ひたちなか市議会 2021-06-17
令和 3年第 4回 6月定例会-06月17日-03号
令和 3年第 4回 6月定例会-06月17日-03号令和 3年第 4回 6月定例会
令和3年第4回
ひたちなか市議会6月定例会
議事日程(第 3 号)
令和3年6月17日午前10時開議
日程第1 一般質問
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 一般質問
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〇出席議員 25名
1番 井 坂 涼 子 議員
2番 萩 原 健 議員
3番 山 形 由美子 議員
4番 宇 田 貴 子 議員
5番 山 田 恵 子 議員
6番 北 原 祐 二 議員
7番 清 水 健 司 議員
8番 大 内 健 寿 議員
9番 弓 削 仁 一 議員
10番 大久保 清 美 議員
11番 鈴 木 道 生 議員
12番 大 内 聖 仁 議員
13番 薄 井 宏 安 議員
14番 加 藤 恭 子 議員
15番 雨 澤 正 議員
16番 三 瓶 武 議員
17番 深 谷 寿 一 議員
18番 海 野 富 男 議員
19番 鈴 木 一 成 議員
20番 大 谷 隆 議員
21番 清 水 立 雄 議員
22番 樋之口 英 嗣 議員
23番 井 坂 章 議員
24番 武 藤 猛 議員
25番 打 越 浩 議員
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〇欠席議員 0名
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〇説明のため出席した者
大 谷 明 市長
渡 邊 政 美 副市長
野 沢 恵 子 教育長
堀 川 滋
水道事業管理者
福 地 佳 子 企画部長
高 田 晃 一 総務部長
海 埜 敏 之 市民生活部長
森 山 雄 彦 福祉部長
井 坂 健 一
経済環境部長
三 木 昭 夫 建設部長
小 倉 健 都市整備部長
秋 元 正 彦 会計管理者
湯 浅 博 人 教育次長
山 村 均 代表監査委員
平 野 孝 子
選挙管理委員会委員長
安 智 明
農業委員会会長
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〇
事務局職員出席者
岩 崎 龍 士 事務局長
永 井 四十三 次長
鯉 沼 光 人 次長補佐兼係長
佐 藤 ゆかり 主幹
益 子 太 主幹
折 本 光 主任
草 野 大 輝 主事
午前10時 開議
○鈴木一成 議長 これより本日の会議を開きます。
議事日程を報告します。本日の議事日程は,あらかじめお手元に配付しました日程により議事を進めたいと思います。
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△日程第1 一般質問
○鈴木一成 議長 日程第1一般質問を行います。昨日に引き続き,通告順に発言を許可します。
最初に,18番
海野富男議員。
〔18番
海野富男議員登壇〕
◆18番(
海野富男議員) 議席番号18番,
未来ひたちなかの海野富男です。通告に従い,大項目方式で一般質問をさせていただきます。
大項目1,本市における水田営農についてお伺いします。
米の価格下落や収量低下による収入減を補填する
収入減少影響緩和対策,いわゆるナラシ対策が2020年産は全国的に発動する見通しとなりました。
ナラシ対策は,その年の販売収入額が減った場合に,過去5年間の標準的な収入額とその差額,9割を補填する制度です。収入額は販売価格と10アール当たりの収量から計算します。
20年産のナラシ対策の支払いは,農水省が補填基準となる収入額などを確定した5月24日以降,順次始まっています。全国平均の補填試算では,価格が全銘柄平均で前年比6%下落したため,収入が10アール当たり12万546円に減少。標準収入の同12万4,174円を下回り,差額の9割に当たる同3,265円が補填されることとなりました。
実際には,県など地域単位で,麦や大豆など他の対象作物も含めて計算します。ちなみに,茨城県の補填額は5,882円が提示されました。ただ,市町村単位では差額が発生する地域もあります。
一方,21年産米は需給緩和が懸念されており,ナラシ加入の必要性が高まっている状態です。加入は6月末までに国に申請する必要があります。
さきの5月27日,農水省は2021年産の全国の
主食用米作付面積について,4月末時点の各都道府県への意向調査を基に,前年実績より3万7,000ヘクタール減ると試算を公表しました。需給均衡には過去最大規模となる同6万7,000ヘクタール,約5%の作付転換が必要と見ており,なお3万ヘクタールの転換の必要性があります。6月末の営農計画書の提出期限に向け,同省は飼料用米を中心に一層の転換拡大を呼びかけます。
次に,
多面的機能支払交付金とは,水路,道路,ため池及びのり面等,農業を支える共用の設備を維持管理するための地域の共同作業に支払われる交付金です。
農村地域の少子高齢化及び過疎化等により,これからの地域の共同作業が困難になり,農業に関係する共用の設備の維持管理に支障が出てきています。また,そうした共同作業が困難となることにより,農家の負担が増加することも懸念されています。
そのため,従来から行われている農業者等のその種の共同作業に対して,国及び地方自治体が資金を援助しています。
農業者及び地域住民はグループ,つまり活動組織をつくり,活動計画書を決定する。グループはそれを基に市町村と協定を結び,共同作業を行う。それらの作業に対して,協定で定められた農用地の面積に応じて国及び地方自治体から交付金が支払われる。
一方で,行政においては,国の支援及び指導の下,都道府県が基本方針を決定し,市町村は住民側と協定を結ぶなどするとともに,活動の実施状況の確認を行います。
実は,私も
多面的機能支払交付金の恩恵を受けるグループに所属していますので,現状と課題を報告させていただきます。
多面的機能支払交付金を受けるには,以下の5つのステップを踏まなければなりません。
1,組織の設立,2,事業計画の作成,3,申請書の提出,4,活動の実施,交付金の交付,5,活動の記録,報告など,労力と事務処理が多忙を極めます。農業従事者の高齢化が進む現状においては,事務処理の簡素化が課題となってくると思います。
次に,毎年水田への浸水が心配される河川,中丸川・大川・本郷川について,現状と課題を述べたいと思います。
いずれの3河川とも,上流域の宅地開発や商工業用地の開発及び主な道路の舗装工事等により,台風被害でなくても1時間当たり30ミリ程度の降水量で,場所によっては越水が始まり,水田へその河川の水が浸水します。
稲は水が不可欠な作物ではありますが,本田初期,例えば田植した後などに冠水すると黄化萎縮病の発生被害が懸念されます。この病気が発生した場合,いもち病にもかかりやすくなります。防除のポイントは,浸冠水を避けることが最も大切なので,河川改修や用排水路の整備等が有効とされています。
それでは,質問に入らせていただきます。
第1点,本市における2021年産米の適正生産量に対応する転作達成率。中間報告という報告は出ていないんですが,今現在の状況を教えてください。
第2点,本市における農業を支える共用の設備を維持管理するための地域の共同作業に支払われる
多面的機能支払交付金の活用の状況と,今後の課題と対応策について。
第3点,毎年水田への浸水が心配される河川,中丸川・大川・本郷川の河川改修の状況及び今後の課題と対応策について。
以上,3点お伺いします。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 海野議員の1項目めの1点目,本市における2021年産米の適正生産量に対応する転作達成率についてお答えいたします。
稲作の生産調整につきましては,国の
経営所得安定対策という枠組みの中で,米の過剰作付の抑制と米価の安定を図ることを目的に,主食用米から麦,大豆,飼料作物への転作を推進するものであります。
2018年産米以降,国では米の需要予測や在庫状況の情報提供にとどめ,都道府県への生産数量の配分を廃止するとともに,生産調整を達成した生産者に対し交付されておりました米の直接支払交付金も同時に廃止されました。
このことで,生産者自らの経営判断により生産量を調整することになりましたが,個別に判断することは現実的に困難であり,さらには過剰米の増加や米価下落が懸念されたことから,県では2018年産米以降,需要に応じた生産に係る基本方針を策定し,生産目標数量の目安を各市町村に示してきたところであります。
現在,本市では県から示された2021年産米の生産目標数量4,225トン及び転作目標面積479.9ヘクタールの達成に向け,本市を含めた県やJA,生産者などで組織するひたちなか市
農業再生協議会において,飼料用米への転換を中心に事業を進めているところでございます。
今年度につきましては,生産者から提出された営農計画書を基に転作達成率を算定した結果,現時点では389.5ヘクタールの水田において転作が行われ,達成率は前年比2.99%増の81.15%となる見込みとなっております。
現在,高齢化や人口減少などに加え,
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で飲食店からの需要が減少している中,米の価格維持とともに生産者の経営安定を図るためにも,需要に応じた米の生産は重要となっております。
今後,本市では県や農協など関係機関と連携し,米の生産者自らが意欲的に生産調整に取り組んでいただけるよう,地区説明会や戸別訪問などを行い,本制度の趣旨及び必要性について周知を行ってまいります。
次に,2点目の,
多面的機能支払交付金の活用の現状と今後の課題と対応策についてお答えいたします。
農地は本来,農作物を生産するほか,環境保全や保水能力による洪水防止など,多面的な機能も有しております。ご質問の
多面的機能支払交付金につきましては,これらの機能を維持することを目的に,国において平成26年度に制度化されたものであります。
具体的には,農用地区域を対象として,農地の草刈りや水路の泥上げ等の維持管理,水路など農業用施設の長寿命化に対する取組を行う活動団体に対し支援するものであり,活動費について国が50%,県,市がそれぞれ25%を負担しているものであります。
本市の状況といたしましては,平成27年度より2団体において85ヘクタールの区域で活動が開始され,令和2年度末では8団体が424ヘクタールの区域で活動しているところでございます。
また,この活動は地域資源の適切な保全管理に効果があるとともに,対象地区内の農地が荒廃してしまいますと交付金の対象面積から除外されてしまうため,
耕作放棄地対策の一助になっているものと考えております。
一方で,議員ご指摘のとおり,活動団体設立に向けての手続や運営事務の煩雑さ,さらには高齢化によりこれらの活動を行う人員の確保が困難となっていることにつきましては,市といたしましても大きな課題と認識しております。
これらの課題を踏まえ,今後の対応策といたしましては,活動団体の事務負担を軽減するため広域的な活動を勧めるとともに,業務運営や委託に関する情報を提供するなど,活動団体の実情に沿った指導を行ってまいります。
国においては事務処理の簡素化についてこれまでも対応いただいているところでありますが,市といたしましては,さらなる事務の簡素化に向け,国や県に対して要望し,活動団体の自立と適正な運営が継続できるよう支援してまいります。
○鈴木一成 議長
三木昭夫建設部長。
〔
三木昭夫建設部長登壇〕
◎三木昭夫 建設部長 1項目めの3点目,中丸川・大川・本郷川の河川改修の状況及び今後の課題と対応策についてお答えいたします。
県が実施しております中丸川改修は,現在,昨年度から引き続き中根地先において配水管工事を行っており,完了次第,道栄橋下流から大川合流点までの約600メートルの河川改修工事を行う予定と伺っております。
また,県が実施しております多
目的遊水地整備につきましては,現在,放流施設及び
洪水吐施設工事も行っており,早期完成に向け,引き続き整備を行う予定と伺っております。
大川改修工事につきましては,無名橋の下部工事を今年度実施する予定であり,その後,無名橋の上部工事と八幡橋の架け替え及び未改修区間約1,900メートルについて整備を進めてまいります。
なお,大川改修により架け替えが必要な
主要地方道水戸勝田那珂湊線の救農橋は県が整備を進めており,今年度は用地測量,擁壁の詳細設計を実施すると伺っております。
大川最上流部に位置する
高場流域雨水調整池の整備につきましては,用地測量が完了し,現在,用地取得のための交渉を進めております。
本郷川につきましては,
一級河川指定区間である下流部1,200メートルの早期改修を,
県議会土木企業委員会における市町村要望や
県央地域首長懇話会を通じ,機会あるごとに県に要望してまいります。
その上流部の普通河川区間につきましては,流れに支障がないよう,土砂掘削など適切な維持管理に努めてまいります。
次に,課題と対応策についてですが,未改修区間においては,集中豪雨などまとまった雨が降ると水田への浸水が起こる場合があります。対策として,市管理河川については土のう設置など現場の状況を見極めながら対応し,県管理河川については県と連携をして取り組んでまいります。
また,実施中の各事業につきましては計画的に進め,早期完成を目指してまいります。
○鈴木一成 議長 18番
海野富男議員。
◆18番(
海野富男議員) 大変丁寧な説明ありがとうございました。
第1点においては,米が大変余るような状況で,昨年度は60キロ玄米で1万3,000円から1万4,000円で大体販売できたものが,今年は1万円を割るんじゃないかという,そういう懸念があります。大変な減収になると思うので,収入保険,またはナラシ対策のほうで価格下落分を補填するような対策を取られたほうがよろしいかと思います。
第2点のほうでは,
多面的機能支払交付金なんですが,これは本当に有効な交付金で,どうしても農業をやる,水田を耕作する人が兼業農家が多いもので,なかなか出られなかったり,出ても奥さんや娘さんが出てきて,やはり力仕事はなかなかできない。でも,農業のこういった施設というのは面積の多い少ないじゃなくて,みんなで助け合って維持管理するものですから,なるべく手厚い保護というか,補償をして,ずっとこの制度が生きるようにしていただきたいと思います。
第3点の河川,中丸川・大川・本郷川,これは一遍にはできないので仕方ないんですが,水田農家の皆さんも半分諦め,そして,まあしようがないなという感じでいますけど,これが毎年毎年続くようだと,やはり,これは自然災害だけじゃなくて人災なんじゃないかと言う人もいますので,現在,河川課さんのほうで一生懸命やっていただいていますので,目に見える形で改修のほうをよろしくお願いしたいと思います。
続いて,大項目2のほうに入りたいと思います。
小学校における教科担任制の導入と拡大についてお伺いします。
中央教育審議会は,令和3年1月,「『令和の
日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」と題した答申を公表しました。
答申の中で,小中学校の9年間の学びを一体的に捉え,小学5,6年の一部の授業に中学校のような教科ごとの専門教員が指導する教科担任制を2022年度から本格導入することを提言しました。
教科担任制の導入の狙いは,授業の質の向上,学校教育の充実や教師の負担軽減,複数教師による多面的な児童理解,小学校から中学校への円滑な接続を図ることなどにあります。
導入に当たっては,義務教育9年間を見通した指導体制の構築,小中一貫教育を含めた小中連携教育の推進と併せて,専科指導の対象とすべき教科の検討,例えば外国語,理科,算数,専門性を持った教員の確保などを提言しました。
また,これまでの学校が学習指導のみならず,生徒指導の面でも主要な役割を担い,児童生徒の状況を総合的に把握して教師が指導を行うことで,子どもたちの知・徳・体を一体で育んできた
日本型学校教育のよさを受け継ぎながら,さらに発展させ,学校における働き方改革,
GIGAスクール構想,新学習指導要領の全面実施を推進することで,2020年代を通じて実現を目指す学校教育を「令和の
日本型学校教育」と名づけています。
次に,報道によると,
県教育委員会は2月22日,小学校5,6年の教科担任制,一部教科を4月から県内公立小・
義務教育学校,全464校で導入すると発表しました。全ての公立小での導入は全国初といいます。
本県では2011年度,全44市町村にモデル校を設け,理科で教科担任制を実施。その後は教科や導入を拡大し,2020年度は希望のあった小学校118校に英語,理科,算数を中心に1人ずつ配置。新年度は全469校をカバーするため,基本的には中学校の各教科の免許を持つ教員266人を配置したり,拠点校から近隣の学校へ派遣したりする。しかし,増員はしない。
専科は,英語,理科,算数を中心に,英語77人,理科84人,算数75人。ほかに,国語,社会,音楽,体育で計30人。1学級当たり週3~4時間受け持つ。
導入の狙いについて,理科や英語,算数などの系統性のある教科の児童の理解や学びを深めること。小学校と中学校の円滑な接続,授業時間の削減など,学級担任の負担軽減などを挙げました。
担当者は専門教員に教わることで学習意欲の向上が期待できる。学級担任では気づかない子どもの可能性にも着目できると説明。6年生以外の導入拡大は,国の動向を見極めて検討していくという報道がありました。
なお,
県教育委員会はこれまでに
小学校理科教科担任制モデル事業を実施。本市では平成23年度から平成31年度にかけて,東石川小,平磯小,堀口小,田彦小の4校がモデル校の指定を受けました。
さらに,令和3年4月より新規事業の「特色ある学校づくり」がスタートし,本市の全公立小・
義務教育学校において教科担任制の導入が実現しました。
次に,教科経営を充実させる指導体制の在り方について取り上げます。
1つ目は,学級担任制のことです。
学級担任制は,子どもたちの学校での生活全般について1人の教師が把握することによって全人的な理解を目指すことを最も大きな特徴とし,教科指導と生徒指導に対して全面的に責任を負う方式であります。反面,児童は教師の人格的影響を受けやすい傾向を持つとともに,教師の独善を許し,ややもすると学級が閉鎖的な性質を持つことに注意する必要がある。
また,低学年では,2年,1年生,2年生ですね,その間に生じた学力差がその後の学力差に大きく影響しているとの課題,中学年では,抽象的な内容を取り扱う学習に円滑に移行できるような指導上の配慮が課題となり,高学年では,専科指導の充実など指導の専門性の強化が課題となっています。
そこで,低・中学年では,全教科担任制のメリット,デメリットを踏まえながら,学級担任制のよさを生かした指導体制の確立,5年生,6年生の高学年では,学級担任制のよさと教科担任制のよさを兼ね備えた指導体制の確立が課題であると考えています。
2つ目は,小学校の教科担任制のことです。
教科担任制とは,教師が専門とする教科のみを指導することにより,教科指導の全部または大半を賄う教授組織をいいます。教科担任には,教師の専門性を生かした高度な教科内容の指導が期待できることや,教師は担当教科に専念できるので教材研究や授業準備の質を高められるなどの利点があります。児童にとっても,複数の教師と接することで様々な人間関係を築くことができます。
その一方で,教科担任制を先行して導入した学校や教育委員会の話によると,専門性の高い教員の確保が難しい,時間割の作成と調整が難しい,フレキシブルに時間割の構成ができなくなる,総合的な学習の時間に分担した教科をどう統合するのか,評価の課題は──これは通信簿のことですね。そして父兄から,「私の子どもは何で成績が悪いの」といったときの説明責任は,組織で支える生徒指導体制のつくりは,教員の加配措置が必要ではないか,教員の人間関係が心配,などを課題として挙げています。
そこで,高学年から教科担任制の導入,すなわち専科指導の充実は,難易度の高い教科内容の理解を深め,学力を向上させるとともに,子どもたちの個性に応じた得意分野を伸ばしていくためにも重要であると考えています。それにしても,教科担任制の導入と拡大には教員の加配措置の有無が大きな課題となります。
3つ目は交換授業のことです。
交換授業は,学級担任が互いの合意の上で,それぞれの学級で1つ以上の教科等の授業を交換して行う,小学校における教授組織の一形態である。
学級担任制を前提としながらも,各教師の得意教科など,活用により指導の補強を行い,学級間の格差解消を図るなど,利点があります。また,学級崩壊などの原因とされる学級の閉鎖性を回避するために取り入れられることもあります。
交換授業を取り入れる際には学年の教師間で課題意識が不可欠であり,導入には相応の覚悟が求められるものと考えています。
4つ目は,小中一貫教育のことです。
小中一貫教育は,9年間の系統性を重視した指導の実施,小中学校の教員相互の乗り入れ事業,いわゆる中1ギャップの解消などの目的で導入されました。
小中一貫教育の利点としては,小学校高学年への教科担任制の導入により,学力向上や学校種間の段差に起因するいじめや不登校など,いわゆる中1ギャップの解消への効果が挙げられる反面,小学校卒業というステップを踏まないことでけじめがつけにくく,人間関係が固定されるといったデメリットも指摘されています。
ちなみに,ひたちなか市初の小中一貫
義務教育学校「美乃浜学園」の開校に当たって,鈴木一成市議会議長から寄せられた祝辞を紹介します。
「美乃浜学園において,小中一貫校ならではの特性を生かした異学年交流や教科担任制による専門的な指導の充実により,児童生徒に豊かな人間性や確かな学力が育成されることを期待しています」。
私も全く同じ思いであり,小中連携教育と小中一貫教育の下,小学校高学年の教科担任制のよさを十分に生かし,子どもたち一人一人に学ぶ楽しさと喜びを保障する楽しい学校づくりに努めていただきたいと思います。
そこで,質問に入らせていただきます。
第1点,低・中・高学年に求められる学力及び学びを確かにする指導法と指導体制について。
第2点,
小学校理科教科担任制モデル事業に係る実践研究の概要と成果及び課題について。
第3点,令和3年度における教科担任制及び交換授業の導入の現状と課題及び今後の取組について。
第4点,小中一貫
義務教育学校「美乃浜学園」における教科担任制の仕組みと運営上の課題,期待する成果について。
第5点,令和の
日本型学校教育の実現に向けての課題と,その施策に関する教育長の見解について。
以上,5点お伺いします。
これで1回目の質問を終わります。
○鈴木一成 議長 野沢恵子教育長。
〔野沢恵子教育長登壇〕
◎野沢恵子 教育長 2項目めの1点目,低・中・高学年に求められる学力及び学びを確かにする指導法と指導体制についてお答えいたします。
確かな学力につきましては,2019年度から小学校で全面実施となった新学習指導要領で示されているように,学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力,人間性などや,実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能,未知の状況にも対応できる思考力,判断力,表現力等などの3つの力をバランスよく育むことが求められております。それを受け,学習指導要領には各学年で育む資質・能力が教科ごとに明記されております。
学びを確かにする指導法につきましては,新学習指導要領に各学年,各教科で発達段階に応じた指導法が明記されております。一般的には,低学年から中学年までには体験的な理解や具体物を活用した思考や理解,繰り返しによる読み・書き・計算の能力の育成を重視する指導法などが挙げられております。
また,中学年から高学年にかけては,体験や理論の往復による概念や方法の獲得,討論・実験・観察による思考や理解を重視するというような,発達段階に応じた指導法が適していると認識しております。
指導体制につきましては,低学年では学習に対する基本的な姿勢を身につける段階として,一日中児童を見守り,生活指導と学習指導を関連して行うことができる学級担任制が全教科の指導をすることが望ましいと考えております。
また,児童の心身が発達し思考力が高まる高学年では,教科担任制を導入することで学習の内容の理解度を高め,学力向上につなげることも可能であると捉えております。
2点目,
小学校理科教科担任制モデル事業に係る実践研究の概要と成果及び課題についてお答えいたします。
平成23年度に開始された県の
小学校理科教科担任制モデル事業により,小学校高学年における理科の教科担任制を実施するモデル校が各市町村に1校指定されました。その成果を県内に広めることを通して,教員の理科に関する指導力を高めるとともに,児童の理科の学力向上を図ることを目的としております。
本市では,平成23年度と平成26年度は東石川小学校,平成24年度は平磯小学校,平成25年度,平成27年度,平成28年度は堀口小学校,平成29年度から令和2年度は田彦小学校がモデル校として,理科教科担任制による指導体制及び指導方法の工夫改善に取り組んでまいりました。
成果といたしましては,モデル校において校内研修や公開授業を行い,よりよい授業づくりについて検討し合うことで教員の指導力を高めることができたことが挙げられております。また,中学校理科免許を保有する教員が専門性の高い授業を行うことで,児童の理解への興味・関心を高めるとともに,理解を深めることができました。
学校のアンケート調査では,「身の回りの自然現象を見て不思議だと思うことがある」と回答した児童が53%から89%にポイントが増えました。また,「理科の授業の内容がよく分かる」と回答した児童が66%から87%にポイントが増えたという結果も出ております。
課題といたしましては,モデル校で成果を上げた指導体制及び指導方法を市内の学校に広めていくことでございます。年1回の公開授業と報告書だけではなく,市理科教育研究部の研究協議会などでモデル校での具体的な取組を広めることで,教員の指導力向上を図っていきたいと考えております。
令和3年度は,県の事業の内容変更によるモデル校に指定されるのは県内で5校だけとなり,市内にモデル校はございません。その代わりに,他市町村のモデル校の公開授業がライブ配信で行われることになっております。市内の理科教員や理科の授業を持つ学級担任が数多く参加することで,理科授業の質の向上を図ってまいります。
3点目,令和3年度における教科担任制及び交換授業の導入の現状と課題及び今後の取組についてお答えいたします。
本市の教科担任制の現状におきましては,今年度は市内全小学校・
義務教育学校において導入し,5,6学年を中心にして,外国語や理科,算数などの教科で授業が行われております。
また,交換授業におきましては9校が導入し,4学年から6学年で理科や音楽,家庭科などの教科で実施されております。
小学校における教科担任制の課題といたしましては,今年度,県からの専科教員の加配は各校1名いただいておりますが,該当教員が保持している免許の偏りや学校規模や教員の人数などにより様々な条件が出てくることです。
今後の取組につきましては,今年度の専科教員による教科担任制の取組を踏まえ,専科教員による教育的効果の高い教科について検討するとともに,専科教員の配置増員について国や県の動向を踏まえながら,県に要望してまいります。
また,交換授業の課題といたしましては,各教科の配当授業の時数の違いから時間割の調整が難しく,交換授業を組むことができないケースもございます。
今後の取組につきましては,各小学校には学年の教員配置状況を踏まえた交換授業が継続・拡大できるよう,工夫を求めてまいります。
4点目,小中一貫
義務教育学校「美乃浜学園」における教科担任制の仕組みと運営上の課題,期待する成果についてお答えいたします。
美乃浜学園前期課程の教科担任制は,4学年から6学年におきまして,国語,社会,算数,理科,図画工作,家庭,体育,外国語で実施されております。
前期課程の教員だけではなく後期課程の教員も前期課程で指導しており,9年間の系統性を見通した指導体制でスタートしております。
運営上の課題といたしましては,今年度,美乃浜学園では8教科で教科担任制を実施しておりますが,人事異動等により必要な教科の教員や,それに伴う授業編成等の調整等が課題となると認識しております。
教科担任制による効果でございますが,専門性の高い授業が展開されることにより,意欲的に学習する環境が整い,児童一人一人の学習内容の理解度,定着度の向上が図られると考えます。
また,複数の教員が関わることから,多面的な児童理解を通じた児童の心の安定につながることも考えられます。
また,教員の持ちこま数の軽減や授業準備の効率化により,学校の教育活動の充実や教師の負担軽減の一助にもなるのではないかと捉えております。
5点目,令和の日本型教育の実現に向けての課題と,その施策に関する見解についてお答えいたします。
令和3年1月の
中央教育審議会答申におきまして,2020年代を通じて実現すべき令和の
日本型学校教育の姿は,全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現であると示されました。
本市におきましても,新学習指導要領で整理された資質・能力の3つの柱をバランスよく育成するために,個別最適な学びと協働的な学びを充実していくことは重要であると考えております。
今後,新学習指導要領の着実な実施,ICTの活用,教員の働き方改革の推進などを進める中で,従来の子どもたちの知・徳・体を一体的に育む
日本型学校教育のよさを発展させ,令和の
日本型学校教育の実現を目指してまいります。
本市の令和の
日本型学校教育の実現に向けての課題とその施策につきましては,2つございます。
1つは,個別最適な学びの充実です。
新学習指導要領では,個に応じた指導を一層重視し,指導方法や指導体制の工夫改善により,個に応じた指導の充実を図ることが示されております。
これまで以上に子どもの成長やつまずき,悩みなどの理解に努め,個々の興味・関心・意欲を踏まえて,きめ細かく指導・支援することや,子どもが自らの学習の状況を把握し,主体的に学習を調整することができるよう促していくことが大切であると考えます。そのためにもICTは効果的なツールであると考えております。全ての教員が授業において1人1台タブレット端末を効果的に活用できるようにするために,教員研修を計画的に実施し,ICT活用指導力向上を図ってまいります。
また,ICTサポーターや教育研究所の情報教育アドバイザーが各学校の支援を行うことで,授業におけるICT活用を推進してまいります。
2つは,協働的な学びの充実でございます。
学校ならではの協働的な学び合いや地域の方々をはじめ,多様な他者と協働して主体的に関わることは,多様な様々な価値の中から納得解を見いだしたり,子どもたちが自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生のつくり手となるためにも大切であると考えております。そのため,子どもたち同士の話合いや様々な人たちとの交流,体験活動などを推進してまいります。
さらに,SDGsの達成に向けた持続可能な社会の担い手を育てる教育であるESDは,他者との協働した,探究的で体験的な学びが求められます。今年度も市内全校の担当者を集め,各校のESD推進のためのカリキュラム作成に向けたESD研修会を実施してまいります。
今後も教育委員会,学校,家庭,地域等,学校教育を支える全ての関係者が互いに連携し,令和の
日本型学校教育の実現に必要な施策を講じてまいります。
○鈴木一成 議長 18番
海野富男議員。
◆18番(
海野富男議員) 大変丁寧に説明していただきまして,ありがとうございました。
ここでちょっと問題があることはあるんですが,再質問ということで,教科担任制はいいところもたくさんあるんですが,例えば中学校の先生が,専門的な知識はあるわけなんですが,小学生に対して,小学生が理解が難しい──例えば,先生の授業はすばらしいんだけど,子どもたちが中学校のレベルで話をされるとちょっと分かりづらいですよということもあるわけなんです。
教科担任制を導入するときに専門性の高い教員の確保が求められているとありますが,何をもって専門性が高いというのか,その辺の教育長の見解をお願いします。
○鈴木一成 議長 野沢恵子教育長。
〔野沢恵子教育長登壇〕
◎野沢恵子 教育長 再度のご質問にお答えいたします。
教科担任制の専門性の高さについてでございますが,専門性の高さは,中学校の教員免許,専門的な免許を保有していることを優先条件と捉えております。
専門の教科の免許を取得するためには,その教科に対して深く関わり,高度な知識や経験を取得しなければ免許は取れません。
さらに,教員免許状は法定研修として専門性の高さを保持し,必要な資質・能力が保持されるよう,定期的に教員免許を更新するための計画的な研修を行っております。大学などが開設する30時間の免許状更新講習を受講し,教職・教科等を持っている全ての教員の免許を更新するようになっております。
さらに管理訪問や計画訪問など,管理主事や指導主事などが授業を参観し,指導助言を行っております。
今後も専門性の高さを保持できるように,教員研修の充実を図ってまいります。
○鈴木一成 議長 18番
海野富男議員。
◆18番(
海野富男議員) ありがとうございました。
確かに中学校の教育レベルを小学生が勉強するというのは大変有効だと思います。ただ,分かりやすいように説明,授業ができる,そういうテクニックも研修の中で進めていただきたいと思います。
これは要望なんですが,最後に,教科担任制を拡大するためには教員の加配措置を県に要望していただきたいと思います。やはり,人,金も必要です。ですから,市のほうでも教員の増員を検討してもらえないでしょうか。まあ,予算措置が必要なんですが,ただ,子どもに投資するということは,結局は自分たちに返ってくる,そしてこのひたちなか市にいずれ戻ってくるものだと思っています。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木一成 議長 以上で,18番
海野富男議員の質問を終わります。
次に,21番清水立雄議員。
〔21番 清水立雄議員登壇〕
◆21番(清水立雄議員) 議席番号21番,清水立雄でございます。
G7コーンウォール・サミットが6月11日から13日まで,イギリスのコーンウォールで開催されました。パンデミック対策,環境,人権等の70項目にも及ぶ共同声明が採択され,気候変動では2050年までに排出量の2010年比50%減にも言及されました。
早速,通告に従いまして質問に入ります。
第1項目,環境問題についてであります。
皆さんがつけられておりますSDGsのカラーホイールが光っております。心を一つにして,持続可能な世界づくりに向かっていこうではありませんか。
貧困や飢餓の解消に向けても,地球温暖化対策にしても,達成までのロードマップを描かなければ持続可能な社会をつくることは難しく,目先の実行にも移せないのであります。
まず,地球温暖化対策についての1点目ですが,まず,①2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ達成に向けてであります。
さきの3月定例会の代表質問の中で,2050年温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すためにどのようなロードマップを描くか,市長及び
経済環境部長にご質問させていただきました。
それらのご答弁は,2030年度において2013年度比26%削減することを目標とし,計画の推進に当たっては,地球温暖化対策実行計画区域施策編でもある気候変動対策等の重点施策を中心に,毎年,進捗状況について環境審議会に報告し,PDCAによる検証を図っていくというご答弁でありました。
さらに,それ以降の2050年度までの目標達成については,国の政策や技術開発動向等を踏まえながら,ロードマップの具体化に取り組んでいくということでありました。
SDGsの話の中で言われている自治体理解度スケールの各段階の他人ごと段階から脱却して,自分ごと段階に進んでいくためにも,最低限でも2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度と比較して26%削減していく具体策を改めてお示しいただきたいと思います。
その上で,2050年度までの温室効果ガス排出実質ゼロに向けた本市におけるロードマップについてもお示しいただきたいと思います。
そして,地球温暖化実行計画区域施策編の重点施策を中心に,毎年環境審議会に報告し,PDCAによる検証を行っていくということでありますので,各部門のCO2排出量及びCO2削減量をどのように測定し,その結果をどのように検証していくのか,併せて伺います。
次に,②市内の分野別のCO2排出量と市域全体のCO2吸収量について伺います。
次に,第2点目,ごみ減量化の推進についてであります。
残念ながら,市民1人当たりの燃えるごみ,燃えないごみ,ともに平成30年から増加に転じております。
確かに資源回収においては,どこのステーションでも朝早くから熱心に資源回収を行っておられ,市民の皆さんのご熱意に頭の下がる思いであります。
しかし,資源ごみ以外のごみの排出量が減らないということは,排出ごみに無関心の市民の皆さんが減らないということにほかなりません。これらのごみが減らないという現実をどのように考えておられるか,お伺いします。
次に,第3点目,再資源化の推進についてであります。
再資源化の問題は,ただいまのごみ減量化と表裏一体の問題でありますので,今回はあえて取り上げさせていただきました。
燃やせるごみ,燃やせないごみが増えているということは,それらのごみの中に資源となるごみが増えていると推測することもできます。再三申し上げておりますが,燃えないごみ用の黄色い袋には,資源回収と間違えるくらいアルミ缶やスチール缶が詰まっております。
一方,令和元年度実績で,燃やせるごみの組成の重量割合を見ても,湿ベースで紙,布類39.1%,ビニール,合成樹脂,ゴム,皮革類22.1%,厨芥類23.9%,木,竹,わら類9.9%であります。これらの中にも資源ごみが相当混じっているはずであります。そろそろ燃やせるごみの削減に何らかの手を打つべきと考えます。いかがでしょうか。
根深い問題でありますので,市長にお伺いいたします。
○鈴木一成 議長 大谷 明市長。
〔大谷 明市長登壇〕
◎大谷明 市長 清水立雄議員の1項目め,環境問題の地球温暖化対策のご質問のうち,2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ達成に向けてについてお答えいたします。
まず,市第3次環境基本計画でございますが,昨年度の策定に当たりましては,市環境審議会での審議に加え,議員の皆様をはじめ,アンケート調査やパブリックコメントにおきましても多くの皆様からご意見をいただきました。いただいたご意見とともに,市環境審議会の答申内容をまとめまして,さきの3月に新計画として決定したところでございます。
また,新計画における地球温暖化対策の内容につきましては,2030年度の目標として,市域全体の温室効果ガス26%削減とともに,2050年カーボンニュートラルを目指すことを明記し,環境審議会からは高い評価をいただいたところでございます。
先月5月に,私は水戸市で開催された気候変動に関する講演会に,水戸市や那珂市の市長,大洗町長などとともに参加いたしました。
主な内容は,地球温暖化対策における今起こっていることを知ること,また現実を知り,何をすべきか考えることの重要性について,さらには,みんなが知れば必ず変わるというメッセージが込められた講話でありました。改めて,気候変動対策を推進するには,現状について学び,知り,それを具体的な行動につなげていくことが重要であると認識したところであります。
新計画における2030年度の温室効果ガス26%削減は,市,市民,事業者が一体となって取り組まなければ達成できない極めて高い目標であります。
市といたしましては,新計画の内容を市民の皆様に幅広く知っていただくことが重要であると考えることから,今年度は特に積極的な周知啓発活動に取り組んでまいります。
さらには,市職員におきましても,それぞれが環境に関する高い意識を持ち,自分ごととして環境問題に対して行動することが必要であると考えることから,特に次世代を担う若手職員を対象とした環境に関する勉強会を開催したいと考えております。
また,新計画の目標達成を目指すためには,環境マネジメントシステムの考え方に基づくPDCAサイクルの取組が重要だと考えております。
その中でも,Cに当たるチェック体制につきましては,これまでの環境審議会に加え,今後は庁内のチェック体制を強化するため,副市長をトップとする環境保全推進委員会を開催したいと考えております。さらには,それらの結果を計画の見直しにつなげてまいります。
2050年脱炭素社会実現に向けたロードマップにつきましては,市,国,国際社会などの環境に関する計画や目標等を集約した表を,本市のロードマップとして作成いたしました。
今後につきましては,国の新たな計画や施策等に基づき,適宜,本市の具体的施策を追加してまいりたいと考えております。2030年度,さらにはその先の2050年の目標達成を目指して,本市の気候変動対策に積極的に取り組んでまいります。そのほか具体的な市の取組等につきましては,担当部長から答弁させていただきます。
次に,2点目のごみの減量化の推進と,3点目の再資源化の推進につきましては,併せてお答えいたします。
本市におけるごみの排出量は,全体では令和2年度までの10年間において震災時を除き一貫して減少し,震災前の水準を大きく下回っております。これは1人当たりの量でも同様です。
一方で,1人当たりの家庭系ごみの燃やせるごみと燃やせないごみは,平成30年度から増加に転じております。特にここ数年,自己搬入ごみが増加しており,これが,集積所に出されるごみが減少しているのにもかかわらず平成30年度から増加に転じた要因と捉えております。
自己搬入ごみが増加する要因には様々なものが考えられますが,現状においては簡単な手続だけで1日に何度も施設への搬入ができますことから,より適切な排出をしてもらえるような対策を取ることについて検討を開始したところでございます。今後,具体的な施策につなげられるよう取り組んでまいります。
次に,再資源化につきましては,ごみへの混入をいかに減らしていくかが課題であると認識しております。
まず,不燃ごみに混入されている場合は,収集後に委託業者による分別を行い,再資源化を図っております。その割合は年々減少しており,以前より分別が進んできてはおりますものの,さらに徹底していくことが必要であります。
また,燃やせるごみに関しては,収集後の分別は困難なことから,さらに市民に分別を徹底していただくとともに,その一方で,新たな取組も必要であると考えております。
今月4日に,新たな法律,プラスチック資源循環促進法が成立いたしました。現在,容器包装プラスチックにつきましては,容器包装リサイクル法に基づき,本市でも資源回収を行っているところですが,この新法は,使い捨てプラスチック製スプーンなどの容器包装に含まれないプラスチック製品が燃やせるごみとなっている現状を踏まえ,地球温暖化対策やごみ減量などの観点から,これらの再資源化を目指すためのものでございます。
このことから,本市におきましても再資源化について検討を始めるとともに,どのようなものが再資源化できるのかなど必要な情報についても発信してまいります。
また,市ではこれまで,自治会等での市政ふれあい講座の開催など様々な機会を通して,ごみの減量や再資源化がなぜ必要なのかについて周知啓発に努めてまいりましたが,今後は自己搬入者への啓発なども行いながら,これまで以上にごみの減量化,再資源化を推進してまいりたいと考えております。
こちらも,そのほか具体的な取組等につきましては担当部長より答弁をさせていただきます。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 1項目めの1点目の1つ目,2050年度までの温室効果ガス排出実質ゼロ達成に向けて及び2つ目の市内のCO2排出量とCO2吸収量について,先ほどの市長からの答弁と重複する部分もありますが,私のほうからは今後計画している具体的な取組についてお答えいたします。
まず,2030年度の温室効果ガスの排出量を26%削減する具体的な取組といたしましては,新計画に明記した目標等の内容を市民の皆様とともに市の職員が十分に理解し,自分ごととして捉えていくことが必要だと考えております。
まず,市民の皆様に対する周知啓発につきましては,市報やホームページでの周知に加え,今年度は小中学校や自治会など地域での出前講座を年3回程度実施する予定であり,今後は段階的に年8回程度に回数を増やして開催する計画となっております。
また,昨年度は
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から開催を中止した環境シンポジウムにつきましては,次世代を担う小中学生が日頃の環境活動を発表する場として重要な環境啓発イベントでありますので,令和3年度は開催する予定であります。
なお,昨年度実施し,約2,000回の視聴実績がありましたオンラインフェスと融合した新たな形式の環境シンポジウムを計画しております。
さらに,環境シンポジウムにおきましては,小中学校だけで3校の発表を予定しております。各発表校に対しましても,新計画や地球温暖化の問題など,発表につながる内容の講座の開催を提案したいと考えております。
次に,市の職員に対する周知啓発につきましては,全庁的に環境意識を高める必要があると考えております。
本市では,毎年,各課1名の職員をエコリーダーとして選出しております。このエコリーダーは,各課で取り組むエコドライブや不要な照明の消灯などに加え,太陽光発電システムや照明のLED化など,省エネ設備の導入状況等についての報告を担当しております。
2050年脱炭素社会の実現を目指すためには,次世代を担う若手職員の環境意識を高める必要があると考えております。今年度は,本市の気候変動対策の現状に加え,国や国際社会の計画や目標等について,特に若手職員対象の勉強会を開催する予定であります。
また,気候変動対策担当の職員につきましては,国や大学,環境自治体会議を引き継いだ団体等が主催する研修会に積極的に参加しております。現状はほぼ全てがオンライン開催となっておりますが,国を代表する有名な講師の方に直接質問することができる説明会もあり,職員研修として有効に活用しております。
次に,PDCAサイクルの取組につきましては,これまでの環境審議会に加え,令和3年度は環境保全推進委員会の開催を予定しております。環境保全推進委員会は副市長をトップとした庁内組織であり,PDCAサイクルに基づく気候変動対策や市第3次エコオフィス計画の進捗状況のチェックを行い,次の施策等へ反映してまいりたいと考えております。
なお,市第3次エコオフィス計画は令和4年度に見直しの年となりますが,法律の改正に伴い,国の計画等も大幅に変更になる予定となっておりますことから,今年度から見直し作業に取り組みたいと考えております。
また,2050年カーボンニュートラルを目指したロードマップにつきましては,今月9日に地域脱炭素ロードマップが示されるなど,日々新しい情報が国から発信されております。その中では,市町村の新たな役割や,公共施設における太陽光発電システムの整備など具体的な施策等も示されているところであります。
市といたしましては,2050年の脱炭素社会実現を目指した施策等について,まずは情報収集に努めるなど前向きに検討し,適宜,本市のロードマップに追加してまいりたいと考えております。
さらには,市域全体の気候変動対策につきましては,ご質問の市域のCO2排出量は全体で278万3,000トンとなります。
分野別には産業部門が全体の73%を占め,202万2,000トンとなります。続いて運輸部門が11%で30万5,000トン,さらに家庭部門が8%で22万8,000トン,業務その他の部門が7%で20万5,000トン,廃棄物分野が1%で2万2,000トンとなっております。こちらは,環境省が公表している自治体排出量カルテの最新データである,平成30年度の本市域の温室効果ガスの排出量であります。
また,CO2の削減量につきましては,基準年度となる2013年度の全体の排出量となる286万8,000トンと比較すると,約3%の削減となります。その中で,全体の7割を占める産業部門では202万2,000トンと増加しておりますことから,2030年度の目標を達成するためには,市内の事業者等とともにさらなる取組が必要だと改めて認識したところであります。
市といたしましては,一定規模以上の事業所はそれぞれの削減計画に基づく目標等を設定し,取り組んでいくこととなりますが,それ以外の中小企業や家庭に対しましては市の役割は大きいと考えております。
来月7月から家庭に設置する蓄電池の補助事業の受付を開始しますが,今後につきましても,家庭等に対する気候変動対策に寄与する支援策等については検討してまいります。
次に,本市域のCO2の吸収量につきましては,現状では排出量と同様の公表データはございませんので,推計値としてお答えいたします。
2006年IPCCガイドラインに基づいた森林吸収量の算定方法によりますと,約620.4トンとなります。これはあくまでも推計値であり,算定方法を変更すると全く異なる数値となります。
2050年の脱炭素社会を実現するためには,CO2吸収源の森林等の保全に取り組みながら,CO2が排出する量をできるだけ抑制していくことが重要であります。
繰り返しとなりますが,市民,職員一人一人が環境問題を自分ごととして捉えられるよう,一層周知・啓発に取り組むとともに,国等から示される新たな施策等につきましては,PDCAサイクルの取組である環境保全推進委員会で協議し,さらには環境審議会に諮りながら積極的に検討してまいりたいと考えております。
続いて,2点目のごみ減量化の推進及び3点目の再資源化の推進につきましては,関連がありますので一括してお答えいたします。
まず,本市のごみの状況でございますが,全体の排出量は,平成23年度に震災の影響で増加した以降は昨年度まで一貫して減少傾向にあり,これは1人当たりの量でも同様でございます。令和2年度と震災前の平成22年度を比較しますと,全体量は92%,1人当たりでは94%にまで減少しております。
また,令和2年度は事業系のごみが前年度比87%であったのに対し,家庭からのごみは1.8%の増となっており,コロナ禍の影響が如実に表れたものと分析しております。
なお,こちらにつきましても,平成22年との比較では事業系ごみが95%,家庭ごみは88%まで減少しているところであります。
一方で,ごみの中には再資源化できるものが混入しているのも事実であり,これをいかに減らしていくかが課題であると認識しております。
また,混入されてしまったものにつきましても,極力再資源化を図るため,不燃ごみの場合は収集後に分別を行うことで,不燃ごみや自己搬入ごみの約半分から3分の1程度の量を再資源化しております。これにつきましても現在まで減少を続けており,震災前の平成22年度との比較では71%となっています。
可燃ごみにつきましては,収集後に分別して再資源化を図ることは困難でありますが,クリーンセンターでは焼却後に残るスラグなどを再資源化しております。
また,焼却熱を利用した発電を行い,年間で約1万3,000トンのCO2の削減につなげているところであります。
もう一つの課題としましては,ごみ発生そのものを抑制するリデュースを推進していくことだと考えております。
一例としまして,本市が平成19年度から進めておりますマイバッグ運動でございますが,令和2年度はレジ袋の辞退率が87.3%に達し,年間で95トンのレジ袋を削減することができました。これをレジ袋の製造から廃棄までのライフサイクルで見てみますと,475トンのCO2の削減になります。これは一例にすぎませんが,今後はこうした取組をさらに広げていく必要があるものと考えております。
現在,新たな取組として検討しておりますのは,昨今関心が高まっております食品ロスにつきまして,今年度,飲食店の協力を得て食品ロス削減に向けた取組を行うこととしており,今後,飲食店との協議を進めてまいります。
さらに,生ごみには水分が約80%含まれておりますことから,各家庭において生ごみはしっかり絞る「水切り」,残さず食べる「食べ切り」,食材を無駄なく使い切る「使い切り」の3切り運動を徹底し,ごみ減量化に向けて市民への協力を呼びかけていきます。
また,ごみの減量や資源循環の観点から大きなウエートを占めるプラスチックにつきましては,容器包装の削減を図るため,市自らが率先して職場でのマイボトルを推進し,普及を進めていくとともに,プラスチック資源循環促進法が成立しましたことから,制度を見据え,容器包装以外のプラスチックについて再資源化を検討してまいります。
ごみの減量や発生抑制などの課題の根本的な解決には,排出者である市民,事業者の協力が欠かせません。そのため,これまでごみが多く出される年末前に,12月号の市報にて3Rの啓発や,ホームページでの動画配信はもとより,集会所へ出向いて開催する市政ふれあい講座,環境教育における小学生を対象とした3R講座の開催や,消費生活展などのイベント会場で寸劇を交えた多くの市民向けの講座など,あらゆる機会を捉えて,ごみの減量,再資源化について理解の増進に努めてまいりました。
また,分別の徹底に関しましては,現在,自治会未加入者が多いアパートやマンションなどに市職員が直接出向き,外国人向けのものも含めたごみの出し方のパンフレットを配布するとともに,違反ごみの中に個人を特定できるものがあれば違反者への直接指導を行うなどしておりますが,地域からの情報も得ながらさらなる周知を図ってまいりたいと考えております。
さらに,ごみの出し方や分別状況が悪い箇所などは説明会や講座の開催などを地域に働きかけ,市民の意識向上を図ってまいります。
今後は,ごみや環境の問題を自分の問題として捉えてもらうためには子どもの頃からの意識づけが重要でありますことから,環境教育において地球環境とごみ問題を絡めながら,なぜ分別や再資源化が必要なのかをより理解してもらえるような内容に改善していきたいと考えております。
また,市民や事業者が実践しているごみの減量化,再資源化に関するアイデアや取組など,これまであまり発信してこなかったような情報につきましても共有を図るとともに,さらに既存の取組も繰り返し継続して行いながら,市民の意識の向上に努めてまいります。
○鈴木一成 議長 21番清水立雄議員。
◆21番(清水立雄議員) 詳細なご答弁ありがとうございました。
ただ,1つ欠けていることは,市民一人一人にどうして環境に対してもっと深い意識を持ってもらうかということが,その具体策が欠けているんですよ。市報で周知するとかそういうこと,それも必要ですけれども,一人一人にどうやって浸透させるかという,そういう施策がもう以前から見えてこなかった。そこに問題があると思いますよ。
市長がお忙しいところ,何という講演会だったかちょっと聞き逃しましたけど,水戸でお聞きになってきた。隣接の市長さんもお聞きになったということで,まずは現実を知るということ,これは環境関係の問題解決の基本なんですよ。そのときになぜかと,なぜそれが必要なのか,なぜそうなっているのかという,なぜ,なぜということをやっぱり言われればね。どういうことでもそうじゃないですか。大人が子どもに教えることだって,学校で教師が子どもに教えるときだって,なぜということを教えれば意外と理解しやすいんですよね。
だから,市民の皆さんに訴えるときも,なぜそれが必要なのか,今の地球温暖化がもう待ったなしなんだよということを。現実を見たって分かるでしょうと,異常気象や何かを見たって分かるでしょうということを知ってもらう必要がある。それは単に,市報や何かだけじゃなくて,何かもっと行き渡るようなシステムといいましょうか,そういう組織といいましょうか,これは私は考える必要があるだろうというふうに思います。そうじゃなければ,いつまでたっても同じことの繰り返しじゃないかなというふうに思います。
それから,副市長を先頭に,正確な名前はちょっと書き逃したんですけど,環境保全推進委員会と言ったんでしょうか,何か抜けているかもしれませんけど,これはやっとここまで来たかというような印象を受けたんですが,でも内部評価では駄目だといつも言っていますけど,でも現在の段階では外部評価は考えていないんでしょうけども,やっぱり厳しい評価をしなければ意味がないということをよく肝に銘じて環境問題に取り組んでいただきたいというふうに思います。
それから,ロードマップですね,これを作っていただきました。しかし,これも何度も申し上げていますけど,このロードマップ,帯は書かれているんですが,どのようにして26%削減するかということ,これがここに書いていないんですよ。それはこれからだとおっしゃったかもしれませんけど,もうできることからでいいから,考えられることからで結構ですから,もうそれを体系化していかなければ,なかなか先へ進まないだろうというふうに思っております。
それから,全庁的に各課に1人ずつエコリーダーを設けて,これから推進していくということでありますけれど,やっぱり人ごとじゃ駄目なんですよ。リーダーだけじゃなくて,自分も車の暖機運転とかそういうものを極力抑える。誰でも立派な車に乗りたいという気持ちはあるんです。よく分かりますけれども,やっぱり二酸化炭素の排出のことを考えたらば,それでいいのかどうか自問自答してみる必要もあるだろうというふうに思います。
それからもう一つ,意外だったのが,CO2の吸収量が620.4トンなんですか。こんなもんでしょうかね。
その前に,今までの私の再質問に対して,指摘に対して,市長のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
○鈴木一成 議長 大谷 明市長。
〔大谷 明市長登壇〕
◎大谷明 市長 再度のご質問にお答えいたします。
様々なご指摘をいただいたことに関する私の所見という再質問だというふうに認識しておりますが,私が先月5月に行ってきたシンポジウムにおいて,やはり現実を知る,そして学ぶ,そして自分ごととして,自分の行動としてどんなことができるのかというのを明確に知ることによって,自分の行動が変わっていくというような実感を持ったことは確かでございます。
また,その講演会の中で非常に印象に残った言葉が,我々世代は地球温暖化の影響を最初に受ける世代であり,また止められる最後の世代である,というような言葉をその講師の方が使っておられました。こういった表現も含めて,非常に心に届くメッセージだったというふうに私自身感想を持っております。
私どもが様々な啓発活動をしていく上で行き渡るというシステム,またその手法もさることながら,その中でどのような表現において訴えかけていくのか,その中身に関しても精査をし,努力し,改善をしてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木一成 議長 21番清水立雄議員。
◆21番(清水立雄議員) ありがとうございます。ぜひ具体的な取組をお願いしたいというふうに思います。
それから,森林のCO2の吸収量でありますけれども,620.4トンとおっしゃったでしょうか。ちょっと私の聞き違いだったでしょうか。これ,そんなものなんですか。
再度よろしくお願いします。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 再度のご質問にお答えいたします。
先ほど,森林吸収量につきましては,IPCCガイドラインに基づいた森林吸収量の算定方法で計算したものでありますが,約620.4トンとなっております。
○鈴木一成 議長 21番清水立雄議員。
◆21番(清水立雄議員) それでは,木1本1本を数えるわけにいかないでしょうから,多分面積から計算したんだろうと思いますけど,森林面積と言っていいというふうに思うんですけど,この算出に使った面積は何ヘクタールだったんですか。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 再度のご質問にお答えいたします。
この森林の,多分面積だと思いますが,今,大変申し訳ございませんけども,資料をお持ちしておりませんので,後ほどご回答させていただきたいと思います。
いずれにしましても,これらの数値はあくまで推計値として算定しておりますので,その算定方式はいろいろございます。
例えば,京都市が定めた算定方式とか,独立行政法人環境再生保全機構の大気浄化植樹マニュアルに記載されている,幹の太さとか葉の面積などから吸収CO2を測るような算定もございますので,あくまで算定値としてご確認していただければというふうに思っております。
○鈴木一成 議長 21番清水立雄議員。
◆21番(清水立雄議員) ありがとうございました。
次に,第2項目め,都市計画問題についてであります。
第1点目,市毛交差点の渋滞解消についてであります。
この件につきましては,令和2年3月議会でも取り上げさせていただきました。
第2次総合計画では,市毛交差点の渋滞を緩和するため,国道6号と県道那珂湊那珂線の立体交差化について,引き続き国,県に要望しますと記述されております。
また,第3次総合計画におきましても,トーンダウンはしたものの,主要地方道路那珂湊那珂線の市毛交差点改良促進と掲げてあります。平成18年から課題視されております問題なのであります。
県道那珂湊那珂線の朝晩の渋滞は,自衛隊方向からにしても那珂市方向からにしても,水戸方面にそれぞれ左折または右折する車によって著しい渋滞が発生しております。
また,自転車による6号国道の横断及び二中生徒の登下校時において,自転車通学者における歩道の滞留は,大きな危険と,一般歩行者に対しても大きな迷惑となっております。
また,朝の出勤時,那珂市方向から水戸方面への市毛交差点の渋滞も市毛小学校の先まで続いており,一部の車両は市毛地内の住宅地を通り抜けるため,地域住民や登校時の児童生徒に対する危険が増大しております。
第3次総合計画におきましても同様の記述がされておりますし,第3次都市計画マスタープランにおきましても,国道6号と交差する県道那珂湊那珂線では交差点付近で慢性的な渋滞が発生しており,早期の対策が求められています,と記述されております。
これらの問題をどう解決するか,市長にお伺いいたします。
次に,第2点目,都市内連携軸の一つである昭和通り線沿道の商業施設等及び新交通システムの誘導についてであります。
第3次都市計画マスタープランによりますと,勝田駅からひたちなか地区を結ぶ昭和通り線を都市内連携軸と位置づけ,多様な手段によるネットワーク強化を推進しております。
沿道には,市役所,警察署をはじめ,多くの公共施設や高校,国立高専が存在しております。図書館も新築されるかもしれません。
また,多くの観光客がひたち海浜公園に来園するにもかかわらず,お土産を買う場所が見つからない,大勢の観光客がタコ飯や海鮮丼を食べるのを楽しみに来園したが,近くに食べる場所がない,期待外れをされてお帰りになります。行政はそれ以前にそういった課題に気づいておかなければなりません。
また,観光バスやマイカーで来園される観光客ばかりではありません。新交通システムを含む昭和通り線,都市内連携軸のグランドデザインを早急に描く必要があると考えますが,どのようにお考えか市長にお伺いします。
第3点目,都市計画道路の見直しについてであります。
この件につきましても,さきの3月定例会の代表質問の中で質問させていただきました。
部長答弁では,都市計画道路の再検討カルテでは,県の再検討指針に沿って,道路ネットワーク上の役割,廃止による機能代替路線の有無,支障となる建築物の有無などを評価しております。
道路ネットワーク上の役割につきましては,広域的な都市間連携機能,それから医療施設,商業施設,教育施設など,主要施設にアクセスしている路線かどうか,あるいは災害時の基幹的な避難路などとして位置づけられているかどうか,路線バスなどの公共交通の導入計画があるかどうか,市街地の街区を形成する上で必要な路線かどうかといった視点からも評価を行っております,というご答弁でありました。
順次,掘り下げて質問させていただきます。
まず,都市計画道路の見直しの中で,再検討カルテは誰がどのように作成,評価したものか,客観性はあるのか伺います。
次に,廃止するという案で示されている代表的な個別の路線について見解をお伺いします。
まず,3・4・155,津田後台線の1ですが,約1キロメートル以内に国道6号が走っており,代替になるということですが,災害時には非現実的でありますし,また,この道路は上坪浄水場への動脈となるはずであります。
また,この2月にはこの沿線付近で火災がありました。火災現場に近づける消防車両等は限定的でありました。
次,3・5・156,津田片岡線の1ですが,これも国道6号が代替になるということです。現実的ではありませんし,津田後台線との連続性を考えなければなりません。
次に,3・4・121,武田市毛線ですが,3・3・34,市毛釈迦町線に転換した場合でも,交通処理,道路密度を充足すると書かれておりますが,市毛十字路の渋滞にさらに拍車をかけることになるのではないでしょうか。
また,膨大な整備費がかかるということでありますが,整備費が幾らかかるか伺います。
○鈴木一成 議長 大谷 明市長。
〔大谷 明市長登壇〕
◎大谷明 市長 1点目の,市毛交差点の渋滞問題についてお答えいたします。
国道6号と交差する県道那珂湊那珂線では,かねてより交差点付近の渋滞が問題となっております。昭和50年代の後半頃には,交差点の東側では県信の交差点,西側では市毛小学校の先まで慢性的な渋滞が発生していたと記憶しております。
平成2年には西側の4車線化工事が完了し,右折レーン,左折レーンが整備されるなど,徐々に改善してきております。
東側もかつてよりは改善されているものの,現在でも朝夕の通勤時間帯には,渋滞の長さにしておよそ300メートル前後,信号3回から4回待ちといった状況が発生していると把握しております。
この交差点は,昭和44年に国道,県道ともに4車線の立体交差とする都市計画決定がなされております。立体交差化につきましては令和元年度に県から打診がありましたが,地元地権者等の意向を確認したところ,国道6号沿いに立地する飲食店等には拡幅に伴う移転が生じ,個人にとっては死活問題であるといった意見や,国道6号の拡幅にこれまで何度も協力してきた地権者からは,これ以上用地の提供はできないといった強い意向が示されたところでございます。
さらに,立体交差化の前提となる県道那珂湊那珂線の市毛交差点より東側の4車線化も事業化のめどが立たないことから,立体交差化は極めて困難な状況であると判断しております。このことは,昨年3月の本会議において担当部長からご答弁申し上げた状況と変わりございません。
こうした中,市毛交差点の渋滞問題についてご指摘のあった幾つかの課題に対し,今取り得る対策に取り組んでまいりたいと考えております。
まず,県道那珂湊那珂線の渋滞対策といたしましては,幅員の狭い交差点東側の改良を行いたいと考えております。
東から西行きの車線は直線レーンと右折レーンしかなく,直進車と右折車が同一レーンに並ぶことから,6号を横断しようとする人がおりますと左折車が進めなくなります。これにより直進車も進めなくなるということから,渋滞を助長している状況が見受けられます。そのため,左折レーンを増設することで渋滞の緩和が図られるものと考えております。
関係する地権者が少なく,効率的で効果が見込まれる左折レーンの増設について,引き続き県に要望してまいります。
そのほか,ご指摘に対する個別の対応につきましては担当部長からご答弁申し上げます。
次に,2点目の,昭和通り線沿道の商業施設等及び新交通システムの誘導についてお答えいたします。
昭和通り線につきましては,平成2年11月に当時の勝田市が,中心市街地とひたちなか地区とを結ぶ市のシンボルロードとして,快適な道路環境の形成と都市のイメージを高めるシンボリックな空間の創造を目指す基本構想を定めております。
この構想では,全長約5.8キロメートルを5つのブロックに分け,緑と海へのプロムナードづくりを基本テーマとして整備に取り組むこととしております。
沿道の土地利用につきましては,都市計画法に基づき,市が定めた用途地域等に従うこととしております。
勝田駅から中丸川までの中央ブロックは主に商業地域として,またその先,東中根高場線までの中根ブロック及び東部第2工区界までの向野ブロックは主に近隣商業地域として,それぞれ商業・業務系の高度な土地利用が可能です。その先のひたちなか地区界までの馬渡ブロック沿道は,市街化調整区域ですが,許可基準に該当する飲食店や小売店等の立地は可能です。
そして,ひたちなか地区は地区計画に基づき,国際港湾公園都市の実現にふさわしい商業・業務機能の集積を図ることとしております。
このように,昭和通り線沿線の土地利用に関する全体構想としてのグランドデザインは,都市計画法に基づく区域区分,用途地域,地区計画によって,土台となる部分は定まっているものと認識しております。
市といたしましては,これまで中央ブロック都心ゾーンの一部である勝田駅から旧NTT前交差点までの区間及びひたちなかブロック新都心ゾーンである国道245号から海浜公園西口までの区間において,電線地中化や歩道の整備,彫刻の配置を行うなど,質の高い道路空間づくりに取り組んでまいりました。
沿道の土地利用も徐々に進んでまいりましたが,都心ゾーン,新都心ゾーンの商業施設等の集積を見ましても,シンボルロード構想の実現は途上であると認識しております。
こうした中,近年,国営ひたち海浜公園を中心に多くの観光客が本市を訪れるようになり,観光関連産業は本市を支える重要な産業の一つとして成長しております。交流人口や関係人口拡大の観点からも,観光客目線でのまちづくりを重要な視点として付け加えることが必要になってきていると考えております。
また,これまで主に市民の日常生活を支える目的で定着してきた路線バスによって,観光客のニーズを十分にカバーし切れない部分もあろうかと思います。第3次都市計画マスタープランでは,昭和通り線を都市内連携軸と位置づけ,多様な手段によるネットワークの強化を図ることとしております。
昭和通り線の連携機能強化のため,旅客需要の安定性や事業の採算性を考慮しつつ,新交通システムを含む新たな交通手段の可能性について調査研究を行う必要があると考えております。
○鈴木一成 議長 小倉 健都市整備部長。
〔小倉 健都市整備部長登壇〕
◎小倉健 都市整備部長 1点目の,市毛交差点の渋滞問題に関連いたしまして,ご指摘のありました件とその対策についてご答弁を申し上げます。
勝田第二中学校の自転車通学者が歩道で滞留する問題につきましては,1列に並んで歩行者の邪魔にならないよう,学校の協力を得ながら引き続き指導をしてまいります。
また,自転車で国道6号を横断する際の危険性を低減するため,自転車横断帯のカラー舗装を国に要望してまいります。
交差点西側において,渋滞を回避するために抜け道を通る車があるというご指摘につきましては,付近の事業所に通う従業員あるいは保育園の送迎の車等もあろうかと存じますので,地元自治会等の意見もお伺いしながら,実態を調査して対応を検討したいと考えております。
次に,3点目の,都市計画道路の見直しについてお答えいたします。
まず,再評価カルテの作成主体,これは市でございます。市は平成30年度に茨城県都市計画道路再検討指針に基づいて,計画決定から20年以上経過し,未完成のままとなっている都市計画道路41路線について再評価カルテを策定いたしました。
作成手順につきましては,上位計画による路線の位置づけや道路機能の検証,代替路線の有無,事業化の支障となる要因の検証,道路構造令との整合について評価を行い,見直し方針の素案を作成するまでの作業を行ったものでございます。
その後,令和元年度に素案に基づく再編道路網案の適切性の検証,これを外部委託によって行っております。これは国土交通省が示す将来交通需要推計手法によって行う専門的な検証作業であります。人の移動と物の移動によって生成される将来交通量を推計した後に,再編後の道路網に基づく各路線の交通量を推計し,交通処理が適切に行われることを客観的に確認しております。
次に,個別路線の評価内容です。都市計画道路再検討カルテにおいては,評価点がプラス4点以上は存続,マイナス4点以下は廃止,プラス3点からマイナス3点の範囲のものについては要検討路線といたしましてさらに検討を加え,廃止・存続の案を決定しております。
まず,津田後台線の1につきましては,津田地内の市毛後台線のカスミ付近から津田運動ひろば北側の市毛津田線と接続するまでの一部区間620メートルの計画を廃止しようとするものです。再検討カルテによる評価点数はマイナス3点で,要検討でありました。
検討の結果,当初想定した市街地の拡大が見込めないことや,同じ南北を結ぶ路線として国道6号が代替道路となることから,廃止すべきと判断しております。
代替路線となる国道6号の再編後の混雑度につきまして,交通量推計に基づくシミュレーションを行ったところ,0.71でございました。道路が混雑することなく円滑に走行できる目安とされております1.0を下回っておりまして,交通処理に問題ないことを確認しております。
なお,今回の見直しは広域都市間あるいは拠点間の都市計画道路のネットワーク維持を目標に評価を行ったものであり,火災など災害時の計画路線沿線地域への到達性や代替性については考慮をしておりません。
また,上坪浄水場につきましては,国道6号や県道那珂湊那珂線が第1次緊急輸送道路に指定されておりますので,災害時のアクセスは確保されるものと考えております。
次に,津田片岡線の1につきましては,津田運動ひろばから津田小入口交差点までの一部区間400メートルについて計画を廃止しようとするものです。再検討カルテによる評価点数はマイナス2点で,要検討でありました。
検討の結果,想定した市街地の拡大が見込めないこと,同じ南北を結ぶ路線として国道6号が代替道路となること,また,おさえん川を横断する新たな橋梁が必要となり,事業費が多くかかることなどから,一部区間を廃止すべきとしております。
代替路線となる国道6号の再編後の混雑度については,先ほど申し上げたとおり,0.71でございます。
また,津田後台線との連続性につきましては,津田北部土地区画整理事業によって既に完成している区間を存続することとしておりますので,ネットワーク上の問題はないと考えております。
武田市毛線につきましては,堀口小学校西側から市毛地内の自動車学校付近までの一部区間1,320メートルについて計画を廃止しようとするものです。再検討カルテによる評価点数はマイナス2点で,要検討でありました。
検討の結果,この区間は土地区画整理事業によって整備を行う予定でありましたが,事業費を賄えるほどの地価の上昇が見込めない現状において,市は新たな土地区画整理事業への着手を考えていないことから,この手法による整備が不可能な状況です。
また,単純買収で行う場合でも,移転の対象となる家屋等が約90棟と多数に上り,多額の事業費がかかると見込まれます。当該路線と平行して東西を結ぶ市毛釈迦町線が代替道路となることから,一部区間を廃止すべきとしております。
代替路線となる市毛釈迦町線の再編後の混雑度につきましては0.63ということで,1を下回り,交通処理に問題ないことを確認しております。
今回廃止する区間を仮に建設する場合の概算事業費ということでございますけども,用地費が約7億円,補償費が約27億円,整備費が約3億円ということで,合計約37億円と見込んでおります。
○鈴木一成 議長 21番清水立雄議員。
◆21番(清水立雄議員) ありがとうございます。
この評価に客観性があるのかどうかという問題をご指摘させていただいて,次の質問に移ります。
第3項目め,新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
7月末までに接種対象者の70%を超える高齢者ワクチン接種が進む予定であるということであり,6月下旬には60歳から64歳の方にも接種券が送付される見込みとなったということであります。やっとここまでこぎ着けたかと,関係の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。
第1点目であります。60歳未満の市民の接種計画を,可能な範囲で結構ですからお伺いします。
第2点目,原子力事故のときも「正しく恐れろ」と言われてきました。新型コロナウイルス感染症につきましても,そのときそのときの感染者の市内の様子を把握することによって,より正確な感染状況,対策が講じられるのではないかと考えますが,実態はどのようにお考えかお伺いします。
○鈴木一成 議長 森山雄彦福祉部長。
〔森山雄彦福祉部長登壇〕
◎森山雄彦 福祉部長 3項目めの1点目についてお答えいたします。
市の今後の接種計画については,60歳から64歳の方,約8,800人に6月末に接種券を送付いたします。
同時期に59歳以下の基礎疾患を有する方,推計6,600人には,市に申請することにより接種券を発行できるように,現在調整をしているところです。
59歳以下の方の接種券送付については,年齢を5歳もしくは10歳刻みに分けることを検討いたしております。発送時期につきましては,60歳から64歳の予約状況を見極めながら,ひたちなか市医師会と調整し,決定次第発送してまいります。
今後は職域での接種が進むことが想定されることから,対象の方には接種券を発行してまいります。
市としましては,ひたちなか市医師会や関係機関の意見を聴取するとともに,国の動向を注視しながら迅速かつ効率的な対応を図ってまいります。
次に,2点目についてお答えいたします。
感染者情報につきましては,保健所を所管する県または水戸市が医療機関からの発生届を基に公表を行っております。
県が公表する情報は,当初は感染経過や行動歴,濃厚接触者の検査結果など詳細に公表しておりましたが,プライバシーに関する反響が大きく,現在は感染者に関する情報など,大まかな感染経路などに限定しております。
市は公表直前に同様の情報を受けております。県はその一方で,クラスターが発生した場合,集中検査を実施するとともに,不当な差別等を招かぬ範囲で施設名を明らかにしております。感染経路を知らせることで,該当する市町村の住民に向けて不安の解消と注意喚起を行っているものと認識しています。
このように,市内の感染状況を把握する機会は限られていますことから,市では県と水戸市の公表情報を基に市内の感染情報を一覧化するとともに,日ごとの推移をグラフ化して市ホームページで公表しております。
また,市職員が感染した場合は,個人情報に配慮しつつ,所属部署,市民の方との接触状況を公表し,注意喚起を行っております。
そのような中,市が詳細な情報を知る機会としまして,県から協力要請に基づき,感染拡大防止のためクラスターが発生した施設に対する対策班の一員として市保健師等を派遣するとともに,小中学校や保健所に通う児童が感染した場合には,市保健師や養護教諭を中心に接触者のPCR検査を行ってまいりましたが,いずれもプライバシーに考慮し,公表は控えております。
今後も引き続き,県や保健所との連携を図り,感染情報の発信と感染拡大防止対策に努めてまいります。
○鈴木一成 議長 以上で,21番清水立雄議員の質問を終わります。
暫時休憩します。
午前11時56分 休憩
───────────────────────────────────────────
午後0時59分 開議
○鈴木一成 議長 休憩前に引き続き,会議を開きます。
次に,13番薄井宏安議員。
〔13番 薄井宏安議員登壇〕
◆13番(薄井宏安議員) 新生ふるさと21の薄井宏安でございます。通告に従いまして,令和3年第4回
ひたちなか市議会6月定例会に当たり,一般質問をさせていただきます。
今なお,新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中,高齢者へのワクチン接種が始まり,本市においてもワクチンへの期待が高まっております。健康推進課を中心とした職員の皆さんはもちろんのこと,現在も医療現場の最前線でご尽力をいただいている医療従事者をはじめ,関係者の皆様に心から敬意を表するものであります。
政府は,東京,大阪など10都道府県に発令している緊急事態宣言の解除の可否について,本日中にも判断するようでありますが,様々な感染拡大防止策を打ち出し,医療崩壊を防ぐ医療体制の充実や経済対策に万全を期すための取組を期待するところであります。
本市においては感染拡大市町村に指定されておりませんが,引き続き独自の対応策を打ち出し,ワクチン接種については,市民が混乱しないよう,接種する方々の目安を示すなど,現実的なスケジュールで接種を進められるよう,分かりやすく情報を提供し,実情を踏まえた対策を講じていただきたいと思います。
それでは,1項目め,一般家庭ごみについての質問に入らせていただきます。
持続可能な社会をつくり,豊かな地球を未来に残し,限られた資源を有効に活用して地球環境を保全していくためには,循環型社会を形成していくことが必要であると思われます。
2000年に制定された循環型社会形成推進基本法は循環型社会の形成を目的としたものでありますが,制度的枠組みは整ったものの,問題は,どのようにすれば制度を実施化されるかということであります。
消費者は,3つのR,すなわち,リデュース,減らす,リユース,再使用,リサイクル,再生利用を積極的に取り組み,ゼロエミッション,廃棄物を出さない社会を形成していくことが求められております。
本市においても,ごみの減量化や資源の節約などの循環型社会の形成や,地球温暖化防止のための様々な取組がなされている中,ここで質問をさせていただきます。
初めに,(1)として,家庭ごみ収集の現状について,2点お伺いをいたします。
私たちが日々生活する上で切っても切れない関係の一つにごみがあり,このごみ問題は避けては通れないものであります。
そこで,2点質問をいたします。
1点目,本市における家庭ごみ収集に対する基本的な考えをお伺いいたします。
2点目,家庭ごみ収集の取組の現状をお伺いいたします。
次に,(2)ごみ集積所の現状と課題についてであります。
様々な生活条件を持った人々が互いに気持ちよく住むためには,地域社会のルールを守って生活し,私達一人一人が近隣に配慮した住まい方を心がけることが必要であります。
ごみ集積所は,まさに人々が共有する場所であり,各家庭から排出されるごみを収集する場として,利用者がみんなで使う大切な場所であります。
そこで,3点お伺いいたします。
1点目,ごみ集積所は何に基づいて設置されているのか基準をお伺いするとともに,ごみ集積所の設置状況についてお伺いをいたします。
2点目,ごみ集積所の維持管理の現状についてであります。
3点目,ごみ集積所のカラス等の被害について何らかの対応策は講じているのか,お伺いをいたします。
次に,(3)高齢者等のごみ出し支援についてであります。
核家族化やライフスタイルの多様化,高齢化などが進む今日,日常生活を支えているのはコミュニティであり,地域の人々と信頼関係を築き,互いに助け合い,高齢者や障害のある方々も含め,全ての人が安心して住み続けられる住環境を地域全体で総合的に考えていかなければならない時代であります。
国内の全家庭のうち65歳以上の高齢者世帯は4分の1を占め,その半分近くは高齢者の単身とされ,生活意欲や筋力の低下,認知症などを伴って自力でごみ出しができなくなっている方も多く,このことは社会問題となっております。
こうした実態を受け,環境省は,自宅のごみを集積所まで運ぶのが難しい高齢者をサポートするため,自治体などが高齢者宅まで出向いて回収を行うごみ出し支援制度の拡大に乗り出し,自治体向けのガイドラインを策定するとしております。
そこで,2点質問いたします。
1点目,全国的にごみ出しに困難を抱えている高齢者等への支援が課題となっておりますが,本市の見解をお伺いするとともに,併せてその現状についてお聞きいたします。
2点目,全国的に進められている高齢者等ごみ出し支援制度について,本市の見解をお伺いいたします。
次に,2項目め,新たに開校した美乃浜学園についてであります。
令和3年4月,夢と希望を抱き,本市初となる
義務教育学校であるひたちなか市立美乃浜学園が地域の期待を背に,華やかにその歴史の扉を大きく開けました。ここに改めて,開校までの長きにわたりご尽力いただいた多くの関係各位の皆様に感謝を申し上げます。
先日5月28日には開校記念式典が挙行され,式には6年生と9年生が代表して参加し,他の児童生徒は各教室から映像での参加となりましたが,児童生徒を代表して5名からは,多くの方々への感謝の気持ちとそれぞれの夢を語る発表があり,希望に満ちた輝く瞳で,未来に向けて心のこもった決意表明をしてくれました。
また,式の最後には校歌制作者のマシコタツロウさんによる指揮の下,全員で校歌を斉唱し,開校式典に花を添えていただき,児童生徒にとっては忘れることのできない心に残る思い出の開校式典になったに違いありません。
それでは,(1)4-3-2制の教育課程について,質問に入ります。
学校教育法等の一部を改正する改正学校教育法が2016年4月に改正され,現行の小中学校に加え,小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う小中一貫校を
義務教育学校として新たに学校の種類に規定しました。
義務教育学校の修業年数は9年とし,学年の区切りは4-3-2制や6-3制など,学校教育制度の多様化や弾力化を推進するため,カリキュラム編成などは地域の実情に合わせて柔軟に対応できるとしており,本市においては4-3-2制の教育課程として編成したわけでありますが,そこで順次お伺いをいたします。
1点目,市内の各小中学校においては,毎年,学校教育目標の実現に向けグランドデザインを策定しておりますが,美乃浜学園においては本市初となる
義務教育学校であるため,どのようなグランドデザインを策定されたのかお伺いをいたします。
2点目,開校後2か月が経過しましたが,4-3-2制の教育課程において,児童生徒の生活や学習の様子についてお伺いをいたします。
3点目,学級担任制と教科担任制の違いについてお伺いをいたします。
4点目,前期課程の4年生から段階的に教科担任制を導入している現状についてお伺いをいたします。
5点目,4-3-2制の教育課程における,今後考えられる課題等があればお伺いをいたします。
次に,(2)学校施設等の整備についてであります。
学校施設は質の高い教育を実現するための重要な教育条件の一つであり,学校で行われるあらゆる活動の基盤となるものであります。
この学校施設は,児童生徒が1日の大半を過ごす生活の場としてふさわしいものとなるよう,環境改善に取り組むことが求められております。
美乃浜学園においては,9年間の義務教育における系統的,継続的な教育の成果を十分に得られるよう小中学校施設一体型とし,児童生徒の安全・安心な学校生活の確立を基本に,地域の活動や防災の拠点として機能を有するとともに,周囲の自然環境や自然条件にも配慮した学校ということでありますが,そこで質問いたします。
1点目,現在における学校施設等の整備状況についてお伺いをいたします。
2点目,学校用地境界沿いの防風林の整備についてお伺いをいたします。
次に,(3)児童生徒の通学についてであります。
近年,全国において登下校中に児童生徒が交通事故に遭遇する事故が多発しており,登下校中に子どもたちが標的となる犯罪も後を絶ちません。
将来を担う子どもたちが安全に安心して通学できることは,保護者はもちろんのこと,私たちにとっても共通の願いであります。ゆえに,通学時の安全を確保するためには,学校,保護者と警察や教育委員会等の関係機関との連携を図り,取り組むことが重要であります。
美乃浜学園の通学においては,徒歩だけではなく,列車やバスなどの公共交通機関を利用しての通学となっているわけでありますので,なお一層の安全・安心な通学路の確保が重要な課題となっております。
そこで,質問に入ります。
1点目,学校までの児童生徒の通学手段の内訳についてお伺いをいたします。
2点目,列車への乗り遅れや乗り越しへの対応についてお伺いをいたします。
3点目,安全対策における駅にての大人による見守り活動の現状についてお伺いをいたします。
次に,(4)美乃浜学園駅への整備についてであります。
美乃浜学園の開校に合わせ,ひたちなか海浜鉄道は今年の3月に新駅の美乃浜学園駅を開業しました。この新駅は学校名と同じ「美乃浜学園」とし,主に美乃浜学園に通う児童生徒の通学の手段として誕生したわけであります。
安全対策としましては,列車非常停止装置や列車接近案内装置,そして,転落防止対策といたしまして転落防止柵や防犯カメラを設置するなど,児童生徒が安全に利用できるようハード面の対策がなされており,また,見守りの方も一緒に乗車していることから,保護者にとっては安心して列車に乗せられるとの声を聞きます。
しかし,実際に駅を利用していく中で,私も何度か見守りの方々と一緒に列車に乗り,車内での様子や児童生徒の声はもちろん,保護者からも様々な話などを伺う中から,課題も見えてきました。
そこで,3点質問いたします。
1点目,美乃浜学園駅は周囲に風を遮る建物や樹木もなく,砂じんや風じんの影響を直接受けやすいところであります。児童生徒が砂じんや風じんの影響を受けないよう何らかの対応策を講じるべきと思いますが,ご見解をお伺いいたします。
2点目,児童生徒が利用している平磯・磯崎・阿字ヶ浦の各駅にはトイレが整備されておりますが,利用者が多い美乃浜学園駅にも,児童生徒のことを考えますとトイレを設置する必要があると思いますが,ご見解をお伺いいたします。
3点目,駅ホームには4人がけのベンチが2か所設置されておりますが,児童生徒の列車の待ち時間等を考えますと,ホームだけでなく駅ロータリーにもベンチの設置が必要であると思いますが,ご見解をお伺いいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 薄井議員の1項目めの1点目,家庭ごみ収集の現状についてお答えいたします。
本市では,市民,事業者,行政との協働による資源循環型のまちづくりを目指し,3Rの推進や環境負荷の少ないごみ処理体制の維持などから成る基本方針及び数値目標を掲げ,ごみの発生抑制や適正処理を念頭に,ごみの収集・処分に努めているところであります。
まず初めに,家庭ごみの収集でございますが,可燃ごみの収集は市内を3地区に分け,それぞれ週に2回,不燃ごみの収集は2地区,資源回収は4地区でそれぞれ月2回行っております。
このうち可燃ごみにつきましては,量の多さや衛生上の観点から,収集日が休日・祝日であっても回収を行っております。
回収業務につきましては,市内の9事業者に委託し,燃やせるごみはパッカー車18台,燃やせないごみはトラック10台,資源回収はトラック32台で収集を実施しております。
また,資源物につきましては,ペットボトルなどの容器包装を資源回収に追加するなど,時代の変化に合わせて収集品目を見直してきており,牛乳パックや廃食用油のほかに,スマホなどの小型家電についても市内の公共施設及び民間の協力店において拠点回収を行っております。
次に,2点目の,ごみ集積所の現状と課題についてお答えいたします。
ごみ集積所につきましては,燃やせるごみは10世帯,燃やせないごみは30世帯で,それぞれ1か所の設置を基準としております。
設置に際しては,利用者からの届出を受け,交通の支障がないことや,安全が確認できれば届出を受理し,収集を開始いたします。また,設置する土地の所有者に必ず承諾を得てから届出を出すようお願いしているところであります。
集積所の設置状況でございますが,市内には,令和2年度末時点で燃やせるごみが5,566か所,燃やせないごみは3,875か所となっております。
集積所の維持管理につきましては,ごみの適正な排出を促すことや,近隣を含めた良好な生活環境を保全する必要がありますことから,清掃やごみの散乱への対応も含め,基本的には集積所を利用する方にご協力をお願いしているところであります。
また,カラス等の被害対策としましては,ごみにかぶせて被害を防止するネットの5年間無償貸与を行っております。ネットの大きさは幅4メートル,奥行き3メートル,網目5ミリメートルで,縁の部分をごみの下に折り込み,ネット全体でごみを包み込むようにして,小動物に簡単に持ち上げられないような使い方をお願いしております。
そのほかにも,カラス対策としてはボックス型の集積所が有効と考えられますが,ネットと違い,狭い場所に設置した場合,歩行者や車両等の通行の妨げになり,設置可能な場所が限られるなど,抜本的な対策としては難しい面があります。
また,ルールやマナーを守らないごみ出しが集積所の維持管理をさらに難しくしており,いかにして適正な状態に近づけていくかが課題であります。
このため,ネットを適切に使用していただくとともに,生ごみを新聞紙等で覆ったり,水をよく切ることで被害に遭い難いようにすることや,決められた日時にごみを出すことなどを,ふれあい講座など様々な機会で周知してまいります。
なお,市内の一部の集積所では,ネットと一般的なブルーシートを併用することでカラスに荒らされなくなったということも伺っておりますので,こうした情報や,ほかにも集積所の維持管理に役立つ情報等については積極的に発信してまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 森山雄彦福祉部長。
〔森山雄彦福祉部長登壇〕
◎森山雄彦 福祉部長 1項目めの3点目,高齢者等のごみ出し支援に係る1点目と2点目につきましては,関連がありますので一括してお答えいたします。
現在,市におきましては,ごみ出し支援を含めた高齢者等の生活支援として,介護保険制度による訪問介護,シルバー人材センターによるシルバーお助け隊事業及び市の委託事業といたしまして,社会福祉協議会によるファミリー・サポート・センター事業を行っております。
これらのサービスは,高齢者等の身近な相談先である地域包括支援センターにおいて相談者に情報提供するほか,パンフレットを配備し,周知を行っているところです。
また,地域においては,ごみ出し支援の検討が始められている地域や既にごみ出し支援を含んだ生活支援として取り組んでいる地域があり,また自治会連合会においても先進地視察をするなど,共助の機運が高まっているものと認識しております。
一方,このような制度に頼らず,地域の助け合いの精神の下,近所同士で支え合ってきたものの,高齢化などによりできなくなってきた地域も現れてきております。
このようなことから,今後,社会福祉協議会やシルバー人材センターのごみ出しを含めた日常生活を支援する取組について市報や市ホームページで周知し,利用促進を図ってまいります。また,これらの取組を活性化するため,利用しやすい仕組みづくりを検討してまいります。
あわせまして,全国の先進地事例を参考にし,地域の機運を高めていく支援の在り方を検討してまいりたいと考えております。
今後も庁内関係部署や地域,関係機関との連携を図りながら,住み慣れた地域で安心して過ごせるよう努めてまいります。
○鈴木一成 議長 野沢恵子教育長。
〔野沢恵子教育長登壇〕
◎野沢恵子 教育長 2項目めの1点目,4-3-2制の教育課程についてお答えいたします。
初めに,美乃浜学園のグランドデザインについてお答えいたします。
グランドデザインは校長の学校経営方針を分かりやすくまとめた全体構想のことで,学校の教育目標や今年度に学校全体として達成を目指す組織目標,学校の重点施策などが示されており,全校で作成しております。
美乃浜学園のグランドデザインには,義務教育9年間を見通した系統的,継続的な特色ある教育計画が3つのブロックに分けて示されていることが,大きな特色となっております。
学びの基礎力の育成を図るために,第1学年から第4学年をAブロック,社会的実践力の育成を図るため,第5学年から第7学年をBブロック,自ら考え主体的に行動する力の育成を図るため,第8学年と第9学年をCブロックとして,4-3-2制の教育課程を編成しております。各ブロックでの協議を通して教師がブロックの目標を共有し,系統性や継続性に配慮しながら,学習,生活,両面で指導を行っております。
次に,美乃浜学園開校2か月が経過しての児童生徒の様子でございますが,5校が統合されたことから人間関係の構築が心配されましたが,海浜鉄道等を利用した登下校や新しい校舎での生活にも慣れ,元気に登校している児童生徒が多い現状でございます。
授業におきましても各学年で1人1台タブレットの活用が始まり,意欲的に学習に臨む姿が見られております。教科担任制が始まった学年の児童からは,いろいろな先生が教えてくれるので勉強が楽しいという声も上がっております。
学校行事や部活動においても児童生徒が交流したり体験したりする場を設定し,目標や意欲を持って学校生活を送れるように工夫して取り組んでおります。また,休み時間には児童と生徒が一緒に遊ぶ姿が見られるのは,美乃浜学園ならではの光景だと感じております。
続きまして,学級担任制と教科担任制の違いでございますが,学級担任制は学級担任が学級の全教科を指導するもので,全小学校で取り入れております。一方,教科担任制は授業を学級担任も含めた教師が教科ごとに受け持つ指導体制で,全中学校で取り入れております。
各教科の学習が高度化し,児童の心身が発達し思考力が高まる小学校高学年で一部教科担任制を導入する小学校が多く,本市におきましては全小学校と美乃浜学園で導入しております。
小学校段階で教科担任制を導入することによる効果でございますが,教師の教科指導の専門性を生かすことで授業の質の向上を図り,学習内容に対する児童一人一人の理解度,定着度の向上や,個性に応じて得意分野を伸ばすことが期待できると認識しております。また,系統的,継続的な指導により,次のブロックへの円滑な接続を図れることから,学習面でのいわゆる中1ギャップの緩和という効果もあると捉えております。
さらに,複数の教師が児童に関わるため,児童のよさや頑張りを多面的・多角的に理解することができ,児童の心の安定にもつながると考えます。
美乃浜学園の前期課程からの段階的な教科担任制導入の現状でございますが,4年生では社会,理科の2教科,5年生では社会,算数,理科,図画工作,音楽,家庭,体育,外国語の8教科,6年生では国語,社会,算数,理科,図画工作,音楽,体育,外国語の8教科で実施しております。
最後に,4-3-2制の教育課程における今後の課題についてお答えいたします。
まず,各ブロックの目標を全職員が十分に理解し,教育活動を展開する必要があると認識しております。そのため,ブロック会議を繰り返し行いながら共通理解を図り,各学年や各教科での指導を充実させることが重要でございます。
さらに,児童生徒が主体となって活躍できる場所を設定するなどして,各ブロックの最高学年である4年生,7年生,9年生にリーダー性を育むことが必要であると捉えております。
また,今年度は4年生から教科担任制を実施しておりますが,今後の人事異動により必要な教科の教員がバランスよく配置できるかが課題と認識しております。
開校して2か月でございますが,全職員で課題と向き合い,PDCAサイクルを継続し,教育活動がさらによいものになりますよう,今後も教育委員会から美乃浜学園に助言をしてまいります。
○鈴木一成 議長 湯浅博人教育次長。
〔湯浅博人教育次長登壇〕
◎湯浅博人 教育次長 2項目め,新たに開校した美乃浜学園についての2点目,学校施設等の整備についてお答えします。
まず,1つ目の,現在の学校施設等における整備状況についてですが,美乃浜学園建設につきましては令和元年8月から工事を着手し,昨年度はコロナ禍の中での施工となりましたが,施工業者の懸命な努力もあり,資材調達の遅れや感染者の発生による工事中断などの影響もなく,施設の整備は無事完了し,本年4月の開校を迎えることができました。
こうした中,美乃浜学園の施設につきましては,設計の段階から先生方のご意見を十分に取り入れながら計画をまとめたことから,大きな不具合もなく開校を迎えたところであります。
しかし,開校から2か月が経過し,実際に施設の利用を始めたところ,使い勝手において多少の不具合がございました。
具体的には,特別支援学級において廊下と教室の間の窓が透明ガラスになっておりましたが,特別な支援を要する子どもたちは他人の視線があると落ち着かなくなる傾向があるとの意見をいただいたため,透明ガラスに不透明状のフィルムを貼ることといたしました。
また,建具の鍵について,学校運営上よりよい使い勝手になるよう,付け替えを行っております。
次に,2つ目の,防風林の整備についてですが,防風林を設計する際には造園の専門家に相談し,塩害,害虫,病気に強く,防風林に適した常緑樹の選定をお願いしたところであります。その結果,タブノキ,マテバシイ,モチノキの3種を選定していただきました。
また,これらの樹木は植樹する場所の気候や土壌などにより適合しない場合もあることから,3種の樹木を混合させ,互い違いに2列に植え,防風林全体に厚みを持たせるようアドバイスを受けたところであります。
さらには,樹木の高さにつきましても,モチノキで流通されているものの中で最も高い3.5メーターとし,他の2種もこの高さでそろえるとともに,樹木の間隔を植付けの作業性と今後の手入れを考慮し,3.3メートル間隔としたところであります。
現在は植樹が終わった直後ということもあり,防風林としての役割はまだ果たされておりませんが,今後の美乃浜学園の発展とともに樹木の成長を見守っていただければと思います。
次に,3点目の,児童生徒の通学についてお答えします。
まず,1つ目の,美乃浜学園までの児童生徒の通学手段の内訳についてですが,前期課程,後期課程合わせて518名の児童生徒のうち,約7割の384名にひたちなか海浜鉄道湊線の定期券を交付しております。そのほかの134名につきましては,徒歩による通学となっております。
次に,2つ目の,湊線の乗り遅れや乗り越しへの対応についてですが,登校時の乗り遅れの対応につきましては,前期課程の児童は,登校班の集合時間を基準としてその時刻に遅れた場合には,列車の発車時刻に間に合わないものと判断し,保護者による送迎をお願いしているところであります。また,後期課程の生徒につきましては,発車時刻に遅れることがないよう十分に余裕を持って家を出るよう,学校より指導を行っております。
さらには,乗り越しへの対応として,列車に同行する湊線通学保安誘導業務員による見守り活動を行っております。これらの対策により,現在までのところ,登下校ともに乗り越し事案についての報告はございません。
次に,3点目の,安全対策のための大人による見守り活動の現状についてですが,登校時には海浜鉄道職員3名,美乃浜学園校務員2名の計5名,下校時は海浜鉄道職員3名が従事しております。また,部活動終了後の下校時は青少年相談員2名が従事しております。
業務内容といたしましては,列車が到着するまでの間はホームの防護柵がない箇所に立ちながら,列車到着後スムーズに乗車できるよう児童生徒の誘導を行います。また,乗降時には列車とホームの隙間に注意するよう声かけをしながら,停車時間内に乗り降りが完了するよう補助を行っております。
さらに,列車の中での急停車,急発進など不測の事態に備え,低学年の児童がなるべく座席に座れるよう乗車後の誘導を行うなど,児童生徒の安全確認に努めております。
次に,4点目の,美乃浜学園駅の整備についてお答えします。
まず,1つ目の,登下校時の砂じん対応策についてですが,登校時は児童生徒が安全かつ速やかに駅から学校に到着できるよう,教職員が同行しているところであります。
また,下校時は砂じんの影響を受ける時間を極力少なくするため,列車の到着時刻の5分から10分前に児童生徒が学校を出発するように指導を行っております。
次に,2つ目の,美乃浜学園駅のトイレ設置についてですが,平成28年12月の平磯・磯崎・阿字ヶ浦地区統合校整備等推進委員会通学等検討部会において,不審者の出現や盗撮,未成年の喫煙誘発を未然に防ぐため,美乃浜学園駅にはトイレは設置しないとの結論に至っております。そのため,下校時は学校から駅への一斉出発時間に合わせてトイレを済ませるよう,学校において指導を行っております。
また,各家庭においては,登校する際,家を出る前にトイレは済ませておくことを習慣づけていただいております。
次に,3つ目の,列車の待ち時間に利用できるベンチの駅ロータリーへの設置についてですが,美乃浜学園では,先ほど申し上げました砂じん対策と併せて,下校時の安全を確保するため,児童生徒が駅で滞留する時間ができるだけ短くなるよう,列車の出発時刻に合わせて下校させることとしております。そのため,児童生徒は学校出発までの時間は昇降口に設置された待合スペースで待機しており,駅でベンチを使用するほどの待ち時間はないものと認識しております。
美乃浜学園駅を利用した通学につきましては,引き続き児童生徒の安全確保を最優先とし,学校や保護者,ひたちなか海浜鉄道と連携しながら対応してまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 13番薄井宏安議員。
◆13番(薄井宏安議員) 丁寧なるご答弁ありがとうございました。
それでは,順次,要望を含めまして再質問をさせていただきます。
まず初めに,1項目めの,一般の家庭ごみについてでありますが,このごみ集積所の現状と課題の中で,今答弁いただいた中で,ごみ集積所の設置数が可燃物だと5,566か所ということでありますが,この数字を聞いて,実際にこれは多いのか,それとも適正な数字なのか,これは他の自治体と比較してどのようなのかお伺いをいたします。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 再度のご質問にお答えいたします。
本市の集積所につきましては,先ほどもお答えさせていただきましたように,10世帯に1か所設置することができまして,現在,市内に5,566か所ほどございます。
1か所当たりの世帯数では11.7世帯となっておりまして,これは水戸市の9.5世帯,それから日立市の12.2世帯などと比べて同程度でございます。
そして,設置基準につきましても10世帯以上としている市町村が,こちらは多いものということで承知しております。
また,実際のごみ出しにおきましても集積所が遠過ぎるといった苦情等もあまりなく,ごみの収集につきましても,市内を14地区に分け,9つの事業者で特に支障がなく実施できておりますことから,本市の集積所の数はおおむね適正なものと判断しております。
○鈴木一成 議長 13番薄井宏安議員。
◆13番(薄井宏安議員) 答弁ありがとうございました。
この5,566か所が適正な数であろうということでありますが,ここ数年,このごみ集積所の数の推移というのは,実際に右上がりとかに増えているんでしょうか。それとも減少傾向なのか,ごみの減量化が課題になっている中で,このごみの集積所の数は今後どのように推移するか,分かる範囲で結構ですのでお伺いいたします。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 再度のご質問にお答えいたします。
可燃ごみ集積所の推移でございますが,ここ数年の平均では年に60か所程度増加をしているというような状況となっております。
増加の主な要因としましては,住宅やアパート等の宅地開発に伴って集積所を申請することによるもので,新規の集積所の大部分を占めているというような状況となっております。
一方で,以前は10世帯以上で利用していたものの,居住者の減少によって10世帯未満になっている箇所も一部ございます。
10世帯以上とするためには,ほかの集積所との統廃合が必要となりますが,多くの場合,常会や組単位で管理していることに加え,これまでより距離が遠くなってしまうなど,市民サービスの観点からも難しい面はございますが,利用者に対しましては引き続き,集積所の統廃合に向けまして働きかけてまいりたいと考えております。
現状は適正な集積所数の範囲にあると考えておりますが,集積所の設置に当たりましてはこうした課題も踏まえた上で,現場や利用者の状況を確認しながら,今後とも適正な数の維持に努めてまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 13番薄井宏安議員。
◆13番(薄井宏安議員) 答弁ありがとうございます。
これだけ集積所がありますと,ふだんの生活をしている中で,意識して朝のごみ収集の時間帯を見渡してみると相当の集積所が目に入り,集積所から次の集積所が見えるぐらい市内各所に設置されているわけでありますが,このように多くのごみ集積所があると,やはりおのずと近隣とのトラブルや課題も少なくないとは思います。
様々な話を聞く中で幾つか問題を挙げますと,分別が徹底されていないとか,あるいは決められた日以外に,特に前日の夜に出してしまう,あとは指定袋以外で出すとか,ネットにきちんと入れない,集積所のごみが道路にはみ出して危険である,あるいはこれから自治会加入世帯への対応など,これはほんの一例にすぎませんが,様々な問題があると思います。
例えば,カラスの被害を受けて集積所のごみが散乱していると,必ず出した人が片づけているんじゃなくて,その近くの人が毎回毎回他人のごみをきれいにかき集めていただいている,こういうふうな現状もありますが,この様々なごみ問題に対して,集積所についての現状についてどのような認識なのか,お伺いをいたします。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 ご質問のごみ集積所の問題の現状でございますけども,市でも議員ご指摘のとおり,様々な問題があることは十分に把握しております。
繰り返しとなってしまいますが,集積所はごみの適正な排出を促すことや,近隣を含めた良好な生活環境を保全する必要がありますので,清掃やごみの散乱への対応を含めて,集積所を利用する方にご協力をお願いしているところであります。
お願いするに当たっては,市としましては利用者とともに解決策を考え,協力していくことが必要であると認識しております。そのため,こうした問題の相談に対しましては,一緒に現場を確認しながら対応に努めているところであります。
しかしながら,ごみの問題は一朝一夕に解決できるようなものはあまりなく,これまでの取組を継続するとともに,先進地等の事例を調査して,効果的な対策や解決への道筋について助言を行うとともに,市ができる対策等についても今後検討してまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 13番薄井宏安議員。
◆13番(薄井宏安議員) 答弁ありがとうございます。
このごみ問題は,先ほども言いましたように,近隣との関係のトラブルにつながりかねない非常にデリケートな問題になってくる場合もあります。
様々なごみに対する問題とかある中で,やはりごみの問題を悪化させるのも改善させるのも,これはごみを出す方々のモラル次第であるというふうに認識をしているわけでありますが,実際に恐らくこのごみ出しについてはホームページや市報等で周知していると思いますが,やはり再度,集積所に掲示板を立てたり,ネットにルールなどを直接貼ったりして,視覚でルールやマナーをしっかりと訴えるのも一つの対応策と思いますが,ご見解をお伺いいたします。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 再度のご質問にお答えいたします。
議員ご質問の掲示板等による視覚で訴えることにつきましては,自動販売機のごみ箱に「缶」と「ペットボトル」と表示したところ,家庭ごみが捨てられなくなったという事例もあります。これは心理的な面で一定の効果があるものというふうに考えております。
そのため,市では現在,集積所の利用者に対しまして,周知のための看板,それから貼り紙等の対応をお願いしているというところでございます。
今後,市としましては,そうした効果を確認するとともに,ほかの市町村の事例等を調査しながら,看板等も含めてどのような方策が有効なのか,あるいは本市に適しているのかなどについて,今後検討してまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 13番薄井宏安議員。
◆13番(薄井宏安議員) 答弁ありがとうございます。
次に,(3)の高齢者等のごみ出し支援について,これは要望を述べさせていただきます。
後期基本計画にも「誰一人取り残さない社会の実現を目指す」と明確に示している中で,今現在,シルバー人材センターや社会福祉協議会の方々の協力の下,高齢者等のごみ出し支援をしているということでありますが,やはり高齢者が安心して暮らせるまちづくりをぜひとも進めていただきたいというふうに思います。これは要望となります。
次に,2項目め,新たに開校した美乃浜学園について,その(3)の,児童生徒の通学についてであります。
学校までの児童生徒の通学の手段の内訳として,湊線を利用する列車通学の割合が約7割ということでありますが,その児童生徒も駅までは徒歩となるわけですよね。
そんな中で,例えば平磯駅周辺の実情をお話ししますと,湊線の発車時刻が7時49分,この時刻に合わせて児童生徒は通学班を編成して,高学年をリーダーとして,スクールゾーンを1列に歩いて登校する姿を見かけますが,実際に列車時刻に合わせて自然と同じ時間帯に集中しやすいということもあるんでしょうけど,よく見てみると,右側通行だけじゃなくて左側通行でも列をなして,両サイドで歩いている様子をうかがうことができます。
平磯駅周辺というのは車道と歩道の十分な幅員を有する道路でありませんので,朝の時間帯は通勤の車の往来もあって,ドライバーからも左側通行で危ないという声もあります。
そんな中で,実際にその時間帯に様子を見てみると,やはり車と通学班との交差が多く,このことは平磯に限ったわけではなく,磯崎や阿字ヶ浦など美乃浜学園に列車で通う児童生徒のことを考えると非常に危険じゃないかというふうに捉えますが,この点をどのように認識されているのか,お伺いいたします。
○鈴木一成 議長 湯浅博人教育次長。
〔湯浅博人教育次長登壇〕
◎湯浅博人 教育次長 再度のご質問にお答えします。
ただいま議員のほうからご指摘がありました平磯駅踏切付近の登校班,こちらで両側を通行しているということに関しては承知をしております。
道路交通法上で申しますと,歩行者というのは歩道または十分な幅員を有する路側帯を通行する,また,車道と歩道の区別がない道路におきましては,道路の右脇の端に寄って通行しなければならないというふうに言われております。
ただ,これはただし書が1つございまして,右側通行が危険だといった場合,また,その他やむを得ない場合は,左側を通行することができるというふうにされています。
この平磯駅周辺を通っています登校班につきましては,議員ご指摘のとおり,両側を通行している箇所がございます。この場所については,安全に道路左側から右側に渡るための横断歩道であったり信号機というものがないものですから,この場合で言うやむを得ない事情というところに該当するということで,やむを得ず左側を通行させているというような状況でございます。
ただ,安全上の問題も当然ございます。そうした中で,今後につきましても児童生徒に対しては十分に車に注意するようにということで,指導を徹底していきたいというふうに思っています。
また,自治会などを通して,地域の方々に通学の時間帯における車の通行について注意していただきたいということで,注意喚起も併せてしていきたいというふうに考えているところでございます。
○鈴木一成 議長 13番薄井宏安議員。
◆13番(薄井宏安議員) 答弁ありがとうございます。
子どもの頃から,人は右,車は左と,そういうふうに言われ続け,歩行者は右側通行するものだと意識が根づいている,この認識は私だけじゃないと思います。
そんな中で,先ほどご答弁いただいたように,歩行者は右側通行というルールではあるが,右側だけで危険がある場合には,その他やむを得ない場合ということは左側も通っていいということで,これは道交法の規定だと思いますね。ということであれば,先ほど答弁いただいたように,この解釈をしっかりと,子どもたちはもちろん,保護者とか車のドライバーとか地元の方々に周知していただかないと,実際に解釈の仕方によってはおかしいだろうというところもありますので,きちっとこの周知をしていただき,特に学校においての交通安全教室を実施する際には,特にこの登校班,通行班というのは,リーダーがきちっと先導で……。おしゃべりはするにしても,しっかり1列ということでありますけど,やはり低学年がいるとどうしても,お話をするなとか,きちっと前を向かなくちゃと言っても,正面をお互いに向いて,背中なので,前の子のランドセルにちょっかいを出したりとか,そうすると,ちょっかいを出されると,自然と後ろを振り向いている。そうやってじゃれ合っていると,道路によっては車のミラーと接触するぐらい近い道路もあるわけですから,そういうふうな交通安全教室を通して,危険性や通学班の正しい歩き方というのを十分に指導をお願いしたいと思います。
そして,最後に意見,要望等になりますが,
義務教育学校としてスタートしたこの美乃浜学園ですが,開校してまだ2か月です。子どもたちは期待と不安が入り交じりながらの学校生活を送っているに違いありません。先ほど教育長のほうからご答弁いただいたように,今のところ順調に子どもたちが不安なく学校生活を送っているということでありますが,5つの学校がいきなり統合されて,まして新しい環境の地で学習,学校生活をするということは,大きな変化になじめない子どももいるわけでございます。
ですので,教育環境だけでなく,今日はちょっと時間がないので質問できませんでしたけど,通学路や駅を含みながら様々な課題がこれから恐らくどんどん出てくると思います。そのときに,何より子ども目線で一つずつ解決しながら,よりよい環境づくりをお願いします。
そして,今年3月に閉校した5つの学校が生まれ変わって,新しく美乃浜学園が誕生したわけであります。この9年間の学びをつなぐ輝かしい未来の子どもたちの成長の場として,引き続き新たな歴史と伝統を築いていくことを期待して,質問を終わります。
以上です。
○鈴木一成 議長 以上で,13番薄井宏安議員の質問を終わります。
次に,22番樋之口英嗣議員。
〔22番 樋之口英嗣議員登壇〕
◆22番(樋之口英嗣議員) 新生ふるさと21の樋之口です。発言通告書に従い,一般質問をいたします。
さて,今回のコロナ禍はまだまだ続くようであります。今回の感染症問題とその対応策を見るにつけ,日本国の基盤の脆弱さを如実に表しているのではないでしょうか。
データの扱いですが,メディアによる偏向報道とも言えるデータの取扱いと,それに動かされる政治,本来の政治の在り方は違っているように思います。
コロナ禍の対応において,日本人の生き方を示すよいチャンスであったのではないでしょうか。何のために生きているのだろうか等々,哲学の欠如が様々な問題を大きくしているのではないかと感じております。感染ルートの明確な説明や,ワクチン接種についても同じようなことが言えるのではないでしょうか。
国民に対する説明不足は,政治は何のためにといったところから始めなければならないと思っております。我々地方議員も同じことが言えます。我々が与えられた議会での質問は,市民に対する説明の一つとも言えると思います。そもそも論が欠如しているために,諸問題に対して判断がぐらついている,そのように感じております。
さて,今回の質問は,まちの活性化に必要な常住人口をいかに増やすかがテーマです。
第3次総合計画後期基本計画からですが,市の人口の現状は,平成25年,2013年から人口減少が始まり,令和7年には15万1,385人と予測されています。
人口問題は自治体の喫緊の課題でありながら,策を講じてもすぐにその結果は出てこない問題でもあります。だからこそ,すぐに手を打たなければなりません。
まず,大項目1として,企業誘致についてであります。
過日,産経新聞の特集「地方変動」の中,「本社移転がもたらした充足」という記事がありました。東京から地方への企業の本社移転が相次ぐ,とありました。例としては,お茶のルピシアが渋谷区から北海道ニセコ,森田薬品工業が中央区から広島県福山市,人材派遣のパソナグループが千代田区から兵庫県淡路島,ビール製造のファーイーストブルーイングが山梨県小菅村と,徐々にではありますが,コロナ禍の影響からか,本社を移転する企業が目立ってきたところでもあります。
また,上場企業が東京に本社を置く理由として,1,取引先が多い,2,社員などが雇用しやすい等が挙げられていましたが,このコロナ禍で対面不要が新常識になりつつあることも,本社移転を考える企業が増えていると思われます。
さらに一例を挙げますと,具体的に最近のコロナ禍において,半導体の供給の問題が発生しております。産業の米と言われながら,過去においては日本が世界の生産量の半分を占めていたのですが,現在では10%と言われています。
今回のコロナ禍において,サプライチェーンの分断により製造業の在り方,特に立地場所が問われています。戦略物資でもある半導体ですが,生産拠点を海外に置いては国防にも関わるものと考えられております。
このようなことから,米国では5兆円を超える補助金を出して,国内の半導体の生産基地を造る政策を出しました。
日本においても,経済産業省は4日,半導体の開発や生産体制の強化に向けた新戦略が発表され,海外の受託製造企業と連携して工場を設立し,日本国内の製造能力を整備するとあります。
自民党においても,半導体戦略推進議員連盟が設立され,次のような決議がされたことが記事として挙げられています。
5兆円を超える予算規模の政策を講ずることを表明している米国や欧州などの各国が,生産基盤を国内に囲い込む政策を展開していますと指摘,日本でも国内製造基盤の再興のため,基金の設置を含め,予算措置を講ずるべきだと求めます,とありました。
また,梶山大臣は記者会見において,半導体を含むデジタル産業に関し,国民生活に必要不可欠な基盤であり,民間事業支援や一業種支援の枠を超えて国家事業として取り組む,そして新戦略では,通常の産業政策を超えた特例扱いの措置を講ずる制度を検討する,とされました。まさに企業誘致には追い風が吹いていると言ってもよいのではないでしょうか。
そこで,質問であります。主に,第3次総合計画後期計画の中からの質問になります。
(1)本市の産業インフラの優位性について。
企業立地セミナー等を通じて積極的にPRしながら企業の誘致を推進してますとありますが,1,本市産業のインフラの優位性とは何かを伺います。
2,また,インフラには道路網の整備も含まれますが,現在ある道路だけではなく,さらに新しい道路,北部幹線道路の陳情関係などはどうなっているか伺います。
(2)企業立地セミナーについて。
どのような形で行っているか,実績を含めた状況を伺います。
(3)立地企業の税制優遇制度等について。
後期基本計画では,企業の新規立地の設備投資を推進するため,各種優遇制度を活用しながら,雇用の促進や港湾の利用促進等につながる優良な企業の誘致活動に努めています,とあります。
1,各種優遇制度とは,他の自治体との比較で当市のセールスポイントは何かを伺います。
2,優良な企業として決定する要素とは,どのような項目が挙げられるのでしょうか,伺います。
3,企業誘致において優遇制度と思える,産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律が昨日施行されました。その概要を伺います。
(4)工業用地の確保について。
後期基本計画では,企業の新規立地や市内立地企業の拡張・移転に対応するため新たな工業用地の確保に努めます,とありますが,用地確保の進捗状況を伺います。また,市内企業の拡張や移転の希望があるのかを伺います。
(5)居抜き物件情報の流通状況について。
企業や関係団体と連携した居抜き物件情報の紹介を行うとあります。
1,現在の状況,実績を伺います。
2,情報の収集ですが,どのような検討を行っているのか伺います。
(6)多様な産業や企業誘致等についてであります。
若い女性や子育て世代の母親の就業にもつながる多様な産業や企業誘致等について検討しますとありますが,今後の取組方針と考え方について伺います。
以上で,大項目1の1回目の質問を終わります。
○鈴木一成 議長 福地佳子企画部長。
〔福地佳子企画部長登壇〕
◎福地佳子 企画部長 樋之口議員の1項目め,企業誘致についてのご質問のうち,初めに1点目の1つ目,本市の産業インフラの優位性についてお答えします。
本市においては,茨城港常陸那珂港区の整備が着々と進んでおります。国際海上コンテナターミナルを備えるとともに,大型船にも対応できる大水深岸壁や広大な後背地を有し,国内外のあらゆる貨物に対応することができるスペックの高い重要港湾でございます。
この港湾に直結して北関東自動車道が全線開通しており,北関東をはじめ,東北・信越エリア,そして常磐道や圏央道を経由した首都圏とのアクセスについても格段に向上しているところです。こうしたアクセスの利便性やコスト縮減のメリットを生かし,建設機械や完成自動車の輸出が進むなど多くの企業に利用され,定期航路の充実が図られるとともに,製造業をはじめとした優良企業の立地も進んでいるところです。
国際港湾や高速道路網などのインフラやものづくり企業等の集積は,本市ならではの重要な産業基盤でございます。こうした大きなポテンシャルを有する本市の優位性を生かしながら,産業の活性化に取り組んでまいります。
次に,2つ目の,茨城県北部幹線道路についてお答えします。
茨城県北部幹線道路は,茨城港常陸那珂港区から常陸大宮市の国道118号に至る地域高規格道路として計画されているものです。
本市や東海村を含む6市町村で構成する茨城県北部幹線道路・水戸外環状道路建設促進協議会においては,国道245号から国道6号に至る区間の整備促進,国道6号から常磐自動車道に至る区間の早期事業化,そして,その先の区間の調査促進について,国土交通省及び茨城県に対して要望活動を行っております。
産業流通インフラの一つとして常陸那珂港区へのアクセス向上なども期待されることから,今後も引き続き協議会構成市町村と連携を図りながら,茨城県北部幹線道路の整備促進に向け取り組んでまいります。
次に,2点目の,企業立地セミナーについてお答えします。
本市においては,茨城県や関係市町村などと連携しながら企業立地セミナーを開催し,企業誘致に取り組んでいます。県や工業団地所在市町村を中心に構成する茨城県工業団地企業立地推進協議会が主催するセミナーにおいては,首都圏以外の企業にも働きかけるため,いばらき産業立地セミナーを東京会場に加え,大阪でも実施しております。
また,港湾の利用促進を目的に,茨城県や茨城県港湾振興協会連合会,常陸那珂港振興協会等が主催する「いばらきの港説明会」を定期的に開催しており,これらのセミナー等には企業を中心に約500名の方々にご参加をいただいております。
セミナーでは,茨城県による企業誘致及び港湾の利用促進に関するプレゼンテーションや,立地企業及び港湾利用企業による事例紹介のほか,セミナー会場へのブース出展も可能となっており,本市も参加企業に対して,茨城港常陸那珂港区や北関東自動車道等の産業インフラを有する本市の優位性についてPRに努めております。
昨年度については,新型コロナウイルス感染症の拡大により,開催方法がオンラインセミナーに変更されるなど,直接対面でのPRの実施が難しい状況となりました。しかしながら,議員ご指摘のとおり,コロナ禍だからこそ企業の地方移転などのニーズが高まっているという状況も生まれております。ウェブ会議システムの活用等,新たなPRの手法についても検討しながら,引き続き企業誘致に取り組んでまいります。
次に,6点目の,多様な産業や企業誘致等につきましてお答えいたします。
市では第3次総合計画後期基本計画において,令和7年度の総人口15万人の維持を目標に掲げ,4つの重点プロジェクトを設定いたしました。
その中でも,F1層が住みやすいまちづくりや,UIJターン先として選ばれるまちづくりにおいては,雇用の場の創出が非常に重要な要素となりますことから,重点事業として,工業用地の確保や多様な産業や企業の誘致などを位置づけたところです。
本市はものづくりのまちとして発展し,市内に製造業を中心に高い技術力を有する企業が多数集積しています。また,産業インフラの充実を背景に,ひたちなか地区の港湾ゾーンや産業ゾーンにおいては,建設機械メーカー及びその関連企業等の立地が図られております。
多様な産業や企業の誘致に関しましては,こうした状況も踏まえながら,市内産業とのつながりを生む企業,常陸那珂港区の利用促進や関連企業の立地が期待できる企業,そして多くの雇用につながる企業などを誘致したいと考えております。
また,F1層や子育て世代が働きやすいと感じる企業を増やしていくことにつきましても後期基本計画の重点プロジェクトに位置づけており,有効な方策などについて検討してまいりたいと考えております。
早期に工業用地の確保を実現し,企業誘致による新たな雇用の創出へとつなげ,多くの方々にひたちなか市で働きたい,住んでみたいと思われる,選ばれるまちの実現に向けて取り組んでまいります。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 1項目めの3点目,立地企業の税制優遇制度等の1つ目,本市の立地優遇制度のセールスポイントについてお答えいたします。
本市において,事業者が現状活用できる立地優遇制度につきましては,電源地域振興センターの原子力発電施設等周辺地域企業立地支援補助金や,原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法に基づく固定資産税の不均一課税制度等がございます。
これらの優遇制度は,本市が原子力発電施設の周辺に位置していることを受けて活用できる制度となっており,本市における立地優遇制度のセールスポイントであると考えております。
次に,2つ目の,優良な企業の要素についてお答えいたします。
本市といたしましては,地元雇用を多く創出でき,今後さらなる整備が予定される茨城港常陸那珂港区の利用促進につながることが,優良な企業の要素であると考えております。
また,このほかには,本市に集積する既存産業との間に相乗効果を生み出し,本市産業のさらなる発展に寄与できるかなど,この地区に合致した企業であることも重要なポイントであると考えております。
次に,3つ目の,産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の概要についてお答えいたします。
今回の改正法につきましては,国がコロナ禍による経済危機を古い経済社会システムから脱却し,新たな日常への構造変化を図るチャンスとして捉え,今般施行されるものであります。
概要としましては,新たな日常に向けた取組を先取りし,長期視点に立った企業の変革を後押しすることを目的としており,ポストコロナにおける成長の源泉となるグリーン社会への転換,デジタル化への対応,新たな日常に向けた事業再構築,中小企業の足腰強化等を促進するための措置を講じることとしております。
具体的には,カーボンニュートラル実現に向けた事業者の設備投資や,会社レベルでビジネスモデルの変革をするためのデジタルトランスフォーメーションへの投資を促進する措置のほか,支援施策対象を中小企業から中堅企業の成長途上にある企業群にまで拡大することで,規模拡大を通じた労働生産性の向上を促進するとともに,事業継続力の強化等を促すような内容となっております。
本市といたしましては,今回の改正内容に基づき実施される各種優遇制度が,今後の本市への企業立地や産業振興にもプラスに働いてくると考えております。
つきましては,関東経済産業局との情報交換を図ることで,改正法に基づいて措置される各種優遇制度を把握するとともに,産業活性化コーディネーターやひたちなか商工会議所等と連携するなど,市内事業者への周知を図ってまいります。
また,企業誘致を促進するための今後の本市の立地優遇制度につきましては,今般の法改正に伴って講じられた措置を注視するとともに,そのほか,国や県の制度の活用も検討するほか,他市町村の立地優遇制度を参考にしながら事業者のニーズも踏まえることで,本市の実情に沿った制度となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
次に,4点目,工業用地の確保の1つ目,用地確保の進捗状況についてお答えいたします。
工業用地の確保につきましては,北関東自動車道や茨城港常陸那珂港区など,本市が有する物流のメリットを最大限に活用できるよう,その後背地であるひたちなか地区の国有地を候補地として検討を進めてきたところであります。
その結果,ひたちなか地区留保地利用計画において産業ゾーンと定められ,都市計画の用途地域上,工業専用地域に位置づけられている新光町106番2を活用し,工業団地の造成を進めてまいりたいと考えております。
また,造成手法につきましては,当該事業用地において工業団地の造成を検討している民間事業者からも具体的に相談を受けておりますことから,実現の可能性が高い手法の一つとして,実績のあるディベロッパーの活用も視野に検討を進めているところであります。
今後の見通しでありますが,事業用地は財務省が所管する国有地であり,工業団地の造成を目的に取得する場合は一般競争入札による処分が行われることになっております。
このことから,一般競争入札が早期に実施され,民間ディベロッパーによる工業団地造成事業が実現されるよう,関東財務局水戸財務事務所と必要となる調整を行うなど,具体的な事業のスケジュール感を示せるようにしてまいりたいと考えております。
次に,2つ目の,市内企業の移転や拡張の要望についてお答えいたします。
本件につきましては,ひたちなか商工会議所工業部会において令和元年11月に市内中小企業などを対象としたアンケートを行っており,その際には12社から移転や拡張の意向が示されたところであります。
また,現状を把握するため,本市といたしましても,今般,市内の製造中小企業を中心にアンケートを実施しているところであります。今回実施しているアンケートにつきましては現在回収中であり,最終的な結果をお示しすることはできませんが,現状におきまして移転や拡張を検討している回答も含まれており,依然として工業用地に対するニーズがあると捉えております。
次に,5点目,居抜き物件情報の流通状況の1つ目,居抜き物件情報の紹介状況と実績についてお答えいたします。
実際に,本市におきましても県や事業者等から市内の空き用地や居抜き物件に関する問合せがあり,その際には企業立地状況の調査等を通じて得た情報をもって対応しているところであります。しかしながら,明確な居抜き物件に関する情報につきましては,民間でのやり取りであり,市として具体的に把握している状況にはございません。
次に,2つ目の,今後検討している居抜き物件情報の紹介手法についてお答えいたします。
本市といたしましては,市内においても,経営者の高齢化とそれに伴う後継者不足などを起因とした撤退や廃業が起こり得る状況となっており,居抜きの物件が出てくると想定しております。また,工業団地造成には一定の期間を要するため,居抜き物件の情報を活用してまいりたいと考えているところであります。
これらのことから,市に問合せがあった案件について,居抜き物件と事業者の立地需要がマッチングできるようなスキームを,物件情報を有している茨城県宅地建物取引業協会などの関係団体と連携することで構築してまいりたいと考えております。
本市といたしましては,産業の維持・発展を図る上でも企業誘致を今後とも促進していく必要があり,立地優遇制度,工業用地の確保,居抜き物件情報の活用につきましては,その実現に向け重要な要素であると捉えております。
一方で,現在の工業団地に未利用地がない状況においては企業誘致の促進ができないと考えているところであります。つきましては,工業用地の確保について,居抜き物件の活用を図りつつ,スピード感を持って進めるとともに,本市の実情に合った立地優遇制度を講じることで企業誘致を促進してまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 22番樋之口英嗣議員。
◆22番(樋之口英嗣議員) 丁寧な答弁ありがとうございました。
二,三,ちょっと質問をさせていただきたいと思います。
定期的にセールスをしていると言ったのかな。定期的とはどのぐらい,年に1回とか年に2回とかということで行っているんでしょうか。
○鈴木一成 議長 福地佳子企画部長。
〔福地佳子企画部長登壇〕
◎福地佳子 企画部長 再度のご質問にお答えいたします。
企業立地セミナーなどにつきましては,コロナ禍の状況の中ではなかなか対面での開催ができないというような状況もございますけれども,コロナ以前の実施におきましては年に数回開催をしております。
一例を挙げますと,いばらき産業立地セミナーにつきましては,大阪のセミナーは毎年開催しておりまして,そのほか東京でのセミナーにつきましては,いばらき産業立地セミナーと港関係のセミナーを交互に行うといったようなことも行っております。
また,以前には群馬や栃木といった北関東地区の,そういったところでセミナーを開催するといったようなことも行ってまいりました。必要に応じましてこういったセミナーを,県や,また関係自治体などと連携しながら行ってまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 22番樋之口英嗣議員。
◆22番(樋之口英嗣議員) ありがとうございます。
何回もあれで大変でしょうが,ちなみに実績みたいなものがあればお答え願いたいんですが。
すみません,実績というか,そういうセミナーを行って当地に来られたという……。やったという実績じゃなくて,結果このまちに誘致できたとかというのがあればということの実績です。
○鈴木一成 議長 福地佳子企画部長。
〔福地佳子企画部長登壇〕
◎福地佳子 企画部長 再度のご質問にお答えいたします。
こういったセミナーは毎年開催をしておりますけれども,やはりこのセミナーを開催したことで,ずばり企業の誘致につながるということはなかなか難しい面もございますけれども,こういったことの積み重ねが,企業の誘致,また産業の活性化につながっていくというようなことはあると思っております。
一例を挙げますと,企業のそういったセミナーで企業の事例紹介なども行っているということを先ほど申し上げましたけれども,そういった事例紹介をお聞きになった一企業の方から実際にちょっと,もし常陸那珂港を使った場合にはどのくらいのようなことになるのかといったようなお問合せなどをいただくなど,そういった身近なところでいろいろな……。ずばり企業の立地というところにつながらないまでも,港湾の利用,そして関連企業との取引の活性化,そういったところには少しずつ結びついているものと考えております。
今後もこういった取組を継続していくことで,地道に積み重ねながら企業誘致につなげてまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 22番樋之口英嗣議員。
◆22番(樋之口英嗣議員) ありがとうございます。
大変重要な施策だと思いますので,しっかり定期的にというのは,繰り返すまでもなくやっていただきたいなというふうに,当市の宣伝をしていただきたいなというふうにも思います。
さて,次に,工業用地の新たな用地の取得・確保という点で106番地というようなお話が出たかと思うんですが,これ以外,2点,繰り返すとあれですが,106番地の面積はどのぐらいか,その他,ほかにも当たっているのかどうか伺います。
○鈴木一成 議長
井坂健一経済環境部長。
〔
井坂健一経済環境部長登壇〕
◎井坂健一
経済環境部長 再度のご質問にお答えします。
候補地の選定につきましては,106番2のほかにもあと2か所ほど候補地予定地がございました。いずれも新光町の画地ということになっております。
あと,106番2の候補地の面積につきましては,23.2ヘクタールという形になってございます。
○鈴木一成 議長 22番樋之口英嗣議員。
◆22番(樋之口英嗣議員) ありがとうございます。
ここの質問では,やはりメインはこの用地取得・確保だと思っております。
用地が完売したときにはもう次の用地が準備できているような体制を取るのが,やっぱり我々の役目かなと。常に「あ,完売してなくなったからこれから」ということではなく動いておられたとは思いますが,やはり重要なのは,一生懸命セールスしているのにもかかわらず土地がないというような状態に陥っては,セールスをやっている人たちのかいもないという……。ちょっと言い過ぎかもしれませんが,ひたちなか市の宣伝をしていただいているわけですから。ただ,こういう長期的な話は,やはり常時,用地確保等をしていただきたい。
要望でおしまいにしたいと思うんですが,繰り返しますが,用地がなくなる前に用地が確保できているような仕組みをできないかどうか,その辺を十分,市長のほうでも検討していただきたい。要望ですから答えなくてもあれなんですが,何かお答えしていただければ,それはそれでお願いしたいと思います。なければそれで,要望ですから構いません。
続いていいですか。
では,続きまして,大項目の2について質問をいたします。
新中央図書館建設について伺います。
先ほども言いました人口の問題ですが,人がそのまちに住みたい,住まなければならないと思う気持ちは,多くは雇用の問題,職があることが重要であることは言うまでもありません。
しかしながら,私はそれだけでは,常住人口,そこに住んでみたいというのは,若干,手落ちという表現はおかしいですが,違うんじゃないかなというふうにも思っております。私はそれに加えて,まちに文化施設があるかどうか,市民が文化に触れることができるかどうかも大きな要因ではないかと考えております。
首都圏の人口集中は,雇用があるということだけでは片づけられません。例えば,国立図書館や国立美術館,国立博物館等々,その他,文化の発信基地でもあるメディアも集中しています。また,高等教育機関である大学,これも文化施設だと思うんですが,首都圏に集中しています。このような状況で人口が首都圏に集中している,それが原因かと思っております。要は,文化施設と人口集中は相関関係にあるのではないかと思っております。
そこで,当市に話を戻します。
当市の文化施設は,文化会館や埋蔵文化財センターと,もちろん規模も若干小さいですが,老朽化している図書館もあります。数えるほどではないかと思っております。
市民にとって,ひたちなか市は文化の香りがするまちですね,と他の自治体の人に言われたいものであります。後期基本計画でいうと,シビックプライドはそのようなことから生まれてくるのではないかというふうにも思っております。住んでよかった,満足の高いまちにする図書館は必要であります。
現在検討中の新図書館には,使いやすさを追求した,障害を持った方にも優しいデザインもそれなりに立派で,すばらしい文化施設などと思われるような,満足の高い図書館が欲しいものであります。
ところで,後期総合計画にありました「市への誇りや愛着を感じる」と回答した人ほど,定住意向や地域活動への参加割合が高くなると書いてありました。私もそのとおりだと思います。
そこで,現図書館の利用状況について,(1)新中央図書館の必要性を感じているところですが,現在の図書館の利用状況を確認のためにも伺いたいと思います。
(2)現在の進捗状況であります。
平成28年7月に新中央図書館整備検討会が設置され,平成30年3月に中央図書館整備調査報告書が出されています。
その中で,中央図書館は昭和49年5月の開館から四十数年が経過し,老朽化が進み,施設の規模や機能について市民の要求に応えることが難しくなっていると。また,図書館協議会からの答申された「ひたちなか市立図書館の今後の在り方」では,中央図書館の建て替えが必要であるとの提言が出されています。
平成31年3月に新中央図書館整備基本計画が出されました。アンケート調査や市民ワークショップなどを実施し,市民ニーズやこれまでの検討調査結果を踏まえ,新中央図書館の整備理念や整備方針に基づき提供するサービス内容などを検討した結果が報告されております。
令和元年12月5日,19日に,全員協議会において候補地などの説明がなされています。先ほども申し上げましたとおり,文化施設はシビックプライド,その重要な要因であることを考えますと,新中央図書館の新築は喫緊の課題ではないでしょうか。進捗状況を伺います。
以上で,大項目2の1回目の質問を終わります。
○鈴木一成 議長 湯浅博人教育次長。
〔湯浅博人教育次長登壇〕
◎湯浅博人 教育次長 2項目め,新中央図書館建設についての1点目,現図書館の利用状況についてお答えします。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた令和2年度の図書館の利用状況につきましては,市内3館の貸出し冊数は前年度より約3万9,000冊減少し,64万239冊となっております。
また,コロナ禍前の過去3か年を見ますと,平成29年度は75万7,809冊であったのに対し,平成30年度は74万2,083冊,令和元年度は67万9,569冊と減少傾向が続いております。
新型コロナウイルス感染症以外の貸出し冊数減少の要因といたしましては,老朽化した施設の改修工事などに伴う休館により,例年に比べて開館日数が減少したことが影響したものと認識しております。
しかし,この改修工事によって,那珂湊図書館及び佐野図書館につきましてはバリアフリー化が図られたことから,今後は障害を持つ方や高齢者などにも快適にご利用いただけるものと考えております。
また,一方で,開館日数の増減に影響されない1日当たりの平均貸出し冊数を各年度で比較してみますと,平成29年度は2,595冊であったのに対し,平成30年度及び令和元年度はともに2,604冊と横ばいとなっております。
各館の休館によりご不便をおかけしておりますが,読書活動の充実や地域の情報拠点として,市民の皆様に変わらずにご利用いただいていると認識しております。
次に,2点目の,新中央図書館の進捗状況についてですが,市ではこれまでも図書館に期待される機能や整備候補地について,あらゆる可能性を含め検討してまいりました。
こうした中,公共施設・土地利用に関する調査推進特別委員会でご説明させていただき,議員の皆様からもご意見をいただきながら,現在検討を進めております。
しかしながら,
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により厳しさを増す市の財政状況や,社会情勢の急激な変化などがあり,施設規模や整備コストなど整備計画を見直す必要が生じております。
また,社会のICT化の急速な進展など新しい検討課題が増えたことから,これからの時代を見据えた図書館機能について,図書館整備や運営に精通した有識者などの客観的なご意見をいただいて精査してまいりたいと考えております。
さらには,機会を捉えて市民からも意見をいただきながら,図書館に期待される機能につきましても検討していく予定です。
今後もより多くの市民の方に読書の楽しみや生活に役立つ情報を提供し,さらにはシビックプライドの醸成に寄与できる新中央図書館の整備検討を進めてまいります。
○鈴木一成 議長 22番樋之口英嗣議員。
◆22番(樋之口英嗣議員) ありがとうございます。
貸出し数が減ったというのは,あの当時,工事をやっていた部分があったかと。個人的な話ですが,孫を連れて図書館に行ったら開いていなかったという……。2か月ぐらいあったですかね,あれ。長期のあれがあったと思うんですが,それが影響したということで理解してよろしいんでしょうかね。
○鈴木一成 議長 湯浅博人教育次長。
〔湯浅博人教育次長登壇〕
◎湯浅博人 教育次長 再度のご質問にお答えします。
先ほどちょっとご説明をさせていただきましたとおり,年度で見ますと減少はしておりますが,1日当たりの貸出しの冊数で比較しますと,平成29年度から令和元年度までというのは横ばいというような状況でございます。
那珂湊図書館におきましては,令和元年12月29日から令和2年5月21日までバリアフリー化のために閉館をしておりました。そのほか,佐野図書館につきましても,トイレの改修などで閉館期間があったということが影響しているというふうに考えております。
○鈴木一成 議長 22番樋之口英嗣議員。
◆22番(樋之口英嗣議員) ありがとうございます。いずれにしても,老朽化が原因じゃないかなというふうに感じております。
続きまして,新図書館の見直しで新しい意見集約その他,検討するということですが,タイムスケジュール等はできているんでしょうか。
○鈴木一成 議長 湯浅博人教育次長。
〔湯浅博人教育次長登壇〕
◎湯浅博人 教育次長 再度のご質問にお答えします。
特別委員会のほうがただいまも継続中でございます。この中でご意見をいただきながら,さらに先ほどご答弁申し上げましたとおり,コロナ禍の中で新たな図書館のサービス内容を検討する必要がある。そして,財政状況も踏まえながら,面積であったり蔵書数であったり,こういったものについても検討せざるを得ないという中で,なかなか,いつまでにというところが現在出せないでいるところでございます。
いずれにしましても,候補地が決まりまして,その後,基本設計,実施設計というものに入りまして,実際に完成するまでには4~5年程度はかかるというふうに考えているところでございます。
○鈴木一成 議長 22番樋之口英嗣議員。
◆22番(樋之口英嗣議員) ありがとうございます。
ちょっとまとめというか,要望という形になるかと思うんです。
第1項目めでもお話ししましたけども,人口が集まるのは,職と,そして文化施設ということで,図書館建設等は計画が始まって5~6年は簡単にかかってしまうと。今47年ですから,5~6年たつと50年,半世紀を超えてしまう。それだけに,かなり建物が古くなってしまう,現代にはマッチしていない等々がどんどん表に出てきて,つまらない補修とか,かかってしまうということも考えられます。
私がこの政治の世界に入るのに,「次代を担う子どもたちに住みよいまちをプレゼント」が私のずっと政治テーマであります。何としてもすばらしい図書館を次の世代に残したいななんて勝手に思っているんですが,あったらいいなというふうに思っておりますので,ぜひ検討をお願いして,私の質問を終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
○鈴木一成 議長 以上で,22番樋之口英嗣議員の質問を終わります。
暫時休憩します。
午後2時44分 休憩
───────────────────────────────────────────
午後2時59分 開議
○鈴木一成 議長 休憩前に引き続き,会議を開きます。
次に,1番井坂涼子議員。
〔1番 井坂涼子議員登壇〕
◆1番(井坂涼子議員) 議席番号1番,新生ふるさと21,井坂涼子です。通告に従いまして,一般質問をさせていただきます。
本市でも新型コロナウイルスの集団ワクチン接種が開始となり,第1回目,第2回目接種と,少しずつ接種を済ませた方の声をいただくようになりました。
大谷市長をはじめ,職員の皆様方におかれましては,集団ワクチン接種という前例のないことに日々大変なご苦労をされていながらも迅速に取り組んでいただいていることに,市民の一人として心から感謝と敬意を表します。
予約開始当初は予約の集中により電話がつながらないなどの声を多く伺いましたが,現在はそれも解消され,予約お助け隊の設置など,問題点については職員の皆様のご尽力により日々改善されている現状かと思います。
先日,ヘルス・ケア・センターで集団接種を受けた方から,接種をしてくださった看護師の方の優しいお声がけで安心してワクチン接種をすることができたとのご連絡をいただきました。集団接種が開始されてまだ2日目のことでしたので会場に多少の混乱は見られたものの,安心して接種をすることができたそうです。
そして昨日,その方が2回目の接種に訪れた際に,1回目に接種をしてくださった看護師の方と偶然すれ違い,「○○さん,その後大丈夫でしたか。またどこかでお会いしましょうね」とお声がけをしてくださったそうです。その対応にとても感激をされてご連絡をくださいました。
また,2回目の接種時には,前回気になった接種会場の問題点も改善され,大変スムーズに接種をすることができたとのお話を伺いました。
このような困難な状況の中,市民の皆様が安心して接種できるよう一人一人に寄り添い,対応をしてくださっている医療従事者の皆様方に心から敬意を表します。
まだまだ先の見えないコロナ禍ですが,市民の皆様が安心して毎日を過ごしていただけますよう,今後も市民の皆様に寄り添っていただきたいと思います。
さて,今回の質問は,子育て世代に選ばれるまちづくりのために,子育てをする保護者の皆様の思いを質問にさせていただきました。子育て世代に選ばれるひたちなか市になりますよう,ぜひ前向きなご答弁をお願いいたします。
それでは,大項目方式で質問に入らせていただきます。
大項目1,子どもたちに寄り添った教育環境の実現に向けた取組について。
コロナ禍での学校生活は,子どもたちにも大きな変化をもたらしました。休み時間の過ごし方や授業内容も変わり,給食の時間も,本来であれば友人との会話を楽しみながらグループになり食べるのが当たり前でしたが,今はそれもできません。ですが,子どもたちは戸惑いながらも柔軟にこの環境に慣れ,我慢から1年以上が経過した現在はそれらが日常となり,先生方にもご尽力をいただきながら学校生活を楽しんでいるように感じております。
先月,多くの学校で行われた運動会も,ソーシャルディスタンスを保てる競技への変更など,先生方の大変なご苦労により開催していただくことができました。
GIGAスクール構想による1人1台タブレット端末の導入も開始されました。導入による先生方のご負担も大変なものだったかと思います。新しい生活様式の下,日々変化していく教育環境の中で,大変な思いをしながら子どもたちに寄り添ってくださっている先生方に改めて感謝を申し上げます。
そこで,1つ目に,2学期制の本格導入による課題と展望についてお伺いいたします。
昨年度はコロナ禍の影響により年度当初から臨時休校となり,その後も授業日数の確保のために大幅な授業形態の変更を余儀なくされ,本市は2学期制となりました。そこで,昨年12月議会においてその影響や課題点などを伺わせていただきました。
今年度の教育課程編成に当たり,従来の3学期制か2学期制への移行にするかについて検討がなされたものと推察いたしますが,本市では今年度も引き続き2学期制の導入となり,おおむね2か月が経過いたしました。実際に昨年度を振り返り,一保護者として個人的には臨時休校による不安はあったものの,2学期制を実施したことによる問題点はさほどなかったと感じております。
私たち保護者世代は3学期制が長年の感覚で体に染みついておりますので,夏休み前にあるはずの通知表がなかったことで物足りなさを感じたり,10月の新学期には金曜日に通知表を持ち帰り,月曜日からは新学期という今までにない違和感を感じましたが,それも次第に慣れていくものと感じております。
学力の向上や教育の質の向上は大前提として,重要なのは子どもたちにとって2学期制が過ごしやすい環境になること,そして先生方にとって,より子どもたちに寄り添える教育環境の実現の場になることかと思います。
そこで,2点お伺いいたします。
1点目に,今年度も引き続き2学期制を実施した経緯と展望をお伺いいたします。
2点目に,2学期制実施により今年度懸念されることがあればお伺いいたします。
続きまして,教育メールの拡充による学校情報配信アプリの導入についてお伺いいたします。
昨年12月議会において質問をさせていただいた教育メールの拡充について,学校情報配信アプリ「Home&School」が導入となりましたことに,多くの保護者の皆様から喜びの声を伺っております。これにより学校への欠席連絡や配布物なども閲覧できるようになり,双方向からの連絡のやり取りが可能となり,保護者にとっての利便性の向上はもちろん,先生方にとっても負担軽減になることかと思います。
そこで,2点お伺いいたします。
1つ目に,アプリの運用開始がいつからになるのか,現在の進捗状況をお伺いいたします。
2つ目に,現状の教育メールと比べて学校情報配信アプリの導入により期待される効果,また,それがどのように利便性の向上につながるのかお伺いいたします。
以上で,1項目めの質問を終わらせていただきます。
○鈴木一成 議長 野沢恵子教育長。
〔野沢恵子教育長登壇〕
◎野沢恵子 教育長 井坂涼子議員のご質問にお答えいたします。
1項目めの1点目,2学期制の本格導入による展望と課題についてお答えいたします。
本市では昨年度に引き続き,今年度も2学期制を導入しております。この経緯でございますが,全国的に新型コロナウイルス感染症の収束の見通しを持つことが難しい現況であることから,再度の臨時休業措置が取られた場合を想定し,授業時数の確保や教育活動の充実を図るため,今年度の措置として2学期制を導入いたしました。
2学期制を導入したことで学期の期間が長くなったため,学校行事を効果的に位置づけることができ,3学期制と比較しますと授業時数も増加し,長期休業の直前まで授業が行えるようになっております。
子どもたちは,十分に時間をかけながら作品作りや学習内容の定着を図るための補充学習に取り組むなど,丁寧に学習を進めることができると捉えております。また,教師が子どもたちのよさや頑張りを多面的・多角的に捉えることで,学習評価も一層充実すると考えております。
今後の展望についてでございますが,校長会と連携し,今年度中に学校や保護者から2学期制についての意見を伺い,成果や課題を踏まえ,次年度以降の学期制につきまして検討し,方向性を示してまいりたいと考えております。
課題といたしましては,通知表が2回となることで,子どもたちの学校での学習や生活の様子を保護者に伝える機会が減少することが挙げられると捉えております。そのため,授業参観後の懇談会や,夏休み中に三者面談等を実施するなど,児童生徒の生活や学習の様子を保護者に伝える機会を工夫して設定をすることが大切だと考えております。
次に,2点目,学校情報配信アプリの導入についてお答えいたします。
1つ目の,アプリの運用開始時期及び進捗状況についてでございますが,保護者への情報発信システム「C4th Home&School」のアプリケーションの導入につきましては,7月からの運用開始を目指し,現在,学校を通じて各家庭にアプリの事前登録をお願いしているところであります。6月下旬にテスト配信を行い,7月から順次,本格稼働を開始する予定です。
2つ目の,アプリ導入により期待される効果と利便性についてお答えいたします。
「C4th Home&School」アプリの導入により,保護者が欠席,遅刻,早退の連絡を学校に送信するだけでなく,学校側が記録したことや,担任の教員からの連絡事項を画面で確認できるなど,双方向の通信が可能となります。
また,学校からの一斉メールや学年,学級,部活動など,任意のグループからのお知らせを,児童生徒経由ではなく直接保護者が確実に受け取ることができます。
さらに,緊急連絡時や災害時には学校から一括して情報が発信され,学校側では保護者が通知を閲覧したかどうかを確認することが可能となります。
これらの機能を活用することで,朝の忙しい時間帯の電話対応や連絡帳の受渡しが少なくなり,保護者,学校間の負担軽減はもちろんのこと,情報共有が迅速かつ円滑になるものと期待しております。
今後は,学校だより,保健だよりなどをPDFで発信するお便り機能や,行事情報,これを発信することができる行事カレンダー機能などを順次追加しながら,より利便性の高い連絡体制の構築及び教育現場のデジタル化を図ってまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 1番井坂涼子議員。
◆1番(井坂涼子議員) ご丁寧なご答弁ありがとうございました。
要望も含めまして,再質問をさせていただきます。
まず,1項目めの1点目,2学期制についてですが,2学期制のメリットはおおむね理解させていただきました。
一方で,中学生の保護者の方からは受験への不安の声も伺っております。近隣市町村は3学期制のところも多い中で,本市が2学期制になることによって,受験への影響,評価への影響など受験生にとって不利になることがないのか,お伺いさせていただきます。
○鈴木一成 議長 野沢恵子教育長。
〔野沢恵子教育長登壇〕
◎野沢恵子 教育長 夏休み前に通知表を配布しないことで学習達成度が見えにくい状況に関しましては,受験生本人や保護者にとっては大変不安に感じる方もいらっしゃるかと思います。
その対応策といたしましては,単元テストや実力テストの結果の通知,授業参観後の懇談会や夏休みの個人面接などで補うことが可能であると考えます。これらにより明らかになった課題や目標を意識して夏休みの家庭学習に取り組むことで,成績の向上が期待されます。
また,2学期制は学期のスパンが約100日と長いために,学校行事を効果的に配置することで学習にじっくりと取り組むことができます。
高校受験の内申点は受験直前までの評価が採用されます。基本的には,私立高校は前期の評価にその後の学習の様子を加味して決めます。また,県立高校は学年末の評価が採用されますので,現在の学期制と同じでありますので,影響は考えにくいと認識しております。
また,2学期制を既に導入している市町村からも,不利であるというようなことは伺っておりません。
○鈴木一成 議長 1番井坂涼子議員。
◆1番(井坂涼子議員) ありがとうございました。
ご答弁を伺いまして,受験生,そして保護者の皆様は安心していただけるのではないかなと思います。
しかし,2学期制が子どもたちの学力にどう影響するのか,これは保護者の皆様には大変重要な点かと思いますので,保護者の皆様にも安心していただけるような情報発信をお願いできればと思います。
例えば,福岡県古賀市のホームページでは,学校教育課のページの中で,小中学校2学期制についてQ&Aを用いながらきめ細やかな説明が多岐にわたってされています。このように,保護者の皆様にも安心していただけるような情報発信を積極的にしていただきたいと思います。
今後については,2学期制,3学期制,それぞれのメリット,デメリット,様々な角度から見ていただき,子どもたちに寄り添った教育環境の実現に向けて検証をお願いしたいと思います。
続きまして,1項目めの2点目,学校情報配信アプリについて再質問をさせていただきます。
アプリというと,スマートフォンやタブレットへの情報発信には効果的かと思うのですが,フィーチャーフォン,いわゆるガラケーをお持ちの保護者の方も利用できるのか,お伺いいたします。
あわせて,数は少ないと思うのですが,携帯をお持ちでない保護者の方がもしもいらっしゃった場合,その方への対応をどのような形で考えているか,教えていただければと思います。
○鈴木一成 議長 野沢恵子教育長。
〔野沢恵子教育長登壇〕
◎野沢恵子 教育長 再度のご質問にお答えいたします。
スマートフォンでない場合にはどのような対応を想定しているかということですが,「C4th Home&School」はフィーチャーフォン,いわゆる携帯電話,タブレット,パソコンの各通信機器,これにも対応しておりますので,メールアドレスを登録することで,メールで学校から配信した内容をPDFなどで確認することが可能でございます。
また,携帯電話をお持ちでない方の対応なんですが,そういう保護者への場合には,学校から保護者への単方向,1方向の発信になりますので,欠席連絡につきましては,現在,今までどおり電話で学校に連絡していただくことと考えております。
また,携帯電話をお持ちでない方は,これまでと同様に,自宅の電話から学校へご連絡いただきたいと考えております。
学校からのお知らせ等につきましては,個別に文書またはお電話で学校からの対応を想定しております。
○鈴木一成 議長 1番井坂涼子議員。
◆1番(井坂涼子議員) ありがとうございます。
PDFでの確認をしていただけるということでしたが,一方的に見ていただくような形になるかと思いますので,ぜひ学校からの積極的な連絡をお願いできればと思います。
要望となりますが,情報発信の観点からは,先ほどの2学期制についてもそうですが,例えば1人1台タブレットの件なんかも,保護者にとってはどのぐらいの頻度でどの教科で使用している等の情報が分からないのが現状ですので,アプリの機能を最大限に活用していただいて,そのような情報も発信していただけるなど多岐にわたる情報が発信できる,保護者にとって学校の情報がこれを見れば分かるというような,連絡事項だけでは終わらない,雑誌感覚で気軽に開いていただけるようなアプリにしていただきたいと思います。
以上で,1項目めの質問を終わらせていただきます。
続きまして,第2項目,きめ細やかな子育て環境の整備・拡充についてでございます。
1つ目に,疾病・障害をお持ちのご家庭における保育所・保育園への入所選考基準についてお伺いいたします。
以前,身体障害者手帳をお持ちのご家庭の方から,身体障害者手帳により雇用に関しては問題なく就職先も決まり,保育園に入所申込みの段階になったのですが,基準指数の壁が立ちはだかり,なかなか保育園に入ることができないというご相談をいただきました。
本市としては,みんなでつくる地域で共に生きるまちを基本理念とし,障害福祉施策の充実を目指した,ひたちなか市障害者プラン第3期計画も策定し,そこには「障害の有無にかかわらず相互に支え合い,お互いの人格と個性を尊重しながら共生する社会の実現が求められています」と書かれており,まさにこれはSDGsの目標の一つにもなっているインクルーシブ社会実現へ向けた大変重要な一歩になります。そのような社会情勢の中で,本市としても重要な課題として捉えるべきではないかと考えます。
障害者雇用促進法では,全ての国民が障害の有無にかかわらず個人として尊重されること,全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現しようという,ノーマライゼーションの理念があります。
毎年10月末に発行される本市の保育所・保育園の入所・利用のご案内には「各家庭での児童の保育の必要性,緊急性について総合的な評価を指数化し,それに基づき優先度を決めます。優先度の高い児童から順に入所先を決定していきます」と記載されており,ここに示されている基準指数は働く時間により定められています。
身体障害者手帳受給者の基準指数については働くことを前提としていない指数であり,働くことができない方でも身体障害者手帳の級数により定められた指数を加算できる制度です。一方で,働こうとしている身体障害者手帳受給者にとっては,通常の働く時間により定められた基準指数を超えられないために,不利になってしまう現状であります。
基準指数に加えて,生活保護を受けている方や一人親世帯,父母の一方が単身赴任をしている際など,その際に加点できる補正指数がありますが,そこには疾病や身体障害者手帳受給者への補正指数がないのが本市の現状です。
身体障害者手帳を受給されている保護者の皆様が社会進出しやすい環境をつくることは行政の責務であり,社会進出に向けて支援していくことが必要と考えます。
そこで,本市の補正指数を見直す必要があると考えますが,本市としてのご見解をお伺いいたします。
2点目に,本年度より実施された学童保育の拡充,5,6年生による現状と課題についてです。
本年度4月から,本市では学童保育を5年生,6年生までに拡充していただきました。保護者の皆様にとりまして,待望の大変ありがたい保育サービスが運用開始となりました。私自身,娘を学童保育へ預けさせていただいておりますので,コロナ禍により,より一層大変なご苦労をされている支援員の皆様を日々目にさせていただいております。
しかしながら,本市は近隣自治体と比べ,議論を重ね,拡充までに時間を要したわけでありますが,課題を残したままの拡充になってしまったのではないかと感じる面もあります。拡充に当たり教室数を増やした学童保育もあり,1人当たり1.65平米という基準や,多くても1クラス当たり40名,この基準は満たされておりますが,現状の課題として,この基準数値だけでは見えない課題が学童保育には山積していると感じております。
空き教室がない学校での学童保育は,昼間は図工室として利用している学校の教室をお借りして,夕方から学童保育の教室になる学校などもあり,ハード面でも支援員の皆様のご負担が大きいことも現状かと思います。
学校での時間を終え,解放された子どもたちは,学校生活とは違う一面を見せる場所が学童保育であります。その現状として,日々目にするのは,教室の片隅で宿題をしている高学年の児童,そして,その周りには駆け回って遊ぶ低学年の児童です。下校時刻も異なることから,同じタイミングで学習をするのは難しいのが現状です。このような学童保育は少なくないと認識しております。1年生から6年生までが限られた空間の中で同じ時間を過ごすこと,ここに定員の基準数値だけでは見えない現場の課題が見えてくるかと思います。
昨年12月議会でのご答弁の中でも,年齢に応じた保育の方法や関わり方を学ぶため,高学年の育成などに特化した研修を実施していく必要があるとご答弁をいただいております。そういった高学年への関わり方というのは,大前提にそれができる環境が必要であると考えます。
それに加えて,体調が悪くなった児童が休む部屋や更衣室もない学童保育を,整った環境とは言い難いのが本市の現状かと思います。拡充をしたことがゴールではありません。環境が整っている学童保育と,そうでない学童保育がある中で,利用する児童全員が公平に利用できるような環境整備をしていただきたいと感じております。
学校の空き教室の有無や敷地の問題,また財政的な問題もあるかとは思いますが,利用する児童たちにとって放課後の時間が過ごしやすい環境になるよう,目を向けていただきたい課題ではないかと考えます。
そこで,2点お伺いいたします。
1点目,昨年度4年生だった児童の保護者のアンケートでは,5年生も利用したいという回答が74%と,高学年の利用ニーズが高いという調査結果を昨年12月議会にてご答弁をいただいておりますが,実際に昨年度4年生だった児童が5年生になり,引き続き利用した児童人数をお伺いいたします。あわせて,現在の6年生の利用者数もお伺いいたします。
次に,学童保育の現状と課題を本市としてどう捉えているのか,また,施設環境の公平性の観点からも,今後の学童保育の在り方をどのように目指すのかお伺いいたします。
以上で,2項目めの質問を終わらせていただきます。
○鈴木一成 議長 森山雄彦福祉部長。
〔森山雄彦福祉部長登壇〕
◎森山雄彦 福祉部長 2項目めの1点目,疾病・障害をお持ちのご家庭における保育所・保育園への入所選考基準についてお答えいたします。
保育所の入所申込みにつきましては,保護者本人の就労や疾病・障害,家族の介護などにより,家庭で児童を保育できない理由があることが要件となってまいります。
申込みの際には保護者の方から証明書を提出していただき,市が定める入所選考基準表に基づき保育の必要性を点数化し,保育所入所の優先度を決定しております。
この点数は基準指数と補正指数に分かれており,まず,基準指数は保護者が家庭で保育できない理由に着目して点数化しております。例えば就労理由の方は,就労時間や勤務形態により最大20点が加算されます。また,障害理由の方は,障害者手帳の等級により最大20点となりますが,2つの理由を合算することはできず,どちらの理由を取るかは保護者の選択制となっております。
次に,補正指数は家庭環境や支援を要する家庭など特別な事情を考慮する指数となっており,児童に障害がある場合や一人親世帯の場合などに加点をしております。
入所審査では,これらの指数の合計により優先度を数値化し,希望する保育所の空き状況と照らし合わせ,優先度の高い順に入所を決定しております。現在,市では補正指数を43項目設けておりますが,障害状況については児童のみの補正となっており,保護者が障害を持っている場合の補正は設けていない状況であります。
議員ご指摘のとおり,近年,障害のある方の雇用が進み,障害を持ちながら働き,子育てをする方は増えてきております。
市といたしましては,障害があっても子育てをしながら働いている方のお気持ちを真摯に受け止め,今後,選考基準表の見直しに取り組んでまいります。
○鈴木一成 議長 湯浅博人教育次長。
〔湯浅博人教育次長登壇〕
◎湯浅博人 教育次長 2項目め,きめ細やかな子育て環境の整備・充実についての2点目,本年度より実施された学童保育の拡充による現状と課題についてお答えします。
まず,1つ目の,5年生の利用人数につきましては,昨年度末に4年生として最終的に利用承認をしていた児童数は336名であったのに対し,今年度当初に5年生として利用承認をした児童数は219名となっております。
昨年10月に公立学童クラブを利用している4年生の保護者に行ったアンケート調査において,5年生になっても公立学童クラブを利用したいと回答した保護者は221名であったことから,今年度当初の利用承認数は想定どおりとなっております。
また,6年生における今年度当初の利用承認数は25名となっております。
次に,2つ目の,現状と課題をどう捉えているか,また,施設環境の公平性の観点からの今後の学童クラブの在り方についてですが,今年度より利用希望者の増加に対応するため,前渡小学校及び高野小学校の各学童クラブにおいては,1クラスずつ増設をしたところであります。
これにより,前渡小学校で71名,高野小学校で68名の定員増が図られ,全体では39クラス,定員は2,585名となっております。
現在,公立の学童クラブにつきましては,空き教室がない一部の学校で専用の施設を設置しているところもありますが,基本的には学校の空き教室を利用して運営しております。しかしながら,利用している空き教室の中には,一般教室ではない図工室や家庭科室が含まれている学校があるなど,利用環境に差が生じているのが現状であります。
この課題を解決するためには,全ての学校に専用施設を建設することが望ましいところではありますが,図工室や家庭科室を利用している学校においては,専用施設の建設が可能となる施設の敷地の確保が困難な状況になっております。しかしながら,このような学校におきましても今後児童数が徐々に減少し,将来的には一般教室の利用も可能となることから,今後とも学校と情報共有を図りながら,施設環境の公平性確保に取り組んでまいります。
また,利用する児童が安全・安心に過ごせるよう,学童クラブに配置している支援員と緊密に連携しながら,可能な限り保育環境の改善に努めてまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 1番井坂涼子議員。
◆1番(井坂涼子議員) ありがとうございました。
それでは,再質問をさせていただきます。
まず,2項目めの1点目,疾病・障害をお持ちのご家庭における保育所・保育園の入所選考基準についてですが,前向きなご答弁をいただきましてありがとうございました。
見直しを進めていただけるというご答弁だったかと思うんですが,いつ頃見直していただけるのか,開始時期など分かればお伺いいたします。
○鈴木一成 議長 森山雄彦福祉部長。
〔森山雄彦福祉部長登壇〕
◎森山雄彦 福祉部長 再度の質問にお答えいたします。
今後,他市町村の事例を集めまして加点の基準や公平性の確保等の課題を整理した上で,本年10月に配布予定の令和4年度入所案内に間に合うように準備をしてまいります。
○鈴木一成 議長 1番井坂涼子議員。
◆1番(井坂涼子議員) ありがとうございました。
疾病や身体障害者手帳をお持ちの保護者の方にとっては大変ありがたいことかと思います。数は少ないかもしれませんが,困っていた方がいらっしゃったのが現状ですので,今後もきめ細やかな対応をお願いいたします。
続きまして,2項目めの2点目,学童保育についてですが,こちらに関しては空き教室を増やしていくのはなかなか難しいというご答弁をいただいたんですけれども,今年度に関しては4年生がそのまま5年生に上がりましたので,そこまで人数の増加というのは,1学年分だけで済んだかと思うんですが,来年度に関しては6年生までそのまま追加されるような形になって,今の6年生が少ないのは,多分4年生で1回抜けた方が1年,5年生の間空けて,6年でもう1回入るということをなさらなかったので,6年生が少ないという現状だと思うんですね。ですので,来年度については今年度よりも増加していくのかなと思いますので,その辺り,人数も含めてご検討をお願いしたいと思います。
ぜひ,こちらは要望となりますが,コロナ禍によって学童の支援員の方々は色鉛筆の1本1本,ブロック1つ1つにまで日々消毒に追われているのが毎日です。消毒に時間を取られ,やりたいことがやってあげられないのが現状というお話も伺いました。施設環境の整備はもちろん,支援員の皆様のご負担も考慮していただき,今後も引き続き,きめ細やかな整備をお願いいたします。
最後になりますが,市民の方からのご要望がたくさんある中で,全てお答えできることではないかと思います。財政的な問題もあるかとは思いますが,こういう制度だから仕方ないで終わることなく,市民の声に耳を傾け,寄り添っていただき,施策の充実を図っていただきたいと思います。こうすれば解決できる,こうなったらいいな,などの工夫や新たな視点で,より優しいひたちなか市になるよう,そして市民の皆様が自慢できるひたちなか,住みたいまちひたちなかとなりますよう,今後も市民に寄り添っていただきたいと思います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鈴木一成 議長 以上で,1番井坂涼子議員の質問を終わります。
次に,7番清水健司議員。
〔7番 清水健司議員登壇〕
◆7番(清水健司議員) 議席番号7番,会派
未来ひたちなか,清水健司,通告に従いまして一般質問を行います。
さきの質問やこれまでの議会における質問内容と重複する点もございますが,視点の違いや状況の変化などもありますので,ご答弁のほどよろしくお願いいたします。
大項目1,新型コロナウイルスワクチン接種事業について。
現在,国を挙げて新型コロナワクチンの接種事業が推し進められており,本市においても医療従事者や65歳以上の方などを対象としたワクチン接種が開始されています。
本事業は市民の皆様にとって今最も関心の高い事業の一つであり,生命,健康,暮らしを守る極めて重要なプロジェクトであると捉えています。
本事業の推進に当たっては様々なご苦労や困難が伴うものであり,事業に携わる医療従事者や関係機関の皆様には心より敬意と感謝の意を表するものであります。
それでは質問に入りますが,本事業につきましては,今月10日に開催された全員協議会の中でご説明をいただいているところですので,その際の説明と重複する件につきましては簡潔なご答弁をお願いいたします。
1点目,ワクチン接種事業の経過及び現状についてお伺いいたします。
先月10日から65歳以上の方を対象とした集団接種の予約受付が開始されましたが,予約システムの改修や予約の受付停止,再開延期など度重なる変更により,対象となる市民の皆様には混乱と不安を生じさせてしまったものと感じています。
この点につきましては,事前の想定が十分でなかった面もありますが,実際に事業を開始して生じた課題や問題点等をしっかりと抽出し,速やかに対処していくことで,市民の皆様に安心感を広げていくことが肝要であると考えております。
また,全市民を対象とする新型コロナワクチン接種事業に関する業務量は膨大であり,本市としての体制が十分でなかったことがトラブル発生の要因の一つになっているのではないかと感じております。
本市の新型コロナウイルスワクチン接種対策担当は,市職員8名,会計年度任用職員5名の13名体制が取られており,今月1日から流動による職員が1名,7日からは派遣による職員が1名追加されたと伺っておりますが,本事業の重要性や業務量,国の打ち出す方針や状況の変化等に柔軟な対応が求められる業務であることなどを勘案すれば,さらなる体制の強化が必要ではないかと考えております。
そういった観点を含め,本市の新型コロナワクチン接種事業の経過及び現状について,本事業担当職員の時間外労働の状況や人員体制の強化の必要性についても併せてお伺いしたいと思います。
次に,2点目,接種会場についてお伺いいたします。
本市におけるワクチン接種は,市内医療機関における個別接種と,市内3か所の集団接種会場における集団接種が行われています。
個別接種の会場となる医療機関は市内各地にあるものの,集団接種会場は市内中心部に2か所と阿字ヶ浦地区に1か所となっています。
集団接種会場の選定や確保にはご苦労があったものと思いますが,地域人口の規模やアクセス性等を考慮すれば,津田や市毛といった西部地区,佐和駅を中心とする北部地区,那珂湊駅周辺地区等にも集団接種会場が設置されることがバランスの取れた配置ではないでしょうか。
もちろん接種会場の設置には医療関係者等の協力が不可欠であり,また様々な制約や条件の下,3か所の集団接種会場が選定されたものであると理解をするところでありますが,会場の選定に当たっての検討の経緯や今後の方針についてお伺いしたいと思います。
次に,3点目,接種事業の今後の見通しについてお伺いいたします。
この点につきましては先日の全員協議会においても一部ご説明をいただいているところですが,これまでに得た経験等を生かして接種事業のさらなる進展が図られると思いますので,接種事業の今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
大項目の2,保育事業の推進について。
新型コロナウイルス感染症の影響により,保育現場においても様々な配慮,対応を求められるなど,感染症のリスクや精神面を含め,保育に携わる方々の負担が増大しているものと思います。
保育所は働く親たちにとって欠かすことのできない子育てインフラであると考えており,現場を支える保育士等の処遇改善を含め,保育の担い手がやりがいを持って安心して働くことができるような環境を確保,維持していかなければならないと考えております。
また,保育所等における保育は人格形成の基礎を培い,子どもたちの健やかな成長を支えるものであり,その保育の質を確保,向上させていくことが求められていると捉えています。
一方,先月26日には,厚生労働省が保育所の利用児童数のピークが令和7年となる見込みであることの試算を公表しました。
また,先月27日の日本経済新聞の掲載記事の引用となりますが,帝国データバンクによると,2020年度までの5年間で28の保育事業者が倒産したとあり,今後の過剰となった保育施設をどのように機能転換していくのかという課題が生じると想定しています。
そのような状況のさなか,本市においては,定員拡大を伴う公立の東石川保育所の整備が進められているところです。
今月7日現在,既存保育所の定員に一定程度の空きがある状況や,今後の利用児童数の減少傾向も相まって,いずれ本市においても保育施設が過剰となってしまうのではないかと懸念されます。
本市の保育事業全体において安定的に質の高い保育が提供されるためには,中長期的に保育事業の需要を見定め,適正な規模による施設整備を行っていくことも重要であると考えられますので,1点目の質問として,保育需要の現状と今後の推移をどのように捉えているのかをお伺いいたします。
また,新東石川保育所整備事業については,当初,本年6月の開園を目指して進められていたところですが,その開園が本年10月に延期されました。質問の2点目としては,その遅延の理由及び事業の進捗について,整備事業に関する諸手続も含め,これまでの経過をお伺いいたします。
次に,新東石川保育所の園舎の整備方針及び物件賃貸借契約,その他の権利関係等についてお伺いいたします。
令和2年8月28日付で本市が民間企業と締結した,東石川保育所園舎に関する物件賃貸借契約書についてお伺いいたします。
当該契約には,令和3年10月1日から令和13年9月30日までの10か年を賃貸借期間と定め,契約金額が6億3,703万2,000円,支払い条件として,前金払いなし,120回均等払いと定めてあり,リース期間終了後,本件建物は市に無償譲渡することとの条件が付されています。
なお,これ以降は,当該契約については単に本契約,または本契約書と表現をさせていただきます。また,本契約書の物件,契約書別添の仕様書における建物,目的物,施設,物件等の不統一な表記が散見されますが,いずれも契約書別添の仕様書に基づき建築される東石川保育所の新園舎を意味する文言と理解できますので,以降はそれらの表記を単に新園舎と表現させていただきます。
それでは,本契約については大小様々な疑問点がありますので,まずは主な内容を列挙させていただきますので,それぞれの内容について具体的なご説明をお願いしたいと思います。
まず,1つ目,新園舎の整備方針として,賃貸借方式,いわゆるリース方式を採用することとなった理由を改めてお伺いしたいと思います。
次に,2つ目,契約金額6億3,703万2,000円の算定根拠についてご説明をお願いいたします。
また,金額等の比較の対象として,近年園舎の整備を行った市内保育所の事例として,平磯保育園,おーくす佐野保育園及びあずみの森保育園の各園舎の規模,構造,園舎整備費に関して,国,県等から交付された補助額をお伺いしたいと思います。
3つ目,本契約に関しては議会の議決を経ておりません。本契約は賃貸借契約と題されていますが,契約内容からすると,実質的には本市が新園舎を取得する契約であり,議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例に定められた事例に該当するものと考えられます。
これまで議会の議決が不要であるとのご見解を示されていますが,その理由をご説明いただきたいと思います。
4つ目,本契約における賃貸人は民間企業であり,本契約第3条の規定からも新園舎の設置主体は当該民間企業になるものと捉えておりますが,実際には本市が建築主として建築基準法上の手続や建設工事が進められております。その理由をご説明いただきたいと思います。
5つ目,本契約においては民間企業が私有地であるひたちなか市大字東石川字十文字1475番に新園舎を設置し,当該新園舎を本市に引き渡すとなっておりますが,建物を建築し所有するためには適法な底地の占有権限が必要ではないでしょうか。その辺りの権利関係はどのようになっているのでしょうか。
本市が使用する予定の建物だからそういったことは必要ないとご説明をいただいていますが,その法的根拠をお示しいただきたいと思います。
次に,4点目,保育士不足解消に向けた取組状況の成果等についてお伺いしたいと思います。
保育事業の推進に向けて最も重要な要素の一つである保育士不足問題が叫ばれて久しいところですが,市内の保育所においても保育士確保に苦労している様子がうかがえます。
施設整備や環境整備等ももちろん重要ですが,保育の担い手の確保,資質の向上が保育事業のさらなる推進には必要不可欠であると考えております。
そこで,本市の保育士不足解消に向けた取組の状況及びその成果等について,また,新東石川保育所開園に向けた保育士等の確保状況についてお伺いしたいと思います。
大項目の3,佐和駅周辺地域の都市整備について。
現在,佐和駅東西自由通路及び東口交通広場の整備事業が令和4年度内の供用開始に向けて進められています。佐和駅東側周辺の景色も徐々に変わりつつあり,周辺住民だけでなく,多くの駅利用者からの期待が寄せられています。
また,佐和駅東口の開設は交通結節点や地域の拠点としての機能を高めるものであり,本市の都市基盤の強化につながる重要な事業であると捉えています。
このテーマに関しては,過去の一般質問においても取り上げさせていただいておりますが,本年度は5か年を計画期間とする佐和駅周辺地区都市再生整備計画の中間年度に当たることから,当該計画における整備状況を含め,質問をさせていただきたいと思います。
それでは,質問の1点目として,佐和駅東口の開設に向けた事業の進捗状況及び東口開設後は駅前地区となる周辺地区の,主に道路や歩道,街灯整備などの環境整備の状況または方針についてお伺いさせていただきます。
また,常葉台地区や小貫山地区等から佐和駅東口への経路として,県道瓜連馬渡線を横断する際の安全対策について検討が進んでいるのかをお伺いします。
なお,この点につきましては,令和元年9月定例会における一般質問の中で令和3年度までに県警と協議をしていく旨のご答弁をいただいておりましたので,その後の経過をお伺いするものです。
次に,2点目,佐和駅東口の開設に当たって密接に関連する佐和駅東土地区画整理事業についてお伺いいたします。
当該区画整理事業に関する事業見直しは平成31年3月7日付で茨城県知事の許可を得ており,佐和駅東口駅前広場等の公共性の高い施設を優先的に整備するため,地区全体を第1工区と第2工区に分けられております。第1工区については優先して整備が進められる予定ですが,第2工区に関しては,当面の間,区画整理事業の進展は望めない状況です。
そのような観点から,第2工区に関しては,一旦従前地での土地利用を高めるために仮換地の指定の取消しが行われています。計画見直しによる仮換地指定が解除されて2年が経過した現在,第2工区においても民間による開発行為が進展し,多くの宅地分譲が行われております。もはや第1工区だけではなく,第2工区に関しても状況が大きく変化し,その流れは今後一層加速するものと思われます。
将来,第2工区に関して再び区画整理事業を立ち上げる際には,開発行為等により宅地開発された土地の取扱いが大きな課題になると想定されます。また,区画整理事業による雨水排水施設等の整備が追いつかない状況の中,次々と宅地開発等によって宅地化が進むことにより,地域内の雨水処理が間に合わなくなるなど,暮らしへの影響も懸念されます。
そこで,質問としては,民間による宅地開発が進んでいる佐和駅東土地区画整理事業第2工区に関する今後の整備方針について改めてお伺いするとともに,民間開発が及ぼす区画整理地内の生活環境等への影響を考慮した対応や検討が行われているのかをお伺いしたいと思います。
以上で1回目の質問を終わります。
○鈴木一成 議長 森山雄彦福祉部長。
〔森山雄彦福祉部長登壇〕
◎森山雄彦 福祉部長 清水健司議員の1点目,ワクチン接種事業の経過及び現状についてお答えいたします。
本市におけるワクチン接種事業は,医療従事者分についてはひたちなか総合病院において3月8日から開始され,65歳以上の高齢者分については市内の医療機関における個別接種を5月10日から,集団接種を5月22日から開始したところです。
医療従事者への接種の進捗状況につきましては,対象者数3,589人に対しまして,6月14日現在,1回目接種は3,466人が接種済みで,進捗率は約96.6%に達しており,ほぼ完了しております。
65歳以上の高齢者等への接種の進捗状況につきましては,対象者数4万2,722人に対しまして,6月14日現在,1回目接種は1万5,732人が接種済みで,進捗率は約36.8%となっております。
次に,本事業担当職員の時間外労働の状況につきましては,ワクチンの供給・配送や接種の予約枠配分など不確定要素の多い状況下で早急な対応が求められており,高齢者接種の予定は当初より前倒しとなり取り組みましたことから,担当者全員に多くの時間外勤務が発生している状況にあります。
人員体制の強化につきましては,予約枠公開に合わせ,ヘルス・ケア・センターと本庁内にそれぞれ10人体制で電話や来庁の応対に当たるなど,全庁的な対応をいたしております。
今後も業務量を見極めながら,必要に応じて人員の補強を図るとともに,委託可能な業務については外部に発注するなど,業務の効率化を併せて図ってまいります。
次に,2点目,集団接種会場として設定している3会場の選定理由についてお答えいたします。
生涯保健センター,通称ヘルス・ケア・センターにつきましては,新型コロナウイルスワクチン接種事業の拠点施設に位置づけており,基本型接種施設として市内医療機関へのワクチン配送を行うとともに,集団接種会場としても設定しているところであります。
ほかの集団接種会場の選定に当たりましては安全で円滑な接種体制を構築する必要がありますので,会場内の混雑を避けつつ接種可能な人数を多く確保できるよう,建物と駐車場に十分な広さを有していることや,来場に伴う周辺の交通の影響が少ないことなどが求められておりました。
まず,市が所有する公共施設について検討を行いましたが,9月末までの事業期間,当初の予定期間である9月末までには平日・休日を問わず開催が可能であることや,熱中症対策として空調設備を備えていることも必要であり,こうした条件を満たすホールや体育館はございませんでした。
コミュニティセンターにつきましては,集団接種の会場として必要な広さがないことに加えまして,災害時の避難所など地域の活動拠点となっていることから,接種会場としては適当ではないと見送らせていただきました。
次に,民間施設まで検討範囲を拡大いたしまして,2施設を選定いたしました。
ホテルクリスタルパレスにつきましては,人口の集中する市の中心部にあって,市内最大級の空調設備の整った広い室内空間を有していることや,大きな駐車スペースを有していることから,効率的な接種体制を構築することが可能であると判断したところでございます。
現在,クリスタルパレスにおきましては,新聞等の報道でも話題になっております,打ち手が移動する形をスペースの広さを活用して実現しているところでございます。
また,阿字ヶ浦クラブにつきましては,医療機関の立地がない地域にあって,建物と駐車場に十分な広さを有していることから,集団接種会場として設定が必要であると判断したところです。
次に,3点目,接種会場の今後の見通しについてお答えいたします。
現在取り組んでおります65歳以上の高齢者を対象としたワクチン接種の完了時期につきましては7月末を目標としており,対象となる方の84%の接種枠が確保できる見通しとなっております。国が想定している接種率70%を超えることから,おおむね7月中に接種ができるものと考えております。
今後は,60歳から64歳の方には6月末に接種券を送付いたします。同時期に基礎疾患を有する方にも市に申請することにより接種券が発行できるように,現在調整をしているところです。
59歳以下の方の接種券送付については,年齢を5歳もしくは10歳刻みに分けることを検討しております。発送時期につきましては,60歳から64歳の予約状況を見極めながら,ひたちなか市医師会と調整し,決定次第,順次発送をしてまいります。
今後は職域での接種が進むことが想定されることから,対象の方には接種券を発行してまいります。
引き続き,ひたちなか市医師会や関係機関の意見を聴取するとともに,国の動向を注視しながら,迅速かつ効率的な対応を図ってまいります。
次に,2項目めの1点目,保育需要の現状と今後の推移予測についてお答えいたします。
保育需要の現状につきましては,市全域では,令和3年,本年4月時点の待機児童はゼロとなっております。
地区別の動向として,勝田地区では入所定員数2,187名に対し入所児童数2,114名で,入所率は96.7%である一方,那珂湊地区では入所定員数745名に対し入所児童数678名,入所率は91.0%となっており,勝田地区における入所率が高くなっております。
さらに,年齢別で見ますと,市域全体におけるゼロ歳児から2歳児までの入所率は,本年4月時点で91.7%となっております。この入所率につきましては,例年,4月が最も低く,年度後半に向けて入所希望者が増えていく傾向がございます。
昨年度末の状況を見ますと,ゼロ歳児から2歳児までの入所率は102.5%となり,40名程度定員を超えて入所をしております。こうしたことから,市では特に低年齢児の年度末における保育需要の逼迫を懸念しているところであります。
次に,今後の推移予測については,出産後,早期に職場復帰を目指す方が多いことから,ゼロ歳児から2歳児までの保育需要は,今後も高水準を維持しながら推移するものと見込んでおります。
また,3歳児から5歳児については,これまでの傾向から徐々に減少するものと見込んでおります。
次に,2点目の,新東石川保育所整備事業の遅延理由及び事業進捗の経過についてお答えいたします。
令和2年3月の全員協議会においてお示しした工期と現状との違いについてでありますが,当初は昨年5月設計開始,同じく昨年9月着工,そして本年6月着工を見込んでおりましたが,入札仕様書の検討に時間を要したことから,入札通知が昨年7月13日となりました。
また,入札参加事業者の検討期間を十分確保しましたことにより,入札契約日が昨年8月28日となったものであります。
その後,決定事業者におきまして基本設計及び実施設計を行いましたが,保育の動線や児童の安全確保など設計に時間を要し,結果として着工が本年3月17日となり,現在,9月末の竣工に向け工事が行われているところであります。
次に,3点目の,新東石川保育所の園舎整備方針及び物件賃貸借契約その他権利関係等についてお答えいたします。
1つ目,リース方式を採用することとなった理由でございますが,本市では平成30年4月に民間保育所2か所を整備し,待機児童数はゼロとなりましたが,翌平成31年4月には再び25人となりました。
このため,令和元年度に策定いたしました,第2期子ども・子育て支援事業計画において,令和2年度から6年度までの保育需要に対する受け皿確保方策といたしまして,公立小規模保育所の設置と,東石川保育所及び民間保育所の改築を主要施策として計画したところでございます。
なお,東石川保育所の建て替え方針に関しましては,令和元年度の民間保育所園長会議においてご説明を申し上げ,異存がない旨の確認をいただいているところでございます。
市ではこの計画に基づき,増加する勝田地区における低年齢児の保育需要への対応として,昨年12月に高野いろは保育所を開設し,ゼロ歳児から2歳児までの定員拡大を図ったところであります。
さらに,東石川保育所の改築につきましては,高野いろは保育所の開設に伴う連携園としての役割を果たす必要があることや,老朽化が進み保育環境の改善が急務であること,施設が手狭で,公立でありながらゼロ歳児保育ができていなかったこと,あと,働く保護者の支えとなる病後児保育といった新たな保育ニーズにも十分応えられないことなど,様々な課題をできる限り早急に解決するため,設計施工を一体的に実施することで,1年以上整備期間が短縮可能となりますリース方式を採用したところでございます。
次に,2つ目,契約期間の算定根拠につきましては,債務負担行為7億2,600万円の範囲内で,令和2年8月28日の入札により6億3,703万2,000円と決まったものであります。
近年,園舎整備を行った各園舎の規模等につきましては,平磯保育園は令和2年11月末竣工,定員135名,延べ床面積1,203平方メートル,木造2階建て,園舎整備費4億1,632万8,250円,国庫補助金は2億1,743万3,000円でございます。
次に,あずみの森保育園は平成30年3月5日竣工,定員120名,延べ床面積1,188平方メートル,重量鉄骨造2階建て,園舎整備費4億2,604万9,200円,国庫補助金1億7,575万5,000円であります。
次に,おーくす佐野保育園は平成30年3月10日竣工,定員120名,延べ床面積1,141平方メートル,重量鉄骨造2階建て,園舎整備費3億9,676万7,181円,国庫補助金1億7,575万5,000円となっております。
なお,これらの園舎整備費は設計施工監理,園舎と園庭整備に係る金額でございます。
一方,東石川保育所改築に係る契約金額には,ただいま述べました民間保育園と同様の園舎整備費に加えて,民間会社の資金調達をはじめ,給食室で使用する什器や遊具などの大型備品,園児の椅子や机,ロッカー,靴箱などの保育用品,ピアノやオルガンといった備品など,園運営に関わる大部分のものをリースに含み,さらに契約期間である今後10年間にわたる建物本体部分に係るメンテナンスといたしまして,空調設備保守点検,エレベーター保守点検,給食昇降機保守点検,消防設備保守点検などを含むものでございます。
このように,東石川保育所賃貸借に係る契約金額は,園舎整備費に備品やメンテナンスなどの費用も加わったものでありまして,対象としている整備内容が異なってしまっていることから,純粋に比較することは困難であると考えております。
次に,3つ目,議会の議決が不要である理由につきましては,今回の契約はリース期間の終了後に建物が無償譲渡される条件を付した所有権移転リース取引となっております。
実質的に財産を取得する契約とのご指摘をいただいておりますが,リース期間中に支払う賃借料につきましては,所有権の移転を目的とした売買に係る対価ではなく,借り受ける施設や備品の整備に要した費用に加え,設備の保守点検に係る費用などについて,賃貸借に係る対価として包括的に支払うものであります。
こうした契約は,民法上において賃貸借契約と解されておりますことから,地方自治法上においても物件の借入れに該当し,財産の取得には当たらないと解されることが通例となっております。
したがいまして,今回の契約につきましては,地方自治法第96条第1項第8号及び議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例第3条の要件とされております財産の取得には該当しないために,その締結に際して議決を要しないものと認識しております。
なお,ほかの自治体におきましては,一定額以上の賃貸借契約を締結した際に議会への報告を義務づける条例を制定し,あるいは財産の取得に当たるとの解釈に基づき議決を得ている例も見受けられますが,そうした事例はまれであります。
次に,4つ目,市が建築主となることについては,契約上,設計に関する決定権は発注者である市にあることから,市長が建築主として特定行政庁へ申請を行ったものであります。
次に,5つ目,底地の占有権限につきましては,市が自らの所有地に民間企業に建物を設置させ,竣工後には借り受ける契約を締結いたしましたことから,この時点で占有を認めているものと認識しており,法的な問題があるとは考えてはおりません。
次に,4点目の,保育士不足解消に向けた取組状況及び成果等についてお答えいたします。
保育士不足の問題は近年大きな社会問題として取り上げられ,本市におきましても保育士の確保が課題となっておりました。そのため,市では令和元年度より,保育士確保を図るため,市主催の保育所見学ツアーやハローワークと連携した就職説明会の開催など,保育士確保事業に取り組んでおります。
本事業の実施に当たり,昨年10月に市内民間保育所に保育士確保事業への参加意向調査を実施いたしましたところ,新年度に向けて若干の不足はあるものの,ほとんどの保育園において運営に支障が出るような保育士不足の状態ではないとの結果でありました。
具体的には,市内民間保育所における正職員保育士の数は,令和2年4月時点で285名でしたが,本年4月には297名で12名の増となっております。このように,本市における保育士の確保は着実に進んでいるものと認識しております。
今年度は新たな取組といたしまして,公立保育所の保育士が近隣の短大や大学などの保育士養成校に出向きまして,主に1年生を対象とした保育セミナーを実施いたしまして,公立と民間保育所それぞれの特色や本市の保育環境について紹介するなど,理解増進と魅力の発信に努めております。参加した学生からは,本市で働きたくなったというご意見をいただいております。
なお,東石川保育所の開所に向けた保育士の確保状況ですが,改築に伴い,新たに必要となる正職員保育士は4名を見込んでおります。人員配置につきましては,今後,人事部門と協議をしながら適正配置に努めてまいります。
保育士を安定して確保することは継続する課題でありますことから,今後も様々な取組により保育士確保に取り組んでまいります。
○鈴木一成 議長 小倉 健都市整備部長。
〔小倉 健都市整備部長登壇〕
◎小倉健 都市整備部長 3項目めの1点目,佐和駅東口の開設に向けた事業の進捗状況及び周辺地区の環境整備についてお答えいたします。
まず,佐和駅東西自由通路及び新駅舎の整備につきましては,令和2年12月にJR東日本水戸支社と工事施工に係る協定を締結いたしまして,現在,JRにおいて工事を実施する請負業者の選定や契約手続等を進めているところでございます。
工事の進め方としましては,初めに現在の駅舎の南側に仮駅舎を整備いたしまして,改札口の切替えを行います。その後,現在の駅舎を取り壊してまいります。
新駅本体の建設工事には令和4年3月頃に着手する見込みであり,令和5年3月の完成を目標としております。
次に,周辺地区の環境整備についてです。
駅東側につきましては,駅前広場に接続する都市計画道路,周辺の区画道路を佐和駅東土地区画整理事業により整備をしております。
このうち駅前広場に接続する都市計画道路につきましては,勝田佐野線と高場高野線の交差点付近から佐野図書館西側を通り,佐和駅東口に向かう区間について,東口の開設に向けて整備を進めております。駅南側の地域から東口へのアクセスにつきましては,高場荘から常磐線沿いに新たな道路を整備してまいります。
また,駅前広場の北側に隣接して整備をいたします駐輪場に歩行者用の通路を新設することによりまして,駅北側地域からの利用者のアクセスを向上してまいります。
都市計画道路や駅前広場の歩道につきましては,ゆとりのある空間の確保に努めるほか,子どもからお年寄り,体に障害のある方も安心して移動できるよう,バリアフリーに配慮した設計としてまいります。
街灯など道路照明につきましては,道路照明施設設置基準に基づきまして,信号機のある交差点や横断歩道などに配置してまいります。工事期間中につきましても,車両や歩行者の通行量が多く見込まれる箇所に,夜間照明や誘導灯などを適切に配置してまいります。
また,常葉台地区や小貫山地区等の利用者が県道瓜連馬渡線を横断する際の安全対策につきましては,湊街道踏切付近への横断歩道の設置に向けて茨城県警と協議を行っております。
今年度は現地立会いを実施の上,横断歩道の設置位置や,課題となっております横断待ちのたまり空間の確保など,より具体的な協議を進めてまいりたいと考えております。
次に,2点目の,佐和駅東土地区画整理事業についてお答えいたします。
まず,第2工区の今後の整備方針についてですが,第1工区では令和5年春の佐和駅東口開設に向けた駅前広場や都市計画道路の整備が着々と進んでおり,第2工区の今後につきましても地元住民の皆様の関心が徐々に高まっているものと認識をしております。
市といたしましては,佐和駅東口の開設と都市計画道路の概成によって町並みや人の流れが大きく変わる令和5年4月頃から,第2工区の今後の整備方針について地権者の皆様とともに改めて検討を開始したいと考えております。
第2工区の整備に関する市の基本的な考え方としましては,第1工区やほかの土地区画整理事業と同様に区画道路については現道を重視した配置とし,既存の建物や開発行為等の整備済みの箇所を避けることによって建物移転を極力少なくするなど,柔らかい区画整理の手法により進めてまいりたいと考えております。
また,従前地を開発行為等により整備した区域につきましては,既に道路や宅地の整備が完了しておりまして,区画整理事業により再度の整備をする必要がないということから,施行地区から除外する方向で今後検討してまいります。
次に,第2工区内の民間開発が及ぼす区画整理地区内の生活環境等への影響を考慮した対応についてお答えをいたします。
雨水排水につきましては,第1工区内において,地区北側の本郷排水区では調整池の整備を,地区南側の高場排水区においては雨水幹線整備をそれぞれ計画しておりますが,完成にはまだ時間がかかる見込みです。
こうした中,第2工区においては,民間の開発行為等による宅地分譲が進んでいるという状況でございます。このため,開発行為等に伴う雨水排水処理に関する指導の中で,各宅地内に雨水貯留浸透施設の設置をお願いしております。これにより,周辺環境への排水負荷が高まらないように配慮をしているところでございます。
また,将来的な道路計画と先行して行われる第2工区内の宅地開発による道路との整合につきましても,開発行為に伴う指導の中で対応しているところでございます。
第1工区との隣接地においては,第1工区内の区画道路との接続を図るとともに,第2工区において予定をしております現道拡幅型の区画整理と整合の取れた道路配置としていただくよう対応しております。
○鈴木一成 議長 7番清水健司議員。
◆7番(清水健司議員) ご答弁ありがとうございました。
まず,やはり新型コロナウイルスのワクチン接種事業に関しては,様々なご苦労があるのかなというふうに捉えております。関係する皆様方には改めて感謝を申し上げたいというふうに思っております。
また,本来1問目でお伺いする予定でもあったんですが,個別接種会場について事前にご説明をいただく機会があったので,今回は質問としては取り上げていませんが,今後の方針として,聞いた答弁の中にもちょっと触れられていなかったので,少しその点,こちらで触れながら再質問をさせていただきたいというふうに思います。
現在,個別接種会場として市内各医療機関においてご協力いただいているところでありますが,今後,60歳未満の方々の世代のワクチン接種に関してはいまだ調整がついていないというような話を聞いております。個別接種会場として引き続き事業を支えていただけるのか,不透明な状況であるというふうに捉えています。
この点につきましては,相手方のある話なので何とも言えないとは思うんですけども,本市のワクチン接種担当の職員さんが多忙であったり,医師会さん,関係機関さんとの調整,そういった業務にまでなかなか手が回っていないんじゃないかなという懸念も持っております。
また,今後,職域接種なども始まって,業務の複雑化というのがより進んでしまうのではないかなという,そういった観点もございます。
このワクチン接種事業は未曾有のウイルス災害,こういったものから市民の皆様を守る,市民の健康,生命ですね,言うなれば暮らしを守る,そういった危機対応であると思っております。そういった観点から,これは国を挙げての事業ではあるんですけども,市長にはその最前線で基礎自治体を牽引していただく必要があるのかなというふうに思っております。
そういった点から,これは市長に答弁を求めたいというふうに思いますが,現状の人員配置等を含めて,本市のワクチン接種対策担当の体制の現状として十分と捉えていらっしゃるのか,また,今後そういった体制を強化していく,そういったお考えがあるのか,その点についてお伺いをしたいと思います。
○鈴木一成 議長 大谷 明市長。
〔大谷 明市長登壇〕
◎大谷明 市長 再度のご質問にお答えいたします。
先ほど福祉部長が答弁させていただいとおり,これまでワクチン接種担当チームの拡充を図ってきたところでございます。
しかしながら,度重なる方針の転向,また,新たな職域接種の課題等々,今後様々な業務の量が予想されるというふうに認識しております。
現在も全庁的に流動体制において人員を確保しているわけでございますが,担当チームとしっかり連携を取りながら,必要であれば人員の確保というものを今後全庁的な課題として取り組んでまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても,市民に安全,そしてスムーズな接種環境を提供するために,市一丸として全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○鈴木一成 議長 7番清水健司議員。
◆7番(清水健司議員) ご答弁ありがとうございました。
ぜひ,市長におかれましてはワクチン接種事業に関してしっかりとリーダーシップを発揮していただき,事業の推進を図っていただきたいというふうに願っております。
続きまして,大項目の2のほうに移らせていただきたいというふうに思います。
施設整備や環境改善,保育士の処遇改善,そういった点も,また昨日,同僚議員からの質問にもあったように,民間保育所の補助の在り方など,様々な形で保育事業の推進の方策は多岐にわたると思っております。
私もそういった保育事業の推進,子育てしやすいまちづくりを強く望んでおりますので,本件で取り上げている東石川保育所の新園舎の整備方針や手順等に関して疑義が残りますので,保育事業の基盤が揺らぐことがないように適正な手続によって進めていただく必要があると思いますので,疑問点について改めて質問をさせていただきたいというふうに思います。
それで,私の質問の中で,まずは(2)番のところから入らせていただきますが,事業の進捗の経過ということで,入札等も行って契約に至ったというのが令和2年8月28日というふうに伺っております。こちらについては,入札は指名競争入札で行われたということですが,何社の指名がかかったのかというのをお伺いしたいと思います。
○鈴木一成 議長 高田晃一総務部長。
〔高田晃一総務部長登壇〕
◎高田晃一 総務部長 再度の質問にお答えします。
今回につきまして履行が可能と考えられる有資格者が少数ということで,広く一般競争入札に付することではなく,指名競争入札としたところであります。
今回につきましては,数が,10社を選定したというところであります。
○鈴木一成 議長 7番清水健司議員。
◆7番(清水健司議員) ありがとうございます。
10社指名をされたということであったと思います。指名競争入札を選定したということの理由も触れられていたので,次に進みたいとは思うんですが,今回,入札に当たって仕様とかそういったものを検討するのに時間がかかったという話がありましたけども,今回,契約書の中身を見せていただいた段階では,契約の条件の中に様々定まっているわけなんですけど,これは本市が保育事業を行う前提で新園舎を建築するというような要素を含んでおりますので,そういった部分については,本市が主体的に取りまとめて,そういった契約書に添付されている別添の仕様書,それが入札の前提条件になっていたのかというのを確認させていただきたいと思います。
○鈴木一成 議長 森山雄彦福祉部長。
〔森山雄彦福祉部長登壇〕
◎森山雄彦 福祉部長 ただいまの質問にお答えいたします。
仕様書のほうが付されていたかということでございますが,申し訳ございません,今ちょっとあいにく手元にございませんので,確認のほうができない状況でございます。
○鈴木一成 議長 7番清水健司議員。
◆7番(清水健司議員) 一応質問で通告させていただいたテーマの中にも,契約書,今回,物件賃貸借契約書というものについてお伺いするということで通告もさせていただいている中で,それの資料がないというのはちょっと理解ができないんですけど,一応この条件の中には,施設の設置において,受注者という表現にはなっているんですけど,建設業法上の定めによる特定建設業許可を有することとなっております。
しかしながら,入札のときに指名がかかった10社についてちょっとこちらでも確認をしたんですが,10社中5社しか特定建設業の許可を持っているということの確認ができなかったんですが,残り5社については許可をお持ちなのか,ちょっと確認をしたいと思います。
○鈴木一成 議長 高田晃一総務部長。
〔高田晃一総務部長登壇〕
◎高田晃一 総務部長 再度の質問にお答えします。
今回の指名の選定の件でございますけども,有資格者のうち,履行が可能と考えられる業者の情報を収集して選定をしております。
本件は過去の同種案件と比べて高額ということなものですから,より十分な競争性が発揮されますよう,10社を選定したところであります。
指名に当たりまして,今回,特定の業者が5社,一般の資格を持った5社,合計10社を指名したと。これにつきましては,指名業者選定委員会で決定して,指名を選定したという経過がございます。
○鈴木一成 議長 7番清水健司議員。
◆7番(清水健司議員) ありがとうございます。
一応,条件とされている資格がない方に指名がかかっている状況がちょっと,本来であればご説明いただきたいところなんですが,別の観点でちょっと,たくさんテーマがあるので,先に進ませていただきたいというふうに思います。
ちなみに,今回の令和2年8月28日付の物件賃貸借契約書についてですが,私が1問目で指摘させていただいたとおり,財産の取得の契約に当たるのではないかなというのが私の考え方なんですけども,一応,契約の表題,タイトルのつけ方というのは特に制限がないので,契約内容を決めるのは,表題ではなく,契約の本文にもあるというふうに思っています。契約形態は,契約書に記載された表題ですね,タイトルに直ちに契約内容を拘束されるものではないと。実際には合意内容によるもので判断すべきというふうに捉えています。
したがって,契約の表題に,契約書,覚書,合意書,協定書など様々な表現が用いられることもありますし,例えば表題が,売買契約,委託契約,賃貸借契約となっていたとしても,契約書の本文の内容が請負であれば当該契約は請負契約になり得るというふうに解釈をしております。そのようなことを前提として質問を続けさせていただきたいというふうに思います。
それで一応,民法の601条,こちらに賃貸借ということで,賃貸借契約が効力を有する規定があります。読み上げさせていただくと,賃貸借は,当事者の一方がある物を使用及び収益を相手方にさせることを約し,相手方がこれに対して賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによってその効力を生ずる,というふうになっております。
契約形態として賃貸借というふうに極めて近い表現も含まれておりますが,その契約書の中身に,一般であれば,賃貸人がこの当該物件を賃借人に賃貸して,賃借人は借り受けるという,こういう表現が通常は表記されていると思うんですけども,法律上の文言に合致する表現がこの契約書上には明確にないんですよね。これが非常にちょっと,まず1点目としては気になる点があります。
本契約の第3条には,賃貸人が物件を契約書記載の設置期限までに契約書記載の設置場所に設置をして,賃借人が正常に使用できる状態に調整して引き渡すということしか書いていないわけですよね,その点については。これについては,明確な文言が見当たらないということが契約の正確性をちょっと導き出しにくいなというふうに感じております。
また,通常,月額賃料とか年額賃料とかは分かるんですけど,総額表示で契約金額が6億3,703万2,000円というふうにありまして,その賃貸借料金についても,月額,503万8,600円というふうにあります。年額にすると6,300万を超えるわけなんですが,大変高額な賃料になっているなというふうに捉えております。
実際には,こちらの建築物については重量鉄骨造ということで,耐用年数が34年はあるのかなというふうに思っておりまして,その耐用年数が34年ある建物について,賃料ですね,120月の契約なので120倍すると満額回収できてしまうという金額設定になっているんですね。とてもこの賃料設定は賃貸借の賃料を設定した金額には思えず,新園舎の整備に係る費用全体を単純に分割して支払っているような金額設定と思えてしまうというところがあります。
これは賃貸借契約という体裁は,タイトルはついているんですけども,支払い条件についても前金払いなしの120回均等払いというふうになっている。なかなかちょっと不自然だなという点。その他の点も指摘をしたいところがあるんですが,こちらの契約については,契約終了後に市が無償取得をするという契約になっておりますので,財産の取得契約に当初から所有の意思を持った契約をしているというふうに捉えられてもおかしくはないんではないかなというふうに受け止めております。
その点をご指摘させていただいて,時間がないので改めてお伺いしますが,こちらが純粋に民法上に定める賃貸借契約だということで捉えているということで間違いがないのか。これは市長に,契約の当事者としてどのようにお考えか,ご答弁をお願いしたいと思います。
○鈴木一成 議長 大谷 明市長。
〔大谷 明市長登壇〕
◎大谷明 市長 再度の質問にお答えいたします。
民法における賃貸借の定義については,ご指摘のとおり,601条において当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約束し,相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還するということを約束すること,と規定されているところでございます。
リース取引につきましては,契約が終了したときに返還を約束するとは限らないものの,物件の貸し借りとその対価の支払いを中核とした取引でありますことから,各種法令及び商習慣においては賃貸借に包含されることが通例となっております。
地方自治法において特別の規定は存在せず,国からも明確な解釈も示されておりませんが,先ほど申しましたとおり,事実に基づき,地方自治法においても同様の解釈ができるものと認識しております。
○鈴木一成 議長 以上で,7番清水健司議員の質問を終わります。
お諮りします。本日の会議はこれをもちまして延会したいと思います。異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○鈴木一成 議長 異議なしと認め,本日はこれをもちまして延会します。
午後4時44分 延会...