次に、2の主な
ポイントをごらんいただきたいと思います。
ポイントの1点目として、超
高齢社会、
人口減少を踏まえまして、市民の多様な暮らしを支える
取り組みに力点を置きました。2点目として、まちの魅力と活力をさらに高めるため、都市の
リニューアルを引き続き推進してまいります。3点目といたしましては、持続可能な
開発目標でありますSDGsの視点を踏まえた
計画づくりをしたこと、4点目といたしましては、まちの強靱化や魅力の向上に必要となる
建設事業費について、引き続き毎年度1,000億円の規模を確保したことであります。5点目といたしまして、
市民サービスの高度化に向けた不断の
市役所改革に取り組む
行政運営の推進とともに、6点目といたしまして、長期的な視点に立った
バランス重視の
財政運営といたしまして、
計画期間の4年間にとどまらず、今後15年間を見据えた
財政見通しのもとに計画を策定いたしました。
この結果、3の
計画事業費にありますとおり、
計画事業費は1兆254億円となりまして、現計画から約23%の減となりますが、参考掲載しております2023年度分を含めますと、5年間の事業費は1兆3,125億円となりまして、現計画と同規模となります。
次に、2ページをお開きください。
このページに記載している1から5までの項目と次の3ページの6の項目までは、これまでご説明した内容と重複いたしますので、割愛させていただきます。
3ページの中段、7の
基本方針と
重点プロジェクトをごらんください。
市長が6月に表明しました
施政方針に掲げた二つの未来の札幌の実現に向けて、
施政方針に掲げる六つの
まちづくりを踏まえて、今後特に力を入れて取り組む事柄を五つの
重点プロジェクトとして位置づけました。また、これらの
重点プロジェクトを持続可能な形で進めていけるように
行財政運営の
取り組みを進めてまいります。
4ページをごらんください。
今回の
計画事業総数は613事業でありまして、総事業費は1兆254億円となりました。また、資料の中ほどに記載しておりますとおり、今回は、既存の未来へつなぐ笑顔の
まちづくり推進事業とは別に、区の地域性や特色を生かした区事業を個別に計画化しております。
ここで、少し飛びますが、6ページをごらんください。
このページ以降では、
まちづくりの
取り組みにおけます主な事業を
戦略ビジョンに掲げます三つの
創造戦略であります暮らし・
コミュニティ、産業・活力、低
炭素社会・
エネルギー転換、それから戦略を支える
都市空間の4分野ごとに取り上げております。
まず、暮らし・
コミュニティでありますが、住みなれた地域で安心して暮らせる
まちづくりを目指して、いわゆる老老介護や8050問題といった福祉に関する複合的な課題に対応するため、
基幹型地域包括支援センターを全区役所に整備することで、
地域包括ケア体制を拡充いたします。また、重度障がいによりまして長時間の介護を要する方に対するヘルパーの介護時間を拡大いたします。このほか、
健康寿命延伸の
取り組みを全区で展開するとともに、
単身高齢者などに対するいわゆる住宅の貸し渋りの解消に向けた
住宅確保支援を実施してまいります。
次に、6ページの中段をごらんください。
子どもが健やかに育つ
環境づくりを目指しまして、
医療的ケアを要するお子さんの
支援体制を整備するため、
公立保育所や小・中学校、
児童クラブに看護師を配置してまいります。また、
児童虐待への迅速かつより的確な対応に向けまして、第2
児童相談所整備に着手するほか、
各区保健センターに
母子保健相談員を配置するなど、
相談支援体制を強化してまいります。さらに、
子ども医療費助成の対象を小学6年生まで拡大するほか、奨学金の
支給決定者数について年間200名ほど増加させる予定でございます。
次の7ページにありますけれども、
私立保育所などの整備によります
保育定員の拡大や
保育人材の確保にも引き続き取り組んでまいります。
7ページの中段をごらんください。
産業・活力の分野でありますが、現下の課題であります若者の道外への転出超過などに対応していくため、新社会人の経済的な負担となっております奨学金の返還を支援することにより、若者が地元に就職し、定着できる
取り組みを推進してまいります。また、介護や障がい、保育や建設、
IT産業など、
人手不足が顕著となっております分野の
人材確保や
育成対策を進めてまいります。このほか、若者の
雇用創出、
地元定着を目指した
スタートアップ創出支援や、企業誘致などに関する補助を拡充して、
オフィスビル建設に対する補助を創設いたします。
8ページをごらんください。
札幌の
基幹産業であります観光業をさらに伸ばしていくために、スノーリゾートシティーとしての
ブランド化に
取り組みますとともに、新たな
MICE施設の整備を進めてまいります。また、都市の
リニューアルや交通網の整備に向け、
北海道新幹線の
札幌開業を見据えた札幌駅周辺の再
開発支援や
都心アクセス道路の
早期整備を推進していくとともに、
地下鉄南北線さっぽろ駅のホームを増設して駅の混雑解消を図ってまいります。このほか、2度目の
冬季オリンピック、初の
冬季パラリンピックの招致に引き続き取り組んでまいります。
次に、
ページ中段に記載しております低
炭素社会・
エネルギー転換につきましては、
民間事業者を活用した学校などの
市有施設への
太陽光発電設備の導入や、
札幌版ZEBのモデルを構築してまいります。
戦略を支える
都市空間につきましては、
札幌ドームの
活用促進といたしまして、
アマチュアスポーツの利用の推進や、多様な規模のコンサートなどを開催できるような
機能拡充に取り組んでまいります。また、
硬式野球場の不足に対応するため、新たな
硬式野球場を整備するとともに、
冬季オリパラ招致に関連して、
月寒体育館や
美香保体育館などの更新といった
スポーツ施設の再配置、再整備を推進してまいります。
恐縮ですけれども、再び4ページにお戻りいただきまして、中段に3−1
行政運営の取組とあります。右下にあります図とあわせてごらんいただきたいと思います。
財源や人材が限られております中で、より質の高い
サービスを将来世代にわたり提供していくため、市民とともに歩む、市民に寄り添った
行政運営、不断の
市役所改革に取り組む
行政運営、さらに、他自治体との連携を深める
行政運営の3点を方針に掲げて
行政運営を行ってまいります。これらの方針を実現していくため、
地域課題解決ネットワークの充実など、市民、企業などとの協働や総合的な
窓口利便性向上などの
市民サービスの高度化、さらには、業務の見える化に基づく
既存事業の見直しなどの業務の効率化、生産性の向上などに取り組んでまいります。
5ページをごらんください。
ここでは、
財政運営の
取り組みについて記載しております。
財政運営につきましては、メリハリの効いた
財政運営、持続可能な
財政構造への転換、将来世代に過度な負担を残さない健全な
財政運営の三つの方針をもとに、具体的な
取り組みを行ってまいります。
取り組みの一つ目は、
予算編成手法の改革といたしまして、
計画期間の事業費と財源を示した
中期財政フレームの策定と、
局マネジメント機能の強化など、
予算編成手法の改革を進めてまいります。
次に、二つ目の歳入・歳出の改革といたしまして、限られた財源の中で本計画に位置づけられた事業に資源を配分するとともに、必要な
行政サービスを持続的に提供していくため、歳入歳出の全般にわたる見直しを進めてまいります。
三つ目の
財政基盤の強化といたしましては、自立的な
行財政運営を実現するため、
地方税財源の拡充や税源涵養の推進のほか、公有財産の戦略的な活用を進めてまいります。
これら三つの
取り組みの
財政効果といたしまして、333億円の効果額を見込んでおります。
最後に、四つ目の
財政規律の堅持でありますが、今後の
社会経済情勢の変化などに備えて、可能な限り市債の発行額の抑制などに努め、将来に過度な負担を残さないよう
財政規律を堅持してまいります。
また、基金につきましては、
まちづくりの
取り組みを進めるために活用してまいりますが、可能な限り活用額の抑制を図って将来に引き継いでまいります。
次に、ページの中段に
中期財政フレームを掲載しています。
今回の
中期財政フレームは、今後15年程度の長期的な
財政見通しの試算を行い、それも踏まえて策定しております。
公共施設の
更新需要などによりまして一定の
基金活用が必要となりますが、表の右下にお示ししておりますとおり、15年後の2033年度においても300億円程度の基金残高を維持できる見通しでございます。必要な
財政需要に対応しつつ、市債や基金の残高は適正な水準を保つことができる見通しでありまして、財政の健全性は維持できるものと認識しております。
最後に、4の
策定スケジュールをごらんください。
この後、10月28日から11月26日までの間、
パブリックコメントを行った後に年内の
計画公表を目指してまいります。
なお、お手元の
参考資料といたしまして、長期の
財政見通しや
財政効果額を算定する過程で想定しました個別の
見直し項目について、一定の条件や仮定のもとで積算した一覧表を添付しておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
○
小竹ともこ 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
小田昌博 委員 私からは、ただいまの説明を踏まえまして、3点質問いたします。
まずは、
アクションプラン策定に係る
議会意見の反映についてです。
札幌市
まちづくり戦略ビジョンの
中期実施計画である
アクションプランは、
戦略ビジョンが目指す
まちづくりの理念を具体化するものであると同時に、先日、
市長自身が記者会見で発表したとおり、市長の
公約実現の道筋をつけるための計画であり、今後4年間に札幌市が行う全ての
政策経費が盛り込まれており、その実施の裏づけとなる
財源見通しもあわせて示されていることから、今後の
行財政運営や
予算編成の指針となる非常に重要な計画であります。
また、本プランは、
まちづくりを初め、福祉や子育て、教育、建設などさまざまな分野にわたっており、今後4年間の方向性を定める計画であることから、各分野の施策の方向性やそれぞれの事業の進め方について、さまざまな観点に立った幅広い議論が必要であると考えます。
しかしながら、今回の
プラン策定に当たっては、本日の
総務委員会が行われた後すぐの10月28日から約1カ月間の
パブリックコメントを経て年内に策定するとのことでありますが、計画の重要度に比べて議論に必要な時間が十分には確保されていないのではないかと考えております。今後の札幌市の施策や事業がこの
アクションプランに沿った形で進められていくことを踏まえると、各分野の事業に係る
議会意見を反映した上でプランを策定していく必要があると考えます。
質問ですが、プランへの
議会意見の反映の仕方についてどのように考えているのか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 アクションプラン策定に係る
議会意見の反映についてお答えいたします。
今回の
アクションプラン案は、札幌市
まちづくり戦略ビジョンの実現とともに、
市長公約に基づきます
施政方針の具体化を図る計画であり、これまでの
議会議論なども踏まえながら
計画づくりを行ってまいりました。この計画は、今後の
行財政運営や
予算編成の指針として今後の
取り組みの大枠をお示ししたものでありまして、計画案における個々の事業につきましては、4年間の
事業内容と事業費の大まかな見通しを示したものと考えております。これらの事業を具体化する際には、その時々の
社会経済情勢に対応しつつ、今後の
議会議論などを踏まえながら、
事業内容や手法などについて、適時、検証、見直しを行っていく必要があると認識しております。
このため、計画の推進に当たりましては、関連する事業の予算などに関する
常任委員会や
予算特別委員会などさまざまな機会を捉えて幅広い
議会議論をいただきながら、
事業内容の見直しや新たな事業の実施などを含めて柔軟に計画を推進し、複雑多様化する
地域課題や
市民ニーズに的確に対応していきたいと考えております。
◆
小田昌博 委員
アクションプランの策定は、今後4年間にわたる数多くの
取り組みを盛り込んでおり、その策定は大変な作業であったというふうに聞いております。そのような計画だからこそ、
議会意見を酌みながら進めていただきたいと考え、また、日程上の工夫の余地がないかを検討することを求め、あわせて、
議会審議をより丁寧に進めることを指摘いたしまして、次の質問に入ります。
続きまして、
アクションプラン2019における大きな視点について、順次、伺います。
まず、この
アクションプランを策定するに当たっての基本的な考え方についてです。
今後、札幌市においては、
少子高齢化の進展や
人口減少局面への突入などの
人口構造変化に伴う
社会保障費の増加や税収の減少など、
社会経済情勢の変化が見込まれる中、足元の数年間だけではなく、ある程度の中長期的なスパンにおいて
まちづくりをどうするのか、財政的にそれを実現することができるのかを考えていくことが必要であります。
今回の
アクションプランは、大都市へと発展、成長した札幌市を次世代へ引き継いでいくために先行して行う計画ですが、その策定に当たっては、
中期財政フレームの設定に限らず、15年間の長期的な
財政見通しを踏まえるなど、一定程度、先の将来を見据えたものである旨、説明があったところであります。
しかしながら、4年間とはいえ、今後の
人口減少に伴う
就労人口減や高齢者の増加の傾向は続くものと考えられ、これにより、
自主財源の
減少傾向と
社会保障の伸びによる
義務的経費の増大は待ったなしの状況であり、
中期的展望の見方によっては
計画自体が機能しないことも想定されます。
そこで、質問です。
そのような中長期的な展望を踏まえ、特にこの計画において力点を置いたものは何か、お伺いいたします。
◎芝井
政策企画部長 今回の
アクションプランにおけます
まちづくりの
取り組みの力点についてお答えいたします。
超
高齢社会の進展や
人口減少に加えまして、
公共施設の
大量更新期に入るなど厳しい時代を迎える中で、この豊かな札幌のまちを次の世代にいかに引き継いでいくかが中長期的な課題であると考えております。
こうした認識のもとで、今回の計画案では、市民の多様な暮らしを支える
取り組みに力点を置きました。具体的には、住みなれた地域でいつまでも元気で暮らせるまちの実現に向けて、
地域包括ケア体制の拡充や
健康寿命の延伸を図るとともに、子どもを社会全体で支えるために、
医療的ケアが必要な児童などへの支援の拡充や、
児童虐待へのより迅速かつ的確な対応に向けた
相談支援体制の強化などを図ってまいります。
また、まちの魅力と活力をさらに高める都市の
リニューアルにも力を入れました。具体的には、
北海道新幹線の
札幌開業を見据えた札幌駅
交流拠点整備などの再
開発事業や、
冬季オリンピック・
パラリンピック招致を推進してまいります。加えまして、これらの
計画事業の実施を担保する
中期財政フレームの設定におきまして、4年間の
計画期間にとどまらず、15年間にわたる長期の
財政見通しを踏まえることにより、将来世代の負担に配慮した持続可能な
まちづくりを進める点にも意を用いたところでございます。
◆
小田昌博 委員 次に、今回の
アクションプランにおける
建設事業費の計上の考え方について伺います。
前計画である
アクションプラン2015においては、経済の活性化を前面に打ち出し、都心の再
開発支援による
民間投資の積極的な誘導が進められてきました。とりわけ
建設事業費については、年間1,000億円規模を継続して確保し、それまでの
公共事業の抑制基調を転換したことは、我が会派としても評価するところです。今後、老朽化が進む
都市基盤の
更新対応や、冬の暮らしに欠かすことのできない
除排雪作業など、安全・安心な
市民生活を支えていく上で
地元建設業界の役割はますます重要になると考えており、
建設事業費の総量を安定的に確保し、前もって示すことは、建設業における
人材育成や
設備投資を進めるために非常に重要だと考えます。
これまでの都市の発展とは違い、
人口減少が叫ばれる中にあって、いかに地域において住み続けられる社会となるかが問われているところであり、これまでの
公共施設等の建設のあり方についても変化せざるを得ない状況が想定されており、いかに
市民生活を支える事業として成り立つものなのか、
都市経営における最少の経費で最大の効果を上げるために、バランスも考慮する中でどのように検討し、事業を実施していくのか、最も重要な視点になるものと考えます。
そこで、質問です。
アクションプラン2019における
建設事業費の計上の考え方を伺います。
◎芝井
政策企画部長 アクションプランにおける
建設事業費の計上の考え方についてお答えいたします。
建設事業費の計上に当たりましては、まちの強靱化や魅力の向上を図りながら、都市の
リニューアルを引き続き進めていくことを主眼として必要な事業の検討を行ったところでございます。具体的には、道路、河川、公園の整備や、
市営住宅、学校の改築、さらには清掃工場の更新など、まちの強靱化に資する
取り組みを計画しましたほか、札幌駅
交流拠点整備などの再
開発事業や新
MICE施設整備、新たな
硬式野球場の整備など、まちの魅力の向上に資する
取り組みを盛り込みました。この結果、4年間の総額で4,493億円を計上して、
計画期間を通して年1,000億円規模の
建設事業費を確保いたしました。
このように
計画期間内の
建設事業費の総量を前もって示すことによりまして、
地元建設業界における中長期的な視点に立った
人材確保や
設備投資にも資するよう配慮していきたいと考えております。
◆
小田昌博 委員 現プランに引き続きまして、
建設事業費は年間1,000億円規模を確保するとのことでありました。
地元建設業界への配慮を念頭に置きながら、今後の
予算編成等において着実に実施していただきたいと思います。
最後になります。
今回の
アクションプランについて、札幌市にとって喫緊の課題である
人口減少・超
高齢社会に対応した
取り組みが多く盛り込まれている点については一定程度評価するものの、このプランは
まちづくりに関する総合的な
行政計画である一方で、札幌市における4年間あるいは5年間という中期の
予算編成や、
行財政運営の方向性のアウトラインを示す重要な見取り図であります。この点を踏まえ、先ほども申し上げましたが、今後の札幌市の市政執行の重要な柱となる計画について、
議会意見の反映と議論の機会を確保することの重要性について十分認識の上、今後の対応に当たることを強く指摘して、私の質問を終わります。
◆田島央一 委員 私からも、札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2019(案)の市民の多様な暮らしを支える
取り組みについてお伺いしていきたいと思います。
資料にある
総務省統計局が2015年に実施した国勢調査の結果によれば、札幌市の
高齢化率は24.9%と、
政令市平均の24.8%とほぼ同等であり、北海道の29.1%よりも低い数値となっています。一方で、高齢化は今後急速に進展し、2060年には
高齢化率が42%に達することが見込まれております。このような中で、市民は、住みなれた地域でこれまでと同様の暮らしを続けられるのかどうか、必要な介護や医療をこのまちでしっかりと受けられるのかどうかという点について不安を抱いているものと考えております。
また、高齢者がふえる一方で、
生産年齢人口については既に
減少局面に入っており、2015年と2060年を比べた場合、124万人から76万人と、実に48万人の減少が見込まれているところでもあります。このように、働き手が少なくなる見通しの中でも、高齢者の生活を支える介護や医療がしっかりと提供される
体制づくりを推進し、市民の安心な暮らしを守っていくことこそが、今後、札幌市が取り組むべき1丁目1番地の
取り組みと言えると思っております。
そこで、お伺いしますが、今回策定する計画では、超
高齢社会、
人口減少を踏まえ、市民の多様な暮らしを支える
取り組みに力点を置いたという説明がありましたが、どのような
取り組みを計画したのか、具体的な
取り組み内容について、その背景を含めて、札幌市の所見をお伺いしたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 市民の多様な暮らしを支える
取り組みの内容についてお答えいたします。
高齢化が急速に進み、
人口減少局面を迎えつつある中で、市民の暮らしに関するニーズが一層多様化・複雑化していることを踏まえまして、この計画案では、市民の多様な暮らしを支える
取り組みに力点を置いて策定を進めてまいりました。具体的には、住みなれた地域でいつまでも安心して暮らせる
まちづくりを進めるために、
地域住民の潜在的な
支援ニーズを把握して必要な支援につなげます
基幹型地域包括支援センターを全区に配置するとともに、医療と介護の連携を支援する
相談窓口を強化するほか、
単身高齢者への住宅の貸し渋り問題などにも対応してまいります。
また、子どもを健やかに育てる
まちづくりを進めるために、小学校における少人数学級の拡大に取り組むとともに、
児童虐待により的確に対応するために、第2
児童相談所の整備や各区の
相談体制強化に取り組んでまいります。さらに、介護や保育などの
人手不足に対応していくために、
人材確保に関する啓発や
事業者支援などを進めてまいります。
◆田島央一 委員 介護が必要になってもしっかりと
サービスを受けられるような
体制づくりの強化にぜひとも取り組んでいただきたいと思いますし、人材不足にも対応することで、市民の安心な暮らしを守っていただきたいと思っております。
今月、私は、道北の宗谷管内の枝幸町を視察してまいりました。その際にも、いろいろな分野で人材不足が顕著になっておりまして、現実に、今まで1次産業に中国人技能実習生が入って地域を支えていたのですが、今は酪農分野にベトナム人の技能実習生が入ってきておりました。それだけではとどまらず、枝幸町役場の職員にベトナム人が非常勤職員という形で働き始めておりまして、これからは介護の分野で相当に
人手不足になるということで、その部分に対しても相当ケアをしていかなければいけない。そういう中で、やっぱり文化が違っていますから、いろいろなマッチングだとか文化的な摩擦がないようにやっておりますが、もう役場の職員に採用するぐらい、今は逼迫している状況もあります。
今回の計画を見る限りでは、外国人技能実習生をうまく活用してということまでの記載はありませんが、今後、
生産年齢人口が相当減少していく状況にありますので、長期的な視点に立ったら、多分、そういった
取り組みも進めていかなければならないのかなと思っております。いずれにしても、今、計画に盛り込んだことに着実に取り組んでいただくことをお願い申し上げます。
次に、身近な交通手段の維持を含めた公共交通体系の確立についてお伺いしていきたいと思っております。
札幌市が今後迎える超
高齢社会と
生産年齢人口の減少については先ほど触れたとおりでありますが、この影響は、特に身近な交通手段である路線バスについて、人材不足や乗車料金の収入減など、さまざまな面で大きく顕在化していくことが想定されます。路線バスは、市民の身近な移動を支える輸送機関として、地域と都心、地下鉄駅、JR駅等の交通拠点を結ぶ重要な役割を担っている一方、市内の路線の55%が赤字であり、札幌市からの補助で路線維持が図られている状況だと承知しております。
人材不足で乗務員の確保が難しいという声がバス運行会社からも聞かれる中、乗車人員の減少が続けば、収益性の低い路線は維持が限界に達し、市民の生活にとって必要不可欠な交通手段を失うことになりかねないと思います。人口構造が大きく変化する転換期に当たり、市民の暮らしを守るためには、バスだけでなく、公共交通全般について、持続可能な公共交通ネットワークのあり方を総合的に検討しなければならない時期が到来するのではないかと考えます。そのためには、中心部乗り入れ路線のあり方や、郊外バス路線の拠点集約を検討するなどとともに、現行の乗り継ぎ方法のままでよいのかという話や、市民の料金負担及び交通局の収益を最適化するなどを計算、検討すべきと考えます。また、それらに付随して、バスターミナルなどの集約拠点のあり方も変わる可能性があることから、単に交通計画だけに限らず、
まちづくり全般に関係していく話ではないだろうかと考えます。
そこで、お伺いしますが、今回策定する計画では、身近な交通体系の維持を含めて、公共交通体系の確立に向けた
取り組みをどのように進めていくつもりなのか、札幌市の所見をお伺いしたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 身近な交通手段の維持も含めた公共交通体系の確立についてお答えいたします。
人口減少と超
高齢社会の到来や外国人観光客の増加など社会情勢の変化が進む中、高齢者や障がい者など誰もが使いやすく持続可能な公共交通体系の確立や、
北海道新幹線の
札幌開業と、これを見据えた広域交通ネットワークの充実が重要だと考えております。
このため、ユニバーサルデザインタクシーやノンステップバスの導入、さらにはバスターミナルのバリアフリー化など、誰もが安心して利用できる環境整備を進めますほか、バスネットワークの維持に向けて乗り合いバスの路線維持にかかわる補助を継続しますとともに、小型車両の導入やデマンドバス運行などについても検討を進めてまいります。
また、増加する観光客の効果を道内全域に広めるために、
北海道新幹線札幌開業の早期実現に
取り組みますとともに、
都心アクセス道路を初めとした骨格道路網の整備など、広域交通ネットワークの充実に向けた
取り組みを進めてまいります。
なお、全市的かつ長期的な交通施策につきましては、今年度末に予定しております総合交通計画の改定に向けて議論をしてまいりたいと考えております。
◆田島央一 委員 路線維持に向けた補助の継続のほか、全市的な交通施策のあり方についての検討も進めていくとのことでありましたが、路線維持に向けた補助の継続だけでは既存の手法と余り変わらないということもありますので、それで本当に持続可能となるのか、さまざまな検討が必要と思われます。
秋元市長は、
施政方針においても、さらに増加が見込まれる高齢者が、この札幌でいつまでも元気で活躍し、介護や福祉
サービスなどを必要に応じて受けることや、住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる、そんなまちをつくり上げていくことが求められているとしております。計画された
取り組みを確実に実行し、課題を乗り越え、このすばらしいまち札幌を未来の世代に引き継いでいくためにも
取り組みを進めていくことを求めます。
次の質問に移ります。
札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2019にある
ポイントの一つに、長期的な視点に立った
バランス重視の
財政運営が挙げられております。
財政運営の
取り組みには、具体的には、公有財産の戦略的な活用のため、行政目的で利用が見込めない土地の売却等を推進するとの手法が示されております。さらには、
財政運営の
取り組みの合計効果額を333億円とし、そのうちの200億円が土地の売却による効果額としております。
そこで、お伺いしますが、これまでも公有財産の活用を行ってきたかと思いますが、今後、行政目的での利用が見込めない土地を売却するに当たって、売却方針や運用などを含め、この期間内でどのように
取り組みを進めていくのか、札幌市の所見をお伺いしたいと思います。
◎梅田 財政局財政部長 公有財産の利活用の
取り組みについてのご質問にお答えいたします。
今回の
アクションプランにおきましては、本市の保有する平成30年度末時点の普通財産の土地と、土地開発基金の土地で再
開発事業等に活用する予定の土地を見込んだ総額約600億円の3分の1程度について、売却による効果額200億円を見込んでいるところでございます。将来的にも行政目的での利用が見込めない土地を民間に売却することによりまして、売却収入に加えて、
民間投資の促進による経済の活性化、また、固定資産税等の増収が見込まれることもありまして、税源涵養による
財政基盤の強化にもつながるというふうに認識してございます。
売却の対象といたしましては、
公共施設の跡地とか、今後行政利用の見込めない土地、あるいは、基金で先行取得したもので再
開発事業等に活用される見込みの土地などを想定してございます。
売却に当たりましては、財政収支の状況を踏まえつつ、個々の土地の利用状況や今後の土地の利用計画について庁内で調整を行った上で、毎年度の
予算編成の中で整理していく所存でございます。
◆田島央一 委員 運用の部分で、土地を売却するに当たっては、実際にほかの局が使うかどうかということの確認も含めて庁内での作業があるかと思うのですが、それに相当な時間がかかっているようです。過去の公有財産なり土地を売却する際に、内部の検討時間が長過ぎてしまって、このタイミングで買いたいという人がいたとしても、1年も待たされているとやっぱり状況も変わってきたりしますから、そこは相当スピーディーに対応していかなければならないのかなと思っております。
北海道新幹線の札幌延伸がありますので、多分、そこまでは地価も上昇傾向にあるかと思いますが、4年間の中でしっかりスピード感を持ってその
取り組みを進めていただきたいなと思っております。そうじゃないと、いい意味でのチャンスを逃してしまうことになりかねないので、庁内検討の時間をゼロにしろとは言いませんが、短くして、ぜひとも機会の創出をしっかり図っていただきたいなという点を指摘させていただきます。
最後の質問になりますが、
参考資料2の
財政運営の
取り組みです。
こちらに
見直し項目の一覧が示されており、
行政サービスの効率化の推進、
サービス水準の在り方の検討、
公共施設マネジメントの推進、受益者負担の適正化、企業会計繰出金の見直し、収納率の向上、債権管理、社会情勢の変化に即した負担の在り方の検討、公的財産の戦略的な活用と具体的な項目が挙げられております。効果額が示されているものと示されていないものもある中、いずれも期間は
令和元年度から令和4年度になっております。
そこで、お伺いしていきたいと思いますが、今回の資料に示された
財政運営の
取り組みにある具体的な見直し方針全体について、今後どのような手法で見直しがなされるのか、また、令和4年度までに一定の方向性を導き出し、効果を出すという認識でよいのか、札幌市の所見をお伺いしたいと思います。
◎梅田 財政局財政部長
見直し項目の考え方についてでございます。
まず、質問の1点目の
財政運営の
取り組みにおける見直しの手法についてでございます。
今回の
見直し項目のうち、
行政サービスの効率化の推進や、収納率の向上、あるいは債権管理といった事務事業の執行方法や体制の見直しにつきましては、可能な限り早期の実施に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。一方、
サービス水準の在り方の検討や、受益者負担の適正化といった市民の皆さんにご協力、ご理解をいただかなければいけないものの見直しについては、今回の
パブリックコメントで寄せられたご意見を踏まえるとともに、必要に応じて市民議論の場を設けるなど、丁寧に検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
その上で、具体化に当たっては、毎年度の予算案や条例改正案などの審議を通じてご議論をいただきたいというふうに思ってございます。
2点目の令和4年度までに効果を出していくかどうかということについてでございます。
今回お示しいたしました
見直し項目につきましては、引き続き庁内議論を進めていきますとともに、必要に応じて市民議論などを経て、効果額を計上していない項目も含めて、今回のプランの
計画期間であります令和4年度までには具体化をして、効果を出すことをまずは目指してまいりたいと思っております。ただ、全て具体化できるかどうかということもありますので、具体化できない場合でありましても、一定の見直しの方向性について、期間中にめどをつけるべく検討を進めてまいりたいと考えております。
将来においても安定して
行政サービスを提供できる持続可能な
財政構造への転換を進めていくためには、本プランの
計画期間にとどまらず、事務事業全般について継続して見直しの検討を進めていく必要があるというふうに考えてございます。
◆田島央一 委員 この見直し内容で示されたことについては庁内議論を経てやっていくということで、ある意味、決意ということで受けとめさせていただきました。
市民議論ももちろんでありますが、今回の
アクションプランの案が出てきて、個別計画ではこれを単年度予算で落としていきますから、その中では、市民議論のみならず、
議会議論ということもしっかり踏まえてこれが進んでいくということは理解しております。
ただ、心配するところは、報道にも既に出ていますので、いろいろな利用料とか入場料の見直しを含めて、やはり、市民の関心が非常に高いところでもあります。我々も、このプランをもとに、今後の
議会議論の中で積極的に発言しながら、計画の推進に向けて
取り組みを進めていきたいと思っておりますので、その点を申し述べて、私からの質問を終わらせていただきます。
◆小口智久 委員 私からは、札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2019(案)におけるSDGsの視点の反映についてと計画の柔軟な推進についての2点について質問いたします。
我が国は、
人口減少や超高齢化の進展といった時代の転換点を迎えておりますが、札幌市を取り巻く状況も同様で、今後、
少子高齢化に伴う人材不足や
社会保障費の増加、
公共施設の老朽化に伴う更新費用の増加、そして、頻発する災害への対策など、多種多様な課題が山積しております。このような状況が見込まれる中、多くの市民に愛され、魅力と活力にあふれる札幌のまちを持続可能な形で将来に引き継いでいくためには、中長期を展望した視点を常に持ちながら市政運営に取り組むことが重要であり、今回の
アクションプランは、将来の札幌の羅針盤となるべき大変重要な計画であると考えております。
我が会派は、持続可能な
まちづくりという観点に立ち、かねてから、国際的な
開発目標であるSDGsの理念に基づく
取り組みの重要性を指摘してきました。本プランでも、本書の19ページに
アクションプランとSDGsの関係性を図示しております。ちょっと見ていただきたいのですが、この図の中には、まず、経済、社会、環境という三つの四角が逆三角形になって配置されておりまして、これらは、最終的にバランスよく解決されていかなければならない3側面と言われているものでございます。
これは、ちょっと前にはトリプルボトムラインと言われております。帳簿上の一番最後の行というのはとても重要だということで、それを例としてボトムラインと言われるもので、トリプルですから三つということでございます。この三つの柱は、2000年の国連サミットで採択されまして、SDGsのちょっと前にMDGsというものがありましたが、そのときから目標とされている3本柱、3側面でございます。
その後、2015年に採択されたSDGsでございますが、その特徴は、皆様がご存じのとおりの17のゴール、目標があり、それらはこの三つの側面の中にちりばめられております。また、この図の中には描いていないのですが、17のゴールを達成するために169のターゲットがあって、それらの
取り組みが相互に関係しております。つまり、一つのゴールにぶら下がっている数々のターゲット、
取り組みを達成することで、ほかの16のゴールにも相互に関連していきまして、結果的に、経済、社会、環境の三つの側面が、対立することなく、相互に相乗効果を促しながらバランスよく解決していくというのがSDGsの目標であるということでございます。
今定例会の代表質問においても、今回の
アクションプランにSDGsの視点をどのような形で反映しようとしているのか尋ねましたが、市長からは、プランに位置づける各施策とSDGsとのつながりをわかりやすく示すことで、
人口減少下においても都市を持続的に発展させる
まちづくりの方針を市民と共有したいとの答弁がございました。
今回、
アクションプランに初めてSDGsの視点を盛り込んだことは、我が会派としても評価するところでございますが、一方で、計画に取り組むに当たり、SDGsの考え方が具体化されていくことがとても重要でございます。
そこで、質問ですが、
アクションプランの策定において、SDGsの視点を具体的にどのような形で盛り込んだのか、また、その実行をどのように担保していくのか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 SDGsの反映とその進捗管理というご質問かと思います。
今回の
アクションプランでは、札幌のまちの魅力と活力をさらに高め、持続可能な形で将来の世代に引き継いでいく
まちづくりを目指すものでありまして、国連の持続可能な
開発目標でありますSDGsの理念に沿ったものと考えております。
計画案の策定に当たりましては、経済、社会、環境の3側面から統合的に課題解決を図るというSDGsの視点を踏まえて、
計画事業の構築や選定を行いました。また、計画案の政策目標や成果指標と、それらが結びつくSDGsのゴールとを関連づけてお示しすることによって、持続可能な
まちづくりの実現に向けた方針をわかりやすく示すよう意を用いたところでございます。
計画の推進に当たりましては、成果指標のほか、各
計画事業に設定しております事業目標の達成状況などによって計画の進捗管理を行うこととしておりまして、目標達成に向けて
計画事業を着実に推進することで、関連するSDGsのゴールの実現にも貢献していくものと考えております。
◆小口智久 委員 ただいま答弁をいただきましたが、まずSDGsの視点に沿って事業構築を行うとともに、SDGsのゴールと関連づけることで持続可能な
都市経営の実現に向けた方針を示した、そして、成果指標、SDGsで言えばターゲットと言われるものですけれども、それと、そこにぶら下がる事業について、目標への進捗管理を通じてSDGsの
取り組みを具現化していくということでございました。計画策定時にとどまらず、執行段階においても、各
計画事業がSDGsの達成に向けて実効性を伴うものとなるように留意するとともに、先ほどSDGsの特徴を述べましたが、他のゴールも見据えながら、経済、社会、環境の3側面を同時に取り組むことが重要でございます。今回の
プラン策定を契機として、これまで以上に、全市的な観点のもと、SDGsの
取り組みをしっかり学習して組織横断的に進めることを求めます。
次に、計画の柔軟な推進に対する考え方について伺います。
アクションプランは、
計画期間中の全ての政策的事業を網羅するとともに、計画の実効性を担保するため、
計画事業費とその財源を明示した
中期財政フレームを設定しております。このように、今後4年間の中期的な
まちづくりの見通しを立て、それを市民に対して一覧にして示しながら、
計画事業を着実に推進することは、持続可能な札幌の
まちづくりをするために非常に重要であります。
一方で、昨年の北海道胆振東部地震のような自然災害を初め、これまで経験したことがない
人口減少・超
高齢社会といった行政課題、またSociety5.0の実現といった社会システムの変革への対応など、現時点では見通すことが困難な事柄や
市民ニーズにも、その時々のさまざまな状況に応じて的確かつ迅速に対応していくことが求められると考えます。
そこで、質問ですが、今後も
社会経済情勢の変化が見込まれる中で、
プラン策定時に想定していなかった新たな課題への対応を初めとして、硬直的にならないような計画推進のあり方をどのように考えているのか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 硬直的にならないような計画推進のあり方についてお答えいたします。
今回の
アクションプランは、今後見込まれます超
高齢社会や
人口減少に対応すべく、15年間の長期的な
財政見通しを踏まえて、現時点で想定される行政課題への対応に必要な今後4年間の事業を盛り込んだところでございます。一方で、委員のご指摘のとおり、札幌市を取り巻く
社会経済情勢は日々変化しておりまして、計画策定時には見通すことができない事柄や課題に対しては機動的に対応していくことが求められると考えております。
こうしたことから、計画の実行に当たりましては、議会や市民のご意見を幅広くいただきながら、常に事業の必要性、効果を検証して、必要に応じて
計画事業の見直しや新たな事業を実施するなど、柔軟に計画を推進していきたいと考えております。
◆小口智久 委員 計画に非常に柔軟に取り組むということでございますので、計画に入っていないものであっても、これから私たちと一緒に審議して進めていただければと思います。
冒頭に述べましたように、札幌市は、
少子高齢化の進展や
人口減少といったこれまで経験したことがない時代の転換点を迎えております。このような状況の中、今後50年、100年とまちの魅力や活力を維持しながら、将来を担う子どもたちにこのまちを持続可能な形で引き継いでいくためには、中長期的な視点を持って
都市経営を進めていくことが極めて重要です。一方で、刻々と変化する
社会経済情勢を敏感に感じ取り、時期を逸することなく、柔軟かつ迅速に対応するといったバランス感覚がこれからの
行政運営には必要であると考えます。
今後、市役所全体では、このような視点を念頭に置きながら、計画に盛り込んだ
取り組みを中心として、札幌の未来に資する
まちづくりを着実に推進することを求めて、質問を終わります。
◆池田由美 委員 私からも、何点か質問させていただきます。
本市の人口を見ますと、2019年10月1日現在で197万人ということで、このプランにも書かれておりました。増加規模は小さくなっているものの、人口はふえてきているという状況です。ふえている中身を見ますと、市外からの転入も多いのかなというふうに考えています。人口の将来見通しでは、2015年の国勢調査をもとにして独自に推計を行って、2060年には155万人となって40万人減少していく、
生産年齢人口においても76万人となり、48万人が減少していく、一方、老年人口が66万人となり、18万人の増加、そういうふうに推計されているということでした。
人口減少については、少子化が大きな課題であると思いますから、その実態がどうなっているのか、このことが重要だと考えます。
最初に、本市の出生数と出生率の推移を伺いたいと思います。
あわせて、政令市における比較についても伺いたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 本市の出生数と出生率、それから、他の政令指定都市との比較についてお答えいたします。
住民基本台帳によりますと、平成30年の札幌市における出生数は1万3,403人でありまして、この数字については、近年、
減少傾向になってございます。
ちなみに、ピークは、昭和49年の2万5,000人弱でございます。
それから、合計特殊出生率でありますけれども、平成29年の数字になりますが、1.16となっておりまして、こちらもなかなか上がってこないという状況でございます。
全国と比較いたしますと、札幌市の1.16に対して全国では1.43、政令市の中では札幌市の1.16が最低水準となってございます。
◆池田由美 委員 平成30年は1万3,403人で
減少傾向にある、出生率は1.16でなかなか上がらない、そういった実態があって、これは、本当に深刻だなというふうに私も感じているところです。
安心して子どもを産み育てるという点では、課題が多いというふうに思います。本市の少子化の現状に対して
アクションプラン2019で課題を明らかにしていくことが必要ではないかというふうに思いますがいかがか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 札幌市の
人口減少を緩和する計画としてさっぽろ未来創生プランを今つくっておりますけれども、その中で、
人口減少につきましては、やはり少子化が大きな要因となっているものと捉えております。そして、
人口減少は、社会全体の活力低下であるとか経済、財政規模の縮小につながるおそれがあるので、重要な課題であると思っております。
ご質問にありました子育てをする
環境づくりですが、こうしたことについては、国や北海道と連携して、これまでも進めてまいりましたし、これからも進めてまいりますけれども、一朝一夕に結果が出てくるものでもございませんので、粘り強く進めていくことが必要であるというふうに考えております。
◆池田由美 委員 こうした現状をどういうふうに打開していくのか、そういった方向について、
アクションプラン2019にもしっかりと掲載していく必要があるのではないかというふうに思いますがいかがか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 少子化の現状とその打開策というご質問でございました。
今回の計画案では、少子化あるいは
生産年齢人口の減少を踏まえまして、市税収入や
社会保障費の見通し、さらには
公共施設の更新時期の到来など、こうしたことについて市民と共有していきたいということで課題を示しております。
こうした中で、このままでは厳しい財政状況が見込まれますので、持続可能な
まちづくりを進めていくために、民間の力を使いながら、市内経済の活性化や市民所得の向上を通じた
財政基盤の強化に取り組むことが重要であると考えております。こうした認識のもとで、産業・観光振興や企業誘致の推進、さらには、再
開発事業への支援など経済活性化に資する
取り組みを計画化いたしました。
加えまして、スタートアップなどの創業支援や、女性が働きやすい
環境づくり、高齢者の就業支援など、幅広い層の市民の活躍を後押しする
取り組みによりまして、市民所得の向上と個人消費の拡大を図り、市税収入の維持・拡大にもつなげていきたいと考えております。
このように税源涵養の
取り組みを推進することで、将来にわたって安定的な
行政サービスを提供していきたいと思っております。
◆池田由美 委員 いろいろお話しいただいて、ありがとうございました。
私は、このプランに、私が聞きました出生率が1.16であること、また、出生数はこういう人数だということも書き加えながら、課題をきちんと明確に書いていく必要があるのではないのかということを求めたのです。私の質問の中身がわかりにくかったかなというふうに思いますが、出生数とか、出生率がどれだけうまくいってないのかとか、そういった視点をこのプランにも書き加えて市民と共有していく必要があるのではないのかと、私はそういうふうに考えていたところです。
市民は、高齢化のところではすごく意識していると思うのですが、人口は余り減っていないのではないかという思いがあって、
人口減少というところに余り視点を置いていない見方もあるのかなというふうに私は思っておりまして、少子化が大変なんだということをもっと市民と共有していけるような記載があったらいいかなと思っております。未来創生プランにはしっかり書いてありますけれども、こういったプランの中でも、長々と書く必要はありませんが、きちんと掲載していただければなと思っていますので、そこは求めていきたいと思います。
若い人がもっと安心して子どもを産み育てられる社会とすることは、本当に重要なことだと思っています。特に、男女ともに働きながら子育てできる支援として、保育所や学童保育の整備、子育て支援が急がれる課題だというふうに思っています。本書の10ページに財政の見通しについて書かれておりますけれども、
少子高齢化、
人口減少が急速に進み、市税などの財源が減収となっていく、そして、高齢化が進んで、
社会保障費の増加も見られる、
公共施設の老朽化で更新費用もかかっていく、これに伴う返済の増加、こういったことが並べて書かれてあるわけです。そこで、こういったことを打開していくための中身として、この後に続く市長の
施政方針に掲げる六つの
まちづくりと
重点プロジェクトが示されております。
そこで、現状の市民の暮らしや働き方がどうなっているのか、このことについてしっかりとした分析が必要ではないかというふうに思います。特に
アクションプランを作成していくという立場で、今現在の市民の暮らしや働き方をどのように分析されているのか。もしかしたら、先ほど答弁したことがそういった中身なのかなというふうにも思いますが、同じであればそのように受けとめますけれどもいかがか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 このプランはどうしても総合的な計画なので、先ほどの少子化の状況とか、そういった個別のことは、総体のグラフではお示しておりますけれども、数値を持ってこういう推移になっているとか、このプランの中ではそこまで深入りしておりません。それについては、今現在策定中でありますが、未来創生プランの中で改めて
議会審議などをいただきたいと思っております。
現状の市民の暮らしや働き方という点におきましては、先ほど少しご答弁しましたように、現状では少子化などが進んでいるといった状況はお示ししておりまして、それを打開していくために、産業・活力に係る
取り組みを進める、それから、雇用についても、今は
人手不足ということもありますが、より質の高い雇用を確保していかなければならないという認識に立って、スタートアップとか、高齢者の就業であるとか、女性の活躍とか、このプランの中ではそういったことを進めていきたいと考えております。
◆池田由美 委員 わかりにくい言葉の質問で、大変申しわけなかったと思います。
先ほどの答弁を受けまして、介護や保育の
人材確保なども中にありますが、同時に、やはり働く人の賃金が引き上がっていく、そういう安定雇用が大事だというふうに私は考えます。介護であれば全産業平均賃金より8万円低い、保育士であれば10万円低いという実態が今現在明らかとなっております。やっぱり、そういう視点が改善されなければ、幾らやりがいを持って始めた仕事でも働き続けることはできません。市民の実態に合った施策であるのかどうか、そういったことも検討するべきだということを求めておきたいというふうに思います。
次に、市税をふやすためには、やはり、安定した雇用と暮らせる賃金が必要だというふうに思います。そのために、本市はあらゆる手だてを工夫していくべきだと思っているところです。特に、医療や介護、保育の分野の雇用の安定は、個人消費を引き上げ、内需の拡大にもつながるというふうに考えます。給与所得の納税義務者数の推移を見ますと、2017年でちょっと古いですが、収入300万円以下の納税者が39.3%、そのうち200万円以下の収入の方が20.4%となっております。こうした低い賃金の方たちは、やはり非正規雇用であるということが懸念されるところです。また、その非正規率も、今、札幌市では約4割になっていて、その中でも若い人と女性が多いという実態も明らかとなっております。こうした働き方が改善されることで、市民の収入も引き上がっていくというふうに私は考えているところです。札幌市民はどんな働き方であるのか、どんな困難があるのか、そこに思いを寄せていく雇用対策の事業であるべきということを求めていきたいというふうに思います。
次に、
参考資料にあります建設債について伺いたいと思います。
再開発に係る補助金もこの建設債の中に入っていると思っていますが、どの程度を見込んでいらっしゃるのか、伺いたいと思います。
◎梅田 財政局財政部長
参考資料1の市債の建設債残高に占める再
開発事業費の割合というご質問でございます。
参考資料1の建設債残高の見通しのうちの再
開発事業に係る金額につきましては、今後15年間は、札幌駅交流拠点施設の整備、あるいは新
MICE施設整備を初めとする再
開発事業の増加が見込まれておりますので、15年後の2033年におきましては、総額が8,056億円となっていますが、そのうち再
開発事業が583億円となります。また、総額のピークであります2041年は、総額8,214億円となっていて、そのうち再
開発事業が441億円、さらに、50年先の2068年につきましては、総額6,387億円となってございますが、そのうち再
開発事業は222億円に減少していくものとこの資料の中では試算しております。
◆池田由美 委員 2033年と、ピークである2041年、そして2068年のところまでお話をいただきました。2019年では99億円ですが、これから、先ほどの答弁にありました北5西1・西2街区などでの再開発が進められ、再開発がめじろ押しになっていきますけれども、やはり、本市が支出する補助金というふうになってそこがふえていくわけです。こうした補助金の負担は、やはり市民の負担になるわけですから、私は、
アクションプラン2019の案にきちんと書いていく必要があるのではないのか、市民に知らせていく必要があるのではないかと考えますけれどもいかがか、伺います。
◎梅田 財政局財政部長 再
開発事業の市債の残高についても
アクションプランの中で示すべきではないかということでございます。
今回、50年間の
建設事業費あるいは建設債の残高の見通しをお示しするに当たりましては、まずはわかりやすさを重視いたしまして、札幌市が持っている資産のうち8割以上を占めているいわゆるインフラ、道路等とか学校、そして
市営住宅、この三つのほかに、あと、その他ということで大まかに分類をさせていただいたところでございます。
今後、
公共施設マネジメントの
取り組みを進めていくに当たりましては、将来のコスト、あるいは建設債の残高の見通しなど、さまざまな情報につきまして、適宜、市民の皆さんに提供しながら、市民合意を図りながら進めていく必要があるというふうに考えてございます。
◆池田由美 委員 今、50年間の見通しだということと、わかりやすさを重視したのだということで、見てみたいという思いがある市民には適宜お知らせしていくのだというお話だったと思います。
この数字を見ますと、
市営住宅なんかと比較して、多かったり、同等ぐらいだったりという数字だなというふうに思っておりますが、市民の税金が使われていくということには変わりはありません。やはり、どのような
まちづくりがされるのか、自分たちが納めた税金がどのように使われていくのかということですよね。再開発についても、市民は関心を持って見ているというふうに思います。書くことの大変さや見づらいということもあるかと思いますが、適宜、知らせることも重要だなと思います。これから
パブリックコメントを進めるわけですから、そういった視点でも、きちんと書いて市民に知らせていく必要があるのではないのかと私は思っております。
受益者負担などはこれから検討されていくということですから、私は、それに合わせて、市民一人一人に自分たちの納めた税金がどう使われていくのかといったことに関心を持っていただきたいなというふうに思うのです。そして、意見を述べていくことも含めて、そういった
パブリックコメントになったらいいなと思っていますので、ぜひ検討していただければというふうに思っております。
長くなって申しわけありませんが、次に、13ページで、
戦略ビジョンの目標を達成している成果指標という中で、保育園の待機児童数の解消の問題があります。ここは、国定義の待機児童を目標としているわけですが、なぜ国定義の目標になっているのか、そのことを伺いたいと思います。
あわせて、先ほど来、SDGsの話も出ていますが、このゴールの中に貧困をなくすという項目もありますけれども、本市の子どもの貧困対策の現状についてどのように分析されているのか、伺いたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 まずは、待機児童の指標について、ゼロとしているけれども、これは、なぜ国定義の目標なのかということのご質問でありました。
アクションプランにつきましては、
まちづくり戦略ビジョンの実施計画でありますことから、そのビジョンで設定した成果指標を用いて進行管理を行うこととしております。今回の計画案の策定におきましては、数値そのものではなくて、達成状況などを検証した上で目標値を改めて設定しているところであります。
ご指摘の待機児童数につきましては、国定義としておりましてゼロということでありますけれども、引き続き、待機児童を発生させないという考えのもとで目標値を設定しております。この成果指標のあり方や目標値の設定については、今、幼児教育・保育の無償化でありますとか、また、少子化の動向などの影響がまだ不透明でありますので、そうしたところを踏まえて適宜検討していきたいと考えているところでございます。
それから、貧困対策についての現状認識ということでございましたが、子どもの貧困対策につきましては、昨年度、札幌市子どもの貧困対策計画を策定して、その計画に基づいてさまざまな事業を展開しているものと認識しております。
子どもが生まれ育った環境などに左右されないで、夢と希望を持って成長していくことは非常に大事であることから、今回の計画案においても、その対策についての事業を計上しているところでございます。具体的には、子ども食堂に対する支援でありますとか見守り活動などについて計上しているところでありまして、今後も貧困対策に力を入れ、この計画の中でも進めていきたいと考えております。
◆池田由美 委員 今の答弁でいきますと、
まちづくり戦略ビジョンの目標がそうであったという理解でよかったですか。国定義の保育所待機児童数解消の目標は、
まちづくり戦略ビジョンがそうなっているということなのですね。
そうであれば、
まちづくり戦略ビジョンが改定される時期には、そこでこの目標設定について議論がなされる可能性があるということでよろしかったですか。
◎芝井
政策企画部長 それについては、
まちづくり戦略ビジョンの改定時に改めて検討していきたいと思います。
◆池田由美 委員 今、2,000人近い待機児童がいまして、全国でも課題になっているし、札幌市でも本当に大きな課題であるというふうに私も思っているところです。やはり、国定義の目標を持ちつつも、2,000人近い待機児童に対してもいろんな受け皿をつくっていく、そういう目標で取り組まれていることは私も理解しているところです。
しかし、その質に関してはどういった中身としていけるのか、そういった部分でいけば、保護者は、やはり認可保育園を増設してほしい、ゼロ歳から就学まで預けられるところにしてほしい、自分の地域の近いところに入りたい、そういった願いがあります。現状ではこれが国定義ではない待機児童だと言われておりますけれども、こういった願いに立っていくことが大事だとしたら、私は、現状の待機児童数を据えて取り組んでいくことが重要だというふうに思いますので、今後、
戦略ビジョンの改定の時期にはそういった議論をさせていただければなというふうに思っております。
また、子どもの貧困についても、札幌市は子どもの貧困率の数値を持っておりませんけれども、そこをしっかり据えた上で進めていく必要があるのではないのかなという問題意識を持っております。ですから、こういったことも次期
戦略ビジョン改定の時期にはしっかりと据えていくような方向もぜひ考えていただければなというふうに思っているところです。
やはり、市民の働き方や暮らしの実態に寄り添った
アクションプラン2019にしていくべきだということを最後に申し上げて、質問を終わります。
○
小竹ともこ 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
小竹ともこ 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時44分...