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平成25年(常任)文教委員会−09月20日-記録

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  1. 札幌市議会 2013-09-20
    平成25年(常任)文教委員会−09月20日-記録


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    最終取得日: 2021-04-26
    平成25年(常任)文教委員会−09月20日-記録平成25年(常任)文教委員会  札幌市議会文教委員会記録            平成25年9月20日(金曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時 ○井上ひさ子 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項ですが、本日審査を行います陳情第51号の提出者から資料の提出がございましたので、お手元に配付しております。  それでは、議事に入ります。  最初に、陳情第51号 「いじめ防止条例」制定に関する陳情を議題といたします。  陳情第51号は、本日が初審査ですので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時1分       再 開 午後1時20分     ―――――――――――――― ○井上ひさ子 委員長  委員会を再開いたします。  それでは、質疑を行います。 ◆三宅由美 委員  私から、今回のいじめ防止条例制定の陳情にかかわり、幾つか質問していきたいと思います。  いじめに関しては、昨年の議会でも大きく取り上げられまして、国においては、去る6月にいじめ防止対策推進法が成立したところです。また、北海道教育委員会におきましてもいじめ防止条例を制定しようという動きがあります。そんな中で、私は、今、いじめに関して一番問題なのは定義がはっきりしていないことだと思います。いじめられたと思えばいじめだというようなことが広く行き渡っているのですが、果たしてこれでよいのかということをいつも疑問に感じてまいりました。  まず初めに、市教委にお尋ねいたしますが、教育委員会においていじめをどのように定義しているのか、お聞きいたします。 ◎引地 指導担当部長  私から、いじめの定義についてお答えさせていただきます。
     これまで、文部科学省いじめの調査の際に示していた定義では、いじめとは、当該児童生徒が一定の人間関係のある者から心理的、物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているものとされております。本年6月に公布されましたいじめ防止対策推進法の第2条に示されておりますいじめの定義については、これまでの文部科学省の定義をほぼ受け継いでおり、心理的または物理的な影響を与える行為の中にインターネットを通じて行われるものも含めて、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものと規定されております。  教育委員会といたしましては、この定義を踏まえてまいりたいと考えております。 ◆三宅由美 委員  そういった中で、やはり、いじめアンケート調査でも、いじめられた子どもの多くが、悪口を言われたとか、陰口を言われたと、これがいじめだとなっているのですが、私たち大人も含めまして、悪口を言ったことのない人は果たしているのでしょうか。ほとんどの人が陰口を聞いたことがあると思います。学校の中だけでこれをいじめとして、さらに処罰まであるというのは、果たしてこういう方向でいいのかということが大きな問題です。  警察庁いじめの定義は、犯罪にかかわることなので、こういう定義だとは思いますが、いじめとは、単独または複数の特定人に対し、身体に物理的攻撃または言動によるおどかし、嫌がらせ無視等心理的圧迫を反復、継続して加えることにより苦痛を与えることを言うとなっております。いじめというのは、繰り返し、反復継続で、さらに、物理的攻撃傷害罪のようなもの、おどかしは脅迫ですね。嫌がらせもそうです。こういった中で、子ども学校で居場所がなくなる、集団的ないじめにも発展する、あるいは、友達を装いながら使いっ走りをさせるなど、たくさんの形態がありますけれども、私たち学校教育の中でどこを見ていかなくてはならないかということについて少しお話ししていきたいと思います。  私は、先日、ノルウェーで幾つかの学校の視察に行って、大きな感銘を受けて帰ってきました。この中で、まず、そうだなと思ったことは、ノルウェーでは、いじめという言葉は決して使わないということでした。人間が集まる集団の中では、摩擦や対立は必ず起きます。この摩擦や対立をどのように解消し、人間関係を修復していくのか、学校教育ではこのことに重きを置いているということでした。子どもたちの社会だけではなく、生涯にわたり、人として生きていく上では、さまざまな人とさまざまな場面で摩擦や対立は生じるものであり、その時々で適切に対処し、人間関係を修復しながら前に向かっていくことこそが大切であるという観点から、学校教育においてしっかりとしたシステムが確立されていました。  特に、子どもたち同士の対立が起きたときに、子どもたち自身で解決する学校仲裁制度ということで、ロールプレーも含めて、授業時間もちょっと潰しながら、仲裁員になった子どもたちの行動を半日にわたってしっかりと見せてくださいました。そこで、私が感じたことは、こういう手法を学校教育の中でぜひ実現してほしいということでした。私は、これこそ、子ども権利条例を持つ札幌方式として広めていただきたいと思ったところです。  中央中学校では、生徒会を中心に、いじめ防止対策生徒自身が取り組んでいく芽がようやく出てきたのですが、私は、このことを大切にしていきたいと思います。  ノルウェーで見せていただいた中で、仲裁員最上学年の7名の子どもたちでしたが、先生から指導を受けながら、随分人気があって、自分がなりたいという子はたくさんいるのですが、そういう中から選抜されます。また、最上学年のもう一つ下の学年から選ばれる仲裁員の見習いという制度があって、1年下の学年はその仲裁員とともに行動しておりました。  その中で見たのは、休み時間は15分しかないのですが、中休みなどは外で遊びなさいということで、子どもは、全員、教室から出されてしまいます。それは真冬でもですかと聞いたら、もちろんだということでした。緯度がかなり高いので、真っ暗な雪の中ですが、子どもは外で遊びます。その間、仲裁員は、当番制で3人ぐらいの組になって、わかりやすいジャケットを着て学校を巡回します。また、きょう遊ぶ友達がいないというときに集まる広場がありますが、ほかの仲裁員は、そこで一緒に遊んでいました。すると、小さい子がみんな寄ってくるのですね。それを温かい目で見守りながら、楽しい学校づくり子どもたち自身が取り組んでおりました。  長くなって申しわけないのですが、その中では人間教育が何よりも大事だということでした。一番は自信を持つことです。自尊の感情を育てること、それから、相手の尊厳を守ること、共感して支え合うこと、そして、楽しい学校をつくる責任は子どもたち自身にもあるのだということでした。  一方、我が国では、いじめ防止条例を制定することでいじめを防ごうとしておりますが、先ほどのご答弁によるいじめの定義では、解釈によっては、いじめられたと感じた子どもいじめだと言えばいじめになってしまうように捉えられるのではないかと思います。子ども人間関係を気まずいものにするだけではなく、子どもコミュニケーション能力を育てることにもならないと私は思っております。定義が曖昧な中でいじめが大きく拡大解釈されれば、親にも子どもにも先生にも混乱を与えるのではないかと思っております。  ノルウェーの言葉をかりれば、子ども同士に摩擦が生じて対立したときには、それをどう解決するかをみずからが考えて、子どもたち同士の中で解決する道筋を経験すること、これが教育であると思いますし、社会に出て本当に役に立つことだと思っております。  そこで、質問ですが、学校教育において、一人一人の子どもが友人との摩擦をみずから解決していくことなどを通して、人間的な強さを身につけるような経験を積ませることが子どもに生きる力を育てていくことにつながると私は考えますがいかがか、お伺いします。  また、子ども未来局にもお尋ねしたいと思います。  札幌市には子ども権利条例とこれに基づく子ども権利に関する推進計画がありますが、これらに沿って、子どもの世界の摩擦がいじめに発展しないように、どのように人権教育人間教育に取り組んでいくおつもりなのか、お聞きしたいと思います。 ◎引地 指導担当部長  子ども同士の対立をどのように解決していくかについてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、まずは、子ども同士の心の結びつきを深めるような学校学級づくりにより、子どもたち相互人間関係が豊かになることが重要であると考えております。その上で、子ども同士のトラブルなど、さまざまな問題を自分たちで解決していく力を身につけていくことも大切であると認識しております。そのために、児童会生徒会活動など、学校内の諸問題を解決する子どもたちの自主的な活動を支援するとともに、ピアサポートなど、子ども同士が互いに支え合い、助け合う教育活動を積極的に取り入れるよう各学校に働きかけているところでございます。今後も、こうした取り組みを通して生きる力を育み、子どもたちが楽しく学校生活を送ることができるよう、各学校を支援してまいりたいと考えております。 ◎浦屋 子ども育成部長  子ども権利条例とその推進計画についてお答えさせていただきます。  子ども権利条例では、子どもにとって大切な権利として、自分の権利が尊重されるのと同じように他人の権利を尊重しなければならないとうたってございます。子どもたちがさまざまな活動を通してこれらの子ども権利を学ぶことによって、他の子どもとの摩擦や対立が生じるようなことがあっても、これに対応する力を身につけることができるというふうに考えております。そこで、子ども権利に関する推進計画では、あらゆる機会を捉えて子ども権利条例を広報、普及するとともに、子どもが参加する機会を確保しておりまして、今後ともこの活動を充実させていきたいと考えております。  また、昨年度に子どもアシストセンターで扱った全相談件数の2割強が友人関係の悩みでございまして、センターではこれらの問題を解決できるように個別の支援を行っているところでございます。今後も、計画に基づくさまざまな取り組みを通しまして、摩擦や対立がいじめに発展しないように対応していきたいというふうに考えております。 ◆三宅由美 委員  最後に、保護者向けリーフレットで、かけがえのない子どもたちのためにというものが全家庭に配られたと思いますが、これは非常によいことだと思います。学校だけではなく、社会全体で取り組まなければならないことですので、いいことだと思いますが、やはり、定義がはっきりしていない中で、いじめの形態とか、どういうことがかかわってその子が追い詰められていったのかとか、保護者向けにそういうことを勉強する機会もあったらいいのではないかと思っております。  警察庁では、犯罪ですからしっかりと厳しく定義しておりますが、加害者に対する教育もしなければならないという立場の中で、少し曖昧な点があるのも理解できます。しかし、定義はもうちょっとはっきりしていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。 ◆金子やすゆき 委員  簡潔に、何点かご質問させていただきます。  先ほど陳情者の条例の案にもありましたが、実際にいじめが行われていて、それに学校あるいは教職員が加担しているということは、基本的にはあってはならないことだと思いますけれども、もしそういうことが発覚した場合にはどのような処分が下されるのか、まず、今の仕組みと、そういう処分が下された事例があるのか、もしわかればお答えいただけますでしょうか。 ◎金山 学校教育部長  教職員の事例に関しましては、私どもで懲戒処分指針というものを持っておりますので、その指針に照らし合わせまして、もし非違行為があれば、その状況をつかまえながら対処してまいりたいというふうに思っております。  また、いじめという観点での対応は、今のところはございません。 ◆金子やすゆき 委員  いじめでの処分はないという話がありましたが、ここ数年で発表されている教職員懲戒処分の中では、実際に先生が子どもに手を下したケースがあったかと思いますけれども、それは今のものには含まれていないということですか。 ◎金山 学校教育部長  懲戒処分をする中で、子どもに何らかの危害を加えるような場合には、私どもとしては体罰調査委員会というものを持っておりますので、その中で調査しながら職員に対する処分等を考えております。その中で、今おっしゃったいじめという観点のものは、私どもとしては押さえておりません。 ◆金子やすゆき 委員  私は、どちらも同じようなものかと思うのです。子どもたち同士いじめているのはいじめだし、先生がいじめたら体罰で違うのだということですが、子どもが受ける心の傷は同じだと思います。ですから、そういうふうになってしまうのはいかがなものかと思いました。  それから、いじめの解釈は、今申し上げたように、みんな、それぞれ考え方が違う面もあるのですね。また、被害を受けたほうでは加担した、黙認したと思っていても、加害者のほうではそう思っていないというケースがあると思うのです。  これはあらかじめお伝えをしていないので、もしかしたらお持ちではないのかもしれませんが、現段階で、教育委員会としてはいじめだと受けとめていないけれども、被害者から、学校も加わっていじめが行われているというような相談が実際にあるのか、あれば、大体でも構いませんのでその件数を教えていただけますか。 ◎引地 指導担当部長  子ども同士いじめに関する相談等については、中身が複雑あるいは多様な部分がございますので、そのケースによって私どもでいろいろ対応させていただいておりますが、具体的な件数については特に把握しておりません。ただ、いじめ問題行動等調査の中ではいじめについての数等は把握しておりまして、平成23年度の集計ではおよそ600件をいじめの件数として学校は認知しております。 ◆金子やすゆき 委員  今、600件ぐらいという数を教えていただきましたけれども、その中で、学校がそういったことに加わっているという指摘を受けているものの割合とか数は把握しておられますか。 ◎引地 指導担当部長  その点については、把握してございません。 ◆金子やすゆき 委員  そうすると、一般的には余り考えられないケースだろうと思うのですけれども、もし学校の先生がそこに加わっているというような指摘が保護者からあったとすれば、それについては真摯に対応してくださると考えてよろしいのでしょうか。 ◎引地 指導担当部長  先ほども申し上げさせていただきましたけれども、個々の案件については、教育委員会学校と連携し、保護者当該児童の話も聞いて、事実確認もしながら丁寧に対応させていただき、その子ども学校生活を楽しく送れるように進めていきたいと私たちは思っております。 ◆伊藤理智子 議員  いじめから子どもを守ろうという思いは誰もが一致できることだと思います。しかし、その対策については、今、法律もできましたが、学校現場など、子どもたちにかかわる方たちからはいろいろな考え方や意見が出されているというふうに思いますけれども、一番考えなければならないのは、やっぱり子どもたち権利生存権をどう守っていけるかということだと思うのです。  特に、先ほどの議論でもありましたけれども、子どもたちは、成長・発達していく過程で、友達との人間関係でぶつかり合い、自分の思うようにいかないことや、それぞれが違う考え方、受けとめ方をするなど、たくさんのことを学んで育っていくと思います。そのぶつかり合いの中で、いじめに発展していくことがあると思います。いじめは、子ども成長途上で誰にでも生じ得るものであり、第一義的には教育の営みとして解決していくことが基本だと思います。条例で罰則を設けることが必ずしもいじめの解決につながるとは思えません。いじめが起こったら、まず、学校教職員が力を合わせて協力して対応すること、保護者や地域とも連携して、子どもの人権を尊重しながらかかわっていくことが求められると思いますし、札幌市ではそれぞれの学校での実践をまとめたすばらしい教育実践もされておりますから、そういうものと連携して広めながら対策を講じていくことが重要だと思います。  また、いじめ子どもにも、なぜいじめてしまったのか、その事情をよく聞いた上で、いじめをやめさせるとともに、人間的に立ち直れるよう愛情を持って支えることが必要です。特に、この経済状況のもと、子どもの貧困が広がる中で、愛情を持って育てられなかった子どもたちや、過度な競争など、子ども権利委員会から指摘されたような学校現場の厳しい現状もある中で、子どもたちが非常にストレスを抱えながら日常生活を送っているというのが実態だと思います。  そこで、こうした教育的な配慮がいじめを深刻化させずに解決していく上で非常に重要だと思うのですがいかがか、伺います。 ◎引地 指導担当部長  いじめの解決に向けた個々の子どもへの教育的な配慮についてお答えいたします。  いじめは、どの子どもにも起こり得るものであり、いじめている子、いじめられている子、その周囲にいる子など、子どもたちのそれぞれの状況に応じていじめの解決に向けた指導や対応を行うことが重要であると認識しております。各学校においては、担任はもとより、養護教諭スクールカウンセラーなども含めた学校組織全体で子どもの様子を共有するとともに、きめ細かなアンケート調査を実施するなどして、一人一人の子どもの状況を把握し、いじめ早期発見早期解決に向けて丁寧に対応しているところでございます。  教育委員会といたしましても、いじめ防止等に関するリーフレットを全家庭に配付するなどして、学校が家庭や地域と連携して子ども一人一人を大切にした、いじめに対する取り組みを着実に進めていけるよう働きかけているところでございます。 ◆伊藤理智子 議員  罰則では、いじめが陰湿になるばかりで、解決には向かわないというふうに思います。先生たちも、罰則があるとなると、萎縮して本当に子どもたちにかかわっていけなくなります。子どもたちも、上から罰則を受けるようなことになると、陰でいじめが起こって、本当に深刻化するまで気づかなくなると思うのです。  ですから、防止のための条例をつくるよりも、今ご答弁にありましたようなさまざまな対応をされながら、本市の子ども権利条例学校現場でも地域でも生かされ、実践されることが非常に大切だと思います。いじめが起こったら、早期に発見できるように教員の多忙化を解消していくこと、教職員が一致団結して連携協力して対応できること、保護者や地域の協力、スクールカウンセラースーパーバイザーなど、子どもたちの相談に寄り添える専門的な支援をふやしていくことが、いじめを深刻化させずに解決していくために最も大切なことだと考えます。  教育委員会は、いじめを深刻化させずに、しっかりと対応していけるように、学校現場や地域、社会などで教育環境をどう充実させていくのかということに力を尽くしていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。 ○井上ひさ子 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  それでは、陳情第51号の取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いは、いかがいたしますか。  (「継続」「採決」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  継続と採決とに意見が分かれておりますので、改めてお諮りいたします。  陳情第51号を継続審査とすることに賛成の委員の挙手を求めます。  (賛成者挙手) ○井上ひさ子 委員長  賛成多数であります。  よって、陳情第51号は、継続審査と決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時47分       再 開 午後1時48分     ―――――――――――――― ○井上ひさ子 委員長  委員会を再開いたします。  次に、市立札幌開成中等教育学校についてを議題とし、資料に基づき、理事者より説明を受けます。 ◎金山 学校教育部長  私から、市立札幌開成中等教育学校につきまして、教育内容入学者決定方法をご説明申し上げます。  資料1をごらんいただきたいと思います。  こちらは、市立札幌開成中等教育学校における教育内容の全体像をまとめたものでございます。上段中央に、基本構想において定めた育てたい生徒像、育てたい力、育みたい心を記載しております。育てたい生徒像として、6年間の連続した学びを生かして、札幌で学んだというアイデンティティーを持ちながら、将来の札幌や日本を支え、国際社会で活躍する知・徳・体のバランスのとれた自立した札幌人を育てるとしております。これを踏まえて、中段以下左から順に、中高一貫教育の特徴である6年間にわたる見守り、6年間を通した学びの連続性、幅広い異年齢集団による学び合いの3点に分けてこの学校の主な取り組みをまとめております。  まず、中央の6年間を通した学びの連続性をごらんください。  この学校の一番の特徴は、各教科の学習の欄にある課題探究的な学習に全ての学年にわたって取り組むことです。課題探究的な学習とは、実験、観察、調査や討論、発表などに取り組む中で、基礎的、基本的な知識、技能の定着と思考力判断力表現力等の育成を図る学習スタイルでございます。この課題探究的な学習に発達の段階に応じて一貫して取り組むに当たり、指導区分を2年ごとの基礎期充実期発展期に分け、それぞれの到達目標を明確にしております。基礎期においては、小学校卒業段階子どもたちがこの課題探究的な学習にスムーズに取り組むことができるよう、探究、コミュニケーションスキル等の習得に重点を置きます。充実期においては、次第にそのスキルを活用する機会をふやす中で、みずからの興味・関心や適性を自覚し、今後の学びをデザインできるようになることを目指します。そして、自分の興味・関心や進路に応じて教科を選択できる単位制を採用する発展期においては、みずからデザインした学びに興味を持って主体的に取り組む中で生涯にわたって学び続ける意味を実感し、将来をみずからの力でデザインする、すなわち、将来、自分が社会で果たすべき役割を具体的に思い描き、卒業後の次なる学びのステージへつなげていけるように育んでまいります。  このような課題探究的な学習を支える学習として、各教科の学習の欄の下にありますように、学校設定教科科目を開設し、探究、コミュニケーションスキルの確実な習得や知識への興味・関心の向上を図るとともに、本物に触れ、本物を体験する活動などを取り入れた進路探究学習を充実させ、みずからの学びや将来のデザインに資することとしております。  次に、こうした学びを支える学校体制についてですが、中段の左側の6年間にわたる見守りとしまして、中ほどにありますように、中高一体学校運営を行うこととし、中高の教員が一体となって全ての生徒を見守ったり、基礎期充実期においては2人の担任による学級運営を行ったりすることなどを考えております。また、資料右側の幅広い異年齢集団による学び合いとしまして、生徒会活動などは一つの組織として学校行事等に取り組んでまいります。また、開成の伝統との出会いとしまして、学校名だけではなく、校章、校訓、校歌についてもこれを継承し、開成高校50年の歴史の中で各方面で活躍されている諸先輩方の支えもいただきながら、地域などに学び、多様な価値観に触れる機会としたいと考えております。  このように、この学校では、6年間、一貫して課題探究的な学習に取り組むことを柱としておりますが、そうした学習を支える環境として、資料の一番下に示している内容を検討しております。特に、右から二つ目にあります国際標準の教育プログラムとあります国際バカロレア、IBにつきましては、このプログラムが異文化に対する理解と尊敬を通じて平和でよりよい世界の実現に貢献できる若者の育成を目指した課題探究的な学習のプログラムであり、この学校が目指す教育理念と同じ方向性であることから、教育手法としてこのIBプログラムを活用してまいりたいと考えております。また、一番右にありますICT環境の整備につきましては、無線LAN環境やタブレット端末の導入などが学校全体を学びの場とし、生徒全体の学習活動を進めていくために有効でありますことから、導入を検討してまいりたいと考えております。  以上が、市立札幌開成中等教育学校における教育内容の全体像でございます。  次に、入学者の決定方法につきましてご説明いたします。  資料2の市立札幌開成中等教育学校の入学者決定に関する基本方針をごらんください。  こちらは、7月23日の教育委員会会議におきまして決定した内容でございます。  まず、1としまして、基本構想の育てたい生徒像を踏まえて、基本的な考え方を3点定めております。  まず、丸の一つ目は、みずから学ぶことへの興味・関心が高いこと、課題を解決するために必要な学齢相当の思考力判断力表現力等を身につけていることなど、中等教育学校での学校生活に対する適性について総合的かつ公正に評価し、入学候補者を選考することとしております。次に、丸の二つ目は、公立の中等教育学校については学力検査を行わないものとすると規定されている趣旨を踏まえまして、受験競争の低年齢化を招かないよう十分に留意することです。最後に、義務教育段階を含む成長の著しい6年間を一貫して見守ることを踏まえて、男女比についても配慮することとしております。  次に、2の入学者決定の方法でございます。こちらは、小学校卒業後に入学する新1年生に関する選考方法等について定めております。  2の入学候補者の選考についてをごらんください。  選考方法ですが、まず、1次検査としまして適性検査を実施し、その結果と調査書の内容により募集人員の3倍、480人以内までを1次検査通過者として選考いたします。次に、この1次検査通過者に対して2次検査として個人面接を実施します。適性検査の結果と調査書の内容、個人面接の結果を総合的に勘案し、入学候補者を選考いたします。最後に、裏面3の入学予定者の決定についてでございますが、入学候補者に対して男女別に公開抽せんを行い、入学予定者を決定いたします。  なお、4のその他の(3)に記載しておりますとおり、今回の入学者決定方法については、開校当初に相当数の志願者が見込まれる状況等も考慮して決定したものですので、数年間の実施状況を踏まえまして検証していくことを定めております。  次に、3の移行期間における4年次編入学の取り扱いについてです。  1の基本的な考え方にありますように、高校入学枠減少の緩和などを目的に、開校から3年間に限り、4年次への編入学を認めるものであります。このため、3の編入学予定者の決定方法についてのとおり、市立高校の入学者選抜に準じて行うものでございます。  以上が、入学者決定の概要でございます。 ○井上ひさ子 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆佐々木みつこ 委員  ただいま、いよいよ来年度に開校を控える札幌初の公立中等教育学校における教育内容及び入学者決定方法の基本方針についてお伺いしました。  平成11年の制度化による、全国中高一貫校スタートから、まさに約15年おくれのスタートでございます。本市の中学校における選択肢の多様化としては遅いスタートになりますが、15年といえば、全国ではさまざまな工夫と研究がされ、日本及び国際社会に人材を輩出し始めているところであります。ぜひ、この15年のおくれを取り戻すべく、札幌の開成中等教育学校には、全国に負けないグローバルリーダーを輩出してほしいと非常に期待しているところでございます。  その中で、きょうの説明で入学者の決定が最終的には抽せんで決定されることについて少なからず疑問を感じますので、質問させていただきます。  1次検査で募集人員の3倍以内に絞り、さらに2次検査として個人面接を実施し、2次検査の通過者を対象に公開抽せんを実施するという入学者決定方法考え方について、まず、お伺いします。 ◎金山 学校教育部長  入学者の決定に当たりましては、課題探究的な学習を中心としたこの学校の学びの特徴に対する適性を十分に踏まえて選考することが重要である、このように考えております。開校当初は相当数の志願者が見込まれることから、2段階による選考を行うこととし、1次検査として適性検査と調査書により3倍以内まで選考することとしたものであります。また、2次検査の結果、一定の適性を有すると認められる児童については、順位づけを行わず、全て入学候補者とし、その中から誰が入学してもよいという考え方から、公開抽せんにより男女各80名を選考することとしたものでございます。 ◆佐々木みつこ 委員  適性重視であるということで、1次検査で3倍以内に絞ったとはいえ、2次検査を通過した子どもたちは全てが候補者で一定の適性を有すると。最終的には、私は納得性が高いと思う順位づけではなく、抽せんにより運で決まってしまうのはいかがなものかと考えます。  今回、札幌に初めて公立の中等教育学校が開校することで、親子とも新たな選択肢と目標ができたと一生懸命に頑張っている姿を日々目にいたします。私は、その頑張ってきた子どもたちが、その努力を正当に評価されて、胸を張って入学できるような入学者決定方法であるべきと考えます。調査書に加え、適性検査と面接をやる以上、多少、倍率が高くなることは考えられますが、1番から160番までの順位ははっきりとつけられるはずであり、その順位は中等教育学校に入学したいという熱い思いを胸に頑張ってきた子どもたちの努力の成果のたまものであると考えます。その努力、意欲、熱意と成果を順位どおりに評価し、子どもたちはこの学校にふさわしいのだという誇りと自信を持たせて入学させることが、入学後の学ぶ意識の差にもあらわれてくるのではないのでしょうか。  ところで、公立の中高一貫教育校は、先ほど申し上げましたように、15年を迎えています。併設型と一体型を加えまして、52の自治体により既に103校が設置されていると伺っています。  そこで、質問ですが、これら52の自治体、103校のうち、現在、どの程度の自治体が抽せんを実施しているのか、お伺いします。 ◎金山 学校教育部長  現在、公立の中高一貫教育校を設置している設置者につきましては、委員からお話がありましたように、52自治体がございます。そのうち、抽せんを行っているのは、7自治体、11校であると押さえております。 ◆佐々木みつこ 委員  ただいまございましたように、わずか7自治体です。実施率はわずか15%にも満たないことになり、まさに少数派でございます。私が伺ったところによりますと、103校のうちの12自治体は開校時に抽せんをしていたところ、諸々の問題があるということで取りやめにしたとのことです。  ことし、文教委員会で視察に伺いました京都の西京高校でも、自分は検査で選ばれて突破したといった場合と、抽せんで選ばれたという場合では、6年間の学校生活に対し、子どもの意識の差が大きいという分析を踏まえ、平成25年度から抽せんを取りやめにしたとも聞いております。抽せんの上、不合格になった層からは、不合格の理由に納得がいかないという声も受けたと伺っています。子どもの意識や気持ち、立場を第一に考えた場合、入学後の子どもの意欲に差が出るような話は無視できないのではないかと思います。仮に検査結果で合否が決定するのであれば、力及ばず不合格になった子どもにとっても、正々堂々と勝負した結果であるということで、逆に力不足を認め、次は高校受験で頑張ろうという意識になるのではないでしょうか。  抽せんの導入は、既に教育委員会会議の中での決定事項ということではございますが、できるだけ早い時期に見直しをして、抽せんを取りやめ、子どもが納得する入学決定方法に早期に見直すべきと思いますが、今後の考え方についてお伺いします。 ◎金山 学校教育部長  今回の入学者決定方法の基本方針につきましては、決定に至るまでには教育委員の中でさまざまな視点から検討してまいりました。最終的には、受験競争の低年齢化を招かないという法令の趣旨などを踏まえまして、さきの教育委員会会議で決定したところでございます。
     基本方針においても、入学者決定方法のあり方については、数年間の実施状況を踏まえ検証することとしており、今後、抽せんの取り扱いも含めまして検討してまいりたいと考えております。 ◆佐々木みつこ 委員  最後になりますが、15年おくれでスタートする札幌が、なぜ全国の先行事例に学ばなかったのか、非常に疑問に思います。ぜひ早期に見直しをしていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆長谷川衛 委員  私からも、何点か、項目に分けて質問させていただきます。  最初に、入学者の決定方法についてです。  今、佐々木委員からも意見を交えながらさまざまな質問がありました。私は、この15年間というのは、決しておくれているとは考えておりません。というのは、この間、議会でも何回かにわたって質問してまいりましたけれども、札幌中高一貫教育校を取り入れるべきかどうか、随分長い間、議論してきました。やはり、さまざまな意見がある中で、何を目指していくのかが大きな焦点だったと思います。  個人的なことを言うと、私の出身校でありますので非常に複雑な思いでこの間の議論の推移を見て、さらには自分も参加もしてきましたが、札幌では中高一貫校としてどういう学校を目指していくか、あくまでもやっぱり札幌らしい学校をつくっていきたい、札幌人の育成というテーマのもとに札幌独自のものをつくっていきたい、そんな思いの中でここまで来たと私は思っています。  私たちの会派でもかなりの時間をかけながら何回か議論してきましたけれども、その中で一番大きい観点は、受験教育の低年齢化という問題で、これは何としても克服しなければなりません。他府県の一貫校の状況も随分見てきました。連携校や併設型などさまざまな一貫教育校を視察をしてまいりましたけれども、残念ながら、最初の理念と現実とのギャップというのでしょうか、やはり受験競争になっているという現実も見てきました。私たちとしては、低年齢化を防ぐという大前提の中でオーケーを出し、ここまできたわけですから、この大事な部分をまずはしっかりと踏まえていただきたいということです。  6年間という長いスパンですから、この中で人を育てていくことを考えますと、特に小学校卒業時から高校卒業時までの6年間、いわゆる第2次性徴期から一番難しい思春期を含めて、この6年間をどういうスパンで考えていくかというときに、小学校卒業時の6年生児の能力を本当に見抜けるかどうか、僕らの会派ではここを随分と議論してきました。後で質問をしますけれども、適性検査や5年生からの評価も加味するということでしたが、6年生のその時点の評価が、その後の6年間、子どもを育てていくという観点でのスパンを考えたときに、変わらないものなのかというと、僕らの経験では、小学校卒業生は大きく変化する時期ですから、どうやって変えていけるのかということがむしろ教育で、本当に育てていく、そこが非常に重要だというふうに私たちは考えています。  そんな意味で、私たちの会派では、以前から抽せんも何らかの形で取り入れられないものかという意見がさまざま出てまいりました。そういう意味では、今回出された選抜方法については、私たちは一定程度評価しております。  そこで、確認の意味で質問いたしますけれども、なぜ、高校入試の場合のように点数順に上位から選抜するのではなく、適性を評価した上で、最終的には抽せんで選ぶことにしたのか、この過程です。佐々木委員の質問に一定程度は答えておりましたけれども、さまざまな議論があったと思うので、その過程も含めてもう一回確認させていただきたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  今回の入学者決定について、最終的に抽せんで選ぶことにした過程についてお話しいたします。  中等教育学校の入学者決定は、小学校卒業段階の児童に対して行うものであり、学力検査を行わず、学校の個性や特色に応じて多様で柔軟な方法で選考を行い、受験競争の低年齢化を招かないよう十分に留意すること、これが法令にあります。この法令の趣旨を踏まえまして、開校当初は相当数の志願者が見込まれる状況も加味すると、この段階で順位づけを行うことは望ましくないのではないか、札幌教育委員会としてはこのように考えております。  市立札幌開成中等教育学校の入学者決定に当たっては、先ほど佐々木委員にもお話ししましたけれども、課題探究的な学習を中心としたこの学校の学びの特徴に対する適性を十分に踏まえて選考することが重要である、このように考えたところであります。このため、適性検査、調査書、個人面接により、その適性をしっかりと評価し、一定の適性を有する児童についてはその全てを入学候補者とした上で、その中からどの児童がこの学校に入学してきてもよいという考え方に基づき、最後に公開抽せんを行い、入学者を決定するとしたものでございます。 ◆長谷川衛 委員  状況については、多分、相当議論したと思いますし、さまざまな議論があったと思います。希望者数がどのぐらいになるかはまだわかりませんけれども、多いからやるということではなくて、今後の6年というスパンを見る上で、点数だけでは見られない要素を取り入れる観点が大事だと思いますので、その辺はぜひ踏まえていただきたいと思います。  次に、選考方法についてお聞きします。  今回、適性検査と調査書、最終的には個人面接による選考だという話が先ほどありました。私が危惧するのは、あくまでも小学校6年生ですから、長時間拘束しない、児童の負担が多くならないような配慮を十分にしていただきたいというのは当然であります。  あわせて、選考資料として三つを採用するということであれば、それぞれの選考資料で見るべき適性の観点がさまざま違うと思うわけです。調査書は、今は絶対評価でございますから、調査書と言ってもどの程度の差が出るのかは私にはわかりませんが、それも参考にする、そして、適性検査も、どんな検査にするかは非常に大事でありますけれども、ここの兼ね合いでどの程度の重みをなすのかも非常に大事だと思います。いずれにしても、入学後は6年間というスパンで育てていくわけですから、その最低限のところで選抜すると。最低限というのは、中に入ってからミスマッチが起きないような最低限という意味でございますけれども、その辺は十分に配慮して選んでいただけると思います。  そこで、ちょっと細かくなりますが、1次検査で調査書と適性検査の両方を見るというお話でしたが、どのような比率で考えているのか、あわせて、なぜそういう比率になったのかを含めてお伺いしたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  今のご質問にありました1次検査における調査書と適性検査の比率につきましては、今後、他都市等の実施状況などを調査研究して、その取り扱いについては検討してまいりたい、今はこのような段階でございます。 ◆長谷川衛 委員  これからより具体的な議論がさまざまになされると思いますけれども、慎重に時間をかけてやっていただきたいというふうに思います。というのは、比率によっては随分と違うと思うのです。極端に言うと、2対8なのか、半々なのかで全く変わってきますので、その辺は十分慎重に扱っていただきたいと思います。  次に、3点目になりますが、教育内容についてお聞きしたいと思います。  私たち会派でも随分と視察してまいりましたし、私個人でも視察をしてまいりました。視察した学校の中には、6年間というスパンでやっているので、早い時期にやるべき教育内容を終わらせてしまって、前倒しでどんどん実施して、1年ぐらいを残してそれを受験教育に充てているという学校が結構ありました。それを聞いたときに、私は、そういう学校は予備校なのか、予備校のための中高一貫校なのかというふうに感じたのです。それであれば、6年間を一貫して教育するという意味合いが非常に薄れてしまうと私は思うのですよ。やっぱり、一番最初の基本理念のところで、何のために6年間をかけてやるかというところがあれば、多分、こういうことにはならないだろうと思うのです。  開成中等教育学校は、独特なカリキュラムでこれから子どもたちを育てていきたいということでありますけれども、一般の進学校では、どちらかといいますと、高校2年生で私立文系、理系、国公立文系、理系などに分かれて教育しております。聞くところによると、今はかなり早い段階で分けて専門的に受験対策をしている学校も多いと聞いておりますが、この辺についてはどういうふうにしていこうとしているのか、私は危惧するところです。  もう一つは、受験科目に関係のない教科をとらない生徒も結構いるようでして、本来であれば、しっかりと学ばなければならないのに、受験のために早い時期から選択教科に絞られて偏ってしまっている例も見られます。  そこで、質問でありますが、開成中等教育学校においては、先ほどもありましたが、幅広い教養を身につけることができるようなカリキュラム編成をしていると思います。そうだとしたならば、具体的にどのようなカリキュラム編成を考えているのか、お聞かせください。 ◎金山 学校教育部長  教育内容についてのご質問かと思います。  この学校につきましては、基礎期充実期では、全員が、共通のカリキュラムに基づき、同じ教科科目を学習することとしております。さらに、発展期におきましても、文系、理系のコースを設けず、単位制を活用して、生徒が、みずからの興味・関心や進路に基づき、主体的に学習していけるように多様な選択科目を開設する予定でございます。また、発展期を含む後期課程におきましては、理科、数学、英語に特色を持たせた専門学科を設置し、自然科学だけではなく、社会科学も含めた広い意味のサイエンスをテーマとして学習を行うこととしてございます。あわせまして、6年間を通して本物に触れ、本物を体験する進路探究学習に取り組むこととしており、このような幅広い学びを通して生涯にわたって学び続ける力を身につけていくことができると考えております。 ◆長谷川衛 委員  最後になりますが、教育プログラムについてお聞かせください。  先ほども国際バカロレアのプログラムを取り入れるという話がありました。先ほどの説明の中に、開成中等教育学校では、実験、観察、調査、討論、発表という基礎的な知識、技能の定着、それから、思考力判断力、表現力の育成を、非常に重点に置きながら課題探究学習を6年間行っていくということで、これが最大の特徴であるというお話がありました。私も教育にかかわってきて、自分はどうだったのか、課題を探究しながら子どもたちに教えてきたのかと言われますと、時には教えてきましたけれども、時には惰性で教えてきたことも結構あるのです。課題探究を、毎時間、設定して教えることになれば、努力も結構必要だと思います。確かに、先生方の中には、特に理科の先生方に大変多いのですが、しっかりと課題設定しながら、毎時間、しっかりしたプログラムを組んでやっている先生も現実にはいます。ですから、中身が深く、これをやり切れたら大したものだと私は考えております。そんな意味では、ぜひ、大事に育てて、ほかには例のないプログラムだと思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。  そこで、今回、あえて課題探究的な学習を進めるツールとして、先ほど言ったIB、国際バカロレアプログラムを取り入れることを検討している理由についてお聞かせください。 ◎金山 学校教育部長  国際バカロレアのプログラムを取り入れる理由についてでございます。  中等教育学校が目指している課題探究的な学習の充実につきましては、今、委員からお話がありましたように、これまでも市内の学校において取り組んできておられる先生方がいらっしゃいます。それぞれの授業においてすぐれた取り組みを行っている事例も承知しております。この学校においては、6年間を通して、全ての教科において学校全体として課題探究的な学習に取り組みたい、個々人の先生の授業だけではなく、学校全体として課題探究的な学習に取り組むということです。それを考えたときに、この学習を支えるツールとして、課題探究的な学習の手法を用いた国際標準の教育プログラムとして評価されている国際バカロレア、IBのプログラムを活用していきたいと考えたところでございます。 ◆長谷川衛 委員  最後に、要望でございますが、先ほど入学者決定方法の中の適性検査についてです。  適性検査と簡単に言いますが、全国を視察したときにも適性検査の用紙をもらってきました。さまざまな学校のものを見せていただきましたが、これが適性検査かというようなものも結構あります。いわゆる全くの受験問題というのも結構ありました。ですから、ここで狙っているもの、開成中等教育学校が目指しているものを考えたときの適性検査の問題は、おのずと一般の受験の問題にはならないだろうと思いますので、十分に工夫していただきたい、そのことを求めて、私からの質問を終わります。 ◆涌井国夫 委員  私から、2点質問したいと思います。  一つは、今もお話がありましたように、入学候補者の選考基準についてであります。  課題探究型の方向で進めていく中でこういうふうにしたということでしょうけれども、どうしてもひっかかるのは最後の公開抽せんです。これはどういう方法なのか、詳しく教えていただきたいと思います。  それから、最初に1次検査として適性検査を実施して、調査書により募集人員の3倍以内までを通過者として選考する、そして、面接で絞っていく2次検査ですね。あとは、総合的な判断で入学者を決定するのが普通ではないかと思うのですけれども、それぞれの目安といいますか、どのぐらいの規模になるのでしょうか。例えば、公開抽せんでは200名中160名になるものなのか、40名ぐらいは運がなかったということで諦めざるを得ないのか、そうした目安をどのぐらいで考えているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  まず、抽せんの方法についてのお話がありましたけれども、これは現在検討中でございまして、方法についてはこの後に決めていきたいと思っております。  それから、2次選考に当たっては、先ほどもお話ししましたけれども、適性検査と調査書により、この学校教育内容に適性を持った者を選びますので、それが何人になるかということはそのとき志願してくる子どもの状況によります。何人ということではなく、その時々の状況によって変わってくると思います。 ◆涌井国夫 委員  それでは、募集人員の3倍以内までを1次検査通過者として選考するということですが、3倍という基準はどこから来たのですか。 ◎金山 学校教育部長  2次検査で個人面接を行いますので、物理的、期間的なことを考えますとある程度の人数に絞らなければ面接検査ができません。子どもたちに何日も強いるということではなくて、一定期間の中で選考することを考えまして480名という数字を出したところであります。 ◆涌井国夫 委員  選考して3倍以内に抑えられることが可能であれば、公開抽せんはなかなかなじまないのではないかというふうに私も思います。  中身については今後いろいろと検討していくということでございますが、やはり、200人が集まって最終的な抽せんで20人には運がなかったというのはちょっと考えられませんし、何となく違和感がありますので、検討いただければと思います。  それから、2点目でございますが、中等一貫教育は、我が会派としても全力で取り組んできた経緯もあります。その中で、段々のお話がありましたけれども、国際バカロレア、IBの活用について質問いたしたいと思います。  国際バカロレアは、基本的には認定校となっているはずだと聞きましたが、将来、活用から認定校になるのは可能なのかどうかということをお聞きしたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  これは、あくまでも、国際バカロレア機構に申請を出して、その中で教育内容などが認定されますので、その内容に沿ったものであれば、多分、認定されると思います。ただ、これについては、今の段階では認定されるかどうかわかりません。 ◆涌井国夫 委員  活用から認定校を目指すという方向に進めていきたいと思っていらっしゃるのかどうかということです。 ◎金山 学校教育部長  認定校を目指しているということは、そのとおりであります。 ◆涌井国夫 委員  国際バカロレアは、フランスでナポレオンの時代にでき上がった最高学府の大学入学選考試験だと聞きました。札幌出身の国際人をぜひ育てていってもらいたいものだと強く念願しているところでございます。  開成中等教育学校から卒業された方が、海外の大学に行くなり、国内の大学で活躍している姿を思い浮かべて大変楽しみにしておりますので、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ◆小倉菜穂子 委員  私から、2点質問させていただきます。  先ほど来、選考方法に関して説明と質疑がありまして、学力テストを行わないこととか、公開抽せんはどうかというお話もありましたが、詳細についてはこれからのところもあると伺いました。中高一貫校についてのこれまでの長い議論の中では、やはり競争の低年齢化というのは一つの大きな留意点としてずっと取り上げられてきたと思いますので、これから先に検証しながらということでありましたが、私は、今、提案されているこういう選考の仕方をぜひ生かしてチャレンジしていっていただきたいと思っています。  私からは、入学者選考のもう一つ前の段階になってしまいますが、この間、中高一貫教育について保護者の方にアンケートをされた経緯もあって、そのときに大変期待も大きいことがわかりました。また、けさほどはバカロレアについての新聞報道などもあったものですから、札幌市の中等教育学校がそれに取り組むことに対して、期待もさらに一層大きくなっているのではないか、注目度が上がっているのではないかなと思います。  その一方で、この学校を選択するときに、小学生が選択するということなので、ついつい保護者の意向が優先されやすいと私は強く感じますし、危惧しているところです。今ありましたような授業の内容も含めて、小学生が6年先までを見通すのは本当に難しいと思います。そういう点では、どこの学校に行こうかと考えるときに、親が先行してどんどん決めてしまうのではなく、自分が行きたいと思えるようにぜひわかりやすく説明して、また、親が勧めても自分では違うと判断できるようにもしていただきたいと思うものですから、その情報提供の工夫がとても大事ではないかなと思っています。  そこで、今後、子ども保護者が中等教育学校への進学を検討するに当たり、私は、特に子ども自身が学校のことをよく理解して選択できるようにすることが重要だと思いますけれども、その点についてはどのようにお考えになっていて、どんな取り組みをされようとしているのか、伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  この学校を選択するに当たって、子どもが状況をしっかり理解して選択してほしいというご質問だったかと思います。  このことにつきましては、市立札幌開成中等教育学校に進学を希望する児童にこの学校の特色をよく理解した上で選択してもらう、このことが大事だろうと思っております。そのためには、各家庭におきまして子ども保護者がしっかりと話し合いをできるよう、今後、開催する説明会等におきまして、保護者はもちろんのこと、子どもたちにもこの学校を具体的にイメージしてもらえるようなパンフレット等の表現や説明内容を工夫して子どもに伝えてまいりたい、このように考えております。 ◆小倉菜穂子 委員  パンフレットなども工夫されるということです。私がこの紙を見てもなかなか難しいと思いますけれども、6年生の子どもが理解しながらやっていくのは本当に困難だろうなと思うので、工夫を凝らして丁寧に説明していただきたいと思います。また、保護者の方にもそのあたりをじっくりとお伝えいただければと思っています。  選考を通って入学した後、子どもがこの学校は合わないなということもきっとあると思うのです。そのときは、途中で進路を変えることもあるだろうと思います。それはいいと思うのですが、できれば自分の想像どおりの学校だと感じながら6年間を有意義に過ごしてほしいと思いますので、子どもが主体的に選択できるように十分に配慮して情報の提供などに取り組んでいただきたいと思います。  もう1点ですが、中等教育学校の公立学校としての役割について伺いたいと思います。  近年の厳しい競争社会の中で、子どもたちの学びもそうした時代に翻弄されていることを、この間、危惧してきました。知識だけを詰め込んだり、テストの点数など、競争に駆り立てることが学ぶことの楽しさを失わせて、学ぶ意欲の低下を引き起こす要因の一つであると考えます。  そうした中、先ほど来ありますけれども、6年間を通した学びの中で、子どもたちがグローバル化等の社会の急激な変化に対応できる力を身につけるために、受験の準備に偏ることなく、学ぶ力そのものを育成する学校であって、そのために、先ほどありました国際標準の教育プログラムのバカロレア、課題探究のフレームの活用などによって柔軟な思考力判断力を養うということになっております。公教育において、じっくりと物事に取り組めるということは、新しい教育の視点として評価できるものだと考えています。また、公教育であるからこそ、中等教育学校に通う子どもたちだけのためにこうした取り組みがあるのではなく、この学校での課題探究的な学習等の成果について、そこだけではなく、さまざまな成果が上がってくると思いますが、それらを札幌市内の地域の中学校や高等学校に通うどの子どもの学習にも生かされなければならないと考えています。そのことが、公立学校として中高一貫教育学校の特色ある教育に取り組む意義や役割であると考えます。  そこで、質問ですけれども、中等教育学校におけるこれからの実践の成果をほかの市立学校へどのように還元しようとしているのか、伺えればと思います。 ◎大友 教育研修担当部長  私から、中等教育学校の成果をほかの市立学校に還元することについてお答えいたします。  先ほどからもありますように、中等教育学校では、6年間にわたって、全教科、全ての学年において課題探究的な学習に取り組むこととしております。この中等教育学校取り組みについては、学校が行う公開授業や札幌教育研究推進事業での研究や研修、また、札幌教育センターが実施する教員研修等を通して各市立学校の教員に実践例を提供することで市内の各学校へ広めていくことができ、各学校での課題探究的な学習がより一層充実するものと考えているところでございます。それによりまして、札幌市の子どもたちの学ぶ意欲や思考力判断力表現力等の学ぶ力の育成に貢献できるものと認識しているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  学ぶ意欲は本当に大事だと思いますが、そこに生かせるプログラムなのだということを繰り返しお話しいただいておりますので、そこは大変期待したいと思っております。  この学校では課題探究的なカリキュラムが一貫してありますけれども、それを全市に還元するとき、市内のほかの学校では、カリキュラムの組み立ては全く同じではないので、そのまま取り入れるのはやはり難しい面もあろうかと思うのです。ですから、教職員の皆さんの協力や連携などをしっかりとしていただきまして、本市全体の子どもたちの学ぶ意欲向上に向けた取り組みとなりますことを求めて、私の質問を終わります。 ◆金子やすゆき 委員  何点かご質問をさせていただきます。  今いろいろな話が出ておりましたけれども、教育内容では国際標準の教育プログラムを導入していくという話でした。課題探究的な学習を取り入れていくということで、先ほどの涌井委員のご質問への答弁でもありましたけれども、究極的には国際バカロレアの認定校を目指していくのだ、チャレンジしていくのだという大変熱い決意も伺ったところであります。国際バカロレアの資格を学校として取りますと、卒業生は、国際バカロレアの資格が取れるということで、この資格を取ることによって、国内の大学だけではなく、世界中の大学にチャレンジしていくことができるものだと聞いておりますので、大変すばらしいことなのだろうと思います。今まで、受験競争というと、一流の高校に行って、一流の大学に行って、社会では一流のところに行くのだということでしたが、そういう当たり前の形とは全く違う絵を描いていただいたということで、札幌市の子どもたちにとっても大変夢のある話ではないかと思うわけであります。  そこでまず、国際バカロレアの関係でお聞きしたいのですけれども、そのようなニーズとして、保護者や生徒、あるいは市民から今までどのような期待が寄せられていたのか、伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  現在、国際バカロレアに対しては、市民や保護者への直接のニーズ把握はしておりません。 ◆金子やすゆき 委員  市民からのニーズがないというのは、今お話を聞いて驚きを隠せません。国際社会で活躍する子どもたちを育てる、また、国際バカロレアの認定校を目指していくからには、それなりの組織づくりが必要だと思うわけであります。きょうの新聞にも出ていましたが、授業はほとんど英語で行っていくということとなれば、英語で行える先生の確保も必要であるという課題もあります。そこまで苦労してこの制度にチャレンジしていくわけですから、市民からの期待が余りないのだということは少し心もとない気がするところです。  そこで、海外の大学を受験できる資格を取ることはいいですけれども、問題は、資格を取ってからどこにチャレンジしていくのかというところだと思うのです。バカロレアの資格を取れば、ハーバードでもオックスフォードでも受けることはできるのでしょうけれども、受からなければ先に進んでいくことができません。ですから、卒業資格を取ってから次のステップへ進んでいくあたりの体制はどのようにやっていただけるのか、お聞きしたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  国際バカロレアのプログラムにつきましては、MIPというミドルの部分と、DPという、中等教育学校でいうと発展期の部分の二つに分かれております。そのうちのDPというカリキュラムの中で、全てがIBの資格を取るということではなく、あくまでも希望する生徒がそのカリキュラムの中でやっていくことになります。ですから、海外だけではなくて、当然、国内に進む生徒にとってはDPの資格を取らなくてもいいわけです。そういう意味では、それらを含めて、学校体制の中で教員体制をつくり、DPの資格を取る子どもへの対応、そうではない生徒への対応を学校体制全体の中でつくっていくことになると思います。 ◆金子やすゆき 委員  私の質問で舌足らずな部分があったかもしれません。児童生徒の中でDPを目指さない生徒もいるのだろうと思うのですけれども、私がお聞きしたかったのは、DPを目指して資格を取り、さらに、卒業後に世界に羽ばたいていきたいという子どもにきちんと指導できるような体制は考えておられるのか、そのあたりの仕組みをお聞きしたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  認定校とするに当たりましては、教員の研修が必要になってまいります。各教科の研修はもちろんのこと、IBのプログラム全体をコーディネートするコーディネーター向けの研修、さらには管理職向けの研修、あるいは、特定の教員の参加を義務づけている研修など、各種の研修制度が設けられております。その研修を受けた教員により、校内の研修会などの機会で授業研究を通した交流などによって全ての教員の資質を高めていくことになります。こういう研修のフレームを使いながら生徒への対応を高めていくことを考えております。 ◆金子やすゆき 委員  私がご質問しているのはそういうことではありません。お手元の原稿を見ながらではなく、今はまだ決まっていない部分もあると思いますが、その実態をありのままにお聞かせいただければそれで構いません。  もう一回質問を申し上げます。DPの資格を取って海外の大学に進んでいきたいという生徒がいるのだと思うのです。それは、海外の大学を受けるだけではなく、実際に合格させていくためには、恐らく、多くの科目について英語で試験が出されて、それに答えていく仕組みになるのだろうと思うのですが、ここでの先生方のトレーニングではなく、そういうことについて実際に生徒にどういうふうに教えていくのか。恐らく、どこの大学が君には向いているのだろうかという話から始まって、どうやってそこへ願書を出すのか、どうやって試験を受けるのかというところもあると思うのですが、そういう世界に進んでいく進路指導がきちんとできる体制に取り組んでいかれるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。 ◎西村 教育次長  主にDPについてのお尋ねだと思います。  DPプログラムにつきましては、これから、実際に最終段階で認定を受けるまでの間に、DPの趣旨、それから、その趣旨を生かしたカリキュラム編成、これを国際バカロレア機構の本部と一緒に詰めていくことになるだろうと思います。その結果として、数年後にはDP認定校を目指していきたいと考えております。  その中で、当然、DPを取った後のことも含めて、本部との間のやりとりがあり、それを生徒に還元していく中から、生徒がどういう大学を選ぶか、あるいは選ばないことも含めて、生徒と一緒にさまざまな情報をきちんとつくって、それが生徒の進路につながっていくのだと考えております。 ◆金子やすゆき 委員  ありがとうございました。大変わかりやすいご説明だったと思います。  そういう生徒に指導できるような、子どもたちと向き合う先生の役割は大変重いと思うのです。これまでの市立高校ではなかったような役割が新たに発生してくると思います。その中で、国際バカロレア機構の本部ともいろいろな交渉をしていくのだという話もございましたが、外国語教育を実際に行っていく必要もあると思いますから、受け皿となる先生をきちんと育てていくことが必要だと思うのです。実際に、英語で授業を行うことは札幌市立の高校では過去になかったわけですから、そういうことを行っていく体制として、海外へ留学して語学力をつけてきていただくなど、先生方の教育体制をもっと踏み込んでやっていく必要があるのだと思うのです。  当然、財源も必要になってくる部分もあると思いますが、これについてはどのように行っていかれるお考えか、伺います。 ◎金山 学校教育部長  当然、そういう子どもたちを育てるためには、英語をきちんと話せる教科の先生が必要になってくると思います。ただ、これはすぐにはできませんので、今のところは、外国語指導助手、JETプログラムを利用することを想定しております。それをもとにして、先ほど研修のことをお話ししましたけれども、それらとあわせてそういう体制づくりをしていきたいと思っております。 ◆金子やすゆき 委員  今、JETプログラムのご説明がありました。  釈迦に説法かと思いますけれども、JETプログラムの先生は教員ではないのです。あくまで英語が話せることが資格条件であります。ですから、JETプログラムの先生に教えてもらうというのではちょっと心もとないという気がします。やはり、英語で本場の教育を行っていくことになるのであれば、そういう簡易的な手法ではなく、本場の教育を身につけてきていただくような留学制度も私は必要だというふうに思うのです。ぜひ、予算づけも含めて、しっかりと検討していただきたいと思います。  それから、入学者決定の方法につきましては、質疑がずっとございましたので質問はいたしませんけれども、私も、説明を聞いていて、公開抽せんの仕組みにつきましてはいささかの疑問を感じるところであります。小学生が開成中等教育学校への進学を目指して一生懸命に勉強し、頑張ってきたその努力に対して、抽せんという形でそれが切り捨てられてしまう子どもがいるのは、私は非常に残酷な仕組みだと思うのです。  先ほどのご説明では、教育委員会会議の中でも慎重な激論が交わされた上で出た結論と伺っておりますので、これがすぐに変わることはないのだろうと思いますけれども、実際にこの仕組みを行ってみた上で、何らかのトラブル、修正点があることがもし判明すれば、これは直ちに修正をかけていくことをぜひお願いしたいと思います。 ◆伊藤理智子 議員  私ども日本共産党は、中高一貫校の構想が出てきたときから受験競争の低年齢化を招かないようにということを申し上げてきました。市立札幌開成中等教育学校の入学者決定に関する基本方針では、受験競争の低年齢化を招かないように十分に留意するとしています。適性検査の内容は、特定の教科に特化しない出題による筆記検査を通して、小学校での日常の学習により身につけた、課題を解決するために必要な思考力判断力表現力等を見るとしていますが、中教審作業部会資料では、学力検査そのものではないかと指摘されています。また、実際に受験産業において、公立の中高一貫教育校の適性検査への対策が講じられ、それに取り組んでいる児童がおり、問題であるという意見も出されておりますが、こうした問題についてどのように認識して、今後どう対応されていくのか、伺います。 ◎金山 学校教育部長  適性検査についてのご質問だったかと思います。  他の都府県、特に都市部におきまして、民間の塾等による適性検査対策が行われていることは承知しております。ただ、こういったことについては、原則として民間の活動でございますので、一概に私どもが制約することはできないものと認識しております。  しかしながら、塾などによる過度な宣伝等は受験競争の低年齢化につながる懸念があることから、私どもとしては、市民説明会やホームページを通しまして、先ほど申し上げましたこの学校の課題探究的な学習という教育内容入学者決定方法等につきまして、保護者や児童に対して、丁寧に、あるいは適切に情報提供に努めてまいりたいと考えております。 ◆伊藤理智子 議員  義務教育である中学校課程でも、実験や校外学習などが行われ、タブレットの導入なども検討されていることを説明でお聞きしましたけれども、教材費などの保護者負担が増し、本来、無償で行われるはずの義務教育に過大な負担を求めることにならないのか、どう対応していくのかということについて伺います。 ◎金山 学校教育部長  中等教育学校にかかわる保護者負担に関することでございますが、他の札幌の市立中学校、高等学校における保護者負担の状況も踏まえまして、公立学校として適正なものになるように検討してまいりたいと考えております。 ◆伊藤理智子 議員  本市の中高一貫校は、6年間、高校受験のストレスがなく、勉強や部活、興味・関心のあることに意欲的に取り組むことができる課題探究など、自分に合った課題を設定して探究していくことは、意欲的に学習していく上では非常にいいことなのかなと思います。一方で、今までも議論されてきましたけれども、受験の低年齢化を招く懸念は拭えません。ある地域の公立学校で抽せんであっても既に受験対策が行われているところや、先ほどの議論にもありましたけれども、京都では公立中高一貫校の三つの学校で抽せんをやめて学力検査に切りかえたという情報もあります。  義務教育とは、国民が共通に身につけるべき公教育の基礎的部分を誰もがひとしく享受し得るように制度的に保障するものとなっております。基本的に、誰にでも平等な公教育を提供するべき公立学校で受験競争が激化しないよう、慎重に対応していくべきであります。また、今、本当に子どもの貧困などが広がっている中で、非常に豊かないろいろな教材をどの子にも提供していくという観点で、教材の保護者負担が増さないことについてもしっかりと検討していただきたいということを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。 ○井上ひさ子 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり)
    井上ひさ子 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後2時54分...