札幌市議会 > 2019-10-11 >
令和 元年第一部決算特別委員会−10月11日-05号
令和 元年第二部決算特別委員会−10月11日-05号

  • 土地(/)
ツイート シェア
  1. 札幌市議会 2019-10-11
    令和 元年第二部決算特別委員会−10月11日-05号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    令和 元年第二部決算特別委員会−10月11日-05号令和 元年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第5号)               令和元年(2019年)10月11日(金曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  村 上 ゆうこ      副委員長   中 川 賢 一     委   員  鈴 木 健 雄      委   員  勝 木 勇 人     委   員  こんどう 和雄      委   員  長 内 直 也     委   員  佐々木 みつこ      委   員  こじま ゆ み     委   員  伴   良 隆      委   員  阿部 ひであき     委   員  川田 ただひさ      委   員  村 山 拓 司     委   員  三 神 英 彦      委   員  小須田ともひろ     委   員  大 嶋   薫      委   員  峯 廻 紀 昌     委   員  しのだ 江里子      委   員  林   清 治     委   員  岩 崎 道 郎      委   員  かんの 太 一     委   員  あおい ひろみ      委   員  水 上 美 華     委   員  恩 村 健太郎      委   員  丸 山 秀 樹     委   員  好 井 七 海      委   員  わたなべ 泰行     委   員  竹 内 孝 代      委   員  くまがい 誠一
        委   員  小 形 香 織      委   員  村 上 ひとし     委   員  吉 岡 弘 子      委   員  佐々木 明 美     委   員  千 葉 なおこ       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時     ―――――――――――――― ○村上ゆうこ 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、藤田委員からは小須田委員と、太田委員からは村上ひとし委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、第6款 経済費 第2項 農政費のうち農業委員会関係分の質疑を行います。 ◆三神英彦 委員  私からは、農業委員及び農地利用最適化推進委員の現状について伺わせていただきます。  現在、農林水産省では、農業の成長産業化を図るため、6次産業化や農地集積・集約化等の政策を活用する経済主体等が積極的に活動できる環境を整備する観点から、農地制度において、平成28年に農業委員会等に関する法律を改正し、農業委員の選任方法が選挙等による公選制から公募による市長の任命制へと変更になりました。また、農業への新規参入者の促進、農地利用の相談窓口、遊休農地発生の防止といった農地利用の最適化を推進する農地利用最適化推進委員を新設しました。農業委員は、農地保全や転用に関することを総会で審議、推進委員は、農業委員と連携しながら現場活動を担うというように役割分担が明確にされたところです。  この制度のもとで、平成29年には現在の農業委員と推進委員といった2種類の委員による体制となり、次期改選まで残り1年を切ったところとなっています。  そこで、最初の質問ですが、農業委員及び推進委員の現状と課題をどのように認識されているのか、伺わせていただきます。 ◎中田 農業委員会事務局長  農業委員及び農地利用最適化推進委員の現状と課題認識についてお答えさせていただきます。  法改正後の平成29年6月からは、11名の農業委員と17名の農地利用最適化推進委員の体制で活動に取り組んでまいりました。  農業委員は、地域ごとの定員枠は設けないとの国の方針のもとで選考した結果、農業委員の不在地域が発生しまして、地域農業者からは、誰に相談すればよいのかなどと戸惑う声や改善要望が出されているところでございます。また、現場活動を担う推進委員は、各地域に配置して積極的に巡回活動や相談活動、さらには各種会合等への出席といったような活動を行ってまいりましたが、新しい制度が必ずしも十分に浸透していないという課題もあり、農業者は、どうしても農業委員を頼る傾向があると認識しているところでございます。 ◆三神英彦 委員  ただいまのお話を伺うと、農業委員と推進委員の役割について、明確化を目指している一方で、まだ、しっかりとは機能していないかと感じます。私の地元である南区も、農業委員不在の地域となっていて、ほかの地域の委員に相談を受けてもらうようになっている状況で、相談機能としては物足りなさを感じているところです。事務局機能としては、農業委員の次期改選において、不在地域を解消するなど、改善できることはまだ幾つかあるのではないかと考えます。  それに関連して、次の質問ですが、農業委員会では、不在地域解消の問題について他都市にアンケート調査を行ったと伺いましたが、それによって、どのようなことが把握できたのか、それから、それをどう生かしていこうとしているのか、伺わせていただきます。 ◎中田 農業委員会事務局長  農業委員の次期改選に向けた取り組みについてでございます。  農業委員の不在地域解消の課題は他都市でも同じ状況であるところから、過日、ほかの政令市へのアンケート調査を実施したところでございます。アンケートによりますと、農業委員の不在地域を生じさせないよう、例えば、地域農業者等が主体的に応募者を調整していると回答した政令市が1市、それから、農業関係団体等に対して農業委員会が推薦等を働きかけているのが3市、それから、募集後に地域性を考慮して委員を選定しているところが3市、選任後に委員を各担当地区へ配置しているのが3市であることがわかりました。  こうした結果を踏まえると、二つ目に申し上げました農業関係団体等を通じて適任者の推薦等を呼びかける方法が、地域に対して広く効率的に周知でき、かつ、地域ごとのバランスがとれた応募が期待できるものと思われますことから、これを参考にして、今後、農業関係団体と積極的に情報交換を行ってまいりたい、そのように考えているところでございます。 ◆三神英彦 委員  農業の成長産業化を図るという大目的があるので、まずは、農業従事者や予定者の相談窓口として農業委員と推進委員の役割をさらに明確にする、さらに強化することに取りかかっていただきたいです。  また、今お話もありましたけれど、農業関係団体だとか、場合によっては農業機械のメーカーや販社なども農業活性化のために有効なアイデアを持っている可能性があると思いますので、事務局側も、また委員の皆さんにも、日ごろから感度のよいアンテナを持っていただきたいと思います。 ○村上ゆうこ 委員長  以上で、第2項 農政費のうち関係分の質疑を終了いたします。  農業委員会の説明員の方は、退席されて結構です。  次に、第5款 労働費 第1項 労働費の質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  私は、就職氷河期世代の問題について質問させていただきます。  就職氷河期世代とは、バブル経済崩壊後の平成不況で超就職難だった1993年から2005年ごろに学校を卒業した世代、およそ49歳から33歳の代名詞であります。大卒就職率は50%台まで低下し、正社員の就職先が少なく、非正規雇用などで職を転々とする人が多く、いわゆるロストジェネレーション、ロスジェネとも呼ばれ、1970年代前半に生まれた団塊ジュニアを含むため、総人口の約2割を占めているとのことでございます。40歳前後という働き盛りにもかかわらず、依然として非正規の割合が高く、給与額も前後の世代に比べて低い傾向という環境の中、急増する高齢者を支えながら子ども世代を養い、上下世代の社会保障制度を辛抱強く支えております。その一方で、就職希望の無業者や長期失業者が30万人を超える実態もあり、この世代が高齢となり、享受する社会保障それ自体も危うく、三重苦になりかねない状況が、今ここにある危機であります。  と言う私も、まさにその真っただ中の世代で、先輩、同級、後輩たちと、就職や家庭、そして育児の苦労を共有し、励まし合ってきましたが、きょうは、この世代の一人として、これから質疑してまいります。  そこで、まず質問でありますが、いわゆる就職氷河期世代への本市としての認識を伺います。 ◎小野塚 雇用推進部長  いわゆる就職氷河期世代の方々に対する認識ということでございます。  就職氷河期世代の方々につきましては、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行っていることから、希望する就職ができずに、不本意ながら非正規労働についている方、また、無職の方も少なからずいることが就業構造基本調査などから見てとれるところでございます。また、希望職種以外での就職を余儀なくされ、早期離職を繰り返したことによりまして、自己研さんの研修を受ける機会に恵まれなかった方々、それから、転職の際に採用企業が求める職務経歴を十分に積めていない方もいらっしゃいます。そうした方々は、年齢を重ねるごとに、正社員への就職や転職がしづらくなっていることが想定されます。  加えまして、このような就職状況から派生いたしまして、結婚や出産、さらには年金など、さまざまな影響が生じる可能性がございますことから、安定した生活が送れるように就労支援を講じていく必要があると認識しております。 ◆伴良隆 委員  就労支援の取り組みが必要といったご認識をお聞きしました。  政府は、ことし7月31日、就職氷河期世代の就職を支援する就職氷河期世代支援推進室を設置し、政府一丸となって取り組むべき日本の将来にかかわる重要問題であり、民間ノウハウの積極活用など、これまでのやり方にとらわれない取り組みとし、政府の経済財政運営と改革の基本方針、骨太の方針では、就職氷河期世代の正規雇用者を3年間で30万人ふやす目標を掲げ、内需を支える所得向上策の一環でもあるとし、各種教育や訓練、相談対応などを展開するとしています。  そこで、質問でありますが、特に就職氷河期世代に着目して行っている既存の事業があるのか、伺います。 ◎小野塚 雇用推進部長  既存の事業ということでございます。  現在、おおむね40歳以下の求職者あるいは非正規労働者の方々を対象といたしまして、座学研修と最大21日間の職場実習を通じて市内企業への正社員就職を支援いたしますワークトライアル事業というものを実施しております。この事業では、転職を繰り返して、自己研さんをする機会に恵まれなかった方々に対しまして、座学研修で社会人基礎力の重要性を振り返る機会をつくっているほか、納得した就職先が選べるように、研修給付金のある職場実習を通じて企業とのマッチングを行っているところでございます。このほか、市内企業への就職を希望したにもかかわらず、条件が合わずに、東京圏の企業へ就職した方々も少なくないと思われますので、道外在住の社会人に対しまして、UIターン就職を支援いたしますUIターン就職センターを開設してございます。 ◆伴良隆 委員  特に着目しての既存事業ということでございますが、今の答弁では、やっていないわけではないと。しかし、私としては、本当にそれに着目してやっていくのかどうかというあたりについて、これから質問してまいります。  ただいま、ワークトライアル、そしてUIターンという言葉が出ましたが、私は、就職活動の当初から社会構造と社会情勢によるしわ寄せを受けた世代として、時に、路頭に迷う仲間たちを励まし、社会に対し、極めて大きな疑問を持ちながら過ごしてまいりました。現在の北海道におきましても、30代、40代の道外転出超過は800人以上もいますが、当時の就職氷河期は、なおさら東京圏への就職を強いられた人々も多かったであろうと思います。  そこで、私は、社会が私たち世代に目を向け始めてきた機会を見計らい、2年前の代表質問では、同世代のライフステージに着目し、まず、UIターンを題目に、結婚や子育てや親の介護の心配など、人生の節目や変化を捉えたきめ細やかなアドバイスと支援をすべき、このように質疑いたしました。加えて、当人の職の希望理由はもちろん、生きがい、やりがい、生活スタイルとともに、札幌の魅力や生活情報など、UIターン希望者との相互のやりとりを高めるように指摘したところでございます。  そこで、質問でありますが、私の代表質問以降に、UIターンでどのような取り組みに力を入れてきたのか、また、今後はどう取り組んでいくのか、伺います。 ◎小野塚 雇用推進部長  社会人の方というのは、家族構成や生活環境がさまざまでございますので、仕事以外の相談も想定されます。そのため、求職者のニーズに寄り添った支援が必要だというふうに認識しております。  平成29年4定の代表質問におきまして、委員からUIターン希望者の支援強化の提言がございました。この提言を踏まえまして、求職者と実際に接する東京側の相談員、それから、企業と接する札幌の企業開拓員、この2者の連携を密にいたしまして市政情報を共有しております。そのため、東京にいながらにして、最新の札幌の生活情報を求職者に伝えることができる状況にしています。例えば、お子様をお持ちの求職者に対しましては、さっぽろ子育てアプリなど子育てに役立つ情報を紹介しております。また、移住に伴う住まいの相談につきましては、住宅冊子などを窓口に配架するなどいたしまして、さまざまなニーズへの対応に努めているところでございます。  今後も、このような取り組みを継続してまいりますとともに、社会人採用を希望する企業の声も多いことから、数多くの企業に求人登録をしてもらえるように、UIターン就職センターが持っているさまざまな機能、実績をお伝えしながら企業開拓を進めてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  非常にやる気のあるお話をありがとうございました。大変高く評価したいと思います。  我々は、当然、いろいろなものを負っておりますけれども、しかし、前向きに生きております。その中で、ライフステージの変化に基づいていろんなご相談があろうかと思います。  そして、私が一番着目したのはやはり親の介護です。知人、友人からもよく聞きますが、私たちはこれからどうやって親を支えていくかということです。いろんな事情があって東京圏で就職した方もいるでしょうし、希望があって行かれた方も当然いると思います。しかし、改めて振り返ると、ふるさと札幌への思いが強い、親への思いが強い、あるいは、子育ての環境もよろしい、こういったことの中で、ご答弁のとおり、ぜひきめ細やかなアドバイスに力を入れていただきたい、このように思います。  我々世代は、今後、さらに、社会を支える当事者責任が高まります。国もやっと動き出した今、施策と予算化の動きが着実に強まるであろうし、また、そうあるべきである、私はこのように思っております。よって、UIターンなどの既存事業の改善はそれとして、もっとこの就職氷河期世代に着目し、就労はもちろん、結婚、子育て、親の介護などに対して先んじて施策を展開していくことは、この年齢層であるだけに、札幌を支え、牽引する即戦力となり、国もまた、先進的取り組みとして本市を注目し、応援してくれるでありましょう。  そこで、質問でありますが、本市は、就職氷河期世代に着目し、さまざまな分野で施策展開すべきでありますけれども、まずは、経済部門として就職氷河期世代についてどのような取り組みを積極的に進めていくのか、伺います。 ◎小野塚 雇用推進部長  経済部門の取り組みということでございました。  求職者だけではなく、雇用の受け皿となります企業にも目を向けて働きかけをしていかなければならないというふうに考えております。正社員就職を希望いたしますいわゆる氷河期世代の方々を積極的に採用していただける企業がふえますように、経済観光局といたしまして、経済団体との連携を通じて企業への働きかけを行ってまいりたいと考えております。  また、今年度、札幌市産業人材創出推進本部というものも立ち上げております。この本部での議論を踏まえまして、氷河期世代の特性の理解や正社員採用に結びつけられるような企業向けの事業も検討してまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  今、私は、就職を希望する側のお話をさせていただきましたが、当然、雇用する側のほうも大事で、いわゆるマッチングであります。  私は、30代はもとより、40代あるいは50代、UIターンでも50歳代で就職をかなえた方もいると聞いています。40代、50代の方は、生活スタイルがどうなっているのかというのはそれぞれですが、やはり、仕事に専念しやすい環境になりつつある世代ではないかというふうにも思いますし、当然、ノウハウも持っています。持っている技術がその会社にとって必要なものかどうかというのはふるいにかけられますが、人間力、コミュニケーション能力、営業力、企画力というのは、私は、いずれもすばらしいというふうに思っております。いわゆる世代が上になっていって、ンっと思うようなことがあっても、実は、そんなことはそうでもないことだというところを企業の皆さん方にもぜひご理解いただけるように、今のご答弁のとおり、頑張っていただきたいと思います。  およそ33歳から49歳の世代は、比較的、社会の恩恵を受けてこなかったとはいえ、働く世代、子育て世代として、今までと同じく辛抱強く頑張らなければなりません。ただ、氷河期世代への施策が後手に回れば、一年一年と年を重ねていく分、即効性が薄れ、問題を抱えたまま高齢化し、社会から支えられる側に回ると、親世代にはもちろん、我々の子世代である次の世代に対して大変申しわけが立たないわけであります。また、社会で活躍できず、悩み、苦しみ、時にひきこもりとなっているような同世代には、必ずや生きがい、やりがいを見つけ、社会で活躍してほしいと心から願い、また、私も何とかしたいと思っております。  きょうは、経済観光局として雇用部門を手始めに質疑いたしましたけれども、我々世代が抱える超高齢・少子化という社会保障問題とともに、私たち世代への支援のあり方も極めて重要な観点と考えますので、今後、またいろいろな場面を通じて我々世代の声を強く訴え、継続的に取り組んでまいります。 ◆岩崎道郎 委員  私からも、同じような観点で、働くことについて少し質問させていただきたいと思います。  私からは、ワークトライアル事業について、何点か質問させていただきます。今の伴委員からの質問とも少しかぶってまいりますので、関連して、そして、少し補足するような形で質問させていただきます。  私もまさに就職氷河期世代でございまして、働く、就職となると、働く場所がない、周りの人間もなかなか就職が見つからないというところがメーンでした。しかし、最近、やはり雇用情勢が少し持ち直しておりまして、厚生労働省の発表によりますと、全国的にはことし8月の有効求人倍率が1.44倍と一定の水準を維持しております。一見すると好調のようにも見えますが、しかし、求人の中にはもちろん非正規雇用が含まれております。2017年度の就業構造基本調査では、札幌市の非正規雇用率が39.9%と全国よりも高い状況になっています。さらに、先ほどのご答弁にもありましたが、非正規労働者の中には、本来は正規雇用を希望しているけれども、正規の仕事がないという理由で非正規の労働を続けている、いわゆる不本意非正規労働者の割合も札幌市では15.1%と全国よりも高くなっております。  こういった状況を背景に、正規社員として安定して働きたいと考える方々への支援が非常に重要であるとして、札幌市では、非正規社員や求職者が座学研修と職場実習を通じて正社員就職を目指すワークトライアル事業を2016年度より継続して実施しております。我が会派としては、求職者にとって手厚い就職支援が受けられることは非常に重要であると考えて、これまでも委員会等で幾度か質問してきたところです。  今年度は、これまで新卒未就職者などを対象としてきたフレッシュスタート塾という類似した事業を統合し、ワークトライアル事業の開催時期を2期に分けて実施しています。おおむね30歳以下の求職者を対象に行う1期目の募集では、求人雑誌の媒体等を利用して積極的に事業周知を行った結果、定員60人を大幅に超える166名の応募があったほか、実習受け入れ先企業も270社を超える登録があったことを確認しておりまして、今後の取り組みにも大いに期待しているところであります。  また、昨年度は、研修生の約7割が正社員就職を達成できたことから、一定の成果として非常に評価できるのかなと思うのですが、一方で、7割ということは、逆に3割の方々は正社員就職できなかったということですので、この要因をしっかりと分析して今後の事業に生かしてもらいたい、そのように考えています。  そこで、最初の質問ですが、これまで実施してきたワークトライアル事業を通じて得た手応えと見えてきた課題は何か、伺います。 ◎小野塚 雇用推進部長  手応えと課題ということでございます。  労働者が安心して働き、安定した給与を得ていくことはもちろんのこと、札幌市の経済を支えていただくためにも、求職者や非正規労働者への就職支援というのは重要と考えているところでございます。  ワークトライアル事業でございますけれども、先ほど伴委員の質問にも中身を若干お答えいたしましたが、社会人基礎力などを養う座学研修、それから、実際の仕事を体験した上で就職や採用を決定していただける職場実習、こちらは、参加者から、あるいは受け入れ企業から大変好評でございます。そうした意味で、求職者、企業双方のニーズに合致する事業になってきたなというふうな手応えがございます。  しかしながら、人気が高い職種がある一方で、実際に働いたことがないにもかかわらず、イメージのみで敬遠している職種もございまして、いかに研修を通じて求職者の職業観を広げていくかということが課題というふうに認識しているところでございます。特に、若年層の方々が柔軟性を持って職業選択できるように、背中を押してあげるような支援というものが重要だと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  先ほど伴委員がおっしゃっていたことで、私もすごく共感したのですが、学校に行くと技術などは身につけることができますけれども、例えば人間力やコミュニケーション能力といったものは、やはり、なかなか学校で学んでできるものではありません。そういった意味で、このトライアル事業というのはそういった部分をしっかりと涵養していくことができるのかなと期待しているところでございます。今後も、若年層の求職者、そして、非正規労働者が広い視野で求職活動に取り組めるよう、事業を組み立てていただきたいなというふうに思っています。  私も、この質問を組み立てる最中にいろいろと資料なども読み込ませていただいて、とある労働経済学者の資料に少し着目しました。1980年代からのデータですが、全体を見ると、実は、正社員と非正規社員の比率というのはここまで大きく変化していないのです。にもかかわらず、非正規は大変で、なかなか正社員になれないのだという声が聞こえてくる、これは何なのかなと中身を見ますと、年代で大分ゆがみがあるのです。若い世代、そして女性ほど、非正規で働く人が多いことがわかります。  今、時代が変化していまして、特に若い人や女性は多様な働き方を求めていると見ることもできますが、中途採用によって正社員、正規職員になっていくというのは非常にハードルが高いです。特に、私たちのように就職氷河期と呼ばれる1993年から2005年に就職活動を行った方々については、まずは学校卒業時に就職が困難であった、そして、少しキャリアを積んでレベルアップをしようかなと思ったころには、今度、リーマンショックで転職活動が困難でした。そういった意味で、雇用情勢の恩恵を受けていないというか、雇用情勢の劣悪な部分をまともに受けてしまっているというふうにも言えるのかもしれません。  加えて、今、仕事の合間を縫いながら就職活動を行う非正規労働者にとっては、正社員に移行することが容易ではありません。独立行政法人の調査によりますと、非正規労働を離職した後、正社員につけた割合は25歳から29歳で25%程度、30歳から34歳で18%程度、そして35歳から39歳でも15%程度と、やはり、年齢を重ねると正社員就職が決して容易ではないことがわかると思います。  我が会派では、2018年4定の経済観光委員会において、ワークトライアル事業の支援対象年齢の拡大について提言させていただき、今年度より支援対象が40歳という高い年齢の方まで広がってきていまして、このことは評価したいと思いますし、提言を実行に移した札幌市の判断には感謝したい、そのようにも思います。  しかし一方で、研修生には、今申し上げたとおり、学校卒業後、間もない20歳代の方々もいることから、研修生同士の年齢差が生じてきています。培ってきた職務経験や能力にも大きな違いが出てくることも想定されます。いよいよ、ことしの11月からは、対象年齢を拡大した2期目の座学研修を始めていくと聞いていますが、世代の異なる求職者に対して一つの集団で座学研修を通じて職業観を涵養していくためには、それより幅広い年齢層に対応できる研修となるよう、さらなる事業内容の創意工夫が必要ではないでしょうか。  そこで、質問ですが、異なる経験値を持つ各世代の研修生が正社員就職を果たすためには、どのようなところに意を用いて事業を進めていく考えなのか、伺います。 ◎小野塚 雇用推進部長  異なる世代の研修生に対する事業の進め方ということでございます。  委員のご指摘のとおり、年齢が大幅に離れた研修生が一緒に学びますので、その職務経験には差があることが想像されます。誰もが正社員として就職を目指すことができるように、能力、経験の違いに応じて学ぶことができる研修内容となるように配慮していきたいと思っております。  具体的には、求職者がさまざまな職種の仕事のイメージが湧くように、実際の現場で働く先輩社員の声を聞く機会をふやすほか、希望に応じて個別の補講時間を設けるなど、工夫を凝らしているところでございます。このほか、幅広い世代の求職者に対応できるように、受け入れる側の企業、数多くの業種の企業に職場実習の登録をしてもらうために、企業開拓にも力を入れてまいります。 ◆岩崎道郎 委員  少し、要望というか、思いを伝えて終わりたいと思います。  この質問のデータをもらったときに、業種によってやはり人気、不人気がすごくあるなと感じたのですが、先日、私の知り合いの中小企業の経営者とお話をしたときも、その企業では、一般の事務員の募集をかけて、1名の希望のところに130人ぐらいの応募が来たそうです。人手不足と言いながら、そういうものなのかな、やはり一般の事務職というのはまだまだ人気のある職種なのかなと思ったのです。その一方で、130人の中から1名を選んだのですが、そうしたら3カ月ぐらいでやめてしまったそうです。非常に残念なことだなと思います。働いている人にとっても企業風土が合わなかったというところが非常に残念ですし、会社にとっても、中小企業ですので1人の人間を雇うのは非常にご苦労があって、まだ仕事ができない空の運転でも、育っていってほしいという思いでお給料をあげていると思うのですが、それがなかなか結実しない、実を結ばないということは双方にとって非常に苦しいことだと思います。  今、ご答弁の中でも、そして、先ほどの伴委員とのやりとりの中でも、企業側にも働きかけていきたいという言葉がありました。これは企業の側にとってもいい事業だと思いますので、ぜひとも、多様な業種の皆さんにここに参加していただいて、働く人、企業の双方に実りのある事業になるようお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。 ◆くまがい誠一 委員  私からは、若者の人材還流の促進について質問させていただきます。  今年度、総務省が発表した人口推計によると、道内の人口は、前年より3万4,000人少ない528万6,000人となり、21年連続で減少しております。一方、札幌市の人口は、若干の増加をしているものの、その実態は、自然減を道内他市町村からの転入による社会増で維持している現状にあります。また、20歳代の若者の人口動態を見ると、平成30年中で、札幌市から道外へ2,756人の転出超過が発生しており、このうち、特に東京圏と呼ばれる東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県だけで2,510人の転出超過という状況であることから、やはり、札幌市が地元定着、人材還流といった北海道のダムとしての機能をしっかりと果たしていかねばならないと思います。  このような中、札幌市では、東京駅近郊に札幌UIターン就職センターを開設し、既にことしで4年目を迎えており、施設利用者が年々ふえ、順調に求職登録者もふやしていると伺っております。先ほどの質疑でもございましたが、UIターン促進の一環として、東京において、札幌市内などの企業と学生とのマッチングを図る合同企業説明会を開催するほか、企業と学生が膝を交えて本音を話し合うイベントなどを行ってきており、これまでの地道な取り組みが結果につながっていると考えられます。  また、20歳代の道外からの転入者数だけを見ると、平成26年に6,988人だったのに対し、平成30年には7,630人と増加しており、札幌UIターン就職センターが人材還流促進に一定の役割を果たしていることがうかがえ、これまで、同センターの視察を初め、この取り組みを後押ししてきた我が会派としても、大いに評価と期待をするところでございます。  しかし、民間企業の調査によると、これまで、地元以外の大学に通う平成31年3月卒業生の約35%がUターン就職をしたいと考えていたにもかかわらず、実際の道内出身学生のUターン就職率は2割程度にとどまっており、地元で就職したいという方々の希望が十分にかなっていない現実がございます。ついては、まだまだ、大学生を中心とした若者に対してUIターン就職支援に取り組む余地があると考えます。  そこで、質問ですが、地元を離れて道外に進学した大学生に対し、これまで3年間にわたり進めてきたUIターン就職の取り組みから見えてきた課題は何か、また、この課題に対してどのように取り組んでいるか、お伺いいたします。 ◎小野塚 雇用推進部長  先ほどは社会人に対するUIターン就職センターの支援についてお答えさせていただきましたが、ただいまは大学生に対する支援ということでございます。  昨今、売り手市場というふうに言われておりまして、多数の就職情報があふれている中で、札幌UIターン就職センターが持つ地元企業の情報をいかに学生に届け、UIターンの意識を醸成していくかということが課題というふうに考えております。  現在、学生との接点をふやしていくために、札幌市就職促進協定を締結しております東京圏の19大学を中心にいたしまして、大学の学内で開催する就職イベントに積極的に参加しております。この中で、学生に対しまして、大手の就職サイトには掲載されていないような札幌市内の企業の情報やUIターン就職センターの支援内容を伝えているところでございます。今後も、東京圏だけではなく、北海道出身の進学者が多い関西の大学や東北の大学での就職イベントにも参加しながら、学生にUIターン就職センターの周知を進めてまいりたいと考えております。 ◆くまがい誠一 委員  就業経験がない学生が、さまざまな就職情報があふれている中、自分にとって有益な情報を選別していくことは決して容易なことではございません。今後も、東京圏のみならず、北海道出身者が多い大学のイベントなどに積極的に参加し、UIターンセンター活用のメリットを直接伝えていただければと存じます。  ところで、UIターンセンターでは、ことし8月末現在で、大学生368人が求人登録をしており、この内訳は、大学3・4年生が339人、大学1・2年生が29人とお聞きしております。就職活動が本格化していく大学3・4年生の登録者が多くなることは理にかなっておりますが、大学1・2年生の登録者が少ないことは事業を進めていく上で課題であると考えます。日ごろ、学生と接している大学キャリアセンター職員の話によると、地方都市から東京圏へ進学した大学生は、入学から2年生までの間は地元に帰りたい気持ちが高いものの、学年を重ねていくにつれ、東京などで友人がふえ、帰省の機会が限られている中、地元意識が次第に薄れていくと伺っております。東京圏に残りたいといった気持ちになる前の大学1・2年生に対して、積極的にUIターン就職を考えるきっかけをつくっていくことが重要ではないでしょうか。  加えて、地元を離れる前の高校生、特に札幌近郊で道外に進学する学生が多い附属高校については、中期的な視点でUIターンセンターを周知していくべきと考えます。  そこで、質問ですが、大学1・2年生のUIターンセンター登録者が少ないことについて、その要因をどのように認識しているのか、また、この分析の結果から、どのような取り組みを行い、今後どのように事業を展開していくのか、お伺いいたします。 ◎小野塚 雇用推進部長  大学1・2年生の登録者が少ない要因と今後の取り組みということでございます。  まず、大学1・2年生の登録者が少ない要因についてでございますけれども、学業に加えまして、友人をつくったり、あるいは、初めてひとり暮らしをする、それから、アルバイトもするということで、生活環境が大きく変わる中で、その環境になれる努力をしておりまして、UIターンを含めた卒業後の就職までまだ意識が向いていないことが要因かなというふうに認識しております。  そこで、道外へ進学する高校生に対しましては、UIターン就職センターが、就職以外にも地元出身者の交流の場として活用できるということを周知していくことが重要と考えております。現在、道外へ進学する学生が多い札幌市立の高校に対しまして、UIターンセンターの周知を図っているほか、協定を締結している大学の附属高校に対しまして出前授業等を行っているところでございます。  今後も、道外へ進学する高校生へのUIターンセンターの周知をより一層強化していくとともに、就職活動の早期化が見込まれることから、インターンシップ等のイベントの開催を通じて大学1年生から3年生までの取り込みを図ってまいりたいというふうに考えております。 ◆くまがい誠一 委員  道外進学を決めた高校生に対して札幌UIターン就職センターを周知することは、広報手段としても効率的であることから、今後も積極的に行っていただきたいと思います。また、大学1・2年生からUIターンセンターを長い間利用して札幌に就職した方は、特に貴重な体験談を語ることができる情報発信者となります。このような方々の協力も得ながら、今後も積極的に周知活動等に取り組んでいただきたいと思います。
     我が会派は、先にも述べましたが、平成29年12月に札幌UIターン就職センターを視察しており、同じフロア内に、地方創生ラウンジとして、札幌市のほか、四つの県のUIターン施設を目の当たりにしたところですが、現在では八つの県までふえ、それぞれの自治体が人材還流を推進していると伺っております。この地方創生ラウンジに窓口を開設している九つの自治体のうち、八つは県による開設で、市は札幌市のみであり、そうした点でも札幌市の取り組みは評価できるところです。  また、東京圏への転出超過を背景とした人材還流の促進は地方自治体の共通課題であることから、同じ悩みを共有するほかの自治体と連携して、それぞれ効果があった取り組みなどの情報共有を行っていくと、今後のUIターンの取り組みの推進によいヒントが得られるのではないでしょうか。また、UIターン者については、地方都市に憧れることが多いため、共同でイベント開催を行ってもよいと考えます。  そこで、質問ですが、札幌市では、これまで、ほかの地方自治体の事例を参考として効果的な取り組みを行ってきたことはあるのか、また、今後どのように他の地方自治体と連携していくのか、お伺いします。 ◎小野塚 雇用推進部長  他の自治体との連携ということでございます。  日ごろから、UIターンの取り組みに積極的な自治体との間で効果があった取り組み等の情報交換を行っているところでございまして、地方創生ラウンジにも窓口を開設しております石川県が行っていた事例を参考にいたしまして、昨年度から、協定締結大学と地元の企業が学生の就職状況等を共有するため、名刺交換を兼ねた交流会を開催しているところでございます。今後は、UIターンセンターの同じフロア内に就職窓口を開設している他県と共同で大学生向けのUIターンイベントの共催を検討しておりまして、若者の転出超過といった同じ悩みを共有する自治体との連携を深めて、UIターン就職者の増加につなげてまいりたいというふうに考えております。 ◆くまがい誠一 委員  人材還流は、地方都市が取り組む共通の課題であるため、今後も、他の自治体と連携を深め、よりよい事業となるよう努めていただきたいと思います。  UIターンセンターが札幌市の人材還流の拠点となり、多くの求職者により一層活用してもらえる施設になることを要望し、私の質問を終わります。 ◆竹内孝代 委員  私からは、ここシェルジュSAPPOROについて質問いたします。  総務省が本年7月に発表しました労働力調査において、女性の就業者数は初めて3,000万人を超えたと大きく報道されたことは記憶に新しく、女性の就業者数は、前年同月と比較すると53万人の増加であり、男性の増加分が7万人ですので、それを大きく上回るものです。10月1日に発表されました最新の調査結果におきましても、就業者全体の伸びを支えているのが女性であるという傾向は変わらず、令和元年の男女共同参画白書によれば、25歳から44歳までのいわゆる子育て世代の女性就業率も76.5%まで上昇しており、今後も女性活躍推進に向けての取り組みのさらなる成果が期待されているところであります。  このような状況下、我が会派においては、数年来、力を入れてまいりました女性活躍推進への取り組みとして待望の事業化となりました女性の多様な働き方支援窓口、ここシェルジュSAPPOROについて、開設前から質疑で取り上げ、開設直後には会派で運営状況を視察させていただくなど、大きな期待を寄せて見守ってきたところであります。  ここシェルジュSAPPOROは、平成30年10月2日、エルプラザ内に開設され、今月で1周年を迎えました。窓口の登録者の6割が30代で、このうちの7割が小学校入学前のお子さんを持つ女性であるというふうに伺っております。このような小さな子どもを持つ女性がさらに相談しやすくなるようにと、我が会派におきましては、平成30年決算特別委員会と平成31年予算特別委員会の2度にわたり、エルプラザ内にあるここシェルジュSAPPORO窓口のほかに、出張相談の充実について要望してまいりました。市からは、昨年度は中央区と北区の2区で行っていたこの出張相談を10区に拡大するとの回答をいただいており、開設後、まだ1年ではありますが、実際の取り組みがどこまで進んでいるのか、気になるところであります。  そこで、質問ですが、開設から1年経過した現時点での取り組み状況を伺うとともに、この1年間の成果をどのように認識しているのか、伺います。 ◎小野塚 雇用推進部長  開設から1年間の取り組みと成果についてでございます。  昨年度、窓口の利用を通じまして仕事に就かれた方は49名おられました。そのうち、職場体験を利用して就職した方が7名となっております。登録者についてでございますけれども、昨年度で541名、今年度9月末現在までに新規に316名が登録されましたので、この1年間の登録者ということでは857名となっておりまして、この数字は、開設1年目としてはまずまずかなというふうに考えております。  現時点の取り組み状況でございますけれども、昨年度、子育てと仕事の両立などをテーマにいたしましてセミナーを18回開催しております。受講者は、241人でございました。ただ、テーマによりましては集客に差があったことから、今年度は、就職を余り意識していない女性でも興味を持てる内容を新たに加えまして、セミナーが就労を考える動機づけ、入り口となるような工夫をしております。  それから、出張相談の充実ということに関してでございますが、各区で月1回行うことを原則にいたしまして、ちあふるの常設子育てサロンなどを会場といたしまして、11月までには全区で実施できる状況になっております。  なお、登録者の少なかった清田区につきましては、試行的に月2回の開催としておりまして、8月からは、うち1回を保健センター内に設置しましたこそだてインフォメーションで始めたところでございます。  そうした取り組みと相まって登録者数と個別相談者数の増につながっておりまして、出張相談の効果があらわれ始めたというふうに考えております。 ◆竹内孝代 委員  登録者が857名でまずまずということ、また、この1年間、札幌市が支援メニューに対してさまざまな工夫を行っていることがわかりました。  私も、先日、ここシェルジュSAPPOROのホームページを拝見しましたところ、募集中のセミナーのほとんどの申し込みが定員まで埋まっている盛況ぶりでありました。また、内容についても、今お話がありましたように、子どもを持つ、持たないにかかわらず、多くの女性の興味を引くものであることには感心しております。  以前の質疑の中では、窓口から遠い区の登録者、また利用者が少ないといった課題があると伺っておりまして、我が会派としても引き続き注視してきたところです。今の答弁で、出張相談の全区実施が11月ごろというめどがついたことを評価し、今後の状況を見守ってまいりたいと思っております。  また、先ほどの答弁では、ほかの区では各区の子育て支援センターちあふるで出張相談を開催しているのに加えまして、登録者数がちょっと少なかった清田区では、このほかに保健センター内のこそだてインフォメーションでも出張相談を開始したとのことでした。ここシェルジュSAPPOROとこそだてインフォメーションの連携も含めまして、これまでの取り組み内容について検証を重ねていただいて、より効果的な支援を目指していただきたいと思います。  先ほどお聞きしましたこれまでの登録者数、また就職者数については、潜在的な需要を考えたとき、まだまだ伸びる余地があると考えます。そのためには、施設を使ってもらうためのさらなる工夫や仕掛けが必要だとも考えております。  そこで、質問ですが、より多くの女性に利用していただくために見えてきた課題、また、その課題に対して今後力を入れていくべきであると認識している点は何か、2点お伺いいたします。 ◎小野塚 雇用推進部長  見えてきた課題と今後についてでございます。  平成29年の就業構造基本調査によりますと、仕事をしていない子育て女性のうち、6割以上の方が仕事をしたいと考えているとのことですので、委員のご指摘のとおり、潜在的な需要はまだまだあると感じておりまして、そうした方への周知ということが大きな課題であろうというふうに考えております。  情報については、必要とされている方に的確かつ迅速に届けることが重要でありますことから、対象となる方に直接呼びかけるような工夫をしているところでございます。具体的には、小さなお子さんを育てる方に対しましては、乳幼児健診のお知らせ封筒に広告を印刷しております。さらに、出産を控える方に対しましては母子手帳を交付する機会を利用するなど、母子保健部局などとも連携してまいる考えでございます。また、子どもの預け先に不安を抱える方に対しましては、区の保育入所担当と連携いたしまして、ここシェルジュSAPPORO窓口の機能を周知する機会をふやすなど、ここシェルジュSAPPOROに行けば悩みを相談できるのだというふうに考えていただけるような効果的な広報を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆竹内孝代 委員  窓口の認知度を高めるために、対象となる方にダイレクトに周知できるような取り組みにも力を入れていきたいということでありました。  この事業を応援してまいりました私も、ここシェルジュSAPPOROについて、市政報告の機会や、また、ご相談者に積極的にお知らせしているところですが、実際に利用した方からは、とても丁寧に対応していただいて諦めていた就労に踏み出せましたなど、好評である声も多数伺っており、札幌市と運営受託者の事業への力の入れぐあいを感じているところであります。  ここシェルジュSAPPOROは、働きたいと考えている女性一人一人にとって、さまざまな意義や機能を持つ施設であると考えます。また、全国的にも画期的な取り組みである就労と保育の一体的相談を行うこうした窓口の特徴を、一番利用してほしい方々に十分にお伝えできるよう工夫していただき、事業を推進していただくことを求めまして、私の質問を終わります。 ○村上ゆうこ 委員長  以上で、第1項 労働費の質疑を終了いたします。  次に、第6款 経済費 第1項 商工費の質疑を行います。 ◆あおいひろみ 委員  私からは、食関連企業の支援についてお伺いいたします。  さきの代表質問において、我が会派から、北海道、札幌の強みであり、経済のかなめでもある食関連産業のさらなる発展に向けて、企業の海外展開支援の重要性について指摘いたしました。  私からは、同じ食関連産業の振興でも、食料品の付加価値向上という観点から質問いたします。  北海道は、良質な食材を多く生産していますが、それらは、大消費地である関東圏など道外へ運ばれ、そこで加工がされて付加価値がついて販売されているのが現状であり、地場産業が稼ぐことのできる素地を持っているにもかかわらず、十分に生かし切れていないのが現状です。  このような状況を受けて、札幌市では6次産業活性化推進費を設け、地場における北海道の農畜産物の付加価値向上を目指しているところです。6次産業活性化推進費では、商業流通を目的に、北海道内の1次産業者と札幌市内の2次・3次産業者から成る共同事業体が、道内産の農水産物を使って新商品を開発する際、さっぽろ産業振興財団を通じて400万円を上限に補助金を交付する事業があり、2011年の事業開始から9年目を迎え、開発された商品は40アイテムを超えているところです。商品としては、広尾産のツブガイを使用したレトルトカレー、羽幌の甘エビを使用したタマネギベースのドレッシング、北海道産原料100%のシュークリームなど、幅広い分野での商品化が進んでいます。  しかし、私も食べてみたいと思い、商品を探しに行きましたが、見つけ出すことに少し時間がかかるくらい、置いてあるお店がありませんでした。やっと見つけ出せたものの、ふだん使いの食品の割には高額であることや、大量生産されているほかの商品と余り差がないという点で、付加価値向上のコンセプトに沿っているかは疑問を持ちました。  そこで、質問ですが、本事業による成果及び開発された商品の中でどういった商品が売れ筋となっているのか、お伺いいたします。 ◎高橋 国際経済戦略室長  事業の成果と売れ筋商品についてでございますが、本事業を開始した平成23年度から昨年度までの間、合計36件の新商品開発に対しまして約1億円の補助金を交付し、これまでの売上高は約10億円に達したところでございます。  その中で、平成26年度に開発いたしました飲むヨーグルトは、北海道産の良質な生乳を使い、手ごろな価格と味が受け入れられ、関東における販路の開拓にも成功しましたことから、現在最も売れている商品となっております。また、平成29年度に開発した委員からもお話のありましたシュークリームにつきましては、全ての原料を北海道産にこだわるとともに、独自の製法で味を損なわずに冷凍流通が可能となりましたことから、全国の物産展でも販売されるようになってきたところでございます。 ◆あおいひろみ 委員  飲むヨーグルトは、私も飲みまして、大変おいしいなと思っております。そのように、口にした方が必ずこれはおいしいと思えるようなものは売り上げが伸びていると思うのですけれども、だしとか、どうやって使ったらいいのかなと思うようなものは割と伸びないのかなというのが私の見解でした。  補助金に対して10倍の売り上げがあったということで、一定程度の成果が出ていることはわかりました。毎年4から5アイテムの商品が開発されておりますが、補助対象となっている企業関係者からは、事業を始めたばかりの中小企業や販売経路が確立していない企業では、補助金を投じたにもかかわらず売り上げが伸びていない商品も少なからずあるとの声も伺っております。また、食の販売には、現在のトレンドや、少し先にはやりそうなものを意識すること、購入する側の購買意欲を刺激するライティングが必要と考えますが、開発商品のパッケージは少し一般的なもので、そちらの面でも付加価値向上の工夫は余り見られないような気もしました。開発された商品は、比較的、販売価格が高目なものが多い中、ほかの商品と比較されたときに買ってもらえる仕組みを取り入れることは、食の業界では必須であると考えます。  そこで、質問ですが、高付加価値化を目指す札幌市の補助事業の現状に対する認識と、今後の取り組みの方向性について伺います。 ◎高橋 国際経済戦略室長  本事業の現状認識と今後の取り組みについてでございますが、魅力ある商品を開発して継続的に販売していくためには、開発段階から開発後の販路確保まで広く支援していくことが重要であると認識してございます。  今後につきましては、開発段階においてバイヤーなどの助言を受けられる機会を設けることによりまして、ニーズに合った魅力的な商品づくりが進むよう支援してまいりたいと考えております。また、販路確保を目的に、これまで支援してきました展示商談会などへの出展に加えまして、バイヤーが持つネットワークを活用して販路開拓や商品PRができるように支援し、継続的な商品販売へつなげてまいりたいと考えてございます。 ◆あおいひろみ 委員  バイヤーのセンスやネットワークはとても大事だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。  要望です。  今後、開発段階から販路確保まで広く支援していくとのことですが、食関連企業には中小企業が多く、商品開発段階や販売ルートの確保、宣伝、PRといった面では、少し弱さがあり、継続的な支援が必要であると考えます。販路の確保に関しては、北海道内外のバイヤーへの売り込みはもちろんのこと、例えば、北海道どさんこプラザのような多くの観光客の目に触れる場所での販売など、さまざまな販売チャンネルを活用していただきたいと思います。  また、この商品が札幌の補助事業でつくられたというストーリーをどこかに明記することは、北海道や札幌を応援してくれる方へのメッセージでもあります。札幌市が発信する北海道ブランドが、より多くの市民や海外の方へ伝わるよう工夫を重ね、ヒット商品が次々と出る事業に発展することを要望して、私の質問を終わります。 ◆くまがい誠一 委員  私からは、シニアワーキングさっぽろについて質問させていただきます。  札幌市の老齢人口は、さまざまな場面で言及されておりますが、2025年に30.5%になると推測されております。人生100年時代と言われる今日、市内にも元気な高齢者がふえてきており、ボランティア活動や地域の活動に積極的なかかわりを持っている方もいる一方で、私が受ける市民相談では、元気に働けるうちは働きたいというお声を数多くいただいているところでございます。  今回、3定の代表質問で、我が会派は、こうした高齢者にいつまでも元気で活躍していただく生涯現役社会の実現へ向け、さまざまな観点で活動、活躍の場の拡大、情報発信を含めた取り組みの強化が重要と指摘し、本市の対応を求めたところです。  そうした中、高齢者の就労については、今後も、少子高齢化がさらに進むことを見据えて、重点的に取り組むべき課題として、平成30年予算特別委員会でも取り上げてまいりました。国の発表によると、2019年9月時点の65歳以上の高齢者は3,588万人となり、総人口に占める割合は28.4%と、いずれも過去最高を更新したほか、昨年仕事についていた65歳以上の方も、過去最多の862万人で就業者全体の12.9%を占めるまでになり、企業の人手不足が深刻化する中、高齢者は社会の担い手としてますます重要となっております。  そうした中、シニアワーキングさっぽろは、全国で初めてシニアを対象とした体験つき企業説明会として平成29年に開催され、2年間で350人以上の雇用に結びついており、一定の成果を上げてきたことは、これまでこの取り組みを訴えてきた我が会派としても喜ぶべき成果と考えます。  これまで産業振興部で所管してまいりましたが、令和元年度からは雇用推進部に所管が変更になったとお聞きしております。移管に当たっては、十分に検討がなされた上で決定されたことと思いますが、改めて、雇用推進部が所管することでどのような効果が期待できるかについてお伺いいたします。 ◎小野塚 雇用推進部長  雇用推進部が所管することによる効果ということでございます。  雇用推進部では、所管しております就業サポートセンターやシルバー人材センターにおきまして、年間を通して高齢者への就労支援を展開しているところでございます。  一方で、昨年度のシニアワーキングさっぽろの来場者アンケートによりますと、来場者の約半数の方が、参加したことによって就労意欲が高まったと回答しているほか、自分でもできるかもしれないと意欲が湧いた、あるいは、今回をきっかけに検討したいなどの声が寄せられております。このため、シニアワーキングさっぽろは、求職者の掘り起こしに効果的であるという認識でおります。  高齢者への就労支援のノウハウを持つ就業サポートセンターやシルバー人材センターと、求職者の掘り起こしに強みを持つシニアワーキングさっぽろを同じ所管部とすることによりまして、連携を一層強化するとともに、機動力を生かしまして、掘り起こしから就労支援の流れを促進していくことができるというふうに考えております。 ◆くまがい誠一 委員  就業サポートセンターやシルバー人材センターとの連携強化により、就労意欲が高まったシニアに対し、継続した就労支援ができるとの答弁でした。それぞれの強みを生かして相乗効果を生み出せるよう、ぜひ工夫してやっていただきたいと思います。  次に、今後の事業展開についてお聞きします。  シニアワーキングさっぽろは、事業所の近くに住む人を採用したい企業側と、自宅近くでの就職を希望する高齢者側、この双方のニーズに応えるため、昨年は職住近接をテーマに市内5カ所で6日間開催し、計2,700名以上の方に来場していただいたと聞いております。昨年度のアンケートでは、企業、来場者とも65%以上が、会場についてよいと回答しており、各区開催について一定の支持があったものと感じています。  職住近接の流れをさらに推進するため、ぜひ年間を通じて全区で開催すべきと思いますが、今年度は3会場、3日間となり、昨年度より事業規模が縮小となっております。先ほど述べたとおり、人手不足の企業を支える貴重な戦力として高齢者の存在感が高まっている中、就業機会を創出する取り組みはさらに強化すべきと考えますが、会場数も開催日数も縮小されてしまうと、これまでのような成果を生み出すことができるのか、大変心配するところでございます。  そこで、質問ですが、事業規模が縮小された中でも昨年度と同等以上の効果を生み出していくために、今後どのように事業展開していくつもりなのか、お伺いいたします。 ◎小野塚 雇用推進部長  今後の事業展開ということでございます。  委員からは、年間を通じて全区で開催すべきとのご意見のほか、事業規模が縮小になっているとのご指摘がございました。  現在、平成30年度から3年程度の期間をかけて順番に開催しているところでございまして、今年度は3会場での開催となっております。3会場ということではございますが、これまでと同等の効果を生み出せるように、運営方法を工夫しているところでございます。  先ほど連携強化ということをお答えいたしましたが、具体的には、シニアワーキングさっぽろの来場者に対しまして、就業サポートセンターが全区で実施しています高齢者と企業による交流会のPRを強化しておりまして、意欲がある高齢者が地元で就職活動を行うことができる機会の創出と周知に努めてまいります。 ◆くまがい誠一 委員  就業サポートセンターが事業として行っているシニア交流会との連携などにより、地域でのシニアの就業機会を確保し、同等以上の効果を生み出していくとのご答弁でした。  最後に、私から2点要望いたします。  現在、全区開催に向け、3年程度の期間をかけて順番に回っているとのことでしたが、これは、ぜひ実現させていただきたいと思います。私は、生活圏で就労ができることが望ましいと思っておりまして、近隣区や中心部を含む生活圏の範囲の中で開催する現状のスタイルはよいと思っております。市民が通いやすい会場で年に1回はそのような機会が得られることを念頭に置いた事業設計を、これからも継続していただきたいと思います。  次に、全区を一巡した後、来場者や企業へのアンケート、開催結果などから傾向が見えてくることと思います。高齢者のニーズは多様化しておりますので、これをよく分析し、次の展開に生かしていただきたいと思います。  以上2点を要望し、私の質問を終わらせていただきます。 ◆千葉なおこ 委員  私からは、定山渓温泉地域の公共トイレについて質問いたします。  2015年に策定された定山渓観光魅力アップ構想では、「札幌の集客交流を担う重要な温泉地として、また、札幌市民に愛される札幌の温泉地として、ソフト・ハードの両面から温泉観光地として魅力の底上げを図るとともに、新たな価値を創出・発信する必要があります」と書かれています。  定山渓では、今、ちょうどもみじ狩りで観光客がふえ、にぎわう季節です。毎年、この時期になりますと、定山渓観光協会では、観光案内所駐車場から絶景紅葉ポイントを案内する紅葉かっぱバス、外国人観光客にも人気ナンバーワンの豊平峡ダムへ向かう豊平峡ダムライナーなど、五大紅葉スポットを案内する観光バスを運行しており、全てのバスの発着起点が観光案内所前となっております。ことしも、観光協会では、バス発着起点のすぐそばには観光客向けの仮設トイレを設置しています。そうしたさまざまな努力をされ、ことしも大勢の観光客が雄大な五大紅葉スポットを楽しめるよう、おもてなしをしております。  また、定山渓温泉街のすぐそばの二見公園では、6月1日から10月20日の約5カ月間、豊かな森に水と草花を光で表現したライティングパフォーマンス、定山渓ネイチャールミナリエを2016年から開催し、今では定山渓温泉を代表する人気イベントとなっており、本市としても、定山渓地区魅力アップ事業として定山渓観光振興に力を入れています。  しかし、このすてきなイベントを開催する観光スポットの二見公園に現在併設されております公衆トイレは、観光地にふさわしいとは思えません。二見公園の公衆トイレは、外から男性用トイレが見えてしまう古いタイプで、札幌市内の公園の公衆トイレとしては、比較的、今でもよく見るタイプではあります。しかし、二見公園においては、世界中から観光客が大勢訪れ、利用される公衆トイレです。観光都市にとって、大勢の観光客に散策を楽しんでもらうためには公衆トイレの整備は不可欠というのが、今、全国各地の観光地で当たり前の認識となっています。  なぜ、二見公園のトイレや定山渓温泉地区の公衆トイレを新設しないでいるのでしょうか。国際都市の中において、この公衆トイレは驚くべき構造であり、観光都市として観光地にふさわしくありません。これは、単に公園所轄部局という範疇を超え、札幌市の観光振興上の課題となっております。  そこで、質問ですが、二見公園を初めとした定山渓地区のトイレの現状について、本市はどのように捉えているのか、認識について伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  平成27年に地域とともに策定いたしました定山渓観光魅力アップ構想では、定山渓の魅力アップに向けて、目指すべき将来像及び方向性を描いておりまして、その基本方針の一つに、温泉街らしさやにぎわいづくりを掲げているところでございます。その実現の方向性といたしまして、温泉施設や観光スポットなどの環境整備を掲げているところでありまして、温泉街にあるトイレの整備も定山渓の観光魅力アップに向けた課題の一つであるというふうに認識しているところです。 ◆千葉なおこ 委員  水回り機器メーカーのTOTOでは、2018年7月に訪日外国人150名を対象に、外国人のトイレに関するアンケート調査を実施いたしました。  アンケートにおいて、公衆トイレが整備されていることについて、観光地のイメージがよくなると答えた人は7割を超え、次に、観光地で安心して長時間過ごすことができるという方は3割を超えました。さらに、観光地がどのように整備されているとまた訪れやすくなるかとの問いには、1位の公衆無線LANスポットに次いで、トイレが明るく、臭くないというのが2位でございました。  国も、観光振興事業の一つに、公衆トイレの洋式化や機能向上に力を入れ、補助もしておりますし、全国の観光地でもおもてなしトイレに取り組んでいるところです。本市でも、東京2020オリンピック・パラリンピックの札幌開催に向けて地下鉄主要駅のトイレのバリアフリー改修や、大通公園で行われたラグビーワールドカップのファンゾーンには、外国人来場者が多く利用することを考慮した仮設洋式トイレの設置や、トイレ周辺には目隠し用フェンスの設置などを行いました。  現在の大通公園の観光事業と定山渓観光事業とでは、観光に対する取り組みに大きな差があるのではないでしょうか。関係者とも協議した上で、現在、定山渓観光協会が独自で設置している仮設トイレを含め、観光客が大勢訪れる二見公園を初めとした定山渓観光スポットのトイレ対策をすべきであると考えます。  そこで、質問ですけれども、二見公園を含め、定山渓地区の観光にふさわしいトイレを整備すべきと考えますがいかがか、また、定山渓地区の繁忙期などは、観光振興事業として本市で仮設トイレの設置を検討すべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  観光地にふさわしいトイレのあり方につきましては、現在、先ほど申し上げました定山渓観光魅力アップ構想に位置づけられております定山渓集客交流拠点施設の整備に向けまして、周辺環境の整備を含めた定山渓地区全体の観光魅力アップのための検討を進めております。そうした中で、地域の方々のご意見を聞きながら、あわせて検討してまいりたいというふうに考えております。  また、繁忙期におけます仮設トイレの設置につきましては、定山渓観光協会などの関係者の方々と協議しながら、今後必要な対応をとってまいりたいというふうに考えてございます。 ◆千葉なおこ 委員  ぜひ、ご検討していただきたいと思います。  今すぐに公衆トイレの新設ができないとしても、やはり、現在のトイレのままですと、観光地としてふさわしいとは思えませんし、トイレ一つで観光地の評価を下げるのはもったいないことだと思います。観光で訪れた方が気持ちよく使えるトイレが、観光地では求められる時代です。今は、きれいで清潔に使える仮設トイレなどもありますから、一時的にでも設置していただくように申し述べまして、私の質問を終わります。 ◆小須田ともひろ 委員  私からも、定山渓の観光振興について、2点お伺いいたします。  今ほどの千葉委員のお話にもありましたが、定山渓は、まさに今、観光シーズンのピークを迎えております。例年に比べると、若干、紅葉の色づきが遅いようですが、これからまさにピークを迎える紅葉を見に多くのお客様が定山渓を訪れてくれると思います。  観光を地域経済の柱の一つとする札幌市におきまして、温泉とすばらしい景観を有する定山渓地区はとても重要なエリアでございます。新たな宿泊施設やアクティビティーもふえ、これから、さらに魅力のある地域となっていく可能性が多分にあるこのエリアのPRにももっと力を入れるべきと考えておりますが、札幌市では、平成27年に定山渓の観光地としての魅力を高めていくための指針であります定山渓観光魅力アップ構想を策定しております。  ことしの第2回定例市議会の議案審査特別委員会において審議された定山渓集客交流拠点施設整備についても、この施設整備は、この魅力アップ構想の目的の一つである温泉街らしさやにぎわいづくりを実現するための取り組みであり、定山渓全体の魅力アップが原点であることを忘れずに進めていただくよう指摘させていただきました。  そこで、質問ですが、定山渓観光魅力アップ構想に基づく取り組み状況をお伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  定山渓観光魅力アップ構想に基づく取り組み状況というご質問でございます。  定山渓観光魅力アップ構想につきましては、定山渓の魅力アップに向けまして目指すべき将来像及び方向性を描いたものでございまして、その推進に当たっては、四つの基本方針に基づいて、地域と札幌市が一体となって取り組んでいくこととしているところでございます。  基本方針の一つ目でございます温泉街らしさやにぎわいづくりに関しましては、温泉街の観光サインの整備や景観まちづくり指針に基づく魅力的な景観形成、開湯150周年に合わせた歓迎塔及び手湯の再整備のほか、定山渓観光協会といたしまして源泉公園のリニューアルなどを行ってきたところでございます。  また、基本方針の二つ目でございます広域的なネットワーク化による新たな魅力創出に関しましては、定山渓ネイチャールミナリエや雪灯籠などの集客イベントや、温泉街の空き店舗を活用したカフェの開業などに取り組んでまいりました。
     さらに、基本方針の三つ目でございます魅力を伝える情報発信・インフォメーションの強化に関しましては、観光案内所での観光案内のほか、ウェブサイトやパンフレット等を活用した観光情報の発信、商談会でのPRなどを実施したところでございます。  最後に、基本方針の四つ目でございます魅力アップの担い手育成とマネジメントに関しましては、市内の学生などによります各種イベントでの協力体制づくりや、SNSによる情報発信を通じた定山渓ファンづくりなどを実施してきたところでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  この魅力アップ構想に関しましては、今後も、地域の意見をしっかりと把握した上で、地域とともに取り組んでいただきたいと要望させていただきます。  定山渓の温泉街ですが、二見公園や足湯など、市が管理する観光施設の一部にかなりの老朽化が見られます。地域の観光協会にも、幾つかの場所に対して補修や整備を望む声があると聞いております。老朽化施設は、来訪者の印象を悪くし、滞在中の満足度低下にもつながりますことから、早急に対応すべき課題であると考えております。  そこで、二つ目ですが、札幌市が管理する老朽化施設へどう対応していくおつもりか、お伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  定山渓温泉におきまして札幌市が管理する老朽化施設への対応ということでございます。  定山渓温泉につきましては、札幌市における代表的な観光資源の一つでございまして、魅力的な温泉街の景観を保つための修繕、維持管理は重要な取り組みであると認識しているところでございます。  今年度、地域から定山渓の魅力アップにつながるご提言をいただいたところでございまして、そのうち、温泉街に設置しております案内マップの更新や見晴らし台の再整備など、早期に実施できるものについては既に対応を進めているところでございます。また、提言の中に市が管理する老朽化施設への対応も含まれておりまして、これらについて早期に改善できるよう、関係部局や関係機関と調整を行っているところでございます。  今後は、定山渓観光協会を初めとした地域の方と定期的な意見交換を行う場を設けるなどいたしまして、引き続き、要望の把握に努め、老朽化施設の対応を含めた定山渓の魅力アップに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  最近では、定山渓にも新しい飲食店などが開業し始めており、新たな魅力が生まれてきております。こういった新しい動きにもしっかりと着目していただきながら、より一層、魅力アップを加速していっていただきたいと思います。 ◆岩崎道郎 委員  私からは、新MICE施設の整備について、そして、No Mapsについて、大きく2点伺いたいと思います。  まず初めに、新たなMICE施設についてです。  事業の進捗、そして、資材価格等の上昇の影響について伺います。  新たなMICE施設の整備につきましては、2018年第1回定例会の代表質問において、我が会派からの経済効果やスケジュールについての質問に対し、経済波及効果に加え、周辺の民間投資の誘発も期待できるほか、市民が利用できる施設とすること、また、2025年度には竣工、供用開始できるよう検討を進めていく旨の答弁がなされたところです。さらに、2018年第2回定例会の代表質問において、我が会派からの施設の整備方針と札幌パークホテルとの協議状況についての質問に対し、札幌パークホテルとの協議については、覚書を締結の上、スケジュールや事業費、施設の整備内容等の精度を高め、整備基本計画に基づき、着実に事業を進めてまいりたいとの答弁がなされたところです。  中島公園駅の周辺地区は、皆さんも想像がつくと思いますけれども、キリンビール園の跡地が広くあいています。そして、ヤマハの土地も大きくあいていて、非常に広い土地がたくさんあいているのですが、先日、キリンビール園の跡地を積水ハウスが取得したとの報道がありました。これから民間投資の誘発などの動きが見られるところであって、今申し上げたヤマハの跡地も非常に大きなものですので、動向が気になるところです。  そして、先日公表されました都道府県の地価調査によりますと、土地価格も引き続き上昇傾向にあることに加えて、今、いろいろなところが買いたいと言えば、当然、土地の値段もまだまだ上がってくるのかなというふうにも想像しています。加えて、資材価格や人件費も上昇しておりまして、建設費への影響が気になっているところです。  そこで、初めの質問ですが、新MICE施設の現在の事業進捗状況、そして、資材価格や人件費等の上昇による建設費への影響について伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  新MICE施設の事業の進捗と資材価格等の上昇の影響ということでございました。  昨年6月1日に、札幌市と札幌パークホテルを所有いたします株式会社グランビスタホテル&リゾート及び株式会社サンケイビルとの間で、事業の目的や想定スケジュール、相互の役割等の基本事項を定めた覚書を締結いたしまして、株式会社グランビスタホテル&リゾートを事業主体としてただいま事業を進めているところでございます。現在は、基本設計が進められているところでございまして、施設の概要が見えつつあるといった状態でございます。  また、次に、資材価格等の上昇の影響についてでございますけれども、新MICE施設におきましても、土地価格や資材価格、それから人件費の上昇による影響が見られております。このことから、現在、バックヤードの面積や内装設備の仕様を見直すなどしてコストの縮減に向けた検討を行っておりまして、このことに若干時間を要しているところでございます。  なお、整備全体スケジュールにつきましては、この後、基本設計を踏まえまして、改めて検証を行う必要があると考えているところでございます。 ◆岩崎道郎 委員  計画ができて、実際に着手するまでにはタイムラグがあります。当然、市場ですから価格等々は変動してくるものと思われますので、しっかりと対応していただきたいと思います。当然、税金を使って行う事業ですので、ただただ縮減に進めばいいということではなく、コスト感というところでしっかりとコスト管理をしていくことが非常に重要なのかなというふうに思っております。  そして、この施設は、札幌のMICE誘致、開催を先導するために、札幌らしい魅力を生かして都市間競争に負けない高い競争力を持った施設とすることが非常に重要な観点であると思います。繰り返しになりますが、そういった意味では、ただただ何かを削ればいいということでもなく、しっかりとした施設にしていかなければいけないだろうと考えます。そして、市民に対しても、地下鉄駅とのアクセス性の向上や、気軽に憩えること、さらに、計画の中にもありますが、地域防災に資することにも配慮していかなければいけません。MICE施設と言うと、一般の市民の皆さんからは少し遠い存在なのかもしれませんが、中島公園をこれから大きくリニューアルしていく意味でも非常に重要な施設だと思いますし、今申し上げた防災という観点からも、市民の皆さんのご理解もしっかりと得ていかなければいけないと思っています。  そこで、次の質問ですけれども、コスト縮減に向けてはどのような観点で検討を行っているのか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  新MICE施設のコスト縮減の観点でございます。  コストの縮減に当たりましては、整備基本計画で掲げました施設のターゲットでございます大規模な国際会議やインセンティブツアー、市民が楽しめるコンサートなどの開催に必要な機能に加えまして、市民の利便性向上等に資する機能など、必要なものは維持していきたい、そして、削れるものは削るという観点から検討を行っているところでございます。  また、基本設計の内容につきましては、今後のスケジュールも含めまして、年内をめどに報告できますよう鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  税金をどんどん使っていいというわけにはまいりませんので、やはりコストは縮減していただきたいのですが、そのことによって、例えば、働く人に給料がいかないということはもちろんあってはいけないですし、安い資材を使うとか、削れることを削っていったがために、後々、この施設に何か不備があるようなことになっては非常にまずいなと思います。削れるところを削るのは大切ですけれども、日本中、世界中から選んでいただけるMICE施設になるように、皆さんでしっかりと検討を進めていただきたいなというふうに思っております。  新MICE施設に関しては、以上でございます。  続いて、No Mapsについて少し質問させていただきたいと思います。  先日、9月11日に、No Maps釧路・根室クリエイティブコンベンションというのが大地みらい信用金庫などの主催で釧路にて初開催されました。私も釧路の出身ですので、議会の中でも質疑されていたNo Mapsの取り組みが地方にも波及していることに非常に関心を持って見ておりました。釧路、根室という地域性から、管内の基幹産業である農業、水産業、そして観光の未来をテクノロジーで切り開くことを目指したセミナー、こういったものが開かれていたり、釧路、根室に加えて、白糠、標茶、中標津の高校生が地元の資源等を活用したビジネスプランを競い合う高校生ビジネスコンペティションが開催されるなど、多くの関係者、若い方が集って盛り上がっておりまして、私もSNSなどで確認させていただいております。  札幌のみならず、北海道全体が元気になること、これこそ、まさにNo Mapsが目指すもので、テクノロジーやアイデアで未来の社会を切り開く、そのような志を持った人たちが集い、交わる場、そして、新たなビジネスを生み出し、加速させる場、こういった新たな挑戦の火種を生み出す場が各所で湧き起こっていくことは非常に重要だと思っています。No Mapsという名前のもともとの由来ですが、地図のないところ、No Mapsですから地図がない、真っ白な地図に自分たちで未来を描いていくんだというような動きに非常に即しているのかなというふうに思っています。  札幌のこれまでの3回を振り返ってみますと、先端技術や新産業ビジネスなどをテーマとしたカンファレンスに、ビジネス交流であるミートアップを組み合わせるなど、民間の発想ならではの実施手法、そして、実証実験では、公道での自動運転走行や全国初となる配送ロボットのデモ走行を受け入れるなど、No Mapsによって札幌の地にもたらされた多くの先駆的な取り組みがなされてきました。  一方で、先駆的であるがゆえに、市民の皆さんにとって、そして、議員の皆さんにとっても、No Mapsって一体何なんだというふうに思っている方がもしかしたらいるのかなというふうに思っています。先日も、私たちの控室の机上にパスなどが配られていましたので、ぜひ皆さんには見ていただきたいなと思うのですが、この点で、まず、成果についてしっかりとお示しいただいたほうがいいのかなと思っています。  そこで、最初の質問ですが、昨年度の来場者実績は3万8,457人と聞いております。参加者の市内消費額など具体的な数字も含め、No Mapsのこれまでに得られた成果はどのようなものであったのか、伺います。 ◎高橋 国際経済戦略室長  No Mapsの成果についてでございますが、これまで、No Mapsでは、新たなビジネスを生み出し、加速させることを目的として、ビジネスカンファレンスの開催や交流の機会の提供などを行ってまいりました。  その結果、No Mapsをきっかけとして、都内大手企業と市内企業の仮想現実技術に関する合弁会社が設立され、10億円規模の資金調達が行われたり、No Mapsで実施した投資コンテストの受賞企業が、札幌に本社を移して全国展開を進め、雇用を生み出すなど、市内への投資の呼び込みや、創業2社、企業誘致2社による88人の雇用創出に結びついたところでございます。さらには、No Mapsに触発された札幌の高校生たちが、自主的にSteppin’Upという高校版No Mapsのイベントを本年8月に実施するなど、夢に挑戦する若者の意識高揚につながったと受けとめてございます。  なお、昨年度実績で、市内外からの参加者や関係者による市内消費額は、約2億2,000万円と推計しております。 ◆岩崎道郎 委員  No Maps自体が、市内企業への投資の呼び込みや、創業、企業誘致による88人の雇用創出に結びついていると聞いて、本当にうれしいなというふうに思います。先ほども2.2億円というお話もありましたが、きっと見えていない部分とか、いろいろな部分でもっともっと効果が生まれているのかなというふうに感じているところです。そして、何よりも高校生がNo Mapsに触発されてイベントを開催したことは、札幌市の事業や札幌市が先導している仕事の中でこういったことは少ないのではないかなと思いますので、何かわくわくする情報だなと思っております。  私は、この6月に、札幌市とポートランド市の姉妹都市提携60周年を記念して、桑原副議長を団長とした議員団の一員としてポートランド市を訪問させていただきました。ポートランド市は、全米一、住みやすいまちと言われております。行った実感としても、確かに、たくさんの若い方が外で元気にいろいろな活動をされておりました。  なぜ、そんなに住みやすい都市なのかといいますと、理由の一つに、頻繁にものづくりやクリエーティブに関する勉強会や交流会が開かれている、まさにNo Mapsのミートアップのようなものが開かれている、そして、若者たちの持つ何かをやりたいという気持ち、これを地域の人々が育て上げる環境があるということも聞いております。さらに、起業家精神の旺盛な人々も集まってきていて、私も、小さいお仕事、小商いをポートランドでたくさんやっているというような情報誌を拝見したことがあります。  ご案内のとおり、ポートランド市やその周辺には、ナイキ、アディダス、インテルなど、本当に世界的に有名で、そして若い人たちからも人気のある企業が立地、進出しておりますが、そういった企業が立地する最大の理由は、やはり、ポートランドという地域がクリエーティブでオープンマインドを持っている人たちが集まるまちだからこそだというふうに聞いています。  札幌のNo Mapsの開催当初、大きな目標の一つとして、札幌、北海道の地に、感度が高く創造的で新たな領域を切り開いたり、新たなビジネスに取り組む人たちを呼び込むことだということを聞きました。No Mapsの取り組みをしっかりと継続していくことで、ポートランド市のように人や企業の集まる好循環を生み出すことができるのではないでしょうか。そのよき例を姉妹都市ポートランド市で学ぶことができたことに、改めて感謝したいと思います。  そこで、質問ですけれども、投資の呼び込みや雇用創出効果が生み出されていることに加え、人の集まる循環を生み出すためにも必要な事業であると考えておりますが、今年度のNo Mapsの特徴的な取り組みについて伺います。 ◎高橋 国際経済戦略室長  今年度におけるNo Mapsの特徴的な取り組みについてお答えさせていただきます。  まず、10月のメーン期間以外におきましても、年間を通じまして人や企業が集まり、新たなビジネスを生み出す場を提供するため、ビジネス交流会、the Meeeeeeeet!をこれまで5回開催いたしまして、約300名の方にご参加いただいております。そして、メーン期間中は、カンファレンスにおきまして、未来への挑戦というテーマに沿った世界的権威の教授や宇宙ビジネスのキーマンに登壇していただくなど、国内外から新たなビジネスの創造に影響のある方々にご参加いただく予定となってございます。また、市民の方に未来の先端技術に触れていただくために、自動運転実験車両や電動キックスケーターに試乗できる機会を設ける予定でございます。  このような取り組みを通じまして、世界の起業家から多くの注目を集め、スタートアップや新産業の創造、企業誘致、都市の魅力向上につなげてまいりたいと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  No Mapsのもともとの始まりは、たしかサウス・バイ・サウスウエストというアメリカでのイベントで、そこから、今、大体の皆さんが使っているあのツイッターが世の中に出てきたと思います。  そういったことからNo Mapsを札幌で開催しておりますが、このNo Mapsの取り組みが全国的な広がりを見せていて、神戸や渋谷区などでも同様の取り組みが開催されているようでございます。負けないようにと言うのは変ですが、みんなで触発し合って、こういった新しい技術みたいなものがどんどん生まれてきたらいいなというふうに思っております。また、今、雇用が生まれ、そして、投資も生まれていますが、まだまだ余地があると思います。  それから、これまでは民間企業の皆さんが中心となってやられていて、札幌市は少し距離を置くようなお話も伺っていました。しかし、恐らく何年か後には、例えば公道の運転だと、民間企業が主導ではなかなか突破できないところがたくさんあると思いますので、そういったところは、今後、やはり行政の立場でお支えしていただきたいなと思っております。  来週16日に迫っております今年度のNo Mapsのパンフレットを見ました。やっぱり、毎年たくさんのことがあり過ぎて、少しわかりづらいなというところもあります。また、ちょっと目が遠くなってきて、文字が小さいので少し大きいものに直していただきたいというのは私の個人的な意見です。せっかくいいものなので、いつ、何どき、どんな人が来ているか、どんな人なのかというのを少しわかりやすいものがあってもいいかなということは、一つリクエストさせていただきます。  それから、カンファレンスに、札幌出身で、世界で活躍されているマサチューセッツ工科大学の石井教授が登壇するそうです。これは、一部の人からはすごい人が来るねというふうに言われていますが、そのすごさがなかなか伝わらないところも残念なのです。ぜひとも、新しい技術に関心がある方だけではなく、本当に多くの人にこういったミートアップなどにも参加していただいて、この札幌の地で新たなビジネスが生まれてくることを期待して、私の質問を終わります。 ◆わたなべ泰行 委員  私からは、フィルムコミッション事業について質問いたします。  札幌市では、2014年に議員提案による映像のまち条例の制定以降、映画やドラマなどの映像作品を活用して地域の魅力をさらに高め、経済を活性化させるためのさまざまな取り組みを進めております。  我が会派では、ロケ誘致により、札幌市のメリットにつなげていくこと、さらには、作品を活用し、地域の活性化を目指していただきたいことについて継続的に質問と要望をしているところでございます。  さて、昨年度については、札幌フィルムコミッションが誘致、支援を行い、市内で撮影を行った映画「こんな夜更けにバナナかよ」が興行収入10億円を超える大ヒット作品となりました。作品を通じ、市内の障がい者就労支援企業と映画会社が連携し、キーホルダーなどの公式グッズが制作されたり、撮影が行われたコーヒー店ではタイアップメニューを登場させたりするなど独自の企業活動につながるとともに、ロケ地をめぐるために札幌を訪れる観光客向けのプロモーション、さらには、特に西区の地域の皆様は盛り上がったようですが、地域への愛着や誇りの醸成などにつながったと私は認識しており、評価しているところでございます。  「こんな夜更けにバナナかよ」の誘致に関して伺う中で印象的だったことは、もともと住宅街での撮影がメーンだったことから首都圏で撮影予定だったところ、札幌フィルムコミッションでは、主人公が実際に住んでいた住居を撮影場所として調整するなど、作品に欠かせない数々の要素を提供することで誘致に結びつけたとのことでした。  この映画の観客動員数が91万人とのことで、多くの映画を見た方々、また、出演者や関係スタッフのツイッター、インスタグラムなどのSNSで発信された撮影現場を通じて、札幌を見た方たちが札幌市に注目することとなり、結果として非常に大きなシティプロモーションにつながったものと感じております。  そこで、質問ですが、現在、札幌フィルムコミッションが誘致を行っている映画やドラマの中で大きな成果が期待できる案件があれば、その状況について伺います。 ◎高橋 国際経済戦略室長  札幌フィルムコミッションにおける映画、ドラマのロケ誘致の状況についてでございますが、ロケ、公開時期が未定のものも含めて13の案件が現在進められております。  その中の一つに、制作発表前ではございますが、来年公開予定の北海道を舞台にした直木賞受賞小説を映画化した作品がございます。この作品につきましては、「こんな夜更けにバナナかよ」と同様に、もともと屋内ロケがメーンの設定で首都圏のスタジオで大半の撮影が可能でありましたが、札幌フィルムコミッションの働きかけにより、市内テレビ局におけるスタジオ撮影を含め、札幌への誘致に成功したところでございます。撮影に当たりましては、市内の事業者が美術セットの制作に携わったほか、市内の専門学校の学生がスタッフとして実際の現場に参加するなど、市内映像産業の活性化に寄与したものと考えております。  また、今後、全国の映画館での公開が予定されておりますことから、ロケ地をめぐって訪れる観光客の増加なども期待しているところでございます。 ◆わたなべ泰行 委員  ただいまの答弁で、ロケの撮影のみならず、スタジオでの撮影が札幌市内で可能になるということでした。そうなると、当然、撮影日数がふえることとなり、市内事業者に対する業務の発注がふえることにもなりますので、市内における直接経済効果の増加につながっていくものと考えます。また、全国各地の映画館で上映されるような作品に市内の事業者がかかわることができ、かかわった会社にとってはとてもいいPRにもなり、業界の活性化にもつながったと考えております。  また、映像産業を目指す学生たちにとっては、実際の撮影現場での実体験は学校では学ぶことのできない大変に貴重なものでありますので、人材の育成や確保という観点からも、こうした事例をふやしていっていただければと考えております。  また、札幌フィルムコミッションの働きかけ、そして、市内テレビ局の協力で、「こんな夜更けにバナナかよ」と同様に、首都圏での予定だった撮影地が札幌になり、直木賞を受賞した小説を映画化した作品のロケが札幌、北海道でやられるということで、今後、制作発表がされると思いますので、大いに期待しております。  次に、フィルムコミッションの海外に向けた取り組みについて伺います。  本年6月に、札幌フィルムコミッションが台湾の台北フィルムコミッションと映像分野での協力覚書を締結し、日台の映像制作者に相互に撮影支援をするほか、人材交流のかけ橋としての役割を担い、映像面での日台交流がより深まることや、産業の振興を目指すとのことで、報道でも取り上げられておりました。台北市で行われた締結式には、現地のメディアや映画関係者が多数訪れ、現地のテレビニュースでその模様が放映されるなど、札幌、北海道に対する注目度の高さを感じ取ることができたと聞いております。  そこで、質問ですが、今回の台北フィルムコミッションとの覚書の締結を機として、具体的にどのような取り組みが進められる予定なのか、伺います。 ◎高橋 国際経済戦略室長  台北フィルムコミッションと連携した取り組みについてでございますが、覚書におきましては、さらなる国際的映像作品の誘致や国際共同制作の推進に向けた相互の交流、支援を円滑に進めることを主眼としております。  具体的には、覚書締結後の8月に台北フィルムコミッションの饒総監が札幌に訪れまして、北海道内のフィルムコミッションやロケ誘致に取り組んでいる自治体などが一堂に会します道内フィルムコミッション連絡会議におきまして、台北市におけるロケ誘致や撮影の現状について講演を行っていただきました。また、覚書の締結を受けまして、早ければ今年度の冬には、札幌を初めとした道内各地で、「Have A Nice Trip」という台湾映画の撮影が始まる予定となってございます。この作品のほかにも、ロケ撮影の調整が進められている案件がございますので、今後も、情報を共有しながら台北フィルムコミッションとの連携を深め、映画、ドラマのロケ誘致を積極的に進めてまいりたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  今回の台北フィルムコミッションとの協力覚書の締結によって、さらなる国際的映像作品の誘致、また、国際共同制作の推進に向けて、相互の交流、支援を円滑に進めるとのことで、早速8月には台北フィルムコミッションの饒総監が来札され、講演されたということでした。また、「Have A Nice Trip」の撮影も、早ければ今年度の冬には行われるということで大変に期待しております。この台北フィルムコミッションとの覚書の締結が、これからの札幌市の映像産業の発展やさらに大きな札幌市のシティプロモーションにつながっていくことを期待しております。  海外展開の成功例を言いますと、フィリピンの作品になりますが、フィルムコミッションがロケの誘致と支援を行いました札幌と北海道を舞台にした恋愛映画「Kita Kita」がフィリピン国内で大ヒットしまして、空前の北海道ブームが巻き起こり、昨年12月のフィリピン航空のマニラ−新千歳の直行便の就航に結びついたという事例もあります。  このことで、私は、改めて映像の持つ人々に訴えていく力を感じました。台湾からは、年間50万人と多くの方々にご来札いただいておりますが、今後、誘致する映画を通じて、より一層、札幌、北海道の自然や文化などに魅力を感じてもらい、継続的に札幌を訪れていただけることを期待するとともに、こうした海外との連携は、札幌をPRする上で効果的な取り組みであるとともに、暮らしている私たちが気づかなかった札幌の新たな魅力の発見や創出にもつながると考えますので、引き続き積極的に進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。 ◆小形香織 委員  私からは、一つはコミュニティ型建設業創出事業について、それからもう一つは、観光税、宿泊税について、大きく2点質問したいと思います。  まず初めに、コミュニティ型建設業創出事業について質問いたします。  本市は、建設関連業の地元下請企業の支援策として、2004年度からコミュニティ型建設業創出事業をスタートさせました。私ども日本共産党も、この事業は、地元の中小企業の支援策として大変重要な役割を果たしているというふうに考えておりまして、この間も議会でたびたび取り上げてまいりました。  スタート当初から徐々に事業区域が拡大いたしまして、受注実績が順調な伸びを見せているとして、本市は、コーディネート事務局への補助金を削減して、2014年には補助金という仕組みを終了させ、そして、2015年度からは、コーディネート事務局と参画企業、そして本市の3者でコミュニティ型建設業推進協議会というものを設立し、そこに対して補助金を交付しておりました。しかし、それも、協議のもとで2017年度で交付金が終了して現在に至っております。  まず初めに、コミュニティ型建設業の昨年度の事業実績、そして、本市の取り組みはどのようなものであったのか、明らかにしていただきたいと思います。 ◎一橋 産業振興部長  コミュニティ型建設業創出事業の昨年度の実績と本市が行った取り組みについてでございます。  こちらは3カ所のコーディネート事務局がございまして、昨年度は、その合計で661件の住宅に関する相談や依頼を受け、成約件数が123件、金額にいたしまして1億8,300万円の実績となってございます。  また、本市が行った取り組みといたしましては、サービス向上に向けて、利用者へのアンケート調査を実施してコーディネート事務局へフィードバックを行ったほか、区役所やまちづくりセンターにこの協議会のパンフレットを配架し、また、市のホームページ、コールセンターでコーディネート事務局の紹介などを引き続き実施しているところでございます。 ◆小形香織 委員  今伺ったところでは相談が661件、成約が123件、1億8,300万円くらいということでしたけれども、これは、2016年度や2017年度の実績と比べてどのようなものだったか、もう少しお知らせいただきたいと思います。 ◎一橋 産業振興部長  前年度、前々年度の実績につきましても、平成28年度は相談件数が400件程度、29年度が340件程度でございますので、30年度については相談件数は増加している状況でございます。成約件数につきましては、平成28年度は169件でございましたが、29年度、30年度は128件、123件ということで、少し減少してございます。また、成約金額につきましては、平成28年度が2億1,000万円程度、29年度が1億8,500万円でございまして、平成30年度の金額、件数等は若干減っている状況にございます。 ◆小形香織 委員  相談件数は、400件だったり300件だったり、2018年度は661件でした。成約件数は、169件から、2018年度は123件と、多少の上がり下がりはあるかと思いますが、そんなに大きくがたっと減っているようでもないと受けとめております。そして、本市としても、利用者アンケート、パンフレットの配置などに取り組んできているというお答えだったと思います。また、この協議会のメンバーというのは、三つのコーディネート事務局の方と、それから、本市で言うと産業振興部の担当課長、係長の方々もそこに出席され、参画企業も一緒になってやっておられるということでした。  コミュニティ型建設業創出事業というのは、住まいの修繕だとか新築だとか設備工事などなど、市民の困り事、住まいに関する相談などについて、まずこのコーディネート事務局に連絡をすると、そこが窓口になり、そして、その事務局の方が直接その方のお宅に行って、現場を見て、要望も聞きながら、どういう修繕やどういう配置が必要なのかということを見てくれて、なおかつ、その仕事をするならこのお店がいいだろうということで事業者を紹介するというか、それこそ実際に、コーディネートしてくださるわけですね。そして、見積もりをとって着工し、業務が終わったら、またその場に行って最後の仕上がりもきちんと確認して、さらに、その仕上がりについて市民の方からいろいろ不満などがあった場合にはコーディネート事務局が責任を持って対応されているという事業であります。  ですから、私は、市民の悩みに応えながら、喜んでもらえるということで、非常に誇りを持ってやっておられると感じておりますし、現在、市の補助金は出されておりませんけれども、私は、このように地元中小の建設事業者を支える事業というのは非常に大事な取り組みだと思っております。  そこで、本市は、今後、この事業についてどのようにかかわっていこうとお考えなのか、伺いたいと思います。 ◎一橋 産業振興部長  今後のこの事業へのかかわりについてということでございます。  ただいま委員からお話がございましたが、私どもも、市民の安全・安心な暮らしを実現していくためにも、地域に密着して、例えば住宅の修繕といったことを行っていくコミュニティ型建設業というのは、今後も重要な役割を担っていくものというふうに認識してございます。  本事業につきまして、住まいや暮らしについて困っている方に安心して活用していただくためには、何よりも、本市が参画してこの事業をより多くの市民、また企業の方に知っていただくことが重要だというふうに考えてございまして、今後も、周知を初め、積極的にかかわってまいりたいというふうに考えてございます。 ◆小形香織 委員  コーディネート事務局の方から少し資料をいただきましたが、今年度、成約した事業を見ても、外装だとか内装、それから、解体だとか土地の売却などについてもやっておられるという内容でした。そして、発注した方の推定される年齢は、およそでありますが、6割、7割ぐらいは70代の方と見られるということもお聞きしております。  事務局の方はこうしたデータを積極的に集めておられまして、この事務局をどのようにして知ったのかというアンケートもとっておられますが、2016年度、2017年度の調査でもこの事務局を知ったきっかけのナンバーワンはやっぱり広報さっぽろなのですね。2番目がチラシ、3番目が知人からの紹介などとなっておりまして、大体3割から4割ぐらいは広報さっぽろがこの事務局のことを知る情報源になっております。  また、事務局の情報については、年に1回、家屋のリフォーム、修繕などの相談に応じますということで、ことしの広報さっぽろ4月号のお知らせのページにも載っておりましたけれども、このコーディネート事務局では、市民に向けて、年に6回から8回程度、セミナー・相談会を実施しておられます。しかし、このセミナー・相談会のほうは広報さっぽろに載せなくなりました。これまで、セミナー・相談会のお知らせが広報さっぽろに掲載されていたときには、参加者は30名から50名程度でしたけれども、ことし4月から広報さっぽろの紙面が大幅に縮小され、セミナー・相談会のお知らせが掲載されなくなったことによって、参加する市民が2名だったり1名だったりと急速に激減し、余りにも参加者が少ないためにセミナーそのものを中止せざるを得ない事態になっているというふうにお聞きしております。  このセミナー・相談会への市民の参加というのは、そこで相談した後に成約につながっていくケースもかなりあると伺っておりますので、私は、やっぱり、広報さっぽろに開催案内を載せることがコミュニティ型建設業を支える大事な周知の方法だというふうに考えております。  本市は、このセミナー・相談会の果たしている役割についてどのような認識でおられるのかということと、あわせて、このセミナー・相談会の広報さっぽろへの掲載について、私は復活させるべきではないかと思っておりますが、その点、いかが対処されようとお考えなのか、この2点を伺いたいと思います。 ◎一橋 産業振興部長  この事業に関するセミナー・相談会の役割ということでございますが、今、委員がおっしゃられたとおり、このセミナー・相談会を通じて協議会、コーディネート事務局、参画する企業とのマッチングが図られていくという上でも、このセミナー・相談会の役割は大変重要なものであるというふうに考えてございます。  また、広報さっぽろへの掲載ということについてでございますが、先ほどお話がありましたとおり、広報さっぽろは、平成30年5月号からのリニューアルによりまして、イベント情報が、地デジとかスマホとか、お知らせ情報をまとめた冊子ということでの提供になってございまして、所管部局に確認しましたが、広報さっぽろに掲載することは難しい状況にあると聞いてございます。  ただ、先ほども申し上げましたが、セミナー・相談会の情報につきましては非常に重要だと思いますので、先ほどお話いたしましたパンフレッにも掲載して、例えば区役所やまちづくりセンターで配架しておりますほか、札幌市のホームページ、それから、これは民間ですが、戸宅配付型のフリーペーパーに掲載して周知を進めてきたところでございます。  今後も、広報、周知の方法についてはいろいろな方法が考えられると思いますので、効果的な方法について引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆小形香織 委員  ぜひ、いろいろな方法をぜひ考えていただきたいと思います。
     今、部長がお答えになったように、重要な役割を果たしている、本当に頑張ってやっておられて、いい役割を果たしているというふうに思っております。先ほど私が成約した方の推定年齢は大体70代が多いとお伝えしたのは、やっぱり、ホームページなどの電子的な媒体を使っているだけではなかなかそこにはつながらなくて、この年齢層の方は広報さっぽろでこの事業を知ることができるという実態ですので、私は、ホームページなどでの周知だけでは不十分だと感じております。  何といっても、これは、札幌市がかかわってやっている事業だということがわかることが大事です。先ほど、部長も、本市が参画していることが大事なのだというふうにおっしゃったわけで、それは、まさに広報さっぽろに載っていれば札幌市がかかわっていることがわかるという意味合いなのではないかというふうに思いますから、私は、このことについて担当部局とよく話をしていただきたいと思っております。  もう既に補助金も打ち切っている中で、コーディネート事務局の方を中心にして、地元の業者は大変頑張っておられます。ですから、せめてセミナー・相談会の広報さっぽろへの掲載ぐらいは努力していただきたいというふうに思いますので、関係部局とのさらなる深い協議をしていただくことを強く求めておきたいと思います。  続きまして、宿泊・観光税のことについての質問に移りたいと思います。  いただいた資料では、2018年度の札幌への観光客は、前年度比で3.8%増の1,584万6,000人、そのうち外国人観光客は5.7%増の271万9,000人となっている、そして2014年度の観光予算は10億円程度だったものが、2019年度には22億円となっているということでありました。  ことしの9月5日に、市長の諮問によって、第1回札幌市観光振興に係る新たな財源に関する調査検討会議が開催されました。市長は、この日の記者会見で、観光振興に係る費用もさらにこれから高まることを考えたときに、これら全てを市民の税金だけで賄っていいのかということもあり、新たな財源対策を検討していく時期に来ている、それから、法定外目的税が妥当かどうかという議論をしていただくというふうに述べておられます。  背景としては、国によって地方分権一括法ができて、その中で地方税法が改定されて法定外目的税が創設され、そうした流れの中で幾つかの自治体で導入されているということであります。  この法定外目的税ですけれども、税金ですので、これは非常に慎重に考えていかなければならないというふうに思っておりまして、観光客から納税されたものは観光振興に使われていくことが原則なのだろうというふうに考えております。既に、京都府京都市や石川県金沢市など他都市で行われている宿泊税がありますが、ここでは、納めた人がちゃんと受益者になっているのだろうかということについて、まず、1点目としてお聞きいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  既に宿泊税を導入しております京都市、金沢市の宿泊税条例におきましては、その税収を、都市の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、宿泊税を課するとされておりますことから、観光客も観光の振興を図る施策による利益を受けるという点におきましては受益者であるというふうに考えてございます。 ◆小形香織 委員  そして、もう一つ大事なことは、納税する側として、やっぱり、その税は何に使われているのか、そのことについて十分理解が得られるようにしていく必要があるのではないかと思います。しかし、旅行される方はいろいろなところに行かれるわけで、市外の方にこの税の使い道を周知できるかどうかというと、私はなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。  他都市が実施している宿泊税のようなものを課税する場合に、観光で来られる方に対してその使い道をどのようにして知らせることができるとお考えなのか、そこを伺いたいと思います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  市外からの観光客に対して宿泊税の使い道をどのようにお知らせするかというご質問でございました。  宿泊税を既に導入している自治体におきましては、その使途につきましてホームページで広く周知しておりますほか、宿泊施設に宿泊税に関する説明を掲載したリーフレットを配架するなどしているところがあることを確認しております。  仮に札幌市が観光目的税を導入する場合にも、こうした視点も重要であると認識しておりますので、同様の取り扱いを検討することになるというふうに考えてございます。 ◆小形香織 委員  一生懸命に努力はするのだろうと思いますけれども、それが本当に十分なものになるのかなという点では疑問があります。また、納税者となる観光客の方々と、本当に納得あるいは合意を得られるものになるのかという点でも疑問があるなと思いながら見ております。  検討会議の中では、市長は、観光振興について、今後の取り組みの方向性、新たな財源のあり方について検討していただきたいとおっしゃっておられます。市長のおっしゃる観光振興というのはどの範囲となるのでしょうか。例えば、スポーツ施設を建設することが観光の振興になるのか、ならないのか、道路をつくったり修繕することが観光の振興になるのかどうかなど、極めて曖昧な部分も少なくないなと思っております。  宿泊税や観光税の使い道というのはどの程度の範囲のことと考えておられるのか、伺いたいと思います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  観光税の使途というご質問であったように受けとめました。  9月5日に開催いたしました札幌市観光振興に係る新たな財源に関する調査検討会議におきましては、今後取り組むべき観光振興につきまして、魅力の向上、受け入れ環境の充実、持続可能な観光振興といった方向性が確認されてございます。  そこで、具体的な使途につきましては、今後、この調査検討会議の中でさらに議論を深めていただく予定となっておりますので、ここでの意見を踏まえまして、札幌市の検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆小形香織 委員  今、検討会議が開かれたばかりでございますので、そのようなご答弁になるというふうに思いますけれども、魅力向上だとか、持続可能だとかと言うときに、どこの範囲が観光振興なのかというのは非常にわからないなというのが今の段階だと思います。  ほかにも、例えば、札幌市民が宿泊した場合にはどうするのかとか、あるいは、家族の介護などのために札幌に来た人は観光目的ではないことは明らかですけれども、こうした場合はどうするのかなどの課題がたくさんあるというふうに思います。何よりも、札幌市以外の方から税を徴収していくことになることそのものは、非常に重たいことだと思いますので、慎重にも慎重であるべきだと思います。  検討会議の議論も、今後の議論も大変大事で、十分時間をかけるべきだと思いますし、決して導入ありきでこれを進めず、場合によっては実施しないということも当然ながら判断の一つだと思っておりますので、結論ありきで決定しないように求めて、質問を終わりたいと思います。 ○村上ゆうこ 委員長  ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後0時11分       再 開 午後1時15分     ―――――――――――――― ○中川賢一 副委員長  委員会を再開します。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆三神英彦 委員  私からは、民泊事業の健全な発展について伺います。  近年増加するインバウンド受け入れ環境の整備や、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた宿泊施設不足にも対応するため、政府は、昨年6月15日に住宅宿泊事業法を施行し、一軒家や共同住宅等において人を宿泊させる、いわゆる民泊が開始されたところです。  法が始まってから1年以上経過した現在、札幌市においては、民泊の施設数が9月末時点で2,088件に達し、政令市の中でも大阪市に次いで2番目となっています。また、その宿泊実績についても、昨年6月からことし5月末までの1年間で、民泊利用者が18万人を超え、その約85%が海外利用客となっているなど、インバウンド需要の受け皿としては一定の役割を果たしていると思います。さらに、民泊利用者の平均滞在日数は約2.8日となっており、これは既存のホテル、旅館と比べてもやや長い傾向にあります。今後、札幌市の観光産業を拡大・発展させていく上で、民泊に期待される役割は少なくないものと考えます。  一方で、昨年、民間の調査会社が実施したアンケートによると、民泊施設の近隣住民の約6割が民泊利用者のマナーについて問題だと思ったことがあるという結果も出ています。実際、札幌市では、9月末までに累計222件の苦情が既に寄せられており、その内訳の多くは、騒音、ごみのポイ捨て、無断駐車など利用者のマナーに起因するものでありました。さらに、本年6月には、札幌市内の民泊物件の一室が違法薬物の受け取り現場となる事件が起こり、市民の間に大きな不安が広がったこともあります。全国的に見ても、民泊施設が詐欺グループの拠点となる事件が発生するなどしており、民泊における防犯対策は課題の一つであると考えます。  こうした問題は、民泊の運営を行う事業者が責任を持って対応する必要があるのですが、一般的に、民泊事業ではホテル、旅館に比べて本人チェック等が甘いと言われており、参入業者のモラルが問われるところです。一部事業者の管理不備により、重大な犯罪などが民泊で発生した場合、業界全体の存続問題にも発展しかねません。  そこで、質問ですが、札幌市は民泊における防犯や近隣トラブル等に関し、どのような対策を講じているのか、まず、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  民泊におけます防犯対策等につきましては、住宅宿泊事業法におきまして、対面、またはタブレット端末などを利用した宿泊者の本人確認が求められております。札幌市といたしましても、民泊事業者に対し、本人確認の徹底を指導しているところでございます。  また、近隣トラブルへの対応を含めまして、不審者等の情報をいち早く察知するためには、周辺住民からの声に迅速に対応することが重要であるというふうに認識してございます。このため、平成30年5月から、土曜・日曜・祝日を含めまして、夜9時まで対応可能な札幌市民泊コールセンターを開設しておりまして、住民からの通報があった場合には、民泊事業者等に速やかに連絡できる体制を整備しているところでございます。  さらに、ことし5月には、民泊事業者などを対象といたしました講習会を実施いたしまして、北海道警察からの講義も交え、防犯対策等を含む民泊の適正運営確保に係る周知・啓発を行ったところでございます。  今後も、民泊事業者等への指導を徹底するとともに、関係機関と連携し、民泊の適正運営の確保に努めてまいりたいと考えてございます。 ◆三神英彦 委員  現状、住宅宿泊事業法では、宿泊者名簿の作成やパスポート等による本人確認などが求められておりますが、対面によるチェックインや近隣住民への事前周知までは義務づけられていないため、防犯対策が必ずしも万全とは言えない状態になっているのだと思います。  東京都新宿区など一部の自治体では、条例によって近隣住民への事前説明を義務づけるなどの取り組みを行っております。札幌市では、こうした条例による規制は現時点で設けてはいませんが、参考にすべき点はあると思われます。また、法や条例による規制も重要ですが、実際に民泊を運営する管理業者に対して、法令遵守の意識を高めて、サービスの向上や近隣住民との調和に向けた努力を促すことも重要かと思います。さらに、個々の事業者がそれぞれ自主努力をするだけではなく、事業者同士が連携し、業界全体が一丸となって民泊の健全な発展を推し進めていくことが、さらなる民泊事業の活性化につながると考えております。  次に、伺いますが、業界全体の健全な発展に向け、民泊事業者間の連携を進めていくべきと考えますけれども、現状をどう考えておられますか。 ◎石川 観光・MICE推進部長  民泊事業者間の連携についてでございます。  この件につきましては、委員のご指摘のとおり、民泊事業者の健全な発展のためには、事業者間の連携を進めていくことが重要であると認識しているところでございます。  現在、市内の民泊事業者の一部におきまして、自主的に連絡協議会を組織しているところもございます。また、本市もこの協議会にオブザーバーとして参加いたしまして、情報共有や意見交換を行っているところでございます。今後も、業界全体の連携に向けた機運が高まり、民泊事業の健全な発展に向けた体制づくりが進んでいくように、こうした動きの後押しに努めてまいりたいと考えてございます。 ◆三神英彦 委員  民泊事業に関しては、前半でも言いましたけれど、多分、札幌市自体を活性化するための起爆剤となり得る可能性をとても持っていると思います。  ただ、この民泊に対して、政府としては、やはり、目先の2020年の東京オリパラの宿泊施設不足に対して割と事業者の参入のほうを推進するように進めているのだと思います。自民党としては、やっぱりそこは推奨する話だと思うのですが、一方で、いろいろな近隣トラブルだとか犯罪というのはとても心配なことで、そうすると、今の答弁からすると、事業者に対して、それから業界に対して、一方で、危ない部分に関しては規制をかける、大まかにこの三つのやり方の中で民泊事業を上手に推し進める支援をしていただけたらと思います。  その結果として、民泊がきっかけで、例えば札幌の自然とか、札幌の人とか、そういうところに触れた人がリピーターになってくれたら、多分、いろいろな波及効果を札幌にもたらしてくれると思いますので、今お話しいただいた連携の模索などを含めて、引き続きお願いできればと思います。 ◆しのだ江里子 委員  私は、商店街の支援についてと、札幌市における省エネルギービジネス創出事業について、2点質問させていただきます。  まず、商店街の支援についてです。  近年、少子高齢化や核家族化などを背景に、地域住民同士のつながりの希薄化や地域活動の担い手不足などの課題が顕在化しております。そのような中で、商店街は、地域住民の消費生活を支えるだけではなく、さまざまなまちづくり活動を通して、地域におけるコミュニティ活動の担い手として重要な役割を担っていると考えます。  各区には個性的な活動を行う商店街がありますが、例えば、東区栄町中央商店街では、昨年7月に、地域住民のコミュニティーを深める目的で、商店街区に常設のコミュニティプラザハッピーハッチを開設し、きずなプロジェクトを実施しています。飲食の提供を基本に、地域の皆さんが顔を合わせる場所として、また、レンタルボックスの活用によるビジネスオーナーの活動支援とか、小会議などに利用できる会議室のレンタルなどを行う場所となっています。通常は、地域の企業や地域の住民の方たちがランチにいらしたり、そして、女性のグループの皆さんが打ち合わせに利用したり、時折、開かれる将棋サークルに子どもたちが参加しているなどの姿が見えますが、特徴的なのは、商店街の組合員でありますクリニックの医師による健康講座やさまざまなミニ講座の開催、多世代が参加するミニコンサートの開催、新鮮野菜を販売するマルシェの開催など、高齢化社会への配慮や地域交流の促進など地域課題に対応した取り組みを行っています。  先日、私も行ってまいりましたが、午前中に近くの小学生が地域めぐりに訪れ、そして、子どもたちが店舗にあふれたと聞きました。  栄町中央商店街は、東区の東8丁目篠路線を挟んだ北38条から北42条が中心の商店街で、1955年に札幌市と合併した当時は人口の増加も著しく、大型スーパーが出店するようになりますと、商店街も個別の商店がまとまって対策を考えるようになり、会員店舗約20軒によって設立され、拡大してまいりました。  しかし、50年以上たちますと、当時と大きくさま変わりし、大型スーパーも撤退し、個人店舗もくしの歯が抜けるようになくなってきておりますが、地域の高齢者の日中の居場所であり、そして、見守りの場となっていた商店街の役割は欠かせず、このような商店街の取り組みを広げていくことが、地域活動の活発化を図る上で有用であると考えます。  経済観光局では、地域商店街支援事業として、地域の商店街が取り組むさまざまな活動を支援しており、さきの栄町中央商店街の取り組みについても、この補助を活用したとのことです。  そこで、質問ですが、地域商店街支援事業の2018年度の活用実績と主な取り組みについてお知らせください。 ◎一橋 産業振興部長  地域商店街支援事業の2018年度の実績と主な取り組みというご質問だったと思います。  本事業でございますが、商店街が主体となって実施する地域のにぎわい創出を図る取り組みを支援するにぎわいづくり型補助、それから、地域の課題解決に寄与する取り組みを支援する地域課題解決型補助の二つの支援制度がございます。平成30年度にぎわいづくり型補助は32商店街、地域課題解決型補助は12商店街にご活用いただいたところでございます。  にぎわいづくり型補助の活用によりまして、夏祭りやハロウィン、ワンコイン商店街など、地域を活性化させるイベントが数多く開催されております。また、地域課題解決型補助を活用しまして、地域住民の困り事と加盟店の商品やサービスを結びつける安心窓口の運営を通した高齢者への配慮の取り組みや、商店街加盟店の情報をクーポンつき冊子で紹介する集客力向上の取り組みなどが実施されたところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  地域商店街支援事業により、商店街が主体となるさまざまなにぎわいづくり補助では32の商店街が、そしてまた、地域課題の解決にかかわる補助では12の商店街の取り組みが行われてきたというご報告をいただきました。  栄町中央商店街のハッピーハッチは、地域の活動拠点として、さまざまな団体などと連携しながら、地域活動を展開したり、地域におけるスモールビジネスの掘り起こしや地域の買い物環境を充実させる取り組みも行っています。商店街のこういった取り組みを促進するために、札幌市が積極的に支援することは大切であると考えます。  一方で、商店街を取り巻く環境は、インターネット通販の普及による購買機会の多様化や大型店の増加などにより大変厳しい状況と認識しております。経済観光局に確認させていただいたところ、市内の商店街数は、1994年、今から25年前ごろの138商店街がピークで、ここをピークに減少に転じ、現在は70商店街まで減少しているということでした。  そこで、質問ですが、このような厳しい状況の中で、札幌市として、商店街がどのような課題を抱えていると認識されているのか、また、今後どのような支援を検討されていくのかについて伺います。 ◎一橋 産業振興部長  商店街の課題の認識と今後の支援についてでございます。  商店街が抱える課題といたしましては、集客力がある魅力的な店舗の不足や、商店主の高齢化に伴う商店街活動の核となる人材の不足などが挙げられております。また、商店街や加盟店がIT技術などの活用により買い物環境を向上させる取り組みがおくれていることも挙げられます。  新たな商店街に対する支援事業につきましては、現在策定中のアクションプランの中で検討しておりますが、商店街や加盟店舗の魅力向上を支援するため、商店街区内におけます魅力的な店舗の創出や新たな技術の活用、商店街の人材育成などの支援を検討してまいりたいと考えてございます。 ◆しのだ江里子 委員  今のご答弁では、まさに集客力であったり、核となる店舗であったり、そしてまた、ITのおくれなどがやはり大きな課題となっているということでした。  中小企業庁では、2018年度商店街実態調査の結果を発表しておりますが、3年に1度、全国の商店街に対して、景況や、直面している問題、取り組んでいる事業などについての調査を実施し、全国の商店街4,234カ所から回答を得ているということでした。今回、2015年度、ちょうど3年前の調査と比較すると、1商店街当たりの店舗数は当然減少し、また、商店街の平均空き店舗率は増加しておりました。そして、この中でも、商店街が抱える問題として、経営者の高齢化による後継者問題が64.5%で最多であり、次いで、店舗などの老朽化、そして、集客力が高い話題性のある店舗、業種が少ない、またはないといったことが挙げられておりました。  栄町中央商店街でも、昨年の胆振東部地震によりまして、老朽化しておりました店舗が損壊し、閉店となった店舗もあったと聞いております。商店街は、地域にとっては、消費の場にとどまらず、人と人との交流の場でもありますが、ご多分に漏れず、札幌の商店街も同じ課題を抱えていることがわかります。  地域の独居高齢者や高齢ご夫妻などは、さまざま困り事を抱えていることがありまして、例えば、病院や薬局で、薬をあわせて飲んでもよいのかというようなことについて聞いてこなかったとか、医師に言われたことが理解できないなど、誰に聞けばいいかわからないといった声を地域の方からお聞きすることがあります。このハッピーハッチでは、今後、常設の暮らしの保健室を設置し、地域にお住まいの方々の暮らし全般や、健康、医療、介護の相談について地域の医療・介護状況を熟知した相談員が当番で担当するようになり、在宅で暮らす方々の知恵袋になっていただけるというふうに聞いております。そしてまた、今、試行的に子育てサロンを開催し、子育て中の若い世代の方たちが求める居場所のあり方をともに考えていこうということも考えているということでございました。  栄町中央商店街は、まさに地域密着型でありますが、札幌市には、場外市場など、札幌市民にとどまらず、国内外から多くの観光客が訪れて、海産物を賞味したり、買い物をしたりできるまさに楽しみいっぱいの場となる商店街もあります。商店街の支援というのは、札幌市民の生活を支え、また、国内外へ札幌の魅力を発信していく重要な施策であると思いますので、札幌市として商店街支援をしっかりと強化していただくことを求めて、この質問は終わります。  次に、札幌市における省エネルギービジネス創出事業について質問させていただきます。  札幌市は、昨年3月に、低炭素で持続可能なスマートシティづくりなど、SDGs実現のモデルとなる取り組みを提案し、昨年6月に内閣府よりSDGs未来都市の選定を受けたところです。私は、寒冷地における環境都市の世界モデル構築を目指す取り組みに大変関心を持っておりまして、札幌市の環境に対する先進的な取り組みについて大きな期待をしております。  その状況の中で、経済観光局では、設備の入れかえなどの大きな設備投資を行わず、既存設備の改善などによって省エネを行い、企業の光熱水費の減少を図るとともに、中小の施工業者にとっても新たな仕事が生まれる札幌型省エネルギービジネス創出事業を2017年度にスタートし、相談、提案を行う省エネ総合窓口を設置して、市内中小企業の工場などの省エネ需要と省エネ施工を行う担い手企業をつないできております。  私は、この事業は、非常に効果的で将来性があるものと認識しておりまして、昨年の決算特別委員会でも質問させていただき、事業を進めていく上で、この事業の周知や窓口事業者の体制確立が課題であるとの回答をいただいたところです。  そこで、質問ですが、課題解決に向けた取り組みとして、この1年間、どのようなことを行ってきたのか、また、これまでの実績とそれに対する評価について、改めて伺います。 ◎一橋 産業振興部長  札幌型省エネルギービジネス創出事業につきまして、課題解決に向けた取り組み、それから、これまでの実績、評価についてお答えさせていただきます。  課題解消に向けた取り組みのうち、事業の周知不足ということにつきましては、各種セミナーでの紹介に加えまして、道内の企業が多く集まる展示会に出展し、より多くの企業や来場者に事業の有効性や省エネ診断などの利用促進に向けた周知を図ってまいりました。また、窓口事業者の体制確立につきましては、参画企業間の情報交換のためのシステム導入や、定期的な会議の実施によりまして速やかな意思決定ができる体制を整えております。  これまでの実績とそれに対する評価ということでございますが、省エネ診断が40件、施工が7件となるとともに、担い手として参画する企業も10社まで拡大して、企業の省エネによるコストダウンと省エネ施工業者の売り上げ向上を図る事業目的を一定程度果たせたものと認識してございます。 ◆しのだ江里子 委員  この事業の課題とその解消に向けてですが、課題の1点目が周知不足であったということで、札幌市では、それに対する取り組みとして、セミナーを行っていただいたり、そしてまた、道内の展示会に参加されるなどして、まさに露出をしてきたのだと思います。  そして、2点目の課題というのが窓口事業者の体制確立であったわけですけれども、これに関しても、補助対象事業者が複数の中小企業の連合体で情報共有や意思決定などの体制が確立していないことから、ITや、またシステムを導入することなどによって体制の確立を図っていらしたと思います。そして、実際にこの診断が40件、施工で7件ということで、その効果も少しずつ着実に見えてきていると思います。まさに、札幌市と事業者の二人三脚で組織体制の安定化を図ってきたということが言えると思います。  しかし、本事業は、3年間で窓口事業者の経済的自立を目指すというもので、札幌市が同事業者に行う運営費などに対する補助は今年度で終わることとなっています。事業として、せっかく軌道に乗ってきたところであるのに、大きくブレーキがかかってしまうのではないかと危惧しているところです。  そこで、質問ですが、本事業について、今後どうしていくおつもりなのか、伺います。 ◎一橋 産業振興部長  本事業の今後についてというご質問でございますが、現在の窓口事業者が行います省エネ診断ですが、昨年から経済産業省が行う補助事業に採択されておりまして、今後、そうした形でさらなる事業の継続・発展が図られるものと考えてございます。  本事業推進のためには、より多くの企業にこの取り組みの効果を知っていただくことが非常に重要と認識しておりますことから、今後も、環境局が実施する省エネ関連セミナーのほか、各種業界団体が実施する事業や広報媒体を活用させていただくなど、積極的な事業の周知によって窓口事業者の取り組みを支援してまいりたいと考えてございます。 ◆しのだ江里子 委員  今回、経産省の省エネの補助事業になったということで、そういった意味では、国もしっかり応援していただけるのかなというふうに思います。  省エネ総合窓口の運営は、今まで、札幌市補助金の交付が終了した以降も省エネサービスの提供を継続していただくことが補助金交付の条件となっていました。さらに、本補助金については、省エネ相談窓口を開設し、必要な省エネルギーサービスを提供することを目的に交付する趣旨ですので、その趣旨を担保する観点から、2018年度においては、10月末までに省エネ総合窓口を開設するとともに、省エネルギーの有料の診断または施工を最低5件行うことが条件でした。2018年度においては、先ほどお話しいただいたように、40件の診断、そして7件の施工でした。2018年度は条件をクリアできたと思いますが、施工件数は、着実にふえていても、前途洋々というところまでにはまだまだ至っていないと思います。  中小企業の割合が高い本市におきましては、大きな設備投資を伴わずに行う省エネには潜在的なニーズが存在しておりまして、このような省エネのサービス提供は、ノウハウを習得すれば比較的規模の小さい事業者であっても対応が可能であることから、市内の中小企業者の参入が期待でき、そしてまた、環境・エネルギー分野の新たなビジネスとして本市の産業振興に資するものと考えています。この取り組みを進めることで、省エネによる企業の経営基盤強化が図られ、環境局が取り組んでいる温室効果ガスの削減が進んでいくことも期待できるわけです。  この省エネルギービジネスは、札幌以外では東京都が実業化しております。しかし、本事業は、積雪寒冷地において工場や事業所の省エネを推進するもので、全国的にも数少ない事業であり、寒冷地における先進事例となり得るものだと考えます。札幌発のこの取り組みが全道に広がっていくことを期待し、そのために、引き続き、札幌市がしっかりと事業にかかわっていただくことを求めて、質問を終わります。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、札幌の夜間観光について質問させていただきます。  夜間観光の推進は、夜間という新たな時間帯の活用が宿泊や飲食、体験消費など幅広い波及効果が期待できる取り組みであることから、平成31年の第1回定例市議会の予算特別委員会において、我が会派の好井委員からも、外国人観光客を含めたさまざまな観光客を引きつけるような夜の観光の魅力づくりを積極的に進めるよう要望させていただいたところであります。  そうした中、民間主体による夜間コンテンツも徐々にふえてきていると感じるところでもあります。例えば、札幌青年会議所によって、新たな夏の風物詩になるよう、幌平橋のライトアップをしながら河川敷でイベントや飲食を楽しむ札幌川見といった夜間イベントが2017年から開催されておりますけれども、来場者もふえ、一般市民、観光客でにぎわいを見せているところであります。また、いっとき、随分取り上げられておりました締めパフェも、札幌グルメにおける夜の定番となり、夜のお出かけに、食後のデザートに、自分へのご褒美にと、オーダーメードでトッピングできる店まで登場し、パフェを提供するカフェやバーなどで構成する推進委員会も立ち上がって、ロゴをつくって共同でPRが実施されるなど、夜間の食のコンテンツも大きな広がりを見せていると感じるところです。  しかしながら、観光客の滞在中に満足度を高めるためにはまだまだコンテンツは不足しており、今後さらに、夜間観光客はもちろん、市民も楽しめるコンテンツのバリエーションが必要と考えます。  札幌市では、夜間観光を含め、新たな観光資源を創出する民間事業者の取り組みに対して支援するさっぽろ観光魅力創出事業を実施しております。  そこで、質問ですが、このさっぽろ観光魅力創出事業における夜間観光に資する取り組みの実績についてお伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  さっぽろ観光魅力創出事業につきましては、新たな札幌の魅力を創出することにより、観光客の誘致促進や満足度向上につながる取り組みに対しまして、その経費の一部を補助する支援制度でございます。夜間観光、体験型観光、北海道産食材の活用を重点テーマにしているところでございます。  平成30年度につきましては、3件の申請がございまして、夜間観光1件、体験型観光1件の計2件の事業を採択いたしました。採択事業の一つでありました創成川にLED風船を流して川辺でイルミネーションを行う創成川キャンドルストリームでは、オープニングセレモニーに6,000人もの人がお集まりいただきまして、夜間の魅力創出とにぎわいにつながったところでございます。また、今年度におきましては、7件の申請がございまして、夜間観光4件、体験型観光1件の計5件を採択いたしまして、飲食店でのプロジェクションマッピングと連動したダンスの披露、夜間観光スポットをめぐるナイトバス事業などの実施に向けて進めていただいているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  私は、札幌の夜間観光のさらなる振興に向けては、観光客、そして札幌市民にとって、札幌の夜の魅力の象徴となるような新しいコンテンツの創出が必要ではないかと考えるところです。
     平成29年第3回定例市議会の決算特別委員会において、私から、冬の長期間、札幌の都心部にスケートリンクを設置すること、まち中スケートリンクの設置を求めて質疑を行わせていただきました。その中で、市からは、課題はあるものの、長期間にわたりスケートリンクを都心部に設置することは、札幌観光の冬の閑散期対策として有効であり、さらに、ウインタースポーツのすばらしさを市民・道民にこれまで以上に伝えることによって、冬季オリンピック・パラリンピックの招致機運の醸成に貢献できるとの認識が示されたところであります。  これらの観点に加え、改めて夜間観光の観点から考えると、このスケートリンクは、夜間のライトアップなどの装飾を加えることによって、先ほど述べたような札幌の夜の魅力の象徴となり得るのではないかと私は考えております。中でも、この設置に当たっては場所の選定がとても重要で、2年前にも触れましたが、例えば北3条広場、アカプラというすばらしい場所があります。改修工事に入ってしまうようですけれども、道庁赤れんが庁舎をバックに、周辺に建ち並ぶ高層ビルの間のあの場所は、ロケーションとして最適だと考えます。  そして、このまち中スケートリンクは、観光客向けの視点だけではなく、市民が気軽に利用でき、楽しめる場所であることがとても重要な事業となります。仕事帰りのサラリーマンやOL、学校帰りの友達同士やファミリーに至るまで満喫できるスケートリンクの設置は、市民の憩いの場となり、ウインタースポーツを気軽に体験できるコンテンツとして極めて有効であり、そうした状況を観光客が見たとき、こうしたスポーツ文化が生活に根づいて溶け込んでいると思ってもらえることが、このまちの評価を上げることにもつながるのではないでしょうか。  東京の赤坂サカスや横浜の赤レンガ倉庫、さらには、私も一度見に行きましたが、大阪駅梅田のど真ん中のスケートリンク、つるんつるんを押しのけて、市民はもちろん、観光客にとっても、かなりインパクトのある魅力的な事業と思っており、吐く息も白い世界の中で、道庁赤れんが庁舎をバックに幻想的なイルミネーションが映し出されるリンクに、周りのビルからの光彩やスポットライトなどの演出を加えれば、かなり魅力的な空間のスケートリンクとして楽しむことができます。そうした雰囲気を味わっていただくことができれば、観光客の来札期待感は高まるものと思いますし、さらに周辺飲食店への波及効果も高いと考えます。  そこで、質問ですが、先ほど述べさせていただきました平成29年の質疑で、市からは、都心部にスケートリンクを長期設置することの実現可能性を探っていきたいとの答弁があったところですけれども、現段階の検討状況はいかがか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  スケートリンクの長期間設置に係る現段階の検討状況ということでございました。  夜間観光の充実につきましては、観光客の滞在日数を長期化させ、観光消費の拡大につながる重要な取り組みであるというふうに認識してございます。  また、冬の都心部に長期間にわたりスケートリンクを設置することは、インバウンドを中心とした観光客向けの夜間観光、体験型コンテンツの創出につながるとともに、冬季オリンピック・パラリンピックの招致を見据え、市民のウインタースポーツへの関心を高めることにもつながるものというふうに考えてございます。  こうしたことから、都心部に長期間にわたりスケートリンクを設置することにつきまして、ただいま、民間企業や関係団体と連携しながら、実現に向け、検討を進めているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  ぜひ実現に向けて努力してもらいたい、このように思います。  私は、平成29年の3定での質疑で、雪まつり期間の2週間におけるJ:COMリンクの実績を伺わせていただきました。その際には、10年間で8万8,000人の利用者があり、そして、そのときに行ったスケート教室も大変人気がありました。毎年、私たちがよく知る日本スケート界を牽引してきたトップアスリートたちに参加していただいて、アイスショーやスケート教室を行い、リンク周辺には幾重もの輪ができておりました。2016年には本田武史さん、2017年には浅田 舞さん、2018年には鈴木明子さん、そして、2019年には安藤美姫さんと、実に豪華な顔ぶれで大盛況でございました。  冬季オリンピック・パラリンピックの招致の機運醸成には、こうしたアスリートの姿、生の声による効果ははかり知れないものがあります。ぜひとも、市長にはそうした機会や場面を最大に活用していただいて、アスリートの持つ力を存分に引き出して、スケートリンクに集まった多くの市民、観光客に札幌市が招致を目指す意義や魅力を大いに語っていただき、北海道や経済界、そして、多くの市民と一体となって、その意気込みをシュプレヒコールするぐらいに広く発信する機運醸成につなげていただきたい、このように思います。  そして、そのスケートリンクで楽しんだことをきっかけに、いつしか札幌市からフィギュアスケートの代表選手が誕生する、そんな期待を込めて、質問を終わります。 ◆村上ひとし 委員  私は、観光振興策について、アドベンチャーツーリズムの考え方にも触れながら質問させていただきたいと思います。  今、自然、文化、食というのは、重要な観光資源と言われております。北海道では、自然、文化、食などは古くから地域の暮らしに根差してきており、歴史そのものでもあります。しかし、農業などの1次産業が衰退する、無秩序な開発などが行われてきた結果、地域の独自性のある貴重な財産と魅力の多くが失われてきました。  そうしたもとで、日本にも、そして北海道にも、アドベンチャーツーリズムという旅行形態の浸透が始まろうとしているわけです。これは、一般的には富裕層向けと言われますが、経済効果が極めて高いものであるということも言われております。私は、このアドベンチャーツーリズムは、各地域の観光振興を考える上で重要な要素が含まれていると思っています。札幌市も、重要な観光施策の中の重点的な取り組みの一つであるという位置づけもしております。  そこでまず、最初に、アドベンチャーツーリズムを推進する上で、地域住民の雇用や所得向上、地元事業者にも貢献できる視点が重要な要素であると思いますが、部長のお考えをお伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  アドベンチャーツーリズムを振興する視点ということでございますけれども、アドベンチャーツーリズムにつきましては、自然、異文化体験、そしてアクティビティーという3要素を組み合わせたものでございまして、比較的滞在日数が多い旅行形態でございます。滞在日数が多い分だけ観光消費額が膨らむ、拡大するという結果をもたらしますので、これは、観光事業者のみならず、まちにとっては非常に効果が高いというふうに考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  そうなんですよね。これは、一極集中型の観光から地域分散型の観光になるだろうと、また、地域それぞれの特徴を生かしたものが尊重されることになりますし、そこに旅行者も来るということであります。ですから、当然、そこの地域の住民や地元の企業も大いにかかわりながら、その結果、地元住民の雇用にもつながるし、所得の向上、そして、地元企業の活性化にもつながる、こういうことがアドベンチャーツーリズムを推進する上でのもう一つの大きな要素だというふうにも言われているわけです。  そして、自然、文化、食などの観光資源がどれだけ本物であるかということが重要だということも言われておりますし、旅行者もそれを強く求めておりますが、その観光資源をつくり、あるいは、守ってきたのが地域の住民であり、地元事業者であります。つまり、観光振興を考える上で、地域住民と地元事業者との協働の営みが極めて大切であり、そのことが内需の拡大にも資するものであります。  アドベンチャーツーリズムにはこうしたことも期待されているということは先ほど申し上げましたが、宿泊施設で申し上げますと、ほかの地域にはない、北国北海道と札幌独自の文化や食といった観光資源の魅力を高めた宿泊施設や宿泊プランを提供していくこと、そして、それを担うスタッフなどの対応も重要な要素になると思われます。そのためには、ホテル旅館組合あるいは観光協会など関連する観光事業者などと話し合う場を設けるなどの取り組みが必要であると思います。  そこで、今後、札幌の地域にある豊富な観光資源、これを活用した観光振興にどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  札幌観光の今後の方向性といたしましては、やはり、閑散期における来札観光客をふやすことに加えまして、先ほども申し上げましたような滞在日数の長期化、それから、観光資源の魅力向上によって観光消費額を拡大するなど経済効果の最大化を図ることが大変重要だというふうに認識しております。  札幌は、充実した都市機能がある一方、都心部を少し離れると豊かな自然に恵まれております。冬季には年間6メートルもの雪が降る、それから、都市と自然が調和した魅力的な観光都市として評価されているというふうに考えてございます。今後は、観光事業者と連携しながら、札幌が有する観光資源を組み合わせた周遊モデルコースの提案とか、札幌の雪の魅力を生かした都市型スノーリゾートシティとしてのブランド化などを進めまして、観光消費の拡大につながる取り組みを進めてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆村上ひとし 委員  ぜひ関連する事業者といろいろな話し合いを大いに進めていただきたいと思います。  旅行する側のニーズで言いますと、画一的なホテルよりは、やはり、その地域の文化なども体験、体感できるような旅館やホテルなども求められているようであります。私の聞くところによると、せっかく日本に来たのに、全部、お部屋はベッドだった、ぜひ和室に泊まって布団を敷いて寝たいんだという要望、また、バイキングではなくて、部屋で和食を中心に楽しみたいという欧米の方の声も相当数あると聞いておりまして、これらの要望というのは一層強まってくる可能性があると思います。  しかし、いい部屋、旅館をつくるとなりますと、当然お金もかかりまして、費用対効果の問題などが出てまいりますので、そのあたりも含めて、市が率先して関連する観光事業者と大いに連携を強めるべきだと思います。また、建物に加えて、やはり、スタッフに会話力があるのかどうか、札幌の文化を伝えられるのかどうかということも重要な要素になってきますので、先も見ながら大いに話し合いを深めていただきたいと思います。  そこで、次の質問に入りますが、最近は、日本でも、自然を楽しむ観光・レジャースタイルとして、レンタルのキャンピングカーあるいはトレーラーハウスを活用した旅行も見られるようになってきました。これらの利用者は、宿泊地の自然のほか、地域の食材やまち並みを含めた周辺施設を楽しむという傾向が強く、また、部長もおっしゃるとおり、長期滞在型が多いというのも特徴で、したがって、地域での消費単価も高いのが特徴と言われております。  このようなキャンピングカーやトレーラーハウス、あるいはキャンピングトレーラーの利用というのは、ヨーロッパ諸国ではかなり以前から一般的だと言われており、当然、旅行先の海外であっても利用したいというニーズがありまして、今後、需要はますます拡大していくだろうと思われます。  トレーラーハウスの活用は、観光客の宿泊施設のみならず、旬の食などを販売する移動店舗にもなり、しかも、大規模な開発の必要もなく、景観にも配慮できるメリットがあります。したがって、河川敷などでも設置は可能であると言われているものであります。これらのキャンピングカーあるいはトレーラーハウスの活用というのは、地域性を生かした新たな旅行形態で、札幌独自の観光振興に資するものとなるというふうに私は考えています。そのためには、札幌市内にその拠点施設を整備することについても検討が必要と考えることから、関連する事業者等の調査や意見交換などにも市が率先して取り組んでいくべきだと思うわけです。  そこで、札幌が観光振興をさらに図っていくためには、このような新たな旅行形態にどのように対応されるのか、お伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  新たな旅行形態にどのように対応していくかというご質問でございました。  滞在型観光を促進して観光消費額を拡大するためには、既存の観光資源を磨き上げていくことはもちろんでございますけれども、観光客のニーズに応じた多様な観光の楽しみ方ができる環境をつくっていくことも重要な視点の一つであろうというふうに考えております。したがいまして、先ほどお話がありました観光客のトレーラーハウスでの滞在とか、高級なキャンピングカーの利用につきましても、旅行客が持つ新たなニーズについて常に情報収集をしっかりと行いながら観光施策に生かしていくことが必要だというふうに考えております。 ◆村上ひとし 委員  ぜひ、そういうニーズも掘り起こしていただきたい。たとえスタート時は小さく展開しても、今、SNSなどの発信力が世界に向けて非常に強くなりましたので、北海道、札幌で欧米と同じような通常の楽しみ方ができるということがわかれば、それは札幌独自の大きな観光資源につながっていくものだというふうに考えますので、ぜひ、積極的に検討していただきたいということを求めて、終わります。 ◆川田ただひさ 委員  私からは、東南アジア市場への観光経済施策について質問いたします。  札幌では、平成30年度外国人宿泊者数は271万8,811人、対前年比で5.7%増となっており、年々増加し続けているところでもございます。観光業は、札幌の産業の大きな柱の一つとなり、観光業のさらなる発展が、札幌の経済活性化のためにも重要であると考えているところであります。そのためにも、引き続き、外国人観光客の誘客に努めていくべきと考えるわけでございますが、外国人宿泊者数の国・地域別の内訳を見ると、東アジアからの観光客が約75%となっているところでございます。東アジア、特に中国、韓国、台湾からの観光客が多い傾向は日本全体の観光客数にも見受けられており、このような特定の市場に依存する構造については脆弱性が指摘されているところでもあります。観光産業をより発展させていくためには、よりバランスのよい外国人観光客の構成比を目指すことも必要ではないかと私は思っているところでもございます。  先日、いろいろと質問でもありましたが、今、韓国からの観光客が少なくなっているのは、通貨や為替などの要因もございます。また、韓国は2番目であって、4番目の香港は、20万人以上が札幌に来ておりますけれども、今の香港情勢が悪化するとこれらも少なくなる可能性もあります。常に、通貨や国際情勢、その国の情勢による外国からの観光客の増減を念頭に入れておかなければなりません。  そのような中、札幌の外国人観光客数のうち、東南アジアは、東アジアに次いで全体の約17%となりつつあります。昨今の東南アジアの経済情勢、また、経済成長も非常に著しいことを勘案しますと、より一層の札幌への誘客が見込まれる市場ではないかと考えているところでもございます。  そこで、質問でございますが、これまで札幌市が行ってきた東南アジアからの観光客誘客に向けた取り組みについてお伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  東南アジア向けのこれまでの観光客誘客の取り組みについてでございますが、札幌市では、平成25年度に策定いたしました観光まちづくりプランにおきまして、東南アジアを有望市場として位置づけ、観光客誘客の取り組みを実施してまいりました。具体的には、メディアの招請や現地でのイベント開催、旅行博や商談会への参加、また、近年ではインフルエンサーを活用したSNSでの情報発信など、さまざまな形でプロモーションを展開してまいりました。  これらの継続的なプロモーションの結果、現地での認知度の向上や直行便の就航など段階的に誘客効果があらわれまして、平成30年度の東南アジアからの観光客数は、5年前の約2.4倍となります47万人となっているところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  東南アジアと一くくりに言っても、国民性や経済状況など、それぞれ国ごとによって異なったものがございます。東南アジア市場のうち、2018年のタイやインドネシアからの訪日観光客数は過去最高の数字となっております。特に、タイについては20万人以上と非常に多くなっているところでもございます。  その中でも、ベトナムは、ビザの発給の簡略化や経済の発展に伴い、訪日観光客数が増加している注目すべき市場であります。2018年のベトナムからの訪日観光客数は38万人と、東南アジアの他国から比較するとまだ少ないわけでございますが、前年比の伸び率は26%と最も高いところでもございます。今、ベトナムにおいては、9,000万人以上、1億人未満の人口規模でございますが、平均年齢が30歳と非常に若い国でもあります。また、ベトナム人が行ってみたい国の第1位は日本であります。この調査結果を見ますと、今後、最も成長する可能性を秘めた市場と言っても過言ではないと私は思っているところでもございます。  このように、東南アジアは、観光客誘客の視点から伸び代が大きい地域であることから、これらの国々へのプロモーションを行っていくことが得策と考えているところでもあります。先ほど、この5年間をかけてさまざまな取り組みをしてきたとお聞きしたところでございますが、ベトナムなどさらなる誘客を見込むことができる東南アジアの国々に対して、今後どのようにさらなる誘客プロモーションを展開していくのか、お伺いいたします。 ◎石川 観光・MICE推進部長  東南アジア市場への今後の取り組みについてでございます。  委員がただいまご指摘のとおり、東南アジアにつきましては、今後も発展が見込める成長市場として、引き続きプロモーションを展開すべき地域として認識しているところでございます。  ベトナムにつきましては、平成30年度の来札観光客数は5,234人と、まだ少ない数字ではございますけれども、将来的に発展の可能性がある新たな市場として認識しておりまして、まずは、旅行目的地としての札幌、北海道の認知度向上を目指した取り組みが必要だというふうに考えてございます。  また、タイ、フィリピンといった、近年、伸びが大きく、札幌への注目度が高まっている国を中心に、個人旅行や日本を訪れるリピーターが多い、あるいは、SNSにかける時間が多いといった国ごとの特性を踏まえまして、ターゲット層に影響があるインフルエンサーやオンライン旅行会社の活用など、東南アジアへのプロモーションを実施してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆川田ただひさ 委員  次に、東南アジアへの市内企業の海外展開について質問いたします。  東南アジアにおいては、人口の増加及び著しい経済成長が続いております。この10年、20年は、日本国内全体においても有望な市場として見込まれておりますけれども、戦後、高度経済成長を遂げ、それに伴う社会課題、または環境問題などを克服してきた我が国であります。今でも、ODAの供与により、東南アジア諸国のインフラ整備に貢献しているところでもあります。私は、この4年間、ベトナムに2回行ってきましたが、ベトナムでも、今、南部のホーチミン市では、日本のODAを使った形で地下鉄工事もしております。この工事の周りには日の丸がずっとかかっていて、日本がここに非常に貢献しているということもきちんとアピールしながら行っております。また、タクシーなども日の丸をつけながら走っていることを考えますと、私が先ほどベトナムのお話をしたのは、まだ5,200人ほどしか来ていないということでありますが、これから、さまざまな形で交流することによって有効な市場だと思っているところでもございます。  それぞれの国の経済発展の程度には、まだまだ差があることは承知しております。社会基盤としてのインフラの整備についても、その程度の差は非常に大きくあります。各国が有する社会課題はさまざまでありますけれども、日本の技術力により、東南アジア諸国が抱える課題の解決の手助けが可能であり、本市の企業の中においても、さまざまなすばらしい技術を持った会社が多く存在しているはずでございます。  そこで、東南アジアへ展開する市内企業への本市の支援についてお伺いいたします。 ◎高橋 国際経済戦略室長  東南アジアへ展開する市内企業への本市の支援についてでございます。  東南アジアは、経済成長率、人口増加率ともに高い水準にあることから、有望な市場と考えており、市内企業の進出意欲が高いと認識してございます。これまでも、札幌が強みを持つ食やITの分野におきまして、現地のニーズに合わせた商品開発への補助、商談会への出席などの支援を実施してきたところでございます。昨年度からは、環境技術の分野におきましても、東南アジアでの環境問題に対する関心の高まりを受けまして、本市と北海道とが連携し、ベトナムにおける商談会や現地視察の実施などを通じて高い技術を有する市内企業の進出を後押ししてございます。  また、本年、ベトナムの政府関係者や経済団体が札幌を訪れ、ベトナムへの投資を呼びかけるセミナーを開催するなど、東南アジアとの経済交流がますます盛んになってきておりますことから、本市といたしましても、東南アジアへの展開を目指す市内企業に対する支援を引き続き実施してまいりたいと考えてございます。 ◆川田ただひさ 委員  今までも、市内の企業を後押しされているというお話でございました。  私も、仕事で2回ほど行ってきましたけれども、もう市場開放も始まって20年、30年とたっておりますが、まだまだ日本の企業が入る余地がたくさんあるところでもございます。先ほどホーチミンの地下鉄の話もいたしました。今、ハノイでも、違う国のODAを使って地下鉄工事が行われているところでもございます。今、バイクが非常に多く走っておりますが、これを機に、これらも全て廃止に向けて、違う交通機関という形を目指していることも考えますと、これから非常に大きな市場になると思っております。  これは、ただ単にベトナムについてだけお話ししているわけではなくて、先ほど言ったように、特に海外とのいろいろな企業の関係、または観光客の関係でこういった政策をするときには、一国だけに頼っては、結局、その国内情勢によって全てがなくなるということでもございます。また、その国に頼った形で、その国から何か言われて、そこにおもねる形での政策をとってはいけないと考えます。結果として、やはり、きちんと分散型で、また、札幌は自立した札幌人を目指すという教育目標も掲げているわけでございますから、しっかりとした自主・自立の経済政策を持つことが重要だという視点から、私はこのことを述べたところでもございます。  そういうことを考えますと、これからは、入管法の改正もあって、多くの技能実習生や、また若い方々が、ベトナムを中心に東南アジアからこの札幌を訪れることと思います。そして、何年か働くようになるかとも思います。しかしながら、私としては、やはり技術も全て持っていかれるわけではなくて、きちんとした管理のもとにおいて、双方がウィン・ウィンの関係でなければいけないと考えているところでもございます。こういうリスクを慎重に踏まえた形で、これから、技能実習生や、また入管から来られた方々についても、警察や、また入管としっかりと連携をとって管理し、治安もしっかりとした上での取り組みが、結果として双方の利益につながるものと考えているところでもございます。  そういう視点から、今、東アジアから多くの観光客が来ておりますが、今後、観光政策も、また経済政策も、分散型で、東南アジアにシフトした形で進めていただくことを強く求めまして、質問を終了いたします。 ◆伴良隆 委員  私は、MICE誘致を一つと、それから、藻岩山ロープウエー事故と改革について質問してまいります。  まず、MICE誘致です。  インセンティブツアー誘致促進サポート事業と、コンベンション誘致促進助成金、シャトルバス助成金について、両事業は札幌に来訪する企業や団体のツアーや会議を支援することで札幌来訪のきっかけづくりと満足度を上げる意義を持っております。  早速、質問でありますが、両事業について、企業や団体への助成金交付に至るまでの一連の誘致、プロセスはどのようになっているのか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  コンベンションあるいはインセンティブツアーを誘致する際のプロセスということでございますが、例えば、コンベンションにおきましては、開催に影響するキーパーソンと良好な関係を築きまして、定期的に情報収集を行うなど、長期にわたる誘致活動を行い、機会を捉えて助成金等の支援策を活用しながら誘致につなげるといったものがございます。また、インセンティブツアーにおきましては、多くの旅行会社が集まる国際見本市等に出展いたしまして、札幌で実施することの魅力や効果を伝えることに加えて、さまざまなユニークメニューやチームビルディング等の提案を積極的に行い、誘致につなげるといったものがございます。 ◆伴良隆 委員  それでは、伺ってまいりますが、来訪したMICEを再誘致することは効果的な誘致の一環でありますけれども、両事業について交付実績のある企業や団体のうち、再訪、つまりリピーターとなった割合と、そのうち、事後対応もきっかけとなって再誘致となった事例について伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  再誘致に関してのご質問でございます。  コンベンションに関しましては、交付実績ではなく、日本政府観光局による国際会議統計という数字でお答え申し上げますと、現行基準となった2007年から2017年まで、札幌市内での開催が951件ございました。そのうち、把握できるもので同じ会議が再度開催されたものは92件でございまして、全体に占める割合が約10%になってございます。また、インセンティブツアーにつきましては、インセンティブツアー誘致促進サポートの交付実績が制度創設の2013年から2018年までで87件ございまして、その後、同じ企業が、再度、札幌でツアーを行ったものは5件で、その割合は約6%となっているところでございます。  事後対応がきっかけとなって再誘致に至った事例といたしましては、同じキーパーソンにより開催された会議がございまして、開催後のフォローアップや継続的な営業活動が誘致につながったものというふうに考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  再誘致につながった好事例もあるということでございます。  誘致そのものは、いろいろと大変かとは思いますし、また、それをリピーターに持っていくのはこれまた大変だというふうにも思いますが、さまざまな機会を捉えて好循環を生むような形でプロセスをつくっていただきたいわけであります。再誘致の成功事例をこういった形で共有し、誘致プロセスに組み込み、誘致活動を強化していく、このようなことに課題があるのではないかというふうに思うわけであります。  質問であります。  交付した企業や団体に対し、事後に感想などを聞いたり宣伝をお願いするなど、助成金交付後の丁寧かつ熱心な事後対応こそ、シティセールスの一環であり、こうした取り組みから得られる情報やノウハウを組み入れ、蓄積し、再誘致と新規開拓がもっと進むよう戦略的なプロセスを構築していくべきですがいかがか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  MICEの誘致につなげるプロセスの構築というご質問でございました。  MICEの誘致を行う上で、開催後の対応というのは非常に重要でございまして、その対応をしっかりと行うことで主催者のさまざまなニーズを把握することができ、効果的なMICEの誘致活動につながるものというふうに認識してございます。  MICE誘致活動につきましては、札幌国際プラザのコンベンションビューローが中心となって行っておりますが、開催後の対応についても、キーパーソンへのフォローアップや企業等への継続的な営業を地道に行ってきたところでございます。今後につきましては、フォローアップで得た情報や、昨年、北海道大学と締結した国際会議等の誘致・開催に関する連携協定をきっかけとして広がったキーパーソンのネットワークから得た情報などを関係者との間でしっかりと共有するとともに、機会を捉えて、フォローアップで改善した内容を主催者へフィードバックするというプロセスを構築するなど、戦略的な誘致につなげてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆伴良隆 委員  戦略的なプロセスというお話がありましたが、やはり、我々市民からすると、決算書を見て、誘致件数を見て、その数だけ見て評価するわけにもいきません。それは、どのようにしてそうなったのか。ただ申請が2年前から上がってきたのか、それとも、ビューローの職員が苦労されて、いろいろなところでセールスを行いながら誘致、再誘致に結びついていったのか、また、こういった後にフォローアップがどう行われていたか、これは、やっぱり市がきちんと把握されなければならないというふうに思いますし、それが好循環すれば札幌の財産ともなるわけであります。  そこで、指摘して終わりますが、コンベンションビューローの誘致プロセスや活動内容がわかりにくいとチェックも甘くなりますので、より戦略的な誘致プロセスを構築し、効果も含め、市が共有し、明確にしておくように求めておきます。  それでは、次の質問でございますが、藻岩山ロープウエー事故と改革についてでございます。  本日は、秋元市長、ご出席ありがとうございます。それから、総務局の改革推進室長の熊谷さん、ありがとうございます。  それでは、質問に入ってまいります。  多くの市民が愛し、内外の観光に重要資源となってきた市民の山とされる藻岩山観光と索道事業について、ロープウエー事故を踏まえた今後の改革について伺ってまいります。  私は、小西観光文化局長時代の平成28年3月の予算特別委員会で、藻岩山の市民利用の課題と対策を質疑し、市の答弁では、市役所と札幌振興公社との不定期の会議、協議を定期化すること、市役所内外で連携を密にするとのことでございました。  そこで、質問でありますが、私の質問以降、札幌振興公社との協議はどのように行ってきたのか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  札幌振興公社との協議というご質問でございました。  平成28年7月に、藻岩山の計画的な利用者増に向けた課題検証と改善策について議論するため、藻岩山事業関係会議というものを立ち上げたところでございます。その会議の中で、直近の入り込み状況及び現状分析とか、藻岩山事業の経営見直し、プロモーションの方向性、施設の魅力アップの可能性などについて協議を行ったところでございます。その結果、利用者の拡大に向けたインバウンド向けのプロモーションの実施、道内向けのテレビCMの増加、また、利用者の満足度向上のためのシャトルバス乗り場の照明設置や電停交差点の案内看板によるPRなどに取り組んでいくこととしたところでございます。  こうしたさまざまな取り組みを実施してきたことが、平成27年10月に新三大夜景都市に認定されたことと相まって、利用者が大幅に増加し、札幌振興公社の平成28年度決算においては藻岩山事業部門が黒字転換したところでございます。  その後、この会議は定期的には開催してございませんけれども、都度、必要に応じて必要な打ち合わせを行ってきたところでございます。 ◆伴良隆 委員  それでは、その協議の場で安全管理等について協議されたかということについて、部長はご存じでしょうか。 ◎石川 観光・MICE推進部長  私が確認した記録の範囲の中では、ロープウエーの安全管理という話題につきましてはなかったというふうに記憶してございます。 ◆伴良隆 委員  安全管理というか、細かいことは別にしても、安全体制ということだと思います。  それでは、次の質問でありますが、ことし8月24日に重傷1名、軽傷6名を出した札幌藻岩山ロープウエー事故について、事故後からの市側への情報提供は、いつ、どのように行われたのか、経過を伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  ロープウエー事故発生後の札幌市側への報告についてお答え申し上げます。  事故が起きましたのが8月24日でございました。事故が発生した翌日に札幌振興公社から札幌市に対しまして事故状況について報告がございまして、札幌市からは、安全確保に取り組むこと、それから、速やかな情報提供を行うよう指示したところでございます。 ◆伴良隆 委員  これは、経済観光委員会でも報告されている件ですが、少しかいつまんで教えていただいたところでございます。  それでは、もう一つ質問であります。  村山経済観光局長の札幌振興公社としてのお役職を教えてください。 ◎石川 観光・MICE推進部長  非常勤の取締役でございます。 ◆伴良隆 委員  非常勤の取締役というと、いわゆる社外取締役でございます。  社外取締役というのは、外部の視点から社内のしがらみや利害関係に縛られず監督できるなど、独立性と透明性の高い監視機能を持つという役割があります。
     そこで、質問ですが、このたびの事故で、札幌振興公社からの市側への情報提供が後手後手だったとの印象が拭えませんけれども、取締役としての初動対応の日時と、その後の監督はどのように行ったのか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  25日に報告を受けた段階で、私どもから村山局長にも報告し、そして、局長からも、同様に、先ほど申し上げたような指示を受け、そして、それをさらに振興公社にもお伝えしているところでございます。 ◆伴良隆 委員  それでは、本市職員で、ほかに社外取締役はいますでしょうか。 ◎石川 観光・MICE推進部長  交通事業管理者が非常勤の取締役についております。 ◆伴良隆 委員  その交通局のお話によりますと、これは経済観光局でもお認めになっていますが、ロープウエー停止等に関し、市電利用者等への多言語による周知について、札幌振興公社からも、経済観光局からも、申し出、協力要請はなく、事故日から約1週間後の8月30日に、交通局側から自発的に札幌振興公社に申し入れ、9月3日から停留場など各所に運休案内を掲示したとのことでした。私には、ここでも札幌振興公社と市役所の対応がまさに後手後手だったのではないか、このように映っております。  そこで、質問でありますが、札幌振興公社には市OBがいて、市役所には社外取締役がいるのに、札幌振興公社と市役所、そして、市役所内の部署同士が事故後の協力も適時適切にできていなかったと言わざるを得ませんけれども、市側としてはどう考えているのか、村山局長に伺います。 ◎村山 経済観光局長  今、事故発生のときから、市民の方々、それから観光客の方々にどういうふうにお知らせしてきたかということでお話をいただきました。  手前どもといたしましては、事故発生から、振興公社において、外国語対応ではございませんでしたが、市電の停留場で液晶の掲示板で運休の表示をしたり、それから、27日からは、地下鉄の全駅で英語も使って行ったりしておりました。  これについて、電停のことを例にとれば、もっと早く外国語対応もしたほうがいいのではないかということがあったと思います。そうしたところでは、手前どもが気がついて、交通局からお話がある前に振興公社としっかりとお話をしながら対応をとったほうがよかったと、今この時点では思っているところでございます。 ◆伴良隆 委員  もちろん、誰が先かということはないと思いますけれども、私個人的には、振興公社がヘルプというふうに言っていただくほうが一番素直だったのかなとは思います。ただ、ここは局長のお話のとおりでありますので、これからは協力をということになろうかと思います。  事故があったからこそ、振興公社内の体制不足と市役所との連携不足が明るみに出ましたけれども、私たち市民の大切な藻岩山を預けた信頼を裏切られた代償は非常に大きく、真摯な反省と徹底的な改革なしには到底納得ができません。三大夜景となることにどこまで努力をされてきたのか、三大夜景というブランドにあぐらをかいていたのではないか、三大夜景を返上して、もう一度やり直すくらいでなければ、札幌振興公社の意識も、体質も、市役所との緩い関係も変わらないのではないでしょうか。  確かに、札幌振興公社といった出資団体、つまり第三セクターは、一般的には、市に成りかわって事業を行うという大変重要な役割を持つ一方で、純粋な民間でないことで、緊張感がなくなり、なれ合いの体質になる弊害を持つと、たびたび指摘されてきました。  そこで、熊谷改革推進室長に伺います。  札幌振興公社を含め、市の出資団体はどれほどありますでしょうか。  また、札幌振興公社について、市からの再就職者、いわゆる市OBの役職と人数をできれば経年で伺いたいと思います。 ◎熊谷 総務局改革推進室長  出資団体ということでありますけれども、私ども改革推進室で制度を所管している指定団体ということで今後お話をさせていただきたいと思いますが、まず、指定団体の数自体は現在51団体でございます。  それから、振興公社への職員のかかわりの状況でございますが、現在、常勤職員として、本市OB6名が在籍しております。そのうち、役員が3名、代表取締役社長が1名、常務執行役員が2名でございます。それから、先ほどもお話がありましたが、非常勤の役員ということで、本市の現職の職員が2名在籍しているといった状況でございます。 ◆伴良隆 委員  直近の人数と内訳、お役職をお聞きしました。  札幌振興公社をよく知る人物のお話では、第三セクター全体に言えるとしながら、プロパー職員は、出世の道が狭く、志を持ちづらく、市OBなど幹部側は、現場をよく知らないので余計な口出しはせず、現場側もまた口出しされたくない、そうした関係がお互いのなれ合いを助長し、風通しも悪くしている、このようなことでございました。  私は、現役で活躍した市のOBの方々は一般的に優秀であると思いますけれども、札幌振興公社が市に要請する市OBの再就職について、希望する人材内容文は直近ではほとんど変わっておらず、時代の変化に即応する人材や社がみずから育てた人材を登用しようという姿勢が公社からは見えない実態であります。  また、今回事故の再発防止策は、どの会社でも当然で、今さらのことばかりでありまして、なぜこんなことができなかったのか、できてこなかったのかという反省や検証なしでの再発防止策など、いかがなものかと思います。保守点検した委託業者も悪いという声もございますけれども、発注する側がなすべきチェックをできるような知識や体制でないのに委託することこそ、丸投げであり、無責任であります。  札幌市出資団体の在り方に関する基本方針と行動計画では、札幌振興公社を含む出資団体全体に対し、組織のスリム化及び効率的な人員配置により人件費の軽減を図り、将来を見据えた人材育成及び会社全体のレベルアップを図るべきとしています。さらに、今回、再発防止策の内容には、施設管理部門の専門職化による体制強化と専門教育を受けた人材の計画的な採用とあります。  しかしながら、問われる人材や研修体制の具体は見えず、人件費の効率化と適材適所、つまり人事改革もないまま、事故をいいことに、節減どころか、人をふやす組織肥大化を公社も市も容認しているかのようにも見えてまいります。  そこで、質問であります。  札幌振興公社に対しましても、市再就職者、いわゆる市OB以外のプロパー職員の育成と幹部登用を進めるとともに、全体的な人員整理と効率化も同時に図りながら、今後は多方面からふさわしい人材を確保していくべきと考えますが、今後の方向性をどう考えているのか、熊谷室長にお伺いします。 ◎熊谷 総務局改革推進室長  今後の方向性ということでございます。  私ども改革推進室としましては、出資団体という制度全般を所管しているところでございまして、個々の出資団体の職員、あるいは人材育成のありようということについて、個別に言及できる立場ではないというふうに認識しております。  ただ、そうは言いましても、出資団体の一つの性格として、札幌市の施策を補完、代行する役目、そういう目的で札幌市が主体的にかかわって設立した団体であるということがございますので、いろいろな施策を進めていく上での一つのパートナーとして、より一層連携を深めて一緒にやっていかなければならない、そういうことを考えてございますので、今後できるだけ今般のようなことが発生しないよう、私どもとしても、各所管部局に対していろいろ指導に努めていくことで対処していきたいというふうに考えてございます。 ◆伴良隆 委員  きょうは外部から来ていただいていますから、端的に申し上げますけれども、熊谷室長、これは基本方針に基づく具体的な行動計画、基本方針にのっていることで、人員の効率化、そしてプロパーの職員等々の育成、こういったことを進めていかなければならないというのは全てのことに対してであると思いますが、札幌振興公社もそれは当てはまるのかということを聞いています。 ◎熊谷 総務局改革推進室長  もちろん、札幌振興公社も当てはまるというふうに考えてございます。 ◆伴良隆 委員  当然、そうだと思います。82%を出資しております。  札幌市出資団体の在り方に関する基本方針と行動計画では、札幌振興公社を含む出資団体全体に対し、出資の具体的根拠を検証し、出資の必要性を改めて検討し、出資目的の達成に現状の出資比率を維持する必要性がない場合は、出資比率を段階的に25%まで引き下げることや、場合によっては25%未満への引き下げも検討すべきとしています。  そこで、伺います。  札幌振興公社に対しても、出資団体の取り組み総括が行われる来年度を見据え、今年度から来年度を含め、今後、段階的な出資比率の引き下げをさらに検討すべきでありますがいかがか、伺います。 ◎石川 観光・MICE推進部長  札幌振興公社につきましては、藻岩山ロープウエーや大倉山ジャンプ競技場など、重要な観光資源でございます施設を運営する事業者でありまして、札幌市の観光施策を推進していく上では重要なパートナーであるというふうに考えてございます。  今後も、札幌振興公社が札幌の振興に寄与していけるように、札幌市としての関与を継続していく必要があるというふうに考えております。そのことに加えまして、出資については、観光都市さっぽろに本当に貢献していただける会社ということで、継続していきたいというふうに考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  かかわりは持つべきだと思いますよ。ただ、82%の出資比率というのは最高レベルですよ。僕は、その引き下げを検討していったらいかがですかと申しているのですよ。  第三セクターですから、かかわりを持っていかなければいけませんし、それは重要だとは思います。どこまでかかわるかなんですよ。今、改革を進めていかなきゃいけないということで、出資の見直しが行動計画にのっています。熊谷室長、答えてください。出資比率の引き下げについて、ことし、来年を含めて、今後検討すべきではないですかと申しているんですよ。 ◎熊谷 総務局改革推進室長  先ほども申し上げたとおり、この基本方針では、出資団体の一つの性格として、札幌市の施策を補完、代行する目的で札幌市が主体的に設立した団体、そして、市民力の一翼として団体の得意分野を札幌市が積極的に活用し、連携して社会情勢の変化にも対応していくことが必要である、まず、これが一つあると思います。それから、もう一つは、今ご指摘いただいていますように、自立した経営が見込めるような場合にあっては、もちろん適切な関与、あるいは、出資者としての責任を果たしつつではありますけれども、出資を縮小し、あるいは、人的関与も弱めていく方向で検討する必要があるというふうに考えてございます。この二つが基本方針の軸であるというふうに私は考えております。  いずれにいたしましても、団体事業を取り巻く社会経済情勢に機敏に対応しながら、適宜、それぞれの所管部局において見直しが行われるべきであるというふうに私は考えております。 ◆伴良隆 委員  今回の8月、9月の出来事で、約6万2,000人の観光客を失ったのですね。これで売り上げが落ちたからということですが、先ほどお話があったように、本当は潤沢な資金の中でやっていけるよねというふうになってほしかったわけですよ。そして、財務状況が好転した段階でと、一応、平成30年度に、平成31年度以降、段階的に出資比率の引き下げを検討するとここに書いてあるんですよ。これは、改革推進室の文書です。そして、振興公社の所管は経済観光局ですよ。今聞いていますと、何か必死にかかわっていきたい、かかわっていきたいというふうな声が聞こえています。かかわるのは結構でありますけれども、この際、どうやってこの会社が自立してちゃんとしていくのかということを考えてほしいということを私は申しているのです。市のOBが悪いとは一言も言っていない。  事故後に札幌振興公社から再発防止策が出てきていますが、過去から事故時、そして、事故後の対応に至るまでの体制不備への反省と責任所在をまず明らかにすべきでありまして、先んじて再発防止策だけを出し、組織防衛しているのではないかという不信感を禁じ得ません。この際、責任者とは、藻岩山観光事業の委託側と受託側の両方でありまして、事故を起こした札幌振興公社は当然責任を問われていますが、こうした事故を起こすようなところに委託していた市側の責任もございまして、両者はまさに一蓮托生であります。喉元過ぎればということがないように、まず、責任の所在を明らかにし、厳しく適正化する姿勢こそ、今後の責任感と緊張感につながるものであります。  そこで、秋元市長に伺います。  一連の事故に関し、札幌振興公社の最高責任者はどなたでしょうか。  また、札幌振興公社に藻岩山観光事業を委託している市役所としての最高責任者はどなたでしょうか。 ◎秋元 市長  まず、藻岩山観光事業を札幌市が振興公社に委託しているという事実はございません。これは、資産も含めて札幌振興公社のものでございます。札幌の観光事業とのかかわりの中で、振興公社とのかかわりはございますけれども、事業として委託しているという状況ではございません。 ◆伴良隆 委員  索道事業の開始の経緯ということは承知しています。交通局の所管事業だったものを、藻岩山等と、それから、緑の所管ということもわかっています。出捐です。  私は、こういったことの中で、いずれにしても、札幌市はこういった札幌市の観光事業というものを任せているわけですよね。ですから、振興公社の責任者は誰なのですかということと、市側の責任者は、村山局長でもいいんですが、どなたですかというふうに申しています。 ◎秋元 市長  委託事業ということではございませんけれども、先ほど申しましたように振興公社そのものは一つの独立の会社でございますので、これは、代表取締役社長が最高責任者となります。  加えて、観光政策全般ということになりますと、これは、札幌市政全般を担っております私の責任という部分も当然あるのかというふうに思っております。 ◆伴良隆 委員  札幌振興公社の代表者は、事故後、しばらくしてやっと表に出てきましたけれども、担当者が、メーカーがといった言葉が目立ちました。まるで自分に酔っているかのようでありまして、藻岩山という市の財産を担う社会的責任と組織代表者としての責任が希薄に見えます。  我々が、市役所を通じ、信じた札幌振興公社への信頼は大きく揺らぎ、札幌振興公社に任せていた市役所の責任も極めて重大で、我々市民は、いわば身内に裏切られた気分であります。事業として任せたのか、何を任せたかというのは、それは細かく言えばそういうことですけれども、任せていたのです。札幌振興公社に委託している市役所がある以上、無論、市役所を通じて札幌振興公社の責任を厳しく問うものでありますが、監督・指導する市役所が札幌振興公社に厳しく当たらないのであれば、我々は到底納得できません。  ところで、市長ご自身が、札幌振興公社に対し、直接、事故後に何か話したり接触したりしたことはありますでしょうか。支障がなければ、接触されているのであれば内容も教えていただければと思います。 ◎秋元 市長  私は、直接、板垣社長とも話をいたしました。  さまざまな対応についてやや後手後手という部分が非常にございましたので、まず、しっかりとこの原因を究明するということが第一義的に重要でございましたので、事故の原因、そして、そのことを究明した上での再発防止ということにまずしっかりと取り組んでほしいということ、それらを含めて、やはり、社長みずから公の場でそれらを含めてお話ししたほうがいいんじゃないかということをお話しさせていただきました。 ◆伴良隆 委員  このたびのロープウエー事故と事故後の一連の不手際で、事故でけがをされた方々、運休等で迷惑がかかった方々、事故対応を見て首をかしげた方々、三大夜景を標榜してきた市民の山、藻岩山観光の不始末が広く世間に知られ、市民が大切にしてきた有形無形の財産とプライドを傷つけられ、これまでの皆の努力が台なしにされた気分であります。市長を筆頭に、観光を市政の目玉にして踏ん張っている最中に、こうした事故が起き、観光イメージに大きくマイナスになったこと、オリパラ誘致など、まさに道外アピールというときにシティブランドを傷つけたこと、関係者には落胆とともに強い憤りを覚えます。さきの経済観光委員会でも、党派を問わず、疑問と怒りを持った質疑を私も傍聴しておりましたけれども、市民の多くが、今回の事故と事故後の不手際に対し、相当怒っています。ところが、市長は、記者会見で、振興公社に対し、お願いしてみるとか、報告をいただくとか、協議や調整といった謙遜した言い回しが目立ちますので、札幌振興公社に何か気を使っているのでは、このようにふと不安になるわけでありますが、市民の代表である市長は私たちの思いや憤りを酌んで堂々と責任を果たしていただきたいと思います。  質問でありますが、市長、検証報告は、受託事業者、つまり札幌振興公社が行うとのことであります。しかし、この検証報告を受け身で待つのではなく、市民の代表としてどう責任を果たすのか、どのように市長みずから全体的な検証にかかわるのか、また、今回の事故と事故対応の反省も踏まえ、また、先ほどの熊谷室長と私のやりとりも踏まえていただき、札幌振興公社には、出資団体改革に基づき、市長としてもさらなる改革を求めていくべきでありますがいかがか、伺います。 ◎秋元 市長  出資団体としてのかかわりということでありますと、先ほど来、ご質問、答弁等でやりとりをさせていただきましたように、その状況、状況に応じて必要な出資割合とか、あるいは、体制の見直しなどについても、市としてもしっかりと関与していくということを申し上げたいと思います。  その上で、今回のことは、先ほど伴委員からもお話がございましたように、やはり、基本的には事業者としてみずからがしっかりと社内の体制を見直していく意識、このことが重要だというふうに思います。そういう意味では、今回の事件を受けて、いま一度、社長を筆頭に、振興公社として、人的な体制や技術的なところも含めて、安全な運行管理にみずからどのような改革をしていくのか、そのことをしっかり考えてもらうことが極めて重要だというふうに思います。  その上で、札幌市としても、先ほど申し上げましたように、出資している立場として、そして、観光政策事業全般として、この振興公社は藻岩山観光あるいは大倉山観光という大きな部分を担っておりますので、市民の信頼を損なうことのないようにしっかり管理監督していくということを申し上げたいというふうに思います。 ◆伴良隆 委員  やや不安になることがあったものですから、今、その姿勢を改めて確認させていただきました。ありがとうございます。  札幌市も観光施策を担うものとして、そして、当時、オリパラも相当一生懸命やっていただいた石川副市長を含めて、村山局長も大変いい方ですけれども、ぜひ、ここは厳しくやっていただきたいというふうに思います。  我々は、札幌振興公社に問い合わせをすることはできても、クレームを言うことは順番としてなかなかできないのですよ。やっぱり、私たち議会としては、札幌市を通して皆さん方に訴えるということが筋だというふうに思っていますので、振興公社に気兼ねせず、ぜひとも市役所の皆さん方にやっていただきたいと思います。  安全やおもてなしというのは、観光の重要な要素であり、市民全体で長い時間をかけ、積み上げてきたものである一方、一度その信用なくすと、なかなか取り戻せません。藻岩山ロープウエーの運行再開後に、実はきのうですけれども、たまたま私は藻岩山へ向かって散歩する女性たちの会話を耳にしました。藻岩山を登った帰りはロープウエーを使えないよねと、実際にこのように話していました。声をかけようかと思いましたよ、動いていますよと。でも、運行開始を知らなかったのか、乗るのが怖かったのか、わからなくて私も声をかけられなかったのです。  先ほど申し上げましたが、事故後に失った観光客数は約6万2,000人です。こういったものをしっかり取り戻すとともに、目に見えない信用というものを傷つけられたことに対して、どう取り返していくのか。けがをされた観光客と不便を受けた観光客には、私としても大変申しわけないと思います。我々も協力できることはしっかりと協力しなければなりませんので、市役所も札幌振興公社も、三大夜景を返上する覚悟で、検証とともに組織改革を、即、断行するように強く求めますとともに、今後も議会側に改革の経過報告をしっかりされますように指摘をし、終わります。 ○村上ゆうこ 委員長  以上で、第1項 商工費の質疑を終了いたします。  次に、第2項 農政費のうち経済観光局関係分の質疑を行います。 ◆竹内孝代 委員  私からは、女性農業者への支援についてお聞きいたします。  男女共同参画が叫ばれて久しく、女性を含めた多様な人材の活躍が社会や地域の活性化につながると言われております。農業においても、農業者の減少、また高齢化が深刻さを増す中、農家の担い手減少を食いとめるためには、これまで余り焦点が当てられてこなかった女性農業者の役割が今後重要になってくるのではないかと考えております。  札幌市で策定した第2次さっぽろ都市農業ビジョンでも、多様な農業の担い手の育成、確保を図るため、女性農業者が活躍できる環境づくりを進めるとされております。私の地元清田区では、真栄・有明地区を中心に、ホウレンソウなどの施設園芸が盛んであり、農場では収穫作業にいそしむ女性農業者の姿を見かけますが、農作業以外に栽培計画、また販売計画など、農業経営にどうかかわっているのか、気になるところです。札幌の農業が発展していく上で、本市の農業就業人口の半数を占める女性農業者の活躍が一つの鍵になるのではないかと考えております。  そこで、質問ですが、本市における農業経営における女性農業者の現状について伺います。 ◎中田 農政部長  農業経営における女性農業者の現状についてでございます。  2015年の農林業センサスによりますと、札幌市の農業就業人口は932名、そのうち、男性が475名、女性が457名ということで、委員のお話のとおり、女性がほぼ半数を占めている状況にございます。  しかしながら、農業における男女の共同参画を推進するために、いわゆる夫婦間で家族経営協定というのがありますけれども、これを締結している農家というのは本市では8件しかございません。また、市内農協に確認したところによりますと、地域の農業の中で、経営あるいは栽培に関する検討などをいろいろ行っている生産部会というのがありますけれども、こちらのほうに参画しているのは男性が主体というお話を伺っております。このように、女性が農業の経営にかかわるという点では、とても低いと認識しているところでございます。  一方で、新規就農者の中には、女性単身で就農されたり、あるいは、夫婦で就農される場合であっても、女性が積極的に農業経営にかかわる事例も見られるようになってきたところでございます。 ◆竹内孝代 委員  農業就業人口のほぼ半数を女性が占めているものの、今お話がありましたように、農協の生産部会等には女性が参加することが少ないということ、また、女性同士の交流機会も少ない現状であることがわかりました。一方、新規就農者の中には、積極的に農協経営にかかわる女性農業者もふえてきている傾向があるということでした。  国では、女性が農林水産業でも大きな役割を果たしていくことを積極的に支援しており、産業分野においては、女性リーダーの育成と女性が活躍できる環境づくりに力を入れていると聞いております。例えば、国が進める農業女子プロジェクトでは、女性農業者が日々の生活や仕事、自然とのかかわりの中で培った知恵をさまざまな企業の技術、ノウハウ、アイデアなどと結びつけ、新たな商品、またサービス、情報を創造して社会に広く発信することで、農業で活躍する女性の姿をアピールする取り組みを進めているとのことです。プロジェクトには、さまざまな形で農業を営むメンバーが集まり、交流し、情報交換し、そして勉強し、刺激し合いながら、みずからの経営をよくするために自分たちができることを考えていく、そういった農業者グループがあるというふうに伺っております。このような女性農業者同士の交流を深めることは、本市においても女性農業者の活躍のきっかけになるのではないでしょうか。  そこで、質問ですが、女性農業者に力を発揮してもらうため、どのような支援を行っているのか、伺います。 ◎中田 農政部長  女性農業者への具体的な支援策についてでございます。  本市では、平成29年度から、女性農業者を対象として、経営能力向上と経営参画支援のための研修を行っているところでございます。昨年度は、札幌産の農産物を使用したレシピづくりや、病害虫の防除など農業の基礎的な知識を学ぶ講習会を開催したほか、札幌市近郊でファームレストランなどを運営し、女性農業者が積極的に農業経営にかかわっている事例の視察、研修を行ったところでございます。これらの研修には、市内各地から30代、40代の若手女性農業者を中心に延べ31名が参画しており、ふだん顔を合わせる機会の少ない女性農業者同士が交流を深めることができたものと考えております。 ◆竹内孝代 委員  昨年度は3回の視察、研修を行ったとのことですが、市外には、ファームレストランやファームインなど女性農業者が活躍している事例も多くあり、研修を通じて体験談などを直接聞くことは、経営の参考にもなり、大いに刺激を受けることになるとも思われます。また、今お話がありましたように、レシピづくりなどにより、みずからの農産物の加工品開発に関心を持ち、付加価値を高める6次産業化の取り組みにもつながると予測されます。やはり、女性農業者同士の交流により、農業女子プロジェクトの農業者グループのように、居住地域や年齢にとらわれないネットワークづくりにつながることが期待できるのではないでしょうか。  そこで、質問ですが、本市においても女性農業者の活躍推進に向けて力を入れていくべきと考えますけれども、女性農業者に期待する役割、そして、今後の展開について伺います。 ◎中田 農政部長  女性農業者に期待する役割と今後の展開についてでございます。  女性農業者には、女性ならではの視点による新たな品目の導入や農産物加工品の開発、直売所、農家レストランの開設、運営など、経営の多角化に向けた役割を期待しているところでございます。これにより、販路の拡大、経営の安定化へつながるものと考えているところでございます。  また、女性農業者同士のネットワークづくりは、女性農業者の農業経営参画の機運の醸成を図る上でも重要であると考えており、これらのことから、今後も、女性農業者の活躍に向けて研修内容の充実を図るとともに、研修を通じてネットワークづくりを働きかけてまいりたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  女性農業者同士のネットワークづくりは、貴重な取り組みであると思います。  さきの議会におきましても6次化について質疑させていただき、今後の推進に期待しているところでございますが、女性農業者の活躍は、新たな取り組みのきっかけや農産物の加工品の開発、直売所、農家レストランの運営など経営の多角化が図られ、販路の拡大、経営の安定化につながる可能性があると考えます。今後、この事業の新たな展開を期待いたしまして、私の質問を終わります。 ◆吉岡弘子 委員  私は、札幌の食農教育についてお尋ねいたします。  札幌市の総農家は、2015年で807戸と、2005年と比べますと3割減となっております。総農家のうち、販売農家は461戸と、10年間で4割減少しています。65歳以上の高齢者が占める割合は58.4%と、北海道の36%と比べると高齢化が進んでいます。耕作放棄地がふえ、約500ヘクタールになっており、放棄地を利用している市民農園は24.5ヘクタールで、利用率はほぼ100%です。市民農園の増設や、マルシェなど生産者の顔が見える直売方式の取り組みが重要です。自給率はわずか1%ですが、札幌市のような都市農業は、食料生産だけでなく、いろいろな面で市民に寄与するところがあると思います。  本市が第2次さっぽろ都市農業ビジョンをつくるに当たって取り組んだ札幌市全域の18歳以上の男女5,000人を対象としたアンケートを見てみますと、18歳から19歳の10代の若者の認識は、市内に農地があることを知っているのは約5割、つまり、半分の人たちは市内に農地があることを知りません。販売されていることは6割が知らない、その一方で、札幌の農産物に期待するのは安全・安心が8割と全ての世代で最も高く、札幌の農業・農地に期待する機能・役割の項では、良好な景観の形成が33.3%、環境・生態系の保全が48.7%と、いずれも全ての年代で最も高い比率となっています。10代の若者は、札幌の農業に期待しているにもかかわらず、札幌の農業を理解していない状況にあり、とても残念です。札幌の農業を理解する上で必要なことは、子ども時代から身近な農業に触れ、そして、実際に食べて、農業の豊かさをどれだけ体験できるかにあるのではないでしょうか。  そこで、質問です。  子どもたちを対象に、どのような食農教育に取り組んでいるか、伺います。 ◎中田 農政部長  どのような食農教育の推進に取り組んでいるかについてのご質問です。  ご存じかと思いますが、東区の丘珠にございますサッポロさとらんどでは、市民が農業と触れ親しむことを目的として、水田、あるいは子ども学習農園というようなものを整備しているところでございます。水田では田植えや稲刈りを体験し、それから、子ども学習農園では、ジャガイモやタマネギ、トウモロコシといった野菜の植えつけから収穫、調理までを体験することができます。利用状況については、小・中学校や幼稚園、保育園を中心に幅広く利用されており、毎年、65施設、4,500人程度が利用しているところでございます。  このほか、市民農業講座さっぽろ農学校の修了生など一定の農業技術や知識を習得した市民を農体験リーダーに認定しておりまして、この方々に小・中学校に出向いていただいて、教材園での野菜栽培の指導などを行っていただいております。昨年は、市内37校に46人の農体験リーダーを派遣しておりまして、約7,300人の小・中学生が農作業の指導を受けたところでございます。中でも、東区を中心とした小学校30校に歴史ある伝統野菜の札幌黄の苗を配付いたしまして、札幌の農業の歴史について学ぶ教材としていただいているところでござす。 ◆吉岡弘子 委員  サッポロさとらんどを中心にした取り組みをされているというお話でした。  1960年代後半、政府の減反政策や宅地化で休耕田がふえて農業経営が厳しくなり、農家の方が不安や苦境の中で模索した末に選ばれたのがホウレンソウでした。先ほど竹内委員のお話にもありましたポーラスターという名前のホウレンソウですが、その名前には、季節や時間に左右されず、位置を変えずにいつも輝いている北極星に農家の方々の農業への思いを重ねたのだと思います。私の住む清田区は例えばこのような状況がありますが、農業体験に際して、農業指導に加えてそういう背景や栽培の歴史などを子どもたちに伝えることができれば、地域の農業をより身近に感じることができるのではないでしょうか。  そこで、質問です。  2016年度から2025年度までの第2次さっぽろ都市農業ビジョンは、来年で折り返しです。今後の食農教育における取り組みと課題を伺います。 ◎中田 農政部長  食農教育における課題と今後の展開についてでございます。
     委員のお話のとおり、地域の農業を子どもたちに伝えていくことが重要であると認識しております。そのためには、地域の農業をよく知る農業者に指導者として学校に出向いていただくことが効果的ではないかと考えているところでございますけれども、農業体験の時期と農繁期が重なってしまうため、現役の農業者がかかわるのは非常に難しゅうございます。  そこで、今後は、例えば、古くから地域の農業に携わってきた第一線を退いた高齢の農業者に協力を仰いで、子どもたちに地域の農業を伝承するといった役割を担っていただくように働きかけて食農教育を推し進めてまいりたいと考えております。 ◆吉岡弘子 委員  ご苦労して食農教育を進められていることがわかりました。  実際に食農教育を進めるためには、農業者である指導者の問題もありますし、学校では、先生たちも子どもたちも忙し過ぎます。  新潟市は、米どころ新潟の農業を持続的に発展させるために、新たな取り組みとして食育、農業体験を推進しました。新潟市の前市長が、フランスでは教育ファームにより農業への関心が高まったことから、新潟市でも取り入れたいと、アグリパークという拠点施設構想を立ち上げました。子どもたちが、将来、ふるさとを誇りに思えるような取り組みをしたい、子どもたちを地域で育てようと官民挙げて協力体制がつくられました。8割の学校で農業体験を実施し、児童用と教師用の独自の農業体験学習プログラムをつくり、教師も研修しながら実践しています。市民が農産物について関心を高めて農家を応援する、そして農業が活性化される、この中で、将来、農家になりたいと表明する児童や、15歳の若者が農業サポーター制度に申し込み、導入前後で農家の意識も大きく変わり、相乗効果が生み出されています。教育に農を取り入れたことで、ふるさとへの誇りや、人口減少やエネルギー問題など日本が抱える課題に対して意識も変わり、先進的な方法で解決を図ろうと地域と学校が一体で取り組んでいます。新潟市の実践から学ぶ点は多々あるのではないでしょうか。  本市が食農教育をさらに大きく展開する上では、札幌市が食農教育を本市全体として位置づけ、本市挙げて考えるべきと申し上げ、私の質問を終わります。 ○村上ゆうこ 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時17分       再 開 午後3時40分     ―――――――――――――― ○村上ゆうこ 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆三神英彦 委員  きょう3回目のトップバッターです。よろしくお願いします。  私からは、南区の農業振興について伺います。  きょうは南区の選出市議は全員二部のほうに来ておりますが、私が住む南区では、果樹、野菜、花、米、養豚、養鶏など、周囲の豊かな自然と一体となった多様な農業が展開されています。中でも、果樹については、国道230号線沿いの豊滝や小金湯、また白川から砥山、小金湯へ至るいわゆるフルーツ街道沿いで生産が盛んです。これらの果樹園の多くは、生産規模が小さいこともあり、もぎ取りなどを中心とした観光農園や直売を経営の柱としていますが、シーズンになれば新鮮な果物を求めて多くの市民が訪れ、にぎわいを見せています。230号線沿いの地域は、札幌シーニックバイウエー藻岩山麓・定山渓ルートとしても位置づけられており、観光農園も訪れるスポットとなっているのはもちろん、果樹を主体とするこれらの地域の景観はすばらしく、貴重な観光資源であるとも言えます。  近年、こうした観光資源を生かしたまちづくり活動も盛んに行われるようになってきました。地元の農業者とまちづくり協議会等が中心となって、国道沿いの小金湯さくらの森や豊滝除雪ステーションなどでイベントが開催されていますが、地元の新鮮な野菜や果物、それらを使った加工品の販売が行われ、好評です。このように、農業者と地域住民が一体となって地域づくりの活動を行っていくことは重要であり、結果、規模はまだ小さいものの、農業の振興にもつながる可能性がとても高いと考えます。  まず、質問ですが、これまで、南区の農業振興に対してどのような応援を行ってきましたか。 ◎中田 農政部長  南区の農業振興に対する応援についてでございます。  委員のお話のとおり、南区というのは、地域の特徴を生かしたさまざまな活動が行われていると認識しているところでございます。  本市といたしましては、これまで、例えば、南区の果樹農家と菓子店のマッチングにより、特産の果物を使ったスイーツづくりを推進する取り組みを実施し、地域の活性化につなげてきたところでございます。また、果樹ということでサクランボが結構盛んですけれども、地元の農業者がサクランボ祭りを開催したり、過去に何度かそういうこともございました。そういうことで、これらのイベントへの協力、あるいは、それらの活動を支援する農業応援団の育成、組織づくりの後押し等を通じまして、農業者と地域住民とのつながりを深めてきたところでございます。 ◆三神英彦 委員  農業を主体とするまちづくり活動は、地域の活性化につながるものであり、こうした活動がますます盛んになることを期待するところです。  実際、南区では、新規就農者や企業の農業参入がふえてきていると聞いています。例えば、ワイナリーを建設してブドウ栽培からワインの醸造までを一貫して手がける企業も出てきました。新規参入の方々は、南区の自然豊かな環境や多様な農業に魅力を感じ、農業に参入してきているそうです。  しかし、その一方で、手入れされずに放置される果樹園もまた見かけるようです。農業者の高齢化に伴う離農や担い手不足など、そういったものが原因なのではないかと思います。  次の質問ですが、新たな担い手の現状と、これらを含めた今後の南区の農業振興について伺います。 ◎中田 農政部長  新たな担い手の現状と今後の南区の農業振興の展開についてでございます。  これまでに南区に参入してきた新規就農者は13名、企業が15社ございまして、これは市内全体の新たな担い手の約3分の1を占めております。新たな担い手の多くは、委員のお話にあったとおり、果樹あるいは野菜といった多品目の栽培を行っているほか、ワイナリーといった多様な農業を展開しているところでございます。新たな担い手が経営の多角化を図るという点でも、例えば6次化に取り組む場合に国や市の補助金を活用するといったようなことで、引き続き支援をしてまいりたいと思っております。  さらに、新たな担い手と既存の農業者を結びつけ、農業の振興を図っていくことはもとより、地域のまちづくり活動にも積極的に参画していただけるよう働きかけて、地域全体の活性化につなげてまいりたいと考えております。 ◆三神英彦 委員  数ある産業の中でも、農業は、農業そのものも、また、それを側面から支援することも、ほかの産業と比べて根気が必要で時間がかかるものと認識しています。参入してくださった方々や企業も、収入面で自立できるところまでにはもう少し時間がかかりそうだと思います。  そういったものをよくするためのポイントは、大きく捉えると三つぐらいあると思います。今までの質疑における答弁でも出ましたけれども、まず、農業のファンをふやすこと、1人当たりの農作業時間を手分けしたり、機械やAIを利用することで人手を減らしていくこと、それから、マーケティングや物流などのノウハウを活用して作業時間当たりの付加価値を高めて収入を上げること、これらによってさらなる参入者を招くようなことができるのではないかと思います。  そのヒントは、例えばきょうの岩崎委員のNo Mapsとか女性活躍の話にもあったように、既に至るところにあると思いますので、それらを見落とさず、上手に支援に結びつけることで、近い将来、本当に仕事に農業を選ぶと思った人が札幌を選んで移住してくださるというぐらいの勢いで今まで以上にやっていただきたいと思います。また、支援のタイミングというか、やはり、最初のほうでの支援を多目にして、それが成功することによって後々に回収していけるような支援の調整というか、そういったこともこれからの農業活性化に役立つのではないかと思いますので、よろしくお願いします。 ◆水上美華 委員  私からは、大きく2点、水田活用の直接支払交付金についてと、草地難防除雑草駆除対策についてお伺いいたします。  最初に、水田活用の直接支払交付金について伺います。  国、農水省は、米政策改革の定着に向け、水田フル活用の推進、具体的には水田転作地において、食料自給率・自給力の向上に資する麦や大豆、飼料作物等の本作化へと地域の特色のある品目による産地づくりを支援するため、水田活用の直接支払交付金の制度を設けています。  ただ、国では、水田活用の直接交付金の対象となる農地について、過去に水田機能を失っている農地や、経営判断として米の生産を再開するとは考えにくい農地にも交付金が交付されている事例があり、現状として米を生産できない農地等を交付金対象から除外すべきとして、平成29年度に実施要綱を改正しています。改正要綱では、除外すべき基準として大きく二つの要件を設けており、そのどちらかに該当する農地は交付対象から除くというものです。  一つ目は、湛水設備、畦畔等を有しない農地、いわゆるあぜを有しない農地です。ただし、畦畔に関しては、直ちに均平化することが難しい傾斜が圃場にある場合を含み、作物の生産性の向上のため、一時的に畦畔を撤去している場合を除くとされています。これは、作物の生産性向上とコスト減のために一時的に畦畔の撤去を認める内容と伺っております。  二つ目は、所要の用水を供給し得る設備を有しない農地、または、土地改良区に対して水田に係る賦課金が支払われていない農地で、これは、天水のみで稲作生産を行えることを近隣水田の作業日誌などで示すことができる場合を除くとされております。これは、水田に戻すときに水が欠かせず、水源の確保を条件に求めているためです。  しかしながら、当市の水田活用の直接交付金の対象となっている農地においては、今述べた畦畔を有していない農地、用水を供給し得る設備がない農地を多数確認しております。もちろん、国の直接支払交付金ですので、当市は、農水省の指示に従って国と農業従事者との間に入って事務を進めてきていますから、今述べた内容だけではなく、細かな対応を行い、交付金支払いに問題がないことは把握しております。ただ、用水源や用水路の確保は、水田だけではなく、他の作物に転換する際も必要だと考えますので、現状確認のために2点質問させていただきます。  1点目に、当市の農地において、水田活用の直接交付金の交付対象となる農地はどの程度あるのか、また、交付されている金額について、作物別で内訳を教えてください。  2点目は、交付対象農地のうち、用水源や用水路を有していない農地がどの程度あるのか、確認されている面積をそれぞれお伺いいたします。 ◎中田 農政部長  水田活用の直接支払交付金についてでございます。  まず、1点目の交付金の交付対象面積と交付金額についてでございますが、交付金の申請手続の支援などの事務につきましては、本市と農業団体等で構成される札幌市農業再生協議会というのがございまして、そちらのほうで担っております。この協議会の取りまとめによりますと、平成30年度の水田活用の直接支払交付金につきましては、それぞれ概数でございますが、実面積が417ヘクタール、交付金額が1億5,800万円となっております。  続きまして、作物別の実面積と交付金額の内訳ですが、これは全て概数ということでお答えします。  牧草などの飼料作物が一番多くて316ヘクタール、金額で1億2,500万円、小麦が40ヘクタールで1,600万円、地域振興作物ということでタマネギ、レタス、ホウレンソウ、コマツナがございまして、これらが26ヘクタールで830万円、その他の一般野菜が24ヘクタールで510万円となっております。  2点目の用水源や用水路を有していない農地面積でございます。  当協議会が平成29年度に現地を確認したところによりますと、水田活用の直接支払交付金の交付対象面積が約434ヘクタールございまして、このうち、用水として利用する水の用水源や用水路を確認できなかった農地は約286ヘクタールとなっておりました。  なお、これらの農地につきましては、水稲の生産を再開する場合には、生産者みずからが何らかの水源を確保することを確認しているところでございます。 ◆水上美華 委員  それでは、次に、草地難防除雑草駆除対策についてお伺いいたします。  平成29年11月24日のTPP等総合対策本部で決定された総合的なTPP等関連政策大綱に即し、日本の畜産、酪農の競争力強化を図るために、自給飼料の一層の生産拡大や高品質化により、輸入飼料に過度に依存しない畜産経営の実現を図る必要性が記載されています。  しかし、近年では、飼料作物の作付面積の大部分を占める草地において、従来の草地改良では防除の難しい難防除雑草が生い茂り、草地の生産性が低下していることが大きな課題となっております。そのため、国では、難防除雑草の駆除対策を行い、日本の自給飼料の一層の生産拡大や高品質化を加速させることにより、畜産、酪農の競争力強化を推し進めているところであります。  草地雑草のうちでも、特にハルガヤは、18世紀から19世紀の移民により北米、欧州にもたらされ、日本には明治中期に導入されたハルガヤが逸脱し、その後、日本全土に分布いたしました。道内では、以前は道端や痩せ地などで見られる程度で、土壌肥沃度の低下を示す指標雑草と考えられていましたが、近年、雪の多い地域で急速に広がりを見せており、当市もハルガヤが5%から40%生い茂る草地は複数確認されております。私自身も市内の農地に赴きまして確認させていただいております。急激に広がった理由として、種子の生産量が極めて多いことが指摘されていることから、飼料作物の草地だけではなく、他の畑や土地に広がることが懸念されます。  そこで、質問いたしますが、2015年農林業センサスによると、当市の飼料作物の作付面積は613ヘクタールとなっておりますけれども、難防除に該当する草地雑草についてのこれまでの対応と今後の対策をお伺いいたします。 ◎中田 農政部長  牧草栽培地における雑草駆除対策についてでございます。  牧草栽培地につきましては、これまで、防除することが困難と位置づけられた雑草につきまして、市内の農業協同組合が雑草の駆除計画というものを策定しまして、草地の雑草駆除に関する国の補助事業がございますが、これを活用して駆除を実施しているところでございます。また、毎年、北海道、市内農業協同組合及び畜産農家と合同で、畜産農家の牧草栽培地の現地調査を行っておりまして、このときにあわせて雑草の混入状況を確認しているところでございます。  その際、雑草の混入状況に応じまして、畑を耕して改めて牧草の種をまき直すいわゆる草地更新、あるいは、ハルガヤなどについては、効果があるとされている競争力の高い牧草の品種に変更するということで、助言するとともに、活用できる国の補助事業等を紹介しているところでございます。  今後も、関係機関と連携して、ハルガヤなど防除することが困難な雑草が広がらないよう、駆除対策の啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、新規就農者の支援について質問させていただきます。  今までも段々の質疑の中で出てまいりましたが、2015年に行われました農林業センサスによりますと、札幌市の全ての農家数は807戸、そして、農業就業人口は932名と減少の一途をたどっておりまして、ここ10年で総農家数は約3割、そして、農業就業人口は約4割も減少しています。農業者の高齢化も大変進んでおりまして、平均年齢は64.3歳となっておりまして、後継者がいないことで今後も離農する農家はふえていくのではないかと危惧しております。  一方、札幌市における都市農業では、市民へ新鮮で安全・安心な農産物を届け、都市の潤いある環境を保全するという重要な役割を担っており、担い手の確保、育成が急がれております。2016年から10年間の札幌市の都市農業の方向性を示した第2次さっぽろ都市農業ビジョンでは、意欲ある多様な担い手が輝く「さっぽろ農業」、市民に信頼される持続可能な「さっぽろ農業」、市民の農ある暮らしにつながる「さっぽろ農業」という大きく三つの基本的な方向を挙げ、取り組み方針には、担い手対策を喫緊の課題と捉えて多様な農業の担い手の確保、育成を図ることとしています。  近年は、規制緩和によりまして、市内でもさまざまな企業が農業参入を果たしておりまして、コンピューター制御された温室で野菜を育てる植物工場を経営する企業では、通年雇用や障がい者雇用などにも結びつくなど、大変喜ばしく思っております。  一方で、国は、新たな担い手を確保、育成するため、新規就農者に対して、2012年度から青年就農給付金、2017年度からは農業次世代人材投資資金による支援を行っており、市内にもこの制度を活用して多くの個人が就農していると伺っております。国の支援は就農から5年間でありますが、新規就農の大きなバックアップになり、これを機会として農業に従事することを決意した方もいらっしゃると聞いております。  しかし、最も大切なのは、支援を受けた後も離農せず、営農を続け、しっかり札幌の農業の担い手として定着することではないかと考えます。札幌市の現状はどうなっているのか、また、定着のために、国だけではなく、市の支援も重点的に行っていくことが大切ではないかと考えます。  そこで、質問ですが、これまで国の資金を活用している新規就農者の定着状況はいかがか、そして、札幌市ではどのような支援を行っているのか、あわせて伺います。 ◎中田 農政部長  新規就農者の定着状況と市の支援についてでございます。  本市では、就農時より国の青年就農給付金及び農業次世代人材投資資金の交付を受けた新規就農者は24戸となっております。このうち、11戸が既に交付期間を終了しておりますが、その全てが、離農することなく、現在も営農を継続しているところでございます。  また、新規就農者への市独自の支援策についてでございますが、就農時に必要となる農業機械や資材等の経費に対して補助を行っているほか、農業関係機関から成るサポートチームを構成し、栽培技術や経営相談等の総合的な支援を行っているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  今までに24戸がこの交付金を受けていて、その中で交付期間が終了した新規就農者11戸は、就農年数が6年とか7年たった方たちですけれども、全てが営農を継続しているということで、大変安堵するところです。そしてまた、札幌市としては、資材補助であったり、サポートチーム、また経営相談という形で相談に応じていらっしゃることに関しては、就農者が本当に安心して営農を続けられるのではないかなというふうに思います。  しかし、2016年度以降のこの事業の予算と決算には乖離がありまして、新規就農を目指した方たちの中には、自己資金不足とか、あるいは、借りたい農地面積に対して借りられる農地面積が半分以下であったりして、農地の受け手と出し手の意向に大きな差があって残念ながら就農を断念する方もいると聞き、とても残念に思っています。  アクションプラン実施事業の達成状況を見ますと、認定新規就農者の延べ人数目標は2020年に35人ですが、現状19人であることから、今後、耕作されなくなった農地がこの札幌で就農を目指す方たちにうまくマッチングができるように、札幌市農地流動化奨励金制度のさらなる周知など、農業支援センター、また農業委員会、JAさっぽろなどがしっかり横の連携をとっていただき、一人でも多くの札幌農業人をつくっていただきたいということを求めます。  近年、チ・カ・ホとか、北大、ホテルのエントランスなどでマルシェが頻繁に行われております。マルシェは、生産者と消費者の直接的な接点をふやす機会として注目を集めているイベントであると思います。マルシェでは、新鮮な農産品を購入できるのはもちろんのこと、消費者が生産者から農産品の栽培方法とか、お勧めの料理方法などを直接聞くことができ、地域の農業をより身近に感じることができると思います。私も、よく知り合いの直売所やマルシェなどで野菜を購入し、農家の方から料理方法や保存方法などを聞くことがあります。そして、市も去年から都心でマルシェを企画して開催していると聞いております。  そこで、質問ですが、これまでのマルシェの開催実績と参加している新規就農者の状況について伺います。 ◎中田 農政部長  マルシェの開催実績と参加している新規就農者の状況についてでございます。  本市では、平成30年度からまちなかマルシェを企画しておりまして、昨年度は、円山公園で4回、札幌駅南口広場で2回開催しております。出店農家は7戸で、売り上げの総額が約100万円、1回の1戸当たりの売り上げは平均すると約3万円となっております。また、出店農家のうち、新規就農者は3戸で、それぞれが単身で就農しており、少量多品目の野菜を生産している状況になっております。 ◆しのだ江里子 委員  昨年からまちなかマルシェを開催しているということで、今までに6回開催され、そして7戸が参加した、その中に3戸の新規就農者がいたということです。  生協に出したり、また、直売所を持っている農業者もあると思うのですが、このマルシェというのは大変いい取り組みだと思います。ただ、売り上げの総額が7戸で100万円で、1回の1戸当たりの売り上げが平均3万円ということですけれども、そういった意味からすると収益性は余りよくないように思えます。そして、多くの新規就農者は、ほとんどが単身、もしくはご夫婦で就農し、生産から販売までを1人もしくは2人で担っておりまして、農繁期に畑から離れた場所に出店し、販売まで担うということは、なかなか負担が大きいのではないかと思います。  質問ですが、新規就農者がマルシェに出店するメリットと今後の展開について伺います。 ◎中田 農政部長  新規就農者がマルシェに出店するメリットと今後の展開についてでございます。  委員のご指摘のとおり、新規就農者のマルシェへの出店は負担が大きい面がございます。しかし一方で、消費者に直接説明することにより新たな顧客の獲得に結びつけることができる、あるいは、消費者の意見を栽培や経営計画に生かせる、あるいは、出店者間の交流により経営の幅を広げられるなどのメリットもあると認識しております。また、消費者からは、マルシェの定期的な開催を望む声も多く聞かれ、今年度は、回を重ねる中でオープン前から順番待ちができるなど、徐々に浸透していることなどから、売り上げの増加が期待できるものと考えております。  これらの理由から、マルシェは、新規就農者にとっても有効な販路となり得ると考えており、新規就農者に対して出店を呼びかけて出店者をふやすなど、にぎわいを創出することによって定期的な開催を目指したいと考えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  生産者にとっては、直接、顧客を獲得することができるということ、そしてまた、さまざまな意見を聞けるというメリットがあること、消費者にとりましても、よりよい商品を身近で買うことができることから、このマルシェというもののメリットがあるというふうに伺いました。  札幌市内では、本当にそれぞれの地域特性に応じた多種多様な農業が展開されておりまして、植物工場で生産された農産品も加えますと、一年中、朝とれた野菜や果物をその日のうちに食することができるというのは、196万の大都市において大変恵まれたことだと思います。  10年後の札幌農業を見据えて取り組む目標に札幌の農産物を購入している市民の割合を80%と設定しておりますが、さまざまな場所で展開されるマルシェは、多くの市民がより札幌の農産物を身近に購入できる機会として、今後もしっかり応援していかなければならないと考えます。  一方で、今、農業を取り巻く国際情勢が大きく変わろうとしておりまして、今後は今まで以上に外国産の農畜産物が店頭に並ぶことが予想されますが、これは、基準内とは言いながらも、海外からの長距離輸送のために大量の化学農薬を含むことが危惧されます。都市農業においては、そういう農産品ではなくて、低化学農薬や低化学肥料が実現でき、安心、そして新鮮、良質な農産品がより身近になるということで、そのメリットというのはまさに地産地消に取り組むことができるということだと思います。畑と消費者が近く、とれたての新鮮な野菜を、直接、消費者に届けることができるというこの札幌農業のすばらしさ、対面販売などによる顔の見える関係は、野菜の調理方法や保存方法を生産者から消費者に伝えることなど、コミュニケーションの絶好の機会となります。さらに、流通に乗らず、無駄になってしまっている規格外の野菜にも商品価値が生まれることが明らかになっております。  生産者と消費者との相互理解を深めて信頼関係をつくり、札幌市民の積極的な購入、消費につなげるには、札幌市には今まで以上にさまざまな形で市民へ札幌農業の情報を発信していただくことが必要でありまして、そのことを強く求めて、私の質問を終わります。 ○村上ゆうこ 委員長  以上で、第2項 農政費のうち関係分の質疑を終了いたします。  最後に、議案第3号 平成30年度札幌市中央卸売市場事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆三神英彦 委員  私からは、卸売市場法の改正とそれに伴う札幌市としての対応について質問いたします。  札幌市中央卸売市場は、昭和34年に青果部が業務を開始し、ことしの12月で60年を迎えます。以来、長きにわたって札幌市民の台所として生鮮食料品の安定供給という役割を果たしてきたことは、誰もが知るところです。また、市場内には、卸売会社を初め、生鮮食料品に関連する地元企業が集積し、競りのある日には3,000人以上の人たちが働いていて、地域経済にとって拠点の一つと言える重要な役割を担っております。  中央卸売市場の設置・運営の根拠となる卸売市場法については、農林水産省が見直しに着手した結果、平成30年の通常国会で改正案が可決、成立しました。改正法は、令和2年6月21日に施行されます。その概要は、多くの取引ルールについて全国一律の規制が廃止され、市場ごとに独自のルール設定が可能になったこと、法改正に伴い、業務規程の改正を進めていることなどが改正のポイントとのことです。  食品流通において、加工食品や外食の需要が拡大するとともに、通信販売や産地直売といった流通の多様化が進んでいる状況に対応するとともに、生産者の所得向上と消費者ニーズへの的確な対応を図るため、食品流通全体の合理化を一体的に促進する必要があることから、生鮮品流通の中心となっている卸売市場の取引などをめぐる諸規制の見直しを行ったと聞いております。  そこでまず、今回の改正に対して、開設者として、現在どのように対応しているのか、そして、今後どのように対応を進めていくのか、伺います。 ◎片貝 中央卸売市場長  法改正に対する開設者としての対応についてのご質問でございます。  今回の法改正により、既存の中央卸売市場につきましても、改めて農水省の認定を受けなければならないとされております。現在、この農水省の認定に向け、市場の取引ルールを規定した札幌市中央卸売市場業務規程を改正法に準拠した内容とするため、全面的に見直しをしているところです。  取引ルールに関しましては、一例といたしまして、これまでは、法律上、卸売業者は仲卸業者にしか売ってはならない、その一方で、仲卸業者は卸売業者からしか買ってはいけない、こういう取引の規制がございました。今回の法改正により、こうした規制の設定は各市場の判断に委ねられることになりましたので、当市場では、現在、独自に設定する取引ルールなどについて、市場関係者の皆様と協議を続けているところであります。  今後の対応でございますけれども、令和2年6月21日の改正法施行までに認定をいただく必要があります。業務規程の改正案につきましては、12月にパブリックコメントを実施した上で、令和2年の第1回定例市議会に上程させていただき、可決ということで議決をいただければ、農水省に中央卸売市場の認定申請を行う予定であります。 ◆三神英彦 委員  開設者の現在の対応状況として、規制が廃止された取引ルールに関して市場関係者と協議中とのことです。卸売業者、仲卸業者、小売業者といった市場関係者の皆さんにとっては、それぞれ商売上の立場は違うのが当然で、またさらに、水産と青果があるわけですから、扱う商品が違えば業界としての考え方も異なるのではないかと思います。そのため、取引ルールの設定に当たっては、どうしても関係者間の利害が相反することがふえてくると思われ、各業者との間に入って開設者が調整を行わないと取りまとめは難しいのではないかと考えます。  そこで、開設者として、市場関係者とどのように協議を行い、調整しているのか、その状況を伺います。 ◎片貝 中央卸売市場長  市場関係者との協議の状況についてのご質問です。  平成30年6月に、卸売業者、仲卸組合、小売組合、関連事業者、そして、私ども開設者の代表で構成される法改正対応検討委員会を立ち上げました。協議に当たりましては、卸売業者、仲卸組合、小売組合といった業種ごとの小部会で検討し、次に、水産と青果のそれぞれの部会で協議を行った後、全体の委員会で決定するという手順で現在進めております。  参加者それぞれの立場が業種によって異なることから、意見や課題に対する共通認識を市場関係者全体で形成するため、これまで会議を40回以上開催し、開設者は全ての会議に参加して意見聴取を行っているところです。現時点では、当市場における取引ルールの改正内容等について基本的な合意に至ったところです。
    ◆三神英彦 委員  法改正対応検討委員会を設置し、かなりの部分で合意されているというのはすごく驚きです。  協議中の取引ルールに関しては、内容が確定次第、業務規程に反映することになると思いますが、市場運営のよりどころとも言える業務規程について、取引ルール以外の部分も含めて、全体としてどのように改正しようと考えているのか、その方向性までお聞かせいただけたらと思います。 ◎片貝 中央卸売市場長  業務規程の改正の方向性についてのご質問です。  まず、取引ルールに関しましては、生産者、消費者の利益につながるか否かというところを判断基準としながら、原則的には、現行のルールを尊重し、維持していく方向で考えております。一方で、取引関係者が求める物流の効率化などに対応するために、一部の規制につきましては例外規定を設けることも検討しております。  次に、取引参加者に関する規定ですが、卸売業者につきましては、これまでの国による許可制度がなくなりましたので、今後は本市による許可制度を業務規程に設けます。また、仲卸業者、売買参加者、関連事業者につきましては、引き続き、本市による許可・承認制度を維持していきたいというふうに考えております。  このように、許可制度によって市場関係者に対して適切に関与することで、取引ルールの公正さを維持し、市民への生鮮食料品の安定供給という使命を引き続き果たしてまいりたいというふうに考えております。 ◆三神英彦 委員  今までの取り組み、経過を伺いまして、来年6月まで、遅滞なく事務処理、調整作業をお願いしたいと思います。  一般的に、商売において取引上優位な立場に立つ事業者が主導権を握るなどということが起こることも想定されます。また、卸売市場法は改正されましたが、取引においては不当に差別的な取り扱いをしてはならないことだとか、出荷された商品は全て受け入れるというような市場関係者を公正・公平に取り扱う原則は、当然、引き続き明示されて続いていくわけです。  札幌市の卸売市場で活躍する多くの地元企業が今後も安心して事業を継続でき、そして、その企業で働く人々が今まで以上に活躍できる、そのような側面での市場づくりと、それから、消費者意識の市場づくり、両方を目指して運営に当たってください。どうぞよろしくお願いします。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、中央卸売市場の活性化について質問させていただきます。  まず、9月15日に行われました市場開放イベント、消費拡大フェア2019では、私も同じ会派のくまがい議員とともに参加させていただきました。昨年は、北海道胆振東部地震の影響で中止となり、2年ぶりの開催ということになりましたものですから、例年のように多くの来場者に恵まれるかと心配はしておりましたけれども、マグロの解体ショーは長蛇の列、水産仲卸の通路は中になかなか進めないほど混雑しており、日ごろ入ることができない卸売市場での買い物やさまざまな催しを多くの市民が楽しんだことと思います。伺いましたところ、入場者数は3万1,000人であったとのことでございます。午前中のみのイベントとしては人数も大変多く入り、中央卸売市場で販売した生鮮食品の品質、その新鮮さなど、改めて市場のブランド力を認識したところでもございます。  しかしながら、農水省が発表している全国推計の卸売市場経由率は、平成元年度は、水産物が74.6%、青果物が82.7%であったものが、平成28年度には水産物が52%、青果物が56.7%と大きく減少しているところであります。また、いただきました中央卸売市場の決算書によりますと、平成30年度の取扱量は、水産物が7万9,476トン、青果物が25万1,341トンであり、取扱額は水産物が954億円、青果物が591億円と、いずれも前年を下回る結果となっております。これまでの市場の取り扱いのピークは、水産物が平成11年度、青果物は平成5年度であり、その後、多少の変動はありますが、総じて減少傾向にあります。  そこで、質問ですが、平成30年度の決算に係る市場取扱高について、現状をどのように認識しているのか、お伺いいたします。 ◎片貝 中央卸売市場長  平成30年度の市場の取扱高の現状認識についてであります。  まず、水産物の取扱額につきましては、鮮魚のサンマは、不漁でありました前年度に比べて31%増加し、ここ数年、減少傾向でしたホタテも17%増加いたしましたが、原材料不足から冷凍品、加工品が振るわず、水産物全体の取扱額としては大きく減少する結果となりました。  次に、青果物ですけれども、天候不順により、道内産が主力であるバレイショが27%の減少、当市場で取り扱いが大きいキャベツも20%減少するなど、水産物と同様に取扱額が減少しております。  また、先ほどの質問の中にもありましたけれども、北海道胆振東部地震の影響として、地震の発災により、産地からの入荷が不安定となり、取引が正常化するまでの4日間の取扱額、これを前年同月の同じ期間で比較しますと、水産物で9億4,000万円のマイナス、青果物でも約2億4,000万円のマイナスとなっております。市場における生鮮食料品の取り扱いは、天候不順などの自然環境の変化や産地における労働人口減少による生産量の減少、市場外流通の増加などさまざまな要因の影響を受けており、厳しい状況にあるというふうに認識しております。 ◆丸山秀樹 委員  ただいま答弁で昨年の胆振東部地震による影響について説明がございましたけれども、やはり、あれほどの震災でございましたので、分荷や流通、販売と正常化に至るまでは本当に大変だったというふうに思います。  私たち公明党は、昨年の胆振東部地震が発生した数日後には、国会議員とともに、ここにおります好井議員、わたなべ議員、そして、この春に勇退された本郷議員と一緒に市場に伺い、場長を初め、水産、青果の業界関係者の皆さんからお話を伺いました。地震が起きた9月6日の朝3時過ぎは、競りの準備に追われる時間帯でしたが、卸会社は生産者や出荷者からの持ち込みを拒めない、いわゆる受託拒否の禁止を貫いて、市場外にまで倉庫を確保するなど、あらゆる手を尽くして対応に当たったと伺っております。その後、市場が落ちつきを取り戻しますと、今度は、産地が、市場に対して物流が安定するよう意識して札幌市場に対して出荷してくれたということも伺いました。  ですから、当時、テレビのニュースでは、連日、工場製品を初め、食料品の品不足が騒がれていたときに、青果物などの生鮮は、陳列台に並べられ、販売されていたわけでございます。災害時にあっても、そうした出荷者との信頼関係は、やはり市場ならではのエピソードであり、消費者のもとに新鮮な生鮮食料品を届けるために尽力した関係者の努力は、大変評価されるべきだと私は思います。  同行した国会議員には、そうしたことをすぐ農水省にも報告してもらいました。その後、農水局長が東京から札幌に来たわけですけれども、改めて市場の再評価につながったものと私は思います。  しかしながら、生産量が天候に左右されやすい生鮮食料品の特性や、産地での労働人口の減少など、市場の取り扱いはさまざまな要因を受けやすい難しい状況にございます。中央卸売市場は、市民の食生活を守る食の拠点であり、市民と生産者を結ぶ非常に重要な施設であります。消費拡大フェアに見られるようなにぎわい、活気にあふれた市場の姿は、市場の信頼感を高め、市場全体の今後の活力になるものと考えます。取扱高が減少している今だからこそ、市場のブランド力を生かし、市場の持つ資源を有効に活用して活性化に取り組むことが重要であると考えます。  そこで、2点目の質問ですが、市場の取扱高が減少傾向にある中での市場活性化の取り組みについてお伺いいたします。 ◎片貝 中央卸売市場長  市場の活性化に向けた取り組みの状況についてであります。  現在は、平成23年度に策定した活性化ビジョンや経営改革プランに基づき、販売力の強化、市場の情報発信、食育事業、市場施設の有効利用等について取り組んでおります。例えば、販売力の強化につきましては、札幌近郊の生産者と連携し、消費者ニーズに合った形のブロッコリーを開発するとともに、その鮮度を落とさないために温度管理に配慮した輸送の開発などを行っております。市場の情報発信につきましては、専門小売店をより多くの方に知っていただくために、札幌市内及び近郊の八百屋や鮮魚店を紹介するパンフレットを地域ごとに作成いたしまして、消費者の方にご利用いただいております。食育事業につきましては、市場見学と料理教室を両方体験できるツアーの開催、小学校の社会科見学の受け入れ、場内の調理実習室を活用した子ども向けの料理コンテストを実施しております。市場施設の有効利用につきましては、取引が行われていない時間帯に競馬場来場者あるいは近隣事業者に有料で駐車場の貸し出しを行っております。  こうしたさまざまな活動を通じ、市場関係事業者の皆様と連携しながら、市場の活性化に現在取り組んでいるところであります。 ◆丸山秀樹 委員  平成23年度に策定いたしました市場の活性化ビジョンと経営改革プランに基づいて、生産者との連携や市民への情報発信、市場施設の有効活用に市場関係事業者が市と一体となって取り組んでいるという答弁だったと思います。  これらの計画は、持続可能な強い市場づくりのための10年間の指針でありますが、来年度で計画年度が終了いたします。現在、市場では新たな事業計画である札幌市中央卸売市場経営展望の策定に着手しているところでございます。平成30年6月に卸売市場法が改正され、市場を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。また、さきの答弁にもありましたが、市場における生鮮食品の流通は今後も厳しい状況にさらされるという認識でもございました。このような局面において、現在検討されている経営展望は、卸売市場が市民の皆様へ生鮮食料品を安定供給するという役割を果たしていく上で、極めて重要なものになると考えます。  そこで、質問ですが、この新たな計画でもあります経営展望の方向性についてお伺いいたします。 ◎片貝 中央卸売市場長  現在策定中の市場の経営展望の方向性についてでございます。  場内事業者の代表と開設者で構成している経営展望策定委員会におきまして、これまで、活発な議論のもと、三つの基本方針を定めております。  一つ目は、選ばれる市場を目指すという基本方針です。生産者の方が安心して生鮮食料品を出荷し、託せる場所として、一方、小売店の方が必要とする商品を安心して仕入れることができる場所として、双方から選んでいただける市場を目指すこととしております。  次に、信頼される市場を目指すということです。公正で透明性の高い取引ルールの遵守を通じて、全ての取引参加者にとって公平で信頼される市場を目指します。  そして、親しまれる市場を目指すということでございます。既に取り組んでおりますが、市場に集まる旬の食材の情報を、SNSなどを活用しながら一層積極的に市民の皆様にお伝えしていくことで、食に関する関心を高めていただき、そして、卸売市場の役割につきましてもご理解を深めていただきたいと考えています。  また、これらの三つの基本方針のもと、公設公営市場の開設者として、長期的な視点に立った適切な施設改修計画、HACCPの義務化など社会的要請への対応に関する方向性をこの経営展望に定めてまいりたいというふうに考えております。 ◆丸山秀樹 委員  経営展望の基本方針として、選ばれ、信頼され、親しまれる市場を目指すこと、公設公営市場として、開設者として社会的要請に応えていくということでございました。経営展望や取引ルールの作成に当たっては、十分な議論、合意形成に努め、やはり市場一丸となって取り組みを進めていく必要があります。特に、戦略的に踏み込んで、考え方をしっかり整理しながら、具体性を持っていくことも重要というふうに私は思います。  昨年の大規模停電のときには、近所の八百屋さんが市場で野菜を調達して、地域の食を懸命に支えているという側面もございました。とりわけ、市場の活性化を進める中で一つの大きな鍵を握るのが、小売屋さん、売買参加者の減少にいかに歯どめをかけるかだと私は思っています。青果の売買参加者は、かつて900人近くおりました。今は400人を切っているという状況にあります。そうした後継者や人材育成をいかに図るかというのが検討課題にもなっております。  そこで、一つ、私は要望させていただいて、終わりたいと思います。  小売の活性化については、私は、まちセンマルシェというのを検討してはどうかというように思っています。これは、買い物難民という地域課題の解決にもつながるものとして、新たな挑戦であり、取り組みにもなるというふうに思います。考え方として、対象はあくまでも同じ区内で営む八百屋さんや小売店で、区内のまちセン、または町内会館に月に何度か販売に来てもらう取り組みでございます。当然、持続できることが肝心ですので、市場の休みの前の日、土曜の午後だけでもいいですから、時間設定は柔軟に対応する、そして、安かろう悪かろうではなくて、市場ならではのおいしくて満足のいく価格で、損をしない、顧客獲得にもつながる、そうした取り組みをしていただきたい、そうした検討をできないものかと思うところです。  小売屋さんの中には、当然、手が回らない、人手がないと言う方もいらっしゃるかもしれない。でも、これを、いかにして人手をふやす契機、きっかけにできるかということも大事でございます。また、既にスーパーがドラッグストアに変わり、そのドラックストアに野菜売り場を置かせてもらったり、また、サービスつき高齢者向け住宅で販売している方もいて、実際に店舗を持たずに納品している方も多い状況がございます。  ついては、これまで、青果小売業者が地域社会の中で培い、果たしてきた役割、機動力を生かし、その中でマッチングを図り、地域課題の解決を通じて小売業者の経営に資する取り組みに新たな販路を見出していく、そうしたことも協議し、モデルケースや試行的な検証を進めていただくことも求め、私の質問を終わります。 ○村上ゆうこ 委員長  以上で、中央卸売市場事業会計の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、次週、10月16日水曜日午後1時から、交通局及びスポーツ局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時39分...