• 児童虐待(/)
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  1. 札幌市議会 2004-06-23
    平成16年(常任)文教委員会−06月23日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成16年(常任)文教委員会−06月23日-記録平成16年(常任)文教委員会  札幌市議会文教委員会記録            平成16年6月23日(水曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時 ○恩村一郎 委員長  それでは,ただいまから,文教委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,特にございません。  それでは,議事に入ります。  札幌市教育推進計画素案についてを議題といたします。  理事者より,説明を受けます。 ◎中村 総務部長  きょうは,札幌教育推進計画の素案についてご審議をお願いしたいと思います。  まず,お手元に配付している資料の確認ですけれども,推進計画の素案と薄手の推進計画素案の概要版の2点セットになっております。  それでは,中身に入ります前に,この推進計画の素案については,昨年1月に立ち上げました外部有識者会議である札幌市教育改革推進会議において,8回にわたって協議をしていただきました。ことしの3月26日の答申を踏まえ,札幌市の教育の現状と課題について,各種統計データ等も含めて分析した上で,その課題に対応した具体的な教育改革プログラムを盛り込んだものです。また,推進計画の策定ですけれども,札幌市長がさっぽろ元気ビジョンで示しております街づくりの五つの方向のうちの一つ,ゆたかな心と創造性あふれる人を育む街さっぽろ,その中には,自立した市民に育てる教育の推進とさっぽろを支え発信する人づくりという二つの戦略課題がありますけれども,その考え方を踏まえて検討を行ってきたところです。  それでは,推進計画の具体的な内容について順にご説明を申し上げたいと思います。  1ページから7ページは,札幌市教育推進計画策定の目的ということです。  まず,1ページは,策定の背景です。  1ページの下に図で囲んでお示ししているとおり,変化する社会状況ということで,少子高齢化の進展などの社会構造の変化,学校週5日制の完全実施に見られるような教育改革への取り組みが進んでいること,そして,国際化,情報化の進展に伴う高度化,多様化する教育の現状に対応するために,右の欄にありますとおり,札幌市教育の方向性として,新しい時代を創造する豊かな人間性の育成と,学校のみならず,家庭,地域とも連携した新しい教育を推進していく必要があるということでこの計画を策定するものです。  この計画の位置づけにつきましては,3ページの(1)にあるとおり,主に義務教育期間における小・中学生の教育に関するプログラムを提示するということで,平成25年度までの10年間にわたる計画期間内で取り組む事項をお示しするものです。  教育に関する既存の計画との関係ですけれども,4ページの(4)で札幌市の特別支援教育基本計画との関係ということを一つ取り上げております。この計画が取り上げる障がいのある子供一人一人の生きる力の育成という基本的な考え方を踏襲しておりまして,すべての教育改革プログラムの基礎にはノーマライゼーションの理念に基づく教育環境整備の考え方がございます。  4ページの上にありますとおり,幼児教育に関しましては,今年度,仮称札幌市幼児教育振興計画の策定に着手しております。高等学校教育の改革につきましては,平成15年,2003年2月に市立高等学校教育改革推進計画を策定しているところです。
     位置づけは以上のとおりでして,次に教育改革の動向について,国レベルのお話ですけれども,8ページ以降に記載しております。わかりやすいという意味では,10ページに国の動きを簡単に記載いたしました。  平成9年6月,中央教育審議会から,一人一人の能力,適性に応じた教育の実現を目指すということで答申が出されていること,平成14年4月には,先ほど申し上げましたが,文部科学省で新しい学習指導要領の全面実施,学校週5日制の完全実施ということ,昨年10月には,11ページの上にありますけれども,現状を踏まえて,いわゆる初等・中等教育における生きる力の育成といいますか,確かな学力の育成ということを重視した答申も出されているところです。こうしたことを踏まえて,各自治体の創意工夫による教育行政の展開が求められておりまして,こうした国の教育改革の流れも踏まえて札幌市としての計画を策定するものです。  推進計画の具体的な施策は,まず,札幌市の教育の現状と課題を十分に分析した上で,どういう施策が必要かという組み立てになっておりまして,外部有識者会議の中でも,この面についてはかなり細かい議論をしております。  14ページ以降に,札幌市の教育の現状と課題ということで,3−1として教育を取り巻く環境の変化というのがございます。  (1)社会の変化としては,受験競争とか偏差値教育といったことを是正するためにゆとり教育が提唱されましたが,反面,保護者の方々には学力低下への不安が生じている実態にあること,また,国際化や情報化が急速に進展しているということがありますし,何より地球規模で環境問題が広がってきているといったことが社会の変化として挙げられます。  (2)としては,子供たちの状況の変化です。物質的な豊かさの中で,例えばインターネットなどを利用した情報収集能力とか自己表現,プレゼンテーション能力にはすぐれていますが,その反面,粘り強く頑張るとか忍耐力,集団生活の中での規範意識とか,基本的な生活習慣等の面でちょっと弱くなっていることが挙げられます。  それから,保護者の意識の変化ということで,少子化や核家族化の進展によって,ともすれば過保護といいますか,子供に必要以上に干渉するといった傾向があること,それから,親としての自覚がややもすれば不足していて,いわゆる甘やかしとか放任といった状況も見受けられます。さらに,何より保護者にとっては子育てに対する不安といったことが挙げられます。  15ページの下からは学校教育の現状と課題ということを挙げております。  まず,学校教育の現状です。これは,ご存じのように,児童生徒数の減少によって全体に学校が小規模化していること,その中で,授業の理解度を深めるための少人数指導とか,問題解決能力を身につけるための総合的な学習の時間といったことが広く活用されていること,いじめや不登校といった問題が依然として減る傾向にはなく,ややふえている状況にあるということです。  いじめや不登校の現状は18ページですが,19ページの(4)にありますとおり,少年非行の低年齢化とか凶悪化,あるいは,補導件数なんかも増加傾向にあるといった残念な事態もあります。  20ページは,(5)でお示ししているとおり,小学校低学年などでの学級崩壊という深刻な事態になりつつあるということです。  それから,(6)の健康と体力の低下の面では,確かに身長,体重は向上しておりますが,体力,運動能力の面では逆の現象が見られます。  若干,それに重複しますけれども,これらを踏まえた学校教育の課題としまして,学校規模の縮小化に伴う子供の人間関係の固定化といったことを解消する必要がありますし,少子化によっても,選択教科等のメニューの確保といったことは必要です。そのほか,不登校とか少年非行問題などに対処するための学校,家庭,地域の3者連携,協力,教員の指導力の向上といったことが課題として挙げられます。  家庭,地域の現状と課題が23ページ以降にございます。  ここでは,核家族世帯の割合が高まっていることとか,地域と子供たちのかかわりが薄くなっていること,それから,本来,家庭が担うべきしつけ等について学校あるいは保育所への依存といったことも問題点としてあるのではないかということでございます。これは,外部有識者の教育改革推進会議でも,保護者,教員からもいろいろな声がございました。  その課題としまして,裏腹ですけれども,24ページ以降にあるように,家庭の教育力の低下とか,地域全体で子供の育成を図っていく必要があるということ,それから,先ほどから申し上げておりますけれども,何より学校,家庭,地域のそれぞれの役割の確認とか3者の連携が課題として挙げられます。  今,お話し申し上げた札幌市教育の現状と課題を踏まえて,これらの課題に対応できる具体的な施策を第4章以降で掲げております。  28ページでございます。  推進計画では,全体で58の施策を掲げておりまして,28ページの下に(1)から(4)とありますけれども,一つは子供たちの興味,関心を引き出すことによってよりよい教育を目指す学びの充実という面,(2)としまして,学校,家庭,地域の連携によって豊かな人間性をはぐくむことを目指す心,徳の充実の面,健康な体づくりのために生活習慣の改善と運動の充実を目指す体の充実といった3項目を掲げ,4点目として,以上の三つの取り組みを支える新たなシステムの構築と,より開かれた学校づくりいうことで,新たな教育システムという四つの柱で具体的な施策を展開していくこととするものです。  以下,29ページ以降ですが,四つの柱に沿って内容をご説明申し上げます。  29ページは,学びの充実についてです。  まず,子供たち一人一人に応じた教育を行いながら,基礎的学力はもちろんですけれども,発展的な学習とか学ぶ意欲をあわせてはぐくむ。(1)の個に応じたきめ細かな指導の充実ということですが,かぎ括弧のところで具体的な施策を出しております。まず,子供たちの基礎学力の定着度とか,学習に対する意識,生活習慣に関する調査等を行います学習の実現状況調査等の実施を一つ掲げております。  30ページをごらんいただきますと,少人数授業あるいは習熟度別学習等を初めとする指導体制,指導方法の工夫改善です。この中では,小学校高学年における教科担任制に向けての調査研究を含めた四つの大きな施策を挙げております。  次に,30ページの下で,学ぶ意欲の向上です。これは,子供たちの興味を引き出して,みずから進んで学ぶことができる環境を提供してくということです。  31ページにありますとおり,進路指導の充実とか,あるいは,子供たちの興味,関心に応じた教育の展開です。例えば,中学校における選択教科の増といった4施策を挙げているところでございます。  さらに,32ページの3に移りまして,総合的な学習の時間の充実です。これにつきましては,各教科で身につけた知識を関連づけて活用する総合的な学習ということですけれども,実生活のさまざまな課題に取り組むことができる力をはぐくむ総合的な学習の時間の充実ということで,教科学習との連携などを挙げているところです。  最後に,33ページの(4)として,社会の変化や課題に対応した教育の推進です。ここでは,国際理解教育の推進,環境教育の推進を挙げております。国際理解教育の推進では,ALT,外国語指導助手の増を積極的に図っていきたいということ,それから,環境教育の面でも,現実にはかなり学校教育の中で取り組み自体は進んでおりますけれども,今以上のさらなる充実といいますか,環境問題について学習能力を深めるといったようなことでございます。  35ページ以降は,大きな二つ目の4−2の心の充実ということです。  まず,学校,家庭,地域の連携の中で,下にありますとおり,家庭教育学級の実施ということ,そのほか三つの施策を掲げております。次に,これまでの市民議論では,子供たちに体験学習の機会をより多くというのが市民,教職員の意見として多かったわけです。子供たちに自然体験とか社会体験の機会を提供して表現する力などをはぐくむために,体験的な学習の充実として小学生対象の林間学校事業を初めとする事業の充実などを挙げているところです。  37ページの(3)は,社会とのかかわりとか自然と親しむ機会を通して豊かな人間性とか道徳性の育成を挙げております。  続いて,38ページの(4)人権教育の関係です。これは,子供たち一人一人が人権について自分自身の問題としてとらえて対応していく力をはぐくむものですけれども,男女平等教育や性教育等を行う学校における人権教育の充実,さらには,児童虐待に絡んで早期発見・早期対応ということを掲げているところです。  この項目の最後は,生徒指導の充実です。子供たち一人一人に応じた生徒指導によって,いじめとか不登校,あるいは問題行動の解決を図る上では,心の教育の充実を初めとする問題行動への対応とか,あるいは,40ページにありますように,カウンセリングというのが,児童生徒を問わず,教員についても非常に求められておりますけれども,スクールカウンセラーの全中学校への配置を目指す教育相談の充実を挙げているところです。  なお,このスクールカウンセラーの配置については,小学生の相談にも対応できるような弾力的な運用ということも検討材料にしているところです。  41ページ以降は,体の充実ということです。  まず,(1)健康教育の充実です。子供たちに規則正しい生活習慣を身につけてもらうということ,また,子供たちだけではなくて保護者への啓発もあろうかと思いますけれども,健康な体づくり学習の充実です。42ページには,今,盛んに取り上げられております食指導,食に関する指導の充実ということで,今後はこういった面も教育行政の中で重点を置いていかなければならない課題だと考えているところです。  次に,その下の42ページの(2)学校体育と運動部活動の充実と支援です。現状において,学校の小規模化の中で,単独校ではなかなか部活動が難しい場合に,複数校で連携して行える運動部活動の充実も視野に置いておく必要があると考えております。  43ページの最後は,スポーツをする機会,スポーツを楽しむ機会の提供ということで,引き続き,学校のグラウンドとか体育館の開放ということで,今やっていることをさらに拡大して,よりスポーツ等に親しめる機会の提供を図っていくということでございます。  4−4,44ページ以降は,今まで申し上げました三つの側面を踏まえた新たな教育システムということで,多少,分量は多くなります。  まず,(1)の開かれた学校,開かれた教育委員会の推進です。これは,いわゆる教育情報の発信と教育委員会の広聴機能の充実を挙げております。ホームページの活用とか,現に今やってきておりますけれども,フォーラムの開催といったことによって教育にかかわる情報を積極的に提示していくこと,それから,多く寄せられております市民,保護者の方々の声の活用といったことで,それをもとに教育行政を進めていく広報広聴機能の充実として,教育情報の発信といったことを挙げているところです。  45ページの2にありますとおり,開かれた学校といったことでは,家庭や地域の声を学校の評価とか学校運営に反省させる制度,外部評価を含めた学校の評価システムの確立ということと,その下は,学校評議員制度の一層の充実を挙げております。  さらに,3として,安心して教育活動を行えるようにするための方策として,例えば現状では安全対策マニュアルがありますけれども,それをさらに実効あるものにするといったことで安全な学校づくりを進めていくことも考えているところです。  次に,46ページの4は,市民活動の場として,例えば夏休み,冬休み中の学校を活用していただき,それによって,より地域と学校との関係を深めていただくということです。あわせて,施設を開放して学校を使ってもらう際には,家庭と地域が連携した安全確保といったことが出てきますので,その辺の対策が必要であると記述しています。  大きな(2)の教育環境の整備,46ページの下の部分です。  まず,1にありますとおり,学校支援制度の拡充です。47ページに具体的な方策を五つほど挙げておりますけれども,学校教育ボランティアなどの外部人材の活用の推進ということと,一番下にありますとおり,学校長の裁量権の拡大などによる学校運営の特色等に合わせた予算の執行など,そういったものを五つ挙げております。  次に,48ページは,教職員の資質の向上です。これもかなり多く議論があったところで,教員の採用あるいは研修等の充実や見直し,人事管理システムの適切な運用によって子供たちとじかに接している教職員の資質の一層の向上を図るということで掲げております。施策の何点かとしては,すぐれた教職員の表彰制度の確立ということとか,その下の教職員の勤務成績を適正に評価する制度の確立に向けた取り組みです。また,49ページの下の方にあるのは新たな施策ですけれども,管理職から,申し出があった場合についての希望降任制度を早期に確立したいということなど,以上,8施策を挙げております。  49ページから50ページにかけては,子供たちには一定規模の集団の中で学ぶ環境づくりが必要で,そのための必要な施設整備を進める学校規模の適正化と施設整備の推進ということで,通学区域の見直しを含む学校規模の適正化の推進,施設の複合化も視野に置いた学校施設の計画的な整備を挙げております。  最後に,大きな(3)として新しい教育制度の検討ということがございます。これによって魅力ある教育活動を展開するという中では,51ページに,校種を越えた学校間の連携とありますが,小・中が連携した教育の実践研究です。52ページには三つほどありますけれども,学期制,学校選択制度,少人数学級などを初めとする学級編制の見直しにかかわる調査研究といった5点を挙げているところでございます。  以上が施策です。  53ページ以降は,先ほど私は第3章で札幌市の教育の現状と課題にかかわる点をかいつまんで申し上げましたけれども,児童生徒数の推移とかいじめの発生件数とか不登校の関係を参考資料として掲載させていただいております。  それから,素案につきましては,今後,各区役所等で概要版を配付する予定です。  今後のスケジュールを申し上げますと,きょう,文教委員会でご審議いただいた後,6月25日から各区役所等で概要版をお配りして,より広く市民の方々の意見をお聞きしたいと思っております。8月2日までの30日余りですが,パブリックコメント,市民意見の募集ということで,Eメール,ファクス,郵送,手段はいろいろな方法があると思いますけれども,多くの意見を寄せていただきたいと思っております。  素案の全文については,もちろん教育委員会庁舎でお配りしておりますし,教育委員会のホームページでも公開しております。  このほか,今申し上げたパブリックコメントとあわせて,素案の周知といいますか,保護者の方,教職員の方と広く意見交換を行いたいということで,教育委員会としてのタウントークを予定しております。7月に3回ほど予定しておりまして,2日に教育委員会庁舎で,7月14日は統合してできました資生館小学校,その1週間後の7月21日は同じ中央区の向陵中学校と,交通の利便性などを考慮しましてそれぞれタウントークを行いたいと考えております。それらを踏まえ,8月末をめどに推進計画を策定したいと考えております。  第4章以降で掲げております施策の具体的な進め方ですが,今回は今後取り組んでいく事柄をお示ししておりますけれども,今後それにどう取り組んでいくか,また,どういうスケジュールで取り組んでいくかということが非常に重要なポイントになろうかと思います。推進計画策定後に,私どものセクションで,どういうふうに進めていくか,策定スケジュールを含めた実行計画を立てることにしております。  なお,今申し上げたスクールカウンセラーの増員とかALTの増員,あるいは学校施設の整備となりますと予算を伴うものがありますので,それは,財政,企画との話になりますが,私どもの方で予算を確保していく中でできるだけ施策として盛り込んでいきたい,その場合,当然,事業の優先度,緊急度を十分踏まえた上でアクションプログラムをつくっていきたいと思っております。  それをどういうふうに担保するかということですけれども,これは進捗管理が非常に大切だと思います。教育委員会の中には,教育長を初めとするマネジメント会議がありますので,その中で定期的に進捗状況のチェックをやります。ただ,内部のチェックだけというわけにはいきませんので,実際に,先ほど教育情報の発信ということを申し上げましたが,施策あるいはアクションプログラムの進捗情報については広く市民の方への公表という手段も取り入れて,その実行性を担保していきたいと考えております。 ○恩村一郎 委員長  それでは,質疑を行います。 ◆山田一仁 委員  今,部長から,推進計画について段々の説明を聞きまして,最後に,このアクションプログラムをこれからどうやっていくか,それが問題だと思います。まだ素案ですから,最終的に決定した段階でアクションプログラムになるのでしょうけれども,素案には,少なくとも10年間で実行していくと書いてあります。10年間でこれを実行できれば,こんなにすばらしいことはない,中身は本当にすばらしいと思います。  ただ,これだけのものを,本当に果たして10年でできるのか,中には大変厳しいなと思うものもありますし,また,即できるものも,いろいろあるのではないかと思います。しかし,やっていかなければ独自のものは出てきません。ですから,何とか頑張っていただきたいのですが,今言うように予算もあるでしょうし,他にもいろいろあるだろうから,一遍にこれだけのものはもちろんできるわけではありません。そこで,優先順位を決めなければなりませんが,その順位の決め方があろうと思います。  市民議論,あるいは,これからタウントークをやったりして,最終的に8月ぐらいに素案が正式決定し,それからアクションプログラムというと,少なくともその段階で,今年度はこの程度のものはできます,目標にしていきますということが秋ぐらいには出てきていいのではないかなと私は思います。それが全くないままにいってしまうと,平成16年度から実際やろうとしているのに,秋になってしまうと平成16年は終わりごろになってきますから,その辺はこれからどういうふうに考えているのか。少なくとも,10年かかるものもあるでしょう。例えば毎日の指導,こういうものは推進していかなければならない,体とか食べ物などは,検討しながら,毎年やっていかなければならないものです。あるいは,外部指導の問題でも,外国の先生もそうですが,そういう問題は早くやってもらいたいけれども,予算の問題もあります。  もう一つは,この中にいろいろそういう言葉があります。全体を見ると,やっていないものもありますけれども,大体は現実に実行されています。それでは,もし学校単位で言うならば,100%全部の学校でこれでができるかというと確かに不可能ですが,目標として,例えば何%がいいとは私自身も言えないけれども,今はわずかなものをもっとふやして50%ぐらいまで,そういう外部指導の先生方,外国の先生方を全校一遍に10年間でできるかといったらなかなかどうかということもあります。そういう目標というのは,極端に言うと10年間で一つや二つふやしたとところで少し実行できたというのは合点がいかない気もします。やはり,ある程度の目標があると思うのです。そういう大まかな目標がないのか。具体的なものをきょう示せと言っても難しいけれども,小さいものなら1校,2校,あるいは10校とか,実態としては少しずつやっていると思うのです。ですから,それをどの程度まで持っていこうという数字的なものがあるのかないのか。もしその考えがあればということで,まず2点,お伺いしたいと思います。 ◎中村 総務部長  確かに,平成16年度からの計画ですので,取り組めるものは今年度から早急に取り組む姿勢です。  今,お話しにあった中では,例えばスクールカウンセラーですが,約半数の中学校でやっています。これは,今後できるだけ早期の全校配置を考えておりまして,今年度予算にも盛り込んでおります。新まちづくり計画の中でもできるだけ早期に全校配置に向けた予算要求をしているところですが,この10年と言わず,前5年の中でできるだけ全校配置を考えていきたいと思います。  それで,早い時期に,今年度から実施できるものといいますと,今申し上げたスクールカウンセラーの増員は平成16年度の中でやっていきます。また,先ほど管理職の希望降任制度と申し上げましたが,校長,教頭の希望があった場合について,1ランクあるいは2ランク下へということがありましたけれども,これは早期に,遅くてもことしの2学期ぐらいから実施できるような体制で今準備を進めているところです。  それから,外国語指導助手は,現在の学校教育の中での需要を考えますと,できるだけふやしたいという意向はありますが,全国的な枠の中でなかなか我々の意思がかなえられないところもあります。それについては,全国枠の問題もありますけれども,札幌市としての事業の重要性ということでできるだけ数をふやしていきたいと思います。  また,委員からお話がありました外部人材の活用の推進も非常に大きな議論がありました。どんどん活用していくべきだということで,地域にはいろいろな人材がいますので,学生ボランティア事業を初めとする外部人材の活用についても,平成16年度からでもすぐに取りかかるということです。  それと,学習の実現状況調査という学習の到達度調査ですけれども,これらについても,年度の後半とか10年間の後ろではなく,今年度も一部予算化しており,来年度はどこまで拡充できるかといった段階でございます。  委員から,目標があると思うということでありましたけれども,平成16年度は何をやり,17年度は何をやると具体的に順序立てて事細かにはまだ決めておりません。例えば研修制度の充実などは,お金をかけなくてもすぐに取り組める事項ですので,年次計画というより,できるものからどんどんやっていく姿勢でございます。 ◆山田一仁 委員  もちろん一気にできるものではないですから,そういう面ではわかります。  大体,今回の推進計画素案の中身を読ませてもらいまして,どれが優先かと自分なりに考えると,一番多い言葉が「充実します」「推進します」「検討します」「努めます」なのです。この中で一番早くやるのが充実かなと思いますが,そういう言葉が非常に多く出ています。すぐできるとは書いていませんが,もちろんわかるのです,10年の中でそれを一遍にやれるわけはない。しかし,その順序というのはこれから早急につくっていかなければ,58項目全部を10年でやるというのは大変なことだと思います。中にはできないものもあるかもしれないが,その辺は,秋の段階で,もう少しはっきりした計画を文教委員会に出してもらえると思います。  そこで,その読み方として,「充実します」ということを優先していくのか,お聞きしたいのです。  それから,今言われる推進していくものは,今後,アクションプログラムが出たときに,例えばこの現状は10%だけれども,今度は50%にしますというふうに,個別に目標をつくってやってもらえるものですか。  2点についてお伺いします。 ◎中村 総務部長  2点目は,数値目標ということだろうと思います。  これは,今の市政の取り組み方として,教育行政に限らず,従来の推進とかやりますということだけではなく,数値を示せるものは目標値を示してやるという姿勢です。私どもも,今後アクションプログラムをつくる段階では,数値化できるものはできるだけ数値化して,それを検証していく。もちろん,チェック体制の中で,それがどの程度まで進んでいるのか,あるいはおくれているのか,その辺がポイントになると思いますので,数値化は考えております。  それから,充実と推進ということですけれども,充実というのが優先かどうかということは事柄によると思います。少なくとも,調査研究と言っているもの以外については,予算の関係もありますけれども,早期に手をつけていくという趣旨でございます。 ◆桑原透 委員  今,説明をいただきまして,8月末までにまとめていくというお話がありました。それまでには,タウントークパブリックコメントを通じながらまとめていくのではないかと思います。  この計画について,説明を聞いていて,札幌市独自のもの,特色あるものがちょっと見えないのかなと思います。やはり,国からの提案に沿った内容としか思えないのです。そこで,札幌市独自のもの,どういう特色を出そうとしているのか,それについてまず一つお伺いいたします。  それから,恐らく38ページに書かれていることが子どもの権利条例のことだと思うのですが,このことについては,市長も条例制定に積極的な姿勢を示しているという部分がありますので,子どもの権利条例という言葉をきちんと計画に盛り込んだ方がいいのかなと思います。38ページに書いてあるものが,この中身だと言えばそうかもしれませんけれども,ぜひこの言葉を盛り込んでいただきたい。  まず,2点についてお話を聞かせてください。 ◎中村 総務部長  1点目について,私からお答えをいたします。  確かに,外部有識者会議,あるいは,これまでパブリックコメントをやってきている中では,札幌市独自のものを打ち出す必要性ということはございました。  札幌市の教育の特色という場合に,3月26日に出された教育推進会議の答申の中でも記載しているとおり,不登校の問題もいじめの問題もあろうかと思いますが,他の大都市の現状と共通するところが多くて,抱える課題もそれほど大きな変化はないであろうということです。このため,具体的な施策の実施に当たっては,全国的な現状と課題を札幌市の現状と課題としてまずしっかりとらえて押さえておく必要があるという答申の指摘がございました。  私どももいろいろ苦慮したところですけれども,推進計画においても,札幌市におけるアンケート調査などの統計データをもとにしまして,先ほど申し上げた本市の教育の現状と課題を分析しておりまして,それらをピックアップした上で具体的に何ができるかについて先ほどお話したわけです。こうしたプログラムを着実に実行していくことによって,どっちが先かという問題はあるかと思いますが,札幌らしい教育が実現されると,期待値も込めてですけれども,私どもは考えているところです。 ◎北原 指導担当部長  2点目の子どもの権利条例について,お答えいたします。  子どもの権利条例につきましては,今,委員からご指摘がございましたように,38ページの人権教育のところで考えております。今回の推進計画において,子供の権利も念頭に置いて幅広く人権にかかわる教育を推進するとしているところで,子どもの権利条例も念頭に置いていたところでございます。  子どもの権利条例に関しましては,現在,子ども未来局が主管となりまして,その制定に向けて検討を進めているところでございます。その言葉を,この後,推進計画を検討していく中で入れるかどうかにつきましては,委員のご意見を踏まえながら,子ども未来局とも協議をして検討してまいりたいと思っております。 ◆桑原透 委員  1点目は,全国的にはそんなに変わらないのかなと思います。しかしながら,やっているうちに札幌独自のものが出てくるのかなと思いますし,そのときはプログラムに入れていくということですから,ぜひやっていただければと思います。  子どもの権利条例については,子ども未来局の方でなればということでした。とにかくこのことは大きな目標でもございますので,私たちも頑張っていきたいなと思っております。  そこで,再質問します。  まだ決まってない内容もかなりあると思いますが,この計画について質問する機会も余りないものですから,何点かお話を聞きたいと思います。  まず,32ページの読書活動の充実についてであります。  ここに,本当に札幌独自なのかどうかわかりませんが,10分間の読書を始業前に行うと載せてあります。これは,私も初めて耳にしました。この趣旨はどういうものか,どういう経過でこうなったのか,どういう意味があるのか,このあたりについてお伺いします。  それから,43ページの運動部活動の充実と支援です。  3月26日の答申にも書かれています。外部指導者の導入が足りない,先生方も大変だということです。これは,学校の先生はやらなくてもいいとなっていると聞いていますし,先ほどお話を聞いたととおり,複数校でやっている部活もあります。また,いろいろな委員会で何度も質問が出ている問題だと思うのです。  そこで,このことについてはそろそろ本当に整理すべきはでないかと考えております。例えば,教育課程に入れて,完全に縛るのではなく,ちゃんと整理をして指導をするのが一番いいのではないのかなと思います。  2点目はそのことについてお伺いします。  もう一つは,47ページに,学校運営の特色等に合わせた予算の執行と書かれておりまして,次のページに,学校運営の特色と実績に応じて予算執行するとあります。これは,競争させるという意味なのかどうか,文章だけではよく分かりません。おかしなことが出ないようにやっていただくとは思うのですが,このことによって競争とか何かが起きていくのではないのか,そして,まさかとは思うのですが,必要経費まで削るようなことが出てくるのではないのかと,今は素案ですが,そういうことで心配をしておりますので,3点についてお伺いをいたします。 ◎北原 指導担当部長  私から,10分間読書と運動部活動についてお答えいたします。  まず,始業前の10分間読書についてでございますけれども,朝の読書活動は,毎朝,始業前の一定時間,全校一斉に児童生徒全員で子供たち一人一人がそれぞれ選んだ読みたい本を読むという活動です。これは,札幌市独自ではなくて,全国的な取り組みとなっており,現在,全国の約8,000校で実施されています。
     読書活動への関心,意欲,態度を高めるだけでなくて,この朝の読書で気持ちが落ちついて,その後の学習への集中力が高まるという非常に効果的な取り組みと評価されております。児童生徒の読書離れが指摘されている中で,学校教育においても,子供たちに読書の習慣を身につけさせるために,朝の10分間読書だけでなく,さまざまな教育活動に取り組んでまいりたい,そのように考えているところでございます。  続きまして,運動部活動についてでございます。  教育委員会といたしましても,中学校の運動部活動につきましては,子供たちが望む部活動が設置できない状況がある点とか,あるいは,指導者が不足しているなど,種々の課題があることについては十分認識しているつもりです。  指導者不足につきましては,外部指導者制度の導入による指導者の拡充等に努めているところでございます。また,複数校による大会参加のあり方などを含めまして,さまざまな取り組みについて中体連等とも協議を進めているところです。  また,運動部活動につきましては,学校教育活動の一環ではありますけれども,国の基準であります学習指導要領に示されている教育課程には位置づいておりません。したがいまして,本市独自の判断において教育課程の中に位置づけることは非常に難しいとご理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても,運動部活動の改善につきまして,委員がご指摘の点を踏まえながら,この後,さらに検討を進めてまいりたいと考えております。 ◎中村 総務部長  47ページの予算執行の関係です。  いわんとしているところは,現状の学校予算の配当というのは,当初予算,追加配当を含めまして,学校割り,学級割り,児童生徒割りという感じで,それについても消耗品代,用紙代とか,かなり細かく決めているところがあります。これは,ある意味では公平性みたいなものもあるのです。  実は,去年,校長会で意見交換をしているときも,一般教員からもそうですけれども,もうちょっと学校サイドで自由に自分たちでやりたいことがある場合に使えるお金というか,裁量権の拡大をぜひ検討してほしいということがありました。それは,当該学校で,環境教育に取り組むとか,あるいは体験学習とかいろいろあると思います。自由に使えるからといって何にでも使っていいというのではなく,やろうとしていることの計画書を出していただいて,その認知度が高いというか,学校の取り組みとして客観的に是認されるものであれば,そういうところにもう少し予算づけというのを考えていこうということです。  桑原委員から,競争というか,必要経費まで削るのではないかということですけれども,そういう趣旨ではありません。いい意味での競争はあっていいと思いますが,予算が厳しいから削りたいためにそういうことをやるということではありません。現に,横浜市では,特色ある学校づくりとして,ことしであれば学校に300万円とか400万円とつけております。一律配当で,県に事業計画を出して,それを審査するといったような形で予算づけをしている例もあります。まねをするという意味ではないですが,実際に学校の声を反映する場合には検討材料であるということです。 ◆桑原透 委員  部活動の関係については,先生方も高齢化されておりますし,これからもいろいろな場面で出てくると思うのです。札幌市でできないのも重々わかりますけれども,やはり大きな面でとらえていかないと,またいろいろなことが起きてくるのかなと思うものですから,あえて言わせていただきました。  もう一つは,市長は,市政方針の目標に,市民の力みなぎる,文化と誇りあふれる街,これを掲げております。やはり,子供たちも街づくりに関心を持って参加していくことが大切だと思いますし,札幌が自分自身の街として,これからも住んでみたいと思うことも計画の中に盛り込んでいくべきなのかなと思います。  推進計画にはそういうものもいろいろ入っているとは思いますが,このことは私も重点施策の一つと思っておりますし,子供たちにも知っていただきたいことだと思いますので,この部分についてどのようにお考えになっているのか,1点だけお伺いいたします。 ◎中村 総務部長  今,委員からございました市長の公約である芸術・文化の振興ということです。  これは,既に発表されました新まちづくり計画のビジョン編において,今,作業を進めております具体的な重点事業の中で具体的な実行計画が示されると思います。この教育推進計画というのは,小・中学生の教育に関する改革プログラムですので,芸術・文化についてあわせて盛り込むことまでは今は考えておりません。あくまでも新まちづくり計画の中でどういようなフレームが出されるのかと。  ただ,今,お話がありました学校教育で行われる芸術・文化に対する指導については,もちろん学習指導要領にのっとって着実にやっていくことは当然ですけれども,子供たちがすぐれた芸術や文化に直接触れるためにどういう手法があるか,それは,今後,十分検討していく必要があると思います。  なお,ちょっとかいま見えるということが委員からございましたけれども,例えば33ページです。ちょっと視点は違うかもわかりませんけれども,国際理解力の推進ということで,自国の歴史や文化,伝統を尊重しというようなことがあります。多様な文化とか習慣に触れ合うことによって,他国に対する言語の理解とか文化と直接触れ合う機会を設ける教育を推進するとしております。これは,アクションプログラムの中でさらにブレークダウンしていくと思いますが,そういう面は学校教育の中でも進めているところです。 ◆桑原透 委員  最後にしますけれども,58項目のアクションプランをこの10年で考えていくことになります。今,子供たちが抱えている問題は本当に多種多様だと思いますので,子供一人一人の個性が伸びるような教育ができるように,この計画が本当に進むようにしていただければということをお願いして,質問を終わらせていただきます。 ◆涌井国夫 委員  近年,全国では大変痛ましい小学生,中学生の犯罪が頻発しており,教育関係者の方たちにも大変な驚きと,本当に日本の教育は大丈夫だろうか,このまま進んでいいのだろうかといった不安感があります。あるいはまた,生徒を持つ親御さんからも,本当に学校現場は安全なところなのかということもあります。室内で焼身自殺があったり,これは亡くなるという最悪の状況は免れましたが,あるいは,ナイフを使うといった考えられないような事件が頻発している状況でございます。  そんな中で,学校教育とはどうあるべきなのかという意味で,今回つくろうとしている教育推進計画の基本方針というのは極めて重要な重さを持って札幌市の教育関係者の方たちが実践していくわけです。  同時に,一方では,小学生,中学生の子供をお持ちのそれぞれの家庭を考えますと,やはり,子供たちに対する教育はしっかり取り組まなければなりません。お父さん,お母さんも仕事をしながらお金をためて,少子化ですから1人,2人のために大変な財をなげうって我が子の教育にお金をかけるわけです。幾らかけてもいいから,とにかく立派に成長してもらいたい,人格的に立派になってもらいたいという親の気持ちが痛いほどわかるわけです。  一方,将来,私は,教育に対する事業にはお金を十分にかけるべきだと思っております。  そうした中にあって,今回の札幌市教育推進計画素案では,全体で58本のいろいろな事業があります。そこで,総事業費は一体どのぐらいになるのか。札幌市の財政状況は何遍も聞いておりまして,平成17年度から20年度は毎年200億円から500億円程度の収支不足になるのだ,新しい事業はほとんどできないぞというような逼迫した財政状況ということもあって,新しい事業は期待どおりの効果が上がるのかどうかをしっかり吟味した上で取り組まなくてはなりません。  そういう意味で,先ほども優先順位について話しておりましたけれども,私は,特に新まちづくり計画との絡みでは,単に推進計画に取り組みますという1項目がその中に書いてあるからこれでいいのだというのではなくて,もっともっと真剣に,学校現場で,本当に今,どの事業が必要なのかということを,現場の声を聞きながら,あるいはPTAの皆さんたちの声も聞きながら,論議を深めて取り組んでいただきたい。はっきり言って3カ年の財源がないわけですから,やるからには石橋をたたいて渡るではないですけれども,しっかりとしたものでなければいけないと思います。  そこで,この計画全体の事業費はどのくらいの額になるのか,あるいはまた,新しい事業の財源の確保についてどのように考えて取り組もうとされるのか,まずお伺いしたいと思います。  また,先行して3カ年でやるべき事業が局ごとに多々ありますので,庁内で調整しながらうまくやっていくという考えなのか。私は,もっと現場の声を聞いて合意形成をしながら取り組むべきだと思うのです。そして,3カ年の中でやるべきことを明確にしてやっていった方が絶対にいいと思っているのですけれども,その辺についてどのように考えているのか,伺いたいと思います。 ◎中村 総務部長  推進計画の中に盛られている全体事業費については,先ほど申し上げたように,お金をかけずにやる事業は数多くあるわけですけれども,試算をしておりません。  ただ,新まちづくり計画については私どもはまだ企画調整局と詰めている最中ですけれども,早期にやるものとして,学校施設の整備はもちろんですが,例えば不登校対策の推進とか,学力向上のための事業,また,特別支援教育の関係は別の計画でありますが,それらにかかわる経費を要求していまして,推進計画の中に盛られている58事業のうちで3年間でやるべきものはある程度落とし込んで要求している段階です。  参考までに,私どもは,新まちづくり計画の中では,重点事業だけですが,総体で200億円近い事業費を要求しているところです。それが全体の中でどういうふうに整理されるのか,今はちょっとわからない段階です。  それから,新しい事業の財源確保ということがございました。これは,さっぽろ元気ビジョンの中で位置づけられることになりますと,従来の予算のシーリングの対象外になりますので,そういう項目に当てはまるものについてはできるだけそちらの方の市全体の予算の中で新しい事業づけをしていただくような方向で何とか努力したいと思います。それ以外についてどうするかについては,380億円ある現状の教育費の中でやりくりしていくことになります。  それから,委員から現場の声を聞きながらということがありました。もちろん実際に予算組みをするに当たっては,各学校からの要求は十分精査しているつもりです。ただ,おのずから事業の優先順位,緊急度というのがあって,そこはしっかり選別しなければならないと思います。  なお,先ほどタウントークということがございましたけれども,これは,市民だけでなく,学校長も含めた教職員の声もよりよく聞き,意見交換をしながらということです。当然,それは今後の事業の予算づけにも直接,間接的に関係してくると思いますので,そういったいろいろな声の聞き方,要求を受けとめる方法はあろうかと思います。 ◆涌井国夫 委員  厳しい財政状況の中で,限られた予算の中で,やはり,一定程度は優先順位を絞って,適宜,取り組んでいくというようなことなのでしょう。  現状からいけば限られた財源しかないわけですから,今,取り組んでいる事業の中で,一定の役割を終え,評価がある程度出されたものとか,思っていた以上に成果が上がらないとか,あるいは,錯綜している事業で,特に合わせて取り組むことによってもっと効果が期待できるのではないか,そのために縮小させるような取り組みとか,来年度の予算に向けて,推進計画の中でやるために今までやってきた事業のスクラップの見きわめというのは,時期も含めて,どんなふうに考えているのか。  確かに,平成15年度には,教育委員会でも事業評価をリストアップされていると思います。それを見ながら,これは来年度はしないとか,そういうことはすみ分けがされているのか,教えていただきたいと思います。  また,ちょっと繰り返すようですけれども,推進計画の素案を読んでいて,子供から見た教育,学校現場,学校教育,子供の目線から見た施策というものが出ているのかなと思います。これからの時代というのは,生徒の方から先生の評価とか学校運営の評価もいろいろな意見があると思うのです。かたい言葉ですけれども,子供たちから見た学校運営といいますか,学校の声など,教育委員会の方では,推進計画なりどこかの場面でそういう声を拾ったことがあるのか,あわせてお聞きしたいと思います。 ◎中村 総務部長  1点目の事業のスクラップということがございました。当然,財政状況が厳しいことについては,教育委員会だけでなくて,全庁的に厳しい枠がはまってくるのだろうと思います。  教育委員会では,今後,事業を進めていく上で,先ほど委員がおっしゃった新しい事業の中で,当然,財源を必要とする場合もあります。今,事業の総点検ということで,全事業についてチェックをかけていまして,中には,団体補助金を初めとして,今までではある意味ではなかなか手がつかなかったところも含めて,いわゆる聖域なき見直しということでかけているところです。実際,7月中には,総点検をかけた上で事業の取捨選択ということをやろうと思っています。お話しにありました長年経過することによって事業事態の必要性が乏しくなったもの,あるいは,事業の施策の統合によって三つを一つにできることはもちろん事業によってありますので,教育委員会全体の事業の点検は7月中をめどにかけているところです。 ◎佐々木 学校教育部長  2点目にご質問のありました今回の推進計画にかかわって,子供の目線から意見を聞いているかということでございます。  直接的に子供たちから聞くということはいたしませんでした。タウントークパブリックコメントの中で,教師からたくさんの意見をいただいております。  現在,開かれた学校ということでさまざまな事業をやっております。学校評議員もそうですが,学校評価システムということをやっていまして,従来は,学校内で教員だけで学校の評価をして新しい計画を立てておりましたが,今はそうではなくて,保護者にアンケートをとったり,子供に,直接,自分の学校のことについていろいろ意見を聞いて,そして,それを新しい学校の計画に反映していくようなことをやっております。ですから,教師も,当然,後ろに子供がいることを十分に意識しておりまして,実際にパブリックコメントタウントークの中で,直接,子供ということが出てきた場合もございますので,そういう場で意見を聞いているとご理解をいただきたいと思います。 ◆涌井国夫 委員  最後に,地域に開かれた学校づくりということについて,何点か質問をします。  私が地域,町内会で総会に参加していたときに,大変感動して,驚きを持って宮の丘中学校の勝谷校長の話を聞いたことがあります。「宮の丘中学校の教育活動について」という冊子を町内会総会に配りまして,そして,今,宮の丘中学校が抱えている課題とかテーマ,あるいはまた,いじめ,不登校の取り組みについてということで,1年間どうやって取り組むのか,そのためにも,地域の協力をいただきたいというようなことを,スクールカウンセラーの先生も来ておりましたけれども,それに向かって全力を挙げて今取り組んでおりますということで,肌にびんびん感じるようにお話をされておりました。また,総合的な学習の時間においては,いろいろな事業者の方あるいはお年寄りの方に対して協力を要請して,子供たちが訪問をしてさまざまな課題やテーマについてお話を伺います,その際にはぜひとも皆さん方の協力をいただきたいのですと丁寧にお話をしたり,PTA活動の状況をお話をしたり,本当に,冊子を持って一生懸命お話をされた校長というのは私は今まで初めて見ました。大変感動して,大変に優秀だなとも思いました。  これからの学校教育,開かれた学校教育のキーワードは何かといったら,やはり校長です。校長がどういった姿勢で学校運営に向けて取り組もうとされているのか,パッションといいますか,情熱といいますか,こういうようなことで明らかにわかります。先ほどの段々話がありましたけれども,校長の資質といいますか,学校運営における権限強化について,具体的な取り組みとして,今後どのように考えて進めようとされているのか,お伺いします。  同時に,これにも若干触れていましたけれども,これからますます学校の個性化といいますか,特徴ある学校運営をしていくためにも,独自の考え方で,理念や特性を持ちながら,地域状況の違いもあると思いますから,そのためにもきちんとした財源を毎年毎年の中で担保した上で取り組まないと,従前どおりの状況ではなかなか厳しいものがあります。そのためには,大きいところを削らなければだめだということから,この件についてもどんなふうに考えているのか。ここ3年間で何とか具体的に道筋をつけたいということで,そのぐらいの深い決意をされているのかどうか。うたい文句だけ発信していますけれども,具体的な財源問題は大事ですので,どのように考えているのか,お伺いしたいと思います。  もう一つは,地域の学校協力員体制といいますか,制度といったようなことです。  やはり,地域の皆さんのさまざまな力ある人材をストックするということで,もっともっと地域に入っていかないと,受け身だけで,だれかいませんかと言ってもだめなのです。地域の中に入っていって,そして,見つけていかなければだめだと思います。地域の人材は大事だ,見つけろと上の方から言っても,現場ではなかなか時間的な余裕がないということもあるかもしれません。そのような具体的な取り組みについて,何か考えているのかどうか。また,論議の中で何かあったのか,その辺について伺いたいと思います。 ◎佐々木 学校教育部長  1点目の管理職,校長の権限強化ということについて,私からお答え申し上げます。  今,委員から,宮の丘中学校の具体例でお話しされました。これからの学校は,申すまでもありませんけれども,自分たちの学校をどうしていくかということは,地域の方々の力をかりてやっていかなければならないのだろうなと思っています。  かつて,ある学者は,自分たちだけの力で,閉じられた中でやってこられた時代もあったかもしれないけれども,本当は,地域に支えられて初めて学校が建っていたのだと言っています。それは,今も昔も変わらないだろうと思いまして,これからは,教育目標をつくるにしてもそうですし,学校運営にしても,保護者はもちろんですけれども,地域の力をかりて,一緒になって,一体となって取り組むことが何よりも必要なのだろうなと思っているところでございます。そういう意味で,管理職のリーダーシップは大変大きなものがあろうと思います。  また,権限強化ということでございますけれども,今後,それなりに具体的に校長会と話し合ってやっていかなければなりませんが,いわゆる管理職の権限強化ということと,要するに,教員が本当に管理職と一体となってと,教員も含めての学校として一つの力を地域にどうやって訴え,地域から力の源をもらうかということを考えれば,管理職だけの権限強化をするのではなくて,教員も一体となったものが必要になってくるのではないかと思っているところでございます。 ◎中村 総務部長  特色ある学校づくりの関連で財源の確保ということだろうと思います。  先ほど申し上げたことと重なるかもしれませんけれども,実は教育委員会では,今後,確かに市全体で毎年二百数十億円の財源不足が見込まれる中では決して楽観的な数字ではないのですが,財政当局と詰めた上で,財政計画に近いものになろうかと思いますけれども,平成16年度から20年度まで見通した事業計画を立てようとしております。その中では,確かに先ほど委員からお話がありました経常的事業で見直すべきものがある一方で,新規に特色ある学校づくり,特に今,高校などでは大きく取り組んでいる部分がありますが,そこの必要な財源というのはしっかり見た上で,5年間のスパンの事業計画を私どもとしては立てます。ただ,今後の札幌市全体の財源状況を見据えた上で厳し目に見たときでも,こういう新しい事業を取り込んでいこうというような5年スパンの事業を立てておきます。あとは,各年度の予算要求の中で,私どもの方で平成17年度はどうするか,18年度はどうするか,それを実際に発車させていくというような段どりでいるところです。 ◎北原 指導担当部長  3点目の地域の人材を見出す取り組みついて,私からお答えします。  これまでも,各学校では総合的な学習の時間等での創意工夫を生かした教育活動を展開する中で,保護者や地域の方々にゲストティーチャーなどとして協力をいただいたり,安心,安全な学校づくりといった面でも,スクールゾーン実行委員会あるいは青少年健全育成推進会等の取り組み,さらには学校評議員制度など,さまざまな取り組みの中で保護者や地域の方々にご協力をいただいているところでございます。  今後は,委員がご指摘のように,さまざまな学校教育の場面で,より一層,地域人材の発掘,そして,その活用を図りながら積極的な教育活動を進めていくことが必要だと思っております。そうした中で,各学校の努力を促すというだけではなくて,教育委員会といたしましても,地域人材に関する情報収集,そして提供するなど,学校を支援する体制について検討してまいりたい,このように考えております。 ◆涌井国夫 委員  学校現場での地域の人材活用といった場合には,本当にいろいろな人たちが埋もれているわけです。また,お仕事をされながら,日曜日には学校でもお手伝いできるという人もいますし,いろいろ工夫すれば人は出てくると思うのです。そして,ボランティアも,これからますます大事で力を入れていかなければいけない教育力といいますか,社会全体で教育に対して力を入れていこうというときに大変な課題もあるわけですけれども,そういう中で少しでもお手伝いできるという人はたくさんいらっしゃると思うのです。そういう人たちをどう融合させながら教育の水準を高めていくか。今,お金もありませんから,ボランティアの人たちなどいろいろな人たちが支えて,教育の中で活躍していく方法がとられてくることが理想だと思っております。もう少し具体的な格好で取り組みがもっとされるように,これはお願いをしておきたいと思います。  また,知っている校長なんかは,本当にもっともっと権限を強化してもらいたいと。どちらかというと,校長の目線というのは,ある意味では,管理職としての立場から,先生たちをどう管理運営していくかを見て,生徒を見てないというのです。そんなことが多いのだと言う校長もいらっしゃいます。ぜひとも,先ほど言ったように,校長だけ極端に権限を集中させるのではなくて,当然,教職員会議なり皆さんたちと協力をしながら,なおかつ,校長のアイデンティティーというものが,個性ある皆さんと協力し合いながら何とか実現したいということです。そういうことが十二分にできる格好,権限というものをどうするかについて,もっともっと精査していかなければならないと思っておりましたので,お話をさせていただいたわけです。  最後に,こういう開かれた学校づくりを考えていくと,やはり,ポイントとしては徹底した情報の公開と,学校の外部評価です。評価委員制度というのがありますけれども,そうではなくて,学校運営に対する評価と,子供の目線から見た評価もあっていいと思うのです。そういったようなことを具体的にこの中で明確にしてやるべきだと思います。  これは提言としておきますので,取り組みをよろしくお願いします。 ◆井上ひさ子 委員  質問の前に,先ほど子どもの権利条例について触れられましたが,新しい課題であり,今回,それを念頭に置いてつくられたというお話もありました。そういう中で,子ども未来局と連携をとって進めていくと思いますが,ぜひ現場で権利条例についての話し合いを始めていけるような取り組みを進めていっていただきたいということを申し添えておきます。  それから,教育改革プログラムの体の充実について,食に関する問題について質問します。  栄養,食生活は生きる源になるということで,ここでもこの問題を取り上げて,進めていく方向性で書かれています。  先ほども,20ページの中で,幼児期からのしつけ不足とか健康な生活を送るための基本的な生活習慣が成り立っていないということが指摘されています。そういう中で,朝食をとらない子供もふえていると聞いているのですが,ここでは,平成14年度における札幌市の児童生徒の調査結果として言っているのです。この調査結果をどのように受けとめておられるのか,お聞きします。  それから,今,学校現場では給食指導なども含めて,教職員と連携をとりながら,栄養士の方々はすごく大きな役割を果たしていると思うのです。栄養と脳の働きとか心の健康との関連とか,そういう面は本当に大事なことで,食習慣を形成していく意味でも学校の教育の中で本当に一体となって取り組みを進めていくことが大事なのではないかと思うのです。具体的な課題を進めていく中での提案がされているのですが,こういう中で学校現場の栄養士の役割について伺っておきたいと思います。 ◎岩崎 栄養指導担当課長  食生活を取り巻く社会環境の変化に伴いまして,現在の子供たちの食生活において,朝食の欠食,子供たちだけで食事をする孤食,偏った栄養摂取などの問題が生じ,生活習慣病の若年化など,食に起因する新たな健康問題の増加という現状になっております。特に,委員のお話がございました朝食の欠食につきましては,平成14年度札幌市の児童生徒の実態に関する基礎調査で,朝食はほとんどとらないと答えた小学5年生は2.1%,中学2年生は5.9%,高校2年生は6.3%であります。  このような状況を踏まえ,各学校においては,食に関する指導の基本的な考え方,指導方針などを明確にした年間指導計画を策定し,計画に基づいた指導が円滑に実施されるように,教職員の共通理解を図るとともに,指導体制を確立し,学校全体で取り組む必要があるものと考えております。  この中で,学校栄養職員は,食に関する専門家として,学校全体の中で連携,調整のかなめとしての役割を担うべきと考えております。一方,食に関する指導は学校だけでできるものではありませんので,地域住民と身近に接する各区保健センターとの情報交換や,協働で地域に根差したきめ細かな食指導を進めていくことも必要と考えております。このような取り組みを通しまして,自分の健康をみずから考え,食事を通じてみずからの健康管理ができる能力を育てていくという食教育を推進していく計画であります。 ◆井上ひさ子 委員  今,平成14年度の実態調査のことをお話しされました。  私は,前に報告を受けた札幌市の健康づくり21の計画も見てみましたら,数値目標を立てて,10年間で国も札幌市も朝食を欠食している子供たちをなくしていこうという計画を立てているのです。前との比較についてお聞きしましたら,同じ項目でのアンケートはなかなかもやられていないというお話しだったのです。数値目標の進捗状況をとって,それを何年でびしっと決めろということではないのですが,やはり,5年前と比較して,ここまで到達しているというようにとらえて,それをこういう計画などに反映させていく上で,どんな形になるのかちょっとわかりませんが,これは平成14年度の実態調査ですので,そういうアンケートなども時期を見て改めて必要でないかと思うのですが,その辺だけもう一回お聞きします。  それから,栄養士の役割については,食の専門家として,連携をとり,調整のかなめをやっていくと。私は本当にそう思うのです。今,栄養の管理も含めて給食指導なども,栄養士がすべてではないですけれども,学校の中でコーディネート的な役割を果たしてやっていくことが大事です。栄養士はいろいろな仕事もありますし,今は調理校にしかおりませんので,先ほども校長のリーダーシップと言われましたが,私は,本当にこの分野でもそれが大事なことだなと思うのです。やはり,いろいろな子供がいる中で,きちんと取り組みを進めて食の問題を解決していくというところでの栄養士の役割はますます求められています。ぜひ,区の栄養士などとも連携をとりながら,学校の現場に,先生のところに情報を送って調整を図れるような,そんな役割を担えるような体制にぜひしていただきたいなと考えております。  アンケートのことだけ,お尋ねします。 ◎長沼 教育研修担当部長  札幌市の児童生徒の実態に関する基礎調査についてでありますが,これは,経年変化をとられることを重視しておりますので,3年ごとの調査を行いたいと考えております。平成14年に実施しておりますので,次回は平成17年に実施をし,経年変化を見てまいりたいと考えているところです。そのときにも,朝食のとり方についての項目を残して実施をしたいと考えております。 ◆坂ひろみ 委員  私からは,2点伺いたいと思います。  1点目は,29ページ,30ページにあります学び,知の充実というところですけれども,ここでは,個に応じたきめ細やかな指導の充実を図るとなっています。  昨今,学力の低下に対する不安を多くの保護者の方が持たれており,17ページのアンケートでは74.8%の親がこのような不安を掲げているということも載っておりました。しかし,そうは言いつつも,家庭での対策は特に今までと変わらないというような結果も出ております,これが現状であります。また,児童生徒の授業の理解度も,学年が上がるにつれて低くなっているというようなデータもありました。小学校では7割,中学校では5割を切り,高校では4割を下回る子供たちで理解度が下がってきているというようなことも出ております。  こうした中,本市では,これまで少人数指導を積極的に取り入れてきましたが,16ページの教育活動の現状というところで見えてきた課題という部分で,多くの場合,チーム・ティーチングによる個別指導が大半であり,一部の教科に限られているというような課題が浮き彫りになっております。  そんな中,素案では,30ページにありますように,少人数授業,習熟度別学習,発展的な学習ということを掲げられておりますが,今後,これらの学力低下対策を具体的にどう充実させていくのか,よくわらからないものですから,この辺を一つお尋ねいたします。  現実に,チーム・ティーチングに関しましては,加配教員や校長,教頭,事務局の先生などで対応するには限界があり,また,先生一人でやり切れるのかどうかといった問題もあると思います。このような問題をどう考えていらっしゃるのか,ご見解を伺います。  2点目は,46ページの教育環境の整備のところです。  新たな教育システムというところで,教育環境の整備が載っております。昨年から,私はシックスクールについて継続して委員会で質問をさせていただいておりますが,子供たちが楽しく通える学校づくりを進めるためには,一日の大半を過ごす学校そのものが安心,安全な環境であることは言うまでもありません。  文部科学省では,学校保健法に基づき,学校環境衛生の維持,改善を図るために,教室等の空気環境検査を実施してきましたが,昨年度より,ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物の検査が,建築基準法の改正に伴い,内装仕上げ剤の使用制限や機械換気設備の設置が義務づけられております。本市におきましては,昨年夏の検査で調査対象77校の約6割に当たる45校で文科省の基準を超える数値が検出されており,そのうち6校に熱交換型の換気扇を設置し,本年度はさらに2物質を追加した検査を336校全校で行うとしています。  このような経緯の中で,今後の学校環境整備の充実を図るのであれば,当然,シックスクール対策というのは不可欠であると私は考えますが,このたびの推進計画の素案の中には盛り込まれておらず,私としては,残念というより,どうして入っていないのかと疑問に思うわけです。  そこで,伺いますが,教育環境の整備を進める上で,シックスクールの問題をどのようにとらえていらっしゃるのか,お考えを伺います。 ◎佐々木 学校教育部長  1点目のきめ細かな指導の問題について,私からお答えさせていただきます。  子供の学力について,大変心配されているご父兄がいらっしゃるということは,私たちも十分認識をしているところでございます。  ご存じのとおり,少人数学級につきましては,今年度は48校,小学校第1学年を対象とした少人数学級実践研究事業,これは道の事業でございますけれども,札幌市も参加して実施しております。本市といたしましても,この事業の評価や,これまで積極的に進めてきましたチーム・ティーチング等の少人数指導の成果及び他都市の状況を踏まえながら,よりきめ細かな指導体制として学級編制のあり方も含めて検討していきたいと考えております。年内にも庁内にプロジェクトチームを設置いたしまして,調査研究の具体的方法,今後のスケジュール等について検討をしていきたいと考えております。 ◎中村 総務部長  学校施設の整備に当たってのシックスクール対策についてです。  学校施設の新設あるいは改修に当たって,当然,シックスクール対策というのは考えなければなりません。そのほかにもバリアフリー対策とか環境,省エネ対策といったことは,当然,同じ視点で出てくるわけです。  この素案の中でも,今,委員からお話がありましたとおり,子供たちが快適な学校生活を送れるようにということであれば,シックスクール対策について当然盛り込まれるべきということですが,教育委員会では法律に基づく基準検査,あるいは,基準値を超えた場合の機械換気設備等の設置については的確にやってきているわけです。当然,ホルムアルデヒド放散量の少ない建材を用いることも含めて,今,対応してきていまして,施設整備に当たっては,当然,シックスクール対策は考慮すべき事柄と認識しております。  ただ,この計画自体が,小・中学生の教育に関する改革プログラムということになりますと,では,幼稚園とか高校におけるシックスクール対策をどうするのかということもあります。それらを考えた場合に,ここに実際に入れるのがいいかどうかという問題はあろうかと思います。  ただ,これは素案でして,今後いろいろなパブリックコメントなどで広く意見をお聞きしてまとめていきますで,その過程の中で,シックスクール対策のみならず,バリアフリー,環境,省エネ対策等も含めて,学校施設の整備上,文言として盛り込むのはいかがかというような意見も出てくる可能性があります。この推進計画に盛り込むか,さらなるアクションプログラムに盛り込むかはどうかは別にして,今後の議論の中で考えていきたいと思っております。 ◆坂ひろみ 委員  1点目の知の充実についてですけれども,庁内でプロジェクトを設けるということでございましたので,ぜひ検討していっていただきたいと思います。  現実に,学校の先生たちは,本当に毎日,現場の中でご苦労されていると思うのです。昨今問題になっているLDなど,いろいろなお子さんがいる中で,少人数学級とかチーム・ティーチングという部分で,学びの部分についてもきちんとしていかなければいけないと思います。そういう中で,私は,やはり相対的に先生の数が足りないのではないかなと思う部分があるものですから,あえてお聞きしました。けれども,これは素案であること,それから予算にかかわるところでご返答も難しいと思いますので,これで終わりにしますが,ぜひ,加配を含めて先生の増員を今後はぜひとも検討していただきますよう要望します。  それから,シックスクールについて,小・中学校のプログラムである推進計画の中に入れるのがどうかというご答弁がございました。私は,逆に,幼稚園,小学校,中学校,高校すべて入れるべきものではないかなと考えております。  シックスクールに関しては,これまでの質疑の中でも,自然換気で対応していくのが適当であるというようなご答弁を何度もいただいておりますけれども,昨年度の検査では,機械換気が設置された6校以外にも国の基準値を超えている学校が43校もございました。また,積雪寒冷地である札幌の冬季間の自然換気がどこまで十分にできるかという問題も残っております。  したがいまして,シックスクールの問題につきましては,今後も継続した検査と原因究明,発生抑制,機械換気の設置,自然換気の指導の徹底,さらに,保護者,子供たち,教職員に対する情報の公開と共有,リスクコミュニケーションの充実を図るなど,市教委として,また学校として,子供たちの健康と安心して学べる教育環境の整備のためになすべきことはまだまだたくさんあると私は考えております。ですので,推進計画にシックスクール対策を含めた学校の室内環境の整備について盛り込むことが必要だと思うのですが,再度,これについていかがか,お考えを伺います。 ◎中村 総務部長  先ほどの継続検査とかそれに対する対応については,現に着実に進めているところです。室内環境の問題につきましては,検討課題として受けとめさせていただければと思います。 ◆坂ひろみ 委員  最後に,要望で終わりたいと思います。  化学物質過敏症というのは,よくコップの水に例えられますが,同じ環境で暮らしていても,なみなみちょっと前ぐらいの子もいれば,全然お水がたまらないというような子もいるというように,人によって違います。今,何もなくても,将来,大人になってから,たった1滴でコップの水があふれて過敏症になることも十分考えられるわけです。一度こぼれてしまったら,そのお子さんは,ほんの少しの化学物質にも本当に敏感に反応してしまうというのが化学物質過敏症の恐ろしいところであります。また,現実に今,化学物質過敏症あるいはシックスクールということで苦しみ,悩んでいるお子さんたちもいます。
     化学物質過敏症は,多種多様化する有害化学物質に囲まれて生活している現代社会においては本当に大きな問題だと私は認識しております。ですから,室内環境整備とあわせて,化学物質過敏症がどういうもので,どうしたら防ぐことができるのかといったことも,学校教育の中で,子供たちはもちろん,保護者に対しても情報提供していくことが教育行政の責務だと私は考えます。  子供たちが安全で安心して過ごせる学校環境整備について,今後の教育改革の中にきちんと位置づけて取り組んでいただきますよう要望して,終わります。 ◆藤原廣昭 委員  先ほど桑原委員からも,特色は何かというようなことで質問をして,中村部長からは,政令指定都市などに共通するものが多いので,そういったものを事柄として押さえていくとか,あるいは,札幌市が独自に調査をしたアンケートなどをもとにいろいろなものを取りまとめてきたのだということであります。そういう取りまとめとしては,情報化,国際化,環境問題という今日的な課題に対応する教育を推進するのだというようなことが強調されています。しかし,札幌の経済とか雇用とか,今,市民から求められている人材というものを,教育委員会がまとめた上で,これを市民の前にきちんと示して,協力も求めながら,こうした人材を育てていく教育計画にしたいのだということがこの中で余り感じられない部分があるのです。予算に伴うこともあるから余り明確なことも言えないのかもしれませんけれども,そういう理念的なものについてもう少し明らかにしていくべきではないかと考えております。  そこで,その点についていかが考えているか,まず最初にお伺いします。  2点目については,先ほど涌井委員の質問の中で,アンケートなどを実施して子供たちや保護者の声なども把握をしてきたということであります。そうしたアンケートは,小・中学校約300校全校で取り組んでいるものなのか,どんな状況にあるのか教えていただきたいと思います。取り組み状況とか,どんなアンケートをやっているのか,そうした詳しいことを資料で示していただきたいなと思っております。  次に,3月26日に示され,きょう説明を受けた素案は,教育改革推進会議の意見やパブリックコメントの意見も出されてまとめられてきたものですが,素案をまとめる上で,答申に盛り込まれていない項目が幾つぐらいあって,教育委員会としてどのような項目をこの素案の中にまとめてきたのか,それがあれば3点目にお伺いをいたします。  それから,当然,この実行計画は教育委員会がつくると思うのです。まさか,外部に委託してアクションプログラム,実行計画をつくるなどとは考えていないのであります。ただ局によっては実行計画を外部に委託をしてつくる場合もありますので,このアクションプログラム,実行計画についてはどのように作成していくのか,まず,その4点についてお伺いいたします。 ◎長尾 教育次長  私の方から,1点目の人材について,札幌を担う子供を育てていく理念的なものがないのではないかというお話でございます。  この計画の中には,国際化を担っていく子供を育てていく,創造性のある,意欲のある子供を育てていくという中身が盛り込まれております。そういうことで,札幌市の次代を担っていく優秀な人材として,個性のある,創造性のある,あるいは,みずから考えられる子供を育てていきたいという趣旨がこの計画の理念の中に組み込まれております。  ただ,いずれにしても,表現の方法としてもっとパンチがあっていいのではないか,訴えるものがないのではないかというようなお話も当然あると思います。今後,いろいろ意見を聞く中で,パンチのきいたような,意思を明確にとらえられるような表現を心がけていきたいなと考えております。 ◎佐々木 学校教育部長  子供のアンケートについて,私の言い方がちょっとおかしかったのかなと思っております。  今回の推進計画をつくるに際して,子供から直接アンケートをとったということではございません。タウントークパブリックコメントは,あくまでも大人,教師が対象ですので,そういう先生方を通して場合によっては子供の意見も反映されているのではないかとお話しいたしました。アンケートと申しましたのは,各学校でいわゆる学校の基本方針をつくる際に,従来は先生方だけでつくっていたけれども,今は保護者や子供の声も吸い上げてつくっていますと。今回のタウントークの対象は大人でしたけれども,そういうものを通して子供の声も反映されているのではないかということでございます。 ◎中村 総務部長  3点目と4点目は,3月26日の答申にはない事項で素案に盛り込まれている事項ということですけれども,大きく8点でございます。  ページを追ってご紹介しますと,34ページに司法教育の推進というところがございますが,これは独自で,答申にはない事項です。それから,先ほど涌井委員からもお話がありましたけれども,安全な学校づくりというのが45ページの下の方でございます。同じく,ご質問にありました47ページの学校運営の特色等に合わせた予算の執行,いわゆる学校長の裁量をもっと広げた形での予算執行体制です。それから,49ページの中ほどに,教員養成への積極的な関与ということで,教員養成系大学等との連携を一層深めるという点です。それから,その二つ下の管理職の希望降任制度の確立です。それから,50ページに,坂委員からご質問がありましたが,学校施設の計画的な整備と,その上の学校の小規模化に伴う適正化の推進です。最後に,52ページ,学期制の調査研究ということで,8項目となっております。  それから,今後,アクションプログラムをつくるに当たって,シンクタンクに委託するようなことは考えておりません。この計画につきましては,関連部局との調整があると思いますが,先ほどから申し上げているとおり,ことしの2月以降,パブリックコメントを広くやって,我々が主導というよりは,教職員も含めた多くの方々の意見を聞きながらつくり上げていくというものですので,我々がさらに第三者に委託するということはありません。市民も巻き込んで一緒につくり上げていくという考えでおります。 ◆藤原廣昭 委員  先ほどの学校運営の基本方針を作成する上でアンケートを実施しているということでありますので,これについては,アンケートの内容なども含めて,後日,説明をしていただきたいとお願いをしておきます。  具体的な質問に入りますけれども,1点目は31ページの学校図書の充実であります。  ここでは,蔵書や運営の充実を図るとか,環境づくりを推進するとか,寄託図書の充実などが挙げられておりますけれども,今年度から実施をされております司書教諭の有効的な活用というか,具体的な位置づけがなされていない。ただ,学校図書館の蔵書をふやすだけでは従来の発想と同じであって,こうしたことの位置づけをしっかりしていくべきだと考思いますけれども,どのように考えているのか,1点目に伺います。  2点目は,34ページです。  先ほど,中村部長からもありました司法教育の推進ということであります。  こういう取り組みについては否定はしませんし,むしろいいことだなと思います。ただ,私どもが北欧などに行って調査をしてきた中では,例えば,身近ないじめの問題やささいな事柄を子供たちに解決させていくという仕組みがきちんとできているわけです。そして,先生は,アドバイスを送る立場に立って,子供たちの中から選ばれた数人が,加害者,被害者というような余り堅苦しいものではありませんけれども,問題を取り上げてほしいと言ってきた当事者から子供たちがいる前でいろいろな状況を聞く。そういうことに取り組んでいく中で,司法制度とかルールを守るといったことに生かされています。本市の場合にも,そうしたことも新しい取り組みとしてぜひ具体化をしていくべきではないかと考えますけれども,この点について伺います。  3点目は,41ページから42ページの健康づくりの課題です。  札幌市においても,健康さっぽろ21という基本計画がつくられ,現在,実行計画の策定中であります。その中にも,41ページ,42ページに書かれているようなものは出されているわけでありますけれども,健康さっぽろ21との整合性とか連携をどのように考えているのか,伺いたいと思います。  また,4点目は,45ページの地域住民の意見の学校運営への反映ということで,学校評議員制度だけではないと思いますけれども,この中では同制度も含まれるのかなと考えます。  私ども,民主党・市民の会としては,以前から,児童生徒や先生の代表などもこういうものに含めていくべきだと,提言も含めていろいろ質問をしており,向こう10年の教育推進計画の中にはこうしたこともぜひ取り入れていくべきではないかなと考えるわけであります。  文章の中では,一層の充実を図りたいというようなことですが,教育委員会がみずからアクションプログラムをつくるわけですから,具体的にどのようなことを充実させていきたいと考えているのか,今,素案の段階でありますが,そんなものがあれば示していただきたいと思います。  それから,5番目の質問は,49ページの管理職の登用制度の工夫と改善というところであります。  22ページでは,例えば,校長は学校経営の責任者だという位置づけをしながら,管理職だと言っています。それは言葉の遊びになるかもしれませんけれども,この中では,管理職ではなくて,学校の経営責任者だということを明確にしていくことが大事なことであります。先ほど涌井委員が言ったように,子供たちや生徒の方に目が向いているのではなく,違う方に向いている場合も多少あるという指摘があったわけですから,この中では,管理職という言葉ではなく,あえて学校経営の責任者という表現に整えていくべきではないか。  私は,先日,姉妹都市のポートランドに行ってきました。この中にも一緒に行った方がいらっしゃいますけれども,向こうの状況を聞きますと,校長の任命については,教育委員会が発令する人が半分ぐらいで,あとは,一定の条件,ルールはあると思いますが,希望者を募り,この学校でこういうことをしたいというレポートを提出してもらって,その中で人選をして校長に任命をするそうです。  日本も,もうそういう時代に来ているのではないでしょうか。旧態依然として,教頭で一定の資格条件を得れば校長になるというところてん式ではなくて,一定の資格とか年数は必要でしょうけれども,具体的に,Aという中学校や小学校で目指したいことを計画書にして提出していただく,そういうことがこの中にも生かされなければいけないのではないかと思うのです。  以上,5点について伺います。 ◎佐々木 学校教育部長  私から,2点,お答えします。  一つは,司書教諭のことでございます。  委員がご指摘のように,司書教諭という用語の表記はございません。ただ,ないからといって,司書教諭の役割を軽視しているということではなく,これからの学校図書館の充実にとってその役割はすごく大きいと私たちも認識しております。したがいまして,今後,成案をつくっていく中で検討したいと思っています。  二つ目の管理職という用語はどうかということです。一般には,管理職は,委員がご指摘のように,学校経営責任者という意味でございます。49ページも,タイトルは学校管理職の登用ですけれども,中身はそういう意味で書かせていただいております。  管理職の登用についていろいろご意見をいただきましたけれども,私どもとしては,保護者や地域から信頼される活力と魅力ある学校経営が大切であると認識しており,日ごろから適材適所の人事に心がけてきたところでございます。特に,登用に当たりましては,新しい教育課題など困難に立ち向かう強い意思や具体的方策を持っているかどうか,また,保護者,PTA,地域,関係機関などへの対応力を備えているかどうか,さらには,危機管理能力にすぐれており,常に適切な対応ができる人物であるか等の点を重視してきているところでございます。  今後は,いわゆる採用という入り口だけではなく,意欲のある若手や中堅の教職員に一層多様な経験を積ませるなど,校内における人材育成が大事ですので,校長に対し,先生方にいろいろな場で積極的に取り組んでいただくよう指導していきたいと考えています。また,学校経営の明確なビジョンと管理職への意欲を持った人物を適切に評価して登用を図ることができるよう,選考段階における具体的な方策についても,今後さらに調査研究をしなければいけないと考えております。 ◎高橋 生涯学習部長  34ページの司法教育の関係と,42ページの健康意識の啓発につきまして,2点,お答えをいたします。  まず初めに,司法教育の件でございます。  先ほど委員から諸外国の例に基づいてご質問がありましたけれども,私どもは,ここに設けてある趣旨につきまして説明をさせていただきます。  国におきましては,社会経済情勢の変化に伴い,新しい時代にふさわしい国民に身近で信頼される司法制度を構築するため,平成13年に司法制度改革推進法を制定しました。さらに,改革の大きな柱であります裁判員制度に関する法律をさきの国会で可決,成立させたところでございます。このことによりまして,平成21年から裁判員制度が実施されることとなり,今後,一層,市民が司法にかかわる機会がふえることが想定されます。  そこで,私どもといたしましては,市民を対象に,司法あるいは法律に関する学習機会を提供していく必要がある,また,それとあわせて,次代を担う子供たちにも学校教育の場などにおいて学習機会を充実させることが必要になると考えております。  また,国におきましては,司法教育の充実について,学校教育等における司法に関する学習機会を充実させるための方策を検討し,所要の措置を講ずることとしております。このような国の動向なども踏まえ,市民の学習機会の充実に向けて,さらには,学校教育の場におきまして本市の取り組むべき内容について検討して,弁護士会や裁判所など司法関係者と連携をしながら,講演会あるいは模擬裁判などを司法に関する学習機会の提供を図ってまいりたい,そのように考えているところです。  それから,42ページの健康意識の啓発関係でございます。  子供たちの健康な体づくりのためには,家庭での適切な食生活,あるいは,規則正しく,十分な睡眠など,基本的な生活習慣の重要性というものを保護者が理解して,子供たちが健康的な生活を送る必要があります。  先ほどお話がありましたとおり,昨年,健康さっぽろ21が策定されたところであり,それに基づいて地域の健康づくりを進めております。この計画も踏まえまして,私どもの方で,幼稚園,小学校,中学校のPTA等を対象として活動しております家庭教育学級の中で,子供たちの体や健康に関しての講演,また学習会などの取り組みを今までにも増してより一層進めてまいりたいと考えております。また,今後とも,この実施に当たりましては,保健福祉局,また各区の保健センターなどと連携を図りながら,家庭における健康意識の啓発に積極的に取り組んでまいりたいと考えているところです。 ◎北原 指導担当部長  45ページの学校評議員制度について,お答えいたします。  学校評議員に子供や教員の代表を含めるべきではないかというご指摘でございますけれども,学校評議員制度は,昨年,学校管理規則を改定して導入したばかりのものでして,現在,実施校の拡充を含め,その充実に努めているところでございます。  どのように充実するのかというお問い合わせでしたが,具体的にどういった課題について,どういった方にご意見をいただいたらいいのかという具体的な運用上の工夫などについて研究委託等を通じて把握していったものを各校に紹介しながら,その内容を充実させていきたいと考えているところでございます。  いずれにいたしましても,現在,評議員として委嘱された保護者や地域住民の方々のご意見を学校運営等に反映させる取り組みが進められているところです。委員がご指摘の子供や教員の意見の反映につきましては,現在,各学校において自校の教職員による点検,評価だけでなく,先ほど来お話がございます児童生徒や保護者等による評価を含めた学校評価システムの確立に努めているところでございます。現場の先生方,校長を含めて学校評価に関する調査研究委員会というものを立ち上げまして,昨年度,学校評価に関する手引きを作成したところでして,子供の意見をどういうふうに把握していくかということも,その手引きの中に含めております。  そういった取り組みを,今後,学校評議員制度とあわせて,教職員や児童生徒等の意見が学校運営に反映できるような取り組みのあり方の検討を進めてまいりたいと考えております。学校評議員そのものというより,それらを含めて,トータルで子供の意見等を学校運営に反映できるようなシステムを考えていきたいということでございます。  今年度は,具体的な取り組みの事例を集めたものを作成して,これについても各学校に紹介してまいりたいと考えているところです。 ◆藤原廣昭 委員  3点,再質問いたします。  1点目は,司法教育の推進です。  確かに,部長から説明を受けた項目のところでは,当然,今後の教科書の中にも裁判員制度のようなものが取り上げられて,学習の機会にも出てくると思うのです。けれども,実際に自分たちで携わってみる,触れてみる,そして,それを自分たちの問題に置きかえていく,子供たちが自分たちの問題を解決していくのだという学習の視点が必要ではないかと思います。  お伺いをしたいのは,司法に関する学習機会の提供をしますと言うけれども,どんな機会を提供しようとしているのか,具体的に教えていただきたい。私どもとしては,それはそれで必要ですけれども,やはり,子供同士でみずからの問題を解決していくことが学んだことを実践していく上で重要ではないかなと考えるわけであります。ぜひとも,そうしたシステムをこういう実施機関の中に位置づけて,検討も含めてしていただきたいと思います。  それから,2番目は健康づくりの関係です。  先ほどの答弁では,家庭教育学級の中でこうした取り組みをさらに強化していきたいということであります。私も小学校や中学校でPTAの役員をやらせていただきましたが,その学校によっては違うのでしょうけれども,以前と比べて家庭教育学級に参加する保護者の数は極めて少なくなってきています。こうした問題を,家庭教育学級だけにとどめておくということでは,やはり取り組みの規模が小さ過ぎると思うのです。少なくとも,保護者を対象にした取り組みが求められていると思うのです。  私も,以前,区の保健センターから,健康づくりのことで場を持っていただけないだろうかというようなことがあったのです。けれども,ご存じのように,学校でのPTAの年間行事は大体5月中旬ぐらいに総会を開いて決めてしまいます。縦割り行政の中で,そうした時期が過ぎてから,5月の末とか6月に入って保健センターから言ってこられても,受け入れてくれる学校やPTAはあるかもしれませんが,やはり,前年度の計画をつくる段階からきちんと連携していかなければ,取り組みの輪が大きく広がっていかないと思うのです。その点についてどう考えているか,お伺いしたいと思います。  最後に,3点目は,学校評議員制度を実施して間もないわけで,いろいろな調査研究もしていきたいということであります。  私どもの会派としては,第2回定例市議会でも子どもの権利条例について代表質問をいたしました。子どもの権利条約では,従来,子供を保護の客体に置いていたものを権利行使の主体に置かなければならないということで,国際的に確認されている条約の中で,子供のとらまえ方を転換させることが最大の特徴だとされているわけです。それを踏まえて,上田市長も,最も重点を置きたい条約の条項は何かと尋ねると,今お話ししましたように,条約の第12条の意見表明権が最も重要であると答弁しているわけです。  それならば,先ほど部長は,学校の校長や教頭あるいは担任が子供の意見を吸い上げるという趣旨の答弁をされましたが,そうではなくて,子供たちがみずから自分の意見を表明する機会をきちんと与えなければいけないわけです。ですから,先ほど,桑原委員もそうした視点をこれからつくられる権利条例の中にしっかり位置づけなければいけないと質問をしたわけです。  やはり,そうした視点に立って,ただ,教員が子供たちの意見を間接的に酌み取るというのではなくて,これからは校長から学校の運営方針とか経営方針を示される機会が多くなると思うのですが,学校評議員になった人は,校長だけではなく,実際に児童や生徒,そこにいる先生の声も聞いて,どう判断をしたらいいのか,校長に求められたことに対してどう助言をしていくのかというようなことがなければ,この仕組みもうまくいかないわけです。市長答弁でもそうしたことが大切だと指摘されているわけですから,ぜひそういう制度となるように,成案の中に盛り込むような努力をしていただきたいと思うわけであります。  以上,3点,伺います。 ◎北原 指導担当部長  まず,1点目の司法教育の機会の提供ということについて,お答えいたします。  先ほど,生涯学習部長の方から,講演会,模擬裁判など司法に関する学習機会についてお話がございました。これにつきましては,裁判官派遣制度等を活用しながら,模擬裁判は昨年度には中学校4校で学校に出向いて実際に行われております。先日の新聞等では,相当数の子供たちが実際に札幌地方裁判所に出向いての見学等を実施している,あるいは,ある学校はそこでの模擬裁判を経験したという記事も載っていたところで,そういった機会を今後さらに拡充していくということはあります。  ただ,委員がご指摘のように,そういうことだけではなくて,もっと根本的に子供たちが自分たちで問題を解決していく能力をどのように育てていくかということについては,司法教育という範囲にとどまることなく,実際に子供たちが学級活動等の中で集団適応をどう図っていくのか,教師の方のサポートの中でそういう力をどのように育てていくのか。最初から自分たちで問題解決できるような能力があるわけではなくて,そこまでの育ちをどう保障していくのかということの検証も含めて,今後検討を進めてまいりたいと思っております。  もう一点,評議員制度についてもお話をさせていただきます。  評議員制度では,子供たちの意見を反映するとしても間接的ではないかという委員のご指摘です。  実際,子供たちの意見につきましては,例えば,教員が自校の学校運営等について,あるいは教育活動等について評価するときにも,A,B,Cとか1,2,3という形で評価をするだけでなくて,実際に言葉で記述したもので集約していますが,子供たちの教育活動等に対して,あるいは,学校行事等に対してどのように考えているのかということに対して,これも言葉で書いてもらうことを含めて,子供たちがしっかりと学校運営にかかわれるように,その意見が学校運営に反映されるような,そういう取り組みの考え方ができるかというふうに思っているところです。  学校評議員制度で考えますと,実際に,もし子供たちが意見を表明していったとしても,極めて一部,どんなに多くても数名の子供がそこに参加することにしかならないのかなと思うのです。しかし,今言いました学校評価システムに関しましては,ほとんどの子供たちが,自分たちの学校生活等を含めて,自分たちなりの考え方を表明できる機会として考えておりますので,その取り組み方をさらに具体的に検討する中で,委員がご指摘の部分が反映できていくのではないかなと考えているところであります。 ◎高橋 生涯学習部長  家庭教育学級について,今,委員からも減っているところもあるというお話がございました。  私どもは,家庭のしつけ,あるいは,子供への接し方や親の役割という意味で家庭教育学級は大変有意義な取り組みだと思っておりまして,毎年,各小学校,中学校のPTAに対しても,家庭教育学級を開設するよう働きかけております。おかげさまで,今年度につきましても開設する学級が相当ふえている状況にあり,そういう意味でますますその役割も大きくなると考えているところです。  また,食,健康につきましては,これまでも家庭教育学級で取り組んでおり,講師の選定あるいはテーマについても保健センター等ともよく連携を図りながらやってきております。家庭教育学級の実際の学習内容で,大きな比重を占めている内容としては,子育て,食,体,健康という分野に関する勉強会が非常に多くなっておりますので,なお一層,それぞれの家庭教育学級を中心に,また,PTAの方々含めて,子供たちの健康にかかわる意識の啓発をさらに進めていくよう私どもとしても努めていきたい,そのように考えているところでございます。  それから,先ほど,これはきっと連携にかかわる部分かとは思いますが,PTAに対して保健センター等の働きかける時期がずれるというお話もございました。これまでもそういった取り組みで連携をとっておりますので,そういった状況については私どもの方からもよく伝えることで,スムーズな事業の推進を図っていきたいと考えております。 ◆藤原廣昭 委員  最後にしますけれども,評議員制度の中に子供の意見を取り入れるということについて,部長は,先ほどの答弁の中で,やったとしても一部の子供の意見ではないかとおっしゃいました。しかし,そういう発想自体がやはり間違っているのです。そういう子供の代表を選ぶという過程では,1年生や2年生は別かもしれませんが,3年生以上の高学年の子供たちはそれなりのものをきちんと持っているはずなのです。生徒会とか児童会という組織もありますけれども,それと同一にするのがいいかどうかは別にして,やはり,子供自身で,自分たちの学校のこととか身の回りのことについて意見をきちんと積み重ねて,そうした上でやるべきものでありまして,ただ好きな人が手を挙げて,人気投票的になるものでは決してないわけです。部長もそうした発想は持っていないとは思うけれども,そうした発言があったのであえて言っておきます。ぜひ,この評議員制度の中で子供の意見表明権というものをしっかり受けとめていただきたい。  もう一つ,健康づくりのことについては,PTA等については生涯学習部ですけれども,これも保健体育の時間に具体的に取り組んでいかなければいけないと思うわけです。そんな意味では,中学校では保健体育の先生がいますし,小学校では担任の先生がやるのでしょうけれども,健康さっぽろ21というものを考えた場合に,保健センターの保健師や別な人でも構わないから,子供たちによりわかりやすく専門的な話をしていく取り組みもこの中にぜひ位置づけていただきたいと申し上げて,終わります。 ◆猪熊輝夫 委員  幾つか,お聞きします。  建物の関係で適正配置,あるいは,耐震対策, 複合化などについて記述されていました。  そこで,これからの校舎のありようというハードの面で言えば,教育委員会の姿勢として10年後のことまで描き切るわけですから,エレベーターなど段差のないようなものを含めて記述し,指し示していくことがいいのではないかと思うので,そんなことも心してほしいものだと思うが,どうか。  それからもう一つは,食文化の関係で,いいところまで記述したなと見させていただいたのは行事食とか郷土食というところです。ここまで来た,大したものだなと思いました。栄養スタッフの皆さん方が何回も会合を開いて,自分たちの果たす役割についてとても研究されてここまで来ていることを高く評価します。  そこで,日本の食文化の歴史は和食ではないかという点で,毎回,和食を食べさせろということを言う気はありませんが,年に一遍,どの学年かで,日本の食文化の原点というものを,舌が豊かなときにこそ体験をしておくことは,日本の食文化をより豊かに継承,発展するという意味で大変意味のあることではないかと思います。  これも記述していただきたいことですが,第一印象としてどんな受けとめ方をされるか伺います。  もう一つは,栄養士の皆さんが,今,地域ということをとても意識していることを耳にしますし,その積極姿勢について私はとても評価をさせていただきます。  このことについては,養護教員や,場合によっては調理員を含めて,教育委員会の縦の関係ということだけではなく,保健センターとの連携までお話がありましたように,市民局あるいは企画調整局を含めて,新たな部分でも総合的に横のつながりでその役割を担うと。今,ある特定の職域を言いましたけれども,すべての分野でそういう検証を含めてとらえ直してみる必要があっていいのではないかと思いますが,いかがなものでしょうか。  それからもう一つは,教員の仕事量がとてもふえてきているとよく耳にするのです。それは本当に絶対必要なものなのか,全学校の全担任がしなければならない事務的な作業なのか。特定校を抽出して統計的なデータをとることは可能なのかどうなのかということを含めて,全体ですべてをやるのではなくて,こういうとらえ方でも全体を把握できると判断のできるものについてはもう少し整理してみる必要があるのではないかと思います。  そういうことをしていかないと,総合的学習ということであれもこれもとやっていては大変なボリュームになるのです。関係機関と調整して,日程を定めて具体化して,どんなことになるのか打ち合わせをして,そして汗を流していただいて,さらにボランティアとなったら,先生方は大変な汗を流さなければいけないのですよ。  しかし,地域的には商店街が積極的であったりしてスムーズにいくことも理解しています。旧曙小学校の地域などはすばらしい地域の皆さんの協力をいただいてやっていたということも,こういう場で具体的に出ていたところです。ただ,それは地域差がありますから,そういう点でのご苦労も念頭に置きながら,皆さん方が方針を立てていくという配慮がないとごっつい話になるなという感じがするものですから,その辺の配慮という点で検討してみる必要があるのではないかと思いますが,いかがか。 ◎中村 総務部長  学校の施設整備に当たってのエレベーターの整備を含めたいわゆるバリアフリーの関係です。  先ほど坂委員のところでも答弁をしましたけれども,教育計画の意気込みというか,市の意気込みも含めた場合には,そういう記述も盛り込むことについて検討させていただきたいと思います。  食文化で,和食を年に1度ということについては,栄養士指導担当課長の方から答弁をさせます。  それから,栄養士の関係ですけれども,これは,学校採用ではなく,札幌市として採用しているわけです。委員がおっしゃっている保健センターとの連携というのは,ようやく始まったばかりです。私どもが接していると,学校の栄養士は,どうしても視野が狭くなりがちであると自分たちで正直におっしゃっています。そういった中では,身につけるノウハウも狭くなりがちなために,去年から,保健センターと栄養士の交流事業の中で食改善事業を一緒にやっていくといったようなこともあります。  ただ,お話しにありましたように,市民局などとの事業の絡みもありますので,栄養士の職域拡大ということまで言えるかどうかは別にしまして,よりノウハウを広める中で食指導を強めていく,スキルアップをしていくという意味では,やはり,学校に限らず,もっともっと他方面の事業にも触れる機会を多く持つ必要があるだろうと思いますし,現実にそういう交流事業などはふえている状況でございます。 ◎岩崎 栄養指導担当課長  今,委員からお話がございました日本の食文化の原点を探ることを子供たちに教えていくのは大変重要なことと思われます。その中で,平成15年度から米飯を週3回取り入れております。その中で,和食について,料理を通じて非常に深く子供たちに教育しております。  ただし,委員がおっしゃるように,日本の食文化は,縄文時代からずっと流れてきた中で,いわゆる懐石料理というのがその基礎をなしていると思うのですが,そのあたりにつきまして子供たちに年に一度でも,というのは,今の給食費にでは非常に難しゅうございます。ただ,部分的に,和食の煮物とか,和え物を週3回の米飯と絡ませながら提供しています。  そのほかに,もう一点,郷土料理ですが,日本の料理は本当に地域によっていろいろな郷土料理がございます。そういう日本の郷土料理も給食の中に取り入れながら,今,子供たちに日本の文化というものも教えているという実態でございます。 ◎北原 指導担当部長  4点目のご質問で,総合的な学習の時間等により教員の仕事量といいますか,負担が増している中での配慮ということで,お答えさせていただきます。  私自身の経験から言いますと,この春まで学校現場におりましたけれども,総合的な学習の時間については,先ほど来お話がございますように,地域との連携が非常に重要になってまいります。具体的には,区役所の地域振興課,あるいは,まちづくり委員会というのが住民組織としてありまして,そういったところと連携していく中で,教員が負担する部分を地域あるいは区役所等に負担していただくような取り組み等もございました。そういった工夫を紹介するなどの取り組みとあわせまして,各学校におきましては,行事の見直しあるいは会議の持ち方等で,各学校なりの工夫をして何とか時間の余裕を生み出していこうという努力をはしているところです。  今後とも,教育委員会としての情報提供等の努力とあわせて,各学校の努力を促すような取り組みのあり方を進めてまいりたいと思っております。
    ◆猪熊輝夫 委員  私は,先生方全体の仕事量が多くなってきているということをよく耳にするのです。ですから,すばらしい10年計画をつくるのだから,この機会にそういった部分もしっかり受けとめた上で計画全体を常に見ていく視点を持ってほしいということです。いろいろなことをやっていることは承知していますから,そんなことで受けとめていただいて,ぜひ完成へ向けての検討課題として見てもらいたい,こう申し上げておきます。  それから,懐石料理の関係で言えば,フランスでは,すべての学校のある学年にフランス料理のフルコースを提供しているのです。そして,フランスの伝統的な食文化を豊かなときに忘れないでもらうというようなことをやっております。日本の懐石料理というのは世界に誇れる食文化ですから,ここまで給食の教育ということでやるとするなら,そこにも注目してちょっとこだわりをもってやっていくことが長い目で意味を持つのではないかと申し上げたいところです。今,ぜひやりたいなんて言わなくていいですから,10年間の検討課題として,ぜひ受けとめていただきたい。意外とおもしろい展開と言っては失礼ですが,できるのではないかと思いますので,場合によっては岩崎課長がフランスに行って調査をしてくることだってあっていいわけです。そういうふうに従前からの発想を思い切って変えていくということで,あえて投げかけさせていただきましたので,ぜひご検討いただきたい。  次に,特別支援教育のことについて触れたいと思うのですが,2カ所にわたって子供たちの一人一人のニーズに応じた多様な教育という字句を使っております。それは,健常な子供とハンディのある子が一緒に学ぶという前提に立っていないで,いわゆる特殊学級的な発想でここまで来ているのです。そのことは,私はどちらかというと否定したい立場にありまして,一緒に学ぶべきだと。  なぜかというと,歴史的に,家庭にこもりがちだった子供たちに,教育の場に足を運んでいただくということで,悩み抜いてここまで具体化してきたことはすばらしいものとして評価するわけです。でも,ここにとどまるのではなくて,さらに一歩行くためには,ハンディのあるなしにかかわらず,認め合って社会に参加するということが最終目標なのです。そのためには,一緒に学ぶということなのです。そして,ハンディのある人方がどういうことに心を痛めて日常生活をしているのか,あるいは,健常者は逆にどういう思いで自分たちが動いているかということをハンディのある人もまた学ぶ,そして認め合って,思いやりというようなものを含めて互いに醸成する,我慢するという思いもまた醸成していくということが,共同社会での日常生活を保障することに結びついていく,僕はこう思えてならないわけです。  そして,もう少し生意気に言えば,実は,そういうことを一生懸命になって具体的に検討している先進的なところではどういうことになっているかというと,先進国ばかりでなく,発展途上国の人とも積極的に交流をして,そういう状況にあることをしっかりと受けとめて,問題点を共有しながら,国際的協力をして信頼をかち取り一定の役割を果たしていっている,現実はそこまで来ているのです。  そういう意味でも,札幌市の教育というものが一気にそこまで行けるわけがありませんし,また,行けない側面もあろうと思いますけれども,そういったことを展望しつつ,その方向に向かっていくのだという形での統合教育的教育への一歩の踏み込みがこうした10年計画で出てきてほしいなという思いがあるものですから,そういった点でいかがなものかなということが一つです。  それから,長尾次長がダイナミックにという表現をされました。問題は,知の充実,学びの充実という部分でいろいろと触れられておりますけれども,少なくとも資源のない国なのです。とりわけ札幌市は,製造業もない,そして,1次産業が崩壊して,公共事業も明らかに減ってきている。こういう点で雇用環境は最悪の事態になっていて,その先が見えないぐらいつらく,大人たちがみんなで模索しているという状況です。だから,そういうようなことをしっかりと念頭に置いてください。しかも,国際化時代だと言っているわけです。何もない部分で,どこで信頼をかち取ってやるかというと,知的蓄積の中で世界で信頼をかち取りながら,おつき合いをし,共生という状況をつくっていくということになると思います。  ですから,そういう将来をダイナミックにしっかりと指し示しながら,教育というものに重点を置きますと。そして,どなたかが言いましたが,予算がないからといって一律に削減するのではなく,将来を託す教育は,予算を大きくなどとは言えないけれども,全体と比較すれば一定程度厚くする。そういう思いを,財政局がうなれるぐらいの方針をダイナミックに立ててほしいという思いです。どうですか。 ◎長尾 教育次長  今ご質問のダイナミックなというお話でございます。  委員がおっしゃるとおりだと思います。  いずれにしても,国際都市を標榜しておりますし,また,海外でこれからどんどん活躍していかなければならない。支援の問題もあります。そういう子供たちを育てること,バックボーンに開拓者精神を持った子供を育てることが我々の使命ではないかと思います。そういう意味で,委員がおっしゃったような趣旨をどう生かしていくか。考え方はまったく同じでございますので,どう表現して,どう伝えていくか,これから詰めていきたいと思っております。 ◎北原 指導担当部長  特別支援教育にかかわって,お答えいたします。  子供たち一人一人のニーズに応じたという表現についていかがなものかというご指摘をいただきました。委員の理念,考え方は,まさにそのとおりだと思っておりますし,その考え方に基づいて札幌市特別支援教育基本計画が成立しているのだと私どもは理解しております。  ここに表現させていただいたのは,札幌市特別支援教育基本計画に基づいて進めていきたいのだということであります。子供たち一人一人のニーズに応じたということが,必ずしも得心のいかない表現であったとすれば,申しわけないと思います。  ただ,ここに表現していることは,委員がご指摘のことも含めて,例えば健常の子供たちとどうかかわっていったらいいのかということも含めて,一人一人の子供の状況を含めて具体的に考えていきたいと思っているところです。実際に,基本計画に基づいて子供たちが地域で学ぶ取り組みも進めているところですので,その理念についてはこの推進計画の中でも変わるところではないぞということをお示ししたくてこの表現をとらせていただきました。真意は猪熊委員がおっしゃるとおりと理解しております。 ◆猪熊輝夫 委員  世界の国をどうこういう気はないのです。要するに,健常者がバリアを外すこと,取っ払うこと,まずそれを実現するためにどうするかです。  そこで,大阪府の豊中市を参考にしていただきたい。余り来ないでくれと言われているけれども,活字に出ている以上に具体的に進めているのです。せっかくこういう方針を立てるのなら,そういうところがあるのだから,ぜひだれか行って,そういう状況をしっかり把握し,生かしていけるようにしてほしいと思います。  長尾次長には期待をして,僕の発言を終わります。 ○恩村一郎 委員長  ほかにございませんか。 (「なし」と呼ぶ者あり) ○恩村一郎 委員長  ほかになければ,以上で質疑を終了いたします。  以上で,委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午後3時51分...