札幌市議会 2021-09-28
令和 3年第 3回定例会−09月28日-03号
議案第7号 令和2年度札幌市
下水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件
議案第8号 令和3年度札幌市
一般会計補正予算(第13号)
議案第9号 令和3年度札幌市
国民健康保険会計補正予算(第2号)
議案第10号 令和3年度札幌市
後期高齢者医療会計補正予算(第2号)
議案第11号 令和3年度札幌市
介護保険会計補正予算(第2号)
議案第12号 札幌市区の設置等に関する条例等の一部を改正する条例案
議案第13号 札幌市
個人情報保護条例の一部を改正する条例案
議案第14号 札幌市税条例の一部を改正する条例案
議案第19号 公の施設の指定管理者の指定の件(
発寒南さくら児童会館)
議案第20号 町の区域を変更する件
議案第21号 市道の認定及び変更の件
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〇出席議員(67人)
議 長 細 川 正 人
副 議 長 峯 廻 紀 昌
議 員 小須田ともひろ
議 員 藤 田 稔 人
議 員 小 田 昌 博
議 員 三 神 英 彦
議 員 恩 村 健太郎
議 員 水 上 美 華
議 員 田 島 央 一
議 員 あおい ひろみ
議 員 たけのうち有美
議 員 うるしはら直子
議 員 くまがい 誠一
議 員 森 山 由美子
議 員 千 葉 なおこ
議 員 佐 藤 綾
議 員 村 山 拓 司
議 員 村 松 叶 啓
議 員 松 井 隆 文
議 員 中 川 賢 一
議 員 成 田 祐 樹
議 員 かんの 太 一
議 員 岩 崎 道 郎
議 員 松 原 淳 二
議 員 竹 内 孝 代
議 員 わたなべ 泰行
議 員 長 屋 いずみ
議 員 佐々木 明 美
議 員 吉 岡 弘 子
議 員 田 中 啓 介
議 員 川田 ただひさ
議 員 阿部 ひであき
議 員 伴 良 隆
議 員 小 竹 ともこ
議 員 北 村 光一郎
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 前 川 隆 史
議 員 小 口 智 久
議 員 好 井 七 海
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 池 田 由 美
議 員 太 田 秀 子
議 員 村 上 ひとし
議 員 飯 島 弘 之
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 よこやま 峰子
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 山 口 かずさ
議 員 しのだ 江里子
議 員 桑 原 透
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 石 川 さわ子
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 山 田 一 仁
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 三 上 洋 右
議 員 武 市 憲 一
議 員 ふじわら 広昭
議 員 大 嶋 薫
議 員 小 野 正 美
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〇欠席議員(1人)
議 員 勝 木 勇 人
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〇説明員
市 長 秋 元 克 広
副 市 長 町 田 隆 敏
副 市 長 吉 岡 亨
副 市 長 石 川 敏 也
総 務 局 長 平 木 浩 昭
まちづくり政策局長 小 角 武 嗣
財 政 局 長 福 西 竜 也
危機管理対策室長 荻 田 葉 一
保健福祉局長 佐々木 美香子
子ども未来局長 山 根 直 樹
経済観光局長 田 中 俊 成
環 境 局 長 米 田 智 広
都 市 局 長 大 島 佳 之
教育委員会教育長 檜 田 英 樹
選挙管理委員会委員 佐々木 肇
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 諏 佐 寿 彦
事 務 局 次 長 奥 村 俊 文
総 務 課 長 沼 田 征 延
議 事 課 長 川 村 満
議 事 係 長 佐 藤 善 宣
書 記 酒 井 彰 悠
書 記 高 橋 陽 平
書 記 伊 藤 友 介
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開 議 午後1時
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○議長(細川正人) ただいまから、本日の会議を開きます。
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○議長(細川正人) 本日は、67人の議員が登庁しておりますが、
新型コロナウイルス感染防止対策のため、議場への出席議員を調整して行います。
ただいまの出席議員数は、35人です。
その他の登庁議員は、控室にて視聴しております。
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○議長(細川正人) 本日の
会議録署名議員として大嶋 薫議員、田中啓介議員を指名します。
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○議長(細川正人) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(諏佐寿彦) 報告いたします。
勝木勇人議員は、所用のため、本日の会議を欠席する旨、届出がございました。
市長及び
教育委員会教育長から、
村上ひとし議員の文書質問に対する答弁書が提出されましたので、昨日、その写しを各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
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○議長(細川正人) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第1号から第14号まで、第19号から第21号までの17件を一括議題とします。
昨日に引き続き、代表質問を行います。
通告がありますので、順次、発言を許します。
前川隆史議員。
(
前川隆史議員登壇・拍手)
◆前川隆史議員 私は、ただいまから、公明党議員会を代表して、本定例市議会に上程されました令和2年度決算、令和3年度補正予算、その他の諸議案並びに市政の諸課題につきまして、順次、質問をいたします。
質問に入る前に、一言、申し上げます。
このたびの
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた全ての方に謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げるものでございます。
また、療養中の皆様に対して、心からお見舞いを申し上げます。
さらに、コロナ禍の中で、人々のために、脚光を浴びずとも、日々、尊い汗を流しながらご活躍いただいている全ての方々に心から感謝を申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
最初は、市長の政治姿勢について、大きく4点質問をいたします。
初めに、令和2年度決算を踏まえた来年度予算編成の方向性についてお伺いいたします。
アクションプラン2019は、市長公約の実現に向けた具体的な取組を計画事業として盛り込み、札幌市の行財政運営や予算編成の指針となるものであり、令和2年度予算は政策目標達成のための
スタートダッシュ予算として編成をされました。
しかし、
新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度に予定していた事業の中には、予算編成時の想定と実態が乖離し、実施方法の見直しが必要となったものや、予算執行ができなかった事業、経費があると聞いております。
札幌市議会では、昨年の第2回定例会において、議会費を減額補正し、
新型コロナウイルス札幌ささえあい基金に積み立て、発熱外来の体制整備の補助金などに活用されました。
令和3年度予算では、感染症の影響を踏まえ、
アクションプラン2019に掲げる取組を柔軟かつ着実に推進するとともに、感染症から市民を守り、新たな日常への転換を進めていく取組に重点的に資源を配分しており、こうした取組には一定の評価をしております。
アクションプラン2019で掲げた政策目標は着実に実行していく必要がありますが、
新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは依然として立ってはおらず、今年度の事業執行は不透明な状況にあります。議会審議を経て可決、成立した予算は、市民と約束したものであり、コロナ禍にあっても、単純な執行減とはせずに、政策目標の実現に向けて事業の見直しや再構築を行い、その成果を市民に還元していくことが重要と考えます。
来年度予算は、秋元市長2期目最後の本格予算であり、
アクションプラン2019の計画期間の最終年度という大変重要な予算ともなります。
そこで、質問ですが、
アクションプラン2019の最終年度である来年度の予算編成についてどのように臨まれるのか、基本的な方向性についてお伺いをいたします。
続いて、今後のコロナ禍における
医療提供体制について伺います。
札幌市における
新型コロナウイルス感染症との闘いは、2020年2月の第1波に始まり、その後、医療機関や高齢者施設などでの大
規模クラスターが発生し、患者が急増、一時は受入れ病床が逼迫するなど、緊迫した局面を何度も迎えてきました。
さきの第4波では、5月5日に札幌市
医療非常事態宣言を発出するに至るなど、病床が逼迫、危機的な状況となり、医療現場の負荷はかなり大きなものでありました。変異株の影響による患者の急増で入院患者が過去最多となり、入院を待つ間に最悪の事態も発生するのではないかと危惧される状況であったと聞いております。第4波という大きな波を乗り越え、幅広い経験をすることで、課題を点検し、明らかにしつつ、次なる第5波の感染拡大の備えに向けた取組を進めてきたと思います。
そこで、質問ですが、第4波にどう対応し、第5波に向けてどのような医療提供体制を整備してきたのか、市長の認識をお伺いいたします。
また、現在、従来よりも感染しやすい可能性のある変異株などが世界各地で報告されております。今後、流行するウイルスは、こうした変異株に置き換わっていく可能性も指摘されており、変異株への懸念は増しております。
さらに、秋、冬のインフルエンザの同時流行による感染爆発を予想、指摘する専門家もおります。そのため、次なる感染拡大に備えた
医療提供体制は、今後の変異株などへの懸念も踏まえつつ、着実に整える必要があると考えます。
そこで、質問ですが、今後、予想される次なる波への備えとして、しっかりと
医療提供体制を構築すべきと思いますが、市長の見解をお伺いいたします。
続いて、感染症に強い札幌の構築についてお伺いいたします。
新型コロナウイルスの世界的流行は、現代社会がこれまで経験したことのない脅威であり、このウイルスを直接標的とした治療薬がないことから、その対応は目前の状況に応じたアクション、いわゆる対症療法にならざるを得なかったと考えます。
今回の経験を生かし、将来、新たな未知の感染症が発生した場合の備えを、今後、整えていくことが重要であります。感染者の数を抑え、医療崩壊を起こさない、人々の動きを調整しながら経済を止めないといった、事態を抑え、制御できる対応力が必要となります。
札幌市は、比較的災害が少ないまちとされてきましたが、
北海道胆振東部地震や、今回の
新型コロナウイルスの感染拡大という試練を経験し、市民や企業、行政など様々な主体に防災や減災への意識が高まってまいりました。国内外からも高い評価を得られる幅広い対応力を備えた安全・安心なまちの構築に、これまで以上に力を入れていくべきであります。
現在、札幌市は、
次期まちづくり戦略ビジョンの策定に向け、有識者等から構成される審議会において議論を行っております。現在の戦略ビジョンでは、安全・安心分野の目標の一つとして地域防災力が高く災害に強いまちを掲げていますが、次なる戦略ビジョンにおいては、今回、得た知識と経験を踏まえ、新たに感染症に強いという視点に速やかに回復していくといった観点を加えた高い目標を掲げるべきと考えます。
そこで、質問でございますが、感染症に強い札幌構築に向け、次の戦略ビジョンでは安全・安心なまちづくりをどのように進めていく必要があると考えるか、市長の見解をお伺いいたします。
次に、MaaSを活用した取組について伺います。
これまで、我が会派は、MaaSについて、議会の場で繰り返し議論してまいりましたが、中でも市民の足として極めて重要な役割を持つ路線バスについて、変化する社会情勢への対応やまちづくりの観点から様々な政策を提言してきました。
現在、路線バスが抱える課題としては、利用者の減少による赤字路線の増加や、深刻化する運転手不足が挙げられ、将来的には、これらを起因としたバス路線の統廃合など、
バスサービス水準の低下が懸念をされております。
路線バスの運転には大型二種免許を保持する必要がありますが、警察庁の運転免許統計によると、北海道における令和2年時点の大型二種免許保持者は約10万人となっており、これは、10年前から約2万5,000人、率にして約20%も減少しております。しかも、この年齢構成を確認すると、20代と30代を合わせても僅か3%程度しかなく、50代以上が実に80%以上を占めている状況から、今後はバス運転手の定年退職などに伴う欠員の補充も困難となることが予想され、速やかな対策が必要であると考えます。
国では、こうした課題の解消策の一つとして、
官民ITS構想・ロードマップ2020を掲げ、複数の
公共交通サービスを最適に組み合わせて、検索、予約、決済などを一括で行うサービスを活用したタクシーの相乗りや
デマンド型乗り合いバス、さらには将来的な自動運転など、新たな
モビリティーサービスの展開をうたっています。
これらは、利用者の利便性向上、地方都市での交通課題の解消や、高齢者を含めた移動弱者問題の解決、地域の活性化など、大きなポテンシャルを有しておりますが、本格的な社会実装はまだこれからであり、官民が連携をして新たな取組に挑戦する地域の動きを後押ししていくことが重要となります。
例えば、大阪市では、
地域版MaaSの取組として、乗車日時や乗降場所を指定して、利用者のニーズに応じて運行するオンデマンドバスの社会実験を始めています。この社会実験では、利用者は電話や
スマートフォンのアプリで配車予約を行い、アプリ上で事前に鉄道や路線バスへの乗換え検索や運賃決済なども可能な取組となっています。
様々な課題に対応し、公共交通を維持していくためには、MaaSなど新たな
モビリティーサービスについて市民の理解を得ていくことが必要となります。そうした意味で、札幌でも大阪のような社会実験について検討する必要があると考えます。
そこで、質問ですが、国が目指す持続可能な地域公共交通の実現に向け、MaaSを活用した取組について、札幌市の考えをお伺いいたします。
次に、気候変動と激甚化する災害対策について、2点質問いたします。
初めに、脱
炭素型ライフスタイルへの転換を促すための取組について伺います。
国連の気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCは、先月9日、人間の活動が地球温暖化につながったことは疑う余地がないと断定し、世界の脱炭素化の機運は急速に高まっています。
これに先駆けて、日本政府は、昨年10月、2050年のカーボンニュートラルを宣言し、本年4月には、我が国の
温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で46%削減、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていくという力強い方針を国内外へ表明し、5月には
改正地球温暖化対策推進法が成立いたしました。
こうした動きを機に、GX、
グリーントランスフォーメーションという脱炭素社会の実現に向けた新たな考え方が注目され始めています。
グリーントランスフォーメーションとは、例えば水素など、温室効果ガスを排出しない
グリーンエネルギーに関する最先端技術を駆使しながら、産業構造、金融、社会インフラといった
社会経済システム全体を脱炭素型へとつくり変えていく、さらに、それを同時に経済成長へとつなげていくものであり、産業革命、IT革命に次ぐ世界的な社会変革となると言われております。
さらに、一般消費者についても、衣食住や移動に伴う
エネルギー消費など、
温室効果ガス排出量の約6割は家庭関連が占めているため、GXは
ライフスタイルそのものの転換を求めており、そのような時代に突入したことを示しています。
そうした流れの中、本年6月に国・地方脱炭素実現会議は、2050年に向けての国と地方の取組をまとめた地域脱
炭素ロードマップにおいて、脱炭素を実現するための基盤的施策の一つとして国民に自発的な脱炭素型の行動を促し、
ライフスタイルの変革を目指す考えを示しました。
そのため、札幌市においても、より多くの市民に、例えば、照明器具をLEDへ、古くなった家電製品を省エネ家電へ、ガソリン車を次世代自動車へ、家庭で使う電気を
再生可能エネルギー比率の高い電力メニューへと切り替えるなど、様々な環境配慮行動に取り組んでもらうことが必要であり、従来の普及啓発にとどまらず、新たな視点や手法による働きかけが求められると考えます。
我が党では、国民の行動変容を促す有効な手段の一つとして、脱炭素化に貢献する商品の購入といった
温室効果ガス削減につながる行動に対してポイントを付与する
グリーンライフポイント制度の創設を政府へ提言し、2022年度予算の概算要求に計上されております。こうした動きは、地域経済の活性化が期待でき、コロナ禍からの経済再生に向けた取組としても有効と考えます。
そこで、質問ですが、札幌市では、2050年のゼロカーボン都市の実現に向けた市民の脱
炭素型ライフスタイルへの転換についてどのように取り組んでいくのか、また、有効な手法の一つであると考えられるポイント制度の活用についてどのように考えるのかをお伺いいたします。
続いて、今後の水害対策についてお伺いいたします。
近年、局地的に激しい雨が同じ場所で長時間にわたり集中して降り続く線状降水帯による被害が全国各地で発生しております。道内でも、8月4日のゲリラ豪雨により、僅か10分で20ミリ、時間雨量に換算して120ミリの激しい雨が降るなど、各地で多くの被害が発生いたしました。特に、京極町は、1時間におよそ100ミリの大雨となり、記録的短時間大雨情報を発表したほか、札幌市内においても局地的な雷雨が発生し、清田区では数か所の道路が冠水により一時的に封鎖となり、中には宅地まで水位が上がったため、知人宅に避難した方もおられました。
こうしたゲリラ豪雨による災害が今や全国どの地域でも起こり得る状況であり、気象庁は豪雨災害の一因とされる線状降水帯の形成を確認した際に発表する顕著な大雨に関する気象情報の運用を6月17日からスタートしました。この情報は、
警戒レベル相当の情報を補足するものであり、警戒レベル4相当以上の状況で発表することになっております。また、気象庁は、来年から発生半日前の予測発表を始める方針であり、2023年3月までの実証研究の成果も取り込み、2030年にはより高い確率での予測を目指すとしております。
札幌市としても、近年、線状降水帯が全国各地に大規模な災害をもたらしている点を踏まえ、大きな河川の全体を捉えた治水対策が重要であり、国と道と札幌市が連携し、流域治水対策の強化へ早急に協議を始めることを求めたいと思います。
また、いざというときのために、内水氾濫が予想される場所などの情報収集を進め、こうした予報に対する事前の注意喚起や情報発信、日頃からの備えをより啓発していく必要があると考えます。特に、線状降水帯の発生等による局所的な水害については、
ハザードマップなどを事前に準備しておくことで、未然に防止できる被害もあると思われます。
そこで、質問ですが、水害が局所化、激甚化する中、札幌市は身近で起こる局所的な水害に関する情報などを含め、改めて、市民に対して災害に備えるための情報を発信し、地域防災力の向上を図る必要があると考えますが、札幌市の考え方をお伺いいたします。
次に、デジタルトランスフォーメーションによる施策の高度化について、取組を進める上で土台となる札幌市の推進体制と組織の活性化に関して2点、また、札幌ならではの課題に積極的に取り組んでいく観点から、AIを活用する先駆的な取組について3点お伺いいたします。
初めに、推進体制と組織の活性化について伺います。
1点目は、推進体制、組織体制についてですが、本年9月1日に
デジタル社会形成基本法が施行されました。この法律は、国際競争力の強化や市民の利便性向上、急速な少子高齢化やその他の課題を解決する上でデジタル社会の形成が極めて重要であることを踏まえ、全ての市民がデジタル技術の恵沢を享受できるよう、基本理念や基本方針を定めたものになります。
この法律で掲げるデジタル改革に対し、国を挙げて取り組んでいくため、法の施行日と同じ9月1日にデジタル庁が設置をされました。このデジタル庁は、デジタル社会の形成に関する事務の迅速かつ重点的な遂行を図るために、他省庁に対する勧告権など強力な総合調整機能を持っております。国がデジタル庁にこのような強力な権限を与えたことは、大きな意味があると考えます。
およそ、デジタル改革は、最後までやり遂げないと意味がありません。例えば、入り口から出口まで一貫してデジタルで処理が完結する状態、異なるシステム間のデータがしっかりと連携され、人の手を介さずに処理が行われる状態までやり遂げなければ、中途半端で非効率、不便な仕組みから脱却することはできません。
これまでのデジタル改革は、掛け声は威勢がよいものの、最後までやり遂げることができませんでした。これは、全体を俯瞰し、エンド・ツー・エンドと呼ばれる、最初から最後まで一貫してデジタルで物事が進んでいく流れをデザインし、全体最適を実現する組織や仕組みがなかったからだと考えます。
札幌市のデジタル改革も、今度こそデジタルの進化を実感できるところまでやり遂げていただきたいと思います。市民の生活の質を格段に向上させ、まちの稼ぐ力を拡大する攻めのデジタル改革、そのための人や金の投資は惜しむべきではないし、完結した暁には、その投資を大きく取り戻せるものと考えます。このような強い信念の下、取組をやり遂げるためには、国と同様、強力な推進体制、組織体制が必要であります。
そこで、質問ですが、札幌市においては、現在、デジタルトランスフォーメーションに関する全体方針を取りまとめしているところでございますが、推進体制及び組織体制についてどのような方針であるのか、現時点での見解をお伺いいたします。
2点目は、デジタル技術を活用した市職員の働き方と組織の活性化についてお伺いいたします。
国では、昨年12月に公表したデジタル・ガバメント実行計画の中で、ペーパーレス化やテレワークの推進など、デジタル技術を最大限活用して、公務の高い生産性を実現する新しい働き方、いわゆるデジタルワークスタイル実現のための環境整備が必要であると示しています。例えば、コロナ禍以前にはほとんど想定できなかったテレワークは、今や、人流の抑制のみならず、外勤時などの隙間時間を活用した生産性のある仕事の実現や、さらには、育児や介護を抱える職員個々の
ライフスタイルに応じた働き方の実現といった多くの意義があったと思います。今後も、市が率先して実施し、定着させていくことが必要です。
一方、デジタル技術の進展は、ともすれば、組織と組織、あるいは、組織内での上司と部下、同僚間のコミュニケーションの希薄化を生むのではないかとの指摘もあります。例えば、テレワークにより業務の進捗が見えづらくなるといった意見もありますが、私は、逆に、これまで想像し得なかった新たなアイデアや組織内での活発なコミュニケーションを生み出す可能性を持っていると考えます。
その具体的ヒントとなるのがリバースメンタリング制度であります。これは、35歳の若さで台湾のデジタル担当大臣に就任したオードリー・タン氏が実践したことで注目を集めたものです。従前の上司、部下の指導関係とは逆に、若手職員がデジタル分野に関して上司の相談役、メンターになるというものであり、我が国でも徐々に先進的な企業などで取り入れられてきております。具体的には、若手職員がデジタルツールの使い方や最新のICTの動向を上司に教えるというものでありますが、若手職員が持つ新しい感覚や発想を上司側が積極的に取り入れることでフラットなコミュニケーションが生まれ、若い職員の力が組織的なイノベーションを引き起こし、組織自体の活性化などにもつながることが期待されます。
また、札幌市が行革分野で連携協定を締結する神戸市では、令和元年には、ビジネスチャットを職員間のコミュニケーションツールとして導入しております。これは、LINEのグループ機能のように短いメッセージで相手に用件を伝えたり、複数のメンバー間で情報共有や議論が行えたりするものですが、このツールを利用することで、会議に依存してスピード感に欠けた部署間の連携を促進し、立場や場所を選ばず、いつでも議論や意思決定ができるようになり、業務効率が大幅に改善されているとのことであります。
そこで、質問ですが、このように市の仕事の進め方を大きく変える切り札となるデジタル技術を積極的に取り入れることが極めて有効であると考えますが、デジタル技術の活用により、職員の働き方やコミュニケーションをどのように変え、組織を活性化させていくのか、市長の考えをお伺いします。
続いて、AIを活用する先駆的な取組について、3点お伺いします。
1点目は、防災・減災へのAIの活用についてです。
先ほども述べたとおり、近年、地震や大雨による災害が多発し、その被害も甚大化しており、3年前の
北海道胆振東部地震では、清田区里塚地区の液状化に伴う被害、2か月前には静岡県熱海市で土石流が発生した被害などが記憶に新しいところであります。
一方、これまで経験したことのない大きな災害に突然見舞われた被災者は、自身の置かれている状況を把握し、身に迫る危険を適切に評価し、正しい行動につなげることが極めて困難です。このように、人間の力が限界に達したときこそ、AIのようなデジタルの力によって打開策を見いだしていくことが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、
北海道胆振東部地震の経験も踏まえ、防災・減災の取組へのAI技術の活用について、札幌市の考えを伺います。
2点目は、野生動物から市民生活を守るためのAIの活用についてです。
野生動物、特にヒグマについては、ここ数年、市街地や住宅街に出没する事案が増えてきており、ヒグマの出没を抑制するような対策を行うとともに、一たび、出没した際には迅速な対応が必要です。
現在は、市民からの通報を基に現地調査を行って、ヒグマの情報をホームページなどで公開するとともに、関係機関への周知を図っていると認識していますが、市民の安全・安心を守るためには、よりタイムラグのない注意喚起を行うなど、人の手による作業の限界を超えた対応が必要と考えます。
そこで、質問ですが、ヒグマから市民生活を守るため、AI技術を活用していくことが有用と考えますが、札幌市の認識をお伺いいたします。
3点目は、札幌市の若者出会い創出事業、いわゆる婚活事業へのAI技術の活用についてお聞きします。
新型コロナウイルス感染症の影響で、外出自粛や人との交流を控えることが長期化し、札幌市の若者の出会いの場が失われているという状況が続いております。令和2年の札幌市の婚姻届出数は9,823件と1万件を割り込んでおり、婚姻件数の減少はそのまま出生数の減少にもつながるとされており、少子化は一層加速していくものと危惧する声が聞かれます。
先進的な自治体では、婚活事業にAIを活用したマッチングシステムを導入したことで、利用登録者が増え、さらに成婚数も増加するなど、具体的な成果を出しているとも聞いております。
そこで、質問ですが、札幌市においても、出会いや結婚を希望する若者を支援するため、いわゆる婚活事業にAI技術の活用を検討していく必要があると考えますが、どのように認識しているのか、お伺いいたします。
次に、稼ぐ力を磨く取組についてお伺いいたします。
初めに、今後の札幌経済の成長についてお伺いいたします。
今年7月に札幌市が公表した平成30年度札幌市民経済計算によると、札幌市の実質市内総生産は、リーマンショックの影響により平成20年度に落ち込んだものの、以降は増加を続け、平成30年度はリーマンショック前の平成19年度を超える約6兆8,500億円となっております。
一方、平成30年度の札幌市における人口1人当たりの市民所得は約280万円であり、全国の人口1人当たりの国民所得約320万円を大きく下回っている状況であります。このことから、
新型コロナウイルスの感染拡大期の前までは、札幌市は、リーマンショックから順調に経済を回復しつつも、人口規模に見合った稼ぐ力が不足しているものと考えております。加えて、
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年度の実質国内総生産の伸び率は前年度比で4.4%減少し、戦後最大の減少幅となったことから、経済は再び大きな影響を受けております。
こうした状況を踏まえ、
新型コロナウイルス感染症をいち早く収束させ、乗り越えていくことが最優先課題ではありますが、同時に、ポストコロナを見据え、札幌市が、今後、人口減少局面になっても持続的な経済発展を続けていけるよう、強い産業構造への転換と競争力の向上が不可欠であるものと考えております。
そこで、質問ですが、今後の札幌経済の成長についての札幌市の考えをお伺いいたします。
続いて、民間提案を取り入れた行政資産の有効活用についてお伺いをいたします。
市内部を見渡したとき、稼ぐ力として真っ先に思い浮かぶのが、市が有する行政資産自体を有効活用するという視点です。
この点について、市では、市有資産を広告媒体とした広告事業や、去る8月には、百合が原公園、厚別山本公園を対象に、民間活力による公園の魅力向上に向け、いわゆるPark−PFIの導入に向けたサウンディング調査を開始しております。また、交通局では、駅構内の施設等を有効活用する駅ナカ事業によって利用客の利便性向上を図るなど、市では貴重な内部資源である行政資産の有効活用を図る取組が進められていますが、まだまだ切り込みが甘いと感じております。例えば、区役所や病院、観光施設など、市民が滞留し、有効活用できそうな資産はほかにも多く見受けられることから、私は、一度、全庁的な観点で、あらゆる市の事業、施設について、稼ぐ力がどこに潜んでいるかを総点検してみることが必要ではないかと感じています。
例えば、川崎市では、資産マネジメント実施方針を策定していますが、その中で、土地・建物、消耗品、印刷などの財産の種類ごとに、有効活用の取組事例をまとめた有効活用カタログというものを作成しております。このカタログは、駐車場用地の貸付けやコンビニ設置場所の使用許可などの貸付事業、ネーミングライツやラッピングバス、申請用紙への広告掲載といった広告事業、さらには、道路や河川敷など公共空間の有効活用について、歳入面や市民サービスなどの効果のほか、導入、運用の手続に係る手法や、庁内の役割分担が端的にまとめられたものとして活用されているとのことです。
また、以前、東京メトロや関東圏の私鉄の本社に伺い、新規事業開拓の取組を伺ってまいりましたが、資産活用のアイデアを民間に公募する取組を積極的に行っており、単に施設の活用ということだけではなく、周辺のまちづくりにも及ぶすばらしいアイデアが多数寄せられているとのことでありました。
札幌市の資産活用についても、思い切って民間提案を受けることが重要と考えます。このように資産を有効活用するという視点を全庁的に取り入れることは、財政的な効果のみならず、市の様々な施策の推進や課題解決にも貢献すると考えます。
しかしながら、どうしても、このような視点というのは、職員一人一人のコスト意識の違いや、各局の置かれた状況によって温度差があり、ノウハウや知見にも大きな差があると思われます。往々にして、民間事業者は、関係する局へ提案に行っても、こういった課題は部局にまたがる横断的な課題がほとんどであり、その場合、責任の所在が曖昧で、全体最適より部分最適が優先され、効果的な解決策を打ち出せないという結果になるのが通例であります。
それを打破するには、市長のリーダーシップの下、庁内の有効活用が可能となる資源を総点検するとともに、民間の提案を真摯に受け止め、現状と課題を把握し、必要となる規制を乗り越えていくという強い意識を職員に徹底していくことが何より必要であると考えます。
そこで、質問ですが、将来にわたる安定した市政運営のためには、札幌市自らが稼ぐ力を持つという視点により、民間提案を効果的に取り入れ、行政資産のさらなる有効活用を図ることが必要ではないかと考えますが、市長のお考えを伺います。
続いて、観光振興策について伺います。
1点目は、コロナ禍を契機とした今後の観光戦略についてでございます。
先日公表された昨年度の来札観光客数は、
新型コロナウイルス感染症の拡大による旅行需要の停滞や往来自粛要請などの影響で、1969年の調査開始以来、最も少ない約570万5,000人となり、前年度比62.6%減という大幅な落ち込みとなりました。外国人宿泊数に至っては、前年度比99.5%減の1万1,000人となるなど、インバウンド需要は完全に消滅しており、まさに観光業界は未曽有の危機的状況にあります。
この状況は、今年度に入ってからも改善することはなく、札幌市にも緊急事態宣言が2度にわたって発令されるなど、観光事業の回復のめどがなかなか立たない中、宿泊施設をはじめとした観光関連事業者の経営は極めて厳しい状況に置かれています。
しかしながら、このような危機的状況であるからこそ、それを少しでも打破しようという創意工夫により新たな取組が生まれ、札幌観光の可能性に気づく機会になったとも言えるのではないでしょうか。
例えば、オンライン開催となったさっぽろ雪まつりでは、雪像制作過程や、過去の雪まつりの映像などを世界に向けて配信するとともに、札幌の雪に関する写真を募集したさっぽろ雪フォトまつりなど、様々な企画を実施した結果、札幌の姉妹都市であるミュンヘン市のホームページで紹介されるなど、これまで札幌にあまり関心を持っていなかった国や地域の方々にも札幌の魅力を発信することができたと思います。また、サッポロ夏割や市有施設の無料化などの事業を多くの市民が利用したと伺っており、市民が改めて札幌の魅力を発見する機会になるとともに、域内循環、地域内循環の促進による市内経済の活性化にもつながったのではないかと考えます。
このように、コロナ禍だからこそ得られた気づきを生かし、既成概念にとらわれることなく、これまでにない視点や発想を持って新たな観光戦略を描いていくことが、アフターコロナの札幌観光の復興に向けての極めて重要な要素となります。
そこで、質問でございますが、コロナ禍で得た気づきや経験を今後の札幌観光にどのように生かしていくのか、お伺いいたします。
2点目は、観光施策の推進体制の強化についてです。
コロナ禍により大きな打撃を受けた札幌の観光でありますが、この間、会派として、旅行代理店や旅館、ホテルの団体、観光バス会社、観光客をターゲットにしたイベント会社など、札幌の観光に関わる方々と意見交換を重ねてまいりました。申すまでもなく、皆さん、ワクチン接種が進んで、以前のようにビジネスができる日を夢見て、新たな発想で様々な企画を立てることに挑戦しておられました。
不安と闘いながら必死に復興へ汗を流す、こうした皆さんの期待に、札幌市も全力で応えていかねばなりません。そのためには、単に復興、回復すればよいといった考えではなく、どこよりも早く復興が進む、転んでもただでは起きない、コロナ禍以前よりも魅力ある札幌の観光の姿を描いてみせるとの強い気概を持って取り組む体制づくりも重要であります。
コロナ禍は、人々にたくさんの我慢を強いております。感染が収束に向かい、徐々に旅行などが許される状況になったときに、どこの国が、都市が、地域が、その旺盛な需要を取り込んでいくのか、今から将来の状況を見通し、様々な仕込みを着々と行っていくことが求められます。
これまで、札幌市の観光といえば、さっぽろ夏まつりや雪まつりといった従来の観光イベントを時代に合わせて少しずつ改善しているだけで、弱点とされる閑散期の集客、滞在型観光や夜間観光などの施策についての取組を推進しつつも、期待される成果は得られていないと思われます。
こうした状況を打破するためには、専門人材の登用等により、外部の意見を積極的に取り入れ、民間の経営感覚に基づき、観光で地域が稼げる仕組みをつくり出すことを目指して、マーケティングや広告など観光産業に関わるエキスパート、専門家集団による戦略的な取組が必要と考えます。
このような考え方は、かねてから我が会派が注目し、第1回定例市議会の代表質問でも提言しており、観光振興の司令塔となる観光まちづくり法人、いわゆるDMOの目的や機能にも通じるところであり、札幌においても観光施策の推進体制の強化に向けた検討を加速させる必要があります。
そこで、質問ですが、札幌観光のコロナ禍からの早期復興を目指した推進体制の在り方について、どのように考えているのかをお伺いいたします。
次に、SDGs未来都市としての取組について、2点伺います。
初めに、共生社会の実現に向けたD&I、DEIに基づくまちづくり、成長戦略についてです。
SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であります。17のゴールと169のターゲットから成り、社会、経済、環境の3側面に及ぶ広範な目標ですが、全体の理念は誰一人取り残さないというものであります。
これに関しては、国外だけではなく、国内の企業や自治体においても、D&Iと呼ばれるダイバーシティー、多様性と、インクルージョン、包摂の推進を経営戦略などに掲げ、専門の組織を立ち上げて取り組んでいるのも目にいたします。具体的には、年齢、性別、障がい、国籍、文化などの違いを受け入れて、新しい視点や価値を生み出すことを目指すものであります。
さらに、グーグル、アマゾンなどの世界的な大企業では、D&Iにエクイティー、公平性を追加したDEIを経営の重要課題に設定していると聞きます。ここでのエクイティーは、情報や機会へのアクセスについて、全ての人に対して公平な扱いを保障することを意味しています。このような、誰もが活躍できる環境や機会を提供していく社会を形成していくことが、共生社会の実現、そしてSDGsの達成、さらには、都市の持続的な成長に向けて不可欠であると考えます。
そこで、質問ですが、ダイバーシティー、エクイティーやインクルージョンは今後のまちづくりにおいて重要な視点と考えますが、市の認識と次期戦略ビジョンにおける位置づけについてお伺いをいたします。
2点目に、フェアトレードについてお伺いします。
フェアトレードは、貧困や飢餓の根絶、環境保護といった地球規模の課題の解決に寄与するSDGs未来都市札幌としての国際協力であり、また、市民がSDGsに取り組むための入り口として最も身近にできる国際貢献であることから、我が会派は、フェアトレードの取組の重要性とその理念の普及啓発について、これまで繰り返して訴えてまいりました。
札幌市においては、令和元年6月にフェアトレードタウンに認定されており、フェアトレードの普及啓発へ向けた取組を強化し、啓発リーフレットを作成したほか、小学生の高学年向けの環境副読本にフェアトレードを紹介するコーナーを掲載するなど、市民と行政が一体となって取り組んでまいりました。
しかし、さらなる運動の推進に官民挙げて取り組もうとしていたさなかに、コロナ禍の影響を受け、昨年はフェアトレードタウン認定1周年を記念したチ・カ・ホでのイベントが中止となり、例年のフェアトレードフェスタは今年も大通公園での開催を中止せざるを得なくなりました。
こうしたコロナ禍の厳しい状況の中、札幌市は、明年6月にフェアトレードタウン認定の更新期を迎えます。SDGs未来都市として、また、世界都市を標榜する札幌市として、市民の主体性あるフェアトレードの取組を広げ、SDGsの目標年であり、冬季オリパラの開催年でもある2030年に向けて、引き続きフェアトレードタウンとして認定されることが極めて重要であります。
フェアトレードタウン認定の更新に当たっては、クリアしなければいけない基準があり、この基準を満たすには、より多くの市民にフェアトレードを知ってもらうことが不可欠です。コロナ禍にあって、市民に対する啓発活動が制限される中、札幌市がフェアトレードの理念を支持している、それを市民に伝えることが認定の更新に向けた強い推進力になると考えます。
そこで、質問ですが、秋元市長は、2018年11月にフェアトレードの理念を支持すると表明されましたが、フェアトレードタウン認定の更新を迎えるに当たり、改めて札幌市の認識と今後の取組の方向性についてお伺いをいたします。
次に、つながり支え合う地域社会の構築についてお伺いいたします。
コロナ禍は、社会の活動を鈍化させ、弱い立場の人ほど大きな打撃を受けております。また、少子高齢化の進行や家族構造の変化、地域のつながりの希薄化などにより、支援ニーズが複雑・複合化しております。8050問題はその典型であり、幅広い悩みを抱えるひとり親家庭や、ヤングケアラーの問題など、従来の分野別の支援体制では困難となっているのが現状であります。
このような中、全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共につくり、高め合うことができる地域共生社会の実現を目的とした改正社会福祉法が4月に施行され、重層的支援体制整備事業が創設されました。これは、介護、障がい、子ども、生活困窮の4分野の事業に対する国の補助金を、対象者の属性や世代を問わず柔軟に使える重層的支援体制整備事業交付金に一本化することで、多様な取組を促し、包括的な支援や地域福祉を推進するものであります。具体的には、支援機関や地域の関係者が課題を断らず受け止め、つながり続ける支援体制の構築をコンセプトに、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援の三つの支援を一体的に展開するものであります。
相談支援は、ワンストップの相談窓口の設置のほか、複雑で複合的な課題に対応するため、関係者の協働による包括的な相談支援体制の構築や、支援機関側から積極的にアプローチするアウトリーチなどによる継続的支援を行うものです。
参加支援は、社会参加に向けた支援が基本となりますが、既存の取決めでは対応できないはざまのニーズに対応する支援の強化も想定しています。例えば、生活困窮者の就労支援事業に、経済的な困窮状態にはない、ひきこもりの方を受け入れる取組など、従来の制度の枠を超えたメニュー作成やマッチングを行い、受皿を広げ、解決の出口を示すことで社会とのつながりを回復する取組が考えられます。
そして、地域づくりに向けた支援は、世代や属性を超えて交流できる場や居場所の整備など、住民が互いに気にかけ、支え合う関係を充実させる取組であり、かつての日本で見られた相互扶助の再構築を目指すものであります。例えば、子ども食堂を利用し、生活困窮者自立支援制度を使って学習支援を受けられるようにすることや、介護予防事業と位置づけて、食堂の手伝いに来た高齢者による絵本の読み聞かせなどが想定され、そうすることで交流を深め、お互いの困り事に気づきが生まれることで早期の解決につながる効果も見込めます。
このように、重層的支援体制整備事業の実施により、困り事を抱えた方へ近所の人々や企業が支援の手を差し伸べ、地域だけで解決が難しい問題は行政が縦割りをなくして受け止めることで、これまでは対応困難であった課題への解決へとつなげられることが期待できます。
そこで、質問ですが、複雑、複合的な課題やはざまのニーズへの対応など、従来の分野別の支援体制では対応困難な事例の解決に向け、重層的支援体制整備事業の実施など、地域住民の支え合いによる困り事の解決に生かせる環境の整備や、行政の福祉サービスの縦割りをなくした包括的な支援体制の整備などを一体的に実施し、つながり支え合う地域社会の構築に取り組むべきと考えますが、札幌市の考えをお伺いします。
最後に、公立夜間中学設置の波及効果について伺います。
公立夜間中学については、かねてより、我が党を挙げて全国的に設置促進に向けた取組を進め、我が会派においても、札幌市における学び直しの場を求める多くの方々の声に応えるため、公立夜間中学の早期設置を一貫して求めてまいりました。
私自身も公立夜間中学の設置を公約に掲げ、市議会議員になった当初から、一日も早い設置がなされるよう取り組んでまいりました。
こうした中で、6月に開催された第5回臨時市議会において、札幌市学校設置条例が改正をされ、札幌市として、正式に、星友館中学校という名称で、令和4年4月に公立夜間中学を設置することが決定し、非常に感慨深いものがございます。
我が党においては、誰一人取り残さない社会の実現を目指すSDGsの推進に早くから力を入れ、取り組んでまいりましたが、この公立夜間中学は、星友館の星という字のごとく、一人一人が輝き、また、友という字のごとく、互いを尊重し、支え合いながら学ぶ学校であり、まさにSDGsの理念を具現化するものであると認識しております。
そのような中、8月21日に開催された札幌市公立夜間中学を学ぶシンポジウムに私も参加させていただきましたが、その中で、公立夜間中学の設置はその地域の学びを変える可能性があるという話がございました。その話を聞き、私としても、学びの原点とも言える公立夜間中学は、誰一人取り残さない社会の実現という観点において、札幌市全体によい影響を与えられる可能性があるのではないかと強く感じたところでございます。
そこで、質問でございますが、札幌市として公立夜間中学の取組を札幌市の学校教育全体にどのように生かしていくお考えなのか、お伺いいたします。
以上で、私の質問の全てを終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(細川正人) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で7項目のご質問をいただきました。私からは、1項目めの私の政治姿勢について、2項目めの気候変動と激甚化する災害対策についてお答えをさせていただきます。その余のご質問につきましては、担当の副市長、そして、教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、1項目めの私の政治姿勢についてのまず1点目、令和2年度決算を踏まえた来年度予算編成の方向性についてお答えをさせていただきます。
アクションプラン2019に掲げる政策目標は、コロナ禍においても普遍的な意義を有しますことから、今後もその体制に向けて着実に取り組んでいく必要があるものと認識をしております。
こうした認識の下、
アクションプラン2019に掲げた取組については、感染症による社会経済情勢の変化に的確に対応しながら、必要となる追加、補強ということを積極的に行っていく考えであります。
また、感染症対策はもとより、ポストコロナにおける社会経済活動の回復、発展に向けた事業に重点的に取り組むことで、新たな成長を市民に実感していただけるような予算としてまいりたいと考えております。
次に、2項目めの今後のコロナ禍における医療提供体制についてお答えをいたします。
1点目の第5波に向けた医療提供体制の整備についてであります。
第4波では、すぐに入院できず自宅待機となる患者が多く発生しましたことから、患者が入院するまでの間、酸素投与などの医療を提供する入院待機ステーションを整備するとともに、市内医療機関に対して感染症法に基づく協力要請などを行い、多くの医療機関の協力を得て病床の拡充を図ったところであります。
一方、第5波では、第4波の経験から、病床の確保に加え、患者の重症度に応じた医療を提供することとし、自宅療養中の軽症者に対しては、電話診療や往診などの体制を強化したところであります。また、中等症以上の患者に対しては、速やかな入院受入れを図るとともに、妊婦や透析患者など特別な配慮が必要な患者への対応や、抗体カクテル療法の活用など、重症化を防ぐ取組も実施したところであります。
2点目の今後の
医療提供体制の構築についてでありますが、次なる波に備えるために、第5波までに整備した
医療提供体制を生かしつつ、コロナ医療と一般医療の両立を図ることが重要であると認識をしております。
引き続き、感染状況に応じて、入院受入れだけではなく、入院待機ステーションの活用により、夜間の入院受入れの負担軽減を図るとともに、自宅療養者への対応なども併せて必要な医療を提供できる体制を構築するため、医師会や医療機関等と緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、3項目めの感染症に強い札幌構築についてであります。
現在、策定を進めております次期の戦略ビジョンでは、自然災害のみならず、感染症を含めた危機への防災・減災体制が整うとともに、有事の際でも迅速に対応し、回復への道筋をつけることが重要であると認識をしております。
このため、医療機関や企業とあらかじめ連携体制を整え、有事の際には、官民の資源を活用し、医療等の必要な支援を確実に行っていくことが必要だと考えております。また、ICT技術などを用い、ワクチン接種等の各種手続の迅速化を図るとともに、平常時を含めて非接触の社会経済活動を可能にするなど、感染症の蔓延リスクを低減させ、生活や経済への影響を最小化させることが必要であると考えております。
次に、4項目めのMaaSを活用した取組についてであります。
MaaSをはじめとしたICTの活用によりまして、目的地にスムーズに移動できるシームレスな環境を実現していくことは、公共交通の利便性向上として効果的な取組であると認識をしております。
公共交通の乗り継ぎ経路や運賃の情報提供は既にさっぽろえきバスナビにおいて行っておりますし、車両を小型化し、デマンドバスを導入する際の車両購入費の一部を支援する制度の運用も始めたところでありますので、デマンドバス導入やインターネットを活用した予約体制の構築などについて、バス路線の利用状況や他都市の事例などを踏まえ、バス事業者と連携をしながら、より効果的な手法を検討してまいりたいと考えております。
次に、大きな2項目めの気候変動と激甚化する災害対策についてお答えをいたします。
まず、脱
炭素型ライフスタイルへの転換を促すための取組についてであります。
札幌市内におきましては、
温室効果ガス排出量の約4割が家庭からの排出分でありますことから、ゼロカーボン都市の実現のためには、市民の皆様一人一人の温室効果ガス排出削減につながる行動の積み重ねが極めて重要であると認識をしております。
このため、特に若い世代に向けて、ウェブ上のバナー広告を活用して、脱
炭素型ライフスタイルへの転換を促す情報を発信するなど、様々な機会を捉えて、市民に広く積極的に働きかけていくこととしております。
ポイント制度の活用につきましては、
スマートフォンアプリを使って、例えばエコイベントへの参加など、市民の環境配慮行動に対して、買物に利用できるポイントを付与するといった市民の自発的行動を後押しするような取組について、官民連携の下、検討をしてまいりたいと思います。
次に、今後の水害対策についてであります。
札幌市内におきましても、局所的な豪雨による内水氾濫が発生をしており、改めて、水害に関する情報発信や日頃の備えの啓発は大変重要であると認識をしております。
これまで、札幌市では、気象庁による
防災気象情報や、河川管理者による水位情報を札幌防災ポータルや防災アプリそなえなどにより、市民に、適時、提供してきたところであります。
現在、内水氾濫と洪水の情報を一つの
ハザードマップで確認できるように、札幌市浸水
ハザードマップの策定に取り組んでおり、今年度末の公表を予定しているところであります。今後は、防災情報の適時の発信に加え、新たに公表する
ハザードマップ等を用いて、水害に対する日頃の備えの啓発に取り組むことで、より一層、地域防災力の向上に努めてまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○議長(細川正人) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな3項目めのデジタルトランスフォーメーションによる施策の高度化について、そして、6項目めのつながり支え合う地域社会の構築についての2項目についてお答え申し上げます。
まず、大きな3項目めのデジタルトランスフォーメーションによる施策の高度化についての1点目、推進体制と組織の活性化についてのご質問のうちの1点目の推進体制、組織体制についてでございますが、札幌市におけるデジタルトランスフォーメーションは、官民の手続が
スマートフォン一つで即座に完了するような新たな市民サービスの実現や、飛躍的な業務改革を目指すものでございます。このため、従前のような部局ごとのシステム開発ではなく、システム間のデータ連携や、外部クラウドサービスの活用なども見据えた官民連携によるデジタル活用を実現していく必要がございます。
そこで、積極的に外部人材も活用し、専門知識と推進力を備えたプロジェクト推進体制と、この体制を機動的に動かす庁内組織の構築を検討しているところでございます。
次に、推進体制と組織の活性化についての2点目のご質問でございますが、デジタル技術を活用した市職員の働き方と組織の活性化についてでございますが、今後は、限られた経営資源を最大限に生かし、より高い生産性を生み出す働き方の実現に向けまして、場所や時間にとらわれず、仕事ができる働きやすい環境の整備を進めることが必要と認識するところでございます。
また、複雑化する行政課題にスピーディーに対応していくためには、部局や階層など組織の壁を越えたコミュニケーションを図ることが極めて重要であり、職員間での情報共有や議論をさらに促していく必要があると考えます。
これらの課題解決に向け、今後、テレワーク環境のさらなる充実を図るほか、職員間のコミュニケーションを活性化するツールを拡充するなど、デジタル技術を積極的に活用することで組織の活性化に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
次に、AIを活用する先駆的な取組について、3点ご質問がございました。
そのうち、1点目の防災・減災へのAI活用についてでございますが、災害において最優先すべきことは人々の安全確保であり、いかに早く効率的に避難できるかは重要であると認識するところでございます。
このため、住民が確実に避難できるよう、避難所までの被災状況の把握や安全なルートへの誘導など、AI技術の活用の可能性を模索してまいりたいと考えております。
AIを活用する先駆的な取組についての2点目のご質問でございますが、野生動物から市民生活を守るためのAI活用について、札幌市では、これまで、ヒグマの市街地への出没をいち早く察知するため、侵入経路になるような地点に送信機能つきの自動撮影カメラを取り付けるなどの対応を行ってきているところでございます。
ヒグマ対策へのデジタル技術の活用は、迅速かつ正確な情報の収集により、市民への速やかな注意喚起等の実現に寄与するものと期待するところでございます。今後は、カメラを増設するとともに、顔認証システムを応用したヒグマの個体識別手法などの最先端のAI技術の活用を検討するなど、市民のより一層の安全や安心の確保に努めてまいります。
次に、AI活用の先駆的取組の3点目のご質問、婚活事業へのAI技術の活用についてでございますが、本市の婚姻届出数が減少し、出生数の一層の減少が見込まれることに関しましては、将来の札幌市の経済活動を支える生産年齢人口の減少にもつながる大きな課題であると認識するところでございます。
そのため、出会いや結婚など、若い世代にとって理想のライフプランを実現するための支援の在り方について、他の自治体あるいは地域でのAIを活用した取組など、より効果的な手法を視野に検討してまいります。
次に、大きな6項目めのつながり支え合う地域社会の構築についてのご質問でございますが、重層的支援体制整備事業が目指しております複雑化、複合化した福祉課題を包括的に受け止め、行政、関係団体、地域住民が一体となり支援するということは、大変重要と認識するところでございます。
そこで、まずは、区役所が中核となり、関係機関とも連携して、課題を抱えた市民を支援するための福祉行政の縦割りを超えた支援体制の構築を検討しているところでございます。
一方、地域住民等による支え合い活動の環境整備につきましては、既に市内89か所に地区福祉のまち推進センターが設置されているほか、民間事業者との協定に基づく見守り事業の推進などにより、地域福祉活動を支援してきているところでございます。
今後は、新たな支援体制と、これまでの取組の連携をより深めながら、一体的に体制整備を進めてまいりたいと考えております。
私からは、以上でございます。
○議長(細川正人) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 私からは、5項目めのSDGs未来都市としての取組についてお答えをいたします。
2点ご質問がございました。最初に、1点目の共生社会の実現に向けたD&I、DEIに基づくまちづくり、成長戦略についてでございます。
今後のまちづくりにおきましては、全ての人が差別や排除を受けず、また、障壁や困難を感ずることなく、社会の一員として、相互に尊重し、支え合っていくことが重要と認識しております。
次期のまちづくり戦略ビジョンでは、この考えをまちづくりの各分野に共通する重要概念の一つ、ユニバーサル、共生として位置づけまして、この実現に資する施策について検討していく考えでございます。
次に、2点目のフェアトレードについてであります。
フェアトレードは、私たち一人一人が主体的に取り組める国際協力であり、SDGsの目標達成に幅広く寄与するものであると認識しております。
札幌市におきましては、市民団体が熱心に活動し、それが札幌市のフェアトレードタウン認定につながったことは大変誇らしいことと感ずるところでございます。
今後も、引き続き、市民団体と啓発活動を進めるほか、企業とも連携し、多くの市民がフェアトレード商品に触れる機会を増やすことで、さらなる理念の普及に努めてまいりたいと考えております。
私からは、以上でございます。
○議長(細川正人) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな4項目めの稼ぐ力を磨く取組についてご答弁を申し上げます。
まず、1点目の今後の札幌経済の成長についてであります。
今後予想される人口減少期の札幌経済が引き続き発展を続けるためには、さらなる生産性の向上が不可欠であると考えているところであります。
そのためには、これまで札幌経済を牽引してまいりました観光や食分野を中心とする市内産業が国内外から新たな需要を獲得することはもちろんのこと、豊富な資源を生かした商品やサービスの高付加価値化が必要であります。加えまして、今後、成長が期待されるITやバイオ産業が、国内外から人材や投資を呼び込みながら発展を続けていくことも重要であります。
こうした考えの下、
新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えることを最優先課題としつつ、持続的な経済発展を目指すための産業振興策に積極的に取り組んでまいります。
続きまして、2点目の民間提案を取り入れた行政資産の有効活用についてであります。
行政が保有する資産を有効に活用し、積極的に収入を確保することは、安定的な市政運営を支え、必要な行政サービスを持続的に提供するために重要な取組であると認識をいたしております。
このため、これまでも、札幌市では、広告事業の実施や、公共施設の整備や運営におけるPPP、PFI制度の導入など、民間活力を積極的に取り入れてまいりましたほか、行政目的での利用が見込めない土地の売却や貸付けなど、公有財産の活用にも取り組んできたところであります。
今後は、さらなる行政資産の有効活用のため、職員のコスト意識を高めるとともに、全庁横断的に資産の現状や活用事例等を把握した上で、民間企業が提案しやすい環境づくりについても検討してまいりたい、このように考えております。
続きまして、3点目の観光振興策についてであります。
まず、コロナ禍を契機とした今後の観光戦略についてでありますが、これまで、札幌市では、コロナ禍により深刻な影響を受けている観光関連事業者と対話を重ねながら、主に市民・道民に向けた市内宿泊や周遊を促す取組に加えまして、イベントのオンライン開催など、ターゲットや手法を工夫しながら、可能な限りの観光振興策を実施してきたところであります。
これらの取組によりまして、事業者の下支えに寄与してまいりましたほか、市民・道民の札幌観光へのニーズや雪まつりなどのイベントが国内外から大きく支持されていることを再認識したところでございます。今後も、市民自らが市内観光を楽しみ、それを国内外から多くの観光客を引きつける魅力づくりにつなげ、工夫した情報発信を行いながら、社会経済情勢の変化にも強い観光都市を目指してまいります。
次に、観光施策の推進体制の強化についてであります。
観光は、地域の歴史や文化などに触れながら、宿泊や飲食などの消費を促し、地域経済を活性化させるものであるため、民間事業者と連携して進めることが何より重要であり、これまでも誘客などの取組を協力して進めてきたところでございます。
とりわけ、冬場の閑散期対策や観光消費の拡大といった課題により効果的に取り組むためには、マーケティングに基づき、民間のノウハウを活用しながら、戦略的に施策を推進していくことが求められているものと考えております。こうしたことから、現在策定中のスノーリゾートシティSAPPORO推進戦略、これでは、スノーリゾート推進に向けた組織体制について、様々な事業者を巻き込み、DMO化を含めて検討することとしたところであります。
今後とも、様々な形で民間事業者や観光関係団体との協力体制を強化しながら、落ち込んでいる札幌観光の早期の回復に向けた取組を進めてまいります。
私からは、以上であります。
○議長(細川正人) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、大きな7項目めの公立夜間中学設置の波及効果についてお答えをいたします。
公立夜間中学は、多様な背景を持つ学齢期を過ぎた生徒に対しまして義務教育の学びを保障する学校であり、その取組は、不登校であったり、あるいは、外国にルーツを持つなど特別な配慮を必要とする子どもが増えている現状の中、札幌市の教育に新たな視点を加えるものと認識しております。
とりわけ、生徒同士はもちろんのこと、教師も共に学び合うということを通しまして、お互いを認め、高め合うという公立夜間中学の学びは、自己肯定感の高まりでありますとか、学ぶ喜びをより実感するものでありまして、他の学校においても生かされるべきものと捉えております。
この取組の成果を研修等を通して全ての市立学校に広げていくことはもとより、その学びを広く市民にも発信することなどを通しまして、子どもから大人まで、生涯にわたって学び続ける自立した札幌人を育成してまいります。
以上でございます。
○議長(細川正人) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――――
休 憩 午後2時14分
再 開 午後2時45分
――
――――――――――――――――――
○副議長(峯廻紀昌) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
村上ひとし議員。
(
村上ひとし議員登壇・拍手)
◆
村上ひとし議員 私は、日本共産党を代表して、市政の重要問題について、順次、質問をいたします。
質問に先立ちまして、
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
また、今なお入院や療養をされている皆様にお見舞いを申し上げます。
そして、感染症との闘いが長期化している中、最前線で奮闘されている医療従事者の方々をはじめ、社会生活を支える仕事に従事されている全ての皆様に、改めて深く感謝を申し上げます。
私ども日本共産党は、コロナ禍により、これまで経験したことのない苦難に直面している市民の暮らし、健康、福祉、営業が守られる社会の実現のため、あらゆる知恵と力を尽くす決意であります。
それでは、質問に入ります。
初めに、市長の政治姿勢についてです。
質問の第1は、首相の退陣表明の評価についてです。
菅首相の昨年9月の就任から約1年は、コロナ禍での国民の苦難をよそに、自助を押しつけ、日本学術会議の会員任命拒否問題や、安倍前首相の桜を見る会などの疑惑解明には完全に背を向け、医療や検査の体制強化は置き去りにし、人流を増やすGo To事業や東京オリパラの開催などに固執しました。コロナ対応に無為無策を重ね、感染爆発を招いた菅政権への批判は大きく広がり、内閣支持率は急落しました。突然の政権投げ出しは、このままでは総選挙を戦えないという与党の批判を示したものであります。
国民の怒りが政権支持率低下となって現れたと考えますが、市長はどのように分析されているのか、伺います。
安倍政治と菅政治へのこうした怒りは、コロナ対応での無為無策、やるべきことをやらず、感染爆発と医療崩壊を招いた政治の責任であり、首相による人災だと言えますが、市長の評価を伺います。
質問の第2は、市長の社会像についてです。
コロナ危機で、これまでの医療や公衆衛生といった社会保障の切捨て、使い捨て雇用など、国民に自己責任を押しつける新自由主義のゆがみと矛盾が一気に噴き出しましたが、菅首相は、自らの社会像を、自助、共助、公助、そして絆、まずは自分でやってみるという自己責任論をコロナ対応にまで持ち込み、ゆがみを正そうとすらしませんでした。
市長は、自助、共助、公助についての見解を聞かれ、市民一人一人が、自らの能力を発揮しながら、自分らしく活動でき、互いに協力し合うために必要な支援を行うとともに、それでもなお困難を抱える人々をしっかりと支えていくことが重要であると考えておりますと答弁されています。
市長の社会像は、自助、共助が優先されていると思いますが、菅首相の社会像とどこが同じで、どこが違うのか、伺います。
質問の第3は、自己責任論と公助についてです。
自助が優先されればされるほど、自己責任、自助努力を問う声が強まります。映画にもなった「こんな夜更けにバナナかよ」の著者、渡辺一史さんは、8月27日の朝日新聞で、知人の声として、頑張らない人は応援しないということは典型的な自己責任論であり、福祉や社会保障の理念にも反すると寄稿されております。障がい者が新型コロナ危機で頑張る機会自体を奪われる下で、自己責任論が前面に出てくることへの警鐘と受け止めることができます。
自己責任論は、本来、支えを必要とする人が行政に助けを求めることをちゅうちょさせてきました。本市は、「生活保護の申請は国民の権利です。」というポスターを作成され、関係者からも歓迎されております。公的支援を必要とする人に行政が手を差し伸べる明確なメッセージになると考えますが、認識と、引き続きポスターの普及拡大の考えも併せて伺います。
質問の第4は、改正社会福祉法についてです。
昨年成立した改正社会福祉法は、地域共生社会を実現するとうたい、法律の第4条で、新たに、地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指すというと規定をし、地域福祉を互助に委ねるほか、コロナ感染対策で苦労されている介護福祉士の社会的地位向上に逆行するなどの理由から、日本共産党だけではなく、立憲民主党などの共同会派、れいわ新選組など、野党がこぞって反対しました。
改正法は、介護・障がい者福祉施設の合併や経営譲渡などで大規模化、共同化を進める社会福祉連携推進法人の創設が認められました。社会福祉の責任を民間の自助努力に委ねる方向を一層強化することには問題があります。
札幌市は、この法人を認定、監督する責任を負うことになります。改正法の具体化に際して、施設の規模にかかわらず、本市として公的責任を果たしていく必要があると考えますが、市長の認識を伺います。
質問の第5は、行政のデジタル化についてです。
1点目は、情報システムと地方自治についてです。
政府の匿名加工情報制度は、特定の個人を容易に識別できないように加工しているなどとして、個人情報を、本人の同意も得ずに、販売も含めて外部提供を可能とするものです。
平井卓也デジタル大臣は、自治体が定める
個人情報保護条例は、情報の連携に制限をかけ、審議会などの諮問を経る規定などがあることから、民間活用の妨げになるとして、
個人情報保護条例は、一旦、リセットしてもらうと国会で答弁されました。
条例は、地方自治体の権限と判断で成立、施行されるものです。自治体の条例に国が縛りをかけることは、地方自治への介入であり、許されないと考えますが、市長の認識を伺います。
また、情報システムの共同化、集約の推進として、国は、基準に適合した自治体クラウドの下で情報を共同化、集約化することを求めていますが、地方自治体からは、自治体の自立性や多様性が失われ、地方自治体の住民自治、団体自治を侵害するのではないかと危惧する声が上がっています。
政策判断、自治体独自の施策は自治体の権限であり、国が決める情報システムの基準に左右されてはならないと考えますが、あわせて、市長の認識をお伺いいたします。
2点目は、個人情報を保護する人材の配置についてです。
既にデジタル化は社会生活に浸透し、クレジットカードを使用すれば売買情報、携帯電話の位置情報、街頭の監視カメラで行動情報、インターネット検索では検索履歴やメール情報、健康保険を使えば診療情報などがそれぞれに残されます。こうした情報が個々のサービスの中にとどまっている場合は問題がありませんが、その枠を超えた場合には、漏えいや個人の特徴をデータの自動処理で推定するプロファイリングによる選別、排除などが問題となります。
我が党の田村智子参議院議員は、4月の内閣委員会で、このプロファイリングなどについて、権利が侵害されるおそれがあるとして法的な規制を求めました。政府の答弁は、ガイドラインで検討していくというものでした。情報通信技術を民主的に発展させる上で、個人情報の厳しい保護や運用に対する監視は極めて重要な課題です。自治体として、市民の情報やプライバシーを保護するための対策を打つ必要があります。個人情報、プロファイリングについても、自己決定権を尊重した取扱いがされるよう、不適切な運用をチェックする専門部門の設置や専門職員の配置を考えるべきですがいかがか、伺います。
質問の第6は、冬季オリパラ招致についてです。
市長は、9月10日の定例記者会見で、2030年冬季オリパラ競技大会招致について問われ、修正した計画案を示すこと、ワークショップなど市民との対話を再開しつつ、並行して意向調査を行っていくことを表明されました。
冬季オリパラ招致への意向調査は、今年度、300万円の予算が組まれておりますが、この調査は、2030年招致の賛否を問う住民投票や市民アンケートといった市民の意見を把握する調査とするべきです。
なぜなら、平和と友好のシンボルとも言えるオリンピックは、圧倒的な市民の賛同と協力なしには成功させることができず、その裏づけとなる市民の意思も客観的なものでなければいけないと考えるからです。当然、その調査結果がまとまるまでは、日本及び国際オリンピック委員会などとの協議を見合わせる決断が必要です。市民の圧倒的な賛成が得られなければ、招致計画の白紙撤回も含めて検討されるように求めますが、本市の認識を伺います。
質問の第7は、職員相互の研さんと成長についてです。
2020年3月、子ども・子育て会議児童福祉部会が、令和元年6月死亡事例に係る検証報告書を出しました。その「おわりに」で、これまでの死亡事例等から本気で学ぶつもりがあるのか、市民の困難を共感的に洞察し、協働の文化を持つ組織になる必要性を本気で感じているのかと本市に問いかけました。
市長は、その後、職員に向け、メッセージを発出し、協働するということは、関係する複数の部局が折り重なって仕事をするということです、それは、ある場面では効率的ではないように見えるかもしれません、しかし、協働には、互いに成長し合い、チーム力を高めていく効果もあるのですと書きました。また、支援を次に引き継ぐとき、終了するとき、その方の困り事は続いていることを意識してください、相手の立場に立って、何に困っているのか、どんな支援が必要なのか、仮に自分たちが支援から外れるとしても、ほかにどんな支援につないであげたらよいかということを考えてみてほしいと書き、一緒に学び、変わっていきましょうと呼びかけました。
現在、コロナ感染拡大による対応に追われ、本市職員の多忙が極まる働き方が続いています。そうした中だからこそ、協働や相手の立場に立つことは一層重要だと考えますが、市長の認識を伺います。
市長は、市民の困難を共感的に洞察する力を培うことや、協働の文化を持つ組織になるための職員相互の研さんと成長がどのように、どの程度変わり、今、何が課題になっているとお考えか、さらに、報告書で、市政の在り方そのものが問われていると指摘されたことは改善されているとお考えなのか、お伺いをいたします。
次は、(仮称)第2次まちづくり戦略ビジョンの策定についてであります。
まちづくり戦略ビジョンは、札幌市のまちづくり計画における最上位の基本指針として、2013年度から2022年度までを期限としてきましたが、
新型コロナウイルス感染症や気候変動の下、1年前倒しで(仮称)第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンの策定に着手したものであります。本市の将来像であり、策定は、聖域を設けず、抜本的な見直しを伴うものでなくてはならないと考えます。
質問の第1は、公的責任と基本目標案についてです。
7月に開催された札幌市まちづくり戦略ビジョン審議会には、都市像案とまちづくりの基本目標案が提案され、基本目標案では三つの重要概念として共生、健康、快適・先端を定めました。
共生は、双方向に支え合うことと説明され、都市像案では、支え合いを、現役世代が支える側、高齢者が支えられる側という従来の考えを大きく転換するものと説明されています。双方向に支え合うこととして、障壁や困難の解消、格差の是正、機会の均等、交流の推進、自然との共生が挙げられていますが、いずれも、財界中心の政治が持ち込んだ規制緩和万能、弱肉強食、自己責任押しつけの新自由主義と深く結びついたもので、政治の責任なくして解決できる課題ではないと考えますが、市長の見解を伺います。
自発的な支え合いを否定するものではありませんが、市民を支える主体は地方自治体ではないでしょうか、市長の認識を伺います。
質問の第2は、市民が主役の基本姿勢についてです。
2019年4月10日、選挙直後の記者会見で、どのように市民の声を市政に生かすのかと記者に問われた市長は、一方的に何かを説明するということではなくて、市民の皆さんが疑問に感じていること、あるいは、不安に感じていることをお伺いして、そのことに対してお答えをしていくという対話が非常に有効であると述べられました。
現行のまちづくり戦略ビジョンでは、市民が主役のまちづくりは基本姿勢の一つとなっています。しかし、実際には、新幹線残土の問題で、住民との十分な合意がないまま、手稲区山口地区を要対策土の受入れ地とし、今なお住民から強い反対の声が寄せられています。このことは、会見時の姿勢と相反し、市民を主役から遠ざける結果となりました。
次期戦略ビジョンを策定するに当たり、市民との直接的な対話について、どのように考え、どう実践されようとお考えか、伺います。
あわせて、一方的な説明ではなく、合意するまで丁寧に時間をかけることは重要なことだと考えますが、市長の基本姿勢を伺います。
質問の第3は、低炭素都市の位置づけについてであります。
国連IPCCは、今年8月、新たな報告書を発表し、人間の影響が温暖化させてきたことはもはや疑う余地はないとしました。同時に、これからの10年の思い切った削減と、2050年までに温室効果ガスの排出量の実質ゼロを達成し、その後も大気中のCO2の濃度を下げる努力を続けることによって、21世紀の最後の20年には1.4度まで抑えることができることも示しました。
既に、世界の平均気温は1.1度から1.2度上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組む時間は長くありません。10年足らずの間に全世界のCO2排出を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっております。したがって、本市のまちづくりにおける気候変動対策が重要であることは言うまでもありません。
本市は、CO2排出量を2030年に1990年比43%削減し、2050年にはゼロカーボンを実現することを目標としています。これを実現するために、次期ビジョンでは思い切って重点化を行うべきだと考えますが、どう位置づけられるのか、市長のお考えを伺います。
また、再生可能エネルギーの導入は、昨年度決算では7,199万円にとどまっています。ビジョンが描く2031年の札幌で、大多数の市民が再生可能エネルギーを利用して生活する姿を描くべきだと考えますが、併せて伺います。
質問の第4は、長期にわたる財政支出についてです。
都心アクセス道路や北海道新幹線札幌延伸など既に着手している事業には、市民から中止や疑問の声が上がっても、行政の整合性の観点から、結果として次期ビジョンやそれに伴うプランに掲げられることとなりかねません。長期にわたる多額の財政支出は、将来世代に過度な負担を残すことになりかねず、見直すべきは見直すとの立場で、思い切って計画の中止も視野にしたビジョンを掲げることが肝要だと考えますがいかがか、伺います。
次に、2020年度決算に関して質問をいたします。
今年度の予算に当たり、我が党は、予算を撤回の上、再提出を求める動議を提出し、大型の再開発や市民合意のない事業などに関わる歳出の削減を求めたところですが、昨年度の執行事業にも同様のことが言えるのです。2020年度は秋元市政2期目の折り返し地点となり、
アクションプラン2019の取組をスピード感を持って盛り込むとされた予算に対する決算です。
その一般会計の決算額は、歳入で1兆2,894億円、歳出で1兆2,738億円、財源不足のために備える財政調整基金は、年度当初約231億円だったものが約319億円と増えています。その中で、民間再開発促進費38億8,995万円をはじめとする札幌駅交流拠点まちづくり推進費や北海道新幹線推進関係費など、2030年オリパラ招致と北海道新幹線札幌延伸に合わせ、一気に都心部を再開発しようとする姿勢が顕著になっています。これら不要不急、市民合意のない事業に約53億円も注がれたのは問題です。
我が会派は、昨年度、新型コロナ感染症に関連して、6回にわたり市長宛てに緊急要望書を提出し、病床の確保やPCR検査の充実、医療・介護施設への支援を求めてきたところであり、予防的スクリーニング検査の件数と対象の拡大は歓迎するものであります。
しかし、本市のこれらに関する2,885億円の決算額は、利用控えが起きている介護施設をはじめとする事業所や、度重なる休業要請で深刻な経営難に陥っている飲食店などに対し、国や北海道からの交付金の範囲での支援を行うだけのものとなりました。
私は、緊急事態宣言などが発出される際に開かれる臨時議会の経済観光委員会で、薄野をはじめとする市内飲食店がこれだけ深刻な事態となっている中、お店が続けられると希望を持てるような独自支援策を再三求めてまいりました。不要不急の事業の中止や、財政調整基金を活用するなどすれば財源はあるのです。国や北海道が行う支援策にさらに上積みするなどして、介護事業所や飲食店などへの独自の支援に踏み出すべきだと考えますが、市長、いかがですか、伺います。
次は、社会変化を踏まえた地域経済政策についてです。
質問の第1は、成長戦略会議の実行計画についてです。
政府の成長戦略会議は、昨年12月、コロナ問題を受けた新たな方針を示す実行計画を決定し、中小企業の再編を柱の一つに据えました。戦略会議には、菅首相のブレーンである有識者メンバーの一人が、日本の中小企業は多過ぎると主張し、自身の著書でも中小企業の半減を主張したことで、経済界や自民党からも警戒の声が上がったことによって、計画には小規模事業者の淘汰を目的とするものではないという一文が挿入されました。しかし、計画の内容は、生産性向上に挑戦する企業を中心に支援するものであり、検討している補助金は、企業買収後の想定外の損失に対応できるなどというものであります。
地元で事業を続けてきた中小企業は、大企業にはできない地域消費者へのきめ細かい利便性を提供し、その知恵とノウハウでそれぞれの地域社会を発展させてきた歴史があります。これら中小企業が、国の実行計画に示された措置に基づき、淘汰されることがあってはならないと考えますがいかがか、お伺いをいたします。
また、中小企業の事業所数が減っていくことは、本市の地域社会の存亡に関わる損失であると思いますが、本市の認識を伺います。
さらに、中小企業は、異なる地域の消費ニーズに対応するため、地域で住民の生活実態から需要を掘り下げ、地域内消費を増加させる役割を果たしてきました。まさに、中小企業は、市民生活と市内経済にとってかけがえのない存在であります。
コロナ対策で問われたのは、平常時から、地域の課題や特徴を生かし、自治体が地域に集積する中小企業を前提に経済振興を考え、その発展のための役割を果たすことであると思いますがいかがか、本市の認識をお伺いいたします。
質問の第2は、中小零細企業とともにつくるまちづくりについてです。
1点目は、札幌市中小企業振興条例についてです。
コロナ禍が長期化する下で、大企業の内部留保は過去最高を更新するものの、ニッセイ基礎研究所は、家計に回るべきお金が還元されず、消費主導の景気回復が難しくなっていると指摘しています。本市の経済構造は、まさに、卸売・小売業、宿泊業、飲食サービス業をはじめ、消費購買力に依拠した第3次産業が圧倒的比重を占めており、市内企業の99.5%が中小零細企業であります。人流を抑制することがコロナの感染防止対策であるだけに、サービス業とその関連業者などは感染拡大の初期から大きなダメージを受けてきました。
コロナ感染による教訓は、本市の経済構造を踏まえ、徹底して中小企業を守り、発展させていくことであると思います。札幌市中小企業振興条例の前文で強調されているように、中小企業が振興することで、働く人の収入が増え、消費が活性化し、雇用が創出される。市税が増加し、市民サービスが向上、まちづくりが発展するなどの好循環が生み出されます。今こそ、中小企業の必要性が増しています。足腰の強い本市経済をつくるためには、札幌市中小企業振興条例のスピードを上げた実践、充実が鍵であると思いますがいかがか、伺います。
2点目は、中小企業施策と予算についてであります。
7月に行った札幌市中小企業振興審議会の議事録を見ますと、委員の皆さんから具体的な意見が出されています。市の支援で先を見据えて事業ができる状態をつくりたい、中小企業は地域密着型であり、地域循環型経済の政策が大事である、空き店舗を利用した福祉拠点、居場所づくりの整備ができないかなど、中小企業の役割と市の責務が語られています。
今後の地域社会で重要な災害への備え、医療、福祉、環境、情報通信などの分野はまちづくりの柱であり、地域に根差し、発展させてきた中小企業とともにつくり上げていくことが必要と思いますがいかがか、お伺いをいたします。
中小企業の意見や要求を最大限に酌み上げ、より豊かで住みやすいまちづくりを推進するため、中小企業が直接担える小規模な公共工事の予算を増やすべきと思いますがいかがか、お伺いをいたします。
質問の第3は、インボイス制度と消費税減税についてです。
コロナ禍で、中小零細業者の営業が困難な状況の中、追い打ちをかけるように、政府は、2023年10月から、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度を導入しようとしています。インボイスとは、2019年、消費税率10%への引上げと同時に8%の複数税率が導入されましたが、税率を区分した請求書や領収書などの伝票のことであります。税理士会連合会などは、複数税制でも現行のままで適正に課税計算はできると、制度の中止や見直しを求めています。消費税導入時、課税売上高が3,000万円までの事業者を、営業利益が少ないため、消費税の納税を免除する免税業者としましたが、その対象を売上げ1,000万円まで引き下げ、多くの免税業者を課税業者にしました。インボイスは、さらに課税業者を増やし、少ない売上げから10%の消費税を納税させようとするものです。
事業者からは、コロナ禍を必死で頑張っているのに、インボイスで廃業させられるとの声が上がっています。インボイスの導入は、免税だった事業者に消費税の課税を迫る非情な増税策であると思いますがいかがか、認識を伺います。
現在、課税業者が免税業者から仕入れを行った場合、仕入れ税額控除ができますが、制度導入後は、取引先の納税額が増える仕組みになるため、取引停止になるか、取引先に消費税分の値引きを迫られることになります。既に、親会社から、単価引下げに応じなければ発注しないと宣告されている事業者もいます。建設会社は、現場によって一人親方の技術を頼りに建築工事をすることがあります。インボイスによって会社側の納税額が増えることになれば取引を停止せざるを得ないが、しかし、その技術がなければ現場が動かないということが起こります。本市の経済にとって大きな損失です。
さらに、個人営業の食堂、小売店、通訳や音楽家、フードデリバリーの配達員やフリーランスなど、多種多様な業種に影響が生じ、取引先同士の関係が損なわれます。
本市は、インボイス制度による本市中小零細事業者への影響をどのように認識しているのか、伺います。
あわせて、制度の導入は、本市経済の衰退につながると思いますがいかがか、伺います。
また、中小商工業研究所が行った2020年上期の営業動向調査によりますと、納税業者の90%、免税業者の96%がインボイスは実施する前に廃止すべきと回答しております。仕事がもらえないと困るので課税業者にならざるを得ないが、課税業者になっても消費税は払えないと悩み苦しむ業者の声を聞かずに、納税業者の登録申請が本年10月1日に迫っています。
本市は、事業者が安心して経済活動ができるように、国の指示を待つのではなく、制度導入に関する業者の実態を調査すべきと思いますがいかがか、伺います。
さらに、財務省は、所得の低い方々への配慮の視点から複数税率を実施したとしながら、その導入に必要な財源はインボイスによる税収額を見込んでいます。所得が低い人たちを苦しめる制度によって所得が低い人への配慮を実現しようとすることこそ、消費税の本質が表れています。
中小企業の営業を壊し、成長できない経済にしてきた消費税は、5%に減税してこそ最大の景気対策であると思いますが、本市のお考えを伺います。
次は、医療と介護についてです。
コロナ感染症の前から慢性的な人材不足が続いていた医療、介護の現場では、コロナ感染症の拡大でさらに人的体制が逼迫し、感染リスクと隣り合わせで働く医療・介護従事者への精神的、肉体的な負担が広がっています。また、経営面においても減収が広がり、危機的状況に置かれています。
質問の第1は、診療報酬の特例措置についてです。
国は、コロナ感染防止対策を行った医療機関に対し、
新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を踏まえた臨時的な診療報酬の取扱いとして加算などの特例措置がなされていますが、9月末までとなっています。今後の感染拡大の懸念がある中、10月以降も継続するよう国に強く求めるべきだと思いますがいかがか、伺います。
質問の第2は、集中治療体制についてです。
昨年第3回定例会の代表質問で、重症者に対応できるICUなど集中治療体制について、本市のコロナに対応するICUベッド数は人口10万人当たり2床未満で極めて不十分ではないかとただしたのに対し、ICUを含め、最大52床を確保して不足は生じないとの答弁でした。
コロナ感染症患者への対応は、通常の体制と比べても負荷が高い治療、看護が求められ、さらに、重症者ほどより負荷が増します。本市において、新型コロナ感染の第3波から第5波において、重症者に対応するICUなど集中治療現場の実態はどうだったのか、課題や今後への教訓についてどう認識されているのか、伺います。
質問の第3は、高齢者の生活保障と介護問題についてであります。
1点目は、自粛生活の長期化が及ぼす高齢者の身体や認知機能への影響についてです。
町内会の活動や、週1〜2回の趣味の集まりが休止となるなど、コロナ禍での自粛生活により、介護サービスを受けずに生活をしていた高齢者であっても、歩けなくなる、物忘れがひどくなるなど、身体や認知機能が低下する傾向が続いています。健康政策の専門家は、コロナ禍での高齢者の健康状態の悪化は、加齢によるものよりスピードが速いと指摘しております。
本市は、公式ホームページで、高齢者やその家族に向けて、動かないことが身体や認知機能の低下となり、身の回りの動作ができなくなる、抵抗力が落ち、疲れやすくなるなどの健康状態の悪化についての情報を知らせ、転倒予防、認知症予防、筋力アップにつながるサッポロスマイル体操の発信、配信等に取り組んでいます。しかし、どれだけの高齢者に周知されているのか、効果は不明です。
高齢者の生活実態を把握するとともに、身体・認知機能の低下を防ぐ上で新たな取組が必要と考えますがいかがか、伺います。
2点目は、ケアマネジャーの業務量増加についてです。
高齢者の支援には、本人や家族と十分に話し合い、生活実態をつかんで対応する地域包括支援センターやケアマネジャーの役割が非常に大きいと考えます。コロナ禍での介護事業所の事業縮小・休止の場合や、通常のサービスを控える利用者、または利用者が感染した場合の利用控えなど、全てにケアプランの変更が必要となることから、ケアマネジャーの業務が増大しております。
本市は、ケアマネジャーの業務量が増大していることを把握しているのか、お伺いをいたします。
また、コロナ禍という非常事態でありますから、ケアマネジャーの人的体制の強化が必要と考えますがいかがか、お伺いをいたします。
次は、生活困窮者と子どもへの支援についてです。
質問の第1は、生活困窮者への支援についてです。
財務省の法人企業統計調査によると、昨年度、大企業の内部留保は過去最高額で、逆に労働者賃金は1人当たり1.2%減りました。アベノミクスにより貧富の格差が拡大した上に、
新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、一部のお金持ちは一層お金持ちに、それ以外の人々は一層生活に困窮する事態となりました。北海道の完全失業率は3%前後が続き、市内のハローワークの有効求人倍率は0.85倍と依然低いままで、雇用の悪化も長期化しています。
本市の生活就労支援センターでは、失業や借金の相談が、コロナ前と比べ、激増しています。住宅確保給付金の新規申請数は昨年度は2019年度の約40倍になり、生活福祉資金である新型コロナ対応貸付けは昨年度末で4万8,000件に上りました。民間の相談会でも、困窮して家賃や光熱費を払えない、借金しながら就職先を探している、病院に行きたくても行けないなどの悲痛な事例が増えています。
困窮した市民への支援は、待ったなしの急がれる課題であります。国保などの保険料、医療費の一部負担金減免の拡充や、本市独自の給付金を実施するなど、命と暮らしを支える直接的な支援が必要と考えますがいかがか、お伺いをいたします。
質問の第2は、子どもやその関係者へのPCR検査についてであります。
デルタ株は、強い感染力と子どもが重症化するおそれがあります。第5波では、本市でも小学校や保育園などでクラスターが発生しました。学校での感染は連日のように報告され、7月から8月末までの約2か月で第4波を超える470人の子どもが感染しています。
デルタ株の感染拡大への対応として、従来以上に子ども同士の間隔を取ることが推奨されておりますが、今の教室では難しいのが実情であります。音楽や体育などの授業では接触を避ける工夫をし、部活動の休止や給食の黙食など、教育現場での努力が続いています。また、感染を恐れて自主的に学校を休む児童生徒が増えていることも報道されています。子どもたちの間で感染が広がり、陽性となった無症状の子どもが家庭内で感染を広げるケースが増えておりますが、ワクチンは12歳からの接種であるため、感染対策を強化、徹底する以外に予防することは困難であります。
PCR検査は、感染拡大を抑えるのに有効であることから、ワクチンを接種できない子どもたちと、保育所、学校など子どもに接する職員へのPCR検査を、本人が希望すればいつでも受けられるようにすべきと考えますがいかがか、お伺いをいたします。
最後は、厚別区の諸課題についてです。
質問の第1は、北海道ボールパーク構想に伴う対応についてです。
2023年3月開業予定の北海道日本ハムファイターズの新球場、エスコンフィールドHOKKAIDOを核とする北海道ボールパーク構想が北広島市で今進んでいます。ファイターズの本拠地が札幌ドームから失われる本市の経済的損失は計り知れませんが、市民やファンは移動の負担が増すことになり、市の対策が期待されています。
そこで、市内から公共交通で北広島市のボールパークへ行く場合には、JR、地下鉄、バスを使うことになり、圧倒的に厚別区を経由することになりますが、今現在、どのような課題を想定しているのか。
また、数多くの自家用車の利用も予測されます。厚別区内を通る国道12号、国道274号、南郷通などは渋滞が懸念されますが、どんな対策を検討しているのか、お伺いをいたします。
質問の第2は、市営住宅もみじ台団地についてであります。
市営住宅は各区にあり、個別あるいは共通する課題がありますが、もみじ台団地の課題を中心に取り上げます。
厚別区には、ひばりが丘、新さっぽろ、青葉、もみじ台の団地群があり、その規模は9,338戸を有する市内で最も市営住宅の集中する地域であります。
1点目は、市営住宅への関わり方と責任についてであります。
本市は、建物の維持管理は指定管理者に、入居者の収入調査や家賃減免などの事務処理を一般財団法人札幌市住宅管理公社に委託しているため、市に残るのは予算や議会対応、住宅の明渡しなどの法的措置等に限定された仕事のみであります。そのため、入居者と自治会役員などから、市は、管理公社任せにせず、市営住宅の課題に向き合ってほしいとの強い要望が出されてきました。
入居者の高齢化と住宅の老朽化など、市が積極的に関わり、解決すべき課題が一層増しています。また、これらの課題は、市営住宅に限定されず、周辺地域のまちづくりにも大きく影響を与えるものです。市営住宅の管理と運営は、本市自らが入居者と地域住民などと積極的に関わる中で課題を解決する責任が増していると思いますが、認識を伺います。
2点目は、住み替えについてです。
市営住宅条例施行規則第6条では、「入居者又は同居者が加齢、病気等により階段の昇降が困難な状況にあるため、エレベーター付き又は低層階の他の市営住宅に入居することが適切であると認められる」場合には住み替えができるとされています。また、「市長は、募集すべき市営住宅の一部を住み替えのための市営住宅として指定することができる。」とされております。
しかし、抽せんであるため、外れれば何年も住み替えることができない状況が続いてきました。その結果、高齢化の著しいもみじ台団地などでは、高齢で病気や障がいを持つ人が何回申し込んでも住み替えられないのが実態であります。
このため、本市は、2016年度から新たな基準によって住み替え制度を運用し、改善を図るとしてきましたが、既に5年を経過しており、その検証結果を伺います。
また、高齢者が安心して暮らし続けることができるように、募集する住宅の指定方法など、高齢化の著しい地域の実態に即した制度の改善を引き続き進めるべきと考えますがいかがか、お伺いをいたします。
さらに、障がい者の死亡等によって障がい者用住宅への入居の必要性がなくなった場合には、住み替え費用の一部を補助するなど、入居中世帯の負担軽減を図る中で、希望する世帯が障がい者用住宅に速やかに入居できる仕組みを検討すべきですが、どのように対処されるお考えなのか、お伺いをいたします。
3点目は、建て替え計画についてです。
もみじ台団地は、1971年から1986年にかけて約5,500戸が建設されました。市内における市営住宅の2割を占める最大の大規模団地です。建設から50年、半世紀を経て老朽化も著しく、エレベーターもありません。当然ですが、入居者も高齢化し、社会とのつながりを失う中で、孤立死が後を絶ちません。また、戸建て地域でも地域コミュニティーの衰退や空き地、空き家が増加するなど、団地と同様に高齢化の進展による深刻な問題を抱えてきました。もみじ台地域は、早い時期から行政の見通しを持った関わりが必要な地域であるわけです。
我が会派は、2002年の第3回定例会において、団地の建て替え事業は10年、15年と長い期間を要すること、耐用年数の半分の期間が過ぎたら建て替えの対象となることなどから、特に市内最大のもみじ台団地の建て替えは早めに計画すべきであると提案してまいりました。団地に限らず、もみじ台地域全体のまちづくりと福祉に関わる重要な問題であるからです。
しかし、間もなく20年がたちますが、いまだに計画すら示されていません。2018年に開催されたもみじ台団地地区計画の変更に係る地域説明会では、住民から、市営住宅の具体的スケジュールを含めた建て替え計画はないと聞いているが、現時点の考え方を教えてほしい、あるいは、市が所有している市営住宅を先に検討すべきだとの理にかなった意見が出されました。これは極めて納得のいくもので、行政の積極的な関与を求めるもみじ台地域住民を代表する意見だと思いますが、どのように受け止めているのか、お伺いをいたします。
本市は、これらの住民意見に対し、市営住宅の建て替えを含めた検討は長期的なスパンで考える必要があり、今すぐできるわけではない、しかし、何もしなければ衰退してしまうので、戸建て住宅地の地区計画の変更を検討する必要がある旨の説明をしております。これは至極当然の考え方ですが、市の対応があまりにも遅く、今さらその説明なのかと、住民は不満を抱いているんです。
大規模団地の建て替え事業には十数年を要することから、もっと早く、周辺まちづくりと一体的に長期的なスパンで建て替えの検討を進める必要がありました。もみじ台団地の建て替え計画の遅れは否めないと考えますが、認識を伺います。
また、現在策定中の(仮称)第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンでは、もみじ台団地の建て替えをどのような基本方針で検討されているのか、お伺いをいたします。
4点目は、耐震改修についてです。
もみじ台団地入居者には、団地の経年劣化による耐震性能への不安があります。雨水などの浸透により、コンクリートの中性化による劣化で内部の鉄筋がさびるなど、耐震性能の低下が懸念されますが、そのような心配はないのか、お伺いをいたします。
また、札幌市市有建築物保全計画によりますと、市の保有する建築物の長寿命化など計画的な保全を実施することになっていますが、市営住宅は、別途、個別施設計画により管理されるとされています。
そこで、もみじ台団地の耐震改修はどのように取り組まれているのか、伺います。
あわせて、不安を抱く入居者へ丁寧な説明が求められると思いますがいかがか、伺います。
質問の第3は、新幹線残土についてであります。
厚別区の山本地区は、北海道新幹線のトンネル掘削時に発生するトンネル発生土、いわゆる新幹線残土の受入れ候補地であります。この山本地区は、かつて産業廃棄物の埋立処分場であり、市営地下鉄東西線のトンネル掘削土も受け入れてきました。住民は、トラックが走る騒音と、泥炭地による振動に悩まされてきました。それでも市の要請に応え、現在は雪の堆積場に協力していただいております。過去には、堆積場からの融雪水が民家へ浸水する被害もありました。このように様々な被害がありながらも、札幌市政に多大なるご協力をいただいているのが山本地区の住民であります。
しかし、このたびの新幹線残土の受入れ候補地には、会長をはじめ、町内会全員が候補地に反対しています。私は、昨年の決算特別委員会で、山本地区の住民は、ヒ素など人体や環境に影響のある重金属を含む要対策土であることに加えて、もういいかげん勘弁してくれという負担感があることから、これ以上の負担となる要対策土の受入れ候補地は断念すべきであるとただしたところ、本市は、対策土に対する認識の違いがある、理解されるよう努めるなど、さらに住民に負担を求めることを示唆する答弁でした。
今回は、市長にお伺いをいたします。
山本地区が長年にわたり市の要請に協力してきた経緯を見ても、新幹線残土の受入れ候補地を強いることは、行政としてあまりにも公平性とバランスを欠いており、住民に重い負担を強いるものになると考えますがいかがか、お伺いをいたします。
また、市長は、地域住民をはじめ、市民の皆様のご理解なくしては進めることはできないとおっしゃってきましたが、山本地区の住民全員が反対を表明しており、住民の理解が得られていないという明確かつ強固な意思表示であります。これ以上の理解の強要は、市民との信頼関係と今後の市政運営に重大な禍根を残す懸念があると考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
以上で、私の質問の全てを終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(峯廻紀昌) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で7項目のご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢について、2項目めの第2次まちづくり戦略ビジョンの策定についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、それぞれ担当の副市長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
まず、1項目めの私の政治姿勢についての1点目、首相の退陣表明の評価についてお答えをいたします。
菅首相は、就任以降、多くの労力を
新型コロナウイルスの対策に割いてきたものと思われますが、度重なる感染拡大や、それに伴う長期の外出自粛などに対する国民の思いなどが支持率に影響しているものと考えております。
新型コロナウイルスの感染拡大は、まさに国難であり、全世界的な未曽有の事態としてその対応に当たって難しいかじ取りが求められる中、ワクチン接種の推進など様々な対策に当たってこられたものと認識をしております。
次に、私の社会像についてでございますけれども、社会が成立していくためには、自助、共助、公助というものがそれぞれ必要であると考えております。
ご指摘の答弁につきましては、自助、共助への必要な支援とともに、困難を抱える人々を支える公助が重要であるということをお答えしたものであり、これは、支援を必要とする方々にはしっかりと支援を行うということを申し上げたものであります。
次に、自己責任論と公助についてであります。
生活保護の趣旨といたしましては、困窮に至った理由や経緯を問わず、困窮の程度に応じて支援を行うものであり、この考えに基づき、適切に保護を実施しているところであります。
ポスターにつきましては、経済的に困窮している方が適切に行政の相談につながるよう、市有施設等に貼り出したところであります。
札幌市といたしましては、これまでに引き続き、ホームページや広報さっぽろ、そしてチラシやポスターなど、様々な広報媒体を活用し、各種支援制度の効果的な周知を行い、生活にお困りの方が適切に行政の支援を受けられるよう努めてまいりたいと考えております。
4点目の改正社会福祉法についてであります。
改正社会福祉法により創設された社会福祉連携推進法人は、社会福祉法人が、地域における福祉サービスを持続し、発展させて、地域への貢献活動等を継続して行っていくために、これまでの自主的な連携や合併、事業譲渡に加えた新たな連携方策の選択肢と認識をしております。
当該法人につきましても、これまでの社会福祉法人と同様に、認定及びその後の監督等を通じ、市民に良好で適切なサービスが提供されるよう引き続き努めてまいる考えであります。
次に、行政のデジタル化についてお答えをいたします。
1点目の情報システムと地方自治についてであります。
地方自治体の個人情報保護制度につきましては、個人情報保護に加え、匿名加工情報の制度などのデータ流通との両立に向け、個人情報保護法により、民間分野と国等の行政機関を含め、一律で規定されることとなったものでありますので、この法改正について、地方自治への介入とは考えておりません。また、情報システムの共同化は、あくまで事務処理を行う手段を標準化するものであり、政策判断や独自の施策に影響を及ぼすものではないと認識をしております。
次に、個人情報を保護する人材の配置についてであります。
プロファイリングと個人情報保護の問題につきましては、一地方自治体の枠にとどまるものではなく、国の個人情報保護委員会において対応することとされておりますことから、札幌市では、現時点において、これをチェックするための専門職員の配置などは考えてございません。
次に、6項目めの冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをいたします。
オリンピック・パラリンピックは、国際平和を象徴するスポーツの祭典ということに加え、共生社会の実現やまちの魅力発信など、札幌市が目指すまちづくりを加速させる大きな力になるものと認識をしております。
大会の招致を進めていくためには、市民、道民、国民の支持、協力が重要でありますことから、開催意義を含め、開催概要計画の見直しを進めており、今後再開する市民対話はもとより、広く様々な機会を通じて丁寧に説明し、議論をしてまいりたいと考えております。
次に、7項目めの職員相互の研さんと成長についてであります。
複数の部局が折り重なって仕事をする協働の視点と、支援を受ける側に立った観点を持って仕事に当たることは、コロナ禍の状況にかかわらず、どのような業務であっても大変重要であると認識をしております。
検証報告書における提言を受けて、関係職員への研修の実施や業務マニュアルの改善など様々な取組を進めてきたところでありますが、引き続き、一人一人の職員がこのような共通の認識に立って仕事に取り組む必要があるものと考えております。今後も、こうした状況を確認しながら、協働の視点と支援を受ける側に立った観点を持って仕事に当たる組織風土を根づかせてまいりたいと考えております。
次に、2項目めの第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンについてお答えをいたします。
まず、1点目の公的責任と基本目標案についてであります。
今後のまちづくりにおきましては、共生社会の実現に向け、全ての人が差別や排除を受けず、また、障がいや困難を感じることなく、社会の一員として相互に尊重し、支え合っていくことが重要であると認識をしております。
このため、この考えをまちづくりの各分野に共通する重要概念の一つに位置づけ、障壁や困難の解消等に向け、市民・企業・行政が、それぞれの立場や役割の下、連携しながら取り組むことを検討していく考えであります。
次に、市民が主役の基本姿勢についてであります。
戦略ビジョンの策定に当たりましては、市民が主役のまちづくりという考えの下、市民から様々なご意見をいただく機会を設け、共につくり上げ、広く共有していく考えであります。
このため、幅広い年代を対象にした市民ワークショップを行うとともに、各種団体や学生等とも意見交換をしているところであります。今後も、様々な機会を通じて、市民、行政双方のまちづくりに関する考えを共有し、策定に生かしていく考えであります。
次に、低炭素都市の位置づけについてであります。
国際的な課題であります2050年の脱炭素社会の実現に向け、さらなる省エネの推進や、再生可能エネルギーの導入拡大などを加速させることが重要であると認識をしております。
このため、次期の戦略ビジョンでは、この目指す姿や、これに資する取組ということをしっかりと位置づけていく考えであります。
次に、長期にわたる財政支出についてであります。
これまでと同様、将来に過度な負担を残すことがないよう、持続可能なまちづくりを念頭に置いて次期のまちづくり戦略ビジョンの検討を行う考えであります。
私からは、以上です。
○副議長(峯廻紀昌) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな5項目めの医療と介護について、そして、6項目めの生活困窮者と子どもへの支援について、2項目についてお答え申し上げます。
まず、医療と介護についての1点目、診療報酬の特例措置についてでございますが、国は、
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、全ての医療機関に対し、必要な感染予防策を講じて診療等を行った場合に、初診、再診1回ごとに50円相当の加算など、診療報酬の特例措置を講じたところでございます。
当該措置は、令和3年9月診療分までの適用とされている一方、10月以降の対応につきましては補助金での支援を継続するとの報道もあったことから、札幌市としてもその動向を注視してまいりたいと考えるところでございます。
次に、2点目の集中治療体制についてのご質問でございますが、札幌市では、
新型コロナウイルス感染症の重症者用の病床について最大52床を確保しておりましたが、ピーク時における実際の患者数は、市外の方を含め、第3波では26人、第4波では45人、第5波で22人でございました。
第4波では、重症病床使用率が一時85%を超え、医療機関への負担が高まりましたが、各医療機関の懸命な取組により、人工呼吸器などを必要とする方に必要な医療が提供できたものと認識するところでございます。
一方、第5波では、ワクチン接種が進んだことや、抗体カクテル療法の実施等により、第4波よりも重症者数は抑えることができ、重症病床が逼迫する事態には至りませんでした。
今後も、患者の重症化を防ぐことで医療機関への負担を抑える一方、集中治療等を要する重症者が発生した場合にも速やかに医療の提供が受けられるよう、必要な体制を維持してまいりたいと考えるところでございます。
次に、3点目の高齢者の生活保障と介護問題についてでございますが、そのうち、1点目の自粛生活の長期化が及ぼす高齢者の身体や認知機能への影響についてでございますが、
新型コロナウイルス感染症拡大防止による自粛生活の長期化に伴い、高齢者の身体や認知機能が低下するフレイルが懸念されることを、民生委員や介護予防センターなどの活動を通じて認識するところでございます。
現状におけるフレイル予防の取組につきましては、広報媒体を活用した普及啓発やオンラインによる講座等で、人と人とのつながりを実感しながら個々人の取組を継続できるよう進めているところでございます。国が示すワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方を受け、今後は、市民の様々な活動が可能になることも想定されますことから、それに合わせたフレイル予防の取組を進めてまいりたいと考えるところでございます。
2点目のケアマネジャーの業務量増加についてでございますが、
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、ケアプランを変更しなければならない場合が増加していることは認識するところでございます。
ケアマネジャーの業務については、今後も適正に業務を行えるよう、個別の相談を受けるなど、引き続き支援してまいりたいと考えるところでございます。
次に、大きな6項目めの生活困窮者と子どもへの支援についてでございますが、まず、1点目の生活困窮者への支援について、
新型コロナウイルス感染症対策としての各種生活支援につきましては、全国共通の課題でありますことから、これまでも国の財政支援の下、国保保険料の減免や特別定額給付金の支給など、必要な対策を講じてきたものと認識するところでございます。
今後も、国の動向を注視しつつ、適宜、必要な対策を要望してまいりたいと考えるところでございます。
次に、2点目の子どもやその関係者へのPCR検査についてのご質問でございますが、感染拡大を防止するためには、感染の疑いのある方が速やかに検査を受けられることが重要であり、体制の整備を進めてきたところでございます。特に、保育所や小・中学校等で陽性者が発生した場合には、必ずしも濃厚接触者には限定せずに、初動から検査対象を拡大してスクリーニング的なPCR検査を実施することとしているところでございます。
いわば札幌方式とも言える取組でございますが、今後も、こうした取組を継続することにより、効果的に感染拡大の防止を図ってまいりたいと考えるところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(峯廻紀昌) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 私からは、7項目めの厚別区の諸課題についてお答えをいたします。
最初に、北海道ボールパーク構想に伴う対応についてであります。
北海道ボールパークへのアクセスにつきましては、現在、北広島市と球団が事務局となり、道路管理者、北海道警察、交通事業者等から成る検討会で検討を進めているところでございます。
この中では、鉄道やバスなどの公共交通の利用を約6割と想定しており、厚別区内では、新札幌駅におけるバスへの円滑な乗換え機能を確保することが課題と考え、その対応について検討しているところでございます。
また、公共交通以外の自家用車の利用につきましては、主要な幹線道路に混雑が生じないよう、入退場時間の拡大による時間分散策と、迂回道路への誘導による経路分散策について検討を進めているところでございます。
次に、市営住宅もみじ台団地についてであります。
1点目の市営住宅への関わり方と責任についてでありますが、市営住宅の管理運営に関する諸課題の解決に向けては、札幌市、指定管理者、住宅管理公社の3者が連携し、入居者などから寄せられる声や要望を常に共有しながら、それぞれの役割分担に基づき、適切に対応してきているところでございます。
2点目の住み替えについてであります。
平成28年度、2016年度の新基準適用前の5年間では255世帯となっている一方、新基準適用後の5年間では536世帯と、住み替えの実績が2倍以上に増加しており、大幅な改善が図られているところでございます。
今後も、高齢者や障がいのある方がより安心して暮らしていけるよう、実情に応じた適切な住み替え制度の運用について検討してまいります。
3点目の建て替え計画についてであります。
札幌市としても、もみじ台団地の建て替え等に関して地域に様々なご意見があることは承知しており、団地の老朽化などへの対応については課題であると認識しております。
また、もみじ台団地も含め、市内には更新時期を迎える市営住宅が多いことから、財政状況などを勘案しながら、建て替えや改修など、適切な事業手法により、順次、計画的に対応してきているところでございます。
もみじ台団地の今後の整備につきましては、このような考え方に加えて、大規模団地が地域へ与える影響も踏まえながら、次期のまちづくり戦略ビジョンへの位置づけも含め、引き続き検討してまいります。
4点目の耐震改修についてであります。
もみじ台団地では、昨年度に建物のコンクリート調査を行っており、コンクリートの中性化の状態や耐震強度には問題がないことを確認しているところでございます。また、外壁などの劣化に対しては計画的に改修を行うなど、現状の耐震性能を維持するよう対応しているところでございます。
なお、改修等の際には、入居者が不安を抱かないよう丁寧な説明を行うなど、引き続き積極的な情報提供に努めてまいります。
次に、新幹線残土についてであります。
山本地区においては、これまでもごみ処理場や雪堆積場などの市民生活に欠かせない施設を受け入れていただくなど、札幌市政に多大なご協力をいただいていると認識しております。
新幹線工事により発生する対策土の受入れにつきましては、土地の所有者の了承が得られること、まとまった面積を有していることなどの条件の下、山本地区などの候補地を選定してきたところでございます。
今後も、受入れ地を確保する必要がありますことから、現在の候補地のほか、新たな候補地の可能性も含め、鉄道・運輸機構や北海道などと連携しながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(峯廻紀昌) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな3項目めの2020年度決算について、4項目めの社会変化を踏まえた地域経済政策についてお答えを申し上げます。
まず、3項目めの2020年度決算についてであります。
事業活動の減収補填や飲食店等の営業時間短縮要請に対する協力支援金などにつきましては、全国的な課題でありますことから、国において総合的に検討、対応すべきものと認識をいたしております。
これまでも、国に対しまして、事業者を対象とした給付金の拡充などにつきまして求めてきたところであり、今後も必要な要請を行ってまいります。
続きまして、4項目めの社会変化を踏まえた地域経済政策についてであります。
まず、1点目の成長戦略会議の実行計画についてであります。
中小企業に対する認識と中小企業を前提とした経済振興についてでありますけれども、札幌市の経済は市内企業のほとんどを占める中小企業に支えられており、経済活動の全般にわたって重要な役割を果たしているものと認識をいたしております。
この考えの下、今後とも、札幌市の産業構造の特性や課題、さらには社会的環境の変化等を踏まえ、中小企業の振興を図ってまいります。
次に、2点目の中小零細企業とともにつくるまちづくりについてであります。
札幌市中小企業振興条例及び中小企業施策と予算についてでありますけれども、札幌市の産業振興施策につきましては、札幌市中小企業振興条例に基づき、札幌市産業振興ビジョンを策定の上、総合的に実施しているところでございます。
このビジョンに掲げる重点分野や全産業横断的な戦略などを企業・市民・行政が共有し、産業振興に取り組むことが重要と考えており、今後とも積極的に施策を講じてまいります。
続きまして、3点目のインボイス制度と消費税減税についてであります。
インボイス制度は、消費税の軽減税率導入により、事業者が複数税率を管理するに当たりまして、仕入れ税額控除を適正に行っていただく観点から実施するとされたものと認識をいたしております。また、円滑な運用を確保する観点から、経過措置なども講じられていると承知をいたしております。
なお、消費税率につきましては、社会保障の受益と負担の在り方なども踏まえ、国政の場において広く議論されるべきものと認識をいたしております。
私からは、以上であります。
(
村上ひとし議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(峯廻紀昌)
村上ひとし議員。
◆
村上ひとし議員 3点、再質問させていただきます。
まず、1点目は、大きい項目の6項目めの生活困窮者と子どもへの支援のうち、2点目の子どもやその関係者へのPCR検査について、それから、2点目は、大きい項目の7項目めの厚別区の諸課題のうち、1点目の北海道ボールパーク構想に伴う対応、それと3点目の新幹線残土、以上3点再質問させていただきます。
最初に、子どもやその関係者へのPCR検査についてでありますが、デルタ株の蔓延によって子どもに感染が拡大するという新しい局面が生まれました。
それで、先ほどご答弁がありましたけれども、私は、現在、新規感染者の減少傾向が続いておりますので、ここが正念場だろうというふうに思っております。先ほど、町田副市長から、感染疑いのある方が速やかに検査を受けられるということが重要だというお話がございました。私も、全く同感であります。
しかし、陽性者が発生した場合ということで検査をするということでしたので、私は、感染疑いのある子どもや関係者であっても速やかに検査を受けられることが重要だと考えます。
そこで、保育所、学校を通じ、家庭に検査キットを配付し、子どもの体調が悪いときなどにすぐに検査を行える仕組みづくりが重要だ、効果もあるだろうと思いますけれども、認識をお伺いいたします。
2点目の北海道ボールパーク構想に関してでありますけれども、答弁の中で、北広島市をはじめとする検討会で様々検討中だということでありまして、新札幌に関しては、駅のバスの円滑な乗降機能というのでしょうか、それを保持することが課題であって、対応を検討しているというお話でありました。
そこで、具体的にどのような検討をされているのか、お伺いをいたします。
3点目でありますが、これも厚別区の諸課題であります。新幹線残土であります。
山本地区には、産業廃棄物の埋立処分場、あるいはごみ処理場などの施設があるということは質問でも言いましたけれども、そこで、これらの施設は、いつ設置をされて、何年ぐらい経過しているのかについてお伺いします。
以上、3点再質問いたします。
○副議長(峯廻紀昌) 答弁を求めます。
町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、3点の再質問のうち、6項目めの生活困窮者と子どもへの支援についての2点目、子どもやその関係者へのPCR検査についての再質問についてお答え申し上げます。
子どもやその関係者へのPCR検査につきましては、重症者リスクの高い入所者がいる高齢者施設等につきましては、国の方針に基づき、重点的にスクリーニング検査を実施しているところでございます。保育所や小学校等につきましては、陽性者が発生した場合に迅速に幅広くPCR検査を実施することによって、感染拡大防止を図ってきているところでございます。
今後も、関係部局が緊密に連携することによりまして、保育士、教員等のワクチン接種を進めることも含めまして、保育所や小・中学校等における感染症対策を徹底してまいりたいと考えるところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(峯廻紀昌) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 厚別区の諸課題について、2点について再質問をいただきました。
1点目の北海道ボールパーク構想に伴う対応について、新さっぽろにおけますバスへの円滑な乗換え機能、具体的な検討内容はどのようなものかということでございます。
具体的には、新札幌駅前広場におきましてバスの発着が可能となるような駅前広場を改修する考えでありまして、そのことが可能となるような形状はどのようなものか、検討を深めているところでございます。
2点目が、新幹線残土について、山本地区は、いつから、どのようなものを受け入れてきたのかというようなご質問でございました。
山本地区におきましては、昭和40年代、1960年代の半ばからごみの埋立てが開始されており、50年を超える長きにわたりまして、この間、雪堆積場にも利用されるなど、ご協力をいただいてきているところでございます。
私からは、以上でございます。
(
村上ひとし議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(峯廻紀昌) 再々質問ですので、これを最後の質問とします。
村上ひとし議員。
◆
村上ひとし議員 町田副市長に申し上げますけれども、昨年、私は、
新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会で、高齢者施設などでPCR検査を予防的に入れ込むことが大切だ、その効果はあるのか、ないのかと質問したんですけれども、当初、予防的検査の必要性は残念ながら認められませんでしたけれども、秋元市長が、昨年12月だったでしょうか、補正予算もつけていただいて、予防的にPCR検査を実施するということになりました。そのときに皆さんが答弁されていたのが、やっぱり、陽性者が出たら迅速に対応するというものでありましたけれども、それもそのときは一つの方法だったかもしれませんけれども、今、長きにわたってコロナの感染と私たちは闘ってきたわけですけれども、その教訓の中で、できるだけ早く感染者を把握するのが極めて重要だというのは、これ、間違いないわけでありますから、ぜひ、保育所、あるいは、子どもさんを預けている家庭に検査キットを配付するということができれば、早くに感染状況を把握していくことができるわけですから、それだけ、小学校で言えば子どもの学ぶ場を保障するということにもなりますので、前向きに検討をしていただきたいというふうに思います。
また、厚別区の諸課題のうち、北海道ボールパーク構想に伴う対応であります。
新札幌駅でありますけれども、もちろん、ご存じのとおり、今、周辺の再開発を進めておりますので、一定、公共交通の乗降客も増えるだろうというふうに見るべきだと思うんです。商業施設も増えるし、ホテルやタワーマンションも建設される、既に大学なども新さっぽろ周辺に来ておりますけれども、そんな関係で様々な公共交通が増えるということ、それに加えてのボールパークでありますから継続的に考えていただきたいというふうに思います。
中でも、バスターミナルも非常に混んでおりますので、どういう形で利便性を上げながら利用しやすいものを造っていくかということを鋭意検討して進めていただきたいというふうに思います。
最後の新幹線残土の問題でありますけれども、今日、私は、代表質問の中で、市民が主役の基本姿勢についてお伺いをしました。
もう一度読み上げますけれども、市長が選挙直後の記者会見のことなんですけれども、市民の声を市政にどう生かすのかということを問われて、市長は、一方的に何かを説明するということではなくて、市民の皆さんが疑問に感じていること、あるいは不安に感じていることをお伺いして、そのことに対してお答えをしていくという対話が非常に重要だというふうにおっしゃいました。私も、全くそのとおりだと思います。ここは、重要な、市政運営に関わる基本的な考え方であると思います。
ですから、再々質問は市長に自らのお言葉でお話をいただきたいんですけれども、私は、質問の中で、山本地区のごみを埋め立てるところは、それは、いつから何年ぐらい経過するんだという話を再質問させてもらいましたけれども、約半世紀ですよ。ずっと市政の様々な点に協力していただいてきたのが山本地区です。
それで、私は、質問の中で、これだけ協力いただいている山本地区に、さらに新幹線残土の候補地を強いるというのは、行政としてあまりにも公平性とバランスを欠いているんじゃないのかということを最初の代表質問で問いかけました。もう一つは、これ以上というか、山本地区の住民全員が反対を表明しているんですから、住民の理解が得られていないという明確かつ強固な意思表示だと、これ以上、理解を強要するということは、市民との信頼関係、市政運営に重大な禍根を残す懸念があるんじゃないかということをお聞きしたんです。
先ほど、答弁の中で、ごみ処理場だとか雪堆積場など市民生活に欠かせない施設を受け入れていただいているということで、多大な協力をもらっているだとかということもありました。それから、山本地区をなぜ候補地にしたのかということは質問していないんですよね、そんなこと。
ですから、最後に、市長に自らご答弁いただきたいんですけれども、この山本地区に新幹線の残土受入れ候補地を、これ以上強要するということは、行政としてあまりにも公平性とバランスを欠いているというふうに思うわけです。市長は、先ほど私は言いましたけれども、対話が非常に大事だと言っていらっしゃいます。山本地区の住民の疑問や不安に応えなければ、市長が重要とする市民との対話自体、私は成立しないと思うんです。
ですから、市長の言葉で答弁いただけるよう、改めてお伺いをしたいと思います
○副議長(峯廻紀昌) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) まちづくりに関しての基本的な進め方は、今ご質問にあったように、市民との対話、これを丁寧に進めていくという姿勢に変わりはございません。
新幹線残土の問題につきましても、この山本地区のみならず、様々な形で丁寧に対話を進めていきたい、このように考えております。
○副議長(峯廻紀昌) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日9月29日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(峯廻紀昌) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
――
――――――――――――――――――
○副議長(峯廻紀昌) 本日は、これで散会します。
――
――――――――――――――――――
散 会 午後4時25分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 細 川 正 人
副 議 長 峯 廻 紀 昌
署名議員 大 嶋 薫
署名議員 田 中 啓 介...