計画見直しの
ポイントとして、2点まとめてございます。
まず、1点目として、
上位計画などで掲げる
まちづくりの方向性を踏まえた見直しがございます。
現計画の策定以降、
上位計画であります札幌市
まちづくり戦略ビジョンと第2次札幌市
都市計画マスタープランが策定されており、これら
上位計画の方向性を踏まえ、持続可能な
交通ネットワークの確立と
地域特性に応じた
交通体系の構築について整理してございます。まず、持続可能な
交通ネットワークの確立では、
公共交通ネットワーク、
道路ネットワーク、
広域交通ネットワークの三つの
交通体系について、それぞれ基本的な考え方や
ネットワークの構成について整理いたしました。また、
地域特性に応じた
交通体系の構築では、都心、
地域交流拠点、
郊外住宅地のそれぞれの
地域特性に応じた
交通体系の基本的な考え方を整理したところでございます。
ポイントの2点目は、
社会経済情勢の変化や新技術などへの対応になります。
具体的には、
北海道新幹線の
札幌延伸や近年のインバウンドの増加、
冬季オリパラ招致への対応や、昨年の
北海道胆振東部地震のような地震や豪雨などの災害に強い
交通環境の形成、ICTや自動運転といった新技術の活用などによる
シームレスな交通の実現、SDGsの推進という観点を
ポイントとして挙げてございます。
続いて、2ページ目をごらんください。
計画理念・
基本方針についてでございます。
2−2の
基本方針になりますが、現計画では五つの
基本方針に整理しておりましたけれども、昨年の震災も受けまして、災害という観点が非常に重要だと考えており、暮らしの部分で、現計画では拠点の
まちづくりを支えるとしていたものを、災害を含む安全・安心な
まちづくりと多様な暮らしの二つに分けて整理しており、合計六つの
基本方針としてございます。
まず、1点目の安全・安心な
まちづくりの部分では、災害に強く、誰もが安全・安心に移動できる
交通環境の形成を図ることとしてございます。2点目の多様な暮らしでは、地域の
交通状況に応じた持続可能な
交通環境の形成を図ること、3点目の
都心まちづくりでは、人を中心とした安全で快適な
交通環境の創出や、誰もが都心にアクセスできる利便性の高い
交通環境の形成を図ること、4点目の
観光まちづくりでは、多様な
旅行スタイルやニーズに対応した利便性の高い
交通サービスの提供を図ること、5点目の
広域連携では、札幌市と道内、国内外とを結ぶ
広域交通機能の確保、充実を図ること、6点目の
環境首都・札幌の実現を支えるの部分では、持続可能な低炭素型の
交通システムの充実を図ることとしております。
続いて、3ページ目をごらんください。
ここでは、見直しの
ポイントの部分でもご説明申し上げましたが、
交通体系の基本的な考え方として、3−1の持続可能な
交通ネットワークの確立、3−2の
地域特性に応じた
交通体系の構築について整理したものでございます。
まず、3−1の持続可能な
交通ネットワークの確立です。
一つ目の
公共交通ネットワークでございますが、今後の方向性として、現況の
公共交通ネットワークを活用し、都心への
アクセス性を確保すること、
乗り継ぎ機能の強化やICTを活用した先進的な
取り組みなど、ハード・
ソフト両面から
シームレスな交通を確保していくこと、
バリアフリー化や
交通情報の提供など、質的な充実を図っていくこととしております。右側に
骨格公共交通ネットワークの図を示しておりますが、福住から清田の方面につきましては、現計画と同様、
公共交通機能向上方面として整理しているものでございます。
次に、
道路ネットワークでございますが、今後の方向性として、右側の図にお示ししております「2高速・3連携・2環状・13
放射道路」の
骨格道路網の
機能強化を図るとともに、
自動車交通の円滑化や
自転車利用環境の改善を図っていくこととしております。
続きまして、4ページ目をごらんください。
広域交通ネットワークでございますが、今後の方向性として、各
交通機関の特性を生かし、相互に補完しながら、代替性、多重化を意味する
リダンダンシーを確保した
交通ネットワークを形成することが重要であり、
北海道新幹線の
建設事業の推進を初め、
丘珠空港の利活用や
機能向上、札幌駅
交流拠点など
交通結節点における
機能強化、都心と
高速道路間の
アクセス道路など
骨格道路の
機能強化を図ることとしております。
次に、3−2の
地域特性に応じた
交通体系の構築では、都心、
地域交流拠点、
郊外住宅地の三つの地域の基本的な考え方について整理しております。
都心では、人を中心とした安全で快適な
交通環境の形成や、誰もが都心にアクセスできる利便性の高い
交通ネットワークの形成を図るとともに、民間の開発との連携や
道路空間の再配分などにより、都心部の限られた
公共空間において必要な
交通機能を効果的に確保することとしております。
地域交流拠点では、民間の開発や
まちづくりの機会などを捉え、各拠点の特性に応じ、乗り継ぎ、
移動環境の向上や、安全で快適な
歩行環境の確保を図るなど、
まちづくりと交通が連動して、拠点として機能、魅力を高めていくこととしております。
郊外住宅地では、現状の
バス路線の適切な維持を基本とし、
利用促進など地域の移動を支える
バス路線の確保を図るとともに、
人口減少社会の到来や超高齢社会のさらなる進展を見据え、これまでの枠組みにはない
交通手段を新たに検討することや、長期的には限られた乗務員で効率的な運用を可能にする
バス路線を検討することとしております。
続きまして、5ページ及び6ページをごらんください。
4といたしまして、各
交通モード・施設の基本的な考え方として、5ページに地下鉄から
丘珠空港までの
公共交通機関について、6ページに自動車から徒歩まで道路を利用する
交通モードについて、それぞれの基本的な考え方を整理しております。
ここでは、主なものとして、地下鉄、
路面電車、バス、
交通結節点の四つのモードや施設についてご説明させていただきます。
まず、一番上にあります地下鉄につきましては、
案内表示の多言語化や
エレベーター増設など、誰もが利用しやすい環境の整備や、都心部などの利用者の多い駅では、
エスカレーター設置など移動の円滑化や
利用促進の
取り組み、
老朽化対策や耐震化の
取り組みを推進するとともに、清田方面の
地下鉄延伸については、
事業採算性を勘案した慎重な検討を行うこととしてございます。
次に、上から3番目の
路面電車についてですが、
案内表示の多言語化や停留場の
バリアフリー化、低床車両の導入など、誰もが安心して利用できる環境の整備を初め、都心、
創成川以東、桑園の3地域への
延伸検討の継続や、2020年度の上下分離の導入など、
取り組みを進めることとしております。
次に、上から4番目のバスについてでありますが、先ほどの
郊外住宅地での説明にもありましたとおり、現状の
バス路線の適切な維持を基本としつつ、需要に応じた
バス路線の見直しや
デマンドバスなどの新たな
運行手段の検討など、地域の
移動手段を確保するとともに、今年度、本格導入を進めております
バスロケーションシステムのようなICTを活用した情報提供の拡充や、ノン
ステップバスの導入推進など、誰もが安心して利用できる環境を整備することとしてございます。
次に、下から3番目にございます
交通結節点につきましては、民間の開発や
まちづくりの機会などを捉え、
乗り継ぎ機能の強化や
バリアフリー化、
案内サインの充実、
待合環境の改善など、必要な機能の確保を初め、老朽化した
バスターミナルなどの施設の効率的かつ計画的な維持、改修などを進めるとともに、札幌駅
交流拠点では、
北海道新幹線の札幌開業を見据え、
乗り継ぎ機能の強化や
バスターミナルの再整備、
南北線ホーム増設などにより、多様な交流を支える
一大交通結節点を形成することとしております。
6ページの一番上の自動車の部分では、
骨格道路網や
幹線道路網など、これまでの
取り組みを継続するとともに、災害への対応として、
緊急輸送道路の整備や橋梁の耐震化、
長寿命化や無電柱化の
取り組みを推進することとしております。
また、上から4番目の徒歩についてでございますが、新・札幌市
バリアフリー基本構想に基づく
歩道バリアフリー化を実施するとともに、
地下歩行空間、空中歩廊についても、民間建物の地下の活用や建物同士の接続など、民間の開発や
まちづくりの機会を捉え、民間とも連携して進めていくこととしております。
6ページの一番下の5の
交通モード間が連携した
シームレスな交通をごらんください。
ここでは、
交通モード間が連携した
シームレスな
移動環境を実現するため、ハード・
ソフト両面での
取り組みを推進することとしておりまして、具体的には、
交通結節点における
乗り継ぎ機能の強化や
交通施設・車両の
バリアフリー化などの
取り組みの推進を初め、
バスロケーションシステムのような動的な
交通情報の提供など、より利便性の高い
交通情報の提供に向けた
取り組みを推進するとともに、国内外の先進的な
取り組み状況を注視し、ICTを活用した
交通モード間の連携について検討を進めるなど、
シームレスな
移動環境の実現に向けた
取り組みを推進することとしてございます。
続きまして、7ページ及び8ページをごらんください。
ここからは、第2編の
交通戦略になります。
7ページ、8ページを見開きでごらんいただきたいと思います。
第1編で整理いたしました六つの
基本方針ごとに
交通施策を
パッケージ化し、
実施目標を掲げ、関連する
交通施策・事業を位置づけるとともに、
評価指標を設定することにより、効率的・効果的な
事業展開を目指すこととしております。
一つ目の安全・安心な
まちづくりパッケージでは、目標1の災害に強い
交通環境の実現を図るため、耐震化や無電柱化の
取り組みなどを推進するとともに、右側の目標2の誰もが安全・安心に移動できる
交通環境の実現として、
バリアフリー化や
自転車通行空間の明確化の
取り組みなどを進めることとしてございます。
二つ目の多様な
暮らしパッケージでは、目標1の
郊外住宅地をイメージした、自家用車に頼らなくても生活できる持続可能な
地域交通環境の形成を図るため、
バス路線への補助など
地域移動手段の確保や
デマンドバスなどの新たな
運行手段の
導入検討などの
取り組みを推進するとともに、右側の目標2の地域の豊かな生活を支える中心的な役割を担う拠点の形成として、新さっぽろや篠路駅周辺地区での整備などを進めることとしております。
三つ目の
都心まちづくりパッケージでは、目標1の人を中心とした安全で快適な
交通環境の創出を図るため、
地下歩行ネットワークの充実や駐輪対策などを推進するとともに、右側の目標2の誰もが都心にアクセスできる利便性の高い
交通ネットワークの形成として、札幌駅
交流拠点の再整備や
創成川通の
機能強化などの
取り組みを進めることとしております。
四つ目の
観光まちづくりパッケージでは、目標1の国内外から訪れる観光客の滞在、周遊、再訪の促進を図るため、
観光バスの乗降場、待機場の確保などの
取り組みを推進するとともに、右側の目標2の国内外から訪れる観光客などにわかりやすい
交通情報の提供として、
公共交通案内情報や
観光案内サインの充実などの
取り組みを進めることとしております。
五つ目の
広域連携パッケージでは、目標1の道内の
主要都市や観光地のほか、国内外の地域と
道央都市圏をつなぎ、人や物の移動の円滑化を図るため、
北海道新幹線の
建設事業の推進や、
丘珠空港の
機能強化などの
取り組みを推進するとともに、右側の目標2の
周辺都市と市内の拠点相互を有機的に連結し、物流や
緊急車両走行の円滑化として、
創成川通を初め、連携・環状・
放射道路の検討、整備などの
取り組みを進めることとしております。
六つ目の
環境負荷低減促進パッケージでは、目標1の自動車から
公共交通機関への転換の促進を図るため、SAPICAの
利便性向上や
公共交通の
次世代連携の
調査検討などを推進するとともに、右側の目標2の自動車の
CO2排出量の削減、
次世代自動車の
普及促進として、渋滞対策や
次世代自動車の
普及促進などの
取り組みを進めることとしてございます。
なお、それぞれの
パッケージに対応いたしましたSDGsのゴールのアイコンを8ページに載せているところでございます。
続きまして、9ページ及び10ページをごらんください。
ここでは、各
交通施策を、左側の地下鉄から右側の
シームレスな交通まで、
交通モード、施設ごとに整理したものでありまして、一番下に黒丸をつけておりますのは、各
交通施策がどの
パッケージに対応しているかを整理したものになります。
続きまして、11ページ目をごらんください。
4の
評価指標では、現計画でも
評価指標を設けており、計画の進捗などを検証してきたものでありますが、今回の改定後も
パッケージごとに目標値を設定して、これらの
評価指標で施策の効果を検証しながら目標の実現を目指していくこととなります。
○
丸山秀樹 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
小田昌博 委員 私からは、ただいまの説明を踏まえまして、4点ほど質問させていただきます。
札幌市
総合交通計画は、札幌市の交通に関する
個別計画を策定、実施する上での指針となる計画であり、これまで、本計画に掲げられた方針に基づき、さまざまな
交通施策や事業などが行われてきたと思います。
本計画は、2011年度から2030年度までの20カ年の計画であり、今回は中間の見直しということですが、札幌市
総合交通計画【改定版】(案)の中で、111ページに記載の
評価指標では、現況値2017年から目標値2030年までという中で22の項目があります。しかし、そのうち15の指標で現況より増加という表現になっており、具体的な数値が示されておらず、0.1%でも、1人でも上回ると目標を達成しているということになってしまいます。これでは、設定自体が非常にわかりづらく、しっかりと数値で設定すべきと思います。これらの中で、当初の目標値よりも増加しているものは実際にあります。せっかく増加したのですから、数値であらわしたほうがわかりやすく、よいものもあるものと考えます。
もちろん数値化するのが厳しいものもありますが、そもそも、なぜ現況より増加という表現になっているのでしょうか。2011年からこの計画を進めてきて、掲げたものが着実に実行できているのか、その
進捗状況をきちんと評価できているのか、そこを踏まえて、数値化も含めて見直しを行わなければならないと考えます。
そこで、一つ目の質問です。
現計画で設定した
評価指標をどのように評価し、それを計画の見直しにどのように反映したか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 現計画の
進捗状況につきましてお答え申し上げます。
現計画では、五つの
基本方針に応じて
交通施策・事業を
パッケージ化しており、
パッケージに対応した
評価指標を計七つ設定してございます。昨年10月の第2回
検討委員会では、現計画の
交通戦略についての
効果検証を行っており、七つの
評価指標のうち、歩道の
バリアフリー整備率や
公共交通利用者数など五つの
評価指標が達成もしくは一部達成となっており、
札幌観光の満足度と
公共交通に関する満足度の二つの
評価指標が未達成となっている状況でございます。
これらの
効果検証に当たりましては、
評価指標ごとの
要因分析などを行うとともに、今後、考慮すべき事項を整理した上で、それを改定案の
基本方針や
交通戦略などに反映しているところでございます。
◆
小田昌博 委員
効果検証の七つのうち、五つが達成、または一部達成で、観光、
公共交通の満足度は未達成ということでした。
二つ目でございます。
これからの札幌市の交通を考える上では、札幌市民の生活のかなめとしての重要性のほかに、札幌を訪れる観光客の
移動手段としての視点も大変重要であります。
この改定版(案)の中に
観光まちづくりを掲げており、
実施目標の中にも、「国内外から訪れる観光客の滞在・周遊・再訪を促進するため、都心から
観光施設への
アクセス向上など、観光客の
受入環境向上の取組を進めます」や、「国内外から訪れる観光客などに分かりやすい
交通情報を提供するため、
案内表示の多
言語化等による
利便性向上の取組を進めます」とあります。
しかし、
先ほど答弁にありましたとおり、
計画スタート時の値は82.9%でありまして、きょう示された2017年度の現況値は80%と低下しております。
バス利用をされている先輩議員が、バスに実際に乗ってみて、バスに乗っている
外国人観光客がどこでおりていいかわからず困っているのを実際に見て、
利用者目線での改善が必要というお話もありました。観光は、札幌の
まちづくり戦略においても非常に重要な観点であります。ほかの数値状況がおおむね上昇している中において、観光がこの10年で下がっているということは大きな問題であるかと思います。観光都市さっぽろとして、今後も、道内、国内、海外から観光客の増加が見込まれる中、満足度を向上していかなければならないと考えます。
そこで、二つ目の質問です。
観光客の交通に関する満足度が低下していることについて、どのように評価しているのか、また、その対応をどのように考えているのか、お伺いします。
◎坪田
総合交通計画部長 観光に関します
評価指標についてお答えいたします。
第2回
検討委員会の
効果検証の中では、
札幌観光の満足度についても
要因分析をしております。
札幌観光の満足度につきましては、来
札観光客満足度調査の結果を引用しておりますが、各調査の中では、満足度が低い理由の意見についても把握しており、
路線バスなどの
交通機関や
案内表示がわかりづらいといった意見が多く見られました。そのため、改正案では、
観光スポットへの
アクセス性向上のための
周遊バスなどによる利便性の高い
交通サービスの提供や、
案内表示の多言語化の推進など、
受け入れ環境のさらなる充実が重要であるとの考えのもと、改定案を取りまとめたところでございます。
評価指標は計画の進捗や効果を把握する上で重要であると考えておりますことから、今回まとめた
評価指標につきましては、モニタリングなどにより指標の数値の把握に努めまして、今後の
施策展開に生かしてまいりたいと考えてございます。
◆
小田昌博 委員 ぜひ、
受け入れ環境を整えていただきたいと思います。
続きまして、次の質問でございます。
札幌市は、今後10年間で、
北海道新幹線札幌延伸、札幌駅周辺の再開発、そして
都心アクセス道路の検討など、大きく変わることになります。これらのいわゆる
プロジェクト事業については、既に個々に検討が進んでいるところですが、
総合交通計画においては、これらの
プロジェクトを全体としてきちんと見通したものとなっていかなければならないと考えます。例えば、新幹線と
JR在来線や
高速バス網などがしっかりと連携することで、道内各地への2次交通が確保されるといった視点が重要であること、さらに、都心部で行われるこれらの
プロジェクトは、市単独で行われるものばかりではなく、国、
JR北海道など他の関係者がかかわるものが多く、札幌市は、これらの関係者と市の計画や考え方を共有し、施策に反映させるよう、みずから主体的な役割を担うべきと考えます。
そこで、三つ目の質問です。
都心の個々の
プロジェクトは、どのような考えのもとに連携して進められていくこととなっているか、また、札幌市以外の
実施主体もかかわる施策の実効性をどのように確保していくのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 都心の
プロジェクト事業についてお答えいたします。
今回の改定案の中では、第1編の
交通体系の基本的な考え方の中で
広域交通ネットワークについて整理しており、広域分散型の地域構造を持つ北海道では、各
交通機関の特性を生かし、相互に補完しながら、代替性や多重化といったいわゆる
リダンダンシーを確保した
交通ネットワークを形成することが重要との方向性を示しているところでございます。これらの考え方のもと、
公共交通としての
北海道新幹線、
JR在来線、
都市間バス、
丘珠空港や
高速道路などの
骨格道路を有機的に連携させるため、札幌駅
交流拠点の
機能強化や都心と
高速道路間の
アクセス強化など、都心における
大型プロジェクトを計画に位置づけているところでございます。
また、札幌市以外の
実施主体がかかわる施策の実効性の確保につきましては、まず、札幌駅
交流拠点の再整備につきましては、本市が、昨年9月には
まちづくり計画を、ことし10月には北5西1・西2地区再
開発基本構想を策定し、現在は、本市と
JR北海道グループが設立いたしました再
開発準備組合で
早期事業化に向けた検討を進めているところでございます。また、
都心アクセス道路につきましては、平成28年度より、本市と国、北海道の3者によります検討会を開催しており、昨年7月からは国が
計画段階評価に着手し、検討を進めているところでございます。
このように、本市の考え方を関係者と共有するとともに、市として意見を申し入れるなど、施策に反映するよう取り組んでいるところであり、さらに、これらの施策の実現性を確保するため、今後は、検討の段階に応じまして、本市が主体的に
都市計画決定などの手続を進める考えでございます。
◆
小田昌博 委員 再開発も行われておりまして、特に都心に関しては、今、北5西1・西2
バスターミナルのお話もありますが、実際に渋滞が起きないかどうかというところも懸念されておりますので、その辺もよくご考慮いただきたいというふうに思っております。
次の質問です。
先ほど述べたように、札幌駅周辺再開発を初めとした都心部における多くの
交通施策は、都心の魅力、活力の向上を図り、道都札幌として経済を牽引する役割を担う意味で大変重要であります。
しかし、その一方で、都心部以外の
郊外住宅地など、多くの市民が暮らしている地域において生活のかなめとなっている交通をどのようにしていくかということも非常に重要であります。このような地域においては、人口減少が進行する地域もある中で、運転手不足などバス事業者の課題に鑑み、これまでと同様な利便性が今後も確保できるのか、不安に思っている市民も多いと考えられます。そして、高齢化によりまして、運転免許返納などの課題もあり、交通の不便はさらに次なる人口減少を呼ぶ可能性もあり、まちの維持に危機的な状況も想像できるところです。
そこで、最後の質問です。
こうした状況の中で、今後、
郊外住宅地の交通をどのように確保していくのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 郊外住宅地におきます
交通手段の確保についてお答えいたします。
郊外住宅地では、主に
路線バスにより地域の移動が支えられていることから、現状の
バス路線の適切な維持を基本とし、赤字
バス路線の運行に対する補助など、地域の
移動手段の確保に向けた必要な
取り組みを継続してまいります。また、今後の
人口減少社会の到来や超高齢社会のさらなる進展、乗務員不足などへの対応を見据え、例えば
デマンドバスの導入の検討を行うなど、これまでの枠組みにはない
交通手段を新たに検討いたします。
今後も、状況の変化に応じた検討を行っていくことで、
郊外住宅地における
移動手段の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
◆
小田昌博 委員 最後に、交通というのは、言うまでもなく、札幌に暮らす市民にとって生活のかなめであり、そして、道内外を初め、海外から札幌を訪れる観光客の方たちにとっては移動をスムーズに行うための大切な手段であります。きょう説明された
計画理念、
基本方針に示されていることを確実に実行していただき、これからの人口減少、高齢化、観光客増にしっかりと対応していただきたいということを指摘させていただき、私からの質問を終わります。
◆恩村健太郎 委員 私からは、札幌市
総合交通計画【改定版】(案)について、幾つか質問いたします。
今回の計画の見直しの
ポイントの中にある新技術の活用等による
シームレスな交通の実現について伺います。
新技術の活用等による
シームレスな交通の実現は、昨今、話題となっているモビリティー・アズ・ア・サービス、通称MaaSのことを意識した表現かと思われます。MaaSとは、スマホアプリ等を活用して、出発点から目的地までの経路検索、予約、決済を一括で行うサービスのことで、
交通手段の垣根をなくして移動に係る対応を一つのサービスとして捉える新たな概念のことです。
北海道においては、国土交通省の新モビリティサービス推進事業における観光地型の先行モデル事業として、ひがし北海道観光型MaaSにおける移動及び車両データ収集、利活用実証について、実証実験に入っているところと聞いております。一方、札幌市の今回の
総合交通計画改定(案)では、北海道で行われているようなMaaSの社会実験の実施などの具体的な
取り組みまでは示されておりません。
そこで、一つ目の質問ですが、MaaSについて、札幌市として、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 札幌市におけるMaaSの
取り組みの方向性についてお答えいたします。
委員がご指摘のとおり、北海道を初め、全国的にMaaSにかかわる実証実験などが行われていることは承知しておりますが、MaaSそのものがまだ新しい概念であり、それが札幌市で導入されることにより得られる効果などを見きわめながら検討することが必要であると考えております。
札幌市では、これまでも、
公共交通による移動のしやすさを確保するため、上下移動のバリアの解消のためのエレベーター設置などのハード整備のほか、SAPICAなどの交通ICカードの導入や、えきバスナビによる情報提供の充実など、ソフト的な施策も進めてきたところでございます。今後も、引き続き、鉄道やバス、タクシーなどの複数の
交通モード間が連携し、利用者が目的地にスムーズに移動できる
シームレスな
移動環境を実現させることが重要であると考えており、まずは、国内外の先進的な
取り組み状況を注視し、それを踏まえて必要な検討を進めてまいりたいと考えてございます。
◆恩村健太郎 委員 MaaSの
取り組みのベースとしては、札幌市の現状では、検索機能はえきバスナビが担っており、決済機能はSAPICAなどの交通系ICカードが担っている状況だということは理解いたしました。今後は、さらなる利便性の向上を図るとともに、インバウンドなどにも対応できるような
取り組みを進めるべきと考えますので、そういった点も留意して検討していただくよう要望いたします。
次に、本計画の第1編の基本的な考え方にある
交通結節点の今後の方向性について伺います。
広域分散型社会を形成する北海道にとって、都市間高速バスは、中・長距離移動の地域間
ネットワークを担う重要な
交通手段です。公益社団法人日本バス協会作成の日本のバス事業の資料によりますと、都市間高速バスの全国の利用動向は、2006年から2016年の10年間で運行系統数が2,010本から5,247本と2.6倍に増加し、2016年の輸送人員が航空機の国内線と同規模の年間1億人を超えており、都市間高速バスの需要はますます高まっているとともに、災害時においても運休した鉄道の代替輸送機関として
移動手段を確保するなど、重要な役割を果たしているところです。
こうした状況を受けまして、国土交通省では、都市間高速バスの利用拠点の強化に積極的に取り組んでいるところであり、鉄道駅と直結する集約型の
公共交通ターミナルを戦略的に整備するバスタ
プロジェクトを全国展開することとしています。このことにつきまして、10月29日の読売新聞では、国土交通省が全国100カ所を目標に
バスターミナルの整備を進める方針を固めたとの報道があり、2016年4月に開業しましたバスタ新宿や、現在
取り組みが進められている
品川駅前や神戸三宮駅前の
バスターミナルとともに、全国における複数の検討箇所の一つとして札幌駅前の
バスターミナルも取り上げられています。
そこで、二つ目の質問ですが、札幌駅
バスターミナルの再整備が国のバスタ
プロジェクトとして取り上げられておりますけれども、札幌市では、これをどのように捉え、今後どのように進める考えか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 札幌駅
交流拠点の
バスターミナルについてお答えいたします。
国のバスタ
プロジェクトは、全国展開を目指し、さまざまな検討を進めているところであり、官民連携により、商業施設の収益を活用するなどの事業スキームの改善や、防災機能の強化、新技術の活用などを検討することとしてございます。
本市といたしましては、これらは札幌駅
バスターミナルの交通結節機能の充実に向けて重要な要素であると認識しており、検討に際しては国の考えを積極的に取り入れてまいりたいと考えてございます。これまでも、関係者の協力のもと、札幌駅
バスターミナル整備の技術的な検討を進めてきたところでありますが、国と連携した検討体制の構築に向けまして、国に対し、札幌駅
バスターミナル整備への参画及び支援について要望してまいりたいと考えてございます。
◆恩村健太郎 委員 ただいまの答弁で、札幌駅
バスターミナルの交通結節機能充実に向けて、国の考えを積極的に取り入れる意向だということは理解いたしました。今後は、
バスターミナル整備後の運営につきましても視野に入れまして、
バスターミナルの発着料金の低廉化が図れるような仕組みづくりなど、事業者や利用客にとって使い勝手がいい体制づくりを検討していただくよう要望いたします。
続きまして、本計画に記載の清田方面の
公共交通機能向上について伺います。
今後、超高齢社会のさらなる進行を見据えると、自家用車を持たない高齢者の方々にも、買い物や仕事などさまざまな目的で都心部など居住地域以外の場所にも広く外出できるような環境を整えることが肝要であると考えます。そのためには
公共交通機関が重要な役割を担うことになると思いますが、清田は、
地域交流拠点として位置づけられているにもかかわらず、札幌市内全10
区の中で唯一、地下鉄やJRなど軌道系の
交通機関がなく、
交通手段はバスに頼らざるを得ない状況となっております。その
公共交通のかなめでもありますバスも、冬期間や札幌ドームでのイベント時は大変な交通渋滞により大幅におくれるなど、ほかの拠点と比較しまして
公共交通の機能が劣っていることは明らかです。
今回の改定案の中では、第1編の持続可能な
交通ネットワークの確立の中で、
公共交通ネットワークにおいて、福住から清田の間が
公共交通機能向上方面との位置づけがされているところです。
一方、同じく第1編の各
交通モード・施設の基本的な考え方の中の地下鉄の欄には、今後の方向性というところで、清田方面の
地下鉄延伸については、近年、清田
区において人口が減少しており、
事業採算性などを勘案した慎重な検討が必要との記載があり、基本的には現計画と同様の表現となっております。
そこで、質問ですが、清田方面の
地下鉄延伸について、今回の改定に当たり、
総合交通計画改定
検討委員会の中でどのような議論が行われ、どのような位置づけとなったのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 清田方面にかかわります
総合交通計画改定
検討委員会での議論の内容についてお答えいたします。
昨年7月の第1回
検討委員会を皮切りに、計画改定に向け、これまで、6回の
検討委員会を開催し、議論を進めているところでございます。
この議論の中で、今後、人口減少局面を迎え、輸送力の拡充を要するほどの需要は発生しないことが予測され、交通需要の面からは全市的に地下鉄などの大量輸送機関の新たな整備の必要性がないこと、一方、多くの
地域交流拠点では、地下鉄、JR駅を中心に高い利便性が確保されているのに対し、清田は他の拠点に比べて都心部への
アクセス性に課題があり、都心への
アクセス性の向上や
公共交通の定時性確保が重要であることを確認したものでございます。これらの議論を踏まえ、清田方面につきましては、現計画にも位置づけられております
公共交通機能向上方面としたものでございます。
また、地下鉄の
事業採算性については、現計画の策定時に福住から清田までの地下鉄を延伸した場合の開業後30年間の収支を計算しており、収支不足になるとの結果が出ているところでございます。その後の状況の変化として、清田
区の人口推計が現
計画策定時の想定よりも減少傾向であることや、建設工事費が上昇傾向であることも踏まえ、現計画と同様に慎重な検討が必要としたものでございます。
◆恩村健太郎 委員 ただいまの答弁にもありましたが、確かに、
地下鉄延伸における
事業採算性というものは無視することができない大事な要素であることは理解してはおります。しかしながら、先ほどの私の指摘や、答弁にもあったように、現在、清田には多くの交通課題がございます。これは誰もが認識しているところでありまして、現在の状態のまま放置をしておくことがいいこととは私は思っておりません。
現在、社会問題にもなっております高齢者ドライバーの運転免許証の返納などが本格化しますと、
公共交通機能が劣っている清田
区にお住まいの高齢者は、地域で豊かな暮らしを享受できないのではないでしょうか。また、実際問題、地域では子育て世代の方々からも清田
区への
地下鉄延伸を望まれる声を私も多く受けているところでございます。今回の改定案の今後10年間に行う施策をまとめた第2編の
交通戦略では、清田方面
公共交通機能向上の検討が新たに位置づけられております。
そこで、質問ですが、清田方面
公共交通機能向上の検討とはどのような検討を行うものなのか、考えを伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 公共交通機能向上の検討内容についてお答えいたします。
清田方面
公共交通機能向上の検討とは、現況の課題を踏まえ、都心への
アクセス性向上や定時性確保など、
公共交通としての機能を向上させるために行う検討を意味するものでございます。
この中では、地下鉄の延伸の可能性も含めて検討することとなりますが、地下鉄につきましては、札幌市が招致を目指している冬季オリンピック・パラリンピックに合わせて、札幌ドーム周辺の土地利用のあり方を検討しており、その方向性を見きわめた上で検討していくこととなるものでございます。このほか、既存の
公共交通の
利便性向上や定時性確保のための検討、具体的には、
バスロケーションシステムなどバス待ち環境の改善を図るとともに、道路の交通円滑化などに引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
◆恩村健太郎 委員 最後になりますが、要望いたします。
バスの
利便性向上や定時性確保に向けた
取り組みは非常に重要でありまして、引き続き取り組んでいただきたいと思います。しかしながら、先ほど来申し上げているように、清田
区は、市内で唯一、軌道系
交通機関がない
区となっております。私も、何度も新聞報道等を見て一喜一憂した経験がございます。清田
区は、分
区から既にもう20年がたっているところであります。今後、
公共交通を軸とした
交通ネットワークを確立していくためには、区民の長年の悲願でもあります清田方面への
地下鉄延伸が必要不可欠だと私は感じているところであります。
清田方面への
地下鉄延伸については、ぜひ、その実現に向けて今後とも検討を進めていただきたい、このことを清田区民の一人として強く要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
◆好井七海 委員 私からは、自転車について、何点かお伺いいたします。
今回の札幌市
総合交通計画の改定(案)では、基本理念として「暮らし」・「活力」・「環境」を重視する
公共交通を軸とした
交通体系の実現を掲げておりますが、この理念の実現に向けて、六つの
基本方針を設定した上で、地下鉄やバスの
公共交通に加えて、自転車や歩行者など、各モードの基本的な考え方が示されております。
このうち、とりわけ自転車については、昨年の予算特別委員会を初め、我が会派でもたびたび議会で取り上げてきておりますが、市民や観光客への自転車マナーの周知・啓発の徹底や自転車利用に対する
取り組みの見直しなどにより、誰もが事故に遭わない環境整備を進めることが重要であると考えているところです。ご存じのとおり、今や自転車は最も身近な
交通手段の一つであり、さまざまな目的で多くの市民や観光客に利用されていることから、自転車を適切に活用していくことが、基本理念である
公共交通を軸とした
交通体系の実現につながるものと考えております。
そこで、初めの質問ですが、今回の
総合交通計画の中で自転車をどのような位置づけとしているのか、確認いたします。
◎坪田
総合交通計画部長 総合交通計画における自転車の位置づけについてお答えいたします。
鉄道やバスなどの
公共交通は、特定の場所を結ぶ線的な
交通手段であるのに対して、自転車は、自由な方向への移動を可能にする面的な
交通手段であると言えます。さらに、
公共交通や徒歩と連携することで、移動の利便性や回遊性の向上に資するなど、
まちづくりへの貢献が期待できます。
これらを踏まえ、自転車を、
総合交通計画の
基本方針の実現に重要な役割を果たし、
公共交通機関を相互に補完する
交通手段として位置づけているところでございます。
◆好井七海 委員
総合交通計画における自転車の位置づけについては理解いたしました。
次に、第2編の
交通戦略においてでありますが、
基本方針の実現に向けた施策として、民間によるシェアサイクルの展開、自転車利用のルール、マナーの効果的な周知・啓発、
自転車通行空間の明確化、総合的な駐輪対策の推進を掲げております。これらの
取り組みは、前回の
総合交通計画から引き続き実施される
取り組みであると推測されております。
一方、自転車にかかわる全国的な動向として、サイクリング人口の増加を背景に、平成29年度には自転車活用推進法が制定されており、通行空間の整備や駐輪場の整備、ルール、マナー啓発に加え、サイクリング環境の創出など、自転車のさらなる利活用が目指されております。また、同法に基づき、国では自転車交通の役割拡大やサイクルスポーツの振興などを目的に自転車活用推進計画を策定し、各自治体においても、地域活性化の新たな
取り組みとして地方版の自転車活用推進計画を策定し、自転車
ネットワークの整備等を推進しています。
そこで、質問ですが、今回の
総合交通計画では、これらの自転車を取り巻く全国的な動向をどのように反映しているのか、お伺いいたします。
◎坪田
総合交通計画部長 全国的な動向との関連性についてお答えいたします。
まず、大きな動きである自転車活用推進法の制定に伴う対応につきましては、自転車の利活用の拡大を推進するため、札幌市の
地域特性を踏まえた自転車活用推進計画の策定に向けた検討を進めることとしてございます。また、自転車
ネットワークの整備については、平成23年度に策定いたしました自転車利用総合計画に基づく札幌市版の自転車
ネットワーク計画を平成29年度に策定し、都心部における
自転車通行空間の明確化に取り組んでいるところでございます。
さらに、今後の方向性として、都心部だけではなく、地下鉄駅やJR駅周辺においても
自転車通行空間の明確化の必要性について検証を行うなど、
自転車利用環境のさらなる充実に向けた検討を進めていくこととしてございます。
◆好井七海 委員 自転車活用推進計画の策定について、
地域特性を踏まえた計画を検討するとの答弁だったと思います。
札幌市では、これまでさまざまな自転車施策を進めてきており、特に都心部においては、北1西1の再開発に合わせた駐輪場の整備によって放置禁止区域が拡大することで駅前通の放置自転車が減少するなど、一定の成果が上がっているものと評価しています。
しかしながら、依然として、放置自転車による
歩行環境の阻害や自転車の歩道通行による歩行者との接触事故など、自転車を軽く見ている傾向があります。私の知人の親が被害者となり、一生ベッドから起きられなくなることになり、子どものこともわからないような状態になってしまい、非常に残念な事故も起きております。自転車利用者のルールやマナーへの理解不足により事故が多数発生している現実があり、まだまだ課題があると認識しております。
また、札幌市では、冬期間の自転車の利活用が制限されるなど、積雪寒冷地ならではの課題もあります。
そこで、質問ですが、こうした札幌市の実情を踏まえ、札幌市版の自転車活用推進計画の策定に向けてどのように検討を行っているのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 札幌市版自転車活用推進計画の策定に向けた検討についてお答えいたします。
委員がご指摘のとおり、従来の課題への対応が必要である状況を踏まえますと、安全な利用環境の実現が優先課題と認識しているところでございます。それが実現されることで、自転車が持つ特性が生かされ、経済活動、観光面、健康増進や環境面における貢献、そして、都心の魅力向上などへの展開が期待されるところでございます。
そこで、札幌市版の自転車活用推進計画の策定に当たっては、これまで進めてきた施策を主軸にしつつ、自転車活用推進法の理念に沿うよう、他部局の行政計画と自転車活用との関連性を幅広く調査し、関連部局と調整しながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。今年度から検討に着手しておりまして、令和2年度中の公表を目指してまいりたいと考えてございます。
◆好井七海 委員 自転車活用推進計画の策定によって、札幌市の実情に合わせた自転車施策が展開されることを期待したいと思います。
私も、若い方々との懇談会などで、自転車の専用走行路をもっとふやしてほしいとか、自転車が車道を走るには道路幅が狭過ぎる道路が多い、こういった声を非常によく聞きます。またさらに、私自身、先ほども言いましたが、身近なところで大きな事故に巻き込まれた方がいるものですから、自転車を乗る方には、免許証はないものの、スマートフォンやイヤホンをしながらの運転は絶対やめていただき、緊張感を持ってルールやマナーの課題認識を強く持っていただけるよう周知徹底を強く要望し、質問を終わります。
◆千葉なおこ 委員 私からも、幾つか質問いたします。
まちづくり戦略ビジョンなどの
上位計画における将来都市像を実現するため、この計画案では、将来都市像の実現を交通面から支える重要な視点に、「お年寄りから子供まで、誰もが安全・安心に暮らすことができる、
公共交通を軸とした利便性の高い
交通体系を実現します」と書かれております。とても大切な視点であると私は思います。市民が、いつでも、どこでも、自由に安全に移動することは、健康で文化的な最低限度の生活を営む上で欠かせないものです。
先ほど小田委員と恩村委員もおっしゃられておりましたけれども、近年、高齢者の自動車免許自主返納が増加しており、今後もふえ続ける状況にあります。返納した高齢者がこれまでどおり日常生活、社会生活を行えるよう、本市が高齢者の足を保障する必要があると考えます。
そこで、1点目の質問です。
今後も進行する高齢化のもと、免許証を自主返納した高齢者への具体的な支援策について計画案にも盛り込むべきだと思いますがいかがか、伺います。
また、
公共交通機関の
バリアフリー化などは、高齢者、障がいのある方、妊産婦などの利用者や住民、NPO団体など、多様な関係者の視点から解決すべき意見も聞いた上、計画に盛り込むことが必要ですが、どう取り組まれるのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 1点目の自動車運転免許証の自主返納につきましては、高齢運転者の交通事故防止の観点から市としての啓発の
取り組みは行っておりますものの、一部の市町村で実施しておりますタクシーチケットの交付のような返納後の高齢者支援策は実施してございません。
しかしながら、
総合交通計画の視点からは、自家用車に頼らなくても生活ができる持続可能な
地域交通環境の形成が重要であると考えておりまして、
バス路線の適切な維持に向けた
取り組みや、高齢者など誰もが安全・安心に移動できる
交通環境の実現のため、
公共交通施設や車両の
バリアフリー化など、必要な施策などについて計画に盛り込んでいるところでございます。
2点目の
バリアフリー化にかかわります多様な意見の聴取とその反映についてお答えいたします。
札幌市では、新・札幌市
バリアフリー基本構想に基づき、施設整備を行う際には、バリアフリーチェックを実施し、障がい者、高齢者などの意見、意向を把握しながら
バリアフリー化を進めているところでございます。また、基本構想は、学識経験者、交通事業者、障がい者団体、高齢者団体、市民委員などで構成される検討部会を設置いたしまして、さまざまな視点からご意見をいただきながら策定しているものでございます。
今回の
総合交通計画に掲げますバリアフリー施策につきましては、基本構想に沿ったものであり、さまざまな関係者の意見を踏まえた内容になっているものと認識しているところでございます。
◆千葉なおこ 委員 継続して取り組んでいただきたいと思います。
次に、
環境首都・札幌に関する
交通施策についてお聞きいたします。
地球温暖化対策の強化は喫緊の課題であり、特に札幌市は自家用車などのCO2排出割合が高い現状にありますから、環境都市さっぽろとしてCO2削減を確実にやり遂げることが、今、世界からも求められております。
スペインで開かれております国連気候変動会議、COP25において、ドイツの環境NGO団体が、去年1年間に異常気象で世界で最も深刻な被害を受けたのは記録的な豪雨や猛暑に見舞われた日本だったとする分析を発表し、温暖化対策の強化を呼びかけました。また、スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんの活動が世界的に注目され、日本においても学生が温暖化対策を求める活動が広がっております。札幌市では、高校生が中心となって、毎週金曜日、街頭で温暖化対策を訴える活動を行っております。若者の声に私たち大人は答える責任があります。温暖化対策を確実に実行し、CO2削減に取り組まなくてはなりません。
総合交通計画の改定案の中には、
基本方針と
環境負荷低減促進パッケージとして目標を掲げております。環境負荷の低減を図るとしております。
そこで、2点目の質問ですが、2017年における運輸部門での市内
CO2排出量は263万トンでしたが、2030年には194万トンに減らすとの目標値を設定されております。
この削減目標を達成するために、具体的にどのような施策を行うのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 CO2削減のための施策についてお答えいたします。
今回の改定案では、
計画理念を「暮らし」・「活力」・「環境」を重視する
公共交通を軸とした
交通体系の実現とし、
基本方針の一つに
環境首都・札幌の実現を掲げ、持続可能な低炭素型の
交通システムの充実を図ることとしてございます。
これを踏まえまして、第2編の今後10年間の実施施策をまとめた
交通戦略では、
環境負荷低減促進パッケージの中で関連する施策を体系化してございます。その中では、
次世代自動車の
普及促進、
公共交通の
利用促進、交差点改良などによる渋滞対策などの
取り組みを推進することとしており、これらの施策を総合的に展開することでCO2の削減効果が得られるものと考えているところでございます。
◆千葉なおこ 委員 今、
環境負荷低減促進パッケージについてご説明いただいたのですけれども、計画の
実施目標の1には自動車から
公共交通機関への転換を促す
取り組みを掲げている一方で、目標2では渋滞緩和のための交通円滑化の
取り組みを進めること、また、
都心まちづくりパッケージのほうの
実施目標の2には都心と
高速道路とのアクセス
機能強化の検討と書いております。都心部への交通が円滑化するということは、さらに都心部へ入る自動車がふえるのではないか、
公共交通機関への転換で環境負荷の低減につなげると掲げていることと矛盾が生じているのではないかと私は思います。不必要な自動車流入はさせず、都心へのアクセスは
公共交通の
利便性向上に集中することで環境負荷の低減を図っていただきたいと思います。
自動車の過剰な利用を抑制して、省エネルギーや
CO2排出量の抑制にもつながる具体策の一つとして効果があると言われているカーシェアリングが、今、全国に普及しております。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団による調査によると、2009年は563台だった車両台数が2018年に2万9,208台と、10年間で約50倍を超え、引き続き増加するというふうに報告されております。
そこで、3点目の質問ですが、本市でのカーシェアリングの普及の現状と、環境配慮、交通利便性の向上、地域活性化といった効果について検証することが必要であると思いますけれども、本市の考えを伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 カーシェアリングの普及状況につきまして、詳細は把握しておりませんけれども、委員がご指摘のとおり、民間の統計データなどからは、全国的に台数が増加傾向にあることについては認識しているところでございます。
カーシェアリングによりまして、ふだん自動車を利用していないユーザーが利用しやすくなるなど、利便性の向上といった効果も期待できる一方で、新たな自動車利用を促すことで環境負荷が増大する可能性もないとは言えず、一概にその有効性を評価することは難しいものと考えているところでございます。
近年、民間企業が、カーシェアリングを活用し、さまざまな
取り組みを行っている事例が見受けられますことから、今後、札幌市といたしましても、こうした動向を注視してまいりたいと考えてございます。
◆千葉なおこ 委員 カーシェアリングのメリットとデメリットがあるというようなご回答でしたけれども、もしこの車が電気のみの自動車だった場合とか、やっぱりCO2の削減にはつながっていくと思います。今、既に官民協働で取り組んでいる福岡市や兵庫県豊岡市などもありますので、ぜひ、自動車利用の適正化を進めるツールの一つとして、本市もカーシェアリングの検証をしていくべきだと申し上げまして、私の質問を終わります。
◆石川さわ子 委員 私からも、質問させていただきます。
札幌市
総合交通計画は、20年後を想定し、
公共交通を軸とした将来交通に関する札幌市の基本的な考え方であり、2012年に策定されております。ご説明いただきまして、このたびの改定は、第1編の検証、見直し、また、第2編の
交通戦略の後半10年に向けて更新を行うということであります。
この計画の推進に当たりましては、本書の115ページの進行管理のところで協働の取組と書かれておりますが、行政のみならず、
交通手段を選択、利用する市民、企業、そして、
交通サービスを提供する交通事業者の協力が不可欠となっております。現計画におきましては、この3者の役割のうち、行政機関の役割が(1)として最初に示されておりましたが、改定案では、市民、企業の役割が入れかわって、まず(1)と最初に示されており、主体的な位置づけを打ち出そうとしているというふうにも受けとめているところです。
そこでまず、1点目の質問でありますが、
総合交通計画の改定に当たりまして、市民参加の
取り組みとしてどのようなことを実施してきたのか、また、その
取り組みの結果をどのように計画に反映したのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 市民参加の
取り組みと反映についてお答えいたします。
現
計画策定以降の交通に関する課題や市民ニーズなどを把握するため、市民アンケート調査を平成29年度に実施いたしました。また、計画改定の検討時には、市民が感じる交通課題や解決に向けたアイデア、市民の役割などについて市民意見を抽出するためにワークショップを2回開催してございます。
ワークショップでは、市民一人一人にできることとして、積極的に
公共交通を利用することや、冬季の砂まきやバス停の除雪を積極的に実施することなどの意見をいただき、市民の役割などに反映したところでございます。
◆石川さわ子 委員 市民の声として、
公共交通に協力できるなどの市民の意見を確認し、計画に反映したということであります。
そうしたことを受けての書きぶりだと思うのですが、市民、企業の役割として、市民は、
公共交通の
利用促進に協力します、また、市民は、地球温暖化問題を意識して環境に優しい
公共交通や徒歩、自転車を多様な
交通手段の中から適切に選択しますというふうに書かれていて、市民、企業の皆さんにこのように協力をしていただきたいということだと思います。しかし、どういう計画でありましても、例えば市民が
公共交通の利用に協力するためには、協力するための理由を納得したり理解していかなくては、実質的な行動には結びつかないというふうに考えるところであります。
先ほど2017年度に市民アンケートを行ったとおっしゃいましたが、このアンケート結果は、
総合交通計画改定
検討委員会の資料の第1回目のときに出されておりました。札幌市が交通に関する課題などについてアンケートをしたものでありますが、それによりますと、18歳から29歳のうち、週1回以上運転する人は2006年と2017年を比較すると7割から4割に減少し、若者の車離れが起きているというふうに推察されるわけであります。一方で、65歳から74歳の高齢者では、自動車のかわりの
交通手段がないとか、または不便だからと言う人が結構おりまして、その割合が2006年と2017年を比較すると2割から5割に増加しております。こうしたことから自動車を運転する高齢者の方たちの割合は増加傾向でありまして、この計画当初から市民の役割として
公共交通を選択することに協力するというふうにありますけれども、実際にはそうした選択をすることが難しい方もいると思われるところであります。
そこで、二つ目の質問でありますが、この計画改定案について、市民理解を得た上で
公共交通の
利用促進につなげていくためにどのようなことを行うのか、札幌市のお考えを伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 公共交通の
利用促進についてお答えいたします。
公共交通の
利用促進を図るためには、まず、多くの市民が利用しやすいように利便性を高める
取り組みが重要であると考えており、例えば
公共交通施設の
バリアフリー化の推進や
バスロケーションシステムの導入などの
取り組みを進めることとしてございます。
また、市民理解を深める
取り組みとして、自発的な交通行動の変容を促す
取り組みであるモビリティーマネジメントの推進など、わかりやすく効果的な情報発信もあわせて進めていくこととしてございます。
◆石川さわ子 委員 市民の皆さんの利用のしやすさとか理解を深めていくための施策ということで、今、ご説明がありました。常に市民の皆さんの意見を確認することは大事だと思います。
札幌市が行っている市民意識調査がありますが、2018年度に、道路網や上下水道など、都市空間に関するものの中で何に力を入れるべきかという質問では、
公共交通の整備や利便性に力を入れるべきという回答が一番多く、
公共交通の便利さを進める事業については70.4%の方が力を入れてほしいと回答しております。札幌市の施策や事業の中で力を入れてほしいものという設問に対して、1位はいつも除雪でありますけれども、
公共交通の便利さは4番目に高い結果になっております。
このように、多くの市民は、
公共交通の便利さなどに力を入れてほしいと思っていると思います。ただ、どのような便利さを求めているかということについては、年代によっても違うと思いますし、住んでいる方の地域の状況によっても違うと思われます。したがって、私は、市民、企業の主体としての意見を聞くことが必要だというふうに考えます。
114ページの推進体制を見ますと、市民が意見を言えるときというのは計画の策定や改定のときのみのように見えますが、116ページのイメージ図では、市民・企業、交通事業者、行政機関の協働の
取り組みとなっていまして、改定案においては、新たに協議の場の部分に調整という言葉が加わり、協議・調整の場での共通認識がイメージされております。改定
検討委員会においても、行政、事業者だけでなく、市民を巻き込んだ議論ができる協議会の重要性が指摘されておりますので、この点についてはぜひとも検討していただくことを強く求めておきたいと思います。
3点目ですが、最後に、冬期間の安全・安心な
歩行環境について質問いたします。
先ほど触れました札幌市が行った市民アンケートにおきましては、外出する際の道路交通や
公共交通に関して特に不便を感じていることという設問では、18歳以上の全ての年代で、冬季の歩道、路面状況が悪いという回答が一番多い結果となっておりました。
そこで、質問でありますが、このアンケート結果に対する札幌市の認識と、それを踏まえて、今後、冬季の安全・安心な
歩行環境の確保に向けてどのような
取り組みを行っていくのか、伺います。
◎坪田
総合交通計画部長 これまでも、現地の状況に応じまして適切な除雪や凍結路面対策に努めているところでございますが、気象状況などによって路面が刻一刻と変化することから、臨機に対応するためには、地域の皆さんや企業のご協力が必要と認識しているところでございます。
このため、駅周辺や人通りの多い交差点を中心に砂箱を設置するほか、コンビニエンスストアや銀行などに砂まきに協力していただくなど、市民と協働の
取り組みを推進するとともに、市で実施する散布作業につきましても、今後、段階的に強化をしていく考えでございます。
また、特に人が多く集まる都心や
地域交流拠点では、民間開発に合わせて
地下歩行ネットワークや空中歩廊の拡充などに努めてまいりたいと考えてございます。
◆石川さわ子 委員 冬期間の
歩行環境の確保は、今後ますます高齢化が進むということもあって、障がいのある方や高齢の方にとっても本当に大変重要だというふうに思います。安全で安心な冬季の
歩行環境をしっかりと確保していただきたいと思います。特に、先ほども申し上げましたが、市民・企業、交通事業者、行政機関が共通認識を持って役割を果たしていくことができるよう、情報共有、周知を徹底して行うことを強く求めて、私の質問を終わります。
○
丸山秀樹 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
丸山秀樹 委員長 なければ、質疑を終了いたします。