札幌市議会 > 2024-03-08 >
令和 6年第一部予算特別委員会−03月08日-05号
令和 6年第二部予算特別委員会−03月08日-05号

  • "月時点"(/)
ツイート シェア
  1. 札幌市議会 2024-03-08
    令和 6年第二部予算特別委員会−03月08日-05号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和 6年第二部予算特別委員会−03月08日-05号令和 6年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第5号)               令和6年(2024年)3月8日(金曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 32名(欠は欠席者)     委 員 長  村 松 叶 啓      副委員長   うるしはら直子     委 員 長  村 松 叶 啓      副委員長   うるしはら直子   欠 委   員  勝 木 勇 人      委   員  高 橋 克 朋     委   員  こんどう 和雄      委   員  こじま ゆ み     委   員  北 村 光一郎      委   員  川田 ただひさ     委   員  松 井 隆 文      委   員  村 山 拓 司     委   員  小 竹 ともこ      委   員  中 川 賢 一     委   員  和 田 勝 也      委   員  福 士   勝     委   員  小 野 正 美      委   員  中 村 たけし     委   員  松 原 淳 二      委   員  たけのうち有美     委   員  おんむら健太郎      委   員  森   基誉則     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  好 井 七 海     委   員  小 口 智 久      委   員  竹 内 孝 代     委   員  熊 谷 誠 一      委   員  太 田 秀 子
        委   員  吉 岡 弘 子      委   員  長 屋 いずみ     委   員  佐 藤   綾      委   員  波 田 大 専     委   員  山 口 かずさ      委   員  成 田 祐 樹     委   員  脇 元 繁 之       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時     ―――――――――――――― ○村松叶啓 委員長  ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、勝木委員からは欠席する旨、また、伴委員からは北村委員と、三神委員からは小竹委員と、小須田委員からは中川委員と、前川委員からは竹内委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。  それでは、議事に入ります。  最初に、第3款 保健福祉費 第3項 老人福祉費、第10款 諸支出金 第2項 他会計繰出金のうち関係分、議案第7号 令和6年度札幌市介護保険会計予算及び議案第21号 札幌市介護保険条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。 ◆川田ただひさ 委員  私からは、敬老健康パスについてお尋ねしたいと思います。  敬老健康パスについて、先日の第1回の定例会では、急激な制度の変更案に対する市民の戸惑いの声にどう対応していくかという我が会派からの代表質問に対し、市長からは、既に敬老パスを利用している方への経過的な措置についても検討していくとの答弁があり、これまでの記者会見でも、段階的な導入といった話がありました。  この答弁への受け止めは人によって様々であり、例えば、現行の敬老パスを見直していくのか、それとも継続していくのかといった市民の声が我が自民党会派にも寄せられているところでございます。  そこで、市民へのきちんとした経過的な措置の内容について明らかにし、一刻も早く不安を解消していくべきと考えるところでもございます。  そこで、質問でございますが、経過的な措置の内容についてお伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  敬老パスの経過的措置の内容についてのお問合せでございます。  敬老健康パス制度の導入に当たりましては、利用者の皆様の制度変更に対する不安の声といったものを踏まえまして、当面の間、経過的な措置が必要であると認識しているところでございます。  まず、敬老健康パスのアプリについては令和7年度のリリースを予定しておりますので、新制度は令和8年度以降に70歳になる方から順次適用ということを想定しています。  経過措置の具体的な内容といたしましては、令和7年度中に既に敬老パスの交付を受けている市民の方につきまして、当面、例えば、3年から5年程度は敬老パス制度を使い続けることができるよう検討を進めてまいりたいと思っております。  なお、経過措置に当たりましては、全体として現在の事業費を大きく上回るようなことのないよう、利用上限額や自己負担額の見直しも検討するとともに、希望する方には新制度を選択できるようにいたしたいと考えているところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  令和7年度から新しいアプリをリリースする計画であり、令和7年度までに交付を受けて既存のほうを選ぶ方は3年から5年まで受け続けられる形で、この年数についてはこれから検討するというお話があったところでございます。  そういう経過措置を考えながら制度設計を考えているということで、安心される方もいらっしゃるかと思いますが、敬老パスの利用者の不安が先行して、やはり意見交換会でも十分に伝わっていなかったという部分もあるかと思います。敬老パスの利用者について、一定の激変緩和措置は必要であり、当面は継続とのことで、そういった視点でこれからの経過状況を見守りながら、冷静に、また活発な議論をしていくということができると思ったところでもございます。  制度導入から50年が経過し、時代が大きく変わっている中で、次の社会を見据えて時代の要請に合わせて、子や孫の世代にも持続可能な社会をしっかりと引き継いでいく必要がございます。  我が会派では、これまでも、人口構造の変化など時代が大きく変わっている中で、持続可能な社会に向けて健康長寿のまちづくりを着実に進めていくことの重要性を繰り返し指摘しているところでもございます。  高齢者の福祉施策としても、健康づくりや社会参加を高めていく取組も重視してまいりました。高齢者の健康増進は個々の人の幸せにつながることはもちろんであって、社会にもたらす効果も極めて大きいところでもございます。現在、国を挙げた少子化対策も進められております。本市も最大限に取り組んではいるものの、高齢化率はさらに高まっていく見通しであることは間違いのないことでございます。  その中で大きな課題となるのは人手不足です。また、健康な高齢者が増えることで、就労人口の減少に対してブレーキをかけられるだけでなく、長年培ってきたいろいろな技術や経験、深い人生経験から得られた知恵を社会に還元し、若い世代に受け継いでいただくことに大きく貢献するものでもございます。  2017年に総務省が調査した高齢者の有業率を見ますと、健康寿命が長いことで知られる浜松市では、25.7%と、全国平均24.4%を上回っているのに対し、健康寿命が短い本市は、18.3%で、全政令市の中で最下位という状況があるわけでございます。  市民の健康寿命を延ばしていくことで高齢者の有業率を向上していくことも、この敬老健康パスを有効に使うことで期待されるところでもございます。  そこで、質問でございますが、時代の変化を踏まえながら未来を見据えたとき、敬老健康パスによって社会にどのような効果をもたらそうとしているのか、お伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  敬老健康パス事業が社会にもたらす効果といったことについてのお問合せでございます。  敬老健康パス事業によって、個々の状況に応じた健康づくりや社会参加への継続的な取組を支えていくことで、無理なく健康増進につなげ、個人の明るく豊かな生活の充実に寄与するといったことを目指しております。  少子高齢化や人口減少の問題が深刻化する中、一人でも多くの高齢者の皆様が長く健康に活躍できて、委員のご指摘にもございましたが、個々の状況に応じては、働いていただくなど、多様な世代が助け合っていく持続可能な社会といったものにつなげていきたいと考えているところです。  そのためにも、札幌市全体で健康寿命延伸に向けた様々な取組を進めることで、今、健康寿命は、最も長い政令市に比較しますと、男性では1.7歳、女性では2歳短いのですが、これをトップクラスまで引き上げていって、それを持続していく必要があるのではないかと考えているところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  私も以前の職場で、もう25年以上前ですが、65歳で敬老のお祝いを渡していた記憶もございます。しかし、今では、もう65歳というのは定年の年であって、そういった部分では明らかに延びているわけでございます。  やはり、この高齢化という年齢もこれからいろいろと考えるときに来てしまったのかもしれませんし、先日、日経新聞を読んでいますと、ある製薬メーカーでは250歳を目指した薬の開発をしているということで、それは夢物語のように聞こえるわけでございます。しかしながら、そういう意味では時代がどんどん変わってきている中においても、やはり活発に活動ができる環境をつくっていく手だてを行政として考えていくということは、限られた財源はあるものの、やはり、時代の変化というものを感じながら、ただ単に財源だけに視点を当てるのではなくて、新しい時代に向けた政策というものが必要だと思っているところでもございます。  しかしながら、やはり重要なことは、ただ理念がすばらしいものであっても、市民がついてこられなければ、絵に描いた餅になってしまうわけでございます。  意見募集を行った中で、敬老健康パス制度がイメージしづらいといった意見が市民から寄せられております。高齢者にとって、ポイント制度はなじみの薄いところもあるわけでございます。敬老健康パスの事業の実像が見えてこないと不安に感じている市民もおりますし、先日の代表質問においても、市民自らの活動がポイントに反映される仕組みを体験する機会など、やはり自ら体で体験する機会をつくるという答弁もあったわけでございます。  このような制度転換期には、新しい制度を実際使用していただいた方の声を踏まえて制度を整えていくことが、市民に受け入れられるための鍵だと思っているところでもございます。  先日は、私の地元であります厚別区においても、もみじ台青葉町において、高齢者向けにタブレットを配りまして、デジタル田園都市構想の中において、新・さっぽろモデルという形で、いろいろなデータや、または試みを始めようともしております。  そういったことも考えたときに、市長答弁にもあったとおり、新たな制度は、机上の検討ではなく、市民に実際に体験してもらう必要があると考える中において、どのように体験をしてもらうのか、お伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  新たな制度の机上の検討ではなく、実際の体験ということについてのお問合せでございます。  敬老健康パスにつきましては、まだ誰も見たことも触ったこともないものでございますので、どのような仕組みなのか具体的にイメージができず、ポイントをどうためるのか、どう使えるのかなど、不安を抱えている方が多いと考えております。  そのため、こうした疑問や不安を解消していくには、目に見える形で実際に触れていただくということが効果的ではないかと考えています。  そこで、開発の初期段階から、高齢者を含めました幅広い市民モニターを募集いたしまして、既存の健康アプリなど、また、試作モデルにも触れていただく機会を設けて、市民の皆さんとともに構築してまいりたいと考えております。制度導入後につきましても、先ほどご説明した経過措置の対象となっている方につきましても、アプリに実際に触れていただく機会を設けながら、円滑に移行できるよう準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  実際にそういった形で体験をしていただく機会をどんどんつくっていただきたいと思っているところでもございます。  次に、JR利用拡大による利便性についてもお伺いしたいと思っているところでございます。  全ての市民に関わる健康政策を効果的に進めていくためには、多くの市民が参加できるような環境が大切でございます。  そういった意味で、ポイントもゼロスタートではなく、ある程度まとまったポイントを参加者全員に配り、まずは事業に参加するきっかけを与えて普及促進を図っていくことが重要でございます。  そして、よりよい制度へという点では、JR、タクシー利用をはじめとした使途の拡大が不可欠だと考えているところでもございます。  私たちも民主、公明の皆さんとも勉強会も開催をしながら、そういった部分についても取り組んできたところでもございます。  そこで、質問でございますが、アプリの利用者、アプリを利用しないポイントカードの利用者、それぞれJRを含めた使途の拡大に向けた考えはどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  アプリを利用される方、また、アプリを利用しない、我々で提案させていただいているポイントカードの利用者の方、それぞれのJRの拡大というお問合せでございます。  多くの方の生活の充実を図るよりよい制度としていくためには、個々の状況に応じまして、JRを含む様々な用途で使用できることが重要と考えております。  アプリを使用する方については、電子マネーとしても使えるSuicaへの交換によってJRの利用が可能になるということを想定しております。また、アプリを利用せずポイントカードを利用される方につきましても、アプリと同様な様々な利用ができるよう、鋭意検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  先ほども触れましたけれども、新しい事業を多くの方に普及促進していくためのきっかけとして、やはり喜ばれるようなインセンティブが必要でございます。  制度導入時のインセンティブとして、参加者には一定のまとまったポイントをまずは配るべきだというふうに私は思っているところでもございます。経過措置を含め、事業全体の予算を、もちろん、これは必要なことでございますから、しっかりと確保した上で検討していただくことを要望いたします。  また、先ほどアプリの部分でお話しいたしましたが、もみじ台青葉町でこれから取組をしようとしている新しい制度においては、ボランティアでこれを教えながら利用促進を図っていただく市民の方もいらっしゃるわけでございます。  そういった視点も考えながら今後取り組んでいただくことを切にお願い申し上げまして、質問を終わります。 ◆中村たけし 委員  私からは、大きく三つの項目について、一つは、今ほど質疑がありましたが、健康パスといわゆる敬老健康パスについて、もう一つが、高齢者福祉バス事業について、もう一つが、今月の1日に指定されました札幌市認知症疾患医療センター、本格的に始まったセンターについて、この三つについて質問をしていきたいと思います。  まず最初に、敬老パスと、今年度予算案に計上されている高齢者健康寿命延伸費のいわゆる敬老健康パスについて質問をいたします。  まず最初は、敬老パスの課題についてです。  我が会派は、今定例会の代表質問において、敬老パス制度を継続して残す検討も必要ですと求めて、秋元市長からは、経過措置として、現行の制度の選択、継続も含めて、段階的な取組を検討していきたい旨の答弁がありました。  他会派の代表質問にもあったように、健康寿命延伸と敬老パスの議論はいずれもしっかりとしていく必要がある重要なテーマだと我が会派も考えております。  札幌市の高齢化率は、2023年、昨年の10月時点で28.5%という数字になっていまして、3人に1人が高齢者になる時代というのが目前にもう迫っている状況にあります。  医療や介護などの高齢者のための予算は、この10年で1,658億円から2,369億円と711億円余り増加しているわけですけれども、生産年齢人口の減少による人手不足であったり、財源確保の観点から、生活に本当に必要なサービスの提供というものが危ぶまれているかなという状況にも今はあります。  そのような中で、現行の敬老パスを持続可能な福祉制度としていくために課題があると思うのですけれども、課題があるのであれば、正面から見据えて、上限額や自己負担の見直しを含めた検討をするべきだというふうに考えます。  そこで、最初の質問ですけれども、市として、現行敬老パスへの課題認識をどのように考えているのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  現行敬老パスの課題認識というお問合せでございます。  高齢者人口の増加に伴いまして、介護サービスや後期高齢者医療、一般会計に係る高齢者に関する予算は、今、委員がご指摘のとおり、この10年間で711億円、約1.43倍となっています。  この期間の人口の増加ということで考えますと、1.28倍ということでございまして、高齢者1人当たりの介護や医療の費用というものも増加しているというふうに考えられるところです。  今後もこの傾向が続くことを考えると、政令市の中でも下位にある健康寿命というのを引き上げていくことが必要と認識しているところでございます。  敬老パスに関する予算というところで見ましても、もちろん増加していっておりまして、現在約63億円の予算は、2050年頃には80億円というような試算となっております。生産年齢人口の減少ということもございますので、現役世代のさらなる負担増加ということが懸念されているところでございます。  また、敬老パスチャージ額の分析ということでは、対象者のうち約半数というチャージであること、また9%の5万円以上チャージしている方で助成額の事業費の47%を占めているというように、課題としてはいろいろあるというような認識でございます。 ◆中村たけし 委員  そのような課題があることは分かりましたし、予算に対しての危機感を抱いているということも分かりました。しっかりと市民と将来のビジョンを共有して、共によりよい社会に向けて考えていくというスタンスが大事だというふうに考えます。  次に、いわゆる敬老健康パスのメリットについてお聞きします。  いわゆる敬老健康パスで高齢者の健康を高めていくには、先ほどの質疑にもありましたが、多くの方に事業に参加していただくということが必要だと思います。高齢者に参加を無理強いするのではなくて、魅力的な制度として無理なく楽しみながら参加してもらうことが理想だというふうに考えます。また、高齢者の健康も敬老パス制度導入時からいろいろ多様化しておりまして、生活の多様化に柔軟に対応できるような制度設計が必要だと思います。  そのために、新しく始めようとしているいわゆる敬老健康パス事業のメリットについて分かりやすく説明するということが必要だと思います。  そこで、質問ですけれども、この事業に参加する市民にどのようなメリットを提供していけると考えているのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  敬老健康パス制度で提供できるメリットについてのお問合せでございます。  今年度設置した検討委員会では、健康を増進していくためには、活動を習慣化することや楽しみながら継続することが重要との指摘をいただいているところでございます。  とりわけ、退職などによって現役世代よりも活動のきっかけが減少してしまう高齢者の皆様におかれましては、気軽な出歩きや人と会って過ごしたことを可視化するようなサポートで、さらなる行動への意欲や習慣化につなげていけるものと考えております。  敬老健康パス制度では、こうした日常の健康づくり、社会参加の活動量を見える化するとともに、楽しめる要素も加えることで、市民の健康寿命の延伸に寄与していきたい、また、専門家の皆様の協力も得て、例えば、健康管理でありますとか見守りの機能も搭載することができようかと思いますので、そういったことで利用者の皆様の安心に役立つ機能も構築してまいりたいと考えているところでございます。 ◆中村たけし 委員  そういったメリットをしっかりと実現していくというのは重要なことだと思います。  しかし、今までの答弁で、やはり、敬老パスの課題、健康寿命延伸に向けた議論、この両方を今後しっかりと議論していくということは感じました。ただ、市民の皆さんからは、議論の答えが出ないままで、また、予算の概要の32ページにありますように、高齢者健康寿命延伸費ということで、新しいシステムの準備という予算が7億数千万円計上されているわけですけれども、これが記述されていることであったり、今回、いわゆる敬老健康パス関連の予算案が提案されたことで敬老パスの廃止があたかも決定したかのような不安の声というのが、今、いっぱいあるわけですよね。  ちょっとしつこいようですけれども、確認の意味で質問しますけれども、敬老パスの議論も引き続き行っていくということは、今回提案されている予算案が敬老パスを廃止するために使われる予算案ではないということで間違いないことを確認したいと思います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  今回計上させていただいた予算が敬老パスを廃止するために使われる予算ではないことの確認というご質問でございます。  今回提案した予算でございますが、健康寿命延伸に向けた取組が重要との認識から、健康ポイントアプリの開発や対象者管理、ポイントのチャージなどのシステムの構築に向けた費用というものを計上したものでございます。これらのシステムを構築したとしましても、決して現行の敬老パスを使用できなくなるとか、そういった機能を盛り込むものではないというものでございます。 ◆中村たけし 委員  しかし、現に敬老パスを利用している市民の皆さんは大きく不安を抱いて混乱している状況にあります。  敬老パス利用者の不安に配慮した段階的な取組が不可欠だと思いますけれども、現行敬老パスの課題も踏まえた対応もまた必要だというふうに思います。  そこで、どのような経過措置、段階的な措置を考えているのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  経過措置、段階的措置についてのお問合せでございます。  経過的な措置の具体的内容といたしましては、既に敬老パスの交付を令和7年度中に受けている市民の方について、当面、敬老パス制度を使い続けることができるよというものです。その期間が、やはり、不安の声なども考えますと、アプリを使っていただく期間でありますとか慣れていただく期間が重要と考えておりまして、やはり、3年から5年程度は必要ということで、そういう期間を想定しながら検討していきたいと考えているところでございます。  なお、持続可能性という点を踏まえまして、全体として現在の事業費を大きく上回ることのないよう、利用上限額や自己負担額の見直しといったことも検討してまいりたいと考えております。 ◆中村たけし 委員  段階的な経過措置が必要だと思うのですけれども、それを3年から5年ということで区切るということで、それについては、今、年数を示していませんから、これからの議論だと思いますけれども、現行の敬老パス制度と新しい敬老健康パス事業については分けて議論をしていくということが必要だというふうに思います。それを我が会派も訴えているわけなのですけれども、経過措置として継続する敬老パスについては、上限額であったり負担額の見直しも含めて検討をしていく、そして、新しい敬老健康パスの事業はどのようなものにしていくのかということを分けて議論していくということですね。  新しい制度について、今、その上限額が2万円ということが案として出ているわけですけれども、この点についても、これからの議論で、その額についてはもっと増やしていくとか、要するに、敬老健康パスの利用上限についても将来に向けて持続可能な制度とする範囲の中でですけれども、健康をより後押しできるような適切な水準を確保できるような検討をしていくことを求めて、この質問については終わります。  次に、高齢者福祉バス事業について質問いたします。  札幌市高齢者福祉バス事業は、市内の老人クラブなど、おおむね60歳以上で構成される一定条件、一定の要件に該当する高齢者団体が地域貢献活動研修、介護予防活動などに役立てるためにバスを利用したときに、札幌市から利用料の7割を補助して、使う人は3割の負担で使える、そういった事業です。  この高齢者福祉バス事業は、高齢者の地域貢献や健康づくりなどの活動を支援する取組として大きな役割を果たしていると私は感じています。  近年、コロナ禍で多くの高齢者団体が利用を控えていましたけれども、新型コロナウイルス感染症が5類に移行して、今後は利用する団体が増えていくということは容易に想定されますし、見込まれます。
     この事業は、高齢者が外出する機会になりますし、参加者同士が交流しますよね。さらに、外出先で歩くということになります。  まさに、札幌市が今提唱している健康増進の取組を促進する事業だというふうに私は思っています。  コロナ禍において閉じこもりになった高齢者に対して外出するきっかけを提供する点でも重要な事業だというふうに考えておりまして、そこで、最初の質問ですけれども、札幌市は高齢者福祉バス事業の重要性についてどのように認識しているのか、まず伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  高齢者福祉バス事業の重要性の認識についてのお問合せでございます。  新型コロナウイルス感染症の影響が出る前の令和元年度でございますが、延べ310団体、1万3,292名にご利用いただいております。これまで多くの高齢者団体の地域貢献活動や介護予防活動、健康づくり活動などを支援してきた事業であると認識しています。  一方で、行政評価におきましては、利用者の限定や固定化、レクリエーション的な利用ということについて、現状のまま運営を続けていくには課題があるのではないか、指摘としては改廃を含めて考えるようにという指摘を受けている事業でもございます。 ◆中村たけし 委員  札幌市がその活動の支援をしてきた事業だということで評価していることは分かりました。  一方で、札幌市の外部評価委員の行政評価委員からそういう指摘がされていることについても分かりました。  行政評価委員の皆さんの指摘はもちろん尊重することは必要ですけれども、外部の行政評価委員が市政全般にわたって全部について熟知しているわけでもありません。  行政評価委員の皆さんからは、先ほど部長から答弁がありましたように、利用者が限定的、固定化している、そういう指摘を受けているは分かりました。  しかし、使っている人が限定的、固定化されているというのは、この事業を知っている人が使っているからそうなっているのであって、言ってみれば、市からの広報、お知らせが少ないから、行き渡っていないから、知っている人だけが使っているということで、利用が限定的、固定化しているということだと私は思っているのですけれども、要するに、知っている人だけが使っているから、それはそうなるでしょう。だから、市のお知らせが不十分ということで、こうなっているというふうに思います。  札幌市は事業評価もやっています。令和4年に札幌市が行った事業評価では、高齢者福祉バス運営補助金事業について、事業の判定項目というものが四つあります。事業の成果、判定A、事業の規模、判定A、事業の実施手法B、対象者の満足度Aという形に評価をされています。  全般的な評価はBになっているのですけれども、この評価の理由のところを読みますと、高齢者団体からのニーズが一定程度あり、高齢者の社会参加、地域貢献活動、介護予防等の促進に寄与すると考えられるが、事業目的をより効果的に達成するため、バスの利用条件などを検討する余地があると考えられるというふうに評価の理由を言っているのですけれども、要するに、この事業を評価しているわけですよね。もっと充実させなさいという評価なはずなのですよ。だから、それをしっかりと踏まえて、この事業をもっと充実させていくということが必要だと思います。  札幌市が市民の健康寿命の延伸を図る方向性を示している中で、高齢者福祉バス事業の認識をしっかりと持って重要性を理解した上で、この事業を実施していくべきだというふうに思います。  しかしながら、令和6年度はバスの確保が困難であるとして、例年3月に行っている利用調整や抽せん会を一旦中止する旨、利用対象団体に通知したというふうに聞いています。  そこで、質問ですけれども、札幌市はどの時点でこの事業の継続の困難を理解してその対処を始めたのか、また、どのように対処してきたのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  事業継続に向けた検討の対処をいつから始めたのかということでございます。  事業実施主体の札幌市社会福祉協議会から、今年度受託しているバス事業者が運転手不足、急激な観光需要の回復などに対応するため、令和6年度の応札は難しいとの意向を示しているという旨の報告を受けまして、昨年10月から本年1月にかけて、広くバス事業者や旅行業者を対象に調査を実施したところでございます。  この中では、入札に参加する意向を示したバス事業者はございませんで、参加意向がある旅行業者におきましても、年度当初4月から受託して例年どおり手配できるという業者はなく、事業開始時期、バスの台数、割当方法など、大幅な変更が必要という回答があったところでございます。  このため、現在、令和6年度の実施方法について調整中でございまして、できるだけ早く実施内容を確定させ、対象団体の皆様にお知らせできるよう進めてまいりたいと考えております。 ◆中村たけし 委員  バスの運転手さんが不足しているということは毎日のように報道されていて、多くの皆さんは理解しています。しかし、事業継続に向けて対策を取り始める時期というのが私は遅過ぎると思うのですよね。  先ほど部長の答弁で、昨年の10月に把握して、12月から調査して、1月までですね。  これは、2021年6月15日の北海道新聞の記事ですけれども、ここに「札幌にも迫られるバス網の効率化」という記事が載っていまして、バス路線の統廃合というものを巡って札幌市議会で議論がありましたという記事です。北海道新聞の2021年、約3年前の6月にこういう記事が載って、コロナ禍による需要減や運転手不足も追い打ちをかけて、これは昨年10月の札幌市議会と言っていますから、コロナが影響し出した年の秋、初冬にかけての10月ですから、決算特別委員会でこういう議論があったということです。コロナ禍による需要減や運転手不足も追い打ちをかけて、1日当たりのバスの運行便数は10年間で2割減り、郊外を中心に終バス時間は1時間ほど繰り上がっているというふうに伝えられているのですよ。  ここに、運転手不足ということが、もう3年前にこういう文字が出て、この間、これがコロナ禍で需要減している、コロナ禍が終わったら需要は増える、それは当たり前ですよね。  そういったことで、需要が増えるのが分かっている、運転手不足が社会問題だというように、この間、もう散々報道されているその中で、この対策を取り始めるというのがあまりにも遅すぎるというふうに私は思います。  そして、毎年4月、5月のお花見のシーズンに利用してきた団体もたくさんあるわけなのですよ。このままでは、対象団体への令和6年度の4月からの実施内容の連絡は、先ほど部長答弁があったように、年度当初にはもう間に合わない。だから、毎年、高齢者福祉バスを使ってお花見をやっていた各種団体の方々は利用できないというふうにもうなっているのですよね。本当に多くの団体がお困りになっているというふうに私は思います。  高齢者福祉バス事業は、長きにわたって地域の高齢者団体に活用されてきた事業なのですよ。連合町内会の様々なレクリエーション事業、お花見であったり、パークゴルフに行く、そういったことに使われてきた事業で、実際に地域の高齢者団体から、この高齢者福祉バスを利用した例年の行事を楽しみにしているのだというふうに老人クラブの方々も言っているというふうに聞きます。  そこで、質問なのですけれども、やり方を工夫して事業継続をしっかりと考えるべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  高齢者福祉バス事業の事業継続についてのお問合せでございます。  この事業は、高齢者団体の地域貢献活動、健康づくり活動などに利用いただいているところですが、先ほどもお答えいたしましたように、現状では事業を受託できる業者がなく、年度当初の事業が実施できない状況となっています。  札幌市といたしましては、これまで利用していた団体の期待といったものを考慮して、まずは令和6年度、事業を実施できるよう手を尽くしてまいりたいと。一方で、このバス事業者の状況が短期間で回復する見通しというのがなかなか立たないとも想定していますので、令和6年度にどういう形で実施できるか見極めながら事業継続というものについて検討してまいりたいと考えております。 ◆中村たけし 委員  最後に、要望と指摘をしてこの質問については終わりますけれども、バスの確保が困難になっているというのは分かります。ですが、旅行代理店を活用するなどしてやり方を工夫すれば、バスを確保していくこと自体は何とかできるのではないかというふうに思いますので、そういったことも取り入れながら、事業継続に向けて努力をしていただきたいと思います。  先ほど質疑した、いわゆる敬老健康パスの事業についてもそうなのですけれども、私は札幌市の健康増進、健康寿命延伸の施策というものが、市民の皆さんが望んでいるというものからずれているように感じるのですね。  今、歩いている人、走っている人が多くいらっしゃいます。そういう環境をもっと札幌市が整えるとか、もっと歩きたい、もっと走りたいという環境をもっともっと推進する、そして、パークゴルフをやっている主に高齢の方々が多くいらっしゃいます。その方々は、河川敷のコースなどでやっている場合は、自らその河川敷のパークゴルフ場の整備をしながら、札幌市からもうちょっと補助をしてもらえないだろうか、その整備に力を貸してもらえないだろうかという声を私は何度ももらっていますし、市のほうにも伝えています。そのように、自らパークゴルフをやれば、必ず一緒に回っている皆さんと話もしますし、必ず歩きます。そういったことで、まさに札幌市が言っている健康増進の施策の一つだと思うのです。  今、パークゴルフを一例に出しましたけれども、卓球などもそうです。  老人福祉センターなどを利用して卓球をやっている方々はたくさんいらっしゃるのです。そうすると、卓球台が古くなって、そのラインがもう見えなくなっているぐらい使っている、そういう卓球台をもっと整備してほしいというふうに声をいただいて対応していただいたことなどもありますけれども、そういったこと、市民の皆さんが今やっていること、そして、それをもっと充実させること、そういったことにもっと力を入れて、いわゆる敬老健康パス制度ポイント制度についてを全否定するものではないですけれども、それはそれでいいものにしていってほしいなというふうに思いますけれども、今やっていること、市民の皆さんが望んでいることについて、もっと健康増進の観点から施策に力を入れていくべきだというふうに思いますので、それを指摘して、この質問については終わります。  最後に、札幌市認知症疾患医療センターについて質問をいたします。  札幌市認知症疾患医療センターについてですけれども、最初に、そのセンターの機能について質問をしていきたいと思います。  札幌市において、認知症高齢者数は年々増加することが見込まれていまして、2023年10月1日現在で約6万人、高齢者のおよそ9人に1人が認知症だというふうに言われています。これが2050年度には、9万9,000人、まさに7人に1人の方が認知症の状況になるというふうに推計をされているわけであります。  増加する認知症高齢者に対応するため、認知症医療支援体制の充実の一環として、今月の3月1日に札幌市として初めての認知症疾患医療センターを札幌医科大学附属病院に指定をいたしました。  我が会派は、令和5年の予算特別委員会において、詳しい診断や相談、治療などを提供する認知症疾患医療センターについて、札幌ならではのセンター設置の在り方を検討していくように要望して、続いて、第4回定例市議会の代表質問でも、新たな認知症医療体制を構築するに当たっては、センターにどのような機能を持たせるかが極めて重要であるというふうに指摘をさせていただきました。  そこで、最初の質問ですけれども、指定した札幌市認知症疾患医療センターにはどのような機能を持たせたのか、改めて伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  札幌市認知症疾患医療センターの機能についてお答えさせていただきます。  札幌市認知症疾患医療センターは、鑑別診断とそれに基づく初期対応や専門医療相談などの専門的医療機能、地域連携拠点機能や診断後等支援機能といった国の要綱と同様の機能を位置づけております。  そのほか、札幌市の認知症医療に係る課題を踏まえ、独自に認知症の身体合併症や行動・心理症状の急性期の入院対応や調整、アルツハイマー病の新薬による治療と、それに係る市民や地域の医療機関などからの相談対応といったような機能を付加しているところでございます。 ◆中村たけし 委員  センターの機能として、国が定めた要綱の機能に加えて、市独自に二つの機能を持たせたことは分かりました。  次は、その二つの機能のうち、大きな役割を果たす、今ほど答弁にあった新薬レカネマブ、製品名はレケンビという名前になりますけれども、それに係る札幌市認知症疾患医療センターの役割について質問していきます。  アルツハイマー病の新薬が認可をされて、認知症医療体制は新たな局面に入っているというふうに思います。そういうことで、札幌市認知症疾患医療センターに新薬に係る治療や相談についての機能を付加するということの必要性についてはよく分かります。  新薬は、アルツハイマー病の原因に働きかけて、病気の進行自体を抑制する薬として国内で初めて承認された薬であるため、市民や医療機関の期待は大変大きいものだというふうに考えています。  しかしながら、治療対象がアルツハイマー病による軽度認知障がいということで、この軽度認知障がいというのはMCIと言うようですけれども、このMCIあるいは軽度の認知症と診断された方にこの使用が限られるということです。脳が膨れることがあったり、脳から少量の出血が生じたりするという副反応があるというふうに報告されています。限定的にMRIで検査をする必要があるなど、投与可能な要件が厳しい、厳格な薬ということでもあるわけです。  このような安全対策の確保が求められる治療であるために、投与に当たっては慎重になるという医療機関も少なくないというふうに考えております。  そこで、質問ですけれども、新薬の投与において、札幌市認知症疾患医療センターはどのような役割を担うのか、伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  新薬に係る札幌市認知症疾患医療センターの役割についてお答えさせていただきます。  昨年12月に厚生労働省から発出された新薬の最適使用ガイドラインには、当該製剤による治療を行う医療機関は、認知症疾患医療センターであること、もしくはセンターと連携が取れる施設であることというふうに明記されております。  よって、認知症疾患医療センター以外でも新薬を扱えることとはなりますが、センターとの連携が必須とされておりますことから、認知症疾患医療センターには、他の医療機関における新薬の治療実績などを幅広く収集し、課題分析を行い、行政や地域の医療機関にフィードバックする役割といったことを求めているところでございます。  加えて、市民やかかりつけ医に対し、新薬による治療に関する相談や助言を行うことで、新薬による治療が適切に提供される医療体制の中核を担うものというふうに考えているところでございます。 ◆中村たけし 委員  新薬に関する札幌市認知症疾患医療センターの役割は、そういう中核的な役割を果たすという意味で、市民や医療機関にとって重要であるということについては分かりました。  次は、今後の認知症医療体制の方向性について伺います。  新薬のみならず、認知症医療体制の強化についてもセンターの役割は大きく期待されるものと考えますが、認知症の疑いの時期から早期に発見、診断し、身体合併症を含め、適切な医療につなげるために、認知症疾患医療センターが認知症に関して全ての医療を担うというのは現実的ではないわけであります。  そこで、質問ですけれども、札幌市において認知症疾患医療センター指定後の認知症医療体制の方向性についてどのように考えているのか、伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  今後の認知症医療体制の方向性についてお答えさせていただきます。  札幌市認知症疾患医療センターは、新薬による治療を含め、より高度で専門的な認知症医療を担う機関であるとともに、医療や介護などの関係機関との連携拠点でもございます。  一方で、認知症の発症からみとりまでの認知症医療を一体的に担う機関ではなく、かかりつけ医などからの紹介を受け、必要に応じ、一時的に専門的な医療を提供する機関でございます。  このため、今後は、様々な状態の認知症の方に切れ目なく適切な医療が提供できるよう、認知症疾患医療センターを含め、かかりつけ医や精神科、脳神経外科などの専門医療機関の連携強化に一層努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆中村たけし 委員  最後に、要望して終わりますけれども、認知症高齢者が年々増加する中、個々の状況に応じた適切な医療を提供する体制を充実させていくということは急務だというふうに思います。  また、札幌市内には認知症診療を行う医療機関というものは大変多く存在しています。  1か所の認知症疾患医療センターが全ての医療機関の連携体制の強化を推進するということは負担が大きいので、これから、二つ目、三つ目を想定しているんだというふうには少し聞いていますけれども、認知症医療体制の円滑な強化のために、早期に複数箇所の設置をしていただくということを求めまして、私の質問を終わります。 ◆竹内孝代 委員  私からは、本定例会における我が会派の代表質問に続きまして、敬老健康パスについて質問をさせていただきます。  我が党は、全国的に急速に進む人口減少、そして、少子高齢化問題に対する強い危機感から、2040年頃に高齢者人口がピークを迎える現実を直視した行政サービス、また、経済を維持するため、安心と希望の持てる仕組みづくりに向けて、一昨年、2040ビジョン策定委員会を設置、検討を進めております。  現在、国内全ての自治体首長宛てにアンケート調査を実施し、先般、本市にもご協力をいただきましたけれども、今後は、現場の自治体の声も反映した2040ビジョン策定に全力を注いでいるところでございます。  札幌市においても、2040年代に高齢者人口がピークとなり、現在と2040年を比較してみますと、高齢化率は現在の28.3%から36%に上昇、現役世代は現在の約60%から55%と減少し、人口構造が大きく変わり、このままの状況ではまちの維持が難しい、そういった局面を迎えることになることは明白であります。  ただ、これらの変化を成長のチャンスと捉え、市民とともにその変化を克服していく姿、また、現在の課題を共有し、将来に向けた持続可能な社会の実現に向けた一歩を踏み出していくことが必要だとも考えております。  そうした将来に軸足を置いた持続可能な社会を築くためには、本市の様々な施策を見直していくとともに、市民にとってよりよいものへと改善していく、そういったものの一つとして、今回の敬老健康パスの素案があると認識しておりますけれども、そういう重要なことが市民には伝わっていないのではないかと感じております。  そこで、質問ですが、改めて、今回の素案を提案した札幌市の考え、また、狙いを伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  敬老健康パスの事業を提案した考え、狙いということについてのご質問でございます。  人口構造の変化は、要介護者、認知症患者の増加でございますとか、社会保障費の急増、少子化に伴う人材不足などをもたらしておりまして、この傾向がますます進展していくことに対して強い危機感を持っております。  このような危機感の下、今後のまちづくりに求められる観点として、誰もが互いに支え合いながら、長く役割を担っていける社会を目指す必要があり、そのためにも、一人一人が少しでも長く健康であるということの重要性は一層増していると認識しております。  健康寿命が他都市に比べ短い札幌市におきまして、高齢者関連の市単独で行う政策的な事業費の9割以上を敬老パスが、今、占めております。  また、この予算規模も今後拡大が見込まれるという中におきまして、高齢者の生き生きとした生活を支えるという理念を損なうことのないように、一人でも多くの市民の皆様の健康につなげていくための制度として敬老健康パスを提案したところでございます。  この事業だけではなく、札幌市全体で健康寿命の延伸に向けた様々な取組を進めて、政令市の中でもトップクラスに入っていかなければならないと考えているということでございます。 ◆竹内孝代 委員  一人でも多くの市民の健康を支える制度としていきたいということでございますけれども、ぜひ、そうしたお考えが市民の皆様に伝わっていくように、丁寧な説明をしていただきたいというふうに思っております。  札幌市民の健康寿命というのは、先ほど来あるように、全国平均を下回っているだけでなく、大都市と比較しても下位であります。ご存じのとおり、健康寿命が長いほど、要介護認定率は低くなります。幾つになっても元気にお過ごしをいただける社会の構築に健康寿命延伸の取組は重要であります。人口構造変化への強い危機感から予算規模も拡大しており、また、市民の健康を支える制度にしたいという今のお考えは理解をいたしました。  しかしながら、さきの代表質問においても指摘をさせていただきましたけれども、現行の敬老パス事業を見直して提案された今回の敬老健康パスの素案に対しては、市民からは問合せ、また、不安の声が我が会派にも多く寄せられております。こうした市民の不安の声に配慮し、市長からは経過的な措置を検討すると答弁もあったところであります。  しかし、経過的な措置を検討していくとしながらも、令和6年度予算に敬老健康パスの関連予算が提出されていることに対して違和感を覚えるという市民の声も届けられました。  見直しの議論の最中でありながら、提案された今回の予算の内容、先ほどの委員からのお話もありましたけれども、ぜひともその必要性、内容、なぜ今なのか、こうしたことを丁寧に説明していただく必要があるかと思います。  そこで、質問ですが、敬老健康パス事業に係る7億2,600万円の予算案、これはどのような予算なのか、なぜ今なのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  敬老健康パス事業に係る予算案がどのようなものなのかということと、なぜ今なのかということについてのお問合せでございます。  今回提案した予算につきましては、ポイントアプリ構築、ポイントチャージの仕組みといったことに必要な経費を計上しているものでございまして、早い段階で実際にアプリに市民に触れていただくためにも、令和6年度から開発をしていきたいということを目指しているものでございます。  なお、このシステムをつくったとしましても、先ほどもご説明させていただきましたが、それによって現行の敬老パスというものが使えなくなるとか、そういう機能を盛り込むとか、そういったものではないということは重ねて説明させていただきます。 ◆竹内孝代 委員  現行の敬老パスも使えると。新しい制度の仕組みを早い段階から整え、先ほどモニター制度の話もありましたけれども、市民の方にも使っていただきながらよりよいものにしていくためには今なのだということだと思いました。  それでは、敬老健康パス制度の素案について、少し具体的に伺ってまいりたいと思います。  今回の素案の中では、これまでのサービスを受けるための自己負担をなくして、日常的な健康活動により得たポイント、そうした獲得によるサービスの提供、これが大きな違いかと思っておりますけれども、現段階では、コンセプトの説明により市民意見を募っていたため、ポイント獲得の中身が歩くこと、人と触れ合うことといった大枠しか示しておられず、市民から分かりづらいという声が寄せられております。  今回、予算案を計上したということからすれば、ポイントを獲得していくイメージを市民に対してもっと具体的に説明していくべきだと思います。  そこで、質問ですが、アプリまたはポイントカードによるポイント獲得のイメージについてはどのように考えておられるのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  アプリとポイントカードのポイント獲得のイメージについてのお問合せでございます。  まず、アプリにつきましては、例えば、歩くことに関しましては、スマートフォンを持ち歩いていただければ自動的に歩数が記録されていく仕組みとなってございます。  また、人との触れ合いに関しましては、アプリに表示されるQRコードを読み取ってもらうというような簡単な仕組みにしたいと考えているところです。  ポイントカードに関しましては、カードに表示してあるQRコードを読み取ってもらうという方法を取ることで、アプリと同様にいたします。  一方で、歩数の計測ということはカードではできませんので、例えば、ポイント獲得対象のイベントに参加した場合に、一定ポイントの上乗せとか、割増しとか、そういった方法で考えていくことができるのではないかと検討しています。  このように気軽に参加いただけるようにしていきたいと考えていますが、アプリのほうが、見守りや健康機能など、便利な機能が付加できるとも考えておりまして、できるだけアプリを利用していただけるような工夫を凝らしていきたいと考えております。
     なお、1日の目標歩数など具体的な活動量に関しては、国などが示す基準を基に、高齢者の皆様にとって無理のないような目標を設定していきたいと考えているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  今現在、議論をしている渦中でありますので、現段階のお考えだというふうに思います。けれども、皆さんにとって本当に負担のないように、また、日常生活の中で日頃やっている活動がしっかりとアプリ、また、ポイントカードにポイントとして反映されていくようにしなければ、市民の方にとって負担ばかりが増えていくということになって、使ってもらえないというふうになってしまいますので、今後の議論でまたもう少し提案をしていきたいと思っております。  今説明がありましたこのポイントにつきましては、我が会派として、今回の代表質問で、要介護、また、加齢に伴って活動ができなくなった方々に対する配慮が必要であると指摘をさせていただきました。市長からの答弁では、一定のポイントを提供することなどについても検討してまいりたいという方針も示していただきました。  そこで、質問ですけれども、この活動困難者へのポイント提供について具体的に示していただきたく、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  活動困難な方へのポイント提供のイメージについてのお問合せでございます。  アンケート調査などによりますと、年を重ねていきましても、人との関わりや身近な地域での活動ということには多くの皆様が継続的に取り組まれているとなっていますが、加齢に伴いまして心身機能が低下し、歩くことが徐々に困難になっていく傾向があります。  そこで、歩くことでポイントを獲得することが困難となった方への対応といたしまして、例えば、要介護度でありますとか、一定の長寿、そういったことを基準として、対象となる方にポイントを提供し、タクシー利用や人との交流などに活用いただくことで、精神的健康、社会的健康を高めることに役立てていただきたい、そのように検討しているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  考えは理解しました。  では、要介護度、また、一定の長寿というのはどういうところがラインになるのかといったことは、今後の市民との議論の中で、困られる方が絶対にいないように、しっかり丁寧に検討していただきたいと思っております。  今お話がありましたタクシーの利用、また、人との交流にも使えるということは、例えば、バス、地下鉄を活用できず、タクシーでなければどうしても動けないという方々もおられますので、これは皆様にとっては大きな希望になるかと思います。  このポイント付与に関しまして申し上げますと、我が会派は、令和元年、また、令和2年の代表質問において、高齢者の運転免許証の自主返納について取り上げまして、高齢者の方々に、本当に、事故の被害者にも、また加害者にもなってほしくないという思いから、様々な施策を提案してまいりました。  今回、この敬老健康パス制度にも、ぜひ免許返納によるポイントの付与も必要なのではないかと考えておりますので、ご検討に入れていただければと思っております。  新たに提案されました今回の敬老健康パス制度については、市民のニーズがしっかりと取り入れられたものにすべきであります。  また、ポイントの使途が広いということが市民に普及していくための鍵でもあると考えますけれども、さきの代表質問の我が会派の答弁について、市長から、電子マネーを選択できるようにしたいという考えも示していただきました。  そこで、質問ですが、電子マネーを使えるようにしたいという意義について、認識について伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  電子マネーを使えるようにすることへの意義についてのお問合せでございます。  現行の敬老パスでございますが、豊かな老後の生活の充実を図ることを目的とした福祉施策として、その手段として、公共交通機関を利用した外出支援という方法を取っております。そういうことで考えますと、物販への利用ができないものになっています。  敬老健康パス制度は、健康づくりでありますとか、社会参加につながる活動を行うことに対するインセンティブといった形でポイントを獲得できる仕組みとなりますので、そのポイントは個々の状況に応じて活用していただけるものにしたいと考えています。  様々な趣味や生きがいなどの日常生活の幅広いニーズにも対応するため、ポイントの使い道として電子マネーも選択できるようにすることで、精神的健康、社会的健康も後押しできるものと考えているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  これまでの敬老パスと比較しまして使途の範囲が広がることになるかと思いますけれども、これまでの敬老パスは対象者の約半数の方のご利用というふうに先ほどもありましたけれども、これまで以上に多くの高齢者の方々が利用できる、そうした健康寿命を延伸していくための取組になるという考え方は重要な視点かと思います。  一方で、我が会派に寄せられる多様な声の中には、これまでのカードにチャージするだけで活用できたものから、アプリという言葉を聞いて、スマートフォンを持たない自分はどうしたらいいのかといった声もあります。  先ほどの答弁でもありましたスマートフォンの歩数計測、また、アプリとの連動でポイントを付与するという考えでは、スマートフォンを持っていない方は歩数を計ることもできません。また、電子マネーということも今ございました。スマートフォンを持っていない方、電子マネーが使えない方々もお困りになるかと思います。  そういう意味では、現在、スマートフォンを持っていない方、また、持っていても使いこなせない方々に対してきめ細かいサポートが必要だと思います。  札幌市として、最大限、デジタルディバイドを解消していくための取組を加速させなくてはならないと思います。  我が会派は、これまでも、デジタル化の恩恵を最大限に受けられる環境の整備、また、デジタル化の推進に当たり、誰一人取り残さない社会の実現を訴えてまいりましたが、今後は、例えば、スマートフォンを貸し出すような取組も大胆に模索していくべきではないかと考えます。  IT弱者と言われる高齢者を減らし、デジタル技術の恩恵を広く市民に普及していくための努力をすべきだと思います。  そこで、質問ですが、本事業の導入に当たり、デジタルディバイドをどのように解消していこうとお考えなのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  本事業の導入に当たっての、デジタルディバイドの解消ということについてのお問合せでございます。  先ほどもご答弁させていただきましたが、敬老健康パスにおいては、できるだけスマートフォンを活用していただきたいと考えているところです。  今年度実施しました市民意識調査では、これから敬老パスの対象となる60代の方のスマートフォンの所持率は9割を超えている状況ですが、その一方で、やはり、持っていない方もいらっしゃいますし、所持していても使いこなすことに難しさを感じている方も、やはり一定数いらっしゃると認識しております。  そのため、スマホ教室のような取組はもとより、スマートフォンの利用に慣れていただくという観点から、委員がご指摘のレンタルのような取組などもしっかり検討項目に入れて考えてまいりたいと考えているところでございます。そうした取組がデジタルディバイドの解消の一助にもなっていくのだと考えているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  教室の取組、また、スマートフォンレンタルも含めて検討したいということであります。ぜひお願いしたいと思います。  今、60代の方のスマートフォン普及率9割とありましたが、70代、80代の今お元気な方々にもこうしたものを使っていただくためには、その普及率はどんどん低くなっている現状から、スマートフォンを持たない方々へのそうした支援というのはすごく重要だと思いますので、ぜひともお願いいたします。  敬老パスは、これまで長く市民に使われ、また、浸透してきた制度であります。我が会派の代表質問でも申し上げましたとおり、提案された敬老健康パスは、健康寿命延伸に向けた福祉施策として活動が難しくなった高齢者への対応も含めて、誰もが安心して活用ができ、かつ、支援を必要とする方々に行き届く施策とすべきと考えております。  我が会派の主張を十分にご理解いただき、今回質疑で取り上げた内容を含め、さらによりよい制度となるような検討を引き続き求めます。  加えて申し上げますと、現制度についての経過措置の中でもありますけれども、上限額の引下げについて先ほどもお話がありました。社会参加の外出機会が減少する懸念から、市民からは、自己負担額を上げたとしても上限額7万円は維持すべきであるといった声も寄せられております。  会派としても、維持を要望させていただきます。  今後続く議論の中で、高齢者の実情に応じた検討をしていただくよう求めまして、私の質問を終わります。 ◆太田秀子 委員  私からも、敬老パスと敬老健康パスについて質問いたします。  質疑に入る前に、この間のこれまでの質疑を聞いて、ちょっと確認しておきたいことがあります。  敬老パスは、しばらくは使える、3年から5年は使えると。しかし、今の事業費を上回らないように、3年から5年のうちに自己負担を上げることなども考えていくと。そして、その後に廃止して、希望する人は新制度へどうぞと。そういうスケジュールがもうできているということなのかなと思って聞いていました。  これに対して、お答えください。 ◎西村 高齢保健福祉部長  経過措置の期間につきましてのお問合せ、その内容のお問合せなのかなと思います。  今、我々として経過措置という期間をこれからもちろん定めていくことになりますが、その目安として3年から5年とお答えさせていただいたものでございまして、正式には、やはり、これから議論等を含めて、しっかり検討していきたいと考えています。  また、その3年から5年という経過措置の期間中におきましても、希望する方は健康敬老パスのほうも使えるようにいたしたいと考えているところでございます。 ◆太田秀子 委員  もう一つ答えてほしいのです。  その3年から5年のうちに、今の事業費を上回らないように自己負担の見直しも考えていくと、そうおっしゃったのですけれども、その意味は何ですか。 ◎西村 高齢保健福祉部長  先ほど来ご答弁させていただいていますとおり、札幌市といたしましても、やはり事業費をしっかり見ながら事業を進めていかなければならないと考えています。  今後、経過措置を設けるときに、経過措置を進めるのにかかる費用、それから、新しい事業を進めるのにかかる費用の双方がかかっていきますので、その双方を見ながら考えていきたい、そういうことでございます。 ◆太田秀子 委員  新しいものに移行していくときにかかるお金を見ながら、今、敬老パスを使っていただいている皆さんの自己負担も上げていくかもしれないということだと判断していいですか。  そうだとしますと、スケジュールありきで、本当に廃止ありきであれば、自己負担を上げるということありきであれば、本当に大問題だなと感じました。  私は、敬老パスは現行のまま拡充する、そして、敬老健康パスは十分な議論を重ねることが大事だという立場で質問を行います。  検討委員会について伺います。  昨年11月、高齢保健福祉部から、「健康寿命の延伸に向けて 敬老優待乗車証制度をより良い制度へ」と書かれた資料に基づいて、敬老パスを敬老健康パスに置き換える素案の説明を受けました。  議会には、敬老優待乗車証、敬老パスの改善を求める陳情で、敬老パスをタクシーやJRでも使えるようにしてほしいという要望が上がり、昨年6月12日の厚生委員会で継続審査になっていますので、そのような中、あまりにも唐突な変更案だと驚きました。  この資料には、これまでの検討の結果として、札幌市高齢者健康寿命延伸検討委員会を設置し、2023年4月から3回、外部有識者による議論をしてきたと書いてあります。  検討委員会のメンバーは、札幌市の最上位計画である第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンで委員を務めた方たちがこの委員会の委員としても参加していただいたそうであります。  戦略ビジョンは、まちづくりの重要概念の一つとして、ウェルネス(健康)に関わることから、同じ方たちに議論してもらったのだと思っています。  1点目の質問は、高齢者健康寿命延伸検討委員会は、どのような趣旨で設置して、どのような議論があったのかを伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  高齢者健康寿命延伸検討委員会の設置の趣旨と、どのような議論があったかということについてのお問合せでございます。  検討委員会は、高齢者の健康寿命の延伸に向けて、多様な社会参加や健康づくりなどを通して楽しみながら活動できる仕組みの検討を目的に設置いたしたものでございます。  身体的健康づくり、人とのつながり、活動の動機づけやデジタル活用、そういったことについて幅広くご議論いただいたものでございます。 ◆太田秀子 委員  設置目的のところは、高齢者の健康寿命の延伸に向けて、楽しみながら仕組みを使って検討するということが目的だということでありました。  つまり、この検討委員会で議論されてきたことは、敬老パスの在り方ではなく、健康寿命延伸についての議論だったということでいいですか。  私は、多くの方から、この素案について一体誰が決めたのだろうと聞かれるのですけれども、ぜひ私もお聞きしたいところですが、2点目の質問です。  敬老健康パス制度の素案は、なぜ敬老パスと絡めたのか、それはどこで発案されたものなのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  今回の案についての発案がどこからかということのご質問でございます。  札幌市の人口構造が変わる中にありまして、検討委員会での議論などを踏まえると、一人でも多くの高齢者が長く健康に活躍できる持続可能な社会を実現していくことが必要と考えました。  限りある予算の中で最大限効果的な事業とするため、既存の事業を生かしていくこととし、庁内の会議を経て、今回の素案を決定したものでございます。 ◆太田秀子 委員  検討委員会で出された意見を基に庁内で決めたと。第1回の検討委員会では、今後、札幌市として高齢者施策を立案していくため、委員会で知見をいただきたいと札幌市が委員の皆さんに言っています。  そして、検討委員会の資料を見ますと、健康寿命の延伸に向けた新たな高齢者施策として、アプリですとか、ポイントですとか、私たちもいただいている資料の、素案のイメージ図が出されているわけです。  つまり、敬老パスとは別の新しい施策を本市が発案したということでいいですか。 ◎西村 高齢保健福祉部長  今回の会議におきまして、敬老パスを敬老健康パスのほうに発展させていくという決定をし、そのように提案させていただいたというものでございます。 ◆太田秀子 委員  では、検討委員会で議論されたことに敬老パスは入っていなくて、健康寿命延伸についての議論だったのだけれども、それを受けた庁内での札幌市の会議の中で、敬老パスから敬老健康パスに発展させていくというふうにつくり上げたのだということですね。  敬老パスと敬老健康パスがごっちゃになっているから、市民の皆さんも分からないわけですよね。切り離して議論するべきだと私は思うのです。  次に、市民の意見について伺います。  敬老健康パス制度の素案に対する市民の理解を深めていただくとともに、幅広い世代の皆様からご意見を伺い、よりよい仕組みを構築するため、意見交換会を実施するということで、昨年12月から1か月かけて、10区で市民意見交換会を行いました。  この意見交換会については、外部の事業者に業務を委託していたと伺っているところです。  そこで、質問ですけれども、この意見交換会にかかった費用とその内訳を伺います。  また、意見交換会だけではなくて、コールセンターや公式ホームページでの意見募集も行っておりましたので、それぞれどれぐらいの市民参加や意見数が寄せられ、それぞれどのような内容であったのか、そして、その意見を募集した結果は、いつ頃、どのような形で公表するのかを伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  今回の意見交換会にかかった費用ですとか、その結果や公表時期についてのお問合せでございます。  今回、多くの市民の皆様が参加する意見交換会を円滑に行うために、会場のレイアウト検討、諸調整、備品類の準備、設営、誘導や案内、司会進行、また、パネル展も一緒にやってございますので、そういったデザインの検討、製作など、様々な業務が必要だったところでございます。  これにつきましては、一般競争入札の結果、シンポジウム開催と合わせて約970万円ということで契約させていただいております。  また、その結果等でございますが、これはまだ現在集計中でございますが、意見交換会には約1,500人参加いただき、意見記載シート等にも約500件のご意見をいただいています。  また、専用コールセンターには約1,300件、ウェブフォームには約1,000件の意見となっています。  主な意見といたしましては、敬老パスの見直しと健康寿命の延伸策は分けて検討するべき、上限額は2万円では足りない、高齢者にとって分かりやすい制度にしてほしいなどがあったと考えています。  こういったご意見につきましては、市のホームページで年度内の公表というところを目指して、ただいま準備しているところでございます。 ◆太田秀子 委員  イベント、レイアウトですとか、パネル展ですとか、そういうことも含めて委託をしたということで、シンポジウムと合わせて970万円と。  10区それぞれで会場を借りましたけれども、会場費もここに含まれていますか。 ◎西村 高齢保健福祉部長  これ以外に、会場費のほうは、札幌市の直接の借り上げで行っておりますので、かかっているところでございます。 ◆太田秀子 委員  会場費については、どれぐらいかかっていますか。 ◎西村 高齢保健福祉部長  会場費については、それぞれ金額はばらばらなのですが、全体でおよそ50万円ぐらいかかっているところでございます。 ◆太田秀子 委員  分かりました。  イベントに委託をした費用ですとか、シンポジウムなども含めてということでありましたけれども、会場費として50万円、1,000万円ぐらいのお金が使われたということですね。  そして、市民の意見の中では、見直しについて、この敬老パスと敬老健康パスと分けて検討すべきだという声もあったということで、私も先ほど言いましたけれども、本当にそういう思いなのですよね。  私も、この素案についていろいろなご意見を伺っていますけれども、利用しづらい、ポイントを獲得すること自体が困難な事情を抱える人が排除されるのではないのか、かえって外出抑制になるのではないか、健康増進につながらないのではないかと。先ほど、免許返納の話も出ましたけれども、敬老パスがあるから免許を返納しようと計画していたのだけれども、返せないという声も聞いています。私はもっともだと思ったのですよね。  市民の意見を伺いましたから、次に、敬老パスについて伺います。  敬老パスは、3年ごとに利用実態調査をしてきましたが、コロナもありましたので、2018年が最後になっていました。しかし、本年1月締切りで、敬老パスの利用実態等に関するアンケートを行っています。  この結果はまだ出ておりませんので、前回の2018年の実態調査を調べました。  敬老パスが及ぼす効果について、7割もの方が、高齢者の外出意欲が高まり、健康増進や介護予防を推進する効果があると実感していると回答しています。
     次いで、高齢者の買物や外食をする機会が増えて消費を増やす、高齢者の社会参加が促進されて生きがいを増やすというふうに続きます。  現行の制度が健康増進や経済効果につながっていると高齢者の皆さんは実感しています。  福祉の施策ですから、経済効果ですとか健康効果を実証するのは難しいとお考えかもしれませんけれども、高齢者の皆さんが実感しているというのが何よりの実証ではないのでしょうか。  80代の方がこう言っていました。  病気を持ち、服薬もしていますが、食事、運動を治療の柱に据え、敬老パスをフルに活用して、趣味を兼ねて歩いています。このような活動が病状の安定にもつながり、健康寿命を延ばしていることを実感しています。  これは、ホームページに私はこういう意見を送ったよというものを私はいただきましたから、皆さんもこれは見ていると思うのですけれども、一方、敬老健康パスのアプリでは日常的な活動量を見える化すると言います。  先ほどの質疑の中でも、敬老健康パスのメリットとして活動量を可視化することがあるのだというやり取りがありましたけれども、活動量は見えなくても、ご本人が健康寿命の延伸を実感しているというのが何よりではないかと私は思うのですけれども、部長はどのようにお考えですか。 ○村松叶啓 委員長  傍聴人に申し上げます。静粛に願います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  見える化ということについてのお問合せかと思います。  検討委員会でもお話が出てきた中に、継続していくということがあります。  もちろん、自ら意思を持ってしっかりとやっていらっしゃる方も数多くいらっしゃいますが、なかなかそうもいかず、日々、少しずつ後押しすることでできる方もいらっしゃる、そういった後押しという点では、見える化というものに意義があると考えているところでございます。 ◆太田秀子 委員  インセンティブというやつでしょうか、それを見える化でやっていくということなのだと思います。  経済効果で言えば、先ほどのアンケートの結果で示したとおり、出かけることで消費を増やすという回答が多くありました。ですから、敬老パスの利用がなくなったらどうなるのかなと考えます。  バス会社とかその関係者の方から私たちが伺っている話では、敬老パスがなくなったら、高齢者が外出を減らし、バス事業者の収入も減ることを今からとても心配していると伺っているところです。外出支援が公共交通を利用し消費を促す、この敬老パスによって高齢者の皆さんが一定の経済を支えているのだということが言えると思うのですよね。  次に、敬老パスの利用実態について伺います。  我が党は、さきの代表質問で、地域による交通利便性の違いが敬老パスのチャージ額の違いに関係しているのではないかと考え、つまり、バスからバスへ乗り継ぐ場合の乗り継ぎ割引がないですとか、乗車距離に応じて運賃が上がっていく対キロ運賃が導入されている地域もありますし、バス路線の集約化で、今、地下鉄に行って乗り換えなければ目的地に行けないなどということが起こっていますから、交通の便が悪い地域では交通費の自己負担が大きくなるというふうに質問しました。  答弁は、必ずしも交通利便性が低い地域において利用者のチャージ額が多いわけではなく、むしろ中央区などの交通利便性が高い地域でチャージ額が多い傾向にあるというご答弁でした。  そこで、チャージ者の割合について伺います。  敬老パスのチャージ者の割合が高い区と低い区はどこなのか、それぞれの要因をどのように考えているのか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  代表質問とまた違った角度で、チャージ者の割合という点でのお問合せということでございます。  令和4年度実績でございますが、チャージ者の割合ということでいきますと、高い順からいくと、厚別区、中央区、豊平区といった順です。低いほうからいきますと、手稲区、東区、清田区といった順になってございます。  この要因といたしましては、敬老パスというものが地下鉄、市電、バスでの利用に限られている中、こういった利便性が高い地域でチャージ割合が高いのではないかとは思いますが、それ以外にも、個別のそれぞれの方々のニーズが影響しているのではないかと考えているところでございます。 ◆太田秀子 委員  今、どこが高いかということを聞きましたけれども、地下鉄がない清田、地下鉄がなくてJRが主な交通手段となっている手稲区などでは敬老パスを使っていない人が多いですし、対キロ運賃が多いというのは、南区がそうですけれども、南区ではチャージ額が最高額なのですよね。一番多いのが、チャージ状況で見ますと、南区が一番多いと。やっぱり、1回に乗ったバス賃が高いですから、たくさんのチャージをして使わなければいけないということに表れているのだと思うのです。  中央区は、やっぱり便利だからというお話でしたけれども、地下鉄の三つの線のどれも乗れますし、市電もありますし、利便性がとてもいいですから、やっぱりチャージ額がとても高いということだと思うのです。  やはり、代表質問で指摘したとおり、地域による交通利便性の違いが敬老パスのチャージ者の割合にも関係していると思います。  敬老健康パスの素案では上限を年間2万円までとしていますけれども、こういう中で一律の枠にはめることは適当ではありません。  本市は、制度を使う方を増やして、制度として平等にしたいという考えですとか、公共交通機関以外の用途としても活用できる敬老健康パス制度の提案というように、今までの質疑でもありました。代表質問でもそういう答弁もありました。  平等と言うなら、制度の変更ではなくて、現行の敬老パスでタクシーやJRでも使えるようにして、無料のフリーパスにすることこそ、公平でよりよい制度になると、改めて申し上げておきます。  次は、高齢者を対象とする札幌市の主なウェルネス施策について伺います。  本市が既に行っている高齢者の社会参加や予防・健康づくりの事業のことなのですけれども、敬老パスや介護サポートポイントなど、12の事業があります。そのうち、介護事業として行っている介護サポートポイント事業は、65歳以上の介護認定を受けていない方が特別養護老人ホームなどの介護保険施設等でボランティア活動を行った場合、2時間未満の活動に1ポイント、2時間以上の活動に2ポイントを付与して、1ポイント100円として、年間上限5,000円の現金に換金できるという制度です。  ここで、伺いますが、この介護サポートポイント制度の2022年、令和4年の参加者数と交換ポイント数を伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  介護サポートポイント事業のお問合せでございます。  今、委員からご説明していただいたのですが、介護サポートポイント事業は、特養や老健等でボランティア活動をやっていただいた場合にポイントを付与しているもので、開始から10年ぐらいたつ事業ですが、志を持った高齢者の方が、支えられるだけではなく支える側も担うという入所者やスタッフの方にも大変喜ばれている制度となってございます。  令和4年度の登録者数は1,670人いらっしゃいまして、実際に活動した方は119人、交換されたポイントは4,057ポイントです。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大前の令和元年度だと、この活動をされた方は647人いらっしゃったという形でございました。 ◆太田秀子 委員  10年ぐらい前からやっている介護サポートポイント事業も、札幌市が敬老パスと一緒にやっています高齢者の社会参加や予防健康づくり事業の一つなのです。  この介護サポートポイント事業の対象は、65歳以上の人口から介護認定を受けている人を引いた人数ですから、2022年度は約43万人なのです。  今、コロナ禍だからちょっと少なかったというお話で理解できますが、登録者は1,670人ということで、その対象者の数から見ると0.38%、活動者は119人ということで、対象者の0.03%ぐらいですね。そのうち、ポイントを現金に換金したという方は6.2%だと聞いています。  一方、敬老パス制度の対象は全ての70歳以上の方ですから、2022年度約43万人、うち、敬老パスを交付している人は約36万人、84%です。そのうち、利用している人は約25万人です。  しかし、この利用人数に関しては、敬老パスというのは、前年度にチャージした分でも利用することができますので、2022年度だけに限って見てみますと、対象者全ての70歳以上の方の43.2%がチャージしていることになります。サポートポイントで言うところの活動者の数でしょうか。  いずれの制度も、コロナ禍で参加者や利用者は少ないのだと思いますけれども、やはり敬老パスの利用率が高いということが分かります。  サポートポイント事業が駄目だとは言いませんけれども、保健福祉事業を含めて、本市の様々な施策で対象者の半分近い方が利用しているという施策はどれぐらいあるでしょうか。  本市の制度として、敬老パスは利用率がとても高くて、市民の皆さんに喜んでいただいていると、誇らしく思っていただきたいと思います。  高齢者がいい制度だと喜んで使っているものですから、もっと多くの方が使えるものに、そして、よりよくしましょう、そういう立場に立ってほしいと私は思うのです。  敬老健康パス制度については、私はもっと議論を重ねるべきだと思います。これまでの質疑の中でも出てきましたけれども、やはり、次の社会を見据えていくんだ、介護や医療にどんどんお金がかかっていくんだというような質疑がありました。  そして、今、高齢になった方たちに、歩いてくださいとか健康をもっとよくしてくださいと言うことも大事かもしれませんけれども、本当に札幌市が健康寿命を延伸していこう、生産年齢人口をちゃんと将来にわたって増やしていこうと考えるのだったら、今働いている皆さんや子育てしている人、学生さん、そういう若い方たちが、今、心身共に健康で暮らしているのかどうか、それも大事なことだと思います。そういう方たちが、将来健康で、寿命を長く生きていけるのかということが大事であって、今、敬老パスを使っている年齢の方たちをターゲットにするというのは、とても狭い見方だと私は思うのです。  先ほど、健康寿命のトップクラスになりたいという部長のご答弁がありましたけれども、それであれば、今の高齢者はターゲットではないと私は思うわけです。しかし、2024年度予算には、高齢者健康寿命延伸として、ポイントシステムやアプリの開発などで約7億2,000万円の予算が計上されています。  これについて伺います。  敬老健康パスの議論はこれからであり、今はシステムやアプリのための予算をつけるべきではないと思いますがいかがか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  ポイントアプリ開発の予算についてのお問合せでございます。  今回提案した予算でございますが、ポイントアプリの構築やポイントチャージの仕組み、健康寿命延伸に向けた取組に必要となる経費を計上したものでございます。  これまでの答弁でも申し上げましたところですが、このアプリは、まだ見たことも触ったこともないということから、どのような仕組みなのか具体的なイメージができず、不安を抱えている方が多いということもあります。そういうことから、開発段階から既存の健康アプリや試作モデルに触れる機会を設け、市民とともによりよい仕組みを構築してまいりたい、そういった予算でございます。  一方で、こちらも先ほども申しましたが、今、不安を抱えている市民の皆様の声も受けまして一定の経過措置を設けるなど、また、この予算でアプリをつくることで敬老パスが使えるなくなるものではないということについては、先ほど来、ご説明させていただいているところでございます。 ◆太田秀子 委員  まず体験してもらって、イメージができないからということでした。それは、歩いてポイントを付与するということも大きなメインとなっていて、やってもらって、体験してもらって、よりよいものにしようということであることは分かっています。だけれども、今現在、敬老パスを使っていない人は、必要がないと思う人と、バス停まで、地下鉄まで行けないのだという人と、介護度が高くてお家から出られませんという方たちが一定数いらっしゃいますね。結局、歩いてポイントをためてくださいというのは、今、敬老パスを利用している方たちがぐるっとターゲットになっているというイメージが湧くわけです。  そして、敬老パスをなくす予算は入っていないということが先ほどの答弁にもあって驚きましたけれども、先ほど、このアプリを導入したからといって敬老パスが使用できなくなるものではないという答弁なのです。たしか、廃止するものではないのかという質問だったのだけれども、使用できなくなるものではないのだという答弁なのです。  これは、先ほど来、部長も、敬老パスを敬老健康パスに置き換えていくためのものなのだということをおっしゃっていますから、結局、敬老健康パスづくりの予算ということは、その準備をする、敬老健康パスに置き換えていく準備をするということですから、今すぐ廃止するとは言わないけれども、だから使用できなくなるというものではないのだという答弁しかできないのだろうと私は思っていました。  敬老パスのことも検討していくのであれば、敬老パスの検討と言うのなら、市民から要望が多いタクシーとかJRで、今の制度で使えるようにする検討であって、継続するとか、敬老健康パスに切り替えていくとか、そういう中身ではないのです。市民から出されている要望に沿った検討をしていただきたいと思っています。  そして、この予算ですけれども、約7億2,000万円をつけますと、令和7年度中、2025年度中の開始を目指していくのだということに突き進んでいくではありませんか。  幅広い世代の市民からご意見をお伺いしてと言いながら、結局、結論ありきで進めようとしているというふうに見えるわけです。それがこの予算に表れているのです。  さきの代表質問では、他会派の質問に答えて、今日の質疑にもありましたが、経過的な措置も検討するというような答弁も多かったと記憶しておりますけれども、敬老パスをなくすための先送りではないか、そういうふうに聞こえるのですよね。  使いたい人がいっぱいいるのですから、先ほども言いましたけれども、制度の対象者の半分近くが使っているという、喜ばれているというものは、やはり、今使っている人がいる間は使ってもらったらいいのだと思うのですよ。半分近く使っているということ自体が、札幌市の制度としてはとてもいいものだという認識に立って進めていただきたいのですね。  一部の人だからとか、もっとたくさんの人が使わないから駄目だという発想こそ、駄目であり、改めてもらいたいと思います。  最後の質問ですが、現行の敬老パス制度は残していくべきだと思います。これについていかがお考えか、伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  現行敬老パスを残すということについてのご質問でございます。  敬老パス制度につきましては、これまでのご答弁でも申し上げましたとおり、現在、約63億円の予算が今後80億円という想定もございますとおり、今後も伸びていってしまうものでございます。  加えて、生産年齢人口の減少ということも加味しますと、現役世代のさらなる負担増加に対する配慮といったものも必要な、敬老パス自体についてはそういった課題がございます。  また、敬老パスのチャージ額の、今もお話がありましたとおり、半数というところについてどのように考えるかというのはもちろんございますが、半数のチャージ、あと、9%の方で5万円以上チャージされているのですが、そこが事業費の47%という、様々な検討していくべき課題があるものだと考えております。  このような課題を踏まえながら、健康寿命延伸という課題にも対応して、敬老パス制度を持続可能な社会につなげていく仕組みに発展していくことが必要というふうに認識しているところでございます。 ◆太田秀子 委員  敬老パスの課題は分かりました。  チャージ数が半分だとか、私は半分でいいと思いますけれども。9%の方が5万円以上だと。その仕組みも、先ほど来やり取りしたとおり、南区などではとても不便で高いですから、東区も利用者が少ないということでありましたけれども、今、とっても交通不便になっていますから、そして、乗り継げば高いということで、5万円以上の高いところで皆さんチャージされているということがあるわけですよ。  こういう交通の格差をそのままにしておいて、むしろ、敬老パスをなくしてバスにもっと乗れなくなるというようなことを解決なくして、敬老パスの課題だということは本当に狭いと思います。  65億円の予算が、今後、80億円になるということでした。  私は、これまで11月に説明を受けて以降、札幌市の財源が大変だから敬老パスはこういうふうにしていくのだということは一度も公式で聞いたことがないと思いますけれども、いかがですか。やはり、財源のことを言っているのでしょうか。 ◎西村 高齢保健福祉部長  敬老パスの財源の問題ということでございます。  これまで説明会のほうで行っていた議論というところで申しますと、今、敬老パスにかかっている予算を削るということを目的としているものではございません。これは明確に申し上げてきました。  一方で、予算に限りがあるということも、質問があったときにはもちろんお答えさせていただいておりました。  また、こういった形で敬老パスの財源が増加していくということにつきましては、我々はかねてから課題としていたところでございますので、その課題感は従来から変わっていないところでございます。 ◆太田秀子 委員  先ほど来、持続可能な制度というお話がありますけれども、それは市民が制度を利用して生き生き暮らしていくことだと私は思うのです。市民に支持される制度でなければそうならないわけですから、今、既に支持されている制度なのだと。そして、事業費の枠内で測るものではないのではないかと私は思っています。  それから、この敬老パスは本市独自で行っている事業です。高齢者福祉に対する本市の姿勢が表れているもので、市民の皆さんはとても喜んでいますよ。そして、これからも継続してほしい、敬老パスと敬老健康パスは別に考えてほしいという意見もあったとおっしゃいましたから、やはり別立てで考えていくべきだと思います。  9%の人が多いとおっしゃいますけれども、使っていない半分の方たちのなぜ使えていないのかというところに着目していただいて、みんなが使える制度にしていただければいいのではないでしょうか。  この高齢福祉に対する本市の姿勢が本市独自でやっている敬老パス制度に表れているわけですよ。これが将来にわたって廃止ですとか後退ということになった場合は、やはり、札幌市の政治姿勢、言ってみれば市長の政治姿勢がとても問われる大きな問題になると私は考えますので、そのことを申し上げて、質問を終わります。 ◆波田大専 委員  私からは、敬老パス制度の見直しについて質問させていただきます。  代表質問で我が会派から述べさせていただきましたとおり、昭和50年の敬老パス制度導入時には、年代別人口割合で、70歳以上の方は全体の3%でしたが、2024年現在は22%を超え、約35年後の令和42年には34%を超えるという推計もあります。  敬老パス事業費の決算額の推移を見てみますと、制度導入時の昭和50年は1億3,000万円の事業費でしたが、平成16年には38億4,000万円まで膨れ上がり、一部自己負担を導入した平成17年には20億7,000万円まで減少したものの、その後も増加を続け、令和5年度の事業費予算は約63億円、ここから自己負担分を差し引いた札幌市の財政負担額は約50億円となっております。  約25年後の令和32年には事業費予算が80億円にまで増加すると推計されており、財源の問題や現役世代の負担を考慮すると、やはり、今のまま現行制度を維持することに限界が生じることは明らかであります。  一方で、このような財政事情については一定のご理解をいただいている高齢者の方も多く、多少自己負担額の引上げやチャージ上限額を引き下げても構わないので、とにかく現行制度を維持してほしいとのお声も多いように感じております。  むしろ、それ以上に、スマホやアプリの操作はよく分からない、なぜポイント制度に移行するのか、なぜ歩いてポイントをためなければならないのかという点に対して大きなご不安や疑問を感じていらっしゃる方が圧倒的に多いようにも見受けられております。  ポイント制度への移行を検討する背景として、健康寿命の延伸という目的もさることながら、もう一つ、敬老パスの利用対象をJRとタクシーにも拡大するためという目的も大きな要因であると認識しております。  令和5年6月12日の厚生委員会にて、敬老パスでJRとタクシーも利用できるよう改善を求める陳情について審議を行った際、私から質問をさせていただきましたが、当時のご答弁では、現行のSAPICAをベースとした敬老ICカードをJRに対応させるためには、改札機などの大規模な機器改修やシステム改修に多額の費用が必要となることが大きな課題とのことでした。  また、KitacaやSuicaの仕組みを利用する場合、これらの電子マネーは、JRやタクシーの利用のみならず、買物などにも利用できてしまうことから、用途の制限は難しく、実質的に現金を給付するのと同じことになってしまうとの課題があったかと思います。  そうなりますと、紙券のJR回数券やタクシー券などを発行するしかないわけですが、これにつきましても、紙ベースの乗車券などが減少していく中、その販売方法や券種の管理、生産方法の整理、改札口駅員などの人員確保の必要性などを考慮すると、課題は多いとのご答弁でございました。  つまり、利用対象をJRとタクシーにも拡大するためには、現行の敬老ICカードでは難しいこともあり、新たなポイント制度へと移行する今回の素案に至ったものと受け止めております。  そこで、質問ですが、多くの市民の皆さんからのご意見のとおり、現行の敬老パス制度を維持した上で、なおかつ、利用対象をJRとタクシーにも拡大することは現実的に可能なのかどうか、お伺いをいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  現行の敬老パスのICカードでJR、タクシーの利用が可能かどうかといったことかと思います。  現行の敬老パスをJRで利用することについて、長年検討を重ねてまいりましたが、これまでも、交通機関に特化して利用するというこのICカードと、電子マネーの機能も備えているSuica、Kitacaとは、やはり仕組みが大きく違うということがございます。また、そこら辺をいろいろいじっていくためには、全国で相互に利用できる交通カードとの調整も求められるということから、実現がやはり難しいというものです。  また、タクシーについても、市内を走行する全ての車両に関連設備を導入するということは、現実問題としてなかなか困難ではないか。あと、紙媒体といったこともございますが、本市のような大規模なところで、先ほど委員のご指摘にあった、駅の人員確保とかいろいろな課題がある中で行っていくことが、実現性としては高い手法とは言い難く、早期の実現には、やはりこれまでとは違う新たな仕組みが必要となっているところでございます。このように、現行の敬老パスというものでJRやタクシーへ拡大するということは極めて困難なものと認識しているところでございます。 ◆波田大専 委員  利用対象をJRとタクシーにも拡大するためにも、今回のポイント制度に移行することが現実的に必要であるということは、市民の皆さんにはあまりご理解いただけていないようにも感じております。  丁寧な説明と情報発信を通じて、こうした現実を広くご理解いただいた上で、市民の皆さんにも同じ目線で考えていただくことが重要かと思います。  一方で、そもそもJRにも利用できる敬老パスがあるのは、政令市の中では名古屋市と福岡市くらいかと思います。また、タクシーにも利用できる敬老パスがあるのは福岡市くらいで、交付額は年間最大1万2,000円、かつ所得制限ありとなっております。  多くの政令市において敬老パスの廃止や縮小が進んでいる中、今から利用対象の拡大を検討しているのは札幌市くらいではないでしょうか。  敬老パスの見直しを巡っては、受益者である高齢者の方々から寄せられるご意見が圧倒的に多いものと拝察しております。しかし、一方で、SNS上では、若い世代や現役世代からも数多くの意見が上がっております。
     例えば、現行制度の存続を求める上に、今後はJRとタクシーまで使わせてほしいとは、一体どれだけ現役世代、未来世代に負担をさせるつもりなのかという声や、小学生の子どもでも大人料金の半分を払っているのになどといった声も散見されます。  札幌市では、今回の敬老健康パス制度の素案について市民から意見の募集を行ったほか、市内10区で意見交換会を開催したと伺っております。  そこで、質問ですが、札幌市に寄せられた市民の方からのご意見の中で、若い世代や現役世代からはどのような意見が寄せられたのか、お伺いいたします。  また、寄せられた現役世代からの意見を札幌市としてどのように受け止め、今後反映していくのか、お伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  敬老健康パスについての若い世代、現役世代からのご意見の状況でございます。  敬老健康パスの制度につきましては、全世代、市民全体の問題というふうに認識して取り組んでおりまして、今対象となっている方のみならず、幅広い世代の意見を求めたいと考えてきてやっているところでございます。  しかしながら、例えば、アンケートで言いますと、30代以下の若い世代の回答率が約21.4%と低い状況であったり、各区で開催した意見交換会においても、若い世代の方はあまりご参加いただけなかったという状況でございます。  そういった中でも、ご意見として、時代に合わせて内容を見直すことはいいことであるとか、働き、子育てをしている世代の負担も考えてほしい、若い人の意見を聞いてほしいといった将来を不安視するようなお声であるとか、また、お年寄りの皆様が平等に使えるようにしてほしいとか、高齢者の方が自分らしく生きてほしいといったような高齢者の方を思いやるような声も寄せられていると認識しております。  今後も、こうした若い世代のご意見を伺うことにも、高齢者の皆様、市民全体の意見を聞く中でしっかりと努めて制度に取り入れてまいりたいと考えているところでございます。 ◆波田大専 委員  ぜひ、現役世代の声も含めた市民全体の意見に耳を傾けていただきながら、検討を進めていただけたらと思います。  代表質問において、秋元市長からは、既に敬老パスを利用している方への経過的な措置についても検討していきたいとのご答弁がございました。  仮に、現行制度を維持した上で新しいポイント制度も並行して始めるとなった場合、これまで敬老パスに高額のチャージをされてこられた方は、恐らく、引き続き現行制度の利用を選択されるかと思いますが、さらに、これまで制度の恩恵を受けられなかったJRやタクシーの利用を希望する方などが新たに新制度の利用を始めるとなると、札幌市の財政負担は確実に今よりも大きく増えるものと認識しております。  また、市長からは、要介護認定や一定の長寿の方には、日常生活動作が困難となることに配慮し、一定のポイントを提供することなどを検討していきたいとのご答弁もございましたが、このような市長のご答弁を踏まえますと、制度見直しの本来の目的であるべきはずの持続可能な制度設計という観点からはどんどんかけ離れていっているようにも感じ、一体誰のための、何のための制度の見直しなのか、疑問に感じるところです。  そこで、質問ですが、仮に素案のとおり敬老健康パスへの移行を進めるに当たり、経過措置として現行の敬老パス制度を維持するに当たっては、チャージ上限額の引下げや自己負担額の引上げをお願いするなど、財政負担の増大とならないように検討を進めるべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  経過措置に伴う財政負担を考慮した検討ということのお問合せでございます。  人口構造が変わる中で持続可能な社会としていくためには、敬老健康パスへの移行を進めていかなければならないと認識しているところです。  一方で、制度が変わるということに対して、既に敬老パスを利用している方、もちろん生活にもいろいろ組み込まれている状況もある、そういった方々の不安感にも寄り添いながら考えていかなければならないということがありまして、一定の経過措置を設けるということを検討しているところでございます。  当然、財源には限りがございますことから、全体として財政負担の増大を招くことのないよう、敬老健康パスの詳細を詰めるとともに、経過措置期間の利用上限額、自己負担額なども併せて検討していきたいと考えているところでございます。 ◆波田大専 委員  長年、札幌市の発展のために力を尽くされ、税金も納めてこられた今の高齢者の方々でございます。私たち現役世代は、今日に至るまで、その恩恵にあずかっております。  私から見れば、まさに親世代の方々でございますが、だからこそ、本当であれば、せめて外出をされるときの交通費くらいは、自己負担なく気軽にお出かけを楽しんでいただきたい、私もそう思っております。JRやタクシーにも利用することができて、要介護認定の方や長寿の方もポイントがもらえる、もちろん、そのほうがいいに決まっております。  しかしながら、一方で、財源は限られているのが現実です。これ以上の負担増は、もう現役世代がもちません。仮に、敬老健康パスの導入によって健康寿命が延びて、医療介護に要する財政負担が軽減されれば、めぐりめぐって現役世代にも還元されるのかもしれませんが、それにはまだまだ十数年の時間がかかることと思います。しかし、少子化対策は、もはや待ったなしの喫緊の課題でございます。札幌市の財政負担の軽減や子育て支援、教育の無償化など、現役世代への配分にも十分ご配慮いただいた上で制度の見直しをご検討いただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○村松叶啓 委員長  ここで、およそ1時間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後0時7分       再 開 午後1時10分     ―――――――――――――― ○村松叶啓 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆村山拓司 委員  私からは、高齢者福祉バス事業についてお伺いいたします。  先ほど、中村委員からも質問がありましたが、前置きを省いて簡潔に質問をさせていただきたいと思います。  高齢者福祉バス事業は、高齢者の外出の創出、また、親睦や地域活動などの社会参加など、健康づくりを促すものとして重要な事業であります。  今後、高齢者がさらに増加していくと思われますが、介護予防やフレイル予防などの観点からも大きな役割を果たしていく事業でありますので、今後も多くの高齢者にご利用いただきたいと思います。  そこで、質問ですが、利用人数や利用団体の傾向など、高齢者福祉バス事業の利用状況についてお伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  高齢者福祉バスの利用人数や団体の傾向といったところでございます。  令和4年度の利用実績でございますが、延べ132団体、4,200人でございます。  団体別ということで見ますと、主に、単位老人クラブが34クラブ、そのほかの自主的な活動団体でございます登録高齢者団体が58団体、これらの団体で利用団体の約7割を占めているという状況でございます。  なお、新型コロナウイルス感染症の影響が出る前であった令和元年度は、延べ310団体、1万3,292名ということで、その頃にはまだ届いていないものの、利用状況は回復傾向にあったところでございます。 ◆村山拓司 委員  コロナ禍前には及ばないけれども、利用状況は回復傾向にあるとのことでありました。  また、老人クラブなどの高齢者の地域活動を支える団体も多く利用しているということでありまして、活動を支える事業として活用されているとのことであります。  一方で、路線バスや観光バスを問わず、主に運転手不足によりバスの確保が非常に難しくなっており、本事業に影響が出るのではないかと推察いたします。  そこで、質問ですが、高齢者福祉バス事業の今年度の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  高齢者福祉バスの今年度の状況ということでございます。  今年度は、実施主体でございます社会福祉協議会が新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行する前の令和5年2月に入札を実施いたしました。そこで、4月にバス事業者と委託契約を結んだという形でしたので、例年の水準での契約内容であったということです。  しかし、受託事業者からは、5類感染症となった後の観光需要の回復などに対応するため、今後は受託することは難しいとの意向が示されたところでございまして、来年度当初からの事業実施は、先ほど申しましたとおり、困難となっているところでございます。 ◆村山拓司 委員  事業を利用している老人クラブなどは、毎年、健康づくりへの活動や地域貢献活動を行事として行っている団体も多く、先ほどの答弁では、来年度初めからの事業実施が困難とのことでありますが、まずはどのような方法で事業を維持・継続、実施できるかをしっかりと検討すべきであると思います。  そこで、質問ですが、バス事業者の現状を踏まえて、高齢者福祉バス事業をどのように実施していくのか、お伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  現状を踏まえた具体な実施の方法ということでございます。  これまでは、バス事業者1社に委託いたしましてバスを手配しておりましたが、現状を踏まえますと、今後は複数のバス事業者からの提供を受けなければ困難と考えているところです。  そのためには、組合せのノウハウを持つ旅行業者の仲介が不可欠と考えておりまして、現在、旅行業者に業務委託する方向で調整を進めております。  しかし、事業開始時期を、特に繁忙期を避けたり、旅行業者がバスを確保できた日のみという実施でありますとか、あらかじめバスを割り当てるとか、そういった事業実施方法に大幅な変更を加える必要があるというところでございます。  仕様を変更した場合でも、可能な限り例年の水準に近づけるよう早急に実施内容を詰め、まずは令和6年度のできるだけ早くに事業を実施できるように尽力してまいりたいと考えております。 ◆村山拓司 委員  利用対象団体は、毎年高齢者福祉バスを利用しているところも多く、このままでは令和6年度の事業計画を立てられないとのご相談を受けておりまして、できるだけ早く実施内容を決定して利用対象団体へお知らせするようにお願いしたいと思います。  また、この事業は、先ほどご答弁をいただいたとおり、老人クラブも多く利用しておりまして、この老人クラブは地域の生きがいづくりに大きく貢献しており、高齢者福祉バス事業がこれまでどおりの実施ができないことで団体の活動に大きな影響が出かねず、その老人クラブ自体もコロナをきっかけに大きく減り続けているところであります。  令和6年度高齢者福祉バス事業について実施可能な方法を調整いただくのは当然のことでありますが、バス事業者を取り巻く状況がすぐに改善する見込みが立たない状況だからこそ、広い視点で地域の高齢者の活動を支える重要な役割を果たしている老人クラブをどのように支援していくのか、札幌市としてしっかりと検討していただくことを強く求めて、質問を終わります。 ◆熊谷誠一 委員  私からは、今後の札幌市認知症疾患医療センターの展開について、3点お伺いさせていただきます。  まず1点目は、札幌市認知症疾患医療センターに係る市民周知についてでございます。  2024年1月1日に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行され、1月26日に、国は、第1回認知症施策推進本部を立ち上げ、認知症施策推進基本計画を策定していくこととなりました。  国の認知症施策推進基本計画を踏まえ、都道府県、市町村が認知症施策推進計画を策定する努力義務がございますが、札幌市は、現在策定中の札幌市高齢者支援計画2024に認知症施策推進計画を位置づけ、札幌市が認知症施策に重点を置いて取り組む姿勢であることは評価させていただきます。  さらに、札幌市高齢者支援計画2024には、認知症医療支援体制の充実として認知症疾患医療センターの設置が示されており、3月1日には札幌医科大学附属病院を札幌市認知症疾患医療センターとして初めて指定したところでございます。  認知症疾患医療センターは、アルツハイマー病の新薬の適正投与など高度な治療の実施機関であり、専門的な認知症医療に関する相談先として、市民や医療・福祉サービス関係者からの期待も大きいところでございます。  それゆえに、認知症疾患医療センターに相談や治療を求める市民が集中するとなれば、より高度な治療が必要な方へ、必要なタイミングで医療を提供することができなくなることが懸念されるため、認知症疾患医療センターに係る市民等への周知が重要と考えるところでございます。  そこで、質問ですが、札幌市認知症疾患医療センターの役割や活用について、市民等へどのように周知を図っていくのか、お伺いいたします。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  札幌市認知症疾患医療センターに係る市民周知についてお答えさせていただきます。  札幌市認知症疾患医療センターは、より高度な認知症医療を提供する機関でありますことから、受診については、原則、かかりつけ医からの紹介が必要であり、医療機関同士の連携が不可欠であると考えております。  そのため、認知症疾患医療センターへの受診の流れや仕組みについては、かかりつけ医から市民へ正しい情報提供が行われることが重要でありますことから、その周知につきましては、医療機関と協力し、進めてまいりたいというふうに考えております。  加えて、認知症疾患医療センターに相談が集中しないよう、認知症に関する全般的な相談先として、札幌市認知症コールセンターや、身近な地域での総合相談の窓口として、地域包括支援センターにつきましても、ホームページや広報さっぽろなどを活用し、周知に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆熊谷誠一 委員  認知症に関する相談先について、認知症全般に関わるもの、また、専門的な高度な医療に関するものなど、相談内容によって市民が相談窓口を選択できるような周知の工夫が必要であるとのことだったと思います。  次に、認知症疾患医療センターの地域連携拠点機能についてお伺いいたしますが、認知症疾患医療センター地域連携会議の設置及び運営と研修会の開催が札幌市認知症疾患医療センター運営事業実施要綱にうたわれております。  地域連携会議では、地域の連携体制強化が求められており、研修会では市民への認知症医療に関する情報発信をすることが求められておりますが、現状では、地域住民の理解が十分とは思えません。  特に、このたびの新薬は、アミロイドという物質が脳内にたまり発症するアルツハイマー病に起因するものが治療対象でありますが、アルツハイマー病以外にも、認知症と言われるものの中には、人格変化の現れることのある前頭側頭型認知症や、幻視や妄想の症状が多く見られるレビー小体型認知症、脳梗塞などの脳血管障がいに起因し、感情失禁などの症状が現れることのある脳血管性認知症など、多種多様であるこの認知症について、理解していない地域住民も多いのではないかと思われます。  このような中、このたびの新薬は、アルツハイマー病で、かつ、初期の段階での投与が対象ということですし、こうしたことを含め、適切な認知症に関する情報や治療が必要な市民に正しい情報を提供するためには、個別の相談に応じるだけではなく、市民や医療、介護従事者の理解の促進を図ることや関係機関の連携が必要であると考えます。  そこで、質問ですが、札幌市認知症疾患医療センターの地域連携拠点機能については今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  札幌市認知症疾患医療センターの地域連携拠点機能に係る取組についてお答えさせていただきます。  地域連携拠点機能の一つである地域連携会議の設置・運営につきましては、まずは地域包括支援センターやかかりつけ医などの関係者が会する既存の会議を活用するなどし、認知症医療や支援に係るネットワークの構築に取り組んでまいります。  さらに、地域の保健、医療、介護の関係者のみならず、地域住民を対象とした認知症医療に関する研修会や講演会を実施し、認知症に係る最新情報の発信や正しい知識の普及啓発についても中心的な役割を担っていただくことを考えているところでございます。 ◆熊谷誠一 委員  既存の研修会をまず活用しつつ、そうした中で最新の情報発信についても正しい知識を発信する中心的な役割を担っていただこうという答弁だったかと思います。  最後に、札幌市認知症疾患医療センターの充実強化についてお伺いしたいと思います。  札幌市の認知症疾患医療センターには、高度な専門医療の提供だけではなく、地域連携の拠点となる機能など、重要な役割が非常に多いと認識しております。  さらに、高齢化に伴い、新薬投与に該当する市民や相談者が増加するとともに、身体合併症を有したり、認知症の行動、心理症状などを発症する認知症の方も増えることが見込まれております。  このような中、現在、札幌市認知症疾患医療センターの指定は1か所にとどまっておりますが、令和6年度予算案には4か所の予算が計上されております。  今後、早期に複数箇所を指定する必要があるのではないかと考えるところでございます。  そこで、質問ですが、今後、札幌市認知症疾患医療センターの機能の充実強化を図るため、センターの指定拡大を進めていくべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  札幌市認知症疾患医療センターの機能の充実強化についてお答えさせていただきます。  認知症医療における認知症疾患医療センターの役割は大きいものというふうに考えますが、様々な症状を呈する認知症の方に必要な医療を提供するためには、センターのみならず、かかりつけ医や専門医療機関が連携して治療に当たる体制の整備が非常に重要でございます。  一方で、今後、認知症高齢者が増加する状況を踏まえ、認知症疾患医療センターの複数設置は必要不可欠であるという認識でございます。  今後は、札幌市認知症疾患医療センターの運営状況を確認し、課題を明らかにしつつ、指定を進め、事業の着実な実施を推進しながら、札幌市認知症疾患医療センターの機能の充実強化に努めてまいります。 ◆熊谷誠一 委員  運営状況を確認しながら課題も把握し、推進していくという答弁だったと思います。  最後に、要望を述べさせていただきます。  複数箇所の設置を進める際には、ぜひ市立札幌病院とも連携しながら、この複数箇所の指定が進むよう期待したいところでございます。  一方で、1センター当たりの運営費単価は、令和5年度の国の補助基準で年額362万1,000円と、相談員1名分の人件費にも満たない状況でありますが、診断後のご本人やご家族に対する相談支援を充実させた場合は、その補助経費を上乗せして計上することも可能であることから、今後、認知症疾患医療センターの相談支援機能の強化を図るためにも必要な経費を確保していただいて、着実な業務の実施を推進していただくことを強く求めさせていただきまして、質問を終わります。 ◆脇元繁之 委員  私からは、敬老健康パスについて何点かお尋ねしたいと思います。  その前に、ちょっと確認をさせてください。  先ほど、午前中の質疑の中で、敬老健康パスについて、財政的な面について答弁されておりました。この先、60億円の予算から80億円になりますよというようなお話でしたが、これまでそのようなお話がなかったというふうに感じて、今回の質疑でこのような話になっている、財政出動ということで、本当の目的は、健康寿命の延伸ではなくて財政面によるものなのか、ちょっと確認させてください。 ◎西村 高齢保健福祉部長  先ほど来ご説明申し上げておりますとおり、今後の事業の目的は健康寿命延伸というところにあります。これはもう間違いないところです。  ただ、一方で、敬老パスの財政的な問題というのは、もう長年課題となり続けているところでありますので、そこも変わっていないということでございます。 ◆脇元繁之 委員  当然、高齢者の数も増えてくるわけですから、そういった意味では、財政面で、このままの同じ内容であれば、増え続けていくというのは当然のことでありますけれども、ここまで話がなかったというところも、敬老パスの見直しに当たってはしっかりと発信してもらいたかった、そんなふうにも考えております。  それでは、これから質問に入りたいと思いますが、ご承知のように、昨年の11月に高齢者健康寿命延伸事業に係る素案が公表されました。  この事業は、昨年4月の市長選後の第2回定例市議会における肉づけ予算の中で、高齢者健康寿命延伸調査としてスタートし、その内容は、高齢者健康寿命延伸検討委員会の運営費や調査検討費、事務費などでありました。  この調査費を含む予算が成立したのは、昨年の7月11日であります。その後、検討委員会が何度か開催され、それと並行して、健康寿命の延伸を目的とした市民意識調査などが行われておりますが、私が調べた限りでは、検討委員会での議論や市民意識調査の中で、健康という言葉は頻繁に出てきているものの、敬老パスについては一切触れられておりません。  そうした中、肉づけ予算成立から僅か4か月ほどで、「健康寿命の延伸に向けて 敬老優待乗車証制度をより良い制度」へと題して、高齢者健康寿命延伸事業に係る素案が公表され、その中身は、敬老パスを敬老健康パスに変更するというものでありました。
     そこで、お伺いします。  この高齢者健康寿命延伸事業ですが、一連の検討委員会の審議や市民意識調査の中で敬老パスについて一言も触れていないのはどうしてなのでしょうか。  敬老パスの見直しが本質でありながら、それを前面に出すと市民の反発を招きかねないので、健康寿命の延伸という名の下に市民意識調査などが行われてきたのではないかと勘ぐりたくなるのですが、私の思い過ごしでしょうか、お考えをお聞かせください。  それと、高齢者健康寿命延伸事業の内容が公表された11月22日は、ちょうどアクションプラン2023の計画事業に係るパブリックコメントが実施されていた時期であります。そのアクションプランの中には、高齢者健康寿命延伸事業という項目と、そのための事業費1,600万円が計上されております。ですが、ここにも敬老パスという文言はやはり見当たりません。  そこで、重ねて伺います。  高齢者健康寿命延伸事業において、敬老パスの制度を変更するというのであれば、それは、誰が見ても市民生活に大きな影響を及ぼすものであるわけですから、アクションプラン2023の中にしっかり盛り込んだ上でパブコメにも付すべきであったと思いますが、いかがでしょうか。敬老パスの見直しも含めた事業内容をアクションプランに盛り込むのは時間的に間に合わなかったという事情なりがあるのでしょうか。その辺も含めてご説明願いたいと思います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  検討委員会、市民意識調査での敬老パスの件、それから、アクションプランの件の2点だったかと思います。  まず、検討委員会で敬老パスが議論されていないとか、市民意識調査で触れられていない点についてでございます。  検討委員会や市民意識調査では、あくまでも市民の健康寿命を延伸していくための取組の方向性や市民の健康意識などを調査する目的で実施したものでございます。  委員会の中で敬老健康パスのアプリの仕組みなどは出てきておりまして、プロトタイプとしてではございますが、議論されておりまして、デジタル技術の活用や楽しみながら取り組める工夫などについて様々な視点からご提案いただいていました。  先ほどもご答弁した内容でございますが、札幌市の人口構造が変わる中、この検討委員会での議論や市民意識調査で得られた結果を踏まえまして、一人でも多くの高齢者が長く健康に活躍できる持続可能な社会を実現していくことが必要と考え、限りある予算の中で最大限に効果的な事業とするため、既存の事業を生かしていくこととして、庁内の会議を経て、敬老健康パスの素案を決定したというものです。  アクションプランにつきましては、敬老パスは、高齢化に伴い、事業費が年々伸びていっていたということから、将来にわたって持続可能な制度としていくため、かねてよりサービス水準の在り方が課題となっていたところでございます。  アクションプラン2023におきましてもこの考えは変わっておりませんで、プランの中では、持続可能な施策の在り方の検討という項目の中で、高齢者施策という項目に、敬老パスを含んで検討を進めることになっているということでございます。  なお、今回の敬老健康パス事業につきましては、先ほどご説明申し上げましたとおり、庁内会議を経て決定したものでございまして、アクションプラン策定のスケジュールとは合致しなかったというものでございます。 ◆脇元繁之 委員  今のご答弁を聞いていますと、この検討委員会については、僕も見させていただきましたけれども、あの中では、幅広く健康寿命延伸、幅広い世代でという文言がありましたし、町田副市長も第3回の最後の挨拶の中で、幅広い世代で健康寿命を伸ばそうというような話があったわけであります。  それであれば、どうして70歳以上の敬老パスに組み込むのかが私にはちょっと、あの検討委員会の内容を見ると、何か無理に入れているのかなというふうに感じてしまったわけであります。  もう一点、アクションプラン2023に入れていなかったということで、様々な理由があったのでしょうけれども、今日も午前中にテレビカメラが2台来るぐらい、本当に注目されるというか、大きな大きな高齢福祉の課題でありますから、これを細かく入れていないというのはいかがなものかなと。先ほども言ったように、うがった見方をしますけれども、やはり隠したかったのかなと、あまり出したくなかったのかなと、そういうふうに受け止めてしまうのは私だけではないのではないかなというふうに感じているところであります。  次に、昨年12月から各区単位で「敬老優待乗車証制度をより良い制度へ」と題して、市民説明会が開催されました。しかし、健康寿命を延伸するとか、地下鉄やバスだけではなく、JRやタクシーでもパスを利用できるといったことを打ち出しながら、現在の敬老パスの利用の上限を7万円からポイント制の2万円に引き下げるとか、スマホでポイントをためることができるといった内容に多くの市民から反対や不満の声が噴出しました。  ここでは、各委員の皆さんは本当に丁寧に質疑されていますから、不安の声という言葉が多かったですけれども、僕も市民意見交換会に行きましたが、ほぼほぼ不安の声ではなくて反対の声でしたというところだけ申し添えておきたいと思います。  私は、南区での説明会に参加させていただきました。  市の担当者から、説明の後の意見は個別に聞かせていただきたいと言われ、出席者みんなの前で意見を述べることを予定していた連合町内会の会長などは憤っておりました。南区の意見交換会だけ、一人一人の話がその場でできずに、終わってから一人一人、各個人で意見交換をしたというようなことでありました。ただ、それは1部なのです。2部の後半は、その後の意見交換会、多くの参加者に押し切られた形で、全体での意見交換会が行われたのです。  このようなちぐはぐな対応だった。これが、私、実際に拝見しております。  一連の各区での説明会の進め方、結果をどう総括しておられるのか、お伺いさせていただきたいと思います。  それから、各区説明会で敬老パス制度から敬老健康パス制度への変更に関して、市民の理解は得られたと考えておられるのか、それとも、まだ不十分と捉えておられるのか、お聞かせください。 ◎西村 高齢保健福祉部長  意見交換会の進め方の総括と市民理解という2点でございました。  まず、意見交換会の進め方でございます。  意見交換会には、約1,500名の市民の皆様にお越しいただき、高い関心を寄せていただけたものと認識しています。当初、全体で3時間程度を想定しまして、最初の2時間でパネル展、後の1時間で本市役職者による説明を行うという企画でスタートしたわけでございますが、実際には、意見交換会の会場設営よりも早くから、関心を持たれた多くの市民の方がお集まりになるなど、なかなか最初の2時間パネル展だけというのも厳しくなったという中で、できるだけ多くの市民から意見を聞くため、手順につきましては随時見直しながらやっていったという形でございます。  当初の想定と異なった形となったときに、市民の皆様の混乱を招いてしまったということは事実でございまして、非常に申し訳なく思っておりますが、そういった事情であるということをご理解いただきたいということです。  それから、市民理解についてでございます。  意見交換会でございますが、敬老健康パスについて賛否を問うというものではなく、あくまでも素案の内容に対して意見交換を行うということで開催させていただきました。今回、10区で意見交換会を開催したことで、素案に対する多くの意見を直接お伺いすることができたものと考えています。  今後も、制度の対象となる高齢者のみならず、幅広い世代の意見を聞きながら、よりよい制度となるよう検討を続けてまいりたいと考えております。 ◆脇元繁之 委員  今お話しいただいた意見交換会は、札幌市の保健福祉局だけではなくて、いわゆるタウンミーティングだったり、意見交換会だったり、たくさんやられていると思うのです。そんな中で、その都度、その都度変えていくというのはいかがかなと思いますし、同じ意見交換会で内容も同じなのであれば、やはり各区で同じようにやらないと意味をなさないし、問題が起きるのは当然ですし、話したいという人だっていらっしゃるわけですから、そこら辺はしっかりと固めた上で意見交換会は行っていただかないと、やはり、各区何回か行かれる方もいらっしゃって、その不満の声も聞こえてきておりますので、ぜひとも、今後、そこは気をつけていただければなというふうに思います。  次の質問に行きたいと思います。  2月の中旬に、私どもの会派控室に、中央区にお住まいのシニア層の男性がやって来られました。私ども大地さっぽろが2月6日に秋元市長に対して、敬老パスの見直しに関する緊急要望をしたという新聞記事を読んで、どんな内容の要望をしたのか知りたいとのことでありました。  その男性は、先ほどお話ししたとおり、各区の説明会に4回出席されたそうですが、敬老パスの見直しが財政負担の問題から来ているなら、上限額を引き下げるとか、利用者負担額を引き上げるとか、方法はいろいろあると思うと。健康寿命を延ばすために敬老健康パスに移行すると言うが、健康寿命を延ばすということと敬老パスを見直すということは別の問題ではないかと、とつとつと語られていました。  このほか、南区の町内会連合会の会長さんや各単位町内会の会長さんを含め、多くの方から、利用上限額と自己負担額を変更してでもいいから現行制度を維持してほしいという要望が私どもに寄せられているところであります。  そこで、お伺いします。  このような敬老パス制度の見直しに関する市民の声をどう受け止められるか、お聞かせください。 ◎西村 高齢保健福祉部長  見直しに関する市民の声の受け止めということでございました。  今、委員のご指摘にもあったようなご意見というのは、確かに多数ございました。こうした不安の声を踏まえまして、先ほどもご答弁させていただいていますとおり、経過的な措置が必要と考え、具体的には、新制度開始時点で既に敬老パスの交付を受けている方について、一定の期間は敬老パスを使い続けることができるよう検討していくと。ただ、厳しい財政状況がございますので、利用上限額や自己負担額についても併せて検討していきたいと考えているところでございます。 ◆脇元繁之 委員  経過措置という部分で、上限額の引下げ、また、チャージの自己負担の引上げを求めているわけではないのです。やはり、今の状況、今の制度をそのまま続けてほしいという声が多く見受けられております。それをしっかり受け止めてほしいなというふうに思いますし、後ほどまた、それについてお話をさせていただきたいと思います。  次に、パスの利用上限の引下げについて、見直しについてお尋ねします。  現在、敬老パスのチャージ状況を見ますと、対象者の57%はパスを使っておらず、使っている人のうち、チャージ総額が4万円以下というのが半数強いらっしゃいます。上限の7万円までフルに使っている人は4.2%いて、チャージ総額に占める割合は24%ほどに達しているとのことであります。  こうしたチャージの状況から見て、市民の間に不公平感があるというのが敬老パスの見直しの大きな理由の一つとして挙げられておるところでありますけれども、私は、なぜこれが不公平なのかと思うのであります。現在の敬老パスは、70歳以上の高齢者が使おうと思えば誰でも使える制度であって、そのパスを使う、使わないは、市民の自由です。上限の7万円分を目いっぱい使っている人は、社会参加で使っているとか、健康のために毎日出歩くようにしているとか、さらには、仕事で使っているとか、それぞれに理由があるはずで、そこに不公平感とか、何とか、概念を持ち込むこと自体がそもそもおかしいと思うのです。  敬老パスから敬老健康パスへの制度変更で、利用上限額が7万円からポイントの交換上限として2万円になるとのことですが、現在の敬老パスの利用実態は、住んでいる地域によってかなり異なります。  例えば、南区豊滝に住んでいる人がバスを利用して札幌駅前まで用を足そうとする場合、片道の運賃は、なんと610円です。往復で1,220円となり、月にたった2回、このようなバスの利用をするとすれば、年間で3万円弱となり、これが新制度の下で、年間の交換上限額が2万円に設定されてしまったら、軽く足が出てしまうことになるわけであります。また、現在の制度で7万円の上限まで利用している人にとっても、交換上限2万円への引下げは影響が大き過ぎて、あまり出歩くなと言っているに等しいと思います。  そこで、お伺いします。  現在の敬老パスの利用上限額を、利用者数や利用金額の実態などを踏まえて、徐々に引き下げるのならともかく、幾ら自己負担なしとはいえ、敬老健康パスへのポイント交換の上限を2万円に設定するのは現状にそぐわないと思いますが、お考えをお聞かせ願います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  利用上限額の引下げに関する質問ということでございます。  先ほどご答弁申し上げましたとおり、既に敬老パスを利用している方からの上限額引下げや、手法の大きな変化に対する不安の声ということを受けまして、当面の間、敬老パスを利用し続けられる経過措置を検討しているところです。  経過措置に当たりましては、やはり、市の財源というものにも配慮いたしまして、利用上限額や自己負担額の見直しも検討するとともに、希望する方には新制度を選択できるようにと考えているところでございます。 ◆脇元繁之 委員  2万円の上限というのは新しい制度ですよね、変えるというのは。経過措置の話をしているわけではないので、では、経過措置が終わったらバス料金は安くなるのですか。むしろ高くなるのではないですか。そういうことを聞いているのであって、経過措置があるから大丈夫ですよという話にもならないと思うのですよね。2万円に設定するのはそぐわないと言っているのですから、ぜひ、そこをちゃんと受け止めていただきたいなというふうに思います。  続きまして、健康アプリポイントの付与についてお尋ねします。  健康寿命延伸のために、新制度では、健康アプリポイントを与える方式にするということですが、高齢の70歳に達してからポイントを付与するというのはどうなのかと思っております。  そこで、健康寿命の延伸と予防医療への取組ということに賛成の立場から、3点お伺いをいたします。  敬老健康パスの導入によって健康寿命の延伸につなげたいとのことですが、では、どれだけ延伸につながると考えておられるのか、そしてまた、介護保険事業にも好影響を及ぼすということですが、具体的にどのような効果が期待されるのか、さらに、介護保険料は、市民が40歳に達したときから支払っているわけですから、早い年齢から健康の維持・増進を目指すために健康アプリの利用とポイントの付与に関する制度を導入したとして、40代の若い年齢層から対象にすべきと思うがいかがか、併せてお伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  健康寿命延伸への効果と介護保険事業の影響、それから、40代からということの3点だったかと思います。  まず、検討委員会を通しまして歩くことや人の触れ合いといった日々の活動を後押しすることで健康寿命を延ばしていくことが重要との意見をいただきました。  そこで、健康増進の効果のエビデンスがある、歩くことや人の触れ合いといった活動を敬老健康パスで後押しするほか、札幌市全体でも健康寿命延伸に向けた様々な取組を進めて、政令市でもトップクラスに入っていかなければならないという認識をしているところでございます。  健康寿命と要介護認定率に関しますと、他政令市との比較ということでは極めて強い相関関係がございますので、健康寿命の延伸ということによって、将来的には介護保険をはじめとする社会保障費の抑制、下げるとはなかなかいかないと思うのですが、抑制などの効果というのも一定程度期待できると考えているところでございます。  それから、40代からということでございますが、この先、これから10年間見込まれる高齢者人口の増加なども見ますと、それに伴う要介護者や認知症患者の増加というものが札幌市に与える影響はとても大きいものでございまして、そういった強い危機感を持っております。  その対処のため、まずは高齢者の健康寿命延伸に早急に取り組んでいく必要があるというものでございます。  委員のご指摘にもございましたが、持続可能な社会の実現に向けては、当然、40代、さらに言うと、もっと若いときから、全ての世代で健康寿命の延伸に取り組んでいくことが重要ということはもう間違いないことでございます。  札幌市では、全庁横断的に市民の健康寿命延伸に向けて施策を展開しているところでございまして、アプリの活用もその一環として検討してまいりたいと考えているところでございます。 ◆脇元繁之 委員  今お話しいただいた抑制というところですけれども、今お話をしたとおり、70歳の方からこの健康寿命を伸ばす活動はどこまで効果があるのか、正直に言って僕も分かりません。専門家ではないということもあるのですけれども、ですから、先ほど言ったように、40歳からという話にはなるわけでありますけれども、ぜひ、そこの部分は、これから先々、実際に検討していただけるのだろうなとは思いつつも、やはり70歳からというのはちょっと疑問に思っているところであります。  最後の質問になります。  先ほども述べましたが、高齢者健康寿命延伸事業に関しては、秋元市長も2月8日の定例記者会見の場で、拙速に進めず、皆さんの意見を踏まえて制度設計をしたいと述べられております。  したがいまして、高齢者健康寿命延伸費の7億2,600万円につきましては、市民の間で賛成と反対に意見が分かれている状況の中では、当初予算に計上しないで、市民意見を十分に踏まえ、それに基づく制度設計が整った段階で予算の補正という形で対応するのが本来の姿であると思うのです。  そこで、お伺いします。  本日の審議状況を踏まえますと、仮に、この健康寿命延伸に係る事業費がこの予算議会で可決されたとしても、それを直ちに事業執行のゴーサインとは受け止めず、敬老健康パスへの移行について市民の理解が十分得られるまでは、関連予算の執行を控え、事業を拙速に進めるべきではないと思いますがいかがか、お伺いします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  予算の執行についてということのお問合せだったかと思います。  提案しました令和6年度予算は、先ほど来ご説明させていただいていますが、健康づくりのためのアプリ等の開発予算でございまして、市民の事業への理解を深めていくためには、実際にアプリを見て体験していただくといったプロセスが大切なものと考えています。そのために、必要な予算については適切に執行していく考えでございます。  また、並行して、市民が今回の制度全般に対する理解を深められるように議論は続けてまいりたいと考えているところでございます。 ◆脇元繁之 委員  もう一点教えてください。  今のお話もそうなのですけれども、今回の敬老健康パス、「健康寿命の延伸に向けて 敬老優待乗車証制度をより良い制度へ」と銘打っても、札幌市の現在ある現金チャージ方式の敬老パスを、歩いたり、介護予防に取り組むなどしてポイントをため、それを公共交通機関以外の用途にも利用できるようにするという敬老健康パス制度、その制度内容が大きく異なるわけであります。  そこで、お聞きしますが、新年度予算で提案された高齢者健康寿命延伸事業は、経過的措置は検討されているものの、現在の敬老パス制度を廃止して、新たに敬老健康パス制度を立ち上げるものと私は受け止めておりますが、この点についてご見解をお示しいただければと思います。 ◎粟崎 保健福祉局長  これまでの各会派のご質問にもご答弁を申し上げていることともちょっと重なりますけれども、健康寿命の延伸につきましては、早急に取り組まなければならない重要な課題だという認識を持っておりまして、危機感を持って対応を進めていかなければならないというふうに考えております。  札幌市は既に人口減少の局面に入っておりまして、65歳以上の高齢者人口につきましては2045年まで増加をし続けるという見通しになっております。一方、若年人口の減少傾向は続いておりますので、いわゆる高齢化率につきましては、高齢者人口のピークである2045年以降も上昇を続けていくということになっております。2060年には高齢化率が40%を超えるであろうというふうに推計されておりまして、そういった人口構造の大きな変化は、これまで経験したことのない社会構造の変化にもつながっていくのではないのかなと、そういうような危機感でございます。  そういった中で、現在の敬老パスの考え方としましては、多年にわたりまして社会の発展に寄与して来られた高齢者を敬愛するとともに、外出を支援し、明るく豊かな老後の生活の充実を図ることというふうに整理をさせていただいております。  こういった老後の生活の充実を図ることを目的として昭和50年にスタートした制度でありますけれども、この制度開始当初につきましては、この目的を実現するために交通費助成という手段を導入したということかと思っております。  制度の導入から50年たっておりまして、これまで、ICカード化ですとか上限の設定、自己負担の導入など、交通費助成という枠組みの中での見直しを進めて現在に至っているところでありますけれども、今申し上げたとおり、人口構造の変化が大きな社会構造の変化につながっていくということもございますので、こういった時代が大きく変わってきたことを踏まえ、また、この先もまだまだ変わっていくことを見据えて、敬老パスが本来目指している老後の生活の充実を図ること、これをどういうふうに実現していこうかということで、今回、市民の皆様方ができるだけ長く健康につなげられるように、それから、できる範囲で活動とか活躍ができるように、また、それぞれ楽しみながら生きがいに結びつけていけるようにということで今回の制度を考えたものであり、この制度につきましては、そういった意味で、今の敬老パスを発展させていくというふうに考えているところであります。  ただ、今日ご議論いただいたように、市民の皆様方、議会の皆様方のご意見もお聞きをしながら、アプリの開発などについても体験をしていただく、そういったことも通じながら、将来につながる、多くの世代が今よりはよくなったねと言っていただけるような仕組みづくりを目指して取組を進めてまいりたいというふうに考えているところであります。 ◆脇元繁之 委員  局長、すみません。私が聞いたのは、敬老パスの制度を廃止したものではないのかというお話なのです。新たに敬老健康パス制度を立ち上げるものと受け止めているのかということで聞いているのですが、そこの部分に関してお尋ねします。 ◎粟崎 保健福祉局長  廃止ということではなく、我々とすれば、今の敬老パス制度を発展させていくということで考えているということでございます。 ◆脇元繁之 委員  昨年11月に公表されました健康寿命の延伸に向けての素案では、「敬老優待乗車証制度をより良い制度へ」とは掲げておりますが、結果的に、これまでの敬老パスの制度がなくなるわけですから、実際は敬老パス制度の見直しではなく、廃止と考えるのが妥当だと私は思っています。  少ない自己負担で多くを得られ、交通手段に利用するための補助制度であるものと、アプリを使用して健康寿命を延伸するための活動をして得られたポイントの利用範囲を広げ、Suicaにもポイントを換えられるような、将来的には買物などにも利用できたり、対象年齢を引き下げる可能性もあるものでは、制度としては全く性質の違うものだからです。ですので、現行の敬老パス制度の廃止なのではないかとお聞きしたわけであります。  また、現行制度について、経過措置を設けることを検討しているということも、新しい制度は別物なのだということを如実に示しているのではないでしょうか。私はそう感じます。  先ほども述べましたが、私は、健康寿命の延伸と予防医療への取組には大いに賛成です。2月6日の緊急要望書を町田副市長にお渡ししたときも、私は、健康寿命増進の取組の対象を生活習慣病が気になる40歳に設定して、早い段階から健康寿命の延伸に取り組むよう札幌市が促す事業を展開していくべきだと申し述べさせていただきました。  その意味で、健康寿命延伸の取組と敬老パスの見直しは別々に考えるべきものであり、とりわけ、敬老パスについては、現行制度を踏襲しながら継続していく、将来的に必要であれば自己負担を引き上げ、利用限度額を穏やかに引き下げても市民の理解は十分に得られると私は確信をしております。  このことを強く訴えまして、私の質問を終わります。 ○村松叶啓 委員長  以上で、第3項 老人福祉費及び介護保険会計等の質疑を終了いたします。  次に、議案第5号 令和6年度札幌市国民健康保険会計予算、第10款 諸支出金 第2項 他会計繰出金のうち関係分及び議案第20号 札幌市国民健康保険条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。 ◆長屋いずみ 委員  私から、議案第20号 札幌市国民健康保険条例の一部改正について4点質問いたします。  市町村国保は、協会けんぽ、組合健保といった被用者保険に比べて前期高齢者の占める割合が高く、そうした高齢者の多さに加えて、無職や非正規雇用の労働者など、低所得者の加入が多いという構造があるため、1人当たりの保険料負担率が高くなっております。  所得が低いのに保険料は高い、これが国保の構造問題ですから、市民負担の軽減のためには保険料の引下げが求められます。  本市の国民健康保険料は、医療保険に相当する基礎課税額と後期高齢者医療制度に対する支援金分、そして、介護保険制度に運用される介護分の三つで構成され、それぞれ所得割、均等割、平等割が賦課されており、税負担の上限額となる課税限度額が設けられております。  そこで、質問いたしますが、国が令和6年度国民健康保険料の限度額の引上げを行うこととした理由について伺います。  また、保険料のうち、支援金分の限度額を引き上げた理由について、併せて伺います。 ◎毛利 保険医療部長  国民健康保険料の国の限度額について、2点お尋ねをいただきました。  まず、1点目の国が保険料の限度額を引き上げることとした理由についてでございますが、国の限度額は、保険給付に対してその負担が過度に重たいものとならないよう政令にて規定されているものでございます。各市町村保険者は、この政令の基準に基づいて限度額を条例で定めることとされております。
     お尋ねの政令の基準が引き上げられた理由についてでありますが、これは、高齢化に伴いまして1人当たり医療費や介護費が増加する中、負担感が強いとされております中間所得層の負担増をできるだけ和らげることができるよう行うこととされたものと認識をしております。具体的には、健康保険法におきまして、被用者保険の限度額超過者の割合が定められており、これが0.5%から1.5%の間となっております。  これに鑑みまして、国民健康保険におきましても、限度額を超える世帯の割合を1.5%に近づけるよう、これまで改正が行われてきたところでございます。  続きまして、2点目の支援金分の限度額を引き上げた理由についてでございますが、令和6年度の国の推計数値を見ますと、支援金分の限度額超過世帯の割合が、さきの1.5%を大きく上回る見込みとなっております。このため、支援金分の限度額につきまして、2万円引き上げることとしたものというふうに承知をしております。 ◆長屋いずみ 委員  中間層に配慮した、また、後期高齢者支援分を増やす、こういったことは理解できるものです。しかし、本市では、限度額の引上げが毎年のように行われて、この10年間で見ますと、81万円から104万円へ23万円引き上がっております。一方で、世帯当たりの平均所得は99万3,000円から102万1,000円と、2万8,000円しか上がっておりません。物価高騰もある中で、この引上げです。本市の判断で、限度額の引上げではなく、留保あるいは引下げを選択することはできるのか、また、できる場合、引き上げるとした判断の理由を伺いたいと思います。 ◎毛利 保険医療部長  札幌市の限度額の設定に関するお尋ねでございました。  まず、1点目の札幌市の判断で限度額の留保や引下げができるかということについてでありますが、保険料の限度額につきましては、政令により定められた上限額を超えることはできませんが、保険者の判断によって、お尋ねにありました留保や引下げを選択することは可能となってございます。  次に、札幌市が引上げを行う理由についてでございますが、札幌市といたしましては、中間所得層の負担増をできるだけ和らげるため、令和6年度において、政令と合わせまして引上げを行うこととしたものでございます。  また、北海道におきましては、同じ所得、同じ世帯構成であれば、道内のどこの市町村に住んでいても保険料が同額となる統一保険料の導入を目指しておりまして、保険料の限度額につきましても、道内全ての市町村が政令の上限額に統一していくこととされております。  札幌市といたしましては、この統一保険料導入の観点、そして、何よりも、中間所得層の負担増を緩和していくという観点、この二つの観点から、政令で定める限度額を下回って設定するということは適当ではないものと考えてございます。 ◆長屋いずみ 委員  適当ではない、つまり、所得のある方々に負担をしていただこうと判断したということです。  では、その高額所得者とはどのような所得水準の世帯かということで次の質問をしたいと思います。  世帯人数数が1人、2人、4人においての保険料が限度額106万円に到達することとなる所得水準を伺いたいと思います。 ◎毛利 保険医療部長  保険料が限度額に到達することとなる所得についてのお尋ねでございますが、収入ではなくて必要経費を差し引いた所得金額でお示しいたしますと、1人世帯でおよそ770万円、2人世帯でおよそ750万円、4人世帯でおよそ710万円となってございます。  世帯の人数が増えるにつれて限度額に到達する所得が低くなりますのは、加入者数に応じて均等割がかかってくることによるものでございまして、より低い所得でも限度額に到達することになるものでございます。 ◆長屋いずみ 委員  所得が高いといっても、4人世帯だと、710万円で106万円の保険料を支払うということになります。大学生がいる世帯だと非常に大変な状況になるのではないでしょうか。  物価高騰、さらに、インボイス制度の導入などもありますので、苦難が強いられる自営業、あるいはフリーランスの方々にとっても負担は大きいのではないかと危惧するものです。  そこで、これらの所得水準世帯で保険料の支払いに影響はないのかという点で、次の質問を伺いたいと思います。  令和3年度及び4年度の限度額到達世帯に対する滞納世帯数とその割合について伺いたいと思います。 ◎毛利 保険医療部長  限度額に到達する世帯の滞納状況についてでございますが、こちらにつきましては、一部滞納のある世帯も含めて、5月末決算時点での数値をお答えいたしますと、令和3年度につきましては、限度額到達世帯2,865世帯のうち、滞納世帯が84世帯で2.9%、令和4年度につきましては、限度額到達世帯2,849世帯でございまして、滞納世帯が76世帯、2.7%となってございます。 ◆長屋いずみ 委員  令和4年度は僅かに0.2%減少したということでしたけれども、限度額到達世帯の約3%が滞納世帯ですから、高額所得世帯といっても、その大変さが滞納世帯数に表れているのではないでしょうか。  このたび、本市が4億円の基金を活用して15万2,888円になる保険料を15万1,241円にしたとしても、効果は僅か1,647円しかなく、7,451円も引き上がることになります。高過ぎる国保料の問題は改善できないと申し述べて、質問を終わります。 ◆成田祐樹 委員  私からは、先日の代表質問の中で他会派から質疑が出ていました国民健康保険における高額療養費の支給申請について質問したいと思います。  高額療養費制度は、払戻しの対象となるかどうかの計算が複雑であることから、加入者の中には、申請することを漏らす場合もあり、2022年度は高額療養費の対象になっているにもかかわらず、申請を行っていない世帯が約4万世帯、未支給額が9億4,600万円にもなっているというやり取りがあったかと思います。  未申請世帯を減らすには、幅広い広報による制度の周知が必要と思われますが、これまで実施されていたホームページや国保加入時に配付する加入者の手引、保険証年次更新時に同封するチラシなどによる周知に加え、今年度は、新たに広報さっぽろへの掲載や医療費のお知らせへシールを貼ったり、ラジオ番組の特集などによる周知を行ったと伺っております。  その中でも、新たな周知方法のうち、令和6年1月発送の医療費のお知らせの裏面に、高額療養費の申請を促すシールを貼る取組は大きな反響があり、区役所への問合せが大幅に増えたことで申請につながったとの答弁もありました。  そこでまず、質問ですが、医療費のお知らせを活用して高額療養費制度の周知を行ったことにより申請件数及び支給金額がどれくらい増加したのか、お伺いをいたします。  また、より多くの加入者に本制度が認知されるよう、今後も引き続き幅広い広報を行うことが必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、併せてお伺いしたいと思います。 ◎毛利 保険医療部長  高額療養費制度の周知の関係で2点お尋ねをいただきました。  まず、1点目の医療費のお知らせの活用で申請件数や金額がどれくらい伸びたかという点についてでございますが、答弁とも関係いたしますので、まずは、高額療養費の支給、不支給の全体像について触れさせていただきます。  令和4年度におきましては、高額療養費の対象となる額は全体でおよそ178億円ございました。このうち、医療機関の窓口にて対応いただいて、既に高額療養費として支給されたものが161億円ございます。  この178億円と161億円の差の17億円が区役所への申請が必要となるものでございますが、このうち8億円は既に申請されておりまして、残りの9億円、委員のご質問にございました9億4,600万円が申請なく未支給となっているものでございます。  この未支給額が9億円を超えるという点は、私どもとしても大きな課題というふうに受け止めてございまして、お尋ねにありました医療費のお知らせの活用やラジオ番組での特集など、様々な制度周知の方法について検討を重ね、実施に移してきたところでございます。  このうち、お尋ねの医療費のお知らせにつきましては圧着はがき方式となっておりまして、その裏面に制度の周知を図るためのシールを一枚一枚貼付けをして、本年1月、加入世帯およそ25万世帯のうちの24万世帯にお送りをしたところでございます。  その翌月の2月の状況を見てみますと、申請件数は前年度の2月の2,199件から2,631件と20%の増、支給決定額も5,894万円から7,800万円と32%の増となってございます。  次に、2点目の、より多くの加入者に本制度が認知されるよう今後も幅広い広報をとのご指摘についてでありますが、国保加入者向けの様々な広報ツールにて漏れなく周知いたしますとともに、新たにSNSなどの活用もしてまいりたいというふうに考えております。あわせまして、医療機関におけます高額療養費制度の周知などについても、関係機関に協力をお願いしてまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  昨年の2月と比較して、申請件数が約20%、支給決定額が32%増加したということで、非常に効果があったのではないかなというふうに思っております。  また、今後は、これまでの広報ツールに加えてSNSを活用した周知を行うとともに、医療機関の窓口への制度周知を行うよう依頼するということで、まずは早急に今回の問題に対応していただいたことについて評価をしたいというふうに思っております。  入院している人だと、病院の生活相談員の方が高額療養費の説明をしたり、いろいろ手続をしてくれたりすると思うのですけれども、別の病院に幾つかかかっていたり、積み重ねでいっている人というのは、この制度になかなか気づかない方も中にはいらっしゃると思うので、ぜひそういった病院との連携も含めながら行っていただきたいというふうに思っております。  また、医療費のお知らせへのシール添付のように、多くの加入者の目に触れるような広報を行えば、申請件数はより増加するかと思いますので、従来の手法にとらわれない広報活動に取り組んでいただくことを要望したいと思います。  次に、申請勧奨の取組についてお伺いをします。  未申請世帯を大幅に減らすには、幅広い広報活動による制度の周知が必要なのはもちろんですが、申請しやすい環境や申請漏れを防ぐ取組を積極的に行うことが何よりも重要になるかと思います。  代表質問の中では、多くの政令指定都市で実施されている申請勧奨や申請省略方式の導入について、2027年度に導入予定の標準システムにより維持することとしており、それまでの間は暫定的な申請勧奨の取組を実施したいとの答弁があったかと思いますが、それでも申請漏れが発生してしまうことを懸念しているところです。  そこで、質問ですが、少しでも申請漏れを減らすためには、暫定的であったとしても、申請勧奨の取組を早急に実施すべきと考えますが、どのような内容で、いつから実施するのか、お伺いをしたいと思います。 ◎毛利 保険医療部長  申請勧奨通知の送付時期についてでございますが、この申請勧奨の取組については、極力、早急に実施すべきというふうに考えておりますことから、本年4月、来月より実施することとしてございます。  具体的な手法でございますが、1年間の支給額が一定額以上となる方に、順次、勧奨していくことを想定しております。  対象者の抽出方法でありますとか、勧奨の頻度などにつきましては、この取組を実施していく中で区役所への申請件数なども把握できますことから、そういった状況を見ながら、適宜、見直しを行ってまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  来月から早々に実施していただけるということで、これについても短い期間で対応していただけるのはすばらしいことというふうには思っております。  ただ、申請勧奨の取組については、もっと早く実施できたのではないか、申請漏れに対する問題意識が若干足りなかったことで実施しなかったのではないかと感じている人もいるようです。  また、どこまでの期間を対象とするかはこれから検討するとのことですが、時効が2年と聞いておりますので、本来、加入者に還付されるものでありますから、最大限期間を遡って申請勧奨を行っていただきたいと思います。  最後に、対象世帯についてお伺いします。  代表質問の中では、支給対象となる可能性の高い世帯を抽出し、個々に精査の上、通知を送付するとの答弁があったので、全ての未申請世帯を対象とするのではなく、対象世帯を絞って申請勧奨を実施するものと受け止めております。  本来の申請勧奨は、金額の多寡にかかわらず、対象世帯全てに通知すべきものと考えますが、この点があくまでも暫定的な申請勧奨と答弁された意味なのかと感じております。  そこで、質問ですが、どのような基準で対象世帯を絞って申請勧奨通知を送付するのか、また、通知を送付する全ての世帯が申請した場合、どれくらい未支給額が減少すると考えているのか、お伺いします。  あわせて、対象世帯を絞ることなく、本来の申請勧奨に近い形で通知を送付すべきと考えますが、なぜ対象を絞る必要性があるのか、併せてお伺いをしたいと思います。 ◎毛利 保険医療部長  来月から実施することとしております申請勧奨につきまして、合わせて3点のお尋ねをいただきました。  まず、どのような基準で対象世帯を絞るのかという点でありますが、来月から実施する申請勧奨につきましては、標準システムが導入されるまでの間の暫定的な取組として、年間の支給額が一定額以上の方を抽出し、一件一件、手作業にて高額療養費の金額を精査の上、勧奨通知をお送りするというものでございます。  このため、申請勧奨を行う対象者を絞り込む基準を設けることが必要となってまいりまして、年間の支給額が10万円以上となる世帯を対象に、受診月に応じて勧奨するとの内容で、現在、細部の詰めを行っているところでございます。  次に、勧奨通知を送付した全ての世帯が申請された場合、どのくらい未支給額が減少するかというお尋ねでございますが、令和4年度のデータを基に試算をいたしますと、未支給額9億4,600万円のうち、10万円という基準を用いた場合、およそ3億円の支給が見込まれることとなります。  最後に、対象を絞ることなく通知を送付すべきではないかといったご指摘でございましたが、仮に対象者を絞らないことといたしますと、これは事務的なことではありますが、申請勧奨を実施するための作業が非常に膨大なものとなります。  件数的に申し上げますと、二十数倍になるということがございまして、まずは、年間の支給額が10万円以上となる世帯を対象に勧奨をはじめまして、その後、状況を見ながら、適宜、見直しを図っていきたいと思っております。  この勧奨通知と併せまして、さきにお答えいたしましたSNSなどの活用にも取り組みまして、未支給額の圧縮に努めてまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  年間の支給の見込み額が10万円以上の世帯を対象にして、全ての対象世帯が申請した場合、3億円程度、未支給額が減少するとのお答えだったかというふうに思っております。  また、今後の申請状況を見ながら適宜見直していきたいということですが、申請勧奨を行ったとしても、開始当初の基準のままでは年間6億円以上が未支給額として残ってしまいます。  早急にスタートを切るためには、対象を絞ることもやむを得ないと理解していますし、中には、本当に、理論的には、数百円、数十円とか、本当に物すごく少ない方もいるというのも重々承知しておりますが、申請漏れを減らすということは大切な観点だと思いますので、絶えず基準を見直して、勧奨通知の送付世帯を増やしていただくことは要望したいというふうに思っております。  また、4月から勧奨通知を送付することで、区役所への申請件数が増えて、職員の業務量も増加することが見込まれます。特に、医療費の還付がありますなんて話は、よくある特殊詐欺の定番のパターンで、問合せというか、これは本当に大丈夫なのかという話が来てしまいかねないと思っております。  ぜひ、現場の職員が疲弊しないように、人員増強などの対応も視野に入れておくことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ○村松叶啓 委員長  以上で、国民健康保険会計等の質疑を終了いたします。  次に、議案第6号 令和6年度札幌市後期高齢者医療会計予算及び第10款 諸支出金 第2項 他会計繰出金のうち関係分について、一括して質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時26分       再 開 午後2時28分     ―――――――――――――― ○村松叶啓 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、第3款 保健福祉費 第2項 子ども福祉費のうち関係分、第5項 健康衛生費及び議案第19号 札幌市火葬場条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。 ◆好井七海 委員  私からは、今後の感染症危機への備えについてと、終活行動を支えるネットワーク構築事業について、大きく2点伺います。  初めに、医療機関における感染症危機への備えについてです。  新型コロナウイルス感染症については、令和5年5月8日から感染症法上の位置づけが5類感染症に位置づけられたところですが、令和2年2月に本市で初めて陽性者が確認されてから約3年間、数多くの陽性者が確認されてきたところであります。  コロナ禍を振り返ってみると、医療機関においても、クラスターの発生や、医療従事者やその同居家族が感染することなどにより、医療従事者などのエッセンシャルワーカーが出勤できない状況になるなど、医療体制にも大きな影響がありました。  また、陽性者の中には、罹患後症状、いわゆる後遺症として長い期間にわたって苦しむ方も一定数おり、新型コロナウイルス感染症は市民生活にも多大な影響を及ぼしてきました。  今後、新たな感染症危機が発生した際には、コロナ禍の経験を踏まえ、このように苦しむ患者を増やさないためにも、患者の発生や重症化を抑えることが重要であると考えており、そのためにはまず、医療提供体制を十分に整えることが重要と考えます。  そこで、質問ですが、市内医療機関における感染症危機への備えはどうなっているのか、伺います。 ◎敦賀 調整担当部長  医療機関における感染症危機への備えについてお答えいたします。  感染症流行発生時においても、各医療機関がそれぞれの役割に応じて継続的に診療を提供する体制を整えるには、平時から、設備や備品の整備や、人材育成、訓練の実施が必要と考えられ、それには、従事者の役割分担などが示された業務継続計画、いわゆるBCPの策定などが求められます。  しかしながら、医療機関にはBCPの策定義務がなく、昨今の自然災害を受けまして、災害対応用のBCPは徐々に普及しておりますが、感染症対応用のBCPはあまり普及していないと推察しております。  今後は、医療機関に対しまして、感染症危機への備えとしましてBCPの策定を呼びかけてまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  ただいま、感染症への備えとして、医療機関に対し、感染症対応用のBCPの策定を呼びかけていくとの考えをご答弁いただきました。  我が党におきましても、感染症対応用のBCPを医療機関が整備することは、感染症危機への備えとして必要なものと考えております。一方で、BCPの策定には人手や時間を要するものであり、医療機関の負担が大きいものと考えています。  札幌市では、令和6年度新規事業として、感染症に強いまちづくり推進費を計上されているところであり、医療機関向けに感染症対応用BCP策定支援を行う予定と伺っております。  そこで、質問ですが、医療機関に対し、どのような策定支援を行う予定なのか、お伺いいたします。 ◎敦賀 調整担当部長  医療機関に対する感染症対応用のBCPの策定の支援内容についてお答えいたします。  感染症対応用のBCPを策定していない医療機関には、行政からの働きかけが必要と考えており、そのためには、研修会を複数回開催し、より多くの医療機関にBCPの重要性や策定の考え方についてご理解していただきたいと考えているところでございます。  加えて、策定に当たっては、感染症に関する専門的な知識だけではなく、各医療機関の規模や診察内容、院内の構造なども考慮する必要がありますことから、策定を検討している医療機関に対し、感染症に係る専門家を派遣して助言を行うなどの訪問型の支援についても考えているところです。  研修会や専門家の派遣を実施する際には、北海道看護協会などの関係団体と連携しながら、必要な支援を行えるよう進めてまいりたいと考えています。 ◆好井七海 委員  医療機関に対するBCP策定支援に関しては、専門家を活用するということで、個々の医療機関の状況に合ったBCPが作成され、新たな感染症危機が発生した際には、その役割を十分に発揮できることを今後期待しております。  次に、市民や医療機関などへの情報提供について質問します。  今回の新型コロナウイルス感染症流行の経験により、市民一人一人が感染症のパンデミックの恐ろしさを実感したところであり、今後、新たな感染症が発生した際には、この経験も踏まえ、市民自らがいち早く感染症を予防し、蔓延防止に努めることが、その後の感染拡大の防止につながるものと認識しております。  そこで重要なのが、新たな感染症危機発生時の情報提供となりますが、新興感染症の多くは海外で発生しており、その新興感染症の情報を市民や医療機関をはじめとする関係機関に迅速かつ正確に伝えるのは、行政である札幌市の役割と考えます。  そこで、質問ですが、今後、新たな感染症危機が発生した際には、その情報はどのように市民や医療機関等の関係機関に伝えていくのか、お伺いいたします。 ◎敦賀 調整担当部長  市民や医療機関などへの情報提供についてお答えいたします。
     国内外で新興・再興感染症の流行危機が発生し、国が国内での感染症危機のおそれがあると判断した際には、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づきまして、国から、まず、都道府県に対して、医療機関や検査機関などへ体制構築の整備を行うよう指示することとなり、札幌市にも流行の特徴や対応に関する指示が伝達されます。  次に、札幌市といたしましては、国や道と連携して、市内の医療機関をはじめとする各関係機関に迅速かつ適切にその情報を提供し、体制構築を要請いたします。  また、市民に対しましては、その感染症に関する情報、予防に向けた注意喚起、相談窓口などについて、市公式のホームページやSNS、関係機関や報道機関などにもご協力をいただきながら、迅速かつ的確な情報を発信してまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  新型コロナウイルス感染症の流行時においては、SNSを中心に様々な情報があふれたこともあり、誤った情報が正しいように認識されたり、偏った情報から偏見や差別が生まれ、感染者、医療従事者、その家族に被害が及ぶなど、とても残念な状況が生まれました。  こうしたことを繰り返さないよう、札幌市には日頃から市民に対して感染症に関する理解促進に努めていただきたいと考えております。  そこで、質問ですが、市民の感染症に関する理解促進のため、札幌市としてどのようなことを重視して取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎敦賀 調整担当部長  市民の感染症に関する理解促進のため、札幌市として重視していることについてお答えいたします。  市民の感染症に関する理解促進につきましては、日頃からの感染症とその予防に関する知識の普及が重要であり、今年度策定する感染症予防計画の中でも基本的な考え方を盛り込んでいるところでございます。  新型コロナウイルス感染症に係る市民アンケートでは、より正確な情報が必要との意見も寄せられており、情報発信の在り方における課題について認識したところでございます。  また、札幌市といたしましては、市民一人一人が感染症の流行予防や蔓延防止の重要性をご理解していただくとともに、感染者や家族などへの偏見や差別があってはならないということにつきましてもご理解いただけるよう、適切な情報発信に努めていく考えでございます。 ◆好井七海 委員  正確で適切な情報発信が大切ですし、またいつ新たな感染症が発生するか分かりませんので、備えが大事だと思います。ふだんから、国や道、関係団体などと連携も含め、十分に訓練しておくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、終活行動を支えるネットワーク構築事業について、3点質問いたします。  近年、単身高齢者の増加や家族関係の希薄化によって、引取り手のない遺骨が増加傾向にあります。  我が会派では、このような状況を憂慮し、令和2年第3回定例会の代表質問において、市民の尊厳を守る観点から、エンディングプラン・サポートや終活登録などの終活支援を始めることについて質問したところです。  それから3年余りが経過しておりますが、令和6年度から新たに終活行動を支えるネットワーク構築事業を開始するということであります。  担当課に話を聞きましたところ、この事業では、エンディングプラン・サポートや終活登録を市が直接行うものではないとのことですが、それでも、今後、市民が終活に取り組むきっかけになればよいと考えます。  そのため、この事業の成功を期待していますが、それには、社会的な背景をしっかりと見定め、目的意識をしっかりと持って事業を推進していくことが重要であると私は考えております。  そこで、質問ですが、終活行動を支えるネットワーク構築事業を行うに至った背景や事業の目的についてお伺いいたします。 ◎金綱 施設担当部長  終活行動を支えるネットワーク構築事業の背景と目的についてお答えいたします。  終活につきましては、これまで、出前講座やインターネット調査など、様々な場面で市民意見を伺ってきており、多くの方が、亡くなった後の不安を解決することで、余生をよりよく過ごすことにつながると前向きに捉えておられます。  しかしながら、いずれの調査におきましても、葬儀やお墓、財産整理などの終活を実際に行っている方の割合は3割程度にとどまっており、多くの方が、終活に取り組むことをよいことと考えているにもかかわらず、実践には至っていない状況となっております。  この主な理由としまして、誰に相談したらよいか分からないですとか、あるいは、何をすればよいか分からないといった回答の割合が高く、その背景には、終活に関連する事柄が幅広い分野にわたっているということもあると考えております。  このため、本事業では、官民問わず、終活に関する情報を共有できるようネットワークを構築しますとともに、その情報を広く提供、発信することを通じて、市民が円滑に終活を進められる、そのような環境の整備を目的として実施してまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  市民意見を基に目的を設定しまして、事業に当たっていくということが分かりました。  ただいまのご答弁にもありましたとおり、一口に終活といっても、生前から死後に至るまで、非常に幅広い分野にわたるものであります。例えば、比較的健康な生活を送っている段階において、日々の買物や家事を代行してもらう生活支援サービスや、いわゆるお一人様の入院や介護施設への入所のときに求められる身元保証のサービス、お亡くなりになった際に関係者に連絡したり、葬儀を執り行ってもらったりする死後事務委任などがあります。  今、例示したのはほんの一例であり、終活にはそれ以外にも多くの民間事業者や行政機関が関係していることですから、本事業で構築するネットワークがしっかり機能するかどうか、懸念するところであります。  そこで、質問ですが、本事業で構築するネットワークとはどのようなものを考えているのか、お伺いいたします。 ◎金綱 施設担当部長  本事業で構築するネットワークについてでございますが、先ほどお答えしましたとおり、終活に関連する事柄は幅広い分野にわたっているがゆえに、適切な相談先や終活としてなすべきことが分かりにくいという側面があります。このことは、市民のみならず、行政機関や事業者にとっても同様と考えております。  例えば、私どもの部におきましても、市民から葬送や終活について様々な問合せがありますが、担当外の事業やサービスについては、適切な部署や事業者を案内することができないこともございます。  そのような状況を踏まえまして、今後は、市民からの問合せに対してスムーズに適切な窓口を案内できる取組を広げていきたいと考えており、そのための終活に関する情報を官民で共有する仕組みとしてネットワークを構築してまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  情報を共有する仕組みをネットワークとして構築したいとのご答弁でありました。  ネットワークがうまく機能すれば、市民の利便性の向上につながると思いますが、関係する事業者が多いことによります課題もあると思われます。  我が会派では、昨今の終活に対するニーズの高まりに伴い、支援者から終活を進める上でのトラブルについて相談を受けることが多くなっております。  全国的にも問題事例が報告されていますが、民間事業者が行う終活セミナーに参加したところ、セミナーの終了後にその事業者との契約を迫られたといったなどの話をよく聞きます。  市民としても、ネットワークを通じて案内されるのが結局は民間事業所となれば、不安に感じることもあるので、ネットワークに参画する事業者の選定などについて、可能な限り課題を洗い出し、その対策を講じておくことが必要であると考えます。  そこで、質問ですが、事業を進める上での課題認識とその対応についてお伺いいたします。 ◎金綱 施設担当部長  事業を進める上での課題認識とその対応についてでございますが、委員がご指摘のとおり、どのような事業者と連携していくかということは、ネットワークの信頼性を左右する重要な課題と認識しております。  このため、ネットワークへの参画を希望する事業者に対しましては、この事業の目的を十分に説明したり、ネットワークに関係する活動としてセミナー等を行う際には、過度な勧誘を行わないルールとするなどの対応を検討してまいりたいと考えております。  また、市民が事業者を利用して終活を進める際には、複数の事業者から話を聞き、納得した上で自分のニーズに合ったサービスを選択するよう啓発していくことも考えております。  このほかにも、官民の役割分担を明確にして、効率的かつ効果的に事業を進めることや、共有した情報を発信する際には、市民一人一人の死生観に配慮して、価値観の押しつけにならないようにすることなども重要であると考えているところでございます。  このような認識の下、今後はワークショップなどを通じていただく市民意見や、国、他都市の事例も参考にしながらネットワークの構築に取り組んでまいります。 ◆好井七海 委員  最後に、要望ですが、今のご答弁にありました、希望する市民に寄り添ったネットワーク構築に向けて、なかなか難しいことではあると思いますが、よろしくお願いいたします。  また、今後は、行政でも、誰が相談を受けても適切に案内できるよう、終活に関する情報を庁内でも、また、官民でも共有する仕組みを構築していただくことを要望しまして、全ての質問を終わります。 ◆佐藤綾 委員  私からは、産婦健診の費用助成について、3点お聞きいたします。  産後鬱の予防や新生児への虐待防止の観点から、出産後間もない時期の健康診査の重要性が指摘されており、国においては、2017年度から産後健康診査事業として、実施市町村に対し助成をする制度を創設しております。  本市では、2021年度の生後4か月までに行う乳児家庭全戸訪問事業を実施した産婦のうち、何らかのメンタルヘルスの問題を抱えていた方は1,670名で、20%に及んでいるということでした。さらに、実家からの支援が受けられない世帯や、出産後でまだ体調が整わない中、ワンオペの育児となる方が増えていることからも、母親の身体や精神の状態を早期に把握する産婦健診を気兼ねなく受けられるよう、私は、2022年の予算特別委員会で、産婦健診の公費助成の実施を求めて質問いたしました。  その際、今後は産婦健診時に精神状態のアセスメントを導入している医療機関の実態を把握し、公費負担制度における課題について明らかにしてまいりたいとのご答弁でした。  そして、このたび、新年度予算案において、産婦健診の費用助成として9,400万円が計上されたところです。  そこで、質問いたしますが、費用助成の対象となる産婦健診の内容について伺います。 ◎山口 保健所長  費用助成の対象となる産婦健診はどのような内容かとのお問合せについてお答えいたします。  産婦健診は、妊娠の届出時、各区保健センターにおいて、母子手帳交付時に受診票を交付し、委託医療機関や助産所において実施しているところでございます。  令和6年4月1日以降に実施される産後2週間、産後1か月の産婦健診に対して、所得にかかわらず、それぞれ1回につき5,000円を上限に助成を行うところでございます。  産婦健診では、産婦の体重や血圧測定、尿検査を実施し、産婦の健康状態や育児状態の把握を行うほか、評価ツールを利用して精神状態を把握することとしております。 ◆佐藤綾 委員  産後2週間と、また、1か月に受けられるので、産後の精神状態や体の不調のことなども把握して、早期に治療や支援にもつなげられるということになります。  私も、相談を受けたことがありまして、お金がなくて産後の健診を受けられないというご相談がありまして、とても精神的にも不安定な方でしたので、心配しておりまして、こういう方がしっかりと受けられるようになると安心しております。  また、出産のダメージから回復しないままに、夜泣きや授乳でまとまった睡眠が取れず、疲労状態が続き、いらいらしたり、ひとりでに涙が出るなども、多くの方が経験していると思います。  産後の急激なホルモンバランスの変化により、心身の不調は誰にでも起こり得ることですが、産婦本人も産後の疲れと思ってしまって、自覚症状がないまま不調になっている場合があることからも、産婦健診についてはしっかりと周知し、知っていただくことが大事だと思います。  そこで、お聞きいたしますが、産婦健診についてどのように広報し、周知されていくのか、伺います。 ◎山口 保健所長  産婦健診の広報についてお答えいたします。  産婦は心身の不調を来しやすいことから、産婦健診での心身の状態を確認することが重要であることを、妊産婦のみならず、周囲の方々にも広く知ってもらうことが肝要と考えてございます。  各区保健センターでの受診票交付時の案内や、医療機関や助産所におけるポスターの掲載、チラシの配架により、妊産婦への産婦健診の情報を確実に届けるよう準備を進めてまいります。  また、当該情報を子育て情報サイトや広報さっぽろへ掲載することに加え、人通りの多い市内のビジョンなどを活用し、産婦健診の重要性の周知に努めてまいります。 ◆佐藤綾 委員  母子手帳のほうにも妊娠中の検診のクーポン等がついていますけれども、同じように受診券もつけられると先ほどもお話がありました。  母子手帳をもらうときに説明も受けると思うのですけれども、現在、既に母子手帳をもらっている方はこの受診券を受け取っていないと思いますので、里帰り出産などで情報が行き届かない場合も推察されますので、配慮した周知もお願いしていきたいというふうに思います。  また、産婦健診を受診した結果、身体の不調や産後鬱、育児不安など、問題が見つかった場合、必要な医療につなぐとともに、地域で継続的な支援につなげていくことが産婦健診事業の重要な意義でもあります。  そこで、お聞きします。  産婦健診で把握された支援を必要とする方をどのように地域支援につなげていくのか、伺います。 ◎山口 保健所長  産婦健診で把握された支援を必要とする産婦について、どのように地域支援につないでいくかについてのご質問にお答えいたします。  産婦健診により、医療機関等が支援を必要とする産婦と判断した場合には、保健と医療が連携した育児支援ネットワーク事業等を活用し、医療機関等から速やかに各区保健センターの保健師に情報の提供をいただくことになります。  各区保健センターにおきましては、産婦健診の結果を踏まえ、個々の状態に応じ、保健師等による訪問等の継続的な支援や産後ケア事業など、ニーズに応じた適切な支援を行ってまいります。  産婦の支援を早期から地域で切れ目なく行っていく体制を整え、安心して子育てができる環境の整備に引き続き取り組んでまいります。 ◆佐藤綾 委員  産婦健診によって、早期の段階で支援の必要な産婦を地域支援につなげていけるということです。母親の心身と子どもの状況なども一緒に支援されるということになりますので、安心感があります。  産後ケア事業などにもつないでいくというお話もありました。国においても、産婦健診の実施により、支援が必要な産婦の受皿として産後ケアの実施が示されており、切れ目ない支援として有効な取組であるとされております。  今年度から、助産院だけでなく病院にも広げ、利用が増えているとお聞きしておりますので、今後、協力医療機関が増えることやアウトリーチへの拡充なども期待しております。  来年度の産婦健診の公費助成にご尽力をいただけました。妊娠から出産、子育てまで、切れ目ない支援へさらに取り組んでいただきますように申し上げまして、私の質問を終わります。 ○村松叶啓 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時54分       再 開 午後3時15分     ―――――――――――――― ○うるしはら直子 副委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆和田勝也 委員  私からは、火葬場予約システムについてと、多死社会における終活支援の進捗について、2項目ご質問させていただきます。  まず、火葬場予約システムについてでございますが、近年、高齢化による死者数の増加により、遺体を長期間火葬することができない、いわゆる火葬待ちが首都圏を中心に深刻化している状況にございます。  札幌市では、まだそのような状況ではないものの、札幌市の火葬場の受付はこれまで到着順で行っており、特に火葬場が休みである友引の翌日には火葬が集中し、火葬場前には入場を待つバスが長蛇の列をつくることがあります。  令和4年度の札幌市における火葬件数は、二つの斎場で年間2万5,000件を超え、ピークの令和36年には3万3,000件近くまで達することが予測されており、このままだと、さらなる混雑が心配されます。  そのような中、札幌市火葬場・墓地に関する運営計画において、火葬場の混雑緩和に向けた重点項目として導入を進めていた火葬場予約システムが稼働し、まさに、本日から予約制での火葬を開始したとのことであり、その効果が期待されます。  一方で、予約システムの導入に伴い、出棺時間の調整など、システムの主な利用者である葬祭事業者の業務の流れも大きく変わることが想定されるところであり、葬祭事業者の負担増が懸念されます。  予約システムの構築に当たっては、事前に葬祭事業者の声も聞いて進めてきたと聞いておりますが、我が会派には、複数の葬祭事業者から、希望日に予約が取れず安置日数が増えるのではないかとの相談が寄せられており、そのことに伴う安置料の負担増なども懸念されることから、札幌市に対して、これらの声に真摯に対応するよう求めていたところでございます。  そこで、質問ですが、火葬場予約システムの導入に当たり、事前の説明会などで葬祭事業者からどのような声が寄せられていたのか、お伺いします。  また、それらの声に対してどのように対応していたかを併せてお伺いいたします。 ◎金綱 施設担当部長  火葬場予約システムについてのご質問にお答えいたします。  事前の説明会における葬祭事業者からの意見とその対応についてでございますが、火葬場予約システムの構築に当たりましては、令和4年度に事業者から意見募集を行い、そこで寄せられたご意見や他都市の先行事例などを踏まえて検討を進めてまいりました。  その際、基本的に希望した日に火葬できるよう、予約枠の設定につきましては、令和5年度の実績において最も需要が多い時期の火葬件数にも対応できる枠数とするなど、これまでと比べて市民や事業者が不便になることのないよう、最大限考慮してシステムを構築してきたところでございます。  しかしながら、今年の1月31日と2月8日に実施しました説明会に加えまして、1月31日から2月23日までのテスト運用期間中にいただきましたメールやファクス等も合わせますと、事業者の皆様から約40件の質問や意見が寄せられた次第でございます。  主なご意見としましては、締切り時間までに予約の入力が間に合わず、安置日数が増えることを心配する声のほか、例外的な対応として、警察で検案されたご遺体など、やむを得ない事情がある場合には予約システムを介さずに火葬を行えるようにしてほしいといった要望が寄せられました。  このような意見を踏まえまして、予約システムの本格稼働に向けまして、火葬場の業務フローを見直し、当初は予約情報を整理するために火葬前日の午後3時に設定しておりました予約の締切り時間を、火葬する当日の午前8時まで延長することとしましたほか、警察において検案されたご遺体で、当日のうちに火葬が必要な案件などにつきましては、電話による受付で対応することとしたところでございます。  あわせまして、これらの対応について葬祭事業者に直接お知らせしますとともに、ホームページなどで周知を図ったところであり、今後も、火葬需要の変化や実際の運用状況を見ながら適宜見直しを行うなど、柔軟に対応してまいりたいと考えております。 ◆和田勝也 委員  予約システムを稼働する前に、葬祭事業者の意見を受けて見直しを行ったとのことでございました。  本日から予約システムによる火葬がスタートし、運用する中で、想定していない課題や要望が出てくると思います。葬祭事業者や火葬場職員、利用する市民の声にしっかりと耳を傾け、柔軟に対応し、予約システムを導入してよかったと思えるよう運用していただきたいと思います。
     今後は、多死社会の到来によって、火葬件数の増加や友引日の会場、炉、施設の老朽化など、多くの課題が残されております。火葬場は、故人との最期のお別れの場として、市民生活に深い関わりを持つ公共施設であるとともに、止められない施設という特性がございます。安定的で利用者が満足のいく火葬場運営に向けて、その取組を加速していただくことを要望し、次の質問に移ります。  次に、多死社会における終活支援の進捗状況について質問します。  我が会派では、これまで、高齢化の進展に伴う様々な課題について、高い関心を持って取り上げてまいりました。  昨年の第4回定例会の代表質問では、多死社会における終活支援の進め方について質問をしたところ、それに対する答弁は、行政の役割としては、市民が終活について考える機会を設けることや終活に必要な情報提供をすることと考えている、また、今後は、終活支援やアンケートなどにより市民の意識やニーズを調査するとともに、他都市の事例も参考にしながら終活支援に取り組むというものでした。  今回は、その後の取組状況と今後の取組について確認をさせていただきます。  そこで、一つ目の質問ですが、市民への終活支援について、今年度の取組状況をお伺いいたします。 ◎金綱 施設担当部長  多死社会における終活支援の進捗についてのご質問にお答えいたします。  今年度の取組状況についてでございますが、終活に関心のある市民に対しまして、参考となる情報を提供し、実践に向けた動機づけとなるよう、昨年11月に葬送ワークショップを2回、そして、今年の1月に終活セミナーを2回開催したところでございます。  葬送ワークショップでは、里塚斎場と里塚霊園の見学を行った後、参加者の皆様に札幌市の火葬場・墓地の在り方や、終活についてグループディスカッションをしていただきました。  また、終活セミナーでは、札幌市火葬場・墓地のあり方推進協議会の委員3名の方からそれぞれ、お一人様の終活、葬儀社選びのポイント、自分に合った終活情報の選び方をテーマとして講演いただいた後、フリートーク形式で意見交換を行っております。  参加者からは、これらの事業を通じまして、「ほかの人のお話を聞けて終活の参考になった」ですとか、「終活への不安が和らいだ」などの好意的な感想をいただけましたことから、参加者が終活を進めるための一助になったと考えております。  一方、「墓じまいは大変そうである」ですとか、「口座番号など、個人情報の流出が不安」といった、市民の終活に対する負のイメージについても意見をいただくことができ、今後取組を進める上での課題と考えております。 ◆和田勝也 委員  終活のワークショップや終活セミナーを開催して市民から様々なご意見をいただいたとのことでした。  やはり、終活は、自分や近しい人の死について考えたり、先祖代々受け継いできたお墓を片づける、いわゆる墓じまいの決断をしたりするといった、市民にとって非常にデリケートな問題であり、それ自体が終活に取り組めないハードルになっていることも考えられます。行政がそれを支援していくには、今年度の取組をベースとして、さらに具体的な市民ニーズを掘り下げながら、今後も継続して市民の理解を得ていくことが不可欠でございます。  すなわち、我が会派で何度も取り上げてきました札幌市火葬場・墓地に関する運営計画に掲げる第1の基本目標である市民の意識醸成が最も重要であると思います。  そこで、質問ですが、今年度の取組結果を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎金綱 施設担当部長  今年度の結果を踏まえた今後の取組についてお答えいたします。  今年度実施しました葬送ワークショップや終活セミナーでは、少人数かつ対話的手法を用いたことにより、参加者が終活のことを深く考えるきっかけになったことのほか、意見交換の際には率直な意見を伺うことができたなど、一定の効果を得ることができたと評価しております。  それを踏まえまして、来年度は、ワークショップを10区に拡大し、あわせて、参加者が気兼ねなく意見を述べることができるよう、少人数のグループに分けてディスカッションを行うことで意識醸成を図るとともに、より多くの市民ニーズの把握に努めながら、さらなる終活の支援を検討してまいりたいと考えております。 ◆和田勝也 委員  身寄りのいない高齢者は、孤独死後に引取り手がいなかったり、住宅の残置物が処理できなかったりするなど、社会問題となっております。  終活支援を通じてこのような事例を減少させることができるよう、市民の意識醸成を行い、必要なサービスにつなげていくことを要望し、質問を終わります。 ◆森基誉則 委員  私からは、1項目、災害時におけるペット動物の対策についてという大枠で質問をさせていただきます。  まず、動物愛護管理センターの対応について伺います。  今年元日、能登半島を中心とした震度7の地震が発生し、被災地は甚大な被害を受けました。  質問の時間ではありますが、犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様並びにご家族、関係者の皆様、心よりお見舞い申し上げます。  また、被災者の救済と被災地の復興支援のためにご尽力されている方々に、深く敬意を表します。  被災地域の皆様の安全と、一日も早い復興を祈念いたします。  一方で、千葉県でも地震は頻繁に起こっております。注意喚起も重ねてさせていただきたいと思います。  今回のような大きな災害が発生した場合、住人がけがをしたり、住む場所を失ったりということもあると思いますが、それと同時に、その方たちに飼われているペットも被災することとなります。  そこで、最初の質問です。  災害が発生した際に、動物愛護管理センターが行うペット動物への対応について伺います。 ◎吉津 生活衛生担当部長  災害時におけるペット動物の対策についてお答えいたします。  災害時における動物愛護管理センターの対応についてのお尋ねでございますが、動物愛護管理センターでは、避難所における動物飼育に関する相談に対応するほか、逃げ出してしまった動物や負傷した飼い主不明の動物の保護、収容と返還などを行うこととしております。  また、動物愛護管理センターでは、特定動物、いわゆる危険動物の飼育に関する許可や、ペットショップなどの動物取扱業の登録事務も担っておりますので、災害時におきましても、それらの動物が逃げないよう対策を講じることや、動物の安全確保について飼育者へ注意喚起を行うこととしております。 ◆森基誉則 委員  逃げ出す動物には危険動物も考えられますから、この辺の対策はしっかりとよろしくお願いいたします。  災害発生時における動物愛護管理センターの対応については理解させていただきました。  ただ、震災は突如として発生するものであり、また、災害対策の基本は自助であると言われています。  私も、一防災士として、自助がまずは大事だということをかねてからいろいろなところでお伝えしてきたわけですけれども、様々な方の尽力もあり、近年、市民の防災意識も高まりつつあると思いますが、飼い主としての災害対策への意識もさらに高めていかなければならないと考えています。  札幌市は、避難所にペットを連れていくことは認められているものの、ペットと一緒に避難することで、避難先でトラブルが生じることも懸念されております。  避難所等において、動物たちが他の方に迷惑をかけることなく生活できるよう、ふだんからどういうしつけをしておかねばならないかについて学べる機会の充実というものも重要ではないでしょうか。  そこで、質問です。  ペットを飼っている方への災害に関する教育普及の取組について伺います。 ◎吉津 生活衛生担当部長  ペットを飼っている方への教育普及の取組についてお答えいたします。  避難所においてペットを飼っている方と飼っていない方が共に落ち着いて過ごせるよう、日頃から基本的なしつけをすることが大切であると考えております。  そこで、災害時の飼い主の役割、日頃の備えやしつけのポイントなどを記載した「犬と猫の防災手帳」を作成し、区役所や保健センター、動物病院など、市内各所で配布しているところでございます。  また、この防災手帳を活用し、町内会などからの依頼に応じて出前講座を開催しているほか、獣医師会等外部団体と連携して市民向けセミナーなども開催し、普及啓発に努めております。 ◆森基誉則 委員  私も今、手元に「犬と猫の防災手帳」というものを持っているのですけれども、本当に、ペットを飼われている方は、一家に一冊、手元に置いてほしいと私のほうからも強くお願いしたいというふうに思います。  しかしながら、今回の能登半島地震においても、例えばなのですが、ワクチンを事前に接種しておくことや、ペット用の防災グッズなどをそろえておくこと、ペットキャリーに慣れさせて問題なく避難所に連れていける準備をしていくことといった、同行避難するに当たって飼い主が事前にしておくべきことをそもそも知らなかったといったことがあったようです。  このような事例に鑑みると、本市もペットの災害対策を充実させる必要があるのではないでしょうか。  札幌市においては、動物愛護管理センターがリニューアルし、教育普及活動をこれまで以上に充実させていく予定と聞いています。  そこで、最後の質問です。  動物愛護管理センターにおける災害対策の今後の取組について伺います。 ◎吉津 生活衛生担当部長  災害対策の今後の取組についてお答えいたします。  動物愛護管理センターに新設しました多目的ホールを活用しまして、ペットに関する災害時対策セミナーを行いまして、先ほど委員からご指摘いただきました内容などについて学んでもらうことで、飼い主とペットが共に災害時においても安心して暮らせるよう、防災対策の向上に努めてまいります。  また、動物愛護管理センターでは、業務マニュアルを策定し、災害時の対策や関係機関の役割などを定めておりますが、直近の改定から年数が経過しておりますので、近年、国内で発生している災害における対応例なども参考にしながら、適宜、改定を進めてまいりたいと考えております。  加えて、災害時に迅速に対応できるよう、獣医師会や動物愛護団体などの関係団体や災害時動物救護ボランティアとの連携を密にしながら取組を進めてまいります。 ◆森基誉則 委員  今回の能登半島地震などを教訓に、市民が安心してペットを飼えるように、札幌市も災害時のペット動物の対策についてしっかり検討していただきたいと思います。  加えて、今のお話にあったマニュアル改定の部分で、適宜進めるとご答弁していただいたのですが、例えば、市町村地域防災計画は、毎年検討を加え、必要があれば修正しなければならないと災害対策基本法にもありますので、こういったマニュアルもある程度定期的な見直しをしていただきたいと要望して、質問を終わらせていだきます。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、アピアランスケアについてと、成人を対象としました予防接種の周知等について、2点お伺いをいたします。  最初に、アピアランスケアについてお伺いをいたします。  国の第4期がん対策基本計画では、取り組むべき主な分野として、がん予防、がん医療、がんとの共生を掲げており、がんとの共生においては、治療に伴う見た目の変化に対応するアピアランスケアが、がん患者の社会的問題に応えるものとして盛り込まれております。  我が会派は、がん治療に伴う苦痛を少しでも軽減するため、アピアランスケアの中でも、医療用ウイッグ等の購入費用助成が必要であるということを、繰り返し、これまで質問をしてまいりました。  札幌市の第2次がん対策推進プランにおいて、ウイッグ等の費用助成事業が盛り込まれ、昨年の厚生委員会における質疑において検討状況を質問いたしましたところ、市民意識調査や他都市の状況等を参考に、令和6年度の開始に向けて準備を進めているとの答弁でございました。  そこで、質問ですが、医療用ウイッグ及び乳房補正具購入費用助成事業の助成金額や対象者の想定人数についてお伺いいたします。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  アピアランスケアに関するご質問についてお答えをいたします。  まず、ウイッグ購入費用助成事業の助成金額や想定人数についてでございますが、助成金額、想定人数共に、他都市の状況を踏まえまして、医療用ウイッグの費用助成上限額は3万円、乳房補正下着の費用助成上限額は5,000円、人工乳房の費用助成上限額は5万円とし、いずれも補助率は10分の10を予定しております。  また、がん治療中または過去に治療を受けたことがある市民を対象としまして、医療用ウイッグの助成想定人数は年間800人、乳房補正下着は年間100人、人工乳房は年間10人を予定しております。 ◆丸山秀樹 委員  がんは幅広い年齢層が罹患することから、それぞれの置かれた立場により、必要なケアにつきましても様々でございます。  例えば、子どもの場合は、成長とともに体格が大きくなって用具が合わなくなるなど、様々な個別の需要があるものと考えます。  そこで、質問ですが、このたびのウイッグ等の購入費助成には、年齢、申請回数に制限があるのかどうか、お伺いいたします。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  ウイッグ等購入費用助成事業の対象年齢や申請回数についてでございますが、申請に際しては年齢や性別の制限は設けず、申請回数は補整具の種類ごとに市民1人につきそれぞれ通算1回とする予定でございます。  新たに始める費用助成事業でありますことから、開始後に利用者の意見を聴取する予定でございまして、今後も多様なニーズを踏まえつつ、がん患者に寄り添った制度となるよう引き続き努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  がん対策におきましては、予防や治療の充実はもちろんのこと、がんに罹患したとしても、患者に寄り添った支援が重要であると考えます。  がんに罹患すると、治療に伴う外見の変化などの影響に加え、経済的な負担も大きいため、がん患者の社会的活動を後押しする支援策として、ウイッグ等の購入費助成が盛り込まれたという点につきましては評価をいたすところでございます。  しかしながら、がんの診断を受けたとき、本人や家族は、治療に関すること、今後の生活などの様々な不安を持つことが想像され、このような中でもアピアランスケアを必要とする人に情報が届くよう、しっかりと周知を行っていただきたいと考えます。  そこで、質問ですが、費用助成は来年度当初の4月から対象となるのか、また、診断日も来年度の必要があるのか等、事業の開始時期と、その市民への周知についてお伺いをいたします。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  ウイッグ等購入費用助成事業の開始時期と市民周知についてでございます。  まず、助成の対象でございますが、診断された時期や治療を始めた時期は問わず、令和6年4月以降に購入いたしました対象品目を助成対象とし、申請の受付体制が整い次第、6月頃から申請書の受付を開始する予定でございます。  周知につきましては、がん診療拠点病院をはじめ、市内の各医療機関から患者さんに周知をいただくとともに、公式ホームページや広報さっぽろ等、様々な媒体を通じて広く周知に努めてまいりたいと考えております。  本事業を通じまして、がん治療に伴う外見変化でつらさを抱えている方の苦痛が軽減され、社会生活の中でその人らしく過ごせるよう支援をしてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  先ほど、一番初めの質問で、想定人数について質問をさせていただいたわけですが、要望といたしまして、一つは、予想を上回る応募者が出た場合です。  その場合は、ぜひとも予備費の活用も検討をしていただいて、必要とする全ての方に支援が行き届くようにご検討いただきたいということでございます。  また、将来的にはですけれども、支払いは償還方式というものではなくて、介護などでも行っております受領委任払い等も検討していただいて、利用者の負担軽減を図っていただきたいということでございます。  ウイッグに寄せられている声というのは、世代によってニーズは多様でございます。  例えば、レンタルで何種類も使えるようにしてほしいという若い方の意見があったり、ある程度年齢のある方につきましては、しっかりとした高価なものを望むという声も伺っております。  また、乳房補正具、パットも幅広い種類があることから、多様なニーズに応えられる制度となるよう検討していただくことを求めまして、この質問を終わります。  次に、成人を対象とした予防接種の周知についてお伺いいたします。  成人を対象とした予防接種の高齢者肺炎球菌ワクチンの定期予防接種の周知についてお伺いをいたします。  肺炎球菌ワクチンは、市内において65歳以上の高齢者等の対象者が、定期予防接種として自己負担4,400円で接種を受けられるワクチンです。  特に、高齢の方におきましては、肺炎は重症化する場合もあり、健康維持において肺炎の予防は重要なものであり、肺炎球菌感染症の発症、重症化の予防において、ワクチンの接種が有効な手段の一つであるということはよく知られているところでございます。  我が会派の好井議員が、令和4年第3回定例会決算特別委員会において、肺炎球菌ワクチンの定期予防接種の周知における課題や市民から寄せられる声などについて質問をさせていただいたところであります。  札幌市におきましては、対象年齢が5歳刻み、かつ、学年刻みであることや、過去に一度でも接種した方は定期接種の対象とはならないなど、対象の定義が複雑であるといった市民の声があり、また、肺炎の予防という点で新型コロナウイルスワクチンと混同される場合があることから、周知の方法を工夫していくとのことでございました。  対象年齢について、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種本来の対象者は65歳の方であるが、平成26年10月に定期予防接種となった当時、接種を受けていない方へ接種機会を提供するため、全国一律に令和5年までに経過措置として5歳刻み、学年刻みでの対象年齢の設定がなされたものと認識いたしております。  令和5年度末でこの経過措置が終了し、令和6年度からは本来の対象者である65歳の方となるという転機を迎えるところであります。  そこでまず、課題を踏まえた令和5年度における周知の取組について確認させていただきます。  高齢者肺炎球菌ワクチンの経過措置の最終年度である令和5年度において、どのように市民周知を行っているのか、お伺いをいたします。 ◎山口 感染症担当部長  令和5年度における高齢者肺炎球菌ワクチンの周知についてお答えいたします。  令和5年度は、前年度の周知を経て認識した課題であります他のワクチンとの混同や、定期接種の対象の定義が複雑であるという点を踏まえ、より分かりやすく伝わるよう周知に取り組んでまいりました。  他のワクチンとの混同が起こりやすい点につきましては、対象となる方へのお知らせを発送する際に、封筒の表面に新型コロナワクチンとは別のワクチンである旨を大きく記載するように工夫を加えました。  また、対象の定義が複雑であるという点につきましては、個別通知に加えて、広報さっぽろ2月号のお知らせ欄を活用し、対象について広くお知らせいたしました。
     広報さっぽろをご覧になってのお問合せも保健所にお寄せいただいているところであり、周知の効果だと認識しているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  定期接種の開始からこれまでの経過措置期間における周知により、5歳刻み、学年刻みでの対象者についての周知が浸透をなされたものと考えます。  一方で、対象者の経過措置が令和5年度いっぱいで終了するに当たり、令和6年度からは、年度内に65歳を迎える方ではなく、現に65歳にある方が対象になるということであります。  平成26年10月に定期接種を開始してからおよそ10年間、5歳刻み、学年刻みという制度についての周知がなされているゆえ、このたびは、65歳にある方という対象者に変わるということについて、混乱が生じないように市の対応を願うところであります。  対象者へのお知らせが肝要であるというところに尽きますが、これまでの周知のノウハウの蓄積なども踏まえて、分かりやすいお知らせを期待するところであります。  そこで、令和6年度、肺炎球菌ワクチンの定期接種について周知をどのように進める予定であるのか、お伺いいたします。 ◎山口 感染症担当部長  令和6年度における周知の取組の予定についての質問にお答えいたします。  高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象となる方が、これまでの学年刻みと異なり、65歳の方であることを広くお知らせするとともに、対象の方へ時機を捉えて案内をお送りすることが重要と認識しております。  このため、広報さっぽろ、ホームページに加えまして、接種を実施する医療機関等にご協力をいただき、ポスターを掲示するなどにより、広くお知らせを実施してまいります。  あわせて、対象となる方への案内の送付におきましては、これまでは一斉に発送していたところ、対象となる方それぞれの65歳の誕生日に合わせてお知らせがお手元に届くよう、発送時期を調整してまいります。 ◆丸山秀樹 委員  最後に、要望をさせていただきます。  肺炎球菌ワクチンにつきましては、令和6年度以降も対象者に接種を検討いただけるよう、円滑な周知をお願いしたいと思います。  また、成人における疾病を予防するという点で、肺炎球菌のほかにも、高齢者インフルエンザワクチン定期接種などについても、分かりやすい周知を期待するところであります。  さらに、定期接種ではありませんが、成人を対象としたワクチンである帯状疱疹ワクチンの任意接種について、接種を望む方の声を数多く私たちもいただいているところであります。  また、このことについては代表質問の中でもお話をさせていただきました。  接種経費が高額であることから、接種を受けるかどうかの判断に少なからず影響しているものというように考えており、ワクチンでの発症や重症化が予防できる疾病であるがゆえに、接種を望む方において経費の負担感がより少なく受けられる体制について、かねてから要望もさせていただいておりますが、どうか、他の自治体の動向や帯状疱疹ワクチンに関する最新の知見等も把握していただきながら、帯状疱疹ワクチンの接種経費の負担軽減につきましても検討していただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、小児慢性特定疾病児童等自立支援費と歯科口腔保健推進費の2項目について伺います。  まず初めに、小児慢性特定疾病児童等自立支援費について伺います。  小児がんや心臓の病気などの慢性疾患を抱え、常に治療と向き合っている子どもたちが安心して学び、進学や就職などに希望を持ち、将来において社会的に自立できる環境を整えることは、子どもの権利の観点からも大変重要と考えます。  国は、慢性的な疾患を抱え、長期にわたり療養を必要とする児童等の健全育成及び自立促進を図るため、児童福祉法を2014年に改正し、これまでの小児慢性特定疾病の医療費助成に加えて、自立に向けた相談支援事業などの自立支援事業が制度化されました。  さらに、昨年10月には、そのうち、学習支援等の任意事業が努力義務化されております。  本市においては、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている子どもが約2,000人いますが、そのうち7割は、障害福祉サービスや医療的ケアは受けていないものの、自立に向けた支援を必要としている状況にあります。  2023年第2回定例市議会において、我が会派から、このような慢性疾患を抱える子どもたちへの支援について質問したところ、昨年実施したアンケート調査では、長期の入院等に伴う学習の遅れや就労に対する不安、心身の状態に合った支援が必要との声が寄せられている、慢性疾患を抱える子どもの自立にとっては、不安に寄り添い、支援を充実させることが重要であると認識することから、総合的な相談窓口を設置し、学校等の関係機関との連携した支援を行うなど、専門家の意見を聞きながら鋭意検討を進めていくとの答弁がありました。  このたびの新年度予算で小児慢性特定疾病児童等自立支援費が新たに計上されましたが、我が会派が求めてきたことであり、評価し、その事業に期待をするところです。  そこで、質問ですが、この事業は、相談窓口を含めてどのような枠組みで実施する予定なのか、伺います。 ◎西村 ウェルネス推進担当部長  ただいまご質問のございました小児慢性特定疾病児童等自立支援費について、私からお答えいたします。  事業の枠組みについてのお答えでございますが、自立に向けました様々な相談に応じる相談窓口を、医師、看護師、保健師など多職種による支援が可能である医療機関に設置することを予定し、関係者と現在調整を進めているところでございます。  また、この窓口を核として、学校や病院などの関係機関と連携しながら相談に対応するとともに、新たな取組予定でございます長期入院中の子どもたちへの学習支援や、将来の就労に向けた支援なども組み合わせて実施することを考えてございます。 ◆たけのうち有美 委員  相談窓口を設置し、その窓口を核として、長期入院中の子どもに対する学習支援や将来の就労に向けた支援などを組み合わせて実施する予定とのことでした。  子どもたちは、病気が発覚し、治療を進める段階で、それまでの日常生活を送ることができなくなる不安が大変大きいと思います。  先ほども触れましたが、本市が2022年2月に小児慢性特定疾病を持つお子さんとその家族を対象に行った調査によると、困っていることや心配なことでは、病気に対する周囲の理解が中心にある中で、学齢期では学習面、中学生は進学、高校生では就職や進学が大きな割合を占めていました。  また、相談先については、相談先がないと回答した人の約6割が相談先を知らず、また、相談先で困ることとして、病院や学校などの関係機関をつなぐ調整や橋渡しをしてくれる窓口がない、医療、就学サービス等で相談先が分かれており、総合的に相談できる窓口がないという回答が上位を占めていました。  また、我が会派に届いている当事者の声として、病気になった年齢や時期によって子どもの困りは様々であり、現在の生活や学習の遅れなどに対する不安解消のためには、単に学習支援をするだけではなく、年齢に合わせた、特に就職や進学など節目を見据えた、少し先の自分の生活をイメージできる情報提供や、経験者との交流なども併せて必要であるなどがあります。  この事業の推進に当たっては、これらの声にしっかりと応えられるよう進めていくことが必要であると考えます。  そこで、質問ですが、この事業を実施するに当たり、どのような点に留意して事業を進めていくのか、伺います。 ◎西村 ウェルネス推進担当部長  ただいまご質問のございました事業実施における留意点についてお答えいたします。  病気による心身の症状や生活環境など、不安を抱える子どもたちが置かれている状況は様々であるため、一人一人に応じたきめ細やかな支援が重要であると認識してございます。  そのため、主治医、学校など、関係機関との連携や橋渡しを丁寧に行い、事例を一つ一つ積み重ね、その事例を関係機関で共有することで、子ども本人やご家族の様々な不安や困り事に応じた支援につなげてまいりたいと考えてございます。  加えて、同じ疾病を持った少し先輩の話を聞く機会を設けるなど、自分の将来を具体的にイメージしてもらえるような取組も併せて検討してまいりたいと考えてございます。 ◆たけのうち有美 委員  留意する点として挙げられた一人一人に応じたきめ細やかな支援は、子どもにとって大変重要です。何歳で病気になったのかなど、状況の違いで支援の方法も変わってきますし、関わる機関も変わったり、増えたりすると思います。  それらの多くの関係機関が連携すること、橋渡しが丁寧にされること、その事例を積み重ねていくことが、常に治療と向き合っている子どもたちが安心して学び、進学や就職などに希望を持てることにつながると考えます。  本市がこの事業に取り組むことを心待ちにしていた子どもや家族がたくさんいると思います。  そうした子どもや家族の支えとなるような事業に育てていくことを期待して、この質問は終わり、次の質問に移ります。  次に、歯科口腔保健推進費について、4点伺います。  初めに、子どもの歯と口の健康を守るための取組について伺います。  生涯にわたる歯と口の健康づくりは、おいしく食事を味わい、会話を楽しむなどといった、健康で豊かな生活を送る上で重要な役割を果たしていることは、誰もが理解するところです。  札幌市は、これまでも、子どもから高齢者まで誰もが歯と口の健康を保ち、生き生きと暮らせるよう、市民の歯科口腔保健の取組を推進してきました。  このたび、第2次札幌市生涯歯科口腔保健推進計画〜さっぽろ8020推進プラン(前期計画)〜を策定し、誰一人取り残すことのない歯科保健医療サービスの提供体制を目指すとしており、新年度予算では、歯科口腔保健対策の実施及び8020運動の推進が計上されています。  11月30日の厚生委員会において、保護者が虫歯予防に対する正しい知識を持つために、次期計画でどのように取り組んでいくのかという我が会派からの質問に対し、子どもの虫歯予防については、適切な食習慣、歯磨きによる口腔清掃、フッ化物の応用の三つを組み合わせて実施することが大変重要、また、保護者に対して正しい知識の普及に努めていくことは大変重要との答弁がありました。  虫歯予防のみならず、子どもの歯と口の健康を守るためには、何よりも家庭や保護者へのサポートを十分に行っていくことが重要であると考えます。  そこで、質問ですが、子どもの歯と口の健康を守っていくために、具体的に新年度にどのような取組を行っていくのか、伺います。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  子どもの歯と口の健康を守るための具体的な取組についてお答えいたします。  保護者に対する指導の内容につきましては、現在、乳幼児健診や虫歯予防教室などの機会を活用いたしまして、年齢や口腔内の状況に応じて、各区の歯科衛生士により、適切な食習慣や保護者による仕上げ磨きの指導等に取り組んでいるところであります。  子どもの虫歯予防には、適切な食習慣、歯磨きによる口腔清掃、フッ化物応用の三つを組み合わせて実施していくことが重要であることから、市のホームページや小学1年生に配付をしておりますリーフレット等を通じて、保護者や児童に虫歯予防の正しい知識を啓発しているところでございます。  これらの取組に加えまして、来年度からは、厚生労働省や専門学会が有効性と安全性が確立した虫歯予防事業としてその実施を推奨しております、フッ化物洗口のモデル実施を小学校で予定しているところでございます。 ◆たけのうち有美 委員  次年度予算の中で、小学校におけるフッ化物洗口モデル実施をするとのことでした。  我が会派としては、子どもたちの歯と口腔の健康を守ることは大変重要と考えており、フッ化物だけではなく、適切な食習慣、歯磨きによる口腔清掃が大切であり、いかに家庭へのサポートができるかが大変重要と考えます。  11月30日の厚生委員会において我が会派から指摘しましたが、フッ化物応用の利用だけをしていれば虫歯にならないと保護者が誤解をしてしまい、毎日の食習慣や歯磨きなどがおろそかになってしまうことが危惧されます。  また、我が会派は、今回の計画の基となる歯科保健条例制定時の2022年第2回定例市議会の厚生委員会の中で、フッ化物洗口実施により教職員への負担がかかることはあってはならないと申し上げています。  子どもに向き合う時間の確保が課題となっている現在、教職員に負担がかかるということは、その時間の確保が難しくなり、子どもへの対応にも影響が出てしまうことを意味します。  モデル事業の学校数は4校だと聞いています。  大多数の小学校が応募は難しいと考えている現状は、学校現場がフッ化物洗口を受け入れる状況にはないことが分かります。  そのような厳しい状況の中で行われるフッ化物洗口モデル事業に関して、児童、保護者への丁寧な説明を行うとしていますが、フッ化物に不安を感じている保護者もいることから、児童、保護者がメリット、デメリットを含めてしっかりと理解した上で、希望するか、しないかを選択できるようにすべきと考えます。  そこで、質問ですが、フッ化物洗口について、児童、保護者への説明をどのような内容で行うのか、伺います。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  フッ化物洗口の児童、保護者への説明についてでございますが、保護者に対しましては、フッ化物洗口の虫歯予防効果や安全性のほか、実施頻度、実施後の注意事項、また、腹痛等の急性中毒症状を起こし得る過剰摂取を生じさせないための取組、そして、実施するか否かにつきましても、あくまでも保護者の選択によることを説明してまいります。  保護者や児童への説明につきましては、多くの保護者が集まる機会を活用し説明を行うことや、説明資料の作成などにつきまして、今後、モデル事業の実施を予定しております小学校と協議をしてまいる予定でございます。 ◆たけのうち有美 委員  フッ化物の効果だけを訴え、家庭での食習慣や歯磨きがおろそかになることのないよう、丁寧な説明と、疑問があった場合の対応を学校だけに任せず、責任を持って行政が対応することを求めます。  次に、学校教職員の負担軽減の具体について伺います。  学校に発出された文書では、可能な限り教職員の負担にならないよう外部人材を活用して実施する予定、外部人材の活用等により学校教職員の負担軽減等に配慮と記載されています。  先ほども述べましたが、教職員の負担は教育活動への影響が大きいことから、教職員の負担軽減は大前提であると考えます。  そこで、質問ですが、教職員の負担にならないように、学校教職員の負担軽減等の配慮について、具体的にどのような対応を行うのか、伺います。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  フッ化物洗口の実施に当たっての教職員への負担軽減のための配慮についてお答えいたします。  既にフッ化物洗口を実施しております他都市におきましては、フッ化物洗口の実施手順のうち、薬を水に溶かす洗口液の作成や器具の後片づけなどにつきまして、教員が実施をしている場合もございますが、一部自治体では、これらの業務に外部人材を活用している例もありますことから、本市のモデル事業におきましては、業務委託での対応を予定しているところでございます。  具体的な実施内容につきましては、モデル校と丁寧な意見交換を行いながら、学校教職員の負担軽減に配慮してまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  外部人材の活用については、業務内容の徹底と十分な人数を配置していただきたいと考えます。  また、緊急時のマニュアルや本市としての手引等の作成なども、学校任せにせず、責任を持って行政が作成するなどの対応も求めたいと思います。  次に、家庭が歯科医につながる方策について伺います。  歯と口の健康は決して齲歯がないことだけが望ましいわけではなく、歯周病、清掃状態、歯並びなども含まれると考えます。  私も、30年間学校で歯科検診を実施してきましたが、虫歯がなくても、歯肉や清掃、歯並びの状態が著しくよくないケースも見てきました。  やはり、学校でのフッ化物洗口だけに頼るのではなく、各家庭が歯科医につながり、歯肉や清掃、歯並びも含めて、定期的に歯と口の状態を見てもらうことができるようにすることが、歯と口の健康を守るためには最も大切であると考えます。  そこで、質問ですが、子どもの歯と口の健康には、フッ化物洗口だけに頼るのではなく、多くの家庭が歯科医による定期的なチェックにつながるような方策が重要と考えますが、どのように取り組むのか、伺います。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  子どもの歯と口の健康のため、歯科医師による定期的なチェックにつなげるための方策についてお答えいたします。  多くの子どもたちが早期から歯科医師による定期的なチェックを受けることは、歯と口腔の健康維持に大変重要と認識をしてございます。  札幌市生涯歯科口腔保健推進プランにおきましても、かかりつけ歯科医を持つ人を増やすことを重点施策の一つとして掲げ、乳幼児健診や虫歯予防教室などにおきまして、保護者に対しまして、かかりつけ歯科医を持つことの重要性について、普及啓発に努めているところでございます。  今後もこれらの取組を継続するとともに、歯科医師会や関係団体と連携した、歯と口腔の健康に関するイベントの開催、また、広報さっぽろ等の情報媒体も活用しながら、引き続き、かかりつけ歯科医を持つことや、歯科検診の重要性の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  今回のモデル事業の実施は3年間行われると聞いております。  保健所と教育委員会のそれぞれの役割など、まだ明確になっていないことや、モデル校と詰めなければならないこと、決まっていないことも多いと聞いています。  フッ化物洗口にかかる数十分を、週1回とはいえ、年間通してタイトな日課の中で、どこで生み出すのかというのも大変重要な問題と考えます。  まずは、きちんと評価のための指標を作成し、丁寧に検証し、拙速に次の段階に進むことのないよう求めたいと思います。  札幌8020プランでは、10本以上の虫歯がある、いわゆる口腔崩壊について、次のように書かれています。  「歯科疾患の発生要因は、虫歯の原因菌とそれに関する食習慣やブラッシング習慣といった生物学的要因と、貧困や家庭環境などの社会的決定要因があります。時間的、経済的な余裕がないため、低所得者ほど歯科受診をしない、幼少期に虐待を受けた高齢者は残存歯数が少ないとの調査報告があり、社会的決定要因による口腔の健康格差は自己責任で解決することが困難です。」だからこそ、学校にフッ化物洗口を入れるなど、学校に頼るのではなく、一人で多くの虫歯を持つ子どもなど、サポートが必要な家庭とどのようにつながっていくかを保健所が中心となって考えていく必要があると考えます。  また、プランでも、全国での順位や全国平均との比較、本市の子どもたちの歯の状態について取り上げています。全国平均との比較などは、ある程度の目安とはなるかもしれませんが、今の子どもたちは、学力テストで学力を比較され、体力テストでは体力を比較され、そして、歯の健康面では虫歯の数について比較されるなど、常に数値で見られ、比較をされています。  健康に関しては、子どもの健康を守るのはもちろん大人の大切な役割ではありますが、大人の物差しで比較するのではなく、順位や平均値を上げるためではなく、子どもたちが自分の体に興味を持ったり、考えたり、守ることができるよう、札幌8020プランが本市として、一人一人の子どもたち、そして、家庭をサポートできる施策となるよう求めて、私からの全ての質問を終わります。 ◆熊谷誠一 委員  私からは、救急医療DXと初回産科受診料の助成支援について、順次質問をさせていただきます。  初めに、救急医療DXについて、2点お伺いいたします。  札幌市の救急医療体制は、平成16年に構築されて以来、大幅な見直しは行っておりませんでしたが、昨年度、札幌市医師会や市内の救急医療機関とともに救急医療体制検討委員会を設置し、課題解決に向けた協議を進めていたことは承知しているところでございます。  この救急医療体制検討委員会での提言の中には、救急医療見える化システムの導入が含まれており、昨年度の予算特別委員会において、我が会派からその意義するところについて質問したところでもございます。  システムの導入により、限られた医療資源をさらに効率的に活用することは、我が会派としても非常に大きな意味があるものと受け止めており、全国的に見ても、札幌市のような大規模な都市で本格的に導入した例はあまりないことから、モデルケースになることを期待しているところでもございます。  本システムは、先月の2月19日からいよいよ本格稼動されたと聞いており、我が会派として以前から注目してきたことからも、大変感慨深く感じているところでもございます。  システムの本格稼働により、救急要請から救急医療機関への搬送については効率化されると思われますので、今後の実績等については、しっかり注視してまいりたいと考えております。
     一方、救急医療体制検討委員会では、救急医療機関の後方支援体制についても議論されており、救急医療機関から後方支援医療機関への転院調整に関する支援が重要であると提案されたとも伺っております。  札幌市では、救急医療見える化システムのほかに、転院を支援する別のシステムを同時に開発していると聞いておりますが、この転院調整支援システムの概要と導入の意義についてお伺いしたいと思います。 ◎高田 医療政策課長  転院調整支援システムの概要及び意義についてお答えいたします。  転院調整支援システムは、救急医療機関に搬送され、症状が安定した後も継続的な療養が必要な患者の転院調整を円滑化するためのシステムでございます。  具体的な機能といたしましては、転院の依頼を受ける医療機関の空きベッドの数や対応可能な傷病名、自立度などを登録し、また一方、転院を依頼する側の医療機関は、この情報を基に転院先の医療機関の検索が可能となります。  本システムの導入により、空きベッドの数など、転院調整に必要な情報が適時適切に共有することができるようになるため、医療機関の負担を大幅に軽減できると考えているところでございます。 ◆熊谷誠一 委員  本システムにおける具体的な機能、狙いや意義については理解させていただきました。  救急医療の需要は、札幌市の高齢者人口が2040年代まで増え続けることが予測されており、今後ますます増大していくことから、医療機関の連携の重要性を改めて痛感しているところでもございます。  今回お尋ねした転院調整支援システムや、昨年度、我が会派から質問した救急医療見える化システムなど、札幌市は、救急医療のDX化の取組を進め、今回、二つのシステムが導入されることになったわけでございますが、これらのシステムを活用することで、どのようなアウトカムにつながっていくのかが非常に重要であると考えるところでございます。  そこで、質問でございますが、救急医療がDX化されることでどのような成果を期待しているのか、お伺いいたします。 ◎高田 医療政策課長  救急医療のDX化でどのような成果が期待されるかということについてお答えいたします。  救急医療のDX化により、救急医療機関とそれ以外の医療機関が有機的に連携し、市内の医療機関が一体となって救急医療を担う体制が構築されると考えております。  これによって、限られた医療資源を最大限有効に活用することにつながるとともに、患者が治療の各段階に応じて適切な医療を受けられる環境が整うことになります。  札幌市といたしましては、いざというときに迅速に高度な医療を受けられる医療充実都市の実現に向けて、今回開発したシステムを整備することとともに、引き続き、医療提供体制の充実にも努めてまいりたいと考えております。 ◆熊谷誠一 委員  要望を述べさせていただきます。  札幌市の救急医療の連携体制が一層充実することが期待できるということでございましたので、これは高く評価させていただきたいと存じます。  新年度早々にも予定されている診療報酬の改定においても、高齢者の救急患者等に対する体制整備や初期診療後の救急患者の転院搬送に対する評価が新設されるなど、今回の取組は、国が目指す方向性とも合致しており、真に時宜を得たものと受け止めております。  システムは、開発、導入することがゴールではなく、これによって得られたデータを分析し、救急医療体制の見直しを継続して検討していくことが非常に重要であることから、ぜひとも、今後も不断の努力、また、見直しをしていただきながら、このシステムをさらによきものにしていただきたいということをお願いし、次の質問に移らせていただきます。  次に、初回産科受診料の助成支援についてお伺いいたします。  安心して子どもを産み、子どもが健やかに育つ社会をつくるためには、地域や家庭環境などの違いにかかわらず、全ての妊産婦や乳幼児が充実した母子保健サービスを受けられることが大変重要でございます。  妊婦期においては、母親の健康状態や赤ちゃんの発育状況を定期的に把握し、異常の早期発見を行うとともに、異常が見つかった場合には、早期に適切な治療や支援につながるよう、全ての母子が妊婦健診を受けられる体制を整備することが急務でございます。  特に、予期せぬ妊娠をした方は、困難な事情や経済的な問題等から、一度も医療機関を受診しないまま自宅で出産後に乳児を遺棄してしまうといった痛ましい事件に至ってしまうこともあるため、困難な事情を抱えた方にもしっかりと支援が行き届くよう体制を整備していくことが求められます。  本市においては、かねてから我が党が実施を訴えてきた妊娠SOS相談事業について、令和6年度から北海道と共同運営で、妊娠葛藤に関わる相談と居場所支援を一体的に実施するよう体制を整備されたところですが、この取組は、支援が行きにくい方々を支援につなぐ頼みの綱になるものとして評価をしているところです。  国においては、予期せぬ妊娠などにより、身体的、精神的な悩みや、不安を抱えた若年妊婦等が身近な地域で必要な支援を受けられるよう、SNS等を活用した妊娠SOS相談事業等の実施に加え、特定妊婦への初回産科受診料助成事業について、市町村における体制を整備するよう示しているところでございます。  この事業は、主に特定妊婦等と疑われるものを支援対象とし、初回の産科受診料の助成をすることのみならず、確実に医療機関への受診につながるよう、初回の医療機関への受診の際に保健師等の専門職が同行支援を実施することを求めています。  妊娠SOS相談事業の開始と併せて、様々な困難を抱える妊婦の方を対象とした初回産科受診料を助成する事業を、本市の取組として令和6年度から実施することとしたことに大変期待をしているところでございます。  そこで、質問でございますが、初回産科受診料助成事業はどのように実施するのか、お伺いいたします。 ◎山口 保健所長  初回産科受診料助成事業の実施についてお答えいたします。  妊娠SOS相談事業や区への相談等を通じて、保健師等が予期せぬ妊娠をされた方などの相談に乗り、初回産科受診料助成事業について説明をし、利用についての意向を丁寧に確認いたします。  事業の利用を希望された方につきましては、妊娠の有無を確認するため、各区保健センターで妊娠検査薬を用いて検査を行い、妊娠している可能性がある場合には、受診先について調整を行います。  医療機関への受診につきましては、保健師等が受診の同行支援を行うとともに、本人の気持ちをよく踏まえて、その後の継続した支援につなげるようにしてまいります。 ◆熊谷誠一 委員  本事業が、経済的な助成のみならず、様々な困難を抱えた方が安心して利用できる体制であることは理解させていただきました。  誰にも相談できずに、妊娠したかもしれないと不安を抱える方が、妊娠早期から医療機関への受診につながり、保健師や医療機関等への支援を受けながら妊娠という事実に向き合い、解決していく方法を考えていけるようになることは、まさに今、支援の手が届いていない方々にとっての命綱となるものです。  妊娠葛藤を抱える方は、生育歴に虐待や暴力の問題を抱えていたり、また、母親自身に知的な障がいや精神疾患の問題等を重複して内包していることが多く、その後の支援においても困難を伴うことが少なくありません。  また、経済的な問題から居場所を転々とすると、その後の支援においても困難を伴うことが多いため、問題の解決に当たっては様々な支援機関との連携が重要となってくるものと思われます。  そこで、質問ですが、初回産科受診料助成事業を利用した方について、どのような支援につないでいくのか、お伺いいたします。 ◎山口 保健所長  初回産科受診料助成事業を利用した方について、どのような支援につなげていくかについてお答えいたします。  初回産科受診料助成事業につきましては、様々な困難を抱える方の利用が多いと考えられるため、関係機関と密な連携が欠かせないと認識しているところでございます。  そのため、本事業の受診同行支援につきましては、各区保健センターの保健師等による支援に加えて、例えば、妊娠SOS相談事業の受託機関が受診同行支援できるような体制としているところでございます。  居場所が定まらず、居所を転々とされる方につきましては、妊娠SOS相談事業における緊急一時的な居場所支援を活用していくとともに、中長期の居場所支援につなげてまいります。  様々な困難を抱える方が安心して相談支援を受けられますよう、体制を整備するとともに、切れ目のない支援に努めてまいります。 ◆熊谷誠一 委員  最後に、要望を述べさせていただきます。  困難を抱える方はもちろんのことでございますけれども、予期せぬ妊娠をして悩む方は孤立する場合がほとんどで、また、特に20代以下の方は、その後の人生の生き方が左右されることに大きく悩んでいることが容易に推察されるところでございます。  このたびの本市の事業が少しでもそういった方々の支援にもつながることに期待するとともに、今後、相談件数や利用実態数の把握もしていくと思われますが、より事業の充実に努めることを強く求めさせていただき、私の質問の全てを終わらせていただきます。 ◆小口智久 委員  私からは、3歳児健診における視覚検査事業についてと衛生研究所の機能強化について質問させていただきます。  最初に、3歳児健診における視覚検査事業についてです。  子どもの視力の発達は、3歳から5歳がピークと言われておりますが、この時期に屈折異常や斜視などの問題が起こり、気づかずに治療が遅れると、視力が正常に発達せず、弱視となる可能性がございます。  しかし、早期発見し治療を開始することで改善できる場合が多いと言われていることから、これまで、我が会派では、3歳児健診の際に検査を行い治療につなげることが極めて重要であると繰り返し訴え、私も、令和4年の予算特別委員会で屈折検査の導入について質問をいたしました。  こうした中、令和5年第2回定例市議会において補正予算が計上され、本年の1月と2月に東区の3歳児健診で試行的に屈折検査が実施される運びとなり、先日、視察し、現場の声を伺いました。  屈折検査は、日常生活では気づきにくい片側の目の弱視等を検出するのに有用とされており、実際にこれまで行われてきたご家庭でのアンケート及び絵カードを用いた調査を行ったお子さんについてですが、異常が分からず、屈折検査を行い、精密検査が必要と判定されたことがあったとのお話をお聞きし、改めて屈折検査の必要性を強く認識いたしました。  そこで、1点目の質問ですが、東区での屈折検査の試行実施結果について伺います。 ◎山口 保健所長  東区での屈折検査の試行実施結果についてお答えいたします。  現在、東区と保健所で、今年の1月と2月に東区において試行実施した結果をまとめているところでございます。  今後、詳細な検証を行う必要がありますが、試行実施では、家庭における簡易検査だけでは全体の約6%が精密検査が必要と判定されたところでございますが、屈折検査を導入することにより、さらに約16%の子どもさんが精密検査が必要と判定されたところでございます。  今回の試行実施を受け、家庭での簡易検査と屈折検査の双方向から医療機関での精密検査と必要な治療につなげることが、子どもの視力を守ることに有用であると考えているところでございます。 ◆小口智久 委員  試行実施により、屈折検査の重要性が分かりました。  札幌市に住む全ての3歳児が屈折検査を受けられる体制を前向きに検討していただき、早期発見、治療につながることを願ってやみません。  そこで、2点目の質問ですが、札幌市における屈折検査の今後の実施拡大について、どのように進めていくのか、伺います。 ◎山口 保健所長  屈折検査の今後の実施拡大についてお答えいたします。  試行実施により、検診全体への影響や必要な体制構築などについて把握した課題を現在整理してございます。令和6年の夏までに試行実施の検証を行い、秋頃をめどに、条件の整った複数の区において先行して屈折検査を実施する予定です。  令和7年度からは全区での実施を想定してございます。 ◆小口智久 委員  令和7年度には全区で検査を行い、それに先行して、令和6年度も複数の区で実施されるということでございます。  お子さんの視力を守る上で、少しでも多くの区で屈折検査が導入されることを期待する一方、精密検査の数は増えることとなり、精密検査の実施機関には多くの方が受診されることになります。  現状でも、眼科の精密検査は予約が取れず、1か月以上先の受診となる場合があると伺っておりますが、屈折検査を拡大していく上で、精密検査を委託する医療機関の拡大が急務であると認識しております。  そこで、3点目の質問でありますが、眼科精密検査実施機関の拡大についてどのように考えているのか、伺います。 ◎山口 保健所長  眼科精密検査実施機関の拡大についてお答えいたします。  精密検査が必要とされた子どもさんが早期に医療機関を受診できる体制の整備が重要だと認識しているところでございます。  東区での試行実施の際にも、委託する精密検査実施機関を眼科クリニックにも拡大し、早期に精密検査を受けられる環境を整えたところでございます。  令和6年度以降も、全区において精密検査実施機関を増やし、必要な精密検査を受けられる環境の整備に努めてまいります。 ◆小口智久 委員  検査の結果、何もなければそれでよいと思いますが、何かあった場合、いち早く対応することが重要となります。  せっかく早期に異常が検出されても、精密検査が受けられなければ、適切な治療につなげられなくなる可能性も考えられますので、精密検査実施機関の拡充をぜひともお願いしたいと思います。  全国の3歳児健診において適切にスクリーニングできるよう屈折検査を導入し、早期に精密検査を受け、必要な治療が行えることは、未来あるお子様の視力を守ることにつながると考えます。  札幌市には、こうした環境を整えていただくことを強く求め、次の質問に移ります。  次に、衛生研究所の機能強化について質問いたします。  新型コロナウイルス感染症対策においては、市民の健康と安全を守るため、全庁の職員が一丸となり様々な対策を実施していただきましたが、その一方で、多くの課題もあったと認識しております。  今でこそ、新型コロナウイルス感染症は5類化され、日々の業務も落ち着いてきているものと思われますが、すぐに起こり得る新たな感染症のパンデミックは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を経た今、早ければ10年以内とも言われております。  したがいまして、次のパンデミックという有事に備えるためには、各所で生じた課題を分析し、事前に解決した上、早くから入念な準備と体制づくりを進める必要があるのではないかと考えます。  特に、検査については、感染症の発生段階から、国立感染症研究所との連携により、地方衛生研究所がいち早く診断につながる検査を導入することとなるため、感染症対策の入口でもある検査部門が一連の対策のボトルネックとならないよう、平時から体制を整えておかなければならないと認識しております。  そこで、質問ですが、衛生研究所では新型コロナウイルスの検査対応においてどのような課題があったのか、伺います。 ◎伊藤 衛生研究所長  衛生研究所の機能強化についてお答えいたします。  新型コロナウイルス検査対応の課題についてでございますけれども、検査可能な施設が限られまして、衛生研究所のみが対応できる流行初期には民間検査施設では検査することができず、全ての検査を引き受けざるを得ない状況が続いておりました。  その後、民間検査施設での検査ができるようになったわけでございますけれども、その後も流行が拡大し続けたことから、所内においては、検査工程の一部を応援する体制を取りましたけれども、十分な対応ができないほど検査ニーズが高まり、連日連夜の勤務が続くような状況となってしまいました。  また、PCR検査やゲノム解析といったような特殊な技能を要する検査については、技術の習得や承継において多くの手技を学ぶ必要があるため、結果といたしまして、特定の職員に負荷がかかるような状況となっておりました。  これらのことを振り返りますと、現行の衛生研究所の体制では、新型コロナウイルス感染症のような流行への対応において、大変な困難が伴ったものと認識しているところでございます。 ◆小口智久 委員  本当に限られた検査体制の中、職員の負担が大きかったということでございます。  また、このような状況については、全国の地方衛生研究所や各検査部門においても大きな違いはなかったのではないかと考えております。  こうした課題や全国の新型コロナウイルス感染症の対応状況も踏まえ、国は今後の感染症危機に向けた備えを推進し、健康危機管理体制を構築させるため、令和4年12月に感染症法を改正しました。  この改正により、国や都道府県及び保健所設置市は、感染症予防計画を策定する等、それぞれの役割に応じて、新たな感染症の流行に備えた体制の整備と機能の強化を進めていくこととなりました。  地方衛生研究所においても、改めて万全の体制を構築し、機能強化を進めていただきたいと願っております。  そこで、質問ですが、国は地方衛生研究所に対し、どのような機能強化の取組を求めているのか、伺います。 ◎伊藤 衛生研究所長  国が地方衛生研究所に求める機能強化の取組についてお答えいたします。  国は、感染症流行対策における地方衛生研究所の役割の重要性に鑑み、地域保健法などの中でその機能を強化する考えに基づきまして、地方衛生研究所の役割を法的に位置づけたところでございます。  具体的には、地方衛生研究所は人員や設備などの体制を充実させ、実践型訓練を実施するなど、健康危機に備えた検査機能を装備し、自ら検査できる体制を整えることが必要とされております。  また、状況に応じて国立感染症研究所などの国の試験研究機関や他の地方衛生研究所とともに連携することが必要とされております。  さらには、広域的で大規模な健康危機の発生に備え、試験検査を確実に実施できるよう、平時から他の自治体との意思疎通や情報共有など、連携を図ることも必要とされております。  これらのことを実践していくため、国は、地方衛生研究所に対しまして、健康危機対処計画を策定することを求めているところでございます。 ◆小口智久 委員  国は、人材育成や危機管理の一環としての実践型訓練、関係機関との連携、そして、あらゆる具体的対応のマニュアルとも言うべき健康危機対処計画等の策定を衛生研究所に求めているということでございました。  また、多くの課題の解決につながり、持続的に運用可能な計画を策定することができれば、札幌市感染症予防計画と併せ、より強固な札幌市の感染症対策が可能となるのではないかと期待をしております。  そこで、最後の質問ですが、衛生研究所は今後どのような機能強化の対策を講じていくのか、伺います。 ◎伊藤 衛生研究所長  今後の機能強化対策についてお答えいたします。
     今般の新型コロナウイルス感染症の流行への対応で顕在化いたしました専門性の高さゆえの検査体制構築の難しさにつきましては、平時から研修や訓練などを通じて人材育成を図り、検査体制を充実してまいることで考えております。  このことにつきましては、今後策定を予定している健康危機対処計画に盛り込み、課題となっている人材育成の技術の向上、他の機関との連携強化に取り組み、機能強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。  こうした一連の施策につきましては、市民の命と健康を守るべく、定期的に見直しを図りながら、実効性のある計画となるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆小口智久 委員  衛生研究所の機能強化に当たっては、この人材の育成と確保、また、BCPといったソフト面の対策に加え、国の整備事業も活用しながら、札幌市の科学的、技術的な中枢機関にふさわしい研究機関としての機能強化を図っていただきたいと思います。  私の専門である機器分析の分野では、最近、ナノポアシークエンサーという遺伝子解析ができる小型機器が開発され、十数万円の、とても安価で、そして、ポケットサイズですので、現場に持ち込み、すぐさま測定でき、また、ウイルス分野の研究も進められております。過去のコロナ対応を考えますと、すぐさま結果が出る測定というのは大変便利で、感染範囲の特定に有効であると考えます。  今後は、DNA解析する人が足りなくなるという課題もあると、衛生研究所の主任研究官からのコメントもございます。先ほどの人材育成と確保は大変重要です。BCPといったソフト面の対策と日進月歩の新技術による分析機器、解析技術など、ハード面との両面の機能強化をしっかり行い、ぜひとも市民が安心・安全に暮らすことができる体制の整備を進めていただくよう要望し、私の質問を終わります。 ○村松叶啓 委員長  以上で、第2項 こども福祉費のうち関係分等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、3月12日火曜日午前10時から、農業委員会及び経済観光局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時38分...