今回は、
選挙の投開票当日に即日就任という異例のスタートではありましたが、多くの
市民の皆様や職員の支えもあり、まずは船出をすることができたと思っております。そして、本日、議場において
市民の代表である
議員の皆様と初めて議論をさせていただくときを迎え、気持ちが引き締まる思いでございます。ともに
西宮市の未来を思う立場として、
議員の皆様には、格別の御指導、御鞭撻をお願いするところでございます。
さて、このたびの
市長選挙における
投票率は37.52%と、前回より1.11ポイント上回りはしたものの、3割台にとどまりました。私を含めて6人の
候補者が出たこともあり、「
石井登志郎」と書いた人よりも私以外の名前を書いた人のほうが多く、さらには、そもそも投票に行かなかった人のほうが多い中で、私が
市長としての任に当たることとなりました。
そうしたことを踏まえ、私が意識をすべきことは、私は、私に投票した人だけの代表ではなく、ましてや投票に行った人だけの代表でもなく、投票に行かなかった人に加え、18歳未満の
市民など
投票権のない人も含めた
西宮に暮らす全ての
市民の代表として、そのかじ取りをしていかねばならないということであります。
同時に、私は、次のことを意識して
市政運営に当たっていきたいと思っています。それは、組織化されにくい個人の声に耳を傾けるということであります。例えば
子育て中の
保護者は、子供の成長時期に応じて、課題と考えるものが移り変わってまいります。子供が乳児のとき、就学前の幼児のとき、
小学校に通っているとき、それぞれの時期に、感じること、声を上げることがあっても、その時期を過ぎれば新たな課題に向き合うことになります。このため、ある課題に関しての当事者である個人は次々と入れかわっていくこととなり、結果として組織化されにくく、個人として課題に向き合っている方も多いと考えています。もちろん、さまざまな組織からいただく声は、その分野の
プロフェッショナルの声であり、とても重要であることは言うまでもありませんが、一方で、なかなか酌み取りにくい個人の声にも耳を澄まし、そういった方の思いに寄り添う
市政運営を行ってまいりたいと思います。
次に、
議会と
行政、そして
市民との
関係性について、私の思いを申し上げます。
私は、今こうして
市長に就任いたしましたので、いわゆる
行政の一員であり、そのトップにあります。ただ、私は、
選挙で選ばれたということ、そして、
議員も経験してきたということから、そもそものDNAは
議員に近いのかなと思っております。
議会と
行政、そして
市民との3者の
関係性については、例えて言うならば、じゃんけんの関係にあると考えています。グーは
チョキに勝ち、
チョキはパーに勝ち、パーはグーに勝つ、この関係であります。
市民は
議員を
選挙で選びます。よって、
市民は
議員に対して強い立場です。
議員は
議会において
行政をチェックし、
議案や
予算案を審議、議決します。よって、
議会は
行政に対して強い立場にあります。
行政は、
市民から
税金等をいただき、
条例などによって人々の行動を規制することができます。よって、ここは表現が難しいですが、あえて言うなれば、
行政は
市民に対して強い
影響力を有していると言えるでしょう。ある意味、このじゃんけんのようなバランスの上に
民主主義が成り立っているのではないでしょうか。
さらに言えば、
議員の皆様は、まさに
市民の代表でもあります。
行政としても
市民の声をさまざまな形でお聞きする仕組みがありますが、やはり
行政は
役所内部の論理によって動いていくさががあります。社会的に望ましいことであっても、法律、
条例や予算の制約を考えざるを得ない宿命にあります。一方で、そうした制約はさておき、対応しなくてはいけない課題は次々と出てくるわけです。
行政の論理では大きな
存在感となる部局の壁は一般の
市民にとっては関係のない話であり、
市議会の皆さんには、そうした
市民感覚を
プロフェッショナルとして
行政にぶつけていただくことを期待したいと思っております。そして、これまでもそうであったと思いますが、これからも、
議員の皆様におかれましては、市政に対して積極的な御提案や御意見をいただきたいと思います。
かく言う私は、ここにたどり着くまでの間、
西宮市政の課題を詳しく知る立場にありませんでした。そのため、幾度となく
市議会の
インターネット中継やそのアーカイブを見て、多くのことを学ばせていただきました。報道を通じて見聞きする
市議会の姿は
ニュース性のある話題にばかり偏りますが、実際の
市議会においてはその多くが建設的な提案であると思って見てまいりました。
議会におかれましては、
行政をチェックするという役割もありましょうが、私といたしましては、皆様との議論を通じてよりよい施策を講じていけるようにしていきたいと考えております。
さて、今回の
市長選挙において、私は「OPEN!
西宮」というキャッチフレーズを掲げ、
市民の声を積極的に集め、その
解決策を政策として提起いたしました。これには次のような思いがあります。
今回の
市長選挙も結果として3割台の
投票率にとどまってしまったように、昨今、市政の
選挙に限らず、あらゆる
選挙において
投票率が下がっていく傾向にあります。では、投票に行かない人は日々の生活に満足しているか、何も不満がないかと問われれば、いや、そんなことはない、言いたいことはある、そう答える人がほとんどでありましょう。一方で、何か不満や提案があったとしても投票には行かない。このことをひもといてみると、誰かを選ぶ
民主主義には興味を持てなくても、何か改善したいという思いがないわけではないということと私は考えました。そこで、なかなか声を上げる機会のない人の声こそ拾い上げて、そして、政策として取り上げよう、そう考えて活動を進めてまいりました。
そうしてまとめたのが今回の
市長選挙に際して示した政策であり、この政策実現に向けてしっかりと歩む、これが基本的なスタンスであることは言うまでもありません。この1期4年の間に今回お示しした政策がどれだけ進捗したか、この評価をしかるべきときに、しかるべき形で行っていくことになろうと思います。一部の自治体においては、こうした公約の評価を第三者機関に委ねるような例も見られるところですので、今後は、そうした事例も参考にしながら、評価のあり方についても検討を行いたいと思います。
続きまして、
選挙の公約に関して、一言、私の認識を申し上げたいと思います。
公約に掲げた政策においては、記載した一言一句を、契約、いわゆるコントラクトとしてお示ししたものではなく、誓約や誓いという意図で書いたつもりです。
一例を挙げてみます。私は、自転車や歩行者が安全なまちという政策を公約に掲げました。そこには、例示として、ルールの徹底や自転車レーンの導入などをあわせて記載しました。今後必要な箇所には自転車レーンの導入も進めていきたいとは思っておりますが、自転車レーンの導入そのものが私の政策ではありません。実際には、レーンを導入せずに、何らかのマークを道路面に標示することなどもあり得ると思います。要は、自転車や歩行者が安全なまちをつくるという誓約、これが私が掲げた政策の基本的な考え方です。
もちろん、それぞれの公約の記載内容について、こうしたニュアンスがしっかり伝わっていない可能性はあると思います。そうした御指摘、御批判も当然に想定されるわけですが、そうしたお声に対してもしっかりと向き合い、可能な限り説明をさせていただくことで御信託に応えたいと思っております。
政策課題は、今回示したものだけにとどまるはずはありません。
市民の皆様からさまざまな形で提起していただき、私が
選挙の際に示した課題以外にも向き合っていきたいと思います。
私は、
市民の皆様から政策課題をお聞きし、公約として三つの柱にまとめました。そして、この2カ月の間、
市長として任に当たり、今の
西宮市政における課題に向き合ってまいりました。それらをあわせ、これから進める
市政運営の考え方や主な取り組みの方向性について述べさせていただきます。
まず、一つ目が市役所改革です。
私は、
選挙において、仕組みを変えてオープンな市役所へと訴えてきました。決して市役所が閉ざされた空間だとは思っておりませんが、
市民にとってどれだけ近い存在だろうか、市役所はどれだけ
市民に向き合っているだろうか、そう考えると、まだまだできることがたくさんあると考えています。1人の
市長、40人の
議員、3,800人の職員だけでなく、49万
市民の英知を広く集めることができるような仕組みをさまざまな形で導入してまいりたいと思います。
この改革の意思を示すため、まず最初に、私の任期に係る
市長退職金を廃止するとともに、一定割合の給与をカットする
条例案を提案させていただきます。
市長は現場の課題や
市民の声にできる限り向き合うべきであると考えています。私は、就任直後から、保育所、留守家庭児童育成センターのほか老朽化した市立中央病院や
西宮市卸売市場などへの訪問を実施しています。また、これからも積極的に現場へ出向くほか、可能な限り地域の行事に出席し、
市民との対話にも取り組んでまいります。また、
市民の声が届きやすいよう、手紙や電子メールに加え、若い世代の
市民からも投稿しやすいSNSなどの活用もしていきたいと思っています。寄せられた御意見は、個人情報等を除いてホームページに原則公開するほか、将来的にはビッグデータとして分析・活用し、
市民から多く寄せられる御意見や疑問の解消に役立てる仕組みへと発展させたいと考えています。
地域の課題等については、市役所の複数の部署にかかわることから、どの部署に相談すればよいのか
市民からはわかりにくいものも多数あります。また、支所機能についての拡充を求める声も聞いてまいりました。そのため、
市民の目線に立って、
市民の皆様が取り組む地域課題の解決を支援していくような、より
市民に寄り添う市役所にしていきたいと考えています。
さて、私の政治信条としている言葉は、「ジ・エッセンス・オブ・ザ・ガバメント・イズ・ツー・サブサイディーズ・ザ・マーケット・フェィラー」です。つまり、経済にできないことをすることこそが
行政の役割であるということであります。これは、私がアメリカの大学院に留学した際、最初に渡された教科書の冒頭に書いてある言葉でありました。お店で売っているようなものを市役所がつくる必要はありません。民間の事業者で経営できるものを市役所が経営する必要はありません。
市民の税金をお預かりし、支出するに当たっては、公共として果たすべき役割が何なのか、公の責任をしっかりと認識しながら、そこを見きわめる必要があります。その文脈で言えば、今の市役所が担う業務において、限られた資源を最大限に生かすため、民にできることは民に委ねるという方針を掲げ、慎重かつ迅速に検討すべきと考えます。
こうした改革を進める上で、
議会のチェック機能に加えて私が必要と考えるのが、外部の視点の活用です。私自身が外部からこの市役所に入った立場であるからこそ思うのですが、市役所内の仕事に取り組む姿勢は、私の見る限り、悪いものではないものの、現在は、どちらかと言えば内向きで、外部の視点が効果的に入ってきているようには見えません。全国には千七百余の自治体がありますが、その中では、財政改革、入札改革、人事制度改革などの
行政経営の改革にさまざまな形で奮闘してきた事例がございます。他の自治体において進められてきたさまざまな改革を外部の視点もおかりして検証し、我が市に必要なものは積極的に取り入れていくことで、市役所の改革を進めたいと思います。
まず、市が行っております
事務事業について、これまで市が実施してきた
行政評価に外部の視点を加えることにより、事業内容や費用対効果などの検証を進め、施策の目的を達成するための効果的な改善につなげていきたいと考えております。
なお、現在市では内部統制の取り組みの検討も進めており、これは
行政経営の改革にも関連する重要な取り組みであると考えております。
その上で私が積極的に取り入れていきたいのがICT、つまり情報通信技術です。最先端の技術を活用して、より効率的な
行政経営と、より質の高い
行政サービスの実現を目指してまいりたいと思います。
政策の柱の二つ目は、子供・
子育ての応援と、子供や大人の学びの支援です。
核家族化が進み、近所に頼れる親類や友人がそう多くない時代において、社会全体で
子育てや教育を支える仕組みをつくりたいと考えています。組織化されにくい個人の声にも耳を傾け、次世代を担う子供たちの成長を支えてまいります。また、復職、転職を支援する社会人教育やスポーツ環境の充実、環境学習のさらなる推進などにも取り組みたいと考えています。このような取り組みを通じて、文教住宅都市宣言にふさわしい教育のまちを目指します。
まず初めに、待機児童ゼロを目指す政策は、最重要施策の一つと考えています。
保護者の切実な要望に応えるため、これまでの施策で不十分な点をさらに拡充してまいります。現在、平成28年度から30年度の3年間で1,500人分の保育所入所枠の拡大に取り組んでいます。一方で、待機児童数は、平成30年4月には過去最多の413人となりました。女性活躍社会と言いながら、その環境整備ができていないことを深刻に受けとめています。今年度内に開園するものを含め、平成31年4月には950人の定員増を図る予定ですが、国が進める幼児教育・保育の無償化による影響を踏まえながら、引き続き待機児童の解消に向けた取り組みを積極的に推進します。
留守家庭児童育成センターについても、待機児童対策が喫緊の課題となっています。今後さらなるニーズの増大が見込まれることから、総合的な放課後施策について検討を進めてまいります。
また、移動児童館の拡充などを通じて
子育て世帯に寄り添う
行政を目指すほか、乳幼児等医療費助成制度の所得制限の見直しについても検討していきます。
子供食堂は、現在、全国の多くの地域で取り組みが始まっており、本市でも、幾つかの民間団体等が自主的に実施をされています。私は、この取り組みを、子供の居場所として、さらに、地域コミュニティーの醸成などのために市内に広めていきたいと考えています。既に先行している他市の事例も研究しながら支援の方法を検討し、取り組んでまいります。
また、産後間もない母子に対して心身のケアや育児サポート等を行うことで、安心して
子育てができるよう、産前からの支援と産後ケアの拡充を図ります。
さて、昨年の3月に新しい学習指導要領が示され、平成32年4月より
小学校から順次全面実施することとなります。新しい教育課程での授業では、学習を基礎的・基本的な知識・技能の習得に終わらせず、それらを活用して、自分の頭で考え、判断し、表現する力を身につけることを求めます。いわば自分で学ぶ力を養う教育への改革です。何をどれだけ知っているかだけでなく、実際の社会の中でどう問題解決するかまで求める学力観であると言えます。
私は、この学校教育と社会を強く結びつけようとする新しい教育を
西宮市の学校教育において積極的に進めようと考えています。
西宮市の小・中学校では、これまでも教育連携協
議会による地域と連携した学校運営を進めていますが、その取り組みを一歩前に進めて、
西宮型コミュニティースクールとして、地域や
保護者の方々に教育の当事者として一定の権限と責任を持って学校運営に参画していただきたいと考えています。これにより、地域でどのような子供たちを育てるのか、どのような地域づくりをするのかといった目標やビジョンを共有し、地域の特性を生かした学校づくりや課題解決に向けた取り組みをこれまで以上に推進したいと考えています。
また、
西宮浜
小学校及び中学校では、子供の育ちと学びの連続性を踏まえた魅力ある学校づくりを進めるため、地域や
保護者とともに、平成32年4月の小中一貫校の開校に向けて準備を進めます。この取り組みを出発点として、将来的には他地域においても同様の取り組みを展開することを目指したいと考えています。
なお、総合教育会議では、平成28年に策定された
西宮市教育大綱の理念を深化させるため、本市の教育の課題や方向性を共有しながら、オープンな議論を積極的に進めてまいります。
国が平成26年に批准した障害者の権利に関する条約において提唱されているインクルーシブ教育システムの構築に向けては、昨年度より特別支援教育審
議会で調査・審議を行っております。学校園では支援を必要とする子供たちが増加しており、子供一人一人の障害の状態に応じた学習環境の整備など、合理的配慮が提供できるよう進めていきたいと考えております。特に幼児期からのつながりある支援体制が重要です。教育と医療、福祉との連携など、
西宮市全体で子供たちの育ちを支えていきたいと考えています。
また、文部科学省は、増加する不登校児童生徒に対する支援について、平成28年12月の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法の公布を受けて、学校教育だけでなく、適応指導教室やICTを活用した学習支援、フリースクールでの受け入れなど、さまざまな関係機関等を活用し、社会的自立への支援を行うという方針を明らかにしております。本市においても、フリースクールなどと積極的に連携し、情報交換の場を設けるなど、相互に協力、補完するためのネットワークづくりを目指します。
老朽化に伴い今後整備需要の増加が見込まれる学校施設については、良好な教育環境を確保するための施設整備のほか、安全性を確保しつつ財政負担の軽減と平準化を図ることを目的に、計画的な修繕、改築などを実施するための長寿命化計画の策定が進んでいます。学校施設のトイレについても、洋式トイレへの更新を含めた全面改修を老朽化の激しいトイレから順に進めていますが、和式トイレに戸惑う子供が多いだけでなく、災害時の避難所である学校トイレが和式であるということの課題が東日本大震災での経験においても指摘されていることもあり、避難所機能の強化という観点からも、トイレの洋式化を推進したいと考えています。
さて、
子育てを終えた世代や仕事を引退したシニアなどが職につながるビジネスのスキルを新たに学ぶことにより、専門性を必要とする業務へ就職できるような社会にしたいと考えております。このような復職、転職を応援する社会人教育――リカレント教育を、市内大学等との連携やさまざまな施策の活用により、
市民に提供する仕組みづくりを検討します。
また、超高齢社会となり、今後ますます高齢者が増加する中、心身ともに健康で生き生きと過ごすには、健康寿命の延伸が必要と考えております。健康寿命を延ばすにはさまざまな施策を組み合わせることになりますが、スポーツはその要素の一つです。現在、スポーツ施設のうち、特に老朽化し、利用が過密化している中央体育館と陸上競技場等については、
市民ニーズに応え、防災機能を確保し、にぎわいを創出する本市のスポーツ推進の中核をなす総合運動公園施設として再整備する計画が進んでいます。引き続き各施設の機能についての検討を行い、市のスポーツ環境全体を考慮した上で、さまざまな御意見を踏まえて進めてまいります。
本市は、平成15年に環境学習都市宣言をしたことに象徴されるように、環境に対する
市民意識が潜在的に高いまちと認識しています。貴重な自然海浜が残る甲子園浜は、昭和40年代に全面埋立計画が持ち上がりましたが、熱心な住民運動や港湾計画の取り消し訴訟などを経て、計画の見直しが実現し、現在の自然環境が守られたという歴史があります。このような歴史があり、また、現在においても、
市民、事業者、
行政が協働して行う地球ウオッチングクラブ事業など、環境学習の先進的な取り組みが行われている本市では、さらに進んだ取り組みも可能だと考えています。
例えば、1人1日当たりのごみ総排出量を見ると、全国の中核市の平均を上回っており、ごみの減量化に積極的に取り組む必要性があります。また、エネルギー使用量の低減やCO2等の削減、さらには緑化の推進など、あらゆる施策への挑戦を目指すとともに、
市民が主体的に参加できる仕組みも検討してまいります。
このように、
市民とともに積極的に地球環境問題に向き合い、環境学習都市を深化させるような取り組みも目指します。
誰もがもっと住みたいまち、住みよいまち、そして、希望あふれる
西宮にしたいと思っているはずです。そのことに関しては、
選挙を通じて多くの方からたくさんの提案や不安の声も聞かせていただきました。もちろん予算面の制約や物理的な課題もありますが、改善できることがたくさんあるのではないか、そう思うに至りました。
政策の柱の三つ目は、シニアもみんなも生き生きする優しいまちづくりです。
まず、本市は住宅都市と言われますが、産業の発展や雇用の確保があってこそ、安心した
市民生活を営むことができます。産業施策の基本理念、基本方針を定めた(仮称)産業振興
条例の制定を進めており、地域社会に根づいて操業・営業を続けている企業・事業所の活動を支援するほか、例えば食や学び、健康・スポーツなど、住宅都市としてのまちのブランド力を高める産業への支援を進めたいと考えています。
また、JR
西宮駅南西地区においては、市街地再開発事業により、駅前立地を生かした地区全体のまちづくりに向け、
関係者等と連携・協議しながら引き続き取り組みを進めてまいります。
その中で、施設の老朽化が著しく、公設・民設市場が混在している卸売市場については、民設市場として整理統合し、食の流通拠点となるべく取り組みを進めるとともに、
市民に親しまれる市場となるよう、にぎわいの創出を図ってまいります。
西宮市の魅力として交通の便利さが挙げられ、人気のまちと言われていますが、
西宮市内での移動が不便だと感じている人も多くいます。高齢化がさらに進む中で、高齢者も移動しやすく、お出かけしやすいまちであることで、全ての
市民にとって住みやすく、まちの魅力も一層高まると考えます。このため、コミュニティーバスの導入を検討する地域の取り組みを支援するほか、他自治体で実証実験が進められているような次世代型の交通手段の導入など、技術革新に応じた新たな取り組みも研究していきたいと考えています。
自転車マナーに対する歩行者からの不安は大きく、ルールの徹底や、安全に走行する意識を啓発するための環境づくりが必要です。他市の先進事例を参考にしながら、歩行者も自転車も安心できるまちづくりを進めます。
また、市内の公共空間に、一休みできるどうぞベンチの設置を進めたいと考えています。まずは設置可能な場所の調査を実施し、
市民の意見も聞きながら設置場所の選定を進めるほか、企業や個人からの寄附を募る仕組みなどについても検討します。
本市北部の塩瀬・山口地域には、人口減少や高齢化が全市平均よりも先んじて進むと予測されることに加え、国道176号名塩道路の整備促進のほか、医療環境や
子育て環境など、地域特有の課題があり、それらの対策も検討していきたいと考えています。
生瀬地域では住民主体によるコミュニティーバスの運行が実現しており、今後、他の地域においてもよき先例となるすばらしいものであると感じています。また、名塩道路の整備については、全線供用が早期に実現するよう、国に対する積極的な要望を続けながら、事業への協力を行ってまいります。
現在、危機管理体制の強化と、老朽化や耐震面において喫緊の課題を抱えた庁舎の建てかえ更新、機能の集約化を同時に実現するため、第二庁舎(危機管理センター)及び防災情報システムの整備を進めています。また、甲子園浜において総合的な訓練が可能な消防訓練施設の整備も進めており、老朽化や狭隘化、耐震化対策が必要な
西宮消防署についても、本市の基幹消防署にふさわしい施設としての建てかえを進めるなど、あらゆる災害に対応できるよう、防災力、消防力の強化を図ります。
防災、減災のためには、ハード面の整備だけでなく、身近な地域の人たちの地域力が重要です。地域全体で防災について考える取り組みを支援し、安心して暮らせるまちづくりを進めたいと考えています。
また、医療・介護に向き合う御本人や御家族に寄り添う市役所を目指すとともに、全ての高齢者が住みなれた地域で自分らしく安心して暮らせるまちにするために、さまざまな社会資源を積極的に活用し、本人や家族などの負担軽減を図ることを検討していきます。
さらに、本市の医療政策の中で重要な課題の一つが県立
西宮病院と市立中央病院の統合です。県立
西宮病院との統合につきましては、
議会の皆様のイニシアチブもあったおかげで前に進んでまいりました。昨年3月の兵庫県立
西宮病院と
西宮市立中央病院のあり方検討
委員会の検討
報告書を踏まえ、統合新病院の経営主体・形態、整備場所、整備費・運営費の負担方法などについて、兵庫県との間で協議を行ってまいりました。このたび、この協議が一定調いましたことから、先日開催されました平成30年度の兵庫県・
西宮市連絡会議におきましてその内容が
報告されるとともに、県知事とは、両病院の早期統合を目指して取り組んでいくことを確認したところでございます。今後は、事務レベルでの調整結果について、
議会の御意見をお聞きした上で、市としての方針を決定し、両病院の統合再編に係る基本方針の早期策定に取り組んでまいります。統合してできる新しい病院は、国が目指す地域完結型医療の構築に向けて、これまで両病院が果たしてきた役割を引き継ぎ、その充実・強化を図るだけでなく、今後進展が期待される再生医療などの先進医療にも対応できる病院を目指すとともに、ICT化の流れにもかなった新たなビジョンを示していかねばならないと考えています。県との協議はもちろんですが、国の動向等も視野に入れて取り組みを行いたいと思います。
現在、平成31年度を初年度とする第5次
西宮市総合計画の策定を進めております。本市の人口も、平成28年末ごろをピークに減少に転じる傾向が見えつつあり、阪神・淡路大震災後に人口増加が続いてきた時代からの大きな転換点を迎えています。人口減少を抑制する施策に取り組みたいと考えていますが、そのような取り組みを進めても、全国的な人口減少の流れの中では、本市でも人口減少や人口構造の変化は避けられないと考えられます。こうした課題に向き合うとともに、文教住宅都市としての理念や方向性について、この新しい総合計画の策定を通して、全市的な理解を深めていく必要があります。このため、目指す方向性が
市民にもわかりやすく伝わるような計画となるよう取り組みたいと考えています。
また、全市的な視点だけで考えるのではなく、市内各地域の多様性に着目した
市政運営を大切にする観点から、参考資料として、市内各地域の課題等をまとめた地域別アウトラインの作成を進めています。このアウトラインは、今後、各地域でのまちづくりに関する議論に活用できるようなものになればと考えています。
総合計画は10年先の将来像を示すものですが、まちづくりは、さらに長期的なビジョンを掲げて取り組むことも必要です。このため、さらに先の、例えば2050年の
西宮の未来図の検討などにも挑戦したいと考えています。
また、本庁舎を初め、周辺に点在し、老朽化が進む公共施設を再編し、これら公共施設群や公園・広場が一体となった緑あふれる
西宮市の中心地区が、多世代が集い、楽しみ、憩い、将来にわたって
市民から愛され親しまれる都市空間となるよう、長期的なビジョンづくりを進めます。
こうした未来の
西宮づくりは、オープンであることでこそ実現していくものと思います。
市民にオープン、市役所をオープンからさらに一歩進んだ未来にオープンへの道を歩むことでなし遂げられると思います。この歩みは、到底私一人で進めていくことは不可能であります。ここにいらっしゃる
議員の皆さんはもちろん、全ての
西宮市民、つまりオール
西宮で一緒に進んでまいりたいと思います。
政治は人間同士の営みです。当然意見の相違はありますし、思いどおりにばかり物事が進むとは思っておりません。そうしたとき、違いがあるけれども、期待どおりではなかったけれども、その現実に向き合い、お互いを尊重し合うことによってこそ、前に進んでいくことができると思います。
私もまだまだ未熟であることを承知しておりますが、あらゆる御意見、御批判に真摯に向き合い、すばらしい
西宮市を、誇れる我がまち
西宮市をつくるために全身全霊をもってこの職責に当たる所存です。重ねてともに歩んでいただくことをお願い申し上げ、私の
所信表明とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○
議長(
町田博喜) 以上で
市長の
所信表明は終わりましたが、
所信表明に対する代表質問は後日行うことにします。
次に、
日程第7
議案第489号ほか30件を一括して議題とします。
当局の
提案理由の説明を求めます。
掛田副
市長。
◎副
市長(掛田紀夫)
提案理由を御説明申し上げます。
なお、
議案番号のみを申し上げ、事件名を省略いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
議案第489号は、平成30年8月1日から平成34年4月14日までの間、
市長の給料月額について18%の減額を行うものでございます。
議案第490号は、
市長の現任期に係る
退職手当を不支給とするものでございます。
議案第491号は、地方税法等の改正に伴い、個人
市民税における基礎控除の見直しや固定資産税等における特例措置などについて所要の規定を整備するものでございます。
議案第492号は、
西宮市医療費助成
条例の改正に伴い、文言等所要の規定を整備するものでございます。
議案第493号は、土壌汚染対策法の改正に伴い、汚染土壌処理業の譲り渡し及び譲り受けなどの承認申請手数料を定めるものでございます。
議案第494号は、省令の改正に伴い、訪問介護員の資格要件について所要の規定を整備するものでございます。
議案第495号は、
西宮市
障害福祉推進計画策定
委員会の担任事務の追加のほか、所要の規定を整備するものでございます。
議案第496号は、省令の改正に伴い、放課後児童支援員の資格要件について所要の規定を整備するものでございます。
議案第497号は、
西宮市立香櫨園地域
子育て支援施設を新設するものでございます。
議案第498号は、阪神間都市計画事業段上特定土地区画整理事業の完了に伴い、
条例を廃止するものでございます。
議案第499号は、生産緑地法の改正に伴い、
生産緑地地区の区域の規模に関する条件を定めるものでございます。
議案第500号は、平成30年度
西宮市
一般会計補正予算(第1号)で、歳入歳出にそれぞれ16億2,582万3,000円を追加し、歳入歳出予算総額をそれぞれ1,796億8,185万1,000円とするものでございます。補正の主な内容としましては、歳出では、土木費で13億1,384万4,000円、総務費で2億3,483万7,000円などを追加し、また、歳入では、市債で12億5,420万円、繰入金で3億1,413万2,000円などを追加するものでございます。債務負担行為の補正は、市営住宅建てかえ事業ほか2件について限度額19億127万1,000円を追加するものでございます。また、地方債の補正は、道路橋梁新設改良事業ほか6件について限度額を12億5,420万円増額補正するものでございます。
議案第501号は、市営住宅の家賃及び駐車場の使用料を滞納し、催告にも応じない者に対して、市営住宅等の明け渡しと滞納家賃等の支払いを求めて訴えを提起するものでございます。
議案第502号は、開発行為に係る公共施設の帰属により、新たに2路線について市道の路線認定を行うものでございます。
議案第503号は、旧
高須東小学校解体工事について工事請負契約を締結するに当たり提案するものでございます。
議案第504号は、
今津南保育所・
市民館大
規模改修ほか工事について工事請負契約を締結するに当たり提案するものでございます。
議案第505号は、(仮称)新
センター新築工事について工事請負契約を変更するに当たり提案するものでございます。
以上17
議案につきまして、何とぞ御賛同賜りますようお願い申し上げます。
次に、
報告第77号及び
報告第90号は、
処分報告の件で、
地方自治法第179条第1項に基づき
専決処分いたしましたので、同条第3項の規定により、
報告し、承認を求めるものでございます。
処分の内容といたしましては、
報告第77号は、地方税法の改正に伴い、固定資産税における土地の負担調整措置の継続などについて所要の規定を整備したものでございます。
報告第90号は、
香櫨園小学校校舎改築工事について工事請負契約を変更したものでございます。
次に、
報告第78号は、
地方自治法第180条第1項に基づく
市長の
専決処分事項の指定による
専決処分で、和解に係るもの2件、損害賠償の額の決定に係るもの6件及び工事変更契約に係るもの1件につきまして、同条第2項の規定により、
報告するものでございます。
報告第79号及び
報告第80号は、平成29年度一般会計及び公共用地買収事業特別会計の繰越明許費に係る繰越計算書で、
地方自治法施行令第146条第2項の規定により、
報告するものでございます。
報告第79号は、
一般会計繰越明許費繰越計算書で、民間保育所等整備事業ほか15件につき総額28億3,324万4,000円を繰り越しするものでございます。
報告第80号は、
公共用地買収事業特別会計繰越明許費繰越計算書で、道路用地買収事業につき1,122万3,000円を繰り越しするものでございます。