札幌市議会 2013-06-04
平成25年第 2回定例会−06月04日-02号
日程第2 議案第1号 平成25年度札幌市
一般会計補正予算(第1号)
議案第2号 平成25年度札幌市
公債会計補正予算(第1号)
議案第3号 札幌市子ども・
子育て会議条例案
議案第4号 札幌市職員の勤務条件に関する条例等の一部を改正する条例案
議案第5号 札幌市特別職の職員の給与に関する条例及び札幌市
教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第6号 札幌市
証明等手数料条例の一部を改正する条例案
議案第7号 札幌市
健康づくりセンター条例の一部を改正する条例案
議案第8号 札幌市
環境影響評価条例の一部を改正する条例案
議案第9号
札幌市営住宅条例の一部を改正する条例案
議案第10号 札幌市
区民センター条例の一部を改正する条例案
議案第11号 札幌市
若者支援施設条例の一部を改正する条例案
議案第12号 札幌市
エレクトロニクスセンター条例の一部を改正する条例案
議案第13号 札幌市
公民館条例の一部を改正する条例案
議案第18号 財産の処分の件(新琴似4条15丁目所在地)
議案第19号 町の区域を新たに画し、及び変更する件
議案第20号 札幌市区の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第21号 市道の認定及び変更の件
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〇出席議員(68人)
議 長 高 橋 克 朋
副 議 長 ふじわら 広昭
議 員 伴 良 隆
議 員 阿部 ひであき
議 員 小 竹 知 子
議 員 北 村 光一郎
議 員 川田 ただひさ
議 員 植 松 ひろこ
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 山 口 かずさ
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 石 川 佐和子
議 員 金子 やすゆき
議 員 木 村 彰 男
議 員 飯 島 弘 之
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 宗 形 雅 俊
議 員 よこやま 峰子
議 員 小須田 悟 士
議 員 宝 本 英 明
議 員 小 川 直 人
議 員 しのだ 江里子
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 小 倉 菜穂子
議 員 伊 藤 牧 子
議 員 村 山 秀 哉
議 員 細 川 正 人
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 長谷川 衛
議 員 峯 廻 紀 昌
議 員 桑 原 透
議 員 林家とんでん平
議 員 三 宅 由 美
議 員 阿知良 寛 美
議 員 芦 原 進
議 員 谷 沢 俊 一
議 員 伊 藤 理智子
議 員 坂 本 恭 子
議 員 村 松 正 海
議 員 山 田 一 仁
議 員 こんどう 和雄
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 恩 村 一 郎
議 員 大 嶋 薫
議 員 三 浦 英 三
議 員 本 郷 俊 史
議 員 涌 井 国 夫
議 員 宮 川 潤
議 員 井 上 ひさ子
議 員 宮 村 素 子
議 員 三 上 洋 右
議 員 武 市 憲 一
議 員 小 野 正 美
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 福 士 勝
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 西 村 茂 樹
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 年 男
議 員 堀 川 素 人
議 員 松 浦 忠
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〇欠席議員(なし)
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〇説明員
市 長 上 田 文 雄
副 市 長 生 島 典 明
副 市 長 秋 元 克 広
副 市 長 井 上 唯 文
交通事業管理者
交 通 局 長 若 林 秀 博
水道事業管理者
水 道 局 長 長 利 秀 則
病院事業管理者
病 院 局 長 富 樫 正 樹
危機管理対策室長 相 原 重 則
市長政策室長 渡 邊 光 春
総 務 局 長 板 垣 昭 彦
市民まちづくり局長 池 田 佳 恵
財 政 局 長 金 崎 健太郎
保健福祉局長 加 藤 敏 彦
子ども未来局長 大谷内 則 夫
環 境 局 長 長 岡 豊 彦
経 済 局 長 荒 井 功
観光文化局長 可 児 敏 章
建 設 局 長 宮 浦 哲 也
都 市 局 長 高 橋 稔
会 計 室 長 山 崎 亘
消 防 局 長 佐 藤 有
教育委員会委員長 山 中 善 夫
教育委員会教育長 町 田 隆 敏
選挙管理委員会委員長 笹 出 昭 夫
選挙管理委員会委員 湊 谷 隆
選挙管理委員会委員 小 谷 俵 藏
選挙管理委員会委員 常 田 豊 明
人事委員会委員 濱 田 雅 英
人事委員会事務局長 堀 口 洋 一
監 査 委 員 藤 江 正 祥
監査事務局長 吉 澤 政 昭
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 本 間 章 弘
事務局次長 出 井 浩 義
議 事 課 長 吉 田 雅 博
調 査 係 長 森 譲
議 事 係 長 深 井 貴 広
委員会担当係長 斉 藤 匡 朋
委員会担当係長 八 代 吟
書 記 太 田 真 司
書 記 大 山 佳 洋
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〔午後1時開議〕
○議長(高橋克朋) ただいまから、本日の会議を開きます。
出席議員数は、65人です。
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○議長(高橋克朋) 本日の
会議録署名議員として、
飯島弘之議員、
中村たけし議員を指名します。
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――――――――――――――――
○議長(高橋克朋) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(本間章弘) 報告いたします。
宮村素子議員は、所用のため、遅参する旨、届け出がございました。
去る5月30日、議長は、議案第4号 札幌市職員の勤務条件に関する条例等の一部を改正する条例案、議案第5号 札幌市特別職の職員の給与に関する条例及び札幌市
教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例案につきまして、
地方公務員法第5条第2項の規定より、
人事委員会の意見を求めております。
本日の議事日程、議案審査結果報告書、
質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔報告書は巻末資料に掲載〕
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○議長(高橋克朋) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第14号から第17号までの4件を一括議題とします。
委員長報告を求めます。
財政市民委員長 宝本英明議員。
(宝本
英明議員登壇)
◆宝本英明議員
財政市民委員会に付託されました
工事請負契約の締結に関する議案第14号から第17号までの議案4件につきまして、その審査結果をご報告いたします。
主な質疑として、
開成中等教育学校新築工事請負契約について、
WTO対象工事のため、低価格での入札となっていることから、今後は竣工までの品質管理が重要になると考えるが、どのような監督体制で臨むのか。
東札幌小学校改築工事及び
南郷小学校改築工事の請負契約の相手方に作業事故が発生した
道東道トンネル工事の受注業者が含まれていることについて、問題ある業者とは契約しないという考えを基本とすべきだが、事故のあった工事における施工業者の安全対策について市はどう認識しているのか、また、現時点で関係業者から事故の報告がなされていないことは非常に遺憾であるが、今後、市として事情聴取を行う考えはあるのか等の質疑がありました。
次に、討論を行いましたところ、
日本共産党・宮川委員から、議案第16号及び第17号の2件については否決すべきものとの立場で、民主党・市民連合・
ふじわら委員から、議案第14号から第17号までの4件を可決すべきものとの立場で、それぞれ意見の表明がありました。
続いて、採決を行いましたところ、議案第14号及び第15号の2件については、全会一致、可決すべきものと、議案第16号及び第17号の2件については、賛成多数で可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(高橋克朋) ただいまの
委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(高橋克朋) 質疑がなければ、討論に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
まず、宮川 潤議員。
(宮川
潤議員登壇)
◆
宮川潤議員 私は、
日本共産党を代表して、ただいま議題となっております4件中、議案第16号及び議案第17号について、今、採決することに反対し、残余の2件については賛成する立場から、討論を行います。
議案第16号
東札幌小学校改築工事請負契約締結の件での契約の相手方は
伊藤組土建株式会社、第17号
南郷小学校改築工事請負契約締結の件の相手方は田中・
丸竹竹田組特定共同企業体であります。
さて、現在、千歳市を起点とし、釧路市と北見市へ至る予定の
道東自動車道の東側部分が工事中です。5月29日の新聞報道によりますと、28日午前8時ごろ、
道東自動車道の白糠町にある
縫別トンネルの工事現場で、作業中の56歳の男性が事故で死亡しました。クレーンでつり上げた鋼鉄がワイヤーの切断で落下、型枠の解体作業中だった男性が、乗っていた足場が傾き、足場と
トンネル型枠との間に挟まれたために
出血性ショックにより死亡したそうです。この工事を請け負っていたのが伊藤・田中・
堀口特定建設工事共同企業体で、最初に申し上げた議案第16号及び第17号の契約の相手方となっているのであります。
事故のほうは、まだ警察が捜査中であり、詳細は不明ですが、一般的に考えて、ワイヤーが切断するのは、接触による損傷のほか、金属疲労による断線、雨水による腐食、摩耗などが考えられます。日本工業規格では、7%以上の摩耗があれば交換しなくてはならないとしています。これらの原因の多くは、点検不良や
ロープグリースの補給不足など保守の不良があると考えられます。
そこで、
労働安全衛生法に基づく
クレーン等安全規則第35条では、事業者は、クレーンについて、1カ月以内ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならないとして、ワイヤー及び
つりチェーンの損傷の有無の点検を義務づけています。さらに、第36条では、事業者は、クレーンを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、
ワイヤロープが通っている箇所の状態を点検しなければならないとしています。
これらについて、警察が捜査中でありますが、事業者の過失や責任が明らかになれば、道路工事の発注者である
北海道開発局が
当該事業者を指名停止にすることが十分考えられます。委員会で、理事者は、既に入札を終え、仮契約を済ませてあると述べました。しかし、作業員が死亡する重大事故であり、事業者の責任や安全対策が疑問視される状況で本契約を結ぶのは問題であります。こういう場合には、一度立ちどまって、十分に原因が解明され、
再発防止策がしっかりとられたことを確認することが必要ではないでしょうか。特に、今は定例会中であり、本会議はまだ何度もあります。このタイミングで
工事請負契約の議案を可決してしまうのではなく、原因と経過、
再発防止策を議会としてもしっかり見きわめ、これなら大丈夫だと確認してから議決すべきであります。
議会の厳格な
チェック能力を発揮すべきという観点から、今、議決すべきではなく、議案に反対することを申し述べ、私の討論といたします。(拍手)
○議長(高橋克朋) 次に、松浦 忠議員。
(松浦
忠議員登壇)
◆
松浦忠議員 私は、市政改革・みんなの会を代表いたしまして、ただいま上程されております議案4件のうち、議案第16号、第17号には賛成、第14号、第15号には、賛成であるけれども、意見を付したいというふうに考えて、ここに、賛成ではあるけれども、討論をするところです。
さて、その前に、第16号、第17号になぜ我が会派が賛成をしたかということについて、ちょっとだけ触れておきます。
私は、今から30年前に議員になって、この種の死亡事故などいろいろありました。そのときに、ずっと
札幌市議会がとってきた対処の仕方というのは、当該発注した発注元、関係の役所、そこがまず処分をきちっと決める、決めたら、それに基づいて札幌市も処分をしてくる、こういう一つのルールの中で取り組んできておりました。したがって、今回は、まだ開発局がそれに対する処分を明確にしていない、こういうような段階でありますから、したがって、我々としてはこの案件については賛成をする、こういうことでありました。
ちなみに、申し上げると、ここ数年間で、札幌市では、
建設局発注の工事で4件の死亡事故が起きております。ついこの間も起きました。これに対して、私が掌握している限りでは、我が会派以外は、所管の委員会を開催してその事故の状況の説明を求めるということで、委員長に議会の開催を求めた会派はありません。そんなことからしたら、本来から言ったら、この間の西区での
下水道施設部の発注のあの死亡事故なんかも、すぐに委員会を開いて、そして、その業者に対する取り扱いも含めて、どうするかということを決めなければならないことであります。しかし、いまだに我が会派以外はそういう動きというのは残念ながら見られません。こういうことも、我が会派として、今回、賛成に至った経緯であります。このことをまず申し上げておきたいと思います。
それから、第14号、第15号について、どういう意見があるかといったら、今度新しく札幌市で初めて中学と高等学校の一貫教育という学校をつくりますということで、今までも
教育委員会から議会の側に何度か説明があり、議会の中でもさきの
予算特別委員会などでも質疑がありました。その中で、知・徳・体、そして、札幌人を育てる、こういうふうに学校設立の基本的な目標として書かれております。知・徳・体、札幌人を育てると。国際人というのは入っていません。札幌人を育てると。
さて、我々が人間として一番大事なのは何かといったら、やっぱり、体がまず健康であること、これがまず何事においても私は一番だと思うのです。だから、知育、徳育、体育ではなくて、まず体育、そして、徳育があって、知育が最後でいいんでないかと、私はかねがねそう思っているのです。
今回、この学校の今までの議論経過を調べてみても、この大事な体をつくる部分についての議論というのは全くされていません。一つだけあったのは、ある議員が、
予算特別委員会で、開成高校は、授業しながら今の中高一貫の校舎を建てる、そのときに
グラウンドなどが使えなくなる、その代替をどうするかという質疑が一つあっただけで、ありません。その関連質疑では、ある議員が、エリートをつくる学校も必要だ、こういう発言があったのも点検をしてみたら見つかりました。
そこで、私は、この学校で、一番大事な、体をつくる部分の
グラウンド、体育館、こういったもの、特に
グラウンドについてだけわかりやすく言うと、300メートルの
陸上競技場の走行面を備えた
グラウンド、中には芝を張って、恐らくサッカーもできるようにするのでしょう。それともう一つは、野球の
グラウンドが1面しかありません。ご承知のように、
中学校体育連盟の体育大会があります。高等学校もあります。それぞれクラブ活動として多くの学校が今までもそれらに参加していますし、これからもするでしょう。だとすれば、なぜ野球などもきちっと2面をとれるような敷地のところにつくらなかったか、なぜ議会もそういうことに着目をしなかったのか、この点が、私は、やっぱり、お互いみんなで、議会の側も反省せんきゃいかんけれども、特に計画をする側の
教育委員会において、頭だけいいのを集めて、頭だけ鍛えれば世の中が変わるんでないか、こんなふうな考え方に至ってはいないか、このことが私は懸念されてなりません。
したがって、これから、今のところに校舎は建てる、しかし、できるだけ市内の近間のところにそういうような運動場を確保して、そして、きちっと、やっぱり中学校の部分は中学校、高等学校の部分は高等学校として、少なくとも中学校の連盟、高校の連盟のそれぞれの競技の大会に参加できる、練習ができる、そういう場所を確保すべきだと。このことを、この時点からしっかりと、
教育委員長を初めとして、教育委員5人のメンバーの皆さんは意識をしていただきたい。
教育長以下、事務方の皆さんは、まあ、文科省もやっているし、全国こうやっているから
並びにすればいいかぐらいでやっているのがありありであります、この結果からいったら。特に、私が市長に求めたいのは、やはり、予算の権限を持っている市長として、教育委員を選ぶのも市長でありますから、事務方の教育長を選ぶのも市長です、実質は。したがって、よくよくそういうことをここからしっかりと検討して取り組んでいただきたい、このことを私は申し上げて、我が会派としての討論といたします。
以上です。(拍手)
○議長(高橋克朋) 以上で討論を終了し、採決に入ります。
この場合、分割して採決を行います。
まず、議案第16号、第17号の2件を一括問題とします。
議案2件を可決することに賛成の方は、ご起立願います。
(
賛成者起立)
○議長(高橋克朋) 起立多数です。
したがって、議案2件は、可決されました。
次に、議案第14号、第15号の2件を一括問題とします。
議案2件を可決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(高橋克朋) 異議なしと認めます。
したがって、議案2件は、可決されました。
――
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○議長(高橋克朋) 次に、日程第2、議案第1号から第13号まで、第18号から第21号までの17件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
阿部ひであき議員。
(阿部ひであき議員登壇・拍手)
◆阿部ひであき議員 私は、自民党・市民会議を代表いたしまして、今定例会に上程されております諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問をさせていただきます。
まず、市長の政治姿勢のうち、札幌市の今後の方向性を決めるべき重要な柱となる札幌市
まちづくり戦略ビジョンについてであります。
この
まちづくり戦略ビジョンについては、昨年度から、我が会派において、代表質問、委員会等、さまざまな場面で意見も述べてまいりました。札幌らしい北方圏であること、また、
少子高齢化社会の中、
コンパクトシティと
郊外住宅地に関する考え方、
エネルギーネットワークの構築等、鋭意、盛り込んでいただいているところであります。
その一方で、各部局で現在の状況を情報分析し、市政における課題を抽出し、今後10年で取り組む具体的な戦略の枠組みを定めようとしていますが、創造という観点から、目新しさや、あるいは力強い夢、希望を持てるような戦略が見えてこないのが残念であります。数年後から10年後に目標を定めて到達できると予測される成果目標を準備しようとしておりますけれども、今、手がけている事業、継続した成果をまとめ上げただけにも見えてしまうところであります。
少子高齢化社会が予想されるならば、
生活環境全般の充実をどのように幅広く図っていくのか、札幌市が創造都市として未来永劫に輝きを放つような都市像を描いて、アクティブな戦略であってほしいところであります。
また、厳しい財政状況の中でビジョンを確実に進めるためには、これまで以上に経営資源を効果的に活用することが重要ですし、変化に対応できる組織という視点こそが戦略の効果的な実現にはとりわけ重要だと考えます。
行財政改革、機構再編というのは、人間の体で例えるならば、筋肉をどうやってふやして、ぜい肉をどう減らしていくかということであり、いかに力強い札幌市を創造していくかということであります。筋肉のつけ方やぜい肉のとり方が戦略であり、まさに、
戦略いかんによって札幌の
イメージ像も全く変わってしまう可能性があるのです。
そこで、一つ目の質問ですが、どのようにして強みをさらに増強して、札幌の弱みを補完するために戦略編にはどのようなめり張りをつけていくのか、そして、そのためにどのように組織を改造していくのか、さらに、戦略編の成果としてどのような札幌像を描いていくのか、市長の見解を伺うものであります。
一方、
まちづくりにおいては、就職する職場があり、安心して働けて、家庭を持ち、安心して子どもを産み、その
子どもたちが、北海道の大地に根を張るべく、力強く健やかに育っていく社会でなければならないはずであります。将来社会を担っていく人たちが、どのように社会を形成していくのか、どのように教育を受けていくのか、都市としての力を見出すことを積極的に実施していかなければ、将来にかかる戦略にはならないだろうと考えます。
この戦略編は、今後の札幌市全ての市政運営に関する礎となるものであり、現状ありきではなく、未来志向型で札幌市の活性化の躍動感が見えてこなければなりません。計画のための計画であってはならないはずであります。まさしく人材として札幌市を背負っていく行政職員にとっては、これから先の市政運営のさまざまな場面において、事業を展開するにしろ、計画を策定するにしろ、大なり小なり、行動指針に影響を与えることとなります。さまざまな文言が本編注釈の中に説明されておりますが、この戦略編に係る全ての行政職員に、創造とか、あるいは戦略とは何か、今回策定するものは何なのか、本市が将来どのようになればよいと考えているのか、あるいは、どのような都市を未来に託していくのか、何をすべきか、改めて問い直す作業も必要ではないかと考えるものであります。
市長は、札幌市は成熟していると話しますが、今、この札幌市の状況から見ても、成熟から老化、衰退の方向へ弱体化しているというときに、札幌の弱みを補完する守りの戦略ではなく、強みを生かした活性化、攻めの戦略が必要であります。市政がリードして産業を創出し、生産年齢人口が社会を支えられるよう、活力ある施策を早急に打ち出していくことが必要であります。優秀な人材が本州へ流出しないよう、大学やサテライトの誘致、産学官が連携した産業の創出、そして、若い世代が活気づくことにより、札幌を拠点とした活躍を支えられるよう、積極的に計画を策定することが戦略なのではないかと感じるところであります。
この戦略編に目を通しますと、札幌の牽引役となる人材の育成、あるいは、その人材に対する教育についての戦略が見えづらいものとなっております。実行し、成果を生み出していく人材について、どのように育成していくのか、日本人として、北海道人として、札幌人として、どのような人材に未来を託していくのか、その方向性を明らかにすべきと考えます。
そこで、二つ目の質問でありますが、この戦略編の実現に向けて取り組むためには、実行し、成果を生み出すことのできる人材が不可欠であります。戦略編の中では、教育の視点、人材育成の視点が不十分でありますが、札幌人としてどのような人材を創造していくのか、市長の見解を伺うものであります。
次に、市民自治について伺います。
市長は、就任以来、一貫して市民が地域活動や市政に参加する市民自治を掲げてきております。就任の翌年、平成16年には、市役所の出先機関である連絡所を
まちづくりセンターと名称を変えるとともに、平成20年10月には、地域の創意工夫を生かして地域主体の
まちづくりを推進するため、
まちづくりセンターの運営を地域の団体に委託する
まちづくりセンター自主運営化制度をスタートし、以降、市内8カ所で自主運営が開始されております。さらに、3期目の公約として、自主運営制度を平成26年度までの4年間で10カ所ふやし、18カ所とするとのことでありましたが、自主運営化に転換したのは、ここ2年間はゼロの状況であり、ようやく今年度予算で3カ所を予定するにとどまっております。
さきの平成25年第1回定例会第一部
予算特別委員会において、公約である自主運営化の推進が図られていない点についてどのように捉えているのか伺ったところ、自主運営化は、地域にとって大きな決断であり、検討に時間がかかる、本市としては、自主運営化自体を強制できないことから、今後もPRに努めたいとの答弁であり、さらに、自主運営化に踏み切る際の課題については、人材確保や中立性の確保の課題、行政とのパイプが薄くなるとの懸念が考えられるとのことでありました。つまり、地域住民は、自主運営化によって、行政との関係が希薄になること、行政からのサービス、情報などの内容について格差が生じるのではないか、自主運営の
まちづくりセンターが取り残されるのではないかと市民が心配しているということを、本市はしっかりと認識しているということになります。
にもかかわらず、新年度から自主運営化の
まちづくりセンターを除く79カ所の直営の所長に区役所の保健福祉部課長職を兼務させる人事を行いました。このことの認識については、
まちづくりセンターと区保健福祉部との連携、情報共有を明確化するためとのことであり、自主運営の
まちづくりセンターについては、兼務発令ができないが、区保健福祉部との連携を深めていく、基本的な枠組みは変わらないとのことでありました。地域福祉の強化の意図は理解いたしますが、今後、本市は、他都市に比べ、急速に少子高齢化が進むとされており、地域における福祉分野、あるいは教育、子育てへの支援において、その専門性と重要性が増してくるものと考えます。行政がまちづくセンターに対して積極的な機能強化を行っていくならば、地域が主体となった自主運営化はますます形骸化し、衰退していくものと危惧するものであります。
そこで、質問でありますが、市民自治の具現化された形として市長が掲げてきた
まちづくりセンターの自主運営化の推進と、これからの高齢化等に伴う保健福祉の専門性が求められる行政の支援を、どのように整合性を保ち進めていくつもりなのか、はっきりとした考えを伺いたいと思います。
次に、これまで推進してきた市民自治の評価と今後の進め方について伺います。
札幌版事業仕分けについては、抽せんにより選ばれたごく少数の市民が、札幌市の事業の存続、または廃止について、十分な理解がないまま協議し、その結果として、特にていねプール、市内3カ所の健康づくりセンター、保養センター駒岡などの事業において、最終的に存続に至るまでの経過の中で市民の間に大変な混乱を招いたこともあり、事業仕分けの是非が問題になったことは周知の事実であります。このように市民意見が施策決定にどこまで反映されるのか、会議に参加しない大多数の意見をどのようにくみ上げようとしているのか、単なる行政のパフォーマンスに終わるのではなく、具体的な参加のルールを初め、どのようにしたら多くの市民の声が市政に生かされるのか、市民の意見がしっかりと集約されるような会議のスキームづくりこそが必要であり、市民自治を考える上で重要な柱であると考えます。
そこで、質問でありますが、市民自治を標榜してきた市長として、これまでの10年間の札幌市における市民自治をどのように評価しているのか、また、今後、どのように市民自治を推進していくのか、市民自治の今までの総括と今後について伺います。
次に、市長マニフェストの検証について伺います。
マニフェストにおける市民自治については、町内会、自治会の活動支援のために町内会加入率上昇を挙げております。町内会加入率は、平成16年1月現在、札幌市全体で75.07%であったものが、人口増に伴い、世帯数は増加しているものの、町内会加入率は71.07%と、この9年間で4%減少しております。特に、東区、手稲区、西区、中央区などの減少率が大きく、その中でも、白石区56.71%、中央区65.19%と、町内会加入率の低さが大きく目立つところであります。特に、マンションなどの集合住宅の増加や、昨今の価値観の多様化により、共通価値観のない他人とのかかわりを避ける傾向から、町内会、自治会に加入しない、または町内会にメリットを感じない、さらには、町内会活動から住民間のトラブルに発展し、町内会を脱会する例など、地域コミュニティーを円滑に進めるためには多種多様な課題を解決していかなければなりません。
平成7年の阪神・淡路大震災以来、一昨年の東日本大震災においても、地域のきずなや支え合いなど、社会とのつながりの重要性は、市民も行政も我々議員もひとしく強く感じたところであります。さらには、超高齢化社会を迎え、単身世帯も増加している中、各地域では、高齢者を初め、子どもの見守りなどが活発に行われているところでありますが、町内会加入率減少が進行していきますと、地域における自治活動を初め、支え合いやきずななど、札幌のコミュニティーが崩壊しかねません。こういった活動や支え合い、きずなは、やはり、その地域に居住する方々が活動することによって生まれるものであり、町内会加入率を増加させることは喫緊の行政課題であることは言うまでもありません。
しかしながら、マニフェストの目標値を平成26年度までに加入率上昇と掲げておりますが、上昇と言うだけでは、0.1%アップも10%アップも同じ上昇であり、職員の意識統一をどう図っていくのか、全くもって不明確であります。
そこで、質問でありますが、市長は、どのくらいの町内会加入率アップを考えていらっしゃるのか、具体的な数字をこの場で示していただきたい。また、そのため、町内会加入促進に向けての事業、取り組み、今後の内容を含め、改めて示すとともに、これまで取り組んできた成果を伺います。
次に、市職員の町内会への加入は当然のことと考えますが、その状況に関心を持っているところであります。また、町内会役員の高齢化や担い手不足とその育成などが課題になっており、各町内会でも、その問題解決に向け、取り組んでいるところも多いと考えます。やはり、その地域に居住する地域愛を持った人が担うことこそが重要であり、その担い手の育成を行政がどのように支援していくのか、関心があるところであります。
さらには、本市約1万4,000人の職員が自身の住む町内会に寄与することはとても大きな力になりますが、どのくらいの職員が町内会役員や活動に寄与しているのかが未知数であります。私は、マニフェストで町内会、自治会の活動支援を掲げている以上、本市職員は、私生活の中でも居住する地域の活動にもできる範囲で寄与すべきではないかと考えるものであります。
そこで、質問でありますが、町内会役員の担い手育成の支援についてどのように考えているのか、また、市職員の町内会加入率及び町内会活動への関与の状況をどのように把握し、さらには、職員の町内会活動の促進についてどのように考えているのか、伺います。
次に、各種事業展開と経済等への影響について伺います。
まず、札幌国際芸術祭について伺います。
先日、札幌国際芸術祭の開催期間が平成26年7月19日から9月28日までの72日間に決まったと発表され、また、ゲストディレクターの坂本氏も、就任後、初めて札幌に視察に訪れ、4月に決まった芸術祭のロゴマークの授賞式にも参加したと聞き、芸術祭開催まであと1年ということで、いよいよ準備が進み出したと感じているところであります。
私も、経済委員会の一員として、先日、現在行われております瀬戸内国際芸術祭を視察してきたところでありますが、来場者の7割は県外からであると聞いており、これは現代アートに興味のある特定の人しか関心を持ってもらえないためとも考えられ、札幌も同様の傾向となるのではないかと予想されるところであります。
瀬戸内国際芸術祭では、瀬戸内海に浮かぶ島々の活力を取り戻すことを、あるいは、横浜トリエンナーレでは、旧都市の再生や赤れんが倉庫群の活性化など、開催地に沿った具体的なテーマや目的がはっきりと示されているところであります。このように国際芸術祭を開催する目的、テーマが具体にわかりやすいと、どのような芸術祭が行われるのかのイメージが湧きやすく、関心や共感を得ることにつながり、国内外からの来客数の増加に結びつくものと考えます。
しかし、札幌国際芸術祭では、基本方針及びテーマを「都市と自然」、サブテーマを自然、都市、経済・地域・ライフとしていますが、開催地に沿った具体的な目的は見えず、芸術祭がどのような内容になるのか、想像することが難しい状況にあると感じているところであります。
また、札幌市文化芸術振興条例の第9条には、市は、文化芸術の振興に関する施策を行うに当たっては、芸術家及び文化芸術活動を行う団体との連携が図られるよう配慮しなければならないとあり、芸術祭を、全市を挙げて成功に向かって取り組むのであれば、現代アートという特定の分野に偏らず、幅広く文化芸術に携わる方々や団体らと連携していく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、札幌国際芸術祭のテーマや目的、事業内容、芸術分野を幅広い視点で捉え、北海道、札幌の魅力を最大限に生かし、さらに、市民や観光客にどう広くわかりやすく発信していくつもりなのか、市長の見解を伺います。
次に、創世1.1.1区(さんく)の再開発に伴う複合施設のあり方について伺います。
まず、再開発の核となる市民交流複合施設の基本計画について伺います。
昨今、安倍政権によるアベノミクス政策により、株価の上昇や上場企業の決算が好成績に転じるなど、一定の景気回復の兆しが見えてきたところであります。こうした状況下において、札幌の都心部では、札幌駅周辺で商業を中心とする機能集積が増大し、活気があふれる一方で、大通地域は停滞感が生じており、これを打開していくことが札幌全体の魅力を高め、景気回復、ひいては市民生活の向上につながるものの一つと考えます。
創世1.1.1区(さんく)は、大通地域にあって、札幌市民ホールなどが立ち並ぶ集客交流の拠点であるとともに、地下鉄3路線やバスターミナルが結節する交通の要所であり、非常に高いポテンシャルを秘めた場所であることから、これまでも我が会派は開発促進の必要性をさまざまな場面で繰り返し主張してきたところであります。創世1.1.1区(さんく)の再開発における市民交流複合施設の整備は、この地域のリーディングプロジェクトであり、都心の
まちづくりを先導する上でも、本市の文化芸術振興の拠点の形成を図る上でも、非常に意義がある重要な施策であると認識しており、また、市民の関心も非常に高く、早期の実現を期待しているところであります。
この4月にパブリックコメントが実施され、市民交流複合施設にかかわる施設計画の基本的な事項が明らかにされ、その中で、高機能ホール、アートセンターと新図書館の三つの基本機能を備えることとしております。
そこで、質問ですが、本市は、この三つの基本機能を複合化することにより、どのような相乗効果を期待しているのか、また、そのことにより何を実現しようとしているのか、伺います。
次に、市民交流複合施設計画の中のアートセンターについて伺います。
このアートセンターでは、札幌市の文化芸術活動全体を支え、育てて、一層促進するための拠点として、人材育成やアーティストと市民の活動支援、調査研究などを行うこととなっております。これは、市民交流複合施設基本計画及び札幌市文化芸術基本計画においてアートセンターの設置の検討を進めることが盛り込まれ、その後、芸術家や学識経験者などで構成するアートセンター検討委員会で議論を重ね、提言されたものと伺っています。
文化芸術の重要性については、札幌市文化芸術振興条例でもうたっており、理解しているところでありますが、人口減少や少子高齢化が本格的に進む中、社会保障費の増額や、老朽化、耐震化のために必要な公共施設、学校施設等の更新など、市の財政事情の悪化も懸念されるところであります。このような中、本市の文化芸術については、サッポロ・シティ・ジャズやPMF、アートステージ、さらには来年度に開催される札幌国際芸術祭など、文化イベントがめじろ押しであり、施設についても、芸術の森や世界に誇る札幌コンサートホールKitaraなど、市民に文化芸術を提供する条件が十分過ぎると言っても過言でないほど整っているものと考えられます。このような状況の中で、なぜ今、アートセンターの設置を急ぐのか、市民に非常にわかりづらい取り組み、計画となっており、その取り組み内容と必要性をどのように市民に説明していくのか、懸念するものであります。
そこで、質問ですが、アートセンター設置については、本市の厳しい財政状況を考慮し、内容をしっかりと精査するとともに、広く市民に還元されるような取り組みをしていく必要があると考えますがいかがか、伺うものであります。
次に、企業誘致における立地補助制度について伺います。
本市の産業構造を鑑みますと、製造業のGDP構成比は、全国平均23.6%に比べ、4.6%と極めて低い状況にあり、製造業と建設業と鉱業を合わせたいわゆる第2次産業の割合も、どの政令指定都市と比較しても最も低い状況にあります。本市の産業をより足腰の強いものにするためには、第3次産業に著しく偏った産業構造からの脱却を図り、他産業への波及効果の大きい第2次産業を集積させることが重要であると考えます。
しかしながら、市内の製造業では、老朽化による工場の建てかえや事業拡大による増設などのために、札幌市の近隣自治体へ工場を移転させる動きが見られ、ことしの4月にも、月寒あんぱんで知られる株式会社ほんまが、年内にも本社工場を閉鎖し、恵庭市にある恵庭テクノパーク工業団地に新工場を建設し、生産を集約する方針を明らかにしたところであります。確かに、札幌圏みらいづくり産業立地促進補助制度は札幌圏全体における観点から企業集積を目的としたものでありますが、このままでは、道外から近隣自治体への企業集積が進む反面、市内からは次々と企業が移転してしまい、ひいては札幌の産業自体が空洞化してしまうという結果を招きかねないものと考えられ、大変危惧するものであります。
こうした懸念については、ことしの第1定の
予算特別委員会において、我が会派の五十嵐議員から、市内に製造業の集積を図っていくためにも、工場適地のみならず、準工業地域などを積極的に活用することが必要である点を指摘したところであります。現在、本市においては、製造業が準工業地域に立地した場合、立地補助制度が適用となりませんが、ほとんど全ての政令指定都市において、準工業地域への立地は補助の対象となっております。このことは、企業誘致の都市間競争という観点から、他都市と比較して補助制度上のおくれをとっており、本市への製造業の進出を阻害する要因にもなっているのではないかと考えるところであります。
そこで、質問ですが、本市として、本気で製造業を誘致していかなければならないと考えるならば、環境面の配慮に沿った工場であれば、準工業地域にも積極的に誘致する方策を真剣に検討する必要があると考えますが、本市の見解を伺うものであります。
また、本市では、これまで、どちらかというと、職住が共存する地区から工場などを移転させる方向に
まちづくりを進めてきたと認識しておりますが、今後、市内への製造業の誘致を
まちづくりの観点からどのように位置づけていくつもりなのか、あわせて伺います。
次に、防災のための危機管理と災害対応について伺います。
まず、災害による被害を未然に防止する観点である防災のための危機管理のあり方について伺います。
本市は、近年、大きな災害には見舞われておりませんが、昨今の異常気象の動向は、先日のアメリカで発生したハリケーンのように、いつ、大きな災害に見舞われ、甚大な被害をこうむることになるのか、予測がつかないものであります。このため、災害という有事の際に、極力、被害を最小限にとどめる方策を検討し準備しておくことも、危機管理の大きな役割ではないかと考えます。
本市が定めている危機管理基本指針では、各部局が、平素から危機事象に係る要因の把握に努め、情報連絡体制の確立を図るとともに、緊急時には、迅速かつ的確な対応により、市民の生命、身体及び財産を守ることを基本理念とするとしております。
当然、災害が発生した場合には、災害対策本部の設置を初め、市長を本部長のもと、その災害に対し、全力を挙げて迅速な対応と処置を行うことは言うまでもありませんが、一方で、ふだんからの指揮命令系統の統一性や、危機管理対策室を中心とした他部局との連携、いわゆる横連携のスムーズな指揮命令のあり方について十分検討、訓練を行い、有事に備えるべきと考えますし、職員の危機管理意識の向上策も重要であると感じているところであります。
そこで、質問ですが、危機管理基本指針の基本理念に確実に対応するためには、職員が危機管理に対し常に意識の向上を図るため、一過性の研修などで終わることなく、危機管理に対する認識と対応力を高める具体的取り組みを検討すべきであると考えますがいかがか、伺います。
また、災害による被害の未然防止の観点に立った防災に重点を置いた危機管理のあり方も検討すべきであり、ふだんからの他部局との連携及び命令系統の一元化など、危機管理対策室の権限や予算の強化に努め、対策室が主導的立場で対応できるよう機能の充実を図るべきと考えますが、市長の見解を伺うものであります。
次に、雪対策について伺います。
まず、平成24年度に見舞われました大雪への対応についてでありますが、昨年12月からの年間累積降雪量は観測史上5番目の628センチとなり、積雪深も、気温が低く推移した影響を受け、春先の3月においても131センチを記録するなど、近年まれに見る大雪でありました。また、札幌管区気象台が発令した冬期間における警報回数は、平成23年度が3回であったのに対し、平成24年度は、大雪警報が2回、暴風雪警報が7回の計9回も発令され、交通渋滞による路線バスのダイヤの乱れや物流の停滞など、市民生活に大きな影響が生じたのは記憶に新しいところであります。
このような状況から、市は、当初予算に加え、トータルで63億円の補正予算を組み、史上最も大雪となった平成7年度の決算額209億円を超す過去最高額の雪対策費にて除排雪作業に当たったわけでありますが、市民の満足を得られたとは決して言えないところであります。例えば、幹線道路の計画排雪につきまして、例年1月中旬から実施しておりますが、12月に前倒して実施するなど早急な対応を行ったことは賢明でありましたが、その後も継続した降雪により、3月に入るころには、市内の随所で路肩の雪山が高く道路幅が狭い状況となっておりました。また、生活道路のパートナーシップ排雪においても、雪山の高さや路面の圧雪状況、気象状況の悪化に伴う視界不良などから作業効率が低下し、実施がおくれた地域も数多くあったと聞いております。
大雪時におきましては、市民・企業・行政が一丸となって雪対策に取り組むことが重要であると考えておりますが、やはり、札幌市として、さまざまな施策を展開し、適時適切な推進を図ることが最も重要であると考えるところであります。
そこで、1点目の質問でありますが、平成24年度の大雪に際し、市民生活の影響を考え、どのような視点に立って対応をとったのか、また、その経験を今後どのように生かしていくか、その考えを伺いたいと思います。
次に、雪たい積場を含めた雪処理についてであります。
札幌市では、札幌市冬のみちづくりプランに掲げているとおり、生活道路の排雪についてのルール遵守を呼びかけるとともに、幹線道路の排雪量を抑制するなど、雪たい積場への搬入量の削減に取り組んでおりますが、一方で、民間排雪サービスなどによる雪たい積場の民間需要は確実に高まりを見せており、今後も搬入量の増加が見込まれているところであります。特に、雪処理の中核である雪たい積場につきましては、土地利用の進展に伴う郊外化が進んでおり、新たな確保についても、住民の同意が必要なのは当然のことながら、周辺の土地利用状況や用地規模、管理上必要な要件などの制約もあり、その土地の確保は困難な状況にあることは周知の事実であります。
平成24年度は、記録的な大雪に見舞われ、搬入量が増加し、雪たい積場の早期閉鎖が相次ぐなど、結果的に運搬排雪距離の増加やダンプトラックの集中による混雑などの問題が生じ、一部の民間排雪サービスは、作業効率が落ち、シーズン後半には排雪作業を打ち切ったところもありました。このように雪たい積場が不足し、作業に従事した方々からは雪たい積場の増加を要望する声が多数聞かれたところであります。
そこで、2点目の質問ですが、大雪となった平成24年度において、雪たい積場を初めとする雪処理の状況はいかがであったのか、また、一般受け入れを初め、効率的な雪処理を行うため、どのような課題が浮き彫りとなったのか、さらには、今後どのような対策が必要であると考えているのか、伺うものであります。
次に、道路の防災という観点から、道路全般の維持管理について質問いたします。
我が自民党は、政権公約の中に事前防災を重視した国土強靱化を掲げ、災害に強い国土づくりを目指してインフラ整備に集中投資することとし、老朽化した既存インフラ施設対策の重要性を主張しているところであります。この老朽化した既存インフラ施設、いわゆる道路、学校、上下水道、公園といった暮らしを支える施設は、日本が豊かになっていく高度経済成長期の1960年代ごろから、人口増加とともに全国で建設ラッシュが続いたものであります。
本市においても、昭和47年の冬季オリンピック開催前後に多くの公共インフラが整備され、建設後50年程度経過している中で、近年、これらの施設が一斉に老朽化を迎え始めております。とりわけ、その中でも土木インフラの老朽化が著しく進行していることに私は強く危惧を抱いており、特に地域の安全に密着している道路施設の老朽化は深刻なものであると考えます。
本市が維持管理している約5,600キロにわたる道路延長の中には、重要な道路本体を保護するための舗装や橋梁、トンネル、擁壁、さらには切り土や盛り土斜面ののり面保護などがあり、近年はこれら施設ごとの老朽化と思われる事象が幾度となく発生しているところであります。その代表的なものとして、昨年12月に中央自動車道笹子トンネル内で発生した天井板落下事故があり、悲惨なものであったことは記憶に新しく、道内においても、昨年5月に国道275号線の新十津川町志寸川橋で床版損傷が確認され、全面通行どめとなる事象が発生しております。
また、融雪期においては、平年を上回る大雪による多量の融雪水や、凍結、融解を繰り返す気象条件の影響と思われる事象も発生しており、多くの市内幹線道路で発生したでこぼこ道路がその代表的な事例と言えます。特に、昨今は、たび重なる除排雪と低温の影響により路面の損傷が激しく、雪解けとともに路面の悪化が目立ち、白石区においても、波立つ道路が発生するなど、市内全域から多数の苦情と要望が我が会派に寄せられたところであります。このため、我が会派は、本年3月13日、
北海道開発局と札幌市長に対し、それぞれ管理している道路の維持管理、補修に関して、路面状況の早急な確認と補修対応を行うよう求めたところでありますが、このでこぼこ道路も舗装材の老朽化現象の一つではないかと考えるところであります。
また、今回の市長提出議案の中には、この道路上の穴などが原因で損傷した車両に対する損害賠償の専決処分報告が多数を占めており、この件数の多さにも大変驚いており、看過するわけにはいかないものでありますが、このような事態が発生した理由には、今まで必要な予算措置がされていたのか、疑問に思うところであります。
さらに、この融雪水による影響として近年ふえつつあるのは、道路本体を保護するための切り土や盛り土の斜面が崩落する事象であります。身近なところでは、国道230号の中山峠において、昨年5月の崩落事故に引き続き、ことし4月に再び崩落が発生したことや、札幌市が管理する道道小樽定山渓線においても、ことし4月、融雪水量がふえた影響と思われる地すべりが発生し、一時通行どめとなるなど、市内にはこのように類似する道路が相当数あり、今後、道路のパトロールを強化し、これまで以上に細かなところに目を向けて維持管理を行う必要があるものと考えます。
札幌市においても、道路の維持管理という保全の重要性が再認識されつつあるとは聞いておりますが、道路利用者の安全・安心が脅かされる今日、道路管理者としてその対策を確実に実施していくことが重要であります。
そこで、質問でありますが、道路保全、維持管理のあり方について、予算執行も含め、どのように認識しているのか、また、今後の道路防災対策についてどのように進めていく考えか、伺うものであります。
次に、福祉関係施策について伺います。
まず、本市における生活保護受給者への就労支援体制についてであります。
今般、国が示した生活保護法改正案では、生活保護費の不正受給対策を盛り込む一方、受給者が働いて得た収入の一部を積み立てて保護終了時に生活費として支給する、いわゆる就労自立支援金の創設が盛り込まれております。また、生活困窮者自立支援法案において、すぐには就労できない人を対象に、比較的軽易な作業機会を提供する中間的就労を推進するとしています。
これらの取り組みは、自立に向けた支援のきめ細かで切れ目のない支援体制の充実の重要性を明確にしたものであり、本市の自立支援事業においても、勤労意欲が最も低い段階にある就労ボランティア体験事業や、その次の段階におけるカウンセリング等就労支援委託事業などが展開されているところであります。特に、国の補助事業で今年度も予算が増額されている就労ボランティア体験事業については、受給者のボランティア先の事業種類やボランティア活動メニューが著しく偏り、しかも、一律無給で働くといった取り組み内容は、就労意欲の最も低い段階における適切な事業内容となっているのか、疑問と言わざるを得ません。
また、本市の生活保護受給者に対する自立支援に係る各事業は、その相関関係は複雑で、各事業の取り組み内容も重複し、それぞれの対象者が最適な支援をどこで受ければよいのか、わかりにくい状況にあると言えます。真に就労支援事業を生活保護受給者にとって有効な施策の一つとするならば、今ある現状の支援体制を抜本的に見直して、散在する各種自立支援事業を集約し、就労に至り長期に継続するまでの一元一体型の体制に見直す必要があると考えます。
そこで、質問ですが、国の動向も明確になりつつある中、生活保護受給者に対する就労支援体制の検証が近い将来必ず必要となるため、本市としても、こうした既設の事業について中身をいま一度検証し、真に対象者の就労意欲が高まるよう、対象事業種類の拡大や活動メニューの多様化を視野に入れた施策を行うべきであると考えますが、見解と方向性について改めて伺うものであります。
また、生活保護受給者の雇用、生活環境を的確に判断しつつ、求人開拓から就労へのマッチング、就労後のフォローアップまでしっかりと付き添う専門家の配置と、民間活用を視野に入れた体制づくりが急務であると考えますがいかがか、あわせて伺うものであります。
次に、乳幼児の聴覚障がいへの対応について伺います。
まず、早期発見の必要性についてであります。
聴覚障がいは、身体障がいと違って、外見上、発見されにくく、特に乳幼児期にあっては、みずからが聞こえないということを訴えることができないことから、見つけにくい障がいであると言えます。しかしながら、乳幼児期の聴覚障がいは、言語の発達などのコミュニケーション能力の形成や脳の発達に影響を及ぼすことから、より早期に発見し適切な療育を早期に開始することが、その後の成長・発達、ひいては人生を考えていく上で重要であります。
子どもの聞こえの異常は保護者が気づく場合も多く、そのため、乳幼児健診では、日常の子どもの聞こえに関する状況を把握するため、事前に保護者にアンケート調査を実施し、総合的に判断していると聞いております。子どもの健やかな成長・発達を促すためには、4カ月から3歳児までを網羅する本市の乳幼児健診において、聴覚スクリーニング機能を充実させ、子細な兆候であっても見落とすことのないように確実に行うことが必要であります。
そのため、我が会派では、これまでに、代表質問等を通じて、乳幼児期における聴覚障がいの早期発見と早期療育体制の充実を図るとともに、聴覚スクリーニングの最後の機会となる3歳児健診において発見の精度を高める体制づくりが重要であると指摘してきたところであります。
そこで、質問ですが、早期発見のための体制の充実を初め、早期の適切な療育の開始に向け、具体的にどのような取り組みが行われてきたのか、また、今後どのように発見の精度を高める考えか、伺います。
次に、軽度・中等度難聴児に対する補聴器助成についてであります。
厚労省の新生児聴覚スクリーニング委託調査を行っている医師によれば、新生児の聴覚障がいについては、すぐに補聴器療育を行えば、進行性以外の先天性について、ほぼ正常な聴覚を持つ子どもと同じ発達ができるとのことであり、早期の発見と対処が何よりも大事であるとされております。
世界的な聴覚障がい者への対応として、WHOは、聴力レベルの41デシベル以上の人に補聴器の装用を推奨していますけれども、日本では、身体障害者福祉法により、両耳の聴力レベルが70デシベル以上の方が対象とされ、手帳が交付されており、この手帳に基づき補聴器の購入や修理に必要な費用の一部が支給されるにとどまっている現状にあります。手帳の対象とならない70デシベル未満のいわゆる軽度・中等度難聴児については、補聴器の装用によりコミュニケーション能力を高めることができ、音や言葉を聞き取る力が育ち、社会性や学習能力の向上が図られ、健全な発育を促すことができると考えますが、現状では、補聴器購入に係る助成が得られないため、購入できずに発達を阻害してしまうおそれや、高額な補聴器のため、経済的に大きな負担となっているケースも生じております。
このような中、全市の政令市のうち、札幌市と相模原市を除く全ての都市において、既に補聴器の助成を実施、もしくは今年度中に実施を予定しており、昨年、東京都議会も請願を採択している状況にありますけれども、子どもを産み育てやすい
まちづくりを目指している本市としては、かなり対応がおくれていると言っても過言ではありません。
そこで、質問ですが、本市の軽度・中等度難聴児に対する補聴器助成について、他の政令都市同様、独自助成の考えはないのか、伺うものであります。
次に、教育問題についてであります。
札幌市は、市長公約の一番重要なポイントとして、子どもを産み育てやすい
まちづくりを目標に掲げているところであります。しかしながら、新聞などでも掲載され、話題になりました市民アンケートの集計結果におきましても、保育所待機児童数の問題、仕事と両立できる子育て環境の整備不足、全国の中における札幌の
子どもたちの学力や体力のパフォーマンスが低いなどの現状から、市民の大多数の方々が子どもを産み育てやすいという
まちづくりについて評価が低い状況であったかと認識しているところであります。
一方、他都市では、先日、横浜市の待機児童ゼロの目標達成などが大きく報道され、その施策として、民間保育企業誘致などにも積極的に自治体が動いた結果と伺っております。また、北海道では、生まれ育った場所によって基礎学力に大きな差があってはならないという教育の執行方針のもと、前例にとらわれない効果的な施策を進めていくとして、信頼できる学校づくり、学力向上事業を展開し、経験豊かな教員の情熱を若手職員に継承する研修や、全国学力テストへの参加で積極的に学力の進捗を確認するなどの対策も講じており、さらには、オールイングリッシュにて外国人とキャンプを行うなど、学習環境等の向上に積極果敢な動きを見せているところでもあります。
しかしながら、本市においては、市長の肝いりでつくられた子どもの権利に関する条例があるものの、条例が制定された後も、例えば、中学校における外部指導者からの体罰問題や、クラス編制における内部資料流出問題など、ずさんとも言える教育環境の中で、子どもが生き生きと育っているのか、疑問に感じるところであり、条例そのものの実効性すら疑問に感じるところでもあります。
北海道では、このたび、より具体的で、実効性のある、わかりやすいいじめに関する条例を制定する方向で検討が始まっています。このような札幌市の状況と北海道の動きをあわせて見て、本市が、
子どもたちのために、多くの保護者の方々の理解が得られる教育環境への改善や、少子化に歯どめをかけ、子どもを産み育てやすいと思える子育て支援策をどのように打ち出すのか、全く展望が見えないところであります。
また、特別支援教育についても、年々、対象者は増加傾向にあり、その対策は急務であると考えます。小・中学校と特別支援教育を受け、次に高等部へ進学となったときに、札幌市やその近郊の学校は設置数や間口が少ないことから、保護者の方々は、不安を抱きながら、
夕張など遠方の全寮制の学校に行かせることとなり、さらに、その先の就職についても支援は難しいという現状であるなど、本市として今後も解決すべき多くの問題が予想されているところであります。養護学校は北海道の管轄でありますが、北海道への働きかけや、あるいは一部協働など、札幌市の
子どもたちのため、道任せではなく、連携を強化した対策を講ずるべきと考えます。
以上のように、本市の教育にかかわる問題は山積みであります。
このたび、北海道の教育長には北海道大学の法学部出身の立川氏が就任されております。一方、本市の町田教育長は、同じく北海道大学法学部出身であり、立川教育長とはいわば同窓の後輩となり、これまで余り連携、協調ができなかった北海道と、これまで以上に連携、協調、相談ができやすい環境がそろったように思いますし、また、本市は、札幌市
まちづくり戦略ビジョンにおいて、産業人材創造戦略として項目に掲げ、札幌市の将来を担う創造性豊かな人材の育成を標榜しているところでありますことから、新しく本市の教育長に就任いたしました町田教育長の所信表明と申しますか、力強い札幌市の教育におけるドラスチックな改革への抱負について伺います。
最後に、白石区の地域の諸課題について、1点のみ質問いたします。
今年4月7日に発生いたしました東米里地区における一部道路冠水などの被害があった件についてであります。
この原因については、排雪されずに残った多量の雪が、その日のうちに一気に解け出し、4月6日14時から7日14時までの24時間で積雪深が19センチも減少したことが挙げられます。積雪深が19センチ減少と、これを降水量に換算し、当時の雨量に加えた24時間の積算降水量は134.5ミリに相当し、この降水量は、気象庁のデータによれば観測史上第5位に相当する量でありました。
当該地区は、勾配が少なく、過去にも浸水被害を受けており、その後、北白石川や7線幹道排水の整備を進め、昨年には、8号幹道排水の整備が完了したところであります。しかしながら、排水の先にある旧豊平川は、道の管轄でありながら、自然保護団体の反対などによりほとんど整備がなされておらず、自然保護という名の放置がされている現状であります。この地区には、市民が住み、農業を営んでいる家庭も多数あり、一度、水害といった被害を受ければ、その損害は、その地域のみならず、市にとっても多大なものになってしまいます。
また、昨今では、地球温暖化などさまざまな要因による集中豪雨などが全国で発生しており、本市においても、今期の大雪は長く札幌に住む私にとっても記憶に残るほどの降雪でありました。
私は、東米里地区が置かれている現状を考えると、旧豊平川の整備事業は時間がかかる一方、雨が降るたびに不安な思いをしている方々のことを思えば、今後のこの地区における排水路整備事業は、排水を円滑に行う観点から新たな取り組みの検討が必要であると考えます。例えば、7線幹道排水と6線幹道排水の排水機能維持のため、これらの排水路近くに大規模貯留池を設置し、一定のキャパシティーを超えたときに雨水を誘導するといった取り組みであります。雨水や雪解け水をため込み、排水機能が正常に戻れば、たまった水を排水でき、今回のような浸水、冠水被害をかなりの確率で予防することができるものと考えます。
実際、福岡市では、浸水対策の一つとして、公園の地下を利用して豪雨に備えた貯留池を整備し、河川のキャパシティーを超えるような場合に一時的に水をため込む事業を行っております。その容量は、一般的な小学校プールの73杯分に相当し、費用は1立方メートル当たり8万円、半分は国の費用で賄えるということであります。
水害は、起こってからでは遅いのです。起こる前に浸水被害の起こりやすい地域に対して早急な施策が必要であり、そうした一つ一つの施策こそが安心・安全な
まちづくりの基本と言えるのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、東米里地区を初め、過去に浸水被害が何度かあった地区、あるいは、地理的事情から浸水被害を受けやすい地区に対して、地下を利用した貯留池の整備を今後の河川排水整備事業の一つとして加えることも必要と考えますが、本市の見解を伺うものであります。
さらには、そうした取り組みをモデル事業としてまず東米里地区で検討していただきたいと思うところでありますが、あわせて本市の見解を伺います。
以上で、私の質問の全てを終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(高橋克朋) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 6項目ご質問をいただきましたので、私からは、政治姿勢の問題についてと、各種事業展開と経済等への影響について、この2点について私から答弁をさせていただきます。その余は、担当の副市長並びに教育長からも答弁をさせていただきますので、お聞き取りいただきたいと思います。
まず、私の政治姿勢ということでご質問がございました。
まちづくり戦略ビジョンについてのご質問でございます。
1点目の戦略編におけるめり張りと組織及び札幌像についてということでございます。
戦略編の答申素案におきましては、めり張りある行政運営を目指し、今後、パラダイムの転換が求められる三つのテーマに関して集中的に施策を展開することとしておりまして、その中には、例えば、共生社会の実現、女性が活躍しやすい環境づくりによる経済の活性化、さらには
エネルギーネットワークの構築など、多くの新しい概念が盛り込まれているところでございます。加えて、北海道新幹線の札幌延伸の早期実現や、政府機関を初めとするバックアップ拠点の誘致、さらには冬季スポーツ国際大会の招致など、これからの札幌を大きく変貌させ得る施策の方向性が盛り込まれているところでございまして、今後、これらの取り組みをしっかりと実現に結びつけていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
今後、庁内における機能や役割分担の見直し、さらには、部局横断的な体制の構築というものを初めとした組織の再編などを図るとともに、人材などの経営資源も集中的に配分しながら、目指すべき都市像に掲げました北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち、互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち、この実現に向けて鋭意努力をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
2点目の人材の創造についてでございますが、札幌が今後とも魅力的なまちであり続けるためには、
子どもたちが札幌の将来について、未来について主体的に考え、学び、そして行動する機会というものを提供していくことや、一人一人の個性と能力というものを伸ばしながら、創造性と行動力をあわせ持った、地域や世界で活躍することができる札幌人の育成が重要である、このように認識をしているところでございます。このような人づくりを通じて、先人たちが培ったこのまちの輝きというものを次世代にしっかりと引き継いでまいりたい、このように考えているところでございます。
次に、市民自治の推進と行政の支援についてということでお尋ねでございます。
1点目の
まちづくりセンター自主運営化の推進と保健福祉の専門性が求められております行政の支援との整合性についてでございます。
高齢化の進展などによりまして、
まちづくりセンターにおいては、これまでにも増して地域福祉のネットワークづくりなど、地域福祉、保健福祉活動の支援の役割というものが非常に重要になってきておりまして、これは自主運営の
まちづくりセンターにおいても同様でございます。地域において保健福祉の専門性を求められる分野への支援については、区の保健福祉部の体制を強化いたしまして、保健師による地域保健活動推進事業などによって進めてまいります。
自主運営の
まちづくりセンターについても、区保健福祉部が地域への支援に一層力を入れてまいりますので、市直営の
まちづくりセンターとの間に差が生じるものではございません。自主運営の
まちづくりセンターでは、地域の創意工夫を課題解決に生かす自主運営制度の特徴というものが、地域福祉の分野においても一層発揮されていくものと期待をしているところでございます。
2点目の市民自治の評価と今後の進め方についてのお尋ねでございます。
私は、市長に就任して以来、市民がみずから考え、決め、そして行動する、こういう市民自治への意識改革、意識転換というものを図っていきたいということで、さまざまな取り組みをしてまいりました。具体的には、市政に対して多様な市民の意見をいただけるように、だれもが参加できるワールドカフェの開催や、あるいはパブリックコメント、関係者団体を対象とした説明会、さらには
子どもたちが参加できるワークショップの実施など、事業の性質や、あるいは対象に応じてさまざまな手法を活用し、そして組み合わせをしながら市民参加というものを推進してきたところでございます。また、これまで約20万人の市民が出前講座に参加をするなど、みずから市政について学ぼうとする機運の醸成や、あるいは、札幌市の行財政への理解の深まりを通じまして、ごみの減量や、あるいは節電などの取り組みが達成できた、このように考えております。これらは、まさに市民一人一人の市民自治の意識が広がり、市民力というものが向上した結果であると、このように評価をしているところでございます。
今後、さらに市民自治を深化させていくためには、自分たちの意見や行動が
まちづくりに寄与することをより多くの市民に実感をしていただき、市民自治による
まちづくりを市民生活に定着をさせていく必要がある、このように考えております。このため、事業の実施に当たっては、市民参加による事業手法の優良事例だとか、あるいはノウハウの共有化などの取り組みを進めまして、より参加しやすく、より満足度が高い市民参加の機会を創出することによりまして市民自治の意義が実感できるように努めてまいりたい、このように考えるところでございます。
政治姿勢の3点目、市長のマニフェストの検証についてということでございます。
1点目の町内会加入の促進についてでございます。
第3次新
まちづくり計画におきましては、平成26年度までに町内会加入率を75%まで上昇させるということを目標としているところでございまして、現在、これに向かって全力で取り組んでいるところでございます。これまで町内会加入のポスター等の作成、配布を初めといたしまして、町内会ということで検索ができますホームページを開設し、さらには、不動産関係団体と連携をして転入者等に町内会への加入を呼びかけるといった取り組みを実施しているところでございます。
町内会の方々からは、不動産業者との間で協議がより円滑になったとの意見をいただいておりまして、一定の効果が出てきているというふうに認識をいたしております。今後は、より多くの不動産関係団体との連携拡大というものを図るとともに、テレビなどのメディアを活用した町内会加入の啓発や、あるいは、町内会みずからが取り組む加入促進活動への支援などに取り組んでまいりたいと考えております。
2点目の町内会役員の担い手育成についてでございますが、札幌市では、平成22年に町内会役員に必要なノウハウを掲載いたしました町内会活動のヒントというパンフレットを作成いたしましたが、最近では、町内会役員に高校生が就任をするといった新たな取り組みも見受けられることなどから、今後、多様な担い手づくりの事例を盛り込むなどの改訂を実施いたしまして、その普及を通じて町内会役員の育成を支援してまいりたいと考えておるところでございます。
また、札幌市職員の町内会への加入や活動への参加につきましては、個々人の自由な意思に基づき主体的に行っているものでありますので、職員に特化した加入率や関与の状況というものは私のほうでは把握しておりません。
しかし、町内会活動は市民自治を推進していく上で大変重要であるということから、札幌市職員に対しても、町内会活動の役割等への理解を深め、そして、主体的な参加につなげていくことが必要である、このように認識をいたしております。このため、札幌市では、昨年度から新採用職員の研修において、
まちづくりセンターを訪問し、町内会の役員などから役割を学ぶ機会を設けるなど、今後もさまざまな場面で理解と参加を促してまいりたい、このように考えているところでございます。
2点目のご質問であります各種事業展開と経済等への影響についてという項目についてお答えをさせていただきます。
まず、札幌国際芸術祭についてでございます。
札幌国際芸術祭は、札幌のさまざまな資源をフルに生かして、時代の新たなライフスタイルや、あるいはクリエーティブ産業というものを創出いたしまして、その魅力を世界へ力強く発信していくために創造都市さっぽろの象徴的な事業として実施するものでございます。
ことしの雪まつり会場で好評を博しましたメディアアートの代表とも言えるプロジェクションマッピングでは、60年以上の歴史を重ねたイベントに新たな魅力を加え、にぎわいを生み出し、さらなる可能性というものを実感したところでもございます。
国際芸術祭においては、札幌の歴史や文化、あるいは、都市の課題などが芸術的に表現されることで生まれる創造性、そしてアイデアといったものを、
まちづくりの活性化や観光、経済の振興につなげるとともに、市民みずからがさまざまな地域課題を考えていくきっかけになるもの、このように受けとめているところでございます。そのために、より広がりのある芸術祭とすることが必要でございまして、文化芸術に携わる方々や団体等との幅広い連携というものを図ってまいりたい、このように考えております。
また、市民にこの芸術祭をより深く理解していただくために、シンポジウムあるいはワークショップなどの市民参加型プログラムというものを定期的に実施するとともに、芸術祭専用ホームページや、あるいはソーシャルメディアを活用して国内外への情報発信を強化してまいりたい、このように考えているところでございます。
次に、創世1.1.1区(さんく)の再開発に伴う複合施設のあり方についてでございます。
この項目の1点目の機能の複合化により期待する相乗効果等についてでございますが、市民交流複合施設は、創造的な市民活動、文化芸術活動、集客交流などの中心となる拠点として、施設を構成する三つの基本機能が相互に連携することによりまして、多様な活動や交流というものを生み出し、さまざまな都市文化を育む場とすることを目指しているものでございます。相乗効果といたしましては、例えば、高機能ホールですぐれた芸術に接した人々が、アートセンターの活動を通じて他のすぐれた文化芸術との触れ合いやアーティストの支援をする活動、みずから創造活動を始めるといったことが想定をされるところでございます。また、図書館を利用する人がアートセンターの活動や、あるいは情報に触れることで、文化芸術への関心、興味というものを高めていただくということが期待されるところでございます。
このように、触れる、そして、つくり出す、発信するなどの活動を展開し、人材の裾野というものを広げ、多様な文化芸術を育む場としていくことで、創造都市さっぽろの実現を目指していく考えでございます。
2点目のアートセンターの取り組み内容についてでございますが、アートセンターは、札幌市が創造都市として文化芸術を生かした
まちづくりを戦略的に展開していくために、札幌市の文化芸術活動の全体を支え、一層推進する拠点である、このように位置づけをいたしております。取り組み内容につきましては、市民に文化芸術に親しんでいただけるように、創造性の高いアートの企画や、あるいは、文化芸術を活用した地域コミュニティーの再生、アーティストや市民等の活動支援、アートマネジメントを担う人材の育成、きめ細かな情報発信などの取り組みを行っていきたいという考えでございます。
具体的な内容につきましては、今後も、アーティストや市民、文化芸術団体などの意見も踏まえて検討を進めて、財政状況も考慮しながら、多様な文化芸術活動の中心を担えるように、開設に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
次に、製造業誘致に関する新たな方策についてということでご質問でございます。
1点目の準工業地域への誘致方策についてでございます。
ここ数年における製造業の札幌市内への立地動向を踏まえまして、周辺の住環境に配慮しつつ、土地利用計画制度のルールに従った工場の新設や、あるいは増設、移転には、準工業地域等についても補助制度というものが適用になるように、私も制度の見直しをしたところでございます。
2点目の市内への製造業誘致の考え方についてでございますが、市内への製造業誘致は、まちの活力を維持・向上させていくために極めて重要な施策の一つである、このように位置づけされているものと認識をいたしております。今後も、住居機能と就労の場を初めとしたさまざまな都市機能の調和というものを保ちながら、積極的に市内への製造業誘致を図っていきたい、このように考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○議長(高橋克朋) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私からは、防災のための危機管理と災害対策についてお答えを申し上げます。
まず、防災のための危機管理のあり方についてであります。
1点目の職員の危機管理に対する認識と対応力を高める取り組みについてでございますけれども、議員ご指摘のとおり、そのような取り組みを進めることは重要であると認識をしているところでございます。そのため、避難場所への職員参集を初め、さまざまな状況を想定した訓練を行いますとともに、危機管理に必要な心構えや、知識を習得するための職位に応じた研修などを実施しているところでございます。
今年度は、避難場所の運営実務の向上に役立つ、いわゆるHUGと言われておりますが、避難所運営ゲームを取り入れるなど、今後とも、訓練や研修について、実施規模、参加者の理解度や習得度などの視点から、適宜、検証を行い、その充実に努めてまいります。
2点目の危機管理対策室の機能の充実についてでございます。
札幌市危機管理基本指針によりまして、日ごろから、危機に備え、素早く対応できる市役所全体の体制を構築しておりまして、その中で危機管理対策室は総合調整の役割を担っているものでございます。各部局は、危機管理責任者に充てられました各局長等のもと、所管する施設や業務に関する危機管理に当たっております。この体制は、平常時にあっては、最も関連の深い部局が専門的な知識や経験を生かし、みずからの責任で災害の未然防止の観点を含めた防災対策を進めているものでございまして、緊急時の危機対応への迅速な移行にもつながる合理的なものであると考えております。
今後とも、この体制を基本としつつ、危機管理対策室が持つ総合調整機能の一層の充実に努めながら、全市的な危機管理対応力の強化を図ってまいりたいと考えております。
次に、雪対策についてでございます。
1点目の大雪への対応についてでございますが、昨年度は全市的な大雪となったわけでございますが、平成22年度の局地的な大雪の教訓を踏まえまして取り組みを展開したところでございます。具体的に申し上げますと、各種排雪作業を前倒しするとともに、交通事業者からの情報による交差点排雪等の実施、また、ファクスによる町内会長、報道機関、あと、ホームページによる市民への情報提供に努めたところでございます。
今年度は、昨年度の検証を行う中で、全市的な大雪時におきましてもより的確な対応をとり、市民生活への影響を最小限に抑えるよう検討してまいりたいと考えております。
2点目の雪たい積場を含めた雪処理についてでございます。
昨年度は、12月からの大雪に対応するため、雪たい積場を前倒しして開設いたしましたほか、緊急的な開設でありますとか既存箇所の搬入容量を拡大するなど、排雪需要に対応したところでございます。
しかしながら、2月中旬以降、閉鎖する雪たい積場がふえましたことから、地域的な偏りが大きくなったことや、車両の集中によりまして周辺道路の渋滞が発生するなどの課題も出たところでございます。
今後は、大雪時への対応として、これまで以上に緊急的な開設箇所の選定、偏りの緩和に向けた市専用、一般利用の再検討など、より効率的な雪処理ができるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、道路防災対策についてでございます。
既存道路施設等の保全につきましては、傷みがまだ軽微な段階から補修をし、できるだけ長く使い続ける、こういう予防保全型の維持管理の考え方を取り入れまして、これまでに橋梁長寿命化修繕計画や幹線道路等舗装補修計画を策定し、優先度を定めた上で修繕、補修に取り組んでいるところでございます。また、その予算執行につきましては、中長期的な見通しのもとに、平準化を行った上で執行しているところでございまして、緊急的な対応が必要となった際には、国の補助制度や補正予算等の措置を最大限活用しながら取り組んでまいりたいと考えております。
なお、近年、異常気象による斜面崩落等の想定外の災害が各地で多発しておりますことから、今後の道路防災対策につきましては、これまで行っている定期点検に加えまして、トンネルやアンダーパスなどの総点検の実施や、街路灯、大型標識などの施設ごとの補修計画も策定をいたしまして、優先度の高いものから順次しっかりと対策を行ってまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(高橋克朋) 秋元副市長。
◎副市長(秋元克広) 私からは、6項目めの白石区の諸課題についてお答えをいたします。
まず、地下を利用した貯留池の整備についてであります。
これまで、札幌市におきます浸水対策といたしましては、川幅の拡幅などによります流下能力の確保とともに、雨水の河川への流入を抑制するため、公園や学校の
グラウンドなどを利用した流域貯留浸透施設の整備を進めているところでございます。地下の利用につきましては、昨年度、月寒公園において、流域貯留浸透施設としては初めての地下貯留池を整備したところでありますが、このような地下貯留池の整備には、地表面の貯留に比べて地形的な条件や排水方法、流末の確保などさまざまな制約を受けますこと、さらには費用の増大ということにもなりますことから、その導入に当たりましては慎重な検討が必要であるものと考えております。
次に、東米里地区への地下貯留池の導入についてでありますけれども、現在、北海道が旧豊平川の整備について調査検討を進めているところであり、この整備により東米里地区における治水安全度が向上するものと考えられます。このため、まずは今年度中に取りまとめられます北海道の検討結果を見ながら、当地区の浸水対策について引き続き検討してまいりたいと考えております。
私からは、以上であります。
○議長(高橋克朋) 井上副市長。
◎副市長(井上唯文) それでは、私から、4番目の質問であります福祉関係施策について答弁させていただきます。
まず、生活保護受給者への就労支援体制についての質問の1点目、対象事業拡大の検討についてでありますが、札幌市の就労支援事業につきましては、個々の対象者の就労意欲や、稼働阻害要因等の状況を十分考慮した上で、各事業の特性を踏まえ、就労意欲を高めるような支援を行っているところでありまして、一定の成果を果たしているものと考えております。また、就労ボランティア体験事業におきましては、活動メニューの拡大を図るなど、事業内容の見直しを行っているところであります。
今後も、より効果的な就労支援が実現できるよう、国の動向を踏まえながら、札幌市の就労支援体制について検討してまいりたいと考えております。
2点目の民間活用の検討についてでありますが、ハローワークとの連携を強化するとともに、例えば、就労カウンセリングや就職準備セミナーなどにおいて、民間とも協働しながら、それぞれの役割分担を明確化した上で一体的な支援を行っており、成果も上がっていると認識をしております。また、きめ細かい就労支援を行うために、今年度、区保護課の就労支援相談員を25名から30名に増員したところであります。増員はいたしましたけれども、就労後の効果的なフォローアップ体制につきましては、今後、検討していく課題だろうと考えております。
次に、乳幼児の聴覚障がいへの対応についてお答えいたします。
1点目の早期発見及び早期療育に向けた取り組みについてであります。
札幌市では、生後4カ月までの乳児家庭全戸訪問事業におきまして、早期に子どもの聴覚障がいに気づくことができるよう、聞こえの観察ポイント等を助言するとともに、保健師等が、直接、子どもの聴覚の確認を行っております。さらに、平成23年度からは、3歳児健康診査において、聴覚障がい児の発見に有効な指こすり検査、これは、保護者が子どもの耳の横で軽く指をこすり、音が聞こえるかどうかを確認するものでありますが、この検査を導入してスクリーニングの体制を充実させております。
一方、早期療育に向けた取り組みといたしましては、行政と産婦人科及び小児科医療機関が連携した育児支援ネットワーク事業に、同じく平成23年度から耳鼻咽喉科を加え、把握された聴覚障がい児と家族に対して保健師の家庭訪問などによる支援を実施しております。また、聴覚障がいの早期発見の精度を高めるためには、日常的な子どもの様子を把握できる保護者の気づきが最も重要でありますので、今後も、健診等の機会を通じまして、聴覚検査の重要性とともに、乳幼児期における聞こえのチェック項目等について広く周知してまいりたいと考えております。
2点目の身体障害者手帳の交付対象とならない難聴児への補聴器助成についてであります。
札幌市では、これまで、難聴児の早期発見と早期療育に向けた体制づくりに力を入れてきたところであります。最近では、子どもの言葉と聞こえの発達を促すためには、補聴器を装用することが非常に有効であるということも注目されるようになってきております。このような状況から、早期療育の一方策として、補聴器の装用について、保護者の経済的負担の軽減を含め、行政としての支援を早急に検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(高橋克朋) 町田教育長。
◎教育長(町田隆敏) 私から、5項目めの教育問題についてお答え申し上げます。
平成25年度の札幌市の教育推進の目標として、未来を切り拓く人間性豊かで創造性あふれる自立した札幌人の育成を掲げております。この自立した札幌人を育成するためには、まず、目先のことにとらわれるのではなく、しっかりと将来を見据えた学びを保障することが大切であると考えております。そのためには、基礎的、基本的な知識、技能のみならず、学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力等をバランスよく育みながら、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから問題を解決する資質や能力等の学ぶ力を育成してまいりたいと思うところでございます。
加えて、北国札幌らしさを学ぶ「雪」、未来の札幌を見つめる「環境」、生涯にわたる学びの基盤「読書」、雪、環境、読書、この三つのテーマを中心とした札幌らしい特色ある学校教育をより一層推進していくことも大切だと考えているところでございます。
また、札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例の趣旨を十分に踏まえ、子ども一人一人が、命が守られ、差別やいじめを受けることなく、安心して生活できることが大切であります。そのためにも、いじめや不登校への取り組み、命を大切にする指導や特別支援教育の推進に積極的に努めてまいりたいと思うところでございます。
そのほか、札幌の自然環境を生かした野外教育、Kitaraや芸術の森など文化施設を活用した体験的学習、青少年科学館などの施設を活用した理科教育、環境教育を一層充実させてまいりたいと思うところでございます。
さらにもう一つ、将来の生き方や進路について考えさせる進路探究学習、いわゆるキャリア教育でございますが、これをより一層進め、子ども一人一人の自己肯定感を高め、自己の実現に向けて意欲的に取り組もうとする心を養っていきたいと強く思うところでございます。
最後に、私は、チャールズ・ダーウィンの言葉でございますが、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残ることができるのは変化できる者である」という言葉を胸に、継続するものは継続しつつ、新しいことや変えることは大胆に、市民の皆様とともに教育行政を推進してまいりたいと考えるところでございます。
以上でございます。
(阿部ひであき議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(高橋克朋) 阿部ひであき議員。
◆阿部ひであき議員 もう少しドラスチックな言葉をいただきたかったところでありますけれども、まずは、道との連携も図って、やっぱり、北海道に住む、札幌市に住む
子どもたちにとっては北海道も市もないわけでありますから、その辺のところをしっかりと対応できるように、横の連携をとっていただきたいなというふうなところを一つ指摘しておきます。
それからもう一つ、指摘があります。東米里地区の浸水対策についてであります。
旧豊平川の整備を見きわめてからということも、理解しないわけではありません。しかし、その地域に住む住民の方の安心とか安全といったものを考えると、やはり、ただ道の動きを待っているだけでいいとはならないはずであります。やはり、その件については、防災上、災害の確率が高い地域の安全性を高めるということが私は非常に必要ではないかと考えますし、本市の取り組みとして、ぜひ、この件については検討をしていただきたいというふうに思います。災害が起こってからでは遅いので、しっかりと検討していただきたいと重ね重ね言わせていただきます。
再質問に移ります。
私のほうから、4点再質問をさせていただきます。
一つは、市民自治について、もう一つは、国際芸術祭開催について、三つ目には、再開発、創世1.1.1区(さんく)、複合施設のあり方について、そして、四つ目には、防災のための危機管理のあり方についてであります。
市民自治についてであります。
市民参加による事業手法は、いろいろとやり方とか意見とかがあると思うのですけれども、あくまでも、これは、市民自治というふうに言うのであれば、やはり、市民が率先してそれに参加する環境が大切であると思うし、たくさんの人たちがそれに出てこなければならないというふうに思います。今、現状でいけば、やはり、声なき声といいますか、サイレントマジョリティーというか、大多数の市民意見、こうしたものをどうやって捉えていくのかというのは、全くもって今はまだ不明確な状況にあるというふうに思います。そうした中で、市民自治が浸透していると言うのは、まだいささかちょっと早いのではないのかなと感じているところであります。
市民意見を市民自治と直結させるような、そうした語呂合わせも危険であります。最終的には、行政は、やはり行政として、プロとしての目を持って行政判断というものをしっかりと養った中で、市民自治を、両方を進めていく方向で進めていかなければならないんじゃないかなというふうに思うのです。
そこで、質問でありますけれども、市長は、市民自治と行政判断と、これをどうやって整合性を図っていくおつもりなのかなということ、それからまた、行政判断を養っていくために、行政にかかわる市職員のスキルアップについてどのような認識をお持ちなのか、改めて伺いたいと思います。
次に、国際芸術祭についてであります。
芸術祭の成功は、やはり、市民にどれほど多く受け入れてもらいながら、さらには、見学者をどうやってふやしていくかという点にあると思います。芸術祭のコンセプトなどソフトの面とか、会場への案内のあり方、あるいはアクセスですか、そうしたハード面の整備の両立は必要不可欠であります。そしてまた、取り組みに対する方向性を誤れば、ほかの都市で経済効果が上がっているから大丈夫だということでもないはずであります。まさに、札幌市における地域性を生かした取り組みが強く求められるところでありますし、取り組み自体がいまだ不透明な面がまだまだたくさんあると考えます。
そこで、質問ですが、この芸術祭における取り組み内容、とりわけ、先ほどから述べられているような具体的な取り組みについて、いつごろまでにそれらが示されるのか、伺いたいと思います。
次に、創世1.1.1区(さんく)における複合施設のあり方についてです。
これらにつきましては、図書館、アートセンター、それから高機能ホールの三つの連携がという話もありますけれども、しかし、最終的には、その施設自体に人が来るような取り組みをしていかなければならないというふうに思います。そうした中では、集客あるいは交流といった人の流れを推測するような企画、取り組みをやはり早急に示していただかなければならないと考えますが、この件につきまして、自分たちの官の側だけではなくて、民間の活用という別な視点も含めた上で、いま一度、本市のこの件に対する見解を伺うものであります。
最後、防災に対する危機管理と災害対策についてであります。
危機管理対策室は、先ほど話にもありましたけれども、総合調整の役割を持っているというふうにありますけども、しかし、危機管理対策室という名前からいくと、やはり、本当にそれが危機管理対策を担うべき役割の部署になっているかどうかというと、私は、そうではないんじゃないかなというふうに思います。もっとわかりやすく言えば、何か名前負けしているような状況に感じるわけですね。やはり、市長の危機管理というこの取り組みに対する、もう少しその認識をはっきり持っていただかなければならないと思います。
今の体制では、本当に対策室は主導的な立場ではなくて、それ以上に私が懸念するのは、万が一、本当に甚大な災害があったときに、じゃ、どの部署がどうやって責任を持って情報収集に努め、的確にそれを集約し、責任を持って行動に当たるのかという点が全くもって不透明で、全く見えない、不明瞭なところであります。中心となる責任の所在をぼかしたそうした取り組みは、やはり、万が一の災害時には、私は大きな混乱をもたらすものと危惧するものでありますが、異常気象が多数報告されている昨今だからこそ、危機管理対策室の権限や予算について抜本的に見直すべきではないかと私は思うのでありますけれども、いま一度、その辺に関する市の見解を伺うところであります。
以上、4点について再質問をします。
○議長(高橋克朋) 上田市長。
◎市長(上田文雄) 質問をありがとうございます。
市民自治という概念でありますが、もちろん、意見を述べる、あるいは、いろんな事業に参加をするというようなことは、大事な指標にはなるというふうには思いますけれども、市民の意見を吸収していくという、そういう開かれた市役所というものが、意見を言うと聞いてくれるぞと、こういうふうに思っていただける体制をつくるということがまず大事だというふうに私は思っております。そんな意味で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、出前講座などは、市政課題について知りたいという方がのべつありますけれども、20万人もの市民の方が参加されているわけですね。そこでしっかりと、自分たちの置かれている状況だとか、札幌市の置かれている状況、これは我々行政マンがしっかりした情報提供をしていく、そして情報の共有化をしていく、そういう作業を始めてずっと取り組んできているわけであります。
そして、成果として、もう何回も申し上げて恐縮でありますが、例えば、ごみの減量化などということは、私たちはとても大事な成果だというふうに思います。日常生活の中で市民が毎日ごみの分別をしっかりやるということは、もう既にやっているわけですね。そして、リバウンドもないという、こんなすばらしいまちというのは、本当に、市民力というふうに言って、誇りに思えるものだと私は思います。これは、日々、自分たちのまちのことは自分たちで考えて、自分たちが実践しなければこのまちはよくなっていかないのだという気持ちを市民の皆さん方に持っていただいている、その証左ではないか、そんなふうに考えているわけであります。
そこで、行政は何をするのか、行政判断というのはどうするのかということでありますが、私たちは、市民に考えていただきたいことをしっかり情報提供する、この作業をこれからも徹底的にやっていく。例えば、さまざまな自治体で取り組んでいる先進的な事例等について、我々が札幌に適用できるかどうかという一応の判断をしながら、市民の皆様方に、こういうことはどうだというふうな問題提起をさせていただきます。そして、議論をしていただきます。いや、札幌じゃ、それは無理だ、もっといい方法があるというふうな意見を私たちは市民の皆様方から吸収していく、そんなチャンスをいろんな場面でつくっていきたいというふうに考えております。そして、しっかり素直に聞き、謙虚に聞き、そして、そこで行政判断というものの質を高めるということが市民自治と行政判断の関係ではないか、こんなふうに考えているところでございます。
国際芸術祭についての全体像はいつ示されるのかということでありますが、過日、5月15日から18日まで、坂本龍一さん、ゲストディレクターでありますが、おいでになりまして、札幌の隅々までといいますか、「都市と自然」というテーマに沿った形でごらんになりました。あるいは、周辺の
夕張だとか三笠だとかの産炭地、札幌がこういう大都市になるまでの北海道の歴史の大きな部分を占める、そういう産業についてもごらんになっていかれました。非常に多くの刺激を受けて、イメージをかなり詰め込んでいかれたというふうにお聞きをいたしております。そういうものが、今、どんどん、どういう展覧会、展示にするのかということについてイメージを固められ、かつ、下準備をされているというふうにお聞きしておりますが、11月の初旬に、プレ企画、来年の国際芸術祭に向けたプレ芸術祭というものを企画をいたしております。そのときまでには全体像というものが出てくるだろう、こんなふうに思っております。
もう一つ大事なのは、72日間の国際芸術祭でありますけれども、その期間だけが芸術祭だということでは私は不十分だというふうに思います。もちろん、この芸術祭にたくさんの方が、いろんなところからお客さんがおいでになって鑑賞していただいていろんな刺激を受けていただくということももちろん大事なことでありますけれども、これを契機に、さまざまな創造的な意識を持つことができるような、そして、次の芸術祭までの間に自分は何をしようかというふうに思えるような、都市の活性化に通ずる、あるいは、産業に貢献できる芸術祭にしていきたい、このように考えているところでございます。
創世1.1.1区(さんく)も同じような理念で、私どもは、創造都市をつくる拠点というふうに考えてこの市民交流複合施設というものを位置づけさせていただきたい、このように考えているところであります。大ホール機能、そしてアートセンター、さらに都心にふさわしい図書館と、大まかに言えば三つの機能がございますけれども、これが相互に刺激し合って人や施設が十分に活用されることを我々は期待するわけであります。場所についても、創成川に面し、そして、今、創成川イーストということで盛んに
まちづくりのいろんな計画が出ておりますけれども、いろんな方々が集まりやすい場所にこれを設けることによりまして、多くの方に、まさに市民交流複合施設というコンセプトにふさわしい実体を備えるべくこれからも努力をしていきたい、このように考えるところであります。
防災に関しましては、生島副市長から答えさせていただきます。
○議長(高橋克朋) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 危機管理対策室の機能の拡充ということでご質問がございました。
危機管理対策室は、平成16年4月に設置をしたものでございます。その際も、各原局での責任ある対応を前提とした上で、市長を補佐し、総括的な調整を行う組織として危機管理対策室が位置づけられたということでございます。危機管理というのは、全市を挙げて行うものでございます。それは、原局と総合調整を行います危機管理対策室の組み合わせ、こういう仕組みの中で進めていくものというふうに理解をしております。
このような考え方というのは、全国的に見ましても標準的なものだなというふうに考えておりまして、先ほどもお答え申し上げましたように、現状では適切なものというふうに考えております。ただ、議員からお話がありましたように、本当に大丈夫かと、そういうご心配もいただいておりますので、本当にしっかりやらなければならないなというふうに思っております。
また、組織のあり方というのは、何か法律があってこうでなければならないとか、100点の答えというのがあるわけではございません。そういった意味で、状況の変化というものもございますので、市民の生命、身体及び財産を守るという究極の目的を達成するために何が最適な組織なのかということについては、さまざまな議論を行いながら、不断の点検が必要である、このように考えております。
(阿部ひであき議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(高橋克朋) 阿部ひであき議員。
◆阿部ひであき議員 一つ、再々質問をします。
国際芸術祭についてであります。
私は、瀬戸内の話は先ほどの質問の中でもさせていただきました。その中には、ディレクターの方によって意見というのがあると思うのですけども、観光とか、あるいは、経済の振興と切り離した形の取り組みにしたいという考えをお持ちのディレクターの方もいるやにお聞きします。この辺のところは、先ほどの答えでは観光、経済の振興につなげるというふうなこともありますけれども、やはり、そうした中で、全体像が出てきた中で、本当にしっかりと坂本ディレクターのほうときちっとその辺の協議をした上で、やはり、観光あるいは経済の振興というものにつなげられるような、そうした取り組みにしないと、せっかく税金を投入してこれまでやるわけですから、しっかりと成功に結びつけるようなやり方をぜひやってもらいたいなと思うのですけれども、その辺についての協議は、将来なされるのかどうかということを、改めてしっかりと確認したいなというふうに思います。
○議長(高橋克朋) 上田市長。
◎市長(上田文雄) 当初から、創造都市という考え方は、まさに産業ということを考えているわけでありまして、その産業の内容は、新しい芸術を介して産業をつくっていこうということも一つでありますけれども、従来の観光とか資源を、いろんなイベントを我々はやっていますけれども、こういうものを総合的に観念できるというか、そういうものにつくり上げていくイベントとしての国際芸術祭であるわけです。ですから、今まで我々がたくさんいろんなことで頑張ってきたことをもっとブラッシュアップするというのも国際芸術際の一つの大きなテーマである。産業振興を離れたアートのためのアート、一部の芸術家、一部のクリエーターのための芸術活動の発表展では断じてないということを私は断言させていただきたい。もちろん、坂本さんとも同じ意見でございます。
○議長(高橋克朋) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後3時10分
再 開 午後3時40分
――
――――――――――――――――
○副議長(ふじわら広昭) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
村上ゆうこ議員。
(村上ゆうこ議員登壇・拍手)
◆村上ゆうこ議員 私は、民主党・市民連合を代表して、本定例会に上田市長が上程されました諸議案並びに当面する諸課題について、順次、質問してまいります。
最初に、財政問題について伺います。
1点目は、財政運営の基本的な考え方についてです。
札幌市は、上田市長就任以来、事務事業や職員数の見直しなど、
行財政改革を大胆に実行し、市債残高の縮減を進めるとともに、改革により生み出した財源を活用して、子育て支援の拡充や地域経済の活性化といった政策課題に積極的に対応されてきました。今後も安定した行財政運営を続けていくためには、これまでの努力の結果である財政の健全性を維持しつつ、人口減少社会の到来やエネルギー政策の抜本的な見直しといった、これまで当然だと思っていた価値観の変化、いわゆるパラダイムの転換を踏まえ、真に効果のある事業をこれまで以上に厳選して予算の重点化を図ることが必要です。
地域経済の活性化や税源の涵養など、事業の効果が将来にわたって波及するようなお金の使い方となっているかどうかを検証しながら財政運営を行うことが求められます。例えば、市有施設の更新に当たりましては、ただ漫然と同じ施設に建てかえるだけではなく、周辺の地区特性と調和のとれた複合的な施設として再整備するなど、限られた財源を、都市としての魅力を高め、民間の投資意欲を喚起するような
まちづくりに積極的に集中投資していくことが重要です。
こうした意味からも、先日、答申素案が示されました
まちづくり戦略ビジョン<戦略編>には、新たな創成期を切り開く都市経営戦略として、札幌の魅力を高め、将来を担う
子どもたちの未来を創造する取り組みが集中的、効果的に盛り込まれています。こうした取り組みが実を結び、市民所得や市内総生産を向上させ、その結果、札幌市財政に好影響をもたらすものと大変期待をしているところです。
一方、少子高齢化といった社会構造の変化に伴い、社会保障関連経費などの義務的性格の強い経費の増加が引き続き見込まれています。誰もが安心して生活を送るためのセーフティネットを持続していくためには、全ての行政サービスについて、その必要性及びサービス水準や負担のあり方などを慎重かつ大胆に検証し、投資的な事業と消費的な事業のバランスに配慮しながら、選択と集中を一層進めていく必要があります。
国が今進めている金融政策主導の経済対策は、一見、好調なようにも見えますが、実体が伴っていません。地方経済の活性化のためには、未来への投資による足腰の強い経済基盤を確立し、歳入歳出を通じた大胆な見直しをあわせて進めることが必要です。
そこで、質問ですが、市長は、限られた財源の中で、今後どのように財政運営を進めようとされているのか、その基本的な考え方を伺います。
2点目は、適正な市債管理についてです。
札幌市には、札幌オリンピック前後に整備され、老朽化した市有施設が数多くあり、これらの施設の建てかえや大規模修繕あるいは耐震化などを早急に進めなければならない上に、先ほども述べましたとおり、大都市にふさわしい
まちづくりを積極的に進める必要があることから、今後、公共投資に対する財政負担は増大することが見込まれます。このような公共投資は、国庫補助などの財源確保策を最大限活用したとしても、世代間の負担の公平性や平準化の観点から市債の活用が不可欠であります。
札幌市では、
行財政改革推進プランにおいて、全会計の2014年度末時点の市債残高を2期目最終年である2010年度末と比較して縮減させるとしていますが、こうした未来への投資に加え、近年、地方交付税の振りかわりである臨時財政対策債の発行額が毎年増大していることを考え合わせますと、中長期的には市債残高の縮減という目標を今後も継続し続けることが難しくなるのではないかと懸念されるところです。
しかしながら、このような中にあっても、将来世代への責任を果たす財政運営を行うためには、プランが終了する2014年度以降も引き続き債務を適正に管理していくことが必要です。
そこで、質問ですが、今後の財政運営に当たって、適正な市債の管理をどのように考えているのか、伺います。
次は、札幌市
まちづくり戦略ビジョンについて伺います。
まちづくり戦略ビジョンは、ビジョン編が第1回定例会において議決を受け、現在は戦略編の策定作業が進められています。人口減少や超高齢社会といった、かつて経験したことのない時代の到来に対して、先人たちが築き上げてきた札幌のまちという財産を未来の市民に引き継いでいくために、このビジョンは極めて重要な方向性を示すものであり、策定を決断した市長に敬意を表します。
ビジョン編は、市民と共有できる市民計画と位置づけ、現状分析と将来予測をしっかりと行った上で、目指すべき都市像や未来実現型という形で10年後のまちの姿を
まちづくりの基本目標として打ち出したことは、まさにパラダイムの転換が求められる都市経営を新たな段階に方向づけるものになると考えられます。
去る5月20日に開催された総務委員会では、戦略編についての審議会における審議経過と答申素案の報告があり、初めてその全貌が明らかになったところです。この中では、暮らし・コミュニティ、産業・活力、低炭素社会・エネルギー転換といったビジョン編で掲げられた戦略的に取り組む分野ごとに合わせて八つの創造戦略を掲げています。特に、高齢化の急速な進行などの社会構造の変化によってさまざまな地域課題が顕在化していくことが予想される中、こうした課題を克服し、安心して暮らせる地域をつくり上げるための暮らし・コミュニティの分野においては、地域福祉力創造戦略、共生社会創造戦略、地域マネジメント創造戦略の三つが掲げられ、具体的な取り組みが盛り込まれています。
我が会派としても、地域の中で、年齢や障がいの有無などにかかわりなく、誰もが支え合い、自立して暮らせる共生社会の実現は極めて重要であると考えており、福祉施設などと地域社会が日常的にかかわり合いながら、子どもや高齢者、障がい者が継続的に交流を深める共生型の地域環境の構築について代表質問や常任委員会で取り上げてまいりました。また、高齢単身世帯など支援が必要な市民の孤立の懸念や、
郊外住宅地の人口減少による地域活動の担い手不足などの課題が地域において顕在化していくことが予想される中で、地域の住民同士のつながりの維持、強化によって地域福祉力を高めていくことや、町内会を初めとした地域コミュニティーを支える団体の活性化などによって地域の力が十分に発揮できるようなコミュニティづくりを進めていくことが今後ますます重要になってくるものと考えられます。
札幌市が大きな転換期を迎えようとしている中で、このような地域の
まちづくりを進めるための暮らし・コミュニティの分野の戦略は、今後の市政運営において大きな柱となるものであり、戦略編に掲げられた取り組みを積極的かつ着実に推進していくことが求められています。そして、その展開に当たっては、行政がその役割を明確にしながら、地域としっかりと向き合って取り組んでいくことが肝要です。
そこで、質問ですが、戦略編に掲げられる暮らし・コミュニティの三つの創造戦略を推進し、このビジョンを実現するために、市長は、地域とのかかわりにおける行政の役割をどのように変えていこうとしているのか、その基本的な考え方を伺います。
次に、都市再生緊急整備地域の見直しと、これに伴う創成川以東地区の
まちづくりについて伺います。
札幌市では、2002年に、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の指定を受け、そのメリットを生かし、積極的に都心の
まちづくりを進めてきています。さらに、2012年1月には、国際競争力の向上を図る目的で、札幌駅、大通駅周辺地域の110ヘクタールが特定都市再生緊急整備地域、いわゆる特定地域として指定されました。今般、都市再生緊急整備地域及び特定地域双方の区域を見直し、拡大を図ることとして、先月13日付で都市再生本部に対し申し出を行い、その後の手続を経て、この夏には国からの地域指定を受ける見込みと伺っています。
昨年、北海道新幹線の札幌延伸工事実施計画の認可や、苗穂駅周辺地区整備及びネットワーク道路整備の都市計画決定、北4東6周辺地区への中央体育館移転に伴う建設基本構想の策定など、主に都心東部での新たな公共施設の整備と、これを契機とした民間都市開発事業が顕在化してきており、このたびの申し出はこれらの動きを後押しするものです。これは、昨年の第1回定例会での代表質問以来、区域を見直し、拡大すべきとの我が会派の主張に沿うもので、高く評価をしているところです。
また、特定地域については、政令市であればどこでも認められるといった簡単なものではなく、厳しい数値要件をクリアする必要があり、全国でも6都市11地域しか指定されていません。こうした要件の厳しさは、その地域が国際競争力の強化を図る上でいかに重要であるかを示すものであり、今回の区域拡大が認められることで本市の都心のポテンシャルの高さを国内外にアピールすることにつながります。このことは一層の民間投資を誘発するものと考えられることから、申し出に沿った指定がなされることを強く望むものです。その上で、今回の区域拡大をきっかけに、都心の
まちづくりがどのように進められていくのか、強い関心を持っているところです。
そこで、質問ですが、今回の都市再生緊急整備地域の区域拡大を契機として、どのように都心の
まちづくりを進めていくのか、市長の考えを伺います。
2点目は、創成川以東地区の
まちづくりについてです。
現在、札幌市では、札幌都心
まちづくり戦略で新たに都心
まちづくりの重点地区に位置づけられた創成川以東地区に関して、学識経験者等から成る創成川以東地区
まちづくり会議を開催し、
まちづくり計画の策定に向けて検討を進めていると伺っています。創成川以東地区は、札幌の発展を支えた産業遺産やものづくり文化が残る歴史ある地区であるとともに、近年では、地区内における旺盛な民間マンションの開発などにより、人口がこの10年間で2倍以上に増加するなど、都心居住を支える重要な地域として成長しています。さらに、都心近接地でありながらも、低廉な地価や賃料といった強みも持っており、民間都市開発のポテンシャルを秘めた地区でもあります。
その一方、当該地区は、都市の拡大と産業構造の変化に伴って工業機能が郊外に移ったことにより土地の利用が低いといった課題や、クランク状の道路、狭隘道路の改良など都市基盤に係る課題も数多く抱えており、今後は、中央体育館跡地の活用と、それに伴う周辺街区の整備といった課題も生じてきます。これらに対応するためには、都心中心部の魅力とにぎわいを創成川以東地区へ連続的、一体的につなげていくことがとりわけ大切であり、当該地区における
まちづくりの重要な視点であると考えます。
こうした中で、北1西1街区を初めとする創成交流拠点の整備、地区の核であるサッポロファクトリーと一体的な整備を目指す北4東6周辺地区の再開発、卸センター地区における再開発の検討など、さまざまなプロジェクトが進行しています。これらの連鎖的な展開により民間開発をさらに誘発するなどの周辺地区への波及効果が見込め、地域の抱える課題解決につながることも期待できます。
さらに、昨年12月に都市の低炭素化の促進に関する法律、通称エコまち法が施行されるなど、環境負荷の少ない低炭素型の
まちづくりが期待されており、
エネルギーネットワークの実現や、環境性能の高い建築物、街区単位での低炭素化など、新たな視点からの
まちづくりが求められる時代となっています。
そこで、質問ですが、新たな時代にふさわしい創成川以東地区の
まちづくりをどのように進めていくつもりか、市長の考えを伺います。
次に、除排雪対策及び道路の舗装補修について伺います。
1点目は、道路の排雪作業に欠かせないダンプトラックの確保についてです。
昨年度の冬は、初雪こそ遅かったものの、11月18日に初めて降った雪がそのまま根雪となり、12月に入ってからもまとまった降雪が続き、気温も低く推移しました。このため、札幌市では、例年1月下旬から開始する幹線道路の運搬排雪作業を前倒しして12月から開始するとともに、パートナーシップ排雪の開始時期も早め、早い地区では1月下旬から作業を開始しました。しかし、その後も大雪や低温が続いたことにより、新雪除雪の出動回数はもとより、運搬排雪やパートナーシップ排雪の排雪量がともに近年になく増大し、3度にわたる補正予算も合わせると過去最大の予算額を計上し、その対応に当たったところです。
一方、除雪事業者の方たちは、厳しい気象状況の中、最大限の努力をして、昼夜を問わず、連日の除雪作業、排雪作業を行っておりました。しかしながら、この大雪が除排雪作業に与えた影響は予想以上に大きく、特に、生活道路のパートナーシップ排雪においては全般的におくれが生じ、結果として、3月上旬に終わる予定が3月下旬までかかった地区もありました。この原因としては、排雪量が多かったこともさることながら、やはり、ダンプトラックの不足が挙げられます。除雪事業者の方から伺ったところ、地方から手配したダンプトラックに対する宿泊費や滞在費の負担や、東日本大震災の復興事業による影響が大きかったとのことです。このため、除雪事業者は、十分とは言えないダンプトラックの台数で作業せざるを得ないこととなり、結果的にパートナーシップ排雪作業が大きくおくれたものと考えています。
そこで、質問ですが、効率的な排雪作業を進めていくため、ダンプトラックの安定的な確保については、引き続き、東日本大震災の復興事業による影響も考慮した上で今冬以降の検討をすべきと考えますがいかがか、伺います。
2点目は、除雪業務に係る待機補償料についてです。
除排雪の担い手である建設業の経営体力が弱まっていると言われる中、札幌市では、除雪体制の維持、安定化に向け、夏冬一体化やマルチゾーン除雪の地区統合など幅広く取り組み、徐々に効果を上げているものと考えています。
こうした中で、人員、機械の待機に係る固定的な経費を補填し、降雪の多少にかかわらず、除雪事業者の経営を安定させるための一つの方策として、2010年度から待機補償方式を取り入れています。この待機補償方式は、車道除雪や排雪など工種ごとの実作業量により補償の基準を定め、降雪量が少なかった地区などの除雪事業者を対象に適用してきたとのことです。
しかしながら、現在の待機補償では、除雪期間中、24時間体制で人員や作業機械の待機を続けるための経費を補うためには不十分であると、一部の除雪業者から悲痛な叫びを聞いています。大雪であった2012年度にはこの問題は顕在化しませんでしたが、降雪量が少なければ、現制度のままでは除雪事業者の経営を圧迫することになるのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、今後、除雪体制の維持、安定化に向け、待機補償料の見直しが必要であると考えますがいかがか、伺います。
3点目は、融雪期における舗装路面の補修について伺います。
昨年に続き、融雪期は、開発局が所管する国道を含めた市内幹線道路の至るところで舗装の表層材が剥がれたり、ライフラインを埋設した箇所の舗装切断跡が大きくひび割れした箇所を目にしました。これほどまでに道路状況が悪くなった背景には、道路維持に関する予算が減っていることも少なからず影響しているのではないかと考えています。
ことしは、さきの第1回定例会において3億6,000万円の補正を行い、一時的に舗装の補修費が確保されました。しかし、仮にこの補正予算がなく、今後も道路維持に関する予算が減少するようであれば、現在の道路状況の悪化はより一層進行し、やがては走行することさえ困難な状況になりかねないのではないかと危惧するところです。
また、この春は、路面の穴ぼこが原因で事故につながり、道路の管理瑕疵により補償した事例が多くあると聞いていますが、さらに、損傷の著しい国道を含む幹線道路の一部区間などでは、法定速度で走行することが困難なほど路面がでこぼこになっているところも見受けられました。
このような状況をマスコミ各社も取り上げ、道路利用者からの聞き取りなどについて報道していましたが、我が会派にも、多くの市民から、近年にないほど道路補修を要望する声が寄せられました。市民に安心して、また安全に道路を使用していただくことは重要なことと考えており、本年3月19日には、会派として道路補修の早急な対応を求めるよう、上田市長に対して要望書を手渡したところです。
とりわけ融雪期は、路肩に積み上げられた雪が昼間のプラス気温で解けて、舗装路面の小さなひび割れや打ち継ぎ目などに入り込み、夜間の気温変動により凍結したり解けたりするほか、自動車の重みによって徐々に舗装材の損傷が進むという大変厳しい時期であることは承知しています。また、今冬は、特に雪も多く、さらに外気温の低い状態も続いたことから、このような状況がより顕著にあらわれたものと思われますが、来春以降は、このでこぼこ道路の状態をより一層減少させることが急務ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、今春の道路状況をどのように認識し、また、来るべき冬に向けて、今後どのような対応を検討していく考えなのか、伺います。
次は、待機児童対策について伺います。
1点目は、待機児童数に対する認識についてです。
少子化が進展する中で、安心して子ども産み育てることのできる社会を実現することは、社会全体で取り組まなければならない重要な課題です。札幌市では、第3次札幌新
まちづくり計画において、子どもの笑顔があふれる街を政策目標に掲げ、日本一の子育てしやすいまちを目指してさまざまな取り組みを行っています。保育所の拡大など保育サービスを充実させるとともに、子育てサロンの拡大や放課後の子どもの居場所づくりなど、子育て家庭のさまざまなニーズに応えるべく、事業を拡張し、充実してきたことについては、一定の評価をしているところです。
先ごろ、横浜市が保育所待機児童ゼロを発表し、待機児童解消に向けた積極的な取り組みが注目される中、札幌市も、今年度4月1日における認可保育所の待機児童数を発表しました。昨年度までと同様の集計方法でも300人以上減少し、さらに、今年度から実施した待機児童世帯の実態調査において、厚生労働省の示す待機児童の定義には該当しない、主に在宅で求職活動をされている世帯等の児童を除くと、最終的な待機児童数は398人と、前年と比べ、大幅に減少しました。
札幌市は、これまでも、待機児童解消に向けて認可保育所の定員をふやしてきましたが、昨年度は定員を1,209人拡大し、また、保育ママや、運営時間を延長して預かり保育を行う幼稚園をふやすなど、多様な保育サービスの実施に努めてきました。さらに、事業所内保育施設設置促進事業を行い、これまで9カ所の事業所が補助を受けているとお聞きしています。仕事と子育てを両立させながら安心して働き続けられる職場環境づくりを進める企業に対して、事業所内保育所の設置を促進することは、待機児童解消はもとより、ワーク・ライフ・バランスの実現につながるものです。
しかし、待機児童に関する報道を見ていると、数字だけが他都市との比較などで大きく取り上げられ、ひとり歩きしているようにも感じます。
そこで、質問ですが、今回の待機児童数について、市長はどのように認識をしているのか、伺います。
2点目は、今後の待機児童対策についてです。
ことし4月に、国は待機児童解消加速化プランを発表しました。これは、2年後の子ども・子育て支援新制度の施行を待たずに、2014年度末までに約20万人分の保育サービスを集中的に整備し、さらに、2017年度末までに子ども・子育て支援新制度による取り組みとあわせて合計で約40万人分の保育サービスの受け皿を整備することにより、待機児童の解消を目指すとしています。
札幌市においては、この4月に大きく減少したとはいえ、まだまだ多くの待機児童が保育サービスを受けられずにいる現状を厳しく受けとめなければなりません。さらに、保育所の入所希望者が年々ふえ続けている状況を見ますと、こうした潜在的な保育ニーズも含めて早急に対策を講じることが必要です。
そこで、質問ですが、今後の待機児童の解消に向けて、市長の考えを伺います。
次に、札幌市職員の人材活用について伺います。
近年の社会構造の大きな変化に伴い、市民の暮らしを支えるためのさまざまなサービスなどに対するニーズがますます多様化しており、よりきめ細かな対応が求められると考えます。これに従って、市民サービスの担い手たる札幌市も、より柔軟でしなやかな組織へと大きく転換することが求められます。
札幌市では、これまでも、市民ニーズの変化などから、行政の役割が低下した分野や民間活力の導入がふさわしい分野については、随時、担い手の検証や組織・人員体制の見直しなどを行ってきました。一方で、生活保護や子育て支援など行政需要が高まっている分野では重点的に体制を整えるなど、スクラップ・アンド・ビルドの考えから、効果的かつ効率的な職員定数配置、機構編成を行っています。そのような取り組みにより、総職員数は1991年をピークに減少を続け、各都市に共通する基本的な業務に係る職員数を示す一般行政部門における職員数は、2012年4月現在で人口10万人当たり374.4人と、政令指定都市中、最も少なくなっています。このことは、札幌市職員が、少ない人数で、日夜、行政サービスを提供するために頑張っているあかしであり、この点については評価します。
しかし、限られた組織・人員体制で効果的な行政運営と市民サービスの向上を図るためには、職員一人一人の力を高めるとともに、職員間のつながりを強め、組織全体の力をこれまで以上に向上させていく必要があります。そのためには、現在働いている職員の資質向上のための研修や、職員のやる気をより引き出すような人事制度の改善ももちろんですが、それらとあわせて優秀な人材を確保することが重要と考えます。
ところで、札幌市は、1972年の政令指定都市への移行時に採用した職員の大量退職に加え、行政需要の高まりにより、採用人数が今後も引き続き多いと聞いています。しかし、職員採用試験の受験者数は景気の動向に左右される面があり、景気がよくなると受験者数が減少する傾向にあり、札幌市においても、2005年に1,700人程度であった大学の部行政職の受験者が2008年には1,000人程度にまで落ち込んでいます。その年のリーマンショックによる景気の減速の影響からか、その後は1,500人から1,700人程度まで受験者は回復していますが、15歳から24歳までの若年人口は年々減少しており、受験者の確保はますます難しくなると思われます。
これまでにも、札幌市は、優秀な人材を確保するため、採用試験の実施前には職員採用セミナーの実施や大学などでの採用説明会に参加したり、合格発表直後には、先輩職員から直接話を聞くことができる事前説明会を開催するなどの取り組みを行ってまいりました。
こうした中、札幌市
人事委員会では、来年度の2014年度から職員採用試験制度を大幅に変更するとのことです。具体的には、多様な行政ニーズに対応するため、公務員志望者に加えて、民間企業を志望する学生や社会人など多様な方々に受験をしてもらえるよう、人物重視で、かつ受験しやすい試験とすることを目的に、1次試験の出題分野や出題数を見直し、さらに、受験資格要件の緩和策の一つとして、社会人経験者の部の受験資格年齢の上限を撤廃し、現行の満36歳未満から満60歳未満へ変更するなどとしています。多様な人材が受験しやすくなることは、幅広い経験を持った人材を確保できることにもつながるので、今回の見直しには大きな期待を寄せています。
また、これらの取り組みを市民生活の向上に結びつけていくためには、採用後の総合的な人事管理が機能することが必要であり、職員をしっかりと育成し、札幌市役所の行政運営の中で最大限に活用していくことが最も大事であると考えます。
そこで、質問ですが、少子高齢化などの社会構造の変化により、市民ニーズが多様化する今、札幌市の行政を担う人材としてどのような人材を求めているのか、伺います。
さらに、今回の採用試験制度の見直しにより、さまざまな人材が札幌市職員として採用されると考えられますが、これらの人材を札幌市の行政運営に最大限に生かすために、どのようなことが必要だと考えられるのか、伺います。
次に、生活困窮者の自立支援について伺います。
1点目は、市長も生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会の委員としてかかわっておられる、生活困窮者の新たな支援体系の構築についてです。
1990年代後半から日本は深刻な不況に陥り、この不況から脱するため、日本政府及び財界は構造改革路線を強力に推し進めてきました。その結果、貧困と格差が至るところで広がり、長期失業者や若年層の失業者が増加しています。また、企業側は、長期にわたる景気低迷やグローバル化による激しい市場競争に対応する必要性などから、1990年以降、パートタイム労働者や派遣労働者などの非正規労働者の雇用を大幅にふやしてきました。現在、全就業者に占める非正規労働者の割合は3割を超えています。特に、20歳代から30歳代の若い世代において、派遣労働者を含めた非正規雇用労働者の割合が急増しており、希望しても正社員になれず、不安定な雇用条件を強いられ続け、現役世代も含めた生活困窮者が増大しています。このような現状は、彼らが社会の中心を担うこととなる10年後、20年後の日本にとっては、大きな痛手になるのではないかと危惧するところです。
さらに、2008年9月のリーマンショック以降、急速に経済社会情勢が悪化し、大企業においても、非正規雇用労働者を中心として大規模な解雇が相次ぎました。日本では、失業保険制度などのセーフティネットが極めて脆弱で、自分自身の貯蓄や、家族に扶養してもらうか、あるいは、生活保護制度を利用するしかない中、たちまち貧困に陥り、現在は生活保護を受けていなくても、生活保護に至る可能性の高い方がふえています。また、生活困窮者の方の中には、経済的な困窮だけではなく、地域社会から孤立してしまう場合も見られます。かつて血縁、地縁、社縁と呼ばれていた人々とのつながりが、社会構造の変化を初めとしたさまざまな要因で希薄化してきており、メディアは、このことを無縁社会という言葉を使い、社会問題として取り上げています。
札幌市では、生活保護受給世帯の中で、世帯主が稼働年齢層で、障がい者、傷病者、ひとり親世帯のどれにも該当しないその他世帯の割合が、10年前の2002年度の12.7%、3,570世帯から、2012年度には22.6%、1万1,418世帯と大きく増加しています。例えば、生活保護の相談に訪れたけれども、生活保護の受給に至らなかった方が、2012年度は高齢者なども含めて8,075件もあり、就労可能な年代の生活困窮者がふえていると考えられます。
このような状況の中、昨年4月に、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会に生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて一体的に検討するため、生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会が設置され、ことし1月25日に12回の審議を経て報告書が発表されました。この特別部会は、民主党政権下で、社会保障・税一体改革大綱に基づき、生活困窮者対策について総合的に取り組むための生活支援戦略を策定するとしていたものですが、上田市長はその特別部会の委員に就任されています。
そこで、質問ですが、市長は、生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会の委員として参加し、新たな生活困窮者の支援体系の構築について議論をしてこられましたが、どのようにかかわってきたのかを伺います。
2点目は、生活困窮者自立支援法案についてです。
今国会に生活困窮者自立支援法案が5月17日に提出されましたが、法案には、経済的困窮者への相談支援や居住の場の確保、就労準備のための支援、中間的な就労、家計再建に向けた支援、子どもや若者の貧困の防止などが盛り込まれております。法案が成立した場合には、札幌市においても新たな生活困窮者支援、生活保護に至らないための取り組みを実施することとなります。
そこで、質問ですが、現在、国会において審議されている生活困窮者自立支援法案について、市長はどのように考えているのか、伺います。
次は、あいワークの増設とスキルアップセミナーについてです。
1点目は、あいワークの増設についてです。
札幌市を取り巻く雇用情勢は持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しく、多くの求職者がハローワークや就業サポートセンターを利用して、日々、就職活動をしています。求職者にとっては、多くの求人情報を持つハローワークに通い、就職活動をするのが一般的と考えられますが、札幌市内にある3カ所のハローワークはいずれも混雑しており、求職者がじっくりと職探しをする状況になっていないのではないかと思われます。
我が会派は、求職者がより身近な区役所などで就職活動ができるあいワークに注目し、これまで、代表質問、委員会で取り上げ、その活用を求めてきました。昨年の第3回定例会の決算特別委員会においても、いまだあいワークが整備されていない中央区、東区において早急に整備が必要との見解から、2カ所の整備の見通しをただしたところですが、市の答弁は、見通しが立っていないとのことでした。
ことしの2月に新たに開設された南区のあいワーク南は、札幌市や北海道労働局が立てた目標である2月から3月の2カ月間の利用者数450人、就職者数15人を大きく上回る利用者数1,678人、就職者数42人となっており、利用者数では3倍以上、就職者数でも2.8倍という実績を上げ、4月以降も順調に伸びているとのことです。1回の窓口訪問で就職が決定するケースはほとんどなく、何度も足を運び、求人を検索する必要がある求職者にとっては、近くに職業相談・紹介窓口があることは就職活動をする上でも大きなメリットであると考えます。
そこで、質問ですが、あいワークの開設が望まれる中央区と東区について、今後の開設の見通しを伺います。
2点目は、スキルアップセミナーについてです。
あいワークの整備と同様に注目しているのが、各あいワークで実施している生活保護受給者を対象としたスキルアップセミナーです。これは、昨年の第3回定例会の代表質問で、我が会派が、生活保護受給者に対するきめ細かな就労支援として区役所に設置されているあいワークの利点を生かし、セミナーの実施など、急増する生活保護受給者に対する自立就労支援策の必要性を質問した際に、市が昨年10月から実施すると答弁があったものです。
生活保護受給者については、通常の就労支援ではなかなか就職に結びつけることは難しい状況にあることから、スキルアップセミナーにおいて、受給者の就労意欲を喚起するとともに、就労に際して必要とされるマナーや知識を得ることは、生活保護受給者の就労に大変重要であると考えます。昨年度のスキルアップセミナーの実績を見ると、30歳以上を対象にしたセミナーでは、33人の参加者のうち、24%に当たる8人が就職し、29歳以下を対象にしたセミナーでは、21人の参加者のうち、33%に当たる7人が就職の決定をしています。働きたくても働けず、やむを得ず生活保護を受給しなければならない受給者にとって、このように現実的に再就職が可能な事業に参加できることは、とても喜ばしいことと考えます。
このようなことから、生活保護受給者の就労支援として期待したいところですが、スキルアップセミナーはあいワーク事業であることから、当然ながら、あいワークを開設している五つの区役所でしか実施されません。今後、中央区と東区についてはあいワークが開設されればセミナー実施は可能と思われますが、就業サポートセンターのある北区やジョブガイドのある清田区、西区の3区も含め、全区でスキルアップセミナーを実施する必要があると考えます。
そこで、質問ですが、札幌市は、今後、スキルアップセミナーを全区で実施する考えがあるのか、伺います。
次は、小型家電リサイクルの取り組みについて伺います。
我が国の経済の根幹を支えるITや環境対応技術の進展にとって、希少金属、レアメタルは、発光ダイオードや電池、永久磁石などの電子・磁石材料として、さらには、光触媒やニューガラスなどの機能性材料として用途は多岐にわたり、非常に重要な元素と言われています。しかし、レアメタルは、地球の限られた地域に偏在し、主要産出国の政策や情勢不安が供給に大きな影響を与える状況から、供給構造が極めて脆弱であると今までも指摘されてきました。
また、主要産出国である中国やロシア、ブラジル、インド、南アフリカなどBRICSと呼ばれる経済発展が著しい国々の台頭により、今後、経済発展に伴う資源の需要増大に対して供給不足に陥り、価格高騰や資源確保が困難になることが予想されています。レアメタルを輸入に頼っている我が国においては、社会の持続可能性の危機とも言える資源リスクをはらんでいる状況となっています。
一方、日本全体で、年間、小型家電は約65万トンが廃棄され、その中に含まれている有用な金属は約28万トン、金額にして約844億円分と試算され、都市鉱山と呼ばれる使用済み小型家電には、金、銀、プラチナなどの貴金属、リチウム、チタンなどのレアメタルが多く眠っていることが指摘されています。近年、都市鉱山は有効に活用されず、国内で不用になった小型家電が再利用という名目で海外に流出し、不適切な処理や不法投棄に至る事例が指摘され、大きな環境問題を引き起こす要因の一つとされています。
このような状況を背景として、環境省と経済産業省は、2008年12月に、使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理に関する研究会を設置し、自治体と連携したモデル事業やリサイクル手法などについて検討を行い、2011年3月には、中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会でリサイクル制度の仕組み等について審議を行い、2012年3月に小型家電リサイクル法案が閣議決定され、国会提出後、同年8月に成立し、ことし4月から同法に基づくリサイクル制度が開始されました。
我が会派は、国の動向を注視しつつ、2011年第3回定例会代表質問において、使用済み小型家電のリサイクルについて、当然、札幌市としても取り組むべきと提案してまいりました。
一方、札幌市においては、スリムシティさっぽろ計画の基本目標に、環境低負荷型資源循環社会の実現を掲げ、市民の協力のもとで、ごみ量管理目標達成のための施策を進め、焼却ごみ量の減量目標である24万トン以上の減量を初め、埋め立て処分量の減量目標である30%以上の減量を達成するなど大幅なごみの減量に成功したところであり、高く評価をしています。しかし、潜在量で約3,400トンと推計される使用済み小型家電が廃棄されずに家庭の引き出しや押し入れに眠り、あるものは燃やせないごみとして排出されており、未達成であるリサイクル率30%以上の目標を達成するためにも、使用済み小型家電リサイクルの取り組みが必要であると考えます。
使用済み小型家電リサイクルは、法的義務づけではなく、各自治体の自発性によって支えられる制度となっていますが、世界でも例がないと言われています。道内においては、石狩市や旭川市など、既に60以上の市町村が独自に取り組んできており、190万都市である札幌市が取り組む意義は大きく、速やかに実施すべきと考えます。
そこで、質問ですが、捨てればごみ、リサイクルをすれば貴重な資源となる都市鉱山ですが、札幌市が使用済み小型家電リサイクルに取り組むにはどのような課題があり、いまだに実施していないのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、ものづくり産業の振興について伺います。
1点目は、ものづくり産業の競争力強化に向けた取り組みについてです。
我が国の経済基盤や国際競争力を支えてきた製造業が、近年、大きな苦戦を強いられてきています。日本を代表する大手家電メーカーが未曽有の赤字決算を出し、世界を席巻してきた半導体産業は、効率化の必要性から業界再編が進められています。こうした中で、政府は、2013年度予算において、日本の産業再興のための戦略的な研究・技術開発を推進するとしており、世界的にも強みを持つ材料分野などを中心とした先端研究開発や革新的なプロセス技術の開発を支援することにより、世界に冠たる日本の製造業を復活させることとしています。
札幌市においては、2012年1月に、札幌市産業振興ビジョンのアクションプランとなる札幌型ものづくり振興戦略を策定し、他産業への経済波及効果が高い製造業などのものづくり産業の振興に向けて、さまざまな施策を盛り込み、取り組んでいるところです。今年度から、フード特区関連事業として、札幌市は、独自に企業の設備投資意欲を高めることを狙った利子助成制度や、輸出仕様の食品開発の補助制度をスタートし、食関連産業の振興に積極的に取り組んでいますが、今後、人口減少時代を迎えて道内市場が縮小していく中で、食料品製造業などの市内ものづくり産業の振興をどのように図っていくかが大きな課題であると考えます。
少子高齢化を初め、社会環境が急速に変化し、消費者の価値観も多様化して、何が売れる商品であるか、どういう商品を消費者が手にとってくれるかが重要な課題となっています。また、グローバル化の進展により、新興国との価格競争となると激しい消耗戦にならざるを得ない状況にあります。こうした環境から脱却するためには、技術力はもちろんのこと、デザイン力を活用し、強力なブランドを育成することを通じて市内のものづくり産業の競争力を強化することが必要と考えます。
札幌市内には、デザイン学部を擁する札幌市立大学や製品開発を支援する北海道立総合研究機構工業試験場などの公的試験研究機関が集積しているほか、質の高い優秀なデザイナーやクリエーターが多数存在しています。ものづくり産業の振興にあっては、新技術や新製品の開発支援を目的とする補助金制度だけではなく、こうした大学や試験研究機関、市内で活躍するデザイナーやクリエーターと市内のものづくり企業とをいかに連携させるかが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、市内ものづくり産業の競争力を強化するために、札幌市は、こうした関係機関やデザイナーなどの人材とものづくり産業との連携をどのように図っていこうと考えているのか、伺います。
2点目は、ものづくり産業の人材の育成についてです。
「企業は人なり」とよく言われますが、ものづくり産業においては、熟練のわざが必要とされ、その技術、技能の継承が大きな課題となっています。経済産業省ほかで作成する2012年版のものづくり白書によれば、各現場における世代間の技術・技能継承状況を企業規模別に分析した結果、大企業においてはうまくいっているという回答が多い一方、中小企業ではうまくいっていないという回答が多くなっています。
札幌市内のものづくり企業は、ほとんどが中小企業であることから、今後、技術、技能の継承がうまく進まなければ、ものづくり産業を支える現場力の維持がさらに難しくなるおそれがあります。昨今の厳しい経営環境下では、企業経営のかじ取りも非常に困難なものと思われます。しかし、厳しい局面だからこそ、人材の育成や技術の継承に力を入れ、経済が回復局面に入ったとき、一層の飛躍を可能にする人材育成に取り組んでおく必要があり、また、行政はそうした取り組みを積極的に支援すべきと考えます。
そこで、質問ですが、ものづくり産業の人材の育成について、今後どのように取り組んでいくつもりか、伺います。
最後に、農業対策について伺います。
1点目は、農地保全と担い手に関する地区別計画の策定についてです。
現在の農業を取り巻く情勢は、円安に伴う原油や飼料、穀物などの高騰や高どまり、海外からの安い農産物の輸入、待ったなしに進む農家の高齢化の問題など、厳しさが一層増している状況にあります。また一方では、東日本大震災を契機に、防災や食の安全性などの観点から都市農業に対する評価が高まっており、札幌市の農業を守り育てていくためには、攻めと守りの両面にわたり、的確な施策の推進が重要になってきていると考えます。
札幌市では、農地の集約化や中核的な担い手の育成を柱とするさっぽろ都市農業ビジョンを2006年3月に策定しました。しかしながら、ビジョン策定後も担い手の減少に歯どめがかからず、耕作放棄地の増大が続いたことや、農地法が大幅に改正されたことを受け、計画の中間年である2012年3月に、さっぽろ都市農業ビジョンの今後の重点的な取り組みを取りまとめました。この重点的な取り組みの中に五つの推進方針を定め、そこに農地の保全と利用の推進、農業経営の安定強化と新規就農の促進を位置づけています。
これらの取り組みを効果的に達成するためには、これまでのように全市を画一的にそれらの施策を進めるのではなく、担い手の実態や農地のまとまり状況など、地区別のそれぞれの特性に合わせてきめ細かく対応するとしています。具体的には、札幌市が中心となって農業委員会や農業協同組合など関係機関を構成員とする札幌市農業再生協議会を設置し、その中で、地区別に今後の農地のあり方や担い手についての検討を進めていると聞いています。
そこで、質問ですが、地区別計画の作成の進捗状況がどのようになっているのか、伺います。
また、検討する中で明らかになってきた課題は何なのか、そして、その課題について、今後どのように対応していくのかを伺います。
2点目は、多様な担い手が農業生産に取り組める施策の検討についてです。
今まで農業にかかわりのなかった人々の中にも、ライフスタイルの転換から、みずから食べるものを栽培したり、農業を通じて交流を図るなどのニーズが生まれています。いわゆる団塊の世代が退職を迎え、第二の人生を歩み始めていますが、これらのシニア世代は農業への関心が高く、また、子育てを終えた人たちの中にも実際に農業に携わりたいと希望している人たちが多数います。さらには、NPOなどの団体が障がい者や若者などのために仕事を生み出す、いわゆるソーシャルファームの業務分野の一つとして農業を活用したいとの声もあり、実際に道内にも手がけている事例があります。
そこで、質問ですが、従来の農業の担い手とは別に、これらのシニアや子育て終了世代など、今まで農業に携わっていない市民や新たな就労の場づくりに取り組むNPOを都市農業を支える多様な担い手の一つとして幅広く位置づけ、農業生産に取り組める施策を検討することも必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
以上で、私の質問の全てを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(ふじわら広昭) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 11項目ご質問がございましたので、私からは、財政問題、
まちづくり戦略ビジョン、都市再生緊急整備地域の見直しの問題、待機児童の問題、それから生活困窮者の自立支援について、この五つを私からお話しさせていただきます。その余は、担当の副市長から答弁をさせていただきますので、お聞き取りいただきたいと存じます。
まず、財政問題についての財政運営の基本的な考え方についてということでご質問でございます。
パラダイムの転換期を迎えまして、税収の大幅な増加というものが見込めない中にあっても財政の健全性を維持していくためには、ご指摘のとおり、足腰の強い地域経済の確立による財政基盤の強化ということが重要だというふうに認識をいたしております。こうした認識に基づきまして、これまでも、集客交流や再開発の促進、企業誘致などに取り組むとともに、新しい価値や産業の創造へ向けた取り組みや、市民生活に直結する社会基盤の整備などに意を用いてきたところでございます。
今後も、限られた財源の中で必要な行政サービスを持続させるためには、投資的な事業と消費的な事業のバランスに配慮をしながら、事業の選択と集中を一層進めていかなければならない、そう考えております。さらに、予算の編成や執行を通じた検証を常に行いながら、柔軟かつ機動的な財政運営を進めていきたい、このように考えるところでございます。
適正な市債の管理についてということでのご質問でございます。
市債の残高につきましては、私が市長に就任して以降、
行財政改革を進行する中で、全会計で約4,000億円を減らしてきたところでございます。今後は、ご承知の臨時財政対策債、この問題がございまして、この臨財債がここ2年間の予算額合計で1,100億円を超えているという状況、超える発行額になっている、これがまた増加しているということがございまして、市有施設の更新や、あるいは耐震化というものを行っていく必要があることなどから、一般会計の市債残高というのは増加に転ずる、そういう見込みでございます。
そのような中においても、世代間の負担の平準化や、あるいは財源調整の役割を持つ市債というものは、財政運営にとって極めて重要なものでありまして、将来を見据えた真に必要な分野に対しては積極的に活用していくことも考慮すべきである、こんなふうに思っているところであります。
しかしながら、将来にわたって持続可能な財政運営を行うためには、将来世代に過度の負担を残さないように留意する必要がございます。したがって、臨時財政対策債のように地方財政全体の動向によって対応せざるを得ないものもありますが、今後とも、健全な財政運営を維持していくためには、ベンチマークを持つなど中長期的な視点に立った市債の管理を行っていく考えでございます。
2点目の
まちづくり戦略ビジョンを実現するための行政の役割についてということでございます。
今後、高齢化の急速な進行や、あるいは社会的孤立の増加というものが懸念される中にあって、地域でのつながりや支え合いによる共助意識の醸成を図るとともに、全ての市民が社会に参加できる地域づくりを進めていくということが重要だと考えております。このためには、地域の支え合いによる共助と行政が提供する公助とを結ぶ地域マネジメントの推進体制をしっかりと確立していくことが必要であると認識をいたしております。
そこで、例えば、保健師等の地域訪問相談を充実させるなど、共助と公助の接点となる
まちづくりセンターや区役所といった地域に身近な行政機関の充実ということを図っていくとともに、これを支える本庁の役割などについても、そのあり方を検討していきたいと考えているところでございます。
こうした取り組みを通じまして、今後、地域へのアプローチを強化するなど、市民とともに行動する市役所、こういうものに向けた変革をさらに深めながら、ビジョンの都市像に掲げております互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち、これを実現してまいりたい、このように考えるものであります。
3点目の都市再生緊急整備地域の見直しと、これに伴う創成川以東地区の
まちづくりについてでございます。
区域拡大を契機とした都心の
まちづくりについてでありますが、今回の区域見直しにおきましては、既存の札幌駅、大通駅周辺地域と札幌北4条東6丁目周辺地域に創成川以東地区やその周辺地区を加えた札幌都心地域として再編をいたしまして、都市再生本部に申し出を行ったものでございます。
追加した区域では、ご指摘の公共施設整備に加えまして、居住・医療機能が近接する複合市街地や、自立分散型のエネルギー施設を有する環境共生型市街地の整備、空中歩廊による歩行者ネットワークの整備などを目指しております民間主体のプロジェクトが検討されているところでございます。
これらのプロジェクトは、本市の都市再生の基本的な考え方に沿うものでございまして、創成川以東地区の
まちづくりを先導するものと認識いたしております。このために、国の手厚い支援制度を活用しながら、これらの取り組みを推進し、その効果を周辺に波及させていくことで良質な都市環境を形成するとともに、東西市街地の連続性、一体性というものを強化し、都心全体の魅力と活力を高めていく考えでございます。
創成川以東地区の
まちづくりについてでございますが、創成川以東地区の
まちづくりについては、平成23年度に有識者による創成川以東地区
まちづくり会議を設置いたしまして、各委員の専門的な知見に基づいて検討していただいてきたところでございます。このほど、2年間にわたる検討成果を提言として取りまとめていただきまして、
エネルギーネットワークの整備や建築物の環境性能の向上を初めとする総合的な取り組みによる低炭素型地区の実現等について提案をされているものでございます。
札幌市といたしましては、この提言を受けて、当地区の将来像と空間形成や
まちづくりを担う主体のあり方など、その方向性を定めたビジョンを今年度中に作成していく考えでございます。それにあわせて、上位計画となります札幌市
まちづくり戦略ビジョンや、今後予定しております札幌市都市計画マスタープランの見直し等との整合を図りながら、創成川以東地区を含め、新たな時代に対応した都心全体のあり方について検討を進めていく考えでございます。
5項目めの待機児童対策についてでございます。
待機児童数に対する認識についてと今後の待機児童対策につきましては、一括してお答えをさせていただきます。
札幌市がこれまで取り組んでまいりました保育所整備や多様な保育サービスの拡充というのは、待機児童数の減少に一定の効果があったものと考えております。私が考えるのではなくて、国が定義する待機児童数398人についてでございますが、まずは、最優先にこれを解消していくべきものでございまして、さらに、保育を希望する全ての保護者が安心して必要なサービスを受けられる環境整備というものが必要であるというふうに私は考えております。
第3次新
まちづくり計画に基づく保育所整備については、今年度末には計画の約9割を達成する見込みでございますが、今後も、保育所などを希望される方の増加というものが予想されますことから、さらに計画目標の上積みというものを検討しているところでございます。実施に当たっては、国の発表した待機児童解消加速化プランの活用を視野に入れながら、今後2年間で待機児童の解消を目指す所存でございます。
7項目めの生活困窮者の自立支援についてでございます。
この特別部会の委員としてどういう活動をしてきたかということでありますが、特別部会においては、政令指定都市市長会で採択をした意見書によりまして、地方自治体の財政、人員面への配慮、支援の担い手としてのNPO等民間団体の活用、育成、働きたくても働けない方への早期支援、それから貧困の連鎖防止などが重要であるということを主張させていただいたところでございます。
また、委員個人としての私の意見としては、生活困窮者の就労機会を確保するための社会的企業の育成支援というものが必要であるという見解を数度にわたり述べさせていただいたところでございます。特別部会がことし1月25日に取りまとめました報告書では、地方自治体からの声として、私から提言させていただいたこれらの意見が相当程度盛り込まれまして、今国会への生活困窮者自立支援法案の提出に結びついたと考えておるところでございます。
この自立支援法案についてでございますが、就労可能な年齢層の生活困窮者が増加をしております現状におきまして、生活保護に至る前の段階にあります生活困窮者に対する社会的、経済的な自立に向けた支援は、重要な課題であるというふうに考えております。今国会で審議されております生活困窮者自立支援法案では、市などが生活困窮者の就労の支援、その他の自立に対する問題についての相談支援事業などを実施することになっておりまして、札幌市といたしましても、新制度の円滑な施行に向けて検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(ふじわら広昭) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私からは、札幌市職員の人材活用と小型家電リサイクルの取り組みの2項目につきましてお答えを申し上げます。
まず、札幌市職員の人材活用についてであります。
札幌市が求める人材についてでありますが、複雑化・多様化する市民ニーズを的確に捉えることができる感性の持ち主であることや、市民とともに
まちづくりを進めることができる行動力、コミュニケーション能力があることがまず求められると考えております。また、新しい時代に対応できる広い視野や先見性、柔軟性を持った職員が望ましく、さらには、高い専門性が求められる分野につきましては、職務などを通じて培われた高度な知識や経験を持つ人材も必要と考えております。
次に、多様な人材を活用するための方策についてでございます。
職員は、市民の貴重な財産でございます。その資質や知識、経験を最大限に活用することが市民サービスの質の転換、向上や組織の活性化につながるものと認識をいたしております。また、来年度から実施予定の受験資格年齢の拡大によりまして、民間企業ならではの営業でありますとか企画、宣伝、市場調査、さらには長年の海外勤務の経験など、公務では得られないさまざまな経験や経歴を持つ人材の採用も想定されるところでございます。したがいまして、こうした方々が十分に能力を発揮し、活躍できるような人事配置や人材育成の仕組みにつきまして、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、小型家電リサイクルの取り組みについてでありますが、1点目のその課題についてであります。
小型家電リサイクルの必要性につきましては十分に認識をしておりまして、確実に実施するためには、大都市という特性を踏まえ、より安定的かつ効率的な回収・処理体制を構築することが課題であるというふうに考えておりまして、検討を重ねてきたところでございます。
小型家電リサイクル法は、本年4月1日に施行されたところでございますが、現在、国におきましては、法の基準を満たす事業者の認定を進めているところでございまして、札幌市といたしましても、国が認定した事業者と連携することによって、継続的かつ確実、適正に処理することができると判断をしておりまして、その決定を待っているところでございます。
2点目の今後の取り組みについてでございますが、国におきましては、夏ごろにはただいま申し上げました道内の事業者を認定する見込みでありますことから、事業者が認定され次第、札幌市の市域、人口の規模など地域特性に合った安定的かつ効率的な回収・処理体制について速やかに調整を進め、可能な限り早期に実施したいと考えております。
以上でございます。
○副議長(ふじわら広昭) 秋元副市長。
◎副市長(秋元克広) 私からは、4項目めの除雪問題と道路維持管理について、それから、8項目めのあいワークの増設とスキルアップセミナーについて、10項目めのものづくり産業の振興について、11項目めの農業対策についての4項目についてお答えを申し上げます。
まず最初に、4項目めの除雪問題と道路維持管理についてお答えをいたします。
1点目のダンプトラックの安定的な確保についてであります。
昨年度は、市内全体といたしましては、平成23年度以上のダンプトラック台数を確保できていたところでございますが、それを上回る大雪でありましたことから、地区によっては作業に見合う台数の確保が困難なところもあったものと認識しているところでございます。このため、共同企業体間で融通し合ったり、比較的早く作業を終えた地区からダンプトラックを含む作業班を応援派遣するなど、効率的な対応に努めたところであります。今後は、これらの運用を検証しますとともに、運搬排雪の積算について、より実態に即したものとなるよう検討してまいります。
また、東日本大震災の復興事業等による影響につきましては、北海道運輸局や関係いたします団体との情報共有を密にし、その対応についても検討してまいりたいと考えているところであります。
2点目の待機補償料の見直しについてであります。
除雪業務は雪の降り方に大きく左右されることとなりますことから、平成6年度には最低保障制度を導入し、また、平成22年度からは、現行の待機補償制度を採用したところであり、一昨年のように比較的雪が少ない地区があった場合は、人員や機械の待機に係る経費を補ってきたところでございます。
今後とも、除雪事業者や関係団体への聞き取りを行いながら、これまでの適用事例を検証し、より実態に即した制度となるよう検討してまいりたいと考えております。
3点目の今春の道路状況の認識と今後の対応についてであります。
道路舗装の補修につきましては、これまでも、当初予算に加え、補正予算を計上し、オーバーレイ工事や、融雪後、できるだけ早い時期に舗装路面を補修するため、市債務負担行為による発注を行ってきたところでございます。これに加え、今年度からは、国の防災・安全交付金事業の活用を始めたところであり、今後とも重点的に取り組んでいく考えでございます。
なお、昨シーズンにつきましては、大雪に加え、気温が低かったということがございまして、国道、道道、市道を問わず、幹線道路を中心に鋪装の損傷が多く見受けられ、例年に比べ、事故の件数も多く、道路交通に支障を及ぼした箇所がございました。
今後につきましては、春先の補修だけではなく、翌春の穴ぼこの発生件数を抑制するため、降雪期を迎える前にも必要箇所の補修の充実を図るほか、開発局とも連携しながらより効果的な対策を講じてまいりたいと考えております。
次に、8項目めのあいワークの増設とスキルアップセミナーについてお答えをいたします。
1点目の中央区、東区のあいワーク開設見通しについてであります。
2カ所とも平成25年度中に開設をすることで、現在、北海道労働局とスケジュール等の協議を行っているところでございます。開設に当たりましては、ハローワークの検索システム導入に数カ月間を要しますことから、現段階では12月ごろからのオープンを考えているところでございます。
2点目のスキルアップセミナーの全区での実施についてでございます。
生活保護受給者の自立就労を支援するスキルアップセミナーは、受給者の早期就労や就労意欲の喚起に効果があると認識しており、今後、事業内容の検証、工夫を行い、将来的には全区での実施を視野に入れながら検討してまいりたいと考えております。
次に、10項目めのものづくり産業の振興についてお答えをいたします。
1点目のものづくり産業の競争力強化に向けた取り組みについてであります。
今年度は、新たに大学や試験研究機関、民間企業で構成する北海道デザインマネジメントフォーラムなどと連携をし、専門家チームの派遣によりまして、製品企画から販売まで一貫した支援を行う事業を開始することとしたところであります。今後、市内のものづくり企業が、デザイン戦略の重要性を理解し、これらの関係団体との連携を深め、創造性を発揮するきっかけとなる事業展開を図ることで企業の競争力を高めてまいりたい、このように考えてございます。
2点目のものづくり産業の人材の育成についてであります。
これまでの各企業への訪問等で、若手技術者を指導する人材や時間が不足しているということなどの課題が明らかになってまいりました。今年度からは、企業の計画的な人材育成や製造技術の向上に向けて、北海道職業能力開発大学校などの道内教育研修機関の協力を得て、研修のための従業員派遣や外部指導者による企業内研修に対しまして補助をする事業を開始したところであります。今後も、これらの機関との連携を密にすることで、市内のものづくり企業の技術、技能の承継を積極的に支援し、また、若者が物をつくる喜び、あるいは技能に対する理解、これを深めるような取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
次に、11項目めの農業対策についてお答えをいたします。
1点目の農地保全と担い手に関する地区別計画の策定についてでございます。
現在、営農形態の違いや農地の分布状況などから、市内を25の地区に分けて地区別計画の作成を進めておりまして、平成24年度には13地区が終了し、平成25年度は残りの12地区について作成の予定でございます。
地区別計画を策定する過程で見えてきた課題といたしましては、例えば、北東部では市内最大のタマネギの産地として、さらなる規模の拡大と経営の効率化が求められており、今後とも担い手に農地を集積していくことが重要でありますことや、また、南部では、観光農園や小規模な野菜農家が多く、高齢化も著しいということから、新規就農を促進し、地域の中心となる経営体を育成していくことなども必要である、このようなことが挙げられております。平成26年度以降につきましても、関係機関と連携をして、随時、計画の見直しを図りつつ、国や道の支援策、こういったものも活用しながら地区における課題の解消に努めてまいりたいと考えてございます。
2点目の多様な担い手が農業生産に取り組める施策の検討についてでございますが、さっぽろ農学校専修コースの毎年の応募状況などから見ますと、シニア世代の農業的な生活への高い関心、こういったものがあるものと認識をしているところでございます。
また、先般の農地法の改正により、NPO法人や一般法人が、解除条件つきではありますけれども、農地を借りて農業参入することが可能になったところでございます。今後は、従来の担い手が規模拡大を図る一方で、多様な担い手が分散化した農地を生かして生き生きと農的活動にいそしみ、結果として地域全体の活性化が図られるような施策を検討してまいりたいと考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(ふじわら広昭) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日6月5日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(ふじわら広昭) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
――
――――――――――――――――
○副議長(ふじわら広昭) 本日は、これで散会します。
――
――――――――――――――――
散 会 午後5時7分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 高 橋 克 朋
副議長 ふ じ わ ら 広 昭
署名議員 飯 島 弘 之
署名議員 中 村 た け し...