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令和 4年第 2回 2月定例会−02月14日-03号

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  1. 広島市議会 2022-02-14
    令和 4年第 2回 2月定例会−02月14日-03号


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    令和 4年第 2回 2月定例会−02月14日-03号令和 4年第 2回 2月定例会         令和4年  広島市議会定例会会議録(第3号)         第 2 回                  広島市議会議事日程                                 令和4年2月14日                                 午前10時開議                   日    程  第1┌自第1号議案 令和4年度広島市一般会計予算    ┤    └至第55号議案 広島市障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行条例の一部を改正する条例の一部改正について      (総括質問) ───────────────────────────────────────                会議に付した事件等  開議宣告(終了)  会議録署名者の指名(終了)  日程に入る旨の宣告(終了)
     日程第1┌自第1号議案 令和4年度広島市一般会計予算      ┤      └至第55号議案 広島市障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行条例の一部を改正する条例の一部改正について       (総括質問)  休憩宣告(終了)  開議宣告(終了)  総括質問(続行し,明日も続行)  次会の開議通知(明日午前10時開議を宣告)  散会宣告(終了) ───────────────────────────────────────                出 席 議 員 氏 名    1番  岡 村 和 明            2番  川 本 和 弘    3番  田 中   勝            4番  並 川 雄 一    5番  川 村 真 治            6番  石 田 祥 子    7番  川 口 茂 博            8番  水 野   考    9番  平 岡 優 一            10番  椋 木 太 一    11番  吉 瀬 康 平            12番  山 本 昌 宏    13番  山 内 正 晃            14番  碓 氷 芳 雄    15番  海 徳 裕 志            16番  木 戸 経 康    17番  山 路 英 男            19番  石 橋 竜 史    20番  平 野 太 祐            21番  定 野 和 広    22番  伊 藤 昭 善            23番  桑 田 恭 子    24番  近 松 里 子            25番  大 野 耕 平    26番  西 田   浩            27番  渡 辺 好 造    28番  豊 島 岩 白            29番  宮 崎 誠 克    30番  八 條 範 彦            31番  母 谷 龍 典    32番  三 宅 正 明            33番  八 軒 幹 夫    34番  馬 庭 恭 子            35番  竹 田 康 律    36番  藤 井 敏 子            37番  中 原 洋 美    38番  太 田 憲 二            39番  若 林 新 三    40番  今 田 良 治            41番  佐々木 壽 吉    42番  元 田 賢 治            43番  谷 口   修    44番  永 田 雅 紀            45番  金 子 和 彦    46番  木 山 徳 和            48番  中 森 辰 一    49番  碓 井 法 明            50番  山 田 春 男    53番  木 島   丘            54番  藤 田 博 之 ───────────────────────────────────────                欠 席 議 員 氏 名    18番  森 畠 秀 治            51番  中 本   弘    52番  児 玉 光 禎 ───────────────────────────────────────          職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名  事務局長    石 田 芳 文       事務局次長   松 坂 康 雄  議事課長    小 田 和 生       議事課課長補佐主任事務取扱                                吉 川 和 幸  議事課主査   村 田 愛一朗       議事課主査   小 崎 智 之  外関係職員 ───────────────────────────────────────              説明のため出席した者の職氏名  市長      松 井 一 實       副市長     小 池 信 之  副市長     及 川   享       危機管理担当局長岩 崎   学  企画総務局長  荒神原 政 司       財政局長    古 川 智 之  市民局長    杉 山   朗       健康福祉局長  山 本 直 樹  健康福祉局保健医療担当局長         こども未来局長 森 川 伸 江          阪 谷 幸 春  環境局長    重 村 隆 彦       経済観光局長  津 村   浩  都市整備局長  中 村   純       都市整備局指導担当局長                                谷   康 宣  道路交通局長  加 藤 浩 明       下水道局長   油 野 裕 和  会計管理者   金 森 禎 士       消防局長    勝 田 博 文  水道局長    友 広 整 二       監査事務局長  大 杉   薫  財政課長    後 藤 和 隆       教育長     糸 山   隆  選挙管理委員会事務局長           人事委員会事務局長          橋 場 聡 子               仁 井 敏 子 ───────────────────────────────────────                午前10時00分開議                出席議員  30名                欠席議員  23名 ○佐々木壽吉 議長      出席議員30名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      これより本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                 会議録署名者の指名 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      本日の会議録署名者として               12番 山 本 昌 宏 議員               24番 近 松 里 子 議員 を御指名いたします。 ───────────────────────────────────────                日程に入る旨の宣告 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      これより日程に入ります。 ─────────────────────────────────────── △日程第1┌自第1号議案 令和4年度広島市一般会計予算      ┤      └至第55号議案 広島市障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行条例の一部を改正する条例の一部改正について       (総括質問) ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      日程第1,第1号議案から第55号議案を一括議題といたします。  前回に引き続き,総括質問を行います。  発言通告者に順次発言を許します。  11番吉瀬康平議員。                〔11番吉瀬康平議員登壇〕(拍手) ◆11番(吉瀬康平議員) 皆様,おはようございます。  日本共産党の吉瀬康平です。党市議団を代表いたしまして,総括質問を行います。  初めに,日米地位協定の見直しについてお聞きしてまいります。  新型コロナウイルスオミクロン株による第六波がまたもや市民の命と暮らしを脅かしています。昨年末から全国の在日米軍基地新型コロナウイルスの感染が急拡大し,米軍基地がある沖縄県や山口県,岩国基地と隣接する広島県では,これまでにない速さで感染者数が急増し,1月9日からまん延防止等重点措置が発令されました。  今回の第六波がこれまでの第五波と違うのは,感染由来が米軍だということです。
     沖縄県は,国立感染症研究所の解析結果を基に,オミクロン株の感染が昨年12月以降にキャンプ・ハンセンから嘉手納基地,市中感染へと広がった可能性が高いと指摘しています。沖縄県知事は,県民が一丸となって感染防止に取り組む中,米軍基地内で多数の感染者が出たことは極めて遺憾であるとし,米軍の対策に強い疑念を抱かざるを得ないと批判しています。  山口県の調査では,岩国市内の感染者のうち,岩国基地を利用した従業員や自衛隊関係者が16%,クリスマス時期に米軍関係者の利用が多かった飲食店の従業員や利用者は32%に上り,米軍関係者の影響で感染が拡大したと見ています。  広島県知事も,岩国市と関連が疑われる感染例が多いと述べ,1月4日に米海兵隊岩国航空基地司令官及び駐日米国大使館に対し,米軍岩国基地における新型コロナウイルス感染症に係る緊急要請を行っています。  沖縄県知事が昨年12月に米軍関係者の入国禁止,基地からの外出禁止をアメリカ側に求めるよう岸田首相へ申し入れたにもかかわらず,政府は当初,米軍基地由来の感染だということすら認めませんでした。年明けからようやく米軍由来の感染拡大を認め,林芳正外相が米国務長官との電話会談で外出制限を求め,岩国基地では,1月10日から2週間の外出制限がされましたが,あまりにも遅く,手後れです。  日本は,新型コロナの水際対策として,米国からの入国を原則禁止にしていますが,昨年9月以来,米軍は,米本土から日本に入国する前の検査が免除されていたことが,昨年12月24日の林外相による記者会見で明らかになっています。新型コロナに感染した米軍関係者がフリーパスで日本に入国できていたのです。まさに日本の水際対策には大穴が空いていたということです。検査を米軍任せにした失政が感染急拡大の事態を招いた一因となったことは間違いありません。日米両政府の責任が問われます。  なぜこんなことになったのか。米軍には検疫法などの日本の国内法を適用しない,検疫権が日本にないという屈辱的な日米地位協定が根本の原因です。  日米地位協定の第9条で,米軍は,出入国管理に関する国内法の適用から除外されると明記され,さらに,1996年3月の日米合同委員会合意で,検疫は米軍が責任を負うとし,日本は関与しないことが合意されています。その結果,オミクロン株感染が基地外に広がるという異常事態を招いたのです。  米兵が日本から米本土に戻るときや日本から韓国やイギリスなど他国に移動する際には検査が義務づけられているのに,米本土から日本に入国するときには検査をしなくてよい。これは極めて不平等でいびつな協定であり,日本の主権侵害そのものです。  沖縄県をはじめ,米軍基地を抱える15都道府県で構成する渉外知事会は,これまでも基地周辺住民の不安を払拭するため,国内法を適用し,米軍に対しても日本側による検疫を実施する必要があると政府に要請しています。  NATOをはじめ,各国の地位協定では,検疫に関する規定をきちんと設けています。ドイツでは,米軍人・軍属に対する検疫権はドイツ自身にあることが示されています。日本がまともな主権国家なら,せめて他の国並みに米軍の治外法権的な特権を認める日米地位協定を抜本的に見直すべきです。  とりわけ,感染症の拡大を未然に防ぐ検疫については,日本の国内法が適用できるよう緊急の改定が強く求められると思いますが,市長の見解をお尋ねいたします。  次に,敵基地攻撃能力についてお聞きいたします。  岸田首相は所信表明演説で,敵基地攻撃能力保有の検討を明言しました。これまでの歴代政権が,他国に攻撃的な脅威を与える兵器の保有は憲法違反と判断してきた憲法解釈を180度転換するものであり,岸田政権の憲法じゅうりんの姿勢が鮮明になっています。安倍・菅政権でもできなかった,戦争につながる新たな危険性が現れてきたと言わねばなりません。  岸田首相は,憲法解釈の変更をするつもりはないと述べながら,ミサイル技術の進化を理由に,敵基地攻撃能力の保有も含め,あらゆる選択肢を排除せず,現実的に進めていくと表明し,1月7日に開かれた日米両政府の安全保障協議委員会,2プラス2の共同発表文書では,ミサイルの脅威に対抗する能力を含め,国家防衛に必要なあらゆる選択肢を検討すると決意表明し,敵基地攻撃能力も含まれると明言しています。  敵基地攻撃能力は,1発のミサイルを撃つ話ではなく,相手領域まで乗り込み,レーダーを破壊し,他国領域の制空権を確保し,ミサイル発射機を破壊するなど,地下施設を含む基地をしらみ潰しに攻撃するオペレーションだと政府も答弁しています。  そんな攻撃を行えば,相手の報復を招き,全面戦争に発展することになります。歯止めなき軍拡競争による軍事対軍事のエスカレーションは,偶発的な衝突から戦争という破局的事態を招きかねない危険な道です。  現在,自公政権とその補完勢力は,憲法9条に自衛隊を明記し,国民の人権を制限する緊急事態条項を書き加えるなどの憲法改定を強行しようとしていますが,これは名実ともに,日本を戦争する国に逆戻りさせる企てであり,絶対に許されません。  岸田政権は,台湾海峡をめぐる米国の対中国軍事戦略に追随し,台湾有事は日本有事と捉え,安保法制を発動する可能性にまで言及しています。自衛隊を派兵して軍事的介入を図ろうという動きは日本に戦火を呼び込む最も危険な道であり,断固拒否すべきです。米中関係が武力衝突や戦争という最悪の事態に陥らないようにすることは,世界にとっても最重要課題です。最も抑制すべき道は,軍事対軍事の対立と軍拡競争の悪循環であり,最も推進すべき道は,どんな国であれ,覇権主義は許さないという立場に立ち,平和的手段による問題解決を図ることだと考えます。  日本共産党は,米中の覇権争いが強まる下で,どうやって北東アジアを平和と協力の地域にしていくのか提案しています。  東南アジア諸国連合──ASEANは,東アジアの平和と協力の機構として強化をしていくために,ASEANに加盟している10か国に加え,日本や中国,韓国,米国など8か国によって構成される東アジアサミット──EASが毎年首脳会談を開催するなど,一貫した努力を重ねています。その到達点として,2019年のASEAN首脳会議で,ASEANインド太平洋構想──AOIPが採択されました。  これは,東アジア地域全体を,対抗ではなく対話と協力の地域にし,行く行くは東アジア友好協力条約──TACを目指そうとする壮大な構想です。  こうした東南アジアに学び,破局的な戦争につながる軍事的対応の強化ではなく,北東アジアを平和と協力の地域にするため,あらゆる紛争を平和的な話合いで解決する9条を生かした平和外交にこそ力を注ぐべきです。  憲法の平和主義・立憲主義を破壊し,日本を戦争に巻き込む岸田政権の敵基地攻撃能力の保持は絶対に認められないと考えますが,市民の命と財産を守る自治体の首長として,被爆地の市長としての御見解を伺います。  次に,黒い雨裁判の高裁判決を受け入れた上での新たな被爆者認定指針についてお聞きいたします。  初めに,黒い雨被爆者への対応について,市長の考えを伺います。  広島市と広島県は,黒い雨裁判の高裁判決を受け入れた上で,しかし,その判決に反する11の疾病要件を入れた政府,厚生労働省の新たな認定指針の骨子案に同意しました。厚労省が示した認定指針骨子案は,国も高裁判決を受け入れたにもかかわらず,内部被曝は認めない,認められないとする総理大臣談話をよりどころに,その判決に従わないものとなっています。判決を受け入れておきながら,それでもその判決の全部は認めないという首相の勝手な言い分を上に置く,到底,法治国家とは言えない日本の政府の実態をさらけ出しています。  一体何のために被爆者原告たちは,裁判中も次々と亡くなっていくほどの病気を押してまで裁判を闘ってきたのでしょうか。そのような筋の通らない政府に,広島県と広島市は屈服させられてしまったわけです。一体それで広島市長と広島県知事の責任が果たせるのでしょうか。  敗訴した行政側が判決を受け入れ確定したのに,その行政側が受け入れ確定した判決に従わなくてもいいと市長はお考えでしょうか,明確にお答えください。  また,市長は,限りなく多くの人が救われる設定になっているから受け入れたと述べられておられるようです。厚労省は,1万1000人程度の被爆者認定につながると試算しているとのことですが,市長はその試算を実際に確認されたのかどうかお答えください。  黒い雨被爆者は,1万3000人が生存されておられると言われておりますが,そうだとすると,2,000人は切り捨てられることになります。切り捨てられる2,000人について,市長はどのようにお考えでしょうか,お答えください。  申請しても切り捨てられる黒い雨被爆者の方々は,改めて裁判を起こさなければならないことになります。今回の確定判決を得るまでに,原告たちの裁判闘争は6年にもわたりました。被爆から77年もたつのに,被爆者たちにさらにそんな苦労をさせていいとお考えでしょうか,市長のお考えをお聞かせください。  高裁の確定判決は,原爆放射能の影響の可能性が認められれば被爆者であるとしています。つまり,他の被爆者たちと同じ扱いをせよと指摘しているわけです。  厚労省が作った新たな認定指針骨子案は,その判決に反して,引き続き黒い雨被爆者と他の被爆者の間に差別を持ち込むことになります。こんなことを広島市長が認めてはならないと思いますが,市長はどのようにお考えかお答えください。  被爆者援護法第2条と行政手続法第5条を読むと,被爆者健康手帳交付の申請を受けた県知事,広島市民の場合は,広島市長が申請を審査・認定し手帳を交付するとし,行政庁,すなわち県知事と広島市長が審査基準を定めるものとするとなっています。被爆者の認定を行う権限は県知事と広島市長にあるのであり,その審査基準を定める責務も県知事と広島市長にあると法律は定めているわけです。  確定判決に従わない厚生労働省が作った認定指針骨子に従っていては,広島県知事も広島市長も,法に定められた責任を果たすことにも,内外の被爆者たちの期待にも,応えることはできないのではないでしょうか,市長のお考えをお答えください。  市長は,自らが受け入れた判決に従い,これまで被爆を認められずに苦しんでこられた被爆者の皆さんを救済するために,県知事と共に高裁判決に基づいた認定基準で認定及び手帳交付を行うとともに,政府に対して,高裁判決に基づく認定指針骨子に変更するよう要請すべきです。どのようにされるかお答えください。  次に,広島市が新しいサッカースタジアムとその附帯施設の建設を皮切りに,中央公園全体の諸施設の再編を進めようとしていることについて伺います。  まず,ファミリープールについて,廃止することを含めて考えているようですが,これは,広島市の親子にとって,家族で夏を安い費用で楽しんでもらえる大事な施設です。この施設の意義と,今の場所に存在している意義をどのようにお考えかお答えください。  市のファミリープール廃止の考えが伝わると,市民の間で存続を求める声が起きています。中国新聞には,娘も孫も利用したと,子育て世代にとって大事な存在であることが強調される声が載っていました。民間のプールに行くとかなりの費用がかかります。安い費用でということが重要で,民間の施設のようなバラエティーがなくても十分に楽しまれており,今の三つのプールのままでもいいのではないでしょうか。  私自身も昨年の夏,2歳,5歳の娘たちと一緒に利用させていただきました。日差しの影響で,プールサイドの通路はやけどするのではと思うほど熱くなるなど,老朽化も踏まえて改修工事は必要だと考えますが,それでも今のファミリープールは保育園でも利用されるなど,子供たちにとってかけがえのない場所となっています。  私たちは,子供の施設はまとめて今のところに置くべきだと考えます。ファミリープールは廃止せず,年間を通して使える機能とセットで現在の場所に建て替えをするべきだと考えますが,どうされるかお答えください。  こども図書館を中央図書館に集約する形でエールエールA館に移転しようとしています。広島市のこども図書館は,原爆で廃墟となった広島の子供たちのためにと,アメリカのハワード・ベル博士が1,500冊の絵本を寄贈したことを受けて,昭和24年に旧浅野図書館の中に設置された児童図書館を経て,子供の図書館を造ってほしいというアメリカの県人会などからの善意の寄附に応えて,昭和28年に丹下健三氏の設計で,今の場所に貝殻の形をした総ガラス張りのこども図書館が誕生したのが始まりです。  その後,建て替えて今の形となりましたが,きちんと市の条例で位置づけられたこども図書館は,独立した子供のための図書館としても,20万冊の蔵書を有する全国に誇るべき図書館として知られ,子供たちだけでなく,学校や大人への支援も行い,子供たちの成長に大きな役割を果たしてきました。  今日の複雑化する社会状況の中で,子供のことを懸命に考える他の様々な取組と一緒に,子供のための施設として発展させていくことこそ必要ではないでしょうか。それに反する,中央図書館の一部に集約してしまうような広島市の考え方は,歴史的な意義を無視しているとともに,時代の要請に逆行しているのではないかと考えます。  広島市として,こども図書館の役割をどう受け止め,どのようにしていこうとしているのか,これまでの取組を踏まえて,それを発展させようという考えはないのかお答えください。また,今の場所にこども図書館が存在する意義について,お考えをお聞かせください。  市は,親子で読書を楽しむために,こども図書館と中央図書館が離れていることを問題だとしています。しかし,子供の興味・関心に基づいて,親と子供が一緒にわざわざこども図書館に行って本を楽しむとき,親は,子供が読んでいる本を一緒に楽しむものではないかと思います。その際に,中央図書館が一緒にないことが不都合だということがどれほどあるのだろうかと思いますがいかがお考えでしょうか,お答えください。  中央図書館について伺います。  来年度予算に,中央図書館とこども図書館映像文化ライブラリーを統合・集約してエールエールA館に移転するための設計予算等が組まれています。この問題は,広島市が原爆の惨禍から復興し,発展していく歴史と共にあった中央図書館やこども図書館をどう発展させていくのかという,広島市にとって大変重要な問題ですが,これが議会に報告されたのは昨年11月です。短期間だった市民への意見募集も締め切ったばかりです。市民がエールエールA館への移転を知ってからまだ3か月しかたっていない,まだ市民的な議論がこれから行われようとしている中で,まるで議論に蓋をするかのように,また,移転は決まったかのように予算をつけるやり方は,問答無用だということでしょうか。聞く耳は持たないということでしょうか。今,政治の世界では,聞く耳を持つということが大事だと言われておりますが,聞く耳を持つというのは,聞くだけではありません。他の意見を尊重し,政策に反映する姿勢を持つということです。市長は,この問題では聞く耳を持つ気がないのかどうか,まずお答えください。  また,先日の都市活性化対策特別委員会の質疑では,必要な事業費の根拠もあやふやで,まともな説明ができていませんでした。議会が事業の是非を判断するとき,事業費がどうなるかも重要な要素です。そんな段階で,拙速に事業費の一部の予算が出されているわけですが,一旦予算がついても,その後の議論の結果で計画を撤回することはあり得るのかどうかお答えください。  中央図書館は,広島藩最後の藩主であった浅野長勲氏が私財を投じて設立した浅野図書館が広島市に寄贈され,広島市浅野図書館となったのが淵源であり,今年で設立91周年を迎える,広島市の歴史,原爆からの復興とともに,広島市の文化の拠点として歩んできた図書館です。その役割も大きく,機能も多彩です。その広島市の文化の拠点の発展を図るどころか,広島駅周辺のにぎわいの目玉だと言って,これから老朽化していく商業ビルの一部に押し込めてしまう発想は,文化の拠点などどうでもいいということでしょうか。南口開発のエールエールA館に移転させようというのは,これから完成する広島駅と一体の駅ビルに経営を脅かされようとしているエールエールA館の経営支援のためであることは市民にも議会にも見透かされています。最近の中国新聞の投稿にもそういう指摘がありました。国際平和文化都市の名が泣くというものです。  歴史ある中央図書館を広島市の文化の拠点としてどう発展させていこうとお考えか,あるいはそういう考えがないということなのかお答えください。  先日の都市活性化対策特別委員会の質疑の中で,8階から10階のフロアを買い取る考えであることが明らかにされました。また,自動車図書館機能は1階だとしましたが,重量のある蔵書の書庫をどこに置くかは明らかになっていません。移転に必要な費用は,移転先のフロアの買取りに60億円,建物改修費に35億円,移転費用1億円を合わせて96億円かかるということでした。他方で,現地建て替えの場合は,建築費は90億円,仮設の図書館の設置費等で32億円,合わせて122億円程度かかるという数字が出されています。特別委員会の答弁では,建物の改修に当たっては,特に補強等の措置は必要と考えていないということでした。しかし,建築基準法によると,百貨店等の床に求められる強度に比べて,図書閲覧室に求められる床の強度は2倍となっています。つまりそれだけの重量の想定をする必要があるということで,床や梁の強度を2倍に高める必要があると思われます。さらに,8階から10階にそういうものを持って来るということは,そうした重量のものが,大規模地震の際にビルの一番上のほうで揺れても耐えられるように,建物そのものの強度を高める大規模な工事が必要ではないでしょうか。さらに,移動式の書庫を置く蔵書の書庫の場合はもっと重量があるので,そのフロアは百貨店のフロアに比べて4倍の強度が求められています。これらの補強を実施すればかなりの費用が想定され,96億円では到底収まらないのではないかと考えます。  一旦,エールエールA館の使用を止めて工事する必要があるかもしれませんが,そうした補強をやらなくていいという根拠をお答えください。  また,現地建て替えの際の仮設の図書館の費用についてですが,中央図書館の機能のうち,閲覧スペースは建て替え中であるということで,各区図書館が代用することは十分考えられます。蔵書やストックしている資料の収蔵スペースと,市民の求めに応じて必要な書籍や資料を受け渡すスペースと,自動車図書館としての集配などの作業スペースなど,中央図書館としての最小限の機能を確保できればいいのではないかと思います。それだともっと仮設の経費が少なくなるんではないかと考えます。この点についてのお考えをお答えください。  次に,青少年センターをこども文化科学館と併設・集約するという考えが出されています。広島市には学区ごとに児童館が置かれていますが,その利用は小学生までに限られているのが実態です。児童とは,高校生までを含んでいますが,中学生や高校生が自主的に活動できる施設はほとんどありません。勤労青少年ホームの廃止を決めている中で,広島市の青少年が活動する拠点として,青少年センターの役割は一層重要になっているのではないでしょうか。その意味でも,集約というのは逆でしょう。市長はどのようにお考えかお答えください。  青少年センターは,ホールだけで年間の利用がおよそ120件,その他の諸室はおよそ8,500件,利用者数は合わせて約24万人。これらは,小学生から20代の若者たちがホール以外は無料で利用できるからこその利用実績であり,これをどのように評価するかはいろいろな考え方があるでしょうが,それらの活動がますます発展していくような方向性が必要ではないかと考えます。ホールは629人を収容でき,何よりも,広くて設備の整った広い本格的なステージがあり,しかも,他の施設にはない安い費用で使えるため,青少年の音楽活動をはじめとする文化活動の発表の場として重要な役割を果たしてきました。  アマチュア時代の吉田拓郎さんらが,全国のフォーク村のさきがけとなった広島フォーク村をスタートさせたのが青少年センターだということはよく知られています。また,ホール以外の集会室や会議室などの特徴は,16ある大小の部屋のうち,10室にダンスの練習などに欠かせないウオールミラー,壁いっぱいの鏡が設置してあってダンスグループによく利用されており,利用登録グループのうち3分の1以上がダンスグループだということです。防音設備のある音楽室も2室あって,バンドの練習には欠かせない施設となっています。しかも無料で利用できます。こういう施設はほかにはありません。今の青少年センターの特徴的な機能について,青少年の利用が無料であることを含めて,どのようにお考えかお答えください。  利用する若者たちの日々の練習の成果を発表する場も青少年センターの主催事業として取り組まれていて,今年の計画では,38件の主催事業が計画され,実行されてきましたが,こうした取組についてどのように評価されておられるのかお答えください。  青少年センターは,ホールだけで1,000平方メートル余り,全館では4,600平方メートル余りとなっていて,こども図書館の跡への移設など不可能で,今の機能を大幅に縮小するということにしかなりません。  しかし,これまでの青少年センターを活用しての青少年の活動を考えれば,その活動がより活発に,その内容も多様な形に発展していくよう考えるべきで,それを支援することこそ必要ではないかと考えます。また,本格的なホールをこども文化科学館の小規模ホールに集約してしまうと,双方の活動に制約が生じるのではないでしょうか。  先日の都市活性化対策特別委員会での答弁では,利用する時間帯にずれがあるので両方の利用が可能だと言っていましたが,非現実的な発想だと思います。いずれの活動も,その発展を支援する考え方が必要で,更新するなら,それぞれの施設の特徴を生かし,より多様な活動ができるようにしていくべきではないかと考えますが,市長のお考えを伺います。  最後に,以前から旧広島市民球場跡地の辺りに,修学旅行の児童生徒たちが被爆体験などの話を聞くなどの場所を確保してほしいという被爆者団体からの要望がありました。これは,修学旅行を積極的に誘致してきた広島市として重要なことだと考えますが,どうされるかお答えください。  以上,総括質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○佐々木壽吉 議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       吉瀬議員からの御質問にお答えします。  黒い雨裁判の高裁判決を受け入れた上での新たな被爆者認定指針についてのうち,国が作った新たな認定骨子案についての御質問がございました。  本市は,高裁判決が出されて以降,黒い雨体験者を被爆者と認定するに当たっては,疾病はあくまで健康管理手当の支給要件であり,手帳交付の要件からは切り離し,黒い雨に遭ったことをもって手帳を交付できるようにすべきであるという立場に立って,国に対して粘り強く訴えてきたところであります。  これに対し国は,被爆者援護法が,原子爆弾の放射能による健康被害という,他の戦争被害とは異なる特殊の被害に対して援護施策を講じるものであることに鑑みると,放射能による健康被害の特殊性を伺わせる事情を確認する必要があり,疾病要件は不可欠であるとして,指針改正の骨子案において,被爆者健康手帳交付の要件として,11種類の障害を伴う一定の疾病を提示いたしました。また同時に,疾病要件は必要であるとしつつも,可能な限り多くの方を救済する観点から,白内障の手術歴がある者も,疾病にかかっている者とみなすということも提示いたしました。  そこで,この提示を子細に検討してみたところ,白内障の有病率は年齢とともに増加して,白内障の初期の水晶体混濁を含めた有所見率は,70歳代で84%から97%,80歳以上で100%であるという厚生科学研究班の報告書を踏まえるならば,提示内容であっても,多くの黒い雨体験者の方々を幅広く救済することができるとの判断に達しました。また,高齢化が着実に進んでいる中,黒い雨体験者を可能な限り早急に救済できるようにするためには,タイミングを失してはならないと考えて,国の提案には反対しないということにしたところであります。  実際の事務を預かる私としては,法律を遵守した上で,多くの方々を一刻も早く救済していきたいと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○佐々木壽吉 議長      保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  黒い雨裁判の高裁判決を受け入れた上での新たな被爆者認定指針について数点の御質問に順次お答えいたします。  初めに,敗訴した行政側が判決を受け入れ確定したのに,その行政側が受け入れ確定した判決に従わなくてもよいと考えているのかについてです。  本市は,高裁判決に従い,53名の原告全員に被爆者健康手帳を交付いたしました。原告以外の黒い雨体験者には,黒い雨裁判の高裁判決の効力は及ぶものではなく,国が上告を断念した際に示した総理談話に基づき,救済していくべきものと考えております。  次に,厚生労働省は,1万1000人程度の被爆者認定につながると試算しているとのことだが,その試算を実際に確認したのか,また,黒い雨被爆者は,1万3000人が生存していると言われているが,切り捨てられる2,000人についてどのように考えているのか,申請しても切り捨てられる黒い雨被爆者の方々は,改めて裁判を起こさなくてはならないことになるが,被爆者たちにさらにそのような苦労をさせてもよいと考えているのかについてです。  厚生労働省が来年度の予算を確保するために,黒い雨体験者を1万1000人としていることについて,本市は国の試算の内容を確認しておりません。しかしながら,本市が令和元年度に試算した1万3000人をベースに,令和3年度までの2年間の推定死亡率を考慮して令和4年度における黒い雨体験者を試算したところ,約1万1000人となりました。こうしたことを踏まえますと,予算は十分に確保されていると考えております。  次に,確定判決に従わない厚生労働省が作った認定指針骨子に従っていては,知事も市長も,法に定められた責任を果たすことにも,内外の被爆者たちの期待にも,応えることはできないのではないかについてです。  これまでの例を踏まえますと,本市は,今後,審査基準を作成することになると考えられますが,その内容は,国が発出する予定の黒い雨体験者を被爆者として認定するに当たっての通知等が基となります。被爆者健康手帳交付事務は法定受託事務であり,国の方針に沿って適切に履行しなければならないことから,本市としては,国が示す指針に基づいて審査基準を策定することが,法に定められた責任を果たすことになると考えております。  最後に,政府に対して,高裁判決に基づく認定指針骨子に変更するよう要請すべきではないかについてです。  先ほど市長が御答弁しましたとおり,これまで本市は,今回の高裁判決を踏まえ,疾病要件を手帳交付の要件から切り離し,黒い雨に遭ったことをもって手帳を交付すべきであると,国に対して再三にわたって強く訴えてまいりました。  こうした本市の粘り強い要請の中で,国から,総理談話に沿って広島県・市及び長崎県・市に対して指針改正の骨子の提示があったものと考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      日米地位協定の見直しについての御質問がございました。日米地位協定は抜本的に見直すべきであり,とりわけ検疫について緊急の改定が強く求められると思うがどうかという御質問です。  日米地位協定は,我が国と米国の安全保障に係る重要な事項についての国家間の取決めであり,その改定については,国政の場で取り扱われるテーマであると考えております。  しかしながら,今回は,本市を含む県内の新型コロナウイルス感染者の行動履歴に岩国市における感染拡大との関連が強く疑われる感染例が認められたことから,本年1月,県から日米両政府に対して,抜本的な感染防止対策を強化するよう要請が行われたところです。本市としても,市民の安全で安心な生活を守るという立場から,これまでも,騒音問題など米軍岩国基地に起因する問題については,広島県や隣接する市町と連携して対応していることを踏まえた上で,今後も対応してまいりたいと考えております。  次に,敵基地攻撃能力について,この敵基地攻撃能力の保持は絶対に認められないと考えるが,被爆地の市長としての見解はどうかについてです。  現在,政府において,敵基地攻撃能力の保持について検討が行われていることは承知をしておりますが,我が国の安全保障に係る事案については,国民の多くが納得できるようなものにすべきであり,その視点を踏まえて,本来は,こうした課題は国政の場でしっかりと議論していただくべきものと考えています。  しかしながら,都市が攻撃対象となれば,市民の平和な生活が脅かされることになります。そうした観点から,自治体の首長で構成する平和首長会議の会長都市として,加盟都市と共に,あらゆる暴力を否定する平和文化を振興し,対話を通じた信頼関係を基に安全を保障し合う理想の社会を追求できる環境づくりに貢献していきたいと考えております。  次に,中央公園内の施設の再編計画のうち,こども図書館,中央図書館の御質問がございました。  まず,こども図書館についてです。こども図書館の役割をどう受け止め,どのようにしていこうとしているのか,これまでの取組を踏まえて,それを発展させようとする考えはないのか,今の場所にこども図書館が存在する意義を聞きたいという御質問についてです。  広島市こども図書館は,児童及び生徒の教養の向上及び福祉の増進に資することを目的に設置された子供のための専門図書館であり,中央公園内にあることで,今まで多くの子供たちが利用してきた施設であると受け止めています。子供の読書離れが進む中,こども図書館の果たす役割はますます重要になると考えており,このたび提案させていただいた中央図書館等との機能集約により,面積を現在の約1,000平方メートルから約2,000平方メートルに大幅に拡大するよう考えております。このことにより,親子で本を読むスペースやボランティア等による読み聞かせのスペースをゆったりとしたものに広げることができます。また,開架図書の冊数を増やすことができるようになり,子供たちが多様な本に触れることができるようになります。さらに,交通結節点であるエールエールA館に移転することで利便性が高まり,より多くの子供たちの来館機会を増やすことができます。  このように,このたびの移転改修により,こども図書館の魅力を高め,より一層の機能強化を図ることができると考えております。  次に,こども図書館では,親は子供が読んでいる本を一緒に楽しむものだと思うが,中央図書館が一緒にないことが不都合だということがどれだけあるのかという御質問についてです。  こども図書館の利用者からは,親子で楽しめるように大人向けの本をもっと置いてほしいなど,大人と子供が共に読書を楽しめる環境を望む声や,子供の本をこども図書館で借りて,少し離れた中央図書館に自分の本を借りに行くというのは手間だなどの声が寄せられており,家族等で利用する場合に不便となっています。また,現在のこども図書館は中学生までを対象とした蔵書構成,中央図書館は高校生以上を対象とした蔵書構成となっており,例えば中学生がこども図書館で書籍を探した後,大人向けの書籍を探す場合などには中央図書館に行く必要が生じます。また,子供の調べ学習の内容によっては,中央図書館にある資料を必要とすることもあります。さらに,児童文学研究を行っている方や児童文学を学ぶ学生などにとっては,児童書や児童文学研究に関する専門書はこども図書館で閲覧できますが,例えば文学全般に関する専門書は,中央図書館でないと閲覧することができないため,二つの図書館を行き来することになります。  このほか,子供向けの百科事典のほうが簡潔にまとめられていて,大人にとっても分かりやすいこともある,高齢者施設では,昔話の絵本や紙芝居が喜ばれるため,大人向けの本に加え,子供向けの絵本や紙芝居も借りたいといった声があるほか,癒やしを求め子供向けの絵本を借りる大人も増えているなど,大人にも少なからず子供向けの図書に対するニーズがあります。このように施設の利用対象が分かれていることにより不都合が生じており,このたびの中央図書館等との機能集約により,こうした不便さを解消できるものと考えております。  次に,中央図書館について,エールエールA館への移転についての議論に蓋をするように,また,移転が決まったかのように予算措置することへの賛否についてどう考えるか,また,事業費の一部の予算が示されているところだが,予算措置がされた後においても,その後の議論の結果で計画を撤回することがあり得るのかという御質問についてです。  本定例会に,中央図書館等の再整備に必要となる予算を提案させていただいていますが,これは,議会において議論を深めていただくためのものであります。本市としては,中央図書館の再整備を皮切りに,中央公園内の各施設の移転・集約化を着実に進めていきたいと考えております。
     次に,歴史ある中央図書館を広島市の文化の拠点としてどう発展させていこうと考えているのかという御質問についてです。  図書館は,市民の学習や調査研究などに資する社会教育や生涯学習の拠点であり,そこを利用する人が,広島の歴史,文化,産業等を学び,平和への思いを共有し実践する中で,その思いをさらに広めていくきっかけを得ることになるものと考えます。このような機能を持った拠点施設を新たに交通結節点である広島駅周辺地区に整備することにより,多くの市民や来訪者がそれに触れる機会を確保することになり,楕円形の都心づくりの東の核における文化の拠点になるものと考えております。  次に,集密書架を置くためには百貨店フロアの4倍程度の補強が必要になるので,96億円には収まらないのではないか,エールエールA館を一時閉館して補強するなどの工事が発生するのではないか,補強しなくてよいという根拠を示してほしいという御質問についてです。  新しい中央図書館については,今後,積載荷重に耐えられるよう,具体的なフロアの配置等を考慮した上で,基本設計・実施設計を行っていくこととしております。事業費については,96億円の範囲で収まるものと考えております。  最後に,中央図書館の建て替え中に,閲覧スペースは各区の図書館を代用し,資料の収蔵スペース,必要な書籍等を市民に渡すスペース,集配の作業スペースなど,最小限の機能を確保すれば,仮施設の経費が少なくなるのではないかという御質問です。  仮に中央図書館を現在地に建て替えする場合は,再整備期間中も中央図書館は閉鎖せず,可能な限り現在の機能を維持する必要があることから,再整備期間中に仮施設を設置する必要が生じます。この場合の仮施設の建設費については,現在の中央図書館と同様の規模を想定しているのではなく,約120万冊を収納できる書庫と,調査・相談等のレファレンス機能のための閲覧室など,必要最低限の機能に絞った規模の施設を想定し,試算をしています。  なお,各区の図書館も書庫や閲覧スペースは手狭になっており,再整備期間中に中央図書館の機能を部分的にも代用することは困難です。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      都市整備局長。 ◎中村純 都市整備局長    中央公園内の施設の再編計画について数点の御質問にお答え申し上げます。  まず,ファミリープールについて,施設の意義と今の場所に存在している意義についてです。  中央公園ファミリープールは,昭和54年当時,市内に各区スポーツセンターなどのプールが十分に整備されていない中,市民の皆様の健康・体力の増進を図り,心身の健全な発展に寄与するため,子供からお年寄りまで幅広い年代の方に安全・快適に御利用いただけるプールとして,多くの方が利用しやすい市内中心部にある中央公園内に設置したものです。  次に,ファミリープールについて,施設を廃止せず,年間を通して使える機能とセットで現在の場所に建て替えをすべきと考えるがどうかについてです。  ファミリープールは,施設の老朽化等に加え,来場者用の駐車場不足,夏期のみの稼働であることに伴う非効率性などの課題を解消する観点から,他のプールとの役割分担や民間活力の導入の可能性について整理しながら,抜本的な見直しを検討することとしております。  見直し案としては,例えば50メートルプールは各区スポーツセンターなどのプールにその役割を委ね,廃止することとし,こどもプールと流水プールの役割は残すことが考えられます。あるいは,全てのプールを廃止する場合は,例えば夏期のみ利用が可能な仮設型のレクリエーションプールや大型遊具を設置し,親子連れで四季を通じて様々なアクティビティが楽しめる空間として整備するなどの案が考えられます。  こうした見直しに当たっては,中央公園内に今後整備される周辺施設の供用開始に伴う新たなにぎわいや,人の流れの変化等を見定めながら検討を深め,市民からの意見も踏まえた上で方針を決定したいと考えております。  次に,旧広島市民球場跡地につきまして,旧広島市民球場跡地の周辺に修学旅行の児童生徒たちが被爆体験の話を聞くことができる場所を確保してほしいという要望があるがどうかについてです。  被爆者団体が実施している修学旅行生への被爆体験講話については,現在,広島平和記念資料館や国立広島原爆死没者追悼平和祈念館のほか,必要に応じて民間施設なども利用されていると聞いています。こうした中,旧広島市民球場跡地では,屋根付イベント広場を整備することとしており,屋根の下の広場では,小規模なイベントが開催できるほか,市民や観光客等の来訪者が日常的にくつろげるオープンスペースとして活用できるよう予定しております。このため,旧広島市民球場跡地周辺でこうした会場の確保が求められる場合には,跡地に整備される屋根付広場を御利用いただくことが可能と考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      教育長。 ◎糸山隆 教育長       中央公園内の施設の再編計画のうち,青少年センターについて二点お答えをいたします。  青少年の活動拠点として,青少年センターの役割は重要であり,集約化は逆行する,青少年の利用が無料であることなど,施設の特徴的な機能について,今後,どのように考えていくのかという御質問です。  本市の青少年の広域的・自主的な文化・芸術活動の拠点として,目的内は無料で利用することができる青少年センターの役割は重要であると認識しており,今後もこうした役割を果たすための機能等を維持する必要があると考えています。  一方で,青少年センターは昭和41年に開設され,建築後56年が経過し老朽化が著しく進行していることや,ホールや一部諸室の利用が少ないなどの課題を抱えています。このため,こうした機能等を維持しつつ,こども図書館移転後の空間を活用し,近隣のこども文化科学館と集約・複合化することにより,ホールや諸室の共用化を行うとともに,子供向け体験講座を開催するなど,子供と青少年との多様な交流機会の拡充を含む幅広い年齢層の利用促進を目指して,今後,市民局と連携を図りながら,市民意見募集を経て,基本計画策定等の具体的な検討に取り組んでまいります。  次に,こども文化科学館を集約しても利用時間帯に違いがあるため利用のすみ分けは可能と言うが,非現実的である,それぞれの活動の発展を支援する考えの下で,多様な活動ができるようにしていくべきではないかという御質問です。  青少年センターのホールの稼働率は平均で29%と低く,諸室の稼働率は,平日の時間別では,17時までが35%であるのに対し,17時以降が64%と高くなっており,部屋別では,和室や実習室など,用途が限られる部屋の稼働率が平均で25%であるのに対して,様々な用途で使用できる部屋は61%と高くなっています。こうしたことから,集約・複合化の検討に当たっては,こども図書館移転後の空間に,利用が多いダンスや音楽の用途にも対応できる防音機能や鏡を設置した汎用性の高い部屋を確保するとともに,こども文化科学館のホールや同施設が閉館となる17時以降を中心に諸室を共用化することによって,青少年の多様な活動機会を確保できるよう努めてまいります。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      11番吉瀬議員。 ◆11番(吉瀬康平議員) 一つ一つ要望,質問等を行っていきます。  まず,日米地位協定敵基地攻撃能力についてはしっかりと言っていただきたいなということです。  黒い雨についてなんですけれども,結局はその試算においてしか出ない,病気の出ない方はもう見捨てるという判断になるんですけれども,市としては,全ての方々を救えるんじゃないかという試算だということですが,実際にはそれに当てはまらない方々も出てくるはずです。そうした方々に関しては目を向けないということでよろしいかどうかを答弁ください。  中央公園については,ファミリープールを縮小化,またはなくして夏限定の施設をということが検討されているということでありますけれども,50メートルプールも,そこだけを利用するわけではなく,それも含めた利用があるからこそ今の利用人数であるということを一点指摘させていただきたいことと,あわせて,夏期しか建てないイベント広場になるとしても,他都市の事例を見ますと,1時間で1,000円を超えてくるような利用料になってくると,じゃあ,それを目的に利用をしてもらえるのかどうかなどということも不安があります。そうした意味では,これから保育園を含め幼い子供たちも,なくなってしまえば,そういったところが使えなくなってくるということで,これからの子供たちの夏の楽しみが一つなくなってしまうのではないかというところで,やはりしっかり残していくべきというところと併せて,改善等も含めての検討を一つ入れるべきだということだと思いますが,改めてこのことについての見解をお伺いいたします。  こども図書館についてですが,両方とも利用できない,そんな声があるということと併せて,置いている本の種類にもよるからということもいろいろ述べられていますけれども,やはり子供たちはあそこにあるからこそ利用できる人数であって,例えば利便性がよくなっても,図書館だけでじゃあ人が増えるのかといえば,恐らく現在よりは下手すると減ってしまうんではないかということを危惧いたします。ほかの施設もあって,近くに公園もあるからこそ帰りに立ち寄れる,そんな施設だからこその人数ではないでしょうか。そうした中で,アンケートの回答も,先日の答弁でもありましたけれども,200を超える意見が出ている中で,その大半が移転には反対だという声がある。さらには,こども図書館を残してほしいという声が,その回答者全てが残してほしいという声がある中で,市は,今のこども図書館のスペースに,今のスペースの3分の1程度の読み聞かせスペースを残していくなどという苦肉の策と言えるような対策も挙げているわけですけれども,そうではなくて,やはり今の位置にあるからこそ残すべきであるということなので,こども図書館は集約ではなく,まずはそこに残していく,中央図書館においても,必要であれば,それぞれに蔵書させていくということで進めていくべきだと思いますが,その点について答弁いただきたいと思います。  中央図書館ですけれども,予算のところでもありましたが,現地建て替え122億円,移転では96億円というところでもありますけれども,恐らくそれでは収まらないということだと思います。試算では収まりますと言いますけれども,他の事業でもこれまでその金額で収まったことがありません。特に広島高速5号線であり,やはり今広島駅南口の開発であり,当初の予算を大きく超えてくるところが今の常なので,そういった意味では,やはりそこの試算をしっかり出すまでは予算に上げるべきではなかったということです。  この根拠についても明確ではなく,他都市の事例を用いた試算であるというところで,施設の耐久性についても明確な答弁ではないと思いますが,そこについて改めて答弁いただきたいということと,あわせて,先日の並川議員の再質問の中で,経過年数での比較の際に,購入土地を引いた金額を指摘されていましたが,なぜそこだけ外したのか。やはり先ほどの答弁を踏まえて,そこを皮切りにという言葉もありましたけれども,移転ありきで事業が進んでいると思わざるを得ないのですが,このことについて改めて御説明いただきたいと思います。  あとは,最後に,修学旅行生の方々のことについてですけれど,その屋根つきの広場が利用できればという言葉もありましたが,そこは使えるということで,そこはよかったなというところではあるんですけれども,聞けば,なかなか高さのある屋根というところで,結構雨も吹き込んでしまうのではという指摘もあるところですので,しっかりと話ができるように,中央公園内に別の施設を建てるところも含めてちょっと検討いただきたいと思いますが,その点について質問とさせていただきます。 ○佐々木壽吉 議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      まず,こども図書館についてでございますけれども,こども図書館は,今,中央公園内にございますけれども,中央公園内にあることでの魅力も当然ございます。もちろん広島駅周辺地区に行った移転・集約後の魅力もございます。どちらもそれぞれの魅力があると思っておりますけれども,利便性という意味で,子供たちに少しでも本に触れる機会を持っていただく,子供たちが本を読める機会を幅広い意味で提供するという意味では,交通結節点である広島駅周辺地区に行くことで,より多くの子供たちが本に触れる機会が生まれてくるのではないかと思っております。  また,こども文化科学館に今の約3分の1程度のスペースを残して,子供に本に触れてもらう機会を残そうとしておりますけれども,当然,そこにも本を開架図書という形で書庫を置きまして,子供たちにいろんな多様な本を読んでいただくニーズには応えていきたいというふうに思っております。  それから,中央図書館の積算額,建設工事費,工期の話もございました。こういったことにつきましては,来年度,基本設計・実施設計を行ってまいりますので,そういった中できちんと積算をしてまいりたい,具体的に工期も考えてまいりたいというふうに思っております。  それから,建設費の比較,96億円と122億円の話がございました。96億円の中には土地取得費が入っているという話も先日来させていただきまして,この土地の取得は,工事とは別物として,将来にわたって広島市の貴重な財産となっていくものであることから,現地建て替えと移転建て替えの比較検討する上でのベースを合わせるという意味で,土地取得費を除いて比較することが適切な比較ではないかということで整理をさせていただいたものでございます。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  黒い雨に関して,被爆者に当てはまらない方についてどうするのかという御質問です。  まだ今,申請者が最終的にどれだけいて,認定者がどれくらいになるかも分からない現段階で具体的なお答えは控えさせていただきたいと思いますが,本市としましては,可能な限り多くの方々を救済していくという考えの下で,認定事務について力を尽くしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      都市整備局長。 ◎中村純 都市整備局長    まず,ファミリープールについての再質問に御説明を申し上げます。  これからの子供たちの利用を考えて,利用料金などにも意識をしながら課題の解決,あるいは改善を含めた検討をすべきではないかというような御指摘,御質問がございました。  先日の御答弁にもありましたけれども,中央公園広場について,これからサッカースタジアムもできますし,その隣にPark−PFI制度を活用した様々な施設ができてくる予定もございます。周辺施設のこういった供用開始も踏まえながら,先ほどいただいたような御意見も含めて,人の流れの変化,様々な御意見を踏まえた上での検討をこれから深めていきたいというふうに考えております。  それから,旧広島市民球場跡地の関連で,被爆体験の話を聞くほかの施設の検討はできないのかというようなこともございました。  屋根付広場については,高さが高いので雨の吹き込みが心配だとの御意見もございましたけれども,旧広島市民球場跡地については,広場の周辺に様々な店舗の計画もございます。そういったところの計画については,現在,詳細を詰めているところでございますので,内容,あるいは使い勝手等も含めて,ちょっと今の段階で確定的には申し上げられないんですが,少なくとも屋根付広場の下では小規模なイベントが開催できるような形での利用を考えておりますので,少なくともこういったところは使っていただけるのではないかということで御理解いただきたいと思います。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      11番吉瀬議員。 ◆11番(吉瀬康平議員) 黒い雨についてですけれども,できる限りという話もありましたが,基本的には法を遵守してという言葉もあり,国の指針に沿ってしか基準も定められないという話だとは思いますけれども,質問でも申し上げさせていただきましたように,本来であれば,市長の責任でそうした基準も決められるものであり,そこは,大半を救うのであれば,そこを救えるような基準をしっかりと定めていただきたいということだと思いますが,そこについて改めて答弁いただきたいことと,あと,そうした中で,被爆者の方々のところで,今の制度,骨子案について,もう十分言ってきたからいいんだというふうに先ほど答弁されました。しかし,まだまだ不十分で,その裁判の判決には到底到達していないというところで,そこを改めて,県と合わせて改善するよう言うべきだと思いますが,そこを改めてちょっとお聞かせください。  あと,中央公園のほうで,中央図書館でありますけれども,やはり移動面といいますか,稼働のところで,今の移転のほうがいいという話がありましたけれども,子供たちにとって,移動手段があるからこそそこに行くという状況はなかなかないと考えられるのではないでしょうか。また,近くに,周辺に子供たちの施設がないことから,本当に図書を読む目的でしかそこには行けないという状況だと思います。  なので,今の移転というところが本当にそうなのかというところを併せて考えていただきたいことと,予算はこれからと言いますが,それでは,予算が今の96億円より増えた場合はどうされるのか,122億円より増える場合も考えられると思います,そうした場合に,その移転を撤回されるのかどうか,最後にお聞かせください。 ○佐々木壽吉 議長      保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  最初に,被爆者の認定事務に関してですけれども,これにつきましては,先ほど市長が御答弁しましたとおり,法律を遵守した上で実施していくということに尽きるというふうに考えております。  そしてあともう一点,国に対して要請すべきという御質問についてですけれども,これも先ほど私のほうが御答弁したとおり,今回の国の指針改正の骨子の内容は,本市が国に対して粘り強く訴えてきた中で,国において黒い雨体験者を可能な限り救うという考えの下で最大限配慮していただいた結果というふうに考えております。  本市としましては,今後,国が示す指針に基づいて,黒い雨体験者を可能な限り早急に救済できるよう力を尽くしていきたいと,そのように考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      まず,こども図書館についてでございますけれども,先ほど御答弁申し上げたとおり,こども図書館としての本来機能の充実,これをしっかり図っていきたいということはもちろんでございますけれども,そうした中で,このたび交通結節点である広島駅周辺地区に行くということで提案させていただいております。  こども図書館は,やはり子供のための図書館ではございますけれども,子供だけで行くということではなくて,小さいお子さんについては親御さんと一緒に行かれる施設であろうかと思います。そういった意味で,交通結節点にあるということで,親子で来られる来館機会は増えるもの,確保できるものと考えております。  中央図書館についての予算,あるいは今後の徹回についての御意見がございましたけれども,先ほど申し上げたとおり,中央図書館の建設等に係る具体的な予算,フロアの配置内容につきましても,今後,来年度,基本設計・実施設計を行う中でしっかりと検討してまいりたいと考えておりますし,先ほど申し上げたとおり,中央公園内の公共施設,こども文化科学館も含め,それぞれリニューアルの計画等を予定しておりますので,こういったことも含め,着実に進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      次に,1番岡村和明議員。                〔1番岡村和明議員登壇〕(拍手) ◆1番(岡村和明議員) 皆様,おはようございます。  市民連合の岡村和明です。会派を代表して,総括質問をさせていただきます。御清聴のほどよろしくお願いいたします。  まず,文化財の保護と活用についてお伺いいたします。  広島市は,原爆投下により,一瞬で人々の暮らしや地域社会が崩壊しましたが,翌年に制定された広島復興都市計画に基づき都市づくりを再開し,現在に至るまでに奇跡的な復興を遂げてまいりました。そして,ここ数年の広島市における都市開発の勢いは目覚ましく,広島市の中心部及びまち全体が大きく生まれ変わろうとしており,国際的に開かれた活力あるまちの実現を目指し,一歩一歩着実に前進しております。  今,広島市の発展・成長に対する期待感が市民に満ちあふれております。サッカースタジアムもその一つですが,昨年,その建設予定地での発掘調査において,大規模な戦前の近代軍遺構が発見され,その保存の在り方が議論になり,進行中の都市開発に水を差す形になりました。  文化財保護法では,市町村が定める周知の埋蔵文化財包蔵地に包蔵されている貝塚,古墳,城跡などの遺跡を埋蔵文化財として位置づけております。埋蔵文化財は,記録では知ることのできない国や地域の歴史と文化の成り立ちを物語ることができる貴重な国民的財産であり,これらを通じて,国や地域に対する誇りと愛着をもたらす精神的なよりどころとなります。すなわち,広島市中心部の遺跡は,広島市の道のりを示す具体的な歴史そのものであり,私たちの貴重な共通財産として必ず守っていかなくてはならないものです。ほかにも,市の中心部には,サッカースタジアム建設予定地だけではなく,戦前の軍都広島の歴史的価値を有する遺跡が残されている場所が残っていると言われております。  今後,広島市の中心部では,広島城三の丸での展示施設やにぎわい施設の整備,基町駐車場用地の再開発など,官民による様々な都市開発が計画されていますが,こうした都市開発と地下に埋蔵されている文化財の保護の調和を図っていく必要があると思います。  そこでお伺いします。こうした近代の遺構・遺跡の保護に向けて,本市は今後どのように取り組もうとしておられるのか,市のお考えをお聞かせください。  また,文化財の保護と活用に関しては,考古学,歴史学,文化財行政や発掘調査技術と能力,そして広島市における埋蔵文化財の種類や歴史など,専門的な知識と経験が必要となります。  そこでお伺いします。今後,都市開発を進めていく上で,都市開発と埋蔵文化財保護との調和バランスを考えながら協議・調整を行うことができる文化財に関する専門職員の確保・育成が必要と考えられますが,今後どのように取り組もうとしておられますか。  文化財の登録についてお伺いします。  中国軍管区司令部防空作戦室跡や旧日本銀行広島支店をはじめとする原爆遺跡の国史跡指定に向けた取組は,現在どのような状況ですか,お聞かせください。  次に,通学路における児童の安全確保についてお伺いいたします。  学校の大きな役割は,確かな学力,豊かな心,そして健やかな体を育む場として,安心で安全な学校生活を送ることです。しかし,昨今は,学校の登下校時でさえ危険にあふれております。  昨年6月に千葉県八街市で,下校中だった市立朝陽小学校の児童の列に飲酒運転のトラックが突っ込み,児童5人が死傷しました。この場所は,5年前にも同じ小学校の児童4人が登校中にトラックにはねられ,重軽傷を負う事故が起きておりました。子供の安全を守るはずの通学路でなぜ事故が発生するのか。  これを踏まえ,令和3年7月9日付の文科省通知,通学路における合同点検の実施についてを受け,本市においても,学校,教育委員会,道路管理者,警察が連携して通学路の安全確保に向けた緊急合同点検を実施し,安全対策が講じられています。そして,令和3年12月現在,89校の小学校で249か所の危険箇所が確認され,その対策の実施・検討が進められております。南区翠町小学校区域においても,点検後1か月で横断歩道に強調マークが実施され,横断歩道手前で一旦停止する自動車が増え,通学路の安全性が向上しています。これは,南区維持管理課の方が地域の声に素早く対応してくださった結果であり,大変感謝しています。  しかし,このたび確認された249か所以外は安全だと言えるのでしょうか。児童の見守りを行っている地域の皆様から,このほかにも対応が必要な箇所があるとの声がたくさんあります。  そこでお伺いします。こうした箇所に対し,教育委員会,学校は今後どのように安全対策を進めていこうとしているのかお聞かせください。  また,保護者や地域から信号機や歩道,ガードレールなどの交通安全施設の整備,あるいは河川や用水路の蓋がけを求める声があっても,道路形状の問題,法令上の問題,慣例上の問題,予算上の問題,そして事業者との関係の問題など安全対策を阻害する要因があり,危険な状態が解消されない場合があります。地域ぐるみで中長期にわたり安全対策に取り組んでいく必要があると思います。  例えば,次年度から事業が本格的に始まる学校運営協議会などで,地域や保護者と協議してはどうでしょうか,市のお考えをお聞かせください。  もちろん道路の危険箇所は通学路だけではありません。通学路以外の危険な場所にも目を向け,同時に,安全対策を阻害する要因の解消に自分事として取り組み,改善策を展開することで,これまで独自対策が難しかった区役所で対策が進むようになります。そして,この取組がきっかけとなり,行政,警察,学校,地域の信頼構築につながり,自助・共助・公助の柱となることを切に期待します。  次に,地域コミュニティーについてお伺いします。  地域が活性化した姿とは,地域課題についてみんなで対話を重ね,共感・解決し,催しではたくさんの人々の笑顔でにぎわっている状態です。要は,たくさんの人々が参画することが大切なのです。  では,たくさんの人々が参画するためには,地域の理解と共感が必要であり,共感するためには,地域の課題やすばらしさを体験してもらわなければなりません。  そこでお伺いします。より多くの市民の地域活動への参画につながる取組が必要だと思いますが,いかがお考えでしょうか。  今,地域の担い手は,定年を迎えた方,自営業,自由業の方がほとんどですが,私は,かねてより民間企業で働く人たちに参画してもらいたいと考えております。企業には,地域コミュニティーを活性化する能力を有す人材が豊富です。しかし,民間企業で働く人は,定年までは地域で活動する時間がないことが最大の理由で,地域に参画しない,できない状況にあります。また,定年延長・退職後は,急には地域になじめません。それゆえに,私はその機会をつくりたいと思っております。今,世の中は,環境,社会,ガバナンスの頭文字を取ったESG経営が提唱・注目されており,企業は地域社会に貢献したい気持ちにあふれていますので,この気持ちとタイミングを逃したくありません。  私は,地域の皆様から相談を受ける際に,できるだけ相談者を町内会・自治会会長に紹介するよう心がけております。その理由は,相談者と会長に感情的な結びつきが生まれ,これが絆となるからです。企業が地域に人材を派遣することで,派遣された人は地域の人たちと触れ合い,地域課題を知り,自分の能力が地域に貢献できることに気づき,地域に帰属する気持ちが醸成されます。  そこで提案があります。地域団体の課題と専門的スキルを有し地域貢献に意欲がある企業の人材をつなぐことにより,課題解決を支援する仕組みを検討してはいかがでしょうか。企業には,娯楽面では落語,手品や音楽,技術面では電気,土木,建築,ITなど様々な人材が存在します。地域が困っている災害復旧,祭りやとんどなど地域活動,ホームページやSNSを活用した情報発信,ICTを活用したオンライン会議の実施,集会所の改修や公園管理などのお役に立てるのではないでしょうか。同時に,地域貢献に共感してもらえると思います。さらに,この地域活動に広島市の企業が取り組むことで,地域の子供たちに広島市の企業のすばらしさを伝えることができると考えます。ひいては,将来,子供たちが市に残りたいと思うようになるのではないでしょうか。  次は,土砂災害特別警戒区域についてお伺いいたします。  崖崩れや土石流などの土砂災害から命を守るため,土砂災害防止法に基づき,土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域,いわゆるイエローゾーンとレッドゾーンが指定されています。このレッドゾーンの指定箇所については,広島県は全国一であり,本市においては,このレッドゾーンの中に約1万軒もの建物があります。安全を信じて購入した土地や建物が,突然,土砂災害特別警戒区域に指定され,不安な暮らし・生活を送られている方がたくさんおられる中,市では,この不安を解消するため,急傾斜地崩壊対策事業や各種制度,そして固定資産税の減価措置など,この区域にお住まいの皆様にとって手厚い事業が実施されております。  しかしながら,こうした本市の取組にもかかわらず,私の元には,不安な暮らし・生活を送られているとの声が寄せられております。その方々が言われるのは,レッドゾーンであるため,土地が売れにくい状況にあるとのことです。また,住宅を新築する場合,知事の許可や建築物の構造が土砂災害を防止・軽減するための対策を講じる必要があるため,土地・建物を売るときは評価が下がるのだといったものです。公共施設の土地においても,同様に,隣接地と共にレッドゾーンに指定されたものがあり,私が知る事例として,水道局が管轄する事業地ののり面においても,隣接地とともに,レッドゾーンに指定されているものがありますが,こののり面では,定期的にコア抜き調査や地山との密着性状況などを点検・調査されております。その成果もあり,施設とのり面の健全性,すなわち安全性が担保されており,隣接地にお住まいの皆様も感謝されております。しかし,レッドゾーンに指定されていることに変わりはなく,土地・建物が売れなくなる心配を抱えていらっしゃる方がおられます。
     県は,土砂災害防止法に基づき,全国一律の基準によりレッドゾーンを指定されていると聞いておりますが,当該地域にお住まいの方にとっては,水道局の事業地は安全なのに,なぜ隣接する宅地を含め,レッドゾーンに指定されているのかと疑問に思われております。  そこでお伺いします。レッドゾーンに指定されている広島市の事業地について,どのような対応が考えられますか。  また,事例として挙げた水道施設の安全確保とレッドゾーンにお住まいの皆様に寄り添った対応が必要と考えますが,どのように取組を進めるつもりですか,お聞かせください。  次に,特別自治市についてお伺いいたします。  新型コロナウイルス感染症対策,急傾斜地崩壊対策,河川・道路改良,都市計画,被爆建物の保存と活用。皆さん,振り返ってみてください。行政のスピード・業務の質は市民からどのように評価されているのでしょうか。  また,先般,新型コロナウイルス禍でテレワークやリモート化によって東京一極集中化が鈍化する中で,広島県の転出超過が都道府県で最多の7,159人だと報道がありました。これはなぜでしょうか。雇用,土日の娯楽など,転出の原因・問題について行政が何かできることはないでしょうか。早くしてくれ,何でできないの,こういった発言は聞きたくありません。ただ,これは広島市だけでなく,他都市の政令市も同じ悩みを抱えております。  よって,私は,これらに関する事業・改善のスピードを加速しなければならないと思っています。そして同時に,二重行政を解消し,国際平和文化都市を目指し,広域都市圏構想の実現に向けて機動的な行政運営を行うことが急務であると考えております。また,広島市は,国際平和文化のリーダーとして国を牽引する役割があると思います。  そこでお伺いします。広島市は行政サービスにおける品質とスピードの向上を図り,広島広域都市圏における経済・産業の活性化を実現することで住民が快適な生活を営むことができるよう,政令指定都市から特別自治市へ移行すべきと考えますが,本市のお考えをお聞かせください。  そして,周辺自治体や県の特別自治市制度への理解の促進といった,特別自治市へ移行するために検討すべき課題に対して,どのように取り組んでいるのかお聞かせください。  ただし,特別自治市に移行すると,これまで以上に広島県の業務・機能が広島市に移管され,このままだと広島市は,今以上に忙しくなるということは言うまでもありません。  そこで,本市は,次年度から着手するDX推進計画において,今後,広島市の生活・暮らしの革新が期待されていますが,DXには時間がかかります。DXを支えるクラウド,IoT,5G,RPA,AIなど新しいテクノロジーは,導入すれば成果が出る魔法の道具ではありません。RPAは作業を簡素化・定型化する必要があり,AIは様々な状況における人の判断や原理原則などをコンピューターに登録・学習しなければなりません。また,本市の行政手続を見ると,まだまだ標準化とデジタル化によって効率化できる業務がたくさんあると考えます。  私は,これまでの経験から,業務効率を向上するポイントは,職務権限の適正化,個人情報取扱いの利便性向上,部門をまたぐ業務の廃止だと思います。  そこでお伺いします。特別自治市の移行に伴う業務量の増加も見据え,一つ一つの業務を効率化していく必要があると考えますが,いかがでしょうか,お聞かせください。  次に,にぎわいのあるまちづくりについてお伺いします。  広島市は,広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区を東西の核とする楕円形の都心づくりを進めており,令和2年9月には,都心の一部が国から特定都市再生緊急整備地域に指定されるなど,都心におけるまちづくりの機運は大いに高まっています。  東の核である広島駅周辺地区では,令和7年に広島駅新ビルが開業し,路面電車の駅前大橋ルートが新設され,JR,路面電車を使った紙屋町・八丁堀地区への移動がより速く,快適なものとなります。西の核である紙屋町・八丁堀地区では,令和4年度末に旧広島市民球場跡地イベント広場が,令和6年にはサッカースタジアムが開業し,基町相生通地区第一種市街地再開発事業として,高さ約160メートルの高層ビルが令和9年度に竣工を予定するなど,今後数年でまちの姿は大きく変わろうとしています。  こうした中,今後,重要になるのは,これらのにぎわい拠点となるハードを単なる点で終わらせることなく,点と点を結ぶ線を戦略的に構築し,都心の回遊性を高めていくことで,都心の面的な活性化,ウオーカブルなまちを実現していくことだと考えます。  その線を戦略的に構築する上で欠かせないのが,相生通り,平和大通り,鯉城通り,中央通り,駅前通りといった幹線道路を中心とした道路沿道のにぎわいづくりです。具体的に言えば,新たな拠点となるハードをつなぐこれらの道路沿道の建物の1階に,都心ならではの魅力的な飲食や物販,サービスなどの店舗が連なるよう政策的に誘導していくことができれば,新たな人の流れが生じ,ピースツーリズムの振興,観光サインの整備なども相まって,平和文化都市広島ならではの新たな魅力が都心に生まれるものと考えます。  そこでお伺いします。都心の回遊性向上の観点から,道路沿道の建物の1階で店舗化を促し,にぎわいづくりにつなげる取組を推進すべきと考えますが,いかがでしょうか。  また,楕円形の都心の東西の核である広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区の間には,中四国最大の歓楽街である流川・薬研堀地区があることも忘れてはなりません。流川・薬研堀地区で事業を営んでいる方々は,現在,新型コロナウイルスの影響で大変な苦境にあると思いますが,個の重視,若者の飲酒離れなど,時代の潮流からいえば,アフターコロナにおける流川・薬研堀地区の今後の在り方について,改めて考える契機が訪れていると捉えることもできるのではないでしょうか。  昨年11月には,流川・薬研堀地区の飲食店経営者などによる流川エリア活性化協議会が,歩行者天国にした道路上にテーブルや椅子を並べ,お酒や食事を楽しめるイベント,流川テラスストリートを開催し,大いににぎわいました。道路沿道の建物の1階の店舗化と併せて,その軒先である道路空間を柔軟に活用できるようにすることは,魅力的でウオーカブルなまちづくりを進めていく上で極めて重要です。そうした取組を重ねることによって,これまであまり流川・薬研堀地区に縁がなかった人々をまちに呼び込み,地域の新たな魅力を発見していただくことにもつながると考えます。  そこでお伺いいたします。道路などの公共空間の柔軟な活用について,単発的なイベントに終わらせることなく,持続的なにぎわいづくりの一環として,市も積極的に支援していくべきと思いますが,いかがでしょうか。  最後に,本市のカーボンニュートラル実現に向けた取組についてお伺いいたします。  昨年10月31日から11月13日の間にイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26では,197の国と地域が参加し,産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える努力を追求することなどに合意いたしました。  一方,広島地方気象台による本市の年平均気温の長期変化傾向を見ると,1917年から2017年の100年の間に,既に1.5度の上昇傾向が見られ,グラスゴーで合意された気温上昇の水準に達しております。また,本市の猛暑日の年間日数も,単純比較が可能な期間である1988年から2019年までの31年間で増加傾向が見られ,本市の生活に直結する気候変動の影響に対する取組は急務であると考えます。  また,世界に目を転じれば,欧州では,EU域内に輸入される商品のライフサイクルでのCO2排出量に基づき,国境での課徴金を賦課することが検討されております。  本市では,令和2年12月,市長が脱炭素社会の構築に向けて取り組み,2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを表明されました。全国においても工業製品出荷額の大きな本市は,事業者の製品のライフサイクルにおけるCO2削減を進めることが地場産業を守るための最優先課題であると考えます。すなわち脱炭素化は,市民,事業者の共通課題です。その最終ゴールは,利用するエネルギーを全て脱炭素化することですが,現時点で脱炭素化を実現する主な取組は,1,エネルギー使用量を減らすこと,2,再生可能エネルギーを増やすことだと考えます。1については,市民や事業者による省エネの取組をさらに加速すべく,事業者の先進的な取組の水平展開やその活用の後押しが不可欠だと思います。2については,太陽光,風力,バイオマス発電などの再生可能エネルギーの需要を拡大することが鍵となりますが,いずれも,コスト増,立地制約,電力系統による制約などの課題を伴うため,市民や事業者単独では大変非効率であると考えます。  こうした,市民,事業者の脱炭素に向けた課題は,まちづくりを円滑に進める上で本市全体に関わるものであり,いずれの取組も,市民,事業者,行政が三位一体となり,思いを一つにして取り組むべき課題だと考えます。さらに言えば,この課題は広島圏域における産業の活性化にも関わるため,本市における脱炭素化は広域連携で取り組むことも大切だと思います。  そこで,本市のお考えをお伺いします。省エネ・再エネの拡大,脱炭素社会の実現に向けて,本市はどのように取り組むのでしょうか。また,誰とどのような体制で進めていくのでしょうか。協同・協業活動という観点でのお考えをお伺いいたします。  次に,脱炭素化に向かう社会構造変化に伴う地場産業への影響についてです。  脱炭素化は,技術革新と産業構造の変革による社会の構造改革をもたらします。例えば自動車産業では,アメリカ,中国,欧州などの世界の主要市場において,内燃機関が不要なEVの販売が顕著に増加しております。このような傾向が急速に加速すれば,内燃機関を登載した自動車の需要が減少し,自動車部品約3万点のうち,内燃機関の部品に係る1万点の生産数量の減少をもたらし,こうした部品を製造している地場産業や雇用への多大な影響が懸念されます。こうした脱炭素化に基づく社会構造変化への産業界の対応は自動車だけでなく,ものづくりの産業全てに共通する課題です。  本市の工業は,輸送用機械器具や生産用機械器具をはじめとするものづくり産業に支えられており,万が一この雇用が損失することになれば,本市にとっての大きな人材損失であり,将来にわたり地域の成長に悪影響を及ぼすことは明らかです。中長期的に産業構造の転換が進む状況において,雇用の安定化や事業転換・業態転換を強力に支援する体制や環境・仕組みづくりが急務だと思います。  そこで伺います。広島市内の自動車関連産業の中小企業を含めた事業者の継続性についてどのように認識し,対応されようとしているのかお聞かせください。  以上で総括質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○佐々木壽吉 議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       岡村議員からの御質問にお答えします。  カーボンニュートラル実現に向けた取組についてのうち,自動車関連産業の事業者の継続性に係る認識と対応についての御質問がございました。  自動車関連産業は本市における基幹産業であり,世界的に加速している脱炭素化に向けた自動車の排出ガス規制の強化等は,この産業に大きな変容を余儀なくする,重大かつ喫緊の課題であると考えております。  この変容は,製造品出荷額等が約1兆9000億円と,製造業全体の約6割を占めております本市の自動車関連産業における企業の事業継続に大きな苦難をもたらすとともに,製造業全体の約3割を占め,平均で月額約46万円の給与を得ながらそこで働いている約1万6000人の方々の生活や地域経済,さらには,まち全体の活力に大きな悪影響を及ぼしかねないものであります。  こうした認識の下,本市としては,自動車産業関連において多数を占めている中小企業が脱炭素社会に向けた事業転換や新分野での事業再構築に向けてチャレンジし,持続可能な経営基盤の構築を目指すことを積極的に支援するとともに,働いている方々が引き続きこの地域で働き,生活していくための条件や環境を確保するために最大限の支援を行いたいと考えております。  脱炭素化に向けた事業転換等は,地域の中小企業にとっては非常に大きな困難を伴う課題であり,当事者として納得ずくで取り組めるようにしていく必要があると考えています。  そのためには,自動車関連産業の中心的存在であるマツダと共に,一緒になって地域の中小企業が現状と取り組むべき課題をしっかり認識して,これらの解決に向けてチャレンジできるような環境を設定していく必要があります。  そこで,本市としては,まずは令和4年度から,地域の中小企業とマツダに,本市も加わった協議体制を構築し,対処の方向性について関係者間で認識の共有を図り,一丸となった取組ができる環境を醸成していきたいと考えています。  その上で,中小企業が自らの製造能力,雇用能力等の事業経営に係る諸基盤を踏まえつつ,先進事例などを参考にして具体的な対応策を進めていく過程で欠くことのできない技術力の向上,経営基盤の確保,従業員問題などに係るもろもろの課題解決について,これをしっかりと支援するために,国や県レベルでの関連対策と連動した的確な対策を協議体として講じられるようにしていきたいと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○佐々木壽吉 議長      環境局長。 ◎重村隆彦 環境局長     カーボンニュートラル実現に向けた取組について,省エネ・再エネの拡大,脱炭素社会の実現に向けてどのように取り組むのか,誰とどのような体制で進めていくのか,協同・協業活動という観点でどうかとの御質問にお答えします。  地球温暖化対策は,市民,事業者,行政等の各主体がそれぞれの立場で行うべき責務を果たし,互いに連携協力しながら,日常生活や社会経済活動のあらゆる場面で取組を進めていくことが重要です。そのためには市民,事業者の皆様に地球温暖化対策が人類の生存基盤を持続可能なものとするために不可欠な取組であるという認識を持っていただくとともに,省エネルギー対策の推進と再生可能エネルギーの導入促進を着実かつ確実に進める取組を強化していく必要があると考えています。  こうした取組を協同で進める体制の一つとして,本市が平成29年度に設置した,市民,商店街連合会,広島県トラック協会等で構成するひろしま脱炭素まちづくり市民会議があり,環境イベントの開催や啓発冊子の作成など,広く市民や事業者への啓発活動を実施しているところですが,今後さらに関係部局とも連携し,脱炭素化に向けて取り組む事業者と認識の共有を図る仕組みづくりや産学官連携などにも,より一層取り組んでいくことが効果的であると考えています。  また,広島広域都市圏の連携中枢都市である本市は,圏域の脱炭素化に資する取組を率先して行うことが求められており,圏域の市町には,本市での環境イベントへの参加や地球温暖化対策に関する啓発冊子を活用いただいているところですが,今後,圏域における地球温暖化対策を一層推進するため,省エネルギー対策事例の共有化などに取り組んでいきたいと考えています。  今後もこうした様々な主体との連携協力を進め,令和4年度に改定する広島市地球温暖化対策実行計画において,市民,事業者の皆様の御協力をいただきながら,より効果的な施策を盛り込むことができるよう,さらに検討を深め,脱炭素社会の構築に向けて,着実に地球温暖化対策を実施してまいります。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      この際,注意いたします。定足数を欠くに至るおそれがありますから,退席しないようお願いいたします。  市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      文化財の保護と活用についての御質問がございました。  まず,近代の遺跡の保護に向けて,本市は今後どのように取り組もうとしているのかについてです。  本市では,国の通知に基づき,開発事業に伴う埋蔵文化財の適切な保護を図るため,埋蔵文化財取扱基準を定めています。その中で埋蔵文化財として取り扱う,近現代に属する遺跡の範囲については,平成27年11月から実施した平和記念資料館本館下の発掘調査において,被爆時の遺跡が存在していることが判明したことを受け,平成30年4月に初めて平和記念公園の範囲を近現代に属する遺跡として取り扱う見直しを行っています。こうした中,令和2年10月から実施した中央公園のサッカースタジアム建設予定地での発掘調査において,旧陸軍の遺跡が検出されました。この遺跡について,本市文化財審議会委員からの意見を踏まえ,平和記念公園と同様に近現代に属する遺跡としての調査を行ったところです。市内には,戦前の軍遺跡など,近現代の遺跡が地下に連続かつ面的に残存する可能性のある場所がほかにも存在しており,広島の近代史解明に資する一定の歴史的価値を有するものについては,適切に保護を図る必要があります。  このため近代遺跡に係る埋蔵文化財取扱基準の適用範囲について,文化財の保護と開発との両立を前提とした上で,文化財審議会の意見を踏まえながら,拡大することも視野にその見直しを検討していきたいと考えています。  次に,文化財に関する専門職員の確保・育成が必要と考えられるが,今後どのように取り組むのかについてです。  議員御指摘のとおり,埋蔵文化財の発掘調査には考古学等の専門知識を有し,地域ごとに異なる地形や地層等を把握した上で,遺跡の有無や年代等について高度な判断ができる職員の確保と育成が必要となります。また,歴史的な財産である埋蔵文化財を未来に伝えていくためには,開発事業などとの円滑な調整を図りつつ,適切に保存・活用していくための充実した体制の整備が重要となります。そのため本市では,文化庁及び公益財団法人広島市文化財団へ職員を派遣し,文化財保護に関する実務や埋蔵文化財の調査を経験させることで文化財保護政策に精通した職員を育成するとともに,関係機関との連携強化を図ることとしています。これに加え,令和4年度には,実務経験を通じて培った専門的な知識と経験を持つ学芸員2名を採用する予定です。こうした取組を進めることにより文化財保護の諸課題に的確に対応できる人材を継続的・計画的に確保・育成してまいりたいと考えています。  最後に,原爆遺跡の国史跡指定に向けた取組は,現在どのような状況かについてです。  本市では,昨年度,中国軍管区司令部跡──旧防空作戦室や旧日本銀行広島支店など,市内に所在する被爆の痕跡が顕著に残り,歴史的価値を有する被爆建物について,国の史跡指定の可能性を検討するための調査を実施しました。現在,今年度末の報告書取りまとめに向け,文化庁と協議を進めているところです。  今後,本市文化財審議会の意見を踏まえ,来年度の早い時期に文化庁に対し,史跡指定を求める意見具申を行うよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      教育長。 ◎糸山隆 教育長       通学路における児童の安全確保について二点お答えをいたします。  まず,令和3年度の緊急合同点検等により確認された249箇所以外にも対応が必要な箇所があるという声がある,こうした箇所に対し,今後どのように安全対策を進めていこうとしているのかということについてです。  学校では,教育委員会が定める通学路安全対策マニュアルに基づき,毎年,長期休業期間などに教職員による安全点検を実施するとともに,保護者や地域の方から,対策が必要な箇所に関する情報提供を受けた場合には,実際に現地の状況を確認した上で,必要に応じ,教育委員会を通じ,道路管理者等の関係機関へ交通安全施設等の整備要望を行っております。また,教育委員会,道路管理者,警察,学校及びPTAにより構成される通学路安全連絡会議においては,防護柵や歩道等によって歩行者と車両が明確に分離されていない場所や,横断歩道,交差点付近などの危険箇所を重点課題として設定した上で合同点検を実施し,その結果を踏まえて,関係機関が連携して安全対策を進めております。今後ともこうした取組を通じて危険箇所を的確に把握し,地域の実情に即した効果的な安全対策が一層進むよう関係機関と連携しながら努力をしてまいります。  次に,安全対策を阻害する要因があり危険な状態が解消されない場合には,地域ぐるみで中長期にわたり安全対策に取り組んでいく必要がある,例えば学校運営協議会などで地域や保護者と協議してはどうかという御質問についてです。  本市では,学校運営への保護者や地域住民等の参画を一層推進するため,来年度から似島学園小学校を除く全ての小学校等において,学校協力者会議を再編し,学校運営協議会を設置するコミュニティ・スクールを導入することとしております。今後,地域ぐるみで行う子供の見守り活動の充実や通学路の安全対策が一層進むよう,学校運営協議会を積極的に活用して通学時の安全確保に関する協議を行うことについて,校長会等を通じ,学校に働きかけてまいります。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  地域コミュニティーについて二点の御質問にお答えいたします。  まず,より多くの市民の地域活動への参画につながる取組が必要だと思うがどうかについてです。  幅広い世代や分野の市民の皆さんが,地域活動に楽しさややりがいを感じながら主体的にまちづくりを進めていくには,多様な主体の連携,新たな担い手の発掘・育成,地域特性に応じた活動,活動基盤の強化といった四つの視点を大切にしながら,おおむね小学校区ごとに地域団体とNPOなどが連携する新たな協力体制の構築に取り組んでみてはどうかと,このたび策定する地域コミュニティ活性化ビジョンではお示ししております。  こうした新たな協力体制の構築への支援に取り組むとともに,具体的には,市民の皆さんのまちづくりへの当事者意識を醸成するため,地域への関心が低いとされる現役世代や子育て世代を対象としたワークショップを開催し,様々なプログラムを通じて地域のことを考えるきっかけづくりにしたいと考えています。加えて,本市が率先して人事評価制度の見直しやボランティア休暇制度の周知を図るなど,本市職員が地域活動に参加することを積極的に促すとともに,ボランティア休暇制度が市内企業に普及するよう,経済団体に働きかけるなど,市職員,企業の従業員やその家族を含めた市民の皆さんが地域活動に参加しやすい環境づくりに取り組みます。こうした取組により,より多くの市民の皆さんの地域活動への参画を促し,地域コミュニティーの活性化を図ってまいりたいと考えております。  次に,地域団体の課題と専門的スキルを有し,地域貢献に意欲がある企業の人材をつなぐことにより課題解決を支援する仕組みを検討してみてはどうかについてです。  このたび策定する地域コミュニティ活性化ビジョンでは,町内会・自治会だけでは対応できない地域の様々な課題について,おおむね小学校区を単位として地域団体やNPO,さらには議員御提案の企業など,多様な主体が関わりを持って,例えば地区社会福祉協議会や連合町内会・自治会と連携する新たな仕組みを整えてみてはどうかとお示ししております。この地域コミュニティーの新たな協力体制と議員御提案の地域貢献に意欲のある企業が連携することはビジョンでもお示ししているところであり,企業の人材が,その持つ能力とスキルを発揮して様々な地域課題の解決に積極的に取り組んでいただくとともに,地域に帰属する気持ちが醸成されることが期待されます。したがって,こうした企業との連携を視野に入れた新たな協力体制の構築に向けて理解を深めていただけるよう,ビジョンを策定した後から,できるだけ速やかに市民の皆さんとの対話に着手してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      下水道局長。 ◎油野裕和 下水道局長    土砂災害特別警戒区域についての御質問のうち,レッドゾーンに指定されている広島市の事業地についてどのような対応が考えられるのかについてお答えいたします。  土砂災害特別警戒区域であるレッドゾーン及び土砂災害警戒区域であるイエローゾーンは,平成11年6月に本市や呉市を中心に発生した大規模な土砂災害を契機として制定されたいわゆる土砂災害防止法に基づいており,土砂災害のおそれのある区域を明らかにし,当該区域内の警戒避難体制の整備や一定の開発行為の制限,建築物の構造の規制等のソフト対策を推進することを目的としています。これらの区域は,主に航空レーザー測量から作成した三次元の地図をベースとして,現地の地形や対象施設の状況,土地の利用状況などの基礎調査を実施し,過去に発生した土砂災害の知見も反映した上で県において指定されますが,都市計画法や宅地造成等規制法の技術基準に基づく開発許可等を受けていても,レッドゾーンに指定される場合があるとされています。  このことについて,区域を指定する県の担当部局に確認したところ,こうした事例があることは承知しているが,区域の指定は土砂災害防止法の目的に基づき,不測の事態も考慮して土砂災害のおそれがある区域を対象としていること,その地域が本来有する性質を明らかにして防災・減災のソフト対策の推進につなげるものであり,解除を義務づけるものではないとの見解を得ています。  こうしたことを踏まえ,土砂災害特別警戒区域に指定された本市の事業地については,引き続き技術基準に基づく適切な維持管理やこれに伴う所要の補強対策にも努める中で,県が定期的に実施する区域指定の基礎調査の時期も見据え,必要に応じて各所管部局において県と協議していくことになると考えています。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      水道局長。 ◎友広整二 水道局長     土砂災害特別警戒区域についての御質問のうち,水道施設の安全確保とレッドゾーンにお住まいの皆様に寄り添った対応が必要と考えるが,どのように取組を進めるのかについてお答えいたします。  本市では,平成30年7月豪雨を契機として,令和元年度に全ての水道施設を対象としたのり面の安定度調査を専門業者に委託して実施しました。その結果,対策が必要であると評価された施設については,令和2年度からのり面整備を行っています。今後も職員による毎月の巡視点検に加え,専門業者によるのり面の安定度調査を5年に一度実施することにより,のり面の安全性を確認するとともに,対策を要する施設については,順次,のり面整備を実施することで,水道施設の安全確保に取り組んでまいります。  また,レッドゾーンにお住まいで不安に思われる住民に対しては,水道施設の安全性について丁寧に説明を行っていきたいと考えています。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  特別自治市について三点の御質問に順次お答えいたします。  まず,広島市は,政令指定都市から特別自治市へ移行すべきと考えるがどうかについてです。  特別自治市制度は,住民がよりよい行政サービスを受けることができるようにするため,指定都市が,地方が担っている事務の全てを一元的に取り扱うとともに,必要な自主財源を制度的に保障する制度です。本市が特別自治市となることで,現在の県と指定都市という二層構造が一層となり,本市が一元的な窓口として国と直接やり取りを行えるようになるため,各種施策をより効率的・機動的に展開することが可能となります。また,現在取り組んでいる広島広域都市圏の発展に向けた取組においても,権限の拡充と自主財源の充実が図られることから,圏域内の市町への様々な支援をこれまで以上に適切かつ的確に実施することが可能となり,より強力に圏域の発展を牽引する役割を果たすことができます。こうしたことから,本市としては,この特別自治市への移行を目指してまいりたいと考えております。  次に,周辺自治体や県の特別自治市制度への理解の促進といった,特別自治市への移行のために検討すべき課題に関して,どのように取り組んでいるのかについてです。  現在の地方自治制度において,特別自治市が制度化されていない中にあって,いかにして特別自治市制度への理解を促していくかが課題となります。したがって,まずは,現在の枠組みにおいてできることから着手することで,本市が牽引役となって行う圏域内の市町への様々な支援について,市町やその住民にそのメリットを実感してもらうことがこの制度のPRにつながります。  例えば,JR芸備線など公共交通の活性化に係る取組はこうした取組の一つと考えており,沿線の各市町だけでは十分な成果が得られにくい事案に対して,本市が中心となって沿線の各市町と一緒に汗をかき,しっかりと成果を出すことでそのメリットを感じていただくよう取り組んでいきたいと考えております。  こうした取組を通じて,県を含めた多くの関係者に特別自治市制度への理解が得られるような環境を醸成していきたいと考えております。  最後に,特別自治市への移行に伴う業務量の増加も見据え,一つ一つの業務を効率化していく必要があると考えるがどうかについてです。
     現在直面している新型コロナウイルス感染症への対応なども含め,複雑化・多様化する市民ニーズに的確に対応していくためには,限られた経営資源の中で最大の効果が得られるよう,各業務の効率化を図っていくことが必要です。このため令和2年2月に策定した広島市行政経営改革推進プランにおいて,目標の一つとして,効率的な行政システムの構築を掲げ,先端技術を活用した定型業務の自動化などに取り組むとともに,今年度中に策定予定の広島市DX推進計画においても,業務プロセスのデジタル化等により,さらなる業務の効率化を図っていくこととしております。  また,議員御提案のような民間企業等で行われている業務改善手法なども参考にしながら,不断に各業務の効率化を図っていくことが,特別自治市への円滑な移行に向けた一助になるものと考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      この際,皆様にお願いいたします。12時となりましたが,このまま会議を続けさせていただきたいと思います。いましばらく御協力をお願いいたします。  都市整備局長。 ◎中村純 都市整備局長    にぎわいのあるまちづくりについて,二点の御質問にお答えいたします。  まず,都心の回遊性の向上の観点から,道路沿道の建築物の1階で店舗化を促し,にぎわいづくりにつながる取組を推進すべきであると思うがどうかについてです。  都心においては,議員御指摘のとおり,都心の回遊性の向上の観点から,人中心の居心地がよく歩きたくなるまちなかづくり,いわゆるウオーカブルなまちなか形成に向けて,民有地などを活用したにぎわいや憩いの空間の創出が必要となっております。本市においては,快適でにぎわいのある表通りの形成を目指し,都心の幹線道路沿道の建築物について,1階部分の3分の2以上を商業・業務用途とするなど,一定の要件を満たす場合に容積率を割増しする高度利用型地区計画を平成30年に策定しています。  この地区計画では,歩行空間を確保するために建築物の壁面を道路境界線から一律2メートル後退させることを容積率割増しの必須要件としていますが,このたび民有地内で人々が交流・滞留できる空間の創出を促進し,ウオーカブルなまちなか形成を図る観点から,内容の拡充を図り,壁面後退による広場等の確保を選択肢に加えるとともに,ベンチやテーブルなどの設置が可能となるよう,本年6月の都市計画変更を目指し,現在,所要の手続を進めているところです。また,都心では,事業者や住民などの主体的な取組により,各地域の価値の維持・向上を図るエリアマネジメント活動が活発化しつつあります。精力的に取り組んでいる都心のエリアマネジメント団体の中には,自らが地域の未来ビジョンを作成し,その中で低層部への商業施設の積極的な誘致を取組の一つに掲げているところもございます。本市としては,昨年4月に経済界が中心となって設立したまちづくり組織である広島都心会議とも連携して,高度利用型地区計画の周知と活用の促進を図るとともに,こうしたエリアマネジメント活動を積極的に支援して民間活力を引き出しながら,にぎわいがあふれるウオーカブルなまちなかづくりに取り組んでいきたいと考えております。  次に,流川・薬研堀地区における道路などの公共空間の柔軟な活用について,単発的なイベントに終わらせることなく,持続的なにぎわいづくりの一環として,市も積極的に支援していくべきだと思うがどうかについてです。  平成29年に策定しましたひろしま都心活性化プランでは,先導的な取組の一つとして公共空間を活用したにぎわいづくりを掲げており,公共空間を積極的に活用して,市民,企業,行政等がオープンカフェやイベントを実施するなど,新たなにぎわいづくりの創出を図ることとしております。また,国においても,居心地がよく歩きたくなるまちなかづくりに向けた様々な政策が展開されておりまして,令和2年11月には,地域を豊かにする歩行者中心の道路を構築するため,歩行者の安全かつ円滑な通行を確保しつつ,にぎわい空間として活用を図る歩行者利便増進道路の指定制度が創設されました。流川・薬研堀地区での制度活用には,歩道等における十分な有効幅員の確保などの一定の課題がございますけれども,本市においても,要件を満たす道路についての導入を進めているところです。  議員から御紹介のありました流川・薬研堀地区における道路空間を活用した取組について,現状では特定の期間に限定した一時的なイベントとなっていますが,こうした国や市の居心地がよく歩きたくなるまちなかづくりという方向性と合致しているものであることから,今後は持続的なにぎわいづくりに資するものとなるよう,エリアマネジメント団体を支援する広島都心会議とも連携しつつ,地域の方々の御意見も踏まえながら,エリアマネジメントの観点から適切な支援を行う方向で対応していきたいと考えております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      1番岡村議員。 ◆1番(岡村和明議員) 今後に希望が持てるたくさんの温かい答弁,本当にありがとうございました。再質問はありませんが,幾つか所見と要望を伝えさせていただければというふうに思います。  まず,カーボンニュートラル実現についての取組です。  市長から,何かすごい熱い思いを伝えていただき,本当に今日はよかったなというふうに思います。本当にありがとうございます。  先ほど,脱炭素化は市民,事業者の共通課題であるため,三位一体となって取り組むべきこと,そして,広域連携で取り組むことが大切だというふうに申し上げさせていただきましたが,もう一つ大切なことがあります。それは地産地消です。地産地消はヒト・モノ・カネの循環が期待でき,広島市の経済発展,そして地域成長に貢献する政策です。これはカーボンニュートラルについても同じだと思います。  日本における電力供給は,約70%が化石燃料による火力発電に依存しておりますが,これらは徐々にこれから再生可能エネルギーの需要が拡大することとなります。そして,そのこともあり,現在CO2フリー燃料の水素,アンモニアによる発電技術,これも国策として進められておりますが,まだまだ事業化は先であり,二酸化炭素を出さない太陽光などの再生可能エネルギーの設置の適地も少なく,なかなか再生エネルギー化が進まないのが実情だというふうに思います。2030年もほかの燃料より安く安定的な電源である化石燃料は,やはり19%残るとも言われております。  そこで,当面は化石燃料による火力発電を高効率でかつ環境に優しい原材料に変えていく必要があるというふうに思っております。その選択肢が木くずや間伐材,可燃性ごみ,食用油,精製した廃油などのバイオマスの混焼です。火力発電で化石燃料の代わりに水素やアンモニア,そしてバイオマスを混焼して利用することで低炭素化・脱炭素化を図ることが可能です。ただし,国内では供給が不足しております。バイオマスを他地区から運ぶとさらにコストがかかるため,現実的ではないと思います。それゆえに地産地消を加速することによって,海外や他地区からのエネルギー調達コストを広島広域都市圏域内経済圏で循環させることができるというふうに思っております。これによってさらなる森林事業の拡大にもつながると思います。ひいては,広島市の経済発展に寄与でき,同時に広島経済・産業におけるエネルギーの適正価格供給は事業の継続と広島市の税収増につながるというふうに思います。ぜひ次年度計画を策定される際,省エネ・再エネの拡大,脱炭素社会の実現に向けて地産地消も御配慮いただき,協同・協業活動という観点で方針や施策を御検討いただければ幸いでございます。  次に,土砂災害特別警戒区域についてです。  イエローゾーンとレッドゾーンは,想定を超える豪雨により発生する災害への備えとして,法律に基づき,ソフト対策を推進する区域として,県が指定する市民の命を守るという強い意思の表れであり,その目的自体は否定すべきものではありませんが,一方で,個人の財産評価への影響も避けられないと考えます。そして,これらの折り合いを早急につけることはなかなか容易ではないことは理解しておりますが,いずれにしても,最優先すべきは,住民の命を守る方策を迅速に講じることであると考えます。  こうした面で,水道局は,毎月の巡視点検や専門業者によるのり面安定度調査,そして,対策を要する施設については,のり面整備を実施することで水道施設の安全性に向けて取り組んでおられると理解しております。また,市でも,防災・減災に関連した様々な支援制度を提供されていることや,昨年8月の豪雨災害対応でも民有地土砂撤去など,被災者の立場で対応を迅速に進められていることは大変感謝,評価しております。来年度の予算案への新たな制度創設も打ち出されております。今後も市民に対する丁寧な説明を継続していただきながら,市民の安心・安全の生活確保に向けた取組をぜひよろしくお願いいたします。  次に,にぎわいのあるまちづくりについてです。  流川・薬研堀地区は,夜のにぎわいも大切なのですが,一方で昼間は閑散としております。将来的にはまちの中心部という好立地,これを生かして昼間も多くの方が行き交うまちになってほしいと思っております。流川・薬研堀地区の道路空間の利用に関しては,そうした視点も踏まえつつ,具体的な取組を検討していただくことを要望いたします。  次に,特別自治市についてです。  特別自治市になると,行政サービスの向上が可能となり,機動的な行政運営が可能になると考えております。ただし,実現に至るまでには,国による法制化はもちろん,県や周辺自治体の理解・協力が必要であること,特別自治市に移行するため,広島市がより効率的な体制に生まれ変わらなければならないことなど様々な課題がございます。こうした課題,中でも業務の効率化を進めていく上では,私の経験から申し上げますと,先進都市の視察を行い,実態を肌で感じる機会を確保していくことがとても有効だと思います。ぜひこういった機会を積極的に確保していただきながら,特別自治市の実現に向けて着実に歩みを進めていただきたいというふうに思っております。  次に,文化財の保護と活用についてです。被爆者の高齢化に伴い,被爆の実相を伝える最も有効な手段は文化財だと思います。被爆の実相から全てを残すことは大変難しいと思いますが,引き続き所有者と友好的に対話を重ね,お互いが納得,そして,市民が理解してもらえる被爆建物の保護と活用に重点的に取り組んでいただければと思います。そして,埋蔵文化財ですが,保存と活用に向けてはビジョンを持って計画的に取り組まれることを期待しております。  次に,地域コミュニティーです。  担い手不足解消や地域活性化のポイントは,やはり働く世代と地域の間にいかに感情的な結びつきをつくるかだと思います。行政にはそのきっかけとなる仕組みや環境,これを整えていただきたいと思います。企業には,地域のお役に立てる人材がいると申し上げましたが,中には社員のいろんなコミュニケーションに関する保有能力とレベルを一覧にした人材バンクというのをお持ちになってる企業もあります。また,他都市では,自治体や町内会が求める人材をホームページで紹介している都市もあります。助けたい,助けてもらいたい,その需要と供給のバランス,これを見えるように取り組んでいただくことを要望いたします。  最後に,通学路についてです。  未来を担う子供たちにとって健やかな成長のためには,健康・安全は最優先課題だというふうに思います。信号機間の距離が短くて設置できない,歩道整備には用地取得が必要で時間を要する,道路幅が狭くガードレールが設置できない,関係者の合意が必要であるなど,行政では解決できないことが山積みですが,地域,行政,警察,事業者の社会全体で一つ一つ乗り越えていただくよう要望して発言を終わります。ありがとうございました。 ───────────────────────────────────────                  休憩宣告 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      この際,暫時休憩いたします。                午後0時15分休憩 ───────────────────────────────────────                午後1時14分開議                出席議員  29名                欠席議員  24名 ○若林新三 副議長      出席議員29名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○若林新三 副議長      休憩前に引き続き会議を開き,総括質問を行います。  29番宮崎誠克議員。                〔29番宮崎誠克議員登壇〕(拍手) ◆29番(宮崎誠克議員) 皆さん,こんにちは。  自由民主党・市民クラブの宮崎誠克です。それでは,会派を代表して総括質問をさせていただきます。しばらくの間,御清聴よろしくお願いいたします。  まず最初に,地域コミュニティ活性化ビジョンについてお伺いします。  人口減少・少子高齢化が叫ばれるようになり久しくなりますが,全国的に健康寿命延伸に向けた取組が行われ,人生100年時代を見据えながら,これからの時代にふさわしい形での高齢者を含めた住民が社会参画する持続可能な地域社会の構築が求められています。私もこの問題につきましては,東京大学が,平成29年度より神奈川県で行われている高齢社会を持続可能な社会へ組み替える取組や,コーディネーターとして全国の様々な地域に関わってこられ経験された現状や課題をお聞かせいただくため大学を訪問させていただいたり,市議会においても,令和2年第1回2月定例会,令和3年第1回2月定例会の総括質問で取り上げさせていただき,本市においても,町内会加入率が年々低下し,役員になる人の不足が生じている都市部や人口減少が著しく地域活動の継続が困難になっている中山間地域の現状や課題等に触れながら,将来に向けて持続可能な地域社会を構築していく上で,人口減少や生活環境の変化等による地域コミュニティーの希薄化が大きな問題になっていることを指摘させていただきました。  こうした状況を受け,市は,住民同士が支え合い,安全・安心に暮らすことのできる地域をつくり,持続可能な地域社会の実現を図ることを目的とし,地域コミュニティ活性化ビジョンの策定に着手され,一昨年8月から昨年3月にかけ,地域コミュニティーが抱える課題の把握と分析,また,活性化のための方策検討の基礎資料として活用するため,町内会・自治会や地区社会福祉協議会などの地域団体や無作為抽出した一般市民7,000人に対してアンケート調査などによる実態調査を行いました。そして,その実態調査を踏まえて,有識者,各区の地域団体で活動する住民,関係団体に属する方で構成する地域コミュニティ活性化に関する懇談会を5回開催され,地域コミュニティーの現状と課題,これからの地域コミュニティーにおける活動事例,地域コミュニティー活性化の方向性,これからの地域コミュニティー,そして行政からの支援について意見交換を行った上でビジョンの素案の取りまとめを行い,昨年12月23日に開催された安心社会づくり対策特別委員会において,理事者から地域コミュニティ活性化ビジョンの素案について説明があり,委員から様々な意見や要望が出されました。その後,本年1月中旬にかけ,素案に対する市民意見募集を行い,去る1月28日にビジョン案について第6回懇談会を開催されました。  今回の地域コミュニティ活性化ビジョンの策定に当たっては,活性化のポイントとして,団体運営,活動の担い手,地域特性,活動の内容,行政との関係性の五つの項目に取りまとめられ,今後,市内全域でそれぞれの地域がビジョンを基に市と連携し,主体的に地域の特性や実情を踏まえながら,関係団体等に働きかけ,新たな協力体制の構築に向けて着手されると思いますが,その中でも特に重要なポイントとなるのが,行政との関係性や行政からの支援ではないかと思います。これから準備期,設立期,運営・発展期とステップを踏みながら,設立に向けて作業を進められると思いますが,これまでの市の組織体制のまま,職員は通常の業務をこなしながら,この大きな変革期を乗り切るためにこれまで以上に地域に寄り添った行政支援が本当に可能なのか,多少の疑問を感じているのは私だけではないと思います。  なぜなら,物が行き渡った成熟社会における行政サービスは,これまでの行政主導型の公共サービスの提供から,これからは市民・行政協働型の公共サービス,いわゆる参画型・能動型の行政サービスへの転換が求められており,これまで以上に職員の地域への関わりが増え,先日示されたビジョン案の中にも新たな行政との関係性や行政からの支援等が多く含まれています。  そこでお伺いします。これから地域コミュニティ活性化ビジョンを参考に地域の新たな協力体制の構築に向けて,より一層地域に寄り添った行政支援が求められると思いますが,専門部署を設ける等,今後の組織体制の在り方についてどのようにお考えかお聞かせください。あわせて,新たな協力体制の構築に向け,今後どのようなスケジュールで作業を進めようとされているのかお聞かせください。  次に,行政との関係性の中で地域コミュニティー活性化の視点を持った職員の育成がうたわれています。地域コミュニティー活性化の視点を持った職員とはどのような職員で,その職員の育成はどのようにされるお考えなのか,具体的にお聞かせください。  最後に,職員の地域活動に参加しやすい環境づくりの中に,人事評価制度の見直しやボランティア休暇制度の周知を図り,市職員が地域活動に参加することを積極的に促すことがうたわれています。現在も市職員には,地域活動に積極的に関わるよう促されていると思いますが,現状についてお聞かせください。また,より一層,市職員に地域の担い手として積極的に地域活動に参加していただくために具体的にどのように制度を見直し,どのように周知を図られるお考えなのかお聞かせください。  次に,広島広域公園の活性化についてお伺いします。  新型コロナウイルスの影響により1年延期の末に実施された東京オリンピック・パラリンピックは,ほとんどの会場が無観客となるなど,様々な制約の中で開催されました。しかし,いざ大会が始まってみると,日本代表選手の戦う姿は多くの国民に勇気と感動を与え,日本はオリンピックで計58個という過去最高のメダルを獲得,パラリンピックでは計51個で,過去2番目のメダルを獲得し閉幕しました。  本市においても,東京オリンピック・パラリンピックを契機としたスポーツの振興に力を入れられ,広島県がメキシコ合衆国と26競技の事前合宿を県内で受け入れる基本協定を締結されたことを踏まえ,サッカー,体操,ボクシング,テニス,アーティスティックスイミングの5競技を広島市で受け入れることが決定しました。同時に本市独自の事前合宿の誘致にも力を入れられ,オーストラリア連邦のホッケー,キューバ共和国の野球,デンマークのハンドボールを中心に積極的に事前合宿の誘致に努められ,松井市長自らもキューバ大使館を訪問され,本市での事前合宿を積極的に働きかけられたことは記憶に新しいところです。  最終的に本市が受入れをしました事前合宿は,新型コロナウイルスの影響により県が基本協定を締結したメキシコ合衆国からはサッカーチームのみとなり,新型コロナウイルスが蔓延する以前に広島市で合宿を行った体操チームは事前合宿を行わず,直接,選手村に入りました。また,本市独自の事前合宿としては,ベルギー王国の男子ホッケーチームが大会直前の事前合宿を行い,英国女子ホッケーチーム,オーストラリア女子ホッケーチームは新型コロナが蔓延する以前に事前合宿を行い,大会直前の合宿は行われませんでした。そのほか,パラリンピックにおいて,メキシコ合衆国の陸上・水泳の代表チームが本市で事前合宿を行いました。そして,この各国代表チームによる事前合宿の多くに利用されたのが,平成5年にアジア競技大会の開催に合わせてオープンした広島広域公園です。  簡単に施設の紹介をしますと,陸上競技場は5万人収容で県内唯一の日本陸連第1種公認陸上競技場であり,記録が出やすい競技場として人気があります。近年では,織田幹雄記念国際陸上を継続して開催するために必要となりましたWA──世界陸連が発足させた制度,クラス2の認証を取得するためのトラック走路の全面改修が行われ,今後も世界陸連公認大会の開催が可能となりました。また,スタンドの個席化,トイレの洋式化も改修済みです。  次に,第一球技場ですが,1万人収容規模の天然芝のフィールド,天然芝の球技場としては中国地方2位の規模で県高校サッカー選手権の決勝を行うほか,ラグビー,ゲートボールなど,多目的に使われています。また,女子プロサッカーリーグ──WEリーグに参加しているサンフレッチェ広島レジーナのホームスタジアムとしても利用されています。  次に,第二球技場ですが,3,000人収容の人工芝のフィールドでホッケー日本リーグが開催されるなど,ホッケー球場としては日本有数の施設であり,既に人工芝の老朽化に伴い,世界規格対応のホッケー専用人工芝で下地から全面改修されており,東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿や女子ホッケー国際大会の会場として利用されています。  次に,テニスコートですが,国際的な大会が可能な20面のコート,3,000人収容のセンターコート,1,000人収容のサブコートがあり,平成24年から国際基準となったデコターフに全面張り替えられ,規模でいえば,東京の有明テニスの森公園に次ぐ規模となっています。近年では,女子テニスの国際大会,ジャパンウィメンズオープンテニスが開催されたことでも有名です。そのほかにも補助競技場6レーン及び投てき練習場などが整備され,周辺にはクスノキの大木やイチョウやケヤキ,ツツジ等が整備され,四季折々の風情が楽しめるとともに,地方初のアジア競技大会が開催されたあかしとして,全国有数の競技施設が集積する本市のスポーツ振興の拠点であり,市民スポーツ・レクリエーション活動の拠点施設となっています。  一方で,サッカースタジアムの建設が令和6年2月の開業を目指して,今月から本体工事が始まっています。完成後,平成6年から広島広域公園陸上競技場──エディオンスタジアムをホームスタジアムとしていたサンフレッチェ広島は,中区中央公園広場に建設されるサッカースタジアムにホームスタジアムを移転することが決定しており,サンフレッチェ広島移転後の広島広域公園の在り方,活性化が大きな課題となっています。  私もこの課題については,平成30年第1回2月定例会の総括質問,スポーツの振興の中で取り上げ,提案や要望も交えて質問をさせていただきました。当時の都市整備局長からは,トレーニング施設など,新たな機能の整備については,スポーツ団体をはじめとする利用者や地域住民の御意見を伺いながら,広島広域都市圏の活性化に資する施策としての位置づけ等も踏まえしっかり検討してまいりますと御答弁いただきました。あれから4年が経過し,サッカースタジアムの完成時期等も見えてきましたので,改めて検討状況についてお伺いします。  この三,四年で様々な競技施設の改修や周辺の整備を行っていただきましたが,広島広域公園の有料公園施設における利用者及び観客の推移はどうかお聞かせください。  次に,サンフレッチェ広島がホームスタジアムを移転した場合,利用者及び利用料収入はどれぐらい減少すると想定されているのかお聞かせください。あわせて,ネーミングライツ料についてもお聞かせください。  次に,トレーニング施設を含む宿泊可能な施設を整備することで,一流アスリートの招聘や利用度も高まり,中高生が同じフィールドでその高いパフォーマンスを体感することにより,青少年の競技力向上につながり,ひいては本市のスポーツの振興につながると考えますが,検討状況についてお聞かせください。  次に,前回の総括質問では要望とさせていただきましたが,広島広域公園でゲートボールやグラウンドゴルフ大会を開催されたときに,高齢者の方から会場へ着くまでの急な坂道が大変きつかったという声があったとお聞きし,将来的には,アストラムラインの延伸も計画されており,車以外で利用される方が増えることが予想されるため,高齢者や障害者に配慮した,駅から広島広域公園までのアクセスを検討していただくよう要望させていただきましたが,検討状況についてお聞かせください。  最後に,広島広域都市圏を対象としたスポーツ施策についてお伺いします。東京オリンピックでは,広島県がメキシコチームの合宿を誘致したことをはじめ,多くの市町で事前合宿が実施されました。多くの県民がトップアスリートを身近に感じ,スポーツへの関心を高める機運が醸成されたのではないでしょうか。さきに質問した広島広域公園のように,広島市は優れたスポーツ施設があります。こうした施設を活用し,広島広域都市圏と連携してスポーツ施策を展開していくべきではないかと考えます。  そこでお伺いします。これまで広島広域都市圏のスポーツ分野では,どのような連携が行われていますか。また,今後どのように展開していく予定なのかお聞かせください。  最後に,小規模雑居ビルの防火安全対策についてお伺いします。  昨年12月17日,大阪市北区の雑居ビルに入るクリニックが放火され,容疑者を含む26人が死亡するという大変痛ましい事件が発生しました。改めて犠牲となられた方々に対し謹んでお悔やみを申し上げますとともに,心より御冥福をお祈りいたします。  このたびのビル火災を受け,総務省消防庁は,現地に職員を派遣し,関係機関とも協力の上,火災原因調査を行うとともに,都道府県知事を通じて各消防本部に特定一階段等防火対象物に対し,避難管理等について緊急点検,立入検査を実施するよう通知しました。ちなみに特定一階段等防火対象物とは,地階もしくは3階以上の部分に特定用途部分,不特定多数の人の出入りがあるフロアがあり,かつ避難に使用する階段が屋内に一つしかない防火対象物です。昭和49年に建築基準法施行令が改正され,以後,建築される6階以上の建物には地上につながる階段を二つ以上設置することが原則義務づけられましたが,このたび多くの犠牲者を出した大阪市北区の雑居ビルのように,この改正以前に建てられたビルは,屋内に避難する階段が一つしかなく,設置義務もない,いわゆる既存不適格という状態になっており,これら建物については,改築がなければ直ちに改善することを義務づけられていません。また,こうした建物に階段を追加し,2方向避難となるよう改修するには多額の費用がかかることや,実際に床面積も狭く,屋内に階段を二つ設けることが難しいという現実もあり,こうした現実を踏まえて,利用者の安全をいかに確保するのかが大きな問題です。  これまで国内では,ホテルや雑居ビルなどでの大規模火災のたびに法律改正や制度が改正され,施設の防火安全対策が厳格化されてきた経緯があります。多数の犠牲者が出た主な火災は,昭和47年,大阪千日デパート火災,死者118人,翌年,熊本大洋デパート火災,死者103人,昭和55年,栃木川治プリンスホテル火災,死者45人,昭和57年,東京ホテルニュージャパン火災,死者33人,平成13年,東京歌舞伎町ビル火災,死者44人,平成20年,大阪個室ビデオ店放火事件,死者16人,平成31年,京都アニメーション放火殺人事件,死者36人となっています。この中で平成13年9月の新宿区歌舞伎町でのビル火災は,避難する階段が一つしかない建物でした。この火災を契機に,28年ぶりに消防法が大幅に改正強化され,簡単な操作,一動作で避難可能な避難器具の設置義務化や,避難経路上に避難の支障となる物件がある場合の除去命令を行う権限は,それまで消防長・消防署長のみに付与されていましたが,消防吏員にも付与することなどが定められました。  本市においても,平成27年10月に中国地方最大の繁華街,流川で火災が発生し,逃げ遅れた男女6人が死傷するという大変ショッキングな事案が発生したことは記憶に新しいところであります。当時,広島市消防局は火災を受けて,出火建物と同様の飲食店またはカラオケボックスなどの用途がある木造建物384棟に,緊急に立入検査を実施し,消防法に基づき防火設備などに不備がないか調べられました。その結果を消防局に確認したところ,227棟に消防法に適合しない不備があり,防火管理者の未選任や消防訓練の未実施など,ソフト対策の不備がある建物が221棟,消火器未設置や誘導灯の球切れ等のハード対策の不備がある建物が重複を含めて95棟あったとのことで,その後の継続的な関係者の指導により,これらの不備事項は全て是正されたとのことでした。また,本市では,流川火災を受けて,飲食店や介護施設など新たに開業する場合には,許認可が必要となる施設について,当該許認可部局と消防局が申請情報を共有し,消防法に違反していないか事前に立入検査を行いチェックする仕組みを導入されました。  このように,事あるごとに規制や取組強化が繰り返されますが,法を守り,防火対策をするのはそれぞれのビル関係者です。大阪市北区での火災を受けて,今後さらに規制等が強化される可能性も考えられるところですが,たとえ規制が強化され,消防職員が改善命令を発したり罰則を与えても,まずはビル等を管理する方々に,しっかりと防火管理の重要性を理解していただかなければ,根本的な改善には至りません。流川火災後の緊急点検では,把握した不備事項は全て改善されたということで,関係者の理解を得るために消防局は相当な努力をされたと思いますが,今回の点検で把握した不備についても同様に,関係者の理解を得て改善するように,粘り強く取り組んでほしいと思っています。  そこでお伺いします。このたびの大阪市北区の雑居ビル火災を受け,広島市消防局は,総務省消防庁の通知により緊急点検を実施し,実態把握を進められている最中ですが,今回の点検の進捗状況と国の今後の動きについてお答えください。  次に,消防局は,建物の関係者や事業所の従業員に対しては,避難経路を適切に管理することなど防火管理に関する情報を発信しているようですが,建物を利用する側の立場である市民には,自分の身を自分で守るための参考情報が足りていないのではと思います。そこで,建物を利用する市民の方々に向けて,どのような状態の建物では火災時にどんな危険が潜んでいるのかなど,建物利用の際の注意ポイントについて情報発信してはどうかと考えますが,市の考えをお聞かせください。  以上で私の総括質問を終わります。長時間の御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○若林新三 副議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       宮崎議員からの御質問にお答えします。  地域コミュニティ活性化ビジョンについてのうち,地域の新たな協力体制の構築に向けた本市の組織体制とスケジュール及び地域コミュニティーの活性化の視点を持った職員の育成についての御質問がございました。  広島市地域コミュニティ活性化ビジョンにおいてお示ししている,おおむね小学校区を単位とする地域の新たな協力体制の構築に向けては,本庁の地域活性化調整部が中心となって,区役所の地域起こし推進課,地域支えあい課など,さらには市・区社会福祉協議会とも連携・協力体制を取りながら支援をしてまいります。そのため,関係課等の職員と緊密に連携して地域に出向き,新たな協力体制の構築を支援できるよう,地域活性化調整部に3名の職員を新たに増員いたします。また,新たな協力体制の構築に向けて理解を深めていただけるよう,新型コロナウイルスの感染状況を勘案しつつ,ビジョンを策定した後できるだけ速やかに,私自身が先頭に立って,議員各位の御協力も得ながら,地域の皆さんとビジョンについて対話する機会を持ちたいと考えております。  それと同時に,例えば職員にボランティア休暇制度を活用して地域活動に積極的に参加することを促すことで,地域の課題と向き合い,その解決に向けて積極的に取り組む職場環境を醸成するとともに,人事評価制度を見直すことによって,職員が住民と対話する中で,その地域が持つニーズや課題を的確に把握するという行政手法を身につけていけるようにしていきたいと考えております。さらに,庁内各課の担当者レベルでの新規施策の企画等の段階において,現場主義と能動的行政サービス提供を徹底していくことによって,職員が組織横断的な発想の下で地域の課題認識を共有し,的確な支援策等を策定するためのノウハウを習得し,組織の知恵として蓄積されるように努めてまいります。  このように,職員の意識改革や地域課題の解決に向けた企画・提案力の向上に重点を置いて職員を育成していきたいと考えているところであります。こうした地道な取組を進めることで,来年度は一つでも多くの地域の皆さんが,新たな協力体制の構築に向けて取り組んでいただけるよう,積極的に支援してまいります。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○若林新三 副議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  地域コミュニティ活性化ビジョンについてのうち,職員に地域活動に積極的に関わってもらうため,現在どのように取り組んでいるのか,また,職員のより一層の参加を促すため,人事評価制度をどのように見直し,また,ボランティア休暇制度についてどのように周知を図るかについて御答弁申し上げます。  本市では,現在,職員の地域活動への参加を促すため,地域活動等のボランティア活動に参加する際,年間6日を限度として,職務専念義務を免除するボランティア休暇制度を設けるとともに,職員が報酬を得て地域活動を行う際の基準を明確化しています。こうした制度の概要は,庁内掲示板に掲載するなどして職員への周知を行っているところです。さらに,職員の地域活動への参加をより一層促すため,人事評価制度の見直しを行い,来年度から実施することとしております。具体的には,年2回実施する業績評価において,職員の町内会・自治会活動への参加や民生委員・児童委員としての活動等を業績目標の一つとして設定できるようにし,その遂行結果を評価しようとするものです。また,ボランティア休暇制度の周知についても,庁内掲示板への掲載に加え,庁内の連絡調整会議や職員研修において,その制度の概要を説明するなど,あらゆる機会を捉えて積極的に周知していきたいと考えております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      広島広域公園の活性化についての御質問のうち,広島広域都市圏のスポーツ分野ではどのような連携が行われ,今後どのように展開していくのかについてお答えします。  広島広域都市圏におけるスポーツ分野での連携の事例としては,圏域内市町が共同して,カープ,サンフレッチェなどの応援を実施するほか,メキシコ合衆国選手団をはじめとした海外トップチームによる合宿の誘致において,圏域内の自治体の所管するスポーツ施設に応じて,受け入れる競技の役割分担を行うなど,これまで自治体間で協力・連携して事業を進めてきています。また,今年11月には,本市を中心とした市町において,知的障害者のスポーツ大会──スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・広島が開催されることが決定をしています。デモンストレーション競技を含む全12競技のうち9競技が本市において,3競技が呉市,三原市,北広島町において開催される予定であり,各市町が連携して大会を支援することとしています。  このようなスポーツを通した交流は各市町の持つ魅力を向上させ,住民の郷土に対する愛着と誇りを高めることにつながると考えており,国際基準を満たしている広島広域公園のスポーツ施設をはじめとする各市町の施設を活用し,国内外の魅力ある大会やトップレベルのスポーツ合宿の誘致・開催を推進するなど,引き続き,広島広域都市圏の各市町とスポーツを通じた連携を深めていきたいと考えております。  以上でございます。
    ○若林新三 副議長      都市整備局長。 ◎中村純 都市整備局長    広島広域公園の活性化について,数点の御質問にお答え申し上げます。  広島広域公園内の有料公園施設における利用者数及び観客者数の推移についてお答えします。  広島広域公園内には,議員から御紹介のありましたように,陸上競技場のエディオンスタジアム広島など五つの有料公園施設がございます。まず,これらの施設の利用者数ですが,過去5年間では,平成28年度が約33万人,平成29年度が約38万人,平成30年度が約31万人,令和元年度が約29万人とおおむね30万人前後で推移していましたが,コロナ禍の影響を大きく受けた令和2年度は約18万人となっております。  次に,有料公園施設で開催されたスポーツ大会やコンサートなどの観客数でございますが,平成28年度が約38万人,平成29年度が約41万人,平成30年度が約39万人,令和元年度が約35万人と推移していましたが,令和2年度は約10万人となっております。  次に,サンフレッチェ広島がホームスタジアムを移転した場合,利用者及び利用料収入はどれぐらい減少するのか,また,ネーミングライツ料についてはどうかについてです。  Jリーグなど,サンフレッチェ広島関連の大会の入場者数は年間約27万人,競技施設の利用料収入並びに広告,出店及び駐車場収入は年間約9000万円,エディオンスタジアム広島のネーミングライツ料収入は年間3300万円であり,サンフレッチェ広島のホームスタジアムが移転することにより,こうした利用者及び収入はなくなることになります。  次に,トレーニング施設を含む宿泊可能な施設を整備することで,本市のスポーツ振興につながるとともに,競技力向上にも寄与するものと考えるがどうかについてです。  広島広域公園は,平成6年の第12回アジア競技大会のメイン会場として必要な陸上競技場などを優先して整備し,その後も競技施設の充実や改修に努めてきたところです。こうした中,サンフレッチェ広島の本拠地移転後には,現在,Jリーグ基準で必要なサポーターサロン等に使用している陸上競技場のスペースを,幅広い世代の競技力向上に資するよう,トレーニングルームなどとして再整備をいたします。また,サンフレッチェ広島の名を冠したサッカー大会の創設や,選手との交流イベントを継続して開催することなどで,引き続き青少年の競技力向上やスポーツ振興に寄与していきたいと考えております。  なお,広島広域公園が大規模なスポーツ大会やイベント開催時のみならず日常的ににぎわう公園であり続けるよう,神楽や花火,吹奏楽等の地域密着型イベントの開催について,地域住民の皆さんから要望されていることを踏まえまして,これらのイベントの実施に加え,デーキャンプやバーベキューを手軽に楽しめるような環境整備などの活性化策にも取り組むことにしております。その上で,議員御提案の施設整備については,関係団体,地域住民の皆さんの御意見をお伺いしながら,幅広く検討を進めてまいります。  次に,高齢者や障害者に配慮した,駅から広島広域公園までのアクセスの検討状況はどうかについてでございます。  アストラムライン広域公園前駅から広島広域公園へのアクセスの改善策としては,例えば,駅から公園までの歩道にベンチ機能のある手すりを設置することや,大会やイベント開催時にシャトルバスを運行することなどが考えられます。こうした改善に向けた実現可能な具体の方策につきましては,市関係部局や関係団体と連携し,引き続き検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      消防局長。 ◎勝田博文 消防局長     小規模雑居ビルの防火安全対策についての御質問に順次お答えさせていただきます。  まず,大阪市北区で発生した雑居ビル火災を受けて実施している緊急点検の進捗状況はどうか,また,国の今後の動きはどうかについてです。  昨年12月17日に発生した大阪市北区の雑居ビル火災を受けて,12月19日付で総務省消防庁から同様の建物について,特に避難経路となる階段や通路等の管理状況について緊急点検を行うよう通知がありました。この通知を受けて,本市消防局管内で対象となる791棟について,今年度内の完了を目標に12月22日より緊急点検を開始いたしております。1月31日時点で点検が完了している建物数は451棟で,うち168棟に何らかの不備事項が確認されています。内訳としては,防火戸の閉鎖障害や避難階段に物品があるなど,避難の支障となっている建物が138棟,消火器未設置や誘導灯の球切れ等のハード対策に不備がある建物が重複を含み92棟となっています。不備のあるビル関係者に対しては,不備があることの危険性や防火管理の重要性を強く指導し改善を図ります。また,今回の大阪市北区の火災を受けて,総務省消防庁では,1月31日時点までの全国消防本部における点検結果を踏まえ,2月8日に第1回検討会議が開催されましたが,規制強化等の有無については,現在,未定とのことでした。引き続き,総務省消防庁で行われる検討状況の情報収集など適切に対応してまいります。  次に,どのような状態の建物が火災時に危険なのかなど,建物を利用する際の注意ポイントについて情報発信したらどうかについてです。  議員御指摘のように,あらかじめ避難階段や防火戸が適正に管理されているか確認することや各種避難器具や消火設備の使用方法などの情報を発信することで,建物の安全性を市民の皆様が自ら判断できるようになり,万が一の際の避難や初期消火等がスムーズになると考えられます。現在,広く市民に対し,ホームページやSNSなど各種広報媒体や広報行事で発信している内容は,本市の火災による死者の約75%が住宅火災であることから,住宅用火災警報機の設置・維持管理に関するものや住宅火災を起こさないための対策が中心となっています。今後は,市民の皆様が建物を利用する際の注意ポイントや火災時に身を守る手段などの情報発信を拡充してまいります。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      29番宮崎誠克議員。 ◆29番(宮崎誠克議員) ありがとうございます。詳細については,今後の委員会等に委ねさせていただきたいと思いますが,ちょっと二,三要望をさせていただきます。  まず,小規模雑居ビルの防火安全対策についてなんですが,先ほど消防局長から答弁がありましたように,1月31日時点で点検が完了しているのが451棟,そのうち168棟に何らかの不備事項があると答弁がありました。年末年始を含めて451棟という多くの点検をされたと思います。本当にこの御努力に感謝をまず申し上げたいと思います。  今回の緊急点検は,流川の火災のときの緊急点検の数と比較すれば,約2倍の点検数とお聞きしております。消防局におかれましては,日々,市民の安心・安全を守るために本当に多様な業務をこなされながら,今回の業務も大変であったと思いますし,今後も不備のある建物の関係者を指導して,また,是正していくまでは相当な時間を要すると思いますが,市民や利用者が安心して建物を利用できるように,消防局一丸となって取り組んでいただきたいと思います。  一方で,我々利用者においても,まず,自分の身は自分で守るという考えの下で,ビルやホテルを利用する際には,避難経路や避難階段の確認,あと,消火設備や避難器具の設置場所など,最低限確認をしておく必要があると思います。万が一,火災に遭遇し逃げ場を失ったときは,消火設備や避難器具があっても使えなければ何の意味もありませんし,今回の大阪市北区のビル火災というのは,クリニックの入り口に大量のガソリンをまいて,それに火をつけたものですから,爆発をしたような火災で,30秒ぐらいでクリニック全体へ煙が蔓延して,もう七,八分後には,一酸化炭素の濃度が致死量5,000ppmを超えたというような火災だとお聞きします。今回の火災というのは放火ですので,特別かも分かりませんけれど,我々も流川等,いろんなビルを利用させていただく中でやはり自分の身は自分で守っていかないといけないと。そういう中で,やはり避難路とか非常階段を確認したり,消火器がどこにあるかとか,避難器具はどこにあるかとか,そういうことを確認しておくだけで,いざというときに,大阪市北区のビルではなかなか逃げられなかったかも分からないですが,通常の失火の場合は,小さな火災の場合は何とかそういう対応もできるのではないかと思います。  ただ,その使い方が分からなければ使えませんので,そういったものも情報発信される中で,避難器具等の種類とかそういった用途とか使い方等を,動画等でいいので情報発信して,通常のビルにはこういう避難器具が設置されているとか,マンションにはこういう避難器具があるとか,そういったものの使い方を一緒に情報発信していただければと思います。それを要望しておきます。  次に,広島広域公園の活性化についてですが,この広島広域公園の活性化については,4年前にも取り上げさせていただいております。当時はまだサッカースタジアムの候補地等も決まっておりませんで,都市活性化対策特別委員会等でも,当時はかんかんがくがくの議論がされていたと思いますが,もうその当時から,やはりサンフレッチェ広島のサッカースタジアムができた後のホームスタジアムの移転は決定しておりましたので,やはり早いうちから移転後の活性化を検討していくべきではないかという意味で,4年前に質問をさせていただきました。  当然,東京オリンピック・パラリンピックを契機として,松井市長をはじめ各担当部局の皆さんは,本当に財政が大変厳しい中で,様々な施設整備をしていただきました。そのことを私も委員会等でそのたびごとに質問させていただいておりましたので,重々承知をしております。  このたび都市整備局長のほうから,陸上競技場の空きスペースに,取りあえずトレーニングルームを整備したり,サンフレッチェ広島の名が入った大会・イベントを開いたり,また,市民の皆さんが手軽に楽しめるデーキャンプやバーベキューができる環境整備を行うということですので,引き続き,そういった宿泊可能な施設等についても,関係団体や近隣市町へ御意見を聞きながら検討していただければと思います。どうぞよろしくお願いします。  最後に,地域コミュニティ活性化ビジョンについてですが,先ほど松井市長から,持続可能な地域づくりに向け,土台となる新たな協力体制を構築する上で非常に重要となる支援について,地域活性化調整部に3名の職員を増員することと,地域コミュニティー活性化の視点を持った職員の育成に向けて,職員の積極的な地域活動への参加を促すため,人事評価の見直しやボランティア休暇制度の周知を図り,職員の意識改革や地域課題の解決に向けた企画・提案力の向上に重点を置いて職員を育成したいと,そのために私自身が先頭に立つということで,力強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。  私は,過度に職員の皆さんが地域活動に参加することをあおるつもりはございません。これまでも多くの職員が地域の担い手の一人として,地域活動へ積極的に参加されて活躍されている姿を多く拝見しておりますし,OBも含めて頑張っておられると思います。ただ,一方で,職員の中でもやはりいろいろ,家庭環境やマンション等の居住環境によって,なかなか地域活動へ参加するきっかけが少ない職員も多くおられると思いますので,今回,地域コミュニティ活性化ビジョンの中へ行政の支援というものがしっかり盛り込まれております。ビジョンに盛り込まれたということは,当然,地域の皆さんも期待されます。地域の方々も期待されますし,いろんな地域があると思うんですけれど,様々な不安を抱えている地域もたくさんあります。その中へ,そういった様々な行政手続とかいろいろなことに精通した行政の職員が,地域の担い手として入っていただくことは,地域としても非常に心強いことではないかと思っております。  福岡市が平成14年からこの問題に取り組んでおられますけれど,本当に何回も見直しをされながらこの問題に取り組んでおられるということで,本当に大変な問題であると思いますが,今後,持続可能な地域づくりをしていく上で不可欠だと思っておりますので,どうか庁内一丸となってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  以上で終わります。 ○若林新三 副議長      本日はこの程度にとどめ,明日引き続き総括質問を行います。 ───────────────────────────────────────                 次会の開議通知 ─────────────────────────────────────── ○若林新三 副議長      この際,御通知申し上げます。  明日は午前10時より議会の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                  散会宣告 ─────────────────────────────────────── ○若林新三 副議長      本日は,これをもって散会いたします。                午後2時07分散会 ─────────────────────────────────────── ───────────────────────────────────────   議 長   佐 々 木  壽  吉   副議長   若  林  新  三   署名者   山  本  昌  宏   署名者   近  松  里  子...