委 員 坂 本 恭 子 委 員 村 上 仁
委 員 小 倉 菜穂子 委 員 松 浦 忠
欠 委 員 佐 藤 美智夫
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午後1時
○川口谷正 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
佐藤美智夫委員からは、欠席する旨、届出がありました。
それでは、議事に入ります。
初めに、第8款 消防費 第1項 消防費、議案第26号 札幌市
消防手数料条例の一部を改正する条例案、議案第51号 平成21年度札幌市
一般会計補正予算(第1号)中
消防局関係分について、一括して質疑を行います。
◆
井上ひさ子 委員 私からは、
新型消火剤導入事業と
救急搬送について伺いたいと思います。
消火効果の高い
A泡消火剤の導入に383万円の予算がついています。中高層の建物、
マンションなどの火災では、水浸しになり、もう住めないという状況があります。この
A泡消火剤は、
消火効果も高いと聞いております。2009年の消防概況を見ますと、
行政区別火災出動状況は、729件のうち、建物火災が428件、そのうち、はしご隊、屈折隊の出動は138件で、これは中高層の建物です。
そこで、この
A泡消火剤は、どういう特徴を持ったものなのか、他都市で既に実施されているのか、この間、本市でも実験を行ったと聞いているが、どのような効果が期待できるのか、伺います。
2点目は、
救急搬送についてです。
救急搬送の患者数は、この間、減少しています。しかし、
受け入れる
医療機関もお医者さん不足、診療報酬の改定などによって経営状況の悪化などがあり、大変厳しくなっていると聞いております。
そこで、
問い合わせを何回しても
受け入れ先が決まらないことはないのか、重症患者の場合、最大で何回になっているのか、また、搬送に時間がかかったケースについて明らかにしていただきたいと思います。
◎前田
警防部長 私から、お答えさせていただきます。
まず、
新型消火剤導入事業についてでございます。
1点目は、
新型消火剤の特徴と他都市の
導入状況でございますけれども、水は、表面張力により水滴状となるため、燃焼物の表面からは流れ落ちる性質がございます。
新型消火剤は、水にまぜることによりまして表面張力を著しく低下させ、燃焼物に広く付着する特徴がありますことから、少ない水量で迅速、確実に消火することが可能になります。
新型消火剤の
導入状況でございますけれども、
政令指定都市では東京都を初め、仙台市、北九州市など、8都市となっております。また、道内では旭川市、帯広市、江別市など、18の消防本部が導入しております。
2点目の
新型消火剤の期待される効果でございますけれども、本市の
消防科学研究所において行いました実証実験の結果、直接、消火に使用する水の量が約3割から5割程度削減できることや、冬期間における
低温環境下においても十分に性能を発揮することが確認されております。
消火用水の削減や
マンションなどのビル火災における水ぬれによる被害の軽減を期待することができます。さらに、消火時間の短縮によりまして、煙に含まれる
有毒ガスや二酸化炭素などの
温室効果ガスの発生を抑制することも期待でき、環境にも配慮した
消火活動を行うことが可能となりますことから、環境首都・札幌を宣言した当市の取り組みにも沿った事業であると考えております。
次に、救急の関係ですが、重症者の搬送に関して、
問い合わせをして何回も
受け入れ先が決まらないということについてでございます。
まず、平成20年中の数値につきましては、現在精査中でございますので、速報値でのご紹介ということでご了解いただきたいと思います。
まず、平成20年中におけます3週間以上の入院加療を必要と判断された重症者についてですけれども、全体の
救急搬送人員につきましては6万2,789名となっておりまして、うち3,367名、5.4%が重症と判断されております。救急隊が
医療機関に
受け入れの照会を行った回数ごとの件数ですけれども、先ほどの3,367名のうち582名につきましては
転院搬送、すなわちあらかじめ
搬送先医療機関が決定しておりますので、その人数を除きまして、2,785名について救急隊が
医療機関に対して
受け入れの照会を行っております。そのうち、2,511名、率にして90.2%の方におかれましては1回目の照会で
搬送先医療機関が決定しております。また、3回目以内の照会で決定している方は2,760名となっており、率にして99.1%となっております。それから、
最大照会回数でございますけれども、4回以上
受け入れ照会をいたしましたのが25名で、率にして0.9%、また、照会回数が多い順から申しますと13回が1件、7回が1件、5回が3件となっております。
搬送に時間がかかったケースにつきましては、救急隊が現場に到着して、その現場から出発するまでの時間でございますが、30分未満が2,717名、率にして97.6%、30分以上かかった場合が68名、率にして2.4%となっております。
なお、68名のうち、約4分の1の方におかれましては、高齢の方で
医療機関への搬送を説得するのに時間を要したものや、
当番病院ではないかかりつけの
医療機関や希望する
医療機関に
問い合わせる中で時間が経過した場合もございました。また、最大120分以上かかった場合も1件ございましたが、これは、川に飛び込んだ傷病者を発見するまでに時間がかかったものであります。
◆
井上ひさ子 委員
A泡消火剤のことです。
今、段々の説明がありましたけれども、水が3割から5割削減できることと、冬でも性能が高いということですね。また、
マンションなどでは水ぬれの防止ができることと、何よりも消火の時間が短縮されるというのはすごいことだなというふうに思います。格段に
消火効率が高いのかというふうに思うのですね。
それで、今年度は10台分にこのタンクと機器を取りつけると聞いておりますけれども、10区で見ますと水槽車は54台もあると聞いています。私は、早期にこれを取りつけていった方がいいというふうに思うのですが、今後の計画について伺いたいと思います。
それから、
救急搬送のことですが、99.1%と圧倒的に3回目以内で病院に搬送されていると聞きました。それから、時間でも、120分以上については水に入ったということで、それに時間がとられたというふうなお話だったと思いますので、現場で大変ご苦労されているというふうなことはわかるのです。
しかし、件数では7回が1件ですね。それから、13回が1件あると。私は、この13回の場合はどういうことだったのか、どういう状況だったのかとお聞きいたしました。これは、昨年11月の夜8時過ぎに、患者は2歳でして、部屋で音がしたので見に行くと倒れていた、そのときもう既に足にけいれんを起こしていたということで、病名は急性硬膜下血腫でした。まず、A病院ではかかっていないので
受け入れが不能だ、B病院でも小児の
当番病院に行ってほしい、また、C病院の脳外科でも、小児科があるのですが、お医者さんはあいにく処置中だと。また、D脳外科でも、
当番病院ですが、小児は診られないということで、小児科の
当番病院のE病院に搬送されましたが、様態が急変しまして脳外科的な処置が必要だと判断されて搬出しました。そして、今度はもう一度A病院に連絡しますが、やはり
受け入れはできないと。F病院でも
受け入れができない、G病院でも
受け入れ不可能、H病院にはもう回答を待ってやっている。また、I病院では子どもを診られない。同じく脳外科の当番院のJ病院も、診察可能だけれども、ベッドが満床のために救急隊の方でお断りしているのですね。K病院も満床、L病院は脳外科は診られない、H病院は医師処置中、一度
受け入れ不可能としたF病院にやっと搬送しました。2歳の患者のところから病院に行くまでに実に64分もかかっています。
私は、こういうことは本当に許されないというふうに思うのですね。この患者はわずか2歳の子どもでけいれんを起こしています。どれほど心配したでしょう。また、救急隊の皆さんが本当に必死だったというのは、私は、お話を聞いて、いただいた資料からわかりました。私にも孫がいるのですけれども、本当にこういうときに同じような場面に遭ったらとても人ごととは思えないのですね。本当に命にかかわることですし、最後の病院に到着したときにこの子どもはどういう状態だったのか、また、今、どういうふうになっているのか、どうしてこのようなことが起きたのか、この辺の原因を明らかにしていくべきではないかというふうに思うのですが、お尋ねしたいと思います。
◎前田
警防部長 まず、
新型消火剤の関係ですけれども、今後の整備計画につきましては、更新する
消防ポンプ自動車にはすべてに装備する予定でございます。また、既存の車両につきましても、更新時期を考慮しつつ、段階的に整備していきたいというふうに考えております。
次に、
救急搬送の関係で、13回目で
搬送先医療機関が決定した事例についてのご質問でございます。
委員ご指摘のとおり、昨年11月に、2歳のお子さんが居室で倒れて、下半身にけいれんがあり、
意識もうろうというような内容で出動したものでございまして、症状につきましては小児科と
脳神経外科が複合した病態でございました。最終的には13回目で
搬送先医療機関が決定したわけでございますけれども、今、お話にございましたとおり、専門外ということで
受け入れがかなわなかったものが5件、処置困難が3件、手術中・患者対応中ということで2件、ベッドの満床等々で病院での
受け入れがかなわなかった事例でございました。この方につきましては、判断としましては、先ほど申し上げた3週間以上の入院ということで重症と伺っております。さらには、当時の搬送の状況につきましては、途中の急変の中、さらにはそれぞれの病院での診療科目の関係でどうしても単体の診療では
受け入れられないという状況がございましたので、このような形になったという実態でございます。
◆
井上ひさ子 委員
A泡消火剤のことですが、更新に合わせて段階的に取りつけていくということですので、せめて各区に1台ずつ、今回は10台ですから、そういうふうにやっていただいて早期に取りつけることを求めておきたいと思います。
また、
救急搬送についてですが、今、段々の説明がありました。患者の搬送時間は60分から120分が994件、120分以上も38件あるということで、救急車の中では救命士の方々が処置しているというふうに思うのですが、時間のかかる事例が多いことに本当に驚きました。先ほどのようなことを見ますと、
受け入れ先がなかなか見つからない、こういうことと時間がかかる問題は、私はいずれも改善が必要だというふうに思うのです。
今後、これをどのように改善していくのか、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。
◎前田
警防部長 お答えいたします。
まず、
救急出動から
病院到着まで60分から120分、120分以上で着く状況についてもう一度ご説明させていただきたいと思いますが、このような症状もございます。
リストカットと言いますか、自傷の傷病者の場合は精神的なダメージがありまして、傷自体は浅い場合もあるのですけれども、精神科を選定する場合と、さらには外科の治療を先にということでそちらの
病院選定に時間を要する場合がございます。傷としてはさほど大きなものではないのですが、そのようなものがございます。さらには、
急性アルコール中毒の患者については、一時的には
夜間急病センターで診てもらっておりますけれども、そこが満床になりますと他の病院への搬送がなかなか難しい状況になってございます。
さらには、
病院選定以外では、水難救助や山岳救助、交通事故などでは捜索や救出に時間を要しておりますことから、現場での滞在時間がかかっている事案もございます。さらには、一たん、病院に搬送後、症状の変化によりまして、さらにそこから別の病院に搬送したという事案もございます。
なお、120分以上要した事案の中では、軽症、中等症から重症となった事例については、今のところ、私どもでは承知しておりません。
しかしながら、迅速に
医療機関へ搬送することが重要でございますので、今後も、
保健福祉局を含め、
関係機関と協力しまして迅速な
救急搬送体制を構築してまいりたいと考えているところでございます。
◆
井上ひさ子 委員 今、説明がありましたけれども、精神的なダメージを受けておられる方もいて、なかなか難しく、時間もかかる、外科的な処置もしなければならない、そういうこともあるかというふうに思うのです。
この間、
産科救急の相談体制が確立しました。そういう中で、スムーズにと言ったらおかしいですが、いろいろなことがありますけれども、救急隊との連携がとれてやはり進んでいるかなというふうに思うのですね。これらの事例から、病院のベッドのあきだけではなくて、お医者さんなども含めて、救急隊にそういう状況が入らなければ――本当にすごい短時間で現場に到着しても車の中で待機しなければならない。私は、病院を次々と回していくのはやはりだめだというふうに思うんですね。
だから、
空きベッドの情報などを皆さんがどのようにつかんでおられるのか、把握されているのか、これについて伺いたいと思います。
◎前田
警防部長 空きベッドの確認でございますけれども、けが(災害)
救急当番病院につきましては、朝9時と夕方17時、1日2回、消防局にございます
指令情報センターから
医療機関に電話で確認をしております。また、
空きベッドの状況につきましては、刻一刻と変化をいたしますので、
救急搬送に際しましては、救急隊や
指令情報センターから、その都度、
空きベッドの状況を含め、
搬送先医療機関に
受け入れの確認をして搬送いたしております。
◆
井上ひさ子 委員
災害当番病院については9時と5時に確認しているのと、
指令情報センターで連携をとっているというご答弁だったというふうに思うのです。
でも、やはり今お話があったように、9時と5時にとったとしても病院の体制は大変流動的ですね。その辺は、医療と関係部局の調整が大事でありますし、そういう情報が救急隊に入るようなシステムを構築していかなければならないのではないかというふうに思うのですね。この辺を最後にお聞きしたいと思います。
◎前田
警防部長 救急隊に情報が入るシステムということでございますけれども、多くの傷病者の方につきましては、各
医療機関の多大なるご協力によって迅速に
医療機関への
受け入れが決定しており、
救急搬送を行っておりますけれども、一部の方につきましては、
受け入れ医療機関の決定までに時間を要している場合がございます。
繰り返しにはなりますけれども、今後とも、
保健福祉局を含めまして、
関係機関の協力をいただきまして迅速な
救急搬送体制を構築してまいりたいと思っております。
◆
井上ひさ子 委員 今回の13回の事例は、2歳の子どもですから、きっとよちよち歩きよりもちょっと歩けるでしょうか、普通ですと転んでも本当に大きなけがはないというふうに思うのです。私はこれを聞いて、急性硬膜下血種というのはすごく激しい外傷によって起こるのではないかというふうに思ったときに、2歳の子どもが起こすということはもしかしたら虐待などもあるのかというふうな心配をしたんです。そういうふうなのであれば、それだけで大変なのに、その上、搬送に時間がかかる、
受け入れ先がなかなか見つからず
たらい回しのような形にされていく、これで障がいが残るようなことになったらというふうに思いますと、実は本当に切ない気持ちになったんです。
やはり、原因が何であれ、子どもの命、市民の命を守るため、必ず迅速な対応、そして、搬送できるシステムをぜひ皆さんで検討してつくっていただきたいんです。
私は、この点を重ねて申し上げまして、質問を終ります。
◆
小倉菜穂子 委員 私からは、職員の
大量退職と採用期における
人材育成について伺いたいと思います。
近年、大規模な災害が頻発する中、地震や台風による土砂崩れの現場などで活躍する
レスキュー隊、
特別高度救助隊と言うのだと思いますが、その活動が人命救助に欠かせない時代となっております。本市においても、
特別高度救助隊が編成されまして、人を探し出すための
各種探査装置や高性能の装備が整備されまして、救急隊についても、医師の指示によって強心剤の投与とか
気道確保の器具の
気管内挿入ができるようになるなど、
救急業務が高度化しております。さらに、最近の火災については、
有毒ガスの発生などもありまして、対応が非常に困難な事案がふえているのではないかというふうに考えています。このように、消防を取り巻く環境が近年は大きく変化しております。現代の
消防職員は特殊な技能と柔軟な対応力を備えていなければ、予告なしに起こる災害ですから、的確に対応していくことはできないだろうというふうに思っています。
そうした中、本市では、団塊の世代の職員が大量に退職する時期を迎えております。採用数を見てみますと、2000年度に25名、01年度は29名でしたが、今年度は77名、来年度につきましては83名の方が予定されております。また、今後10年間で約800人もの職員が退職する予定であるというふうに伺っておりますけれども、これは
消防職員定数の約半数に当たりまして、災害現場に出動する
消防職員の6割が入れかわってしまうようなことになっております。
火災件数を調べてみましたら、1999年には561件、03年には761件、08年は729件とほぼ横ばいという状況ですけれども、
焼失面積は、同じ年で8,917平米、5,757平米、5,458平米と減少傾向にあります。
焼失面積が減るということはもちろんすばらしくよいことで限りなくゼロに近づけていってほしいと思っておりますけれども、現実的には、若い
消防職員の災害対応の経験が不足し、これまで蓄積してきた技術の維持などが今後の課題ではないかというふうに思っています。そういう中で、災害に強い
まちづくりに向けて、西区に
消防学校がありますが、そこが持つ役割がますます重要になってくるのではないかというふうに思っております。
そこで、質問ですけれども、現在、
消防学校におきまして
大量退職、また、採用期に当たって、これまで蓄積してきた技術をどのようにして次世代に伝えていこうとされているのか、お伺いいたします。
◎鈴木
消防学校長 私から、お答えさせていただきます。
大量退職採用期におけます技術の
伝承方策についてでございますけれども、委員ご指摘のとおり、団塊の世代の
大量退職期を迎えまして、とりわけ若い職員への
技術伝承が喫緊の課題であるというふうに私どもも認識しておりましたので、新
採用職員を対象といたしました教育、私どもでは初任教育と呼んでおりますが、これにつきましては、従前は
消防学校におけます6カ月間の基礎教育だけでございました。しかしながら、平成19年度からは、これに消防署での6カ月間の実務教育を加えまして、1年間の教育を行うことで即戦力となる職員を養成しているところでございます。
また、火災予防や消火、救急、救助といった各業務につきましては、昨年5月に
大量退職・採用時代におけます
技術伝承方策に関する検討会を設置いたしまして、この2月に
技術伝承方策を取りまとめたところでございます。内容につきましては、
研修指導者認定制度と
機関員技術認定制度の二つを柱といたしまして、
研修指導者につきましては、
消防学校において消防署の中核となっております
ベテラン職員を指導者として養成、認定し、日常的な訓練指導などを通じて技術の維持を図っていくものでございます。また、消防車の運転業務を担います機関員につきましても、運転ばかりではなく、
ポンプ操作技術の審査も行い、その技術を認定し、職員個々の技術の維持を図っていこうとするものでございます。このようにいたしまして、技術や経験を有します
ベテラン職員が退職いたしましても現場活動にいささかの支障も来さぬように、
人材育成の強化を目的とした
技術伝承に取り組んでおりまして、今後におきましても、市民の皆様の安全・安心のために職員の資質向上に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
◆
小倉菜穂子 委員 学校の方で、
技術伝承に集中したとてもたくさんの取り組みをいろいろされていることをお伺いしましたけれども、今後、高齢化の進展などによって
救急需要が増加すると考えられますし、私は、とりわけ独居でお住まいの方などがふえますと、そうしたことへの対応も今後の課題かというふうに思っております。消防士と同様に、
救急救命士においても団塊世代の方の退職が同じように襲ってくるというか、そういった時代に入ってくるというふうに思いますが、消防年報によりますと、本市では、7分に1件、年間では市民の27.6人に1人の割合で
救急搬送しております。そんなときに
気管挿管や強心剤の投与といった専門的な
医療処置のできる人も当然減ってくるかというふうに思いますが、07年中に
救急隊員が行った応急処置の中では、薬剤の投与が514件、呼吸を維持するための
気道確保が958件実施されておりまして、今や
救急活動に不可欠なものとなっていると感じております。
その中で、
気管挿管の資格を取るのがなかなか難しいということをお伺いしました。実際に病院で手術を受ける患者から同意を得て行う30症例の実習が必要ということで、これは本当に難しいものだと思っております。また、資格者が充足されたとしても、やはり現場での経験の量が私はとても不安だというふうに思っています。通常では想定できない状況で、患者もですが、ご家族の方も本当に不安が大きい中で活動する
救急隊員に、必要とされている経験がきちんと伝わらなければならないだろうというふうに考えます。
そこで、質問ですけれども、
大量退職での採用期を迎えまして、
気管挿管や
薬剤投与等ができる
救急救命士の人員確保を図るべきですが、今後どのように養成していくおつもりか、また、
救急業務における技術の次世代への引き継ぎ、伝承をどのように行い、
救急隊員の質を維持していこうとされているか、この点をあわせてお伺いいたします。
◎鈴木
消防学校長 1点目の
気管挿管と薬剤投与
救急救命士の減少に伴います養成計画でございますけれども、救命士によります
気管挿管につきましては、平成16年7月1日から開始されております。また、薬剤投与につきましては、平成18年4月1日から開始されておりまして、現在まで
気管挿管救急救命士は56名、薬剤投与の
救急救命士につきましては174名を養成してきております。
委員ご指摘のとおり、職員の
大量退職期を迎えますので、今後10年間でこういう資格を持った
気管挿管の資格者が11名、薬剤投与の資格者が36名減少することになっております。
気管挿管につきましては、平成24年度までの5カ年で90名を養成してまいりたいというふうに考えております。また、薬剤投与につきましては、
救急業務に従事いたしますすべての
救急救命士に資格を取得させることとしておりまして、救命士養成とあわせまして平成24年度までに250名の薬剤投与の
救急救命士を養成してまいります。
2点目の
救急業務におけます
技術伝承についてでございますけれども、資格取得から間もない
救急救命士、あるいは
救急隊員などに対しまして、これまで救急現場で培われてきた状況判断、救命処置の技法、傷病者やその家族の方に対する接遇といった、経験に裏打ちされた知識、技術を伝承することも喫緊の課題であるというふうに私どもは認識しておりますので、平成21年度からは、これらの
技術伝承の核となります職員を
救急業務指導者として指名して、救急教育訓練体制の強化を図ることといたしております。
この
救急業務指導者は、救命士の生涯教育を担当している指導者あるいは消防大学校で救急科を修了した者が該当いたしますけれども、これらが日常業務の中で
救急隊員ばかりではなくて、
救急隊員を目指す職員に対しても教育訓練を行うことによりまして隊員の質の維持・向上を図り、今後とも市民の皆様に安心していただける救急体制を維持いたしたいと考えているところでございます。
◆
小倉菜穂子 委員 接遇を含めて、これから3〜4年のうちに
救急救命士の数も非常に大きくふえるといいますか、そのかわり減る部分もありますけれども、100人単位でふえていくということをお伺いいたしました。
最後に、要望として言わせていただきたいと思いますが、これまで、本市は、
救急隊員の増員を初めとして、全国に先駆けて赤信号を青信号に切りかえて優先的に通行できるシステムの導入や、携帯電話から119番通報された方の位置を知ることができるシステムの導入など、評価すべき迅速な救急体制にさまざまに取り組んできているというふうに思います。
また、昨年、私は、新聞報道で最初に知ったのですが、総務省の消防庁が119番受信時のトリアージのマニュアルの実証実験を行うに当たって、札幌市を含む4都市で実施するといった記事も拝見いたしました。札幌市では、さまざまな取り組みに協力したり、この後、国がどのような報告になるかわかりませんけれども、そういったことで注目しているのだということを感じております。
私も、今後、トリアージに関する国の動向には関心を持って見ていきたいと思いますけれども、今後、そうした消防の取り組みのさまざまな状況についても、ぜひ、市民と情報を共有しながら、次の時代においてどんな救急が求められるのかといったことについても一緒に考えていくことが重要だろうというふうに思っています。
ここまで
大量退職に関してお伺いいたしましたけれども、どんな組織であっても最も大事なのは人材の育成であります。特に、消防は、先ほどから繰り返しになりますが、市民の不安と直接に対峙するわけですから、市民に与える安心感や信頼感を育てることに力を尽くしていただきたいというふうに思います。私たち人間の持っている勘やちょっとした兆候を見きわめて先を見通す力というようなことは、やはり多くの経験の上で培われてくるものだろうというふうに思っておりますので、ぜひ職員の気持ちを一つにしてしっかり取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆宝本英明 委員 私からは、第2次新
まちづくり計画の取り組み状況と子どもの防火・防災教育の大きく2点についてお伺いいたします。
最初に、第2次新
まちづくり計画の取り組み状況についてでありますが、2次新まちの中で掲げた消防力の充実に向けた消防体制の確立の大きな柱である新たな消防ヘリコプターが、間もなくこの3月に導入されると伺っております。災害対応や救急輸送に有効である消防ヘリコプターが常時運航できる消防緊急体制を図ることを要望してきておりました我が会派としては、その活躍を期待しているところであります。
札幌市内の建築物の高層化はとどまることを知らず、31メートルを超える高層建築物が現在1,355棟にまで達しております。地上からだけではなく、空からも一体となった消防活動、戦術へのシフトは時代の必然であると言えるのではないでしょうか。また、昨年の北海道洞爺湖サミットにおいては、札幌市の消防ヘリコプターが東京消防庁のヘリコプターとの連携によってアフリカ連合の委員長を迅速に病院へ搬送したことは記憶に新しいところでありますし、救急分野においてもその存在価値が非常に大きなものとなったことを象徴しているのではないかと思います。このほか、山林火災での空中消火、避難・遭難者の捜索、救助など、その活動範囲は多岐にわたっており、消防活動の中核を担う存在であると言えます。
特に、札幌市の消防ヘリコプターは、道内の消防機関の中で、唯一、ヘリコプターテレビ伝送システムを有しており、有珠山噴火を初め、災害状況の迅速な把握に絶大な威力を発揮してきたと伺っております。さらに、新たな消防ヘリコプターには赤外線カメラが装備されており、山林での行方不明者の捜索など、周囲の風景に溶け込んで人の目では発見が難しい条件下にあっても、人間の体温を感知して映像化することが可能であることから、今まで以上に効率的・効果的な捜索活動ができるようになると伺っております。このように、非常に有効な消防ヘリコプターが年間を通して運航できる体制が整うこと、さらには、今、申し上げました赤外線カメラなどを有する新たな消防ヘリコプターが導入されることは、安全・安心な
まちづくりの推進に大きく貢献するものと思っております。
また、これだけ充実した体制となることから、道内、とりわけ近隣の市町村が寄せる期待も大きいものと思います。ヘリコプターの特性であります機動性、迅速性をもってすれば、70キロ離れた場所からの
救急出動要請であっても通報から市内の病院へ搬送するまで1時間以内で完了できると伺っております。
そこで、質問でありますが、消防ヘリコプターは、札幌市の消防力の充実のみならず、広域的な応援体制の充実、そして強化の一翼を担う重要な存在であると考えますが、消防ヘリコプターを有する道内唯一の消防本部として、新たな消防ヘリコプターの導入に伴う広域的な応援体制についてどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
次に、子どもの防火・防災教育について伺いたいと思います。
地震や豪雨などの大規模災害による被害を軽減するためには、自助、共助の精神に基づき、地域の防災力を高める必要があり、そのためには、子どものころから防火・防災に関する教育を修得することが重要であると思います。現在、札幌市の防火・防災教育は、
消防職員が小学校の教壇に立って体験型出前学習を行う、名づけて「教えて!ファイヤーマン」授業を小学校4年生を対象に実施しており、現役の
消防職員の体験談を聞いたり、119番通報の模擬体験や煙からの避難体験など、子どもたちが興味を持って楽しく学ぶことができ、とても人気のある授業となっていると伺っております。この「教えて!ファイヤーマン」授業が、基礎的な学習の機会として防火・防災知識の啓発を上手に取り入れてわかりやすく子どもたちに理解されているのに対して、もっと応用的、実践的に消防の仕事や地域の防災活動を子どもに理解させることができるのが少年消防クラブの活動であると承知をしております。
少年消防クラブは、地域の連合町内会を母体として、小学校4年生から6年生までの児童が多種多様な特色ある活動を行っており、中でも、老人ホームへの防火訪問やお年寄りに対しての愛の防火年賀状の郵送は昭和60年の結成当初から行われており、思いやりの真心がお年寄りに伝わって感謝の手紙も多く寄せられていると伺っており、子どもたちの熱心な心温まる活動は本当にすばらしいものであると思います。また、防火・防災の活動に限らず、商店街や住宅街において地域住民の皆さんと一緒に清掃・美化活動の一環としてごみ拾いなどの地域活動にも参加しております。私は、少年消防クラブが地域活動の活性を図る重要な団体であると認識しており、今日の少子化が進んでいる中、将来の地域活動を担う子どもを育成することは、札幌市にとって貴重な財産であり、重視すべき点であると考えております。
そこで、質問でありますが、札幌市の子どもの防火・防災教育は、小学生を対象として「教えて!ファイヤーマン」授業と少年消防クラブ活動がありますけれども、1点目として、「教えて!ファイヤーマン」授業の現在の実施状況について伺いたいと思います。
2点目として、地域の活動団体、少年消防クラブの現在の活動状況についてお伺いしたいと思います。
◎樋口 総務部長 私から、前段のヘリコプターについてお答えさせていただきます。
新たな消防ヘリコプターの導入に伴う広域的な応援体制についてでございますが、委員のご指摘のとおり、道内の消防本部の中で本市が、唯一、消防ヘリコプターを有していると考えております。本市の果たすべき役割は、こういうことにかんがみますと大変大きいものがあると認識しております。消防ヘリコプターが平成3年3月に導入されて以来、平成20年末までの間に、火災が252件、救急で953件、救助で276件、危険排除で231件の合計1,712件出動しておりますが、このうち、道内の他市町村への出動実績は216件となっております。
このたびの新たな消防ヘリコプターの導入によります通年運航体制の確立は、市内での活動はもとより、道内各地の出動要請にも、これまで以上に柔軟に対応できるものと考えております。さらに、従来のヘリコプターテレビ伝送システムによる支援に加えまして、今回新たに導入する赤外線カメラを有効に活用した広域的な応援活動も展開できるものと考えております。
◎中村 予防部長 私からは、子どもの防火・防災教育についてお答えいたします。
1点目の「教えて!ファイヤーマン」授業の実施状況についてでありますが、平成20年度は、市内の市立小学校207校のうち203校で実施しまして、小学校4年生の児童1万5,400人が受講いたしました。そして、授業を受けた児童にアンケートを実施しましたところ、97%の児童が学習内容について理解したとの回答がありました。また、82%の児童が授業で学んだことを家族と話し合っているとの回答がありまして、児童から家庭への波及効果があるものと思っております。
2点目の少年消防クラブの活動状況についてでありますが、現在、市内に50クラブ、1,013人の小学校4年生から6年生までの児童が参加しております。活動状況といたしましては、火災予防行事への参加や防火パトロール、消火栓の除雪、さらには、委員ご発言のとおり、地域への奉仕活動、お年寄りへの防火訪問など、地域によってさまざまな活動が行われ、1年間に延べ596回、参加延べ人数1万6,005人の活動状況となっております。
◆宝本英明 委員 新たな消防ヘリコプターの導入により、市内だけではなく、広域的な応援体制が充実するとの答弁でございましたが、2次新まちの中では、効率的・効果的な消防体制の検討を行うということも掲げております。昨今の厳しい財政状況の中で、消防需要や都市環境の変化に対応していくためには、スクラップ・アンド・ビルドによる総合的な消防力の充実が不可欠であって、消防ヘリコプターが年間を通して運航できる体制が整うことを契機に、例えば、高層ビルにおける災害対応については、はしご車と消防ヘリコプターによる連携体制を強化するといった消防戦術の変更や、消防を取り巻く環境を踏まえた消防施設、車両などの整備が必要であると考えます。
平成19年第3回定例市議会の決算特別委員会において、我が会派の福士委員からの質問に対して、効率的・効果的な消防体制の確立という観点から消防施設の統合の可能性について検討するなど、より地域事情を考慮した消防体制の確立が必要との考え方を消防局が示しているところでございます。
また、先ほどのお話にもありましたが、消防局においては、団塊の世代の
大量退職により、今後10年余りの間に約半数の職員が入れかわると伺っております。さきの福士委員からの質問に対して、精強な部隊を編成するための勤務体制の見直しについても言及しており、急激な若年化が懸念される中で、知識、技術を伝承し、効率的・効果的に人を育てていくことが喫緊の課題であるとの認識のあらわれではないかと感じております。
そこで、質問でありますが、2次新まちの中に掲げる効率的・効果的な消防体制の検討について現段階の状況を伺いたいと思います。
次に、子どもの防火・防災教育でありますが、「教えて!ファイヤーマン」授業は、児童と家族が防火・防災について話すきっかけにもなりますし、非常によいことであると思います。また、少年消防クラブは、活動を通じて仲間意識、命の大切さなどを学ぶことができると思いますし、将来の地域防災の担い手を育成するためには、少年消防クラブの存在意義は大変大きいものだと思っております。
先月であったと思いますが、ニュースで東京都の消防団に女子高校生が2人入団したとの報道がありました。消防団へ若い力が入団することによって、消防団員の確保や地域の防災力の向上につながることが期待されているということでありました。そして、この女子高校生2人は、小学生時代に少年消防クラブに入っていて、今は準指導者として後輩を指導しているとのことであります。このように、少年消防クラブでの貴重な体験が地域防災を支えるリーダー役となって
人材育成につながるものと、この報道で改めて感じさせられました。
一方、昭和60年に、札幌市で少年消防クラブが結成されて以来、地域活動に貢献してまいりましたが、結成された当時と比べると30%以上も児童が減少していることもありまして、クラブ員となる子どもの確保が困難であったりするなど、その運営に苦労されている状況であると聞いております。このような傾向は全国的にも同じでありますが、これを受けまして、総務省消防庁では、将来の地域防災の担い手を育成するため、防火・防災教育の充実と少年消防クラブの拡充強化を推進するということであります。そして、これを踏まえて、札幌市では、新たに「教えて!ファイヤーマン」授業と少年消防クラブの活動を連動した子ども防災リーダー育成事業を平成21年度の事業予算に計上して取り組まれると伺っております。
そこで、質問を2点したいと思います。
1点目は、少年消防クラブは、札幌市で結成されてから23年が経過しております。少年消防クラブに入る子どもの確保が困難である状況において、クラブの運営体制や魅力ある活動のあり方など、現在の状況に合わせて見直しをする必要があると考えておりますが、どのようなお考えか、伺いたいと思います。
2点目は、将来の防火・防災の担い手を育成する事業として新たに子ども防災リーダー育成事業を実施いたしますが、どのように取り組まれるのか、伺いたいと思います。
◎樋口 総務部長 まず、効率的・効果的な消防体制の検討についてでございますが、厳しい財政状況の中において、限られた経営資源を有効に活用して消防行政のより一層の推進を図るために、今後10年間を見据えた札幌市消防局運営方針というものをこの2月に策定したところでございます。具体的には、委員からもお話がありましたが、消防ヘリコプターを有効に活用した消防体制の構築を積極的に進めるとともに、はしご車などの消防車両の見直しを図っていきたいと考えております。また、消防施設につきましては、老朽化が著しく、建てかえの必要があるものについて、周辺の消防施設の老朽化の状況や双方の位置関係、出動に要する時間などを総合的に勘案しまして、統合を含めた消防施設の適正配置を鋭意検討することとしております。さらに、勤務体制でございますが、効率的・効果的な研修訓練体制の確保や、役割、責任の明確化による組織体制の強化を目指しております。東京消防庁を初めとして、多くの消防本部が採用している3部制勤務の導入を行うこととしておりまして、この4月から白石、厚別の2署において先行実施することとしております。
これらを重点項目といたしまして、効率的・効果的な消防体制の構築に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
◎中村 予防部長 子どもの防火・防災教育についての1点目の少年消防クラブの運営体制の見直しについてでありますが、委員ご指摘のとおり、クラブの運営体制や魅力ある活動づくりについて新しい体制の基本構想を策定中であります。主な内容としましては、現在の小学生高学年をクラブ員として対象とするものを、中学生以上の参加も可能にするなど、今まで制約された人数や対象者などの枠組みを改めまして、地域ごとに活動しやすい柔軟な運営体制にすることといたします。また、活動発表や訓練を披露する機会を設けて他のクラブや市民との交流を図るなど、より一層の活動の活性化を図ることといたします。さらに、指導者の意識向上を図るための指導マニュアルの作成や、活動しやすい制服の見直し、優良クラブ表彰の機会をふやすなど、新たな体制づくりに取り組んでまいります。
2点目の子ども防災リーダー育成事業の取り組みについてでありますが、将来を担う子どもたちを対象としまして、地域防災のかなめとなる人材を育成するための事業を新たに推進する計画であります。先ほどお答えしましたとおり、少年消防クラブの新しい枠組みといたしまして、小学生のみならず、中学生以上の参加も可能としておりますことから、地域防災のリーダーとしての役割を学ぶことができる、より実践的な学習機会や訓練指導をふやし、年長者であるクラブのリーダーが中心となって地域の子どもたちに防火・防災の知識、技術を伝えていけるような環境づくりを目指してまいりたいと考えております。
◆宝本英明 委員 最後に、要望して終わりたいと思います。
今、ご答弁にもありましたが、新たに消防ヘリコプターが導入されることによって、年間を通して運航が可能になる体制が整う、また、精強な部隊編成と
人材育成を目指す3部制勤務の実施など、消防局にとっては大きな転換期を迎えているのではないかと思います。このような状況にあって、今後10年間を見据えた運営方針を定めたとのことでありましたが、しっかりとしたビジョンのもと、限りある経営資源を有効に活用し、2次新まちで掲げた効率的・効果的な消防体制の確立にぜひとも尽力を図っていただきたいと思います。
また、「教えて!ファイヤーマン」授業や少年消防クラブ活動においては、その活動の活性化が家族も含めた地域住民全体の防災力の向上を図っていけるものだと考え、大いに取り組んでいただきたいと思います。今後、中学生、高校生、大学生と、青少年に対しての世代別の防火・防災学習の新たな取り組みについても鋭意検討していただいて、将来の地域活動の主役となる子どもの育成に対してより一層尽力されることを要望して、質問を終わりたいと思います。
◆小嶋裕美 委員 私からは、小規模社会福祉施設を対象とした消防法令の一部改正について、また、その消防法令の一部改正に伴う大規模高層建築物の防災体制の強化について伺わせていただきたいと思います。
本年4月1日から施行される認知症高齢者グループホームや障がい者ケアホームなど、小規模な社会福祉施設を対象とした消防法令の一部改正についてお伺いいたします。
さきに行われました本市議会の代表質問におきましても、我が党の宗形委員より、障がいのある方の地域生活への移行を支援する施策について質問させていただいたところでございます。これに関連しまして、高齢の方や障がいのある方にとって、本来の暮らしなれた地域社会の中で、アットホームな雰囲気を持ち、充実した生活を送ることができるような小規模な社会福祉施設のニーズが年々高まっておりますところから、私からは、こうした施設における防火安全対策について質問させていただきます。
平成18年に長崎県大村市におきまして発生した認知症高齢者グループホームの火災では、夜間に発生した火災であったこともありまして、勤務している職員も少なかったため、初期消火や入所者の避難誘導、さらに消防機関への119番通報もおくれましたことから、その結果、死者7名、負傷者3名という大変痛ましい惨事となったことは今も私の中では記憶に新しいところでございます。
この火災を契機として、小規模な社会福祉施設の安全確保を図るための消防法令改正が本年4月1日から施行されると伺っております。この改正により、自力で避難することが困難な方が入所する認知症高齢者グループホームや障がい者ケアホームなどの小規模な社会福祉施設に対しては、これまで収容人員が30人以上で義務づけられていた防火管理者の選任が、今後は10人以上から必要となるとともに、スプリンクラーの設備や自動火災報知設備の設置についても義務づけられる対象が拡大され、防火管理というソフト面と消防用設備などというハード面の両面から施設の防火安全対策の強化が図られることになりました。
例えば、スプリンクラー設備であれば、これまでは延べ面積1,000平米以上で設置が必要であったものが275平米以上で、自動火災報知設備については、延べ面積にかかわらずすべての施設が設置対象になると伺いました。いずれの設備も、ほかの人の手助けをほとんどかりることなく、火災の感知により自動的に消火や警報を発するもので、特に夜間で職員の数が少ない場合などには大変有効なものであると理解しております。その反面、これらの設備を設置するためには、それ相応の負担が施設関係者に強いられることにもなりますが、小規模社会福祉施設に対しては、必要な安全性を確保しつつも、小規模という実情を考慮した簡易な設備の設置が認められると伺っております。
そこで、質問いたします。
1点目の質問ですが、札幌市内において、このたびの法令改正の対象となる施設がどの程度あり、それらの施設に対する指導などはどのように行ってきたのか、お伺いいたします。
次に、2点目の質問ですが、こうした小規模社会福祉施設に設置が認められる簡易な設備とは具体的にどのようなものであり、今後、札幌市ではどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
◎中村 予防部長 小規模社会福祉施設を対象とした消防法令の一部改正についてお答えいたします。
1点目の本市の法令改正の対象となる施設の状況についてでありますが、まず、ソフト面であります防火管理者の選任につきましては、新たにグループホームやケアホームなどが110施設、ハード面でありますスプリンクラー設備や自動火災報知設備の設置につきましては、270施設が新たに対象になります。
また、それぞれの施設に対する指導状況についてでありますが、このたびの法令改正を踏まえまして、新たに対象となる施設の把握、関係者への制度の周知、早期の防火安全対策の確立、この三つを柱に取り組んでまいりました。具体的な取り組みとしましては、一つとして、
消防職員が各施設に出向き、個別に施設の状況把握及び指導を行うこと、二つとして、
保健福祉局などの関係部局、関係団体と連携し、研修会、講習会等で広く周知を図ること、三つとしては、施設関係者が早期に防火安全対策を図ることができるよう、施設関係者を対象とした防火管理講習を新たに追加実施したことなどでございます。
その結果、防火管理者の選任におきましては、ほとんどの施設で資格者を配置する体制が整えられております。
次に、2点目の小規模社会福祉施設に設置が認められる簡易な設備といたしましては、一定の安全性能を有する設備の基準が国から示されております。具体的には、スプリンクラー設備であれば、水槽や消防ポンプといったものを持たず、水道管に直接接続することのできるものや、自動火災報知設備であれば、受信機や非常電源を持たず、一般住宅用の火災警報器を用いて警報音を一斉に発することができるなど、従来のものに比べ、機器構成の簡易なものの設置が認められております。今後の対応につきましては、積雪寒冷地という地域事情にも対応できる本市独自の基準による細部の運用指針の策定を進め、従来の設備に加えましてこうした簡易な設備の設置指導にも努めているところでございます。
なお、改正法令に伴うスプリンクラー設備、自動火災報知設備につきましては、既存の施設につきましては設置まで3年の猶予期間がありますが、できるだけ早期に設置いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆小嶋裕美 委員 認知症高齢者グループホームなど、小規模な社会福祉施設における防火安全対策についての今後の消防局の取り組みはよくわかりました。研修、講習、研修会等を通して非常に一生懸命やってくださっていることをさらに周知していただけるようお願いいたします。
また、今回の小規模な建物への規制の一方で、大規模あるいは高層の建物を対象とした消防法令の改正もなされ、これまでの火災予防を目的とした防火管理制度に加え、地震対策などの防災対策が強化されることになると伺いました。
そこで、次に、消防法令の一部改正による大規模、高層の建物の防災体制、自衛消防力の強化についてお伺いいたします。
百貨店やホテル、病院など、多数の市民が利用する施設のうち、延べ面積が5万平米以上のもの、11階以上で延べ面積が1万平米以上のものなど、大規模、高層の建物についても消防法令が改正されたと伺っております。これにより、本年6月1日から、地震などの災害による被害の軽減を目的とした新たな制度が追加されることになりました。
その新しい制度の一つ目は、防災管理者制度です。つまり、地震対策についての所定の講習を受講した方を防災管理者として事業所に置き、地震が発生した場合の応急措置、例えば、エレベーターの乗客の閉じ込め事故への対処、建物利用者のパニック防止、停電や通信障害の中での避難誘導などを行うことになります。実際に、平成17年7月23日に発生しました千葉県北西部の地震の際には、建物の利用者がパニックを起こしてエレベーターに殺到するケースや、停電により非常放送設備が使用できなかったケースがあったと伺っております。
新制度の二つ目は、自衛消防組織制度です。大規模、高層の建物で地震などの災害が発生した場合、同時に多数の箇所で被害が生じることから、自衛消防組織を指揮する統括管理者の新たな配置と、初期消火、通報連絡、避難誘導、救出、救護などの業務ごとの班長や必要な人員の班員を置き、組織的な自衛消防活動を行うことが求められます。これらの新たな制度により事業所の防災体制、自衛消防力を強化することは、札幌市が取り組むべき重点課題の一つと私は考えております。
そこで、1点目として、法令改正の対象となる建物は札幌市内にどれくらいあり、それらに対して新たな制度をどのように周知していくのか、お伺いいたします。
2点目としまして、防災体制、自衛消防力の強化を推進していくためには、防災管理者や統括管理者など、事業所の防災体制、自衛消防活動を担う人材の育成が不可欠と考えておりますが、これら事業所の
人材育成を今後どのように行っていくのか、お伺いいたします。
3点目としまして、このたびの法令改正を受けて、議案第26号 札幌市
消防手数料条例の一部を改正する条例案が提出されておりますが、消防法令に基づく講習の受講者から手数料を徴収する理由についてお伺いいたします。
◎中村 予防部長 大規模・高層建築物の防災体制についてお答えいたします。
1点目の法令改正の対象となる建物数と新たな制度の周知についてでありますが、対象となる建物は札幌市内に188棟ございます。新たな制度を周知するため、これら建物の関係者を対象とした説明会を本年2月から4回開催いたしまして、326名の方に参加をいただいたところでありまして、今後も、消防局ホームページなどの広報媒体を活用するほか、各消防署において関係事業所へのリーフレット配付や個別指導を積極的に行い、制度の周知を進めてまいります。
2点目の事業所の
人材育成についてでありますが、札幌市内において、法令改正により防災管理者や統括管理者の資格が1,500名程度必要になると見込まれております。これらの方を対象として、平成21年度は防災管理者や統括管理者の資格を取得するための講習を合わせて55回開催する予定であります。今後、これらの講習を計画的に実施し、事業所の資格者の養成に万全を期すとともに、各消防署においても講習修了者に適切な助言、指導を行い、防災体制、自衛消防活動を担う人材の育成に努めてまいります。
3点目の講習手数料の徴収理由についてでありますが、消防法令の改正により、これまで行っていた防火管理講習に加えて、防災管理者や統括管理者の資格を取得するための講習が新たに設けられ、これらの講習を継続して実施していくための財源を確保する必要があることと、受講者に役務の対価として手数料を負担していただくことが受益者負担の原則からも妥当であると考えたためでございます。
◆小嶋裕美 委員 最後に、要望で終わらせていただきたいと思います。
このたび、小規模な社会福祉施設の防火安全対策及び大規模、高層の建物の防災体制、自衛消防力の強化を目的とした法令改正により新たな制度が設けられました。これらの制度は、法令改正の対象となった建物にきちんと周知されて初めて事業所みずからが安全対策を講じることができるわけです。そして、消防局が適正な助言、指導を行うことにより、事業所の取り組みが促進し、防災意識がはぐくまれ、建物の利用者に対する安全性を向上させるための体制が浸透するのだと思います。
私自身も安心・安全な
まちづくりの推進を目指しておりますので、消防局は、この法令改正の内容を対象となる事業所一つ一つに周知、浸透させていくことが安全・安心なまち札幌の実現に向けた第一歩につながることを強く認識していただき、早期の制度定着に全力で取り組んでいただきたいと思います。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆國安政典 委員 私からは、
救急出動に関する状況についてと市民によるAEDを活用した救命処置につきましてお伺いさせていただきます。
まず、
救急出動に関する状況についてお伺いします。
近年、全国的な傾向といたしましては、
救急需要が増加するという傾向がありますが、一方で、救急隊の数については微増という状況であるというふうに聞いております。この需給ギャップの拡大から、地域によりましては、救急要請時に、すぐ近くの救急隊が既に出動してしまっているために、遠くの救急隊が出動することなどによりまして現場への到着時間がおくれる傾向にあるということであります。
このような中、総務省消防庁におきましては、平成18年3月に
救急需要対策に関する検討会報告書をまとめまして、直ちに取り組むべき対策として、救急車適正利用の市民への普及啓発の推進や、
転院搬送業務への病院救急車の活用、また、救急車の現場到着が大幅におくれると予想されるような場合には直近のポンプ隊が先に出動して心肺蘇生を行うなど、こういった対策が示されたところであります。
札幌市消防局におきましても、札幌市医師会、市内の3次
医療機関、また北海道看護協会などの有識者をメンバーとする札幌市
救急業務検討委員会において総合的な検討を行いまして、市民に対する救急車の適正利用のPRとか
医療機関から
医療機関へ搬送する場合の
転院搬送マニュアルの作成を行ったところであります。また、平成19年1月からは、消防隊がAED、自動体外式除細動器を積載しまして、心肺機能停止状態の重篤な救急要請に対して、救急隊よりも早く現場に到着して処置できる場合には救急隊と連携しながら活動できる体制をとっているというふうに伺っているところであります。このように、増加する
救急需要に適切に対応していると感じているところであります。
しかし、このような対策を講じていく中で、先般、総務省消防庁が発表した救急・救助の現況によりますと、全国における平成19年中の
救急出動件数については529万236件と、消防法が改正され
救急業務が法制化された昭和38年以降、過去最多となったところでありまして、さらには、救急車が通報を受けてから現場に到着する時間も7分と、過去10年間で最長となっているわけであります。
そこで、質問いたしますけれども、
救急需要対策の成果指標ともなります、札幌市におきます平成19年、20年中の
救急出動件数及び救急車が通報を受けてから現場に到着するまでの時間がどのようになっているのか、まずお伺いします。
◎前田
警防部長 平成19年、20年中の
救急出動に関します現況についてお答えいたします。
なお、平成20年中につきましては速報値ということでご了承いただければと思います。
初めに、
救急出動件数につきましては、平成19年は7万5,179件、平成20年は6万9,875件となっておりまして、5,304件の減少となっております。また、救急車が通報を受けてから現場に到着するまでの時間は、平成19年、20年とも5.8分となっております。
なお、出動件数の減少につきましては3年連続となっておりますけれども、減少の要因といたしましては、インフルエンザの発生が前年より少なかったこともありますが、軽症者の割合も減少しておりますことから、市民の方々の救急車の適正利用についての意識が高まってきたものと考えております。
◆國安政典 委員
救急出動に関する現況につきましては、インフルエンザが思ったより少なかった、また、適正利用も進んでいるのかなと思います。要するに、消防局におけます
救急需要対策が功を奏しているのかというふうに感じるところであります。また、救急車の現場到着の時間も5.8分と、全国平均よりもいい状況であるということで少し安心したところでございます。
一方で、救命率の向上のためには、まず、そばにいる方、すなわちバイスタンダーによります救命処置も重要であると考えるところでございます。
そこで、市民によるAEDを使用した救命処置について次にお伺いしたいと思います。
AEDの使用につきましては、平成16年7月から一般市民による使用が認められたところでありまして、本市におきましても、平成18年4月には、ソフトテニスの試合中に心肺が停止した男性が市民によるAEDの使用によりまして一命をとりとめて、これが北海道で初めての事例として取り上げられ、また、最近では、ことしの1月に地下鉄南北線の車内で突然倒れた男性に市民がAEDを使用した応急処置を実施して社会復帰したという事例がありました。2月末現在で、本市においては7名の奏功事例があったというふうにお伺いしているところであります。
また、先般の総務省消防庁からの全国におけます心肺機能停止傷病者等の状況が1月に発表されたわけであります。その中では、平成19年中におきまして、市民の目の前で心肺機能停止状態になった際に、そばにいた市民からAEDで救命処置を受けた287名のうち、1カ月後に生存されていた方が122名で生存率が42.5%、そのうち102名、35.5%の方についてはほぼ支障なく日常生活を送れるまでに回復した、要するに社会復帰をしたというふうになっておりました。一方で、AEDの処置を受けなかった方の1カ月後の生存率は9.7%、AEDで処置を受けた方は、受けなかった方に対して生存率が約4倍ということでありますので、市民によりますAEDでの救命処置が救命率の向上のためにはいかに重要かということがこの調査において明らかになったところであります。
そこで、質問ですけれども、札幌市におきまして、市民の方からAEDで救命処置を受けた方の1カ月後の生存率及び社会復帰率、受けなかった方の1カ月後の生存率はそれぞれどのようになっているのか、お伺いいたします。
◎前田
警防部長 本市におけます市民の方からAEDで救命処置を受けた方の1カ月後の生存率、さらには社会復帰率、受けなかった場合の1カ月後の生存率についてお答えをいたします。
平成19年中におきまして、市民の目の前で心臓疾患が原因で心肺機能停止状態となった方は219名いらっしゃいました。そのうち、そばにいた市民からAEDで救命処置を受けた方は4名でございました。これらの方々の予後を見ますと、1カ月後の生存率は100%となっております。また、そのうち3名、すなわち75%の方につきましては、日常生活をほぼ支障なく送れるまでに回復し、社会復帰をしております。一方で、AEDの処置を受けなかった方215名の1カ月後の生存率は17.2%となっておりまして、AEDで救命処置を受けた方は、受けなかった方と比較しますと生存率は約6倍となっております。
◆國安政典 委員 実際にAEDで処置を受けた方は4名と数字的にはまだ少ないわけでありますので、この数字をしっかりと積み重ねていかなければならないとは思いますけれども、それにしても1カ月後の生存率が6倍というのは、やはり、早い処置が大事であるというふうに感じるところでございます。早い通報と早い心肺蘇生、除細動、そしてまた早い
医療処置と、倒れて、市民のもとから
医療機関までしっかりバトンが渡されていく救命の連鎖とでも言うのでしょうか、そのことが何より重要であるというふうに感じた次第でございます。特に、市民によりますAEDを活用した救命処置につきましては、以前から我が会派が委員会等で強く訴えてきたとおり、生存率や社会復帰率を高めるためには必要不可欠というふうに考えるところであります。
今のご説明をお聞きしまして、札幌市におけます生存率は全国平均より高いということで、そのことについては評価をさせていただきます。
また、消防局におかれましては、市民に対するAEDを含めた救命講習をしっかりと実施していただいて、市有施設や民間施設などにAEDを設置し、かつ、応急手当て講習を修了している方がいて、いざというときに積極的に協力してもらえる事業所にAEDが設置されている旨のステッカーを表示するさっぽろ救急サポーターという事業を展開しているところであります。
このさっぽろ救急サポーター事業につきましては、平成19年の3定の決算特別委員会で質問させていただいた時点では472施設から協力をいただいているという回答でありました。今回、私がお伺いしましたら、ことしの2月末の時点で793施設へ増加しているというふうに聞いております。特に、市立の小学校や中学校につきましては、地震等の災害時には避難場所になるなど、地域の拠点となるわけでありますから、地域の方々の安心を増すという意味におきましても、全小学校、中学校での早期の参画について私は平成19年のときに強く要望したところでありますが、今はすべて参画しているということで安心しているところでございます。さらに、参画施設は消防局のホームページでも公開されておりまして、自宅、また職場付近の状況についても確認できるようになっておりまして、この取り組みについても評価させていただいているところでございます。
今後とも、市民によるAEDを活用した救命処置が適切に行われるように積極的に推進していただきますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○川口谷正 委員長 以上で、第1項 消防費等の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時23分
再 開 午後2時26分
――――――――――――――
○川口谷正 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項 総務管理費中危機管理対策室関係分及び議案第51号 平成21年度札幌市
一般会計補正予算(第1号)中危機管理対策室関係分について、一括して質疑を行います。
◆長谷川衛 委員 私からは、災害時の対応の中で、特に避難場所の運営について絞って質問をいたします。
本市の地震災害対策については、昨年9月、札幌市防災会議において甚大な被害が想定される第3次地震被害想定が報告され、これをもとに、現在、本市では全庁を挙げて10年ぶりの計画改正に取り組んでいるということは承知しているところであります。さきに起きました阪神・淡路大震災では6,000名を超える犠牲者が発生し、いっときには30万人を超える被災者が避難したと記録されております。指定の有無にかかわらず、18万人が学校に避難したという記録もあります。札幌市の地震被害想定においても、想定による人的な被害も3万人も超え、避難所への避難についても13万人余という想定が具体的な数字で出されているところであります。
私は、防災対策を進めていく上で、防災計画の充実は非常に重要な部分であるのは言うまでもありませんけれども、実践的な運用体制の整備が不可欠というふうに考えます。とりわけ、避難場所は、命からがら難を逃れた人たちの命、体を守る場として重要な役割を持った施設であります。
1995年の兵庫県南部地震東京都調査団による阪神・淡路大震災調査報告書によれば、その調査書の一部を抜粋しますが、3連休明けの早朝ということもあって、避難所として指定された灘区内の小学校では、被災者が玄関のドアやシャッターを壊して校内に入り、職員室の錠を壊して、各室のかぎを持ち出し、教職員が登校したときには保健室にも被災者が避難し、発災1カ月半を経過した時点でも保健室を救護所として利用できない状況が続いていたという大きな混乱があったということも事実であります。被災者は、当然、被災と混乱の中で大きな不安を抱きながら避難生活を余儀なくされることになりまして、避難場所運営というのは人命の救出、救護とあわせて優先して確保すべき重要な課題であるというふうに思うわけであります。
そこで、本市では、被災者の避難先として市内の608施設を収容避難場所に指定し、このうち、小・中学校を中核施設と位置づけて、運営体制を整備してきたと聞いております。
そこで、質問でありますが、中核施設と言われている小・中学校の避難場所運営に当たっては、それを担っていく市の職員と施設を管理する学校の教職員が連携して、それぞれの役割に応じて円滑に開設、運営できる体制が今求められておりますけれども、そのためには研修や訓練を通じて実務を身につけていく必要があると考えます。
これまで避難場所運営にどのように取り組んでこられたのか、まず、質問いたします。
◎野辺地 危機管理対策部長 これまでの避難場所運営の取り組みについてでございますが、避難場所というのは、被災住民の安全の確保とあわせまして、生活を支えていく施設として重要なものであるというふうに考えております。
そこで、地震発生直後から迅速かつ円滑に開設、運営できる体制が必要であると考えております。そのため、避難場所の整備や運営方法の基本を定めました札幌市避難場所整備運用計画を策定しております。また、それにあわせまして、市職員が行う避難場所の開設と運営方法を具体化いたしました避難所運営マニュアル、学校教職員の具体的な行動を定めました学校震災対処マニュアルを作成しております。
そのほかに、夜間や休日など、職員の勤務時間外であっても迅速に災害態勢に入れるよう、震度6弱以上で全職員の災害時参集先を定めまして、自動参集する特別動員を指定しておりまして、避難場所においても参集体制を整備しているところでございます。また、平成16年度から、毎年、学校を対象といたしまして、避難場所での開設、運営を担う市の職員と学校の教職員が参加いたしまして、それぞれの役割と運営方法を体験する避難場所運営実務研修を実施しております。そのほかに、各区で行う防災訓練の中でも避難場所開設訓練を取り入れるなど、実践的な体制づくりに努めております。
◆長谷川衛 委員 今の答弁の中で、一定程度の具体的なマニュアルを作成していて、さまざまな実務研修も具体的に実施しているというお話がありました。
しかし、確かにマニュアル等はあるのでしょうが、先ほど言いましたように、さきの阪神・淡路大震災が特に札幌市のような都会においては非常に参考になるというのですか、変な言い方ですけれども、教訓としては非常にしっかり受けとめなければならない点だと思うんですね。
そこで、再質問になりますけれども、マニュアル等を作成する上で、過去の災害教訓をどのように認識して、避難場所運営にどう生かしているのかということを聞きたいと思います。
さらに、今るる答弁がありましたけれども、計画によれば中核となる小・中学校の避難場所運営は市の職員が中心となり、施設の配置やライフラインなどを詳細に理解している学校教職員との連携協力が非常に重要だとうたっているわけですね。
私の手元に、1997年、さきの阪神・淡路大震災の約2年後にマニュアルができて、各学校にも教育委員会からいっているものがありますが、確かに、中身は非常に詳しく一つ一つ書かれております。特に、一番大事な学校としての役割、生徒の人命救助、または命を守るという観点でさまざまな対策が書かれておりますし、避難場所としての学校の位置づけということも何をしなければならないか、確かに書かれております。また、私もこの間ずっと学校も回ってきているのですけれども、皆さんもご存じのように、生徒の避難訓練は昔から年間に2回以上はやられていますし、最近は、火災ばかりではなくて、地震対策などさまざまな場面設定のもとでかなり真剣にやられているんですよ。
ただ、あくまでも生徒がいるときに、管理下にあるときにどう対応していくかという訓練なんですよ。先ほど来言っている、避難場所としての対応は、校内、また市職員の方々とやっているのかというのは甚だ疑問で、調べさせていただいたんですが、学校現場でも認識はちょっと薄いと。生徒のことは一生懸命やっています、でも、市の方とは十分にはという声が大方だったんです。
そこで、二つ目の質問ですけれども、例えば、各区ごとに毎年1回は関係者が参加した訓練、担当する職員と学校職員との顔と顔の見える関係づくりを進めて、お互いの役割や体制を確認し合う研修や訓練など、これまで以上に運用面を充実強化していくべきと私は考えるのですが、この点についていかがか、以上、2点お願いいたします。
◎野辺地 危機管理対策部長 まず、1点目の避難場所運営に過去の災害教訓をどのように生かしているかということですけれども、阪神・淡路大震災では、明け方の発生ということもありまして、避難場所への市の職員の参集がおくれまして早期の開設ができなかったこと、あるいは、運営ルールがないことにより混乱が続いた避難場所が多かったというふうに聞いてございます。その中で、早期に自主運営組織を立ち上げました避難場所では混乱が少なかったということが教訓として明らかになっております。
これらのことから、夜間・休日などの災害に対応できるよう、避難場所の近くに居住する職員を自動参集職員として指定するとともに、自主運営への移行を定めました避難場所運営マニュアルなどを作成してきたところでございます。
2点目の学校教職員との運用面での充実強化についてでございます。避難場所運営実務研修につきましては、今後も継続的に職員、教職員を対象に実施していこうと思いますが、そのほかに、新たな取り組みとして、各区ごとに学校を抽出いたしまして、特別動員職員の参集訓練を行うとともに、それにあわせまして、当該学校教職員との間で避難場所開設時の役割や運営手順、施設の確認などを行う研修の実施につきまして今後新たに検討していきたいというふうに考えております。
◆長谷川衛 委員 最後に、要望と若干の意見になりますけれども、今の答弁の中で、今までよりは前向きな、さらに一歩突っ込んだ答弁はいただきました。区ごとに研修体制というのですか、実施したいと。
ただ、先日の新聞報道でも、ことし、清田区でモデルとして地域の方々、市の職員、学校の関係者で防災訓練をされたということですが、聞くところによると、持ち回りでやっていたということなのです。今の部長答弁では、区ごとにやりたいと。そんな面では非常に前向きだと思いますが、これは私の意見ですけれども、できれば学校1校を抽出しても余り効果はないかなと思うんですよ。というのは、先ほど言いましたように、学校では、大体、管理責任者は教頭先生になっているんですが、ほかに防災担当者もいるんです。それから、ライフライン等に非常に詳しいのは用務員の方で、そういう方々が、日ごろ、学校内では結構連携をしております。教職員は、子どもの命ということでは全部集める必要はないので、教頭と担当者、それから地域の方、担当の市の職員ぐらいの方々を、それぞれに担当がいるわけですから、区でせいぜい集めても、結構多くはなりますけれども、そんな莫大な数にはならないんですよ。ですから、みんながそこで共通の認識を持つことが私は大事かなと。新年度から急にできないということであれば、先ほど前向きな答弁をいただいておりますから、今後、なるべくそういうような方向に行けるようにひとつ要望しておきたいと思います。
それから、今回、学校を回って感じたのは、各学校は非常に関心を持っています。特に、阪神・淡路大震災以来、いつ札幌でも起きるかわからないと。その中で言われたのは、さっき部長から市の自動参集職員が決まっているというふうに答弁がありましたし、決まっていると思いますけれども、学校では担当者がどなたかわからないと言うんですね。顔を見たことがないと。顔も知らない人たちが、いつ起こるかわからない災害に急に対応できるのでしょうか。だから、いつでも連絡を取り合える、それは個人的にではなくて、やはり、危機管理対策室が中心となってそういう体制を組んでもらいたいと思います。そのことが地域にも結局プラスになっていくのではないかなと。市の職員が動いている、学校とも連携をとっていると。
ただ、今は公務員がさらに削減をされつつあるような動きがあって、私はこれを非常に危惧しています。やはり、公務員は市民のセーフティネットというしっかりした役割を持っているわけですから、これは公務員でなければできないんです。ですから、見せてほしいんですよ。公務員はこれだけやっている、これだけ地域とも連携して、今、研修も積んでいるよというところをぜひ見せていただきたい。そのことを要望して、終わります。
◆近藤和雄 委員 私から、地震ハザードマップ普及啓発事業について質問させていただきます。
21年度予算の中に、地震ハザードマップ啓発事業費として400万円が計上されております。昨年9月18日の防災会議で公表されました第3次地震被害想定は、本市においても最大震度7の地震が発生する可能性が大であるという内容でございました。大変衝撃的でありましたし、私の地元の町内会の会長など、いろんな方から、自分の住んでいるところは地盤も固いから全く心配ない、安心だ、地震には縁がないというような思いがあったから大変驚いたというか、その中で、知った以上はしっかりと備えをしなければいけないという話がございました。私は、地震災害に対する意識啓発が大変大切であると実感したわけであります。市民の皆さんに、危機感、さらには緊張感を持っていただいたことは、いつも言われております安心・安全、住みよい
まちづくりを進めていくためには欠かせないことで、私は緊張感、危機感が必要ではないかと判断している次第でございます。
そういう点から考えますと、地震ハザードマップは、市民の皆さんに、まず自分の住んでいるところがどのぐらいの揺れになっていって、どのような被害が想定されるのかと関心を持ってもらうことが一番大事なことではないかと思います。それが地震に対する備えをしてもらうきっかけになっていく一番のいいことではないかというところを申し上げたく思っております。そういう意味で、この地震ハザードマップにつきましては、私は、大変重要なことであると同時に、マップの作成につきまして高く評価をしているところでございます。
このことから、私は、昨年10月、3定の決算特別委員会で地震ハザードマップの作成にかかわる検討状況について質問いたしました。そのご答弁の中で、自主防災組織や防災に関心のある市民が参加したワークショップを開催するなど、市民の意見を取り入れたマップの作成を順次進めていくというお話がございました。
そこで、質問ですけれども、昨年11月にワークショップを開催したと伺っておりますが、その中で市民の皆さんからどのような意見が出され、それをどのようにマップづくりに反映したのか、お伺いいたします。
また、多くの市民に手にとっていただくわけですが、それは手にとってもらわないといけないということですから、見やすいマップづくりが大変重要でありまして、そのためにどのような工夫をしたのか。大変ご苦労されたと思いますけれども、あわせてお伺いいたします。