札幌市議会 > 2013-10-16 >
平成25年第二部決算特別委員会−10月16日-05号
平成25年第一部決算特別委員会−10月16日-05号

ツイート シェア
  1. 札幌市議会 2013-10-16
    平成25年第一部決算特別委員会−10月16日-05号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成25年第一部決算特別委員会−10月16日-05号平成25年第一部決算特別委員会  札幌市議会第一部決算特別委員会記録(第5号)               平成25年(2013年)10月16日(水曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 34人     委 員 長  三 宅 由 美      副委員長   こじま ゆ み     委   員  武 市 憲 一      委   員  三 上 洋 右     委   員  鈴 木 健 雄      委   員  五十嵐 徳 美     委   員  長 内 直 也      委   員  村 山 秀 哉     委   員  小須田 悟 士      委   員  佐々木 みつこ     委   員  飯 島 弘 之      委   員  北 村 光一郎     委   員  伴   良 隆      委   員  川口谷   正     委   員  西 村 茂 樹      委   員  福 士   勝     委   員  畑 瀬 幸 二      委   員  小 野 正 美     委   員  ふじわら 広昭      委   員  長谷川   衛     委   員  しのだ 江里子      委   員  宝 本 英 明     委   員  林   清 治      委   員  植 松 ひろこ     委   員  涌 井 国 夫      委   員  谷 沢 俊 一     委   員  芦 原   進      委   員  丸 山 秀 樹
        委   員  井 上 ひさ子      委   員  宮 川   潤     委   員  伊 藤 理智子      委   員  小 倉 菜穂子     委   員  石 川 佐和子      委   員  金子 やすゆき       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時 ○三宅由美 委員長  ただいまから、第一部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、川口谷委員からは、遅参する旨、届け出がありました。  それでは、議事に入ります。  第9款 教育費 第1項 教育委員会費から第9項 学校整備費までについて、一括して質疑を行います。 ◆しのだ江里子 委員  私は、インクルーシブ教育の推進についてと性に関する指導について、2点質問させていただきます。  まず、インクルーシブ教育の推進について質問させていただきます。  9月25日の代表質問で、私どもの会派は、障害者差別解消法の成立に伴う札幌市の取り組みについて質問させていただきました。6月に成立いたしました障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律は、2016年4月1日から施行されることとなっており、国や地方公共団体などの行政機関や民間事業者に障がいを理由とする差別の禁止を義務づけるとともに、とりわけ行政機関には、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮を提供することも義務づけられています。この法律が対象とする分野は、教育、公共交通、医療、雇用など多岐にわたっておりまして、今後、広範な分野にわたる施策を推進するためには、札幌市としての基本的な方向性を定めた上で、福祉部局だけではなく、全ての部局が一体となって取り組むことが不可欠であることを述べさせていただきました。そして、障害者差別解消法の成立について、札幌市としての受けとめ、評価、今後の基本的な考え方と取り組みについて質問させていただきました。答弁では、共生社会の実現に向けて、これまで札幌市が取り組んできた施策の推進を後押しするもので、制定された意義は大きい、また、差別の解消のために必要な施策が国や地方公共団体の責務として規定され、札幌市としても、法の成立を契機としてさらなる取り組みを進めること、法の趣旨の実現に向け、取り組みを進めるに当たり、実効性の確保が重要であること、取り組みを検討するに当たり、障がいのある方の経験や意見を十分に反映し、関係機関等とも連携し、市民間で幅広い議論を重ね、実効性のある施策の構築を図ると述べられております。  国においては、小・中学校に在籍する障がいのある子どもたちを適切に支援するため、2007年度から特別支援教育支援員という制度を設けまして、地方への財政措置を行ってまいりました。食事や排せつ、教室移動の補助といった学校における日常生活上の介助や、発達障がいの児童生徒に対する学習支援、学習活動時の安全確保のほか、運動会や学習発表会、宿泊学習や修学旅行等での対応も含めて、国においては非常に幅広い事柄を特別支援教育支援員の役割として想定しています。札幌市では、この支援員を学びのサポーターという有償ボランティアとして活用していますが、それぞれの学校における配置時間数が限られていることから、十分な支援が受けられないという声を聞きます。  質問ですけれども、学びのサポーターを配置している学校数及びサポーター数の推移と、学びのサポーターの支援を受けている児童生徒数の推移についていかがか、伺います。  また、現実に、学校ではどのくらいの時間数を必要としていて、それに対して実際に配置できているのは何時間程度なのか、学校によって異なるとは思いますが、お聞かせいただければと思います。 ◎金山 学校教育部長  インクルーシブ教育の推進にかかわりまして、まず、1点目の配置している学校数及びサポーター数の推移と、支援を受けている児童生徒数の推移についてお答えいたします。  事業を開始いたしました平成20年度と24年度の比較におきましては、配置している学校数が139校から248校、サポーター数が219人から411人、また、支援対象として教育委員会が把握している児童生徒数につきましては275人から1,082人と大幅に増加しているところでございます。  2点目の学校が必要とする配置時間数と実際の配置時間数の現状についてでございます。  実際に配置できる1校当たりの基準時間数は年間約500時間でありますけれども、教育委員会が活用校に実施しているアンケートでは、約95%の活用校では活用時間数が不足しており、平均しますと年間約700時間が必要との回答を得ております。 ◆しのだ江里子 委員  この事業が始まりました2008年度には139校であったものが248校までふえ、そしてまた、サポーターの数は219人から411人と、ここで言うと学校もサポーターの数も倍増していると思います。けれども、子どもの数が275名から1,082名とまさに4倍にもなっております。そして、学校では、今、実際、配置されている時間は500時間ですが、学校としては700時間以上欲しいと、不足を感じている学校が多々あることを今のご答弁で聞かせていただきました。  文部科学省では、インクルーシブ教育システムの構築のため、障がいのある子どもが障がいのない子どもとともに学ぶ上で必要な、合理的配慮の調査研究を始めています。  私どもの会派も、本年2月の第1回定例会の代表質問でも、インクルーシブ教育の推進について質問させていただきまして、障がいのある子どもの学籍をその子どもの住む地域の小・中学校の学級に残すことや、本人、保護者が希望する場合のみ特別支援学級を選択できるようにすること、さらには、保護者に負担を課することなく公的に保障することが必要だが、教育委員会はどのように考えているのか、また、国は、インクルーシブ教育システム構築事業案の中で多くのモデル事業を実施しようとしており、札幌市においても、このモデル事業に参画し、実例の蓄積を行う必要があるのではと質問させていただきました。これに対し、札幌市が推進してきた特別支援教育に関する取り組みは、基本的には文部科学省が示すインクルーシブ教育システムの構築と同じ方向性にあるものと認識していること、就学先決定の仕組みや必要となる支援のあり方等については、今後、国の調査研究など、それらの情報収集に努めるとともに、今後の改善のあり方について検討を進め、特別支援教育の充実の取り組みについても、より一層、推進していきたいと答弁されております。  2点目のモデル事業への参画については、今回示されたモデル事業案は、障がいのある子どもと障がいのない子どもがともに学ぶために必要な取り組みについての調査研究であり、今後の札幌市の特別支援教育の充実のために有効なものと認識しているということ、そして、具体的な内容等については、文部科学省に確認しながら、参画を検討していくところと答弁をいただきました。  それから余り日を置かずに、札幌市も、国からの委託を受けてモデル事業をスタートしておりまして、それも個人に着目したものであることに関しては、共生社会の実現のために積極的に取り組んでいただきたいと思います。そしてまた、このモデル事業によって支援のあり方の事例研究が深まっていくと思いますので、これに関しては大変期待するものです。  また、学校教育法施行令が改正されまして、本年9月1日に施行されました。この政令に規定されている障がい基準に該当する児童生徒は、これまでは、原則、特別支援学校に就学することとされていましたが、これからは、障がいの状態や教育的ニーズ、保護者の意見などを踏まえ、総合的に判断した上で就学先を決定することになりました。このことにより、今まで特別支援学校に行くものだと思っていた児童生徒や保護者が、特別支援学級や普通学級も就学先の一つとして希望するケースがふえると考えられます。その子にとってどの就学先がベストなのか、またベターなのかを考慮して教育委員会では就学先を決定していると思いますが、通常の学級で学びたいという希望にはできる限り応えていただきたいと思います。そのためには、学びのサポーターの拡充が不可欠であり、急務であると考えます。先ほどいただきました答弁で、現在でも学校のニーズには十分応えられていないことがわかりました。インクルーシブ教育を推進していく中で、今後、支援を必要とする児童生徒はますます増加していくと思います。  そこで、質問ですが、教育委員会としては今後どのように対応していくおつもりなのか、伺います。 ◎金山 学校教育部長  支援を必要とする児童生徒の増加に対する教育委員会の対応についてでございます。  ただいま委員がご指摘のとおり、教育委員会といたしましても、障がいのある児童生徒が通常学級へ在籍するケースがふえる中で、学びのサポーターによる支援は非常に重要な役割を担っていると認識しております。学びのサポーターの拡充についてでございますが、第3次札幌新まちづくり計画におきまして、段階的に拡大することとしております。今後も支援を必要とする児童生徒の増加に対応できるよう検討を進めてまいりたい、このように考えております。 ◆しのだ江里子 委員  今、検討していただくというご答弁をいただきましたので、それを期待します。  要望ですが、社会的障壁の除去の実施のための合理的配慮について、特に義務教育においては、条件整備は提供する側の責務でありまして、その例外は極めて限定的であるとされています。しかし、現在も、通常の学級で学ぶ障がいのあるお子さんに対して、学びのサポーターで埋めることができない時間を市民ボランティア学生ボランティアに補っていただいていますが、それでも、校外学習等では支援が足りずに、保護者の同伴がなければ参加できないこともあるのが実情だと聞いております。東京都港区では、NPO法人と協働で支援事業を行っており、成果を上げていると聞いております。各自治体の事例を参考に、より求められるあり方を検討していただきたいと思います。  学びのサポーターの時間数は、倍増が必要です。来年度、必要とする全ての学校への配置を達成していただいた暁には速やかに時間数を大幅に拡充していただくことを求めて、この質問は終らせていただきます。  次に、性に関する指導について質問させていただきます。  昨年10月に札幌市と北海道の共同事業で性暴力被害者支援センター北海道SACRACH(さくらこ)が開設されまして1年がたちました。ついこの間出された報告によりますと、総件数185件中、強姦50件に次いで多かったのが性虐待31件であります。また、犯罪被害に遭った年齢では20歳未満が50%を超えています。性虐待31件の被害者のうち、3歳から18歳までの子どもが80%で、その中でも3歳から10歳までの多さとその状況には大変驚きました。  性虐待の加害者は、実父、養父、兄、おじなどという子どもにとって身近な人たちによる家庭内での事象でありまして、子どもたちは、自分が性虐待に遭っているという自覚は乏しく、母親や保育園、学校の先生、または児童相談所からの相談から明らかになったものだと聞いております。安全が守られるべき家庭で、心身に傷を受け、性虐待に遭った子どもは、成人後も悩み、苦しみ、虐待のトラウマ、心的外傷を乗り越えて自身の人生を生き抜いていかなくてはならないのです。性虐待を含む性暴力に遭わない、加害者にならないための安全教育が性に関する指導だと私は考えます。  私は、昨年の決算特別委員会で、保健所に対して、思春期ヘルスケア事業の充実について質問させていただきました。子どもの中には、性に関心のある生徒とない生徒に二極化されますが、性に関しての正しい知識を持たずに行動してしまい、性感染症になる、避妊をせずに望まない妊娠をする、または、心身ともに未熟で親になれないことが児童虐待につながることを指摘させていただき、札幌の子どもたちが、相手を思いやり、自分を表現し、はっきりノーと言えるように、この思春期ヘルスケア事業のさらなる必要性を求めてまいりました。  きょうは、性に関する指導について、教育委員会に改めてお聞きしたいと思います。  まず、質問ですけれども、性に関する指導については、これまでも各学校において取り組みが進められてきていると思いますが、それぞれの校種においてどのような学習が行われているのか、現状と目的について伺います。 ◎引地 指導担当部長  性に関する指導のそれぞれの校種における学習の現状と目的についてお答えいたします。  性に関する指導は、生命尊重及び男女平等の精神のもと、正しい知識を持ち、適切に行動できることを目的とし、札幌市においては、幼稚園、学校ごとに年間指導計画を立て、助産師や産婦人科医師等の協力を得るなどして進めているところでございます。市立幼稚園では、例えば、保護者とともに、助産師から命の始まりについての話を聞いたり、赤ちゃんの人形を抱いたりするなどの活動が行われております。小・中学校では、理科や保健などの教科、学級活動や道徳の時間などを通して、生命尊重の大切さに触れ、人の誕生について学んだり、自分の心や体の成長を実感したりするなどの学習を行っております。高等学校においては、関連する教科などの学習のほか、保健師なども講師に加え、育児や男女交際、命などのテーマについて話し合う学習など、自己と他者の人権を尊重する心を育てる取り組みを進めているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  今、生命尊重、男女平等について年間計画のもとで適切に指導されているというご答弁がありました。私も、札幌市教育委員会が発行している性教育の手引を見せていただきましたが、確かに、中身は本当に重たいものがたくさん出ておりました。いささか情報を詰め込み過ぎた嫌いがありまして、幼稚園から高校までの子どもたち、特に性に興味津々の子どもたち人権教育中心の指導で果たして性教育の目的が通じていくのだろうかという疑問を感じます。  そして、この中で、小学校では、性交や妊娠については扱わないとしていることに関して、私は矛盾を感じます。それは、今、小学生でも妊娠は珍しいことではなく、ノーと言えないことで起きているとも言えるからです。先ほどのSACRACH(さくらこ)の事例にありますように、3歳からの子どもたちに私たちがしていかなければならないのは、性虐待を含む性暴力に遭わない、加害者にならないための安全教育であり、性に関する指導だと考えています。子どもが性についての知識を与えられることは子どもの基本的な権利であり、子どもが、商品化されたゆがんだ性のイメージに捉われないうちに、できれば幼児のころから教え始めることが必要で、子どもの成長とともに知識をふやしながら教え続けていくことが、子どもを性虐待の被害者にも加害者にもさせず、豊かな大人に育てることにつながると考えます。就学前の子どもたちにも赤ちゃんができる仕組みをきちんと話すことが必要で、この年齢から性について話すのは、子どもの安全のためにほかならず、各段階で適切な性教育が必要だと考えます。  また、日本では、性教育は、初潮教育から始まり、女性の視点からの弱者保護の観点で行われることが多く、男子の性に対する適切な教育がなされてこなかったことによる男子の悩みがその後の男女関係をゆがめているとの説もあります。男子にとって、自分の性は価値がある、自分の性は意味がある、自分の性を大切にできる、このように考えることができる人こそ、相手の性に対しても優しくできることにつながっていくと考えます。そのため、幼稚園、小学校、中学校、高校のそれぞれの発達段階に応じて、性に関する正しい知識を身につけさせることが大切であり、これまで以上に性に関する指導についての工夫を図ることが必要だと考えます。  各園、各学校においては、性に関する指導を工夫し、充実させる上で、保健の先生であります養護教諭の果たす役割は大変重要であると私は考えます。また、思春期ヘルスケア事業の活用や、子どもにかかわる関係機関との連携も有効であると考えます。  質問ですけれども、今後、子どもにかかわる機関と連携するなどしながら養護教諭の研修を充実させていくべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎大友 教育研修担当部長  養護教諭の研修についてお答えいたします。  性に関する指導においては、養護教諭の役割が重要であると認識しており、新規採用時及び教職経験10年次など、全員が受講する研修におきまして性に対する正しい理解や性的虐待等に関する研修を進めているところでございます。加えまして、養護教諭を対象とした研修講座におきまして、性感染症やDV被害など、さまざまな課題への対応等にかかわる研修を実施しているところでございます。  今後、養護教諭が、性に関する課題に対して、その役割を十分に果たすことができるよう、保健所や児童相談所等の関係機関と連携を深めながら研修の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  養護教諭の役割に関しては大変重たいことを認識していらっしゃって、そしてまた、新規採用時、また10年次に全ての養護の先生がこういった教育を受けていらっしゃることに関しては、評価させていただきたいと思います。これからは、児童相談所、保健所、そしてまた養護教諭などと連携をしっかりととって、今まで以上の充実をぜひとも考えていただきたいと思います。  また、保健福祉局での思春期ヘルスケア事業や、教育委員会では産婦人科医師及び助産師による講師派遣事業が進められていますが、事業が実施された学校においても、ある特定の学年だけの授業で、その学校の全児童生徒が授業を受けたわけではありません。また、幼稚園で学ぶ内容と小学校で学ぶ内容のつながりが薄いなど、校種間の連携が図られていないケースも見受けられると思います。  釧路市では、釧路管内の10代の人工妊娠中絶率が大変高い値となっているなどの背景を踏まえまして、2000年度から、何と20年計画で経年的事業として思春期保健講座に取り組んでいます。乳幼児を持つ親から、思春期の子どもたち、そして保護者、学校関係者医療関係者、保健従事者など、あらゆる対象に対して包括的事業を展開し、地域や家庭で子どもを見守るという実に斬新な取り組みを行っています。その結果、10代の人工妊娠中絶率は、2003年が女子人口1,000人に対して24.5であったものが、5年たった2008年には13.4まで下がりまして、10代の性感染症治療者数は193から78まで激減しております。高校生の初交経験率の低下などの経年的傾向も見られ、大きな成果が明らかになっております。  最後の質問ですけれども、幼稚園、小学校、中学校、高校と、切れ目のない性に関する指導を家庭や地域とともにより充実させることが重要であると考えますがいかがか、伺います。 ◎引地 指導担当部長  性に関する指導の幼・小・中・高の校種間のつながりや、家庭や地域との連携についてお答えいたします。  幼稚園から高等学校までを見通した指導を充実させることは、発達の段階に応じて学習内容の理解を深め、適切な倫理観等を育む点からも重要であると考えております。今後、これまで進めてきた小・中学校における性に関する指導についての実践研究を幼稚園、高等学校にも広げ、系統的な指導計画のモデルを作成し、地域の人材の活用や家庭との連携も視野に入れていきたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  発達段階に合わせて、そして、今までは小・中学校であったものを幼稚園、高校まで広げ、系統的な指導計画のモデルを考えて進めていくというご答弁をいただきました。  昨年度の性に関する指導の実例を拝見させていただきました。大通高校や新川高校では、NPOで活動している専門家からデートDVについての講義を1時間受けまして、ロールプレーを通して、性別に関係なく相手を尊重し、対等な人間関係を築くことの大切さを学んでいます。新川高校では、それまでの性教育では生徒が聞きたいことと先生が教えたいことのギャップがあるという意見を参考に企画されて、大変評価も高かったと聞いております。すぐに使える教育こそ必要だと私は考えます。  先ほど紹介しました釧路市では、講座等だけでは知識の普及には不十分だということで、子と親の性の辞典を作成、配付、中学生・高校生用パンフレットを配付、中学校、高校では、日常の授業カリキュラムの中で年間おおむね10時間を活用し、学校教諭と保健所が共同で、毎年、全中学校、全高校に対してこの講座を実施しております。  繰り返しますが、性に関する指導とは、性虐待を含む性暴力に遭わない、加害者にならない、そして、望まない妊娠をしない、性感染症を防ぐための安全教育だと思います。教育委員会には、子どもたちの安全を守る責務があります。毎年、性に関する切れ目のない指導ができる環境をしっかりつくっていただくことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、1点目はネットトラブルへの対応について、2点目は食物アレルギーの対策について、3点目は豊明高等養護学校の教育内容の見直しについて、3点伺います。  最初に、ネットトラブルへの対応について伺います。  我が会派では、芦原議員が、さきの代表質問におきまして、子どもたちの携帯電話等のインターネットにかかわる問題について質問させていただきました。我々は、以前より、携帯電話による子どものインターネット利用について問題意識を持っており、平成24年3月に札幌市における青少年のインターネット利用環境実態調査を実施したところであります。最近では、携帯電話やパソコンのネット利用による事件や健康被害が頻繁に取り沙汰されており、私は、インターネット環境がもたらす問題の深刻さや影響の大きさに強い危機感を持っているところであります。とりわけ、私は、子どもたちの情報モラルの中でも、安全や健康を害するような行動に関心を持っており、ネット依存に係ることについて大変危惧しているところであります。  教育委員会では、子どもたちが情報社会の進展に正しく対応できるようにするとともに、情報モラルをしっかり身につけることができるよう、各学校で警察や携帯電話事業者による出前教室を実施し、具体的な事例を活用した学習を行うなどして対応を図っており、私も、そうした取り組みが各学校で着実に行われていることは大変よいことであると評価するものであります。また、教育委員会では、今後、教職員向けの研修の充実を図るとともに、情報モラルの育成には、学校だけではなく、家庭との連携が重要であることから、今年度、新たに保護者向けの研修会を実施すると伺っております。  そこで、質問ですが、新たに実施する保護者向けの研修会の内容についてお伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  新たに実施するネットトラブルへの対応についての保護者向け研修会についてお答えいたします。  札幌市では、専門業者によるネットパトロールに加え、ネットトラブルへの対応力向上を目的とした教職員研修を行ってまいりましたが、近年はスマートフォン等、新しい機器の急速な普及により問題が発生している現状にございます。こうした問題の解決に向けては、学校における子どもへの指導に加え、家庭においても、日ごろから、インターネット利用のルールやマナーについて親子で話し合うなどの取り組みが一層重要であります。そのため、保護者が子どものネットトラブルについて正しく理解し、適切に対応できるよう、専門業者と連携してモデル事業を計画し、その中に保護者向けの研修会を位置づけたところでございます。  この研修の内容といたしましては、専門業者の豊富な解決事例をもとに、未然防止及び早期発見・早期対応のポイントを紹介するとともに、ネットパトロールでは検出が難しい無料通話アプリなどの利用に係る新たな危険性について理解を図ること等を予定してございます。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁で、家族でしっかり話し合うことができるように、新たな保護者向けの研修に専門業者と連携して取り組まれることを伺うことができました。これまで、それぞれの学校が置かれている状況に合わせ、子どもたちに対して危険性を知らせる事業や、教職員向けの研修会を実施してきたことは承知しておりましたが、今回、保護者向けの研修を専門業者と連携し、モデル事業として実施することは、保護者の理解が深まり、家族がしっかり対応に当たれるという意味において大きな期待を寄せるものであります。  そこで、質問しますが、このモデル事業の内容とその成果をどのように生かしていくのか、あわせてお伺いしたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  モデル事業の内容とその成果の活用についてお答えいたします。  本モデル事業は、発達の段階を見通した指導が有効と考えられますことから、中学校1校とその通学区内の小学校2校を選定し、実施するものでございます。内容といたしましては、先ほどの保護者向け研修に加え、子どものインターネット利用にかかわる保護者や教職員からの相談を専門業者が直接電話やメールで受け付け、対応するとともに、そこに寄せられた不安や悩みの内容について分析いたします。さらに、子ども、保護者、教職員にインターネット利用にかかわるアンケートを実施し、地域や学校の実態及び事業の成果について把握する予定でございます。  本モデル事業で得られた成果や課題は、次年度の全市的な研修会で取り扱い、今後の子どもたちの安全なインターネット利用に向けた取り組みにつなげていきたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  中学校1校、小学校2校を対象とする、また、アンケートなども行い、来年度は全市的な研修会での周知にも努めていくというお話がございました。  携帯利用者の低年齢化が非常に進んでおりまして、特に、ネット依存につきましては、短期間で慢性、重症化に陥りやすいという報告もされております。今後、こうした取り組みが多くの小学校と中学校で行われるよう、要望させていただきます。  次に、食物アレルギーの対策のうち、エピペンの研修等について伺わせていただきます。  花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー症状に悩んでいる人は日本人の3人に1人と言われており、今や国民病と言われております。アレルギーが増加している原因は、食事や住環境、大気汚染などによるものが大きいと考えられておりますが、乳幼児や児童生徒にもアレルギー疾患が拡大しております。その中には、食物アレルギーなどアナフィラキシーと言われるショック症状を起こし、緊急に適切な対応を行わなければ重大な結果を招くアレルギーもございます。  学校において、児童生徒がアナフィラキシーのショックを発症した際に適切な対応を行うためには、教職員が食物アレルギーとアナフィラキシーについての正しい知識を持っていることが必要なのは言うまでもございません。アナフィラキシー症状の進行を抑えるためには、アドレナリン自己注射薬、いわゆるエピペンが有効でありますが、幾ら知識を持っていたとしても、いざというときに使用をためらってしまうようでは何にもなりません。エピペンの使用を含め、緊急時における対応をしっかりとることができるようにしておくことが重要であります。  こうしたことから、我が会派では、さきの本会議において、特に学校での食物アレルギー対策の一つであるアナフィラキシーショックへの対応のため、教職員への研修を取り上げ、その重要性を指摘したところであります。その際、町田教育長は、教育委員会は、9月13日にエピペンの使用方法を実際に学べる全校を対象とした研修会を開催し、教頭や養護教諭など360余名の参加があったと答弁されました。先ほど述べましたが、緊急時に学校で適切な対応を行うためには、教職員の誰もが正しい知識を学んでおくこと、その知識に基づく実践がなされることが非常に重要であります。そうした意味から、今回開催された研修は非常に有効なものと考えております。  そこで、質問です。  まず、1点目に、今回の研修によって参加者の食物アレルギー等についての理解が深まったと考えますが、参加者の反応はいかがであったのか、伺います。  また、残念ながら、今回の研修は、会場の関係もありまして各学校1名程度というごく限られた教職員しか参加できなかったと聞いております。  2点目として、今後もこのような研修の開催が必要と考えますが、教育委員会としてどのように進めていくおつもりなのか、お伺いいたします。 ◎金山 学校教育部長  食物アレルギー対策につきまして、まず、1点目の研修会参加者の反応についてでございます。  研修会の終了時にアンケートを実施いたしまして、参加者の75.2%に当たる264人から回答がございました。設問のうち、食物アレルギーとアナフィラキシーについて理解できたかという問いと、アナフィラキシーショック時にエピペンの投与が最も効果的であることが理解できたかという問いに対しまして、ほぼ全員が理解できたと答えております。また、緊急時にエピペンを使用できるかどうかを聞いた設問では、自信がない、やや自信がないとした人は約5%と少数でございました。これらの結果から、今回の研修は参加者にとって有意義だったと考えております。  2点目の今後の研修の実施についてでございます。  今回実施した研修に参加できなかった人のために、去る10月2日に札幌市学校医協議会が今回と同様の内容の研修会を開催し、156名の教職員の参加があったと伺っております。また、今回の研修に当たっては、研修で得た知識が参加者だけにとどまることのないよう、必ず、学校に戻ってから他の教職員に広め、共有するよう指導を行ったところでございます。  なお、学校内でアレルギーを発症した児童生徒に適切に対応できるよう、今後とも、学校に対して積極的に校内研修の実施を働きかけるとともに、今回のような研修につきましても、国や北海道が行う同種の研修との開催サイクルなどを考慮した上で必要に応じて実施してまいりたい、このように考えております。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁で、参加した方のほぼ全てが、食物アレルギーやアナフィラキシーとあわせ、エピペンの使用の有効性を理解できたということでございました。また、教育委員会も、学校に対して校内研修の実施等について積極的に働きかけていくとともに、必要に応じて研修の実施を行っていくということでございました。  学校が食物アレルギーの対応に適切に取り組むためには、教職員の知識や技能の向上に加え、校内での体制づくりも大変重要であると考えます。緊急時における教職員それぞれの役割分担が明確になっていなければ、速やかに適切な対応をとることはできません。校内研修がシミュレーション訓練も含めた充実した内容となるよう、教育委員会として指導・助言を行っていただきたいと思います。  また、さきの本会議において、教育長は、各学校でアレルギー疾患を有する児童生徒ごとに対応、検討を決定する食物アレルギー対応委員会の設置を促進するよう働きかけると答弁しております。アレルギー疾患は、児童生徒一人一人の症状に応じて個別に対応していかなければならないものですから、この委員会の役割は大変重要なものであると思います。  そこで、質問ですが、1点目に、食物アレルギーを有する子どもがいる学校における対応委員会の設置状況についてお聞きいたします。  また、2点目として、教育委員会としては、今後、食物アレルギー対応委員会の設置について学校に対し、どのような働きかけを行っていくのか、お伺いいたします。 ◎金山 学校教育部長  まず、1点目の食物アレルギー対応委員会の設置状況についてでございます。  児童生徒のアレルギー疾患等の実態を把握するため、今年度から、毎年、アレルギー疾患等に関する調査を実施することといたしました。現在、今年度の調査を実施中でございますが、学校における食物アレルギー対応委員会の設置状況に関する設問も入っておりまして、来月初旬には調査結果を集計し、当該委員会の設置状況を把握する予定でございます。  2点目の今後の教育委員会の各学校に対する働きかけについてでございます。  食物アレルギー対応委員会の設置につきまして、教育委員会では、9月13日の研修会終了後、その必要性を各学校長宛てに通知したところでございます。また、今後は、食物アレルギー対応委員会の設置に向けまして教育委員会が相談に当たるほか、健康づくりを推進するための既存の校内組織、学校には学校保健委員会というものがございますが、これらの活用を促すなどして働きかけてまいりたい、このように考えております。 ◆丸山秀樹 委員  今、学校では調査を実施しているということで、その状況にもよりますけれども、学校保健委員会などとも協議を含めて、各学校がアレルギーへの対応をしっかりと図れるようにお願いしたいと思います。  次に、3点目といたしまして、豊明高等養護学校の教育内容の見直しについて伺います。  この4月から、障がいのある方の雇用促進を図るため、障がい者の法定雇用率が、民間企業において1.8%が2%に、国や地方公共団体においては2.1%が2.3%に引き上げられております。障がいのある方の雇用先は、このような制度改正や福祉施策の充実もあり、少しずつふえてはきておりますが、依然として厳しい状況には変わりなく、札幌市が設置する豊明高等養護学校においても卒業生の就労状況は低迷していると伺っております。  そのようなことから、昨年度の文教委員会において、卒業生の就労状況の改善に向け、豊明高等養護学校の教育内容の見直しについて審議され、本年4月には新たな学科として流通・サービス科が設置されたことは一つの前進でありました。  しかしながら、今春の同校の卒業生の就労状況を見てみますと、スーパーマーケットやサービス業などでは何名かの就労が見られておりますが、コンクリート加工やクリーニングなどの職種へ就労した生徒はゼロであります。新設された流通・サービス科は、これから2年後に初めての卒業生を出すこととなります。今後の取り組みについて大いに期待はしておりますが、このような生徒の就労状況に鑑みると、他の学科についても早急に取り組み内容を見直すべきと感じるところであります。  そこで、質問ですが、まず、今年度新設された流通・サービス科ではどのような学習に取り組んでいるのか、お伺いいたします。
     また、他の学科についても見直しを図るべきと考えますがいかがか、あわせてお伺いいたします。 ◎金山 学校教育部長  豊明高等養護学校の教育内容の見直しにつきまして、まず1点目は、新設されました流通・サービス科の学習内容についてお答えいたします。  流通・サービス科では、物流に関する作業とサービスに関する作業に取り組んでおります。まず、物流に関する作業といたしましては、教室を倉庫に見立てまして、他の学科で製作した製品の在庫管理など、物品管理に係る作業に取り組んでいるところでございます。また、サービスに関する作業といたしましては、現在、玄関や玄関ホールを中心に、ショーケース内の清掃や来客用スリッパの消毒など、環境整備に係る作業に取り組んでいるところでございます。さらに、今後は、区役所や学校から受注した封筒などのパソコン印刷を行う事務作業に取り組むなど、学習内容の充実に努めてまいりたいと思っております。  続きまして、他の学科についての見直しでございます。  特に、工業科におきましては、その作業内容が卒業後の就労につながりづらいことや、生徒の障がいなどの状況にも合わなくなってきていることを認識しております。学科の新設等につきましては、北海道教育委員会の認可が必要であるなど時間を要するものでございますが、作業内容の変更など早急に取り組めるものにつきましては、順次、対応を進めているところでございます。今後につきましても、工業科だけではなく、他の学科でも必要な見直しを進めてまいりたい、このように考えております。 ◆丸山秀樹 委員  教育内容の見直しにつきましては、工業科の作業内容の暫定的な見直しを行ったとの答弁がございました。  この見直しにつきましては、大変な苦労があったと伺っております。工業科は、石材、金属などを主材料にする製品の製造を学習するという学科の作業目標があり、そのために、今まで、障がいのある子どもたちは、重く大変な作業でありました民地仕切り石、また、平板の製造作業をしておりました。しかし、校長先生を初め、教員の皆様が大変尽力されまして、ことしの1年生から民地仕切り石の製造をやめ、きょうお借りしてまいりましたが、ペーパーウエート、文鎮の製作に切りかえた、外が金属で中がコンクリートの製品製造に見直すことができたと伺っております。校長先生を初め、現場の教員の皆さんは本当に頑張っておられます。教育内容の見直しについては、ぜひとも、引き続き鋭意取り組んでいただきたいと思います。  また、設置する学科そのものの見直しについても、茨戸に移転した平成4年から20年もかかってようやく流通・サービス科が新設されました。これでは、余りにも時間がかかり過ぎております。学科の新設等に際しては、北海道の認可などの諸手続が必要でありますが、通っている子どもたちのことを何よりも最優先に考え、スピード感を持って取り組むことを強く求めさせていただくところであります。  もう1点、本日はあえて取り上げませんでしたが、不足する高等養護学校の間口整備についても要望させていただきます。  この件につきましては、これまで、我が会派が繰り返し取り上げ、道教委にも要望してまいりましたが、いよいよピークが予想される平成29年度が迫ってきております。道教委との協議も重ねていると聞いておりますが、市内中南部への間口増の実現に向け、札幌の子どもの進学先を確保するという視点で最後までしっかり取り組んでいただきたいと思います。  次は、その出口である卒業後の就労についてであります。  やはり、卒業後の就労を充実させていくためには、設置する学科を初め、教育内容の見直しを行うことは当然の取り組みでありますが、就労ということになれば、学校だけで取り組めるものではなく、雇用に関するセクションとの連携が必要になると思います。札幌市でも、札幌市障がい者元気スキルアップ事業などの各種支援事業や、障がいのある方の就労を支援するジョブサポーターの配置などについて、我が会派が強く要望を続け、現在、ジョブサポーターが3名に増員されております。  そこで、質問ですけれども、このような就労支援に係る取り組みをもっと活用するなどして生徒の就労状況の改善に資するべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎金山 学校教育部長  生徒の就労状況の改善に向けた取り組みについてお答えいたします。  豊明高等養護学校では、これまでも、卒業後、3年間にわたり、教員が卒業生の職場を訪問するなど卒後支援に努めてきたところでございます。また、今年度から、同校の卒業生が学校の臨時職員として1年間働き、その間に就労に係る意欲や技能を高め、次年度の企業等への就労につなげる取り組みを教育委員会において開始したところでございます。これらの取り組みとあわせまして、委員がご指摘のジョブサポーターなどの活用についても検討するなど、生徒の就労につながる取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。 ◆丸山秀樹 委員  最後に、要望させていただきます。  教育委員会といたしましても、豊明高等養護学校の卒業生を臨時職員で雇用するなど、率先して取り組みを進めていることについては評価したいと思いますので、ぜひ、その取り組みを一層充実していただくようにお願い申し上げます。  一方で、現在も、生徒の実習先や職場の開拓は現場の先生に委ねられており、先生がタウンページを開いて、目ぼしい企業を見つけ、電話でのアポどりから、実際に企業等を回り、足を運んで実習などをお願いしたりするなど、苦労ははかり知れません。  私が調べたところ、同じ政令市の横浜市では、市立の特別支援学校を2校設置しており、その両校に就労支援コーディネーターという職員を配置しているそうであります。今年度の同職の募集要項を読んでみますと、生徒の就労先の職場開拓や就労後の職場定着などに取り組んでいると書かれており、このような職員が配置されれば、先生の業務が軽減され、学校での教育活動により専念することができると思います。障がいのある生徒についての一定の知識や理解がなければ難しい業務でもあり、誰にでも即できるものではないと思いますが、今後、参考にしてほしい取り組みでございます。  ぜひとも、障がいのある生徒の卒業後の就労状況の改善に資するよう、障がい者の雇用に関連する関係機関等との連携をより一層図るとともに、教育委員会といたしましても、横浜市のような取り組みについて検討していただくことを強く要望し、私の質問を終わります。 ◆井上ひさ子 委員  私からは、司書教諭と学校図書館司書について質問したいと思います。  司書教諭の配置は、当初、12学級以上の中学校が対象でしたが、11学級の学校まで配置されるようになりました。しかし、専任になっておりません。多くの司書教諭は、担任を持ったり教科にかかわる準備など、長時間労働を強いられて司書の役割を十分に果たせないと言っています。議会で何度もこの議論がされてきましたが、司書教諭の専任化も、また司書教諭の授業時間数の軽減についても、引き続き、全国都市教育長協議会、また北海道都市教育委員会連絡協議会を通じて国や道教委に要望していくという答弁が10年来繰り返されているのかなと思います。  その後の検討状況はどのようになっているのか、また、この間の国の動向についても伺いたいと思います。  また、学校司書の配置についてですが、図書にかかわる仕事を専任でできるように人的な配置も求めてきました。全国の中学校では、既に50%以上の学校に学校司書が配置されていると思いますが、近くは恵庭市など先進事例における取り組みについても十分議論されてきたと思います。  さて、本市においても、今年度、学校司書事業を実施して学校司書を配置しました。専門的な知識と経験を有した学校司書の配置で図書館の機能の充実が図られているのではないかと思い、私と小形議員が視察に行ってまいりました。入り口を入りましたら、すぐにカウンターがあり、今月のテーマは防災を考えると、学校全体で取り組まれていることがよくわかりました。図書館がいつも開いている、生徒が出入りしやすい、本に興味のなかった生徒が興味を示して本がよく動くようになったと、この学校に司書教諭がいて本当に頑張ってきたことがうかがえました。そして、その司書教諭と配置された図書館司書がしっかりと連携をとって各教科につなぎ、本の選び方や使い方、生徒が読書に親しむための工夫をされていました。  専任の学校司書の重要性を感じましたが、現在の配置されている状況と市教委の認識を伺いたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  司書教諭及び学校司書の現状と認識について、あわせて私からお答えいたします。  初めに、司書教諭のこれまでの取り組みについてでありますが、司書教諭につきましては、学校図書館法において、教諭をもって充てることとされており、日々の業務を行いつつ学校図書館の業務をすることとなっております。学校図書館法により必置とされている12学級以上の学校はもとより、小規模校の一部の学校を除いて、12学級未満の学校についても司書教諭を配置しております。司書教諭の負担軽減を図るために、札幌市といたしましては、司書教諭の円滑な配置が可能となるように、引き続き資格保有者をふやしていく必要があると認識しております。大学等の講習を活用して資格所有者を確保し、各学校に複数配置できるように努めているところでございます。  次に、学校司書の現状と認識についてお答えいたします。  今年度より、学校図書館機能のさらなる充実を図ることを目的とし、専門的な知識と経験を有する学校司書を市内中学校1校に配置し、調査研究しているところでございます。学校司書が常駐することで朝読書のための本の貸し出しが可能になるなど、子どもたちがいつでも学校図書館を活用できる環境が整えられ、利用する生徒や貸し出し冊数が増加しております。また、季節や行事に合わせた本の展示や生徒のニーズに応じた適切な図書館資料の紹介などの充実したレファレンスサービスを提供することによって、子どもたちの読書活動が一層豊かになり、教育委員会としても、学校司書の必要性や有効性について改めて認識しているところでございます。 ◆井上ひさ子 委員  資格保有者をふやしていくということですが、相当ふえてきましたね。各学校に複数で配置していく方向だと思いますが、やはり専任で置いていくことを求めておきたいと思います。  学校司書についてですが、このたび、調査研究として中学校1校に配置しております。このままで行きますと、私は、司書教諭の負担軽減はできないというふうに思います。授業を持って、クラスを持って、また、例えば本が入荷し、配架する、古い本がそのまま整理されないでいるなど、本当に多くの問題があります。授業にもっと活用して生徒の知的要求に応えるためにも、専門の司書は必要だというふうに思います。先ほどもご報告がありましたが、利用者がふえているし、借りる冊数も大幅にふえている、そして、市教委としても必要性と有効性を認めているというご答弁だったと思います。来年度も継続してほしいですし、1校ですが、調査研究ということでベースがつくられたと思います。  図書館の機能の充実を図るためにも、より多くの学校に配置すべきですが、今後の取り組みについても伺いたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  学校司書の配置及び学校図書館機能充実のための今後の取り組みについてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、現在の配置校における取り組みを通して、学校司書と司書教諭及び学校図書館ボランティアとの連携のあり方等について、引き続き検証してまいりたいと考えております。さらに、さまざまな学習活動を支える学習情報センターとしての学校図書館の機能を充実させるために、他都市における学校司書の取り組み等について調査研究を進めるとともに、市立図書館との連携のあり方などについて探ってまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  私からは、学校における消費者教育と環境教育の2点について伺います。  先ほど、ネットトラブルへの対応として学校での教育が重要であるという質疑がありました。内閣府がことし3月にまとめた青少年のインターネット利用環境実態調査によりますと、自分専用の携帯電話やスマートフォンなどの所有率は、小学生が24%、中学生が46%、高校生では98%という結果が出ておりました。携帯電話の種類では、前年度と比較すると、携帯電話が7割から4割に減少していましたが、逆にスマートフォンが1割未満から4割近くへと大きく増加しておりました。指一本で操作ができ、そして、インターネットに接続できるスマートフォンは、本当に便利な反面、インターネット通販などインターネット取引に伴うトラブルや、SNSサイトをきっかけとした悪質商法のトラブルに遭うなど、若者を狙った消費者被害が増加していると思います。  このような中、消費者教育の推進に関する法律が2012年に制定され、その第11条においては、学校における消費者教育の推進に関する規定がなされています。授業や教育活動に体系的な消費者教育の機会を確保することや、教職員に対して消費者教育に関する研修を充実させることが記されておりまして、消費者教育を充実することは自治体の義務となっています。消費者教育は、消費者被害の防止のほか、食育や環境保全など、個人の自立にとどまらず、社会の一員として行動していくためにも大変重要な取り組みだと思います。  札幌市におきましては、第2次札幌市消費者基本計画を2013年3月に策定したところでありまして、消費者施策や、適切、また効果的な消費者教育啓発の推進に取り組むとして、第1次計画を見直し、そして、みずから考え判断する消費者育成の支援を掲げ、より幅広い年代を視野に入れ、重点課題の一つとして学校における消費者教育の推進を上げているところであります。  そこでまず、1点伺いますが、小・中学校、高校における消費者教育について、教育委員会の認識と取り組みの現状について伺います。 ◎引地 指導担当部長  学校教育における消費者教育の現状及び教育委員会の認識についてお答えいたします。  消費者教育につきましては、平成20年の学習指導要領の改訂において、消費者としての自覚や環境に配慮した生活の工夫に関する内容等の充実が図られたことを踏まえ、家庭科や社会科の学習において発達の段階に応じた指導を行っております。平成24年12月には消費者教育の推進に関する法律が制定され、小学校から高等学校にわたる学校教育においても、消費者としての自覚を持ち、主体的に判断し、責任を持って行動できる力を育むことの重要性がさらに増していると認識しております。  教育委員会といたしましては、市立学校の教員と札幌市消費者センター職員から成る札幌市消費者教育実践研究会を設置し、教材開発や指導方法等についての研究に継続的に取り組んでいるところでございます。 ◆石川佐和子 委員  消費者の自覚を育てていくことは、とても大事なことですが、非常に難しいことではないかと考えます。子どもをだます手口がだんだんと巧妙化しておりまして、学校における消費者教育をさらに充実していくことは非常に大事なことではないかなというふうに思います。  東京都は、全国に先駆けてことしの8月に消費者教育推進計画を策定しておりますが、その策定に先立ちまして調査を行っております。消費者教育に関する実施状況調査結果を見てみますと、小学校、中学校、高校の約半数の学校で消費者教育の年間授業時間数が1時間から2時間程度であることとか、授業の中でどのような取り組みをすればよいかわからない、あるいは、活用できる教材がないというような学校現場での課題が明らかになっております。  札幌市教育委員会の資料を見せていただきましたが、消費者教育につきましては、指導要領にのっとり、その授業時間数は、小学生の社会科では2時間、5年生の家庭科では3時間、高校では公民で1時間から2時間、家庭科では3時間から8時間という指導計画例が記され、学校がそれぞれ計画を立てていると伺っています。札幌市は、ことし3月に策定した第2次の消費者基本計画において、2014年までに消費者教育推進計画の策定を目標として上げています。推進計画の策定に当たっては、教育委員会が消費者教育の実施状況調査を行うなど、現状や課題を把握した上でしっかり参画していくことが有効であり、重要ではないかというふうに私は考えているところです。  そこで、質問ですけれども、学校における消費者教育の拡充に向けた教育委員会としての取り組みが今後ますます重要と考えますが、どのように進めるのか、伺います。 ◎引地 指導担当部長  学校における消費者教育の今後の取り組み内容についてお答えいたします。  現在、消費者センターにおいて、幼児期から高齢期までのさまざまなライフステージの特性に応じた系統的な消費者教育を進めるために、札幌市消費者教育推進計画の策定に向けた準備を進めているところでございます。教育委員会といたしましては、この計画の策定にかかわるとともに、消費者センターが行う学校への講師派遣等の事業についても協力してまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  今、消費者教育推進計画策定へのかかわり方を伺いましたが、学校における抜本的な推進計画を示していくことは重要ではないかなと思います。消費者教育は、子ども、とりわけ小さいうちからの教育が非常に重要であり、計画の策定に向けては、その部分を担う学校の参画が非常に重要だと考えるからであります。そのためには、先ほども申し上げましたが、例えば調査によって現状を把握して課題をしっかりと捉えるなど、そうしたことを踏まえた上での提案が必要ではないかというふうに考えます。そうした上で、関係部局としっかりと連携して消費者教育推進計画の策定に参画していくことを強く求めたいと思います。  また、教師にかわって消費者教育を行うために、消費者センターからの講師派遣も行われておりますが、学校現場がそうした派遣講座をどのように受けとめて活用していくかにもかかわってくると思われますので、教育委員会としても積極的な働きかけを行っていくことを強く求めて、この質問については終わらせていただきます。  引き続いて、環境教育について伺います。  環境教育は、よく一くくりに言われておりますが、今年度、生物多様性さっぽろビジョンが策定されたことを受けまして、今回は自然環境に関する環境教育について伺いたいと思います。  そのビジョンの策定があったことを受けて、生物多様性のマップづくりに向けた調査や、保全のための行動を示したハンドブックづくりなどに、子どもも参画しながら進められているところであります。生物多様性という言葉の意味はまだよく知られていないようですが、さまざまな生き物のつながりとも言いかえることができて、私たち人間はその恩恵を受けて生きていると思います。しかし、さまざまな開発など、人間の活動により、年間4万種が絶滅している現状にあると聞いており、地球温暖化と並んで大きな地球環境問題になっています。2010年に愛知県名古屋市で生物多様性条約の締結国会議が開催され、今後10年間の世界戦略計画である愛知目標も採択されたところであります。  札幌におきましては、約6,000種以上の動植物が記録されているということですが、都市化などにより、その存亡が懸念されており、保全に向けた取り組みの実践や生活様式の見直しが必要となっています。まず、何よりも生物多様性に対する理解を深めることが重要ではないかというふうに考えているところです。そのためには、学校教育において、自然環境を生かした学習を行うことが重要であり、教室での学習のほか、校外にも出かけるなど、子どもたちが自然環境に直接触れながら学習する機会を一層ふやしていくべきだというふうに考えています。とりわけ、自然や生き物への興味・関心が芽生え、育つ小学校での環境教育は大変重要だと考えております。  そこでまず、小学校における自然環境を生かした環境教育について、教育委員会の認識と現状について伺います。 ◎引地 指導担当部長  小学校における自然環境を生かした環境教育についての教育委員会の認識と現状についてお答えいたします。  教育委員会では、札幌らしい特色ある学校教育の三つのテーマの一つに未来の札幌を見つめる「環境」を掲げ、全ての幼稚園、学校においてさまざまな学習活動を推進しております。子どもが札幌の豊かな自然に触れる体験を通して、人の暮らしと自然とのかかわりについての理解を深め、美しい自然を守り、育てようとする態度を育むことは、大変重要であると認識しております。  各小学校においては、例えば、生活科で校区の公園における昆虫の観察、飼育、総合的な学習の時間で地域の川や池などにすむ生物や水質の調査など身近な自然環境に繰り返しかかわる学習活動、遠足や宿泊学習での登山、オリエンテーリングなど豊かな自然環境に十分触れる学習活動が行われているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  校外学習など、さまざまな機会で自然環境に触れるということです。学校のそばに川や林や里山などがあれば、ふだんの授業でも気軽に出かけていくことができますけれども、そういう場所がない場合、例えば、校外学習等の自然環境を生かした学習などで内容を一層充実させて、子どもたちに生物多様性の理解を深めてもらうことは、今おっしゃられたとおり、非常に重要だと思います。  しかし、実際のところ、教師の皆さんは、学習指導の専門家でありますが、自然環境については正確な情報やフィールドワークに不安を抱いているとも伺っています。そうした場合に、例えば、NPOなど市民活動団体や企業の皆さんの力を活用していくことも有効な取り組みであると思いますし、地域の方々の参画を得ながら特色のある教育活動を行うべきというふうに考えているところであります。  そこで、環境教育をさらに充実させるために、そうした人材の活用を取り入れていくべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎引地 指導担当部長  環境教育をさらに充実させるための人材活用の取り組みについてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、専門的な知識や経験を持つ人材を活用することは、札幌の豊かな自然を生かした学習の充実につながり、子どもの自然に対する興味を高める上で大変有効であると認識しております。今後は、札幌らしい特色ある学校教育における環境教育研究実践校において、新たに、豊かな自然環境にかかわる学習のあり方について研究してまいりたいと考えております。具体的には、例えば、地域の自然環境をよく知る方が一緒に自然体験をしたり、環境プラザで派遣している環境教育リーダーが自然について子どもたちにわかりやすく説明するなど、学習を支援する役割を果たすさまざまな人材の活用を検討してまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  最後に、要望です。  人材活用のほかに、環境プラザの環境教育リーダーの派遣も検討していくということでありました。環境プラザに伺いますと、環境教育リーダーの派遣を利用する人は余りふえていないようです。環境教育の充実に向けては、さまざまな機関の協力を得ながら、子どもたちがしっかりと生物多様性を学ぶことができるように取り組みを充実していただきたいと思います。この間、学校への太陽光パネルの設置や、エネルギーの観点からの環境教育がよく言われますが、生物多様性さっぽろビジョンには、人類存亡の危機というような警告の言葉もありますので、しっかりと子どもたちに教えていただいて、例えばお祭りで買ってきたミドリガメをその辺の川に放すことがないようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 ◆金子やすゆき 委員  私は、1点目は、市民対応を弁護士に委ねている件、2点目は、今年度から稼働している校務支援システムに関連する随意契約の問題について、3点目は、学校における国旗の掲揚について、順次、ご質問させていただきます。  まず、1点目ですが、市民対応を弁護士に委任している案件につきまして、私は、今定例会で文書質問させていただいたところ、市教委で1件の該当がございました。平成25年9月26日付の答弁書でございますが、事件の概要として、小学校の問題について、市の見解を伝え、相手方からの電話、手紙、訪問等に対応する行為を弁護士に委任しているという記述があります。  ただ、その中で、弁護士の委任費用については、よくわからない理由で非公開としています。その答弁書を読みますと、委任契約については相手方からの公文書公開請求及び個人情報開示請求について非公開としているという説明があるのですけれども、私には、何のことか、意味が理解できませんでした。これは、決算審査に必要な数字でありますし、市長部局は弁護士の委任費用を全て開示しております。なぜ、議会に弁護士への委任費用を答弁できないのか、私に理解できるようにわかりやすく説明いただきたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  なぜ、金額の開示ができないかということでございます。  これは、審査会の結論が出てございますけれども、私どもは、これを出す、出さないということを含めまして、教育委員会会議の中に議案としてかけて、それで承認した上でやるという手続を踏んでやってきているところでございまして、委員に出した時点では教育委員会会議がまだ終わっておりませんでしたので、その際には開示できないというお答えをしたところでございます。 ◆金子やすゆき 委員  よく意味がわからないのですが、情報公開請求というのは、私は何も心当たりがないのです。情報公開請求ですか、それから教育委員会会議には、私は全く何の関係もありません。私は、今定例会における決算審査のために弁護士に委任している費用は幾らなのかということも含めてご質問させていただいたのですが、議会に答弁しない理由にはなっていないと思いますけれども、そこはいかがでしょうか。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいまお答えしたとおり、手続を経た上で対応するということでございますので、ご了解いただきたいと思います。 ◆金子やすゆき 委員  そうすると、しないということではないということで、どこかで答えていただけるということですね。  それから、もう一つ、弁護士に委任した理由を答弁書に書いてありますが、当初、相手方が弁護士を代理人として立てたことからと、当初と過去形で書いてあることに気がつきました。今、その市民は弁護士に委任していないのだというふうに読み取れるのですが、それならば、なぜ今も弁護士に委任しているのか、この2点をお答えいただきたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  今、委員からお話がございましたとおり、当初、相手方が弁護士を立てて、その段階では私どもは弁護士にご相談して委任しております。その後、事情の変更があったやに聞いてございますが、私どもは、一旦、委託してございますので、それにかかわらず、継続してお願いしているという状況でございます。 ◆金子やすゆき 委員  答弁書の中に、市民が札幌市との直接対応を希望しているか否かという欄がありまして、そこには丸と書いてあります。つまり、市民は、直接、札幌市教育委員会と話をしたいとおっしゃっているのですが、札幌市は、面談については弁護士に任せているということで、市民の声に応えておりません。これがなぜなのか、よくわからないのですが、わかりやすくご説明いただけませんでしょうか。(発言する者あり) ◎梅津 生涯学習部長  今ご説明いたしましたとおり、私どもといたしましては、この方につきまして、日ごろ、いろいろなお話をいただいておりまして、その経過の中で弁護士に委託することを決定したところでございますので、その後につきましては、弁護士に一任している状況でございます。 ◆金子やすゆき 委員  何のことだかわからないという声が上がっております。わからないですね。私も、これは一体何なのだろうと思っていたとき、相談を受けている市民とお話をすることができました。  市長部局で弁護士に任せている件は多数あるのですが、ほとんどは、その市民と対応することによって札幌市の正常な業務執行が妨げられるとか、相手方が暴力団員であるとか、こういう理由であれば、なるほど、専門家の弁護士に委ねることもありかなと思います。しかし、今回、教育委員会が弁護士に委任している市民ですが、この方は小学生のお父さんですけれども、私がお会いした限りは、極めて温厚、冷静にお話をする方で、社会的にも信用のある地位に立っておられる方でした。どうしてこの方に対するのに弁護士に任せているのかなと、私にはよくわからないところでありました。  そのお父さんは、最初は弁護士に委ねていたけれども、今は弁護士に任せていないということです。本人も札幌市教育委員会と直接話したい、相談したいとおっしゃっていますから、弁護士への委任はこの機にやめて、今後は市教委がその市民と直接お話をしていただいたらどうかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいま委員がお話しなさっている件につきましては、個別の事案にかかわりますので、個人情報の保護等の観点から具体的にお答えしかねる事案でございます。 ◆金子やすゆき 委員  一体、何の件なのだということですので、そうしたら、個人情報に触れない範囲でお話しさせていただきたいと思います。  この問題、紛争の原因というのは、保護者のお子さんが学校で先生にいじめられて心身症を発症して登校拒否になった、こういう相談をお父さんが学校、市教委になさっておられます。具体的には、先生が汚い湯飲みに牛乳を注いで、それを飲むように毎日強いた、こういうふうに保護者はおっしゃっております。先生の心ない行動で、お子さん、それから保護者も心に深い傷を負ったということであります。細かい事実関係では、保護者、学校の言い分に違いがあるのかもしれませんが、この保護者は何を求めているかというと、その教室での出来事について、担任の先生に謝ってほしいとおっしゃっているのですね。金銭の賠償をしてほしいとか、そういうことではなくて、きちんと誠意を持ってわびてほしいという話をされているわけであります。  これだけの話を聞くと、弁護士が必要というふうには、私は全く思えないのです。先生と学校、お子さん、保護者のみんなで話をすれば解決できることではないかと私はずっと思っておりますが、そうはなっていないということであります。  それどころか、市教委は、この先生を国立のとある小学校に転出させまして、今、その先生は札幌市の職員ではないから、話をすることはできないのだと。もし先生による生徒へのいじめが認定されれば、これは、懲戒の対象になると思います。実際に保護者はそのようにおっしゃっているのですが、先生は札幌市の職員ではない、今は、国立の学校の職員なので懲戒処分の対象にならない、いわば門前払いの形でこの問題から逃げているのですね。こういうのは、私は正々堂々とした態度ではないというふうに思っております。  本件について、保護者は文科省に相談したということです。文科省から市教委に問い合わせがあって、市教委はこの先生のいじめを認定したという情報もあります。この先生が生徒にこのような行為を行っていたということがもし事実であれば、懲戒の対象になると思うのですけれども、この点はいかがですか。  それから、これを調査するために、その先生を、一回、札幌市に戻して、事実関係をきちんと調査してはいかがかと思いますが、この2点について、いかがでしょうか。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいまるるお話がございました件につきましても、先ほどお答えいたしましたとおり、個別の事案にかかわることでございますので、この場では個人情報の保護等の観点からお答えしかねるということでございます。 ◆金子やすゆき 委員  私は、個人情報を全く何も出していないのですよ。一般論というか、かなり言葉を選びながらお話しさせていただいたつもりです。私はここまで真面目にご質問しているのですから、個人情報という簡単な言葉で逃げないで、まず、説明できる範囲で説明していただけませんか。 ◎梅津 生涯学習部長  先ほどの質問の中で、札幌市の教員ではない職員に懲戒処分をできるのか、できないのか、それから、もしできないということであれば、市に一旦戻して云々というようなお話がありましたので、一般論としてその部分についてお答えします。  まず、札幌市の教員ではない職員を札幌市教育委員会として処分するということはできないというふうに認識しております。  それから、そのために人事異動をしてまた札幌市に戻すことにつきましても、そのために戻すことは一般的にはできないもの、別な観点で判断するべきものというふうに考えております。 ◆金子やすゆき 委員  個人情報ということで、私にも議会にも答弁はしない、それから、保護者にも弁護士を使って一切お話をしないようにしているということでありますから、こういう姿勢をとっていてはこの問題はいつまでたっても解決しないと思います。保護者の要望については、今、申し上げたとおりでありますから、今のお話をしっかりと受けとめていただいて、今後どのようにしたら保護者との問題を解決できるのか、よく考えていただきたいと思います。  次の質問に移りますが、今年度から稼働した校務支援システムに関するコンサルとの契約についてであります。  平成24年度の特命随意契約の一覧を見る中で、札幌市教委は、鳴門教育大学の藤村研究室というところと約2,000万円の特命随意契約を結んでおります。校務支援システムは大変大きなシステムでありますから、これを円滑に導入できるようにコンサルティングをお願いしたということであろうと思いますが、こういうシステムの導入、コンサルをできる会社は市内に多数あると思います。まして、全国ということで広げていくと、相当、多くの会社があると思いますが、なぜ鳴門教育大学と決め打ちで随意契約を結んだのか、また、2,000万円という金額はどのような積算をしたのか、お答えください。 ◎梅津 生涯学習部長  校務支援システム導入に当たりまして、藤村研究室へ委託したのはどういう理由かということでございます。  校務支援システムは大変難しい事業でございまして、いろいろな面で考えなければならない部分がありまして、私どもだけでは足りない部分につきまして委託したところでございます。国が校務のデータベースの標準化というものを行っておりまして、一般財団法人全国地域情報化推進協会、一般的にAPPLICと呼んでおりますが、藤村研究室の藤村准教授は、このワーキンググループで取りまとめをなさっている方でございます。そうしたことから、こういった校務の情報化の専門家の中でもトップクラスの方でございますし、校務支援システムの導入事例についても大変精通しております。また、この方は、実はもともと札幌市の教員でございまして、10年以上にわたって札幌市の小学校での教員経験があり、札幌の教育現場にもいろいろ精通している方でございます。  それから、もう一つは、これもなかなか難しいのですが、ICT関係を導入するとなりますと、そういったことに詳しい方をたどっていくと、どうしても特定の業者あるいはメーカーの方と関係が深いことが多く、そういったことが後で判明することも多いのです。そういう意味では、藤村准教授につきましては、公平、中立な立場でさまざまな場面でアドバイスをいただくことができる、そういう経験、識見に着目いたしまして藤村研究室と委託契約したものでございます。 ○三宅由美 委員長  答弁漏れです。もう一つ、2,000万円の根拠が質問に入っていました。
    ◎梅津 生涯学習部長  (続)平成24年度の委託費の積算としては、システム管理と検証、評価、それから、教職員のセキュリティー意識の向上のための研修等におけます調査、そういったものを含めて2,200万円余りでございます。 ◆金子やすゆき 委員  今のは、多分、積算の根拠ではなくて、業務内容をお話しされただけではないかと思うのです。  数字をお持ちではないようですから、そこのところは飛ばしますが、先ほどの答弁で、コンサルは特定のベンダー、メーカーと癒着しているところではだめだといった話だったと思いますが、これは当然ですね。システムを入れる会社と癒着しているコンサルがあったら全く仕事にならないわけで、それで藤村研究室に委ねたというのは理由にならないと思います。  私は、鳴門教育大学の藤村研究室が作成した分厚い実施報告書という資料をいただきまして、手元にございますが、大変不思議な報告書で、札幌市上田市長宛てに国立大学法人鳴門教育大学から報告書が出されておりますけれども、ここに判こが押してあります。この判こは、鳴門教育大学と書いていないのですね。私は、鳴門教育大学に問い合わせまして、これは大学の判こですかと聞いたところ、これはうちの判こではないとおっしゃっております。  薄く書いてあるのですけれども、よく見ると、社団法人北海道地域総合研究所の印という判こが国立大学法人鳴門教育大学の名前の上に押してあります。これは一体どういうことなのでしょうか。とても不思議な現象だと思うのですが、この理由を説明していただきたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  印鑑につきましては、全く同じということではなくて、それぞれで押印されていると思いますし、完了届を出した時点で、地域総研なるものの判をその段階では使ったということかと思っております。実質的にといいますか、その段階で完了を確認した意味で地域総研の判を使っているというふうに思います。 ◆金子やすゆき 委員  今の説明は、よくわからなかったですね。国立大学法人鳴門教育大学という名前の上に違う会社の判こが押してあるのですよ。役務履行検査報告書を出して、業者の完了届も出して、これに札幌市が検査オーケーということで出しているのですけれども、違う会社の判こが押してある、こんなもので札幌市の役務が履行されたというふうに認めているのですか。 ◎梅津 生涯学習部長  私どもとしては、正式に押されたものは、完了届が出されたというふうに認識して確認してございますけれども、その他の委託業務に関する事務処理につきましては、適正に行われるように、今後とも徹底していきたいというふうに思います。今回の事例につきましては、確認をした上で、正式に完了されたというふうに確認したところでございます。(「ちょっとかみ合わないな」と呼ぶ者あり) ◆金子やすゆき 委員  そうですね。  今、地域総研という言葉が部長から出てきましたけれども、これは何なのだということです。私の推測ですが、恐らく、藤村研究室から北海道地域総合研究所というところにこの業務を委託したのだというふうに思うのです。ですから、委託した業者の判こを間違ってそこに押してしまった、こういうことなのではないかと推測するのですけれども、そういう理解でよろしいですか。 ◎梅津 生涯学習部長  これは、恐らく、藤村研究室が業務の一部を再委託した再委託先かというふうに認識しております。 ◆金子やすゆき 委員  実は、私は半年前からお話ししているのです。にもかかわらず、どうして今初めて聞いたような顔をして答弁されるのか、私は全く理解できません。  今、藤村研究室が地域総研に業務の一部を委託したという梅津部長の答弁がありました。私は、藤村研究室が地域総研に再委託するということで、札幌市に出した再委託の承認願という資料を手元に持っております。本来、役務契約については再委託は禁止ですけれども、例外ということでこういったものを出しているのですね。  そこで、札幌市が鳴門教育大学にコンサルをお願いしている仕様書と、鳴門教育大学から地域総研に再委託している仕様書をそれぞれ見比べてみると、うり二つなのですよ。項目が六つあります。1番がシステム構築支援、2番が検証、評価、3番が教職員セキュリティー意識向上のための研修、4番がシステム計算実施のための準備、5番が高度セキュリティー調査、6番がその他、1番から5番まで全く一緒なのです。6番のその他のところだけが違いまして、何かというと、本業務の完了報告を毎月納品すること、この部分だけが藤村研究室の仕事になっております。中身については下請の地域総研がやりなさいという再委託なのですけれども、こんなのはありなのですか。 ◎梅津 生涯学習部長  藤村研究室に委託した業務の中身につきましては、藤村研究室の管理監督のもとに各種業務を再委託先において行うことになっておりまして、これは主に事務的な業務ということでございます。今お話ししたとおり、業務の性質上、どこからどこまでが再委託なのか、あるいは、何分の1、何%といったようなことははっきりしにくい面がございますけれども、主に事務的な業務でございまして、例えば、各種会議への出席、あるいは、そこでの発言の取りまとめ、それから、判断に伴う各種資料の準備など、こういったものを指しているというふうに考えてございます。 ◆金子やすゆき 委員  先ほど、なぜ鳴門教育大学に随意で出しているのかという話をしましたら、藤村先生は業界のトップクラスの先生でいらっしゃるといういろいろな説明があったと思うのですが、その実態は、藤村先生がなさっているのではなくて、地域総研という会社がやっていたということを私は指摘させていただいているのです。  例えば、平成23年度、24年度で、年間30回ぐらいのシステム導入のための会議が札幌市内で開かれております。教育委員会とシステムを開発する業者、そこに地域総研のスタッフが加わった会議が毎月何回も開かれておりますけれども、ここで、藤村准教授が徳島から札幌に来られた回数は、23年度はわずか3回、24年度はわずか4回であります。この業務は藤村研究室が受けた仕事であれば、藤村研究室がきちんと出席してその会議を主宰してしかるべきだと思うのですが、その業務実態は地域総研がやっているというのは非常に不可思議なことだなと思うわけであります。  そこで、なぜ藤村研究室が地域総研に業務を再委託したのか、それから、再委託について、先ほど割合はよくわからないという話がありましたが、金額で言うと2,200万円の契約のうち大体幾らで下請に出しているのか、札幌市としてそこを調査されたことがありますか。 ◎梅津 生涯学習部長  まず、再委託先として地域総研を認めた理由はどういうことかということでございます。  私どもは、藤村研究室がどういう団体に再委託するというところにつきまして、基本的には、とやかく言っているわけではなく、そういうものではございません。ただ、私どもが調べた限りでは、地域総研は人材の確保、人員の確保等でしっかりした会社であるということです。また、ホームページなどによりますと、北海道における産業、経済、社会、文化、地域生活などに関する調査研究を行うなど、実績のある社団法人ということで、私どもとしては問題なかろうというふうに判断したところでございます。  それから、再委託の額につきましては、藤村研究室と地域総研との民民間の契約であり、私どもが知る権限はございませんので、承知しておりません。 ◆金子やすゆき 委員  地域総研は、非常に実績のある会社だという話だったと思います。地域総研は、専務理事に札幌市職員のOBがついておられる会社だということを申し上げておきたいと思います。  それから、地域総研に再委託した中身でありますけれども、よくわからない答弁ですよね。先ほどから申し上げている、元請である国立大学法人鳴門教育大学ですが、私は、ここの大学に参りまして話を聞いてみました。藤村研究室という名前で契約を結んでいるので、大学に藤村研究室というのはあるのですかと聞きましたところ、大学の事務局の話では、藤村研究室という組織はございませんという答えでありました。研究室というと、そこに研究員が何人かいて、チームとして作業をこなしてくださるという感じがいたしますが、実態としては、教授の部屋はありまして、強いて言えばそこは研究室ですけれども、あくまでも小部屋のことを指しているだけで、そこは組織でもないし、法人格があるわけでもない。つまり、藤村先生ご自身が個人事業主としてこの仕事を受けているということなのですね。仕事は藤村准教授の名前で特命随契で受けているけれども、実態は地域総研というよくわからないところに――これも、多分、オープンな競争入札を行っていないということだったと思います。そこに丸投げしている。それから、札幌市の調達のルールで役務契約では再委託は禁止ということになっていて、それが契約書に書かれてあるのに、それを知りながら、どういう理由かもよく把握されていない、そして、幾らで再委託しているのかも知らない。私は、こういうのは非常に不透明な仕組みだというふうに思うわけであります。  大学の先生の年収というと、国家公務員ですから公給表がありまして大体幾らというのは決まっております。大学の先生という国家公務員の年収の何倍にも当たるアドバイザリーフィーを札幌市から受け取っておいて、大学のほうではこれを知らなかったというふうにおっしゃっています。先生が個人事業主としてきちんと税務申告しているかどうか、私は、そんなやぼなことはお聞きしませんけれども、大学教授という名前の信用力をもって札幌市の業務を特命随契で受けておいて、それで実質作業の面倒くさいところは業者に全部丸投げですよ。そして、残ったところは先生のお小遣いになっているという仕組みだとすれば、私は、これは非常に問題だと思う。また、それに教育委員会が加担している。藤村先生はもともと札幌市の職員だったのですか。昔、札幌市の先生だったからいいでしょうということにはならないと思うのです。  これは、きちんと調べたほうがいいと思うのですが、もう一回、きちんと調べるつもりがあると言ってほしいのですけれども、部長、いかがですか。 ◎梅津 生涯学習部長  その辺につきましては、個人といいますか、例えば、確定申告などにつきましては、私どもとして確認する権限がないものですから、調査することは考えてございません。 ◆金子やすゆき 委員  先ほどの私の質問をちゃんと聞いていただいていましたか。今申し上げたように、役務調達に関して、不透明でさまざまな疑惑があります。未来ある子どもたちを育てるという神聖な教育の場において、裏では事務方がこんなことをやっているのだというようなことがあってはならないと僕は思うのですけれども、そういったことについて、教育委員会としてきちっと調べるおつもりはありませんかということをお聞きしているのです。いかがですか。 ◎町田 教育長  札幌市教育委員会といたしまして、今回の校務支援システムの導入に当たり、非常に難しいシステムの構築についての技術的な問題などいろいろございました。ある意味、日本の中でも、こういったシステムを導入することについては先駆的な試みでもあったわけでございます。そこで、その仕様をどうつくっていくのかという中で、日本の中で教育の情報化について非常に詳しく、学会、業界の中でも最高の見識を持っておられると定評のある藤村先生にお願いしたと。藤村先生は、札幌の教育の状況についても、学校の状況についても非常に詳しいということで、藤村先生が一番いいということでお願いしたわけでございます。  お願いするに当たりまして、藤村先生が鳴門教育大学に勤められているということもあり、こちらで現場の作業をすることについてはいろいろ調査しなければいけない札幌での事務作業がありまして、そういったところを藤村先生自身がヘッドとしてやるわけにはいかないので、藤村先生のつてで、どこかしかるべき団体、企業がこれを担ったということであります。その過程において、私どもは、何かおかしなことがあったというようには全く思っていないところでございます。  したがいまして、この件に関して何か疑惑があったということで調査をするようなことは、私としては全く考えておりません。 ◆金子やすゆき 委員  藤村先生がこのシステムの分野について大変すばらしい先生なのだろうということは、今の教育長の答弁を聞いてわかったところであります。  しかしながら、札幌市の業務調達に不透明性があるということの説明には全くなっていないのだというふうに思います。個人の大学の先生が2,000万円という大金を札幌市から特命でもらっているという説明にはなっていないと僕は思うのです。今受けた指摘をきちんと受けとめて、このような不透明な調達は今後行わないのだということをしっかり確認してほしいというふうに思うのですね。今、教育長は、それは嫌だとおっしゃったのでこれ以上は聞きませんけれども、市民が見ている目は非常に厳しいということは、厳しい言葉ですが、あえてこの場で指摘させていただきたいと思います。  それから、時間が長くなっていますけれども、3点目に行きます。  学校における国旗掲揚の問題であります。  私は、今回の定例会で、文書質問でもう1点出させていただきましたが、市立学校325校の中で国旗を掲揚している学校は一つもないということであります。  私事でありますけれども、私は北海道の出身ではないものですから、子どものころ、小学校、中学校と、毎朝、学校で用務員が日の丸をきちんと上げて、晩になるとおろすところを毎日しっかり見ておりましたので、国旗には非常に親しみがありました。しかし、札幌市に参りますとどこにもないなということで、前から違和感を持っていたわけであります。  そこで、いただいた答弁書の中で、国旗を掲げない理由については、学校には校旗掲揚ポールしか設置されていないと書いてあるのですけれども、僕は、これは理由になっていないと思います。なぜかというと、ないところもありますが、きちんとポールがある学校もあるからです。  そこで、お聞きしたいのは、市立学校における国旗掲揚について、ルールがあるのか、どのように考えておられるのか、これが一つです。  それから、そもそも学校に国旗は置いてあるのですか。この2点をお答えいただきたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  国旗の掲揚について、2点ご説明させていただきます。  まず、ルールについてですが、学校における国旗の掲揚につきましては、学習指導要領において、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導をするものすると規定されております。  私ども札幌市教育委員会といたしましては、平成12年に、国旗の掲揚については、学習指導要領に基づき、入学式や卒業式などにおいて、式場内の自然に見える場所に掲揚すること等を通知しております。その上で、適切に実施するよう働きかけているところでございます。  なお、入学式及び卒業式においては、全ての市立の学校で式場内に国旗を掲揚しております。  また、学校に国旗があるのかというご質問でございますが、ほとんどの学校には国旗が用意されております。(「ないところもあるのか」と呼ぶ者あり)  申しわけございません。全ての学校において所持してございます。 ◆金子やすゆき 委員  卒業式、入学式で国旗を出しているというのは答弁書にもあります。私が聞いているのはそういうことではなくて、日常から、毎日、国旗を掲げている地域もあるのですね。そういったところについて、本市は何かルールがあるのですか、また、考え方はどうなのですかということをお聞きしたいのですけれども、そこはご答弁いただけますか。 ◎引地 指導担当部長  教育委員会といたしましては、先ほども答弁させていただいたとおり、掲揚する通知につきましては、学習指導要領に基づいて行っている通知によって国旗の掲揚を学校に指導しているということでございますので、祝日、あるいは毎日の掲揚についてはルール等を設けてはおりません。 ◆金子やすゆき 委員  教育基本法第2条にはこう書いてあります。「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」、これが教育の目標と定められております。国家を体現したものが国旗でありますから、教育基本法で定められた教育目標を実現するために、学校では、毎日、国旗を掲揚すべきだと私は考えております。義務教育は国家の施策として行われるものであり、生徒が国旗の正しい理解を持つことがまさに国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことにつながるものだというふうに私は思っております。  この点についてはどのようにお考えでしょうか。 ◎引地 指導担当部長  小学校の社会科等におきましても、国旗・国歌につきましては、その国を築いてきた人々の理想や文化、誇りなどが込められていて、国を象徴するものとして大切にし、お互いの国のものも尊重するということがございますので、国旗を尊重する態度については大事だというふうに認識しております。  また、入学式や卒業式で掲揚することにつきましては、学校生活に有意義な変化や折り目をつけるのが卒業式、入学式でございまして、新しい生活の展開への動機づけや、学校、社会、国家などの所属感を深めるいい機会でございますので、このような意義を踏まえて、入学式や卒業式においては、学校教育の指導上、国旗を掲揚することを指導しているところでございます。 ◆金子やすゆき 委員  そのような晴れの舞台において国旗がきちんと掲げられているというのは大変すばらしいことだと思います。また、文書質問の答弁で、一部だと思いますが、祝日には国旗を掲揚している学校もあるということであります。大変すばらしいですね。ぜひ、こういった取り組みを全校に広げていただきたいと思います。  札幌市教育推進の目標によりますと、「ふるさと札幌に根ざし国際社会で活躍する豊かな創造力をはぐくむ」とあるのですが、まさに、国際社会、海外に行けばわかるのですね。オリンピックだってそうだと思いますが、国旗、日の丸がはためくのを見る瞬間、大変心強いものがあります。国旗を大切にするというのは、どこの国でも常識なのですよね。国際社会で活躍する人材を育てようというふうに思うのであればこそ、日本人であることのアイデンティティーを、毎日、目のつくところに掲げていくのは大変大切だというふうに私は思います。  北海道の例でありますけれども、北海道教育委員会では、今年度、半数ぐらいの学校が、毎日、国旗を掲揚しているということであります。今後についても、もっと数をふやしていくのだということで道教委が取り組んでおられるそうですけれども、札幌市教委ではいかがでしょうか。 ◎引地 指導担当部長  教育委員会といたしましては、あくまでも学習指導要領に基づいて、平成10年に発出した通知によって適切に取り扱われるものと認識しておりますので、そのような中で適切に取り扱われるよう指導してまいりたいというふうに考えております。 ◆金子やすゆき 委員  学習指導要領も大切ですが、今申し上げた私の意見も一つの参考にしていただいて、今後、国旗の掲揚についてはしっかりご検討いただきたいというふうに思います。 ○三宅由美 委員長  ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前11時58分       再 開 午後1時     ―――――――――――――― ○三宅由美 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆北村光一郎 委員  午前中の審議、お疲れさまです。その中で、ちょっと気になった部分がございましたため、私の持論として述べさせていただきますので、ご容赦いただきたい。  学力向上に向けた取り組みについてご質問させていただきますが、その前に、さきの委員の質問の中で、インクルーシブや性教育、食物の教育、生物多様性、環境教育、最後には消費者教育と、これだけ多くの教育のシステムを小学校の先生一人で果たして全て賄えるのかどうかというところも踏まえながら、学校の現場の先生は本当に大変でご愁傷さまだなと私は思ってしまいます。今、聞いて答えたことを学校現場に全部おろすと、学校はパンクしてしまいますよね。パンクしないために何をするのか。人数をふやすしかないのですよ。それも、小学校に2人、3人の先生を学級につけて、人数をふやすということで持っていかないと、学校教育本来の姿が見えてこない。例えば、僕が思うのは、消費者教育というのは実は学校現場ですることではない。これは親がやるべきでしょう。もう一つ、僕は性教育もそう思っています。果たして、男の先生が、また幼稚園からというのはあり得ない話だと思いながらお話を聞いていました。  さて、この辺で前振りは終わりまして、本来の話に入っていきたいと思います。  全国学力・学習状況調査の札幌市の結果の概要が公表されました。新聞にも載っておりました。全体としては、これまでと同様に、全国平均とほぼ同じくらいの結果とのことですが、小学校で漢字を書くことや小数の計算をすることが十分身についていないこと、そして、小・中学校ともに自分の考えを書く問題を苦手とする子どもが多いなど、全国学力・学習状況調査で課題が明らかになっております。ずっと追いかけてきた問題でございます。  さきの代表質問においては、我が会派を代表いたしまして私から質問させていただきましたが、教育長からは、札幌市全体の調査結果をもとに課題や改善点等の分析を行い、新たな札幌市教育振興基本計画の大きな柱であるさっぽろっ子「学ぶ力」の育成プランに取り組むとの答弁がありました。教育委員会として学力向上に向けて課題改善に取り組む意向があると私は理解いたしました。  そこで、質問ですが、さっぽろっ子「学ぶ力」の育成プランでは、具体的にどのような改善策を打ち出していくのか、お伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  さっぽろっ子「学ぶ力」の育成プランにおける改善策についてお答えいたします。  教育委員会では、学ぶ意欲、基礎的・基本的な知識及び技能、思考力・判断力・表現力等の3要素で構成される学ぶ力をバランスよく育むことを目指して教育活動を推進しております。各種調査等の結果から、知識、技能はおおむね身についているものの、学習意欲や知識などを活用する力には課題が見られております。これらの課題を踏まえ、教育委員会として推進する取り組みについて、このたびさっぽろっ子「学ぶ力」の育成プランとして総合的に取りまとめたところでございます。本プランでは、学ぶ力に関する課題が学校ごとに異なることを踏まえ、各学校において、自校の子どもの課題に応じた指導方法等の工夫、改善に向けた計画を作成、実行することを全市共通の取り組みとして位置づけております。  今後、教育委員会といたしましては、各学校における計画の作成について指導していくとともに、その計画の実現に向けた取り組みに対して積極的に助言するなどして具体的な改善に努めてまいりたいと考えております。 ◆北村光一郎 委員  さっぽろっ子「学ぶ力」の育成プランについては理解できますが、全国学力・学習状況調査では、中学校が全国平均より高い結果であるのに対して、小学校が全国平均よりもやや低いという傾向が出ています。義務教育全体として見れば、9年間の取り組みが中学校の結果に結びついたと見ることもできるかもしれませんが、私は、そのような見方に甘んじるのではなく、小学校で課題が見られるということをしっかり受けとめなければならないと思います。小学校の学習内容は、中学校以降の学習の基礎になる内容であり、小学校でしっかり覚えておかなければ、その後の学習で苦労するのは想像にかたくありません。子どもが九九や漢字などの学習内容をしっかり覚えるためには、教師の指導力が重要であるのは言うまでもありませんが、小学校低学年のうちから家庭で学習する習慣を身につけることも重要であります。  今回公表された資料を見ますと、教育委員会も子どもの学習習慣に課題があると認識しているとのことですが、私は、教育委員会や学校から保護者や子どもに対して、積極的に学習習慣の大切さを説明し、宿題の利活用も含め、取り組みを促すなど働きかけを強化していく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、さっぽろっ子「学ぶ力」の育成プランにおいて、子どもの学習習慣の定着にどのように取り組む予定か、お伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  学習習慣の定着に向けた取り組みについてお答えいたします。  学習習慣の定着に向けた取り組みについては、子どもたち自身に学ぶことの意義や大切さの理解を図るとともに、みずから学ぼうとする意欲を育むことがとりわけ重要と認識しております。各学校において作成する計画においても、この認識に基づき、体験的な活動や問題解決的な学習等の充実、チーム・ティーチング、少人数指導等による個に応じた指導の充実等を位置づけ、わかる、できる、楽しい授業による学習への継続した興味づけを行うよう、教育委員会として指導していく予定でおります。 ◆北村光一郎 委員  学力向上に向けて、私なりに別の角度から問題提起させていただきたいと思います。  教育委員会の皆さんとお話をしておりましても、子どもの成長を見守る方向性は一緒であります。しかしながら、振り返ってみますと、子どもたちが多くの時間を過ごす学校現場ではどうなのかということです。全てとは言いませんが、相変わらず、スクールカウンセラー、支援員等、多数の人手をかけているにもかかわらず、不登校やいじめ、体罰等の問題が一向に減少しない現状があります。また、最近はマスコミでも取り上げなくなったのですが、学級崩壊の問題、モンスターペアレントの問題への対応など、学校現場における問題として内在しているものがあります。家庭教育はもちろんですが、やはり、教員を含め、学校全体での対応の充実が求められているところであります。  この事態を改善すべく、政府は、教員の質の向上や適正化に向けて、平成19年の教職員免許法の改正にて免許更新制を導入し、10年間、免許有効としたことはまことに必要な措置であり、その必要性は周知の事実であります。  そこで、質問ですが、私の知る限りでは、学級の安定を保てない教員が存在し、子どものやる気や学習意欲につながっていない学校があると認識しております。子どもが学校の授業に意欲を持って取り組めているかどうかなど、教育委員会として子どもの学習意欲等の実態を把握しているかどうか、お伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  子どもの学習意欲等の実態把握についてであります。  子どもの学習意欲の実態については、各学校において、日常の授業の中で把握することはもとより、教育委員会といたしましても、各種調査の活用により把握しております。加えて、さっぽろっ子「学ぶ力」の育成プランにおいて新たに子どもへのアンケートを実施し、その中に学習意欲等の項目を設け、よりきめ細かな実態把握に基づく授業改善に向けた取り組みの充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆北村光一郎 委員  また、地域とつくる学校として、地域に開かれた環境の中で健やかに子どもたちを育てなければならないと思いますが、現在の札幌市教育推進計画における地域に開かれた学校づくりの現状と今後の方針についてお伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  地域に開かれた学校づくりの現状と今後の方針についてであります。  地域に開かれた学校づくりの現状については、札幌市学校教育の重点に信頼される学校の創造を位置づけており、現在、全ての市立幼稚園、学校において、学校評議員を設置するとともに、学校関係者評価を実施しております。また、学校の授業を広く保護者や地域住民等に公開する学校公開、学校ホームページによる情報提供の充実や、地域との連携による学習活動の取り組みなど、開かれた学校づくりに努めてきているところでございます。 ◆北村光一郎 委員  さらに、学校の諸課題については、管理者だけの責任で取り組むだけでなく、教育委員会として責任を果たすべきであると考えます。子どもの学力向上に向けて、教育委員会として積極的に対処していく必要があると考えますがいかがか、お伺いします。  以上で質問を終わりますが、将来の札幌を担う子どもたちが健やかに育っていくために、教育委員会として教育現場の状況把握にしっかり取り組むよう指摘しておきます。 ◎引地 指導担当部長  教育委員会として積極的に対処することについてでありますが、これまでも、さまざまな学校課題について指導主事が学校訪問により情報共有するとともに、適宜、校長等からの相談に対して個別に指導・助言を行うなど、学校の取り組みを支援してきております。今後、教育委員会といたしましては、学ぶ力や豊かな心、健やかな体の育成などについて、より学校の実情に応じた支援の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆植松ひろこ 委員  台風が近づいておりますので、電子図書貸し出しサービスについて簡潔にお伺いいたします。  現在、インターネット上にはさまざまな電子図書の販売サービスがあり、時と場所を選ばず、みずからのタイミングで簡単に購入、閲覧できることから、今後ますます普及していくことが予想されています。一方、図書館における電子書籍の貸し出しサービスにつきましては、全国でもまだ20館程度と聞いておりますが、アメリカのテキサス州では電子図書のみを貸し出す図書館がこの9月にオープンしたとも聞いており、図書館における電子図書の導入は今後広がっていくものと考えております。  札幌市では、2008年8月から図書のインターネット予約を開始し、翌年11月には蔵書検索システムをリニューアルした結果、それまで毎月5〜6万件だった予約件数は現在12万件近くにも倍増しており、さらに増加する勢いと聞いております。また、予約件数全体に占めるインターネット予約の割合も8割近くに達しています。このように、インターネット予約が利用者に定着してきているとはいえ、今後も、市民の課題解決や暮らしに役立つ情報を提供し続けるためには、先ほど申し上げた電子書籍も活用し、利便性をさらに向上させた図書館サービスを積極的に提供していくことが求められていると考えています。  札幌市では、電子書籍貸し出しサービスに向けたシステム開発が進められていると思いますが、このサービスを含め、電子図書館化の取り組みとして、いつから、どのようなサービスを開始する予定なのか、具体的にお聞かせください。  また、貸し出しする電子書籍のジャンルと冊数はどの程度になると予定しているのか、あわせて伺います。 ◎江本 中央図書館長  電子書籍貸し出しサービスの内容と開始時期等についてでございます。  近い将来に普及が見込まれている電子書籍については、平成23年度に実証実験を行うなど検討を続け、現在、再構築を進めている図書館電算システムの機能の一つとして開発を行っております。そして、平成26年4月には中央図書館内に新設する電子書籍コーナーで館内閲覧を試行しまして、秋ごろには館外への電子書籍の貸し出しサービスを行うことを予定しております。  次に、電子書籍のジャンルと冊数については、札幌や北海道に関するものを中心とした電子書籍と、既に図書館向けに許諾されている電子書籍の中から実用書などを約400冊程度、さらに札幌市発行の冊子、資料を約1,600冊程度、全体で約2,000冊程度を用意する予定でございます。 ◆植松ひろこ 委員  電子書籍は、画面上で文字の拡大や背景色の反転ができるなど、それぞれの立場に応じた使い方ができるので、ユニバーサルデザインとして利便性があるという点におきましても今後普及していくべきと考えております。  札幌市がこのサービスの導入に向けて実施しました実証実験によりさまざまな課題が抽出されました。我が会派は、特別委員会で、システムの機能向上、利用者の持つ端末機器への対応、電子書籍の種類と数量の確保などの課題について指摘いたしましたが、これらの検討をどのように電子書籍貸し出しサービスに結びつけたのか、お伺いいたします。  また、現在の課題としてどのようなことがあるのか、あわせてお伺いいたします。
    ◎江本 中央図書館長  電子書籍貸し出しサービスの導入に向けた検討結果等についてでございます。  平成23年度の電子図書館実証実験で得られたシステムの機能向上などの課題につきましては、24年度に検討を行いまして、今年度の電算システム再構築に生かしております。まず、システムの機能向上と利用者が持つ端末機器への対応については、高齢者を含めた誰にでも易しい操作性と速度アップができる見込みとなったほか、パソコンだけでなく、普及の著しいスマートフォンやタブレット端末など、幅広い読書機器にも対応できることとなっております。  また、電子書籍のジャンルと冊数の確保については、地元出版社16社との検討会を通じて図書館と出版社が電子書籍に関する契約ルールや安定的に電子書籍を調達する仕組みを検討してまいりましたが、ベストセラー系を含めた一般書をジャンル、冊数とも、どのように豊富に調達するかが課題として残っております。そのほか、電子書籍のさらなる利活用については、市内の小学校で図書館から提供した電子書籍を授業で実験的に使用し、その有効性については確認いたしております。 ◆植松ひろこ 委員  先ほどの答弁にもありましたが、2,000冊を予定し、16社との協議を進めているということでした。しかし、前回も指摘いたしましたように、予想以上にふえていないのが現状であり、サービス開始に当たりましては、利用者のニーズに応えられるよう、多様な図書が取りそろえられていることが重要であると考えております。  そこで、冊数がふえない要因としてはどのようなことがあるのか、それに対しまして、札幌市としてどのように対応しているのか、お伺いいたします。 ◎江本 中央図書館長  電子書籍の冊数確保に向けた対応等についてでございます。  電子書籍を図書館で貸し出すためには、紙の本と違いまして、著作権法上の複製権、これは本をスキャンするなどして電子化する権利でございます。それから、公衆送信権、こちらは、電子化した本のデータをインターネットで送信する権利でございますが、これら二つの権利について書籍1冊ごとに許諾を得る必要がございます。このように著作権を整理する手間に加えまして、出版業界がどのように図書館に電子書籍を販売していくのかという統一的なルールがないことなどから、図書館向けに取得されている電子書籍は現在も1万冊に届いていない状況でございます。  電子書籍の冊数の確保に向けた、札幌市独自の取り組みとしては、先ほど申し上げたとおり、平成23年度の実証実験で地元の出版物を多数電子化しているほか、24年度の検討の成果を生かしまして、地元の出版社から札幌と北海道に関する電子書籍などを調達できる見込みとなっております。今後、さらに、貸し出し可能な電子書籍をジャンル、冊数ともに確保し、広く市民にその利便性を実感していただくため、全国規模の出版物についても調達が行われるよう、大手出版社に対して、国、道、政令市の公立図書館が連携しながら働きかけを行っていきたい、このように考えております。 ◆植松ひろこ 委員  地元出版社のものにつきましては図書館で借りることができそうでありまして、こちらに関しては大変うれしいことと思っております。大手出版社の出版物につきましても、粘り強く何度も交渉を重ね、図書館でも利用できるようになることを強く望んでおります。  また、図書館の機能として、図書館同士で相互に貸し借りをする相互賃借という制度があると思います。電子書籍貸し出しサービスの場合、この賃借のスピードアップが考えられると思いますが、来年度のサービスにおいてはどのように対応するのか、お伺いいたします。  あわせて、その効果はどのようなものなのか、お伺いいたします。  さらにまた、今年度、公文書館もオープンいたしまして、私も参りました。手にとることはできなかったのですが、昔の議事録等が飾られてあったりします。昔の行政資料や地域の資料なども見られるほうがよいのではないかと考えますので、こういった資料についてはどのような期待が持てるのか、それらについての見解もあわせてお伺いいたします。 ◎江本 中央図書館長  地域資料の広域利用等についてでございます。  紙の本は、相互貸借によりまして他の図書館から取り寄せることができますが、利用者に届くまでに時間がかかったり、図書館の手間、コストもかかります。一方、商業ベースの電子書籍は、許諾の関係から市民のみの貸し出しとなりますが、札幌市が発行し著作権を持っている行政資料や市史などの地域資料は、電子書籍化することにより、札幌のみならず、いつでも、全国どこからでも読めるようになるほか、汚損、破損の心配もなく、配送コストもかからないため、幅広く活用できるメリットがございます。また、行政資料、地域資料を広く利用してもらうことにより、その自治体の文化や歴史など、その魅力を電子図書館から発信することが可能となります。  現在、札幌広域圏の五つの市立図書館による研究会を立ち上げまして、電子書籍化したお互いの地域資料等の広域利用について検討を進めております。今年度には、各図書館から実際にデータを送信し、閲覧する実証実験を行うことを予定しておりまして、電子書籍化のノウハウや送信手続などについて整理して今後の新たな図書館連携につなげたい、このように考えております。 ◆植松ひろこ 委員  こうした広域利用が広まることによりまして全国に発信できることになりますと、観光等に裾野が広がっていくことも考えられますので、ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思います。  また、きょうのような台風の日や雪の降る日など、電子書籍ですと来館しなくても本を借りることができ、また、期限が来ましたら自動で返却されるなど、高齢者とか、仕事や子育てで忙しい方などにとって大変便利な電子書籍であります。しかしながら、まだ読んだことがない、どのようなものかわからないといった方も多くいらっしゃるかと思います。このような方のためにも、今後、積極的に利用を呼びかけていくことが必要であると考えますが、どのような事業展開を考えているのか、お伺いいたします。 ◎江本 中央図書館長  電子書籍貸し出しサービスの事業展開についてでございます。  中央図書館内に設置する電子書籍コーナーでは、実際にデジタル機器を操作して電子書籍を体験できるほか、電子図書館システムの使い方講習も随時開催する予定でございます。さらに、これまでも実施していたデジタル機器を使った情報の探し方講習会を充実・発展させまして、例えば、電子書籍に加え、紙の本やデータベースも併用し、札幌の歴史について深く調べるなど、課題を解決するための講習会を開催し、電子書籍の活用を積極的に周知してまいりたいと考えております。 ◆植松ひろこ 委員  私も大変本が好きでございまして、紙の本には独特の手ざわり等があり、私も含め、愛着を持つ人も数多くいらっしゃるかと思いますが、今後も情報化はますます進展し、市民が求める情報を容易に提供する手段の一つとして電子図書の重要性はますます高まっていくものと考えております。こういったデジタル化への流れを捉え、市民が広くその利便性を享受できるよう、図書館が後押ししていくような一歩先を見据えたサービスを進めていただきたいと考えております。  また、昨今、メディア等で図書館のあり方が問われることが多いかと思います。私も図書館が本当に大好きでございますが、ただ単に本を貸し借りするだけではなく、今は新たな価値を創造できるような図書館が求められているかと思いますので、こういったサービスも含めて、新たな地域の価値の創造につきましても考えていただきますよう求めまして、私の質問を終わります。 ◆谷沢俊一 委員  私からは、大きく2点質問させていただきます。  一つは、未就学者の学習支援、それから、大通高校の卒業生の就職状況についてお伺いいたします。  まず、未就学者の学習支援についてでございますけれども、いわゆる戦中戦後の混乱や家庭の事情などで義務教育を十分に受けられなかった高齢者がいらっしゃいます。そうした方々の学び直しの場として、現在、札幌の自主夜間中学である札幌遠友塾自主夜間中学がボランティアで運営されています。札幌遠友塾は、平成21年度から向陵中学校の教室を使用して活動が行われてきております。さまざまな実施団体から要望もございましたし、議会でもさまざま取り上げてきたところでございます。  最初に、確認いたしますが、教育委員会として、これまでどのような支援を行ってきたのか、お伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  札幌遠友塾自主夜間中学に対する支援についてお答えいたします。  札幌遠友塾自主夜間中学の活動は、大変意義深いものと考えておりまして、生涯学習の視点からこれまで支援を行ってきたところでございます。委員のお話にもございましたとおり、向陵中学校の使用につきましては、学校を使用しての取り組みをぜひ進めたいという遠友塾の希望を踏まえまして、学校と教育委員会と遠友塾の3者で使用方法などの協議を行い、平成21年度から、普通教室が5室、多目的教室が1室のほか、教材置き場のスペースも提供しているものでございます。また、体の不自由な受講生に配慮いたしまして、階段の昇降機を設置するほか、玄関スロープも設置しております。さらに、これは学校としての取り組みでございますが、生徒との交流用の掲示板を配置して、学校における子どもたちと遠友塾の生徒の交流も図ってきたところでございます。 ◆谷沢俊一 委員  そうした中で、遠友塾の代表の方から、ことしの5月から札幌遠友塾の受講生が白石区内の小学校に通学できる機会をセットしたというふうにお伺いしました。76歳の女性が小学校1年生のクラスに入って、そこで国語を中心に学んでいるというお話で、教育委員会がよく決断してくれたという話も聞きました。  そこで、今回、こうした遠友塾の受講生の受け入れに至った経緯、あるいは、現時点での効果、さらには、課題等もあろうかと思いますが、この点についてどのように認識されているか、お伺いします。 ◎引地 指導担当部長  遠友塾の卒業生の受け入れの経緯、現時点の効果や課題についてお答えいたします。  卒業生の受け入れの経緯でありますが、まず、教育委員会が遠友塾からの相談を受け、通学距離やその方法、学習したい内容などを協議した上で、その受け入れの可能性について小学校に相談いたしました。その後、学校長は、ご本人との面談を行い、希望している学習内容を聞き取るとともに、学校で学ぶに当たり留意すべき点を説明し、教職員や子ども、保護者の理解を得た上で受け入れを了承いたしました。現在まで、その卒業生の方は、1学年の国語の授業に参加しております。参加可能な学習に限られるものの、同じ時間、同じ学習内容に真剣に取り組むことが、ご本人にとっても子どもたちにとってもよい刺激となっているとのことであります。  なお、今回は、個別の事情をお聞きし、学校の事情などを勘案しながら対応することができたケースであると理解しております。 ◆谷沢俊一 委員  この件については、我が会派の芦原議員の代表質問でも伺いました。今回のケースは、教育委員会としては、必ずしもこれを一般化するということではなくて、個別の要望なり事情を聞いた上で一人一人対応するのだ、こういうお話だったと思います。  しかし、今お話があったように、遠友塾の方が実際に小学校の空気に触れて、言ってみればおばあちゃんみたいな方が子どもと一緒に授業を受ける中で、さまざまな交流なり、子どもたちも、そのおばあちゃんの昔の話を聞いて非常に喜んでいるというような話も聞いております。そういう意味では、現場の校長先生も、多分、教職員の理解も求め、かつ、父母の理解も求めということで、簡単にはいかない中でよく頑張って受け入れてくれたなと、私も思っております。  国の教育振興基本計画は、義務教育未修了の学齢超過者等に対して義務教育の機会を提供している中学校夜間学級に対する支援を引き続き行うことを明記しております。今日、全国8都府県に35校の公立夜間中学校あるいは夜間学級がございます。そういう中で、現時点においては、札幌市には公立夜間中学校が設置されておりません。  私は前にも取り上げましたが、公立夜間中学校または夜間学級を開設するに当たって具体的に何が課題なのかということについて、改めて伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  公立夜間中学または夜間学級の開設に当たっての課題についてお答えいたします。  開設ニーズの把握に当たりましては、学齢超過の義務教育未修了者を特定するため、全市民を対象とする実態調査が必要となってまいります。しかしながら、当該調査につきましては、市民のプライバシーに直接かかわる問題があるため、現在のところ、実施が非常に難しいと考えております。  なお、昨年度、衆議院文部科学委員会におきまして、文部科学大臣が公立夜間中学の設置について改めて国からの支援に言及するなど前向きな答弁を行っていることから、今後、国会並びに北海道の動向に留意するとともに、必要に応じて北海道と連携を図るなどしてまいりたい、このように考えております。 ◆谷沢俊一 委員  前回、私が聞いたときも、実態がなかなかわからぬということでございましたが、他の政令指定都市も、全部調査をしてこの学級を開いたのではありません。クラスなんていうのは30人もいれば開けるわけで、そういうニーズが現実にあるということからスタートしないと、実態がわかりませんと言うだけではそういう場を設定するのは難しいと僕は感じていますので、やっぱり、そこはこれから踏み込んでいく必要があると思います。  今回、小学校に入った方の状況を聞くと、学校教育法上の夜間中学あるいは夜間学級となると、学習指導要領に基づくさまざまな科目も選択しなければならないということがあって、それに十分に対応できるのかという問題もあるし、事実、国語以外の社会や算数といった科目を現実に履修できるのかというと、これはなかなか難しいという状況もわかります。そういう意味では、特別の教育カリキュラムを編成するなどのかなりフレキシブルな、柔軟な対応をしてあげないと、実際にはそういう学校を設置するのは難しいと感じているのも事実です。  もう一方で、こうした戦後の混乱期のみならず、今日的な社会状況の中、不登校などでほとんど学校に通っていない、十分に教育を受けられないままに卒業だけはする、卒業証書だけはもらったという生徒がふえてきております。例えば、そういうお子さんがどこかに就職したときに、義務教育レベルの知識の習得の必要性を改めて感じて学び直す場を求めてくることも十分にあるし、事実、今の札幌遠友塾自主夜間中学ではそういう生徒も20人ほどいると聞いています。  今、答弁にあったように、こういう方がしっかりとした教育を受けられるような環境整備には国の制度改革も必要であるというふうに考えておりますし、ことしも、超党派で、自民党、民主党、維新の会、公明党、みんなの党、共産党、生活の党、社会民主党など全党が入って、義務教育等学習機会充実の制度を議員立法で制定しようという動きがあります。本市においても、昨年12月の4定でこうした制度の創設に対する意見書を全議員で出しております。  そういう意味では、議会でも、何とか学びの場を確保しようという動きがありますけれども、行政としても、札幌市としても、教育を受けたいという市民のニーズに対応するために、国に対して制度改革の働きかけを行うべきというふうに考えますがいかがか、伺います。 ◎金山 学校教育部長  私ども教育委員会といたしましては、先ほども申し上げたとおり、公立夜間中学を初め、学習支援を希望する市民ニーズの把握が難しいことを課題として捉えているところでございますけれども、今後とも、国の動きを十分に注視するとともに、課題解決の方策を探るなどしてまいりたい、このように考えております。 ◆谷沢俊一 委員  やるのか、やらないのか、わからない答弁ですけれども、市としても、さまざまな機会を捉えて、単なる学校教育の指導要領に基づく学習ではなくて、人の特性に応じてちゃんと学べるような機会あるいは制度をつくるようにぜひ主体的に国へ求めていただきたい、これは要望しておきます。  次に、大通高校の卒業生の就職状況についてお伺いします。  この高校は、既存の定時制課程の市立高校を発展的に改編いたしまして、平成20年4月に開校いたしました。生徒のさまざまなライフスタイルに対応するため、午前、午後、夜間の3部制、あるいは、生徒の興味・関心に対応するための単位制を導入し、そして、学習歴や学習進度が異なる、あるいは、多様な進路希望を持った生徒を積極的に受け入れていると認識しております。このようにさまざまな生徒を受け入れている大通高校でございますが、重要なのは高校を卒業するまでしっかり支援を続けるということであります。そういう意味では、さまざまな困難にぶつかるケースもあるのだろうと思います。  そこで、質問いたしますが、平成24年度の大通高等学校の中途退学者はどの程度いたのか、伺います。 ◎引地 指導担当部長  平成24年度の大通高校の中途退学者数についてお答えいたします。  平成24年度の中途退学者は、在校生徒の4%以下となっております。中途退学者については、その8割以上が進路変更により通信制などの別の高校への編入学となっております。 ◆谷沢俊一 委員  予想よりもかなり少ないですね。私は、平成23年10月の決算特別委員会で生徒支援について伺ったときに、在校生の状況をお聞きしましたら、過去に不登校傾向にあったと思われる生徒が約33%いる、あるいは、発達障がいと思われる生徒が大体5%ぐらいいる、外国籍の生徒が1%程度ということでした。そして、全体的な傾向として、基礎的な学習内容の習得に課題がある生徒や自分に自信が持てない生徒、また、コミュニケーションスキルが必ずしも十分でないといった課題を抱えている生徒が在籍している、こういう答弁をいただきました。  このような中での4%以下で、しかも、そのほとんどが編入学であるということですから、在籍しながら頑張っている生徒が相当多いということが言えると思います。これは、当然ですけれども、校長先生、また教職員がそれぞれの生徒の特性に応じた少人数学級のような教育にかなり一生懸命取り組んでいて、こういう取り組みがあったればこそ、こうした在籍率になっているのだろうというふうに評価したいと思います。  そこで、大通高校では、外部人材を活用した大通応援団という他の高校には見られない特異な取り組みをしているということでございます。さまざまなニーズを持った生徒に対応するためには、学校の教員だけではなく、さまざまな経験を持った外部人材を活用することが重要であるということで取り組みがスタートしており、こういう取り組みも中退者の数を少なくしている一因になっていると思います。  そこで、大通応援団の具体的な取り組みについて、今どのようになっているか、お伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  大通応援団の具体的な取り組みについてお答えいたします。  大通応援団とは、一人一人の生徒に応じた支援を地域等における外部人材の活用により継続的に行う取り組みであり、具体的には、就職を希望する生徒への就職指導支援や、日本語での学習が難しい外国人生徒への母語支援など、さまざまな生徒のニーズに応じた支援を行っております。また、昨年より在校生へのアンケートを実施し、より一層、きめ細かに生徒の状況やニーズを的確に把握することで大通応援団につなぎやすくするような工夫、改善も行っております。 ◆谷沢俊一 委員  日本語能力、日本社会への適応に不安を抱える外国籍生徒、あるいは、就職を希望する生徒へもさまざまに対応をしていると。そういう意味では、こうした外部人材を活用するということは、教職員の大変なご苦労も考えれば、非常に有効な取り組みだというふうに思います。  そこで、平成25年3月に卒業生が出ておりますが、その生徒の就職状況はどうなっているのか、お伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  平成25年3月に卒業した生徒の就職状況についてお答えいたします。  平成25年3月においては、卒業生が231名、そのうち、就職希望者は72名で、就職が決定した者は47名となっております。 ◆谷沢俊一 委員  大学に進学したり、本人の体調等で就職を希望しない生徒もいらっしゃるのだろうと思いますが、就職希望の生徒が72名いらっしゃって、72名のうち47名の就職が決まったと。これはアルバイトは入っていないのですね。未就職の生徒が25名ということになります。そういう意味では、就職を希望する生徒には、在学中からさまざまなキャリアカウンセリング、あるいは民間企業のノウハウを活用した就職支援などを行い、一定の効果を上げていると思います。  ただ、平成25年3月には25名の生徒の就職が決まっていないということです。できるだけ市民の期待に応えるという意味では、卒業して、ちゃんと就職できるのだなという安心感というか、希望が持てる高校像が求められていると思います。  そこで、こうした就職希望の生徒がその希望を実現できるために今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  就職希望の生徒が希望を実現するための支援についてお答えいたします。  大通高校としましては、今後、外部人材を活用することに加え、学校全体で支援を行うことがより一層必要であると認識しております。具体的には、就職を希望する生徒に対し、社会人として必要な基礎学力の向上を図る学校設定科目を設けて教育課程に位置づけることや、勤労することを学習の一環と考え、一定の要件のもと、単位認定を行うことができるよう準備を進めており、教育委員会としても、その実現に向けて支援をしてまいりたいと考えております。 ◆谷沢俊一 委員  学校の要覧なんかを読むと出ておりますが、ここの学校のよさは、卒業しても最後まで面倒を見ますということなのです。さまざまな生徒が入学してきて、卒業はしたけれども、就職が決まっていないとか、あるいは、進路等について、卒業後も引き続きさまざまなアドバイスも行い、面倒を見ていくのがこの高校のよさだと思っております。先ほど豊明高等養護学校の話もありました。大通高校を卒業して、ちゃんとした仕事につける、そういうことがこの高校への進学希望者をさらにふやし、市民の安心、安定にもつながると思いますので、今後ともしっかり取り組んでいただきたい、このことを要望して、終わります。 ◆伊藤理智子 委員  私からは、高等養護学校の整備について質問いたします。  2012年度の特別支援学級卒業生の進路状況は、卒業生の総数は230人で、知的障がい高等養護学校への進学は189人、そのうち、札幌市内の高等養護学校へ進学できたのが115人、60.8%となっており、4割の生徒は札幌市外へ通っている状況です。札幌市外の高等養護学校に入った子どもたちの保護者は、金曜日の夜に仕事を終え、疲れた体で2時間以上かけて迎えに行き、日曜日の夜にまた2時間以上かけて学校まで送るという状況にあります。また、聞いたお話では、学校から子どもがいなくなってしまうこともあり、保護者に連絡が入ったら、何時間もかけて学校まで行って、夜中の間中、捜し回るという大変な状況もたびたびあるということです。地域で育って、地域の人たちの温かい目もある中で成長していけることが、子どもたちにとっても、保護者にとっても安心できる環境ではないでしょうか。  私は、2011年の決算特別委員会で、この問題について、札幌市特別支援教育基本計画における基本的な方向性として、子どもが地域で学び育つための家庭・学校・地域が共に育む教育の推進を位置づけていることを指摘して、遠距離通学の解消に向けた学校の配置が求められていることから、高等部教育の現状の課題についての認識と今後の対策についてお伺いしました。当時の池上指導担当部長は、市外の学校へ進学している実態、市内の高等養護学校が市の北西部に偏在している状況については課題であると認識している、これまで以上に北海道教育委員会と連携して課題の解決に努めてまいりたいと答弁しております。  その後、ことしの1月23日に、本市から道教委に札幌市南部への高等養護学校の整備にかかわる検討についての文書を出し、1、設置者は北海道とする、2、札幌市は市南部の市有地を建設用地として提供、貸し付けする、3、建設費のうち、国庫負担分を除く費用について、その一定割合を札幌市が負担する、4、学校運営費については北海道の負担とすると、高等養護学校の整備について協議していくことを求めています。3月23日に道教委から返事があり、札幌市南部への高等養護学校の整備については札幌市における対応を検討願いたいというものでした。  これを受けて、その後、どう具体化していくのか、今後の見通しについてお伺いします。 ◎金山 学校教育部長  市南部への高等養護学校の整備につきましては、今、委員のお話にありましたとおり、北海道教育委員会と協議を継続して行っているところでございます。さらに、引き続き、鋭意、協議を行っているところでございますが、まだ結論には至っておりません。いずれにいたしましても、札幌市内の特別支援学級に在籍している児童生徒数から推計いたしまして、平成29年度には相当数の間口が不足するものと想定されておりますので、早急に結論を出したい、このように考えております。 ◆伊藤理智子 委員  平成29年度、西暦に直すと2017年度には間口が不足するので、それまでには整備していきたいということですけれども、そうであるならば、工事を始めるのがいつで、オープンに向けてのスケジュールがどうなっているのか、具体的に示すべきであり、本市教育委員会として早急に予算要求をしていくべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎金山 学校教育部長  私ども教育委員会としては、北海道教育委員会と設置主体や設置までのタイムスケジュールも含め協議しているところでございまして、繰り返しになりますが、いろいろな条件を考えながら早急に結論を出したい、このように考えております。 ◆伊藤理智子 委員  本市の特別支援学級に通う子どもたちは、2006年度の在籍者数を見ると、知的と情緒を合わせて小・中学校で1,189人だったのが、年々ふえて、2012年度は1,940人、2013年度は2,114人となっています。それだけ特別支援学級が地域に浸透してきているということだと思うのですが、それに追いついていないのが高等養護学校の整備ではないでしょうか。  今後の道教委との協議がどのような結果になったとしても、札幌市は市の南部に高等養護学校を整備していくべきと考えますが、本市の認識について伺います。 ◎金山 学校教育部長  市南部への高等養護学校の設置につきましては、私ども非常に重要な課題であると認識しております。先ほども申し上げましたけれども、平成29年度までに間口不足が生じるという状況を捉えておりますので、その辺の結論を早急に出してまいりたい、このように考えております。 ◆伊藤理智子 委員  障がいを持つ子どもたち、保護者は、2017年に札幌市の南部に高等養護学校が整備されることを待ち望んでいると思います。道教委との協議が調わないからといって先送りすることがあってはなりません。2017年に高等養護学校を開設させるべきであり、はっきりとここで明言していただきたいと思うのですがいかがか、伺います。 ◎金山 学校教育部長  繰り返しになって恐縮でございますけれども、設置の重要性については私どもも十分認識しておりますので、早急に結論を出せるように進めてまいりたいと思います。 ◆伊藤理智子 委員  ぜひ頑張っていただきたいですし、たとえ交渉がうまくいかなかったとしても、2017年度に高等養護学校が設置されると多くの方々が期待されていると思いますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。子どもたちが通う学校がない、整備がおくれるということはあってはならないことです。既に札幌市に住んでいる4割の子どもたちが市外の学校へ通っている現状があります。障がいのある子どもたちが地域で教育を受け、育つ環境を保障していくことは、本当に急がれる課題です。高等養護学校が2017年に札幌市の南部に整備されると待っている、その期待を裏切ってはならないことをしっかりと肝に銘じて進めていっていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。 ◆小倉菜穂子 委員  私からは、インクルーシブ教育モデル事業についてと学びのセーフティネットについての二つを伺います。  まずは、インクルーシブ教育モデル事業についてです。  札幌市は、2003年、障がいのある児童生徒一人一人のニーズに応じた教育的支援を行うために札幌市特別支援教育基本計画を策定して、この間、全校に学びの支援委員会の設置、特別支援教育のコーディネーターの指名を行うなど、特別支援教育へのさまざまな支援体制の整備を進めてきております。午前中にもありましたが、学びのサポーターの活用や、今、伊藤(理)委員からもありました障がいのある子どもたちの学びというところでは、多くの課題があり、取り組んでいかなければならないことがまだまだたくさんあるのだということを改めて感じているところです。  そうした中、2011年に改正された障害者基本法、また、2013年6月の障害者差別解消法の成立などで、共生社会の実現に向けた法整備が進んでおります。中央教育審議会は、2012年7月に共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進の報告において、障がいのある方の権利に関する条約の批准に向け、障がいのある人が積極的に社会参加するとともに、人々の多様なあり方を相互に認め合う共生社会の実現が今後取り組むべき課題として、教育においては、障がいのある人もない人も同じ場で学ぶことを目指すインクルーシブ教育システムを構築することが必要としています。  そうしたことを受けまして、札幌市は、本年9月、国の委託事業であるインクルーシブ教育モデル事業を開始しております。9月1日には、就学先決定に当たりましても法的な仕組みが改善されたところであります。障がいのある児童生徒が自分で選択した地域の学校で、安心して学び、そして生活することを実現するための取り組みというふうに受けとめております。  そこで、質問ですが、札幌市が委託を受けましたモデル事業の取り組み内容と現在の進捗状況について伺います。 ◎引地 指導担当部長  インクルーシブ教育システム構築に向けたモデル事業の取り組み内容と進捗状況についてお答えいたします。  このモデル事業の取り組み内容は、文部科学省から委託を受け、障がいのある子どもが障がいのない子どもとともに学ぶ上で必要な配慮や工夫の一つである、いわゆる合理的配慮の実践事例の蓄積や校内体制の整備等について研究を行うものでございます。現在の進捗状況といたしましては、小学校、中学校各1校をモデルスクールに指定するとともに、関係機関との連絡調整や校内体制の整備をコーディネートする外部の協力者を配置したところであります。モデルスクールでは、学びのサポーターなどの効果的な活用の方法や、障がいの特性を考慮して視覚的に理解を進めることができるよう、イラストや写真を用いて学習の流れを示したり、教科書などを大きく投影したりするなど、児童生徒の状況に応じた配慮や工夫について検討を進めているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  外部の方を入れたり、イラストや写真などを使った合理的配慮をどんなふうにやるかということだと受けとめています。インクルーシブ教育を目指すために、モデル校、また、それに協力いただいているお子さんや保護者がいらっしゃると思います。そうしたご協力のもとにこの事業が進んでいるのかなというふうに思いますので、そこは大変感謝をしているところです。  冒頭申し上げましたけれども、札幌市は、既に10年間、特別支援教育を進めてきていますが、今でも当事者や保護者の思いとその支援のあり方にずれがあったりする場合があると聞いています。今回のこうしたモデル事業によって、障がいのあるお子さんへのより適切な支援には、何が、どのように、そしてどれくらい必要なのか、そうしたことが明らかになると思いますので、先ほど来、学びのサポーターの拡充とかさまざまな取り組みがありますけれども、そうしたこととあわせて、子どもたちの学校生活に新たな展開があることを期待したいと思います。  この事業は、各モデル校から合理的配慮の事例を集めて国に報告して、その事例を収集し、データ化を図るということだと思います。私は、同時に、この事業で得られた成果を――今、小・中学校で各1校ずつというお話がありました。それを札幌市内の全ての学校のお子さんたちや先生にしっかりと広く生かしていく必要があるというふうに考えます。  そこで、質問ですけれども、今後は、モデル事業の成果を札幌市の子どもたちの教育においてどのように生かしていくおつもりなのか、その点についてお伺いいたします。 ◎引地 指導担当部長  事業の成果をどのように生かしていくかということについてお答えいたします。  札幌市では、これまでも、障がいのある子ども一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援を行うため、各学校における支援体制の充実を図るとともに、地域学習など、障がいのある子どもと、ない子どもが、ともに学ぶ交流及び共同学習の推進に積極的に取り組んできたところでございます。加えて、本事業で取り組んだ配慮や工夫につきましては、実践例として教員研修や各学校への指導・助言などに生かしてまいりたいと考えております。  また、このモデル事業では、全国各自治体の取り組みや成果を国が取りまとめ、実践事例としてデータベース化し、活用できる予定になっております。教育委員会としては、各学校が児童生徒や校内体制などの実情に応じながら効果的に活用できるよう、普及啓発にも努めてまいりたいと考えております。 ◆小倉菜穂子 委員  たくさんある学校の中で2校ということですので、今後、教員の研修などを通じてその事業の成果をしっかりと全ての学校に生かしていっていただきたい、そこのところは本当に重ねてしっかりとお願いしたいと思います。  国のモデル事業ということですから、来年度はどうなるかわからないと思いますが、少なくとも、9月からの実施ということですので、私は、1年を通して――例えば遠足や修学旅行、運動会などもありますね。そうしたさまざまな行事の際の支援についても検証することが必要だと思っております。  また、現在でも、例えば車椅子を利用している子どもや医療的なケアが必要な子どもは、学校設備の問題や専門的な人的支援が困難なことから、なかなか地域の学校を選択できない場合、また、選択しても負担が大変大きな場合があります。教育と福祉や保健、そして医療との連携がインクルーシブ教育のシステム構築の上では不可欠だと思っていますから、そうした点についても今後は検討してください。  それから、この事業の成果を広く市内各校に生かしていくことは重要ですが、事例をたくさん集めても、現実的には必要な支援というのは一人一人違います。また、適切な配慮も、子どもと先生、支援者、学校との関係性の中でそのあり方も違ってくるのだと思っています。合理的配慮の事例を参考にしながらも、パターンに捉われることなく、一人一人に柔軟に対応できる教員や学校であることが何よりも重要だということを申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
     もう一つ、学びのセーフティネットについてお伺いいたします。  本年6月に閣議決定されました国の第2期教育振興基本計画が目指している四つの基本的方向性の一つに、学びのセーフティネットの構築というものがあります。これは、誰もがアクセスできる多様な学習機会ということを掲げまして、さまざまな困難や課題を抱え、支援を求めている者に対して、生涯を通じて多様な学習機会を確保する、また、これを通じて経済的・時間的・地理的制約による教育格差を改善するという今日的な教育課題を解決しようとするものであります。私は、それを見たときに、まさに、自主夜間中学あるいはフリースクール、また、他の部局で行っている子どもへのさまざまな学習支援といったものが学びのセーフティネットであるなというふうに考えました。  そこで、本日、教育委員会に質問させていただくのは、自主夜間中学校である札幌遠友塾についてです。  戦後の混乱などによって義務教育を受けることができなかった方々が学ぶ場として、北海道には公立夜間中学がないことから、道内には自主運営を行う夜間中学が4カ所ございます。その一つである札幌遠友塾は、開設から既に24年が経過しており、その運営や支援は市民ボランティアが担っております。現在、向陵中学校において80人ほどの方が楽しく、そして真剣に学習に取り組んでおられます。また、近年は、不登校やいじめなどにより学校に通うことができなかった若い方がさまざまな世代の中で学び直しをする場ともなっておりまして、その取り組みは高く評価されているところです。  そこで、質問ですが、大勢の市民の熱意に支えられて活動を続けている札幌遠友塾自主夜間中学の存在というのは、通っている人のみならず、現在もさまざまな事情により学ぶ機会を得ることができていない人に対しても、誰でも、いつでも学び直せるという力強いメッセージを発信するものであると考えますけれども、教育委員会の見解をまず伺います。 ◎梅津 生涯学習部長  先ほどの谷沢委員のご質問への答弁と一部重なる部分があるかもしれませんが、札幌遠友塾自主夜間中学に対する教育委員会の見解でございます。  教育委員会といたしましては、生涯学習社会の実現という理念の具体化のため、さまざまな要因から基礎的な学力を習得する機会の少なかった方への支援が必要と考えておりまして、札幌遠友塾自主夜間中学の活動は大変意義深い活動であると考えております。こうしたことから、教育委員会といたしましては、これまで、活動場所のあっせんなどの支援を行ってきたところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  谷沢委員も先ほど丁寧に質問されましたので、できるだけ重ならないようにと思っておりますが、なかなか整理ができませんので、重なってくるところが出てくるかと思って、恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。  今、高く評価しているのだということで、認識を共感しながらお話ができるのかなと思っています。  この間、個別の事項として私が伺ってきたのは、網戸をつけてほしいということです。また、このたび、2階の学習室の前のトイレが改装されたことでとてもよくなったというお話も伺いました。先ほどの質疑にもありましたが、卒業生が小学校に入られたということで、そうした取り組みが徐々に充実していることにつきまして、受講生や支援者は大変喜んでおられると思いますし、それらは評価すべき取り組みだと私も認識しているところであります。  そうした中、現在、札幌市においては、多様な学びを支える環境の充実、また、市民ぐるみで支え合う仕組みづくり、自ら学び共に生きる力を培う学びの推進を柱としまして、新たな教育振興基本計画の素案がまとまろうとしております。  そうした中、私がこの間、注目してきたのは、冒頭に述べましたように、国の基本計画にある学びのセーフティネットという項目が札幌市の基本施策の中にも盛り込まれていることです。これは、札幌市のアクションプランに入っていますが、札幌市の学びのセーフティネットというのは、小・中・高等学校の不登校の児童生徒への学習支援やいじめの問題への対応、就学奨励費や奨学金のことなどとされているようであります。私は、義務教育を経ていない人の学びを支援することこそが学びのセーフティネットの原点であるのではないかというふうに考えまして、ぜひ、ここに札幌遠友塾のような活動を盛り込むべきではないかとずっと思ってきました。なぜ思ってきたかといいますと、現在のアクションプランの整理としてはそうなっていないからです。  国の教育振興基本計画は、学齢超過者に対する教育の場の重要性を掲げて、夜間中学を学びのセーフティネットに位置づけ、加えて、学校以外の学習機会においても、学習の意思のある者が教育機会へアクセスできることが必要として、教育安心社会の実現を図っていくのだとしています。  そこで、質問ですが、札幌遠友塾自主夜間中学の取り組みは国の教育振興基本計画における学びのセーフティネットに相当すると私は考えるのですけれども、その点についてはいかがか、伺います。 ◎梅津 生涯学習部長  札幌遠友塾の自主夜間中学の取り組みが国の教育振興基本計画による学びのセーフティネットに相当するのかというご質問でございます。  国の教育振興基本計画におきましては、学びのセーフティネット構築の施策の一つとして、義務教育未修了の学齢超過者等に対して義務教育の機会を提供している、いわゆる中学校夜間学級を掲げておりますが、遠友塾の取り組みにつきましては、そのまま該当しないまでも、広い意味では含まれるものというふうに思われます。 ◆小倉菜穂子 委員  広い意味では含まれるということです。  先ほど来、札幌市は、生涯学習の視点で遠友塾への支援を行ってきたということです。この間、いろいろとお話をしていて、そのこと自体もなかなかすっきりとしないことがあります。そもそも、生涯学習というのは、義務教育を終えた方が、その後、さらに自分の能力や知識を広げるために学習をするというふうに認識しておりますので、札幌遠友塾の取り組みに生涯学習のところで対応することは本来的に無理があるのではないかなと考えています。これまでも時間をかけながら団体の方などとさまざまな議論はあったかと思いますけれども、私は、この点について今後もより丁寧に話し合いを進めてほしいなというふうに思っています。  今はセーフティネットの話でしたが、文科省にも、例えば自主夜間中学校を自治体の計画の中で学びのセーフティネットに位置づけることができるかどうか伺ってみました。それによると、自治体が参酌すればよいことですということでした。国も自治体任せなのだなということを改めて感じて、じゃ、本当にどちらがやればいいのかという思いを強くしたわけです。  こんな中、この8月には、義務教育に相当する学校教育等の環境の整備の推進による学習機会の充実に関する法律案の議員立法成立に向けて院内集会が開催されて、全都道府県に1校以上の公立夜間中学校開設であるとか、政令指定都市や自主夜間中学校の要望がある自治体への公立夜間中学校開設、また、自主夜間中学への援助等の拡充等を求めています。その際にも、参加した国会議員から、自治体は国がしっかりやらなければと言いますし、国は自治体がもっと声を上げてくれなければと言う、そうした現状が続いているとの指摘がございました。  札幌市議会は、昨年の4定で、全議員で国に意見書を提出いたしました。教育委員会も、支援団体との交渉の場で、整備が立法化されると、夜間中学の設置や援助、また支援がしやすいというふうに述べておられます。先ほど谷沢委員が聞かれましたけれども、私もすごく大事だと思うので、同じ答弁でよろしいですから……(「そんなに遠慮するなって」と呼ぶ者あり)遠慮しなくていいということですので、札幌市議会が昨年の4定において全議員で国に意見書を提出しているように、札幌市教育委員会としても国に強く働きかけるべきというふうに考えますがいかがか、伺います。  また、この間、札幌遠友塾の活動はボランティアで実施されています。本来、戦争等により義務教育を受けられなかった方の学びの支援は、国や自治体が責任を持って行うべきところを、行政にかわってそれを担っている市民団体の活動は保障されることが当然というふうに考えます。例えば、北九州市では、夜間学級運営を自治体と市民団体の協働事業とし、夜間学級の講師を確保するための予算、スタッフの交通費などを助成しているとのことです。札幌遠友塾が学習や活動の内容を充実させるためには、財政的支援は欠かせないというふうに思います。  そこで、北九州市の協働事業化という手法など他自治体の取り組みを参考に、札幌遠友塾への財政的支援が可能となる方策を検討すべきと考えますがいかがか、あわせて伺います。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいま二つのご質問がございましたので、まとめて私からお答えいたしたいと思います。  まず、札幌市議会において国に意見書を提出したことに伴いまして、教育委員会として積極的に国に働きかけるべきではないかというご質問でございます。  これにつきましては、先ほど谷沢委員のご質問に学校教育部長からお答えいたしましたけれども、現状では義務教育未修了者など学習支援を求めている市民ニーズの把握が難しいと考えておりまして、現時点では、国の動きを注視するとともに、必要に応じて北海道と連携を図ってまいりたいというふうに考えております。  もう1点は、他の自治体の取り組みを参考にしながら財政的支援の方策を検討すべきということでございますが、財政的支援につきましても、国や他の自治体の動きを注視してまいりたいと思います。 ◆小倉菜穂子 委員  他の自治体の動きをぜひ参考にしていただけるということでした。私も調べ切れておりませんが、例えば北九州市とか、ほかの自治体でもさまざまな工夫をしているところはまだ数多くあると思います。今、他の自治体を参考にというふうにおっしゃったのはよく覚えておきますので、ぜひ実施していただきたいと思います。  札幌遠友塾は、来年25周年を迎えます。国や自治体、また、私たちもそうですけれども、教育機会を奪われた方々に責任を持った支援をしてこなかったことを重く受けとめなければならないなというふうに今改めて思っております。札幌市では、来年度、新たな教育振興基本計画がスタートする予定ですけれども、札幌市としても、支援団体との話し合いの場をきちんと設置して、今後の取り組みについて検討を続けていただきたいと思います。  また、今回、学びのセーフティネットというタイトルをつけて札幌遠友塾について質問しましたけれども、冒頭に申し上げたとおり、他部局における子どもの学びを支えるNPOや市民団体などの活動もありますし、国は学びのセーフティネットの構築を進めるように求めていることから、札幌市におけるさまざまな支援を体系立てて考えていく必要があると思いますので、今後の検討を要望したいと思います。  最後に、東京大学の李先生という方が研究報告を出しておりまして、札幌遠友塾の方からその一部を資料としていただきました。近年、アメリカ、イギリス、ドイツ、そしてお隣の韓国などでは、成人の識字教育に大変大きな財源を投入して社会的、経済的に厳しい状況にある人の教育に力を注いでいるとのことです。それが、今後、増大が予想されている社会的に困難な方々が、その状態から根本的に抜け出すための近道と考えているということがまとめてありました。教育・福祉的支援は、今や世界の趨勢と言えると思います。札幌市も、ぜひ、そうした観点を持って学びのセーフティネットの構築に向けて取り組んでいただくことを強く求めて、私の質問を終わります。 ◆伴良隆 委員  私は、2項目質問させていただきたいと思います。  一つ目は、保護者からお預かりする学校徴収金について、二つ目は、教育委員会としての学校プールの安全についてであります。  一つ目は、学校徴収金について、学校徴収金取扱要領と手引等がある中で、質問させていだきたいと思います。  私は、代表質問と特別委員会を通じまして、随時、質疑しまして、教育委員会には改善のための取り組みを始めていただき、また、持続していただいていることに感謝申し上げたいと思います。  学校調査につきましては、平成24年度以降、まだ2回目の状況でございますので、大きな変化はないと思いますが、現在の状況についてやはり確認していきたいところですので、順次、質問していきます。  まず、伺います。  平成24年度学校徴収金の実地調査の経緯について、改めて伺います。  また、平成24年度の実地調査を踏まえて、平成25年度現在までの取り組み状況をあわせて伺います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  まず、1点目の学校徴収金の実地調査の経緯についてでございます。  学校徴収金に係る事務執行の実態把握のため、平成24年度から、毎年度、10校程度を抽出いたしまして学校訪問による実地調査を実施して、必要に応じて指導・助言を行うこととしたものでございます。平成24年度は、8月から9月にかけて実地調査を行ったところでございます。  次に、実地調査を踏まえての現在までの取り組み状況についてでございます。  実地調査後の主な取り組みといたしましては、平成25年3月、実地調査の結果、そして、注意すべき項目を各園、各学校に通知しまして、新年度に向けて適正な事務処理に資するよう注意を喚起いたしました。また、その間、学校徴収金事務を担当しております学校業務員、校務助手を対象とした研修会におきまして、経理区分の遵守など、特に留意してほしい点につきまして学校徴収金取扱要領の規定を示して解説を行ったところでございます。さらに、今年度に入りましてからも、教頭や事務長を対象とした学校管理説明会におきまして、管理監督者として適切な経理処理に努めるよう依頼しました。また、新採用の校務助手を対象に、学校徴収金取扱要領の中で特に留意してほしい事項について解説を行ったほか、各種研修会等の機会を捉えて適正な事務処理について説明を行ってございます。 ◆伴良隆 委員  それぞれ調査が行われて、それを各園、各学校の担当者にフィードバックをすることで、そもそもの取り扱い要領の徹底へ歩み出しているといった状況かと思います。  次に伺いますが、平成25年度の実地調査の取り組み状況を対象校の選定方法等も含めて伺います。  あわせまして、調査結果の現段階での傾向と感触を伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  まず、平成25年度の実地調査の取り組みについてお答えいたします。  今年度は、8月末から9月末にかけて実地調査を行ったところでございます。対象校の選定方法につきましては、各区1校、計10校といたしまして、学級数が多い学校や児童生徒の転出入が多いと思われる学校を選定したところでございます。このような学校を選定した理由といたしましては、業務量が多い、あるいは、転出入に伴う事務のふくそう化への対応など、事務の適切さの確認はもちろんのこと、より効率的な事務処理の必要性が高いと判断したことによるものでございます。  次に、今年度の調査結果の傾向についてでございますが、調査対象が昨年度の調査結果の通知前でございます平成24年度の帳簿類でありましたので、一部に立てかえ払いが見られた、あるいは、経理区分に不備があったなど、おおよそ昨年度の実地調査と同じ傾向となってございます。  なお、これらの不備等につきましては、実地調査でのヒアリングで今年度から改善を図っていることを確認しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  さまざまな特性をもとに種別して各校の傾向を捉える努力をされていることが確認できました。ただ、昨年度の実地調査結果とほぼ同じ傾向にあるというふうなことでございました。まだ調査直後でございますので、私はあえて傾向という少しぼやっとした形で聞かせていただいておりますけれども、昨年度と同じ傾向ということにつきましては、ある種、当時から質疑で明らかにされた不適正な取り扱いが散見された状況を裏づけたものということになります。しかし、是正することが大事でありまして、悪いことばかり言っていても前に進まないわけであります。確かに、各学校では問題も多数ある現状ではありますが、決して悪い例だけではなくて、いい例、あるいは見本とか模範となるべき取り組みもあると思いますので、次に伺いたいと思います。  実地調査を通じて、比較的、良好な事例をもとに、よい取り組みがあったかどうか、伺います。  あわせて、今後、その取り組みをどう活用していくのか、伺いたいと思います。  また、来年度も同じく実地調査をきちんと行っていく予定かも最後に確認したいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  まず、実地調査を通してのよい取り組み事例、参考となる取り組み事例についてでございます。  今回の実地調査におきまして、年度当初の学校徴収金に関する保護者への説明方法といたしまして、購入する教材について、教科ごとに名称、業者名、購入時期、金額等を一覧にした見やすくわかりやすい資料を作成し、報告しているという例がございました。このような例につきましては、学校徴収金に対する保護者の理解を深めるとともに、透明性、信頼性を高めるよい事例でございまして、今後、各園、各学校に対する通知、これは、実地調査の結果もあわせてですが、その中で紹介いたしまして、参考とするよう周知してまいりたいと考えてございます。  次に、次年度以降の実地調査でございますが、私どもといたしましては、次年度以降も実地調査を続けていく考えでございます。 ◆伴良隆 委員  実地調査は継続すると改めて断言していただいたわけであります。また、よい取り組みもあったということでございます。やはり、前向きに行かなければいけませんので、これからは、こういった取り組みを通じて、よりよい取り組みは広げていく、そして、皆さん方も取り扱い要領に基づいてきちんと事務処理をしていただくことが大変重要だなと思っております。  そこで、学校徴収金取扱要領をもとにして、現在、多くの項目で不適正な実態が明らかになっているところでございますが、最後に2点指摘いたしますので、ご検討の上、私としては、何らかの形で実行していただきたいと思います。  まず、1点目であります。  保護者が監査をすることは実際に行われているということでございますが、より複数の目で行っていただきたいと思います。学校と保護者の両者でいい緊張感ができると思われますし、先ほど北村委員が違う観点から開かれた学校づくりを論じられました。ご答弁でも、透明性、信頼性というお言葉がございましたけれども、私はこうしたことが信頼される学校の創造に資するものというふうに思っております。  2点目でございます。  取扱要領第25条の校長による会計検査が行われていない小・中学校が散見されています。少なくとも担当事務取り扱いの方々がしっかりとすべきでありますし、取り組み中とのことでもありますが、各学校の最高責任者としての責任がいまだ全うされていない状況は明らかであります。よって、事務担当者だけでなく、校長にも一堂に会するような既存の会議時などを利用して周知徹底していただきたいと思います。  以上の2点でありますが、担当部署としてはとかく大変なご苦労があるとは思いますけれども、より効果的な取り組みを地道に続けていただくことで早く適正な状況が全学校で持続されますように、これからも引き続き頑張っていただきたいと思います。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  次は、教育委員会としての学校プールの安全についてであります。  私は、学生時代にプールの監視員をしておりまして、実際に小学生1人を助け出したこともございます。そういった経験に基づきましてお話をさせていただきます。  水泳中は、体温の低下等もありまして、体力の低下が著しいわけであります。また、体力が比較的低いと言われる子どもたちあるいは高齢者は要注意ということで、監視員をしていたときも、プールサイドを歩いているときからじっと注視しておりました。顔色もそうですし、随伴者がいるかどうかも最初から見ております。  人が溺れるときというのは、語弊があるかもわかりませんが、静かに溺れていくのですね。ばしゃばしゃと手を振って助けを求めたり、声を上げたりすることはできないのです。プールというのは周りに結構人がいるのですが、周りに人がいるからなおさらわかりにくいし、近くに人がいても意外と気づかないことがございます。大体20秒から1分の間に沈んでいくのです。水深が浅いから危険ではないということではなくて、水深が30センチもあれば人は溺死するというふうに言われております。また、溺れている方を助けるときは、つかみかかりますので、非常に危険であります。そういう意味では、助ける側、学校では教員ということになりますが、足がつくということはありますけれども、非常に危険で、技術も体力も必要になると言われています。また、プールサイドにおいては服を着ておりませんから、トラブルがあって転んだりすれば大けがにもつながります。  そこで、私がまず申し上げたいのは、とかく、水は、ここで言うところのプールでありますが、非常に危険な場所であり、安全は確保されていても安全の神話はないという中で質問させていただきたいと思います。市として、いかにプールの安全が確保されているかどうか、これからのより一層の安全確保のための課題は何か、質疑を通じて、大切な子どもの命を失ったり重篤な事案に決してならないように、あえて確認していきたいと思います。  そこでまず、質問でありますが、全国のプールでの事故例から、死亡事故など重大な結果を招く事故もございます。確認いたしますが、学校プールの安全対策を分類するとどのような観点があるのか、伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  学校プールの安全対策を図るための観点というご質問でございました。  これにつきましては、給排水設備やプール槽本体など施設面での安全管理を初めといたしまして、施設の清掃や水質などの衛生面での安全管理、児童の健康状態の把握や水泳学習における注意事項の確認など、水泳指導上での安全管理のほか、万一の事故のための救急体制整備といった観点があろうかと思います。そこで、私どもは、これらの観点に基づきまして、毎年度、各学校のプール担当職員を対象とした説明会を開催しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  整理していただきましたが、まず、一つ目は施設面での安全管理ということですね。もう一つは、衛生面ということでございます。さらに、水泳の指導上の安全管理という部分と、万が一、事故が起きたときの救急救援体制の整備ということでございました。  そこで、私は、排水口を一つの例として挙げたいと思います。  皆さんもご記憶にあると思いますが、2006年、埼玉県ふじみ野市内の市営プールで、管理のずさんさが連鎖して、小学2年生の女児が流水プール内の給水口より地下水路パイプに吸い込まれて亡くなられました。これは溺死ではなく、そこで頭を打って即死されたということです。  そこで、排水口にフォーカスしてお聞きしたいのですが、学校プールの排水口について、安全はどう確保しているのか、業者による点検、学校職員による日常の点検によってどのように安全を担保しているのか、伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  プールの排水口に係る安全対策ということでございます。  プールの排水口につきましては、当該年度の水泳学習が始まる前、そして、終了後におきまして委託業者による点検を行い、不良箇所が発見された場合には速やかに補修を行っております。一方、学校における日常点検に関しましては、先ほど申し述べました説明会におきまして、特に、排水口のふたの固定状況を確実に点検すること、排水しながらの水泳指導は絶対に行わないこと、これらの点などについて指導しているところでございます。  また、各学校には、学校施設の維持管理マニュアルを配付しておりまして、その中で、水泳学習での安全管理を担保するため、プール管理責任者、プール衛生管理者、そしてプール監視員、これらの各責任者を置きまして体制整備を図ることとしております。また、注水前に最終的に確認すべき点検項目、特に先ほど申しました排水口のふたの位置やビスで固定されているかなどの点検項目を定めているほか、設備の仕様、強風時や施設の異常時の対応など、日常の管理において遵守すべき事項も示しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  排水口のふたについては、材質もステンレスであったりして、さびにくい、朽ちにくいものであると聞いております。また、管理・チェック体制も、今のご答弁のとおり徹底されているというお話であります。そういった意味では、基本的に安全は確保されているという答弁を確認したところであります。  ただ、事例としては、情報によりますと、平成25年8月に長崎市の小学校の低学年用プールで、監視体制は保護者を含め3名でしたが、小学2年生の女の子がかがむように歩いていたところ、排水口に足を吸い込まれたため、消防車ポンプにてプールの水を抜き、40分後に救出して、幸い軽症だったということです。これは、吸い込み防止金具は設置されていたということでございますが、いずれにしても危険性をはらんでいるということであります。  そこでまた、事例を出しながらお伺いしていきたいと思いますが、これは、NHKの繰り返されるプール事故という報道でありまして、皆さんもご存じかもしれませんけれども、これをご紹介します。  学校プールで亡くなった児童生徒はこの10年で少なくとも23人に上る、しかし、中には教訓を生かすことで防ぐことができたであろう事故もあったというところから始まりまして、2012年7月30日、京都市内の小学校で1人の女の子がプール教室の最中に溺れ、死亡しました。お父様のお言葉として、守ってやれなくてごめん、そして、お母様からは、すごく楽しみに通っていて、楽しんで遊んでいた学校のプールでこんなことになるとは、この子も夢にも思わなかっただろうというふうなお話がありました。  事故につながる危険性が指摘されておりますが、これは検討状況ということだと思いますけれども、一つが水深ということであります。6年生の競泳大会の練習のため、当時はプールの水深がいつもより20センチ深くなっていたということであります。この子は小学校1年生ですが、京都市教委は、必ずしも深いだけで危険という認識ではなかったと答えております。学校の判断に任されていたというのが非常に強かったのではないか、その点が大いに反省すべき点ではないかということだったそうであります。  さらに、児童が遊ぶためによく大型のビート板がございまして、それも問題になりました。大きな物で1畳ほどもある大型ビート板がプールに浮かべられていて、この子が下に入り込んでしまって水面に顔を出せなくなっていたということで、その危険性が指摘されました。ビート板というのは、普通のビート板では気づかないのですが、大きいビート板になりますと、皆さんもご承知のとおり、表面張力でくっついていて、引きはがすためにはすごく力が必要なのであります。先ほど溺れる方の状況をご説明しましたけれども、そういった方がこういった混乱状況の中で水面に上がれない、しかも水深もあったわけですから、そういったことでは非常に危険だったというふうに言われています。  ここでの核心は、教訓が伝わっていないのではないかということであります。というのは、13年前に東京都杉並区の小学校で起きた事故も非常に似通っていまして、プールの授業中に小学校1年生の女の子が溺れて亡くなりました。プールは、深いところでは女の子の身長を超える水深で、やはり大型のビート板も使われていました。この女の子のお父様が、この報道の中で、やはり同じ事案でよく似ている、結局、また起きてしまった、事故があったことさえ京都には伝わっていなかった、教訓が生かされていなかったと思わざるを得ないと。事故の後、杉並区は、プールの水位を浅くすることや大型のビート板を禁止することを盛り込んだマニュアルをつくったということであります。(「わかった」と呼ぶ者あり)そうですね。  今、とても大事なところなのですよ。京都市は、全国で同じような事故が発生し、その対策がとられていたことを死亡事故が起きて初めて知ったということであります。市教委としては、今までなぜそういった情報が得られなかったのかという思いがあった、本当に申しわけない、残念な気持ちだということであります。長くなりましたけれども、こういったことが報道でもありました。  そこで、質問に入りたいと思いますが、重大な事故の情報収集、学校現場への注意喚起、あるいは周知徹底はどうされているのか、確認したいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  事故事例の注意喚起、周知ということでございました。  まず、文部科学省などから水泳事故に係る通知、指導などがあった場合には、学校にも速やかに通知して周知徹底を図っております。また、先ほど申し述べましたが、私どもで実施する説明会におきましても、施設面での安全指導だけではなく、水泳指導における安全管理についても説明を行っているところでございます。その具体的な内容といたしましては、児童の事前の健康状態の把握、バディーシステム、これは児童が2人1組となってお互いの安全を確認するものでございますが、このバディーシステムの活用による学習の指導、プールの上から全体を監視する指導者の常時設置など、さまざまな観点から児童の安全に配慮して、児童が楽しく安全に水泳学習を行えるよう、周知や注意喚起を行っているところでございます。  さらに、報道等によりましてプールに関する重大事故の情報を得た場合には、先ほど言いました説明会の場、あるいは、随時、通知を行って周知を図ることとしております。 ◆伴良隆 委員  次に、適切な水深の確保でありますが、この安全性はどのように確保しているか、何か課題があるか、伺いたいと思います。  あわせまして、本市の小学校でも、大型のビート板につきましては、個数は別にしまして、校数としては40校から50校が所有していると聞いておりますけれども、使用に際しての危険性も指摘されているところでございますので、使用に当たっての安全性はどのように確保しているのか、将来の検討と取り組みを伺いまして、絶対に安全を確保するという姿勢を改めて伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  プールの水深、大型ビート板の安全確保についてでございます。  まず、水深につきましては、安全確保の観点などから、各学校におきまして、使用学年の児童の体格に合わせて水位を調整しております。また、その際、体格の大きく異なる高学年と低学年の水泳学習の時間が連続しないよう、時間割りの工夫などを行っております。  次に、大型ビート板についてでございますが、これは1畳ほどの大きさのものでございますけれども、その使用につきましては、指導者による監視のもと、水泳学習に活用しております。  一方、委員がご指摘のように、低学年の児童などが大型ビート板の下に潜り込みますと、ビート板を持ち上げられず、また、ビート板に体が張りつき、脱出が困難になるおそれもございます。大型ビート板は、児童が水に親しむ道具でございまして、より安全に使用してもらうため、説明会の機会に、改めて、使用上の注意、特に大型ビート板特有の潜り込みなどによる事故に留意するよう注意喚起を行ってまいりたい、このように考えております。 ◆伴良隆 委員  先ほど私がなぜNHKの話をしたかといいますと、教訓が生かされていないということがポイントだったのです。今、教育委員会の説明としては、確かに、そこは徹底している中で、さらに新たな取り組みとして説明会の機会に注意を喚起していきたいということが追加されたのが明らかになりました。そういう意味では、きちんとその教訓を伝えていくことについてはまだまだ不足していた部分があるということは否めないと思います。そのために、私は先ほどの事例を出させていただいたわけであります。  最後にまとめますが、私は、水深につきましては、適切な水深、これは、足がつけばそれでいいというわけではないと思うのです。また、大型のビート板につきましても、先ほどの件で杉並区は禁止したということでしたが、禁止すればそれでいいわけではないと思っています。なぜなら、教育の中では、ある種の危険性を教えていくことも一つの教育だと私も思っているからであります。そういう意味で、基準をどこに置いていくかというのは大変難しいと私は思っております。一方で国が調査、指導、通知する役割はありますけれども、各自治体は、ここで言うところの本市でありますが、本市としても、道教委と情報の連携をしながら、こうした痛ましい事故で親御さんに苦しく悲しい思いをさせない、そしてまた、教員にもとに戻れない後悔をさせないという意味でしっかりと受けとめていただきたいと思います。そして、安全対策はし過ぎることはないわけでありますから、いま一度、立ちどまって、関係者で、日々、自覚し、共有していただきたいということを私からも改めてお願い申し上げまして、質問を終えたいと思います。
    ◆宝本英明 委員  私からは、A−BANK北海道についてと、校務支援システムと学校のパソコンについて、大きく2点質問させていただきます。  私から、1定の予特におきまして、元コンサドーレ札幌の選手であります曽田雄志さんを呼びかけ人とするA−BANK北海道について、Aはアスリートとアーティストという意味でありますが、教育委員会とスポーツ部など関係する部局が連携を図りながら、トップアスリートを学校に派遣していくことについて前向きに検討していただきたいと要望させていただきました。  先日、テレビや新聞報道等で曽田さんがA−BANK北海道の活動をされているところが紹介されておりました。今回、市内の中学校2校でモデル事業を行ったわけでありますが、1校は体育の授業で3回、もう一校は、部活動で既に2回行っており、1回はこの後行うことになっていて、計3回となっております。私も両校を見学させていただきました。生徒たちは、みんな、目を輝かせて曽田さんの指導を受けていました。このような現役アスリートや元アスリートが学校を訪問して子どもたちに直接指導することで、子どもたちは、高いレベルの技能や戦術等をその場で見聞きして学ぶことができることはもちろん、それぞれのアスリートが持つ競技への強い思いを感じることのできる大変すばらしい取り組みであると思います。それには課題もありますが、私も、見ていて、正直、うらやましいなと感じました。  そこで、先日、教育委員会からもこの指導の様子を視察に来られていましたが、この取り組みについて教育委員会としてはどのように捉えているか、伺いたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  高度な技術を持ったスポーツ選手が学校に出向き、教諭とともに子どもたちに直接指導することは、子どもたちの興味・関心や意欲を高め、その運動種目の楽しさを実感することができるという点で有効な取り組みと認識しております。保健体育の授業で指導する場合には、指導内容や指導の時間、生徒の実態などについてアスリートと教科担任が十分打ち合わせすることが効果的であると、今回の実践を通して改めて認識したところでございます。 ◆宝本英明 委員  現在、市内の中学校においては、運動部活動の数が減少しておりまして、自分の学校に希望する運動部活動がないため、他の部活動に参加せざるを得なかったり、中には、運動部活動に参加すること自体を見合わせるといった生徒が多くいると聞いております。  このような運動部活動の減少の要因としては、少子化による中学校の生徒在籍数が少なくなり、多くの部活動を成立させることができないことなどが考えられます。さらには、同じ部活動を構成したいという生徒が多くても、その競技の専門性を持った教員が学校にいなくて、指導できる顧問を確保できないために部活動が成立しないという場合も聞いております。札幌市においては、そのような状況を解消していくために、運動部活動外部顧問や外部指導者を導入した結果、部活動にある程度の成果が上がっているとのことですが、私は、曽田さんのようなトップアスリートを活用することによって、中学校における運動部活動をより一層振興することができるのではないかと考えております。  そこで、質問ですが、中学校の運動部活動の支援のために学校にトップアスリート、元アスリートや現役アスリートを派遣することについて、教育委員会はどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  中学校の運動部活動へのアスリートの派遣についてお答えいたします。  中学校の運動部活動の指導に高度な技術と豊かな経験を持つアスリート等がかかわることは、見通しを持った指導の継続など幾つかの課題はあるものの、生徒が技能上達のポイントをつかむとともに、部員としての心構えや活動意欲などを一層高め、主体的、積極的な部活動への参加が期待できるものと考えております。 ◆宝本英明 委員  先ほども申し上げましたが、この事業は、教育委員会とスポーツ部の連携がとりわけ重要かと思います。  きょうは、スポーツ部長にお越しいただいておりますのでお聞きしたいのですが、平成24年3月に公表された国のスポーツ基本計画においては、トップスポーツにより培われるアスリートの技術や経験、人間的な魅力は社会的な財産であり、それらを地域におけるスポーツに還元することが重要であるということが明記されております。また、札幌には四つのプロスポーツチームがありまして、他都市と比べても市民がトップスポーツに触れ合う環境が整っていると言えます。また、元オリンピック選手を初め、多くのトップアスリートが在住しておりますので、これらのチームとの連携や人材を活用することでトップアスリートの好循環を生み出し、さらなるスポーツの振興につなげていくことができると思います。  そこで、質問ですけれども、札幌においてもトップアスリートを活用したスポーツ振興を図ることが重要でありまして、その意味では、アスリートによる人材バンクであるA−BANK北海道の活用も有効であると考えますがいかがか、伺いたいと思います。 ◎西田 観光文化局スポーツ部長  A−BANK北海道の活用についてお答えします。  札幌にゆかりのあるトップアスリートは、札幌市にとっても貴重な財産でありまして、これらの方々にご協力いただくことで、市民がスポーツ活動へ参加するきっかけとなるとともに、活動意欲の喚起につながるなど多大な効果があると認識しております。札幌市では、今年度より、地域でのスポーツ活動の推進を目的に、オリンピック出場経験者やトップアスリートを派遣するオリンピアンズキャラバン事業を開始したところでございます。  地域のスポーツ振興を進める上で、地域のニーズに合わせた多くのスポーツ種目に対応する必要がありますことから、A−BANK北海道につきましてもこの事業に活用できるものと考えてございます。 ◆宝本英明 委員  オリンピアンズキャラバン事業の枠で使っていけるという話でした。北海道や札幌には、ウインタースポーツを初めとして多くのアスリートが在住しております。ぜひ、関係する部局と連携を図っていただいて、現役や引退したアスリートを中学校の教育現場、部活動に派遣することについてこれからも前向きに検討していただくことを要望して、この質問を終わりたいと思います。  次に、校務支援システムと学校のパソコンについて伺いたいと思います。  校務支援システムが札幌市内の全校で稼働してから半年が過ぎました。校務支援システムは、教職員の校務に係る負担を軽減し、子どもたちと接する時間をふやすことを目的としておりまして、教育の質の向上につながるものとして我が会派も注視してきたところであります。システムの導入による効果を聞きたいところでありますが、導入当初は、なれないシステムに戸惑ったり、仕事の進め方が変わったことによって、かえって時間がかかったりするなど、目に見える効果が上がるまでには若干時間がかかるのかなと思い、少し長い目で見ていく必要もあるかなと考えているところであります。ただ、余りにも不評であったり、全く使われていないなどといった状況があったら大変な問題かなと思います。  そこで、校務支援システムに対する各校の反応や利用状況はどのようになっているか、伺いたいと思います。  それから、徴収金機能と保健管理機能は年度途中からの導入という話でありましたが、開発の進捗状況、また、稼働の予定はどうなっているのか、伺いたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  校務支援システムの関係で、まず、各校の反応、利用状況についてでございます。  校務支援システムは4月から導入しておりますけれども、導入当初は学校から多くの問い合わせがありまして、中には新しいシステムに戸惑いが感じられるといった反応もございました。ただ、最近は、機能の細かい質問、あるいは確認だとか、積極的な活用に向けての質問、問い合わせが多くなってきている状況でございます。それから、改善が必要という声もございますが、一方では十分使えるという声もいただいておりまして、出だしとしては悪い反応ではないのではないかというふうに考えてございます。  夏休みに各校に利用状況のアンケート調査を行っておりますけれども、スケジュールあるいは掲示板など、学校内で情報共有するための機能が多くの学校で日常的に使われております。それから、通知表については、小学校では約半数、中学校では6割が今年度から使用しております。来年度には、小学校、中学校とも8割の学校で使用を予定しているところでございます。  また、ある学校からは、教職員間の連絡事項は掲示板機能などを活用することによりまして朝の打ち合わせを廃止し、毎朝20分、年に換算すると67時間分ぐらい、子どもと向き合う時間をふやすことが可能になったという報告もございました。このような学校はまだまだ一部でございますけれども、少しでもふやしていきたいなと考えてございます。  それから、二つ目の徴収金機能と保健管理機能の進捗状況、それから、稼働の予定についてでございます。  徴収金、保健管理の両機能とも、開発はほぼ全て終了しておりまして、現在、システムのテストを行っている段階で、今年度中には利用可能な状態になります。年度内は担当者向けの操作研修を実施いたしまして、各校である程度自由に使用できるようにすることを考えておりまして、新年度からの本格的な運用に向けて十分に準備していきたいというふうに考えているところでございます。 ◆宝本英明 委員  余り評判が悪くなく、一定程度、利用されていることと、徴収金と保健管理の機能も順調に準備が進んでいるということで安心するところでありますが、システムは導入したら終わりということではないと思います。どんなにすぐれたシステムでも、導入後には改善に関する声が必ず上がっていくものと思います。こうした声に対応しないシステムは、使われなくなってしまうのではないかと思います。子どもたちの対話の時間をふやすという導入目的を達成するためには、利用者の意見を真摯に聞いて、不便な部分や使いにくい部分があれば少しずつでも改善していき、より利用しやすいシステムにしていくことが欠かせないと思います。  また、教育委員会で行った学校アンケートの結果を見ますと、導入前に比べて校務処理の負担が減ったと回答した学校は、小学校が68校、中学校が19校となっています。それに対して、負担がふえたと回答している学校は、小学校が55校、中学校が35校で、中学校では負担がふえたと感じている学校のほうが多いという結果が出ています。  そこで、質問ですが、この数字を教育委員会としてはどのように捉えているのか、どう改善しようと考えているのか、また、学校からの意見や要望をどうやって吸い上げているのか、その対応について伺いたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  学校アンケートで負担がふえたという意見が多くあることに対する見解、あるいは改善についてでございます。  導入当初は、これまでと業務の流れが変わり、また、システムの操作方法も覚えなければならないということで、どうしても負担がふえたと感じることが原因の一つかなと思っております。特に中学校にそうした声が多いことにつきましては、中学校ではコンピューターが得意な教職員が独自にシステムをつくっていた例もありますので、現段階では、校務支援システムの導入による省力化を余り感じていない教職員も一定程度いるのではないかというふうに考えられるところでございます。ただ、全市共通のシステムになりましたことから、今後、特に人事異動でほかの学校に移った際などには同じシステムで仕事ができることから、利便性を感じる教職員が増加していくものというふうに考えてございます。  しかしながら、校務支援システムそのものの使い勝手の問題により負担感がふえたということも考えられますので、原因の確認とシステムの改善に努めていきたいと考えてございます。  それから、学校からの要望、意見の吸い上げ、対応でございますけれども、学校からの意見、要望は、私どもに電話で寄せられるもののほか、サポートセンターが巡回で全校を訪問しておりますので、そういった際に直接いただくものも多くございまして、これらのもの全てを集約しているところでございます。集約したものを成績関係、出欠関係などの項目ごとにまとめて、必要性、緊急性などを検証し、重要度の高いものから事業者とシステム改修に向けた協議を定期的に行っているところでございます。  このシステムは5年間の契約ですので、すぐに改修することが難しいものについても、たくさんの利用者から意見を聞いて精査して、次回の契約に反映できるように努めてまいりたいと思っておりますし、特に重要で校務の軽減に大きくつながるものにつきましては、少しでも早く改修できるように努力していきたいというふうに考えているところでございます。 ◆宝本英明 委員  現場の意見をしっかりと聞いていただいて、根本的な改修は5年後になるのかもしれませんが、少しの改修であれば急いでできる部分もあるかと思いますので、改善にはしっかりと力を注いでいただきたい、そのように思います。  それから、学校のパソコンについて状況をお聞きしたいと思います。  学校には、大きく分けて、コンピューター教室などで授業に使う教育用のパソコンと教職員が校務支援システムなどの業務で使う校務用のパソコンの2種類があると承知しております。双方合わせて約3万台を超えるパソコンが学校には配備されているということであります。  先日の総務局関係の質疑でも、教育委員会が管理するパソコンの中で、当面、ウィンドウズXPのまま残ってしまうものが1万2,000台余りあるという話がありましたが、その内訳と今後の対応について伺いたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  ウィンドウズXPのまま残るパソコンの内容と内訳と対応についてでございます。  ただいまの委員のお話にもありましたとおり、学校には教育用パソコンが約2万2,600台、校務用パソコンが約9,700台、合わせて3万2,000台を超えるパソコンがございます。教育用パソコンは、主にリースで整備しておりますので、機器更新のときにOSも新たなものになりますが、校務用パソコンは、多くが平成21年度末の国の補助金を活用して購入したものでございまして、こちらは、機器更新ではなく、OSのバージョンアップで対応することとしております。しかしながら、当面は、教育用では1万1,500台、校務用では900台、合わせて1万2,400台がウィンドウズXPのまま残る見込みとなっております。  このうち、教育用パソコンにつきましては、特に個人情報を扱っておらず、また、電源を入れ直すと初期状態に戻るという機能をパソコンに備えておりますし、ウィンドウズXPに対応したウイルス対応ソフトも導入していることから、一定の安全性は確保されているというふうに考えてございます。  また、ウィンドウズXPで残る校務用のパソコンでございますけれども、これらにつきましては、ウイルス対策ソフトに加えまして、外部からのウイルスの侵入や不正アクセスを防ぐためにインターネットやメール等の接続を遮断いたしまして、さらに、USBメモリーなど外部記憶媒体は使用できないような設定にすることなどにより、安全を確保した上で使用したいというふうに考えてございます。 ◆宝本英明 委員  一定の対応がとられているということでありますが、特に、校務用パソコンについては、子どもたちの成績情報など重要な個人情報を扱っているものでありまして、セキュリティー対策には万全を期していただきたいと考えます。  それから、今、機器そのものは平成21年に購入したものという話でしたが、使い始めて4年たっておりまして、ここ数年内に更新しなければ、校務支援システムはできても、それを使うパソコンが古くて使えないといった状況も考えられます。技術の進歩は目覚ましくて、単にパソコンを入れかえるという方法ではなく、ソフトの管理はサーバー側で集中的に行い、一台一台のパソコンは画面とキーボードなど最低限の機能しか必要ないシンクライアントシステムという新しい技術も徐々に一般化しています。このシステムを導入しますと、一定の条件のもと、学校だけではなく、リモートアクセスにより外出先や自宅からでもセキュリティー的に安全に接続でき、仕事を行うことができます。  校務支援システムの導入後、学校でしか利用できないのはとても不便だという声を聞いております。授業準備や成績処理などは子どもたちの下校後に行うこととなりますが、勤務時間内に全てを終わらせられる状況ではなく、家庭の事情などからやむなく自宅で仕事をせざるを得ない先生が多くいるという話もよく聞きます。学校で全て済むのがもちろん一番だと思いますが、それが無理であれば、家でも仕事ができる体制を整えることも教育委員会としての責務ではないかと思います。  在宅でも校務支援システムなどが利用できるリモートアクセス機能を含め、校務用パソコンの更新についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  リモートアクセス機能を含めた校務用パソコンの更新についてでございます。  ただいまのお話にもありましたとおり、使用4年目を迎えております校務用パソコンの更新は大きな課題でございます。さらに、2020年1月には、ウィンドウズ7のサポートが終了になるという話も伝わっておりまして、現在のウィンドウズXPと同様の問題を抱えるということも念頭に入れて検討していかなければならないと思っております。委員がご指摘のシンクライアントシステムは、このようなOSのサポートの問題に捉われることがないため、私どもとしても大変注視しているところでございます。  また、外出先や出張先など、職員室以外の場所でリモートアクセスにより安全に使用できる仕組みを兼ね備えておりまして、個人情報をUSBメモリーで持ち歩く必要もなくなり、セキュリティーの面からも効果が期待できるシステムであると考えておりまして、効果や課題を含め、さまざまな角度から検討を行いたいと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、校務用パソコンの更新につきましては、シンクライアントシステムを含め、どのような方法が最も効果的なのかということを研究いたしまして、できるだけ早く方向性を示していきたいというふうに考えてございます。 ◆宝本英明 委員  ぜひ、ニーズの高いリモートアクセスについての検討をしていだきたいと思います。先ほども申し上げましたが、導入したら終わりということではないと思います。より使い勝手のよいシステムへ改善していっていただいて、児童生徒と向き合う時間をふやすという所期の目的をしっかり達成していっていただきたいと思います。  それから、学校のパソコンについては、新しい技術がどんどん出てきております。調査研究をしっかりしていただいて、入れかえ等々をスムーズに行っていただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。 ◆長谷川衛 委員  私からは、一つは子どもの命の大切さを見つめ直す月間について、もう一つは中学校の運動部活動について、2項目、質問させていただきます。  最初に、子どもの命の大切さを見つめ直す月間の取り組みについてです。  札幌市においては、3年連続で生徒がみずから命を絶つという大変痛ましい出来事が起こっており、教育委員会は、昨年度設置した生徒の自殺に関する調査検討委員会の報告などに基づきながら、子どもの命を守る取り組みを進めていると認識しているところであります。  子どもの命を守る取り組みを進めるに当たっては、やはり、子どもがいじめや虐待から守られたり、かけがえのない自分を大切にしたりすることができるように、改めて、子どもの権利条例における安心して生きる権利、さらには自分らしく生きる権利などの理念を生かした取り組みが重要であると考えます。  今年度、教育委員会では、学校、家庭、地域が連携して、子どもの命を大切にする指導の充実を図ったり、子どもを見守る意識を高めたりすることを目的に、8月末から子どもの命の大切さを見つめ直す月間を設定して、先ごろ、その取り組みを終えたと聞いております。  そこで、最初の質問ですが、教育委員会では、子どもの命の大切さを見つめ直す月間において、子どもの権利条例の理念を生かした取り組みとして具体的にどのようなことを行ったのか、まず最初に質問いたします。 ◎引地 指導担当部長  子どもの権利条例の理念を生かした取り組みについてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、子どもがいじめなどから守られ、適切な支援を受けられるなど、安心して生きる権利が重要と認識し、各学校にも子どもの権利条例の理念を踏まえた取り組みを促しているところでございます。具体的には、いじめのない学校にしましょうなど、子どもへのメッセージを掲載したクリアファイルや、いじめなどに関する相談先の電話番号を掲載したカードを市立学校の児童生徒に配付いたしました。また、市立学校の全保護者を対象に、いじめなどによる子どもの変化に気づき、適切に対応する方法や、日ごろからの親子の対話の必要性などを掲載したリーフレットを作成、配付し、学校、家庭、地域が連携し、子どもの権利条例の理念を踏まえた実践や取り組みが進められているところでございます。 ◆長谷川衛 委員  今、部長から、当面の取り組みということで行ってきたことの説明がありました。これはかわいいクリアファイルですが、高校生がデザインしたのですね。小学生に聞いてみますと、結構評判がよくて、使っているという話でしたし、先生方にも結構喜ばれています。裏も、いじめをなくしましょうと、ほのぼのとしたなかなかいいファイルだと思います。それから、保護者全員に配ったパンフレットは、ちょっと字が小さくてどうかなと思いました。しかし、保護者に聞いてみますと、なかなかわかりやすくて結構参考になりますという評判でございました。今までこういう形での取り組みが余りなかったので、ある意味では非常に新鮮な取り組みかなというふうに思っております。  そこで、もう一つ私が大事にしたいのは学校の実践なのです。これは一つの配付物でしたけれども、本来、子ども同士のさまざまな摩擦にかかわる問題というのは、私は、子ども同士で解決させるのが最も重要で効果もあるというふうに考えています。しかし、子どもたちが主体的に解決に向けて取り組むに当たっては、子どもたちに任せておいてはなかなか力がつきません。やっぱり、周りの大人が丁寧に援助や助言をする、その中で子どもたちが徐々に解決力を身につけていく、これが現実だと思います。だからこそ、学校においては、学級の係活動、小学校で言えば児童会活動、中学校においては生徒会活動、これらを通して子どもたちが集団の中で主体的に取り組む活動を充実させていくことが私は非常に重要だと考えております。  そこで、質問ですが、各学校において、子どもの命の大切さを見つめ直す月間の中で、児童会や生徒会活動など、子どもの主体的な活動に重点を置いた実践としてどのようなことがされてきたのか、伺いたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  学校における子どもの主体的な活動に重点を置いた実践についてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、本月間の実施に先立ち、全市立学校の教職員や保護者等を対象とした生徒指導研究協議会において、命を大切にする指導の具体的な取り組みについて協議を深めるなど、各学校における取り組みの推進をサポートしてきたところでございます。本月間での各学校における取り組みといたしましては、生命尊重など命を大切にする道徳教育などが全ての学校において取り組まれ、特に、児童会、生徒会活動などの子どもが主体的に取り組む活動についても、6割を超える学校において実践が行われたところであります。具体的には、児童会書記局の児童がいじめ防止に関する劇を発表する取り組みや、生徒会が主体となり、いじめ根絶宣言など、意識を高める活動を通してさまざまな実践が取り組まれてきたところでございます。  教育委員会といたしましては、各学校における活動例をホームページに掲載して啓発するなどし、今後も、児童会、生徒会活動など子どもの主体的な教育活動の推進を支えてまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  今、部長から、6割を超える実践例があったということで、割合的にはなかなかすごい割合ですが、私は、やはり月間の取り組みだけでは終わらせてほしくない。月間をもとにして6割が取り組みに踏み込んだとするならば、それをいかに持続していくか、ここを非常に大事にしてほしいなと思います。また、月間以前からなかなかすばらしい実践があります。前にも文教委員会や特別委員会で質問しておりますけれども、やはり掘り起こしてもらいたい。本当にすばらしい実践を結構やっていますので、そういう実践を一つ一つ掘り起こして、教育委員会としても、例えば、それを皆さんに紹介するとか、冊子にして各学校に配るとか、いろいろな方法があると思いますので、ぜひ日常の取り組みを大事にしていただきたいというふうに思います。  次の質問に入りますが、中学校の運動部活動についてです。  先ほど、我が会派の宝本委員から、A−BANK北海道の活用という観点から部活動について触れました。私からは、部活動の意義、また、現在持っている課題、現状を中心に質問していきたいと思います。  学校における部活動が、子どもの心身の発達に大きな影響を与える有意義な活動であることは、私自身も長く学校部活動にかかわってきた経験から実感しているところであります。しかし、社会情勢や家庭環境の変化に伴い、部活動も、生徒数の多かった時代と少子化が進む現代では随分様子が変わり、多くの課題を抱えていると認識しているところであります。  現在、学校現場では、本務であります授業や教材研究のほかに、いじめや不登校などへの対応、地域からの要望、家庭へ行っての保護者へのさまざまな対応、さらには多様化する食物アレルギーへの対応、各種研修会、きょうもこの委員会の中でたくさん質問が出ました。教師はこれをやるべきだ、あれもやるべきだ、こういう研修も積むべきだとたくさん出ました。やはり、今日的課題がたくさんありますから、教職員もそれらに対応していかなければならないことは当然だと思います。しかし、多忙をきわめているということは、教育委員会の皆さんも既に周知のことと思います。  そうした学校の置かれている状況の中で、日々の放課後練習に加え、さらには土・日や祝日も活動する部活動は、顧問への負担が重くのしかかっているのが実情であります。こうした学校の多忙化や少子化による学校規模の縮小、教職員の減少等が重なり合い、部活動がどんどん縮小してきています。具体的には、新規の部活動の設置や、単独の学校では部活動を継続することが困難な場合も出てきています。その一方で、保護者からは、新しい部活動をつくってほしい、さらには、今ある部を存続させてほしいなどという要望が出され、学校の現状と保護者の認識に大きな隔たりがあり、これはゆゆしき事態であります。  そこで、最初の質問でありますが、札幌市における部活動の現状について、教育委員会ではどのように認識されているのか、まず伺います。 ◎引地 指導担当部長  中学校の運動部活動の現状についてお答えいたします。  生徒数の減少により、運動部活動の加入生徒数は年々減る状況にあります。一方で、学校の規模が小さくなり、教員定数が減少し、それに伴い、部活動を引き受ける顧問教諭も不足していることから、各学校に設置される部活動の数も減っている状況にあります。  教育委員会といたしましては、各学校における部活動の存続や運営等について多くの課題があるというふうに認識しております。 ◆長谷川衛 委員  具体的な課題はたくさんありますけれども、多くの課題があるということは部長も認識しているということでありました。  学校の顧問教員というのは、時間的な制約、それから、専門性等の難しさと向かい合いながらも、生徒一人一人が魅力ある学校生活を送るためにはどうしたらいいかと、それぞれが創意工夫をしながら部活動の振興に努めております。  しかし、言うまでもないことでありますが、意外と誤解されているのは、この活動は勤務時間外がほとんどでありまして、いわゆる本務外活動であります。それぞれの職業には本務と本務外がありますので、いわゆる本務外活動としての労働ですから、顧問を強要することにはならない。これは、ごく当り前のことであります。では、どうしてここまで部活動というのが延々と続けてこられたのかということですけれども、これは、続けてこられたというよりも、私も新卒のときからずっと部活動の顧問をしてきました。多いときには100人ぐらいの生徒が部活動に入ってきたこともありますし、種目によって人気のある年だとかがさまざまあります。私は、ソフトテニスという運動部の顧問をずっとやってきましたが、一時期、本当に人気のあるときは100人以上いました。ですから、コートの中では活動させ切れませんが、何とか子どもたちが満足して帰れるようにさまざまな工夫をした覚えがあります。  ただ、どうしてやってこられたのかとよく考えてみると、やっぱり学校の協力体制がありました。ほかの先生も、顧問でなくても応援してくれました。それから、保護者が非常に温かく支援してくれて、余りチームを強くしろとか、そんな指導ではだめだなんていう注文はほとんど言われたことがありません。むしろ、言われたのは、先生、格好が汚いねと。私は、当時、3人の子どもがいて貧しかったものですから、運動着が余り買えなかったのですが、そういうところまで配慮してくれる温かさもありました。そういうさまざまな要因で何とか部活動が維持されてきた。しかし、実は、30年前から結構議論があったのです。本当にこのままやっていけるのかどうかと、そういう状況もあったということをまずここで確認しておきたいと思います。  そこで、二つ目の質問ですが、こういう状況の中で顧問を引き受ける教員が不足していたり、部活動をする生徒が減少して、チームが成り立たなくなったりしている現状を踏まえて、教育委員会としてはどのような取り組みを行っているのか、改めてお聞きいたします。 ◎引地 指導担当部長  教育委員会の取り組みについてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、顧問教諭の確保が難しい学校に単独で指導、引率等ができる外部顧問を派遣し、運動部を継続するように努めているところでございます。また、学校では、顧問教諭をサポートするため、専門的な技術指導のできる外部指導者の協力を得るなどしており、教育委員会としても、こうした外部指導者に対し、傷害保険を適用するなどして支援をしているところでございます。  加えて、部員数の不足などを理由に中体連等の大会に参加できない部があることについては、複数校での合同チームを希望する学校を集約し、チームとして成立するよう支援しているところでございます。 ◆長谷川衛 委員  今、部長から答弁されたのは、工夫の中身として、当面、外部指導者、外部顧問など、フォローするためのさまざまな取り組みを行っているということでありました。しかし、これは、あくまでも一時的な対処の仕方だというふうに私は思います。ただ、今置かれている現状がこうですから、一時的にでも何とかしていかなければなりません。  そういう中で、教員が顧問をなかなか受けたがらない一つの要因は、受けたら任せっきりにされてしまう、そして、自分は専門性を持っていない、これがほとんどです。急に何々部を持てと言われて、情熱で、持っていいですよと言うけれども、実際には専門性を持っていない先生が多いのです。そのときに、先輩も含めて、仲間同士でどうやって補佐していけるのか、指導力を磨いていけるのかということになりますが、実はここもまた欠けていて、任せっきりにしているのではないかなという思いがあります。  その点で、教育委員会として、今後、その部分の取り組みについて具体的に何か考えがあれば、お聞かせ願いたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  今後の取り組みについてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、これまでも、指導にかかわる顧問教諭、外部顧問、外部指導者を対象に、毎年、研修会を開催し、指導力の向上と部活動の活性化を図ってきたところでございます。今年度の研修会では、競技経験がない種目を指導する顧問教諭が少なからず各学校にいることから、特に学校組織全体で運営する体制のあり方等の内容で実施する予定でおります。加えて、学校や札幌市中学校体育連盟などとも協力を得られる外部指導者の情報を共有しながら、その有効な活用のあり方について働きかけてまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  最後に、要望というか、意見になりますが、副市長もおりますので、ぜひ聞いていただきたいと思います。  今、引地部長からるる答弁がありましたけれども、先ほど言いましたように、今のやり方ではどちらかというと対症療法的であります。札幌だけではなくて、全国的な状況を見ますと、やはり、学校部活動はもう限界に来ているのですよ。このまま維持するのは無理だというのは、全国のどこでも言われているのです。じゃ、どうするかということで、今、スポーツにかかわる方々、大学の先生方も含めて、さまざまな方々がいろいろ提案していますし、研究しています。その主なものは、やっぱり社会体育へ移行せざるを得ない。すなわち、スポーツクラブへスムーズにどうやって移行するかということしかないだろうと言われているのです。  文科省も、総合型地域スポーツクラブの振興と言って、地域にお任せしています。つまり、学校では限界だというのは文科省も認めているのですよ。そうだとすれば、この間、スポーツ部ともずっとやりとりしてきたのですが、当面は、地域のスポーツクラブと学校部活動がどのようにスムーズに連携してやっていくか、そして、将来的にはスポーツクラブに移行していく、こういうシステムをつくるしかもうないのです。ですから、少なくとも札幌市はそのモデルということでもう手がけていかなければならないなと思いますので、ぜひ、プロジェクトをつくってやっていただきたい。  なぜかというと、スポーツ部に言うと、必ず教育委員会だと言うのですよ。教育委員会に言うと、大きいところはスポーツ部だとなるのですよ。そうではなくて、スポーツ全体のことですから、ぜひ、プロジェクトを組んでやっていただきたい。このことを求めて、質問を終わります。 ○三宅由美 委員長  以上で、第1項 教育委員会費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月18日午後1時から、市民まちづくり局のうち地域振興部及び市民生活部関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後3時40分...