大きな1番、ひたちに住みたいと思える海エリアの魅力向上について。
毎年2,000人を超える人口減少が続いている本市において、その要因の一つである転出の状況を見ると、20歳から39歳の若年層が全体の65%を占めています。また、本市の
窓口アンケートの結果から、
子育て世代の転出理由の上位には住宅の新築・購入があり全体の約3分の1を占めていて、同じ理由で転入する者の割合の約2倍となっており、子育て世帯は住居事情を理由に転出している例が多いという状況です。
市民ニーズ調査からも、若い世代ほど日立市が住みにくいと感じている割合が多く、その理由の一つとして、「娯楽の場が少ない」と感じている人が約66%と高く、市外へ転出してしまう一因とも考えられます。これらのことからも、結婚や出産などを控え、引っ越しを検討し始める
子育て世代に本市の豊かな自然をより身近に感じてもらうことが、その後の居住環境、
子育て環境を考える上で日立市を選ぶ重要な項目になることと思います。
中でも、風光明媚な海岸線や
ダブルA評価の六つの海水浴場、インターネットの
釣り場情報サイトでも多くの
釣り場ポイントが紹介されるなど、多様な観光資源を有する日立の海は、他に誇れる貴重な地域資源でありながら、居住地の近くに存在するその潜在力はまだまだ活用し切れていません。
そこで、海のまち日立に住みたいと思えるような魅力のある海エリアとなるよう、
レジャー施設の充実や既存の観光資源の連携、
にぎわい創出施策などの取組を進めることで、今住んでいる市民は、居住環境や
子育て環境の優位性や
ふるさと日立への誇りをこれまで以上に感じ、市内外の若い世代がその魅力や価値を再認識することで、定住・移住の促進につなげられると考えることから、以下、質問いたします。
(1)
複合レジャー施設整備について。
ア、
伊師浜海岸周辺への
複合レジャー施設の整備についてであります。
市政概要によりますと、平成30年の
伊師浜海水浴場入込客数は1万8,541人で、市内の海水浴場の中では、
東日本大震災後において最も回復率が高いものの、いまだに約55%であり、まだまだ震災前の状況までには至っておりません。今シーズンは天候不順の影響で入込総数は伸びなかったものの、
巨大エアー遊具も設置され、家族連れの海水浴客からの評判も上々であったと聞いております。こうした施策により、日立の海の魅力度が少しずつ回復していく中で、年間を通じて海を身近に感じられる複合的な
レジャー施設の整備が必要と考えます。
中でも、
伊師浜海岸は、「快水浴場百選」にも認定された人気の海水浴場であります。
海水浴シーズン以外でもサーフィンや釣り、また白い砂浜を愛犬と一緒に歩いたり、美しい景色を写真に収めたり、夕暮れの空ときれいな海岸をのんびりと眺めるなど、いろいろな楽しみ方ができる海岸でもあります。さらには、
日帰り天然温泉施設や
物産センターも隣接しており、
複合レジャースポットとしての潜在力の高いエリアでありますが、これらの観光資源の連携を強くする施策が不足しております。
そこで、
アウトドアブームでもある近年、海の魅力を存分に味わえるよう、このエリアにおいて、日立市にはない
バーベキュー施設も備えた海辺の
キャンプ場を整備し、さらにはエリアの総合的な情報発信をすることを提案いたします。海辺の
キャンプ場については、海水浴場の周辺で
バーベキューも楽しむことができれば、更なる
集客力アップはもちろん、
ハイシーズン以外でも大人のソロキャンプや
春秋キャンプなど年間を通して様々な楽しみ方ができる魅力的な
海岸エリアになると思います。さらに、
物産センターで新鮮な野菜だけではなく、
地元水産物なども
キャンプ場での
バーベキュー食材として提供することは、日立市
総合計画後期基本計画でも重点項目としている
地元水産物の普及促進にもつながります。
また、総合的な情報発信については、釣りや
サーフィン情報、全国唯一の
ウミウ捕獲場や海岸線の風景を動画で紹介するモニターを設置することで、既存の観光資源をいかした
複合レジャーエリアとして、市民も改めてその隠れた魅力を再認識できるようになり、市外から訪れた方に対してもエリアの総合的なPRになるのではないでしょうか。執行部の見解をお伺いいたします。
次に、イ、道の駅日立お
さかなセンター周辺の再整備についてであります。
道の駅日立お
さかなセンター周辺は、
久慈サンピア日立や
久慈サンピア日立スポーツセンター、
なぎさ公園や多数の
釣りスポットなどもあり多様な楽しみ方ができるエリアですが、
ランドマークがないため、
レジャーエリアの存在感を示すインパクトに欠けます。一体的な
観光エリアとしての魅力向上の必要性は、私も議員になる前から市民目線で感じていたことであり、多くの方からも同様の意見・要望を聞いております。
日立港区周辺地域の
観光エリアとしての整備については、これまでも
民主クラブよりペデストリアンデッキの設置や展望台の整備などの提案をしておりますが、財源確保の問題や
港湾管理者である茨城県との協議が必要であり、その効果は認識しつつも、ハードルの高い案件であるとのことでした。
また、道の駅日立お
さかなセンターの再整備については、日立市
総合計画後期基本計画や第3次日立市
観光物産振興計画でも重点施策に位置付けられており、今後検討が進められていくと思いますが、
レジャーエリアとしての魅力向上に主眼を置いた
具体的構想を検討する必要があるものと考えます。
そこで、道の駅日立お
さかなセンターに隣接する
日立港都市再開発用地を活用して、大人も子供も楽しめる
ランドマーク的な遊具施設の設置が必要と考えます。子供向けには
東滑川ヒカリモ公園のような大型遊具、大人向けには10メートル級の高さの専用のハーネスを着用するような
空中アスレチックで、展望台も設けて、景色を見ながらアクティビティにチャレンジできる日立港区
周辺地域レジャーエリアの
ランドマークとしての存在にもなる大型遊具を設置し、さらには、その
大型遊具周辺に、遊んでいる子供たちを見守ったり、お弁当を広げることができたり、また一画には、
バーベキュー設備のある
屋根付き休憩所の整備を提案いたします。これにより、道の駅日立お
さかなセンターに立ち寄るだけではなく、
久慈サンピア日立スポーツセンターでテニスを楽しんだ後にグループで
バーベキューを楽しんだり、
なぎさ公園で遊んだファミリーを誘導したりなど、既存の施設との相乗効果が図れると考えます。これらの
具体的構想で、本市の南の玄関口である日立港区
周辺エリアを、道の駅日立お
さかなセンターを中心としたグルメ、お土産どころ、スポーツ、レジャー、
日帰り温泉や宿泊もできる、大人も子供も楽しめる
複合レジャーエリアにすることができるのではないでしょうか。執行部の見解をお伺いいたします。
続きまして、(2)
にぎわい創出と魅力向上について。
ア、住んでみたくなる海岸線の
雰囲気づくりについてであります。
おしゃれな
雰囲気づくりで日立の海のイメージアップを図ることにより、地域資源と居住、
子育て環境の優位性が感じられ、若年層や
子育て世代の定住・移住の促進につながります。
笹川スポーツ財団の
スポーツライフに関する調査報告書によると、全国での
ウオーキング実施者は、この20年間で倍増しており、また、
ジョギング実施推計人口964万人のうち、最も実施率が高いのが20代から30代という調査結果も出ています。私自身も
健康づくりの一環で時々
ジョギングをしますが、海沿いのコースは、その気持ちのよさから積極的に選びたいルートでもありますし、
さくらロードレースでも国道6
号日立バイパスがコースになっているように、
ジョギングなどをする人にとって身近にある海辺のコースはとても魅力を感じます。
昨年、市議会にて、「住みたいまち」、「住み続けたいまち」の実現についてまとめられた政策提言書である「ひたち 住 スタイル」でも、海辺の景観を引き立たせるために、ヤシの木などの樹木を海岸線に連続して植栽するなどの提言がされています。そうした景観のよい
市内海岸線を整備し、そこにできる限り連続した魅力ある海辺の
ウオーキングロードを設けることにより、市内外の
ジョギング・
ウオーキング実施層へのPR効果も高く、日立の海の住んでみたくなる雰囲気を
シティプロモーションとして、動画や各種媒体を活用しアピールすることが重要と考え、提案いたします。執行部の見解をお伺いいたします。
次に、イ、
浜の宮ロードパークの活用についてであります。
国道6
号日立バイパスは、一般道としては全国でも珍しい海上を走る
シーサイドロードであり、特に
休憩ポイントである
浜の宮ロードパークは、波と潮風を感じながら太平洋を一望できる素晴らしい眺望で、
日の出スポットの名所であるものの、その
潜在的可能性を活用し切れていません。そこで、単なる
休憩ポイントではなく、積極的に国道6
号日立バイパスを経由したくなる、あるいは目的地にさえなるお出掛けスポットとして更なるにぎわいを創出するために、
ロードパーク内の一画への
移動販売車の誘致について提案いたします。
当然のことながら国が管理する国道であり、国などとの協議が必要で、ハードルの高い案件であるとは思いますが、出店者が個別に
移動販売車の設置許可を取ったり、常時設置は困難であると伺っていますので、行政が一時的な
占有許可申請などを行い、例えば毎月第2日曜日のみなど、定期かつ限定的に開催する「
日立浜の宮B級グルメデイ」などと称してイベントを市が企画・主催し、そこに
移動販売車を誘致するなどの方法でにぎわいの創出を図ることは可能ではないでしょうか。さらには、訪れた人たちに、日立の
パワースポット巡りや山からの美しい
ビューポイントなど、「日の立ち昇るところ領内一」を直に感じられる日立の
おすすめドライブコースなどを紹介する、行ってみたくなるような
観光案内板の設置についても、併せて提案いたします。
大きな1番の質問は以上です。執行部の見解をお伺いいたします。
4 ◯議長(茅根茂彦君) 助川議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
5
◯産業経済部長(岡見安美君) ◇登壇◇ 助川議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、ひたちに住みたいと思える海エリアの魅力向上についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)
複合レジャー施設整備についてでございます。
まず、アの
伊師浜海岸周辺への
複合レジャー施設の整備についてでございますが、
伊師浜海岸は、日本の白砂青松100選にも選定されており、白く続く砂浜から20メートルを超える断崖絶壁へと変化に富んだ景観が魅力となっております。
伊師浜海岸周辺には、宿泊利用率30年連続日本一の国民宿舎「鵜の岬」、全国各地の鵜飼地にウミウを供給するための日本で唯一の捕獲場といった、全国に誇れるオンリーワン・ナンバーワンの地域資源のほか、
日帰り温泉の「鵜来来の湯十王」、
十王物産センター「鵜喜鵜喜」などがあり、これらが位置する
伊師浜国民休養地には年間約30万人の観光客が来訪しており、
本市北部地区の
観光交流拠点となっております。
議員御提案の、既存の観光資源を活用した
複合レジャー施設として、
伊師浜海岸周辺に
バーベキュー施設も備えた海辺の
キャンプ場を整備し、併せて
十王物産センター「鵜喜鵜喜」で
バーベキュー食材として水産物を提供することにつきましては、年間を通じて海を楽しむ機会の提供や周辺地域の更なる地域資源の活用が図られ、また、地元の豊かな水産物の普及につながることも考えられますが、土地の確保や周辺環境への影響などの課題や
民間事業者の経営に関わる内容も含まれますことから、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
また、モニターを設置することにより、エリアの総合的な情報発信をすることにつきましては、本年3月に策定いたしました第3次日立市
観光物産振興計画におきまして、積極的な
シティプロモーションの推進を図ることとしておりますことから、より効果的な情報発信の方法について、議員御提案のモニターの設置を含め検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、イの道の駅日立お
さかなセンター周辺の再整備についてでございます。
道の駅日立お
さかなセンターは、県内の道の駅の中では唯一海を身近に感じられる場所にあり、水産物や水産加工品を中心に野菜直売店や飲食店など10店舗が出店し、年間60万人台後半の観光客が訪れており、周辺の
久慈サンピア日立と
スポーツセンター、
なぎさ公園を含めた一帯のエリアは、
本市南部地区の
観光交流拠点となっております。
道の駅日立お
さかなセンターにつきましては、施設の老朽化や分散化などの課題があることから、平成29年3月に策定いたしました
後期基本計画の
重点プロジェクトに道の駅再
整備検討事業を位置付け、新たな地域連携・交流施設の整備に向けた検討を進めることとし、庁内関係課による現状分析や課題の洗い出し、先進事例の調査や情報収集など、一体的な
観光エリアとしての魅力を高める整備について検討を行っておりますことから、議員御提案の、道の駅日立お
さかなセンターに隣接する
日立港都市再開発用地へ、
ランドマークとなるような子供から大人まで楽しむことができる大型遊具、
アスレチックの設置や
バーベキューもできる休憩施設の整備につきましても、一体的な整備についての基本的な方向性の議論の中で検討を進めてまいりたいと考えております。
続きまして、(2)
にぎわい創出と魅力向上についてでございます。
まず、アの住んでみたくなる海岸線の
雰囲気づくりについてでございますが、本市の33キロメートルに及ぶ海岸線は、県内の海水浴場の中でもきれいな水質を誇る六つの海水浴場が位置するなど、本市を代表する観光資源となっております。
議員御提案の、ヤシの木の植栽など景観の良い
市内海岸線を整備し、できる限り連続した魅力ある海辺の
ウオーキングロードを設けることにつきましては、第3次日立市
観光物産振興計画の主な施策に、年間を通した海の活用による
魅力づくりを位置付けておりますことから、住んでみたくなる雰囲気を動画でPRするなどの情報発信を含め、その施策の取組の中で検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、イの
浜の宮ロードパークの活用についてでございます。
国道6
号日立バイパス、
日立シーサイドロードにある
浜の宮ロードパークは、国により整備された休憩施設でありますが、太平洋を一望できる素晴らしい眺望から、本市の
観光スポットの一つとして多くの方が訪れ、特に
初日の出スポットとして人気が高くなっております。そのような魅力を持つ
浜の宮ロードパークの活用に当たりましては、議員御案内のとおり施設を所管する国等の許可が前提となりますことから、詳細な協議・調整を行うなど手続が必要となりますが、議員御提案の、市が企画・主催する
移動販売車を活用したイベントの実施につきましては、既存の観光資源の磨き上げによる新たな
魅力づくりにつながることが期待されますことから、実施の可能性を含め検討してまいりたいと考えております。
また、
パワースポットや山からの
ビューポイントなど、市内の観光資源や
ドライブコースを紹介する
観光案内板を設置することにつきましては、第3次日立市
観光物産振興計画におきまして、
市内周遊ルートの設定と情報発信に取り組むこととしており、その取組の中で併せて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
6 ◯6番(助川 悟君) ◇登壇◇ (1)
複合レジャー施設整備については、自然派志向のレジャーが注目されている中、海辺の
キャンプ場や
バーベキュー施設の整備は、日立が誇る自然の魅力を最大限に引き出し、
シティセールスができる絶好の施設になると思います。
モニター設置による動画でのPRについても、市外からの来場者だけでなく、身近な海の再認識により市民の郷土愛にもつながりますので、慎重な検討を要する課題ではありますが、市民が
シビックプライドを持てるようになるためにも、是非とも実現に向けての検討を要望いたします。
また、道の駅日立お
さかなセンター周辺の再整備についても、一体的な
観光エリアとしての魅力を高める検討を行っているとのことでした。執行部におかれましては、本市の南の玄関口であり、
BRTの利用促進などにもつながる潜在力の高いこのエリアへの市民の期待は極めて大きいことも認識の上、
ランドマークの存在も含めた大胆な構想による再開発を要望いたします。
(2)
にぎわい創出と魅力向上については、魅力ある海辺の
ウオーキングロードの整備など、年間を通した海の活用による
魅力づくりの施策の中で検討するとのことでした。
人生100年時代を迎えようとする今、
高齢化社会に伴う健康志向や運動ができる環境への関心は高まり、
ウオーキングロードの整備はそのようなニーズにも合っており、さらに「海のまち日立」を印象付けるような海岸線の整備は本市の
魅力づくりに欠かせない施策です。是非実現に向けての検討を進めていただきたく、強く要望いたします。
また、
浜の宮ロードパークの活用については、
観光スポットとしての人気の高さから、新たな
魅力づくりにつながることを認識しつつも、
移動販売車の活用など、国等の許可が前提であるとのことでした。しかし、多くの方が
移動販売車を含め更なる活用を望んでおり、また、この人気のスポットに市内の
周遊ルートを紹介する
観光案内板もPR効果は高いと思います。
地方活性化のためには、地方からアクションを起こさなければなりません。執行部におかれましては、可能性を引き出すための方策を検討し、実現に向けて国などへの強い働き掛けをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
大きな2番、災害時の迅速な対応について。
国土交通省が提示する「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」によれば、日本がその脅威にさらされている自然災害のうち、地震・津波については、阪神・淡路大震災や
東日本大震災を教訓に、施設としての健全性を損なわない性能を求める等の耐震設計の導入や、防潮堤などの施設の整備による人命・財産等を守ることに加え、警戒・避難体制の確立などを組み合わせた多重防御の考え方が導入されています。一方で、近年の異常な気象状況により、全国各地で水害等による被害が発生しております。今後も
地球温暖化に伴う気候変動により、極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高いことも報告されております。
災害時や災害が発生するおそれがある場合、本人やその家族が自分の身は自分で守るという自助の考えを一人一人持つことが、被害を最小限に抑えるために最も基本的、かつ重要なことであります。しかし、国や県を上回るスピードで高齢化が進んでいる本市においては、自助の
基本的精神を踏まえつつも、
地域支援関係者などの共助がなければ災害を乗り切ることは困難です。
先月末の九州北部の記録的大雨は記憶に新しいところであり、
大雨特別警報が発令され、直ちに命を守るために最善を尽くす必要のある
警戒レベル5に相当するとのニュースでの報道シーンが強く印象に残っております。水害等による被災者からは、「今まで経験したことがない」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。これまで長く同じ地域に暮らしてきた経験から、この辺は大丈夫、我が家は安全との過信があり、高齢で長く住んでいる人ほど、そうした大丈夫だろうという
正常性バイアスが強く働くと言われております。早期の避難のためには、高齢者や障害者を始めとする、自ら避難することが困難な方に対する避難誘導や支援の必要性は明白であります。迅速な避難支援を実施するための要支援者の情報共有や民生委員、
地区コミュニティなどの地域連携も必要不可欠であります。そこで、避難行動要支援者の情報管理や避難を支援する側の
行動ルール及び迅速な避難支援のための近所の助け合いなどをいかすための方策として、以下質問いたします。
(1)避難行動要支援者の支援方策の充実について。
ア、統一名簿の作成についてであります。
本市において、65歳以上の
ひとり暮らしや要介護、身体・知的・精神障害、
緊急通報システム設置者などの避難行動要支援者は、平成31年4月1日現在で8,399人います。障害などがあっても家族同居であったり、
ひとり暮らしでも元気なため避難行動に問題はないなどの理由で登録しない方を除き、避難行動要
支援者名簿登録数は3,235人、避難行動要
支援者名簿以外にも、民生委員などが平常時でも見守りが必要な方を把握するあんしん・
安全ネットワーク、また、
ひとり暮らし高齢者基本台帳など様々なアプローチでの名簿が存在しております。確かに避難行動要支援者の立場で考えると、二重三重の網を掛けてもらうことはより安心感につながることとは思います。しかし実質的に、各名簿の相互リンクやその管理で非効率的な部分が生じているのではないかと推測できます。そこで、各課や事務局など異なるアプローチで得た情報をリアルタイムに共有ができ、情報管理や
業務効率化、把握漏れの防止のためにも、各名簿を一本化し、運用しやすい効率的な統一名簿として整備することを提案いたします。
次に、イ、
避難支援マップの策定についてであります。
避難勧告等に関するガイドラインにおいて、水害・土砂災害に関する避難情報は、
警戒レベル3が発令された際には、高齢者や障害のある方が避難を開始するレベルとなり、その前段階から近所同士の声掛けや
コミュニティとの協力・連携が、より迅速な避難行動につながることは言うまでもありません。しかし、どのようなタイミングで何をすればよいかなどの支援者の行動や、要支援者の居所を把握できるようなマップを自主的に作成し、
コミュニティ関係者で情報を共有する取組をしているのは、市内23地区のうち7地区の
コミュニティにとどまっている状況です。
また、今まで経験したことがない降雨量による水害が発生している近年、平成29年度に大幅に想定を見直して作成されたハザードマップ等に関する住民の認知率はまだまだ低く、多くの方は活用されていないのが現状です。
そこで、先ほど提案した統一名簿に基づき、要支援者の居所を支援レベルに応じて住宅地図に色分けした地域のマップを作成し、そのマップに水害・土砂災害などのハザードマップを重ね、リスク把握や避難優先度、避難支援範囲などをビジュアルで確認できる
避難支援マップの策定と、
コミュニティ及び支援関係者間でその情報を共有し、災害時の迅速な対応につなげるためにも、
避難支援マップを活用した地域の避難訓練の計画、実施を提案いたします。執行部の見解をお伺いいたします。
7 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、災害時の迅速な対応についての(1)避難行動要支援者の支援方策の充実についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、アの統一名簿の作成についてでございます。
本市におきましては、災害対策基本法に基づき、身体障害者手帳の1級・2級をお持ちの方や介護保険の要介護3以上の認定を受けている方など、災害時や災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な方を避難行動要支援者として把握し、このうち、「避難支援等を希望する」との申出があった方を避難行動要
支援者名簿により管理しております。
名簿の登録者の中には、地域包括支援センター等の職員が見守りなどの支援を行うための
ひとり暮らし高齢者基本台帳や、民生委員・児童委員、
コミュニティ関係者、近隣の協力者が日頃の見守り活動を行うため、市社会福祉協議会が行っておりますあんしん・
安全ネットワーク事業の対象者名簿にも併せて登録されている方もいらっしゃいます。これらの名簿につきましては、相互に関連性がございますことから、支援者にとっても、要支援者にとっても分かりやすく、関係者が運用しやすい効率的な名簿管理の仕組みを関係機関と連携して構築してまいりたいと考えております。
次に、イの
避難支援マップの策定についてでございます。
避難行動要
支援者名簿は、登録者の同意を得て、個人情報の保護に十分配慮しながら、
コミュニティ、民生委員・児童委員、市社会福祉協議会と共有を図っており、昨年1月には避難行動要
支援者名簿運用指針を策定し、支援体制の整備に努めているところでございます。
議員御提案の、避難行動要
支援者名簿等に基づき地域の
避難支援マップを作成し、支援者間で情報共有を図る取組につきましては、迅速な対応が求められる避難支援の実効性を高めるものと考えられますので、実施に向けて検討を進めてまいります。
また、
避難支援マップを活用するなど効果的な地域の避難訓練が実施できますよう、
地区コミュニティと調整を図ってまいりたいと考えております。
地震や台風等による自然災害の発生時等における避難行動要支援者の避難誘導につきましては、平常時からの顔の見える関係づくりなど、地域の防災力を高めておく必要があるものと認識しております。今後も、市報等による避難行動要
支援者名簿の周知及び対象者への登録勧奨を行うとともに、ご近所の助け合いなど共助の力をいかした地域での支援体制の更なる充実に努め、誰もが安全・安心に暮らせる環境づくりを推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
8 ◯6番(助川 悟君) ◇登壇◇ 統一名簿の作成については、複数ある名簿は相互に関連性があり、支援者や要支援者にとっても分かりやすく効率的な名簿管理の仕組みを構築するとのことでした。要支援者は体調や生活環境が短期間で変化することもあると考えられ、つい先日も、台風15号の影響で日立市において
警戒レベル3が発令されたところでもあり、災害はいつ発生するか分かりません。民生委員・児童委員、
コミュニティ関係者、近隣の協力者の日頃の見守り活動や、地域包括支援センターなどの職員の
ひとり暮らし高齢者の戸別訪問などで得られた情報を常に最新の状態で管理し、かつ、関係者が運用しやすい名簿管理となるよう早急な仕組み構築を要望いたします。
また、
避難支援マップの策定については、迅速な対応が求められる避難支援の実効性を高めるとの認識であり、実施に向けての検討を進めるとのことでした。時々、災害などがあれば国や消防が助けにきてくれるという楽観的な考えを耳にすることがあります。実際には、公的機関の公助には物理的な限界があるのは明らかです。自助・共助の連携により落ち着いて避難行動をとることができるよう、そして向こう三軒両隣の助け合いにつながるよう、
避難支援マップを活用し、身近な場所の危険性に応じた地域の避難訓練をこれまでの防災訓練のプログラムに組み入れるなど、実施に向けて早期に計画するよう要望を申し上げ、質問を終わります。
御答弁ありがとうございました。
9 ◯議長(茅根茂彦君) 以上で助川議員の質問が終わりました。
次に、伊藤智毅議員に発言を許します。
なお、質問は
分割質問分割答弁方式により行います。
10 ◯22番(伊藤智毅君) ◇登壇◇ ひたち未来の伊藤智毅です。
通告に従い質問を行います。簡潔で分かりやすく、前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
1、防災について。
まず、この度の台風15号の接近に対して、小川市長を先頭に、その対応に御尽力をされましたことに対し深く感謝と敬意を表します。
質問に移ります。
(1)防災における自助、共助、公助の役割と実践体制。
今回の台風接近もそうですが、頻発する自然災害や今なお収束しない原子力災害の危険性を考えると、改めて災害時や日常生活において果たすべき自助、共助、公助の役割について、ちょうど今日8年半が経つ
東日本大震災の教訓や、その後、全国各地における自然災害による甚大な被害の教訓からも、また、9日に日立市に接近した台風15号による停電や倒木などの被害やその影響、教訓からも、現時点においてどのように整理しているのか伺います。
今回、9日、午前4時35分に
警戒レベル3、避難準備・高齢者等避難開始を防災無線で発令し、その前日の午後6時には、自主避難者対応のために市内23の小中学校に避難所を開設しましたが、自助、共助、公助の役割をどのように役割分担し、実践したのかについてもお伺いします。
(2)自然災害や原子力災害に対する防災訓練の現状と課題及びその対策。
地震や津波、また
地球温暖化が原因と思われる洪水や土砂崩れなど自然災害が全国各地で頻発しており、多くの犠牲者や被害が毎年発生しております。それらは決して人ごとではなく、私たちの身に、地域に、いつ災害が起きるかもしれない状況の中、いざというときに備え、災害時に冷静な行動をとることが重要であることは言うまでもありません。自然災害や原子力災害に備え、避難訓練も含めた防災訓練の現状がどのようになっており、また、その課題をどのように認識しているのか伺います。さらに、それらの課題への対策をどのように進めていくのか伺います。
(3)避難所設営・運営における官民の役割や実地訓練及び備蓄等の実態と問題点。
2011年3月11日の大震災当日、自宅避難ができなかった1万2,900人の市民は、市内69箇所の避難所に避難を余儀なくされました。大災害時に、収容人員の関係からも全ての市民が避難所に避難できるわけではありませんが、災害時、速やかに避難所に避難することができるように、迅速な避難所の開設・運営に対して、あらかじめ官民の役割の明確化と実地訓練が必要不可欠であります。今回の台風15号における教訓からも避難所開設等の実地訓練は極めて重要だと思いますが、その実態や問題点及び今後の訓練等の実施をどう考え、また、備蓄倉庫等の備蓄品の種類や数量の検証及び適切な更新等についてどのように進めていくのか伺います。
11 ◯議長(茅根茂彦君) 伊藤智毅議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
12 ◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ 伊藤智毅議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、防災についての御質問に順次お答えいたします。
初めに、(1)防災における自助、共助、公助の役割と実践体制でございます。
国では、1時間に100ミリを超える雨が各地で頻発し、その被害が激甚化しております状況などから、このような自然災害の発生時において公助には限界があるとして、
避難勧告等に関するガイドラインの見直しを行い、一番上の
警戒レベル5が発令された状況下におきましては、まずは住民各自が命を守る最善の行動をとることとされたところでございます。
今回の台風15号の対応でございますが、8日の午後から避難所の開設準備を始め、午後6時に市内23箇所の小中学校を開設いたしました。この際、防災行政無線、ケーブルテレビなどで広報を行うとともに、要支援の方々一人一人に直接、早目の避難の呼び掛けを行ったところでございます。そして、風雨の状況を判断して、9日の午前4時にレベル3「避難準備・高齢者等避難開始」を発令し、避難を促すとともに、各
コミュニティ、民生委員にも状況を説明し、必要な際の支援を呼び掛けたところでございます。