経緯としましては、先ほどお話ししたとおり、昭和60年度の策定以降、まちづくりの進展や社会情勢の変化などに合わせまして、平成3年度、平成10年度、平成16年度に見直しを行っておりまして、平成16年度の見直しから10年以上経過したこと、また、平成25年度には、まちづくりにおけます最上位計画である
まちづくり戦略ビジョンを策定したことを受けまして、都市づくりの全市的指針でございます札幌市
都市計画マスタープランとあわせて見直すことといたしました。
なお、平成20年の
都市再生特別措置法の改正によりまして、市では、
都市計画マスタープランの一部として
立地適正化計画を策定することとしてございます。
この計画では、市街地区分に応じた人口密度の適正化や、公共交通を基軸とした
各種都市機能の適正な配置を図ることを目指して、
集合型居住誘導区域や
都市機能誘導区域などを定めることとしていることから、都市再開発方針もこれら上位計画と密接に連携する必要がございます。
右側の第3章でございますが、再開発の目標と個別の方向性を示しております。
一つ目の都心におきましては、魅力的で活力ある都心の創造、二つ目の拠点につきましては、
個性あふれ生活を豊かにする拠点の形成、三つ目では、これらを包括する生活の基盤となる持続可能なまちづくりの推進とし、それぞれの目標に対応する取り組みの方向性を記載してございます。
2ページ目をごらんください。
第4章では、1号市街地、
整備促進地区、2号地区の指定の考え方を整理しております。
今回の見直しでは、都市戦略の視点、都市改善の視点という二つの視点で地区の指定を行っております。
一つ目の視点である都市戦略型の地区指定についてでございますが、1号市街地は、
都市計画マスタープランにおける
複合型高度利用市街地であり、
立地適正化計画で
集合型居住誘導区域に位置づけられる範囲としてございます。また、
整備促進地区は、都心や
地域交流拠点に地下鉄駅周辺を加えた範囲としてございます。2号地区は、
整備促進地区のうち、市が指定する公共貢献を再開発を活用して促進する地区としてございます。
なお、市が指定する公共貢献とは、現時点では、地下鉄駅との接続による
エレベーター等の設置や
地下歩行空間への広幅員接続などとしておりますが、地区の実情に合わせて求めていくこととしています。
次に、都市改善型の地区指定についてでございますが、市民・企業・行政が課題を共有し、過去に
まちづくり計画などを策定した、または策定する予定がある地区を1号市街地とし、1号市街地のうち、地域の現状を踏まえ、再開発の具体化に向けた誘導が必要な地区を
整備促進地区、
整備促進地区のうち、再開発に向けた具体の検討が進むなど地域の再開発の機運が高まった地区を2号地区としてございます。
第5章では、第4章の中で都市戦略の視点と都市改善の視点によって指定した地区をあわせたものを図及び表として表示してございます。
この概要版におきましては、説明上、地区一覧を都市戦略型と都市改善型に分けて記載しておりますが、本書においてはこれらをまとめて記載しております。最終的に指定した範囲としましては、都市戦略型の
複合型高度利用市街地や
地域交流拠点のほかに、都市改善型の視点で地区指定したJR白石駅や
大谷地流通業務団地などを加えた範囲としてございます。
次に、各地区の位置づけと支援の基本的な考え方についてでございます。
1号市街地は、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、計画的な再開発が必要な市街地としまして、まちづくりへの関心を深めるため、
まちづくり活動に対する初動期の支援を行い、また、上位計画や地域の特性、課題などを踏まえて、重点的に再開発の誘導を図るべき地区が発生した場合、市が必要と判断した公共貢献に対して支援を行います。
整備促進地区では、1号市街地のうち、重点的に再開発の誘導を図るべき地区としてさまざまな公共貢献が再開発によって実現されることを期待しまして、地域の自主的な取り組みを喚起、誘導いたします。また、初動期支援に加えまして、
基本計画等策定に係る支援などを行いまして、市街地再開発事業等の具体化に向けた誘導、支援を行うこととしてございます。さらに、市が必要と判断した公共貢献に対して支援を行ってまいります。
2号地区は、
整備促進地区のうち、特に一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき地区としまして、地域と協働して再開発の熟度が高まった地区につきましては、市街地再開発事業等による支援と、市が指定する公共貢献を誘導するための支援を行ってまいります。また、市街地再開発事業を地域主体の持続的なまちづくりへ発展させるため、事業の実施に当たりましては、
エリアマネジメントの促進に向けた誘導、支援を行うこととしてございます。
以上が、都市再開発方針の見直しについての概要でございますが、今後のスケジュールといたしましては、
パブリックコメントや
都市計画審議会を経まして、今年度中の
都市計画決定を目指しているところでございます。
○伴良隆 委員長 それでは、質疑を行います。
◆こじまゆみ 委員 私から、札幌市都市再開発方針の見直しについて伺います。
第4章にあります都市再開発方針の地区指定において、都市戦略の視点というのは新しい考え方であり、人口減少・超高齢社会を乗り越えていくための戦略を先んじて考えていく上で非常に頼もしく感じているところでもあります。都心の財産と言われる活力やアメニティー、快適さ、モビリティーと言われる移動のしやすさ等の要素を取り入れていくことは、
複合型高度利用市街地においては必須なものであると考えます。ですから、新たな視点として市が求める公共貢献、今、1号市街地、
整備促進地区、2号地区においてさまざまな形で公共貢献に対して支援を行うというふうに行政が示しておりますが、民間の事業によって実現を目指すという考え方については、今の札幌市の厳しい財政状況の中で効率的な行政運営を図るという観点からも大いに支持できる考え方であります。
しかしながら、現在示している公共貢献は、4章の2の都市戦略型の地区指定のところにあるように、地下鉄接続における
エレベーター、
エスカレーターの設置や、
地下歩行空間への広幅員の接続などとされていますが、民間事業者に求める事柄はこれだけでは非常に少ないものと感じます。
そこで、質問ですが、今後、再開発で求める公共貢献はより増強させていくべきだと私は考えますけれども、今後の考え方について伺わせていただきます。
◎阿部
事業推進担当部長 公共貢献の増強についてというご質問でございます。
見直し案として記載しております公共貢献は、現時点の本市が推進しておりますまちづくりに貢献する取り組みのことを言いまして、2号地区指定の根拠としているものでございます。公共貢献は、地下鉄駅接続によります
エレベーター、
エスカレーターの設置や
地下歩行空間への広幅員接続などに限ったものとは考えておりませんので、今後、
都心地域交流拠点、地下鉄駅周辺地区などにおける個別の地区それぞれの実情に応じて必要とした公共貢献を求めていくものと考えてございます。
◆こじまゆみ 委員 今後、交流拠点や都心において、その地域性に合わせて公共貢献を考えていただけるということですので、各交流拠点になっているところの地域事情もそれぞれ違いますから、それを勘案して地域の皆様とも相談しながら進めていただくようお願い申し上げておきたいと思います。
◆かんの太一 委員 私からも、都市再開発方針の見直しについて質問させていただきます。
昭和55年の都市再開発法の改正で、人口集中の特に著しい大都市に都市再開発方針の策定が義務化されまして、本市では昭和60年に方針が策定されました。その後、社会状況の変化などを受け、平成3年、平成10年、平成16年の各年度で見直しが行われてきたところでございます。
今回の見直しは、前回から10年以上が経過していますが、札幌市の財政は、
生産年齢人口の減少による市税収入の落ち込み、高齢化の進行による
社会保障関係費の増大が将来にわたって続く見込みの中、楽観視できない状況であります。そのような中でも、道都札幌市としての都市の魅力を高め、今回の方針の見直しの重点テーマである民間投資を呼び込むまちづくりを推進する再開発の展開を実効性のあるものにするため、前回の見直し時と比べた社会状況の変化及び将来展望をしっかりと認識することは大切であると考えております。
そこで、質問ですが、今回の都市再開発方針の見直しに関して、何に重きを置いてポイントとしているのか、まず、お伺いいたします。
◎阿部
事業推進担当部長 現行の再開発方針におきましては、地域住民や民間企業とともに地域の課題を解決する視点を持ちまして、再開発事業などの熟度を中心に地区の指定を行っております。
今回の見直しのポイントとしましては、従来の地区指定に対して、今回はまちづくりに貢献する取り組みを戦略的に誘導するという視点を加えて地区の指定を行ってございます。これは、
まちづくり戦略ビジョンに示している再開発に合わせて本市が目指すまちづくりに貢献する取り組みを公共貢献と表現しまして、民間事業者を積極的に誘導し、施策を展開させることを目指したものでございます。
◆かんの太一 委員 先ほども少し触れましたが、重点テーマが民間投資を呼び込むまちづくりを推進する再開発の展開となっておりまして、それを実現するためには、これからのまちづくりの方針を行政だけが考えるのではなく、市民や企業の皆さんにもしっかりとお伝えして共有していくことが重要だと考えております。先ほどのお話で、戦略的に公共貢献を誘導する視点を加えたということであれば、市民や企業の皆さんに市が求める公共貢献について理解していただくためにも、なおさら積極的に周知を図る必要があると考えております。特に、例えば
札幌商工会議所とか
北海道建設業協会など、まちづくりに関係が深い企業などが所属している団体にしっかりと周知する必要性があると考えております。
そこで、質問ですが、再開発方針をどのように周知して情報を共有していくのか、お伺いいたします。
◎阿部
事業推進担当部長 ただいまの委員のご指摘のとおり、再開発方針が示す事柄につきましては、市民・企業・行政それぞれがまちづくりに対する認識の共有化を図ることが大変重要であると認識してございます。そのために、自主的な再開発事業や民間の建てかえなどと関係の深い業界団体などへの関係資料の配付、またあわせて、機会を捉えた説明会の実施といったことも含めて、今後、積極的な周知と十分な理解を求めていきたいというふうに考えてございます。
◆かんの太一 委員 最後に、要望ですけれども、方針の中で定義されているとおり、都市機能の向上や市街地のさまざまな問題を解決するために、市民・企業・行政が連携して行う市街地再開発事業や優良建築物などの整備事業、
土地区画整理事業などの手法によって
都市空間整備を誘導するとされており、特に、再開発事業に関しては民間事業であることから、より企業と強く連携し、ともにアイデアを出し合いながら魅力ある都市空間の構築に努めていただきたいと思います。
◆村上ひとし 委員 私からは、第2章に関連して、若干お伺いしたいと思います。
第2章の都市再開発方針の経緯というところで、1番目に、昭和60年度に都市再開発方針が策定され、3度の見直しがされてきたということですが、この間、どんな問題点や課題があったのか、そして、それは今回のこの都市再開発の方針にどのように生かされているのかという点をお伺いしたいと思います。
◎阿部
事業推進担当部長 これまでの経緯でどういった課題が浮き上がってきたのかというご質問かと思います。
昭和60年度に策定されて以来、これまで3度の見直しが行われました。その中では、本書のほうにも記載しておりますが、やはり、さまざまな社会状況の変化がございました。さまざまな地域におけるまちの形態、都市の環境といったものが大きく変化してきている、また、時代の変化とともに、人口や年齢的な問題とか、そういったことも踏まえて非常にさまざまな問題が出てきており、その時代、時代に合わせてこれまで3度の変更、見直しをしてきました。そして、
まちづくり戦略ビジョンが策定され、また、新たな
都市計画マスタープランが定められる状況の中で、それに合わせる形で、都市の再開発としてそうしたまちづくりにどういった形で支援していけるのかという観点を持って再開発方針の見直しをしてきております。
◆村上ひとし 委員 今、少子高齢化にどう対応してまちづくりを進めるのかというのは、市の大きな再開発の一つの柱でもあると思うのですけれども、そういう点では、いろいろな部局が横で連携していかなければならないことが随分あると思うのです。高齢化の問題、あるいは、少子化に対しては子どもを産み育てやすいまちをどうつくっていくのか、それから、経済の問題で言っても小規模・中小企業の皆さんがどう活性化を図っていくのかということなど、そうしたそれぞれの問題や課題をもう少し見えやすいようにしていく努力が必要だというふうに私は思っております。例えばですが、10年間かけて都市再開発の方向性をつくっていこうというときに、基本構想がつくられたり、その上で基本計画あるいは
事業推進計画がつくられていって、場合によっては、自治体として国に対して予算を要望していくという局面もあるかもしれません。そのためにも、私が先ほど言ったように、この10年間で、それぞれのいろいろな課題、問題点について、市民や企業に対しても認識を一致させる上で情報を細かく提供していく、意見を伺うことが極めて大切だと思うのです。
そういう点で、情報公開については、この10年間でどんなふうにイメージされているのか、お伺いいたします。
◎阿部
事業推進担当部長 さまざまな計画での連携というようなお話でございましたが、先ほどの説明の中でもお話しさせていただいたとおり、現在、策定を進めております第2次の
都市計画マスタープランといったものがございまして、その中で、今後の札幌市のまちづくりはどういう方向で進めていくのかということについては、さまざまなデータに基づいて今後の方向性を示しております。再開発方針につきましても、
都市計画マスタープランに基づき、それに即する形で、再開発として各事業を具体的にどういった形で支援してそこに持っていくのかといったことになります。当然、再開発でございますから、民間の皆様との連携が必要になってまいりますので、進め方としては、そういった方向で再開発の側面を支えていくような考え方でこれから10年間を進めていきたいというふうに考えてございます。
◆村上ひとし 委員 ぜひ、いろいろな部局と情報を共有して、いろいろな形で連携していただきたいと思います。
この間、我が党では、代表質問や委員会でも質疑をしてまいりましたが、例えば、教育委員会では学校規模の適正化ということで統廃合が行われております。高齢化が著しく進んだ地域であったり、子どもが少なくて統廃合計画があるということですが、この計画には現時点で都市部の学校もかなり挙がっております。しかし、どういうふうにして子育てしやすいまちをつくるのか、あるいは、お年寄りが住みやすいまちに転換していくのかということで、新たな施策を打ち出すことによって十分に人口がふえていったり、その結果、学校の統廃合をしなくても学校を維持できるといったこともございます。こうした流れの中できちっとまちができていくということもありますので、そういうこともあわせて考えていく必要があると思うのです。
そういう意味でも、しつこいようですが、これから
都市計画マスタープランや
まちづくり戦略ビジョンを踏まえて都市局でいろいろなプランを考えていくことになると思いますけれども、そうしたまちづくりを進めるという点では、例えばまちを再開発する上で学校の役割をどう位置づけていくのかということもございますので、教育委員会などとも大いに連携して進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
◆松浦忠 委員 まず、言葉の使い方について、私はかねがね疑問を持っております。
概要の2ページ目の4章の頭などに「都市戦略の視点」とあります。皆さんは戦略という言葉を使うけれども、税金を徴収して、その税金を使って市民のために事業をやりますが、その事業の内容の進め方として戦略という言葉が適当なのかどうか。戦略だとか戦術というのは、昔から日本では、戦争に使われてきたのですよ。部族間の抗争だとか地域抗争だとか、そういう戦争に使われてきたのですよ。札幌市が行政を進める上で、税金を使って市民にいろいろな利害関係のあることの取りまとめをすることが戦争なのかどうか、そこをどういうふうに認識しているのか。やっぱり、言葉の使い方というのは大事です。学校でもちゃんと国語の時間に言葉の意義と使い方を教えるわけですよ。この戦略という言葉はどういう意味で使われているのか、まず一つ、これをお尋ねしたいと思います。
それから、二つ目は、1ページに戻って、「世界に誇る都市観光・
ビジネス環境を形成する」とありますが、観光はどういうことが世界に誇れるのか、どんなふうになったら世界に誇れるのか、誇る基準をどういうふうに考えているのか。それから、世界に誇る
ビジネス環境を形成するもそうですが、観光とビジネスで世界に誇るというのは、どういうふうになったら世界に誇れるのか、その辺の基準を教えてください。
三つ目は、「世界をリードする
環境配慮型都市のモデル地区を形成する」についてです。これもまた、世界の基準がどこにあって、どういうものをつくったらこういう言葉の実現になっていくのか。
まず、言葉に関して、3点について見解を伺いたいと思います。
◎阿部
事業推進担当部長 ただいまご質問にありました件でございますが、まず、戦略という言葉が適当なのかどうかというお話でございます。
私は戦略という言葉についての正確な解釈を持ち合わせているわけではございませんが、私の中での戦略の意味としてお話しさせていただきますと、まちづくりであれば、まちづくりの一定の方向性がある程度定まってきた中で、それを達成するためには、一定の計画的な考えを持ってさまざまな取り組みを進めていく、そうしたさまざまな形での取り組みが複合してそこに絡んでくるという意味で戦略という言葉を使っているというふうに考えてございます。
もう一つ、「世界に誇る都市観光・
ビジネス環境を形成する」ということで、世界に誇る基準についてでございます。そもそも、この世界に誇る都市観光、
ビジネス環境を形成することの解釈としまして、
都市そのものを観光資源として魅力の向上を図るとともに、外国企業を含む本社機能などの多様な企業誘致も可能となるような
ビジネス環境の形成を目指すということで考えてございます。世界に誇る際の基準が具体的に何かというのは、明確なものはなかなかございませんけれども、一旦はそういう形で整理をして考えてございます。
また、最後の「世界をリードする
環境配慮型都市のモデル地区を形成する」についてでございます。ここの意味としましても、現在、
都心まちづくり計画の中で、世界に誇る環境性と防災性といったことを備えた持続可能なまちを目指す、そういったまちの姿を一つの形として掲げているところでございます。コージェネレーションシステムの整備であったり、また、
熱エネルギーネットワークの接続といったさまざまな取り組みを行い、環境性の高い建てかえ更新を促進するという意味でこの中の目標として掲げております。
◆松浦忠 委員 まず、戦略という言葉は全くふさわしくない。今言われるようなことは、具体的な進め方、進める取り組み、これでいいんですよ。そうすると、誰でもわかるんです。戦略というのは、例えばラグビーの試合をするとしたら、試合をどういうふうに進めるか、その戦略は何かと。ある意味では、ラグビーは戦ですし、野球でも試合は戦ですから、そういうところはいいけれども、税金を集めて市民のためにまちづくりをしていくという言葉には、これは適当ではありません。日本の国民の国語ですから、よく国語辞典を引いて、その国語というのはどういうふうに使われるべきかということを踏まえて、やっぱりそれに沿ってきちっと使うべきです。したがって、私は、これは言葉をかえていただきたいということを求めておきます。
それから、観光について言えば、何か変わった建物をつくったら、それが観光だというふうに皆さんは考えているのかどうか。言葉からすればそうなのかなという気がするのですね。
そこで、札幌市に外国からおいでになる方、あるいは、札幌以外の地域からおいでになる方は、なぜ札幌に来るのか、そうした意向について、どういうふうに調査して、どういうふうに把握して、こういう表現の根底にしているのか。そういうことを把握しているなら、まず、それを聞かせていただきたい。
それから、もう一つは、ビジネスの関係でこう言うのですが、どんな便利な建物、あるいは通信設備をつくっても、北海道を含めて、札幌を中心としたところに会社が来て商売になるのかどうか、これが問題なんですよ。現実には、企業が成長すると全部東京へ行ってしまう。わかりやすい例を言えばニトリですね。ニトリは、函館で創業して、そして、札幌進出の第1号は白石区の大谷地の本通18丁目、ちょうど大谷地流通団地に入る左角のところに札幌の1号店をつくったんですよ。その後、現在のように東京北区のほうに本社を移してしまう。これが実態なんですよ。
札幌市では、現実に、誘致する、誘致すると言ってかなり前から企業誘致をやっています。ところが、私は先般終わりました決算特別委員会で資料を求めて質疑をしましたけれども、資料を見たら、来ている企業のほとんどは、月給で雇用されている人が1割ちょっと、あとは、全部、最低賃金のパートタイマー、あるいは800円ぐらいのパートタイマー、こういう企業なのです。
どういう企業を札幌に呼び込むのか、札幌ではどんな商売があるから来てもらうような環境整備をしなければいけないのか、そういうことを想定しているのか、それについてお尋ねいたします。
◎阿部
事業推進担当部長 ただいまご質問がありました観光は建物だけではないというお話、そして、国内外の人たちをどういった形で呼び込むのか、どういうことが達成されたらいいのかというようなお話と、あわせて、二つ目に
ビジネス環境ということに関しても、建物ではなくて、具体的な目標といったことだと思います。
冒頭の説明の中でもお話ししましたとおり、今、札幌市では、さまざまな関連分野において今後取り組むべき方向が示されております。この再開発方針は、そういった基本的な方向性に即して、再開発としてどういった形で支援していけるのかという立場での考え方でございます。ですから、今後、ここに掲げておりますさまざまな目標、方向性につきまして、関係する部局と取り組みの内容を具体的に調整しながら、再開発としてどうかかわれるのかということを考えて進めていきたいと思います。当然、そこにはハードもありますし、またソフトもあろうかというふうには考えてございます。
◆松浦忠 委員 全く答えになっていないのですが、答えになっていないということは、言葉だけが踊っているんですよ。世界だとかなんとかという言葉を踊らせているだけなんですよ。中身がないんですよ。
この中で言うと、今、日本国中、みんな勤務形態が変わって在宅勤務も出てきている。それから、札幌で言えば、都心周辺はかなりのビルがあいている。白石もあいています。そういった状況で何をどういうふうに呼んでくるのか、こういうことが全く何もない中でこういう言葉だけを踊らせてもだめなんですよ。
具体に言うと、今、札幌市が取り組まなきゃならぬことの一つは、定年後の人たちです。60歳で定年になり、それから少なくとも二十数年、元気かどうかは別にして、皆、生きるわけですよ。その人たちに、それぞれの住まいの周辺で生きがいを持てるような施策をどう講じるかということが最大の課題なんですよ。そういうことはどこを見ても全く出てこない。
再開発として出てきているものは何かといったら、例えば、今、菊水の北海道がんセンターが設計にかかって、来年の9月中には発注されて着工になります。あそこの場所は、地下鉄菊水駅のバス乗り場にもなっているところから、
エレベーターもついていますが、そこから地上に出て歩いて5分なんですよ。今度、あそこは向かい側の駐車場を買収しましたから、1宅地を挟んで札幌市の市道になっているのです。そして、私が以前に調査したのでは、道内から集まってくるがん患者、あるいは市内の患者は、かなりの数が地下鉄であそこに来ておりまして、地下鉄の乗降人員の多い業務機関の一つなんですよ。ああいうところに対して、地下でつなぐために、札幌市は1宅地を挟んでいる地下をどうやって掘ってあげるのか。そして、向こう側も掘ってきて、この敷地内でドッキングさせてあげるというような、こういう都市機能を具体にすることで、病院にかかる必要のある人にとっては利便性が高じていいなと感じるのです。あるいは、がんの手術後の検診に道内から来る人たちは、みんな、地下鉄を使ってくるわけですよ。JRで来る人たち、あるいは、丘珠から来る人は地下鉄に乗ってくるわけですから、そういう人たちの利便性の向上になるわけです。特に、体が病んで衰弱している人たちですから、行くことの手助けになるわけですよ。
例えばと言ってそういう個別の施策が出てくるようでなかったら、このプランは何をしようとしているのかということになるのです。これが一つ目ですが、こういうことについてどう考えるのか。
それから、二つ目は、地下鉄だとか電車だとか軌道系の駅中心というのはわかりますよ。これは、事業所が減ってサラリーマンが減ってきていますから、定期券がもうがたっと落ちている。だから、そういう乗車対策でやるのはわかります。しかし、具体のこととして、例えば、周辺にマンションを持っている方がいて、かなり年数がたって建てかえるとき、その金をどうするか。みんなが望んでいるのは、例えば容積率が400のものを600に上げてくれて、その上がった容積率によって工事費なりそれにかかわる経費の大半を生み出せるならばやれるなと、こういうことなんですよ。
そういうことについて、どういうふうに考えているのか。少なくとも、ここの事例の中では、そういうことが出てきて初めて、我々も、ああそうか、こういうように本当に利便性が増すことについてやろうしているのだなという理解ができていくのです。そしてまた、そういうところにそうした施設を持っている方も、よし、市がこういうことに手助けしてくれるなら、それじゃ、やろうかという気持ちが湧いてくるわけです。やっぱり、その辺が計画の中に出てくるようでなければだめなんですね。
私は、昭和60年の第1回の策定のときに総務委員をやっていましたから、よく知っています。そして、札幌市のいわゆる再開発の第1号というのは、道庁の向かいに北門館旅館というのがありました。今は北門館ビルになっていますが、あそこが第1号なのです。あそこは何をしたかといったら、いわゆる公開空地をつくって誰もが往来できる、敷地を通って向こうに行ける、その公開空地をつくることによって容積率をアップしてあげたのです。
このように、市が規制を緩めてあげるかわりにお金は事業者が用意するなど、そういうものを具体に示していかなかったら、これは、まさに絵に描いた餅になってしまいます。そうすると、再開発に税金だけ投入していく、そして、今の北1西1の再開発のように、どうも事業がうまくいかんぞ、フロア面積もうまく売れんぞということになって、階数も縮めた、なおかつ、どうも事業の採算が悪そうだなということになって、今度は専門図書館をつくるかということでやっている。市のやっている事業というのは、ほとんどそういうことなのですよ。
したがって、本当に民間の力でやってもらうなら、民間の今持っている力にどういうことを足してあげたらその人たちができるか、やっぱり、そのことがこのプランの中で例えばということで出てこなかったら意欲は湧いてこないわけですよ。今、私は二つだけにしましたが、これをどう考えるか、ちょっと聞かせてください。
◎阿部
事業推進担当部長 ただいま、二つのご質問をいただきました。
各地区ごとに具体的な取り組みを示すべきであるというお話、また、軌道系を中心とした場合、そういった活用は大事なことであるが、再開発するために例えば容積率を緩和するとか、そういった方策をもう少しこの中に盛り込むべきではないかというお話かと思います。
まず、一つ目は、委員がおっしゃるとおり、当然、具体的な取り組みが必要になってまいります。確かに、再開発方針の中には具体的な形での盛り込みというのはございませんけれども、今後、さまざまな地区での取り組みというのは、それぞれの地区の実情なり、その地域に求められるものがあろうかと思いますので、そういったことを見ながら、今後、具体的にそういったものを定めていって、再開発事業としてどう支援していけるのかということを考えていきたいです。
あわせて、容積緩和というお話につきましては、確かに、今回、公共貢献の内容に見合った地区計画等で容積緩和を設定するという方向はあり得ます。しかし、先ほどお話ししたとおり、やはり、具体の地区の実情によってどういう形で容積緩和ができるのかということは異なってくると考えておりますので、それぞれの再開発の事業化や地区の状況に合わせて、その都度、具体的に検討していきたいと考えております。
◆松浦忠 委員 私がなぜこういうことを言うかといったら、例えば、北8西1は北九条小学校の関係でいろいろ議論がありましたね。それで、ああいう形で決着がつきましたが、いまだに着工していませんね。それは何かといったら、経済というのは、朝になって目が覚めればきのうのことが常に変わっているわけですよ、いろいろな金利を含めて。したがって、一つの事例を示してやらないと、旧態依然のこういうやり方でやっていくと時間がかかり過ぎるのです。北8西1なんか、当初の予定で行ったら、もう今ごろ立ち上がっているはずなんですよ。建物もできて進んでいるはずなんですよ。それがいまだにというのは何かといったら、やっぱり、計画を立てて、市と協議し出してから時間がかかり過ぎて、そのうちにいろいろな状況が変わってきて、これはやっても採算とれんぞとなったら、ちょっと待てとなっちゃうわけですよ。やめるか、あるいは様子を見るか、一服してしまうわけですよ。したがって、そういう事態を招かないためにも、事例を具体に示しておいて、こういうことだったら、ああ、こういうことだ、じゃと言って、そして、市のほうも、それに対しては相当なスピードできちっと結論を出してあげる、こういうことになっていかなかったらだめなんですよ。
そういう意味で、
マスタープランですからまさに机上計画ですが、そうではなくて、実際に実施に移っていける計画にならなきゃならぬのです。計画というのは何でも机上ですよ。問題は、それはすぐに実施に移っていけるものでなければならない。役所がやるものではなくて、民間でやる場合には特にスピードが大事なんです。そのためにも、そういう例示をして、そして、来たときには速やかに、皆さんはこれぐらいの期間で事業として着手できますよということもこの中にきちっと明示してあげることが大事だと私は思います。
何でも曖昧にしておいて、全ては市役所側の役人の裁量権にかかわっているぞというのが今までなんですよ。この書き方もそれなんですよ。それでは、主権者である納税者が事業をしようとしても、こんな経済状況になってきて、世界的にもこういう状況の中ではとても不安で、借金してやるのはやめようとなるわけですよ。やっぱりその辺をちゃんと考えた上で、こういう案の提示の仕方、計画の提示の仕方をしないとみんなが寄ってこなくなっちゃうのです。
その辺は、私はやっぱりきちっと書き直してほしいなと思っていますが、どうですか。
◎阿部
事業推進担当部長 具体的な内容を盛り込んでというお話かと思います。(「例示ですよ、例示」と呼ぶ者あり)例示ですね。
今回、この方針の中で、一つのポイントであるとお示ししたとおり、公共貢献の例として二つ挙げております。そういう形で、先ほど申しましたとおり、やはり、それぞれの地区の実情があり、その地区においてどういった取り組みが可能なのか、何が求められているのかといったようなことを踏まえつつ、公共貢献についてもあわせて考えていきたいと考えておりますので、一旦はこの方針の内容として整理させていただいているところでございます。
◆松浦忠 委員 あなた方は全く実態を理解していないんだよ。ここに書いているのは金のかかること、出すことばっかりなんだよ。事業者の側にこれを出しても、この何倍も私のほうに入ってきて、それを活用して自分のお金も足して事業ができるぞと、読んでそれがわかるようなものでなければだめなんですよ。これは出すばっかりだもの。あなた、出しなさい、民間の人、出しなさいと言うばっかりだもの。入る案を出さなければだめだと言うの。出す案もいいけれども、10出したら30入るよと、こういうことがここでちゃんと例示されなかったらだめだというの、私の言っていることは。そうでなくて、出すほうは私の裁量権で、私の鉛筆のなめかげんだと、これじゃ、寄ってこないです。このごろは、魚を釣るのも疑似餌で釣っているけれども、擬餌針だってこのごろは本物に似てきているよ。したがって、こんな、昔から何にも変わらない文章表現で言葉だけを踊らせるようなことじゃだめだ。書き直しだ、これは。
局長、いいですか、こんなことで、あなた、これを一読して、そうかと言ってすぐにわかる市民の皆さん、事業者はいませんよ。やっぱり、誰が見てもわかるような表現でなきゃだめなんですよ。したがって、これは一部を修正してきちっとやってください、どうですか、局長。
◎京谷 都市局長 委員のご指摘はわかりますが、基本的には、今回の再開発方針につきましては、まちづくりの戦略ビジョンという中で、やはり、都心はどうあるべきか、札幌市全体はどうあるべきかと。例えば都心であれば観光、ビジネスとか、先ほども世界に誇れるのは何かという話でしたが、
都市計画マスタープラン、
まちづくり戦略ビジョンという一番上位の計画があって、再開発として具体的に動いていくときの一番最初の目標になってくるもので、世界に誇れるとか観光と言えば、私が思うに、例えば、日本はおもてなしということでは世界にも類がありますので、そういったようなものをキーにするとか、ビジネスであれば、やはり本州などから来られないのは、例えば、無停電で72時間対応するビルがないとか、そういった側面もございます。いずれにしても、最初から私たちがこういうものというよりは、再開発の場合、最初は地域の方といろいろ勉強しながらやっていきます。先ほど言ったようなことも、いろいろとコーディネーターも派遣していますし、地域で一番最初に話したときに、どのぐらいの助成が受けられるだとか、再開発の仕組み的なものはその中で説明していく形になりますので、何か、この方針の中で余り具体的ということになると、地域によっていろいろな事情があるものですから、それはできないということになります。
◆松浦忠 委員 いいですか、あなた方、何のために委員会を招集してやっているのですか。全く議員の言う意見を寸分とも聞こうとしない。特に、この中で最初の査定からかかわっているのは私しかいないんですよ、あなた方を含めて。(発言する者あり)だから、かかわって、結果的に、あそこは公開通路ですからそれでいいですよ、北門館は。だけど、今、何も変わっていない。言葉だけが踊って逆に悪くなっている。世界をリードするとか、あれだとか、これだとか。もっときちっと、上位が悪かったから、ここでその意見を受けて、市長は一人なんだから、そうしたら、きちっと上位プランも直す……(発言する者あり)
前にと言ったって、前にかかわっていないじゃないか、あんた。(「何でかかわってないの」と呼ぶ者あり)いやいや、かかわっていないじゃないか、ここに。
○伴良隆 委員長 静粛に願います。
◆松浦忠 委員 (続)我々は建設委員会ですよ。(「委員長、ちょっととめてや」と呼ぶ者あり)本郷君よ、どこの委員会でやるんだ、どこの委員会で。
○伴良隆 委員長 松浦委員、質疑に入ってください。
◆松浦忠 委員 (続)いいかい、ほかの委員会に行ったら、これは番外で制限される。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)したがって……(発言する者あり)何っ。(「都計審でやっていたでしょう」と発言する者あり)
都市計画審議会では、私は、今、審議委員でない。審議委員のときにはきちっとやって変更させましたよ。(発言する者あり)私が何の責任をとるの、本郷君。(発言する者あり)
いいかい、本郷君、君な、もうちょっときちっとわかって発言しなさい。
○伴良隆 委員長 ご静粛にお願いします。
松浦委員、質疑に入ってください。
◆松浦忠 委員 (続)いいですか、したがって……(発言する者あり)
本郷君、今、何言ってんだ。いいかげんにせい。これは委員会質疑の場じゃないか、あんた。
○伴良隆 委員長 静粛に願います。
◆松浦忠 委員 (続)君たちがだな、不勉強で何もわからんで質疑ができないからといって、人の質疑を遮るとは何事だ。(発言する者あり)
○伴良隆 委員長 松浦委員、本日は都市再開発方針についてでございますので、質疑に入ってください。
以上の調査結果によりまして、建物の安全性が確保されていると判断し、11月12日に発表したものでございます。
その後の対応についてでございますが、まず、小・中学校の保護者及び市営住宅の入居者に対しまして、直ちに建物の安全性が確保されている旨の文書を配付しております。これは、記者発表の日と同日付で11月12日に行っております。また、旭化成建材が他工法、鋼管ぐいによって施工した物件24件につきましては、独自調査の結果、データ流用がなかったことを確認しておりまして、これが11月30日になります。
データを流用した原因につきましては、新聞等ではいろいろ言われておりますが、札幌市として報告を受けたわけではございませんので、親会社の旭化成が調査を行いまして、年内を目途に中間報告をまとめる予定というふうに聞いております。
旭化成建材以外のくい施工会社が施工した物件につきましては、現在、各社で自主点検を進めておりまして、その結果が元請会社を通じて札幌市にも報告されることになっておりますので、それによって把握してまいりたいというふうに考えております。
続いて、民間建築物についてでございます。
旭化成建材が過去10年間で施工した物件のうち、札幌市におきましては、民間建築として11件のデータ流用が行われたことが判明しております。データ流用が行われた建物につきましては、元請建設会社に対しまして、国から指示されている安全確認の方法に基づいて、建物のふぐあい、傾斜やひび割れ、くいの支持層到達の状況などについて12月中の報告を要請しているところでございます。
4番目として、国と業界団体の動きでございます。
国土交通省は、学識経験者9名で構成いたします基礎ぐい工事問題に関する対策委員会を設置いたしまして、これまで3回会合を開いております。また、日本建設業連合会では、業界で統一したくい打ち工事の管理指針を年内にまとめる予定と聞いております。
○伴良隆 委員長 それでは、質疑を行います。
◆小口智久 委員 ただいま、旭化成建材によるくい施工データの流用、つまり、データの使い回しがあった建物に対する対応状況について説明がございました。
建物のくいは、上部の構造物を支える重要な部分で、くいの種類により支持力のもたせ方は異なりますが、今回施工データの流用が明らかになった支持ぐいは、地中のかたい地盤、すなわち、支持層にくいの先端を到達させ、その先端をセメントミルクでしっかりと支持層に定着させることが必要となるプレボーリング根固め工法でございます。くいが支持層に到達したことを判断する指標の一つとしては、ボーリングのときに計測する電流計の施工管理データがありますが、これを流用したということは、建物の安全性の確認に影響を与えるゆゆしき事態と考えているところでございます。
このため、くいの施工データが流用された建物については、くいが支持層に到達しているのかどうかの確認が求められるところでございます。先ほどの説明で、国からデータの流用があった建物の安全確認の方法が示されたとのことですが、その方法はどのようなものであったのか、伺います。
また、11月12日の独自調査結果の公表において、札幌市は、データ流用のあった建物の安全性が確保されていると判断したとしておりますが、これは国土交通省が確認方法を提示する前に行っているもので、その確認方法は国交省の提示した方法に合致しているのかどうか、伺います。
◎大場 建築部長 データ流用があった建物における安全性の確認方法についてでございますが、国土交通省からは、現地での建物の状況、傾斜があるか、ひび割れがあるか、そういう確認に加えて、3種類の書類による確認方法と、書類で確認できない場合の地盤調査による確認方法が提示されております。
書類による確認方法といたしましては、まず、Aとして、設計時の地盤調査で支持層の平たんさを確認した上で、データ流用のない周辺のくいの施工記録などから、データ流用のあったくいの支持層の深さを確認するという方法が一つでございます。また、Bとして、データ流用などのあったくいの支持層の深さについて、施工時に地盤調査あるいは電流計以外の施工記録があることを確認した場合、これが2番目でございます。また、Cとして、データ流用などのあったくいの施工時に、発注者、札幌市であれば札幌市の職員が立ち会って適切に施工されたことをチェックしたという記録があることを確認した場合で、これらが書類による確認方法でございます。
このA、B、Cの確認ができない場合につきましては、ボーリング調査を実施して、支持層への到達の有無を確認することになっております。
この確認方法は、公共、民間を問わず、全ての建物に適用される方法となっておりまして、札幌市が行った確認方法は、先ほどの1番目のAという方法に合致しておりますので、確認方法の妥当性が裏づけられたものというふうに考えてございます。
◆小口智久 委員 ただいまの答弁で、札幌市では書類によるAの方法で確認したということでございました。国交省の提示している確認方法と合致しているということで、国交省が提示した確認方法は何種類かございますが、私も合理的であると考えておりますので、現場で適正にくいが施工されていることを改めて理解したところです。
しかしながら、建物が適正に施工されていることを証明する施工報告書を初めとするさまざまな書類をきちんと整備していくことは、工事の発注者、施工者の双方にとって必要なことでございます。施工状況の確認は、施工者、工事監理者、本市職員がそれぞれの役割、立場に応じて行うことになりますが、くいの施工状況について、これまではどのような方法で確認を行っていたのか、伺います。
◎大場 建築部長 くいの施工状況のこれまでの確認方法についてでございますが、現在の発注仕様書におきましては、施工者は、全てのくいにつきまして、電流計を初めとする各種の施工記録を管理または計測して記録することとなっております。また、工事監理の適正化を図ることを目的として国土交通省が作成した工事監理ガイドラインというものがございますけれども、設計事務所になりますが、工事監理者は試験ぐいに立ち会いまして、それ以降は、工事監理者から提出される自主検査記録などによりまして、一部を抽出した上で施工状況を確認することとなっております。さらに、本市職員は、工事監理者がチェックした後に提出された施工報告書の確認を行っており、それぞれの立場で適正な施工がなされているかを確認しているところでございます。
◆小口智久 委員 ただいまの答弁で、施工者は電流計などで、工事監理者は自主検査記録の抽出検査、本市職員は施工報告書等をチェックしながら、適正な施工がなされているかどうかをそれぞれの立場で確認しているということでした。
しかし、本市が発注した物件においても、くい施工データの流用があり、これを見抜くことができなかったことは事実でございます。昨日の我が会派の代表質問に対して、来年度以降のくい工事については、元請建設会社、工事監理者、本市職員による施工状況の確認や監督体制を強化するとの答弁をいただきましたが、来年度以降、これまで行ってきた施工状況の確認方法を具体的にどのように見直すのか、伺います。
◎大場 建築部長 施工状況の確認方法の見直しについてでございますが、昨日の代表質問でお答えいたしましたとおり、データ流用発覚後の今年度の工事におきましては、まず、1番目として、電流計記録の原本を全数保存し、2番目として、セメント使用量を確認できる写真を全数撮影する、また、3番目として、支持地盤に達したことを元請建設会社みずからが全数確認してチェックリストを用いて管理する、4番目といたしまして、掘削深度と連動したモニター等を用い、電流値とボーリングデータを比較しながら作業する、これは、今、最新型の機器が入っていますのでそういうことができるようになっておりまして、発覚以降の発注工事に対してはこういった対策を実施しているところでございます。
来年度以降は、現在考えられることといたしまして、これに加えまして、元請建設会社におきましては、まず、施工時における電流計データを直接写真に撮影してもらうこと、また、自主検査記録を工事監理者へ速やかに提出してもらうことです。横浜では3カ月後に提出するということがありましたので、まず、迅速に提出をしていただくということです。それから、工事監理者におきましては、工事施工者から提出された自主検査記録について、今までは抽出で確認していたものを全数確認していただくこと、また、本ぐい打設時における立ち会い回数も、今は試験ぐいだけのものを、できる範囲になるとは思いますが、ふやしてもらうことを考えております。また、本市の職員につきましては、当然、書類審査を厳格化するとともに、やはり札幌市の職員もできるだけくいの打設時には立ち会うようにする。ただ、くいの本数が何百本という場合がありまして、マンパワー的にはちょっと無理かと思いますので、必要なところは立ち会いをするように、できる範囲でやっていきたいと考えております。それから、万一施工データがとれないような場合には、監督員、工事監理者、札幌市の職員による協議体制をきちんと構築してデータ流用がないように努めてまいりたいと思います。
現在、そういったことが考えられておりますが、国交省の有識者委員会では年内の中間報告に向けて議論が進められておりますし、また、日本建設業連合会におきましてもくい工事に関する施工指針を策定する動きがあって、当然その内容が出てくるかと思いますので、それと照合しながら、本市として、できる対策を整理あるいは拡充して、さらなる安全性の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
◆小口智久 委員 最後に、要望ですが、私もずっとコンサルタントに勤めておりましたので、現場の難しさというのは知っているつもりです。こういう問題に対する解決策には随分とマンパワーを割くようなことになりますけれども、技術者不足が叫ばれている中で、今言われた柔軟な対策をすることによって随分と改善すると思います。
もう一つは、そもそも今回の施工データの捏造、流用がありましたけれども、施工管理のときの判断というか、データの提出が画一的だったことがこういう流用につながったものと考えられます。くいに関しては一発勝負の工事でございますので、そのときにデータがとれないときのための総合的判断は、今言われた対策でよろしいと思いますが、そういうことをほかの分野にもどんどん広げていっていただければと思います。
◆松浦忠 委員 まず、今、札幌市内の件数が出ましたが、私も、何件かデータを出していただいて点検、確認をしました。その中で、電流計の針の振れが表示されている記録誌があります。これは、例えば北白石小・中学校の場合、機械につけられている電動機の電流計と、何メートルの深さの穴を掘ったかという機械は、機能的に連動していたか、していないか、まず、一つはこれを確認します。
それから、記録誌に深さの数字が書いてありますが、この数字は、機械的に記録されて出てきたものなのか、人為的に深さのメートル数を書いて記録したものなのか、これについてお尋ねします。
◎大場 建築部長 まず、深さと電流計の波形が連動しているのかということですが、それは連動してございません。
それから、2点目ですが、電流計データに記されている深さについては、後ほど人為的に書いたものでございます。
◆松浦忠 委員 そこが問題なんですよ。私が1983年に議員になったころは、建築でも土木でも、職員が監督員として現場に派遣されて、現場事務所もちゃんとつくって、大事なところは、全部、そこで確認して仕事を進めたのです。それを、人減らしのために、責任施工だということで、写真などをつけさせるということで民間にやらせました。その結果がこれなのですね。
そこで、先ほど大場部長はこういうことがいろいろ考えられるということを言いましたが、人手の関係もあって、肝心なこと、一番大事なことが抜かされているのです。まず、今の確認の仕方で本当に大丈夫かと。疑いは持ちたくないけれども、結果としてこういうことが蔓延しています。私も、かつての日本国有鉄道で電気関係の仕事をやっておりまして、トンネルの中に設備をつけたり、土木工事にもいろいろかかわりがありましたが、昔から、大体、土に埋めるものについてはそこそこにして、そこでもうけなければというのが発注側も受注側も共通した認識だったんです、埋めたらわからぬと。だから、今、次々と出てくるわけですよ。発注側もわかり合っていてやっているんです。
したがって、今のものについては、私は、やっぱり、何カ所でもいいですから、本当に市がきちっとボーリングして、場合によっては試験掘りをして、本当に入っているのかどうか確認することが大事だと思います。そうでないと、今、いわゆる電流の波形が出ています、しかし、深さのところは手書きですと、そして材料は買ったという証拠がある、これだけ使ったという証拠だと言うのですが、それは買ったという証拠であって、使ったという証拠ではないんですよ。したがって、これだけ問題になっているのだから、やっぱり試験掘り、それからもう一つは実際にくいのところを掘ってみる。可能なのですから、私はこれをしなきゃだめだと思うんです。
なぜ、私がこれを言うかといったら、今、西1丁目の再開発をやっていますが、実は、議会に全く公表もしないで、当時の板垣市長が、東豊線からそこにつながる100メートルぐらいのトンネルを札幌振興公社に掘らせていました。先般、建設委員会でそこを見に行ったら、天井の上のほうから下まで鉄管が3本立っていました。何の鉄管ですかと聞いたら、実は、東豊線の上を埋めて、その上にこのトンネルをつくったけれども、その埋め戻した土と今使おうとしているトンネルの間に空洞ができていないか調べるためにボーリングをする、その空洞の部分のさや管なのですということなのです。あのときは、交通局が現場監督員をきちっと配置してやった仕事なんですよ。それでもそういうことなんです。誰がこういうことが心配だと考えたんですかと担当の街路工事課長に聞いたら、実は受注業者の伊藤組のほうから、下がちょっと心配ですねという話がありましたということでした。さらに、雨漏りするのになぜ天井に穴あけたんだと聞いたら、伊藤組に相談して、伊藤組がこの方法がいいだろうと言うからやりましたと、こういった調子なんです。これが、札幌市の技術者の皆さん方の物の判断の程度なんです。
そういうことからいったら、私は、やっぱり、きちっと、まずは何カ所か試験ボーリングをする、さらに何本かのくいの横を掘って確認する、こういうことをして、その上でこれは大丈夫だよという判断をしなければいけない。手書きで書き込んだメートル数を信用する、これだけ使いましたという写真や材料を購入した伝票を信用するだけでは、大体、適当にやっているというのは物を買ったりしていろいろやっているんですよ。ところが、実際にやるときにそれを使わないで、ちゃんとどこかに持っていって、そして、伝票では10本なら10本のくいをちゃんと買っていますよと、こういうことなんですよ。
したがって、私は、やっぱりそういう確認をちゃんとしなかったらだめではないかと思うのですが、いかがですか。
◎大場 建築部長 確かに、これまでの電流計は、モーターの負荷が幾らかかったかということで掘削の抵抗値しかとれなくて、それで支持層に到達したということを確認しますが、深さにつきましては、実際に打ち込んでいくオーガーと言うドリルの長さをはかっておりますので、その長さが実際のくいの長さとして記録されております。それは、もちろん納入伝票等でくいごとに全部写真を撮っておりますから、その深さで打ち込まれていることが確認できます。
◆松浦忠 委員 オーガー、日本語で言うといわゆるらせん式穴掘り機です。あのらせんの穴掘り機のところに、ここはゼロです、ここは1メートルです、2メートルですという数値はきちっと入っているんですか。
◎大場 建築部長 掘削のときにマーキングをしてわかるようにしてあります。
◆松浦忠 委員 私が聞いているのは、例えば、物をつくる段階で、鍛造の段階でそういう数字がきちっと入っているのかどうか。後からマジックだとかペンキで書いたものは、いかようにも書きようがあるのですよ。私が聞いているのはそこなので、それはどうなのですか。
◎大場 建築部長 マーキングによっています。
◆松浦忠 委員 今、旭化成建材のほかにもどんどん出てきていますし、それから、私自身、いろいろなことを仄聞してきていますし、実際に見てもきていますが、そういうことからしたら、マーキングによるということは余り信用ならないのですよ。
したがって、やっぱり、それはきちっとボーリングで試掘する、さらに、そのくいの横、外側を試験掘りして、本当に下に到達しているかどうかという確認をすべきだと思うのです。金かかるとか何とか言ったって、大事なことですから、それはやるべきだと思うのですけれども、どうですか。
◎大場 建築部長 その現場ごとにきちんとマーキングされておりますし、先ほど言いましたように、くいのそれぞれの長さというのは全部写真で計測しておりますので、それが間違いなく埋め込まれているのであれば、支持層には到達していて問題はありません。
◆松浦忠 委員 間違いなく埋め込まれているという確認はどういう方法でしたのですか。
◎大場 建築部長 それは、先ほど言いましたように、周りのくいと比べて支持層の位置を確認します。それは、ボーリングデータ、試験ぐい、それから、周りの流用されていないほかのくいの電流計データから、そのときのそれぞれのくいの長さというのはわかりますし、写真からも納入されたくいの長さが全部わかりますから、それと比較すれば、そのくいが同じ長さで打設されていることがわかりますので、それで証明できると思います。
◆松浦忠 委員 データというのは、いわゆる電流計によって表示されているデータですね。これは、どの範囲のものが流用されていないというふうに見ているんですか。その1件の工事の中で流用をされているか、されていないかという比較なんですか。それとも、旭化成建材が札幌市内で何十件かやっていたら、そういうデータと全部比較して、それで流用されているか、されていないかというような確認をされたのか、どういう確認ですか。
◎大場 建築部長 あくまでもその工事の中だけです。
◆松浦忠 委員 大体、ごまかすときは、わからぬように考えるのですよ。その工事の中でやれば、みんなに見られたらわかる可能性があるな、離れたものを持ってきてやる、こういうのが大体のやり方なんですよ。たまたま工区の中だけのものもあったでしょう。しかし、そうでないものだってあるわけです。そういうことからいったら、私は、今、札幌市が安全だと言っていることについては、それは全く確証のない安全だと。特に、オーガーの数値にしても手書きで書いたものだということですね。それは、どうにでも書けるものです。事前に課長に聞いたら、例えば、くいの頭がちゃんと当たり前になっていましたよと。極論を言えば、10本打つところを7本しか打っていなくても、頭はちゃんとしているのですよ。3本は、数字だけ書いてどっかへ持っていっちゃったということだってあるわけですよ。
ごまかされたとなったら、やっぱりそういうことも疑って最後は確認する以外にないのです。確認の費用はこっちが持つのではないのです。旭化成建材にやらせるのです。あるいは、施工した会社にやらせる。元請会社に責任を持ってやらせることなのです。マスコミも含めて、施工した旭化成建材だけが随分悪い悪いと言われているけれども、基本的に元請なのです。でも、元請は余り出てこない。したがって、元請責任はどうなっているかということをきちっと問わなければだめです。
元請責任のとり方について、どういうふうになっているんですか。
◎大場 建築部長 まず、先ほどのほかの現場から流用されているのではないかというお話がありましたけれども、地層というのは現場ごとにそれぞれある程度異なってきますので、当然、電流計のデータは特性が出てきます。その特性を見れば、ほかの現場から流用されたかどうかというのはわかってきます。まず、それが1点です。
それから、元請の責任についてですが、今回の流用に関しましては、意図的に流用されておりますので、それを見抜くことはかなり難しい。旭化成だけでも全国で360件の流用がありましたが、全国どこの自治体も業者も発見できなかったということで、専門家でも見抜くのがかなり難しいというふうに言われております。ですから、それを見抜けなかったからといって、確かに、最終的には見抜けなかったことは事実ですので、そのことに関しては元請として責任があると思いますが、まずは流用したところに一番の責任があるというふうに考えてございます。
◆松浦忠 委員 札幌市はどこと契約しているの。
◎大場 建築部長 札幌市は元請と契約しております。
◆松浦忠 委員 そうだとしたら、これは全て元請ですよ。札幌市が下請についてああでもない、こうでもないと言うのは間違いですよ。基本的に元請ですよ。元請が下請を連れて釈明に来るというならまだわかるよ。直接、下請が札幌市に来るなんていうのは、これもまた手順が違う。契約というものはそういうふうになっているんだから、契約をきちっと履行していないからこういうことになっているんですから、札幌市が責める責任者、履行を求める相手というのは元請なんですよ。したがって、あくまでも元請を対象にしてきちっとこの話をしていくということが大事なんですよ。そこのところを下請、下請と言っているけれども、それは元請の責任です。そんなに言うなら、これは直接発注しなきゃならなくなるんですよ。
したがって、元請に対してどうしているのか、聞きたい。
◎大場 建築部長 私どもは、今回、下請に対して調査を命じたわけではなくて、全ての調査は元請に指示して調査していただいています。
◆松浦忠 委員 今、私が指摘したボーリングの試験掘り、それから、実際にくいの横を試験掘りする、これらの経費は元請に求めることですよ。例えば、時効がありますよと言うなら、それは、見過ごして札幌市の財産になっているわけですから、札幌市の責任でやらなきゃいかぬ。しかし、今後のことを含めて、元請に対してそういうことをやってほしいと要請したのか、しないのか、これをお尋ねします。
◎大場 建築部長 今回の流用の件に関しては、元請のほうに調査をするように指示をしております。
◆松浦忠 委員 調査というのは、実際に北白石小学校なら北白石小学校のくいの横で試掘をして、いわゆるボーリングをして、その横にきちっと穴を掘って、そして、到達しているかどうかということの確認を元請に求めることをしたか、しないかと私は聞いているんですよ。
◎大場 建築部長 今回、札幌市で検証した方法で安全性が確認されておりますので、ボーリング調査を求める予定は今のところございません。したがって、その経費を持つ、持たないという話にはならないと思います。
◆松浦忠 委員 今の私の質疑の中で、例えば、らせん式穴掘り機の数値そのものは手書きで書いたと言っているんですから、信用ならぬですよ。あなた方は、一方的にそれを信用しますと言ったって、少なくとも私は信用ならぬ。それじゃ、私が市民アンケートをとってみましょうか、信用できるか、できないか。そして、市長に、これをきちっとやれと、会をつくって、代表をつくって、市民の署名を集めて市長に要請したときには札幌市はやらなきゃならなくなるんですよ。
そういうことについて、あなた方は、市民の共有財産である建物の安全について、誰の側に立って確認するか、ここのところなんですよ。今の話だったら、私からすれば元請業者の側に立っている。納税者である市民の側に立っていない。私は、市民の側に立って、そういうことをきちっと元請に求めるべきだと求めているんですよ。これについていかがですか。
◎大場 建築部長 手書き、手書きとおっしゃいますが、マーキングというのは、きちんと工事監理者とか元請業者も、当然、下請も入って全部確認しておりますので、これは信頼性があると考えております。
◆松浦忠 委員 今まで、皆さんは、信頼性がある、あるで来て、横浜のマンションだって、大丈夫だ、大丈夫だと言ってきて、最終的には関係住民のマンション居住者の強い要請によってようやっと横浜市が重い腰を上げて調査した結果があれだったということでしょう。横浜市は、それまで腰も上げんかったわけですよ。今回も同じだ、札幌市も、私から見たら。札幌市が1円の負担もなく、市民が安心できる確認の方法が今のようなことでできるわけです。なぜ、それを拒むのかと、なぜ、要請しないのか、そこのところは、私はどうやったって理解できない。これは、やっぱり求めてやるべきだ。
局長、あなたは、長く建築の工事にかかわってこられているけれども、事ここに至っては、私はそういうことだと思うんですよ。ぜひ、市長と相談して、これは大事な問題だから、大事なところは確認できずに、いわゆる推定安全しか言ってないわけですから、したがって、確認できていないんですから。したがって、市長と相談して、何カ所か選んで、そして、今言ったような方法で元請にきちっと確認してもらうことが私は大事だと思うので、ぜひ市長と相談して、どうするか、結論を出してください。このことは要請しておきます。要請だから答えは要らぬ。
次に、先ほど、民間の建物で11件とありました。民間の建物11件の内訳として、事務所と俗に言うマンション、集合住宅、これは何件ずつですか。
◎小田垣 建築指導部長 共同住宅で5件、商業施設1件、工場2件、医療施設1件、学校2件でございます。
◆松浦忠 委員 共同住宅5件は、道庁が既に発表している5件というものと同じですか。道庁が集合住宅5件と発表しているんですよ。
◎小田垣 建築指導部長 道庁発表の5件というのは、たしか釧路と紋別市の市営住宅でございます。この5件は札幌市内の民間の建築物ということで別でございます。
◆松浦忠 委員 これは、民間とはいえ、市民の生涯をかけての貴重な財産ですから、したがって、やっぱり札幌市としても関与して、そして、きちっと、入居している皆さんが本当に納得できる方法で、先ほど私が指摘したような方法で確認するように、ぜひ業者に求めて実施させるべきだというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
◎小田垣 建築指導部長 建築主、いわゆる所有者に対しては、国や道からも元請業者を通じて説明をするようにということで伝わっているところでございます。
私どもとしては、今現在、国の示された方法に基づいてチェックされたかどうか、元請業者を通じてその確認にヒアリングを行っているところでございます。その中で、所有者がどのようなことを求めているか、そこは元請業者との話し合いの中で決められるものというふうに考えております。
◆松浦忠 委員 市長は、市民が安心して安全な生活ができることに最大限の取り組みをする、これが市長の最大の、順番を上げれば一番の仕事の責務なんですよ。そういうことからしたら、今、部長が言われたような業者と所有者の間の問題ではありません。やっぱり、所有者は、いろいろな専門的知識もなかなか持ち得ていませんから、札幌市が積極的に持ち主の相談に乗って、場合によっては今のようなこともちゃんと助言して、そして、一緒になって中に入って業者側と話し合いをするということが私は大事だと思うのです。どうでしょうね。
◎小田垣 建築指導部長 今現在、国から、そこにも示されております基礎ぐい工事問題に関する対策委員会で、有識者の意見も踏まえた合理的な方法、確認する方法が示されております。もちろん、手順を追いながら地盤調査をする段階というのも示されておりまして、私どもは、そこに沿いましてできるだけ速やかに安全性の確認をしていきたいと思います。その中で、建物所有者の方々、それから住民の方々の不安払拭のためにご相談に乗ったりすることは適宜行ってまいりたいというふうに考えております。
◆松浦忠 委員 皆さんは有識者、有識者と言うけれども、率直に言うと、ずっと昔の建設省から札幌市も道庁も含めて、建築・土木の技術者の皆さんが、幹部の皆さんが業界に天下る、そういう中で暗黙の了解で、皆、やってきたことなんですよ。私はずっと見ていて、その人たちは、ばれたかと、どうやったらマスコミなんかの報道が鎮静化するのかな、しばらく頭を低くして通り過ぎるのを待つかなと、こんな状況だなと思っていました。今、国がなんて言ったって、みんな同じ穴のムジナでやっていたんだから、その人たちが有識者なんて、集まる有識者も、大体、大学の先生も同じです。したがって、そんな方々なんか当てにならぬって。私がさっき言った方法が簡単にして誰でもが納得できる方法なんですよ。したがって、ぜひ、その方法で建て主にアドバイスをして、一緒になって施工業者と話し合いをして、その方法で安全を確認してやる、これが一番なんです。これ以上、確認のしようがないんです。ぜひひとつ、こういうことでやっていただきたい。
そんな、国が、国がなんて、今言ったようなことだから。あなた方がそうだとは、私は思っていませんよ。けれども、少なくともあなた方の先輩含めて、皆、そうなんだから。したがって、今、私が言った方法で、ぜひ、部長、今のマンションの管理組合なり何なり、所有者と話してやってください。
私は、今まで、マンション問題で何件か相談に乗りました。札幌市の大場部長のところに行って、私も入ってやりましたね。植物園のところのあの問題は、今、裁判をやっています。そのほかにも何件かあります。これは、実際にそういうことをやらぬ限り、本当になかなか解決がつかないんです。ところが、入居者の皆さんは、そこにそれだけの金をかけていくだけの余裕がないんです。だから、結局は、しようがなくて裁判に行くと。植物園の件なんか、あの代表になっている人が、業種は違うけれども、土木のほうの設計事務所をやっている方ですよ。それで最終的に裁判になっています。
そういうことで、部長、これも市長と相談して、ぜひひとつ、やってください。これは、本当にみんなが一生をかけた建物なんだから、大変なことです。この問題は、本当に、どうやったら被害に遭っている人が安心できるか。札幌市の建物であれば、所定どおり60年間、学校であれば鉄筋コンクリートがもつようなものであることを確認できるか。このことは、ちゃんと私が言ったような方法でするのが一番ですから、ぜひひとつ、市長と相談して決めていただきたい、そして、業者に求めていただきたいということを求めて、私の質疑は終わります。
○伴良隆 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○伴良隆 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時16分...