札幌市議会 > 2023-10-16 >
令和 5年第一部決算特別委員会−10月16日-05号
令和 5年第二部決算特別委員会−10月16日-05号

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  1. 札幌市議会 2023-10-16
    令和 5年第二部決算特別委員会−10月16日-05号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和 5年第二部決算特別委員会−10月16日-05号令和 5年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第5号)               令和5年(2023年)10月16日(月曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 32名(欠は欠席者)     委 員 長  丸 山 秀 樹      副委員長   太 田 秀 子     委   員  勝 木 勇 人      委   員  高 橋 克 朋     委   員  こんどう 和雄      委   員  こじま ゆ み     委   員  伴   良 隆      委   員  川田 ただひさ     委   員  松 井 隆 文      委   員  村 松 叶 啓   欠 委   員  村 山 拓 司      委   員  三 神 英 彦     委   員  小須田 大 拓      委   員  和 田 勝 也     委   員  福 士   勝      委   員  小 野 正 美     委   員  林   清 治      委   員  中 村 たけし     委   員  うるしはら直子      委   員  たけのうち有美     委   員  おんむら健太郎      委   員  森   基誉則     委   員  わたなべ 泰行      委   員  小 口 智 久     委   員  前 川 隆 史      委   員  熊 谷 誠 一     委   員  吉 岡 弘 子      委   員  長 屋 いずみ
        委   員  佐 藤   綾      委   員  脇 元 繁 之     委   員  波 田 大 専      委   員  山 口 かずさ     委   員  成 田 祐 樹       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時     ────────────── ○丸山秀樹 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、村松委員、福士委員からは遅参する旨、好井委員からはわたなべ委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。  それでは、議事に入ります。  最初に、第5款 経済費 第2項 農政費のうち、農業委員会関係分の質疑を行います。 ◆波田大専 委員  私からは、法人による農地の所有及び貸借について質問をさせていただき、その上で、異業種からの農業参入の拡大に向けた対応について要望させていただきます。  平成29年に策定された第2次さっぽろ都市農業ビジョンによりますと、札幌市における耕作放棄地面積の割合は、平成17年には22.2%でしたが、10年後の平成27年には30.6%と大きく増加しております。増え続ける耕作放棄地につきましては、私も元農業団体職員の一人として強い危機感を持っているところでございます。  耕作放棄地の解消に当たっては、中核的な担い手への農地の集積、集約を図ることや、新規就農の促進が重要な取組です。  そして、それと同時に、都市農業ビジョンの基本的な方向で示されておりますとおり、企業や団体など、多様な担い手として農業以外の異業種の法人による農業参入を促していくことも重要と考えます。  しかしながら、異業種の法人が農地を所有したり貸借するには様々な障壁があるとの声もお聞きするところです。法人による農地の所有及び貸借については農地法に定められており、農業委員会の許可があれば認められると伺っております。  そこで、質問ですが、法人による農地の所有及び貸借が認められる場合の要件についてお伺いいたします。 ◎石橋 農業委員会事務局長  法人による農地の所有及び貸借が認められる要件についてお答えいたします。  農地を所有または貸借する場合は、農地法に基づき、農業委員会の許可が必要でございます。まず、基本的な要件として、農地の全てを効率的に利用すること、周辺の農地利用に支障がないことが必要でございます。これに加えて、農地所有適格法人としての要件を満たす場合は、農地を所有または貸借することができます。その要件とは、公開会社ではない株式会社等であること、主たる事業が農業であること、農業関係者が総議決権の過半を占めること、役員の過半が農業に常時従事する構成員であり、役員等が1人以上農作業に従事することがございます。  また、農地所有適格法人の要件を満たさなくても農地を借りることができる要件として、農地を適切に利用しない場合に契約を解除するという条件が貸借契約に付されていること、役員等が1人以上農業に従事すること等がございます。 ◆波田大専 委員  農地所有の要件として、主たる事業が農業である、つまり、売上高の過半が農業であることなどがございましたけれども、これは農業以外を主たる事業とする異業種の法人にとっては、こうした要件を満たすことがなかなか難しいようにも思います。一方で、農地の貸借であれば、要件を満たせる異業種の法人も多いように感じました。  例えば、近年、福祉事業者による農業への参入の動きがあります。実際に市内で農地を貸借している福祉事業者の方を訪問させていただいたところ、就労継続支援B型事業所の利用者の方々が、自然あふれる農場で汗を流しながら笑顔で生き生きと農作業に取り組まれる光景がありました。園芸療法という言葉もありますとおり、やはり、農業には、健康の増進や精神的なストレスの軽減、コミュニケーションの促進など、福祉的な側面からも様々な効用があるものと実感をいたしました。  こうした福祉事業者が農業に参入するに当たり、社会福祉法人の場合は、例外的に農地の所有、貸借が認められる場合があると伺っております。  そこで、質問ですが、それはどのような要件であるのか、お伺いいたします。 ◎石橋 農業委員会事務局長  社会福祉法人における例外的な取扱いについてお答えいたします。  社会福祉法人社会福祉事業に係る業務の運営に必要な施設の用に供する場合は、農地所有適格法人でなくても、農地を全て耕作する等の要件を満たせば農地を所有または貸借することができます。 ◆波田大専 委員  社会福祉事業の運営に必要な農園として利用するための農地の取得であれば、例外的に要件が緩和されることを理解いたしました。  しかしながら、仮に農業委員会で農地の所有や貸借が認められたとしても、その農地の上に福祉施設などの建物を建てるとなると、また別の障壁があるとも伺っております。農地の多くは市街化調整区域にあるものと認識しておりますが、市街化調整区域に建物を建てるとなりますと、都市計画法に基づく開発許可が必要となり、所管する都市局にお聞きしましたところ、札幌市では、たとえ福祉施設であっても市街化調整区域に建物を建てることはできないということでした。  このため、先ほどの福祉事業者の方は、市街化区域にある事業所から、毎日、車で数十分かけて農場まで利用者の方を送迎しており、農場に休憩ができる場所もなく、必要な資材や収穫した作物を農場に置いておくこともできないため、非常に不便で苦労しているとのことでした。  一方で、新潟市など、自治体によっては、市街化調整区域であっても農地の上に福祉施設を建てることが認められ、既に実現している事例もあります。札幌市では認められないことがほかの自治体では認められることがある。これは、やはり、要件としては農地法や都市計画法で定められているものの、そこには、やはり解釈の余地があり、最終的には個別の事例ごとに農業委員会や開発審査会の裁量で判断するためと認識しております。  これらのことを踏まえまして、最後に2点、複数の部門にまたがる全庁的な要望をさせていただきます。  まず一つは、こうした福祉事業者の農業参入に当たり、組織横断的なワンストップの相談窓口を設置することです。そして、もう一つは、本件に関して全庁的な基本方針を示す計画の策定です。  これまで申し上げましたとおり、農地の所有や貸借により福祉施設を建設するに当たりましては、農業委員会の許可のみならず、都市局による市街化調整区域における開発許可が必要となる場合がございます。さらに、その後も農地を宅地等に変更するための農地転用許可が必要となり、これは北海道知事が許可をするものです。そして、もちろん、福祉施設であれば指定申請が必要となり、保健福祉局にも関わります。  このように、あまりにも関係先が多岐にわたり過ぎて、農産業を検討する事業者からは、結局できるのかできないのかよく分からない、そして、どこに相談すればいいのか分からないとの声があり、参入の検討が妨げられている現状もございます。  兵庫県三田市など一部の自治体では、既にこのようなワンストップの相談窓口が設置されておりますことから、ぜひ札幌市でも設置の検討を進めるべきと考えます。  そして、やはり、農政部や農業委員会だけが仮に前向きに取組を進めましても、ほかの関係部局で必要な許可が出なければ参入は進まないわけです。そのためにも、札幌市全体が同じ方向を向いて取組を進められるよう、その根拠となる全庁的な計画策定が必要と考えます。  このような福祉事業者による農業の参入は、増え続ける耕作放棄地の解消のみならず、秋元市長が目指すウェルネス、ユニバーサルのまちづくりにとっても極めて重要と考えます。  その実現のために、ぜひ組織横断的なワンストップ相談窓口の設置や計画の策定などにより、農業参入に意欲を示す福祉事業者の方々を後押しするような体制構築を関係部局でご検討いただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○丸山秀樹 委員長  以上で、第2項 農政費のうち、農業委員会関係部分の質疑を終了いたします。  次に、第1項 商工労働費の質疑を行います。 ◆佐藤綾 委員  私からは、定山渓の魅力アップ構想に関連して、3点質問いたします。  2015年から2024年を期間とした定山渓観光魅力アップ構想は、まちづくり戦略ビジョンから産業振興ビジョン観光まちづくりプランを上位計画として策定され、それを基に、定山渓周辺の温泉施設や観光スポットなどの整備、維持管理に地域と市が連携し、地元の事業者、観光協会の皆さんとイベントや周辺環境整備なども進めてきたところです。  初年度の2015年度は800万円だった予算額を徐々に増やし、2020年度からは年間2億円を確保してきました。  定山渓観光魅力アップ構想は、計画開始から丸8年となりました。基本方針と主な取組を掲げ、公園など交流拠点とトイレなどの整備、イベントの支援、出店への支援や新しい魅力エリアの創出などを進めてきたところです。  そこで、お聞きいたしますが、これまでの取組の到達点と効果についてどう認識されているのか、伺います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  定山渓観光魅力アップ構想のこれまでの取組と効果についてご答弁申し上げます。  定山渓観光魅力アップ構想では、定山渓の魅力アップに向けまして目指すべき将来像や方向性を描き、地域と札幌市が一体となって取り組んでいくこととしております。これまで、構想に基づき、温泉街らしさやにぎわいづくりの観点から、民間事業者による新たな誘客エリアの造成や、定山渓ネイチャールミナリエなどの集客イベント、アクティビティコンテンツの造成などの支援のほか、老朽化した湯の滝や二見公園のトイレの再整備を行いました。加えて、担い手育成の観点からは、エリア内で働くホテルの従業員などが定山渓に関する基礎知識を身につけ、来訪者への案内の充実を目指す定山渓検定などの取組を実施いたしました。  これらの取組によりまして、構想を策定した平成27年度と比較しますと、集客イベント体験型メニューの充実に加え、従事者のレベルアップによるホスピタリティーの向上などにより、定山渓の温泉観光地としての魅力は着実に向上しているものというふうに考えてございます。 ◆佐藤綾 委員  多くの進んだことがたくさんあったというふうに感じておりますけれども、やはり、定山渓観光魅力アップ構想は、本市が定山渓観光協会をはじめ地元事業者の皆さんとつながって、何に困っていて、どういう支援が必要かとお聞きし、相談し、そのための予算を検討して、地元の皆さんと一緒に進めてきました。そうしたつながりで市と地元の関わりが深くなったことも大きな財産となったのではないかと感じております。  コロナ禍には、一時休業や、職員も待機、離職などもあり苦労があったと聞いております。宿泊客も激減し大変でしたが、昨年度はコロナ禍以前の7割まで戻り、今年も昨年を上回り戻ってきているとお聞きしております。  定山渓の23施設のうち、4館がここ5年に新設され、アクティビティーも充実してきており、今後も期待するところです。  インバウンドも戻りつつありますが、札幌の定山渓ですから、国内観光客、札幌近郊からも楽しんでもらいたいと思っております。一度来たらリピーター、ファンが増える、また行きたいと思える観光地であることが重要だと思います。  昔の定山渓のイメージとしては温泉だけでしたけれども、これまでの取組で、先ほどもお話がありましたように、アウトドア、カヌーなどのアクティビティーのほかに、桜や紅葉など、今はちょうどかっぱバスも周遊しておりますけれども、そういう季節ごとの景色を楽しみながらの散歩や遊歩道散策、夏にはかっぽんラリー、冬には二見公園、先ほどありました二見吊橋のイルミネーションやプロジェクションマッピングで楽しめるネイチャールミナリエや、定山渓神社の雪灯路では、ろうそくの明かりが周囲の雪と氷の器に入って幻想的な世界観が広がるなど、温泉宿泊客はもちろん、日帰り客も楽しめるイベントも充実してきました。  地元食材を使った飲食店やスイーツの店なども増え、観光に来る若い世代も大変増えたとお聞きをしております。  魅力アップ構想の基本方針には駐車場の整備も含まれており、2019年から定山渓集客交流拠点施設整備を進めた際にはイメージ図もありました。しかし、具体化されておらず、国道が拡幅されて片側2車線の4車線となり、車も通りやすくなったところですが、イベント時などは、特に駐車場が不足して道路が混み合うこともあるということです。  そこで、お聞きをいたしますが、定山渓地域の駐車場の整備について認識を伺います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  定山渓の駐車場についての認識につきましてご答弁申し上げます。  定山渓地区の公共駐車場につきましては、定山渓まちづくりセンター横の敷地に約70台分の駐車場を整備し、日帰り客などにご利用をいただいております。ただ、ハイシーズンになりますと満車になるということも承知しております。定山渓観光魅力アップ構想は、令和6年度に次期計画を策定することとしておりますことから、この中において地元と議論を重ねながら、公共駐車場の在り方についても検討を進めたいと考えております。 ◆佐藤綾 委員  近郊から遊びに来て、今回は日帰りだけれども、今度は泊まりに来たいと、何度も来てもらうように思っていただけるような取組を地元の皆さんは努力されて進めていると思います。雪灯路も、地元の皆さんがボランティアで氷の容器を作り、ろうそくをともし、頑張っていらっしゃるとお聞きしました。  2019年に我が党が二見公園のトイレの整備を求め質問しましたが、現在、障がい者も使いやすいきれいなトイレが、先ほどご答弁にありましたように、できたところです。環境も整備されてきましたけれども、二見公園を車で訪れる際には、国道沿いにある駐車場に止めるよう案内されていますが、徒歩で10分ほどかかります。駐車場の検討は、国道沿いのエリアのほか、二見公園近くに足湯も設置されますが、駐車スペースは数台程度の規模の予定とお聞きをしておりますので、公園の近くも要望があるのではないかと感じるところです。地元の方、事業者、観光協会の方たちと協議し、できるだけ早く駐車場の整備を進めていただきたいと思います。  次に、人材の確保についてお聞きします。  人材育成について、事業者等が魅力発信できるようセミナー等を実施し、先ほどご答弁にありました定山渓検定制度創設は、我が党で2022年の決特で質問をさせていただきましたけれども、そうしたことで働く方の定着に取り組んできたとお聞きをしております。  昨年からガイド検定のテキストを作成し、講習も行って検定の取得も始まったということで、定山渓の魅力を観光客に伝え、地元に誇りを持って働ける効果的な取組だと感じております。  かっぱバスのガイド様は、ボランティアで一人一人持ち味が違うガイドをされているということもお聞きしておりまして、とても働きがいがあるのではないかというふうに思ったところです。  一方で、コロナ禍もあって、事業を休まざるを得なくなり、一定の離職者があり、現在観光客が戻ってきても人手が不足して、ホテルの部屋数の6〜7割しか予約を受けられないというお話もお聞きしております。定山渓は、札幌都心から車で40分と観光では近いのですが、働く場合は通勤に時間がかかり、公共交通のバスでは通常1時間、冬はもっと時間がかかり、バス料金も市内の中で高い地域です。働く方がホテルの寮などを利用されている場合もありますが、そうでなければアパートなどが少ないという問題もあります。  全国的に観光業でも人材の不足が問題となっていますが、札幌都心部のホテル等とは違う厳しさがあるのではないかと考えます。人材確保について、本市の支援が必要ではないでしょうか。  そこで、お聞きいたしますが、人材確保についての課題をどう認識されているのか、伺います。  また、今後の施策についてどうお考えか、伺います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  人材確保についての課題認識と今後の施策につきましてお答え申し上げます。  宿泊業界では、人手不足を感じている割合が高く、離職率も高いことから、人材の確保のためには、新規採用を増やすことに加え、従業員の離職を防ぎ、定着を図ることが課題だと考えてございます。  新規採用の増加に関しましては、全市を対象としまして、今年度、民間就職支援サイトなどの利用に係る費用の補助の支援に取り組んでおりまして、今後は、経営支援、雇用労働担当部の事業とも連携しながら、より効果的な取組を検討いたします。  人材の定着に関してでございますが、定山渓地区におきましては、定山渓検定などの取組が行われており、スタッフのスキルアップによる顧客と従業員の相互の満足度の向上が従業員自身の仕事のやりがいにつながり、人材の定着に効果があると考えております。  こうしたことから、今後も引き続き、こうした取組を支援してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆佐藤綾 委員  ぜひそうした支援も多くしていただきたいと思っております。  また、定山渓の奥のほうには、昔のホテルの寮が古くなって、窓が打ち付けられて、そのままになっている建物なども見受けられます。そうした働く方の居住環境の整備などは事業者単体では難しいと思われますし、利便性などまちづくりの観点や居住環境のことなどは、まちづくり政策局や都市局も関わることがあるのではないかと思います。  事業者の現状や要望などもよくお聞きして、ほかの部局とも連携し、支援策を検討いただきたいと申し上げまして、私の質問を終わります。 ◆脇元繁之 委員  私からは、スノーリゾートの推進について、2点お伺いさせていただきます。  本年第2回定例市議会の代表質問では、札幌ならではの観光資源を活用した冬期間における誘客の取組に関してお尋ねしました。雪のまちの魅力と観光都市の魅力を併せ持つ都市型スノーリゾートを国内外に発信し、地域一体となって誘客を促進していくとの答弁をいただいたところであります。  この冬期間における誘客を一層促進していくためには、スキーヤーの満足度を高める魅力と、スキーヤーやスノーボードを市内観光客でも楽しめる魅力の両方を磨き上げていくことが必要と考えます。  そのため、札幌市内にある各スキー場においては、リフトやゴンドラ、ロッジなどの老朽化への対応が求められるとともに、多様なニーズに対応するためには、既存の施設設備のレベルアップや新設、さらには、満足度を高めていく上でのサービスアップが求められていると思います。しかしながら、その多くが市街化調整区域などに所在する各スキー場は、土地の開発や利用に当たって森林法や都市計画法といった法令が壁となって立ちはだかる場合が多いほか、魅力アップのための投資が進みにくいという現状もあるのではないでしょうか。  ちなみに、私の住む南区は、スキー場も含め、雪遊びができる、まさにスノーリゾートの推進にうってつけの環境でありますが、市街化調整区域が広範囲にわたっているため、観光面を含めたスキー場などの魅力アップのために附帯事業を展開しようとしても、土地利用の制約が多いのが実情です。  そこで、質問であります。  さきの第2回定例市議会において、スノーリゾート推進費として土地利用の調査検討のための事業費500万円が計上され、可決されたところですが、改めて、その事業の目的とするところと具体的な内容についてお伺いします。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  スノーリゾートの推進に関する土地利用調査の目的と具体的な内容についてお答えいたします。  札幌市が都市型スノーリゾートとして誘客を促進していくためには、食や買物、観光施設の周遊といった都市観光の魅力を磨き上げることはもちろん、市内各スキー場の個々の魅力を高めていくことが何より重要と認識しております。各スキー場におきましては、施設設備の老朽化への対応のほか、例えば、スキー合宿等に便利な宿泊施設の設置、雪景色や眺望が楽しめる展望台、カフェの整備といった利用者の満足度向上を図る取組も有効であると考えてございます。  しかしながら、各スキー場がこうした施設整備を行う際には、都市計画法などの関係法令の規制があることから、このたびの調査検討業務では、良好な自然環境の保全を前提に、民間投資を促す仕組みづくりを目的として実施するものでございます。  具体的な内容といたしましては、各スキー場における土地の利用実態や法規制の状況調査に加えまして、新たな土地利用の実現に向けた課題整理を行う予定でございます。 ◆脇元繁之 委員  ただいまの答弁をお聞きしまして、土地利用の調査というところに関しましては、非常に難しい開発と自然保護の両立という課題に直面しているということでありますが、ぜひこれにしっかりと取り組んでいただきたい、そんなふうにお願いをいたします。  残念ながら、国内においてスキーやスノーボードをする人は減少傾向にあります。アフターコロナで人の動きが活発になっておりますから、これからはインバウンドも確実に回復基調にもありますし、パウダースノーを求める需要というのは内外に高まっていくだろうというふうに考えているところであります。  したがって、この機を捉えて冬期間における誘客を促進するためには、都市型スノーリゾートの重要な要素であるスキー場をより魅力あるものにする必要があると考えます。これは、まさにスピード感をもって取り組まなければならないと考えております。  あわせて、スキー場の魅力を高めていくためには、新たな投資が必要になってくる場合も多いと思うのですが、その投資を促すためには、札幌市として各スキー場の背中を押せるような環境づくりが重要と考えます。  そこで、質問であります。  観光客を含めた利用者の利便性や満足度の向上につながる市内スキー場の施設整備に向け、現在、法規制の調査や土地利用の可能性の検討を進めているとのことでありますが、この調査検討業務はいつごろをめどに仕上げる予定であるのか、そしてまた、アクションプラン2023では、スノーリゾート推進に当たって、スキー場と関連事業者の連携事業支援、冬季観光コンテンツの充実等に取り組むとしておりますけれども、この具体的な取組内容についてもお伺いいたします。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  このたびの調査検討業務の想定スケジュールと調査結果を踏まえた取組についてお答えいたします。  このたびの調査検討業務につきましては、既に委託契約を済ませているところでございますが、各スキー場も関心を示しておりまして、今後の投資計画に大きく影響するものであることから、年度内に結果を取りまとめる予定でございます。  この調査で明らかとなりました現状や課題、規制緩和の可能性を基に、来年度以降、各スキー場や関係部局と協議を行いまして、新たな土地利用に向けた方向性と具体的な手法の検討を進め、それぞれのスキー場の付加価値を高める取組を後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆脇元繁之 委員  年度内に調査を進めて、来年度にまた動き出すというご答弁いただきました。本当にスピード感をもって、ぜひとも冬の札幌の観光という魅力を引き出していただきたいと、そんなふうにお願いをします。  札幌の大きな魅力は雪であります。  しかしながら、札幌の冬の観光は閑散期となっているわけでありまして、1年間のうち3分の1、我々はこうして雪と付き合っていく、その雪の魅力を向上することで、札幌の観光の伸び代というのはまだまだ十分にあるというふうに考えております。  特に南区は、自然豊かであり、今まさに世界の観光業界が注目するアドベンチャーツーリズム、そしてネイチャートラベルの宝庫でもあるわけであります。より一層の魅力向上に取り組むべく、私も、微力ではありますけれども、札幌の観光、冬の観光の魅力を生かすために力を尽くし、本市の取組をスピード感をもって取り組むべくお約束をし、私の質問を終わります。 ◆和田勝也 委員  私からは、スタートアップ推進のための新たな組織についてご質問させていただきます。
     札幌市では、2019年度からSTARTUP CITY SAPPOROとして、スタートアップ支援を本格的に開始し、相談窓口の開設や起業家育成プログラムの開催などの各種支援を行ってきました。  2020年には、札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会が設立されるとともに、国からスタートアップ・エコシステム推進都市に選定され、道内の関係機関が連携した支援の取組が始まりました。まさに札幌市がリードする形で札幌、北海道のスタートアップ支援が行われてきたこともあり、我が会派としても当初から注視をしてきておりました。  そして、去る9月13日、秋元市長、鈴木知事、岩永北海道経済産業局長により、スタートアップ支援のための新たな組織であるSTARTUP HOKKAIDOの設立の発表がございました。  これは、これまでどうしても各行政機関による縦割りの弊害が拭えなかったスタートアップ支援において、札幌市、北海道、北海道経済産業局の3行政が一体となった支援組織を設立することで、オール北海道での支援体制を目指したものと理解をしております。  今後は、この組織を中心に、北海道のスタートアップの支援がさらに充実することを期待しております。  そこで、質問でございますが、このSTARTUP HOKKAIDOとは、どのようなことを目指したどのような組織なのか、その特徴についてお伺いします。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  新しい組織であるSTARTUP HOKKAIDOの特徴についてのご質問でございます。  国を挙げてスタートアップ支援に取り組んでいる中、本市におきましては、より多くのスタートアップを生み出し、さらに全国の投資家の目を引きつけるためには、他の地域と同じことをするのではなく、我々の強みを生かし、首都圏や他の自治体と差別化を図る必要がございます。  このような観点から、これまで、北海道や北海道経済産業局など関係機関との間で議論を重ね、その強みとは、北海道の冷涼な気候や広大なフィールドであり、それを生かすためにオール北海道体制でエコシステム形成を目指すことといたしました。  この取組を先導する組織であるSTARTUP HOKKAIDOは、民間が主導する体制とし、委員長、副委員長に加えまして、運営に係る助言やサポートを行う戦略チームにも専門的な知見と経験を有する民間の方を登用したところでございます。 ◆和田勝也 委員  行政機関同士で連携している例は他地域にもありますけれども、自治体、都道府県及び国の3行政がこのような形で共有し合う例はあまり聞いたことがなく、調整は困難な面があったと思いますけれども、札幌市がリーダーシップを取って進めていることを評価したいと思っております。  また、他地域では行政が主体となっていることが多いと思いますが、この札幌、北海道では、スタートアップから最も遠いところにある行政だけが主体となるのではなく、民間の力が十分に活用されており、元気のある地域というのは例外なく民間の動きが活発であることからも、望ましい形だと思っております。  一方、そのようなことはないと思いますけれども、組織ができたからといって、それが形だけで終わってしまったり、当初はうまく進んでいても次第に硬直的な組織になってしまったりしては、効果的な取組が実施できなくなってしまうと考えます。  スタートしたばかりでございまして、まだこれからの部分も多いとは思いますが、関係機関が集まって具体的にはどのように組織を運営しているのか、また、その結果、施策の取組状況はどうなったのか、お伺いします。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  組織運営と取組の状況についてのご質問でございます。  機動的に活動できるよう、最小限の人数で構成をした運営メンバーが毎週オンラインにより打合せを行いまして、メンバー間で、各機関の施策やその考え方に加え、課題についても共有をしつつ、事業を実行しながら短期間に改善を加えていく、いわゆるアジャイル型の運営を押しております。  また、北海道の強みを生かした施策を展開するため、戦略チームの助言を踏まえまして、1次産業、宇宙、環境エネルギーの三つの重点分野を設定いたしました。  これらの重点分野を中心に、これまで各機関が別々に行っておりましたオープンイノベーションに関するプログラムを一体的に実施するなど、既に取組状況にも変化が見られており、来年度以降、さらに充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆和田勝也 委員  札幌市を中心としたSTARTUP HOKKAIDOの取組は、地域経済の活性化や革新的な産業の育成に向けた重要なステップであると認識しております。  特に、アジャイル型の運営や重点分野の設定など、具体的な取組の方向性や進捗についてお伺いをしました。  その取組が形式的なもので終わらず、実際の成果を上げるためには、組織の運営や施策の推進において常に柔軟性を持ち、変化に適応する姿勢が求められると考えます。  また、民間の力を最大限に活用し、実際のビジネスの現場から声を取り入れることで、より効果的な支援が可能になると考えます。  このような背景を踏まえ、札幌市が引き続きリーダーシップを発揮し、STARTUP HOKKAIDOの取組を全力で支援していくことを強く要望いたします。  我々会派としても、その取組を継続的に注視していくことをお伝えし、質問を終わります。 ◆森基誉則 委員  私からは、デザイン経営導入支援を通じたクリエーティブ産業の活性化という部分と、さっぽろテレビ塔について伺っていきます。  まずは、デザイン経営導入支援を通じたクリエーティブ産業の活性化について伺っていきます。  有名な話ではありますが、デザインで成功した会社の一つにアメリカのアップル社が挙げられます。iPhoneなどで知っている方も多い同社なのですが、シンプルさや高い質感、使いやすさを重視したデザイン、世界中に多くのファンを生み出しました。  同社の生み出した数々のヒット商品は、商品を選ぶ際にデザインを重視する人が多いことを証明しました。もはやデザインは機能の大きな一部分と言っても過言ではないと思われます。そのような時代の流れから、クリエーティブ産業の振興は本市においても重要と考えます。  札幌市のクリエーティブ産業振興施策は、一見すると多種多様ですが、クリエーターを発掘し育てていくという方向性と、クリエーターの活躍機会を創出していくという方向の二つがあると認識しています。  例えば、クリエーターを発掘し育てていくという方向においては、映像産業振興事業にて、映像の制作に対する補助金、中学生を対象とした3DCGワークショップ、専門学校生などを対象としたCGインターンシップ、また、18歳以上を対象としたSAPPORO GAME CAMPなどを実施し、ターゲットや手法を変えながら推進しています。  こちらのほうは、クリエーティブ産業振興の基礎となる担い手育成に直結する事業ですので、引き続き取り組んでいってください。  今回、もう一方の方向性、クリエーターの活躍機会創出について掘り下げさせていただきます。  クリエーターの活躍機会創出のためには、何はともあれクリエーターと企業がつながる機会が絶対的に必要です。  札幌市では、ICC事業推進費を計上し、札幌市産業振興センター内に設けたインタークロス・クリエイティブ・センター、通称ICCを活用した施策に取り組んできました。  内容は、クリエーティブ関連の相談対応に応じるコーディネーター配置のほか、札幌のクリエーターを紹介する企画展示や企業課題解決のためのデザインコンペなどを開催したと聞いています。  そこで、確認も含めて、最初の質問です。  ICC事業推進費は、何を目的とし、2022年度はどのような成果があったのか、伺います。 ◎坂井 産業振興部長  ICC推進事業費の目的と令和4年の成果についてお答えいたします。  まず、ICC事業推進費の目的でございますが、クリエーティブ産業とその他の産業の連携促進に取り組むことにより、クリエーティブ産業と他産業の双方を活性化することが狙いでございます。  次に、令和4年度の成果でございますが、クリエーティブ分野に精通したコーディネーターが、クリエーターとのつながりを求める企業の要望や、クリエーターから寄せられる相談などに対応したところでございます。  また、企業方に対してクリエーターからアイデアを募るコンペ事業を通じて、商品コンセプトやキャッチコピーの制作、ECやウェブサイトのデザインなどの連携事業を創出したところでございます。  このほか、市内デザイン団体などと連携した企画展示を4回開催し、クリエーターの活躍の事例等の情報発信を行ったところでございます。 ◆森基誉則 委員  ICC事業推進費がクリエーターと企業をつなぐことでクリエーティブ産業の振興を図っていく趣旨ということは理解させていただきました。  次に、クリエーターの活躍機会をより一層創出するための施策について伺っていきます。  クリエーターの活躍機会創出は、例えば、ブランディングなどでクリエーターの力を必要とする企業が増えることで実現するものと考えます。札幌の企業を見てみると、どんなにすばらしい商品やサービス等を提供していても、ブランディングに興味・関心が薄いがために、ちょっともったいないかなと思うことが間々あります。具体的には、こういう場ではなかなか言えませんけれども、非常にもったいないと感じていました。  近年、ブランディングやユーザー視点の商品開発など、デザインの手法を経営に取り込むデザイン経営導入を経済産業省が推進していますが、札幌の企業にもぜひ積極的に導入していただきたいと考えています。  というのも、ちょっと気になるデータがありまして、全国のものになりますが、中小企業白書2022が、デザイン経営の認知度について、調査対象企業の13.7%の認知度、企業の一部にとどまっていると評価しており、札幌市についても同様の傾向だと想像しているところです。そうであれば、先んずれば人を制するではありませんが、まずは市内企業に知っていただきたいと考えてしまいます。  クリエーターの活躍機会をより一層創出していくためには、市内の様々な企業、経営者がデザイン経営への興味・関心を得ていただく施策が必要なのではないでしょうか。  そこで、質問です。  市内企業へのデザイン経営導入支援を行う必要性をどのように考えているのか、伺います。 ◎坂井 産業振興部長  市内企業へのデザイン経営導入支援を行う必要性についてお答えいたします。  デザイン経営は、導入企業の成長だけではなく、デザインへの投資を通じたクリエーティブ産業の活性化にもつながるものと認識してございます。  一方、市内のデザイン団体の代表者からは、デザインは商品パッケージなど見た目を整えるものであると狭い意味で捉えている市内企業が多い、また、行政には、デザイン経営に関する啓発に取り組んでいただきたい、そういった声をいただいているところでございます。  そこで、今年度から、デザイン経営の手法などについて学ぶことができる企業向けの講座の開催に取り組み、市内企業15社程度を対象に、3か月間をかけ、デザイン経営に対する理解を促進させる予定でございます。  さらに、クリエーターと企業のマッチングを行い、デザイン経営導入の成功事例を市内企業と身近なところで生み出すことによりまして、デザイン経営の導入を企業に促してまいりたいと考えております。 ◆森基誉則 委員  クリエーティブ、ブランディング、デザインというキーワードは、決して経営と切り離されたものではないですけれども、やはり、おっしゃるとおり、どこか人ごとと考えている企業も多いように私も感じています。  もはや、デザインとは、商品の外観のみといった狭い範囲にとどまらず、それこそ、先ほど私が挙げさせていただいたアップル社などは、顧客とのあらゆる接点をデザインしたと言われています。商品を知り、購入し、使用する、こういったもの全てをデザインしたと言うのです。  札幌市には、企業の状況や理解度などに配慮しながら、クリエーティブ産業の活性化を見据えてデザイン経営の導入支援を進めていっていただきたいと強く要望して、クリエーティブ産業関連の質問をまずは終わらせいただきます。  続いて、さっぽろテレビ塔について伺います。  札幌を代表する観光名所、そして、象徴の一つであるさっぽろテレビ塔は、1957年に建てられ、竣工から今年で66年を迎え、半世紀以上の長きにわたり、札幌市民にとってかけがえのないランドマークとなっています。  私も、幼少期は、大通公園にほど近いところで育ちましたので、噴水の水を浴びながら芝生の上を走り回ったことが思い出されます。どんなにやんちゃに遊んでいても、いつも優しく見守ってくれていたのがさっぽろテレビ塔だったわけなのですが、近年は、近隣に高いビルも建ちましたので、当時は大きく威風堂々と見えていたテレビ塔も、今では若干くたびれてしまった感があります。しかし、そのシンボリックな存在感はいささかも衰えておらず、かけがえのない資源であることは疑う余地がありません。  同じく、札幌の重要な歴史的資源である札幌市時計台や札幌市資料館は、文化財保護法に基づく国指定の重要文化財となっており、市民、道民、そして国民に特に重要な施設と認められています。  さっぽろテレビ塔も将来にわたり末永く存続し続けていくべき施設であり、文化財としての価値は非常に高いと考えています。特に、その塔体は、著名な建築家である内藤多仲氏が設計した建物であり、歴史的価値は非常に高いと言えます。現に、同じく内藤多仲氏が手がけたほかの五つのタワーがあるのですが、東京タワー、通天閣、別府タワーの三つは、国の登録有形文化財に登録されているほか、中部電力MIRAI TOWER、これはかつての名古屋テレビ塔ですけれども、名古屋テレビ塔に至っては、去年12月に国の重要文化財に指定されています。  そこで、質問です。  さっぽろテレビ塔が国の文化財への登録を目指すことについて、その所有者である株式会社さっぽろテレビ塔に出資している札幌市ではどのように考えているのか、伺います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  さっぽろテレビ塔の国の文化財への登録についてお答え申し上げます。  株式会社さっぽろテレビ塔では、内藤多仲氏が設計を手がけました四つのタワーが国の文化財になっていることを受けまして、令和2年から国の登録有形文化財への登録に向けた検討を開始し、本市とも協議を進めてきたところでございます。  しかし、同社では、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの収束が見通せない中、当面は感染症対応を最優先とし、その影響が落ち着いたタイミングで登録を目指すこととしていたところでございます。  今般、社会経済活動が回復傾向となっていることから、同社では、早期の文化財登録を目指して検討を進めているところでありまして、札幌市としても、引き続き同社と協議を行いながら、登録に向けて後押しをしていきたいと考えているところでございます。 ◆森基誉則 委員  株式会社さっぽろテレビ塔と札幌市で、まずは国の登録有形文化財の登録を目指して協議を進めているということが確認できました。本当にうれしいですし、すばらしい流れだと思います。  国の登録有形文化財となれば、さっぽろテレビ塔が歴史的資源として貴重な建築物であることについて市民理解が促進され、将来にわたってしっかり守っていこうという機運が醸成されるものと考えます。  そこで、質問です。  さっぽろテレビ塔が国の登録有形文化財に登録されることにより、どういった効果を期待しているのか、伺います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  さっぽろテレビ塔が国の登録有形文化財に登録されることにつきまして、その効果をお答え申し上げます。  まずは、さっぽろテレビ塔のランドマークとしての価値が一層高まるものと考えられ、市民の愛着が深まることを期待してございます。また、国の登録有形文化財に登録されますと、その建築的、文化的な価値を活用した新たなPRが可能となることから、集客面でのプラス効果が期待され、来場者の増加によって収益の向上につながるものと考えられます。  加えまして、固定資産税や都市計画税といった税制面における優遇措置があるほか、保存修理のための設計管理費の一部補助といった国の財政的支援の制度もあり、このように様々な効果があるものと認識してございます。 ◆森基誉則 委員  国の登録有形文化財の登録により価値向上、集客効果が望めるということや、受けられる具体的な国の支援策などについてのご回答をありがとうございます。  市内の観光産業は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、さっぽろテレビ塔も例に漏れません。観光客はかなり戻ってきているとはいえ、将来的には、人口減少の中で国内観光客も減ることが予想され、さっぽろテレビ塔を持続可能な施設にしていくためには、集客効果が望める国の登録有形文化財の登録により収益を維持・拡大していくことは非常に重要だと思います。  また、持続可能な施設という点では、今年6月の総務委員会において我が会派のふじわら委員が質問したように、さっぽろテレビ塔は、建築当時には耐震基準を満たしていましたが、現行の耐震基準に照らすと耐震性能が不十分な施設であり、今後どのように対応していくかについて、我が会派は関心を持っているところです。  地震ということになれば、札幌は、五つの活断層によって影響を受ける可能性があり、特に、市の防災計画によると、月寒断層で発生する地震は最大震度7とも言われています。地震はいつ起こるか分からない以上、できる限り早く対策を講じることが必要です。  先ほど取り上げた内藤多仲氏が設計を手がけたほかのタワーにおいても、既に耐震化を行ったものもあると聞いています。札幌市は、さっぽろテレビ塔の17%の株式を持つ筆頭株主であることから、この耐震性の課題に対し、さっぽろテレビ塔に積極的に働きかけていくことが必要と考えます。  そこで、質問です。  今後のさっぽろテレビ塔の耐震化に向けた市の考え方について伺います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  さっぽろテレビ塔の耐震化に向けた市の考え方についてお答え申し上げます。  さっぽろテレビ塔は、建築当時の耐震基準では安全性に問題はなかったものの、その後の法律改正により、新しい基準には適合しない建築物となっております。  法的には違法な状態ではないものの、多くの市民や観光客に利用していただける施設であることを踏まえますと、安全性の確保の観点から、できる限り早期に耐震工事が実施されるべきと考えております。  耐震改修には多額の費用を要することから、株式会社さっぽろテレビ塔では、現在、工事費用に充てるための内部留保を蓄積しているところでございます。  この動きを一層加速させていくために、先ほど申し上げました、集客効果が見込まれるとともに、国の財政的支援などが期待できる登録有形文化財の登録が有効と考えているところでございます。  引き続き、札幌市は、株式会社さっぽろテレビ塔の筆頭株主といたしまして、文化財登録も含めて、耐震改修工事に向け、同社と協議を行ってまいりたいと考えてございます。 ◆森基誉則 委員  内部留保の蓄積確保は大変だと思いますけれども、よろしくお願いします。さっぽろテレビ塔の耐震化に向けた市の考え方について、承知しました。  耐震工事は早期に進めるべきですが、当然、その工事には多額の資金が必要となってきます。今目指している国の登録有形文化財の登録を進めることはもちろん、登録による効果を最大限に活用することが重要であります。例えば、耐震工事の資金確保の一手段として、クラウドファンディングの活用なども検討してもよいのではないかと思います。また、耐震工事には耐震、免震、制振といった手法が代表的ですが、ほかのタワーの工法も参考にしながら、さっぽろテレビ塔にはどの工法がふさわしいかについて様々なシミュレーションを重ね、株式会社さっぽろテレビ塔と一緒に考えていってください。  先ほどもお伝えしたとおり、札幌市は株式会社さっぽろテレビ塔の筆頭株主であることから、さっぽろテレビ塔の耐震改修に向けた道筋がつけられるよう、どうかリーダーシップを発揮していただくことを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◆小口智久 委員  私からは、札幌プレミアム商品券事業について質問をいたします。  本事業は、物価高騰の影響を受ける市民生活を幅広く支援するとともに、個人消費を喚起し、事業者の売上げ回復につなげ、地域経済の活性化につなげることを目的としております。  これまでの商品券事業では、販売方法が先着順であったため、購入できなかった市民から不満の声が寄せられていたこともあり、本年2月の経済観光委員会において、おんむら委員から公平性の配慮について質問があったところでございます。  そのため、このたびの商品券事業では、希望者の公平性に配慮した手法として、事前の購入申込み制を導入した結果、有効な申込みベースで約33万人の市民から、発行総数の150万冊を超える申込みがあったと伺っております。  申込みは、1人につき最大5冊までですが、結果を見るに当たり、最大の5冊を申し込まれた方がかなり多かったのではないかと推察されます。  このように申込みが150万冊を超えたことは、事前の周知活動がしっかり行われた結果と評価いたしますが、事業の完結は申込みではなく、実際に購入して使用しなければ目的を達成したとは言えません。  そこで、最初の質問ですが、今回150万冊の商品券が発行される予定ですが、購入状況はいかがか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  商品券の購入状況についてお答えいたします。
     直近の商品券の購入状況は約115万冊で、購入に係る進捗率としましては約77%となっております。  商品券の購入期限は12月30日までとなっており、残り2か月半あることを踏まえますと、おおむね順調に購入が進んでいるものと認識しております。 ◆小口智久 委員  今、115万冊販売と77%の進捗率ということでございました。おおむね順調に進んでいるということは分かりました。一方、市民からは、商品券の購入が難儀であるとの声が上がっており、今後、さらにこの事業の利用の促進に当たり、市としてどのような策を講じていくのか、これから伺ってまいりたいと思います。  さきの経済観光委員会において我が会派の前川委員から、購入者の利便性に配慮した販売体制について質問をしたところ、市からは、平日夜間や土曜日にも対応できる販売所をできるだけ多く設けるなど、購入者の利便性に配慮した販売体制を構築してまいりたいとの答弁をいただいております。  しかしながら、販売所であるローソンのLoppi端末を使った商品券の購入に関して、Loppiの使い方が分からないため購入を諦めたとの高齢者の方からのお声、また、ローソンから、アルバイトが多い昼間しか対応しない、印刷を大量にするため印刷機が壊れた、印刷機のインクがなくなった、端末の不具合で支払いは現金だけしかできないと言われ、さらにお店の混雑を促進させてしまい申し訳ない気持ちになったとの市民からのお声がありました。そのため、前述のように購入を諦めてしまった方が一定数おられるのではないかと危惧をしております。  本事業の目的が物価高騰の影響を受けている市民生活の支援及び地域経済の活性化であることを踏まえますと、一人でも多くの購入対象者に商品券を購入して利用していただくことが重要だと思われます。そのためには、いまだに商品券を購入されていない方に対して、商品券の購入及び利用を促すための積極的な働きかけが必要と考えます。  そこで、質問ですが、商品券の購入及び利用の促進に向けて今後どのように取り組まれる予定なのか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  商品券の購入及び利用の促進に向けた取組についてお答えいたします。  約33万人の購入対象者のうち、現時点で商品券を一冊も購入されていない方は約7万人ですが、これらの方々に対して、商品券の購入及び利用期限が近づいていることをお知らせするため、その旨の通知文書を11月中旬までに郵送する予定でございます。  加えまして、商品券公式ホームページや12月1日付の新聞広告でも、商品券の購入及び利用期限が残り少ないことを幅広く周知してまいります。  これらの取組を通じて商品券の購入及び利用を促し、市民生活の支援及び地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。 ◆小口智久 委員  ぜひとも、まだ購入をしていない方に、しっかり後押しというか、お知らせをしていただきたいと思います。  本事業は、デジタル社会の過渡期の中、迅速さを問われることはもちろん、公平性の配慮、利便性に配慮した販売体制、なりすまし防止といった様々な課題に対応させるため、事前の申込み、Loppi端末による発券、そして紙の商品券を購入といった手順で実施されました。つまり、半分デジタル、半分アナログといった方法でしたが、様々な工程で課題も明らかになったのではないかと思います。  今さらとなりますが、現場の状況から考えますと、商品券の印刷工程に時間がかかること、トラブルが起こることから、まず、Loppi端末の発券後、時間を置いた次の日、1日〜2日後に紙の商品券を購入していただくといったほうが、お店の負担が少なく、Loppiで困っている方への店員の対応が手厚くなってよかったのではないかなというふうに感じた次第でございます。  また、商品券を購入される市民に関して言えば、時間のない子育て中の方、仕事をされている方、デジタルに不慣れな高齢の方など、様々な立場の方がおられるので、全ての方が参加しやすい事業を実施するのは非常に難しいことは理解をしております。しかしながら、将来に向けてよりよい事業手法を構築するためには、今回、商品券をスムーズに購入できなかった方などの声を真摯に受け止める必要があると考えます。  今回の反省点を整理、検証するとともに、さきの経済観光委員会で中川委員が指摘しておりました、デジタルを活用することで事務コスト抑制等のメリットも期待されることが挙げられ、今回の件も、事業費の中の3分の1の7億円が事務費として使われてしまったということもありますので、他都市の事例も参考にしながら、効率的な事業手法の調査研究をしていたいただくことを要望して、質問を終わります。 ◆吉岡弘子 委員  私からは、小規模企業者への支援について質問いたします。  コロナ禍で落ち込んだ経済が完全に回復していないこと、物価高騰の収束はめどが立たないこと、さらに、人手不足状況となっていることで、中小企業者、とりわけフリーランスをはじめ、小規模企業者を取り巻く経営環境は一層厳しさを増大させています。  それらに加えて、本年10月からインボイス制度が始まりました。インボイス導入に関わって、免税事業者が一方的に料金の値引きが通告されるなどの不利益が生じないように仕組みをつくることが必要であるにもかかわらず、見切り発進したため、導入後の影響や混乱の広がりは今後本格化することが予想されます。  札幌市中小企業振興条例では、第4条において、市は、「中小企業振興施策を総合的に策定し、及び実施しなければならない。この場合において、市は、中小企業者等の実態を的確に把握するとともに、中小企業者等の意見を適切に反映するよう努めなければならない。」と定めています。  そこで、質問ですが、市として、どのように中小企業者の実態を把握し、意見を反映されているのか、伺います。 ◎坂井 産業振興部長  中小企業者の実態把握と意見の反映についてお答えいたします。  札幌市では、中小企業者等で構成される札幌市中小企業振興審議会での意見を踏まえ、中小企業者施策の総合的な計画として札幌市産業振興ビジョンを策定しており、本ビジョンに沿った施策を展開しているところでございます。  加えて、小規模企業者を含めた市内企業2,000社を対象に、年2回、アンケート調査を実施しているほか、業界団体や経済団体などからも直接意見を伺うことで、経営課題等の実態を把握しながら、中小企業者の振興に取り組んでいるところでございます。 ◆吉岡弘子 委員  社会経済情勢によって影響を受けやすいのが中小企業者で、特に小規模企業者です。今やフリーランスをはじめとした小規模企業者は札幌の地域経済を支える重要な存在ですが、総務省の令和4年就業構造基本調査では、フリーランスが札幌市内に約3万5,000人いるとの結果が出ており、インボイス制度によって、ひときわ大きな影響を受けることが懸念されます。  そこで、質問ですが、地域経済を支える中小企業者、とりわけ小規模企業者の事業継続の支援にどのように取り組んでいるのか、伺います。 ◎坂井 産業振興部長  小規模企業者の事業継続の支援についてお答えいたします。  市内企業の9割以上を占める中小・小規模企業の発展は、雇用創出や税収面において重要な役割を果たすなど、札幌経済を支えているものと認識をしてございます。  一方で、大企業に比べて経営資源が限られていることから、中小・小規模企業者の事業活動を支えていくため、経営相談や資金繰り、人材確保等の支援を行っているところであり、引き続き経営基盤の強化を推進してまいりたいと考えております。 ◆吉岡弘子 委員  基本調査でフリーランスで働く方の数が調査された背景には、ここ数年来、フリーランスという働き方が経済の重要な部分を担いながら、コロナ禍では支援の仕組みがないことが社会問題化され、地方自治体の間でも広く認識されたからだと思います。  答弁では、小規模企業者を支えることが大事であり、経営基盤を支えるための相談業務などを充実させるとのことでした。  コロナ禍による影響と長引く物価高騰、さらには、インボイス制度の導入で困難な状況に追い詰められているフリーランスをはじめとした小規模企業者をしっかり支えていただくよう求めて、質問を終わります。 ◆小須田大拓 委員  私からは、定山渓の観光振興についてお伺いいたします。  この9月に開催されましたさっぽろオータムフェストにおきましては、その来場者数が過去最高を数えるなど、札幌を訪れる観光客の入り込みも順調に回復し、定山渓地域におきましても、定山渓観光協会によりますと、この8月の宿泊者数は、コロナ前の令和元年に比べ9割程度まで回復してきているというふうにお伺いをしております。  そして、今の時期は、まさに紅葉が見頃を迎えております。この土・日、週末も7割、8割の紅葉が見頃を迎えているということで、本当に多くの方々が様々な場所でカメラを構えて紅葉を楽しんでおりました。  これまで観光客の方が訪れなかったような場所でしたり、なかなかお客さんがいなかったような時間帯も変わってきたなというふうに感じております。本当にこれまでとは違う客層の方々が定山渓に訪れていただいているなというふうに感じた週末でございました。  そんな中でも、定山渓温泉街の中心に位置する定山渓二見公園は、支笏洞爺国立公園の山と豊平川が織りなす渓谷の中にあり、つり橋や公園など河畔からの紅葉景色を見に多くの方が訪れる公園でございます。  この二見公園の位置づけにつきましては、昨年の決算特別委員会で質問させていただき、定山渓の重要な観光資源であるといった答弁をいただいているところでございます。  また、この公園内にあります河畔園地につきましても、リニューアルに向けた検討を進めているということでございました。  地元では、本年1月以降、定山渓まちづくり勉強会を開催し、定山渓地区の二見公園河畔園地の整備について議論していると聞いております。  一つ目の質問ですが、二見公園河畔園地のリニューアルの進捗についてお聞きいたします。 ◎北川 観光・MICE推進部長  二見公園河畔園地のリニューアルの進捗につきましてお答え申し上げます。  二見公園河畔園地のリニューアルの整備手法につきまして、地元や河川管理者であります北海道空知総合振興局と協議の上、国の事業、かわまちづくりによる整備を目指すこととしております。  かわまちづくりとは、河川敷地に散策路や水遊び場の人が集まる空間を造成するハード整備に加えまして、規制緩和による飲食店の出店、イベントなどの開催を可能にする事業でありまして、二見公園周辺に新たなにぎわいの場が生まれることが期待されるところです。  本年7月には、地元や定山渓観光協会、河川管理者などで構成する定山渓地区かわまちづくり協議会を設立したところでありまして、今後は、同協議会において議論を進めた上、かまちづくり計画を作成し、来年度には同計画を国へ提出したいと考えてございます。 ◆小須田大拓 委員  国の事業のかまちづくりによる整備を目指して地元で協議会を設立し、これから計画を作成していくということでございました。  今後、二見公園の河畔が新たなにぎわいの空間となることを地元としても大変期待をしております。落石の危険などがあり、長年通行止めとなっておりました二見公園の奥にある散策路の整備も計画されており、来年度には開通する予定というふうになっております。  そして、夜のライトアップイベント、ネイチャールミナリエも入場者数が1日1,000人を超える日があるなど、過去最多だった昨年度の来場者数を大きく更新する見込みというふうにも聞いております。現在計画中の新しい足湯なども含め、定山渓に行ったら、まずは二見公園周辺でこの渓谷美を楽しむというような、定山渓を訪れる人の目的地となるような、そういった場所となるようなエリアの整備を進めていっていただければと思います。  次に、定山渓集客交流拠点施設についてお聞きいたします。  集客交流拠点施設につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で市と地元の協議が中断していたと認識しております。このような中、地元が独自に開催した定山渓まちづくり勉強会では、この施設についても議論され、交通ターミナル機能が求められるのではないかといったお話が話題となったと聞いております。  定山渓集客交流拠点施設の当初の考え方は、駐車場、トイレ、観光案内などの公共的な機能のほか、アクティビティーの周遊拠点、カフェや特産品の物販など、民間の提案を生かし定山渓への集客と地域内の周遊を促すことにより、定山渓エリア全体ににぎわいが波及するものを想定しておりました。  しかしながら、現在は、当時この施設の機能として考えていたアクティビティーの拠点などが地元の企業により展開されているほか、かわまちづくりの議論も始まっていることから、当該施設は現状に即した形で、このような動きと連動しながら検討を進めていく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、定山渓集客交流拠点施設の検討をどのように進めるのか、お伺いいたします。 ◎北川 観光・MICE推進部長  定山渓集客交流拠点施設の検討をどのように進めるかにお答え申し上げます。  地域に対しまして、定山渓集客交流拠点施設につきまして議論の再開を打診したところ、当該施設の在り方や方向性などにつきまして、まずは地元のまちづくり勉強会の中で話し合いたいと回答があったところでございます。  今後、この勉強会に専門家を招いて、中長期的な定山渓の未来像を検討する中で集客交流拠点施設に求められる役割も議論されるものと考えていることから、その場に市も参加しながら、この議論を一緒に進めていきたいと考えているところでございます。  また、定山渓の温泉観光地としての魅力向上の方向性を定めた定山渓観光魅力アップ構想は、令和6年度に次期構想を策定する予定としていることから、この中におきまして、今年度の勉強会で話し合われた内容も踏まえながら、当該施設の在り方について検討を進めてまいりたいと考えてございます。 ◆小須田大拓 委員  定山渓は、さっぽろグローバルスポーツコミッションが推進しますスノーベースタウン構想の拠点ともなっているということでございます。国際スキー場、ルスツ、ニセコなど様々なスキー場へと向かう拠点ということでございますので、そういった大型バスなんかが発着するようなターミナル機能を果たせるような場所も今後必要となってくるのかもしれません。いずれにしましても、定山渓の大きな未来像の中で集客交流拠点施設の在り方を考えていっていただければと思います。  続けて質問をいたします。  先ほどのお話にも出てきました次期の定山渓観光魅力アップ構想は、令和6年度に策定する予定ということでございました。次期構想はどのように策定していくのか、お伺いいたします。 ◎北川 観光・MICE推進部長  次期構想をどのように策定するのかということでございます。お答え申し上げます。  現在の定山渓観光魅力アップ構想は、令和6年度までの計画となっていることから、次期構想を検討するための検討会の実施などに関する経費をアクションプラン2023に計上しているところです。  この検討会は、令和6年度に開催し、構成員として、学識経験者や定山渓観光協会、温泉旅館組合、連合町内会などから、宿泊業、小売店、飲食店、アクティビティー事業者など幅広いジャンルからの参加を想定してございます。  定山渓地域がこれまで以上に観光客から選ばれる温泉観光地となるため、多様な観光地のニーズを拾い上げながら、例えば、近年需要の高まりを見せているアクティビティーの充実による滞在型メニューの強化など、地元の意見を反映し、魅力ある定山渓の10年後の姿を描いてまいりたいと考えてございます。 ◆小須田大拓 委員  先ほどもお話をしましたが、これまで人が集まらなかったような場所でも行列ができるようなお店がオープンしたり、今までの温泉街とはサイズ感が変わってきているといいますか、エリアが広がってきているのかなといった実感をしております。  この計画をつくる上で温泉街らしい景色をもう少し広げていっていただくようなことも検討していただければと思います。  本当に最初に描く絵がとても重要なものと考えております。観光地を知り尽くしたような専門家でしたり、そういったトータルプロデュースできるような方の意見も必要ではないかと思っております。そういった方々の意見も聞いて、次の魅力アップ構想を考えていっていただければと思います。  そして、最後に、道外から訪れる、海外から訪れる観光客の方に満足していただけるのは当然大事なことでありますが、札幌市民に愛される定山渓温泉と、地元の温泉という部分も大事にしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 ◆おんむら健太郎 委員  私からは、先ほども少しお話がございましたが、大きく2項目、スタートアップ支援の成果と今後のエコシステムについて、そして、スタートアップの海外展開支援について質問させていただきます。  まず、1項目めのスタートアップ支援の成果と今後のエコシステムについて幾つか伺ってまいります。  札幌市では、スタートアップ支援に本格的に力を入れるようになってから4年が経過いたしました。オール北海道体制で支援を行うための新たな組織であるSTARTUP HOKKAIDOが設立されるなど、体制も充実してきております。  私は、スタートアップ企業が次々と生まれる環境をつくるということは、この札幌を元気にする大きな力になると考えておりまして、これまでも、スタートアップ支援におけるそれぞれの事業を注視し、質問をさせていただきました。  そして、新たなことに挑戦する若い起業家の皆さんや、それを後押しされる先輩経営者の方々、こういった方たちと最近すごく交流を交わす機会が増えてまいりまして、その熱意に触れさせていただき、私も一層、こういった新しいことに挑戦される方々を応援していきたいという気持ちを強くしているところでございます。  そのような中、札幌市がスタートアップ支援に力を入れてくださっていることは心強く感じるところです。一方、税金を投入して行う事業である以上、その成果が問われることとなり、これまでも様々な支援の結果がございました。その支援の結果、具体的にどのような成果が出ているのかというところも気になります。  そこで、質問ですが、スタートアップ支援のこれまでの成果について伺います。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  スタートアップ支援のこれまでの成果についてのご質問でございます。  これまで、スタートアップ・エコシステムの構築を目指しまして、様々な施策により、まずはスタートアップの数を増やすこと、それにより投資を呼び込むことを目指してまいりました。  その結果、札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会におきまして目標設定をした項目では、大学発スタートアップの数が、2018年度の75社から2022年度には累計98社となっております。  次に、道内のスタートアップ企業の資金調達総額は、2018年度単年度で34億円から2022年度は83億円と約2.5倍になっており、一定の成果は出ております。  また、スタートアップ向け投資を行う北海道のファンドの総額も、2018年度までは10億円だったものが、2022年度末では約26億円まで増加をしており、スタートアップが成長するために必要な資金調達環境も整ってきている状況でございます。 ◆おんむら健太郎 委員  今、取組のお話を聞かせていただきましたが、金額ベースでも倍近くに増えていたり、非常に成果が出ているのではないかなと感じております。これは、ひとえに、皆様方、そして、それを支えてくれる様々な団体のお力添えがあってできているのかなというふうにも感じます。これからも必要な施策を展開し、ぜひ、多くのスタートアップが生まれ、発展するエコシステムの構築を進めていただきたいと思います。  一方、スタートアップの数が増えるということは、増えた分だけ、失敗するスタートアップの数も増えてくるということだと思います。スタートアップ企業は、新たなチャレンジによるイノベーションを目指しているため、当然のことながら、思いどおりに事業を進めることができず、失敗をすることも多いのが事実です。  今までも日本では、失敗するとそれで終わりというような考えがやはり根強く残っているように感じております。失敗をしてしまうと、企業としても、また起業家としても、そこで終わってしまうというようなものが日本には長らく残っているのかなというふうに感じているところでございます。しかし、欧米では、失敗の数だけ起業家として評価されたり、失敗したとしても、ほかのスタートアップ企業で活躍する人材になったりするような事例もありまして、失敗を肯定的に捉えたり、挑戦することを後押ししたりする文化が根づいております。このような事例や文化というものが、今後、札幌でも増えれば、そして、その文化が根づいたりすれば、スタートアップ・エコシステムを発展させることにつながっていくのではないでしょうか。  今後のスタートアップ支援においては、そういった開かれた起業家精神が一般的になるよう導いていくような施策があってもよいのではないかと考えるところです。  そこで、次の質問ですが、今後のスタートアップ・エコシステムの在り方について、どのように考え、取り組まれていくのか、伺います。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  今後のエコシステムの在り方についてのご質問でございます。  スタートアップによる地域経済の発展のためには、しっかりと資金調達をして、それらを雇用や設備投資に充てる質の高いスタートアップを数多く生み出す必要がございます。しかし、スタートアップが成功する確率は一般的に低いことから、失敗を恐れずにチャレンジできる機運の醸成と環境の構築が重要であります。  機運の醸成につきましては、若年層向けを中心とした起業家教育を行うとともに、海外との連携イベントの中で学生たちが海外の起業家と直接交流することを通じまして、繰り返しチャレンジする企業家精神を学ぶ機会を創出しております。  また、環境の構築に向けましては、失敗後の人材の受皿となるスタートアップ企業の数を増やすことや、エコシステムを通じましたコミュニティーづくりなどに引き続き注力してまいりたいと考えております。 ◆おんむら健太郎 委員  札幌のスタートアップ支援は着実に前進していると感じますが、全て成功するわけではないのがスタートアップ企業です。  また、エコシステムの構築にも時間がかかります。そのためにも、札幌市には、ぜひ途中で簡単にやめることなどはせず、継続的に施策を打ち出していただきたい、そして、その中で繰り返しチャレンジすることができる文化、また、そういった機運の醸成につなげていっていただきたいということを求めまして、次の質問に移らせていただきます。  続いて、スタートアップの海外展開支援について幾つか伺います。  これまでの取組の成果が出始めていることは今のお話にもありました。ただ、より一層の飛躍のためには、札幌のスタートアップが世界に羽ばたくスタートアップへと変わっていく、そして、世界に羽ばたくスタートアップ企業が生まれることが望ましいのではないかなと感じているところです。  札幌市は、これまでも市内企業の海外展開に力を入れてきましたが、実際のところ、まだグローバルに展開しているスタートアップ企業はほとんどいないのが現状ではないでしょうか。ぜひとも、起業家の皆さんには、早い段階から、道外はもちろん、世界を視野に入れて事業展開を考えていただきたいと思います。また、そのための支援を札幌市は充実させていく必要があると考えます。  本市は、これまで、海外で開催されているスタートアップ関連のイベントなどに出展し、市内のスタートアップ企業のPRなどをしてきたと伺っております。  そこで、質問ですが、スタートアップの海外展開に向けて、イベントなどでは具体的にどのようなことを行い、どのような成果があったのか、また、それを踏まえ、今後はどのような取組を行っていくのか、伺います。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  スタートアップの海外展開についてのご質問でございます。  これまで、エストニアのsTARTUp Dayや、デンマークのTechBBQ(テックバーベキュー)、ノルウェーのOslo Innovation Weekなど、主に北欧のイベントに出展をしております。  これらのイベントでは、札幌・北海道ブースを設けまして、札幌市の施策や札幌、北海道で起業するメリットについてPRをするとともに、海外投資家や起業家との接点をつくってまいりました。  そのような中、道内でも、海外、特に北欧への進出に興味を持つ企業が出始めており、このたびの9月のTechBBQ(テックバーベキュー)には、道内のスタートアップ企業を含む4社が参加することになったところでございます。
     イベント内では、北海道セッションを実施しまして、各社が多くの来場者に対して事業のPRを行うとともに、北欧への進出に向け、多数の商談につながる関係を構築できました。  具体的な成果はこれからでありますが、今後も直接海外に出向いていただく機会を設けるなど、実のある商談が増えるような工夫を行ってまいりたいと考えております。 ◆おんむら健太郎 委員  ぜひとも具体的な商談が増えるような取組をどんどん進めていっていただきたいと思います。  北欧の国々では、起業することが比較的簡単でありまして、また、高いスキルを持っていらっしゃる人材が多くいると。そして、失敗をした場合でも自分たちを守ってくれるセーフティネットもあるというふうに伺っています。ビジネスに適した条件がそろっておりまして、開かれた社会になっている、さらに、高度にデジタル化もされていると聞いております。北欧の国々の取組というものは、今後の札幌、北海道のエコシステム構築に大いに参考になると考えられます。  一方、地域経済の活性化のためには、国内外から多くの企業に来ていただくための誘致活動に力を入れることと同様、スタートアップ企業による雇用創出などの経済効果も期待されるところです。  特に、まだ起業家がそれほど多くはない札幌、北海道においては、海外のスタートアップに来ていただくこと、外国の方に起業していただくことというのも重要ではないでしょうか。  今年の5月の議案審査特別委員会では、札幌市は、外国人起業家の相談に対応できる人材を配置したり、札幌に進出する際の補助制度を新設するなど、支援体制を強化したとの答弁がありました。  そして、その結果、外国人の方を北海道内で新たに起用する場合に、その準備のために最長1年間の在留資格を認めるスタートアップビザ制度の申請者が、2021年度の2件から2022年度は12件に増加したとのことです。まだほかの自治体ではほとんど実績がない中、ビザの申請者が大幅に増加したことは評価をさせていただきますが、札幌の持つポテンシャルを考えますと、もう一歩踏み込んだ施策により、もっと多くの方が札幌に来ることが期待できるのではないでしょうか。  そこで、質問ですが、海外の起業家の誘致に向けて今後どのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  海外起業家の誘致についてのご質問でございます。  これまでは、海外の関連イベントに出向き、札幌、北海道のスタートアップ企業や札幌、北海道で起業するメリットをPRしてまいりましたが、実際に札幌に来ていただくことの重要性も感じておりました。  そこで、昨年度、初めて、北欧最大級のスタートアップイベントであるTechBBQ(テックバーベキュー)を札幌に招致し、海外から起業家や投資家を招きました。  このイベントには、初回にもかかわらず約200名が参加をし、道内のスタートアップ企業が海外の起業家や投資家と直接話をするよいきっかけとなったところでございます。  今年度も同じイベントを規模を大幅に拡大して開催いたしますが、それに合わせて、Hokkaido Innovation Weekと銘打ちまして、カンファレンスやミートアップなど様々な催しを行う予定でございます。  海外から多くの方々に札幌に来ていただき、札幌、北海道のビジネス環境や将来のビジネスパートナーと直接触れ合っていただくとともに、広く世界に発信することで、これまで行ってきた海外起業家誘致のさらなる強化につなげたいと考えております。 ◆おんむら健太郎 委員  海外の起業家や投資家に実際に札幌に来ていただくことで、より積極的に起業家の誘致を進めていくということでございました。  やはり、向こうの方々に来ていただいて、直接お話をするというのは、これから世界を目指す人たちにとってはまたとない機会だと思いますので、ぜひともこの取組を進めていっていただきたいと思います。  そして、海外のスタートアップによる起業というのは、単に雇用の増加につながるだけではなく、札幌で働きたいという希望を持っている高度人材である外国人留学生の有力な就職先にもなり得るため大いに期待しております。そのためにも、改めて今後も有効な施策を継続していただくことを要望して、私の質問の全てを終わります。 ◆前川隆史 委員  私からは、運送事業者への支援について、雇用のミスマッチとシニア世代の就労について、そして民間主導のゲーム産業振興施策運営について、順次、伺います。  まず、運送事業者への支援について質問いたします。  物価高騰や人手不足の影響は、地域や業種を問わず、大きな問題となっております。特にトラック運送事業者につきましては、以前から繰り返し主張しておりますが、原油価格高騰に伴う燃料費の高止まりや、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が厳しくなる、いわゆる2024年問題がいよいよ来年4月に迫っているなど、様々な課題を抱えております。とりわけ、トラック運送は、北海道内の貨物輸送の9割以上を占め、市民生活や経済活動を支える重要な社会インフラでございます。このインフラを守るためには、企業努力のレベルは既に超えており、社会全体での対応が必要でございます。  今年の7月には、北海道経済産業局が北海道地域フィジカルインターネット懇談会を開催し、地域における物流課題の共有や協業等の可能性に関する情報交換等が行われたところでございます。  この懇談会において、2030年には札幌周辺で約4分の1の荷物が運べなくなると、昨今の物価高による企業倒産は運輸業が一番多いことなど、様々なデータが示され、改めて大きな危機感を感じたところでございます。  そのため、私としましても、各事業者の努力だけではなく、行政の支援も必要ではないかと訴えてまいりましたが、今年度から札幌市と札幌地区トラック協会と連携し、貨物自動車運送支援事業として取り組んでいただくことになったところでございます。  そこで、質問ですが、現在、札幌地区トラック協会と実施している貨物自動車運送支援事業の申請状況についてお伺いをしたいと思います。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  貨物自動車運送支援事業の申請状況につきましてお答えいたします。  貨物自動車運送支援事業につきましては、札幌地区トラック協会を窓口としてDXの推進や運転免許等の取得、求人サイトの活用、職場環境の整備に対して支援をするものであり、令和5年7月3日から8月31日まで第1次受付を行ったところでございます。  この中におきましては、対象となる市内の運送事業者641社の約2割に当たる121社から、239件、1,291万1,000円の申請がございました。  申請内容の内訳といたしましては、金額順に申し上げますと、求人サイトの活用支援が最も多く、74件で681万3,000円と金額ベースで過半を占め、次に、DX関連が35件、355万7,000円、運転免許等の取得支援が62件、170万3,000円、職場環境整備支援が68件、83万8,000円となっております。  今後につきましては、11月1日から12月28日までの予定で第2次受付を行うこととしております。 ◆前川隆史 委員  8月31日までの第1次受付で、既に121社から約1,300万円ほどの申請があったということです。  中身を見ると、やはり、人手不足の状況を反映してか、求人サイトへの活用についての申込みが過半を占めたということでございました。今後も持続可能な物流体制を維持していくために、関係する事業者の声を聞きながら、ニーズに合わせた支援を適時適切に行うことが必要であると考えます。その点からも、今年度の支援事業において、札幌市と札幌地区トラック協会の連携が図られたことは高く評価をし、期待しております。  その上で、いよいよ厳しさが増す来年度、2024年に向けて、このような関係を維持・発展させるとともに、中小トラック運送事業者への支援を継続することが大変重要である、このように考えるところでございます。  そこで、伺いますが、中小トラック運送事業者への支援について、来年度はどのようにするお考えか、お伺いいたします。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  来年度の中小トラック運送事業者への支援についてのご質問でございます。  来年4月にトラックドライバーの時間外労働の上限規制が厳しくなりますことから、トラック輸送を中心とした物流体制の確保は喫緊の課題であると認識しております。  また、札幌地区トラック協会の有する知見やネットワークを生かしていくことが重要であると考えており、来年度も引き続き協会と連携し、取組を進めてまいることを想定しております。  なお、支援に当たりましては、今年度の支援メニューの活用状況や札幌地区トラック協会のご意向も踏まえつつ、より効果的かつ効率的な事業内容としてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  いよいよ2024年問題が来年度に本番といいましょうか、厳しい段階にあるということで、しっかり効果的な支援事業を協会とも連携しながらやっていきたいというご答弁でございましたので、しっかりよろしくお願いしたいと思います。この質問は、これで終わりたいと思います。  次に、雇用のミスマッチについて、そしてまた、シニア世代の就労についてお伺いしたいと思います。  民間調査会社が2023年7月に公表しました人手不足に対する道内企業の動向調査によれば、正社員の人手不足企業の割合は57.3%に達しておりまして、調査を開始して以降、同月では最も高い割合となってございます。  業界別に見ますと、上は建設業の70.7%から下は不動産業の25%までと、かなり濃淡が見られます。北海道労働局の調査でも同じ傾向でございまして、札幌圏の今年8月の有効求人倍率は、事務職が0.34倍、軽作業が0.77倍と1倍を割り込む一方で、サービス業では2.67倍、建設・採掘業では4.42倍、保安業に至っては6.4倍と、職業によって人手不足が顕著になっております。  いわゆる雇用のミスマッチは従前からの課題でもございまして、本市も様々な施策を行ってまいりましたが、今後も粘り強く取り組む必要があると思います。  そこで、最初に伺いますが、特定の職業で人材確保が難しくなる中、市内における雇用のミスマッチについてどのように認識しているのか、まず伺いたいと思います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  雇用のミスマッチの認識についてお答えいたします。  雇用のミスマッチは、それぞれの職業における業務内容、勤務時間や休暇、給与などの求人条件と求職者のニーズが一致しないなど、様々な要因が複合的に絡んで生じているものと考えております。  解決するに当たりましては課題も多く、決して簡単なことではありませんが、人手不足企業に対して求職者が漠然と抱く不安を軽減していくことも重要であると認識しております。  そのため、企業側も求職者が不安を抱えていることを認識しつつ、そこで働くことのやりがいや魅力を求職者に伝えることで、その業界への正確な認識を促し、相互の理解を深めていただく必要があります。  加えまして、新たな労働力を確保していく必要もありますので、現在、働きたくても何らかの事情で就職に踏み切れない方の後押しをしていくことも重要であると認識しております。 ◆前川隆史 委員  大変厄介な問題かと思いますけれども、これまで以上に行政としての後押しをしっかりお願いしたい、このように思うところでございます。  さて、答弁の中にもございました新たな労働力の確保ですが、私は、女性のシニア世代にも注目しております。我が会派には、今は働いていないけれども、収入がなくて不安だ、あるいは、働きたいけれども、自分のこれまでの経験だと、どんな仕事ができるのか分からない、そういった相談も寄せられているところでございます。こうした声を受け止めまして、ウィン・ウィンのマッチングができれば、求職者と企業の双方にとって喜ばしい話となります。  我が会派といたしましては、今年の第2回定例会の代表質問で、将来を見据えたシニア層の労働力を生かす新たな取組について質問をいたしまして、その際の答弁で、就業サポートセンター内に企業側から高齢者をスカウトするシニア人材バンクを新たに開設し、働きたいと考えている高齢者の能力と経験を活用していくとの答弁があったところでございます。  この取組は、求職者にとって求職活動の幅が広がり、企業からのアプローチにより新しい可能性に気づき、就職への一歩を踏み出すような効果を期待するところでございます。  そこで、質問でございますが、シニア人材バンクの進捗状況についてお伺いいたします。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  シニア人材バンクの進捗状況についてお答えいたします。  シニア人材バンクは、今年6月に開設し、現時点で登録者数は146名であり、男性94名、女性52名となっております。  利用対象者はおおむね60歳以上としておりますが、そのうち、およそ3割が70歳以上であり、年齢にかかわらず働きたいと考えている方々にも登録していただけているものと受け止めております。  また、企業については、介護、清掃、警備、宿泊などの人手不足職種も含めて幅広く登録いただいており、その数は95社となっております。  企業側は、求職者の経歴や自己PRなどを確認した上で、面接したい方に対して就業サポートセンターを介してスカウトしますが、その件数は192件となっており、このうち7件が就職に結びつき、介護や清掃などの人手不足職種でもマッチングが実現しております。 ◆前川隆史 委員  シニア人材バンクが開設されて4か月ほどたって、登録者数が146名、そのうちの3割が70歳以上、また、企業も95社ということで、順調に伸ばしているような雰囲気もございましたが、肝腎のゴールであります就職した方の数が7名ということで、ちょっと残念な数字で、ちょっと延び悩んでいるような印象を受けたところでございます。  登録者数、登録企業者数が伸びているということは、それぞれにとって関心があるということかと思いますけれども、今後は、このマッチング数をしっかり伸ばしていくために、原因を把握して適切に対処していただきたい、このように思うところでございます。  そこで、伺いますが、シニア人材バンクの課題と今後の対応についてお伺いしたいと思います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  シニア人材バンクの課題と今後の対応についてお答えいたします。  企業側においては、シニア人材バンクに興味を持ち登録したものの、従来とは異なるスカウトという手法に二の足を踏んでいて、求職者に声をかけるまでに至っていないケースが見られます。一方、求職者側においても、これまで経験したことのない職種からスカウトが届くケースがあり、希望している職種ではないということで面接に踏み切れない方もおります。  いずれの場合につきましても、専門スタッフがそれぞれの不安に対して丁寧に耳を傾け、それぞれの不安を和らげてマッチングに結びつけていくことが重要であると認識しております。  今後は、人手不足職種も含めた様々な企業ニーズを受け止め、求職者個々人の意向や経歴、適性などを踏まえながら、双方にとって望ましいマッチングの実現を目指し、適宜工夫しながら事業を推進してまいります。 ◆前川隆史 委員  企業側にとっても求職者にとってもあまり慣れないやり方で、その舞台で自分が何をどうしていいか分からないという状況なのかもしれませんが、ともあれ、シニア世代の人の力というものがこれからのまちづくりにとって大変重要なテーマになるかと思います。また、それを望んでいる市民の方もたくさんいらっしゃいますので、いろいろ分析して、企業側と求職者がしっかりマッチングできるように取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、この質問を終わりたいと思います。  最後に、民間主導のゲーム産業振興施策運営についてお伺いしたいと思います。  ゲーム産業につきましては、新たな札幌の経済の牽引役というふうに考えておりまして、また、様々な課題を抱える人たちの社会参加のきっかけになるといった効果といいますか、役割も果たしていただけるような産業であるというふうに捉えておりまして、大変期待しているところでございます。  札幌市には、不登校やひきこもりの若者がたくさんおります。そうした課題を抱える子どもたちの社会参加や就職の機会の接点として、このゲーム産業というものは大きな可能性を秘めていると思っているところでもございます。  ゲーム産業には、札幌市のまちづくりに様々な貢献できる可能性があると感じておるところでございますが、先般、10月6日から8日にSAPPORO GAME CAMP2023という人材育成イベントを札幌市で開催するなど、着実に施策を進めていただいております。私の地元、白石区の産業振興センターが会場でございましたが、私も会派の同僚とともに今年のSAPPORO GAME CAMP2023に伺いまして、若い皆さんが生き生きとゲーム開発などに取り組む様子を見させていただいたところでございます。  そこで、最初に、札幌市としてゲーム産業振興施策が成果を上げていくためには、行政主導ではなく、民間としっかりと連携をしていくことが必要なのではないかと思うところでございますが、札幌市のゲーム関連施策はどのような実行体制を取っているのか、伺いたいと思います。 ◎坂井 産業振興部長  札幌市のゲーム関連産業の実行体制についてお答えいたします。  近年のゲーム開発は、インターネットを介して世界中のユーザーが同時に参加するオンラインゲームが主流となり、ユーザーの目に見える部分を製作するクライアント企業とゲームの快適性や安全性に係る部分を製作するサーバーサイド企業の両方が不可欠となってございます。  そこで、札幌のゲーム開発企業の中でそれぞれを代表するロケットスタジオとインフィニットループに加え、自社タイトルの出版ノウハウを持つセガのグループ企業であるセガ札幌スタジオにSapporo Game Camp実行委員会に参加いただくことで、総合的なゲーム施策を進めていくための連携体制が構築できていると考えてございます。  ゲーム関連施策につきましては、この3社の協力の下、今、委員からお話がございました、委員にもご出席いただきましたシンボルイベントであるSAPPORO GAME CAMP2023など、札幌のゲームクリエーターの育成等を目的とした様々な施策を実施しているところでございます。 ◆前川隆史 委員  民間企業と実行委員会を通じて連携を取っているということでございました。  次に、企業意見に寄り添った施策の運営について伺いたいと思います。  今、実行委員会には、民間企業のロケットスタジオやセガなど3社が参加しているというお話がございましたけれども、札幌のゲーム開発企業はそれだけではないということでございます。実行委員会がかじ取り役となって、市内の様々な企業との連携の輪を広げていくことを期待するところでございます。  そこで、伺いますが、様々な民間企業の意見をどのように引き出し、どのような成果を生んでいるのか、伺いたいと思います。 ◎坂井 産業振興部長  様々な民間企業の意見をどのように引き出しているか、そして、その成果についてお答えいたします。  SAPPORO GAME CAMP2023は、実行委員会のメンバーである企業3社を含む市内に拠点のある計13社の運営協力企業と定例の企画会議を開催しながら進めているところでございます。  この企画会議は、札幌市を含む実行委員会が様々な民間企業から、イベントの企画のみならず、ゲーム産業の活性化につながる事業提案を受ける貴重な機会となっているところでございます。  例えば、9月下旬に千葉県の幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2023にSAPPORO GAME CAMPの名称で出展いたしまして、イベントや札幌市の企業作品のPRなどを行いましたが、これは民間企業側から出たアイデアを実行委員会がサポートすることで実現したものでございます。  このように企業との対話を重視しながら、民間主導によるゲーム産業振興を図ってまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  企業との対応をしっかり重視してこれからも進めていくというお話でございました。  市内のゲーム開発企業の状況は様々でございまして、著名なゲームメーカーを親会社に持つなどを背景にスポットライトが当たりやすい企業がある一方で、受託開発を専門にしている場合は、なかなか前に出ることができない企業も多いと伺っております。ぜひ企業の多様な意見をくみ上げながら企業との連携を深め、ゲーム産業の振興を図っていただきたいと思います。  そして、こうした取組を通じまして力をつけた札幌の企業の技術や発想力は、将来、ゲーム産業という枠を超えて、札幌の発展、まちづくりを牽引していく可能性を持っていると思います。  旺盛な雇用吸収力は、不登校やひきこもりという課題を抱えつつもゲームに関心がある層の社会参加の受皿になり得るといった福祉施策にもつながります。  また、ゲーム開発におけるプログラミングやCG制作の技術は、メタバースなどとも親和性が高く、新しい産業の誕生にもつながります。  さらには、人を楽しませるためのゲームの発想力は、学校や企業など様々な場所でモチベーションの向上やコミュニケーション促進のために活用され、企業経営や教育施策につながる、ゲーミフィケーションと言われる手法だそうですけれども、そういった効果もございます。  さらに加えて、自然災害、貧困問題など、模擬的に体験し学ぶために使われるゲームもございまして、ゲームを娯楽だけではなくて社会課題の解決につなげていくという活用方法もございます。シリアスゲームと呼ばれるゲームの種類だそうでございます。  札幌市では、こうしたゲーム産業の発展性を視野に入れながら取組の強化をしっかり行っていただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。 ○丸山秀樹 委員長  ここで、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前11時50分       再 開 午後1時     ―――――――――――――― ○太田秀子 副委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。
    ◆うるしはら直子 委員  私からは、大きく2項目、雇用推進課の取組、ワークトライアル事業についてと、観光MICE推進課の取組、観光分野におけるICT推進事業について、また、欧米豪におけるスノーリゾートシティSAPPOROの認知度拡大について伺います。  最初に、ワークトライアル事業について伺います。  2023年8月における札幌の雇用情勢は、有効求人倍率が0.90倍と、前年同月を0.05%下回り、3か月連続で前年同月を下回りました。  物価高、資材高騰や人件費の上昇などで、企業の求人にも慎重な動きが続いており、全道においてもほぼ同様の動きで、月間有効求人数も減っており、依然として求職の動きが活発にはなり切っていない状況にあります。  また、2022年度の就業構造基本調査によると、非正規雇用者のうち、現職に就いた主な理由が、正規の職員、従業員の仕事がないと回答した人を指す不本意非正規雇用の割合が札幌市は11.1%と、政令市の中でも4番目に高い水準となっています。  これは、札幌市には、正社員として働きたくてもかなわず、やむを得ず非正規で働いている方が多くいらっしゃるということであり、そうした方に対する支援を行うことは、安定した職を手に入れ生活基盤を整える上で非常に重要であると考えます。  国や北海道におきましては、離職者や再就職を目指す求職者への支援機関として、職業能力開発促進センター、通称ポリテクセンターを運営し、6か月程度の訓練期間を経て、ビル管理や住宅リフォームなどの専門的な資格を取ることができる職業訓練の実施ですとか、道内産業を支えるための工業技術、電気・電子技術、建設技術や印刷技術などを身につけるため、2年間の施設内訓練を実施する札幌高等技術専門学院、通称MONOテクを運営するなどの支援を行っております。  一方で、札幌市においては、全ての求職者を対象にしたハローワークと共同して、職業相談や紹介などの就労支援をする就業サポートセンター事業を実施しております。  また、このほかにも、若者の求職者を対象として、奨学金返還支援事業やUIJターン就職移住支援事業を、また、女性の求職者を対象として、ここシェルジュSAPPOROの支援事業などを実施しており、また、高齢者を対象に仕事説明会、シニアワーキングさっぽろも実施しております。  このように様々な事業を実施している中で、本市は、2022年度から非正規や新卒者などを対象としたワークトライアル事業を開始しております。  そこで、質問ですが、ワークトライアル事業は、正社員就職を目指す人を支援する事業ということですが、具体的にはどのような内容で、また、どのようなターゲット層を対象としているのか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  事業の内容とターゲット層についてお答えいたします。  ワークトライアル事業は、ビジネススキルや社会人基礎力を学ぶ15日間の座学研修と、実際に企業へ出向いて行う最大21日間の職場実習を経て、正社員として就職することを支援する事業でございます。  職場実習についてですが、参加者は、企業の業務内容や職場の雰囲気を知ることができ、受入れ企業は、参加者の適性や能力をはかることができるため、就職後のミスマッチを減らし、早期離職の防止につながっていると考えております。  また、できる限り職場実習に参加してもらうため、研修給付金として最低賃金に相当する額を支給しております。  事業を開始した平成28年度は、新卒未就職者からおおむね35歳までを対象としておりましたが、徐々に対象年齢を引き上げ、今年度は、就職氷河期世代までの幅広い世代をターゲットとしているところです。  今まで正社員として就職したことがない方や、就職活動をどう進めていけばよいのか分からない方、メンタル面に不調を抱えながらも正社員として就職をしたいと考えている方などが参加しております。 ◆うるしはら直子 委員  このワークトライアル事業は、単に仕事の仲介にとどまらず、給付金つきの職場実習などを実施しながら離職防止策も図っており、対象者を新卒未就職者から就職氷河期世代まで広げて、年齢についても拡大してきているということが分かりました。  この就職氷河期世代は、バブル崩壊後の1999年から2000年代の雇用環境が非常に厳しい時期に就職活動を行った世代であり、希望する就職ができず、不本意ながら、不安定な仕事に就いたり、無業の状態になってしまっている方もおり、社会参加に向けた支援を必要とするなど、現在も様々な課題に直面している方が少なくありません。そうした就職氷河期世代に対する正職員の就職を目指す支援は非常に重要であると考えます。  そこで、質問ですが、就職氷河期世代に対する就職実績と、また特別に配慮している点などはあるのか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  就職氷河期世代への支援の実績と配慮についてお答えいたします。  令和4年度の実績は、事業全体では、参加者の平均年齢が29歳で計130名が参加し、正社員として就職した方は91名で就職率は70%でございました。  このうち、30代後半から50代にかけての就職氷河期世代の参加者は31名で、正社員就職が20名、就職率は64.5%でございました。  就職氷河期世代の中には社会人経験がある方もいることから、個々人の状況に応じて座学研修を短縮したプログラムに参加できるようにし、すぐにでも職場実習を行えるよう配慮しております。  また、メンタル面に不安を抱える参加者もいることから、精神保健福祉士やベテランのキャリアカウンセラーを配置し、一人一人丁寧に対応しております。  参加者からは、自己理解や自己分析を深め、自信を持って職場実習へ行くことができた、未経験の仕事に対する不安を解消できたなどと評価していただいております。 ◆うるしはら直子 委員  20代の参加者が多い中で、就職率が70%ということ、そして、50代前半までの就職氷河期世代も6割を超える方が就職できたこと、そして、個々人の状況にも細かく配慮しながらキャリアカウンセラーなども配置しているということで、この点については高く評価いたします。  大変な時代を経験してきたからこそ、様々な経験を積んでおり、就職氷河期世代は、辛抱強く物事に取り組むといった忍耐力がある方が多い世代とも言われています。  一方で、自分に対する評価が低かったり、失敗を恐れて受け身になってしまうといった側面を持った方も多いと聞いています。様々な課題に直面している方が多くいる世代であるからこそ、今後も、就職氷河期世代に活躍してもらうための支援は必要であり、また、事業開始から徐々に対象年齢を拡大してきたように、さらに力を入れていくべきだと考えます。  そこで、質問ですが、今後ワークトライアル事業を行う上で就職氷河期世代に対する支援をどう充実させていくのか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  就職氷河期世代の支援の充実についてお答えいたします。  委員がご指摘のとおり、就職氷河期世代の中には、自己評価が低く能力を十分に発揮できていない方もまだまだいると考えられるため、今後も支援を継続させる必要があると認識しております。  支援の充実を図るべく、今年度から、定員を10名増やし、事業全体で140名を受け入れており、増員分は全て就職氷河期世代に充てております。  また、職場実習先を決めるに当たって、職業観や職業イメージを持ってもらうために、職業体験つきの小規模合同企業説明会を実施しております。  さらに、就職氷河期世代の参加者が人手不足職種に就職した際、就職準備金として3万円の給付金を支給することにいたしました。  今後も、正社員として就職を目指す全ての方に対し、それぞれの置かれている状況を理解しながら、一人一人に寄り添った支援を継続してまいります。 ◆うるしはら直子 委員  人手不足分野に就職した際に就職準備金を支給するとのことで、これは、まさに求めていきたいと思っていた支援でした。様々な形で就職氷河期世代に対して手当てしていくことと思いますけれども、今後は、就職という壁を乗り越えた先にある職場定着という点についても努力を重ねていただくよう要望させていただきます。  このワークトライアル事業のさらなる充実によって、就職氷河期世代をはじめ、事業参加者の一人でも多くが正社員就職ができて、札幌圏内で長く活躍できるようになることを期待しまして、この質問を終わり、また次の質問に移りたいと思います。  次に、観光・MICE推進課の取組について、まず、観光分野におけるICTの推進事業について伺います。  本市では、2017年度に一般財団法人さっぽろ産業振興財団が実施した札幌市データ活用プラットフォーム構築事業において、官民が保有するオープンデータやビッグデータを収集管理する札幌市データ活用プラットフォームを構築し、観光、雪対策、健康などの分野におけるデータ利活用に係る実証事業をスタートさせました。  このうち、観光分野では、小売店の商品構成の検討のためのインバウンドの動態データや購買データの活用、また、観光客の志向や空き時間に応じて市内周遊を促すアプリの実証事業を実施するなど、取組を進めてきたところと聞いております。  しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で国内外の移動が大幅に制限され、観光需要も大きく落ち込んだことから、この間は、特に外国人観光客のデータ収集などは予定どおりに事業が進められていないといった時期もあったのではないでしょうか。  ようやく、昨年、秋の水際対策緩和以降から徐々に観光客数も戻り始め、今年に入ってからは、観光庁の宿泊旅行統計調査の中でも宿泊者数が毎月のように昨年比を上回るなど、コロナ禍前の2019年までとはいかないものの、堅調な回復の兆しが見えているところです。  本市においても同様に観光客など来札者が増えている中で、改めてデジタル技術などを活用したデータの集積や、実証による旅行者の利便性の向上、また消費拡大に向けての取組が不可欠となります。  現在、観光分野におけるICT推進事業については、令和5年度予算から事業費目が観光マーケティング推進費と改められましたが、コロナ禍を含めた情勢の変化に合わせて、いろいろと新たな取組もされていることと思います。  そこで、質問ですが、改めて、当該事業の目的と、また、今年度の取組内容について伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  観光分野におけるICT推進事業の目的と、今年度の取組内容についてお答えをいたします。  この事業は、プラットフォームに格納される携帯基地局データをはじめとする各種データを活用しながら、来札観光客の動態や消費の分析を行い、観光客のニーズに合わせた事業を展開することで、さらなる地域経済活動の活性化を促すことを目的とするものでございます。  今年度につきましては、市内スキー場や主要観光施設、大通公園における大規模なイベントの来場者の国籍や年代など、こうした属性の傾向ですとか、新型コロナウイルス感染症の流行前後の動態の変化などの分析を行いまして、観光客の市内周遊の促進及び消費拡大につなげてまいりたいと考えております。 ◆うるしはら直子 委員  観光客などの属性ですとか動態を多角的に把握して、また分析をし、そして得られたデータを幅広く利活用することは、観光客の周遊促進、消費拡大といった点だけではなくて、本市の経済を支えています観光産業の様々な分野の今後の発展のためにも有益と思います。そういったことからも、本事業のなす役割は大変重要であると感じています。  今のご答弁で携帯データなどを活用するとのことでしたけれども、コロナ禍を契機に観光分野におけるデータ活用の技術も大変進んでおりまして、近年では、タイムリーかつ詳細に観光客の動態や属性などを把握できるデータの提供サービスが数多く生まれています。  今年度、先駆的DMOに選定されました下呂温泉観光協会では、こうしたデータも活用しながら、ホテルから提供される宿泊データやウェブサイトのアクセス状況、また、旅行者の周遊状況などのデータの収集、分析などを行い、データに基づく効果的な施策を展開するデジタルマーケティングを進めていると承知しております。  また、こうしたデータを地域内で共有することで、事業者単位でのマーケティングの一助にもなっているとも聞いております。  本市においては、プラットフォームに格納されるデータの更新速度の向上ですとか、また、データ量の充実などの課題もあると伺っており、今後は、こうした他都市の先駆的な事例も参考にしながら、新たな取組を進めていく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、今後の観光分野でのデジタルマーケティングの方向性について伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  今後の観光分野でのデジタルマーケティングの方向性についてお答えを申し上げます。  近年、デジタルツールの利用環境やネットワーク環境の整備が急速に進んでおりまして、デジタル技術を活用する機運が向上している中、観光分野におきましても、デジタルマーケティングの重要性がさらに高まっていくものと認識してございます。  特に、現在設立に向けた検討を行っておりますDMOが観光地経営の旗振り役、司令塔として役割を果たしていくためには、観光客の趣味や志向といったトレンドの変化等を的確に捉え、適切な施策を実施していくことが必要不可欠であると考えております。  今後は、即時性が高い多様なビッグデータの取得や地域内のデータ連携の強化に加えまして、専門的知見によるデータ分析に基づく効果的な観光施策の展開など、高度なマーケティングにより、地域の集客や収益を最大化させる仕組みにつきまして、DMOの検討と併せて進めてまいりたいと考えております。 ◆うるしはら直子 委員  デジタルマーケティング導入について、本市で現在検討中のDMO観光地域づくり法人の設立と併せて検討していくとのことでした。  このDMOの設立に関しましては、我が会派の水上議員から、2022年度の予算特別委員会の中で、この設立に向けた課題について質問させていただいたところ、観光庁の調査では、多くの都市から、マーケティングですとかマネジメントに関する専門人材が不足していることですとか、安定的な財源の確保が課題に挙げられており、本市においても重要な検討課題になるものであるとの回答がありました。  本市は、現在、次期札幌市観光まちづくりプランを策定中であり、札幌版DMOに関しても検討されているとのことですが、デジタルマーケティング、そして、マネジメントは、今後の本市の観光の大きな鍵になり得ます。  特に、デジタルの高度専門人材はすぐに育成できるものではないことから、この点につきましては、DMOをしっかりと検討していただくことと思いますけれども、早急に先行して検討していただくこともお願いしたいと思います。  先ほどの下呂温泉の例は、デジタル活用により何年にも及ぶ貴重な過去のデータと分析結果を蓄積し、それを数値化してきたこと、そしてまた、地域の観光資源を発掘してきたことなどにより観光地の強みや現状をしっかりと把握していたということで、コロナ禍で厳しい状況であっても、いち早く戦略や施策を打ち出して来客者数を回復してきた一つの例でもあります。  本市にも、この間に蓄積してきた様々なデータがあります。それらを活用して札幌の魅力を打ち出していただくよう求めまして、次の質問に移ります。  最後に、欧米豪におけるスノーリゾートシティSAPPOROの認知度拡大について伺います。  札幌市内への国内観光客が増加するとともに、海外からの観光客の姿もまた多く見られるようになり、にぎわいが戻ってきたことを改めて実感しているところです。  本市を訪れる観光客について、その大部分を占めているのはアジアからの観光客ですけれども、今年の雪まつりにおいては、以前と比べて欧米からの観光客も大変増えていたように感じております。  現在、市内中心部では、高級ホテルの建設やビルの建て替えなどが進み、今後数年の間にまちが大きく変わろうとしています。これをチャンスと捉え、国内はもとより、観光消費額が高いと言われている海外からの観光客、特に欧米豪からの来訪者にもっと来ていただき、まちとしての収益力をアップさせていくべきと考えます。  先日、本市においてサミットも開催されました。アドベンチャートラベルは、この欧米豪の富裕層に大変人気のある旅行形態であり、今後の発展を大いに期待しているところです。特に、都心の近くを含め市内に六つのスキー場を有する札幌ならではの強みを生かして、都市型スノーリゾートシティーとしての札幌のブランド化、また、情報発信の強化によって、欧米豪からの観光客をさらに呼び込んでほしいと思います。  札幌市は、これまで、スノーリゾートシティーとしての認知度向上のため、民間事業者と連携し、多言語ウェブサイトの構築ですとか、スキーツーリズムに関する旅行博に出展するなどの取組を進めてきました。  昨年度からは、スノーリゾートシティSAPPORO推進戦略を策定し、初めて欧米からのスキーヤーなどの招請事業を実施したところでございます。  そこで、質問ですが、この招請事業についてどのように評価しているのか、伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  スノーリゾートシティSAPPOROの認知度拡大に向けました昨年度の招請事業の評価についてお答えいたします。  昨年度は、スノーアクティビティーの愛好者に影響力のありますスウェーデン、カナダ、アメリカのインフルエンサーですとか、スキーヤーや富裕層をターゲットにするアメリカの旅行会社を招請いたしました。  参加者には、市内スキー場での体験だけでなく、都市型スノーリゾートシティーとしての札幌の魅力であります定山渓温泉や狸小路、薄野のなどの観光スポットやグルメも楽しんでいただき、札幌での滞在の様子を各自のSNSで発信していただきました。  これらの体験の様子につきましては、本市の海外向けウェブサイト、Visit Sapporoでも発信しているところでございます。  現状におきましては、札幌の認知度はニセコなどに比べて低いものの、今回の招請事業を通じまして、都心から近い場所に複数のスキー場があり、パウダースノーを味わえるだけでなく、スキー以外にもまち中で多様な楽しみ方ができるという札幌の魅力を参加者に高く評価をしていただくことができ、都市型スノーリゾートシティーとしての今後の可能性を再確認することができたところでございます。  また、参加者と市内の観光関連事業者との交流会を通じまして、ネットワークの構築にも寄与することができたというふうに考えております。 ◆うるしはら直子 委員  昨年度の招請事業を様々通して都市型リゾートシティーとしての札幌の可能性を感じることができ、ネットワークづくりのきっかけにもなったとのことでした。これは、すぐに欧米また豪州などで認知度向上といった効果が出るものではないと思いますが、強い影響力を持つインフルエンサーの方などに体験をしてもらいSNSで発信してもらうという取組は、アクティビティーの愛好者だけでなく、広く一般の方々にも本市の魅力を届けられる有効な取組だと感じます。  また、実際に参加された方へのインタビューで、パウダースノーを味わえるといったことや、スキー以外のまち中での楽しみ方などの話も聞けたということで、国外の方から見た札幌の情報を集める上でも重要な取組であったと思います。  こうした取組は、継続して行うことにより、さらに認知度の向上や観光客のニーズの的確な把握につながるものであり、施策のブラッシュアップに生かすことができることからも、引き続き取り組む必要があると考えます。  今年度も、欧米豪からのインフルエンサーと招請事業に取り組むと伺いました。  そこで、最後に、今年度はどのようなコンセプトでこの事業に取り組まれる予定なのか、伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  今年度の招請事業に係る取組についてお答えいたします。  昨年度、参加していただいた方からは、大都市でありながら山や自然に近く、とてもユニークといった感想ですとか、これまで経験したことがない、他のリゾートにはない魅力があるといったお話、それから、まち並みや食事、ライディングなど全てがすばらしいといった声をいただいております。今後も、認知度拡大に臨む余地は大いにあるというふうに判断してございます。  今年度におきましても、欧米豪のスキーヤー、スノーボーダーに影響力のありますウェブメディアやインフルエンサーを招請し、記事や動画によって、北海道で訪れるべきスノーリゾートの一つとして札幌を印象づけたいというふうに考えております。  また、昨年度にいただきました、スノーアクティビティーのみならず、まち中にも多くの楽しみがあるというご意見を踏まえまして、インフルエンサー単独ではなく、例えば、雪も観光も両方楽しみたい仲間同士ですとか家族連れなど、多様なグループを招請いたしまして、札幌での冬のバカンスを楽しんでいる様子を発信することにより、札幌ならではの都市型スノーリゾートシティーとしての魅力を訴求してまいりたいと考えております。 ◆うるしはら直子 委員  ぜひとも、今後、札幌ならではの魅力を欧米豪にも発信していただき、多くの誘客につなげていただきたいと思います。  最後に、要望になります。  多くの観光客に雪と観光の両面を楽しんでもらうためにも、市内の特色ある飲食事業者ですとかショッピング施設など、他業種とも連携を図りながら力を入れていただき、スノーリゾートシティーとしての札幌の認知度拡大に今後より一層取り組まれることを求めさせていただきます。  また、さきの質問でも触れましたけれども、札幌市には、スキー以外にも本当に多くの観光資源がまだまだたくさんあると思っています。札幌市民にとって、あるいは地元では当たり前で、気づかなかったり生かされていないまちの魅力、こうした潜在している可能性を地域全体で地域資源として生かしていくような取組といったところにも力を入れていただきたいと思います。  あらゆる手法を使いまして、情報収集、そして発信をして、関連事業者などとも連携をしながら、本市の観光産業をよいものにしていただきたいとお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ◆わたなべ泰行 委員  私からは、AI分野の産業振興に関して、都心における冬のアクティビティー創出事業について、アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットについて、札幌コンシェルジュ事業について、順次、質問をいたします。  初めに、AI分野の産業振興について質問をいたします。  我が会派では、今後のAIの発展可能性と札幌のポテンシャルから、AIの分野は札幌の産業を牽引する原動力になり得るという期待を有し、かねてより、AI分野の産業振興に関して強い関心を持ち、代表質問や予算特別委員会において質疑を重ねてまいりました。  本年の第1回定例市議会の予算特別委員会におきまして、私から、AI人材を育成しながら、AIの活用により企業の課題解決を目指す、いわゆる札幌AI道場の今年度の取組について質問をしたところ、昨年度は、人材育成と企業のAI活用の両面で大変ニーズがあり、一定の成果があったところで、さらに今年度は、参加者を拡充するとともに、学生や外国人向けコースの新設も計画しており、道内学生の定着や海外人材の呼び込みにつなげていきたいと、前向きな答弁をいただいたところです。  私としても、技術の発展が急速に進み、人材の獲得競争も激しくなる中で、こうしてスピード感を持って取組を拡充されていることを高く評価するとともに、今後の取組に期待を寄せているところでございます。  そこで、最初の質問ですが、2期目を迎えた札幌AI道場について、どのように拡充し、どの程度の参加があったのかを伺います。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  札幌AI道場の今年度の取組についてのご質問でございます。
     昨年度は、現役エンジニアを対象としたエンジニアコースのみの実施でございましたが、今年度は、エンジニアコースの定員の拡充に加えまして、道内の大学や高等専門学校等の学生を対象としたユースコース及び外国人材を対象としたグローバルコースを新設し、全体の定員は、昨年度の20名から50名へと拡充いたしました。  エンジニアコースでは、道内外18の企業に所属する29名が参加をし、9月より、五つのチームに分かれまして、企業の実際の課題を題材とした演習を開始したところでございます。  来年2月にかけまして約6か月間にわたって演習を行い、同月中にその成果について発表会を行う予定でございます。  また、ユースコースは、5日間の集中プログラムといたしまして、学生の皆さんが夏休みである8月下旬に実施をし、道内の大学、高等専門学校、専門学校5校から定員を超える11名の学生の皆さんが参加をいたしました。  現役エンジニアの指導の下、文章や画像を作成する生成AIを使ったサービスの開発手法を学び、試作品の開発や発表を行ったところでございます。  グローバルコースにつきましては、現在、参加者を選考中であり、来年2月まで毎週4時間程度の演習を実施し、AI開発のスキルに加えまして、日本での開発、文化も学んでいただき、外国人コミュニティーの形成も図りたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  昨年、現役エンジニア向けのコースだけだったのが、さらにこのコースを拡充し、学生向けと外国人向けの二つのコースを新設したということで、昨年度からさらにレベルアップをされているなという印象があります。そして、生成AIを活用した試作品とか実績もつくっていただいて、前進している事業だと思うのですけれども、私は、こういった約20社の企業から29名と数多くの技術者が経験を積んでいるところが一つ着眼点かなと思っております。  私も、社会人になってからビジネススクール等に通った経験がある方たちとお話しする機会がありますけれども、こういった方たちからお話を伺いますと、同じ学びやで苦楽を共にした同期の絆は強く、終了後もコミュニケーションを取り合って、時には仕事の相談をし、そこからイノベーションが生まれたり、札幌への思いを深めたりすることがあると伺いました。  今後、AI道場を通じまして、地場の企業間、また、デジタル人材の横のつながりを強化しながら、世界的な成長産業の人材、また企業を育成して、AIに強い札幌というイメージを打ち出していただくことで、札幌に若者が定着することはもとより、国内外から人材や多くの仕事が集まっていくことを期待するところでございます。  そこで、質問ですが、札幌に高度な人材や質の高い仕事を呼び込むために今後どのように取組を発展させていくか、伺います。 ◎早瀬 経済戦略推進部長  AI人材の集積等に向けました今後の展開についてのご質問でございます。  高度な技術者を集積させるためには、成長できる環境があることと同時に、身につけた技術を実際に活用して活躍できることが重要と認識しております。このため、AI分野での活躍を志す人材が座学で知識を体系的に習得し、道場において実践での開発経験を身につけるまでステップアップしながら成長できる機会を一層充実させるため、今年度、新たに座学研修プログラムを開始いたしました。  具体的には、国内のAI関連の資格試験の中で難易度と認知度が最も高いと言われておりますエンジニア資格の取得を目指す5か月間のプログラムでございます。  さらに、今後、札幌を高度なエンジニアが集まる都市として対外的にアピールするとともに、AI道場をきっかけとした企業間の連携を生かすことで、高度な人材が育ち、質の高い仕事を呼び込む持続的な好循環を生み出してまいりたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  今年度は、新たに座学研修プログラムを開始して、具体的には、AI関連の資格試験の中で最も難易度と認知度が高いエンジニアの資格取得のために支援を行うということでございました。  本当に今、リスキリングされて人材を育てて企業の成長をしていこうという会社が、こういう気風がある中で、本市がこういったことを支援していくのは評価をさせていただきます。  また、身につけた技術を活用して活躍できることが重要との答弁でございましたけれども、今後、AIを取り扱っていく企業が実際に実績を積んでいけるように、こちらの取組も具体的に取り組んでいくことを要望いたします。  最後に、要望です。  先ほども述べましたが、AI道場の取組により、地場産業やエンジニアの皆様にとって貴重な横のつながりが生まれて、それが人材の定着につながるのではないかと期待をしているところです。  今の社会は、多様な課題解決のためにビッグデータの蓄積が進むとともに、ディープラーニングの適用も進み、ますますAIに精通した人材が求められております。しかし、AIに精通した人材は、経済産業省のIT人材需給に関する調査によると、これからさらに不足されると言われております。  本市は、IT人材の育成などに取り組んで、IT関連企業も増えてきているところでございますが、その中でもAIを取り扱える企業や人材はまだまだ不足していると言わざるを得ません。  今、各産業では人材不足が大きな課題となっており、この課題解決にAI技術を活用する企業も出てまいりました。今後、本市がAI企業の集積地をつくることを目指していただき、特に中小零細企業の課題解決の一助になっていただければと思います。  人材育成は大変な取組であることは理解をしておりますが、持続可能なまちづくりのためにも、今後もいろいろな形で市内の高度な人材育成に向けた施策を継続していくことを要望して、この質問を終わります。  次に、都心における冬のアクティビティ創出事業について質問をいたします。  この事業は、北3条広場、通称アカプラにスケートリンクを設置して、スマイルリンクさっぽろとして展開をしております。北海道庁の赤れんが庁舎に隣接するアカプラへのリンクの設置は、冬の都心の新たな体験型観光スポットの創出となるほか、イルミネーションやライトアップ等による演出で夜間観光の魅力が深まるなど、まち中に新たににぎわいをもたらし、来札観光客の増加につながるものと考えており、我が会派では、昨年の第3回定例市議会の決算特別委員会をはじめ、これまで何度か質疑を行ってまいりました。  この事業は、令和2年度から予算化をされたものの、令和2年度、令和3年度と新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止になってしまいました。  そんな中、本市をはじめ、実行委員会、そして関係者の皆様が、諦めず、粘り強くこの事業に取り組んできていただいたおかげで、昨年度、やっと初めての開催にこぎつけることができて、我が会派でも、オープニングイベントをはじめ様々なイベントを視察したところ、一定の盛り上がりを見せていたと感じました。  そこで、最初の質問ですが、昨年度の事業の実施結果とその評価について伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  昨年度のスマイルリンク事業の実施結果とその評価についてお答えいたします。  昨年度は、2月3日から12日までの10日間で開催いたしまして、スケートリンクの一般開放のほか、ジュニア選手やオリンピアンのアイスショー、スケート教室などを実施いたしました。  さらに、協賛社のPRブース、札幌国際芸術祭との連携による触れて楽しむアート作品の展示など、様々なコンテンツを展開したところでございます。  連日、多くの市民や国内外からの観光客が訪れまして、利用実績といたしましては、リンクの利用者は約4,300人、入場者は約3万4,000人となり、にぎわいを見せたところでございます。  また、利用者に対するアンケート調査結果では、スケートを楽しめたと回答した人の割合は98%、また利用したいと回答した人の割合は89%と、満足度は非常に高かったものと認識してございます。  一方、ブース展開のうち飲食につきましては、想定していたほどの利用がなかったことや、特に土・日にはリンクの利用に1時間以上の待ち時間が発生するなど、にぎわいづくりと効率的な運営についての課題が明らかになったところでございます。 ◆わたなべ泰行 委員  スケートリンクの一般開放以外にも、にぎわいの創出のためにジュニアやオリンピアンを交えました教室、そして、様々なコンテンツの展開等に取り組むといったことに尽力をいただいて、利用者の満足度が非常に高かったといった答弁でございますけれども、やはり、昨年度は初めての開催でございましたので、いろいろと試行錯誤しながら、今ご答弁にあったように、うまくいったことと、一方で、運営面ですとか、1時間ぐらい待たせてしまったとか、そうでなかったこともあったとの答弁でございました。  今年度の開催に当たりましては、前回の結果をしっかりと振り返っていただいて、昨年度より来場者を、今回4,500人が滑られたということですけれども、もう一桁上がるように増やしていただく、体験していただく方を増やしていただく、満足度を上げていくことが重要だと考えております。  そこで、質問ですが、前回の実績を踏まえて今年度はどのように事業展開をしていくのか、伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  前回の実績を踏まえました今年の事業展開についてお答えいたします。  冬期間の誘客、滞在日数の延長を図るため、開催日数を10日間から14日程度に増やすことや、さっぽろ雪まつりと重複しない期間を設けるなど、実行委員会において検討中でございます。  また、特にアジアからの外国人観光客は、スケート以外にも雪に触れるといった冬の札幌ならではの特別な体験を求める傾向にありますことから、気軽に雪遊びができる体験型コンテンツを充実させていきたいというふうに考えてございます。  一方、昨年度は、飲食ブースの利用が少なかったことを踏まえまして、規模を縮小する代わりに近隣の飲食店と連携をするなど、来場者のサービス向上と周辺事業者への波及を図ってまいりたいというふうに考えてございます。  さらに、リンクの待ち時間対策といたしまして、受付やスケート靴のレンタルなど運営の効率化を図りますほか、土・日の混み合う時間帯には一般開放時間の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  開催日数を10日から14日に増やし、そして、雪遊びなどの体験型コンテンツを充実させたり、運営面のほうも努力をしていただく、また、近隣のお店等との連携ですね。とにかく、昨年度よりもさらにレベルアップをしていくとの答弁でございました。とはいえ、開催までまだ時間がございますので、事業の内容についてさらに工夫ができることがあれば頑張って取り組んでいただきたいなと思うところでございます。  さて、ここでの最後の質問に入りますが、本市は、冬期間の観光客が夏期に比べて減少し、いわゆる閑散期になるところでございますけれども、この閑散期対策にさらなる誘客促進が必要でございます。  これまでも、ホワイトイルミネーションやクリスマス市、そして、2月には国際的なイベントであるさっぽろ雪まつりが開催されていますが、このスマイルリンクさっぽろも札幌ならではのコンテンツであり、冬期間の誘客促進のために継続していく必要があると考えております。  そこで、質問ですが、冬期間のさらなる誘客促進に当たり、スマイルリンクさっぽろ事業をどのように位置づけていくのか、市の見解を伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  スマイルリンク事業を今後どのように位置づけていくのかというご質問でございました。  現在、次期観光まちづくりプランの策定作業を行っておりますが、今後の観光施策の方向性といたしましては、高い付加価値の提供、滞在日数の長期化、インバウンドの誘致などにより観光客1人当たりの消費単価を増大させていくことが重要と考えております。  また、観光関連事業者の経営、雇用の安定化、成長のためには、観光繁忙期と閑散期の差の縮小、冬期間の需要の底上げが必要と考えてございます。  スマイルリンクさっぽろ事業は、これらの課題に対応するための重要な取組の一つであり、札幌でしか体験できない冬のイベントとして定着をさせ、あわせて、市民の方、子どもたちの来場も促進をし、ウインタースポーツや雪文化に気軽に楽しむ機会としてまいりたいというふうに考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  スマイルリンクさっぽろ事業に対する札幌市の考えは理解をいたしました。ぜひ、冬期間のにぎわいづくり、誘客促進、滞在日数の延長、消費単価をもっと高くして、本当に地元の観光関連産業にお金を落としていただきたい、ぜひこの事業を継続していっていただきたいと思います。  要望です。  このイベントを継続していくためには、やはり、この事業に賛同してくれる事業者を増やしていく必要があると考えております。そのためには、先ほど連携の話が出ましたけれども、協賛や後援の獲得のほかにも、同時期に開催されるイベント、周辺の店舗、飲食店、ホテルなどとの連携を一層強めていただきたいと思います。そのためにも、このイベントをさらに魅力あるものに成長させていく必要がございますので、ぜひ、毎年レベルアップし、本市の冬季の観光を牽引していく力のあるイベントにしていくための取組を引き続き求めます。  また、近年は、ウインタースポーツのまち札幌の、市民のスケートをする文化が薄れてきていることを危惧しております。ウインタースポーツの振興を考えますと、本事業はスケート文化振興の観点でも盛り上げていく必要があると考えます。  例えば、子どもたちがスマイルリンクで滑ったことをきっかけに本格的にスケートを始め、将来、オリンピアンになったということがあるかもしれません。このように、スマイルリンクはスケートをするきっかけづくりにもなると考えますので、スケート連盟やスポーツ局とも連携をしていただくことを求めて、この質問を終わります。  次に、アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットについて質問いたします。  先月11日から14日にかけて、札幌コンベンションセンターを舞台にアドベンチャー・トラベルの国際商談会でありますATWS2023が開催されてから早くも1か月が経過いたしました。  サミット参加者も含めた会場全体で日本独自の文化であるラジオ体操から全体会議がスタートしたほか、大倉山ジャンプ競技場で開催されたオープニングセレモニーではスキージャンプの披露があるなど、日本、札幌市らしい演出に大いに盛り上がったと伺っているところでございます。  私は、かねてより、大都市でありながら豊かな自然に恵まれているとともに、多様なアクティビティーや文化的な体験を味わうことが可能な札幌はアドベンチャートラベルの適地であるということを訴えて、何度か質疑を行ってまいりました。  ATWS2023を契機とし、今後、札幌観光がどのように発展していくのか、注視しているところでございます。  そこで、質問ですが、ATWS2023ではどのようなことが行われ、その結果を札幌市としてどのように評価をしているのか、伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットの内容とその評価についてお答えを申し上げます。  今回のサミットには、欧米等を中心に、旅行会社やメディア関係者など64か国、750名以上が参加をしてございます。  サミット開催の約1週間前から催行されますPSA、プレサミットアドベンチャーといたしまして、道外を含む22のツアーが実施されたほか、サミット初日の9月11日には、札幌を基点とした31の道内日帰りツアーが開催されました。  札幌コンベンションセンターにおきましては、サミット主催団体であるATTAによる持続可能な観光などをテーマといたしました講演やワークショップ、旅行会社同士の商談会やメディアとの交流会も開催されたところでございます。  北海道、札幌の魅力をじかに感じていただくとともに、海外からの参加者と国内事業者とのネットワークが構築をできたというふうに考えてございます。  参加者から、SNS等でも多数の称賛の声をいただいておりまして、今後の誘客につながる大きな成果があったものと受け止めております。 ◆わたなべ泰行 委員  世界の観光トレンドの一つでありますアドベンチャートラベルの世界の商談会が、アジア初の開催で世界の観光関連産業が注目されている中、まだ検証中のことだと思いますけれども、世界から本当に多くの方が参加をされまして、この札幌を訪れていただき、北海道、札幌の魅力を実感されることに一定の成果があったことで、今後、本市の誘客につながることが期待でき、評価いたします。  また、私も伺ったところ、今まで各国でATWSが開催されてきているところでございますけれども、このATWSが商談期間を終了した後も、多くの海外の方が札幌に残って引き続き観光されていったと、こういうことは世界でも珍しいことだった、こういったこともあって非常にうれしかったなというふうに思います。  日本政府観光局、JNTOは、インバウンドの本格的な回復に向けた2023年度の主な取組の一つとして、アドベンチャートラベルの魅力発信を掲げております。今後、ATWS2023で得られた知見の情報共有も行われるとのことで、これから日本各地でアドベンチャートラベル推進の動きが活発化されることが想定されます。  さて、私は、先ほど、札幌市はATに向いていると話をしましたけれども、3年前に世界で急拡大している観光がATであり、そのワールドサミットが札幌市を中心に行われると聞いたときには、札幌の観光振興への期待感が湧きましたが、一方で、知床やニセコのようなダイナミックな自然体験は札幌では難しく、ATでの誘客は本市では厳しいなというふうにも思いました。しかし、ATWSに何度も参加し、ATに精通していると言われる北海道開発局の方や、本格的にATに取り組んでいた道東の宿泊事業者の方からお話を伺いますと、ATは大自然のツアーだと思われがちだが、散歩に近いような自然散策でもATのカテゴリーに入ると教えていただきました。  確かに、難易度が高いコースのニーズは多いですが、ATの参加者には高齢者や子どももいます。そして、長期滞在型のATでは、滞在中に買物をしたり、レベルの高い食文化を楽しむなど、都会で過ごすことをコースに入れることもございます。  ご案内のとおり、ATの定義は、自然を体感するネイチャー、体を動かすアクティビティー、異文化に触れるカルチャーの三つの要素のうち二つ以上の要素があり、楽しさや感動とともに学びや気づきを体験するのがATです。  私は、政務調査で、ATの視点で考察する札幌市の次世代観光ポテンシャルという調査を行いました。  その結果、都市と自然が融合し、特に食やウインタースポーツのポテンシャルが高く、さらには温泉もある札幌は、AT誘客の可能性は高く、本市でのAT誘客の可能性を深めましたが、同時に課題も浮き上がってまいりました。  その最も大きな課題が本市のガイド不足でした。従来の体験型観光をさらに価値あるものに高めたATではガイドの存在は必須であり、また、ガイドの案内の表現ですね、従来の日本のガイドの説明型ではなくて、レジャー性を重視するATでは、ガイドのエンターテインメント性も求められているところでございます。世界では、ガイドの質によってATの行き先を決めることもあります。  私は、昨年、本市が取り組んだテレビ塔から定山渓までサイクリングをするAT体験に参加をしたとき、ガイドの方も自転車に乗って、途中の観光スポットで食事の際も文化や歴史を教えてくれて、大変充実した経験をさせていただき、コースはつくれても質の高いガイドがいなければATの製品としては成立しないといったことも実感いたしました。  ただ、こういった課題はございますけれども、ATを扱う事業者が増えれば、ATの効果であります長期滞在や消費単価が高く、地元の観光産業の利益も増収することが見込まれます。  そこで、質問ですが、今後、札幌市はアドベンチャートラベルのさらなる推進に向けてどのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  アドベンチャートラベルの推進に向けた今後の取組についてお答えをいたします。  今回のサミットを経験いたしまして、北海道、札幌におけるアドベンチャートラベル、いわゆるATの可能性を改めて確認できたところでございます。ATは、消費単価、地域への経済波及効果が高く、地域の文化や環境に配慮した高付加価値な旅行形態であるため、本市においても、より一層推進すべき観光施策と考えております。  しかしながら、ATを巡る国内他地域との競争に打ち勝つとともに、今後の需要の増加に応えていくためには、ATに関わる人材の拡大やレベルアップ、商品造成に関するネットワークの構築を同時に進め、量的、質的共に受入れ体制を強化する必要があります。  そのため、今年度から、札幌で活躍することが期待できる新たなATガイド人材の発掘や、発掘したガイド人材への実地研修の実施、当該ガイドによる新規のATツアーの造成とモニターツアーの実施に取り組んでいるところでございます。  今後も、これらの一連の取組を継続することによりまして、AT客の高水準のニーズに対応できるガイド人材の増加や、関係者間のネットワークの強化を図りまして、ATの先進地を目指してまいりたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  受入れ体制を強化するということで、具体的には、先ほど指摘させていただきましたATガイドの人材の発掘、発掘したガイドへの実地研修の実施、育成したガイドを活用した新規のATツアーを造成していくとのことでした。  ぜひ、質の高いガイドの育成に尽力をしていただくとともに、札幌の魅力を深掘りしたATコースを造成していただき、欧米、そして、これからATブームが来ると予想されておりますアジアからの観光客が増えることを期待して、この質問を終わります。  最後に、札幌コンシェルジュ事業について質問をいたします。  来札されるリピーター確保に結びつく取組の一つとして、札幌市では、昨年度より、お決まり、定番の観光スポットだけではなくて、よりディープな札幌の魅力を観光客に伝えることを目的の一つとした新たな観光資源の発掘や、モデルコースの開発を行う札幌コンシェルジュ事業を展開しております。  先ほど質問しましたATの取組のように、海外に札幌をPRしていける時代に合った観光商材をつくることと同様に、気軽に行ける市内観光、特にまち中の観光に磨きをかけることも大切な取組だと考えております。  令和5年1定の予算特別委員会におきまして我が会派より、令和4年度の本事業の具体の取組内容や成果について質問をいたしました。  その時点の成果としましては、旅行代理店や宿泊事業者など45名の参加者により、189の観光資源の発掘、20のモデルコースが開発される見込みであることや、参加者からは、事業者単独ではできなかった取組ができたなど、好意的な意見があったとの答弁でございました。  観光需要の本格的な回復が待たれる中、リピーター確保策として本事業が果たす役割への期待も今後ますます大きくなっていくものと考えております。  そこで、質問ですが、本事業の2年目を始めるに当たって昨年度の取組をどう評価したのかを伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  札幌コンシェルジュ事業に関する昨年度の取組に対する評価についてお答えいたします。  既存のガイドブックには掲載されていないような多くの観光資源の発掘や、それらのデータ化によりまして、これまで紹介できなかった新たな魅力を観光客に伝えられる基盤が整った点につきまして、一定程度、事業目的を達成したものと評価をしてございます。  その一方で、昨年度は、発掘したコンテンツをつなぎ合わせたモデルコースをエリアごとに開発いたしましたが、参加者からは、エリアを横断する形で特定のテーマに基づいたコースをつくっても面白いのではないかといったご意見もございました。  また、現地でしかできない体験を目的に来られる観光客の取り込みを考えた際には、開発したコースを案内できるガイドの存在が重要になるところでございますが、現状では、そのようなガイド人材が不足しているということなども課題として浮き彫りになってございます。 ◆わたなべ泰行 委員  観光案内には載っていない多くの観光資源の発掘、そして、それらを基にしたコースの開発といったことができており、そして、今まで私も参加させていただきましたワークショップでやられていますけれども、これが、今度はテーマ別といったカテゴリーの分け方を考えている、さらに進化をしていこうと、レベルアップしていこうということで一定の評価ができます。  一方、新たな課題は、特にガイドの必要性も見えてきたとのことでございます。  先ほど、ATWSの質問におきましても、ATコースでのガイドの必要性を確認したところでございますけれども、本事業においても、まち中のモデルコースの各スポットで、そのまつわる歴史などの関連情報等を説明できるガイドが同行することで札幌の魅力がより深く伝わって、また、リピーター確保の効果のほかにも、参加者よりSNSなどを通じ今まで以上に札幌の都心部の魅力を世界に発信していくことも見込まれます。
     今回の私の質問を通じまして、AT事業の推進にはガイドが不可欠で、市内観光においてもガイドの必要性があるということで、SNS等のインターネットを活用した情報発信の利用が世界的に拡大している現代におきましては、当たり前ではございますけれども、情報を最大限に活用していくということは、様々なシーンにおいてかなり有効な手段でございます。  本市の観光施策においても、情報を最大限に活用するために、あらゆる方法で情報を伝える力に磨きをかけていかなければならないというふうに考えております。  そこで、質問ですが、こうしたガイドの必要性について札幌市はどのように対応しようとしているのか、伺います。 ◎葛西 観光地域づくり担当部長  ガイドの必要性に係る対応につきましてお答えを申し上げます。  昨今、観光分野におきましては、観光客の満足度を高めるための施策といたしまして、単に有名な観光名所を巡るのではなく、専門的な知識を有したガイドから、その地域の歴史や文化等に関する深い学びを得ることができるような高付加価値な取組が有効であると認識されてございます。  そのため、新たなコースの開発や磨き上げに並行いたしまして、昨年度の事業で明らかとなりましたガイド人材の不足という課題への対応としまして、まち歩きガイド育成ワークショップを開催いたしまして、各エリアやテーマが持つ魅力やストーリーをしっかり伝え、観光客の興味・関心に合った案内に対応できるガイドの育成を目指してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆わたなべ泰行 委員  昨年度の課題を踏まえまして、まち歩きガイドの育成など、新たな要素を含めて今年度は事業を展開していくものと認識いたしました。  札幌にある多くの魅力を観光客に十分に伝えられるガイドの育成は相当の時間を要することとも思いますが、まずは、今年度末に開催されます事業報告会での取組成果の発表を期待しておりますので、頑張っていただきたいなと思います。  最後に、要望です。  今まで、札幌市は、誘客のために主に食文化やウインタースポーツ、雪まつりといった冬の文化を楽しみに来る方たちをターゲットにしてまいりました。これらの札幌の観光を支えてきた施策を磨き上げていくことは大切なことでございますけれども、市内観光をもっと他都市と差別化できるように底上げをしていくことを課題として、今までとは違う取組にも挑戦していかなければならないというふうに考えております。  市内観光の紹介は、公式情報サイト、ようこそさっぽろや観光案内所で行ってはおりますけれども、札幌は本当に観光資源が多いので紹介しきれておりません。  観光資源の魅力づくりや発信は、それぞれの事業者に任せがちで、ともすれば、活用しきれなくて、埋もれてしまうこともあります。本事業に参加した方からは、事業者単体ではできないことだったといった意見があったことからも、札幌の観光産業の発展のため本事業を継続していっていただき、その得た知見をデータ化して観光関連産業に活用すること、そして、今後は、この取組を全市に展開していくことや、ガイドが育成されたときには、その方たちから協力を得て専用アプリを開発するなど、デジタルを活用した札幌観光のガイド機能の充実を検討していただきたいと思います。  まずは、まち中での取組に成果を出すことに尽力することを求めまして、私の質問を終わります。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、シニア世代の就労支援について伺います。  少子高齢化が急速に進展し、人口が減少する中においても、経済社会の活力を維持するため、働く意欲があるシニア世代が、その能力を十分に発揮できるように後押しするような取組が必要であると、我が会派はこれまで何度も取り上げてきました。  就業意欲のあるシニア世代を雇用することは、企業にとって、労働力不足の解消はもちろんのこと、その知識、経験や人脈を活用できたり、様々な視点を取り込むことができるなど、多くのメリットをもたらすことになると考えます。  国においても、2021年4月に高年齢者雇用安定法を改正し、70歳までの就業確保措置を事業者の努力義務としており、今後もシニア世代の活躍の場は拡大していくものと考えられます。  そこで、質問ですが、札幌市は現在のシニア世代の雇用情勢についてどのように認識しているのか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  シニア世代の雇用情勢についてお答えいたします。  総務省統計局が行っている就業構造基本調査によれば、2017年の札幌市における65歳以上の有業率は18.3%と、政令市20市中で最も低い数値でありましたが、2022年は21.1%となり、16番目に位置しております。  この5年間で有業率が2.8ポイント向上しており、この伸び率については、政令市の中で2番目に高く、札幌市が積極的にシニア世代の雇用施策を推進してきたことも有業率向上の一因であると認識しております。  一方で、仕事をしていない高齢者のうち、就職希望者の割合は8.3%であり、政令市の平均7.8%を上回っていることから、さらに高齢者の雇用施策を充実させていく必要があると考えております。 ◆たけのうち有美 委員  本市がこれまでシニア世代の雇用施策を積極的に進めてきたということ、有業率が政令市の中でも大きく向上したということでしたが、高齢者の雇用施策を実施していくことの重要性を委員会の場で何度も訴えてきましたので、大変喜ばしく、また今後も注視していきたいと考えています。  次に、本市が実施している高齢者雇用施策の中から、2017年度より実施しているシニアワーキングさっぽろについて伺います。  このイベントは、経験のない仕事への不安を払拭するため、その場で業務体験をすることができる合同企業説明会という形態を取っています。コロナ禍においても、事前予約などの新型コロナウイルス感染症の対策を講じて実施しており、2022年度の参加者は786人で、この事業をきっかけとした就職者数は222人だったと聞いています。  そこで、質問ですが、シニアワーキングさっぽろ2022の成果についてどのように受け止めているのか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  シニアワーキングさっぽろ2022の成果についてお答えいたします。  企業に向けては、シニアワーキングさっぽろの開催前に、高齢者が求める働き方や採用に当たって配慮すべき事項などを紹介するセミナーを実施しており、47社の参加がございました。  また、体験つき仕事説明会は、企業より多数の申込みがあったことから、抽せんを行った上で、介護や警備などの人手不足職種を含めた延べ100社に出展いただき、2日間にわたって開催いたしました。  参加企業へのアンケートによれば、90%以上が採用したいと思える求職者と出会えたと回答しており、参加者についても、アンケートに回答した方の40%以上から、希望する条件に合う企業があったとの感想をいただいております。  このようなことから、本事業の目的である働く意欲のあるシニア世代と人材確保を希望する企業のマッチング機会を創出することができており、新たな就職に結びついていると認識しております。 ◆たけのうち有美 委員  本事業の目的であるマッチングの機会の創出について、参加企業、参加者の双方から評価する声が多く寄せられていることについては評価したいと思います。  アンケートに回答した方ということではありますが、40%以上が希望する条件に合った企業があったということでしたので、この声が今後も増えていくよう取組を推進していただきたいと思います。  さて、私は、2023年第1回定例市議会予算特別委員会においても、本事業によってシニア層の就労支援を後押しすることが重要であることから、今後はどのように事業を進めていく予定かを伺いました。その際は、今年度は、中央区の大規模会場のほか、厚別区でも中規模会場を設けて開催するとの答弁でした。シニア層は、就職する際に、自宅近隣の勤務地を希望する傾向があることから、就労支援を後押しする上で有効と考え、その動向が気になっていました。  そこで、質問ですが、本事業の今年度の実績と今後どのように進めていく予定なのか、伺います。 ◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長  今年度の実施状況と今後の進め方についてお答えいたします。  今年度は、中央区の大規模会場で2日、厚別区の中規模会場で1日開催し、この3日間での参加企業数は、前年度から28社増えて128社、参加者数は、前年度から584名増えて1,370名でございました。  参加者の増加要因としては、平成29年度から継続して開催してきたことによる認知度の向上に加えて、中規模会場での開催を追加したほか、コロナ禍において実施していた事前申込みを不要にし、気軽に参加可能としたことなどが考えられます。  そのほか、今回から保健所と連携し、野菜摂取目安量の測定や健康情報の発信を行ったほか、例年同様に年金に関わるセミナーを実施したことも参加者増につながったと認識しております。  今後は、多様な働き方を求める声に耳を傾け、市内の企業に対し、シニア世代のニーズやその知識、経験の生かし方について理解を深めていただくよう取り組むことで、参加者の就労の選択肢を広げ、両者に望ましいマッチングの実現を目指してまいります。 ◆たけのうち有美 委員  参加者数は、会場を増やしたこともあり、昨年の786人と比べて584人増加し1,370人だったとのことでした。  私は、シニアワーキングさっぽろの厚別会場に見学に行ってきました。答弁では、今回から新たに盛り込んだ保健所との連携などが挙げられていましたが、それ以外で私がいいなと感じたのは、会場に到着して、すぐどこかの企業のブースに行かなければならないのではなく、何か所かに設けられている休憩コーナーでゆっくりしてから動いてもよいところでした。  休憩コーナーには、会場の全体像や出展企業の勤務地区、募集職種が一目で分かるお仕事早見表などが掲載されている大きくて読みやすい新聞をじっくり見たり、ほかの方が体験している様子を眺めている方もたくさんいらっしゃいました。  また、ある企業のブースには、シニアでいいのではなく、シニアがいいと書かれたポスターが貼ってありました。そのブースは、ほかより集まっていた人が多かったので、企業の思いが参加者に伝わったのかなと感じました。  今後の課題は、中央区以外の大規模会場を増やしていくことだと思います。会場まで移動に時間がかかると足が遠のくことも考えられますし、自宅近隣の勤務地を希望する傾向にあるということを考えると、その辺りも考慮していただきたいと思います。  本市の65歳以上の有業率は、ここ10年で14.8%から21.1%と大幅に増加しており、今後もシニア層の方々にご活躍いただくことへの期待は高まっていくものと思われます。  答弁にもありましたように、参加者の声にしっかりと耳を傾け、現状に満足することなく、今後も常に改善することを意識しながら、本事業をよりよいものにして進めていただくことを要望して、私からの質問を終わります。 ◆成田祐樹 委員  私からは、市長のマレーシアへのトップセールスについてお伺いします。  秋元市長が本年9月1日から東南アジア諸国連合観光連盟、通称ASEANTA総会誘致のためにマレーシアを訪問されたとの報道がありました。東南アジア諸国連合、略してASEANは、人口規模が約6億7,000万人に及び、経済成長も本年の実質GDP成長率が4.8%と見込まれるなど、アジアの成長指標として世界から注目を集めているところでもあります。  コロナ禍前には、北海道がシンガポール事務所を構えて、札幌市からは自治体国際化協会シンガポール事務所に職員が派遣されていたこともあり、2016年には、私もそこを自費で訪れてASEAN地域の情報収集をさせてもらったことがあります。そのときには、北海道が非常に人気があるということが分かりました。  まず、空港に降り立って、チャンギ国際空港の飲食店モールにエスカレーターで上がっていって一番最初に目についた飲食店がつぼ八でした。地下鉄の駅構内は、改札口を出たところにロイズの店舗がありチョコレートを売っている。タンジョン・パガーというまちには天ぷら屋があって、そこには行列ができていたのですが、その近くには北海道酒場という酒場があって、ちょうどそのときは八雲町と連携をしたりして、八雲町長がそこにトップセールスで訪れて、いらっしゃっていたお店の方に観光や食材も含めてPRしたことがあったと聞いております。  訪問した際には、シンガポールがASEAN地域の発信の中心地として、マレーシア、タイ、インドネシアなどが強く北海道への憧れを持っていることを現地の方々から伺い、その勢いは、現在、コロナ禍前よりもさらに上がっているのではないかと察しているところです。  そこでまず、質問ですが、今回、市長がマレーシアにトップセールスを行うに至った経緯や狙いについて、見解をお伺いしたいと思います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  市長がトップセールスに至りました経緯や狙いにつきましてお答え申し上げます。  MICE市場が拡大している東南アジア地域に対しまして、札幌市のプレゼンス向上とさらなる誘客につなげることを目的としまして、本年6月、東南アジア諸国連合観光連盟、ASEANTAのエディ会長ら幹部3名を招請したところでございます。  秋元市長への表敬訪問の場におきまして、エディ会長から、今回の来札を通じ、札幌のグリーンシーズンの美しさを含め、多くの魅力を再認識した。今後、関連する会議を札幌で開催し、札幌のプロモーションに協力したいという申出をいただきました。  こうした経緯を受けまして、ASEAN諸国の観光業界に強い影響力を持つトップ層の参加が見込まれるASEANTAの総会を誘致のターゲットと定め、秋元市長がマレーシアを訪問し、札幌開催に向けたトップセールスを行うこととしたものでございます。 ◆成田祐樹 委員  総会の誘致ということで、現在、観光分野においては、国のほうもASEANを新規訪日層、リピーターの両方を視野に入れて幅広い誘客を展開していくということと、北海道、札幌を含めた地方誘客を促進していく重点地域としてマーケティング戦略を策定しているというところで、ASEAN市場は、札幌においても、コロナ禍以前の2019年度に約45万人を超える宿泊者数を数え、これは市内外国人宿泊者数の約20%を占めており、インバウンド市場で一定のマーケットを形成しているというふうに報告を聞いております。  また、企業の報奨旅行、いわゆるインセンティブツアーにおいては、タイやマレーシアなどから1,000名を超えるツアーも組まれ、札幌はショッピングや都市観光、近隣の自然を楽しめる訪問地として人気を博していると言われており、アジア圏での人気観光地の地位を大きく高めていると感じているところです。  また、平成28年1定の予算特別委員会において、私のほうから、後志地区との広域観光連携について進めていくよう要望しておきましたが、札幌市は、インセンティブツアーを含むMICEに関して、小樽市、ニセコ町、倶知安町と連携協力に関する覚書を交わして、後志地区と広域的な取組を進めているとのことで、この連携がさらなる発展をするとともに、ASEAN地域からの集客につながることを期待しております。  このように、ASEANは、インセンティブツアーをはじめとしたインバウンドの成長が見込める有力市場であり、札幌市にはより効果の高い誘致活動を望むところです。  そこで、お伺いしますが、今回、市長が行ったトップセールスの効果について何があったか、お聞かせ願えればと思います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  今回のトップセールスの成果についてお答え申し上げます。  エディ会長からは、今後の役員会で正式決定されることになるが、総会を札幌で開催するための具体的な準備を進めていきたいとの大変力強いお言葉をいただき、大きな手応えがございました。  また、総会開催と同時に、地元の観光業界幹部との交流を持ち、相互の観光交流を強化していきたいとの発言もございまして、札幌開催への期待の大きさが感じられたところでございます。  今後は、国や関係団体とも実務者レベルでの協議を続け、札幌はもとより、北海道にもASEAN諸国からMICE誘致がより促進されるよう、取組を進めてまいりたいと考えてございます。 ◆成田祐樹 委員  既に準備を進めてきているところで、非常に大きな成果があったのかなというふうに思っております。特に今後のASEANTAの総会が見込まれるという点については、当市の魅力を発信する観点からも、また勢いのある国々の観光需要を取り込むためにも、実際に札幌圏の事業者もその場に参画して情報収集できるという点からも非常に意義があるのかなというふうに感じております。  また、今回の総会を札幌にとってくるというように、やはり、トップセールスというのは現地に行って何ぼのところがあるかと思いますので、これについては、もっと行っていただきたいところです。  先ほど、わたなべ委員からもありましたけれども、9月に行われたアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットに関連する話だと、サミット開催後には北欧地域の人たちから注目を浴びるというふうに言われております。  ぜひ、今後については、マレーシアやASEAN地域に限らず、世界に向けて積極的にトップセールスに取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、最後の質問ですが、トップセールスの今後の方向性についてお伺いをしたいと思います。 ◎北川 観光・MICE推進部長  トップセールスの今後の方向性についてお答え申し上げます。  今回、秋元市長は、札幌市と食の輸出拡大に関する連携協定を締結しております日系企業や日本貿易振興機構を訪問し、これらの企業、団体との関係をさらに強固にしたところです。  今後は、広くトップセールスによるMICE誘致を進めるとともに、一層の相乗効果を発揮するよう、食の輸出拡大はもとより、スタートアップやGXの推進など、本市の重要施策とさらなる連動を図ってまいりたいと考えてございます。 ◆成田祐樹 委員  最後に、2点要望したいと思います。  1点目には、やはり、トップセールスによって、ASEAN地域に限らず、本当に世界中に札幌市を売り込める部分があると思いますので、ぜひ、それについては積極的に改めてやっていただきたいということを申し上げたいと思います。  2点目は、こういった観光客の方を取り込むために関わるという部分で、やはり宿泊税です。宿泊税については、私は、こういった整備等々を含めて、そういった未来のことを考えると、事業者の理解を得ながら迅速に進めるほうがよいというふうに思っております。  ただ、その中で、実際に観光客を受け入れる、インバウンドを受け入れるという話になると、外国語対応であるとか、施設の設備であるとか、そういったインフラ整備や、先ほどガイドの話もありましたけれども、ガイドの育成だとか、そういったことは必ず必要となってまいります。でも、そういうものは、実際に受け入れているのは各市町村がやっているわけですよ。道がやっているわけじゃないんですね。実際のところは、各市町村が自ら動いて、そういったガイドを育成しているのです。基礎自治体がやっているわけです。  隣の小樽市は、観光振興に関して道庁に何かやってもらっているかというと、道庁の施設なんかないですよ。そして、観光振興に対して道から予算がついていることもありません。施設整備だとかそういうところで国と一緒に道も補助金を出すというものはありますけれども、道が主体としてやっているのは何もないのです。  イベントをやるときもそうなのです。小樽は冬に雪あかりの路というイベントがありますが、そのイベントの費用であっても、これは市の単費なんですね。道から一銭も出ていません。市で出したものを、これは市民の皆さんがボランティアで手づくりでやっているイベントで、少しずつ大きくしていったのです。そういった部分ですね。地域の観光振興に道庁が携わってという部分というのは非常に見えない。まだ国のほうが一生懸命やってくれていますよ。  雪あかりの路には、開発局ですね。小樽開建の職員がみんな総出で、ボランティアで手伝ってくれるんですよ。道庁の職員なんて、人を一人もよこしてくれないんです。実際にそういう状況ですから。政令市だったらなおさら、道との接点というのはお金の部分でないというのはありますけれども、そうじゃなくて、観光都市で、ほかの道内の都市であっても、道庁からお金も人も来ていないんです。  そうなると、なぜ道庁が宿泊税のイニシアチブを握るのか分からないわけです。お金は向こうに持っていくと。一体どうやって配分するのか、そういうところにつながるわけですね。  そもそも、道が各自治体にお金を配っていないのに、いきなりお金だけ手に入れて、私が配りますと、そういうことを実績がないのにやろうとしていること自体がおかしいわけです。  そういったことを考えると、ぜひ、宿泊税については、札幌市の主張、実際に観光を担っている市町村、基礎自治体の主張をしっかり酌み取り、そこがイニシアチブ、主導権を取るということを私は主張したいと思います。これについては、道庁が何かやってやろうというような案に関しては、青山局長、これは怒ったほうがいいと思いますよ。これは議会を通る話じゃないぞと。やり方によっては、本当に札幌市議会で議案が通らない可能性もあるということを申し添えるとともに、基礎自治体に対して宿泊税がしっかりと入るような仕組みをつくっていただくということを最後に強く強く要望して、質問を終わります。 ○太田秀子 副委員長  以上で、第1項 商工労働費の質疑を終了いたします。  次に、第2項 農政費のうち、経済観光局関係分の質疑を行います。 ◆脇元繁之 委員  私からは、捕獲したエゾシカの処理に関する現状と課題について、3点お伺いしたいと思います。  近年、エゾシカの生息数が急増し、道内のあちこちで樹木の皮が剥がされて枯れてしまったり、農産物が荒らされたりといった食害も顕著になってきています。また、郊外の路上においては、車との衝突事故による身体のけがや車の損傷による費用負担など、ヒグマの出没もさることながら、エゾシカによる被害が我々の市民生活と経済活動に深刻な影響を与えているのは言うまでもありません。  そこで、北海道では、北海道エゾシカ管理計画に基づいて、有害駆除を含む許可捕獲及び狩猟捕獲による捕獲目標数を定め、個体数の適正管理に努めているところでありますが、市内におけるエゾシカの有害捕獲については、北海道猟友会札幌支部を中心とした地域のハンターの皆さんが担っているところであります。  猟友会から聞いた話によりますと、ヒグマを含めて猟に当たるハンターの数は、札幌市内では、高齢化が進行する中でも一定数確保できているところでありますが、捕獲したエゾシカの処理に悩んでいるとのことであります。  昨年度における札幌市内でのエゾシカの有害捕獲数は140頭ほどですが、処理先、処理場が少ないため、捕獲するにも限界があるとのことであります。  ちなみに、ヒグマに関しては、頭数が少ないこともありますけれども、駆除したものを学術機関が研究用として引き取っているということであります。  そこで、質問でございます。  札幌市において捕獲したエゾシカの処理について取組を進めているとのことですが、その取組の内容や関係部署との協議の状況を課題も含めてお聞かせください。 ◎石橋 農政部長  捕獲したエゾシカの処理に係る現状と課題についてお答えいたします。  現在、駆除したシカは、ハンターが食肉として自己消費しているほかには、ペットフード製造業者への譲渡等で処分されておりますが、譲渡については、駆除のタイミングとニーズが常に一致するわけではなく、安定的に処分できる焼却等を第一に検討しているところでございます。  これまで、本市清掃工場での焼却処分については環境局と協議を重ねてきたところですが、持ち込みサイズの制限などの課題が示されております。  今後の農業被害の軽減のためには、安定的な処分体制の構築が不可欠であり、猟友会をはじめとした関係者との調整を進め、環境局とも引き続き協議を重ねてまいります。  また、9月から東区の民間処理施設での焼却を試験的に開始しておりますが、営業時間内での受入れに限定されることに加え、捕獲頭数の多い南区からの場合、運搬距離の課題などがございます。 ◆脇元繁之 委員  ただいまの答弁によりますと、駆除したエゾシカを民間施設で焼却処分するには、輸送負担が大きいことや、市の清掃工場で受け入れるにしても、前処理も含め、様々な課題があることは理解しました。
     例えば、清掃工場には、鹿の体を50センチぐらいに小さくしないと受け入れてもらえない。また、東区のほうの民間処理施設は、脚4本を取ってないと持ち込みができないということでございます。  鹿の駆除に当たっては、処理施設を設けて有効活用を図るべきと考えておりますが、その点については、この後、お尋ねしたいと思います。  次に、有害捕獲に従事するハンターの処遇についてお伺いします。  札幌市で有害捕獲に従事するハンターは、報酬目的ではなく、社会貢献を目的に、農協などの依頼により、ボランティアとしてエゾシカの駆除に従事しており、銃弾などの捕獲にかかる費用についても、ハンターの皆さんが自己負担していると聞いているところであります。  また、市内のハンターの多くは、なりわい、仕事を抱えているため、ハンターとしての行動時間は土曜、日曜、祝日と、平日の早朝と仕事を終えてからの夕方、およそ各1時間に限られているとのことであります。  猟友会から聞いたところによりますと、ハンターとして活動できる限られた時間帯に捕獲したエゾシカを受け入れることができる処理施設の整備や、若いハンターが有害駆除に積極的に従事しやすい環境となるよう、費用面での支援を要望しているとのことであります。  そこで、質問であります。  ハンターがボランティアとしてエゾシカ駆除に従事している実態を踏まえると、今後における人材の確保という面からも、捕獲や処理に係る環境の整備が必要ですし、本市としても、捕獲にかかる費用の提供や補助も含めた処遇の改善も考慮すべきと考えますがいかがか、お伺いします。 ◎石橋 農政部長  エゾシカ駆除に従事するハンターの処遇改善についてお答えいたします。  無償で有害駆除に従事してくださっているハンターの方々には大変感謝しており、有害駆除活動が効率よく実施できるような環境を整えることが重要であると認識しております。  ハンターの負担軽減については、捕獲個体の一時保管施設を設置するなど、即時に運搬しなくてもよい体制を整えることを検討しております。  また、報酬面については、今年度より国の緊急捕獲活動支援事業を活用しており、国費にて捕獲活動に係る経費が支援されるため、ハンターの活動環境改善に寄与するものと考えております。 ◆脇元繁之 委員  今、まさに我々が頼りにしているのは、猟友会の皆さんの正義感とも取れるボランティア精神の捕獲作業なわけであります。多くの札幌市内のハンターさんは報酬を求めておりません。実費負担ぐらいの費用を賄ってもらいたいという気持ちであります。それを我々は、自分たちの都合のいいように捉えてはいけませんし、こちらのほうから積極的に手当てをすることで、ハンターの皆さんも気持ちよく、そして、札幌市のためだと誇りを持って捕獲作業に取り組むこともできるのではないでしょうか。  そうしたことを踏まえた上で、先ほど述べた処理施設についてですが、猟友会としては、24時間エゾシカの受入れが可能な施設を札幌市内、特にエゾシカを多く捕獲する南区を中心に複数箇所設置してほしいとのことでありました。  そしてまた、私は、駆除したエゾシカを、野生動物の命を大切に扱うという面からも、ジビエ利用などで有効活用していくことが大切とも考えております。  そこで、質問であります。  処理施設の設置に関しては様々な課題があると思いますので、あえて問いませんが、最後に、エゾシカの焼却以外の有効活用についてはどのようにお考えか、お伺いいたします。 ◎石橋 農政部長  エゾシカの有効活用についてお答えいたします。  廃棄物量削減の意味でも、焼却だけでなく、ジビエ利用やペットフード製造などの有効活用に向けた仕組みづくりについても調査しているところでございます。  処分方法については、それぞれメリット、デメリットがあり、札幌市に適した複数の処理ルートについて、今後、調査結果に基づき検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆脇元繁之 委員  なかなか簡単に前に進むことではないのですけれども、ぜひ、エゾシカの数、生息数と農業被害の多い南区など、エゾシカの捕獲する場所に近い地域に24時間受入れ可能な、民間で処理できる専門の施設の設置や行政による支援を検討してほしいと思います。  先ほども述べましたが、私は、エゾシカの駆除に当たっては、それを単に民間施設や清掃工場などで焼却すればよいということではなく、きちんと市内に専門の処理施設を設けてジビエ処理で食肉に回したり、現在、本州から高いお金を払って購入している全国の動物園にも広がっている、円山動物園でも行われております屠体給餌として、殺菌処理して肉食動物用に加工したり、高タンパク、低カロリーのペットフードや、革製品とか伝統工芸の素材にするなど、可能な限り、その命は有効活用を図るべきと考えております。そう考えますと、100%公的の施設よりも民間による処理施設が適切かと思います。  とはいえ、民間事業ですと、野生動物、特に有害捕獲目的とする場合は、安定的な数と品質を確保することは極めて難しいと考えます。経営、設備投資、引き取り、処理、加工、商品化、販売といった、少なくとも六つの工程が必要になってまいります。  土台の部分のハード整備については、ぜひとも行政が補助を行い、処理から商品化、販売までを民間に託することにより、エゾシカなどの有害鳥獣の適正管理が持続的に行われると考えるところであります。  農政部と環境局の皆さんにおかれましては、日頃より、この問題に頭を悩ませながらも、全力で解決に向け取り組んでいることは重々承知しております。しかしながら、その動きは、エゾシカや有害鳥獣の問題に追いついていないことも残念ながら事実であります。  我々議員も、微力ではありますが、力を尽くしお手伝いしてまいりますので、より一層の取組をお願いして、私からの質問を終わります。 ○丸山秀樹 委員長  以上で、第2項 農政費のうち、経済観光局関係分の質疑を終了いたします。  最後に、議案第3号 令和4年度札幌市中央卸売市場事業会計決算認定の件の質疑を行います。 ◆前川隆史 委員  私からは、札幌市中央卸売市場における水産物の消費喚起の取組についてお伺いをいたします。  我が会派は、令和3年3定以降、コロナ禍にある市場関連事業者の取引の活性化を力強く後押しする支援について要望してまいりました。その後、市場の活性化策も進めていただきまして、令和4年度決算を見ますと、市場全体の取扱額は、水産、青果を合わせて前年度比プラス9.2%の増加と、コロナ前の水準まで戻っており、大変に喜ばしく思っているところでございます。  しかしながら、ALPS処理水の海洋放出が始まった8月24日に中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止したことにより、ホタテをはじめとした道産水産物の生産、流通は大きな打撃を受けております。  私どもも札幌市場に足を運び調査をしてきましたが、報道や水産卸売業者の声を聞くと、産地では、行き場を失った冷凍ホタテの在庫の問題や、いわゆるシップバックされた水産物の保管などが大きな問題となっているようでございます。こうした実態は、少なからず市場事業者の取引にも影響を与えたり、変化を生じさせているのではないかと懸念しているところでございます。  そこでまず、1点目の質問でございますが、中国の禁輸を受け、札幌市中央卸売市場の水産物取引において、どのような品目などで、どのような影響や取引の変化が生じているのか、また、今後予想される影響等も含めてお伺いしたいと思います。 ◎岩立 中央卸売市場長  中国禁輸措置後の市場における水産物の取引の状況についてお答えを申し上げます。  札幌市中央卸売市場においても、8月のALPS処理水放出以前、中国が日本産水産物の検査強化を発表した今年7月から、市場取扱高でも上位を占めるホタテを中心に影響が出ております。  具体的には、中国への輸出がメインだった冷凍ホタテでは、取扱数量が昨年度に比べ3割以上減少しており、昨年約2,700円だったキロ当たり単価も2割ほど低下している状況でございます。  また、冷凍ホタテの在庫調整を受けて流通量が増加している生鮮のむきホタテでは、市場でも7月、8月の入荷量が増加いたしましたが、例年、この時期、上昇傾向にある単価が今年は低調でありました。  今後考えられる影響としては、年明けに噴火湾産のホタテの水揚げが最盛期を迎えることから、取引単価が一段と低下してくる可能性があるほか、産地における冷蔵庫の不足感から、最盛期を迎えているサケなどの冷凍品の数量や、これに代わって流通する生鮮品の単価への影響等が懸念されているところでございます。 ◆前川隆史 委員  7月以降、ホタテをはじめとして、かなり影響が出ているということでございました。昨年に比較して3割以上の減少、また単価も2割下がっているという話もございました。  また、今後の影響として、ホタテも産地によって出荷の時期が違うということでございますので、年明け以降の噴火湾産のホタテの最盛期を迎えるということで、その影響ですとか、そのほかの魚種についても大変影響が出ていると、そういう懸念をしているということでございます。  中国向けホタテは、2022年には10万トンを超えておりまして、その9割が北海道からの輸出であります。この問題が与える道内への影響は、生産者や産地、卸売業者、加工業者など広範な地域、業種の事業者に及んでおります。  道内唯一の中央卸売市場で一大消費地を抱える札幌市場には、ホタテをはじめとした道産水産物の消費拡大に向け大きな期待が寄せられていると思いますし、その期待に応えていくためには、市場内の事業者との協力はもとより、北海道との情報共有や連携も重要かと思います。  そこで、2点目の質問ですが、中国の禁輸により影響を受けた道産水産物の消費拡大に向け、道との連携体制はどのようになっているのか、そして、2点目に、札幌市場が一致団結してこれに取り組むために、場内の体制としてどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。 ◎岩立 中央卸売市場長  北海道及び場内事業者との連携体制についてお答えを申し上げます。  まず、北海道との連携体制につきましては、道内の生産及び流通関係事業者間での情報共有と対応策を検討する目的で、北海道庁が8月29日に設置した道産水産物流通・輸出に係る連絡協議会に、札幌市中央卸売市場としても、水産卸2社と私ども開設者が参加しております。  この協議会は、これまでに4回開催され、生産者や漁連、荷主協会らと現状の問題点や今後の見通しなどについて情報交換を行ったところでございます。  次に、札幌市中央卸売市場の場内事業者との連携体制についてでございます。  9月以降、当市場の事業者も、量販店や外食産業等と連携して消費拡大に取り組んできたところでございます。  そうした取組を共有し、一層強化していくことを目的に、道産水産物応援消費推進協議会を市場内に設置することとしております。この協議会では、種々の取組の共有のほか、市場独自の応援消費拡大事業の実施や機運醸成に取り組んでいくこととしております。 ◆前川隆史 委員  北海道との連携につきましては、道主催の連絡協議会に水産卸2社、そして、札幌市場も一緒になって連携を取っているということでございました。  また、札幌市場としては、市場内の事業者と道産水産物応援消費推進協議会を立ち上げて、課題に対する市場全体の認識をしっかり共有しながら迅速な取組をしていきたい、このようにしているようでございます。  さらに申しますと、札幌市場のこうした取組を市場に出入りする買受け事業者や消費者にも発信をして、応援消費の場を広げていくことも大切かと思います。  そこで、最後の質問でございますが、市場内事業者とともに立ち上げる応援消費推進協議会では、今後どういった応援消費拡大の取組等を実施していく考えなのか、お伺いいたします。 ◎岩立 中央卸売市場長  協議会における応援消費拡大の具体的な取組についてお答えを申し上げます。  まず、一つ目の取組として、産地と消費地をつなぐ市場といった観点から、年末商戦期からの場内広告の増強を図ってまいります。  具体的には、道産水産物やその魅力を伝えるフレーズをデザインしたのぼり旗や、バナーを掲出して場内を彩り、買い出し人をはじめ、年末や初競り式に市場を訪れる方々の応援商品の機運を盛り上げてまいりたいと考えております。  次に、二つ目の取組として、令和6年2月を目途に、水産仲卸店舗の一般消費者への開放をメインとした道産水産物応援デーを開催することとしております。  イベントでは、今後、殻つきホタテの流通量が増大するであろうことを考慮し、ホタテの殻むきの実演や多彩なレシピ紹介などについても実施することを検討してまいります。  以上のほか、国の補助金の活用を視野に、小売組合によるキャンペーン事業や、小・中学校給食でのホタテの消費拡大など、関係団体や関係機関と連携した取組についても現在検討しているところでございます。 ◆前川隆史 委員  私は、一大消費地である札幌市というのは、やはり、道内の基幹産業である1次産業の生産地の困難に無関心であっては絶対にいけない、このように思っております。北海道庁が中心になってやればいいといったご意見もあるかもしれませんけれども、生産者、生産地があっての札幌市でございますので、札幌市が応援できることは積極的にこういうときこそやるべきだと強く思っているところでございます。  今、答弁がございましたとおり、年末商戦への道内水産物の応援消費の取組ですとか、来年2月を目途に道産水産物応援デーを開催していきたいとのお話もございました。  また、小売組合によるキャンペーンですとか、小・中学校の給食へのホタテの提供なども検討していきたいというお話もございましたので、生産者、生産地の困難に寄り添って、一大消費地である札幌も共々にこの難を乗り切っていくと、こういった決意で取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。 ○丸山秀樹 委員長  以上で、中央卸売市場事業会計の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月18日水曜日午後1時から、交通局及びスポーツ局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後2時49分...