委 員 太 田 秀 子 委 員 池 田 由 美
委 員 堀 川 素 人 委 員 石 川 佐和子
委 員 中 山 真 一
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午後1時
――――――――――――――
○しのだ江里子 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項は、特にございません。
それでは、議事に入ります。
最初に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中
総務局関係分及び第12款 職員費 第1項 職員費について、一括して質疑を行います。
◆かんの太一 委員 私からは、新たな
市政情報提供システム構築事業と広報さっぽろの
リニューアルについて伺います。
平成28年
予算特別委員会で、我が会派において、新たな
市政情報提供システム、具体的には広報さっぽろに掲載されている
お知らせ情報を
地上デジタルテレビの
データ放送及びスマートフォンアプリで配信する事業について質問を行いました。これに関連して、これからの広報さっぽろのあり方についても質問し、平成28年10月からの地デジ、
スマホアプリによる
お知らせ情報の配信開始から約1年6カ月の周知期間を置いた後、広報さっぽろの紙面は、お知らせのページを縮減し、
特集記事中心の構成にするなどの
リニューアルを行う予定との答弁があったところです。
現在、地デジ、
スマホアプリによる
お知らせ情報の配信開始から約1年が経過し、平成30年5月に予定されている広報さっぽろの
リニューアルまで、残すところ、約半年となりました。具体的な
リニューアルの内容については、
イベント情報をお知らせのページに掲載しないことによりページ数を削減する一方で、特集・企画記事を充実し、全
ページカラーにすることが予定されており、市民に本市の
取り組みや課題などを伝える重要な広報媒体である広報さっぽろが今まさに大きく変わろうとしています。中でも、
イベント情報が削減されることについては、そのかわりの手段となる地デジ、
スマホアプリによる
お知らせ情報の配信とあわせて、広く市民に知っていただかなければならないと考えます。
そこで、質問ですが、地デジ、
スマホアプリの配信と広報さっぽろの
リニューアルの
認知度向上に向けて、これまでどのような
取り組みを行ってきたのか、お伺いします。
◎青山 広報部長 地デジ、
スマホアプリの配信と広報さっぽろの
リニューアルの
認知度向上に向けたこれまでの
取り組みについてお答えいたします。
いずれの周知につきましても、地デジ、
スマホアプリの配信開始後の昨年11月から、広報さっぽろにおいて、毎月、記事掲載を行っており、最新の平成29年10月号では巻頭2ページの特集を行ったところです。また、札幌市
公式ホームページ、ツイッター、
フェイスブックなどの電子媒体の活用、区役所などの公共施設での
ポスター掲示やチラシの配架、
各種イベントでの
チラシ配布、それから、各世帯に配付されている
フリーペーパーへの記事掲載などを行うとともに、出前講座でも周知を図っております。
さらに、地デジで
お知らせ情報を配信しております札幌テレビ放送、STVにおきましてテレビ・
ラジオCMを放送しておりますほか、毎週水曜日の情報更新に合わせまして、同局の
テレビ番組、どさんこワイド内でも紹介されております。そのほか、
地デジ利用者への周知を想定し、10月4日に北海道新聞のテレビ欄に広告を掲載するなど、
認知度向上に向けて取り組んでいるところでございます。
◆かんの太一 委員 ただいまの答弁の中で、昨年11月から、毎月、広報さっぽろで記事を掲載しているとか、直近の10月に特集の記事を組まれている、また、
テレビのどさんこワイドや新聞などでも周知を図っているということでした。私も実際に地デジ、
スマホアプリで
お知らせ情報を利用しましたが、特に、地デジの
データ放送は、dボタンを押すことで、主な施設、趣味、教養といったジャンルなど、広報さっぽろの紙面と同じ分類で
お知らせ情報を入手することができ、これまで紙面を読んでいる方には使いやすいものとなっていると感じました。また、紙面に比べて、より詳細な情報を週1回の更新でよりタイムリーに入手できるほか、知っておくと便利な市の窓口などの情報をいつでも見ることができるなど、なかなかつくり込まれているといった感じがしたところであり、地デジ、
スマホアプリでの情報配信により大いに利便性が向上するものと思います。
しかし、せっかくの便利なツールも認知されていなければ意味がないし、まだまだ市民に浸透しているとは言えないと思います。例えば、ごみの有料化の際の環境局の
取り組みが参考になると思いますが、周知のために局を挙げて行動し、約半年間で
排出ルールの説明会は2,692回開催し、各町内会などにかなりきめ細かく対応したと聞いています。有料化というお金にかかわる案件であり、全く同じ対応とはいかないまでも、今回の新たな
市政情報システムの構築と広報さっぽろの
リニューアルに際しても市民理解を高めることが必要ですが、これまでの周知期間を振り返ると、広報部としての
取り組みが不十分であると感じているところであり、よりスピーディーに行動すべきと考えます。また、広報さっぽろを読んでいる方は、年齢層が高くなるにつれて多くなっており、高齢の方の中には、地デジやスマホなどの
デジタル機器が苦手な方もいらっしゃることから、こういった方々に対しては特に丁寧な対応を行うべきと考えます。
そこで、質問いたしますが、今後のさらなる
認知度向上について、特に高齢の方への対応も含めて、どのような
取り組みを行っていくつもりか、伺います。
また、これらの
取り組みを行っても、なお地デジ、
スマホアプリを利用することが難しいという方に対して、どのような対応を考えているのか、あわせてお伺いします。
◎青山 広報部長 高齢の方への対応も含めた今後のさらなる
認知度向上の
取り組み、そして、
取り組みを行っても、なお地デジ、
スマホアプリを利用することが難しい方への対応についてお答えいたします。
広報さっぽろでの
特集記事掲載など、今月はさらに周知を強化しておりますが、これに合わせまして、広報さっぽ
ろリニューアルの内容をよりわかりやすく書いたポスター、チラシを作成いたしました。これらをできるだけたくさんの方に見ていただけますよう、これまで以上に多くの場所、イベントでの掲示、配布をしてまいります。
また、地デジ、
スマホアプリの使い方や広報さっぽろの
リニューアルについてしっかりと理解していただくため、直接説明し、疑問にお答えすることができる出前講座により一層力を入れてまいりたいと考えております。既に、町内会や地域の団体を対象に出前講座を開催してきておりますが、これに加えまして、特に高齢の方への対応として、現在、札幌市
老人クラブ連合会のご協力をいただき、
老人クラブでの開催をお願いしているところでございます。講座の中では、参加者のご意見を伺うこともしっかり行ってまいりたいと考えております。
今後も、高齢の方を含め、多くの方に広報さっぽろの
リニューアルと、地デジ、
スマホアプリによる
お知らせ情報の配信について知っていただき、そして利用していただけますよう最大限の努力をしてまいります。
その上で、なお
デジタル機器が苦手で地デジ、
スマホアプリを利用することが難しい方や、テレビやスマホがない方に対しましては、広報さっぽろの
リニューアルに合わせまして、
イベント情報をまとめた印刷物を区役所や、そのほか、市民の皆様により近い便利な場所に配架させていただく予定をしております。さらに、各世帯に配付されている
フリーペーパー等に
お知らせ情報の一部を掲載してもらうなど、
デジタル媒体以外での手段でも情報を入手していただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆かんの太一 委員 最後に、要望ですが、私も、他の
政令指定都市が発行する広報誌に一通り目を通しましたけれども、他都市では
タブロイド版など簡易なものが多い中、本市の広報誌はじっくり読むために保管しやすい冊子形式でページ数も多いなど、これまで丁寧な情報発信を行ってきました。これまで培ったこの歴史は、大変すばらしいことだと思います。
その一方で、
情報提供手段が多様化する時代の変遷に合わせて、情報発信の方法も変えていく必要があり、紙面の印刷にかかる費用など、縮減できるところは縮減し、合理化を図るべきことも理解できます。
このような意味から、今回の広報さっぽろの
リニューアル及び新たな
市政情報提供システム構築事業については、一定の評価をするところです。デジタルと紙がそれぞれを補完しながら、今までと同様にこれからも市民に必要な情報を届け、今後も、広報さっぽろの
リニューアル及び新たな
市政情報提供システム構築事業の丁寧な周知に最大限の努力をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆池田由美 委員 私からは、
指定管理者制度について質問いたします。
ことし第1回定例会での我が党の代表質問において、不安定な立場、低賃金を余儀なくされている労働者がふえていることに対しての雇用問題の質問に、市長は、「このような方が増加をしていくということは望ましくないものと認識をしております。」「正規雇用に向けた就労支援ということを一層進めるとともに、賃金水準の向上につながるよう、札幌市の経済の活性化を図っていくことで市民が安心して暮らせるまちの実現に努めてまいりたい」と述べております。
資料を見ますと、2016年度、本市では、423施設が
指定管理者制度により
管理運営され、3,682人が働いています。そのうち、
正規職員は1,229人、非正規雇用は2,453人となっております。賃金を見ますと、
正規職員の時給は平均で1,465円、1日8時間20日の勤務としておおよそ月額23万円、非正規では時給945円でおよそ月額15万円、ここから税などが引かれるとしたら非常に厳しい実態ではないのかと思います。さらに、
指定期間が終了するたび更新となる不安定な雇用が続くわけです。
そこで、質問ですが、2018年度、平成30年度の一斉更新を機に、
指定期間を4年から5年としていきますが、5年に延ばした理由について、最初に伺います。
◎山田
改革推進室長 指定期間を4年から5年にしたことについての理由といった趣旨のご質問だと思います。
指定期間の設定に当たりましては、長期、短期それぞれの利点とか、他都市の状況などを総合的に勘案し、検討してきたものでございます。長期の利点といたしましては、
指定管理者のノウハウの蓄積による良好なサービスが提供できる、投下資本を回収しやすい、さらには、人材の確保や育成がしやすくなり、労働者の熟練度も増し、ひいては、安定した雇用を生み出していくことが期待できるなどといったことが挙げられます。一方、短期の利点といたしましては、新規参入の機会を確保する、それから、
市民ニーズや物価変動など、社会情勢の変化に応じた施設運営とかサービスの見直しが柔軟に行いやすいなどといったことが挙げられます。
また、他都市の状況といたしましては、制度導入当初は、多くが3年または4年としておりました。しかし、
指定期間は全国的に見直されてきており、現在は6割以上が5年としているところでございます。
このような状況を踏まえまして、来年度、平成30年度に迎える一斉更新を機に、原則、
指定期間を4年から5年としたところでございます。
◆池田由美 委員 理由の中に、雇用の安定という視点もあるということで、重要なことだなというふうに感じて聞いておりました。
しかし、雇用が5年になっても、
指定期間が過ぎたら、この先も働いていけるかどうかという不安はつきまとっていきます。公募の
指定管理施設では、
指定管理者がかわることで、再雇用されたとしてもまた新人扱いとなり、有給休暇の取得条件などの処遇がまた一からスタートするなど、雇用の不安や低賃金となる構造は変わっていかないというふうに考えます。
指定管理者制度は、
指定期間が5年に延びたとしても同じ不安がつきまとうことになることについて、どのように認識されているのか、伺います。
◎山田
改革推進室長 指定期間が5年に延びても、必ずしも雇用の安定化につながらないのではないかといったご質問でございます。
雇用の安定化を図ることは、良質なサービスの提供、ひいては
指定管理者制度の目的の一つである
市民サービスの向上につながるものであり、私どもといたしましても、十分にその重要性を認識しているところでございます。一方、制度上、
一定期間ごとに指定更新を行うものでありますことから、
指定管理者が職員を雇用する際、その業務内容によりましては非
正規職員として採用する傾向にあることも、また事実と認識しております。
こうしたことから、
指定管理者の提案内容に、例えば更新前の管理者が雇用している労働者を継続雇用する
取り組み、それから、非
正規職員から
正規職員への転換に向けた方針とその
取り組みの提示がある場合には選定の際に高く評価するといったような措置をしておりまして、
指定管理施設における安定的な雇用をできるだけ促してきたところでございます。また、公募による選定において、
指定管理期間中に良好な
管理運営を行った管理者が継続して応募してきた場合には一定の加点を行うといった措置も講じており、
管理運営の継続性を高める
取り組みによって雇用の安定化の効果といったことも期待しているところでございます。
また、このほか、
指定期間中におきまして、毎年度、
施設所管部局による業務検査を実施しております。
労働関係法令の遵守状況について確認を行い、必要に応じて指導をしており、今後も、こういった
取り組みを通じて適切な
管理運営を促し、より一層、労働環境の維持・向上を図るよう制度を運用してまいりたいと考えております。
◆池田由美 委員 さまざまな雇用安定への努力ということ、それから、雇用の安定が市民へのサービスの向上につながるので、やはり重要だと感じているというお話も今の答弁の中にありました。しかし、
指定期間のある
指定管理者制度の仕組みの中での雇用の安定というのは、やはり厳しいものだなということを今感じております。
本市は、児童会館や
養護老人ホームなど、人とかかわる仕事で信頼関係の構築や専門性の積み重ねといった継続性が必要である施設については非公募とされています。しかし、非公募と言っても、
指定期間の4年、来年度からは5年となっていきますが、そのときには非公募になるのかどうか、審査することになるのではないかと思いますので、そこで働く人にとってはやはり不安があるのだと思います。
本市は、継続性の確保が特に重要な施設や、施設の性質から一定の関与を必要とする施設など、公募にすることで施設の設置目的や制度目的の実現が損なわれるケースについては非公募とするとしております。
指定管理施設での仕事は、そもそも本市の仕事ですから、本市の責任で変えていくことができる制度だと考えます。働く市民の雇用の安定、そして賃金の引き上げなどを図って、
市民サービスの向上のために制度の見直しを進めるべきだと考えます。
また、先ほどもお話ししましたけれども、せめて、既に非公募とされている専門性や人との信頼関係の構築が必要な福祉施設は、本市の直営としていくことも検討すべきだというふうに考えますがいかがか、伺います。
◎山田
改革推進室長 せめて、福祉施設などのように非公募にしている施設は直営にするべきではないかといった趣旨のご質問だと思います。
指定管理者制度は、
市民サービスの向上と効率的な施設運営を図ることを目的としており、そこに
民間事業者などの力を生かしていくといった趣旨のものでございまして、
施設管理の一手法としては有用ではないかと考えております。これまでも、
利用者アンケートなどの結果からもおおむね市民の皆様の満足を得られる評価となっているのではないかと認識しておりますが、
指定管理施設における労働環境につきましては、先ほども答弁いたしましたように、今後も、
指定管理者によるさまざまな工夫が盛り込まれた提案内容を評価することで、できる限り安定的な雇用を促してまいりたいと考えております。さらに、施設の機能とか位置づけを総合的に勘案し、
指定管理者制度の検証といったこともしていくとともに、これらの
取り組みを通じて、適切な運営を促し、より一層、良好な
施設サービスの提供に向けた
取り組みを進め、あわせて、労働環境の維持・向上を図るよう制度を運用してまいりたい、このように考えております。
◆池田由美 委員
指定管理者制度の有用性といった答弁を聞きました。
しかし、
指定管理者制度では、これから先、
指定管理期間を5年とか7年に幾ら延ばしたとしても、雇用されている事業所では1年契約であったり、3年更新だったり、そういった雇用契約の中で、雇用の安定というところでは、やはり非常に難しい現実が目の前にあるのではないかなというふうに感じています。国の官から民への路線に基づいて、公の施設を全面的に民間市場に開放し、企業参入を可能にしてきたことが、低賃金と雇用の不安定など働く人へのしわ寄せとなってきていると考えます。こういった
指定管理者制度は廃止して根本から制度を見直していく、市民の望む雇用の安定と施設のサービスの向上の願いに応えていくべきと申し上げて、質問を終わります。
◆堀川素人 委員 私からは、ことしの2月20日に
内部告発があったことについてです。
これは、消防局に対する
内部告発であります。今、札幌市には
公益通報制度がありますが、最近ではどこでも
内部告発とは言わないで
公益通報と言っているみたいです。なぜそういうふうにかえて言っているかといえば、
内部告発というのは、組織に対する裏切りというようなイメージがついて回り、誰が
内部告発をした人間かということにすぐに注目が行ってしまって通報者が守られない危険性があるので、今では札幌市でも
公益通報制度と言っているみたいです。
こういう中で、ことしの2月20日に、札幌市の人事課に匿名で告発がなされております。札幌市は、ことしの3月末まで、匿名の
公益通報については受け付けないというのが基本でした。ところが、4月1日から、
公益通報制度による告発というのでしょうか、これを受け付けるというふうに変わっています。
まず、2月20日にあった件というのはどういうことかといいますと、23日の消防局のときにまた話すことになろうかと思いますが、消火施設・設備に関する6カ月とか1年に1回の報告に対して、特例を設けて、優良な維持管理をしている建物の権限者には、3年間、報告を猶予しますよと。法定で6カ月とか1年と決まっている検査を行うわけですが、優良な消防施設の
維持管理をしているところには3年という特例を与えているわけですね。そして、この特例を与えるには要件があって、幾つかの要件に当てはまるものについては申請によって特例を認めます、こういうふうになっております。
ところが、札幌市の児童会館は、その要件に合わないのに特例を適用して3年の報告義務でいいとしている、こういうふうにしているのは法律に違反しています、このままでいいのでしょうかと。ほかの民間に対しては大変厳しい。民間といいますか、札幌市以外のそういう建物に対しては、要件に該当しなければ特例を取り消しているのに、札幌市の施設である児童会館は違反があるのに特例を認めている、こういう不公平な扱いでいいのかというのがこの告発の内容でございます。
そこでまず、一つは、これは2月20日ですから、札幌市としては、匿名通報については受け付けられないというものが、なぜこの4月から認められるに至ったのか、その理由をお答え願います。
◎中川 行政部長 今、委員からのお尋ねは、なぜ4月から匿名の告発も受け付けるようになったのかというお話でございます。
国も同様に
公益通報の制度を設けていますが、その
ガイドラインにおいて、4月から匿名のものも受け付ける取り扱いにするということが2月の時点でわかっておりました。そこで、4月以降、受けるのであれば、今、受けても同様の処理をすべきではないのかということで、私どもは、そのようにアドバイスをし、そういう取り扱いをしたということでございます。
◆堀川素人 委員 今、国のほうでもやるからと。札幌市の答えは、どうも、国がこうであるから、札幌市はそれに右へ倣えしてやりますと。この場合ばかりではなくて、いろいろな場面でこういう答えがありますけれども、札幌市として匿名の
公益通報を認めるに至った理由は何でしょうか。
◎中川 行政部長 札幌市として認めるに至ったのはなぜかということでございます。
先ほどと同様のお答えになりますが、もともと実名による通報を原則とするという扱いは国及び他の自治体でも同じでございました。ただ、国における検討があって、
民間事業所向けの
ガイドラインも平成28年12月に改正され、平成29年3月の国の
行政機関向けガイドラインの改正を受け、29年7月の
地方公共団体向けガイドラインの策定の中で匿名通報に関する規定が設けられております。そういう方向性がわかっておりましたので、どちらにせよ、近い将来、匿名のものを受けることになると考えまして、匿名のものも受け付けたということでございます。
◆堀川素人 委員 国でも、匿名のものも受け付けると。これはもう当然のことで、
内部告発または
公益通報というのは、2000年か、その前あたりから大変注目されていました。あれは2002年でしたか、一年の間に活躍した人間をアメリカのマスコミが表彰する
パーソン・オブ・ザ・イヤーという制度がありますが、その年は、
内部告発をした3人の女性が
パーソン・オブ・ザ・イヤーで表彰されて大変注目されました。
内部通報というのは、国家犯罪でもそうですが、本来は隠し通すような本当に大事な部分を内部で隠しておいたならば、やはり、よりよい社会に発展しないであろうと。こういう中で、今では、公の利益につながることについては、どうぞ、告発をして世の中に知らせてください、それが世の中のためにつながることである、こういう認識ができ上がって、
内部告発制度、
公益通報制度が少しずつ整ってきている状態です。率直に言いますと、僕は、札幌市でこの4月から匿名でもいいと受け付けるのは遅過ぎたなと思っておりまして、大変歓迎しております。
実は、内部通報者というのは、皆さんもご存じのように、内部にいる人間が通報するわけですから、これがわかればある意味で大変つらい立場になります。しかし、これが公益に合致していたならば、その人がつらい立場にならないようにという中で、今、制度が整えられつつありまして、今言いましたように、札幌市でもこの4月から匿名でよしとしなければならぬということになりました。
そういう中で、2月20日に告発がありました。では、どう処理をしたかといいますと、この通報は、まず人事課に入りました。そして、人事課のほうでは4日後にコンプライアンス担当のほうに回して、相談して、4月から匿名も受け付けることになっているから内部通報として扱おうという合意を得ました。そういうふうにしてコンプライアンスの担当係が担当するわけですが、この後、人事課による調査により一定の事実は確認されたが、事実関係の詳細は消防局に確認しなければならないため、消防局の職員課に通報内容を伝達し、その後、調査を依頼した、こうあるわけです。
これは、消防局で起こった問題です。それを消防局に通報したならば、通報者の関係が明らかになる可能性が極めて高い。そうであるならば、それをしっかりと調査しないうちに、詳細はということで消防局に渡してしまうのは、これで本当にいいんでしょうかというのが次の質問です。いかがでしょうか。
◎中川 行政部長 まず、
公益通報の窓口は、それぞれの任命権者の服務担当の部署でありますので、本来的には消防局の職員課が扱う案件かと思います。ただ、委員がおっしゃられたように、今回の件については、消防局に言うと通報元が特定されかねないというご本人のご希望もあって、一旦、人事課のほうで扱うことになりました。
人事課のほうでは、まず、該当する事実があるか、ないか、これについて確認しました。ただ、中身としては消防法令にかかわる問題でもありましたので、さらなる調査をしようというときには人事課だけではなかなか難しいこともあって、消防局の職員課と協力して調査を進めることといたしました。ただ、ご本人も懸念されているように、通報者が特定されないよう十分に配慮をする必要がありますので、消防局に確認する際には、通報内容を要約した文書を改めてつくり、その上で調査を依頼しております。
私どもも、
公益通報制度を所管している立場から、通報への対応方法は、関係課と協議を行って適切な調査が行われるよう関与してきたものでございます。
◆堀川素人 委員 僕の調査の中では、およそ、これは、すぐに消防局のほうに渡されて、消防局の査察規制課に報告を求めているんですね。それは、もう少し事実関係を詳しく知って、ここに問題があるぞと、少なくともそれぐらいは押さえる。より詳細にということだったら、それをやってから、消防局のほうにこういう要約内容の通報があったと具体的に聞ける状態にしてから聞くようにする。というよりも、これはどうなんだ、あれはどうなんだと、今まで調べたこととしっかりと照らし合わせながら聞くような調査でなければ、これでは中身を全部教えたのと同じではないか、こういうふうに思います。
そこで、どこまで調べて、どこにどういうふうに渡すのかという基準は札幌市にありますか。
◎中川 行政部長 基準という形では、特にございません。
◆堀川素人 委員 基準がなくてやっていたというのは、今までの調査の中で明らかです。これは、きちっと基準を持ってやらなければ、あなた方の腹づもりだけでやる問題じゃないですよ。こういう基準に基づいて、例えば、ここまでは人事課の仕事、これから先はコンプライアンス推進担当係が手続として進めますよと。こういうことを明らかにしなければ、内部でいろいろ話し合っているうちに全てが相手に筒抜けです。僕がこの調査を始めて、消防局のほうにこういう書類が欲しいんだけれどもと言ったら、この
内部告発の中に書かれている内容が全部そろって僕のところに提出されました。そこまで言わないのに、なぜ、これが提出されるのか。そう考えたならば、この情報が既に消防局のほうに伝わって、全部、整理されてこの書類になって届いた、そういう状態なんですよ。
これでは、告発した人は、この間、危険におびえながらどんなに心細かったか。それはそうですよ。消防の人方というのは千何百人もいるわけです。1,800人いるはずです。そういう中で、自分が勇気を持って言ったことが、これほど乱暴に扱われて、きっと今も本当に肝を冷やすような思いでいると思うんです。ただ、その後、そこに行き着くような犯人捜しがなされている様子がないので、今は、少しはほっとしておりますけれども、これからはわからないという状態です。こういうことというのは今後もあるし、また、正しくなければそういう告発がどんどん出てくるような環境を整えなければならぬ、こういうふうに思っています。
次に、コンプライアンス委員会が8月10日に開かれました。ホームページを見せてもらいましたら、この件については、違法な状態ではないようなことがホームページの一番初めに載っておりました。でも、本当にそうなのか、どうか。このコンプライアンス委員会がどう調査したのか。僕から言わせるならば、ほとんど調査しないで、違法状態がない、こう言っている。これに費やした時間はおよそ30分ですよ。消防局に説明させて、何をどう確認したのかわからぬ、30分の中で。事実関係を本当に確認したのか。しかも、説明した人間は消防局の人間ですよ。何事でも、問題があるんじゃないかと指摘されたら、その問題を起こした部署というか、人間は、そうじゃありません、していませんと言うのが当たり前ですよ。そういう信頼性のない証言しか聞いていなくて、これで調査したことになりますか、どう思いますか。
◎中川 行政部長 調査をしたのかというようなご質問であります。
実際には、今回のコンプライアンス委員会の審議については、
内部告発の対象となっている事実について、違法、不当な点があるのかどうなのか、まず、消防局のほうから制度の説明をしていただきました。そして、コンプライアンス委員会は委員5名、法律学の大学教授2名と弁護士3名で構成しておりますが、その委員に実際にその説明を聞いていただいて、何度か質問がなされ、審議する中で、最終的には、違法あるいは不当といった点はないけれども、改善すべき点が幾つかあって、その指摘がなされたという流れで行われたものでございます。
◆堀川素人 委員 もうちょっと具体的に言いますと、消防法第17条の3の3には、点検をしなければならぬと、それから、施行規則の中に1年以内とあるわけです。そこで、この間、1年というのはいつを指すのか、起算日はいつなのか、周期はいつなのかと、消防のOBにも、それから法律の専門家と言われる弁護士にも、僕はずっと聞いてまいりました。1年と言うのだから、当然、1年以内じゃないですかと。こういうふうに解釈される問題ですよ。
それから、市内部の法制課においても、コンプライアンス推進担当係においても、これは、昭和50年に変わった決まりとは違うので、消防局の解釈はおかしいんじゃないか、だから、もう一回、消防局のほうで国に確認したらどうか、こういう話が出る、そして、いろいろ聞く。そうしなければならない案件が、たったの30分で、説明したのは問題が指摘されている消防局です。そこから話を聞いて、そして、事実関係はそれ以上深く調べないうちに、問題はないんじゃないか、こう決めるコンプライアンス委員会は甚だいいかげんじゃないか、こう言いたいですね。この人方には、1日に1万2,500円の報酬が出るわけですよ。それが高いか安いかは別ですよ。市民が期待しているものは何なのか。内部だけでやったならば、なかなか出てこない問題もあるでしょう。事実関係というのは一つしかない。その一つを見きわめて、どう対処しなければならぬかということについて、最終的に第三者機関を使ってやるわけですよ。その第三者機関が、一方の問題を起こした当事者の話だけを聞いて、しかも、その説明も入れて30分で終わるようなことで、何を調べているんですか。何を調べたのか。何を根拠にして違法性がないと言うのか。
これについて、あなた方は、それを取りまとめてホームページに掲載する人間として、そのような調査だけでホームページに載せていいものなんですか。考え方を聞きたい。
◎中川 行政部長 コンプライアンス委員による審議は、きちっとなされていると思っております。ですから、それについて、その結果をホームページに載せているということでございます。
◆堀川素人 委員 札幌市でも、東京の消防庁に出かけていって確認をしなければならない問題なんですよ。我々はこういう解釈をしたんだけれども、どうなんだ、こういうふうにして聞きに行かなければならぬ問題です。僕も行ってきましたよ。
それほどの問題です。30分しかない中で結論を出せる問題なのか。それをしっかりやったと。あなたにすれば、しっかりやったと言わざるを得ない。でも、市民は不審に思うわけですよ。そんなに簡単に決められるのか、何を根拠にしているんだと。
ほかの
政令指定都市はこういうふうにして消防法第17条の3の3を運用しているんですと言っているので、全部調べました。全て、札幌の解釈とは違うんですよ。全て違うんですよ。こういうことが、消防局からコンプライアンス委員会に説明されているんですよ。
二十幾つ調べました。僕が調べたというよりも、僕自身が誘導して答えを聞くようなことをしちゃならぬと思って、第三者に調べていただきました。19の
政令指定都市、それから、北海道の都市の中では3都市を調べた。そうしたら、消防局で持っている結果と違うじゃないですか。ここの消防局ですよ。ここの消防局が持っているもの、調べたと言っていたものと違うじゃないですか。そういう問題もはらんでいる。
僕は、まだそれについて最終的な点検をしていません。僕の調べたのと札幌市で調べたものは、どこにどういう違いがあって結果としてこんなに違うのか。これは、点検してみなければなりません。それから、東京の消防庁の考えについても、改めてきちっとしなければならぬと思っています。できるならば、23日までに調べ上げられたらいいなと思っています。
つまり、コンプライアンス委員会というのは、そういう大きな問題をはらんでいるものを30分間で片づけて結論を出した。僕は、きっと告発者は大変真面目な人だと思うんですよ。今まで、普通なら1年ずつのものが3年に1回でいいですという特定認定が取り消されたところが、僕への報告ではほかに7件あります。その中に道の施設もあります。道の施設は、防火管理者がかわったのにその報告をしていないという理由で取り消しなんですよ。それくらいこの特例認定というのは厳しいというのか、当たり前の要件なんでしょうけれども、そういう要件が決められていて、それに達していなければ取り消されます。そうするならば、札幌市の児童会館も取り消されて当然じゃないだろうかと。
実際にどのぐらいの期間があったかといったら、1年ずつ報告しなければならぬのに、1年4カ月です。4カ月も過ぎて報告がなされております。それが初めてわかって、じゃ、これをどう乗り切ったらいいかということで、暦年暦日という法律の大原則を曲げて年度にかえて読んで、何とかしてこれを通過させようとしたのが今回の件であろうか、今のところはこう思っています。
そのことについては、また、23日に消防局の委員会質疑の中でもう少し深くやりたいと思っていますが、とにかく、言えることは、この大事な問題が、30分の時間でもってコンプライアンス委員会で決着がついているということです。そのことが不思議でならぬということを申し上げて、質問を終わります。
◆村山拓司 委員 私からは、姉妹都市を活用した国際理解事業についてと
市政情報提供システム構築事業と広報さっぽろの
リニューアルについて伺います。
まず最初に、広報さっぽろの
リニューアルについてですが、新たな
市政情報提供システム構築事業は、近年のパソコンやスマートフォンなど、
情報提供手段が多様化している環境に対応するため、地デジ、アプリを使用してより効果的な形で市政情報を発信する事業であります。情報化社会のさらなる進展を見据えた先駆的な
取り組みの一つであり、紙媒体から
デジタル媒体への移行による紙の削減は、単なる経費節減にとどまらず、CO2削減など環境負荷を低減する
取り組みとしても評価させていただいています。また、広報さっぽろが月1回の発行で掲載スペースも限られているのに比べて、地デジ、
スマホアプリは、ともに週1回の更新で、よりタイムリーな情報をより詳細に掲載できるなど、本事業は、市民の利便性を高めるものであると認識しています。さらに、このほかにも、地デジ、スマホの特性などを生かしたそれぞれ便利な機能もあるのではないかと思います。
そこで、お伺いしますが、地デジ、
スマホアプリを市民にどのように使用していただきたいと考えているのか、伺います。
◎青山 広報部長 地デジ、
スマホアプリを市民にどのように使ってほしいと考えているかとのご質問でございます。
まず、地デジですが、
地上デジタルテレビが普及率の非常に高い媒体であり、
データ放送の操作も簡単なボタン操作でできるものであることから、お子様から高齢の方まで多くの皆様に気軽に利用していただけるものであると考えております。また、地デジだけの機能である申し込み不要のイベントを1週間ごとにまとめたイベントカレンダー機能や、初開催のイベントなど、特にごらんいただきたい情報を集めた注目情報機能なども搭載しております。テレビを見ながらリモコン操作でさまざまな市政情報、
イベント情報をごらんになれるこれらの機能を、ぜひ活用していただきたいと考えております。
次に、スマートフォンは年々普及率が高まっており、専用アプリのⅰさっぽろは、携帯性にすぐれ、いつでも情報にアクセスできる上、スマホならではの機能が充実しております。例えば、日付やキーワードによる検索、画面から直接申し込みや問い合わせができる機能、あらかじめお住まいの区や気になる施設などを登録すると、それに応じた情報をマイニュース、マイエリアに表示する機能など、より便利な使い方が可能となっております。
これらを生活スタイルや場面に応じて活用していただき、市政情報、
イベント情報などをこれまで以上に手軽に入手することで毎日の生活に役立てていただきたいと考えているところでございます。
◆村山拓司 委員 地デジ、
スマホアプリは、それぞれに便利な機能があって、市民の利便性を高めることはわかりました。広報さっぽろも、
リニューアルにより、お知らせページに
イベント情報が掲載されなくなることから、平成30年5月以降は、
イベント情報を地デジ、
スマホアプリで入手することとなります。地デジ、
スマホアプリは、使い方がわかれば非常に便利なものであります。しかしながら、先ほどの質疑で広く市民に周知することは理解したところですが、今回の
リニューアルで最も影響を受けるのは、これまで広報さっぽろの紙面で情報を入手していた方々であり、そういった人たちに対してこそ、操作の仕方や使い勝手のよさについてしっかりと伝えていく必要があると考えます。
そこで、お伺いしますが、これまで広報さっぽろの紙面で
イベント情報を入手してきた方々に対して、地デジ、
スマホアプリの操作の仕方や使い勝手のよさの周知についてどのように取り組んでいるのか、伺います。
◎中川 行政部長 ご質問にありました違法、不当の判断につきましては、これまでも弁護士等に相談するなどして適切に記録して対応を行ってきたものと考えております。違法、不当の要件を設けずに要望等を記録、公表する制度につきましては、職員の事務負担や事務事業の執行に与える影響など、その効果も含めて見きわめる必要があると考えております。
いずれにしても、適正な行政運営を確保する観点からは、今後、何ができるのか、他都市の状況も参考にしながらさらに調査研究を進めてまいりたいと考えております。
◆中山真一 委員 今、事務負担の問題等があるというお答えがありましたけれども、それは、当然、やらない時点よりは発生しますので、その辺も考えていかなければいけないと思いますし、また、事務負担に対する効果を考えてというお話もありました。しかし、既に多くの他都市では導入されておりますので、ほかの多くの政令市にできて、なぜ札幌市でできないのかという点は疑問が残ります。
知る権利は、民主主義の根幹であり、他市に比べて明らかに劣っているのは市民にとって大変残念なことであると率直に申し上げておきます。今の事務負担の問題は、他の自治体も同じであります。それでも、他の自治体においては、行政の責任として全てを記録しております。職員の事務負担の問題も、ICT化によって工夫の余地は大きいと考えます。記録に残すということは、情報公開の基本であります。記録に残さないということは、現在及び将来の市民に対する説明責任を放棄することになります。札幌市の市民に対する姿勢、情報公開への意識が問われております。いわゆる働きかけを隠そうとするのか、市民に情報を開示し、透明性を高めていくのか、この点が問われていると思います。
本市は、オリンピック・パラリンピック招致を目指しております。公正な行政運営を行うことは当然のことでありますが、あらぬ誤解や疑念を抱かれないよう、一層、行政運営の透明性を高めていくことが必要だと考えます。早急に制度の改善を進めていただくことを最後にお願いしまして、私の質問を終わります。
○伴良隆 副委員長 以上で、第1項
総務管理費中
総務局関係分等の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後4時
再 開 午後4時2分
――――――――――――――
○しのだ江里子 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中危機管理対策室関係分の質疑を行います。
◆好井七海 委員 私からは、災害対応力の強化、中でも、災害対応の中心となる市役所組織の課題改善への
取り組みについて、少し掘り下げて質問させていただきます。
私は、さきの代表質問において、過去の災害事例から見出された新たな課題として、職員用の食料や簡易トイレの確保、職員の参集、発災時の職員への連絡、家族の安否確認といった課題を指摘し、これらに対応するための災害対応力の強化についても質問を行いました。その際、町田副市長からは、危機マネジメントシステムを運用させ、全ての局・区において、自立的に危機対応力の向上に取り組むとの答弁があったところであります。
私は、災害時の対応を的確かつ迅速に進めるためには、災害発生時においても、市役所の組織が市長を頂点とするマネジメント体制により十分に機能していなければならず、仮に札幌市が被災した場合においても、それが目に見える形で動くことが被災後の復旧、復興には必要不可欠なものと考えております。そのためには、平時より備えを怠らず、繰り返し訓練を行うなどにより、災害時でも体制はしっかりとれることを確認しておくことが、市民に大きな安全・安心を与えるものと確信しているところであります。
他都市で発生した災害では、例えば、本年7月に福岡県朝倉市などで大きな被害があった九州北部豪雨が記憶に新しいですが、この際は、急激な雨量の増加に気象台も対応できず、気象情報などの発表が実況雨量より遅いタイミングとなり、その結果、自治体の側も気象警報等に基づいた避難勧告などの発令が後手に回ったという事例もあります。このような事態になった場合には、まさに自治体の組織として、また、職員の個々のスキルとしての危機対応力が必要であることを改めて実感したところであり、札幌市としても危機対応力の維持・向上が必要であると考えているところであります。
そこで、質問ですが、危機マネジメントシステムの仕組みについて、札幌市職員の危機対応力の向上も含めて、いま一度、詳しくお伺いいたします。
◎小田原 危機管理対策部長 危機マネジメントシステムの仕組みについてでございます。
札幌市では、自然災害などから市民の身体・生命・財産の安全確保を図るため、全庁的な危機対応力の向上及び計画的な体制の整備を掲げた危機管理基本指針を定めております。危機マネジメントシステムは、この指針の中で定められており、このシステムの運用により、市役所全組織の危機対応力の向上を目指すものでございます。具体的には、各年度で設定する課題項目を各局・区が自立的に
取り組み、その後に評価を行い、改善を図っていくというPDCAのサイクルを継続することでレベルアップを図っていくものでございます。
本年度に設定いたしました課題は、各局・区が必須で実施する重点項目として1項目、各局・区が主体性を持って選択し、実施する年度目標として11項目を設定しているところでございます。さらに、各局・区が必要と判断した独自の
取り組み項目も設定できることとしております。これらの
取り組みの実施と訓練を通じて検証を繰り返していくことで、危機対応力の向上が図られていくものと考えております。
◆好井七海 委員 まず、危機対応力という点においては、以前、気象台との連携強化も求めましたが、職員の気象に関する理解とスキルの向上を図っていただきたいと思います。そして、危機マネジメントシステムの仕組みについては、ただいまの説明で理解いたしました。
次に、各局・区単位で実際に行う
取り組みについても確認させていただきたいと思います。
今の答弁では、各年度で設定する課題については、重点目標、年度目標、さらには各局・区が定める独自の項目があるとの説明がありました。さきの代表質問における町田副市長からの答弁でも、市内部における課題の例示がありましたが、課題は多岐にわたることから、私も、幅広い視点が非常に重要と考えているところであり、各局・区において積極的な
取り組みを期待するところで、どのような目標設定がなされているのか、気になるところであります。
そこで、質問ですが、各局・区が本年度に行う
取り組みとは具体的にどのような内容なのか、お伺いいたします。
◎小田原 危機管理対策部長 各局・区の本年度の具体的な
取り組み内容についてでございます。
重点目標は、平成27年度に策定いたしました札幌市業務継続計画に定めている行動手順書の整理としております。この手順書は、災害が発生した際に実施すべき優先度の高い業務に必要となる職員の数や体制などを定めたもので、その内容の点検や改善を図るものでございます。
また、年度目標につきましては、11項目から、職員の参集先の確認、参集時の留意事項の徹底、職員及び家族の安全確保に関する教育、啓発、風水害時における職員の配備体制、業務の整理など、過去の災害対応や訓練などによって見出された課題を中心に設定しており、各局・区はこの中から4項目以上を選択しております。
これらに加え、災害対応マニュアルの見直しや新たな訓練の実施など、過半数の17局・区で独自
取り組み項目を設定しているところでございます。
◆好井七海 委員 危機マネジメントシステムの具体的な
取り組み内容について伺いました。今、例示のあった
取り組み項目の中には、例えば、職員の参集先の確認、参集時の留意事項の徹底、職員及び家族の安全確保に関する教育、啓発の項目もありましたが、これらは、私がさきの代表質問で例示として挙げた事項に関するものであり、職員の士気を維持していく上でも大事な視点であると思います。私は、災害対応の最前線で働くこととなる市職員の役割が大変重要と考えており、具体的な危機マネジメントシステムの
取り組み項目の中身についても、改めて確認させていただきたいと思います。
そこで、質問ですが、例えば、先ほど例示のあった本年度の
取り組み項目として設定されている職員の参集先の確認、参集時の留意事項の徹底については、どのような
取り組み内容を想定して設定したものであるのか、伺います。
◎小田原 危機管理対策部長
取り組み項目の職員の参集先の確認、参集時の留意事項の徹底の
取り組み内容についてでございます。
札幌市では、休日や夜間などの勤務時間外に震度6弱以上の地震が観測された場合、特別動員体制としまして、職員は自動的に指定された避難所か最寄りの区役所または所属職場に参集することとしておりますが、この体制は、人事異動や転居等により、毎年、指定の見直しをしていることから、災害時に遺漏がないように凡事徹底を図るものでございます。また、参集時の留意事項の徹底につきましては、タクシーチケットの使用方法や、食料や飲料水といった参集時の持ち物などの留意事項の周知を徹底させることとしたものであります。
こういった
取り組みにより、各局・区において職員が迅速かつ確実に参集し、業務に専念できる体制を確立することを想定して設定したものであります。
◆好井七海 委員 最後に、要望になりますが、今の答弁にありました職員の参集に関する事項は非常に大事な観点なので、各職場でしっかりと
取り組みがなされるよう、私からもお願いさせていただきます。
また、災害対応力の強化については、繰り返し継続していくことに意味がありますので、これをしっかり運用していくことで、今後も積極的に課題解決を図っていただきたいと思います。災害発生時、または災害発生のおそれがある場合には、職員の初動態勢が極めて重要なことは言うまでもありませんので、それを円滑に機能させるためには、こうしたシステムの運用や訓練の実施等により、平時より職員の危機対応力の向上を図ることが最も重要であると考えます。これらの総合的な
取り組みにより、市民の安全・安心につなげていただくよう不断の積み重ねをお願いし、私からの質問を終わります。
◆伊藤理智子 委員 私からは、本市の地域防災計画原子力災害対策編にかかわる課題について質問させていただきます。
この間、全国では、地球温暖化などにより、経験したことがない新たな災害の脅威が広がっており、本市の地域防災計画原子力災害対策編で、泊原発の放射能漏れと自然災害を想定した最悪の事態が起こったときの対策を検討することが求められていると考えます。
ことしの7月、甚大な被害となった九州北部豪雨は、積乱雲が一直線に連なる線状降水帯によって発生したと言われています。線状降水帯とは、線状に伸びた地域に積乱雲が次々と発生し、強雨をもたらすことで、規模は幅20から50キロメートル、長さは50から300キロメートルに及ぶ広い範囲で何時間も続くのが特徴です。集中豪雨の6割は、この現象が原因で起きていると言われておりますが、メカニズムはよくわかっておらず、予測は難しいと専門家は指摘しています。2015年の東日本豪雨や前年の広島土砂災害も、線状降水帯によるものでした。四つの条件で発生すると言われていますが、条件がそろっても発生するとは限らず、発生のメカニズムが解明されていないことから、いつ、どこでも起こり得る災害だと言われております。
そこで、泊原発で放射能が漏れたときに、泊から札幌方面に線状降水帯が発生した場合、泊付近で放射性物質を吸収した雲が西風により札幌に連続して強雨を降らせることになると、その大量の雨には放射性物質が含まれることになりますが、こうした複合的な最悪の災害が発生した場合、どのような対策を行うのか、伺いたいと思います。
◎小田原 危機管理対策部長 泊発電所で事故が発生した際に、線状降水帯が発生し、それが札幌に影響があった場合の対応ということでございます。
国が定めております原子力災害対策指針では、原子力発電所から30キロメートル圏外においては、原子力災害の事前の対策を要する地域とされておりません。札幌市は、泊発電所から40キロメートル以上離れておりますため、そのような被害想定もないことから、対応については検討しておりません。
万が一、ご指摘のような事態になった場合には、原子力災害対策指針に基づき、専門的な知見を有する国や関係機関、事業者などが連携して対応することとなりますので、適時適切な対応が行えるよう国や北海道との連携を図ってまいりたいと考えております。
◆伊藤理智子 委員 現在は、道内で短時間に強い雨が降る頻度が30年前の3倍以上にふえているという状況もありますし、2014年9月に、道内で初めて特別警報が出された道央圏の大雨でも線状降水帯が確認されていることから、今後、北海道や札幌においても線状降水帯による強雨が発生する可能性は考えられることです。そもそも泊原発を再稼働することはあり得ませんが、泊原発が放射能漏れを起こしたときに、線状降水帯による強雨となり、泊から札幌方面に放射性物質を吸収した雨が降った場合を想定した検討は行っていくべきだと考えます。
現在は、地球規模で異常気象による災害が広がっています。ことしの9月7日、アメリカのフロリダ州の電力会社は、超大型のハリケーン、イルマの接近を受けて、州内にある2基の原発を事前に停止しました。いずれも激しい暴風雨が予想される大西洋沿岸地域にある原発です。アメリカでは、時速75マイル、秒速約33.5メートル以上の風が予想される場合は原発を停止することにしているそうです。風によるダメージを懸念しているのではなく、一帯が停電し、冷却を予備のディーゼル発電機に依存する事態に追い込まれる可能性を避けるためで、今までも竜巻や強風、洪水などの自然災害で原発を停止しているのです。
本市においても、気候変動を示す最新データに基づいて実態を把握し、将来に予測される問題を抽出した原子力防災計画が重要であり、泊発電所に関してもこうした検討が必要だと思いますがいかがか、ご見解を伺います。
◎小田原 危機管理対策部長 最新データに基づいた将来予想される問題を反映した原子力防災計画についての見解ということでございます。
原子力発電所におきましては、安全対策が何よりも重要と認識しております。このため、安全対策におきましては、ご指摘のような新たな気象データなども考慮していく必要があると考えております。国におきましても、こうした新しい知見も考慮しながら、原子力政策を進めていくものと考えております。
◆伊藤理智子 委員 日本海側に面している泊原発は、放射能漏れがあった場合、西に流れていく偏西風によって、放射能を含んだ風は札幌に向かってきます。そのため、日本海側の泊原発で福島原発と同規模の事故が起きた場合の被害範囲は、福島の場合よりも格段に広大なものになる可能性があると指摘されております。札幌へ向かう避難経路に西風が直撃してしまうことも予測されます。
こうした可能性について、本市はどのように分析されているのか、伺います。
◎小田原 危機管理対策部長 冬季において発電施設で事故があった場合の影響についての考えということでございます。
泊発電所で事故が発生し、札幌市も影響がある場合には、先ほどもお答えいたしましたけれども、国や北海道から適切な指示が行われることとなっておりますので、冬季の場合にも同様と考えております。札幌市といたしましては、市民に適切な情報提供などの対応ができるよう、国や北海道と連携を図ってまいりたいと考えております。
◆伊藤理智子 委員 結局、最悪の異常気象が想定される状況となっていても、国が基準を示さなければ、本市では何も手が打てないというのが実態だということです。熊本での地震で連続して震度7以上の揺れが起こったり、線状降水帯による強雨で全国に被害が拡大したり、今までに経験をしたことのない災害が起こっていることから、あらゆる場合を想定していかなければ市民の命と安全は守れません。災害が起こったときに想定外だったということは、今や許されないのです。
福島では、事故から6年以上が経過しているのに、いまだに約6万8,000人の方々が避難を余儀なくされています。なりわいを返せ、地域を返せ、こうした思いで福島原発訴訟が行われておりましたけれども、昨日、10日に福島地裁で国と東電に法的責任があったという判決が下されております。
地球温暖化による新たな自然災害の脅威について、最悪の事態を想定していくべきであること、また、このような想定をしなくても済むように、市民の命と安全を守るために泊原発の再稼働は行うべきではなく、原発ゼロの日本を目指すべきであるということを指摘して、私の質問を終わります。
◆阿部ひであき 委員 私からは、災害時、特に風水害時における札幌市の警戒態勢について質問いたします。
札幌市では、大雨や洪水などの気象警報が発令された場合に、全庁的な警戒態勢をとると承知しております。これは、市民の安全・安心を守るために必要不可欠な態勢でありますけれども、昨今は大雨の頻度が高まってきており、その降り方も非常に変わってきています。そういうことが実感できることから、警戒態勢を迅速かつ的確にとることが非常に難しくなってきているのではないかと危惧しているところであります。
一例を申し上げますと、先月の23日、土曜日でしたが、大雨洪水警報が出されました。20時48分に大雨警報が、そして、21時52分には洪水警報が発表されて、その後、23時44分に大雨警報解除、日がかわり、1時38分に洪水警報が解除されたところであり、この間、わずか5時間ほどでありました。このとき、私も、気象レーダーの画像を見ておりましたけれども、線状降水帯のような雨雲の動きが見られ、局地的な集中豪雨が生じるのではないかと感じられたところでもあり、実際、市内におきましては、特に私の住む白石区、そして東区で道路冠水、あるいは住宅浸水があったところであります。
警報が発令されるとともに、各職員は、可能な限り速やかに職場に向かっているだろうというふうには思いますけれども、いかに可能な限りといっても、言われてすぐに来られるわけでもないですし、ドラえもんのどこでもドアがあるわけでもありませんから、タイムラグが生じてしまうであろうと思います。また、市民側の目線で普通に見ても、そういう市職員の動き方というのは全く見えない部分があります。先日の大雨のときは土曜日でもありましたから、そうしたところでは非常に見えにくい部分もあったのではないかと思います。
そこでまず、確認のためにお聞きしますけれども、風水害時における札幌市の警戒態勢について、また、先月23日の状況についてもあわせて伺いたいと思います。
◎小田原 危機管理対策部長 風水害時における札幌市の警戒態勢及び先月、9月23日の状況についてでございます。
大雨や洪水の警報時には、危機管理対策室はもとより、建設局や下水道河川局、各区土木部などインフラ施設を所管する部局や、市民への広報、避難所開設を担当する部局などが中心となって警戒態勢をとることとしております。警戒態勢中は、災害情報、被災状況などについて、防災支援システムなどを活用し、情報共有を図っております。
先月23日におきましても、同様の態勢をとったところでありますが、土曜日の夜間であったことから、20時48分の大雨警報発表を機に、職員は自宅などから各職場に向かい、警戒態勢をとり、情報収集などに努めたところであります。
◆阿部ひであき 委員 ただいまお答えいただきましたけれども、土曜日、日曜日あるいは夜間であっても、市職員は災害対応に駆けつけるということでありました。今後も、そうした対応をしっかりとしていただきたいなと思うところであります。
ただ、実感としては、9月23日の状況というのは、大雨警報が発令される前に、もう既に異常な雨が降っていたんですね。そうしたことから言うと、場所によっては、その警報が発令された段階でもう既に冠水している地区があったと理解しております。そうすると、大雨警報をもって動くのが適切なのか、それとも、状況を判断して市民からの情報を手に入れてから動くのが適切なのか、この辺が非常に難しいところになるのではないかというふうに思います。
答弁の中で、区土木部と、いわゆる土木センターについて述べられていましたが、その土木センターについて伺いたいと思います。
実は、23日に、市民から私のもとに助けを求める連絡がありました。もう夜も遅かったんですが、自宅に雨水が迫ってきて非常に危険を感じたので、土木センターに連絡した、しかし、誰も電話に出てくれない、このまま放っておいたら大変なことになってしまうけれども、どこに連絡したらいいかわからない、何とかしてほしいといった内容でした。私は、その方にかわって、ここでいいのかなと思いながらも消防、119番にかけさせていただきました。そのときに、火事ですか、けがですかと聞かれたものですから、災害ですかと聞かないのはどうなのか、火事かけがしか受け付けないのかなと単純にちらっと思いましたが、その状況を言って、結局、消防局が消防車を手配してくれました。後ほどそのお宅に確認しに行ったところ、土のうを積んでいってくれたということで、非常に感謝しておりました。
しかしながら、災害時、特に自分の家に危機が迫ってきたときに、消防局に電話をかけるということを知っている市民はどれぐらいいるのかなと、その方からそういう電話が入ってきたときに、自分はたまたまそういうふうに感じました。また、一般の市民であれば、どこにかけたらいいかわからないということがあるのではないかと思います。
確かに、24時間対応可能な消防局が災害対応を担うとすれば大変心強いとは思います。しかし、23日にも、白石区や東区を中心に80件ほどの119番通報があったということでありまして、消防局では、先ほど言ったようにけがか火事かということがありますが、救命救急といった本来の目的がありますから、そうしたことを考えるとこれ以上の連絡のふくそうは避ける必要があるのではないかと私は思っています。そうしたことを考えれば、災害対応の窓口としては、やはり、各区の土木センターが適していると私は思うのです。そして、札幌市のそういった警戒態勢については、例えば大雨や台風が予見される、あるいは予測される場合に、警報の発令を待たずにそうした態勢をとって区内の状況確認や不安にさいなまれる市民への対応を行うべきであると考えます。
そこで、区土木センターの役割について、危機管理対策室ではどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、市役所全体の警戒態勢の早期の立ち上げに向けてどのように取り組んでいくのか、あわせて伺いたいと思います。
◎小田原 危機管理対策部長 区土木センターの役割と札幌市の警戒態勢の早期の立ち上げについて、2点でございます。
まず、土木センターの役割についてでございますが、道路維持を委託している事業者と協力しながら、例えば、風水害時に道路冠水があれば、雨水ますを確認し、実際に被害が生じた場合には交通規制や速やかな復旧など、被害拡大の防止を行っております。このため、先月23日におきましても、速やかに警戒態勢をとり、区内の道路や河川のパトロールなどによって被害状況を把握し、あわせて、市民からの通報に基づいて必要な措置をとったところであります。区土木センターは、災害等において重要な役割を果たしていると考えているところでございます。
次に、態勢の早期立ち上げに向けた
取り組みについてでございます。
私どもも、できるだけ早く態勢を整えることが何よりも大切だと考えておりますことから、これまでも、注意報の段階から、札幌管区気象台から気象の概況を聞き取り、その後の見込みなど、態勢に影響する情報を全庁で共有するなど、早目に行動できるよう心がけてまいりました。
さらに、警報が発表されていないときでも、状況に応じて庁内の防災担当へ緊急連絡を一斉に行い、速やかに態勢を立ち上げるようにしております。加えまして、現在は、気象レーダー画像や、注意報や警報の見込み、さらには、土砂災害の危険度や河川の水位などを自宅でも確認できるようになっておりますことから、休日や夜間などの閉庁時におきましても、危機管理対策室の当番職員が中心となり、気象情報などについて注視しております。
◆阿部ひであき 委員 ただいまの答弁では、土木センターが災害対応で重要な役割を果たしているということでありますので、そこの思いは私と一緒であると思います。
ただ、今後ますます不確実さを増す災害対応について、一刻も早い初動態勢の設置が必要であります。大雨注意報や大雨警報をただただ待っているだけでは、今回のような雨には対応し切れなかったというのは、やっぱり指摘しなければなりません。ですから、そういうふうに考えると、やはり、市民からの声というか、そうした情報を取り入れる体制もどこかに入れておかなければ、自分のところは雨が降っていなくても、そこだけ物すごく降っているということもあり得ますから、そういう態勢を迅速にとるためにはそうしたところの対応も考えていただき、市民の不安を取り除いていただく必要があるものと考えるところであります。
また、今回の雨であちこちで非常に言われたことは、単純な大雨による被害という部分だけではなかったのですね。大雨で雨水がたまって、何とか防げそうだったんだけれども、車が通ったことによって波が立ってしまい、それが非常に被害を広げたということをあちこちで言われました。そうなってくると、市だけではなくて、道警等々との情報交換や相互の連携もとっていかなければならないのではないのかなと思うのですね。
そのときの状況を見ると、物置自体が浮いてしまうとか、本当にそれぐらいの雨なのです。そういう雨だと、車が通るとどうしても波が立って、車庫とか物置が家にぶつかってくる。また、波が立つことによって、せっかく土のうを積んでも、そこからまた水が入り込んでしまうとか、そういうさまざまなことがあります。そうしたことでは、やはり、警察との連携も視野に入れるべきではないかと思うところであります。
自助、共助の
取り組み、その精神の重要性は当然でありますけれども、実際の災害においてはやはり質の高い公助が求められるところであり、これが、平時においても市民の安心につながるものであると考えます。市民の自助の重要性もさることながら、市役所の公助についても、組織力の強化とともに、市民のニーズを的確に捉えた対応を今後も行っていただきたいと思います。あらゆる方向からそうした議論を深めて、こうした災害における情報収集、そして現場対応についてもしっかり前に進めていただきたい、このことを指摘申し上げて、私の質問を終わります。
◆松原淳二 委員 私からは、携帯電話などを持たない市民への緊急情報等の伝達についてお伺いいたします。
先ほど来、るるお話がございましたが、異常気象などによる自然災害の状況について各委員が述べておられました。市民の多くの皆様からは、危機管理、災害対策といった声が高まっているものと思います。過去の災害においては、避難勧告や気象情報などが住民に対して十分伝わらなかったことや、大雨の際には屋外からの音声が聞こえにくかったことなどが課題として挙げられ、より確実で迅速な情報伝達の
取り組みが求められております。先日、北海道上空をミサイルが通過した際には、携帯電話を持たない高齢者のためにサイレンや放送で伝えてほしい、また、スピーカーのついた防災行政無線による周知はしないのかなど、情報伝達に関して改めて不安の声が寄せられており、対応が急がれております。これまでの災害においては、冠水であったり、崖崩れ、降雨状況などにより、限定された地域やエリアに特化した課題も寄せられたと思いますが、今回の件に関して、どの市民、どの国民からもそういった不安の声が寄せられていた状況にあります。
そういった話の中からも、同報系防災行政無線については、主に東海地震や津波などの情報をいち早く伝えることを目的に整備されたことから、札幌市を初め、日本海側や内陸部の都市では導入が進んでいなかった現状にございます。さらに、住宅の高気密性や気象状況によっては音声が伝わりにくいことや、市域が広いため、導入と保守に多額の経費を要することに鑑みれば、札幌市に同報系防災行政無線を導入することは現実的ではないと私は判断するところです。
一方で、国においては、災害情報の伝達手段として、スピーカーのついた同報系防災行政無線や緊急速報メール、コミュニティFMを活用した伝達など、各地域の実情に合った多様な手段を選択、組み合わせることが望ましいとの見解が示されております。
現在、札幌市では、携帯電話やスマートフォンの緊急速報メールに頼っている状況でありますが、携帯電話、スマートフォンの普及率を踏まえると、緊急速報メールは広範囲の市民に伝えることができ、大きな情報伝達手段の柱として捉えることができると考えます。しかし、先ほどの国の方針を考慮すると、複数の伝達手段を用意することも必要かと思います。
そこで、質問ですが、携帯電話、スマートフォンなどを持たない市民への緊急情報などの伝達について、現在、どのような検討を行っているのか、伺います。
◎小田原 危機管理対策部長 携帯電話を持たない市民への情報伝達に関する検討の状況についてでございます。
現在、防災ラジオと固定電話などへの連絡の主に二つについて検討しております。
防災ラジオにつきましては、電源が入っていない状態でも自動的に起動して情報を受信するもので、280メガヘルツの電波、かつてのポケベル波になりますが、この電波を活用したタイプと、地上アナログ放送終了後に使わなくなった周波数帯を利用したVアラートという放送システムを活用したタイプの二つについて検討しているところでございます。Vアラートは、現在、北海道内での開業準備中であり、具体的な運用時期などの詳細につきましては、まだ判明していないため、既に運用が行われているポケベル波を活用したタイプについての検討を先行しているところでございます。
また、固定電話等への連絡につきましては、コールセンター事業者や電話による情報通知サービスを行っている事業者に対しまして、緊急時の対応が可能かどうかについて確認、調査を行っているところでございます。
◆松原淳二 委員 携帯電話を持たない市民への情報伝達手段に関するさまざまな可能性について探っているということでございますが、これも、決定には一定程度の時間がかかるのではないかと推察するところであります。先日、市長も、記者会見において、防災ラジオを導入する検討の前段階で、固定電話に連絡するなど、先ほど後段でございましたようなアナログ的な対応ができるかどうかについても時間をかけずに結論を出したいと言及しておりました。できることを早急に検討する必要性については、私も同調するところでございます。
そこで、質問ですが、防災ラジオの導入については一定の時間がかかると思いますが、その前の段階として、より早く実現の可能性があると思われる固定電話への連絡といったアナログ的な対応について、具体的にどのような検討が行われているのか、伺います。
◎小田原 危機管理対策部長 固定電話への連絡という、いわゆるアナログ的な対応の検討状況についてでございます。
先ほど申し上げましたコールセンター事業者や電話で情報通知サービスを行っている事業者から聞き取りを行っておりますが、いずれの事業者におきましても、所有する回線に限りがあること、また、最終的にはNTTの配線を利用することになることから、一度に大量の情報発信を行うには相当な時間がかかるということでございました。例えば、ある事業者からお聞きしたところでは、5,000件に発信するには約1時間かかるということでございました。このため、この方法を緊急情報伝達手段として活用するには、対象とする方を限定するなどの対応が必要と考えておりますので、引き続き、調査検討を進めてまいりたいと考えております。
◆松原淳二 委員 固定電話への連絡といったものは、アナログ的で瞬時にできそうな気がしますけれども、私のもとの職場でございますので、難しいことは十分理解しているつもりです。また、機械的に一斉にかけることが主の目的となりますが、196万人の市民の中で携帯やスマートフォンが普及しているとはいえ、やはり一定程度の人数がいらっしゃると思いますので、当然、回線的にもパンクするであろうことも考えられますし、かなり多くの人海戦術も想定されるなど、アナログ的なものにも幾つかの課題があるのだろうと思います。
そうなると、やはり、防災ラジオの導入について検討を早める必要があるのではないかなと感じるところでございます。ただ、防災ラジオについては、私も少し調べさせていただきましたが、緊急情報を受信した際に自動的に電源が入るメリットがある反面、既に販売されているものは1台当たりの価格が1万円台から5万円台程度ですから、導入経費がかなり高額になることも想定されます。さらに、それなりに大きなもので持ち運びにも不向きなものであると聞いておりますので、当然、外出先での利用も難しいという点が課題になろうかと思います。
そこで、質問ですが、防災ラジオの検討に当たって、価格や機能、大きさなどの観点も考慮する必要があると考えますけれども、この点についてどのようなお考えなのか、お伺いいたします。
◎小田原 危機管理対策部長 防災ラジオの検討についての考えであります。
現在検討しておりますポケベル波を活用した防災ラジオは、既に自治体でも導入実績がありますが、委員のお話にもありましたように、受信機の価格が1万円以上するほか、情報を発信するためには、市内に基地局の整備をするなどの初期投資も必要となってまいります。しかしながら、ポケベル波は、気密性の高い建物内でも電波が伝わりやすい特性があると言われており、緊急情報の伝達には有効であると考えております。また、携帯電話を持たない方へ情報提供をするには、ご指摘がありましたように、外出時に持ち運べる小型で安価な受信機も必要と考えております。そのため、かつてのポケベルのような受信機の開発が可能かどうかについて事業者に確認をしたところ、技術的には可能だというふうにお聞きしておりますので、今後さらに事業者と協議、調整を進めてまいりたいと考えております。