札幌市議会 2003-09-30
平成15年第 3回定例会−09月30日-02号
議案第7号 札幌市特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案
議案第8号 札幌市
区民センター条例の一部を改正する条例案
議案第9号 札幌市廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例案
議案第10号 札幌市緑の保全と創出に関する条例の一部を改正する条例案
議案第11号 財産の無償譲渡の件(
手稲山冬季オリンピック関連施設等)
議案第12号 財産の取得の件(公園用地)
議案第13号 町の区域を新たに画し,及び変更する件
議案第14号 札幌市区の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第15号 住居表示を実施する市街地の区域及び当該区域における住居表示の方法を定める件
議案第16号 道道の認定及び廃止についての意見に関する件
議案第17号 市道の認定及び変更の件
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〇出席議員(67人)
議 長 武 市 憲 一
副 議 長 西 村 茂 樹
議 員 細 川 正 人
議 員 小須田 悟 士
議 員 峯 廻 紀 昌
議 員 桑 原 透
議 員 藤 川 雅 司
議 員 林 家 とんでん平
議 員 谷 沢 俊 一
議 員 芦 原 進
議 員 阿知良 寛 美
議 員 小 形 香 織
議 員 伊 藤 理智子
議 員 佐 藤 典 子
議 員 坂 ひろみ
議 員 長 内 直 也
議 員 村 松 正 海
議 員 山 田 一 仁
議 員 近 藤 和 雄
議 員 勝 木 勇 人
議 員 三 宅 由 美
議 員 村 上 勝 志
議 員 三 浦 英 三
議 員 青 山 浪 子
議 員 坂 本 恭 子
議 員 熊 谷 憲 一
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 恩 村 一 郎
議 員 小 林 郁 子
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 横 山 光 之
議 員 馬 場 泰 年
議 員 宮 村 素 子
議 員 笹 出 昭 夫
議 員 藤 原 廣 昭
議 員 小 野 正 美
議 員 涌 井 国 夫
議 員 本 郷 俊 史
議 員 高 橋 功
議 員 宮 川 潤
議 員 井 上 ひさ子
議 員 高 橋 克 朋
議 員 堀 川 素 人
議 員 三 上 洋 右
議 員 上瀬戸 正 則
議 員 村 山 優 治
議 員 宮 本 吉 人
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 大 西 利 夫
議 員 柿 崎 勲
議 員 義 卜 雄 一
議 員 小 川 勝 美
議 員 飯 坂 宗 子
議 員 原 口 伸 一
議 員 田 中 昭 男
議 員 福 士 勝
議 員 松 浦 忠
議 員 大 越 誠 幸
議 員 高 橋 忠 明
議 員 小 谷 俵 藏
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 敏 雄
議 員 湊 谷 隆
議 員 小 田 信 孝
議 員 柴 田 薫 心
議 員 佐 藤 美智夫
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〇欠席議員(1人)
議 員 高 橋 秀 典
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〇説明員
市 長 上 田 文 雄
助 役 田 中 賢 龍
助 役 福 迫 尚一郎
助 役 小 澤 正 明
収 入 役 牧 野 勝 幸
交通事業管理者
交 通 局 長 黒 田 隆 樹
水道事業管理者
水 道 局 長 小 川 敏 雄
総務局長 濱 田 雅 英
企画調整局長 下平尾 文 子
財政局長 平 口 愛一郎
市民局長 高 本 光 藏
保健福祉局長 宮 田 睦 彦
環境局長 中 野 淑 文
経済局長 波 田 正 明
建設局長 田 中 透
都市局長 千 葉 守
下水道局長 仁 科 聰
市立札幌病院長 富 樫 武 弘
消防局長 藤 林 義 廣
教育委員会委員 村 田 忠 良
教育委員会教育長 松 平 英 明
選挙管理委員会委員長 青 木 護
選挙管理委員会委員 越 智 健 一
人事委員会委員 大 塚 龍 児
人事委員会事務局長 宮 崎 芳 幸
監査委員 川 越 公 夫
監査事務局長 南 槇 子
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〇
事務局出席職員
事務局長 岸 稔
事務局次長 長 岡 大
総務課長 高屋敷 智 彦
議事課長 大 島 和 幸
調査係長 武 田 章 憲
資料係長 山 越 英 明
議事係長 出 井 浩 義
記録係長 長谷川 万壽美
委員会一係長 酒 井 欣 洋
委員会二係長 中 村 俊 樹
書 記 菅 原 正 子
書 記 柴 井 康
書 記 堀 川 秀 樹
書 記 酒 井 智 美
書 記 本 島 光 二
書 記 松 崎 朗 子
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〔午後1時開議〕
○議長(
武市憲一) ただいまから,本日の会議を開きます。
出席議員数は,67名であります。
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○議長(
武市憲一) 本日の
会議録署名議員として
小谷俵藏議員,
阿知良寛美議員を指名します。
――
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○議長(
武市憲一) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(岸稔) 報告いたします。
高橋秀典議員は,所用のため本日の会議を欠席する旨,届け出がございました。
本日の議事日程,請願・
陳情受理付託一覧表及び
質問順序表は,お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
――
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○議長(
武市憲一) これより,議事に入ります。
日程第1,議案第1号から第17号までの17件を一括議題といたします。
ただいまから,代表質問に入ります。
ここでは,本定例会に提出されております議案第1号から第17号までに加え,平成15年第2回
定例市議会において提出されております
企業会計決算議案6件につきましても,あわせて取り扱います。
通告がありますので,順次発言を許します。
長内直也議員。
(
長内直也議員登壇・拍手)
◆
長内直也議員 私は,ただいまから,
自由民主党議員会を代表して,平成14年度決算を初めとする諸議案並びに市政の諸課題につきまして,提案を交えながら,順次質問いたします。
質問に先立ちまして,今回の十勝沖大地震におきまして被害に遭われた皆様に,心からお見舞いを申し上げます。
道内では,先日の台風10号に引き続いて多くの被害を受けました。
札幌市内におきましても住宅の損壊24戸,道路の陥没4カ所,水道の断水15戸,また,けがをされた方は7名との報告を受けております。
被災箇所の復旧に全力を尽くしていただくとともに,けがをされた方の一日も早いご回復をお祈り申し上げ,あわせて,今後も,災害時における行政の迅速な対応を切に要望するものであります。
それでは,質問に入らせていただきます。
最初に,市長の政治姿勢についてお伺いいたします。
まず,広報さっぽろ9月号の市長の特集記事についてであります。
これは,「
札幌市長上田文雄の新
札幌まちづくり白書」という題名で,4ページにわたる漫画を使用したものでありますが,非常に内容が稚拙であるばかりでなく,本人のプロフィールの紹介や趣味の披露,お決まりの
自転車通勤,
三角山登山などをPRしているものであります。本人の
後援会新聞にでもお使いになればよろしいものでありまして,貴重な市民の税金を使った広報誌には,全くなじまないものであると考えております。
広報さっぽろの
発行責任者として,市長はこの記事についてどのようにお考えか,お伺いいたします。
次に,市長のパーティー券問題についてお伺いいたします。
これは,「
上田文雄市長の出発を祝う会」なる
政治資金パーティーの券が,あろうことか,札幌市の幹部200人,さらには札幌市が出資している団体にまで送りつけられていたものであります。
このことが明るみになり,慌てて回収するという前代未聞の大失態を演じたわけでありますが,市長は,後援会の判断で送付したことであり,その情報を知って回収を指示したと発言をしております。また,私は,亡くなったご主人あてに送りつけられたということも実際聞いております。非常にずさんな管理状態が明らかになっております。
市長の後援会が行ったこととはいえ,市長の
道義的責任は免れないものであります。改めて,このパーティー券問題について,市長のご見解をお伺いいたします。
次に,いわゆる火曜会という会合についてであります。
これは,月に一度,市長を囲んで定期的に開催されているそうでありますが,この参加者の中には,田中助役や市議会の与党会派の幹部,また,そればかりではなく,
行財政改革の対極にある連合や
市職員組合の幹部も出席しているそうであります。市長は,市民派を標榜し,広く市民意見に耳を傾けることや市役所の改革を声高に主張しているわけでありますが,それとは裏腹に,このような団体と定期的に協議している現状が明らかになりました。
今後ますます求められてくる改革への足かせとなる懸念や,特定の団体の利益を優先することにつながってくると考えられますが,市長はどう考えているのか,明らかにしていただきたいと思います。
次に,財政問題についてお伺いいたします。
まず,平成14年度決算の評価についてであります。
今回の平成14年度
一般会計決算は,第4次札幌市
長期総合計画における第1次5年計画の3年次目の予算であります。
平成14年度
一般会計予算は,前年度に比べて2.7%減,
政令指定都市移行後,実質的に初の減額となり,予算編成においても,市税収入の減少,生活保護を初めとする扶助費の増や過去の経済対策などにより発行した市債の償還による公債費の増などの
義務的経費が増大するなど,財政の硬直化が一層進みました。
札幌市としては,目標の達成に向け,経済の活性化,
少子高齢社会に対応した地域福祉の推進,環境と調和した豊かな暮らしの実現,
総合交通対策の推進,市民文化の創造とスポーツの振興,市民・企業・行政のパートナーシップの推進,
IT経営戦略の推進の七つの政策課題を柱として重点配分されたものであります。
一方,平成14年度
一般会計決算を見ますと,収入額は,個人・
法人市民税の落ち込みなどによって前年度に比べ約6億円の減となったものの,市税の納税対策の
取り組み強化により,予算と比べ約26億円の増となったことは評価できます。歳出では,
生活保護費を初めとする扶助費・公債費がそれぞれ対前年度比89億円,31億円と大幅に増加するなど,厳しさを増してきております。
また,事務事業の再構築や徹底した経費の削減などにより,予定していた42億円の
財政調整基金の取り崩しを行わずに済み,実質収支も約25億円の黒字となり,うち12億5,000万円を逆に
財政調整基金に積み立てることができたことは,特筆すべきことであります。
しかしながら,市債残高を見ますと,通常債の発行額は減少傾向にあるものの,
地方交付税からの振りかえによる
臨時財政対策債の増加により1兆684億円となっており,さらに,
企業会計の借金は地下鉄の4,883億円を筆頭に,合わせて1兆1,040億円となっております。一般会計,
企業会計を合わせた市民1人当たりの借金は,約118万円と大変大きなものになっております。
主要財政指標で見ますと,
経常収支比率,
起債制限比率ともに
政令指定都市平均を下回っているものの,悪化傾向にあります。また,平成14年度決算を他の政令都市との比較で申し上げますと,市民1人当たりの市税収入は
政令指定都市中最下位であり,
地方交付税では神戸に次いで2番目に多く,一方,
老人医療費は最も高く,国保の収納率も最下位であります。
そこで,質問でありますが,平成14年度決算の評価について,市長はどのように評価されているのか,お伺いいたします。
次に,平成14年度決算における他
会計繰出金は1,089億円で,
一般会計総額の13.4%を占め,特に,
国民健康保険会計,
下水道事業会計,
高速電車会計の額が大きくなっております。今後もますます硬直化する
財政状況の中で,
行財政改革の観点からも他
会計繰出金の見直しが必要と考えますがいかがか,お伺いいたします。
さらに,
上田市長初の本格予算となる来年度予算編成に対する基本的な考え方について,特に重点的に取り組む課題を明確にした上で,お聞かせいただきたいと思います。
次に,
行財政改革についてお伺いいたします。
市長は,選挙での公約として,適正な人員配置や事業の効率化により,今後4年間に200億円の
経費削減を図ることを訴えておりました。
まず,さきの第2回定例会におきましても議論されておりましたが,200億円の
経費削減について,再度お伺いいたします。
つまり,我が会派の横山議員の質問に対しては,桂市政において,平成10年度からの5年間で363億円の財政効果を生み出したことを評価した上で,それに加えて,さらに200億円削減していく旨の答弁をされておりましたが,
新政クラブの田中議員の質疑に対する答弁では,歳出全般にわたる見直しを行う中で200億円の
経費削減を目指すというようにすりかえられております。
平成18年度には435億円の財源不足が見込まれる中で,市役所のスリム化や徹底した事業の効率化を進めていかなければならないことは自明の理であります。200億円の
経費削減について,改めて市長のお考えをお伺いいたします。
さらには,適正な人員配置について,どのような尺度を持ってその適正化を図るのか,具体的にお伺いいたします。
次に,
出資団体の見直しについてお伺いいたします。
市長は,公約で,第三セクターを改革し,職員の慣習化された天下りの廃止をうたっているものの,では,現実として何をどのように改革していくかのビジョンは明確に示されておりません。
また,我が会派では,民間に委託できるものはどんどん移譲していく中で,民間同士の競争原理が働き,よりよいサービスを安価に提供できるものと考えております。
平成14年度より導入された指定団体に対する
出資団体評価システムについて,所管している各部局が評価し,
出資団体調整委員会が2次的評価を加えて全体の評価としておりますが,この
出資団体調整委員会は,総務局長を委員長として,
企画調整局長と
財政局長を委員として構成されております。
そこで,質問でありますが,身内が評価していたのでは,どうしても甘い評定になってしまいがちであり,
出資団体調整委員会の中に第三者を入れて評価する必要があると考えますがいかがか,お伺いいたします。
また,職員が
出資団体へ再就職した場合については,市民からの不信感を招かぬよう積極的な情報提供が求められており,その一環として,本市では,氏名を含めた再就職先の公表を行う意向を示しておりますが,それによってどのような効果が期待できるのか。また,道が,今後,
指名業者等の民間企業への再就職者に対しても氏名の公表をする方針でありますが,札幌市ももっと踏み込んで情報公開すべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
さらに,札幌市から
出資団体への委託事業の中で,民間企業へ再委託を行っているものがありますが,
出資団体を通さずに直接委託を行った方が効率的であり,なおかつ,情報公開も容易であると考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,
ごみ収集事業の民間委託についてお伺いいたします。
ごみ収集の
民間委託化につきましては,我が会派としても,
行財政改革臨時調査会の中で2度にわたる提言を行ってまいりました。
現在,直営と民間委託は,配車台数ではほぼ半数程度まで委託化が進んできており,高く評価をしているところでありますが,
全面委託化にはまだ遠い状況であります。ご承知のとおり,ごみの減量化,リサイクルの推進を今後とも一層図っていくためには,コストの増大は避けて通れないものであります。
ごみ収集車1台当たりの経費を比較すると,委託車は直営車の55%の所要額であり,今後も委託割合を拡大していく必要があると考えます。
また,今後,家庭ごみの有料化が議論されてくる場合がありましても,当然,
市役所内部の効率化への努力が問われてくるわけであります。
そこで,質問でありますが,
ごみ収集事業の
全面委託化も視野に入れながら,委託割合を拡大していくことについてどのように考えるのか,お伺いいたします。
次に,今回600万円の補正予算が計上されております札幌市
敬老優待乗車証交付事業,すなわち,
敬老パスの調査費についてお伺いいたします。
敬老パス事業の趣旨は,多年にわたり社会の発展に寄与してきた高齢者を敬愛し,明るく豊かな老後の生活の充実を図るためとなっており,介護予防にも大きな効果を上げているものと考えます。
この制度は,市の単独事業であり,平成15年度当初予算では35億2,200万円が計上され,今後も毎年約2億円ずつ増加する見込みとなっております。一方,各交通機関の乗車実績によると,
敬老パスの交付を受けた高齢者1人当たりの
年間使用額は4万4,000円と推計され,乗車実績に見合うよう事業費を見積もると71億円となるわけであります。
市長は,
タウントークなどでも,この制度の存続を前提としながらも,所得制限をするなどの制度の見直しについて言及をしております。
そこで,質問でありますが,
敬老パスの調査費を計上した目的について,改めてお伺いいたします。
また,
アンケート調査をするとのことでありますが,どのような内容を考えているのか,お伺いいたします。
さらに,
敬老パスの見直しを仮にする場合,この制度の趣旨を考えると,所得制限はなじまないと考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,遊休土地の活用についてお伺いいたします。
バブル経済崩壊以降の長期にわたる景気低迷や
地価下落傾向のもとで,地方自治体の保有する土地の長期化や遊休地化が大きな問題となっております。
札幌市でも,将来の発展を見越して,
社会資本整備の基本となる公共用地の取得に力を注いできたところでありますが,近年の社会環境の激変や経済の低迷などにより,その活用が問題とされ,議会でもたびたび議論されてきたところであります。とりわけ,地価下落による資産価値の減少や社会情勢の変化による
長期保有化は,札幌市の
財政状況にも
借入金利息の増大や資金運用にも大きな影響を及ぼしているのは明らかであります。
このことに関しては,我が会派は,平成8年
行財政改革臨時調査会を発足させ,札幌市の厳しい
財政状況の対応策として,各種事業の見直しや財政力の強化などの提言を行ってまいりましたし,第2次調査会においても,
長期保有地の早期解消などの土地問題について,3項目から成る提言を行ってきたところであります。
いま一度,振り返りますと,その一つは,公園,雪堆積場,
市民広場等,その他公共事業での活用を早急に検討すること。二つ目は,他事業等で利用できない用地については,都市計画,住区計画の変更,あるいは,旧地主や地元の合意の問題等の調整を十分行った上で,売却処分の検討をすること。三つ目としては,保有10年未満のものについて事業化への積極的な検討を図ることでありました。
ちなみに,本年4月1日付での札幌市
土地資産保有状況は,
土地開発公社所有の
先行取得用地は124ヘクタール,取得価格で207億円となっており,
累積金利負担額でも約68億円であり,単年度でも約3億8,000万円となっているのであります。また一方,
管財部所管の普通財産は約174ヘクタールであり,5年前と比較し,約2.4%アップとなっております。
そこで,質問ですが,市長は,このような現状を踏まえ,どのように受けとめ,認識されているのか,まず最初にお伺いいたします。
次に,2点目として,今後,利用,活用を含めて,どのように取り組んでいくお考えなのか,お尋ねいたします。
また,3点目に,これらの土地利用については全庁的な協議の場として
公有地利用調整会議が設けられておりますが,この調整会議における今後の方向性を含め,市長のお考えをお伺いいたします。
次に,入札制度についてお伺いいたします。
今日のよく整備された札幌の街のたたずまいを見るまでもなく,戦後半世紀にわたり,街づくりの上に果たしてきた
地元建設業の役割は,まことに大きいものがあります。また,冬期間,市民生活を雪から守る除雪事業の担い手として,さらには,しばしば本市を襲った水害など,自然災害との闘いで防災や復旧に果たしてきた役割も極めて重要であります。
ところが,その
地元建設業が厳しい経営環境にあることは,十分認識をされていることと思います。
札幌市の事業発注額は,平成11年度から約22%減少し,小規模企業ほど深刻なダメージを受けている様子であります。登録業者数も,4年前に比べて579社,約14%も減少しているのが実態であります。
工事の契約方法についての改善を求める声に執行者側がもっと真摯に耳を傾けて,みずからの発注者責任と市民生活を守り抜く哲学とを持って前向きに取り組むことこそ,今,消沈している建設業界の意欲を引き出し,活性化に結びつける上で何よりも大切だと思うのあります。
そこで,2点についてお尋ねします。
1点目は,工事の予定価格の事前公表についてであります。
事前公表を実施した結果,過去の経験から最低制限価格を割り出す業者が一切積算する苦労もなしに,電卓一個で入札に応札できる道を開いてしまいました。また,公募型指名競争入札では,わずかな縛りをクリアした希望業者すべてを入札に参加させる事実上の一般競争入札の姿になっているため,最低制限価格の付近に多くが集中し,中には数十社の同額落札者同士が抽せんするという,かつて例を見ない状況が多発しております。
確かに,地方自治法には,入札の最低額が同額になった場合には抽せんで落札者を決めるとされていますが,これは例外的な措置を決めたもので,このように大量な,しかも継続的に抽せん落札が出ることを予定しているものではないと思われます。
法律家でもある市長は,こうした状態を正常な姿と見られているのか,好ましくないと見て改善する考えがないのか,お伺いいたします。
また,事前公表の改善の申し入れに対し,担当の財政局では,全国的な傾向を見ても,
政令指定都市では,一部試行も含め,全市で事前公表を導入しており,入札等監理委員会の意見に基づくものなので,当分変更するつもりはないと答えております。
そこで,積算を省いた入札がまかり通れば,市が標榜する経営と技術にすぐれた企業を育てるという目的から大きくそれることになると思われます。無積算企業を排除すべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
第2点目として,経常共同企業体制度の効果的な活用についてであります。
現在,複数の企業が持てる力や技術を互いに発揮し合って成果物をつくり上げる制度の一つに経常共同企業体制度があります。この登録は2年に1度行われるのみで,言いかえると,一度組んだら,2年間組みかえができません。
そこで,経常共同企業体制度をより効果的に活用するために登録期間を短縮すべきであると考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,札幌新まちづくり計画の策定について伺います。
このたび,上田市長は,札幌新まちづくり計画の策定を提言されました。これは,さきに示された市長の施政方針であります,さっぽろ元気ビジョンの実現に向けて策定する,さっぽろ元気プランにおける街づくりのプランとして,従来の5年計画にかえて策定されるものと伺っております。
札幌市は,昭和46年策定の札幌市
長期総合計画を初めとして,4次にわたる
長期総合計画を策定し,これに沿って計画的な街づくりが進められてきました。また,これら
長期総合計画が掲げる街づくりを推進するための中期の実施計画として5年計画を策定し,社会の変化に的確に対応しながら効果的な計画の実現を目指してまいりました。
このように,長期的展望に立った計画的かつ継続的な街づくりが行われた成果が,今日のすばらしい近代都市札幌の姿であります。186万の大都市として,札幌ドームやKitara,芸術の森やモエレ沼公園,そして,先ごろオープンした札幌コンベンションセンターなど多くの魅力的な公共施設を抱え,かつ,地下鉄や整備された道路網で,首都圏のような通勤ラッシュや渋滞に苦しまずに済み,自然にも恵まれた文化都市となりました。世界じゅうのどこから来た人にも,美しい街,住んでみたい街と高く評価されるところです。
私たちは,このすばらしい街づくりを21世紀の次世代の札幌市民に受け継いでいかなくてはなりません。新しく民間出身の市長となられた上田市政のもとで,どのような街づくりが行われるのか,市民の大いに注目するところであります。
今回,上田市長は,さっぽろ元気ビジョンを示されて施政方針とされました。先人が営々として築き上げてきた札幌の街づくりが,後戻りすることがあってはなりません。私たちは,果たして,さっぽろ元気ビジョン並びに札幌新まちづくり計画がそれにふさわしいかどうか,十分に検証しなくてはなりません。
これまでの札幌市の発展は,一つは,人口増加が大きな要因となっておりました。昭和30年には50万人だった人口が,昭和47年,札幌オリンピックの年には100万人を突破し,今日では186万人にまで膨れ上がりました。人口の増加が消費を拡大し,これが刺激となって産業が盛んとなり,それがさらに人口の増加を呼んでまいりました。
いま一つの要因は,国からの資金の流れであります。札幌市の財政力指数は,平成13年度に0.634と,政令市の中で北九州に次いで下から2番目に弱く,
地方交付税が全国で1番目に多い都市であります。また,北海道という地域的特性から国庫補助金も大きく,国への依存度が高いということであります。
しかし,第4次
長期総合計画が予測しているとおり,2020年の人口200万から210万がピークで,それ以降,札幌市の人口は下降に転じます。また,小泉内閣の三位一体改革は
地方交付税と国庫補助金の削減を目指しており,その見返りとしての財源移譲は先行き不透明であります。このように札幌の発展を支えてきた財政的な要因について,大きな変化が予測されます。
そこで,質問の第1点目として,元気ビジョンとそれに基づく新まちづくり計画は,第4次
長期総合計画の中でどのように位置づけられるのか,お伺いいたします。
次に,新まちづくり計画における成果指標についてであります。
新まちづくり計画は,街づくりの理念や指針を示すビジョン編と計画期間の平成16年から平成18年度までの3年の間に重点的に進める事業を掲載する重点事業編の2編構成とするとのことでありますが,ビジョン編においては,計画対象を元気ビジョンの街づくり方針の基本的方針に掲げられた五つの基本目標と17の重点戦略課題に重点化するとしております。そして,街づくりの目標と成果をわかりやすく示す取り組みとして,成果指標を試行的に導入することとしております。
札幌新まちづくり計画策定方針の概要によりますと,成果指標の例として,少子化対策の推進の場合,札幌が子育てしやすいと感じる保護者の割合を,現状の平成15年の40%から,目標年次の平成18年度には50%にするというものがあります。市長の緑を30%ふやすという公約についても,目で見たときに感じる緑の量などと言いかえて責任を逃れるつもりではないかと不安になります。このような主観的な評価を持ち込むのは,数字をどのようにでも操作しやすく,フェアとは言えません。毎年,成果を見る政策評価方法をつくるということですが,マニフェストのように,数値目標を掲げながら,評価があいまいで,結局,責任をとらないシステムではないのかという疑問が残ります。
そこで,質問の2点目として,新まちづくり計画における成果指標について,市長のご所見を伺います。
次は,札幌新まちづくり計画市民会議の設置についてであります。
委員24名程度で,うち8名が公募ということでありますが,ことしの10月に立ち上げて,11月から12月にまちづくりミーティングを開催し,平成16年1月から2月にかけてシンポジウムを行い,3月にはビジョン編を公表するということでありますが,これは拙速主義と言うべきか,余りにも時間が足りません。結論から言えば,上田市政特有の市民の意見を聞いて合意を取りつけたという,いわば形式を整えるパフォーマンスであります。
札幌駅前通地下歩行空間の議論のときにも,実現に向けて頑張ると明言しておきながら,なお,市民合意のための論議を言い張りましたが,これもまた,結論を市民に押しつけるだけで,真の市民論議とは言えない単なるパフォーマンスであります。結局,責任を市民に押しつけるための儀式であり,無責任体制と言うべきであります。
市長として,リーダーシップを期待されながら,それを発揮せず,先ごろ西区で行われた
タウントークでも,司会者の男性との対談ばかりで,参加者に自由に発言をさせず批判を浴びるなど,市民の間に上田市長に対する静かな失望が広がっています。
そこで,質問の3点目として,札幌新まちづくり計画市民会議において,市民合意のための論議をどのように担保し,実効あるものにしていこうと考えておられるのか,市長のご所見を伺います。
次に,住民基本台帳ネットワークシステムについてお伺いいたします。
第2回
定例市議会においても申し上げましたとおり,住民基本台帳法第30条の5に,明確に,市町村長は,住民票の記載,消除又は全部若しくは一部についての記載の修正を行った場合には,本人確認情報を都道府県知事に通知するものとすると書かれていることから,選択制は認められないものであります。
しかし,市長は,横浜市の状況や長野県本人確認情報保護審議会と総務省の調査会との討論会の結果等を踏まえて,2次稼働後の状況も見定めながら,どのようなことが可能か,さらに検討を進めたいとの答弁を繰り返したのであります。その後,長野県審議会及び総務省運営調査会の討論会では,セキュリティー問題に関してのみの議論でありました。
また,さきの定例会でも申し上げましたように,横浜市の方式は選択制とは言えないものでありますし,1次稼働から離脱していた国分寺市でも,個人情報保護法の成立を受け,8月18日から接続を開始し,また,中野区も9月16日に接続を開始するなど,全国的な流れも参加の方向にあります。
札幌市の8月25日の2次稼働から現在まで,特にシステム的なトラブルもなく,順調に運営されているところであります。
こうした現状の中,市長は,庁内で対策会議を立ち上げたとのことでありますが,選択制が認められない中で,一体何をどのように検討するのか,まず,お伺いいたします。
また,市長が心配されていることについて,現実に総務省との意見交換などをしているという話は全く聞いたことがありませんが,総務省とどんなやりとりをしているのか,お伺いいたします。
次に,2次稼働が始まって以来,9月29日現在で,住民基本台帳カードの交付を受けた市民は1,518件になっております。
この住基ネットのサービスを受けたいという市民が日に日に増加をしている状況を市長はどのように評価されているのか,お伺いいたします。
さらには,法で認められない選択制をいつまでも検討するということは,ただ単に問題を先送りすることでしかないと言わざるを得ません。選択制をとることはできませんと明言すべきでありますがいかがか,お伺いいたします。
次に,コンベンションの誘致についてお伺いいたします。
本市は,ことし東京事務所のほかに北京事務所を開設し,シティPRに本腰を入れる体制をつくり,観光コンベンションの誘致にも力を入れるということですが,当面,どのようなコンベンションの誘致を考えておられるのか,まず,お伺いいたします。
我が会派といたしましては,小さなイベントでも多数誘致することを心がけ,着実な前進を目指すとともに,長期的な目標としては大きなイベントの誘致も視野に入れておくべきと考えます。
皆様ご承知のとおり,ありとあらゆる観光コンベンションの中で,最も集客効果があり,シティPR効果があるのはオリンピックであります。1972年に行われた札幌オリンピックは,札幌の名前を全世界にアピールして余りある効果を発揮し,その輝かしいステージでの日本選手の活躍は,当時の札幌市民にも勇気と誇りを与えてくれました。
以来,31年間の歳月が流れたわけですが,残念ながら,現在の若い世代の人たちのほとんどは札幌オリンピックのことを知りません。過去を振り返るだけでは,新しい都市間競争の時代の中で優位な立場を築けなくなってきているのが現状であります。オリンピックを誘致するためには,最低でも12年間IOCの会議を誘致したり,市民意識を盛り上げるためのイベントを繰り返したりと,血のにじむようなアプローチを地道に続けなければなりません。
しかし,今の札幌市の経済は過去に例を見ない大変厳しい状況にあり,この状況から脱却するためにも,市民の気持ちが一つにまとまるような大きな刺激剤が必要です。そして,その刺激剤としては,オリンピックの誘致こそがうってつけであります。
そこで,2点目の質問ですが,市長には,札幌オリンピックを再度開催する意思があるのかどうか,その意気込みのようなものがあったならば,それをお聞かせいただきたいのであります。
3点目の質問としては,サミットの誘致についてお伺いいたします。
本市は,去る2000年サミット開催において,その開催地として立候補したことがあるわけですが,誘致活動が他都市に出おくれ,結果として2000年サミットは沖縄と九州に破れたわけです。我が会派としては,このまま終わらせてしまうのはいかがかと思うのであります。
折しも,この5月には,市内を中心とする民間企業130社が,各種コンベンション誘致を目指すコンベンション関連産業札幌ネットワークなるものに加盟し,その総会で2008年のG8サミットの誘致を目指すことが決議されました。
そこで,質問ですが,過去の経緯も踏まえ,来る2008年のサミット開催については,その開催地として,再度,立候補するつもりがあるのかどうか,お聞かせ願いたいと思います。
4点目の質問としては,コンベンションを誘致した後の決算書の作成についてお伺いいたします。
ワールドカップのときもそうでしたが,行政が大規模なイベントを企画した際には,必ずその経済波及効果についての見積もりが出されます。ところが,そのイベントが終わってしまいますと,その結果が実際どうであったのかについての綿密な調査はほとんど行われず,漠然とした事例を挙げての自画自賛的な報告があるばかりであります。
ワールドカップの場合などは,200億円という経済波及効果が見積もられたわけでありますが,結果的に,その検証は行われておりません。経済効果の見積もりとその結果が余りにもかけ離れた数字になった場合,きちんとした事後検証なしに次の企画に取りかかってしまっては,同じ過ちを繰り返す危険性があります。
経済波及効果の調査方法には一定の規格があり,調査項目や調査範囲などがその規格に定められており,規格どおりの調査をするにはそれなりのコストがかかります。しかしながら,コンベンションの積極的な誘致を目指している本市としては,事後の検証もしっかり行う必要があると考えます。
そこで,一つのコンベンションやイベントを誘致した後には,その経済波及効果に関する決算書のようなものを作成するように心がけるべきと思われるのですが,この点についてのご見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に,福祉施策について伺います。
最初に,介護保険事業についてお伺いいたします。
介護保険制度の施行から3年が経過し,要介護認定者は急増しており,在宅介護を目的としているが,在宅サービスの脆弱性の指摘,痴呆性高齢者の顕在化,高齢者虐待等,介護の質の課題が浮き彫りとなってまいりました。
平成15年度の見直しは,基本的には制度創設の理念と介護のあるべき姿の実現に向けて,在宅重視と自立支援,介護予防及び介護報酬にかかわる改定でありました。
札幌市でも,この改定に沿って,高齢者が生き生きと安心して地域で暮らしていけるよう,介護を必要とする状況になっても,その人の能力に応じた自立した日常生活を送ることを目指し,事業の充実に取り組んでいるところであります。
一方,札幌市の高齢者増を見ると,高齢化率は平成15年度で15.7%,また,平成13年度の調査でありますが,全世帯の約24%は高齢者あるいは高齢者のいる世帯であり,持ち家率は約8割であります。また,高齢者全体の約58%は何らかの疾病を持ちながら通院しており,将来の健康に不安を持っている方が多い状況であります。
介護保険認定者は,この8月末現在4万7,635人で,そのうち施設サービスの保険給付費用は65.9%を占めます。最期まで住みなれた家にいたいと願いながら,望まぬ施設に行かざるを得ないという状況にあり,自分らしくいたい願望は加齢とともに失われているのが現状であります。
平成15年6月現在の特別養護老人ホーム入所申込者数は3,125名であり,そのうち要介護度4,5レベルの方の待機場所は,在宅173名,老人保健施設297名,療養型医療施設193名,病院275名となっており,緊急入所必要度の高い方たちであります。
そこで,1点目の質問ですが,特別養護老人ホーム入所の必要性,緊急性の高い要介護度4,5レベルの方々938名への対処をどのように考えているのか,お伺いいたします。
次に,在宅介護を受ける方にとって,訪問介護時間は24時間の生活の中で,点でしかありません。面としての介護に近づける必要があります。
最近,国において,小規模・多機能拠点整備を打ち出しておりますが,今後,重要な施策になると思われます。
そこで,2点目として,この小規模・多機能拠点整備の目指すことはどんなことか,お伺いいたします。さらに,札幌市でこの事業をモデル的に,先駆的に取り組むべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,介護にかかわる苦情についてであります。
平成14年度札幌市の介護サービスに対する苦情相談件数は209件で,その多くは本人や家族からの苦情であります。内容は,介護サービスに関する苦情が73%と高く,サービスの質の問題,従業者の態度,説明・情報提供不足が指摘されております。
一方,老人福祉施設,介護老人保健施設の監査結果を見ると,施設運営に関する件での口頭指導が最多であります。施設サービス計画の作
成,事故発生時の対応,苦情処理体制の掲示がない,定員を超えて入所させているなど,介護サービスの質と安全性に影響するだけに職員の資質も課題にしなければなりません。また,職員処遇面での口頭指導件数も多く,職員給与関係,就業規則関係,健康診断関係であり,これらは,職員の定着性,モチベーションにかかわり,ひいては介護サービスの質への影響も二次的に派生するものであり,問題であります。
そこで,質問でありますが,1点目として,介護サービスに対する苦情や施設における介護サービス計画の不備等から,介護関係者による高齢者虐待が潜在しているのではないかと推察いたしますが,高齢者虐待についてどのような情報を得ているのか,お伺いいたします。
2点目に,在宅介護,施設介護ともに介護の質が問われていますが,札幌市として,この介護の質向上に今後どのような役割を果たすつもりか,お伺いいたします。
さらに,3点目として,介護保険の見直しで介護報酬も改定されました。介護サービスの質向上と介護にかかわる職員の適正配置が求められてくるわけですが,監査結果から,介護職員の労働条件未整備や報酬体系にも課題があるのではないかと考えます。この点について,札幌市として,どのように認識をされ,今後どう対処されるお考えか,お伺いいたします。
次に,社会福祉施設などにおけるレジオネラ症防止対策についてであります。
レジオネラ症は,肺炎症状を呈し,肺炎と鑑別することが困難である上,病勢の進行が早いことから,適切な治療がおくれると,死亡または重篤な結果に至る可能性があることから,社会的にも,近年,注目をされております。
平成15年,厚生労働省は,レジオネラ症を予防するために,レジオネラ症の感染源となる入浴設備,空気調和設備の冷却等及び給湯設備などにおいて,衛生上,講ずべき措置を示しております。
そこで,質問ですが,札幌市は,各社会福祉施設における浴槽水のレジオネラ菌検査を実施されているのか,お伺いいたします。さらに,検査結果は公表すべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,地下鉄の経営基盤の安定化についてお伺いいたします。
札幌市の地下鉄は,開業以来,公共交通機関の柱として,積雪寒冷地に住む我々市民に対して極めて重要な位置を占めてまいりました。
しかしながら,その建設にかかる莫大な経費と多額な債務が大きくのしかかってきております。市民の利便性の向上と企業としての採算性の追求は必ずしも一致しないとはいえ,赤字経営を黙って見過ごすこともまたできません。
市長は,同じ悩みを抱える都市同士が連携を図って国に支援を求めていくことを表明しておりますが,私は,それだけでは認識が甘過ぎると言わざるを得ません。
横浜市の諮問機関である市営交通事業あり方検討委員会の答申では,経営責任の明確化のために,人事や賃金及び勤務にかかわる制度,資金調達,投資判断については,最低限,みずからの責任で決定,実施できる組織であることが極めて重要であり,一方,現行では,自主・自律の経営を実践することが非常に困難であり,実質的に民間並みの経営の自由度が得られないことから,これを実現する最終的な経営形態としては,完全民営化イコール株式会社化が最も望ましいとしております。
また,今後30年間の運賃収入で償還できない債務額を算出し,それをさらに経営の効率化によって削減される額を過剰債務額とした上で,この過剰債務額については市財政当局の責任において処理されるが,残る債務については,市営地下鉄事業が徹底したコストダウンと,さらなる増収活動という職員一丸となった営業努力により,みずからの責任において処理していくという過剰債務の棚上げ方式を提言しているわけであります。
そこで,質問でありますが,札幌市の場合,横浜市営地下鉄以上に深刻な状況であると思いますが,地下鉄の民営化についてどのようにお考えか,お伺いいたします。
次に,過剰債務の棚上げ方式について検討の余地があると考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,地下鉄資産の証券化についてお伺いいたします。
私は,昨年,民間の銀行系シンクタンクで資産の証券化手法について説明をいただき,特に札幌市において,多額の累積債務を生じ,赤字経営が続く地下鉄事業に関して,この手法を利用できないかという観点で考えてみました。
そもそも公共交通とは何のために存在しているのかという点から考えなければならないわけでありますが,市民の利便性のためには採算性ばかりを追求できない面もあるとはいえ,赤字をどんどんふやしてもいいということにはならないと思います。
民間においての資産の証券化は,一つ目として,資産の圧縮によるオフバランス化,二つ目として,資産の流動化による効率性,三つ目として,ROEの改善,四つ目として,より有利な金利での資金調達などのメリットがあります。
一方,公共では,オフバランス化の必要性が必ずしもあるとは言えず,また,施設を売却した場合などには,賃貸料の予算化が新たに必要になることや,もともとその信用力の高さから金利上のメリットも余りありません。
しかしながら,従来のように,自治体や公営企業体が有利な金利コストで資金を調達し続けることができるのかと言えば,必ずしもそうとは言い切れない面もあり,市民が納得をしながら応分の投資をしていくことが,本来の行政と市民の関係ではないかと考えるところであります。
地下鉄は,これからも未来永劫しっかりと残していかなければならない市民の貴重な財産であると改めて認識しております。札幌市としても,地下鉄資産の証券化について,より踏み込んで検討していただきたいと考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,教育問題についてお伺いいたします。
昨年4月から完全学校週5日制と,そのもとでの新学習指導要領の全面実施がスタートしましたが,完全学校週5日制のもとでの新学習指導要領のねらうところを十分に達成するためには,条件整備や学校におけるきめ細かな取り組みが不可欠と考えておりますが,こうした観点に立ってお伺いいたします。
確かな学力の向上のための特色ある学校づくりの推進施策の一つとして,小・中学校で学力向上フロンティア授業が行われております。また,高校段階で,英語教育を重視して取り組むスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール,さらには,科学技術,理科,数学教育を重点的に行うスーパーサイエンスハイスクールと,相次いで,学習指導要領によらない教育課程を編成実施できる新たな研究開発校の指定を行っております。
このように文部科学省が進めているものとは別に,各自治体の教育委員会でもさまざまな取り組みが進められております。
特色ある学校づくりの推進としては,品川区を例にとりますと,教育改革「プラン21」の中で,習熟度別学習,小学校における教科担任制及び国際理解教育,小・中連携教育,中学校における公開授業及び福祉教育,まちの人々に学ぶ授業,ふれあい教育,合同部活動であります。
このうち,習熟度別学習につきましては,一人一人の習熟度や能力に応じた指導を行うことで,基礎的な内容の確実な定着を図るとともに,個性や特性を生かし,個々の学力を伸ばすことをねらいとしており,結果として,児童生徒からは,できる喜びを味わった,教え合い,かかわり合う姿勢が生まれた,学校が楽しくなったなどの成果が上がり,教師の側からは,習熟度・達成度を知ることで次の学習課題が明確になったなど,保護者からは,学力低下への不安が解消に向かい,習熟度別学習への偏見が少なくなったなどの声が上がっております。
また,まちの人々に学ぶ授業におきましては,教師が刺激を受け,みずからの指導の幅を広げることができた,児童生徒の社会性を培い,地域に対する愛着が増したなどの成果が上がっております。
また,ふれあい教育,合同部活動につきましては,前者は,体験学習を通して,対人関係の能力を育て,集団内における望ましい人間関係をつくることをねらいとしており,後者は,生徒数の減少や指導者の不在により,生徒が希望する部活動が実施できない状況を受けて,他校と連携して合同で活動する試みであります。
また,昨年,大阪府教育委員会で説明を受けてまいりましたが,高校の教員公募制度を今年度から導入しております。
大阪府議会での,民間人から,柔軟な発想や企画力を持ち,教職員の力を結集できるすぐれたリーダーシップを発揮できる人材を登用すべきであるとの提言を受け,昨年4月より2名の民間人校長を採用し,また,校長公募制を府立高校2校で実施しております。また,次のステップとして,校長がリーダーシップを発揮しやすい環境をつくり,さらに特色ある学校をつくるためのビジョンを明確に示していく必要があり,人事権を持って資質豊かな人材の登用を可能にするため,本年4月より教員公募制度の導入に踏み切ったものであります。
この制度は,校長がみずからの学校運営のビジョンを明らかにし,必要とする人材を求人情報として示し,それを見た教員は,自分に合った学校を探し,校長に応募するものであります。校長からの求人情報は,府教委のホームページで公開するほか,各学校にも配布することとしており,対象者は1校に7年以上勤務している教員で,新規採用の教員については4年以上となっております。従来,校長間でお互いに必要とする教員の人事交流を行う例はあったものの,学力レベルの低い学校には行きたがらないといった人事の硬直化が問題となっており,この点でも有効であると考えられております。
私は,札幌市においても,柔軟な発想に立った特色ある教育活動,特色ある学校づくりを大いに推進していくべきと考えております。それとともに,一人一人の子供に基礎・基本を定着させ,確かな学力を身につけさせることも極めて重要であると考えます。
そこで,質問ですが,特色ある学校づくりが推進される中で,習熟度別学習を初めとして,学習の基礎・基本を身につけさせるために,今後,札幌市としてどのように取り組むのか,お伺いいたします。また,地域の人材や一芸に秀でた方を講師として迎えることについてどのように考えるのか,お伺いいたします。
さらに,教員の公募制度についてもどのようにお考えか,お伺いいたします。
次に,仮称札幌市立大学についてお伺いいたします。
札幌市と北海道が構造改革特区として共同申請しておりましたさっぽろベンチャー創出特区が,先月,国から正式認定を受けました。この特区は,民間企業が国立大学の研究施設を利用する際の条件などを緩和することによって,市内の産学連携を促進し,新産業創出に結びつけることをねらいとしております。
さて,中小企業が圧倒的多数を占める札幌市の経済活性化を考えるとき,構造改革特区に限らず,産学連携をより一層強化し,大学の研究機能や知的資源を地域内の企業に還元する仕組みをつくっていくことが極めて重要であります。
そこで,平成18年春の開学を目指している仮称札幌市立大学に関してですが,先日,基本構想の発表がありました。地域貢献を具体的に展開するため,産学連携を促進する附属研究センターを設置し,デザイン分野を中心に地元企業のビジネスに直結する共同研究や受託研究に取り組むこととされております。
また,昨年7月に,政府は,知的財産戦略大綱の中で,経済や社会を活性化して,知的財産立国を実現するための重要な戦略の一つにデザインの活用を挙げております。これを受けて,ことし6月に経済産業省がまとめた報告書には,我が国では,欧米諸国に比べて企業とデザイン教育機関との連携が不十分であり,デザインに関する産学官連携を促進すべきとの提言が盛り込まれております。
以上の状況に照らして,市立大学の附属研究センターにおける取り組みは,地域産業の振興や新産業の創出へ大きく貢献するものと期待しております。
しかしながら,附属研究センターが置かれる予定の芸術の森キャンパスは都心部から離れており,効果的な産学連携のためには,企業が行き来しやすい都心部にも拠点が必要と考えます。基本構想では,都心部に開設する市立大学のサテライト施設に企業などとの相談・連絡窓口の設置を検討することとされております。
そこで,質問ですが,そうした機能にとどまらず,市立大学と企業,あるいは企業同士の交流,連携を促進し,ビジネスチャンスを拡大できるような多様な機能を都心部サテライト施設に置くべきと考えますが,どのようにお考えか,お伺いいたします。
最後に,公共施設についてお伺いします。
最初は,今後の公共施設建てかえにおけるPFIの活用についてであります。
PFIの導入により,国や地方公共団体の事業コストの削減,より質の高い公共サービスの提供を図ることができます。公共施設におけるPFIの導入は,その実例においてもコスト面での効果は間違いなくあり,また,契約に至る手続が極めてフェアであります。また,民間業者に対して,新たな事業機会を提供することで経済の活性化にも大きく寄与し,明確な役割・責任分担に伴う新たな官民のパートナーシップの形成にもつながるものと考えます。
札幌市においても,第2斎場建設にこのPFIを導入しましたが,今後,七,八年の間に一斉に建てかえの時期を迎えるであろう札幌市役所本庁舎を初めとする各区役所庁舎などにも導入を図っていくべきと考えております。
そこで,質問でありますが,今後の公共施設の建てかえをどのように進めていくお考えか,お伺いいたします。
また,PFIの導入についてどう考えているのか,お伺いいたします。
次に,区民施設の配置バランスについてお伺いいたします。
市民局が主管する区民施設には,区民センター,コミュニティセンター,地区センターがあります。区民センターは,地域住民の生活文化,教養の向上とコミュニティー活動の助長を図り,地域住民の福祉の増進に寄与することを目的として,各区に設置することとしております。また,コミュニティセンターは,既存の区民センターを利用しづらい遠隔の地域に,区民センターの機能を補完し,地域における住民の自主的な活動を促進するために設置しており,現在は篠路と手稲に開設しております。さらに,地区センターは,地域社会の段階的な広がりに応じたコミュニティーの形成を図るため,区と近隣住区を結ぶ地区に文化,スポーツなどを通じた地区住民のコミュニティー活動の拠点となる施設として設置しております。
つまり,簡単に言いますと,コミュニティセンターは,区民センターから遠い方のために補完的にあるものであり,地区センターは,現存施設から遠隔地区にあり,2から3の連合町内会に一つを目安につくられております。地区センターの各区の配置バランスを見ますと,北,東,白石,南区が3カ所,厚別,豊平,西,手稲区が2カ所で,中央区が1カ所となっております。
そこで,質問でありますが,2から3の連合町内会に一つを目安に各区の配置バランスを考慮して考えますと,まだ今後も建設する必要があると思いますが,この点についていかがお考えか,お伺いいたします。
以上で,私の質問のすべてを終了させていただきます。ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(
武市憲一) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 長内議員のご質問に対して,私からは,13項目ほどございますが,市長の政治姿勢について,財政問題について,
行財政改革について,それから札幌新まちづくり計画の策定について,いわゆる住基ネットワークシステムについて,コンベンション誘致について,さらに福祉施策について,この7点について私からご答弁を申し上げ,残余につきましては各担当助役からご回答をさせていただきたいと思います。
初めに,私の政治姿勢についてのお尋ねでございますので,お答えをさせていただきます。
まず,第1点目の広報さっぽろ9月号の特集記事についてでございます。
このたびの広報誌の特集は,元気ビジョンを踏まえまして,私が,今後4年間,どのような考えに基づいて街づくりを進めていくのかということを,市民の皆さんに広くわかりやすく知っていただくために,このような漫画風の編集を取り入れて作成したものでございます。また,ご指摘のプロフィールや趣味につきましては,私をより身近に感じていただくために掲載したものでございます。
広報誌につきましては,多くの人に関心を持って読んでいただくことが一番大切な使命であるというふうに思っております。このたびの特集につきましては,読みやすくて,わかりやすかったなど,おおむね好意的なご意見をいただいているところでございますが,ただいまのご意見に対しても謙虚に耳を傾け,よりよい広報誌づくりに生かしていきたいと,このように考えております。
2点目の私の後援会が開催いたしましたパーティーにかかわるご質問にお答えいたします。
このパーティーは,私の後援会が新たな体制で再スタートをするに当たりまして,後援会が企画,開催したものでありまして,後援会そのものには私が代表者あるいは役員として参画をしているものではございません。このため,パーティー券の配布について事前に私が知り得る状況にはなかったわけでありますが,後日,札幌市の幹部職員の自宅にパーティー券が郵送されているということや,あるいは,札幌市が出資をいたしております,いわゆる第三セクターに購入を依頼していたという事実を知りまして,直ちに回収を後援会に要請したものでございます。
私が承知していなかったとは申しましても,市長という私の立場と職員との関係を考えますならば,直接自宅へ郵送するということが,出席を強要するということにとられかねないというものでありますし,また,札幌市と関係の深い第三セクターへのパーティー券購入依頼ということも,非常に誤解を招く不見識なことであったと私は認識しております。今後,このようなことがないように後援会に強く申し入れをし,理解を得られたところでございます。
私個人にかかわることにつきまして,関係各位にご心配をおかけしましたことに対しまして,改めておわびを申し上げるところでございます。
3点目の火曜会に関するご質問についてであります。
私は,今後の市政運営に当たって,さまざまな立場の方々と幅広く意見交換をさせていただきながら進めていきたいというふうに考えておりまして,時間の許す限り,各種の会合に出席させていただいているところであります。その中で,市長選挙において私を支援していただいた団体などとの懇談の場にも出席をし,意見交換を行っているものでございます。
この9月からは,各区での
タウントークなども開催しておりまして,市民との対話を重視していきたいと考えているところでございます。また,今後進めていく市役所改革につきましても,公募委員を中心に構成した市役所改革市民会議などの議論を踏まえて,積極的に進めてまいりたいと考えておるところであります。
したがいまして,特定の支援者の声のみに耳を傾けて,その利益を優先することや市役所改革をおろそかにするということは毛頭考えてはおりませんし,そのことを,この際,申し上げておきたいと思います。
財政問題についてであります。
1点目の平成14年度決算の評価についてお答えをいたします。
平成14年度は,歳入の中心となる市税の決算額が,長引く景気低迷の影響などによりまして5年連続で前年度を下回るという中で,歳出では,扶助費や公債費などの
義務的経費が大幅に増加するなど,極めて厳しい財政環境でありました。
しかしながら,桂前市長の3期12年間にわたる総決算の年といたしまして,札幌市を取り巻く経済情勢や社会構造の変化などに関連して,緊急に取り組むべき重点政策課題を中心に,積極的に施策の展開が図られたところであります。
特に,予算編成の際に最優先の課題とされました経済の活性化につきましては,集客交流産業の振興を図るため,その拠点施設となるコンベンションセンターをことし6月にオープンさせるとともに,昨今の厳しい雇用情勢を踏まえて,雇用機会の創出や雇用のミスマッチというものの解消など,緊急的な雇用対策を実施したところであります。
また,子育て環境の充実につきましては,保育所の待機児童の解消を目指しまして,当初計画を上回る保育所の定員増を図ったほかに,札幌市にとりましては,冬季オリンピック以来の世界的なイベントとして注目されました2002年ワールドカップサッカー大会について,その開催都市として大会を成功に導くなど,予定しておりましたさまざまな事業について所期の目的をほぼ達成できたものと高く評価をしておるところでございます。
2点目の他会計への繰出金の見直しについてであります。
各会計の経費は,当該企業の経営に伴う収入など,特定の歳入により賄うことが原則とされておりますが,各会計の経営や収支の状況に応じて一般会計からの財政支援的な繰り出しを行っておるところでございます。
しかしながら,議員ご指摘のとおり,これらの繰出金が財政の硬直化を招く一つの要因となってくるものと認識しておりますことから,各会計において,より一層の経済性,効率性,これが発揮できるように,事業の必要性やその規模などの総点検に取り組むとともに,繰出金全般にわたり,引き続き見直しを進めてまいりたいと考えております。
3点目の来年度予算編成に対する基本的な考え方についてであります。
去る7月に,私の施政方針であります,さっぽろ元気ビジョン,これを発表させていただき,その中で,経済,共生,環境,芸術・文化,人づくりなど,五つの分野を街づくりの基本的方向として掲げまして,重点的に取り組んでいくことをお示ししたところでございます。
元気ビジョンに掲げる,市民の力みなぎる,文化と誇りあふれる街,この街づくりを進めていくためには,市民の視点や生活感覚を持ちながら,伸ばすべきものは伸ばし,変えるべきものは思い切って変えていく必要があると,そのような考えに基づいて,事務事業の総点検の実施を指示し,さらに,全庁挙げて積極的な政策・施策論議を喚起し,その動きを的確に来年度の予算,定数,機構に反映していくための基本的な考え方についても指示をしたところであります。
平成16年度予算の編成に当たりましては,予算編成方針を決める前に重点事業の市長プレビューを実施いたしまして,私を含めました三役と各局長,区長による政策・施策の論議を行いまして予算の重点化を図ることといたしまして,さっぽろ元気ビジョンに掲げる街づくりを積極的に推進する予算を編成してまいりたいと考えているところであります。
次に,
行財政改革についてであります。
1点目の200億円の
経費削減と適正な人員配置の考え方についてお尋ねでございますので,お答えいたします。
200億円の経費節減につきましては,人員の適正化など内部努力の徹底及び事業の効率化を進める中で,目標達成に全力を尽くしていかなければならないと考えておりますけれども,これを具体的に進めるために,先ほど申し上げましたように,今般,事務事業の総点検を実施するよう全庁に指示をしたところであります。この総点検の結果に基づいて具体策を検討し,10月末ころをめどに設置する市役所改革市民会議でのご意見を踏まえて,市役所改革プランに反映しながら経費節減を進めていく考えでございます。
また,適正な人員配置の考え方といたしましては,一つ一つの事業の必要性や仕事のやり方自体を問い直すということから考えていかなければならないと思っております。その結果,民間にゆだねるべき事業や民間委託に適する業務については,民間活力を活用し,また,行政需要が低下した部門については適正な規模に見直すなど,スクラップ・アンド・ビルドを基本として進めてまいります。
いずれにいたしましても,200億円の経費節減を達成するため,さまざまな可能性を検討し,市役所全体で取り組んでまいりたいと考えているところであります。
2点目の
出資団体についてでありますけれども,まず,調整委員会の中に第三者を入れて評価することについてお答えをさせていただきます。
札幌市は,
出資団体に対する一層の指導を図るために,昭和60年に調整委員会を設置し,全市的な視点で
出資団体を評価,指導してまいりました。この調整委員会は,行政内部の機関とはいえ,一定の役割を果たしてきたというふうに評価をしております。
しかしながら,私が目指す市民とともに進める市政,これを実現するためには,施策や事業などの計画策定や実行,あるいは評価の各段階で,市民の視点や意見を取り入れていくという必要性がございます。したがいまして,
出資団体の評価につきましても,第三者による評価をどのような形で取り入れていくかについて検討してまいりたいと考えているところであります。
次に,
出資団体からの再委託についてお答えいたします。
出資団体が再委託を行っているものとしては,システム開発などの事業や施設の設備管理業務,そして施設の管理業務に付随する清掃業務などがございます。
初めに,システム開発などの事業につきましては,業務内容を把握するために専門的な知識は不可欠であります。さらに,業務発注に際しては,相手方の技術レベルだとかセキュリティーの保持能力を見きわめて適切に対応することが必要となりますので,これらのノウハウを有する
出資団体による発注が適正であるというふうに考えております。また,管理業務に付随する清掃業務などについては,施設全体を把握した上で,実態に即した対応が必要となることから再委託されているものでありまして,行政が直接発注するよりも効率的であると考えられます。
このように,
出資団体の再委託業務が必ずしも非効率的であるとは言えないと考えておりますが,今後につきましては,
出資団体の見直しの一環として再委託が効率的か否かを検証してまいりたいと,このように考えております。
また,市民の視点で
出資団体の改革を着実に進めていくためには,団体に関する徹底した情報公開が重要であると考えておりますので,今年度の評価システムにおいて,財務状況や市とのかかわりについても,団体みずから積極的に情報公開を進めるよう指導しているところであります。
次に,札幌市職員の
出資団体への再就職に係る氏名公表についてであります。
市政に関する市民への情報公開につきましては,
市役所内部の情報のみならず,
出資団体等の情報提供についても積極的に取り組んでいく必要があると考えております。再就職の状況につきましても,個人情報保護の必要性に考慮しつつ,可能な限り説明責任を果たしていきたいと考えておるところであります。
札幌市といたしましては,このような観点から,再就職に関する公表の範囲について検討を行ってきたところでありますが,
指定出資団体については,その役員名が既に一般に知り得る状況になっていることや,団体に対する札幌市の関与の度合い,その職責等を総合的に勘案し,当面の取り組みとして
指定出資団体役員について氏名の公表を行いたいと考えております。
また,氏名を公表することによる効果といたしましては,そのような実情を可能な範囲で市民の皆さんに知っていただくことにより,現在さまざまな議論がなされております
出資団体のあり方の問題について,今後の方向性を検討する上で情報の一つというふうになる,そして,
より透明性が増すというふうに考えているところであります。
なお,
出資団体の役員以外の者や民間に係る再就職に関しましては,個人のプライバシー保護という観点から,個人情報保護条例等に基づいた法制上の整理や,本人の同意,個人情報保護審議会からの意見をお聞きするなど,所要の手続を行う必要がございますので,これらの対応も含め,今年度内を目途に検討を進めてまいりたいと考えております。
3点目の
ごみ収集事業の委託割合の拡大についてお答えいたします。
ごみ収集事業における直営と民間委託の割合につきましては,平成11年度に札幌市廃棄物減量等推進審議会の答申を受けまして,清掃事業全般の見直しを行ってきたところであります。この中で,
ごみ収集事業については,平成15年度には車両台数でおおむね半数を委託したところであります。現在,ごみ収集以外の事業についても効率化に向けた見直しを継続して行っていることから,当面は,この解決に向け努力をしてまいりたいと考えております。
したがいまして,さらなる委託割合の拡大につきましては,今後の課題として,さっぽろ元気ビジョンに基づき,現在策定に向けて準備を進めております市役所改革プラン,これを踏まえて,全市的な観点で検討してまいりたいと考えております。
4点目の敬老優待乗車証についてのお答えをさせていただきます。
まず,調査費を計上した目的につきましては,
敬老パス交付事業の今後のあり方を検討するために,各年代の市民の皆さんを対象とした
アンケート調査を実施するものでございます。
次に,
アンケート調査の内容につきましては,この事業に要する経費等の制度の実情をお示しした上で,制度の周知度,利用実態,経費の負担,制度のあり方などについて幅広くご意見を伺いたいと考えております。
次に,仮に見直しをすることになった場合の考え方についてでありますけれども,他の
政令指定都市における見直しの状況を見ますと,その都市の
財政状況などの特性に応じてさまざまな工夫を行いながら,高齢者に対する交通費の助成制度を実施しておるところであります。その中の一つに,所得による制限を取り入れている都市もあることは確かであります。このような対象者が増加する制度を継続するためには,所得による制限も選択肢の一つであると思われます。そのことも含めて,市民の皆さんと一緒に考えてまいりたいと思います。
次に,札幌新まちづくり計画の策定についてお答えいたします。
まず,1点目の元気ビジョンと新まちづくり計画の第4次
長期総合計画の中での位置づけについてでございます。
さっぽろ元気ビジョンは,今後の市政運営を進める上で,私の公約を踏まえながら,中期的な指針として取りまとめた施政方針であります。議会の議決により,基本構想の理念に基づいて策定いたしました第4次
長期総合計画と,基本的には方向性といったものは一致するものだというふうに考えております。また,札幌新まちづくり計画については,この元気ビジョンを実現するための計画であると同時に,
長期総合計画の実施計画となるものでもございます。
次に,2点目の新まちづくり計画における成果指標についてであります。
成果指標は,市民・企業・行政などが協働して街づくりを進めていく上での共通目標を具体的にわかりやすく示すために,新たに導入するものであります。この設定については,確立した手法がまだあるわけではありません。国や他の自治体においてもさまざまな試行的な取り組みがなされている状況にありますが,街づくりの成果をよりわかりやすい形で示せるように,市民会議等で議論してまいりたいと考えているところであります。
次に,3点目の市民会議における議論の担保性といいますか,あるいは実効性についてでありますが,市民会議は,市民自治が息づくまちづくりの考えのもとに新しい市民参画の取り組みとして導入するものでありまして,重点的に取り組むべき施策などについて,市民とともに考え,共通の認識を形づくっていく場として位置づけております。
そのために,街づくりの計画策定としては,今までになく大幅に公募委員をふやし,3分の1程度とさせていただいたところでございます。また,会議の運営に当たっては,アンケートやインターネットなど多様な手段により広く市民意見を募るとともに,会議の公開,議事録等の公表も行いまして,議論のプロセスを明らかにすることによって,より一層,市民議論を喚起し,実効性あるものにしていきたいと考えているところでございます。
さて,住民基本台帳ネットワークシステムについてのご質問にお答えいたします。
1点目の庁内の対策会議での検討についてでございますが,庁内の対策会議では,2次稼働によって全国3,200を超える市町村間のネットワークが始まったことによりまして,個人情報保護やセキュリティーに不安を持つ市民,そして,参加を望まない市民もいる現状を踏まえまして,国及び横浜市や東京都杉並区などの他の自治体の考え方や,法的あるいは技術的課題等を整理し,札幌市としてどのようなことが可能であるかということを,より幅広い視点から検討を進めているところでございます。
2点目の総務省との意見交換につきましては,先日,総務大臣とお会いしたときには,このような問題点について検討することのご理解をいただいているところでございますので,今後,札幌市としての具体的な対応策がまとまった段階で,必要に応じて協議を行ってまいりたいと考えているところであります。
3点目の住民基本台帳カード交付数に対する評価についてでありますが,住基カードについては,現在のところ,利用法が限られておりますので,市民を認証する市民証として利用される高齢者の方が多いのではないかと思っているところであります。
4点目の選択制導入に対する結論についてでありますけれども,現在,庁内の対策会議を立ち上げて,横浜市や,横浜方式の導入を目指している東京都杉並区などの状況を調査し,今後の全国的な稼働状況を見ながら,札幌市としてどのようなことが可能であるか検討していきたいと考えているところでございます。
次に,コンベンションの誘致についてお答えをいたします。
1点目の当面力を入れるべきコンベンションの誘致についてでございますが,コンベンション誘致に当たっては,当然のことながら,産業界との連携のもとに魅力あるコンベンションを数多く誘致することが必要であると考えております。特に,一つ目として,経済効果の高い大規模コンベンション,二つ目として,都市のイメージアップにつながり,世界に注目される国際コンベンション,三つ目として,会議参加者と市民が交流することで市民文化の振興が図られるような社会的効果が高いコンベンション,これら三つの要素を持つコンベンションを積極的に誘致してまいりたいと,このように考えております。
2点目の札幌オリンピックの開催についてであります。
オリンピックを開催することは,ご指摘のように,市民に夢と希望を与えるものでありまして,札幌市のさらなるスポーツ振興に寄与するばかりでなく,集客交流を促進し,経済を活性化させるとともに,札幌の魅力を広く世界に発信していく上で有効なことだというふうに考えております。
しかしながら,開催につきましては,施設整備に要する財政負担を初め,数多くの課題があることもまた事実でございまして,このようなことも含めて,慎重に見きわめてまいりたいと考えております。
3点目の2008年サミットへの立候補についてであります。
サミットの開催は,集客都市札幌を全世界にアピールする絶好の機会になると考えております。一方,開催地の決定においては,その地域全体の熱意というものが重要になるということがありますので,市民や経済界などが一体となって誘致に向けた機運を高めていくことが大切であると考えております。
したがいまして,北海道や関係機関とも密接な連携を図りながら,誘致について積極的に検討してまいりたいと考えております。
4点目のイベントやコンベンションの経済波及効果についてのご質問でございます。
コンベンションの開催によりもたらされます経済波及効果を的確に把握し,検証することは,市民理解を深め,集客交流産業の振興を図る上で必要なことであると考えております。これまでも,大規模イベントにおいては,それぞれの主催者がその経済波及効果を明らかにしてきたところでありますし,この7月に開催されましたIUGG総会に関する調査では,参加者による直接的な約4億円の消費効果があったとの中間報告がなされているところでございます。
今後とも,主要なコンベンションの開催に伴う経済波及効果については,市民にもわかりやすい形で明らかにしていきたいと考えております。
次に,福祉施策についてお答えをいたします。
1点目の介護保険事業についてでございます。
まず,特別養護老人ホーム入所の必要性,緊急性の高い要介護度4,5レベルの認定者への対応についてお答えをいたします。
札幌市では,入所の必要性,緊急性について,要介護度以外の要素も加えた総合評価を行っているところであります。平成15年の6月末日現在の状況調査によりますと,入所希望時期を今すぐと指定しておられる方のうち,総合評価で最も緊急度の高いAランクに位置づけられた方が87名,Bランクは659名となっております。
なお,この中でも,現在,在宅でお過ごしの方は特に緊急性が高いと考えられますが,それぞれAランクでは40名,Bランクでは193名となっております。
札幌市内の特別養護老人ホームの定員は現在3,299名でございますが,今年度スタートした介護保険事業計画,高齢者保健福祉計画の中で,平成19年度末までに緊急性の高い入所希望者に対応し,700名分の整備を予定しているところであります。
次に,小規模・多機能拠点整備の目指すところについてでございますが,国は,戦後のベービーブーム世代が高齢期に達します2015年をめどとして,高齢者介護のあり方について,その検討結果を明らかにしているところでございます。その中で,高齢者の尊厳を支える地域ケアのあり方として,高齢者本人や家族の生活する地域の中で,利用者の状態の変化に応じたさまざまな介護サービスを必要なときに望ましい形で総合的に提供できる拠点を整備し,新しい介護サービス体系の確立を目指すというふうにしておるところであります。
次に,札幌市におけるモデル的,先駆的な取り組みについてでありますが,保健・医療・福祉のサービス資源の状況や地域ネットワークとの関係など,さまざまな視点からその可能性について検討してまいりたいと考えているところであります。
2点目の介護サービスの質についてのお答えでございますが,まず,高齢者虐待の情報についてどのような情報を得ているかということでありますが,高齢者虐待については,家族関係だとか経済事情,要介護度の状況など複雑な事情や背景がありまして,顕在化しにくい問題であります。
現在,情報の受け皿としては,各区に設置しております総合相談窓口や在宅介護支援センター,社会福祉協議会等,各相談機関がございます。現状といたしましては,介護サービス関係者や民生委員,保健師などがその業務を通して把握した心理的な虐待や身体的虐待,年金の搾取などの情報に対し,医療や司法等の専門機関への相談や地域ケアネットワークを活用した支援など,個別の状況に合わせた対応をいたしているところであります。
次に,介護の質の向上に果たす札幌市の役割についてでありますが,介護支援専門員の質の向上を図ることが必要であると認識しているところであります。
介護サービスの利用者やサービス量が増加する中で,提供されているサービスが要介護状態の改善や自立支援につながるケアプランに基づいたものになっているかどうかということを検証するために,サービス内容の適正化対策に取り組んでまいりたいと考えておるところであります。
今後とも,保険者として,介護支援専門員の質の向上を図るための支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
次に,介護職員の労働条件等につきましては,基本的には,労使間の話し合いにより円満に合意をされるべきものと考えております。
しかしながら,結果として職員処遇に配慮を欠くことは,利用者サービスの低下ということにつながるものと判断をいたしておりますので,引き続いて,法人施設に対して適切な指導をしてまいりたいと考えているところであります。
3点目の社会福祉施設におけるレジオネラ菌検査の実施についてでございます。
各社会福祉施設の開設者及び管理者に対しては,レジオネラ症に限らず,施設内において感染症が発生しないよう必要な措置を講ずることが求められております。水質検査については,各施設が実施しているわけでございます。
札幌市としては,各施設に対して国が示したマニュアルや技術上の指針などの周知を行うとともに,必要な措置の実施について指導を行ってきたところでありまして,今後は,各施設において水質検査の結果を掲示するなど,さらに措置の徹底を図ってまいりたいと考えております。
私からは,以上でございます。
○議長(
武市憲一) 田中助役。
◎助役(田中賢龍) 私からは,最後にご質問がございました公共施設についてお答えをいたします。
1点目の公共施設の建てかえとPFIの導入についてであります。
今後の公共施設の建てかえにつきましては,本市の厳しい
財政状況を踏まえ,施設の複合化を図るなど,効率的な整備を進めていきたいと考えております。また,財政負担の軽減と支出の平準化を図るため,これまで以上に施設の適正管理や計画修繕に努め,施設の延命化を進めていくことも重要と考えております。
本市におけるPFIの取り組みについてでございますが,現在,第2斎場整備運営事業をPFI推進の先駆的事業として進めているところであります。今後は,この事業を通して明らかになってまいります課題なども整理,検証をしながら,ノウハウを蓄積した上で,建てかえ時におけるPFI導入候補の選定に取り組んでまいりたいと考えております。
2点目のコミュニティ施設の適正な配置についてでございますが,地区センターにつきましては,現在22館目となります仮称太平地区センターを建設中のほか,現行の5年計画の中で西区と清田区にそれぞれ1館の配置を計画してございます。
今後のコミュニティ関連施設の整備につきましては,これまでの区民センターや地区センターといった枠組みではなく,これからの市民活動や地域活動にとってどのような施設がふさわしいのか,地域の要望を踏まえながら,その機能や運営のあり方,類似施設との配置バランスなど,幅広く検討していくことが必要であると考えております。
以上でございます。
○議長(
武市憲一) 福迫助役。
◎助役(福迫尚一郎) 地下鉄の経営基盤の安定化,さらに,仮称札幌市立大学については,私の方からお答えさせていただきます。
地下鉄の経営基盤の安定化についてお答えいたします。
1点目の地下鉄民営化と過剰債務の棚上げについてでありますが,本市を初め,地下鉄事業を運営しております各都市とも非常に厳しい経営状況にありまして,このたび,横浜市が民間企業並みの経営の自由度を持った独立した企業体を念頭におきまして,市営バス事業を含めた新たな経営形態のビジョンを策定にすることにつきましては,私どもも関心を持っているところであります。
しかしながら,横浜市の場合におきましては,現在の深刻な状況に加えまして,さらに,延長13キロメートルの地下鉄4号線を新たに建設中でありまして,そのような状況のもとでの一つの判断として打ち出された方向性であろうかと,このように考えております。
本市におきましては,平成14年度の営業収支の開業以来,実質的に初めて黒字を計上しましたほか,支払い利息や減価償却費は既にピークを終えておりまして,企業債の元金償還も17年度にはピークを終えることによりまして,期間はかかりますものの,経営の改善に向かっていると,そのように考えております。
さらに,平成13年12月に策定いたしました交通事業改革プランの実行に向けまして,例えば駅務部門の委託につきまして,既に49駅中20駅を財団法人札幌市交通事業振興公社に委託し,そして,残る29駅につましても来年度から5カ年で全駅を委託していくなど,着実に大胆に経営の効率化を進めているところであります。
しかしながら,乗車人員の減少傾向には依然として歯どめがかかっておりませず,経営上の大きな懸念材料でありますことから,今後とも経営の効率化に努めますとともに,過剰債務の棚上げ方式も含め,将来に向けて経営形態のあり方について検討を進めてまいりたいと,このように考えております。
次に,2点目の地下鉄資産の証券化についてのご提案でありますが,資産価値の評価なり,資産を売却することによる建設費補助金の返還,あるいは建設債の繰り上げ償還が予想されるなど,現行の制度のもとでは難しいものと考えております。
次に,仮称札幌市立大学の都心部サテライト施設についてお答えいたします。
産業振興を図る上で,デザインを初めといたします知的財産の有効活用が重要でありまして,その実現のためには,産学連携への積極的な取り組みが不可欠であると考えております。したがいまして,都心部サテライト施設に産学連携のための多様な機能を置くことは,市立大学が地域貢献を果たしていく上で有効な取り組みであると思います。
そこで,都心部サテライト施設につきましては,基本構想に盛り込んだ相談・連絡窓口だけではなく,企業や関係機関との緊密な連携による産・学のコーディネートを初め,共同研究や研修,セミナーなどの開催,さらには産業振興に向けた大学間の共同研究なども視野に入れまして,多様な機能を持つ産学連携の拠点として整備していくことを今後検討してまいりたいと考えております。
私からは,以上でございます。
○議長(
武市憲一) 小澤助役。
◎助役(小澤正明) 私から,遊休土地の活用と入札制度についてお答えいたします。
遊休地活用の1点目,札幌市保有地の現状に係る認識についてですが,遊休地は,厳しい社会経済情勢に加え,少子化などの影響もあって,事業計画の見直しなどにより生じたものと考えております。このような用地につきましては,これまでも,全庁的に
公有地利用調整会議で協議しながら,可能な限り他の事業への転用を図るよう努めてきたところでありますが,それでもなお生じました遊休地につきましては,地域の皆様に運動広場や老人農園等に暫定的にご利用をしていただくなど積極的に利活用を図ってきたところであり,また,公的に使われていない土地につきましては,貸し付けや売却に努めてきたところでございます。
2点目の今後の利活用についてと3点目の
公有地利用調整会議における今後の方向性については,関連性がございますので,一括してお答えいたします。
遊休地を公用や公共用に活用することにつきましては,今後予定されております新たな街づくり計画の策定に向けた検討を行う際に,市民の皆様の意向を十分踏まえながら検討していきたいと考えております。さらに,遊休地の利活用につきましては,
公有地利用調整会議で協議を重ねながら,貸し付けや売却についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に,入札制度についてでございます。
1点目の抽せん落札に対する認識についてでございますが,抽せんが多いという状況は,これまで進めてまいりました入札制度改善の段々の経緯に加え,公共事業や建設業界を取り巻く環境の悪化など,さまざまな要因によるものと考えております。
しかし,入札制度は,より適正な制度とするため,継続的に見直しを行っていかなければならないものと考えておりますので,今後もいろいろなご意見をお聞きしながら検討を続けてまいりたいと考えているところでございます。
次に,無積算企業への対応についてでございます。
入札の際の積算につきましては,積算の内容によって入札を制限することは難しいところでございますが,適正な施工のため,一定の積算をすることは必要なことでありますので,入札の際に提出される積算内訳書などにより,今後とも指導をしてまいりたいと考えております。
2点目の経常共同企業体制度についてであります。
経常共同企業体の制度につきましては,継続的な協業関係にある複数の中小建設業者を一つの単体企業とみなしまして,より高い施工経験や技術等を取得してもらうものであります。したがいまして,単体企業と同様に,2年に1度,登録していただいているところでございます。
しかし,やむを得ない理由により構成員をかえなければならないときには,追加登録を受け付けるなど,弾力化を図っているところでありますが,今後とも,経常共同企業体制度の活用につきまして検討してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(
武市憲一) 松平教育長。
◎教育長(松平英明) 教育問題につきましてお答えを申し上げます。
まず,1点目の学習の基礎・基本を定着させるための本市の取り組みについてでございます。
児童生徒一人一人に基礎・基本の確実な定着を図ることは,本市の教育を推進していく上で極めて重要な課題であると認識しておりまして,その実現のためには,わかりやすい授業の展開とともに,習熟の程度に応じた少人数指導など,一人一人を大切にしたきめ細かな指導を行うことが効果的な手段であると考えているところでございます。
教育委員会といたしましては,各学校において指導方法等の工夫改善が一層図られるよう,現在,習熟度別学習やチーム・ティーチングなどの指導方法を示した少人数指導の手引を作成中でありまして,この11月には全教員に配布する予定となっております。
あわせて,今年度,少人数指導に関する学校研究を9校に委託するとともに,文部科学省の学力向上フロンティアスクール委嘱事業に3校の学校が取り組んでおります。今後,これらの成果を全校に広め,確かな学力の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に,2点目の地域人材の活用についてでありますが,学校が地域人材の活用を図っていくことは,開かれた学校を創造し,地域に根差した教育を推進していく上で大変重要なことであると認識いたしております。
本市におきましては,平成14年度,小学校で95%,中学校で47%の学校が地域人材を活用しており,総合的な学習の時間を初めとするさまざまな教育活動の場面で,家庭や地域社会と連携しながら,創意工夫を生かした取り組みを行っているところでございます。
教育委員会といたしましても,今後さらに,各学校において地域人材の有効活用が図られますよう指導してまいりたいと考えております。
次に,3点目の教員の公募制による異動についてでございますが,この制度のねらいであります校長がリーダーシップを発揮し,特色ある学校をつくることは,生徒や保護者の期待にこたえる学校教育を推進する上で大変重要なことであると認識いたしております。
本市では,この制度を実施しておりませんが,教職員の人事異動に当たりましては,これまでも,教職員の構成等にも配慮しながら,校長のリーダーシッブが発揮されますよう,各学校長との協議を重ねながら計画的に行っているところでございます。今後とも,学校の活性化のために,適切な人材配置に努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
(
長内直也議員「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○議長(
武市憲一) 長内議員。
◆
長内直也議員 私の方から,ちょっと数点,再質問をさせていただきます。
一つはですね,200億円の
経費削減でありますけれども,私は,市長の考え方を伺っているわけでありまして,今後の10月末からの市役所改革市民会議の皆さんのご意見を聞いて云々という,そんなことを私は聞いているわけでございません。市長個人のお考えを聞いているわけであります。
そしてまた,前回も議論になっていましたけれども,桂市政のときの363億円,それに加えて,さらにやっていくのだというですね,並々ならぬ決意を感じたわけでありますが,だんだんトーンダウンしていると。そしてまた,時には,人員の適正化だけで200億円と言ってみたり,あるいは,途中で事業の効率化もそれに加えてみたり,さらには,さっきのように,さらにそういう市民議論を深めたいなんて,市民議論を深めるような話じゃなくて,市長ご自身がおっしゃっていることですから,ご自身の考えをお答えいただきたいというふうに思います。
それから,
出資団体についてでありますけれども,民間に再就職した場合の,いわゆる個人情報の提供でありますが,先ほど検討を進めていくということでありましたが,これ,道の方ではもう既にそこまでやると言っております。ということは,それから考えますと,いろいろなそういった状況をクリアして,そのように検討したと思っております。
そういった意味で,これも,市長ご自身すべきだと思っているのかどうか,はっきりと,検討するでは,やるのかやらないか私たちは理解できません。よろしくお願いします。
それから,
敬老パスでありますけれども,私たちもあくまでもあり方を検討するという調査費だと認識しております。
しかしながら,
タウントーク等ではですね,はっきりと市長は見直しを言及されております。そのような中で,あえてまた,この場で,あり方も含めて検討なのだということは,外で言っていることと,私は違うのじゃないかと。市長ご自身のお考えを外でおっしゃるということは,札幌市長として公的な立場の発言でありますから,ぜひとも,その辺は,再度,認識を伺いたいと思っております。
それから,住基ネットについてでありますけれども,これもですね,要は,法的に選択制は認められないのではないかという我々の考え方の中での質問であります。ですから,今後,何をしていったらいいか考えますということをお聞きしているのではなくて,できないのですから,おやめになったらどうですかという形でお聞きしていますので,再度,ご答弁をお願いします。
○議長(
武市憲一) 上田市長。
◎市長(上田文雄) お答えいたします。
第1点目,200億円の問題についてでございますが,私の公約は当初からペーパーで申し上げておりますけれども,これは,人件費及び事業の見直しと効率化といったことを合わせて200億円ということを申し上げております。これは,公約で,当初,選挙のときからそういうふうに申し上げておりますので,人件費だけだということではないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
それから,桂前市長時代の5年間の実績として363億円の経費節減の効果がありましたというご報告を私はそのままちょうだいいたしまして,私がさらにと言っているのは,そのような実績がある上に,ですから,相当な内部的努力をしたと。その結果を踏まえて,さらに私どもは200億円やりますよということを申し上げているわけであります。決して,これから,363億プラス200億,563億円やりますよということを申し上げているわけではないところを誤解がないようにお願い申し上げたいと思います。(発言する者あり)
それはそうですよ。これだけ,ぞうきんをですね,(発言する者あり)ぞうきんを……(「変わってきているじゃないか」と呼ぶ者あり)何も変わっていないです。(発言する者あり)そのような答弁でございます。
私は,563億円をこれから削減するということを申し上げたことはございませんので,誤解のないようにお願い申し上げます。
次に,公務員の退職後の再就職の問題でございますが,道の方では民間に対する氏名公表等もするというふうな方針になられたというご指摘でありますが,私どもは,先ほどご答弁で申し上げましたように,そのことも含めまして,
出資団体の役員以外の方だとか民間に再就職をされるという方については,これは個人のプライバシーの問題がありますので慎重に対応しますよというふうなことを申し上げているわけでありまして,私は,基本的に,役員の方については公表するべきであろうという認識は持っておりますけれども,これはこれから検討していくというふうに申し上げておきたいと思います。
さまざまなクリアしなければならない問題があるということも,これは申し上げておきたいというふうに思います。
それから,
敬老パスの調査と見直しと。あり方なのか見直しなのかは,これは言葉の問題と私は思います。
私は,従来から,なくするということを言っているわけでないわけでして,この
敬老パスという制度は,歴史的に見ても,それを設置したときの思想といったものがあるわけでありますので,そのことと,時代的な,二十八,九年たった現在,それを維持できるかどうかということを含め,それから,利用者のですね,公平な負担という観点からという物の考え方等々,しっかり議論をもう一回してみるという,そういう意味で申し上げているわけでありまして,その意味でのあり方調査,あるいは,見直しというのは,見直しを必ずしますよというですね,それは変わりますよというところまで私は言っているつもりはありませんけれども,議論をさせていただきたいということで申し上げているところでございます。(発言する者あり)
住基ネットの問題につきましては,議員のご見識では,選択制といったものは法的に無理なのだと。だから,その上で私の見解をお尋ねしたいというふうな,今,再質問がございましたが,私どもは,先ほども申し上げておりますけれども,横浜,杉並,これらは選択制という現状がそのような形態になっております。そういうことも含めて,私どもは検討させていただきたいというふうなことで,今,プロジェクトチームをつくってやっているということでございます。
以上であります。
(
長内直也議員「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○議長(
武市憲一) 長内議員。
◆
長内直也議員 納得いかない再答弁でありますけれども,これ以上やってもですね,平行線かなというふうに思いながらも,あえて一言申し上げますが,やはり,市民議論は大切だということは私たちも思っております。
しかしながら,内部での検討をもう少しきっちりとされた方がいいと思います。
200億円の削減についてもそうでありますし,あるいは,住基ネットの問題もそうであります。市長ご自身がお考えのことと,内部での今まで継続的に取り組んできたこと,そういったものをきっちりと把握されて,きっちりと内部の議論をした上で,市民議論なり議会での議論を起こしていただきたい,そういうことを要望して,終わります。
○議長(
武市憲一) ここで,30分間休憩いたします。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後2時58分
再 開 午後3時30分
――
――――――――――――――――
○副議長(西村茂樹) これより,会議を再開します。
代表質問を続行します。
村上勝志議員。
(村上勝志議員登壇・拍手)
◆村上勝志議員 私は,民主党・市民の会議員会を代表して,今定例会に提案されました2002年度決算及び諸議案,そして,当面する市政の諸課題について,提言を交えながら質問いたします。
質問に先立ちまして,去る9月26日未明,震度6弱を記録した十勝沖地震が発生いたしました。本市でも,負傷者や液状化現象などによる被害が出ていますが,道内全体では行方不明者2名,重軽傷者590名にも上り,家屋の損壊や道路,鉄道,港湾,通信などに大きな被害が発生いたしました。被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに,一日も早い復興を望むものであります。
また,市内の被災地に迅速に出向き,市民の安否と状況の把握などに速やかに対応された上田市長の行動は,当然のことながらも,敬意を表するものであります。
さて,最近の日本経済は,株価が全体的に持ち直し,景気の動向を示す指標が改善するなど,明るい兆しが見えてきているものの,一方では,雇用や消費がなかなか上向いてこないことなどから,景気回復が本格化していくかどうかについては,なお不透明な状況であると考えられます。
また,長引く景気低迷を背景とした国,地方を通じた極めて厳しい
財政状況や,本格的な地方分権時代の到来など,札幌市を取り巻く環境は目まぐるしく変化をしております。
特に,国で検討が進められている三位一体の改革については,具体的な内容が決定していないものの,地方自治体,とりわけ財政基盤の弱い本市への影響は大きいものと危惧されるところであります。
こうした状況の中で,市長は,去る8月19日に,札幌新まちづくり計画の策定方針を公表され,その中で,社会経済情勢の変化に的確かつ柔軟に対応しながら,さっぽろ元気ビジョンを市長の任期中に確実に実現する趣旨から,計画期間をこれまでの5年から3年間に短縮することといたしました。これは,中長期的に見ても,厳しい
財政状況を踏まえて,明確な政策目標を立てて施策を重点化していくということ,また,そうした重点化をするに際しては,新たに設置する市民会議などによる市民対話を通じて,右肩上がりのもとでのあれもこれもという発想から,市民との共通認識のもとで,あれかこれかという選択をしていこうというものだと承知しております。今後,この計画の策定作業が本格化していくものと思われますが,ぜひ,よりよい計画づくりをしてほしいものと願うものであります。
そこでまず,財政問題についてお伺いいたします。
1点目は,
財政調整基金についてであります。
2001年度決算の
財政調整基金残高は,約99億1,400万円であり,2002年度予算では,このうち約42億円を歳入の繰入金として取り崩すこととしておりました。しかし,決算では,歳出の削減を図ったことなどにより,
財政調整基金からの取り崩しを取りやめることにしたのであります。
同時に,基金条例第5条第2項の規定により,2002年度決算の余剰金から12億5,000万円が
財政調整基金へ積み立てられ,2002年度決算では約111億6,600万円の基金残高になっております。すなわち,予算計上した42億円を使わず,さらに12億5,000万円が上積みされ,約54億5,000万円の財源ができたことになります。
税収減により,自主財源の確保が厳しくなる一方で,経済や福祉,環境など,重点的な政策投資が望まれる今,このような財源を有効に使用すべきであると考えますがいかがか,お伺いいたします。
2点目は,基金についてであります。
本市の2002年度基金現在高は,20基金合計約2,097億円でありますが,この中には,土地開発基金,まちづくり推進基金で約640億円の土地の価格が含まれております。
しかし,この土地の価格はすべて簿価で計上されており,土地の評価額は毎年減少していることから,簿価とは大きな乖離が生じております。
そこで,2002年度決算における基金現在高の約2,097億円の財産がどのくらい目減りしているのか,その評価をお伺いいたします。
また,札幌駅南口開発に当たって,本市が1994年から96年にかけて約70億円で購入した北5条西5丁目の用地を合わせて,プロポーザル事業として年約2,500万円で貸し付けることとしております。金利も含めると約65億円もの財産の目減りが生じることについて,前任市長時代のこととはいえ,どのように市民に説明責任を果たそうとするのか,市長の所見をお伺いいたします。
3点目は,市債についてであります。
2002年度決算における市債残高は,一般会計約1兆684億円,特別会計約76億円,
企業会計1兆1,040億円,合計2兆1,800億円となっております。このうち,交付税から算入される金額は約7,005億円であり,残高約1兆4,800億円が市税などで負担する市債残高と言えるのであります。
2002年度予算では,歳入として約1,084億円余を予算計上しておりましたが,決算では未収入特定財源を加えて約1,020億円余となり,約64億円を発行しなかったことになります。
厳しい経済状況にかんがみ,また基幹収入である市税の大きな伸びが見込めない中では,さまざまな収入の確保を図りながら,必要な事業を行ってきたものと思います。市債についても,貴重な財源の一つであり,事業執行に欠かせないものでありますが,繰越分を加えた場合に,予算と比べ,結果的に市債収入が約64億円減少しているのはどのような理由によるものか,具体的にお示しください。
4点目は,中小企業金融対策資金についてであります。
歳入の諸収入は,決算額約1,206億円,予算額とは約87億6,500万円の減となっております。諸収入の内訳を見てみますと,総務費雑入が約95億円,保健福祉費雑入が約38億8,000万円,土木費雑入が約15億8,700万円など,雑入総額は約166億3,000万円であり,ほとんどが貸付金元利収入であります。すなわち,他会計貸付金元利収入が約128億円,貸付金元利収入が約907億1,000万円であり,そのほとんどは中小企業金融対策資金並びに先端産業立地促進資金となっております。
とりわけ,中小企業金融対策資金については,予算額約784億4,000万円に対しまして,決算額は約731億円と,差が約53億3,000万円にも上っておりますが,要因はどのようなものなのか,その評価についてもお伺いいたします。
あわせて,この資金の預託金融機関は,地方銀行8行,信用金庫11行,信用組合3行,政府系1行の合計23行,融資件数は1万8,664件でありますが,預託金は年度末に書きかえをするだけであって,実際の資金流動はほとんどないのが実態であります。
貸し倒れの現象もありますが,この預託金のきょうまでの状況と今後の対応について伺います。
5点目は,自主財源の主なるものである市税についてであります。
札幌駅南口関連施設の完成など,新増設分が見込みを上回ったため,事業所税予算対比では約26億1,500万円の歳入増となっておりますが,市税全体は,前年比0.2%,約6億2,000万円の減少となっております。同時に,市税の不納欠損金が約37億4,000万円,収入未済額が約134億2,800万円に上っており,収入未済額のうち,現年課税分が約59億1,300万円,滞納繰越分75億1,400万円となっております。
夜間・休日催告の強化や納税対策担当係長の配置などの対策を行っているのは十分承知しておりますが,この現状をどう受けとめ,どのような対応をしようとしているのか,お伺いいたします。
次に,住民基本台帳ネットワークシステムについてお伺いいたします。
本年8月25日に本格稼働した住基ネットは,東京都の杉並区や国立市,そして福島県矢祭町がいまだに接続をしておりませんし,横浜市は依然として希望者のみの選択制となっております。また,国分寺市は,8月18日から1次稼働に接続いたしましたが,2次稼働への参加は見合わせております。
一方,埼玉県の上田新知事は,選挙公約で,住基ネットは廃止を含め,徹底的な見直しをすると訴えて当選し,本当に問題はないのか,総務省が主導するとおりでいいのか再検討が必要との見解を示し,個人情報保護の立場から検討委員会を設置する意向を示しました。
こうした自治体の動きとともに,市民の動きも活発で,住基ネット差しとめ訴訟に対する支援の輪が広がるとともに,名古屋市では,市民194人が住基カードの中止を求める住民訴訟を起こしております。さらには,住民票コードの削除を求めた住民請求に対し,藤沢市の個人情報保護審議会は,憲法に認められた人格権に当たるとして,住民の請求を認める審査結果を出しました。札幌市においては,システムからの離脱を求める署名も多く提出されております。
我が会派では,8月の下旬に,東京都内の四つの自治体,中野区,杉並区,国立市,国分寺市を調査するとともに,コンピューターシステムのセキュリティーの専門家や日本弁護士連合会情報問題対策委員会の専門家からのご意見を伺ってまいりました。
その中で明らかになったことは,この住基ネットワークシステムを含むコンピューターシステムについて,100%安全ということはないということであります。このことは,さきの第2回定例議会の特別委員会において札幌市も認めております。
そしてまた,住基ネットによる利便性の向上を求める国民がいる一方で,プライバシーの保護を重視して,住基ネットに反対もしくは参加したくないと考える多くの市民がいるのも現実であります。
住民基本台帳法においては,個人情報の保護は自治事務であり,自治体が責任を持って行わなければなりません。しかし,100%安全でないとすれば,どうやって市民の個人情報を保護するのか,また,市民の不安や参加したくないという市民への対応は,自治体が行わなければなりませんが,住基法は,罰則はないものの,自治体の参加を強制しており,対応に大変苦慮しているのが実態であります。
これらの問題点を踏まえて,以下お伺いいたします。
1点目は,市長が注目をしておられました,総務省と長野県本人確認情報保護審議会との討論会が8月5日に行われましたが,この討論会の結果をどのように評価し,どのような感想をお持ちになったのか,お伺いいたします。
2点目は,長野県の審議会の報告にもあるとおり,長野県内の各自治体では,事務量や費用ばかり多く,何もメリットがないとの声が多く,審議会委員も驚くほどの調査結果となっておりますが,住基ネットワークシステムの費用対効果及び自治体におけるメリットについてどう考えておられるのか,お伺いいたします。
3点目には,私は,市民のプライバシーを守る観点から,独自の条例,仮称住民基本台帳に係る個人情報の保護に関する条例を制定すべきと考えます。条例には,一つ目には,杉並区や中野区の条例にもあります職員を含む不正使用に対する厳しい罰則規定,二つ目には,システムが100%安全ではないとの観点から,危険性が明白になった場合,直ちに切断する条件を明確にする,三つ目には,市民の情報は市民が管理するという観点から,札幌市における住基ネットの運用状況を監視し,市民に公表し,市民の苦情・要望を処理し,必要な改善の勧告を行う第三者機関の設置などを盛り込むべきと考えますが,市長の見解をお伺いいたします。
あわせて,条例の制定とはかかわりなく,危険性が明白になった場合に,直ちに切断するべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
4点目は,既存の住民記録システムのセキュリティー対策についてであります。
住基ネットは,各市町村の住民記録システムと接続されることから,住基ネットの安全性を確保するためには,この住民記録システムのセキュリティー対策も大変重要になります。
本市では,2002年度に,汎用機で使う住民情報系システムの安全性,効率性などを確保する目的で,外部機関による監査を実施し,他方,セキュリティー対策の基本となる情報セキュリティーポリシーの策定に向けて現在検討されているようでありますが,我が会派の調査では,例えば,杉並区は,住基ネットと接続する区民の住民記録システムを対象に,国際的に認証されたセキュリティー基準であるISMS,情報セキュリティーマネジメントシステムの取得をするとともに,自治体共同による住基ネット監視第三者機関の設置の呼びかけをしているところであります。
住基ネット問題をきっかけとして,札幌市においても,個人情報を取り扱うシステムのセキュリティーに対する市民の関心が非常に高まっている現状を踏まえると,こうした自治体の取り組みも検討素材としながら,札幌市としても,住民記録システムのセキュリティー対策の維持,強化を図っていくべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
そして,5点目は,札幌市民の中に,住基ネットに不安を持ち離脱を求める声があるわけですが,札幌市における選択制,いわゆる横浜方式の検討の状況,今後のスケジュールについてお伺いいたします。
次に,さっぽろ元気プランと連絡所の機能強化及び区役所庁舎についてお伺いいたします。
本市は,1972年4月,全国で7番目の
政令指定都市移行に伴い,中央区など七つの区を設置し,市民に身近な業務をできる限り区に移譲してまいりました。これまで数回にわたり区の機構改革に取り組むとともに,97年11月には豊平区を分区し,現在の10区体制となりました。区の自主事業としては,90年4月から始めた現在の区のふれあい街づくり事業や,99年3月までに各区での区のまちづくりビジョンが策定されました。
本市は,ことしで
政令指定都市に移行して31年になりますが,この間,急激な人口増加に対応するために,都市基盤整備を進め,都市の魅力と機能,市民生活の利便性を向上させてまいりました。
しかし,近年,長引く景気,経済の低迷と少子高齢化,地方分権や財政問題などが山積する中で,多様化・高度化する市民要望などを踏まえ,今後,市民にどのような行政サービスや事業を行うのか,街づくりのあり方が問われております。
質問の1点目は,市役所改革プランと市民自治推進プランについてであります。
上田市長は,さっぽろ元気ビジョンを実現するために三つのプラン構想を掲げております。その一つに,ことし8月に基本的な考えが示された向こう3年間の新まちづくり計画があります。今後の市役所はどうあるべきか,その理念,目標,具体策などを包括する市役所改革プラン及び自治運営の目標や市民参加の制度及び市民の権利と役割,行政の責務などの全体像を描く市民自治推進プランの策定時期と策定プロセスについてどのように考えているのか,お伺いいたします。
質問の2点目は,ことし9月に開設した市民活動サポートセンターを活用して行う,街づくり活動に関心のある市民の方々の研修,人材育成,交流などの事業をどのように考えているのか,お伺いいたします。
次に,連絡所についてであります。
本市は,区制施行に伴い,諸証明に関する窓口業務などを行ってきた45カ所の出張所を改組して,市民の利便性を確保するために連絡所として存続させ,現在,87カ所に設置されております。これまで連絡所が果たしてきた役割に一定の評価をいたしますが,急速に進む社会環境の変化や人とのつながりや地域への帰属意識の希薄化により,町内会などで活動する人の固定化や高齢化が進んでおります。
本市は,区の目指すべき方向性の中で,今後の連絡所が果たす役割と機能は,地域における街づくり活動の拠点と位置づけております。
上田市長は,さっぽろ元気ビジョンの中で,地域の街づくりに意欲を持つ多様な市民,本市の職員が集うまちづくりセンターに連絡所を改編するとともに,おおむね連絡所単位に,市民みずからが地域の課題を考え,問題の解決や目標の実現に向け活動するまちづくり協議会などを設置するとしております。
質問の1点目は,これらを具体化していくに当たり,連絡所が抱えている課題にはどのようなものがあり,これをどう改善していく考えなのか,その時期も含めて伺います。
質問の2点目は,まちづくりセンターの機能充実についてであります。
これからの街づくりで最も大切な課題は,市民が健康に日常生活を送れるようにすることであります。2000年4月から始まった介護保険制度は,高齢者の生活支援に一定の前進はあったものの,あくまで要介護になってからのサービスであります。
しかし,これからは,乳幼児から高齢者,病弱な人,障がいのある人や健常な人の健康増進のため,医療と福祉の連携を図らなければなりません。そのための施策として,現在,各区の保健センターに配属されている保健師を連絡所に配属し,地区福祉のまち推進センターや町内会の女性部,青少年部やNPOとも連携をとる活動が強く求められていると考えますが,市長はどのようにお考えなのか,お伺いいたします。
次に,区役所の施設整備計画と白石区役所についてであります。
上田市長の発表したさっぽろ元気ビジョンで明らかなように,地域の総合行政機能を担う区役所は,今後ますます,その重要性が高まると言えます。現在,各区役所の中で区制施行時に建築された七つの区役所は,既に築後30年が経過しており,建物の老朽化や耐震強度などが懸念されております。また,事務スペースの狭隘化などにより,訪れる市民にとってわかりづらい部署の配置などが指摘されております。
本市は,こうした現状を踏まえ,2000年度から中期的な区役所の施設整備計画の策定に向けたガイドラインの作成を進め,2002年1月に区役所庁舎再整備基本方針が示され,現在,素案の取りまとめが行われております。
質問の1点目は,現在,作業が進められている区役所庁舎の施設整備計画はいつごろをめどに決定する予定なのか,伺います。
2点目は,白石区役所についてであります。
現在の白石区役所は,地域の中心核より離れたところに位置し,最寄りの地下鉄駅からも遠く,また,幹線道路に面していないため,市民からは利用しづらいので移転を含め検討してほしいとの要望が寄せられております。
民主党・市民の会は,かねてより,現在の白石区役所を交通至便なところに移転し,区の中心核にふさわしい顔づくりをすべきであると提言してまいりました。
このような中で,本市は,ことし3月に,南郷通1丁目の土地を将来の公共施設用地として先行取得いたしました。このことは,区民の皆さんも,白石区役所移転の有力な候補地として大きな期待と関心を寄せております。取得した土地は,交通の利便性が高く,また,約8,000平方メートルという広さを考慮した場合,多様な施設の複合化を図るべきと考えますが,どのように検討されているのか,伺います。
また,同地を有効利用するためにも,白石区役所などの公的施設の移転も視野に入れるべきと考えます。白石区役所を移転するのか,現在地で建てかえるのか,判断はいつごろされるのか,伺います。
次に,経済政策についてお伺いいたします。
産業構造が大きく転換する中,本市においても,時代を先取りした取り組みが求められております。とりわけ,地場中小企業の技術力と大学のすぐれた研究開発力を生かした新たな技術や製品を生み出すことは,経済・雇用対策として欠かせないものと考えます。
本市と同じような産業構造の福岡市では,これまで,産と学の連携による,穀物を素材としたナイロンより強い繊維などの製品開発に成功しておりますが,行政もまた積極的な支援に乗り出しております。1研究当たり500万円を上限とする研究助成と事業化支援を目的とする産学研究開発サポート事業では,この春,2社が初の製品化にこぎつけました。また,福岡市が中心となって,商工会議所や大学,関連業界団体による共同研究のためのプラットホームもつくられております。これらは,産学官連携により,長引く不況,社会の変化などを克服するための大変意欲的な試みであると思われます。
そこで,質問の1点目ですが,本市には北海道大学などが存在し,バイオ,ナノテクなど先端技術では他に引けをとらない成果を生んでいると聞いております。産と学との連携に,官,すなわち札幌市が今後どのようなかかわりを持とうとしているのか,市長の考えをお伺いいたします。
また,第2回定例会の市長答弁の中に,雇用の創出や高い成長性が見込まれるライフサイエンス分野を中心とした産業振興や,その環境整備に取り組んでいくと述べられておりましたが,現時点での方向性や進捗状況についてお伺いいたします。
2点目は,身近な食材の可能性についてであります。
農水省が所管する九州沖縄農業研究センターの畑作研究部は,2001年11月,サツマイモの葉にエイズウイルス,HIVの増殖を抑えるトリカフェイトとその類似物質が多量に含まれていることを突きとめ,熊本大学薬学部との共同研究,そして,福岡市内の製薬会社との間で実用開発に取り組む共同研究契約を締結いたしました。
北海道では,冷涼な気候に適し,既に野生化したキク科の植物キクイモに,糖尿病に効果のあるイヌリンが豊富に含まれ,合併症が治るばかりでなく,さまざまな生活習慣病の予防と改善,がんにも効くことから,注目が集まっております。このキクイモは,アメリカから飼料用作物として導入され,食料難のときに作付統制野菜として配給され,代用食になりましたが,その後忘れられたものでありますけれども,最近見直されてきたものであります。また,キクイモは,栽培が容易で,成長速度も速いため,開発途上国の農業振興や環境保全にも大きく寄与することが期待されます。
このように,私たちの身近な食材の中にも,秘められた効果や可能性を持つものがたくさん存在しているものと思います。
札幌市においても,可能性を探る観点から,いろいろな食材の試験栽培や調査などを行っていくことが重要と考えますがいかがか,お伺いいたします。
3点目は,他産業との連携による農業振興についてであります。
昨年6月,4万8,000トンものタマネギが廃棄処分されるニュースを耳にいたしました。世界じゅうで,飢餓に苦しみ,5歳まで生きられない子供たちが大勢いる一方,農家の方々が丹精込めて育てた食料が収穫されることなく,畑にすき込まれたのであります。
それらを考えると,心が痛み,捨てる方途を選択するのではなく,保存をする方法を発見すべきではないかと考え,腐れやすく,大部分が水分であることから,輸送コストがかかるタマネギを乾燥させる実験を私はある研究者と行いました。調理をする際の下ごしらえで,加熱してうまみ成分を出すことに着目したのであります。生シイタケと乾燥シイタケ,生昆布と乾燥昆布の関係であります。
その結果,乾燥させることで,生のタマネギにはない成分が道立食品加工研究センターのガスクロによる分析にあらわれました。熱を加えることで,動脈硬化などの予防に効果があるというトリスルフィドという物質が生成されるのであります。札幌のタマネギは「札玉」と呼ばれ,調理人の間では上質のタマネギと高い評価を受けていることを承知しておりますが,調理だけではなく,有効成分に着目した新たな事業展開も一部企業で始まっております。
農業を食材という素材生産のみに力点を置くのではなく,経済振興のため,他産業との連携も含めた農業施策を展開すべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
4点目は,農業副産物や野生植物の利用についてであります。
廃棄物として捨てられている農業副産物や,何げなく接している野生植物にも多くの可能性があります。
一昔前までは,お茶は熱いのが当たり前で,冷えたお茶などというのは考えもつかないものでしたが,ペットボトルの出現,ダイエット志向で大ブレークであります。
私は,ニセアカシアの葉を乾燥させ,お茶にしてみました。ニセアカシアの葉の水溶液は,におい,色とも緑茶に近いものでした。ニセアカシアは,札幌市の街路樹に多く使用されており,剪定による廃棄物は膨大なものと聞いております。花からは良質なハチミツがとれますし,健康飲料として利用できるものなら,廃棄物が宝の山となるのであります。
また,北海道の主力農産物の一つ,ソバは,そば粉を食料に,そば殻はまくらに有効利用されておりますが,ソバの茎は捨てられているのであります。ソバの茎の部分にも有用な成分が含まれているならば,これらは一つの産業として興り,雇用環境にも寄与するのではないでしょうか。
そこで,質問ですが,札幌市として,未利用の素材の有効性,成分の分析,調査研究に積極的にかかわり,新たなシーズの形成に資するべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
次に,廃棄物問題について伺います。
廃棄物ゼロ社会を目指すという動きが,今日,国内外で主流になってきております。今後の廃棄物行政は,拡大生産者責任を実効あるものにし,廃棄物処理の優先順位を,1.発生抑制,2.再使用,3.再生利用,4.熱回収,5.適正処分として取り組みを強化すべきと考えます。
この間,国においても,循環型社会形成推進基本法の施行を初め,廃棄物の適正処理のための廃棄物処理法の改正,事業者に対して,リデュース・リユース・リサイクルの3Rの取り組みを求める資源有効利用促進法の制定,さらに,建設,食品,自動車など,個別物品の特性に応じたリサイクル法を整備してきました。これらの法律の趣旨を本市としても積極的に生かすとともに,不十分な点は実効あるものにしていく努力と姿勢が必要であります。
さて,本市では,新しい一般廃棄物処理基本計画である,さっぽろごみプラン21を2000年3月に策定いたしました。このプランは,環境低負荷型資源循環都市の実現を目標に,ごみ量を管理するという考えのもとで,2014年度を目標年次に具体的な数量目標を制定し,ごみ発生・排出抑制のシステムづくりなど五つの重点施策の取り組みを進めていくこととしております。
達成すべき数量目標は3点あり,1点目は,廃棄ごみ量を98年度に比べて15%以上減量すること,ただし,家庭ごみは10%,事業系ごみは20%,2点目は,リサイクル率を25%以上に引き上げること,3点目は,埋め立て処分量を30%以上減量することにしております。この減量目標は,国の目標を上回る設定になっており,廃棄物ゼロ社会実現に向けた重要な目標であります。
ここで,本市のごみ処理量を見てみますと,2002年度約94万9,000トンとなり,98年度以降,5年連続で100万トンを下回りました。
しかしながら,このうち,家庭ごみは約49万トンで,98年度に比べ8,000トン,事業系ごみ量は約46万トンで,98年度に比べ約1万3,000トン,リサイクル率は02年度で15%,98年度の10.4%に比べ,4.6ポイント上昇していますが,計画では04年度に中間目標を設定しており,その中間目標を達成するためには,あと2年で6ポイント以上引き上げなければなりません。また,埋立量は,02年度で約29万8,000トンで,98年度の約31万トンに比べ,4.2%の減少にはなっていますが,同じく中間目標を達成するためにはあと2年間で約15ポイント減少させなければならず,全体としてさっぽろごみプラン21で掲げた管理目標どおりに進捗していないことがわかります。04年度の中間目標までに少しでも計画に近づく必要がありますので,この機会に,ごみ減量・リサイクル推進を具体化するための課題と方策について,順次,質問いたします。
1点目は,ごみ組成に対応したリサイクルの取り組みについてであります。
01年度の家庭ごみの調査によれば,組成割合が高いのは,1.生ごみ35%,2.紙類26%,3.プラスチック10%の順となっております。効果的なごみ減量やリサイクルの推進を図る上で,ごみの組成に占める割合の高いごみ種を重点とした取り組みが課題となります。
そこで,上位3種に対する対応状況と今後の方策について伺います。
特に,2000年度から開始したプラスチックの資源化ですが,容器包装について見ると,家庭ごみに占める量は約3万トンほどになりますが,02年度で分別収集した量は1万5,300トンですから,全体の2分の1しか収集できていない計算になります。プラスチック類は,全体の4分の3まで収集可能だとする説もあり,今後のリサイクル率向上に寄与する分野と考えますがいかがか,お伺いいたします。
さらに,生ごみの堆肥化について,コンポスター方式,段ボール箱形式などさまざまな方法がありますが,本市の実態と今後の可能性について,あわせて伺います。
2点目は,事業系ごみについてであります。
02年度の事業系廃棄ごみは,これまでの横ばいの状態から増加傾向に転じています。今後,事業者による減量・リサイクルの一層の努力が必要となりますが,ごみの組成からどのような点が課題となるのか,お伺いいたします。
また,小規模事業者が家庭ごみのステーションへ排出することのないよう啓発,指導を行ってきたと思いますが,その成果と今日の実態はどうなっているのか,伺います。
さらに,生ごみのリサイクルですが,現在,学校やホテルなどから排出された良質な生ごみについては,リサイクル団地内で飼料としてのリサイクルが行われていますが,02年度の処理量と今後の展開方策もあわせて伺います。
3点目は,埋立地の延命化についてであります。
01年度までには着実に埋立量は減少していたにもかかわらず,02年度は,事業系のごみの増大により,埋め立て処分量は1998年度とほぼ同量になってしまいました。ごみプランにおける三つの数量目標の中で一番おくれた形になり,今後の十分な対応が求められます。
特に,98年度と比較すると,直接埋立量の7割を占める一般事業者の搬入ごみ量が増加しており,埋立地受け入れ基準の徹底が不十分だとするならば,早急に体制の強化を図る必要があると考えますがいかがか,伺います。
4点目は,不法投棄防止についてであります。
近年,増加している不法投棄などの廃棄物の不適正処理に対しては,本市としても徹底した監視・指導体制と,警察などの関連機関との連携による取り締まり強化が求められております。不法投棄物の中に占める上位3種類の内容はタイヤ,自転車,テレビの順になっておりますが,02年度の不法投棄常習地帯を初めとした実態の推移と,今後の課題について所見を伺います。
次に,保育問題について伺います。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の第12回出生動向基本調査,独身者の調査,2002年では,若年層男女で家庭にとどまらない女性の生き方を支持するという回答が上昇する一方,専業主婦を理想とする男女は,女性で19%,男性で18%と大幅に下降しております。
札幌市の2000年の若年層調査でも,男女とも,専業主婦志向は減り,女性の理想の生き方として再就職希望と働き続けるを合わせて,女性で77%,男性で69%という数字になっております。女性は結婚しても働くことが一般化したこと,男性の所得が減っていることなどが要因と考えられます。
しかし,2000年の国勢調査によると,本市において,6歳未満の子供を持ち,夫婦ともに働いている割合は21.5%と,10%以上全国平均を下回っており,若年層が望むライフスタイルと現実とのギャップが大きくなっております。預けるところがあれば働きたいという女性がふえているからであり,このことは,保育所の定員をふやしても待機児童が解消されない大きな要因であると推測されます。
札幌市は,待機児童ゼロを目指し,昨年度,認可保育所9カ所,定員枠で660名ふやしました。また,定員枠を超えた入所も認め,4月1日時点で定員を477名超過しておりますが,待機児童は184名おり,解消を図ることはできませんでした。
保育所は,延長保育や休日保育,障がい児保育や一時保育,保育所開放などの子育て支援事業など,保育所機能が拡大されているにもかかわらず,定員超過,短時間パート保育士の増大などで,物的・人的条件は悪化しております。
このような状態が続くことは,子供にとっても,保育士さんにとっても,不幸なことであります。定員超過は一刻も早く解消しなければなりません。
これまでの典型的な女性のライフスタイルが崩れ,子供を育てながら働くことが当たり前になった今,幼稚園と保育園のあり方を総合的に検討することも求められております。保護者が働いている,いないにかかわらず,地域の子供がともに過ごし,遊べる場を保障することが,親同士の交流も深まり,核家族の孤立を解消することにもつながるものと考えるからであります。
社会や家族が大きく変化する中で,子供の成長を保障するためには,幼稚園,保育所の環境をこれまで以上に豊かにしていかなければなりません。自然のある園庭,子供の食べる,寝る,遊ぶなどの多様な活動を営めるゆとりのあるスペースを確保し,一人一人の子供に行き届いた保育を保障し,あわせて,家庭や地域に対する支援を行える経験豊かな保育士をふやすことが必要であります。
そこで,質問の1点目は,待機児童問題についてであります。
本市では,国の待機児童ゼロ作戦に合わせて,02年から04年の3年間を保育所緊急整備期間として,定員1,200名増の方針を示し,さらに,1年目720名,2年目615名と,新設,改築,認可保育所移行促進事業を合わせた2年間の前倒しでの計画実現を図っております。
しかし,先ほど述べたように,ことし4月1日現在の状況を見ると,前年度より若干の改善は見られるものの,待機児童の早期解消は厳しいと考えます。現計画の中で,待機児童と超過入所の解消は可能と考えているのかどうか,あわせて,今年度の整備見通しについても伺います。
2点目は,認可外保育所についてであります。
立地条件やサービスによる選択,認可保育園の空き待ちなど,認可外保育所は,多くの保護者のニーズにこたえており,現在の保育制度の谷間を埋める役割を果たしてきました。また,他の自治体では,それぞれの工夫で認可外保育所に対する支援制度を創設し,不十分ではあっても,保育ニーズにこたえる努力をしてきております。
昨年から始まった,これまでいわば野放し状態にあった認可外保育所に対する届け出制は,指導・監督の強化よりも,保育の質の向上を図る第一歩と考えるべきであり,そのための支援のあり方について具体的な検討が求められていると考えます。
札幌市の保育サービスの中において大きな役割を果たしている認可外保育所の明確な位置づけと支援策が求められていると考えますがいかがか,伺います。
3点目は,幼保一元化への取り組みについてであります。
既に,子供の数の減少に悩む過疎地域の自治体では,幼保一元化の取り組みが行われております。一方,本市の幼稚園定員は,保育所定員の約2倍となっていますが,少子化の影響で定員割れの幼稚園も多いと聞いています。規制緩和を掲げながら,相変わらず制度の壁が低くならない幼稚園と保育園ではありますが,今,子供たちも保護者も,地域でさまざまなつながりや支え合う関係をつくり,集団の中で育ち合う場が求められております。
そのためには,幼稚園であるか,保育園であるかにかかわらず,既存のサービス資源を最大限に活用して,さまざまな保育や子育てニーズに対応できる制度へと転換を図っていかなければなりません。分園方式の導入や最低定員の引き下げなど,保育所設置で進む規制緩和を積極的に利用すれば道は開けるのではないでしょうか。
本市みずからの工夫で,近い将来には必ず制度的な整備がなされるであろう幼保一元化の第一歩を踏み出すべきと考えますが,市長の所見を伺います。
次に,障がいのある子供たちの教育についてであります。
これまで,障がいのある子供たちの学校教育は,盲学校,聾学校,養護学校や特殊学級など,障がいに応じた分離・別学教育が原則とされてきましたが,社会のあり方を学ぶ学校こそ,ともに学び,ともに育つ場所にしなければならない。すなわち,統合教育,インクルージョン教育を進めなければならないと我が会派は考えてまいりました。
政府・文部科学省が分離・別学教育の原則を崩さないという困難な状況のもとではあっても,一緒に遊んできた近所の友達と一緒に勉強したいという子供たちの願いを受けとめた全国の自治体と先生たちによって,長年にわたって統合教育の実践が積み重ねられてきましたし,札幌市も,徐々にではありますが,子供たちと親の願いを受けて,ともに学ぶ教育に取り組んでまいりました。
その取り組みを通してわかったことは,ともに育つことが,障がいのある子供にとっても,障がいのない子供にとっても,貴重な学びと喜びの機会となるということであり,そこには共生社会の担い手としてたくましく育つ子供たちの姿勢がありました。
一方で,一緒に学びたいという願いを拒絶する結果になったケースでは,障がいのある子供が普通学級の子供たちから孤立して深く傷つくということも少なくなかったことを直視しなければなりません。群馬県高崎市の山中にある知的に障がいのある人たちの大規模入所施設,国立コロニーのぞみの園は分離,隔離の象徴と言われてきましたが,厚生労働省の検討委員会は,このほど,ここの入所者が施設を出て地域で暮らすための施策を進めるべきとする報告書をまとめました。これは,政府が脱施設・脱隔離を本格化させる政策転換を行ったことを意味いたします。
また,介護保険制度の骨格となる理念にも,施設から地域へというインクルージョンの思想が位置づけられております。
しかし,文部科学省の施策を見る限り,教育の分野でインクルージョンを進めようという積極的な姿勢は感じられません。教育と福祉の理念の整合性をインクルージョンの方向で図ること,すなわち,国際的な潮流としても定まった統合教育を原則にすることが,いよいよ切実に求められています。
上田市長が障がい者の問題について人権の観点から考えたいと述べられていることについて,障がい当事者から多くの期待の声が寄せられております。この時期に,教育行政の分野でこたえるには,何よりも統合教育に向かう歩みを早めるべきだと考えます。政府が消極的であるのなら,地方からその実践を積み重ねていく必要があります。
札幌市教育委員会は,障がいのある子供の教育を推進するための中長期的な計画,札幌市特別支援教育基本計画をことし3月に策定いたしました。この基本計画は,障がいのある子供や家族,教員へのソフト・ハード両面でのサポートを充実させながら,統合教育を推進しようという姿勢を含んでいると理解いたします。
以上の認識と問題意識に基づいて,以下,質問いたします。
まず,1点目は,障がいのある子供の学校教育についての基本方針についてであります。
札幌市特別支援教育基本計画では,基本方針として,ニーズに応じた多様な教育の展開をうたっております。しかし,分離,隔離の象徴として先ほど触れた大型施設なども,障がいに応じたニーズに対応しているとも言えるわけであります。個々の障がいに応じた対応はもちろん大切ですが,ともに学び,ともに育つこと,統合教育こそが最大のニーズであるということを見失うと,ニーズに応じたという目標のもとで,分離・別学を進めてしまうことにもなりかねません。
そこで,望ましいのは普通学級で一緒に学ぶことであるということ,市教委として最大の努力を傾けても,なお統合教育が不可能である場合の次善の策として特殊学級,養護学級があるとの基本方針と基本理念を認識すべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
2点目は,就学相談についてであります。
市教委は,障がいのある子供の就学相談に当たって,子供と親が判定と異なる形で普通学級を希望した場合,これまでは,最終的には子供と親の希望を尊重するとの姿勢をとってきました。また,昨年4月の学校教育法一部改正に当たっても,その姿勢を変えないことを議会で言明されました。今回まとめた特別支援教育基本計画を進めるに当たっても,この姿勢を堅持すべきと考えますが,見解を伺います。
3点目は,進路変更についてであります。
小学校,中学校,高等学校へと進学し,新たな環境に学ぶことは,障がいのない子供にとっても不安を伴うものですから,障がいのある子供にとってはなおさらでしょう。そのときに,普通学級に入っても,もし自分に合わないと思ったら,特殊学級へのクラスがえや養護学校への転校もできるのですよと言ってあげられたら,普通学級への進学をちゅうちょしている子供や親の背中を優しく押してあげることにもなるのではないでしょうか。また,その逆で,やっぱり普通学級がいいなと思ったときに,特殊学級や養護学校から普通学級に移ることができたら,統合教育がより進むものと思います。
そこで,子供や親が普通学級,特殊学級,養護学校の間を移動したいと希望したとき,できる限りの便宜を図るべきと考えますがいかがか,お伺いいたします。
以上の提案は,知る人ぞ知るというのでは意味がありませんから,障がいのある子供の教育に関する札幌ルールとして明文化すべきと考えますが,いかがでしょうか。
文部科学省への提案,全国への発信という意味でも有効と考えますが,いかがでしょうか,4点目として,この点を伺います。
5点目は,医療的ケアについてであります。
厚生労働省は,先ごろ,医療と介護の中間領域であるサクション,導尿などの医療的ケアを,介護者,ボランティアなどにも認める方向を打ち出し,これまで施設や医療のもとでの生活をやむなくされてきた方々が,地域で暮らす道が開き始めました。
そこで,医療的ケアが必要な子供たちが普通学級で学ぶための支援についても,医療関係機関との連携も含め,検討を開始すべきと考えますがいかがか,お伺いをいたします。
以上で,私のすべての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西村茂樹) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 7点にわたりましてご質問がございましたので,私は,財政問題について,それから住基ネットの問題について,それからさっぽろ元気プランと連絡所の機能について,この3点について私からお答えいたしまして,その余は担当助役等からご答弁を申し上げたいと思います。
まず,私から,財政問題についてであります。
1点目の
財政調整基金についてお答えをいたします。
財政力指数などが示すとおり,札幌市の財政基盤は極めて弱い,そして,国の三位一体の改革によりましても大きな影響を受けることが懸念されているところでございます。また,近い将来に,市債の元金償還,それから公共施設の更新がピークを迎えるなど,今後も引き続き厳しい財政運営を強いられるということが予想されるところでございます。
このような中で,議員ご指摘の
財政調整基金につきましては,中長期的な財政見通しを考慮しながら,十分に活用して,施策の重点化や効率化を図りながら,私の施政方針でありますさっぽろ元気ビジョンに掲げる街づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。
2点目の基金現在高についてお答えいたします。
初めは,基金に含まれる土地の評価額についてであります。
土地開発基金とまちづくり推進基金で取得した土地の価格は約593億円と承知しておりま
す。概算ではございますけれども,これを時価で見ますと,約432億円と推計しているところでございます。したがいまして,取得時に比べて約161億円の減というふうになっておりまして,基金総額約2,097億円から見た場合には約7.7%の減額となっているところでございます。
次に,北5条西5丁目の市有地についてでありますが,ご指摘の用地につきましては,隣接をしております市有地との一体利用と,札幌駅南口土地区画整理事業を円滑に進めるために取得したものでございます。
この用地の活用に当たりましては,土地価格の下落等を踏まえまして,また,議会でのご議論もいただきまして,市が土地を保有したまま,広く民間の知恵と工夫を生かすことのできる街づくりを進めることとしたものであります。
このたびのプロポーザルによります事業提案により,大学サテライトやカルチャースクール,託児室など,市民の多様な活動や交流を支える機能が導入されるとともに,札幌市の顔となる札幌駅南口にふさわしい土地の有効利用が図られますことから,市民の方々にもご理解をいただけるものと考えているところでございます。
3点目の市債が予算と比較して減少した理由についてでございます。
市債につきましては,執行段階での事業費の確定等に伴い市債発行可能額も連動するものでございまして,具体的には,札幌エルプラザ建設事業において,設計変更等に伴いまして市債対象経費が減少したことや,市営住宅建設事業において入札等の結果,事業費自体が減少したことなどによりまして,予算額と決算額との間に差が生じたものでございます。
4点目の中小企業金融対策資金についてであります。
53億3,000万円の不用額が生じましたのは,景気の低迷に伴う設備投資の手控えや,事業計画の延期,縮小などによるものと受けとめております。
また,金融機関への預託金についてでありますけれども,これは,札幌市が進めております中小企業金融対策資金貸付金事業を,中小企業者にとって利用しやすいものとするために,これまで,融資を実行する民間の金融機関に対し,毎年度,貸付金の原資の一部を預託してきたものでございます。
現在,中小企業等の新たなニーズに対応した融資制度のあり方を検討しているところでありますが,この預託方法は,資金の安全性や利便性にすぐれているということから,今後も継続していく考えであります。
5点目の平成14年度市税決算と今後の対応についてであります。
ご指摘のように,決算額は,予算額を上回りましたけれども,前年度と比較しますと減収となっておりまして,自主財源の中心であります市税の環境は依然として厳しい状況であると認識をいたしているところでございます。
このような中にありまして,積極的に納税対策を講じた結果,収入率では前年度比0.7ポイント増の94%,収入未済額でも,ここ数年,圧縮を図ってきておりまして,前年度よりも約23億円の減少としたところであります。
今後の対応でございますけれども,今年度は,特に夜間だとか休日の納付督励を中心とした歳入確保対策事業を実施するなど,これまで積み重ねてきました納税対策をさらに強化するとともに,専門的知識と折衝能力を備えた職員の育成にも積極的に取り組み,これまで以上に税収の確保に努めてまいりたいと考えているところであります。
住民基本台帳ネットワークシステムについてであります。
1点目の総務省と長野県審議会の討論会の感想についてでございますけれども,一部には話し合いは平行線だったという評価もございますが,私は,市町村間のセキュリティー関係に注目をいたしております。
他の市町村のセキュリティーに不安があることについては重大な関心を持っておりますので,長野県での侵入実験の経過についても,今
後,注目をしていきたいと思います。
2点目の住基ネットの費用対効果と自治体のメリットについてであります。
システム構築に要する経費及びシステム稼働後のランニングコストは大きな負担となっておりますが,今後の市民の利用状況や行政事務の効率化とも密接に関連しますので,現時点では,そのコスト評価については難しいと考えております。
3点目の住基ネットに係る個人情報の保護に関する条例についてでありますけれども,既に制定しております自治体の状況について調査研究をしておりますので,条例制定の必要性や盛り込むべき内容等について,札幌市の個人情報保護条例との関係を考慮し,関係機関とも十分協議してまいりたいと,このように思っております。
また,危険性が明白になった場合の切断についてどうするのかということでございますが,札幌市の場合は緊急時対応計画書というものを作成しておりまして,その中に,本人確認情報に脅威を及ぼすおそれの高い事象に該当する可能性が高い場合には,必要に応じてシステムの停止等を行うことが明記されておりますので,これに従って対応していきたいと考えているところであります。
4点目の住民記録システムのセキュリティー対策についてでございますが,住基ネットの信頼性を高めていく上で,住基ネットそれ自体のセキュリティー対策とともに,これと接続する市町村の住民記録システムのセキュリティー対策の強化も極めて大切なものだと考えております。したがいまして,札幌市としても,他都市における取り組みも検討素材とし,積極的にこれらのセキュリティー対策に取り組んでまいりたいと考えているところであります。
5点目のいわゆる横浜方式の検討状況についてでございますが,現在,対策会議において,横浜市の状況や横浜方式を目指している杉並区の状況について調査研究をしており,近々,実態調査を行う予定であります。また,今後,札幌市においてどのようなことが可能なのかについて,全国的な稼働状況を見ながら検討を進めてまいりたいと考えているところであります。
次に,さっぽろ元気プランと連絡所の機能強化及び区役所庁舎についてでございますが,まず1点目の市役所改革プランと市民自治推進プランについてお答えをいたします。
まず,市役所改革プランにつきましては,本年10月末をめどに,
市役所内部で市役所改革プランの素案というものを策定いたしまして,これを市役所改革市民会議にお諮りをし,さまざまなご意見をいただきながらプランを段階的に成長させていく方法で策定をする考えでございます。このプランは,来年秋ごろには完成させたいと思っているところでございますが,プランが完成してから実行に移すのではなくて,実施できることから順次実施し,スピード感のあふれる市役所改革を実現していきたいと考えております。
一方,市民自治推進プランについてでありますけれども,今月,9月23日には,市民自治を考えるフォーラムを開催いたしまして,多くの市民の皆さんの参加のもとに活発な議論をいただいたところでございます。
今後,公募市民や有識者で構成いたします市民会議を設置して,市民自治の実現に必要となる市民参加のルールなどについての議論を進め,来年秋ころにはプランを策定していきたいと考えております。
なお,この二つの市民会議の運営につきましては,いずれも,会議メンバーの皆さんの主体性を大切にするということとともに,例えば,メンバーみずからが市民の皆さんに幅広く意見を求めるなど,多くの市民意見が反映されるプランにしてまいりたいと考えているところでございます。
2点目の市民活動サポートセンターでの事業についてでありますが,このサポートセンターは,市民活動の総合拠点として,研修,学習,交流活動支援などの機能を持ち,これに基づいた各種事業を実施しているところであります。
今年度におきましては,市民向けの研修講座として,市民活動の入門的なもの,グループ運営やイベントのノウハウを学ぶもの,街づくりを実践的に学ぶものなどの各種講座を実施し,またはこれから予定をしているところであります。さらに,団体の育成につながる事業や,団体間や市民・企業・行政の交流促進を図るための事業を,市民の企画提案によって実施するための準備を進めているところであります。
3点目の連絡所についてでございますが,まず,連絡所が抱える共通課題とその改善についてでありますが,さまざまな地域の課題を解決していくためには,町内会,PTA,商店街,企業,NPO,ボランティアなどの住民や団体が意見を出し合い,連携することが必要であります。
連絡所は,このような連携を積極的にサポートするまちづくりセンターとして改編することを考えておりますが,改編に当たっては,地域の特性など諸条件によってさまざまな課題があります。
ソフト面では,連絡所の地域コミュニティネットワークの拡大という問題がございます。連絡所は,これまで,町内会を核とする地域の街づくり活動に対して支援・協力といった形でかかわっており,地域における一定のコミュニティネットワークを持っていたわけであります。
しかし,これからの街づくり活動のより広い展開を考えるときに,さまざまな活動団体の連携と,これを支える地域におけるコミュニティリーダーとなり得る団体だとか人の発掘,把握などに取り組むことが必要でありまして,連絡所長は,そのコーディネーターとしての役割を果たしていくべきものと私は考えております。
また,ハード面では,連絡所のスペースなどの問題がございます。まちづくりセンターとして多くの市民が集い交流するためには,だれもが入りやすい,使いやすい場とすること,そして,そのためにスペースの確保も必要でありますけれども,現在の連絡所のスペースでは必ずしも十分であるとは言えないわけであります。
すべての連絡所を一律に整備するというためには多大な費用を要します。また,用地など物理的にも難しいために,既存施設の有効活用などそれぞれ工夫する中で,可能な限りの改善を図っていきたいと考えております。
次に,連絡所の機能充実についてであります。
今日の地域を取り巻く環境というものは,高齢化,少子化,市民ニーズの多様化など大きな変化を続けていることから,連絡所業務につきましても,随時,見直しを行うこととし,地区福祉のまち推進センターとの連携を初め,機能の充実強化に努めてまいりました。
私は,地域における健康づくりを推進するために,地域,職場,関係機関等と連携して環境づくりを進め,地域で暮らし,地域で支える福祉,これをはぐくむ必要があると考えておりまして,これは,さっぽろ元気ビジョンでもお示ししているとおりであります。
今後のまちづくりセンターへの改編に当たっては,こうした観点からも検討してまいりたいと考えております。
4点目の区役所庁舎の施設整備計画と白石区役所についてでございます。
まず,区役所庁舎整備計画の策定のめどについてでありますけれども,平成12年度から着手いたしました当計画は,建設後30年が経過し老朽化が進む,厚別区,手稲区,清田区を除く7区の区役所庁舎の再整備の方向づけを明らかにすることを目的とし,検討を進めてきたところでございます。検討に当たりましては,施設の保全調査や耐震診断,
アンケート調査を踏まえて,問題点の把握と課題を整理いたしまして,コストを含めたケーススタディーなどを経まして,現在,取りまとめの段階に入っているところでありまして,平成16年度をめどに策定してまいりたいと考えております。
次に,南郷通1丁目の公共用地の活用方策についてであります。
当該用地は,将来の公共施設用地としてことしの3月に取得をいたしましたが,その活用につきましては,私も,多様な用途を持った複合的なものが望ましいと考えております。今後どのような複合的機能を整備すべきか,広く市民の意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に,白石区役所の立地場所も含めた再整備の判断時期についてでありますけれども,現在の白石区役所の状況を考えますと,当該用地への区役所の移転は有効な活用方策の中核をなすものではないかと考えております。具体的な判断時期につきましては,現在策定中であります今後の施設整備計画を踏まえて検討を進めてまいりたいと考えておるところであります。
私からは,以上でございます。
○副議長(西村茂樹) 福迫助役。
◎助役(福迫尚一郎) 廃棄物問題につきまして,私からお答えさせていただきます。
1点目の家庭ごみの組成から見たリサイクルの必要性についてでございます。
まず,生ごみにつきましては,これまで水切りの励行や食材のむだをなくすなどを呼びかける一方で,コンポスト化容器の購入助成のほか,家庭用生ごみ処理機や段ボールを使った生ごみ堆肥化のモニター調査を行ってまいりました。
さらに,今年度,家庭でできる生ごみの処理法をまとめました生ごみハンドブックを作成いたしまして,居住形態に応じて実践していただけるよう普及に努めてまいります。
また,生ごみ堆肥化の実態と今後の可能性につきましては,いまだ一部の普及にとどまっておりますことから,さらに普及策を講じていく必要があるものと考えております。
次に,紙類につきましては,新聞,雑誌など古紙の一部がごみステーションに排出されている実態があることから,今年度実施の古紙回収ルートモデル事業によりまして集団資源回収の空白地域解消を図る実験を行っておりまして,その結果等を活用し,古紙の資源化に努めてまいります。
また,プラスチックにつきましては,潜在量からいたしますと,まだまだ燃やせるごみなどに排出されていることから,プラスチック収集の定着に向けた分別のPRに努めてまいります。
2点目の事業系ごみについてでございます。
まず,ごみの組成に着目しました今後の取り組みについてでございますが,本市の施設で処理を行っております事業系の廃棄ごみのうち,特に大きな割合を占めておりますのは紙と廃木材でありますことから,これらの再資源化施設への誘導をより一層進めていく努力がまずは必要であろうと考えております。
次に,小規模事業所対策についてでございますが,平成13年度と14年度の2カ年で,収集運搬許可業者の収集実績がない事業所に対しまして調査を実施いたしました。このうち,ごみステーションに排出するなどしていた約3,000の事業所に対し是正指導を行いまして,約98%が改善されたところであります。
また,生ごみのリサイクル処理についてでございますが,民間の飼料化施設におきまして,平成14年度は約1万3,500トンの処理がなされているところであります。今後とも,この水準を維持してまいりたいと考えております。
なお,そのほか,食品関連事業者の自主的な発生抑制,減量及び再生利用の取り組みを促進するよう普及啓発等につきましても実施してまいります。
3点目の埋立地の延命化についてでございますが,現在,埋立地には可燃物など受け入れ基準に適合しないごみの搬入も見られることから,事業系の搬入ごみにつきましては,今後,さらに監視・指導体制を強化いたしまして適正化を図ってまいります。
4点目の不法投棄防止についてでございます。
不法投棄の実態の推移についてでございますが,不法投棄件数につきましては,過去3年間におきましてほぼ横ばいに推移しております。一方,不法投棄常習地帯につきましては,約60カ所あったものが,さまざまな施策を講じることによりまして6割程度に減少しております。14年度の不法投棄物上位3種は,議員ご指摘のように,タイヤ,自転車,テレビの順となっておりますが,不法投棄は夜間や休日に行われることが多く,実行者が特定できないこと,ま
た,市街化調整区域では土地の管理が十分に行われていないことなどが課題となっております。
今後とも,土地の管理者に未然防止対策などの協力を求めることはもちろんでございますが,警察など関係機関との連携を深めながら,監視パトロールの強化や監視カメラの増設などの不法投棄防止対策を強化してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(西村茂樹) 小澤助役。
◎助役(小澤正明) 私から,経済政策と保育問題についてお答えをいたします。
経済政策の1点目のご質問のうち,まず,産学連携と札幌市のかかわりについてでありますが,市内に多くの大学や研究機関が集積している優位性を生かし,新たな産業の創出や地元中小企業の高度化を図っていくことが重要な課題であると認識をしております。そのため,札幌市としては,今後も国や道と協力し,産学の連携を一層促進していく役割を果たしてまいりたいと考えております。
また,ライフサイエンス分野を中心とした産業振興の方向性と進捗状況についてでありますが,大学や研究機関等のすぐれた研究成果や市内IT企業の技術力を活用し,市民にとって身近な健康や医療分野での産業振興やその環境整備を図っていきたいと考えております。
今年度は,産業創出の可能性,支援方策等について調査検討を行うとともに,バイオとIT分野相互の企業間の連携を促進する事業を実施する予定であります。
2点目の身近な食材の可能性についてでありますが,身近にある植物の有用性についての情報を得ていくことは,農業振興上も重要であると考えております。また,農業指導センターでは,既に幾つかの新しい作物について実験的な栽培を行っているところですが,国や道の研究機関とも連携し,情報収集に努め,栽培品目の充実を図ってまいります。
3点目の他産業との連携による農業振興についてでありますが,加工により農産物に新たな付加価値をつける,あるいは,機能性に着目した商品開発を行うことは,新しい産業を生み出す観点からも大変重要であります。
したがいまして,ご提言の趣旨も踏まえ,今後の農業振興策を展開していく中で,これらの考え方を反映してまいりたいと考えております。
4点目の農業副産物や野生植物の利用についてでありますが,産学官連携の視点の中で,札幌らしい新しい産業としての発展可能性なども含め,研究してまいりたいと考えております。
次に,保育問題についてお答えいたします。
まず,待機児童問題についてであります。
平成14年度は緊急整備期間の初年度として例年を大きく上回る施設整備を行いましたが,新たな保育需要の発生などにより,残念ながら,待機児童解消には至っておりません。今後も,地域における保育需要を的確に把握し,待機児童と超過入所の早期解消に努めてまいります。
次に,今年度の整備見通しについてでありますが,国庫補助による事業といたしましては,昨年からの継続事業を含めた創設3件及び改築2件により,実質315名の定員増となります。また,認可移行促進事業により,今年度も300人程度の定員増を見込んでおり,これらを合わせますと615人の定員増となります。
2点目の認可外保育施設の位置づけと支援策についてでありますが,札幌市では,認可保育所における保育の提供を原則としており,認可保育所の整備を最優先に行っております。認可外保育施設に対しましては,平成14年度より認可施設への移行促進事業を展開しているほか,当該施設の職員を対象とした各種研修の充実に努めているところであります。
3点目の幼保の一元化につきましては,ご承知のとおり,保育所は厚生労働省,幼稚園が文部科学省と所管が異なっており,それぞれの施設の設置目的や制度に相違点があることから,国においても現在双方で協議をしている段階であり,今後さまざまな課題の整理をする必要があります。
しかしながら,議員のご指摘は,幼児の育成にとって,また子育てに対する貴重なご提言でございますので,国の動向を見きわめる一方,今後,教育委員会とさらに連携を深めながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(西村茂樹) 松平教育長。
◎教育長(松平英明) 私から,障がいのある子供たちの教育についてお答えを申し上げます。
1点目の基本方針についてでございます。
本市の特別支援教育基本計画におきましては,ノーマライゼーションの理念のもと,一人一人の特別な教育的ニーズに応じた支援を行っていくこととしております。
本市の基本計画は,ご質問の趣旨にありました統合教育の理念を掲げているものではございませんが,障がいのある子供が,地域社会の一員として主体的に社会参加しながら,心豊かに生きていくことができますよう,多様な教育を推進してまいりたいと考えております。
次に,2点目の就学相談についてでございますが,これまでも,保護者からの申し出に基づき,一人一人の障がいの状態等に応じた適切な教育の場を総合的に判断しており,保護者と就学相談の意見が異なる場合には,保護者の意見を十分お聞きし,可能な限り,意向を尊重してまいりました。今後におきましても,これまでと同様に,保護者との十分な話し合いの中で進めてまいりたいと考えているところでございます。
次に,3点目の進路変更についてでありますが,保護者が子供の進路変更を希望する場合には,一人一人にふさわしい教育内容,方法を総合的に検討するとともに,保護者の意向を十分に聞きながら教育の場を決定してまいりたいと考えております。
次に,4点目のご提案の趣旨を札幌ルールとして明文化することについてでございますが,本市としての特別支援教育の基本方針につきましては,既に基本計画に示しているとおりでございまして,これに基づき,着実に推進してまいりたいと考えております。
最後に,5点目の医療的ケアについてでございますが,国におきまして,今年度から,文部科学省と厚生労働省の連携によりまして,養護学校における医療的ケア体制整備事業に着手したところでございまして,本市といたしましては,その動向を十分見きわめてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(西村茂樹) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し,あす10月1日午後1時より再開したいと思いますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(西村茂樹) 異議なしと認めます。したがって,そのように決定しました。
――
――――――――――――――――
○副議長(西村茂樹) 本日は,これで散会します。
――
――――――――――――――――
散 会 午後5時
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 武 市 憲 一
署名議員 西 村 茂 樹
副議長 小 谷 俵 藏
署名議員 阿 知 良 寛 美...