昨年1年間だけでも、
政府機関や企業など特定の標的を狙ってウイルスに感染するメールを送りつけ、
機密情報を盗み取ろうとする
サイバー攻撃は、1,700件も確認されています。ことし6月、
日本年金機構で125万件もの情報が流出した後、詐欺と思われる電話がかかるなど、
危険性は証明されています。9月には、大阪の堺市で、市の職員が外部に売り渡すために、68万件の
個人情報を持ち出し、560人分の情報は既にネット流出しているという事件が起こっています。8月には、
マイナンバー制度をかたり、
預金口座番号などの
個人情報を聞き出そうとする不審な電話や訪問が全国で相次いでいます。
高齢者を中心に新たな詐欺の被害が広がるおそれがあり、
国民生活センターなどが注意を呼びかける事態が既に起きています。
市民の生活上の細かいプライバシーを一元化すれば、
個人情報の漏えいや悪用などの重大な不利益を与える事態になるということは明らかです。また、複雑な仕組みと
セキュリティー対策にも、巨額のコストがかかり続けることになります。共同通信のアンケートでは、予算や
専門職員が不足しており、
マイナンバー制度の実施に不安だと、道内の自治体の64.6%が回答しています。このような状態で、厳重な保管が必要な番号の通知を始めることは、
個人情報を危険にさらすものであり、実施に突き進むのは無謀であり、中止すべきことを申し上げます。
また、関連する議案第12号
市税条例等の一部を改正する
条例案は、
申請書類に
個人番号記載欄を新たに設けるものであり、議案第13号
証明等手数料条例及び
住民基本台帳条例の一部を改正する
条例案も、
通知カード及び
個人番号カードの再
交付額を定めるためのものであり、反対です。
議案第14号
児童福祉法施行条例の一部を改正する
条例案では、
保育士の
配置基準において、以前から、
保健師と
看護師は1
保育所1人に
限り保育士とみなしていたものに
准看護師を加えることができるようにするものです。
子どもの体調不良や感染症に
看護師などがいち早く対応してくれることは、
保育所にとっても、
保護者にとっても大きな安心です。しかし、
看護師等と
保育士の
専門性は別物であり、
看護師を
保育士にみなすことができるようにというのは、
保育士配置基準の実質的な
引き下げです。
日本の
保育基準は、世界の中でも最低の基準と言われており、
欧米先進国では、3歳児の場合、1人の
保育士が6人から8人の
子どもの保育を行いますが、日本では1人で20人もの
子どもを保育しなければなりません。今年度4月から始まった
子ども・
子育て支援新制度により、
小規模保育B型、C型及び
家庭的保育事業においては、無
資格者であっても保育を行えるように
規制緩和を行い、保育の水準を
引き下げました。今回の
条例改正は、そうした流れの中の
引き下げであり、容認できません。
保育は、
子どもの心身の発育に関する
専門知識を学び、
保育資格を持った者が行うべきですが、その
労働環境は、2人に1人が非
正規雇用、賃金もほかの職種の
平均月収よりも13万円少ないなど、劣悪であるために
早期離職者が多く、5年未満に半数の方が離職しており、せっかく資格を取得していても保育の職につかない
潜在保育士は、全国に60万人以上いると言われています。
保育士の働く環境の改善、
処遇改善こそ求められています。基準の
引き下げではなく、
専門性のある
保育士をきちんと配置できるように本市が努力すべきであり、反対です。
以上で、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(
鈴木健雄) 次に、松浦
忠議員。
(松浦
忠議員登壇)
◆
松浦忠議員 私は、改革を代表しまして、ただいま上程されている議案11件のうち、議案第8号、第10号、第12号、第13号に反対、残余の議案7件については賛成であります。
まず、賛成の議案のうち、二つについて、指摘をし、改善を求めたいと思います。
まず、その最初は、議案第15号 札幌市
火災予防条例の一部を改正する
条例案であります。
この
条例案は、皆さんもご承知のように、いわゆる
消火設備をどのように設置させるかということが条例で決められております。私は、人の命を左右する
消火設備、これについては、条例ではなくて、全国一律に法律で定めるべきだ、こう思っていろいろ法律を調べました。そして、
消防局からの説明も受けました。
消防局の説明は、いわゆる
消防法の手引、解説、これをもとにして説明をしているわけでありますけれども、それはどういうことかといったら、いわゆる
消防法が定められた戦後の昭和35年ごろ、このときに、それぞれ地域によって
風土特性があるからということで、一律に
消防設備の設置を法律で定めないということが解説で書かれております。これに基づいて、それ以降、例えば
政令市の
消防局長が集まって、
消防庁を交えて、どれを条例にするか、どれを法律にするかというようなことを決めてやっている、こういう説明でありました。
私は、その解説も読みました。解説にはこういうことが書いているんです。その地方の気候または風土の
特殊性により、国の法令のみによっては防火の目的を十分に達しがたいと認めるときに限られ、全国的に共通する一般的な理由により
付加条例を設けることはできない、こう書いてあるんです。
こういうことからいったら、今の
消火設備の設置などというのは全国共通しているわけですよ、これ。西は与那国町から、北は稚内、東は根室に至るまで、共通しているんです。命を守るということについて、これは差がある問題ではない。したがって、こういうことに頼って
法令整備をしている国の整備の
仕方そのものに問題があるわけですから、札幌市
消防局長としては、そういう会合があったときに、やっぱり今の憲法に基づく法律の体系からいったら、これは問題があります、ここの部分はきちっと法律で明記すべきです、こういうふうにして法の改正を求めるべきことなんです。それなのに、みんなが集まって、
消防庁の幹部と、それから
政令市の消防の幹部が集まって、これは条例だ、これは法律だなんて、憲法のもとにある日本の
法体系全体に全く反するようなことを平然と続けてきている。
したがって、これを設置することについては、いいことですから、賛成はするけれども、やはり、
法改正をきちっとして、
法体系に合うような、そして、どこにいても同じような条件で命が守られるという法律でなきゃならぬ。私は、このことを
消防局長に強く指摘をして、今後、
消防庁と協議をして法律の改正を求めていただきたいということを指摘しておきます。
それから、賛成した議案の中で二つ目は、今、市長の手元にも写真を渡しましたけれども、議案第22号の市道の認定及び変更の件であります。
このうち、豊平4条5丁目2番22号の地先の私道路、これが今の案件の中に入っております。私は、
委員会で、この私道路の
路面状況は一体どういうことなのか、悪ければ、即座に来年度に
予算措置をして舗装をきちんとしなければだめだ、それに当たっては、水道が入っているのか、下水が入っているのかという質問をしたら、道路認定課長も建設局長もそれに答えられませんでした。調べていませんでした。そして、建設局長は、
区で順次整備していく、こう答えました。
区で順次整備するという話は、それはそれなんです。
しかし、少なくとも、きょう、ここで議案として我々が賛成して市道として認定したということになると、あしたから、これはもう札幌市長の管理責任になるわけであります。私は市長の手元に写真をお上げしましたけれども、路面は悪いです。さらにまた、下水、水道も札幌市のものは全く入っていません。水道は、5軒の人がそれぞれ隣接する市道から5本の水道管をそれぞれ引っ張って入っています。下水も、つけているのは、恐らくそれぞれの人が引っ張っているんだと思います。認定に当たっては、こういったものについて関係部局ときちっと相談をする。
そして、認定をしたら、今までのルールでは、大体、10月の3定の議会で認定したものは翌年に整備をするということだったんです。どういう整備をするのが基本だったかといったら、
簡易舗装だったんです。私は、
簡易舗装をやって、また何年かたって永久という普通の舗装に直すとしたら二度手間になるから、
路面状況だとか、今言うような下水、水道の整備状況によっては、翌年に一気にきちっとした舗装に整備してしまう、そのことで二度手間にならないで税金の無駄遣いもしなくて済むということですから、少なくとも私が目にしているところについては、全部、それぞれの土木部長と話をしてそうやっております。
したがって、今後、市長においては、こういうことについてきちっと事前に調べて、そして、認定にかけてくるときには、これをどう整備するかということもきちっと議員に説明する、説明できると。こういうことは道路管理のイロハの問題でありますから、このことを指摘しておきたいと思います。ぜひ、今後、そのようにきちっとやっていただきたいということを指摘して、以上2件については終わります。
さて、最後になりますが、反対した4件のうち、議案第10号は個人番号そのものであります。あとの第8号、そして、第12号と第13号は、現行条例の中に個人番号を利用するということが追加記載されるという内容でありますから、反対であります。
さて、問題の第10号であります。私も、今まで、日本の歴史についていろいろ調べております。そういう中で、皆さんもご存じの方がいらっしゃるかと思うんですが、昭和13年、1938年ですね。このときに、昭和天皇が大日本帝国憲法第9条に基づいて勅令を発します。国家総動員令であります。全ての国民は戦争に勝つために一丸となって突撃せよと、これであります。そして、その後に何が出てきたかといったら、今度は、勤労サラリーマン、この人から確実に税金を取るために、源泉徴収制度、これは世界で初めてでありますが、これが始まります。さらに、国民健康保険制度、そして、きわめつけは厚生年金制度です。これは、全て国民から国が預かる、そして、預かった金は、すぐに支出が伴わないから、いわゆる戦争費用に充てる、こういうことでやってきたことは誰もが否定できない。これは、法律によって事実として行われてきたことでありますから、この中におられる皆さんは誰も否定できないと思います。日本国民は誰も否定できません。
そして、今、国民総背番号制です。一体、何に向かうのか。
さて、世界ではどうなっているかといったら、アメリカは、既に1940年代初頭にこの制度を導入しました。しかし、アメリカは、税金は個人申告であります。それから、イギリスは、導入して、国民の間の不評でやめました。したがって、私は、以前から、この前の住民基本台帳のときから指摘しているのでありますけれども、国民にいわゆる背番号を振って漏れなく税金を集めるよということで、この話が日本で出されてからもう40年ぐらいになりますが、私はずっと反対してきました。
それはなぜかといったら、一つは、やっぱり、国家が洗いざらい国民を管理するということは、国民にとっては、これはもう息苦しい話だ。生きざままで全部管理される。これは、到底、容認できる話ではない。これが一つであります。
それからもう一つ、二つ目は、どんなに防御措置をとっても情報が盗まれないなんていうことはありません。これは、もうドン・キ・ホーテのあの物語でおなじみであります。世界一強いやりだ、片方は、やりを防ぐ世界一の盾だ、こんな話ですから。したがって、こういうことについては、金ばかりかかって、何にも国民の福祉の向上になるようなことはない。こんな制度について、私は、賛成すべきではないと。札幌市も、国からどういう制裁を受けるのか、反対してやってみたらいいんではないですか。私は、ぜひそうあるべきだと思うんです。
したがって、以上の点から、私と堀川議員の2人は、これには賛成できません。今、要点をかいつまんで話しましたけれども、これがその理由であります。どうぞ、議場の皆さん、私の趣旨をご理解いただいたならば、
子どもや孫のためにこの法案に反対をしてください。
以上を申し上げまして、討論といたします。(拍手)
○議長(
鈴木健雄) 次に、
石川佐和子議員。
(
石川佐和子議員登壇)
◆
石川佐和子議員 私は、市民ネットワーク北海道を代表し、ただいま議題となっております市長提案の議案第8号 札幌市
一般会計補正予算案、議案第10号 札幌市
個人番号利用条例案、議案第12号 札幌
市税条例等の一部を改正する
条例案、議案第13号 札幌市
証明等手数料条例及び札幌市
住民基本台帳条例の一部を改正する
条例案の4件に反対、残余の議案7件には賛成の立場から、討論をいたします。
議案第10号、第12号、第13号及び議案第8号の一部は、いずれも札幌市が共通番号制度を運用するための提案です。
昨日、10月5日、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆる番号法が施行され、新たな12桁の個人番号と13桁の法人番号を国家が強制的につけ、番号
通知カードの発送が開始されました。この共通番号制度は、2013年3月の閣議決定の後、わずか3カ月で衆参本会議において可決され、国会審議では、法律で定められた目的以外で番号を利用したり他人に提供したりすることはできませんなどと言われてきましたが、交付の後、番号法の運用前にもかかわらず、
法改正が行われ、新たに預貯金の口座番号、特定健診や予防接種の番号づけなどにもひもづけされるなど、番号の利用範囲がどんどん拡大されています。さらには、消費税の還付、クレジット
カード等の一体化も検討されるなど、もはや、官民分野をまたぐ巨大な
個人情報ネットワークが形成されつつあり、これは、国家が
個人情報を掌握することによる国民に対する管理・監視強化にほかならず、自分の知らないところでプライバシーが侵害される
危険性ははかり知れません。
政府は、個人番号をひもづけした
個人情報は、行政機関ごとに異なる符号をつけてやりとりするため、個人番号を通じて複数機関の情報が芋づる式に漏れる
可能性はないとしておりますが、公務員が悪意を持って流出させるような場合への備えは万全ではありません。
また、共通番号制度の運用に当たっての
セキュリティー対策に関する私の
文書質問に対して、9月30日に市長から回答をいただきましたが、
日本年金機構からの大量情報流出、長野県上田市での標的型攻撃メールによる住基ネット緊急遮断など、インターネット接続に起因するリスクは最も警戒すべきものとし、札幌市においては、個人番号等の専用のネットワーク上に保存するほか、さまざまな
セキュリティー対策を行っているとのことでした。
しかし、万全な対策は不可能であり、また、全ての自治体の特定
個人情報は中央集約型システムとして全国で2カ所の中間サーバーに集められることになっており、そこが
サイバー攻撃を受けたときの
危険性は甚だ大きく、国全体が壊滅するほどのダメージを受けるのではないかと考えます。
議案第10号
個人番号利用条例案は、番号法の施行により、番号法の第9条第2項の規定に基づき、札幌市が条例を定めることによって、法で定められている事務以外に独自に個人番号を利用できるようにするものです。議案第12号も、税徴収等に個人、法人の番号を利用するため、また、第13号は、
通知カードや
個人番号カードの再交付の
手数料、第8号
一般会計補正予算案は、番号
カードの配付費用等が含まれております。
番号法は、社会保障、税、災害対策分野の行政事務について限定的に定めているということですが、実際の自治体の事務はこれらのほかに独自の事務を運用していることから、個人番号を利用することが必要になる場合、条例を定める必要があるということです。しかし、これらの議案提案は、共通番号制度に情報漏えいや不正使用の
危険性があるにもかかわらず、札幌市が市民の番号利用を積極的に進めることであり、認めることはできません。
市民の生命と財産を守る責任がある札幌市として、国に対して国民の
個人情報を守るための責任をただすなど、慎重な姿勢を示すべきであり、共通番号制度の運用を進めるべきではないと考えることから、議案4件に反対をいたします。
以上で、私の討論を終わります。
○議長(
鈴木健雄) 以上で討論を終了し、採決に入ります。
この場合、分割して採決を行います。
まず、議案第8号、第10号、第12号、第13号の4件を一括問題とします。
議案4件を可決することに賛成の方は、ご起立願います。
(賛成者起立)
○議長(
鈴木健雄) 起立多数です。
したがって、議案4件は、可決されました。
次に、議案第14号を問題とします。
本件を可決することに賛成の方は、ご起立願います。
(賛成者起立)
○議長(
鈴木健雄) 起立多数です。
したがって、本件は、可決されました。
次に、議案第9号、第11号、第15号、第20号から第22号までの6件を一括問題とします。
議案6件を可決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
鈴木健雄) 異議なしと認めます。
したがって、議案6件は、可決されました。
――
――――――――――――――――
○議長(
鈴木健雄) 次に、日程第2、議案第23号、第24号の2件を
一括議題とします。
いずれも、市長の提出によるものです。
提案説明を求めます。
秋元市長。
(秋元克広市長登壇)
◎市長(秋元克広) ただいま上程をされました議案2件につきましてご説明申し上げます。
まず、議案第23号は、
教育委員会委員任命に関する件であります。
札幌市
教育委員会委員であります池田官司氏は、来る10月28日をもって任期満了となりますが、引き続き同氏を任命することを適当と認め、議会の同意を得るため、本案を提出したものであります。
池田官司氏は、精神科医であり、現在、北海道文教大学人間科学部教授をされているほか、平成24年10月から札幌市
教育委員会委員に就任されている方で、人格、識見ともに高く、
教育委員会委員として適任と考えるものであります。
次に、議案第24号は、
人事委員会委員選任に関する件であります。
札幌市人事
委員会委員であります
品川吉正氏は、来る10月31日をもって任期満了となりますが、引き続き同氏を選任することを適当と認め、議会の同意を得るため、本案を提出したものであります。
品川吉正氏は、昭和53年4月に弁護士の登録をされ、札幌弁護士会副会長等を歴任の後、現在、中央労働
委員会地方調整委員をされているほか、平成15年11月から札幌市人事
委員会委員に就任されている方で、人格、識見ともに高く、人事
委員会委員として適任と考えるものであります。
以上で、ただいま上程をされました各議案についての説明を終わりますが、何とぞ原案のとおりご同意くださいますようお願いを申し上げます。
○議長(
鈴木健雄) これより、質疑・討論の通告がありませんので、採決に入ります。
議案2件に同意することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
鈴木健雄) 異議なしと認めます。
したがって、議案2件は、同意されました。
――
――――――――――――――――
○議長(
鈴木健雄) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日10月7日から11月5日までは
委員会審査等のため休会とし、11月6日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
鈴木健雄) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
――
――――――――――――――――
○議長(
鈴木健雄) 本日は、これで散会します。
――
――――――――――――――――
散 会 午後1時46分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 鈴 木 健 雄
署名議員 五 十 嵐 徳 美
署名議員 畑 瀬 幸 二...