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平成27年第一部決算特別委員会−10月20日-05号
平成27年第二部決算特別委員会−10月20日-05号

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  1. 札幌市議会 2015-10-20
    平成27年第一部決算特別委員会−10月20日-05号


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    平成27年第一部決算特別委員会−10月20日-05号平成27年第一部決算特別委員会  札幌市議会第一部決算特別委員会記録(第5号)               平成27年(2015年)10月20日(火曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 32名(欠は欠席者)     委 員 長  國 安 政 典      副委員長   小 竹 ともこ     委   員  三 上 洋 右    欠 委   員  勝 木 勇 人     委   員  高 橋 克 朋      委   員  山 田 一 仁     委   員  五十嵐 徳 美      委   員  よこやま 峰子     委   員  宗 形 雅 俊      委   員  飯 島 弘 之     委   員  北 村 光一郎      委   員  村 松 叶 啓     委   員  村 山 拓 司      委   員  福 士   勝     委   員  畑 瀬 幸 二      委   員  ふじわら 広昭     委   員  恩 村 一 郎      委   員  峯 廻 紀 昌     委   員  長谷川   衛      委   員  小 川 直 人     委   員  山 口 かずさ      委   員  中 村 たけし     委   員  松 原 淳 二      委   員  岩 崎 道 郎     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  好 井 七 海     委   員  前 川 隆 史      委   員  わたなべ 泰行
        委   員  伊 藤 理智子      委   員  小 形 香 織     委   員  太 田 秀 子      委   員  平 岡 大 介     委   員  堀 川 素 人       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時     ―――――――――――――― ○國安政典 委員長  ただいまから、第一部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、勝木委員からは欠席する旨、福田委員からは丸山委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。  それでは、議事に入ります。  第9款 教育費 第1項 教育委員会費から第9項 学校整備費までについて、一括して質疑を行います。 ◆岩崎道郎 委員  私からは、高校生に対する通学交通費助成について、3点ほど質問させていただきたいと思います。  秋元市長も子どもたちに対する学びというところに着眼した公約を掲げられておりましたし、先日、発表されましたアクションプラン2015でも、「女性が輝き子どもたちが健やかに育つ街」さっぽろをつくることを初めとする四つの重点課題を掲げておりまして、この中で、重点課題を牽引する取り組みとして合計16の主要事業が位置づけられております。この主要事業に、新規事業として札幌市高等学校等生徒通学交通費助成事業の実施が掲げられております。計画案によりますと、高額な通学費を負担して高等学校等に通う生徒に助成を行い、社会全体で子育てをしっかりと応援していこう、そういった環境を整えていこうということであります。  そこで、質問いたしますが、まず、この制度の概要についてお伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  高校生等の通学交通費助成制度の概要につきましてお答えいたします。  今回の制度は、通学交通費の負担を理由に進路選択の幅を狭めることを防ぐことを目的にして新たに実施するものでございます。本制度におきましては、札幌市内に居住する高校生等が公共交通機関を利用して石狩管内高等学校等に通学する場合における通学交通費のうち、基準額を超える額の半額を助成するものでございます。基準額は1カ月1万3,000円で、その場合、対象者は5,400人程度と想定しております。助成の開始につきましては、平成30年度を予定しております。 ◆岩崎道郎 委員  今のご答弁の中に、たくさんの子どもたちが高等教育の機会を得られる手助けになるというお言葉がありましたが、非常にすばらしいことだと思います。  札幌市は、本当に東西南北に非常に広がっておりまして、住んでいる地域によっては通学にも家計にも非常に大きな負担となります。私の地元の南区では、特に定山渓や簾舞など、南の奥側の方々は非常に多くの交通費の負担があって、高校生だけではありませんけれども、特に高校生を抱えている家庭では本当に多くの負担があることを私も聞き及んでおります。  そういった中で、厳しい財政状況の中ではありますが、このような制度の実施に踏み切っていただいたことは、私は、大きく評価をしていいのではないかと思っております。ぜひとも、実効性のある制度として末永くいつまでも実施していただきたい、そのように考えるところであります。  そこで、質問ですが、先ほどご答弁をいただいた説明ですと、若干イメージがしづらいのかなというふうに思います。具体例として、今申し上げた南区の定山渓や簾舞地区から市内の中心部の高校に通う場合、助成額はどの程度になるのか、伺いたいと思います。  また、石狩管内の高等学校に通学する場合も助成対象になるということでしたが、市内の高校に限定せずに、石狩管内の高校にまで対象を広げた理由はどういうところからでしょうか。  さらに、私立高校に対してはどのようになるのか、あわせてお伺いしたいと思います。 ◎引地 学校教育部長  助成額及び助成対象につきましてお答えいたします。  まず、助成額についてでありますが、具体例として、例えば、今ございました定山渓地区から市内中心部にある大通高校に通学する場合、1カ月分の通学定期券の購入費用は2万1,070円となりますが、この金額から1万3,000円を引いた8,070円の2分の1である4,035円が1カ月分の助成額となります。同様に、簾舞地区から大通高校に通学する場合の1カ月分の通学定期券の購入費用は1万5,310円なので、それに対する助成額は1カ月当たり1,155円となります。  次に、石狩管内の高校まで対象を広げた理由についてでございますが、本市における公立高校の通学区域は石狩管内で1学区となっており、市内在住の高校生は市外にある石狩管内の高校へも多く通っていることから、助成対象も同様の範囲が妥当と考えたところでございます。本制度は、札幌市内に居住する高等学校等進学者通学交通費の負担を理由に進路選択の幅を狭めることを防ぐためのものであるという趣旨に鑑み、公立、私立にかかわらず、石狩管内のどの高校に通学する場合についても助成対象に含めることを想定しております。 ◆岩崎道郎 委員  今、助成額の具体例を聞いて少しイメージが湧いてきまして、そういった形で使えることがわかってきました。  札幌市内に居住する高校生の通学先は、市内の高校に限っているわけではなく、石狩管内に広くありますので、全てに対してしっかりと助成することは非常に公平なことかなと、そして、遠くに行く子ほどその恩恵に預かれることは非常にすばらしいことなのではないかと思っております。さらに、公立と私立の隔てがなく、区別をしない、全て対象にするということ、ぜひ、その方向で進めていただければと思っております。  それから、同じ高校生を対象とする制度で、授業料を助成する高等学校等就学支援金制度がありますが、こちらの制度には所得制限が設けられております。その結果、北海道においては1割程度の世帯が授業料を負担しているということですが、今の例で申し上げますと、年間の通学交通費助成額は数千円程度となる場合もあろうかと思いますが、そういった中で所得制限を設けた場合、対象となる全保護者に世帯全員の所得証明の提出を求めるなどの相当な負担を強いることになります。また、子育て世代を応援するという趣旨においても、私は、所得制限を設けるべきではないと思っております。  質問させていただく内容としては、このたびの交通費助成制度において、所得制限を設ける予定があるのか、そして、基準額の1カ月1万3,000円を超える額の半額ということでしたが、これはどのような考え方で設定したものでしょうか。  さらに、保護者の金銭的負担を考えると、事前払いが望ましいと思いますが、保護者に対してどのように助成金を支払うのか、そこについてもお伺いしたいと思います。 ◎引地 学校教育部長  所得制限、基準額及び支払い方法についてお答えいたします。  まず、所得制限についてですが、委員のご指摘のとおり、保護者にはできるだけ手続のご負担をかけないよう、所得制限を設けることは想定しておりません。  次に、基準額の1カ月1万3,000円についてですが、これは、地下鉄と対キロ区間を除くバスを乗り継いだ場合における通学定期券1カ月の最高額が1万3,690円であることを踏まえたものでございます。また、1万3,000円を超えた額の半額とした理由についてでございますが、限られた財源の中、通学交通費の負担が大きい高校生を中心に、少しでも多くの高校生に助成が行き渡るように配慮したものでございます。  助成金のお支払い方法といたしましては、実際に購入した定期券の写しを提出していただいた上で事後払いとすることを想定しております。支払いは、保護者の申請により、年度の中間と年度末の年2回支払えるようにすることを想定しております。  なお、前払いを行うこととした場合、助成金の支払い後、転学や転居により助成対象から外れる高校生が出てくることが予想されます。この場合、助成金を個人から直接返金いただく必要がございますが、申請者からの申し出がない限り転学や転居の確認を行うことが難しいことから事後払いを考えております。 ◆岩崎道郎 委員  所得制限を設けないということでしたので、ぜひともその方向で進めていただきたいと思います。特に、何人かの子どもを高校に通わせている家庭においては非常に厳しい部分もあると思いますので、今、中間払いというお話がありましたが、この時期もできるだけ早めるとか柔軟な対応をしていただければと思います。  先ほど、何度か、進路の幅を狭めない、幅を広げていくという答弁がありましたが、何度も申し上げますけれども、これは本当にすばらしいことだと思います。今回の本会議で何人かの議員から子どもの貧困のお話がありましたが、子どもの貧困の連鎖を断ち切るためには、やはり、子どもたちが自分で学力をつけ、生きる力をつけていくことが何より大切だと思っております。そういった意味で、全ての子どもたちにしっかりと学ぶ機会が与えられることは貧困の連鎖を断ち切る一助にもなると思っておりますので、ぜひとも充実した整備をしていただきたいと思います。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、さっぽろ学校給食フードリサイクルについてと学校規模適正化にかかわる検討について、この2点について質問させていただきます。  初めに、さっぽろ学校給食フードリサイクルについて質問させていただきます。  さっぽろ学校給食フードリサイクルは、平成18年度、2006年度から開始され、食育と環境教育の生きた教材として教科などの学習活動に位置づけられてきた事業であり、我が会派としても、開始当初から注目し、議会で取り上げてまいりました。そして、私も、平成23年の第4回定例会での初めての代表質問の中でも、この取り組みを取り上げ、事業の充実と推進を求めてきたところであります。さらに、この事業は、我が会派の予算編成に対する重点要望において毎年取り上げさせていただいており、平成27年度、2015年度は、子どもたちの食育や環境教育の充実の観点から、学校給食フードリサイクルの全校実施を進めるとともに、学校での事例や効果を紹介し、より一層、普及啓発を進めることと提言しているところであります。  さっぽろ学校給食フードリサイクルは、給食の調理くずや食べ残しの生ごみを堆肥化し、その堆肥を利用して栽培した作物を給食で使用することで、子どもたち循環型社会の重要性を学んでもらっており、平成19年度、2007年度からはリサイクル堆肥で栽培した作物を学校の給食で使用できるように体制整備を行っております。  また、この事業の違った側面での魅力の一つと言えると思いますが、それは、実にうまく既存の市場の流通機能を生かしているという点にあります。事業者がつくった堆肥を利用してくれる生産者、できた作物は市場の流通に乗り、市場を経由して札幌市学校給食会に登録している青果物納入業者が取り扱い、各調理校に納品する、この一連の流れは、収穫で得られる時期と量は限られているとはいえ、有効に市場機能を活用していると言えます。  さらに、学校においては、リサイクル堆肥を活用して、学校教材園での野菜づくり、収穫した作物の調理実習、土づくりなど、さまざまな教育活動が実施されており、今年度は168校で実施されているとのことでございます。  こうした中、環境省における平成27年度、2015年度学校給食の実施に伴い発生する廃棄物の3R促進モデル事業が実施され、札幌市の学校給食フードリサイクルが採択されたと伺っております。環境省は、平成26年、2014年10月、今後の食品リサイクル制度のあり方について中央環境審議会からの答申を受け、学校給食においても食品のロス削減やリサイクルを推進するとしており、本来、学校給食用の調理施設については食品リサイクル法食品関連事業者に位置づけられてはおりませんが、食品ロスを削減し、取り組みを実施するとともに、調理くずや食べ残しなどの食品残渣を回収し、再生利用の取り組みを推進することとしております。また、学校においても、食育環境教育の一層の推進を図る観点から、食品廃棄物にかかわる取り組みを推進していくこととしていることから、そのモデル事業として、本市の学校給食フードリサイクル事業が注目されたものと思います。  そこで、質問ですが、環境省のモデル事業が採択されたことにより、札幌市としてどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。 ◎本居 学校施設担当部長  環境省のモデル事業における札幌市の取り組み内容についてお答えいたします。  学校給食フードリサイクルは、身近な学校給食を通じて児童生徒が食や環境の重要性について学ぶための取り組みであり、ことしで10年目を迎えております。今年度、環境省のモデル事業には全国で3都市が選定されましたが、その一つに札幌市の学校給食フードリサイクル事業が選定されております。  モデル事業では、これまで取り組んできたフードリサイクル事業を生かし、食に関する循環の仕組みや再利用、廃棄物抑制の重要性について、児童生徒のさらなる理解を深めるため、映像を使った教材、啓発用ポスターなどを新たに作成し、その活用を通じた取り組みの効果を検証することとしております。 ◆丸山秀樹 委員  学校給食フードリサイクルも10年を迎えました。そして、全国の3都市の一つに選ばれたということで、今後この活動に大きく注目をしたいと思いますが、ことし、その事業に選ばれたということで、循環や再利用を改めてしっかりと学べるような教材として、映像、さらには啓発用のポスターなどもつくっていきながら、さらに事業の理解を深めながら進めていくというご答弁だったかと思います。この事業も、きっと全国から大変高い関心が寄せられる事業になるものと思っておりますので、ぜひとも、そうした持続につながるような成果を上げていただきたい、このように思うところであります。このモデル事業をきっかけとして、今後、さらに学校給食フードリサイクル事業の発展、充実が図られるものと思います。  そこで、質問ですが、平成18年度から10年間の取り組みを振り返ったときに、着実な成果を上げてきているとはいえ、一方では、課題もあるのではないかと思います。課題としてどのようなことが考えられるのか、お伺いいたします。 ◎本居 学校施設担当部長  フードリサイクルの課題についてお答えいたします。  フードリサイクル事業は、食育、環境教育の充実のため、着実かつ継続的に取り組むことが重要であると考えております。  課題として考えられることは、フードリサイクル堆肥を活用した栽培の知識、技術などが不足している学校もあり、そうした学校への支援が必要であることが挙げられます。また、これは直接的な課題ということではございませんが、児童生徒が食の重要性や環境負荷低減について学んだことを家庭で実践できるように、保護者や地域の方々への広がりについても考えてまいりたいと思っております。 ◆丸山秀樹 委員  今、答弁にありましたように、フードリサイクル事業は、まさに、地道に、そして着実かつ継続的に取り組むことによりまして、非常に重要な事業になっていくものと思います。また、課題として挙げられたように、フードリサイクル堆肥を活用した栽培の知識、そして、技術の不足している学校への支援については、丁寧な指導が必要であります。  これを質問するに当たりまして、私は、農政部にも問い合わせをさせていただきました。現在、そうした丁寧な指導、支援については、札幌市農体験リーダー制度を利用されているとも伺っております。市長が認定する事業でございますが、市民農業講座であるさっぽろ農学校の修了生で、この事業において市内中学校の総合的な学習の時間などに派遣する制度に登録されている方が実は65人もいらっしゃると伺っております。ただ、日中に携わるということもあって、65人全員ができるわけではありませんが、こうした農体験リーダーの存在は非常に大きなものだと思っております。また、学校に隣接している生産者と学校が直接つながりを持って、さまざまなことを体験しながら学んでいるとも聞いております。手稲の大浜みやこ、そして東区のタマネギなど、そうした例は大変に有用な取り組みであり、市内農業に対する理解や興味にもつながっていっていると伺っております。こうしたことをしっかりと利用していただきながら、この事業による教師たちの負担の軽減にもつながるよう進めていただければと思います。  子どもたちにとって、自分たちでつくった作物、愛着や思い出の詰まった作物というのは格別なものがあります。食べ残しの減量にもつながっているとも聞いており、ついては、そうした子どもたちの体験や実感が家庭での食卓での会話につながっていくことが大切であると思います。冒頭にも述べましたが、この事業は、多くの関係事業者の理解もあって成り立っている事業でありますことから、今後、そうした信頼関係も大事に進めていただくことを求め、次の質問に移らせていただきます。  次は、上野幌・青葉地域4小学校の学校規模適性化にかかわる検討についてでございます。  これまで、上野幌・青葉地域は、人口増加に伴い、小学校を新設してまいりました。上野幌・青葉地域の4小学校とは、国道274号線を挟んで北側に位置する上野幌小学校青葉小学校、国道274号線を挟んで南側に位置する上野幌東小学校上野幌西小学校の4校であります。北側の上野幌小学校は、明治33年開校、開校から115年です。青葉小学校は昭和43年開校ですので、開校から47年になります。南側の上野幌西小学校上野幌東小学校は、平成に入ってから開校した小学校であります。この地域は、平成7年度、1995年度をピークに児童数が減少し、平成26年度、2014年度にはピーク時の半分以下となっております。  そうした中、同地域では、平成25年、2013年3月以降、保護者や地域住民、そして教育委員会との間で意見交換を行ってまいりました。その結果、具体的な事柄を踏まえ、検討を深めてみようという趣旨で、4小学校の保護者や地域住民の代表者などで構成する小規模校検討委員会が設置されました。そして、上野幌・青葉地域の第1回小規模校検討委員会が平成26年、2014年8月2日に開催、今日まで6回にわたって検討委員会が開催されているところであります。この検討委員会では、将来を見据え、子どもたちによりよい環境を確保するため、学校を統合する場合などを想定した上で諸課題の検討を進め、最終的には学校の統合を含め議論するとしており、今年度はあと2回の検討委員会が開催されるものと思われます。  そこで、質問ですが、初めに、教育委員会は、この地域における学校の課題をどのように受けとめているのか、そして、この会議はいつまでにという期間を定めて結論を出そうとしているのか、お伺いいたします。 ◎本居 学校施設担当部長  上野幌・青葉地域における学校の課題と検討期間についてお答えいたします。  上野幌・青葉地域の4小学校では、ピーク時は2,000名を超えた児童が、その後、減少を続け、ピーク時の約45%、900名程度まで減少しております。今年度は、4小学校のうち、二つの小学校では全ての学年が1学級で、クラスがえが実施できない状況となっているほか、他の二つの小学校でも児童の減少が進んでおります。このような状況では、子どもたちの人間関係が固定化しやすく、また、集団競技やグループ学習などが実施しづらいといった制約もあり、子どもの社会性や協調性を育む上で課題があると認識しております。  教育委員会としては、できる限り早く適正規模にすることが望ましいと考えておりますが、現在、検討委員会では、委員の皆様からさまざまな意見が出され、活発な議論が行われているところであり、特に検討期間を定めているものではございません。 ◆丸山秀樹 委員  検討委員会では、現在、現状と将来の人口推計などを視野に入れながら、さまざまなパターンを想定して議論されていると伺っているところであります。そして、これまで検討委員会で話し合われた統合パターンは三つに整理できると言われております。一つ目は、国道274号線を境にした2校と2校をそれぞれ1校と1校にする案で、中学校区が一緒の上野幌小学校青葉小学校上野幌東小学校上野幌西小学校を統合する案であります。二つ目は、長期的に安定した児童数の確保という観点から、4校を1校に統合するという案があります。三つ目は、地域性なども考慮し、中学校区に課題は残すものの、上野幌3校を1校に統合することを検討し、平均的に現在2学級になっている青葉については、そのまま存続させるという案であります。  そこで、質問ですが、この3案が検討されているのが主な内容だと思いますけれども、検討委員会における教育委員会の役割と権限についてお伺いいたします。 ◎本居 学校施設担当部長  検討委員会における教育委員会の役割と権限でございますが、教育委員会としては、子どもたちに良好な教育環境を提供する観点から、学校規模適正化の重要性について検討委員会の中でも繰り返しご説明しているところです。検討委員会では、その議論が円滑に進むよう、委員からお話がありましたようなさまざまな統合案に関する資料を作成したり、話し合いの内容をニュースとして地域や保護者に周知するなど、事務局としての役割を担っており、検討委員会の意思決定に関与することはございません。 ◆丸山秀樹 委員  教育委員会といたしましては、事務局としての役割にしっかり取り組んでいるというお話でございましたが、私は、この検討委員会の協議の行方を注視するとともに、大変に懸念していることがございます。  それは、青葉自治連合会地域内にある唯一の小学校である青葉小学校がなくなるかもしれないという危惧であります。当然、小規模校検討委員会での協議を理解しないわけではございません。しかし、この問題は、学校規模の適正化の問題だけではおさまらず、今後の青葉地区の未来を左右しかねない問題であるからであります。自治連合会から、小学校がなくなると、将来のこの地域のまちづくりの可能性の大切な芽を摘むことにつながりかねません。  青葉地区連合会は、長年にわたり、子どもを地域の中で育む活動を地道に続けてまいりました。春には、町内の方と一緒に行う学校での花植え事業、夏には、自然観察会と蛍の鑑賞会、そして、ここを巣立った子どもたちのために、帰省してくるお盆の時期に合わせて夏祭りを行っています。また、秋には青葉小での触れ合いコンサート、そして、冬には雪中運動会と、この地域の子どもたちは、この地域に住むことによって、また、住んでいたことによって、地域からかけがいのない思い出やきずなというプレゼントをたくさんもらうことができていると思うのであります。地域が果たす教育への影響を、学校内における人間形成と単純に比較はできないと思いますが、さきの代表質問で触れさせていただいたふるさと教育にも間違いなくつながるものであると考えます。  現在、青葉小は、6学年中4学年が2クラスです。PTAの役員も学校の存続を望む発言が多く、立地環境的には新札幌副都心に隣接していることから、既に4校を2校にしたもみじ台地域とは人口動向の可能性は違います。また、青葉小の隣の西側の共栄小学校のある厚別南地区におきましては、現在、マンションの建設が進み、子どもが急増しておりますが、青葉町1丁目、2丁目の児童は、現在、共栄小学校に通っております。さらに、青葉町11丁目、12丁目、14丁目、15丁目はもみじの森小学校、青葉町10丁目、16丁目は上野幌小学校に通っております。さまざまな手順を踏まなければならないことは当然承知しておりますが、将来的には校区の見直しも十分検討できるのではないでしょうか。  国の改正学校教育法が成立し、平成28年度、2016年度から小中一貫教育を実施する義務教育学校などが制度化されることとなり、市の判断で導入できるようにもなります。ついては、そのモデル校として検討するのも一つの案であります。  そこで、質問ですけれども、教育委員会には、拙速に判断するのではなく、柔軟にご検討、ご対応いただきたいと思いますがいかがか、お伺いします。 ◎本居 学校施設担当部長  柔軟な検討、対応についての質問でございますが、繰り返しとなりますけれども、教育委員会としましては、子どもたちに良好な教育環境を提供していく上で、適正な学校規模を確保していくことは何よりも重要と認識しております。委員からご指摘のありました地域のまちづくりにおける学校の役割につきましても十分配慮しながら進めたいと考えており、そういった観点からも検討委員会の検討内容や結果を尊重してまいります。 ◆丸山秀樹 委員  検討委員会での協議、またその方向性については、現在、まだ不透明であり、委員会後に発行されたニュースでも、地域性などから上野幌地区と青葉地区は別地域との考えがあり、意見をまとめることは大変なことと推察いたします。ついては、この検討委員会での貴重な意見を結論ありきで進めることはできないでしょうし、場合によっては結論の先送りも視野に、慎重かつ柔軟であるべきことを申し上げ、私の質問を終わります。 ◆太田秀子 委員  私からは、就学援助について、何点か質問させていただきます。  本市の就学援助の基準は、自家用車所有の世帯を含めた一般限度額の場合、両親と子ども2人の4人世帯、例えば、会社員の夫とパートの妻の世帯全員の収入、給与総支払い金額の合計が369万9,000円以下となっています。この金額から税金などを差し引いた所得は平均241万6,000円です。1カ月約20万円の中から、家賃を払って、水道光熱費を払って、携帯代だ、医療費だ、食べ盛りや伸び盛りの子どもがいる中で、どうやって工夫して暮らしているのでしょうか。子どもに塾をやめてもらったとか、子どもや夫が帰宅するまで暖房はつけないというお母さんたちの話も聞いています。  本市は、250万円以下の所得で暮らす市民が6割を超えています。昨年、就学援助制度を活用した受給者数は2万3,100人、児童総数の17.19%を占めております。受給率は、2000年に10%台となり、2009年以降は17から18%を維持しています。多くの人に利用されている制度です。今後、この内容の充実を図っていただきたいと思います。  皆さんもご承知のとおり、小学生、中学生の時期の成長はとても著しくて、衣がえのたびに服も靴も小さくなっているという状況です。日々の暮らしでいっぱいですから、入学のための準備にお金をためておくことなどできないのが現実です。  そこで、質問の第1ですけれども、本市の場合、就学援助の費目である入学準備金が保護者に届くのは6月末から7月です。制服はお下がりをもらうとか、お金を借りてしのいだとか、親は何とか工面して入学に合わせて準備しています。どの子も入学式まで指定学用品がそろうように、必要なときに使える制度であるべきと思います。  入学前に支給すべきと考えますがいかがか、お答えください。 ◎引地 学校教育部長  新入学学用品費を入学前に支払うことはできないでしょうかというご質問についてお答えいたします。  今お話がございましたように、現在、就学援助の新入学学用品費は6月下旬に支給しております。就学援助の申請におきましては、前年の所得証明を必要とする場合がございまして、所得証明書は5月中旬以降でなければ発行されないという事情もございます。公平性の観点から、新入学学用品費の支払いは、原則、全ての申請者に対して同一の日に行うことが適切であり、現状より支払いを早めることは難しいものと考えております。  また、仮にこの課題が解決できたといたしましても、3月下旬になって市外に転居する世帯も多いことから、新入学学用品費を入学前に受給した世帯が入学前に市外へ転居した場合、その受給額を返還いただく必要があり、その際、転居先を把握することは非常に難しく、その観点からも新入学前に支払うことは難しいと考えております。 ◆太田秀子 委員  他都市では、入学準備金を入学前に支給しているところがあります。石川県の白山市では、5歳児のいる家庭に就学援助制度の案内を郵送して、ホームページや広報誌で制度を早くからお知らせしています。入学準備金は受け取ったけれども転勤などで急に他都市に移った場合は、その方たちには返還してもらうというケースも想定してさまざまな工夫をしています。入学準備金だからこそ必要な時期に支給するという施策に、温かい施策でいいなと思う人がいても、不平等だと感じる人はいるでしょうか。福岡市でも、ことしから入学準備金の入学前支給を始めています。入学予定の子どもを持つ保護者で就学援助の要件に該当する方に対して、受け付け期間を1月8日から30日まで設け、3月に支給しています。入学準備金が認定された方は、就学援助の申請手続は必要ありません。  このように、さまざまな工夫をして実施している自治体があります。本市は本当にやれないのでしょうか、お答えください。 ◎引地 学校教育部長  ただいまございました他都市の状況でございますが、福岡市等につきましては、前年度の所得証明等により支給しているということでございます。札幌市におきましては、あくまでも直近の収入状況を踏まえて支給を決定する、原則、前年度あるいは今年度の収入状況で決定の判断をするという考えのもとにこの制度を運用しております。 ◆太田秀子 委員  先ほどの白山市は、会計年度が通常の前年になるために、前年度に補正予算を組んだり、そういう努力もしているのです。  質問を続けますが、小学校入学時のランドセルは、平均して3万円から5万円、それ以上のものもあります。上履きも必要ですし、入学式のために服も買ってあげたいと思うのは親心です。中学校の入学準備はもっとお金がかかります。制服、ジャージー、上履き、外履き、最低でも5〜6万円かかると言っています。  小学校で就学援助を受けていて、その生活水準が変わらない場合、せめて中学の入学準備に間に合わせるなど、できるところから始めることができないでしょうか、お答えください。 ◎引地 学校教育部長  先ほど、小学校1年生の入学前のお支払いの件でお話しさせていただいた課題のうち、中学校への入学の場合は、転居先の把握は比較的容易となります。ただ、支給時期が異なるという公平性の課題については依然として残ることから、支払い時期を早めることは難しいものというふうに考えております。(「やる気がないからだ」と呼ぶ者あり) ◆太田秀子 委員  本当にいい制度だねと言う人はいても、よかったねと言う人はいても、不平等ではないかと言う人がいるでしょうか。  改めてお聞きしますが、入学準備金を前倒しで支給することに、乗り越えなければいけないさまざまな課題があることは私も十分わかっています。それでも、就学援助制度をこの札幌で活用しているから入学準備も安心だったと、そういう制度にするべきだと思うのです。  他都市の経験も参考にして検討すべきだと思いますけれども、改めて伺います。いかがでしょうか。 ◎引地 学校教育部長  支払い時期、それから認定基準等、費目も含めまして、他都市の状況等を調査研究することは非常に重要であると思います。その上で、当然、審議会等の中でいろいろな形で検討を進めていくことはあるというふうに考えております。 ◆太田秀子 委員  予算をふやしてくれと言っているのではなくて、今ある予算の枠の中で支給する時期を早めてくれ、そう言っているわけです。やる気が問われる問題だと思っています。  では、費目についても続けて質問します。  費目の決定については、各市町村の判断とされています。本市は、国が定めている費目を準用しておりますが、国が支給を認めているクラブ活動費、生徒会費、PTA会費も実施していません。準用とは必要な変更を加えて当てはめることができるということですから、国基準以上の費目を就学援助として横出し給付したり、また、補助限度額を上回る上乗せ給付している自治体もあります。  京都市は、人口が約147万人、昨年の就学援助制度は、小学校で約1万3,000人、中学校で約8,000人が利用してます。本市と同じような規模であります。京都市は、校外活動費の上乗せがあるのと同時に、ことしから、アレルギーを持つ子の給食問題で、医者の診断書が必要な場合、その診断書料に対して上限3,240円まで補助することにしました。該当者は100人ほどだそうです。  神奈川県の大和市では眼鏡の購入費補助をしています。眼鏡が買えず、黒板が見えないまま授業を受けることがないようにという考えだからだそうです。学校の健康診断において片裸眼視力0.6以下のときに、眼科での検眼料を含めて眼鏡の購入費が補助されます。眼鏡一式1万8,000円を上限に、個人負担はありません。  本市でも、支給費目を検討し、ふやすべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  就学援助の支給費目等を審議することを目的に、先ほど申し上げた就学援助審議会がございます。平成25年から3年をかけて生活保護費を10%削減するとされたことから、平成26年度に就学援助審議会を開催いたしまして、認定基準額の見直しとあわせて、支給費目の追加等についても審議を行ったところでございます。本市の財政状況等を説明の上、ご審議をいただいた結果、平成27年度から一定期間は、生活保護費削減に連動させず、認定基準額を維持することとされましたが、支給費目の追加は見送られたところでございます。
     今後も、社会経済情勢や財政状況などを踏まえ、適時、支給費目や認定基準等について検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆太田秀子 委員  改めて確認いたしますが、私は、生徒会費などとアレルギーの診断書、眼鏡の三つの検討を求めました。その審議会では、随時、経済情勢も見ながら検討していくとおっしゃいましたけれども、今、私が訴えた三つについて、実施するために検討するという押さえでいいでしょうか。 ◎引地 学校教育部長  今お話がございました3点も含めて、基準費目等につきまして、さまざまな角度から、さまざまな内容について検討させていただきたいというふうに考えております。 ◆太田秀子 委員  今、非正規労働者もとても問題になっています。親の収入も減り続けています。けれども、物価は上がって、消費税も上がって、もうやりくりは大変です。この暮らしの大変さが子育て世代に広がっています。できない理由をあれこれおっしゃいましたが、子育て世代の願いに少しでも応えていこう、そのための工夫も努力もしていこう、そういう姿勢を求めています。そのような答弁がはっきりと聞かれなかったことは、とても残念だと思います。  アクションプラン2015では、重点課題として、子育て世代が安心して子育てできるようにするためには、さまざまな面から子育てに関する経済負担を軽減していくことが必要と書かれています。これを実現するためにも、ぜひ就学援助の充実を求めて、私からの質問を終わります。 ◆村山拓司 委員  私から、学校施設の長寿命化について質問いたします。  札幌市には300校を超える学校施設がありますが、その多くは昭和40年代後半から昭和50年代にかけての児童生徒急増期に建設されております。先日いただいた資料によりますと、本市の市有建築物の資産管理基本方針において、鉄筋コンクリート造の標準目標耐用年数としている60年で学校施設を改築する場合、15年後ぐらいから改築需要が本格化し、ピーク時には年間500億円の維持管理費用が発生する試算となっています。  文部科学省では、平成25年に、学校施設の長寿命化改修の補助制度を新たに創設しております。また、長寿命化改修の手引を作成しており、学校施設の長寿命化に向けた取り組みを促しているとお聞きしております。  そこで、質問ですが、本市の学校施設における長寿命化に向けた取り組みはどのような状況なのか、お伺いいたします。 ◎本居 学校施設担当部長  学校施設の長寿命化の取り組み状況についてお答えいたします。  建物の老朽化は市有施設全般の問題ですが、学校施設も早急にその対策が必要な状況にあります。特に、改築につきましては事業費が大きいことから、本格化する改築需要への対応は、これからの学校施設の整備における重要な課題だと認識しております。このため、老朽化が著しい施設は計画的に改築するとともに、適切な改修をすれば築70年から80年まで使用できる施設は長寿命化を図り、改築に係る事業費の抑制と平準化が必要であると考えております  そこで、札幌市まちづくり戦略ビジョンアクションプラン2015の案におきまして、従来の改築に加え、新たな事業として、学校施設リニューアル改修事業を計上したところでございます。 ◆村山拓司 委員  学校施設の老朽化対策として、改築するだけではなく、長寿命化に向けたリニューアル改修事業を導入することはわかりました。  続いて、本事業における改修内容についてお伺いいたします。  以前、改築対象となっている西区の発寒西小学校にお伺いし、教頭先生とお話をする機会がございました。学校施設の現状課題を確認したところ、学校の外壁タイルが剥がれてきており、生徒たちを立ち入り制限している箇所があることをお聞きしました。  また、こちらも改築することが決まっている羊丘小学校を例に挙げますが、羊丘小学校では、トイレの上に貯水タンクが設けられており、上からつり下がっているひもを引っ張って水を流す古いタイプのトイレだとお聞きしております。現在では、ほとんどの家庭において洋式トイレが普及し、和式トイレを使用する機会が少ない中で、家で洋式トイレになれているから学校で用を足すことに抵抗を感じる子が大勢いるとお聞きしております。我慢し過ぎれば健康を損ないかねない重要な問題だと考えております。  そこで、3点に分けて質問いたしますが、1点目として、リニューアル改修事業で行う改修はどのような内容なのか、また、前段で述べたような和式トイレを洋式トイレに変更するトイレの全面改修もリニューアル改修に含まれているのか、2点目として、工事期間はどれぐらいを想定しているのか、3点目は、対象となる学校は何校くらいを考えているのか、お伺いいたします。 ◎本居 学校施設担当部長  リニューアル改修事業についてお答えいたします。  1点目の改修内容でございますが、文部科学省の手引を参考としてリニューアル改修項目の検討を行っているところです。  外壁の改修では、これまで老朽化対策として実施しておりましたひび割れの補修など表面的な改修に加え、躯体そのものの改善のため、必要に応じて鉄筋コンクリートの劣化対策など耐久性の向上を図ります。また、多目的スペースを設置するほか、トイレは洋式化を含めた全面改修を行うなど、できるだけ今日の学校に求められている機能を確保する考えです。個々の改修内容は学校の状況によって異なりますので、具体的な内容につきましては、来年度に予定しております設計の中で検討いたします。  2点目の工事期間につきましては、基本的には2年程度を想定しております。  3点目の対象となる学校数でございますが、建築後40年以上を経過した施設が国の補助対象となりますことから、昭和50年から昭和60年に建設した学校施設161校の中から60校程度を想定しており、残りの学校につきましては改築等を予定しております。 ◆村山拓司 委員  今の答弁にあった改修内容だと、かなり大がかりなもののように感じます。特に気がかりなのは、やはり、トイレや水道管の交換などライフラインに関する改修についてです。例えば、大規模改修の箇所については、夏休みや冬休みの間に工事したり、子どもたちが帰宅した夕方以降、あるいは、土曜日、日曜日に改修を行うなど、子どもたちへの工事による安全性とストレスを感じさせない配慮が必要だと感じます。  そこで、質問ですが、工事による子どもたちへの負担や学校運営への影響を軽減する方法についてお伺いいたします。 ◎本居 学校施設担当部長  工事による子どもたちの負担と学校運営への影響の軽減についてでございますが、これまでも、大規模な工事を行う際には、夏場の暑さや騒音が懸念されてきたところですけれども、それぞれ対応してまいりました。改修工事を行う際には、送風機の設置による換気対策を行うほか、できるだけ授業時間を避けるなどの騒音対策を行う考えです。また、内部改修については、夏休みや冬休みの長期休業中に集中して行い、特別教室や多目的室などの使用できない期間を極力少なくいたします。いずれにいたしましても、工事を進めるに当たり、学校運営に支障を来さないようにするとともに、極力、子どもたちへの負担軽減に努めてまいります。 ◆村山拓司 委員  子どもたちへの配慮について、まだまだ慎重に議論を重ねてほしいと思います。  ただ、今後の学校施設の改築需要を考えますと、学校施設のリニューアル改修事業は必要だと考えます。しかし、リニューアル改修により学校施設が長寿命化し、築80年まで学校が使用できるようになったとしても、教育環境が低下するようなことは絶対にあってはならないと思います。学校では、安全性が確保されているのはもちろん、子どもたちにとって居心地のよい学習の場であり、生活の場でなければいけません。  また、教育委員会の所管ではございませんが、現在、児童会館の過密化が問題となっております。秋元市長の選挙公約の中で、小学校に児童会館やまちづくりセンターを複合化するとうたっております。リニューアル改修のような大規模な改修の際に、過密化しているミニ児童会館のスペースを確保したり、まちづくりセンターを併設するなど、関係部局を超えた柔軟な連携が必要になります。今回の全面改築、リニューアル改修、トイレの全面改修と3本柱で進めていくことを期待しております。  今回のことにつきましては、今後もしっかりと確認していくことをお伝えし、私の質問を終わります。 ◆松原淳二 委員  私からは、公職選挙法改正に伴う主権者教育について、3点伺わせていただきます。  まず、1点目は、現在の高校2年生及び3年生の対応についてお伺いいたします。  本年6月の公職選挙法改正による選挙権年齢の引き下げに伴い、先月29日、文部科学省から、高等学校等の生徒向けの「私たちが拓く日本の未来 有権者として求められる力を身に付けるために」という副教材並びにそれに伴う教師用の指導資料がホームページに公表されました。副教材では、有権者になることの意味や政治や選挙の仕組みなどについて解説されており、本年12月までには各高等学校等に配付されると聞いております。  こうした副教材をもとに、有権者となる若い人たちの政治や選挙への関心を高め、政治的教養を育む教育の充実を図っていく上で、私には危惧している点がございます。それは、来年夏の参議院選挙において有権者となる現在の高校3年生及び一部の2年生に対して、この短い期間で100ページ以上にも及ぶ副教材の内容をどのように指導していくのかということでございます。3年生は、12月に副教材が配付になりますが、卒業までは3カ月ですし、高校によっては1月ぐらいになると3年生は既に出てこない学校もあります。また、2年生は若干余裕がありますが、一番早い選挙が想定されている参議院選までは6カ月ですから、いずれにしても短い期間で100ページにも及ぶ副教材を履修しなければいけない状況です。  そこで、1点目の質問です。  教育委員会として、現在の高校2年生及び3年生に対する指導をどのように行っていくのか、副教材の活用を踏まえた取り組みについて伺います。 ◎引地 学校教育部長  現高校2年生、3年生への指導についてお答えいたします。  現在の高校3年生と2年生の一部の生徒が、来年7月に実施される予定の参議院通常選挙において選挙権を有することになりますので、3年生につきましては卒業までに、2年生につきましては来年6月までに、選挙等に関する学習を計画的に行う必要があると認識をしております。3年生につきましては、既に、公民科の授業において、望ましい政治のあり方や主権者としての政治参加などについて学習しておりますが、実際の選挙に向けて補足的な指導が必要であると考えております。  教育委員会といたしましては、市立高等学校に対して、特別活動や総合的な学習の時間なども使いながら、公職選挙法や選挙の具体的な仕組みに関する学習等を優先的に実施することなど、副教材を用いた計画的な指導の実施について通知し、適切に対応するよう求めたところでございます。 ◆松原淳二 委員  まずは、来年夏の参議院選挙並びに卒業までの短い期間で計画的に指導を行うということであります。3年生は既に公民の時間で一定程度行っているということで、今回、変わることを中心に補足的に行うのだろうと思っております。しっかりと行っていただいて、2年生についても、これからのカリキュラムで本当に計画的に行っていただきたいと思います。  次に、2点目の質問ですが、今回の公職選挙法改正に伴って18歳以上に引き下がることを受けて、高校生の違法な選挙運動について懸念されるものですから、その点についてお伺いいたします。  高校生が有権者として適切にその役割を果たしていけるように、政治に参加する意識を高める指導と同様に、違法となる選挙運動などについて教えることが極めて重要だと考えております。高校生では、18歳と選挙権のない17歳がクラスの中に混在することとなります。選挙権の有無による選挙活動の違いについても指導していく必要があると思います。  また、高校生などの若い世代を中心に広く普及しているSNS、ソーシャルネットワークサービスなどのやりとりなども少し懸念をするところがあります。軽い気持ちで行ったことが大きな問題となる可能性を含んでいて、選挙活動について無知であることや理解が浅いということで、高校生が被害者、また加害者になってもいけないと思っております。また、大人のよからぬことに子どもたちが巻き込まれることも大きく懸念しなければいけないと思っております。  そこで、そういったことを防止するためにも、高校生の違法な選挙運動についてどのように指導していくのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  高校生の違法な選挙運動についてお答えいたします。  今のご質問にもございましたように、来年度から高校3年生には選挙権を有する生徒と有しない生徒が混在することになりますが、まずは、公職選挙法の規定により、満18歳未満の生徒につきましては一切の選挙運動が認められていないということを確実に指導する必要があると考えております。加えまして、このたび文部科学省が公表いたしました副教材には、電子メールを利用した選挙運動や候補者の投票を呼びかけるチラシを配るアルバイトは違法であることなど、具体的な事例がQアンドA方式で示されておりますことから、本副教材を活用し、生徒が適切に選挙運動を行えるよう指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。 ◆松原淳二 委員  ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。大きな課題として認識していただいていることもわかります。本当に重要なことだと思います。高校生が決して被害に巻き込まれることのないように、アルバイトに関しても、できる方とできない方がいますが、友達同士で誘い合ってやってしまうことも懸念されますので、ぜひ、その充実を図っていただきたいと思います。  最後に、3点目としまして、小・中・高と若年層の発達段階における主権者教育についてお伺いいたします。  学校教育という大きな枠組みの中で、主権者教育をどのように進めていくかということについてです。副教材の教師用指導資料には、学校教育法に基づいた政治的中立性を重視した禁止事項などが多く記載されていますが、教師が最も優先して意識しなければいけないことは、選挙権を付与され、一票を投じ、政治を変えることの意義について子どもたちにしっかり教えることだと思っております。私は、子どもたちに政治に対する関心や政治参加に関する意欲など主権者としての自覚を確実に育んでいただくためにも、体験的な学習を取り入れるなどしながら、子どもの成長に合わせた学習を計画的に進めていくことが大切だと思っております。そういった意味では、高校の3年間だけではなく、小・中学校といった若年層の段階から先を見通した主権者教育を進める必要があると思っております。  そこで、質問ですが、小・中・高等学校の発達段階に合わせた主権者教育を今後どのように進めていくのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  小・中・高等学校の発達段階を踏まえた主権者教育についてお答えいたします。  これまで、民主政治のあり方や国民の政治参加の重要性などについては、社会科の授業を中心として、小学校から高等学校までの子どもたちの発達段階を踏まえた学習を進めてきたところでございます。具体的に申し上げますと、小学校では、日本国憲法に基づく我が国の民主政治について、中学校では、公正な世論の形成や国民の政治参加の関連、選挙の意義について、高等学校では、望ましい政治のあり方及び主権者としての政治参加のあり方についてそれぞれ考える授業を行ってきております。  今後、副教材の内容などを参考に、模擬選挙などの具体的、体験的な活動を積極的に取り入れていくよう各学校に働きかけるとともに、選挙管理委員会と連携して作成した学習資料の内容について、選挙権年齢の引き下げを踏まえた見直しを図るなどして、子どもたちの主権者意識を高める学習を一層充実してまいりたいと考えております。 ◆松原淳二 委員  先日の決算特別委員会の選挙費の中で、選挙管理委員会の方に私から同様の質問なり要望をさせていただいております。  今後、高校への出前講座の増加が想定されており、道の選管、そして教育委員会との連携が必要だということで、私からも選挙管理委員会にお願いしておりますので、教育委員会としても連携を密にして子どもたちのためにしっかりとした教育をお願いしたいということを要望して、私からの質問を終わらせていただきます。 ◆わたなべ泰行 委員  私からは、高等学校におけるキャリア教育についてお伺いさせていただきます。  キャリア教育とは、情報技術の大きな革新に伴い、社会環境が大きく変化している中で、子どもたちが生活力を身につけて、社会的、職業的に自立していけることができるようにと10年ほど前から取り組んでいる教育でございます。文部科学省の調査では、平成27年3月末現在、高校を卒業した生徒の就職内定率は、全国では97.5%、北海道においては96.2%と全国的に23年ぶりの高水準でしたが、反して、離職率は、平成22年3月卒業者の就職後1年未満の離職率は19.5%、3年未満の離職率は39.2%、約4割と、早期にやめていく新規高卒者が多いことがうかがえます。やはり、高校在学中にしっかりとキャリア教育を行っていくことが重要であると考えます。  そこで、質問ですが、これまで市立高校ではどのようなキャリア教育を行ってきたのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  これまでの市立高校におけるキャリア教育の取り組みについてお答えいたします。  市立高校におけるキャリア教育につきましては、平成15年から進路探究学習を導入し、これまで推進してきたところでございます。進路探究学習は、生徒一人一人が将来の生き方や進路について主体的に考えるための学習に取り組み、学習意欲を高めるとともに、自分の進路を切り開く力を身につけることを狙いとして実施してきております。具体的には、これまで、実業家の講演会や入学生が将来の夢を語り合う進路探究セミナー、全ての高校生が体験する就業体験、職場体験学習、大学の先生による出前授業や大学の講義への参加など、高大連携事業を実施してきたところでございます。 ◆わたなべ泰行 委員  さまざまな講演とか、また職業体験、インターンシップを行ってきたということでしたが、私は、高等学校におけるキャリア教育をさらに一層充実させていくためには、やはり、地域産業との連携とインターンシップのさらなる推進が必要ではないかと考えております。  例えば、南区石山にある啓北商業高校では、地域にある札幌軟石について研究しておりまして、授業として軟石を使ったものづくりに取り組んでおり、地元の石材屋や地域の方たちと交流しながら、将来は販売できるまでの商品化を目指してまちおこしに協力しようとしております。  また、今年度開校しました開成中等教育学校では、授業の中で、来年開湯150周年を迎える定山渓温泉に取材に来てくれまして、魅力を発見して学校祭で発表してくれました。その中でも、定山渓という漢字は読めなかったのですが、なかなかいいお湯だったねと本当に生徒たちは喜んでおりまして、さまざまな観点のレポートを今まとめております。そのことを温泉や観光の関係者にお伝えしましたところ、ぜひ、その若者目線のレポートをこれからの定山渓温泉、定山渓観光の参考にしたいととても楽しみにしていました。また、高校1年生に相当する開成中学の4年次生が、8月に定山渓温泉のホテル等で職場体験学習を行ってくれました。ある生徒は、初めてお風呂掃除を体験した、ベッドメークを体験した、そして、友達たちと楽しそうに行っていたことがマスコミにも紹介され、温泉街のPRにもなって新たな温泉街の活力にもなりました。  こういった事例から、地域と触れ合うキャリア教育は、若者の力が地域の活性化につながり、その喜びの声がダイレクトに生徒にも伝わり、社会で生きていく自信や将来への不安の解消にもつながっていくのだと思っております。また、最近の若者にはなくなってきていると言われるふるさと感覚や、地域の主体者としての人材育成としても期待を持てると思います。  そこで、質問ですが、地域と連携したキャリア教育は、生徒が地域の一員として社会に参画する貴重な体験の場であると考えますけれども、地域と連携したキャリア教育の重要性について教育委員会の認識と今後の取り組みをお伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  地域と連携したキャリア教育の重要性についての教育委員会の認識と今後の取り組みについてお答えいたします。  これまでのキャリア教育では、就業体験などを通して一人一人が自分の生き方について考察する学習を進めてきたところでありますが、社会参画をしながら自己実現や社会貢献に向けた意識を高めることが課題であると考えております。今後は、高校生が地元の産業や地域を活性化する取り組みに直接かかわることを通して、地域の魅力を発見したり、社会とのつながりを意識したりする課題探究的な学習の重要性が増しているというふうに捉えております。さらに、地域と連携したキャリア教育は、ふるさと札幌に愛着を持ち、将来、地域の担い手となれるような観点からも大変有効であると考えております。  教育委員会といたしましては、啓北商業高校や開成中等教育学校等の地域と連携した取り組みを支援するとともに、その成果を市立中学校や市立高等学校に普及啓発してまいりたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  ぜひ、今後も若い人たちが夢や憧れを現実にしようとする、そういう学力の向上と、また、社会で生きていく力がさらにつくように、キャリア教育の今後の推進、充実を要望して、私の質問を終わります。 ◆伊藤理智子 委員  私からは、市立幼稚園について質問いたします。  本市の市立幼稚園は1区1園の考え方で、清田区の認定こども園を含めて全部で10園、私立幼稚園は札幌市全体で133園となっています。アクションプランでは、少子化が進行していく状況下における今後の市立幼稚園や認定こども園の役割とあり方について検討するとしていますが、見直して効果額を見込む項目に上げられているということは、市立幼稚園を減らしていくことが懸念されます。  まず、1区に1園ある意義と市立幼稚園が果たしている役割について、教育委員会の認識をお伺いいたします。 ◎松田 児童生徒担当部長  1区1園の意義と市立幼稚園の役割についてお答えいたします。  市立幼稚園は、それぞれの区において、研究実践園として私立幼稚園等と連携した取り組みを展開しております。具体的には、幼児教育に関する研究、研修、教育相談、幼保小の連携、特別な支援を必要とする幼児、いわゆる要支援児を受け入れている私立幼稚園等への訪問支援を実施しているところでございます。  教育委員会といたしましては、研究実践園を設置していることで、札幌市全体の幼児教育の水準向上や社会全体で幼児教育を推進する意識の醸成に大きく寄与しているものと認識しているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  研究実践園として、それぞれの区で大変重要な役割を果たしているということでした。  発達障がいや支援の必要な子どもたちがなかなか集団生活になじめないなど、保護者の抱える悩みに寄り添う教育相談や、私立幼稚園からの要請に応じた教育、教員相談や指導計画作成等の支援は、1区1園で各区に市立幼稚園があるからこそ、それぞれ園で実践を積み重ね、経験を生かして、133園ある私立幼稚園に対してそれぞれの地域できめ細かく支援を行っていけて、ひいては、それが地域の子どもたちの支援にもつながっているというふうに思います。発達障がいや集団になじめないなど、支援の必要な子どもたち、悩みを抱える保護者は、一つとして同じ解決方法はないと思います。集団の中で一人一人の様子や行動をよく見て、その子への働きかけをどうするのか、どんな課題を解決すれば集団になじめるのかなど、電話口で相談するだけではない支援が重要な役割を持っていると考えます。  本市の子どもを取り巻く環境は複雑になっており、子どもたちはもちろんのこと、保護者への手厚い支援が求められていると思いますが、本市が課題だと考えている教育の問題と、その相談件数の推移がどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。 ◎松田 児童生徒担当部長  本市が抱える教育の課題と相談の件数等についてお答えいたします。  札幌市の教育が抱えている課題の中には、いじめ、不登校などや発達障がいの疑いのある児童生徒の増加が挙げられます。これらの課題には、幼児期から適切な対応をしていくことが重要であると考えております。  市内の幼稚園が発達障がいの疑いのあるなどの要支援児を受け入れている数は、平成24年度は1,039名、総園児数に対する割合は4%でした。平成26年度には1,641名、6.3%と増加しております。また、市立幼稚園で実施している教育相談件数においても、平成24年度は2,102件でございましたが、平成26年度は2,894件と増加傾向にございます。  教育委員会は、要支援児の受け入れの推進、保護者への教育相談、幼稚園、保育所から小学校への円滑な引き継ぎなどの対応が必要と認識しております。そのために、研究実践園において市立幼稚園の教諭の中から配置された幼児教育支援員が私立幼稚園を訪問し、教員の相談や研修、指導計画の作成、活用等の支援を行い、要支援児の円滑な受け入れ推進と対応の充実を図ってきているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  少子化が進んでいると言いますが、いじめや不登校、発達障がいや支援の必要な子どもたちがふえている中で、相談件数も本当にふえてきているというのが現在の実態だと思います。子どもたちや保護者を取り巻く環境が変化し、さまざまな課題があること、その課題を解決するために、本当に市立幼稚園が果たす役割は今後もますます重要になってくるというふうに考えます。  今、私が気になっているのは、自己肯定感の低下という問題です。自己肯定感とは、自分は大切な存在だ、かけがえのない存在だと思える心の状態のことですけれども、日本の教育は、苛酷な競争教育の中で常に他人と比べられながら自信を持てなくなる、そのいらいらや自信のなさなどからいじめが起こったり不登校になったりして、教育現場でのさまざまな問題が起こっています。これは、子どもたちだけではなくて、子育てをしている保護者もそうした教育環境の中で育ち、自己肯定感を持てずに成長してきた人も少なくないというふうに思います。だからこそ、子どもにとっても、保護者にとっても、専門的な知識と、子どもたちを集団の中で教育している実践の積み重ねを持つ市立幼稚園の教育相談や私立幼稚園への支援が、本当に大切な役割を果たしていると思います。集団になじめない子どもの子育てを悩みながら行っている保護者自身も、専門的に支援をしてもらうことで、集団の中で子どもと一緒に成長して子育てに自信を持って育てることができます。  幼児期から集団になれることは、小学校に引き継いでいく上でもとても大切な取り組みであり、1区1園の市立幼稚園の果たしている役割はますます必要になっていくと思うのですが、今後どのようにしていくお考えか、本市の認識を伺いたいと思います。 ◎松田 児童生徒担当部長  今後の市立幼稚園のあり方についての認識でございますが、委員のお話にありましたように、市立幼稚園が研究実践園として担ってきた研究、研修、教育相談、幼保小の連携、私立幼稚園等への訪問支援などの役割、機能は、今後も大変重要だと認識しております。特に、要支援児への対応については、札幌市の教育が抱える課題と考えており、一層充実してまいりたいと考えております。  今後の1区1園のあり方につきましては、少子化などさまざまな社会状況等の変化を見据えて、体制の検討は必要であると捉えているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  集団での実践を通して本当に具体的な支援に取り組めるのは、市立幼稚園だからこそというところもあると思います。子どもたちを取り巻く教育環境が複雑になり、さまざまな課題が山積して、教育相談件数もふえ続けている中で、その果たすべき役割についてしっかりと受けとめて今後も進めていただきたいと思います。アクションプランで見直しについて盛り込まれておりますが、本当に、1区1園は全市の子どもたちの支援をしていく上で重要なのだということをしっかりと肝に銘じた上で、この支援についても引き続き実践していっていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。 ◆飯島弘之 委員  私からは、本市の道徳教育について、大きく2点、現状の本市の道徳教育の取り組み、課題、そして、今後の道徳の教科化に向けての考え方についてお伺いさせていただきたいと思います。  現在、我が国は、特別の教科 道徳の設置を柱とする道徳教育の抜本的改善・充実に取り組んでおります。道徳の教科化に向けて、本年3月に学校教育法施行規則の一部が改正され、道徳が、特別の教科 道徳と改められ、小・中学校学習指導要領が告示されたところであります。さらに、7月には、「小・中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」も示されました。これによって、小学校で平成30年度、中学校で平成31年度の道徳の教科化の完全実施に向けて準備が進められてまいります。そして、特に、明らかにこれまでと変わるのは、全国の学校で検定教科書が使用されることであり、また、評価も行われるということであります。  こうした動きに関しては、また、多くの反対意見があることも承知しております。具体には、教科化に関しては、政府の道徳教育への関与が強まる、そして、子どもの内面にまで踏み込みかねない、価値観の押しつけになるといった意見があります。また、安倍第1次政権時に教育基本法が改正され、愛国心や公共の精神が加えられたことを踏まえて、例えば、戦後の教育は平和に貢献する個性豊かな人間を育てることを目標としてきた、それと道徳の教科化はどう考えても相入れないといった論調もマスコミにおいて出現しております。  私は、どうして愛国心、公共の精神を育むことが平和に貢献する人間を育てることに矛盾するのか、わかりません。おまけに、その論調で、今国会において成立した安全保障関連法案に道徳教育教科化の議論を結びつける、このように議論が飛躍する状況を見ますと、私は、今こそ、まさに戦後教育の抜本的改善・充実に道徳教育をかなめとして取り組んでいかなければならないと思うわけでございます。私は、道徳が教科になることによって、検定教科書が導入され、授業において児童生徒の道徳性に係る成長の様子を評価するなど、これまでの道徳教育から大きく工夫、改善されると考えておりますし、また期待もしております。  ただ、本市のこれまでの道徳教育に関して言えば、多くの先生方は熱心に道徳教育を進めてきていることは承知しておりますけれども、しかし、残念ながら、実際に決められた年間35時間の授業が確実に実施されていないなど、残念な現実であったことも事実であると認識しております。また、先ほど例示いたしました反対意見のように、イデオロギーなどに起因して教師の道徳教育に対する意欲が低い場合もありまして、道徳教育の充実強化を図るためには、このような教師への啓発は大きな課題であるとも考えているところであります。  そこで、質問でありますが、今後の教科化に向けて議論する上で、札幌市における道徳教育のこれまでの取り組みや今後の課題について、その認識をお伺いさせていただきます。 ◎松田 児童生徒担当部長  札幌市における道徳教育のこれまでの取り組みや今後の課題についてお答えいたします。  本市においても、いじめの問題や命の大切さの取り組みなどについては大きな課題であると認識しており、札幌市の学校教育の重点の一つとして、豊かな心の育成を位置づけ、道徳教育を推進しているところでございます。各学校においては、平成20年改訂の学習指導要領に位置づけられた道徳教育推進教師が中心となり、教育委員会作成の手引を参考にするなどして、年間35時間の指導計画を作成し、授業を実施しているところでございます。  課題といたしましては、道徳が教科化となることに当たって、全ての教員に対して道徳科の狙いや内容を周知することが大切であると考えております。また、全ての学校において年間35時間の実施を計画的に確実に進めるとともに、学習指導要領に示されている友情や思いやりといった内容項目を全て取り扱うことが重要であると考えております。道徳の授業においては、これまで以上に教材や指導方法の工夫など、授業改善が必要であると認識しております。 ◆飯島弘之 委員  私は、冒頭に、年間35時間の実施がなされていないところが見受けられると問題提起させていただきましたが、今いただいたご答弁では、教育委員会作成の手引を参考にして年間35時間の指導計画を作成して授業を実施しているというお話でございました。私も手引の中身を拝見させていただいて、大変すばらしい手引の内容、項目となっていることは確認をさせていただいております。  ただ、今の答弁で若干わかりづらいのは、35時間の指導計画を作成して計画的に確実に実施しているということとともに、内容、項目を全て取り扱うことが必要であると認識しているということでしたけれども、結局、市内小・中学校の各校では、これまで、決められた年間35時間の授業と、その中で全ての項目にわたる道徳の授業を実施しているのか、いないのか、その点をはっきりさせていただきたいと思います。 ◎松田 児童生徒担当部長  年間35時間の授業が実施されているのかということについてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、各学校では年間計画に基づいて道徳の時間を実施している旨の報告を受けております。授業を適切に実施していないなどの実態を把握すれば、改善するように指導してまいりたいと強く感じているところでございます。
    ◆飯島弘之 委員  繰り返しになりますが、私の聞き及ぶところによりますと、年間35時間の実施計画を作成していても完全に実施していない学校、学級もあるということですけれども、今、報告を受けて確認しているということでした。  そこで、質問させていただきたいのですが、教育委員会は、その報告をどのようにチェックされているのか。私は、ただ報告を受けているというだけでは、その内容の真偽をしっかり確認できないのではないかと思いますが、逆に、その報告をどのように確認されているのか、ただ報告を受けたままうのみにされているのかどうか、その辺を確認させてください。 ◎松田 児童生徒担当部長  報告につきましては、教育課程上の調査において年間35時間を行っていることの報告を受けておりますが、あわせて、学校担当指導主事等が学校を訪問した際、道徳の授業の実施状況の確認を行っているところでございます。 ◆飯島弘之 委員  これは、ことし2月5日付の北海道新聞社の道徳教科化の記事です。この中で、市内小学校40代の男性教諭のコメントで、「今回の教科化に関して、道徳の授業にきちんと取り組むいい機会だ。教科でない道徳の時間は、他の目的に転用されがちだった」というような証言が掲載されております。また、これは、私が、直接、札幌市立中学校の元校長先生からお聞きした事例でありますが、実際は20時間程度しか実施していないにもかかわらず、35時間実施したように報告書が作成されたというように聞いております。また、これは最近の話でありますが、私の地元の西区八軒の小学校の事例で、5月に保護者からのご相談で露見した事実ですけれども、道徳の授業が自習になってしまい、先生は不在で、特に道徳の課題を与えられるわけでもなく、生徒は放置をされていたというようなことでした。こういう事例は氷山の一角で、まだまだあるのだろうというふうに思います。指導主事の方々が確認しているというのも、書面上で確認しているだけの話で、実態は大分違っているのではないかなと私は思います。  改めて、教育委員会は、本当に道徳の授業の実態をしっかりと把握されているのか、その点についてお伺いさせていただきます。  また、全ての学校において、年間35時間の道徳の授業が確実に実施され、かつ、全ての内容、項目について指導されるための教育委員会の方策についてお伺いさせていただきたいと思います。 ◎松田 児童生徒担当部長  道徳の授業の適切な実施に向けた教育委員会の方策についてというようなことでお答えさせていただきます。  各学校において、全ての内容、項目を盛り込んだ年間35時間の指導計画が策定され、計画に基づいた授業が実施されていることが重要と認識しております。教育委員会としましては、先ほどもお話ししましたが、学校からの報告並びに指導主事訪問における確認を行ってきているところです。  教育委員会といたしましては、今後、今回の道徳の教科化における検定教科書の活用や評価のあり方等も含めて、各学校における道徳の授業の推進が一層図られるよう、研修会等で周知をするなど、学校現場と一体となって推進してまいりたいと考えております。 ◆飯島弘之 委員  私が最も期待したいことは、札幌市の教師の方々が、道徳教科化の特徴を理解して、それを踏まえた上で確実に適正に授業を行っていただきたいということであります。  今回、質問させていただくに当たりまして、教育委員会から、今後の道徳教育の取り組みについて幾つか資料を頂戴いたしました。その一つのタイトルは、「道徳教育の確実な実施に向けて」という文書でございました。内容は、教育委員会から学校への道徳の時間の確実な実施に向けての周知、指導、年間35時間の道徳の時間を確実に実施すること、道徳の時間の扱いの徹底等が記載されております。(「していなかったからでないか」と呼ぶ者あり)そうですね。していなかったから、こういう文書がつくられているのだと思います。  私は、この文書を見て、教育委員会は現状をしっかりと把握しているのだな、今後、確実に、適正に道徳教育を実施していこうとしているのだな、そういう強い意気込みを感じました。しかし、残念ながら、今のご答弁を聞いている限りにおいては、若干、その意気込みに疑問を持たざるを得ません。教育委員会は、ぜひ、学校現場の現実をしっかりと正確に把握していただいて、今の答弁にありましたように、学校と一体となって今後の道徳教育を進めていっていただきたいと思う次第でございます。  次に、今のやりとりで、残念ながら、道徳教育の現状認識については共通の認識に立てない部分もありましたが、ここで気を取り直して、今後の道徳の教科化に当たっての具体的な内容についてお伺いさせていただきたいと思います。  今回、学習指導要領を一部改訂し、道徳を教科とする改善の狙いは、もちろん教科化によって確実に授業が行われるようにすることもありますが、同時に、教材の選択や指導方法が学校や学級担任に任されているために授業の質に差が見られることから、検定教科書を使用することとあわせて、指導方法の工夫、改善を図ることで一定水準の授業が行われるようにすることにあります。実際、文部科学省が実施した道徳教育実施状況調査において、実施上の課題として教員が挙げた内容を見せていただきますと、効果的な指導方法がわからない、適切な教材の入手が難しいなど、小・中学校の教員の中ではそういった回答がともに上位を占めているところであります。したがって、教科化は、現在、教員が抱える課題解決に向けて効果が期待できるものと私は考えております。教科化により、確実な授業の実施、そして、一定水準の授業が行われることが期待されるわけであります。  そこで、質問ですが、道徳が教科となることに当たって、どのような授業が求められているのか、教育委員会としての認識をお伺いさせていただきます。 ◎松田 児童生徒担当部長  道徳の教科化に当たって、どのような授業が求められているのか、教育委員会の認識についてお答えいたします。  道徳の授業においては、教員が特定の考えや行為を一方的に示すとか価値を押しつけるような授業とならないよう、子どもが課題を自分のこととして捉え、よりよい生き方について考えを深めるようにすることが重要であると考えております。例えば、思いやりを扱う授業では、公共交通機関で高齢者に席を譲るかどうかの場面において、席を譲ることが高齢者への優しさになるという考えや、老人扱いすることとなって、失礼なので声をかけないという考えなど、子どもが、みずからの生活経験を振り返り、意見を持ちながら、相手の立場や気持ちに立った思いやりについて多様な感じ方や考え方を話し合う授業が考えられます。子どもの道徳性を養うためには、このように考えて議論する道徳の授業が求められていると考えております。 ◆飯島弘之 委員  教員が特定の考え方や行為を一方的に示したり価値観を押しつける授業とならないようにする、考えて議論する道徳の授業が求められるというお話でございました。  冒頭にも申し上げましたが、価値観を押しつけるという言葉が今回の教科化反対の人々の理由としてよく言われております。そのため、価値観の押しつけにならないようにするのだという答弁をされるのは理解できます。しかし、私は、そもそも教科化することによって価値観が押しつけられることになるという理屈が理解できません。それでは、今までの道徳の授業は価値観を押しつけるような授業であったのかどうかと言われれば、私は決してそうであったとは思いません。  また、道徳教育に携わった教師にお伺いしても、実際、価値観を押しつけるような授業はしていないし、これからもそうはならない、よしあしは別にして、GHQによって廃止された戦前の修身科とは全く違うのだという意見をいただきます。私は、先日、地元の西区の山の手南小学校で道徳の授業を実際に見てまいりました。その授業の中では、教師が価値観を押しつけるような言動は一切見られませんでした。その日は、全学年、全クラス一斉に道徳の授業が実施されておりまして、私は、その中で4年生のクラスの道徳の授業を見学させていただきました。テーマは「決める」でありまして、校内放送で学校紹介する人を決める、土曜日のウサギの飼育当番を決める、その決め方をどのようにすればいいのかというものでした。先生は、各生徒の意見、考え方を満遍なく上手に引き出して、決して価値観を押しつけるところがなく、このような授業が全市の各学校、各クラスで展開されていればすばらしいなと思ったところでした。  私は、現在、道徳教育の教科化による弊害として挙げられる子どもの内面への介入、価値観の押しつけという意見には、かなり無理があるように思います。そして、そのような誤解を解くためには、今までの道徳の時間と特別の教科 道徳とはどこが違うのか、この点をはっきりさせる必要があると考えますし、決して特別の教科 道徳が根拠のない悪いイメージのレッテルを張られることがないように、教育委員会としても、教科化は価値観の押しつけのリスクを有するような誤解を招く言い方はしないほうがいいのではないかと私は申し上げたいと思います。  次に、教科となるに当たり、子どもの内面の評価についても注目されております。文部科学省によりますと、数値による評価ではなくて、児童生徒の進歩の状況などを文章記述するということであります。  そこで、質問でありますが、これからの道徳の授業の評価について、教育委員会の認識をお伺いさせていただきます。 ◎松田 児童生徒担当部長  これから道徳の授業の評価に関して、教育委員会の認識についてお答えいたします。  子どもの道徳性を養う授業を行う中で、子どもの成長を積極的に受けとめ、励ます評価を行うことは、大変重要であると考えております。また、道徳の授業の評価は、子どもの学習状況を把握するとともに、教師がみずから指導を振り返り、道徳の授業を改善することにもつながると認識しております。評価については、現在、文部科学省で検討されており、評価の意義や計画、方法などが具体的に示された時点で、教育委員会として各学校に周知してまいりたいと考えております。 ◆飯島弘之 委員  評価することに対して、教育委員会として前向きに捉えて検討していることが理解できまして、その点については大いに評価したいと思います。ぜひ、現状のお考えを継続・発展していただいて、教師、そして生徒ともどもが向上する評価制度の確立をお願いしたいと思います。  最後になりますが、今月10月1日付発行の日本道徳教育学会報に会長である昭和女子大学大学院教授の押谷由夫先生が、「道徳教育の世界的発信を 世界が注目する日本の道徳教育」というタイトルで、いかに世界が日本の道徳教育を評価しているかについて記述されておられます。  少しくご紹介したいと思いますが、モンゴルでは、今新しい国づくりをする根幹に日本の道徳教育を位置づけていること、アラブ首長国連邦の皇太子が、今後の国づくりのために日本の道徳教育を学ぶようにと言われ、政府要人を来日させていること、中国の東北師範大学の附属校では日本の道徳の副読本を使って授業研究をしていること、韓国では、我が国の心のノート、これは、以前、民主党政権下で事業仕分けの対象となって学校に配付されない事態になったものですけれども、この心のノートを参考に道徳教育教科書のサブノートをつくっているということであります。このほか、サウジアラビア、アメリカの事例等々も記載されておりましたが、いずれにせよ、世界の多くの国々が日本の道徳教育について評価しておりまして、押谷先生もおっしゃっておられるように、それだけ日本の道徳教育は教育の本質を踏まえているということが言えるのだろうと思います。  このことは、我々は誇りにするべきことだろうと思います。ぜひ、教育委員会の皆様におかれましては、道徳教科化に向けてさまざまな反対や意見もあろうかと思いますけれども、自信を持ってこれから取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◆中村たけし 委員  私からは、本市における奨学金制度について質問させていただきます。  昨年、2014年1月に、子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されました。この法律は、生まれ育った環境によって子どもの将来が左右されることのないよう、教育の機会均等などが図られることなどを目的としております。この法律に基づいて、国は、貧困の世代間連鎖の解消と我が国の将来を支える積極的な人材育成などを基本方針とする子供の貧困対策に関する大綱を策定しました。この大綱では、当面の重点施策として、高校生等奨学給付金制度の着実な実施や、高等教育の機会を保障する奨学金制度等の経済的支援の充実を掲げています。  子どもの貧困対策は、あすの日本を支えていく子どもたちの将来のために、国のリーダーシップのもと、地方公共団体、民間企業等が連携して、国民一丸となって進めるべき課題だと考えております。我が党としましても、無利子奨学金の拡充であったり、給付型奨学金の導入という政策を重点政策の一つとして位置づけております。教育の機会均等確保のために、その実現を訴えて、日々、活動しているところでございます。  一方、本市においては、有用な人材を育成することを目的として、意欲や能力があるにもかかわらず、経済的な理由によって就学困難な学生に対して学資を支給する札幌市奨学金制度があります。この奨学金は、市民の寄附を積み立てた基金の運用益等を財源とするもので、日本学生支援機構の奨学金のような貸与型ではなく、返済義務のない給付型であるという面でも高く評価できるものだと考えています。  そこで、札幌市奨学金の現状についてお伺いします。  札幌市奨学生への応募人数と採用人数の推移、給付月額及び寄附状況について、まず、お聞かせください。 ◎引地 学校教育部長  札幌市奨学生の応募人数、採用人数の推移と札幌市奨学金の現状についてお答えさせていただきます。  平成19年度までは、およそ1,000人の応募人数に対し、500人程度を採用していましたが、第2次新まちづくり計画において平成20年度より段階的に採用人数を拡大し、平成22年度以降は、およそ2,400人の応募人数に対して1,300人程度を採用してきているところでございます。給付月額につきましては、公立高校の場合5,000円、私立高校の場合8,000円、国公立大学の場合も6,000円、私立大学の場合9,000円となっております。また、寄附の状況につきましては、平成26年度に約1億1,000万円の遺言による寄附をいただくなど、過去3年間を平均いたしますと年間5,700万円ほどの寄附をいただいておりまして、平成26年度末時点で基金の残高は約27億円となっております。 ◆中村たけし 委員  高校生の子どもがいる家庭においては、子育てに係る負担が家計を圧迫している状況をよくお聞きします。高校生への奨学金は家庭への支援という意味合いもあると思いますが、今の答弁では、返済義務のない給付型の奨学金であるとはいえ、札幌市奨学金の給付月額は決して高いものではないと思います。公立では5,000円、私立の場合は8,000円、国公立大学で6,000円、私立大学では9,000円ということで、数千円という単位になっているのは低い額だと感じました。  子育てを支える環境づくりを進めることは、人口減少対策にもつながると考えています。秋元市長は、札幌市人口減少対策推進本部を新たに設置しまして、今後、人口減少対策に積極的に取り組んでいくことをお話ししています。この観点からも、札幌市奨学金の給付月額の増額を検討すべきだと考えます。  そこで、質問ですけれども、札幌市奨学金制度の給付月額は、他の政令市と比較した場合、どのような状況にあるのか、他都市と比較し、額が少ないのであれば増額という方法も検討すべきだと考えますが、いかがお考えか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  給付月額の他の政令市との比較についてお答えいたします。  政令市20市のうち、高校生を対象とした給付型の奨学金を支給しているのは10市でございまして、このうち、採用が100人以上という一定程度の規模で実施している市は7市でございます。この7市の給付月額の平均は、公立高校の場合約5,000円で本市と同額でありますが、私立高校の場合は約6,000円であり、本市のほうが2,000円ほど多く支給しているところでございます。また、大学生を対象とした奨学金につきましては、採用が100人以上という一定規模で実施しているのは本市のみでございます。  このように、本市の給付月額につきましては、他の政令市との比較におきましても遜色のないものであることから、給付月額の増額よりも採用人数の確保を優先してきたところでございます。 ◆中村たけし 委員  額は他の政令市と比べて遜色ないとのことですけれども、やはり、それでも少ないなというふうに感じています。  また、採用人数を確保していくことに重きを置いていくということでしたが、平成22年度以降では、2,400名の応募に対して採用人数が1,300名ですから、それでも採用されなかった方々が1,000人以上いるという計算になります。この全てに奨学金を支給すべきということまでは言いませんが、1,300人という採用人数も少ないのではないかなと感じています。  厳しい財政状況の中で奨学生の採用人数をふやすためには、基金を積み増していく必要があると感じます。この札幌市奨学金制度そのものが、まだまだ市民の中に浸透している状況にはないのではないかなと感じています。特に、札幌市奨学金制度が市民の皆さんからの寄附で成り立っていることや、寄附を募集していることが余り知られていないのではないかなと感じています。市民の皆さんに奨学基金の存在をもっと幅広くPRして、より多くの寄附を募っていく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、寄附の募集について、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後どのように取り組みを進めていく予定なのか、お伺いします。 ◎引地 学校教育部長  寄附の募集の取り組みについてお答えいたします。  これまで、ポスターやリーフレットなどを作成し、札幌駅前でPR活動を行ったほか、金融機関、福祉施設に対して寄附の周知を依頼するなど、篤志家、一般市民への寄附の呼びかけを行っております。これまで、主に個人による寄附を対象とした呼びかけを行ってきたところでありますが、今後は、経済団体等を通じて企業などへの協力を依頼するなどしてさらなる基金造成に努め、一人でも多くの学生が札幌市奨学金を受けることができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆中村たけし 委員  経済団体にも呼びかけていくことは、大変重要だと思います。企業に対して協力を依頼するということであれば、この寄附金については損金算入が可能であることや税制上の利点を訴えていくといった工夫も必要になると思います。また、亡くなられた方が遺言で寄附を残されることを望んでいる場合が多いと思いますので、そういう方への寄附を呼びかけるのであれば、公証役場であったり弁護士会の協力も仰ぐべくPRを行っていくこと、また、行政書士、司法書士の業界団体にもこういったことを呼びかけてお知らせをお願いするよう働きかけていく工夫が必要だと思います。  とにかく、子どもの将来に対して、経済的に恵まれている、恵まれていないにかかわらず教育の機会を確保することは大人としての責務だと感じていますので、この奨学金制度がより充実していくために努力されることをお願いして、質問を終わります。 ○國安政典 委員長  ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前11時57分       再 開 午後1時     ―――――――――――――― ○國安政典 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆前川隆史 委員  私から、大きく2点質問させていただきたいと存じます。  まず、明年11月7日の供用開始が決まりました白石区複合庁舎内に開設予定の(仮称)絵本図書館について、何点かお伺いしたいと思います。  絵本図書館につきましては、これまでの委員会質疑でも、大きな期待を持ちながら幾度も取り上げさせていただいたところでございます。先般示された札幌市の第3次計画となるさっぽろっこ読書プラン(案)の中には、絵本図書館が明確に位置づけられまして大変に喜んでいるところでございます。恐らく、既存の図書館にはない全く新しい図書館として、周りに気兼ねなく読み聞かせを行ったり絵本を活用したさまざまな催しを行うなどして、多くの方の心を豊かに育む図書館になると期待をしております。  このような絵本専門の図書館としては、剣淵町の絵本の館が有名でございます。札幌市の絵本図書館開設に当たっては、十分に参考にして連携を図っていくことが大切だと考えております。これにつきましては、昨年の委員会で、絵本を通じた相互の連携を図ることにより、絵本図書館の活動を盛り上げていきたいとのご答弁をいただいているところでございます。  そこで、質問でございますが、絵本図書館の開設までおよそ1年といった時期にもなってきましたので、現在の連携状況と今後の方向性についてお伺いいたします。 ◎千葉 中央図書館長  絵本に特化したほかの図書館との連携についてお答えいたします。  絵本を専門とした図書館は全国的にも例が少なく、その中でも、剣淵町の絵本の館は、先駆的な事業に取り組み、実績を上げているところです。具体的な連携につきましては、昨年度、中央図書館を会場に剣淵絵本大賞受賞作品の展示やパネル展のほか、剣淵町が所蔵している絵本の原画展などを開催いたしました。今年度に入りましてからは、剣淵町内で開催された第14回全国紙芝居まつりに当館の職員を派遣いたしました。紙芝居の創作、演じ方、このようなことを学ぶとともに、剣淵町職員を初め、全国から集まった参加者と情報交換を行い、開館の準備へ向けた参考といたしました。  こうした剣淵町絵本の館との連携を初め、他の図書館と相互に協力して行う共同事業や館の活動内容を紹介し合う事業を今後も継続していく予定であります。 ◆前川隆史 委員  今後も、連携をしっかりと深めていただきたいと存じます。  今ご紹介にありました剣淵町の絵本の館には、10万個の木の玉が入った木の砂場や、随所に木製のおもちゃを置いているなどして、遊びと読書が融合して、木をふんだんに使った温かみのある造作が印象的で、親しみやすいつくりの館となってございます。札幌市の絵本図書館においても、多様なサービスの提供とあわせて、ぜひ、こうした空間づくりの工夫も取り入れるべきだと考えております。  そこで、質問でございますが、本市の絵本図書館では、親子で絵本を楽しめるような空間づくりについてどのような工夫をされるのか、お伺いいたします。 ◎千葉 中央図書館長  親子で絵本が楽しめるような空間づくりについてでございます。  絵本図書館は、親子が自由に声を出しながら絵本の読み聞かせを行い、子どもたちが伸び伸びと豊かな創造力を育むことができるよう、親子で絵本が楽しめる空間づくりに取り組んでまいりたいと思っております。具体的には、館内の中心部に、カーペット敷きで、まだ歩けない赤ちゃんでも自由に動き回れるような赤ちゃんのコーナーを、また、明るい窓際のほうにはおもちゃや遊び心のある家具などを並べて、親子が自由にくつろいで絵本を楽しめるコーナーを設置いたします。また、絵本の魅力を効果的に伝えるため、子どもたちから表紙の絵が見えるように並べるとともに、直接手にとって選べるような低い書架を取り入れまして、カウンターから館内の様子が見通せるよう配置したいと考えております。  このように、子どもたちが絵本とのすばらしい出会いができる空間となるよう準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  ぜひ、すばらしい空間づくりに挑戦していただきたいと思います。  本市の絵本図書館は、政令市では初めての絵本図書館の開設になると伺っております。そういう意味で、やはり、大都市ならではの取り組みも必要ではないか、このように考えます。例えば、絵本関係者による絵本サミットとか、子どもたちが制作した絵本コンテストなどを全国的に発信していくような事業とか、また、バーチャル絵本制作体験など、子どもたちの創造性を高める新しい技術を取り入れた事業など、単なる図書館ではない、アクティブな事業が期待されているところでございます。  そこで、質問でございますが、絵本図書館として大都市ならではの特徴的な取り組みを計画されておりましたら、ぜひ、お聞かせいただきたいと存じます。 ◎千葉 中央図書館長  大都市札幌らしい特徴的な取り組みについてでございます。  札幌は、人材や情報など魅力的な資源に恵まれておりまして、委員がおっしゃられたとおり、これらを絵本文化の普及に生かして札幌らしい具体的な取り組みに発展させていくことが重要であると考えております。例えば、絵本と児童文学関係の大会や学会の開催など、札幌の絵本図書館が絵本に関する情報発信の拠点となるよう、図書館関係、絵本研究者、絵本作家、絵本関係機関などとの連携を深めまして、それらを結びつけていくような仕組みを考えていきたいなと考えております。また、中央図書館では、IT技術を利用した絵本づくりなど、デジタル絵本の実証実験を先駆的に重ねてきております。今後も、子どもたちの創造性を高められるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  第2回定例会で職員の研修や養成についてお伺いいたしまして、絵本と子育てに関する専門知識や技能の向上を図るために、各種の専門研修を行う旨のご答弁をいただいたところでございます。既にご案内かと思いますが、文科省の外郭団体で国立青少年教育振興機構が絵本のスペシャリストを養成する絵本専門士養成講座を行っております。本年5月に、1年間の養成講座を経て、第1期の絵本専門士37名が認定されたそうでございます。こうした講座なども活用してはいかがかと考えるところでございます。  ともあれ、札幌市の絵本図書館は、札幌市民の心を育む大河の源流である、そう賞賛されるようなすばらしい図書館を目指してご努力いただきますことを希望いたしまして、最初の質問を終わりたいと思います。  次に、公立夜間中学校の設置についてお伺いしたいと思います。  我が会派では、これまで、義務教育未修了者や学び直しを希望する既卒者に対して、義務教育機会を保障する必要性や、学びこそが豊かな人生を育むために最も優先されるものである、そういった信念から公立夜間中学の設置を強く求めてまいりました。先月29日の代表質問においても、我が会派の丸山議員から、公立夜間中学の設置について質問したところ、教育長からは、公立夜間中学の設置の必要性は認識している、今年度、文科省の設置促進に係る調査研究事業を受託した、道教委と連携して課題についての検討に着手したところとのご答弁があったところでございます。  そこで、質問でございますが、文部科学省からの設置促進に係る調査研究事業においてどのような調査を行っているのか、お伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  文部科学省の調査研究事業における調査内容についてお答えいたします。  北海道内に公立夜間中学校を設置する場合には、公立夜間中学の目的、授業内容、入学要件等の概要をお知らせした上で、どの市町村にどの程度の入学希望者がいるのかを把握することが重要であると考えております。そこで、調査内容につきましては、公立夜間中学を広報するための手段、道内における入学希望者の調査方法、さらには、複数市町村から入学者を受け入れる場合の市町村間の財政負担の調整方法などとし、その調査のために、他都府県等の先進地への視察や道内に四つある自主夜間中学への聞き取りなど、北海道教育委員会と連携して行っているところでございます。 ◆前川隆史 委員  文科省では、公立夜間中学校を設置していない道県にまずは最低一つ設置する、そのように取り組みを進めているところでございます。私も文科省の担当者から直接お話を聞きましたが、設置場所については、当該道央圏の中で未就学者が多いところ、設置運動があるところなどをイメージしているというお話がございました。  平成22年の国勢調査によりますと、札幌市では、義務教育未修了者が約2,000名おりまして、北海道全体の27%を占めております。札幌市における学び直しを含めた公立夜間中学への入学希望の潜在的なニーズの詳細な把握はなかなか難しいとは思いますが、札幌市内には四半世紀の歴史を持つ自主夜間中学札幌遠友塾がございます。例えば、札幌遠友塾に通う方々のうち、公立夜間中学への通学を希望する方々を入学希望者として把握するといった方法も考えられます。  こうしたことを踏まえますと、道内で最も未就学者が多く、道内の他市町村からの交通アクセスもよく、また、自治体の規模や道都としての立場を考えましても、公立夜間中学の設置は札幌市以外に考えられませんし、どうか、スピード感を持って設置へ向けた検討を進めていただきたい、このように強く思っております  そこで、質問でございますが、今後、札幌市内に公立夜間中学を設置するためには、検討しなければならないどのような課題があるのか、お伺いしたいと思います。 ◎引地 学校教育部長  札幌市内に設置するための検討課題についてお答えいたします。  まずは、学びたいという方がどのような学習内容を望んでいるのか把握した上で、学習内容を整理する必要があると考えております。また、履修状況がさまざまな生徒に対応するための指導方法の工夫など、授業の進め方を検討する必要もございます。加えて、これらの指導体制を確保するための教員配置や中学校校舎の活用方法の検討も必要であると考えております。これ以外にもさまざまな課題があることから、引き続き、北海道教育委員会と十分に協議しながら検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  申すまでもなく、公立夜間中学は、公立中学校の夜間部という位置づけでございます。つまり、通常の中学校と同様に、教職員の人件費も国や道から支出されますし、また、既存の中学校の空き教室を活用すれば施設整備上の新たな経費負担もございませんので、大幅な財政負担の心配がないということになります。  代表質問でも触れましたが、昨年、国会においては、超党派の議員連盟が結成されるなど、全国で設置に向けた機運が高まっております。事実、文科省の平成28年の概算要求には、設置する地方自治体への財政支援を拡充する事業予算を計上しております。  夜間中学に学ぶある女性の方がこんなふうに話しておられましたので、最後にご紹介させていただいて、終わりたいと思います。  私は、幼いときに両親と離れ、苦労の連続の人生を歩んでまいりました、学校にも行けず、人生の希望を失っていた私が、夜間中学に出会い、人生が一変しました、学ぶということは本当にすごいことです、自分が字を書けることに喜びを感じ、自分でもわからないうちに幸せを感じています、字を書くこと、学ぶことが、こんなにも人を変えることができるなんて、すごいことです、やっとたどり着いた夜間中学は私の命です。高校へも行きたいです、そして、私でも役に立つなら、世のため、人のために貢献していきたいと決意しております、このように述べておられました。大変印象深く、また感銘してお話を伺いました。  学びの力が札幌市を変えていく、これからの札幌市を創造していく、そういうことを確信いたしまして、また、一日も早く札幌市に公立夜間中学校が設置されることを希望いたしまして、私の質問終わります。 ◆小形香織 委員  私は、学校の統廃合と小・中連携、一貫教育について質問したいと思います。  まず、学校の統廃合についてです。  先ほども質疑がありましたが、私どもも、第2回定例会の代表質問で、新札幌駅周辺のまちづくりと小学校統廃合問題についてただしました。長岡教育長は、今後も学校規模適正化取り組みを進める、まちづくりと一体で検討することが非常に重要であるという認識を答えられました。地域の保護者や地域の代表者などで構成する小規模校検討委員会を設置して、まちづくりの状況等も踏まえて、望ましい教育環境のあり方について検討を進めている、こうおっしゃるわけです。  しかし、私は、南区の豊滝小学校の統廃合の問題で、教育委員会の方とPTAの方、連合町内会の方が議論をされている場で直接聞かせていただきまして、つくづく感じたことがございます。それは、教育委員会が説明する住民合意というのは、実際にはさほど合意されていない、まだ議論すべき点が多く残っているにもかかわらず、統廃合を決めてしまい、住民との信頼関係が崩れたり、あるいは、議会に対して正確に説明がなされていたのかなどの疑問が残ったという点です。  この間、厚別区新札幌での学校統廃合に関する検討委員会のニュースを読ませていただきましたが、意見として、統合は決定事項なのですか、結論も方向性も決まっていませんよね、こういう意見が出されております。しかし、そこで今後検討すべき事項という中身を見ますと、統合する校舎の位置についてだとか、統合の時期についてだとか、統合校の学校名についてなど、こういうふうに統合することを前提に必要な項目が挙げられている、私はそういう姿勢があるなと思っております。望ましい環境について検討すると言いながら、統廃合ありきで、それを前提にした討論を誘導している気配が非常に濃厚だというふうに私は感じております。
     新札幌周辺の市営住宅などでは子育て世帯が優先的に入居できるような仕組みを進める、あるいは、地域そのものも、新千歳空港や札幌駅にも短時間で移動できる、また、周辺には青少年科学館あるいは大学などの文教施設が身近にある、こういう特徴ある地域でございます。これを生かしたまちをどのようにつくるのかという議論がいよいよ本格化する中で、学校は統廃合ありきで議論を進める、四つの小学校を二つにするのか、三つなのか、一つなのかというような議論をしているのは、どう考えても奇妙だと思うのです。結婚や育児、小・中学校、大学への進学、そして通勤と、20年、30年先を見越して新札幌に住む、あるいは、これから住もうとする市民に対して、教育委員会はこの統廃合の問題をどう説明するのでしょうか。まちづくりと一体で検討するとご答弁された一体でというのは何なのかということを私は非常に疑問に思っております。  どのようにまちづくりにかかわろうとお考えなのか、教育委員会まちづくりへのビジョンを伺いたいと思います。 ◎本居 学校施設担当部長  教育委員会まちづくりへのビジョンをいうご質問につきましてお答えいたします。  教育委員会としましては、何度も繰り返しておりますように、一定の学校規模を確保して子どもたちに良好な教育環境を提供するために学校規模適正化に取り組んでおり、そのことが最も重要であると考えております。まちづくりのことに関しましては、札幌市全体として検討していくことになりますが、教育委員会としましては、第一に子どもへの良好な教育環境の提供を目的としているところでございます。 ◆小形香織 委員  子どもへの影響を第一に考えると言うのであれば、まさに、この新札幌は、これから子どもたちがそこに住めるようなまちをつくろうとしているときに、学校がなくなるかもしれない、なくす方向で議論しているというのはおかしいのではないですか。そこをどう認識されていますか。 ◎本居 学校施設担当部長  学校をなくすことを前提としているというお話でございましたが、一定の適正規模を確保するためにそういった選択肢もあるということは前提になると思いますけれども、そのことだけを目的に検討しているということではございません。先ほど、丸山委員にも答弁申し上げましたが、検討委員会での教育委員会の役割は、この検討の趣旨、目的について説明させていただき、さまざまなご意見に対する資料提供やご説明はいたしますが、決して検討委員会の方向を誘導するといったことはしておりません。 ◆小形香織 委員  私は、最初にお示ししました。誘導していないとおっしゃるけれども、しかし、統廃合はまだ決まっていませんと言いながら、学校が統廃合をいつするか、どういう場所にするかということを検討事項として出しているわけですね。こういうふうに出てきたら、住民の方々はもう統廃合するんだなというふうに受け取るのはむしろ当然なのではないですか。意図的にやっているかどうかはわかりませんけれども、特に学校規模適正化という皆さんの部署は、結局、おたくは統廃合エリアでございます、子どもの数はこういうふうに減ってまいりますよ、学校の規模として適切ではありませんということを最初に示して、そして議論してくださいというふうにやるわけですね。そうやったら、結局、統廃合ありきになっていくのではないですか。  そのやり方そのものを見直すべきだというふうに思いますが、その点をどう受けとめておられるか、伺いたいと思います。 ◎本居 学校施設担当部長  地域の選定に当たりましては、議会にもお諮りし、ご意見をいただき、さまざまな市民意見をいただいた上でプランを策定したものでございます。したがいまして、その地域では適正規模の学校が必要になっているといった客観的な事実がございますので、そういったことを前提にお話しいたしますが、どういう形で統廃合するのか、そういったものまではお示ししておりません。 ◆小形香織 委員  もう平行線になるからやめますが、どういった形で統廃合できるのかというのは、結局、統廃合することを前提に話が進むということなのではないですか。最初に誘導していないのだとおっしゃるけれども、しかし、今のご答弁の中で、はっきりとどうやって統廃合を進めるかという議論をしていただくのだということですから、私は、これは統廃合ありきで地域に議論していただくと言っているというふうに受けとめざるを得ないと思いますので、このやり方そのものを改めるべきだということ申し上げておきたいと思います。  次の質問に移りますが、アクションプランの政策目標6 産業分野の人材を育む街の主な事業の中に、小中連携・一貫教育推進事業が掲げられております。その理由のところを見ますと、中学校進学時に生じる中1ギャップ等の課題に対応するためとしておりますが、一体、小中一貫教育で何をしようとしているのか、狙いは何なのか、まず、お示しください。 ◎引地 学校教育部長  小中一貫校の狙いについてお答えさせていただきます。  小中一貫校は、今、お話がございました中1ギャップの解消や、小学校高学年での専門的な指導の充実による学力向上等、義務教育9年間の一貫した教育を行うことを狙いとして、学校教育法等の改正により、来年4月以降、教育委員会の判断で設置できることとなったものでございます。  教育委員会といたしましては、これまで小・中連携教育の推進を図ってまいりましたが、その取り組みの成果を検証し、さらに充実・発展させる観点から、札幌市における小中一貫校の有効性などについて今後検討してまいりたいというふうに考えております ◆小形香織 委員  有効性について検討されるのだということですけれども、私は、これは相当に慎重にしなければならないというふうに思っております。アクションプランには、小中一貫教育のあり方を検討するとして、2019年までに2校と具体的に数字を出しております。ということは、その対象となり得る学校をそれなりに想定されているのではないかというふうに推察いたします。  対象校となる可能性としてどのような条件があるのか、伺いたいと思います。 ◎引地 学校教育部長  現在、小中一貫校がこの学校ということはまだ確定しているわけではございません。私どもとしては、小中一貫教育とはどういうものなのか、どういう構成があるのかというモデル研究を来年度から実施したいと考えております。  そのモデル校の選定につきましては、これまでも小学校と中学校との連携による教育が密に行われている学校や、小・中学校の校区が一致しており、児童生徒が継続して通うことのできるような学校等、幾つかの観点から総合的に検討していきたいというふうに考えております。 ◆小形香織 委員  確定していないけれども、校区が一致するようなところを考えているということですから、ある程度は予測がつきますね。小学校の6年間と中学校の3年間、合わせて9年間ということですから、それがモデルとなって始まるとすると、その地域の子どもたちは、モデルになるのか本格スタートなのかは別として、学校を選ぶわけにはいかないわけですね。選べないのに、ほかの地域の学校とは違う教育課程だったりすると、これは大きな問題になると思います。例えば、本州では、小中一貫の特例校という形で、高校受験を意識し、中学3年生は受験対策一辺倒の1年間にして、中学2年生までの8年間で必要なカリキュラムを終わらせてしまう大幅な変更をやったり、それに伴って、転校してくる子どもに適合できない問題だとか、あるいは、一つの学校にすることで学校の統廃合が進むなどということが起きているというふうにお聞きしておりまして、私自身も懸念をしております。  今回の小中一貫教育のあり方検討ということで、この懸念材料については具体的にはどういうふうになっていくのか、伺いたいと思います。 ◎引地 学校教育部長  小中一貫校導入にかかわる懸念についてお答えさせていただきます。  まず、このたびの法改正におきましては、学習内容、教育課程につきましては、現行の小学校及び中学校の学習指導要領を小中一貫校においても準用するとされております。したがって、例えば児童生徒の転出入による不利益等のご心配かと思いますが、そういう不利益等を生じないように十分配慮することが前提となっております。 ◆小形香織 委員  確認したいのですが、つまり、一貫校になったとしても、今までの小学校1年生で習うものは一貫校でも同じように1年生で習い、今までの中学校1年生でやっているものは一貫校の7年目で同じ中学1年生のカリキュラムがやられるということですね。  それから、もう一つ伺いたいのは、そうであるならば、入学の際の選抜などは行わないということでよろしいのでしょうか。 ◎引地 学校教育部長  今、入学選抜に関してのご質問かと思いますが、小中一貫校につきましては、入学者選抜を行うのではなく、既存の小・中学校と同様に、その学区等に基づいて就学する制度になっております。したがいまして、ほかの小・中学校に入るときとの格差は生じないよう配慮されているというふうに考えております。 ○國安政典 委員長  さきのほうで質問された教育内容は同じなのかというところはどうですか。 ◎引地 学校教育部長  教育内容にかかわりましては、委員のご指摘のとおり、学習指導要領は小学校も中学校も各学年ごとに示されておりますので、基本的にはそれを準用し、それにのっとって学習指導をすることになります。ただ、総合的な学習の時間とか、学校独自でカリキュラムを組めるものについてはオリジナルのカリキュラム等を作成することも考えられるかなと思います。そのことによって、9年間を見通した教育、子どもの成長を見ることができるというような利点もあるかなと考えております。 ◆小形香織 委員  今、小中一貫ではなくて、小・中連携事業ということを教育委員会ではずっと進めておりますね。そこで、いわゆる中1ギャップと言われている問題などについて、どういうふうに対応すればいいのかということで実践が進んでいるというふうに思います。ですから、決して一貫校でなければできないということはなくて、今ある6年、3年というやり方の中で、連携を進めることで十分対応できることだなというふうに私は思っております。それから、より根本的には学級の規模です。35人学級の対象学年を広げる、そして、一層、30人学級などに進めていくという少人数学級の推進が、やはり、教育現場の困難を解決していく一番の道筋だというふうに思っております。  そこで、最初の質問にかかわって同じようにお聞きしたいのですが、今のご答弁で、この小中一貫校は今後何かの形で進めていくのだろうというふうに受けとめました。そのとき、住民の合意なり、地域への丁寧な説明を抜きに進めてはならないというふうに思っておりますが、今後どのように進めるのか、特に合意という点でどういうお考えでやろうと思っておられるのか、伺いたいと思います。 ◎本居 学校施設担当部長  ただいまの質問は、小中一貫校化をする上での住民合意というご質問でしょうか。 ◆小形香織 委員  はい。 ◎引地 学校教育部長  小中一貫校にかかわる住民への説明、合意ということに関しましては、当然、小中一貫校の目的、狙い、それから教員の配置、設備等々を説明申し上げてご理解いただくように、一連の協議、説明会等は十分なされることが重要であるというふうに考えております。 ◆小形香織 委員  ご理解いただくように事前の説明というのは、統廃合と同じことを言いますけれども、物事はそれがありきで決して進めないでいただきたいと思います。特に、一貫校にする場合、これは大きな変更だというふうに思いますが、子どもたちは、一回入ったら、9年間、そこで教育を受けることになるかもしれません。ですから、慎重の上にも慎重にやらなければならないと思っておりますので、その点はくれぐれも心していただきたい、ありきで進めるようなことは決して行わないように強く求めまして、質問を終わりたいと思います。 ◆よこやま峰子 委員  私は、スクールカウンセラーの現状と今後のあり方についてお尋ねいたします。  平成7年度から導入されたスクールカウンセラー制度は、教師以外の専門家を学校に配置するという新たな試みであり、ことしでこの制度の開始から20年がたち、多くの学校において確実に定着し、社会的にも認知されてきております。心の専門職であるスクールカウンセラーが札幌全市に配置されるというこの制度が充実し、生徒の悩みに的確に対応できる環境を構築することは、小・中学生の精神的安定に役立ち、ひいては、不登校やいじめなど、学校を取り巻く多くの問題解決にもつながるのではないかと大いに期待するところであります。  しかしながら、私は、今回、札幌市の小・中学校におけるスクールカウンセラーの配置時間数とか勤務形態について伺ったところ、スクールカウンセラーが全て非常勤であることや、配置時間が非常に少ないことを知りまして、正直、驚きました。現状の配置時間数では、中学校はもとより、小学校では時間数が余りにも少なく、子どもに顔を覚えてもらうことすらもままならないのではないかと懸念されます。  そこで、スクールカウンセラーという名前は広く認知されてきたのに、その実態が余りにも知られておりませんので、まず、最初の質問として、今、札幌全市においてスクールカウンセラーが何名おられ、そのカウンセラーがどのように中学校、小学校に配置されてきたのか、並びに、札幌市の小・中学校においてどのような働き、役割を担っているのか、スクールカウンセラーの現状についてお伺いいたします。 ◎松田 児童生徒担当部長  現在のスクールカウンセラーの人数とこれまでの小・中学校への配置状況並びに学校において果たしてきた役割についてお答えいたします。  現在のスクールカウンセラーの人数は99名で、全市立学校に配置しております。配置時間数については、中学校へは、平成20年度以降、年間280時間を配置しており、各中学校で週1回、8時間を基本として勤務しております。小学校へは、平成20年度から年間36時間を配置いたしましたが、23年度に配置時間を年間45時間とし、以降、毎年、3時間ずつ配置時間をふやしてきているところでございます。今年度は、年間57時間配置しており、各小学校で月1回4時間程度の勤務をしております。  各学校においては、児童生徒の悩みや不安を受けとめ、相談に当たるほか、児童生徒とのかかわり方について保護者や教職員と面談し、助言したり、校内研修の講師を務めたりするなど、心の専門職として多様な役割を果たしているところでございます。 ◆よこやま峰子 委員  ただいまのご答弁によりますと、99名のスクールカウンセラーがいて、小・中合わせて約300校、中学校が週1回、小学校だと、今年度からふえたとはいえ、年間57時間で月1回4時間程度ということであります。また、今、スクールカウンセラーの仕事内容をお聞きしますと、ますます小・中学校における存在の重要性が改めて認識されたということであります。  そういう中で、私は、小学校の配置時間数については、月1回は余りにも少ないのではないか、これでは生徒や保護者に認知されるのかどうか、非常に不安になります。昔と違い、今は成長も早く、小学生といえども、高学年では体も精神的にも中学生と変わらない子どもたちが多くなってきておりますので、恐らく、潜在的な需要、ニーズは中学校と変わらないほど多いのではないかと推察いたします。  そこで、質問ですが、小学校におけるスクールカウンセラーの活用のニーズと対応への課題をどのように捉えておられるのか、教育委員会の認識をお伺いいたします。 ◎松田 児童生徒担当部長  小学校におけるスクールカウンセラーの活用のニーズと対応への課題についてでございますが、小学校高学年の児童については、中学生と同様に、家族や友人との関係等の悩みや不安を抱え、中には登校を渋るケースなども見られる状況にございます。また、低学年についても、感情や衝動をコントロールすることが難しい子どもが見られる状況でございます。  各学校においては、教育相談を担当する教員や担任及び養護教諭等が心の専門家であるスクールカウンセラーと連携して、教職員だけでは把握できない子どもの心の内面を深く理解し、個別に支援する必要があるケースがふえております。小学校におけるスクールカウンセラーの活用ニーズは一層高まってきているものと認識しております。現在、小学校には、スクールカウンセラーが月に一度しか来校しないことから、学校がその専門性を十分に活用できない状況がございます。  教育委員会といたしましては、将来的に、各学校のニーズを踏まえつつも、小学校において週1回の配置を目指すことを含め、スクールカウンセラーを有効に活用できるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆よこやま峰子 委員  ただいまのご答弁から、小学校におけるスクールカウンセラー活用のニーズの高まりを十分認識され、今後、将来的には中学校と同様に週1回の配置を目指すということは、大いに期待したいと思います。  しかしながら、現状は月1回でありますので、相談したいときにその場にスクールカウンセラーがいない、そして、その回数の少なさから信頼関係も構築できにくいのではないかと私は思います。このような状況のもとでは、スクールカウンセラーの配置を工夫することにより、配置時間の少なさをカバーすることができないものかと考えます。例えば、今のように画一的に全校一律に月1回ではなくて、各地域それぞれの学校事情によって配置時間を調整して、限られた99名のスクールカウンセラーを効率的に配置することはできないものかと考えます。  そこで、質問ですが、スクールカウンセラーの配置体制について、教育委員会は今後どのように工夫して改善していくのか、お伺いいたします。 ◎松田 児童生徒担当部長  スクールカウンセラーの配置体制の今後の工夫、改善についてでございますが、全ての子どもは、成長過程において悩みや不安を抱えているものと認識しております。教育委員会は、全ての子どもを対象とした学校の教育相談体制の充実に向け、スクールカウンセラーが担任と子どもの個別面談に同席したり、グループ面談を行ったりするなどを通して、いまだ顕在化していない子どもの悩みや不安を早期に把握することが重要と考えております。  これまで、可能な限り中学校区の小学校に同一のスクールカウンセラーを配置し、子どもの発達や環境等の変化を保護者とスクールカウンセラー及び小・中学校の教員が共有してきたところでございます。今後とも、継続した相談体制の構築に向け、スクールカウンセラーを有効に活用することができるよう努めてまいりたいと考えております。加えて、今後、学校の規模等に応じてスクールカウンセラーの配置を工夫するなど、スクールカウンセラーが全ての子どもにかかわり、悩みや不安の早期発見及びいじめや不登校の未然防止の役割を一層充実できるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆よこやま峰子 委員  ただいまのご答弁ですと、教育委員会としては、可能な限り中学校区の小学校に同一のスクールカウンセラーを配置したり、また、学校規模等に応じてスクールカウンセラーの配置を工夫するということであります。しかし、私は、やはり、配置回数が小学校月1回というのは余りにも少な過ぎると思いますので、先ほどのご答弁にありましたように、できるだけ迅速に、何としても週1回となるように取り組みを急いでいただきたいと思います。子どもを取り巻く社会環境は目まぐるしく変化しておりますし、さまざまな問題の低年齢化が進んでおります。ぜひ、小学校におけるスクールカウンセラー配置時間数を早い時期にふやしていただきますよう強く要望いたします。  さて、先日の新聞に経済協力開発機構、OECDの調査で、日本の小・中学校の教師は、1日平均10時間から13時間を学校で過ごし、自宅でも2時間は仕事をするため、日本の教師は最も労働時間が長く、教師の超過勤務は深刻であり、事務の電子化やスクールカウンセラーなど外部機構との連携などの負担軽減が提唱されておりました。また、文科省の要綱によりますと、心の専門職であるスクールカウンセラーの職務は、校長などの指揮監督のもとに、以下、四つのことが明記されております。児童生徒のカウンセリング、カウンセリング等に関する教職員及び保護者に対する助言、援助、児童生徒に関してのカウンセリング等に関する情報収集・提供、そのほか、児童生徒のカウンセリング等に関し、各学校において認められるもの、このようにスクールカウンセラーの仕事は、小・中学校の生徒のみならず、その保護者、そして、配置された学校の教職員にまで及び、その果たす役割は今後ますます大きくなるものと思われます。  私は、この重要な職務は、今のように全員が非常勤勤務ではなく、一般教諭と同様に採用され、身分が保障された上で各小学校に配置すべきではないかと考えます。  そこで、質問でありますけれども、財政の問題を初め、多くの課題があり、ハードルが高いことは十分承知しますが、制度ができて20年、今こそ、本当にこの制度がさらにしっかりと教育現場で生かされるために、札幌市として、将来的に常駐、常勤のスクールカウンセラーを置くことを前向きにご検討いただけないものか、お伺いいたします。 ◎松田 児童生徒担当部長  将来的にスクールカウンセラーを常駐、常勤とすることについてお答えいたします。  スクールカウンセラーは、学校における唯一の心の専門職であり、子どもの健やかな成長を支える人材として学校のニーズは一層高まっております。そのようなスクールカウンセラーが学校に常駐することとなれば、子どもの悩みや不安を早期に発見するとともに、いじめや不登校の未然防止に向けたかかわりを深めることができ、全ての子どもを対象とした教育相談体制の充実に結びつくものと考えております。  現在、国の中央教育審議会において、法令上、スクールカウンセラーの職務内容等を明確化するとともに、将来的には正規の職員として国庫負担の対象とすることなどについて検討がされている状況がございます。教育委員会といたしましては、全国的動向等を注視するとともに、今後とも、スクールカウンセラー活用事業の充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆よこやま峰子 委員  確かに、担任の教師、養護の先生、ソーシャルワーカー、教師のOBなど、学校現場には多彩な人材が配置され、子どもたちを見守っているということはよくわかりました。しかし、ますます複雑になる社会に対し、さまざまな問題を抱えている子どもたちの低年齢化が進んできており、専門家であるスクールカウンセラーの需要は今後ふえていくと考えられます。ただいま、小学校においても週1回の配置を検討するという前向きなご答弁をいただきました。ぜひ、早急に実現させていただきたいと存じます。  しかし、やはり、常駐のスクールカウンセラーがしっかりと存在すること、学校に常にいるということは、子どもたち、保護者、そして教職員にも、大きな安心感というか、精神的な支えになると考えますので、現状のように、週1回とか月1回、相談者が来るのを待つカウンセラーではなくて、学校の中で生徒、保護者、そして教職員をつなぐ役割を積極的に担う存在としてのスクールカウンセラーの誕生を切に望みます。  そして、そのためには、やはり身分保障として、非常勤ではなくて、正規職員としての処遇をすべきではないかなと私は思います。ハードルの高い要望ではありますが、将来的に札幌市においてスクールカウンセラーが常勤、常駐することを検討されるような教育委員会であってほしいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。 ◆長谷川衛 委員  私からは、県費負担教職員の給与負担等の移譲について、もう1点は、中学校の運動部活動について、2項目について質問させていただきます。  初めに、県費負担教職員の給与負担の北海道から札幌市への移譲についてであります。  政令指定都市にとって、市立小・中学校の教職員における任命権者と給与負担者が異なる、いわゆるねじれ状態を解消するということは、長年の懸案事項でありました。2014年6月に給与負担法等の改正を含む地方分権に係る第4次一括法が公布されまして、現在、道府県が有している県費負担教職員の給与負担等の権限が、2017年4月を目途に政令指定都市に移譲されることになりました。  そこでまず、まとめて3点お聞きしたいと思います。  まず、1点目は、今回の権限移譲の内容等についてです。  札幌市立小・中学校の教職員給与は、これまで北海道が負担してきましたけれども、今回、どのような経緯で本市に移譲されることになったのか、改めて伺います。  また、具体的にどのような権限が北海道から札幌市に移譲されるか、あわせて伺いたいと思います。  2点目ですが、権限移譲による変更点です。  政令指定都市始まって以来の大きな権限移譲と私は認識しておりますが、このことによって本市においては何がどのように変わるのか、これが2点目です。  3点目は、権限移譲の準備の状況についてです。  2017年4月に予定されている権限移譲に向けて、現在どのように準備を行っているのか、また、今後のスケジュールはどうなっているのか、以上3点をまず質問したいと思います。 ◎山根 教育制度担当部長  ご質問がございました1点目の今回の権限移譲に至る経緯及びその内容等についてお答えいたします。  今回の権限移譲は、委員のお話にもございましたとおり、任命権と給与負担等のねじれ解消に向けて指定都市が長年求めてきたものでございます。また、国におきましても、平成15年6月に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003におきまして指定都市への権限移譲の方向性が示されるなど、以前より検討されてきたものでございます。  しかしながら、移譲に当たりましては、指定都市に新たに生じる財政負担への措置が課題となっておりました。平成25年3月に閣議決定された義務付け・枠付けの第4次見直しについてでは、関係省庁において関係者の理解を得て速やかに結論を出した上で、指定都市に移譲するとされたものでございます。このような動きの中で、平成25年11月に、関係道府県と指定都市の間で、個人住民税所得割の2%を道府県から指定都市へ税源移譲することについて合意いたしました。これを受け、26年6月に公布された第4次一括法により権限移譲が決定されたものであります。  具体的にはどのような権限がおりてくるかというご質問ですが、平成29年度を目途に、県費負担教職員の給与等の負担、県費負担教職員の定数の決定、学級編制基準の決定などの権限が北海道から札幌市に移譲されることとなったものでございます。  続きまして、2点目の権限移譲により具体的に何がどう変わるのかというお尋ねについてでございます。  まず、先ほども申し上げましたように、県費負担教職員約8,000人分の給与負担と給与支給に係る事務が札幌市に移譲されます。また、現在北海道の条例、規則等で定められている県費負担教職員の給与その他勤務条件を札幌市の条例、規則等で定めることになります。あわせまして、現在北海道の基準に基づき決定している教職員定数及び学級編制の基準を札幌市において決定することとなります。これらのことによりまして、今後、みずからの判断と責任において、より主体的に地域の実情や市民ニーズに応じた教育行政を行うことができるようになるものと考えているところでございます。  最後に、3点目の権限移譲の準備状況についてでございます。  平成26年4月に専任の教育制度担当部長を配置いたしまして、現在、部長以下10名の体制で準備に当たっているところでございます。今年度は、教職員の給与、その他勤務条件整備に係る組合との交渉及び人事給与システムの改修等を行っているところでございます。来年度に当たりましては、関係条例の改正等を議会にお諮りしまして、学校現場への新制度の周知、新制度に基づく各種手当等に係る届け出の処理などを予定しております。平成29年度の移管に向けまして、円滑な事務権限の移譲が行われますよう準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  三つを一遍に済ませましたので、今、山根部長から概略について答弁がありましたが、大体は理解できたかなというふうに思っております。その中で、権限移譲によって札幌市が主体的に地域の実情や市民ニーズに応じた教育行政を行えるようになるということは、私は大変評価しています。  ただ、ちょっと気になる点があるのは、今、札幌市独自でさまざまな問題に対応できるように権限が移譲されると言いながら、特に学級編制と教職員定数についてはいわゆる国の標準法がありますね。それから、義務教育国庫負担金も定数をもとに算定する現状でありますので、今後、果たしてこの制約とどういうかかわりを持っていくのかなというところで若干の危惧もあります。教育の継続性や学校現場への影響を考えますと、2017年度からすぐに大きく変わることにはならないと思いますけれども、やはり、今後は、長期的な視野に立って、本市にとってよりよい教育を実現するための教職員配置などについても検討していく必要があると私は考えます。  そこで、この件での最後の質問になりますが、2点ほど質問させていただきます。  1点目は、先ほどの理事者からの答弁では、財源として個人住民税の2%の税源移譲が行われるとの話でありましたが、国庫負担金を含めて、財源を担保するフレームは一体どのようになっているのか。具体的に言いますと、2%で賄えるとはどこも思っておりませんから、こういう部分の措置をどのようにしていくかということであります。  それから、2点目としては、移譲後の教職員の配置についてどのような検討を行っているのか、また、現在、道が独自で行っている中学校1年生の35人学級の取り扱いについて、これは今後どのようになっていくのか、2点について質問いたします。 ◎山根 教育制度担当部長  まず、今回移譲となる給与負担の財源についてお答えしたいと思います。  小・中学校等の義務教育諸学校の教職員の給与及び手当につきましては、3分の1が国庫負担金で措置されております。残る3分の2は札幌市の一般財源で負担することとなりますけれども、今回、個人住民税所得割2%の移譲税源だけではなく、地方交付税を組み合わせた形で措置されることになります。地方交付税を含めた地方財政措置につきましては、現在、指定都市市長会として国の施策及び予算に関する提案、いわゆる白本によりまして指定都市の財政運営に支障がない適切な措置が行われるよう要望しているところでございます。  続きまして、移譲後の教職員配置の検討についてお答えいたします。  移譲後の教職員の配置につきましては、今年度、教育委員会事務局内にプロジェクトを立ち上げて検討を始めたところでございます。委員がご指摘の中学校1年生の35人学級につきましては、学習面だけではなく、生活面も含めまして、一人一人に応じたきめ細かな指導がより一層充実しているものと認識しております。今後、プロジェクトの中でしっかり検討してまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  この課題はまだまだ残っていると思いますので、最後にひとつ要望しておきます。  これはどこの政令指定都市でも共通の課題だということはもちろん認識していますが、政令市によって財政の差が随分大きいのですよ。非常に財政が豊かな政令市もありますが、札幌市のように厳しい財政状況に置かれている政令市もありますから、やはり、これからも権限移譲によって今の教育の質が低下することがないように、そして、学校現場に混乱をもたらさないようにお願いしたいと思います。  もう一つは、きょうは町田副市長も出ておりますので、特に教育予算です。きょうもいろいろな委員の方々からありましたように、学校にとって大事なスクールカウンセラーもそうですし、私がこれから述べる部活動もそうですが、教育に必要な措置にはお金がかかるのです。ところが、教育予算はそういうソフトを含めてなかなか拡大していかないので、将来的に教育予算の拡充ということもぜひ求めておきたいと思います。  それでは、二つ目の課題に入ります。  中学校の運動部活動については、私は、これまでも、運動部活動の教育的な意義、それから現状の課題について、何回か議会で取り上げてまいりましたが、今回は課題克服に向けての具体的な取り組みについて何点か質問していきたいと思います。  今、学校の現状を踏まえての運動部活動の振興と活性化を図るためには、私は、大きく二つの改善が現在の課題として挙げられているというふうに思います。一つは、生徒が希望する種目の部活動を設置できずに活動できないこと、これを何とかしたいという課題です。それからもう一つは、指導者の体罰の問題や生徒たちのオーバートレーニングなど指導上の課題でありまして、今、この二つの大きな課題に直面しているというふうに思います。  2015年3月の予算特別委員会においても、札幌市教育委員会が設置した中学校運動部活動在り方検討委員会取り組みにかかわって、進捗状況と検討している内容について質問したところであります。当時は、検討委員会が視察を含めて4回の開催を終えた段階での答弁でありました。検討委員会は、その後、4回開催し、全8回の会議を終えまして、現在、運動部活動の課題の改善策を報告書としてまとめているとのことでありますので、まず、検討内容に基づく教育委員会取り組みについて伺いたいと思います。  課題の一つ目でありますが、生徒が希望する種目の部活動を設置できず、活動できないという課題についてです。  札幌市においては、これまでも、外部指導者という制度がありまして、地域の方々が技術指導を中心に部活動の指導を行っています。現在、外部指導者は市内で400名以上が活動しておりまして、この方々の専門的な指導のおかげで運動部活動の内容が充実し、各学校では大変助かっているというふうに聞いています。ただ、大変意義のある外部指導者の制度ではありますが、実態は、顧問教員がいなければ、外部指導者が単独で部活動の指導をしたり、さらには、練習試合の引率をしたりはできないことから、多忙化している顧問教員の負担軽減としては十分ではないことがこれまでの課題でした。  さきの予算特別委員会の答弁では、顧問教員の負担を軽減することで部活動の存続や新設をしやすくするために、顧問が不在でも単独で指導できる特別外部指導者という新たな外部人材の活用を検討するということでありました。特別外部指導者の活用について、教育委員会では、検討委員会での議論を踏まえ、この10月からモデル事業として開始したとのことであります。  そこで、質問ですが、特別外部指導者活用事業のモデル事業について、どのように取り組みを進めているのか、お伺いいたします。
    ◎松田 児童生徒担当部長  特別外部指導者の活用事業についてお答えいたします。  特別外部指導者活用事業については、検討委員会の議論を踏まえて、早期の実現を目指すべきとの意見が多く出されたことから、教育委員会では、この10月1日から10校10名の特別外部指導者を任用し、モデル事業として開始したところでございます。モデル事業では、特別外部指導者の任用に当たって、競技経験のない顧問や休日に指導ができない顧問が運営している部活動がある学校を設定しております。また、モデル校の特別外部指導者は、校長の推薦により、自校の外部指導者から、中学校教育や部活動の意義を理解し、顧問教諭との連携を図りながら指導できる方を教育委員会が任用しているところでございます。  今後、半年間かけて本事業の効果や課題を検証し、来年度からの実施に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  特別外部指導者活用事業は、今、10校10名でのモデル事業だということですが、来年から本格実施をするために今準備を進めていると。もちろんモデル事業の検証は大事だと思いますが、部長も聞いていると思いますけれども、かなりの多くの学校が希望しているのです。何とか来てほしい、引率のできる特別な外部指導者が欲しいという声も上がっておりますので、やはり、特別外部指導者の有効活用ができるようにこれからも努力をしていただきたいと思います。  続いて、同じく一つ目の課題についてもう1点質問したいのですが、札幌市では、これまでも、複数校合同部活動という仕組みがありまして、大会出場のための人数が一つの学校だけでは足りない場合、複数校が集まってチームを結成して大会に出場できるようになっています。今年度は、各校の顧問の協力によってソフトボール部やバレーボール部など12の団体種目の部活動が、この複数校合同部活動を活用することで成果を上げていると聞いています。  一方で、常々、私は自分も中学校の教師として思ってきたのは、個人種目にも救済措置が必要なのではないのかと。特に水泳や体操などは、民間のクラブチームが充実しておりまして、結構、子どもたちもそういうところに通って、中体連にも出られるように顧問教師がついていくというシステムがあります。しかし、実は、同じ個人種目の中でも、陸上、卓球、バドミントン、こういう子どもたちの中に、小学校から競技を始めて、非常に能力もあって続けたいという意欲のある子どもたちがいても、生徒が在籍する学校に部活動がないために活動できない、こういう子どもたちを何とか救ってやりたいなというふうに常日ごろから思ってきました。  さきの予算特別委員会では、自分の活動したい部活動が在籍校にない場合、他校の運動部に参加できる仕組みである学校間連携方式の導入について検討するという答弁がありました。その後、この方式について、主に個人種目の部活動に対する救済措置として検討を進めてきたと聞いております。  そこで、質問ですが、学校間連携方式の導入について、教育委員会の見解をお聞きしたいと思います。 ◎松田 児童生徒担当部長  学校間連携方式の導入についてでございますが、学校間連携方式は、顧問教諭がいなくても他校の運動部で活動ができ、個人種目の救済措置として有効であるため、教育委員会においても導入の方向で検討しております。  導入に向けての課題といたしましては、学校間での連絡調整方法や受け入れ校への移動の安全確保、また、他校の生徒が一緒に活動することによる生徒指導の難しさなどがあり、細部にわたって検討しているところでございます。また、開始するに当たっては、多くの生徒が希望する運動部活動に参加できるように、学校間連携方式の内容について、さまざまな機会を通して教職員、生徒、保護者への理解、啓発に努めることが必要でございます。  今後、これらの課題解決に向けて早急に検討を進め、円滑な実施が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  今、答弁された学校間連携方式を実際に運用していく上では、新たな導入ですから、必ず課題が出てくることは承知しておりますけれども、特に個人種目を行っている生徒には非常に有効な対策だなというふうに思います。  実は、ことし、文教委員会の視察の中で神戸市の運動部活動の現状について勉強してきました。神戸市では、中学校拠点校部活動という方式をとっておりまして、9種目267名の生徒が大体約30ある拠点校に通って活動しているという説明を受けました。ただ、いい方法だなと思う反面、結構ハードルが高いな、課題が大きいなという感じもいたしました。それは、向こうの教育委員会の方も言っておりましたが、やっぱり教師の力量とボランティアに負うところが大きいのです。拠点校の教師はずっとその負担がつきまとって、どこに行っても拠点校の指導者を求められてしまうとか、人事の問題にも絡みます。それから、全市の広い範囲で通うとなれば、通う生徒の安全性の問題など、こうした大きい問題も抱えているなというふうに思いながら、札幌の学校間連携方式は、何とか充実したものをつくってもらいたいなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。  最後の質問になりますが、もう一つの課題である指導者の体罰、または生徒のオーバートレーニングなど、指導上の問題についてであります。  予算特別委員会の答弁では、過度な練習による健康面での負担なども課題であり、安全面と健康面にかかわることについても検討するとのことでありました。学校の顧問教員や外部人材の指導力向上については引き続き運動部活動の喫緊の課題でありますから、部活動は学校教育の一環として位置づけられておりますので、多くの教職員や外部人材が部活動の意義、適切な指導について学ぶことは大変重要であると思います。  そこで、質問ですが、運動部活動における適切な指導の認識と今後の取り組みについて伺いたいと思います。 ◎松田 児童生徒担当部長  運動部活動における適切な指導の認識と今後の取り組みについてでございます。  運動部活動は、勝つことのみを目指す活動とならないよう、生徒の多様なニーズを把握し、主体性を尊重しつつ、生涯にわたってスポーツに親しむ能力や態度を育てていくことが大切であると考えております。そのため、指導者は、運動部活動が人間形成の場となるよう、技術指導のみならず、部のマネジメントや生徒の心と体に関する幅広い知識を習得することが重要と認識しております。  運動部活動における適切な指導については、これまでも、部活動指導者研修会において、指導力の向上や体罰、ハラスメント等の防止に向けて実績ある指導者を講師に招き研修を実施してきたところでございます。今後は、検討委員会の報告書を、部活動指導者研修会のほか、顧問教諭以外の教職員を対象としたさまざまな研修において活用し、より適切に部活動を指導できるよう広く啓発を図ってまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  最後になりますけれども、やはり、運動部活動は、生徒同士、生徒と教師の信頼があって初めて、その部活動の意義、効果があらわれるというふうに思います。今回、検討委員会は、視察も含めて、かなり時間をかけながら8回も検討してきたと聞いておりますので、検討委員会の改善策をぜひ教育委員会の施策に生かして具体的に推進をしていただきたいと思います。各学校においても、この報告書の提言が反映されて、部活動を通して豊かな心や健やかな体を育むことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◆好井七海 委員  私からは、高等支援学校について、2点お伺いいたします。  まず、1点目は、間口整備についてですが、札幌市内での間口整備に向けた北海道教育委員会との協議内容についてお聞きします。  我が会派では、札幌市内の高等支援学校への進学を希望している生徒たちが市外の学校に通学せざるを得ないことに伴い、遠距離通学や寄宿舎生活を強いられないよう、市内に高等支援学校の間口を拡充するよう求め続けてきたところであります。  平成26年度の高等支援学校の入学者選考結果を見ると、札幌市内の中学校特別支援学級の卒業生265名のうち、約8割の210名程度が高等支援学校への進学を希望しておりました。しかしながら、札幌市内には道立の札幌高等養護学校、札幌稲穂高等支援学校、市立の豊明高等養護学校の3校が設置されておりますが、道立校には市外からも入学可能であること、また、通常の学級からの入学生もいることから、実際に市内の特別支援学級から入学した生徒は約110名にすぎません。また、そのほかの入学希望者は、札幌近郊の小樽や北広島、あるいは、千歳の高等支援学校に約70名が遠距離通学をしております。さらに、道央圏域内の新篠津、伊達、雨竜、あるいは、道央圏外の小平町のような遠方の学校に約30名が入学しています。このうち、寄宿舎を希望されて入学される方もおりますが、2次募集などでやむを得ず入学されている方も多いと思われます。  このような状況の中、平成28年度の公立特別支援学校配置計画によると、今後、道央圏ではさらに進学希望者が増加する見込みです。この対応として、平成28年度には、札幌拓北高校跡を活用した道立校が6間口で新設されます。さらに、平成29年度には、道央圏で12間口程度の学級の整備を検討するとしており、今後も間口整備が必要となっております。  この進学希望者の増加への対応について、さきの北海道議会の予算特別委員会で、北海道教育委員会は、急増する札幌市内の受け入れ体制の確保については、札幌市の協力が不可欠と考えており、政令指定都市の役割に鑑み、市南部の学校新設はもとより、豊明高等養護学校の7間口維持など、市内の受け入れ体制の確保について、引き続き市に働きかけると答弁されました。  そこで、質問ですが、札幌市内の間口整備に向けて北海道教育委員会とどのような協議を行ってきたのか、お伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  高等支援学校の札幌市内での間口整備に向けた北海道教育委員会との協議内容についてお答えいたします。  札幌市では、従来より、間口整備は北海道の役割であると認識しており、意見交換会や文書のやりとりを通じて、北海道に対して必要な間口整備について要望してまいりました。しかしながら、近年、札幌市内に居住する進学希望者が増加しており、その受け入れ体制の確保について、北海道教育委員会から一定の協力を求められているところでございます。  札幌市教育委員会といたしましては、市内の生徒が希望している学校に入学できることが望ましいと考えていますことから、市内及び近郊での間口を確保するために、可能な対応について北海道教育委員会と協議を続けてきたところでございます。 ◆好井七海 委員  市内の生徒が希望する学校に通学できるよう協議を継続してきたとのことですが、間口の確保は最低限必要なことであり、進学する生徒が急増する平成29年度に確実に対応していただきたい。  さらに、平成33年度以降も進学希望の生徒が増加することが見込まれております。厳しい財政運営の中、さらにもう一校をつくることは難しいことと思われますが、近年、中学校の特別支援学級を見ると、特に情緒障がいの生徒が多くなっているなど、障がいの状態像が多様化しております。このような生徒に対しては教科別の学習を中心とすることがより適している場合も多く、生徒の受け入れ先として、例えば、普通高校の空き教室を活用し、高等支援学校の分校や分教室を設置することなど、生徒の進学ニーズに合った高等支援教育のあり方も検討していただきたいことを要望しまして、次の質問に移ります。  次に、高等支援学校におけるキャリア教育と就労支援などの充実事業について、3点お伺いいたします。  1点目は、豊明高等養護学校に配置した就労支援コーディネーターについてですが、生徒が自分たちのニーズに合った学校へ進学できても、卒業後のことも見据えた教育がきちんとなされるべきであり、そのためには、高等支援学校における就労支援が大変重要であります。現場の教員に伺ったところによりますと、進路指導担当教員がその中心となりますが、日々の授業の準備とあわせて、生徒の就職先などを確保するための業務も加わることから、大変にご苦労されているようです。  豊明高等養護学校においては、企業に対して障がいの理解を深める働きかけに苦慮しており、体験実習の受け皿となる企業も簡単に見つかりません。まして、生徒の雇用を検討してくれる企業はごくわずかであるため、企業開拓のため、日々、市内を飛び回っているところであります。また、進路指導担当教員は、日ごろ、外回りで生徒と接する機会が少ないにもかかわらず、生徒と企業のマッチングのために生徒の状態像の理解を進めるなど、自分の担当する授業以外にも、生徒の様子を見に行き、努力を続けていると聞いております。さらには、卒後支援と言われる卒業生のアフターケアとして、卒後3年間、年3回程度は企業、事務所を訪問しますが、その職場で何か問題が起きたときには、関係機関との連携も含め、かなりの時間を要してしまいます。このように、進路指導担当教員は多忙であり、学校として必要な企業折衝や交渉の記録などのノウハウを十分に蓄積できない状態にあります。  我が会派の國安議員が、平成27年第1回定例市議会の予算特別委員会におきまして、平成27年度キャリア教育・就労支援等の充実事業を活用して、市立豊明高等養護学校において就労支援コーディネーターの配置などを行うモデル事業の実施を要望したところであります。今年度、教育委員会では、文部科学省からこの事業を受託し、既に事業を進めていると伺っております。  そこで、1点目の質問ですが、就労支援コーディネーターをどのような方に委嘱したのか、就労支援コーディネーターがどのような実績を上げているのか、また、今後、どのような役割を期待しているのか、お伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  豊明高等養護学校に配置した就労支援コーディネーターについて、3点お答えさせていただきます。  まず、1点目の委嘱した方についてですが、就労支援コーディネーターは、生徒の障がい特性を理解し、企業ニーズと適切にマッチングさせる必要があることから、福祉事業所において知的障がい者の就労支援を担当されている方に委嘱をしたところでございます。  次に、2点目の就労支援コーディネーターの実績についてですが、豊明高等養護学校では、生徒の希望に合わせて職業体験学習ができるジョブチャレンジ事業を今年度新たに実施し、その中で、就労支援コーディネーターが協力企業を10社以上開拓するとともに、体験学習前後により丁寧なオリエンテーションや事後指導を生徒に行うことができたという成果を上げております。  3点目の今後期待される役割につきましては、現在、就労支援コーディネーターに実践していただいている雇用先となる業界開拓や、障がい者雇用に伴う企業への相談支援をより一層強化するとともに、生徒を就労に結びつけるノウハウを教員に伝えていくことも期待しているところであります。その結果といたしまして、生徒の就労への意欲が向上するなどの成果もあわせて期待しているところでございます。 ◆好井七海 委員  実績を上げておられるということで、今後の役割もさらに期待しております。  次に、就労支援関係機関との連携強化に向けた取り組みについてお伺いいたします。  モデル事業での実績と今後についてはわかりましたが、現状の高等支援学校の卒業生の進路は、一つは、卒業後、すぐに企業に就労するパターン、もう一つは、就労移行支援などの障がい福祉サービスを利用しながらゆっくり就労を実現するパターンであります。豊明高等養護学校の平成26年度卒業生については、企業就労が32.5%、一方、障がい福祉サービスなどの利用が67.5%であり、生徒が障がい福祉サービスを利用するケースが多いことがわかります。このため、生徒の卒業後の支援を考えると、高等支援学校が生徒の在籍中から福祉事業所あるいはハローワークなどの就労支援関係機関との連携を強化することが非常に重要であると思われますが、現在、進路指導担当教員の個々のつながりにとどまっており、残念ながら、組織的な仕組みづくりはされておりません。  そこで、2点目の質問ですけれども、今後、高等支援学校における福祉事業所やハローワークなどの就労支援関係機関との連携強化に向けた組織的な取り組みが必要と考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  就労支援関係機関との連携強化に向けた取り組みについてお答えいたします。  現在、障がい者の就労支援を行っている市内の福祉事業所の増加や取り組みの多様化、障がい者雇用を検討している企業が増加しております。そこで、生徒をよりよい進路先につなげるためには、それぞれの事業所がどのような取り組みを行っているのかなどのさまざまな情報収集が重要になり、そのための仕組みづくりが求められているところであります。  札幌市では、障がいのある方が地域で自立した生活を送ることを支援するために、札幌市自立支援協議会を設置しております。その中に福祉事業所、企業、ハローワークなどで構成されている就労支援推進部会が設置されており、これを母体にしながら高等支援学校に特化した就労支援ネットワークを構築するなどして、関係機関との連携強化を図ってまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  次に、市立校と道立校との連携に向けた取り組みについてお伺いいたします。  今の取り組みは、札幌市が単独で検討していることと思います。しかし、平成27年6月30日の代表質問において、教育長からも、現在、札幌市内及び近郊には6校の高等支援学校があり、これらの特色を共有することで生徒の進路選択の幅が拡大し、就労支援に資するものと認識しているとの答弁がありました。  平成29年度以降、札幌市内の高等支援学校は市立2校と道立3校となることから、就労先となる企業や福祉サービスの利用に際して折衝先が重複することなどにより、相手先に負担を生じさせる可能性があります。別の視点では、これら市内の高等支援学校に通う生徒の多くは市内に居住しており、卒業後は市内の企業へ就労、あるいは福祉サービスを利用することになります。このことから、先ほどの答弁にありました就労支援ネットワークを市立2校だけが活用するのではなく、道立校も含め、就労支援関係機関とさまざまな連携を行うことにより、結果として生徒に大きなメリットをもたらすものと考えております。  そこで、最後の質問になりますが、就労支援に係る市立校と道立校との連携について今後どのように取り組むのか、お伺いいたします。 ◎引地 学校教育部長  就労支援に係る市立校と道立校との連携に向けた取り組みについてお答えいたします。  現在、札幌市教育委員会が市内就労支援機関で組織化を検討している就労支援ネットワークでは、構成団体での情報共有はもとより、生徒個々の障がい特性に応じた望ましい支援方法等の検討を行う予定であります。この取り組みは、市立校のみならず、道立校の生徒にとっても適切な就労先につなげる上で有効であると考えられるため、道立校にも就労支援ネットワークへの参加を働きかけ、生徒の就労に係る支援方法等の情報共有を図ってまいりたいというふうに考えております ◆好井七海 委員  今後、さらに情報共有を進めていっていただきたいと強く思います。  就労支援ネットワークが立ち上がり、道立校も含めて関係機関が密接に連携することにより、高等支援学校が生徒たちの就労実現につなげていただくことを期待し、私の質問を終わります。 ◆平岡大介 委員  私からは、図書館運営について質問いたします。  本来、図書館には、市民が知識を得るという民主主義の根幹にかかわるサービスを提供するという役割があります。専門性を持った図書司書が、地域の特色や住民のニーズをよく把握し、その地域の歴史や文化など必要な情報提供を行うこと、また、学校での授業に役立つ資料の提供やデータベースや目録の作成などを行っております。  そこで、質問ですが、本市の図書館が果たす役割について、認識を伺います。 ◎千葉 中央図書館長  図書館の果たす役割についての認識でございます。  今、委員からもありましたけれども、図書館は、図書、記録、その他必要な資料を収集して、整理し、保存して市民の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーションなどに資するとともに、これらの資料に関する調査研究、利用支援を行う、そのような役割を持っております。札幌市の図書館におきましては、一般図書、新聞あるいは雑誌、地域の出版物など、可能な限り広範囲に資料を収集して、資料の貸し出しだけではなく、膨大な資料の中から自分の調べたい情報を正しく得るために利用者からの相談にも応じながら資料や情報の提供を行っているところでございます。  現在、札幌市の図書館では、平成24年1月に策定した第2次札幌市図書館ビジョンに掲げている、市民の生活や創造的な活動を支える「知の拠点」となる図書館を目指して、図書館サービスの質の向上に取り組んでいるところでございます。 ◆平岡大介 委員  非常に重要な役割を持っていると認識していることがわかりました。  しかし、ことしの3月の予算特別委員会で、我が党の委員の質問に対して、江本中央図書館長は、図書館業務の民間委託について従来から検討を進めている、業務委託を含めて効率的な運営形態の検討を進めていると答弁を行いました。その後、アクションプランに、事務の執行方法の見直しとして中央図書館や地区図書館等の運営手法について検討しますと盛り込まれました。  指定管理者制度で民間企業などに図書館業務を委託すると、無料のサービスで利益を出すために、経費削減で最も経費がかかる人件費が削られることが懸念されます。また、佐賀県武雄市のTSUTAYA図書館では、関連会社から中古本を1万冊余りも購入したことや、郷土資料が破棄されたとして、住民による苦情も出されております。こうした問題が起こる一方で、指定管理者制度で民間委託した後、その後に自治体の直営に戻したという例が10件12図書館にもなっております。こうしたほかの自治体の動向について、本市ではどのように受けとめられているのか、伺います。 ◎千葉 中央図書館長  他の自治体の図書館の運営に関する見解ということでございます。  他の自治体のそれぞれの事情の中での図書館運営の判断でありますので、それらにつきまして個別に評価を申し上げられるものではないと思っております。  公の施設の管理運営につきましては、直営や指定管理者制度など、さまざまな手法を個々に検討していくべきものであろうかと思います。本市におきましては、第2次図書館ビジョンで目指している図書館サービスの質の向上を推進していくという観点から、今後とも、どのような運営体制がいいのかという検討を続けてまいりたいと考えております。 ◆平岡大介 委員  今、私は、自治体の直営に戻したという例が10件12図書館にもなっていると言いましたが、その理由の中には、運営の効率化のための人件費削減につながることもありますけれども、図書館は教育機関であり、教育は行政の責任においてしっかりと行うべきだという考えや、図書の継続性、安定性、蓄積性を守るために管理体制の一元化が必要だと、こういう考えで直営に戻した自治体もあります。  本市でも、教育に責任を持つため、また、図書の継続性や安定性を担保するために、図書館業務の委託は行わないという立場に立つべきと私は考えますがいかがか、お答えください。 ◎千葉 中央図書館長  図書館の運営形態につきましては、先ほどから何度か申しましたように、第2次図書館ビジョンで目指している図書館サービスの質の向上を今後どのような形で推進していくのがよいのか、そのような観点から進めていくことになろうかと思います。直営あるいは一部の業務委託、あるいは指定管理者制度など、さまざまな運営方法を考えながら、その中で、第2次図書館ビジョンが目指している専門的な司書の力を生かしながらのサービスを実現するためにはどのような方法が一番効果的なのか、そういう観点で検討を進めるべきものと考えております ◆平岡大介 委員  私は他都市の例も挙げましたが、反面教師にすべきところはぜひ学んでいただき、他市の動向を真摯に受けとめて行っていただきたいと思います。  ことしの8月に、神奈川県鎌倉市の市立図書館の公式ツイッターで、夏休みが明けるころに子どもの自殺がふえる傾向があることから、もうすぐ2学期、学校が始まるのが死ぬほどつらい子は学校を休んで図書館へいらっしゃい、一日いても誰も何も言わないよとつぶやいたことが共感を呼んでおります。こうした丁寧な働きかけができるのも公立図書館だからではないでしょうか。  市民のための図書館としての役割をしっかりと果たすために、指定管理者制度による民間委託はするべきではないと強く述べて、私の質問を終わります。 ○國安政典 委員長  以上で、第1項 教育委員会費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月22日木曜日午後1時から、市民まちづくり局のうち、地域振興部及び市民生活部関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後2時36分...