札幌市議会 2024-03-12
令和 6年第一部予算特別委員会−03月12日-06号
令和 6年第一部
予算特別委員会−03月12日-06号令和 6年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第6号)
令和6年(2024年)3月12日(火曜日)
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
●議題 付託案件の審査
●
出席委員 32名(欠は欠席者)
委 員 長 小 形 香 織 副委員長 坂元 みちたか
委 員 三 上 洋 右 委 員 鈴 木 健 雄
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 長 内 直 也
欠 委 員 細 川 正 人 委 員 よこやま 峰子
委 員 佐々木 みつこ 委 員 こじま ゆ み
委 員 村 山 拓 司 委 員 中 川 賢 一
委 員 藤 田 稔 人 委 員 山 田 洋 聡
委 員 小須田 大 拓 委 員 ふじわら 広昭
委 員 しのだ 江里子 委 員 村 上 ゆうこ
委 員 林 清 治 委 員 かんの 太 一
委 員 あおい ひろみ 委 員 水 上 美 華
委 員 篠 原 すみれ 委 員 定 森 光
委 員 國 安 政 典 委 員 福 田 浩太郎
委 員 わたなべ 泰行 委 員 竹 内 孝 代
委 員 森 山 由美子 委 員 池 田 由 美
委 員 田 中 啓 介 欠 委 員 丸 岡 守 幸
委 員 荒 井 勇 雄 委 員 米 倉 みな子
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午前10時
――――――――――――――
○小形香織 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
細川委員、
丸岡委員からは欠席する旨、
北村委員からはこじま委員と、
小竹委員からは
村山委員と、
山田一郎委員からは
小須田委員と交代する旨、それぞれ届出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中
総務局関係分、第11款 職員費 第1項 職員費中
総務局関係分、議案第16号 札幌市
職員定数条例の一部を改正する条例案及び議案第25号
包括外部監査契約締結の件について、一括して質疑を行います。
◆
森山由美子 委員 私からは、
国際交流施設について、3点伺います。
現在、国際部が所管している二つの
国際交流施設、すなわち白石区にある
札幌国際交流館と豊平区の
札幌留学生交流センターは、いずれも本市に居住、滞在する外国人と市民の交流等を目的にしております。
平成8年度に白石区の
リフレサッポロ内に開設した
札幌国際交流館には、ホールや体育室、
温水プール、
トレーニングコーナー等があり、市民と外国人が、スポーツ、
文化活動等を通じて相互理解及び親善を深めることにより、
国際交流を推進し、本市の国際化に資することを目的としている施設です。これは、日本語がそれほどできない海外の研修生や
外国人市民でも、体を使ったスポーツを通じて
市民レベルの交流をしていこうとするものと認識をしているところです。実際に、隣接する
JICA北海道や白石区との連携による
イベント等を開催し、交流を促進していると聞いております。
また、平成12年度にユースホステルとの合築施設として開設をした
札幌留学生交流センターは、入国して間もない留学生が安心して生活を始められるよう、
公的宿舎として運営をしており、宿舎としての支援に加えて、地域での
生活ルールを身につける、災害時の対応に向けた訓練といった支援も行っていると聞いております。これまで、居住をしてきた多くの留学生にとって、物心両面から支えとなる施設であったほか、居住する留学生を通じて、市内の外国人に対する情報発信の場としての機能も持っているのではないかと思うところです。
しかし、
コロナ禍によって
外国人市民数が一時的に減少したことに伴い、いずれの施設においても、利用者の減少などが避けられなかったのではないかと推測をするところです。
そこで、質問ですが、
新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後、どのような
利用状況にあるのか、伺います。
◎久道
国際部長 二つの施設の現状についてお答えをさせていただきます。
まず、
札幌国際交流館でございますが、
コロナ禍前の令和元年度には9万2,560人だった総
利用者数が、
コロナ禍等による休館によりまして半分以下まで減少しておりましたものの、今年度は、12月末時点で4万5,318人と、
一定程度回復していると認識しているところでございます。また、
外国人市民との
交流事業につきましては、
コロナ禍では大きく減少しておりました。今年度は、12月末時点で73回と、
コロナ禍前を上回る水準で取り組んでおりますものの、
海外研修員や留学生の利用は256人と、なかなか回復につながっていない状況でございます。
また、
札幌留学生交流センターにつきましては、海外から札幌に来た大学や
専門学校生の留学生を対象とした、単身用80室、世帯用20室の計100室、こちらを持つ
宿泊施設でございますが、
コロナ禍では60%程度まで入居率を減らしていた時期がございましたものの、現在は、一年を通しておおむね9割以上の入居率というところまで回復しているところでございます。
◆
森山由美子 委員 二つの施設において、
コロナ禍の影響を本当に強く受けながらも、利用が今は
一定程度まで回復をしているということでございました。
ところで、両施設は、令和5年度の
行政評価外部評価の
評価対象事業となり、昨年11月に市外部の有識者6名で構成する札幌市
行政評価委員会から出された令和5年度札幌市
行政評価外部評価報告書において、次のような評価と指摘を受けたと聞いております。
まず、
札幌国際交流館は、「本施設による
国際交流の位置付けが曖昧であり、また、同一区には公共の体育館やプールもある中で、年間1億円程度、
指定管理費用を要する本施設を、将来にわたって
国際交流施設として所有し続けていくのは難しいのではないか」などの評価がなされ、さらに、「現状の施設の設置目的のもと、札幌市が将来にわたって本施設を所有し続けることは、市民への説明が困難と考えられることから、
当該施設の民間による利活用の可能性など、民間企業への
意向調査等を実施するとともに、施設の利用を前提としない多
文化共生・
国際交流事業を推進するためにも、適当な時期に
施設自体の廃止も含めた検討を行うこと」との指摘を受けております。
次に、
札幌留学生交流センターについては、本施設を設置した平成12年当時においては、まだ
留学生自体が少なく、良質で低廉な
公的宿舎の提供も意味があったと考えられるが、直近では、札幌市において3,000人を超える留学生がおり、今後も拡大が見込まれる状況にある、各大学での支援や、民間による受皿もある中で、札幌市として当施設を所有し続けるのが妥当なのか、今後施設を所有し続けることで発生する経費面でのリスクなどを総合的に勘案の上、施設の将来的な在り方についてしっかりと検討することが必要と考えるとの評価を受け、また、「多
文化共生・
国際交流事業を推進する上で、居住支援以外に必要となる
生活支援策をしっかりと施策立案していくためにも、将来的には、適当な時期に、施設の廃止や
家賃補助等の
ソフト事業への転換等も含めた検討を行い、必要な財源を他の有効な事業に振り向けていくことを検討すること」との指摘を受けたというふうに伺っております。
私自身は、両施設とも、少なからず、
外国人市民に対する支援に資するものだと考えておりましたので、今回の
外部評価の結果に少し意外な印象を受けるとともに、これからどのように検討を進めるのか、気になっております。
そこで、質問ですが、今回の
行政評価の
外部評価についてどのように受け止めているのか、伺います。
◎久道
国際部長 外部評価に対する受け止めについてお答えをいたします。
これまでも、両施設におきましては、少しでも
外国人市民への支援として寄与するように取り組んできたところでございますが、いわゆる箱物と言われる施設の在り方や運営について厳しい評価がなされたものと重く受け止めているところでございます。
外部評価による指摘を踏まえまして、今後、両施設の在り方について真摯に検討してまいりたいというふうに考えております。
◆
森山由美子 委員
外部評価に対する受け止めについてはよく分かりました。ただ、箱物に対する検討は必要なのかもしれませんが、くれぐれも
外国人市民に対する支援の後退とならないようにしていただきたいというふうに思います。
ところで、令和6年度の予算において、二つの施設のうち、
国際交流館については
サウンディング調査関連費を計上しているというふうに聞いております。
国際交流館については、以前にも
行政評価で指摘を受けており、当時の調査では、民間の利活用が難しいという結果だったと聞いていますが、今回の調査では、何かしら条件を変えないと、結局、同じ結果になるのではないかと思うところです。
また、
留学生交流センターについては、
外部評価でも留学生の
生活支援に貢献していると評価をされておりますが、開設当時には837人だった留学生が今では3,000人にまで増加をしていることを踏まえると、現状の100室という規模で宿舎を運営するのがよいのか、気になるところです。
そこで、質問ですが、今回の評価や指摘を受けて、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、伺います。
◎久道
国際部長 今回の評価や指摘を受け、今後どのように取り組んでいくのか、お答えをいたします。
国際交流館は、
複合施設である
リフレサッポロの一部でありまして、他の施設を含めた可能性につきましても、関連部署との調整を進めながら、施設の
在り方検討に必要な調査を来年度新たに進めてまいりたいというふうに考えております。
留学生交流センターの設置の背景には、当時、留学生にとって良質な住環境が整っておらず、市内の大学等から強い要望があったというふうに聞いているところでございます。札幌市が世界の留学生から選ばれるまちになるためにはどのような支援が有効なのか、改めて、市内の大学等とも協議を行いまして、ニーズを踏まえながら幅広く検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
◆
森山由美子 委員 今回指摘を受けました
札幌国際交流館は、平成8年度にオープンした施設で、既に28年が経過をしております。
札幌留学生交流センターは、平成12年度の開設で、現在の
指定管理期間が終わる頃には30年たつことになります。この間、
国際交流の位置づけや留学生を取り巻く状況も、時代とともに変化をしてきていると思います。具体的な検討はまだこれからとのことですが、ぜひとも、今年度策定をします多
文化共生・
国際交流基本方針に沿った形で進めていただきたいというふうに思います。
一方で、それだけの期間、運営されてきたということは、それぞれの施設が、地域に根差し、また、地域とともに歩んできたということでもあります。そのことを十分念頭に置き、見直しに当たっては、市民や地域への丁寧な情報提供をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆
荒井勇雄 委員 私からは、
行政評価制度についてお伺いしたいと思います。
我が会派では、これまで、
代表質問や昨年の
決算特別委員会などで、度々、
行政改革の必要性を訴えてきました。これからの時代、職員数が減っていき、財政状況も年々厳しさを増していく可能性がある中で、既存の
事務事業の徹底的な精査、点検、見直しの必要なことは言うまでもないと思います。
無駄な事業、
時代背景に合っていない事業の見直し、廃止に向けた検討を進めていただくことが重要だと思いますが、そのような中、私は
行政評価制度の取組に注目をしております。
この
評価制度は、市の職員の皆様自身による
内部評価と有識者から成る
外部評価で構成されており、このうち、今年度の
外部評価では、
行政評価委員会から、
時代背景に合っていない事業や箱物を廃止すべきだといった厳しい指摘をいただいているものでございます。
このような厳しい指摘は、昨年度あたりから続いておりますが、令和4年度の
評価委員会で指摘があった
大通情報ステーションについては、廃止の方針を出されましたが、それ以外では、令和6年度予算案に、特段、何か指摘を受けて見直しをしたものは確認できませんでした。もちろん、箱物は実際に利用者もいるので、すぐにぱっと施設の廃止はできないかもしれませんが、やはり、外部からの指摘をされたものは、着実に見直しに向けて歩みを進めていくことが必要だと考えております。このままですと、
外部評価の指摘が忘れ去られてしまわないかと大変危惧をしております。
そこでまず、1点目の質問でございますが、
行政評価委員会から受けた
指摘事項について、今後、しっかり見直しをしていくため、制度の実効性をどのように確保していくのかの考えをお伺いいたします。
◎久保田
改革推進室長 行政評価制度の実効性の確保についてお答えをいたします。
今年度の
行政評価委員会からは、効果の分析が不十分であるものや、
時代背景が変わっても事業の
実施手法が変わらないものなどにつきまして、事業や施設の廃止を含む厳しい指摘をいただいたところでございます。
ご質問のありました実効性の確保に向けた取組でございますが、まず、答申をいただいて終わりではなくて、指摘後も2年間にわたり、委員会に見直しの計画を報告し、進捗が思わしくないものにつきましては、再度、必要な指摘をいただくこととしております。
またあわせて、今年度から、各部局の見直しの検討状況につきまして、予算編成時に市長、副市長がその内容を確認し、市役所としての対応方針を検討する場を設けております。
今後とも、これらの取組を充実強化し、
外部評価から指摘いただきました事項について、着実に見直しが進むように取り組んでまいります。
◆
荒井勇雄 委員
外部評価の
指摘事項は、どれもごもっともなことが多いと感じております。着実に見直しが進むよう、我々も後押しをしていきたいと、このように感じております。
さて、この
行政評価制度は、市民が各部局の事業の内容や市の職員による評価の内容を把握できる数少ないツールの一つであります。市のホームページ上には、平成23年度から令和4年度に至るまで、大変多くの事業の評価結果が掲載されており、令和4年度は実に643の事業の調書が掲載されております。
私も関心のある事業を見させていただいておりましたが、評価の調書は2ページの構成となっており、事業の実施概要、決算額や成果の指標のほか、事業の
実施手法や対象者の満足度などがぎっしりと定常的に掲載されており、少々分かりづらいと感じました。
また、
自己評価の結果をA、B、Cという形で掲載されておりますが、少しB評価は見られますが、ほとんどがAの評価であるということもあり、どういう根拠でこのような判定がされているのか、こちらも分かりづらいと感じております。
また、市民からも、私、度々ご相談を受けておりまして、Aが多過ぎるという指摘も実際に受け止めております。
これらについて事前にお伺いしたところ、来年度、
評価調書を改定される予定があるということでございますが、どういった観点で見直しをされるのか、お伺いいたします。
◎久保田
改革推進室長 私のほうから、
評価調書の改定についてお答えをいたします。
評価調書は、市民への
情報共有ツールとしまして、また、適切に
事業運営を行うためのマネジメントのツールとしてしっかりと機能させていくことが必要と認識しておりまして、来年度から
評価調書を改定したいと考えております。
主な改定内容としましては、まず、市民に事業の内容を端的に分かりやすく伝え、説明責任をしっかりと果たすことを目的に、シンプルな構成としたいと考えております。
あわせまして、各事業はどのような成果を上げるために実施しているのか、また、その達成度はどうなっているのかを、指標を用いて論理的に説明をでき、
事業見直しにも活用できる調書へと改定したいと考えております。
◆
荒井勇雄 委員
評価調書の改定の内容をお伺いいたしました。しっかりと成果が見える
評価調書にしていただくことで、事業が進捗していないものは、事業の見直しや廃止の対象と位置づけることが可能と思われますので、次年度以降、評価に期待しております。
最後に1点、ご提案を踏まえ、質問を行いたいと思います。
私も議員になって日がまだ浅いですが、市役所の事業は、どんどん
新規事業が生み出されております。見直しや廃止にかじを切った事業というのは、
新規事業の多さに対し、あまり耳にすることがない状況であります。
確かに、市役所の皆様にとってみると、脈々とした経緯の中で事業が生み出され、いろいろな関係先もある中で、事業の廃止、見直しには相当なエネルギーも要ることでありますから、事業の廃止に踏み切れないという事情もあると考えます。
事業の見直しをする際には、市側の意向と市民側の思い、受け止めにギャップが生じ、見直しが進まないということも十分あるだろうと考えております。しかし、そうは言っても、時代に合わない、あるいは、無駄と評価される事業は徹底的に見直しを図っていかなければ、今後の
行政サービスは維持できないことは明白だと考えております。
そこで、提案ではございますが、先日、私は、
Sapporo AI Connect 2024に参加させていただきまして、とある技術者の方からお話をいただく機会がありました。その際に
行政評価制度が話題になり、例えば、今の時代の生成AIですね、
チャットGPTのようなものに市の
事業概要や
評価調書を読み込ませて、その事業のどんなところに問題があるのかを瞬時にご指摘いただけるようなものができるかもしれない、また、他都市で実証実験を実際に行っているというお話をお伺いいたしました。
確かに、こういう機能があれば、市民側から見ても、市側から見ても、その対応がぶれずに、同じ判断基準で事業のよしあしを評価できるのではないかと考えております。
そこで、最後の質問になりますが、今回のAIの活用事例として、取組ですが、誰もが共通の認識に立った上で効果的・効率的に評価を実施できるような環境が必要だと考えますが、この点についてご見解をお伺いいたします。
◎久保田
改革推進室長 私のほうから、効果的・効率的な評価の実施についてお答えをいたします。
評価制度を契機とした事業の見直しを促進していくためには、事業の妥当性や効率性、公平性といった共通の視点が必要でございますが、これらは、
一定程度の知見、ノウハウが必要でございまして、現在、
外部有識者の力も借りながら、
評価制度を運用しているところでございます。
また、事業の企画立案時に、
事業目的に照らし、適切な指標を設定し、その達成度を基に事業の見直しを促進することも、市民と共有できる共通の基準として有効と考えておりまして、事業を所管する部局に対しては、適切な指標設定を促しているところでございます。
今後とも、ご指摘の新たな視点も含めまして、先進の事例を研究し、効果的・効率的に事業の見直しを進めることができるよう、しっかりと検討してまいりたいと思います。
◆
荒井勇雄 委員 第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの194ページで、
行政運営の目指す姿と取組方針・取組例という一覧にEBPMという記載がありまして、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングという、何かと申しますと、政策企画をその場限りの事案や
体験エピソードに頼るのではなく、政策の目的を明確にした上で、
合理的根拠、エビデンスに基づくことという、不断の
行政改革の推進という欄で記載されておりまして、昨今、我が国の事業ないし全般的なものなんですけれども、海外からかなりご指摘をいただいているのが、先ほど申し上げたように、自分の体験ですとか、そのような案で予算が組まれてしまうというのが非常に多いと。客観性が日本国は大変欠けているというご指摘を度々受けているのを私は知っております。その上、やはり市民の税金を受け取っているこの札幌市という立場で、公の立場として、より公平性、客観性を持って事業を進めるのが大切だと我が会派は考えております。
ぜひとも、この考えを踏まえた上での
行政評価制度、市の運営を求めまして、我が会派からの質問を終わらせていただきます。
◆
山田洋聡 委員 私からは、
出資団体改革の取組と、
札幌市役所本庁舎の建て替えの2点についてお伺いいたします。
まず、
出資団体改革の取組についてです。
出資団体改革について、少し歴史をひもときますと、市議会では、平成15年度に
出資団体等調査特別委員会を設置し、
団体改革について議論が深められ、平成17年度に初めて
出資団体についての
改革プランを策定しております。
この時代のプランは、団体の統廃合や財政的・
人的関与の積極的な見直しを推進するというものが中心でしたが、直近の平成28年3月に策定した札幌市
出資団体の在り方に関する
基本方針においては、本市の経営資源が限られる中で、財政的・
人的関与の見直しの必要性について記載はあるものの、どちらかというと、これらの積極的な見直しというよりは、各団体の得意分野を市が積極的に活用していこうという観点で策定されております。
我が会派では、さきの
代表質問で触れたように、それぞれの団体が、独立した団体として、今の時代に見合った形で持てる力を十分に発揮できているかという観点で検証を行い、不断の
出資団体改革に取り組み、そのことが透明性のある
団体運営を確保し、市民の信頼に応える
公共サービスの実現につながると考えております。
その観点からの最初の質問ですが、現在、札幌市では、さきに述べた
基本方針に基づき、令和3年度から令和5年度までの3年間の各団体の具体的な
行動計画というものを策定しておりますが、現
行動計画の
進捗状況はどのような状況になっているのか、特に財政的・
人的関与の見直しについては、具体的な成果と併せて伺います。
◎久保田
改革推進室長 現
行動計画の
進捗状況についてお答えをいたします。
現
行動計画では、各
出資団体におきまして、出資・出捐、
人的関与、団体の活用、経営の安定化、
団体統制、そして本市の施策との連動、これら6項目にそれぞれ指標を設け、取組を進めているところでございます。
令和4年度の時点では、
新型コロナウイルス感染症などの影響によりまして、団体の活用や経営の安定化、本市施策との連動、こういった項目につきましては達成度が5割から7割と伸び悩んでいるものの、全体としましては8割近くの
目標達成率となっております。
ご質問のありました人的・
財政的関与につきましては、出資比率を見直すとしました2団体において、出資の一部引上げを行っているほか、
職員派遣を見直すとしました4団体全てで
派遣職員を減少させているなど、おおよそ
計画どおりに進めているところでございます。
◆
山田洋聡 委員
コロナ禍による影響がまだある中で、団体の有効活用などの項目が5割から7割程度の達成度にとどまったということですが、これにつきましては、団体の存続意義にも関わると思いますし、何より、全30団体中、令和4年度決算で営業利益が赤字だったのが7団体ということで、経営基盤は大丈夫であろうかと危惧してしまうところであります。
また、出資や
人的関与の見直しにつきましては、出資の見直しを行っている団体、
派遣職員の見直しを行っている団体は僅かです。そもそも目標設定自体が、減らす、現状維持、
在り方検討の3段階しかないので、検討のみを行っていれば目標が達成できるというものであり、目標設定の仕方自体も今後見直しが必要だと考えられます。
このような状況と現在の
行動計画は令和5年度までの3か年の計画であることを踏まえ、次の質問になりますが、次期計画については、さきの
代表質問で年内に策定するという答弁をいただいたところですが、ただいま指摘した目標設定の在り方も含めて、少し詳細にどのような方向性で次期計画を策定するお考えか、伺います。
◎久保田
改革推進室長 私から、次期
行動計画の方向性についてお答えをいたします。
令和6年度以降の次期
行動計画につきましては、
新型コロナウイルス感染症の影響が収まった今年度の決算を踏まえた上で、団体の設立意義や出資目的にかなう事業の実施を引き続き求めていくほか、近年の物価高騰や人手不足などを踏まえたさらなる経営の安定化につきまして、団体ごとに詳細な取組内容を盛り込んでいくことを想定しております。
また、出資比率や
人的関与に関する指標設定につきましては、出資を維持する理由、見直しを検討する際の観点や、検討期限を明確にすることなど、市民から見て分かりやすく、市としても適切な進捗管理がしやすくなる、透明性のある計画とすることを促していきたいと考えております。
◆
山田洋聡 委員 市民から見て分かりやすくということは、先ほどの荒井委員からの質問にもあったと思いますが、ぜひ、そこは留意いただきたいと思います。
次期
行動計画の策定方針を伺いましたが、実効性あるプランとするためにも、改革推進室にはしっかりと関与していただいて、原局や団体による自発的な見直しを推進していただきたいというふうに思います。
また、1点要望ですが、現
行動計画における
人的関与の在り方は、現職員の団体派遣についての掲載のみで、OB職員の再就職については、どの団体も見直し内容には入れていないように見受けます。独立した団体として専門性を発揮していくためには、団体のプロパー職員を育成して経営に参画させていくのが望ましく、現職派遣、OB再就職ともに極力最小限にしていくことが必要であるという点についても、今後配慮していただきたいです。
さきの
代表質問では、平成28年に策定した
基本方針自体の改定も含め、
出資団体改革をどのように進めていくのかという質問に対し、市長からは、社会経済情勢の変化等も踏まえた各団体の在り方の再検証を行い、
基本方針自体の改定の必要性も検討すると答弁をいただきました。
そこで、質問ですが、各団体の在り方の再検証というのは、何を目的として、具体的にいつまでにどのように進めていくお考えなのか、伺います。
◎久保田
改革推進室長 私から、各団体の在り方の再検証についてお答えをいたします。
札幌市の
出資団体の多くは、昭和から平成の時代に、多様化する行政ニーズに対応するため、本市の施策を補完、代行することを目的としまして設立したものでございまして、それぞれ重要な役割を担ってきたものと認識をしております。
一方で、少子高齢化をはじめ、社会経済情勢が大きく変化し、多様な形態による官民連携のまちづくりが進められる中で、各団体がこれまで以上に取り組むべき使命は何かを明確にし、それに対する出資の必要性について再検証が必要であると認識をしております。
具体的には、次期
行動計画の策定期間中に、民間代替性などの団体を取り巻く環境を踏まえまして、団体に求められる役割や経営状況を整理し、必要に応じて外部の有識者の助言もいただきながら、総合的に検証してまいりたいと考えております。
◆
山田洋聡 委員 在り方の再検証について伺ったところですが、具体的にいつまでにという、ちょっと先ほど質問させていただいたところなので、今後、明確に示していただければ幸いです。
基本方針は、平成28年に策定して、かれこれ10年近くたちます。その間、市でも、
まちづくり戦略ビジョンなど、新たな総合計画をつくったところであり、団体に向き合う考え方も変わってくるのが必然であろうと思いますので、ぜひとも、再検証を行いながら、
基本方針自体の改定に向けての議論も進めていただきたいです。
また、改革推進室主導により、全体の考え方は整理されていくと思いますが、市の政策を補完して
公共サービスを支えるという役割を担うという点からしますと、各原局がしっかりと現状を踏まえ、
出資団体のあるべき姿を検討してもらう必要があると思っております。恐らく多くの団体で原局の局長職などが非常勤理事などの形で就任されていると思いますので、各団体の現実を直視して、市民にとって有益な形でその団体の将来像を描いていただきたいというふうに思います。
必要に応じて団体を整理・統廃合したほうが結果的によい
公共サービスが実現するということであれば、それも含めた検討を着実に行っていただくことを求めます。
次に、本庁舎における建て替えの整備について伺ってまいります。
札幌市役所本庁舎の検討については、新年度予算に市役所本庁舎の整備に向けた調査検討のための本庁舎調査費1,200万円が計上されており、検討に必要な調査を進めるとともに、広く専門的な意見を聞くための有識者会議を立ち上げる予定とのことで、議論がさらに加速するものと期待しております。
本庁舎の検討に当たっては、現在の本庁舎の課題を、建て替えか改修かによってどのように解決していくかについて議論がなされるべきと考えております。現在の本庁舎には、耐震性や分散化を含めた災害対策面などの課題があると考えておりますが、あらゆる部分で老朽化が進んでおり、設備面にも課題があるのではないかと考えております。
そこで、質問ですが、本庁舎の設備がどのような劣化状況で、どのような課題があるのか、伺います。
◎城戸崎 行政部長 本庁舎における設備の劣化状況及び課題についてお答えをいたします。
本庁舎については、築52年が経過しており、設備については、老朽化に伴う腐食などにより、雨水や汚水を流すための排水管や、冷暖房のための冷温水循環などの配管の漏水や詰まりが、令和3年度、4年度と年に110件ほど発生しており、その都度修繕している状況でございます。中には、事務室内に水漏れが発生してしまった事例もございます。
また、本庁舎内の温度や気流などを調整する空調制御装置などの設備について、札幌市市有建築物保全計画上の耐用年数が多くは20年から30年となっておりますが、庁舎建築時から使用し続けている箇所があり、万が一の故障時のことを考えれば、早期の更新が望ましいと考えております。
劣化した設備への対応上の課題としては、札幌市市有建築物保全計画に基づき、保全計画を立てているものの、耐用年数を既に経過している排水管や空調制御装置などの大がかりな設備の更新に当たりましては、本庁舎全体にわたる長期間の機能停止が必要となり、日々の業務への影響が極めて大きいものとなります。そのため、更新や修繕については、休庁日に部分的な機能停止をして完了できるものしかできない状況でございます。
また、老朽化による突発的な故障が増えており、限られた予算の中で計画的に優先順位をつけて修繕していくことが困難になってきている、そのような状況でございます。
◆
山田洋聡 委員 ただいま本庁舎の設備の劣化状況についてご答弁いただく中で、計画的に優先順位をつけて修繕していくのは困難だというご答弁がございました。いよいよ本格的にしっかり議論を進めていかなきゃいけないということを改めて認識したところであります。
そのほかにも、建物の耐震性能や分散化に伴う多額の賃借料負担などの課題についても併せて検討し、可及的速やかに、建て替えか改修か、今後の本庁舎整備の方向性を判断しなければいけない状況であると考えます。
建て替えか改修かを判断するためには、先日の市長記者会見でも市長から説明のあったとおり、建て替えと改修の工期やコストなどを比較した上で、どちらが合理的なのか、有識者の意見も踏まえながら判断するものと認識をしております。
そこで、質問ですが、建て替えか改修かを判断するためにどのような調査をするか、整理すべき要点は何か、伺います。
◎城戸崎 行政部長 建て替えか改修かを判断するための調査内容及び整理すべき要点についてお答えをいたします。
市役所本庁舎は、設備の老朽化に加え、先ほど委員がご指摘のとおり、耐震性を含む災害対策面や分散化など、様々な課題を抱えていると考えております。
また、老朽化した庁舎の整備を既に行った諸都市におきましては、市民に開かれた、閉庁時にも利用可能な空間やイベントスペースをつくり、災害時には帰宅困難者受入れなどを行う場としても利用できる空間としている例や、施設の一部に食や文化の発信拠点としての商業施設を配し、庭や周辺の回遊性を創出している例など、時代や周辺の状況に合わせた工夫や機能を導入している都市もございます。
建て替えの場合、設備の老朽化、耐震性、分散化などの課題解決が可能であるものの、新築に伴う費用がかかります。
一方で、改修の場合は、現課題解決の範囲の問題に加え、業務を継続しながらの工事となるため、仮の執務室や議場の確保などの課題も発生し、設備の更新や耐震改修のための改修費以外にも、執務室等を確保する費用などがかかることも想定されます。
建て替えと改修にはそれぞれ課題がございますが、ライフサイクルコストなどを踏まえた費用対効果や課題解消の難しさなどが要点となるため、本庁舎の現状と課題、建て替えと改修、それぞれの整備方法と概算費用、想定工期、整備後の耐用年数などを調査していきたいと考えております。
◆
山田洋聡 委員 建て替えにしても改修にしても、いろんな、様々な、莫大な費用がかかるという話であったかというふうに認識をしました。
建て替えの議論につきましては、ここの、どこに建て替えるみたいな場所の話ですとか、関わるいろんな話がある中で、他都市の事例などもしっかり調査研究をしていただきながらやっていただきたいというのと、有識者会議という言葉がよくあるわけですけれども、市役所が誰にとって使いやすいものであるべきなのかということは、ぜひ踏まえていただきながら、個人的なということになるかもしれませんが、職員の皆様が使いやすいということはとても大事な要素だというふうに思いますので、ぜひそれも踏まえた議論をしていただければありがたいというふうに思います。
私の質問を終わります。
◆定森光 委員 私からは、本市職員へのカスタマーハラスメント対策についてお伺いいたします。
民間の職場では、カスタマーハラスメント、以下、カスハラと略しますけれども、それが問題視されておりますが、多くの公務職場でも同様の問題が生じております。
2021年に発表された全日本自治団体労働組合のアンケートでは、全国の1万4,000人に及ぶ公務職場で働く方々の約半数弱がカスハラ等を受けたと回答しており、精神的なストレスの要因にもなっている、こうした実態が明らかとなっています。
行政機関においては、市民の皆様からの意見や要望を聴く広聴は、市民ニーズを的確に捉え、
行政運営を改善するために不可欠な活動であり、本市は、それぞれの部署での広聴活動とともに、広聴を専門に行う部門として、市民の声を聞く課、各区の広聴係を配置しているところであります。しかしながら、市の調査からは、こうした広聴部門で働く職員のほとんどがカスハラを受けており、ストレスの要因などにもなっていることが浮き彫りになっております。
こうした中で、本市の広聴部門では、市民の声を聞く課及び各区の広聴係において、啓発ポスターの掲示と通話録音を開始し、広聴部門におけるカスハラ対策マニュアルを策定するなど、独自のカスハラ対策に取り組んできており、全国的にも注目を浴びているところであります。
昨年の第3回定例会
決算特別委員会において、我が会派から広聴部門におけるカスハラ対策の今後の取組について伺ったところ、対策によって暴言等が抑制される効果も見えることから、広聴部門でのカスハラ対策の効果について、全庁に積極的に発信する方針であるとの答弁があったところであります。
そこで、質問ですが、広聴部門でのカスハラ対策をどのように全庁に発信しているのか、また、全庁でのカスハラ防止にどのような効果が出ているとお考えなのか、お伺いいたします。
◎斎藤 広報部長 私ども広聴部門でのカスタマーハラスメント対策、こちらの庁内への発信、そしてその効果についてお答えをさせていただきます。
広聴部門で取り組んでおりますカスハラ対策につきましては、庁内ホームページを通じまして、全庁に随時、情報発信をしております。また、要望が寄せられた部署に対しましては、我々の取組を個別に説明させていただいているところでございます。
このような情報発信を積極的に進めたことによりまして、広聴部門以外の部署でも、例えば、事務室内に啓発ポスターを掲示するなど、カスタマーハラスメント防止の取組が庁内に広がってきていると認識をしているところでございます。
この取組の広がりが、行き過ぎた要求や暴言等の抑制につながってきているという声も寄せられておりまして、カスタマーハラスメント防止の効果、こちらは徐々に現れてきているのではないかと考えております。
カスタマーハラスメントは、要求を実現するための手段、態様が、社会通念上不相当なものでありますが、その一方で、私どものところには、市民の皆様から非常に多くの正当なクレームが寄せられております。
我々としては、当然、そういった市民の皆様の声には真摯に耳を傾けるべきものであるということから、傾聴する力を高めるためにも、定期的に接遇に関する研修を実施するなど、市民の皆様が声を寄せやすい広聴部門にしていくということに取り組んでまいりたいと考えてございます。
◆定森光 委員 今の答弁から、対策について広聴部門にも要望のあった部署もあるということですけれども、これまでの情報発信から、全庁の各職場でも広がってきているということであります。しかしながら、依然としてカスハラの対応に悩んでいる部署、職員の声というものは、福祉や税務、また、土木センターなど、いろんな職場から今聞いているところであります。
広聴部門でのカスハラ対策の情報発信によって、対策がほかの部署に広がっている、このことは評価するところですが、全ての職場にカスハラ対策が今行き渡っている状況ではなく、組織的に広げていく必要がありますし、人材確保という観点からも、対策は急を要すると考えます。
昨今、職員採用の応募職員数が減っているばかりではなく、採用辞退も増えており、さらには、若年層の離職も増えてきております。また、窓口対応、これを忌避することにより、有為な人材が国や他の地方自治体に流出している、こうした実態もあると聞いております。
このような中、昨年9月には、民間労働者を対象とした労災保険制度において、心理的負荷による精神障害の認定基準が改正され、ここにカスハラについても労災の認定、分析する際の調査対象として追加をされました。
今年2月には、国家公務員においても、精神疾患等の公務上災害の認定指針が一部改正され、公務災害の認定・分析時に参考とすべき事例として、カスハラに係る項目が追加をされました。
地方公務員においても同様の改正が行われることが見込まれており、官民問わず、カスハラから労働者を守るための対策の必要性が高まっていると言えます。
札幌市においても、全庁的なカスハラ対策を進め、カスハラの過度な心理的負担から職員を守っていく、こうした組織からのメッセージを打ち出すことで、有為な人材の確保、そして離職防止につながっていくと考えます。
そこで、質問ですが、人材確保の観点からも、これまで取り組んできたカスハラ対策については全庁的に広げるべきと考えますがいかがか、伺います。
◎保木 職員部長 人材確保の観点から、カスタマーハラスメント対策を全庁的に広げることについてでございます。
窓口業務等の市民の方々と接する場面において、行き過ぎた要求や悪質な言動等を伴うカスタマーハラスメントと真摯に向き合うべきご意見やご要望等を適切に線引きすることが重要だと考えております。
一方で、このような認識を持ちながら、窓口での業務に従事していたとしても、行き過ぎた要求等に対応することは難しいものであり、窓口対応に対する苦手意識を持つ職員も増えていると認識をしているところでございます。
広聴部門で実施しているカスタマーハラスメント対策は、先進的な取組として既に成果を上げているところでございますが、これまで以上に窓口対応等への過度な心理的負担を減らしていくことはもちろん、有為な人材を確保していくといった観点からも、カスタマーハラスメント対策の取組を全庁的に広げていくことが重要と考えているところでございます。
◆定森光 委員 今の答弁で、全庁的にカスハラ対策を広げていくことが人材確保の観点からも重要であるということであります。
カスハラ対策について、広聴部門で先駆的に取り組んでいるのは、ポスター掲示や通話録音など、事前防止策でもありますけれども、カスハラが発生したときの対応策、これの充実ということも必要であります。各職場においては、カスハラに対して実際にどのように対応すべきか、苦慮をしているケースも多いと聞いております。
カスハラは、先ほどからもありますが、不当な要求につながっていくものでありますが、この不当要求への対応については、既に総務局として取り組んでいるところでもあり、現在では、行政部による札幌市コンプライアンス・不当要求対応研修の中でも、不当要求等への対応方法や事例について情報共有をしていると承知しております。
今後、各職場に適した事前防止策の推進とともに、各職場での対応方法の相談に応じるなど、職員の窓口対応への過度な心理的負担を減らし、職員が安心して仕事ができる環境の実現に向けた取組が必要であると考えます。
これら職員のカスハラ対策の推進に関わる部署ですけれども、先ほどからも答弁にあった広聴部門のある広報部、職員の働く環境の整備という意味では職員部、そして、不当要求対策ということでは行政部と、これらは全て総務局に関わることになります。
そこで、最後に、山根総務局長に質問をいたします。
カスハラ対策を全庁的に広げていくためにどのように取り組んでいく方針か、伺います。
◎山根 総務局長 カスタマーハラスメント対策の全庁への拡大に向けた考え方についてご答弁させていただきます。
委員のご質問にもありましたとおり、カスタマーハラスメント対策としましては、現在の広聴部門における取組だけではなくて、行政部でも実施しております研修におきまして、カスタマーハラスメントや不当要求に相当する事案への対応について、弁護士の方に講義をいただきまして、対応手法等の庁内共有を図っているところであります。
今後におきましては、定期的な職員研修や安全衛生委員会などの場を活用しまして、さらなる浸透を図ってまいりたいと考えております。
これに加えまして、各職場が所管する業務内容によって、カスタマーハラスメントの実態及びそれに対する効果的な取組にも違いがあるというところでございます。
そのような状況も踏まえまして、局内外の関係部署との情報共有を図りながら、より効果的な対応を検討してまいりたいと考えております。
◆定森光 委員 各職場の実態を踏まえながら、局内外の関係部署との情報共有、意見交換を行っていくということであります。
不当な要求や、職員の安全な職場環境を脅かす行為であるカスハラの対策は、各職場の取組をただ待つだけではなく、部局として全庁的な対策を進めていく姿勢をしっかりと示して、各職場の対策が着実に進むような働きかけをすることを求めたいと思います。
最後に、要望が2点ございます。
全庁的なカスハラ対策を推進するためには、職員のアンケートによってニーズの掘り起こしをするということも有効であると考えます。同じ職場でも、職員の年代、経験などの違いによって、職員の間でもカスハラに対する認識が異なるという場合がございます。
先ほどからの答弁にもありますが、正当なクレーム、業務改善につなげるべき苦情とカスハラ、これとの区別というのは難しいんですけれども、職員がどういった内容でカスハラと感じているのか、悩んでいるのか、ストレスを感じているのか、こうしたことを把握するということは、しっかり職場ごとの対策を進める上でも必要なことだと思いますので、アンケートについても検討いただければと思います。
また、カスハラを受けた職員のメンタルヘルスケアも必要な対策だと考えます。
2点目の要望としては、これまで出た事前防止策や発生時の対応策に加えて、事後のケア、この対策も検討していただきたいと思います。
カスハラは、自治体のみならず、一般企業、医療や介護など、様々な現場で、今、対応に苦慮しているところであり、東京都や北海道では防止条例の制定に向けた動きもあります。
官民問わず、対策が今急がれる中、本市が率先してカスハラ対策を進めていくことで、これは、民間にも対策が波及していくことになると思いますし、札幌市全体のカスハラに対する市民理解が向上していく、こうしたことを期待して、私からの質問を終えたいと思います。
◆わたなべ泰行 委員 私からは、市公式ホームページのリニューアルについて伺います。
今回の予算案にて、市公式ホームページ再構築費4,000万円の計上がございました。広報課へ確認をさせていただいたところ、現在の市ホームページは2011年3月に公開したとのことで、約13年ぶりにリニューアルに動き出したということになります。さらに言いますと、2008年が構築に向けて動き出した年とのことですので、その時点からいきますと、16年経過していることとなります。
2011年といえば、スマートフォンの個人保有率がまだ14.6%の時代でして、もちろんAIやVRなどが世間で話題になることもございませんでした。この間、テクノロジーはどんどん進化をしていき、私たちは、ありとあらゆる情報をスマホやタブレットから、言わば、手のひらの中で瞬時に知ることができる、そんなことが当たり前となりました。
その情報の入手先で、市民をはじめとした様々な方と市役所をつなげる窓口となるのが札幌市公式ホームページです。もはや、市政の推進に必要不可欠なインフラとなっております。
その長年経過をしました市ホームページの内容はどうかといいますと、やはり、デザインが最新のホームページと比べると古めかしさは否めず、必要な情報へのアクセスのしやすさや利用者目線での使い勝手の悪さなど、課題を多く抱えているように感じております。だからこそ、このたび、市ホームページのリニューアルに踏み出したものと思いますので、それに向けては、まず、現状の使われ方、問題点など、しっかりと確認をすることが必要と思います。
そこで、質問ですが、現在の市ホームページの全体のアクセス数などの
利用状況と、現状感じている問題点について伺います。
◎斎藤 広報部長 市ホームページの全体の
利用状況と問題点についてお答えをさせていただきます。
札幌市のホームページは、現在、全体で約4万ページに及んでおります。アクセス数は、全体で年間1億3,300万回という非常に多い数となっております。このうち、入り口となりますトップページ、こちらには年間で1,218万回のアクセスがございます。また、各部局ごとに見ていきますと、一番多いページとしては、円山動物園、こちらが年間で150万回、次いで中央図書館が年間で118万回、また、交通局の料金案内のページ、こちらが69万回というアクセスになっております。
このように、非常に多くのアクセスがある一方で、ただいま委員からもご指摘がありましたとおり、見づらい、あるいは、探しづらいという市民の声もたくさんいただいているところでございます。特に、現在のホームページは、パソコンで見ることを前提として作っておりますので、こちらをスマートフォンで閲覧する場合に、ぎゅっと小さくなりますので、見づらい、あるいは、タッチがしづらいなど、そういった声もありまして、現在、アクセス数の約6割がスマートフォンで閲覧というふうに言われておりますので、こちらへの全面対応、これが喫緊の課題というふうに捉えております。
また、そのほか、現在、JIS規格のアクセシビリティー調査あるいは利用者アンケートでは
一定程度の評価は頂戴しているんですが、それでも、デザインの古さ、あるいは、ページ階層の深さ、こういったことなどから、使いづらいホームページになってしまっているのではないかというふうに認識をしているところでございます。
◆わたなべ泰行 委員 4万ページ、そして、アクセス数が1億3,300万回、改めて伺いますと、非常に多くの利用の数だということを認識しました。
一方で、約6割の閲覧者になりますスマホ、こちらの対応が課題になっているんだなということも分かりました。
そうなりますと、一刻も早くリニューアルをしていただきたい、こういうふうに思うところでございますけれども、ホームページの再構築事業、これはアクションプラン2023の該当事業となっておりまして、2027年までの計画期間中、2億9,000万円をかけて実施することとなっております。来年度は、4,000万円の予算計上ですので、全体の一部、これが実施される、こういったことが分かります。
そこで、一般的な感覚としまして、ホームページのリニューアル、なぜ一気にできないんだろう、なぜ何年もかかってしまうんだろうと、私は単純に疑問が湧いてくるところでございますけれども、先ほどご答弁がありました4万ページあるんだということで、一個人や一企業のホームページとは違って、様々な、本当に要素がありまして、階層も深い、こういったこともございました。この先の作業に時間を要していく、こういったことも推察するところでございます。
いずれにしましても、利用者に満足のいくものをしっかりと時間をかけて作り上げるということだと思いますので、再構築に時間を要することを市民に理解していただく、この必要があると考えます。
そこで、質問ですが、再構築についてどのように今後進めていくのか、スケジュールを伺います。
◎斎藤 広報部長 再構築のスケジュールについてお答えをさせていただきます。
現在、最終的な目標としましては、令和8年11月のリニューアル公開、こちらを目標に作業を進めていく予定でございます。
その過程としては、令和6年度から7年の前半までにかけて、基本的な設計業務を実施してまいります。利用者が悩まず、簡単に必要な情報に到達できるように、まず、トップページの構成ですとか、あるいは、メニューの配置、それから、情報カテゴリーの分類、ページの階層、そういったものの整理や最適化などの見直し・検討作業を行ってまいります。
続いて、令和7年度の途中から令和8年度にかけては、策定した基本設計に基づきまして、ホームページ及びシステムの構築業務、そして、現在ありますホームページのデータ移行などを実施してまいります。
その後、職員への操作研修などを経まして、令和8年11月に正式に公開というスケジュールで進めてまいりたいと考えてございます。
◆わたなべ泰行 委員 ただいまの答弁で、令和8年のリニューアルに向けまして、設計ですね。様々、トップメニューをはじめ、中身の整理、また、データ移行がある中で、どんどんできてきたなというところでも、職員の使い方の講習がある、だから、一定の時間がかかってしまうということは理解をいたしました。
管理運営側、つまり市役所側から見ました、例えば、内容を日々更新するための機能など、こういったことは重要であると思います。
一方で、私は、アクセスする方々が、やはりこれだけ時間をかけて作られるので、改めてお話しさせていただきますけれども、やはり誰もが見やすい、そして使いやすい、そして、やはり札幌市の顔としてシティプロモーションに資することになると思うので、デザインも、やっぱり質の高い、すてきなものにしていただきたいと、こういうホームページにしていただきたいということが、この再構築業務と結びついていただきたいと考えております。
そこで、最後の質問ですが、ホームページの完成イメージ、こちらをどう捉えているのかを伺います。
◎斎藤 広報部長 市ホームページの完成イメージについてお答えをさせていただきます。
ただいま委員からご指摘のありましたとおり、私どもとしても、今回の再構築業務では、利用者側の視点、こちらを最優先として設計を進めていくべきというふうに考えてございます。ご覧になる全ての利用者が見やすく使いやすい、そして、機能性とデザイン性を兼ね備え、かつ、札幌の魅力的なシーンを象徴するような画像、こういったものを使って、シティプロモーションの要素などもしっかりと配慮をしていきたいというふうに考えてございます。
また、公開予定は、令和8年、今から2年後になりますが、その頃には、今よりもオンラインによる手続がさらに進んでいるものというふうに思いますので、そういった要素も十分に取り入れながら、言うなれば、第二の市役所あるいは11番目の区役所と言われるような、そんなサイトにしていきたいというふうに考えてございます。
◆わたなべ泰行 委員 利用者最優先、そして、やはり、シティプロモーションに資するもの、オンラインの手続、次世代の使い勝手がいいもの、第二の市役所にふさわしい、また、11番目の……(発言する者あり)
はい。感動いたしました。区役所、区役所ですね。
最後に、要望でございます。
今回、利用者側の視点をあえて強調させていただきました。しかし、質を維持していかなければならないといって、第二の市役所と11番目の区役所ですから、質を高めてもいかなければならないですし、そうしますと、各ページを作成する職員の皆様にとって、やはり操作性が高くて少ない労力で維持をしていける、こういった業務効率化の観点を忘れずに構築していただくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆藤田稔人 委員 私からは、職員エンゲージメント向上の取組について、そして職員提案制度について、大きく2点お伺いさせていただきます。
組織が個を生かすのか、組織に個が埋没するのかで組織のありようは大きく異なり、結果として、市民へ提供する
行政サービスも大きく変わってくることと思いますので、これからの質問は、私は大変重要なことであると考えております。よろしくお願いいたします。
まず、市役所の組織活性化について、職員のエンゲージメントの向上を促すという観点から質問させていただきます。
昨今、公的サービスに対する市民ニーズは拡大を続けており、それを支える市職員の役割はますます大きくなってきております。
一方、市職員の中には、やりがいを見いだせない方もおり、若手職員の離職傾向も重なり、市民サービスに大きな支障が出るのではないかと危惧しております。
今年度、改革推進室では、組織と職員との信頼性、関係性の状態を示すエンゲージメントに着目し、職員8,000人を対象に大規模なアンケートを実施しました。職員のエンゲージメントが高まると、労働生産性が高まり、活気を持って仕事に取り組むことができると言われております。こういった取組に着手した自治体もまだそれほど多くはないことから、我々もこの取組に大いに注目しております。
昨年の
決算特別委員会では、このアンケート結果を基に市役所の組織課題を分析し、管理職のマネジメント強化につなげていくとのことでございました。
そこで、質問ですが、今年度実施した第1回目となるこのエンゲージメント調査について、特徴的な結果としてどのようなものがあったのか、教えていただきたいと考えております。
◎久保田
改革推進室長 第1回目のエンゲージメント調査の実施結果について、私からお答えをいたします。
調査の実施に当たりましては、専門の人事コンサルティング企業と契約の上、この会社が提供するモチベーションクラウドというシステムを使いまして、昨年10月に職員8,000人を対象に実施したところ、8割を超える6,400人からの回答を得たところでございます。
次に、その結果でございますが、この会社のシステムを導入しまして組織改善に向けた取組を進めている企業や団体は、およそ1万社ほどございます。その中で本市の状況を見ますと、この会社の基準により数値化をしました本市のエンゲージメントスコアは、42.4でございまして、平均の50をやや下回る状況でありました。
具体的には、市役所全体の調査結果におきましては、上司から部下への業務上の支援には一定の満足感がある一方で、適切な採用・配置、部署間の連携などは、職員の満足度が低い傾向にございました。また、役職別に見ますと、課長職以上と係長職以下の間に大きなスコアの乖離、差がございました。
また、市役所に採用された直後のスコアは高いものの、2年目、3年目にかけてスコアが大きく低下をしていくということなどが特徴として明らかになっておりまして、これらの課題に対応する取組を推進していく必要があると考えております。
◆藤田稔人 委員 調査結果によりますと、平均を下回っているということと、適切な採用・配置がなかなかかなっていないと。また、部署間の連携も思っているほど進んではいないのかなということでございました。またあわせて、役職と年代によっても大きく差が出ているということでございました。
先行して調査を実施した自治体も、初回の調査実施時は大体同じような傾向であったとのことでありますので、行政ということに関して言いますと、札幌市だけが特段低いというわけではないと思っておりますが、この調査結果を受けて、いかに組織改正に向けて具体的な取組を進めていくかが重要であると考えております。
そこで、質問ですが、調査結果を受けて、今年度、具体的にどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。
また、次年度以降の取組の方向性についても併せてお伺いさせていただきます。
◎久保田
改革推進室長 私のほうから、調査結果を受けての取組についてお答えをいたします。
まず、調査結果につきましては、各部署に発信をし、それぞれの管理職によるマネジメントの向上を促しているほか、今年の1月下旬には、約200名の管理職が参加の上、組織改善セミナーというものを開催しました。そして、調査結果に基づく組織改善の進め方について、ノウハウを得るきっかけを提供したところでございます。
また、人材育成の専門家との個別の相談会も企画したところ、定員を超える20名以上の管理職が参加したところでございまして、各職場単位で組織改善を進めていくきっかけをこちらも提供したところでございます。
次に、来年度以降、次年度以降の取組でございますが、組織改善は息の長い取組が必要でございます。当面の間、継続的にこの調査を実施の上、調査結果に基づくスコアの上昇を目指した取組を進めてまいります。
具体的には、職員部とも連携の上、管理職マネジメント強化に資する、寄与する研修の充実や、組織ごとの目標の設定を促す取組を行いまして、組織活性化を進めていきたいと考えております。
◆藤田稔人 委員 調査結果に基づき、組織改善、そして組織活性化を進めていくということでございました。
今の若い世代は、社会課題の解決に大変関心があると思います。ただ、残念なことに、若い世代の中には、社会課題を解決するのには、公務員になるのではなく、民間に入ったほうがその思いを実現できると考えている方も多くいるとお聞きしまして、残念に思っております。ぜひ、このエンゲージメント向上に係る事業を継続的に行っていただき、市役所が魅力ある職場に変わっていただきたいということも、ぜひ私のほうからもお願いしたいと考えております。
また、今回の調査結果からも分かるように、職員の仕事の進め方が、市役所という組織に対して内向き志向になっていないかということを懸念しております。いま一度、市民のために仕事をする、市民の満足度を高めていくために、業務改善や組織改善を進めていただきたいと考えております。
続きまして、職員提案制度についてお伺いいたします。
エンゲージメント調査の結果、管理職のマネジメント能力向上が必要だという話でございましたが、もう一点、現場で働く職員の意欲をいかに高められるか、その仕組みをつくっていくという観点も大変重要であると思っております。
かつては、改革推進室では、元気の種コレクションといった職員提案発表会を企画し、職員が改善したいと思っていることを提案させるという取組を行っておりました。近年、随時、職員からの改善意見提案をメール等で受け付け、必要に応じてその実現を目指すという提案制度を実施しているとのことであります。
そこで、質問ですが、職員提案制度の実施状況と、提案内容としてはどういったものがあるのか、併せてお伺いをさせていただきます。
◎久保田
改革推進室長 私のほうから、職員提案制度の実施状況につきましてお答えをいたします。
職員提案制度でございますが、昨年度までは職員が個々に改革推進室に意見を提案する形を取っておりましたが、ご指摘のとおり、近年は提案件数が年間20件弱とやや物足りない状況でございました。
そこで、昨年の9月から、より多くの職員がオープンでフラットな場で幅広く意見交換、議論を行うことによりまして、アイデアをブラッシュアップしていくことを目的にしまして、コミュニケーションツールであるTeamsというアプリを活用した提案制度を実施しております。
具体的には、このTeamsの中に職員提案や業務改善事例を発表するグループのほか、職員が日頃疑問に感じていることを気軽に投稿できるグループ、こういったものも用意したところ、これらも含めまして、制度改正以降、50件を超える意見、提案が寄せられております。
提案内容としましては、働きやすい職場環境づくりやカスタマーハラスメント対策などのほか、繁忙期の職員応援を仕組み化できないかなどがございまして、随時、提案の実現に向けた検討を進めているところでございます。
◆藤田稔人 委員 職員がオープンに、そしてフラットに意見交換できるようにということで、Teamsを活用しているということでございました。
オープンな場で、他者の意見も踏まえながら、自らの提案をブラッシュアップしていくというのは、自律的な職員を育成していく上で有効な取組だと思っております。
一方で、某インターネット掲示板のように、ばり雑言などが増えては困りますので、事務局として注意しながら運営していただきたいと考えております。
また、職員提案の大まかな内容をご答弁いただきましたが、やや、職員自身の働き方などのご提案が多いように感じました。それはそれで結構でございますが、例えば、札幌の観光施策の在り方、福祉施策の在り方といった具体的な政策的な提言もいただけるとより効果的だと思いますので、こういった政策的な提言がどんどんできるような職員の育成もぜひご検討いただきたいと考えております。
最後に1点、3年前の
予算特別委員会でも、私のほうから質問させていただきましたが、改めて、提案も含めて質問させていただきます。
実際に職員提案、特に、今申し上げましたが、政策提案を行ったような職員が、例えば、その提案した部署に異動して自らの政策的な提案を実現するような仕組みが検討できないかということでございます。
札幌市職員の多くは、最初に生活保護をはじめとする区役所あるいは市税事務所といったところに配属され、そこで4年程度、住民に身近なところでしっかりと市民サービスがどうあるべきかを経験するものと認識しております。
一方、先ほどご説明のあったエンゲージメント調査の結果からは、採用時は高いスコアでしたが、採用2年目、3年目になると大きく低下するとのことで、恐らく仕事へのマンネリ化や自分のやりたい仕事をできていない不満、職員の意欲の低下が見られる時期でもあると思います。
例えば、職員が政策提案した部署に実際に移動してその業務に打ち込むといったインセンティブがありますと、職員の働きがいも上がり、意欲的に仕事に打ち込み、エンゲージメントも向上するのではないかと考えております。これは一つの例でありますけれども、実際に私が民間で働いていたときにはそういったことはございましたし、職員提案制度を有効に活用した職員エンゲージメントの向上をぜひ促してほしいと考えております。
そこで、質問ですが、職員提案制度を契機とした意欲向上策を検討していく必要があるのではないかと思いますが、お考えをお伺いいたします。
◎久保田
改革推進室長 私から、職員提案制度を契機とした意欲向上策についてお答えをいたします。
職員提案制度は、職員の改善意欲を促し、また、政策立案能力の向上にも寄与することから、重要な取組でございまして、この制度を契機とした職員の意欲向上策についても検討を重ねていく必要があると認識をしております。
このことから、まず、来年度、職員提案項目の実現に向けた取組や業務改善のために必要となる調査、実証を行う場合に、必要に応じて予算上の措置を行う取組を進めてまいります。
これらの取組をはじめ、今後とも、ご提案の手法も含めまして、より組織の活性化を促し、職員のやる気を引き出すことができる仕組みについて、関係部署とも協議しながらしっかりと検討してまいります。
◆藤田稔人 委員 必要に応じて、予算も含めて取り組んでいくということでございましたので、ぜひ職員のエンゲージメント向上に向けた取組の強化をお願いしたいと考えております。
昨今、職員の働き方改革の必要性が指摘されております。当然、市職員は、仕事と暮らしのワーク・ライフ・バランスを大事にしていただくためにも、時間外勤務の縮減に向け、業務の効率化などにしっかり取り組んでほしいと思っておりますし、その点につきましては、後ほど
村山委員からも質問があると思います。
それに加えて、職員の働き方として最も重要な取組は、私はこのたび始めた職員のエンゲージメントの向上だと考えております。職員一人一人が、自分がやりたい仕事、やる気の持てる仕事に対し、モチベーションを高く、使命感を持って打ち込んでいただくことで、職場自体に活気が出て、組織活性化につながり、職員の生産性が高まっていくものと考えております。
ややもすると、今の仕事にやりがいがないなどと思っている若手職員も多くおり、それが離職などにもつながっている可能性がありますが、ぜひ、仕事の目的、意義、やりがいといったことを管理職が熱意を持って発信していただき、活気のある職場をつくっていただきたいと考えております。そして、そういったことが、最終的には市民サービスの向上につながってくる取組だと思っております。
本日は改革推進室の久保田室長にご答弁いただきましたが、職員部にも人材育成担当部にも関係があることでありますし、総務局を挙げて、ぜひとも本日の質問の内容につきまして取り組んでいただきたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 私は、札幌市行政事務センターについて、2点質問します。
最初に、行政事務センターの今後の契約について伺います。
本市では、2021年6月に民間事業者のTOPPAN株式会社への委託という形で、申請書類の受付や入力、発送業務などを集約する行政事務センターを設置し、3年弱にわたる運営を行ってきており、現在までのところ、合計18業務の取扱いを進めてきているとのことです。
さて、変化の激しい現代社会において、
新型コロナウイルス感染症によって、職員間の応援対応など、予期せぬ事態があったりと、職員の業務も年々増加傾向にあります。そういう中で設置された行政事務センターは、職員の負担を可能な限り軽減し、職員の持っているスキルや能力、いわゆる人的資源を多様化する市民ニーズへの対応や市民サービスの向上に資するというふうに認識しております。我が会派としても、その基本的なコンセプトは理解をするところです。
一方、センターを運営する中で見えてきた課題もあるのではないかと考えます。課題や解決すべき事項があるのであれば、謙虚に受け止め、検証をしっかり行い、よりよいセンターとすべく検討をしてもらいたいと考えます。
一例を述べさせていただきますと、行政事務センターの取扱い業務のうち、戸籍関係などの証明書の郵送業務を取り扱う証明郵送業務については、2022年の10月からセンターを活用しており、開設後しばらくの期間、そこでの業務の停滞や混乱などがあり、区の職員もセンターの応援を行わざるを得なかったというお話をお聞きしました。
現在、安定化に向けて取り組んでいるとのことですが、委託の検討や実施により、逆に職員の業務量が増えてしまうことは、本末転倒で、あってはならないと考えます。
現在の行政事務センターの契約期間は今年度末で終了すると伺っており、今、これらの課題解決を図りながら、センターの運営をどのように行っていくのかが気になるところです。
そこで、質問ですが、行政事務センターの次年度以降の契約の在り方についてどのようにお考えか、お伺いします。
◎久保田
改革推進室長 行政事務センターの今後の契約についてお答えをいたします。
これまで、合計18の業務を行政事務センターで取り扱ってきましたが、このうち、ただいま指摘のございました証明郵送サービス業務のほか、既に取扱いが終了した児童手当の現況届業務など、四つの業務を除く合計14の業務につきまして、今後とも行政事務センターで取扱いを行うべく、令和6年4月からの5年間の期間を設定しまして、事業者の選定などを進めてきたところでございます。その結果、昨年の11月にプロポーザル審査を実施しまして、複数の業者の提案について選考を行いまして、現受託事業者との間で契約を締結したところでございます。
なお、残る証明郵送センターにつきましては、市民サービスの向上を見据えた業務プロセスの分析や双方の体制の効率化など、検討課題が多くあることから、期間を区切って、別途、契約の締結を行いまして、通常業務とともにこれらの課題解決に向けた取組を進めていく考えでございます。
◆村上ゆうこ 委員 次年度以降の契約の在り方については承知をいたしました。
私が指摘した証明郵送業務については、期間を区切って、安定稼働に向けた検討を進めていくとのことでした。
現状、市側も受託者側も業務フローが煩雑になっており、双方の職員の負荷も多くかかっていると聞いています。行政事務センターは、単純で定型的な業務、いわゆるノンコア業務を集約するものと聞いていましたが、証明郵送業務は、相手先の請求に対し、どのような証明が必要なのか、精査を要するなど、一定のスキル、ノウハウも必要とする業務とも考えられますので、札幌市、受託者が一体となって、両者の負担を軽減し、市民サービスの向上につながるよう、しっかりと安定化に向けた検討を進めていくように求めておきます。
次に、センター運営の課題とその対応について伺います。
さきに策定したアクションプラン2023においては、今後、2027年度までに合計40ほどの手続をセンターで扱う予定としています。今後のセンター拡大を踏まえると、冒頭申し上げたように、この契約更新の時期にしっかりと課題を直視し、検証した上でセンターの運営を行うことが必要と考えます。
例えば、これは市役所本体でも度々ありますが、文書の誤送付も、行政事務センターにおいて2件ほど報道発表されており、徹底したセキュリティー対策や事務処理の改善がセンターの運営に求められるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、これまでのセンター運営を通して見えてきた課題としてはどのようなものがあるのか、また、それに対し、しっかりと検証し、課題解決を図るべきと考えますがいかがか、お伺いをします。
◎久保田
改革推進室長 私のほうから、センター運営の課題とその対応についてお答えをいたします。
センターの運営上の課題でございますが、セキュリティーの対策は万全を期しておりますが、ご指摘のような誤送付、誤った送付の事案も発生しているところでございまして、その都度、業務フローの改善を行いまして、同じような誤りを生じさせない取組を徹底しているところでございます。
また、市民サービスの向上を図りながら、センターを安定的に稼働していくことも課題と認識をしております。例えば、各業務へのオンライン申請の導入をはじめ、デジタルを活用した業務フローを確立するなど、センターの活用後も継続的に、業務の所管課とともに、センターの運営状況を検証し、改善する取組をしっかりと進めてまいります。
◆村上ゆうこ 委員 行政事務センターの課題、そして、その認識と対応についてお伺いをいたしました。
最後に、要望いたします。
行政事務センターの安定した運営が維持・継続されることで、職員の業務負担も軽減が図られ、職員が本来注力すべき業務に人的資源を集中させることができるものと考えます。
一方で、安易に委託することで、これまでのきめ細やかな市民サービスが停滞するようなことはあってはならないわけであり、委託したからといって、業者にお任せというわけではなく、市としても、しっかりと関与をしていただき、市民サービスの向上に向けての業務の再構築を常に考えて、図っていただくことが必要と考えます。
今後も、センターの運営状況を注視させていただきますので、引き続き、慎重に丁寧にセンター運営を行っていただくことを求めまして、質問を終わります。
◆村山拓司 委員 私からは、職員の長時間労働対策についてお伺いいたします。
先日の
代表質問では、我が会派の山田一郎議員から、札幌市役所職員の長時間労働対策について質問をさせていただいたところ、市長から、業務効率化や適正な配置などの取組を続けた結果、長時間労働を行った職員数は、ここ数年、減少していること、また、今後も、仕事と生活を両立しながら、やりがいを持って働き続けることができる組織づくりを目指していくとの答弁がありました。
一方で、一部の職場ではありますが、今年度も、月100時間や年間1,000時間を超えるような苛酷な長時間労働がいまだに残っているとお聞きをしております。市役所の役割を考えれば、自然災害の発生や
新型コロナウイルス感染症のときのような非常事態においては、市民の生命や財産を守るために、市職員が長時間労働を行うことが避けられない場合があることは理解しております。しかしながら、平時においては、長時間労働を前提とした働き方に頼らない組織の在り方、管理職のマネジメントが求められているものと考えます。
そこで、質問ですが、市職員の時間外労働の上限はどのように定められているのか、また、今年度に長時間労働を行った職員数と過去5年間の長時間労働を行った職員数の推移についてお伺いいたします。
◎保木 職員部長 職員の時間外勤務の上限についてと、今年度に長時間労働を行った職員数、過去5年間の長時間労働を行った職員数の推移についてお答えをいたします。
職員の時間外勤務の上限につきましては、本庁や区役所などの一般的な職場においては、条例及び規則に基づき、月100時間や年間720時間などの上限が定められております。
なお、災害や重要な業務の場合には、上限を超えて時間外勤務を命じることが認められております。
今年度、長時間労働を行った職員数は、2月末時点において、月100時間以上の時間外勤務を行った職員が延べ308人、年間1,000時間以上の時間外勤務を行った職員が8人となっております。
また、過去5年間における長時間労働を行った職員数については、月100時間以上が、平成30年度650人、令和元年度450人、2年度904人、3年度877人、4年度523人、そして、年間1,000時間以上が、平成30年度が18人、令和元年度20人、2年度43人、3年度38人、4年度26人と推移をしているところでございます。
新型コロナウイルス感染症対応に伴う業務増の影響を除きますと、その数は減少してきているところでございます。
◆村山拓司 委員 長時間労働を行った職員数の状況についてご答弁いただいたところであります。
減少傾向とはいえ、
新型コロナウイルス感染症対応のない年度においても、相当数の職員が月100時間や年間1,000時間を超える時間外勤務を行っている実態があることが分かりました。
ここまで苛酷な働き方を強いられた職員には、身体的、精神的な負荷が大きくかかっていることは容易に想像できます。疲労による体調不良はもちろん、最悪の場合には過労死のリスクも考えられる時間数でありますので、職員の健康状態が心配されます。
先日の
代表質問では、市長から、やむを得ず長時間労働となった職員に対して適切な健康管理に努めているとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、長時間労働を行った職員に対して、具体的にはどのように健康管理を行っているのか、お伺いいたします。
◎保木 職員部長 長時間労働を行った職員に対して、具体的にどのように健康管理を行っているかについてお答えをいたします。
札幌市では、労働安全衛生法及び札幌市で定める長時間勤務職員に対する面接指導実施要領に基づきまして、産業医による面接指導を実施しております。
具体的には、1か月当たりの時間外勤務が100時間を超えた職員、次に一定期間の時間外勤務の平均が1か月当たり80時間を超えた職員、また、月に80時間を超える時間外勤務を行った職員のうち、健康管理医が定めた基準により健康障害の危険性が認められた職員、以上、三つの基準のいずれかに該当した場合を対象に面接指導を行っているところでございます。そのほか、時間外勤務が80時間以下であっても、面接指導を希望する職員ですとか、所属長が必要と認める職員には、面接指導を行っているところでございます。
面接指導後につきましては、担当した医師が作成する報告書を所属長宛てに送付しており、特に労働衛生管理上の配慮に係る指導事項等がある場合につきましては、必要な改善措置を実施するよう依頼しているところでございます。あわせて、日頃から職員の健康状態に留意するよう、改めて所属長に依頼をしているところでございます。
◆村山拓司 委員 長時間労働を行った職員に対する健康面での取組についてのご答弁でありました。
しかし、長時間労働は、モチベーションや業務効率の低下を招くほか、育児や介護などの家庭生活と、また、仕事の両立の妨げになるものでありまして、健康面以外にも様々な問題につながるものであります。健康被害さえなければ問題ないというものではなく、長時間労働を行う職員数そのものを減らしていく必要があると考えます。
長時間労働を減らしていくためには、個別の職場における具体的な取組が必要不可欠でありますが、同時に、市職員全体の人事管理を行う総務局の姿勢も大変重要であります。
そこで、総務局長にお伺いしますが、長時間労働の是正に向けて、今後どのような取組を進めていくのか、その意気込みを含め、お答えいただきたいと思います。
◎山根 総務局長 長時間労働の是正に向けて、今後どのような取組を進めていくのか、意気込みも含めてということでございます。
先ほど職員部長が申し上げましたとおり、長時間労働を行った職員数は減少してきてはおりますが、年間1,000時間を超える時間外勤務を行っている職員がいまだ存在していること、このことにつきましては、重く受け止めているところであります。
社会全体で働き方改革が求められている今の時代におきましては、職員が仕事と生活を両立しながら健康でやりがいを持って働ける魅力的な職場、また、有為な人材が確保できる持続可能な組織づくり、これらを進めていくことが重要と考えております。そのためには、これまでの長時間労働に頼った働き方を抜本的に変えていく必要があると考えているところであります。
昨年4月からは、新たな取組といたしまして、月100時間以上の時間外勤務を行った職員の氏名ですとか、あるいは、その時間数などの状況を総務局のほうから所属の各局長職にメールで直接報告するという取組を始めました。また、そのメールには、あわせまして、組織として時間外縮減に向けたマネジメント手法の事例なんかも添えて、各局のトップによるマネジメントを促す取組を開始したところであります。この取組につきましては、時間外勤務縮減に一定の成果が上がっているものと認識しているところであります。
今後も、手を緩めることなく、局長職、部長職も含めた管理職の意識改革やマネジメントの発揮につながる取組を進めるとともに、職員の適正配置や、DXをはじめとした業務改革の推進など、あらゆる手段を講じながら、長時間労働に頼らない組織づくりを進めてまいります。
◆村山拓司 委員 民間で働いていた経験がありますので、繁忙期など、どうしても残業が必要な時期がありますけれども、基本的に勤務時間内に自分の仕事を終わらせなければいけないわけでありますから、一方で、その部署の雰囲気でなかなか帰れる状況ではないということもお聞きをしているところであります。
先ほど局長からも答弁がありましたけれども、各部各課の上司である管理職職員は、残業をさせるものではないことを改めて認識していただき、やむを得ず長時間労働となってしまった職員には、早めに帰らせるような声かけをしていただくようにお願いしたいと思います。
また、秋元市長は、今年のテーマとして、漢字1字を挙げておりますが、それは健康の健という字を掲げているわけでありますから、来年度の長時間労働の職員の中でも、まずは、年間1,000時間以上の勤務をしている職員をゼロにすることを目標として、大きく改善される年度になることを期待しておりますが、この件については、引き続き注視していくことをお伝えして、質問を終わります。
○小形香織 委員長 以上で、第1項
総務管理費中
総務局関係分等の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午前11時40分
再 開 午前11時41分
――――――――――――――
○小形香織 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中デジタル戦略推進局関係分の質疑を行います。
◆池田由美 委員 私からは、地方公共団体情報システムの標準化について、2点質問をいたします。
2021年5月に成立した地方公共団体情報システムの標準化に関する法律により、全国の自治体の業務システムを、国が新たに定めた標準準拠システムへ2025年度末までに移行することを義務づけました。そして、自治体が標準準拠システムを利用するときには、ガバメントクラウドを原則利用することになります。しかし、一斉に全国の地方公共団体が標準準拠システムへの移行を進めたことで、人材、経費、時間が足りない等の問題が起き、移行完了時期に無理がある、移行期の見直しを求める声も出されておりました。
ここで、伺いますが、本市の分析で2025年度末までに移行ができないシステムについて、移行できないシステムとその理由について伺います。
また、移行完了期の変更は可能となるのか、併せて伺います。
◎小澤 情報システム部長 期限までに移行できないシステムの状況とその理由及び移行期間の変更についてお答えいたします。
国では、令和5年9月に地方公共団体情報システム標準化
基本方針の改定を行い、移行期限については、令和7年度末までに移行することを堅持するものの、課題や工程が明確化したシステムについては、国が精査した上で、移行完了期限を設定することといたしました。
これに伴いまして、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムの基準が示され、本市においては、標準化対象20業務のうち、17業務のシステムがこの基準に該当しております。
具体的には、現行システムがパッケージシステムではない個別開発システムで運用されているシステムというものが10業務、現行事業者が標準準拠システムの開発を行わないとしているシステムで、なおかつ、代替システムの調達の見込みが立たないシステム、これが4業務、これらに準ずる事由のシステムが3業務というふうになっております。
これらのシステムについては、令和9年度までには標準準拠システムへの移行がおおむねできるものと見込んでいるところでありまして、改定後の標準化
基本方針によれば、この移行時期は認められるものと考えているところでございます。
◆池田由美 委員 20業務のうち、17業務が困難なシステムだということで、今お話がありました。そして、その中でも令和9年までには移行ができそうという話、そういう移行時期の話もされておりました。
しかし、20基幹業務に含まれない、例えば、常時おむつを使用することが必要な在宅の重度の障がい者や高齢者に原則1割負担で自宅に支給する紙おむつサービス事業は、本市独自の施策として、支給のためにシステムが構築されているというふうに思います。独自システムとはいえ、住所など、基幹となるシステムとも情報は連動しているのではないのかと思うところでありますが、国の標準準拠システムの中ではカスタマイズができないとされていますけれども、ここで伺いますが、こうした自治体独自の上乗せ、横出しのシステムについての対応はどうなっていくのか、伺います。
また、今後、新たな独自施策が広がっても対応ができるのか、伺いたいと思います。
◎小澤 情報システム部長 システム標準化における本市独自サービスへの対応及び追加の可否についてお答えいたします。
システムは、市民サービスを提供するための道具ということで、システム標準化を進めるに当たっては、本市の独自サービスに支障が出ないようにすることは、これは当然のことであるというふうに認識しております。
このため、各省庁が定める標準仕様書への準拠を行いつつも、本市が独自に提供しているサービスに関係するシステム機能については、しっかりとシステムに取り込むことができるように、これはちょっと技術的な工夫も必要かと思いますが、そういった手法を検討して、確実に実現していくということで進めていきたいと思っております。
◆池田由美 委員 デジタルというのは、市民サービスの保障をしていく、そういう道具なんだと、そういうお話が今ありました。そして、支援策へのシステム改修には、独自機能は盛り込んでいくんだというお話が今ございました。
国が決めた地方公共団体情報システム標準化の計画が、自治体との十分な議論がなく、準備が追いつかないまま期限だけが決められた、そういうことに、やはり大きな問題があるなというふうに私は感じているところです。
そして、今後、このガバメントクラウドの利用料が現行システムより多額になるのではないのかと、そういった可能性、または、自治体のデジタル主権の確保など、大きな問題もあるのではないかと考えているところです。
地方公共団体情報システムについては今後も注視していきたいと申し上げて、質問を終わります。
◆
荒井勇雄 委員 私からは、システムの標準化について、2点お伺いいたします。
まず、1点目、現在、国が推し進めているシステムの標準化の札幌市における取組状況についてであります。
これは、全国の自治体がおのおのばらばらの仕様で行ってきた業務のため、プログラムやデータの統一化、標準化を図るものであります。例えるならば、高価なオーダーメードの服のシステムから、安価な既製服のシステムへの転換であり、既存の業務システムが全面的に入れ替わる大事業であります。その果実としては、業務の効率化、次期業務システム開発の低コスト化を図れるものと聞いております。
国をはじめ、基礎自治体である市町村が行う行政事務の分野では、デジタル化の遅れが指摘されるようになってからかなり時間が経過をしております。それにもかかわらず、
新型コロナウイルス感染症によるパンデミック下では、定額給付金の給付の遅延やワクチン予約による混乱などが起き、行政デジタル化の遅れが顕在化いたしました。このような状況の下、当時の平井デジタル大臣がデジタルの敗戦とまで言及しているわけであります。
一方、民間企業に目を向けますと、デジタルトランスフォーメーションの全国的な流れの中、人工知能や先進的なクラウド技術の活用によって、まさに日進月歩で新しいサービスが生まれており、このままでは行政分野だけが時代に取り残されてしまうのではないかと大変危惧しているところであります。
こうした社会環境でありますから、地方公共団体が使用する情報システムは、各省庁が定める標準仕様書への準拠、いわゆるシステムの標準化が求められており、このシステム標準化は、国が定めているデジタル社会の実現に向けた重点計画でも、重点的な取組の一つに挙げられております。
デジタル化を推し進め、業務の効率化、低コスト、そして、職員の皆様の仕事が楽になることを目指す我が会派としましては、非常に重要な事業であると考えております。
そこで、質問ですが、システムの標準化に向けた対応として、これまでの取組状況と、あわせて、令和6年度に行う具体的な事業内容について、まずはお伺いいたします。
◎小澤 情報システム部長 システム標準化の現在の取組状況についてお答えいたします。
システム標準化を進めるに当たっては、原則、国が策定している自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書を参考に対応することとされておりまして、本市においても、この手順書に準じて標準化対応に取り組んでいるところでございます。
昨年度までに体制の整備や予備調査などの準備作業を実施した上で、今年度当初からは、標準化対応に向けて必要な作業を洗い出すため、標準仕様書と現行システムの比較分析、いわゆるフィットギャップ分析というものを実施しております。
これを受けまして、令和6年度は、標準化に向けた作業内容を決定するほか、システム機能の標準化に先行してデータ標準化を進めるなど、住民票、税や福祉など、本市が独自に構築した基幹系システムを中心に、本格的な標準化対応作業に入ってまいります。
◆
荒井勇雄 委員 システム標準化の対応については、国の手順書に準じて着実に進めており、来年度から本市の基幹系システムを中心に、本格的な作業が始まるということであり、まずは、事業が動き始めたということに安心をいたしました。
では次に、お金の話であります。
基幹系システムの標準化を本格的に進める上で、必要な予算や契約についてお伺いいたします。
通常、システム開発には非常に多額の費用が必要となるため、平成22年から27年度にかけて、現在利用中の基幹系システムを再構築した際には、主体は、札幌市ではなく、本市の第三セクターで同システムの著作権を所有する札幌総合情報センター、SNETが事業主体となりました。同社が金融機関から必要な資金を借り入れてシステムの構築を行い、札幌市は令和15年度までの長期にわたるシステム利用契約を結ぶという手法です。このスキームを取り入れることにより、札幌市としては、開発費用の確保ができ、あわせて、札幌市が1年間に当たり負担する金額を平準化できたと聞いております。
一方、このたびの令和6年度予算案では、新しい基幹システムを利用する際のソフトウエアの利用料に関わる費用として、新たに、令和7年度から25年度までのおよそ20年間にわたる債務負担行為として190億円余りの額を設定しようとしております。これは、前回と同様の手法で、国の補助金対象外とされる開発費用を確保するということを想定していることであります。しかしながら、従来のソフトウエアの利用契約は、現時点で、20年間の契約期間のうち、まだ10年が経過しているに過ぎず、今は半分、ちょうど折り返し地点です。残債は約95億円あるとのことであります。
今回、さらに標準化対応に係る開発費用分を単純に新規契約で上乗せしますと、一時的とはいえ、負担が著しく大きくなり、本市の財政を圧迫しないか、懸念をしております。
そこで、質問になりますが、このたび、システムの標準化対応に係るソフトウエアの利用料について、財源の確保の観点を踏まえ、どのように契約する方針かをお伺いいたします。
◎小澤 情報システム部長 ソフトウエア利用契約についてお答えいたします。
委員のご指摘のとおりです。ソフトウエア利用料の支払いについては、現契約と新契約で支払いが重複することで、本市に過度の財政負担が生じることのないよう、慎重に検討した上で契約する必要があるというふうに認識してございます。
検討の結果、標準化対応に係る開発費用を賄うソフトウエア利用契約については、これは改めて新規に契約しつつも、年度ごとの支払額を現行のソフトウエア利用料と同水準に抑えるため、開発期間中におきましては、段階的に現契約から新契約のほうに切り替えていき、開発完了後に新たな契約に統合するということで、費用の平準化を図るように想定しております。
◆
荒井勇雄 委員 札幌総合情報センターとこれまでの契約を含めた形で新たなソフトウエア利用契約を締結し、市の負担を平準化するということで理解いたしました。
最後に、要望を述べて私の質問を終わります。
今回のシステム標準化の達成を契機に、日本各地でデータ要件の標準化が進むことで、自治体をまたいだ申請などを速やかにできるようになり、これは住民にとっても大きなメリットと感じております。
一方で、この事業は、本当に多額の費用が必要となります。本来であれば、この標準化の作業は、仕事の進め方が紙の台帳からコンピューター化されたとき、国が率先して進めるべきだったものと思われます。昭和の終わりから平成の初めまでには、達成されるべきでございました。国がそれを怠ったために、各自治体のシステムは独自の改良がされ、独自のシステム化は全く別のものになってしまった結果、今回の標準化は本当にコストがかかるものとなってしまいました。
しかし、この標準化を成し遂げることで、未来の業務システム、言わば、オーダーメードの服から既製品の服になり、将来のコスト減、ランニングコスト減が大きく見込まれます。逆に申し上げますと、今までのオーダーメードのシステムだったがために、つくった業者しか、そのシステムの中身が分からない状況、オーダーメードを逆手に取られ、ランニングコストは非常に高かったのであります。10年、20年、30年単位で、全国の全ての自治体の業務システムが高価でランニングコストの高いものだったことにより、損失は計り知れません。
システムの標準化を進めるために、当面はコスト高とはなりますが、我が会派としまして、将来の世代が、安価にシステム更新、システムの運用ができますように、目先の標準化の費用に臆することなく、確実に進めていただくことを期待しまして、私の質問を終わらせていただきます。
○小形香織 委員長 ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午前11時57分
再 開 午後1時
――――――――――――――
○坂元みちたか 副委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆
山田洋聡 委員 私からは、昨今、何かとワードが出ます生成AIの活用につきまして、端的に1問伺います。
生成AIは、ディープラーニングと呼ばれる手法により、ビッグデータを学習させたモデルを活用し、人間の入力情報から、文章や画像、音声、動画、プログラムのコードなど、様々なコンテンツを生成できる仕組みで、生成AIがここまで注目される理由としては二つあると考えておりまして、一つ目は、これを活用することによって、これまで人間が時間をかけてやっていた文書を作成する作業などを短縮することができて、人手不足の解消や、創造的な仕事に力を傾けることができるようになることです。
二つ目は、例えば、アプリケーションの開発のような、これまで高度な知識がないとできなかったことが、ある程度の知識さえあれば誰でもできるようになることにより、ICT関連企業ではないサービス事業者において、デジタルの活用が促進され、利便性の高いサービスが提供されるなど、新たな価値の創造が期待されることがあり得ると考えております。
人口減少という、これまでの手法では解決が困難な社会課題を考えますと、生成AIのみならず、こうした革新的な技術を積極的に活用していくというチャレンジが必要になります。
札幌市では、昨年12月に生成AI利用ガイドライン群を作成し、生成AIを活用していくために必要なルールや手続、参考事例などをまとめることと、まずは触ってみようということで、
チャットGPTの無償版を全庁利用できるようにしたと伺っております。
そこで、質問ですが、生成AI利用ガイドライン群策定の効果と今後の活用方針について伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 生成AI利用ガイドライン群の策定の効果と今後の活用方針についてお答えをいたします。
このガイドライン群を全庁に示したことにより、
チャットGPTやその他の生成AIの業務利用を検討する部局から相談が寄せられるなど、庁内における生成AIの活用促進に一定の効果があったものと認識をしております。
また、経済団体や本市の
出資団体からは、ガイドライン作成の参考にしたいという声も寄せられておりまして、札幌市が先行して生成AIの活用に取り組むことで、地域における活用を後押しする効果もあったものと考えております。
今後は、官民連携による実証実験に取り組むことで、活用事例や知見を蓄積するとともに、地域におけるデジタル人材の育成、確保につなげるなど、生成AIをはじめとしたデジタル技術を適切かつ積極的に活用しながら、DXの推進に取り組んでまいります。
◆
山田洋聡 委員 官民連携の枠組みを活用した実証実験を検討しているという答弁に期待をしております。また、庁内で反響と効果があったというところで、ひとまず前進と言えるかなというふうに考えております。
先日の大都市税財政制度・DX推進調査特別委員会でも、DXを推進するに当たっては、これまでの組織体制の常識を超えて、権限と予算を持った組織に変革することと私のほうで提言をさせていただきました。自衛隊で、ちょっと人事を10年ほどやってきました経験といたしまして、公務員の人事異動が何のために行われるのかという組織論は理解するところではありますが、本DX推進については、立ち上げからおおむね完了まで徹底的に関わり続けるという組織体制もまた必要なことではないかというふうに考えております。
DXでは、前例がないことを推進しようとしているわけなので、前例がない組織構築も必要だというような、DXを進めるための最善を尽くしていただきたいなというふうに考えているところでございます。
また、今回、浅村局長がまちづくり政策局長になるということで、全庁的なDXもより推進されるものと期待をしております。
◆定森光 委員 私からは、区役所窓口のDX推進について、既存業務の見直し、業務改革を意味するBPRという観点から、2点質問いたします。
区役所窓口の利便性向上としては、今年の3月1日より、中央区役所仮庁舎において、マイナンバーカード対応記帳台を導入する実証実験を開始したところであります。これは、11種類の手続に関して、氏名、住所などの4種類の情報が印字された申請書を自動で作成できるものであります。この取組は、窓口の手続における利用者の負担が軽減されるという点において、利便性向上につながるものと理解しておりますが、既存の窓口業務の抜本的な見直しを伴うものではありません。
我が会派が昨年の第3回定例会
決算特別委員会にて、本市の区役所窓口における利便性向上に向けたデジタル技術の活用のビジョンについてただしたところ、将来的なビジョンとしては、自治体情報システムの標準化や業務プロセスの抜本的な見直しを進め、行政手続の簡素化やワンストップ化などの利便性向上を図りたい旨の答弁がありました。
こうした中で、デジタル戦略推進局としては、令和6年度から、外部からの専門人材を採用して新たに行政DX担当課を設けて、各部局の市民サービスや業務の変革に向けたBPR支援を行っていくと聞いております。
DX担当課によるBPR支援は、区役所業務のデジタル改革のみを対象としているものではなく、全庁の中からBPRの効果が高い業務を選定し、進めていくものと認識をしておりますが、住民サービスの最前線である区役所の窓口も対象として、デジタル活用の専門的な知見を持つ外部人材も関わりながら、利用者の目線に立ったDXを推進していく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、令和6年度から設置する行政DX担当課は、区役所窓口のDXの推進に当たってどのような役割を担っていくのか、伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 区役所窓口のDXにおける行政DX担当課の役割についてお答えをいたします。
行政DX担当課は、各部局における業務プロセスの再設計とそれに伴う効果的かつ効率的なデジタル活用を牽引する役割を担う組織であります。特に、区役所窓口のDXについては、その効果を市民に実感してもらうために重要な取組であると考えておりまして、市民にとって分かりやすく、待ち時間が少ない窓口へと変革していくことが求められていると認識をしております。
そのためには、窓口業務とデジタル技術に関するそれぞれの専門的な知見が必要となることから、行政DX担当課が、区役所の職員とともに、業務プロセスの見直しを前提としたデジタル活用に取り組みながら、市民サービスの向上と職員の業務負荷の軽減を同時に実現することを目指してまいりたいと考えております。
◆定森光 委員 区役所窓口のDXの推進に当たっての行政DX担当課の役割について、今ご答弁をいただきました。
区役所窓口のDXは、単にデジタルを活用すれば解決できるというものではなく、先ほども答弁にあった既存業務の見直しを行うBPRという取組が不可欠であります。しかしながら、さきの我が会派の
代表質問において指摘したところですが、職員にとっては、長年実施してきた業務を見直すことは、技術的な壁というよりも、部署間の連携や対応する職員の心理的な壁が高いと言えます。
自治体DXで先行する自治体の職員の方にお話を聞くと、市民目線での業務改善、これは、慣れるまでには負担があると感じていても、将来的には職員の負担軽減につながっていくということであります。
専門的な知見を持つDX担当課が職員とともにBPRを進めていく、こういうことですから、部署横断的な取組を進めて、業務改善に向けた職員の主体的な取組、これを後押ししていく、その役割を期待いたします。
次に、レベルアップ事業であります窓口改善推進費の取組についてお伺いをいたします。
この事業は、各区役所の戸籍住民課窓口の繁忙期における休日開庁の継続とともに、新たに区役所窓口の利便性向上に向けたBPRを実施し、デジタル技術などを積極的に取り入れていくと伺っております。
BPRに取り組んだ上で、デジタル技術を導入し、利便性を向上させていくというこの進め方について、評価するところでありますが、10区ある区役所を対象として、どのように利便性向上につながるデジタル技術を全区で進めていくのか、大変気になるところであります。
そこで、質問ですが、窓口改善推進費の取組の方向性について、現時点で想定している具体的な取組の内容について伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 現時点で想定している窓口改善の具体的な取組についてお答えをいたします。
窓口改善推進費においては、区役所にある窓口の中でも、転入・転出の手続や証明書の発行など、利用者の多い戸籍・住民記録窓口、この業務のプロセスの見直しを先行して進め、その後、関連する窓口との連携を検討していくことを想定しております。
具体的には、モデルとなる複数の業務や区役所を設定し、現状の課題の洗い出しから業務プロセスを見直し、その上で必要となるデジタル技術の活用を検討し、順次、導入、検証を進めていく手順を想定しております。
現状の課題の洗い出しに当たっては、北見市や浜松市など、他都市の事例を参考にしながら、職員が実際に利用者の立場で手続を体験し、課題を確認する窓口利用体験調査の実施に向けた検討を現在進めているところでございます。
今後、こうした調査を通じて、課題を明確にしつつ、業務の抜本的な見直しとともに、このようなデジタル技術の活用が有効であるかの検討を進め、利用者の視点に立った利便性の高い区役所窓口の実現につなげてまいりたいと考えております。
◆定森光 委員 モデル区を選んで進めていく、そして、職員が利用者の立場になって体験をして業務改善をしていくということであります。
現在の区役所の窓口においては、情報連携が十分ではなく、手続が課ごとの縦割りとなっており、住所や氏名を何度も記載しなければならない、このことが待ち時間の増加につながっていると考えます。こうしたことを職員が自ら体験する中で業務の見直しを進めていくということに期待をしております。
実際、どれぐらい時間がかかっているのか、現状把握をしなければ改善の効果というものは把握できなくなります。市民にもそのことを実感してもらえるようにしたいということが、最初の答弁でもございました。
業務の見直しを進めていくということですけれども、こうした現状、どれぐらい待ち時間がかかっているのか、このことを数値化して取り組んでいくということも重要であると思いますので、このことを求めたいと思います。
区役所の窓口は、住民サービスの最前線であります。利用者の目線に立つ、そして、これまでの組織体制の常識を超えて、区役所の窓口を抜本的に改革していただくことを求めて、私からの質問を終えます。
◆國安政典 委員 私からも、札幌市のDXの推進について、2点質問をさせていただきます。
1点目は、DXが遅れている現状に対する課題認識について伺います。
我が会派では、デジタル戦略推進局が設置される以前から、デジタル活用を強力に推進していく専門の組織の必要性を訴えてきたところであります。これは、人口減少の影響が現実のものになってきているからであり、例えば、物流における2024年問題や、市内バス路線の廃止など、労働集約型産業については、維持困難な、持続困難な局面が目の前に迫っており、現在は人手に頼る部分が多い行政においても、そう遠くないうちに同じような危機に直面するのではないかとの危機感からでありました。
当然、人手による対応が難しいとなってから対策を考えていては遅いわけでありまして、将来、高い確率で予想される担い手の不足という課題に向けて、今から準備を進める必要がある、そのためには、デジタル活用を徹底していくことが避けて通れないものと考えるところでございます。
民間企業におきましては、着々とデジタルでのサービス提供が進むなど、DXが推進されていることが実感できるようになってきておりますが、札幌市では、デジタル戦略推進局を設置し、デジタルを活用していかなければならないという課題認識を持っていることは理解するものの、思うように進んでいないのではないかという印象を持つものでございます。
この原因につきましては、これまで、札幌市には専門部署がなく、デジタル活用について全体を俯瞰して考えてこなかったことが挙げられますが、デジタル戦略推進局の2年間の取組の中で、DX推進の障壁という部分が見えてきているのではないかと考えるところでございます。
そこで、質問ですが、民間と比べて行政のDXが遅れている現状について、どのような課題認識を持っているのか、伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 DXが遅れている現状に対する課題認識についてでございますが、DXが進んでいる企業では、インターネットを通じて提供される様々なアプリケーションと社内の基幹システムとが連携できるようになっており、顧客の需要に合わせて柔軟にサービスを提供することができます。
一方、行政がDXを進めていくためには、例えば、LINEのように市民の日常生活でなじみのあるアプリケーションや、企業が業務で利用するような利便性の高いクラウドサービスを活用することが必要です。国から示されていた行政のセキュリティー基準においては、住民情報の保護の観点から、インターネットを十分に活用できませんでした。
こうした中、デジタル技術の進展に合わせて
行政サービスの在り方も変えていく必要があるといった理由から、2020年にこの基準が見直され、本市においても新たなデジタル環境の整備に向けた対応を進めているところでございます。
また、こうした環境を整備するだけではDXは進まないと考えておりまして、サービス構築や業務プロセスの見直しに対する職員の考え方や意識も変えていかなければならないと認識をしております。
◆國安政典 委員 課題に対応するためには、デジタルの環境整備、そしてまた、職員の意識を変えていく必要があるということでございます。
特に、職員の意識を時代に合った形に変えていくのは大変難しいことだと考えます。しかし、これもまた、これを実現しない限り、単なる情報化ということにとどまってしまって、DXが進まないというふうに考えますので、デジタル戦略推進局が先導し、しっかりと取り組んでいただくようお願いをしたいと思います。
2点目の質問に入ります。
2点目の質問は、次期札幌市ICT活用戦略で目指す方向性についてであります。
我が会派がさきに行いました視察、東京都江戸川区に視察を行いました。生産年齢人口の減少に伴い、将来、職員数が大きく減少するとの推計を示して、少ない職員数でも
行政サービスを維持できるよう、メタバースを活用したデジタル区役所を目指していくという分かりやすいコンセプトを打ち出しておりました。
ICTの活用は、それ自体が目的ではないため、市民にとっては、札幌市の目指す戦略の方向性が分かりにくいという側面があり、また、デジタル戦略推進局以外の職員にとっても、これは同様なのではないかと思います。そのため、江戸川区のように、何のためにデジタル技術を活用していくのかという点を戦略的に示していくことが必要であり、これについては、令和6年度に改定を控えております札幌市ICT活用戦略でどのような方向性を打ち出していくのかという点が重要になるというふうに考えております。
そこで、質問ですが、ICT活用の将来ビジョンについては、令和6年度の有識者会議の議論等を経て決定するということでございますが、市民から見てどのような
行政サービスの在り方になるのか、現時点において目指している方向性について伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 次期札幌市ICT活用戦略で目指す方向性についてお答えをいたします。
まちづくり戦略ビジョンにおいて、生産年齢人口が2040年に約15%減少すると推計されていることを踏まえますと、将来的に職員の確保が難しくなる可能性を視野に入れる必要がございます。また、民間のデジタルサービスが浸透し、市民の生活スタイルが多様化していくことに対応していくことも必要であります。
そのため、
行政サービスが窓口を中心に提供されるという現在の在り方から、インターネット、クラウドサービスの活用を前提に、オンラインでもサービスを柔軟に提供できるものへと変革していく必要がございます。
これによって、市民一人一人が、窓口、オンラインを問わず、それぞれが希望する方法でサービスが受けられるようにするとともに、業務の生産性を向上させることで、持続可能なサービスが提供できる市役所を目指してまいりたいと考えております。
◆國安政典 委員 今後、生産年齢人口が大幅に減少して民間の労働力が不足してくると、待遇面、給与面ともに民間のほうが魅力的になってまいります。また、若者の働き方に対する考え方が変わってきておりまして、紙に埋もれ、昭和のような働き方をしている職業に就きたいと考えることはなくなってくるかと思います。
行政は、ここで変わらないと、10年後には誰も希望しない職業となってしまって、今よりも大幅に少ない職員数で運営をしていかなければならなくなる、このような危機感を持って変革を進めていくべきだというふうに考えております。
例えばですが、オンラインで手続や相談が完結できるのであれば、デジタルサービスを受けたい、区役所に行きたくないという方は、当然、区役所に行かなくなるわけであります。その分、対面を希望する方の待ち時間も大幅に減少するわけで、職員の皆様も忙しさから解放されることになるわけであります。
このような世界観を目指してデジタル活用を進めることができれば、将来、職員が減少するというような状況変化が起きたとしても、柔軟に対応して、住民は今までどおりサービスが受けられるということになります。
急激な変化に柔軟に対応できるように、デジタルを活用して優位性を確保していく、これがDXであると考えますので、次期ICT活用戦略におきましては、札幌市のデジタル活用が目指す世界、これを分かりやすく示していただけますことをご期待申し上げまして、私の質問を終わります。
◆こじまゆみ 委員 私からは、スマートシティ推進費のうち、デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)の採択事業である新・さっぽろモデル事業について伺います。
国のデジタル田園都市国家構想交付金は、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けて先行する優良モデルの活用や、新たなモデルの創出、横展開により、取組の加速化、深化を図ることを目的としています。
今年度から取組を始めた新・さっぽろモデル事業は、住民の高齢化が進むもみじ台・青葉地区が抱える様々な地域課題をデジタルの力を活用して解決へと導くものであり、将来的には、本事業によって確立したモデルをほかの地域に展開し、札幌市全体のまちづくりに生かすことを目指すものであります。
我が会派としても、人口減少局面を迎えた本市において、高齢化に伴って顕在化する地域課題の解決に向けて、地域の住民とともに悩み、チャレンジする取組として、大いに期待しております。
私も、先月28日にもみじ台で行われました記者発表会に参加させていただきましたが、当日は、多くの記者の方たちがお越しになっており、テレビ、ニュースや新聞で報道されたことを見ると、本事業に対する注目度も非常に高いものであると感じたところであります。
そこで、質問ですが、本事業の現時点での
進捗状況について伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 令和5年度の新・さっぽろモデル事業の進捗についてお答えをいたします。
この事業では、専用タブレットとスマートフォンの2種類の端末から利用できるサービスを提供しており、貸出しする専用タブレットについては、目標としている150台を上回るお申込みをいただいたところでございます。また、スマートフォンを使ったサービス利用については、目標の450名に対し、約350名の方からお申込みをいただいており、順調に推移しているものと考えております。
サービスについては、一部、開始していないものもありますが、お買い得品などの生活に役立つ地域情報をお届けするサービスや、廃棄になりそうな食品を無料で受け取れるサービスなどについては、2月末より開始をしており、3月中には全てのサービスを開始できる見込みでございます。
また、もみじ台にサポート窓口を設置した上で、お申込みいただいた方にサービスの利用方法を詳しくご説明する利用説明会を開催するとともに、ご自身でWi−Fi設定などが難しい方に対しては、ご自宅に訪問してお手伝いをしているところでございます。
◆こじまゆみ 委員 既に予定数を上回るタブレットの利用のお申込みがあったということに加え、スマートフォンでの参加も順調に進捗しているということを確認できて、ちょっと安心しております。
私の元にも本事業についての期待の声が届いておりまして、今後の事業の発展を楽しみにしているところであります。
一方、本事業は、単に、タブレットを配付したり、スマートフォンにアプリをダウンロードしたりすることで事業の目的を達成できるものではなく、地域の住民に実際に使っていただき、その利用データも含めた地域ニーズに基づいて、サービスをブラッシュアップし続けることが必要でありますが、そのためには、何よりも地域との協力体制を築くことが重要であると考えております。
そこで、質問ですが、本事業を進めるに当たり、地域との協力体制を築くために、これまでどのように取り組んできたのか、伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 地域との協力体制についてでございますが、これまで、もみじ台まちづくり会議の役員会や青葉町自治連合会の役員会に定期的に参加をいたしまして、この事業に対するご意見を伺いながら、具体的な取組へのご理解とともに、参加のご協力を求めてきたところでございます。
また、地域が主催するイベントへのブース出展や、健康増進に向けた体力測定イベントの開催などを通じて、積極的に住民の方々との交流を図ってまいりました。
こうした取組の成果として、地域の町内会や老人クラブなどから多くの参加者をご紹介いただいたことが、現在のお申込み状況につながっているものと認識をしております。
◆こじまゆみ 委員 地域を回る地道な活動を継続してきたことによって、地域との良好な関係を構築してきておられ、その結果が現在の申込み状況につながっているというふうに理解いたしました。
こうした関係性の中で参加することを決めた方々であれば、継続して本事業へのご協力をいただくことも期待できることから、この地域における新たなスマートシティのモデルづくりが進んでいくものと考えております。
本事業では、今年度の取組を高齢者を中心にサービスを提供する段階として位置づけておりますが、次年度は、さらに、若い世代を含む多層的な支援体制を構築する段階とされております。もみじ台・青葉地区のコミュニティーの活性化を図るためには、若い世代を含めたより多くの参加者、協力者を募っていく必要があります。
そこで、最後の質問ですが、次年度以降の事業展開において、若い世代を含め、本事業への参加者を増やすためにどのように取り組んでいくおつもりか、伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 この事業への参加者を増やす取組についてでございます。
これまでの取組の中で行ってきました住民の方々からの聞き取りでは、コミュニティー活性化のために若い世代との交流を求める声が数多く寄せられました。
一方、周辺大学などの学生からの聞き取りでは、市内で最も高齢化率が高いもみじ台・青葉地区を対象に高齢者の暮らしを研究することやボランティア活動を展開することなどに興味を持っていることが分かりました。
そこで、今後は、高齢者にとっては若者との交流ができ、若者にとっては高齢化が進む地域で活動ができる多世代交流の場を地域内につくり、デジタル技術を活用しながら相互の交流を促進することで、この事業への参加者を増やしてまいりたいと考えております。
◆こじまゆみ 委員 最後に、指摘、ご要望を申し上げて終わりたいと思います。
新・さっぽろモデル事業の主な対象者は、高齢者であり、デジタルツールに対してあまり得意ではありません。しかしながら、まずは、やってみよう、やってみていろんな意見をぶつけてみようと、自分たちでこの事業を育てていこうという声が上がっており、事業への参加意欲が見受けられ、よい傾向であると感じています。
高齢化率の一番高いこのもみじ台・青葉地区において、背景に手法としてデジタル技術は活用するものの、高齢者と若者とが、そのことを意識することなく交流を続けていただきたいと思います。
また、人と人とのつながりやぬくもりを感じながら、生き生きと、住み慣れた地域で暮らしていくことを目指して、持続可能な形で取組を進めていただきたいと存じます。
先日、3月5日にデジタル田園都市国家構想のフェーズ2への申請を終えられたと伺っております。
フェーズ1では、地域としっかりつながっていくことを重要視して、顔の見える関係を大切にして初期段階の仕組みを構築されてきた様子は、私も拝見しておりました。
今回の申請が採択されたならば、デジタル田園都市国家構想フェーズ2において、地域にお住まいの方々が、事業の円滑な推進にご理解やご協力いただいたり、サービスを受けるばかりではなく、学生とともに、ボランティアとして、サービスの提供者としての一翼を担っていただいたりと、ブラッシュアップされた様々な事業について、複層的な支援体制を確実に整え、次代につながるよう丁寧に紡いでいってほしいと切に願っております。
◆ふじわら広昭 委員 私は、国の地方公共団体情報システム標準化
基本方針に基づく札幌市の今後の取組について、4点伺います。
札幌市の基幹系情報システムは、1962年、昭和37年に初めて汎用電子計算機を導入し、今年で62年目になります。この間、定型業務の大量一括処理を中心とする内部業務の効率化の時代には、税金、給与、会計などの大量計算処理及び住民記録台帳作成などの定型業務の大量一括処理が行われてきました。また、1989年、平成元年の住民記録オンラインシステムの稼働により、オンラインを活用した業務間連携による市民負担軽減と窓口業務の効率化などが行われてきました。これまで、国のシステム・制度改正などによって、札幌市の基幹システムは、約20年サイクルで更新されてきております。
現在使用されております基幹系情報システムを更新する際の課題としては、四つありました。一つは維持費の増加、二つ目はプログラムの老朽化、三つ目は特定業者との随意契約の長期化の問題、四つ目は地場産業の参入機会の確保などが挙げられていたわけであります。
こうした流れの中で、2020年、令和2年6月、第32次地方制度調査会は、2024年頃から逆算をし、顕在化する諸課題に対応するため、必要な地方行政体制の在り方などに関する答申を出しました。
具体的には、基本的な認識として、2040年頃にかけて、人口減少、高齢化などの人口構造の変化の急進、二つ目には、
新型コロナウイルス感染症への対応の教訓から、地方公共団体が提供する
行政サービスの重要性、また、地方行政のデジタル化として、一つ目には、国、地方を通じた行政手続のデジタル化、二つ目には、地方公共団体の情報システムの標準化などが示されました。
住民記録システムなど、地方公共団体が基本的な事務を処理するための情報システム、基幹系情報システムは、事務の処理の大半が法令で定められております。これまで、地方公共団体が、利便性などの観点から、個別に機能のカスタマイズなど、札幌市としても独自の設定を行っておりますが、その結果、1点目として、維持管理費や制度改正時の改修等において、地方公共団体は個別対応を余儀なくされ、負担が大きくなっていること、2点目として、情報システムの差異の調整が負担となり、クラウドによる共同利用が円滑に進んでいないこと、3点目として、住民サービスを向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及することが難しい状況となっていることなどが課題となっております。
こうした課題を解決するためには、地方公共団体の基幹系情報システムの基準、標準化基準を策定し、地方公共団体に当該基準に適合したシステムの利用を求める法的枠組みを構築し、地方公共団体の情報システムの標準化を実行する必要があります。
国は、2021年、法律第40号 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律を同年9月1日に施行し、これに基づき、住民基本台帳をはじめとする政令で定める20業務について、標準準拠システムへの移行を義務づけております。
具体的には、標準準拠システムの移行方式としては、自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書で二つのパターンが示されております。その一つが、既存のベンダーではない別のベンダーが提供する標準準拠システムに移行すること、もう一つが、現行システムの改修により標準化対応をするとなっております。
同手順書では、いずれかのパターンを推奨するものではなく、現行システムの契約状況やベンダー各社との協議状況などを踏まえ、各自治体において、効果や移行スケジュールの実現性などを比較し、適切なパターンを選択することが重要としております。
そこで、質問ですが、本市においては、システム標準化の移行方式としてどのような選択をしたのか、理由も含めて伺いたいと思います。
◎小澤 情報システム部長 システムの標準化の移行方式についてお答えいたします。
移行方式の検討に当たりましては、委員のご指摘のとおり、手順書に準じて、標準化対象業務のシステムの政令指定都市に納入した実績のある全ベンダー31社に対して、本市の標準準拠システムの提供の予定や、具体的な導入スケジュール等がどういうふうになるかということを調査いたしました。
その結果、既存ベンダーではなく、別ベンダーが提供する標準準拠システムへ移行可能というふうに判断できたのは、選挙、就学事務、国民健康保険、後期高齢者医療保険、国民年金など一部にとどまってしまいました。ただ、これら5業務につきましては、既存ベンダーが標準準拠システムの開発から撤退するというふうに表明したこともありまして、別ベンダーが提供するシステムへの移行を想定するということにしております。
ほかの業務につきましては、標準準拠システムの提供予定がないか、提供を行う予定があっても導入スケジュールを明示することは困難であるというような回答でありましたことから、現行システムを改修して、それを中心にして標準化対応を行うということにさせていただきました。
◆ふじわら広昭 委員 答弁では、大半は現行システムの改修などによって標準化対応を実施するということでありました。
札幌市における現行システムの多くは、基幹系システムという、国立研究開発法人産業技術総合研究所、いわゆる産総研が開発した包括フレームワークに基づいて開発したシステムとなっております。
質問の2点目は、情報システム標準化対応に当たってのトラブル・障害発生の抑制についてです。
私は、この基幹系システムについては、これまでも、その品質などについて問題があるのではないかと、これまで
予算特別委員会及び
決算特別委員会で取り上げてまいりました。
2012年、平成24年7月から2016年、平成28年2月にかけて、順次再構築して稼動した現行基幹系システムにおいては、各システムの稼働から1年間の当初トラブル・障害件数は合計で約1万件超となっており、これらのシステムを改修しての標準化対応は、再構築時と同様、多くの障害が発生するのではないかと強く懸念をするところであります。
そこで、質問ですが、再構築時の経験を踏まえ、システム標準化対応に当たっては、障害発生件数を抑えるためにどのように対応するのか、伺います。
◎小澤 情報システム部長 システム障害の発生をどのように抑えていくかということでございます。
大規模なシステム改修では、
一定程度の障害発生は避けられないところでございまして、ただ、その中でも市民生活への影響を及ぼさないようにするということが重要でありますので、重大な障害発生を防ぐことはもとより、障害発生件数自体を抑制するということが非常に重要だというふうに認識しております。
そのため、現行基幹系システムの標準化対応におきましては、前回、包括フレームワークを用いて再構築した経験を生かしつつも、新たな枠組みをつくって対応することを想定しております。
具体的には、前回の再構築時には開発工程を分けて分割発注しておりまして、工程間で異なるベンダーが受注した結果、手戻りが発生し、開発に十分な時間を取れなくなるなど、課題が生じていたというふうに思っておりますので、今回の標準化に当たっては、要件分析から開発工程までを同一ベンダーが対応し、スケジュールや品質に責任を持って行える手法にしたいというふうに考えているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 部長の答弁もありましたように、現在使われている包括フレームワークの手法は、最初に要件分析、2番目に基本設計、最後に開発という工程を採用してきており、それぞれ違ったベンダー、業者が開発をしてきました。
産総研によるシステムの大枠の中では、産総研が示したシステムどおりにつくれば、この3工程は問題がないということでありましたけれども、例えば、国保の関係などについては、当初の運用よりも1年程度、問題解消のために遅らせた経緯があるわけであります。
ここから新しいシステムに移行するためにデータを抽出するわけでありますけれども、こうした多少問題のあるシステムでありますから、いつ、どのようなところで予期せぬ問題が出てくるか分からない状況にあるわけであります。
こうした問題の中で、質問の3点目は、基幹系システムのオープン化についてです。
基幹系システムについて、答弁では、標準化対応で産業技術総合研究所が開発した包括フレームを利用しないという旨の答弁かと理解をしているわけであります。しかし、札幌市においては、2010年、平成22年度から、このフレームワークの技術移転ベンチャーとなっている事業者と基幹系情報システム構築の導入支援及びプロジェクト推進支援業務をはじめとした随意契約を締結し、再構築が終了してから8年が経過する現在においても、いまだに基幹系システムの基盤保守業務や運用支援業務などの随意契約を締結しております。
そこで、質問ですが、再構築時には、基幹系システムは特定のベンダーに依存しないオープン化を目指すとしていたはずですが、現在も随意契約の残っている背景と今後の契約の在り方について伺いたいと思います。
◎小澤 情報システム部長 基幹系システムのオープン化についてお答えしたいと思います。
基幹系システムにおいては、業務システムの開発及び運用保守は特定ベンダーに依存しない仕組みというふうになっているものの、委員のご指摘のとおり、基盤保守業務及び産総研包括フレームワーク運用支援業務の2業務につきましては、今でも随意契約となっているところでございます。オープン化を目指しながら、こうした随意契約が残る現在の契約状況については、システム基盤の改変に関する権利関係に一定の制約があることによるものでございます。
そうしたことから、今後は、標準化への対応を契機としまして、本市はもとより、事業主体となるSNETがシステム基盤の運用保守について主導的な役割を果たすことができるよう、今回の標準化で国から提供されるガバメントクラウド上で公開されている技術を取り入れることで、固有の技術を必要としないシステムに構築してまいりたいというふうに思っております。
◆ふじわら広昭 委員 質問の最後、4点目は国の補助金についてです。
国の標準化対応に関わる事業費は、移行費と開発費に大別されます。このうち、開発費は国の補助対象になりませんが、移行費、初期コストは国の補助対象になると思います。
そこで、質問ですが、国の標準化に関わる補助額は、現時点でどの程度見込まれているのか、伺います。
また、新年度はこの補助金を具体的にどのような取組に活用するのか、併せて伺います。
◎小澤 情報システム部長 システム標準化に係る国の補助金についてお答えいたします。
国のデジタル基盤改革支援補助金につきましては、標準準拠システムにデータを移行する費用のほか、ガバメントクラウド移行に要する費用、移行準備に係る費用などを補助対象というふうにしておりまして、札幌市に示されている上限額は、今のところ15億630万円というふうになってございます。
これまで、令和4年度に実施した予備調査などの準備作業に対して4,290万円の交付を受け、今年度は、標準仕様書と現行システムの比較分析、これを行いまして約7億円程度の交付を見込んでいるところでございます。
新年度でありますが、令和6年度はデータ要件の標準を進めるために7億3,000万円程度の交付を見込んでおり、これによって、現在の上限額に達する見込みではあるところでございますが、国においては、令和5年度補正予算で同補助金に追加計上するなどの準備を進めておりまして、必要額をできる限り確保できるような動きもございますことから、国の動向を見極めながら、標準化に対する補助金をしっかり受けながら事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
◆ふじわら広昭 委員 先日の新聞にも報道されておりましたけれども、移行困難システムとして、市町村の数など、あるいは、具体的な項目についても報道されておりました。そうした時間のいろいろな制約はありますけれども、やはり、限られたIT技術者、聞くところによると、そうした技術者も不足をしているということであります。人件費等を含めて、こうしたシステムをしっかり開発していくためには、ある程度の予算は確保しなければなりませんけれども、政令指定都市などの市長会を通じて、補助金の増額などをしっかり求めていただきたいというふうに思います。
要望の2点目は、先ほども指摘をしましたように、現在の包括フレームワークでは、要件分析、基本設計、開発という手順でシステムを開発してきておりますので、こうしたことに伴う障害の発生をできるだけ少なくするように対応を求めておきたいと思います。
また、3点目の要望でございますけれども、私どもが調査した中では、やはり、この開発費というのは、非常に、企業秘密などもあり、ブラックボックス化をしております。私どもにも伝わってきている情報の中では、例えば、開発業者、ベンダーの大手が中小の業者になぜ安価な価格を設定するのかという、そうしたような言動もあるやに伝わっているわけであります。
やはり、こうしたベンダーを探すにも、札幌市としてはしっかりとした対応をしてきていると思いますけれども、今後、最終的な契約をするに当たっては、時間は限られておりますけれども、十分な調査と対話をして、札幌市に最善の契約相手となるような相手方を選ぶことを強く求めて、質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、行政のデジタル化のみならず、Society5.0の基盤ともなるマイナンバーカードの利便性向上など、普及促進の取組について、簡潔に質問をさせていただきます。
マイナンバーカードは、全国の保有率が70%を超え、札幌市においても令和6年2月末現在で71.1%と多くの市民がカードを手にしており、マイナンバーカードは、ある程度、普及が進んでいるものと認識をしております。
これからもマイナンバーカードを活用した多様なサービスの提供は次々と進められていくのであり、報道によりますと、スムーズな救急搬送に向けたマイナンバーカード活用の実証実験が5月から開始されるそうでございます。
また、今年12月には健康保険証との一体化も始まり、今後は、様々な分野で利活用が進み、利便性の向上が図られるものと期待をしております。
私自身も、健康保険証として利用することによりまして、調剤薬局において、複数の病院からの薬の飲み合わせを確認することができるなど、利便性を実感したところであります。そういう方も、今後増えていくのではないかと思います。
ただし、その一方で、ご高齢の方などからは、いざマイナンバーカードを持ったはいいが、健康保険証の利用登録の方法が分からない、自身の登録状況の確認方法が分からないという声もあると聞いております。
そこで、質問ですが、高齢者などからのマイナンバーカードの利活用についての問合せや相談について、札幌市としてどのような対応を行っているのか、お尋ねをいたします。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 マイナンバーカードに関する相談対応についてでございます。
スマートフォンなどの操作が不慣れな高齢者などからのお問合せやご相談については、昨年10月から、マイナンバーカードセンターにおいて、適宜対応しており、健康保険証の登録やマイナポータルの操作などについてのサポートを行っているところでございます。
そのほかにも、ふるさと納税や確定申告での活用方法など、お問合せやご相談の内容は様々でございまして、マイナンバーカードが普及したことで、今後もこうしたご要望が増えていくものと考えております。
来年度も引き続き、マイナンバーカードセンターにおいて対応できる体制を維持するとともに、広報さっぽろなどを通じてその機能を周知するなど、さらなる利用促進を図ってまいります。
◆福田浩太郎 委員 ご高齢者などの問合せや相談については、マイナンバーカードセンターで対応していると。今後もしていくということで、そうした対応についての広報、利用促進にもつなげるということ、承知をいたしました。
次に、今後のマイナンバーカードの利活用促進に向けた取組についても質問させていただきたいというふうに思います。
国では、運転免許証や健康保険証の一体化を予定しております。さらに、社会保障に係る国家資格を持つ医師や薬剤師、介護福祉士などがマイナンバーカードの本人認証機能を活用し、申請手続をオンラインで完結できるようにすることを2024年度中に実施することとしております。
そのほか、昨年5月からマイナンバーカードをスマホに搭載する機能が追加をされ、12月からは、このスマホを用いて住民票の写しなどのコンビニ交付サービスの利用をすることができるようになるなど、全国的に利活用促進に向けた取組が進められております。
また、札幌市においては、中央区役所仮庁舎において、マイナンバーカードを使って申請書の一部を自動入力する申請書作成支援システムを試験的に導入したと聞いております。このシステムは、複数の手続を一度に行う市民にとって、繰り返し同じ内容を記入することが負担となっていることから、マイナンバーカードの券面情報を活用して、申請書等への記入負担を軽減するものであり、また、機器内に一切の情報を残さない仕組みとすることで、市民の情報流出の不安にも配慮したものとなっているというふうに聞いております。
そこで、質問ですが、マイナンバーカードの利便性を実感してもらうためには、申し上げたような国の施策や中央区での取組にとどまらず、さらなる利活用策が必要だと考えているが、今後の取組についてお尋ねをいたします。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 マイナンバーカードの利活用策についてお答えをいたします。
厚別区で実施をしております新・さっぽろモデル事業におきまして、参加者がサービスの利用登録を行う際に、マイナンバーカードを活用することで簡単に本人確認ができる仕組みを導入したところでございます。
また、民間の引っ越しポータルサイトを使いまして、引っ越しに伴う住所変更の手続を行う際に、マイナンバーカードを活用することで、転入などの情報が本市に自動的に送信されるだけでなく、住所変更の手続を必要とする民間事業者にも、ご本人の希望に基づきまして、情報が連携される仕組みを検討しているところでございます。
そのほか、マイナンバーカードの利活用策といたしまして、アクションプラン2023で掲げたオンライン申請の拡充を着実に進めることなどで、マイナンバーカードの利便性を実感していただく機会を増やしてまいりたいと考えております。
◆福田浩太郎 委員 さらなる利活用策については承知をいたしました。
改めて申し上げますが、カードは義務ではなく、あくまで任意でありますが、新しい社会保障制度や行政のデジタル化の基盤として活用していくには、さらなる普及が必要であり、あわせて、デジタルディバイド対策も粘り強く継続していくことが求められます。
ご答弁にあった、民間事業と連携した引っ越し手続まとめて実行サービスというようなもの、また、オンライン申請の拡充など、利便性の向上はもちろんのこと、先ほど申し上げましたマイナ保険証でありますけれども、医療DXの基盤となるものでありますが、
利用状況は、現状、約5%と低い状況でありまして、質の高い効率的な医療の提供につながることの周知や、マイナンバーカード健康保険証の登録促進策、そして、マイナンバーカードの信頼回復に向けた様々な取組をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
加えて、自治体の独自サービス提供にもつながると思われるマイナンバーカードの空き領域の活用についてもしっかりと検討を進めて、カードの機能を十分活用した
行政サービスの向上に取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。
○小形香織 委員長 以上で、第1項
総務管理費中デジタル戦略推進局関係分の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月14日木曜日午後1時から、市民文化局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後1時59分...