日立市議会 2019-12-10
令和元年第4回定例会(第3日目) 本文 開催日: 2019-12-10
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時00分開議
◯副議長(
伊藤健也君) おはようございます。
本日は、議長から欠席届が出ております。よって、
地方自治法第106条第1項の規定により、副議長の私が議長の職務を行わせていただきます。議員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。
御報告いたします。
ただいま出席議員は26名であります。
これより本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元に配布してあります議事日程第3号のとおりであります。
これより議事に入ります。
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日程第1 市政に関する一般質問
2 ◯副議長(
伊藤健也君) 日程第1 市政に関する一般質問を行います。
昨日に引き続き、質問を許します。
初めに、
篠田議員に発言を許します。
なお、質問は
分割質問分割答弁方式により行います。
3 ◯10番(
篠田砂江子君) ◇登壇◇ おはようございます。公明党の
篠田砂江子でございます。
発言通告に従いまして、大きく2項目質問させていただきます。御答弁よろしくお願いいたします。
全国的に大きな爪痕を残した台風15号、19号、21号でした。近隣の市や町では大きな被害を受けましたが、幸いなことに本市には大きな被害もなく、被災した市や町に救援物資を送ったり、人的支援などをすることができました。御尽力いただいた市長を始め執行部、職員の皆様に敬意を表します。
想定外の災害が常態化してきている今日、行政を主体に考えた場合の自助とは何なのか。適切な避難所の確保、認定、危険箇所の周知啓発、確実な情報発信、恒常的な防災への啓発、すぐに動ける
体制づくり、こういったものが行政側の自助に当たるのではないでしょうか。
自然災害は行政のせいではありませんが、被害を最小限にするための努力は必要であると考えます。中でも、避難所はとても重要な役割を担うことになると考え、質問させていただきます。
大きな1番、災害時の取組についての(1)災害時の避難所について。
ア、避難所となる体育館等のトイレについて。
9月8日の台風15号、10月11日の台風19号、10月25日の低気圧による大雨の際、本市は避難所を開設して市民に避難を促しました。
私は、台風19号が接近した10月11日、
避難所開設後に近くの小学校の体育館に行って、避難をされてきた方にお話を伺いました。
高齢で
ひとり暮らしの方や、御主人が出張で留守のため小さなお子さんと二人で家にいるのは不安だからなどと、数人の方が避難されていました。その中の高齢の方は、避難所は
和式トイレということで、水を飲むのを控えるようにしていて、体育館の入口近くに座っていました。避難所に来るのはちゅうちょしたとのことでしたが、再度の
避難勧告によって避難所に来たとのことでした。
避難勧告が解除された後、避難されなかった方にもお話を伺いましたが、避難しなかった理由は、やはりトイレが心配だったからと話される方が多くいました。高齢者、障害者、そして小さいお子さんにとって、避難所の
トイレ洋式化は重要なものと考えます。
そこで、お伺いいたします。
市内の避難所となる
小中学校の
体育館トイレの現状について、トイレの総個数と、洋式化されているトイレの個数をお聞かせください。また、校舎内にある
洋式トイレを使用できるようにするなど、今後の対応策が必要ではないかと考えますが、執行部の御所見をお聞かせください。
イ、避難所での
ペット対応について。
今回、トイレの心配のほかに多かったのが、
ペット同伴の避難についてでした。
お話を伺う中で、ペットの犬や猫を連れて避難所へ行っていいのか分からず避難しなかった、ペットを置いて避難所へ行くのならペットと一緒に自宅にいたほうがいいなどの様々な理由で避難しなかったそうです。
最近は、ペットは大切な家族の一員であるという意識が根付いております。家族であるペットを守りたいために、飼い主が避難せずに災害に遭ってしまうことがあってはならないと考えます。
そこで、お伺いいたします。
今回の災害で避難所にペットを同行することについての市民からの問合せはあったのでしょうか。また、
ペット受入れに対する周知状況をお聞かせください。
次に、飼い主側の自助努力についてお伺いいたします。
これまでの他の自治体での災害においては、ペットを連れているという理由によって、避難所に宿泊せずに野外生活をされた方、半壊の家屋にとどまった方や車中泊をされた方が、二次災害に遭ったり
災害関連死に遭うというケースも存在しています。
このようなことを避けるために、平成25年6月に環境省から災害時におけるペットの
救護対策ガイドラインが出され、飼い主は災害時に避難するとき、できる限りペットと一緒に避難場所まで行く
同行避難を行うことを心掛けることが示されました。
神奈川県川崎市では、各
避難所ごとに
ペット受入れを認め、飼い主は平常時からペット用の避難用品を準備し、ペットをキャリーバッグやケージに慣らしておくこと、人に慣らすこと、決められた場所で排せつができるようにしておくこと、
同行避難ができない場合や
避難所生活が困難になった際に預かってくれる方や場所を確保しておくことといった
マニュアルを作成し、飼い主の自助努力の意識向上を促しています。適切なしつけは、
避難所等における他の避難者への迷惑防止になるとともに、
ペット自身の
ストレス軽減にもなります。
また、神奈川県箱根町では、災害時に犬や猫の収容や管理、治療のほか、避難所での健康相談などについて獣医師に円滑に応じてもらえる体制を整えようと、災害時の
動物救護活動に関して、
小田原獣医師会と協定を締結しました。
そこで、お伺いいたします。
飼い主が適切に
同行避難をすることによって、ペットを飼っていない市民の方にもペットの
同行避難を理解してもらえるのではないかと考えます。そのために、飼い主に
同行避難について理解してもらうための手引等を作成して、避難する側の意識の向上を図ってはいかがでしょうか。
また、
ペット受入れに対して、獣医師会や
ペットショップ等と協定を結ばれるなど、民間に委託するなどの方法もあるかと考えますが、執行部の御所見をお聞かせください。
ウ、
避難所内での
感染症対策について。
災害発生時に設置される避難所では、長期化される
避難生活でのストレスなどによる避難者の体力、抵抗力の低下が考えられます。自宅とは違った環境となることによる
衛生状態の変化により、避難所は感染症が発生しやすい状況にあり、集団で生活していることから、発生した感染症が広がりやすい環境にあります。特に、
インフルエンザなど
呼吸器感染症や、
感染性胃腸炎など
消化器感染症が発生しやすくなります。
本市としても、9月、10月に避難所を開設しましたが、幸いなことに1日で閉鎖し、感染症の拡大等の問題もありませんでした。
避難所に入る際には、住所、氏名、性別、年齢等の記入をしてもらい、
健康状態等を確認することはないと伺いました。
東日本大震災や熊本地震、2015年9月の関東・東北豪雨などの際、避難所での
インフルエンザや
感染性胃腸炎が発症し、
避難所内に感染が拡大した事例もあります。
避難所生活が長引けば、体力の低下から更なる感染症の発生が懸念されます。
そこで、お伺いいたします。
避難所において感染症を拡大させないためにも、感染症が発症した場合や
感染症罹患者が避難してくることを想定した避難所の運営について、執行部の御所見をお聞かせください。
4 ◯副議長(
伊藤健也君)
篠田議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
5
◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇
篠田議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目めの災害時の取組について、(1)災害時の避難所についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、アの避難所となる体育館等のトイレについてでございます。
台風19号では、市内の
小中学校を中心に39箇所の避難所を開設し、最大1,729人の市民の方が避難をいたしました。
避難所生活におきましては、足腰が悪い方や高齢者の方々にとって
和式トイレは大きな負担となり、また、トイレを使いたくなくて水を飲むことやトイレに行くことを我慢することは体調の悪化に影響するため、
洋式トイレの整備は重要であると考えております。
学校に避難所を開設する際は、原則として体育館において避難者の受入れを行うこととしておりますが、現在、避難所に指定している
小中学校40校の体育館の163箇所のトイレのうち、27校、53箇所のトイレが洋式化されております。
今後、残りのトイレの洋式化につきましては、平成30年度に策定いたしました
公共施設トイレ整備計画に基づきまして、年次的に事業を進めてまいりたいと考えております。
また、それまでトイレが洋式化されていない体育館につきましては、避難者の利便性を考え、校舎内の
洋式トイレを利用できるよう
教育委員会及び学校と協議し、
避難所運営の方法を見直してまいりたいと考えております。
次に、イの避難所での
ペット対応についてでございます。
当市では、ペットを同行して避難された場合には、ほかの避難者への配慮をお願いしながら受入れを行っており、支障がある場合は、
施設管理者と調整をしながら対応しております。
今回の台風接近に伴い、全市に避難の呼び掛けを行いましたが、ペットを飼育している方々から、
同行避難が可能か、どのように連れて行ったらよいかなど、電話や避難所において多数問合せをいただきました。こうした問合せにつきましては、ペットを連れてくる場合は極力ケージに入れてほしいことや、ほかの避難者の迷惑にならないようお願いしたい旨、直接お答えをしたところでございます。
現在、避難所におけるペットの
同行避難につきましては、各施設での取扱いが統一されておりませんことなどから、十分な周知はされていない状況でございます。また、今後、避難者に対しても、ペットの
同行避難に関する理解を深めていただく必要があると考えております。
したがいまして、他自治体の対応事例などを参考としながら、統一した
マニュアル等の作成を進め、市報やホームページ、ひたちナビなどの媒体を用いるなどして周知を図るとともに、
ペットショップや動物
病院など事業所の協力を得ながら、国等が作成しているチラシを配布するなど、飼い主の理解を深めていただく手法につきましても検討してまいりたいと考えております。
最後に、ウの
避難所内での
感染症対策についてでございます。
東日本大震災の際には、最も期間の長い避難所で21日間開設した施設があり、当時は
インフルエンザが流行しやすい3月だったことから、一部の避難所では
インフルエンザを発症した避難者もいたとの報告がございました。
市では、
地域防災計画に基づき、避難所を開設した場合、
災害対策本部からの指示により、医療救護、防疫、
保健衛生対策のため、各避難所に保健師を派遣することとしており、保健師は避難者の
衛生状態や健康状態を確認し、医療機関への送致や
保健衛生対策の助言などを実施することとなっております。
しかしながら、災害発生時は、感染症への罹患が疑われる人が避難所に来ることも十分考えられることから、
体調不良者や
感染症罹患者を水際で判別できるよう、入口に体調不良の避難者に対する申出を促す掲示を行い、適切に保健師につなぐなどの対応を検討してまいります。
また、
避難所内において感染症が発生してしまった場合には、保健師の判断を仰ぎながら、罹患者を医療機関に搬送することはもちろんでございますが、当面は
避難所内で隔離する対策も併せて検討いたします。
避難所の運営や
環境整備につきましては、様々な課題があるものと認識しておりますが、避難所の生活環境が心配で避難をちゅうちょし、逃げ遅れてしまうことがないよう、避難所の適切な運営方法及び
環境整備について更に検討を進めてまいります。
以上でございます。
6 ◯10番(
篠田砂江子君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
御答弁の中で、
体育館トイレの洋式化率は32%でした。残りのトイレの洋式化につきましては、平成30年度に策定しました
公共施設トイレ整備計画に基づいて年次的に事業を進めてまいりたいと考えておりますとありました。
しかし、今後いつ起こるか分からない災害時に、避難者が体育館のトイレが整備されるまでの期間は校舎内の
洋式トイレを利用するとなると、夜間等に頻繁にトイレを利用する高齢者を校舎内まで歩かせ、学校によっては、階段を上り下りさせること等も考えられます。
災害時の緊急性を考えたときには、これまでの整備計画の前倒しも必要ではないでしょうか。更なる
体育館トイレの洋式化の検討を要望いたします。
また、今回質問するに当たり、
防災備蓄倉庫備蓄品一覧を見せていただきましたが、
手指消毒用アルコールなどは備蓄されていないようでした。
感染症対策として、避難されてきた方が使用できるよう準備していただくことを要望いたします。
続いて、大きな2番、安心安全な
学校生活を送るための
環境づくりについて。
(1)
子供たちの体調管理のための取組について。
子供たちが1日の大半を過ごす学習、生活の場である学校には、
子供たちの健康面に配慮した教室環境が必要であると考え、質問をさせていただきます。
ア、
普通教室の
エアコン使用による暖房について。
本市では、本年6月中に
小中学校の
普通教室へ
エアコンの設置が完了し、今年の夏は
子供たちも涼しい教室で授業を受けることができたようです。
エアコン設置完了前に
エアコンの使用基準を執行部に確認した際、
エアコンは冷房専用で、暖房は従来
どおり石油ストーブを使用すると伺いました。しかし、
ストーブの使用期間は11月下旬から3月下旬頃であり、
ストーブ設置前や撤去後でも、気温が低く、暖房が欲しい時期があります。
そこで、お伺いいたします。
今回、
普通教室に設置された
エアコンには、暖房機能も付いているとのことでした。
ストーブ設置前や撤去後の寒い時期には
エアコンを使用できるような柔軟な対応が必要と考えますが、
エアコンの暖房使用についてどのようにお考えか、執行部の御所見をお聞かせください。
イ、暑い時期の水筒への水の補給について。
小中学生は、
水分補給のため、水筒にお茶や水を入れて学校へ持参して登校します。小学校低学年の児童は、大きなランドセルを背負い、さらに水筒を持って登校することになるので、余り大きなサイズの水筒を持って歩いている児童は見掛けません。立哨当番をしていると、暑い日には登校中にも
水分補給をしながら歩く児童もおり、午前中のうちに水筒の中身が空になってしまうこともあるのと言いながら登校していきました。中学生になると、日中は
水分補給をできるだけ我慢して、放課後の部活動の際に水分を残しておいたりする生徒もいると伺います。
日立の水はおいしいとはいっても、夏の暑い時期に水道から出てくる常温の水は飲みにくいようで、水道水を水筒に補給する
児童生徒は見掛けません。
大阪府寝屋川市では、
教育委員会と
上下水道局との連携により、水離れと
熱中症対策を目的に、市内の
小中学校の手洗い場の給水方式を既存の受水槽式から
直結式給水に改良するとともに、
直結式給水の冷水機を設置する事業を実施され、平成30年度に小学校11校に設置したところ大変好評だったため、今年度は
小中学校25校に設置し、
子供たちにも冷たくておいしい水を飲めると喜ばれているそうです。
そこで、お伺いいたします。
運動会の練習や部活動など、学校で水分を補給する場面は多く、
熱中症予防の観点からも、
直結式冷水機の設置など学校内で冷水を補給できる方法を検討する必要があると考えますが、執行部の御所見をお聞かせください。
(2)緊急時の各家庭への
連絡方法について。
10月24日、台風21号の通過による低気圧の影響で、市内の
小中学校から、翌25日の対応として、2時間目の授業終了後に下校するとの連絡が紙面とメールで保護者に伝達されました。しかし、25日の早朝に、荒天のため、市内の
小中学校、
特別支援学校ともに臨時休校となるとのメールが届き、急遽臨時休校となりました。
ところが、メールを確認する前に出勤してしまったり、メールに気付かなかった保護者もいたようで、学校によっては、臨時休校を知らずに登校してしまった児童や、荒天の中、歩いて登校させるのはかわいそうと思った祖父母が車で学校まで送ってくれたりした場合もあったとのことです。
小学校低学年の児童が、あの荒天の中、傘を差して登校するのは、強風にあおられて転倒することも考えられ、大変危険であったと考えます。
そこで、お伺いいたします。
今回のような緊急時の
連絡方法として、各学校の
緊急メールの登録者を、保護者以外で
子供たちに関わる祖父母や親族にも広げるよう、
教育委員会から学校側に働き掛けてはいかがでしょうか。また、学校からのメール以外に各家庭に設置されている
戸別受信機等を利用するなど、他の連絡手段も検討してはどうかと考えますが、執行部の御所見をお聞かせください。
7
◯教育部長(窪田康徳君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、安心安全な
学校生活を送るための
環境づくりについての御質問に、順次お答えいたします。
まず、(1)
子供たちの体調管理のための取組についてのア、
普通教室の
エアコン使用による暖房についてでございます。
昨年の記録的な猛暑を受け、本市におきましては、
児童生徒の健康と安全を守るため、本年度、
小中学校の全ての
普通教室等に
エアコンを整備いたしました。
エアコンは冷暖房の機能がございますが、暖房につきましては、
エアコンよりも
石油ストーブのほうが効率よく教室を温めることができますので、冬季はこれまで
どおり石油ストーブを使用することとしております。
石油ストーブの設置期間は、各学校の判断により、おおむね11月下旬から3月末頃までとしておりますが、その前後の期間に暖房を必要とする日もございます。そのため、
ストーブの設置期間を実情に合わせること、必要に応じて
エアコンの暖房機能を使用することについて、改めて学校に通知をし、柔軟な運用を促してまいります。
今後も、
児童生徒の健康と安全に配慮した
学習環境づくりに努めてまいります。
次に、イ、暑い時期の水筒への水の補給についてでございます。
夏季の
熱中症予防には、こまめに水分を補給することが基本であり、極めて重要でございます。そのため、本市では、
児童生徒が登下校中に
水分補給をできるよう、水筒の持参を認めております。持参した水筒の水分だけでは足りない場合は、安全で水質が確保された水道水で
水分補給をしているところでございます。
議員御提案の冷水機の導入につきましては、
児童生徒に夏季の
熱中症対策として冷たい水を提供することができますが、機器の衛生管理や設置台数、
導入コストなどの課題もございます。そのため、議員から御紹介のありました寝屋川市等の導入事例もございますので、まずは、本市での導入の可能性について調査研究してまいります。
次に、(2)緊急時の各家庭への
連絡方法についてでございます。
現在、学校から保護者への緊急時の連絡は、主に
携帯電話等のメールにより行っております。このメールによる連絡は、個人が常時所持している
携帯電話等の端末機を使用することから、保護者に直接情報を伝達するには非常に有効な手段となっております。
10月25日の低気圧接近に伴う休校につきましては、強い風雨の接近が前日の天気予報より早まったため、登校時の
子供たちの安全を最優先に考慮し、当日の朝に休校を判断したものでございます。そのため、休校の連絡が早朝となり、メールに気付かなかった保護者がいたことは、課題として認識しているところでございます。
議員御提案のメールの送信先の拡充については、連絡が確実に保護者に届く方策として、実施に向けて検討してまいります。また、
戸別受信機による情報発信については、各家庭に設置され、緊急時の連絡手段として有効でございますので、早急な実施に向けて、保護者や学校と広報する時間帯や発信する情報の内容等について協議、調整してまいります。
以上でございます。
8 ◯10番(
篠田砂江子君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
石油ストーブ設置前や撤去後には、状況に応じて教室の
エアコンでの暖房の使用も可能にするとの御答弁でした。
児童生徒が寒さに耐えて授業を受け、体調を崩すことのないよう、校長会や学校への周知徹底を要望いたします。
緊急時の
連絡方法については、
メール登録者の拡充や
戸別受信機等による情報発信の早急な実施に向け協議、調整していただけるとの御答弁でした。災害時に
子供たちを守る取組として、早急なる取組の推進を強く要望いたします。
以上で私の質問を終わります。御答弁ありがとうございました。
9 ◯副議長(
伊藤健也君) 以上で
篠田議員の質問が終わりました。
次に、瀬谷議員に発言を許します。
なお、質問は
分割質問分割答弁方式により行います。
10 ◯14番(瀬谷幸伸君) ◇登壇◇
日立市政クラブの瀬谷幸伸です。
発言通告のとおり、順次質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速質問に入ります。
大きな1番、
日立地区産業支援センターの現状と期待される役割についての質問です。
そもそもの話になりますが、現在の
本市人口データを見てみると、
国立社会保障・
人口問題研究所による人口推移は予想以上の速さで人口減少が進んでおりまして、現在策定中の第2期
創生総合戦略における目標値でさえも、かつての15万人から下方修正し、14万人とする動きになっております。この現状をどう捉え、どう考えるのか。ここが我々のまちの未来にとって大きな岐路となってまいります。
止まらない社会減に対する対策を現在のまま進めるだけでよいのでしょうか。長期的な展望を持って、抜本的な対策を打つことは本当にできないのでしょうか。
私は、このことを考え続け、議会を通じて様々な議論をこれまでも行ってまいりました。多くの事例を研究し、たくさんの御意見も様々な場所で伺ってきたわけですが、その中で、日立市の再生という大きな課題の対応策として、一つの考えがまとまってまいりました。本日は、その内容について、最初の質問を行わせていただきます。
では、それが何かということでございますが、一言で申せば、基幹産業を伸ばしていかなければならないということです。
本市における基幹産業といえば、イメージ的にはものづくり、つまり製造業です。それを近年におけるデータに照らし合わせてみても、最もお金を稼ぐ産業であること、さらには、最も多くの外貨を稼げる産業であることに間違いないようでした。
このものづくりを更に鍛え、国内外問わず本市に運んでくるお金の量を増やすことができれば、市内で流通するお金の量を増やすこともまた可能になってまいります。そうすれば、税収はもちろんのことですが、民間企業の努力によっては、市内の商業や飲食業等の売上げも増やしていける可能性が高くなってまいるわけです。新たな出店や企業が自然と生み出され、新しい魅力のある仕事の創出や若者文化の成長も期待できる、いわゆる元気なまちが出来上がってくる理想的な環境も夢ではなくなってまいります。
ただ、もちろん、ただいま申し上げた理想的な産業構造というのはすぐにできることではありません。企業誘致や産業振興策など、今後の人口問題に対する計画、戦略など、すなわち、地方創生の総合戦略において中長期的なビジョンとして掲げることが、本市の未来のためには必要不可欠であると私は強く感じております。そして、その第一歩となる施策はすぐにでも始められるのです。
そこで、今回は、直ちに着手すべき短期的な取組の提案を行います。
ここからは具体的な話になりますが、私は、ものづくり産業を振興する専門セクションである
日立地区産業支援センターにおいて、更なる機能強化についての取組を早期にスタートすべきであると考えております。
まず、第1の質問として、
日立地区産業支援センターの現状と今後の取組について伺います。
日立地区産業支援センターは、そもそも製造業を中心とした地域産業の高度化の支援を目的に設立されたと伺っておりますが、設立から20年が経過する中で、時代の変化に左右されず普遍的に取り組んできたものと、経済環境など様々な変化に応じてその都度力を入れてきたものがあるかと存じます。それらを総括し、改めて整理する意味で質問いたしますが、今後の地域の産業活性化のために注力しなければならないとお考えの分野、その取組とはどのようなものになるのでしょうか、御答弁をお願いいたします。
続いて、第2の質問、外国語への対応についてであります。
市内の中小企業の中には、海外との取引を行い、その技術を海外へと展開させている先進的な取組を行う企業も珍しくなくなってまいりました。その支援の一端を担っているジェトロ茨城には、本市職員もこれまでに2名派遣されており、
日立地区産業支援センターとの協働によって、精力的に海外展開を試みる中小企業の支援を行っていると伺っております。
その活動は、海外からの受発注を促進させるものが印象的でございますが、BtoBにおいては、発注時というのはあくまで交渉のスタートです。話が進めば、様々な局面で言葉の壁が立ちはだかることが想定されます。例えば、それが中小企業であったとして、そのたびにタイムリーに技術面の知識のある通訳を雇って同席させていくということは、少々難しい現状もかいま見えております。
そこで、産業の玄関口となる
日立地区産業支援センターに多言語に精通したスタッフ、さらには外国人のスタッフを配置することで、大きな安心とサポートが可能になるのではないかと考えております。例えばですが、外国人スタッフがいて英語を使わなければならない日常があれば、スタッフの語学力の向上が間違いなく図られます。そして、そのことは、海外展開支援への組織全体のスキルアップにもつながってくるのです。
この考え方は、市役所各課においても同様のことが言えるわけですが、まずは必要に迫られている
日立地区産業支援センターにおいて外国人スタッフを配置し、外国語にタイムリーに対応できる、より素晴らしい支援が行える組織に生まれ変わってはいかがかと考えます。本提案について、執行部の御見解をお伺いいたします。
次に、(3)コーディネーター制度の見直しについてです。
11月29日に
日立地区産業支援センターの設立20周年式典が開催されました。その式典の冒頭、梶山副市長が主催者を代表し、財団の理事長として話をされた御挨拶の内容をお伺いしましたが、その中にこんなくだりがあったとお聞きしました。設立当時の思いとして、
日立地区産業支援センターは、地域中小企業のホームドクター、かかりつけ医の立ち位置であり続けたいと。
この言葉を私なりにひも解いてみましたが、企業の様々な課題の解決に対し、お医者様のように治療方法を提案し、処方箋を出していくことを、企業との信頼関係をベースにこれからも推進していくものであると理解をしたところです。これは素晴らしい考え方であると思いました。
この活動の中心となるのは、
日立地区産業支援センターに在籍するコーディネーターということになりますけれども、現時点で、果たして、本当にそうした活動がどこまで実行できているのでしょうか。20周年という記念すべき年に一度振り返ってみるべきだと私は考えます。
事実として、かつて市内に800ほど存在していたものづくり企業は、今や300まで減少してしまいました。様々な社会情勢があるにせよ、かつての半分以下です。まだまだ頑張っている300軒の製造事業所に対して、
日立地区産業支援センターが頼りになる機関であり続けるためには、ホームドクターたるコーディネーターの在り方とその制度をいま一度再考していただいて、本市の産業活性化を更に力強く牽引できる組織として成長することを期待するのは私だけではないはずです。
冒頭で申し上げたように、外貨を本市に運んでこれるのは基幹産業である製造業であります。外貨を本市に運んでくることは、いま一つ元気の出ない本市を現実的に活性化させる最大の要素になります。コーディネーターが地域中小企業にとって真に頼れる存在となるよう、制度を見直して、未来に向けた地域中小企業の持続的発展に注力すべきと考えるところであり、信念を持って提言させていただきます。
本件について、執行部の御見解をお伺いいたします。
11 ◯副議長(
伊藤健也君) 瀬谷議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
12 ◯産業経済部長(岡見安美君) ◇登壇◇ 瀬谷議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、
日立地区産業支援センターの現状と期待される役割についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)
日立地区産業支援センターの現状と今後の取組についてでございます。
平成10年に設立されました財団法人
日立地区産業支援センターは、工業を中心とした産業集積の健全な育成及び発展、活性化を図ることを目的に、人材育成、競争力強化、受注・顧客開拓、新製品・新技術開発など、地域産業の振興に向けた九つの事業を柱に、今日に至るまで20年を超え、一貫して中小企業の支援に邁進してまいりました。
日立地区産業支援センターのこれまでの活動は、専門家や他の産業支援機関と協力し、センター事業の推進に取り組むコーディネーターを中心とする体制により、現場主義を行動理念に掲げながら、技術的支援のみならず、中小企業に寄り添うホームドクターとして、経営全般にわたったきめ細かな相談対応に取り組んでまいりました。
こうした
日立地区産業支援センターの20年を超えた取組によって、本市中小企業が経済産業省のはばたく中小企業・小規模事業者300社や地域未来牽引企業に選定されるなど、技術に強い産業支援機関として、技術開発や人材育成、受注開拓に一定の成果と評価を得ることができたものと認識しております。
一方で、地域経済や社会環境の大きな変化に対しましては、海外展開やIoTなど新技術への対応、6次産業化を始めとする新たな連携への取組など、中小企業にとって未知なる挑戦を迫られる分野におきましても積極的な支援を展開しているところでございます。
議員御質問の今後注力すべき分野といたしましては、自動車の電動化や自動運転化といった「ソサエティ5.0」への対応など、急激に進展するイノベーションに関わる分野と捉えており、事業者がそれを乗り越えようとする挑戦を支援していくことが重要であると考えております。
そのための取組といたしましては、国、県、市などの行政と産業支援機関、技術や経営の専門家がチームとなり、具体的な課題抽出と、それに応じた解決策の提案を中小企業に寄り添いながら進める支援体制を確立し、その実践に努めてまいりたいと考えております。
次に、(2)外国語への対応についてでございます。
議員御案内のとおり、海外での販路開拓には、言葉の壁を克服し、海外企業との円滑なマッチングを図る必要がございますので、
日立地区産業支援センターにおきましては、ジェトロ茨城との連携により、国際展示会や商談会において通訳を配置した支援を行いますとともに、海外の協力機関の支援を得ながら、英語を使いこなせる2名のコーディネーターを中心に、中小企業の海外展開を積極的にサポートしております。
一方で、海外展開を目指す中小企業に対しましては、自らの手で今後の積極的な海外への販路開拓が可能となるよう、英文メールへの対応や語学力の向上など、海外展開に対応できる従業員の育成や語学に堪能な人材の確保を含めまして、自主的な対応を求めております。
今後は、展示会や商談会を通じた海外企業とのマッチングを更に強化するため、英語や中国語、ドイツ語などの多言語を駆使できるセンタースタッフの育成に向け、外部専門機関を活用した外国語研修の実施に加えまして、議員御提案の外国人スタッフの配置を含め、外国語スキルを有する職員の登用などについても検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、(3)コーディネーター制度の見直しについてでございます。
現在のコーディネーター制度は、各コーディネーターがあらかじめ20社程度の企業を受け持つとともに、それぞれが推進する事業に参画した企業を専属で担当する体制により、中小企業への最適な課題解決の助言を行うほか、必要に応じて適切な専門機関へつなぐなど、一貫した支援を行い、設立当初の考え方にあるホームドクターとしての役割を担ってまいりました。このように担当コーディネーターを固定化することで、コーディネーターが企業からより厚い信頼を得ることにつながり、コーディネーター制度として機能してきたところでございます。
しかしながら、中小企業の持続的発展のためには、コーディネート機能の更なる強化が必要であり、その主体となりますコーディネーターの資質向上は欠かせない要因であると考えております。
御質問のコーディネーター制度の見直しにつきましては、
日立地区産業支援センターがこれまで蓄積してきた20年を超える経験と実績、信頼をつなげていくためにも、現行制度のノウハウをいかしつつ、コーディネーターの更なる資質向上を図りますとともに、これまでより一歩踏み込んだ形で中小企業の課題に向き合い、対話と検証を重ねますことで、事業者自らの課題解決へ向けた挑戦意欲を引き出す支援となりますよう、制度の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
13 ◯14番(瀬谷幸伸君) ◇登壇◇ 非常に丁寧にお答えいただきました。是非頑張っていただくことを、心より応援したいと思います。
現在、300まで減ってしまっている本市の製造事業所ですが、これ以上減ってしまうと、日立市はもはや産業の集積地ではなくなり、本市の基幹産業が失われてしまうことになります。つまり、今は日立市が工業都市として今後も存続できるかどうかの分岐点にいるわけです。
日立地区産業支援センターの担う役割には、今後の日立市の未来がかかっていると言っても決して過言ではありません。
設立20周年を迎えるに当たり、本日は提案を行いましたが、その責任感とプライドを持って、やれることはすぐにやる、常に挑戦する組織に成長してほしいと願ってやみません。今後の
日立地区産業支援センターの役割の大切さを是非スタッフ一人一人にも御理解いただきたいと存じます。今後とも、よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
大きな2番、市北部の土地利用の転換について質問します。
令和元年9月議会において、日立市における都市計画マスタープランの素案が提示されました。都市計画マスタープランは、本市の土地利用について20年先の未来までを見据えた計画であり、全国的に話題となっている、人口減少社会でのまちの維持を目的とした多極ネットワーク型コンパクトシティの考え方でもって、市内各所にそれぞれの機能が定義付けされております。
現在、この計画策定作業は大詰めを迎えており、最終段階にあるかと思いますが、この計画を全体的に眺めてみると、人口減少に苦しんでいる現状においても、現在の本市の特徴をできる限りそのままに維持していくという目標設定をしているように感じます。人を誘導する難しさと実現性等を考慮すれば、もともとコンパクトにつくられてきた本市の状態を可能な限り維持することが妥当であるという考え方は理解できるところです。
一方で、北部地域の未来については、実に様々な声をいただきます。
そこで、改めて注目してみましたが、十王、豊浦、日高など幾つかの地区が存在するわけですが、前述の計画において、北部地域は主に居住のための地域と位置付けられているように感じています。北部地域は豊かな自然環境が色濃く存在し、海と山がそれぞれ人々の生活圏にとても近いという特徴を持っております。二つのJRの駅、常磐道の出口も整備されており、交通の便も決して悪くありません。時代の変化とともに、人々の趣味、嗜好が多様化してきたことによりまして、この北部地域の特徴は、今、様々な可能性を生み出していることを執行部各位に是非御理解いただきたいと思います。
何もない場所が、何か一つの整備によって急激に人の交流が盛んな場所に生まれ変わった事例は、全国に多々ございます。これから先、20年間という長い期間の計画だけに、主に居住スペースにのみ主眼を置くだけでは、将来、本計画がチャンスロスをする要因ともなってしまう不安が私の中には出てまいります。
そこで、質問を行います。
まずは、(1)市北部の土地利用の方向性について伺います。
先ほども申し上げましたが、市内北部は居住区域として位置付けているわけですが、執行部では、北部地域の土地利用の未来についてどのようなお考えをお持ちなのか、具体的な方向性についてお伺いいたします。
続いて、(2)新たな土地利用の可能性について質問いたします。
北部地域に現存する自然環境について様々な可能性が出てきているという点についてですが、海、森、山など自然環境を利用したサービスやアクティビティなどは日々進化しておりまして、それによって交流人口を増やしている事例は全国に多数存在しています。
例えばですが、CMやテレビの特集で話題をさらった水の力で空を飛ぶというフライボードなどは、非常に話題性が高いにもかかわらず、体験できる場所が非常に少ない状況にありまして、地方としてはチャンスと捉えることもできるでしょう。現状、既に一定数の交流人口を確保できている鵜の岬周辺などでは、狙い目であるかもしれません。
森や山の一例も挙げてみますと、かつてはキャンプやバーベキュー、アスレチックくらいしか発想がなかったわけですが、今日では、サバイバルゲームやBMX、モトクロスバイクなどなど、時代の潮流とともに、数え切れないほどの新しいアクティビティ、遊びが生まれています。例えば、これが北部地区、高速道路のインターチェンジや市街地にもほど近い小木津山自然公園の周辺などに施設を併設できたと考えると、現状では考えられないほどの交流人口の獲得ができる可能性が大いにございます。
ただいま二つの例を挙げましたが、ともにアクティビティの話でございました。そして、その多くは民間の力によってつくり出され、何もない場所を多くの人が行き交う交流拠点へと変貌させています。このような投資を生み出しやすい環境をつくれるかどうか、これが行政の問題となってくるわけです。
やはり、どこか近いタイミングで、現状の計画について、一度既成概念を捨てて見直しを行っていただき、関東全域を含めた非常に大きな視点で、この地域を見詰め直してみる機会を持つべきであると私は強く考えますが、執行部の御見解をお伺いいたします。
御答弁よろしくお願いいたします。
14 ◯都市建設部長(磯野健寿君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、市北部の土地利用の転換についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)市北部の土地利用の方向性についてでございます。
将来における土地利用の具体的な方向性を示す都市計画マスタープランにつきましては、人口減少や少子高齢化などの社会情勢の変化を背景に、平成29年度から改定作業を進めております。
改定作業は、議員御案内のとおり最終段階に入っており、去る10月に素案に対するパブリックコメントなどを実施し、現在、いただいた多くの意見を参考にしながら、今年度中の公表を目指し、より良い計画策定に向けて精査しているところでございます。
今回の改定におきましては、都市のコンパクト化を図る観点から、従来の土地利用の計画に加えて、居住機能や都市機能など、既に一定程度集積しているエリアを拠点として位置付けるなど、拠点の魅力を更に磨き上げ、人やお金、モノの求心力を高めることとしております。また、それら拠点の配置を踏まえ、土地利用の方向性につきましては、住居系、商業系、産業系、さらには観光レクリエーション系など17のゾーンに区分し、市役所の支所単位ごとに示したところでございます。
その中で、市の北部地域、いわゆる十王地区、豊浦地区、日高地区は、広大な農地や美しい海岸、緑豊かな山林などの自然環境が身近に感じられるところに、土地区画整理事業などによる良好な住環境を形成している地域特性がございます。
このため、主な土地利用の方向性につきましては、交通アクセスの良いJR各駅周辺や主要な国・県道沿道の一部におきまして、日常生活で不可欠な商業や医療などの都市機能の充実を図り、地域住民の生活拠点を構築することとしております。
また、市北部の特性である住宅と自然の近接性をいかし、小木津山自然公園などは地域資源活用ゾーンに位置付け、身近に自然が感じられる付加価値を有する住環境の形成を目指すこととしております。さらに、鵜の岬周辺は広域集客拠点に位置付け、海などの眺望をいかした景観などの魅力向上に努め、県や関係機関と連携を図りながら、交流人口の拡大を目指すこととしております。
続きまして、(2)新たな土地利用の可能性についてでございます。
都市計画マスタープランの計画期間は今後20年間としておりますが、各種施策や事業の進捗を確認する調査、分析及び評価をおおむね5年ごとに行うこととしております。
具体的には、駅周辺などの居住誘導区域における人口密度や、都市機能誘導区域における日常生活に必要な誘導施設の充足率などを評価指標として掲げながら、まちづくりの達成度を把握することとしております。加えて、IoT、5Gなどの高度情報化やAI、自動運転などの技術革新、さらには、国が提唱する未来技術「ソサエティ5.0」などにより、地域資源の活用や交流人口の拡大を始め、まちづくりの課題をどう解決するかなども考慮しながら検証したいと考えております。
その結果を踏まえ、居住や都市機能を誘導するエリアの大きさや、商業や医療、福祉などの誘導施設について、充足度や種類などの見直しを行うこととしております。
あわせて、議員御案内の新たな時代の潮流に対応した土地利用の可能性などについて検討を行い、必要に応じて関連する都市計画を見直すなど、新たな人を引き付ける魅力ある北部地域の振興を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
15 ◯14番(瀬谷幸伸君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
今回は、鵜の岬周辺、小木津山自然公園と、キーポイントになりそうな地域として二つの例を出したわけですが、交流人口を増やしていくこと、つまり新たな人の流れを積極的に創出していくこと、このことが大切だと思います。
新しい人の流れは、自然とにぎわいを創出してくれます。それは、そこに住む人たち、そしてそこで働く人たちのモチベーションにもつながり、本市が目指す市民のシビックプライドの醸成にもつながってくるものと考えます。
これから、社会は大きな変革期に入ります。「ソサエティ5.0」の話も出てまいりましたが、本市として必要なことは、常にアンテナを高くして、必要なタイミングで見直しを図り、そして、その際には勇気を持って変化を加えていくことです。
この長期にわたる計画を、時代に合ったより良いものとして実行していっていただくことを要望とさせていただきまして、次の質問に移ります。
続いて、大きな3番、日立市における児童・生徒のむし歯予防の推進のため学校でのフッ化物洗口の集団的実施を推奨することについて質問いたします。
随分長々としたタイトルとしてしまいましたが、この文言は、今年第1回定例会において、日立歯科医師会から提出された陳情のタイトルをそのまま引用させていただいたものです。
口腔ケアを子供のうちからしっかりと行うことにより、虫歯予防につながってくるわけですが、この陳情は、タイトルにお示ししたとおり、本市として、
子供たちの虫歯予防、さらには生涯にわたった健康づくりのための措置としてフッ化物洗口を実施してはどうかという、日立歯科医師会からの一つのメッセージとも言えるものでした。そして、本陳情は、第1回定例会、すなわち今年3月22日に開かれた本会議において、その場にいる議員全員の賛成で採択されました。
歯のトラブルは、様々な他の病気をも引き起こす要因ともされております。現代では、口腔ケアの重要性が以前に比べて増していることもありますが、そもそもこのフッ化物洗口とは、歯の質を丈夫にし、口の中の虫歯の原因菌の働きを弱め、歯の再石灰化を促進するなど、虫歯予防に効果のあるフッ素の働きを口腔衛生の向上策として用いるものでございます。
このフッ化物応用については、過去には発がん性やアレルギー、知能指数の低下などの副作用リスクを指摘する声がございました。しかしながら、日本歯科医師会や当時の厚生省、日本学校歯科医会、日本口腔衛生学会などなど、多くの団体からその有用性と安全性が発表されており、平成15年には厚生労働省から、実施に向けたガイドラインも策定されました。この一連の動きは、様々な研究の末、安全性が確立され、
子供たちの健康維持のために実施を推奨すべきであるという判断がなされたものと考えております。
しかしながら、現在、実際の実施率はというと、都道府県によってかなりの開きがあるようです。2016年時点のデータしか私は持ち合わせておりませんが、茨城県では実施率0.8%、これは全国でもほぼ最低の数字でした。県内で見ると、
小中学校、特別支援学校においては0%です。当然のことになりますが、本市においてもやはり0%の実施率になります。
フッ化物洗口は、誰の何を守るために市議会においても実施を推奨しているものなのか。言わずと知れた、本市で育つ
子供たちの健康を守るためです。そのことを考えますと、今の数字は非常に寂しい気持ちになってしまいます。
別の角度からも、このフッ化物洗口の実施について考えてみます。
本市では、日立市歯と口腔の健康づくり8020・6424推進条例というものが平成25年3月28日に制定されており、その条文の第9条第3号には、幼児期及び学齢期におけるフッ化物応用等を始めとするむし歯及び歯肉炎予防対策の推進に努めなければならないとはっきり明記されております。つまり、このフッ化物洗口は、日立市においては、条例で実施に向けて動かなければならないことが決められているのです。
この陳情の採択から約9箇月が過ぎています。
教育委員会及び学校の現場での具体的な動きは、現状ではまだ我々には見えてきておりません。日立市で育つ
子供たちの健康づくりのために、できる限り早急に実施をしていただきたいと願うものです。
そこで、本日は疑問点を三つに分けて質問いたします。
まず、(1)有用性に対する本市の見解について。保健福祉部への質問です。
表題のフッ化物洗口ですが、どうやら有用性が高いことが明確になっていると私は思うところですが、日立市として、このフッ化物洗口の有用性、また
小中学校でこの洗口を行うことについての効果をどのように認識しているのか、お伺いいたします。根拠となる理由とともに御答弁をお願いいたします。
続いて、(2)実施に向けた現状と課題について。こちらは
教育委員会へ質問いたします。
先ほどもお伝えしたとおり、今年3月議会における陳情の採択から約9箇月が過ぎています。この間、どのような御検討を行っていたのか、その現状について具体的な御報告をお願いいたします。
次に、(3)今後の展望について。こちらも
教育委員会への質問となります。(2)は現状についての質問ですが、ここでは未来の話を話題とします。
この件については、これまで述べてきた幾つかの理由もさることながら、
子供たちの将来にわたっての健康維持の推進が大きな意味での目的となっております。それゆえ、できる限り早期に施策として着手されることを願っております。そこで、改めて質問します。今後の進め方や具体的な展望について、執行部の御見解を伺います。
上記3点について、それぞれ御答弁をお願いいたします。
16 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな3項目め、日立市における児童・生徒のむし歯予防の推進のため学校でのフッ化物洗口の集団的実施を推奨することについての(1)、有用性に対する本市の見解についての御質問にお答えいたします。
本市では、日立市歯と口腔の健康づくり8020・6424推進条例に基づき、日立歯科医師会を始め関係機関とともに、市民の歯と口腔の健康づくりに向けた各種の事業を展開しております。
御質問にございました、この条例第9条第3号に規定する幼児期及び学齢期におけるフッ化物応用等といたしまして、現在、1歳6箇月児健診及び2歳児歯科健診においてフッ素を歯の表面に塗るフッ化物歯面塗布を行い、幼児期の虫歯予防に努めており、3歳児の虫歯保有率が低下していることは、その効果によるものと考えております。
一方、子供の歯はおよそ4歳から14歳の間に段階的に永久歯に生え変わるため、永久歯の虫歯予防対策として、この時期の口腔ケアを進めることが重要であるものと認識しております。
このような中で、WHO(世界保健機関)を始め、日本歯科医学会などの専門機関は、国内外の多くの研究成果などからフッ化物洗口の有用性と安全性が確立されているとして実施を推奨し、また、厚生労働省は、平成15年にフッ化物洗口ガイドラインを策定し、地域の
小中学校において一度に多くの人数に簡単な方法で安価にできるフッ化物洗口は、公衆衛生の面からも効果的であるとしております。
フッ化物洗口の実施方法は、毎日又は週1回の頻度でフッ化物洗口液で30秒から1分程度うがいを行うもので、低濃度のフッ化物を繰り返し作用させることにより、歯の質を強化し、高い虫歯予防効果を得ることができるものでございます。
既に、佐賀県、秋田県、新潟県などでは、全県的な取組として、
小中学校においてフッ化物洗口を継続して実施することにより、経年的に12歳での虫歯本数が減少しており、また、追跡調査では、その効果は成人になっても持続しているとの報告もなされております。
永久歯に生え変わる時期に集団的かつ継続してフッ化物洗口を実施することは、個人間の健康格差の解消に資するものであり、将来にわたり口腔機能を保持している状態を目指す8020・6424運動を推進する上で効果的であり、重要な役割を果たすものと考えております。
以上でございます。
17
◯教育部長(窪田康徳君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな3項目めの(2)及び(3)の御質問に、順次お答えいたします。
まず、(2)実施に向けた現状と課題についてでございます。
フッ化物洗口については、日立市歯と口腔の健康づくり8020・6424推進条例を踏まえ、虫歯予防対策の有効な手法の一つとして取り組むべきものと認識しております。
現在の取組状況でございますが、フッ化物洗口の集団実施に向け日立歯科医師会や学校現場と協議を重ねており、課題も明らかになってきたところでございます。
現在のところ、教職員の長時間勤務の実態が明らかになっている中、フッ化物洗口を行う学校現場の負担増について十分な配慮が必要であることが課題として挙げられます。具体的には、洗口液を希釈するなどの準備、実施する際の
児童生徒への指導、薬剤である洗口液の管理などでございます。また、洗口液の誤飲や希釈方法などに関する事故の発生リスクや、保護者からの問合せへの対応など、専門知識を持たない教職員にとって、新たな業務に対する不安の声も聞かれております。
続きまして、(3)今後の展望についてでございます。
このような課題を踏まえ、まずは、洗口液の安全性や有効性について、教職員や保護者の知識や理解を深めながら、実施に向けて機運を醸成するなど、環境を整えてまいります。
そのため、広く口腔衛生の必要性やフッ化物の有効性、安全性などについて啓発する機会を、昨年度に引き続き、年度内に設けてまいります。その上で、モデル校を募り、日立歯科医師会からの指導・協力の下、できるだけ早い時期に取組をスタートさせる考えであり、安全かつ効果的、効率的な実施方法を検証しながら、その成果を他校に広げてまいります。
子供たちの虫歯予防を推進するため、日立歯科医師会及び教職員の協力を得ながら、早期実施に向けて着実に準備を進めてまいります。
以上でございます。
18 ◯14番(瀬谷幸伸君) ◇登壇◇ それぞれ御答弁ありがとうございました。
まず、日立市として、フッ化物洗口の有用性についてはしっかりとした認識があること、また、実施に向けての課題と手順等も明確になってきたということを改めて確認できました。
新しいことをやるというのは確かに不安です。まして、子供を相手にする教育の現場においては、なおさらその気持ちが強くなるというのは十分に理解できます。
しかしながら、
子供たちの将来のためにより良い口腔ケアを実施してほしいという願いも、同時にやはり御理解いただきたいし、早期に御協力もいただきたい。
教育委員会と学校の現場とで力を合わせて、早期の実施に向けて努力をしていただくことをここで改めてお願い申し上げます。
本日は、以上3点の質問を行いましたが、いずれも根拠を基にした未来に向けての質問でございました。より良い日立市をつくり上げるべく、選択と集中を実践すること、そして、そのための決断する勇気、これを持ってそれぞれ御尽力いただけることを今後も期待しております。
以上、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
19 ◯副議長(
伊藤健也君) 以上で瀬谷議員の質問が終わりました。
次に、杉本議員に発言を許します。
なお、質問は一括質問一括答弁方式により行います。
20 ◯4番(杉本和子君) ◇登壇◇
日立市政クラブの杉本和子でございます。
まずは、去る9月から10月にかけて襲来した台風15号、19号及び台風から変わった低気圧によって大きな被害を被り、亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。今なお多くの方が不自由な生活を強いられていることと存じますが、一日も早い復旧、復興を心からお祈り申し上げます。
それでは、発言通告に従いまして、2項目4点について質問させていただきます。執行部の皆様、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
まず、1項目めの質問でございます。「日立市・十王町新市建設計画」についてお尋ねいたします。
本年、2019年は、我が国では元号が平成から令和に変わる記念すべき年であり、日立市においては、市制施行80周年の年、そして、日立市と十王町が合併して15年目となる節目の年でございます。
十王町に住む私といたしましては、このうち、特に、日立市と十王町が合併して15年が経過した今、市行政においてどのような取組が進んできているのか、そして、その取組がどのような成果をもたらしたのかについて大きな関心を持っております。
我が国においては、いわゆる平成の大合併によって、平成12年4月に3,229あった市町村が、現在では1,718にまで減少いたしました。茨城県では、85あった市町村が44となっております。
日立市と十王町との合併に至る経緯等について、新「日立市」誕生という冊子などの資料を基に、私なりに整理いたしますと、市町村の合併が進んだ背景には、長引く景気の低迷、少子高齢化といった地方公共団体を取り巻く社会情勢の変化や、国の権限を地方に移譲する分権改革が実行段階に入り、合併による地方行政の組織力や財政力の強化が求められたことにあるとされております。
そして、このような全国的な流れを踏まえ、都市計画や下水道整備の面、住民の日常生活や経済活動の面でも従来から結び付きが強かった日立市と十王町は、将来の合併を期して平成15年に法定合併協議会を設置し検討、協議を進め、翌平成16年の5月12日に合併協定書に調印し、そして、11月1日に新生日立市が発足いたしました。
地域の将来を見据え、両市町の住民の意見を踏まえながら、合併協議会の立ち上げから熱意を持って新市の誕生を目指して取り組まれた関係各位の御努力に対し、改めて深い敬意を表したいと存じます。
この両市町の合併に際して策定された合併後10年間を計画期間とする新市建設計画は、合併後の新市の将来像を「活力ある 創造・交流・環境 都市」として掲げ、「21世紀を拓く創造性を育むまち」、「うるおいある安全で安心に暮らせる快適なまち」、「ゆとりと豊かさが享受できるまち」という三つの基本目標の下、合併協議会における12回に及ぶ協議を終えて決定した「産業の振興」以下、「教育・文化の育成」など、まちづくりの方向性ごとに具体的な施策の方向と主な事業をそれぞれに登載しております。
そして、これまでの間、市長を先頭に、本市執行部の皆様が、議会そして市民との協議を図りながら、鋭意計画の実現に向けて邁進されてきたものと承知いたしております。
さて、新市建設計画の進捗状況につきましては、これまでに合併から10年となる節目の平成25年第3回定例会において、先輩議員が一般質問を行い、執行部から答弁をいただいております。
その内容について議事録を概括すれば、新市建設計画に登載された76の事業のうち、71事業については完了又は着手済みであります。さらに、進行中の事業や未実施の事業については、両市町が一体となって初めて策定された平成24年度を初年度とする日立市総合計画に新市建設計画の趣旨及び内容が引き継がれていることから、総合計画の事業スケジュールの中で取り組んでいくとのことでありました。
その後、国が法律を改正して、合併特例債の発行期限を延長したことを受け、その根拠となる新市建設計画について、日立市もその最終年度である平成26年度に改定し、計画期間を現行の日立市総合計画の期間である令和3年度まで7年延長し、現在に至っております。
以上のように、地方分権、少子高齢化、環境問題などの各課題や難しい財政状況に対応しながら、持続的に住み続けることができる活力ある地域づくりを進めるためには、行政能力の向上と行政基盤の強化を図ることが必要と考え、両市町が一体となり、新・日立市が誕生したわけであります。
合併後15年の節目を迎え、改めて、次の2点について、執行部の御答弁をお願いいたします。
まず、(1)新市建設計画の進捗状況についてでございます。
新市建設計画の趣旨及び内容については、二つの市町が一つとなり、新生日立市として初めて策定された、市の最上位計画である日立市総合計画に引き継ぎ、その事業スケジュールの中で取組が進められているとのことでありました。
平成25年9月の一般質問においては、合併10年の節目における進捗状況について御答弁をいただいておりますが、今回は、その後6年が経過し、その間に計画に位置付けられた事業のうち進捗が図られたものがあるのかも含めて、現在の新市建設計画としての全体的な進捗状況についてお尋ねいたします。
次に、(2)旧十王町地域における事業の進捗状況についてでございます。
旧十王町地域において、特に大きな事業実施の状況や合併に際して定めた各種調整の結果等のうち、主な取組についてお尋ねいたします。
続きまして、2項目めの質問でございます。十王町高原地区における林地開発を伴う太陽光発電事業についてお尋ねいたします。
十王町には、高原地区を水源とする十王川が流れております。この十王川は、日立北部地区の生活用水を賄う大切な川であり、十王浄水場からの水道水は良質で、ペットボトルとしても販売されております。十王川上流の清流は、天然のイワナやヤマメなど多くの魚が生息し、渓流釣りの釣り場としても知られており、毎年十王川漁業協同組合によるアユやイワナなどの放流も行われ、同組合主催の釣り大会も開催されるなど、釣りシーズンには多くの釣り客が訪れてにぎわいを見せております。
このような豊かな自然環境に恵まれた十王川を有する高原地区に、近年、林地開発を伴う大規模な太陽光発電事業が進出しております。既に開発を完了した発電所が1箇所、開発中が2箇所、そして開発に着手したばかりの発電所が1箇所あると伺っております。
林地開発を伴う太陽光発電所の建設では、森林を伐採し、太陽光発電のパネルを設置するため、これまで森林が果たしていた雨水を貯留し、洪水を緩和するといった水源涵養機能が損なわれてしまいます。
このようなことから、台風等による大雨が降るたびに開発区域から土砂を含んだ雨水が開発区域外に流出する被害が発生する状況であり、十王川に流れ込んだ濁った雨水により濁度が上がり、生息していたイワナやヤマメが死滅したという漁業関係者の話や、十王浄水場では取水を制限したこともあったと聞いております。
10月の台風19号に伴う大雨の影響により、既に開発を完了したゴルフ場跡地の発電所においては、開発区域内から土砂を含んだ雨水が大量に流出して県道を封鎖し、十王川にまで流れ込む被害を発生させ、その後の低気圧に伴う大雨の際にも同様の被害が発生いたしました。
土砂崩れにより県道を封鎖した大量の土砂は、下流にある十王ダムの水を茶色く濁し、自然に優しいはずの太陽光発電が大雨のたびに周辺の自然環境を破壊している現状に、高原地区を始めとする十王町民の不安の声が高まっております。過日の県内河川の氾濫は想定を超えた雨量によるものと思われますが、世界的な温暖化が進んでいると言われている現在においては、もはや想定超えを災害発生時の言い訳にしてはならないと思います。
林地開発が茨城県の許可であることは承知しておりますが、このような現状を踏まえ、次の2点について執行部の御答弁をお願いいたします。
まず、(1)災害防止のための市及び事業者の対応についてでございます。
台風や低気圧等で大雨が予想される場合の、土砂流出等の未然防止のための市及び事業者の対応についてお尋ねいたします。
次に、(2)林地開発完了後の維持管理体制についてでございます。
林地開発の許可権限は県であり、開発完了までは県の指導・監督が及ぶと思いますが、太陽光発電所は長期に設置されるものであり、また、係員が常駐している施設でもないことから、地域住民からは、設置後の維持管理体制について不安の声が聞こえてきます。そこで、林地開発が完了した太陽光発電所の維持管理体制についてお尋ねいたします。
私からの質問は以上でございます。
21 ◯副議長(
伊藤健也君) 杉本議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
22 ◯市長公室長(鈴木利文君) ◇登壇◇ 杉本議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、「日立市・十王町新市建設計画」についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)の新市建設計画の進捗状況についてでございます。
新市建設計画は、市町村の合併の特例に関する法律の規定に基づき、日立市と十王町の新しいまちづくりを総合的かつ効果的に推進するため、合併協議会における様々な協議を経て平成16年2月に策定されたものであり、新市建設の基本方針や具体的な施策などが定められているものでございます。
当初は、平成17年度から平成26年度までの10年間の計画でございましたが、
東日本大震災の影響による国の制度改正によって合併特例債の発行期間が延長されたことに伴い、その許可を受けるため、平成26年12月に本計画を変更し、現在は令和3年度までの17年間の計画となっております。この延長により、合併直後から進めてまいりました様々な合併関連事業に加え、池の川さくらアリーナや市役所新庁舎の建設など、震災復興に関連した大型事業につきましても必要な財源を確保することができたものと考えております。
本計画の進捗状況につきましては、御質問にございましたように、平成25年の時点において計画に位置付けられた76事業のうち既に71事業に取り組んでおりましたが、その後につきましては、介護保険施設である特別養護老人ホーム萬春園の建て替えや、日立アルプスを中心としたハイキングコース等の整備などについて新たに取組を進めているところであり、計画に掲げた事業の大部分について完了又は着手済みとなっている状況でございます。
また、本計画に位置付けられております、県が所管する道路整備事業につきましても、日立笠間線の大久保町から金沢町までの区間が完了したほか、鮎川停車場線、日立いわき線、十王里美線などの各路線の整備が進められており、さらに、一般国道245号においては、日立港拡幅の整備が平成23年度に完了し、現在は、日立港区北拡幅の整備と久慈大橋の新規事業化が図られているところでございます。
以上のように、合併15年の節目を迎える中で、新市建設計画に掲げた事業につきましてはおおむね予定どおりに進められており、旧市町の一体感の醸成や、まち全体としての均衡ある発展などがこれまで着実に図られてきているものと認識をしているところでございます。
次に、(2)の旧十王町地域における事業の進捗状況についてでございます。
合併後における新しい市としての一体性を早期に確立するため、計画に基づく各種事業の推進や制度の調整に努めてきたところでございますが、そのうち、旧十王町地域における主な事業といたしましては、コミュニティ活動の拠点であります十王交流センターの整備を始め、中山間地域の振興のためのたかはら自然体験交流施設の整備や、十王パノラマ公園の駐車場拡張整備、十王スポーツ広場体育館の改修、さらに、県北生涯学習センター誘致などのほか、現在は十王中学校の屋内運動場改築を進めているところでございます。
また、地域間をつなぐ幹線道路の整備につきましても、友部・伊師浜線や屋敷前・風早線、本郷前線などの整備について、計画に基づき着実に取り組んでまいりました。
さらに、計画には記載されておりませんが、合併時における調整項目に基づいて取り組まれた事業として、旧十王町地区における地域コミュニティの構築などがございます。
このように、合併を契機といたしまして、新市建設計画等に基づく各種事業の推進により、旧十王町地域を含む地域全体の発展と住民福祉の向上が図られたものと考えており、今後も、より良い地域づくりを進められるように、引き続き計画の推進を図ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
23 ◯産業経済部長(岡見安美君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、十王町高原地区における林地開発を伴う太陽光発電事業についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)災害防止のための市及び事業者の対応についてでございます。
議員御案内のとおり、十王町高原地区には、林地開発を伴う太陽光発電所が、開発を完了した1施設と開発中の3施設で、合計4施設ございます。いずれの施設も、一定規模の森林伐採を伴う太陽光発電事業のため、森林法に基づく茨城県の林地開発の許可を受けておりますが、これらの開発区域内では、森林の伐採により水源涵養機能が低下するため、調整池などの雨水排水施設が整備されております。
しかし、台風など大雨が予想される場合には、開発区域外への土砂等の流出なども懸念されることから、本市におきましては、災害の未然防止に向け、事業者に対する注意喚起を行うとともに、雨水排水施設の状況や夜間、緊急時の連絡先、災害が発生した場合の緊急対応の体制などを確認し、不測の事態に備えた対応をとっております。
また、事業者におきましては、開発区域内や周辺を事前に巡回し、発電設備のほか調整池や側溝などの排水施設、法面などの点検を行い、必要に応じて災害防止のための措置を施した上で、作業員の現場待機やカメラ・モニターによる監視体制を整えております。
なお、土砂流出等の災害が発生した場合には、市は、事業者に対し周辺への影響を最小限に抑えるよう速やかな復旧を求め、許可権者の県など関係機関との情報共有を図るとともに、復旧後においては、市に対しても事故原因と再発防止に向けた取組の報告を求めるなど、繰り返し災害が発生しないよう指導を行っております。
次に、(2)林地開発完了後の維持管理体制についてでございます。
林地開発完了後の太陽光発電所に対しましては、茨城県林地開発許可制度事務処理要領に基づき、市と事業者が締結した残置森林等の管理に関する協定により、調整池や側溝などの排水施設の管理、法面の保護などに有効な緑化の推進、大雨が見込まれる場合の事前対策や緊急対応など、発電所の適正な維持管理に対する指導を行っております。
本市といたしましては、今後も引き続き、当該協定の適正な履行について随時確認するとともに、必要に応じて改善の指導を行うなど、地域住民の安全安心の確保及び地域自然環境の保全を図ってまいります。
以上でございます。
24 ◯4番(杉本和子君) ◇登壇◇ それぞれの項目に対しまして、御答弁ありがとうございました。
要望を2点申し上げます。
1点目は、新市建設計画についてでございます。
答弁において、計画に位置付けた事業については、旧十王町地域におけるものを含めて着実に推進し、ほぼ実行されたとのことでありました。
中山間地域振興のためのたかはら自然体験交流施設を始め、生活の基盤となる幹線道路やコミュニティの拠点となる十王交流センターなど、目に見える形で整備が図られており、執行部の皆様の御努力に対しまして、心から感謝を申し上げます。
地方創生の取組も第2ステージに入ることから、十王地区に限らず県北地域の活性化を考えた際、十王地区には日本の白砂青松100選に選ばれている伊師浜海水浴場があります。近隣には豊かな農産物を供給できる農地を擁し、国道6号にも隣接し、全国人気ナンバーワンを誇る国民宿舎鵜の岬など、様々な地域資源があります。
首都圏を始めとして、関東全域の人々がそこへ行きたい、そこに滞在したいと思い、地元の高齢者も
子供たちもそこで過ごしたいと思える、「食べて、遊んで、泊まれるにぎわいどころ」のような夢のある施策への取組を願うものであります。
2点目は、十王町高原地区における林地開発を伴う太陽光発電事業についてでございます。
いずれの発電所も県の開発許可案件ということで、市としては対応に苦慮されている状況がうかがえます。しかしながら、住民の安全・安心を確保するため、まずは現地の状況を把握し、災害時にはスピード感を持って対応できるよう、万全な防災体制の整備を要望させていただきます。
以上で私からの全ての質問を終わります。ありがとうございました。
25 ◯副議長(
伊藤健也君) 以上で杉本議員の質問が終わりました。
ここで、午後1時まで休憩いたします。
午前11時44分休憩
──────────────────────
午後 1時00分再開
26 ◯副議長(
伊藤健也君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、舘野議員に発言を許します。
なお、質問は
分割質問分割答弁方式により行います。
27 ◯25番(舘野清道君) ◇登壇◇ 公明党の舘野清道でございます。
発言通告に従いまして、大きく3項目について質問いたします。御答弁よろしくお願い申し上げます。
初めに、大きな1番、台風15号、19号、低気圧による大雨を検証し防災先進都市を目指してでございます。
10月12日に上陸した台風19号は、東海から東北まで広範囲に甚大な被害をもたらしました。被災した自治体が1都3県、390市区町村に及びます。この数は、
東日本大震災で被災した市区町村の数を上回る非常に広域的な災害になりました。死者数は90人を超え、301の河川で氾濫が発生、住宅被害は9万棟に上り、今でも各地で約2,000人の方が
避難生活を余儀なくされています。県内でも同様に大きな被害をもたらした台風15号、19号の豪雨災害から間もなく2箇月が経過します。被害により亡くなられた方や被災された方々に心からお悔やみを申し上げます。また、お見舞いを申し上げます。
今後、これらの規模の台風は、地球温暖化の進行に伴い、海面水温の上昇や、また、東日本の今年の9月から11月の平均気温が50年間で最も高くなっています。今後、これらの台風の経験を糧に、一層の備えをしていかなければなりません。
(1)9月から10月に上陸した台風等の概要と被害状況、市の対応についてであります。
今般の台風災害については、今までも一般質問で多数の議員から質問があり、改善すべき点が指摘されたところでございます。私も市民の皆様から様々な御意見をいただきました。今回の警戒レベル4の全員避難はおかしいのではないかといった御意見や、何事もなかったというわけではないが、日立市の市内全域
避難勧告にすごく違和感を感じた。市民全員が避難できる避難所があるわけではないし、避難するかどうかの判断を市民に丸投げした感じであるといった御意見や、また、台風の事前情報に対応できるハザードマップや危険箇所が一番危ないわけで、そこにスポットを当て、
避難勧告を出すべきではないのかといった御意見。また、浸水のおそれのある地区や土砂災害のおそれのある地区だけに
避難勧告した市町村もありました。やはりリスクの高い地域に
避難勧告をし、それ以外の地域は高齢者や障害のある方が自主的に避難するような形のほうがよいと思うといった意見もございました。肯定的な意見では、日立市の判断は妥当だと思います。このように、災害のリスクがあるのかを判断するのは実は行政ではなく、私たち住民一人一人ですとの声もありました。
そこで、これらの声や台風被害をどのように受け止めているのか、概要と住民の避難指示も含め、市の対応、検証についてお伺いいたします。
次に、(2)市の支援活動や今後の市民への備えについてであります。
私も常陸太田市に1日でありましたが、ボランティア活動をさせていただきました。床上1メートルの独居高齢者の御婦人のお宅を片付けてまいりました。全国各地からボランティアの方が集まってきたわけでありますが、日立市のボランティアの派遣状況や市の支援活動についてお伺いいたします。
併せて市民からは、全員避難指示があったわけで、さぞかし被害が大きいものとして情報を検索するが、日立市のホームページのどこにも掲載されていない中で、水戸市では、令和元年台風19号災害情報として38回にわたってホームページのトップページで、越水河川、浸水被害地域から台風の概要まで14項目にわたって更新し続けております。市が掌握している台風の被害状況を広く公開し、市民と共に共有しておりました。日立市では、今回の台風の被害状況をどのように市民に周知して、今後の備えをされるのかお伺いいたします。
次に、(3)各ハザードマップで示された被害状況についてであります。
日立市では、洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップ、津波ハザードマップが整備され、市民の皆さんの自主的な避難や危険回避行動を支援し、被害を最小限とするために作成され、公開されています。言うまでもなく、自分たちが暮らしている地域がどのような災害のリスクを有しているのかを一人一人が認識しておく必要があります。これを助けるのがハザードマップであります。なかんずく今回の大きな台風では、ハザードマップで示された区域が一番大きな被害が想定されますが、市内の被害状況についてお伺いいたします。
(4)里川の氾濫を踏まえた中里
小中学校の新校舎建設位置の見直しについてでございます。
市内にも一級河川の里川を擁する中里地域では、今回の台風19号では実質1日の西部支所での総降雨量は239ミリで、1986年から観測が始まって以来の第1位の記録を観測しました。中里地区では大小72件を超える被害が報告され、河川・水路被害が33件と最も多く、主なものでは、夢ひたちファーム前の鳥坂橋の流失や床下浸水を始め、崖崩れ被害、倒木、道路被害等であります。今でも若者センターから常陸太田市に抜ける農免道路は、落石の影響で通行止めが解除されないで、市民に不便を掛けております。
私も国道349号沿いを流れる一級河川里川を現地調査させていただきました。里川は、入四間川が合流する西部支所の前の擁壁の高さは5メートルでありますが、その擁壁を乗り越え水が迫っておりました。2階にある支所は大丈夫でしたが、1階の日立消防署西部機関員派出所はすごい危機感があったわけであります。また、中里中学校前の河川敷は、人々が水辺に近づき、四季折々の景観を自然に親しむことができる水辺空間として整備されております。今回の台風19号の記録的な大雨により、遊歩道が水の勢いで崩落するなど、これも甚大な被害があったわけであります。
ここでお伺いするものでありますが、現在の中里中学校は山側を背にして校舎が建っています。この校舎の老朽化に伴い、今回被害が出た川岸に2階建ての新校舎を建て替えると聞いております。今後更に台風による豪雨が大きくなると予測されますが、川岸に建設を予定している校舎の見直しをされるべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
(5)地区防災計画の策定についてであります。
先進的な取組を行っている水戸市は、2015年から地域住民による自主防災組織を市内34地区で設置し、その全地区が地区防災計画を策定しているとのことで、水戸市防災・危機管理課の担当の方にお話を伺いに参りました。
水戸市の地区防災計画の策定は、自分たちの地域は自分たちで守る、地域の実態を反映した計画づくりに市職員と二人三脚で取り組んだとのこと。この地区計画策定には、市が計画のひな型を提供したり、地区代表者への説明会を開いたりして、全面的にサポートしておりました。また、地区防災計画が絵に描いた餅で終わらないように、各地区で計画の更新が随時行われるのも特徴でございます。例えば、平成28年4月の熊本地震の際は、
避難生活や車中泊によるエコノミークラス症候群の危険が問題視されたことから、その予防体操法を計画に新たに盛り込んだところでございます。
このような取組が地元住民に浸透を図り、2018年度の防災訓練の参加者は市内100箇所以上で行われ、1万4,000人を超えるまでになりました。関係職員も手分けをして全ての防災訓練に参加しておりますとのことでございます。多い職員では年間50箇所以上の訓練に参加していました。その地道な活動により住民との強いパイプが築かれ、今回の大災害でも、地域住民が文句を言わずに協力をしていただいた結果、人的被害を出すこともなかったとのことでした。さらに、今後も強固に、共に支え、共に支え合う地域をつくっていきたいとの抱負を語っておりました。
日立市においても地区防災計画を全コミュニティ単位で行うべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
(6)ケーブルテレビを活用した防災情報配信の高度化についてであります。
先般の台風19号の際については、茨城県を含め、全国的にも大規模な被害が発生し、本市においても河川氾濫の危険性が高まるなど、改めて防災情報の発信力強化及び防災情報伝達の強化が認識されたところであります。既に本市でも防災無線、ケーブルテレビなどを活用した防災情報配信に取り組んでおりますが、更なる発信力強化と、発信にとどまらずいかに住民に伝達できるかが、大きな重要な取組と考えます。特に今後の高齢化社会においては、音声だけではなく、テレビ等を通じた視覚的な防災情報の配信が必要ではないのでしょうか。
今回の台風に際して、首都圏などのケーブルテレビでは、河川の増水状況をライブ映像で配信し、住民にとって非常に状況が分かりやすかったとの報告なども新聞報道で拝見したところでございます。本市においても
東日本大震災後に整備された津波監視システムも既に整備されており、映像と文字情報を併せて配信することで、住民への情報伝達が分かりやすくなると考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
また、映像で緊急情報を取得するためには、テレビを付け、チャンネルを合わせる必要がありますが、今後は防災無線などと同様に、緊急時にテレビが自動で立ち上がり、音声・映像を配信できる仕組みなどが重要と思われますが、御見解をお伺いいたします。
以上で大きな1番の質問を終わります。御答弁よろしくお願い申し上げます。
28 ◯副議長(
伊藤健也君) 舘野議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
29
◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ 舘野議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目めの、台風15号、19号、低気圧による大雨を検証し防災先進都市を目指してのうち、(1)から(3)まで、(5)及び(6)の御質問に順次お答えいたします。
初めに、(1)の9月から10月に上陸した台風等の概要と被害状況、市の対応についてでございます。
台風15号は、千葉県を中心に強風による被害をもたらしましたが、日立市には大きな被害はございませんでした。台風19号は、強い勢力で日立市を通過し、人的被害はなかったものの、法面の崩壊や倒木、道路陥没が発生し、台風21号に伴う低気圧においては、長い期間、風雨が続いたことにより、19号同様の被害が発生いたしました。市では、これらの台風等の接近に備え、早期に
災害対策本部を設置し、警戒対応に当たるとともに、避難所を開設して、市民の皆様が安全に避難できるよう対応したところでございます。
台風19号接近の際は、まず、台風が通過する14時間前に、市内全域に避難準備・高齢者等避難開始を発令して、避難に時間が掛かる方や自宅で過ごすのが不安な方に、風雨が強くなる前の避難を促しました。その後、台風の接近に伴い、危険な状況が予測されるため、開設避難所を拡大するとともに、
避難勧告を発令し、避難を呼び掛け、さらには久慈川が水位の上昇により氾濫危険水位を超過したため、南部地区に避難指示を発令いたしました。これらの発令は、本年、国において改正されました
避難勧告等に関するガイドラインに沿って実施したもので、住民の避難行動を促し、危険を回避するための対応として行ったものでございますが、議員御案内のように、これらの発令により避難することに違和感を覚える方も多かったのではないかと思われます。
したがいまして、今後、避難発令と避難のタイミング、避難場所への行き方などの避難行動につきまして、継続して周知を図り、自らの命は自ら守る意識を持っていただくとともに、住民の皆様の避難行動を支援する的確な防災情報の提供にも努めてまいりたいと考えております。
次に、(2)の市の支援活動や今後の市民への備えについてでございます。
今回の台風等において、当市では市民生活に重大な影響を及ぼすような被害はございませんでしたが、新聞報道等でも御案内のとおり、県内においては、幾つかの地域で大きな被害が発生し、発災直後からたくさんのボランティアが被災地で復旧活動をいたしました。日立市からは、社会福祉協議会の募集で、3日間、学生を含む延べ107名が水戸市、常陸太田市、常陸大宮市に出向き、災害ごみの片付けや汚泥の撤去作業等に従事したところでございます。
市といたしましても、これに大子町を加えた県内4市町に対しまして、給水活動、災害ごみの分別、消毒活動、保健師による健康相談や農作物等被害調査などの作業に人的支援を行うとともに、県外の被災地に対しましては、強風により多くの家屋が被害を受けた千葉県館山市において、延べ27日間、24名の職員が交代で家屋調査の支援を行いました。さらには、被災後直ちに、県内の3市町及び千葉県、福島県の8市町に、要請に基づきまして、いち早く飲料水や食料等の救援物資を届け、被災により大変な御苦労をされている地域の皆様に日立市としての支援を行ったものでございます。
また、御質問の市民への被災状況の広報でございますが、今回の台風等では当市において大規模な被害の発生がなかったため、ホームページ等での広報は実施いたしませんでした。しかしながら、市民の皆様に対し、正確な災害情報の提供は必要と考えますので、今後、提供する情報の内容やそのタイミング、さらにはスマートフォンアプリの活用なども含め、検討してまいりたいと考えております。
次に、(3)の各ハザードマップで示された被害状況についてでございます。
今回の台風においては、多くの土砂災害が発生いたしました。台風15号及び19号による崖崩れ等は、それぞれ3件と44件、報告がされておりますが、そのうち2件が中里地区のハザードマップに示された区域内での小規模な崖崩れ等でございました。なお、洪水ハザードマップ指定地域の被害は発生しておりません。
土砂災害ハザードマップは、県が国の指定基準に基づいて土砂災害に警戒すべき区域を指定し、これを基に作成されておりますが、これ以外の地域におきましても、災害発生のリスクはございますことから、地域の皆様に日頃からの注意を呼び掛けるとともに、市報等を活用して
避難勧告等が発令された際にとるべき対応についての周知等を図ってまいりたいと考えております。
次に、(5)の地区防災計画の策定についてでございます。
日立市では、平成24年に各コミュニティと協働で、危険箇所などを調査しながら防災マップを作成し、各戸に配布しているところでございます。
市では今後、各地域の住民がそれぞれの避難行動を考えるマイタイムラインの作成を検討しておりまして、この作業を通して、より地域の実情に合った防災マップの見直しを図っていきたいと考えております。議員御案内の地区ごとの防災計画につきましても、この作業にあわせて、他自治体の事例を調査しながら、作成の検討を進めてまいりたいと考えております。
最後に、(6)のケーブルテレビを活用した防災情報配信の高度化についてでございます。
まず、河川の情報をケーブルテレビで放映してはどうかとの御質問ですが、現在、国や県が管理する河川の状況につきましては、随時、インターネットに情報が掲載され、自由に閲覧することができます。議員御提案のこうした河川の映像をケーブルテレビで放映することにつきましては、視覚的に河川の情報を把握できますことから、災害発生時における情報発信手段の一つと捉え、今後、実施について検討してまいりたいと考えております。
また、災害時にテレビの電源が自動で入る仕組みにつきましては、特別な装置を必要とし、導入にかかるコストも発生することから、今後、この機能を備えたテレビの開発などの情報を収集していきたいと考えております。
以上でございます。
30
◯教育部長(窪田康徳君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな1項目めの(4)里川の氾濫を踏まえた中里
小中学校の新校舎建設位置の見直しについての御質問にお答えいたします。
現在の中里中学校の校舎は、建設から約50年が経過し、早急な耐震化と老朽対策が必要となっていることから、中里小学校との施設一体型の校舎として建て替えるものでございます。
新しい校舎は、敷地南側の里川寄りに配置し、校地全体を把握しやすくするとともに、屋内運動場、中里交流センターと接続させることで、地域の中の学校としての位置付けを強調した計画としております。配置計画の策定に当たりましては、
児童生徒の安全確保のため、地震、風水害等を始めとする災害対策についても検討してまいりました。検討の中で、水害につきましては、茨城県が公表する里川の洪水浸水想定区域に含まれていないことを確認しております。
また、里川の通常水位は40センチメートルから50センチメートルであり、そこから学校敷地までは更に約6メートルの高低差がありますことから、里川の水害の危険は極めて小さいとの判断に至っております。今回の台風で上昇した水位は最高で約3メートルでございましたので、今後、同程度の降雨量があった場合でも、浸水のおそれはないものと考えているところでございます。
しかしながら、近年、異常気象が頻発しており、更に想定を超える大雨や里川の増水も懸念されますことから、現状の敷地から更にかさ上げして建設する計画でございます。今後も学校整備に当たりましては、ゆとりを持った安全策を講じることとし、
児童生徒の安全を最優先に進めてまいります。
以上でございます。
31 ◯25番(舘野清道君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
防災先進都市を目指して質問させていただきました。全体をまとめて再質問させていただきます。
現在、日本は防災・減災に力を入れてきましたが、その災害は地震に対する備えが中心になってきたことは、私は否めないと思います。
東日本大震災があったこともあり、もし大きな地震があったらということで、防災・減災に力を入れてきました。
しかし、今後は、これほど気候変動が激しくなり、年に何回も信じられないような集中豪雨が日本を襲ってくることは避けられません。今後は防災の柱を地震と水害に置くことが重要になってきます。私も平成27年9月の関東・東北豪雨の現地調査を踏まえ、様々な視点から一般質問をさせていただきました。
短時間で大量の雨が降るゲリラ豪雨で、雨水がはけ切らない内水氾濫の可能性が高くなるので、内水ハザードマップの本市への整備についての提言や、地域の防災力向上のために地区防災計画の策定についても前向きな答弁でしたが、その後、進展は余り見られないようであります。
今回の質問では、一級河川の里川の氾濫で大きな被害を受けたわけでありますが、里川の洪水ハザードマップが本市では整備されていませんので、今後の取組について。併せて今回の台風において、そのうち2件だけしかハザードマップに示された区域での災害はありませんでした。これ以外はハザードマップに示されていないところのリスクが高かったということになりますので、今後の見直しも含め、検討する必要がありますが、御見解をお伺いいたします。
32
◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ お答えいたします。
先ほども御答弁させていただきましたが、洪水及び土砂災害ハザードマップにつきましては、それぞれ国や県が指定する河川の洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域を基に、それぞれの市町村が作成し、住民に配布することとされているものでございます。議員御指摘の市内中里地区を流れる里川や、現在の土砂災害ハザードマップ以外の区域につきましては、こうした指定がされておりませんことから、ハザードマップは作成していない状況となっております。
また、内水ハザードマップにつきましても、法に基づく義務化がされておりませんことから作成はしてございませんが、昨今の想定を超えた降雨の状況を見ますと、今後策定に向けた検討を行っていく必要性が高まっていると感じております。
今月6日の新聞報道によりますと、国では今回の台風災害において、全国的に指定区域外での災害が発生したことから、今月9日に有識者検討会を設置し、今回の土砂災害の要因を検証するとしており、将来的には指定基準の見直しも含め検討する方針であるとの報道がございました。
こうしたことから、市としましても、今後の国や県の動向を注視してまいりますとともに、住民の安全対策といたしましては、適時に的確な情報提供を行うほか、さきに申し上げましたとおり、日頃からの注意の呼び掛けを行い、避難に対する意識の向上を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
33 ◯25番(舘野清道君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
防災先進都市を目指して様々な施策を先駆的に取り組み、市民の生命と財産を守るため、日夜努力されることを要望といたします。
次に、大きな2番、中心市街地の活性化についてお伺いいたします。
(1)商店会の活性化について。
去る10月1日、イトーヨーカドー日立店の4階にオープンした屋内型子どもの遊び場には、多くの親子連れが来場され、特に休日は大変なにぎわいを見せております。また、同じフロアには、今後、待望の書店の出店が予定されているとのことですので、遊び場の相乗効果を含めまして、日立駅周辺の再活性化につながると期待しています。
一方、パティオモールを始めとする近隣商店街を取り巻く環境は、近年、モータリゼーションの進展や消費行動の変化による来訪者の減少といった外部環境とあわせて、お店の経営者の高齢化など、閉店が続き、商店会組織の弱体化が進んでおります。さらに、経年による車道や歩道の老朽化や街路樹及び緑地の荒廃に加え、先般の台風19号によるアーケードの損傷なども、商店街の雰囲気や魅力を低下させる要因となっております。
こうした状況の中で、日立銀座モールにおいて、毎月のイベントを開催する商店街組織や若い世代が中心となったクラウドファンディングを活用したまちの将来を語り合う場の整備など、商店街を活気付けようとする若い方の動きも見られるところでございます。言うまでもありませんが、商店街の衰退は、まちのにぎわいを失い、市全体の活力低下につながることから、これらの団体の活動やハード整備に係る支援を行う必要があると考えますが、執行部の御見解をお伺いいたします。
次に、(2)あんず並木通りの無電柱化についてでございます。
市役所前の国道6号から市民会館通りを横断してけやき通りまで連絡するあんず通りは、戦災復興区画整理事業として整備され、街路樹のあんずは、里親であるあんず並木を育てる会によって大切に守られてきました。市においても平成18年から19年にかけて、歩道のバリアフリー化整備を行っており、市民とともに
環境整備に取り組んでいる道路であると感じております。
また、あんず通りの地下には、日立セメント株式会社が、石灰石採石場から日立駅前の工場までベルトコンベヤーで運ぶための地下トンネルがありますが、残念ながら今年3月で、50年以上にわたって活躍してきた役目を終えることになりました。
こうした中、あんず並木を育てる会から市長宛てに、今年10月に次のような要望書が提出されていると伺っております。
あんず通りは、昭和40年に市民運動の先駆けとして発足したあんず並木を育てる会を中心に、地域住民が力を合わせて清掃や道路の点検などを行い、防災や景観維持に寄与してきました。
しかしながら、成長した街路樹が電線より高くなって、あんずの実の収穫時における安全確保や景観維持が難しくなってきています。また、防災拠点である新庁舎への幹線道路のあんず通りは、電柱倒壊による道路閉鎖や電気通信等が停止することを防止しなければなりません。
この度の台風15号による千葉県の電柱倒壊による長期間にわたる大規模停電等を踏まえて、あんず通りの無電柱化を要望いたします、といった内容のものですが、あんず通りの無電柱化に関する執行部の見解をお伺いいたします。
(3)宮田川の自然環境の保護及び活用策についてでございます。
宮田川は、多賀山地に位置する神峰山、高鈴山を水源とした川で、市の
中央部を抜けて太平洋に至る二級河川であります。宮田川には、地域を流れる川を地域の住民の方々が自らきれいにしようという趣旨の下で発足した、宮田川をきれいにする会があります。
昭和45年に発足したこの会は、現在でも仲町、宮田、中小路小学校学区の住民の方が活動を続けており、河川の清掃活動の際には平沢、駒王中学校、日立一高の生徒、日鉱金属、日立製作所、日立セメントなどの企業の方も参加していると聞き及んでおります。主な活動としては、初夏と秋に年2回、周辺の草刈りのほか、廃棄物の除去作業を実施しておりまして、数多くの市民や企業関係者などが参加する恒例の行事となっております。
そこで、2点についてお伺いいたします。
まずは1点目、河川愛護団体の清掃活動において、高齢化の進行もあり、宮田川に降りられず、草刈りができないなどの問題を抱えております。また、現在の宮田川は河川敷がジャングル化し、川は雑木林で覆われ、橋の上から川の流れが見えないような状況であります。宮田川については県の管理とは承知しておりますが、市が先導をされ、景観や環境の面からもあらゆる方策を考えるべきと考えますが、お伺いいたします。
2点目としては、「ある町の高い煙突」の映画化を契機に、大煙突を始めとするゆかりの地を巡るコースを紹介したマップが作成され、まち歩きが行われております。この時期を逸することなく、宮田川においても、鮎川の
諏訪梅林のような親水護岸や遊歩道の整備を事業化され、中心市街地にあるこのようなきれいな川を活用し、活性化につながる事業となされるべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
34 ◯産業経済部長(岡見安美君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、中心市街地の活性化についてのうち、(1)商店会の活性化についての御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、各商店会や商店街を取り巻く環境は、インターネット販売の普及や郊外型大規模小売店舗の立地等の影響、また経営者の高齢化や後継者不足等から閉店が続き、現在では銀座通りの路面店はピーク時の3分の1にまで減少しており、大変厳しい状況にあると認識しております。
しかしながら、高齢化が進展する中で、徒歩圏内にある地域のお店や商店街は、周辺住民の買物等に日常的に利用されており、今後も住民生活を支える機能として維持していく必要があるものと考えております。
このような中、本市におきましては、商店街の魅力向上と機能維持、創業促進などを目的に、平成29年度から中心市街地等の空き店舗を活用した新規出店事業者への支援を実施しており、これまでに延べ20件以上の出店を促してまいりました。
さらに、日立商工会議所におきましては、市からの補助金を活用し、まちなかのにぎわい創出と飲食店等の新たな顧客開拓を目的としたドリンクラリーの開催や、商店会や各種市民団体、高校生等の若い世代など、複数の組織が商店街を会場に取り組みます各種イベント開催への支援が行われております。
こうした取組は、商店街の魅力向上やにぎわい創出、活性化に少なからず作用しているものと捉えており、引き続き、それぞれの事業者や団体等の取組内容を踏まえつつ、意見交換を深めながら、必要に応じた支援を図ってまいりたいと考えております。
併せまして、老朽化の進むアーケードの修繕や道路、緑地帯の維持管理、施設改修等による商店街の景観整備につきましては、商店会や市民団体等が行う活動と相乗効果が得られるよう、これらの団体等と連携を図りながら、商店街の魅力向上に向けた対応を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
35 ◯都市建設部長(磯野健寿君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目めの(2)及び(3)の御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(2)あんず並木通りの無電柱化についてでございます。
議員御案内のとおり、今年の台風15号に伴う千葉県の大規模停電等の状況は、防災上における無電柱化の必要性を改めて認識させられたところでございます。このような中、あんず通りにつきましては、新しく生まれ変わった市庁舎につながる都市計画道路であることなどから、防災上の観点に限らず、良好な都市景観の向上を図る上でも、無電柱化に向けた取組が望ましい路線であると認識しております。
一方で、事業の実施に当たりましては、沿線住民や電力・通信事業者、警察等の関係機関の協力や合意形成を図る必要がありますとともに、事業費が多額となることや、地上機器の設置スペースの確保、電線類の埋設時に街路樹が支障となることが想定されるなどの課題がございます。
市といたしましては、財政的なことも踏まえ、これらの課題の整理を行いながら、今後の事業の実施について検討してまいりたいと考えております。
続きまして、(3)宮田川の自然環境の保護及び活用策についてでございます。
2点の御質問がございました。
まず、自然環境の保護についてでございます。
議員御案内のとおり、二級河川宮田川は、県の管理河川でありますが、宮田川の河川愛護団体の河川清掃等の環境保全活動については、県と市で活動の支援をしているところであり、市では補助金や収集したごみの回収などを行っております。
近年、この活動については、参加者の高齢化により、活動ができなくなるなどの多くの問題を抱えているところでありますが、河川清掃時において、河川敷に容易に降りられる管理施設整備など、住民の方の意見を聞きながら県に働き掛けてまいります。また、景観を害している雑木林の対策についても、現地の状況を確認し、県と連携を図りながら対応に努めてまいります。
次に、活用策についてでございます。
現在、県では、宮田川の河川整備基本方針及び河川整備計画の策定に向けて基礎調査を進めていると伺っております。議員御案内の鮎川の
諏訪梅林には、親水護岸が整備されておりますが、宮田川においても、河川に隣接して桜並木のある桐木田広場などを利用し、河川に親しみが持てるような親水護岸や遊歩道整備などにより、宮田川を活用した中心市街地の活性化につながると考えられることから、河川整備計画に盛り込まれるよう県に働き掛けてまいります。
以上でございます。
36 ◯25番(舘野清道君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
大きな2番、中心市街地の活性化については、私も一般質問では毎回行っているライフワークのテーマであります。今回、あんず通りの無電柱化は、50年以上にわたり、地域住民が力を合わせ清掃活動を行ってまいりました。あんず通りの地下道が役目を終えた時機を逸することなく、タイムリーに利活用するなど、前向きに検討されるよう要望いたします。
最後に、大きな3番、市民の声より、(1)高齢者への補聴器購入助成制度の創設でございます。
年齢を重ねるにつれて、耳の聞こえ、聴力も衰えてきます。一般的には40代から聴力が徐々に衰え始めます。老眼と同じように人間の体として自然なことです。しかし、老眼鏡に比べて補聴器を利用する人は圧倒的に少ないのが現状です。年齢とともに聴覚が衰えることを加齢性難聴と言います。加齢性難聴をそのままにしておくと、相手の話を何度も聞き直すことが嫌になり、他人との会話を避けるようになります。その結果、孤立してしまう可能性があります。また、耳から入る脳への刺激が減ることにより、認知症になるリスクが高まるということも医学的に証明されています。
市民の皆様からは、補聴器の購入価格が片耳で10万円から20万円と言われ、買えないとの相談もあります。今後は、高齢者の認知症予防のために、補聴器購入に対して市独自の補助制度が必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。併せて、茨城県内の市独自の補助制度の現状についてもお伺いいたします。
37 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな3項目め、市民の声よりの(1)高齢者への補聴器購入助成制度の創設についての御質問にお答えいたします。
高齢化の進行に伴い、加齢性難聴となる高齢者が増えており、難聴が進むにつれ、周囲の方とのコミュニケーションがとりづらくなることから、国の認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランにおいても、難聴は認知症につながる危険因子の一つとされているところでございます。
本市においては、認知症の予防対策として、認知症に関する講演会の開催や脳トレ、認知症予防運動などを展開し、早期発見、早期対応に努めているところでございます。
また、聴覚に障害があり、身体障害者手帳をお持ちの方に対しては、国の補装具費支給制度を活用して助成を行い、補聴器購入者の負担軽減を図っております。本制度は、医師の診断に基づき、補聴器が必要と認められた聴覚に障害のある方に対し、年齢を問わず助成するものでございます。
加齢性難聴者が補聴器を装着することにより、周囲の方との会話がしやすくなり、コミュニケーションを図れるようになることで、認知症の防御因子の一つとされる社会的交流につながるものと思われます。現在、県内自治体では、古河市において65歳以上の高齢者の補聴器購入費助成制度を設け、1万円を限度として、1人1回1台限り助成が行われていると伺っております。
補聴器につきましては、高齢者の認知症予防の一環として、加齢による身体的衰えを補う有効なツールの一つと考えられますことから、今後、先進事例等を調査研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
38 ◯25番(舘野清道君) ◇登壇◇ (3)高齢者への補聴器購入助成制度の創設については、難聴が進行する前に補聴器を装着することで、難聴の進行を遅らせることができるとの見解もございます。定期的な健康診断時に検査をして、具体的なアドバイスができる
体制づくりも必要であると思いますので、その辺のことも検討をよろしくお願いいたします。要望といたします。
以上で私の質問を終わります。御答弁誠にありがとうございました。
39 ◯副議長(
伊藤健也君) 以上で舘野議員の質問が終わりました。
次に、添田議員に発言を許します。
なお、質問は
分割質問分割答弁方式により行います。
40 ◯9番(添田絹代君) ◇登壇◇ 公明党の添田絹代です。
発言通告に従いまして質問させていただきます。
1、子どもたちを受動喫煙から守るための取組について。
現在、本市では、日立市医師会、日立歯科医師会による市内
小中学校での喫煙防止教育を実施し、子供本人はもとより、子供の親への受動喫煙の有害さについて学んでおります。
そこで、成長するお子さんが元気に成長する姿を見守れるための住まいについて、そして、たばこを吸っている方が御自分のため、そして大切な方のため、禁煙に一歩踏み出すことを応援する取組についてお伺いいたします。
(1)建設を進めている市営滑川団地の敷地内禁煙と禁煙室の設置について。
本市では、令和3年4月の供用開始を目指し、市内滑川本町に市営滑川団地4棟の建設を進めております。この市営団地は、高齢者とともに子育て世代の定住促進のための魅力ある住宅として整備しており、4棟で72戸、そのうち、子育て世代戸数は36戸です。先月末に、子育て世代の方からの御要望をお受けしました。
要望内容は、たばこを吸わない家族が市内の既存市営住宅に入居したものの、入居前に住んでいた方のたばこのにおいが部屋の中の壁などに染み付いており、小児ぜんそくの子供に悪影響をもたらしたため、経済的には厳しいが、民間の新築賃貸住宅に転居せざるを得なかった。昨今の受動喫煙問題や健康増進法の改正などの社会的な問題からも、子育てに優しい日立市として、せめて新築の市営住宅は敷地内禁煙とし、禁煙室も設置していただきたいとの御要望でした。
現在、本市の既存市営住宅の敷地内全てに灰皿は設置されていないとお聞きしております。
子供たちを受動喫煙から守るための本市の新たな取組として、現在建設中であり、明年10月より入居者を募集予定の市営滑川団地の敷地内禁煙と禁煙室設置について、執行部の御所見をお聞かせください。
(2)子育て世代への禁煙外来治療費の助成について。
国と自治体に受動喫煙の防止措置を推進するよう定めた改正健康増進法の趣旨に基づき、茨城県内の各市町村においては、「子供と自分の未来のために禁煙を」との呼び掛けによる禁煙外来治療費助成事業をスタートさせております。
県内の牛久市では、「喫煙中の方は大切なお子さんを守るために禁煙にチャレンジしてみませんか」と呼び掛け、事業対象者を、妊婦又は18歳以下の子供と同居している喫煙者として、禁煙外来治療費用等の2分の1に相当する額を助成しております。
子供たちは、たばこの害に対して無防備です。家族が喫煙者であると、たばこの煙を自分の意思で避けることはできません。
子供たちを受動喫煙から守るため、禁煙外来治療費に要する費用について助成してはいかがでしょうか。御所見をお聞かせください。
大きな一番の私からの質問を終わります。御答弁よろしくお願いいたします。
41 ◯副議長(
伊藤健也君) 添田議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
42 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ 添田議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、子どもたちを受動喫煙から守るための取組についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)の建設を進めている市営滑川団地の敷地内禁煙と禁煙室の設置についてでございます。
たばこの煙は、煙を吸い込むだけでなく、喫煙者の毛髪や衣服、カーテンなどに付着している残留物質を吸い込むことによっても、子供の集中力や体調に悪影響があると言われております。
国におきましては、本年7月に改正健康増進法を施行し、望まない受動喫煙の防止を図るため、多くの方が利用する施設などにおける受動喫煙対策を一層徹底するとともに、受動喫煙による健康被害が大きいと言われている
子供たちや病気にかかっている方が利用する学校や児童福祉施設、
病院といった施設は特に配慮が必要としたところでございます。
こうした受動喫煙防止の機運の高まりを背景に、全国においては、健康増進法の適用を受ける施設ではない公営住宅につきましても、敷地内を禁煙にしたり、新築の入居者募集に当たって、一部住戸を禁煙にしたりする自治体もございます。
本市におきましては、現在のところ、33団地、4,276戸の市営住宅を管理しておりますが、敷地内や住戸内における喫煙を禁止とする条件を設けた入居者募集は行っておりません。また、茨城県営住宅や県内他市町の公営住宅におきましても、敷地内禁煙や住戸内禁煙の条件を設けている事例はございません。
議員御案内のとおり、令和3年4月の供用開始に向けて、現在建設中の市営滑川団地におきましては、子育て世代等を対象とした定住促進のための魅力ある住宅及び高齢者や障害のある方に優しい住宅の供給を目的として、建て替えを進めているところでございます。
御質問の新築する市営滑川団地の敷地内禁煙及び住戸内禁煙の導入につきましては、
子供たちを含む入居者の受動喫煙防止が図られるとともに、たばこの不始末による火災の予防、室内のにおい、汚れ防止などの効果も期待できますことから、先進事例を調査研究し、検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、(2)の子育て世代への禁煙外来治療費の助成についてでございます。
本市では、医師会、歯科医師会、NPOなどの関係団体や学校等と連携し、母子保健では、妊産婦や乳幼児の保護者に対して、妊婦教室や赤ちゃん訪問、また幼児健診や未就学児親子の研修会等の場で、受動喫煙防止の教育を行っており、さらに、小中学生に対して喫煙防止教育に取り組んでいるところでございます。
御質問の禁煙外来治療でございますが、禁煙を希望する方に対し、ニコチン依存に対する治療を行うもので、一定の条件を満たせば健康保険が適用され、自己負担は2万円ほどになりますが、将来の病気のリスクなどを考えますと、禁煙のメリットは大きいと言われております。
標準的な治療内容といたしましては、ニコチン依存症の有無を調べた後、飲み薬や貼り薬などの禁煙補助薬を用い、さらに5回の診療において、医師が禁煙の継続をサポートし、約3箇月の治療期間の中で禁煙を続けていく自信が芽生えていくというものでございます。現在市内では、17の医療機関で禁煙外来が実施されております。
子供たちを受動喫煙から守るための禁煙外来治療に要する費用の助成につきましては、県内では牛久市が平成28年度から、また、龍ケ崎市が今年4月から助成を開始しており、事業開始から3年を経過しております牛久市では、年間10件から12件の利用があると伺っております。
特に小さな
子供たちの健康への影響を考えますと、自らの意思で受動喫煙を避けることが困難であることから、子育て世代の禁煙を後押しする取組については、未来を担う
子供たちを受動喫煙から守るためにも、重要であると認識しております。子育て世代への禁煙外来治療に要する費用の助成につきましては、県内外の自治体の取組状況や事業の効果等の調査研究を進めてまいります。
さらに、今後も受動喫煙防止の重要性等につきましては、保健事業等の様々な機会を捉え、広く市民に啓発を行ってまいります。
以上でございます。
43 ◯9番(添田絹代君) ◇登壇◇ 御答弁の中で、茨城県や県内他の市町において、敷地内禁煙及び住戸内禁煙の条件を設けている公営住宅はないとのことでした。
県内初となる、本市独自の
子供たちを受動喫煙から守る取組として、建設中の市営滑川団地の明年10月の入居者募集に向けた検討を進めていただけますよう、要望させていただきます。併せて、受動喫煙から市民を守る行政の取組として、健康のためにたばこを吸わない方にたばこの煙を吸わせないための更なる
環境づくりの推進を要望させていただきます。
それでは、次の質問に移ります。
2、日立市十王総合健康福祉センターについて。
私は、6年前の平成25年9月議会において、十王総合健康福祉センターの効率的な管理運営体制を含めた今後の在り方について質問させていただきました。
当時の御答弁では、当施設は、まちづくりの拠点施設として、人口減少や少子高齢化などの進展に伴い、求められる施設の役割や機能の変化を的確に捉えながら、指定管理者制度導入の可能性も含めた適切かつ効率的な管理運営体制について検討してまいりますというものでした。
しかしながら、これまで市として検討を進めていく中で、指定管理者制度導入については、職員体制等の課題も多いことから、現段階においては、現状の体制で管理運営を進めていく予定であるとお聞きしております。センター内の各施設において、何らかの課題はあるようですが、今回は多目的ホール(Jホール)について質問させていただきます。
(1)多目的ホール(Jホール)の今後の活用策について。
ア、多目的ホール(Jホール)の利用状況について。
このホールは、座席数502席を備え、音響反射板のほか、一流の音響や照明設備を備えた本格的な文化ホールです。土日を中心に、地域や趣味の団体などにおいて利用されているようですが、近年の利用状況、特に平日利用の現状についてお聞かせください。
イ、シニア世代の集いの場としての活用について。
近年、本市のシニア世代では、カラオケ、コーラス、楽器演奏、日本舞踊、ダンスなど多彩な趣味を生活の中に取り入れ、充実した生活を送られている方々が多数おります。担当課にお聞きしましたところ、市内には各交流センターに登録されている自主グループだけでも、417の団体があるとのことでした。このような現状の中で、複数の団体から、練習を積んだ演技等を身近な場所で発表できる会場の確保を要望されています。
しかし、Jホールを平日の午後に使用し、発表会などを開催すると仮定しますと、使用料は6,290円ですが、使用料以外に照明装置などの利用料として5,240円、拡声器利用料3,140円など、その他の付属設備使用料がかかります。
そこで提案ですが、駐車場も整備され、玄関前に公共交通のバス停もあり、利用しやすい多目的ホール(Jホール)の今後の活用策として、使用料や付属設備使用料を考慮された中で、シニア世代が集い、楽しめる場として活用することのできる取組を進められてはいかがでしょうか。御所見をお聞かせください。
44 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、日立市十王総合健康福祉センターについての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)多目的ホール(Jホール)の今後の活用策についてのア、多目的ホール(Jホール)の利用状況についてでございます。
十王総合健康福祉センターの多目的ホール、愛称(ゆうゆう十王・Jホール)の利用件数は、平成28年度は159件、平成29年度は124件、平成30年度は120件となっております。このうち、土曜・日曜・祝日の利用が約7割を占めており、件数では80件ほど、稼働率は約70%となっております。一方、平日の利用は60件ほどで、稼働率は約25%となっており、主に市や各種団体などが主催する講習会、研修会、講演会などに利用されております。
次に、イのシニア世代の集いの場としての活用についてでございます。
Jホールは、市民の健康及び福祉の増進、芸術文化の振興に寄与する施設として長年にわたり市民に親しまれてきておりますが、音響・照明設備などが完備されていること、無料の駐車場が整備されていることなどもあり、利用者は市内全域にわたっております。ホールの利用目的としては、ピアノ、カラオケ、バレエなどの発表会や演奏会といった、市民団体などによる利用が半数近くを占めております。また、開館以来、各種事業の企画、実施、運営に御協力いただいているボランティアグループであるJホールサポートクルーの自主事業として、市民参加型の発表会などが毎年開催されております。
シニア世代が集い、楽しめる場とするために市民参加型の事業を増やすこと、関係団体との連携により、市民が参加できるイベントを開催することなどは、ホールの活用策の一つになるとともに、シニアが生きがいを持ちながら充実した生活を続けることへの一助ともなると考えております。Jホールをより市民に利用されるホールとしていくために市民ニーズの把握に努めますとともに、シニア世代の活動発表の場として活用する際の使用料などを含めました課題を整理し、具体の取組内容、手法などについて検討を進めてまいります。
以上でございます。
45 ◯9番(添田絹代君) ◇登壇◇ Jホールの平日の稼働率は20%台程度であるようです。利用者が市内全域にわたっているとの御答弁でしたが、現在、各種事業の企画、実施、運営に協力いただいているボランティアグループは、開館以来、Jホールサポートクルーの方々のみです。今後の具体の取組内容等について検討を進めていくためには、市内全域からのボランティアを募っていただく必要があると考えます。行政主導の取組だけではなく、各種団体、グループの方々からの声をいかした取組の推進をスタートさせていただけますよう、要望させていただきます。
以上で質問を終わります。御答弁誠にありがとうございました。
46 ◯副議長(
伊藤健也君) 以上で添田議員の質問が終わりました。
次に、伊藤智毅議員に発言を許します。
なお、質問は
分割質問分割答弁方式により行います。
47 ◯22番(伊藤智毅君) ◇登壇◇ ひたち未来の伊藤智毅です。
発言通告に従い質問いたします。御答弁よろしくお願いいたします。
1、災害への対応についてです。
今年は、9月の台風15号、10月の台風19号など、異常気象による大量の風雨によって、広範囲にわたり甚大な被害が発生しました。特に台風19号の被害は甚大で、全国13都県で95名の犠牲者を出し、行方不明者も5名となりました。堤防決壊は71河川、140箇所、土砂災害も20都県で884箇所と、一つの台風として1982年以降最多件数となり、300近い河川の流域に及ぶ浸水被害は、床上・床下浸水を合わせて6万7,142棟。停電は最大時52万1,540戸、断水も最大時16万6,149戸を数え、正に大災害となりました。
改めて、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、災害に遭われた皆様に対して心からお見舞いを申し上げ、一日でも早く日常生活を取り戻されますようお祈りし、政府には早急な復旧・復興を強く要望したいと思います。
私たちは、地球温暖化が要因と思われる度重なる自然災害の猛威、被害から何を学び、何をしなければならないかを悟らねばなりません。このように繰り返される豪雨は、大災害がもはや想定外ではないことを私たちに突き付けております。
(1)自助、共助、公助力の向上策。
今回の台風の甚大な被害の教訓から、従来の概念や役割分担では限界が見えてきました。新たな発想や新しい役割分担の議論が必要だと思います。今回の全国的な被害から、市民一人一人、家庭での飲料水、非常食等、日常的備蓄がいかに大切かを知らされました。また、家庭における停電及び断水対策も災害に備えておく必要性を改めて感じました。共助や公助にはおのずと限界があり、一人一人、家庭が災害に備え、それぞれ飲料水や非常食を始め、停電に備えて懐中電灯や電池、断水に備えて生活用水等の準備も日常的にしておくことが大切であります。
また、地震災害などにも備えて、家庭の家具の転倒防止策や非常時の家族との
連絡方法などを話し合い、確認しておくことなども含めて、行政やコミュニティ自主防災が協働して、これらのことについて全市的、全市民に呼び掛け、市民運動として備蓄レベルや災害に備える機運を高めてはどうでしょうか。
次に、今回の教訓からも、学区コミュニティの自主防災訓練の拡充、グレードを高めておくことが一段と必要になってきています。2011年3月の
東日本大震災の教訓をいかし、
避難所開設訓練や
小中学校の
児童生徒を巻き込んだ防災訓練を全市的に展開すべきと考えます。
改めて、
避難所開設や学校との連携による防災訓練の拡充についてお聞きします。併せて、市と協働による役員、住民、特に避難行動要支援者への情報伝達訓練なども、防災訓練メニューに入れるべきであると思います。
次に、公助として臨みたいことは、今回の教訓からも、長期停電への抜本的な対策、停電時の断水対策の重要性が求められております。企業局などを含めて、行政側が長期停電対策や停電時の断水対策についてどのように考えているのかお聞きします。
(2)災害時の住民避難。
今回の台風では、住民に対して防災無線、
戸別受信機を通して、まず12日・土曜日・午前9時30分、市内全域に警戒レベル3、避難準備情報・高齢者への避難開始が発令され、午後零時15分には市内全域に警戒レベル4、
避難勧告が発令されました。また、13日・日曜日・午前3時37分には、久慈川氾濫危険水位6.7メートル超過により、久慈川浸水想定区域に警戒レベル4、避難指示が発令されました。高齢者の避難開始については、厳密には洪水ハザードマップにより、浸水エリア等に居住する高齢者が対象ではありましたが、放送を聞いていた市民は避難すべきかどうか、かなり多くの市民が迷った、分からなかったのではないでしょうか。
避難情報は、今年5月に警戒レベルが大きく変わり、気象庁の警報や国土交通省が出す河川の氾濫情報、市町村が
避難勧告などを危険度に応じて5段階にレベル分けを行い、住民がとるべき行動とひも付けて、レベル4で全員避難を強調しています。
しかし、まだ浸透しているとは言えず、台風19号では、日立市も含め、各地でレベル4の
避難勧告、避難指示を発令しましたが、全国で犠牲者が100人近くに上り、改めて行政の発令方法や発令内容に対する住民の正しい理解と迅速な行動が求められております。
避難勧告や避難指示等の基準について、日常的に市民への周知が必要であるとともに、多くの市民、特に高齢者や避難行動要支援者、サポートする近隣住民にも分かりやすく、正しく理解できるような多様な情報伝達の方法を検討すべきであると思いますが、その方法についてお聞きします。
次に、台風時に
小中学校中心に市内39箇所の避難所が開設されましたが、多くは体育館が避難所となり、避難所担当の市職員が交代で24時間体制で
避難所運営に当たっておりました。改めて敬意を表します。
私もコミュニティの仲間と塙山小学校の体育館に駆け付け、避難所と避難者の様子を見ながら、若干のサポートをさせていただきましたが、9月の台風15号のときは体育館が蒸し暑く、交流センターから扇風機を運び、10月の台風19号のときは大雨で寒く、体育館にはお湯を沸かす設備等もないので、お湯やポット、傘立てなども運び込みました。
このように、
避難所開設の初動時は市職員だけではなく、学校の体育館などの施設の利用に慣れており、交流センターから主要な備品類も運び入れることも可能なコミュニティの自主防災役員との協働が必要だと思いました。市職員とコミュニティごとの自主防災と学校等との協働・連携による初動時の
避難所開設と運営を進めてはどうでしょうか。
次に、今回の台風による高齢者の避難開始命令に伴い、避難行動要支援者の安否確認について、市役所保健福祉部が一手に約20名の職員の方々で行ったと聞いております。しかし、いきなり電話で市役所の誰々ですと言っても、最近頻発している詐欺ではないかと思った方もいるのではないかと危惧をします。市役所職員だけで行うのではなく、日頃から顔も名前も知っている地域の民生委員や、高齢者サロンや見守りチーム等のコミュニティ福祉関係者からの電話や訪問する方法等を組み合わせて行うほうが、高齢者がより安心して安否を確認することができるのではないかと思います。考え方をお聞きします。
また、その後の避難所への誘導、搬送についても、市役所だけでの対応の限界からも、市とコミュニティなどが連携・協働して対応することができるような新たなシステムを構築することが、より機能的で機動的な対応が可能になるのではないでしょうか。新たなシステムの構築について考え方をお聞きします。
国は、住民への避難準備情報や
避難勧告指示の方法や手段などに関して、有識者で構成する作業部会を設置するようであります。日立市でもこのようなことに関して、方法等を検討することが必要ではないでしょうか。市レベルの作業部会設置についてお伺いいたします。
48 ◯副議長(
伊藤健也君) 伊藤智毅議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
49
◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ 伊藤智毅議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、災害への対応についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)の自助、共助、公助力の向上策についてでございます。大きく4点の御質問がございましたので、順次お答えいたします。
まず、1点目のコミュニティなどと連携した災害に備えての備蓄品等の啓発運動についてでございます。
10月に発生しました台風19号の接近に際しましては、店頭の日用品や食料品が不足するなど、多くの方が日頃からの備えの大切さを改めて実感したものと思われます。万が一被災した場合、ほかからの支援や物流により復旧するまでの間は、各自の備えが非常に重要となりますので、市では各家庭に配布しております防災ハンドブックで備蓄の重要性をお知らせしているところでございます。
今後は、市民の防災意識を更に高めるため、スマートフォンアプリ「ひたちナビ」の防災情報などを活用して、引き続き市民の自助力向上への啓発を図るとともに、コミュニティや自主防災組織との連携による啓発の取組についても検討してまいります。
次に、2点目の自主防災訓練における学校との連携についてでございます。
自主防災訓練は毎年学区ごとに開催されており、一部学区では、地域小学校との連携で土曜日に保護者への引渡し訓練等を実施しております。市としましても、
児童生徒が訓練に参加することで地域の防災力がより充実されると捉えており、今後は、学校行事との同時開催を働き掛けることで小中学生への参加を促すほか、学区間で訓練手法の共有を図るなど、訓練の拡充方策を検討していきたいと考えております。
次に、3点目の自主防災訓練における要支援者への情報伝達訓練の実施についてでございます。
市では、今般の台風15号接近時に、土砂災害及び洪水のハザードマップ内に居住する要支援者やその家族等に対しまして、職員が直接電話で避難情報の伝達や安否確認を行い、避難を促したほか、避難所に要支援者を直接搬送する取組を初めて実施したところでございます。全ての要支援者に避難情報を確実に伝達する必要があるため、コミュニティとの連携・協力は重要と認識しておりますので、今後は自主防災訓練の中で、大規模災害を想定して情報伝達訓練を実施するなど、要支援者のより円滑な避難体制の構築を検討していきたいと考えております。
次に、4点目の長期停電や断水対策についてでございます。
大規模停電などに備え、
災害対策本部を設置する市役所本庁舎には非常用発電機が設置されており、3日間の運用が可能となっております。また、各避難所に整備した防災備蓄倉庫にも発電機が設置され、おおむね15時間の電力を確保する状況でございます。また、水道については、市内の主要水道施設が長時間停電することがないように、2系統で充電できる態勢を備えており、万が一停電した場合でも、基本的に既に配水場に貯留されている浄水を自然流下によって8時間程度は配水できる体制となっています。
こうした対策をとっておりますが、長時間の停電発生時には、電力会社による復旧作業の進捗が必須でございまして、市としましては、これらの情報を着実に入手し、市民に提供するとともに、非常用電源としての電動車の活用を検討する国の動きもございますので、この活用などの対策を研究してまいりたいと考えております。
次に、(2)の災害時の住民避難についてでございます。こちらは大きく4点の御質問だったと存じます。
1点目は、多様な情報伝達方法の検討についてでございます。
避難時の呼び掛けに当たっては、警戒レベルを用いた避難行動の発令体制となって間もないこともあり、また、専門用語が多く、まだ市民の皆様にその内容が必ずしも十分に伝わっていないことは、課題として認識しております。
市からの防災情報は、命を守るための身近で基本的な情報であることから、今後とも、全ての市民が理解し、情報が共有され、避難行動に移れる多様な情報発信の在り方についての検討を進めてまいります。
次に、2点目、コミュニティや学校関係者と協力した
避難所運営についてでございます。
避難所の運営は、現在、市職員が中心となって対応しておりますが、ふだんから当該施設を利用しているコミュニティや学校関係者と協力して開設することは、円滑に
避難所運営を行うに当たり有効な手段であると考えられることから、今後、その役割分担等について整理を行い、検討していきたいと考えております。
次に、3点目の要支援者の安否確認等に関する地域の協力についてでございます。
台風接近時に実施した要支援者に対する安否確認や誘導、搬送においては、コミュニティや民生委員児童委員への避難情報及び市の取組等に関する情報伝達、並びに地域包括支援センターや介護サービス事業者等の福祉関係事業者との連絡及び協力体制の構築に課題があったものと受け止めております。要支援者への避難支援に当たっては、地域住民にも近所の助け合いなど共助の意識を深め、平常時からの顔の見える関係づくりなど、コミュニティ行事などでの協働を通じて地域の防災力を高めておくことも必要不可欠でございますので、関係機関と意見交換を図りながら、対応してまいりたいと考えております。
最後に、4点目、住民への災害情報の提供の方法や手段に関する有識者で構成する作業部会の設置についてでございます。
災害対応を検討するに当たって、御提案のように、外部の意見を取り入れることは有効な手段であると考えておりますが、まずは庁内関係課所において要支援者への対応について検証するワーキングチームなどを設置し、課題の整理を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
50 ◯22番(伊藤智毅君) ◇登壇◇ 自助力の向上では、各家庭における備蓄運動を是非市とコミュニティともに推進していただければと思います。要望にします。
次の質問に移ります。
2、東海第二原発の再稼働問題について。
(1)原子力災害避難訓練の検証から広域避難等の課題。
11月4日に原子力災害を想定した避難訓練を実施しましたが、この訓練をどのように検証され、広域避難における課題をどのように整理したのかお伺いします。
また、今回の訓練においては、情報伝達訓練程度にとどめたようではありますが、災害時に福祉避難所となる福祉施設等との日常的な連携、訓練が必要だと思います。今回の訓練で、福祉車両は5台ともレンタカーで対応したようでありますが、東海第二原発から5キロメートルのPAZ圏内において、原子力災害時の避難に必要な福祉車両は何台で、何台の確保が可能なのかについてお聞きします。
さらに、福祉施設において、川越市の介護施設では、浸水被害からぎりぎりのタイミングで入所者を全員2階に移すことができ、かろうじて犠牲者を1人も出さずに危機を回避した事例が報道されておりました。浸水被害時と同様に、原子力災害事故に備え、市と福祉施設等が連携・協働して、災害時の避難訓練を実施しておくことが必要だと思いますが、どのように考えているのかお聞きします。
また、今回の訓練では、圏内から住民の避難は市役所本庁舎までにとどめましたが、なるべく早く、現在想定している福島県までの広域避難訓練を実施すべきと考えますが、基本的な考え方をお聞きします。
(2)広域第2避難先(福島県以外)との調整状況。
東海第二原発で事故が起きるときは、まず普通に考えますと、福島第一・第二原発とのダブル事故が想定されると思いますし、ダブル事故発生時には、福島県への広域避難は絶対不可能となります。かねてからこの問題を提起しておりますが、福島県以外に複数の広域避難先が必要であることは誰もが認識していると思います。第2の避難先の候補になっている県とは、茨城県が相手側へ打診をしながら調整作業を進めていると思いますし、栃木県などと接触しているという情報もありますが、その調整状況はどのようになっているのかお聞きします。
(3)市民の意向調査(住民投票やアンケート等)の実施。
この問題についてもかねてから提案し、要望をしてきました。県内では県民投票の動きもあるようです。
自治体の首長が原発再稼働の是非を正しく判断するためにも、住民投票やアンケートで市民の意向を調査することは大変重要であります。原子力安全対策懇談会の意見や、市民の代表である議会の意見を参考にすることのある程度の限界もあると思います。何より首長判断には市民がどう考えているのか、再稼働に反対なのか賛成なのかについて正しく把握することが大事なことであります。できれば住民投票が望ましいわけでありますが、せめて市民アンケートによる意向調査ぐらいは実施すべきと考えますが、どのような所見をお持ちか、改めてお聞きいたします。
51
◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、東海第二原発の再稼働問題についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)原子力災害避難訓練の検証から広域避難等の課題についてでございます。4点の御質問がありましたので、順次お答えいたします。
まず、1点目、訓練の検証と広域避難計画の課題の整理についてでございます。
今回の原子力災害避難訓練では、本部運営訓練や住民避難訓練を通じ、避難行動要支援者を含む住民や社会福祉施設等の避難行動に係る情報伝達方法の確認、避難所や一時集合場所等での職員の対応などについて確認ができたところでございます。
一方、PAZ地域の参加者の広域避難への理解が十分浸透していないなどの課題のほか、事故が発生し避難を指示する際の事故事象や風向きなどの情報を把握することの重要性につきまして、改めて認識をしたところでございます。
今後の訓練実施に向けまして、地域住民の皆様への広域避難の周知や避難時の情報伝達方法の更なる拡充を検討してまいりたいと考えております。
次に、2点目、PAZ圏内の福祉車両の必要数についてでございます。
本年1月から4月にかけて実施いたしましたPAZ圏内の避難行動要支援者に対するアンケートの結果から推計いたしますと、避難の際に必要となる福祉車両は約60台程度と見込まれております。要支援者の方々が安全に避難するためには、福祉車両の必要数の確保が重要でございますが、市の施設を含む各事業所の保有数や有事の際に使用できる台数の状況を確認している段階でございますので、その確保策を含め、課題等の整理を進めてまいりたいと考えております。
次に、3点目、福祉施設と協働した訓練の実施についてでございます。
避難訓練を実施する際には、市全体としては協定を締結している福島県の17市町村への避難を想定いたしますが、福祉施設入所者の避難先につきましては、避難する地域が定められるものではなく、各施設がそれぞれ協定を締結した各地の施設へ避難することとなっており、施設ごとに避難先や避難経路が異なるなど、市全体の訓練として行うことは困難な面がございます。そのため、福祉施設は、直接それぞれ相手先施設との訓練を行う必要があると考えますが、市といたしましても、各福祉施設における避難先との調整状況を把握するとともに、今後の訓練の際には、施設への情報提供を目的とした通信訓練を重点的に実施するほか、避難における円滑な連携の在り方を検討してまいりたいと考えております。
最後に、4点目、福島県への避難を想定した訓練の実施についてでございます。
今回は市役所を福島県の避難先に見立てて訓練を行いましたが、実際の移動時間や経路、受入れなどの状況も検討する必要がございますことから、今後は福島県への避難訓練を行い、自家用車による避難や学校から直接避難した
児童生徒の保護者への引渡しなど、様々な想定に基づく訓練の実施を検討してまいりたいと考えております。
次に、(2)広域第2避難先(福島県以外)との調整状況についてでございます。
第2の避難先につきましては、茨城県が主体となり調整を行うこととされております。県では、複合災害を想定した避難先を確保する必要性があることから、平成29年から近隣県に受入れの協力を打診し、現在も協議を継続している段階と伺っているところでございます。
次に、(3)市民の意向調査(住民投票やアンケート等)の実施についてでございます。
住民投票の実施につきましては、これまでも議員から御提案をいただいてまいりましたが、住民の再稼働の意向確認をする手段といたしまして、住民の代表である市議会との十分な協議や、幅広く市民、関係機関・団体等で構成された原子力安全対策懇談会の委員から得られる御意見のほか、先日実施いたしました避難訓練でも参加されました住民から意見をいただいたところでございますので、このような機会も活用し、引き続き様々な場面で幅広く御意見を頂戴してまいりたいと考えております。
以上でございます。
52 ◯22番(伊藤智毅君) ◇登壇◇ 広域避難につきましては、受入先との調整はあるでしょうけれど、一日も早く避難訓練を実施していただきたいと思います。
広域第2避難先との調整については、より積極的に茨城県との情報収集、確認作業を進めていただきたいと思います。
市民の意向調査については、人口減少対策や持続可能なまち・日立市をつくっていくのにも、東海第二原発の再稼働は絶対反対であります。再稼働について様々な方法で市民の意向を確認することを、是非検討をお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。
3、教育行政の課題について。
(1)学校統廃合(適正化)
学校統廃合については、検討委員会の議論や
教育委員会としてもかなり煮詰まってきていると思います。
そこで、この
小中学校統廃合問題について、検討委員会や
教育委員会の検討がどこまで進捗しているのか、その内容についてお伺いします。
また、11月末の市議会担当委員会で説明した、市内七つのエリアごとに今後いつまでにどの場面で、具体的な
小中学校の名前まで統廃合の方向性を提起するのかお伺いします。
さらに、その七つのエリアごとの統廃合を想定する
小中学校の選別や判断の根拠などについて、単なる文部科学省の示した学年のクラス数の現状と将来推計を基に判断したのかどうかも含めて、分かりやすく説明をお願いします。
また、今後の作業スケジュールについてはどのような工程を描いているのか、作業工程に伴う内容、レベルも含めてお伺いします。
(2)特別支援学校の方向性。
日立市特別支援学校については、何回も質問をしてまいりました。茨城県ともこの問題について正式な協議を何回か重ねてきていると思いますので、最新の茨城県の移管に対する感触や反応がどのようなものなのかについてお伺いします。
また、移管の可能性が限りなくないとすれば、校舎の建て替えの方向性について、日立市としてはっきりと打ち出さなければならない時期に来ていると思います。改めて、日立市特別支援学校の校舎建設についての基本的な考え方や、結論を出していくための今後の検討スケジュールや建設に着手する時期等についてもお聞きします。
また、県立の特別支援学校より養護教員の免許取得率が低い現状を打開するために、教職員の免許取得率を県立特別支援学校並みに向上させる到達時期についても改めてお聞きします。
(3)学校教育現場の諸環境。
まず、
子供たちを取り巻く環境についてお聞きします。
12月3日にOECD(経済協力開発機構)から公表された、世界の15歳を対象に3年ごとに3分野の力を調べる学習到達度調査(PISA)によると、日本は2018年の読解力の平均が落ち、順位も前回の8位から15位に下がったようであります。日立市の
児童生徒の学力レベルは、全国学力テストにおいてどのようなレベルにあるのか、その現状と今後の対応や対策についてお伺いします。
次に、全国ではいじめによる金銭トラブルや自殺等が後を絶たず、連日のように報道をされております。
日立市におけるいじめや不登校についての現状や経年変化はどのようになっているのか。また、この問題への今後の対応や対策についてお伺いします。
次に、教職員の働く環境についてお聞きします。
神戸市で起きた、陰湿かつ執拗な教職員同士による職場内いじめ事件は、正に犯罪であります。決して他山の石としないで、市内全ての
小中学校における実態調査が必要ではないでしょうか。
また、そのような事案・事件が絶対発生しないよう、日常的な対策や相談窓口の設置が急務だと思いますが、どのように考えているのかお伺いします。
さらに、前回の質問への答弁で、学校現場の先生たちの超過勤務が大きく改善されていないことが分かりました。改めて、教職員の超過勤務の現状と問題点、その具体的な対策についてお伺いします。
53 ◯教育長(中山俊惠君) ◇登壇◇ 御質問の大きな3項目め、教育行政の課題について順次お答えいたします。
初めに、(1)学校統廃合(適正化)。
まず、検討内容についてです。
平成28年度から日立市立学校適正配置検討委員会において協議を重ね、平成30年3月、基本方針により、学校再編の基本となる学校規模などの考え方を明らかにいたしました。また、地域や保護者を対象とした懇談会も地域ごとに行ってまいりました。今年度はこれまでの検討、意見交換を踏まえて、学校再編の全体像と、今後10年間の具体的な取組内容を明らかにする(仮称)学校再編計画の策定に向けて進めております。
児童生徒数の推計を基に、将来に向けた学校規模の維持、そして、義務教育9年間の学びを見据えた小中一貫教育や新たな学校配置案を検討しております。想定している市内七つのエリアは、
児童生徒の将来推計を考慮し、現在はエリアごとの分布状況や通学距離、学校敷地の状況などに着目しながら検討を進めています。何よりも
子供たちの学びの環境を整え、更に向上させることを第一に検討しております。
次に、今後の作業スケジュールについて。
検討委員会での協議を進め、具体的な学校名を示した素案をまとめる中で、議会を始め、保護者、学校、地域代表の方々に意見を伺う機会を設けたいと考えております。そして、地域説明会の開催、パブリックコメントなどにより、広く市民の皆様から御意見を伺い、計画に反映させてまいりたいと考えます。
また、未就学児及び
児童生徒の保護者の方々にもできるだけ多くの御意見を伺えるよう進めてまいります。市民の皆様の関心も高く、保護者、学校、地域それぞれのお立場から多くの御意見をいただくものと思います。策定時期は年度内を目途としておりますが、御意見を反映しながら作業を進め、柔軟に対応していく必要があるものと考えます。
学校の再編は将来を見据え、本市の学校教育を更に充実させていくために行ってまいります。
子供たちにより良い教育環境を整えることを第一に、皆様の御理解を得ながら、スピード感を持って取り組んでいかなければならないと考えております。
続きまして、(2)特別支援学校の方向性について。
まず、茨城県との協議状況等についてです。
本市は、昭和43年に日立養護学校として設置し、様々な御支援をいただきながら、特別支援教育に力を注いでまいりました。設置後51年を経過した今日、校舎の老朽化を始め、特別支援学校教諭免許を有する者の割合が低いなどの課題がございます。この課題を解消するとともに、県立学校との連携を深め、特別支援教育の更なる充実・発展を図るため、これまで事務レベルでの協議を重ね、県への移管について要望してまいりました。その中で、免許の保有については、来年度から正規職員のほぼ全員が免許を保有する計画と伺っております。
移管につきましては、施設の維持管理費用のほか、建物の改修など財政負担を伴うことから、引き続き協議が必要な状況でございます。校舎については老朽化が著しいため、移管の有無にかかわらず、建て替えを視野に入れた整備が必要と考えております。
一方で、
児童生徒の障害の重度化や医療的ケアを必要とする
子供たちの増加に伴い、新たな課題も生じております。受入対象や学校規模など、学校の在り方について改めて検討した上で、速やかに施設整備を進めてまいりたいと考えます。
続きまして、(3)学校教育現場の諸環境。
まず、
子供たちを取り巻く環境について。初めに、学力についてです。
本年度の全国学力・学習状況調査では、ほぼ全ての項目で、県、そして全国平均を上回りました。各学校において、日々の授業の改善など熱意を持って取り組んでおりますが、今後も数字のみにこだわることなく、
子供たち一人一人に目を向けてのきめ細かな指導とともに、更なる授業力向上を進めてまいります。
また、
児童生徒へのアンケート調査では、「授業の内容がよくわかる」「先生はよいところを認めてくれている」と回答した割合が全国平均を大きく上回っています。各学校において、「いいとこ発見 夢づくり」を合言葉に、よさを認め、伸ばす教育に努めてきた成果であり、
子供たちが自らの将来を切り拓いていく大きな力となるものと期待しています。
次に、いじめや不登校について。
いじめの認知件数は年々増加しており、平成30年度は前年度と比較して605件増加し、延べ1,314件でした。増加の要因は、冷やかしやからかいもいじめとして捉え、小さな訴えでも積極的に認知したことによるものです。全ての子供が被害者にも加害者にも、そして傍観者にもならないために、早期発見と丁寧な対応に努めてまいります。
また、不登校の
児童生徒については、昨年度末現在で小学校37名、中学校98名でした。全
児童生徒数に占める割合は、小学校で微増、中学校ではほぼ横ばいの傾向です。不登校の要因や背景は、家庭環境や友人関係などを始め、様々ですが、全ての
子供たちが安心して
学校生活を送るために、一人一人のよさが発揮できる学校づくりを進めてまいります。
最後に、教職員の働く環境について。
まず、教職員同士による職場内いじめについて。このようなことは教育者としてふさわしくない卑劣な行為であり、絶対にあってはならないものです。さきの例では、学校の閉鎖的な雰囲気や、相談しづらい環境、校長の問題意識などが指摘されています。本市では、各学校において、風通しのよい職場づくりに努め、校長による個人面談、ストレスチェックや産業医による面談などにより、教職員の不安や悩みなどの把握に努めるとともに、ハラスメント研修を定期的に開催しています。今後は、教職員が
教育委員会に直接相談できる窓口を設けるなど、更なる取組も進めてまいります。
次に、超過勤務の現状と問題点及び対策について。
昨年の教職員の勤務実態調査では、全国的な傾向と同様に長時間勤務となっていることが明らかになりました。本市では、教職員の負担軽減のため、これまで整えてきた生活指導員や学校事務員、学校図書事務員などの人的支援に加え、スクールロイヤーによる相談体制の整備、校務支援や勤務管理システムの導入などに取り組んでまいりました。
勤務管理システムでは、学校現場からも、勤務時間が可視化されたことで、自らの働き方を改めて見直す契機になったとの声が届いています。今年度は、超過勤務時間が減少傾向となり、徐々にその成果が見えてきました。今後も様々な機会を捉えて、教職員が自らの働き方に向き合い、改善につながるよう働き掛けてまいります。そして負担軽減により、教科指導や学級経営の時間を確保し、一人一人の教員が充実した授業、より良い学級づくりに取り組めるよう進めてまいります。
子供たちが未来への夢を描くことができる学校づくりのために、教職員が心身ともに健康で、活力を持って教育に携わることを願うものです。
以上でございます。
54 ◯22番(伊藤智毅君) ◇登壇◇ 学校統廃合につきまして、既に七つのエリアについては、先ほども言いましたが、11月末の市議会の担当委員会などに示しているのです。なるべく早く、できれば今週12日の担当委員会で七つのエリアごとに統廃合を想定する具体的な
小中学校名も公表され、その後、保護者や地域住民への説明会を開催して、丁寧に説明しながら、意見や要望等をしっかり受け止めていただきたいと思います。
特別支援学校の方向性についてです。県への移管はかなりハードルが高いと思います。校舎建築に向けての作業をよりスピード感を持って、今年度からでも作業に着手されるよう要望しておきたいと思います。
教育現場の諸環境。学力レベルについては、是非読解力の向上にも
教育委員会として取り組んでいただきたいと思います。
いじめや不登校について。原因や背景を正しく認識された上で、学校、
教育委員会が一丸となった取組をお願いします。
最後になりましたが、中山教育長におかれましては、絶えず
子供たちに寄り添い、教育行政に多大な御尽力をいただきました。深く感謝を申し上げます。
以上で伊藤智毅の一般質問を終わります。御答弁ありがとうございました。
55 ◯副議長(
伊藤健也君) 以上で伊藤智毅議員の質問が終わりました。
これをもちまして、市政に関する一般質問を終結いたします。
以上で、本日の議事日程が全部終了いたしました。
次回の日程を申し上げます。次回は、明12月11日・水曜日・午前10時、本議場で本会議を開き、議案等に対する質疑及び議案の委員会付託並びに請願文書表の付託を行います。
本日は、これをもって散会いたします。御苦労さまでございました。
午後 2時52分散会
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