尼崎市議会 > 2008-02-29 >
02月29日-04号

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  1. 尼崎市議会 2008-02-29
    02月29日-04号


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    平成20年  2月 定例会(第14回)        第14回尼崎市議会会議録(定例会)第4号        --------------------◯議事日程    平成20年2月29日 午前10時 開議第1 議案第37号 尼崎市公共施設整備基金条例の一部を改正する条例について第2 議案第43号 尼崎市高齢者住宅整備資金貸付条例を廃止する条例について第3 議案第44号 尼崎市介護保険条例の一部を改正する条例について第4 議案第47号 尼崎市立クリーンセンター条例の一部を改正する条例について第5 議案第49号 尼崎市立戸ノ内地区作業所の設置及び管理に関する条例について第6 議案第54号 尼崎市国民健康保険条例の一部を改正する条例について第7 議案第52号 尼崎市農業共済事業事務費の賦課総額及び賦課単価について第8 議案第1号 平成20年度尼崎市一般会計予算第9 議案第2号 平成20年度尼崎市特別会計国民健康保険事業費予算第10 議案第3号 平成20年度尼崎市特別会計地方卸売市場事業費予算第11 議案第4号 平成20年度尼崎市特別会計用品調達事業費予算第12 議案第5号 平成20年度尼崎市特別会計育英事業費予算第13 議案第6号 平成20年度尼崎市特別会計農業共済事業費予算第14 議案第7号 平成20年度尼崎市特別会計都市整備事業費予算第15 議案第8号 平成20年度尼崎市特別会計公共用地先行取得事業費予算第16 議案第9号 平成20年度尼崎市特別会計中小企業勤労者福祉共済事業費予算第17 議案第10号 平成20年度尼崎市特別会計公害病認定患者救済事業費予算第18 議案第11号 平成20年度尼崎市特別会計青少年健全育成事業費予算第19 議案第12号 平成20年度尼崎市特別会計介護保険事業費予算第20 議案第13号 平成20年度尼崎市特別会計後期高齢者医療事業費予算第21 議案第14号 平成20年度尼崎市特別会計老人保健医療事業費予算第22 議案第15号 平成20年度尼崎市特別会計駐車場事業費予算第23 議案第16号 平成20年度尼崎市特別会計廃棄物発電事業費予算第24 議案第17号 平成20年度尼崎市特別会計競艇場事業費予算第25 議案第18号 平成20年度尼崎市水道事業会計予算第26 議案第19号 平成20年度尼崎市工業用水道事業会計予算第27 議案第20号 平成20年度尼崎市自動車運送事業会計予算第28 議案第21号 平成20年度尼崎市下水道事業会計予算 ---------------------------------◯出席議員 1番     森村太郎君 2番     土田裕史君 3番     北村章治君 4番     河村慶彦君 5番     福島さとり君 6番     開 康生君 8番     弘中信正君10番     酒井 一君11番     吉岡健一郎君12番     長崎寛親君13番     宮城亜輻君14番     前迫直美君15番     亀田孝幸君16番     寺坂美一君17番     丸岡鉄也君18番     津田加寿男君19番     今西恵子君20番     広瀬早苗君21番     義村玉朱君22番     塚田 晃君23番     丸尾孝一君24番     騰 和美君25番     安田雄策君26番     杉山公克君27番     真鍋修司君28番     上松圭三君29番     蔵本八十八君30番     北村保子君31番     早川 進君32番     高橋藤樹君33番     辻  修君35番     塩見幸治君36番     小柳久嗣君37番     仙波幸雄君38番     畠山郁朗君40番     荒木伸子君41番     波多正文君42番     寺本初己君43番     高岡一郎君44番     松村ヤス子君45番     田村征雄君 ---------------------------------◯欠席議員 9番     都築徳昭君 ---------------------------------◯議会事務局事務局長    辻本 守君事務局次長   高見善巳君議事課長    播磨美行君 ---------------------------------◯地方自治法第121条の規定による出席者市長      白井 文君副市長     中村 昇君副市長     江川隆生君会計管理者   末澤友章君企画財政局長  小寺敬二君総務局長    森  進君環境市民局長  玉井啓一君医務監     大橋秀隆君健康福祉局長  山本博久君産業経済局長  岩田 強君都市整備局長  岡野 清君消防局長    吉田 寛君水道事業管理者 村山保夫君自動車運送事業管理者   遠藤 暁君企画財政局総務部長    木村昭一郎君企画財政局総務課長    白畑 優君教育委員会委員長     仲野好重君教育長     保田 薫君選挙管理委員会委員長     藤田浩明君代表監査委員  須賀邦郎君 ---------------------------------(平成20年2月29日 午前10時 開議) ○議長(田村征雄君) これより本日の会議を開きます。 日程に入るに先立ち、会議録署名議員の指名を行います。会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において河村慶彦君及び北村章治君を指名いたします。 この際、事務局長から諸般の報告をしてもらいます。 ◎事務局長(辻本守君) 御報告いたします。 現在の出席議員は41人であります。 次に、本日の議事日程は、昨日の日程を踏襲いたします。 報告事項は以上であります。 ○議長(田村征雄君) 日程に入ります。 日程第1 議案第37号 尼崎市公共施設整備基金条例の一部を改正する条例についてから、日程第28 議案第21号 平成20年度尼崎市下水道事業会計予算まで、28案を一括議題といたします。 昨日に引き続き、代表質疑を行います。 発言を許します。 辻修君。   (辻  修君 登壇) ◆33番(辻修君) おはようございます。日本共産党議員団の辻修でございます。共産党議員団を代表して、2008年度尼崎市予算案及び関連議案、市長の施政方針、“あまがさき”行財政構造改革推進プランに関連をして質疑を行ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 どんな状況の中で予算が組まれているのでしょうか。市民の生活の実態、これは一体どうなっているのでしょうか。先日議決が行われました今年度予算の補正でも明らかなように、国の景気動向に取り残されている形で、個人市民税は伸び悩み、一部の大手企業の収益の伸びに支えられ、法人市民税は増額補正になりましたが、機械、非鉄金属以外の業種の業績は市の予想以上に伸び悩んでいます。今行われている国の構造改革路線の痛みの部分を尼崎市民が強く受けていることのあらわれです。国は地方自治体に何を求め、そして、尼崎市はその中でどうなってきているのでしょうか。地方分権という言葉をキーワードに考えてみました。 地方分権推進法の制定から13年たちました。推進法では、基本理念として、地方分権の推進は、国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性、自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することを基本として行うとしています。共産党も住民に身近な地方自治体が住民の意思を尊重して政治を行う、そして、そのまちに合った自治を行うという地方分権の精神に賛同いたしました。しかし、その後の国の地方分権に対する政策は、この基本理念とかけ離れてきていると考えています。2000年の分権一括法の施行で、国と地方自治体は、上下・主従から対等・協力に変わるとされましたが、自治体の権限移譲はごくわずかで、税財源の移譲も今年度所得税と住民税の税率の変更によって行われましたが、地方交付税の削減などを勘案すれば、ほとんど行われていないと見るのが妥当と考えます。 地方の自主性の確保を行えるだけの権限、財源の移譲は十分に行われてきていません。多くの事務に国の中央官庁の関与が残り、逆に、分権の推進として、地方自治体の自立のみが強調されるようになりました。特に小泉内閣以降の財界の代表が民間議員となった経済財政諮問会議の骨太方針に従う国の施政方針下では、企業の自由な活動を阻害する規制を緩和するためでしょうか、地方自治体を再編し、基礎自治体を300程度に減少させる、また、都道府県を解体し、道州制の導入を行う流れが強まってきています。あわせて国は、財政再建と称し、地方自治体への三位一体の改革を押しつけ、補助、負担金の廃止、地方交付税の総額減額など、強力な財源締めつけを行い、地方自治体がそこに住む住民とともにつくり上げてきた福祉やまちづくりの施策を継続できないようにしてきています。昨年の地方交付税の大幅削減については、もうこれ以上我慢ならないと、地方6団体がそろって声を上げ、一定の改善が行われましたが、しかし、今年度の尼崎市予算でも、国の地方財政計画の見通しでつくった予算額より大きく乖離した算定しか行われない、また、当議員団も指摘をし、市当局もその事実を認め、国に要望しているように、本来国が責任を持って行うべき生活保護、児童扶養手当などの交付税算入額が毎年20億円も不足をしており、分権とは名ばかりの地方切り捨ての姿が続いています。ことしまで行われてきた経営再建プログラムにも、今作成されようとしている行財政構造改革推進プランにも、分権の推進、分権型地方自治体の確立、自立した自治体などの言葉が並び、国の方針に従った尼崎市の行政の姿の変革が進められています。これで推進法が提唱した地方公共団体の自主性、自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現する分権社会の実現が行えるのでしょうか。 お聞きします。 分権については、これまでの議会でも論議され、当局から分権に期待する声もあったと思います。三位一体改革についての市長の評価と認識をお聞かせください。 また、地方自治体を財政的に締めつけて、自治体職員削減や、それに基づく市民サービス切り下げを行わせようとする国のやり方に対し、意見を述べるべきだと考えますが、市長の考えをお聞かせください。 さて、この間、小泉内閣、安倍内閣のもとで構造改革路線が進められてまいりました。大企業の利益を守る労働法制の規制緩和などにより、国民の間に格差と貧困を広げ、ワーキングプアなどを生み出し、今や社会問題になっています。弱肉強食の経済運営を進める新自由主義の矛盾が噴出してきています。地方自治にあっては、骨太方針が新自由主義の地方版として打ち出され、小さな自治体づくりが推進されました。自己決定、自己責任とは、国は何もしませんという裏返しです。自治体が市民に自己決定、自己責任という場合も、自治体は何もしませんということになってはならないと思います。 昨年の参議院選挙で政府与党が惨敗をいたしました。今の政治を何とかしてほしいという国民の反撃が始まったと言えます。福田総理になって、生活者、消費者が主役、あるいは国民が安心して生活できる社会保障など、こういうことを言い出さざるを得なくなりました。国民の声を反映して一定の手直しをせざるを得ない、こういうところに来ていると思います。しかし、少なくとも違法な派遣労働の野放しや社会保障費の自然増を毎年2,200億円も削減する骨太方針をやめなければ、当面の対応策も一時しのぎに終わるのではないでしょうか。新自由主義の見直し、手直しが求められていると考えます。 さて、“あまがさき”行財政構造改革推進プランが今示されました。改革改善項目については、地方交付税の確保あるいは同和事業の見直し、多重債務対策など、一定市議団の要望も取り入れられてはいるものの、市民サービスの担い手を変える問題も多く含まれています。それだけに、市民との対話と納得が必要です。推進プランの5年間の期間については、12月の一般質問でも、急がず対話を重視すべきだとの提案をしたところです。あわせて経営再建プログラムの考え方である顧客主義、成果主義についても一定の総括が必要だと考えます。顧客主義とは、市民を主権者から消費者に変えてしまうものであります。市民サービスは金で買うものとし、自治体の仕事を変質させるものです。自治体の仕事の多くは人が手をかけるものであり、競争原理の導入とは、低賃金労働者を生み出すものとなります。ニューパブリックマネジメントが言う効率化とは民間企業の運営手法ですが、民間の場合は利益の増減で成果があらわされます。自治体への導入に際しては、行政サービスの効率をお金で縛ってしまう役割として働きます。本来の自治体の役割を見失ってはなりません。 自治体のあり方について伺っていきたいと思います。 “あまがさき”行財政構造改革推進プランでは、5年後の2012年度までに職員定数を500人減らし、職員2,800人体制が目指されています。しかし、2,800人の職員で尼崎市の行政をどのように運営するのか、全体像が明らかではありません。これまで職員の退職数に合わせて民間移管や指定管理者、嘱託、臨時雇用職員で対応してきました。今後もこういうやり方で進められるだろうことは予想できます。プラン期間中は、1,000人の退職者に対し500人の採用、差し引きで500人削減という計画です。それでは、どこをどのようにして減らしていくのかというのが不明確です。推進プランの説明を聞いた中では、職員は少数精鋭にし企画、計画を行う、民間事業者や法人でもやれる業務は委託や指定管理者にしてもらう、その際、競争性を高めるということでした。人間は考える動物です。目で見て、耳で聞いて、手で触ってみて、動かしてみて認識し、脳で考えます。行政が現場を民間に譲り渡すということは、目、耳、手を失うこと、ノウハウを失うことでもあります。今は行政がやっている市民サービス業務の多くは民間でも技術的にはやれる時代です。しかし、すべての現場業務を民間に譲り渡せば、やがて民間にしかできなくなってしまいます。知恵は現場にあります。しかし、その知恵が民間からの借り物あるいはデータだけの判断になっては、市民の生の実情が見えなくなってしまうのではないでしょうか。 お尋ねします。 職員体制は、尼崎はどんなまち、どんな行政になるのかということと不可分です。職員2,800人体制にするというのであれば、その考え方、デザインを示し、市民に問うべきではないでしょうか。市長の考えをお聞かせください。 次に、公契約、リビングウエッジ条例の問題をお聞きしてまいります。 昨年10月に、東京都国分寺市、荒川区を他の会派の方々とも一緒に視察をいたしました。国分寺市では、調達に関する基本指針を策定し、条例化はされていないけれども、できるところからやるとの立場で進められております。また、荒川区では、非常勤職員制度の見直しを行い、職責に見合った処遇への改善を行っています。どちらも経過は違いますが、公契約のあり方あるいは業務委託の中で、労働者の生活権利をどう保障していくのか、あわせて行政サービスの質をどう維持していくのかという問題意識を持って検討し、制度の確立を模索しています。尼崎市では、昨年9月の市議会で公契約条例の制定を求める陳情が採択されました。全国的にも労働組合などがリビングウエッジ法、条例の制定を求める運動が進められていることもありますが、尼崎で昨年連続して起こった市民課住民記録データ入力業務での偽装請負、火葬場での委託契約の見直し、社会保険事務所から指摘を受けた報償費の取り扱いなど、市役所業務のあり方が問われる事件が相次いだことも大きな要因になっています。しかし、その後の当局の対応は、一般質問や総務消防委員会で質問してまいりましたけれども、担当課に調査させているという程度のものでありました。この5年間に市職員は900人削減されました。その一方で、嘱託職員は155人、臨時的任用職員は148人、合計303人ふえています。2008年度は、職員70人を減らす一方で、嘱託15人、臨時職員72人がふえる計算になります。このほかの人数は、業務委託や指定管理者のもとで働く労働者に置きかえられています。これらの人も市役所の仕事、市民サービスの担い手です。議会で陳情採択されたことは、尼崎市は市の仕事の中でワーキングプアをつくり出しているという疑いをかけられているのではないでしょうか。市当局がそうではないと言うなら、それを証明する責任は尼崎市にあると考えます。少なくとも実態の調査をすべきだと考えますが、市長の決意をお聞かせください。 次に、白井市長の2008年度施政方針について感想を述べておきたいと思います。 一つは、構造改革路線で貧困と格差が広がり、社会保障の切り下げと負担増で市民生活は大変苦しい実態にあるのに、痛みを感じている市民生活が全く見えない所信表明だと感じました。生活保護世帯もふえ続けています。年金生活者もふえています。昨年、ホームレスの実態調査が行われましたが、多くの方が空き缶を集めて収入を得ておられます。地域を歩いておりますと、ホームレスの方々だけではなくて、国民年金だけでは暮らしていけない、空き缶を集めて生活費にしている、こういう方もいらっしゃいます。中にはホームレスと空き缶の取り合いになる、こういう方もいらっしゃいます。それほど必死に生活をしている、それが尼崎市民です。団塊の世代が定年期に入り、協働のまちづくりの担い手になってほしいという思いはわかりますが、そうした余裕もない市民もたくさんいることに思いをはせてほしいと思います。 お聞きいたします。 構造改革路線で苦しむ市民の実態について、市長の認識をお聞かせください。 もう一つは、市民の声について市長の認識です。市長は施政方針の中で、施策の推進に当たってとして、こう述べておられます。近年、市民の要望は多様化しており、また、相反する様々な意見もあり、それらを集約することに時間を要します。そのような中で制度や仕組みを変えていくには、何事にも説明を尽くす姿勢が大切であると考えます。市民との対話も立場が違いますので、最初からすべてうまく進むとは限りません。理解し、共感してもらえるようわかりやすい情報提供に努めてまいりたいと存じます。こういうことでありました。説明責任は当然必要です。しかし、わかりやすい情報、説明だけでは、市民の納得を得ることはできません。共産党議員団は、これまで2回の市長選挙を一緒に戦いました。共産党議員団が評価してきたのは、第1に市長は清潔であること、第2に情報の公開、これは随分進んだと思います。第3に、市民の声を聞く仕組みづくりを進めたことでした。しかし、問題は、市民から聞いた声を生かし、取り入れる努力をしている姿、これが見えないことであります。最近、ある人から言われました。都合のいいことだけ取り入れるのは検討とは言わない。なるほど、そのとおりです。意見に耳を傾け、吟味し、検討を重ねて結論が導き出されるものでなければ、市民の納得は得られないでしょう。 以下、多くの市民、住民から異論や疑問、意見が出されている問題について、順次お聞きしてまいります。 まず初めは、市民プールについてです。 尼崎では、児童館も廃止され、市民プールは子供たちの夏の居場所として残された数少ない施設です。廃止案発表後、大庄の社会福祉協議会、子ども会、PTAが市長に存続の要望を出したのを皮切りに、議会にも多くの陳情が出され、PTA連合会からの陳情は6万人にも及んでいます。市民の声は、市民プールを存続してほしいということです。尼崎市はそのためにどうすればいいのかという立場になぜ立てないのでしょうか。市民プール廃止の代替案として出されてきた小学校プールの開放は、8月の2週間程度です。市民への説明会は、去年の8月、ことしの1月、2月と3回にわたって行われました。私も大庄の説明会に参加しましたけれども、納得する人は1人もおられませんでした。 お聞きいたします。 プールは急に古くなるわけではありません。建設してから年数がたてば老朽化することは当然です。なぜこうなるまで直さなかったのか、必要な補修、改修をする予算を担当部局は要求しなかったのでしょうか。また、これまで使用してきたプールについて、必要な施設として位置づけられてきたのでしょうか。財政上のお荷物だという認識だったのでしょうか。お答えください。 さらに、教育委員会は、市民プール廃止案が出たときに、夏休みの子供たちの居場所として必要な施設だという意見は持たなかったのでしょうか。意見を出さないとしたら、市民プール廃止に伴う夏休みの子供たちの過ごし方について、それにかわる対策をどのように検討されたのでしょうか。お答えください。 次に、保育所民間移管について伺います。 昨年12月議会で、今福保育所と大島保育所を民間移管する条例案は、共産党議員団は反対いたしましたが、議会ではわずかの差ながら賛成多数で可決されました。現在、今福保育所の事業を引き継いで運営する社会福祉法人の募集が行われています。 お聞きいたします。 大島保育所について、市長が直接出向いて説明をしたと聞いています。しかし、大島保育所の保護者は納得できないので、選定に当たってのガイドラインという形で改善要求が出されてきました。当局はガイドラインについての返答を返したと聞いていますが、それで保護者は納得したのでしょうか。お答えください。 次に、公立保育所のあり方について伺います。 公立保育所を最終的に9カ所だけ残すということについては、まだ議会も市民も納得していません。共産党議員団は、民間移管の是非は別にしても、公立保育所の充実、これは必要だと考えています。尼崎市が示した公立保育所の今後の基本方向では、公立保育所の果たす役割について、保育に欠ける子供の受け入れを保障する役割、市の保育水準の維持向上を示す役割、地域における子育て支援事業の協力・連携機関としての役割を挙げ、今後は、長年にわたって培ってきた公立保育所が持つ子育てノウハウを積極的に提供することにより、子育て支援の充実を図る役割を果たしていくと書かれています。 お尋ねします。 民間移管計画は、年度ごとの移管保育所名も挙げられて、具体的です。しかし、公立保育所の充実については、具体化が全くありません。公立保育所の役割を評価し、充実を目指すのなら、まずそのことを具体化すべきではないでしょうか。市長の決意をお聞かせください。 次に、小学校給食調理業務の民間委託についてお尋ねいたします。 昨年の予算審議では、小学校の給食室を衛生的なドライ方式に改修すると同時に、その経費を絞り出すために、調理業務を市職員による直営から民間に委託するという提案がされました。議会は、施設の改修、献立の充実と民間委託は別である。民間委託については07年度以降、市民、PTA、学校関係者及び議会との協議の場を持ち、慎重に内容を検討されたいとの意見をつけました。その後、給食の改善についての素案の説明会が市内6カ所で行われました。施設改修や献立の充実については議会も承認し、だれも否定する人はありません。問題は民間委託でいいのかということであったにもかかわらず、民間委託については、まだ決まっていないと、まともに説明はしませんでした。私も参加したのですけれども、まだ決まっていないというような説明だったと思います。また、先日の反対討論で明らかにいたしましたように、保護者や学校に対しても十分知らされないまま、業者選定など着々と準備を進めてきたわけであります。 お尋ねします。 議会の同意も得ず、保護者や学校関係者にまともに説明もしないで準備を進め、強引に民間委託を進めるやり方は、決める前に市民と相談するという白井市長の政治姿勢から見てどうなのでしょうか。市長の考えをお聞かせください。 次に、給食の民間委託化をなぜ4年間でやってしまう計画なのかという問題です。文教委員会でも各委員から、試行的にできないのか、とりあえず4校やってみて様子を見たらどうかなどの意見が相次いでいます。不安がぬぐい去れないからではないでしょうか。4年間で全学校で実施する点では、全小学校を公平にするためという意見もあります。しかし、公平に全生徒に提供するのは米飯給食であり、3品献立であって、民間委託ではありません。新築の杭瀬小学校の給食室には1億円が投じられています。一方、改修の3小学校では2,500万円程度です。施設の上でも既に差がついています。かつて尼崎でも中学校に食堂が設置されましたが、試行的に3中学校で実施しただけで、公平には行われませんでした。数年で取りやめとなりました。宝塚市では、一たん学校給食に導入した民間委託を、事故や問題が発生したこともありますが、直営に戻した例もあります。 お聞きいたします。 なぜ4年間で全校実施という計画でなければならないのでしょうか。民間委託により問題が発生したとき、直営に戻すことも視野に入れているのかどうか、お答えください。 先日、尼崎市嘱託労働組合の方々と懇談しました。小学校給食の調理に携わっている方々です。給食調理室は、現在の水で洗い流す方式から、衛生的であるとして、ドライ方式に改善すると同時に、コンベクションオーブンを導入するなど設備を改善し、自校米飯、3品献立など、調理内容を充実させるとしています。新築の杭瀬小学校では、最初からドライ方式で給食室がつくられています。間もなく竣工です。しかし、竹谷小学校など3校は、改修によってドライ化工事が行われました。嘱託労組との懇談では、開口一番、なんちゃってドライだと言われました。何のこっちゃと思って聞きましたら、非常に不十分な改善であるということが口々に語られました。新築の杭瀬小学校では、水を使うスペースと使わないスペースが区切られているので問題ないけれども、ほかの3校では、同じ場所で水を使う作業と使わない作業を行う。前は、野菜などを洗った後のかごは、次の作業をしながら掃除する作業ができたけれども、今は水が使えないので、配食が終わった午後に回収された食器とともに洗っている。洗い物で超勤が続いている。水を使わないからと普通のエプロンに変えられたけれども、結局びしょびしょになってしまった。床をふいた後のぞうきんを干す場所もないから、調理室に干している。本当にドライ化が衛生的なのかという声でありました。 どうしてこんなことになるのでしょう。これまで水で洗い流す方式からドライになると、消毒液でふき取る作業になります。ふなれな点は差し引いたとしても、作業工程が大きく変わることになります。嘱託労組の方々は、私たちが夏休みの間児童ホームに勤務し、夏休みが終わって学校に帰ってきたら、ドライ化工事が終わっていた、つくるときに意見を聞いてもらう間もなかった、と言っておられます。だれが作業をするにしても、これから工事をしていく学校が大半なわけですから、既に完成した3小学校について検証する必要があります。しかも、直接職員や嘱託の皆さんが作業に当たれるのは、3学期の給食が終わる3月17日までです。意見を聞き、検証できる期限は残り少なくなっています。 そこでお聞きします。 ドライ化工事が終わった3校の実情について、教育委員会は実態を調査し、その上に立って残る学校のドライ化が3小学校の方式でいいのか検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 その際、直営で行われている間に、嘱託やアルバイトも含めて現場に働く職員の意見を聞くべきであります。御答弁をお願いします。 市長にお聞きします。 昨日の答弁で、市長は現場を見ていないということでしたが、教育委員会の報告だけでなく、現場を見ていただき、実際に調理に当たっている職員の声を聞いていただきたいと思います。御答弁をお願いいたします。 次に、ハード事業について伺います。 共産党議員団は、ハード事業すべてを批判しているのではありません。生活密着型の事業は、市民の生活の安全を守るためにも必要ですし、市内中小零細業者の仕事をつくり出す上でも必要だと考えています。その点で、土木事務所の予算を増額しているのは大いに評価をし、期待をするものであります。問題は、多額の市財政を使う大型の事業です。行財政構造改革推進プランと同時に、今後3年間のハード事業計画が出されました。3年間の投資的事業費の総額は724億4,400万円、そのうち継続中の大規模投資事業は387億7,200万円、53.5%を占めています。これらの事業は、一度始めるとなかなかやめられない、とまらない。未来の尼崎市財政にも大きな影響を与えるだけに、慎重に検討する必要があります。さらに、今後3年間のハード事業計画のうち104億円、14.3%を占めているのが、尼崎産業高校と尼崎東高校を統合する新高校の建設費用です。新年度予算案では、建設費として15億7,800万円、債務負担行為の86億8,700万円が計上されています。よい学校にしたいというのは、だれもが思うことであります。共産党議員団も当然それを願っています。しかし、教育は、後で間違いでしたでは済まされない問題です。共産党議員団は、昨年末と新年にかけて、尼崎東高校と産業高校を訪問し、校長先生や現場の先生から実情と御意見を聞かせてもらいました。どちらも一様に言われるのは、一体どんな学校になるのかということがいまだに明らかでないということです。どんな学校にするのかということは、新高校建設に当たっての基本中の基本の問題です。教育長は、2006年12月の議会で、2校の統合により新しい高校をつくるというまたとないこの機会をとらえ、全国に誇れる、また市民が誇れる高校にしてまいりたいと答えられました。 お聞きいたします。 昨日の蔵本議員の質疑に対し、教育長は、教育目標として実学の重視を掲げ、キャリア教育を柱とした進学・進路指導の充実、あるいは文化・芸術、科学技術、国際理解など新高校の概要を示されましたが、この概要に立って、どのような全国に誇れる内容となるのでしょうか。お聞かせください。 次に、老人市バス特別乗車証交付事業について伺います。 老人市バス特別乗車証は、市内に1年以上居住している70歳以上の高齢者に交付しており、事務事業評価でも、高齢者の就労や学習など社会参加を促し、高齢者の生きがい促進を図ることを目的にしているとされています。現在、尼崎の路線バスを利用している人の48%は65歳以上の高齢者です。そして、路線バスに乗っていく目的地は、病院などが25%、大規模小売店舗などが24%、これで半分を占めています。尼崎市のバスは、買い物、食事、病院などに利用されているわけです。特に高齢者にとって、日常の生活になくてはならないものとなっています。中には、近くの銭湯、おふろ屋さんがなくなったので、バスに乗って銭湯に行く、バス(bus)でバス(bath)に行くという方もいらっしゃいます。 さて、行財政構造改革推進プランには、事務事業の見直し項目の一つとして、老人市バス特別乗車証の見直しが掲げられ、改善内容として、利用者に半額負担を求めるなどの事業の見直しについて、会議体を設置し、市民等の意見を聴取しながら検討し、実施するとしています。そして、2008年、2009年度に会議体の設置やアンケートの実施、関係機関との調整、市民への説明等を行い、2010年に制度見直しの実施としています。2008年度の予算案には、公営企業審議会を設置するとともに、バス交通に関する市民意識調査を行い、老人市バス特別乗車証調査事業では、検討会の設置やアンケート実施予算が計上されています。 お尋ねいたします。 公営企業審議会は、企画財政局と交通局が共同で運営負担金を支出するものですが、何を審議するのでしょうか。市バスを存続するためにするのか、廃止のためにやるのか、設置の目的とねらいをお答えください。 また、審議会は公開とし、市民説明会や市民意見の聴取もすべきだと考えますが、いかがでしょうか。 市バスのあり方については、2006年度に庁内で市バス事業検討会議が設置され、2007年3月に報告書が出されています。また、今年度は市営バスのあり方懇話会が設置され、現在、報告書のまとめの段階に入っています。いずれの会議も老人市バス特別乗車証制度の見直しについて市バスの経営に及ぼす影響の大きさを指摘しています。庁内での市バス事業検討会議報告書では、老人等特別乗車証制度のあり方について、こう書かれています。市営バス事業においては、現行制度による負担金収入が事業収益の42%を占めており、事業経営上の大きな財源となっているのも事実である。例えば老人市バス特別乗車証の見直し方法の一つとして、利用者に一部負担を求めた場合、徒歩でも移動可能な短距離の乗車も多く、こうした乗車料の一部負担を求めることにより、これらの利用者がバス利用を控えることも考えられ、これによる大きな減収は逃れられないと思われる。このように、制度見直しの内容いかんによっては、市営バス事業経営をさらに逼迫させ、事業の存続さえ危ぶまれる状況になることも想起される。これが庁内の検討会議の指摘であります。この報告書が出されてから推進プランで見直し案が出されてまいりました。 お尋ねいたします。 経営が悪化することがわかっていて、利用者に半額負担を求めようとしているのでしょうか。また、市営バスのあり方懇話会で審議中にかかわらず、市営バス経営を悪化させる老人市バス特別乗車証制度の見直しを検討するのはなぜでしょうか。お答えください。 次に、老人市バス特別乗車証調査事業での市民意識調査について伺います。 同調査は、70歳以上2,000人と70歳以下3,000人を無作為に選んでアンケートを行う事業です。ここで重視しなければならないのは、老人市バス特別乗車証の対象となるお年寄りの声です。若い人、元気な人は、バスが使えなければ自転車や徒歩など代替交通機関が使えます。しかし、バスを使うしかない高齢者、無料だからこそ利用できる低所得の高齢者の声が最も大切だと思います。また、高齢者が多くいる団体などの声も聞くべきだと考えます。 お尋ねいたします。 調査に当たっては、公営交通を守る立場で、実際に市バスを最もよく利用している高齢者の声を重視すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 次に、アンケートの内容です。 市バスを利用している高齢者から、私らがただで乗ってるから市バスが赤字なんやという声をよく聞きます。実際には、乗客の48%が高齢者であり、市バス会計の収入の42%が特別乗車証による収入です。高齢者が乗るから、市バスが今維持できているんです。昨年、市民プールの問題で、その前年に行った市民プール利用者へのアンケートが問題になりました。せっかくアンケートをとりながら、大人には市民プール存続という選択肢がない設問でありました。子供には市民プール廃止ということは一言も言わずに、どういう利用実態かというだけを聞き取る内容でした。市バスの問題は、高齢者の生活がかかった問題です。市民プールの轍を踏むべきではありません。 お尋ねいたします。 市バスのアンケートでは、特別乗車証の果たしている役割を正確に理解してもらえる工夫が必要です。そして、高齢者が病院や買い物など日常生活を送る上で市バスや特別乗車証が果たす役割が正確に反映、掌握できるなど、そういう内容にすべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、アンケート内容は当局だけで決めるのではなく、学識経験者や市民も入った検討会で決めるべきだと考えますが、御答弁をお願いいたします。 1問目の最後に、毎年4,000人前後の職員が能力開発研究や他の機関への派遣研修に参加しています。パソコン教室からリーダー育成、実務研修など、さまざまな研修が行われております。特に、市長は、黒澤明監督の映画「生きる」をごらんになったことがあるでしょうか。 これで1問を終わります。(拍手) ○議長(田村征雄君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) それでは、辻議員の代表質疑に対しまして、順次お答え申し上げます。 まず、三位一体改革に対する評価と認識などについてのお尋ねでございます。 三位一体改革につきましては、地方の裁量権を拡大し、財政的な自立を促すことで地方分権を進めるもので、真の地方自治確立に向けた取り組みの骨格をなすものであると考えております。しかしながら、これまで実施されました改革の中には、国庫補助負担金改革では補助負担率だけが引き下げられて、市の裁量が働かないものが見られたり、地方交付税改革では、地方負担の所要額が措置されず、地方交付税が本来有する財源保障機能が十分働いていないといった課題が残されており、本来の三位一体の改革の趣旨からいたしますと、不十分なものであると認識いたしております。これまでも地方6団体を通じまして、地方税財源の充実・確保についての意見を述べてまいりましたが、今後ともあらゆる機会をとらえまして、地方財政の真の自立に向け、国等に働きかけを行ってまいりたいと考えております。 次に、目指すべき職員体制の考え方や、そのもととなるまちのデザインなどについてのお尋ねでございます。 現在お示ししております行財政構造改革推進プランに基づき、今後5カ年で500人の職員定数の削減に取り組むことにより、御指摘のとおり、将来、2,800人程度の体制で行政を運営していくこととなりますが、これによって行政の後退や市民サービスの低下を招いたりするようなことはあってはならず、市民ニーズを受けとめながら、複雑多様化するさまざまな地域課題に対応していくという考え方は、いささかも変わるものではございません。ただ、その目標の達成に向けて職員が直接担う役割はおのずと変化していくものであり、市民や事業者との関係において、自助、共助、公助の観点からの論議を、そして、少数精鋭が求められる職員の人材育成については、職員一人一人がまちづくりへの明確なビジョンや市民感覚を常に携えた中で、こぎ手からかじ取り役への意識変革や資質の向上を図っていかなければならないと考えております。 いずれにいたしましても、現時点において同プランに計上いたしております改革改善項目の実施だけで削減目標の達成ができるものではなく、将来の行政の姿と職員体制との関係が本計画においてより明確になるようにしていかなければならないと考えており、今後、毎年の予算編成や組織改正時において、さらに具体的な取り組み策を明らかにしてまいりたいと考えております。 次に、市の業務に従事している者の実態調査についてのお尋ねでございます。 本市としましては、適切な入札等により、最小の経費で最大の効果を上げるため、適切な業務執行を行っているものでございます。そうした中で、法令等を遵守した適正な労働条件を設定していることは委託先としての要件の一つであり、また、一連の偽装請負や報償費等の問題を受け、法令違反に結びつく実態を再び招くことのないよう、契約内容や現場での業務実態の把握等については、今後も継続して行ってまいります。 次に、構造改革路線で苦しむ市民の実態についてのお尋ねでございます。 近年、所得格差等さまざまな格差があらわれ、それが拡大していることが社会問題となっております。また、国では、持続可能な社会保障制度の確保のために、世代間のバランスをとりつつ、公平公正な給付と負担になるよう制度改正を進めており、その結果、高齢者の方々の経済的な負担が重くなっていることは十分認識いたしております。 次に、市民プールに関してのお尋ねでございます。 市民プールは、昭和40年代に建設され、おおむね20年が経過した時点で、プール槽のステンレス化やプールサイドの全面改修などの補修工事を行っております。その後は本市の財政状況が次第に厳しくなるとともに、阪神・淡路大震災に係る震災復興事業などの行政需要に優先的に対応する必要性がありましたことから、プールの安全対策として、管理運営に係る必要最小限の補修を行ってまいりました。また、5カ所のプールにつきましては、建設後40年を経過していることに加え、2階建ての構造となっていることや、震災の影響などもあり、老朽化が進んだものと考えられます。市民プールは、市民の皆様が水に親しみ、遊泳する場として、長年にわたりその役割を果たしてまいりました。しかしながら、民間プールの増加や平成18年には年間利用が可能な県立プールが本市にオープンするなど、市民プールを取り巻く状況も建設当時とは変化しており、市民プールの老朽化状況や本市の現下の財政状況も勘案し、2カ所の運営は継続するとする市民プールの整理統合の考え方を示したものでございます。 次に、大島保育所の保護者から出された改善要求についてのお尋ねでございます。 大島保育所の民間移管に当たりましては、保護者から移管に係る選考基準や選考方法等についての要望書の提出があり、現在、各要望項目につきまして市の考え方をお示しし、御説明しているところでございます。今後協議を進める中で、保護者の方々の御意見を取り入れることが可能な項目につきましては、柔軟に対応してまいりたいと考えております。 次に、公立保育所の充実策の具体化についてでございます。 昨日も御答弁いたしましたとおり、公立保育所の今後の基本的方向は、公立保育所の今後のあり方についての基本的な考え方を示したものでございます。その中で、公立保育所が果たすべき役割としまして3つの役割を掲げ、一部例示的な事業を示しておりますが、そうした役割を実現するための具体的な取り組み内容等につきまして、今後さらに検討してまいりたいと考えております。 次に、学校給食調理業務の民間委託の進め方についてでございます。 学校調理業務の民間委託につきましては、給食調理業務見直しに係る実施計画素案を作成し、教育委員会において数度にわたり保護者、PTA連合会、市民の皆様に対し御理解を求めるために各小学校や地域での説明会を実施し、パブリックコメント等で御意見をいただき、また、その都度議会へも報告し、実施計画案を作成したものでございます。また、実施計画案についても、素案と同様に市民の皆様に対し説明会を行うなど、説明に努めてまいりました。しかしながら、議会の同意を得てから市民の皆様に具体的な説明をする方法では限界のあることから、今後は、より早い時期に意見交換を行う必要があると考えております。 次に、給食室の整備に係る現場職員からの意見を聞くことについてでございます。 給食室のドライ化については、教育委員会で適切に整備したと聞いておりますが、今までドライキッチンでの衛生管理を経験していなかった現調理師が調理を行うのは大変な苦労があろうかと存じます。そして、何より大変なのが、衛生意識を変えることだと思います。しかし、本当に意識を変えなければ、行動を変えるのは難しいことでしょう。ぜひ機会を得て、調理師の皆さんの意見を伺いたいと思っております。 次に、公営企業審議会の設置目的や会議の公開などについてのお尋ねでございます。 市営バスは、通勤通学者や高齢者などの身近な交通手段であり、市民生活、都市活動を支える市民の足として重要な役割を担っております。また、今後の高齢社会の進展や環境問題への対応など、公共交通としてのバスに求められる役割は大きいものと考えております。しかしながら、市営バス事業の経営状況は、人口減少やマイカーの普及などによる利用者数の激減により、一般会計からの路線補助金を繰り入れても、なお厳しい経営環境にあり、今後さらに厳しさが増すものと考えております。そういった中で、市営バス事業の今後の進むべき方向性について、全市的な観点から総合的に審議いただくために、公営企業審議会を設置するものでございます。 なお、公営企業審議会は、市長の諮問機関として設置するもので、委員として学識経験者や市議会議員、市民の方々などにも参画していただくこととしておりますので、市民説明会は行いませんが、その審議は公開してまいります。また、市民意見につきましては、別途実施するバス交通に関する市民意識調査事業において、市営バス事業についてもお聞きすることとしておりますので、その結果を審議会に報告してまいります。 次に、老人市バス特別乗車証制度の見直しについてでございます。 今後、70歳以上の高齢者人口が増加する中で、それに比例して事業費がふえ続ける状況が見込まれます。財政状況が極めて厳しい中で、老人市バス特別乗車証制度を今後も安定した事業として継続していくことができるよう、福祉制度としての見直しを検討することといたしたものでございます。 次に、老人市バス特別乗車証制度の市民意識調査に関してのお尋ねでございます。 老人市バス特別乗車証の見直しに当たりましては、乗車証を利用している高齢者はもとより、交付の対象とならない方も含め、幅広い市民の声を聴取してまいる考えでございます。 次に、老人市バス特別乗車証制度に係るアンケート項目などについてのお尋ねでございます。 アンケートの実施に当たりましては、制度の趣旨や市の財政状況、高齢者の推移、見直しの必要性などについて理解していただくための資料も盛り込んだ内容にしていく考えでございます。アンケートの内容につきましては、市がその項目や内容の素案を作成し、検討会の委員の御意見をお聞きする中で決定してまいります。 次に、黒澤明監督の「生きる」という映画を見たことがあるのかといったお尋ねでございます。 拝見したことがございます。 以上でございます。 ○議長(田村征雄君) 保田教育長。 ◎教育長(保田薫君) 教育に関する御質疑にお答えいたします。 まず、教育委員会は市民プール廃止案が出たときに、夏休みの子供たちの居場所として必要な施設だという意見は持たなかったのか、また、市民プール廃止に伴う夏休みの子供たちの過ごし方について、それにかわる対策をどのように検討したのかというお尋ねでございます。 市民プールは、長年子供たちが夏休みに水に親しむ場所として活用されてきており、子供たちの居場所の一つであると考えております。しかしながら、老朽化による市民プールの整理統合が避けられない状況の中で、子供たちの夏休みの生活への影響も考え、小学校プールの開放について教育委員会として取り組みを検討したものでございます。学校プールの開放に当たりましては、安全面や衛生面を考え、改築済みのプールを対象とし、学校の水泳指導に支障を来さない範囲での開放となりますため、市民プールと全く同様の条件とはなりませんが、子供たちの健全育成に少しでも役立てたいと考えております。 次に、学校給食でございますが、4年間で全校実施という計画でなければならないのか、民間委託により問題が発生したとき、直営に戻すことも視野に入れているのかどうかというお尋ねでございます。 衛生管理のさらなる向上と給食内容の充実などについて、各学校での不公平感をできるだけ短期間で解消するために、4年間をめどにすべての給食室の改善を行うものであります。ただし、耐震診断の結果のいかんにより、改築の必要性がある場合や統合関係校については、別途検討が必要であると考えておりまして、整備後に順次給食調理業務の委託化を図ってまいります。 なお、委託後も安全で安心な給食を継続的に行ってまいるものでございます。 次に、給食室のドライ化工事が終わった3校について、実態調査を行ったのか、また、委託になる前にドライ化についての職員の意見を聞くべきと考えるがどうかという御質疑でございます。 今回のドライ化工事は、高温多湿である環境を改善するために必要な整備であり、今後もさらに安全な給食を継続するために行っていくものでございます。また、3小学校についての課題点については、9月からの実施状況について報告を受けるだけでなく、実地確認などの検証を行い、現場の意見を反映させ、可能な改善を行いました。今後ともよりよい給食室の整備に努めてまいりたいと考えております。 次に、実学重視などの新高校の概要に立って、どのような全国に誇れる内容となるのかというお尋ねでございます。 新高校が他に誇れる学校となるためには、教育内容の充実と、これを支える環境整備が相まって、まず生徒や保護者、市民から、入学したい、学んでみたいと評価を得ることが必要であります。このためには、教育内容におきましては、昨日御説明したとおり、実務や実践を大切にする実学を重視してまいりたいと考えております。その細部にわたる内容は今後定めることになりますが、学校での取り組みを通して進学や就職において十分な成果を出していくことこそが、他からの評価につながり、市民が誇り得る高校となると考えております。 このため、施設整備においては、教育を保障する学習環境はもとより、クラブ活動の推進などにおいて、これからの時代にふさわしい内容を備えたものが必要と考えております。 以上でございます。 ○副議長(酒井一君) 辻修君。   (辻  修君 登壇) ◆33番(辻修君) 1問目をお聞きしてまいりました。尼崎市役所で働く労働者の実態調査ですね、適切な入札、法令遵守しているということで、うまくいっているというようなことでしたが、昨日の新聞報道によりましたら、住民票の入力業務の人たちがストライキに入るということが書かれておりました。数年前にも市バスでストライキがありました。こういう行政が行う仕事の中でストライキが行われるというのは、異常な事態なんです。全国的にも例がない。尼崎が全国に恥をさらしているというふうに受けとめるべきだと思います。真剣な検討というのが求められていると思います。 それから、決める前に市民と相談するというようなことでの問題でしたけれども、議会が議決してから説明するというのでは限界があるということなんですけれども、どの段階で市民合意を得ていくかというのは、これからもよく検討していかないかんということだと思います。 決める前に市民と相談するというのが、たしか市長の最初からの姿勢だったと思うんですけれども、決める前にも相談する、決めてからも、こういう制度になりますというのをしっかり説明するということが必要だと思います。 2問目に入ります。引き続き市民プールの問題で質問してまいります。 小学校プールの開放が市民プールの代替になるのかという問題です。 市内の浄化装置のある小学校の6カ所の開放が予算提案されています。開放時間は、午前、午後の2時間ずつから3時間ずつに延長されましたけれども、開放期間は8月の前半の2週間程度というのは変わりません。市民プールは小学校の子供たちだけではなく、幼児も使っています。プールを利用している保育所も、公立私立を問わずほとんどの保育所が利用しているように聞いております。市民説明会では、保育園関係者から出された意見で、保育園でもプールはあるけれども、非常に狭い、そして、子供たちが水に親しんで、その夏にどこまで成長したか、これをはかるのが市民プールでの保育ということになっているそうです。さらに、8月のお盆前後などは、里帰りなどで子供たちが少ない。保育士さんも夏休みで少ない。この時期には市民プールには行けない。したがって、市民プールでの保育は8月の後半に集中をするし、ほかの保育所と競合しないように調整をして今でもやっているという状況の発言がありました。8月上旬では非常に使いにくい、いや、使えないというのが意見だったと思います。こうした意見について、最後の説明会では回答がありませんでした。 お聞きします。 小学校プールの開放は、保育園児、幼児の成長という観点からはどのように検討されたのでしょうか。お答えください。 大庄の市民説明会では、プール開放の対象校になっている学校の教員の発言がありました。現場で実際に学校プールの指導に当たっておられる方だけに、指摘はリアルでした。循環式浄化装置のついているプールは、常にオーバーフロー状態、つまり最も水深が深い状態で使用されております。小学校の低学年と高学年では身長がかなり違うので、プールの底の深さが違っていて、水面を見ただけでは深さがわからないという状況になっています。実際の学校ではプールをフェンスによって区切っているようであります。学校でのプール授業は、深い方、浅い方いずれかを使って、全員が一斉あるいは順番にプールに入る、泳ぐ、プールから出るという状況で、同じ行動をとらせますから、管理が非常にしやすい。ところが、市民プールのような使い方では、そうした管理ができない。学校の授業のプールとは全く違うわけであります。幼児が誤って深い方のプールに入る、あるいはフェンスを乗り越えて深い方に入る、これがとめられますか。学校プールの開放は教育委員会が管理をするということですが、教育委員会が持っているのは、授業としてのプールの管理のノウハウであります。市民プールのノウハウではありません。2月の市民説明会では教育委員会の出席もありました。私は、かえって不安になりました。大庄の説明会に参加したのですが、南の口プールの現在の利用人員は1日200人前後、学校プールではどれぐらい利用できるのかとの質問に、ロッカーが男女50ずつなので、100人は入れる。午前、午後の入れかえで200人という回答でした。しかし、8月上旬の日曜日ともなれば、親子で来ることも考えられ、教育委員会の回答は、日曜日は入り切れないと心配しているというものでした。最初から収容し切れない計画、実施をする教育委員会そのものが心配だというような計画が代替案と言えるのでしょうか。 お聞きいたします。 教育委員会は、昨年の夏、市民プールとの違いを実際に調査してみて結論を出したのでしょうか。学校開放の案が出てきたのは、市民プールを閉鎖してからの話だったと思いますが、市民プールの実際の調査はできていないと思うのですが、子供の安全にかかわる問題ですから、調査したのかしなかったのか、お答えください。 市民プールについて、市民説明会とは別に、陳情者と個別の話し合いもあったようです。しかし、武庫地域の説明会で、PTAの方が大変怒って発言をされていたと聞いています。 お聞きいたします。 連合PTAとはどんな話し合いがされてきたのでしょうか。経過と内容をお聞かせください。 また、市の説明に市民は納得したのでしょうか。市長の認識をお聞かせください。 学校給食の2問目は、業者選定と雇用の問題で伺います。 当初、給食調理業務について、現在の体制のままだと13億円の経費がかかっているが、民間に委託すると9億円程度だという試算が提示されておりました。しかし、今回業者選定を行った結果、直営と民間業者の差は4校で400万円、1校当たり100万円の効果しかありません。最近では、教育委員会も財政効果とは言わなくなっているようです。また、業者選定の過程で、当初、説明会への参加や応募書類を受け取ったのは18業者でしたが、実際に申請をしたのは6業者です。その後、1業者が別の地域で学校給食調理業務を受けたので、辞退をしました。もう一つの業者も、責任者になる予定の人が退職をし、人材が確保できないとの理由で辞退をいたしました。 結局、4業者を審査して、大阪と神戸の2業者が選定され、別の大阪の1業者が次点となりました。それぞれ給食の委託を手がけている大手業者ばかりであります。市内の業者は次点にも選ばれませんでした。市の担当者は、初めてであり、ハードルを高くしたためと言っておられました。しかし、次の選考もハードルを下げるわけにはいきません。子供たちが毎日食べる給食の問題であります。しかも、これから毎年4校、18校、18校と民間委託を進めていく計画です。これに対応できるのは、多くの調理員や資格を持った責任者を配置できる業者に限られてきます。 お聞きいたします。 限られた業者にしか受けられなくなることで、業者が特定され、その意向を尼崎市が無視できなくなる、そういう危険はないのか、少なくともそういった懸念を検討したのかどうか、お答えください。 嘱託労組との懇談でお話を聞かせていただいた嘱託調理員の方は、経験9年から、一番短い人で5年でした。給食調理というのは、家庭料理とは違って、全校の生徒分を大量につくるという業務です。たとえ調理師免許を持っていても、大きなかまを持ち上げるにもコツが要ります。経験が必要な職場です。ですから、嘱託という専門性が要求されるんですけれども、1年限りの雇用という不安定さもあります。民間委託によって嘱託調理員の方々はどうなるのでしょうか。来年度は配置がえによって対応すると当局から言われているようですが、4年後にはすべての対象校が民間移管されてしまいます。職場がなくなるわけであります。このままでは、4年後に給食調理に携わっている嘱託調理員の方々は雇いどめになるのでしょうか。雇用対策はどのようにするつもりでしょうか。お答えください。 続いて、栄養職員について伺います。 栄養職員を各小学校に配置することは、偽装請負にならないためにも重要です。請負業者への指示の窓口になるからです。しかし、現状は、尼崎市の給食に携わっている栄養職員は27人です。全対象校に配置するとなると、17人足りません。兵庫県も新行革プランを進めている中で、県費で栄養職員を確保することは難しいのではないでしょうか。 お聞きいたします。 市費で確保するとなれば、かえって直営より経費がかかることにもなりかねません。学校栄養職員の確保はどのようにするつもりでしょうか。お答えください。 次に、尼崎産業高校、東高校の統合問題について伺います。 学校での教育活動の中心は、教科指導と生活指導というのがあります。教科指導というのは授業の内容です。生活指導というのはホームルームや特別教育活動の指導のことですが、教育活動の方針や枠組みを示すのがカリキュラムで、時間割や年間指導計画の形で示されます。このカリキュラムを決めるためには、まずどんな学校にするのかの方針が必要です。そして、その方針に沿ったカリキュラムがあってこそ、教室は幾つ要るのか、特別教室はどんなものがどれぐらい必要なのか、またその配置などを決めることができます。尼崎産業高校と東高校との統合で一番問題になるのは、職業科という専門分野を扱う産業高校と受験などを中心とした普通科の尼崎東高校とは、質的に全く違う高校の統合だという点です。全国にほとんど例がないというのは、この2つの統合というのはそれほど難しい問題だということであります。高校生たちに教える教科目は、学習指導要領で職業科の場合は専門科目の単位履修が25単位と定められています。尼崎産業高校では、それを33から39単位に拡大しております。だからこそ専門の分野を手厚く履修することができていると考えます。しかし、その分、普通科目の単位数は普通科に比べて少なくなります。分量の少ない科目、教科書を履修させることにならざるを得ません。その結果、教える内容も教え方にも違いが出てきます。また、評価の仕方や単位認定の基準も違うことになります。さらに、ホームルーム編制も、尼崎産業では商業、機械、電気の3つの科のミックスホームルームを実施しています。尼崎東でも自然学級編制にしています。その編制理念は同じでも、その2つをならしてのホームルーム編制は大変難しい問題であります。また、両校に聞きましたところ、尼崎産業高校では、生徒のモチベーションを9月に高めるように工夫をしているということでありました。就職の時期に合わせて生徒たちのそういった意識が高まるようにしている。一方、東高校では、11月あるいは2月に合わせています。これは受験に備えるためであります。この時期に体育大会や文化祭などの学校全体の行事を組むことはできません。その時期がそれぞれの学校の特性によって違う時期に定められているわけです。それほど違っているわけであります。ホームルームや生徒会指導でも異なっているのに、教師の側が一括して指導することはできないのではないでしょうか。教科指導や評価の仕方を相談する教科会議、ホームルーム指導を相談する学年会、学校全体の教育活動を相談する職員会議、これもそうした職業科と普通科と内容が違うわけですから、別々に持たざるを得なくなってしまいます。これを無理やり一つの学校として運営することは、到底不可能と言わざるを得ません。これは私が言っているのではなくて、両校の教職員の方々がそろって言っていることであります。 先月末に尼崎産業高校の職員一同、今月の初めに尼崎東高校の職員一同の名前で、教育長、教育委員長あてに意見が出されました。職員一同というのは、教職員全員が一致して出した意見だということであります。これは極めて重要です。要約すると、こうなっております。現在及び将来の生徒にとってよい方向で教育が発展することにいささかの異論はない。両校の現場では、昨年度末まで--これは2007年3月のことですが--両校のカリキュラムを統一することが可能かどうかを検討しましたが、困難であるとの結論に至りました。その後、教育委員会からは、この結論を覆すような提案はなく、設計図完成に向けた提示だけがなされてきました。つまり、両校の教員は1年もかけて検討したけれども、結論は、無理だということにならざるを得なかった。それを再検討するような材料を教育委員会は1年間も示さないまま今日に至っているわけであります。 お聞きいたします。 いまだに統一カリキュラムができていないのは、1年間も放置してきた教育委員会に責任があります。教育委員会は、統一カリキュラムができるというのなら、両校に対し誠実に答えるべきであります。昨日の御答弁では、2008年度のできるだけ早い時期に説明やPRをすると答えられました。そうであるならば、統一カリキュラムができるという根拠をお持ちと思いますが、お聞かせください。 また、統一カリキュラムのない状態で設計された新高校の設計図はどんな位置づけになるのでしょうか。お答えください。 市長にお聞きいたします。 市長は、両校の教員が誠実に検討した結果、職業科と普通科高校を統合したカリキュラムの作成は困難だとの結論を1年も前に出しているのに、教育委員会から何の解決策もまだ出されていないことを認識されているのでしょうか。市長の考えをお聞かせください。 なぜこのような事態になったのでしょうか。もともと産業高校と東高校の統合を決めたのは市立高等学校審議会でありますけれども、そのときは総合学科のようなものを想定しておりました。それが途中で工業系の学科というのから、電気、機械、国際ビジネスという明確に専門科を定めたことで、当初の基本計画が崩れてしまった。そのために、統一カリキュラムの作成が不可能になってしまったわけであります。さらに、教職員の方々の前述の意見書では、こう述べておられます。計画では、開校までたった2年しか残されていません。となると、カリキュラムは実質的に来年夏--つまりことしの夏--までに完成させなければなりません。しかし、計画を推進する教育委員会でさえ具体的な提案もできずに今年度末を迎えようとしています。とても間に合いません、というものでありました。 お尋ねします。 この意見書が述べているように、教育委員会がいまだに具体的な提案ができないのなら、開校に間に合わないか、2つの学校が併存する併置校とならざるを得ませんけれども、教育委員会の考えをお聞かせください。 次に、行財政構造改革推進プランとの関係で伺います。 教育内容が不明確なまま、行革効果だけは明確に数字が出されています。行財政構造改革推進プランでは、市立全日制高等学校の見直しの項目を掲げて、尼崎東高等学校と尼崎産業高等学校を統合することに伴い、あわせて経常的経費の見直しを行うとしています。その効果額は、同規模程度の高等学校との比較による概算額として3億5,814億円を計上しております。恐らく人件費が多くを占めていると思います。 お尋ねいたします。 概算額だとしても、何を比較しての効果額としているのでしょうか。根拠をお示しください。 これは管理職の削減だけではできない効果額です。効果とは、職員の削減でしょうか、教員の削減で考えておられるのでしょうか。お答えください。 続いて、公契約、リビングウエッジ条例の問題について伺います。 議会サイドでは、陳情の採択後、公契約条例の実現を目指す議員の会が発足いたしました。手探り状態ではありますけれども、勉強会を重ねていっているところであります。既に3回、勉強会を行いました。労働者だけではなく事業者の方からも期待の声が上がっています。もちろん議会だけで条例化できるものではないとも思います。条例ができれば、執行するのは当局ですから、十分協議することも必要だと考えています。 そこでお尋ねいたします。 公契約、リビングウエッジ条例について、共同のテーブルにつく、あるいは共同で研究を進めるつもりはありませんか。市長の考えをお聞かせください。 2問目の最後に、映画「生きる」について、市長もごらんになったということでありました。志村喬さんが演じる主人公が、雪の降る公園のブランコに乗って命短しと歌うシーンは有名であります。昨年、松本幸四郎さんの主演でリメイクをされました。内容を少し紹介いたします。 ある市役所の市民課課長が、がんの告知を受け、余命半年という中で、自分はどうしたらいいのか、悩んで悩み抜いた後選んだ道は、仕事をやり遂げるということでありました。ここで言う市民課というのは、市民の苦情窓口です。かつてたらい回しの窓口でしかありませんでしたが、一念発起した課長は、積極的に働くことになります。やがて死を迎えるのですが、お通夜の席で市役所の職員たちが、なぜやる気のなかった課長が突然変わったのか、自分の担当でもないのに口を出してくる、あるいは上司に盾突いたのは前代未聞だ、実績を横取りされてかわいそうだなど、さまざまな疑問や感想がこの課長の死について語られました。しかし、やがて明らかになってくるのは、小さな公園をつくってもらった近所のお母さんたちが、心底この課長の死を悲しんでいる。公園をつくるために、担当である公園課の職員全員に頭を下げて回ったこと、上司やならず者の妨害にもめげなかったことなど、必死にこの小さな公園をつくるために意志を貫き通した、その姿でありました。そして、最期に雪の公園で死んだことは、寂しい死に方ではなくて、最後にその姿を見かけた人が、とても楽しそうだったという感想を語って、半年という短い期間ではありますけれども、満足をして死んでいったということが浮かび上がります。 ここには、住民に最も身近な地方公務員としてのすばらしい姿があるのではないでしょうか。住民のために物をつくる、住民のために制度をつくっていく、そのために身を粉にして働く、ここに地方公務員としての役割、やりがい、生きがいも知恵と工夫も生み出されてくるのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。 映画「生きる」を職員研修の材料として使ってはどうでしょうか。見解をお聞かせください。 これで第2問を終わります。(拍手) ○議長(田村征雄君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) それでは、辻議員の第2問目の御質疑に対しまして、順次お答え申し上げます。 まず、市民プールの整理統合に係る連合PTAとの話し合いの状況などについてのお尋ねでございます。 都市整備局からは、本年1月にPTA連合会の役員の方々に学校プールの開放を含む市の修正案を説明するとともに、委員会での陳情審議の中でも議論のありました段階的廃止などについても意見交換をさせていただいたと聞いております。その後、5カ所のプールを改めて点検し、検証した結果、市民の安全を確保した責任ある運営はできない状況であるとの報告を受け、5カ所同時の閉場と決定したものでございます。 この市民プールの整理統合につきましては、多くの市民の御意見がある中、市民の皆様の理解が得られますよう、今後とも市民プールの状況や整理統合の必要性について、わかりやすい情報提供などにより説明を尽くす所存でございます。 次に、新高校のカリキュラムについてでございます。 カリキュラムの作成につきましては、学校現場と教育委員会との共同作業でつくられるものと受けとめております。現時点においてこうした状況があることは、まことに残念でありますが、必要により論点等を公開して、専門家の知恵を借りるなど、そういう工夫によりまして、早期に作成することが必要だと考えております。 次に、公契約、いわゆるリビングウエッジに係る行政との共同研究などに関してのお尋ねでございます。 公契約に係る条例制定に関しましては、一般に賃金等や安全確保などの労働条件は、労働基準法等に基づき、当事者間で適切に処理されることがあくまでも基本であると考えており、労働者の賃金、労働条件の確保を適正に行うためにも、公契約法の制定が待たれることから、国の動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。しかしながら、議会において陳情が採択されたことから、現在、担当課において同内容の陳情を採択された自治体を中心に、動向、課題を調査しているところであり、現段階では共同で研究を進める考えはございません。 次に、映画「生きる」を職員研修の材料として使ってはどうかというお尋ねでございます。 この映画は、本当に生きる意味とは何か、私たちの公務員の使命とは何かを考えさせられる内容であったと考えております。現在策定中である新たな人材育成計画におきましても、市民の立場に立って市民とともに考えることができる職員を育て上げていくことを基本といたしまして、職員の研修に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(田村征雄君) 保田教育長。 ◎教育長(保田薫君) 小学校プールの開放は、保育園児、幼児の成長という観点から、どのように検討されたのかという御質疑でございます。 学校プールの開放は、幼児から中学生まで、子供たちに夏季期間に自由に水に親しめる場を提供するため実施しようとするものでございます。こうしたことから、施設面等での制約はございますが、プールの水深を浅くするための、例えばプールフロアの設置を初め、プールに管理責任者や監視員を配置するなど、安全管理面に配慮した中で検討を行ったものでございます。 次に、教育委員会は、昨年の夏、市民プールとの違いを実際に調査して結論を出したのかというお尋ねでございます。 教育委員会といたしましても、学校プールの開放実施に向けまして、対象となる小学校プールや市民プールの現地調査を行うとともに、学校長の意見を聞くなど検討を重ねてまいりました。また、関係部局等との利用者の安全管理の面や施設面、運営方法などについて協議をした中で、具体的な実施内容を決定したものでございます。さらに、実際の学校プールの運営に当たりましても、プールの深さや利用上の注意をわかりやすく表示するとともに、監視員による注意喚起を行うなど、安全確保に努めてまいります。 次に、給食調理業務については、特定業者しか受託できないために、尼崎市がその意向を無視できなくなることはないのかというお尋ねでございます。 今回、給食調理業務の委託業者を募集するに当たりまして、説明会の参加や問い合わせが18業者あり、そのうち応募は6業者で、最終的に2社を選考いたしたものでございます。しかしながら、応募に至らなかった業者の中には、参加までの準備に至らなかったが、来年度以降はぜひ参加したいといった業者も数社あることから、次年度以降は参加業者がふえるものと考えております。 4年後には給食調理にかかわっている嘱託調理員は雇いどめになるのか、雇用対策はどのようにするつもりかというお尋ねでございます。 御指摘のとおり、平成20年度につきましては配置がえによる対応により嘱託員の雇用確保の問題は生じてまいりませんけれども、今後さらに委託化を進める中では、嘱託員の雇用対策につきまして、できるだけ早期に明らかにしていく必要があると考えております。なお、雇用対策の検討に当たりましては、これまでの経緯も踏まえ、嘱託員の意見も聞きながら、最大限努力をしていく考えでございます。 次に、学校栄養職員の確保をどのように考えているのか、市費で雇用すると費用がふえるが、どのように考えているのかという御質疑でございます。 食育の推進のためには栄養士等の確保が必要なことから、不足する栄養教諭、学校栄養職員につきましては、引き続き兵庫県及び県教育委員会に対しまして、あらゆる機会を通じて全校への配置を要望してまいります。しかしながら、これら職員等の確保が困難な場合につきましては、負担にかかわらず、市費による栄養職員等の確保についても検討してまいります。 新高校の統一カリキュラムができる根拠はどうか、また、統一カリキュラムのない状態で設計された設計図はどんな位置づけになるのかという御質疑でございます。 教育課程、いわゆるカリキュラムにつきましては、市の学則によっても校長が定めることになっております。新高校の教育課程につきましてもこれを定める必要がありますので、教育委員会が主体となって、今後予定されている学習指導要領の改定も踏まえながら、できるだけ早い段階でまとめてまいります。 次に、新高校の設計につきましては、高校としての基本的な構成は大きく変わるものではありませんけれども、法令の遵守はもとより、統合する両校から必要な教室等の数や面積についての要望も受けて、市立尼崎高校や他の高校との比較検討もする中で進めてまいりました。こうしたことから、新高校における教育を展開するに際しまして、諸条件を満たす施設となっていると考えております。 カリキュラムの提案ができないなら、開校に間に合わないか、併置校にならざるを得ないがどうかというお尋ねでございます。 新高校は、普通科と3つの専門学科で構成する一つの高校であります。学科の枠を超えた選択科目の設置や学校行事、課外クラブ活動など、工夫を凝らした学校運営に取り組んでまいります。 最後に、削減効果額の根拠は何か、教員の削減で考えているのかというお尋ねでございます。 行財政構造改革推進プランでお示しした構造改善効果額は、新高校と尼崎東高校及び産業高校2校の経費比較から算出したものでございます。そのうちの大半は人件費となりますが、新高校の教職員数につきましては、同規模程度の学校を参考とし、学校規模や学科構成によって配置人数を定める高校標準法、いわゆる公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律、これを基本といたしまして、さらに一定の加算を行ったものでございます。一方、2校の教職員の人数は、現行人数を合計したものであります。 以上でございます。 ○議長(田村征雄君) 辻修君。   (辻  修君 登壇) ◆33番(辻修君) カリキュラムについてですけれども、両方の学校の先生はサボっていたからできない、非協力的だからできないのではないんですよ。1年間、学校をよくしようと、統一するなら統一するで、その学校がよりよいものになろうという思いはだれも一緒です。教員も一緒です。その思いで1年間ずっと検討してきたんですよ。しかし、職業高校と普通科という全く質の違う内容、授業の内容も違うわけです、教科の内容が違うわけです。一緒にすることは無理だという結論、これを一緒にできると言うのなら、教育委員会がこうすればできるということを示す必要があるんですよね。これがずっと示されないまま、この1年間来てるんですよ。できないという結論を持ったままね。そういう状態で、実際にカリキュラムを組んで授業をするのは先生ですから、その人たちができないと言っているのに、教育委員会は、この財政が大変なときに100億円のお金を使いたいと、この議会に提案しているんですよ。それに対して我々も判断を求められているわけです。それならば、こうすればできますという材料を示すのは当然じゃないでしょうか。しかも、全国に誇れる高校にすると言ったのはあなたです。完全なカリキュラムを出せとは言いません。すぐにできるようなものではないんでんよ。専門の教師集団が必死になって知恵を出してできるのがカリキュラムです。普通でも難しいのに、質の違う学校をつくるのは大変難しいんです。すぐにできるとは思いませんけれども、少なくともできるという材料を、この予算議会中に出してもらいたいと思います。再答弁をお願いいたします。 今の産業高校の教育目標は、文化の薫り高い、人間性の豊かな明朗にして幅の広い実践力に富む産業人の育成ということであります。特色として、専門についての基礎理論と技術革新の時代に対応する専門職業技術の習得が掲げられております。一方、東高校の教育目標は、民主的な文化国家の形成者としての資質を十分に伸ばし、健康で実践力のある人間を育成することにあり、基礎学力の充実、真理を探究する態度の育成などであります。専門技術を習得するためには、専門課程の教員を減らすわけにはいきません。一方、普通科教科では、共通性があるとはいえ、教える内容にかなりの違いがあり、一人の教師が両方の授業をするということは無理ではないでしょうか。そうすれば、普通科教員を減らすこともできません。現在、市立高校には教員の加配が行われていますが、それを減らすことになるのでしょうか。教員を減らして、どうして全国に誇れるよい学校にすることができるのでしょうか。このままでは十分な検討もされないまま開校となります。無理に統合すれば、両校のよいところをかえって壊してしまう結果となることを指摘しておきたいと思います。 学校給食についてお聞きしてまいりました。民間委託については、行財政構造改革推進プランの項目に掲げられています。職員の500人削減とあわせてのプランであります。正規職員の調理員が退職した後、新たに雇用したのでは、その職員が退職するまで続けなくてはならない、退職者を不補充にし、新たな職員を雇わない、ベテランであっても嘱託だけで調理業務を行うわけにはいかないので、この際、民間業者に委託をする。嘱託職員は雇いどめにする。民間委託するためには、給食調理室をドライシステムにしなければ国が認めてくれないので、不十分なドライ化であっても、とにかくドライ化の工事をする。4年間で全校実施というのは、こういう計画だと言われても仕方がないのではないでしょうか。 映画「生きる」を職員研修の材料にするということについては、ちょっとあいまいでしたけれども、ぜひ採用されるよう要望いたします。 最後に、ある人の言葉を紹介したいと思います。 市職員になった方々は、市民サービスに徹し、市民福祉の向上に貢献したいと思って市役所に入ったはずです。私は、職員の皆さんには、市民の方々の感動をみずからの仕事の原動力にするような公務員になっていただきたいのです。市役所という仕事は、それができる仕事なのです。現在の大変厳しい状況は、市役所は一体何のためにあるのか、職員はだれのためにいるのかを改めて見直し、職員としての働き方をみずから問い直すチャンスであります。一人一人が自分自身を信頼し、自治体職員として市民の視点に立って仕事を着々と行っていかなければなりません。その積み重ねにより信頼がはぐくまれ、そうした信頼がさらなる新しい信頼を生み、やがて市民から、市役所職員は市民の宝物、尼崎市の財産と評価されるようになると思います。 以上であります。まさに映画「生きる」に表現された市職員の姿をほうふつさせるものであります。これは、2002年12月12日、市民や職員約700人の前で初登庁の就任のあいさつをされた白井市長の言葉であります。市民の声、要望に対し、お金がないのでできませんと市民にあきらめさせるように説得する市役所職員の姿は、市民の宝物と言えるでしょうか。あなた方は人件費が高いので、安い嘱託や臨時職員、請負、派遣、指定管理者に置きかえますということで、市役所職員は尼崎市の財産と言えるのでしょうか。困難ではあっても市民の要望をどのように実現していくのか、前進させていくのか、市民と一緒に悩み、知恵を出し合う姿こそ求められているのではないでしょうか。市民のために働くことにこそ、自治体職員の生きがい、やりがいが生まれます。市長が所信で述べられた職員像が市政の中で根づかされるように期待をいたしたいと思います。 以上で共産党議員団を代表しての私のすべての質疑を終わります。残余の問題は、分科会、総括質疑でただしてまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田村征雄君) 答弁を求めます。 保田教育長。 ◎教育長(保田薫君) できるだけ早い段階で新高校のカリキュラムを示せというふうな御質疑でございましたけれども、カリキュラムといいますのは、本来、毎年度学校においてつくる教育計画でございます。そして、その基準となるものが教育基本法とか学校教育法とか学習指導要領、そしてその学校の生徒の実態、そういったものを踏まえて毎年計画を立てる、これがカリキュラムでございます。したがいまして、現在、学校教育法が改正され、そして、高等学校の学習指導要領は、この夏以降、秋ぐらいに新しい改定案を示すということになっておりますけれども、そういうものを踏まえて新しい高等学校のカリキュラムをつくらなければなりません。しかし、現段階で基本的なところは教育委員会が骨組みをつくって、これはできるだけ早い段階でお示しをしたいというふうに思います。 基本的なことはできるだけ早いときにお示しができます。基本的な考えにつきましては、この会期中にお示しすることができます。 以上でございます。 ○議長(田村征雄君) 辻修君の質疑は終わりました。 この際、休憩いたします。                    (午前11時41分 休憩) ---------------------------------                    (午後0時59分 再開)
    ○議長(田村征雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質疑を続行いたします。 発言を許します。 弘中信正君。   (弘中信正君 登壇) ◆8番(弘中信正君) 皆さん、こんにちは。虹と緑を代表しまして、本会議に市長から議案上程されました08年度予算並びに関連議案につきまして、会派を代表して質疑させていただきます。 ただし、議員各位には大変御迷惑をおかけしておりますけれども、実質的には一人で臨んでいるというふうなこともありまして、勉強不足ということもあるでしょうけれども、市長初め当局にあっては、質疑の意を酌んでいただくように、よろしくお願いします。 また、他会派の議員とは別の視点からの質疑となるだろうと思いますけれども、その点もよろしくお願いいたします。 地方自治体として市民の生活の安心、安全な住民自治をつくるため、自律、つまりはみずから律せられる財政基盤を確立することは、税を預かり執行する首長として当然に求められるべき責任だと理解していますし、議会は、予算審議という場においても同様な責任を負っていると思っています。 市長は、03年から5年間、経営再建プログラムを断行いたしました。言うまでもなく、このプログラムの目的は、本年度末までに約800億円の収支不足が見込まれるとし、国の財政管理下に置かれる財政再建団体への転落の阻止でした。結果として、財源対策とあわせ100項目以上にわたる改革改善で、約530億円近い効果額をなし、とにもかくにも白井市長のもとで回避できたとのことです。そして、財政健全化を目指して第2ステージに入るため、5年間の行財政構造改革推進プラン案が策定されました。引き続いて財政健全化を図りつつ、少子高齢化と低成長の時代に対応した新たな行財政運営システム構築として、1つには財政の健全化、2つには地域社会を支える仕組みづくり、3つ目には行政経営のシステム構築という目標を立て、それらが互いに連携・機能することによって、将来的かつ安定的な行政運営を目指すとしました。来年度から始まります。不安定な財政運営はできないとの市長の決意があらわれていると受けとめています。 この行財政構造改革推進プランの本市での位置づけについて、昨日の議論を踏まえて考えてみました。市の説明から引用すれば、尼崎市が制定した第2次基本計画の事業の推進は制約される状況下にあるが、基本方向は尊重する。つまりは、基本計画は尊重するが、棚上げにする。財政健全化での基盤確立が優先であって、現在での収支の見通しが立たない中、つまりは長期的財政計画が立てられない中、第2次基本計画で示した実施計画そのものは策定は困難との見解です。基本計画といえば、自治体の最高位に位置する計画です。昨日からの議論に、基本構想、基本計画があるから実施計画を示せるはずだ、財政の最も厳しい自治体でも実施計画を市民に示して計画行政を進めている、だから、今の尼崎市にはビジョンがない、との指摘がありました。私は、尼崎市の基本計画は、行財政構造改革推進プランになってしまっていると考えます。ですので、当面する市の短期ビジョンは、行財政健全化と住民自治基盤の確立です。そして、福祉とのバランスを維持しながら収支均衡がとれる。つまり、本当の意味での収支黒字が出れば、本来の基本計画に立ち戻るとのことです。 構造改革推進プランで示された事務事業の見直しを含めた改革改善項目そのものは、事務事業評価の上に立つプランという限り、基本計画に値する行政計画です。そして、改善の事務事業見直しは、項目とされていますが、子育て、教育、まちづくり等の基本政策で公共の事業を廃止して民営化にすることなどは、行政計画の大きな方針転換なのです。そのこと自身、当局側が気づいておられないような気がします。市長部局に計画審議会がありますが、計画変更であれば、当然市民や議員参加での審議会や協議会でのレベルです。 そこで、本会議の冒頭での市長の施政方針を受け、この行財政構造改革推進プランと市民参加のあり方について、市長の考え方をお尋ねしたいと思います。 所信表明では、市長の基本的な考え方と市民参加が述べられました。市民の理解と協力を得ながら、安定した財政基盤を早期確立するため、基本姿勢としては公開と参画で、運営では改革推進プランを基本とし、まずは行財政の健全化をする、とあります。そして一方では、地域の子育て、介護、防災などの課題や多様な市民ニーズに対して、行政だけでは対応は難しい、市民団体等と協働で地域の課題を解決する仕組みをつくりたい、とあります。これが推進プランが目指す財政基盤と住民自治づくりです。両者は目標を共有して進んでいくんだとのことですが、このように受けとめてしまいます。つまり、財政健全化を含め、施策をつくる行政内部の問題は行政がする、そのもとで、市民は地域課題の解決に参加してほしい、行政の仕事と市民の役割を隔てているのではないかとも受けとめられます。これからの行政運営にこそ、地域の課題を知る、経験ある市民の知恵や活力が必要です。市民への情報公開、さらに市民の参画・協働での課題解決があるとすれば、行政の責任においてどのような協働の仕組みがつくれるのでしょうか。地域のコミュニティー形成の課題と言えますが、行政全体の計画には、行政が計画案を示して、市民は意見を述べるだけだというのではなく、参画とは、情報を共有して、計画をともにつくるものと認識しているのですが、この点について、そうではないのか否か、市長にお答え願えればと思います。 白井市長になって、行政運営の透明性や説明責任は大きく前進したと認識しています。市長みずから説明会を開いたり、車座集会を主催したり、行政が市民の意見を聞こうとはしています。財政基盤確立を目標とした第2ステージである行財政構造改革推進プラン案の作成に当たっては、議会とは協議会、さらには推進プランに市民の意見を反映させる30名から成る市民懇話会を設置しました。懇話会は、1年、12回の会議を経て市長への提言がなされました。私も2回ほど傍聴しましたが、正直、提言はあれだけの多くの議論を費やしたことに比べ、議論の結果をカード方式でシンプルにまとめられたものでした。ページにして35枚では、市民意見等、出された多くの意見の背景が余り見えてきません。しかし、この懇話会は、ワークショップで行財政に対しての提言が幾つも出るほどの盛り上がりでした。そういった意味でも、基本姿勢である公開と参画は果たしているようにも見受けられます。これを土台に、そのような市民との政策形成にかかわる討論の場を個別事務事業の見直しにおいてももっともっとできるのではないでしょうか。 榊原秀訓名古屋経済大学教授が編さんした「住民参加のシステム改革」という本があります。行政評価を実施している自治体について、情報公開は積極的だが、参加制度改革については積極的とは限らない。行政においても、市民は政策形成ではなく政策執行へ参加が限定されがちであり、また、参加の機会が存在するとしても、個人としての意見提出が基本と述べています。市民説明会とパブリックコメントに代表される市民参加が、それのみであれば、参画と協働の基本姿勢なのかと問うています。行政運営が目指すニューパブリックマネジメント方式では、この榊原教授の本によると、公共という巨大な民間サービス会社に自治体を仕立て、市民は税を払おうというお客様という公共サービスの消費者と位置づけていることです。午前中もこれに近いような発言もありました。 ここでお尋ねします。 市民懇話会の提言を受けて、行財政構造改革推進プランでは118項目にわたる改革改善策をまとめました。しかし、示された個別の改革改善事業まで市民が踏み込んで議論ができたわけではありません。確かに推進プランの策定までに議会との協議会や市民懇話会、パブリックコメント、最終的には各地での市民説明会を実施して、2月に案という経過がありました。いまだに案ですが、ここに示された新規、継続を含めた個別事業では、果たしてそれぞれが基本的に市民に合意されたと認識されているのでしょうか。お答えください。 市民合意まで至っていないとすれば、今後どのような方法で合意を求められるのか、お答えいただければと思います。 この推進プランでは、さらに66項目にわたる事務事業の見直し案があります。説明会では、市民の日常生活に影響のある項目については、必要に応じて市民との意見交換会や市民アンケートを実施するとあります。しかし、事業内容は変わらないが、料金改定などの市民負担で解決するものと、行政の政策そのものが大きく変わる、直営からアウトソーシング、つまりは民間事業者への転換とする事業項目があります。それは計画の見直しです。行政が執行する計画そのものの大きな転換でもあります。子育て施策と関係する保育所の民間移管、公立幼稚園の見直し、べビーホーム委託事業廃止、市民プールの廃止、法人保育園施設改修補助金廃止、教育では公立高校の見直し、青少年センターの見直し、公共サービスや窓口業務の検討や図書館、地区会館、公民館などの民間への委託、公共交通では老人バス券の見直し、環境問題では、ごみ減量、さわやか指導員制度の見直しなどです。これらはいずれも長期的な視点に立っての行政計画として転換される施策です。議会との協議や懇話会での市民の提言も受けてとのことですが、これらは行政内部で検討し、作成した方針案しか示されていません。 基本姿勢である協働と参画ならば、以下のことにお答えいただければと思います。 各事務事業の見直しは、どこで、どのような職員構成で計画の見直しがなされたのでしょうか。議論の過程は公開してもいいのではないでしょうか。それらの見直し案の議論には市民の参加はなかったのですが、いかがでしょうか。その計画そのものの見直しの政策形成の過程に市民の意見参加が必要ではないでしょうか。市民は、見直し結果にパブリックコメントや市民説明会で意見を求められるだけでいいのでしょうか。もっと言えば、事務事業の見直し計画は行政の政策そのものですが、市民の参加でつくれないでしょうか。 平成5年の9月の本会議で、当時市議会議員になりたての白井市長は、市民との協働のまちづくりについて、このように意見も含めて質問されています。 市民の要求を行政が要求するとき、財政面を含め、いろいろな制約の中で行われるため、実際は市民の要求レベルを下回ることが多いのですが、実現をする過程において市民が参加し、どんな制約があったということや、立場の違う人の意見をしっかり協議したり考えたりすることは非常に重要です。協働とは、市民と行政がひざを交えて話し合い、一緒に調査をし、計画をつくるというプロセスを踏み、あくまで市民主導で行うものだと私は理解しています。このプロセスは、一見は手間と時間がかかるようですが、実際は計画を市民が納得したところからスタートできる。 以上のような発言をされています。この視点は、市長になってもこのような姿勢は変わらないと思います。これは、今回のような保育所の民営化施策の新たな方向や計画、まちづくりや子供たちの学校外での遊びの施策ともつながる市民プールの廃止計画などについて、市民説明会ではなく、政策実現のための市民意見が必要ではないでしょうか。また、当時このような見識を持って発言されていた白井市長に対し、私は大変敬意を持っております。平成5年といえば、市長初当選の初質問ではないかと思います。これは、広い範囲でのまちづくりでの協議に当たって質問されたと思います。しかし、尼崎市の施策にかかわる重要な個別事業の見直しに当たっても、同じ視点が必要ではないでしょうか。市長のこの発言を踏まえて、見解をお示しください。 次に、住民自治基盤づくりです。 市民と行政がお互いの役割を認識し、協働で地域課題を解決していく仕組みをつくるとあります。何が課題なのか、これらの積極的な問題が具体的に示されずに、市民の活力や意識に期待するとして、公の責任と対策が全く出されていません。最近テレビで、東京板橋区常盤台交番勤務の宮本邦彦巡査が、踏切内に入った自殺志願の女性を助けようとして事故死したことがドラマ番組になりました。辻議員の「生きる」とは別な形で紹介しておきます。 意識不明中も全国から激励の電話があり、葬儀も多くの区民が見送ったとのことです。犯罪も多発する中で、交番があり、24時間警察官が常駐しているほど安心なことはありません。幾ら市民がボランティアで交番所に詰めたとしても、せいぜい道案内か警察本署に連絡できるぐらいです。最近の緑服を着た警察官OBの常駐は、ある面ではどこまで犯罪を監視してくれるのか、不安なものです。今、改革推進プランで示された多方面にわたる公共サービスの規制改革の中で、市民や地域団体、NPO、事業者にニューパブリックマネジメントで公共サービスを検証し、民でできるものは民でとして事業転換をしています。一定の業務の効率化での削減は認めるとしても、市民と直接に触れるサービス部門の合理化は、まさに市民サポートそのものを後退させるものです。プランには公民館、地区会館、図書館の見直しがあります。窓口業務を果たして今後市民、民間に何らの規制基準なく任せていいのでしょうか。会館管理業務サービスでは、民間で改善される部分があるかもしれません。毎週水曜日の一斉の休館日設定も変わるでしょう。しかし、地域の協働、扶助の力が失われている中で、計6カ所以上ある会館や公民館の職員に市民相談や介護や子育ての相談の情報発信をできるOBを含めた精鋭な職員ないし協働推進職員を養成して配置すれば、人の出入りするこれらの会館あるいは公民館が、それこそ行政の情報発信と、いわゆる交番所になるのではないでしょうか。つまり、直接的な職員配置で公共施設を多面的に使える空間にできないか、市民とともに検討してみるのはどうでしょうか。 安心・健康づくりとして、被保険者のヘルスアップ尼崎戦略事業、保健所の零細企業や非正規職員を対象とした健康サポートで、国が定めた特定健診受診率40%を目指すと、白井市長の施政方針にありました。昨年の12月議会でも指摘しましたように、健診受診率向上と特定保健指導、これは保険者事業として国が義務づけて、全国の自治体で4月から一斉に実施するものです。これを尼崎市の健康なまちづくり事業の目玉としていいのでしょうか。 長野県は、全国で医療費が最も低い県です。自然環境の豊かさや多世代が集える住環境、伝統的食文化、そして農業など高齢者がいつまでも働ける生きがいの場づくりや市民の健康運動が健康維持に役立っているとも言われています。そのような環境づくりは本市では無理としても、市民と行政、医療機関などの利用者と一緒になっての健康予防運動があってこそ、健診受診の意義も、また保健指導も、市民みずから実行意欲が出てくるのではないでしょうか。本市にも100万歩運動などの取り組みがあります。国の下請機関のように健診受診率増のみで健康なまちづくりが目指せるのでしょうか。それこそ市民も参加し、さらに市内の大学や関西支社もできたスポーツ企業とも提携し、協働で健康なまちづくり尼崎といった計画をつくるのはどうでしょうか。アスベスト、さらにC型肝炎訴訟に見られるように、健康を害する加害者責任を問うことで、広い意味での市民の健康が守れます。アスベストでは、たった数名から始めて国の政策を変えてきました。こういった企業や国の怠慢をチェックし、物申すお役所でなければなりません。また、産業医の健診チェックのもと、腰痛、頸腕を初めとした零細事業者で働く労働者の労災チェックもしてほしいものです。また、高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画が平成18年に策定され、2年が経過しようとしていますが、施設整備については計画どおり達成できているのか、現状についてどう評価されているのでしょうか。 特定高齢者に対する予防事業は昨年度から実施されていますが、計画どおり参加者が集まらず、一方で計画策定の見込みよりも要支援者が減り、要介護者がふえるという状況が見られます。相模原市では、市民参加で地域包括支援センターを拠点にした介護予防のボランティア養成も始めています。また、災害復興住宅等のシルバーハウジングに限り生活援助員が派遣されていますが、同様の取り組みは、すべての公営住宅を含め、もっと幅広い範囲で対応していく必要があります。今後も高齢者や要介護の増加がある中で、高齢者を地域で支え合うということについて、市長の現状認識と、どのような仕組みづくりに取り組んでいくのか、お答えください。 子育てについては、地域ボランティアの推進と支え合いの場づくりとありますが、親子サロンは週4日しか利用できないまま、1カ所は利用減のまま、2カ所ともつどいの広場の事業として民間団体に運営委託との方向です。当初の計画が甘かったということでしょうか。そして、困れば転換という民間方式として助けてもらう。事業への反省も検証もありません。一方で、現在民間委託されたつどいの広場事業では、小学生の利用もあったり、幅広い専門的資格を持ったボランティアがいるなど、だから民間委託がいいのではなく、民間のいいところを吸収し、公立保育所の一角にあるこの空間をさらに拡充させるべきです。まるで民間任せにしか見えません。 次に、防災対策として、洪水並びに地震ハザードマップ作成を計画しています。私は、1999年9月に起こった台湾地震被災地の支援に1年後に訪問をしました。当時の状況では、学校や市庁舎が崩壊して、住民のテント暮らしの様子を見ました。公共施設を耐震化することの重要性は感じていますが、一方で、戸ノ内地区での水災害にあるように、単身高齢者などはできるだけ近くの避難場所を必要としています。単位福祉協会規模での住民が協働しての災害時要援護者対策として、居住住宅マップの作成、さらにマンションやマンションの集会所などを指定避難所として事前登録して協力してもらう、カルフールの救援物資の提供協定のような事前協定で民間事業者の施設の提供など、これこそ民の活力を生かすべきではないでしょうか。市長の見解を求めます。 政策形成過程での市民の参加についてお尋ねしました。市民からの意見の聴取、また、反映しようとする姿勢がないという厳しい意見が、プール廃止や保育所の民間移管等での市民説明会でも声が上がっています。市民との対話や意見聴取には、特にアウトソーシングなどの民間移管という施策の転換には、正確に市民に案内を知らせなければ、第一歩の説明責任にはなりません。 ここで、3つの事例について触れます。1年前にさかのぼる市民向けに配布された学校給食調理業務の民間委託問題での説明資料、給食調理業務見直し計画(素案)では、業務を民間に委託しますとは、直接的には言っていません。給食の内容の充実・改善と食育推進、単独校調理、O-157対策などの衛生管理、コンベクションあるいはドライシステムなどが大きくうたわれ、民間委託については、最後に民間業者の活用も検討すると書いてあるだけでした。市民は、するかしないかを市民の意見を聞いて検討すると受けとめられ、あいまいな表現で「活用も」としても、計画素案を読んだ人に対して民間委託の問題について正しく説明がなされているでしょうか。その説明会の案内のチラシでもそうです。そこには、民間委託の民の字もありません。昨年の予算委員会の学校給食の民間業者委託については、採択に当たっては、附帯意見として、給食調理の内容改善のための給食室新築・改修の予算は認めるが、その手法としての民間移管については、一体として承認するわけではない。市民、PTA、学校関係者、議会との協議の場を持ち、検討することを求めるものでした。給食内容の改善に異議はないが、民間委託について議論してほしいということなのです。ですから、市民、PTAへの案内は、給食調理業務の民間移管について説明をし、意見を聞きたいと書いてなければならないはずです。事業変更についての正確な説明が必要です。でなければ、説明会の案内を見た人は、給食がよくなることは結構なことだ、説明会は行かなくてもいいのかで終わる可能性もあります。その対象の学校の保護者から、施設改善が提案された2月議会の陳情に、民間移管なんて聞いていないなどという内容で出てくることはないはずです。このような案内しかしていないのでは、誠意を持って問題提起し、意見を聞こうとしていると言えるでしょうか。 また、保育所では、他市では市民には率直に公立保育所の民間移管についての説明と案内をしているのに、公立保育所の今後の基本的方向で民間移管をその後示しています。別のところで、それは保育所の環境改善と民間移管計画とに分けて出ています。移管対象となる父母の会の保護者が、保育所の環境改善とか公立保育所の基本方向は、公立保育所を廃止し、民間での運営にかえることと知らされて、初めて議論が起こるということになってきました。私たちの会派も2つに分かれて、出された案を一体のものとは認めず、基本的方向については移管計画の中で議論の継続をしていくという立場です。 市民プールの廃止についても同様のことが言えます。廃止統合案は唐突過ぎる、市民との対話不十分との説明会での市民からの批判に対し、市の方は、2005年に利用者アンケートを実施しました、市民からの意見も聞いてきました、とのことでした。そのアンケートの用紙を見ると、13の設問の最後にたった1つ、市民プールの今後について3つの選択肢、1つは、数を減らしてでも続けてほしい、2つ、廃止もやむを得ない、3つ、廃止すべきである、との3問を選択で聞いているだけです。市民プールの存廃についての意見聴取であるにもかかわらず、1、数を減らしてでも続けてほしい、2、廃止もやむを得ない、3、廃止すべきであると、すべて廃止ないしは縮小を前提としての問いになっているのです。つまり、現状で存続してほしいは、選択肢にはありません。誘導質問ではないかと批判されても仕方がないのではないでしょうか。もっと充実してほしいも問いになっていないのは、プールの利用者は相対的に少なくなっている、縮小しても受け入れられるだろうとの先入観から誘導的にアンケートがとられていると言えなくもありません。そのことを保護者は知ってか、その他の自由記入欄というところには、意見の大半が減らさず存続でありました。 市役所組織の中に、市民との対話は何かについての意識における深刻な欠落がいまだにあるのではないでしょうか。これが市民全体への説明責任と言えるのでしょうか。国がよく使う料金値上げを適正価格にするという言い回しと同じです。 個別に挙げた3つの例について、そして、ただいまの問題意識について、市長の見解を伺います。 以上で私の第1問は終わります。(拍手) ○議長(田村征雄君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) それでは、弘中議員の代表質疑に対しまして、順次お答え申し上げます。 最初に、市民への情報公開や参画と協働による課題解決に関してのお尋ねでございます。 地方自治の原点は、そこに住み、集う人たちがともに力を合わせ、自分たちのまちをつくり上げていくことにあり、そのためには、行政運営の基本となる各種計画づくりへの参加はもとより、まちづくりのあらゆる場面で市民の市政への参加を促し、情報や課題を共有する中で、ともに議論を深め、市民の皆様が持つ潜在的な力をまちづくりに生かしていくことが、市民の市政への参画であると考えております。 次に、行財政構造改革推進プランに計上されている改革改善項目の市民との合意に関するお尋ねでございます。 プランに掲げるすべての事業が市民に合意されたという認識はいたしておりません。私自身も自分の言葉でプランを市民の皆様に説明したいという思いから、昨年12月の市民説明会に出席し、その中では、厳しい意見をいただく一方で、激励の声もいただいたところでございます。市民の要望は多様化しており、また、相反するさまざまな意見もあり、それらを集約することには時間を要します。しかし、今後、市民の皆様の御理解と御協力を得ながら取り組むことが大切であると考えており、個別の事業を進めるに当たり、わかりやすい情報提供に努めてまいります。 また、市民の日常生活に影響を及ぼすような事務事業の見直しにつきましては、学識経験者も交えました会議体を設置して、専門的な見地から意見を求めたり、地元関係者や広く市民に対して意見交換会や市民説明会、市民アンケートの実施、あるいは車座集会や市民意見公募手続などのさまざまな手法を用いながら、市民との合意に努めてまいりたいと考えております。 次に、事務事業の見直しにおける意思形成過程への市民参加についてでございます。 私は、これまでも、本市の自治基盤の確立に向け、公開と参画をまちづくりの基本姿勢に、全庁一丸となって諸施策に取り組んでおります。また、各事務事業の見直しにつきましては、日ごろから各局内で取り組みを行い、この上に立って、経営部会、経営推進会議で協議してきたものでございます。なお、経営推進会議は公開されているところでございます。 市民の参画につきましては、先ほどから申しておりますように、策定の初期の段階から市民意見を反映するための取り組みの一つとして、公募委員も含めました30名の市民委員から成る市民懇話会を設置し、公開の議論のもと取り組みを進め、また、市民懇話会からの提言も踏まえて今回のプランをまとめたところでございます。今後、プランに掲げる改革改善項目の取り組みを進めるに当たりましても、先ほど申し上げましたように、市民の皆様の御意見をお聞きするためのさまざまな機会を通じ、さらに、必要に応じ市民や有識者、各種団体の関係者等の参加を求め、意見を幅広くいただくなど、十分に議論を尽くし、御理解と御協力を得ながら進めてまいりたいと存じております。 次に、重要な個別事業の見直しに当たっては、協働の視点が必要ではないかといったお尋ねでございます。 市政の運営に当たりましては、これまでから、市民との協働、市民の参画を基本として取り組んでおり、このたびのプラン策定に際しましても、策定初期の段階から市民懇話会を設置したところでございます。この市民懇話会におきましては、市民委員が相互に議論し、みずから検討テーマを設定し、また、活発な意見交換をしていただく中で、昨年7月に提言という形で意見を集約していただきました。このうち、今後の市民サービスのあり方や施策の重点化方向に係る意見について、全74件中39件の御意見をプランに反映させていただいたところでございます。今後におきましても、積極的に市民への説明や情報提供に努めるとともに、さまざまな手法を用いながら市民意見の反映に努め、市民の理解を得ながら取り組んでまいりたいと考えております。 次に、地区会館等の公共施設への職員配置などについてのお尋ねでございます。 昨今、多様化、複雑化している地域課題の解決のためには、地域の主体的な活動や地域コミュニティーの活性化が不可欠であり、そのための取り組みを市民と行政が連携・協働しながら推進しているところであります。議員御提案の交番所的な役割の案もございましたが、今後とも公の施設のあり方については、市民の皆様の御意見をお聞きする中で検討してまいります。 次に、市民との協働による健康まちづくりの尼崎計画の策定についてでございます。 本市におきましては、平成12年度から取り組んでまいりました職員の健康管理で培った実績をもとに、国民健康保険の取り組みとして、全国に先駆け、メタボリックシンドロームに着目した健診などを実施してまいりました。こうした実績を踏まえ、特定健診とそれに基づく保健指導を進めようとするものであり、御指摘のような受診率の向上のみを目指して取り組むものではございません。本市の疾病構造を死亡統計から見ますと、心疾患、脳血管疾患はがんに次いで上位を占めており、急増している糖尿病も含め、生活習慣病の占める割合が高くなっております。また、医療費の面から見ても、糖尿病、心疾患、脳血管疾患によるものが増加の一途をたどっております。全国的にも同様の傾向であることから、このたび、医療制度改革において、これらの疾病の主な原因となるメタボリックシンドローム予防対策について、レセプトを管理する医療保険者に健診と保健指導が義務づけられたものでございます。 一方、市民の健康づくり全般については、尼崎市地域保健医療計画に基づき、市民一人一人の健康管理や健康づくりの支援を行うさまざまな取り組みを展開しております。具体的には、母子保健、働き盛りの健康管理、精神保健、がん健診、各種健康教室、生活習慣の改善など、幅広い施策について市民とともに取り組んでおります。さらに、来年度から、これまでの健診事業を再構築した健康サポート事業を実施いたします。この事業は、受診機会の少ない零細企業従事者のための健診、特定健診、後期高齢者健診など各種健診を通じて、市民の健康を総合的にサポートしようとするものでございます。こうした取り組みを通じまして、市民が生涯にわたって健康的な生活を送れるための支援を行ってまいります。 次に、高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画における施設整備の進捗状況についてでございます。 計画策定後2年が経過した現時点におきまして、特別養護老人ホーム等の大規模施設につきましては、計画どおりに整備が進んでおります。一方、小規模多機能居宅介護などの地域密着型サービスにつきましては、一部計画どおりに整備が進んでいない面もございます。これは、地域密着型サービスが従来にはなかった新たなサービス類型であるため、公募時の事業者からの問い合わせは多いものの、利用者や収支の見込み等、事業者としても事業参入の判断が難しいといった面があるのではないかと考えております。 次に、高齢者を地域で支え合う仕組みづくりなどについてのお尋ねでございます。 我が国では高齢化が急速に進展しており、いわゆる団塊の世代が65歳に到達する平成27年には、国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えようとしております。また、寝たきりや認知症などで介護を要する状態になりやすい75歳以上の後期高齢者がなお増加していくことも見込まれております。こうした状況は本市も同様であり、高齢者ができる限り要介護状態にならず、住みなれた地域の中で健康で生き生きと暮らせること、そして、要介護状態となってもできる限り重度化を防ぎ、自立した生活を送ることができるようにしていくことが大切であると考えております。 こうした課題に対して行政だけで対応することは大変難しいと認識しておりまして、地域包括支援センターが中核となって、さまざまな支援者や関係機関が情報を共有し、それぞれの役割を担いながら、協力して処遇に当たることができるような地域ケアシステムの構築に努めてまいる考えでございます。 次に、災害時要援護者対策において民の活力を生かすことについてでございます。 災害時要援護者の皆様に対する支援体制を構築するには、自助、共助、公助の連携が重要であるとの考えのもと、昨日の質疑でもお答えいたしましたように、支援体制のあり方について、現在検討を行っているところでございます。 御提案の単位福祉協会単位で民みずからが要援護者に対する情報をマップ形式で管理、活用するにいたしましても、また、民間施設を避難場所として指定するにいたしましても、個人情報保護の観点から慎重に取り扱うべきものと考えており、現在検討を行っております課題の一つとして、あわせて検討してまいりたいと考えております。 次に、市民への説明責任や市民との対話に係る職員の意識に深刻な欠落があるのではないかといったお尋ねでございます。 市民と行政の関係において、要求する側とされる側、提案する側とされる側という対峙する役割に二極化してしまうことがあります。この関係を改善するには、お互いに相手の主張をよく聞き、理解できない点については理解し合い、情報を共有化していくことから始めなければなりません。また、対峙する立場や当事者でない人たちの意見も重要です。より多様な意見や異なる立場の人たちの参画により議論を深めることは、課題を解決するに当たり、とても有意義であると考えます。そういったことを踏まえまして、議員御指摘の事例につきましては、私といたしまして幾つかの反省点がありますが、その一つは、議会の同意前の市民へのアプローチの仕方や説明内容についてでございます。今後、今までのやり方を検証し、こうした課題に対して市民の皆様の理解が得られるように、情報提供のタイミング、説明方法や資料の作成の仕方など、より一層の工夫を行うとともに、あらゆる機会を通じまして説明責任を果たしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(田村征雄君) 弘中信正君。   (弘中信正君 登壇) ◆8番(弘中信正君) 市長から、さまざまな質疑に対して御答弁いただきました。市長から反省というふうなお言葉が出たんですけれども、私にとってみたら、仕組みづくり、つまり市民参加の仕組みづくりについてもう少し、私はこういう方がいいということまでは、まだ私自身の中で示すほどのことはできませんけれども、懇話会を1年間、私も何度か傍聴させていただきましたけれども、やはり地域にこれだけ市民が自分たちのまちづくりについて考えていく力があるのかなということを改めて思いました。ただ、意見の相違である場合、確かに結果が自分たちの要求どおりにならなければ、市民合意がなかったというふうな主張もあるかもしれません。しかしながら、そのことよりも、やはりどれだけ市民がそういう場で自分たちで確認し合いながら進んでいくかということが大事なのではないかというふうに思っております。 きのうはある議員から、重要課題への市民との合意はどう仕組みをつくるのかという質疑に対して、今、合意方法はさまざまある、案を出して広く市民から意見を聞くのも合意形成だとだけの答弁でしたけれども、やはりその点で言えば、少し一歩前へ進んだような答弁なのかなというふうに思っています。しかしながら、そのこと自身はまだまだ不十分な点も多々あるというふうに思っておりますから、その点では、今後とも私なりに、また会派としても発言していきたいというように思っています。 施政方針では、市長は新たな市民ニーズへの対応、将来を担う子供たちに過度の負担を強いない、安定した財政基盤を確立するということで、従来の行政サービスの効果を常に検証すると前置きし、事業転換を図り、財源確保をするとしています。行政が実施するよりも、本当の意味で質的に高いサービスを受けることができるならば、ある面、市民は納得もします。しかし、今の尼崎市は、とにかく財源対策ということが目的、目標になっているのではないでしょうか。そして、こういったことを含めて民間へ事業転換、つまりは公共サービスを民間化するならば、どちらの選択がいいのかは、市民とともに検証する場をつくるべきではないでしょうか。アンケート方式といった先ほどの事例を3つ出しました中の1つにもありましたけれども、そういうことではなく、こういった選択でのどのような検証を考えておられるのか、再度お答えいただければと思います。 コスト主義に基づいてアウトソーシングという民間移管を積極的に進めれば、どうしようもないような禍根を残す事例も幾つかありました。また、コスト主義によっては、首都圏に本社を置く規模の大きい民間会社が参入しやすくなり、利益が都市部に集中して、尼崎を担う未来の子供たちの職場が市内になくなるというような、極端な言い方かもしれませんけれども、皮肉な結果にもなります。安易な方法での民間活力導入の選択ではなく、時間をかけてでもしっかりと行政計画と施策の方向を市民とともにつくり上げて、市民に示していく、つまりは、政策形成そのものに市民参加を保障する仕組みづくりをぜひ実現していただければと思います。そのことを通して、市政の現状をより理解し、提言もできる熟成された市民が育つのではないでしょうか。これが、これからの地方分権の住民自治の時代にふさわしい公共政策だと考えています。これは要望しておきます。 第2問に入りたいと思います。 本市の危機的財政状況は、大幅な財源対策で見ることができます。歳入歳出の収支不足で、ここ数年、財源対策をして一般会計予算を組んできました。平成15年予算から平成18年決算まで、平均75億円が充てられ、平成18年決算では71億円、来年度予算では、財源対策費としてついに100億円です。平成18年度決算を阪神間で比較しても、西宮市9億円、芦屋市16億円、伊丹市9億円と、財源対策費で比較してもこのような違いがあります。本市は8倍以上の70億円を充てるという厳しい財政事情です。収支不足に対して、過去は市債でのさらなる借金や外郭団体建設償還金への貸付金返済を猶予する繰り延べ、公共用地売却代金等を充ててきました。今年度予算からは、このような借金型財源対策をやめ、貯金である基金を大きく取り崩して財源対策をするという方向に変わりました。このことは、住宅ローンでいうところの繰り上げ返済のようなものなのですが、それは積み立てる貯金があってこそです。本市では、財政調整基金、減債基金、公共施設整備基金等の主要基金が厳しい中で、さらに53億円も取り崩して、わずか43億円という最悪の基金残高となりました。市民1人の貯金額に例えれば、たった9,000円と、大変厳しいものです。 基金は、将来を見通せる大事な預貯金です。次期の構造改革推進プランに、5年先には収支均衡を図るということですが、最終年度での基本貯金となる財政調整基金をどれぐらい積み立てておくのか、示されていません。将来的な基金計画が示されなくていいのでしょうか。市長のお考えをお示しください。 経営再建プログラムの中では、一般会計での市債も徐々に減らしてきました。しかし、来年度末の現在高見込みでは、2,207億円、前年度比で9億円伸びてしまいました。投資的経費も極力抑えてきたにもかかわらず、200億円と、前年度比で25%も伸び、額で40億円の伸びです。債務負担行為で前年度比の46億円の増となりました。1つは新高校の建設、もう1つはアルカイックホテル前の芝生地の公園整備事業です。尼崎産業高校と東高校とを統合しての新高校建設は、2年をかけて総額90億円近い建設費を費やします。尼崎市の厳しい財政の声が聞こえる中、なぜ新高校建設にこれだけのお金をかける必要があるのかという市民の声も聞きます。 市長は、市民や地元の期待にこたえられる特色と魅力を備えた高校にするとのことですが、新高校建設が尼崎の将来的な教育にどのような効果があるとお考えなのか、市長の見解をお示しください。 さらに、公園整備事業の対象のアルカイックホテル前の芝生用地、これは土地開発公社が先行買収して、負債金利が膨らんだものです。その額は、開発公社絡みの土地代の負債350億円のうち200億円です。芝生面積は3,200㎡、約1,000坪で、坪単価にして2,000万円にもなりました。シビックゾーン文化開発構想による豪華空中回廊とやゆされた阪神駅前構想がとんざした結果です。芝生の坪が2,000万円です。ぜひお寄りの際は堪能してください。これを尼崎市の一般会計での本債として返済するに当たって、本年度予算でさらにホテル前の芝生地を1,000万円もかけて公園整備事業をするとしています。公園整備という事業名目でもって市債を起こして、200億円の塩漬け土地の返済の一部に充てる、金利、借金をいつまでも放置できないのは理解できますが、このような選択方法しかないのでしょうか。もう一つの選択として、新たなホテルの所有者になった近鉄不動産への売却あるいは賃貸を検討してもいいのではないでしょうか。お答えください。 起債のための公園計画を実施するとすれば、城内まちづくりの一環として市民と協議する必要はないでしょうか。 さらに、将来的負担についても見てみます。 その年の市債発行額、つまりは借金をするに当たっては、その年の元金償還額以内を基本とする法則を改革プランで示しています。本予算では、211億円の元金償還いっぱいの209億円の借金をすることになっています。これは、過去3年間の平均市債発行を元金償還額の80%にしていたのが、本予算では、償還元金の99%という上限いっぱいの額です。市債償還元金が急速には減らなかった本市の財政経緯の中で、今後ともこのようなぎりぎりまでの市債借金をすることは、借金残高である負債減につながるのでしょうか。市債残高の今後の見通しをお示しください。 次に、自治体財政の健全度をはかる指標に、経常収支比率や実質公債費比率があります。本市では、財政の弾力性を示す経常収支比率が昨年度決算では96.8%、西宮市とほぼ同率、余り余裕はありません。実質公債費比率、つまりは年間に返す借金の比率となると、15.2で、兵庫県内で35番目に低いということで、数字的には尼崎市は財政事情が危機的ではないと解釈する人もあります。しかし、注目するのは、平成20年度予算での市債の残高が一般、特会合計で2,658億円、外郭団体を含めた将来的負担を含めた借金が3,174億円という額です。これは、本会計規模の約1,800億円の1.8倍です。震災被害をもっと受けている隣の西宮市の2,160億円より、本市はなぜこうも負債が高くなってしまったのでしょうか。負債額の多さが震災の後遺症だけで説明できるのでしょうか。また、財政健全化法で、本年度決算から将来負担比率の公表が義務づけられます。これは、すべての借金が決算報告で隠れないようにするためですが、本市での外郭団体を含めたすべての借金3,174億円がここまで借金をオープンにできたことは評価できますが、将来負担比率として公表されれば、国が示す早期健全化基準以上になるのかどうか、また、これらの負債の縮小計画が全く示されていませんが、示せるのかどうか、お答えください。 財政力指数では、西宮の0.89に比べ、0.79と、神戸市を除く阪神間では最も悪くなります。基準財政需要額が723億円に対して、基準財政収入額は594億円と、130億円も差があり、交付税にも影響し、これが財政力の弱さをあらわしています。このような本市の状況は、何を起因とするのか、これが次期の改革推進プランの中で改善する展望があるのか否か、お答えください。 退職手当債についてです。 本予算でも財源対策で捻出する退職手当債も職員の大量退職とともに大きな負担になっています。そこで、再雇用期間後に退職金給付とする退職金給付期間を延ばせば、退職手当債発行は計画より先延ばしになり、その期間、財政的にもゆとりができ、構造改革プランにも弾力性が出ます。労使間交渉の問題ですが、検討できないかどうか、お答えください。 競艇収入に触れます。 今年度予算の競艇収益15億円のうち10億円を競艇経営の改善計画の中で負債解消の基金としました。残り5億円のうち3億円が一般財源に繰り入れです。この計画は、来年度を最後に競艇会計の基金へ繰り入れは終了します。今後は、収益の15億円以上の競艇資金が一般財源として繰り入れられることにもなりそうです。その見通しをどのように考えておられるのでしょうか。平成21年度からは一般財源化できるとすれば、どれくらいなのか、お示しください。 国民健康保険事業特別会計の質疑をします。 4月から、後期高齢者医療制度開始に伴い、75歳以上の3万1,000人が後期高齢者医療保険に移行します。この層は、保険料の納付率も高く、98%だそうです。そのため、75歳未満で組織される尼崎市国保の収納率は87%という現状が、さらに84%まで落ちるとの予測を立てています。当然歳入が落ちて、国保財政が逼迫し、保険料が上がる可能性があります。経営再建プログラムでは、国保財政の安定化を目的に、一般財源から4億円繰り入れを維持するとしてきましたが、引き続き同額以上が繰り入れられるのかどうか、お答えください。 また、生活習慣病改善を目的にしたヘルスアップ尼崎戦略事業については、5億8,000万円の事業費を投入し、受診率を上げるため、特定健診の負担を無料とするとのことです。それでも保険者責任となるため、健診事業費が保険料へとはね返らないのか、来年の保険料は、これらの事業分も含め昨年度に比べて上がるとすれば、どれぐらいの保険料になるのか、お答えください。 最後に、リビングウエッジ条例についてお尋ねします。 リビングウエッジとは、生活保障給と訳されます。市が公共サービスを民間にゆだねる場合、そこで働く人々の賃金水準や雇用の安定などを発注条件にしようという考えです。近年、自治体の仕事が民間業者に出されることが多くなってきました。民間活力の導入とか官と民の役割分担とか言われていますが、その背景に財政難からの経費節減の意図があることは否めません。そして、経費節減を追求する余り、入札などでの低価格競争のしわ寄せを受け、そこで働く人々の給料などにはね返ってくることになります。尼崎市でも、ガードマンや清掃の仕事関連の発注価格で最低賃金が問題になったことがあります。これからは学校給食の民間委託などの仕事にも民間業者が参入してくるわけですから、そこで働く人々の給料が、場合によると生活保護水準以下にしかならないとすれば、当然、仕事への意欲、やりがいにも影響が出ます。 そこで、賃金にも限度があるはずだということで、このリビングウエッジの考え方が打ち出されたのです。本市の9月議会で、公契約基本条例の制定を求める陳情が採択されました。これは、市が民間の契約業者を選ぶ場合に、これまでのように価格だけでなく、その業者がほかのいろいろな社会的価値、例えば障害者雇用、男女平等、地球環境への配慮などの総合評価をして選ぶという考え方で、国でも考え始めようとしています。その陳情審査の中で、当局と、また総務消防委員同士でさまざまな議論が交わされました。その主な論点を紹介します。国の最低賃金法との関係です。入札業者が市から選定されるとき、雇用条件で最低賃金を下回っていない、つまり、法の基準はちゃんと満たしているのに、市がリビングウエッジ条例で定めた賃金以下だからといって、その業者が入札において不利益--入札での評価点数が低くなることですけど--を受けることは、逆に最低賃金法に触れるのではないか。次に、賃金などは会社と労働者の民民の契約であるので、そこに地方公共団体が介入することは民事介入にならないか。3番目は、賃金など労働条件の基準を自治体が独自に定めることは難しいのではないか。4番目は、入札価格以外の条件まで審査すると、入札に手間や経費がかかるというものです。これらについて、もう少し別な視点からも考えてみます。一般に物やサービスを買う場合、余り安いものは品質にも注意をしなければならないことが最近では常識になりつつもあります。それはなぜかというと、価格と品質の差には一定の相関関係があるからです。だから、例えば工事入札において、予定価格、そして最低制限価格を設定する場合、原材料の単価を設定します。当然、原材料の品質を担保するためです。それと同様に、労働の単価を一体以上の水準に設定することは、当然、労働者、労働の質の担保になるはずです。総合入札制度においても一定以上の労働条件を保障した事業者には、評価において高得点を与えるとするならば、先ほどの議論にあった業者そのもの、また、行政にも不利益な取り扱いになるということにはならないと思います。 このように視点を変えて考えると、リビングウエッジは、むしろ民間活力の利用に際して、それに一定の基準を与えることによって、民間活力の導入に道を開く役割を持つとも言えます。当該総務消防委員会において当局は、副市長を先頭に、困難さや問題点を挙げておられましたが、このような発想の転換も意味があると考えます。市長のお考えをお示しください。 これで2問目の質疑を終わります。(拍手) ○議長(田村征雄君) 答弁を求めます。 白井市長。   (白井 文さん 登壇) ◎市長(白井文さん) それでは、弘中議員の2問目の御質疑に対しまして、順次お答え申し上げます。 まず、公あるいは民によるサービスを検証する場の設置などについてのお尋ねでございます。 公共サービスであっても、その提供主体がすべて行政である必要はなく、これまでも民間の専門的な知識やノウハウを活用することで、経済性、効率性が図れ、市民サービスの質が維持向上できるもの、また、公平性が確保できるなど行政責任が果たせるものにつきましては、今日的な視点からサービスのあり方などを検討する中で見直しを進めてまいりました。 市民とともに検証する場をつくるべきとの御意見でございますが、今後とも市民意見公募手続だけでなく、あらゆる機会を通じ、市民の皆様の御意見を伺ってまいりますが、現時点では最終的な判断は市の責務で行うべきと考えております。 次に、行財政構造改革推進プランの最終年度における財政調整基金の状況についてのお尋ねでございます。 財政調整基金は、年度間の財源の不均衡を調整するために設けられている基金であり、平成20年度当初予算においても、多額の収支不足額に対応するため、11億円を取り崩し、活用することとしております。この結果、同基金の20年度末残高見込みは、わずか3億6,000万円となり、ほぼ底をつく状況となっております。したがいまして、現時点において最終年度における財政調整基金の規模をお示しすることはできません。 次に、新高校の建設による本市の将来的な教育への効果についてでございます。 私は、施政方針において、子供たちは尼崎の宝であると申し上げました。まちの発展には人づくりが基本であると考えております。このため、子供たちの健やかな成長のため、学力向上を初めとする教育の活性化に向けた取り組みに積極的な支援を行っております。新高校の建設は、全国的に大きな高校教育改革が進んでいる中で、これからの子供たちのために、小中学生が目標とする特色と魅力を持った市立高校をつくっていくものであります。新高校が市内の高校全体にも刺激を与え、本市教育の向上に大きな成果をもたらすとともに、ここで学び育った生徒が将来において本市のものづくりや芸術等の各分野で大きな役割を果たすことを期待しているものでございます。 次に、アルカイック広場についてのお尋ねでございます。 アルカイック広場用地につきましては、平成4年12月、都市計画決定の地区計画において地区施設としての広場に位置づけており、都心の有機的なつながりを確保し、ゆとりと潤いのある景観を創出する役割を果たすための整備を行おうとしております。この広場は、城内まちづくり地区ではなく、魅力的な都市イメージを先導する役割を担う地区に位置していることから、現状の緑や花を最大限活用し、市民の利用を高めるような地区計画に沿った整備を行うものでございます。 次に、市債残高の今後の見通しについてでございます。 20年度一般会計予算の市債発行額における主な増要因といたしましては、退職手当債、市立高校統合事業、アルカイック広場整備事業がございます。また、21年度におきましても、市立高校統合事業の進捗によりまして、一時的に市債残高が増加することとなります。その後におきましては、プランで示している財政規律に従って、市債の抑制、縮減に努めてまいる所存でございます。一方、市全体の負債といたしましては、土地開発公社債務保証などの将来負担の縮減に取り組んでいくことから、その際に市債を活用し、これによりまして一時的に市債残高はふえるものの、負債全体としては縮減傾向で推移するものと見込んでおります。 次に、西宮と比較して、本市の市債残高が高い理由についてでございます。 市債残高について西宮市と比較した場合の大きな違いは特別会計にあり、20年度末で本市が約451億円に対し、西宮市は約9億円となっております。そのうち特に公共用地先行取得事業費会計において、土地開発公社経営健全化計画に基づく債務縮減の取り組みによる市債として、約385億8,200万円の残高があります。また、競艇事業費会計において、スタンド整備事業に係る市債として約38億6,400万円、駐車場事業費会計において、阪神尼崎駅前駐車場整備事業に係る市債として約20億1,500万円など、それぞれ残高が見込まれます。なお、災害関連市債といたしましては、800億円を超える市債を発行しましたが、20年度末には約517億円の残高となるものでございます。今後ともなお一層市債の抑制、縮減に努めてまいります。 次に、将来負担に係るお尋ねでございます。 財政健全化法における早期健全化基準につきましては、昨年末に国から示されたところでございますが、将来費負担率につきましては、その基礎となる数値の算定方法の詳細が示されておりませんことから、現段階におきまして早期健全化基準を上回るか否か、お示しすることはできません。しかし、大変厳しい状況であると思っております。 また、将来負担の縮減につきましては、行財政構造改革推進プランに基づきます財政の構造改善を着実に推進しつつ、通常事業の市債発行につきましては、償還元金以内を基本としながら市債残高の縮減に努めるとともに、その他の負債につきましても、繰り延べの解消や基金の活用も図りながら、負債の縮減に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、本市の財政力指数が低い要因と今後の展望についてのお尋ねでございます。 標準的な行政経費として各団体ごとに一定の方法で算出されます基準財政需要額から、同じく各団体の標準的な税収として算出されます基準財政収入額を差し引いて、不足する額が普通交付税として交付されるものです。この基準財政収入額を基準財政需要額で割ったものが財政力指数となり、これが1以上の団体は、いわゆる普通交付税の不交付団体、すなわち、交付税算定上は標準的な行政経費を税収で賄える団体ということになります。阪神間で本市の数値が低い要因といたしましては、例えば生活保護などといった扶助費が多く、基準財政需要額が他都市より高額となっていることとあわせて、1人当たりの個人市民税が、特に西宮市、芦屋市と比較して約2分の1あるいは3分の1と低く、基準財政収入額が低い水準となっていることなどが挙げられるところでございます。また、今後につきましては、プランにもございますように、実態に見合った地方交付税措置について、国、県に働きかけていくことはもとより、収入率の向上や企業誘致の促進などを通じた地域経済の活性化と雇用拡大を図り、市税等収入の増加に努めていくほか、新たな負債を抑制し、また、国の交付税算定等を通じた要請でもありますが、アウトソーシングの推進など、行財政運営の効率化を積極的に行う中で、財政の健全化に向けてさらなる構造改善に取り組んでまいる考えでございます。 次に、退職金の給付時期の延伸についてのお尋ねでございます。 退職手当の支給につきましては、議員御指摘のように再任用を行う職員について仮に支給を伸ばそうとした場合、本人の同意をとることや、利息等の種々の問題が生じてまいります。加えまして、退職年度の後年度に手当を支払う場合は、現時点において退職手当債の発行は地方財政法の規定により、平成27年度までの時限措置となっていることから、その時点で多額の一般財源を必要とすることになりかねないなど、数多くの問題を含んでおり、非常に困難であると考えております。 次に、競艇事業における21年度以降の一般会計等への繰り出しの見込みについてでございます。 一般会計への繰り入れは、尼崎市競艇事業緊急経営改善計画に基づき、平成18年度から平成20年度までの3カ年は毎年3億円としており、収益から一般会計等に繰り出した残額については、新スタンド建設等のために借り入れた市債の償還等に備えるため、基金として内部留保しております。現在の計画は平成20年度で終了いたしますが、基金の積み立てはほぼ目標額を達成できる見込みでございます。 本市の競艇事業は、売り上げの落ち込みなどにより厳しい状況が続いておりますが、少しでも安定的、継続的な経営を確保していくために、平成20年度において経営全般を見据えた新しい計画を策定し、それに基づいた取り組みを進めることといたしております。おおむね平成21年度以降の一般会計への繰り入れにつきましては、本場の活性化策等とあわせて検討し、その計画の中で明らかにしてまいりたいと考えております。 次に、一般会計から国民健康保険事業費会計への繰出金についてのお尋ねでございます。 平成19年度に策定期間が終了する経営再建プログラムにおける財政健全化繰り入れの考え方につきましては、本市国保料を阪神間並み水準に維持することを基本とする中で、4億円といたしておりました。平成20年度以降の財政健全化繰り入れにつきましては、新たな行財政構造改革推進プランを実施していかなければならない厳しい財政状況下ではございますが、少しでも納めやすい保険料の設定とするため、平成20年度から平成21年度までの2年間は、改めて阪神間水準を維持するとともに、国保財政の健全化を目指すという基本的な考え方のもと、財政健全化繰り入れ4億円に赤字解消分1億5,000万円を整理統合し、5億5,000万円といたしたところでございます。 なお、平成22年度以降の繰入金につきましては、平成20年度から本格的に実施される医療制度改革が国保財政に与える影響を踏まえる中で検討してまいりたいと考えております。 次に、平成20年度の国民健康保険料の見込みについてでございます。 国保料につきましては、阪神間並み水準を維持するという基本的考え方のもとに設定しておりますが、特定健診等の事業に係る保険料負担も含め、平成20年度の1人当たり国保料につきましては8万3,263円であり、平成19年度と比べ、2,425億円、3%の増となっております。なお、阪神間平均保険料は8万9,227円であり、阪神間平均保険料より5,964円安価な設定となっております。 次に、リビングウエッジについてのお尋ねでございます。 これまでも御答弁いたしておりますとおり、一般的に賃金や安全確保などの労働条件に関しましては、労働基準法に基づき、当事者間で適切に処理されることがあくまでも基本であると考えており、契約に際し、そういった労働条件を評価の基準にすることについては、適当でないと考えております。また、生活保障給などを一自治体で設定することは非常に困難であることから、公契約法の制定が待たれるところであり、現在のところ、国の動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(田村征雄君) 弘中信正君。   (弘中信正君 登壇) ◆8番(弘中信正君) 答弁をメモしていたら、どこがどうだったのか、ちょっとポイントがわからなくなってしまったので、申しわけないんですけども。 財政で言えば、累積負債ですね、ここは先ほどでは公共用地先行取得会計ということで385億円というふうな数字が挙がりました。このことが当然尼崎市の財政に非常に大きな負担になってきている。そういったことが、結果的には、今示されている構造改革推進プラン、そういったものにいろいろな形でアウトソーシングを含めてどんどんしていこうというふうな方向になってきているわけです。全体の財政の今の現状そのものを少しでも改善しなければならないということは、私は理解しているところです。税収入がこれからどんどんふえれば、もちろん明るい見通しもあるでしょうけれども、先ほども本市の税金での所得階層の低さ、あるいは一方で扶助費、そういったものと絡みながら、産業誘致ということがあれば一つの解決の手だてになるとしても、それだけではなかなか難しいということは理解しました。 いずれにしても、そのことを含めて、一つの総論になるかどうかはあれですけれども、私はこのような形で意見というか要望というのをここで述べさせていただければと思います。 国政では、国民からの審判を受け、衆参での自民党、民主党の拮抗というふうな現状があります。赤字国債を縮減しようという規制改革など、いわゆる小泉構造改革路線そのもの、また、そのスピードが急速であったということで、実際に格差社会並びに貧困層、そういったものを生んできていると思います。今、国民によってもそういったことが問い直されようとしています。尼崎市も震災での財政負担、バブルに躍らされた公共投資に起因した多額の財源対策をしなければならない現状のこの赤字財政、そして、その財源対策を、いわゆるレベル3と言われる収支均衡を保つというところまで持っていこうと、そして、そういったことがこの行財政構造改革推進プランそのものだろうということで示されてきています。そして、それが3年先まで見えてきて、30億円の収支不足、それを5年後には何とかゼロにするという財政健全化プランを完成させて、市民に希望を与えられる尼崎に変えていこうと、一生懸命白井市長が走ろうとされているというふうにも見えます。しかし、負債圧縮のスピードが市民に理解されないままで執行すると、行政が希望を持てても、市民がそのプロセスに、また、市そのものに希望が持てなくなるということにも危惧します。それで、行政施策そのものの是非を含めて議論と計画の場をつくる仕組み、あるいはさらなる市民参加が必要だというふうな思いで質疑をさせていただきました。 財政では、財政再建は本市の最も優先する課題でもありますが、5年間という期間をもっと考慮しながら、また、スピードを緩める手だてということを今後とも検証していきたい、あるいは検証していっていただきたいというように思います。そういったことを含めて、我が会派は1年前に市長を応援し、尼崎を変えようということで市民にも訴えてきました。議員としても、尼崎を変えるその方法の責任をともに感じているところです。 そのようなことを含めて、これらの質疑は再度また総括質疑でも述べたいと思います。以上の意見をもって、私のすべての質疑は終わりにしたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田村征雄君) 弘中信正君の質疑は終わりました。 以上をもって28案に対する質疑を終結いたします。 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 明3月1日、明後2日は、市の休日のため休会となります。 3月3日は、午前10時から会議を開きます。ついては、ただいま出席の諸君には改めて通知はいたしませんから、御了承願います。 本日は、これをもって散会いたします。                    (午後2時24分 散会) ---------------------------------議長   田村征雄議員   河村慶彦議員   北村章治...