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令和 3年第 2回 6月定例会−06月21日-03号

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  1. 広島市議会 2021-06-21
    令和 3年第 2回 6月定例会−06月21日-03号


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    最終取得日: 2022-12-05
    令和 3年第 2回 6月定例会−06月21日-03号令和 3年第 2回 6月定例会         令和3年  広島市議会定例会会議録(第3号)         第 2 回                  広島市議会議事日程                                 令和3年6月21日                                 午前10時開議                   日    程  第1 一般質問 ───────────────────────────────────────                会議に付した事件等  開議宣告(終了)  会議録署名者の指名(終了)  日程に入る旨の宣告(終了)  日程第1 一般質問  休憩宣告(終了)
     開議宣告(終了)  一般質問(続行し,明日も続行)  次会の開議通知(明日午前10時開議を宣告)  散会宣告(終了) ───────────────────────────────────────                出 席 議 員 氏 名    1番  岡 村 和 明            2番  川 本 和 弘    3番  田 中   勝            4番  並 川 雄 一    5番  川 村 真 治            6番  石 田 祥 子    7番  川 口 茂 博            8番  水 野   考    9番  平 岡 優 一            10番  椋 木 太 一    11番  吉 瀬 康 平            12番  山 本 昌 宏    13番  山 内 正 晃            14番  碓 氷 芳 雄    15番  海 徳 裕 志            16番  木 戸 経 康    17番  山 路 英 男            18番  森 畠 秀 治    19番  石 橋 竜 史            20番  平 野 太 祐    21番  定 野 和 広            22番  伊 藤 昭 善    23番  桑 田 恭 子            24番  近 松 里 子    25番  大 野 耕 平            26番  西 田   浩    27番  渡 辺 好 造            28番  豊 島 岩 白    29番  宮 崎 誠 克            30番  八 條 範 彦    31番  母 谷 龍 典            32番  三 宅 正 明    33番  八 軒 幹 夫            34番  馬 庭 恭 子    35番  竹 田 康 律            36番  藤 井 敏 子    37番  中 原 洋 美            38番  太 田 憲 二    39番  若 林 新 三            40番  今 田 良 治    41番  佐々木 壽 吉            42番  元 田 賢 治    43番  谷 口   修            44番  永 田 雅 紀    45番  金 子 和 彦            46番  木 山 徳 和    47番  沖 宗 正 明            48番  中 森 辰 一    49番  碓 井 法 明            50番  山 田 春 男    52番  児 玉 光 禎            53番  木 島   丘    54番  藤 田 博 之 ───────────────────────────────────────                欠 席 議 員 氏 名    51番  中 本   弘 ───────────────────────────────────────          職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名  事務局長    石 田 芳 文       事務局次長   松 坂 康 雄  議事課長    小 田 和 生       議事課課長補佐主任事務取扱                                吉 川 和 幸  議事課主査   村 田 愛一朗       議事課主査   小 崎 智 之  外関係職員 ───────────────────────────────────────              説明のため出席した者の職氏名  市長      松 井 一 實       副市長     小 池 信 之  副市長     及 川   享       危機管理担当局長岩 崎   学  企画総務局長  荒神原 政 司       財政局長    古 川 智 之  市民局長    杉 山   朗       健康福祉局長  山 本 直 樹  健康福祉局保健医療担当局長         こども未来局長 森 川 伸 江          阪 谷 幸 春  環境局長    重 村 隆 彦       経済観光局長  津 村   浩  都市整備局長  中 村   純       都市整備局指導担当局長                                谷   康 宣  道路交通局長  加 藤 浩 明       下水道局長   油 野 裕 和  会計管理者   金 森 禎 士       消防局長    勝 田 博 文  水道局長    友 広 整 二       監査事務局長  大 杉   薫  財政課長    後 藤 和 隆       教育長     糸 山   隆  選挙管理委員会事務局長           人事委員会事務局長          橋 場 聡 子               仁 井 敏 子 ───────────────────────────────────────                午前10時02分開議                出席議員  28名                欠席議員  26名 ○山田春男 議長       おはようございます。  出席議員28名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○山田春男 議長       これより本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                会議録署名者の指名 ─────────────────────────────────────── ○山田春男 議長       本日の会議録署名者として               11番 吉 瀬 康 平 議員               32番 三 宅 正 明 議員 を御指名いたします。 ───────────────────────────────────────                日程に入る旨の宣告 ─────────────────────────────────────── ○山田春男 議長       これより日程に入ります。 ─────────────────────────────────────── △日程第1 一般質問 ─────────────────────────────────────── ○山田春男 議長       日程第1,前回に引き続き一般質問を行います。  発言通告者に順次発言を許します。  39番若林新三議員。                〔39番若林新三議員登壇〕(拍手) ◆39番(若林新三議員) 皆さん,おはようございます。  市民連合の若林でございます。会派を代表いたしまして,一般質問をさせていただきたいと思います。  それでは,発言通告に従って質問をさせていただきます。  最初に,核兵器禁止条約の発効と締約国会議,NPT再検討会議についてお伺いします。  核兵器禁止条約については,2017年7月に国連で122か国の賛成で採択され,2020年10月に50か国が批准したために,2021年1月22日には発効しています。核兵器の開発,実験,生産,製造,取得,占有,貯蔵を禁止しており,締約国は国連事務総長に現状を報告することになっています。一方で,核保有国であるアメリカ,中国,イギリス,フランス,ロシアなどはもちろん,北大西洋条約機構の加盟国や韓国,日本などは参加していません。核兵器保有国が参加していないために,直ちに核兵器がなくなるということではありませんが,核兵器は違法との考え方が確立されたことによって,保有国に対する圧力になることは疑いありません。現在54か国が批准しており,さらに核兵器禁止条約に署名している国は86か国に上っていることから,今後,各国の批准は増えるものと期待をいたしております。  広島市でも,2020ビジョンの大きな柱が核兵器禁止条約の締結であったことから,条約の発効は大きな前進として受け止めることができます。昨年の平和宣言で松井市長は,日本政府には,核保有国と非核保有国の橋渡し役をしっかりと果たすためにも,被爆者の思いを誠実に受け止めて核兵器禁止条約の締約国になり,唯一の戦争被爆国として,世界中の人々が被爆地ヒロシマの心に共感し連帯するよう訴えてもらいたいと訴えるとともに,1月22日に発効されたことについては,核兵器廃絶を目指す市民社会の取組に不可欠な道しるべとなると大きな期待を寄せておられます。  また,平和首長会議は,昨年10月に批准国が50か国に達した際に発出した公開書簡で,核保有国及びその同盟国に対し,条約の効果的な運用と発展に向けた議論への参画と締約国会議への参加を強く要請していくことを表明しています。私も,今後さらに各国に批准を働きかけ,条約を実効あるものにしていく必要があると考えています。  そこでお伺いします。核兵器禁止条約の締約国会議が来年1月12日から14日にかけて,オーストリアのウィーンで開かれることになっています。国は,出席についての態度を明らかにしていませんが,国に対して,唯一の被爆国として核兵器保有国と非保有国の橋渡し役を果たすためにも,改めて核兵器禁止条約の批准を求めるとともに,締約国会議への出席を求めていく必要がありますが,どのようにお考えでしょうか。  一方,昨年開かれる予定であったNPT再検討会議は,新型コロナウイルス対策のために延期され,今年8月2日から27日までが候補日程となっていましたが,今年の夏開催するのは困難であるとの理由から,来年1月に再度延期されることが議論をされています。  核兵器禁止条約が発効して初めての再検討会議になり,極めて注目される会議となります。松井市長は,平和首長会議の会長として核兵器禁止条約締約国会議及びNPT再検討会議に出席する意向を示されていますが,どのようなことを訴えようと考えておられるのでしょうか,お聞かせください。
     次に,放射線影響研究所の移転促進についてお伺いします。  私は,毎年のようにこの問題を一般質問で取り上げてきました。放射線影響研究所の移転は,当初からの広島市の大きな悲願でもあります。これまで,移転に向けては独立した建物を想定していましたが,国から賃貸方式でも対応できるとの提案があり,広島市としては広島市総合健康センターを候補地として,同センターで臨床検査センターを運営する広島市医師会とも協議をしてきました。広島市医師会も,広島市の提案を受け,広島市が所有する隣接地に新たな広島市医師会館を建設し,そこに臨床検査センターを移転させることを検討されてきたところです。  しかし,昨年1月の放影研の評議員会で,広島大学霞キャンパスへ移転する新たな案が急遽浮上してきました。広島大学には,放射線障害の研究と治療,開発を続けてきた原爆放射線医科学研究所もあり,共同研究ができるとのメリットを指摘される方もおられたようです。放影研の移転を従来から取り上げてきた私とすれば,降って湧いたような話ではありましたが,専門家の間でメリットが大きいと考えられるのであれば,肯定的に受け止めることができます。  広島市総合健康センターへの移転には約61億円の経費が必要だと試算され,関係者からは新築できるぐらいの金額との指摘があるとともに,同センターは築30年が経過し,耐用年数が少ないということも背景にあったようです。  放影研は,1950年に設置されて70年以上が経過しています。建物の劣化と併せて,被爆者の血液試料など貴重な資料が散逸する可能性もあり,いずれの場所であっても早期移転が実現することを期待したいと思います。放影研は毎年6月に評議員会を開かれており,今年の評議員会では新たな方針も示されるのではないかと思います。  そこでお伺いします。広島市総合健康センター広大霞キャンパスへの移転を巡っては,放影研の移転に関し,国等の検討状況は現在どのようになっているのでしょうか。また,広大霞キャンパスに移転することに決まった場合,新医師会館の建設に向けた広島市医師会との協議はどのように進められようとしておられるのでしょうか。もし,広島市医師会がこれまでの方針どおり隣接地に広島市医師会館を建設される場合,広島市として協力していく必要もあると思いますが,どのように対応されるのでしょうか。一方その場合,広島市総合健康センター内の臨床検査センター部分は空くことが想定されますが,どのようにお考えでしょうか,今後の見通しをお聞かせください。  次に,北部医療センター安佐市民病院への患者の移送,医療機器の購入についてお伺いします。  現在の安佐市民病院南館は,2022年春に荒下地区に北部医療センター安佐市民病院として開院するとともに,耐震構造の北館は2022年12月に安佐医師会が運営する安佐医師会病院として開院することになります。現在,北部医療センターについては,着々と工事が進められているところです。私は,14年前の2007年の6月議会で南館の建て替えを提案しましたが,想定した以上の機能を持つ病院として生まれ変わることになります。懸案の救命救急センターも併設されることになっており,安佐医師会病院緩和ケア病床も含めて,極めて多彩で市民ニーズに十分応えられる病院になることを大変うれしく思っています。  北部医療センター安佐市民病院は434床で,高度救急医療を提供するほか,災害拠点病院としての機能も併せ持ちます。屋上にはヘリポートも整備し,ドクターヘリにも対応しています。1階はアメニティースペースとしてレストラン,カフェやコンビニなどが配置される予定で,従来の治療するだけの病院というイメージからの脱却が試みられています。駐車場は,患者の動線を考慮して病院建物の地下に約250台分を整備し,仮にこちらが満車になった場合にも,西側敷地に十分な駐車場スペースが確保されており,現在のような駐車待ちの混雑はなくなると思います。  現在の北館を利用する安佐医師会病院は,地域包括ケア病院として日常的に高齢者等の地域住民が受診できる医療を提供します。ベッド数は102床で,地域包括ケア病床が82床,緩和ケア病床が20床となっています。ベッド数のトータルは536床となり,現在の安佐市民病院の527床より増えることになるのは,北部地域の公立・公的病院の医療提供体制の役割分担の見直し,再編の結果によるものですが,両病院の役割がますます高まっているように思われます。いずれにしても,広島市北部の医療機能が拡充されることは,大いに歓迎すべきことです。  そこで,北部医療センター安佐市民病院への患者の移送等についてお伺いします。  北部医療センター安佐市民病院については,病院機構への建物の引渡時期,開院予定はいつになるのでしょうか,患者の移送はいつ頃,どのような方法で行うのでしょうか,お答えください。また,病院ですから手術の必要な入院患者も想定されます。手術が終わったばかりの患者,今から手術をする患者,救急搬送された患者などについてはどのように対応されるのでしょうか。  医療機器の購入についてお伺いします。  病院移転に伴って,医療機器も移動するものや新たに購入するものがあると思いますが,どのような基準で購入等をされるのでしょうか。新たに購入する機器はどのようなものがあるのでしょうか。また,当初は医療機器の購入等に70億円程度を見込んでいましたが,最終的にどれぐらいの費用と考えておられるのでしょうか,お答えください。  次に,市民課等の窓口でのスマホ決済の推進についてお伺いします。  食事やコンビニ等,ほとんどの店でスマホ決済などのキャッシュレス決済が急速に広がってきています。郵便局なども徐々に対応する場所を増やして,市民ニーズに応えておられます。しかし,広島市では,市民課の窓口や公共施設の利用料など,依然として現金決済にとどまっています。いかにも遅れているという印象を持たざるを得ません。特に,新型コロナウイルスが蔓延している状況で物理的に現金を手渡すという決済方法は,ウイルス感染のリスクが高まることは必然です。市民の安全を守るべき広島市が旧態依然として現金決済のみを行っていることは極めて不自然であり,時代錯誤の感は否めません。早急にスマホ決済などのキャッシュレス決済を導入する必要があるのではないでしょうか。  市民も,キャッシュレス決済になれ親しんで,今では利用できる場所が日を追うごとに拡大しています。現金決済ではつかない各種のポイントも,キャッシュレス決済の利用を促進しているようにも感じられます。スマホ決済などのキャッシュレス決済の導入は,広島市にとっても市民サービスの向上,窓口の事務の効率化,行政のデジタル化の推進など,メリットは大きいのではないかと思います。  経済産業省が2019年に行ったアンケート調査によると,キャッシュレスが使えないイメージの強い場所として公共手続や公共施設と答えた人が半数近くに上っていると同時に,一般社団法人キャッシュレス推進協議会が行った調査でも,約50%がキャッシュレス決済で支払いたいと答えています。スマホ決済が急速に広がっている現在は,さらにその感覚は増えているのではないでしょうか。  また,行政のデジタル化も推進される予定で,キャッシュレスもその一つに位置づけられます。経済産業省は,2020年度に自治体の窓口や公共施設のキャッシュレス決済に先進的に取り組むモニター自治体を選定し,2025年のキャッシュレス比率40%の達成を目指しています。ようやく徐々に自治体でも広がってくるものと思いますが,民間に比べるとはるかに遅れていることは間違いありません。市民課の窓口でキャッシュレス決済を導入する場合,事務の効率化が考えられますが,現金での対応もあるため,一時的には事務が煩雑になる可能性も指摘されています。しかし,将来を考えると,確実に導入しなければならない決済方法です。  そこでお伺いします。これまで予算特別委員会などで,広島市の公共施設などでのキャッシュレス決済の導入が必要であると指摘されているところですが,公共施設も含め,市民課の窓口などでもスマホ決済などのキャッシュレス決済を早急に導入すべきと思いますが,どのようにお考えでしょうか,お答えください。  次に,広島市地球温暖化対策実行計画の見直しについてお伺いします。  広島市は,2017年3月に,広島市地球温暖化対策実行計画を策定しています。地球温暖化の国際的な枠組みであるパリ協定や国の地球温暖化対策計画等を踏まえ,地球温暖化による気候変動の影響が市域内でも顕在化しつつあることから策定したものです。  計画の概要は,長期目標,中期目標,短期目標を掲げ,長期目標は2050年度までに基準年度である2013年度の80%削減するとし,排出量の水準を約180万トンとしています。また,中期目標については,国の26%目標を上回って,2030年度までに2013年度を基準に30%削減を目標にしています。温室効果ガスの排出量の水準を約616万トンとしています。先述したパリ協定は,2020年度以降の新たな国際的な枠組みであり,長期目標は産業革命以前に比べて世界平均気温上昇を2度C未満とする目標を設定し,1.5度C以下に抑える努力をする,21世紀後半には温室効果ガス排出量と森林などによる吸収力のバランスを取るというものです。  また,4月22日,23日に開かれた気候変動サミットで,アメリカは2030年には2005年に比べて50%から52%削減目標,イギリスは2035年には1990年と比べて78%の高い削減目標を明らかにしています。これに対して,国は昨年ようやく,2050年にはカーボンニュートラルを目指す方針を打ち出しました。温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというものです。また,気候サミットに向けて,2030年度までに2013年度と比べて46%削減するという新たな方針も決めています。  一方,広島市も2020年12月8日に市議会定例会で,松井市長が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指すと表明されました。また,2021年3月に取りまとめた第3次広島市環境基本計画でも,2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指すとして,国内外の都市と連携・協力することにより地球温暖化対策に取り組む必要があると明記しています。あわせて,広島市地球温暖化対策実行計画を見直すことも明らかにされています。  そこでお伺いします。広島市地球温暖化対策実行計画については,どのようなスケジュールで見直しをされるのでしょうか。また,中期目標である2030年の排出量の削減については,現時点では30%削減が目標とされていますが,数値目標は変更することになるのでしょうか,お答えください。  最後に,先ほどの地球温暖化対策実行計画に関連して,水素技術の開発・活用についてお伺いします。  水素技術の開発・活用は,地球温暖化対策を進めるに当たって重要なポイントになると思います。水素は宇宙の中で全体の約7割を占める最も多い物質で,地球では海水としてその多くが存在しています。水素は,元素記号のとおり,酸素と結合して水になります。その際,大きなエネルギーが生まれ,ガソリン等よりも効率が高いと言われています。究極のエネルギーとなり得るのではないかと思います。  現在,水素は産業用途として半導体工場や石油化学工業などで広く使われるとともに,ニッケル水素電池という充電式電池にも使われ,さらに燃料電池自動車エネルギー源として今後の利用拡大が見込まれています。燃料電池自動車は,水素と空気中の酸素によって発電し,モーターで駆動する自動車で,ガソリン自動車よりもエネルギー効率が高いと言われています。当然に,二酸化炭素を排出しません。  現在は,大手自動車メーカーが開発に力を入れています。また,マツダも2009年には水素ロータリーエンジンの自動車をリース販売しました。当時は水素の貯蔵について,広島市も共同で研究していたと記憶しています。マツダ以外の大手自動車メーカー水素エンジンの開発にも力を入れることを明らかにしたほか,自動車の水素エンジンだけでなく,フェリーや大型船などでも水素エンジンを活用する動きが広がりつつあります。  また,水素は家庭用燃料電池エネファームにも利用されています。ガスから水素を取り出して,酸素と結合させて発電するシステムです。さらには,2030年には水素発電の商用化も検討されていますが,一方で,神戸市では水素スマートシティ神戸構想を掲げ,2018年には水素発電の実証実験に成功しているようです。また,今年4月には,東京の電力事業者が21年度中に,小規模ながら水素発電の商業運転を始めるとの報道もされたところです。  今後,地球温暖化対策のためにも,水素技術の開発・活用は極めて重要だと思います。広島市としてどのようにお考えでしょうか,お答えください。  以上で私の質問を終わります。  答弁によりましては,再質問させていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○山田春男 議長       市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       若林議員からの御質問にお答えします。  放射線影響研究所の移転促進のうち,広島市医師会が建設する医師会館に対する広島市としての協力についての御質問がございました。  広島市医師会は,これまで公営財団法人放射線影響研究所──放影研の移転が広島市総合健康センターへ決定されれば,新医師会館建設の具体的な構想策定に着手するとされていました。こうした中,昨年12月に開催された放影研の広島地元連絡協議会において,これまで検討されてきた広島市総合健康センターへの移転案に加えて,新たに広島大学の霞キャンパスが移転候補地に加わったことが発表された後に,広島市医師会は,放影研がどこに移転しようとも,広島市総合健康センターの隣接地へ新医師会館を建設したいとの意向を示されました。  新医師会館の建設に当たり広島市医師会では,広島市総合健康センターや千田町夜間急病センター,中区スポーツセンター,千田公園などがある千田町一帯を健康の杜と位置づけて,救急医療や地域包括ケア,市民の健康増進等の拠点にしたいという構想をお持ちであると聞いております。  私としては,この健康の杜構想は,保健・医療の充実と市民の健康増進を図るとともに,社会全体で健康を支え,守るための環境づくりの増進に資するものであると受け止めており,医療分野において,「世界に誇れる『まち』広島」の実現に資するものとなるよう,しっかりと調整を進め,可能な限り支援を行っていきたいと考えているところであります。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○山田春男 議長       保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  放射線影響研究所の移転促進について,三点の御質問にお答えいたします。  初めに,放影研の移転に関して,国等の検討状況は現在どのようになっているのかについてです。  放影研の移転につきましては,現在,放影研と国におきまして移転に向けた検討が進められており,今月の22日と23日に開催されます放影研の評議員非公式会議の中でも,移転に関する意見交換が行われる可能性があると聞いております。  次に,広大霞キャンパスに移転することが決まった場合,新医師会館の建設に向けた広島市医師会との協議はどのように進めることになるのかについてです。  先ほど市長が御答弁しましたとおり,広島市医師会からは,放影研がどこに移転しようとも,広島市総合健康センターの隣接地へ新医師会館を建設したいとの意向が示されております。今後,広島市医師会から新医師会館建設の具体的な提案があれば協議をしたいと考えております。  最後に,広島市総合健康センター内の臨床検査センター部分は空くことが想定されるが,どのように考えているのか,今後の見通しはどうかについてです。  現在は,放影研の移転先が確定しておらず,広島市医師会から新医師会館の建設に係る具体的な提案が示されていない段階ですので,お答えは控えさせていただきますが,放影研の早期移転の実現に向けて力を尽くしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      核兵器禁止条約の発効と締約国会議,NPT再検討会議についての二点の御質問にお答えをいたします。  まず,国に対して改めて核兵器禁止条約の批准を求めるとともに,締約国会議への出席を求めていく必要があるが,どのように考えているかについてです。  核兵器禁止条約については,今後,効果的な運用と発展に向けた議論を進めることが重要であり,日本政府には核保有国と非核保有国の橋渡し役を果たすためにも,同条約の締約国会議に出席し,議論に参画してもらうことが必要であると考えています。  このため,日本政府に対しては,昨年11月,市長が長崎市長と共に外務省を訪問し,広島・長崎両被爆地及び平和首長会議国内加盟都市会議の総意として,同条約の締約国となること,そして締約国となるまでの間,当面は締約国会議にオブザーバーとして参加し,核保有国と非核保有国の橋渡し役としてリーダーシップを発揮していただくよう要請しました。また,こうした政府の取組を支援してもらうため,各政党の党首や核兵器廃絶に関わる議員連盟の代表者に対しても,一刻も早い同条約への署名・批准に向けて,国会での活発かつ建設的な議論を行っていただくよう要請したところです。  今後とも,日本政府には被爆者の切なる思いを真摯に受け止めていただき,核兵器禁止条約の実効性を高めるための主導的な役割を果たされるよう,様々な機会を捉えて働きかけていきたいと考えています。  次に,核兵器禁止条約締約国会議及びNPT再検討会議ではどのようなことを訴えるのかについてです。  先日,NPT再検討会議が今年の8月から来年1月へ再延期される方向で調整が行われている,また,それを受けて,来年1月に開催予定の核兵器禁止条約第1回締約国会議についても延期の可能性があるとの報道がありました。こうした不確定な状況ではありますが,核兵器禁止条約締約国会議は,締約国が同条約のさらなる効果的な運用について議論する場であり,NPT再検討会議は,核保有国やその同盟国も参加して核軍縮を進展させるための議論を行う場であり,核なき世界の実現に向けた歩みを進めるためには,どちらも大変重要な会議です。  開催日程が決まった際には,被爆地の市長として,また,世界8,000を超える都市で構成される平和首長会議の会長として,両会議の中で核兵器廃絶に向けたヒロシマの心を発信できるよう,発言の場を求めたいと思います。そうした中で,締約国会議においては,締約国に対してさらに批准国を増やし,同条約の実効性を高めるための議論を発展させるよう要請し,NPT再検討会議においては,核保有国やその同盟国を含む全ての国に対して,第6条に規定されている核軍縮のための誠実交渉義務を果たすよう要請し,核軍縮の実質的な進展を訴えたいと考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  北部医療センターへの患者の移送,医療機器の購入について,二点の御質問にお答えいたします。  初めに,市立病院機構への建物の引渡しはいつになり,患者の移送はいつ頃,どのような方法で行うのか,また移送に当たり,手術が終わったばかりの患者,今から手術をする患者,救急搬送された患者などにはどのように対応するのかについてです。  北部医療センター安佐市民病院は,本年12月末に竣工した後,市立病院機構が完了検査を行った上で来年1月中旬に工事業者から引渡しを受け,5月1日に開院する予定です。  入院患者の新病院への移送につきましては,開院日の5月1日の午前中に行われることになっており,移送する際には,医師や看護師が救急車等に同乗し,患者に付き添うことで急な容体の変化にも対応できる体制を確保することになっております。  また,入院患者の状態によっては開院当日に移送できないことが考えられることから,手術の実施時期を調整することや事前に他の病院に救急搬送の受入れをお願いするなどの対応を検討していると聞いております。  次に,医療機器について,どのような基準で購入するのか,またどのような機器を購入し,最終的にはどれくらいの費用がかかると考えているのかについてです。  医療機器につきましては,原則として,現在使用しているものを北部医療センター安佐市民病院に移設いたしますが,新病院の機能として新たに整備が必要なものや移設後の耐用年数等を考慮すると,移設するよりも更新したほうが費用対効果が高いものについては,市立病院機構が新たに購入することにしております。このうち新たに整備が必要なものは,エックス線で透視・撮影を行いながら手術を行うハイブリッド手術用機器や検査室の増室に伴うCT装置,MRI装置などがあり,費用対効果が高いものは放射線治療装置やPET─CT装置などがございます。  現在,建設工事に併せて設置する大型の医療機器などから順次発注を行っているところであり,医療機器の購入に要する総額は当初見込んでいた約70億円の範囲内となると聞いております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  市民課等でのスマホ決済の推進の御質問がございました。  自治体のキャッシュレス決済の導入は,議員御指摘のとおり,行政のデジタル化を推し進め,市民の利便性の向上を図る上で重要であると認識しております。  本市においては,区役所の窓口や公共施設でのキャッシュレス決済の導入に向けて,現在,利用者が多い区役所の窓口や公共施設を中心に,どこに導入することが効率的かの検討を行うとともに,クレジットカード,電子マネー,QRコード等のキャッシュレス決済の方法について,その使い勝手や入金管理方法の効率性などを踏まえつつ,具体的にどの決済方法を導入するかの検討を行っています。  引き続き,市民の利便性を第一に考えながら,今年度内の試行実施も視野に入れつつ,令和4年度からの本格実施に向けて,可能なものから必要経費を当初予算計上した上で,順次導入していきたいと考えています。  以上です。 ○山田春男 議長       環境局長。 ◎重村隆彦 環境局長     広島市地球温暖化対策実行計画の見直しについて,スケジュールと2030年度の削減目標についての御質問にお答えします。  議員御指摘のとおり,本市は昨年12月,2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを表明しており,その目標達成に向けて,現行の広島市地球温暖化対策実行計画を改定することとしています。  この計画の改定については,国の地球温暖化対策計画の見直しが令和3年度中に予定されていることから,その内容等を踏まえ,本市としての取組方針や施策等の検討を行い,令和4年度中に改定することを予定しています。  本市の2030年度の削減目標については,国が令和3年4月に表明した温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減するという目標を踏まえつつ,2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロを見据え,国の地球温暖化対策計画に位置づけられた対策や本市独自の施策の積み上げ等により検討を進めていきたいと考えています。  次に,水素技術の開発・活用について,広島市としてどのように考えているかの御質問にお答えします。  水素については,国において平成29年に水素基本戦略が策定され,2050年を視野に入れた水素社会の実現に向けて,将来目指すべき姿や目標として,官民が共有すべき方向性・ビジョンが示されています。  また,昨年12月には2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略が策定され,水素は今後の産業として成長が期待される重要分野に位置づけられており,製造,輸送,利用の各段階において各種取組が進められることになっています。本市としても,利用段階において温室効果ガスを排出しない水素エネルギーは,脱炭素社会の構築を進める上で重要な要素の一つであると考えています。  その一方で,水素を実用化するための取組は商用化等に向けた実証段階にあり,日常的に水素エネルギーが利用できる環境を整えるには,技術面,コスト面,インフラ整備などの供給面で多くの課題があります。  こうした中,現在,社会的に最も普及している水素関連の技術は水素を燃料に発電する家庭用燃料電池であり,市民生活に身近であることや国もその普及拡大に努めていること等から,本市としては,この家庭用燃料電池の設置に対して,引き続き補助金等により支援することとしています。  今後においても,国や事業者の動向を踏まえながら,水素エネルギーに関する技術,設備等の普及を促進するとともに,国や広島大学などと取り組む産学官連携等により,技術の活用に向けた取組を促進していきたいと考えています。  以上でございます。 ○山田春男 議長       39番若林議員。 ◆39番(若林新三議員) いろいろ御答弁をありがとうございました。  放影研の移転については,市長じきじきに御答弁をいただきました。大きな決断をしていただきました広島市医師会の意向については,引き続き十分尊重していただければありがたいと思います。  あした,あさって,実は評議員会ということでありますが,具体的に進展することを期待させていただきたいと思います。  北部医療センターの患者の移送等については,5月1日に開院するということでお聞きをさせていただきました。その午前中に移送されるということでありますが,万全を期して移送をお願いいたしたいと思います。広島市もこんな事態というか,経験というのもそんなにないんじゃなかろうかと思います。しっかり万全を期していただきたいなというふうに思っております。  スマホ決済については,今年度中には一部実施するよう努力をされるだろうというふうに思います。できるだけ早く,今年度中も視野ということでありますが,できれば今年度内にしていただいてもいいですので,それぞれしっかり議論を深めていただきたいというふうに思います。  まだありますが,一応この程度で要望を,終わらせていただきます。よろしくお願いします。ありがとうございました。 ○山田春男 議長       次に,48番中森辰一議員。                〔48番中森辰一議員登壇〕(拍手) ◆48番(中森辰一議員) お疲れさまです。  日本共産党広島市会議員団を代表いたしまして一般質問を行います。
     先ほどもありましたが,核兵器禁止条約が今年1月22日に発効いたしました。核兵器は,その破壊力だけでなく,人体への深刻な影響が生きている限り及ぶ,極めて非人道的な兵器であることが被爆者の現実の体験を通じて明らかにされ,核兵器は存在してはならないものとの認識が世界中の国々の政府と人々に共有された結果です。  核兵器禁止条約が発効したことによって,核兵器は道義的に許されないだけでなく,法的に許されないものとなり,広島市を含め,核兵器廃絶を目指してきた国内外の運動にとって,その主張に法的根拠が与えられることとなりました。この新しい力を広島市としてどのように生かしていくお考えかお聞かせください。  核兵器は,もともと核兵器を保有する五つの大国が,その特権的な地位を維持するために必要としている戦略兵器であります。だからこそ,この五大国が一致してこの条約に反対し,その強大な力を使って条約の採択と発効を妨害してきました。この条約が成立し発効したことは,市民社会と多くの国々の政府が大国の妨害と闘って実現したものであります。この条約の実効性を確保し高めていくためには,核保有国と核の傘の下にある国々の参加が重要であり,そのためにも,条約への加盟国を増やすことが必要です。加盟する国が増えるごとに,それは核保有国への強いメッセージとなり,核兵器に頼る国々の中の核廃絶の運動を励まし,その国の世論に大きな影響を与えます。  昨年12月7日の国連総会では,核兵器禁止条約への署名・批准の進展を歓迎する決議案が130か国の賛成で採択され,禁止条約の賛成国は採択のときの122か国から130か国に増えました。こうした条約賛成の国々が批准にまで進むよう,その世論に働きかける取組を市民運動と連携して積極的に進める必要があると思いますが,どのような取組をされるのか伺います。  重要なのが,核保有国の同盟国です。同盟国の中で禁止条約を支持し参加する国が出てくれば,情勢を大きく動かす力になりますが,ここでも変化が起きております。昨年9月,NATO加盟国と日本,韓国の22か国,56人の元外相・防衛相らが,自分の国の政治指導者に対して,核兵器禁止条約に加わるべしとの公開書簡を発表しました。核兵器に依存してきた国の政権の中でまさに核兵器問題に関わってきた政治家たちがこのような発言をしているのは,大変重要な変化です。また,NATO加盟国のベルギーでは,7割近い禁止条約への加盟を求める世論を受け,一昨年の総選挙後の同年12月,下院の外務委員会で国内からの核兵器撤去と禁止条約への加盟を求める動議を可決,下院が政府にしかるべき対応を要請,新しい政権が前向きな姿勢を明らかにしました。さらに,NATO加盟国のドイツでも,7割近い禁止条約支持の世論がありますが,メルケル政権の連立与党が今年9月の総選挙の公約に,核の共有からの離脱を掲げるとしています。オーストラリア,ノルウェー,カナダ,フィリピンでも,条約参加を求める世論が7割を超える多数派となっております。  問題は日本政府です。日本世論調査会が昨年7月に実施した調査では,条約に参加するべきだとの回答が72%に上り,国民多数の意思ははっきりしております。唯一の戦争被爆国として特別の位置を占める日本政府が核保有国と同じ主張をするわけにはいかないので,核兵器を持つ国と持たない国との橋渡しをするとしております。しかし,なくすという考えとなくさないという考えを橋渡しする中立の論理はありません。橋渡しという意味が双方の立場の国々が条約への是非を超えて核軍縮の話合いのテーブルに着くことであるなら,橋渡しなどなくても,国連総会やNPT再検討会議,その準備委員会,ジュネーブ軍縮会議など,幾らでもそういう場はあります。橋渡しということが日本が国連に提出した決議案が多数の賛成で採択されたことだというなら,昨年の決議案は,NPT再検討会議での合意をほごにした核保有国の意を受けて,一昨年の決議案まであった「合意の履行」という文言まで削除したため,合意を再解釈し,弱め,無視している,これまでの合意や表現と一致しないなど,禁止条約実現の先頭に立ってきた国々から厳しい批判を浴びる一方,アメリカも中国もロシアもこの決議に背を向けた事実で,橋渡し論は破綻をしています。  最近の日本の決議案は,核保有国に忖度して主張を年々後退をさせてきた核保有大国のお先棒担ぎが実態です。本当に日本政府が橋渡しをしようとするなら,日本政府自体が禁止条約を支持し,参加する方向に転換する必要があります。何よりも,核兵器に依存する立場に立ったままでは,核兵器廃絶を巡る対立した状況を打開する役割を担うことはできません。日本政府の橋渡し論は成り立たないことについて,市長の御見解を伺います。  日本は日米安保条約を結んでいるアメリカの同盟国であるから,核兵器禁止条約には参加できないのだという意見が広島市議会にもあります。この点について,さきの56人の元外相・防衛相の公開書簡では,禁止条約の締約国として核武装国との同盟関係を維持することができる,条約にもそれぞれの防衛協定にもそれを妨げるものはないからだと指摘されております。また,昨年の3月6日に,茂木敏充外務大臣が衆議院外務委員会で,法的な理由で禁止条約に入れないということではない,不参加が我が国の方針だと答弁しています。つまり,日米安保条約があっても,政府の方針が変われば参加できることを日本政府自体が認めているわけです。  日米安保条約の下で日本に提供される米軍の抑止力の一つが核の傘ですが,核の傘は,いざとなったら核兵器を使用することを前提にしているので,この下で禁止条約を履行することはできません。しかし,日本防衛のためにアメリカが核兵器を使わないようにするということは,日米安保条約と矛盾することではありません。日本が日本を防衛しようとする場合に,アメリカに対して核兵器を使うことも使うぞと威嚇することも要請しない,アメリカが日本に核兵器を配備することを手伝わないし認めないことにすれば,条約の義務を果たすことができます。  アメリカは,核兵器を使うか使わないかの選択肢を制約されることは認めないでしょうから,日本との間で核兵器を使わないという取決めはしないでしょう。しかし,日本のほうが核兵器には頼りませんと宣言し,その実効性を確保するために日本への核兵器の持込みを認める核密約を破棄し,日本の国是である非核三原則を法制化するなどの措置を行えばいいわけです。アメリカは核密約の存在を認めないでしょうから,日本が破棄を宣言するだけで実現します。  さきの世論調査でいえば,日米安保条約は必要だが核兵器禁止条約には参加するべきだと考える世論が多数派となっています。日本政府がこの世論を受け止めて,核の傘に頼らないという政策に転換すれば,日米安保条約の下でも日本が核兵器禁止条約に参加できると考えますが,市長のお考えを伺います。あわせて,唯一の戦争被爆国日本が禁止条約に加盟する重要性,影響の大きさに鑑みて,被爆都市広島市の使命として,また平和首長会議の会長都市として,日本政府に核の傘から脱却するよう改めて求めていただきたいのですが,どうされるかお答えください。  次に,原爆による黒い雨を浴びて以来,今日まで放射線障害によるがんなどで苦しんできた方々が,広島市,広島県,国を相手に闘ってこられた,いわゆる黒い雨裁判において,広島地方裁判所が原告の全面勝訴を言い渡したのが,昨年の被爆75周年直前の7月29日です。広島市と広島県は結局,国の意を受けて控訴しましたが,被爆から76年目となる今,高齢の原告の多くが闘い半ばで亡くなられ,解決は一刻を争います。広島高等裁判所での判決も,8月6日を目前にした7月14日になされることになっています。  そこで,改めて四点について,広島市のお考えをただしておきます。  1,広島市が独自のアンケートや聞き取り調査に基づいて,黒い雨地域拡大を国に要請してきたのは,当時,原告たちが生活していた地域にも黒い雨が降り,それに含まれていた可能性のある放射性物質が,現に発症している病気の原因である可能性があると考えたからであり,これが広島市の立場だと理解しています。一方で,控訴を主導した国が地裁の判決は十分な科学的知見に基づいたとは言えないと主張していますが,現行制度の対象区域自体,国がいう科学的根拠を求めていないし,被爆者援護法で被爆者を規定する法第1条3号も,放射能の影響を受けるような事情の下にあった者と明確な科学的根拠を求めない曖昧な表現となっています。明確な科学的根拠を求める国の主張に対して,広島市としては同意できないのではないかと考えますが,いかがでしょうか,お答えください。  2,市長が昨年7月13日や8月12日の記者会見で,被爆者健康手帳交付事務は法定受託事務であるので,市の立場では国の意向に逆らうわけにはいかないといった趣旨の発言をしておられ,また,国の手足として動かなければならない立場であるとの趣旨も述べておられます。このことについては,昨年12月の吉瀬議員への答弁で,そういうことはないと否定されたと理解していますが,改めてこの点を確認しておきます。  3,昨年12月の答弁では,判決を受け入れると,本件訴訟がいわゆる義務づけ訴訟のため,原告に手帳を交付することとなる一方で,原告以外の黒い雨体験者には本判決の効力が及ばないため,手帳を交付できないという状況が生じるものと考えると述べています。また,市としては,裁判に参加していない黒い雨体験者をも救済できることが肝要であり,国に対して黒い雨降雨地域の拡大も視野に入れた検証の結論が早期に出されることなどを求めていくと述べています。市が控訴せず,判決が確定すれば,原告以外の人たちが救われないぞと暗に原告と原告以外の黒い雨体験者とを分断するような物言いになっていると思います。  しかし,本当にそうでしょうか。法律論では,判決の効力は原告に及ぶだけですから,原告以外の黒い雨体験者が手帳申請をした場合,広島市行政は却下処分ができます。しかし,仮に今回の黒い雨裁判で原告勝訴の判決が確定した後,原告以外の黒い雨体験者が手帳申請を行い,その被爆の状況が原告と基本的に同じであると認定できるのに,判決の効果が及ばないことだけを理由に却下処分を行えば,それは違法な処分とならないでしょうか。そうなると,新たに却下処分の取消し訴訟が起こされ,確定判決の原告と同じ被爆状況であることを無視して却下処分を行ったものとして原告勝訴となるのは明らかではないでしょうか。つまり,判決が確定した場合,判決の効力は原告だけに及ぶという理由で,原告以外の黒い雨体験者の申請を機械的に却下処分するのは違法となると考えます。この点について,どのようにお考えかお答えください。  4,黒い雨地域拡大の問題で,広島市も広島県も,そこに放射線の被害を受けたと苦しんでおり,かつ放射線の被害を受ける事情の下にあったと考えられる人がいるから政治的判断をしてほしいと求めてきました。そして,国が求める科学的根拠について独自の調査も行い,その結果を示しています。しかし,被爆から75年もたって,原告たちがどれだけの量の放射線を浴びたとか,それがどのような仕組みで人体に影響を与えたとかの具体的な数値などの根拠を求める科学的検証など不可能であることは明らかです。厚生労働省が設置した黒い雨地域拡大を視野に入れるという検討会では,科学的根拠のない地域拡大など認めない立場の意見が強く出されていますし,具体的な検証を行うというワーキンググループは民間に丸投げのようなことになっていて,いつ結論を出すのか分かりません。このような国のやり方に期待できるものなどありません。仮に,控訴審で原告勝訴となった場合は,そのときこそ原告被害者の立場に立って判決を受け入れるべきだと考えますが,どうお考えかお答えください。  次に,広島県も5月16日から緊急事態宣言地域となり,昨日で解除されましたが,県内全域で飲食店等への時間短縮や休業の要請が行われ,イベントや外出の自粛などで市内の様々な業種が一層厳しい経営に陥っています。  政府は,三度目の緊急事態宣言を受けて,都道府県が事業者を支援する際の費用などとして予備費5兆円から5,000億円の支出を決めましたが,その中で,地方創生臨時交付金の中に事業者を支援するための特別枠を創設しました。4月28日の国会での答弁で,今までの地方単独事業はコロナ対策全般だったが,今回は事業者支援にターゲットを絞り,その範囲内で自由度高くお使いいただく,時短要請を受けていないところも含めて広くお使いいただくと,この予算化の意義を述べています。要するに,一部の業種だけでなく,コロナで経営難に陥っている事業者を広く支援することが必要だと認めたわけですが,広島市においても事業継続に困難を来している事業者への支援が重要で急がれます。  今回の緊急事態宣言等に関わる中小企業庁の一時支援金も月次支援金も,売上減少が50%以上とハードルが高く,利用できない事業者への支援は急務です。自治体として,新型コロナの影響を受けている全ての事業者に公平な直接支援が届くようにするべきだと考えますが,市のお考えを伺います。  また,新型コロナにより影響を受けている市民に対する支援として,市税や公的保険料等の減免・徴収猶予制度がありますが,今年は昨年の猶予分と併せて,今年度の保険料の支払いが始まります。3回目の緊急事態宣言が出された状況の中で,引き続き減免・徴収猶予の延長が求められます。ただし,前年所得の3割以上減少という条件が問題です。昨年はよかったとしても,昨年自体が売上げや給与収入等が大幅に減少しているので,それよりさらに3割以上減少という条件では,制度を必要としている多くの事業者や市民が利用できないのではないでしょうか。国保料・介護保険料の減免については,所得の比較年度を少なくとも新型コロナ感染拡大以前にするべきですが,どのようにされるか答弁を求めます。  この春,大学などに進学した学生たちの中には,アルバイトをしなければ学生生活を続けられない人たちがたくさんいますが,新型コロナ感染対策の影響でアルバイト先を失ったり仕事量が激減したりで,生活に困難を来していることが全国的に問題になっています。広島市内の学生たちの実態について,広島市として調査する必要があると思います。  学生の食料支援を行っている団体によるアンケート調査では,バイトのシフトがなくなった,月5万円あったバイト料がなくなるなど生活が苦しい,冷蔵庫は空っぽだ,食事を抜くことがあった,野菜不足で口内炎ができやすくなったなど,食費や生活費を切り詰めざるを得ず,学ぶための基本的な生活さえ成り立たなくなっている学生の深刻な状況が浮かび上がります。  市内の各大学を通じて,あるいは各大学と協力して,広島市として学生の生活実態を調査し,それに基づく具体的な支援策に取り組んでいただきたい。いかがでしょうか,答弁を求めます。  次は,女性の生理の貧困問題です。  新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し,雇用状況が悪化する中で,収入の減少が続いている家庭や,アルバイトができずに生活に困窮する学生の中で,生理用品を買うことができず,交換回数を減らして節約したり,トイレットペーパーで代用するなどの極めて深刻な実態が明らかになっています。  生理用品の軽減税率適用などを求めてきた「#みんなの生理」という若者グループによるアンケート結果が,3月4日にNHKで報道されました。過去1年間で生理用品を入手するために食事を我慢するなど金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者の割合が20.1%,過去1年以内に金銭的な理由で生理用品でないものを使ったと答えた割合は27.1%,生理用品を交換する頻度を減らしたと答えた割合は37%で,まさに生理の貧困の実態が浮き彫りとなっていました。  子育て支援団体の関係者からは,子供用のおむつが買えないというお母さんに生理用品は大丈夫か聞くと,実は困っている,生理用品が満足に買えないので外出できないなどの実態があることも明らかにされています。  生理用品は,健康な生活を送るための必需品です。学校では保健室に常備しているそうですが,必ずしも必要な全ての児童生徒が気兼ねなく保健室の常備品を使用できるとは限りません。また,経済的な理由以外にも,小・中学生は,自分で買うのが恥ずかしい,親に頼むのが恥ずかしい,親が買ってくれないなどの理由で生理用品の入手が困難であるために,経血で服や椅子を汚すことが不安で登校できない児童生徒もいるといいます。これは,子供たちの学習権を奪い,人権侵害にも当たる看過できない問題です。まずこの点について,市の御認識と改善に向けた市のお考えを伺います。  アメリカでは,2019年秋に,生理の平等化をスローガンに,生理をタブー視せず,誰もが生理用品を入手できる状態にすることを求める大規模デモが行われました。イギリスでも,生理用品が買えずに不登校となる女子生徒の存在が問題視され,イングランドの小・中学校は2020年1月から生理用品の無償配布を始め,11月にはスコットランドで生理用品が必要な全ての女性が無料で入手できるという法案が可決されました。ニュージーランドでも,小・中・高校で無償提供が行われます。フランスは,大学の寮や保健施設に無償提供する機械を設置し,全ての学生への無償提供を目指しています。  日本では,東京都豊島区,千葉県市川市などで防災備蓄用の生理用品を活用した配布が始まりました。こうした自治体の動きを受け,国は地域女性活躍推進交付金に13億5000万円を追加措置した上で,生理用品の無料配布を交付金の対象に加えました。京都市では,早速5月補正で小・中・高・特別支援学校での生理用品の提供などの支援を具体化しましたが,国は学校での生理用品配布は設置者,つまり自治体の判断としています。この交付金が広島市にはどれだけ交付されたのか,この交付金をどのように活用されるのかお答えください。  生理の貧困を解消するには,経済的な理由から生理用品が手に入らず困っていることを口に出せずにいる児童生徒に配慮した取組を急ぐとともに,児童生徒や若者をはじめ生理のある人に無償配布することが必要です。まずは,衛生面に配慮しながら,学校の女子用トイレの個室,公共施設のトイレなどに返却不要の生理用品の常備が急がれます。差し当たって,緊急に財源を確保して,こうした取組を行う必要があります。どのようにされるか,また災害の際の避難所に備蓄されている生理用品はどのくらいあるのか,併せてお答えください。  また,児童生徒に対しては,生理用ショーツの配布も大事です。生理のことを含め,心や体の悩みを気兼ねなく養護教諭らに相談できる環境を整備することも求められます。以上についても,市のお考えを伺います。  昨年度,広島市職員で生理休暇を取得したのは,2,840人中僅か61人です。日本では性教育や生理に関する教育があまり行われていないことから,生理に対する理解が乏しいのではないでしょうか。生理をタブー視するのでなく,ジェンダー平等を進める一つとして生理休暇を抵抗なく使えるような教育や基盤を整えることも必要ですが,市の御見解を伺います。  これまで個人的な問題としてあまり語られてこなかった生理ですが,女性にとって生理用品は,社会生活をする上で,なくてはならない必需品です。その生理用品を購入できない,入手できない人がいることは,社会の問題として解決されるべきことです。国に対して生理用品を非課税とすること,また,継続的に生理用品の頒布がされるような取組,法整備などを求めていただきたい。どうされるかお答えください。  最後に,就学援助の認定基準引下げについて質問します。  広島市では,他の政令指定都市と比べても認定率が高いといいますが,政令市の多くが認定基準を低く抑えていること,制度の周知に問題があるところが多いことから,広島市が他の政令市より認定率が高いからいい,だから認定基準を引き下げてもいいというわけにはいきません。広島市の認定率の高さは,市内の子育て家庭の貧困の実態を反映していることもよく考えるべきです。  政府が毎年調査している全国の市町村の就学援助の直近の状況を見ると,生活保護基準額に定数を掛ける仕組みがない市町村は別として,仕組みがあって生活保護基準の1.2倍以下は22%で,広島市の1.146倍はここのランクに入ります。1.2倍を超えるのは全市町村の54%,最高で1.7倍というところもありますが,広島市は少数派です。政令市は他の自治体より人口当たりの財源が特別に大きいので,自治体の規模の大小を理由にするわけにはいきません。  一方で,広島市の認定率は徐々に下がっていて,2019年で25.8%,高知県全体とほぼ同じ水準です。この認定率が徐々に下がってきていることについて,教育委員会は経済状態によるもの,つまり子供のいる家庭の所得が上がっているから認定率が下がっているのだと答弁しています。しかし,考えてみると,この所得,その元の賃金は名目賃金です。一方で,生活水準に直結する実質賃金は下がり続けています。  厚生労働省の統計調査によると,2013年から2020年までの7年間だけでも,実に5%も実質賃金が下がっています。そういうときには,その5%を反映して認定基準を引き上げないと,生活の実態は下がっているのに名目賃金が上がったことを理由に就学援助から排除されてしまうことになります。この点をどのようにお考えかお答えください。  広島市で所得を判定する際の基準とする生活保護基準は,さきの安倍政権の下で二度も切り下げられました。安倍政権による2013年と2018年の生活保護基準の引下げは,生活保護に対する拒否感などから,受給対象でありながら生活保護を受けない世帯,当然,生活保護世帯より低い消費支出にならざるを得ませんが,これと比べたり,生活保護世帯が購入できないようなパソコンや大型テレビなどの価格の実質下落を組み入れた物価下落の偽装までして強引に強行したものです。実際には,今日まで続く円高政策によって輸入に頼っている食料品の価格が上がり続けるなど,低所得世帯にとっての生活必需品の物価は上がり続けています。健康で文化的な最低限度の生活とはいかなるものであるかの科学的検証もなく,保護基準を10%引き下げるとの自民党の選挙公約を実行したものであり,そこには科学的根拠はなく,その結果,いたずらに生活保護受給世帯の生活水準が引き下げられ,多くの生活保護を受けるべき人たちを排除することになりました。  この生活保護基準の切下げによって,夫婦と学齢期の子供2人の4人家族の場合,2012年以前より生活扶助部分だけで月額2万円余りも切り下げられております。2012年以前と比べると,今の生活保護基準は相当に低くなってしまっているわけです。少なくとも,生活保護と同等というなら,また,生活に困窮する学齢期の子供のいる世帯の学習条件を改善しようと本気で考えるのであれば,生活に欠かせないものの価格が上がっている中で行われた二度にわたる不当な生活保護基準切下げに配慮して,それより相当な幅で上乗せをした認定基準になるよう考えるべきではないでしょうか。このまま二度にわたる生活保護基準切下げに目をつぶって,切り下げられた今の生活保護基準と同等でいいんだと就学援助制度から生活困窮世帯の一定部分を切り捨てることは,基本構想が掲げる都市づくりの方向性と矛盾するのではないかと考えます。ぜひ御検討いただきたいのですが,どうされるかお答えください。  以上,誠実な答弁を求めて一般質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○山田春男 議長       市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       中森議員の御質問にお答えいたします。  日本が核兵器禁止条約に加盟するためにのうち,日本の核兵器禁止条約への参加と核の傘からの脱却についての御質問がございました。  日本政府は,唯一の戦争被爆国として,核廃絶というゴールは共有しているとしながらも,核兵器禁止条約への対応については,日本のアプローチと異なることを理由に署名は行わないとの方針を示しております。  本市としては,いかなる理由であろうと,日本政府を含む各国の為政者が核抑止に頼る政策は被爆の実相や核兵器の非人道性を踏まえるならば成り立たないものであることを認識した上で,核保有国や核の傘の下にある国が大きな政策転換を決意し,全ての国が核兵器禁止条約に批准する必要があると考えております。  今後,核兵器禁止条約の実効性の確保が次なる課題となっていく中で,唯一の戦争被爆国である我が国が同条約を批准するならば,ヒロシマの心の世界への発信と被爆者の方々の核兵器廃絶に向けた取組の後押しになるとも考えています。  このため,核兵器禁止条約の締約国となることを,直接日本政府に要請するとともに,日本政府が核抑止論から解放され,信頼関係を基調とする安全保障体制の構築に向けた外交努力を続けることができる環境づくりが重要であると考え,昨年は各政党の党首や核兵器廃絶に関わる議員連盟の代表者に対しても,一刻も早い同条約への署名・批准に向けて,国会での活発かつ建設的な議論を行っていただくよう要請したところであります。  日本政府に対して,様々な機会を捉えて核兵器禁止条約への参加を働きかけていくとともに,核兵器は要らないという市民社会の声を世界の潮流にしていくために,市民の平和意識の醸成などの環境づくりに取り組んでいきたいと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○山田春男 議長       市民局長。 ◎杉山朗 市民局長      日本が核兵器禁止条約に加盟するためにの数点の御質問にお答えをいたします。  まず,核兵器禁止条約の発効を広島市としてどのように生かしていくのかについてです。  核兵器禁止条約は,史上初めて核兵器を全面的に禁止されるべき対象であることを明確にする根本規範であり,被爆者をはじめ,平和を願う多くの人々の労苦が結実した未来への希望です。本市としては,この条約を核兵器廃絶を目指す市民社会における取組の道しるべにするとともに,核兵器は要らないという市民社会の声が世界の潮流となる大きな転換点にしたいと考えています。  このためにも,世界165か国・地域の8,000を超える平和首長会議加盟都市と連携しながら,為政者が核抑止論から解放され,核兵器廃絶に向けて政策転換を進めるよう促すための環境づくりを進めてまいります。  次に,条約賛成の国々が批准にまで進むよう,市民運動と連携して進める必要があると思うが,どのような取組をするのかについてです。  本市としては,これまでも被爆の実相を守り,広め,伝えるための取組や迎える平和の取組により,核兵器が絶対悪であるとの認識を広めるとともに,平和首長会議の加盟都市と連携して,核兵器禁止条約の成立に向けた要請活動などを展開してきました。  今後は,核兵器禁止条約を実効性の高いものにしていくために,これまでの取組に加え,為政者を選ぶ側の市民社会に平和への思いを共有し,それに基づいて行動するための文化,すなわち平和文化を根づかせるための取組に注力していきたいと考えています。この取組は,必ずや市民社会に平和意識を醸成し,為政者の政策転換を後押しする大きな潮流の形成につながるものと考えています。  最後に,日本政府の橋渡し論は成り立たないことについての見解を伺いたいについてです。  橋渡しは,一般論としまして,川の対岸にある地域同士を結びつけるという作業でありまして,その作業には水量,水の流れ方,さらには両岸の地域特性に応じて様々な方法があり,その困難さも様々あると考えられます。  日本政府が表明する橋渡し論は成り立たないという判断にはそれなりの理由があると承知はしていますが,核保有国が核兵器禁止条約に反対する状況の中で,核保有国と非核保有国との分断を解消し,共通の基盤を形成するため,唯一の戦争被爆国として橋渡し役を果たそうという意思を表明していることは大事にする必要があると考えています。  日本政府には,今後開催される予定の締約国会議において,同会議に出席して議論に貢献するなど,橋渡しとしての役割を果たしていただきたいと考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  黒い雨裁判について,四点の御質問にお答えいたします。  初めに,明確な科学的根拠を求める国の主張に対して,広島市としては同意できないのではないかと考えるがどうかについてです。  広島市の立場とすれば,国の主張に対して同意できないのではないかという意見については,そもそも被爆者健康手帳交付事務が法定受託事務であり,第一義的には国の方針に沿って適切に履行すべきものであり,その法定受託事務に関する裁判であることから,本市の主張は国の主張に合わせて行っているところです。  なお,仮に原告を救済する判決が確定したとしても,民事訴訟法の規定により,その効果は訴訟の当事者以外には及ばないため,現行の被爆者援護制度が改正されない限り,全ての黒い雨体験者を救済することはできず,事案の根本的な解決は図れないことから,本市としましては根本的な問題解決を目指し,今のような対応を取っているところです。  次に,市長が記者会見で,被爆者健康手帳交付事務は法定受託事務であるので,市は国の手足として動かなければならない立場であるなどの趣旨の発言をしている,このことについては,昨年12月の吉瀬議員への答弁で,そういうことはないと否定されたと理解しているが,改めてこの点を確認したいについてです。  昨年12月の一般質問におきまして,吉瀬議員の御質問に対し,本市が独自に控訴を取下げ判決を受け入れること自体は,法令の規定に違反し,または著しく適正を欠き,かつ明らかに公益を害しているものと認められるものではないと答弁をいたしました。この答弁は,あくまで控訴の取下げに係るものであり,被爆者健康手帳交付事務につきましては法定受託事務であることから,国の方針に沿って適切に履行していかなければならないという従前からの立場には変わりございません。  次に,判決が確定した場合,判決の効力は原告だけに及ぶという理由で原告以外の黒い雨体験者の申請を機械的に却下処分するのは違法となると考えるがどうかについてです。  判決が確定したとしても,審査手続が自動的に変更されるものではないことから,原告以外の黒い雨体験者からの申請に対しては,国と協議をしながら審査を行うことになります。  最後に,仮に控訴審で原告勝訴となった場合は,原告被害者の立場に立って判決を受け入れるべきだと考えるがどうかについてです。  判決後の対応につきましては,第一審と同様に,県や国と協議した上で判断することとなると考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       健康福祉局長。 ◎山本直樹 健康福祉局長   新型コロナウイルス感染拡大での支援についてお答えいたします。  感染拡大の影響で生活に困窮している市内の学生の実態について,市として調査し,それに基づく具体的な支援策に取り組むべきと考えるがどうかについてお答えいたします。  感染拡大の影響を受け,経済的に困窮している学生に対しては,既に国がその生活実態を踏まえ,授業料等の減免と奨学金の給付をパッケージで実施する修学支援新制度を設けるなどして支援を行っているほか,これに該当しない学生に対しても,大学独自で授業料等の減免制度の拡充が実施されたり,学生へのアンケートを基に応急の奨学金給付や大学食堂で利用できる食事補助券の配布など,学生の実情に応じた対応が行われているところでございます。  本市としては,学生がいる生活困窮世帯に対しましては,従来から実施しているくらしサポートセンター等の相談機関による包括的な支援を行っていきたいと考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  新型コロナウイルス感染拡大での支援についてのうち,新型コロナウイルス感染症の影響を受けている市民の国保料や介護保険料の減免については,所得の比較対象年度を少なくとも新型コロナ感染拡大以前にすべきと考えるがどうかについてです。  新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険等の保険料の減免につきましては,国の通知に基づき,前年の収入に比べて3割以上の減少が見込まれること等を要件としており,令和3年度の保険料の減免に当たっては,令和3年の収入見込みと前年の令和2年の収入を比較するよう制度設計されております。このため,本市としましては,令和3年度の保険料減免に当たりましては,国の制度設計に基づいた対応を行うこととしております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       経済観光局長。 ◎津村浩 経済観光局長    新型コロナウイルス感染拡大での支援についてのうち,事業継続に困難を来している事業者への支援が急がれるが,国の支援金は売上減少が50%以上とハードルが高い,自治体として,コロナの影響を受けている全ての事業者に公平な直接支援が届くようにするべきだと考えるがどうかについてお答えします。  企業の業績や資金繰りの悪化,世帯の所得減などを直接的に緩和するための諸措置については,基本的に国及び県において講じられるべきものと考えています。加えて,そうした諸措置が影響を受けている幅広い業種の事業者に届くようにすることは必要であると考えています。  このため,本市では国に対して指定都市市長会と連携し,緊急事態宣言等の適用の有無や業種に関わらず,影響に応じた公平な経済対策を講じることや既存支援策の要件緩和などを要望しています。また,県に対しては,5月8日からの新型コロナ感染拡大防止集中対策の開始に当たり,それにより影響を受ける幅広い事業者への支援について一層の措置を講じるよう要望し,その後,県において売上が30%以上減少した中小事業者を対象に,業種を限定せず支援金を支給されることとされたところです。  本市においても,昨年度実施した「広島は決して屈しない!プロジェクト」の言わば第二弾として,苦境に立たされている多くの中小事業者が共助の精神の下,団体やグループで感染拡大の防止を図りながら事業を維持するために行う取組に対し,業種を問わず補助する事業をこのたびの補正予算に計上したところです。これをしっかりと事業者に周知し,売上減少の要件を満たさないために国や県の支援策の対象とならない事業者を含め,幅広く支援を行っていきたいと考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       危機管理担当局長。 ◎岩崎学 危機管理担当局長  ジェンダー平等の社会へ生理の貧困の解消をの御質問のうち,避難所に備蓄されている生理用品の数についてのお尋ねにお答えいたします。  現在,災害対策用に避難所等に備蓄している生理用品は,約2万9000個ございます。  以上でございます。 ○山田春男 議長       市民局長。
    ◎杉山朗 市民局長      ジェンダー平等の社会へについての数点の御質問にお答えをします。  まず,国の地域女性活躍推進交付金が広島市にどれだけ交付され,どのように活用されるのかについてです。  この交付金は,新たに女性相談事業を実施しようとするNPO等の民間団体がある場合に,当該団体に対する自治体からの委託費に充当するため交付されるものです。本市においては,該当するNPO等がいなかったため,交付金の申請は行っておりません。  なお,今回,男女共同参画推進センターゆいぽーとにおいて実施を始めております生理用品の提供は,交付金の対象となり得る事業内容ですが,当該センターは従来より女性のための何でも相談を実施しており,その事業の一環として実施し,新たな事業として位置づけていないことから,交付金の申請は行っておりません。  次に,緊急に財源を確保して生理用品を準備する必要があるが,どのようにするのか,また,国に対して生理用品を非課税とすること,継続的な生理用品の頒布の取組,法整備などを求めてほしいがどうするのかについてです。  本市としては,まずは今回の試行的な取組を通して,困難を抱えた女性の相談を受け,その原因や背景を探るとともに,どのような支援が求められているのかについて把握することが重要であると考えています。  議員御提案の件につきましては,今回の取組結果を踏まえまして,関係する部署と連携しつつ,必要性も含めて検討を行うことになると考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       教育長。 ◎糸山隆 教育長       生理の貧困の解消について,三点お答えをいたします。  まず,学校では生理用品を保健室に常備しているが,必要な全ての児童生徒が気兼ねなく使用できるとは限らないと,こうしたことについての市の認識と改善に向けた考えについてです。  市立学校では,児童生徒から申出があれば養護教諭等が必要な数量の生理用品を渡していますが,家庭の事情等で生理用品に困っているにもかかわらず,保健室で受け取ることに抵抗感を持つ児童生徒が存在する可能性があります。このため,先ほど,市民局長の答弁にありましたゆいぽーとの相談窓口に寄せられる相談内容などを把握し,このような児童生徒の家庭に対する支援や学校での何らかの支援の必要性について,関係部局と連携しながら検討したいと考えております。  次に,児童生徒が生理だけでなく,心や体の悩みを気兼ねなく養護教諭に相談できる環境を整備することが必要と思うがどうかという御質問にお答えいたします。  児童生徒が生理について相談できる相手としては,同性の養護教諭が考えられますので,毎年行っている新規採用や中堅の養護教諭研修に生理の貧困に関わる事柄を盛り込むとともに,児童生徒の心や体の悩みに早く気づき,対応することについては,養護教諭だけでなく全ての教職員が心がけておく必要があることから,校長会等を通じ,改めて周知していきたいと考えております。  また,学校の保健室はこれまでも気兼ねなく相談できるよう,カーテン等で外からの視界を遮ったり一対一で話ができる時間を設定したりするなどの配慮をしているところですが,引き続き児童生徒のプライバシー保護に十分留意するよう,各学校に周知していきたいと考えております。  次に,性教育などがあまり行われていないから理解が乏しい,ジェンダー平等を進める一つとして,生理休暇を抵抗なく使えるよう教育をすることが必要と思うがどうかという御質問です。  学校では,性に関する指導については保健体育科や特別活動等で,また,ジェンダー平等や休暇制度等の労働者の権利については社会科や特別活動等で,児童生徒の発達段階に応じて行っているところです。議員御指摘の生理休暇の問題については,こうした学習をする中で触れていきたいと考えております。  次に,就学援助認定基準の引下げについて,二点お答えをいたします。  2013年からの7年間で名目賃金は上がっているが,生活水準に直結する実質賃金は5%下がっていると。こうしたことを反映して就学援助の認定基準を引き上げるべきではないかという御質問です。  就学援助の認定基準をはじめ,社会保障など様々な施策の適用基準として用いられている生活保護基準は,5年に一度実施される全国消費実態調査のデータ等を基に,物価変動,所得や消費の実態が反映されたものと認識しております。したがって,就学援助制度において生活保護を受けている者に準じる程度に困窮している準要保護者を認定する基準としては,実質賃金ではなく,この生活保護基準を用いることが妥当であると考えております。  最後に,国は2013年と2018年の二度にわたり,物価下落を理由に不当な生活保護基準の引下げを行った。生活必需品の価格は上昇しており,それに配慮して相当な幅で上乗せした就学援助の認定基準にすべきではないかという御質問です。  先ほど御答弁申し上げたとおり,生活保護基準は物価変動,所得や消費の実態が反映されたものと認識しております。そうした中,今回の見直しに当たっては,就学援助制度における準要保護者とは生活保護を受けている者と同程度の者であるという考えの下,認定基準の算定に用いる生活保護基準を直近の令和2年度のものに更新し,生活保護基準に乗ずる係数を1.13から1.0にして社会保険料控除の重複を解消するとともに,社会保険料等の控除額を差し引く取扱いは継続することとしています。さらに,算定に用いる生活保護基準に新たに学校給食費や教材代,交通費を加え,生活保護の要否判定に用いる教育扶助の全項目を算入するとともに,学習支援費を対象項目に追加し,認定基準額の充実を図ることとしました。  令和元年度の実績を基にした今回の見直し後における認定率は24.7%となり,ほぼ4分の1の世帯をカバーしており,また政令市の中では最も高く,準要保護者への支援としては適切な制度になっているものと考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       48番中森議員。 ◆48番(中森辰一議員) それぞれ答弁をいただきましたけれども,再質問をさせていただきたいと思います。  黒い雨被害者の救済の問題ですが,これは一刻を争う状況にまで来ているんではないかと思うわけです。しかし,残念ながら先ほどの答弁は,どうもこういう人たちに対して人ごとのように聞こえました。広島市が本気で原告を含めた被害を訴える人たちに寄り添っていこうと考えているんであれば,今すぐにでも控訴を取り下げるべきだと私は考えます。  私は昨年7月の広島地裁の判決文を読んだときに,その利益は当然,原告以外の被害者にも及ぼすことができるものだというふうに考えました。しかし,その期待は広島市長の控訴の判断で裏切られたと思っております。そこには,広島市の被爆者行政というものがいつも国の行政の代行機関だという立場から抜け出せない問題があるんではないかというふうに思うんです。かつての救護被爆者訴訟も,当時の臨時救護所がどのような状態であったかを考えることもなく,国の基準にもない,介助した人数が何人以上などという条件を勝手に設けて,3号被爆者の対象から排除していたことを問題にしました。それでも,裁判に訴えたからこそ原告たちが被爆者手帳を手にすることができ,基準も変更されることになったわけです。広島市の被爆者行政は,またあのときと同じことを繰り返しているんじゃないかというふうに思わせざるを得ません。  科学的根拠などというものは,国が被爆者をより少なくしたいための単なる理屈にすぎません。科学者と言われる人たちでも,幾ら科学的根拠が問題だと言おうと,黒い雨を浴びて放射線の被害を受けたと訴える原告たちの被爆による影響を完全に否定し去ることはできません。否定できないからこそ,市は自ら行った調査結果を基にして国に認めるよう要請してきたんじゃないんでしょうか。今さら控訴の取下げはできないということなら,せめて高等裁判所で原告勝訴となったら,今度こそ判決を受け入れる,そういう姿勢が必要ではないかと思いますが,このことについて再度答弁をお願いします。  それから,新型コロナによる営業への支援の問題なんですけれども,これまで繰り返し公助は国と県,市は共助を支援するんだというふうに言ってこられました。しかし,先ほども言いましたように,国の支援は売上げの状態で線引きをする,県の支援も全事業者というわけではないと。そうした制度のはざまで厳しい経営に陥っているのに何の支援も受けられない事業者があるかないか,そういうことを調査もまだ具体的にはしていらっしゃらないのではないかと思います。  公助が県や国の仕事だということであるなら,そうした実態を調査して,支援策からこぼれている事業者があれば県や国に支援策を提言するぐらいのことはしてもいいんじゃないかと思いますが,どうでしょうか。これは再度答弁を求めます。  それから,学生への支援の問題ですけれども,今,いろいろ取組をしているところもあります。大学も取組をやっていると思います。民間団体でもいろいろ支援の取組をやっています。ただ,今,国が設けている制度,これはもう既にアルバイトで実績のある学生がアルバイトがなくなったときに使えるわけですけれども,新入学でこれからアルバイトを始めようとしても仕事がないという学生も多いわけですよね。ここに対しては国の制度は使えませんから,やっぱり実態はどうなっているかということを調べた上で必要な措置を考える必要があるんではないか,市としても何か取組が要るんじゃないかというふうに思うんですが,この点はどうか,再度答弁を求めます。  生理の貧困への対応,いろいろお答えがありましたけれども,具体的な施策はこれからも私どもとしても出していきたい,提案をしていきたいというふうに思っておりますが,その中で,これは答弁は求めまいと,具体的に聞いた数字を私のほうから質問の中で入れたんですけども,広島市役所では職員の生理休暇の取得が3,000人近い中でたった60人そこそこ,これにはびっくりしました。私が労働組合の活動をしていたのは30年以上前ですけれども,私の職場では生理休暇を取るのは当たり前,当然のようにそれを保障するために,仕事や人のやりくりをしていたんですよ。当時でも基本的に取得率は100%だったと思います。それが,率先してこれを保障していくように取り組むべき市役所で,たった2%程度しかないと。これは本当に一体どうなっているんだろうかというふうに思います。これは男女共同参画推進という立場からは,とても容認できない問題ではないかと思います。  生理休暇が1日ではとても足りないという方もいらっしゃると思いますけれども,まずはきちんと1日だけでもこれが保障できる,そういう職場にしていただきたい。男性には関係ないけれども,女性には生理があるわけです。だからこそ,人間社会が続いているわけですよ。そこに十分配慮できる社会をつくるのが男女共同参画の土台ではないんでしょうか。女性特有の問題にどう適切に対応していくのか,子育てをどう保障するかというのは,女性の社会進出を進め,職場や団体で女性の役職者を均等にしていくということを進めていく上で,これはどうしても必要なことだというふうに思います。まずは全ての女性職員が気兼ねなく生理休暇を取得できる職場環境をつくることに取り組んでいただきたい,これは要望にしておきたいと思いますので,しっかり取り組んでください。  もう一つ,就学援助の認定基準の問題ですけれども,私が言った趣旨は,やっぱり市の行政として,教育委員会の行政としてもそうなんですけれども,社会が貧困化している実態をどういうふうに捉えて,それに教育という立場でどう対応していくか,こういう問題だというふうに思います。  広島市教育委員会は,私はそこに課題があるんではないかというふうに思うんですよ。今の答弁を聞きますと,市民生活の実態がどうなっているかということを自分たちの頭で考えようとしていないんじゃないでしょうか。市民生活の実態とは,すなわち子供たちが成長している家庭の実態ですよ。この家庭の実態,そこにきちんと働きかけて学びの保障をしていこうというのが就学援助制度なわけですよ。ところが,その学びの保障をする相手の家庭の生活実態がどういうふうになっていっているのか,政府の基準というのは,これは必ずしもその生活実態を反映しているとは限りません。そこのところで自分の頭でどうなっているかということをきちんと考えて対応していくのが,やっぱりこの分野での教育行政の仕事の一つじゃないかと思うんです。思考停止じゃいけないと思いますので,これはまた引き続き議論をしていきたいと思います。  先ほど答弁をお願いした点について,再度お願いします。 ○山田春男 議長       保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  黒い雨の裁判について,御質問にお答えいたします。  まず,昨年の地裁判決につきましては,私ども広島市としては原告の方々の請求を全面的に容認するもので,心身に苦しみを抱えてこられた黒い雨体験者の方々の長年の切なる思いと黒い雨降雨地域の拡大を目指す本市の思いが司法の場で認知していただけたものというふうに受け止めております。  本市としましては,黒い雨体験者の皆様の高齢化が進んでいる中,黒い雨体験者の切なる思いを踏まえ,裁判に参加していない黒い雨体験者をも救済できることが肝要であると考えておりまして,これまで科学的知見を超えた被爆者援護の立場に立った政治判断について強く求めてまいりましたし,その考え,そして姿勢は変わりございません。  そうした中での今回の高裁の判決後の対応につきましては,先ほど御答弁申し上げましたが,第一審と同様に,市と同様に被告である県や訴訟代理人である国と協議した上で判断することになると,そういうことでございます。  以上でございます。 ○山田春男 議長       健康福祉局長。 ◎山本直樹 健康福祉局長   大学生の支援ということで御質問いただきました。  これは実態調査を市としてもというお話ですけれども,私の認識としては,各大学が先ほど御答弁したように,アンケートなり実態調査なりをして個別の支援をしっかり行っているというふうに認識しています。  制度の周知自体は各大学でホームページ,あるいはポータルサイトといって学内の掲示板,それから履修登録を行う際のメール等々で,これはアルバイトに就いていようが就いていまいが,全ての学生に全ての制度を周知しております。その上で,そういった応急の給付金等を各大学で実施しております。  国や各大学で実施しているそういった支援制度を使ってもなお,やはり一定数の生活困窮から脱し切れない学生がおられるというのも,これは事実だろうと思います。ただ,そうしたものは,もうこれは学生個人の問題というよりも,学生を含むそういった家計といいますか,家族全体の,これは世帯全体の問題であろうということで,先ほど御答弁したくらしサポートセンター等の支援というのはそういった仕事,それから住まい,それから学業等々含めた,そういった生活体系全般を見据えて総括的な支援をしていくということで,我々は大学の支援に加えた形でそういう包括的な支援を引き続き実施していきたいというふうに思っております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       経済観光局長。 ◎津村浩 経済観光局長    新型コロナウイルスの影響を受けた事業者への支援についての御質問でございますが,まず国や県の支援を受けられないような事業者について,把握のための調査をしているのかどうかという点でございますけれども,このたびの6月補正予算に計上させていただきました感染対策等に取り組む事業者への支援の事業でございますけれども,これを実際進めるに当たりまして,市内の経済団体や業界団体,商店街や金融機関等に中小事業者の方々の実態についての聞き取り調査等を行いまして,その結果,飲食業であるとか観光関連業をはじめとして幅広い業種で中小事業者の経営環境は引き続き厳しい状況にあるということを把握した上で,このたびの補正予算の支援策を立案して計上させていただいたところです。  また,そうした調査に基づいて国へ提言すべきではないかというお尋ねでございますけれども,これにつきましては,これまでも累次御答弁しておりますけれども,指定都市市長会と連携いたしまして,累次要望しております。直近では5月24日に要望書を出しておりますけども,その中で,これも繰り返しになりますけれども,各種給付金・助成金など既存の支援策の期間延長,要件緩和,再給付も含めた支援策をより一層充実強化すること,また緊急事態宣言等が適用となる場合には幅広い事業者が影響を受けることから,業種を限定せず幅広く給付金を支給するとともに,売上減少要件,これ先ほど御紹介ありました50%以上も緩和することといった要望をいたしております。  今後も引き続きまして,国・県の支援策の動向や本市の経済状況等把握しつつ,必要に応じまして国や県に必要な要望を行っていきたいと考えております。  以上でございます。 ○山田春男 議長       48番中森議員。 ◆48番(中森辰一議員) コロナの問題で経営困難に陥っているところ,まさに潰れるか潰れないかという瀬戸際にあって,緊急性が問題なんですよね。そういう点では,やっぱり随時必要だと思ったら迅速に国に,あるいは県に要望していただきたい,そのことをお願いしておきたいと思います。  黒い雨の問題ですけれども,もう時間がないわけですよ。いつまで時間をかけてこれをやるんだろうかというのが,やっぱり当事者たちの切実な思いだろうというふうに思います。その点で,もし,高裁の判決は来月14日に出るんですけれども,そこでじゃあその判決に対して行政側がどういう態度を取るのかというのは,極めて重要な問題だというふうに思います。ちょっと改めて確認をしておきたいと思いますが,広島市には,もし原告勝訴ということになったときに,最高裁まで行く選択肢というのがあるのかどうか,そのことをお答えください。  それから,国の検証する厚生労働省の検討会,これを待つみたいなことを言ってこられたわけですけれども,先ほど言いましたように,これはね,いつ結論が出るかなかなか見えないのではないかと思います。まだ4回目を開いてないでしょう。実質議論をしたのは2回しかないんですよ。しかも,先ほど言ったような科学的検証をきちんと出せないものは認めないみたいな議論だって厳しく出されている。私はこういうものに期待することはできないと思いますが,この結論はいつ出す見通しなのか,あなた方は確認できていますか。それもお答えください。  以上です。 ○山田春男 議長       保健医療担当局長。 ◎阪谷幸春 健康福祉局保健医療担当局長  最初の御質問で,最高裁まで争うつもりなのかということですが,判決が出ていない現時点ではお答えはできません。  次に,検討会の結論はいつ出す予定なのか,その見通しは聞いているかということですが,これについては,今改めて近日中に検討会が開催されるというふうに聞いておりますので,その検討会を踏まえて,できるだけ早期にこの結論を出していただきたいということは市として申し上げていきたいと思います。現時点では,その結論がいつ出されるかというのは,私どもは確認しておりません。  以上でございます。 ───────────────────────────────────────                  休憩宣告 ─────────────────────────────────────── ○山田春男 議長       この際,暫時休憩をいたします。                午前11時52分休憩 ───────────────────────────────────────                午後1時03分開議                出席議員  30名                欠席議員  24名 ○渡辺好造 副議長      出席議員30名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○渡辺好造 副議長      休憩前に引き続き会議を開き,一般質問を行います。  17番山路英男議員。                〔17番山路英男議員登壇〕(拍手) ◆17番(山路英男議員) 自由民主党・市民クラブの山路英男でございます。  会派を代表して一般質問をさせていただきますので,しばらくの間,御清聴のほど,よろしくお願いいたします。  まずは,eスポーツについてです。  eスポーツという言葉を昨今よく耳にすることが増えたのではないかと思います。私も詳しくは知りませんでしたが,先日,自民党青年局・女性局の合同研修会で,株式会社ZORGEの堺谷社長からeスポーツの講演を聞き,これはとんでもないぐらい大きな可能性があると確信しました。  堺谷社長は富山県のeスポーツの第一人者で,eスポーツの普及・発展はもちろんですが,廃校舎や酒蔵を利用したイベントの開催,行政と協力しながら中心市街地の活性化など,eスポーツを通じたまちづくりも積極的に行われています。  その堺谷社長と,今回質問をするに当たり,再度リモートで話を聞かせていただきました。その中で,魚津市では今後活躍の場が広がってくるゲームクリエーターの養成を市の施策として実施されていたり,富山県立大学と富山県が協力し,eスポーツを介護予防対策の一環として活用する事業,さらには教育現場におけるeスポーツを活用した事例など,富山県では行政とeスポーツを組み合わせて多くの事業に取り組んでおられることをお伺いしました。  また,スウェーデンのシルバー・スナイパーズという平均年齢71歳の白髪のプロのゲームチームの話や,障害のある方が頬と舌を使ってコントローラーを操作し,プロのゲーム格闘家として活躍されている話を伺いました。  さらに,堺谷社長の言葉で印象に残ったことをもう一つ紹介させていただきます。それは,今後,日本社会だけではなく,世界中でダイバーシティー──多様性を認める機運や必要性が高まってくるのではないか。そのために我々は小さいときから様々な価値観を持った人と接し,多様性を身につけなければならないが,一方で,私たちは小さいときから障害のある子供たちと触れ合うことがほとんどなかった,いわゆる学校生活の時代から障害者と断絶してきたように思われると。堺谷社長のお話を伺いながら,性別,年齢,国籍,価値観,障害の有無など関係なく,多くの多様性を身につける原点としてさらなるインクルーシブ教育の必要性があると感じました。  私は,これからの自治体経営は,性別や国籍,障害のあるなしに関係なく,また子供から高齢者まで様々な多様性──ダイバーシティーを認め合い,そうした土台の上に市民,地域団体,企業が手を携えながら持続可能なまちづくりを進めていく必要があると考えており,eスポーツは多様性を市民が身につけるきっかけになるものと思っています。  そこで,eスポーツについて数点お尋ねいたします。  まず,先ほどお話をさせていただきました富山県高齢福祉課と富山県立大学が協力して取り組んでいる高齢者の介護予防についてです。  広島市では,高齢者いきいき活動ポイント事業などを活用しながら,各地域において高齢者サロンや百歳体操に取り組む介護予防拠点の活動を広げられてきました。この取組は,全市的に一定以上の効果があったのではないかと思っています。  高齢者サロン等においては,体を動かすこと以外にも,例えば計算ドリルや趣味のカラオケ,手芸,囲碁や将棋など様々な活動が行われていますが,これからはeスポーツやゲームもその活動の一つになり得るのではないでしょうか。  富山県では,高齢者のeスポーツ体験等による介護予防の取組を開始し,富山県立大学が,窓を拭く動作で関節を大きく動かし,認知症予防になるゲームとして作成した「窓ふきの達人」というゲームを使って共同研究されています。この富山県の取組で,参加した高齢者へのアンケート調査の結果,若い人と話をするのが一番楽しかったという声が多かったようです。堺谷社長は,若い人と高齢者を交流させるのに,今回の取組のように若い人の中に高齢者を巻き込むほうがお互いに楽しめていいとおっしゃいました。これは,今後の施策を検討する上で参考になるもので,高齢者が若い世代とコミュニケーションを取ることで双方の理解につながり,ダイバーシティーにつながると思います。  高齢者のeスポーツに関して,介護予防での活用は今後の研究・実践によるところもあるかもしれませんが,高齢者の取り組むコンテンツとしての可能性を大いに感じています。  そこでお尋ねいたします。介護予防にeスポーツやゲームを活用する取組について,本市としてどのようなお考えをお持ちかお答えください。  次に,学校教育におけるeスポーツの活用についてです。  全国の学校では,約200から300ぐらいのeスポーツの同好会やクラブができているそうです。そのうち約80%が私立高校や通信制の学校だそうです。これらの学校の中で,eスポーツを取り入れたことで多くの好事例があると報告されています。  一例を挙げると,不登校だった生徒がeスポーツ部をつくったことをきっかけに,友達や後輩にゲームの指導をしたりと積極的になり,ゲームを通じてコミュニケーションができるようになった事例などあるようです。また,冒頭で申し上げましたように,eスポーツの大会で障害を持っていても使える能力を使い,プロで活躍されている方がいらっしゃるように,eスポーツでは障害のあるなしに関わらず,活躍できる可能性を秘めていることが分かります。  そこでお尋ねいたします。本市の高等学校や特別支援学校に対して,eスポーツの魅力を発信してはどうかと思いますが,いかがでしょうか。また,将来的にはeスポーツ部などをつくってはどうかと思いますが,いかがでしょうか。
     もちろん,eスポーツに過度に熱中することで,インターネット依存症になったり健康を害したりすることがないよう留意する必要はあります。しかし,体育が得意だったり運動神経がよい児童生徒にスポットが当たりがちな中,eスポーツを学校教育活動に取り入れることで,これまでスポットが当たらなかった子供たちにスポットが当たり,様々な価値観や能力を認め合い,多様性を育み,ひいてはいじめの減少につながるという効果があるのではないかとも思っています。  最後に,繰り返しになりますが,eスポーツは年齢,性別,障害の有無など様々な違いを持つ人々が同じ条件の下に競技を楽しむことができるものであり,市民がお互いの多様性を認め合う社会を実現するための有効なツールになり得るものと考えています。  また,これまで述べてきた介護予防,教育に加え,ICT人材の育成,ICT関連産業の振興や経済・観光などの分野においても大きな効果をもたらす可能性を秘めており,本市としてもできるだけ早い段階で調査・研究を行い,活用していかなくてはならないと考えます。  御紹介した富山県におかれましても,元はeスポーツの担当は情報政策課が担われていましたが,今はデジタル化推進室というeスポーツ担当の部署があるようです。  そこでお尋ねいたします。様々な効果をもたらす可能性を秘めたeスポーツの調査・研究を行うため,担当の部署の創設,または担当課を決めたほうがよいのではないかと思いますが,いかがお考えかお答えください。  次に,リモート相談について質問させていただきます。  新型コロナウイルスの感染拡大により,私たちの生活は大きな影響を受けました。緊急事態宣言やまん延防止措置などの影響により外出自粛が長く続き,特に飲食店や旅行業などのサービス業,百貨店などの小売業など大きなダメージを受けました。一方で,働き方も大きく変わり,企業ではあらゆる業務でリモート化が進み,また教育現場においてもオンライン授業が進み,自宅にいながら仕事や勉強ができるなど,これまで想定していなかったスピードでオンライン化が進んだのではないでしょうか。  ほかにも,就職活動も大きくさま変わりした一つの事例で,採用選考もオンライン面接に切替えが進み,現時点で対面による面接は,ほぼ大企業では皆無ということです。  このように,企業においては新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,臨機応変に,また柔軟に働き方や仕事の内容など変化させてきました。というより,柔軟に変化させないと企業として生き残っていけなかったということです。  新型コロナウイルス感染症が日本で初めて確認されたのが令和2年1月15日。それから既に1年以上たちましたが,いまだにコロナウイルスの影響で売上げが上がらないとかいって嘆いているだけで,これまでどおりの方法で営業を続けている経営者はいないと思いますが,もし民間でそのような経営者がいらっしゃれば,それは経営者として失格です。  そこで,自治体を経営という視点で見てみると,働き方改革として職員の出勤を柔軟に対応し,分散出勤やリモートワークなども始められています。しかし,自治体の仕事で重要な相談業務はどうでしょうか。この業務のリモート化は進んでいるでしょうか。  まずはネットで政令市の状況を調査したところ,13政令市で何らかのリモート相談を実施されていました。例えば,妊娠・育児相談では6市で導入されています。この妊娠・育児相談は,幾らコロナウイルスの感染が拡大したからといって,妊娠や育児が待ってくれるわけではなく,どんどん進んでいきます。しかし,相談しに行きたくても外出自粛や感染するのが怖くて外出を控えてしまうこともあり,結果,相談ができず,不安になったりいらいらしたりなど,妊婦や子育て中のお母さんにはとてもいい状況だとは思えません。そのほかにも,移住相談で6市,就労相談で2市,ニート・不登校に関する相談窓口や地域の空き家活用相談などが,他の政令市で実施されていました。これらの取組は,新型コロナウイルス感染症が広がった影響で始められた取組であり,業務を柔軟に対応した好事例ではないでしょうか。政令市の取組を紹介しましたが,そのほかにも多くの自治体で既にリモートでの相談業務は実施されています。  そこでお尋ねいたします。多くの自治体で取組が始まっているリモートでの相談業務について,現在,本市において実施されていますでしょうか。もし実施されていないようであれば,すぐにでも実施されるべきだと思いますが,いかがお考えでしょうか。  次に,リモートで相談業務が実施されるようになれば,職員にとっても働き方改革にもつながるものと思います。リモート相談は,相談するほうが役所や相談場所に行かずしても,自宅などどこでもインターネット回線が通っているところであれば相談ができます。もう一方の相談を受けるほうも,インターネット回線が通っているところであれは同じくどこでも可能となり,相談者の利便性が高まるだけではなく,相談を受けるほうにとっても非常にメリットが大きいのではないでしょうか。  例えば分散出勤で自宅でリモートワークしている職員や退職された優秀な相談員が,わざわざ役所に来なくても,予定した時間に自宅などのインターネット回線を通じて相談業務に就くことができ,効率的な働き方が可能になるのではないでしょうか。  そこでお尋ねいたします。リモート相談は職員の働き方改革にもつながるものと思われますが,いかがお考えでしょうか,お答えください。  次に,障害者の利便性の促進について質問させていただきます。  障害者の自立と社会参加を促進するため,公共交通機関などで障害者割引が導入されています。割引を受けるに当たっては,身体障害者手帳,療育手帳,精神障害者保健福祉手帳といった障害者手帳の提示が求められますが,この手帳は紙製で劣化しやすく,紛失しやすい上,提示することに対して心理的負担を感じると聞きます。また,色や大きさといった手帳の規格,フォーマットは自治体によって異なっており,交通事業者にとっても手帳をケースから出して確認しなければならない場合があるなど,負担になっているようです。  この問題を解消するため,厚生労働省は平成31年4月に,カード型の障害者手帳の交付を認めました。自治体ごとに導入を検討することができ,本人や家族が希望すれば紙製の手帳もこれまでどおり使用することもできるようになりました。  そこでお尋ねいたします。本市においてもカード型の障害者手帳の導入に向けた検討を進めるべきと考えますが,いかがでしょうか,お答えください。  また,国は交通事業者に対しても,平成31年1月に,障害者割引運賃による乗車時の本人確認について,障害者に対し過度な負担とならない合理的な方法で本人確認を行うよう理解と協力を求めており,これに応じて新たにスマートフォン等を活用して,利用のたびに障害者手帳の提示を求めない事業者が増えてきています。  こうした中,株式会社ミライロという企業では,スマートフォンのアプリに障害者手帳の情報を取り込んで画面上に表示するミライロIDを開発し,昨年6月から無償で提供しています。このアプリは,政府が運営するオンラインサービスであるマイナポータルを介して,本人の障害者手帳情報を安全かつ迅速に確認して登録できるアプリで,国が本人確認の簡素化の検討を要請する際のサービスの事例として挙げられており,公共交通機関や公共施設を含んだ各施設において導入が進んでいます。  広島市内においても,JRやアストラムライン,路面電車などの公共交通機関でマイナポータルとの連携がなされたミライロIDを障害者手帳の代わりに本人確認として利用できるようになってきています。これは,先ほど申し上げた障害者手帳の提示による課題を解消できるものであると考えます。  そこでお尋ねいたします。本市の施設においてもミライロIDを利用できるようにするべきだと考えますが,いかがでしょうか,お答えください。  次に,カーボンゼロの試みについて質問させていただきます。  近年,世界各地で異常気象が発生し,また国内でも豪雨が頻発しており,まさに私たちは今,新型コロナと気候危機という二つの危機に直面しています。このような中,菅総理は所信表明演説において,グリーン社会の実現を政権の中心課題に位置づけ,2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする,すなわち2050年カーボンニュートラル,脱炭素社会の実現を目指すことを宣言されました。  松井市長もこれに倣うように,令和2年12月定例会において石橋議員への答弁で,脱炭素化・脱炭素社会の構築に向けて取り組み,2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを表明されています。本市では,今年の3月に第3次広島市環境基本計画を策定され,地球環境の保全への貢献として脱炭素社会の構築としてまとめられており,その中では,「地球規模の環境問題は,核兵器と同様に人類の生存を脅かすものであり,戦後一貫して核兵器廃絶及び世界恒久平和の実現を世界に訴え続け,世界的にも知名度が高い本市には,地球規模の環境問題の解決についても,一定の役割を担うことが求められています」と明記されています。しかし,脱炭素社会を目指すためには大きなハードルが幾つもあり,技術革新でCO2を削減するのも大切ですが,小さな積み重ねでCO2を削減することも大切ではないでしょうか。  そこで提案します。市民が主体となってCO2の削減に取り組む事例として,廃食用油の回収はどうでしょうか。本市は,平成20年に天ぷら油の回収事業を市民に提案され,戸坂においてはその後,くるめ木町内会で廃食用油の回収を始められ,13年間続けられております。直近の回収量で申し上げますと,年間で495キログラムの廃食用油を回収され,これをCO2削減量に換算しますと約1,445キログラムとなります。これを単純に13年間で計算すると6,435キログラムの油を回収し,1万8785キログラムのCO2を削減していることになります。この取組が,まさに市民が主体となった小さな小さな取組の積み重ねで本市が進めようとしている脱炭素社会の取組ではないでしょうか。今の言葉でいえば,市民が主体となったSDGsの取組といえるのではないでしょうか。  熊本県でも,蒲島知事が令和元年に,2050年までに県内CO2排出実質ゼロを目指すことを宣言され,各種計画にCO2削減目標を盛り込み,その一環として,今年の5月から家庭で使った天ぷら油を回収するボックスを県庁に設置されました。こうして集めた油をバイオディーゼル燃料として公用車に使い,地球温暖化防止やSDGsにつなげる計画だそうです。ほかにも,札幌市では平成18年から,環境団体などが加入した協議会で廃食用油の回収を社会実験的に始めたことがきっかけで事業が拡大し,現在370か所で回収を行っている状況です。この事業の主体は札幌市ではなく,回収事業者が事業主体となっています。また,札幌市は,初期段階で積極的に参画し,市民への啓発のための冊子の作成や市民への周知,回収場所を提供する企業を募るなど,後方支援を積極的に行っていますが,回収ボックスを設置したほかには費用負担はされていないようです。また,この事業では,回収作業を障害者施設に委託するなど,障害者の就労支援にもつながっているとのことでした。  ここで,世界のバイオ燃料について少し話をさせていただきます。現時点では,欧州を中心にバイオ燃料の原料として廃食用油が利用されていますが,2030年に向けて,年間500万トンの廃食用油が必要とされており,現状から200万トンの追加が必要な状況だそうです。また,日本国内でも,5月31日の日本経済新聞でJALの赤坂社長の話によると,航空業界では世界的に環境規制が進む中で,廃棄物などから作る持続可能な航空燃料──SAFの導入が急がれているようですが,日本はSAFの製造事業者が存在せず,安定調達が課題となっています。赤坂社長は,SAFを安価で安定的に調達するため,業界で協力していくべきだとし,安定調達や国産化に向け,国内の航空業界で連携していく前向きな姿勢を示したとありました。  そこで,また広島に目を向けますと,平成20年から戸坂くるめ木町内会で廃食用油の回収を行っている徳の風プロジェクトでは,集めた廃食用油を精製し,毎月200トンを航空燃料の原料としてEUに向け輸出されているようです。既に広島市で回収された廃食用油は航空燃料に利用され,温暖化対策に貢献しているということです。  そこでお尋ねいたします。こういった小さな取組の積み重ねが,松井市長が表明された2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す一助になるのではないでしょうか。そのため,本市も廃食用油の回収についての啓発や広報活動を積極的に行い,札幌市のようにこの事業を後方支援することで市民の環境意識の向上やSDGsの取組につなげられると考えていますが,いかがでしょうか,お答えください。  次に,中国共産党による人権弾圧について質問させていただきます。  広島は,世界最初の原子爆弾の投下により焼け野原となりましたが,市民のたゆまぬ努力と国をはじめとした様々な機関の援助により,平和記念都市として復興を遂げ,現在は中四国の中枢都市として発展を続けています。そして,現在は国際平和文化都市の実現を目指しており,第6次広島市基本計画において,世界に輝く平和のまち,国際的に開かれた活力あるまち,文化が息づき豊かな人間性を育むまちの三つの柱を掲げ,まちづくりに取り組んでいます。  このうちの一つ,世界に輝く平和のまちでは,平和への願いを世界中に広げるまちづくりを行うとしています。この中で,「本市が目指す「平和都市」とは,多様性の尊重と信頼関係を基盤として,良好な環境の下,市民一人一人が尊厳を保ちながら人間らしい生活を送ることのできる都市である。その実現に向け,世界の都市や市民社会,国連機関等と連携し,飢餓や貧困,差別,暴力,環境破壊など,市民生活の安寧を脅かす諸問題の解決に向けた活動を推進していく必要がある」と書かれています。  しかし,国内や世界に目を向けると,様々な暴力や差別の問題が実際には起きています。中でも,中国共産党による新疆ウイグル自治区に住むウイグル人への人権弾圧については,日本を除く先進7か国全てが制裁を科すほどのひどい状況が続いています。例えば,100万人から300万人ともいわれるウイグル人を強制収容所に収容し,洗脳教育はもちろん,拷問や性的虐待,薬物投与や人体実験,そして年間6万件から10万件ともいわれる違法な移植手術を行うため,収容者から臓器を収奪し,移植ビジネスまで行われています。また,徹底した監視や宗教弾圧,ウイグル語教育の禁止や,ウイグル人女性に対しては強制避妊手術や中絶の強要など,ナチスのホロコースト以上の大量虐殺や人権侵害・弾圧が私たちの隣の国,中国で起きています。  このようなことから,欧米を中心にこの問題をジェノサイド──民族の大量虐殺として取り上げ,中国に行動を改めるよう積極的に動き出しました。また,日本を除くG7では中国に制裁を発動していますが,日本はこれらの問題の対応で中国政府に人権状況を深刻に懸念としか表明していません。日本政府のこのような及び腰の対応の結果,日本企業も駄目なものは駄目と言えず,中国に対して曖昧な対応を取らざるを得ないのではないでしょうか。その結果,アメリカは中国・新疆ウイグル自治区の強制労働を巡る米国の輸入禁止措置に違反したとして,ユニクロの男性用シャツの輸入を差し止めました。このように,信じられない人権弾圧を通り越したジェノサイド──大量虐殺が隣の国,中国で起きていることに対して,日本政府は先進7か国,G7と足並みをそろえて制裁を科すことが,日本政府の見解である国際社会が緊密に連携し,中国側に強く働きかけることが重要ということではないでしょうか。  また,世界にはこうした人権問題のほかにも,地域紛争や飢餓,貧困,暴力,気候変動など,核兵器の廃絶以外にも市民生活の安全と安心を脅かす諸問題が山積しており,世界の恒久平和の実現に向けて,平和都市としての本市の役割はますます重要になってきています。  そこでお尋ねいたします。本市は,人権問題をはじめとする国際社会が抱える諸問題の解決など,市民生活の安寧の確保に向けてどのように取り組み,貢献していくのかお答えください。  最後に,新疆ウイグル自治区やチベット,南モンゴル,香港,そして法輪功の学習者に対する中国共産党による人権弾圧は,現在の日本,広島の状況とかけ離れたものであり,身近に感じることができないかもしれませんが,平和を希求する広島市に生活する市民においては,その一人一人が様々な人権問題を真剣に我が事として捉え,迫害を受けている人々に思いをはせ,できる範囲で声を上げ,手を差し延べ,国際平和文化都市の市民としてのあるべき姿を体現できるような社会を築いていけたらいいと思います。そのためには,松井市長の平和に対する強い思いをしっかりと世界へも広げていただけたらと思います。  以上で終わります。ありがとうございます。 ○渡辺好造 副議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       山路議員の御質問にお答えします。  世界平和への貢献と人権問題についての御質問がございました。国際社会における人権問題など,民主主義や普遍的な価値観である自由,基本的人権,法の支配の保障を否定しかねない諸問題については,平和都市を目指す本市においては,あってはならない問題であるというふうに受け止めております。  平和都市とは,多様性の尊重と信頼関係を基盤として,良好な環境の下,市民一人一人が尊厳を保ちながら人間らしい生活を送ることができる都市であり,その実現のために,平和への思いを共有するための文化,すなわち平和文化を市民社会に根づかせる必要があると考えています。こういった視点もあって,第6次広島市基本計画には,平和文化の振興を掲げているところであります。  また,平和首長会議では,核兵器のない世界の実現に加えて,安全で活力のある都市の実現を目標として掲げ,人類の共存を脅かす人権問題や貧困問題などの地域特有の課題についても,解決に向けた地域グループの主体的な活動を支える取組を行っているところでもあります。  そうした中でも,平和文化の振興は,本市のみならず,信条,性別,国籍などの違いを超えて国内外の市民社会に根づかせることが重要であると考えており,平和首長会議の次期ビジョンにも目標の一つとして掲げることにしております。  いずれにしても,本市としては,被爆の惨禍から立ち直った経験を踏まえた平和への願いを世界中に広げ,世界の都市や多様な主体と連携を図りながら,為政者が平和追求への道を歩む,それをベースとするような世界恒久平和の実現というものに向けた国際世論,この醸成に貢献していきたいと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○渡辺好造 副議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  eスポーツについての御質問のうち,担当の部署の創設,または担当課を決めたほうがよいと思うがどうかについて御答弁いたします。  eスポーツは,デジタル技術を用いて行うものであり,そうした観点から,行政経営部情報政策課が所管し,調査・研究に取り組んでまいりたいと考えています。その上で,議員から御紹介のあった介護予防や教育分野のほか,行政として連携可能な分野について,その制度所管課と共に,市民にとって効果のある施策の立案に結びつけていきたいと考えています。  以上です。 ○渡辺好造 副議長      健康福祉局長。 ◎山本直樹 健康福祉局長   eスポーツについての御質問のうち,介護予防にeスポーツやゲームを活用する取組についての市としての考え方についてお答えいたします。  介護予防の取組におきましては,身体運動,口腔ケア,栄養管理,社会参加といった要素が重要であり,本市では,これらを取り入れた地域団体や住民が主体的に取り組む地域高齢者交流サロンや地域介護予防拠点の運営を支援するとともに,高齢者いきいき活動ポイント事業の実施により,こうした通いの場をはじめ広く社会参加の活動の促進を図っているところでございます。  議員から御紹介のありましたeスポーツ等のICTを活用した取組は,パソコン等を利用して世代や性別等を問わず参加できることから,富山県の事例のように認知機能低下を防ぐ訓練や高齢者と若者との交流のきっかけとなることなどが期待されます。  一方,実際に通いの場等で利用するに当たりましては,科学的な見地から電子ゲームであるeスポーツが高齢者の心身に与える影響や健康増進・介護予防に対する効果についての検討を行うとともに,使用機材や通信環境の確保などの課題にも対処していく必要があると考えております。  このため,eスポーツ等につきましては,こうした課題等への対応について,今後,地域団体や専門職等の意見を聴きながら,通いの場等での活用を研究してみたいと考えております。  以上でございます。 ○渡辺好造 副議長      教育長。 ◎糸山隆 教育長       eスポーツについてお答えをいたします。  高等学校や特別支援学校に対してeスポーツの魅力を発信してはどうか,また,将来的にはeスポーツ部などをつくってはどうかというお尋ねです。  eスポーツは,年齢や性別,障害の有無などを問わず競い楽しむことができる活動であり,近年,学校においても部活動等で活用する例が報告されております。一方,eスポーツを行うに当たっては,健康障害や依存性などが懸念されることから,その扱いについて十分留意する必要があると考えております。  こうしたことから,eスポーツの魅力を学校に発信することについては,単にeスポーツの楽しさを伝えるだけでなく,使い方やルールについても併せて伝える必要があり,他都市の学校の実践例等を参考にしつつ,市長部局とも連携を図り検討していきたいと考えております。  また,部活動に導入することについては,eスポーツは魅力もある一方で課題もあることに加え,一定の施設整備も必要となることから,先ほど申し上げた検討の中で,その扱いを考えていきたいと思います。  以上でございます。 ○渡辺好造 副議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  リモート相談についての御質問がございました。現在本市で実施しているか,もし実施されていないようであれはすぐにでも実施すべきだと思うがどうか,また職員の働き方改革にもつながると思うがどうかについてお答えいたします。  本市では,あらゆる行政分野でサービスの在り方を変革し,新たな価値を創造していくいわゆるDX──デジタルトランスフォーメーションを推進するため,本年度,広島市DX推進計画を策定し,行政手続のオンライン化などを通じた市民サービスの利便性向上や,デジタル技術を活用した業務の効率化などに取り組むこととしております。  リモート相談は,議員御指摘のとおり,相談者や応対する職員が市役所等に出向くことなく相談ができるという点に加え,相談内容に応じた資料をデジタルで速やかに提供することも可能となることから,DXによる市民サービスの利便性向上策の一つになるとともに,職員の効率的な働き方の実現につながるものと考えております。  一方,本市におけるリモート相談は,障害福祉に関する制度の概要や申請方法などの問合せに応じる手話相談や,若者の自立・就労支援対策として働くことへの悩みや対人関係への不安相談など,一部の業務での実施にとどまっており,このことは個人情報の漏えい,安定した通信環境の確保といった課題などが原因であると考えております。  今後,広島市DX推進計画の策定過程において,こうした課題を乗り越え,リモート相談の具体の実施方法や対象業務について検討し,対応可能なものから順次拡充していきたいと考えております。  以上です。 ○渡辺好造 副議長      健康福祉局長。 ◎山本直樹 健康福祉局長   障害者の利便性の促進についての二点の御質問にお答えいたします。  まず,公共交通機関利用時等における障害者の心理的な負担を軽減するため,本市においてもカード型の障害者手帳の導入に向けた検討を進めるべきと考えるがどうかについてお答えいたします。  カード形式の障害者手帳につきましては,地域の障害者等のニーズを踏まえて適切に対応すべきであるとの指摘があったことから,国において,自治体の判断により交付ができることとされたものです。  本市といたしましては,こうしたカード化の趣旨を踏まえつつ,これまでに他の自治体の運用状況等を把握してきたところでございます。今後は,障害当事者等の意見を聴きながら,カード形式の手帳導入に向けた検討を進めていきたいと考えているところです。  なお,カード形式の円滑な導入に当たりましては,統一的な対応が必要であると考え,障害者割引等の証明に係る記載方法の明確化とカード化に伴い生じる経費の財政的支援について,別途,他の指定都市と共同して国に働きかけているところでございます。  次に,障害者手帳の代わりに本人確認の手段として利用できるミライロIDのようなアプリケーションを市の施設においても利用できるようにすべきだと考えるがどうかについてお答えいたします。  議員御紹介のミライロIDの利用につきましては,国が活用を推奨し,市内でもJRやアストラムライン等の公共交通機関や映画館等のレジャー施設,飲食店などで利用できるようになってきていることから,市有施設でも早急に利用ができるようにしていきたいと考えております。  以上でございます。 ○渡辺好造 副議長      環境局長。 ◎重村隆彦 環境局長     カーボンゼロの試みについての廃食用油の回収の啓発や広報活動,市民の環境意識の向上に関する御質問にお答えします。  現在,本市では,事業者から排出される廃食用油はリサイクルルートが確立され,資源化されていますが,家庭から排出される廃食用油はそのほとんどを可燃ごみとして処理していることから,民間事業者による廃食用油の回収が促進され,資源化が進めば,ごみの減量とともに,バイオマス燃料の普及拡大によるCO2の排出削減につながると考えています。  こうしたことから,本市としましても,市民と廃食用油の資源化事業者との一体的な取組がより一層広がるよう,その目的や効果,取組への参加方法等について積極的な啓発や広報に取り組み,市民の環境意識の向上につなげていきたいと考えています。  以上でございます。 ○渡辺好造 副議長      17番山路議員。 ◆17番(山路英男議員) 御答弁ありがとうございます。  ちょっと数点,幾つかお話ししたいと思うんですが,まずeスポーツの件ですけれど,ちょうど6月19日の中国新聞に,ちょっと小さい記事でしたけど,秋田県でeスポーツに高齢者プロチーム,65歳以上を対象に募集を始めたという記事が載っていました。これは皆さん見られたかどうか分かりませんけれど,チーム名はマタギスナイパーズというそうですね。体を動かす練習も盛り込むことで,脳だけでなく身体機能の維持にも期待がかかると。大会出場など実力に応じて給与が支払われる計画だと。年を取ってもeスポーツで能力が高ければ,もしかしたら納税できる人になるかもしれないと。非常に夢があるなというふうに思いました。  また,教育の現場においても,ちょっと質問の中でも言いましたけれども,やっぱりこれまで運動神経がよかったりスポーツが得意な子にスポットが当たりがちだったんじゃないかなと思う,運動が苦手な子とかそういった子にはなかなかスポットが当たらなかったように思うんですが,これがeスポーツを教育現場に取り入れることで,今までスポットが当たらなかった子供にも当たる可能性が出てくるなと,いろんな多様性を認められる教育ができるんじゃないかなという意味で,非常にいいなというふうに思っております。それが,結果いじめの減少につながっていくんじゃないかなというふうにも思っていますので,ぜひよろしくお願いします。  カーボンゼロ,油の回収なんですが,積極的にいろいろ支援していただくということですけれど,例えば公民館なんかが全市的にありますので,公民館を廃食用油の拠点として検討していただいたりというようなこともぜひやっていただきたいなと思いますし,これはほとんど予算がかからないので,予算がかからなくて効率的な効果が出るものに対しては,やっぱりもっともっと積極的に動いていただきたいというふうに思います。  ウイグルの話ですけれど,この質問をするに当たって,いろいろな職員の皆さんと話をしましたけれども,ウイグルの話は聞いたことはあるけれどもよく知らないという方がほとんどでした。そういう意味で,やっぱり隣の国の中国で本当にこんなことが起こっているのかということを公の場,議会という場で質問することで皆さんに知ってほしかったということであります。  香港への中国の弾圧を見ても分かるように,マスコミが見ている香港でもあれだけの民主化の弾圧をしていると。今,ウイグルをはじめチベットも南モンゴルもそうですけれども,そういう報道関係者が実際入れない,入って取材することができない,そういう中で起きていることというのは,本当に想像を絶することが起きているんだと。それに対して,ちょっと今回こういう質問をしたのは,前国会で対中非難決議案が可決されなかったと,国会議員は何をしているんだというふうに実は思っております。我々市民がやっぱり国会に意見を上げていかないといけないなと。年間6万人から10万人の罪のない人が臓器を収奪されて殺されていると。1年に6万人ですよ,1か月これが延びることで,単純に計算しても約5,000人が中国共産党によって臓器を取られていると。それで今国会で非難決議をしなかった国会議員には本当に腹が立ってしようがないんですが,我々地方議員としてできることは,こういった声をやっぱり公の場で発することで国会を動かしていかないといけないなという思いがあります。  本当にウイグルの人の気持ちになったら,家族がどうなっているのか分からないとか連絡が取れないとか,ウイグル人イコールパスポートでは中国人ですから,この人はウイグル人だということを証明することはできませんけれども,帰ったら強制収容所に入れられるわけですから,やっぱり帰れない。でも,パスポートの期限が切れるとかビザの期限が切れれば仕方なく帰られて,即,強制収容所に入れられて連絡がつかなくなったという人も何人もお話を聞いております。  そういう中で,やっぱり日本政府,対中非難決議もそうですけれど,ジェノサイド条約に批准するということも今後,我々地方から声を上げていかないといけない一つだろうというふうに思います。  そういう中で,ウイグルの話を書いた絵本があるんですが,「私の身に起きたこと」ということで,勇気を持ってウイグル人女性の方が実名を名乗って自分の身に起きたことを話されたことが絵本になっているんですが,これを教育委員会は全校に,小・中・高全校に配置してくれるということで,この点については非常に感謝しております。先生方も児童生徒も,こういうことが本当に起きているんだということを少しでも知っていただく一助になればなというふうに思います。  隣の国,中国というよりも,日本の周りにはロシアがあり,中国があり,北朝鮮があり,全部核兵器を持った国に囲まれて,物騒な地域であるというふうに認識しております。また,専制主義の国で独裁者がいて,何をするか分からないような国であると。そういう中で,日本国憲法の前文には,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意したと。平和を愛する諸国民,これが中国,ロシア,北朝鮮もこの言葉の中には入っているんじゃないかというふうに思いますが,専制主義のこれらの国に,私たち国民の生命と財産を本当に託していいんだろうかと。この辺になると憲法改正の議論になっていきますけれども,憲法改正も前文にそういったことが書いてあるということ自体をやっぱり変えていかないと。すぐ隣の国,中国で起きている本当に忌まわしい事実を我々日本人はしっかり見ていかないといけないなというふうに思っております。
     憲法改正については私の個人的な話で,これを再質問とはしませんけれども,今から国会に対して,ウイグルの問題についても憲法改正についても,やっぱり我々市民の声を国会に上げていきたいなというふうに思っております。  以上で終わります。 ○渡辺好造 副議長      次に,42番元田賢治議員。                〔42番元田賢治議員登壇〕(拍手) ◆42番(元田賢治議員) 自民党・保守クラブの元田賢治でございます。  それでは,質問をさせていただきますので,よろしくお願いいたします。  まずは,コロナ禍における中小企業者等への支援及び財政の健全化についてということで質問させていただきます。  昨年は,新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により,社会経済活動は世界規模で抑制され,こうした急激な社会経済の縮小は,私たちの生活を含め様々な影響を大きくもたらし,感染抑止と経済活動の維持という二律背反するジレンマに陥りました。現在においてもその状況は変わらず,一層深刻さを増しております。  一方,本市では,サッカースタジアム建設や旧市民球場跡地の活用,都心活性化の推進,広島駅南口の再整備等を引き続き進めていますが,このたびの新型コロナウイルス感染症の影響により市税等の大幅な減少が見込まれ,一般財源収入全体の見通しは大変厳しい状況に置かれているのではないでしょうか。  今日まで多くの市民や事業者が深刻な経済的苦境に立たされたことから,国や県は様々な給付金や助成金等の制度を設けて対応してきましたが,急場でその対応をせざるを得なかったこともあり,その手続においては十分な制度設計がなされず,結果として本当に必要な方に必要なタイミングで支援が届いたとは言い難い状況であります。  さらに,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が再び深刻化する兆しが出てくれば,先の見えない中で休業や時短営業を強いられている多くの中小企業や個人事業主のダメージを考えると,今後も給付金や補償金などの緊急の支援措置は必要不可欠です。  コロナ禍により人と物の流れが止まり,個人消費がさらに落ち込むことにより,中小企業や小規模事業者などの廃業,倒産が増え,広島経済は危機的な状況に陥ります。市民の平和な暮らしは,いざというときの市による支えを前提としており,その信頼があればこそ,日々の生活がぎりぎりでも何とか耐えていけると思います。こうした状況だからこそ,国や県の施策に頼るだけでなく,市が率先して市民に安心感を与える施策を今こそ打つ必要があるのではないでしょうか。  そこで,まず中小企業者・小規模事業者への支援についてお伺いいたします。  1,広島経済は新型コロナウイルス感染症により,様々な分野で事業活動が停止ないし停滞している,影響を受けていると思いますが,市として市内の経済状況をどのように把握・認識していますか。  2,新型コロナウイルス感染症による影響により,市内の中小企業者や小規模事業者は大きな打撃を受け,休業や廃業,倒産を余儀なくされていると考えますが,現在の状況をどのように把握されていますか。  3,広島市は,従前から中小企業者等への資金調達に向けた融資制度を実施していますが,この制度により各金融機関で設けられている融資枠を予算ベースで見ていきますと,令和元年度は605億2322万9000円,令和2年度は612億7923万4000円とし,7億5600万5000円の増となっているのに対し,令和3年度は546億4243万8000円と66億3679万6000円の減となっています。新型コロナウイルス感染症の経済への影響を考えると,融資枠を拡大しておく必要があったのではないかと考えますが,どういった考え方で融資枠を縮小したのかお答えください。  4,広島市の中小企業融資制度は,一般貸付け,新事業支援貸付け,経営支援貸付け,政策貸付けに大きく分けられ,新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者は,経営支援貸付けのうち特別融資のセーフティネット資金,または景気対策特別融資を活用することができます。また,広島県や日本政策金融公庫による融資制度もあります。この際,広島市から金融機関へ預託して行う融資制度において,融資の対象者の条件はどのようになっておりますか。  5,広島市から取扱金融機関へ預託する際は,本店へ一括して預託するのでしょうか。であれば,各金融機関の支店ごとの融資枠はどのようになっているのでしょうか。また,本店よりも支店のほうが事業者の経営状態等を詳細に把握していると思いますが,融資制度の趣旨など市としての方針を積極的に各金融機関の支店まで周知し,活用するよう依頼すべきではないでしょうか。  6,新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者からの相談件数はどのようになっていますか。セーフティネット資金及び景気対策特別融資の令和2年度における融資件数と融資額も併せてお聞かせください。  7,新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者に対する市の金融支援は,既存の融資制度の活用のみにとどまっておりますが,融資制度の要件緩和や拡充など,事業者が利用しやすいものに見直すなどの対応が必要と考えますが,いかがでしょうか。市は,資金繰りに悩む地場企業への支援やその雇用を守るための対策に本気で取り組む気持ちがあるのでしょうか,お聞かせください。  8,コロナ禍で多くの地元企業が経営難に直面されている状況を考えれば,市が取り組む独自の支援が今後の広島経済に大きな役割を果たしていくのではないかと考えますが,いかがでしょうか。また,将来の景気回復を確実にするためには長期的な経済対策が必要となると考えますが,いかがでしょうか。  9,国の無利子・無担保融資制度は,当面年末まで延長され,雇用調整助成金の特例措置については8月末まで延長されようとしていますが,このような動きに関わらず,市として今後の支援をどのように行っていこうと考えているのでしょうか。  次に,コロナ禍における財政の健全化についてお伺いします。  1,危機管理の基本は,最悪の事態を想定し,準備を進めることにあります。新型コロナウイルス感染症の拡大は,後戻りできない変化を地域経済や社会にも大きくもたらしました。全てが元に戻ることはないと見越し,経済全体を,レジリエンス強化を踏まえ,経済復興させる必要があるのではないでしょうか,お聞かせください。  2,新型コロナウイルス感染症が収束するまで,これに対応する財政支出はやむを得ない面があると思いますが,本年度の市税収入の大幅な減少が目に見えていることもありますので,現在の本市の拡張的な財政支出を伴う大型事業の優先順位を検討する必要があると考えますが,いかがでしょうか。  3,現在の本市の一般会計債の残高見込みは,令和3年度末で1兆1813億308万9000円となっており,年々増加してきています。また,臨時財政対策債等を除く残高はこれまで年々減少してきていましたが,令和3年度末で6869億4460万9000円となっており,令和2年度末よりも増加することが見込まれております。  財政調整基金の残高も,令和3年度末で39億9800万円の見込みとなっています。政令市との比較でも,令和3年度当初予算の一般会計の財政規模と一般会計債の令和3年度末残高見込みにおいては,額が大きい順からいずれも9番目に位置していますが,市民1人当たりの一般会計債の令和3年度末残高見込みでは98万8690円と3番目に大きい金額となっています。このような状況にあることから,深刻な財政危機に直面しているのではないかと考えますが,その認識はどうでしょうか。  4,市民の安定した生活を維持するためには,本市の企業を存続させ,共に歩んでいける計画的な対応が必要です。そのためには,新型コロナウイルス感染症対応と通常対応の区別,見える化を進め,令和2年2月に策定した財政運営方針を早期に見直し,現在の財政状況を明確化した上で,それに沿って全市を挙げて財政の健全化に向けてのアクションプログラムを策定し,計画的に進めることが必要と考えますが,いかがでしょうか。  続いて,本市行政運営を各所で支えておられる会計年度任用職員についてお伺いします。  緊急事態宣言の延長・長期化など,いまだコロナ収束の兆しは見えておりませんが,度重なる自粛・移動制限などにより,全国的にも多くの民間企業や各店舗が減収・減益に迫られております。こうしたあおりを最も受けているのが,まるで雇用の調整弁のごとく,事あるごとに雇い止めや解雇を言い渡される非正規雇用の人々ではないでしょうか。また,コロナ禍におけるパンデミックの最前線で人々の命を懸命に守る医療従事者の方々にとどまらず,政府の方針がまるで猫の目のように目まぐるしく変化し,その都度,迅速なる対応を求められる地方自治体にあっては,行政職員の日々の奮闘やその心労は大変なものと思います。  そこで,現在の社会背景なども鑑みた上で,改めて2017年に地方公務員法並びに地方自治法の改正により,2020年4月より各地方自治体に導入された会計年度任用職員制度及び同制度に関わる職員についてお伺いしたいと思います。  振り返れば,25年前あたりが全国の地方自治体の職員数のピークであり,その後は他の業種と同様に業務のアウトソーシング化なども進み,正規職員は今日までに何十万人単位で減少の一途をたどってきました。一方で,非正規職員の占める割合は年々高まっており,その数は一昔前と比べ何十万人単位で増加しているのが実情ではないかと思います。元来,地方公務員法は,これだけ応分の業務を託されている非正規職員の処遇までも完全に網羅するように定めておらず,同一労働・同一賃金をはじめとし,時代とともにその就業形態への在り方へ対して,様々な場面で改善点が生じていたのは確かです。  さきにも述べましたとおり,先般の法改正を経た後,およそ1年前になる2020年4月に導入されたのが会計年度任用職員制度でありました。そして,新制度の導入に当たりましては,本市の場合も骨子となる考え方がありましたので,いま一度確認しておきます。  本市の考え方としては,このたびの法改正は現行の,いわゆる今までの臨時・非常勤職員について任用の厳格化と処遇改善を行うことであり,それに併せて正規職員と非正規職員との役割分担の整理を行うなど,より効果的な執行体制を構築するための取組を行うというものでした。  そこで,新制度の導入から1年が経過した現在,果たして処遇改善は進んだのか,処遇が改悪となっていないのか,また,より効果的な執行体制が構築されたのかなどについて確認させていただきたいと思います。  会計年度任用職員制度は,本来の趣旨である処遇改善へ向けて導入されたにもかかわらず,マスコミなどにより伝えられる報道によると,全国の各地方自治体では新制度の導入により,かえって1年での任期が厳格化され,年度末に契約が満了した時点で事務的に次々と雇用が絶たれている実態があるとされています。このような現実があるとしたら看過できないことから,このタイミングで私としてはくさびを刺しておきたかったにほかなりません。もちろん,世の中には自らを取り巻く生活環境と照らし合わせて,進んで非正規雇用を選択する方々もいらっしゃいますが,実際に現場から切に届けられる声に耳を傾ければ,やむなく非正規を選択されるケースは多く,しかも弱い立場に置かれた人々が,コロナ禍においてさらに憂き目に遭遇している現実が各所で顕著に現れてきているのではないかと思います。  昨今,首都圏と違い,人口や財政規模が縮小していく地方の各自治体では,長引くコロナ禍の影響による税収減もあり,非常に厳しい財政難に直面しており,そこを何とか乗り切ろうと義務的経費の支出抑制に努めるのは理解できます。しかしながら,他の地方自治体によっては,会計年度任用職員制度の導入により新たに同職員へボーナスを支払うこととなった代わりに月額の給料を削減し,帳尻を合わせたとか,フルタイムとなった同職員へは退職金が必要となることから,退職金が不要となるパートタイムへと強引に就労形態を変更したなどの実態が散見されています。また,ある報道では,会計年度任用職員制度と新型コロナの影響で現場はさらに悲鳴を上げていると指摘していましたが,本市においてはこうした実態は発生していないのかお聞かせください。  遡ればちょうど1年前の定例会になりますが,本市議会が国へ提出した地方財政の充実・強化を求める意見書の中で,会計年度任用職員制度の適正かつ円滑な運用のため,期末手当の支給など新たに支給する経費などの所要額全額について,継続的かつ確実な財政措置を講ずることを国へ要望しました。会計年度任用職員制度が導入されてちょうど1年が経過し,本市の場合,いかなる処遇改善につながったのか,また,新たに見えてきた課題はあるのか,課題が生じたのであれば今後の打開策をどのように考えているのか,さらには,さきにも触れました国への要望に対する国の対応はどうなのか,併せてお聞かせください。  以上をもちまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○渡辺好造 副議長      市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       元田議員からの御質問にお答えします。  コロナ禍における中小企業者等への支援及び財政の健全化についてのうち,レジリエンス強化と経済復興についての御質問がございました。  昨今,本市では少子化・高齢化,人口減少や地域コミュニティーの活力の低下,近年多発している自然災害への対応,さらにはこのたびのコロナ禍など,様々な課題に直面しており,こうした困難な状況下においても,このまちを築き上げてきた先人の努力を受け継ぎ,広島が将来にわたって魅力あふれるまちであり続けられるよう,持続可能なまちづくりを進めていかなければならないと考えております。  経済面においては,地域経済の活力を維持・向上させ,持続可能なものとしていくために,広島広域都市圏内でヒト・モノ・カネ・情報の循環を基調とするローカル経済圏の構築を図りながら,産業の集積・強化や中小企業・商店街の活性化,農林水産業の振興や観光の振興など,バランスの取れた経済振興に取り組んでいくことで,困難な状況に陥っても,しなやかに回復していくような底力をつけていくことが重要であると考えております。  そうした中で,コロナ禍における本市の事業者支援としては,従来から行ってきた中小企業者に対する金融支援や経営相談に加え,国・県・市の役割分担を念頭に置いた公助による下支えにも取り組みつつ,それを補完・補強するために,事業者同士が連携した共助による取組を強力に支援しているところであります。  例えば,昨年度の緊急対策で打ち出した「広島は決して屈しない!プロジェクト」では,苦境に立つ事業者を支援しようとする方々が,補助金を活用して約200件の共助による取組が行われるなど共助のシステムがしっかりと根づいてきていると考えており,このたび,言わばその第二弾として補正予算に計上している支援策によっても,さらに大きく共助による支援の輪を広げられるものと期待しております。  また,前回のプロジェクトでは,飲食店や小売店のみならず交通事業者,観光事業者,理容・美容業など幅広い業種の事業者への支援に活用され,支援を受けた事業者による新しい生活様式に対応した事業活動の定着も見られたことから,今回の支援策によっても幅広い業種での事業活動の回復と経営の持続化につながっていくものと考えております。  引き続き,市民や事業者同士が支え合う共助の取組を通じて地域共生社会の基盤強化を図りつつ,このたびのコロナ禍からの経済の復興を着実に進めることで,今後も想定される経済危機に再び直面した際にも,自助・共助・公助が一体的に機能を発揮し,乗り越えていくことができる粘り強さや回復力を備えた持続可能なまちの実現を目指していきたいと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○渡辺好造 副議長      財政局長。 ◎古川智之 財政局長     コロナ禍における中小企業者等への支援及び財政の健全化についてのうち,コロナ禍における財政の健全化についての三点の御質問にお答えいたします。  まず,本年度の市税収入の大幅な減収が見込まれる中,大型事業の優先順位を検討する必要があると考えるがどうかとのお尋ねです。  令和3年度当初予算では,市税収入総額について,その4割近くを占める固定資産税は前年度と同程度を確保できる見込みですが,一方,5割近くを占める個人市民税や法人市民税が新型コロナウイルス感染症の影響等により減収することなどから,前年度と比較して3.6%の減が見込まれております。  しかしながら,このたびの感染症の影響による税収減のように,本市に限らず全国に影響が及んでいるものについては,国の地方財政計画において,地方交付税等の増額により前年度を上回る規模の一般財源総額が確保されるなど,国において必要な措置が講じられております。このため,本市の令和3年度の市税収入の減収は地方交付税等により補填される見込みであり,本市の財政運営を直ちに困難な状況に陥らせる状況ではないと認識をしております。  また,大規模プロジェクトは大きな投資を呼び込み,都市としての活力を生み出し,ひいては税源を涵養するものであり,必要不可欠な事業であることから,こうした状況下においても国の適切な財政支援の下,大規模プロジェクトに係る事業計画を立て,それに基づき着実に進めていきたいと考えています。  次に,本市の一般会計債について,市民1人当たりの残高が政令市の中で3番目に大きい金額であり,深刻な財政危機に直面しているのではないかとの御質問です。  本市における市民1人当たりの市債残高は,市債総額から臨時財政対策債残高及び減債基金積立累計額を除いた実質的な残高の決算額で見ると,平成14年度末の約75万円をピークに,令和元年度末では約55万円と年々減少しています。新型コロナウイルス感染症の影響などにより厳しい財政状況が続くと見込まれますが,引き続き長期的な視点に立った計画的な公共投資枠を確保しつつ,実質的な市債残高の抑制を図っていくことにより,深刻な財政状況の悪化を招くことなく持続可能な財政運営が行われるよう努めてまいります。  最後に,新型コロナウイルス感染症対応と通常対応の区別,見える化を進め,財政運営方針を早期に見直し,財政の健全化に向けてのアクションプログラムを策定してはどうかとのお尋ねです。  本市における令和2年度補正予算や令和3年度当初予算については,その事業内容や予算額を一覧していただければ分かるとおり,新型コロナウイルス感染症の世界的な脅威の中で,平常時にも増して共助の精神を重視し,国をはじめとする諸機関の協力の下で必要な対策を講ずべく,地方創生臨時交付金など国の財源等の積極的な活用を図っているところです。こうした対応により,一刻も早く新型コロナウイルス感染症の影響から解放され,これまで掲げてきている財政運営方針の目的の達成に向けた取組の推進に努めてまいります。  以上でございます。 ○渡辺好造 副議長      経済観光局長。 ◎津村浩 経済観光局長    コロナ禍における中小企業者等への支援及び財政の健全化についてのうち,中小企業者・小規模事業者への支援についての御質問に順次お答えいたします。  まず,市としては,市内の経済状況をどのように把握・認識しているか,また,市内の中小企業者や小規模事業者が大きな打撃を受け,休業や廃業,倒産を余儀なくされていると考えるが,現在の状況をどのように把握しているかについてです。  本市では,本年4月から5月にかけて,経済団体や業界団体,商店街,金融機関等への聞き取り調査などにより実態把握を行ったところ,新型コロナウイルス感染症の影響は幅広い業種に及んでおり,特に飲食業,観光・宿泊業,衣料品等を取り扱う小売業,生活関連サービス業が厳しい経営状況にありました。また,民間の調査機関の東京商工リサーチによると,広島市における負債総額1000万円以上の新型コロナウイルス関連の倒産件数は,6月14日時点で28件と聞いております。さらに,複数の商店街から,廃業に追い込まれている飲食業の事業者が出ているという声を聞いております。こうしたことから,本市の経済は依然として幅広い業種で厳しい経営環境にあると認識しております。  次に,中小企業融資制度について,感染症の経済への影響を考えると令和3年度の融資枠を拡大しておく必要があったと考えるが,どういった考え方で融資枠を縮小したのかについてです。  本市の中小企業融資における各年度の融資枠は,まず複数年にわたる過去の融資実績の推移を基に当該年度末における融資の見込額を算出し,その額に急激な景気後退や緊急の経済危機が発生した場合に対応できるよう,増加が見込まれる融資額を上乗せする形で設定しております。  令和3年度の融資枠が縮小した要因は,令和2年度に国及び県が実施した実質無利子・無担保の融資制度に利用が集中したため,本市の制度の融資枠設定の基礎となる融資実績が例年より減少したことによるものです。  次に,広島市から金融機関へ預託して行う融資制度における対象者の条件はどういったものかについてです。  本市の中小企業融資制度は,本市内に店舗,工場等の事業所を有する中小企業者等を対象としており,金融機関から取引停止処分を受けていないこと,事業に係る市民税を滞納していないこと等の共通の条件に加え,融資の種類ごとに,その目的に沿った条件を設定しています。  例えばセーフティネット資金については,最近1か月間の売上額が前年度の同期に比べて20%以上減少している等の事由により,セーフティネット保証に係る市長の認定を受けていることなどの条件を,また景気対策特別融資については,最近3か月間の月平均売上額が最近3か年のいずれかの年の同期に比べて10%以上減少していることなどの条件を設定しています。  次に,融資制度の取扱金融機関へ預託する際,預託金は本店へ一括で預けるのか,であれば実際に事業者の窓口となる支店での融資枠はどのようになっているか,また,事業者の経営状態を把握している支店に対し融資制度の趣旨などを周知し,活用を図るよう依頼すべきではないかについてです。  取扱金融機関への預託に当たっては,金融機関ごとに契約を締結して,本店へ一括して預託しています。また,支店ごとの融資枠については,本市から指定はしておらず,各金融機関においても設けていないと伺っています。次に,本市の融資制度の周知及び活動については,本市から金融機関に対し,支店へも当該融資制度のパンフレットの配布等により周知し,融資相談者への積極的な制度の紹介を促していただくよう依頼しています。  次に,感染症により影響を受けた事業者からの相談件数はどうなっているか,また,セーフティネット資金及び景気対策特別融資の令和2年度における融資件数及び融資額はどうなっているかについてです。  新型コロナウイルス感染症に関連して,令和2年度に本市及び公益財団法人広島市産業振興センター内にある中小企業支援センターへ寄せられた相談件数は,延べ1万3409件です。また,令和2年度の融資件数及び融資額は,セーフティネット資金は125件で19億5890万円,景気対策特別融資は15件で2億2050万円となっています。  次に,感染症による影響を受けた事業者に対する市の金融支援について,融資制度の要件緩和や拡充など,事業者が利用しやすいものに見直すなどの対応が必要と考えるがどうか,市は資金繰りに悩む地場企業への支援やその雇用を守るための対策に本気で取り組む気持ちはあるかについてです。  本市においては,これまでセーフティネット保証の認定事務を迅速かつ円滑に行うため,従来の中小企業支援センターの受付窓口に加え,市役所本庁舎にも新たな受付窓口を設置して,速やかな認定書発行に努めてきています。また,融資を実行する民間金融機関や日本政策金融公庫,保証承諾を行う広島県信用保証協会に対し,事業者の立場に立って迅速な融資の実行や事業者の実情に応じた配慮を行うよう,重ねてお願いをしてきたところです。  さらに,新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している現状を踏まえ,現在,指定都市市長会と連携し,国に対し,民間金融機関や日本政策金融公庫等による資金繰り支援のさらなる拡充や既往債務の返済猶予等,事業者の実情に応じた最大限柔軟な対応を徹底することなどを要望しているところです。こうした取組により,経営状況に影響を受けている事業者が利用しやすい環境を整え,必要とされている金融支援が適切に行われるよう鋭意取り組んでいるところです。  また,雇用を守るための対策についても,指定都市市長会と連携し,雇用調整助成金の特例措置の期間延長等を累次にわたり国へ要望するとともに,その申請書類の作成を社会保険労務士に委託する場合の市の補助制度を設け,同助成金の利用促進に鋭意取り組んでいるところです。  今後とも,こうした中小企業者等の資金繰りへの支援や雇用を守るための支援に係る取組を積極的に行うとともに,改めて経済団体や金融機関等からヒアリングを行い,融資制度等についてどういった支援が求められているのかを把握した上で,地域の持続的な成長につながるよう必要な対応を検討していきたいと考えています。  最後に,コロナ禍で多くの地元企業が経営難に直面されている状況を考えれば,市が取り組む独自の支援が今後の広島経済に大きな役割を果たしていくのではないかと考えるがどうか,また,将来の景気回復を確実にするためには長期的な経済対策が必要となると考えるがどうか,市としては今後の支援をどのように行っていこうと考えているかについて,まとめてお答えいたします。  これまで国及び県において,企業の業績や資金繰りの悪化,世帯の所得減などを直接的に緩和するための支援策を講じられ,本市は公助による下支えにも取り組みつつ,独自の支援策としてそれを補完・補強するために地域での支え合い,事業者同士が連携した共助による取組を支援してきているところです。こうした本市及び国・県の支援策が相まって,本市経済の回復に大きな役割を果たすものと考えています。  また,新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中,苦境に立たされている事業者を支援するとともに,将来の景気回復を確実なものにするためには,国・県・市の役割分担の下,長期的な視点に立って需要の喚起や経営の支援など必要な対策を適切なタイミングで講じていくことが必要であると考えています。  本市としては,このたび補正予算に計上した感染拡大防止等に取り組む事業者への支援により,今,苦境に立たされている中小事業者の事業活動の維持を支援するとともに,創意工夫による新しい生活様式に対応した事業活動への転換など,長期的な経営の持続化にも資する取組を支援することとしており,まずはこの支援策を事業者にしっかり周知し,着実に効果が上がるように取り組んでまいります。  その上で,今後も本市の経済の状況及び国・県の支援策の動向を把握しつつ,感染拡大防止と経済活動のバランスに配慮し,長期的な事業活動への支援という視点にも意を用いて,本市の経済の回復に向けた取組を進めてまいりたいと考えています。  以上でございます。 ○渡辺好造 副議長      企画総務局長。 ◎荒神原政司 企画総務局長  会計年度任用職員について,四点の御質問にお答えいたします。  まず,本市においては任期の厳格化による任用の打切り,ボーナス支給の代わりの月例給の削減,パートタイムへの強引な就労形態の変更といった実態は発生していないのかについてです。  会計年度任用職員は,客観的な能力の実証を経て再度任用することが可能とされている中で,他の地方公共団体では再度の任用に当たり,5年程度の上限がある団体が多いところ,本市では勤務成績が良好である場合は,従来の非常勤職員と同様に65歳到達年度まで再度任用することが可能な制度となっており,任用の打切りといったことはありません。  次に,本市では制度導入前から非常勤職員に対して増額報酬を支給しており,制度導入後はこれに代えて期末手当を支給することとしたものです。また,臨時職員には新たに期末手当を支給することが可能になったものであるため,本市においては期末手当を支給する代わりに月例給を削減するといったことはありません。  また,勤務時間については,制度導入前における非常勤職員の多くが週28時間45分の勤務であるなど,非常勤職員及び臨時職員は年間を通じてフルタイムの勤務を行っていなかったことから,制度導入に当たってはパートタイムで任用することを基本としたところであり,この勤務時間や給与水準,休暇制度などについては丁寧に説明し,理解を得た上で採用選考を経て任用しており,パートタイムへの強引な就労形態の変更といったことはありません。  次に,制度導入から1年が経過し,本市の場合,いかなる処遇改善につながったのかについてです。  会計年度任用職員の給与は,その職員が担当することになる業務の種類に応じて,従前その業務を担っていた非常勤職員及び臨時職員と比較して,年収及び生涯賃金が上回るよう設定したところです。また,これまでになかった定期昇給については,年度を通じて任用する会計年度任用職員を再度任用する際に,16年目まで毎年実施することとしたところです。  次に,手当についてです。  先ほど申し上げたように,非常勤職員には増額報酬が支給されていたものの,期末手当の支給はありませんでしたが,会計年度任用職員には正規職員と同様に期末手当が支給されます。また,非常勤職員には時間外勤務手当が支給される制度はありませんでしたが,会計年度任用職員には正規の勤務時間を超えて勤務した場合,時間外勤務手当が支給されます。さらに,退職手当の支給はありませんでしたが,フルタイム会計年度任用職員には,任期が1年を超える場合に退職手当が支給されます。  次に,休暇・休業制度についてです。  臨時職員には育児休業や特別休暇の制度はありませんでしたが,会計年度任用職員は原則として子が1歳に達するまで育児休業を支給することができるとともに,夏季休暇,結婚休暇,忌引などの特別休暇を取得できます。  最後に,福利厚生制度についてです。  社会保険や労働保険などについては,各種法令に基づき,会計年度任用職員の勤務時間や月の勤務日数等に応じて適用されます。
     次に,新たに見えてきた課題はあるのか,課題が生じたのであれば今後の打開策をどのように考えているのかについてです。  現時点では,パートタイム会計年度任用職員については,地方自治法の規定により,勤勉手当や扶養手当,住居手当などを支給できず,またフルタイム会計年度任用職員についても,これらの手当は国の事務処理マニュアルにおいて支給しないことを基本とするとされております。このため,待遇改善に係る課題については,国によるヒアリングの機会を通じて伝えるとともに,他の政令指定都市と連携するなどして,国に対し,制度改正に向けた働きかけを行っていきたいと考えています。  最後に,市議会から国に提出した地方財政の充実・強化を求める意見書に対する国の対応はどうなったかについてです。  国に要望を行った地方公共団体における会計年度任用職員の期末手当の支給に係る経費については,地方交付税の算定の基礎となる基準財政需要額に反映されており,地方交付税制度の中で対応されたものと考えております。  以上でございます。 ○渡辺好造 副議長      42番元田議員。 ◆42番(元田賢治議員) それでは,ちょっと質問というよりは要望をさせていただければと思います。  まず先に会計年度任用職員についてですが,これまで非常勤職員や臨時職員の立場であった方々が新たに会計年度任用職員へ移行された後,いかなる就労環境,処遇にあるのか,この辺りをやはり新制度の導入から1年が経過した時点で確認して質問をさせていただいたというところであります。  本市の場合は,先ほど答弁で新たな会計年度任用職員や臨時職員の就労環境が新制度の導入以前よりも改善が図られ,さらに今後よりよい制度運用を目指していくというような内容の答弁をされたと思います。本市のこうした姿勢は,現在,正規と非正規間の不合理な就労格差を是正しようと懸命に取り組んでいる多くの民間企業に対しても模範を示すものに私はなるのではないかなと,そういうふうに考えております。  質問部分でも触れましたが,1994年あたりをピークに全国的にも地方公務員は減少の一途をたどっておりますけれど,今後も急速な人口減少が進んでいく中で税収の現状維持や困難を極めていく折,当然ながら行政職員はより限られた人員で,多様化する市民ニーズをしっかりと受け止めながら市政を運営しなきゃならないだろうと,そのように思っております。  就労者を冷遇すれば相応の成果しか見込めないと思いますし,厚遇とまではいえませんけれど,お一人お一人の就業者のその感情と生活をおもんぱかって,引き続き本市が雇用や就業環境を確立していけば,必ずや人材不足,人が集まらないというような事例はないだろうと,未然に防げるだろうと,私はそのように思いますので,今後とも引き続きよろしくお願いしたいと思います。  それと,コロナ禍ではございますが,今日も新聞に載っていたんですが,実際には日本の企業の99.7%を占めるのがやはり中小企業でございます。広島市もメガバンクというのは,私は最初ひろぎんもメガバンクかなと思っていたらリテールバンクだということが分かりまして,それで急遽質問も変わったりしたんですけれど,やはり新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が今日解除されましたけれど,広島県は独自の集中対策として広島市,東広島市,廿日市市の飲食店に対して営業時間の短縮を要請されるとしております。しかしながら,例にしますと,飲食店といっても,通常酒食を認めている食事を提供する飲食店と,我々が常に言います二次会というようなスタンドですよね,そういった酒類を提供して営む事業者というのは,同じ飲食業としてもなかなか同じ対応が取れていない。要するに,対応に温度差があるということがはっきりとしております。ぜひとも,やはり目に見えない業種というのはございませんけれど,やはり事業者の中にはなかなかそこまで目が行き届かないようなところがございますので,広島市としてもしっかりとそういった部分も対応できるようなコロナ対応をしていただきたい,そのように要望いたしまして終わります。 ○渡辺好造 副議長      本日はこの程度にとどめ,明日引き続き一般質問を行います。 ───────────────────────────────────────                 次会の開議通知 ─────────────────────────────────────── ○渡辺好造 副議長      この際,御通知申し上げます。  明日は午前10時より議会の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                  散会宣告 ─────────────────────────────────────── ○渡辺好造 副議長      本日は,これをもって散会いたします。                午後2時40分散会 ─────────────────────────────────────── ───────────────────────────────────────   議 長   山  田  春  男   副議長   渡  辺  好  造   署名者   吉  瀬  康  平   署名者   三  宅  正  明...