思っています。 通年型予算にお触れで、私の所感をお尋ねになりました。私の任期は12月9日ということになっています。ただ、1年の4分の3を経過するわけでありまして、まして現下の経済事情からいたしますと、切れ目のない執行が必要であると、こういうふうに考えますと、各位の御理解をいただきました上で、通年予算案を編成するということがいいんではなかろうかと、このように思った次第でございます。お許しをいただきたいと、このように思います。 次に、特別会計予算についてお触れでございました。独立採算が原則でございます。ガス事業等の公営企業会計につきましては、中長期の財政計画に沿った編成を行いますとともに、住宅団地あるいは介護保険等の特別会計にありましても、事業全体の採算性、収支見通しに配慮をしながら編成に取り組んだところでございます。懸案の国民健康保険特別会計につきましては、最終の補正予算で一般会計からの特別な繰り入れを行いまして、将来の収支、市民生活の実態に十分配慮しながら予算を編成した次第でございます。特別会計の健全性は保たれているというふうに思っています。 切れ目のない予算執行が大事だという御指摘でございます。同感です。最終補正予算とあわせまして、昨年度を6%上回る250億円余りの公共事業費規模を確保いたしまして、同時に国のきめ細かな臨時交付金を活用しまして、可能な限り公共事業の前倒しも図ったところでございます。道路の修繕、河川のしゅんせつ等の維持補修費を初めとする小額工事、これの地元中小企業へのできるだけ早期の発注、それから平成21年度と22年度を通じた切れ目のない執行、このことを心がけまして少しでも活性化のお役に立てればと思っておる次第でございます。 次に、レジオン・ドヌール勲章シュバリエ章受章に対しての所感をお尋ねになりました。私だけに贈られたものではないと思っています。皆さん方、また市民の各位、それから職員の尽力があったわけでございまして、心から感謝をしたいというふうに思います。加えまして、昭和48年の姉妹都市提携になるわけですが、それ以来37年にわたる本市とナンシー市との交流、また、そのナンシー市のロシノ市長と協力して開催しました一昨年の第1回日仏自治体交流会議の成功、そして、今進めてございます第2回会議に向けた金沢市の取り組み、こういうものがフランス政府に評価いただいたんではなかろうかというふうに思っています。光栄に存じておりまして、関係の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。受章を機になお一層日仏両国の関係発展、そして深化に努力してまいりたいと思います。 分科会への参加都市に偏りがあるというふうなことも言われるがというお尋ねでありました。確かに課題もあったわけでございますが、日仏の両推進委員会が密接に連携を取り合いまして、取り組みまして、順調に調整は進んでいると、こう申し上げておきたいと思います。 この会議によって何を得ようとするのかというお尋ねでございました。従来の1対1の姉妹都市交流を超えて、儀礼的な姉妹都市交流を超えて、多都市が連携をして共通の課題に取り組んでいこうということでございます。従来の自治体交流の形を変えていこうという提起でございまして、意義はあるというふうに思っております。成功をさせて定着をさせたいと、このように思います。 日仏の自治体が協力して取り組む具体的なプログラムの合意を目指しておりまして、5月、ロシノ市長が金沢にお越しになったときには、本市とナンシー市の間で学生とか職人さんの交流を柱にしたものづくり交流合意書、こういうものを締結することも一つの試みではなかろうかと、こんなことも思ったりもしておりまして、双方の個性を尊重しながらともに栄えていく、都市の持続的な発展に資していきたいと、こう思っておる次第でございます。 学生のまち金沢のことにお触れでございました。このまちは、まちじゅうが教材、そしてまちなかはまさにキャンパスだというふうに思っておりまして、学びの中で、遊ぶ中で学生が人格を陶冶すると。そして金沢をいつまでも愛し続けていく、そういう形でありたいと願っております。ただ、ここに来まして、市民とか地域と学生との関係がいささか薄くなっているというふうに感じておりまして、だからこそ学生と市民が交わって、また、学生同士がまちなかで集まって、そしていろいろ議論をする場を設定したらどうかと、こう思った次第でございます。その活動の位置的な中心とか核とか、そんなものもなければいけないというふうに思っておりまして、もろもろの条件というものを考えてみた上で、実は地蔵通りとか木倉町かいわいと、こういうところにとりあえず絞り込んだわけであります。絞り込んで、まずは成功をさせていきたいと、こう思っていますので、御理解を賜りたいと思います。 また、別に学生のまち、学生の活力を生かした商店街の活性化については森副市長からお答えをいたします。 そこで、公共事業への対応について私にお尋ねになりました。倒産が相次ぐなど建設業界の現状は厳しいというふうに思っています。明年度予算では、最終補正をあわせまして前年度を6%上回る事業費の枠を確保したわけでございまして、道路等の維持補修を初め小額の工事、これを早期に発注をして、そして21年度、22年度を通じて切れ目のない執行を心がけていきたいと、こう思っています。また、企業の資金繰りの円滑化を図りますために、中間前金払い制度の導入、これを行いますとともに、依然として低価格での入札が見受けられるということもありますことから、緊急の対策といたしまして、事業者の経営改善が図られるように、近く低入札価格調査制度、それから最低制限価格制度の見直しを行っていきたいと、こう思っております。 維持管理についての考え方をお尋ねになりました。道路・公園等の公共施設の中には相当の年数を経てまいっておりまして、老朽化をした施設の維持管理、修繕が大きい課題になってまいっております。その対策としまして、施設の長寿命化計画、それから管理計画などの策定を行いまして、より効率的に改修、修繕を進めることが必要と考えておる次第でございます。施設の維持管理には将来にわたりまして多額の費用が必要でありますことから、国に対しまして機会をとらえてこれに対する財政支援制度の創設、こういうものができればいいと、求めてもいきたいと思っています。 湯涌の上山町での土砂崩れでございますが、現在、農地等の復旧工事につきましては、国の補助採択を受けるために工法・規模等の具体的な検討を行っているところでございます。今後、県が国の災害の認定を待って、山腹崩壊部の復旧工事を行うということにいたしています。市としても県との調整を図りながら、本格復旧工事に着手する予定でございます。 新幹線対策室のことをお尋ねになりました。都市政策局内に設ける予定でございまして、専任職員も配置したいと考えております。この対策室を中心にしまして庁内庁外との連携を図っていくつもりでございます。新幹線駅舎のデザインの検討とか2次交通の充実とか、金沢の魅力発信とか開業に当たっての必要な施策に万全を期したいというふうに思っています。新幹線駅舎のこともありますし、構内の施設のあり方、あるいは新幹線の車両の内装に関すること、こういうことがございまして、いずれ近いうちには、JR西日本の大阪本社とか鉄道・運輸機構の大阪支社には出向いて、当方のお願いもしていきたいと、こう思っております。 その他の機関・組織のことについては関係所管の局長からお答えをし、21世紀美術館をどうとらえておるかということでございます。子どもさんからお年寄りまで、いろんな声が館内に響くわけでございまして、金沢の元気のもとに成長してくれたんではなかろうかなと、こんなふうに思っておる次第でございます。 今後の課題についてどう考えておるかということでございますが、4月から8月にかけまして、ここでルーブル美術館と金沢21世紀美術館との合同企画展というものを開くことにいたしております。一昨年、フランスでルーブル美術館のアンリ・ロワレット館長とお会いをして話ができたわけでございますが、単に作品を借りてきて展示をするということではなくして、両館のキュレーターがお互いに工夫をして企画をして、それを展示するということでございまして、そういう意味で、意味のあること、画期的なこと、こう思っておりますし、ルーブル美術館も当方の美術館を評価してくれている結果だと、こう思っておる次第でございます。ぜひ成功させたいと、このように思っています。 まちなかの県・市の施設の連携についてお触れでございました。今までも共通マップをつくるとか企画展の案内等を協調して行うということをしておるわけでございますが、この4月からは新たに大学の新入生が双方の施設に半年間無料で入館できるパスポート、これを発行しまして、多くの施設をめぐってもらう、そういう企画も実施していきたいと、このように思っております。美術館・博物館等の枠を超えて学芸員を対象にした実践的な研修も行い、複数の施設が連携して、そして魅力のある企画の立案を通じまして、にぎわいの創出に寄与することができたらと、こう思っています。 観光の推進を表明すべきだと、市長の所見を問うということでございました。また、あわせて組織強化についての考えを尋ねられたところでございます。これまでも、観光の前提条件を整えるということが私の使命だというふうに思ってきたのであります。文化を大事にしよう、そして美しいまちをつくっていこうと。何よりも観光の先にすべきことがあるというのは、自分に対する言い聞かせでありまして、そういうことをずっと心してきたことは事実なのであります。結果としてそれなりに進んできておるなというふうに思いますので、これからはさまざまな機会を通じて金沢の魅力を国内外にアピールすることだと、こう思っておるわけであります。海外からの誘客も図りたいということであれば、観光戦略はますます重要性を増していくというふうに思っています。さまざまな課題の解決に向けまして執行体制の強化は心してまいりたいと、このように思っておりますし、何よりも庁内の横断的プロジェクトの活用、これも大事でございまして、万全を期したいと思っておる次第でございます。 最後に、県水についてお尋ねでございました。水道料金につきましては、できる限り市民の皆さんの負担を軽減する、このことにつながるように、さらに一層経営努力を行わなければいけないというふうに思っております。この努力を重ねながら、県水単価の引き下げが実施されれば、速やかに市として値下げの料金改定は行いたいと、こう思っています。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 森副市長。   〔森 源二副市長登壇〕 ◎森源二副市長 学生の活力を生かした商店街の活性化として、まちなかへ呼び込んだ学生を商店街などが商機として生かす取り組みへの支援策についてお尋ねがありました。まちなかの中心商店街--5タウンズでは、学生の生の声を聞きまして、いろいろと知恵を絞られ、新年度、商品割引等のサービスが受けられる学生パスポートの発行や、商店街と学生との交流会の開催などを行うことを企画しております。こうした自発的な取り組みは商店街がまちなかへ学生を呼び込み、学生をもてなし、そして学生の活力をまちの活性化につなげる、まちを元気にするものでございます。こうした取り組みを本市としても積極的に支援することとし、新年度予算に新たにお願いをしているところでございます。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 立岩都市政策局長。   〔立岩里生太都市政策局長登壇〕 ◎立岩里生太都市政策局長 新幹線駅関係者連絡会についてお尋ねがございました。新幹線駅関係者連絡会では、本年度、取りまとめた新幹線駅舎デザイン・コンセプトや新幹線来街者利便性向上戦略プランの具現化に向けて、意見交換や情報共有を行いたいと考えております。JR西日本や鉄道・運輸機構、石川県、交通事業者や観光関係者などに御参加いただき、市民や来街者にとって魅力があり、かつ利便性の高い駅となるよう協力し、連携する場としていきたいと考えております。 次に、北陸新幹線金沢クラフト研究会についてお答えいたします。これまでに金沢箔や加賀友禅、金沢漆器、加賀象嵌などの伝統工芸は机やいす、ドアや壁面の装飾、照明器具等のインテリアに用いられた事例が数多くございます。こうしたことから、日本を代表するクラフト創造都市として金沢美術工芸大学の先生方を初めとしました技術、デザインなどの専門家による研究会を立ち上げまして、JRに対し新幹線車両の内装における伝統工芸の具体的な活用策を提案したいと考えております。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 古田公営企業管理者。   〔古田秀一公営企業管理者登壇〕 ◎古田秀一公営企業管理者 水道事業の経営状況と今後の見通しにつきましてお尋ねがございました。景気低迷などの影響で水道販売量の減少が続いておりまして、これまでできる限りの経費節減に努めてまいりましたが、平成21年度は3億円の欠損が生じる見込みであり、22年度では1億2,000万円、それ以降にありましても多額の欠損が生じる見通しで、事業の収支は大変厳しい状況にございます。 次に、県水の受水単価が20円引き下げられた場合の本市水道事業に与える影響のことでございますが、受水費用は年間で約6億円減少することになり、事業収支は大きく改善されることになります。 以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △休憩 ○高村佳伸議長 この際、暫時休憩いたします。     午後0時1分 休憩--------------------------     午後1時2分 再開 △再開 ○横越徹副議長 出席議員数は、ただいまのところ38名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △質疑・一般質問(続き) ○横越徹副議長 休憩前の議事を継続して、質疑並びに一般質問を続行いたします。 32番増江啓議員。   〔32番増江 啓議員登壇〕   (拍手) ◆増江啓議員 平成22年定例第1回金沢市議会に当たり、私は公明党議員会を代表して新年度予算と市政の諸課題について数点お伺いをいたします。 質問に先立ち、去る1月6日に御逝去なされた本市金沢市と鎌倉市の名誉市民でもあり文化勲章受章者の鋳金作家、蓮田修吾郎先生の御遺徳をしのぶとともに、心から御冥福をお祈り申し上げます。本市で生まれた先生は、東京美術学校を卒業後、日本現代工芸美術家協会、日本金属造形研究所設立などに尽力され、金工の近代化に先鞭をつけられました。そして、日本芸術院会員、日展顧問の傍ら、金属造形作家展を軸とした日本とドイツの交流拡大にも力を注いでいたとお聞きをいたします。氏が創作された作品として、本市には金沢駅西口広場のモニュメント「悠よう」があります。新年度、駅西広場の再整備がスタートすることを思うと、まことに残念であります。ここに謹んで哀悼の意を表します。 さて、質問の第1点は、市長の政治姿勢と新年度予算編成について伺います。 市長は、昭和29年、学校卒業と同時に金沢市に奉職され55年が経過いたしました。平成2年、市長に初当選され、ことしで5期20年目であります。初当選のころより地方分権の流れが徐々に加速し始めました。市長は、地方分権は自治体の権限を強めるとともに、自助努力を怠ると即座に都市の衰退を招くと、全国に先駆けて独自の条例に基づくまちづくりを推進し、他都市との差別化を図ってきました。その内容は、こまちなみ保存条例、用水保全条例、斜面緑地保全条例などに象徴される景観形成、コミュニティー空間の保存活用、歩けるまちづくり推進条例などのまちづくり、旧町名復活推進や集合住宅におけるコミュニティー促進などの市民参画と多岐にわたり、私は他の追随を許さないものと思います。そこでまず、市長20年を振り返り、全国一律の都市政策に背を向け、金沢の個性を磨き輝かせる施策を展開していく条例制定にかけてきた市長の思いをお伺いしたいのであります。 さらに市長は、常日ごろ、まちは市民の手になる芸術品との持論を語られますが、行政と市民・学生が手を携えたまちづくりを推進していく全国初の学生のまち推進条例が今議会に提案されました。金沢のまちは多くの高等教育機関が集積している学生の多いまちとしての特色を持ち合わせているわけですが、この条例制定でまちの将来をどのように思い描かれているのかも伺います。 市長は昨年夏、東京大学大学院で「都市地域政策の構想と展開--首長はいかにして政策を着想し展開するのか」と題して講義をされました。都市政策を熱く雄弁に語る市長に学生たちの熱い視線が集まったと仄聞いたします。後継の人材育成こそトップリーダーの最大の使命であります。市長は次の時代を担う青年たちに何を求め、何を伝えたく講義をされたのか、その熱い思いの一端を私どもにもお聞かせください。 日銀金沢支店、2月発表の金融経済月報によると、北陸の景気は厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きが見られているとしています。しかし、依然として企業収益は低水準にあり、完全失業率や有効求人倍率が過去最低の水準まで悪化するなど、長いトンネルからなかなか抜け出せない状況にあります。国・地方を挙げて長引く景気低迷からの脱却が喫緊の課題であります。そこで、市長は、本市経済の現況と先行きをどのように見ておられるのかもお伺いをいたします。 このような中、市長任期最後となる予算の編成にあって、歳入で景気後退の影響から個人・法人市民税が約44億円の減収、地方消費税交付金など税外の収入減も約8億円の見込み、一方で、引き続き社会保障関係費である扶助費の増嵩傾向も続き、景気対策への投資と健全財政の堅持の両立に大変腐心をされたのではないかと推察いたします。市長20年の節目となる新年度予算編成作業を終えた現在の感想と、本予算の基本的な方針、特色を含め、予算に込めた市長の思いをお聞かせください。 我が公明党会派も、過日、新年度予算に当たって、景気・雇用対策を初めとする31項目の重点要望、福祉・環境・教育など市民福祉の向上のための277項目の予算要望をさせていただいたところです。厳しい経済状況の中ですが、我が会派の予算要望がどのように予算編成に反映をされたのか、お伺いをいたします。 質問の第2点は、クラフト創造都市・歴史都市の取り組みについてです。 市長は、就任以来、国際都市ではなく世界都市を標榜され、世界の中で独自の輝きを放つ都市づくりを目指してこられました。また、多くの外国人が行き交うまちが国際都市なら、今や日本はどのまちも国際都市であり、金沢はその自然・文化・歴史に責任を持ち、磨きをかけていく責任があるまちとの強い信念でまちづくりを進めてきました。そして、市長2期目の平成7年に金沢世界都市構想が打ち出され、同年に世界工芸都市宣言、平成16年には金沢ファッション産業都市宣言をし、本市に息づく高度な職人のわざ、手仕事を継承し守っていくことを宣言しました。昨年6月にユネスコ創造都市ネットワークにクラフト分野で登録され、市長が標榜してきたこの世界都市金沢のさらなる前進が図られてきていると実感いたします。昨年6月の創造都市ネットワーク登録以降、フランス・リヨン、韓国・ソウルでのネットワーク会議などに職員を派遣、8月には松浦ユネスコ事務局長を迎え特別講演、10月にはフランス政府対外貿易顧問のフランソワーズ・モレシャンさん、エルメスジャポンの藤本幸三さんらを招いてのフォーラムと間断なく取り組みを行ってきました。講演の冒頭、藤本さんが、「金沢に来るとエルメスの人間として家に帰ってきたような気持ちになる。どこか底流で流れているところが非常に似ているからだろう。金沢には420年以上の歴史を経て培われた本物を見きわめる目、本質を評価する心があり、それらが品位や格調となって日常的に経験されている」と語られ、私は改めて金沢の手仕事の奥深さを認識しました。クラフト創造都市として、ことしは本格的に手仕事のまち・金沢を発信するため、新しい製品の開発や販路開拓など、伝統産業を確実にビジネスにつなげていく取り組みが期待をされます。市長の思い描く創造都市とクラフト文化のビジネス化についてどのようにお考えか、所見をお伺いいたします。 一方、歴史都市についてですが、昨年1月、国の歴史都市第1号の認定を受け、これまで以上に金沢固有の歴史的風致の維持向上、歴史遺産の保存活用に努めてきました。新年度は鈴木大拙館建設など本多町歴史文化ゾーンの整備、町家再生活用事業など金沢の歴史・文化都市としての価値をさらに高めていく取り組みが数多く上げられています。中でも、秋に国の内外の識者を集めて行う歴史的用水国際シンポジウムの開催は、用水のまち金沢を国内外に広く伝えることができると大いに期待するものです。地元で生まれ暮らしていると、用水の価値を余り感ずることもなく、その景色も当たり前になっていました。先日、世界的ジャズドラマーのアート・ブレーキーさんの誘いで渡米しアメリカで活躍、2度のグラミー賞に輝いたジャズトランペッターの大野俊三さんが本市を訪れました。短時間でしたが金沢のまち並みを御一緒させていただいたのですが、彼は歴史的用水が大切に保存・活用されている景観にいたく感動しておりました。そこで市長にお伺いをしたいのですが、秋のシンポジウムを通して多くの市民がその価値や保存継承の重要性を理解することが大切と考えますが、具体的にどのような取り組みとなるのか、お伺いをいたします。 質問の第3点は、日仏自治体交流会議についてです。 山出市長には、ナンシー市との交流や日仏自治体交流会議の開催を通じ、日仏両国の関係発展の功績が認められ、サルコジ・フランス大統領からフランスの最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章シュバリエの授与が決定されました。我が会派としても心からお祝いを申し上げます。市長は一昨年10月、フランス・ナンシー市で開催された第1回会議で日本側の代表として外務省、総務省、自治体国際化協会、全国市長会や在日フランス大使館など関係機関との折衝準備に当たられ、同会議を成功裏に導かれました。そして、この会議を契機として、ことし5月には第2回目の会議を本市で開催することになりました。第1回の会議の内容を踏まえ、さらに意義のあるものにすべく関係機関の協力のもと準備に取り組み、先月9日、10日と実務者レベルの準備会議も行われたところであります。この新たな自治体交流の取り組みが両国の友好促進と世界平和に寄与していくことになればと願うものであります。今回は、前回の29自治体を大きく上回るフランス側から18、日本側から25、計43自治体の参加が予定されています。第2回の会議を開催するに当たり、これまでの自治体1対1の交流から、新しい交流のあり方を提示するこの会議にかける市長の思いをお伺いしたいのであります。 会議は、金沢21世紀美術館や市文化ホールで開かれ、全体テーマは地方ガバナンスと持続可能な発展、各分科会でも議論を深め、会議の成果を共同コミュニケとしてまとめることになっています。一方、この会議に合わせ、5月8日から14日をフランス芸術週間として、オペラやフランス料理による食の祭典、大道芸などの催し、さらに金沢21世紀美術館とパリのルーブル美術館との合同企画展も開催され、フランスの文化・芸術を堪能できる多彩なイベントが繰り広げられます。フランス・ナンシー市は姉妹都市といえども、市民がいつでも気軽に訪問できる場所ではありません。姉妹都市を身近に感ずることのできる絶好の機会でもあります。市民が参加をしてのシンポジウムなども行われればと思いますが、どのような形式で会議が開催をされていくのか、あわせてお伺いをいたします。 質問の第4点は、秋の金沢JAZZ STREET2010についてです。 先ほど御紹介したジャズトランペッター大野俊三さんは金沢市民芸術村も視察し、「世界各地を回ってきたが、こんな施設は珍しい、長期キャンプを張りたいような場所」と絶賛をされておりました。ジャズ愛好家にとって彼は奇跡の生還者です。唇を切り、前歯を折るトランペッターとして致命傷の交通事故、扁桃腺のがんで唾液腺、神経を切除する大手術という2度にわたる危機から強靭な精神力、不撓不屈の精神でカムバックを果たします。そして、あの世界的ジャズ奏者、ウエイン・ショーターやラリー・コリエルと活動を再開するまでになるのです。その模様は「アンビリーバボー」で奇跡の生還者としてテレビでも紹介をされました。アメリカ南部の街角で新しい音楽として生まれたジャズは、人の心の叫び、人生の応援歌とも言われます。金沢JAZZ STREETに彼のような人をゲストとして迎えられればと期待をするものです。 春のラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭のことしのテーマは生誕200年のショパンです。ことし2回目となるJAZZ STREETもしっかりとしたコンセプトのもとで開催計画を立てないと、あっという間にマンネリ化をしてしまうおそれがあります。ジャズの持つ自由な精神と表現を受け継ぎ、金沢から新しい音楽とその文化を発信していく、そんなJAZZ STREETが繰り広げられることを期待いたします。昨年は初の試みということで、国内外のトップアーティスト以外にも他県からも多くの学生ビッグバンドを招待し開催されました。金沢を訪れた学生たちは、皆大好きな音楽だけではなく、史跡を初め、美術館や街角でのコンサートでの忘れ得ぬ思い出を刻んだようであります。金沢の魅力を次世代に伝える絶好の機会にもなったと感じます。現段階でことしはどのような奏者、プログラムを計画されているのか、ことしのJAZZ STREETへの取り組みについてお伺いをいたします。 質問の第5点は、安全・安心と健康の保持についてです。 市長は新年度予算の性格を、「くらしを守り 金沢を世界と未来につなぐ 計画実践予算」とし、その重点として第1に「安全・安心と健康の保持向上」を挙げられております。安全こそ最大の福祉であり、市民の安全・安心、命を守ることは、行政の最大の責務と私ども公明党も考えております。阪神・淡路大震災から15年、伊勢湾台風からは50年の節目、ハイチやチリの大地震の悲惨さも目を覆うばかりであります。引き続き、小中学校、保育所などの公共施設や民間住宅などの耐震化も促進をし、もしもの場合に備えていくことが大切であります。一方で、日常生活の中で命を守る施策もしっかり取り組んでいかなければなりません。 そこでまず第1に、食の安全に対する取り組みについて伺います。 中国製冷凍ギョーザ、事故米不正転用、原産地偽装、給食パンようじ混入事件など、食の安全性や消費者の信頼を揺るがす状況が後を絶たない中において、消費者の視点に立った食の安全・安心の確保が緊急の課題として求められています。そのため、国は食品の安全性の確保と品質管理の高度化に資するHACCP手法の導入を推進するため、必要となる施設整備に長期低利融資などの措置を講じております。この支援は、平成10年に適用期限5年の時限立法で制定されましたが、最近における国民の食の安全・安心に対する関心の高まりなどを踏まえて、一昨年、2回目の適用期限延長の法改正が行われました。そこでまず、本市におけるHACCP手法導入の現状についてお尋ねをいたします。 本市では、平成17年に金沢市食の安全・安心行動計画を策定し、5カ年計画で施策の推進を図ってきており、新年度には行動計画を新しく見直して、さらなる食の安全確保へ取り組むこととしております。この第1次行動計画の施策の推進をどのように総括されておるのかもあわせて伺います。 また、小規模事業所が積極的に食品管理を徹底していくことができるよう、金沢市食品衛生自主管理認証制度を平成19年に創設し、営業者の食品衛生に関する自主管理の推進・向上に努めてきました。この金沢版HACCPとも呼べる市独自の認証制度はどの程度推進がされているのか、普及促進のための支援策も検討すべきと考えますが、御所見を伺います。 加えて、過日、近江町交流プラザに食の安全・安心相談室が開設されましたが、市民や近江町市場の方々から食の安全などに関する相談はどの程度あるのか、利用状況もお聞かせください。 次に、レジオネラ菌対策について伺います。 レジオネラ菌は水気を好み、25度から43度で増殖しやすい肺炎の病原菌です。そのため、きちんと衛生管理されていない循環式浴槽の水、公衆浴場などが感染源となることが多いと言われます。入院患者、高齢者など免疫力が低下している人に感染しやすく、特に体が弱っている場合などは死に至ることもあります。県内でも数年前に温泉施設での感染、死亡が報じられました。近年の温泉ブームの影響か、市内にはこのところ次々と大型のスーパー銭湯が開店をしております。市民からレジオネラ菌検査がどの程度行われているのかとの不安の声も少なくありません。本市におけるレジオネラ菌感染予防対策の現状はどのようになっているのか、伺います。 全国的にレジオネラ菌検査の実施基準や定期的な検査を義務づけるなどの都道府県条例の制定が行われ、検査済みステッカーを表示し、水質基準をクリアしたことを利用者に周知をして安心して入浴を楽しめるよう予防対策の動きが拡大をしております。本市にあっても市民がより安心して公衆浴場などを利用できるようなレジオネラ症予防対策が必要と考えますが、今後の取り組みについてお聞かせください。 先月25日、厚生労働省は他人が吸うたばこの受動喫煙による健康被害を防ぐため、飲食店やホテル、百貨店など多くの人が利用する施設を原則として全面禁煙とすることを求める通知を全国の自治体に出しました。また、屋外も子どもの利用が想定される公園などについては配慮するようにも求めております。これは、喫煙可能な場所を限定する現在の分煙では、指定場所以外に煙が流れ出すことが多く、国はより実効性の高い対策が必要と判断したためです。ただ、飲食店などの影響も考慮し、実施するかどうかは施設側の判断に任されることになっています。厚労省は、職場の原則禁煙に向けた対策にも乗り出す方針で、労働者の受動喫煙を防ぐよう事業者に義務づける労働安全衛生法の改正案を、早ければ来年の通常国会に提出することも検討されているようであります。平成15年に健康増進法が施行され7年が経過し、少しずつ受動喫煙防止措置の努力が促進されてきていますが、公共空間の全面禁煙にはまだまだほど遠いのが現状です。神奈川県では公共的施設における受動喫煙防止条例、通称禁煙条例が4月1日に施行されます。受動喫煙の防止を目的とする条例としては全国初となる条例です。厚生労働省の今回の通知に対して本市はどのような対策を講じていくお考えか、お伺いをいたします。 質問の第6は、住宅版エコポイント制度についてです。 昨年12月8日に閣議決定された緊急経済対策において、エコ住宅の建設、エコ住宅へのリフォームに対して住宅版エコポイントを発行する制度の創設が盛り込まれ、一昨日より申請がスタートしました。この制度はエコ住宅の普及を促進することにより、地球温暖化対策と景気対策の両立を目指すもので、国交省・経済産業省・環境省の3省合同により実施されます。事業費として1,000億円が平成21年度第2次補正予算に計上され、追加経済対策の柱の一つとなっております。国土交通省が発表した平成21年の新設住宅着工戸数は78万8,410戸で、前年比27.9%の減、80万戸割れは45年ぶりという低水準となりました。リーマンショック後、景気が大きく落ち込み、先行きの不透明感が増す中で、今は大きな借金は避けるといったリスク回避の動きとも見てとれます。このような景気低迷の中でも、エコへの関心は年々高まっている昨今、エコ住宅の建設は住宅関連会社のみならず、幅広い分野の業種も期待を寄せております。この制度施行に当たり、本市としてもエコ住宅の建設が進むよう強力な後押しをし、地元地域活性化につなげていくべきと考えます。この制度についてどのように市として対応されるのか、また、対象となる住宅の基準についてもあわせて伺います。 昨年、我が党がリードして打ち出したエコカー減税やエコポイント制度は、景気を下支えしただけでなく、エコという消費者の新たな消費選好を浮き彫りにしました。特に今回の住宅版エコポイントは、車や家電よりポイント数が大きく、ポイント数の目安としては、エコリフォームで標準的な戸建て住宅に内窓10窓を設置する場合は15万前後のポイント、エコ住宅の標準的な戸建て住宅を新築する場合には1戸当たり30万程度のポイントになる予定と聞いております。政府としてもできるだけ多くの交換商品となるよう公募も予定されております。本市の特産品や商店、企業などと連携し、交換カタログへの掲載など積極的な対応が求められますが、いかがでしょうか。 質問の第7、最後に障害児の学齢期支援策について伺います。 障害のある人もその能力や適性に応じて自立した日常生活、社会生活を営むことができるよう障害者自立支援法が平成18年4月に施行されました。特に子どもの障害は発育とともに変わっていくことが想定されることから、附則で障害児支援について、3年後の見直しの検討項目とされました。制度導入後、急激な利用者負担の増加、現場と乖離した基準による施設経営の困難、地域格差などさまざまな問題が浮き彫りとなり、今後の障害児支援のあるべき姿と具体的な施策についても、施設や家族からその改善を求める声が上がっております。そこで、最近よく相談を受ける学齢期の児童への移動支援、居場所づくりについて伺います。 放課後や夏休みなどにおける居場所の確保策の充実は、障害のある子、その家族にとって深刻な問題です。本市では各地域の放課後児童クラブでも障害のある子の受け入れが充実をしてきておりますし、障害児拠点型児童クラブとしては、金沢大学附属特別支援学校に併設する形で、すずかけクラブもあり、就労により昼間保護者が家庭にいない児童を預かってもらえます。しかし、ほかの特別支援学校や特別支援学級に通う児童には、放課後児童クラブは送迎などの問題でどうしても利用が難しいのが現状です。そのため、多くの児童・生徒が児童デイサービス事業や日中一時支援事業、移動支援事業を組み合わせて利用しています。中でも移動支援--ガイドヘルプ事業にあってはドア・ツー・ドア、つまり自宅から自宅までの利用形態が原則であり、学校までのお迎えをしての外出は認められておりません。特別支援学校へ通う児童らは広範な地域から登下校しているため、肢体不自由児や学校と自宅との距離が遠く、長時間スクールバスに乗る子には、身体的負担も想像以上に重いものです。そのため、事業者からは学校からの移動支援も柔軟に認めてほしいとの強い要望があります。さらに、ひとり親家庭などにとっては、成長する子どもの入浴が大きな問題となっています。ガイドヘルプ事業における銭湯やプールへの外出も認めるべきと考えますが、あわせて見解を伺います。住んでいる市や町によって利用に差異が出てきていることもあり、柔軟な対応を求めたいのであります。 一方、夏休みや冬休みなどの長期休暇のときの居場所づくりはさらに深刻です。18歳未満の障害児を対象に、中央小学校芳斎分校や教育プラザ富樫でふれあい交流室が開設され、子どもの居場所づくりも行われておりますが、仕事を持つ母親にとっては、ふれあい交流室の開催時間も午前10時から午後3時と、子どもを預けて仕事をするには困難な状況です。手をつなぐ親の会への委託事業でもあり、課題はありますが、開催日の拡大や開催時間の延長も検討すべきと考えますが、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○横越徹副議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 32番増江議員にお答えをいたします。 まず、条例制定にかける市長の思いを問うということでありました。私は顔の見えるまちづくり、いわばまちの自己主張ということになります。このことは即、地方分権ということにもなるというふうな思いを持ち続けてまいりました。そして、自己主張には条例というものを活用していく、この方法も大切だと、こう思ってまいりました。条例というものをつくれば施策を体系化しなければいけないし、計画化しなければいけないと。同時に議会の議決を得る決まりですから、言いかえれば、市民合意による社会的な規範としての性格を持つ。また、このことで施策の恒久性が担保されると。あわせますと、条例制定の過程を通じて職員の政策形成能力とか法制執務能力、これを高めることもできると、こんなふうに考えてきた次第でございます。これからも自治体みずからの選択と責任で、地域の実情に合った施策を展開していくということが求められるわけでありまして、そのときは法律による条例への授権、それから条例による法令の上書き権、これを認める、こういうことが絶対に必要でして、国に求め続けてまいらなければいけないと、こんなことを思っておる次第でございます。私の言い方は、財源の移譲を通じて分権を求めると、このことだけにとどまりませんで、条例制定を通じて分権を求めていくと、こういう考え方だということを申し上げておきたいと思っています。 今度、学生のまち推進条例をお諮りをさせていただいたわけであります。この条例も自己主張の一つだと思っております。よそのまちは金沢みたいに多くの高等教育機関を持っていませんので、この条例のまねのできるまちはないというふうに思っています。もし、強いて挙げるとすれば八王子あたりかなということは思っておりますが、恐らく金沢市独自の条例としての地位を保ち続けるはずだと、こういうことを実は考えておる次第でございます。 学生のまち推進条例をお願いしたいわけでございますが、この条例制定ができますれば、市民が学生を大切にすると。また多くの学生がまちなかを歩いて、そしてまちに元気を与えてくれる。それで学生と市民が家族のように親しくおつき合いができる、そんなまちが金沢だということを学生に知らしめたい。いろんな思いを持っておるわけであります。ぜひ、よろしくお願いをする次第でございます。 東京大学でしゃべったそうだけれどもというお話でございます。恥ずかしいわけですけれども、しゃべったことは事実であります。ここでは独自条例によるまちづくりをテーマにしろということでございましたので、条例制定の意義でありますとか、法律と条例の相関関係とか、こういうことについて話をしましたし、同時に、こうした条例を使ってまちづくりを進めてきたと。そのまちづくりについても話をさせていただきました。そして、何よりも私が主張いたしましたことは、地方分権の意義ということでございました。分権とは市民との協働で、中央の論理にあえて逆らう、そういう気概を持って取り組むことだと、このことを伝えさせていただいた次第でございます。少しでもお役に立つことがあったら幸せだと、このように思っています。 市長は、今の経済の現況と先行きをどのように見ておるのかというお尋ねでありました。景気は依然として厳しゅうございまして予断を許しません。先行きも不透明でございます。したがいまして、市として地域経済を何とかして維持をしていく、できれば再生をしたいと、そして暮らしを落ちつかせていきたいと、こういうことについてできるだけ施策を講じて最善を尽くすと、これが当面の使命だと、このように思っておる次第でございます。 技術的なこともお尋ねでございましたが、確かに仰せのとおり、市税収入が大幅に落ち込みました。財源確保にはこれまで以上に工夫が求められたわけでありますが、行政経営の効率化、施策の選択と重点化、こういうことに努めます一方、計画的な基金の取り崩し、市債の活用、こういうことをしながら編成に当たった次第でございます。地域経済の再生と市民の暮らしの安定、これを一義にいたしまして、新幹線金沢開業を見据えた魅力と活力のあるまちづくり、それに必要なものづくり産業の基盤強化、こういうことに力点を置きますとともに、ストックを生かした暮らしづくり・まちづくり、子どもと教育への投資、こんなことに意を用いた次第でございます。 会派からの要望を心したかというお尋ねでありました。いろいろ寄せていただきまして、十分検討をさせていただきました。暮らしとまちづくりに関する御要望がございましたので、これを踏まえました。具体的なことを言いますと、仕事を確保する、できるだけ仕事を確保して回しておあげする。雇用の創出に努めると、こういうこととあわせまして、乳児期の予防接種への助成制度、それから病児の一時保育の充実、障害者自立支援制度における利用者負担の軽減、医療や福祉の分野を初め、市民生活全般にわたりましてできるだけきめの細かい対応に心がけた次第でございます。まちづくりへの学生の参画とか、あるいは2次交通の充実、それから御指摘でもありましたが、歴史的価値のある公文書の選別と保存、こういうことについての研究にも意を用いた次第でございます。 次に、クラフト創造都市に関連をしまして、伝統工芸を着実にビジネスにつなげていく取り組みを期待したいと、市長の思いを問うということでありました。創造都市という認定を受けましたので、文化のビジネス化を進めたいと思います。工芸品の高付加価値化を目指していかなければいけないと、このように思っています。ただ、この際、私から1つ言いたいことがありまして、それは工芸のつくり手、それから売り手に対することなのであります。私からして、そうしたつくり手、売り手がかかわる仕事というのが、一体文化なのかビジネスなのかと。これはひとつ考えてほしいと言いたい。アートなのかクラフトなのか、これも言いたい。作品なのか商品なのか、これも言いたい。そして、その選別・選択、これは二者択一なのかどうか、こういうことについても十分議論をして、その議論を踏まえた上で次なる段階へ移っていく必要があると、こういうことを実は言いたいと思っておるのであります。こういう議論の上で、次の施策に向けていきたいと、こう思っていることを申し上げます。 次に、用水の国際シンポジウムのことにお触れでございました。ことし10月14日、15日に国内はもちろんでございますが、アジア、ヨーロッパ、アメリカ等の第一線の研究者を招きまして開催をすると。市民の参加もいただいて開催をするということを考えています。海外の事例発表あるいは金沢の歴史的用水に関するパネルディスカッションを行いまして、金沢市の用水の独自性・魅力、こういうものを掘り下げてまいりたい、こう思っておりますし、参加された方が専門家の解説のもとで辰巳用水とか惣構堀などを見学する、そんな機会も設けたいというふうに考えておりまして、こうしたことを通じまして市民の方々の中に金沢の歴史的用水の価値、国際的な視点、こういうものからとらえ直して、保存継承についての理解が深まっていったらいいと、こう思っておる次第でございます。 次に、日仏自治体交流会議にお触れでございまして、レジオン・ドヌール勲章、そしてシュバリエ章の受章についてお触れでございました。私は皆さんのおかげだというふうに思っています。ひとり私が評価されたなどとはつゆ思ってございません。この上は、この章に恥じないように精進・努力をしてまいる所存でございます。よろしく御指導いただきたい、このように思います。 日仏自治体交流会議でございますが、今までのような1対1、儀礼、そんな姉妹都市交流の枠組みを超えまして、できるだけ多くの都市が連携して課題の解決に取り組んで、本当の意味での自治体交流というものに新しい形ができたらと、こんなことを実は思っておる次第でございます。ぜひ成功させたいという思いでございまして、この新しい取り組みを軌道に乗せることができて日仏両国の関係、これが発展をし深化をし、ひいては世界の平和に寄与することができたらこんな幸せはない、そう思っています。 市民が参加できるシンポジウムであったらいいという御趣旨でありました。御趣旨はよくわかります。ただ、会議自体は日仏自治体の代表者による発表、そして具体的なプログラムの形成に向けた意見交換を行う実践の場でございます。全体会議と分科会を通じましてグローバル時代にふさわしい文化と都市のありようについて議論を深め、解決策を探ろうというものでございます。それで、市民の方々に直接参加していただくことは難しいというふうに思いますが、他方で会議の開催にあわせまして、ナンシー市のアーティスト等の美術展とかあるいはワークショップ、またフランスやナンシー市の文化・芸術に親しむ事業も実は計画しておりまして、できるだけ多くの方々に参加をしていただきたいと、こう思っております。またこの時期に合わせまして、ルーブルと21世紀美術館との合同企画展を開くということになっています。私はこの企画も画期的というふうに自負をしています。一般に合同企画展といいますれば、ルーブルの作品を借りてきて、そして金沢市の美術館で展示をするというのが一般的にそういうものをお考えだと思いますが、今回はそのことよりも、むしろ双方の館のキュレーター同士が研究をして、そしていろいろ話し合って、そして共通のテーマを見つけて、その共通のテーマのもとでみずから企画をすると、そういう営みによる合同作品展なのでございまして、このことは私は画期的というふうに思いますし、相手さんも金沢の美術館の力を認めた上でのことでございますので、この経験を大切にして、そして金沢21世紀美術館の国内外への発信と、そしてこれからも飛躍をしていく、その契機になればこんないいことはないと、このように思っておる次第でございます。 次に、JAZZ STREETのお話がございました。昨年好評でございましたので、ことしもこれをやろうということになっておるわけであります。学生のビッグバンド等によるまちかど・ジャズライブ、それから国内外の一流のアーチストによるホール・ジャズライブ、それに人材育成を意図したジャズ工房、この3つを柱にして構成をしていくということになっています。具体的なプログラムにつきましては、実行委員会で内容を詰めていくということになるわけですが、お話の大野俊三さん、この方は世界のジャズトランペッターであるというふうにお聞きをしています。できたら、都合がついたらお呼びをしたいと、このように思っております。同時に、昨年御指導いただいたのは、前の文化庁長官の青木先生でございまして、この先生も国内外の奏者による企画をいろいろアドバイスされていらっしゃいまして、先生のネットワークも活用をして、そして人を呼んで、より国際的で充実した内容にしたいと、このように思っておる次第でございます。 食の安全に対する取り組みでございますが、HACCP導入等のことにつきまして、所管の局長からお話をいたしまして、私からは受動喫煙防止に関するお尋ねについてお答えをしたいと、このように思います。受動喫煙防止に関する厚生労働省の通知が出たわけであります。これに関してどういう対応を市としてしていくのかというお尋ねでございました。金沢市の公共施設につきましては、従来から禁煙・分煙対策を整えておるというふうに思っておりますが、厚生労働省からの通知がございましたことを踏まえまして、個々の施設の状況とかあるいは利用者のニーズに応じて対応を検討していく必要があると、このように思っています。また、民間の施設等に関しましては、広報とか業界団体への周知を行うことなどによりまして理解と協力を呼びかけていきたいと、このように考えている次第でございます。 住宅版エコポイント制度についてお尋ねでございました。住宅の建設、リフォームは建設事業者だけでありませんで、幅広い業種への経済波及効果が期待できるというふうに思っています。景気対策としては極めて有効なものというふうに思っています。住宅版エコポイント制度、これにつきましては、住まいの省エネ性能等の向上に寄与いたしますとともに、地球温暖化防止の推進にもつながりますので、大きい関心を持っているわけであります。一昨日からこの制度が始まりました。市といたしましても定住支援制度にあわせまして、この制度の紹介を行うということのほか、定住推進ネットワークを構成しております民間事業者などとも連携をしまして、さまざまな機会をとらえて制度の周知を図ってまいりたい、このように思っています。 具体的なお尋ねには所管の局長からお答えをいたします。 私から最後に、障害児の学齢期支援策についてでございます。学校から他の事業所等への移動支援の利用につきましては、居宅サービスの趣旨から外れること、また銭湯やプールの中における支援につきましては、安全の確保も大切な課題であることから認めていないわけであります。なお、現在国におきまして制度の見直しが議論をされています。したがいまして、市といたしますと、まずはその動向を見たい、こう思っておる次第でございます。 なお、この新しい年度から利用者負担の軽減策といたしまして、独自の重度障害のある方の無料に加えまして、所得の低い方も無料にするなど、移動支援の充実を図るための予算を計上した次第でございます。 ふれあい交流室の開催時間の延長について、市長はどう思うかということでありました。利用される方々の希望と必要性を踏まえまして、支援員の確保など開催時間の延長に向けて、手をつなぐ親の会と協議を進めてまいりたいと、このように思っています。また、送迎サービスを行っている十一屋にございますひまわり教室でございますが、ここにありまして、従来の未就学児童に加えまして小学生の受け入れを平成20年度から実施をいたしています。障害のある児童の居場所づくりの一助にしてまいりたいと、このように思っています。 以上でございます。 ○横越徹副議長 梶原福祉健康局長。   〔梶原慎志福祉健康局長登壇〕 ◎梶原慎志福祉健康局長 食の安全に対する取り組みについて御質問があり、まず、本市におけるHACCP手法導入の現状についてお尋ねがございました。いわゆるHACCP手法支援法と呼ばれる「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」に基づく高度化計画の認定を受けた市内の施設は、現在2施設ございます。 次に、第1次食の安全・安心行動計画の施策の推進をどのように総括しているかとの御質問がございました。計画期間中に発生した事件を踏まえ、農薬などの検査体制の充実や食品取扱施設への監視指導の強化を行うとともに、国・県・その他関係機関との緊密な連携を図り、迅速な情報収集とその提供を行ってきたところでございます。さらに、中央卸売市場や近江町交流プラザに相談窓口を設置することにより、市民の食の安全・安心の確保が図られたと考えているところでございます。 次に、金沢市独自の食品衛生自主管理認証制度の推進状況とさらなる普及促進の方策についてお尋ねがございました。事業所の方々に対し制度説明会や個別指導を行ってきた結果、現在1件の審査を行っているところでございます。さらに認証の取得に向けて取り組んでいる施設もございます。認証を取得するためには高度な取り組みが求められていることから、段階的な衛生管理の向上を図るため、技術的な支援を行ってまいりたいというふうに思っております。あわせて、認証事例の公表やすぐれた衛生管理事例としての紹介など、認証取得後の支援についても検討してまいります。 次に、近江町交流プラザの食の安全・安心相談室の利用状況について御質問がございました。相談件数は少ないところでございますが、相談員が近江町市場内を巡回して事業者からの相談に応じているところでございます。本年10月には消費生活センターの近江町いちば館への移転が予定されておりますことから、これと連携した取り組みにより利用の促進を図ってまいりたいと考えております。 次に、本市におけるレジオネラ菌感染予防対策の現状と今後の取り組みについてお尋ねがございました。公衆浴場や旅館などの施設管理者に対しては、現地調査を行い、国の指針等に定められた自主検査など維持管理状況について確認と指導を行っているところでございます。今後は国が定めるレジオネラ症発生防止に関する指針等を取りまとめたガイドラインの作成を含め、より効果的な指導手法を研究してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○横越徹副議長 出口都市整備局長。   〔出口 正都市整備局長登壇〕 ◎出口正都市整備局長 住宅版エコポイント制度の対象となる住宅の基準についてのお尋ねにお答えいたします。住宅版エコポイントは、エコ住宅の新築の場合は昨年12月8日以降、また、断熱改修等のリフォーム工事の場合はことし1月1日以降で、いずれもことし12月31日までに着手したものが対象となります。新築で30万ポイント、リフォームは箇所や内容に応じましてポイントが発行され、上限30万ポイントとなっております。地域産品や商品券、追加工事費等に交換できるほか、環境保全活動を行う団体へ寄附することも可能となっております。 次に、交換商品につきまして本市の特産品を商店・企業などと連携し、交換カタログへの掲載など積極的な対応についてのお尋ねにお答えいたします。住宅版エコポイントの交換対象商品カタログには、既に金沢の産品も何点か掲載されております。今後、交換商品提供事業者の第2次募集が予定されていると聞いておりますので、発行されたエコポイントが地域に還元されますよう、市内の商店街等に登録を働きかけてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○横越徹副議長 30番升きよみ議員。   〔30番升 きよみ議員登壇〕   (拍手) ◆升きよみ議員 日本共産党市議員団を代表して質問いたします。 質問の第1点は、新年度予算についてです。 国民の暮らしは底なしの悪化を続け、失業率は急上昇し、果てしなく不安が拡大しております。日本の経済危機が、発達した資本主義国の中でも特に深刻であり、2009年の実質経済成長率はマイナス5.3%と先進7カ国の中で最も落ち込んでいます。自公政権が構造改革、成長戦略の名で進めてきた、強い企業をもっと強くすれば経済が成長し、暮らしもよくなるという路線は完全に破綻しており、この抜本的な転換こそが経済危機の打開の道であることはもはや明白です。この転換を国民は求め、新政権に期待を込め、命を守る予算との表明に注目が集まりましたが、しかし、その期待が破られ、庶民金銭感覚との大きなずれのあるけた違いの首相や幹事長の政治とカネの問題に怒りが沸騰で、一刻も早く国民生活の悲鳴の上がる状況から脱却する政治が求められております。それには、政府が大企業の巨額の内部留保と利益を社会に還元させて雇用、中小企業を守ること、自公政権が続けてきた社会保障費削減路線による傷跡を是正し拡充を図ることであり、それは軍事費の削減と、大企業、大資産家への減税をやめることで、2つの聖域にメスを入れて、財源を確保し庶民増税の不安を解消することで、従来型の政治の転換こそが必要です。それは国政でも地方政治でも同様です。我が党は、公立高校授業料の無償化など部分的な前進はありますが、自公政治の根本的転換に踏み出さないまま、社会保障制度、医療介護削減路線がつくった傷跡をもとに戻さず、後期高齢者医療制度廃止の先送り、障害者自立支援法の応益負担、労働者派遣法の実現見送りや経済危機から暮らしを守るための雇用と営業の安定、地域経済の活性化を図る面でも国民の要求に十分こたえていないのではないかと考えております。 さて、新政権による国の予算を受けて、市長が5期目、任期最後の予算として提案された本予算が、苦境にある市民が求める税金の無駄遣いをやめて、真に暮らしの安定、雇用や仕事の確保、子どもたちの確かな未来と高齢者の不安の解消を進める医療、福祉の充実を願うものとなっているのかどうかであります。42億円の税収減に示されるごとく、底なしの生活苦に見舞われる市民生活の実態からも、暮らしの安定を基本にした予算こそ求められております。市長は、これまでの就任中に国の政治とも相まって、市民には今や1人当たり101万円の借金を背負わせながら、都心軸中心のまちづくりや辰巳ダムの建設など、コンクリート行政と言われる大型開発を積極的に進めてきました。現政権は少なくともコンクリートから人へと、内容はともかく表明されておりますが、本市は相変わらず本予算でも4年後の新幹線開業を前にして駅西広場整備や西金沢駅整備、外環状線道路網整備、海側幹線等々、依然と大型公共事業を進めようとされております。とりわけ市長は新幹線絶対必要と述べ、金沢港建設整備については並々ならぬ意欲をお持ちですが、特に金沢港事業が247億円かけ--本市負担分約50億円、新年度・補正予算を含めて6億2,000万円を負担して、水深13メートルの大岸壁を進めておりますが、これまでの1年余りで発着した4万トン級大型船はわずか3隻にすぎず、いかに大企業に手厚いかがうかがえます。市長、市民の生活、営業の厳しさはこの上ないもので、無駄遣いや大型開発に注がれる予算に対しては特段に厳しいものがあります。こうした大型開発への税の投入をやめ、少なくとも最も苦境にある中小企業・業者・市民の方々への還元に、高過ぎる国保料や保育料等の引き下げ、また子ども医療費の窓口無料化など、高齢者を含めてこうしたことに踏み切るべきと考えます。市長、市長は従来型の予算ではなく、市民生活を守ることを重点にした予算だと胸を張って言えますか、お答えをいただきます。 次に、子ども手当に関してです。 ところで、子ども手当創設の予算は84億円が計上されました。1人1万3,000円を所得制限なしで6月より支給となります。児童手当を受給している場合は1人3,000円増と額もわずかな上、来年度からの扶養控除廃止の影響で増税になり、さらに保育料値上げなどの負担が雪だるま式にふえていくことになるなど、さまざまな問題があります。ともかく民主党の政権公約であり、新年度に限ったものなのか、財源や地方負担のあり方など、制度の根幹にかかわる問題をすべて先送りした上で、ともかく6月の支給を急いだものであることは否めません。この間、自公政権のもとで保育所整備のおくれや、子育て・教育予算削減などが進められてきました。だからこそ保育や教育、自治体で取り組んでいる子ども医療費の問題等、子育ての土台から将来にわたる子育て支援策の体系の中に子ども手当をしっかり位置づけて、抜本的な強化や財源問題等のことを十分に議論すべきところ、それがないまま実施となっております。最大の問題は、子ども手当の財源が増税と抱き合わせになっていることで、そして扶養控除の廃止による増税の影響についてです。民主党は、増税と手当で手取りが減るのは全体の4%未満と説明しておりますが、全国では5,000万世帯の約18%に当たる世帯で増税になることが試算されております。今回見送られた配偶者控除の廃止や23歳から69歳までの成年扶養控除の廃止については、次年度以降実施する方向とのことですが、さらに扶養控除廃止・縮小に伴う増税だけではなく、保育料など23項目について負担増が起こることは必至といわれております。政府は児童手当を残しながら進め、手当の支給ありきで後から増税、消費税などとんでもありません。市長、新政権の子ども手当の支給に関して自治体の負担等、本市に及ぼす影響を含め、どのように見ておられますか。率直な所感をお聞かせください。 具体的には本市財政の負担がいかがなるのか、また、本市での住民税の影響はいかがなりますか。ともかく、子ども手当の財源確保のために配偶者控除の廃止等の議論もありますが、そうなれば住民負担増となるもので、こうした手当であってはならないと考えます。市長の御所見を伺います。 質問の第3点は、特別養護老人ホームの整備等介護制度の充実についてです。 連日のように報道される介護殺人の記事には胸締めつけられる思いがします。先日、「夫を介護し、仕事の出がけに夫が尿を失敗し、思わずたたいてしまい、これが虐待ではないかと悩み、仕事をやめた。これまで一生懸命働き納めるものも納めてきたのに。入居できるものなら今すぐ入居させてほしい。」、「昼夜の介護疲れで頭がぼっとなり、はっと気づいたら夫の首を絞めていた。もう少し気づくのがおくれていたら自分も人殺しになっていた。今は特養ホームに入居させてもらいほっとしている。待機者のためにも特養ホーム建設をしてほしい」と訴えられた方々の言葉が心に残ります。本市待機者数も1,475人に及んでいます。新年度、小規模特養老人ホーム建設3カ所、87床を予定しておりますが、待機者解消にはほど遠いものがあります。市長、その解決策をどのように考えておられますか。 国は、介護基盤の緊急整備を言いながらも、新しい政権下で病院追い出しが進む状況が次々と行われております。それは、後期高齢者医療制度を廃止するどころか存続し、高齢者の差別医療の仕組みを全年齢に拡大する、すなわち、75歳以上の患者が一般病棟に90日を超えて入院すると、高密度の医療を必要とする12の場合を除き、診療報酬が大幅に減額される仕組みで、それをさらに認知症や脳卒中の後遺症のある患者にまで広がっていたものを全年齢に拡大することになろうとしております。また、自公政権時代に介護保険適用の介護療養病床を13万床からゼロにする計画を5年前に決定しました。その後、国民の反撃を受け、医療療養病床は22万床程度を残す方針に転換しましたが、その際民主党も廃止を言っておりましたが、今回公約に反し、廃止変更なしとしました。我が党の追及の中で、現在、揺れておりますが、介護療養病床をなくすると認知症や胃瘻など医療と介護の両方を必要とする方の行き場所がなくなってしまい、特養にも入れず介護療養病床の転換先となる老人保健施設にも入れません。転換型老健施設には夜は医師がおらず、24時間対応ができず、結局在宅に移るしかありません。本市での在宅支援はもちろんですが、現在、介護療養型医療施設に580人の方がいらっしゃいますが、その対応と整備目標はいかがなりますか、伺うものです。 介護保険制度が始まって10年、保険あって介護なしという実態の是正、旧自公政権下における給付抑制、負担増に介護施設の不足、過酷な介護職員の待遇等々、問題が山積しておりますが、医療・介護難民を出さないため、ともかく早急にすべき特養ホーム等の介護基盤の整備や制度の充実に向けてどのようになさっていかれるのか、市長の決意を伺います。 質問の第4点は、自治体発注の仕事、賃金保障を目指す公契約制度条例等についてです。 大量の非正規雇用の問題が社会問題となり、官製ワーキングプアの問題の深刻さとその解消が今日の大きな課題となっております。そこで、その改善のために次の点を伺います。 1つに、自治体の公の施設の管理と運営を民間に開放するため導入された指定管理者制度は、民間が利益を上げるために、低賃金の非正規雇用の労働者を活用して労働者の貧困化をつくり出すとともに、公の施設が保障すべき公平性を失わせ、市民サービス上にいろいろ問題が生じるなど、決して望ましいものではないとして、このところ全国では指定取り消しが相次いでおります。本市では、新たに建設されるものづくり会館が指定管理者制度による運営にするとしておりますが、今後予定される安江金箔工芸館等施設についてどのようにされるのか、基本的に見直しが図られる必要があると考えますがいかがか、伺います。 次に、自治体が行政サービスを行うため、民間事業者と契約し、公共工事の発注や業務委託、物品購入などのもととなる公契約制度についてです。今、これら公共の仕事や業務等をめぐって大きな問題が起きております。それは、談合対策を契機に競争入札が広がり、公共工事や委託分野でもダンピングが横行し人件費が削減され、そのしわ寄せが末端の下請や労働者に来ていることです。特に公共施設の運営に携わる労働者が低賃金の有期雇用に置きかえられるなど、さまざまに問題が生じております。それが本市の図書館や共同調理場業務などにもあらわれていることは御承知のとおりです。そこで、こうした問題を解消するために公契約のもとで働く労働者の賃金や労働条件の最低規制を行うことを明確にすることが必要となっております。それは最賃法とは異なり、受託企業は法の強制ではなく、みずから結んだ契約を守る立場で労働条件を確保し、自治体は発注者として現場労働者の状態をチェックできるようにするなどが必要になっております。国や自治体が発注する業務に公契約法や公契約条例をつくることは重層下請の圧縮や透明化につながるもので、労働者の賃金底上げは地域循環型の消費構造につながり、大きな経済波及効果をもたらすものであり、極めて大切です。それは受託事業者にとっても適正利潤が確保され、健全な経営を保障するものと言われるもので、今日、その要求や運動は全国各地で広がっております。本市議会でも一昨年、国に公契約に関する法律の制定を求める意見書を全会一致で採択しておりますが、国の法整備をまたずして各地方自治体での条例制定が行われ、このところ尼崎市を初め各自治体で急速に条例化が進んでおります。市長、これまで条例提案に対し、今後、検討する旨の御答弁をされておりますが、本気で官製ワーキングプアの解消を図るおつもりがおありなのですか、一体いつ条例化をなさるおつもりですか、お答えください。 次に、地元商店、スーパー等の廃業を食いとめ、存続させる点で伺います。 まちなか中心部の衰退の深刻さとともに、まちなか区域に外れているものの、周辺地域における商店の明かりが消える寂しさを痛感しているのは市民の共通の思いです。金沢商議所の会員数が1年で330減少と報じられるほど倒産、廃業が相次ぎ、空き店舗がふえ続ける深刻さにいかに行政がこたえるかが市政の大きな課題です。未曾有の消費不況とともに、これまでの大型店出店容認、無策な都市計画で進められたまちづくりでまちの商店は疲弊しております。まちづくり三法改定により、やっと大型店の郊外出店は原則禁止となったといっても、規制対象が1万平米を超える施設であって、結局、知事の許可があれば可能となってしまい、規制の効果が不十分な中で金沢市のまちは大きく壊れてしまいました。もはや本市の商店街は赤信号状況にあります。今は一店舗一店舗の商店をいかに守るかが重要になっております。市長は今日の状況をどう認識されますか。 ようやく地域商店活性化法によって商店街の実態調査が行われることになりましたが、今日の危機に瀕する実態を調査し、本当に地域住民の日々の暮らしと地域経済を支えてきた商店街、商店を生き残らせていく方策をとるべきと考えます。住民だれもが歩いて暮らせるまちづくりを進めるためにも、地域に根差した商店街を地域の共有財産と位置づけ、その振興を図るための支援が必要です。最近、特に相次いで地元地域スーパーの廃業の動きがあり、周辺地域で心配されています。生鮮3品、食料品取り扱いの身近な店を守ることが極めて大切です。また、片町、竪町、中心商店街をファッションストリートとして高級ブランド商品を中心としたまちづくりから、中高年に優しい商店街へと転換するなど、そのための空き店舗を活用したチャレンジショップや情報発信拠点づくりが必要ではないか、伺うものです。 本市は中心部呼び込み、空き店舗、空きビル対象による出店奨励金対策を進めておりますが、何よりも既存店応援施策強化こそが必要だと考えます。本市はどう臨まれていくか、伺います。 次に、若宮道路等管理事務所、企業局旧熱量変更センター若宮基地跡地売却に関して伺います。 これまでの道路等管理事務所は、河原市町に移転することとなり、その跡地の9,857平米を企業局旧熱量変更センター若宮基地1,612平米の用地とともに、新たに工業団地開発事業費として特別会計に移し、工業用地として売却する予定となっております。これまで道路等管理事務所の移転の経緯について、当局は行政改革実施計画及び第三者評価に基づき直営作業による道路維持補修作業の民間委託化を進めており、それに伴い業務を再編し災害の緊急時対応を図るためで、この移転は行政評価での指摘とともに、現在の敷地の有効利用等を総合的に検討した結果とのことでした。改めてその経緯について伺います。 しかし、行政改革実施計画では、当初、宿直廃止と人員削減、規模縮小、民間委託化までで、その後道路等管理事務所の有効活用を加えており、少なくとも事務所の建てかえや移転は議論の対象となっていないように思いますが、まずその経緯について明らかにしてください。過ぎ去ったことですが、若宮から河原市町への移転はいつどこでどんな形でお決めになられたのですか。 ところで、若宮用地の土地利用について、去る2月15日、総務及び産業企業常任委員会で報告がありましたが、それによると、澁谷工業からメカトロ事業の新工場建設地の候補地と金沢市に打診があったとのこと。そこで土地利用検討会がつくられ、その結果は工業用地としての売却方向が確認され、2月24日には早速市有財産審議会が開催され、今後一般競争入札に基づいて財産処分をすることとなっております。澁谷工業からこの用地打診はいつお聞きになっていたのですか。 当然、売却に当たっては周辺の公示価格、路線価6万3,000円から7万円を基準に鑑定見積もりにより売却されると思われますが、売却予定価格はいかがなりますか。 また、この用地のうち若宮道路等管理事務所の建物については既に21年がたっております。一方、企業局熱変センターの建物は購入して11年のものです。熱量変更事業が終わったとはいえ、今処分すべき時期なのか、率直な思いをいたします。なお、企業局所有物件の帳簿価格はいかがになっておりますか、企業局管理者に伺います。 要するに、土地利用検討会などが行われておりますが、初めから澁谷工業に売却する御予定ではなかったのですか。かつて澁谷工業のトップは市長御自身の後援会の要職にあった方ではありませんか。地元のものづくり優良企業として重要視され、保全を図ることは必要であっても、市民の貴重な財産を売却するに当たっては、特定な方だからと行き過ぎた便宜供与であってはならず、適正を図ることは当然だと思います。 なお、跡地の新たな工業用地を取得した企業には、企業立地助成金や雇用助成金が検討されていると思いますが、本市からどのような助成・援助がされる御予定か、お伺いします。 質問の第7点は、内川第1建設発生土処理施設建設事業についてです。 今回提案されているこの施設の建設整備は、計画面積30ヘクタール、受け入れ土量280万立米に及ぶもので、第2処分場の約3.6倍のものです。この施設整備に当たっては、7年前の議会で我が党、森尾議員も指摘し議論となったところです。それは計画の準備の際、環境影響調査を行った結果、絶滅危惧種と言われる野生生物オオタカの営巣が発見されたことで、自然環境を守る上でいかに重要な区域であるかが明らかとなりました。それゆえ、建設発生土処理施設は、当然、建設断念をされたものと考えておりました。ところが改めて建設に入るとされていることに驚きを禁じ得ません。当局は自然環境保護の立場から当初の計画区域を縮小したとはいえ、その範囲について、埼玉県など他県の例よりも範囲が狭く300メートルとしたことで、真にオオタカを保護する視点に欠けると指摘したものです。この地の一番奥にはため池があり、渓流とケヤキ群の群生もあり、周辺はオオタカの営巣地で、かけがえのない絶好の場所です。そして、絶滅危惧種のサシバやハチクマなどが生息していることがわかっております。当局によると、本市が搬出する公共工事の建設残土の処理は、既に内川第2建設発生土処理場の受け入れ土量77万立米の99%の73万立米に及び、いよいよ当初造成計画の第1への建設に着手したいとして、既に用地の取得は平成18年3月から19年3月にかけて土地開発公社により約292平米、5億1,667万円で取得しているとのことです。公共工事における建設残土の処理は当該自治体によって自己処理することは必要ですが、その適地選定に当たっては慎重でなければなりません。環境保全上、この地は適地ではありません。今日、この区域を残土処理施設建設地とすることは絶対してはならないと考えます。当初計画が持ち上がった8年前より、今日、自然破壊、野生生物の保護対策の環境情勢は大きく変わっております。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」や、95年に生物多様性国家戦略が策定され、100年先を見据えた視点に立つことが重要視され、ことしは生物多様性条約締結国会議--COP10が名古屋で開催され、持続可能な社会の推進にとって重要な場で、日本からはSATOYAMAイニシアティブが推薦されることになっております。森林保全、里山保全が叫ばれ、ともかく生物多様性の恵みを将来に向かって、将来にわたり享受できる社会の実現を目指していくことになっております。そんな折、本市は国連国際生物多様性年の閉会行事をしながら、片方で生息地保護破壊を進め、里山保全に逆行する自然環境破壊を行おうとなさるのですか。むしろ内川地域全体を猛禽類保全里山として後世に残すことではありませんか。処理施設の適地変更及びオオタカ類の環境保全について市長及び環境局長の御所見を伺います。 質問の最後に、小中一貫教育モデル事業に関してお尋ねします。 本市は小中一貫英語教育に続いて、新年度に小中併設校などモデル地区を策定し、小中学校間の段差解消に取り組むことで児童・生徒の心を育てる教育を実施するとして、泉中校区、緑中校区、湯涌・芝原校区を予定するとされました。さきに学校規模適正化基本方針の策定や山間地小規模校の今後のあり方の研究とあわせ、今回、提案されておりますが、教育委員会はどのような意図で御提案なさったのか、お伺いします。大き過ぎず小さ過ぎずの学校を基準として、施設一体小中一貫校の建設と小規模校の統廃合を並行して進める計画なのですか。施設一体型ではない学校でも小中一貫教育を進めていくためのモデル選定なのですか。モデル地区として選ばれた根拠は何なのでしょうか。発達段階が大きく異なる子どもにとって、小中一貫教育が真によいのか悪いのか、どのような判断のもとでの提案なのか、お伺いするものです。 少なくとも6・3制の学校システムよりよりよいという明確な研究が教育学研究の中で蓄積されているという話は聞いたことがなく、世界的に見ても初等教育と中等教育を同一学校として9歳も年齢が違う生徒が生活をともにするのがよいという教育制度は、私学には存在するかもしれませんが、聞いたことがございません。義務教育はすべての子どもを視野に入れて行う教育です。私は特別なタイプの学校をつくるのではなく、普通の小中学校をつくって、どの子にも生きる力が育てられるよう、少人数学級できめ細かい教育を目指すべきと考えます。適切な学区を定め、どの学校も安心して楽しく通えるように整備することが教育行政の責任であると考えます。教育長のお考えをお聞きしまして、私の質問を終わりとさせていただきます。   (拍手) ○横越徹副議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 30番升議員にお答えをいたします。 市民生活を守る予算であるべきで、市長の思いを聞くということでありました。市民の暮らしを守ると。そのために景気、雇用対策を最優先にすると。そのような考えで予算を組みました。あわせまして、福祉・医療・教育の分野、市民生活に身近なサービスのきめ細かな対応に心がけたつもりでございます。また、暮らしの実態にかんがみまして公共料金等を据え置くと、市民負担の軽減には最大限の配慮をしたつもりでございます。私は胸は張りませんが、精いっぱいやったつもりです。 また、金沢港のこと、新幹線のことにお触れでございました。この建設促進、整備促進は、期成同盟会とか県民会議等を通じて県民・市民挙げての悲願であるというふうに思ってまいりました。この議会にありましても、意見書、決議として採択をされています。これからの金沢の将来にとりまして必要不可欠な投資であるというふうに思っておりまして、皆さんと一緒に積極的に取り組んでまいりたいと、このように思っています。 子ども手当のことにつきまして市長はどう考えているかというお尋ねでありました。子ども手当につきましては、政府の中での協議の結果、22年度に限りまして児童手当法による費用負担のルールが適用をされるということになったと思います。子ども手当の予算化の過程におきまして、国は地方に対してしっかりとした説明と協議を行うべきであったとは思っています。平成23年度以降におきましては、費用の全額国庫負担、子育て支援策に関する国と地方の役割分担の明確化、こうしたことにつきまして国と地方がしっかりと協議をした上で制度設計を行っていく、このことを求めてまいりたい、このように思っています。 財源確保のための扶養控除の廃止、このことにお触れでございまして、市長の考えをお尋ねになりました。子ども手当、高校授業料無償化、これを実施するに当たりまして、財源確保の問題は避けて通れなかった事柄であろうというふうに推察をいたします。税制改正大綱におきましては、扶養控除等の見直しによりまして、影響が生じる制度については負担基準の見直し、経過措置の導入など適切な措置を講ずることといたしておりまして、本市としても必要があれば全国市長会等を通じまして要望をしてまいりたいと、このように思っています。 特別養護老人ホームの待機者解消のことにつきましては、所管の局長からお答えをいたしまして、私からは療養病床の再編成の点でございます。国は今後、療養病床の転換状況、転換の意向、それから患者や家族の意向、一般病床や療養病床、老人保健施設にどのような方が入院をして、どのような医療が提供されているか、こうしたことなどについて、改めて調査を実施して、その結果を踏まえて必要な見直しを行うということになっています。利用者に必要な医療や介護が提供されることが何よりも大切でございまして、利用者、保険者である市、医療機関の意見を十分に聞いて見直しを行うように、全国市長会等を通じて国に要望をしてまいりたい、このように思っています。 公契約条例を制定すべき時期ではないかという御意見でありました。労働者の保護、それから雇用の安定は大切なことと考えています。これまで、従業員の処遇の悪化にもつながる低入札価格での受注防止に向けまして入札制度の改革に努めてきたところでございます。最低賃金など労働者の雇用条件等については、労働基準法や最低賃金法を初めとする法令で定められていることもございまして、仰せの公契約につきましては、まずは国において法整備がなされるべきものというふうに私は考えています。したがいまして、市として条例を制定することは考えておりませんが、これからの国の動向等については、引き続き、注意を払ってまいりたい、このように思っています。 公共施設の管理のことにつきましては所管の局長からお答えをし、生鮮3品の小売店、食料品スーパーの廃業が相次いでおるけれども、これに対する施策、これは所管の局長からお答えをいたします。 まちなか商店街活性化施策、これの既存店育成への施策転換のこと、これも所管の局長からお答えをし、若宮道路等管理事務所の件も所管の局長等からお答えをいたします。 内川の第1建設発生土処理施設建設事業でございますが、計画をしている処理施設の予定地周辺では、希少種の鳥類が生息していることは承知しています。平成12年度より監視調査を継続しています。しかし、建設発生土処理施設は、市が施行いたします下水道等の公共工事に伴う建設発生土を計画的に処理をしまして、公共事業の円滑な推進を図る上で欠くことのできない重要な施設でございます。これまでに稼働してまいりました内川第2建設発生土処理施設は、あと2年程度で受け入れができなくなる状況でありますので、新たな処理施設の建設は避けられない、このように考えている次第でございます。 以上であります。 ○横越徹副議長 梶原福祉健康局長。   〔梶原慎志福祉健康局長登壇〕 ◎梶原慎志福祉健康局長 特別養護老人ホームの待機者の解消についてお尋ねがございました。特別養護老人ホームの整備につきましては、第4期の計画で予定しております7施設、201床のうち2施設、56床は昨年開設し、他の2施設、58床についてはことしの秋までに開設する予定でございます。また、今月選定を行いました3施設、87床につきましても平成23年度前半に開設できるよう準備を進めているところでございます。今後の整備につきましては、来年度、次期の介護保険事業計画の策定に向けたワーキングを設置することとしており、その中で議論をしてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○横越徹副議長 丸口総務局長。   〔丸口邦雄総務局長登壇〕 ◎丸口邦雄総務局長 公共施設の管理に当たり、指定管理者制度の導入ありきではなく、むしろ直営とすべきではないかとのお尋ねがございました。指定管理者制度は民間等のノウハウを活用し、市民サービスの向上と公共施設の効率的運営を図ることを目的に導入された制度でありますが、すべての公共施設がこの制度の導入に適しているとはもとより思っておりません。そうしたことから、指定管理者制度の適切な運用を図るため、本市では専門性、教育性が重視される施設など直営を維持すべき施設と、指定管理者制度の導入が適する施設とを区分けし、また、指定管理者の選定に当たり公募にするか選考にするかなどを慎重に検討した上で、議会にも御理解をいただき、指定管理者制度の導入方針を定めているところでございます。したがいまして、今後ともこの方針に基づきまして、公共施設等の適切な管理に努めてまいりたいと存じております。 ○横越徹副議長 羽場産業局長。   〔羽場利夫産業局長登壇〕 ◎羽場利夫産業局長 まず、地元商店街、スーパー等の廃業の件につきまして、生鮮3品等の小売店、食料品スーパーの廃業が相次いでいるが、これにどう対応するのかというお尋ねでありました。地域にとりまして、生鮮3品の小売店、食料品スーパーの存続は大変重要と考えております。このため、特に生鮮食料品店出店・整備支援事業を設けまして、地元食料品スーパーへも足を運び、制度の周知を図っているところでございます。地域全体でこうした店舗が存続するよう取り組むことも必要と考えておりまして、市としても可能な限り支援してまいりたいと、このように考えております。 次に、まちなかの商店街活性化施策を新規出店を誘致する施策から既存店を育成する施策に転換してはどうか。また、個店の経営に対する助成など、支援策ができないかとのお尋ねでありました。本市におきましては、ファッション産業都市にふさわしい店舗の集積を目指しまして、ブランド店の誘致を図っているところでございます。このことにより広域からの集客もあり、まちの魅力を高めると同時に、活性化にもつながっていると考えております。これまでも既存店の振興施策として少子高齢化社会に対応する店舗等への補助、店舗ファサード整備などへの補助金、さらにはイベントや活性化プランなどの作成への補助など、ハード・ソフト両面にわたり支援しているところでございます。個店への直接的な支援は、公平性の観点から難しいことがございまして、新年度は商店街を通じましてアドバイザー派遣や後継者育成研修の開催をすることとしておりまして、こうしたことから地元商店街の一層の支援に努めてまいりたいと、そのように考えております。 次に、若宮道路等管理事務所の件につきまして、市有地の売払価格のお尋ねがございました。今回、予算に売払収入6億4,000万円を計上しておりますが、不動産鑑定評価に基づく時価相当額でございます。 次に、澁谷工業の取得希望の表明から一連の流れがスムーズ過ぎる。最初から決まっていたことではないのかというお尋ねでありました。今年3月をもって道路等管理事務所が移転することから、跡地について早期に利活用することが本市のまちづくりに重要と考えておりまして、来年度の当初予算に関連経費を計上できるよう準備したところでございます。 また、その工業用地を取得した企業に立地助成金や雇用奨励金を出すつもりなのかというお尋ねでありました。企業立地助成金や雇用奨励助成金につきましては、本市ものづくり産業の立地促進などを目的に、条例に基づき交付しているものでございます。用地を取得し事業を行おうとするものでございましたら、申請が出てくれば基準にのっとりまして適正に対処してまいりたいと、このように考えております。 以上でございます。 ○横越徹副議長 前多土木部長。   〔前多 豊都市整備局土木部長登壇〕 ◎前多豊都市整備局土木部長 道路等管理事務所の移転について、いつどのように決まったのか、改めてその経緯をお尋ねでございました。平成18年度の行政評価におきましての直営作業による道路補修業務は、将来の民間移行も含めた業務のあり方を検討すべきとの第三者評価を受けましたことから、検討を行ってまいりました。その結果、事務所規模の適正化と山間地災害等への迅速な対応が図られますことから、交通結節点である山側環状に近接する河原市町地内への移転をすることといたしまして、平成20年度から移転に係ります関連予算を計上し、工事を進めてきたところでございます。 以上でございます。 ○横越徹副議長 古田公営企業管理者。   〔古田秀一公営企業管理者登壇〕 ◎古田秀一公営企業管理者 旧熱量変更センター若宮基地跡地の売却予定価格、帳簿価格についてお尋ねがございました。この帳簿価格につきましては2億8,900万円余でございまして、取得以降地価の下落が続いており、現在の地価に基づき売却予定価格1億3,000万円を今回予算計上したものでございます。 以上でございます。 ○横越徹副議長 城下環境局長。   〔城下 謙環境局長登壇〕 ◎城下謙環境局長 オオタカなどが生息します自然環境の保全につきましてお尋ねがございました。里山の豊かな自然環境、これは希少な動植物の宝庫でもありまして、保全をしていかなければならないというふうに認識をいたしております。そこで、内川地区におけます事業の推進に当たりましては、計画段階から専門家によります検討委員会を設けまして、鳥の繁殖期間での工事の休止あるいは樹木の伐採は可能な限り区域を細かく区切るなど、希少動植物の生態系に十分配慮した工事方法を実施するよう担当部局にお願いをいたしたところであります。今後も逐次、専門家からの指導を受けながら、良好な環境の保全に努めてまいりたい、このように考えております。 以上でございます。 ○横越徹副議長 浅香教育長。   〔浅香久美子教育長登壇〕 ◎浅香久美子教育長 小中一貫教育モデル事業についてお尋ねがございました。このような事業を行う意図は何か、3地区を指定するその根拠は何かとのお尋ねでございました。少子化など社会の変化は子どもの育ちにも影響を与え、小学校から中学校に進んだ際に学習方法や人間関係に戸惑う生徒もおりまして、小中一貫教育はこれまで取り組んできた小中連携をより充実させ、9年間を見通した系統性のある教育実践を図るものでございます。金沢市の校区の実情を考慮し、小中学校の施設が一体となっている施設一体型、小学校が同じ中学校へ進学する校区一体型、小学校が複数の中学校へ分かれて進学する校区分離型の3つの地域を指定したもので、それぞれの校区の状況に応じた研究実践に取り組むこととしております。 今回、このような特別な学校をつくる事業を行うことはいかがかとのお尋ねでございました。金沢の次代を担う児童・生徒が目まぐるしく変化する多様な現代をみずからの力で切り開くとともに、たくましく生きる力を身につけるため、今後とも地域に根差した創意工夫ある教育施策を展開していきたいと思っております。 以上でございます。   〔「議長、30番、再質問」と呼ぶ者あり〕 ○横越徹副議長 30番升きよみ議員。 ◆升きよみ議員 市長は先ほど条例制定の問題について、もちろん、まちづくり等の問題からの条例制定の話だと思いますが、先ほどの議場での市長のお答えでは、条例制定を続けていくことの中で分権を求めていく、いわゆる自己主張の一つなんだと。地方における条例制定を積極的にそうしたことを進めながら国にも声を上げていくという御答弁があったかに思っておりますが、そこで公契約条例のことで、御答弁の中では、まず国において法整備をと、市として条例は考えていないという御答弁でした。前に議会の議場の中では、こういう状況の中で、官製ワーキングプアを解消していくという立場は、市民の生活を守る、こういう立場に立ったときには条例制定というのはやはりぜひやってほしいという、こういうことが議場に上がっている状況の中で、先ほどの御答弁とただいまの御答弁と、どういうところで違うのか。私は、条例制定を、市長はこの公契約の問題が本当の意味で官製ワーキングプアの解消などにつなげていくということであれば、むしろ市独自で条例などもつくりながら、国の法整備に向かっていくということがあっていいんじゃないかと思いますが、余りにも乖離した御答弁のように思えますので、この点をお聞きしたいというふうに思います。 それからもう1点は、内川の建設発生土の残土処分場のことで、先ほどの状況の中で、市長の御答弁では、監視調査をしている、そして今のお話の中では、もちろん処分場はもういっぱいになっているので、次なることを考えなきゃならぬという環境にあるけれども、その状況の中で環境局のほうでは保全していかなければならないので、お願いをしているということを言われましたが、確かにこの間、建設発生土処理のための環境調査をするワシタカ検討会なるものが行われて調査を行ってきたのは事実ですが、その状況の中でも今オオタカ、こういったものの、貴重な猛禽類等の動植物があるときに、事業は中止をすることがよいというようなことが、この検討会の中でも出されている、その状況になっているこの事態をどう認識されていらっしゃるのか、もう一度お聞きをしたいと思います。むしろ内川全体を本当にこのような里山として守っていくという観点に立つべきではないかと思いますが、いかがなんでしょうか、もう一度お聞きします。 ○横越徹副議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 2つお尋ねでございまして、まずは公契約条例のことでございました。私は仕事には筋があるということを言いたいんであります。公契約条例なるものは、片や労働基準法があり、最低賃金法という法律があって、その法律の最も近いところでの論議が行われるわけでございますので、私としますと当然のこととして、まずは国で法整備が行われるべきだと、こう申し上げたいのでございます。自己主張をして、そして顔の見えるまちをつくることとは別次元、こう申し上げたいと思います。 次に、内川の建設発生土でございますが、先ほどもお話をしましたとおり、下水道事業とか道路事業とか金沢市にとって必要な社会資本の整備のために必要な施設と、こう申し上げたいのでございまして、この必要は避けることはできない、こういうふうに思っていまして、我々としますと、まずはその場合の一つの候補地だと思って選定をしたわけでございまして、ただそのことと自然環境との間の調整というのは必要になってきますので、そこで検討部会の御意見も聞きながら、そしてこれから進行の過程においても、専門家からの指導を受けていくということを、先ほど環境局長がお答えしたとおりなのでありまして、そういうことで理解をしていただきたいと、このように思います。やはり発生土の処理というものもしなきゃならぬわけでございますし、現にそういう事態が起きてくるわけでありますので、その処理はしたいと。しかし、片や環境の問題があるのだから、その調整については専門家の意見も聞いて、十分気をつけていきますと、こう申し上げておる次第でございます。   〔「議長、30番、再質問」と呼ぶ者あり〕 ○横越徹副議長 30番升きよみ議員。 ◆升きよみ議員 条例問題と公契約条例の問題とは別の角度だと、国の最賃法などがあるのだから法整備が先だといいますと、全国各地の地方自治体は、もちろん最賃法があることも存じた状況の中で、今やこれほどに本当に深刻な事態の中で、官製ワーキングプアと言われるような事態の中で、どう本当に勤労者の生活を守っていくか、市民生活を守っていくかと、その立場に立ったときは、各地方自治体が条例制定を進めているではありませんか。そのことと別の問題だということで、その言い方は私は当たらないと思います。そうした点では、やはり本当にそれにどうこたえていくかという点では、まだ十分にあなたのほうで検討を尽くしていないというなら、それでもいいんですが、都合のいいところだけは条例制定を急がなきゃいかぬというようなことではいかがかというふうに思います。 それから次のオオタカ等の問題で私は、確かに建設残土処分場のこの必要性は、自己処理するということは、それはそれとしての問題だと思いますが、今、環境保全という問題が大きくこの7年間の中で情勢は変化している。今、世界的視野に立って、そういう状況から見て進めなきゃならない、その点では市長自身も国連のいわゆる国連大学高等研究所ですか、それを誘致したりで、今そういったところまでも里山保全がいかに大事かと議論されている状況から見ますと、そうした点はいま一度再考を要する、適地探しをやる、こういったことの方向性をとってしかるべきではないかというふうに思っております。いかがでしょうか。 ○横越徹副議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 2つの前の、公契約条例でございますが、私は労働基準法とか最低賃金法と最も近いところの問題だと。だから、片やもう法律はできておるわけですから、国の責任において法整備をすべきだと、そうすると私の立場は法整備をしてくださいということを国に求めていくと、このことだろうと思っています。 それから、内川の発生土のことでございますが、建設と環境保全の調整の議論ということだと思っています。このことについて専門家の意見を聞いて十分気をつけていきますと、こう申し上げておりますので、御理解をいただきたいと思います。   〔「議長、29番、関連」と呼ぶ者あり〕 ○横越徹副議長 29番森尾嘉昭議員。 ◆森尾嘉昭議員 市長にお聞きしますが、市民生活をめぐる状況は非常に困難を極めています。営業の点でも存続をかけた状況に直面しています。今度の新年度予算の中で、市長は安全で安心して暮らせる社会の実現、こう言いましたが、市民生活の実感からすると、ほど遠い内容というふうに言わなければなりません。それはなぜかというと、高い保育料の問題の解決もない。特養ホームの待機者1,475人がいながら、その解決の展望も示し得ない。子どもさんの医療費の無料化についても全国45都府県が行っていながら、石川県も実現されていない。金沢の通院の対象は小学校入学までにとどまっている。こういう現状に金沢市はどう市民にメッセージを送り、施策を改善しようとしているのか全くない。このことがこの予算の中で私は問われたと思うのです。 一方、ものづくりが大切だといって粟崎の保安林を伐採して、市民の税金20億円をかけて大企業コマツにさあどうぞと。今度は若宮の道路等管理事務所と企業局熱変センターを売却すると。今聞いたら、企業局のほうは得たときは2億8,900万円、地価が下がったから今度は1億3,000万円の予定で売りますと。半値で売るんでしょう。澁谷工業には、じゃここで用地、工場を建てたら今度は助成金まで考えますと。こういう対策に、市民の暮らしや今の状況にどう市はこたえるのですかということが私は問われていると思うのです。 それで、升議員が代表質問でこの問題を問うた以上、少なくとも市長みずからが、今度の澁谷工業から要請があったんですか、これに対して便宜供与したんじゃないのですかと言った以上、市長みずから市民に説明するべきじゃないのですか。それが1つ伺いたい点です。 もう1つ、オオタカの生息が発見されたと。これは石川県の絶滅危惧種として指定されているのです。これに関する法律があるのです。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」という法律の中の第2条に、地方公共団体はこうしたことが発見された場合に、この種の保存のための施策を策定して実施に努めなければならないと法律上明記されているのです。この猛禽類オオタカ類は、これに指定されているのです。市長としては、この法律に基づいて、市としてこうした猛禽類に対する保存施策について、計画を策定する意思はあるのですか、ないのですか、そのことをお伺いしたいと思います。 ○横越徹副議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 土地価格は変動をいたします。今の現況は土地の値は下げどまることはないような現況にあります。そういう状況を踏まえますと、やはりやむを得ないという判断に立って、若宮の事務所を処分するということであります。この件につきましては18年に第三者評価委員会の検討を経て、そして議論をして、20年度には移転のための設計費、調査費、そういうものをのせているわけでございますし、今の件の過程、いろんな経緯につきましては委員会等でもお話をしてきたというふうに聞いています。そういうことを踏まえておるわけでございます。 また、オオタカの件でございますが、専門家の検討会の議論にゆだねていくと。専門家の御意見を聞くというのが私の立場でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △休憩 ○横越徹副議長 この際、暫時休憩いたします。     午後3時10分 休憩--------------------------     午後3時31分 再開 △再開 ○高村佳伸議長 出席議員数は、ただいまのところ39名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △質疑・一般質問(続き) ○高村佳伸議長 休憩前の議事を継続して、質疑並びに一般質問を続行いたします。 28番森一敏議員。   〔28番森 一敏議員登壇〕   (拍手) ◆森一敏議員 会派社民を代表して、以下数点にわたり御質問を申し上げます。 質問の第1は、新年度予算並びに事業案に関して申し上げます。 リーマンショックからはや1年半。ここに来て、景気回復の兆しや雇用情勢の若干の改善傾向が見られるとの報道に接します。この1年半とは、新自由主義という我が世の春を謳歌して200数十兆円を超える内部留保をため込んだ大企業が、社会的責任にほおかむりをする中、全国の行政と勤労市民が地域経済と雇用の破局を必死に食いとめようと奮闘してきた期間ではなかったかと思われます。その陣頭に立ってこられた山出市長におかれては、この1年半を振り返り、本市として取り組んできた緊急経済対策や雇用対策、さらには生活支援対策の効果についていかなる所感をお持ちでしょうか。まず、お聞かせ願います。 とはいえ、地域経済、雇用情勢ともども依然として極めて厳しい状況には変わりがなく、新年度予算による本市事業が市民の命と暮らしを支える重要な役割を担うことは論をまちません。予算案について、以下数点にわたりお尋ねをします。 新年度一般会計の予算規模は、今年度比4.5%増の1,600億円余と拡大基調が続きました。一方、税収は、昨年度を40億円下回った今年度より、さらに約44億円の減収見込みですから、税収不足を補い、増額予算を編成するには苦心があったことと推察いたします。中でも、市税減収分をほぼカバーする実質地方交付税増額分のうち、臨時財政対策債が今年度比58%もの伸びであることは、償還に交付税措置があり、起債制限比率にも含まれないものとはいえ、いわば交付税の先食いに依存する財政構造には懸念も感じられるのは率直なところです。市長に、困難な歳入予算編成をどう自己評価されておられるか伺うとともに、国の地方財政計画の構造をどのように受けとめておられるのかもお伺いいたします。 ところで、新政権が掲げる地域主権改革がピッチを上げています。地域主権推進一括法と国と地方の協議の場設置法案が閣議決定されました。自治体の歳入にかかわっては、原則使途が自由な一括交付金制度の創設が検討されています。従来から地方が求めてきた地方共有税の構想ともあわせ、地域主権の財政的基礎である税源移譲の今後のあり方について、市長の御所見を伺っておきます。 さて、歳出予算について包括的に伺います。政府においては、公開事業仕分けを経て予算の精査を行い、「コンクリートから人へ」を具現化する予算の組み替えを行いました。地方から呼応する本市の歳出予算では、全体構造にどのような独自性を盛り込んだのか、お聞かせください。 続けて、幾つかの事業案に関して、以下お尋ねをします。 第1に、中小企業雇用促進助成金制度の創設についてです。今年度当初、独自財源750万円でスタートをした中小企業緊急雇用安定助成金制度は増額補正を重ね、新年度予算では新制度と合わせて約4億1,000万円に拡充されております。拡充率は54.6倍。改めて緊急雇用対策にかける本市の意気込みを高く評価しつつ、制度が新規採用拡大に寄与するには、就労支援事業との有機的結合の必要も感じます。制度運用に対するお考えをお聞かせください。 第2には、離職者支援、再就職支援、そして生活保護等を窓口1カ所で対応するワンストップサービスについてです。政府は年末に生活困窮者が路頭に迷うことを防ぐために、湯浅誠さんを内閣参与に任命し、ハローワークでのワンストップサービス実現に取り組みました。先日、報道番組でその苦闘ぶりが報じられ、縦割り行政と官僚主義の克服が課題であることが浮き彫りにされております。石川労働局が昨年末にこのワンストップサービスを試行した際に、金沢市職員も派遣されたと聞いておりますが、どのような課題を持ち帰ったのでしょうか。また、本庁における年末相談事業においても、ワンストップサービスに近づける努力がなされたと思いますが、その評価をお聞きするとともに、新年度も年間通したワンストップ相談体制の構築に一層の努力を求めます。御所見を伺います。 第3には、県水供給単価の引き下げと本市上水道料金の設定についてです。県水受水の責任水量の大きさと供給単価の高さが、長年にわたり本市の水道料金を押し上げてきたことは事実です。県民の厳しい生活実態が続く中、2月の県議会において谷本知事が、県水受水単価を20円程度引き下げる方針を明らかにしました。山出市長は提案理由説明の中で、これが実施されるなら本市の水道料金の引き下げを検討すると言明されました。社民党が谷本知事との政策協議で、引き下げの合意に至った経緯からして、ぜひとも水道料金の引き下げを実現させていただきたいと思います。市長の決意を改めてお尋ねするとともに、供給単価引き下げが本市上水道会計に及ぼす影響額がどれほどに見積もられるのか、改めてお伺いをいたします。 第4に、文化交流施策について申し上げます。日仏自治体交流会議を控え、連帯と協調によるグローバルガバナンスをうたって、提案理由説明を行った市長に共感をいたしました。フランス革命を成し遂げ、世界における市民社会の先達として今も革新を続けるフランスの都市市民意識に触れる機会は、本市市民の文化土壌に大きな刺激を与えるものと期待されます。そこで、1つ提案を申し上げます。この自治体交流会議に伴い、音楽分野での交流も今後企画してはいかがでしょうか。フランスにはパリ管弦楽団やパリオペラ座が芳醇なフランス音楽の粋を聞かせて世界に名をはせております。世界で評価が高まる本市のオーケストラ・アンサンブル金沢との協演や、改修後の歌劇座でのオペラ公演にも期待が高まります。 興が乗ったところで提案をもう1つ追加いたします。音楽交流といえば、2月に議会として公式訪問をした観光交流都市松本では、国内外に誇る文化イベントとしてサイトウ・キネン・フェスティバル松本が著名です。本市には、このゴールデンウイークに第3回目を迎えるラ・フォル・ジュルネ金沢が定着してきました。小澤征爾氏率いるサイトウ・キネン・オーケストラと井上道義氏率いるオーケストラ・アンサンブル金沢との協演も関心を呼ぶでしょう。これらは、文化を中心に据えた海外誘客と新幹線開業を見据えた国内外の交流人口拡大策にもつながっていくに違いありません。所感をお聞かせください。 さて、そう考えると、拠点施設としての金沢歌劇座が舞台機能向上改良事業を新年度に本格化させることの意味も大きいものがあります。元来すぐれた音響機能を有する歌劇座が県立音楽堂との個性の違いをアピールし、固有の役割をオペラを初め歌や演劇の上演に求めたことは適切な判断であったと思います。本年度執行分と合わせ、11億円余りを投じて行われる改良改修によって、どのような舞台機能の向上が実現するのか、その設計には国際的なオペラハウス機能への造詣や舞台オペレーション現場で蓄積された知見が反映されているものと思いますが、意見集約がどのように行われ設計に至っているのか、そのプロセスについてお聞かせください。 さらには、3施設の一体運営を規定する金沢市芸術文化ホール条例の制定によって、施設運営がどのように高められるのか、お答えください。 この項の最後に、8月上旬にヒロシマ原爆展が企画されております。核密約が明らかになり、非核三原則の法制化が求められる今日、本市において原爆展の開催が行われる意義が大変高まっているものと思います。この企画の端緒になった平和市長会議への加盟と本市での原爆展開催に込められた山出市長の思いをお聞かせください。 また、学校現場では長年にわたり夏休みを中心に平和学習の自主的な実践が取り組まれてきたことは以前も申し上げてまいりました。ユネスコ・スクールを推進される浅香教育長には、ヒロシマ原爆展に連動した学校現場の平和教育実践へのエールも送っていただきたいと思います。 質問の第2項は、連帯経済について申し上げます。 未曾有の経済危機に直面した世界は、市場での自由な競争を通じたあくなき利潤追求がより加速度を持って地域社会を壊し、人間存在そのものをも脅威にさらすという現実にまたしても遭遇しました。しかし、その中で別のあり方、すなわちオルタナティブとして地域住民のための地域住民による草の根の経済活動が構築されてきました。これらは総称し、連帯経済と呼ばれています。国際的には国際連帯税の導入に向けた合意形成が図られ、金融取引税、多国籍企業税、武器輸出税などが構想されています。非人間的な富の流動を妨げ、貧困対策や環境対策を通じて富を地域に還流させる仕組みづくりです。大国の自己中心的なグローバリズムに対抗し、連帯経済を先導してきたのが、ほかでもない本市の姉妹都市ポルト・アレグレ市です。当市は世界市民の連帯を求める世界社会フォーラムの開催地として、また、地域コミュニティーを基礎に子どもたちも参加する市民参加型予算制度を展開する自治体として世界に知られております。連帯経済は、もちろん日本でもその活動は、各種協同組合、共済組合、信用組合、地域通貨、フェアトレードなどの業態で歴史を刻んできました。近年では、環境やまちづくりNPO、さらには地域循環型有機農業も持続可能な地域おこしの担い手とされ、連帯経済の概念は多様化しております。連帯経済と重なり合うコミュニティービジネスも地域の人が主体となって、柔軟な発想のもとで地域の労働力・原材料・技術力などを活用し、小規模ながら利益は生むが利潤は追求せず、地域課題の解決を目指しています。本市は、協働を進める市民会議を通じ、地域コミュニティーと市民活動団体との連携から地域活性化に取り組んでおります。こうした市民活動を地域経済の一環として意識し、社会的な富の還流の担い手、地域資源としてネットワーク化することで地域のセーフティーネットの補完が期待されます。こうした地域の連帯経済の考え方について御所見を伺います。 さて、金融モラルが低下し、小規模な事業者が資金調達に困難を極める現下の経済状況にあって、注目されるのがNPOバンクの存在です。NPOバンクは社会的な貢献を志す市民から少額からの出資を受け、それを原資にまちづくりや地域経済を担おうと起業する事業家やNPOなどに単利低利で融資し、その活動を支えます。現在、金沢市民を含む県民有志が県内初のNPOバンク--ピースバンクいしかわの設立準備をしています。既に実験融資として輪島市の土蔵再生に取り組むNPO法人や、有機無農薬食材を使用する金沢市内のレストラン、伝来の製法で発酵食品を製造するしにせに資金を提供して事業を支援しております。このバンクが成長し、地域の連帯経済の一翼を担うために、本市行政としても情報交換や持続可能なまちづくりなどの施策との連携を通じ、協働していくことが期待されます。連帯経済の担い手としてのNPOバンクとの協働について見解をお聞かせください。 質問の第3項は、北陸鉄道線の存続に関して御質問いたします。 昨年11月1日をもって北陸鉄道石川線の鶴来-加賀一の宮間が廃止されたことにより、浅野川線を含めた鉄道全線の存続問題がクローズアップされております。9月議会では他会派の下沢議員がこの問題を取り上げ、法定協議会参加を初めとする本市の対応を市長に質問されたことは記憶に新しいところです。この地域公共交通再生活性化法に基づく法定協議会設置は不調に終わり、利用促進に取り組んだ地域住民団体やエコ公共交通手段として存続を求めた市民団体からの落胆の声が私どもにも寄せられております。利用者や市民団体の間では、今回の廃止により、さらに残された営業路線20.6キロメートルの全線廃止への懸念が生じてきております。会派社民としても、同線は乗客減少傾向にあるとはいえ、年間120万人を輸送する住民の足であり、環境に負荷が少ない交通手段として世界的に見直されている鉄道路線は、存続、活性化させなければならないと考えております。こうした経過の中で、法定協議会参加に慎重な本市の対応が冷たく、後ろ向きであるとの印象を与えていることは残念であります。市長は北陸鉄道の利用客確保の自助努力が基本であり、県の参画を得て引き続き関係市町による再生協議会で協議をするとしておられます。もちろん民間の鉄道事業者が経営する鉄道ですから、企業の経営努力を否定するものではありません。しかしながら、輸送密度が4,000人を割り込めば廃止するというJR基準と比べても、密度1,600人の本線が単独で経営を維持し自助努力で経営改善を果たすことは、厳しい環境にあるように思います。地方の公共交通路線がなべてこのような厳しい状況に立たされているがゆえに、地域公共交通再生活性化法が制定され、公私協働の枠組みである法定協議会の設置によって総合連携計画策定の段階から国が補助を行い、利用促進のソフト事業をも支援する仕組みを導入したものと思います。加えて、現在政府部内で交通基本法案の策定準備が進められております。我が会派代表が連合審査会の場で全面展開するものと思いますが、交通基本法の理念は、公共交通はすべての住民にとって基本的人権である移動権を実現するものであり、国・地方自治体・交通事業者は住民の移動権を保障する責務を負う立場に立つということです。そのために交通事業者は汗をかく、自治体も協働する。その場として法定協議会設置が手おくれになってはいけません。山出市長には石川線・浅野川線存続にかかわる真意をお聞かせ願いたいし、法定協議会参加の道筋を明らかにしていただきたいと思います。 質問の第4項目、災害からの教訓について2点申し上げます。 第1は、主計町浸水被害の検証と再発防止策について申し述べます。2008年7月28日に発生した浅野川はんらんにおける浸水被害は、広範な地域において、本県並びに本市の治水対策に多くの教訓を残しました。河川のしゅんせつや被災地の復興は進み、被災された方々の生活もようやく平穏さを取り戻されたことと思います。しかしながら、記憶に刻まれた不安は消えるものではなく、事実究明による検証と信頼のおける再発防止対策を求める声がいまだに届いています。被災地域である主計町でも、想定外の洪水が堤防を越水したとする県の説明に納得せず、目撃証言と九人橋川沿線の家屋に残る痕跡などから、浅野川大橋直下の逆水門や、さらに下流の中の橋付近の逆水門からの逆流が浸水被害を助長したのではないかとの指摘もなされています。私も現地調査で、現在は応急措置でふさがれたものの、逆水門自体にすき間があることを確認できました。そこから逆流が起こったであろうことは想像にかたくありません。新年度予算に、この主計町周辺地域を対象に浸水対策基本調査費が計上されているとお聞きします。この基本調査はいかなる目的に基づき、どのような方法で行われるのでしょうか。また、その中で地元が求める逆流による被害検証は行われるのか、お尋ねをします。実効性ある再発防止対策を講ずるために、被災地住民には説明責任を尽くし、信頼関係の醸成に努めるよう求めておきます。以上について御所見を伺います。 第2は、上山町土砂崩れの検証と再発防止策についてです。 まず冒頭に、土砂災害に遭遇し避難生活を余儀なくされておられる住民の皆様にお見舞いを申し上げます。さて、私は、今回の土砂崩れが箇所こそ違え、2008年7月豪雨の際に芝原町を襲った土砂崩れと同じ山のふもとで発生したことに強い関心を持つものです。山頂部分に開発された戸室石の採石場が土砂災害を誘発させるのではないかとの懸念が採石場開設をめぐるころから地域にあったことを聞いておりますし、会派議員団で採石場を含む現地を視察した際には、直接の因果関係で結びつけられないとする県側の説明を受けましたが、疑いを払拭することはできませんでした。掘り出した岩石の仮置き場では足元はぬかるみ、すぐそばを150メートルに及ぶ亀裂が走っていました。山頂部が10ヘクタール前後もはげ山です。山頂が保水力を失って、排水設備があっても雨水や融雪水が山肌を浸透して表層を緩ませると考えるのは自然のことです。しかも、最初の開発許可、採石が始まってから更新は5たびを数え、今日まで10年以上、このはげ山状態が続いてきているのです。県は、本格復旧のための国庫補助採択のために、崩落原因の調査を行うことを表明していましたが、採石場との因果関係も精査する必要があると思います。その結果は本市に報告されているのでしょうか。 また、さかのぼって、森林法に基づく林地開発許可とその更新時には、土砂災害発生のおそれの有無を調査することになっております。県にあっていかなる調査実態にあったのか、明らかにしてください。 さらには、その際に金沢市長の意見聴取も行われているはずですが、本市としてどのような意見を述べてきているのでしょうか、これも明らかにしてください。 検証なき復旧は災害の再発を招きかねません。その上で、現在稼働を停止している採石場の今後について慎重なる対応を求めておきます。お答えください。 質問の第5項は、全国学力到達度抽出調査に関してです。 新連立政権が発足し、全国一斉学力到達度調査が全員参加の悉皆から学校単位の抽出調査に変更されました。最終的には抽出率は約30%となったようですけれども、統計上の有意数としてはまだまだ過大であると思います。とはいえ、ともかくも抽出調査になったことは、政権の賢明なる判断だと評価をしていたところ、調査用紙の希望利用などという附属物がついていたことに落胆をいたしました。さらに、県内では結果的に各市町教育委員会横並びとはいえ、金沢市教委がこれに希望したことは率直に言って失望の念を禁じ得ません。まず、本市において国調査の抽出率はどれほどになるのか、国が求めないデータについてどのように扱われるのか、お答えください。あわせて、この抽出調査という全員参加からの切りかえはどのような意図のもとで行われたと受けとめておられるのか、教育長の御認識をお尋ねします。 さて、本調査は実施主体が行政官庁である文科省です。したがって、基本的には行政調査です。このような調査が教育の機会均等、教育条件を含む水準の維持向上を定量的に把握し、予算編成等の事務事業に反映されるという限りにおいては、私は否定するものではありません。一定の期間を置いた抽出調査で事足りるわけです。教育の現場では日々子ども一人一人に対応した形成的評価が継続的に行われていることは、学校指導課の指導主事ならば皆御存じのとおりです。しかし、今や教育の固有の営みに全国学力調査が割って入り、時間と思考が占有され、本来の教育活動が隅に追いやられていると嘆く声が聞こえます。行政調査を教育の一環として援用することで、教育活動との不整合を起こしていると私はとらえていますが、教育長はいかがお考えでしょうか。 学力到達度調査をめぐる最大の問題は、学力をどうとらえ、子どもが学び、人間として成長するとはどういうことなのかについてです。昨年10月に福井大学教職大学院の招きで来日したフィンランドの教育学者ラッカライネン教授が、シンポジウムで傾聴すべき意見を述べておられます。福井県教育長が福井県の学力は3年連続で全国トップクラスとあいさつをしたのに対し、PISAの国際学力比較でフィンランドがトップクラスであることについて、「PISAの順位や評価は重要ではない。フィンランドには他者と比べて評価をするという発想はない。ランクではなく、子どもたち一人一人の創造力を総合的に評価すべきだ」と述べておられます。その場での教育長の当惑した表情が目に浮かんでまいります。子どもたちの創造力。これがすなわち生きて働く学力ということになるのでしょう。子どもたちを画一的な時間と空間に拘束せず、予算を割いて教職員を潤沢に配置し、自己管理と自発的研修を促す条件を整備してきたのが教育大国フィンランドです。私は、子どもたちの学ぶ意欲と子どもらしい希望に陰りを見せ始めた本市の教育のこれからの基軸は、ユネスコ・スクールに象徴される持続可能な社会を展望する創造的教育や、互いを尊重し連帯して生きる力を培うきずな教育に置くべきだと思います。そこにこそ、ラッカライネン教授が示唆する教育の方向性があるのですから。大胆なスクラップ・アンド・ビルドを敢行しましょう。文科省自身が今回の調査は移行的措置であり、来年度に向け抜本的に見直すことを表明しております。学校教育金沢モデルの再検討を通じ、学力調査に関しては、少なくとも調査問題の希望利用が残ったとしても参加は見合わせるべきです。教育長の御所見を伺って、質問最後の項に移ります。 質問の最後は、公立大学法人金沢美術工芸大学中期目標についてです。 2010年4月1日をもって公立大学法人に移行する金沢美術工芸大学にとって、当初6年間の中期目標と初年度を支える予算案が本議会に提出されています。私は9月議会で大学の自治の確保、教育研究の独立性、市の財政的責任のあり方について市長並びに大学当局のお考えをお尋ねいたしました。今、歴史的な転換点に立つ金沢美大の新たなスタートを前に、その誤りなき航路を確認するため、以下の御質問をいたします。 国立大学を含め先行して法人化した大学にあっては、市場原理導入が金科玉条のごとき時代であったゆえか、財政的自立の名のもとで、公費である運営費交付金が削減され、競争的な外部資金に依存を余儀なくされた結果、本来の知の探求や基礎研究がおろそかにされるという負の連鎖を招く場合があったと聞きます。財政の論理に教学の論理が従属しては、真の大学の自立はおぼつかないと思うのです。金沢美大の中期目標では、財務内容の改善に関する目標、具体的には競争的資金の獲得や、その他の外部資金の積極的な導入との事項です。また予算案では、市からの運営費交付金と受託事業収入、そして新設の寄附金の割合ということになります。こうした中期目標の設定とそれに対応する法人初年度歳入予算編成に当たって、財務の基本とした考え方は何であったのか、お聞かせください。 さて、大学法人としての新たな展開を担っていかれるのは、言うまでもなく教学を支える教職員スタッフです。「手で考え心でつくる」と創造の論理を学生に語り、全国的には後発組となる金沢美大の法人化準備の期間を通じ、学内での議論をまとめ、牽引されてきた久世学長に、公立大学法人金沢美大にあって譲れないものは一体何か、そして大学のあすにかける思いをお聞かせ願いたいと思います。 最後に、市民共有財産である金沢美大を公立大学法人として独立させる側に立つ山出市長に、新生美大に対するはなむけの言葉をお尋ねし、私の質問を終わります。   (拍手) ○高村佳伸議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 28番森一敏議員にお答えをします。 まず、緊急経済対策、雇用対策、生活支援対策、この効果についての所感、これをお尋ねになりました。厳しい景気と雇用の情勢にかんがみまして、仕事出し、この出し方、方法、そして額、このことに心を使いました。中小企業の資金繰り、これを円滑化していく中小企業雇用安定助成金の支給、それから緊急雇用創出事業交付金の活用による雇用の創出、こういうことに力を入れたわけでございますし、市民生活の安定という視点に立ちまして、公共料金はできるだけ抑制する、このことに努力をしたつもりでございます。また、まちのにぎわいをつくると、このことに努めながら、まちと市民の暮らしをできるだけ元気にしたいと、このように思いまして、こうした施策に多面的・重層的に取り組んできたところでございます。 市としての効果についてお尋ねになりましたが、このことは私自身、一生懸命励んだと、このことで評価をくださればありがたいと、こう思う次第でございます。 財源確保に工夫をしたと思うが、どういう評価をしているか、また地方財政計画をどう見ているかというお尋ねでありました。交付税と臨時財政対策債が増額をされた、しかし、市税の減収分すべてが補てんをされたわけではございません。したがいまして、特定目的基金の計画的な取り崩し、また、交付税措置のある市債に限定しての活用、こんなことに工夫を凝らしました。事前に基金を積み立てるとか市債の繰上償還をするとか、こういうことをいろいろ進めてまいっておりますので、こうしたものを十分生かしながら知恵を絞って予算を組んだ次第でございます。 地方財政計画についてお尋ねでございましたが、実質的な地方交付税が増額をされたということについては一定の評価をいたしておりますが、仰せのように、臨時財政対策債を増発発行したことが次年度以降に足かせになると、このことがいささか心配でございまして、したがって、国におかれては中長期的な地方の一般財源総額を確保すると、このことに向けて責任を持って制度設計をお願いしたいと、このように思っておりますし、とりわけ地方税財源の拡充強化、これはいずれ避けられまいと、このように思っています。 税財源移譲のあり方についてどんなことを思っておるか、お尋ねになりました。新たに一括交付金なるものが創設をされるわけでございますが、これまでの国庫補助金と比べますと、いささか地方の自由度、裁量度は高まるというふうには思いますが、しかし、これとてあくまでも国からの配分に基づきますいわば依存財源でございます。真の地方分権改革につなげていくためには、税源そのものを国から地方に移すということ、それから地方交付税の機能を強化すること、さらには地方共有税の創設、こういうことによりまして、本当の意味で地方の税財政基盤が拡充強化される必要がある。このことは訴え続けていかなければいけないと、そう思っております。 次に、暮らしを守って金沢を世界と未来につなぐと、そういう予算でどんな独自性を盛り込んだのかというお尋ねでございました。先ほども言いましたが、暮らしを守ることを最優先にいたしまして、公共事業のあり方に配慮をし、公共料金のあり方にも配慮をいたしました。加えて、子どもと教育への投資を重点の一つに据えたわけでございますが、そのほか、引き続きまして福祉とか環境の分野、これにも力を入れたつもりでございます。若い人、それから就職のない人、こういう人の雇用をどうやってつくっていくか、このことにとりわけ意を用いたと、このように申し上げたいと思います。 中小企業雇用促進助成金制度、このあり方について考えをお尋ねになりました。この制度は雇用の維持・継続から雇用の創出ということに焦点を当てていくという仕組みでございます。特に労働者を解雇しない、新しく採用をつくっていくと、そういう企業に手厚く助成する仕組みとして創設をしたものでございます。新年度からインターネットを活用した就労支援サイト事業、これを行うことにしておりまして、このことによりまして御指摘の有機的結合、このことに資することができれば大変いいと、このように思っておる次第でございます。 ワンストップサービスについては、所管の局長からお答えをいたします。 次に、水道料金のことであります。県水の受水単価が20円引き下げられるということになりますと、金沢市の受水費用は年間約6億円が削減されるということになります。この引き下げ実施を踏まえまして、できる限り家計への負担を小さくしたいというふうに思っておりまして、市としての一層の経営改善にも努めまして、次期以降の議会にお諮りをしたいと、このように思っておる次第でございます。 次に、文化交流施策について幾つかお尋ねでありました。自治体交流会議で音楽分野の交流も企画してはどうかと、松本のサイトウ・キネン・オーケストラとアンサンブル金沢との協演はどうかと、こういう御指摘でありました。今回の会議では、文化の分科会を設けることにしています。その中で、御提案の音楽文化もテーマにいたしまして意見を交換し、オーケストラ・アンサンブル金沢によるフランスとの音楽交流について検討してまいりたいと、このように思っています。それで、松本市のサイトウ・キネン・オーケストラ、私も昨年、小澤征爾氏のタクトに触れることがありました。大編成でありまして、大変迫力があって、すばらしいものだと感動をいたしました。アンサンブル金沢との協演ということについては、これから松本市との交流を進める中で御提案として受けとめて研究をさせてほしいと、このように思います。 金沢歌劇座の改修のことにつきましては、所管の局長からお答えをし、また芸術文化ホール条例の制定についても所管の局長からお答えをします。 私からは、原爆展でございますが、本議会で平和都市宣言が議決されたのは昭和60年で、明年度はちょうど25周年ということになるわけであります。そういう思いを新たにしなきゃならぬという年でもありますので、平和市長会議への加盟ということを機会にいたしまして、ヒロシマ原爆展の開催を予定しているところでございます。昨年8月でございましたが、イスラエル、パレスチナ双方の戦争遺児を金沢に招きまして、そして1人ずつ組みになってホームステイをしていただきました。ほかに市内の子どもさんとのミーティングもございまして、私はすべての面で感動的だったと、こう思っています。いわば中東和平プロジェクト、このように呼ばれる事業でございます。これからも世界の各都市との交流、あるいは外国人のおもてなし、こんなことなどを通じまして、市民の皆さんと一緒になし得る取り組みを地道に続けていって、一人一人の力は小さいけれども、平和に貢献できたらと願う次第でございます。 地域の連帯経済のことにお触れでございました。このことについて市長の所見を問うということであったんですが、金沢は古くから市民の心に言われるところの善隣思想なるものが、私は宿っているというふうに思っていまして、この思想があって善隣館が存在をし、ひいては消防団、公民館、町会組織、こんなものが地域経済の前提としてあるというふうに思っています。だからこそ、金沢の地域コミュニティー、これは大切にしていかなければいけないと、こう思っています。このことをまず前提とした上で、連帯経済という経済活動でございますが、私はそれほど定着をしていないというふうな感じを抱きます。強いて成功の例ということであれば、生活協同組合かなと思いますが、地域通貨などを取り上げてみましても、定着をしているというふうには思っていません。だといたしますと、地域経済システムなるものが確立するための前提条件、これは何か、こういうことについて十分研究をしていかなければいけない、こんなふうに思っておる次第でございます。 ピースバンクいしかわ、これがことし発足をするというふうにお聞きをしています。NPOバンクにつきましては、非営利活動としての経済活動でございます。私は古くは頼母子講、この例にさかのぼると、由来をするといってもいいんではなかろうかなと思っておるわけでございますが、この仕組みが持続をするための条件、これは何か、その整備はどのようにあるべきかと、既存の金融機関との共存の問題もあるわけでございますので、十分研究していきたい。また研究に値すると、こう思っています。 次に、石川線、浅野川線の存続に関する市長の真意はどうかと、心のうちを言えということでありました。石川線、浅野川線は複数の市と町にまたがる広域的な公共交通であることは言うまでもありません。金沢市にとっても、その存続は大変重要な問題だと認識をします。このため、現在、北陸鉄道が設けた協議の場において、県や沿線の市町とともに利用者の推移や収支状況等を聞きまして、今後の取り組みについて協議を進めているところでございます。鉄道に対する国の支援に必ずしも法定協議会の設置ということは求められておりません。したがいまして、まずは関係者の間で議論を深めていく、このことが大切ではなかろうかと、このように思っておる次第でございます。 次に、主計町浸水被害のことにお触れでございました。これについては、土木部長からお答えをし、上山町の土砂崩れのことにつきましては、農林部長と土木部長からお答えをいたします。 美大のことであります。中期目標につきまして財務の基本とした考え方、これをお尋ねになったわけであります。法人初年度の歳入予算の編成ということに当たりましては、運営費交付金だけに依存することなく多様な財源を確保して、財政基盤の強化に努めることによりまして教育研究の一層の充実を図ることが大切であると、このように考えています。この考えに基づきまして、新しい取り組みとして寄附金収入を計上して新規事業の財源にした次第でございます。しかし、こうした取り組みによりまして、教育研究活動がおろそかになっちゃいかんということは当然でございまして、市として必要な財源について応分の負担をすると、このことを基本に予算措置を講じたことを申し述べておきます。 新しい美大に対する市長のはなむけの言葉は何かということでありました。御案内のとおり、美大は、あの戦後の荒廃の中から市民の熱意でできた学校でございます。そうした経緯を踏まえてきておりますので、法人化後にありましても、こうした大学の伝統を受け継いで新しい芸術を世界に発信する、知と創造の拠点になる大学、これを目指して発展をしていかなければいけないと考えています。法人化を契機としまして、まちと市民のために大学があり、大学は市民に支えられていること、これを大学が改めて自覚をして魅力のある大学づくり、また教育研究に積極的に取り組んで、市民に開かれた大学として、また、創造都市金沢にふさわしい世界に誇れる大学として発展していくことを期待しているわけであります。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 梶原福祉健康局長。   〔梶原慎志福祉健康局長登壇〕 ◎梶原慎志福祉健康局長 ワンストップサービスにつきまして、ハローワークでのワンストップサービスの課題、年末相談事業の評価、年間を通したワンストップサービス相談体制の構築についてお尋ねがございました。ワンストップサービスにつきましては、来られた方のニーズに合わせまして適切な情報や必要なサービスを把握し、その上で関係機関にどうつなげていくかが必要だととらえております。次に、年末相談事業につきましては、関係機関の協力、連携によりまして相談者の方々に対しまして適切な対応がとられたと考えております。市としては、各都道府県ごとにワンストップサービスの開催などについて検討を行います生活福祉・就労支援協議会に参加するなど、関係機関との情報共有や連携をさらに深め、相談体制の強化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 立岩都市政策局長。   〔立岩里生太都市政策局長登壇〕 ◎立岩里生太都市政策局長 歌劇座の改修によって舞台機能がどのように向上するのかという問いについてお答えいたします。今般の改修では、ホール舞台上部のはり、床スラブを撤去することによって舞台全体の空間が拡大し、幅が広く高さのある舞台セットの搬入が可能となります。同時に舞台照明設備の更新、楽屋の増設を行うこととしており、こうしたことでグランドオペラの上演を初め、本格的でダイナミックな舞台芸術の展開が可能になると考えております。 次に、改修に当たっての専門的な知見等の意見集約についてお尋ねがございました。改修に当たっては、基本設計の段階で設計業者や本市の技術者等が、オペラの専用劇場である新国立劇場などの先進事例を調査いたしまして案をまとめてございます。さらに、実施設計においては舞台制作者・演出家・音楽監督・オペラ歌手など幅広い専門家の意見やアドバイスをいただき、それらを設計に反映させております。 次に、金沢市芸術文化ホール条例についてのお尋ねにお答えいたします。金沢歌劇座、文化ホール、アートホールという大、中、小、3つのホール、それぞれの役割分担を明確にしまして、そのもとで一体的に運用することにより、公演の規模に応じた施設選択が容易となるほか、芸術文化の振興に向けた人材育成機能の強化や練習機能の拡充といった運営の高度化が図られると考えております。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 浅香教育長。   〔浅香久美子教育長登壇〕 ◎浅香久美子教育長 原爆展に連動した学校現場の平和教育実践へエールをとのことでございました。昨年の中東和平プロジェクトで子どもたちが国境を越えて交流する姿を見ながら、改めて国際的視野に立って世界の平和と人類の幸福に貢献することの大切さを学ぶことの大切さを感じました。ことし8月の原爆展が児童・生徒が平和への理解を深める一つの機会となることを期待しております。 全国学力・学習状況調査について、本市の抽出率はどれほどか、また国が求めないデータについてどのように扱われるのか、抽出調査への切りかえはどのような意図のもとで行われたと受けとめているかとのお尋ねがございました。本市の抽出率については小中学校全体で約35%となっております。また、市及び学校ごとの状況については、本市独自に集計を行い、教育施策や指導の改善に活用したいと考えております。国が調査方式を抽出調査及び希望利用方式に切りかえたことについては、国及び地方自治体がそれぞれの調査の目的を達成できるよう判断したと認識しております。 行政調査を教育の一環として援用することで、教育活動との不整合を起こしているととらえるが、いかがか、学校教育金沢モデルの再検討を通じ、学力調査の希望利用が残ったとしても、参加は見合わせるべきではと考えているがどうかとのことでございました。学力調査は児童・生徒の学力状況を把握する上で有効な手だてであるととらえております。本市では、今年度から新たに金沢「絆」教育を加えた第2次学校教育金沢モデルを推進しているところであり、学力調査の結果も活用しながら、知・徳・体の調和のとれた教育の充実を図っていきたいと考えております。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 前多土木部長。   〔前多 豊都市整備局土木部長登壇〕 ◎前多豊都市整備局土木部長 主計町浸水被害の検証と再発防止について3点のお尋ねがございました。 まず、浸水対策基本調査はいかなる目的に基づき、どのような方法で行われるのかというお尋ねでございました。本調査は浅野川水害とはかかわりはございませんが、緑水苑にある西内惣構堀などに流入する流域での局所的な浸水に対処するために現地調査を行いまして実態を把握し、基準降雨量に対する水路の流下能力を検証するものでございます。 2点目のお尋ねは、逆流による被害検証はするのかとのことでございました。主計町の浸水被害の原因につきましては、浅野川の堤防を越えた洪水によるものでありまして、逆流による被害検証を行う予定はございません。しかしながら、当時水門の閉鎖を行いましたが、完全な水密構造でないこともあり、この対策といたしまして、主計町にある2基の水門のうち1基につきましては先月改良を済ませたところでありまして、引き続きもう1基についても改良を行ってまいります。 3点目のお尋ねは、実効性ある再発防止策を講ずるために住民に説明責任を尽くし、信頼関係の醸成に努めるようとのことでございました。主計町地内では、これまで水門改良工事などを進める中で、地元の皆様には詳細な説明を行ってきておりまして、地元とは信頼関係は構築されていると考えております。今後とも地元と連携を密に、浸水被害の防止に努めてまいります。 次に、上山町土砂崩れの検証と再発防止について、現在、稼働を停止している採石場の今後について慎重な対応をというお尋ねでございました。石川県からは災害復旧の規模などが明らかになった時点で、亀裂発生箇所から十分な距離を確保するために、事業区域を縮小するなど採取計画の変更について指導を行うと聞いているところでありまして、本市では岩石採取の変更認可に際しましては、現地及び計画を十分に確認するとともに、県に対しましても適切な意見を述べ、情報の共有など緊密な連携を図ってまいります。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 米林農林部長。   〔米林憲英産業局農林部長登壇〕 ◎米林憲英産業局農林部長 上山町の土砂崩れに関し、採石場との因果関係を精査した結果は本市に報告されているのかという御質問にお答えいたします。石川県からは、地質構造や地下水などの調査により、上山町の土砂崩れは経年劣化が進んだ地質構造にあることに加えて、平成20年7月の豪雨や平成21年末からの積雪と降雨の要因が重なり発生した自然災害であるとの報告を受けております。 次に、県は林地開発許可及び更新時に土砂災害発生のおそれの有無についていかなる調査実態にあったのかという御質問でございますが、県からは許可に当たっての調査実態について詳細な報告を受けておりませんが、採石業者にボーリング調査及びのり面の安定計算を行わせて安全を確認したと聞いております。 次に、林地開発許可の際に本市としてどのような意見を述べてきているのかという御質問でございますが、林地開発許可に当たっては県に対し土砂の流出を防止し雨水の流出を抑制するため、水路・沈砂池・調整池などを適切に管理することや、開発後の緑化、残地森林の適正な管理などを事業者に求めるよう意見を述べております。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 久世美術工芸大学学長。   〔久世建二美術工芸大学学長登壇〕 ◎久世建二美術工芸大学学長 公立大学法人金沢美術工芸大学にあって譲れないものは何か、そして大学のあすにかける思いはとのお尋ねがございました。お答えいたします。まず、大学の法人化は今まで以上に魅力ある大学づくりや教育研究の活性化などの大学改革を進めるために行うものであり、このことにより学問の自由や表現の自由、そして大学の自治が揺らぐことがあってはならないと考えております。一方では、金沢市民に支えられている大学として、限られた経費の中で最大の効果を上げる努力も必要であり、より効率的な大学運営に心がけてまいります。法人化のための初期の準備作業の段階で、全教職員が大学の将来像を描くことで進むべき方向が定まり、意識改革に結びついたことも大変印象的でありました。また、地域連携、産学連携の諸事業につきましても、3年前より既に先行して実施をして経験を積み上げました。今後もできる限り積極的に推進していくつもりであります。法人化後にあっては、高度なわざを磨き、素材や道具と対話して、よりよきものづくりをせよとの先人の築いたキーワードであります、「手で考え心でつくる」というものづくりの精神を継承発展させ、より大きな自主性と自立性のもと、教職員が一丸となって創意工夫を凝らし、教育と研究の高度化や個性豊かな大学づくりに取り組みます。創造都市金沢の一翼を担い、知と創造の拠点にふさわしい大学づくりを目指します。創造とは、新しい概念を生み出すものづくりの大きな要素の一つであります。今後、金沢美術工芸大学から既成概念を破って新たな芸術やオリジナルなイズムを世界に向けてダイナミックに発信していく所存であります。 最後になりますが、今日までの金沢市民の皆さんの御理解と御支援に感謝を申し上げ、新生公立大学法人金沢美術工芸大学を今後とも温かく見守っていただきますようお願いを申し上げて、答弁を終わります。   〔「議長、28番、再質問」と呼ぶ者あり〕 ○高村佳伸議長 28番森一敏議員。 ◆森一敏議員 3点ばかりお願いします。 まず第1点は、鉄道です。今回の御答弁、心のうちを聞かせていただきたいというふうに申し上げたわけですけれども、大切な資源であるということについては共通したものがあるというふうにまず理解をいたしましたけれども、現在の枠組みであっても、その経営に対する国の支援が受けられるという御認識を伺いましたけれども、いわゆる固定資産といったらいいんでしょうか、インフラの部分、これについては確かにそういう枠組みがあるということを理解していますけれども、さらに鉄道事業全体として活性化していく、そのための活性化策というところまで踏み込んで国の支えを受けながら、地域で主体的に法定協議会の中で事業を展開していく。そのための計画を策定する段階から助成を受けることができるというのが、この再生活性化法の新しい部分だというふうに私は認識をしているわけです。しかも一たん入ったら抜けられないというものではないということですから、つぶれる前に処方せんを打って、そして、どうしても将来展望が描けないというときになったら、その枠組みを解消することができるという性質を持った協議会だというふうに私は理解をしています。そこらあたりの認識にもしかしてずれがあって慎重になっていらっしゃるということであれば、再度検討していただきたいと思いますし、現在も再生に向けた協議会が任意の形で行われているわけですから、そこでの議論をぜひ詰めていただきたいんです。事業者に対して何を求めるか、それは私ははっきりとおっしゃっていただければもちろんよろしいことだと思います。ただ心配するのは、法定協議会をつくって支えなければならないという状況になったときに、それが手おくれになっていたということにだけはさせないでいただきたい。そこら辺の判断について再度お聞かせをいただきたいというふうに思います。 それから2点目は、水害に関する件ですけれども、今度、基本調査が行われるということを私は期待をしています。基本的な建前としての目的論については、私はこれ以上申しませんけれども、実際に浸水被害が生じた、そのときに起こったさまざまな事実、事柄、そういう事柄について細かくやはり調査をしていただきたいと思います。その調査によって新しいものが見えてくる可能性が私はあるのではないかと思っているのです。それが見えてきましたら、そのことを率直に説明をしていただいて、そしてそれを再び招かないためにこういう手を打ちますという、原因と結果がしっかりと統一されて納得ができるような、そういう施策を進めていく、これが本当の意味で地元の方々が信頼をして安心をされるということにつながっていくわけですから、今度の基本調査についてはぜひそういうことに留意をして調査をやっていただきたい、このことをお願いをします。これについても再度見解をいただきたいと思います。 それから最後に、上山の土砂崩れです。今の御説明がありましたけれども、確かに一義的には県の所管ということになりますので、質問している私としても服の上から背中をかいているような感じが率直にいたします。ただ、市として意見を申し述べる、そういう仕組みになっておりますから、市として誤りなき意見表明をするためには、県がどういう実態把握をして、そしてこれは法律的にも土砂崩れとか水害とかいうものを招かないかどうかということをしっかりと調べなさいという項目が明記されておりますね。それに対してどういう調査をして、どういう安全性の保障がそれによって明らかになったかということは、当然、市民に対して説明があってしかるべきだと思います。そういう手続が残念ながら十分ではなかったんではないでしょうか。それが公言はなかなかできないようですけれども、地域の中でずっとこの10何年間ささやかれ続けてきた、そのことが2年前に起こった、私はこういう経過をたどっているのではないかと思います。事業の縮小とかそういうものの指導を行うということは、何らかの関連性があったということを県としても否定できないという受けとめになっているんではないでしょうか。事業がこれからどれだけ継続されるかわかりませんけれども、予定としては、あと2年から3年、許可期間があるやに聞いておりますけれども、であるならば、再開に当たっては十分な検証をやって説明がなされて、そして判断をしていただくという、やはり厳しい対応を県にも求めていただきたいし、市としても十分説明を受けて市民に対して、住民に対してしっかりと説明を果たしていただきたいと、そのように思います。これについても受けとめ方についてお答えをいただければと思います。 以上です。 ○高村佳伸議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 3点でございました。 まず、協議会に入る前提、この前提が整わなければいけないと、このように思っていまして、そのことに努力をしたいと、こう思っておりますし、このことで手おくれにならないように、この点は気をつけてまいります。 それから、主計町の件でございますが、確かに調査をするわけですが、これは惣構堀のためのものということをまず前提として申し上げておいて、それはそれとして地元に丁寧な説明をすると、このことをお約束したいと思います。 3番目は、上山のことでございますが、市としての考えを県と事業者にしっかりと言うべきことは言うと、このことを基本にしながら、そのことをまた地元の方々にも丁寧に説明をしていく、このようにしたいと思っていますので、御了承をお願いします。 ○高村佳伸議長 37番玉野道議員。   〔37番玉野 道議員登壇〕   (拍手) ◆玉野道議員 質問の1点目は、国の新年度予算に関してであります。 平成22年度の予算審議が行われていますが、依然として経済状況の先行きが不透明であり、経済・雇用情勢も明るい兆しが見えてはいません。地域経済は疲弊し、地方財政も危機的状況の中、国の新年度予算規模は92兆円と初めて90兆円を突破。税収は37兆円余と税収が歳出の4割しかない異様な予算になっています。新規国債発行額は44兆円、そのうち赤字国債37兆円といずれも過去最悪額で、当初予算ベースでは戦後初めて国債が税収を上回っています。政策的経費に当たる一般歳出は3.3%増の53兆円、社会保障関係費は9.8%増の27兆円と一般歳出に占める割合が50%を超えています。また、長期債務残高は国・地方合わせて862兆円に達し、対国内総生産比181%と前年度から7ポイント悪化し、国と地方を合わせた正味資産は初めて債務超過になり、民間企業なら倒産の財政状況になっています。その結果、日本国債の格付の引き下げなど景気への配慮と財政規律の両立は難しく、このままでは財政破綻は不可避との指摘もあります。そこで、国の新年度予算のように財政破綻に陥らないため、資産・債務改革を指向した新地方公会計制度による財務諸表の整備と活用について、今後どのように対処をされていくのか、お尋ねをいたします。 一方、高校授業料無償の実現により、他の教育予算がしわ寄せされ、全国の自治体が2010年度に計画していた公立小中学校などの耐震工事関連予算は6割削減されました。また、がん対策基本法は地域主権の対策を促す役割を果たすとされていましたが、女性特有のがん検診に関する予算も大幅に削減されています。また、教育政策関連では、教員免許更新制や全国学力テストなどの見直しが行われ、小中学校教職員給与に当たる義務教育費国庫負担金制度のように、これまでの論議とは異なる方向性が示されています。農業政策関連においても、土地改良事業の大幅削減や農家への戸別所得補償制度の導入など、事業仕分けにおける費用対効果の観点による論議とは異なる予算措置の事例もあることから、各政策の基本的な理念が見えないとの指摘がありますが、いかがでしょうか。 一方、地方の財政運営に大きな影響を及ぼす地方交付税については、地方税収の減や公共事業の削減により財政規模が縮小する中、地方交付税総額は17兆円と11年ぶりに1兆円規模の増額となっています。また、臨時財政対策債など実質的な地方交付税の総額は25兆円、前年度比17.3%増と、地方財政への配慮を示していますが、歳入不足の穴埋め役を担うだけのまさに焼け石に水とも言われています。一方、子ども手当の財源をめぐっては、地方に一切の協議や説明がないままに地方負担が決定され、児童手当と併存することによる事務負担は増大し、全国一律の現金給付に地方負担が残ることは、地域主権を掲げた新政権の理念と矛盾することになり、国が決めた政策の実施には地方負担を求めないということは当然であります。国の直轄事業負担金の地方負担の継続は、地方財政の立て直しに向けた抜本的な取り組みさえも国は先送りしたとの指摘があります。また、高校授業料の公私格差や学校給食費未納問題の迷走に見られるように、新政権は制度論争に終始し、政策論争までには踏み込んでいないとの指摘があります。そこで、地域主権を第一に掲げる新政権による平成22年度地方財政対策に対する所見をお伺いいたします。 質問の2点目は、地域経済・雇用対策に関してであります。 さて、国の新年度予算の公共事業関係費は18.3%削減の5兆7,000億円と32年ぶりの低水準となり、雇用や地域経済への多大な影響が懸念されています。金沢公共職業安定所管内の有効求人倍率0.59倍、完全失業率4.3%は、地域経済の悪化と雇用情勢の深刻さを裏づけています。国は第2次補正予算に地域活性化・きめ細かな臨時交付金や地域活性化・雇用等臨時特例費を計上し、地方単独事業として行う橋梁の補修、電線の地中化、都市部の緑化、その他公共施設の修繕事業など、緊急経済・雇用対策への財政措置を行っています。こうした財政措置を地域の需要拡大につなげ、中小企業が多い市内企業の受注機会がふえる工夫をしなければなりません。本市は、新年度と補正予算を通じた切れ目のない執行や小額工事の地元中小企業への早期発注などに工夫を凝らしていますが、基幹産業や中小建設企業への支援策、入札制度の改善、執行手続の簡素化など、地域経済の活性化を図る取り組みも必要と考えます。そこで、雇用を初め国の財政措置を活用した本市における経済・雇用対策の取り組みについて、あわせてお尋ねをいたします。 さて、本市の雇用情勢が厳しい中で、生活保護申請が急増しています。国は第2のセーフティーネット--総合支援資金制度などの支援策を拡充していますが、本市の生活保護費は既に67億円を超えており、生活保護費や扶助費の増加は行政運営上の課題でもあります。そこで、国庫負担による生活保護制度への財政措置のあり方とあわせてお尋ねをいたします。 さて、社会福祉法ではケースワーカー1人が担当するのは80世帯とされています。しかし、ふえ続ける生活保護申請者や相談者の急増により、増大する相談や申請の調査業務などに追われ、現場ではケースワーカー不足から自立支援業務に手が回らなくなり、ますます被保護世帯が増加するという悪循環を招いているのではないかとの問題指摘がありますが、いかがでしょうか。 一方、ワンストップサービスの評価が高かったことから、各機関が連携を深め、支援体制の継続を図っている自治体もありますが、自立支援体制の充実とあわせてお尋ねをいたします。 こうした貧困問題は、所得の減少に伴う国民健康保険料の減免制度利用世帯の急増につながり、国保財政に波及する課題でもあります。本市の国保財政は赤字額を圧縮させ、改善方向に向かい、料率改定を見送っています。新年度からは国保の都道府県単位化への広域化等支援方針のもと、赤字国保については業務改善が求められることになります。そこで、今年度、国保運営協議会に設置された専門部会で、金沢市国保の赤字改善策についてどのような論議がなされたのか、お尋ねをいたします。 質問の3点目は、社会資本整備総合交付金に関してであります。 行政刷新会議での事業仕分けにより、下水道事業を含めた公共事業関連の補助事業の大半が新設された社会資本整備総合交付金の枠組みに組み込まれ、公共事業関連予算の構造はさま変わりをしました。三位一体改革以降、自治体の裁量を広げるためとの名分のもと、補助金の交付金化が進められ、まちづくり交付金を初めとした数多くの交付金への対応を余儀なくされていましたが、社会資本整備総合交付金と農山漁村地域整備交付金に包含され、国への要望活動もさま変わりしています。そこで、新交付金及び現行補助制度の継続事業に対する経過措置に伴う対応はどのようにされるのでしょうか。また、本市の事業の着実な推進のため、国への要望活動をどのように進めるのか、お尋ねをいたします。 また、本市では庁舎等整備再編積立基金など、基金が新設されています。社会資本整備総合交付金の創設や2011年度からの一括交付金化が予定されている中で、各種特定目的基金については取り崩し目的が限定されるとの理由から、比較的使途が幅広い財政調整基金により必要な財源を確保し、将来的な財政需要にも柔軟な体制を整えようとする自治体があります。そこで、特定目的基金及び財政調整基金、減債基金積立金のあり方と、それらの基金の適正規模についてお尋ねをいたします。 新交付金に関しては、現行事業を政策目的別に4分野に分類し、分野別におおむね3年から5年の社会資本総合整備計画の策定のもとに、基幹事業のほか、関連社会資本整備事業やソフト事業を自由に組み合わせることができるとしています。そして、各自治体が提出した社会資本総合整備基本計画に従って、補助金を一括配分し、同計画の範囲内で自治体の創意工夫により自由に使途を決定できる仕組みとしています。地方が自由に使途を決定できる財源の分権化により、事業選択の幅が広がることが期待される一方で、市民に対する説明責任が求められ、透明度を高める工夫や市民参加での事後評価の仕組みも必要と言われています。事業仕分けに対する批判の一方で、予算編成過程の透明化に対する評価もあり、どうしてこの場所の整備を優先するのか、どうしてほかよりこの事業をするのかなどといった説明責任を果たすことも求められます。本市は新年度予算編成で初めて新規事業に対する事前評価制度を導入していますが、新規事業がメジロ押しの中で、社会資本整備総合交付金による現行事業の財源確保と優先順位など、計画の策定及び透明性の確保についてどのように取り組まれていくのか、お尋ねをいたします。 質問の4点目は、ユネスコ創造都市と地域産業の振興に関してであります。 市長は、魅力あるまちづくりによる交流人口の増加とものづくり産業の活性化で金沢のまちを元気にしていくとして、新年度予算案を編成されました。公共事業の大幅削減により、これまで通用していた公共事業による景気浮揚策は打ち出しにくくなり、従来型の企業誘致に重点を置いた地域経済振興も限界に達しつつあります。こうした中で、地域主権への移行が現実味を帯びつつあることから、雇用と税収を確保するための本市独自の発展戦略が求められています。1月の石川県の景況感は、47都道府県中46位と低迷しており、本市でも建設業から卸・小売、製造業などの経営環境は厳しい状況が続き、事業所数も減少しています。一方、情報通信、教育・学習支援の事業所数が大きく変化していない中で、医療・福祉は事業所数と従業員数を増加させています。産業としては新規産業と言えるだけに、しっかりと育てることが必要です。また、創業支援が政策的に叫ばれながら、事業の展望が見えず、開業メリットが感じられないことから、若年者などによる開業意欲が薄れ、開業件数は伸び悩んでおり、本市の地域産業や地域経済は構造自体の変化に直面しているとも言えます。そこで、産業形態の変化を踏まえて、時代に即した地域経済の活性化のための新たな産業振興策や人材育成についてお尋ねをいたします。 地域経済と地域産業の活性化は、地域社会の安定と市民生活の福祉向上に不可欠な課題と言えます。今年度、ものづくり基本条例の理念を具現化するものづくり戦略が策定され、ものづくり会館の拠点建設とあわせて、機械・金属、食品、印刷、繊維、情報通信・映像・デザインの5産業の企業経営基盤強化や企業連携を促進するコーディネーターの配置と商品開発や販売拡大など、60の具体的な施策や15の新規施策が盛り込まれています。これにより戦略が明確になり、施策の連続性も担保されたと言えますが、新年度以降、中小企業の支援にどう取り組まれていくのか、お尋ねをいたします。 さて、世界で初めてユネスコからクラフト部門の創造都市に認定され、新年度にクラフト政策推進課を新設するなど、文化のビジネス化につながる実践的な施策展開と方向性が示されています。この施策展開には、新しい文化の創造とビジネス化やものづくりの高付加価値化に向け、山出市長のもと、作家や後継者の育成、作品を展示する場所の設定、企画プロデューサーや批評家、資金の提供などが必要であると考えます。このため、現代版加賀藩御細工所とも言える巧妙な仕掛けづくりも始まっています。そこで、クラフトを中心とした地域産業の振興と地域経済の活性化の手法についてお尋ねをいたします。 元来、金沢21世紀美術館は、地元の伝統工芸、伝統芸能と現代アートの融合を目指す目的で建設されました。そこでは芸術は創造性あふれる将来の人材を養成する未来への投資であるとして、さまざまな取り組みが行われ、その結果として、にぎわい創出や地域の活性化に結びつき、その経済効果は300億円を超過していると言われています。このように地域産業を振興させ、新たな地域経済の発展を目指すための創造性あふれる人材の養成と集積など、将来の地域経済を見据えた行政の役割は重要であります。このことを念頭に置いた今後の施策の展開にも期待が持たれています。また、情報産業や知識集約型産業は、次代の都市型産業を支えるものと言われています。本市の現状においては情報サービス産業は低調との指摘があるだけに、企業の情報化をサポートし、知識集約型産業を支えるため、大学などの豊富な人材を産業振興へとつなげていくことが重要と考えますが、これまでの情報産業分野における本市の取り組みについての評価と今後の展開についてお尋ねをいたします。 そして今、環境やエネルギーの課題が浮上している中で、デジタル系の新しい手仕事による新産業と人材育成、クラスター活動の展開や次世代産業の創出など、新たな時代の需要にこたえる新産業の創造に期待が集まっています。新産業の創造は地域産業政策として重視すべき課題の一つであるものの、今日的経済状況の中では、地域に存在する地域資源の活用や、地域内中小企業のレベルアップに活路を求めなければなりません。そこで、地域の既存産業や企業を生かした新産業の育成について、今後、ファッション産業機構や加賀友禅及び金沢箔の研究所などを通じて、どのような施策を展開していかれるか、お尋ねをいたします。 質問の5点目は、文化都市の形成と観光の振興に関してであります。 国は、21世紀の我が国の経済成長分野の柱として、観光産業の振興を位置づけています。観光庁は観光圏整備法に基づき、2泊3日以上の滞在型観光が可能な観光圏の形成及び観光客の来訪の促進を行う観光圏整備事業を展開し、交流人口の拡大と地域の活性化や雇用の創出などの支援を大幅に拡充しています。そして補助の引き上げや期間の延長だけでなく、観光拠点の施設整備など、地域が主体的に取り組みを進めるため、広域的な連携と新たな観光分野の支援策を取りまとめ、前年度比4倍の予算を計上しています。今や地方も国境を越えて、人・物・情報が行き交う大交流時代の中、地域を牽引する産業が見出せないでいる中で、観光産業のすそ野は広く、交通・農林水産・宿泊・飲食など幅広い分野にわたる複合産業と言われ、地域の活性化と新たな雇用の創出が期待できます。こうした観光の役割に期待し、その実施主体として観光戦略を明確にし、重要施策と位置づける自治体がある一方で、国の施策に準じて施策を講じるとの受動的な姿勢や観光の経済化や産業化に否定的な自治体もあると言われています。そこで、新幹線金沢開業が4年後に迫ってきた今、本市における観光行政の位置づけと、今後の観光振興についての御所見をあわせてお尋ねをいたします。 本市は歴史・文化・食や自然に恵まれ、多くの魅力と特色ある観光資源を有するとともに、日本海を挟んで成長する東アジア、北東アジアに対峙し、三大都市圏を後背地に持つ立地特性を有しており、国内・国際観光の振興に大きな可能性を持っていると言われています。去る10月に那覇市と交流連携都市協定を締結し、那覇市、静岡市と本市による空路によるトライアングル交流が実現しました。また、八田技師の縁で日台の青少年交流の拡大が想定されています。さらに、東海北陸自動車道を軸とした交流都市協定の締結、北陸新幹線の停車駅を有する沿線都市による北陸新幹線停車駅観光推進会議への加盟と、空路・陸路・鉄道、それぞれの移動手段を最大限活用した都市間交流を精力的に推進しています。本年1月に高岡市で開催された第2回新幹線停車駅観光サミットでは、「観光振興と地域経済の活性化」と題した講演が行われ、市長もパネラーとして討論に参加されております。そこで、このような広域的な連携の構築と都市間競争に打ち勝つだけの優位性を確立するためには、広域観光推進のコーディネート機能の強化が不可欠と考えますが、お考えをお聞かせください。 さて、観光庁のビジット・ジャパン・イヤー事業の重点地区に京都、奈良などとともに本市も選定されています。この事業に連動する手仕事の魅力を発信するクラフトツーリズムは、クラフト創造都市・金沢と銘打って開催され、多くの外国人観光客の参加があると言われています。昨今、不況や円高のあおりで団体客が多い台湾や韓国からの観光客が減り、伝統や文化に関心が深いとされる欧州などからの個人旅行客が増加するなど、外国人観光客層に変化の兆しが出始めていると言われています。こうした客層の変化の要因は、兼六園がフランスの有名ガイドブックミシュランやブルーガイドで最高評価の三つ星を獲得し知名度が高まったことと、外国語案内のボランティアガイドの養成やリュックサック1つで泊まり歩くバックパッカーと呼ばれる旅行者向けの宿泊施設が相次いで本市で開業するなど、外国人の受け皿整備の促進によるものと言われています。そこで、外国人誘客に向けた新たな観光市場の開拓と整備、外国語ボランティアの養成や富裕層集客に向けた方策など、課題への取り組みと今後の展開についてあわせてお尋ねをいたします。 観光産業はすそ野が広く、また地域経済全体の発展の一助を担う横断的な素材であります。そこで、庁内における横断的かつ柔軟な組織体制の構築など、観光交流時代における新しい金沢の基幹産業の創造と発信に向けた取り組みとあわせてお尋ねをいたします。 質問の6点目は、地域の文化資源を生かしたまちづくりとその推進方策に関してであります。 近年、地域振興策や都市政策において、地域の文化資源が持つ活力への期待がますます高まっています。歴史都市、ユネスコの創造都市登録に続き、江戸時代の都市構造を継承する市街地が重要文化的景観に選定されたことにより、金沢の評価は一段と高まっていると思います。そして、これらの認定に基づく施策目標を明確にし、情報を市民と共有し、その将来像に対して市民の理解を得て、市民とともに成果を実感する環境整備が重要と考えます。ともすれば縦割りとやゆされる行政組織の中で、これら施策を実現させるためには、部局を超えた全庁的な調整機能が必要であり、組織横断的な事業推進体制の整備が必要と考えますが、市長の所見をお聞かせください。 また、藩制時代からの伝統工芸や生活様式とともに、新たな文化創造の拠点である金沢21世紀美術館も重要文化的景観の構成要素に含まれたことは、本市独自の文化的視点でのまちづくりに貫かれた創造都市戦略が高く評価されたものと言われています。一方、卯辰山山麓寺院群の重伝建地区選定に向けた取り組みも最終段階を迎えています。そこで、金沢21世紀美術館を含めた重要文化的景観選定の意義と、卯辰山山麓寺院群保全の意義と課題について、どのように受けとめておられるのか、あわせてお聞かせください。 さて、第2回日仏自治体交流会議に合わせて開催されるフランス芸術週間の期間中には、加賀野菜とフレンチの出会いと銘打ち、九谷焼や金沢漆器を使用した食の祭典やコンサートの開催などが予定されており、伝統文化や食文化などの本市の地域資源の魅力を国内外に情報発信する絶好の機会だと考えます。特に4月から8月末まで開催されるルーブル美術館との合同企画展は、企画段階からルーブルの学芸員も携わる極めて珍しい取り組みであり、より一層の情報発信が必要ではないかと考えます。例えば、これまで培ってきた国内外の諸都市との連携ネットワークを生かすことも一考かと考えますが、このルーブルとの合同企画展に向けた情報発信方策についてお尋ねをいたします。 市長は、まち全体を美術館に見立てた、まちなかミュージアムを展開したいとも述べられていますが、重要文化的景観地区にも含まれた武蔵地区周辺には数多くの素材が現存しています。中でも尾張町かいわいには藩制時代の商家や良質な近代建築がまだ多く残っており、独特の雰囲気と特性を残している伝統環境調和区域でもあります。この地区が有する景観構成の要素や景観特性を生かし切るためには、都市計画・交通・景観・文化などさまざまな政策の融合が大切だと考えます。それには、この地区における従前からの縦割り的な論議から踏み込んで、地域住民の方々の創造性を尊重した取り組みも必要と考えます。現在、国道159号尾張町大通り整備に向け、尾張町地区まち・みち検討委員会が設けられ、地元住民の方々も加わって活発な論議が交わされています。そこで、これらを踏まえて、このたびの重要文化的景観の選定を機に、この地区の特性を生かし切るまちづくりの将来像について改めてお尋ねをいたします。 さて、本市の各種事業と施策の展開は、各方面からまちづくりの成功例として取り上げられることが多く、金沢は国内外から注目すべき都市の一つに数えられています。その要因の一つに、単に国の基準に合わせることなく民間のNPO法人や経済界のネットワークなどとの連携により、横断的・総合的な推進体制への転換を進めてきたことにあると言われています。今議会に全国で初となる学生のまち推進条例が上程され、学生が主体となった各種事業の展開を図るため、金沢まちづくり学生会議が組織されることになっています。そこで、この会議の役割と位置づけについてお伺いをいたします。 そして、今後の政策形成の前提として、地域のさまざまな団体が積極的に政策形成に関与し、地域を担っていく必要があると言われています。本市では全国に先駆けて経済界と市民が主体となって金沢創造都市会議がつくられ、これまで、金沢の新たな都市像を提言しており、昨年の第5回会議では、プロスポーツが都市の風格を高めるとの意見もありました。また、イート金沢といった一流人による影響力を持つ取り組みも行われています。多くの地域が変化を求められている中で、金沢創造都市会議を初めとした民間団体とともに地域の将来を創造していくためには、こうした政策提言機関の積極的な関与も重要になっておりますが、世界都市金沢の実現への政策立案と形成における官民協働についてのお考えをお尋ねし、自由民主党議員会としての質問を終わります。   (拍手) ○高村佳伸議長 山出市長。   〔山出 保市長登壇〕 ◎山出保市長 37番玉野議員にお答えをします。 まず、新年度予算と新地方公会計制度、このことについてでございます。新しい地方公会計制度は企業会計方式といいますか、企業会計的な手法を用いた財政の管理制度でございます。財務諸表を整備、また公表することを通じまして、自治体の財務の透明性を確保しようと、こういうことであります。金沢の財政は、私は健全性は保っていると思っておりますが、このことを市民にわかりやすく説明をいたしますために、普通会計ベース及び連結ベースの財務諸表を広く市民に公表いたしております。これからもそうした諸表を財政の健全性の堅持、また資産・債務の適正な管理に役立ててまいりたい、このように思っています。 国の政策に一貫性がないという御指摘がございまして、これについての見解を求められました。政策は最終的には予算を通して示されるものというものでございまして、編成作業の中で議論があって深められて、そして事業仕分けの結果と異なる予算案が編成されるということは、私はあり得ることというふうに考えたいと思っています。 地方財政計画についてお尋ねでございまして、交付税と臨時財政対策債、これを合わせた実質的な地方交付税が3.6兆円増額をされたということについては、地方財政に配慮をされたものと評価をしているところでございます。ただ一方で、この実質的な交付税によりまして市税等の減収分がすべて賄われたわけではございません。引き続き、難しい予算編成を余儀なくされたことを考えますと、究極には地方税財源の抜本的な強化、これが不可欠だと、このように思っています。 経済・雇用対策についてお尋ねでございました。経済対策といたしましては、新年度も中小企業振興特別資金の別枠制度、それから低利なセーフティネット資金を延長するということのほかに、昨年度に引き続きまして、国の基金を活用いたしました緊急地域雇用創出事業費、これを4億7,900万円計上をしまして、57事業で421人の雇用を予定した次第でございます。また、入札制度につきましては、事業者の経営改善が図られるように、近く低入札価格調査制度、もう1つ、最低制限価格制度、これの見直しを行ってまいりたいと、このように思っています。 生活保護制度にお触れでございまして、これの課題を尋ねられたわけであります。生活保護制度は言うまでもありません。法定受託事務として国の責任におきまして全国一律の基準で実施されるべきものということでございます。財源については、国において確実に確保をされるべきものと考えております。国に対しましては、仮に地方に負担を転嫁するようなことのないように、引き続き、必要な財源確保について要望してまいりたい、このように思っています。 生活保護申請がふえてくると、自立支援業務に手が回らないんではなかろうかという御指摘でございました。雇用情勢の悪化によりまして、就労をすることが難しくなっていることも保護がふえていく原因であるというふうに思っています。新年度からケースワーカーを2名ふやすと、また、面接相談員とか就労支援員、これをふやすということを考えておりまして、相談また支援体制の充実に資していきたいというふうに思っています。さらに、新年度から就労意欲喚起等支援事業というものを実施しまして、就労意欲の喚起、就労能力の向上のための支援を行っていきたいと、こう思っています。 生活保護制度とワンストップサービス、これのことについてでございますが、各機関の連携が大事だという御指摘でありました。仰せのとおりだというふうに思っています。市といたしますと、各都道府県ごとにワンストップサービスの開催等について検討を行いますところの生活福祉・就労支援協議会なるものがございまして、ここに参加をするなどいたしまして、福祉部門と雇用部門の情報の共有、連携、これを深めることによりまして、相談者に対して適切な対応ができるようにしてまいりたいと、こう思っています。 国民健康保険につきまして、専門部会での意見をお尋ねになりました。この部会では賦課方式の見直しについて御議論をいただいたわけでございますが、何分にもこれから税制改正が予定をされるとか、後期高齢者医療制度の廃止が言われるとか、あるいは25年度から始まるところの新しい医療保険制度、こういうことも言われるわけでございますので、いずれも具体的内容が明らかになった時点で、もう一度専門部会で検討をしようと、賦課方式の見直しを検討しようということになったわけであります。この部会では医療費の適正化について、ジェネリック医薬品の周知について御意見がございました。負担の公平の観点から滞納整理を着実に実施すべきだという意見もありましたし、保険料負担に限界もありますことから、国の責任において財政基盤の強化を行うべきだという御意見もあった次第でございます。 社会資本整備総合交付金、このことにつきましては、所管の局長からお答えをいたします。 次に、ユネスコ創造都市と地域産業に関連をしてでございますが、産業形態の変化を踏まえて産業振興策、人材育成についてお尋ねになった次第でございます。御指摘のとおり、高齢化の進展と健康志向の高まりによりまして、医療とか福祉とか介護の分野では各業種・業態を通じて成長が見られるということは事実であります。また、不況によりまして厳しい状況にあります建設業の農業分野への参入、製造業における医療、それから環境分野、これも有望というふうにされています。こうした時代の要請でもある産業の育成・支援は重要でございますので、今年度策定いたしますところのものづくり戦略に掲げる環境とか福祉分野における研究開発を行う産学官連携促進モデル事業、またコーディネーターによるものづくり企業サポート事業、こういうものによりまして成長分野に向けた取り組みを支援し、促進をしてまいりたいと、このように思っています。 それから、ものづくり施策と高付加価値化のことをお尋ねになりました。ものづくり戦略をつくったわけでございますが、この戦略では将来像といたしまして、「独創性と多様性に富んだものづくり産業の振興による創造産業都市・金沢」の実現というものを掲げることにしておるわけであります。金沢市の産業の強みでもございますが、多様なものづくりの基盤をさらに強化していきたいと、このように思っています。4月に新たに粟崎の地区でものづくり会館がオープンをいたしますが、この拠点施設を活用いたしまして、国・県・高等教育機関との連携を図りながら、情報や人脈を最大限に活用できるネットワークをつくって技術支援、経営支援など中小企業へのきめの細かいサービスを展開してまいりたいと、このように思っています。 クラフトを中心とした地域産業の振興についてお尋ねでございました。伝統工芸につきましては昨年7月に友禅の技術振興研究所を開設しました。ことしの秋には金沢箔の技術振興研究所を開設する予定でございまして、ともに業界への支援、それから人材育成等に取り組むことにいたしております。この1月には、町家を活用いたしまして、若手の工芸家の独立を支援するインキュベーション施設として東山の地域に町家職人工房を開設いたしました。これからも職人の創作活動の場として増設をしていきたいと考えています。それで、まち全体を現代版加賀藩御細工所にとらえまして、さまざまな機関とも連携をして、そして手仕事を大事にしていくことでまちがにぎわっていったらいいと思っておる次第でございます。 情報産業分野のこと、それから新産業の育成、観光の振興、こういうことにつきましては、所管の局長からお答えをしたいと思います。 21世紀美術館と重要文化的景観選定のことでございますが、この意義を問うということでございました。景観の選定というのは城下町としては初めてでございますし、藩制期以来の都市構造の上に生活・文化が反映されてきた都市景観というもの、そのものが国の文化財として認められた意義は極めて大きいと思っています。加えまして、卯辰山工芸工房とか金沢21世紀美術館という新しい文化を生み出す施設も含めて選定をされておるということでございまして、そういたしますと、私ども一般に文化財保護といえば古いものを残していくと、これくらいの概念が一般でありますが、新しい施設も加えて選定をするということになりますと、文化財を動的にとらえる視点が盛り込まれたと、こういうことにもなるわけでございまして、私は文化財行政にエポックを画するとでも言うべき、そういうことだったと、こんなふうに思いたいんでございます。 そこで、次なる命題でございますが、卯辰山山麓寺院群の保全、このことの意義と課題についてお尋ねになりました。山ろくの寺院群が伝統的な寺社、それから町家とともに藩制期以来のまち割りとか街路を残す特別なたたずまいを持っております。全国にもまれな金沢の貴重な財産だと思っています。この歴史的なまちなみを保存して、そして後世に伝えていくために寺院群としては初めてになりますが、国の重要伝統的建造物群保存地区、寺院群としての保存地区は初めてということになるわけでございまして、この選定を目指して地域の方々と意見を交わしているところでございます。地域の方々からは賛同の声があります一方で、地区の保存を図る上で防災対策とか細街路・散策路の除雪対策とか、あるいは来訪者用の施設整備、こんな課題も上げられておりまして、これらを踏まえて一つ一つ保存計画を取りまとめていきたいと、このように思っておる次第でございます。 次に、ルーブル美術館との合同企画展に向けた情報発信方策についてどのように考えているかというお尋ねでございました。何分にも世界最高峰の美術館でございますルーブルとの合同企画展の開催というのは、21世紀美術館を内外に発信する絶好の機会というふうにとらえたいと思っています。創造都市ネットワークを活用して、ユネスコでありますとか在日のフランス大使館との連携も図って、積極的な情報発信に努めてまいりたいと、このように思っています。 同じくこれからということになりますが、東洋と西洋が出会う世界に開かれる施設ということになりますと、明年度着工の鈴木大拙館があるわけでございまして、これへの期待も大きいと、こう申し上げておきたいと思います。 武蔵かいわいの将来像ということは、所管の局長からお答えをし、それからまちづくり会議とかまちづくり学生会議とか、いわば政策の提言を官民協働で行うという、そういう趣旨のお答えについては、森副市長からお答えするのがふさわしいと、このように思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。 ○高村佳伸議長 丸口総務局長。   〔丸口邦雄総務局長登壇〕 ◎丸口邦雄総務局長 社会資本整備総合交付金に関しまして、経過措置や国への要望活動はどうなるのかとの御質問にお答えをいたします。道路や河川、公園などの補助制度が社会資本整備総合交付金として統合されまして、関連する事業にも活用できることとなりましたが、このことによって、若干地方の自由度が高まるとはいえ、交付限度額が国で決定されることなど、依存財源である点で従前の国庫補助制度と根本は変わらないというふうに思っております。したがいまして、要望活動はこれまでどおり必要になるものというふうに考えておりまして、その意味でも国から地方への抜本的な税財源の早期移譲が望まれるところでございます。なお、継続事業につきましては、そのまま交付金事業として認められるような、そういった経過措置が講じられるというふうに聞いております。 また、この総合交付金に関しまして、計画策定等についての御質問がございました。この交付金制度の手続面の詳細につきましては、いまだ明らかになっておりませんが、社会資本総合整備計画を策定して、国の決定を得た上で活用できる制度であるというふうに聞いております。また、その際には進捗状況や事後評価の結果を市民の方々に公表するなど、客観性や透明性を確保することが求められるとも聞き及んでおりまして、今後、情報収集に努めながら制度の活用に向けて適切に対処してまいりたいと考えております。 次に、特定目的基金と財政調整基金等の違い、また適正規模についてのお尋ねがございました。財政調整基金等が歳入の予想外の落ち込みがあった場合などに活用するための基金であるのに対しまして、特定目的基金は、特定の事業を推進する際の年度間の財源調整のために計画的に積み立てるものでございまして、それぞれに性格が異なっております。本市の場合は、全体の基金総額が大きいために財政運営上は特に問題がないとされてはおりますが、財政調整基金等の規模は標準財政規模の5%程度が望ましいとも言われますことから、市債の繰上償還に一定のめどがついた時点で、財政調整基金等を積み増すことも考えてまいりたいというふうに存じております。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 羽場産業局長。   〔羽場利夫産業局長登壇〕 ◎羽場利夫産業局長 ユネスコ創造都市と地域産業に関しまして、これまでの情報産業分野における本市の取り組みについての評価と今後の展開についてお尋ねがございました。従前よりインキュベーション施設としまして、ITビジネスプラザ武蔵、金沢ビジネスプラザ南町、尾山を設置しまして、創業者等への支援を行っているところでございます。また、イート金沢では日本を代表するトップクリエーターを招きましてセミナーや交流会等を開催し、コンテンツ分野の人材育成や産業創出に努めまして、いずれも地域産業の振興に一定の成果を上げているものと思っております。新年度は、ITビジネスプラザ武蔵におきましてITコーディネーターの活用によるインキュベーション機能の強化を図りますほか、イート金沢で培った人脈に加え、地元産業界や大学とも連携し、アニメや映像文化にかかわるコンテンツ産業の集積を図っていくこととしており、新たな情報産業の振興につながるものと考えております。 次に、新産業の育成について、今後ファッション産業創造機構や加賀友禅及び金沢箔の研究所などを通してどのような施策を展開していくのかというお尋ねでありました。これまでもファッション産業創造機構はデザイン性にすぐれた新製品の開発へのアドバイスを行い、一定の成果を上げているところでございます。今後も、金沢商品デザインコンペティションやものづくり創造倶楽部の新製品開発などを通じまして、引き続き、クオリティーの高い製品の開発に取り組んでいくこととしております。加えまして、加賀友禅技術振興研究所では、友禅業界のみならず他の業種との連携のもと、洋装分野などへの新たな挑戦も始まっているところであります。また、金沢箔技術振興研究所につきましても、この秋の開設後、箔の物性の研究などを行い、新たな用途の開発に向けまして取り組むこととしております。 次に、観光の振興について何点かお尋ねがありました。 まず、新幹線金沢開業が4年後に迫ってきた現在、観光行政の位置づけと今後の観光振興についての所見をあわせて伺うというお尋ねでありました。観光産業は国の成長戦略分野の一つに位置づけられておりまして、本市におきましても、観光振興による地域経済の活性化はますます重要性を増してくると考えております。国の歴史都市認定やユネスコの創造都市ネットワーク登録など、金沢の魅力を国内外に発信する機運は醸成したと思っており、国際会議の誘致、クラフトツーリズムの推進などを通じまして、今後、一層の誘客拡大に努めてまいりたいと、このように考えております。 広域連携の構築と都市間競争に打ち勝つだけの優位性を確立するためには、広域観光推進のコーディネート機能の強化が不可欠と考えるが、所感を問うとのお尋ねでありました。平成19年2月、長野市と協定を締結したのを皮切りに、現在9つの都市とそれぞれの都市が持つ共通点を生かした交流を続けております。また、高山市と松本市とは共同で国際観光ルートの開発整備を進めておりまして、その成果が外国人に人気の高い広域観光ルートとして定着しつつあります。いずれの事業も金沢市からアプローチしたものでありまして、今後ともそれぞれの都市と連携を密にしながらコーディネート機能を発揮できればと考えており、交流都市間をめぐる新たな広域観光ルートの提案など、効果的な誘客活動に取り組むこととしております。 次に、外国人誘客に向けた新たな観光市場の開拓と整備、外国語ボランティアの養成や富裕層集客に向けた方策などの課題への取り組みのお尋ねでございました。近年、欧州からの観光客が増加していますことから、新年度よりフランス誘客コーディネーターを配置しまして、フランスを初めとする欧州からの誘客強化を図ることとしております。また、まいどさんや金沢グッドウィルガイドネットワークなどの外国語ボランティアガイドに対する支援を拡充するなど、受け入れ体制の強化にも取り組むこととしております。さらに、富裕層向けとしまして、昨年度から、県・市主催でラグジュアリー・ライフスタイル国際会議を開催しまして、質の高い本物の金沢の魅力をPRするなど、新たな観光市場の開拓に努めているところでございます。 次に、庁内における横断的かつ柔軟な組織体制の構築など、観光交流時代の新しい金沢の基幹産業の創造と発信に向けた取り組みをあわせて伺うとのお尋ねでありました。仰せのように、食文化の発信、クラフトのビジネス化など観光産業は農業やものづくり産業とも密接に関連していますことから、こうした魅力を内外に発信することで景気浮揚をもたらす役割があると認識しております。現行の執行体制を基本に庁内プロジェクトの仕組みを有効に活用し、部局横断的に諸課題に取り組むこととしており、新年度より学会時におけるクラフトツーリズムの開催に対し、新たに助成制度を創設するなど、文化と産業の連関にも努めてまいりたいと、このように考えております。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 立岩都市政策局長。   〔立岩里生太都市政策局長登壇〕 ◎立岩里生太都市政策局長 地域の文化資源を生かしたまちづくりとその推進方策に関しまして、全庁的な体制の整備が必要ではないかとのお尋ねがございました。仰せのとおり、重点施策の推進には全庁的な取り組みが必要であり、これまでも庁内横断組織として各種推進本部や連絡会議、プロジェクトを立ち上げ、各部局の連携を図ってまいりましたが、さらに、歴史都市、創造都市等の推進に向けて庁内外の連絡・調整を円滑に進めるため、企画調整課に都市政策推進担当を配置したいと考えております。 次に、尾張町かいわいのまちづくりについてお答えいたします。仰せのとおり、尾張町かいわいはしにせの建物が独特の風情を生み出している貴重な地区であり、その歴史的景観の保全に向けて都市計画、景観形成のあり方や商店街活性化の視点なども踏まえ、重要文化的景観としての整備計画を策定し、歴史的風格とにぎわいのあるまちづくりを目指したいと考えております。また、国道の整備につきましては、地元からさまざまな御意見が出されていることから、今後、交通社会実験も検討すると聞いておりまして、事業者である国、地元の住民の方々とともに議論を深めたいと考えております。 以上でございます。 ○高村佳伸議長 森副市長。   〔森 源二副市長登壇〕 ◎森源二副市長 まちづくり会議と政策提言機関との官民協働について2点お尋ねがありました。初めに、金沢まちづくり学生会議の役割と位置づけについてのお尋ねでありますが、この金沢まちづくり学生会議は、本市のまちづくりに関し、学生の意欲、創造性、アイデアを生かし、学生のまちの推進を市と協働で行っていくために学生が構成する組織であります。明年度は、この組織が主体となったまちなかのにぎわいを創出するイベントの企画・開催や学生の視点に立ったまちなか学生交流街マップの作成などが予定をされているところであります。そして、このことが学生がまちなかに出てきて勉学、活動をするまちなかキャンパス、あるいは学生がまちなかで昼は昼で、夜は夜で地蔵通りや木倉町かいわいで談論風発するまちなか学生交流街の形成事業、こうしたこととも相まって学生のまち金沢が大いに推進されるものと考えております。 次に、2点目の政策立案における官民協働の考え方についてのお尋ねでありますが、これまでも本市では金沢創造都市会議と協力をして、ユネスコ創造都市の取り組みを進めるなど、官民一体となった政策立案・推進がなされておりまして、本市においてはこうした連帯はかなり進んでいると、こういうふうに考えております。行政は行政として、常に資質の向上に努め、時代を読み、まちの資源を磨いていく、そしてまちに誇りや愛着、思いを持つ市民や民間団体と連携をし、それぞれが果たす役割を自覚して対等の立場で協力し補完し合う、このような協働こそがまさに魅力あるまちをつくる源になると、こういうふうに考えているところでございます。 以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △散会 ○高村佳伸議長 これにて、本日の質疑並びに一般質問を終わります。 次の本会議は、明11日午前10時から開きます。 本日はこれにて散会いたします。     午後5時49分 散会-----------------------------------   〔参考〕-----------------------------------                (写)                           収財第62号                           平成22年3月9日                           (2010年)  金沢市議会議長  高村佳伸様                         金沢市長  山出 保           説明員の出席について(通知) 平成22年3月9日付け、発金議議調第139号で出席要求のありました説明員として、3月10日の本会議に金沢美術工芸大学学長 久世建二が出席しますので、よろしくお取り計らい願います。-----------------------------------   〔参考〕----------------------------------- 平成22年定例第1回金沢市議会              発言者順序表発言予定日発言順序議席番号議員名会派名3月10日(水)140宮保喜一自由民主党224新村誠一金沢民主332増江 啓公明党430升 きよみ日本共産党528森 一敏社民637玉野 道自民党3月11日(木)719福田太郎自由民主党814松村理治金沢民主911角野恵美子公明党104野本正人自由民主党1129森尾嘉昭日本共産党1210山本由起子社民1316安居知世自由民主党3月12日(金)1415久保洋子自由民主党157小阪栄進金沢民主162下沢広伸自由民主党179大桑 進日本共産党1821田中展郎自由民主党...