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  1. 札幌市議会 2016-10-14
    平成28年第一部決算特別委員会−10月14日-04号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成28年第一部決算特別委員会−10月14日-04号平成28年第一部決算特別委員会  札幌市議会第一部決算特別委員会記録(第4号)               平成28年(2016年)10月14日(金曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  小 川 直 人      副委員長   阿部 ひであき     委   員  武 市 憲 一      委   員  宮 村 素 子     委   員  高 橋 克 朋      委   員  五十嵐 徳 美     委   員  細 川 正 人      委   員  小須田 悟 士     委   員  佐々木 みつこ      委   員  小 竹 ともこ     委   員  伴   良 隆      委   員  中 川 賢 一     委   員  村 松 叶 啓      委   員  福 士   勝     委   員  ふじわら 広昭      委   員  三 宅 由 美     委   員  長谷川   衛      委   員  山 口 かずさ     委   員  村 上 ゆうこ      委   員  中 村 たけし     委   員  かんの 太 一      委   員  成 田 祐 樹     委   員  本 郷 俊 史      委   員  國 安 政 典     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  小 口 智 久     委   員  竹 内 孝 代      委   員  伊 藤 理智子
        委   員  小 形 香 織      委   員  池 田 由 美     委   員  平 岡 大 介      委   員  堀 川 素 人     委   員  石 川 佐和子       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時     ―――――――――――――― ○小川直人 委員長  ただいまから、第一部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、五十嵐委員、堀川委員からは遅参する旨、松井委員からは村松委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。  それでは、議事に入ります。  第9款 教育費 第1項 教育委員会費から第9項 学校整備費までについて、一括して質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  私は、図書館サービスの向上、プログラミング教育、子どもの安全対策、家庭教育のあり方について、順次、質問してまいります。  まず、図書館サービス向上のための業務効率化でございます。  本市図書館は、来館者数や貸し出し冊数や登録者数が増加し、これに伴い、本の貸し出し、返却などの定型的作業が肥大化しており、第2次札幌市図書館ビジョンにおきましても、図書館サービスの質の向上実現のためには図書館業務の効率化が重要としています。  そこで、私が平成27年第1回定例会の代表質問の際に、サービスの質向上の必要性から、定型的作業の整理など、今後の図書館の運営体制の見直しについて質問させていただきましたところ、民間委託や貸し出し、返却の機械化の導入など、運営体制の見直しを検討していくと当時の町田教育長からご答弁をいただきました。  そこで、あれから約1年半が経過しておりますので質問いたしますが、現在の図書館業務の効率化の検討について、その進捗状況を伺います。 ◎千葉 中央図書館長  図書館における業務効率化のこれまでの取り組みについてお答えいたします。  中央図書館におきましては、肥大化した定型的作業の担い手として、平成27年度から、臨時職員を採用し、事務的業務は事務職員、専門的業務図書情報専門員定型的作業は臨時職員とそれぞれの役割分担を整理いたしました。このことによりまして、より専門的な業務であるえほん図書館及び図書・情報館の開館準備業務に職員を従事させることが可能となっております。また、定型的作業として、臨時職員が担うカウンター対応も、利用者アンケートによる満足度調査におきまして満足度が高いという結果が出てきております。  このような効果がある一方、臨時職員の雇用期間は原則として半年に限られておりますので、人の入れかわりが頻繁にあるため、円滑な業務の引き継ぎを徹底する必要があるという認識でございます。 ◆伴良隆 委員  まさに、組織内で、限られた人材の中で適材適所で行われているということでございました。  人事の入れかえ、割り振りなどを通じて、より専門性が高い相談などのレファレンス業務には資格者、貸し出しサービスといった定型的作業である窓口業務には臨時職員と、選択と集中を図り、効率的にスタッフを配置していることは評価できますが、一方で、臨時職員の活用は、一定程度の効果は出ているものの、雇用期間の短さや研修などで人事管理上の課題もあるとのご答弁でありました。中央図書館よりも職員数の少ない地区図書館では、職員が複数の業務をかけ持つため、臨時職員の活用には課題もあると思います。  そこで、代表質問への答弁にもありました貸し出し、返却の機械化や民間委託について、各図書館の規模や特性によっては抱えている課題がすぐに解決できるわけではありませんが、機械化の導入や民間委託方式の検討は図書館業務の効率化に向けて必須であると考えます。  そこで、質問ですが、今後は図書館業務の効率化をどのように進めていくのか、その方向性を伺います。 ◎千葉 中央図書館長  図書館の今後の見直しの方向性についてでございます。  定型的作業である本の貸し出し、返却につきましては、来月7日に開館するえほん図書館におきましては、自動貸し出し機を試行的に導入いたします。えほん図書館は、絵本を専門に扱い、子どもの発達段階に応じた児童サービスボランティア活動の支援、連携の充実など、専門性の高い図書館サービスの提供に特化した既存の図書館とは異なる図書館として設置いたします。そのために、業務の効率化を徹底すべく、定型的な作業である本の貸し出し、返却等について機械化を導入することといたしました。  えほん図書館での検証結果を踏まえまして、市民の生活や創造的な活動を支える知の拠点となる図書館を目指すことを掲げている第2次札幌市図書館ビジョンの理念を実現していくために、今後、ほかの図書館などでの自動貸し出し機の本格的な導入についても検討していく予定でございます。  あわせまして、図書館運営のあり方につきましても、図書館サービスの質の向上を推進させるために、民間委託や指定管理者制度などの手法も含めて今後も検討を進めてまいりたいと存じます。 ◆伴良隆 委員  効率化と申しますと、誤解を受けるかもしれませんが、あくまでもサービスの質の向上ということでございます。地区図書館の窓口業務については、私も何度かクレームをいただいたことがございましてこういった質問をさせていただいておりますが、人ありきですので、職員を大切にしていただきながら、研修、日々の業務やサービスのチェックなどを継続してやっていただくとともに、機械化あるいは民間委託についても引き続き鋭意検討していただきたいと思います。  次に、プログラミング教育への姿勢と取り組みであります。  札幌市の教育で目指す学ぶ力を支える三つの力、学ぶ意欲、学んだ力、活かす力のうち、本市の児童生徒の活かす力、つまり、思考力、判断力、表現力等には問題解決的な学習等に成果が見られますが、知識、技能ほど十分に身についているとは言えないと本市はまとめております。  さて、中央教育審議会では、思考力や表現力を高めるため、対話や発表を通じて主体的に学ぶアクティブラーニングを小・中・高の全教科に導入するとして、このうち、平成32年度実施を目途に、ICTを活用したプログラミング教育の必修化に向けた議論がされているところでございます。ICTやIoTが急速に進んでいる今、社会で生き抜くための課題探究や問題解決といった論理的思考調査研究能力の一つとして、アクティブラーニングに資するプログラミング教育が必要とされてきております。  そこで、質問ですが、国並びに有識者会議で行われている議論を踏まえ、本市教育委員会としてプログラミング教育の重要性をどのように認識しているのか、また、プログラミング教育について、いかなる議論や情報収集や研究または企画をしてきたのか、現時点でお答えできる範囲でご答弁をお願いいたします。 ◎引地 学校教育部長  プログラミング教育の認識と現状についてでございます。  プログラミング教育は、身近な生活でコンピューターが活用されていることに気づくことや、身近な生活で論理的に考える力の育成などを目指すものでございまして、札幌市が推進している課題探求的な学習にもつながるものと認識しております。  現在、教育委員会といたしましては、中央教育審議会や国の有識者会議における議論の動向や、他都市における取り組みの状況などについての情報を収集しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  プログラミング教育というのは、未知の部分がありまして、理系のコーディングなど工業産業系の技術、産業育成という面がちょっと見られますが、これらの課題探究、問題解決型は、文系であっても、当然、物事の解決に向けて基礎的な力を身につけたものをどう使っていくかといったことに必要でございます。  国の議論においては、教員研修には民間で提供されているさまざまな機会も活用しながら、国や教育委員会による研修と校内研修が効果的に組み合わされ、教員の資質向上につなげることが求められると議論されております。私の知るところでも、民間や市民または教育機関においてもさまざまなノウハウが蓄積されてきており、各種団体等が市内で行っているプログラミングに関する一般市民向けイベントなども先行している状況でございます。  そこで、質問ですが、国側でも、プログラミング教育そのもののあり方から事業の実施方法に至るまでさまざまな議論がされており、次期学習指導要領の策定と告示を前にして国の動向を慎重に見きわめる必要がありますけれども、プログラミング教育の必修化を想定し、積極的に民間や学校の取り組みについて情報収集し、緻密ながらも早目に研究を進め、対策を練っていくべきでありますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  プログラミング教育の今後の取り組みについてでございます。  小学校におけるプログラミング教育は、新たな教科として位置づけられるのではなく、さまざまな教科等を通じて実施される方向で議論がなされており、学習のあり方について情報を収集していく必要があると考えております。  今後、国において実施するモデル事業の成果と課題などを参考にしながら、国の動向を見きわめ、適時適切に札幌市としての対応を検討してまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  まだ見えない状況ですから、市教委としても、当然、慎重な判断、検証をされることと思います。どのような学習指導要領になるかまだわからない状況は確かに理解できますが、近いうちに見込まれるプログラミング教育の実施確定に向けて、プログラミング教育のノウハウや教材などの質の担保には、国のモデル事業の検証だけではなく、既に本市において市民レベルで先行しているプログラミング教育に関する取り組みを情報収集し、分析するなど、市教委として、今からでも庁内や各種団体との連携を積極的に模索しておくべきことは指摘させていただきます。  これで、プログラミング教育についての質問を終わります。  次に、家庭や地域と共有する子どもの安全対策について質疑いたします。  昨今、子どもたちが、登下校時や放課後の活動の中で交通事故に巻き込まれたり、不審者に狙われたり、あるいは誘拐などの事件に至ったこともあるなど、子どもの命や安全が脅かされている状況は後を絶たず、まことに残念であります。  そこでまず、質問ですが、本市の学校ではどのような安全教育を行っているのか、確認したいので、伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  札幌市で行われております安全教育についてでございます。  安全教育は、子どもがみずから命を守るための基礎を培い、生涯にわたって安全・安心な生活を送る態度や能力を育む上で大変重要であると認識しているところでございます。各学校におきましては、子どもが日常生活で起こる事故から身を守るなどの安全教育、通学路等における交通安全教育、火災や地震の際に安全に行動するための防災教育について計画的に取り組んでいるところでございます。特に、最近は、全国的に不審者による被害がふえているところであり、家庭や地域と連携するほか、子どもへの安全指導を行うなど、犯罪被害に遭わないための取り組みがますます重要になってくるというふうに考えております。 ◆伴良隆 委員  今、学校での教育の重要性の認識と取り組みのご紹介がありました。  子どもへのそうした安全の取り組みは、学校での教育、指導に期待するものの、やはり、みずからの安全はみずから守るという意識が最も大切であります。よって、家庭並びに地域と連携した取り組みなどが大切であります。学校はもとより、家庭や地域で日ごろから学校周辺の防犯、防災を意識し、具体的な危険を実際に目に見える形にしたものに安全マップと言われるツールがございます。  この安全マップには、交通事故の発生しやすい場所や、不審者があらわれる危険、あらわれそうな危険がある場所、死角になって危険性が潜む場所などがわかりやすいマークで記入されており、身近な大小さまざまなリスクが誰にでも一目でわかるものです。また、子どもや親、地域の関係者みずからが通学区域ほどのエリアでのさまざまな危険箇所を協力して記入し合い、時に専門家の助言も得ながら、それらをワンシートに集約し、さらに、一定の期間ごとに改変するなどして、より精度の高い安全マップを皆で共有していくことで、安全への意識を子どもと親、そして地域で共通して高めることにもつながるわけです。  そこで、質問ですが、こうした安全マップを有効に活用していると思われる事例について伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  安全マップを活用した効果的な取り組みについてでございます。  事例といたしましては、作成した安全マップ集団下校訓練において活用したり、上級生が下級生に登下校の安全について伝えたりするなど、危険箇所の確認や安全な行動ができるようになる取り組みが行われております。また、安全マップに記載された子ども110番の家を子どもたちが訪問したり、家庭で危険箇所等について話し合ったりすることなどによりまして、学校と家庭、地域が連携して子どもを見守る取り組みも行われているところでございます。 ◆伴良隆 委員  安全マップは有効だという評価がございました。  北区の鉄西地区ですが、いろいろな主体者が地域の方々とともに地図をつくっております。当然、通学区域も含まれており、どこが危険だろうかということを落とし込んで、みんなで相談し、地域を歩いてつくり上げたものでして、本当に一目でわかります。これは非常に興味深いのですが、もちろん、これだけではなくて、自分たちのふるさとは何なのかということも調べております。ここは北大の目の前ですから、有島武郎通とかも落とし込み、まさに地域学習も取り込んで、非常にいいまちづくり取り組みかなと思っております。これは好事例でございまして、さまざまな使い方をしているのだと思います。あるいは、されていないところもあろうかと思います。  質問を続けますが、安全マップを作成するまでの過程や作成してからの活用には、各学校や地域にさまざまな工夫があっていいと思います。安全、つまり防犯、防災に有効なツールを家庭や地域で日々活用してもらうことは、特に学校外での子どもの安全への意識を高め、家庭や地域でも主体的に行動していくきっかけとなるはずであります。  そこで、質問です。  今後はこうした安全マップを活用した効果的な取り組みを広げていくことが重要ですが、今後の安全マップの活用促進に向けた教育委員会としての具体的取り組みについて伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  今後の安全マップの活用促進に向けた教育委員会の具体的な取り組みについてでございますが、教育委員会におきましては、これまでも、研修会等におきまして、安全マップを活用した事例の啓発に努めてきたところでございます。今後も、学校での実践研究などを通して、安全マップがより多くの学校で活用され、家庭や地域と連携した取り組みが進むように働きかけてまいりますとともに、子どもがみずから身を守ろうとする態度や能力を育むよう努めてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  活用の仕方については、各学校や地域でさまざまな工夫があっていいと思います。ただ、安全マップだけではありません。どんなものを使ったとしても、要は、子どもたち、親も含めて、地域みずからがみずからの身を守るという意識を共有していくこと、そして、その情報をストックして、地域で還元しながら、例えば年度ごとに変えていくことでそれぞれの学年で共有されるわけです。各学校の取り組みは、実践的教育ということで、そういった情報などをとりながら研究されると思いますが、今後はしっかりとした働きかけをより一層お願いしたいと思います。  それでは、最後になりますが、学校と連携した家庭教育のあり方について伺ってまいります。  平成26年策定の札幌市教育振興基本計画基本的方向性の一つに、市民ぐるみで支え合う仕組みづくりを掲げ、学校、家庭、地域の双方向の相互理解と連携を深め、子どもたちを健やかに育てる取り組み市民ぐるみで進めるように努力していくとしております。  もちろん、学校内で行う教育について、本市は最優先に力を入れるべきであり、家庭や地域と連携していくとして学校みずからの責務を転嫁することは絶対に許されることではありません。しかしながら、そもそも教育の基本は特に家庭にこそあるわけで、改めて家庭の教育的役割を明確にして、家庭みずからが育み、教えていく大切さを再認識すべき時期に来たのではないかと私は考えてまいりました。平成28年2定の我が会派の代表質問におきまして、子どもの確かな人間力の形成に向けてただしましたところ、教育長から、学校と家庭、地域が一体となって、子どもの望ましい生活習慣づくりや、学習や運動に意欲的に取り組める環境づくりを進めてまいるというご答弁がございました。  そこでまず、質問です。  札幌市が目指す学校教育において、学校、家庭、地域の連携による取り組みの推進は不可欠かつ最重要ですが、特に家庭についてはどのような教育的役割があると本市は考えているのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  家庭の教育的役割の認識についてでございます。  子どもの教育は、学校、家庭、地域の人々がともに子どもを育てる、そういう視点に立ってそれぞれの役割を果たしながら連携を深めていくことが大切であると考えております。家庭においては、子どもが豊かな心を育み、基本的な生活習慣や学習習慣、生活をみずからコントロールする力などを身につける上で、極めて重要な役割を担っていると認識しております。 ◆伴良隆 委員  当然といえば当然ですが、改めて確認させていただいたところです。家庭は、非常に重要だということでございます。  家庭といいますと、まず、生活習慣が問題になりますが、平成27年度全国学力・学習状況調査の結果によりますと、毎日同じくらいの時刻に起きているか、あるいは寝ているか、毎日朝食をしっかり食べているかといった規則正しい健康的な生活習慣について、我が市は、依然として全国平均よりもポイントが低い状況にございます。こうした生活習慣は、学習習慣密接不可分の関係にあり、幾ら家庭のこととはいえ、学校側も見過ごすことができないと思います。  今、道徳への取り組みはいろいろとありますが、例えば、1・2年生の低学年用のわたしたちの道徳の中には、「きそく正しく気もちのよい毎日を」ということで、わかりやすい図を作成し、家庭と共有しているのだと思います。こういったことで、子どもたちを育んでいる最中であろうかと思います。  次に、学習習慣のことですが、これも、基本的には家庭において身につけていくべきものでありまして、学校側も、家庭と連携することで家庭学習と学校での学びとの相乗効果を得られるものであります。そのためには、家庭において、日々、適切な時間を設けて学校での学びを復習したり予習したりすることが必要で、同時に、学校側もそうしたことが家庭で確実にできるような働きかけやきっかけづくりをしなければなりません。教育委員会では、基礎的、基本的な知識、技能だけではなく、学ぶ意欲や生かす力を育むことを含めた学ぶ力の育成プランを策定し、各学校においては子どもの学力向上に向けて具体的な取り組みを進めているとのことです。  そこで、質問でありますが、札幌市の子どもの学習習慣にはどのような課題があるのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  子どもの学習習慣の課題についてでございます。  平成27年度の札幌市独自の学習などについてのアンケートによりますと、ふだんから計画を立てて勉強している子どもの割合は、小学校が56.3%、中学校が32.6%となっております。また、平成27年度の全国学力・学習状況調査の結果によると、平日における学校以外の勉強時間が1時間未満の子どもの割合は、小学校6年生では41.8%、中学校3年生では31.1%となっており、札幌市の子どもの学習習慣についてはまだまだ十分とは言えないというふうに認識しております。 ◆伴良隆 委員  1時間未満の勉強時間のお話でしたが、少し象徴的な例でありまして、これをどうしていくかが勝負でございます。  続けて質問しますが、教育委員会が考える家庭の教育的役割を踏まえ、これまでどのような施策と事業に取り組んできたのか、さまざまな働きかけ、きっかけづくりなどを伺います。 ◎引地 学校教育部長  これまで取り組んできた施策や事業についてお答えいたします。  教育委員会では、学校、家庭、地域のより一層の連携に向け、保護者や市民に啓発資料を配布したり教育フォーラムを開催したりするなどして情報発信に努めてきたところでございます。また、各学校においては、学校便りやホームページ、保護者集会などを通して、自校の子どもの状況や取り組みなどについて積極的に情報を発信し、家庭と一体となった生活習慣づくり学習習慣づくりの推進を図っているところでございます。 ◆伴良隆 委員  さまざまな取り組みを行っているというご答弁がございました。  その中で、一つのきっかけとなる宿題がございます。これは、もちろん工夫して出してもらわなければいけませんが、宿題に関する調査がございまして、一般的な宿題に関しては総じてポイントが低いわけです。私は、当時、代表質問で、校長が宿題の少なさを認識しているという記事を取り上げました。学校長の考えなので、少し主観も入っているのではないかというお話があったやに聞いておりますが、いずれにせよ、そもそも本当に宿題が出されたかどうかも含めて、家庭と学校が宿題などのツールも使いながらきちんとした形で全学校でしっかりと取り組んでいるのか。  それから、宿題の話で、私は、当時、市教委の幹部の方からこういうお話を受けたことがございます。それは、宿題を出すのは恥ずかしいんだ、学校の授業の中でおさまるのが教師の役割なのだといったお話でした。なるほどなと思いましたが、それはそれとしても、宿題というツールをいかに使っていくか、工夫していくか、そして、きのうはどうでしたか、反復をやりましたか、こういったことは非常に重要だと思いますし、当時、そういう市教委の幹部がいたことは大変残念でございます。  また、平成26年策定の札幌市教育振興基本計画に基づく5年間の前期アクションプランの基本施策においては、家庭の教育力向上と親子での学びの促進支援がわずかに記載されている程度でございまして、その取り組み達成度をはかる平成27年度事業取り組みの報告書においても、家の人と学校での出来事について話をする子どもの割合だけを成果指標に設けている状況でありまして、これはいかがなものかと思います。今後、見直し、改善していくべきものでありますので、教育長に強く申し上げておきます。  各学校には、家庭での学習習慣や生活習慣など、わかりやすいものをつくってやっている好事例もたくさんございます。こういったことは、市教委の皆さんも、学校とともに頑張っていることと思います。ただ、学校あるいはクラスごとで差異があってはならないわけであります。  そこで、最後の質問です。  市教委は、家庭での教育全般を重視し、各種施策と事業に一定程度取り組んできているところであり、それは評価できますけれども、生活習慣や家庭学習等における一部学校の先進的事例も参考にしながら、家庭教育の目指すべき目標、指標の明確化や実践的な家庭教育の明示など、学校と家庭が連携し、地域に差異なく共通して取り組める環境づくりを早急に整えるべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  学校と家庭が連携して取り組み、環境を整えることについてお答えさせていただきます。  子どもの習慣づくりにつきましては、これまでも、モデル校の工夫例を掲載した資料を学校に配付するなどしてきましたが、それに加えて、新たに保護者向けの啓発リーフレットを発行することとし、現在、保護者や有識者の意見もいただきながら作成を進めているところでございます。  本リーフレットは、学校と家庭が子どもの習慣づくりを進める際の指針となるものであり、子どもの実態や家庭の状況に応じながら活用できるものを目指しております。  今後は、学校と家庭が目標を共有し、子どもの主体的な学びをともに支えていくことができるよう、本リーフレットの活用を積極的に啓発し、子どもに望ましい生活習慣や学習習慣が身につくような環境を整えてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  学校教育は大切であります。親御さんや社会が望む期待もたくさんございまして、多種多様であり、市教委の方々、学校の方も大変かと思います。一方で、家庭がしっかりとその問題を自分たちで意識していくためには、学校が家庭に入っていくとか、無理にこうしろ、ああしろという話ではなくて、きっかけをつくって働きかけ、共有していく、こういうことについてはある程度積極的にやっていただきたいわけであります。  今、家庭学習の勧めといった趣旨のものになるようなリーフレットを作成しているということで、家庭の教育的役割とその力の発揮に向けて、市教委がいよいよ積極的に動き出していることを高く評価し、期待したいと思います。そして、このリーフレットは、できる限り早くつくって配り、活用してほしいわけですが、結局は家庭が手にとっておしまいということがないようにしていただきたいと思います。  最後に、私がきょう急いでつくってきたものがあります。教えや学びでもいいのですが、育てでもいいのですが、「はひふへほ」というのがあります。「は」は励ます、「ひ」は引き出す、「ふ」はふやす、「へ」は減らす、「ほ」は褒めるです。その言葉の前に四角の欄をつくって、親も子も学校でも、1年生、2年生へと上がっていってもいいのですが、自分は何の言葉になるか、長岡さんの家では何を入れますか、大友さんの家では何を入れますかといったことを考えてみる。その場の状況によって、日に日に変わるかもしれません。こういうものを目に見える形でぽんと出せば、考えます。共有します。学校で協議します。兄弟でも親でも、どうするというときに、頑張ったら褒めるとか、悩んでいたら励ますとか、苦手な食事を減らすとか、こういうこともできるのではないかということで勝手につくってきました。先ほど共有していくというお話がありましたが、要は、誰でも、わかりやすく、いつでも使えるような、そして、好循環が出てくるようなものをぜひつくっていただきたいと思います。  いずれにしても、子どもと親の双方向、各家庭と学校の双方向で活用されるような中身であること、それから、その配付方法もあわせて、よりいいものにするために、今後もより慎重に検討されることをお願いしたいと思います。 ◆三宅由美 委員  私からは、2項目にわたって質問いたします。  1項目めは子どもの性に関する不安や悩みについて、2項目めは高等支援学校の教育について伺います。  それではまず、子どもの性に関する不安や悩みについて質問したいと思います。  まず、質問に先立ちまして、きょうの朝刊で、部活動の合宿中に女子生徒の体を触ったとして、準強制わいせつの疑いで逮捕された教諭を懲戒免職する方針という記事が載りました。  私は、どうしてこのような深刻な事態に発展するまで防止できなかったのか、このことを踏まえた上で質問に移っていきたいと思います。  この事件の前に質問をつくっておりましたので、少し舌足らずなところもあると思いますが、安全な学校をつくっていくことが何よりも大切だと思っております。  それでは、質問に移っていきます。
     子どもは、さまざまな不安や悩みを抱えながら成長していきます。特に、思春期は、悩み多き時期で、多くの子どもたちが学習や進路に関すること、あるいは、友人や人間関係に関することなど、多種多様な悩みを抱えている時期です。とりわけ、性に関することは、大きな不安や悩みとなり得ると考えています。性に関する不安や悩みの背景には、さまざまな問題があります。しかし、中には、セクシュアルハラスメントやデートDVなど、子どもの心に大きな傷を残しかねない重大な問題もあります。思春期を迎える子どもたちが性に関するトラブルの被害者や加害者にならないよう、早い時期から継続的に指導することが大切だと考えています。  そこで、質問ですが、学校における性に関する指導の現状について、まず、お伺いしたいと思います。 ◎和田 児童生徒担当部長  性に関する指導の現状についてお答えさせていただきます。  学校におきましては、子どもが生命の大切さや性に関する基礎的・基本的事項について理解できるよう、教育委員会が作成した性に関する指導の手引を活用しながら、保健体育を中心にして、道徳及び人権教育など全ての教育活動を通じて指導しているところでございます。  また、昨今の社会情勢の変化によるインターネット利用者の低年齢化に伴い、性に関する情報に触れる子どもたちが増加しておりまして、子どもが将来にわたって性に関する問題を適切に判断し、行動できる力を身につけることが一層重要であるというふうに考えております。  そのため、子どもが安全にインターネットを利用することができるよう、情報モラル教育について推進しているところでございます。あわせて、産婦人科医師や助産師を学校に派遣し、専門的な見地を生かしながら、性に関する指導を進めているところでもございます。 ◆三宅由美 委員  人権教育などを含んだ性教育を行いながら、また、今はインターネット時代で、未成年女子がさまざまな事件や性犯罪に巻き込まれる機会がふえていると思います。子どもたちは、このようなトラブルに巻き込まれたときに、非常に不安や悩みを持つと思います。親や先生、友人など周りの人に相談しているとは思いますが、性に関しては、恥ずかしさあるいは恐れから相談できず、一人で抱えてしまうこともあると思います。  そこで、質問ですが、子どもが性に関する問題を抱えたときの現状の相談体制はどうなっているのか、伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  性に関する不安や悩みの相談体制についてのご質問でございます。  性に関する不安や悩みにつきましては、委員がご指摘のとおり、子どもが誰にも相談できず、一人で抱え込む傾向が見られるところもございます。そのため、各学校におきましては、全ての教員や養護教諭、スクールカウンセラーなどの教職員が不安や悩みを抱える子どもの相談者となり得るよう、子どもと教職員の信頼関係を築いていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。  また、教職員には相談できない子どももおりますことから、学校以外の相談窓口についての周知カードを配付するなどして、不安や悩みを抱えた子どもが、24時間、電話相談等のさまざまな窓口において、いつでも相談できるような取り組みを継続しているところでございます。 ◆三宅由美 委員  相談体制について伺いましたが、各学校の中にはそのような窓口が必要だと私は思っております。子どもがちゅうちょなく相談できる体制を子どもたちにどう周知しながら充実させていくのか、このことこそが大切だと思います。  今は、職場の中では、セクシュアルハラスメント防止策ということで、防止に関する配慮義務が課されており、このような指針が全職場の人々に配られて、男性と女性が相談窓口の業務に当たるなど、だんだん整備されていく中で、セクシュアルハラスメントで訴えられるというような事例も減っていると思います。私は、大きなところでの24時間体制も必要だとは思いますが、各学校の中でこのような指針をどう整えながら相談体制をつくっていくのか、このことこそが重要だと思っております。  子どもたちがセクシュアルハラスメントやデートDVなど性に関するトラブルの被害に遭わないように、自分でノーと言えることを人権教育や性教育の中で教えていくことも必要ですし、加害者にならないように、みずからの行動を律したりする、これは女性に対する人権侵害なのだということは中学生であってもわかると思いますので、そのことも重要だと思います。  高校におきましては、デートDVやセクシュアルハラスメントなどについて、NPO法人が出向きながら講座をつくっています。しかし、中学生は、子どもと大人の中間ですので、そういう対策が見逃されがちだったと思います。相談体制をきちんと学校の中につくっていくことを強く求めたいと思います。  そこで、次の質問ですが、思春期には多くの子どもが自分の性を意識し始めます。そして、異性への関心が高まり、心が揺れ動く時期だと思います。セクシュアルハラスメントやデートDVなどを受けても、どう対処したらよいかわからず、悩む子が多くいるのではないでしょうか。未成年の女子が性犯罪に巻き込まれるケースも多く起きている現状で、自分の身を守るという教育が必要ですし、また、加害者にとっては、深刻な事態に発展させないためにも、学校内外で起きる性に関するトラブルなどの未然防止が非常に大切だと思います。  今、職場の中では、先ほども述べましたが、未然防止に当たって、女性の意見も聞く、男性の意見も聞く、そのような中で指針をつくっていくことが行われております。子どもの権利条例を持つ札幌市は、子どもの意見表明権も大切にしているはずです。子どもの意見も取り入れながら、ぜひ指針をつくることを強く求めたいと思います。  そこで、性に関するトラブルなどの未然防止に向けた取り組みの現状について伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  性に関するトラブルなどの未然防止についてという点でございます。  未然防止に向けては、やはり、我々も、子どもたちが性の被害に遭わないよう、あるいは加害者にならないよう、自分と同じように尊重しながら相手を認め合う人権教育というものは大変重要であり、さらに充実を図っていかなければならないということについては、同じ思いでおりますし、考えているところでもございます。  各学校におきましては、子どもが実際に仲間とかかわって互いに支え合い、助け合う体験的な活動を行うなど、他人を思いやる気持ちを醸成するなどの取り組みを推進してまいりたいと考えております。あわせまして、子どもを指導する立場である教員一人一人が人権意識を高め、子どもたちの性に関するトラブルに早期に気づき、対応することができるよう、研修等で充実を図ってまいりたいというふうに考えております。 ◆三宅由美 委員  教師がセクシュアルハラスメントなどの研修をしっかりと受けられるような体制をつくっていただきたいと思います。未然防止に向けては、先ほど教師も含めてというお話がありましたが、その充実をしっかりと求めておきたいと思います。  それから、今回の事件に関してですが、合宿についても、しっかりと見直していくことが必要だと思います。単独で教師が同行しない、あるいは、女性の指導者と男性の指導者がついていくなどの対策も必要だと思っております。セクシュアルハラスメントの防止配慮義務では、職場の課長職などが責任を負うというようなこともあります。教育委員会としては、各学校長に対しても、このようなセクシュアルハラスメントが起きないような指導をしていただきたいと思います。  それから、スポーツ系の部活についてです。  2年たちましたが、札幌市で日本女性会議が開かれました。その中で、今は指導に当たっております柔道の山口 香さんは、特にスポーツの関係ではセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントが起きやすい環境が放置されてきたと声を上げて、日本女子柔道界の現状を変えていきました。そして、ぜひこれからも続けて変革していかなければならない、人権に配慮したスポーツ指導を言っていかなければならないと強く決意を述べておられました。  スポーツ系の合宿は、指導を受けることで親密になることもありますし、子どもたちがかわいいという気持ちも湧いてくると思います。それがこのようなセクシュアルハラスメントに発展しないように、ぜひ防止策を練っていただきたいと思います。その中で、何がセクシュアルハラスメントなのか、何をされて自分が嫌だったのか、このような子どもの意見、声を酌み取りながら、このような事件が二度と起こらないようにしていただきたいと思います。  それでは、次の質問に移りますが、高等支援学校の教育について伺います。  まず、1点目は、地域との交流について伺います。  平成29年4月、市立札幌みなみの杜高等支援学校がいよいよ開校いたします。札幌市としては40年ぶりに開校する2校目の高等支援学校であり、障がいのあるお子さんや保護者など、関係する方々のお喜びも大変大きなものと考えています。とてもやわらかな響きであるとともに、自然豊かな南区をあらわしたみなみの杜という校名も、地域に根差す学校としての方向性を感じ取ることができ、地域の方々の期待も高まってきている状況にあります。  高等支援学校に通う障がいのある生徒が生き生きと活躍する姿は、地域はもとより、札幌市民全体にとっても、障がいのある方々への理解を深めるものであり、私どもの会派が目指す共生社会に向けた着実な歩みとなると確信しているところです。  これまで行われた説明などでは、新設校は地域の方々とともに学ぶことを学校のコンセプトとしており、校舎についても、カフェを初め、開放されたものとなると聞いております。生徒が学ぶ上で、地域の方々とたくさんの触れ合いを持つことは、その生徒の人格の形成に大きな役割を果たすものと考えています。  そこで、質問ですが、みなみの杜高等支援学校と地域との連携について、開校後、具体的にどのような取り組みを検討しているのか、お伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  市立札幌みなみの杜高等支援学校の開校後の地域との連携した取り組みについてでございます。  教育委員会といたしましても、学校と地域との連携は非常に大切なものであると考えており、みなみの杜高等支援学校につきましても、現在、地域とのかかわりを重視した教育活動について検討を進めているところでございます。具体的には、裁縫や農業などの作業や教科の学習において地域の方々に学習ボランティアとして協力を得ることや、PTA活動に地域の方々にも参加していただくなど、学校の教育活動に関するさまざまな参画について検討しているところでございます。  また、カフェ運営で地域の方々に学校に来ていただくことはもとより、本校に設定する作業コースの一つであるクリーンサービスでは、清掃や除雪など、生徒が地域に出ていく学習にも積極的に取り組む予定でございます。  これまで開校に向けた地元での説明会などでは、地域の方々から期待の声を多くいただいているほか、生徒の実習先となる企業などからも協力いただけるとのお話を多数いただいており、今後も開校に向けて、より一層、地域との連携を深めていきたいと考えております。 ◆三宅由美 委員  これまでの高等支援学校とは大きく違う、さまざまな地域と密着した取り組みが行われるということですが、期待しております。私も、真駒内に住んでおりますので、ともに地域の方々と、みなみの杜高等支援学校の教育の充実に向けてかかわっていきたいと思っております。  学校は、単に子どもたちが学ぶ場としての役割だけではなく、地域コミュニティーの核としての位置づけもあります。真駒内小学校が閉校となった跡地に、また新しく学校ができるということで、地域の方々はにぎわいが戻ることを期待しているところです。新設校は、広く地域に開かれた学校を目指しているとのことですので、私も地域住民の一人として応援してまいるつもりです。  次に、みなみの杜高等支援学校の開校にあわせて、高等支援学校における部活動の充実について伺います。  過日、ブラジルのリオで行われましたオリンピック・パラリンピックでは、日本の選手団の大活躍が見られました。さらに、1,500メートル走を初め、幾つかの種目では、オリンピックの記録をパラリンピックの選手が上回るなど、ハンディに負けずに競技に取り組むアスリートの姿に新たな感銘を受けたところです。  このようなスポーツはもちろんのこと、合唱や楽器の演奏、あるいは絵画など、卒業後も取り組むことができる趣味や余暇につながるものがあります。生きがいを持ち、そして生活を豊かにするものとして、在学中から部活動に積極的に取り組むことは、教育活動においても大事なことと考えております。  そこで、質問ですが、高等支援学校の部活動を充実すべきと考えておりますけれども、教育委員会の認識をお伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  高等支援学校における部活動の認識についてでございます。  高等支援学校においても、部活動は、生徒に運動や文化的活動に対する技能を身につけるとともに、活動を通して礼儀やマナーの習得や人間関係の基盤づくりなど、豊かな人格形成に資するものであり、充実させていくことが重要であると認識しております。  現在、豊明高等養護学校では、和太鼓部とサッカー部を設置しており、和太鼓部ではイベント等での演奏、サッカー部では各種大会への出場や全国大会の札幌代表として選ばれた選手も輩出しているところです。みなみの杜高等支援学校においても、生徒のニーズを取り入れながら、部活動の設置を検討してまいりたいと考えております。 ◆三宅由美 委員  そのような方向に向かって取り組んでいただきたいと思います。  3点目は、高等支援学校と高等学校の交流について伺います。  私どもの会派では、これまで、障がいのある方々への差別の解消や権利の擁護などを求めて、民主党政権時代に障がい者制度改革推進本部を内閣府に置くことを初め、障がい者制度の充実に向けてさまざまな取り組みを進めてきました。この4月には、その具現化として障害者差別解消法も施行され、これまで以上に障がいのある方々への合理的な配慮の提供を明示するとともに、国民に対しては、法の理念や障がいの理解をより一層深めることを求めてまいりました。  そのためには、小さなときから日常的に障がいのある子どもと障がいのない子どもがともに学ぶ機会を充実していくことが大切であり、それが文部科学省において示しているインクルーシブ教育の理念でもあります。小学校や中学校には特別支援学級があり、ほとんどのお子さんが地域の学校に通うことができる状況で、その中で交流も進められていると思います。しかし、高等学校段階では、そのような環境はなく、ほとんど交流がないというような話も聞いているところです。  先ほど質問した部活動でも、他都市では、特別支援学校の生徒が高等学校の生徒とともに部活動をするなどの取り組みもあることを視察の中で聞いてまいりました。特に、大阪市では、希望者だけですが、週のうちの4日を普通学校で過ごす、そして1日を特別支援学校で過ごす、また、その中で、部活動は必ずしなければならないという制度、仕組みをつくっておりました。開校するみなみの杜高等支援学校のコンセプトが地域に開かれているということですが、それとともに、同世代の高校生とも開かれた関係にあることが大事なことであると考えています。  そこで、質問ですが、高等支援学校と高等学校との交流を充実すべきと考えますけれども、教育委員会の認識についてお伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  高等支援学校と高等学校の交流の充実についてでございます。  教育委員会といたしましても、小・中学校と同様に、高等学校段階においても、障がいのある生徒と障がいのない生徒がともに活動することは、お互いの理解や尊重のために大きな役割を持つものと認識しております。病弱児が通う山の手養護学校には書道部があり、生徒が高等学校文化連盟、いわゆる高文連に参加し、市立高校生とともに活動しているところでございます。また、清田高校のグローバルコースの生徒が北翔養護学校に行き、肢体不自由のある生徒とともに学習活動に参加することを通して、社会福祉について実践的に学ぶ取り組みを行っているところであります。  今後につきましても、さまざまな場面で、高等支援学校の生徒と高等学校の生徒との交流が一層図られるように努めてまいりたいと考えております。 ◆三宅由美 委員  ぜひ、高等部段階における同世代間の交流をより積極的に行うよう努めてほしいと思います。また、常日ごろ、私が主張していることでもありますが、小・中学校のように高等学校の中に特別支援学級が設置されれば、中学校も高校も同じ学校に行けるようになるなど、より生徒同士の日常的な交流が図れるはずです。高校への特別支援学級の設置については、いろいろと難しい点があるとは聞いておりますが、共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育を推進していく上でも、ぜひとも前向きに検討していただくことをお願いして、私の質問を終了いたします。 ◆國安政典 委員  私からは、障がいのある生徒の社会的自立に向けた取り組みについて、順次、質問してまいりたいと思います。  私どもの会派では、障がいのある子どもたちの教育環境の充実を願いまして、高等支援学校の間口の拡充、高等支援学校における就労支援の充実などをずっと訴え続けてまいりました。これまで、市内に設置されている高等支援学校が北西部に偏在しており、長年にわたって遠距離通学を強いられてきた生徒や保護者の負担は大きなものがありました。  この課題の解決をずっと訴えてきたわけですが、いよいよ、来春、みなみの杜高等支援学校が真駒内に開校し、より身近な地域の学校に通うことのできる選択肢が広がったことは大変喜ばしいことと思います。このことにつきましては、ただいま、三宅委員のほうから、その教育内容、また、地域との交流について質疑があったところであります。私どもといたしましても、この学校の今後に非常に大きな期待を寄せているところでございますし、今、開校準備に携わっていらっしゃる職員の皆様は、一生懸命取り組んでいらっしゃるというふうに伺っております。心から敬意を表したいと思っております。  今回、みなみの杜高等支援学校の開校にあわせて、豊明高等養護学校におきましても、学科の再編を行って、市立の2校は、働くことを目指した教育の推進を行うと伺っております。  障がいのある生徒が就労することは、障がい者の社会参加という視点からも大きな一歩であり、積極的に取り組まれるべき課題であると考えます。しかしながら、現実には、卒業時に企業等へ就労がかなわない生徒もいらっしゃることや、せっかく就労しても、残念ながら離職してしまう生徒もそれなりにいると聞いております。  一方で、生活する力や就労する力がやや不足していた生徒が、卒後1年、2年後に、就労や職場への定着がよい結果につながっている場合もあるとも伺っております。働くことを目指す教育を推進していくということであれば、まずは、これらの生徒の就労について、現状や課題をしっかりと分析して、それを教育に生かしていくことが必要であると考えております。  就労につきましては、教育や労働、福祉など、ほかの機関との連携も大事であることから、私たちが要望してまいりました就労支援コーディネーターが2年前に配置されました。このことにつきましては、平成27年3定の決算特別委員会におきまして、私どもの会派の好井委員が、文部科学省のモデル事業であるキャリア教育・就労支援等の充実事業について質問を行った際に、就労支援コーディネーターの配置により、雇用先となる企業開拓や障がい者雇用に伴う企業への相談支援をより一層強化するとともに、生徒を就労に結びつけるノウハウを教員に伝えていくこととしていると答弁があったところです。  そこでまず、伺いますが、生徒が就労に結びつくことや職場に定着するためにこのモデル事業を通じて明らかになったことはどういうことなのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  モデル事業で明らかになったことについてお答えいたします。  モデル事業では、今後の市立高等支援学校における就労を目指した教育の検討について、まず、生徒の意識や就労を取り巻く状況などの分析を行ったところでございます。その中で、生徒については、何のために働くのかという意識づけや、自分で選んだり決めたりする機会をより多く持つことが大切であることが指摘されております。また、教員については、卒業時の進路先の決定にとどまらず、より長期的な視点に立って生徒のライフプランを考えることが必要であると提言されております。さらに、生徒の社会的自立のためには、職場における人間関係を構築する力や金銭管理など生活の基盤となる力の育成も重要であることが示されたところであります。 ◆國安政典 委員  このモデル事業を通じて、生徒や教員にとって必要となる点が明らかになってきているということでありました。これから働くことを目指した教育の充実に向けて、大きな示唆となるものと考えます。しかしながら、今の答弁にもございましたとおり、働くためには、生活の基盤となる社会的自立を支える力を培うことが大事であるということです。私は、高等支援学校における教育は、もちろん職業訓練校ではありませんので、単に就労を目指すための狭義のものではなく、社会の一員として地域社会に貢献できる力を培うことも求められているものと考えます。一人一人が自分の力や可能性を最大限に発揮して、自立した市民として社会参加することは、まさに札幌市の教育が目指す自立した札幌人の実現につながるものと考えております。そのためにも、まず、生徒一人一人に社会的自立につながる生活基盤をしっかり身につけることが必要だと考えます。  そこで、質問ですが、市立高等支援学校では、生徒が社会的自立を目指すためにどのような取り組みを行っているのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  高等支援学校での社会的自立を目指した取り組みについてでございます。  市立高等支援学校では、職業生活に必要な勤労意欲や態度などを身につけることを目標にしておりますが、委員のご指摘のとおり、生徒に社会人として自立した生活に必要な力を育むことが重要と認識しております。そのために、高等支援学校では、家庭とも連携しながら基本的な生活習慣や衣食住に関することなど、社会人としての生活を送るために必要となる学習に取り組んでいるところでございます。  今後、対人関係の基本となるコミュニケーション能力の育成により一層取り組むなど、生徒が多面的に社会的自立につながる力を身につけることができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆國安政典 委員  社会的自立に向けた教育が大事であるという認識だと受けとめさせていただきます。  やはり、高等支援学校に在籍する生徒は、障がいの特性やその程度はさまざまでありまして、個々に応じた教育の充実が何よりも大事であるかと思います。社会的自立や就労におきましても、個々の生徒の状況や課題はそれぞれさまざまであります。卒後すぐに就労してその職場に定着できるのであれば、それが一番いいことだと思います。しかしながら、冒頭に述べましたように、卒後すぐには就労できない生徒や、就労できても離職してしまう生徒もいるわけです。  一方で、現在、福祉制度も充実してまいりまして、就労支援事業所などが整備されてまいりました。卒業時の進路も含めて、さまざまな選択肢がふえてきていると思います。ただ、こういった事業所では、訓練内容にもばらつきがあったり、一部の事業所では生徒や生徒の家族の意向が十分に反映されていないといった声も聞こえてくるわけであります。そのためにも、卒業後も、学校が関係機関等と連携しながら、職業生活や生活の自立など一人一人のニーズに応じた支援を行っていくことが非常に大切なものと考えます。  そこで、質問ですが、市立高等支援学校や教育委員会では、卒業後の生徒に対してどのような支援に取り組み、今後どうするおつもりか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  生徒の卒業後の支援についてでございます。  豊明高等養護学校では、卒業後、3年間を目途に卒業生に対する支援に取り組んでいるところでございます。具体的には、進路担当の教員が企業などの進路先を定期的に訪問し、職場への定着の状況を確認することや、仕事になれない、人間関係に悩みがあるなどの課題が見られた場合には、関係機関と連携してその解消を図っているところでございます。  また、教育委員会では、特別支援学校等を修了した方に対して、社会生活によりよく対応できるよう、集団活動や体験、交流の場を通じて社会的なマナーなどを学ぶ成人学級事業を行っております。  今後、市立2校と関係機関との連携に向けて立ち上げた就労支援ネットワークを十分に機能させ、それぞれの関係機関が役割を担う中で、就労支援や生活力の向上など生徒の社会的自立に向けた取り組みの充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆國安政典 委員  このたび、市立高が2校となることから、共同学習などもやられると伺っております。生徒の進路選択の幅も広がると思います。そしてまた、みずから職業を選択する力が育まれることによって、今後の就労率の向上につなげていけるのではないかというふうに期待しているところです。しかしながら、何度も申し上げますとおり、障がいのある生徒の状況や課題は個々によって違っておりまして、それをしっかりと理解して適切な支援を行っていくことが大切であると思います。  来年開校するみなみの杜高等支援学校は、実際に卒業生が出るのは3年先のことですが、卒後支援については今からしっかりと考えていっていただきたいと思います。就労につきましては、福祉や企業、その他の機関との連携が大事であるため、今の答弁にもありましたように、就労支援ネットワークをしっかりと機能させていくということです。最近の豊明高等養護学校の卒業生の状況を見ましても、一般企業に就労、そして3年の定着、こういうな単純なことではない傾向も出てきていると伺っております。就労移行支援事業所などのさまざまな機関を使いながら、それぞれの個性、個々に応じた形の支援が求められている時代に入ってきているようにも感じているところであります。  そういった意味でも、このネットワークは各分野が本当の意味で生の声で意見交換する場として大変意義深いものと思いますので、期待を寄せさせていただきたいと思います。ただ、スタートしたばかりですので、今後とも、学校や教育委員会とともに、各事業所の関係機関との連携を一層強化して、障がいのある生徒の社会的自立がより充実したものとなるよう求めまして、私の質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からは、学校の定期健康診断について質問いたします。  昨年の第2回定例会での我が党の代表質問におきまして、学校の定期健康診断で精密検査が必要な子どもが病院に行っていないことについての認識と今後の対策について質問いたしました。それに対して、好ましい状況ではないものと考えている、今後も学校と協力しながら必要な検査を受けていない子どもや保護者に働きかけを強めてまいりたいと答弁しています。  2015年の定期健診の結果では、尿検査では、小・中学校の全児童生徒のうち、精密検査が必要と判定された児童生徒は580人でしたが、そのうち61人が受けていません。また、心臓検査では、小・中・高合わせて精密検査が必要とされた児童生徒は406人でしたが、そのうち107人が精密検査を受けておりません。  そこで、質問ですが、改めて、必要な精密検査を受けていない児童生徒がいることに対してどのように受けとめておられるのか、伺います。 ◎本居 学校施設担当部長  健康診断の結果、医療機関などでの受診を必要とされた子どもが受診していないことに対する認識についてでございますが、昨年度もお答えしましたとおり、そうした子どもがいることは好ましい状況ではないものと考えており、受診してもらうよう努力しているところでございます。 ◆池田由美 委員  私も、本当に何とかしていかなければならない問題だというふうに感じております。  子どもたちの学力の向上を図っていくためには、何よりも健康であることが土台であると思います。尿検査では、第1次から第3次までの検査が行われ、さらに、判定会議まで行って精密検査が必要と判断されていますから、しっかりと受けていく必要性を感じているところです。学校では、心臓検査、結核検査、尿検査のほかに、視力、眼科、歯科、耳鼻科、聴力、内科などの検査も行っています。  そこで、質問ですが、全ての子どもに精密検査を受けてもらうためには、いろいろな家庭があってご苦労されているところがあると思いますが、精密検査未受診の児童生徒や家庭に対して受診を勧めるためにどのような対応をとられているのか、どのように進めているのか、伺いたいと思います。 ◎本居 学校施設担当部長  学校での定期健康診断の結果、何らかの所見があり、医療機関で受診する必要がある子どもの保護者に対しましては、文書でその旨を通知しております。さらに、夏休みの前に学校便りなどを通じて受診を促しております。特に、精密検査が必要な心臓検診や結核検診などにつきましては、長期休業の前に、検査未受診の子どもの保護者に対して改めて文書通知をし、検査の受診を強く促しているところでございます。 ◆池田由美 委員  受診が必要だと文書でお知らせしている、そして、夏休みに入る前にさらに連絡をしているということでした。特に、危険な者に対しては電話もしているということも聞いております。本当に地道に努力されていると思いますが、最近、学校で突然倒れてAEDを使うケースもあるというふうに認識しております。ですから、心臓の再検査をしないで放置するのは、本当に心配だと感じております。  精密検査を受けていない児童生徒の体育の授業の参加について、今後どのように進めていくのかということも考えていく必要があるのではないかと思います。精密検査を必要とする子どもがきちんと受けていけるように、今後も学校現場の実態をつかみながら進めていくべきと求めておきたいと思います。  歯科検診では、政令市の比較で見ますと、虫歯の未処置歯、いわゆる虫歯を治療していない、放置している児童生徒の割合は、本市では、幼稚園は34.17%でワースト1、小・中学校は26.75%でワースト3、高校では26.28%でワースト3となっております。歯の治療は、経済的な理由や忙しさなどの理由で後回しにされていくケースが多いとされています。歯科医からの子どもの貧困の実態調査の報告の中で、子どもの歯がほとんど虫歯でぼろぼろ、どれだけ夜眠れなかったか、痛みに耐えながら学校で過ごしていたのか、そういう報告を私も読みまして、本当に胸が痛みました。  そこで、質問ですが、必要な精密検査や治療を受けていない児童や生徒がいる問題の背景には、家庭での経済的な理由もあるのではないかと考えております。我が党の代表質問で、経済的理由により医療を受けることが困難な方が無料または低額な料金で診療が受けられる国の制度、無料低額診療制度について保護者に周知するべきとの求めに対し、養護教諭対象の研修会等で周知して、学校を通じて保護者に伝えたいと考えていると答弁されています。  その後、この無料低額診療制度の周知がどのように進められているのか、伺います。 ◎本居 学校施設担当部長  国の制度であります無料低額診療制度につきましては、既に、全市の養護教諭対象の研修会におきまして周知を図ったところでございます。今後も、本市で行っております学校病治療に係る医療費助成、子ども医療制度なども含め、学校を通じて保護者にお知らせをしてまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  格差社会の進行の中で、不安定雇用や実質賃金の減少を背景として、子どもの貧困率が16.3%と過去最高となっております。本市も、子どもの貧困に関しての実態調査に取り組まれておりますが、どうやって全ての児童生徒を必要な医療につなげるかを考えなければならないと思います。道議会では、無料低額診療制度に対して、教育長が、今後、就学援助制度の周知に際し、無料低額診療など、福祉担当部局が実施する支援制度なども学校や保護者に情報提供していくように働きかけていくと述べております。本市でも、無料低額診療制度について、日ごろから保健室からのお便りで制度の内容を知らせていくことや、広く教職員の研修の場などでも周知していくこと、関係部局との連携もしながら無料低額診療制度を他の支援制度とあわせてしっかりと周知するべきと申し上げて、質問を終わります。 ◆中川賢一 委員  私からは、教育現場における情報化の推進の状況について、何点かお伺いしたいと思います。  以前、平成28年度の予算について教育委員会からご説明をいただいた際に、教育の情報化推進事業費という名目で18億6,700万円を計上しておられましたが、今般、平成27年度の情報化推進事業の規模を決算資料で確認したところ、27年度にはそのような事業項目が見当たらないという状況です。まさか、情報化推進の事業をこれまで全くしていなかったということではないと思います。確かに、28年度の予算資料を拝見しますと、前年度予算額、つまり、27年度の予算額は約14億円と記されておりますので、恐らく、予算の計上の仕方が変わったのではないかと思うところでございます。  まず、基本的な部分の確認として、教育の情報化に係る平成27年度決算と28年度予算で事業費の計上の考え方が変わったのか、変わったのであれば、その変更内容についてお伺いしたいと思います。
    ◎山根 生涯学習部長  教育の情報化推進事業について、平成27年度決算と28年度予算における事業費計上の考え方についてでございます。  平成27年度におきましては、小学校、中学校など校種ごとに学校運営管理費の予算の中に情報化に係る予算を計上しておりました。今年度、平成28年度からは、教育の情報化に係る事業費を全校種一括して計上した教育の情報化推進事業費という項目を新たに設けたところでございます。これは、アクションプラン2015におきまして、子どもたちの学ぶ力の一層の向上を目指し、これまで以上に教育の情報化を推進していく方向性を打ち出したことによるものでございます。  なお、平成27年度の教育の情報化に係る決算額は、ICT機器や教材の整備、ネットワーク運用管理、校務支援システム運用管理など、各校種ごとの学校運営管理費の中に含まれる額を合計いたしますと14億1,000万円でございました。 ◆中川賢一 委員  情報化に関しては、以前から校種ごとに情報化推進の予算を計上してきたということで、平成27年度は総額で14億円規模の情報化の推進をしてきているということでございました。今般、28年度からは、校種ごとではなく、全部を新たに一本化したということでございます。これは、情報化の推進をより一層強力に推し進めようということだと伺いましたので、それらの予算を見える化したということは、今後、情報化を総合的、効率的、そして計画的に進めていく上では望ましい形になったのではないかと評価したいと思います。  それでは、その予算を一括化した上で、今後、教育の情報化を具体的にどういった方向で、どういったスケジュール感を持って計画的に進めていくかということが改めて重要になってくるわけでございます。その一つの目安となるのは、先ほど部長のご答弁の中にもありましたアクションプランの推進ということになるのかもしれませんが、そのアクションプランの中に、教育の情報化推進の活動指標として、教員や児童生徒が授業で活用するタブレットの台数を挙げております。それによりますと、平成26年度の218台という状況に対して、目標年度の31年度には三千六百数十台という目標が掲げられているようでございます。  そこで、改めてお伺いしますが、学校現場におけるタブレット端末の今年度、平成28年度までの整備の状況と活用の効果についてお伺いいたします。 ◎山根 生涯学習部長  タブレット端末の平成28年度までの整備の状況と活用の効果についてでございます。  タブレット端末につきましては、授業での活用における有効性を検証するため、平成25年度から実証研究を行ってきたところであり、平成27年度までに市立の小・中・高校に345台のタブレット端末を整備してまいりました。さらに、今年度、平成28年度は、実証研究の実施校を拡大するなど、375台のタブレット端末を新たに整備する予定であり、今年度末の整備台数は、合わせて720台となる見込みでございます。  これまで実証研究を行ってまいりました学校でのアンケート結果によりますと、タブレットを活用した学習は楽しいと回答した児童生徒は、小学校で約97%、中学校で約90%、また、タブレットを活用した学習はわかりやすいですかとの設問に対しては、小学校で約96%、中学校で約95%の児童生徒からわかりやすいとの回答を得たところでございます。同様に、中学校の教員へのアンケートによりますと、授業づくり、授業改善に効果的と回答した者は約83%、生徒の学習効果、関心の向上に効果的と回答したのは約72%でした。小学校の教員についても、同様の質問に対して、ほぼ全員から効果的との回答を得たところでございます。  これらの結果から、タブレット端末を活用することで、子どもの学習への興味・関心を高めるとともに、教員にとってもわかりやすい授業ができるなどの効果があったものと認識しております。 ◆中川賢一 委員  実証研究の実施校を中心にこれまで整備を進めてきたということでございました。実証研究の実施校でアンケート等を行った結果、タブレット端末を活用した授業が小・中学生ともに、わかりやすいし、楽しいということですし、教員のほうも、いろいろな意味で効果的だと、かなり高い評価を受けているというご説明でした。そういった意味では、今後、速やかに、より多くの市立学校に普及させていただきたいと強く考えるところでございます。  先ほどのアンケートでも、小学生の評価は非常に高かったようです。楽しいのかもしれませんけれども、効果や子どもたちに与える影響は小学校と中学校で違うと思われますので、そういった部分にも十分に配慮しながら整備していただくことも、あわせて指摘させていただきたいと思います。  そこで、整備の状況ですが、ご説明では、今年度のタブレットの整備の見込みは大体720台ということです。目標年度の31年度まであと3年ぐらいですが、三千六百数十台に到達するためには、相当、スピードアップしていかなければならないのではないかと考えます。  平成28年度の予算をせっかく一本化してわかりやすくして、額も、単純に比較しますと、27年度比で4億円以上も増額したことになっております。その中身を期待して拝見しますと、これまでのパソコン教室の更新や校務用のパソコンの入れかえなどが主体で、新しい取り組みにはスムーズに手が回っていないのかなというふうな印象も拭えないところでございます。  そこで、質問ですが、来年度以降は、アクションプランに描かれた目標を実現していくために、タブレット端末をどのように整備していくお考えなのか、お伺いしたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  平成29年度以降のタブレット端末の整備についてでございます。  アクションプランでは、ICTを活用した授業を日常的に実施できるよう、平成29年度以降、学校での活用状況も踏まえながら、段階的に小学校、中学校にタブレット端末を整備していくこととしております。具体的には、29年度以降、毎年50校程度を対象に、教員が授業で使用するタブレット端末を全ての普通教室に整備するとともに、特別支援学級で児童生徒が使用するタブレット端末をあわせて整備していく予定でございます。  これらの整備によりまして、アクションプランの最終年度である平成31年度には、目標値である小・中学校161校においてこれらの整備が完了する見込みでございます。 ◆中川賢一 委員  平成29年度から本格的に導入していくということで、これから毎年50校くらいずつ進めていって、アクションプランの最終年度には161校に整備するということだったと思います。  161校まで行くのはかなり大変なのかもしれませんが、市内の小・中学校全体で見ると半分程度という状況にすぎません。3年たっても、導入されるのが半数の学校ということですと、学校によって子どもたちが受けられる教育の機会に差が生じてくる状態がかなり続くことが懸念されるわけでございます。これは、少しでも早く均一化して、教育の機会の平等化というものに進んでいっていただきたいなと思います。  また、今のお話では、各教員を中心に導入していくということですので、まだまだ生徒には導入できないと思います。全校生徒にというのは大変なことになるかもしれませんが、教員だけということでしたら、タブレットが持つ双方向性や拡張性がまだ十分に生かし切れないというふうに思います。本来は、数多く導入できればいいと思いますし、できれば、国の整備の目標にありますように、生徒もある程度利用できるようにと考えると、1クラスの生徒数ぐらい、30台や40台程度が整備できるように進めることが本当は望ましいという印象を受けます。ただ、財政上の制約等もおありでしょうから、きょうは、目標のレベルがどうなのかについて深入りするのは避けたいと思います。  ICT機器をこれから段階的に整備していくという方針については結構ですが、それらを活用した授業を効果的に行っていくためには、機器や教材の整備と並行して、それを利用する教員が実際にそれらを活用して効果的に授業を展開できるというような状態が確立されなくてはならないと思います。特に、現段階では、教員が中心になって使用する体制で進めるということでございますので、教える側の体制やスキルによって授業の質が大きく左右されるのではないかと考えられるわけです。  そこで、質問ですが、学校現場において、ICTを授業で効果的に活用していくための取り組みを今後どのように進めていくお考えなのか、お伺いしたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  学校現場における授業でのICT活用を促進するための今後の取り組みでございます。  教員がICTを活用した効果的な授業を行えるようにするため、これまでの実証研究や今後整備する学校から得られる効果的な事例を収集して、それらを全ての学校で活用できるよう、校務支援システムなどを通じて各学校が共有化できるようにしていく予定でございます。また、タブレット端末の整備にあわせまして、利用方法や効果的な活用法に関する研修を実施いたしますほか、ICTを活用した授業をより多くの教員が実践できるよう、活用の手引を作成するなどして校内の研修の支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。  このようなICT機器の活用を促進する取り組みをハード機器の整備とあわせて行うことで、学校現場でICTを活用した授業を日常的に行える環境を整備してまいりたいと考えているところでございます。 ◆中川賢一 委員  こういった情報機器の導入というのは緒についたばかりでございますので、これからいろいろやっていきたいということです。検証の中での活用事例を共有化していくとか、これから手引をつくったりして研修をやっていくというようなお話でございました。これらは、非常に結構な取り組みだと思います。  ただ、これからいろいろ進めていく中でご留意いただきたいのは、要は、情報を与えている、研修をやっている、あとはあなたたちができるのだからちゃんとやれよと現場任せにしないことが非常に重要ではないかと思います。  教壇に立つ先生は比較的若い先生が多いと思われますので、こういったICT機器への順応力というのはある程度高いのではないかと想像するところでございます。そうはいっても、それらの機器を教育のツールとしてきちんと使用して、汎用的に効果を上げていくためには、きちんとしたシステムやプログラム、トレーニングの仕組みも重要だと思います。さらには、これらをやった結果を客観的にきちんと検証して、これをアップデート、改善していく仕組みもさらに重要ではないかと考えるところでございます。それらに対して、教育委員会として、これからしっかりとした方向性をわかりやすく見える形で示していかなければならないと考えております。  先ほども申しましたが、教育の情報化が市内全校で均等に進められるように、早急に全校導入を加速させるべきだと思います。また、それと並行して、機器やシステムの活用方法や教員のスキル向上といった総合的な仕組みを全市的にきちんと整備していくことは不可欠でございます。こちらのほうは、まだこれからということなので、きょうは余り突っ込んだ議論はしないで、また今後にしたいと思います。ただ、これらの整備については、インフラの整備と違いまして、しっかりとやる気になれば、大してお金のかからない話なのではないかと思います。機器の整備ということですと、多額の予算がかかりますし、アクションプランという大きな呪縛があると思います。これらと離れてできる対策だと思いますので、ぜひ早急に検討してほしいと思いますし、先ほども申しましたが、今後の機器導入の実績とあわせて、今後いろいろと確認や議論をさせていただきたいと思います。 ◆中村たけし 委員  私からは、学校における教育相談体制の充実について質問いたします。  教育相談については、もちろん学校の教職員の皆さんが大きくかかわっているということもあります。その一方で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーと呼ばれる方々が大きな役割を果たしております。あらかじめ、この質問の方向性を示しておきたいと思いますが、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの充実が必要だという観点で質問させていただきます。  これは、私だけが申しているのではなく、今、政府の文部科学省で「次世代の学校・地域」創生プランというものを進めております。この中でも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等専門職員の職務の明確化、配置促進が明確にうたわれております。  そこで、質問に入りますが、昨今の子どもを取り巻く環境は、以前と大きく変わっております。これは、皆さんもそう強く感じているところだと思います。例えば、子どもたちは、インターネットを通してコミュニケーションをとることがふえることなどによって、じかに話したり、相手の感情を考えたり、おもんぱかるなど、こういったコミュニケーション能力の低下というものが一層進んでいると思います。  こうした社会状況によって、子ども同士のトラブルが増加することになり、その対応のために、学校では、教員とスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、さまざまなボランティアの方々などが連携して子どもたちを支えているという状況があります。今の学校教育において、一人一人の子どものさまざまな困り事、悩みに応じた教育相談の必要性が大変高まっているというふうに感じております。  そこでまず、確認の意味で質問しますが、学校における現在の教育相談の状況についてお伺いします。 ◎和田 児童生徒担当部長  現在の教育相談の状況についてでございます。  昨今、教育相談の内容が多様化・複雑化してきており、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家の果たす役割は非常に大きく、欠かすことのできない存在となってきております。各学校におきましては、スクールカウンセラーへの理解と認識が進んできていると捉えておりまして、悩みを抱えている児童生徒や保護者からの相談におきまして、十分に活用されている状況であるというふうに捉えております。  また、いじめや不登校などの背景には、家庭環境が影響している場合もあり、これまでの生徒指導体制では十分に対応できない事例もふえてきております。そうしたことから、福祉の専門家であるソーシャルワーカーが中心となり、関係機関と連携するなどして対応しているところでございます。 ◆中村たけし 委員  学校が抱える問題、生徒が抱える問題は複雑多岐にわたり、適切に対応することが必要であることから、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門的な知識を持つ人材が担う役割は、今の答弁でもわかりますように、大変重要であるという状況です。  しかしながら、スクールカウンセラーは、本市においては、中学校で週1回、小学校では月1回の配置となっております。児童生徒が抱える諸問題への相談に対応し切れていないというふうに感じます。また、スクールソーシャルワーカーにおいては、現在、全市で10人配置されておりますが、1人当たりの活動時間は毎月15時間程度と限られた時間になっております。このようなことから、私は、専門家が各学校に十分配置されているのだろうかということを危惧しております。  そこで、質問ですが、学校におけるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用の課題についてお伺いします。 ◎和田 児童生徒担当部長  スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用についての課題でございます。  現在、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置時間数が限られておりまして、児童生徒や保護者にとっては、必要なタイミングで相談に応じることが難しい状況です。さらに、教育相談を進める上で重要である相談者との信頼関係を築くための時間を十分に確保できていない状況もあり、そういった点が課題であるというふうに認識しているところでございます。  特に、ソーシャルワーカーにつきましては、支援を行う児童生徒や保護者の問題の背景に複数の要因が複雑に絡み合っていることが多くありまして、解決に向けて丁寧に対応するための時間が不足しているといった課題もございます。 ◆中村たけし 委員  今の答弁では、十分に相談の時間が確保されていなかったり、問題が複雑化しているため、対応していかなければならない課題が多いということでした。現状はそうなっているということですから、学校において支援を必要としている児童生徒や保護者のためには、専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用が大変重要であり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの常勤化が望ましいと考えております。また、冒頭に申し上げました「次世代の学校・地域」創生プランの中でも、平成32年度には各地域で常勤的配置の実現というものをうたっております。  そこで、質問ですが、学校における教育相談体制の充実に向けた今後の取り組みについてお伺いします。 ◎和田 児童生徒担当部長  教育相談体制の充実に向けた今後の取り組みについてです。  各学校におきましては、一人一人の児童生徒や保護者の思いに寄り添いながら教育相談を進めることが必要であることから、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家の活用を一層進められるように、教育相談体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆中村たけし 委員  教育相談体制の充実に向けて取り組んでいくということですが、もっともっと進めていただきたいと考えております。  社会情勢の変化により、先ほど来申し上げていますように、子どもの問題行動の背景は多様化・複雑化しています。残念ながら、家庭や地域の教育力が低下しているという状況がある中、教育相談というのは、学校において非常に重要な教育活動となっております。今、社会的に大変問題になっている子どもの虐待、子どもの貧困問題、いじめ、不登校、こういった本当に大きな課題を解決する手段として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの方々がこれから大変活躍していくものだというふうに思います。  スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは、国が3分の1の予算を出し、市は3分の2の予算を出すので、すぐにふやしていくことはそんなに簡単なことではないと私も思います。しかしながら、きょう、小角財政部長もこの委員会にご出席ですから、ぜひこの点を大きく受けとめていただきたいのです。  スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの充実については、他の会派もこれまで質問しております。古くは、教育相談の充実ということで、スクールソーシャルワーカーの有用性については、平成11年の委員会でも取り上げられております。昨年の議案審査特別委員会でも、我が会派の岩崎委員が取り上げて、充実を図るべきだと言っております。だから、私たちの会派だけが言っているのではなく、ほかの会派もこの充実に向けて取り組んでほしいと言っております。  そのことを踏まえて、長岡教育長に、来年度のスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの充実に向けて、予算要望にどのような姿勢で臨むのか、最後にお伺いしたいと思います。 ◎長岡 教育長  突然のご指名、ありがとうございます。  部長からも答弁がございましたとおり、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは、現在、学校現場で非常に重要なポジションを占めておりまして、また、そういう需要といいますか、必要性も格段に高くなってきております。  教育委員会といたしましても、拡充に向けてぜひ整えてまいりたいとは考えておりますが、アクションプラン2015で当面の5年間の計画が定まっており、また財源も限られているため、そこにピンポイントで大幅に拡充するのは難しい状況にございます。ただ、選択と集中という考え方もありまして、必要なところには資源を投入しなければいけないと思っております。  教育委員会としても、これまでどおりの形で物事を進めるのではなくて、スクラップ・アンド・ビルドを考えていきたいと思います。ただ、いろいろな必要性がありますので、スクラップというのはなかなか難しいところもあろうかと思います。やりたいものがあれば、別な形も考えながら、投入したい資源はビルドの部分にも厚く配分できるよう、教育委員会内部でも調整して進めてまいりたいというふうに考えております。 ○小川直人 委員長  ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前11時53分       再 開 午後1時     ―――――――――――――― ○小川直人 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆竹内孝代 委員  私からは、教育的配慮を必要とする子どもの新入学の手続についてと命を大切にする教育、指導の2項目について質問いたします。  まず初めに、教育的配慮を必要とする子どもの新入学手続について、保護者の不安を軽減するという観点から質問します。  本市の幼児教育センターでは、発達の様子が気になる就学前の子どもの教育相談を実施しておりますが、相談を申し込む多くの保護者にとって、お子さんの小学校入学は大きな不安と心配があります。私は、長年、幼児教育の現場におりましたので、こうした保護者の方々が、子どもが自分のペースで学ぶことのできる特別支援学級に入級するのか、それとも、支援を受けながらも頑張って通常学級に入級するほうがよいのかなどを決めかねて、悩まれている姿を目の当たりにしてきました。ですから、この不安がいかに大きなものであるか、十分理解しているところです。  保護者の方々は、教育相談に始まり、実際の学校指定に至るまでの間にさまざまな説明を受けた上で、みずから意思決定し、手続を進めていかなければなりませんが、この間の不安軽減のために、教育相談の中で時間をかけて丁寧な対応を何度も重ねていかなければなりません。  そこで、まず初めの質問ですが、本市の幼児教育センターでの教育相談の相談件数はどのくらいあるのか、そして、保護者の不安を軽減するための取り組みについてどのようなことを行っているのか、お伺いいたします。 ◎和田 児童生徒担当部長  入学前の相談の状況についてお答えいたします。  幼児教育センターでの相談件数は、ここ数年では年間1,300件ほどで推移している状況にございます。平成23年度からは、幼児教育センターのほかに、市立幼稚園と市立認定こども園におきまして地域教育相談を実施しているところでございます。地域教育相談につきましては、開始当初の年間1,038件から、直近の平成27年度には3,224件と5年間で3倍以上に増加しており、保護者のニーズが高いものと捉えているところでございます。その内訳は半数以上が4歳児以下となっておりまして、こうしたことから、早期から時間をかけて丁寧に対応している状況もございます。  さらには、身近な場所で継続的に保護者の思いに寄り添った教育相談を行うことで不安軽減につながっているものと考えております。 ◆竹内孝代 委員  保護者に寄り添いながら相談を行っていくというのは本当に大切なことで、身近な場所で、そして、継続的に教育相談を行うという地域教育相談も含めて、この5年間で約2倍にもふえているということで、大変重要なことだと思います。また、子どもを通学させる学校に対して、その子の状態への理解を深め、受け入れてもらえる上でも大変貴重な機会となりますので、引き続き力を注いでいただきたいと思います。  この教育相談の中では、障がいのある子どもに対して、一人一人の特別な教育的ニーズに応じた適切な教育が行われるように、障がいの状態やふさわしい教育内容等の検討を子どもの状況を詳細に聞き取りながら行います。そして、教育相談後は、札幌市学びの支援委員会の委員により、教育、心理、医学的な観点から心理教育的アセスメントが実施され、その意見を参考として、保護者の意向を確認した上で、札幌市教育委員会が就学先の指定を行うことになっております。  この特別支援学級のある就学先の指定に向けた手続については、例年9月から開始され、12月上旬ごろまでに就学相談の申し込みを行えば、1月末ごろまでには市内の全入学予定者に発送される入学通知書への反映が間に合うようになっております。ところが、新たに設置される特別支援学級の場合は、スケジュールが違っており、私が保護者の方々からご相談をいただいた内容によりますと、小・中学校ともに、入学目前の2月末ごろまで入学通知書の送付が行われず、ほかのお子さんとは1カ月近くも遅く通知書が送付されるため、心配な日々を送っているとのことでした。ほかの児童が入学通知書を受け取って入学準備を進めている中で、学校が確定した通知書を1カ月程度も待ち続けるということは、保護者に不安を感じさせてしまう原因になるものであり、ぜひとも改善をすべきであると考えます。  そこで、次の質問ですが、新たに設置される特別支援学級に入級する際の学校指定がおくれる理由と、そのことについての今後の対策をお伺いいたします。 ◎和田 児童生徒担当部長  就学校指定の早期化についてでございます。  新たに特別支援学級を開設する場合、学級に配置される教員が必要となるために、今までであれば、教職員配置の北海道教育委員会への届け出と回答という手続が必要になっております。ほかの入学者よりも入学通知書の発送がおくれるのは、そうしたことによるためでございます。しかしながら、来年度からの県費負担職員の市費移管に伴いまして、北海道教育委員会を経由することなく、札幌市では、学級開設と同時に学級に配置される教員を見込むことができるものというふうに考えております。  このため、新たに特別支援学級を開設する場合であっても、ほかの入学者と同時期に入学通知書の発送を行う予定になっております。 ◆竹内孝代 委員  今後は学校指定が早くできるとのことですので、安心する方々がたくさんいらっしゃると思います。どうか迅速で丁寧な対応をよろしくお願いいたします。  一方で、気になることは、保護者の就学相談の申し込みが12月中旬以降の場合は、希望の入級先とは違う入学通知書が届くこともあるという現実課題です。早い段階から教育相談を受けていれば、受け付けが始まる9月ごろを見据えた準備ができることから、教育相談を始める時期が遅くならないようにするための対策が今後重要であると思います。早くから教育相談を開始することで、就学先の決定に向けた相談の時間を十分にとれるほか、学校入学までの手続も円滑に進みます。しかし、就学相談の申し込みがおくれる保護者の方々は、どこに相談に行けばよいのかわからない状態であったり、働いている人であれば、時間の調整があることも原因の一つであると聞いております。  教育相談件数が増加しているということでしたが、相談がおくれる事例を考えますと、保健センターなど関係機関との連携などにより、早目の教育相談を受けられるよう、もっと広く周知し、必要な方々に情報がしっかりと届くための対策が必要だと考えます。  そこで、次の質問ですが、就学前の幼児の地域教育相談を周知するための今後の取り組みについてお伺いいたします。 ◎和田 児童生徒担当部長  早目の教育相談の周知についてでございます。  教育相談の周知につきましては、リーフレット、ホームページなどにより、広く周知を図っているところでございます。さらに、保健センターなどの関係機関とも連携しておりまして、平成26年10月からは、新たに始まりました5歳児健康診査におきまして周知しているところでございます。また、より早期に教育相談につながるよう、市立幼稚園を会場にした未就学児のあそびの広場や児童福祉施設等での説明会により、保護者への直接の周知も図っているところでございます。  今後は、幼稚園、保育所、小学校の教職員が交流する区ごとの幼保小連携推進協議会におきましても、機会を捉えて早期の教育相談の重要性などを説明し、それを受けて、教職員が保護者へその内容を伝えるなどして、広く丁寧に周知を図ってまいりたいというふうに考えております。 ◆竹内孝代 委員  今後は、新たな機会もつくり、周知していくということですので、ぜひともよろしくお願いいたします。  教育的配慮を必要とする子どもを持つ保護者の方は、強い不安感の中で教育相談に訪れております。このことを念頭に置き、ささいなことのように見えることでも、おろそかにせず、丁寧な対応を重ねていただくことを求めまして、この質問を終わります。  次に、命を大切にする教育、指導について質問いたします。  札幌市学校教育の重点の一つである豊かな心の育成においては、子どもが互いに尊重し、支え合いながら、ともによりよく生きようとする態度を育むとともに、他人を思いやる心や生命を尊重する心を育むことを大切にしています。  近年、子どもたちを取り巻くさまざまな環境の中で、悲しい事件や事故の報道が後を絶たず、教育の重要性がますます求められておりますが、本市においては、まず、子どもたちが自分自身を肯定的に受けとめること、そして、自分や他者のかけがえのない命を大切にする指導を徹底するなど、命を大切にする指導について、ここ数年来、大変力を入れて取り組んでいることと思います。  そこで、質問ですが、現在、教育委員会が実施している命を大切にする教育、指導の具体的な取り組み内容についてお伺いいたします。 ◎和田 児童生徒担当部長  命を大切にする指導の充実に向けた教育委員会取り組みについてでございます。  児童生徒の命にかかわる事故は、絶対にあってはならないことから、教育委員会といたしましては、全ての教員が児童生徒の特性を把握して、小さな心の変化も見逃すことのないように、教員一人一人の力を高め、学校の指導体制の充実に努めているところでございます。また、児童生徒が不安定になりがちな長期休業明けの8月末から9月末を子どもの命の大切さを見つめ直す月間に設定しており、生命尊重や思いやりをテーマとした授業を行ったり、児童生徒がともに支え合う教育活動を実施したりするなどして、命を大切にする指導を重点的に行っているところでございます。  さらに、平成27年度からは、北海道大学医学部とともに、児童生徒の命に関する事故の未然防止に向けた共同研究にも取り組んでいるところでございます。 ◆竹内孝代 委員  教育委員会が実施している命を大切にする指導については、大変多岐にわたっており、さまざまな取り組みが行われていることがわかりました。近年、全国では、子どもの痛ましい事故、また、みずから体を傷つけたりするなど、自己を否定するような行動をとる事例も少なくないと聞いております。このことについて、私は、現在、先ほどお話のありました札幌市教育委員会が北海道大学と共同で実施している自殺予防対策共同研究事業に注目し、その成果に期待しているところです。  そこで、次の質問ですが、教育委員会が実施している北海道大学との自殺予防対策共同研究事業の取り組み状況と今後の予定についてお伺いいたします。 ◎和田 児童生徒担当部長  北海道大学との自殺予防対策共同研究の取り組み状況と今後の予定についてでございます。  本共同研究は、教育の観点に加えて、心理や医療に関する専門的な観点を重視し、学校の教職員と大学の医師による研究に取り組んでいるところでございます。これまで、研究校におきまして、児童生徒の複雑な心の変化を捉えるための教職員の研修やストレスへの対処など、心の健康を保つことを題材とした事業などを実施しているところでございます。
     今後につきましては、子どもの心の理解や緊急対応のあり方をまとめた教員向けのガイドブックを作成させていただき、全教職員に配付するとともに、全ての教員が適切に児童生徒を支援することができますよう、全ての研究成果をまとめた本市独自の自殺予防カリキュラムを作成することで、命にかかわる事故の未然防止に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆竹内孝代 委員  北大との自殺予防対策共同研究事業については、今の答弁にありましたように大変期待できるものです。特に、ガイドブックを作成して全教員が活用できること、また、そのカリキュラムも検討していくということで、さらに前に進めていただきたいと思います。  一方、全国における子どもの痛ましい事件・事故の中には、いじめが原因とされるものもあり、いじめに悩む子どもたちを思うと大変心が痛む思いであり、我が党でも、いじめ対策については、長年、真剣に取り組み、各地で力強い推進をしてまいりました。いじめは、子ども同士のかかわりの中で発生するものであり、いつでもどこでも起こり得るものとの捉えから、教育現場はもちろん、学校以外で起こるいじめに対しても札幌市全体でしっかりと対応し、悩みを抱える子どもの小さなSOSに気づき、救っていかなければ、いじめの根絶にはつながらないと考えております。  このたびの札幌市いじめ防止基本方針の策定に当たっては、本市の子どもの権利条例の趣旨を踏まえ、そして、いじめの実態を捉えた実効的な方針となるよう、学校関係者、PTA、有識者等からの意見を参考にするとともに、パブリックコメントによって市民の意見を広くお聞きしたものであると聞いております。  そこで、最後の質問ですが、このたび策定された札幌市いじめ防止基本方針において、いじめの防止に向けた札幌市全体の取り組みについてお伺いいたします。 ◎和田 児童生徒担当部長  札幌市いじめ防止基本方針を受けた札幌市全体の取り組みについてでございます。  いじめは、児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害するものであり、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものというふうに考えております。そうしたことから、いじめは絶対に許されない行為であるというふうに認識しているところでございます。学校の内外において発生するいじめに適切に対応していくためには、学校と家庭、地域との連携はもとより、子どもにかかわる全ての大人が基本方針の理念を共有して主体的に取り組むことが重要であるというふうに考えております。  今後も、本市の子どもにかかわる全ての関係機関及び施設で構成している札幌市いじめ等対策連絡協議会が主体となり、それぞれの役割を改めて認識し、子どもの様子について学校と連携を図るなど、本市が一体となっていじめ防止に向けて努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆竹内孝代 委員  いじめの防止に向けた本市全体としての取り組みが高い意識を持って進められているとの答弁をいただくことができたと思っております。この命を大切にする教育、指導の充実に向けて、北大との自殺予防共同研究をさらに推進していただくとともに、広く市民の皆さんに札幌市いじめ防止基本方針を知っていただき、子どもを取り巻く環境を明るく温かなものになるよう、札幌市全体で取り組めるようにすることが大切だと考えます。未来を担う大切な子どもたちが心身ともに健やかに成長するよう、命を大切にする教育、指導に向けた取り組みの力強い推進とその充実を求めまして、私の質問を終わります。 ◆平岡大介 委員  私からは、就学援助制度の入学準備金の支給時期について、大きく3点質問いたします。  本定例会の代表質問において、我が党が入学準備金は入学前に支給するべきと求めたのに対して、教育長は、文科省からの支給が必要な時期に速やかに支給するように配慮することと通知が来ていることは十分配慮すべきと認識を明らかにいたしましたが、支給後に他市町村に転出した場合の返還手続が課題になると、入学前支給を行わない理由を述べました。  そこで、1点目の質問ですが、本市において、小学校で就学援助を受けており、中学に上がる際に市外に転出する事例は何件あるのか、その数と、就学援助認定者数の全体の何割を占めているのか、お示しください。 ◎引地 学校教育部長  小学校で就学援助を受給していた児童のうち、中学校へ進学後に就学援助を申請しないというケースについてでございます。  平成27年度に小学校6年生であった就学援助受給者2,363人のうち、今年度、中学校での申請がなかった方は340人であり、全体の14%に当たります。これらの方々は、他市町村への転出のほか、家計好転、生活保護への移行などの理由により、就学援助を申請しなかったものと推測しております。 ◆平岡大介 委員  今、ご答弁いただきましたが、小学校で就学援助支援を受けていた子は全体で2,363人、その14%、つまり約1割の340人が外れるということです。ただ、家計の好転などを理由にして認定から外れる子もいるわけですから、実際に市外に転出することに限られる世帯は、この数よりももっと少なくなるわけです。この1割の方々が入学準備金を支給された後に市外に転出してしまった場合の返還手続が課題だということでありました。かなりケースは限られてくるものと考えられます。  そこで、2点目の質問ですが、就学援助の認定の際に、入学準備金の支給後に転出した際には返還することになるため、転出する予定であれば事前に申告してほしいと丁寧に説明を行えば、本市の言う課題は解決すると考えますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  入学前に入学準備金を受給した生徒が市外に転出した場合の返還についてでございます。  入学準備金の支給時期等につきましては、来年度開催いたします就学援助審議会においてご検討いただき、その結果をもとに判断する予定となっております。入学準備金を入学前に支給する場合には、支給後に市外へ転出した際などに返還を求める旨を事前にしっかりと説明する必要があるというふうに考えております。 ◆平岡大介 委員  重ねて伺います。  今後、審議会で判断していくということですが、現時点での見解で、丁寧な説明、周知をすることによって返還手続の件数を減らすことができると考えますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  事前に返還の旨を保護者に連絡することをもって数を減らすことにつながるというふうに認識しております。 ◆平岡大介 委員  数を減らすことにつながるということでありました。  入学準備金を入学前に支給する自治体が全国的にふえております。また、支給が必要な時期に速やかに支給するよう、つまりは入学前に支給しなさいよと文科省が言っているわけであります。  例年の本市の入学準備金の支給額を見てみますと、全体では、小・中合わせて1年間で約1億円、中学校の入学準備金の支給額は約6,000万円でありました。これだけの金額であれば、補正予算を組んで、来年度から入学前支給を実施することが可能です。特に、中学校入学の際には、制服やジャージーなどが学校指定のものであるため、個別に安いものを選ぶことができません。部活で使う用具やユニホームにもお金がかかり、保護者の方々は本当に大変な苦労をしております。これは、新たに予算をつけてほしいと求めているのではなく、支給を早めてほしいと言っているわけです。返還手続が大変だという理由と保護者の方々の苦労をてんびんにかければ、おのずと答えは出るのではないでしょうか。  そこで、伺います。  入学準備金の入学前支給を改めて求めますが、いかがか。とりわけ、制度利用者の数の把握が可能で、保護者の負担の大きい中学校の入学前の支給を来年度から行うべきですし、急がれる課題だと思いますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  中学校進学時における入学準備金の入学前の支給についてでございます。  教育委員会といたしましては、就学援助費を必要とされる時期に速やかに支給することについては十分配慮する必要があるというふうに認識しております。今は実施内容や時期を明示できる段階ではございませんが、来年度開催する審議会において、中学校進学時における入学準備金の入学前の支給についてもご検討いただき、その結果をもとに判断してまいりたいというふうに考えております。 ◆平岡大介 委員  重ねて申し上げます。  中学入学時に転出などを理由に認定から外れるのがわずか1割、その1割の中で市外に転出するケースも限られますし、部長がおっしゃるように、その返還手続についても、事前の丁寧な説明で減らせるわけです。入学前支給ができない理由については、ことしの第1回定例会では、所得証明を5月に発行するので、家計が好転して認定から外れる世帯が出る可能性がある、その返還手続が発生する課題もあるとおっしゃっておりました。  しかし、小学校で援助を受けた世帯は、中学に上がっても約9割が援助を受けています。そういった点からも、収入が好転し、認定から外れるケースは極めて少ないと考えますし、仮に認定されなかった場合には返還手続が必要なのだと事前に丁寧に説明を行えばいいわけです。そういった課題も乗り越えて、実際に入学準備金の入学前支給をしている自治体があるのです。そして、今回は、返還手続があるとおっしゃっております。つまりは、入学前支給ができない理由をいろいろと述べておりますけれども、ぜひ、就学援助制度を利用する親と子どもの立場に立って考えていただきたいと思います。  内閣府が2009年に行ったインターネットによる子育て費用に関する調査によれば、子育て費用が最もかかるのが中学生です。学校教育費に係る費用割合は、年間の子育て費用の総額の17.6%にも上っております。だからこそ、来年の審議会を待たずに、今年度中に補正予算を組んで、せめて負担の大きい中学校の入学準備金の入学前支給を行っていただきたいと思っております。  それで、町田副市長にお伺いさせていただきます。  制度の趣旨からすると、必要なお金は必要な時期に出すことが必要です。だから、文科省も、支給が必要な時期に速やかに支給するよう配慮することと通知しているわけです。中学の入学式を目前に、子どもに世間一般と同じように必要なものをそろえてあげたい、部活にも通わせてあげたいと、親はいろいろとやりくりをしてそのお金を捻出しているわけです。そういった切実な親の願いに応えてほしいと思います。  何も、金額をふやしてほしいと言っているわけではないのです。せめて、負担の大きい中学入学前に入学準備金の支給を始めてほしいのです。そのことを改めて副市長にお伺いいたします。 ◎町田 副市長  入学に必要なお金というのは、わかりやすく言うと、学校に入る前にランドセルを買うお金を各家庭に支給するというのがやはり好ましい姿だと思います。  今、平岡委員からいろいろとご指摘がございました。なるべく早くやるということについて、教育委員会、それから財政局も含めて、どういった形で対応できるのか、早急に検討してまいりたいと思います。できれば、速やかにと考えているところでございます。 ◆平岡大介 委員  速やかに早急に検討するというご答弁をいただきました。本当にありがとうございます。  今後は入学前支給を行っていただいて、保護者の方々、子どもたちの願いにぜひ寄り添っていただきたいということを求めて、質問を終わります。 ◆細川正人 委員  私は、福祉教育という観点で質問させていただきたいと思います。  大阪市でつくっている「ふだんのくらしをしあわせに読本」という福祉読本がありますが、これは、中学2年生を対象にして学校教育の中で使われているということです。中身は、ふだんの暮らしを幸せにというのが福祉、福祉から幸福につながっていって、その幸せ、幸福とは他者を理解すること、そうした中で、どういった日々の暮らしをみんなで助け合っていくのか、助け合いの精神といった心を育もうということでつくられている内容になっております。  また、千葉市では、「やさしい気持ち 今の自分にできることから考えよう」という小学校向けの冊子が学校教育の中で使われていると聞いております。中身については、障がい者、高齢者、そして乳幼児を抱えたお母さん、さまざまな困難がどこにあるのだろうか、それを私たちが気づき、そして、今、私たちができることはどんなことだろうか、そんなことがこの中にしたためられておりました。それぞれの市では、こうしたものが福祉教育として使われております。  そうした面でいけば、福祉の教育というのは、人を思いやる気持ちや人と仲よくする気持ちを育てていく、育んでいくことに大変重要な役割を果たすものだというふうに思っておりまして、これが札幌市にあったらいいなと思っておりましたら、実はありました。札幌市の社会福祉協議会は、「障がいのある人に私たちは何ができるだろう?」という冊子を平成22年につくっており、それぞれ小学校5年生・6年生向けに配付されていたようでございます。ここで、すぐれているというか、大したものだなと思ったのは、福祉体験アイデア集として、この冊子を使って子どもたちにこういうことを学ばせるといいのではないかという教員向けのものもつくっていたということです。札幌市も、こういったものを有効に活用することが重要だろうということが一つあります。  もう一つ、実は、大阪や千葉では、障がい者に限らず、社会的な弱者の方々がどういう困難を抱えているのかを小学校、中学校の皆さんに知ってもらい、そして、そのときに、自分たちがどのようなことができるだろうかを考えていくという内容になっています。  札幌市の場合は、平成22年に作成されたものです。今日的な状況の中で、例えば、教育の課題や障がいのある方が今持っている現状だとか、さまざまな変化があると思います。  そこで、本日は、社会福祉協議会を所管している保健福祉局総務部長にお越しいただいております。この冊子の内容をしっかり充実させていくこと、改訂することが必要ではないかと考えますが、ご所見をお伺いいたします。 ◎白岩 保健福祉局総務部長  ただいまお話のございました冊子、福祉教育副読本の改訂と充実についてお答え申し上げたいと思います。  細川委員がご指摘のとおり、本冊子につきましては、作成してから相当期間が経過しております。この間、障害者差別解消法が制定されるなど、福祉を取り巻く環境が大きく変化してきている状況の中、また、学齢期における福祉教育の果たす役割も非常に大きくなってきていることから、内容の改訂に向けて前向きに検討してまいりたいと考えております。 ◆細川正人 委員  前向きに検討するということで、しっかりと検討していただきたいと思います。検討するということですから、ここは質問ではありません。  その改訂に当たっては、福祉の専門家や学識経験者、有識者など、さまざまな方がいらっしゃると思います。そういった方々から幅広く意見を聞く、あるいは、福祉関係施設の方からもご意見を伺いながら作成していくことが必要であろうと思いますので、そこのところは、検討の中でさらに検討を加えていただきたいと思っております。  もう一方、福祉教育の現状を踏まえた内容が大変重要であり、その必要性もあるというふうに考えております。よって、教育委員会サイドの連携もなければならないのだろうと思っております。  そこで、札幌市の小学校における福祉教育の取り組みの現状についてどのようになっているのか、そして、教育委員会として、今、前向きに検討すると言っていた冊子の改訂に当たって、社会福祉協議会と教育委員会の連携についてどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  小学校における福祉教育の取り組みの現状と社会福祉協議会との連携についてでございます。  小学校においては、社会科で、例えば、多目的トイレや点字ブロックなどのユニバーサルデザインについて学んだり、また、総合的な学習の時間では、実際に車椅子に乗ったり、手話を使って簡単な挨拶をしたりするなどの体験的な学習を進めております。このような学習を通して、子どもたちに、互いに支え合いながら、ともに生きようとする態度の育成を図っているところでございます。  次に、社会福祉協議会との連携についてでございますが、学校では、子どもがより福祉に対して理解を深めることができるよう、社会福祉協議会からアイマスクなどの教材を借りたり、障がいのある方を講師に招いたりするなどの連携を図っているところでございます。  今後も、教育委員会といたしましては、社会福祉協議会との連携は重要であると考えておりますので、福祉教育副読本の改定に当たっては、子どもにとってわかりやすく、教師にとっても教えやすいという観点から協力してまいりたいと考えております。 ◆細川正人 委員  わかりました。前向きに検討するということで、やりますとは言っていませんので、まだ仮の話かもしれません。しかし、その際には、しっかりと協力し、連携を図っていただきたいと思っております。  実は、「障がいのある人に私たちは何ができるだろう?」という冊子は、社会福祉協議会では、最初は教育委員会とも若干の連携があったかと思いますが、配付した後、学校で使われているかどうかの調査をしたことがないということをお聞きしました。  私の地域で、子どもを見守る地域の集いというのが毎年あります。ことしは、地域社会で「優しい地域を目指して・・発達障がいに気づき、理解しよう!!」という題で講演会がありました。その際に、発達障がいの子どもたちは、実は、我々が考えているロジックとは違うロジックで物を考える、違いがある、違いがあることは悪いことだ、そうではないんですよ、それぞれの子どもたちに個性があるんだ、個性として理解してください、そういったことを講演の中でおっしゃっておりました。80人ほどの地域の方々が出席していましたけれども、その思いを共有することができたなというふうに思っております。つまり、こうした福祉教育副読本なるものをつくって、そして、それを学校で使うことによって子どもたちが同じ思いを共有するのが重要なことなのだろうと思うのです。  そこで、この冊子は、新たなものができる可能性が高くなっております。教育委員会としてこの冊子をどのように活用していく考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。 ◎引地 学校教育部長  福祉教育副読本の活用についてでございます。  教育委員会といたしましては、福祉教育副読本が改訂された折には、小学校において、社会科や総合的な学習の時間に福祉に関する内容を取り扱う際、本冊子が活用されるよう、啓発してまいりたいと考えております。  さらに、今後作成する予定の教育課程編成の手引の中で、社会科や総合的な学習の時間はもとより、道徳の時間などでの活用につきましても掲載し、福祉教育の学習の充実に生かしてまいりたいというふうに考えております。 ◆細川正人 委員  学校で使うことによって、子どもたちが人を大切に思う心を育てていくことを共有していくことが重要であろうと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。  最後に、財政部長に質問ではありませんが、保健福祉局の総務部長は前向きに検討とおっしゃっておりました。でも、検討です。なぜなら、予算査定が終わっていないからであります。段々の議論を聞いていただいて、これって重要なことだよな、札幌市の子どもたちに必要なことだよね、そういった思いを持っていただいて、予算査定の際には十分にしんしゃくされることを心から願いまして、私の質問を終わります。 ◆山口かずさ 委員  私からは、学校における医療的ケアについて質問します。  先日の代表質問において、医療的ケアを必要とする子どもへの支援について質疑を行いました。以前は生まれてすぐに命を落としてしまった、救うことができなかった子どもたちの命を医学の進歩により救える事例がふえてきました。長期間入院した後、在宅生活に移行した後も、人工呼吸器の確認や経管栄養など、家族が医療的ケアを日常的に行わなければならない子どもがふえていること、そして、子どもを受け入れる障がい福祉サービスの事業所などが現状では少ないこと、障がい認定を受けてはいないものの、医療的ケアを必要とする子どもの把握が不十分であることなどを指摘しました。  また、小学校の通常学級に入学した際も、子どもと家族が一緒に登校して必要な医療的ケアを行わなければならず、家族の負担が大きいことについても指摘しています。この問題は、保健、医療、福祉、教育等の各関連分野にまたがる総合的な行政課題ではありますが、医療的ケアを必要とする子どもに対する現状認識について、代表質問では、札幌市としても、関係機関との連携を図りながら、実態把握も含め、早急に検討を進めていくとの前向きな答弁をいただいたところです。  そこでまず、最初の質問ですが、医療的ケアが必要な児童生徒への学校における医療的ケアの現状がどのようになっているのか、お伺いします。 ◎引地 学校教育部長  医療的ケアが必要な児童生徒と学校における医療的ケアの現状についてお答えいたします。  市立学校における医療的ケアの実施状況でございます。  豊成養護学校及び北翔養護学校において、平成17年度から看護師、教員、保護者の連携による医療的ケアを実施しており、現在は両校に非常勤の看護師を3名ずつ配置しております。豊成養護学校の在籍者24名のうち、医療的ケアが必要な児童生徒は15名、北翔養護学校の在籍者17名のうち、医療的ケアが必要な児童生徒は13名となっております。  また、小・中学校において、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒につきましては保護者等が対応しているところでありますが、昨年の調査結果によれば、医療的ケアを必要としている児童生徒の数は6名となっております。 ◆山口かずさ 委員  豊成と北翔養護学校については、モデル事業を含めると、既に2005年度から取り組みを開始しています。先駆的なものだとは考えていますが、その一方で、その他の札幌市立小学校、中学校においては、保護者、または、それにかわる者による対応を前提とした支援となっているのが現状です。特別支援学校や小学校において医療的ケアを行うに当たり、看護師配置や医療機関との連携協力、従事者の養成研修などの基本的な考え方は、2011年度の文部科学省通知、特別支援学校等における医療的ケアの今後の対応についてに示されています。これらについては、札幌市においても、豊成と北翔養護学校では既に取り組まれていますが、小・中学校における医療的ケアについても早急に対応を考えていくべきだと思います。  そこで、質問ですが、小・中学校における医療的ケアの今後の実施の見通しについてお伺いします。 ◎引地 学校教育部長  小・中学校における医療的ケアの実施の見通しについてでございます。  小・中学校における医療的ケアの実施に際しては、病状の急変など緊急時に看護師だけでは対応できないことや、看護師と保護者の連携方法など幾つかの課題がございます。  今後につきましては、他の自治体での実施状況を調査するなどして課題の整理を進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆山口かずさ 委員  医療的ケアの看護師配置に関する国の補助制度については、以前までは特別支援学校を対象としていたものが、2016年度からは小・中学校にも拡大され、2017年度概算要求においても、看護師の配置人数の拡充が盛り込まれています。ほかの政令市を見ても、補助制度を活用するなどして取り組みを開始しているところがふえてきています。ことし6月の児童福祉法の改正により、医療的ケアを必要とする子どもに対する支援が法制化されたという趣旨なども踏まえて、何としても優先順位を上げて取り組んでもらうことを強く求めます。  次に、医療的ケアと関連して、入院加療中の高校生に対する教育的支援の問題があります。  本年7月の報道記事では、高校の院内学級設置を求める入院中の高校生が紹介されていました。札幌市在住の私立高校3年生の生徒が、がんの治療のため、半年間の入院が必要となり、その年の卒業が難しくなってしまい、学校に行きたい、友達と一緒に卒業したいとの思いから、札幌市長宛てに、高校の院内学級設置を求める手紙を出しました。  高校の場合、単位認定のためには、同じ学校の教諭が入院先に訪問して授業を行う必要があり、院内学級の設置とは別の手法を考えなければならないと聞いていますが、この生徒のように、同じ学校で卒業したいというニーズは今後も出てくると考えています。ほかの府県では、学校から入院先に教諭の派遣を実施しているところもあり、まずは札幌市立の高校だけでも対応すべきと考えています。  そこで、質問ですが、病気などにより長期間にわたって学校に通うことができない高校生に対してはどのように対応していくこととなるのか、お伺いします。 ◎引地 学校教育部長  病気などにより長期間にわたって学校に通うことのできない高校生に対する対応についてお答えいたします。  高校の場合、各教科等の内容や授業時数などが定められている小・中学校とは違い、学校ごとに教育課程を定めておりまして、所定の期間内に一定の単位数を履修しなければ卒業できない仕組みとなっております。あわせて、自学自習による単位取得が特例として認められている通信制高校を除き、全日制や定時制の高校の場合、原則として、生徒が在籍している学校の教諭が行う授業を受けることによって単位の履修が認められることとなっております。  入院期間が長い場合は卒業に必要な単位取得が難しくなりますが、入院中であっても、卒業までの間に必要な単位取得が見込まれる市立高校の生徒につきましては、他府県で実施しているような入院先への教諭の派遣といった手法も考えられることから、それらを参考にして検討してまいりたいと考えております。 ◆山口かずさ 委員  今の答弁では、学校から入院先の教諭の派遣を検討すると言っていましたが、どうぞよろしくお願いいたします。  教育、医療、福祉、保健など関係機関の連携をさらに強めて、札幌市に住む全ての子どもたちが地域で安心して教育を受けることができるような環境の整備をしっかりと行うことを求めて、私の質問を終わります。 ◆伊藤理智子 委員  私からは、外国語指導助手、ALTについて質問します。  今回の代表質問で取り上げましたが、この問題を引き続き取り上げたいと思います。  本市は、毎年、市内の市立小・中・高校約300校にALTを派遣しています。本年度は、国がかかわる外国青年招致事業、JETプログラムの35人に加え、民間業者に委託して65人を確保し、小学校の外国語活動に月1回、中学校の英語の授業に週1回程度派遣する計画でした。しかし、落札した業者がALTの人数を集められず、派遣開始が2カ月おくれの7月にずれ込んで、本年度のALTによる授業は、小学校で当初より2回少なくなり、中学校では3回から、多いところでは7回も少なくなりました。  今回の代表質問で、我が党は、業務委託によって担当教員と互いに協力して授業を進めるチームティーチングが機能しないこと、委託契約のALTは、本市の直接雇用のJETのALTと比べて給料が低いことなど、問題が多いことをただしました。しかし、業務委託について、本市は、経験者や研修を積んだ優秀な人材が多く、急な帰国や退職の際にはかわりのALTが対応できるなど、子どもたちにとって効果的で安定的な指導を行うことができると答弁されました。業務委託のメリットを強調された答弁だったと思いますが、業務委託が本当に教育の現場にふさわしいのか、私は疑問です。  そこで、質問ですが、業務委託のデメリットについて教育委員会の認識を明らかにしてください。 ◎引地 学校教育部長  業務委託によりALTを配置した場合の課題についてお答えいたします。  業務委託によるALTの配置の課題についてでございますが、具体的な授業の段取りや進行、調整などをその場で担当教員からALTに指示することはできないことが一つあります。しかしながら、この点につきましては、現在、教員の要望や授業内容を盛り込んだ計画書を事前に提出することで対応しております。 ◆伊藤理智子 委員  指示することができないけれども、それには対策をとっているというようなお話だったと思います。  そもそも、ALTとのチームティーチングは、担当教員と互いに協力して進めるということですけれども、チームティーチングの本来のあり方について、文科省は、ALTの役割は、基本的には、担当教員の指導のもと、担当教員が行う授業に係る補助をするとしています。授業前に、担当教員が作成した指導計画、学習指導案に基づき、授業の打ち合わせを行うとともに、教材の作成等を補助する、授業中は、担当教員の指導のもと、担当教員が行う授業を補助する、授業後は、担当教員とともにみずからの業務に関する評価を行い、改善方法について話し合うとしています。  子どもたちの英語授業を豊かにしていくためには、担任教員との綿密な話し合いのもとで進めていくことが本来のALTの仕事だと思います。文科省が述べているように、ALTとのチームティーチングによって、児童生徒にとってより豊かな授業にしていくことができると思いますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  ALTによるTTの授業の効果についてということでございます。  チームティーチングの授業につきましては、子どものことをよく知り、授業全体の流れをよく見ている担任教諭と英語の専門性の高いALTが協力しながら授業を進めることで効果的な学習ができるというふうに認識しております。
     学級担任や英語担当教員は、現在、ALTとの役割分担を明確にしつつ、計画書どおりの授業が可能でありまして、ALTと学級担任及び英語担当教員は、現在、必要に応じて会話形式の例示等も示すことができるようになっておりますので、そういった観点では、TT形式の学習は効果的になされているというふうに考えております。 ◆伊藤理智子 委員  業務委託でやっていることに問題がないのだということをしきりに一生懸命言っていらっしゃるのかなと思います。担当教員とALTが、子どもたちを真ん中にしながら、どういう授業の進め方がいいのか、授業中はどういうふうにしていくのか、授業が終わったときにはどういう改善をしていくことがいいのかを綿密に話し合いながら、お互いに連携していくことは本当に大事だということがチームティーチングの本来の進め方だと思います。教育現場というのは、子どもたちにどういう授業をしていくのか、そして、幾ら指導補助だとしても、その先生も子どもたちのことをしっかりと把握しながら、担任の先生といろいろやりとりしながら進めていくことが教育現場のあり方だというふうに思います。しかし、業務委託というのは、やりとりをすると偽装請負になってしまうことから、今回、問題があるとも指摘されているわけです。  教育現場で、英語を通してALTの出身国の文化や歴史を伝え、子どもたちに国際人として成長してもらうための仕事をしているのに、1年契約で継続して働き続けられない、教育者としての経験を積み上げられないという問題や、同じ仕事をしているのに、JETは月30万円の給料ですが、NON−JETは月23万円と賃金に7万円もの格差があり、社会保険にも加入していません。契約が5月から3月までなので、4月は収入がないために生活が大変で、自立して働き続けることが難しいという現状もあると聞いています。  同じ仕事をしているのに賃金の格差があることについてどのように認識されているか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  民間委託のALTとJETALTの給与格差についてでございます。  給与等の労働条件につきましては、雇用主と労働者の双方の合意に基づく雇用契約によるものであり、教育委員会が関与することは難しいところでございます。  JETALTにつきましては、週35時間常時勤務しており、給与も全国統一となっているのに対しまして、民間委託のALTは、時間講師的な配置となるため、給与などの面で差が生じる場合もあり、JETALTより低賃金の方が多いことは認識しております。 ◆伊藤理智子 委員  札幌市が子どもたちのために、私たち日本人ではなくて、英語圏で生活している人たちの生の英語を聞きながら、国際人として成長していくというところでALT事業を始めてきたと思いますので、ちょっと人ごとなのかなと思えるような答弁だったと思います。  既に直接雇用を実施している自治体に、直接雇用のメリットとデメリットがあるのかを聞いてみました。さいたま市では、ALTの直接雇用が68名になっています。直接雇用にした理由は、教育委員会がALTの先生と直接話し合って英語教育を進めたいのに、業務委託だとそうならないために直接雇用にしたということです。メリットは、直接雇用のほうが業務委託より予算が安く済み、ALTと直接何でも話せるようになったということだそうです。直接雇用になったことで、健康保険にも加入しているということです。さいたま市の直接雇用がいいということが広がって、ALTの先生の中で働きたいという人がさいたま市に直接たくさん来るようになり、ほとんどやめる人がいないし、突然やめることになっても、募集をかければすぐに次の人材確保にもつながり、全く問題はないということでした。デメリットについて何かありますかとお尋ねしましたら、デメリットはないということでした。  大阪市では、子どもたちにネーティブな教育をしたいと、2012年度からALTを直接雇用にしたそうです。今までの業務委託では、2時間程度でALTが帰ってしまう、直接話すと偽装請負になってしまうことが教育委員会自体も疑問だったということです。メリットは、先生と直接話し合いができること、直接雇用になったら、一日ずっと学校にALTの先生がいるので、授業中だけではなく、日常的に子どもたちと英会話で話せるようになったことだと言っておられます。デメリットについてお聞きしますと、この大阪市もデメリットはないということです。  直接雇用で待遇を保障することでALTが集まり、子どもたちにとっても、ALTで働き続ける人たちにとってもよい教育環境になると考えますが、実際に直接雇用している自治体の話を聞いて、本市としてどう受けとめられたのか。ALTを直接雇用している自治体から実践を学んで、本市としても直接雇用に踏み出す検討を進めるべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  直接雇用についてでございます。  業務委託によるALTは、教員がALTに直接指示ができないというデメリットはあります。一方で、授業で効果的に活用できる教材や指導方法を委託業者から提供されるというメリットがございます。JETプログラムによるALTは、教員が直接相談しながら授業の内容を考えることができるなどのメリットはございますが、一方で、中途退職や一時帰国の際には迅速に代替のALTを配置することができないというデメリットも抱えております。  自治体独自の直接雇用につきましても、このJETプログラムによるALTと同様のメリットとデメリットが考えられると捉えておりますが、ALTの人材確保の方法につきましては、それぞれメリット・デメリットがございますことから、委員がご指摘のとおり、今後、他都市の取り組みなどを参考にしながら、引き続き検討していきたいというふうに考えております。 ◆伊藤理智子 委員  札幌市の子どもたちが本当に豊かに国際人として成長していくために、ALTが果たしている役割は非常に重要だし、この果たしている役割について、代表質問において、教育委員会でも大切だという見解を持っていらっしゃるというふうに答弁されたと思います。業務委託のいいところもあるのだと強調するのは、やっぱり、教育委員会や学校現場でいろいろな準備をしなくても、全部パックになってくるから便利だということであって、では、ALTとして働いている先生たちの待遇はどうなのか。日本が好きになって、日本に憧れて、そこで長く働き続けたい、そして、子どもたちも好きで、日本の子どもたちと交流しながら日本に住み続けたいと思っている人たちの待遇が本当に改善されないことから、なかなか定着していかない、働き続けられないという不安もあるのだということをしっかりと受けとめていただきたいと思います。  今、私は、2カ所の他の自治体で直接雇用をしているところを紹介しましたが、デメリットがないと言い切るぐらい直接雇用にしたことで効果があると言われていますから、そこのところもしっかり見ていただいて、学んでいただいて、直接雇用にしていくためにはどういうことが必要なのかを検証していただきたいと思います。  また、代表質問でも求めましたが、やっぱり、業務委託は便利なのだということだけではなくて、業務委託で働いているALTの先生たちがどんな思いでどんな不安を抱えているのか、どうしたら継続して働いていけるのかという直接の声をぜひ聞いていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。 ◆ふじわら広昭 委員  私は、札幌市青少年科学館について、3項目質問いたします。  1項目めは、青少年科学館の展示物などの更新計画づくりに向けた外部調査について、2項目めは、同科学館の山崎直子名誉館長との連携強化について、3項目めは、同科学館の年間パスポート券導入について質問いたします。  初めに、青少年科学館の展示物などの更新計画づくりに向けた外部調査について質問いたします。  札幌市青少年科学館は、昭和56年に、札幌市の科学及び科学技術に関する知識の普及啓発を通じて、創造性豊かな青少年の育成を図ることを目的として設置されております。社会教育施設であり、博物館法に基づいて登録されております。昭和56年度に開館して以来、平成27年度末で35年間の入場者数は約1,240万人に達しております。平成27年度の入場者数は約33万人でした。平成26年度の入場者数は、過去最高の約44万人であります。これは、リニューアルオープンをした関係もあります。一方、ことし9月末の入場者数は、前年同月期と比較して約3,400人増となっております。今年度末までの推計入場者数は、前年度並みの約33万人前後が見込まれるわけであります。いろいろな状況によって利用者の増減はありますが、多くの札幌市民や道内の小・中学校などでも社会見学などで利用され、多くの方に親しまれております。  同科学館には展示物のみで244点あり、過去5年間、平成22年度から平成26年度まで96点、全体の約39%が更新されております。青少年科学館が開館してからことしで35年になりますが、同科学館の展示物をどのように更新していくのかという計画は、いまだに作成されておりません。  この間、平成19年に第2次札幌新まちづくり計画において基本的なものを策定しなければならないとされてから、既に10年が経過しようとしております。ことし3月の予算特別委員会でこうした状況を指摘したところ、当時の生涯学習部長は、平成28年度に、300万円の予算で、展示物のあり方も含めて、今後の青少年科学館に求められる役割や施設整備について、外部に業務委託し、調査を行うとのことでありました。この調査結果を踏まえて、今年度中に今後の青少年科学館の整備の方向性について検討してまいりたいと答弁されております。  そこで、質問の1点目は、現在、新年度に入ってから7カ月が経過しようとしておりますが、今申し上げた外部調査は実施されているのかどうか、まず、伺いたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  青少年科学館の今年度の調査の進捗状況についてでございます。  今年度の調査におきましては、まず、小・中学校の理科の授業におきまして、科学館の展示物や設備の活用が可能かどうかについて、理科教育の実践研究を行っている小・中学校の教員の方々12名の力をかりまして、主に夏休み期間中を中心に7月26日から9月30日までの期間で調査を依頼し、現在、その結果を取りまとめているところでございます。  さらに、委員のご質問の中にもございました外部委託による調査につきましては、先ほど申し上げた教員の調査結果の取りまとめの後、科学館の展示物や設備の状態、他都市施設の状況のほか、利用者アンケートなどを委託により実施する予定でございます。 ◆ふじわら広昭 委員 あたかも調査をしているように答弁しておりますが、夏休み中の期間にやられている調査というのは、多分、内部の調査であって、私が指摘しているのは外部の調査ということです。以前にそちらからいただいた資料では、四つの項目で、今、部長が答弁された理科の科学館活用調査は内部でやるということでした。そして、科学館の関係については、実施事業の調査や展示物、設備等の調査、他都市の調査、アンケート調査は、外部のコンサルタントを使ってするということです。そういう意味では、まだ半年近くありますが、外部の調査をするという答弁をしているものの、この段階においても外部の調査がされていません。それは、先生方などに対するアンケートの結果が出てから、それに基づく調査をするということです。  しかし、確かに関連性はあるかもしれませんが、やはり、外部の調査を早めて同時並行で行うことが必要であり、前の部長の答弁の趣旨もそうしたものだというふうに私は理解いたします。なぜ10月になっても調査が実施されないのか、先ほど部長から夏休み期間中の調査の結果が出てからやるという答弁がありましたが、私ども議会としては、それだけでは理解するわけにはまいりませんので、その辺について、もうちょっと具体的な考え方を示していただきたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  外部調査の始める時期等についてでございます。  先ほどの答弁の中でもご説明申し上げましたとおり、現場の教員による調査の結果も踏まえながらということで、現在のところ、11月に発注して年度内に調査を完了するというスケジュールを想定しているところでございます。 ◆ふじわら広昭 委員  11月中に発注して、年度内にということであります。  教育委員会としては、新しい計画をつくる上で、こうしたものを平成28年度中に進めていくけれども、できれば早く結果を出して、29年度から本格化する計画づくりについて少しでも科学館と協議して、計画づくりがスムーズに行くように事前の打ち合わせをしっかりしたいという旨の答弁も3月にされております。そういう意味では、新年度に入ってからこうした取り組みをされてはいますが、今のような感じでは本気度がちょっと伝わってこないという状況です。  当時、町田副市長から答弁をいただいたときにも、生涯学習や学校教育の中で青少年科学館をしっかり位置づけていかなければならないので、新年度に行う調査の中でしっかり検討していきたいということでした。ですから、本来は、平成27年度に実施しなければならない調査だったはずです。ことしの予算議会のときに、なぜ27年度にできないのかということをただしましたら、前部長は、平成27年度はプラネタリウムに力を注いでいて調査にはなかなか手がつかなかったので、平成28年度は早急にスピードアップして対応していきたいと正直に答弁しているわけです。  確かに、夏休みなどを利用しなければなりませんが、そうしたことからいくと、取り組みのスピード感が全く遅く、遺憾に思うところであります。いずれにしても、しっかりと外部調査をしていただきたいということを申し上げて、次の質問に進みます。  次は、青少年科学館の名誉館長に就任いただいております山崎直子名誉館長、宇宙飛行士との連携強化について質問いたします。  平成25年1月に名誉館長に就任いただき、ことし4月に任期更新のご承諾をいただいて、当面、平成30年度末まで名誉館長としてお引き受けいただいております。山崎氏に名誉館長を要請する際に、札幌市はいろいろなご苦労をされました。当時の町田教育長は、当時の上田市長とともに鎌倉まで行きました。そして、当時の東京事務所の副所長、現在の議会事務局次長ですが、その方を含めて、多くの方が山崎直子さんと会えるよう、日程調整などをしっかり行いながら対応してきました。当初は、千葉市からも山崎直子さんに顧問になってほしいという要請がありましたが、やはり、上田前市長や当時の町田教育長の熱心な思いが伝わって、千葉市の要請をお断りして、札幌市の名誉館長となっていただいて今日に至っております。  山崎直子さんが名誉館長に就任した際に、科学館のプラネタリウムのホールで記念講演がありましたので、私も参加いたしました。子どもたちからさまざまな質問を受けましたが、どういう返答、対応をするのか、私も見ておりました。当時は簡易なステージがありまして、質問はそのステージで聞いていましたが、説明したり答えるときには、子どもさんのすぐそばまで行って、子どもの目線でわかりやすく話していました。そして、さまざまなお話をしてくれましたし、山崎直子さんは、言うまでもなく、小学生の間、短い期間ではありますが、真駒内曙小学校に通われていて、札幌市にもそれなりの思いがあるわけです。そうした方としっかりと連携して、これからの科学館、あるいは、科学館だけではなくて、札幌市のいろいろな局からも要請があって来札しておりますが、そうしたことをしっかりしていかなければならないわけです。  そういうことを踏まえて、教育委員会としては、これまで、山崎名誉館長に就任いただいてからどのようなイベントや講演会などに参加いただいているのか、改めて伺いたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  山崎直子名誉館長のこれまでの活動の状況ということでございます。  山崎名誉館長におかれましては、公私とも大変ご多忙な中、就任以来、科学館で実施している特別展やプラネタリウム番組の企画、制作にも携わっていただいております。平成25年1月に就任いただいて以来、この間、全部で4回の講演会に参加していただいております。そのほか、25年には科学館の天文・地球科学コーナーのリニューアルに関する助言をいただいたり、あるいは、28年3月にはプラネタリウムのリニューアル記念事業の選考委員長なども務めていただいたところでございます。また、この4月、プラネタリウムのリニューアル式典では、お忙しい中、ビデオレターでメッセージをいただいたところでございます。 ◆ふじわら広昭 委員  これまで4回の講演会などを含めたいろいろな取り組みについて答弁がありました。  2点目の質問に移りますが、これからの展示物や科学館のあり方の計画をつくる上でも、山崎直子名誉館長のご助言やアドバイスを求める必要があると思います。そういう意味では、この計画策定は来年から本格的に実施しますが、山崎直子さんも大変お忙しい方ですから、やはり、早目の準備というか、取り組みをしていかなければなりません。  そこで、山崎直子名誉館長にアドバイスをいただく考え方があるのかどうなのか、この点について伺いたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  科学館の施設整備の計画策定への山崎直子名誉館長のアドバイスについてでございます。  科学館整備の基本構想につきましては、先ほども答弁させていただきましたが、今年度の調査結果も踏まえて、来年度以降、策定することを予定しております。この間において、もしご本人の同意が得られましたら、これまでもさまざまな形でご協力をいただいております山崎名誉館長に何らかの形でアドバイスをいただけたらと考えております。時期、タイミングについては、これから検討したいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  質問の3点目は、今、部長からも答弁がありましたが、山崎名誉館長は、超多忙なスケジュールで国内外で活躍されております。早目に日程の調整をしておかなければ、ただ計画づくりが進められて、1カ月前や数週間前にアポをとってもそうしたことにはなかなか結びつかない可能性が高いわけです。私は、そういう意味で、計画づくりも、年度内に方向性をまとめればいいというのではなく、そうしたことを視野に入れた対策をするためにもしっかりした取り組みをすべきだと冒頭に申し上げたわけです。  3点目の質問ですが、今年度はもう6カ月しかありませんが、計画づくりだけではなく、平成30年度末までできるだけ山崎直子さんに札幌に来ていただけるようにすべきだと思います。宇宙の話やいろいろな話をお聞きしたいという市民はたくさんいると思いますから、教育委員会と科学館が今から企画を立てて、早目にスケジュールを調整していくことが必要だと思いますが、そういったことについて科学館と協議をしているのかどうか、伺いたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  今回の計画策定に関する山崎名誉館長のアドバイスについて、その時期、タイミング等は科学館と協議しておりません。ただ、山崎名誉館長におかれましては、ことし7月16日に「宇宙の仕事をしてみたい」というテーマで講演をいただいたり、あるいは、科学館以外の事業に関しても、本年11月7日に開館いたしますえほん図書館の星と空の文庫というコーナーの書籍等の選定などにもご協力いただくなど、このようにさまざまな形で事業にご協力をお願いしているところでございます。  この計画策定に当たりましても、委員がご指摘のように、ぎりぎりにということではなくて、なるべく早目にご相談申し上げたいと思います。 ◆ふじわら広昭 委員  イベントなども含めて、山崎直子さんは、日程が許せば快く来ていただいていると思います。私が聞いている限りでは、最初に要請する際には、できれば、年2回ぐらいは札幌に来てイベントの助言や講演をいただきたいという旨を伝えていると思います。  山崎直子さんは、無報酬で名誉館長を引き受けていただいておりまして、講演があるときには交通費や宿泊費等を科学館あるいは主催者がお支払いしている状況です。そういう意味では大変奇特な方ですから、しっかりと連携して、札幌市民や子どもたちが山崎さんの貴重な体験に接する機会をつくるためにも、教育委員会が主導して早目に企画を打ち出し、科学館とも日程を調整していただきたいということを求めて、最後の質問に移ります。  次は、青少年科学館の有料入館者への年間パスポート券の導入について質問いたします。  現在、小・中学生は無料、大人は、65歳以上は展示コーナー700円が500円に、プラネタリウムは500円が360円となる割引を行っております。今申し上げた以外の一般利用者が利用する場合は、展示コーナーのみは700円、プラネタリウム1回500円、両方で1,200円をいただいております。また、単品ではなくて、二つを利用する際は1,000円で購入できるセット券の制度や回数券があることも承知しております。  ことしの予算特別委員会で、年間パスポートの導入に対する私の質問に対して、当時の生涯学習部長は、導入による来場者の増加、リピーターの確保など一定の効果が見込めますが、一方で利用料収入の減少といった可能性もあることから、料金設定などについては慎重な検討が必要と考えている、導入の可否については、今後、指定管理者である札幌市生涯学習振興財団と協議していくが、前向きに検討していきたいと答えております。  質問の1点目は、新年度に入ってもう10月になりますが、具体的にどのようなレベルでこれを協議して、その内容はどのようになっているのか、伺いたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  青少年科学館の年間パスポート導入に向けての財団との協議というご質問でございます。  青少年科学館の年間パスポートにつきましては、指定管理者である生涯学習振興財団におきましても、その検討の必要性について認識しているものと伺っております。本年1定の予算特別委員会においてふじわら委員からご指摘をいただきまして、その後、速やかに財団に検討の依頼を行いました。年間パスポートの導入は、市民サービスの向上の取り組みということでございますことから、導入時期につきましては、平成30年4月の次期指定管理者の更新のタイミングに、財団から提案されるほかのさまざまな市民サービスの向上の取り組みの中に含める形で総合的に評価することが適当と考えているところですので、今、財団でもそのようなスケジュール感で検討を行っていると伺っております。 ◆ふじわら広昭 委員  2年先まで待てないというわけではないですが、私は、行政側として、やはり、市民ニーズに応えるために最大限の努力をする必要があると思います。例えば、来年4月からは指定管理者の最後の1年の活動期間となりますが、各指定管理者は、毎年、3月末までに各年度の事業活動計画書を出して、1年間の指定管理費用の一部の何カ月分かを新年度早々にいただきます。そういう意味からも、私は、別に指定管理者の更新時期でなければできないという大きなネックになるようなことはないと思います。確かにシステムの問題などはあると思いますが、私が調べた限り、動物園では、機械を使ってシステムで発行するのではなく、受け付けの人がそこにいて、1,000円をいただいて、カードをお渡しし、入場する最初の日付と名前を書いて中に入っていく方式をとっております。システムが古いとか、そういうシステムを導入しなければできないとか、あるいは、指定管理者の更新時期に合わせるというのでは、市民の要望を市役所の都合に合わせてくれということになるのではないかと思います。  そうしたことについて、もう一度、考えをお聞きしたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  青少年科学館への年間パスポートの導入の時期についてでございます。  施設の運営におきまして、年間パスポートの料金をどう設定するのか、あるいは、それに伴って利用料金収入全体がどうなるのか、また、年間パスポートを入れることによって発行等の手間がふえる、人件費がふえるといった経費の増加など、現在の指定管理費用に影響を及ぼす懸念もあります。その辺は慎重に検討していかなければなりません。  それから、委員のお話にもありましたとおり、現在、青少年科学館の入場管理はシステムで行っておりますが、当然、これについても改修が必要になってまいります。ただ、システムを改修するとなれば多額の費用と長い期間がかかりますので、もし平成30年4月の指定管理の更新の際から年間パスポートを入れるということになれば、今、委員のお話の中にもあった動物園の年間パスポートの発行方式、手作業で発行して手作業でそれをチェックするというやり方の導入を検討することになるのかなと思います。  いずれにしましても、それらの具体的なやり方、収支の見通し等を検討する必要があることを含めて、先ほど私から答弁させていただきましたとおり、財団から提案されるさまざまな市民サービス向上の取り組みの中の一環として、次期指定管理の選定の際に総合的に評価することが、指定管理者制度が公の施設の運営に導入された趣旨にかなうものであるというふうに考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  減収が伴うこともあるということですが、私が3月にこの問題を提起してから、そちらでどういう検討をしたのか、日程をきちんと出していただきました。そこで、収入に対してどのぐらいの減収になるのかという金額をはじいているのがあれば、お聞きいたします。  それから、科学館は生涯学習振興財団の管理施設の一つでありますから、余剰金などが発生すればちえりあと一緒の会計の中に納められていきますが、生涯学習振興財団の内部留保金は現状でどのぐらいになっているのか、あわせて伺いたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  年間パスポートを発行した場合の収支見通し及び生涯学習振興財団の内部留保資金のお尋ねでございます。  年間パスポートを発行した場合の収支見通しについては、もちろん、現段階ではこれという試算結果はございません。というのは、そもそも料金を幾らに設定するのか、それによってどのぐらい入場者がふえるのか、つまり、利用料金収入がふえるのか、減るのかというのは料金設定によっても異なってまいります。その辺は、今後、財団で検討していただくに当たって、ことしの4月にリニューアルしたプラネタリウムのリニューアル後の利用者数の動向なども踏まえながら検討していくことになるというふうに考えております。  それから、内部留保資金についてのお尋ねですが、内部留保資金の定義につきましては、運転資金とのすみ分けがなかなか難しい部分がありますので、明確なものはございません。  しかし、札幌市の出資団体の内部留保資金につきましては内部留保資金の活用計画を立てることになっておりますが、科学館を管理する札幌市生涯学習振興財団におきましては、平成22年度から27年度までで約2億円の内部留保資金を活用する計画を立てまして、27年度までで計画額の2億円を上回る執行を行ったということでございます。当然にして、この2億円を執行した後も、財団の運営に必要な運転資金というのは手元に残りますが、現金で持てる運転資金がすなわち内部留保資金という定義にはならないと思いますので、内部留保資金が幾らかというのは私から明確に申し上げられません。ただ、先ほどご説明いたしましたように、この数年で2億円の内部留保資金を有効に活用していただいた実績はあるということでございます。 ◆ふじわら広昭 委員  減収に関する数字が出てこない、検討していない、ただ、机上の考え方で割引をしたら当然減るということで、年間パスポートを幾らに設定するかは検討していると思いますが、こういう場で具体的な考え方が示されません。  やはり、資料によりますと、教育委員会は、3月以降、少なくとも6回から7回は財団と打ち合わせや協議をしているわけであります。そうすれば、当然、他の政令市などの科学館で年間パスポートを発行しているところは幾らぐらいなのか、利用者はその年によってまちまちだけれども、どのような状況なのかということは電話1本かければ1日や2日で回答が出てくる問題ですよ。私は、そうしたことすら余りやっていないのではないかなというふうに思います。私は、今回質問するに当たって、他の政令指定都市の中でやっている15都市を調査してまいりましたが、ぜひ、しっかり調査していただきたいと思います。  それから、どのくらいの減収になるのかということについてです。財団の貸借対照表を取り寄せましたが、会社で言う資本金は5,000万円あります。これは、札幌市の市債を買っているそうですが、それ以外に、経営安定化資金ということで昨年度末で約8,500万円が計上されております。こうした正味財産が約1億8,100万円ありますが、このうち経営安定化資金に約8,500万円を計上しておりますので、差し引き9,000万円前後のいわゆる余剰金が発生しております。調べたところによると、ちえりあでもある程度の収入はありますが、こうした内部留保金につながっていくお金の大半は、青少年科学館の収益の中から発生していると分析しております。確かに、当時は2億円あって、市全体の中で、ためないでしっかりと投資していきなさいということです。私は内部留保金等を蓄えることを否定するものではありませんが、きちんとした対応をしていくことが重要だと思いますので、財源的な問題については十分クリアできるのではないかと考えております。  そこで、次の質問に移りますが、部長から円山動物園の関係についてもお話が出ました。円山動物園は平成17年度から年間パスポートを導入しておりますが、動物園ではどのように取り組んできたか、動物園に行ったりしていろいろな調査をしてきたのかということであります。科学館と動物園の利用者数は違いますが、動物園の年間パスポートの利用者数やリピート率はどうなっているのか、調査してきたのであればそれを明らかにしていただきたいと思います。 ◎山根 生涯学習部長  円山動物園の年間パスポートの利用者数及びリピート率についてでございます。  円山動物園の年間パスポートの利用者数につきましては、年度で多少のばらつきがございますけれども、約15万人いるとのことです。また、1枚の年間パスポートで何回来られるかというリピート率につきましては、これも年度でばらつきがございますが、大体2.7回から2.8回と伺っております。 ◆ふじわら広昭 委員  正確に申し上げると、平成27年度の動物園の来園者は約98万人でした。そして、パスポートを利用した方は21万9,000人でした。販売枚数は7万9,000枚、そしてリピート率は2.75回です。ここ数年のリピート率を調べても、3回を超える数字は出ておりません。大体2.7とか2.8という数字になっています。そうしたことを部長がわかっていれば十分に試算ができると私は思います。余りしたくない、あるいは指定管理者更新の時期まで引き延ばしたいという気持ちがあるから、できないための課題や理屈を並べているのではないかというふうに疑わざるを得ません。  部長がそこまで調べたというのであれば、改めて、もう1点、動物園の関係で伺いますが、年間パスポートについて、動物園では1年間にどのくらいの枚数を印刷し、その費用がどのくらいになっているのか。さらに、当然、動物園には広告料があります。ですから、お互いにそうしたことについてしっかりと調査した上で議論していかなければならないわけです。ただ、できないとか、こういうことになっているという議論では、私はいけないと思います。  その辺について、調査していないのならわからないと正直に言ってもらえればいいですが、いかがですか。 ◎山根 生涯学習部長  円山動物園の広告料収入につきましては、現在、手元に数字はございません。  それから、年間の発行枚数につきましては、先ほど年間利用者数が約15万人と申し上げましたが、それをリピート率の3回弱で割り返すと5万枚から6万枚、したがって、年間5万枚から6万枚が発行されているものと推計しております。 ◆ふじわら広昭 委員  所管する局が違っても、そういう問題提起を受けて科学館と検討しているのであれば、しっかりとした調査をしていかなければ議論がかみ合っていかないし、具体的にいつできるかというめどが立っていかないわけです。  申し上げますと、動物園では年間10万枚から8万枚印刷していて、その費用は約30万円弱だそうです。これは、二つの企業から協賛を受けていて、その協賛広告料が40万円ということですから、印刷費としてはこの費用を十分に確保できます。  最後になりますが、教育委員会も、それから指定管理者も、青少年科学館に対する市民ニーズをしっかりと捉えて、それをどうやったら実現できるのか。考えてはいただいていると思いますが、やはりスピード感が足りないのではないかと思います。  最後に、ヨーロッパからお帰りになって、時差があって大変かと思いますが、町田副市長に質問したいと思います。  今、私が申し上げましたように、調べましたら、円山動物園では平成17年から導入していますが、動物園のさまざまな見直しをする計画の中で、平成16年9月に年間パスポートにも取り組みなさいという提言を受けたのです。9月に受けて、翌年、17年4月には条例改正などを行い、手作業の配付ですが、やっているのです。確かに、片や環境局直営の動物園で、こちらは指定管理者という違いはありますが、向こうでは半年ぐらいでそういう決断ができたのに、なぜ市の同じ機構でそれが決断できないのか、そのことについて副市長はどのように思われるのか、伺いたいと思います。 ◎町田 副市長  冒頭にお話がございましたように、青少年科学館というのは、小学生、中学生は無料で入場できまして、月曜日から金曜日までは学校利用も非常に多く、それこそ子どもたちが理科の勉強に使っておりますが、土曜、日曜になると、子どもたちも含めて保護者、大人の利用も非常に多いということでございます。  そこで、青少年科学館としては、どういうふうにして市民の皆様、あるいは観光客、道外、道内のほかの市町村から来ていただくかというような大きな計画をきちんとつくっていくことが必要で、その中で年間パスポートについても考えていかなければなりません。青少年科学館全体として多くの方に来ていただくための計画の一つの具体的なものとして年間パスポートも有効だと思いますが、大きな計画の中で考えていくことが必要で、今、その大きな計画をつくっているところだと思います。その計画ができれば、年間パスポートをどれくらいの利用料金に設定すればこのぐらいの利用増が見込めるとか、お金は入らずも人が多く入ってくればいいという形で設定するとか、これからそういったことを具体的に検討していく中で、年間パスポートの導入も積極的に検討してまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。  先ほど申し上げた動物園のリピート率や購入状況を見ますと、20%ということです。札幌市の青少年科学館に有料で入っている人数は、平成27年度で13万5,000人いらっしゃいまして、これに20%を掛けると約2万7,000人になります。パスポートを発行することによって何回か来ている分が減収するわけです。単純に比較すると、1,000円を掛けたら2,700万円になって2,700万円の減収が予想されます。ただ、幾らでパスポートを発行するかというときに、元を取るような金額だけ考えると困りますが、そうしたことを考えていくとおのずから設定の方向性が出てきます。また、いろいろなイベントや自主事業をやる中で、あわせてパスポートもやることによって、新しい方もリピーターもたくさん来ます。さらに、あそこの売店には私もたまに行きますが、売店の品ぞろえや自主事業の収益も、努力していくことによって2,700万円、3,000万円というお金は十分にカバーできますし、年間パスポートの印刷費は先ほど申し上げたように企業の協賛を受けていけば十分に可能です。それまでは機械でするのか手配りするのかということはあります。  さらに言えば、部長は指定管理者の更新時期と言っておりますが、百歩譲って、今申し上げたようなことでいけば、2段階方式にすることも可能性は十分あります。例えば、急いで12月の4定で条例改正をして、4月からは動物園と同じような方式で販売して、指定管理者の更新時期には、機械を入れるのかどうかという判断もあるでしょうから、そのときに改めてきちんと対応することもできます。残された期間は少ないですが、ぜひしっかり検討していただくことを強く求めて、質問を終わります。 ◆小形香織 委員  私は、向陵中学校の改築時期を早めていただきたいという趣旨から質問したいと思います。  9月29日の本会議の私の代表質問で、夜間中学校の環境整備について質問しまして、エレベーターの設置を求めました。長岡教育長は、増改築の際に整備しており、向陵中学校においても同様に検討したいと答弁されました。また、私は、同じ代表質問で、桑園地域及びその周辺の学校と児童会館についても質問しまして、桑園地域の児童生徒数が増加傾向にあることを認識していると答弁されたところです。私は、桑園地域での中学校の設置も考えたらどうかという趣旨の質問をしましたが、当面の推計では、既存の中学校で受け入れ可能と考えているというご答弁でした。  向陵中学校は、今、改築中の二条小学校と同じ1969年度、昭和44年度に建てられており、築年度の古い順番で言いますと、市内小・中学校で5番目に古いグループになるわけです。現状は、1年生と2年生が8クラス、3年生が9クラスで、909名が通う市内で最も多いマンモス中学校となっています。円山小学校、宮の森小学校、桑園小学校、日新小学校と四つの小学校から入学するという校区になっています。  桑園小学校は、代表質問でのご答弁のとおり、児童がふえる見通しだということです。向陵中学校区も、今後、生徒数はふえる傾向にあるのではないかと思いますが、どのように認識されているのか、伺いたいと思います。 ◎本居 学校施設担当部長  向陵中学校区の生徒数の推移についてでございますが、現在の推計によりますと、増加傾向で推移するものと認識しております。 ◆小形香織 委員  そうなのですよね。今の向陵中学校もマンモスですし、さらに、2021年度、あと5年たつと、909名が今度は1,007人になる推計だという資料をいただきました。現状で909人の向陵中学校は、体育館がとても狭くて、全校生徒の参加による卒業式ができないでいます。1年生は参加できなくて、2年生が在校生の代表という形で行っているという非常にせつない事情なのです。義務教育である中学校を修了するという思春期の大事な節目のときに、全校生徒がそろっての卒業式ができないということは、生徒にも、教師にも、保護者にも本当に悲しくせつない思いをさせているなと思いますので、こうした事態は一刻も早く解消すべきだというふうに思います。  さらに、向陵中学校は、もう一つの特徴を持っております。自主夜間中学である遠友塾の授業を行う学校となっており、校舎の一部施設を共有することになっております。かつて、遠友塾が市民会館を使ってやっていたころに、市民会館が建てかえで使えなくなり、遠友塾の方が困っておられました。そのときに、当時の向陵中学校の校長先生が、生徒の教育にとっても非常によいことなので、ぜひ使っていただきたいということで、校舎の一部の提供を申し出たという経緯がございます。  この遠友塾ですが、高齢者が多くて、また、さまざまの障がいを持ちながら、それを乗り越えて何とか勉強しようということで通っておられるところです。私も、先日、北海道自主夜間中学交流会に参加して、その活動状況を見せていただきましたが、本当に心の温かい思いをする活動をなさっている遠友塾でございます。  この遠友塾から、向陵中学校にエレベーターの設置をという要望が出されております。そこには、こう書いてあります。車椅子での移動は、数人の男性スタッフが車椅子ごと持ち上げて階段を上る方法をとっています、そのことが気持ちの負担となり、遠慮から受講を諦めている受講生もいますということです。夜間中学校の遠友塾は、どんな人も受け入れて学びの場を提供したいという強い思いで自主的に運営されている大変大切なところだと思います。そして、そういう思いがあるからこそ、移動する手段がないために受講を諦めてしまうケースを何とか解消してほしいということでこうした要望が出されていると私は理解しています。
     国においては、ことしの4月に、国連の障害者の権利に関する条約の一環として、障がいを理由とする差別の解消を推進することを目的とした障害者差別解消法をスタートさせました。  向陵中学校にはエレベーターがなくて、通いたいけれども、通えないという実情は、国の求める障がい者差別解消が図られていないのではないかと考えますが、その点をどのように認識されているのか、伺いたいと思います。 ◎本居 学校施設担当部長  国の求める障がい者の差別解消がなされていないのではないかというご質問でございますが、向陵中学校につきましては、車椅子でも移動できるよう、階段昇降機を設置しております。障害者差別解消法における合理的配慮を行っているものと認識しております。 ◆小形香織 委員  人の力をかりないで移動したいというのが遠友塾から出されている方の要望なのです。階段昇降機を見せていただきました。階段昇降機で確かに階段を移動できるのですが、その機械を動かすために、やはり介添えする人が必要なのです。人の手をかりて移動することが遠慮になって諦めてしまうということです。確かに階段昇降機はあるので、障害者差別解消法との関係では、一部、努力をなされているというふうには思います。しかしなお、精神的、心理的な面で負担感から解放されることはまだできないというふうに私は考えております。  今述べましたとおり、そもそも、生徒が増加する傾向にあり、現在なおマンモス学校であるという抱える課題が多くあることと、遠友塾という本市が誇る夜間中学が開設されているという二つの特殊性がある向陵中学校です。  改築から五つ目のグループに入る古い学校だという点で、こうした特殊性を考慮して、できるだけ早期に向陵中学校の改築を進めるべきだというふうに考えますがいかがか、伺います。 ◎本居 学校施設担当部長  改築を早めるべきではないかというご質問でございます。  札幌市内には小学校と中学校が300校以上ございますが、老朽化に伴う施設設備面、ほかに関してもさまざまな課題を抱えている学校がたくさんございます。築年数とか、委員からお話のありましたような児童生徒数の推移なども勘案しながら、総合的に検討してまいりたいと考えております。 ○小川直人 委員長  以上で、第1項 教育委員会費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月18日火曜日午前10時から、市民文化局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後3時3分...