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平成29年第二部予算特別委員会−03月08日-02号
平成29年第一部予算特別委員会−03月08日-02号

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  1. 札幌市議会 2017-03-08
    平成29年第一部予算特別委員会−03月08日-02号


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    平成29年第一部予算特別委員会−03月08日-02号平成29年第一部予算特別委員会  札幌市議会第一部予算特別委員会記録(第2号)               平成29年(2017年)3月8日(水曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 32名(欠は欠席者)     委 員 長  よこやま 峰子      副委員長   中 村 たけし     委   員  武 市 憲 一      委   員  宮 村 素 子     委   員  高 橋 克 朋      委   員  五十嵐 徳 美     委   員  細 川 正 人      委   員  小須田 悟 士     委   員  佐々木 みつこ      委   員  阿部 ひであき     委   員  伴   良 隆      委   員  中 川 賢 一     委   員  松 井 隆 文      委   員  福 士   勝     委   員  大 嶋   薫      委   員  ふじわら 広昭     委   員  恩 村 一 郎      委   員  三 宅 由 美   欠 委   員  長谷川   衛      委   員  村 上 ゆうこ     委   員  かんの 太 一      委   員  成 田 祐 樹     委   員  本 郷 俊 史      委   員  國 安 政 典     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  わたなべ 泰行     委   員  竹 内 孝 代      委   員  伊 藤 理智子
        委   員  小 形 香 織      委   員  池 田 由 美     委   員  太 田 秀 子      委   員  堀 川 素 人     委   員  石 川 佐和子       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○よこやま峰子 委員長  ただいまから、第一部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、小口委員からはわたなべ委員と、平岡委員からは太田委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。  議事に先立ち、審査方法についてですが、質疑者、討論者及び答弁者は起立して発言を行うこと、答弁を行う部長及び課長は冒頭に職及び氏名を名乗ってから発言を行うこと、なお、同一委員への答弁が継続する場合は最初だけでよいこととします。また、質疑及び答弁は簡潔を旨とし、前置きなどは極力省き、内容の重複等も避けながら、審査日程を予定どおり進めることのできるようご協力をお願いいたします。  それでは、議事に入ります。  議案第1号 平成29年度札幌市一般会計予算中関係分ほか、付託議案10件を議題といたします。  最初に、平成29年度札幌市一般会計予算中、歳入のうち一般財源、第2款 総務費 第1項 総務管理費中会計室及び財政局関係分、第3項 税務費、第10款 公債費 第1項 公債費、第11款 諸支出金 第1項 財産取得費、第2項 他会計繰出金財政局関係分、第13款 予備費 第1項 予備費、議案第8号 平成29年度札幌市基金会計予算及び議案第9号 平成29年度札幌市公債会計予算について、一括して質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  私は、総合評価方式について質問させていただきます。  昨年の4定の代表質問におきまして、我が会派の中川議員より、市が拡大を図っている総合評価方式については、提出書類を簡素化することで企業側の負担軽減を図るとともに、くじ引きを抑制するために評価項目の見直しをするなど、入札契約制度の今後のあり方について質問して、改善を進める旨の市のご答弁がありました。  そこで、早速、質問ですが、平成29年度に向けた総合評価方式の改善について、企業側の負担軽減やくじ引きを抑制するための評価項目の見直しなど、どのように改善し、実施していくのか、まず、伺います。 ◎大関 管財部長  平成29年度に向けた総合評価方式の改善についてでございます。  まず、入札参加者事務負担軽減を図るため、落札候補者のみに申請書類を提出させる簡易確認方式を3月1日付の告示案件から試行実施したところでございます。今後は、試行実施の結果を踏まえて、対象件数を徐々に拡大していく方針でおります。  また、くじ引きの抑制につきましては、成績点が優良な企業の中でも、より技術力の高い企業を適正に評価するとともに、同点が発生しにくい仕組みとするために、工事成績点評価区分を細分化し、最高点を引き上げるなどの改正を行い、2月の早期発注案件から導入したところでございます。この改正により、今後はくじ引き発生率が半減するものと見込んでいるところでございます。 ◆伴良隆 委員  皆さん方もよくご承知のとおり、くじ引きに至ってしまうという状況に苦しんでいる事業者もいらっしゃいますが、中川議員の代表質問に基づいて、くじ引き抑制ということ、また、官民双方の事務的な負担を少しでも軽減していこうということで、具体的な改善の取り組みが図られている状況を確認いたしました。  総合評価方式は、価格のみによる一般的な入札に比べて、技術力にすぐれ、地域に貢献している優良な地元企業の受注機会の確保に資する入札方式であることは言うまでもございません。その評価項目の一つに、過去5年間の札幌市雪対策事業などの従事実績がございます。除雪事業は、札幌市の重要な政策課題であり、まさにそれを支えているのが地元建設事業者でございます。また、公共工事の品確法の中におきましても、災害対応を含む地域の社会資本整備を支えている企業を確保することや、現場の担い手の方々の育成、確保の取り組みを適切に評価することがうたわれております。よって、市民が長い冬を安全・安心に暮らしていくためにも、今後も除雪事業が中長期的に安定して行われることが欠かせないことを踏まえ、札幌市は総合評価方式においても除雪事業従事実績を適切に評価していかなければなりません。  札幌市の除雪事業には土木や舗装、造園などの事業者が従事しておりますが、除雪を冬期間の主要な業務と位置づけている土木や舗装事業者と違い、造園事業者は、冬季も樹木剪定業務などがありますので、それらの中小企業は恐らく除雪に従事できないというイメージがあるのではないかと思います。しかしながら、除雪に従事できない企業が実際にいることを踏まえても、雪国の総合評価方式という性質上、発注と受注の公平性のバランスに一定の配慮をしながら、土木や舗装工事と同様に、造園工事においても除雪事業の従事について今後はより的確に評価すべきと考えます。  そこで、質問ですが、総合評価方式における除雪事業の評価の現状について伺います。  また、総合評価方式の実施に当たっては、公平性を損なわない範囲で除雪事業を的確、適正に評価することが必要と考えますが、市のご認識を伺います。 ◎大関 管財部長  まず、除雪事業の評価の現状についてでございます。  本市の雪対策事業の担い手を確保、育成していくことは重要な課題と認識しており、除雪事業従事実績は、総合評価方式地域貢献等の評価において最大の3点を加点するとともに、人材育成以外の7型式の全てで評価項目としております。また、除雪事業の評価のあり方につきましては、これまでも、総合評価方式の案件のうち、土木、下水道、舗装の工事では原則として全ての案件で除雪事業従事実績評価対象としてきたところでございます。  一方、造園工事に関しましては、委員がご指摘のとおり、企業の規模により、本業である樹木剪定業務を優先せざるを得ない企業もございますことから、大型工事の一部のみに除雪事業を評価してきたところでございます。しかしながら、平成29年度は、造園工事におきましても、これまでの検証結果を踏まえて、全ての大型工事について除雪事業従事実績評価対象としてまいりたいと考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  大中小のさまざまな事業者が札幌市のために頑張っていただいている状況の中で、それぞれのキャラクター、属性がありますので、どのような方式がふさわしいのかを考え、そしてまた、当然、発注量のバランスは非常に重要な観点ですから、公平性、透明性、競争性といった形でもバランスをとられてきたものと思います。ただ、総合評価方式が拡大していくにつれてさまざまな見方が出てきますので、来年度に向けては、おっしゃるとおり、そうしたことを検証する中で造園工事における除雪事業の評価もしっかりしていきたいというご答弁だと思います。  総合評価方式につきましては、将来における公共工事の品質確保と担い手の中長期的な育成及び確保の実現に資するものであり、今後とも積極的に拡大していく必要がございます。一方で、ここ数年、総合評価方式は、毎年、型式がふえております。また、評価項目にも手を加え、いろいろと工夫を凝らしているところでもあります。  しかしながら、これからは、ある一定の期間は制度を安定させて、しっかりと運用状況を検証、分析し、課題を解決していくべき時期に来ているのではないかとも思われます。また、その上で、実施件数を拡大する方策として、現在の型式の中で受・発注者双方の事務手続を簡素化できる一括審査方式をより積極的に活用していくべきと考えます。  そこで、質問ですが、総合評価方式について、毎年、型式や評価項目を変えるのではなく、一定期間維持し、運用状況の検証、分析を行うことが必要と考えますがいかがか、伺います。  また、総合評価方式のさらなる拡大に向けて、一括審査方式の積極的な活用が必要であると考えますがいかがか、あわせて伺いたいと思います。 ◎大関 管財部長  総合評価方式の型式や評価項目の運用についてでございます。  総合評価方式は、平成26年度の三つの型式から、平成27年度は五つの型式、平成28年度は、測量業務も含め、九つの型式へ拡大してきたところでございます。九つの型式に拡大したことにより、さまざまな等級を対象に発注が可能となったことから、委員がご指摘のとおり、平成29年度は、型式、評価項目の大幅な変更はせず、今後しばらくは現在の型式で運用し、結果について検証、分析を行いますとともに、一方で、さまざまなご意見をいただきながら、諸課題の解消に向けて柔軟に対応してまいりたいと考えております。  次に、総合評価方式のさらなる拡大についてでございます。  総合評価方式は、平成28年度は102件実施したところですが、今後さらに拡大していくためには、企業側の負担を軽減できる一括審査方式、さらに、簡易確認方式を拡大していくことが重要と考えております。その中で、一括審査方式は、現在、区画線塗装、生活道路や舗装の工事で適用しておりますが、平成29年度はこれらに加えて下水道工事などにも適用範囲を拡大していく予定でございます。 ◆伴良隆 委員  総合評価方式を拡大していっているということでありますが、平成26年度は28件、27年度が63件、そして28年度に102件といった形でかなり急激にふえております。制度が導入されて短いですから、当然、型式の変遷に試行錯誤があってもいたし方ない部分がございます。そういった中で、おっしゃったとおり、これから、こういった検証も踏まえ、恐らくは業界団体の皆さん方の実態も捉まえながらの試行錯誤もいろいろあろうと思いますが、これまで、一括審査方式簡易確認方式成績平均点といった評価区分も変更されたり、またその点数も小数点で区切っていくなど、皆様方は、より入札に参加しやすい、そしてくじ引きになりにくい工夫をされておりまして、私はそうした一連の取り組みを評価したいと思っております。  総合評価方式の拡大という方向性と、官民双方でこの方式の長所を生かし、短所を少なくしていこうとする管財部の姿勢と取り組みは、結果的に、本市の施策に応じた品質の確保と、地域経済の活性化という観点からも市民生活の維持・向上につながるものであります。また、入札契約制度は、総合評価を含めた一般競争入札だけでなく、指名競争や随意契約とさまざまな制度がございますので、これら制度をバランスよく適時適切に運用できるよう、本市施策とともに、広域性のある業界実態も勘案しながら、今後も公平性、競争性、そして透明性を引き続きしっかり確保していただきますように求めまして、質問を終わります。 ◆成田祐樹 委員  公共施設等総合管理計画についてお伺いいたします。  今定例議会の代表質問において、会派としても質問させていただきましたが、国、地方ともに厳しい財政状況が続くことが見通される中、本市は、市債の残高が臨時財政対策債、建設債がともに増加してきており、今後の市債の状況に関して先行きが気になるところです。また、平成29年度予算では、MICE施設整備基本計画の策定や創世交流拠点まちづくり都心アクセス道路など、さらには、オリンピックパラリンピック招致といった本市の発展につながる事業であっても、多額の経費が見込まれる大型事業に関する経費が計上されており、今後の財政の健全性について若干の懸念を指摘させていただいたところです。  現在、国においては、全国の自治体に対して、今後の本格的な人口減少社会を迎えていくに当たり、公共施設をどのように維持管理していくかなどを定める公共施設等総合管理計画を平成28年度中に策定するよう求めましたが、本市においては、平成26年度には、札幌市市有建築物配置基本方針、平成18年度には市有建築物ストックマネジメント推進方針など、既にかなり前から対処方針を策定してきたことで将来的な更新等に関しての計画に取り組んでいると聞いております。国から求められた公共施設等総合管理計画の策定に先んじて、各部局において対策をとってきていることについては非常に評価できるものだと思われます。  そのような中で、私は、今回の国の新年度予算について注目しております。  平成29年度予算案の中において、総務省は、地方財政対策のポイントの一つとして、公共施設等の集約化、複合化、老朽化対策等を推進し、その適正配置を図るため、新たに公共施設等適正管理推進事業費を計上して、交付税措置率の高い起債メニューを設けたことを昨年12月に発表しました。これまでの札幌市の対策に加えて、それを実施可能にしていく施策を国が打ち出したことによって、この流れが今後も続くのではないかと想定しております。公共施設等総合管理計画を実効性のあるものとしていくため、国の流れと歩調を合わせて、使える財政措置はしっかりと検討しながら積極的な活用を図っていくべきではないでしょうか。  そこで、質問ですが、国の平成29年度の地方財政対策に対して札幌市はどのような認識を持っているのか、お伺いいたします。 ◎小角 財政部長  平成29年度の地方財政計画に対する認識についででございます。  今後の人口減少社会の到来を踏まえますと、公共施設等の維持・更新への取り組みは全国的かつ喫緊の課題でありますことから、このたび、国におきましても、公共施設の適正化に対してより本格的な対応を打ち出してきたものと認識しております。本市といたしましても、人口減少を目前に控える中、公共施設等の維持・更新は大きな課題でございまして、一層の長寿命化や集約・複合化にも取り組んでいく必要があると考えております。  そこで、このたび策定する公共施設等総合管理計画の運用や個別分野の施策展開に当たりましては、財源措置など国の動きに十分留意し、その活用を図りながら、計画的かつ効率的に公共施設等の維持・更新に対処していく必要があると認識しているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  ぜひ、アンテナを張って対応を準備していただきたいなと思っております。  次に、今後の公共施設等更新需要に向けた対応についてお伺いします。  本市では、公共施設更新需要に対して計画的に実施していくとしておりますが、その更新費用を積み上げると、かなり多額になることが見込まれております。これまでも、市有建築物配置基本方針等で示されている資料にもありますが、特に2030年ころに更新のピークを迎えることを考えると、一時期に事業が重なるのは好ましいとは思えません。建設業などでは人材不足が続いており、特定の時期だけ人をふやすのは非常に難しいという声が多く上がっております。また、非正規雇用の増長にもつながりかねません。また、一定の時期に事業が集中すると、人員と重機が不足することなどによって建設費用がかさむことなども想定されることから、事業を前後に振り分けることで平準化を図る必要性があると思われます。  オリンピックパラリンピックについても、多額の事業費がかかる面もありますが、札幌についてはレガシーを活用するという観点ですから、スポーツ施設やホールなどの施設更新の前倒しをすることで平準化を図ることも可能かと思われます。また、公共施設に目を向けても、一般会計が保有する施設だけではなく、原則的には独立採算である企業会計におけるインフラ資産においても、水道や下水道施設地下鉄施設、病院施設など、今後の維持・更新には多額の費用が見込まれ、計画的に対応していく必要があると思われます。  いずれにせよ、札幌市単独で全ての事業を行うわけではなく、先ほどの質問でも触れさせていただきましたが、国の起債メニュー財政措置などが変わりつつあるわけですから、市民にとって負担が少なくなる最適なタイミングをしっかり見計らってほしいと考えております。  そこで、質問ですが、札幌市全体で公共施設の維持・更新に対処していくことが必要だと考えますが、どのような見解を持っているのか、お伺いします。  また、中長期的な更新見通しを持ちながら対処していく必要があると考えますが、それについての見解をお伺いしたいと思います。 ◎小角 財政部長  今後の公共施設等更新需要に向けた対応についてでございます。  一般会計が所管する公共施設に限らず、企業会計が所管する施設など、札幌市が保有する公共施設等に関しましては、将来の人口減少や更新需要等を見通した上で、計画的に更新に対処していく必要があるところでございます。また、下水道施設など企業会計の施設に関しては、その維持や更新に際して一定額の一般会計からの繰出金も伴いますことから、一般会計財政運営上も、市全体の維持・更新の見通しを踏まえて考えていくことが大変重要ではないかと考えております。  現在も、アクションプランに掲載する事業に関しては、中期財政フレームを策定して、企業会計への繰出金も含めて、財源的な裏づけを持ちながら対応しておりますが、引き続き、このたび策定することとなった公共施設等総合管理計画も踏まえつつ、中長期的な観点を持って対応してまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  特に、各自治体では、企業会計等における病院の更新等で一般会計から多額の繰り出しが続いており、それで自治体の財政をかなり圧迫していく、もしくは、非常に大きな影響を与えているという事例が更新のたびにたくさん出てきております。ぜひ、計画的に実施していただき、前倒し、後ろ倒しをともに考えながら、市民にとって最適な更新を進めていただくよう求めまして、質問を終わりたいと思います。 ◆竹内孝代 委員  私からは、財政状況の見える化と地方公会計改革の取り組みについて質問いたします。  今議会の代表質問において、我が会派は、国の厳しい財政状況が続く中、今後も地方財政を取り巻く環境は不透明感を拭えないことから、本市も、財政の健全性に留意し、その財政状況を市民に適切に発信、そして理解を得ながら、札幌の未来に必要な投資を計画的に実施していくべきであると指摘したところでございます。  また、昨年の3定の決算特別委員会において、私は、財政状況の見える化の重要性といった観点で、これまでの本市の取り組み状況と、現在、国が進めている地方公会計改革について質問いたしました。納税者である市民の皆さんに税金が適切に使われていることをわかりやすく示していくためにも、また、無駄を省き、適切な予算編成と執行管理をするためにも、今後ますます財政状況の見える化が重要になると考えますので、引き続き、新年度に向けて、この問題について掘り下げて質問させていただきます。  まず、地方財政の見える化の一環として実施している財政状況資料集の拡大について伺います。  本市では、これまでも、市の財政状況を家計に例えたさっぽろのおサイフや、企業会計的手法を取り入れた総務省方式改定モデルによる財務書類の作成など積極的な財政公表を行ってきており、こうした取り組みは評価いたします。国では、一層の地方財政の見える化を促進していくため、既に実施、公表されている各自治体の歳入歳出決算額データ状況実質公債費比率などの財政指標を網羅した財政状況資料集について、平成27年度決算から従来の内容をさらに拡大してきております。それは、性質別の歳出項目、また、目的別の歳出項目の全てにおいて住民1人当たりのコストとして算出して、過去5年間の経年変化や類似団体との比較状況について示す内容に改善されたものです。  そこで、質問ですが、財政状況資料集について、今回どのようなことが新たに加わったのか、また、加わった内容から本市の財政状況に関してはどのようなことがわかるのか、お伺いいたします。 ◎小角 財政部長  財政状況資料集の拡大についてでございます。  財政状況資料集につきまして、本市におきましては、平成16年度決算から、普通会計決算額実質公債費比率等財政指標の分析についてホームページを通じて公表してきたところでございます。このたび、平成27年度決算からは、これら従前の項目に加えまして、今、委員からもお話がありました住民1人当たりのコスト、人件費や普通建設事業費といった性質別歳出、あるいは、土木費や保健福祉費といった目的別歳出の全ての項目について掲載することとなったところでございます。  これによりまして、本市の状況を見ますと、他の政令指定都市との比較では、人件費や、光熱水費などが含まれる物件費、あるいは、市債の償還に充てられる公債費などは、他都市と比較して非常に低い水準にございます。その一方で、他の団体ではほとんど行われていない除雪費を含む維持補修費、あるいは、生活保護費などを含む扶助費については、他都市に比べて1人当たりのコストが非常に高いという特徴があります。また、あらゆる歳出項目について、他団体との比較や経年変化を見ていくことで、札幌市の特徴や課題をより詳しく分析することができますことから、今後の財政運営の参考となると同時に、これらの情報を市民の皆さんにも積極的に公表していくことで、財政状況の見える化にも資するものと考えているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  財政状況資料集に新たに加わった内容から適切な分析ができることがわかりました。  続いて、地方公会計の整備に向けた本市の取り組み状況について伺います。  国では、全ての地方自治体に対して統一的な基準による財務書類の作成方法を示し、平成29年度までに貸借対照表行政コスト計算書など、四つの表に関して作成するよう求めております。前回の質疑における答弁の中で、本市では来年度の作成に向けて現在作業中であるとのことでしたが、財政の透明性を高め、市民に対する説明責任をより適切に果たしていく上でも、ぜひとも積極的に活用すべきと考えております。  また、本市では、平成29年度予算から、資産形成につながるか否かの観点などを踏まえて、予算の執行管理を行う上での区分を変更したと聞いております。このような予算管理は、貸借対照表などの財務諸表を作成するのに必要なだけではなく、職員の意識の改革にもつながるものと思います。  本市の課題として、今後生じる公共施設の大量更新に向けて、現在の施設をどう維持し、長寿命化を図っていくのか、不要な機能はないのか、また、統廃合などはできないのかなど、職員一人一人が施設のあり方に対する課題意識を持って取り組んでいくことが重要になってきます。  そこで、質問ですが、予算管理の観点から、今回どのような取り組みを始めることとしたのか、また、こうした取り組みはどういう効果が得られると考えているのか、お伺いいたします。 ◎小角 財政部長  地方公会計の整備に向けた本市の取り組み状況についてでございます。  地方公会計の整備に伴い、貸借対照表行政コスト計算書など、財務書類作成に係る統一的な基準に対応していく必要があることから、平成29年度の予算編成作業の段階から、予算の執行管理のための費目集計の基礎単位となる細節について、資産形成に資するものかなどの観点により再整理を行ったものでございます。  このような変更は、財務書類の作成はもとより、委員がご指摘のとおり、予算の執行や資産の形成にどのようにつながるかであるとか、効率的な事業執行になっているかなど、本市の各事業部局の職員が新たな視点を持って予算の執行、分析に当たることができることから、業務執行上の意識改革につながることも期待しているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  新年度から始まる新たな取り組みが、職員の皆さんが予算管理を行う上でさまざまな効果をもたらすことがわかりまして、期待したいと思います。  国においては、昨年10月に地方公会計の活用のあり方に関する研究会の報告書が出され、先進的な団体の活用事例など、より有効性の高い財務書類の活用に関して提言が出されました。この報告書では、償却資産の老朽化の度合いを示す有形固定資産減価償却率を財政分析の指標として用いたり、また、有形固定資産減価償却率と将来の負担比率を組み合わせて分析するなどの有用性を提言しております。  さらに、事例の一つとして、愛媛県砥部町の取り組みを紹介しております。砥部町では、施設別、また事業別の財務書類を作成して、減価償却費等の中長期的なコストを見える化することで、ランニングコストを低減させる取り組みには弾力性を持たせた扱いとして採用するなど予算編成に活用したり、また、広報誌に公会計の必要性の特集を掲載するなど、公会計を通じて町の財政を住民、議員、職員が共通の認識を持って議論できるような取り組みが紹介されております。自治体の規模や財政状況など背景は異なりますので、砥部町の取り組みは必ずしも本市において実施できるものではないかもしれませんが、本市の活用方法にも大いに参考になる部分もあると考えます。  そこで、質問ですが、先ほど触れた地方公会計の活用のあり方に関する研究会の報告書などを踏まえ、本市では公会計について今後どのように活用していく考えなのか、お伺いいたします。 ◎小角 財政部長  地方公会計の活用についてでございます。  統一的な基準に基づいた財務書類につきましては、平成28年度決算をもとに、平成29年度中に作成していくこととなることから、財務書類の活用方法については、今後、具体的に検討していくこととなります。総務省が示した報告書にもありますとおり、例えば、減価償却累計額から本市の施設類型ごとの老朽化の度合いを数値的に把握することで、どの分野に予算を重点的に配分していくべきかの検討の材料として用いたり、今後の施設の更新経費の年次別の推移を算出して、具体的な維持・更新計画の策定につなげていくなど、多角的な活用方法を模索していきたいと考えております。  また、財政状況の見える化といった観点からは、本市の資産の状況などを含めた財政状況を市民の皆様に公表し、関心を高めていただくことも大変重要なことと認識しており、引き続き、わかりやすい情報提供に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  具体的な活用方法については、今後、詰めていくということでした。  地方公会計改革に向けた整備については、まずは新たな仕組みを作成することに全力を挙げていただくとともに、ぜひ、ほかの先進事例等を参考にしつつ、効果的な活用方法もあわせて積極的に検討することが重要であると考えます。そして、先ほども答弁にございましたけれども、札幌市は、今後、財政の見える化の観点にますます配慮し、公会計の整備を通じて適切な分析や予算編成、予算管理等にその効果を反映させること、そして、市民の皆さんの理解を得ながら今後のまちづくりを一緒に考えていけるものにつなげていただくことを求めまして、私の質問を終わります。 ◆小形香織 委員  私からは、臨時財政対策債と税収増について質問したいと思います。  安倍内閣の2017年度国家予算案というのは、前年度に比べて税収の伸びが1,080億円にとどまる中で、その他収入の増加と国債費の減少によってやりくりしている様子がうかがえます。一般会計ベースの基礎的財政収支、プライマリーバランスが前年度より悪化するのは、安倍内閣になって初めてです。地方特例交付金を含む地方交付税交付金等は、一般会計ベースでは2,860億円ふえていますが、実際に地方に配分される交付税特別会計の出口ベースの地方交付税は3,705億円のマイナスとなっております。  本市の一般会計予算は9,965億円となっており、その中の1,185億円が市債、そして、その市債のうち、臨時財政対策債600億円が計上されております。臨時財政対策債というのは、国によって2001年につくられたもので、自治体に臨財債という形で一度借金をさせて、後から国が返済するという仕組みのものです。  本市は、スタート当初の2001年度に99億6,600万円の臨時財政対策債を発行しており、その後、金額はばらばらですが、毎年発行し、2015年度は520億円、今年度が505億円、そして今度の予算が600億円と臨財債を積み上げてきております。  まず、2001年がスタートということで、今度で17年目になりますが、この間の本市の臨財債の発行状況はどうなっているのか、そしてまた、国からの返済はどうなっているのか、それから、この間、一般会計の市債残高においてどの程度の割合でどのように変化しているのか、伺いたいと思います。 ◎小角 財政部長  臨時財政対策債の現状についてのご質問でございます。  臨時財政対策債につきましては、委員からもお話がございましたとおり、平成13年度、2001年度の99億6,600万円を初めとして、今年まで続いてきております。平成27年度決算までの合計では、5,174億円を発行したところでございます。さらに、平成28年度現計予算と平成29年度予算を反映させたこれまでの合計発行額につきましては、6,263億円となる見込みとなっております。  平成29年度末の一般会計市債残高に占める臨時財政対策債の割合は、一般会計市債残高の見込みが1兆944億円となっておりますが、このうち4,841億円が臨時財政対策債でありまして、その割合は44.2%、前年度比1.5ポイントの増となっており、臨時財政対策債が占める割合は年々増加しつつある状況でございます。 ◆小形香織 委員  年々増加しているということでした。  この仕組みは、結局、最初に本市が臨財債を発行して、それを金融市場で買ってもらうわけですね。そして、その利息分については翌年から、また、4年たつと、元金分も含めて、20年または30年かけて買っていただいた人に返済していくという仕組みということでした。  では、立てかえた部分について国からどう戻ってくるのかと聞きましたら、臨財債を発行した翌年に、基準財政需要額に含めて地方交付税として返還されるということでした。私は、てっきり、発行したら翌年に全額返ってくるのだと思っておりましたら、一括して全部丸々返ってくるわけではなく、国からは、利子の分も含めて、20年ぐらいかけて分割して返ってくるというご説明でした。  ただ、交付税として入ってくるわけですから、これが臨財債の返済分ですよという明確な金額としては入ってこないだろうと思いますので、本市が立てかえて発行した臨時財政対策債は国から100%返済されるものなのか、その点について伺いたいと思います。 ◎小角 財政部長  臨時財政対策債の元利償還分につきましては、委員のお話の中にもございましたとおり、毎年の交付税算定における基準財政需要額に100%算入されております。基本的には全て算入されているので、交付税の中には必要額が措置されているものと考えております。 ◆小形香織 委員  そう答弁されるだろうと思っておりました。  国家財政がどのようになっているか、あるいは、国の経済状況を少し見てみますと、やはり、アベノミクスで掲げた3本の矢がどれもうまくいっていません。トリクルダウンの政策は、結局、大企業が史上最高の利益を得ても、働く人の実質賃金は4年連続マイナスで、非正規の社員はふえても、正社員は3年間で23万人も減っています。それから、消費税8%の増税によって深刻な消費の落ち込みが続いていて、安倍首相自身も、予想以上に消費が落ち込み、予想以上に長引いているのは事実と、見通しの誤りを認めるほどであります。また、異次元金融緩和を始めましたが、実体経済の活性化にはつながっておらず、結局、国民には円安による生活必需品とか資材の値上げが押しつけられ、マイナス金利という異例の策を打ち出したけれども、これも効果がありません。そんな国の運営の中で、100%措置されるのだと言うけれども、国家財政あるいは日本経済がこんなに不安定な中で本当に確実なのかとすごく危機感を感じるわけです。  資料をいただきましたけれども、見れば見るほど、まるで自転車操業のような形で、99億6,600万円で始まった臨財債ですが、今年度は600億円の予算を組んでおり、結局ふえ続けていく、このままどんどん臨財債がふえ続けていくのではないかという懸念が拭えないわけです。
     そこで、本市の臨財債の残高を含めて、これが増加していることについてどう認識されているのか、また、地方交付税を含む地方財政全体の見通しについて、財政局は一体どのように認識しているのか、伺いたいと思います。 ◎小角 財政部長  臨時財政対策債の残高が増加していること、あるいは、地方財政全体の今後の見通しに対する認識についてでございます。  臨時財政対策債は、地方の一般財源を確保するためには現状ではやむを得ない措置と考えておりますが、市債の大量発行と残高の増加につながるものでもございますので、本来的には当該年度の交付税で措置されるべきものと認識しております。今後の地方財政全体の見通しにつきましても、代表質問において市長から答弁させていただきましたとおり、地方財政を取り巻く環境は、今後さらに一層の厳しさを増していくと認識しております。  このような認識のもと、これまでも、地方の財源不足につきましては、地方交付税の法定率の引き上げによって対応し、臨時財政対策債は速やかに廃止することを指定都市が連携して国に継続して要望しているところでございまして、今後とも、このような趣旨に基づき、粘り強く国に働きかけを行ってまいりたいと考えているところでございます。 ◆小形香織 委員  私も、全くそのようにするべきだというふうに思っております。  この先の見通しが本当に厳しい中で、本来であれば、国によって地方交付税がきちんと補填されていく、地方に配られていくべきだと思うわけです。しかし、それが、即、来年からそうなるかというと、そういう見通しも持ちにくい中で、本市の財政運営という点で言いますと、歳入の約3割を占める市税収入を引き上げていくことに柱を置きながら安定的な財政運営を図るべきだと考えております。  本市の市民経済計算年報によりますと、臨財債が始まった2001年度当初の市民1人当たりの所得は286万7,000円でした。最新の数値は2013年度しかありませんが、その段階では262万3,000円と、市民の1人当たりの所得が減っております。しかし、市税をふやしていくためには、市民の収入をふやしていく、暮らしを安定させて見通しの持てるものにしていくこと、あるいは、働いている皆さんの賃金、収入をふやすことが非常に大事だと思いますし、そのことが、結局、本市経済の活性化にもつながっていくと考えております。  そこで、市税収入をふやしていくという点についてどのように認識されているのか、また、どのようにふやしていこうとお考えなのか、この点を伺いたいと思います。 ◎小角 財政部長  市民所得の増加による市税の増収策についてでございます。  市税収入が増加することは、裁量のある財源もふえて財政運営の自由度にも寄与することから、本市の財政基盤の強化のためにこうした自主財源を充実させていくことは大変重要なことだと考えております。委員のご指摘にもございました市民所得の増加というのは、市税収入のうち、比較的大きな割合を占める個人市民税の税収をふやすことにもつながるものと認識しております。また、昨年度策定したアクションプランにおきましても、こうしたことを含む税源涵養の取り組み等により、市税等の自主財源中心の歳入構造を目指すこととしております。  平成29年度におきましても、このような市民所得の向上に向けて、まずは市民の雇用の受け皿を充実させ、その所得を高めていくために、産業育成や企業誘致といった取り組みを強力に進めていくほか、さらには、都心部及びその周辺における再開発事業による民間投資の誘発を推進していくことにより、固定資産税、都市計画税等を含めて総合的に税源を涵養するとともに、あわせて、収納率向上の取り組み等により自主財源の確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。 ◆小形香織 委員  そこが、私たちとはちょっと意見の違うところであります。やはり、一人一人の所得をどうふやしていくかというときに、再開発や企業誘致でやっていくというのは、結局、それはトリクルダウン的な考え方なのではないかと思います。GDPの6割を個人消費が支えております。ましてや、札幌は第3次産業が中心ですから、所得の落ち込みというのが本市の経済をダイレクトに冷え込ませてしまうという特徴があります。ですから、やはり、働き盛りと言われる世代で、不安定、低賃金な非正規雇用を選ばざるを得ない事態を減らす、そういう雇用施策をしていくことが大事であります。そういう意味では、民間の力をかりなければなりませんけれども、しかし、公契約の分野で非正規雇用をなくしていくことは、本市として直接的に力を出すことができる分野であります。  また、歳出の部分で、公共事業に力を入れるというよりは、不要不急のものは中止して、むしろ、市民の可処分所得をふやしていくやり方、つまり、社会保障や福祉の分野に手厚く予算配分することで、ここで子育てをしていけば将来を見通していける、あるいは、ここで働いて安定的に雇用が得られる、そういうふうに応援していくやり方で市税の収入増を図れるという描き方をするべきだということを求めて、質問を終わりたいと思います。 ◆中川賢一 委員  私からは、これまでいろいろと議論されておりましたが、現在策定を進めている公共施設等総合管理計画や公会計の整備、そして、その基本となる固定資産台帳や今後の公共施設等のストック管理の考え方について、何点か質問させていただきたいと思います。  まず、公共施設等総合管理計画ですが、先ほどの成田委員の質疑の中にもございましたけれども、現在、本市においても、国からの指導により、公共施設等総合管理計画を策定するということで、鋭意、作業が進められているところだと思います。これに伴いまして、来年度より、この管理計画が、社会資本整備総合交付金の申請とか、今後新設される見込みの公共施設等適正管理推進事業の起債の要件に位置づけられる見込みになっておりまして、小角部長からも、長寿命化や国の財源措置について言及がありました。そのあたりにつきましては、制度的なことですから当然ですが、この計画が単なるインフラの長寿命化や国費を確保するための作業にとどまることなく、本市としての将来の展望や社会情勢などを見据え、公共施設の役割の変化なども踏まえながら、現実的、戦略的に計画策定に向き合っていくことが肝要なのではないかと考えるところでございます。  そこでまず、質問させていただきますが、国から要請がある公共施設等総合管理計画につきまして、計画にどのようなことを盛り込んでいくことになるのか、お伺いいたします。  また、本市としては、どのような考え方に基づいてこれを策定していくお考えなのか、あわせてお伺いしたいと思います。 ◎小角 財政部長  公共施設等総合管理計画についてでございます。  この計画につきましては、総務省が示す指針に基づいて策定することとなりますが、この中に主な要件が示されております。具体的には、まず、この計画は、インフラを含めて、公共施設等全体を対象とすること、また、計画期間が10年以上であること、さらには、総人口や年代別人口の今後の見通しを示し、それを前提として検討すること、それから、全庁的な取り組み体制や情報管理・共有方策を示すこと、そして、公共施設等の総合的かつ計画的な管理に対する基本的な考え方について示すこととされております。本計画におきましても、これらのそれぞれを盛り込むこととなります。  公共施設の総合的な管理に関する計画については、本市では、市有建築物、いわゆる箱物は札幌市市有建築物配置基本方針などにおいて、また、インフラ施設については、道路は札幌市道路維持管理基本方針、下水道は札幌市下水道改築基本方針など、個別施設の更新や長寿命化等に関する計画をそれぞれの分野ごとに既に策定しているところでございます。これらの計画では、施設の整備から運用までのトータルコストの削減や災害時の機能の確保、利用状況や耐用年数を踏まえた廃止、更新あるいは複合化といった観点が共通して盛り込まれております。  そこで、このような状況を踏まえて、このたび策定いたします公共施設等総合管理計画におきましては、こうした各計画に掲げられる共通の方針を計画の基本的な考え方として位置づけるとともに、これら既存の個別施設計画の内容を総務省が示す総合管理計画の要件に合うよう体系的に再整理をして取りまとめていきたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  基本的には、総務省から要件の指針が提示されており、それに基づいて策定する、そして、本市としても、各種の施設に関する方針等が既に策定されているので、それを踏まえてやるのだということだったと思います。  次に移りますが、今般、国の社会資本整備や地方行財政改革の動きの中で、地方自治体に求められているもう一つの極めて大きな動きとして、先ほど竹内委員の質疑の中にもありましたけれども、地方公会計の整備というものがあり、こちらも本市では鋭意作業が進んでいると認識しております。  先ほどから財政評価の議論、起債の額ということもありましたが、会計基準が変わっていきますと、その辺の評価も大きく変わっていきます。公会計の整備に当たって大きく変わる点として、自治体は、現在、単式簿記で現金主義をベースとした会計処理をしておりますが、今後は、企業の会計のように、複式簿記、発生主義の考え方を取り入れたものに変わっていきまして、作成する財務書類の中では、減価償却費や各種の引当金といった現在の官庁の会計では見えづらい行政コスト、資産や負債などのストック情報もより適正に把握、評価することが可能になってきますので、当然、自治体の資産の管理や活用戦略のバリエーションも多様化してくるはずだと考えます。  こういった財務書類を整備していくに当たり、今、同時並行で作業が進んでいると思いますが、その基礎資料として固定資産の台帳整備があると思います。固定資産の評価については、現在のところ、国の指導で固定資産の取得に要した取得価格を原則採用することになっております。取得価格を使うことは財務指標の整理上は妥当だと考えますが、一方、資産活用の観点から見た場合、取得価格というのは現時点での資産の価値を必ずしも適正にあらわしているものではありませんので、取得価格を用いた資産管理だけでは、将来に向けた行財政の運営プランを検討していく上では不十分なのではないかというふうにも考えます。  民間企業では、保有する資産の実態的な価値、つまり時価評価を適宜把握しながら、資産を保有して活用し続けるべきか、または、不採算の部門として売却等を考えるべきか、そうした経営判断を行っているのはある意味で当然でございます。もちろん、住民の福祉向上を目的とする公共部門と民間企業の活動を単純に比較することはできないと思いますが、行政であっても、やはり、多角的に資産を的確に把握しておくことは、今後、市民生活を向上させるための効率的な資産活用を検討していく上で有益な情報になってくると確信いたします。  そこで、次の質問ですが、今後、固定資産台帳を運用していくに当たり、取得価格のみならず、時価による評価額をあわせて管理していくことも有益なのではないかと考えますが、ご認識を伺いたいと思います。 ◎大関 管財部長  固定資産台帳の運用管理に当たっての認識についてでございます。  固定資産台帳の作成に当たりましては、総務省が定める統一的な基準では、固定資産台帳価格の算定に当たって、取得価格がわかるものは取得価格により、また、取得価格がわからないものについては再調達価格によるものとなっております。本市では、現在、総務省の定める基準に従って固定資産台帳の整備を進めており、基準に従った台帳整備は他団体との比較ができるといったメリットがあります。  一方で、時価などの現在の資産価値の把握につきましては、委員がご指摘のとおり、遊休地の処分計画の策定など、将来の資産活用プランを立てる上でメリットがあると認識しておりますが、評価するためには一定のコストもかかってくるという側面もございます。しかしながら、より効果的な資産マネジメントを進めていくという観点から、今後も引き続き、国や他団体の動向も参考にしながら、固定資産台帳がより利便性の高い内容となるように改善に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆中川賢一 委員  基本的にはルールに従ってということでした。これまでの会計のやり方と違いますので、なれない部分は多々あるかと思いますし、今、コスト的なことのお話もありましたが、そういったことも含めて、有効性はどうなのかという点でこれからいろいろな試行錯誤が必要になってくるのかなと思います。  いずれにしても、ここまで触れてまいりましたとおり、公共施設等総合管理計画や固定資産台帳の整備、また、複式簿記による公会計の導入といったものは、今後、本市の公共施設等のストックを戦略的に管理運用していくに当たっての重要なツールとなってくることは間違いないわけでございます。減価償却費などの現在の現金主義の会計ではなかなか見えないコストを正確に把握していくことで、今後は事業に要する真の行政コストを評価できるようになってまいります。これに伴って、現在取り組んでいる事業に対して、今のままで進めていくべきなのか、それとも改善していくべき点があるのか、場合によっては撤退なり統合していくようなことがあるのかなど、そういった面でより現実に即した判断が可能になってくるわけでございます。  そうは申しましても、札幌市は、たくさんの行政資産がありますし、行政分野も多岐にわたっておりますので、全ての資産について速やかにこういった考えを反映させていくことは、理想的ではありますが、これまでの事業経緯等もあってなかなか容易ではないと認識しております。しかしながら、まずは取り急ぎということで、これから大規模な資産形成を行う事業とか、大規模な改修等を予定しているような事業については、現在進行しているものも含めて、こういった新しい考え方を速やかに取り入れて、現在の事業計画や資金計画が妥当なのかということを検証していかなくてはならないと考えます。先ほどから財政のことについていろいろ言われておりますが、今後は、発生主義という考えの中で、資産も負債も平準化していくということでも一つの大きな違いが出てまいりますので、財政計画での見通しが大幅に変わっていくこともあり得るのではないかと考えます。その上で、中長期的な視点を持って本市の公共施設の今後のあり方を考え、今後生じる公共施設更新需要に的確に対処していくことが重要であると考えます。  そこで、次の質問ですが、今後、公共施設等総合管理計画や複式簿記による公会計の導入といった新たな取り組みを通じて、戦略的に資産の管理、活用を行っていく必要があると考えますが、そのあたりの認識についてお伺いしたいと思います。 ◎小角 財政部長  今後の公共施設等のストックの戦略的な管理についてのご質問でございます。  今後の財政運営を行うに当たりましては、このたびの公共施設等総合管理計画や公会計などの取り組みを通じて、計画的でより精緻な資産管理を行っていく必要性がますます高まるものと考えております。また、委員のご指摘にもございましたとおり、公会計を通じて真に必要な行政コストを把握することが可能となりますことから、これを既に取り組んでいる事業の評価や新たな事業計画の実施の可否の検討素材とするなど、活用できる場面も少なくないと考えております。  今後、統一的な基準による公会計が整備されていくことになりますことから、引き続き、財政運営全般を俯瞰的に捉え、多面的視点に基づく資産管理や事業の検討にこれらを積極的に活用していく方法について、委員のご意見も踏まえつつ、前向きに検討してまいりたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  基本的な今後の方向性に関しては、ある程度の共通認識を持てたのかなと思います。  大規模な喫緊の事業については、今後のいろいろな事業評価、資金計画に大きな影響を与えてくる部分だと思いますので、優先的に急いで対応を考えていくという認識を持っていただくように指摘させていただきます。  ただいまの部長の答弁でも戦略的な資産管理に基づく施策展開が重要だという点については共通認識を持てたと思いますが、実際に具体的に移行していくということになると、それぞれの事業もしくは資産は本市の複数の部局にまたがっている状況がございます。例えば、資産の管理を行っている管財部、予算の編成や、今回の総合管理計画の所管部局であって現在と将来の財政運営を考えていく財政部、各事業を総括する政策企画部、公共施設の保全を行う建築部、そして、個々の施設を所管している原局、さらに、これに加えて、企業会計に属する施設ではそれぞれの局が管理しているという状況でございます。このような状況の中で、本市も大規模な更新需要等が間近に迫っておりますので、戦略的、効率的に資産のマネジメントにすぐに対応できるのかという部分に関しては若干懸念されるところでございます。  他の団体の事例等を見てみますと、例えば仙台市は、資産マネジメント推進室を設置して、公共施設等の更新等に関して、施設の計画段階から維持・補修、長寿命化といったライフサイクルの一連の管理を行う所管部局を一元化して総合的な資産マネジメントを行い、その結果、効率的な予算執行を模索できているという例も見られます。この事例につきましては、中垣内局長が仙台市にいた時代にマネジメント推進室の設置にご尽力されたと伺っておりますので、こういった体制面の整理もあわせて重要だということに関しては釈迦に説法かなと思いますが、やはり、組織のこととなりますと財政部局の問題意識だけでは難しい部分もあるのかなと思います。  最後になりますが、副市長もおられますので、資産管理に関する組織体制に関して今後どのように考えていくか、その認識をお伺いしたいと思います。 ◎板垣 副市長  公共施設のストック管理の総合的なマネジメント組織をどう考えるのかというご質問でございます。  私どもも、総合的なマネジメントは本当に重要なことだと認識しております。また、委員がご指摘のとおり、他の自治体では、資産マネジメントの担当部局を設けているということも承知しておりますが、札幌市としては、まずは、それぞれ所管しております各部局がしっかり連携を密にして資産の管理運用を行ってまいりたいと思っております。  一方で、段々のご質問への答弁の中にありましたとおり、公共施設等の総合管理計画や公会計を運用する中で、組織のあり方についても、どのようなものがいいのか、今後しっかり検討してまいりたいというふうに思っております。 ◆中川賢一 委員  確かに、難しい命題ですので、一足飛びに解決するものではないと私も思います。やはり、問題意識を持って一歩一歩進んでいくことが大切だと思いますが、スピード感が必要だという部分もあると思います。  今後、人口減少社会を確実に迎える中で、必要以上に資産を拡大するのではなくて、場合によっては縮小していきながらも行政サービスを低下させない、むしろ、縮小しながらも充実させていく上で、行政資産の戦略的な活用というのは不可欠でございます。今後は、これまでの手法や思い込みにとらわれない方法を研究し、行政施設の機能も多様化させて、そして、利便性や施設の運用効率を高めていくといった視点が重要になってくるのかなと思います。そのためには、民間スキルの活用など、あらゆる手段を講じていく姿勢も求められるのかなと考えます。今回の総合管理計画や固定資産台帳の整備などは、これらを見据えた重要な基礎作業となっていきますので、単に国から求められた作業を期限までにこなせばよいということではなく、戦略的に進めていただきたいということを改めて指摘しておきたいと思います。  今後も、これらの作業の動向や公会計の整備の状況について、個々のハードの整備やそれにかかわる事業及びその手法、進め方はいろいろありますが、本日議論させていただいた視点から、こういったものが適正なのか、改善すべき点はないのかなどといったことにつきまして、適宜、いろいろな場を通じて議論させていただきたいということを申し上げまして、私からの質問を終了させていただきます。 ◆ふじわら広昭 委員  私は、入札制度について、3項目質問いたします。  1項目めは2017年度に向けた入札制度の改善について、2項目めは元請・下請関係の適正化と工事現場の管理について、3項目めは成績重視型入札についてです。  最初の質問は、2017年度に向けた入札契約制度の改善、具体的には、社会保険未加入対策と最低制限価格についてであります。  私は、昨年の決算特別委員会で、以下の6項目について質問及び提言を行ってきました。1点目は、総合評価落札方式と一般の価格競争方式の発注件数について、2点目は、くじ引き対策としての総合評価落札方式の効果について、3点目は、総合評価落札方式における土木Bの発注件数拡大と一括審査型の拡充について、4点目は、成績重視型における各ランク別の発注件数算出方法の固定点方式への変更について、5点目は、2017年度から1次下請企業は社会保険等加入者に限定されるので、そのルールづくりと未加入対策について、6点目は、最低制限価格の改善についてであります。  これに対する理事者側の主な答弁として、1点目には、総合評価落札方式の調査項目及び評価点の見直しと発注件数の拡大を検討したい、2点目は、社会保険等の未加入対策は、新年度からの実施に向けて具体的な取り組み内容の検討を進めたい、3点目は、最低制限価格は、国が現場管理費の算入率を年度当初に90%まで引き上げたことを受け、札幌市も、その趣旨を踏まえ、引き上げについて速やかに検討したいとの答弁がありました。  今、申し上げた昨年の決算特別委員会入札契約制度の改善に関して質問した項目の中で、何点か、ことし2月から3月上旬の発注案件から改善されております。  1点目は、総合評価落札方式についてですが、くじ引きを抑制するために工事の成績点の評価区分を細分化するなどの改正を、ことし2月中旬に告示した新年度の早期発注案件から適用しております。2点目は、入札参加者事務負担軽減につながる簡易確認方式、いわゆる自己採点方式を3月1日付の工事案件から試行導入することや一括審査方式の拡大など、いずれもことし2月に業界紙などで既に掲載されており、実施しているものがあることは承知しております。  さて、国は、先月24日に、ことし4月以降、2次以下の下請業者も社会保険等の加入者に限定するなど、社会保険等未加入対策の強化策を発表しております。建設業界の皆さんも、今回の国の発表を受け、適用範囲や罰則規定などについて、札幌市も国と同様の基準となるのか、また、最低制限価格についても、国の改正を受け、札幌市はいつから、どのように実施するのか、注目しております。  そこで、2点質問いたします。  質問の1点目は、社会保険等未加入対策について、適用範囲や罰則などはどのような取り組み内容となるのか、伺います。  質問の2点目は、最低制限価格について、いつからどの程度引き上げるのか、伺います。 ◎大関 管財部長  まず、1点目の社会保険等未加入対策の取り組み内容についてでございます。  本年4月1日以降に告示いたします設計金額250万円を超える工事につきまして、1次下請企業については社会保険等の加入を義務づけ、2次以下の下請企業については、社会保険等未加入の場合は加入指導を元請企業に求めるという形で実施する予定です。罰則につきましては、1次下請企業が社会保険等未加入の場合、元請企業に対する参加停止措置及び工事成績評定の減点を考えておりますが、本市が指定する期間内に加入手続を済ませた場合は罰則を適用しないという方針で考えております。  なお、実施に当たりましては、取り組みの内容について、企業や関係団体への周知を徹底いたしますほか、施工担当課の工事主任を対象として社会保険労務士などの専門家を招いた研修を実施する予定です。  次に、最低制限価格の引き上げについてでございますが、本年4月1日以降に告示する案件から、国と同様に、現場管理費の算入率を85%から90%へ変更することを予定しております。今回の引き上げによりまして、工種によって差はありますが、例えば、土木系の工事では、最低制限価格の平均値が現在の88%程度から89%程度へとおおむね1ポイント程度上昇する見込みとなっております。 ◆ふじわら広昭 委員  一定金額以上の工事を対象にということ、また、2次下請についてもそうした指導を元請に求めていく、そして、参加停止や成績評定点の減点などにも取り組んでいきたいという答弁がありました。  今の部長の答弁の中で、指定する期間内に加入すればペナルティーの対象にしないということですが、指定する期間とはどのぐらいを想定しているのか、改めて伺いたいと思います。 ◎大関 管財部長  指定する期間は1カ月を考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  わかりました。  社会保険等未加入対策の取り組みの内容については、発注する側も、そしてまた受注する側も、それぞれが現場で混乱を招かないよう、企業や業界団体への周知を丁寧に行うとともに、発注側の工事主任への研修に関してもしっかり取り組むことを求めておきたいと思います。  次に、最低制限価格の引き上げについて再質問いたします。  札幌市は、国が昨年12月に公共建築工事積算基準を、また、ことし2月に公共工事設計労務単価等をそれぞれ改定したことを受け、ことし2月、同様に積算基準を改定し、労務単価についても3月1日から適用するなど、速やかな対応をしてきております。それに比べますと、先ほどの答弁では今回の最低制限価格の改正を4月から実施するということですが、少々スピード感を欠いた対応であると言わざるを得ません。  私は、昨年の決算特別委員会でも、地元企業の厳しい経営環境の改善や社会保険等の未加入対策の取り組みを着実に進めていく観点から、最低制限価格について、少なくとも現場管理費の算入率を国と同様に引き上げるとともに、予定価格の90%とする上限値の見直しも含めて引き上げを検討すべきと提言してきました。私は、今回の最低制限価格の引き上げは、あくまでも国の基準に準じただけであり、秋元市長の公約の達成にはつながらないと考えております。  そこで、2点質問いたします。  質問の1点目は、今回の最低制限価格の引き上げについて、なぜ新年度の早期発注案件から実施できなかったのか、伺います。  質問の2点目は、予定価格の90%とする上限値の見直しを含め、最低制限価格のさらなる引き上げについて、市長の今任期中に少しでも改善すべきと思いますが、どのように考えているのか、伺います。 ◎大関 管財部長  まず、最低制限価格の引き上げの実施時期についてでございます。  公共建築工事積算基準あるいは公共工事設計労務単価等につきましては、予定価格の算定基礎となる設計金額に直接影響することから、速やかに対応することが必要と判断したところでございます。一方、最低制限価格につきましては、設計金額に直接影響を及ぼすものではなく、また、今回の見直しは国の基準に準じた内容であったことから、新年度の4月1日以降に告示する案件から実施することといたしました。  次に、最低制限価格のさらなる引き上げについてでございます。  まずは、今回の改正の効果や建築工事の積算基準の改定の影響などを検証することが必要であると認識しております。その上で、予定価格の90%とする上限値の見直しを含めた最低制限価格のさらなる引き上げについて、ダンピング受注対策という制度の本来の趣旨を踏まえながら、業界のご意見も伺い、慎重に検討してまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  新年度の早期発注案件から最低制限価格の引き上げを実施できなかった理由について、部長からは、設計金額に直接影響を及ぼすものではないことから最低制限価格はやらなかったという回答がありました。  先ほども申し上げましたように、地元企業の厳しい経営環境の改善や社会保険等の未加入対策の取り組みを着実に進めていく観点からも、私は、やはり、早期発注分からでも札幌市の姿勢を業界にしっかり示すべきだと思います。そちらのおおむねの試算では、一般会計だけなのかもしれませんが、早期発注分から実施した場合、新年度総体としてどのくらいの費用が必要になるのかというと約3億円前後ということでしたが、その程度の予算を捻出するのは十分可能だと思います。最低制限価格や予定価格の90%とする上限値の見直し、さらなる引き上げについては、他の政令市で既に実施している事例もありますので、市長の任期中にしっかりと実現できるようにしていただきたいと思います。  また、私どもの会派が業界からいただいている要望の内容では、最低制限価格を95%程度に引き上げてほしいとなっておりました。一気にそこまでいかなくても、先ほど申し上げたような経済状況等、そしてまた、法令によって社会保険の加入が位置づけられているのであれば、そうしたことに早く取り組むべきだと思います。  また、道が発注している工事では、道内全体の落札値の平均は約96%ですが、札幌圏内と帯広圏内では、競争が激しいために93%前後になっている状況です。今、部長から札幌市では約88%という回答があったと思いますが、道の基準と全て同じではありませんけれども、札幌市は道内において平均落札率の数値が少し低いように思われますので、早く実現できるように改めて強く求めておきたいと思います。  次に、2項目めの元請・下請関係の適正化と工事現場の管理について伺います。  ご承知のとおり、設計、工事は重層下請構造で成り立っており、それぞれの工事現場では、札幌市から直接工事を請負っている元請業者が専門工事業者と呼ばれる複数の下請業者を統括し、工事を施工しています。元請業者と下請業者間の契約は、札幌市建設工事施工体系適正化指導要綱、平成8年助役決裁、最近では平成27年に一部改正されておりますが、これに基づき、適正な契約の締結や代金支払いなどの適正化について遵守するよう求めております。  しかし、先日、札幌市の公共工事の下請に入っている地元企業の社長が脱税の容疑で逮捕されたという新聞報道を見ました。札幌市の入札参加資格では市税や社会保険料等を適正に納めていることが登録要件となっているため、少なくとも元請業者は全てこの要件を満たしていると言えます。一方、元請業者がどの下請業者と契約するかは、あくまで民民間の話ですが、公共工事の原資が税金で確保されている以上、市税と社会保険料等を適正に納めている業者と下請契約を結ぶよう指導することが必要だと思います。  また、元請業者と下請業者の請負代金の支払いに関しては、昨年12月に中小企業庁長官と公正取引委員会事務総長の連名により、下請代金の支払い手段について、手形等により下請代金を支払う場合であっても、可能な限り手形期間を短縮し、将来的には60日以内とするよう事業者や業界団体等に対して通知文が送付されています。札幌市は、現在、手形期間を90日以内で、できる限り短い期間とするよう元請業者に指導していますが、市内の中小建設業者の資金繰りを考えますと、下請代金の支払いに関しては、国の動きに準じ、これまで以上に元請業者に対する指導を強化していくことが必要と言えます。  そこで、2点質問いたしますが、質問の1点目は、札幌市の公共工事において、元請業者、下請業者に対する法令遵守の指導等はどのように行われているのか、伺います。  質問の2点目は、手形期間について、国の通知文の趣旨を踏まえて短縮するよう指導していくことが必要と思いますが、どのように考えているのか、伺いたいと思います。 ◎大関 管財部長  まず、元請企業、下請企業に対する法令遵守の指導等についてでございます。  札幌市では、札幌市と直接契約を結ぶ元請企業に対しまして、契約の都度、法令遵守や下請契約の適正化について定めた適正化指導要綱の要約版を手渡しております。あわせて、年2回、指導文書を送付して指導を徹底しております。また、毎年行っております元請下請関係実態調査の中では、下請企業500者にアンケートを送付し、下請契約の締結や賃金の支払い状況などについて調査し、その結果を踏まえ、業界団体との意見交換などの場において元請企業に対する指導を実施しているところでございます。  次に、手形期間の短縮についてです。  元請企業には、請負代金の支払いはできる限り現金払いとするよう要請しているところですが、国の通知文の趣旨を踏まえて、手形期間をさらに短縮するよう指導することについて速やかに検討してまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  ぜひとも、国の通知文に基づいた指導にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次は、工事現場の管理についてです。  私どもの会派と業界団体との意見交換会などの場で最近よく出される問題として、次のようなことがあります。  工事主任の中には、現場を十分に把握せずに、現場よりも工事の竣工時に受注業者から提出される工事関係書類を重視すると公言する職員もいるため、必要以上の書類を提出しなければならず、受注者にとって大きな負担となっておりますし、必要以上の書類を提出したことを評価し、成績点が高くなるといったことも生じております。また、公共工事の施工期間は工事の内容によって数カ月から複数年にわたるものまでさまざまですが、いずれの工事においても、札幌市の工事主任が現場の状況を適切に把握することが工事の品質を確保する上でも重要であることは言うまでもありません。札幌市の公共工事の多くは、積雪寒冷地という地理的制約から、どうしても春先から降雪期までに工事を終わらせなければならず、工事主任も同時に複数の工事現場を持たなければならない状況も十分に認識しております。一方で、工事主任が現場に足を運び、現場の状況をしっかり把握することは、受注業者が持っている豊富なノウハウや現場でしか学べない技術などを吸収する機会ともなり、特に若手の工事主任の育成に効果があると言えます。また、施工に関する受注業者との協議においても、現場をよく把握していることで作業効率が上がることや受注業者とのコミュニケーションが円滑に進むことも期待できます。  そこで、2点質問いたします。  質問の1点目は、工事を円滑に進めるためにも、若手職員の育成という観点も含め、現場管理のあり方について、工事主任に対する研修などによって提出書類の範囲やコミュニケーションの大切さの徹底を図る必要があると思いますが、どのように考えているのか、伺います。  質問の2点目は、研修などと並行し、各種問題について業界団体との意思疎通をより高めるための仕組みづくりも必要と考えますが、どのようにお考えか、伺いたいと思います。 ◎前川 工事管理室長  若手職員の育成といった観点から、工事管理室による工事主任への研修につきましては、建築などの営繕系で昨年9月に工事の検査と成績評定を主なテーマとした研修会を実施しました。この研修後のアンケート調査におきまして、参加した若手職員からは今後の業務に役立つとの声も多くありましたことから、土木系職員に対する研修につきましても今後実施していきたいと考えております。
     次に、業界団体との意思疎通を高めるような仕組みづくりについてでございます。  発注者と受注者が率直に意見を交わすことは非常に重要であると認識しております。このことから、各業界団体とは定期的に意見交換会などを行い、意思疎通を図ってきたところでございます。昨年は、工事書類の簡素化に関する要望や積算単価の乖離についてアンケート調査を実施し、具体的な要望もお聞きしております。今後も、さまざまな機会を通じまして、業界との意思疎通をさらに図ってまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  私どもが調べたところでは、札幌市の職員の工事主任の中で、配属されて3年未満及び新規採用者などは約600人前後在籍しているのではないかと思われますが、ぜひとも、部長が答弁された研修会の成果を実効性のあるものにしていただきたいと思います。また、検査時の成績点など、さまざまな研修をやっていることは業界からも聞いております。ただ、業界団体の都合もありまして、どの時期が一番いいとは言えませんが、実際には夏場の忙しいときに開催しても工事を受注しているため、現場を担当する人が出られないことが多くあります。社長や幹部の人が出ても市の考え方が十分に伝わらない部分もあると思いますので、閑散期というのはないかもしれませんが、比較的工事量の少ない時期に、ぜひ、市の側からも関係業界団体に呼びかけて勉強会や意見交換会などを開いていただきたいと思います。  最後に、3項目めの成績重視型入札についてです。  成績重視型入札は、2006年度に工事の5年型で試行導入し、2012年度から2年型を追加し、2014年度には測量業務でも実施して現在に至っております。成績重視型入札に参加しようとする企業は、よい成績を上げるため、これまで以上に技術力を高め、品質のすぐれたものを完成させ、その結果、成績評定点で高い評価を受け、再び同入札に参加できるという好循環が生まれつつあります。  私は、以前から、成績重視型入札は3年型に一本化すべきと提言してまいりました。当面、2年型、5年型を継続して検討を続けていくというこの間の答弁であれば、まず、成績点を一定の割合で線引きする現行の仕組みではなく、企業の目標となる成績点を工種や等級、ランク別に示して何年か固定するなど、企業の品質確保への意欲をより向上させる形にすべきだと思います。  また、設計業務に関しては、そもそも入札契約制度の中で成績を評価する仕組みが取り入れられていないのが現状です。  そこで、2点質問いたします。  質問の1点目は、成績重視型入札では、工種、等級ごとに企業の目標となる成績評定点を固定すべきと思いますがいかがお考えか、伺います。  質問の2点目は、設計業務の中には、大きく分けて土木、建築、橋梁、そして設備の中には電気、機械、管がありますが、これらに成績重視型入札を導入し、優良な成績をおさめた企業が評価される仕組みが必要と思いますけれども、どのように考えているのか、伺いたいと思います。 ◎大関 管財部長  まず、企業の目標となる成績点の固定についてでございます。  同一工種、等級の中にも、工事の内容や難易度、施工条件などが異なるさまざまな工事があり、統一的に目標とすべき成績点を示すことは現時点では困難であると考えております。そういう中で、現在は、工事の品質確保を図るという成績重視型の本来の目的に加えて、インセンティブ効果を高めるために、工種、等級ごとに成績上位者の一定割合が参加できるという形で現在は運用しているところでございます。成績重視型入札に限らず、入札契約制度に完成形はないと考えておりますので、今後とも、さまざまなご意見をいただきながら、よりよい制度となるよう検討してまいりたいと考えております。  また、設計業務への成績重視型入札の導入につきましては、委員がご指摘のとおり、これまで設計業務で成績点を評価する仕組みがなかったことから、履行品質の確保や企業の技術力向上に資する成績重視型入札につきまして、関係部局とも協議し、導入に向けて検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆ふじわら広昭 委員  要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。  成績重視型の評価方法や評価点の見直しに際しては、これまで8月中旬以降から新しい評価点や評価方法を採用してきているところです。部長の答弁は前向きに検討していきたいということですので、ぜひとも、ことし8月中旬以降の改定時期に合わせて実現できるようにすることと同時に、できれば7月くらいまでに関係業界にもその改善内容を示す必要があると思います。  また、成績重視型の対象企業の算出のあり方については、昨年の決算特別委員会でもやりとりを行いまして、例えば、A1であれば上位の2分の1、A2であれば3分の1という数値を使っております。以前のように20社がなければだめという縛りは少し外れておりますが、必ずしも全てがそうはなっていないというか、やはり20社前後ぐらいで張りついていて、業界の方からは、毎年、足切りとなる下限の点数が変動するため、自分の工事の技術力がどの程度なのか、はかることができないという悩みを打ち明けられております。  例えば、以前、予定価格に対して歩切りをして入札を行っていた時代がありました。そのときも、業界からは、積算をしたけれども、市の側が歩切りをしたことによって予定価格が変わるため、自分の積算が本当に正しかったのか間違ったのかをきちんと照合できない、これでは正しい積算に結びつかないという指摘などもあったり、品確法が制定されたこともあって、札幌市や全国の自治体では歩切りというものを廃止して今日に至っているわけです。  そういうことから申し上げますと、今回の成績重視型も、確かに難易度とかさまざまな条件は違いますが、A1は何点以上、A2は何点以上という目標をしっかりと定めることによって、札幌市に登録する業者が目標を持ってさまざまな努力をしていくことにつながると思いますので、多少時間はかかっても、ぜひとも前向きに検討していただきたいと思います。  また、新年度の一般会計の建設費は1,120億円程度、全会計では1,635億円と、年度当初予算ですから前年度と比較していずれも低くなっておりますけれども、国の経済対策等が出てくる中で、昨年並み、あるいはそれ以上に建設費が確保されるかと思います。ただ、今まで申し上げたように、必ずしも工事予算の総額や件数だけでなく、入札制度の内容などソフト面をこれからしっかりと改善していくことが地元の経済や雇用にもつながると思いますので、ぜひとも、そうした視点を持って取り組んでいただきたいと思います。これまでの札幌市の入札制度の改善の取り組みについては、私どもの会派でも一定の評価をしておりますが、ぜひとも、市長公約に基づく最低制限価格の改善、上限比率の見直しをお願いしたいと思います。  そしてまた、これは、国に対して要望することを求めておきたいと思いますが、消費税と同じように、社会保障の金額についても、中に含めるのではなく、金額を外に明示していくべきだと思います。また、大都市補正についても、四つの工事に限定されておりますので、それを拡大していくように、政令指定都市の関係会議を踏まえるなどして国に働きかけていただくことを強く求めて、質問を終わります。 ○よこやま峰子 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時48分       再 開 午後3時10分     ―――――――――――――― ○よこやま峰子 委員長  委員会を再開します。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、市税のクレジットカード納付事業についてと市税証明書のコンビニ交付事業について、市民の利便性向上の観点から、2点質問させていただきます。  初めに、市税のクレジットカード納付事業について質問いたします。  本市は、これまでも、市税の多様な納付方法の拡大に努めてこられております。平成18年度には、軽自動車税でコンビニ納付を開始しており、それ以前は、銀行や信金、郵便局などの窓口に出向き、それら金融機関の営業時間内でなければ市税を納付できなかったことを考えますと、納税者の利便性向上につながっているものと思います。さらに、平成23年度には、軽自動車税に加え、市民税、道民税、償却資産を含む固定資産税でも、土・日を含めて24時間、身近なコンビニで納付できる環境が整いました。そして、平成26年度には、議会でも質問させていただきましたが、スマートフォンや携帯電話を利用して市税を納付することができるモバイルレジを導入するなど、納付方法を拡大することで納税者の納付環境は格段と便利になっております。  こうした取り組みにより、平成27年度の市税納付方法の内訳は、金融機関の窓口や口座振替の方法で納付された方が約7割で、コンビニやモバイルレジの方法で納付された方が約3割を占めるまでに増加していると聞いており、納税者の利便性は向上しているものと評価するところです。  そこで、質問ですが、本市では、市民の納付方法の利便性をさらに向上させるために、ことしの4月から固定資産税などでクレジットカード納付の運用を開始するとされておりますが、まずは、その概要についてお伺いいたします。 ◎遠藤 税政部長  本市のクレジットカード納付の概要についてでございます。  クレジットカードでの納付方法は、納税者がパソコンやスマートフォンなどを利用し、札幌市の税のホームページからクレジットカードの納付画面にて必要な情報を入力し、納付することとなります。また、利用できるクレジットカードは、VISA、マスターカード、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブの国際5ブランドのカードで、納付できる税目は、市民税、道民税、固定資産税及び軽自動車税であり、納付できる期間は各納期の納期限までです。  また、クレジットカード納付において、本市へ立てかえ払いにより代理納付を行う指定代理納付者として、企画競争により、ヤフー株式会社を選定いたしました。  最後に、クレジットカードで市税を納付する場合に納税者が支払う手数料は、税抜きで5,000円ごとに37円または38円が加算されるところです。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁で、インターネットを利用したクレジット納付については、VISA、マスター、JCBなどの国際5ブランドのクレジットカードの全てで利用できるというお話でございました。  クレジットカードは、手元に現金がなくても、商品を購入したり、公共料金や税金を支払ったりすることができるようになっております。最近、このメリットとしては、今述べたような公共料金や日常の買い物などでもクレジットカードを利用して、そのカードの特性にもよりますが、利用額に応じたマイルとかTポイントがたまるために、利用者も大変ふえており、その反面、利用にも注意が必要であると言われております。  そこで、質問ですが、市税をクレジットカードで納付するに当たり、納税者が注意すべき点としてどのようなことがあるのか、お伺いいたします。 ◎遠藤 税政部長  市税をクレジットカードで納付するに当たっての注意すべき点でございます。  一つ目として、納付書の金額が100万円以上の場合や納期限を過ぎている場合は納付できないこと、二つ目として、先ほど答弁いたしましたが、納付額に応じた利用手数料が発生すること、三つ目として、リボ払いや分割払いを選択する場合はクレジットカード会社との契約に基づく利息などがかかること、四つ目として、口座振替のように1回の手続で継続的に納付できるわけではなく、市税を納付する都度、手続が必要であること、最後は、クレジットカードで納付した場合、ヤフー株式会社から代理納付されるまで2〜3週間かかるため、それまでは納税証明書を発行することができないことであります。 ◆丸山秀樹 委員  金額につきましては、100万円未満であるというお話もございました。  私は、政令市では札幌市が7番目に実施するというお話を伺っており、他都市との比較をさせていただきましたが、納付金額によって決済手数料にも違いがあるようです。札幌市の場合は、納付金額が5,000円で手数料が37円、1万円で75円と伺っております。使うカードによっては先ほど申し上げたポイントなどの還元率が違うということもございますが、この仕組みが理解できると、ライフスタイルに合わせた還元率もかなり高いものになり、そういった意味では非常にメリットがあるなと感じました。  このクレジットカードでの納付は、大変便利な納付方法である一方、パソコンを使用しなければいけないということで、操作にふなれな市民もおります。また、手数料の問題であるとか、おくれると、当然、利息もかかるといったこともありますから、そうした情報も含め、市民にわかりやすく周知して、よく理解していただいた上でクレジットカードを利用できるようにしていただくことを要望いたします。  続きまして、平成29年度の予算の中で、6,300万円が計上されている市税証明書のコンビニ交付の事業費について伺わせていただきます。  平成28年1月よりマイナンバーカードの交付が開始され、マイナンバーカードを利用して住民票や税証明書をコンビニエンスストアで交付する市区町村がふえてきております。本市におきましても、昨年12月より、住民票と印鑑証明書につきましては、市内のセイコーマート、ローソン、セブンイレブン、サークルKサンクス、ファミリーマートの五つのコンビニの約1,000店舗で、6時30分から23時まで取得できるようになり、市民にとってはその利便性が大変向上しているところであります。  一方、所得証明書などの市税証明書を取得できるところは、市役所2階の税証明の窓口、五つの市税事務所、10区の各区役所及び篠路と定山渓の出張所の合わせて18カ所であり、交付時間は、いずれの窓口においても平日の8時45分から17時15分までとなっております。  平成27年度に交付された市税証明書の件数は44万8,000件と大変多いと聞いており、発行された証明書は、全部が全部ではないのでしょうけれども、その用途は大変多岐にわたっており、自動車のローンや住宅ローン申請、さらには賃貸契約、保育所の入所や扶養手当の申請、銀行の融資、奨学金の申請などにも使われており、この約45万件という交付につながっていると思われます。  その一方で、会社勤めや出張中など、平日に市税事務所などに市税証明書をとりに行くことがなかなかできない方々は、市税証明書を郵送で請求しなければならないという現状があります。そうしたことから、市民から土・日でも市税証明書を交付する窓口を設置してほしいとの要望がコールセンターや市税事務所、区役所等に寄せられていると聞いております。  そこで、質問ですが、本市の市税証明書のコンビニ交付事業の概要と、他の政令市におけるコンビニ交付の導入状況についてお伺いいたします。 ◎遠藤 税政部長  まず、市税証明書のコンビニ交付事業の概要についてでございます。  市民の利便性の向上を目的として、所得証明書と市民税、道民税の課税証明書について、2年間分を平成30年度からコンビニで交付することを予定しております。これらの証明書は、昨年12月から始まった住民票や印鑑証明書のコンビニ交付と同様に、マイナンバーカードを利用して、コンビニに設置しているマルチコピー機から取得でき、交付時間も同様に6時30分から23時までであります。  次に、他の政令市における市税証明書のコンビニ交付の導入状況でございますが、平成24年度にさいたま市が初めて導入し、その後、マイナンバーカードの交付に伴い、各政令市とも導入が進み、現在、10市で導入しております。 ◆丸山秀樹 委員  政令市では既に10市で取り組まれており、札幌市としても、平成30年度を目指して、コンビニで交付する市税証明書の種類は所得証明書と市民税、道民税の課税証明書で、2年間分交付されるというご説明だったと思います。  そこで、質問です。  市税証明書には納税証明書や固定資産評価証明書もございますが、これらを交付しない理由と、証明書の交付を2年間とした理由についてお伺いいたします。 ◎遠藤 税政部長  まず、納税証明書と固定資産評価証明書を交付しない理由についてですが、納税証明書は、金融機関の窓口などで納付してから本市が納付を確認できるまで一定の期間が必要であり、最新の納付状況を証明できないためであります。また、固定資産評価証明書は、対象の不動産が分筆されて何筆にも分かれていたり、共有の名義で所有していたりするなど必要な証明書を税務職員が窓口で確認する場合が多いため、現状においても市税事務所などでしか交付しておらず、コンビニ交付になじまないと考えております。  なお、市民の方が多く利用する区役所や出張所の場合、所得証明書と市民税、道民税の課税証明書で全証明書の交付件数の96%を占めている状況です。  次に、証明書の交付を2年間分とした理由ですが、市民の方が区役所で取得する証明書が2年間分で約99%を占めていることから、市民ニーズに応えられるものと考えたからであります。 ◆丸山秀樹 委員  コンビニで交付される市税証明書が所得証明書と市民税、道民税の課税証明書の2種類というのは、この二つの交付件数が全体の96%を占めており、市民に対してはこれで充足できるだろうということ、また、納税証明書や固定資産税評価証明書についてはこの制度になかなかなじまないだろうという説明だったと思います。  最後に、心配される部分として、セキュリティー対策を伺っておかなければならないと思います。  コンビニ交付につきましては、マイナンバーカードを利用して、全国のコンビニで土・日や夜間、早朝でも市税証明書を取得でき、市民の利便性が向上するサービスである一方で、本人の所得や課税額の情報管理が万全であることが不可欠です。さきに交付を開始した住民票と印鑑証明書につきましては、本市のシステムとコンビニで証明書を交付するシステムの間の通信について情報管理は万全だと伺っておりますが、本人の所得や課税額などの税情報は非常に重要な情報であることは言うまでもなく、たとえコンビニの店員であったとしても決して目にしてはならない情報だと考えます。  そこで、質問ですが、市税証明書のコンビニ交付においては住民票や印鑑証明書と同様に安全なデータ通信を行えるものなのか、また、コンビニ店員が証明書を扱うことなどがないよう、そうしたセキュリティー対策についてお伺いいたします。 ◎遠藤 税政部長  セキュリティー対策についてでございます。  まず、データ通信につきましては、住民票などのコンビニ交付と同様に、通信回線への不正侵入などによる個人情報の漏えいや改ざんを防止するため、専用回線を使用するとともに、通信内容を暗号化し、セキュリティー対策に万全を期すこととしております。また、コンビニに設置してあるマルチコピー機は、自分で操作し、コンビニ店員と接することなく証明書を取得できるため、コンビニ店員が証明書を扱うことはございません。  なお、証明書を発行した後は、マルチコピー機内の証明書データは消去されることから、他人がマルチコピー機でデータを見ることはできない仕組みとなっております。  このように、市税証明書のコンビニ交付の導入に当たりましては、セキュリティー対策に万全を期してまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  最後に、要望させていただきますが、運用開始に向けて、まず、しっかり万全を期していただきたいと思います。また、住民票や印鑑証明書、今回の市税証明書のコンビニ交付を利用するには、マイナンバーカードが必要となってまいります。つきましては、これを一つの機会としてマイナンバーカードの普及につなげて、多くの市民にもマイナンバーカードのメリットを実感していただくとともに、今後も、札幌市全体としてマイナンバーカードが利用できるサービスとその普及に取り組んでいただきたいと思います。  市税証明書のコンビニ交付につきましては、平成30年度の導入に向け、どうか、万全の準備と市民への積極的なPRとしっかりとした周知を図っていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からは、市税事務所と関連部局の連携について質問いたします。  新年度の一般会計予算9,965億円の約3割の2,882億円が市税収入であり、2017年度は36億円、昨年度より1.3%増となっております。そのうち、市民税と固定資産税が8割以上を占め、市民の納める税金が市政の運営において重要な役割を果たしています。一方、本市の納税者収入は、300万円以下が42.2%、200万円以下が21.3%となっており、景気は緩やかに回復傾向にあるとされていますが、市民の雇用や暮らしには届いておらず、生活は厳しい状況にあります。このような実態の中で、市税納入の際に市民から相談を受ける市税事務所の役割は重要だと考えます。  2016年度の市税事務所での相談件数は、来庁での相談が4万6,014件、電話での相談が14万3,348件、合計すると18万9,362件となっております。納税係の職員1人当たりの件数を見ますと371件となっており、非常に多くの相談が寄せられております。市税事務所での納税相談では、税金が払えないと相談に来られる方も多いことから、国保料や国民年金、公共料金なども含めて複数の滞納を抱えている方も多いと思います。  そこで、質問ですが、そのような複数の滞納を抱えている相談者への対応をどのように進めているのか、伺います。 ◎遠藤 税政部長  市税以外に、例えば国保料などを滞納している方の納付相談の際の対応ということでございます。  滞納されている方の収入状況や生活状況、財産状況を確認する中では、滞納されている方の中には、国税とか道税、国民健康保険料、公共料金などを滞納している状況も見受けられるところでございます。 ◆池田由美 委員  そういった複数の税などを滞納されている方に対してどのような対応をされているのか、再度、お聞きしたいと思います。 ◎遠藤 税政部長  納税相談の際に、市税以外の滞納あるいは借金や失業などさまざまな問題を抱えていることが判明した場合におきましては、関係部局や法律相談の窓口を一覧にまとめた窓口キーワード早見表を作成しており、これにより専門部署にご案内している状況でございます。 ◆池田由美 委員  借金も含めて、複数の滞納をされている方に対しては、窓口キーワード早見表を使っていろいろな窓口を紹介しているということでした。  職員が相談に来られた方の生活状況を聞いて、税金を払うのは本当に無理だな、生活が大変だなという場合は、保護課に行くことや、具体的にこういう人が行くから相談に乗ってあげてほしいのだと、そんなふうにして関係部局につなげていくことが必要になってくるのではないかと思いますが、どのようにお考えか、また、相談を進めていくための研修などは行っているのかどうか、伺います。 ◎遠藤 税政部長  生活支援の相談の場合の対応でございます。  市民の生活再建の一助となるよう、市税事務所においては、滞納されている方の状況に応じて福祉や生活相談を所管する部署に案内しております。また、生活保護のチラシや生活就労支援センターステップのリーフレットを見やすい場所に配架するなど、可能な範囲で対応しているところでございます。  生活支援の研修ということでございますが、一例として自殺に関する正しい知識を持つことなど、必要に応じて適切な相談窓口につなぐ等の対応をすることは、相談窓口業務に従事する札幌市職員として重要な役割であると考えておりますので、今年度から税務職員研修において約30名の新任者を対象にゲートキーパー研修を実施したところでございます。 ◆池田由美 委員  職員が対応していて、本当に大変だなという方に対して関連部局を案内したり、就労支援などを行っているステップのチラシを配架したりという形で支援をしているということでした。そして、今年度から約30名にゲートキーパー研修を実施したと答弁されておりました。  ゲートキーパーというのは、悩んでいる人に気づいて、声をかけ、話を聞いて必要な支援につなげる、見守る人と言われております。こういった役割として考えていくならば、関連部局に適切にしっかりとつなげていくことが必要で、そういうことが求められてきているのではないかと私は考えます。そして、ゲートキーパーの研修を職員に受けさせるということは、やはり、そこに深刻さがあるのかなと感じます。関連部局との連携が必要ですし、今後、ぜひ、ゲートキーパーの研修内容を職場間でしっかり共有して、相談活動にも生かしていってほしいということを求めておきたいと思います。  資料を見ますと、差し押さえの数も、2010年の6,858件と比較して、昨年は1万156件と増加しております。中でも、給与の差し押さえが437件から1,202件へとふえています。給与の差し押さえは、ほかに差し押さえるものがないということで執行されますから、既に苦しい生活状況の中で給与の差し押さえが行われると考えると、そのことでさらなる生活破壊につながる心配があります。  税金の滞納は生活困難者のシグナルと捉えて、生活を壊さず、税金の納付ができるように生活再建の支援を関連部局と連携して取り組むことが必要です。こういった支援で市民が安心して税金を払えるようになることは、市政への信頼も深めていき、そして、将来的に市政を支える人になっていく、本当に市税を支えていくことにつながるのではないかと考えますがいかがか、伺います。 ◎遠藤 税政部長  生活困難者に対する支援ということで、例えば、窓口の案内、あるいは、研修で知識を深めているところでございます。  生活困難者の相談に対する引き継ぎなどにつきましては、納税職員の第一義的な職務は、自主財源の6割以上を占めている市税の確保であると考えており、本来業務である納税の仕事に注力することが大事だと考えておりますので、その上で多重債務者などの問題について適切に引き継いでいくようにしていきたいと思っております。 ◆池田由美 委員  今までもさまざまな関連部局につなげて生活支援をされてきていると伺っておりまして、これまでの質問で、先ほどゲートキーパーの役割ということで研修を行ったというお話もありましたけれども、例えば、国保料金であれば保険年金課に行ってくださいとか、あなたの生活は本当に大変だから保護課に行くべきだとか、そんなふうに案内することは、あちこちにたらい回しにしていくような形になるのではないかと考えます。できればワンストップでしっかりと相談に乗って、その中で生活再建をしていただき、しっかりと納税してもらうことが大事なのではないかと私は考えております。  滋賀県野洲市では、市民の生活を壊してまで滞納整理をするのは本末転倒、生活を壊さずに納付してもらえるのが原理原則と、市民生活再建を何より重視して、納税相談に乗りながら全庁を挙げて支援を進めているということです。本市においても、税の支払いが困難な市民の相談をしっかり受けとめていくためには、やはり、関連部局との連携など、全庁を挙げての支援が求められると考えます。また、市民の相談を直接受ける市税事務所から、全庁を挙げての支援という視点で関連部局と連携していくことについてしっかりと声を上げていくことが大事でありまして、このことを強く求めて、質問を終わります。 ◆太田秀子 委員  私からは、特別徴収税額決定通知書へのマイナンバー記載について質問いたします。  事業者が札幌市にかわって従業員の給料から個人住民税を天引きすることを特別徴収と言いますが、現在、本市の半数近くの事業所が特別徴収を行っていると聞いており、今後、段階的に全ての事業所に義務づけるというものです。手続としては、昨年、事業者が従業員に支払った給与総額を給与支払報告書で本市に送り、それに基づいて本市が住民税を計算し、特別徴収税額決定通知書を事業所に送るという流れですが、その特別徴収税額決定通知書に従業員一人一人の個人番号、いわゆるマイナンバーを記載して送付するものです。  本市が事業所に送付した特別徴収に関する文書では、事業者が市へ提供する給与支払報告書については、個人番号のある、なしにかかわらず受理すると書かれていますけれども、本市から事業所に送る決定通知書にはマイナンバーが記載されます。つまり、事業所として、または従業員がマイナンバーを書かない、書きたくない、そう判断しても、本市は市民の番号を知っていますので、個人の意思に反して本市から事業所に通知されることになって、個人の思いなど全く無視です。個人がみずから自分の情報を誰に提供するのか、あるいはしないのか、それは自由であり、これに反して他者が特定個人情報を第三者に提供することは、個人の厳格的な権利利益を侵害するものです。  私も、総務省に確認しました。総務省は、特別徴収税額決定通知書にマイナンバーを記載しなくても罰則はないと言っています。郵送の場合、誤配や個人番号取扱者以外が開封することも起こり得ることです。eLTAX、地方税においてインターネットを利用して手続を電子的に行うシステムのことですが、このeLTAXでやりとりする事業所もあるそうです。ことし1月末、事業所から給与支払報告書などのアクセスがeLTAXへ集中して、システム障害を起こし、つながらなくなっていますね。  そこで、一つ質問いたしますが、我が党は、マイナンバーの情報が漏えいしないための完全に安全な対策などは不可能であり、その危険性を指摘してきました。本市は、市民のマイナンバーを既に知っているのに、なぜあえて事業所と個人番号、マイナンバーをやりとりする必要があるのか、伺います。 ◎遠藤 税政部長  給与支払い者に個人番号を通知する必要性についてでございます。  給与支払い者は、従業員の個人住民税を特別徴収する義務があり、市町村と一体となって個人住民税の賦課徴収事務の一端を担う存在であります。特別徴収税額決定通知書、いわゆる税額決定通知書に個人番号を記載することにより、給与支払い者と市区町村との間で正確な個人番号が共有されることになり、事業者にとっては正確かつ円滑な特別徴収事務の推進、市町村にとっては番号確認事務の効率化、簡素化に資するものであると考えております。 ◆太田秀子 委員  東京都内では、約30の自治体がマイナンバーを記載しない、もしくは一部記載しないとしています。その記載しない理由は、セキュリティーの確保が困難だとしています。具体的には、東京都中野区では、通知書を送る際、区が個人番号を保有している納税義務者についてはアスタリスクという記号を印字して、個人番号を保有していない納税義務者については空欄にします。郵送するときに郵便物の紛失で情報漏えいのリスクがあること、記載して簡易書留で郵送したら郵送料が大幅に増大すること、事業所が受け取るまで日数を要して事務に支障を来すおそれがあると判断したそうです。書留ですから、留守だった場合、なかなかご本人に届かず、受け取りに時間がかかることも想定できますので、地方税法では5月31日までにこの決定書を送付すると言われていますが、間に合わない事態が起こるかもしれないなと私は思っています。  そこで、伺いますが、このように通知書に個人番号を書かない自治体があることについてどうお考えか、伺います。 ◎遠藤 税政部長  個人番号を記載しない自治体があることについてでございます。
     税額通知書に個人番号を記載することは、マイナンバー法や地方税法などの規定に基づくものであります。報道等により個人番号を記載せずに通知することを決めた自治体があることは承知しておりますが、その理由については承知しておりません。  札幌市といたしましては、税額決定通知書に個人番号を記載することは法律で義務づけられており、また、給与支払い者と市区町村との間で個人番号を共有することは、給与支払い者、市町村ともに個人住民税の賦課徴収事務においてメリットがあると考えていることから、個人番号を記載して通知するものであります。 ◆太田秀子 委員  記載せずに通知する自治体があることは知っているけれども、その理由は知らないということでしたが、実際にこのようにやらないと言っているところがあるのですね。義務だとおっしゃるけれども、これは罰則もないと言っているわけですから、どういう立場に立つのかということだと思います。先ほど共有することが大事だと言っておりましたが、札幌市が事業所にマイナンバーを書いて送るわけで、ご本人が会社に自分の番号を通知して、それを札幌市と合わせるものではないので、個人が、私は見せたくないと言って、事業所もそこまでできないということであれば、本当に正しいかどうかはわからないわけですよ。それをわざわざ郵送してそういう危険な思いをするのかなと私は思いますし、当然、漏えいの危険は否定できないと思います。  私は、札幌市には市民の情報が漏えいしたら困るという立場に立って判断してほしいと思います。やらないという選択肢があるのに、市民の個人情報を市が率先して危険にさらしていいのかと、私はとても疑問に感じています。  漏えいの危険性は否定できませんから、本市も簡易書留で通知書を郵送すると聞いています。  そこで、質問いたしますが、幾つの事業所に送るのか、何通分で、かかる費用は幾らなのか、伺います。 ◎遠藤 税政部長  税額決定通知書の送付件数と費用についてでございます。  本市の特別徴収義務者数は、平成28年度実績で約3万4,000件であり、これらの給与支払い者に対し、簡易書留で送付する予定です。簡易書留で送付する場合の平成29年度の郵送費は、約2,200万円の増加を見込んでおります。 ◆太田秀子 委員  続けて伺いますが、2017年度から2020年度までの4年間で特別徴収する会社をふやすというものですし、給与支払報告書や特別徴収税額決定通知書は、毎年、必要な手続です。ですから、毎年、簡易書留で送る数がふえていくのではないですか。ことしは簡易書留の費用が2,200万円の増加だとおっしゃいましたが、マイナンバーを記載することで、毎年毎年、経費がふえていくと考えられますがいかがか、お答えください。 ◎遠藤 税政部長  特別徴収義務者の数ですが、委員がおっしゃっていたとおり、年々増加しており、これにより郵送費も増加していくものと考えております。  平成30年度以降における税額決定通知書の郵送方法につきましては、簡易書留を継続するか否かについて、平成29年度の状況等を見て検討してまいりたいと考えております。 ◆太田秀子 委員  ことしの結果を見て、簡易書留にするかどうかを決めていくということですが、今の計画どおりに行きますと、来年は、ことしやった事業所に、新しく始める事業所の分もさらに加わっていきます。平成29年度も、1年の間で、例えば私の会社で従業員がやめた、ふえたというたびに書留で何度もやりとりするということも伺っています。マイナンバー法では、事業主には重い罰則があります。もしも従業員が故意に情報を流出させた場合、事業主が罰せられるという規定もあります。従業員やその扶養家族の番号を管理するためには事業所内の情報管理の徹底が必要ですが、セキュリティー強化やマイナンバー対応のパソコンソフトは40万円から90万円以上もすると言われています。特別徴収をしていない事業所が新たに始める場合、マイナンバーとセットですから、今の制度では、特別徴収を始めるけれども、マイナンバーは書かないでほしいということを事業所は選択できないのです。  そこで、伺いますが、本市は、おたくの事業所は来年から特別徴収してくださいと指定するのですが、指定された事業所から、マイナンバー対応ができていない、不安だという声は必ず出ると思います。そのような場合、どうするのでしょうか。何が何でも始めてもらうというやり方をしていくのかどうか、伺います。 ◎遠藤 税政部長  平成29年度から、企業の規模に応じて特別徴収義務者の指定を段階的に実施していく予定でございます。その際、指定対象となる義務者のほうで、給与システムの改修や導入が必要な場合に、特別徴収実施困難理由書を提出していただくことで特別徴収の実施を1年間猶予する取り扱いにしております。 ◆太田秀子 委員  1年間、延期するとおっしゃったのでしょうか。  マイナンバーは、システム改修や特別徴収でも明らかなように、セキュリティーのためとして今後もお金はかかり続けます。今、この道に突き進んでいるわけですよ。マスコミでも、セキュリティーに穴があり、情報が漏れる穴は二つ想定されて、その一つは地方自治体であり、もう一つは民間企業だと報道しています。民間企業の9割は中小企業であり、規模の小さい事業者が十分なセキュリティー対策を施すのは至難のわざだ、情報はだだ漏れると書いていました。  こうした致命的な欠陥には目をつぶり、まさに、特別徴収のように番号提出を回避する制度も設けられず、番号記載を一方的に義務づけて、簡易書留で送らざるを得ないために大事な税金を余分に使うことになります。国の言いなりに突き進むのではなく、市民の情報を守る立場で業務を行ってほしい、マイナンバーについては今からでも制度の廃止しかないと申し上げて、私からの質問を終わります。 ◆石川佐和子 委員  私からは、2017年度予算案について伺います。  市民ネットワーク北海道は、市政への市民参加を進めるため、予算編成の透明性を確保し、市民への説明責任を果たすなど、予算編成過程の公開や市民参加の充実を求めてきました。札幌市におきましては、この間、予算編成とあわせて、中学校でワークショップを実施したほか、予算要求の概要の公表とそれに対するパブリックコメントを行い、さらに財政局概定の公表を加えるなど、一連の取り組みについては、札幌市が行うべき説明責任の一環として、まちづくりの方向性などを市民と情報共有するために大変意義があることと評価してまいりました。  しかし、現在の予算編成を振り返りますと、2017年度予算要求の概要の公表は今回も行ったものの、パブリックコメントや財政局概定の公表は、2015年度以降、実施しておりません。一方で、公表された資料の予算の概要につきましては、今回、主要事業の個別説明の部分が一新されており、変わったように私は受けとめております。  そこで、伺いますが、2017年度予算編成において、市民への情報提供、情報共有の観点としてはどのような狙いで行われたのか、伺います。 ◎小角 財政部長  市民への情報提供、情報共有の観点での今回の狙いについてでございます。  今回の変更につきましては、査定プロセスの透明化あるいは予算案の内容に対する説明責任を果たすための公表上の工夫として、予算の概要の個別事業の掲載内容を従前よりより詳しいものに変更したところです。また、これに加えまして、市議会で行っていただいております予算書のホームページでの公表を財政部のページにおいても行うこととしたほか、従前、ホームページ上では公表していなかった予算説明書や局別施策の概要につきましても、このたび、平成29年度当初予算分より公表することとしたところでございます。  今後も、予算編成の過程を含め、予算に係る情報提供の手法については常に検討して充実を図ってまいりたい、そのように考えております。 ◆石川佐和子 委員  査定プロセスの透明化に向けた公表上の工夫を行ってきたというご説明を受けました。  私どもは、査定状況の中に、市民が意見をたくさん届け出ることが重要だという観点でパブリックコメントを求めてきましたが、そうした状況を捉えて意見を出す市民がなかなかふえなかったということは残念です。しかし、今後も、わかりやすさに気をつけていただき、情報提供の仕方がどうだったかということをアンケートで伺うなどして、予算編成の透明性が高まり、わかりやすい情報提供となるように努力していただきたいということを求めておきます。  次の質問に移りますが、2017年度予算案では、建設事業費として1,121億円を計上しております。こうした1,000億円以上の計上は、2014年度から4年連続となっております。白石区役所や中央体育館の改築のほか、市民生活を支えるインフラ施設の改修・更新経費がふえ始めていることは理解しておりますが、少し前を振り返りますと、2006年度から2013年度の当初予算における建設事業費が700億円から800億円の計上だったことと比較して大幅に増加していると思いますし、将来への負担を考えますと、大変大きな不安を感じるところであります。こうした不安感については、たくさんの市民の皆様からも同様に懸念する声が多いと感じております。  まして、2017年度の予算案を見ますと、現在は調査費や検討費の段階ですが、オリンピックパラリンピックの招致、MICE施設整備、都心部のまちづくり、路面電車の延伸、都心アクセス道路など大型事業が連なっており、これらの事業が実施されれば、巨額な費用がかかり、また、施設などが完成した後は、当然、多額な運営維持費がかかってきます。しかも、こうした大型事業の実施時期は、この先、10年から15年の間に重なってくるのではと予想しております。秋元市長は、将来に過大な負担とならないように取り組むとおっしゃっておりますが、果たして本当にそのように言い切ることができるのかと危惧するところです。  そこで、伺いますが、2017年度予算案に盛られた大型事業を実施した場合の建設事業費はどのように推移すると想定しているのか、また、その財源をどのように考えているのか、あわせて伺います。 ◎小角 財政部長  建設事業費の推移とその財源についてのご質問でございます。  平成29年度予算案に計上している関連事業費につきましては、いずれもそれぞれの事業の実施の可否や事業化の優先度を判断するに当たり、その基礎資料を収集するための調査や検討を行うものでございます。したがいまして、現段階では、事業の想定規模自体が決まっているものではないため、数値で事業費をお示しできるものは存在しておりませんので、そのことはご理解いただければと思います。 ◆石川佐和子 委員  事業実施の可否を判断するための調査なので、実際の事業計上はその後のことだという説明だったかと思います。  予算の概要と同時に公表されている2017年度予算案を反映した中期財政フレームを確認しましたが、市債残高と借金の取り崩し額は、確かにいずれもアクションプラン策定時の想定を下回っており、その範囲では財政規律に配慮した予算編成となっていることは私も理解しております。  しかし、先ほど申し上げた大型事業につきましては、今のご説明のとおり、2019年度までのアクションプランの中では建設事業費を見込んでいないものが多いわけで、つまり、財源の手当てがない中で実際に事業に着手することになるのではと私は懸念しております。2019年度以降の財政収支の見通しを示すことはできないという意味のご答弁だったと思いますが、事業費が数百億円規模になると思われる複数の大型事業を同時に実施する場合の収支見通しを市民に示すことは、市民とともに札幌市がまちづくりを進める上で必要不可欠のことと私は考えます。  そこで、質問いたしますが、大型事業を行うかどうかの判断の一手法として、大型事業を計画どおりに実施した場合の長期収支を推計し、それを市民に公表して意見を募る必要があると考えますが、改めて伺います。 ◎小角 財政部長  長期収支の推計の公表と市民意見の収集についてのご質問でございます。  現在、調査費や検討費を予算計上しておりますような事業については、実施の時期や規模などは未定ですが、将来の札幌市の財政運営に大きな影響を与える大型事業が含まれていることは認識しているところでございます。  一方で、検討段階にあるこれらの大型事業が具体的に動き始めるころには、現在、アクションプランに基づいて取り組んでいるさまざまな既存の事業について、そのときのニーズや社会環境の動きに合わせて事業が終了するものや、あるいは、規模の変化が予想されるほか、本市の財政状況につきましても、国の動向を含めて、取り巻く環境が変化していくものと考えております。  このため、これまで、現在のアクションプランにおきましても、この期間中の財源の見通しとして中期財政フレームを設定し、その中で財政運営の健全性を損なわないように事業の選択を行ってきたところでございますが、今後、大型事業の実施について議論される次期中期実施計画におきましても、新たに取り組む大型のものを含めた事業全般を精査して、市債残高などの財政状況も加味しながら、また、新たな見通しに基づく財政フレームを改めて設定した上で、将来への負担が過度にならない財政運営に努めてまいりたい、そのように考えております。  また、大型事業や中期実施計画につきましては、これまでもその検討段階で市民意見を募集していくことが通例となっております。今後も、そのような取り組みも活用しつつ、事業推進の節目節目で丁寧な情報提供に努め、広くご意見を伺いながら対応してまいりたいと考えているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  最後に、要望になります。  きょう、財政の長期的な見通しはないという意味の答弁がありました。大阪府では、2037年度だったと思いますが、粗い試算ですけれども、財政収支の集計を示しております。今の中期財政フレームが終わった後、次期計画の中でさまざまな大型事業の見通しを考えていく予定だと伺いましたが、現在の期間の中で判断を迫られ、市民に情報を問われる事業もあるのではないかということを懸念しながら、きょうは、今の中期財政フレームの中で将来の見通しを出す必要があるということを強く求めさせていただきました。  札幌市の財政状況は、財政指数では体力的に無理ができないという数字ですし、北海道も、実質公債費比率が20.6%と都道府県の中で最悪の水準で、早期健全化団体の一歩手前です。地方交付税を配る国の状況も、国内総生産の2倍以上の1,200兆円の借金を抱えております。皆さんもご存じのように、この先、人口の減少、高齢化が急速に進むことから、市民は、将来、本当に大丈夫なのかと不安が増大し、危機感を抱いております。  きょうの質疑の中でも、複数の委員が財政に関する市民への情報提供を求めていたと思います。仮に市民から大型事業の必要性を問われても、アクションプランの期間以降の全体収支見通し抜きにはなかなか判断できないというふうに考えます。私は、こうした市民感覚を生かした財政規律も踏まえて、長期収支の推計などの情報を公開し、意見を募ることが今後の札幌市の財政運営には非常に重要だと思っておりますので、そうしたことを実現していただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。 ○よこやま峰子 委員長  以上で、歳入のうち一般財源等の質疑を終了いたします。  次に、第1款 議会費 第1項 議会費、第2款 総務費 第4項 選挙費、第5項 人事委員会費及び第6項 監査委員費の質疑を行いますが、いずれも通告がありませんので、質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、3月10日金曜日午後1時から、総務局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時6分...