次に、その下の第2章 前計画の取組と評価についてでありますが、資料の表のとおり、
令和元年度末までとなります前計画の指標7項目中、3、5、7の3項目については目標を達成し、未達成の4項目につきましても、基準値からある程度の進捗が見られたことから、おおむね当初の目標を達成したものと評価しております。
次に、資料右側の第3章
札幌市の食を取り巻く現状と今後の課題についてでは、食中毒の発生状況や
市民の意識等を踏まえ、点線囲みの下、2 今後の課題として5点を抽出いたしました。特に、4点目につきましては、
市民、
事業者の意識調査の結果、
札幌市の食の安全・安心に関して、わかりやすい情報提供を
市民が強く望んでいることがわかりましたので、情報提供のさらなる強化を図ってまいります。
続いて、その下の第4章では、条例に定める五つの基本理念と資料裏面の左上段にあります目指す都市像として、安全・安心な食のまち・さっぽろを掲げ、その都市像のイメージを1から6まで六つ示しております。
そして、第5章 施策では六つの都市像のイメージに対しまして二つの施策目標を定めております。
一つ目の施策目標は、下向き矢印の目標1とありますが、誰もが食の安全の確保の主役となる街とし、
二つ目の施策目標は、右向き矢印に目標2とありますが、食の安心と魅力あふれる街としております。
各施策につきましては、前計画からの継続事業も多くありますので、今回は、太文字、下線で記載している新規・強化事業の主なものについてご説明させていただきます。
初めに、資料左側の中段ですが、基本施策2として
事業者の自主的
取り組みを促進することとし、施策1に新規事業、HACCP制度化による衛生管理の徹底を掲げております。HACCPとは、国際的な衛生管理手法のことですが、昨年の食品衛生法改正に伴い、大規模な製造所ではHACCPによる高度な衛生管理を、
飲食店などの小規模施設ではHACCPを簡略化した衛生管理が義務化されることとなりました。このことから、これらの制度の内容等を
事業者へ周知し、HACCPの普及を進めてまいります。
次に、基本施策3中の施策4の新規事業になりますが、災害発生時の食の安全確保
対策では、昨年の
北海道胆振東部地震での経験を踏まえ、必要な施策に取り組んでまいります。
最後に、基本施策4中の施策4では、適切な期限管理等による食品ロス削減の啓発を新規事業として掲げております。
次に、資料右側の施策目標2に関する施策をごらんください。
基本施策2の食産業・観光の振興への寄与については、施策1の強化事業、
観光客向け施設、
イベント対策で、
札幌の食の魅力を発信する食の
イベントや
観光客が多く利用する宿泊施設等の監視・指導を強化し、観光・食産業の基盤強化を図るとともに、施策3にありますとおり、アレルゲン情報について、外国人でも確認しやすいように絵文字であるピクトグラムでの表示を普及させてまいります。
最後に、第6章 推進体制と進行管理では、本計画の推進状況を評価する際の目安となります8項目の指標を設定し、安全・安心な食のまち・さっぽろの実現に向けて、令和2年度からの5年間、各種施策を着実に実施してまいりたいと考えております。
○
太田秀子 委員長 それでは、質疑を行います。
◆こじ
まゆみ 委員 私から、第2次安全・安心な食のまち・さっぽろ推進計画案について、数点質問させていただきます。
ただいま部長からの説明にもありましたが、昨年度の食品衛生法の改正によりHACCPに沿った衛生管理が制度化され、原則、全ての
事業者がHACCPを実施しなくてはならなくなりました。HACCPの実施は、施設の衛生管理レベルの向上につながると期待されることから、食品衛生法を改正し、全ての
事業者に義務化したものと理解しておりますが、現在のところ、国内での導入率は高くなく、HACCPは
事業者みずからの責任でやらなくてはならないものだということがまだまだ認知されていないのだと考えます。
このような状況の中で、食に関連する市内の
事業者に、HACCPによる衛生管理が制度化され、義務づけられたことを漏れなく周知し、また、HACCPの内容そのものについてもしっかりと伝えていくべきだと考えますが、どのように行っていくのか、伺います。
◎細海 食の安全担当部長
事業者へのHACCP制度化等の周知についてお答えいたします。
HACCPの制度化やポイントをまとめたリーフレットを新たに作成し、市内にある全ての許可・届け出施設約2万1,000件に対して個別に通知するなど、現在、周知を行っているところであります。また、業態によりHACCPによる衛生管理の
取り組み内容が異なることから、
事業者にHACCPの内容をより深く理解してもらうため、
札幌市食品衛生協会と連携し、各業態に応じたHACCP導入に向けた講習会を10月から開催し、今年度は計14回実施の予定でございます。
今後も、引き続き、講習会の実施等を通じて、HACCPの制度化やその内容について
事業者に理解を深めてもらうよう努めてまいりたいと考えております。
◆こじ
まゆみ 委員 ただいま
事業者へのHACCP制度化の周知や内容の理解に係る
取り組みについてはご説明いただきましたので、くれぐれもそれが隅々まで伝わるように実施していただきたいと存じます。
HACCPは、これまで、自主管理として実施が任意であったものでありますが、法令化により実施が義務づけられたことから、行政も、制度化の周知にとどまることなく、その次のステップとして、
事業者がHACCPを実施していることを確認し、実施していない場合には
事業者が実施できるよう適切な助言や指導をしていくなどの必要があると考えます。
求められるHACCPの基準は、
事業者の規模などにより、高度な管理のものと簡略化されたものと二つに分かれるとのことでありましたが、市内には大小さまざまな規模の
事業者が多数あり、HACCPの導入を
実効性のあるものにしていくには、適用される基準に応じ、確認、助言を的確に行わなければなりません。
そこで、1点目の質問ですが、今後、確認、助言をどのような方法で進めていくのか、伺います。
また、保健所においては、HACCP導入に向けた対応を行うことで、1施設当たりの監視時間や相談時間が増加することが想定されます。
そこで、2点目の質問ですが、HACCPの実施状況の確認や助言を円滑に進めるための体制整備に向けて、どのような対応を図っていくつもりなのか、伺います。
◎細海 食の安全担当部長 HACCPの導入促進に向けた確認、助言についてお答えいたします。
1点目の確認、助言の方法については、求められるHACCPの基準や業態に応じて行うこととし、大規模な食品工場については、高度な衛生管理の基準が適用されることから、法に定める経過措置が終了する令和3年5月までに確実にHACCPが実施されるよう、導入状況の確認と適切な助言を行ってまいります。また、簡略化した基準が適用される小規模な食品工場や
飲食店などについては、その対象施設が2万件以上になることから、定期的な立ち入りや営業許可の更新などの機会を活用し、HACCP導入の状況確認と適切な助言を行ってまいります。
2点目の確認、助言の体制整備に向けた対応についてでありますが、新たに確認、助言を行うためには、食品衛生監視員個々の資質向上を図ることが必須と考えることから、HACCPに関する研修を充実し、人材育成を強化していく予定としております。また、HACCPの対象施設が多数あることから、行政に加え、食品
関係団体との連携を強化するなど、効果的・効率的な体制となるよう整備してまいりたいと考えております。
◆こじ
まゆみ 委員 簡易化された場合でも2万件という数ですから、かなりの数の監視員が必要になるかと思いますし、そのための人材を育成していくと言っても、ここ数年かかるのではないかと思います。くれぐれも過度な負担にならぬよう、されど、食の安心・安全を守っていただけるようにお願いしたいと思います。
それでは、次の質問です。
HACCPの制度化により、これまで以上に
事業者の自主管理が進み、衛生管理が徹底されていくと想定される一方で、食中毒については、計画案に示されているとおり、ここ数年、ノロウイルスやアニサキスなどの食中毒が年間を通じて発生し続けています。アニサキスの食中毒の場合は、鮮魚、貝類を24時間以上マイナス20度C以下でしっかりと冷凍すれば安全であるとか、ノロウイルスであれば、二枚貝が原因になっていることがありますので、生産地から検査成績書を取り寄せて安全を確認するなどの有効な予防措置もあるものの、食品を提供する
事業者も、消費者である
市民も、意外と知らない人たちが多いのではないかと感じているところであります。実際、前計画の指標であり、本計画案の指標にもなっている食品の安全性に関する知識があると思う
市民の割合を見てみますと、
目標値80%に対して現状では半分、50%程度にとどまっています。
そこで、質問でありますが、本計画の指標を達成する上でも、
市民や
事業者に対し、食中毒の予防に関する情報をしっかりと発信していくべきだと考えますけれども、どのように行っていくのか、伺います。
◎細海 食の安全担当部長 食中毒予防に向けた
市民、
事業者への情報発信についてお答えいたします。
これまでも、
ホームページや、毎年、地下歩行空間で開催しております
イベントなどを通じ、食中毒に関する情報を発信するとともに、
事業者に向けては、さらに講習会や文書通知を行ってきたところであります。しかしながら、
委員のご指摘のとおり、食の安全に関する知識があると思う
市民の割合は高いとは言えない状況でございます。
今後は、これまでの
取り組みに加え、
市民が多く集う市内中心部や大型商業施設での情報発信を実施するとともに、食品衛生情報誌である「キッチンメール」で特集を組むなど、さまざまな機会を活用し、食中毒予防に向けた啓発を充実してまいりたいと考えております。
◆こじ
まゆみ 委員 これから、食中毒、特にRのつく月に関してはカキがおいしいですが、その食中毒もふえてくることが予測されますので、くれぐれも周知徹底を図っていただきたく、お願いいたします。
最後に、要望でございますが、HACCP制度化の周知徹底と確認、助言は、本計画の主要な
取り組みと考えるところであります。また、HACCPの確認、助言の体制については、研修による職員のスキルアップ、
関係団体との連携により対応を図っていくということでしたが、そもそもHACCP制度化の背景には、
東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた衛生水準の向上があったと伺っております。
札幌市でも、先ほどの
受動喫煙防止条例のときにもお話し申し上げましたが、来年、サッカーに加え、
マラソンや競歩も開催されることとなりました。さらには、冬季
オリンピック・パラリンピックを招致しようと、今、機運醸成に力を入れている
札幌市であるからこそ、このHACCPの
取り組みが停滞することがあってはならないと思います。ぜひとも、人員確保も含めて体制の強化を図っていただき、本当に第2次安全・安心な食のまち・さっぽろ推進計画案が
実効性のあるものになるよう求めて、私の質問を終わります。
◆恩村
健太郎 委員 私からは、第2次安全・安心な食のまち・さっぽろ推進計画案について、2点伺います。
まず、1点目は、食に関する
イベント対策についてです。
札幌市では、さっぽろオータムフェストを初め、さっぽろ大通ビアガーデンなど、食に関する大型
イベントを観光施策の目玉として開催しています。このような
イベントには、
北海道外からはもちろんのこと、外国人
観光客も多く訪れ、
札幌の観光産業の起爆剤となっております。
しかし、これらの
イベントでもし食中毒が発生してしまうと、
札幌の食に対するブランドイメージの低下につながってしまうのではないかと懸念されるところです。幸いにも、これまで
札幌市内の
イベントでは食中毒は発生しておりませんが、2014年には、静岡県静岡市において腸管出血性大腸菌O−157を原因とする集団食中毒が発生し、患者、被害者数は510人となり、
イベント主催者として開催地の自治体の責任も問われる事態となりました。
本計画案でも、
観光客向け施設、
イベント対策を強化する旨が先ほどの説明の中にもございましたし、記載されておりますが、
札幌の食のブランドイメージを低下させないため、食に関する
イベント対策はとても重要なことだと考えます。
そこで、質問ですが、食に関する
イベントで提供される食品の安全確保のために、本計画案に基づき、どのような
取り組みを行おうとしているか、お聞きいたします。
◎細海 食の安全担当部長 食に関する
イベント対策についてお答えいたします。
オータムフェスト等の食に関する
イベントは、野外で臨時的に仮設のテントやプレハブで行われる場合が多いため、簡易な調理で提供できる品目に制限する等の
対策を図っております。さらに、
イベント主催者と連携し、出展者説明会等の機会を通じて、食品の適切な取り扱いや手洗いの徹底などの食中毒予防
対策について、事前の衛生指導を行っております。
今後は、本計画案に基づき、事前の衛生指導に加え、
イベント開催中の監視・指導の回数や食品の抜き取り検査数をふやすなどして、食に関する
イベント対策を強化してまいりたいと考えております。
また、今後、食の
イベントが増加し、規模が拡大される場合には、監視体制を強化し、適切な指導を行うことで、食の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
◆恩村
健太郎 委員 食に関する
イベントに訪れる方々は、
札幌の食に魅力を感じている方が多数いらっしゃると思います。ぜひとも、安全・安心に食に関する
イベントを楽しんでいただけるよう、この
取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、外国人
観光客に対するアレルゲンの情報提供についてお伺いいたします。
ことしはラグビーワールドカップがあり、来年は
東京オリンピック・パラリンピックが開催される中、
札幌市では、サッカーの予選や
マラソン、競歩が行われることとなり、
国内外から多くの
観光客が訪れることが予想されます。
札幌を訪れた
観光客の楽しみの一つは、先ほども申しましたが、
札幌の食でもあります。
観光客の中には、食物アレルギーをお持ちで食事に制限がある方もいるのではないでしょうか。
食に起因する健康被害としては、先ほどこじま
委員からもございましたが、食中毒、このほかにアレルギー原因物質であるアレルゲンにも留意する必要があると考えます。しかし、
飲食店や
イベントなどで提供される食事については、このアレルゲンの表示が法的に義務づけられておりません。
厚生労働省は、アレルギー疾患
対策基本法に基づいてアレルギー疾患
対策の推進に関する基本的な指針を策定し、外食
事業者や食品関連
事業者に対し、アレルゲン情報の提供を求めているところであります。アレルゲンが含まれるかどうかは、お店や商品を選択する際において大変重要な情報ですので、アレルゲンの情報提供を積極的に行うお店がふえることが望まれます。
外国人
観光客の中には、日本語を話すことはできても、読むことが苦手な方も多くいらっしゃると考えられます。実際に、私が高校生や大学生のころに留学生の方々から聞いたのは、日本語を話せるようにはなったけれども、日本語を読むことが難しいといったお話をよく耳にしました。私の親戚にも日本とオーストラリアのハーフの方がいらっしゃいまして、日本語を話すことはできても読み書きはなかなか難しいという方が実際にいらっしゃいます。そういった方々にとって、やはり、日本語を読む難しさのため、結果として日本の表記がわかりづらいものとなってしまっている可能性があります。外国人
観光客に向けては、わかりやすい方法でアレルゲンの情報提供を行うことも、
札幌の食のブランドイメージの向上につながるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、外国人
観光客に対するアレルゲンの情報提供を推進するために、現在までにどのような
取り組みを行ってきたか、また、本計画案において今後どのような
取り組みを行うか、お聞きいたします。
◎細海 食の安全担当部長 外国人
観光客に対するアレルゲンの情報提供についてお答えいたします。
現在までの
取り組みについてでありますが、
札幌市で独自のアレルゲンピクトグラムを平成27年度に作成し、情報提供に活用しております。このピクトグラムは、一目見てその食品に含まれるアレルゲンがイメージできるよう、国際協力機構、JICAの研修生の意見を踏まえ、外国人
観光客にとっても理解しやすいデザインとしております。
また、
事業者誰もが自由にピクトグラムを使用できるよう、
ホームページに掲載しているほか、地下歩行空間で開催する
イベントの商品説明に使用するなど、ピクトグラムの利用促進に努めております。
次に、今後の
取り組みについてでありますが、現在作成している27品目のピクトグラムのほか、アレルゲンの追加に応じて適宜作成を進めるとともに、その活用方法やアレルゲンの内容を紹介する
事業者向けリーフレットを新たに作成してまいります。
また、本計画案の指標でありますアレルギーメニュー表示等の一歩進んだ
取り組みを行っている食の安全・安心おもてなしの店についても、グルメ情報誌などの媒体を活用し、さらなる登録店の増加に努め、アレルゲンの情報提供に取り組む
飲食店等の拡充を図ってまいりたいと考えております。
◆恩村
健太郎 委員 今の答弁にもございましたピクトグラムは、私も実際にパソコンで見せていただきました。本当にわかりやすく、いい
取り組みだと感じております。これがより一層広がっていくと、外国の
観光客の方々にとっても、日本で過ごす上で非常に快適に自分の食を選んだりすることもできるのかなと感じているところであります。
アレルギーは、アナフィラキシーショックを起こして、命にかかわることでもあります。また、食中毒は、感染すると高齢者や
子どもが亡くなることもございます。私も保育士であったからこそ、アレルギーや食中毒の怖さというものをよく知っておりますので、先ほども申し上げたとおり、
札幌市として、引き続き
対策に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。また、アレルゲンの情報提供の拡充を図ることで、外国人
観光客にとっても安全・安心な食を楽しんでいただき、
札幌のさらなるイメージアップにつなげていただきたいと思います。
そして、今後、さらに増加していくことが見込まれる外国人
観光客においては、宗教的な食事の問題等も出てくるかと思われます。宗教上、食べられるもの、食べられないものなどがある
観光客も一定数いらっしゃると思いますので、
札幌市として、世界中からたくさんの
観光客にお越しいただくためにも、アレルゲンの情報提供と同じように、今後は食品原材料の表示のピクトグラム化なども拡充していくように、関係各部局間における連携を図って対応の充実に当たっていくことも検討されてみてはいかがかなということをご提案させていただきまして、私からの質問を終えさせていただきます。
○
太田秀子 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
太田秀子 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、本日の
委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後2時29分...