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令和 3年第 5回12月定例会−12月08日-02号

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  1. 広島市議会 2021-12-08
    令和 3年第 5回12月定例会−12月08日-02号


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    最終取得日: 2022-12-05
    令和 3年第 5回12月定例会−12月08日-02号令和 3年第 5回12月定例会         令和3年  広島市議会定例会会議録(第2号)         第 5 回                  広島市議会議事日程                                 令和3年12月8日                                 午前10時開議                   日    程  第1 一般質問 ───────────────────────────────────────                会議に付した事件等  開議宣告(終了)  会議録署名者の指名(終了)  日程に入る旨の宣告(終了)  日程第1 一般質問  休憩宣告(終了)
     開議宣告(終了)  一般質問(続行し,明日も続行)  次会の開議通知(明日午前10時開議を宣告)  散会宣告(終了) ───────────────────────────────────────                出 席 議 員 氏 名    1番  岡 村 和 明            2番  川 本 和 弘    3番  田 中   勝            4番  並 川 雄 一    5番  川 村 真 治            6番  石 田 祥 子    7番  川 口 茂 博            8番  水 野   考    9番  平 岡 優 一            10番  椋 木 太 一    11番  吉 瀬 康 平            12番  山 本 昌 宏    13番  山 内 正 晃            14番  碓 氷 芳 雄    15番  海 徳 裕 志            16番  木 戸 経 康    17番  山 路 英 男            18番  森 畠 秀 治    19番  石 橋 竜 史            20番  平 野 太 祐    21番  定 野 和 広            22番  伊 藤 昭 善    23番  桑 田 恭 子            24番  近 松 里 子    25番  大 野 耕 平            26番  西 田   浩    27番  渡 辺 好 造            28番  豊 島 岩 白    29番  宮 崎 誠 克            30番  八 條 範 彦    31番  母 谷 龍 典            32番  三 宅 正 明    33番  八 軒 幹 夫            34番  馬 庭 恭 子    35番  竹 田 康 律            36番  藤 井 敏 子    37番  中 原 洋 美            38番  太 田 憲 二    39番  若 林 新 三            40番  今 田 良 治    41番  佐々木 壽 吉            42番  元 田 賢 治    43番  谷 口   修            44番  永 田 雅 紀    45番  金 子 和 彦            46番  木 山 徳 和    47番  沖 宗 正 明            48番  中 森 辰 一    49番  碓 井 法 明            50番  山 田 春 男    51番  中 本   弘            52番  児 玉 光 禎    53番  木 島   丘            54番  藤 田 博 之 ───────────────────────────────────────                欠 席 議 員 氏 名                 な    し ───────────────────────────────────────          職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名  事務局長    石 田 芳 文       事務局次長   松 坂 康 雄  議事課長    小 田 和 生       議事課課長補佐主任事務取扱                                吉 川 和 幸  議事課主査   村 田 愛一朗       議事課主査   小 崎 智 之  外関係職員 ───────────────────────────────────────              説明のため出席した者の職氏名  市長      松 井 一 實       副市長     小 池 信 之  副市長     及 川   享       危機管理担当局長岩 崎   学  企画総務局長  荒神原 政 司       財政局長    古 川 智 之  市民局長    杉 山   朗       健康福祉局長  山 本 直 樹  健康福祉局保健医療担当局長         こども未来局長 森 川 伸 江          阪 谷 幸 春  環境局長    重 村 隆 彦       経済観光局長  津 村   浩  都市整備局長  中 村   純       都市整備局指導担当局長                                谷   康 宣  道路交通局長  加 藤 浩 明       下水道局長   油 野 裕 和  会計管理者   金 森 禎 士       消防局長    勝 田 博 文  水道局長    友 広 整 二       監査事務局長  大 杉   薫  財政課長    後 藤 和 隆       教育長     糸 山   隆  選挙管理委員会事務局長           人事委員会事務局長          橋 場 聡 子               仁 井 敏 子 ───────────────────────────────────────                午前10時01分開議                出席議員  52名                欠席議員  2名 ○佐々木壽吉 議長      出席議員52名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      これより本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                 会議録署名者の指名 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      本日の会議録署名者として               4番 並 川 雄 一 議員               21番 定 野 和 広 議員 を御指名いたします。 ───────────────────────────────────────                日程に入る旨の宣告 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      これより日程に入ります。 ─────────────────────────────────────── △日程第1 一般質問 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      日程第1,一般質問を行います。  発言通告者に順次発言を許します。  28番豊島岩白議員。                〔28番豊島岩白議員登壇〕(拍手) ◆28番(豊島岩白議員) おはようございます。自民党・市民クラブの豊島岩白でございます。  それでは,早速会派を代表して質問に入らせていただきます。  まず,G7サミット広島市誘致についてお伺いいたします。  2023年,令和5年に,主要国の首脳が一堂に会する主要国首脳会議,いわゆるG7サミットが7年ぶりに日本で開催されます。このG7サミットには福岡市が福岡県等と共同で誘致を表明され,また,名古屋市が誘致を表明する中,我が広島市も先月30日に広島市長と広島県知事,広島商工会議所会頭の三者が共同で,G7サミットの広島市への誘致を正式に表明されました。  広島市は2016年,平成28年に開催されたG7サミットでも,広島県と経済界と共に誘致に取り組み,市議会からも積極的に応援したところです。その際,広島市は,広島県や広島商工会議所をはじめとした経済界の皆様と共に,国等に対して積極的に誘致活動を展開され,その結果,サミット本体については,開催地は三重県伊勢市に決まり,広島への誘致はかないませんでしたけれども,G7サミットと併せて開催される関係閣僚会合の一つである核軍縮等の政策を所管するG7外相会合を誘致することに成功しました。  このG7外相会合の広島開催を契機に,2016年,平成28年5月,当時,現職米国大統領として初めてオバマ氏の歴史的な広島訪問が実現し,さらに,2019年,令和元年11月には,ローマ教皇が広島を訪問され,この広島の地から核兵器のない平和な世界の実現に向け,力強いメッセージが発信されております。G7外相会合の開催,オバマ元米国大統領やローマ教皇の広島訪問を経て,広島市の世界的な知名度や発信力,そして誘引力はさらに大きなものになったと感じております。  今,世界は,地球規模で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の対策に追われる中,気象変動や貧困,差別,暴力など,市民生活の安全と安心を脅かす課題に直面するとともに,政治的不安定や国際秩序の乱れなどにより,大量破壊兵器の拡散や強大な軍事力への依存など,平和と安全に対する深刻な脅威にさらされております。  こうした中,広島市でG7サミットが開催されれば,核兵器のない平和な世界の実現に向けた新たな一歩になるとともに,開催地である広島市は,世界にさらにその存在感をアピールする絶好の機会にもなります。同時に,新型コロナウイルス感染症の影響により低迷している広島経済回復の起爆剤となり,広島経済にとっても明るい話題となることは間違いありません。  また,私は2007年の初当選以来,広島市をアジアのジュネーブにするというビジョンの下,これまでに幾度となく取り上げさせていただき,広島市への国連機関や国際機関の誘致を提言してまいりました。2023年G7サミットの広島への誘致が実現すれば,国際平和文化都市としての広島市への世界の期待感や存在感がさらに高まり,必ずや将来的な国連機関や国際機関の誘致につながるものと確信しております。国際平和や核兵器廃絶といった分野における国連機関や国際機関の広島市への常設を図り,そうした機関の権能を発揮した恒常的な国際会議の開催を実現できる都市へと発展していくためにも,G7サミットの広島への誘致が実現することを強く願うものです。  そこでお伺いいたします。2023年G7サミットを広島に誘致する意義と,広島誘致に向けて,今後どのように取り組んでいかれるのかをお聞かせください。  次に,脱炭素社会の構築に向けた広島市の姿勢について伺います。  今年3月の予算特別委員会においても,CO2排出実質ゼロに向けた取組について総括質疑をさせていただき,広域連携における官民施策として,その機運を高めていく必要性について申し述べさせていただきました。  今年10月31日から11月13日の間には,英国グラスゴーで197の国と地域が参加し,COP26──国連気候変動枠組条約第26回締約国会議が開催されました。我が国からは,このCOP26に岸田内閣総理大臣が出席され,2030年までに2013年度比で温室効果ガス排出量を46%削減することを目標とし,この期間を勝負の10年と位置づけられたことが印象的でした。全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけるとともに,発展途上国の温暖化対策を支援する資金について,我が国として,これまでの600億ドルに加え,今後5年間で100億ドルの資金支援を行うことを表明し,多くの参加国・機関から評価を受けたところでもあります。
     また,このCOP26の開催に先立ち,アントニオ・グテーレス国連事務総長は日本経済新聞への寄稿文の中で,気候危機は人類に対する赤信号であること,警告の兆しはもはや見過ごせないレベルに達しており,気温は至るところで過去最高を更新し,生物多様性は過去最低の水準に落ち込んでいる,海は水温が上昇し酸性化が進み,プラスチック廃棄物で窒息死しかけていること,私たちは今すぐにあらゆる国のあらゆる部門で脱炭素を進めていかなければいけないこと,パリ協定で合意された気温上昇を1.5度に抑えることが,人類にとって存続可能な未来であり,各国首脳は手後れになる前にグラスゴーで行動を起こさなければならないことなどと述べ,世界各国に警鐘を鳴らしました。  こうした気候変動対策の推進に向け,各国の2週間にわたる交渉の結果,COP26では気温上昇を1.5度に抑える努力を追求すること,2022年末までに各国の2030年の温室効果ガス排出削減目標を強化すること,排出削減対策のない石炭火力発電の削減へ努力を加速すること,地球温暖化による異常気象や海面上昇の被害を受けている途上国を支援するための資金調達について話し合う場を創設することなどが成果文書として取りまとめられ,国際社会が地球温暖化対策を強化していくことに合意したところでもあります。  本市においては,昨年12月,松井市長が2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを表明され,今年3月に策定された第3次広島市環境基本計画においても,脱炭素社会の構築を目指すことを示され,その実現に向けて様々な施策を推進しているところでありますが,気候変動の影響が疑われる災害が世界各地で頻発し,本市においても,平成26年8月及び平成30年7月に発生した豪雨災害により,多くの貴い人命が失われる甚大な被害を受け,今年8月には長期間にわたり断続的に降り続いた大雨による災害も発生しました。まさに本市においても気候変動の影響がリスクとして顕在化しており,気候変動が私たち市民の存続基盤を脅かす状況にあるという危機感を持ち,地球温暖化対策をより一層進めていく必要があると考えております。  そこでお伺いします。本市議会では,今年6月,気候非常事態宣言を行い,脱炭素社会の構築に向けた取組を一層推進することを求める決議案を全会一致で可決したところでありますが,今後,脱炭素社会の構築に向けて地球温暖化対策をどのように進めていこうとしているのか,市長の考えをお聞かせください。  次に,ポストコロナにおけるMICE戦略についてお伺いいたします。  全国のコロナウイルスによる新規感染者数は減少しつつあり,広島市においても同様の状況でありますが,一方で,オミクロン変異株ブレークスルー感染が確認され,第六波が心配されるなど,先々に向けては不透明な一面もあります。  広島市におけるMICEや入り込み観光客数は,コロナ禍に突入するまではまさに右肩上がりの実績を上げており,市域の経済発展に大きく寄与してまいりました。しかし,昨年以来のコロナウイルス感染拡大の影響により,MICEや観光客は激減し,インバウンド消費も大きく落ち込みました。  広島観光コンベンションビューローが把握している令和3年度のコンベンション開催状況を見てみますと,来年3月までの予定分まで加味しますと,計120件のうち全面現地開催が17件,オンラインも交えたハイブリッド開催が20件,全面オンラインが39件,開催中止が29件,開催延期が15件となっており,参加が予定された延べ約6万5000人の来広機会損失等を概算しますと約43億円にも上ります。  また,今年3月の予算特別委員会時に算出した観光消費額での失われた経済効果は,概算で1936億円にも上り,MICEを合わせると2000億円もの失われた経済効果となっております。定住人口一人当たりの年間消費額が約130万円という視点から概算しますと,約15.3万人の人口減に匹敵するインパクトとなっております。これらの数字と向き合うだけで,MICEや観光という分野が都市にとってインパクトのあるカテゴリーであることを理解できますし,コロナ禍だからといって手をこまねいて見ているわけにはいかない取組であることが分かります。ポストコロナ時代を見据え,国内外の都市とのMICE誘致競争において,国際競争力を失わないようにするため,広島市も取組を進めていく必要があると考えます。  シカゴに本部を置くPCMA──プロフェッショナル・コンベンション・マネジメント・アソシエーションの調査によると,ミーティングプランナーの34%は,今後開催地を決定する際に,コンベンションビューローやDMOのサポートが重要と答えております。MICE主催者のプランナーにとって,これまで以上に開催地のコンベンションビューローの重要性が増しているということです。  コロナにより移動が簡単にできず,下見に来ることができないプランナーは,リスクの高い開催地を選びにくい状況と言えます。コンベンションビューローの信頼性が高く,その対応が的確であれば,下見に来られなくても,そこから得た情報を基に企画を立て,主催者側に提案できるのではないでしょうか。  情報提供の内容としては,例えば開催地の安全確認の把握,コロナ安全対策コンベンションビューロー・DMOのサポートの内容,アフターコンベンション,補助金や財政支援,ハイブリッド完全リモート対応最先端の施設と会場といったものが考えられると思います。  そこでお伺いいたします。コロナ禍においてコンベンションビューローの情報発信の在り方はますます重要になっていると考えますが,広島観光コンベンションビューローでは,MICE主催者へどのような情報発信を行っているのでしょうか。また,今後はどのような情報提供を行っていかれるのでしょうか。さらに,広島観光コンベンションビューローでのMICEの誘致活動において,コロナ禍により,どのような課題が生じており,その課題解決にどのように対応していかれるのかお答えください。  アメリカ大手旅行雑誌の世界で最も魅力的な大都市ランキングで,東京,大阪,京都がスリートップを独占するというニュースも流れました。このように日本が東京オリンピック・パラリンピックの安心・安全な開催実績と,その後の人気が高まっているタイミングでこそ,広島市並びにコンベンションビューローが正しく魅力的な情報を提供し,広島市の安心・安全なMICEをアピールするときであると考えるべきだと思います。  国際平和文化都市広島でMICEを行う意味や意義は,広島市,世界中の誰もが否定しませんが,MICEの参加者も一人の人間ですので,最後は自身の行きたいか行きたくないかの気持ちで参加を決めると考えられます。個人にとって安心・安全なデスティネーションかどうかは,MICEの参加率に影響してくると感じます。まして,今後はオンライン参加でもよいという環境がスタンダードになりますので,リアルで開催地に来てもらうためには,あらゆる手段を講じて必ず行きたいという気持ちになってもらう必要があります。  広島市のみならず,MICEを経済発展の都市ブランド戦略の一つとしている都市は,MICE開催がもたらすメリットを十分に理解しており,考え得る対策や投資を打って誘致競争に挑んでくるでしょう。そのような都市に対抗するために,今こそ広島市の安心・安全なMICE開催をアピールし,海外参加者にも安心して参加してもらえる,選ばれる都市になるべきだと考えますが,広島市の所見をお伺いいたします。  最後に,広島競輪場の再整備についてお伺いいたします。  広島市では,遡れば2006年度からマイカー乗るまぁデーの取組が始まり,また,中心市街地においても歩行者中心のまちづくりを推進し,路面電車,そしてシェアサイクルぴーすくるの普及といった持続可能な都市の実現に向けて効果的・効率的でコンパクトな都市づくりが進められており,都市改変による住みやすい・暮らしやすいまちづくりに取り組んでいることを体感します。  特に,近距離移動に手軽で便利な乗り物である自転車は,平地であるデルタ部に中心市街地が形成されている本市において,通勤や通学,買物などの交通手段として多くの市民に利用されておりますし,近年では大気汚染物質や二酸化炭素を排出しない環境に優しい乗り物として,その利用ニーズはますます高まっております。  また,似島を一周するサイクリングコースのほか,日本を代表するサイクリングロードであるしまなみ海道サイクリングロードや,呉市と江田島市を結ぶかきしま海道サイクリングロードなど,風光明媚なサイクリングコースも比較的本市から近い場所にあり,サイクリングを楽しむ市民の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。  一方,スポーツの分野では,自転車競技の一つであるBMXを含むアーバンスポーツの世界大会であるFISEを2018年,2019年と2年連続で本市で開催し,コロナ禍で延期してしまいましたが,来年3月には3回目となる大会を開催する予定と聞いております。2019年の大会は,3日間で延べ10万人が世界レベルの妙技を楽しみ,本市のにぎわいづくりや活性化にも大いに貢献しました。  また,商工センターを会場に,日本のトッププロ選手による自転車ロードレースが繰り広げられる広島クリテリウムは,平成30年度からこれまで3回開催され,毎年多くの市民,2021年は4,000人もの人が目の前を猛スピードで走り抜けていく臨場感を楽しんでおられます。  そして,昭和27年に開設し,69周年を迎える広島競輪場は,1994年のアジア競技大会や1996年のひろしま国体の競技会場となったほか,公営競技としてこれまで幾多のレースが行われ,累計約350億円が本市のまちづくりに役立てられてきており,現在,競輪界のトップクラスの選手も輩出しております。  このように,本市は自転車が身近であり,自転車によるスポーツやレジャーも盛んな都市として成長してきたと言っても過言ではないと思います。私はこれまで本市が培ってきた自転車に関する歴史や強みを生かして,我が国を代表する自転車競技のメッカになれるのではないかと考えております。プロ,アマチュアを問わず,ロードレースやBMXなど自転車の大会を開催したり,自転車チームの合宿を誘致したりすれば,本市のスポーツ振興のみならず,本市の活性化に資することができるものと確信しております。そして,これからの時代にあって,都市がその存在感を発揮するためには,都市の独自性を出すことが不可欠であり,そのためのコンテンツを育てる必要がありますが,自転車を平和と並ぶ観光コンテンツの一つに育てたらどうかと考えます。  こうした中,本市では来年度から老朽化した広島競輪場の再整備が予定されております。このたびの再整備事業は,資金調達能力や豊富な経営ノウハウなど,民間事業者の強みを生かすため,民間事業者が施設の再整備,維持管理及び運営を一体的に行うこととしており,施設整備の内容や整備スケジュールについては,民間事業者の提案によることとなると承知しておりますが,競輪事業を行う広島市として,競輪場の再整備に当たり,民間事業者任せではなく,そのグランドビジョンは当然必要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。このたびの競輪場再整備に当たり,広島市としてどのようなビジョンを持っておられるのかお答えください。また,そうしたビジョンを実現するためには,現在にはない新たな機能を追加する必要があると思いますが,具体的にどのような機能を追加したいと考えているのかお答えください。  以上で一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○佐々木壽吉 議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       豊島議員からの御質問にお答えします。  脱炭素社会の構築についての御質問がございました。  議員から御紹介のありましたように,昨年12月,2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを私が表明いたしましたのは,産業革命以降,化石燃料の活用方法・技術を獲得した人類の活動が,地球の大気中への大量の温室効果ガスの放出を招き,温暖化現象を引き起こしていること,そして,そのことがこれまでの生存基盤を破壊し,人類の存続を困難なものにする可能性を一気に高めていることを,重大かつ喫緊な課題として,市民,事業者の皆さんにも認識してもらい,さらには一丸となって脱炭素社会の構築に向けた様々な取組を推進していく必要があると考えたからであります。  この脱炭素社会の構築に向けて講ずるべき対策については,省エネルギー対策の推進と再生可能エネルギーの導入促進の二つに大きく分けて整理する必要があり,その上で,地方公共団体は,国との役割分担を踏まえながら,着実かつ確実に進めていくための取組を強化していくことが重要であると考えています。  まず,省エネルギー対策については,化石燃料の消費の抑制を究極の目標にした上で,日常の市民生活や事業活動の分野において取り組むこと,例えば,省エネルギー性能の高い製品やサービスなどの利用の促進をはじめ,焼却ごみを減少させるためのリサイクルの推進などを図っていくことにより,温室効果ガスの排出を削減していく必要があります。こうした取組を加速化するために,本市としては,市民,事業者の意識を高め,その取組を容易にするために,より効果的な施策を実施していくことが重要であると考えています。  そうした中で,本市も一排出事業者として率先して省エネルギー対策に取り組んできているところであり,あらゆる部局において,この取組を強化していくこととしているところであります。  一方,再生可能エネルギーを含むエネルギー政策については,石炭・石油・天然ガス等の化石燃料,太陽光・風力・水力等の再生可能エネルギー,さらには原子力などの様々なエネルギー源がある中で,それぞれの資源の確保・調達方法等について,再生可能エネルギーの確保に直結する地理的状況等も踏まえながら,我が国の経済産業構造の転換と同時並行で需給バランスを図っていく必要があることから,まずは国がその責任において今後のあるべき姿を決定し,地方公共団体はその実現に向けて,一丸となって取り組むべきものであると考えています。  その際,本市における再生可能エネルギーの導入促進については,本市としてふさわしい目標を定め,それに取り組むための諸条件を整えていくことが必要であります。  また,大規模な太陽光発電や風力発電などについては,設置場所により防災・環境上の懸念が生ずることも考えられ,こうしたことに対し,まずは明確な設置基準と,その基準を守るための具体的な手続等が定められておく必要があります。本市としては,こうしたことを踏まえつつ,国との連携を図り,地域における安全性の確保,環境との調和,さらには景観への配慮などを行いながら,再生可能エネルギーの導入を着実に進めていきたいと考えています。  こうした脱炭素社会の構築に向けての取組は,同時に地球温暖化対策を着実かつ確実に進めていくための取組にもなるものであり,今後それが実現するか否かは,こうした取組が我々人類の生存基盤を持続可能なものにしていくために不可欠なものであることについての認識が,市民,事業者の皆さんにどれだけ浸透するかによると言っても過言ではありません。  本市としては,こうした基本認識に立って,気候非常事態宣言を発出する考えであり,この宣言を基に,より納得度の高い具体的な施策の企画・立案に向けて,皆様の御協力をいただきながら,広島市地球温暖化対策実行計画の改定を進めていきたいと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○佐々木壽吉 議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  G7サミットの広島市誘致についての御質問がございました。  サミットを広島に誘致する意義と,広島誘致に向けて今後どのように取り組んでいくのかについてです。  まず,G7サミットの概要についてですが,フランス,米国,英国,ドイツ,日本,イタリア,カナダの7か国及び欧州連合の首脳が参加して,毎年開催される国際会議です。この世界の主要国が集うG7の会議が広島で開催されれば,G7の首脳等に被爆の実相や平和への思いを共有していただき,また,被爆の廃墟から目覚ましい復興を遂げた広島の姿に接していただくことで,核兵器廃絶に向け,核抑止力に依存しない安全保障政策への転換を促す契機になることが期待できること,会議開催の映像等を通じて,平和の象徴としての広島を世界に発信する機会となり,平和のすばらしさを世界中の多くの人々に実感してもらい,平和意識の醸成につながることが期待できること,美しい自然や優れた文化,産業など広島の都市としての魅力を世界にアピールする絶好の機会にもなり,国内外からの誘客の促進,広島経済の活性化につながることが期待できることなど,広島にとって極めて大きな意義があると考えております。  今後,サミットの広島誘致に向けて,今月中旬に国へサミット誘致希望の書類を提出し,その後,来年1月に広島県,広島市,経済団体,平和・観光の関係団体を構成員とするサミット広島誘致推進協議会を設置し,設置後は官邸や外務省,関係国会議員などに対し,要望活動を行っていきたいと考えています。  このように官民一体となってオール広島でG7サミットの広島開催が実現するよう,熱意を持ってしっかりと取り組んでいきたいと,このように考えております。 ○佐々木壽吉 議長      経済観光局長。 ◎津村浩 経済観光局長    ポストコロナにおけるMICE戦略について,三点の御質問にお答えいたします。  まず,コロナ禍において,コンベンションビューローの情報発信が重要になっていると考えるが,広島観光コンベンションビューローでは,MICE主催者へどのような情報提供を行っているのか,また,今後はどのような情報提供を行う予定かについてです。  コロナ禍により,MICE主催者ミーティングプランナーによる下見が困難な状況の中,広島観光コンベンションビューローによる情報発信の重要性はますます高まっています。同ビューローでは,MICE主催者等に対して,本市での安全・安心なMICE開催のため,感染症対策について,一般社団法人日本コンベンション協会策定のガイドラインや,広島県の基本的対処方針に基づいた助言を行うとともに,会議の参加人数や必要な設備に適した施設について情報提供をしています。  あわせて,企画段階から伴走型の相談に応じており,その中で,コンベンション誘致助成金などの支援メニューや広島広域都市圏内のユニークベニュー等の情報提供を行っています。  今後ともこうした情報提供をしっかりと行っていくとともに,今年度中にJNTO──独立行政法人国際観光振興機構により,本市の主要MICE施設や観光施設の海外向けバーチャル視察動画が完成する予定であることから,これをMICE専門見本市への出展などの誘致活動において有効に活用するなど,積極的に情報発信に取り組んでいくこととしています。  次に,広島観光コンベンションビューローでのMICEの誘致活動において,コロナ禍によりどのような課題が生じ,その課題にどのように対応しているのかについてです。  本市において,MICE誘致の中心的役割を担っている広島観光コンベンションビューローは,主な誘致の手段として,国内のMICE主催団体や大学関係者等を訪問して面談する個別誘致活動や,海外のMICE専門見本市への出展を行っています。しかしながら,コロナ禍において訪問による個別誘致活動ができなくなったり,海外のMICE専門見本市の開催中止や,渡航制限により現地でのブース出展ができなくなるなど,その活動に大きな制約を受ける状態になっています。  こうした中,個別誘致活動については,訪問地の感染状況や先方の意向を踏まえ,安全を確保した上で訪問したり,オンライン会議や電話,電子メールなど,様々な方法を用いてセールスを行っています。  また,MICE専門見本市については,海外の有力なミーティングプランナー等に継続してPRすることが重要であることから,オンライン開催となった場合は,引き続き出展することとしています。  今後とも,新型コロナウイルス感染症の影響が想定される中で,様々な手段での誘致活動を実施していくこととしています。  次に,本市で安全・安心なMICE開催をアピールし,海外参加者にも安心して参加してもらえる,選ばれる都市になるべきと考えるが,市の所見はどうかについてです。  MICEは消費拡大による経済効果やビジネス・イノベーション機会の創出,都市の競争力・ブランド力の向上といった効果が期待されるものであり,本市及び広島広域都市圏の持続的な発展を目指すためには,ポストコロナ時代においても,本市がMICE開催地として選ばれる都市になることは重要であると考えています。  そのためには,議員御指摘のとおり,海外からのMICE参加者にも,広島で開催されるMICEであれば実際に現地に行きたいと感じてもらえることが重要なポイントになります。このため,広島観光コンベンションビューローにおいて,先ほど申し上げた感染症対策の助言や情報提供と併せて,本市の魅力をPRするプロモーションビデオのリニューアルを行うとともに,本市において広島広域都市圏内における新たなユニークベニューの開発に取り組んでいるところです。今後とも,同ビューローと緊密に連携して,感染症対策についての助言等による安全・安心な開催への協力及び広島広域都市圏内の観光資源の磨き上げと発信に努め,国内外からMICE開催都市として選ばれるよう,誘致に取り組んでまいりたいと考えています。  続きまして,広島競輪場の再整備についての御質問にお答えします。  このたびの競輪場再整備に当たり,広島市としてどのようなビジョンを持っているのか,また,ビジョンを実現するためには,現在にない新たな機能を追加する必要があると思うが,具体的にどのような機能を追加したいと考えているのかというお尋ねでございます。  老朽化した広島競輪場は,競輪事業で継続的に収益を上げて本市財政に貢献するのみならず,市民のスポーツやレジャー等に対するニーズの多様化や高まりを踏まえ,自転車に関するそうしたニーズをも満たす充実した施設へ転換したいと考え,複合的な施設として再整備を行うこととしています。  この方針の下,子供から大人までの多くの人々が集まり,自転車等を通して様々な体験や交流を行い楽しめる施設となること,また,本市のみならず,広島広域都市圏で自転車等を活用したスポーツ愛好者の交流の場ともなるような施設づくりを目指していきたいと考えています。  こうした施設の整備は,議員から御指摘のあった,本市が存在感を発揮するために本市の独自色を出すこと,また,自転車を観光コンテンツの一つに育てていくといった視点に合致するものと考えています。  また,新たな機能については,現在公募している民間事業者から豊富なアイデアやノウハウを基に提案してもらうこととしていますが,例えばアーバンスポーツとして若者を中心に人気の高いBMX競技などを行う場所としての機能に加え,小さな子供に人気のキックバイク専用の走行コースなど,レジャー施設としての機能,さらには自転車に関する様々な情報を発信し,サイクリストが集うサイクルカフェや専門的なサイクルショップ,サイクルホテルなど,サイクリストにとっての拠点としての機能などの提案を期待しているところです。  議員御提案の自転車の大会の開催や自転車チームの合宿誘致につきましては,再整備後の施設内容を踏まえつつ,競輪場のバンクや選手宿舎を特徴ある資源として可能な限り有効活用する観点からも,関係団体と協力して取り組んでまいりたいと考えています。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      28番豊島岩白議員。 ◆28番(豊島岩白議員) 広島市が,今,本当にこの近年,いろんなことが動き出して,前に進んで,躍動感が出てきたんだなというふうに感じています。そして,そういった機運の中で,今,様々な施策,今日質問させていただいた内容等もあって,ソフト・ハードの部分で大きくまた発展していくんだろうという予感がしております。  そうした中で,たちまちG7サミットというものを見据えながら,今回MICEという視点でまた質問させていただきましたけれども,松井市長になられて経済観光局,観光というものに非常に力を入れられて,MICE戦略担当ができて,私もずっとこのMICE戦略担当と向き合ってきましたけれども,非常に当初から比べると,組織として醸成されてきたというか,本当に立ち位置,地に足がついてきたんだなという,ちょっと偉そうな言い方かもしれませんけれども,そう感じてきております。  そうした中で,このMICEというもの,もちろん行政として推進していくんですけれども,これはやっぱり行政主導ということだけではなくて,やはりそのMICEに関連する産業をいかに育成していくかという,そういった視点も必要だというふうに思っています。  そうした中で,そういった行政の取組においては民間に積極的に参画していただいて,そういったスキームをつくっていく必要があると思うんですけれども,今日も質問の中でDMOという言葉を,私,使わせていただきましたけれども,私も平成29年6月議会で,このDMOの必要性について問わせていただきました。そのとき,広島市も,御答弁としては検討していきたいというような方向性だったと思いますけれども,今,広島には,せとうちDMOという広域連携型の大きな行政範囲をカバーしたDMOがございますけれども,それだけではなくて,やっぱり地域連携型,地域型,こういったDMO,広島市におけるDMOというのが存在がないんですね。コンベンションビューローとともに,そのDMOというものの育成ということも,やはり広島市としては取り組んでいっていただきたい,そういうことの積み重ねで民間を参画させながら,産業を醸成しながら,そしてようやくMICE都市としての確立につながっていくのではないのかなということを感じさせていただいておりますので,また,その積み重ねこそが国連,国際機関の誘致であったりとか,国際会議の誘致,サミットのような大きなものを受け入れることのできる都市としての,それが力量として,国際社会にも国内にも発信されていくんだというふうに思いますので,今後ともこの勢いでぜひとも頑張っていただきたいなということを思います。  そして競輪場の再整備,これも期待しかないんですけれども,非常にわくわくしております。どういったものができるのか,まあ,あまり期待感が高過ぎてもちょっとあれなのかもしれませんけれども,今回,中央市場の建て替えもこれから行われます。広島には,市民からしたら,これまであまり注目されてなかった二つの空間なのかなというふうに思います。ここにエンジンをつけて,広島の魅力としていくことは,これから非常に大きな都市力の向上につながっていくと思うんですね。そうした意味もありまして,これからますます新たな拠点ができていく,非常にわくわくしております。そこをまた一緒に広島市と向き合って,また関わっていきたいなというふうに思っておりますので,今後ともぜひとも頑張っていただきたいなということを申し上げまして,終わらせていただきます。 ○佐々木壽吉 議長      次に,19番石橋竜史議員。                〔19番石橋竜史議員登壇〕(拍手) ◆19番(石橋竜史議員) 皆様,おはようございます。自民党・保守クラブの石橋竜史です。  まずは,核兵器廃絶へ向けた本市の取組について伺います。  世界的なパンデミックにより,延期を余儀なくされていたニューヨーク国連本部でのNPT再検討会議がようやく来月上旬に開催される運びとなり,さらには歴史的な一歩を刻むこととなるウィーンでの核兵器禁止条約第1回締約国会議も,開催予定となる来年3月が刻一刻と近づいてまいりました。  そんな折,海外ではまたしても新型コロナが猛威を振るい,感染者が急拡大している状況で,現段階ではNPT再検討会議も渡航者を含めた参加人数がかなり制限される方向にあれば,一方のウィーンも,先月下旬には,この数年間で4回目のロックダウンを迎えるなど,本市としても重要な会議にいかなる形でコミットできるのか,不確定要素の多い状況に置かれています。  されど,NPT再検討会議にせよ,たとえ渡航がかなわずとも,オンライン参加など,従前より松井市長が希望されていたように,何らかの形で思いや願いを届けられる可能性は残されており,それは核兵器禁止条約の締約国会議についても同様ですので,こうした好機を前に,今回は核兵器を取り巻く世界情勢も加味しながら,幾つか質問,提言を行ってまいります。  まず,NPT再検討会議につきましては,核不拡散の条約発効から既に50年以上が経過しながら,核保有国へ義務づけられた誠実に核軍縮交渉を行い,かつ完結させるとの約束は,関係各国の政治指導者が替わるたびに前進と後退を繰り返すなど依然混迷が続き,前回会議でも最終的な合意文書は不採択に終わりました。  一方の核兵器禁止条約第1回締約国会議につきましても,我が国は米国との共同歩調や信頼関係の必要性を理由に,オブザーバー参加にも否定的な姿勢を示され,現段階では参加も見送られる公算が高いのが実情です。ついては,核兵器廃絶へ向けて,私もこれまで微力ながら本会議や委員会の場で発言を繰り返してまいりましたけれども,例えば安全保障に思いを巡らせ,言葉を発する際に一つ新たな視点を得るきっかけとなったのが,数年前に向かったヨーロッパへの視察でした。  この視察では,チェルノブイリやアウシュビッツ,日本政府観光局などを訪ね,また,日程の合間を縫って,ある日本の外交職員と意見交換をする機会がかなったのですが,緊張の高まる中東情勢や専守防衛に際してなど,国家の安全保障や外交に関する実情の数々を伺い,諸外国でもこうして多くの日本人が陰となりひなたとなりて,要人と膝詰めで折衝を重ね,母国を守ってくださっている事実に深い感銘を受けたものです。  そんな個人的な体験談はさておき,いま一度グローバルな舞台へ話を戻しますと,米国の最高位にある政治指導者として初めて核兵器のない平和で安全な世界を希求すると明確に宣言したオバマ元大統領が,しかし,一連の文脈でゴールはすぐに到達できるものではなく,私が生きている間は恐らく難しいでしょうと続けられるなど,緊張感の高まる世界情勢に,抱える複雑なお家事情も含め,あのプラハでは核兵器廃絶への理想を語りながらも,現実政治に対峙する,その悪戦苦闘をにじませました。  次に,自国の岸田総理ですが,4年8か月の外務大臣時代には,米国大統領の広島訪問を実現され,その実績を追い風に,翌年3月から始まる核兵器禁止条約の交渉に日本は加わるべきとの考えを当時政府内で示されながら,この少数意見は外務省幹部をはじめ,関係者からいさめられ,結果,思いの丈が実を結ばなかった過去も新聞社のインタビューにて吐露されています。  歴代総理,その近代史の中でも,これだけ核兵器廃絶を表に打ち出される人物はまれですが,昨年の秋に上梓された著書「核兵器のない世界へ」では次のようにつづられています。被爆地広島出身の政治家として,核兵器のない世界という旗を掲げようとしていますが,それを最初から政策の金看板にできるわけではありません,言わば急がば回れの精神で臨むが肝要で,核兵器のない世界へ向けて,日本は理想と現実のはざまにある,細く長い道をこれからも歩んでいかなければならないと。ここまでを振り返り,私は厳しい現実ばかりを並べては,だから核兵器廃絶への道のりは長く険しいと多くの為政者を代弁したいわけではありません。末席に位置しながら現実政治は理解し得るものの,急ぐが回り過ぎてしまえば,それは人類にとって手後れになる可能性を多分にはらむがゆえ,まだ間に合う今だからこそと警鐘を鳴らしている次第で,これより,その最たる事例とも言えるイランの核合意問題を取り上げてみます。  端的に経緯を振り返りますと,2015年,核合意の締結時には米国をはじめとする主要6か国とイランがテーブルに着き,イランが核開発を制限するその代わりに,これまでイランに課してきた経済制裁を解除する内容でしたが,2017年にトランプ前政権が誕生した翌年,一方的に米国が離脱して制裁が再発動。約束のほごでイランは再びウランの濃縮に着手したのですが,この世界リスクを何とかすべく,関係の悪化したイランと米国のバイデン新政権の間へEUなどが仲介役に入り,現在,ウィーンで間接協議が再開,行われている最中です。  また,通例であれば,双方が条件闘争しながらも,落ち着くところへ落ち着くのですが,このたびは中国やロシアがイランへ触手を伸ばしており,交渉の場でも後ろ盾を得たイランが強気の姿勢を崩しません。  そんな現在のイランは,核爆弾の製造に必要なウランの濃縮度を90%あたりまで1か月前後で到達する高度な技術を取得していると言われ,仮に協議が決裂した場合,その余波は,さきに用いたとおり,世界リスクに及ぶと目されています。  近年も,イランと激しく敵対するイスラエルとの間では,サイバー攻撃をはじめ様々な小競り合いが続いており,仮にイランが核兵器を手にした暁には,現在,無人の特攻型ドローンも暗躍する中東かいわいにあって,核施設への攻撃も不安視されており,他方,サウジアラビアの国防相は数年前のテレビインタビューで,イランが核兵器を造れば,我々も同じ手段を取ると口にされ,パキスタンの核計画に資金提供したとうわさされるサウジは,既に緊急時の核兵器提供の約束をパキスタンと結び,専門家いわく,その入手には1か月もかからないと言われています。  世界は第二次世界大戦の戦後にあらず,第三次世界大戦,その戦前とも表現される今般,いきなり核兵器や通常兵器が飛び交わずとも,御承知のとおり,石油に天然ガスなど,世界のエネルギー源が集中する中東での動乱は,人類の暮らしの安全保障にも直結してまいります。  では,なぜ,現行NPTの体制下,イランが今日を迎えるまでウラン濃縮を進めてこられたのか。NPTに加盟しても,査察となるIAEAの追加議定書には未署名で,そのNPTにせよ,平和利用であれば核兵器にも転用可能な高濃縮ウランの製造が,ある種許されているのが現状。この辺りを補完し得る体制に,核兵器へ用いる物質の生産や援助を禁止するためのカットオフ条約が挙げられますが,実質,同条約は利害関係者の思惑も交錯し,現在は悩ましくも宙に浮いた状態です。  そこで伺いますが,およそ1か月後に迫ったNPT再検討会議に当たり,本市はかねてより参画の意向を打ち出されておりますので,ヒロシマの心共々,このたびの核合意問題から端を発したように,今後も同じ轍を踏み,世界の人々が危険にさらされぬよう,NPTの内包する諸課題にも言及していただきたいと願うのですが,本市の御所見をお聞かせください。  続いて,核兵器禁止条約の締約国会議にも目を向けてまいりますが,広島市議会でも令和2年第7回臨時会において,核兵器禁止条約の実効性を高めるための主導的役割を果たすことを求める意見書案を全会一致で可決,当時の総理や外務大臣宛てに提出していますが,その項目の中でも,締約国会議の開催に当たっては,迎える平和の取組を推進する被爆地広島で開催するよう,国連に対して働きかけることを強く要請しています。  また,海外でも,第1回締約国会議の議長国オーストリアのシャレンベルク外相は単独会見に応じられ,広島や長崎で締約国会議を開催できれば,核廃絶へ向けたとても強いメッセージになるだろうとのコメントを寄せられており,現在,G7開催へ名のりを上げ,奔走する本市ではありますが,仮に本市で今後の核兵器禁止条約締約国会議の開催がかなうとなれば,困難を極める道すがら,近未来に築かれる一里塚を被爆者の方々にもお示しできることになります。  ここに心より哀悼の意を表し,お一人の人物を取り上げさせていただきますと,若く輝く年頃にある二十歳で被爆後,1か月以上も意識不明のまま終戦を迎え,その後も被爆の際に負った血液障害やがんで入退院を繰り返し,3回の危篤状態に陥りながらも奇跡的に回復,死のふちをさまよい,体中にやけどの痕を負い,それでも二度と被爆者を生まないためにと,老いた体を押しては世界20か国以上を駆け巡るなど,文字どおり命がけで訴え続けた坪井直氏が,さきの10月下旬,96歳でその生涯を終えられました。  では,誰よりも核兵器の威力とその甚大なる被害,そして命の貴さとはかなさを知る坪井さんをはじめ多くの被爆者の方々は,なぜ核の傘を必要とせず,当然として核兵器の存続を許さないのでしょうか。それは,殺される理由を考える間もなく,人間の尊厳も存在も,無差別に一瞬にして消し去り,人間として死ぬことも,人間らしく生きることも許さぬ,残酷な核兵器の存在を,そこから生み出される被害を,怒りを,悲しみを,苦しみを,実体験を通じ,世のあらゆる政治家よりも心と体に刻まれているからにほかなりません。裏を返せば,現場を知る貴重なリアリストとも言えます。  もしも今後,世界の核兵器が最速で廃絶されるとなれば,それは人類の頭上へ,広島,長崎に続き,新たに3回目の核兵器が使用された後,無数の人々がもだえ苦しむ阿鼻叫喚の模様がメディアを通じ,リアルタイムで克明に世界へ配信され,そこでようやく,これは絶対に次があってはならないと多くの人類が遅まきながら気づかされたときかもしれません。ただし,その次回があってはならないと,既に75年以上にもわたり,覇権国家を前に常に最前線へ立ち,心と体の傷を押し,世界へ訴え続けてくださる被爆者の方々へ,私どもは今後いかなる形で報いることができるのでしょうか。被爆者の方々の平均年齢は84歳を迎えています。
     私は,この原稿の執筆中も何かを見いだしたく,20年ほど前から,決してあの日を忘れてはならないと定期的に足を運ぶ平和記念資料館を改めて訪ねました。そして,今回も例外なく,この地で起こった紛れもない事実に涙があふれて止まりませんでした。世界では,核兵器の実践使用を想定して,さらなる近代化へと改良を続ける国々があれば,未曽有のパンデミックにより,地球上で短期間に500万人以上が亡くなろうとも,過去最大の軍事費を費やす国々もあります。  しかし,こうした国々の人々も,かねてから本市が訴え続けているとおり,一たび広島,長崎を訪れ,被爆の実相を肌身で感じられたならば,時の米国大統領初の広島訪問を実現した功労者の一人,当時のジョン・ケリー米国務長官がその前段に,G7の外相会議で広島を訪れ,また,米国官僚としても初めて平和記念資料館を訪れた際に,はらわたがえぐられるようだったと語り,芳名録に世界中の誰もが記念館の力を見て感じるべきだと記帳されたとおりで,ここへ異論を挟む余地はありません。引き続き,平和記念資料館の力と,そこから復興を遂げたまちを世界中の一人でも多くの人々につなげては,また,被爆の実相に関連して続けますと,制定後に関係各国で取決めを一つずつ重ねていき,その条約をいわゆる育てていくのが国際法の核兵器禁止条約であって,第6条には,被害者に対する支援及び環境の修復が掲げられています。それは核兵器の使用または実験により影響を受けた個人へ対して,国際人権法に従い,差別のなきよう医療・機能回復訓練や心理的支援を十分に提供せねばならず,この第6条をお題目で終わらせぬためにも,唯一の被爆国として培ってきた知見を,今こそ日本は締約国会議に参加して世界へ還元すべきであり,時の首相は知らない仲ではありません。橋渡し役をお願いするばかりではなく,まずは本市が世界と日本政府を結ぶ橋渡し役を務めるべく,締約国会議を本市へ招き,オブザーバーの開催枠を設置しては。その上で,核兵器禁止条約がより完成度の高い姿へ育ちゆくその過程を被爆者の方々へ届けられるよう,ここを新たなる目標として設定していただきたい所存です。  そこで伺います。核兵器禁止条約締約国会議の広島市開催について,本市はいかなる見解をお持ちなのかお聞かせください。  また,来春に開催される第1回の締約国会議において,ぜひとも第2回の開催地に名のり出ていただきたいと切に願うのですが,本市の御所見をお聞かせください。  続いて,サッカースタジアムを通じたまちづくりについて伺いますが,まずは,ある1通の手紙を紹介させていただきます。  「Bill and Melinda Gates Foundation.Dear Sir or Madam,I’m Japanese citizen who lives in Hiroshima Japan. And please ask you a favor.」  こちらは本市の都心部にサッカースタジアムを誕生させようと,2006年頃から一心不乱に取り組み始めた私が当時,被爆から復興を遂げた広島市の象徴,その一つに新スタジアムを誕生させたく,ぜひとも寄附の御協力をと真剣にビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団に宛てて書いた手紙の冒頭文です。結果的には,財団側より,現在,第三国の教育に力を入れており,協力は難しいと複数回にわたり丁寧なお返事を頂戴したのですが,ほかにもありとあらゆることに取り組み続けたこの15年間,現在,中央公園広場には,2023年12月の完成を目指し,確かなるつち音が響いており,長いようで短かった時の流れにひとしおの感慨を覚えている次第です。  顧みれば,私は,過去20年にわたり,時に業務,時に観客として,あまたのスタジアムに足を運べば,議員にさせていただいた後も,それは執拗なまでに新スタジアム建設へ向けた提言を重ねてまいりましたが,一たびスタジアムを建設する段を迎えたらば,当然,建築工学をはじめ,より深い専門性が求められ,やはり餅は餅屋です。ゆえに,民間の方々が技術の粋を結集させた作品の御提案を,まるで無垢な子供のように心待ちにしては,謹んで学ばせていただきたいとの思いが強く,近年では提言する機会も最低限に努めて自重しておりました。  重ねて,現在の事業工程は着々と現地の準備工事が進むとともに,実施設計も佳境を迎え,今後は年が明けてから徐々に本格的な本体工事に入る段階であり,また,過度に持ち上げるのではなく,基本設計に目を通しても非常に練り上げられたスタジアム事業となっておりますので,今回はスタジアムの建設後にスポットを当ててまいります。  改めて非の打ちどころを見つけ難いスタジアムプランにおいて,かねてより私が非の打ちどころと捉えていたのが,基本計画に明示された交通計画の交通需要予測であり,また,歩行者の交通計画の部分となります。  まず,交通需要予測とは,試合当日の観客数を通常時2万人,満員時は3万人と想定し,観客が試合開始へ向けていかなる交通手段を用いて,いかなる方角からスタジアムへ来場されるのかを,過去の行動パターン,人流ビッグデータにより分析し,予測値をはじき出したものです。  では,数字を再確認してみますと,公共交通機関を利用して,一度,紙屋町・八丁堀エリアに到着した後,中央公園へ北上する人々が80%,次に,JRもしくはアストラムラインで白島駅に到着後,つまりは北側方面から中央公園へ南下する人々が11%,続いて,公共交通機関や自動車を利用して一度は広島駅に到着,ないし駐車後を含め,徒歩に自転車など,広島駅方面から西へ向けてスタジアムを目指す人々が7%,最後に,西の横川・寺町方面から東へ向かってスタジアムを目指す人々が2%となっており,この西側から東へアプローチする場合は,おおよそJRなどで横川駅に到着後,そこからの徒歩を予測されています。  補足までに,ただいまの数字は,試合開始を目指す往路の分析で,試合観戦後,帰宅時の復路を表すものではありません。  ついては,10年以上も地元ホームゲームに皆勤賞で携わり,県内外の観客の方々の行動パターンと言えば失礼な物言いですけれども,その傾向を熟知する私が,実体験に基づいてリポートしておきますと,これは本市の公共交通機関網に地政学的な特徴も絡んでまいりますが,広域公園の試合時と同様,新スタジアムで開催される場合でも,スタジアムの数キロ圏内まで自動車でいらっしゃる方々が間違いなく非常に高い割合でいらっしゃいます。そして,週末開催など,紙屋町を中心とした駐車場があふれかえり,待機列が続くのは明白ですが,たとえ平日開催であろうと,その半日前から現地へ向かう人々は相当数いらっしゃり,患者も利用する市民病院周辺の駐車場をはじめ,この辺り,事前に十分なる想定の上,対策を練っておかなければ確実に混乱を来すと容易に察しがつきます。  また,度々「間違いなく」との表現を乱用したくないのですが,それでも間違いなく,駐車場の穴場スポットとして最も自動車が集中するのが,川を一つ挟んだ横川エリアになるのは確実で,徹底して公共交通機関での来場を呼びかけようとも,私はあの駐車場争奪戦により生じる半径3キロ圏内の混乱ぶりを誰よりも知る一人です。  重ねて,サッカーの場合,90分間の試合終了後,その瞬間から大多数の観客が,それは一斉に会場の出口へ向かいますので,クラブ側もなるべく観客の方々が時間差で帰宅していただけるよう,試合後も様々なイベントを打つなど,緩和策を試みるにせよ,多くの観客がスタジアムのゲートから一歩足を踏み出し,人々であふれ返る2本のペデストリアンデッキと地下道を目の当たりにしては,土地カンのある地元民が回避行動を,また土地カンのない人々が横川駅を目指す迂回路としてかなりの人数が西側方面に殺到する,その光景が既に私の目には克明に浮かんでおり,2万5000人の一斉行動を軽視してはなりません。  そして,西側のボトルネックは,幅員が狭く欄干の低い空鞘橋であり,混乱以上に問われるのはその安全性で,決して冗談ではなく,試合後は橋の歩道レーンが,まるで岩国寿司のようにすし詰めになるのは必至です。しかし,一方,日常では事足りている空鞘橋を拡幅するとなると,非効率な投資であるとのそしりは免れませんし,建設事業費もペデストリアンデッキ2本分で既に確定しています。だからこそ未来までも予見し,ここで打っておきたい布石として,中央公園広場から川をまたいで延びる新たな北西ルートの歩道橋を新設すべきではないでしょうか。  顧みれば,中四国地方でも屈指の乗降客数を誇るJR横川駅が現行の新たな駅舎となった2003年や,かよこバスが復元・展示された2004年当時,都心部と横川エリアをさらに強固に結ぼうと,現在の中央公園広場の位置から北西に川をまたぎ,歩道橋を延ばす案も浮上していました。結果的に,スタジアム構想すらない時代,現実味を帯びることはありませんでしたが,私は,過去,議員になる前から重ねていたシンポジウムでも,都度,横川への新ルートを提言していた次第です。  では,新ルートの事業スキームを想定してみますが,環境や健康に寄与するウオーカブルシティーに絡め,国から補助金が得られるメニューも存在しますし,一方,都心部から西風新都へ向かう広島西大橋のような,垂直に伸びた塔から斜めに張られたケーブルで橋梁を支える斜張橋を用いれば,建設費も安く,かつ美しく仕上がります。それこそ歩道として都市計画決定すれば,国から建設費の半分が調達できるなど,やるとなれば幾らでもやり方は存在するのですが,何より目先のそろばん勘定ばかりにとらわれてはなりません。横川にはまちづくりへ熱心に取り組まれる商店街があり,ヨーロッパなどの慣習を持ち出すまでもなく,試合前に飲食をしては,試合後も試合内容を酒のさかなに仲間と談義に花が咲く,こんな一日こそまさにスポーツ観戦の極みです。  新型コロナウイルスが蔓延するたびに,また,人口減少で客足が減るたびに,その場しのぎの補助金や支援金を商店街に渡すのではなく,向こう30年,50年と,かの地で商売を継続していただけるよう,持続可能なかけ橋となる歩道橋を横川方面へ渡し,人々の流れを長期にわたり担保すべきではないでしょうか。実現した暁には,基町や横川住民をはじめ,市民の安全性や利便性,投資への収益性のみならず,歩道橋が架けられる場所には雁木なども現存し,改めて本市の歴史にもスポットが当てられ,また,夕刻時,西の空を眺めれば,そこは非常に夕焼けの美しい絶景スポットである事実を多くの人々が新発見されるかと存じます。  そこで伺いますが,新スタジアムの開業後,本市が西側・アクセスルートの安全性をいかに捉え,また今後,何か手を施すお考えはあるのか。重ねまして,横川への歩道橋新設案についても本市の御所見をお聞かせください。  続いて,平和な世の中だからこそスポーツを謳歌できるその旨を,松井市長が今日まで口にされてまいりましたが,こうした状態が具現化された歴史的な瞬間の一つに,かつてこの本会議上でも触れさせていただいたJリーグ2018年シーズン,サンフレッチェ広島とV・ファーレン長崎の初顔合わせが挙げられます。  まず,同年4月28日,長崎のホームゲームがプレー・フォー・ピース,平和を守り抜く,ゴールも守り抜く,J初の平和祈念マッチと銘打って行われたのですが,このプレー・フォー・ピースのプレーの英語スペルには,あえて宣伝広告の際も「L」と「R」の二つを用いられ,平和のために競技のプレーと祈るのプレーの意味が込められるなど,試合前から全国的にも注目を集めました。そして,長崎スタジアムのピッチに初めてサンフレッチェの選手が登場した瞬間には,温かい万雷の拍手で迎えられ,長崎サポーターより互いの都市から平和を希求していこうと横断幕まで掲げていただきました。  続いて,およそ3か月後の8月11日には,サンフレッチェのホームに長崎を迎え,試合前には広島・長崎両市長立会いの下,両都市から平和大使として選ばれた高校生が,双方の平和式典で用いる平和の鐘のレプリカを寄贈し合い,さらに学生による平和宣言も行われるなど,スポーツを通じての平和活動と都市間交流を誓い合いました。  ついては,何か壮大なる念願が成就する際,ありていに申しますと,そこへの必須条件として天の時,地の利,人の和が挙げられますが,何の偶然でしょうか,3年前にピッチ上で都市間交流を誓い合った両都市が,今度は3年後を切った2024年の春,同じタイミングで新サッカースタジアムをオープンさせる運びとなりました。長崎生まれの広島育ちである私が,一日千秋,天にも昇る思いでこの日を待ちわびていることは強調するまでもございません。  ちなみに,V・ファーレンのホームタウンとなる長崎市の場合,JR長崎駅から徒歩10分の好立地へサッカースタジアムやアリーナにホテルを併設した長崎スタジアムシティ構想として事業を進捗されており,翻り,本市の場合も順調に工事が進みますと,2023年12月に完成後,通常であれば2月あたりに,実際,観客を招いたときのシミュレーションとオープン興行も兼ねて,プレシーズンマッチを行う方向かと存じます。  そこで,広島,長崎とも大規模な事業ゆえ,現時点での確約が難しいのは重々承知の上でここに伺います。  まず,完成までのプロセスにおいて,ぜひとも長崎市と連携・交流を図った上で,決して大がかりではなくとも,双方のスタジアムに都市間交流を表すシンボルを検討していただき,かつ,最終的にはオープン興行にて両チームによるプレシーズン・ピースマッチの実現を懇願する次第ですが,本市の御所見をお聞かせください。  この歴史的な瞬間は,新たに掲げるPXビジョンの市民社会における平和意識の醸成にも必ずや寄与するものかと存じます。  結びに,広島,長崎に続いて展望を一つ御紹介させてください。  近い将来,権利の制限が緩和されては,再結成されたアフガニスタンの女子サッカーチームを本市の新スタジアムへ温かい拍手で迎え入れ,6年前に私は試合のアナウンスを担当したのですが,再度,復興を遂げた両都市による国際親善マッチが行われますことを心から祈念して,私の一般質問を以上といたします。  御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○佐々木壽吉 議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       石橋議員の御質問にお答えします。  核兵器廃絶に向けた本市の取組についてのうち,核兵器禁止条約締約国会議の広島市開催についての御質問がございました。  私は,本市の平和行政は被爆の惨禍を経験した被爆者の平和への願いを原点とするものであると考えており,そのことを踏まえ,市長就任以来,被爆の実相を守り,広め,伝えることこそが広島の使命であると捉えて,被爆の実相を広めることを主眼とする取組として力を注いできたのが迎える平和の推進であります。  世界の政治指導者が広島を訪れ,被爆の実相に触れ,被爆者の思いを深く受け止めた上で,核兵器廃絶に向けた議論をしていただくことは極めて重要であることから,これまでも様々な国際会議の誘致に取り組んできたところです。  先般,誘致を表明した2023年のG7サミットについても,為政者を含む多くの方々が被爆の実相に理解を深め,ヒロシマの心を共有していただくとともに,この地から広く世界に向けた平和のメッセージを発信してもらうことが期待できます。  こうしたことから,核兵器のない世界を実現する上で不可欠な核兵器禁止条約の締約国会議が本市で開催されるならば,各国の為政者に被爆の実相に触れていただき,より一層,核兵器廃絶に向けた決意を固めていただける絶好の機会になることが期待できます。  一方で,締約国会議の開催地の決定については,締約国においてなされるものであり,その締約国に対し,まずは,核保有国と非核保有国の橋渡し役を目指している日本政府が,広島での開催について主導的な役割を果たしていただく必要があると考えています。  本市としては,引き続き,本年新たに策定した行動指針PXビジョンの下で,平和首長会議において世界165か国・地域の8,059の加盟都市と連携して,為政者が核抑止論から解放され,核兵器廃絶に向けて政策転換を進めるよう促すための環境づくりに取り組む中で,日本政府に橋渡し役としてリーダーシップを発揮していただくよう,働きかけてまいりたいと考えております。  その他の質問については,関係局長から答弁いたします。 ○佐々木壽吉 議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      核兵器廃絶へ向けた本市の取組についての御質問のうち,現行のNPT体制の下では,平和利用であれば核兵器に転用可能な高濃縮ウランの製造をイランが続けるなど,NPTの内包する諸課題について,NPT再検討会議において言及してもらいたいと思うがどうかについてお答えいたします。  議員から御指摘のあったような諸課題があったために,前回のNPT再検討会議で締約国の意見がまとまらず,最終文書が採択できませんでした。中満国連事務次長も会見等の場で,来月開催が予定されている今回の会議では,そうした課題を踏まえた上で,核軍縮の具体的な措置を盛り込んだ最終文書の採択を目指したいと明言されています。  本市としては,今回の会議における発言の場を確保し,締約国が建設的な議論を行う中で,核軍縮・不拡散を進展させるための解決策を生み出すよう,しっかりと要請をしてまいりたいと思っております。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      都市整備局長。 ◎中村純 都市整備局長    サッカースタジアムを通じたまちづくりについて,二点の御質問にお答え申し上げます。  まず,西側・アクセスルートの安全性をいかに捉え,また,今後,何か施す考えはあるのか,新たな横川への歩道橋新設についての考えについてお答えします。  サッカースタジアムは都心にある立地環境を生かし,来場に当たっては主に公共交通機関を御利用いただくよう考えております。その上で,これまでスタジアムの最大収容人員を3万人で交通需要予測をしており,その中で,西側の横川・寺町方面からは約700人が来場することから,混雑のピークである試合終了後の帰宅時には多くの市民が空鞘橋を通行することが見込まれます。  本市としては,帰宅時のピーク分散のため,適切なゲート管理,試合後のイベント開催やPark−PFI施設等の利用促進,警備員の誘導による空鞘橋への流入抑制などを運営事業者等が実施することにより,歩行者の安全の確保が図られるよう,指導していきたいと考えております。  また,中央公園の今後の活用に係る基本方針の中で,回遊性・アクセス性の向上に関する取組として,将来的な横川方面からのアクセス向上について検討することとしております。このため,横川への歩道橋新設については,開業後の歩行者の利用実態などを踏まえて,今後の実現可能性などについて検討することになると考えております。  次に,完成までのプロセスにおいて,ぜひとも長崎市と連携・交流を図った上で,双方のスタジアムに都市間交流を表すシンボルを検討していただき,かつ,最終的にはオープン興行にて,両チームによるプレシーズン・ピースマッチを実現していただきたいがどうかについてお答えします。  新たなサッカースタジアムは,建設場所である中央公園広場全体が平和記念公園と一体となった平和発信の拠点となることを目指しており,今後,施設運営方法等の検討の中で,こうした方針を実現するための具体的な方策について検討を進めることとしております。  こうした検討を進めるに当たり,本市及び長崎市のスタジアムが同時期に完成することを一つの好機と捉え,これまでも両市が協働して取り組んでいる平和の取組と同様に,スタジアム建設を通じた連携・交流を深めることは有意義であることから,議員御提案の取組等も参考とさせていただき,より効果の高い連携方策を検討してまいります。  以上でございます。 ○佐々木壽吉 議長      19番石橋竜史議員。 ◆19番(石橋竜史議員) まず,核兵器廃絶へ向けた取組についてなんですけれども,今回,一つ申し訳なかったのは,ちょっとトリッキーな質問というか,そういう形になってしまいましたが,実際の話,現実を知ればというと,何か悲しい表現になりますけれども,もう当然ながら世界の誰もが本当にハードルの高いその目標というのは皆さんが把握されていて,平和になればいいじゃないか,核兵器ゼロにと,そういう感情論で私も話しているわけではなく,そういう中で,NPTにしても,今回はたまたまイランのことに触れましたけれども,それこそせんだって,アメリカがNPR,いろんな世界の軍事配備のことについて触れましたけれども,そのときもインド,太平洋などにかなり重点を置くということで,今なんかはAUKUSのオーストラリアの原潜の問題で,果たしてそれはNPTにどうなるのかとか,いろんな問題が本当に内包されています。  そういう中で,実際の話,私の今回の論旨というか趣旨というのは,NPTの不足部分をまさに補うのが核兵器禁止条約であって,決してNPTと核兵器禁止条約が相対するものではありませんので,ぜひともそこを何としてもどんどんと今後,今日は成長させていく,育てていくという表現を使いましたけれども,ブラッシュアップさせて,何としても早く完成度の高いものにしていきたいという思いがあって,何よりも,今日ちょっと触れさせていただきましたけれども,今回,NPTの会議の前に,ちょっと滑り込むような形で発言させていただいたのは,やはり被爆者の方々なんですよね。平均年齢84歳で,実際の話,自分たちよりも年下の政治家が,私たちが生きている間では難しいだろうと口々に言われているあの方々は何を希望に生きれば,生きればと言うと失礼ですけれども,何に望みをつなげればいいのかと思うんですね,やはり。  一番傷ついた方々に,何か,もう本当に失礼な表現になりますけれども,御存命の間に何かを示して,ああ,こういう方向性で後世の人々も精いっぱいやって,ここまではという形は,やはり本当に,おこがましいながらも,お示しができればというのをすごく望んでいますし,そういった意味では,11月18日になりますけれども,松井市長と田上市長が首相官邸を訪ねられて,そのときにぜひともオブザーバー参加をしていただけないかとお願いされたときも,松井市長は口にされましたが,被爆者の方々も時間がある,できるだけ日本国にしても,日本政府も多面的に強烈にスピーディーに,被爆者の方に何とか形を提示すべく動いていただきたいという旨を言われましたけれど,もう本当そのとおりで,私たちは,すごく失礼な話,被爆者の方々が先立たれることを前提に話していますけれど,私たちが先に亡くなる可能性もあるわけで,そういった意味では,やはり今の私たちの世代に何か,簡単なものではないということは重々分かっていますけれども,私たちが物分かりのよい大人になったら何にも進まなくなってしまうので,基礎自治体としていろんなことを発信しながら,できればこの広島で締約国会議が開ければとは,本当,切に願っております。引き続きよろしくお願いします。  サッカースタジアムに関しましては,まず,長崎との協働ということで,そこまでをまさに本当,そういう負の歴史と言うと,ちょっと表現が不適切ですけれども,そういった中で,今度は現世を謳歌する,そういった前向きなスポーツで,また長崎と連携を図りながら。  私はトロントに住んでおりましたけれども,トロントの市庁舎の庭にはサーロー節子さんが尽力して建てられた平和の庭といって,長崎の川の水を持ってきて,広島の平和の灯をともしている,そういうエリアもありますし,今般はハワイへ,その平和の灯を持っていってともそうじゃないかという,そういう機運も起きていますけれども,できれば長崎とまた連携して,そのプレシーズンマッチもまた実現して,そういった意味で,今,現世の人々がこの平和を謳歌しているというのを,引き続きまた核兵器廃絶とともに本市を通じて発信していければと思いますので,よろしくお願いして,以上といたします。ありがとうございます。 ───────────────────────────────────────                  休憩宣告 ─────────────────────────────────────── ○佐々木壽吉 議長      この際,暫時休憩いたします。                午前11時23分休憩 ───────────────────────────────────────                午後1時03分開議                出席議員  49名                欠席議員  5名 ○若林新三 副議長      出席議員49名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○若林新三 副議長      休憩前に引き続き会議を開き,一般質問を行います。  14番碓氷芳雄議員。                〔14番碓氷芳雄議員登壇〕(拍手) ◆14番(碓氷芳雄議員) 公明党の碓氷芳雄です。会派を代表して一般質問させていただきます。しばらくの間,御清聴のほどよろしくお願いいたします。  初めに,平和文化の振興についてお伺いします。  本年は,被爆者をはじめとする平和を願う多くの人々の思いや,これまでの行動が国際社会を動かし,悲願であった核兵器禁止条約の発効が実現した記念すべき年となりました。この核兵器禁止条約は,史上初めて核兵器の実験や開発,保有,使用などを全面的に禁止した画期的な国際法規であり,同条約の発効は核兵器廃絶に向けての大きな前進であると考えます。  しかしながら,同条約を批准した国・地域は,いまだ56か国にとどまっており,しかもこの中には核保有国や日本を含む核の傘下にある国は含まれていません。今後,核兵器を全面的に禁止する国際的な規範としての効力を発揮するためには,より多くの国が条約に参加し,核兵器廃絶に向けた前向きな議論が行われることが必要だと思います。  それには市民一人一人が日常生活の中で平和について考え,行動し,核兵器禁止条約の発効を契機とした核兵器廃絶に向けた潮流をより確かなものとし,世界の為政者への働きかけをさらに強めていくことが重要だと考えます。我が党としても,日本政府に対して核兵器禁止条約への前向きな対応を働きかけていますが,市民社会の声は,その強力な後押しになるものと確信しています。  そうした中,昨年度策定した広島市基本構想と,第6次広島市基本計画において,本市が平和文化の振興を新たに掲げ,市民社会での平和意識の醸成を図る施策を明示したことは大変意義深いものと考え,本年2月の第1回定例会において,私は平和文化の振興に関する質問をさせていただきました。その際,市長は,平和文化の振興を図るため,11月を平和文化月間と定め,様々な機関や団体等との連携の下で多様な文化イベントを実施したいと答弁されました。私としては,平和への思いの共有につながる様々なイベントを集中的に実施するとともに,一体的な広報による市民への周知を図り,平和文化を市民生活の中に根づかせていくことは大変すばらしい取組であると感じました。  そこでお伺いします。今年の平和文化月間では,具体的にどのような取組を行い,その成果をどのように評価しておられるのかお答えください。  さらに,より一層平和文化の振興を図るためには,この平和文化月間の取組を一過性のものにせず,継続することが重要であり,また,核兵器廃絶に向けて為政者の政策転換を後押しする大きな潮流を形成していくためには,本市のみならず,より広く世界規模でこの取組の輪を広げていくことが大切ではないかと考えます。  そこでお伺いします。今後の平和文化月間の取組について,どのような展開を考えておられるのかお答えください。  次に,NPT再検討会議についてお伺いします。  核軍縮や核不拡散など,NPT──核不拡散条約の運用状況を検討するため,5年に1回開催されるNPT再検討会議が来年1月4日から28日の日程で開催されることが決定しました。同会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で,昨年4月から延期が続いていたものですが,今回ようやく開催が決定できたことを心から歓迎したいと思います。  開催方法については,国連から新型コロナウイルスの感染防止対策として,基本的には対面形式で行うものの,参加者は各国政府の代表に限定し,現時点で市民社会からはオンラインでの参加とすると発表されており,通常とは異なった形となる見込みです。しかし,前回の再検討会議では,国家間の意見の対立が埋まらず,最終文書を採択できずに終了したことから,今回は締約国による核軍縮を進展させるための議論を確実に行い,各国合意による最終文書を採択することが大変重要になると考えます。  そこでお伺いします。今回のNPT再検討会議において,本市としてどのような活動を行う予定でしょうか,御見解をお聞きいたします。  次に,旧陸軍被服支廠の保存・活用についてお伺いいたします。  被爆建物は被爆という歴史的な事実や原爆被害の凄惨さを今に伝える物言わぬ証言者であり,失われてしまうと二度と取り戻せない貴重な財産であることから,広島市は平成5年度に広島市被爆建物等保存・継承事業実施要綱を策定し,爆心地から5キロメートル以内に現存する被爆建物を登録し,その保存・継承に取り組んできました。  そうした中,平成29年12月,広島県は所有する被爆建物である旧陸軍被服支廠3棟のうち1棟のみを保存し,残る2棟を解体するという対応方針を示しました。その方針に対し,本市はできる限り全棟を保存していただきたいとの意見を述べ,私たち公明党においても,旧陸軍被服支廠は原子爆弾の被害を伝える世界最大級の貴重な被爆建物であることから,全棟保存を訴え,様々な取組を行ってまいりました。  令和2年1月の衆議院代表質問では,当時の斉藤鉄夫幹事長が,国として積極的に県と連携し,貴重な被爆遺構の全棟保存に向けた支援策を打ち出すよう強く主張いたしました。また,令和2年8月5日には,公明党山口那津男代表が,旧陸軍被服支廠を視察し,改めて全棟保存の重要性について言及いたしました。さらに,令和3年7月15日には,公明党広島県本部として文部科学大臣に対して,被服支廠をはじめとする本市の被爆遺跡の文化財指定を求める要望書を提出いたしました。  こうした取組や被爆者団体をはじめとする多くの市民の声を受け,本年5月,広島県はこれまでの2棟解体,1棟外観保存から,3棟保存に向けた事実上の方針転換を表明し,その後,国においても所有する1棟の安全対策を検討する考えが示されました。こうして4棟全て保存の可能性が高まりましたが,このことは国・県が被爆建物を将来に向けて保存・継承していくことの重要性を認識されたものであると受け止めております。  そこでお伺いします。旧陸軍被服支廠は,被爆者の高齢化が進む中,被爆者と同様に原爆の惨禍を耐え抜き,被爆の実相を今に伝える物言わぬ証言者です。所有者である国及び県,そして関係する全ての人々が,旧陸軍被服支廠の価値を共有するとともに,その価値を後世に伝え,生かしていくためのあらゆる手だてを講じることが重要だと考えます。  今後,同施設の保存・活用についての議論が進んでいくものと考えますが,改めて旧陸軍被服支廠の保存・活用について,本市のお考えをお聞かせください。
     また,報道によると,先月,広島県において,旧広島陸軍被服支廠の活用の方向性に係る懇談会が開催され,建物の利活用についての検討が始まったとお聞きしております。旧陸軍被服支廠の保存・活用に向けた検討についての現状と,市は費用負担を含めどのように関わっていくのかお答えください。  次に,子宮頸がん予防ワクチンの定期接種についてお伺いします。  現在,子宮頸がんは,毎年約1万人の女性が罹患し,約2,800人が亡くなり,治療によって子宮を失う人の数が約1,200人に上ると言われています。  子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスの感染を防ぐHPVワクチンは,世界100以上の国と地域で定期予防接種の対象となっています。我が国では2013年に定期接種となり,小学6年生から高校1年生相当の女子は,希望すれば無料でワクチン接種が可能となっていますが,接種後に体の痛みなどの健康被害を訴える事例が数多く報告されたため,2013年6月より,国が積極的勧奨を差し控え,多くの自治体が対象者への通知を取りやめました。そのため,それまで70%近くあったワクチンの接種率は,1%未満にまで減少しました。しかしながら,対象者が接種を希望する場合には,十分な情報を提供する必要があることから,国は昨年10月と今年1月に,自治体に対し,ワクチン定期接種対象者への情報提供の徹底を求めました。  昨年6月の本市議会定例会一般質問において我が会派の並川議員が,HPVワクチンの制度の周知についての重要性を訴え,本市は国の通達に先駆けて,7月から対象者への情報提供を行っています。  そこでお伺いします。HPVワクチン定期接種対象者への情報提供について,本市の取組内容はどうだったのかお答えください。  また,その取組によって接種率等の状況が,それ以前と比較してどのように変わったかお伺いします。  対象者に対し,定期接種期間内に公的な情報が届けられたことにより,その情報を基に,希望する人が接種できたことは大きな成果だと思います。しかしながら,ワクチン接種率については,積極的勧奨を差し控える前と比較すると,いまだ低い数字にとどまっているとのことです。そうした事態を重く受け止めた産婦人科学会,小児科学会,医療者有志の団体や,接種機会を逃した市民等からの要望書や署名が提出されるなど,HPVワクチンの積極的勧奨の再開を求める声が大きくなってきました。  そのような中で,先月,厚生労働省はHPVワクチンの安全性や効果などを検討した結果,厚生科学審議会からの勧奨を妨げる要素はないとの意見を踏まえ,ワクチンの積極的勧奨の再開を正式に発表いたしました。本市に対しても,11月26日付で,その内容の通達が届いたとお聞きしております。  そこでお伺いします。HPVワクチンに関する国の積極的勧奨再開の決定を受け,今後,本市として,ワクチン接種対象者に対しての情報提供や市民への周知について,どのように進めていくのか,市のお考えをお答えください。  また,2013年6月以降,本市においても対象者への個別通知を取りやめたことにより,接種の機会が得られなかった人たちについては,改めて正確な情報と接種の機会が提供されることが必要ではないかと考えます。  そこでお伺いします。国としても情報が届かず,接種の機会が得られなかった人たちに対する救済についての検討を進めていると聞いておりますが,ワクチン接種の機会を逃してしまった対象者に対し,郵便等の通知による丁寧な情報提供や,改めての接種機会の確保など,配慮ある対応が大切になると考えますが,本市としての御見解はいかがでしょうか,お答えください。  次に,協同労働の推進についてお伺いします。  急速に進む人口減少や高齢化等に伴う地域の活力低下や人材不足が課題となる中,今後,多様な分野における新たな担い手の確保が一層重要となってきます。  そうした中,広島市は平成26年度から全国に先駆けて協同労働の仕組みを活用した先進的なモデル事業を進めてまいりました。協同労働とは,担い手が自ら出資し,対等な立場で意見を出し合い,人と地域に役立つための事業に従事する仕組みで,モデル事業では,市民に対する協同労働についての周知活動や,制度の仕組みを使った事業を立ち上げる団体への支援等を行っています。  また,令和2年12月,国において労働者協同組合法が成立し,令和4年10月1日から施行されることが決まりました。これまで協同労働に関する法律がなかったことから,法人組織をつくって協同労働の活動を行う場合は,NPOや企業組合の形で運営されてきたため,制度を活用した働き方の理解が得られず,取り組める業種が限られ,新たな事業を始める手続にも時間がかかるなど,多くの制約があったと聞いております。  しかし,労働者協同組合法の施行後は,労働者派遣事業を除く様々な事業を行うことが可能となり,組合員は労働契約を交わし,雇用保険や健康保険などの社会保障の対象にもなります。同組合法は,今後,協同労働という新たな働き方を地域に根づかせ,皆が互いに支え合う持続可能な活力ある地域社会の追い風になるものと考えております。  私は本年2月の定例会総括質問で,本市の協同労働の取組についてお聞きいたしました。その際,経済観光局長からは,協同労働の働き方が広まるにつれ,立ち上げについての相談も増えてきた中で,いかにして効果的かつ効率的な支援を行うかが課題となっており,これまで行ってきた行政による伴走型の支援だけでなく,市内各所で既に活動している協同労働団体をよい見本として,より自主的に新たな団体が立ち上がっていくことを支援できるような仕組みをつくりたいとの答弁がありました。協同労働の推進は,今後,本市にとって,少子高齢化や労働・生活環境の変化等様々な社会的要因の変化に対応するため,さらに重要な取組になるものと考えます。  そこでお伺いします。現在,本市における協同労働団体は幾つあり,どのような活動を行っているのでしょうか,お答えください。  また,今後はさらに協同労働団体が増えることが予想され,協同労働の持つ重要性や意義からも,地域包括支援センターや社会福祉協議会などの公的な福祉事業体,生活協同組合・農業協同組合などの民間事業体,さらにNPOなど地域で活動を行う団体へのさらなる周知も重要となってまいります。  あわせて,2月定例会の質問で指摘しましたとおり,60歳以上の方の活動を対象とした現行の要件を見直し,若い人たちを含めた多様な人々が活動できることも大切ではないかと考えます。  加えて,誰でもこの制度を活用することができるということからも,広く市民に対する周知と理解を一層深める取組が必要になることはもちろんですが,市としても協同労働の担当課の職員だけではなく,広く市民の生活支援や地域の活性化などに関係する部局の職員が,地域の困り事に取り組もうとしている市民の方と連携して協同労働を推進していくことも重要だと考えます。  そこでお伺いします。協同労働について市民への浸透を図るためには,担当課である経済観光局雇用推進課だけではなく,全庁的に本市内部においても制度の理解を深め,連携して取り組む必要があると思いますがいかがでしょうか,市の御見解をお伺いいたします。  また,協同労働を推進するため,今後どのように取り組むのか,本市のお考えをお聞かせください。  次に,中央図書館の移転についてお伺いします。  現在,広島市は中央公園内の公共施設について,令和2年3月に策定した中央公園の今後の活用に係る基本方針に基づき,各施設の集約化等に向けた検討を進めており,11月18日に開催された都市活性化対策特別委員会には,中央図書館など公園内の7施設について,移転等を含めた現時点における検討状況が報告されました。  その際,都市整備局長からは,映像文化ライブラリーとこども図書館を含む中央図書館の移転先として,エールエールA館が最も条件に適合していることから,移転先として選定することとしたとの考えが示されました。  中央図書館は昭和49年の建築で,蔵書数は約120万冊,年間40万人近くの人が訪れているとのことです。説明に対し,それぞれの委員からは,市の移転方針に対する賛成,反対の意見とともに,唐突な印象を指摘する意見や,エールエールA館の管理運営者である広島駅南口開発株式会社との関連,既存テナントとの調整,移転後の管理運営など,多くの質問や意見が出されました。  さらに,市の方針発表後に私どもの会派に対しても,交通結節点である広島駅から近いことや,施設の整備費が抑制されることなどのプラス面を評価する声がある一方で,緑に囲まれた静かな現中央図書館の立地環境が失われることへの不満や,交通結節点に近いということであれば,アストラムラインやバスセンターの交通拠点から遠くなることについてはどうなのかといった疑問の声も寄せられました。加えて,既存の商業施設を利用することによる火災等への心配や,他のテナントとの営業形態の調整など,今後の具体的な課題についての指摘もありました。  このように,中央図書館の移転に関する市民からの意見が多いのは,現在地での建て替えについての検討や,その結果,エールエールA館を最適地として選んだことなどについて,そこに至る経緯と理由が市民に対し十分に伝わっていないことが最も大きな原因ではないかと考えます。  今回の件は広島市の中心となる図書館機能を今後どうするかという非常に重要な内容であるだけに,市には市民の理解と納得を得るための丁寧な説明を求めたいと考えます。  そこでお伺いします。中央図書館は建築後50年近く広島市民に利用されてきた施設であり,現在地で建て替えをするという選択肢もあると思いますが,なぜ現在地で建て替えをしないのでしょうか,お答えください。  また,中央図書館のような大規模で集客力のある公共施設の移転は,本市のまちづくりにも影響する重要なことだと考えます。移転先を広島駅周辺地区とした理由をお答えください。  広島駅周辺地区では,現在,広島駅南口広場の再整備を進めており,令和7年春には新駅ビルが開業する予定となっています。同地区にある複数の施設の中からエールエールA館を移転先に選定した理由についてお答えください。  中央図書館の移転に関して,多くの方々から意見が寄せられています。市民からは,読書にふさわしい周辺環境を求める声もありますが,本市が選定したエールエールA館ではどのような図書館をつくろうとしているのかお答えください。  マスコミでも大きく取り上げられ,市民の関心も高い中央図書館の移転について,今後市民の理解を深めるため,どのように対応を進めていくのか,市の御見解をお伺いします。  次に,農業の振興についてのうち,農業の担い手の育成・確保についてお伺いします。  農業従事者の減少や高齢化が進む中,広島市では平成9年度からひろしま活力農業経営者育成事業を立ち上げ,若い新規就農者を育成する栽培技術研修を実施し,大きな成果を上げてきました。同事業は,農業に意欲のある若い優秀な人材を農業経営者として育成するための就農支援を行うもので,これまで計49名が就農者として定着しています。  本市は,研修の修了者が主に生産する品目としてコマツナから始める取組を進めており,それはコマツナが比較的生産しやすいことと,その生産を通して他の品目への展開もしやすいことなどが主な理由ですが,現在,コマツナは市場において飽和状態にあり,価格低下を招いていると言われております。  研修修了者が主に生産する品目についての検討など,現状に即した対応が引き続き重要になると考えます。  また,新型コロナウイルス感染症の影響や働き方改革が追い風となり,現在,農業に職を求める人が急増しているとの報道がありました。外国人技能実習生の入国遅延等の影響による労働力不足の深刻化も加わり,農業分野における労働力を確保するための取組が活発化しているようです。それらの就農希望者の中には,副業としての農業を希望する人が多く,コロナ禍での収入の減少やリモートワークの広がり等も背景の一つにあると分析されています。  そうした中,昨年,農林水産省が開催した農業を紹介するイベントでは,参加者が前年より約4割増加したことが報告されています。また,農業をする,から農業もする時代へと,農業でも多様な働き方ができることを積極的にPRするとともに,就労につなげるマッチングの取組を行うJA組織もあると聞いております。  このように,就農希望者が栽培したい品目や希望する就農の形態はさらに多様化する現状があります。  そこでお伺いします。今後,農業の担い手の育成に当たり,扱う品目や就農の形態など,就農希望者の志向する農業を実現するための支援が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか,市の御見解をお聞きいたします。  最後に,農福連携の取組についてお伺いします。  近年,農業分野では,障害者や高齢者らが農作業の担い手となり,自信や生きがいを持って社会参加することを支援する農福連携の取組が注目を集めています。  国においても,農林水産省と厚生労働省が共同でプロジェクトを立ち上げ,関係団体の相互理解に努めるほか,農水省においては,農福連携技術支援者の育成にも力を入れています。農福連携技術支援者は,農福連携の現場で実践手法をアドバイスする専門人材で,研修において,関係法令や障害ごとの特性,農作業上の課題等の講座を学習し,修了試験の合格をもって認定されます。国が農業と福祉の連携についての積極的な取組を進めることは大変意義のあることだと考えており,そうした動向と連携する本市の取組が,さらに重要になると考えます。  そうした中,先日,会派として,本市における先進的な農福連携の取組を進める安佐北区の一般社団法人百人邑を視察いたしました。この百人邑は,いま一度,土に触れ合う大切さを伝え,障害者の方と共につくる農福連携の里山とのスローガンを掲げ,半農×半ICTによる自立訓練と就労継続支援A型事業所を運営されています。現在,9名の指導員と施設を利用する11名のスタッフで約60種類の野菜や薬草を栽培し,飲食店用の材料や浴湯剤の原料などとして出荷しております。作業によるスタッフの工賃は,月額約12万円に届くこともあり,就労継続支援A型事業所の全国平均である約7万9000円を大きく上回っているとのことでした。  開設当初は地域の理解も得にくい状況だったようですが,地道な取組の結果,今ではこの土地を使ってほしいと地域の方から申出があるまでになったと言われ,作業をするお一人お一人の表情も明るく,魅力的な取組だと感じました。  本年2月の定例会における私の質問に対し,経済観光局長からは,本市としては,こうした農福連携の取組は,農業の多様な担い手の確保につながる有効な方策の一つであると考えているとの答弁がありました。農業と福祉の連携はSDGsの理念にも通じる重要な取組であり,今後,本市における農福連携の取組を進めるためには,農政と福祉など,市の関係部局の連携も必要になると考えます。  そこでお伺いします。改めて本市における農福連携の取組の現状はいかがでしょうか。また,今後どのように進めていくお考えか,市の御見解をお伺いいたします。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○若林新三 副議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       碓氷議員からの御質問にお答えします。  中央図書館の移転についてのうち,中央図書館はなぜ現在地で建て替えをしないのか,移転先を広島駅周辺地区とした理由及びどのような図書館をつくろうとしているのかについての御質問がございました。  現在の中央図書館は,築後47年が経過し,老朽化が著しく,耐震改修も未実施など,早急に再整備する必要があることに加え,閲覧スペースや書庫等も不足するなど,多くの課題を抱えております。  このような課題を解消するため,早急に建て替えを行う必要がありますが,現地で建て替えるとすると,建て替えの期間中,本市全体の図書館資料の収集・整理や各区図書館等への集配等,中央図書館が有している機能を停止せざるを得なくなります。それだけではなく,閲覧等の市民サービスを継続するためには,別途,臨時の図書館を用意する必要が生じます。こういったことを回避するために,移転して再整備することとしたものであります。  再整備に当たっては,現在,中央図書館とは離れた位置にあるこども図書館を一体の施設にすることによって,大人と子供が一緒に利用しやすくするとともに,隣接しています映像文化ライブラリーで所有する貴重なフィルムの保管環境を改善し,アーカイブ機能を強化することにしておりまして,このたびの移転に併せて,中央図書館の機能の大幅な充実・強化を図ることとしたものであります。  機能の大幅な充実・強化が図られた新たな中央図書館においては,幅広い世代が親しめる空間を提供するとともに,広島の歴史,文化,産業などの広島らしさを学ぶための機能も付与したいと考えており,そうした施設の有効活用を図るためには,多くの来館が期待できる交通結節点となる広島駅周辺地区が適切であると考えたものであります。  さらに,楕円形の都心づくりを進める本市としては,東の核である広島駅周辺地区への中央図書館の移転は,県外,国外からの来訪者等を迎えることになる陸の玄関において,本市の平和文化を発信する拠点を確保し,商業ゾーンとしてにぎわいと交流の拠点を目指す西の核である紙屋町・八丁堀地区とは異なる特色のあるまちづくりが可能になるものと考えているところであります。  こうした観点から,広島駅周辺地区に中央図書館等を移転させることは,都市機能の集積・強化を効率的に行い,バランスの取れた都心づくりになるものと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○若林新三 副議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      中央図書館の移転についての御質問のうち,今後,市民の理解を深めるためにどのような対応を進めていくのかについてお答えします。  中央図書館等の再整備については,市長が御答弁したとおり,中央図書館が抱える課題を解消するだけでなく,楕円形の都心づくりの東の核である広島駅周辺地区において,特色のあるまちづくりを進めていくという考えの下,検討を行っているものです。  こうした市の考えについては,今年度策定を予定している基本計画におけるパブリックコメントにおいて,幅広く市民の意見をお聞きしたいと考えており,こうした取組を通じて,市民の理解を深めていきたいと考えています。  また,来年度以降,基本計画の概要について,市ホームページや広報紙などを活用し,広く周知を図ることにより,市民はもとより,広島を訪れる多様な人々に利用していただける図書館にしていきたいと考えております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      都市整備局長。 ◎中村純 都市整備局長    中央図書館の移転についての御質問のうち,広島駅周辺地区にある複数の施設の中からエールエールA館を移転先に選定した理由についてお答えを申し上げます。  中央図書館等の具体的な移転先の選定に当たっては,アクセス性,所要スペース確保の見込み,官民連携の可能性など,移転先として重要な条件を整理し,JR広島駅周辺の範囲内の民間施設について,設定した条件に適合するかの状況調査・確認を行ったところです。  そういう過程の中で,広島駅南口開発株式会社からエールエールA館への移転を検討してほしいという要望書の提出があり,この要望書の中では,現状における中央図書館等3施設分に相当する床面積が提供可能であるとの具体的な提案も記載されておりました。この申出を生かし,アクセス性,所要スペース,官民連携などの条件に合致するエールエールA館に移転し,既存施設や建て替えが進むJR広島駅新ビルの商業機能とは競合しない文化的機能を付与することになれば,JR広島駅を起点とする新たな回遊を生み出し,官民が連携したバランスの取れたまちづくりにも資することから,移転先として選定したものでございます。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      平和の推進について,数点の御質問にお答えをいたします。  まず,一点目として,平和文化の振興について,今年の平和文化月間では,具体的にどのような取組を行い,その成果をどのように評価しているかについてです。  市民社会における平和意識の醸成を図るため,今年初めて11月を平和文化月間と定め,芸術文化活動やスポーツを通じた交流など,平和への思いの共有につながる様々な文化の取組を集中的に実施しました。  この取組には,本市や広島平和文化センター主催の事業だけでなく,趣旨に賛同いただいた民間企業や市民団体のイベントも加わり,35もの平和文化月間イベントを実施することができました。  オープニングの平和文化講演会や原爆ドーム前での能舞台,若い世代の平和の取組など,期間中に実施したイベントの様子は多数のメディアに取り上げられ,市民等にとって改めて平和について考え,行動する機会を提供できたのではないかと思います。  実際,イベントへの出展・登壇等により参画した市民からは,他の活動との交流やつながりもできてよかった,また参加したいといった声が数多く寄せられるなど,平和文化を市民社会に根づかせていく上で,今後につながる成果を残すことができたのではないかと評価をしております。  次に,今後の平和文化月間の取組について,どのような展開を考えているのかについてです。  今年7月に策定した平和首長会議の行動指針において,平和文化の振興を新たな目標の一つとし,その具体的な取組として平和文化月間を定めるなどして,多様な啓発イベントを開催する取組を,8,000を超える加盟都市と共に展開していくこととしています。  こうしたことから,本市は会長都市として,今年度から平和文化月間の取組を実践し,その内容を全加盟都市にニューズレター等で紹介したところであり,本市の取組を成功事例として世界中の加盟都市に示すことで,平和文化月間の取組を波及させていきたいと考えています。  そのためにも,本市の取組はより一層充実させていく必要があると考えており,来年度からは広島広域都市圏内の市町にも取組の輪を広げ,圏内での市民の参加と相互交流を促すなど,平和文化月間の取組のさらなる充実・拡大を図っていきたいと考えています。  二点目として,NPT再検討会議が来年1月に開催されることが決定したが,市としてどのような活動を行う予定かについてです。  議員御指摘のとおり,前回の2015年NPT再検討会議では,最終文書の採択に至らなかったため,来月開催される再検討会議では,ぜひとも締約国が建設的な議論を展開することにより,核軍縮の実質的な進展に向けた合意文書を採択するよう,期待しています。  そのため,先月,松井市長は田上長崎市長と共に岸田首相と面会し,被爆者の願いを受け止め,核軍縮を確実に進展させるために,日本政府が核保有国と非核保有国の橋渡し役をしっかりと果たしていただくよう要請をしました。  全締約国政府に対しては,今月中に平和首長会議として公開書簡を発出することにより,NPT第6条に規定されている核軍縮のための誠実交渉義務を遂行し,具体的な成果を上げるための議論を行うよう求めたいと考えております。  さらに,同会議の会期中には,国連内部で会議参加者や国連関係者に,被爆の実相について理解を深めてもらうための平和首長会議原爆ポスター展を開催する予定です。  また,現時点で,市民社会はオンラインでの参加とされており,発言の方法は発表されていませんが,被爆地の市長として,また,世界の8,000を超える都市で構成される平和首長会議の会長として,一日も早い核兵器のない平和な世界の実現を願うヒロシマの心を発信する場を確保したいと考えています。  三点目として,旧陸軍被服支廠の保存・活用について,改めて本市の考えを聞きたいについてです。  旧陸軍被服支廠は,多くの被爆者が避難し,救護所となった原爆被害の凄惨さを伝える被爆建物として重要であることに加え,戦前の軍都としての歴史を伝える建物としても重要な存在です。また,被服支廠は日本における初期の鉄筋コンクリート造の建築物として,学術的な価値も有しています。  旧陸軍被服支廠は,このように多面的な要素を持っていることから,その保存・活用については,建物が持つ特性を踏まえつつ,被爆者をはじめ多くの関係者の意見を聞き,納得性が高められるよう,県・市が連携して丁寧に議論を進めていくことが重要であると考えています。その上で,本市としては,検討結果を基にした活用がなされ,将来世代に引き継がれていくよう,取り組みたいと考えています。  最後に,旧陸軍被服支廠の保存・活用に向けた検討についての現状と,市は費用負担を含めどう関わっていくのかについてです。  先月,広島県において,重要文化財の指定に向けた取組として,建物の安全対策や建築物の価値調査を目的とした専門家会議や様々な活用方法について意見交換を行う検討組織を設置し,令和4年度末の取りまとめに向けて検討が始まったところです。今後,それらの検討を踏まえた上で,国・県・市で構成する旧陸軍被服支廠の保存・継承に係る研究会において議論していくものと考えており,本市としては,これまでの被爆建物についてのノウハウや経験を生かし,同研究会での利活用策の議論に積極的に参加することとしています。  本市としては,その検討結果を基にした活用がなされ,将来世代に引き継がれるように取り組むための費用負担について考えたいと思います。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  子宮頸がん予防ワクチンの定期接種について,三点の御質問にお答えいたします。
     初めに,HPVワクチンの定期接種対象者への情報提供について,本市の取組内容はどうだったのか,また,その取組によって接種率等の状況がそれ以前と比較してどのように変わったのかについてです。  本市では,国の勧告に基づき,平成25年6月以降,HPVワクチンの積極的な接種勧奨を差し控えているところですが,この間にも接種するワクチンの種類やスケジュール,有効性や安全性などについて十分な情報を提供する必要があることから,本市のホームページにおいて国のリーフレットを紹介するほか,HPVワクチンの副反応に関する医学会の情報を掲載するなど,情報提供に努めております。  こうした中,昨年6月の定例会における並川議員からの御提案を受けて,昨年度から定期接種を受けることができる最後の年齢となる高校1年生相当の女子に対して,HPVワクチンの接種を検討・判断するために必要な最新情報が掲載されている国のリーフレットなどを個別に送付しているところです。  こうした取組によりまして,高校1年生に相当する年齢の女子のうち,HPVワクチンの接種を完了した方の割合は,平成31年度は5,529人中96人,率にして1.7%でしたが,令和2年度では5,439人中699人,率にして12.9%となり,接種を完了した方の割合は11.2ポイント増加をいたしました。  次に,HPVワクチンに関する国の積極的勧奨再開の決定を受け,今後本市として,ワクチン接種対象者に対しての情報提供や市民への周知についてどのように進めていくのかについてです。  国は,本年11月に,自治体に発出した通知におきまして,令和4年4月からHPVワクチンの接種対象者や,その保護者への接種勧奨を個別通知により行うよう示しており,本市としては,HPVワクチンの供給状況を踏まえつつ,対象者に順次通知をしたいと考えております。  また,HPVワクチンの積極的勧奨の再開に関する情報につきましては,市のホームページや広報紙,SNS等を活用し,周知を図ってまいります。  最後に,HPVワクチンの接種の機会を逃した対象者に対して,郵便等の通知による丁寧な情報提供や接種機会の確保など,配慮ある対応が大切になると考えるが,市としての見解はどうかについてです。  積極的な接種勧奨の差し控えにより,HPVワクチンの接種機会を逃した対象者が存在いたします平成9年4月2日から平成18年4月1日までに生まれた女子への対応につきましては,現在,国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会におきまして,対象者の範囲や接種機会の提供方法などが議論されているところであり,今後,国の方針が決まり次第,本市における具体的な対応を検討してまいります。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      経済観光局長。 ◎津村浩 経済観光局長    協同労働の推進について,三点の御質問にお答えいたします。  まず,現在,協同労働の仕組みを活用した団体はどのくらいあり,どのような活動を行っているのかについてです。  本市では,全国に先駆け,平成26年度から協同労働モデル事業を実施し,協同労働の仕組みを活用して事業を行おうとする地域中核人材の発掘や育成から起業の支援,起業後のフォローアップまでの伴走型支援を行ってまいりました。これまでに26団体が立ち上がり,これらの団体の合計約300人の市民が協同労働の仕組みを活用して,庭木の剪定や買物代行などの困り事支援,高齢者のためのサロンの運営や新型コロナウイルスワクチン接種のための送迎サービス,里山での交流イベントの実施,耕作放棄地を活用した農作物の生産・販売など,多岐にわたる地域課題を解決するための活動を行っています。  次に,協同労働の担当課だけでなく,全庁的に市内部においても制度の理解を深め,連携して取り組む必要があると思うがどうかについてです。  議員御指摘のとおり,協同労働の推進を図る上で,直接の担当部局に限らず,広くまちづくりや福祉などに関係する部局の職員が協同労働について理解を深め,連携して取り組むことが非常に重要であると考えています。そのため,協同労働団体の事例発表会に区役所等の関係課にも参加してもらうなど,これまでも行っている取組を広げていくとともに,広く職員を対象として協同労働の制度や意義などに関する研修を実施したいと考えています。さらに,様々な地域課題への対応を担っている職員と協同労働の活用について議論する機会を増やし,関係部局が横の連携を図りながら,本市のまちづくりの様々な分野で協同労働の仕組みが活用されるようにしていきたいと考えています。  次に,本市では,協同労働を推進するため,今後どのように取り組もうと考えているかについてです。  本市における協同労働を推進するため,今後は,これまでのモデル事業の成果と課題を検証しつつ,議員から御紹介のあった労働者協同組合法が令和2年12月に成立し,令和4年10月1日施行という流れの中で,その追い風を生かして,協同労働を地域に広く根づかせるための取組をさらに強化していきたいと考えています。そのために,まずは,先行する好事例の紹介などにより,地区社会福祉協議会や町内会・自治会などの地域団体への啓発活動を強化し,協同労働が,地域住民の生活支援や中山間地の集落の再生など,様々な地域課題を解決するための有効な手段となり得ることの周知を図ってまいります。また,協同労働団体が活動の担い手を増やし,安定的・持続的に運営できるよう,これまで市が支援対象とする団体の要件としていた構成員の半数以上が60歳以上であることという年齢要件を来年度から撤廃するよう考えています。  さらに,行政だけでなく,多様な主体が協同労働団体の立ち上げ支援に関わり,より多くの団体が立ち上がっていくようにするため,既存の協同労働団体がこれから団体を立ち上げようとする方々に自らの経験やノウハウを基にした助言を行ってもらうよう,マッチングの仕組みづくりを行います。また,高齢者の就業や地域社会への貢献を支援しているシルバー人材センターと連携して,協同労働団体の立ち上げや運営を支援する体制づくりを進めていきたいと考えており,現在,同センターの会員及び職員に対して,協同労働について周知を図るなどの取組を行っているところです。今後,同センターとの連携をより一層強化しつつ,支援体制の在り方や体制づくりの進め方について検討してまいります。  こうした取組を進めることにより,協同労働に対する市民の理解を深めるとともに,地域が抱える様々な課題を解決するための手段として,協同労働の仕組みを活用しやすい環境を整えることで,協同労働の実践を市域全体に広げ,皆が互いに支え合う持続可能な活力ある地域社会の実現につなげていきたいと考えています。  続きまして,農業の振興についてのうち,まず,農業の担い手の育成・確保について,今後,扱う品目や就農の形態など,就農希望者の志向する農業を実現するための支援が必要ではないかと考えるがどうかの御質問にお答えいたします。  本市では,農業従事者の高齢化と担い手の減少が進行する中で,ひろしま活力農業経営者育成事業により,コマツナを中心とした葉物野菜生産による若い活力ある新規就農者の育成・確保に努めているところです。こうした中,本市においても就農希望者の栽培したい品目や就農形態などが多様化してきており,専業でのブドウの栽培や本業を持ちながらのサツマイモの栽培など,市民から就農に関する多様な相談が寄せられております。今後,本市農業の担い手を増やすためには,議員御指摘のとおり,こうした多様化する就農ニーズに対応していく必要があると考えています。このため,今後は,例えばブドウやイチゴ,サツマイモやキュウリなどを栽培する農家での研修を新設したり,平日に仕事をされている方向けに土曜日に研修を実施するなど,就農希望者のニーズにマッチした栽培研修を提供することにより,多様な担い手の育成・確保に取り組んでいきたいと考えています。  最後に,農福連携の取組について,本市における取組の現状はどうか,また,今後どのように進めていくのかの御質問にお答えします。  本市では,農福連携は,農業の多様な担い手の確保につながるとともに,障害者の農業分野での活躍を通じて,社会参画の実現につながる有効な方策の一つであるとの考え方の下,その取組を進めていくこととしています。これに当たって,認定農業者及び認定新規就農者における障害者雇用等の現状を把握するため,今年11月にアンケート調査を実施いたしました。その結果,障害者の雇用や障害者就労施設への農作業の委託について,既に行っているとの回答が5%,興味があるとの回答が18%,興味がない,どちらとも言えないとの回答が77%という結果でした。また,興味がない,どちらとも言えないと回答した理由として,コミュニケーションへの不安や障害者雇用に関する知識の不足などが挙がっておりました。こうしたことを踏まえ,引き続き関係部局と連携しつつ,今後,農業者に対して障害者の雇用や障害者就労施設への農作業委託に関心を持ってもらうために,既にこれらを行っている農業者の視察を実施いたします。また,農作業の受託が可能な障害者就労施設を農業者に紹介するなど,双方のニーズをきめ細やかにお聞きしながら,マッチングを進めていきたいと考えております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      碓氷芳雄議員。 ◆14番(碓氷芳雄議員) 御答弁ありがとうございました。  まず,中央図書館について,ちょっと一点お伺いしたいと思います。  現時点で私はどちらの意見がいいとか悪いとか言える状況にはないんですけれども,今朝のラジオ番組の中でもこの中央図書館の移転のことが話題となっておりました。質問の中でも触れましたけれども,移転を評価する声と,それから,移転に反対をする声,両方が私どものところにも届いてまいります。反対される方の意見の中には,やはり現中央図書館の緑に囲まれた静かな立地環境を失いたくないという思いが非常に強いように受け止めております。ある方から会派のほうにお手紙を頂きました。その方,毎週のようにこの中央図書館を利用しているという65歳の女性の方なんですけれども,この方は,現在の図書館に通う時間は私にとってはかけがえのない癒やしの時間だと,緑に囲まれた公園の小道を,美術館の前を通り,木漏れ日や小鳥のさえずりを味わい,新緑や紅葉を眺めて,図書館へと通う道と,その静かで豊かな小道から既に図書館は始まっている,館内に入っても窓からは周りの樹木が見え,眺めは美しく,心を落ち着かせてくれる,都心にありながら,驚くほど静かな森のような空間となっています,現在の図書館はこの場所になじみ,市民から親しまれ,愛されているのではないかと考えている,中央公園内での移転をぜひ考えてほしいといったような内容のお手紙を頂いております。先ほども言いましたとおり,移転を評価する声,また,ぜひ残してほしいという,それぞれの意見があると思うんですけれども,今お手紙にいただいたような立地環境を失いたくないといった意見に対する答えがいま一つ明確ではないのではないかなと思います。そういった方の思いに対して,どのようにお答えになりますでしょうか。  それと,市としては,積極的にこのエールエールA館への移転がよいと考えていらっしゃるのか。それとも,できれば現地の建て替えがいいんだけれども,先ほど御説明をいただいたような,現地での建て替えということになるといろんな課題があることを踏まえて検討した結果,やむなくエールエールA館を移転先に選んだというお考えなのか。ちょっとそこのところもお答えいただければ参考にさせていただきたいと思います。  また,旧陸軍被服支廠につきましては,これまで我が党も全棟保存に向けていろいろ活動してまいりましたので,非常にいい方針が示されたと考えております。今後,将来世代にいかに引き継いでいくか,また,その被服支廠の価値を最大にどう高めていくのか,生かしていくのかということが大事になってくると思いますので,引き続きよろしくお願いいたします。  それから,子宮頸がん予防ワクチンにつきまして,国の通知を踏まえて,本市としても対象者に順次通知をしていく,また,接種機会を逃した対象者に対しては,今後国の方針が決まり次第,検討していくという御答弁でしたけれども,今後の適切な,また,迅速な対応をお願いしておきたいと思います。  それから,協同労働につきまして,私の元にもこの協同労働の制度を利用した活動・取組を進めたいという御相談を幾つかいただいております。市民の関心も高まってきているのではないかというふうに実感をしております。安佐南区の毘沙門台に,びしゃもん台絆くらぶという先進的な取組をされている団体がございますけれども,そこの皆さんは,各地に出向いていかれて,立ち上げをしようと考えていらっしゃるところへのいろんなアドバイス等もされて,この8月には三次市まで足を運んでいろんな御相談に乗られているといったような活動もされておりました。こういう市民の中で先進事例に学んで制度を取り入れていこうという機運が今高まりつつあると思いますので,今後とも市民への周知,また,環境整備等にしっかり取り組んでいただきたいと,これも要望させていただきたいと思います。  それでは,よろしくお願いいたします。 ○若林新三 副議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      まず,図書館についてですけれども,図書館をとても愛しておられる方からの御意見を披露していただきまして,本当にありがたいと思います。  中央図書館は,一つ課題がございまして,実はここ10年で利用者の減少率が非常に高くなっています。10年前と比較しますと,10年前は50万人だったものが,コロナ前の平成30年で40万人と,10万人,20%の減少になっています。これをほかの区役所の図書館と比べてみますと,各区の図書館は約10%の減少になっていまして,中央図書館だけが突出して減少率が高い事実がございます。全体がなべて減少しているのであれば,インターネットの普及ですとか,電子図書の普及ですとか,そういったことがもちろん原因なんですけれども,中央図書館に限って言えば,明確な理由ははっきり分かっていませんけれども,やっぱり外から見えにくいということで,気軽に立ち寄る施設になっていないのではないかというふうにも我々の中では考えております。ですから,今後,新たな図書館を考えていく上では,市民の皆さんが例えば買物なり通学なり,途中で気軽に立ち寄れる,そういった気軽な施設にするということも一つ大切な視点なのかなということで考えております。それに併せまして,先ほど市長が御答弁申し上げましたように,現地建て替えについては,もちろん現地建て替えをすることは選択肢の一つにございまして,それはもう平成20年代終わり頃から,雨漏り,水漏れがあった時点から現地建て替えも含めてずっと内部では検討してまいりまして,このたび,中央図書館の全体の在り方の中で,現地建て替えというよりも移転という方向性が打ち出されたわけですけれども,その現地建て替えについては,先ほど市長が御答弁したように,各図書館への集配等もあって,閉館すると市民サービスの低下につながる,そういう中央図書館が有している機能を停止せざるを得なくなるということで,今回は,そういったことを回避するためも含めまして,現在地ではなく,広島駅周辺に移転すると,こういった選択をしたものでございます。仮に中央図書館,エールエールA館なり,広島駅周辺に移転することが実現できれば,いろんな公共交通機関利用者も含めまして,気軽に立ち寄れる,多くの方が利用される施設になるものと考えております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      14番碓氷議員。 ◆14番(碓氷芳雄議員) そういった思いをまず酌み取っていただいて,結論ありきといったような印象がそういった方々に伝わっていかないように,丁寧なといいますか,そういう説明が重要になってくるんではないかなというふうに思っております。  今定例会におきまして,総務委員会で追加議題としてこの件についてまた話があるということもお聞きをしておりますので,そこでもしっかり議論しながら,そういう現地に残してほしいと言われる方の思いも酌み取った上で,だけれども,広島市としてはこういう形がいいんだということが十分やっぱり伝わっていくような努力をお願いしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 ○若林新三 副議長      次に,22番伊藤昭善議員。                〔22番伊藤昭善議員登壇〕(拍手) ◆22番(伊藤昭善議員) 市政改革ネットワークの伊藤昭善でございます。これより一般質問をさせていただきます。会派を代表して一般質問をいたしますが,久方ぶりの登場により,少し緊張ぎみでございます。しばらくの間,御清聴よろしくお願いいたします。  まず最初に,ご遺族手続支援コーナーについてお尋ねいたします。  この件に関しては,令和元年9月議会の一般質問で,死後の行政手続についてお尋ねいたしました。当時の及川企画総務局長の御答弁は,高齢化の進展により,家族形態の変化を考慮,御遺族の負担軽減を図る必要があると認識しており,どんな対応が可能か検討するとのことでした。また,同年12月定例会で,公明党の渡辺議員が死亡時のワンストップサービスについて御質問され,同じような御答弁であったと記憶しています。  結果として,本年,令和3年1月26日から各区役所にご遺族手続支援コーナーとして専用窓口を開設され,およそ1年を迎えますが,新しいコーナーの周知はどのように行ってきたのか,お答えください。また,この間の利用状況についても教えてください。できれば,利用者の御感想等も含めて,反応をどう感じているのかもお答えください。僅かこの1年間のデータしか取れていないと思いますが,何か課題となるものが見つかったのか,なかったのか。いずれにしても,今後,この支援コーナーの利用者を増やすというか,このコーナーの存在そのものを市民に周知するためにはどのようにしていこうと考えておられるのか,お答えください。  次に,中央図書館の移転についてお伺いいたします。先ほどの碓氷議員の質問とかぶる点もありますが,一応私なりにお尋ねをいたします。  11月18日の都市活性化対策特別委員会の中で,初めて中央図書館の移転計画が具体的に示されたと聞いています。委員の質問に対する答弁では,本市の外郭団体である広島駅南口開発から移転要請が出ているとのこと。いろいろな質問に対し,相乗効果が期待できる移転先の条件を検討したところ,最適と判断したなどの答弁をしておられます。この御答弁の根拠となっている点や詳細等については,後ほどお尋ねするとして,まず,確認させていただきます。  本市では,中央公園内にある中央図書館,映像文化ライブラリー,こども図書館,こども文化科学館,ファミリープール,青少年センターの6施設は,築後40年から五十数年にわたる建物もあり,老朽化が進んでいるため,令和2年の3月に策定された中央公園の今後の活用に係る基本方針において,中長期的な取組として建て替えの検討を進めることにしていたと思います。それは,サッカースタジアムの建設計画と並行して議論をしてきたと思います。私の記憶に間違いがあれば御指摘ください。その上に,友好都市の中国庭園渝華園の移転も含まれたこと,聞くところによれば,この施設は一旦撤去し,現図書館の北側に再建する予定とお聞きしております。  ところで,老朽化した6施設の移転・建て替えについては,もともと中央公園内にて建て替える議論が進んでいたと記憶しています。特に中央図書館については,映像文化ライブラリーとともに,中央公園内への集約・多機能化を検討することとされていました。それがなぜ今回,中央公園外に移転することになったのか,その経緯と現在の状況について教えてください。百歩譲って,中央図書館を他に移転するとして,利用者のメリット・デメリットなどについて検証はしてみられましたか。また,相乗効果や先方の条件なども含めて,最適とした理由,できれば検討された移転先の条件を具体的にお答えください。  私も知人などに聞き取りをしてみました。例えば移転先の場所だけを考えれば,交通の便などを最優先考慮して,駅前がよいと思う人,図書館という点を重要視すれば,少しでも自然環境の整ったところがよいので,現在地の緑がある場所に建て替えを望む声など,賛否両論ありました。しかし,大切な税金を投入するわけですから,利用する人々の利便性と併せ,長期的な費用対効果を積算し,一般市民にも分かるように開示してほしいとの声が多かったので,本市のお考えを教えてください。  また,最後に,なぜ急に駅前商業ビル──エールエールA館への移転要請が出てきたのか,その経緯についてもお答えください。  次に,犯罪被害者等支援条例の制定についてお尋ねをいたします。  平成16年第161回国会において,犯罪被害者等基本法が制定されて以来,政令指定都市をはじめ,次々に制定されています。他自治体においても,犯罪被害者等支援の条例を含めた必要性については認識し,議論されています。我が広島市議会では,平成30年6月議会で定野議員が初めて犯罪被害に焦点を当て,その必要性に言及しています。そのときの答弁では,国の動向を注視しながら研究するにとどまっていました。この質問の1年半後,令和2年2月議会で沖宗議員がこの条例の必要性を強く指摘し,国に丸投げをせず,本市の被害者支援に踏み出し,情熱を示せと再びその必要性に言及しておられます。しかし,当時の答弁では,国の犯罪被害者等給付金は支給までに時間がかかり,自治体の見舞金は,その間の生活支援の役割を果たしている実態を見ると,本市でも経済的支援制度の導入を図る必要性があると受け止めている,一方で,犯罪被害者等の支援については,既に大部分は取り組んでいることから,改めて体系的に条例制定まで必要か否かの整理が必要であると考えている,さらに,政令指定都市の中で,地域性にかかわらず,犯罪被害者等の権利・利益を確保していくためには,全国的に斉一性の確保が必要で,国に対し,市町村への財源措置等を要望すべきではないかという動きもあることから,こうした状況を注視しながら,引き続き条例制定も含めた犯罪被害者等支援について研究してまいりますと答えておられます。条例制定に対しては,積極性に欠けるものでした。ところが,4か月後の6月議会において,山路議員への答弁では,社会全体で犯罪被害者等支援に取り組むために,条例の制定を視野に入れながら,機運醸成を図ると前向きな答弁に変化がありました。  そこで,お尋ねいたします。早く制定すれば,それだけ市民への貢献になると思われるのですが,今回,4か月という短い間の急な展開で条例制定の動きとなった理由は何でしょうか。何があってそうなったのか,お答えください。  ちなみに,この条例は,政令指定都市20都市のうち9市,そのうち札幌市については,犯罪のない安全で安心なまちづくり等に関する条例で定められておりますが,給付等については一番充実した内容になっています。また,県内23市町では,8市町が既に制定済みとなっています。広島県も同様に,この犯罪被害者等支援条例を制定予定で,素案が提出されています。県の条例案と比較して,重複していない部分,つまり本市独自の案として提出されている部分はどこかをお答えください。  広島市において,この条例づくりのプロセスは,今年の6月30日に初めて第1回の広島市安全なまちづくり推進協議会が書面開催され,その中に条例制定懇話会として有識者から意見聴取する仕組みになっています。この制定懇話会は,7月5日,8月31日,10月19日に書面開催を含み3回開催され,10月26日には,第2回広島市安全なまちづくり推進協議会を開催され,この条例の骨子と概要が説明されています。超スピードでの会議運営で,しかも,コロナ禍の影響とはいえ,書面開催では十分な議論がなされたのか,疑問が残ります。条例骨子案の中にも示されていることですが,犯罪被害者について,有識者等から当該政策に関する意見・要望を聴取し,意見を反映するように書かれています。当事者をはじめ,現場で被害者支援をしている実践者から直接ヒアリングをすることは重要であると考えます。特に,性被害ワンストップセンターなどにはヒアリングをされたのか,しなかったとしたら,なぜしなかったのか,お答えください。  犯罪被害者は,どのような被害でも心身ともに抱えるダメージが深いものです。また,その回復のためには,経済的負担の軽減なども一つの柱で,見舞金をはじめ,その他の支援を行うものとしているが,その他の支援とはどのようなものが想定されているのか,お答えください。  次に,精神的被害からの回復もその後の人生に大きく関わるものです。例えば警察に性被害の被害届を提出すると無料でカウンセリングを受けることができます。しかし,内閣府の男女共同参画の調査によると,性被害の場合,警察に足を運ぶのは僅か3.7%にとどまっている実態があります。それだけ心理的なハードルが高いものです。県では,警察に被害届を提出しなくても,性被害のカウンセリング費用は1回のみが無料で,あとは自己負担となっています。カウンセリングの費用負担の助成は必要だと思いますが,いかがお考えでしょうか。ちなみに,広島市には精神障害者通院医療費補助制度がありますが,これは,精神科の医師の診断の下に精神病領域の内服治療中心の助成ができる制度です。カウンセリングに特化したものではありません。  最後に,本年4月1日から広島市犯罪被害者等見舞金制度が開始されています。この見舞金は,遺族見舞金30万円,重傷病見舞金10万円となっています。要綱では,警察に被害届を出し,受理された者が対象になっています。刑事事件にしなくても,性被害は民事事件として取り上げる事例も増えており,見直しが必要と考えますが,本市の御見解をお聞きいたします。  次に,新安佐市民病院の開院についてお尋ねをいたします。  新しい病院は,延伸された可部線終点駅──あき亀山駅にほぼ直結した位置に建設が進んでおり,外見からうかがうと,病院の建物はほぼ完成しているように見えます。最近の報道によれば,建物はほぼ完成し,予定どおり来年5月1日の開院に間に合いそうだとのことです。  そこで,お尋ねいたします。病院の建物工事の進捗状況や新しい医療機器の導入など,開院に向けたスケジュールをお答えください。  それから,5月1日の開院に間に合うとして,新安佐市民病院は高度で先進的な医療機能を持つ急性期医療病院として,また,緊急時の救急センターも開設,災害時等には緊急避難施設としても活用することになっています。  そこで,お尋ねいたします。現在の安佐市民病院に入院をしている患者の移送についてはどのようにされるのか,また,通院等されている患者にはどのように対処されるのか,お答えください。  新病院は,急性期医療を目的に建設されており,術後などの長期間の入院には基本的に対応しないことになっています。残される病院は,安佐医師会病院として生まれ変わるわけですが,新安佐市民病院への移転が終われば,現在の安佐市民病院は北館を残すことになっており,そのほかは取壊しの工事が始まります。安佐医師会病院の開院はいつ頃になるのか,それまでの間,安佐市民病院を受診していた患者たちはどうなるのか,お答えください。  また,新病院建設に当たっては,島根県の一部を支える県北西部地域等の拠点病院としての使命を果たすことも重要です。市長は,新病院の開院時期に間に合うように各方面からのアクセス道路等の新設・拡幅工事等,整備すると地域の人に対し約束をしておられます。これらの周辺道路整備の見通しはどのようになっていますか,お答えください。  さらに,安佐北区内旧4町,特に白木町,安佐町,高陽町方面から乗り入れるバス路線についてお伺いいたします。当初は,病院へ直接乗り入れる専用バス便を走らせるなどの約束もあったかと記憶しています。安佐北区は特に高齢者の方が多い地域です。新病院へのアクセスは自家用車より,むしろバス路線の改善が絶対不可欠です。その後,バス事業者や地元との調整はどうなっていますか。私の知る範囲での地域関係者の間でも大変関心が高く,期待されています。今現在の状況について御報告と,新病院の開院時には運行開始が間に合うのかどうかもお答えください。  最後に,新安佐市民病院の移転時期に併せて,医師や看護師の住居についてはどのようになっていますか,取組についてお答えください。  以上で私の一般質問を終わります。御答弁によっては再質問をさせていただきますので,よろしくお願いいたします。 ○若林新三 副議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       伊藤議員からの御質問にお答えします。  新安佐市民病院の開院についてのうち,建物工事の進捗状況や開院に向けたスケジュール,入院患者等への対応についての御質問がございました。  安佐市民病院の建て替えに当たっては,地域住民の思いに真摯に向き合いながら,安佐北区のまちづくりに資するため,高度・急性期医療機能,災害拠点病院及び僻地医療拠点病院としての機能を備えた北部医療センター・安佐市民病院を荒下地区に整備し,日常的に高齢者などの地域住民が受診できる医療機能を備えた病院を現在の北館に整備するという機能分化の考え方により整備を進めているところであります。このうち,北部医療センター・安佐市民病院については,今月末に竣工し,市立病院機構の完了検査を経て,来年1月中旬までに市立病院機構へ引き渡される予定となっており,その後,5月1日の開院までの間に新しい病院での運営が円滑に開始できるよう準備を進めることにしております。  開院までの準備について少し具体的に申し上げますと,医療機器については,新しく購入する機器がありますので,その設置に要する工事期間を考慮した上で計画的に搬入することにしております。また,病院運営については,受付から清算までの患者の動線を確認するとともに,診療を円滑に行うことができるよう,各診療部門ごとに患者の受入れや診療などのリハーサルを繰り返し行うなどし,病院全体でリハーサルを行うことにしております。さらに,入院されている患者については,開院日の午前中に移送することを想定し,送り出しや受入れを円滑に行うためのリハーサルを行うとともに,移送する当日には医師や看護師が救急車等に同乗し,患者の急な容態の変化に対応できる体制を確保することにしております。また,通院されている患者については,次の診療予約日が新病院開院後になる場合には,新病院の場所を案内するチラシを個別に配るなどの対応を行うことにしております。引き続き市立病院機構と連携を図りながら,開院に向けた準備を着実に進めてまいります。  その他の御質問については,関係局長からお答えいたします。 ○若林新三 副議長      保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  新安佐市民病院の開院につきまして,二点の御質問にお答えいたします。  初めに,安佐医師会病院の開院はいつ頃になるのか,また,それまでの間,安佐市民病院を受診していた患者はどうなるのかについてです。  安佐医師会病院は,来年11月末までに現在の安佐市民病院北館の改修工事を終えた後,医療機器の設置や,患者の受入れや診療などのリハーサルを経て,12月末に開院をする予定です。また,北部医療センター・安佐市民病院が開院する来年5月1日から,安佐医師会病院の開院予定である12月末までの間に,安佐市民病院において急性期の治療を終えた患者につきましては,他の市立病院や地域の医療機関に受け入れてもらうなどの協力を要請すると聞いております。  次に,医師や看護師などの住居についてはどうなっているのかについてです。  北部医療センター・安佐市民病院に勤務する医師や看護師等の職員住宅につきましては,病院の近隣に民間事業者が整備する建物を市立病院機構が借り上げ,来年4月までに入居できる予定と聞いております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      道路交通局長。 ◎加藤浩明 道路交通局長   新安佐市民病院の開院について,二点の御質問にお答えいたします。  まず,新安佐市民病院開院時における周辺の道路整備の見通しについてです。  新安佐市民病院への東側からのアクセス道路となる県道宇津可部線は,国道183号の可部中央交差点から病院までの延長約1.4キロメートルにおいて,両側に歩道を設置する拡幅整備を進めています。次に,北側のアクセス道路となる国道191号から県道宇津可部線までは,幅員の狭隘な箇所の拡幅整備を行うとともに,国道の福原団地入口交差点に右折車線を設置する予定です。南側のアクセス道路となる太田川堤防道路は,国道54号から病院までの延長約780メートルの区間において,片側に歩道を設置する拡幅整備を進めているところであり,約530メートルの区間は整備が完了しますが,残る区間は,堤防下の民有地への乗り入れ形態などについて,地権者との協議が調っていないため,引き続き協議を進めます。最後に,西側からのアクセス道路となる県道宇津可部線は,荒下バス停付近から太田川漁業協同組合付近までの間において,片側に歩道を設置する拡幅整備を進めておりますが,一部土地所有者の所在が確認できないなど,用地取得に日時を要している場所もあります。いずれの方面からのアクセス道路についても,病院開院時には,歩道の整備などで一部完成しない部分がありますが,少なくとも車両の通行には支障が生じないよう取り組んでいるところでございます。  次に,新安佐市民病院へ乗り入れるバス路線について,事業者,地元との調整状況はどうか,新病院の開院時に運行開始は間に合うのかについてです。  本市や近隣市町の各方面から新病院へのアクセスを確保するため,可部地区中心部を循環し新病院とを結ぶ路線,高陽地区と新病院とを結ぶ路線,安佐地区と新病院とを結ぶ路線の3路線を新設するとともに,弘億線など既存の7路線を新病院経由に変更する予定としています。これらの路線については,地域の皆様の意見を聞きながら,運行ルート,バス停位置,運行ダイヤなどについて,バス事業者や関係機関と調整し,去る11月25日に安佐北区連合町内会・自治会連絡協議会の代表者の方々へ素案を御説明させていただいたところです。今後は,素案に対する意見を踏まえた上で,年内を目途に案を取りまとめ,バス事業者に伝えることとしています。バス事業者はこの案を基本として,来年1月末までにバス路線の新設並びに変更に係る認可申請を行い,来年5月の新病院の開院に合わせ,運行を開始する予定です。また,本市は,バス事業者と連携し,新たなバス停の設置や運行計画に関する広報などの準備を進めてまいります。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  ご遺族手続支援コーナーについての御質問がございました。  支援コーナーの周知はどのように行ってきたのか,その利用状況はどうか,利用者の反応をどう感じているのか,また,何か課題になるものが見つかったのか,今後どのようにしていこうと考えているのかについてです。  本年1月に開設したご遺族手続支援コーナーの周知は,本市のホームページに掲載しているほか,通常,葬祭業者が死亡届を行うことから,その際に,コーナーを案内するチラシを業者へお渡しするとともに,御遺族からの窓口や電話での問合せには積極的にコーナーの御利用を案内しております。この手続支援コーナーの利用状況は,開設から10月末現在で死亡件数8,256件のうち,利用件数は1,688件であり,利用率は20.4%となっております。利用者の反応は,本年2月に行ったアンケート調査によりますと,回答を得た194人のうち,172人が満足,16人がやや満足と回答されており,両者を合わせると96.9%の方からよい評価をいただきました。具体には,1か所でほぼ完結するので,とても助かった,年金,銀行など,区役所の手続以外に必要なものも説明していただき,二度手間にならずに済んだ,市民サービスとして継続してほしいといった感想をいただいており,この取組が市民サービスの向上につながっているものと受け止めております。一方で,この手続支援コーナーは,開設して1年を経過しておらず,市民への周知が十分とは言えないことが課題であると認識しており,今後,葬祭業者が死亡届を提出する際,御遺族の方へコーナーの利便性を十分に伝えてもらうよう働きかけるなど,引き続き周知に努め,利用促進を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      中央図書館の移転についてのうち,二点の御質問にお答えします。  まず,利用者のメリットとデメリットを検証したのかについてです。
     中央図書館が広島駅周辺に移転することで,現在利用されている方の中には,図書館までの距離が今までより遠くなる方もおられると思います。広島駅という交通結節点に移転することで,広島広域都市圏からの利用者を含め,より多くの方々が利用しやすい施設になるものと考えております。また,これまでこども文化科学館とこども図書館が合築であったことから,こども文化科学館の利用者もこども図書館を利用しやすい面がありました。一方,こども図書館の利用者からは,親子で一緒に本を楽しめないといった意見があり,このたび,図書館本来の機能を向上する観点から,中央図書館と機能を集約することとしたものです。こども文化科学館へは,こども図書館移転後においても,子供が読書を楽しめる図書コーナーを設け,引き続き子供たちが読書を楽しめる空間を設けることとしています。中央図書館をエールエールA館に移転し,再整備することにより,再整備期間中に図書館を閉鎖することなく利用することができ,再整備後は,耐震性のある建物で安心して読書ができるようになり,よりバリアフリーにも配慮した施設となります。また,閲覧スペースを広げることができることから,より快適に読書できるスペースや飲物を飲みながらリラックスして読書できるスペース等を確保することができるなど,利用者にとって利用しやすい図書館になるものと考えています。  次に,中央図書館の移転に伴う長期的な費用対効果を積算してはどうかについてです。  中央図書館等のエールエールA館への再整備に当たっては,内部改修,書架等の家具設置などの整備工事費や床の使用権設定のための費用などが必要となりますが,こうした再整備に要する概算事業費については,現在策定中であり,お示しすることができません。図書館は社会教育施設であり,収益を目的とするものではないという性質上,来館者数や貸出冊数,利用者満足度の増減などの様々な指標で移転の効果を測ることはできますが,要した費用に対する効果を客観的な数値でお示しすることは困難でございます。しかしながら,多額の費用をかけて移転するものであり,広島駅前という立地や三つの施設の集約化のメリットを生かし,幅広い世代がより読書を楽しみ,広島の魅力や平和への思いを学ぶことができる情報拠点とすることで,今まで以上に多くの方に利用され,市民はもとより,来広者も学び,憩うことができる図書館にしていきたいと考えております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      都市整備局長。 ◎中村純 都市整備局長    中央図書館の移転についての三点の御質問にお答えを申し上げます。  中央公園の今後の活用に係る基本方針では,中央図書館について,映像文化ライブラリーとともに中央公園内への集約・多機能化を検討するとされていたが,なぜ今回,中央公園外に移転することとなったのか,その経緯と現在の状況についてお答えを申し上げます。  このたび,本市がお示しした中央公園内の公共施設の集約化等の方針については,中央図書館の中央公園外への移転など,令和2年3月に策定をしました中央公園の今後の活用に係る基本方針で示したものとは異なる取扱いをしているものもございます。これは,基本方針策定後の令和2年9月に紙屋町・八丁堀地区と広島駅周辺地区が特定都市再生緊急整備地域に指定され,楕円形の都心づくりの機運がより一層高まる中で,施設の特性や広島広域都市圏からの利用,都心のにぎわいづくりへの貢献等も勘案し,さらに建て替えに伴い,一時的に市民サービスを停止することに支障がないかなど,それぞれの公共施設の個別の状況を掘り下げて検討を行った結果として,そのような取扱いになったものでございます。  中央図書館は,現在,築後47年が経過し,老朽化が著しく,耐震改修も未実施など,早急に再整備する必要があることに加え,閲覧スペースや書庫等も不足するなど,多くの課題を抱えております。こうした課題を解消するため,早急に建て替えを行う必要がありますが,現在地で建て替えるとすると,建て替えの期間中,本市全体の図書館資料の収集・整理や各区図書館等への集配等,中央図書館が有している機能を停止せざるを得なくなります。それだけでなく,閲覧等の市民サービスを継続するためには,別途,臨時の図書館を用意する必要が生じます。こうしたことを回避するために,移転して再整備するものとしたものでございます。再整備に当たっては,現在,中央図書館とは離れた位置にあるこども図書館を一体の施設とすることにより,大人と子供が一緒に利用しやすくなるとともに,隣接している映像文化ライブラリーで所有する貴重なフィルムの保管環境を改善し,アーカイブ機能を強化することとしており,このたびの移転に併せて,中央図書館の機能の大幅な充実・強化を図ることとしたものでございます。  次に,移転する場合の相乗効果や先方の条件などを含めて,最適とした理由,検討された移転先の条件についてお答えを申し上げます。  先ほど碓氷議員に御答弁した内容と重複いたしますけれども,中央図書館等の具体的な移転先の選定に当たっては,利用者の利便性を考慮し,アクセス性,所要スペースの確保の見込み,官民連携の可能性など,移転先として重要な条件を整理し,JR広島駅周辺の範囲内の民間施設について,設定した条件に適合するかの状況調査・確認を行いました。その結果,これらの条件に合致するエールエールA館に移転し,既存の商業施設とは競合しない文化的機能を付与することになれば,JR広島駅を基点とする新たな回遊を生み出し,官民が連携したバランスの取れたまちづくりに資することから,移転先として選定したものでございます。  三点目,なぜ急に駅前商業ビル,エールエールA館への移転要請が出てきたのか,その経緯についてでございます。  エールエールA館を管理運営いたします広島駅南口開発株式会社においては,以前から,令和7年春のJR広島駅新ビルの開業を見据え,エールエールA館のにぎわい創出に向けた検討を進めており,今年度からは,同館内の通路や猿猴川河岸緑地へつながるペデストリアンデッキの整備などのリニューアルに着手するなど,同館のさらなる活性化に取り組んでいると聞いています。こうした中,9月2日の都市活性化対策特別委員会において,本市から,中央図書館等については,集約化を図りつつ,例えば広島駅周辺地区を候補地とし,楕円形の都心づくりや広島広域都市圏等からの広域的な利用にも資するよう検討を行うという方向性についての報告を行ったところです。このことを受け,広島駅南口開発株式会社では,エールエールA館へ中央図書館等が移転することになれば,他のテナントと連携したにぎわい創出に取り組むことでの相乗効果が見込まれるなど,広島駅周辺地区のまちづくりの推進の観点から非常に効果的であると考え,同館のテナントと調整の上,現状における中央図書館等3施設分に相当する床面積の提供が可能であるという提案とともに,同館への移転を望む意思表明として要望書を提出されたものと聞いております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      犯罪被害者等支援条例の制定についての数点の御質問にお答えをいたします。  まず,令和2年2月議会の答弁では,条例制定について研究してまいりますにとどまっているが,令和2年6月議会の答弁では,条例の制定を視野に入れながら,機運醸成を図ると前向きな答弁へと変化があったと。4か月という短い間に何が起こって,方針が変更されたのかについてです。  条例制定に当たっては,その必要性について,本市における状況把握をはじめ,支援施策等を含む他の政令指定都市の状況についての調査・研究を行う必要があります。平成30年6月議会及び令和2年2月議会での答弁は,こうしたことを踏まえて答弁をしたものです。そうした中,令和2年4月に府中町において見舞金制度が導入され,本県23市町のうち10市町の導入となりました。こうしたことから,それまでの調査・研究の成果を踏まえつつ,まずは支援制度を導入し,その後に条例を制定するという手順で進めることとし,令和2年6月議会において,将来の条例制定について言及し,そのための機運醸成にも言及をしたところでございます。  次に,広島県の条例素案と広島市の条例骨子案で,市独自部分はどの部分かについてです。  本市は,広島市犯罪被害者等支援条例(仮称)制定懇話会での意見等を踏まえ,住民に身近な基礎自治体として,犯罪被害者等の日常生活の支援を中心に施策を組み立てており,本市独自の内容として,支援施策の中に経済的負担の軽減として見舞金の支給を明記し,日常生活の支援として家事に対する支援などを盛り込んでいます。  次に,条例を策定するために現場で支援する実践者から直接ヒアリングすることは重要であると思うが,例えば性被害ワンストップセンターひろしまなどにはヒアリングをしたのか,しなかったとしたら,なぜしなかったのかについてです。  条例骨子案を策定するに当たり,性被害に特化した相談機関として県が設置している性被害ワンストップセンターひろしまからのヒアリングは行っていませんが,性犯罪被害を含め,犯罪被害者全般にわたり支援を行っている広島被害者支援センターの犯罪被害相談員や広島県警察本部被害者支援室の被害者支援カウンセラーからヒアリングを行い,被害者支援につながる多くの御意見をお聞きしました。  次に,経済的負担の軽減の中で,見舞金の支給,その他必要な支援とあるが,その他必要な支援とは何かについてです。  経済的負担の軽減として見舞金の支給を行っていますが,今後,社会情勢や犯罪被害者等のニーズの変化により,貸付金等の交付も想定されることから,条文にその他必要な支援と記載しているものです。  次に,性被害者には警察に届けていない者も多く,県の性被害ワンストップセンターの紹介によるカウンセリングの場合,1回目は県が費用を全額助成するが,2回目以降は自己負担となる,カウンセリングの費用助成は不可欠と考えるがどうかについてです。  議員御指摘の助成については,県が運営する性被害ワンストップセンターひろしまの事業として行われているものであり,助成の在り方については,一義的には県において検討されるべきものと考えています。  最後に,犯罪被害者等見舞金支給制度は,警察が被害届を受理したものが対象となっている,性被害は刑事事件としなくても,民事事件として取り上げる事例も増えている,見直しが必要ではないかについてです。  本制度では,警察による被害届の受理など,警察が犯罪被害を認定した場合を申請の要件としています。これは見舞金の支給に当たり,犯罪被害の事実を客観的に確認する必要があるためであり,この要件を見直すことは考えていません。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      22番伊藤昭善議員。 ◆22番(伊藤昭善議員) まず最初に,市長のほうから詳しく安佐市民病院についてのお答えをいろいろいただきました。  新聞報道とか,いろいろに今言われていますが,やはりあと数か月で完成しますので,本当にもう開院間近という空気でございまして,一番心配しているのは,アクセスなんですね。特に,御承知のように安佐北区は東西南北,野を越え,山を越えて,広島市の四十数%という広い地域を占めるものですから,道路の拡幅工事とか,そういうことについて,状況を確認させていただいたわけです。  先ほど御答弁いただきましたように,病院のほうは予定どおり開院されるということですが,やはり一番大事なアクセス道路については,地権者が不明というようなところも出てきているようですから,まず,当初の予定どおり,完成にはまだ月日を要するのかなというように思いますが,ぜひ地域の人が大いに期待をしている病院でございますので,残る北館の安佐医師会が運営する病院も含めて,スムーズな移行ができるように,また,スタートができるように,続けて御努力をいただきたいというように思います。  ご遺族手続支援コーナーですが,これは,ちょっと御答弁の中で,僅か1年未満,9か月分しかデータがないんですが,死亡件数が8,256件のうち1,688件,20.4%とお答えいただいています。この20%が正常なものかどうかというのはよく分からないんですが,アンケートは,窓口開設後,2月ですから,本当は1か月程度のアンケートなんですね。いわゆる期待度も含めての満足度というようにしかちょっと取れないので,できましたら,この1,688件,実際の利用者がいらっしゃるわけですから,実際の利用者ですね,たしか,これ,僅か110件余りでしたかね,アンケートでは。そうでなくて,実際の利用者が1,688件あったという実績から,この人たちへのアンケート,利用されて,このコーナー,どう思われますかという調査はされたのかどうかをお聞かせください。  できれば,まだ1年未満ですから,もう少しの間,こういう利用者の御意見,利用しなかった方の御意見も,できたらもう少し状況分析,それの把握をしていただきたいなというように思います。そういう工夫をすれば,新しい課題も見えてくるのではないかなと思いますので,その点をお願いいたします。  中央図書館ですが,今回あまりにもちょっと唐突に移転の話が出てきたと思わざるを得ないということで,私も質問を出したんですが,順番的に,先に公明党の碓氷議員が質問されておられますし,るる御説明を聞いておりますが,肝腎なのは移転ありきで事情を説明されたように,言い訳とは言いませんが,そういうようにしかどうしても聞き取れないところがありまして,当初の計画では,現在地で建て替えるとすれば,確かに崩さないと現在地では同じものは建てられないわけですから,いろんな不都合が生じると思いますが,それは承知の上で,中央公園内,例えば市民球場跡地に文化の建物を並べるとかいうような話もあったと記憶しているんですが,そういった話と,今回の話で,渡りに船ではないですけど,ちょうどそういう話が出てきたから,こういう案は取りあえずすり替えて,今回こちらに話をすり替えたとかいう説明がないまま,ぱんとエールエールA館に行くという話。しかも,何でかと,こう聞けば,南口開発から要請が出たからだというようにぱっと一口で言われると,ちょっと待てと。内部取引で物事は決まるのかというように単純に感じてしまったわけです。多くの人たちがやはり緑の中で,自然環境に恵まれた静かなところで,あるいは,ああいう大きな公共施設はむやみに遠くに移転すべきではないという声もあるわけですから,いろいろ交通の便とかで賛否両論ありますけれども,そこらのところ,まだ検討の余地が残されているのであれば,テナント料も決まっていない,借り上げにするのか,買取りにするのか,そこらのこともある。費用対効果といっても,維持・運営経費は一緒だと思いますので,それ以外にやはり長期的な意味での費用対効果というのをお尋ねしたところです。ぜひここらも真剣に今後また機会があれば議論をさせていただきたいなと思いますので,よろしくお願いいたします。  最後に,もう一点,お聞きしますが,犯罪被害者等支援について,県が運営する性被害のワンストップセンターに聞き取りされましたかと言ったら,していませんと。していない理由というのは述べられなかったんですが,いわゆるそれとよく似た性犯罪も含む被害者支援センターのほうに聞いた,警察関係からも情報を得たから十分だと思っていらっしゃるのか,聞かなかった理由があると思うんですが。私どもからいえば,土日,年末年始をきちんと休む組織のところから情報を聞いただけではなくて,年間365日24時間体制で,特にこの性被害の取扱いの実績を十分にお持ちになっているワンストップセンターからも意見を聞くべきではないかなということで御質問をさせていただいているわけです。その点について御意見があれば,御所見をお伺いしたいと思います。 ○若林新三 副議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  ご遺族手続支援コーナーについての再質問をいただきました。  開設して1か月程度たったときのアンケートで,期待値が含まれているのではないかといった御指摘でございます。  アンケート調査は1回しか行っておりませんけれども,議員も御指摘になったように,開設してまだ1年足らずでございます。そうした中にあって,利用率が上がっていないことの分析というのは,今後に譲らざるを得ませんけれども,その要因の大きな一つには,出張所におきましては,既に死亡手続はワンストップで行われております。そういったようなことから,出張所を利用される方も相当程度いらっしゃったのではないかと。これは要因の大きな一つだろうと思います。しかし,いずれにいたしましても,市民サービスは確実に向上いたしておりますので,今後利用率を上げていくにはどういったことがよいか,周知に力をどう入れていけばよいか,今後研究してまいりたいと,このように考えております。  以上です。 ○若林新三 副議長      市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      性被害ワンストップセンターひろしまにヒアリングをしなかったということですけれども,議員御指摘のとおり,私ども,今回条例案を検討しておりますけれども,性被害はもちろんその対象の一つではございますが,もちろん性被害に特化した条例ではございません。そういった意味で,性犯罪被害を含めて幅広く広島県内で最も実績のある広島被害者支援センターのカウンセラー,被害者相談員,こういった方からも御意見をお聞きして,全体の条例策定に,具体的な支援策の検討につなげていったということでございます。  それと,もう一点,中央図書館の件でございますけれども,いろいろ御指摘いただきまして,やはりこれから市民の皆さんには,私どものほうからも丁寧に説明をしていきたいというふうに思っております。  以上でございます。 ○若林新三 副議長      22番伊藤昭善議員。 ◆22番(伊藤昭善議員) 理由ばかり追及してもしようがないんですが,この条例制定ができたものを議論しているわけではないんですよね。今からまさに,遅れはしたけれども,早いほど役に立つわけです。市民に貢献できるわけですから,早く制定したいんだけれど,今,詰めをしてる段階だから,情報を集める機関があれば,全ての情報機関,収集が可能なところの意見は全部取り寄せてほしいということをお願いしております。ぜひ充実したものにしていただきたいと。要綱についても,今後変更できるからと言われても,それはそうも分かりませんが,やはり条例制定に伴う要綱についても,そういう意味合いで質問させていただいておりますので,今後よろしくお願いいたします。  終わります。 ○若林新三 副議長      本日はこの程度にとどめ,明日引き続き一般質問を行います。 ───────────────────────────────────────                 次会の開議通知 ─────────────────────────────────────── ○若林新三 副議長      この際,御通知申し上げます。  明日は午前10時より議会の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                  散会宣告 ─────────────────────────────────────── ○若林新三 副議長      本日は,これをもって散会いたします。                午後3時01分散会 ──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────   議 長   佐 々 木  壽  吉   副議長   若  林  新  三   署名者   並  川  雄  一   署名者   定  野  和  広...