(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 異議なしと認め、議案第51号中関係分は、可決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第59号 平成29年度札幌市
一般会計補正予算(第6号)中関係分を議題といたします。
質疑を行います。
質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、討論を行います。
討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、討論を終了いたします。
それでは、採決を行います。
議案第59号中関係分を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 異議なしと認め、議案第59号中関係分は、可決すべきものと決定いたしました。
ここで、
理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時
再 開 午後1時1分
――――――――――――――
○伴良隆 委員長 委員会を再開いたします。
次に、議案第43号 札幌市
地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例案を議題といたします。
質疑を行います。
質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、討論を行います。
討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、討論を終了いたします。
それでは、採決を行います。
議案第43号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 異議なしと認め、議案第43号は、可決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第49号
公立大学法人札幌市立大学定款変更の件を議題といたします。
質疑を行います。
質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、討論を行います。
討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、討論を終了いたします。
それでは、採決を行います。
議案第49号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 異議なしと認め、議案第49号は、可決すべきものと決定いたしました。
次に、
公立大学法人札幌市立大学第三期
中期計画についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎浦田
まちづくり政策局長 本件は、
公立大学法人札幌市立大学が作成しました6カ年の
中期計画をご報告するものでございます。
お配りしている資料に基づきまして、
政策企画部長の芝井から説明申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
◎芝井
政策企画部長 公立大学法人札幌市立大学の第三期
中期計画について、
概要資料に沿ってご説明を申し上げます。
初めに、A4判横の資料ですが、1
中期計画の
位置付けでございます。
この
中期計画は、
設立団体の長が定めた
中期目標を達成するために、法人が定める計画でございます。
第三期
中期目標につきましては、昨年の第4回
定例市議会におきまして議決をいただいて、法人に対してその指示を行ったところでございます。
このたび、法人から第三期
中期計画の
認可申請がありましたので、
設立団体の長として認可するに当たり、計画の内容を議会にご報告させていただくものでございます。
次に、2 第三期
中期計画の特徴でございます。
1点目として、資料の右側にありますとおり、大学が担う役割を教育、研究、
地域貢献の三つといたしまして、これを支える
大学運営を加えた四つの柱で計画を構成して、
取り組みを体系化、重点化したことでございます。2点目といたしまして、計画に掲げた
取り組みの全てに指標を設定し、その指標の多くが
取り組みの成果や活動を定量的にはかるものとしております。
資料の2枚目をごらんください。
3 第三期
中期計画の概要でございます。
資料左側に
中期目標を、
資料右側に
中期計画の概要を記載しております。
まず、基本的な考え方でございます。
中期目標では、
一つ一つの成果を市民が実感できるものとしていくとしておりました。これを受けまして、
中期計画では、市民に開かれ、市民の力になり、市民の誇りとなる大学としてさらに認知されるように取り組むとしております。
続きまして、主な
取り組みについてご紹介いたします。
まず、教育に関する
取り組みでございます。
中期目標では、
デザイン分野と
看護分野それぞれにおける地域や仕事の現場で活躍できる
実践能力を備えた
専門職業人の育成や、学生の修学に向けた支援の実施などとしておりました。これを受けて、
中期計画では、学生が地域に出て、その課題や
解決手法を学ぶ
地域志向科目の実施や、語学や
国際感覚を養う科目の実施といった両学部に共通した教育と、各学部や大学院における専門的な教育の実施を
取り組みに掲げておりまして、それぞれにおいて関連する能力の向上を認識した学生の割合などを指標に設定しております。
なお、下線を引いている
取り組みは新たな
取り組みでございまして、教育の上から四つ目にありますが、
デザイン学部の
専門科目におきまして、企業と連携して設定する課題を扱うものでございます。
具体的には、
ものづくりの
デザインプロセスを学生に経験させることを想定しております。また、授業料の減額、免除を申請する学生が近年
増加傾向にあることから、その枠を拡大して、
経済的事情にかかわらず修学できる環境を提供していくことを掲げております。
次に、研究に関する
取り組みでございます。
中期目標では、
デザインと看護の連携でありますD×Nの特色を生かすことや
先進技術を取り入れること、
地域特性、
地域課題を踏まえた研究を推進することなどとしておりました。これを受けまして、
中期計画では、D×Nによる研究や超
高齢社会への対応、
地域コミュニティーの再生などに関する研究のほか、
デザイン学部の
専門科目で扱う企業と連携して設定した課題を研究に発展させることとして、その件数を指標としております。
次に、
地域貢献に関する
取り組みでございます。
中期目標では、
産学官交流や地元への
人材輩出、職業人の
スキル向上などを通じて
地域産業や
地域医療に貢献するとともに、生涯学習の振興などを通じて
地域社会に貢献することとしておりました。これを受けまして、
中期計画では、産業界と連携してサービスや製品の
開発支援などを実施することや、インターンシップなどにより学生が地元の企業や
医療機関への理解を深める機会を提供していくこと、さらには、地域における看護師の定着や
キャリアアップに向けて市内の病院と施設横断的に
人材育成を行っていくことなどを掲げております。
最後に、
大学運営に関する
取り組みでございます。
中期目標では、多様な主体と連携すること、大学の成果をわかりやすい形で発信すること、
入試広報などによって学生を確保すること、計画において
成果指標を設定することなどとしておりました。これを受けまして、
中期計画では、同窓会と連携し、
学生向けの講演会などを行っていくことや、
公式ウェブサイトの充実や積極的な
プレスリリースを通じて認知度を上げていくこと、
オープンキャンパスや高校の
教員向けの説明会などの
入試広報を積極的に行うこと、さらには、
年度計画の指標の設定において、近年の実績を参考に各項目を設定することなどを掲げております。
○伴良隆 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
石川佐和子 委員 私は、昨年9月の本委員会におきまして、
札幌市立大学の
中期目標における障がいのある学生への支援等について質問させていただきました。きょうは、そのことに関して質問させていただきたいと思います。
その際の質疑の中で、障がいのある学生の入試の際や入学後の支援の内容、また、身体以外の障がいのある方への
合理的配慮の提供について、札幌市の考え方を確認いたしました。また、入試の際には、必要な配慮の
事前確認とか、入試後、入学後も障がいの態様や希望を踏まえた対応をしていること、さらには、身体以外の障がいのある方に対しても、
障害者差別解消法や、それに基づく大学の要領にのっとった
合理的配慮の提供が必要という認識を確認させていただきました。
障がいの有無にかかわらず、必要な教育を受けることは大変重要なことと部長が答弁されましたように、身体に障がいがある方だけではなく、その他の精神障がい等の方々についても、希望に応じて大学に入学し、修学することで、さまざまな力を伸ばし、社会に出ていく環境が整備されていくことが必要だというふうに考えております。
今回、
札幌市立大学から
認可申請のありました第三期
中期計画では、学生に対する支援に関する目標を達成するための措置の中で、
バリアフリー工事の計画的な執行、
障害者差別解消法及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する
対応要領についての教職員及び学生への周知を年1回という指標を掲げています。
そこで、伺いますが、まず、
中期計画における
バリアフリーや
障害者差別解消法等の周知の
取り組みの狙いについて伺います。
また、こうした大学の
取り組みに対して、札幌市としてはどのように対応していくのか、あわせて伺います。
◎芝井
政策企画部長 バリアフリー化を実施することや、
障害者差別解消法などを周知することの狙いと、この
取り組みに関する市の対応についてお答えいたします。
札幌市立大学は、
人間重視の考え方を基本として、幅広い教養と豊かな人間性を有する人材を育成することを理念としており、学内の
バリアフリー化などは、その実現のために重要なことだと認識しております。
このため、第三期
中期計画では、施設の
バリアフリー化を図るとともに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律などについて、教職員はもとより、学生に対しても継続的に周知することを
取り組みに掲げております。この狙いでありますが、物理的な障壁に加えて、制度や意識といった社会的な障壁を取り除くことで、障がいの有無にかかわらず、意欲と基礎的な学力を有する学生が社会で活躍できる能力を身につける機会を確保することであるというふうに考えております。
また、札幌市といたしましては、毎年度の
業務実績の評価におきまして
取り組みの
実施状況を注視しつつ、
年度計画の設定に関して必要な助言を行うことによって学生の円滑な修学が実現されるように働きかけてまいりたいと考えております。
◆
石川佐和子 委員 最後に、要望を申し上げたいと思います。
2018年度の
入学者選抜要項や
学生募集要項を確認させていただきました。身体に障がい等のある
入学志願者の
事前相談についてという項目には、本学に入学を志願する者で身体に障がいのある者は、受験上及び修学上、特別な配慮を必要とすることがあるので、
学生科入試担当まで連絡し、相談してくださいと書かれております。この障がいについては、
学校教育法施行令第22条の3に定める程度と書かれていますけれども、この第22条の3の表には、知的と身体の障がいの程度は書かれておりますが、精神の障がいについては書かれていないと思います。
しかし、今の答弁で確認させていただきましたように、
障害者差別解消法やその要領にのっとった
合理的配慮を提供していくという意味においては、こういう決まり切った説明のみではなく、精神障がいも含めて、障がいの有無にかかわらず、入試に挑戦し、そして修学できるという情報を受験者や市民にもわかりやすく提供していただきたいというふうに改めて求めておきたいと思います。
障がいがあってもなくても、誰もが希望に応じて学ぶことができるように、
札幌市立大学が
合理的配慮を積極的に提供し、また、札幌市も積極的に丁寧に対応していただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○伴良隆 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
最後に、札幌市
水素利活用方針(案)についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎浦田
まちづくり政策局長 本件は、
温暖化対策等への貢献が期待されている
水素エネルギーの活用につきまして、当面の本市の方針となる札幌市
水素利活用方針(案)を策定いたしましたので、ご報告させていただくものでございます。
お手元の資料に基づきまして、
政策企画部プロジェクト担当部長の村瀬よりご説明申し上げます。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 資料は2点ございますが、説明は概要をまとめたA3判の資料1で行いますので、よろしくお願いします。
まず初めに、1ページ
目左上段より、本方針の目的と位置づけをご説明いたします。
まず、1.1 目的ですが、
地球温暖化は、喫緊に対応していく
世界共通の課題であることを初め、海外からの輸入に頼る
化石燃料への依存や災害時の
エネルギー供給などさまざまな課題がある中で、
水素エネルギーは利用時にCO2を排出しないこと、国内でつくり、使うことが可能であることや、都市の強靱化にもつながることなどから、さまざまな
課題解決に貢献する
エネルギーとして、昨今、注目されております。
札幌市におきましても、将来の世代につなぐ持続可能な
まちづくりに向けてこの
水素エネルギーを活用していくことが重要と考えております。
1ページ
目左中段にあります本方針の1.2
位置付けでございます。
本方針は、国や北海道の方針・計画、札幌市の
戦略ビジョンや
アクションプラン、
環境分野の各
上位計画に沿ったものであり、2030年ごろに向けた当面の
水素エネルギーに関する
取り組み方針として策定しております。
直近では、国が昨年12月26日に
水素基本戦略を閣議決定し、
水素エネルギーを
温暖化対策の切り札として省庁横断的に推進することとしているところであり、このような最も新しい見通しや考え方についても本方針では踏まえているところでございます。
続いて、1ページ目の右上段をごらんください。
水素の
社会的意義についてでございます。
2.1 水素の有用性についてでございます。
先ほども申し上げたとおり、水素は利用時にCO2を排出しないことが大きな特徴でございます。また、主に水の
電気分解から生成することが可能であり、地球上の豊富な資源からつくり出すことができます。そして、ためる、運ぶことができるため、季節をまたいだ利用や、地方でつくり、都市部で利用することなどが可能です。
1ページ目右の下段をごらんください。
2.2
水素利活用の技術についてでございます。
国内では既に
水素エネルギーの利用が始まっているところであり、大きく分けて製造、輸送、貯蔵、利活用といった過程が存在いたします。
製造段階では、主には水の
電気分解や製鉄などの
工業過程における副産物から水素をつくり出すことができます。輸送、貯蔵では、水素を高圧に圧縮することや液体の状態にすることによって体積を200分の1や800分の1にすることができ、コンパクトに大量輸送する技術が確立されております。利活用におきましては大きく二つあるところですが、一つは、水素を燃料とした
燃料電池自動車であり、
水素ステーションとともに
普及推進が図られているところでございます。もう一つは、水素を燃料とし、建物などに電気と熱を供給する
コージェネレーション機器として
燃料電池の利用が始まったところでございます。
2ページ目に移ります。
左上段の2.3
水素エネルギー利活用の効果と課題についてでございます。
世界、日本におきまして
温暖化対策は周知の
共通課題であり、2050年には相当量の
CO2削減を目標としております。目標に向けて、日本は、
化石燃料への
依存脱却や、より大量の
再生可能エネルギー導入を進めていかなければならない状況です。水素は、
中段左側の期待する効果の表にあるように、将来的にさまざまな
課題解決への大きな効果が期待されるとともに、新たな
技術展開による経済・
産業振興にも期待が持たれているところでございます。
一方、水素の利用は始まったばかりであり、中段右の表の現時点での課題に示すとおり、
技術革新の余地が十分にあることや、コストが高いなどの課題を有しているところでございます。これらにおいては、2020年以降、2030年ころまでに
相当程度の改善が図られる見通しであり、需要の増加に伴って市場の大きな拡大も予想されているところでございます。
続いて、2ページ目の右上段をごらんください。
これまで説明した
社会的意義を踏まえ、札幌市における
水素利活用の意義をご説明いたします。
北海道の
中心都市である札幌市におきましては、北海道、札幌市が有する課題への対応が
水素エネルギーに期待されるところでございます。
課題ですが、一つ目は送電網の
接続制限などの課題がある
道内再生可能エネルギーのさらなる普及、二つ目は
エネルギーセキュリティー向上により将来に向けて安定的な
エネルギーを確保すること、三つ目は都市の強靱化に資する災害時の継続した
エネルギー供給体制の確保、四つ目は
温暖化対策、五つ目は
エネルギー消費に伴う資金の
道内循環や新たな
エネルギー産業の振興、六つ目は札幌圏の
エネルギー利用の転換でございます。道内の豊富な
再生可能エネルギーポテンシャルや
積雪寒冷地という
地域特性を踏まえたときに、将来の
水素エネルギー普及に期待する効果は大きく、それに向けては、
エネルギーの大消費地として
需要創出をリーディングしていくことが必要と考えているところでございます。
続いて、2ページ目右の下段の札幌市の
水素利活用方針でございます。
札幌市の
水素利活用方針は、2030年ごろの
本格普及開始を目指し、自動車、家庭、業務・産業の3分野において
普及推進に取り組む考えでございます。
各分野については、
資料下段右側の札幌市の
水素利活用ロードマップのように推進していく考えでございます。
自動車分野では
水素ステーションの整備、
燃料電池自動車の
普及推進を、
家庭分野では
家庭用燃料電池の
普及推進に取り組む方針でおります。これらにつきましては、既に本市において
取り組みを進めているところであり、短期的な視点で
普及推進を図ってまいる考えでございます。業務・
産業分野については、今後、
水素エネルギーの普及が期待される分野であり、現在、
水素利用の課題となっている技術やコストの状況も踏まえ、
中長期的視点でモデル的な
取り組みを通して
普及推進を行う方針でございます。
続きまして、3ページ目でございます。
左上段をごらんください。
5.1
自動車分野、
家庭分野の
水素利活用方針についてです。
自動車分野は、昨年、本市において策定した札幌市
燃料電池自動車普及促進計画に基づき、
取り組みを進めてまいります。計画における2030年の目標としては、FCV、
燃料電池自動車の普及を3,000台以上、
水素ステーションの整備を4カ所以上とすることを掲げております。
家庭分野におきましては、
家庭用燃料電池の
普及推進を札幌・
エネルギーecoプロジェクトにおいて
導入補助を中心に進めているところであり、これを継続していく考えでおります。
続いて、左中段の5.2 業務・
産業分野の
水素利活用方針についてです。
業務・
産業分野におきましては、2030年ごろまでを目安として
モデル事業の実施を検討する方針でございます。具体的には、
一定規模の
業務施設を対象に、水素を燃料とし、熱と電気を供給する純
水素燃料電池の設置を検討いたします。
業務施設におきまして、その
消費エネルギーを水素で賄うような
燃料電池が導入されることとなれば、これまでにない低CO2の施設やエリアの実現が近づきます。それとともに、
燃料電池は、
分散型電源として災害時の
エネルギー継続利用が可能であり、都市の強靱化にも効果を発揮するものでございます。このように、業務・
産業分野の
モデル事業は、持続可能な
まちづくりに向けた先導的な
取り組みであり、
ページ下段の
モデル事業により目指す
具体的効果に示すとおり、企業などに対し、
環境対策、
エネルギー利用の新たな選択肢を示すことで、
水素需要の創出、
水素関連産業の拡大などを目指した
普及推進施策でございます。
続いて、右上段に示す
モデル事業に伴う
水素サプライチェーンのイメージをごらんください。
業務・
産業分野の
モデル事業展開におきましては、一定量の水素の消費が見込まれるため、安定的な
水素調達が必要となります。市内において
水素製造の
ポテンシャルが低いことに加え、相当量の水素を札幌市に安定的に届ける供給者も現在は存在していない状況でございます。今後の
モデル事業展開、水素の
市内利用拡大に向けては、
道内市町村でつくられる水素を札幌市で利用する
水素サプライチェーンが必要と考えております。
水素サプライチェーンの実現に向けては、
広域自治体である北海道を初め、水素の製造・
供給拠点化を検討している
近隣自治体や、
水素供給者となり得る企業などと連携し、札幌市への安定的な
水素供給に向けて検討を進める考えでございます。
○伴良隆 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
村松叶啓 委員
水素エネルギーについて、国では、世界に先駆けた
水素社会の実現に向け、
政府一体となって
取り組みを進めるために、昨年12月に
水素基本戦略を閣議決定し、2050年を視野に入れた目指すべき方向性、
ビジョンを取りまとめたところであります。
水素基本戦略では、水素の有用性を踏まえ、
エネルギー安全保障と
温暖化対策に大きな効果が期待できることを示すとともに、日本が世界をリードしていくために、水素・
燃料電池にかかわる
技術革新をさらに加速し、
成長戦略にもつなげていくことが示されております。また、2015年度に184億円だった
水素関連の国内市場は、2030年に約32倍の5,903億円まで急激に拡大すると見込まれており、
成長分野と期待されております。
日本の
エネルギー自給率はわずか6%であり、あとの94%は海外から輸入した石油や天然ガスなどの
化石燃料に大きく依存しており、貿易赤字の拡大や
経常収支の大幅な悪化にもつながっております。こうした傾向は北海道でも同様であり、
積雪寒冷地という特性から
エネルギー消費が大きい北海道において、その
エネルギー供給の大部分を道外からの輸入に依存している状況です。
平成23年における北海道の
域際収支を見ると、石油・石炭商品の
移輸入超過額はマイナス6,089億円であります。
水素利活用方針(案)で示すとおり、道内に豊富にある
再生可能エネルギーで水素をつくり、
札幌市内へ運び、利用することによって、
エネルギーばかりでなく、多くの資金が道内を循環することになります。これまで本州に流れていた資金など、経済が地域内で循環することで、道内にも
水素関連産業が発展し、雇用が生まれる可能性があります。しかし、その実現のためには、道内の
再生可能エネルギーによってつくられた水素を
札幌市内に供給する仕組み、いわゆるサプライチェーンが構築されることが必要であります。
水素利活用方針(案)では、業務・
産業分野の推進施策に向けてモデル的
水素サプライチェーンの構築を検討するとあります。
そこで、質問ですが、
水素サプライチェーンの構築に向けてどのような課題があり、どのように実現に向けて進めるつもりなのか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 水素サプライチェーンの構築の課題や進め方でございます。
水素サプライチェーンの構築には、供給側に立ちますと、一定の需要が見込めなければ投資が回収できないという課題がある一方で、需要側に立ちますと、
水素供給体制が確立されなければ
取り組みを進めることができないという課題があります。水素の供給体制につきましては、例えば、石狩市の港湾地域で計画されている大規模な洋上風力発電電力のうち、余剰電力を使って水素をつくり、札幌に供給するような仕組みがつくれないか検討したいと考えております。
このような水素の供給側と歩調を合わせまして、
エネルギーの大消費地である札幌において需要を創出することで供給側の事業採算性確保ができ、
水素サプライチェーンの構築につながると考えております。ただし、
水素供給体制の確立や札幌における
需要創出には一定の期間を要するため、
水素サプライチェーンの構築には長期的な視点で取り組むことになるものと認識しております。こうした認識のもと、
広域自治体である北海道や石狩市のような近隣市町村、企業と連携し、サプライチェーンの構築を実現させてまいりたいというふうに考えております。
◆
村松叶啓 委員 ただいまのご説明では、需要と供給を同時につくっていくことが事業性確保等につながり、サプライチェーンの実現を可能とするもので、それに向けて北海道や周辺地域、企業と連携していくとのことでありました。しかしながら、幾らサプライチェーンが整ったとしても、肝心の水素の価格が高いままでは需要がなかなか広がらないというふうに思います。事業者や商業者、または家庭などの民生部門が灯油やガスなどの
化石燃料から水素に切りかえるには、環境に与える影響が少ないだけでは不十分であり、やはり、コストの面で水素に優位性があることが必要と考えます。
現時点で水素の価格は1立方メートル当たり100円以上と
化石燃料に比べて2倍から3倍高く、このままでは
水素エネルギーが普及するのは非常に難しいのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、
水素エネルギーが普及する上で鍵となる水素価格についてどのような見通しをお持ちなのか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 水素価格の見通しについてでございます。
国の
水素基本戦略では、2030年までに価格を3分の1まで低減し、
化石燃料と同等とすることを検討しております。また、
技術革新などにより安価な水素の生成が可能となることや、需要増加により価格の低下が期待されるほか、国が検討している炭素税のような仕組みが実現すれば、水素に大きな優位性が生じると考えられるところであります。
有識者会議におきましても、
水素エネルギーが普及する鍵はその価格にあるといった意見をいただいておりまして、
モデル事業の実施に当たっては、技術的な観点のみならず、水素価格の動向にも注視して取り組んでまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 私は、方針案の特に業務・
産業分野における普及促進施策について質問いたします。
温暖化が進むことによって生じる大きな気候変動を抑制するため、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のために、国際的枠組みとして2015年12月にパリ協定が採択され、翌2016年11月に発効しています。地球
温暖化対策として、日本では、国が2030年までに温室効果ガス排出量を2013年比で26%削減するという目標を掲げていますが、より強力で効果的な対策を立てなければ、その目標を達成することは相当厳しい状況に置かれることになるのではないでしょうか。
札幌市について見ますと、言うまでもなく、
積雪寒冷地の大都市であることから、通常の大都市として活動するための
エネルギー消費に加えて、冬季の暖房や除排雪などに対応するため、必要となる
エネルギーの消費量も大きく、これらの
エネルギーを生み出すためのCO2排出量も非常に大きなものとなっています。このようなことから、本市にとってCO2排出量の削減は極めて大きな課題になっているものであります。こうした中で、
地球温暖化の原因であるCO2を大きく削減できる可能性を持つ新たな
エネルギーとしての
水素エネルギーの活用が注目されており、全国的に水素の利用が始まっているところであります。
札幌市では、これまでに、
水素ステーションの設置や
燃料電池自動車、また、
家庭用燃料電池の購入については、それを後押しするための施策を実施してきています。しかし、札幌市の
エネルギー消費量の約3分の1は業務・
産業分野が占めているにもかかわらず、事業所や工場、商業施設といった業務・
産業分野においては、
水素エネルギーの
普及推進の
取り組みをまだ開始していないと聞いております。今後、本市が業務・
産業分野における
水素エネルギーの活用に積極的にかかわり、推進していくことにより、この分野においても非常に大きなCO2の削減効果を発揮することが期待できるものと考えます。
今回の案では、業務・
産業分野での
水素利活用を推進するために、2030年ころに向け、水素を燃料として熱と電気を発生する
燃料電池を活用した
モデル事業を実施するとあります。しかし、日進月歩という表現でも追いつかないほど現代科学の進歩が非常に速いことは承知のとおりですが、
水素エネルギーの分野においても、2030年までに科学技術面において急速にさまざまな進展が予想されるにもかかわらず、
水素利活用方針(案)においては、そこに至るまでどのような
取り組みを進めるつもりなのかが明確になっていません。
そこで、質問ですけれども、2030年ころの
モデル事業の実施に向けては、これからまだ10年程度の期間があり、今から小規模な実証実験等を積み上げていく必要があると思いますがいかがか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 2030年ごろの
モデル事業の実施に向けた実証実験などの必要性についてでございます。
現時点では、
燃料電池や水素価格が高額であること、安定的な道内産水素のサプライチェーン構築に一定期間を要することから、
モデル事業をすぐに始めることができないため、段階的な
取り組みが必要と考えているところでございます。
業務・
産業分野における
モデル事業の実施に向けて、まずは、市内の太陽光などを活用して少量の水素をつくり、それを
燃料電池で利用するといった比較的小規模な実証実験について、官民の連携による効果的な実施も視野に検討していきたいと考えております。次の段階として、実証実験を一歩進め、
再生可能エネルギーからつくった水素を市外から調達し、札幌で利用することを検討していきたいと考えております。そして、2030年ごろの段階において、
水素利活用方針(案)で示したとおり、道内産の
再生可能エネルギーからつくられた水素で
一定規模以上の施設やエリアを対象とした
モデル事業を検討していきたいというふうに考えております。
◆村上ゆうこ 委員 ただいま、部長から、大規模な
モデル事業の実施には、燃料としての水素が調達しやすい価格であることや、安定的な
水素供給が可能であることが必要であり、現時点では段階的にそれに向けた実証実験等を検討していくとの答弁がございました。
それでは、次の質問に入りたいと思います。
今、札幌市では、2030年に1990年比でCO2排出量を25%削減し、2050年には80%削減するという目標を掲げており、このような高い目標を達成できるようにするためには、環境、
エネルギーに関するさまざまな施策を推進していくことはもちろんですが、それとともに、
水素エネルギーの実用性に注目して、みずから事業に取り入れていこうとする姿勢を持った多くの事業者を生み出していかなければならないとも考えております。そのためには、多くの市内事業者に
モデル事業や実証実験に注目してもらい、どのような効果があるのかということをわかりやすく示していくことが必要であり、ひいては、水素を導入する事業者を創出することにもしっかりつなげていけるような方法を考えていかなければならないと考えます。
そこで、質問ですが、実証実験の
取り組みをどのように進めていくのか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 実証実験の
取り組みをどのように進めていくかについてでございます。
実証実験につきましては、2030年ごろの
モデル事業につなげるとともに、市民や企業に対して広く水素の有用性について理解促進を図ることが目的となると考えております。実証実験の
取り組みに当たりましては、このような趣旨を踏まえまして、公共施設や民間施設を問わず、多くの人が集まる施設で行うことが効果的と考えており、まずはそのような施設への小規模な
燃料電池導入を検討してまいりたいと考えております。その際には、国の支援も積極的に活用し、取り組んでいきたい考えでございます。また、実証実験におきましては、
水素エネルギーで建築物の低炭素化や強靱化を図る先進的事例としてデータを公表するなど、市民や企業に広く発信していきたいというふうに考えております。
◆村上ゆうこ 委員
水素社会の実現に向け、新たな道のりが始まったばかりでありますが、クリーン
エネルギーである水素の活用は、温室効果ガス排出量の削減による地球
温暖化対策、また、
再生可能エネルギーの効率的な活用、
エネルギーの地産地消による
化石燃料使用量の削減、低炭素社会、都市の強靱化などなど、さまざまな効果が期待されるところです。
エネルギー大消費地である札幌市が持続可能な社会構築を目指し、
温暖化対策や災害対策をこれまで以上に推進するためにも、多くの課題を乗り越えて
水素エネルギーの普及促進施策の充実を図っていただくことを求めまして、質問を終わります。
◆伊藤理智子 委員 私からも、
水素利活用方針について、何点か質問させていただきます。
地球温暖化によって日本や世界の状況が危機的になっている現状があります。日本でも、異常気象とされるかつて経験したことのないような豪雨、洪水、猛暑が記録され、農作物や生態系への影響も既にあらわれており、また、ことしの冬は全国各地で大雪になっており、きのう、きょうと札幌でもひどい大雪の状況となっております。
環境対策の専門家は、徹底してCO2を削減することが発生する気候変動そのものを抑制し、被害の発生を予防、防止すると指摘しており、CO2の削減は喫緊の課題です。
札幌市
水素利活用方針策定の目的として、
地球温暖化は喫緊に対応していく必要がある
世界共通の課題であるとし、水素は国内で製造が可能、利用時にCO2が発生しないなどの特徴があり、次世代の
エネルギーとして注目されているとしています。さらに、水素は、
温暖化対策、安定的な
エネルギー供給など、次世代へつなげる持続的な
まちづくりに貢献するクリーン
エネルギーですとしております。
しかし、水素の生産は天然ガス中のメタンと水蒸気を反応させる改質と呼ばれる方法などによって生産されており、この過程ではCO2が大量に発生すると聞いております。また、CO2を生み出さずに生成する水の
電気分解による方法などは、コストや
エネルギー効率の点からも現実的なものとなっておらず、将来的技術課題となっていて、解決しなければならない課題があると言われております。
この方針を進める上で、本市が活用していく水素の生産はどのような方法で行われるべきと考えているのか、まずはお伺いいたします。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 製造時にCO2排出を伴わない水素の活用についてということでございます。
水素の製造方法は、今お話がありましたように、
再生可能エネルギーの余剰電力などからつくる方法、製鉄業などから副次的に発生する水素を活用する方法、都市ガスなどの
化石燃料から水素を取り出す方法などがあります。
この
水素利活用方針(案)では、CO2の排出が少ない
再生可能エネルギーを活用してつくられた水素を利用することが、地球
温暖化対策や北海道が持つ
再生可能エネルギーの優位性をさらに高めることにつながることから、将来に向けてはこれを推進する考えを示したところでございます。
◆伊藤理智子 委員
再生可能エネルギーを活用して、将来的にはCO2が排出しないように考えていくということでした。
水素利活用方針(案)では、
家庭分野で
家庭用燃料電池、エネファームの
普及推進を進めることとしておりますが、エネファームは、都市ガス、いわゆる
化石燃料を使用するもので、水素を抽出する際にCO2が発生します。水素を直接の燃料としたCO2が発生しない
燃料電池とするべきと考えますがいかがか、伺います。
また、本市として、民間企業に託すだけではなくて、技術開発にも支援を広げ、中小零細企業の育成にも活路を向けるべきと考えますがいかがか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 家庭分野の
普及推進施策と中小企業の育成についてでございます。
将来的に水素を直接燃料とした
燃料電池が家庭に普及することが理想でありますけれども、その実現には家庭への
水素供給に課題があります。家庭への
水素供給手法としては、都市ガス供給のように新たに水素用のパイプラインを敷設していくことや、プロパンガス供給のように水素ガスを配給車で各家庭に供給する方法が考えられるところでございます。しかしながら、家庭への
水素供給の実現には、新たなインフラなどの社会基盤整備や一定の需要が必要であることから、相応に時間がかかるものと認識しております。将来的には家庭にも水素を燃料とした
燃料電池が普及することを想定しますが、当面は水素の供給に課題があることから、まずは
燃料電池の初期需要拡大を目的に、エネファームの
普及推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
また、
水素エネルギーの活用に当たりまして、中小企業が技術開発に取り組むことも重要と考えておりますので、国などの支援制度の活用も見据えながら、どのようなことが可能か、探ってまいりたいというふうに考えております。
◆伊藤理智子 委員 水素がCO2を発生させない次世代の
エネルギーであると同時に、現在は、水素を生産するときにはCO2が発生する方法が主流であるということです。また、CO2を出さずに生成する水の
電気分解による方法などは、先ほども言いましたように、コストや
エネルギー効率の点からも現実的なものとなっていないという課題があるとのことです。
しかし、現在、札幌市が示した方針(案)の中には、水素の製造過程でCO2が出ることは記述されておりません。水素を生産する方法によってはCO2が排出される場合があるということを方針の中で明確に表記するべきと考えますがいかがか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 水素製造方法に関する記述についてでございます。
水素利活用方針の案におきましては、水の
電気分解や
化石燃料由来、工業由来など水素の製造方法が複数あることについて記述しておりますが、ただいま委員がご指摘のとおり、市民によりわかりやすく示せるように、
化石燃料由来や工業由来におきましては、一定程度のCO2が排出されるという記述を追記していきたいというふうに考えております。
◆伊藤理智子 委員 今、明記していくと言われましたので、ぜひ、水素の生産の過程でCO2を排出する場合があることをわかりやすく盛り込んでいただければと思います。こうした記述などについても、札幌市は、本気でCO2を削減していくために、その課題を解決しながら水素の利活用を検討しているのだという姿勢を示していくことが大切だと思います。
高圧の水素には、水素脆化という金属をもろくする特徴があるということも聞いております。水素の炎は透明で目に見えないこと、爆発するという危険な印象が強い物質だと思います。2013年には、水素の輸送、運搬において栃木県で水素が漏えいする事故が起きています。大きな事故にはつながっていませんが、安全対策が重要だと考えます。
水素の
普及推進を行う上で安全対策が欠かせないと考えますが、どのように進めていくのか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 水素の安全性についてでございます。
水素は、人体には無害で、空気より軽く、拡散が早いこと、着火温度が高いなどの特性を有しており、可燃性ガスではありますが、天然ガスなどと同様に、法令に基づく基準に従うことで安全に利用することが可能であると考えております。水素は、漏えいさせないことや、漏えいした場合でも速やかに検知することが重要でありますが、例えば、高圧ガス保安法などで定めた容器の規格や検知設備の設置義務などについてしっかり遵守することで安全に取り扱うことができると考えております。
水素エネルギーにつきましては、その認知度もまだまだ低く、有用性とともに、その安全性についても理解促進が必要と考えております。今後、水素の利活用を推進する上では、
水素エネルギーに対する正しい理解を持っていただくように、普及啓発活動についてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆伊藤理智子 委員 本市の
温暖化対策は、2030年までにCO2を1990年比で25%削減するという
中期目標を持っています。今回の代表質問で、我が党は、COP23で議論された
地球温暖化抑止という課題の解決に向けて、世界全体で立ち向かっていくために
中期目標をさらに引き上げることを検討するべきと求めました。確実にCO2を削減していく
取り組みを進めるために、水素の課題を解決する技術を研究している企業などに支援を行うことや、中小零細企業の育成に力を入れることなど、市民が水素を活用した
エネルギーを安心して利用できるように本市として何ができるのか、今後しっかりと検討していくべきだということを強く求めて、私の質問を終わります。
◆
石川佐和子 委員 私からも、
水素利活用方針(案)について伺いたいと思います。
地球
温暖化対策は、重要な市政課題だと思います。利用時に二酸化炭素を発生しない水素は、次世代
エネルギーとして注目されているというふうに私も認識しております。
札幌市
水素利活用方針(案)は、2030年ころに向けた
取り組みの方向性を示すものであり、道内の
再生可能エネルギー発電地域において、その余剰電力を活用してつくられた水素について、
エネルギー大消費地として利用を推進していくとしております。一方、
再生可能エネルギーの利用においては、風力発電における低周波音等による健康被害が懸念されるという声もあります。札幌市
水素利活用方針(案)において、風力等の
再生可能エネルギーの余剰電力を利用して水素を得ることにおいて、札幌市が
エネルギー大消費地として大量の水素を利活用していくに当たっては長期的な期間を想定していることからも、水素をどのようにつくるか、その過程において環境等への影響についても確認していくべきだというふうに考えます。
例えば、石狩市では、昨年3月に水素戦略構想を策定し、石狩湾内での洋上風力を活用して水素を製造し、札幌都市圏への供給も目指しております。この洋上風力は、国内にも例がない4,000キロワット級の巨大な風車であり、しかも26基という大規模なものであります。札幌のような人口密集地の近くでの建設は、日本以外に例がないと聞いております。この事業に関して、北海道自然保護協会は、昨年8月に、石狩湾新港周辺に集中的に計画されている4事業者の大型風力発電事業による札幌市民への健康影響についての要望という要望書を提出されております。その中で、風力発電事業による周辺住民の健康被害が国内外から報告されており、石狩湾周辺の風力発電事業には、石狩市民を初め、札幌市民にも健康被害が及ぶことを危惧し、札幌市としての独自調査等を求めています。
風力発電による健康被害があることについて、私も健康被害を受けている方のお話を伺ったことがあり、大変つらい思いをされているということがお話の中からうかがえました。
再生可能エネルギー政策への転換は進めていくべきだというふうに私は考えておりますが、
エネルギー大消費地の低炭素化のために地方が犠牲になるようなことがあってはならないというふうにも考えるところです。
そこで、質問いたしますが、札幌市が札幌市外の
再生可能エネルギーを活用していくに当たり、風力発電で得られた余剰電力から水素を得る場合のリスクについて、どのように捉えているのか、伺います。
◎村瀬
プロジェクト担当部長 風力発電を活用するリスクについてでございます。
一定規模以上の風力発電の設置に当たりましては、事業者が行う環境影響評価につきまして国や道が審査を行っており、その結果を踏まえて電気事業法に基づく認可がなされるものでございます。また、環境省におきましては、風力発電の低周波音などによる影響を調査するとともに、風力発電からの騒音による生活環境への影響を未然に防止するための指針を平成29年5月に公表しております。指針におきましては、国内外で得られた結果から、風力発電施設による騒音が人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低いと示されるとともに、騒音問題を未然に防止するための参考指針値を提示し、地方公共団体などへ活用を促しているところでございます。
これらの指針や国の動向などについても注視し、
温暖化対策や都市の強靱化などに貢献する水素の活用に取り組んでまいりたいと考えております。
◆
石川佐和子 委員 風力発電による健康被害に関しては、先ほど申し上げた北海道自然保護協会のご指摘のほかにも、国内外の多くの専門家がその影響を指摘しているところであります。環境影響評価においての評価結果は私も認識しており、影響は低いことが公表されております。確かに、健康被害における因果関係は明らかになっていないと思いますが、わからないことを、ないことにしてはいけないというふうにも思うところであります。
札幌市
水素利活用方針(案)は、2030年ころに向けた
取り組みということで非常に長期的な指針になっております。石狩市の洋上風力発電の影響は、立地自治体のみならず、近隣の札幌市にも及ぶ可能性があると指摘されていることから、今のご答弁で現状を伺いましたけれども、さらにさまざまなリスクの情報を収集し、また、今後は対策等も検討していただくことを強く求めて、質問を終わります。
○伴良隆 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後2時...