まず,広島市が核兵器廃絶の実現に向けて先頭に立って取り組むこと,あらゆる努力を行うことが広島市に課せられた使命であることは市民共通の認識だと考えます。
昨年,広島市が願っていたローマ教皇の広島訪問が実現し,
フランシスコ教皇の発せられた言葉に多くの方が感銘を受けられたのではないでしょうか。
フランシスコ教皇は,「核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら,どうして平和を提案できるでしょうか」と正面から核抑止力論を否定され,
核兵器禁止条約の発効への決意を述べられました。ところがこの発言を受けても,我が日本政府は核抑止力は安全保障の基礎であると,
核兵器禁止条約に背を向ける態度を示しました。
核抑止力の傘を求め,かつてはオバマ政権が取り組もうとした核兵器体制の縮小に反対し,逆にトランプ政権が打ち出した核兵器体制の強化の方針には直ちに賛成をした日本政府の核兵器廃絶という言葉がいかにまやかしか,改めて明らかになりました。各抑止力論を掲げることと核兵器廃絶に取り組むことは完全な矛盾です。トランプ政権が使うことを前提に小型核兵器を実戦配備しましたが,これにロシアも中国も反発し,対抗しようとしており,新たな核軍拡競争を引き起こしかねない状況になっております。
フランシスコ教皇は,帰国後,バチカンの
サンピエトロ広場での一般謁見で世界中から集まった信徒を前にして,「日本訪問について,原爆の消えることのない傷を負う日本は全世界のために命と平和の基本的権利を告げ知らせる役割を担っている」と語られました。
教皇の核抑止力論否定の信念は,我々広島市民共通の信念でもあります。それに真っ向から反する行動を行っているのが日本政府,安倍政権であることは否定しようのない事実です。しかし,今の政権が何を言おうと,日本の政府には教皇が述べられた特別の役割があり,広島市には日本政府の姿勢を変えさせる使命があります。
昨年8月の平和宣言では,被爆者の言葉を借りて,安倍首相に対して,
核兵器禁止条約への署名を求めましたが,今年は教皇が示された日本政府の特別な役割を果たしてもらいたいと,広島市民の総意として広島市民の代表たる市長自身の言葉で明確に
核兵器禁止条約への署名を求めるべきです。それが,わざわざ広島を訪問してくださった
フランシスコ教皇への最高のお礼になるのではないでしょうか。どうされるかお答えください。
次に,被爆の実相について,黒い雨降雨地域の事実が政府の公式な考えと違うのは重大な問題です。この点について,広島市は独自の調査に基づいて政府が認定する黒い雨降雨地域を大幅に拡大するように要請し続けてきて,松井市長も,就任以来一貫して毎年の平和宣言であえて政府に要請してこられました。しかし,政府は新しい科学的知見を無視し,古い根拠による主張を繰り返すかたくなな態度のままです。このような政府に対して,黒い雨に被災された方々が重い病気を抱えながら,人生の残りがぎりぎりの状態で政府を相手に裁判で戦っておられますが,原告のうち,既に12名の方が亡くなりました。当事者たちが亡くなるのを待っているかのような政府に対して,広島市として,被爆75周年の節目に改めて厳しい態度で黒い雨降雨地域の拡大を強く要請するべきではないかと考えます。どのようにされるか答弁を求めます。
次に,旧陸軍被服支廠の建物がどういうもので,どういう歴史を持っているかあえて語るまでもないでしょう。兵士たちの軍服などの製造や保管など,軍都広島の一面を表した建物です。建物自体が被爆建物として貴重であるとともに,峠三吉の「倉庫の記録」という詩で表現されたように,大勢の被爆者が収容され,まともな手当ても受けられないまま,想像を絶する苦痛と絶望の中で息絶えていった場所です。そのような場所として,どのようにそこで被爆者が亡くなっていったか,この建物がどのような目的で建てられ使われていたのか,戦争の事実とともに加害と被害の実態を世界中の人々に伝えるために極めて貴重な被爆建物です。原爆ドームに匹敵するものだと言われる方もあります。その貴重な建物を県が取り壊すと発表したことに対して,多くの人々が批判し,保存を求め,市長も保存を求められました。県には短期間のうちに2,000人を超える方々が意見を寄せましたが,そのうち6割以上の方が全棟保存を求めています。広島市は被爆建物の保存に取り組んできましたが,民間のものではなく公共が保有するものを取り壊すなど絶対にあってはなりません。危険な状態になっていて保存にも金がかかるということですが,県には,今のようになるまで何もせずに放置してきた責任もあります。確かに保存には金がかかりますが,県知事は,毎年平和記念式典で挨拶を行っている立場です。広島県が被爆県であるとの自覚があるなら,取壊しを避けるためのあらゆる努力を行うべきで,これは被爆県としての世界に対する使命です。このことは国が保有する建物も同様であります。
同時に広島市としても,この貴重な被爆建物を保存活用できるためにあらゆる協力を行う必要があります。広島市がつながる世界中の都市や市民に対して資金協力を呼びかけることや,国内の自治体と特に国に対して,資金援助の要請を県とともに行うべきではないでしょうか。どのように取り組まれるか,お考えをお聞かせください。
次に,昨年の12月議会では,広島高速5号線
シールドトンネル工事の約200億円の契約額を87億円増額することの不透明さに対して,市議会からだけでなく,市民からも厳しい意見が出されました。私も繰り返し追及してきましたが,どうしても疑問が消えないので改めて質問します。
今年の「市民と市政」1月1日号に,市長と
サッカー日本代表の森保監督との対談が載っていました。この中で,市長は,ルールを守ることがスポーツにも平和にとっても大事といった発言をしておられます。この
シールドトンネル工事費契約額の大幅増額はきちんとルールにのっとったものだったのでしょうか。第三者委員会の報告には,高速道路公社は予定価格が200億円の上限を超えれば,入札契約手続のやり直しが必要であり,公表していた完成時期が大幅に遅れることを恐れたので200億円で契約手続を進めたといったことが述べられています。また,大林組ほかのJV側は300億円の見積りから外した100億円分の費用を,200億円での契約後に追加する変更契約がなされるとの認識があったと述べられております。そのとおりだったとすると,仮に本工事が300億円程度かかるものであるなら,当面200億円で契約したのは,市民と議会を欺くためだったということになります。この点を市はお認めになるかどうかお答えください。
また,昨年の本会議でも指摘しましたが,数多くの工事契約を行ってきた大林組などが200億円で有効な契約を結んだら,200億円で契約どおりの工事を遂行しなければならない義務を負うことを承知していなかったことはあり得ません。また,公社も当然そのことを承知していなかったことはあり得ません。ここを認識のずれなどという言葉でごまかされるわけにはいきません。
改めて確認しますが,JV側は約200億円での
シールドトンネル工事請負契約を結んだ時点で契約どおり約200億円で工事を遂行する義務を負ったと考えますが,市はどのようにお考えか明確にお答えください。一旦200億円で契約してしまえば200億円で工事を遂行する義務を負うJV側に対して,契約後に増額を行おうと公社が約束をしないのに,JV側が200億円での
本体工事一式契約に応じることはあり得ない,これが常識的な普通の考えです。しかし,こうした約束を行っていたとなると,これは完全にルール違反です。官製談合だと言わねばなりません。
同じく,大林組,大成建設,広成建設の3者によるJV側も公社と同様にルール違反であります。そもそもJVを構成する3者のうち,大林組と大成建設は,両者ともそろってリニア新幹線の談合事件に関わっていますが,いずれも日本を代表する最大手のゼネコンであり,大きなシールド工事の実績があるようです。この両者が別々に受注に手を挙げて競争するのではなくて,一つのJVに収まり,競争なしになったのも不可解なことです。公社とJV側の双方がルール違反をしていたとなると,高速5号線
シールドトンネル工事を行うという意思決定とそのための資金調達を決めていた広島市と広島県,市民,県民に対する重大な背信行為です。
市長は認識のずれだったという第三者委員会の報告をこれしかないというよりどころにして,JV側のルール違反,背信行為を免罪,容認した上で,87億円もの大幅な増額を議会多数の賛同を得て承認したわけです。本来は,市長としては二度とこのような問題を引き起こさないために,JV側に対して,広島市はこのようなことは認めないとはっきり意思表示し,200億円での工事遂行を求めるべきではなかったでしょうか。
以上について,市長の御見解を伺います。
次に,
アストラムラインの延伸事業についてですが,まず,
アストラムラインを延伸するルートはほとんどが高架橋によることになります。平成29年の橋,高架の道路等の技術基準が改定され,大幅に強度を高める必要から,国道2号高架延伸事業の工事費は当初の約1.5倍になるそうです。
アストラムラインは道路ではありませんが,高架橋の設計は改定された技術基準によることになるのかどうか。なるとすると,570億円とされている工事費はどれだけ増額になるのでしょうか。
次に,利用者数は採算性の最も重要な要素です。改めて全体の利用者数の見込みを五月が丘団地の住民,新しい石内の住宅地の住民,己斐上,己斐大迫,己斐中の住民,そのほかに分けてそれぞれ根拠と併せてお示しください。また,
五月が丘団地住民の利用が相当数見込まれていますが,この団地住民にとってのメリット,デメリットについてお示しください。また,団地の住民が利用しているバスは,
アストラムラインの開通によって便数が減ったり,ルートが変わったりしないのかどうか,市のお考えをお示しください。
次に,大型商業施設「ジ
アウトレット広島」に駅を造る理由をお答えください。また,駅の設置によって,「ジ
アウトレット広島」には客数の増加など大きな利益が見込まれますが,その利益の大きさに見合って,施設側に一定の負担を求めるお考えがあるのか,あるとしたらどの程度の負担が考えられるかお答えください。
次に,特に己斐地域の団地住民には交通が便利になるという期待があります。ただ,己斐地域の駅は終点を除くと,
沼田分かれ交差点付近と己斐上の
スーパーフレスタ付近の2か所です。また,駅の周囲の団地はかなりの高低差があります。駅周辺の住民にとっては便利になりますが,それ以外の駅から離れた団地住民にとっては,歩いての高低差の上り下り,あるいは高低差に加えて駅が遠くであるなど,あまり便利とは言えない地域の方が多い。特に高齢者にとっては,近くのバス停からバスを利用するほうがはるかに便利な地域が多い。この点はどのようにお考えかお答えください。
安佐南区の団地では,都心への直通バスのフィーダー化が大きな問題になりましたが,己斐の団地では
アストラムラインの開通後,バス便が影響を受けるということはないのかどうか,明確にお答えください。
私は,
アストラムラインの建設は別にして,狭くてまともな路側帯もない危険な県道伴広島線の交通の実態を考えると,己斐中央線の建設は必要だと考えています。己斐の住民も早く造ってほしいと願っています。ただし,住民の多くから聞くのは,西広島駅でストップするのでは駄目だということです。西広島駅止まりでは,結局元の狭い道路に戻って太田川右岸に出なければならず,渋滞は解消せず,危険な今の県道の代替にはならないというものです。現状の交通問題の解消のためには,己斐中央線から西広島駅北側の跨線橋でJR山陽本線を越え,太田川の右岸道路からスムーズに平和大通りに出られるように必要な道路の拡幅と交差点の在り方の検討が必要です。己斐地域住民の切実な願いに応えるために,そこまでやる気があるのかどうかお答えください。
次に,広島市はサッカー専用の新球場を現在の中央公園に建設しようとしていますが,その建設費は突然膨張して最大で270億円だとしています。これまでの議論を聞いていると,さらにどれだけ膨らむのか分かりません。しかし,現状の厳しい財政状況を考えると,幾つもの大規模事業を進めながら,新たに
サッカー球場建設費の確保をするのは大変困難ではないでしょうか。
昨年末に出された予算編成に関する依命通達では,ゼロベースでということや,実質公債費比率が極めて高水準であることから市債の発行抑制が強調されており,事業計画の見直し,計画の作成に当たっての民間活力の最大限活用も要請されております。この建設費の確保の問題では,いかに税金の支出を減らすか,いかに新たな市債発行を抑制するかが極めて重要であって,シンプルな設計で建設費を抑制することと併せて,民間からの拠出金をいかに増やすかが大変重要です。ただし,市民の拠出金は大きなものとはなり得ません。そうすると,大企業がたくさん存在する広島では,企業による拠出金の割合をいかに大きくするかが重要です。まず,今の財政状況でサッカー球場の建設費を捻出することが困難な課題なのか,困難ではないのか,そういう中で,現状で企業の寄附はどの程度見込むことができるのかお答えください。
広島市は,30年前から巨額の借金を積み上げながら大規模事業をたくさん進めてきて,企業活動をよりスムーズにするために数多くの基盤整備を行ってきました。それによって広島で活動する企業は多大な恩恵を受けてきましたが,そうした大規模事業の推進によって,広島市の今日の財政危機がもたらされました。今回の
サッカー球場建設は,広島の企業も多くが推進者であったり,賛成している立場だと思います。市は新たな
サッカー球場建設によって広島市が一層活性化するとしております。そうだとすれば,広島市で経済活動する企業にもさらに大きな恩恵が及ぶことになるはずでしょう。厳しい財政状況の下で新たな巨額の工事費確保により市民生活にしわ寄せがいくことになれば,市民の間に新たな対立を持ち込むことになります。広島で活動し,大きな利益を上げている企業による積極的な資金の提供がプロクラブのホーム球場という点でも重要であります。国からの補助金がどの程度見込まれるかがありますが,国の補助金と個人の寄附金以外の建設に必要な費用の大半を企業に出してもらえるよう,それこそ
広島商工会議所がそうした目標を持って資金集めに取り組まれるよう要請するべきではないかと考えますが,市はどのように取り組むお考えでしょうか,お答えください。
次に,
こども医療費補助制度を改定して対象年齢を入院は中卒まで,通院は小学3年生まで広げるのと同時に一部負担制度の大幅な改悪がなされたのが,平成29年1月です。その際,他都市に引けを取らない制度に拡充するよう求める議会の決議が上がりました。以来3年たちましたが,全国の自治体の9割近くが入院,通院とも中学3年生まで拡充し,広島市との取組の差は年々広がるばかりです。2002年から2016年まで,
全国保険医団体連合会が行った全国の子供の受診データの調査によると,
子供医療費補助が拡大する中で受診率は少し拡大するが,ゼロ歳から4歳,5歳から9歳,10歳から14歳のどの年齢階層でもレセプト件数はほとんど変わらないこと,国民全体の医療費は37%増えているが,ゼロ歳から14歳の医療費は21.4%の増加であること。時間外加算がつく時間帯の受診がいずれの年齢階層でも減少傾向であることが示されています。つまり,早期受診,早期治療で重症化を抑制し,医療費の増加が抑えられているということです。
広島市の舟入市民病院小児科でも,夜間外来の受診状況を見ると,平成28年に比べて29年でやや減少,30年は7%余りの減少,休日の夜間では,29年がやや増加したものの,30年は10%減少しております。平日のうちに気軽に受診する効果が現れたと見ることができるのではないでしょうか。
こども医療費補助制度の拡充は全国的な課題であって,本来国が無償化を進める必要があります。しかし,政府はこの課題には全く背を向けたままです。この間にも医療費補助の対象外の子供たちの健康が日々むしばまれている状況を子供たちにとって最も身近な自治体が見過ごしていてよいのでしょうか。
昨年10月からの幼児教育・保育無償化によって,毎年32億円,今年度半年だけでも16億円の財源が浮いているではありませんか。財源の問題は解消しました。県内の他の自治体と比べてもたくさんの子供たちの命に責任を負っている広島市として,直ちに入院だけでなく,通院でも中学3年生まで子供医療費の無料化を拡大するのは,都市の在り方として市民生活の安寧をうたっている平和都市広島の使命ではないでしょうか。国がやるべきとの原則論は,広島市が子供たちの命と健康を守るという制度を十分に整備した上で国に厳しく要求するべきです。それが自治体というものではないでしょうか。いつ通院も中学3年生まで広げるお考えかお答えください。
なお,先ほど指摘した子供たちのために使うべき年間32億円の財源について,どのように活用するのかいまだに明らかにされておりません。よもや大型公共事業に使おうとしているのではあるまいなとの疑念もあります。昨年,具体的な提案もしましたが,市長としてのお考えを,また,計画があるのかどうかお聞かせください。
次に,最近発表された広島市行政経営改革推進プランの中で,教育委員会から就学援助制度の適正化という項目が出されております。ここでは,平成30年度の認定率は約27%と政令指定都市の中で最も高く,総支給額は21億円となっている,この認定基準の基礎となる生活保護基準額が平成元年度のままとなっていることや,申請者が負担する社会保険料等を二重に考慮する運用になっていることの解消を図る方策について検討をし,制度の適正化を図ると述べられております。
この文章を素直に読むと,広島市の認定基準が30年前のままで甘いので政令市で一番認定率が高くなっている,生活保護基準が最近だけでも2回も削減されていることによる見直しなどをすれば,認定率は下がるはずだというように教育委員会が考えているのではないかと感じます。
そこで伺います。1,日本国憲法には義務教育は無償とする原則がうたわれておりますが,憲法ができた当時からすると,経済力も財政規模も何桁も大きくなった今日になっても無償とはなっていません。68年前に参議院文部委員会で,政府が日本の経済力が大きくなったら学用品,給食費などを無償にしたいと答弁しましたが,いまだに実現していません。
他方で,子供を持つ世帯の経済力の格差も拡大し,生活保護を受けるまでに至らなくても,所得状況に応じて子供の教育への負担を政府として配慮せざるを得ない世帯がたくさんあり,そうした世帯の子供たちに必要な教育条件を保障するために就学援助という制度があると認識しております。つまり,いまだ極めて不十分ですが,憲法にある義務教育は無償との原則を補完してきたのが就学援助制度だと考えます。憲法の原則どおりに義務教育が完全に無償になれば,就学援助制度は必要がありません。私は,就学援助制度について以上のように考えておりますが,広島市及び広島市教育委員会はどのようにお考えか,まず御見解を伺います。
2,政令市で最も高い約27%という就学援助の認定率は高過ぎるとお考えでしょうか。もし,高過ぎるとお考えなら,どのように高過ぎるとお考えでしょうか。
3,市では,就学援助の認定率が年々高くなっていたが,平成25年の29%をピークに年々下がってきております。このような認定率の変化がなぜ起きるのか,その要因についての御見解を伺います。
4,行政改革というのは経費削減だけではなく,行政サービスを充実・向上させたり,必要に応じて施策対象者を増やす場合もあり得ると考えます。その点で,現行の認定基準を決めた30年前より生活保護基準が高くなっていれば,認定基準を引き上げるお考えでしょうか。
5,就学援助の認定基準額については,かつて教育委員会と生活保護基準の1.3倍とか1.2倍といった議論をした記憶があります。教育委員会の説明では,平成元年の生活保護基準額に1.13倍を掛けたものにさらに平成8年に1.014を掛ける補正を行ったとしております。それで見ると,30年前の生活保護基準に対して約1.146倍になります。それは社会保険料等の負担を考慮したためと説明されています。同じような考え方を適用するものとして,例えば国民健康保険の保険料や一部負担の減免制度がありますが,この制度の所得基準は生活保護基準の1.3倍程度です。これは生活保護受給世帯と比較して,税金や年金保険料や医療保険料,一部負担などを考えると1.3倍程度が相当だという考え方だと思います。それから考えると,現行の就学援助の認定基準は相当に低いと言わなければなりません。
さらに最近の数年間だけ見ても,生活保護基準が2回にわたって引き下げられていますが,この間の教育に係る費用も生活に必要な費用も減っているわけではなく,物価も特段に下がっているわけではありません。物価が下がっていないのに生活保護基準を引き下げるのは,憲法25条に違反するものです。
そのようなことを考えると,仮に最近の2回にわたる生活保護費の減額を反映するような考え方があるとすると,教育条件を保障する制度としては大問題です。生活保護基準を参考にするなら,就学援助の認定基準は生活保護基準の1.3倍程度とするべきであり,その上で,仮に国が生活保護基準を引き下げても市内の食品や日用品,医療など,生活必需品の物価の状況を調査するなどの市民生活の実態を反映した独自の考え方で決めるべきだと考えます。いかがお考えかお答えください。
最後に,来年度予算では高齢者公共交通機関利用助成制度を廃止となっています。3年前に廃止の方針が示されたことに広島市の高齢者の多数が反対の声を上げておられたにもかかわらず,市は予定どおり補助額を6,000円から3,000円に減額させ,予定どおり2年後の今年9月から廃止するとしております。ポイント制度に参加してくれとする市に対して,ポイントを得る活動に参加できない高齢者から強い反発の声が上がり,市はこれにだけ応える形で,要介護認定を受けた方を対象にした制度を発足させるというわけですが,その結果,交通費補助への市の年間予算はおよそ5億円少なくて済むことになります。まさに高齢者福祉に対する思想も何もなく,一般財源の支出を減らすために制度をなくそうとするものではないでしょうか。
高齢になって友達付き合いも少なくなり,外出の機会が減る方も多いし,ボランティアをする気力もないし,公民館などでほかの高齢者と触れ合う機会のない方も多いと思います。そういう人たちでも,病院や買い物には出かけられます。そういう機会が社会と触れ合う機会だし,そこで日頃は会わない人と会って話が弾むこともあるでしょう。そのような高齢者にとっては,病院通いや買い物も大事な社会参加の機会です。そもそも支給された交通費補助をどのような目的で利用しようと自由でなければなりません。制度の目的に書いてある文言を機械的に適用してこの制度を廃止すれば,高齢者の外出の機会を奪うことになりかねません。
予算説明資料には,「制度の廃止とともに創設する要支援・要介護者を対象とした制度は外出機会の創出を支援するため」と書いてあります。その目的を要介護認定者以外の高齢者にも適用すればいいだけのことです。現行制度の廃止ではなく,70歳以上の高齢者の外出機会の創出を支援するために現行制度を維持存続し,金額の拡充を図るべきであります。どうされるか答弁を求めます。
以上です。(拍手)
○山田春男 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 中森議員からの御質問にお答えします。
高齢者公共交通費補助についての御質問がございました。現行の高齢者公共交通機関利用助成は,高齢者の社会参加の促進を目的として平成5年度に事業開始し,一定の役割を果たしてきているものですが,制度本来の目的に沿った利用がなされているかどうかが検証できないという問題がありました。また,本市の状況に目を向けると,少子高齢化の進展,家族形態の変化,コミュニティー意識の希薄化が進むなど,社会構造・経済環境が変容する中,自助・共助・公助の適切な組合せによって地域福祉を再構築していく必要があると考えております。
こうした認識の下,現行制度を高齢者の社会参加を促進するという制度本来の目的に沿って,より的確かつ効果的に利用されるようにするために,事業の実施方法,活動の実績が確認できるものへと見直し,高齢者自らが積極的に地域の活動に参加していただける制度へと段階的に移行させていこうというふうに判断したところであります。
こうした中,ポイント事業については,高齢者の社会参加の促進の効果に加え,健康づくり・介護予防に資する効果や地域団体の活動の活性化に資する効果が認められ,地域に根差した事業として多くの方に受け入れられつつあることから,令和2年9月からは適用対象者を拡大するなどし,事業の全面展開を図っていくこととしたものであります。
一方で,身体的な理由によりポイント事業への参加が困難な方が一定程度おられること,また,現行制度として障害者公共交通機関利用助成制度があるといったことを踏まえ,新たに要支援・要介護高齢者を対象に外出機会の創出の支援を目的とした交通費助成を創設することとしているところであり,現行の制度の維持・存続ということは考えておりません。
その他の御質問については関係局長から答弁いたします。
○山田春男 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 平和行政について2点の御質問にお答えいたします。
まず,今年の平和宣言について,広島市民の代表たる市長自身の言葉で明確に
核兵器禁止条約への署名を求めるべきではないかについてです。
平和宣言は,被爆体験を根底に平和を願う広島市民を代表して,市長がその時々の時代認識を踏まえながら,被爆の実相や核兵器廃絶に向けた決意を宣言の形に凝縮し,広く国内外に訴えることを基本としています。
核兵器禁止条約については,同条約の署名・批准が多くの被爆者の思いであることから,昨年の平和宣言において日本政府に被爆者の思いを受け止めるよう明確に求めたところです。今年の平和宣言の内容については,今後,平和宣言に関する懇談会の御意見も踏まえて検討することになります。
次に,旧陸軍被服支廠について,広島市がつながる世界中の都市や市民に対して資金協力を呼びかけることや国内の自治体と,特に国に対して資金援助の要請を県とともに行うべきではないかについてです。
議員御質問のうち,国に対する資金援助の要請については,昨日,川本議員に御答弁いたしましたとおり,本市には,旧陸軍被服支廠のほかにも大型の被爆建物が複数ありますが,これらを保存継承していくための保存工事については,現行の国の補助金制度ではその対象に制約があるほか,補助上限額も低く,必ずしも十分とは言えない状況にあると考えています。このため,今後これらの被爆建物の保存・継承に係る工事の検討状況を踏まえながら,国にさらなる支援の充実を働きかけていきたいと考えています。また,旧陸軍被服支廠に係るその他の呼びかけ等については,今後,県において利活用策の検討が具体化していく中で必要に応じて本市として可能なことに取り組みたいと考えています。
以上でございます。
○山田春男 議長 保健医療担当局長。
◎阪谷幸春
健康福祉局保健医療担当局長 平和行政についてのうち,黒い雨降雨地域拡大への取組について,被爆75周年の節目に改めて厳しい態度で拡大を強く要請すべきではないかとの御質問にお答えいたします。
本市では,これまで平成20年度に実施した調査で判明した黒い雨降雨地域を第一種健康診断特例区域に指定するよう,本市の主要事業に関する要望や平和宣言などで国に強く求めてきましたが,いまだ実現に至っておりません。被爆75周年を迎えるに当たり,心身に苦しみを抱える多くの市民の苦悩に寄り添い,一日も早く問題の解決が図られるよう,機会を捉えて科学的知見重視の国の検討会の結論を超えた政治判断を強く求めてまいります。
以上でございます。
○山田春男 議長 道路交通局長。
◎加藤浩明 道路交通局長 広島高速5号線
シールドトンネル工事の契約額大幅増額について,2点の御質問にお答えいたします。
まず,工事が300億円程度かかるものであるなら,当面200億で契約したのは市民と議会を欺くためだったということになるがどうかについてです。
第三者委員会の報告書によれば,当時の公社は200億円で締結した請負契約には6項目の工事費用は含まれていると主張し,JVは6項目の工事費用は契約に含まれておらず,契約後に適正額に増額することを当時の公社と合意していたと主張していることから,両者は認識の違いが生じたままで契約を締結したところであり,6項目の工事費用を契約変更により増額する旨の合意はなかったとされています。したがって,議員の御指摘は当たらないと考えています。
次に,JV側は約200億円での工事請負契約を結んだ時点で契約どおり200億円で工事を遂行する義務を負ったと考えるがどうか,また,JV側に対してルール違反,背信行為は認めないと意思表示し,200億円での工事遂行を求めるべきではなかったかについてです。
第三者委員会の報告書では,本件請負契約には6項目の工事費用が含まれていなかったと解さざるを得ないとされており,公社とJVはこの第三者委員会の判断に沿って増額の対応を行っていることから,議員の御指摘は当たらないものと考えています。
次に,
アストラムラインについて7点の御質問に順次お答えいたします。
まず,
アストラムライン高架橋の設計を平成29年に改定された技術基準に基づいて実施するのであれば,総事業費はどれだけ増額となるのかについてです。
総事業費約570億円は,平成27年6月に公表したものですが,これは当時の概略設計を基に算出したものです。
アストラムラインの高架橋については,今後の事業化に向けて環境影響評価や測量など,事業内容の詳細を決める作業を経た後に具体的な金額を算出することとしているところです。
次に,地区ごとの利用者数の見込みについてです。延伸区間に新たに設置する六つの駅の1日当たりの利用予測で申し上げると,(仮称)五月が丘1駅が2,000人,(仮称)五月が丘2駅が1,000人,(仮称)石内東駅が1,850人,(仮称)己斐上駅が700人,(仮称)己斐中駅が300人,(仮称)西広島駅が4,250人です。この利用者数の予測は国土交通省の総合都市交通体系調査の手引きにおいて,新規の鉄道を整備する場合の利用者予測に適した手法とされる4段階推計法により行っています。
次に,
アストラムラインを五月が丘に整備することによる住民のメリットとデメリットについてです。
アストラムラインを整備することによる住民のメリットとしては,
アストラムラインの西広島駅への延伸により,五月が丘団地と都心部がこれまでの道路に加えて軌道でつながれることになり,沿線の事業所,学校等への通勤・通学など交通の利便性が向上するとともに,五月が丘団地の駅周辺が整備されることで新たなにぎわいが生まれることなどが挙げられると考えています。デメリットとしては,整備を進めることによって地域の生活環境等に様々な影響を及ぼす可能性があることが考えられますが,これについては,環境基準に適合させることや影響を最小限に抑えることにより対処していく考えです。
次に,
アストラムライン開業による五月が丘団地を運行しているバス便への影響についてです。
現在,五月が丘団地に関係する路線バスは,西広島駅行きや西広島経由八丁堀行き,広島高速4号経由バスセンター行きなどが運行されています。これらの路線については
アストラムラインと競合する可能性があることから,何らかの調整が必要になると見込まれますが,公共交通ネットワーク全体として団地居住者の利便性が向上するよう,今後,交通事業者と協議を進めることとしています。
次に,大型商業施設「ジ
アウトレット広島」に駅を造る理由と事業者の負担についてです。「ジ
アウトレット広島」に設ける
アストラムラインの駅と交通広場は,既に都心部から五つのバス路線が乗り入れ,多くの市民に利用されている商業施設が周辺団地からのバス路線の新設により,近隣の住民にも利用されやすいものとなるとともに,
アストラムラインとの結節により,
アストラムラインそのものの利用を促進するといった効果が期待できます。このことは「ジ
アウトレット広島」にとっての誘客にもつながることから,駅や軌道敷などの設置に関し,施設事業者に対して一定の協力を求めることとしているところです。
次に,己斐地区に設置する駅の住宅団地からのアクセスと己斐地区を運行しているバス便への影響についてです。
己斐地区の住宅団地は,その多くが丘陵地の斜面に開発されたものであり,現在の十分でない道路状況の中で新たに
アストラムラインの駅が設けられることで,高低差があるとしても,駅の整備によって利便性は確実に向上するものと考えられます。
安佐南区の団地群でのフィーダー化は,安川通りや旧国道54号などの著しい渋滞が問題となっていた中で,
アストラムラインの開業を機に,この渋滞を緩和するために実施したものであり,己斐地区の
アストラムラインの延伸に関しては,このような事情がないことからフィーダー化は想定していません。
最後に,己斐地区の自動車交通についてです。
議員の御指摘については,
アストラムラインの延伸,また,JR西広島駅の自由通路及び北口駅前広場の整備,さらには八幡川沿いの己斐石内線の宮島街道までの整備を行うことで交通の分散化が図られるため,確実に問題解消に向かうものと見込んでいます。
以上でございます。
○山田春男 議長 都市整備局長。
◎中村純 都市整備局長 サッカー球場の建設費について,現在の財政状況でサッカースタジアムの建設費を捻出することは困難な課題ではないか,こうした中で企業からの寄附はどの程度見込めるのか。また,企業からの寄附について,市としてどのように取り組むのかとの御質問にお答えをいたします。
サッカースタジアムの建設に係る財源については,幅広く民間企業や個人から寄附を募るほか,国の交付金の最大限の活用や使用料収入等を償還財源とする市債の発行などにより資金を確保するとともに,広島市及び広島県が協力してその他の資金確保に努めることとしております。このうち民間企業からの寄附については,現時点で株式会社エディオンからは30億円,マツダ株式会社からは20億円の寄附の申出をいただいているところですが,今後,
広島商工会議所及び他の経済団体を通じて地元企業等から寄附を募ることにしており,これらについては現時点で見通すことは困難です。
この地元企業等からの寄附については,1月30日に開催しましたサッカースタジアム建設推進会議において,
広島商工会議所会頭から,
広島商工会議所が窓口となって調整し,令和2年度には地元企業に正式に資金協力を依頼していきたいとの意向を示していただいていますので,今後の対応について,
広島商工会議所と協議していきたいと考えています。
以上でございます。
○山田春男 議長 財政局長。
◎手島信行 財政局長
こども医療費補助制度の拡充についてのうち,幼児教育・保育の無償化によって生まれた32億円の財源はどのように活用するのかについてお答えをいたします。
そもそも子ども・子育て支援施策を含みます社会保障費に関しましては,国において所要の措置が講じられるのが本来の姿です。にもかかわらず,地方における多様性あるいは自主性の重視という名の下に,地方の自主財源で穴埋めが行われているというような状況にあり,このような状況は一刻も早く解消されるべきものであると認識をしております。
このたびの国による幼児教育・保育の無償化に伴い,本市がこれまで自主財源によって負担していたものが軽減されることになったことは,本来の姿に一歩近づくものであり,健全な財政運営を目指す本市としては,これを機に,可能な限り裁量的な施策に充当できるよう対処していく必要があると考えているところです。
こうした中,令和2年度当初予算にありましては,財政の健全化にも配慮しつつ,幼児教育・保育の無償化に伴い軽減された財源も活用しながら,年々増加傾向にございます社会保障等のための義務的支出と将来に備えた社会資本整備等の裁量的な支出がバランスの取れたものとなるよう,意を用いて編成を行ったところでございます。
今後も事業の選択と集中の徹底や経営改革に取り組む中で,社会保障の充実と裁量的な施策に充当することができる財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長 保健医療担当局長。
◎阪谷幸春
健康福祉局保健医療担当局長 こども医療費補助制度の拡充についてのうち,市はいつ,こども医療費補助の通院の対象年齢を中学3年生まで広げるのかについてお答えいたします。
こども医療費補助制度については,昨年12月の議会で近松議員に御答弁したとおり,本市では,今後医療制度そのものの在り方も含めて,
こども医療費補助制度のあるべき姿を打ち出すよう,国に対して問題提起を行いながら,仮にそれが実現しない過程においても,通院の補助対象年齢の拡大を図ることにより,可能な限り子供の医療を充実させるべく検討を進めているところです。したがいまして,現時点において,時期を明示することはできませんが,
こども医療費補助制度の拡充を着実に進めてまいります。
以上でございます。
○山田春男 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 就学援助の所得基準の見直しについて数点の御質問がございました。順次お答えいたします。
まず,憲法にある義務教育は無償との原則を補完するものが就学援助制度であり,憲法の原則どおりに義務教育が無償になれば,就学援助制度は必要なくなると考えるが,どうかという御質問です。
憲法が規定している義務教育の無償については,文部科学省のホームページに掲載されております法解釈によれば,国公立義務教育小学校における授業料不徴収の意味であるとされています。一方,就学援助制度は学校教育法において,経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童または学齢生徒の保護者に対しては,市町村は必要な援助を与えなければならないと規定されているものです。したがいまして,御指摘は当たらないと考えております。
次に,政令市で最も高い約27%という就学援助の認定率は,高過ぎると考えているのかという御質問です。
政令市における平成30年度の就学援助の認定率については,最も低い都市で7.7%,単純平均では16.2%となっている中で,本市が27.3%となっていることから,事実として最も高いと捉えております。
次に,広島市では就学援助の認定率が年々高くなっていたが,近年,平成25年の29%をピークに下がっていると。このような変化が起きる要因についてどう考えているかという御質問です。
本市では,平成8年度以降,認定基準額を変更していないため,平成25年度からの認定率の下降は対象となる保護者の所得の変化が主な要因ではないかと考えております。
次に,今回の見直しにおいて,現行の認定基準額を決めた30年前より生活保護基準額が高くなっていれば認定基準額を引き上げるのか,また,就学援助の認定基準額は生活保護基準の1.3倍とすべきであり,その上で生活保護基準額が引き下げられたとしても,市民生活の実態を反映した独自の考え方で決めるべきだと考えるがどうかという御質問です。
今回の見直しは,就学援助制度において,認定基準額に用いる生活保護基準額が平成元年度のままとなっていること,また,生活保護基準額に一定の係数に乗じて社会保険料等の負担を一部考慮した認定基準額と所得から社会保険料等を差し引いたものとを比較しているため,社会保険料等,二重に考慮する算定式になっていることから,これらを適正化するために行うものです。
従って,まず1点目の生活保護基準額については,直近のものを反映できるようにする必要があると考えております。また,2点目の社会保険料等,二重に考慮する算定式になっていることについては,認定基準額を生活保護基準額の1.3倍とすべき,係数1.3に引き上げるべきとの御意見ではありますが,社会保険料等の二重性の解消に当たっては,生活保護基準額に乗じる係数の見直しと,所得から社会保険料等の実額を控除するという方法の見直しとのいずれにすべきかを検討する必要があると考えているところでございます。
なお,就学援助の認定基準額について,市民生活の実態を反映した独自の考え方で決めるべきとの御意見ですが,5年に1度行われる全国消費実態調査のデータを用いて見直されている生活保護基準額をベースに算定することが適切であると考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長 48番中森議員。
◆48番(中森辰一議員) 幾つか再度聞きたいと思います。
まず,最初の質問ですけれども,
核兵器禁止条約への署名・批准を政府に求める問題であります。国内のほとんどの自治体と世界の6,000を超える都市が加盟している平和首長会議ですが,加盟都市の数は着実に大きくなってきました。しかし,核兵器を保有している国どころか,被爆国である我が国の政府でさえも動かすことができていないと,これが現状であります。一体この平和首長会議,7,800を超える加盟都市の力はどう発揮されているのか,なかなかよく見えないというのが実態ではないでしょうか。
確かに7,800余りの加盟都市を要する平和首長会議の総意として,条約の実現を国際社会にアピールしましたし,国内自治体のほとんどが加盟する平和首長会議として政府に条約の署名を要請しました。7,800という数の力があると思いますけれども,それだけでは政府を動かすことができていないというのが実態ですが,これはどのように考えておられるんでしょうか。平和首長会議の総意で政府に要請したとしても,個々の加盟した首長がイニシアチブを発揮して政府を動かす世論を高めるほどの行動を起こせていないのではないか。その中で会長都市の市長である松井市長が,自分の考えだということで,自分の言葉で政府に署名を迫るような行動を起こさなければ,ほかの加盟首長もそれに準じた行動しかしないのではないかというふうに私は思うんです。地方自治体としては,政府に対して,あえて物申す行動を起こすというのは,ほかの様々な事業で政府との関わりを考えると,避けたいというのがやっぱり多くの傾向かもしれません。
そういう中で,自ら積極的に条約の実現に動いた広島市長が,事日本政府に対しては曖昧な態度を取り続けておられると思います。これではほかの首長も思い切った行動は起こさないし,それでは平和首長会議は大きな力にはなかなかなり得ないのではないでしょうか。外国のメンバー都市の首長たちも広島市長の行動を見ているのではないかと思います。
核兵器廃絶に向けてリーダーシップを発揮してきた広島市長というのは,核兵器問題だけは必要なら政府とも厳しく対決する構えが必要であります。厳しい姿勢で政府に条約への署名を迫る,そういう行動が取れなければ,この問題での広島市に対する信頼が衰えていくんではないでしょうか。平和首長会議の力は発揮されないのではないか,こういうふうに心配をします。市長としては,明確な広島市長としての言葉で政府に
核兵器禁止条約への署名をぜひ迫っていただきたい。改めてこの点についてどうされるか答弁を求めます。
それから,
アストラムラインの問題で,己斐地区のバス便のことを聞きましたけれども,それについて明確に御答弁がありません。バス便が減少するのではないか,不便になるのではないか,この点についてどうお考えかということを聞きましたのでお答えください。
それから,こども医療費補助の問題ですが,この子供のための予算が32億円浮いたということについて,別にこれからは特にこの32億円を子供のために活用するというふうな考えではなくて,広島市の事業全体に使っていくんだという,そういうお考えだというふうに聞こえましたけれども,やっぱり政府でさえもこの浮いたお金は子供のために使ってもらいたいというふうに要請をしておられるわけですよ。やっぱりそういう趣旨に応えていくような取組をすべきではないのかというふうに思いますし,これまで保育のために使ってきたお金っていうのは,これはもちろん市民の要請があってのことではありますけれども,しかし,それではやっぱり広島市としての子供に対する思いというか,そういうものはなかなか伝わってこないのではないかと私は思います。そういう点では,改めてこの32億円という財源を使って,本当は来年度からでも
こども医療費補助制度の拡充をということできちんとやるべきではなかったかと思いますけども,改めて答弁を求めます。
就学援助制度の問題ですけれども,来年度からの4年間の財政運営方針,歳入歳出の見直しを進めていくという方針の中で,歳出削減の項目の中にたった一つだけ就学援助制度の適正化ということが上げてあるわけです。そうすると,これは削るんだなというふうに誰でも思います。来年度予算の施策の柱の一つも,未来を担う子供の育成ということが上げてあるわけです。それと私は逆行するようなことをどうして教育委員会が考えるんだろうかというふうに思ったわけです。
義務教育の無償化,これは授業料だけの無償化というわけにはいかないと思います。国民的な理解というのは,学校に通う費用,学校で子供たちが過ごす費用,これら全てを無償化するというのを憲法では規定すると言っているというのが多くの国民の理解ではないかと思います。今おっしゃったことは国が勝手に言っているだけの話で,やっぱりもっと市民の実情に沿ったような考え方に転換するべきではないのかなというふうに思うんです。
それで,私はこの制度の役割を考えると,今のような状況の中で制度の縮小っていうのはあり得ないと。つまり基準にしても,やっぱりこの基準の改定によって対象者が減るというようなことというのはあり得んのではないかというふうに思いますけども,改めてこの教育委員会の考え方について確認をしたいと思います。
以上。
○山田春男 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 平和宣言,それから平和首長会議についての御質問でございますけれども,まず,都市というのは,国防であるとか外交という権能を有していないということがまず前提にございますが,そうした中でも多くの住民が住む都市が世界の中で連携していき,そうした中で市民社会に核兵器廃絶の大きなうねりをつくっていく。そのうねりの中で為政者に働きかけるということが核兵器廃絶に遠いようで最も近い道だと思っております。こうしたことについては,平和首長会議の各加盟都市の中で共有しているところでございまして,そうしたそれぞれの個々の取組の中で,広島市としても国内加盟都市と総意の下で国に対して要望しておりますし,先ほど御答弁申し上げたとおり,平和宣言においても国に対して明確に求めてきたところでございます。今後ともこういう活動を続けていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○山田春男 議長 財政局長。
◎手島信行 財政局長 無償化で軽減された32億の使途についてのお話ですけれども,そもそも市税等の一般財源というのは,例えば子供用の予算という形で色をつけて固定的に活用できるという性格のものではございません。当初予算の編成におきましても,まずは市税や地方交付税などの一般財源がどの程度見込まれるのか,あるいは財政調整基金などがどの程度活用できるのか,あるいは市債の削減をする中でどの程度の市債を活用していくのか,そういった財源を総合的に整理した上で,来年度取り組むべき,例えば社会保障,今回も子供の子育ての関係でも保育園の受入れ児童数を拡充したり,園の整備を進めたり様々な社会保障の経費を充実させる,また,将来の活性化につながります社会的資本整備,そういったものをバランスよく考慮しながら,必要な施策を組んでいったところでございます。
今後におきましても,先ほど申し上げましたように経営改革,あるいは事業の選択と集中,そういった様々な取組を進めることによって,例えば御提案ありましたような
こども医療費補助制度の拡充でありますとか,そういった社会福祉の充実など,裁量的な事業の充実にも充てていける財源を確保していきたいと考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長 道路交通局長。
◎加藤浩明 道路交通局長 己斐地区の団地のバス便が影響を受けるかどうかという御質問でございますけども,己斐地区のバス便については,今後交通事業者との協議を進める中で決まってくることでございます。その中で,本市としましては,公共交通ネットワーク全体として,団地居住者の利便性が向上するよう協議を進めていきたいと。フィーダー化というのは考えていませんので,本市のほうから削減を求めるということも考えておりません。
以上でございます。
○山田春男 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 就学援助制度についてお答えをいたします。
まず,今,御質問の中で広島市の行政経営改革推進プラン素案,歳出削減ということですが,私の認識では,ここでの項目では,持続可能な財政基盤の構築という項目の中にプランの中では入っております。この行政経営改革推進プラン,これを全市的に考えるに当たりまして,教育委員会では,教育委員会が持っている大きないろんな制度の中で改めて制度の検証ということをしてみようということをやりました。そういう中でこの就学援助制度を見たときに,一つは,平成元年度の基準額を基にしてそれに係数を掛けるという,ここが非常にちょっと現状と合っていないということと,もう一つ,それをずっと制度の検証をする中で言いますと,生活保護基準額に係数を掛けつつ,一方で社会保険料等控除の実額を控除した所得をそれと掛けた後のものと比較するということがありまして,この部分については重複があるんではないかという疑問が出ましたので,この二つを課題と捉えまして,これの適正化を図ろうというものでございます。具体的には,先ほど御答弁申し上げましたとおり,生活保護基準額に関しては30年前と比較すると,現在は上がっております。また,そこいらは生活保護基準額ということに関しては,直近のものを反映させていくということになろうかと思います。
また,もう一つの二重性ということについては,先ほど御答弁を申し上げましたけども,この二重の部分の係数の部分を見直すのか,あるいは実額を控除するという部分を見直すのか,これを今検討しておるところでございます。対象が減ることはあってはならないということですが,これをやった結果として,総合的に減るのか増えるのか,これはまた今から案を作った上でお示しをしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長 48番中森議員。
◆48番(中森辰一議員) もう一度幾つか聞きたいと思います。
最初のことは,これは質問ではありませんけども,広島市の特別な役割ということを強調してきましたけれども,これはイコール,広島市長の特別な役割だということをよく考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それから,就学援助の問題ですけれども,教育において改革というのは教育条件をよりよく整備するというのでなければならないというふうに思います。就学援助制度っていうのは,それを土台で支えてきたものであると考えております。ここ数年,先ほども指摘しましたけれども,就学援助の認定率が下がってきているわけです。これは就学援助を必要とする低所得の家庭の子供が全て認定の対象となっているとして,低所得の家庭の子供の比率が下がっているということになります。これをどう考えるかですけれども,今の社会は所得格差がどんどん広がってきているわけです。低所得の家庭ほど子供を産まなくなってきているというふうに見ることができるんではないかと考えております。そう考えると,子育てにかかる費用を援助する仕組み,これをより充実させる必要があるというふうに私は思うんです。
就学援助の所得基準を落とすべきではないということと併せて,やっぱりこの就学援助の内容をより充実させていくということも必要なことではないかというふうに思います。
フランスでは,子供を持つ家庭に充実した現金給付とか就学支援などの家族給付を行った結果,出生率が人口を維持できるほどまで回復しているというふうに言われておりますけれども,広島市は地方自治体でありますが,国と一緒になって,この行政改革というんであれば,やっぱりこの内容の充実もぜひ検討するべきだということを申し上げておきたいんですが,この点についてのお考えを聞かせてください。
それから,これは質問ではありませんけれども,7,800加盟都市があるわけですよ。これ例えば,1都市当たり平均でそれぞれの都市が市民から100万円ずつお金を集めてくれれば78億円のお金が集まります。この旧被服支廠のこの建物の重要性,このかけがえのなさということをきちんと訴えて,やっぱりこういった都市に呼びかけていく。そういうことをできるのが広島市ではないかというふうに思うんですよ。そういう協力の在り方もあるということを申し上げておきたいと思います。
それから,高速道路の問題ですが,第三者委員会の結論をそのまま信じている人は,これはなかなか少ないのではないかというふうに私は思います。それも申し上げておきます。教育委員会の答弁だけお願いします。
○山田春男 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 就学援助に関して,改めて御質問ございました。
子供を産み育てやすい環境をつくる,これは最重要課題でありますし,そういう中で就学援助というのも重要な役割を担っているというふうに認識をしております。ただ,その部分について,市としてはいろんな施策を打っています。そういう中で,先ほど申し上げましたが,この就学援助制度についても将来にわたって持続可能なものにしていきたい。それから,今充実のお話がございましたけども,これについては国において,例えば入学準備金に関して,国の対応も踏まえて時期を早めるであるとか,単価を引き上げるというようなことも近年やっております。そういったこともやりつつ,ただし,制度を検証する中で課題がありますので,そこの適正化を図りながら持続可能な制度として重要な役割をこれからも果たしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長 次に,39番若林新三議員。
〔39番若林新三登壇〕(拍手)
◆39番(若林新三議員) 市民連合の若林でございます。会派を代表いたしまして,総括質問をさせていただきたいと思います。
御案内のとおり,2020ビジョンの総括と次期ビジョンについてをはじめといたしまして,五つの項目について質問をさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いを申し上げます。
最初に,2020ビジョンの総括と次期ビジョンについてお伺いをいたします。
2020ビジョン──核兵器廃絶のための緊急行動は,2003年10月に策定されました。ビジョンの内容は,1,全ての核兵器の実戦配備の即時解除,2,
核兵器禁止条約締結に向けた具体的交渉の開始,3,
核兵器禁止条約の締結,4,2020年を目標とする全ての核兵器の解体の4点です。
現在7,800を超える都市が加盟する平和首長会議の最も重要な課題ともなっています。このうちビジョン策定当初に2010年を目標としていた
核兵器禁止条約締結に向けた交渉開始については,2011年,国連で
核兵器禁止条約の交渉開始を求めた決議が127か国の賛成で採択されました。また,2017年には,
核兵器禁止条約が122か国の賛成で採択され,核兵器廃絶に向けた大きなうねりができつつあります。2020年の目標とされた核兵器の解体については,現時点では大変厳しい状況にはありますが,ビジョンが示した方向に着実に進んでいることがうかがえます。
しかし,一方で現在の核をめぐる状況を見てみると,アメリカによるイランとの核合意からの離脱,昨年8月のアメリカとロシアで結ばれていたINF──中距離核戦力全廃条約の失効など危険な方向へ進んでいます。さらに新START──新戦略兵器削減条約についても失効してしまう可能性も否定できません。また,2015年のNPT再検討会議では,議論をまとめることさえできない状況にありました。こうした核兵器廃絶をめぐっては大変厳しい状況にある中で,国連での
核兵器禁止条約の発効は極めて重要な課題であると受け止めています。
国連加盟国のうち50か国が批准をすれば条約として発効することになります。現在81か国が条約に署名し,35か国が批准をしています。唯一の被爆国である日本は,大変残念ながらこの条約に署名していません。2020ビジョンの最終年に当たる今年,条約発効のために各国の批准を求めることが最も大きな目標と言えます。
そこでお伺いします。2020ビジョンは今年で最終年を迎えることになりますが,平和首長会議の会長都市である広島市とすれば,現時点でこの取組をどのように総括されておられるのでしょうか。今年4月から5月にかけて,国連本部でNPT再検討会議が開かれます。これまでの準備委員会での議論は必ずしも見通しの明るいものとはなっていませんが,極めて重要な会議であることは間違いありません。ぜひとも国連の場で
核兵器禁止条約の発効の重要性について,また,そのことが高齢化する被爆者の大きな願いであることを訴えていただき,各国の
核兵器禁止条約批准の大きなうねりをつくっていただきたいと思いますが,いかがでしょうか,お答えください。
2020ビジョンが終了した後,2021年以降も被爆者の悲願である核兵器廃絶に向けては引き続き取り組んでいかなければなりません。次期ビジョンにおいては,どのような思いで取り組んでいかれようとしているのか,お聞かせください。
次に,放射線影響研究所の移転についてお伺いをいたします。
私は,この案件については一般質問や予算特別委員会,決算特別委員会などで適宜取り上げ,積極的に比治山からの移転を求めてきました。放影研は,1950年に比治山公園に設置されて70年目となります。建物の劣化は免れません。広島市も現在移転に向けて努力されているところです。移転に向けて大きな転機となったのは,被爆70年目の節目に当たる2015年に比治山公園「平和の丘」構想が取りまとめられたことだと思います。比治山を国際平和文化都市として復興した広島の今を実感できる新たな拠点として再整備する構想を取りまとめ,2017年には基本計画が取りまとめられています。こうした広島市の取組に並行して,国からは独立した建物ではなく賃貸方式でも対応できるとの提案があり,具体的に移転に向けた取組が進められてきました。
現在では,国からの提案を受けて,広島市総合健康センターを候補地として,広島市医師会などとも協議が整ってきている状況にあります。
そこでお伺いします。第1は,放影研の調査結果を受けた対応についてです。昨年度,放影研の移転に係る調査が行われたところですが,放影研としてはどのような検討状況にあるのでしょうか。また,広島市としては,どのように取り組まれようとしているのでしょうか。
第2は,広さについてです。広島市医師会臨床検査センターは延べ床面積4,000平方メートル程度ですが,これまで検討されてきた広さについて7,000平方メートル程度は必要だとされてきました。広さについてはどのように考えておられるのでしょうか。もし不足するとしたら,広島市医師会臨床検査センター以外の場所についても,提供を検討されるということでいいのでしょうか。
第3は,移転の時期です。この調査結果を受けて,放影研が移転を決定された場合,広島市とすれば,次にどのようなことに取り組むことになり,具体の移転はいつ頃実現できると考えておられるのでしょうか。
第4は,移転に向けての広島市の負担についてです。マスコミ報道によると,移転費用は約61億円と試算されています。広島市としては,基本的には設置場所のあっせんということにとどまるのかもしれませんが,移転に向けての具体の負担についても検討されることになるのでしょうか,併せてお答えください。
次に,バス,JRの利便性の向上についてお伺いをいたします。
広島市は,公共交通体系の中心的な役割を担う基幹バスの今後の方向性として,バス専用レーン等の遵守策やバス優先信号──PTPSの拡充など,バス走行環境の向上を目指しています。デルタ内では,2018年5月から,広島駅から八丁堀,紙屋町,平和大通りを周回する「エキまちループ」が運行されています。バス事業者が共同運行しているもので,日中は10分間隔で左回り,右回りとも70便以上が運行され,市民の一定の利用が進んでいるところです。また,今年1月26日からは,デルタ内第二弾として,広島駅から広島大学病院,県立広島病院,広島赤十字・原爆病院などを巡回する都市循環線「まちのわループ」や広島駅から広島港までの「広島みなと新線」が運行されています。このようにデルタ内でのバスの再編は順調に進んでいると言えます。
こうしたバス運行の再編に当たっては,市内中心部への自家用車の流入抑制につながるものでなければなりません。そのためには,単に自家用車からバスや路面電車,
アストラムライン,JRなどの公共交通に乗り換えることを啓発するだけではなく,実質的にバスやJRなどの利便性を向上し,自然と公共交通に乗り換えるような誘導策を講じなければならないと思います。郊外部のバス路線については,交通拠点である可部駅などでフィーダー化を行うとのことですので,最初に,バスの利便性について提案をしますので,御検討をいただきたいと思います。
第1点は,バス専用レーンについての市民の意識づけを深めることです。現在,バス専用レーンは幾つかの場所で設定され,道路面と標識によって専用レーンであることが車の運転者に理解されるようになっています。これをもう一歩進めて,カラー舗装してみてはいかがでしょうか。車道をカラー化することによって専用レーンであることが視覚としてはっきりと識別できるようになり,バス専用レーンであることの理解が深まるのではないでしょうか。また,運転者以外の歩行者にとっても,カラー舗装しているレーンはバス専用であることを容易に理解できます。そこで,郊外部と都心部を結ぶ基幹バスの定時性や速達性を確保するための意識づけとして,国道183号のカラー舗装を検討していただけたらと思います。
可部方面から国道183号を経由するバスについては,一部で専用レーンになっているものの,実質的には専用とは程遠い状況です。専用レーンの中に自家用車が入り込み,専用レーンの機能がほとんど発揮されていません。特に国道183号の場合,右折車線がないことが少なからぬ要因だと思われます。右折車線がないことから,2車線のうち1車線は右折車で通れなくなり,仕方なくバス専用レーンに入らざるを得ません。こうした状況が積み重なってバス専用レーンが自家用車で埋まってしまう現象が引き起こされているのです。こうしたことから,国道183号のバス専用レーンをカラー舗装して明確にすることは意味があると思っております。
第2点は,バス優先信号──PTPSの導入の促進です。自家用車からバスに乗り換えるには,バスの利便性を向上させて,実質的にバスは便利だと感じていただく以外にありません。そのためにもバス優先信号を拡大していただきたいと思います。現在,県警により,高陽方面と矢賀方面で優先信号が導入されていると伺っていますが,郊外部での路線再編を進めるに当たっては,国道183号についてもバス優先信号を導入し,バスの定時性,速達性の向上ができるように関係機関に働きかけをしていただきたいと思います。
第3点は,国道183号に右折車線を整備することです。先ほど申し上げたとおり,国道183号は右折車線がないことによってバス専用レーンがほとんど機能していません。交通管理当局もこうした状況にあることはよく理解され,時間帯によって右折禁止の措置が取られている交差点もあり,一定の効果はあるものと思います。しかし,右折車線のない道路は2車線あるように見えても,2車線としては機能をしていません。先ほど述べたとおり,1車線が右折車のために通行できなくなるからです。少なくとも都市計画決定され,既に整備されている西原山本線や今後整備すべき長束線,その他2車線で整備されている道路などへの右折については,右折車線を整備する必要があるのではないでしょうか。
以上バスの利便性の向上について,3点に絞って提案をさせていただきました。自家用車から公共交通にシフトしていただくためには,バス等の利便性の向上と走行環境の改善は必要不可欠と考えますが,市としてどのようなお考えかお答えください。
次に,JRについてです。JR可部線は,全国で初めて廃線になったところが復活した路線でもあります。あき亀山駅まで電化延伸され,乗降客数は,あき亀山駅では予測を下回っているものの,河戸帆待川駅では大幅に上回っている状況です。今後はさらに利便性を高めて,通勤など自家用車から電車にシフトできるような方策が必要です。その一つの方策としてスピードアップがあります。定時性,速達性の向上は,公共交通にとって引き続く大きな課題でもあります。可部から広島駅まで40分程度かかっている時間を短縮することによって,自家用車から電車へのシフトが進んでくると思います。
現在,可部線では,新型車両レッドウィングが導入され,快適性が向上しています。こうした新型車両の高い加速性能を生かして,ぜひスピードアップが図れるようにしていただきたいと思いますが,いかがでしょうか,お答えください。
今後,市内中心部へは,特に通勤時間帯など,できるだけ自家用車の流入を抑制し,公共交通の利用促進がより一層求められてくると思います。そのためには公共交通の利便性の向上が不可欠です。ぜひ粘り強く協議を進めていただきたいと思います。
次に,手話言語条例の制定についてお伺いします。
2006年,国連総会で障害者の権利に関する条約が採択され,日本でも2007年に署名,2011年には障害者基本法が改正され,2014年には条約が締結されています。改正された障害者基本法では,第3条第3項で「全て障害者は,可能な限り,言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに,情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること」と規定されています。こうした動きを受けて,今年1月末現在で27都道府県を含め301の自治体で手話言語条例が制定されています。政令指定都市では札幌市をはじめ8市,県内では福山市,廿日市市,東広島市,熊野町で制定されています。
例えば,札幌市では,「手話は,音声言語とは異なる語彙や文法体系を有し,手や指,体の動き,表情などにより表現される言語である」と規定し,手話が言語であるとの認識を普及することを目的として制定されています。
神奈川県では,条例制定の理由として,我が国では手話が言語であることを障害者基本法において明らかにしたものの,いまだ手話に対する理解が浸透しているとは言えないとし,手話に対する県民の理解を深め,これを広く普及していくため,聾者と聾者以外の者が,互いの人権を尊重して意思疎通を行いながら共生することのできる地域社会を実現するとしています。
このように障害者の権利に関する条約や障害者基本法において,手話が言語として位置づけられたものの,手話が言語であることに対する理解は十分なものとは言えない状況にあると受け止められています。
こうした中,2019年9月には,広島市議会に対して,一般社団法人広島市ろうあ協会から手話言語条例制定を求める請願が提出されました。
請願理由として,手話が言語と規定されているにもかかわらず,必要な情報を得ることもコミュニケーションを取ることもできず,多くの不便や不安を感じながら生活してきたと,生活の不便さを指摘されるとともに,手話言語に対する理解の広がりを感じる状況には至っていないと現状を訴えられています。その上で,安心して暮らすことができる広島市を目指したいとして,手話言語条例制定の請願をされているものです。
そこでお伺いします。広島市も手話が言語であることの市民の理解を深め広げていくために,手話言語条例の制定に向けて検討を進めていく必要があると思いますが,いかがでしょうか,お答えください。
最後に,2014年の8.20豪雨災害の復旧・復興についてお伺いします。
豪雨災害から2019年度で5年の集中復興期間が終了します。どの程度復興が進んできたのかお伺いします。
2014年の8月20日未明の豪雨により,77人もの多くの方がお亡くなりになり,69人が負傷されました。また,全壊した家屋は179棟となり,損壊した住宅・
住家の被害は合わせて4,700棟以上にもなりました。広島市は災害によって貴重な人命が失われ,家屋等が広範囲にわたって被害を受けた安佐南区山本地区,八木・緑井地区及び安佐北区可部東地区,三入南・桐原地区,大林地区の五つの地区を対象に復興まちづくりプランを策定しました。災害発生から5年を集中復興期間,その後の5年間は継続復興期間として,合わせて10年を対象期間にしているものであります。
先ほど述べたとおり,今年度は集中復興期間の最終年度となります。集中復興期間の取組の総括をお聞きしたいと思います。
最初に,避難路の整備についてです。都市計画道路については,安佐南区では長束八木線,川の内線,安佐北区では高陽可部線,可部大毛寺線が整備されていますが,今年度内に完成する見通しにあるのでしょうか。また,その他の道路である桐原バイパス,川東線,大林高谷地区から桐陽台への新設道路の整備状況はどのようになっているのでしょうか。長束八木線とセットになっている雨水渠,その他の市道拡幅,急傾斜地崩壊防止などはどの程度進んでいるのでしょうか。砂防ダム,治山ダムについては国や県の事業となりますが,ほぼ計画どおり整備されているのでしょうか。
一方,集中復興期間で整備する事業と併せて,今後5年間の継続復興期間で整備する予定の長束八木線や川の内線,市道の拡幅なども期間内に整備していただきたいと思いますが,どのようにお考えでしょうか,お答えください。
また,これまで8.20豪雨災害の復興に向けては,復興工事事務所を設けて精力的に復興に取り組んでこられました。通常の整備より2倍も3倍も早く整備していただいたように思います。これからの継続復興期間では,今述べたとおり,長束八木線の二つの工区,川の内線,市道拡幅などの重要な事業が残されています。こうした事業も5年間で完了させることにしています。復興工事事務所は廃止されることになりますが,継続復興期間についてはどのような体制で復興事業を進められようとしているのでしょうか,お答えください。
以上で質問を終わります。
なお,答弁によりましては,再質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。(拍手)
○山田春男 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
まず,令和2年度当初予算1兆2288億6904万1000円が発表されました。松井市長の市民に対する考え方も選択と集中を推し進めるということで信頼感を求められています。そのような来年度予算において,未来を見据え負債をなくし,活気あふれるまちづくりについて,私なりに提案と質問させていただきます。
本市は,山,川,海に囲まれる非常に自然豊かな市街地を形成していますが,その反面,豪雨の際に斜面崩壊や土石流の発生しやすい地形的・質的特性を有しています。近年,本市においては,平成11年の6.29豪雨災害,平成26年の8.20豪雨災害,そして一昨年に西日本を中心に広い範囲で発生した平成30年7月豪雨災害により,これまでの想定を超える甚大な被害が発生しています。こうした土砂災害のたびに山際の住宅地においては,崖崩れや土石流により人的被害が報告されており,まちづくりの観点からも土砂災害への備えが喫緊の課題であると感じています。私は,こうした近年の土砂災害の発生状況,少子高齢化や人口減少が見込まれる中での今後の行政コストの効率化などを総合的に考えたとき,広島市におけるまちづくりは,平地部に人口や都市機能を集積させるコンパクトシティーを目指すことが将来における最良の都市づくりと考えています。
そこで質問します。近年の豪雨により山際の住宅地などで土砂災害の被害が増加しています。今後,人口減少が見込まれる中,危険な箇所での開発に歯止めをかけ市街化を抑制してはどうでしょうか。また,そうした対策の受皿としても,デルタ部をはじめとする平野部に病院や商業施設といった多様な都市機能を集積し,その周辺に住むことによって生活の質の向上を図ることも必要であると考えています。これまでデルタ部等においては,都心居住の推進を図るため,都市計画による誘導・緩和施策によりマンション建設が進むなど,人口が増加傾向にあります。他方,本市の入り込み観光客数も大幅に増加しており,特に外国人観光客については平成30年には178万人となり,7年連続で過去最高を更新しています。
こうしたことを背景に,基本構想で国際平和文化都市を都市像に掲げ,中四国地方の中枢都市となる広島市として,デルタ部,特に都市再生緊急整備地域となっている広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区については,人が集まるにぎわいのまちを目指すべきと考え,都心の回遊性のあるまちづくりの必要性について,これまで議会の中でも申し上げてきたところです。
そこでお尋ねします。デルタ部では地区計画による容積率の緩和などにより人口が増えているが,さらなるにぎわいの創出により来訪者を増やすことも必要ではないでしょうか。また,広島駅周辺地区は,私は議員として当選させていただいた平成3年から駅北を再開発してこそ広島の戦後は終結すると思い,若草市営住宅を中心に復興を進め,現在は平成15年の都市再生緊急整備地域への指定を契機に,駅北における若草町地区の市街地再開発事業や二葉の里地区の土地区画整理事業,南口におけるB・Cブロックの市街地再開発事業,さらには駅の南北を結ぶ自由通路などの整備が完了し,中四国地方の中枢都市の玄関口にふさわしいまちに大きく変貌し,あとは駅北3割の開発を残すのみになりました。
一方,こうした規模の大きな開発が進展する中,広域的な交通結節点である広島駅に隣接し,都市再生緊急整備地域のエリア内でありながら,低容積率のまま取り残されている地区があります。私は,こうした地区についても非常に大きな開発ポテンシャルを有していると考えており,広島駅周辺地区を真に活性化していくためには早急に容積率の見直しが必要と考えています。また,平成30年10月に同じく都市再生緊急整備地域に指定された紙屋町・八丁堀地区においては,近年,郊外における大型商業施設の開発により,都心の求心力が低下してる中,多くの建物が更新時期を迎えており,この機を捉えて都市再生緊急整備地域制度のメリットを生かし,老朽化した建物の建て替えを加速させる必要があると思います。
しかしながら,こうした都市再生緊急整備地域内には間口が狭く,奥行きの長い短冊状の小規模な敷地が多いという地域特性から,こうした制度のメリットをうまく活用することが困難な状態です。そういう意味では,本会議に提案されている条例において,都市再生特別地区の都市計画提案の面積要件が0.5ヘクタール以上から0.2ヘクタール以上に緩和されることは,都心部の再開発が促進されるきっかけの一つになるものと評価したいと思っておりますが,今後はさらに,中四国地方の中枢都市である広島市の都心の活性につながるものについては,広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区の都市再生緊急整備地域内に広域的な都市機能を誘導する方策を図るべきではないかと考えますが,市のお考えを伺います。
次に,土地の高度利用について質問に入らせていただきます。
少子高齢化の進展など社会環境が変化していく中,地域活動の担い手不足や町内会等の加入率減少などの問題が深刻化しており,地域コミュニティーを引き続き維持し活性化することは,今後の広島市を支える上でより重要度を増しております。また,地域コミュニティーの原動力となっている町内会・自治会や地区社会福祉協議会などは,集会所を活動や交流の拠点として利用しており,集会所は地域にとって最も身近で不可欠な施設であると言えます。しかし,本市の集会所はその多くが高度経済成長期に当たる昭和40年代から昭和50年代頃にかけて整備され,老朽化対策が課題となっております。
一方で,本市の財政状況を考慮すると,その更新や改修には多額の費用を要することから,様々な工夫を講じる必要があると考えています。私は以前から,紙屋町・八丁堀地区や広島駅周辺地区における都市再生緊急整備地域制度のメリットを生かし,老朽化した建築物の建て替えを加速し,都心の活性化を図る必要性について申し上げているところです。しかし本市には,指定区域外にあっても立地条件がよく,非常に大きな開発ポテンシャルを有している土地があると考えております。こうした立地条件のよい場所にある老朽化した公共施設の更新については,土地の有効活用を図るべきではないかと考えます。
例えば,広島駅北口の若草地区です。広域的な交通結節点である広島駅に隣接する一等地にある若草集会所は,もともと保育園として昭和28年に建てられ,保育園が移転した後は土地と建物を集会所として使用されています。この集会所は一定規模の土地を有しておりますが,平家建てである上,老朽化が進行しております。今後,市民からの要請があるときは若草集会所の立地条件のよさを生かし,民間の資金を活用した土地の高度利用を行うことによって財政負担の軽減とにぎわいの創出,ひいては,地域コミュニティーの活性化が図られれば土地の有効活用についてのモデルケースになるのではないかと思いますが,市のお考えをお聞かせください。
次に,産業廃棄物処理の問題について質問いたします。
私は約20年前から環境について取り組んでまいりました。スウェーデンの幼い16歳のグレタ・トゥーンベリさんが地球温暖化について声を大にして訴えていることに私も感銘いたしております。この日本で中国地方も2年続いて雪も少なく暖冬で,先日も,南極大陸も初めて20度超えをしたというニュースを聞きました。私は18年前にオランダに視察に行き,アムステルダムの街区1万世帯の住まいに全て太陽光発電が設置されている状況を目の当たりにし,自然エネルギーの重要性を感じ,自宅の屋根に太陽光発電を設置いたしました。地球を守るために,未来の人類のためにも,私たちは自らいろんなことに関心を持ち,行動していくことが必要です。
そこで,環境問題の中でも廃棄物について質問させていただきたいと思います。
私は以前から廃棄物は有価物だと申し上げておりますように,ほぼ全てリサイクルができるのです。広島市には安定型最終処分場が5か所,管理型が出島処分場1か所,中間処理は110社の業者があります。先日,同僚の今田議員と環境省を訪問し,環境再生・資源循環局の課長さんに地方の実態を申し上げてまいりました。昨年暮れには広島市許可の最終処分場も視察してまいりました。それぞれが安定型ゆえ,現在において危険はないわけですが,私の視察した処分場は,ほとんどがまだリサイクルできる状態の廃棄物であると思いました。そして,法律に触れているわけではありませんが,その廃棄物の約7割は県外を含む広島市域外からの搬入のようです。
そこで質問します。廃棄物は可能な限りリサイクルすべきだと考えていますが,現在,広島市から発生する産業廃棄物はどのように処理されているのですか。
また,先ほども申し上げたように,民間最終処分場に市外からの廃棄物が多く搬入されていると聞いていますが,将来,処分場に起因する環境汚染が生じると市民に負担を強いることになり,好ましくないと考えています。環境省は他の自治体からの廃棄物の搬入を法律で規制することはできないと言われましたが,広島市はどう考えているのですか。
また,数年前から廃プラを,先進国が中国・東南アジア地域に輸送していましたが,相手国から,もうたまらない,自分の国で処理してくださいと送り返されたニュースを御存じでしょう。日本はようやく昨年,廃プラの量が100万トンを割り込みましたが,海外輸出が規制される中,その多くは沖縄地域に集められているとお聞きします。私はプラスチック類は全量リサイクルできると考えていますが,本市のプラスチック類の処理の動向はどうなっているのですか。
先日,東京都を訪ね,産業廃棄物対策課長さんとの会話で,関東から広島にかなりの量の廃棄物が搬入されていると聞きましたが,実際はどうなんですかとの質問に都からは,中国地方に3%しか搬出していませんと資料を出して説明されました。また,一番に大切なことは,自らがごみを出さないようにすることと,出たごみは自分のところの中間処理場で細かくリサイクルするように努めることですと言われ,私も共感いたしました。小池都知事は環境大臣をされていましたので,東京都も力を入れていますと内情もお話しくださいました。都には安定型最終処分場はありません。
そこで最後の質問です。本市は今後の産業廃棄物処理をどのように考えているのかお答えください。
以上で私の総括質問を終わりますが,大きな負債を抱える広島市です。より経済を活性化させるためにも,無駄をなくし,自らができることを早急に行動し,民間活力の導入をより一層活用しましょう。そして,一つ愚痴を申し上げると,これは,地方経済は今,決して順調とは言えません。ましてや働き方改革は中小企業にとりよいこととは言い切れないことを申し上げ,終わりといたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○八條範彦 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 佐々木議員からの御質問にお答えます。
まちづくりについてのうち,都市再生緊急整備地域内に広域的な都市機能を誘導する方策を図るべきではないかという御質問がございました。
本市は,中四国地方の中枢都市にふさわしい発展を遂げていくためには,議員御指摘のとおり,都心における更新時期を迎えた建物の建て替えを促進し,都市機能を集積するなど,さらなる魅力を高めていく必要があると考えております。このため平成30年には,都心幹線道路沿道においてオープンスペースを確保し,店舗,ホテルなどの商業・業務系建物の用途に供するなどの条件を満たした建築計画について容積率を緩和することができるよう,高度利用型地区計画を定めているところであります。
また同年,広島駅周辺地区に引き続き,紙屋町・八丁堀地区についても都市再生緊急整備地域に指定されたことから,0.5ヘクタール以上の事業区域において容積率などの建築制限が適用除外となり,自由度の高い計画が可能となる都市再生特別地区を提案することができることとなりました。しかしながら,都市再生緊急整備地域内の敷地の状況を見てみると,短冊状で小規模なものが多く,0.5ヘクタール以上という要件のままでは土地の高度利用について地権者等の関係者間での合意形成が容易でないと見込まれることや,附置義務がある駐車場の設置が現行条例では原則敷地内に限られているため,建築物の使用上,制約があるなどの課題があります。
こうした課題を解消し,都心部の建築物の建て替えが促進されるようにするために,本市独自の工夫として,都市再生特別地区を提案することができる事業区域の面積要件を0.5ヘクタール以上から0.2ヘクタール以上に緩和することとしております。また,附置義務のある駐車場についても条例を改正し,都市再生緊急整備地域においては,敷地から離れた場所に設置することができるようにすることとしております。
今後とも特定都市再生緊急整備地域の指定をはじめ,様々な方策を講じることにより,都市再生緊急整備地域内を中心に,都市機能を充実させることで,本市が中四国地方の中枢都市としての役割を発揮できるように取り組んでまいります。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○八條範彦 副議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 まちづくりについてのうち,若草集会所の土地を高度利用することで土地利用のモデルケースになるのではないかについてお答えいたします。
本市にとって公共施設の老朽化対策は喫緊の課題となっており,今後の更新の在り方について,平成29年2月に策定した広島市公共施設等総合管理計画で示した方向性を踏まえて検討を進めているところです。こうした中,民間の資金を活用した土地の高度利用についての御提案は,財政負担の軽減と地域コミュニティーの活性化を同時に実現させる有効な手段であると考えています。
議員御指摘のとおり,若草集会所は広島駅北口に近い大変恵まれた立地条件を有しており,土地の高度利用のモデルケースになり得るものと考えています。今後,この更新に当たっては,例えば民間事業者から提案を求めるなど,高度利用の具体化に向けて検討を進めてまいります。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 都市整備局長。
◎中村純 都市整備局長 まちづくりについての御質問のうち,2点にお答えをいたします。
まず,近年の豪雨により山際の住宅地などで土砂災害の被害が増加している,危険な箇所での開発に歯止めをかけ,市街化を抑制してはどうかについてでございます。
本市では,平成25年に策定した都市づくりの基本方針である広島市都市計画マスタープランにおいて,人口減少を前提に集約型都市構造への転換を目指す考えの下,近年の多発する災害を踏まえ,市街化区域の中で土砂災害特別警戒区域に指定された地区については,市街化調整区域への編入を進めることとしております。また,県においても,昨年12月に改訂された広島県都市計画制度運用方針の中で,市街化区域内の災害リスクが高い土地の市街化調整区域編入に向けた取組を行うとの方針が示されています。これらを踏まえ,現在,本市が取り組んでいる第6回都市計画総合見直しにおいても,災害に強い都市づくりを推進するため見直しが必要となる地区について,市街化区域から市街化調整区域への編入の検討を進めております。
次に,デルタ部では人口が増えているが,さらなるにぎわい創出により来訪者を増やすことも必要ではないかについてでございます。
本市のデルタ部においては,従来より地区計画で容積率の緩和を行ってきているところであり,これにより良質な都市型住宅の供給や敷地の統合・拡大による健全な高度利用が行えるようになったことで,議員御指摘のとおり,マンションを中心とした住宅建設が進み,居住人口が増加しているものと考えます。
今後も引き続き,集約型都市構造への転換を進める中で,都心や拠点ににぎわい創出や圏域経済活性化につながる施設などを誘導し,都市機能の充実強化を図ることで,さらに都市の魅力が向上し,来訪者の増加にもつながると考えております。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 環境局長。
◎和田厚志 環境局長 廃棄物処理問題について,数点の御質問に順次お答えいたします。
まず,市域内から発生する産業廃棄物の処理状況についての御質問にお答えします。
平成26年度に本市が行った実態調査では,平成25年度に市内の事業者から排出された産業廃棄物は約213万トンとなっています。このうち脱水や乾燥等の中間処理により,約131万トンが減量化され,残る約82万トンのうち約73万トンがリサイクルされ,約9万トンが最終処分されています。
次に,他の自治体からの産業廃棄物の搬入を規制することに対する本市の考え方についての御質問にお答えします。
産業廃棄物の搬入規制を行った場合,廃棄物の滞留や不法投棄等の不適正処理により,結果的に生活環境保全上の重大な支障を生じさせるおそれがあります。このため国は自治体に対し,搬入規制を行わないよう再三要請しています。また,産業廃棄物の種類によっては本市域内の処理施設だけでは処理能力が不足し,市域外に処分先を求めることになり,平成25年度の実績では処分量全体の約4割が市域外の施設で処理されています。このように,本市が産業廃棄物の処理を市域外に依存している状況の中で,市域外からの産業廃棄物の搬入を規制することは困難であると考えています。
なお,本市では,現在,市内の民間最終処分場において,毎年,排水等の水質検査を行い,周辺の生活環境に影響がないことを確認しています。また,定期的な立入検査の際には搬入された廃棄物をチェックするなど,市域外からの廃棄物も含めた,監視・指導を行っています。今後もこうした取組を継続して,最終処分場に起因する環境汚染の防止に努めてまいります。
次に,本市における廃プラスチック類の処理の動向についての御質問にお答えします。
平成26年度に本市が行った実態調査では,平成25年度に市内の事業者から産業廃棄物として排出された廃プラスチック類は約3万6000トンで,そのうち約6割に当たる約2万2000トンがリサイクルされ,約3割に当たる約1万トンが埋立処分されています。これは,廃プラスチック類以外の産業廃棄物に比べリサイクル率が低く,埋立処分される割合も全国平均に比べて高い状況にあります。
現在,国においては,昨年5月にプラスチック資源循環戦略を策定し,3Rの率先と再生可能素材の導入の推進を重点戦略に掲げ,環境への負荷を低減させる施策を展開させることにしています。また,これに伴い,国は民間事業者への廃プラスチック類のリサイクル設備等の設置に係る補助を強化することにしており,今後,廃プラスチック類のリサイクルに向けた動きが加速していくことが予想されます。
こうした動きに合わせ本市では,排出事業者に対しては訪問指導などの機会を捉えて分別の徹底を指導し,処理業者に対しては国の補助金等の支援策について情報提供するなどして,廃プラスチック類のリサイクルの促進に取り組んでいきたいと考えています。
最後に,今後の産業廃棄物処理をどのように考えているのかとの御質問についてお答えいたします。
本市では,産業廃棄物の減量及び適正な処理を推進するため,産業廃棄物処理指導計画を策定し,その基本方針に適正処理の確保や最終処分量の削減を掲げて,重点施策として産業廃棄物の減量化,リサイクルを促進することにしています。この計画に基づき,従来から行ってきた処理業者への立入り指導に加え,平成28年度からは排出事業者への訪問指導を実施し,産業廃棄物の適正処理に係る指導を強化しています。また,産業廃棄物の排出量の約8割は年間500トン以上の廃棄物を排出する多量排出事業者の廃棄物が占めており,これらの事業者には,毎年,処理実績や廃棄物の減量化,リサイクルに係る取組状況を報告させて,市ホームページで公表しているほか,先進的な取組事例を併せて紹介するなどして,自主的な取組を促しています。
今後とも国による施策の動向や産業廃棄物処理の実情等を踏まえた上で,効果的かつ積極的に指導やPRに努め,産業廃棄物のさらなる減量化,リサイクルの促進を図ってまいりたいと考えています。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 佐々木議員。
◆41番(佐々木壽吉議員) ありがとうございました。
私は今,財政が赤字ということと,そして将来に向けて生きていくっていう,地球がやっぱりずっと生きていかなきゃいけない,人間も生きられないわけですから,そういった観点での質問をさせていただいたわけですけども,廃棄物処理もスピーディーにいろいろと対処はしていただきたいと思いますし,経済も動いています。だから,何事もやはり民間活用したことをどんどん進めていっていただきたいなと,こう思っております。
市民局長から答弁がありました,集会所等の公共施設等の総合管理計画の示した方向性を踏まえての検討をしていただくということなんで,この集会所だけじゃなくて,ほかの方面もいろいろとありますので,そういった全市的にいろんなことを考えて民間活用してやっていただきたいなと思っておりますので,よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○八條範彦 副議長 次に,19番石橋竜史議員。
〔19番石橋竜史議員登壇〕(拍手)
◆19番(石橋竜史議員) 皆様,お疲れさまです。
自民党・保守クラブの石橋竜史です。これより総括質問を行います。
遡れば2014年,国は,まち・ひと・しごと創生法を制定後,2015年度から2019年度までを第1期と定めては,まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく取組を進めてまいりました。また,この法制定を契機として,全国の各自治体でも国と連携しては並走すべく,まずは,おのおので地元の地域特性を生かした総合戦略を立案し,その後,第1期の経過期間となる今日までの5年間,掲げた基本目標の達成に向け取り組んできたところであります。
改めてこうした国家規模で総合戦略を打ち立てた意図には,創意工夫に富む各地方圏の特性が生かされた取組により,地域産業が活性化されては魅力ある仕事,雇用が創出され,また,結婚,出産,育児の環境をさらに整えることによって,人々には比較的出生率の高い地方圏に踏みとどまってもらい,一方,一極集中の流れが顕著となる出生率の低い東京圏から地方への人の流れを生み出し,国内全体の人口減少を緩和,是正する基本的な狙いがあったことは皆様も御承知のとおりです。そして,今年度末に第1期の経過期間が満了を迎えることから,政府は昨年の12月下旬,第2期となる創生戦略を閣議決定し,ここへ伴い,本市においてもこれまでのKPI──重要業績評価指標の結果を踏まえながら,第2期の総合戦略を策定,今後も継続して取り組む運びであり,その素案をまとめるさなか今日を迎えている状況にあります。
こうした総合戦略を引き続き推進していく上で,ここに一つ私見を挟みますと,前述のとおり,国が危惧する人口減少を含めた少子高齢化にせよ,何より人々が健康で長寿を全うされるは喜ばしいことであり,重ねて,我が日本国は限られた国土と資源の中,これまで多過ぎる人口を抱えていたとの視点も頭ごなしには否定できず,現在は日本列島として人口の適正化が図られている成熟への道のり,その過程に位置するのかもしれません。
つまるところ,人口減少が全て悪と短絡的に断じることはできませんが,いずれにいたしましても,社会を駆動する経済を維持しては,様々な現行システムの破綻や地域コミュニティーの崩壊を防ぐためにも,急激な人口減少による社会の激変は避けなければならず,加速する人口減少は簡単に止められなくとも,現在の人口を横ばいに保つ出生率を人口置き換え基準と申しますが,諸外国でも散見されるとおり,まずは基準値の確保を目指し,人口の減少カーブを緩やかにすることは為政者のみならず,我々世代の至上命題とも言えます。
そこでいま一度,人口減少を念頭に置きながら,これまでの第1期,そして今後の指標となります第2期の「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略について伺ってまいりますが,まずは冒頭,業績の評価基準となるKPIとは別に,ここにあえてとっぴな比喩を持ち出すとすれば,まるでボクシングのオープンスコアリングシステム──試合途中の第4ラウンド,また,第8ラウンドの終了時に採点の途中経過を告げられる公開採点制度──のように,つい先頃私どもは,国民の方々より政治の現場へ向けて生活実態の伴った採点を突きつけられることとなりました。
1月31日,総務省が発表した昨年の人口移動報告によると,東京圏への転入超過は3年連続増加の,およそ14万9000人に上り,こうした東京圏への転入超過は24年連続でもあることから,憂うにせよ,とりわけ驚く動向ではありませんが,その裏で人口の流出が流入を上回る転出超過は全国で39道府県に及び,中でも転出超過の最多人数8,018人を記録したのは,ほかでもない,この広島県となり,本市にいたしましても,およそ1,200人の転出超過となっています。このような傾向は政治に限らず,様々な要因やタイミングも絡み,どこで数字を切り取るかとの,あくまで途中経過であって,また人々は自らのライフステージにより,その時々に最も住みよいと思われる自治体を選択し,移動を繰り返されるので,このたび広島へ突きつけられた人口の流出超過にせよ,私どもは胸に刻みながらも過度に悲観することなく,地道に着実に広島の受入れ体制を確立すべきであります。
そこで,今後も歩みを進める上で何より注視されるべきは,人口の流出や流入による社会増減以上に出生数や死亡者数に関わる自然増減ではないでしょうか。進学や就職を機に若者世代が夢や希望を抱き,東京圏を目指すのは全国的な傾向でありますが,地方圏より流出した人口は,流出した先で社会活動を継続しては我が国を支えてくださるので,結果,国内の総人口は変わらぬゼロサムとなりますけども,死亡者数が出生数を上回る自然減となるとそうはまいりません。
こうした現実からも出生数の向上へ様々な手が打たれながら,近年は4人に1人の男性が生涯結婚をしない状態を迎えては晩婚化も加速し,必然的に高齢出産の傾向が如実に現れ,かつ,欧州などと比べ婚外子の少ない日本において,合計特殊出生率が回復しがたい現状を鑑みても,出発点となる婚姻の件数にせよ重要な鍵を握ってまいります。
そこで,本市の出生数並びに婚姻件数に目を向けてみますと,近年,人口は横ばい,もしくは微増している状態にありながら,つまりは対象となる人口の分母は増えているにもかかわらず出生数は年々減少傾向にあり,平成30年は昭和41年以来となりますが,1万人台を割り込みました。また,婚姻件数も同様,年々減少傾向にあり,平成元年あたりと直近の数字を比較いたしますと,およそ1,000件も減少しているのが実情です。確かに政治が結婚のあっせんに介入するものではありませんが,副次的に社会基盤整備や福祉サービスを通じ,その舞台を整える役割は担えるわけで,本市としては,こうした近年の現状をいかに捉え,これまで具体的に何に取り組み,また今後,いかなる手を打っていくのかお聞かせください。
人口動態に関連して続けますと,さきに進学などを機に若者が東京圏へ向かう話に触れましたが,現在は東京都23区内における私立大学の定員数が厳格に管理され,10代後半の若者が東京圏へ過度に移住する動きが抑制,コントロールされておりますけども,他方,中枢・中核都市では25歳から39歳の転出超過が後を絶ちません。この顕在化する傾向は飛躍した話となりますが,いわゆる昨今の選挙における低下する若者の投票行動と同様,自らの参画を発露とした身体実感の伴うまちづくりが希薄化しているゆえ,開拓精神の旺盛な多くの20代,30代が輝く他都市を目指し,実際に行動に移している証左とも言えるものです。
ならばと,一つ事例を引き合いに出し要諦に触れてまいりますと,例えば直近では,今月10日に本市の都市計画行政を長期的な視点から推進するに当たり,有識者などからより専門的で幅広い意見を聴取することを目的に第1回都市マネジメント懇談会が開催されました。この懇談会の委員名簿6名に目を向けると,都市計画,環境,交通,経済観光の有識者となる大学教授や元行政職員も名を連ねていらっしゃり,当然ながら私は同懇談会の開催を非常に有益だと感じており,見識ある委員の方々に対しても言及するつもりはありません。ただし,都市計画を長期的な視点で幅広く意見聴取するなら,まずは懇談会の委員を有識者に限定することなく,本市には他の先進都市に勝るとも劣らない数々のユニークな事業を展開される若い市民があまた存在し,こうした多様なる人材を委員として重点的に選定,まさに次世代を担う構成員で既成概念にとらわれることなく,自由闊達に意見を出し合い,未来の都市像を語っていただく。
その次に,今回のような有識者と呼ばれる諸先輩方とともに,さらなる意見交換を重ねてはより実現性を高め,単に不確かなる未来を予見しては対応を追随するのは難しいですが,不確かであるからこそ本市がフロントランナーとなりてトレンドを生み出しては具現化する,市民参画を実感していただくまちづくりが今,本市に求められているのではないでしょうか。無論,二元代表制を用いる現行の地方システムにおいて,本来であれば市民の窓口となり,その意見を聴取,行政へ届けるのは議員の担う役割であり,また,本市においても車座談義や区政懇談会などは開催されておりますけども,このたびのように懇談会という形式で,20年後,30年後も現役で活躍する人々の声を酌み上げれば,市民参画の実感,その度合いは飛躍的に向上してまいります。
つきまして,今回の都市マネジメント懇談会は第1回ですが,第2回,もしくは別の形態で新たに設置するにせよ,20代から40代の市民が長期的な視点で未来の都市計画を語り,そこを聞く機会を設けるべきかと存じますが,ここに本市の御所見をお聞かせください。
ここまで創生総合戦略の基本的な位置づけの部分,人口の将来展望について触れてまいりましたが,続いては,本市の掲げる基本目標,その最初に据えられている第1章,平和の願いを世界中に広げるまちづくりについて伺います。
こちら,第1章の第1節では,世界で最初に被爆し,廃墟から立ち直った都市として,これまで訴え続けてきた核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて取り組むとあり,第2節では,各国為政者や世界中の人々の広島訪問を促し,被爆の実相を守り,広め,伝える取り組みを進めるとあります。このさらなる実現へ向け,多大なる役割を果たす場所としては平和記念公園並びに平和記念資料館が挙げられますが,私どもは5年の計画期間を定める総合戦略を展開する際も,その時々の社会変動に対して都度柔軟に対応しては,同じ政策を打つにせよ,最大限の効果が発揮し得るよう自在にかじを切っていかなければなりません。
そこで,新たに訪れる5年の計画期間を見通した際に,本市や我が日本国としても大きな契機となる一つに,世界最大級のスポーツの祭典,東京五輪が挙げられ,5か月後の7月24日に開幕を迎えることとなります。つきましては,一つの参考事例として,史上最も偉大な大会と国際統括団体に言わしめ,日本中を感動の渦に巻き込んだラグビーワールドカップ日本大会を持ち出すといたしますが,この44日間にわたって開催されたワールドカップでは,世界からおよそ170万4000人もの人々がスタジアムへ足を運び,大会期間中,各都市で開催された16か所のファンゾーンにもおよそ114万人の人々が来場され,経済効果はおよそ4400億円に上りました。
重ねて,ある新聞社が観戦に訪れた訪日外国人にアンケートを取ったところ,平均滞在日数はおよそ18日間で,最長は57日間にも及ぶなど,周知のとおりラグビージャージを着用した外国人が全国各地にあふれ,このラグビーワールドカップにも遜色のない夏季の東京五輪が間もなく本市より飛行機で1時間半,新幹線では4時間で結ばれる都市で開催を迎えようとしております。
さて,世界中から一人でも多くの人々を広島へ促すに当たり,こうしたまたとない絶好の機会を本市はいかに生かしていくべきでしょうか。例えば東京都では五輪の開催期間中,鉄道各社が最大で2時間ほど終電の運行時間を繰り下げ,北海道や宮城県など遠隔地の会場周辺でも同様に終電を繰り下げる方向です。
ここまで話が迂遠,遠回りしてまいりましたが,要は生涯を通じて海外より日本や広島へ訪れるその予定が皆無であったかもしれぬ人々が,御縁とも言えますが,東京五輪を機に訪れることになった。こうした好機を決して逃してはならないかと存じます。そして一たび五輪をきっかけに本市へ訪れたらば,大多数の方々が平和記念公園並びに平和記念資料館に足を運ばれますが,平和記念資料館へ向かうにしても7月は開館時間が18時までであり,入館はその30分前に制限されます。また8月に入ると開館時間19時まで,そして8月6日を迎えるに当たり,8月5日,6日は限定的に20時まで延長されますけども,さきのラグビーワールドカップを機に訪日され,数週間も滞在された外国人のケースを鑑みても,いかに入館を幅広く担保するのか。昨今,夕刻時から夜間にも旺盛に各所を巡る訪日外国人へ対し,夜のメニューの少なさが問題化して久しい日本において,平和記念資料館にせよ,このたびの好機を存分に生かすべく,かつ,お一人お一人のニーズを軽んずることなく東京五輪の開催期間中,7月下旬当たりからとなりますが,本市の平和記念資料館の開館時間を例えば20時まで延長する試みを図るのはいかがでしょうか。
これは,五輪に絡めてはニュースソースになり得ると思われ,何より一人でも多くの方々に被爆の実相を知っていただく。また,宮島へ向かった後,余裕を持って平和記念資料館にも訪れ,そこから宿泊客を増やすアプローチにも寄与するかもしれず。この試験的な試みいかんでは,今後,季節に応じながら年間を通じて開館時間の延長との道筋が新たに見出せるかもしれません。検討に当たり時間的な余裕は潤沢にありませんが,できるかできないかではなく,やるかやらないかであり,ぜひとも導入していただきたいと切望するものですが,ここに本市の御所見をお聞かせください。
次に,創生総合戦略の基本目標2に掲げられる第2章,「活力の創出と都市の個性の確立を目指したまちづくり」について触れてまいりますけども,ここでは業務,商業機能の集積強化や圏域経済の活性化に資する産業の集積強化が挙げられています。例えば本市の財政運営に当たり,自主財源を安定的に確保する上で人口動態や景気動向に左右される市民税はもちろんのこと,闊達なる企業活動からの法人税,また,土地の高度利用化を進めながら応分の割合を占める固定資産税の確保も必須となるは,ここに強調するまでもなく,そこで改めて広島の企業動向に関して報じられたニュースに目を向けてみるといたします。
昨年の7月に発表された帝国データバンクによる企業の本社移転に関する調査によりますと,2009年から2018年までの10年間で県外から広島へ転入してきた企業は137社でしたが,広島から県外転出した企業は207社に上り,差引きで70社もの転出超過となりました。また,広島から転出した企業の移転先としては情報や人材の集まる東京が最も多かったのですが,次いで岡山,続いて山口などの隣県が並ぶなど,景気いかんにせよ,法人税を納めてくれるかもしれぬ本社機能が近隣に転出されている現実は私どもも真摯に受けとめなければなりません。
では,なぜ多くの企業が広島から本社を移転されたのか,この理由までは今回報じられておりませんでしたが,全国的にも人手不足,後継者不足の問題を抱えるなど,売手市場全盛の時代。広島でも一定の高い有効求人倍率を保ち,重ねて全国トップクラスのホテル稼働率を記録する昨今の広島にあって,ならば何がマイナス要素であったのか私なりに広く民間企業の方々にヒアリングを行ってみますと,一つは,オフィス不足を頻繁に耳にしてまいります。近年,オフィスと言えば,広島でも空室率は改善され,賃料にせよ首都圏までいかずとも,かなり高騰しているのが実情ですが,地元企業にしても一定にわたる好景気に支えられ,相応の収益を収めている企業は少なくありません。ゆえに事業規模の拡大,人員の拡充も含め,現行オフィスから新たなオフィスへ転居を望む企業も多く,しかし,こと広島では,仮に転居先となるオフィスは存在しても,さらなる生産性の向上を目指し,煩雑化を防ぎ,効率化を図る上で,例えばワンフロア1,000平米,およそ300坪くらいの規模を保ち入居できるオフィスが圧倒的に不足しており,一概には言い切れずとも,このあたりは都市が時代のニーズに対応できておりません。
ここへ付言いたしますと,現在は都市規模を問わず,まずはオフィスビルに最新のIT環境が整えられ,しかも都市部の災害が頻発化,甚大化する近年,自家発電機能を備え災害時にも電源が担保される。こうしたオフィスに人気が集中しているのは当然ですが,何より会社内で階段やエレベーターを利用して上下のフロアへ足を運ばざるを得ないなどの非効率を防ぐべく,ワンフロアにある程度の広さが確保されたオフィスを望む経営者の真っ当なるニーズがより顕著となる傾向にあります。
無論,広島の場合も一定の広さを誇るオフィスについては,即座買手がつけば賃貸オフィスにせよ高い賃料でも入居する企業は後を絶たない状況で,ビルを所有するオーナーにとりましても,建設竣工後に空室で頭を悩ますケースは過去の話となりつつある現状。本市でも都心の活性化に当たり,民間活力を導入しながら商工会議所の移転などもリーディングプロジェクトに掲げておりますが,現商工会議所ビルのテナント展開などは民間と連携しながら改善を必要とする最たる例であります。
そこで伺いますが,今後,都心部の新たな再開発を進める上では,ぜひとも大型オフィス空間の確保に努めていただきたいと願うのですが,ここに本市の御所見をお聞かせください。
続いて,創生総合戦略基本目標3,「文化が息づき豊かな人間性を育むまち」についての第4章に触れてまいりますが,ここに並ぶ指針を要約いたしますと,多様な市民が活力にあふれ,生きがいを感じ,生き生きと暮らせるまち。また,広域都市圏全体の活力とにぎわいが創出されるよう,文化,スポーツ活動に対する支援や参加機会の提供,環境の整備,そのさらなる振興に取り組むとありますので,改めてサッカースタジアムの建設にスポットを当ててまいります。
先月,中央公園サッカースタジアム基本計画の素案が公表されては,ただいまこの素案に対する市民意見が募集されており,今後は集められた意見なども踏まえ,基本計画案が取りまとめられ,今年度末に開催されるサッカースタジアム建設推進会議にて正式な基本計画として策定された後,設計施工の準備を進めるべく事業者を選定,いよいよ徐々にスタジアムの絵姿が現れては,最終段階を経て,2024年の開業を目指す段取りとなりますので,ここにいま一度,今後のプロセスを再確認しておきたいと存じます。
まずもって,当然至極の話で恐縮ながら,これより設計や施工を民間へ発注するに当たり,そこでは単にフリーハンドで自由な発想を募集するにあらず,本市が求める方向性,持たせたい機能,また,許される事業費と,あくまで緩やかに一定の縛りを提示しては,その制限の中,民間事業者が縦横無尽に創作をされ,専門的な知見の伴うアイデアが本市へ寄せられることになる。こうしたやり取りの入り口で,いわば募集要項であり,また,契約時の仕様書とも言える重要な役割を果たすのが,さきに公表された基本計画となります。
さらに,今回のような大きな建設工事の入札,発注に当たっては,必然的に国内外の企業を平等に取り扱うよう,政府で定められている調達契約,WTO案件に該当しますので,つまりは東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場と同様,本市の場合も世界から最先端の創造性に富んだ多様なるアイデアやデザインが寄せられ,また,本市では,用いる整備手法として設計施工が一体のデザインビルド方式を基本に据えており,こうした施工面でも世界規格の施工技術が本市へ反映される可能性を多分にはらんでおります。
いずれにいたしましても,繰り返しとなりますが,基本計画の出来不出来が今後を占うのは間違いなく,そういった意味においては,私など行政の政策へ対してすぐに礼賛の声を上げる議員ではありませんけども,全9章から成るこのたびのスタジアムに関する基本計画素案は,施設の整備部分も含め,非常に熟慮,練り上げられたものであり,僣越ながら過去10年間,全国的にも大手の建設・設計会社と無数の会合を重ねてきた私といたしましても,正直うなずいているのが実情です。しかし,本質を見失うことなく出発点を顧みれば,スタジアムの建設が目的ではなく,よりよい広島市を創出するために用いるその一つの手段がスタジアムの建設であり,スタジアムを通じてまちづくりを含めて,これより伺ってまいります。
昨年末に市の担当職員が海外のスタジアム事情を視察され,その報告が基本計画素案の末尾にも掲載されておりますが,改めてスタジアム単体についてはもちろんのこと,スタジアムを通じてのまちづくり,にぎわいの創出につきましても,このたびは基本計画の素案を策定するに当たって,いかなる収穫があり,また,単に諸外国や国内の先進事例を追随するのではなく,今後,広島のオリジナリティーを追求するに当たって,いかに反映していこうとお考えなのか,お聞かせください。
では,結びに,サッカースタジアムの建設に際し,幾つか要望を加えさせていただくとして,さきにも述べましたとおり,本市はサッカースタジアムの整備手法として,現時点ではデザインビルド方式,つまり一括方式を念頭に置かれており,こちらは従来の設計施工分離方式と違い,手順や工期の効率化・短縮化が可能であり,コストの縮減にも寄与するなど多くのメリットがありながら,一方ではデメリットも内包いたします。一括方式の場合,仕上げ段階での予算を握る施工サイドが要所に稼ぎ分の見込める設備,機能を過度に導入するなど,英語では度が過ぎて悪目立ちする意味でフィーチャー・クリ−プなどと申しますが,仕様変更を幾度も繰り返し,機能過多となりては,重要な利用者目線がおざなりとなる建築物の乱立が実際に近年もこの一括方式の問題として上げられています。
一例では,4万人以上のクラスSではなく,身の丈に合った3万人規模となるクラス1のスタジアム建設を進めているにもかかわらず,明らかに最上級のクラスSでもお釣りが来るような設備や機能がいつの間にか要所に盛り込まれていたり,また,建設へ向けて走り出してる事業をよいことに,あえて不穏当な表現を用いますが,在庫一斉セールのごとく業者が持て余した機材を導入される。こうした事例も実際に発生しており,ここを防ぐ意味でも,釈迦に説法となれ,一括方式の功罪を念頭に,契約の締結後も発注者の継続的な定点観測と申しましょうか,常に受注者側との意思疎通を図るコミュニケーションは必須であります。
続けて,もう1点。通常の設計と施工が分離方式の場合,設計者は実現したい理想の設計を描きながら,しかし施工サイドとしては,コスト面や技術的にも設計サイドの理想,要望へ対応できかねる局面が要所で発生してくるのは常となります。こういったいわゆる両者の摩擦が生じた際は,通常,幾度も折衝が重ねられることとなりますが,一括方式の場合,このあたりが時間の短縮化との呪縛により簡素化されては足早に妥協点へ着地してしまい,結局ありきたりの建築物が誕生することにつながってしまう。こうしたありきたりだけは絶対に回避していただきたく,何もここぞとばかり奇抜なデザインや機能を求めたりと,決して奇をてらう必要はありませんけども,今後の建設過程において私が最も注目する点は,例えば新国立競技場のコンペで審査員の方々が吟味する際,審査の観点に重要ポイントが五つ設定されており,その中の一つに技術的なチャレンジの項目がありました。
本市の場合も同様で,ここまでチャレンジしているとの姿勢は,かの丹下健三氏が平和記念公園の建設に着手された際,掲げられていたコンセプトでもあるヒューマンスケールからの脱出にも合致するもので,南の平和記念公園から北のサッカースタジアムまで,被爆の惨禍から復興した一連のストーリーを形成する上でも,都心部一体空間の創出にとどまらず,ぜひとも空間の演出にチャレンジしていただくことをここに強く要望いたしまして,私の総括質問を以上といたします。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手)
○八條範彦 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 石橋議員からの御質問にお答えします。
「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略についてのうち,人口の将来展望についての御質問がございました。
本市の出生数,婚姻件数が減少傾向にある背景には,人口構造上,団塊ジュニア世代が40代となったこと,子供を産む中心世代である25歳から39歳の女性の数が減少していること,加えて,子供を産み育てる中心世代を取り巻く経済状況や労働環境が,結婚,出産に関わる価値観の多様化に柔軟に対応できるようになっていないことがあると認識しております。このため,出生数や婚姻件数の減少傾向に歯止めをかけるには,これから若い世代が結婚,出産,子育てに希望を持てるような社会にしていくことが重要であると考えております。
こうした認識の下,子供を産み育てる世代に対しては,助産師による産前から産後までの継続した相談,助言の実施などの妊娠・出産への支援や,保育園や放課後児童クラブの待機児童の解消に向けた施設の整備や人材確保,オープンスペースの開設促進による地域の子育て環境の充実など,妊娠期から出産・子育て期にわたる子育て支援の充実に取り組んでおります。また,子供の発達段階や家庭の事情に応じた多様な働き方が可能となる就労環境の整備に向け,国が進めている働き方改革に係る施策との整合性を保ちながら,地域経済の活性化に資する施策や仕事と家庭等の両立支援に資する施策などに積極的に取り組んでいるところであります。
今後ともこうした取組のさらなる充実を図るとともに,市民生活の質の一層の向上に向けて本市の都市機能の充実強化に取り組むことによって,広島広域都市圏内におけるヒト・モノ・カネ・情報の好循環を促進し,圏域内における新たな雇用や所得が生み出されるようにしていきたいと考えております。
こうした取組を総合的かつ継続的に進めることで,広島市が働きがいのある人間らしい仕事に就くことができ,多様な価値観を持ちながら,それぞれが生き生きと暮らすことのできる,そして,結婚や出産等に希望を持つことができる魅力のあるまちであることを若い世代に実感してもらえるようにしていきたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○八條範彦 副議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略についてのうち,平和記念資料館の東京オリンピック開会期間中の7月下旬あたりから,開館時間を例えば20時まで延長する試みを図ってはどうかについてお答えいたします。
平和記念資料館の開館時間については,午前8時30分から午後6時までを基本としつつ,ひろしまフラワーフェスティバル開催期間中や8月の5日,6日など,多くの入館者が見込まれる時期には開館時間を午後8時までとしているところです。東京オリンピック開催期間中も国内外の多くの方に資料館に来ていただき,被爆の実相に触れていただきたいと考えていますが,17日間にわたる期間中,開館時間を延長することは施設の運営体制の確保などの課題もあるため,今後どのような対応ができるか検討していきたいと考えています。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 都市整備局長。
◎中村純 都市整備局長 「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略について,3点のお尋ねにお答えをいたします。
まず,都市マネジメント懇談会について,20代から40代の市民が長期的な視点で未来の都市計画を語り,これを聴く機会を設けることが必要ではないかについてです。
本市におきましては,今後の人口減少や急速な技術革新,グローバル化の進展などを踏まえ,新たな発想も取り入れた長期的な視点での都市計画行政を推進することが必要であると考えております。このため,数十年先を見据えた長期的視点から有識者に自由闊達な議論を行っていただき,専門的で幅広い意見を聴取することを目的とした都市マネジメント懇談会を設置し,議員御紹介のとおり,今月10日に第1回目を開催したところでございます。この都市マネジメント懇談会では各回ごとにテーマを設定し,議論していただくことにしており,委員以外にも各回のテーマに応じた専門家などに出席を求め,幅広く意見を聞くことができることとしております。
本市としましても,若い世代によって長期的な視点で都市計画が議論されることは大変有益なことであると考えております。都市マネジメント懇談会の座長とも相談しながら,若い世代から意見を聞く機会を設けることを検討していきたいと考えております。
また,本市では,都市マネジメント懇談会とは別に,これまでにも市民からの御依頼に応じて都市計画に関する出前講座を開催しており,今後もこうした場を活用しながら,本市の都市計画の現状や今後の展望に関して,若い世代から御意見を聴いてまいりたいと考えております。
続きまして,都市機能の充実強化について,今後,都心部の新たな再開発を進める上で大型オフィス空間の確保に努めていただきたいがどうかについてです。
平成30年10月に紙屋町・八丁堀地区が都市再生緊急整備地域に指定された際に作成した地域整備方針では,都市開発事業を通じて増進すべき都市機能に関する事項として,国際的なビジネス環境の形成に資する高規格オフィスの実現など,業務機能の高度化を掲げております。
こうした中,都市再生緊急整備地域の指定を機に設置した相談支援窓口には,業務機能の高度化を図る上で活用が期待される容積率などの建築制限が適用除外となり,自由度の高い計画が可能となる都市再生特別地区の提案要件について事業区域の面積が0.5ヘクタール以上となっており,適用できる敷地が限られてしまうとの声が多く寄せられております。これは,都市再生緊急整備地域において更新時期を迎える建築物が多く存在し,開発機運は高まっているものの,短冊状で小規模な敷地が多く,土地の有効活用について地権者等の関係者間での合意形成が容易ではないと見込まれるなどの課題があるためで,こうした課題への対応として都市再生特別地区の提案要件を緩和する本市独自の工夫が必要であると考え,面積要件を0.2ヘクタール以上に緩和する条例案をこのたびの議会に提出させていただいたところでございます。
この面積要件の0.2ヘクタールは,本市の都心における近年の大規模オフィスビルの事例などを考慮し,高規格オフィスに求められるワンフロア当たりのオフィス専用面積を1,000平方メートル程度と設定した上で,こうした面積や一定のオープンスペースの確保に必要となる敷地面積として算出したものであり,これにより敷地の共同化を促すとともに,議員御指摘のような高規格オフィスの整備促進が期待できるものと考えております。
また,本市としては,国際平和文化都市広島の国際競争力の一層の強化を図るべく,特定都市再生緊急整備地域の指定を目指し,国との調整を進めているところであり,こうした取組を通じて開発機運のさらなる醸成を図りながら,都市再生特別地区のメリットを最大限活用した民間開発を促進し,都心にふさわしい風格ある都市空間の形成を目指していきたいと考えております。
最後に,サッカースタジアムにつきまして,昨年末の職員による海外視察の収穫について,また,広島のオリジナリティーを追求する上での反映方法についての御質問にお答えをいたします。
このたびの海外視察では,サッカー場としてのスタジアムの機能について調査するとともに,スタジアムの多目的利用や多機能利用によるにぎわい創出の事例や,周辺を含めて複合開発を行っている事例などを調査してまいりました。
まず,サッカー場としての機能については,観客席の1列目をピッチと同じレベルにする。いわゆるゼロタッチにすることなどにより臨場感を演出している事例や,車椅子利用者にとって見やすい観戦スペースの確保,聴覚障害者や発達障害者のための専用スペースの確保など,障害者に対する十分な配慮をしている事例などがございました。また,スタジアムの多目的・多機能利用によるにぎわい創出につきましては,スタジアムをコンサートやサッカー以外のスポーツイベントなどに活用している事例や,観客用のラウンジを試合のない日には会議やイベントの利用で貸し出している事例などがございました。そのほか,スタジアムの周辺を含めた複合開発としては,スタジアムの周辺に飲食,物販の店舗などを整備し,スタジアムを核に一つの小さな町を形成している事例がございました。
こうした調査結果は,先日取りまとめた基本計画素案に反映しているほか,来年度予定をしております設計・施工に係る事業者からの提案募集に向けた諸条件の整理の際に参考にしていきたいと考えております。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 石橋議員。
◆19番(石橋竜史議員) 今回,私,地方版の総合戦略ですが,こちらを骨子に置きまして,そして,その中でも人口減少についてちょっと特化していろいろと質問させていただきました。その冒頭になるんですが,出生数ですとか婚姻件数の話に触れましたけども,これは,もう当然ながら,団塊の世代があって,団塊ジュニアの世代があって,次のボリュームゾーンがないわけですから,もう本市に限らず,どこでもやはり出生数ですとか婚姻件数が減少していくっていうのは当然ですけども,私はあくまでそこを突きたいのではなくて,一つのメタファーですね,隠喩としてそこに固執してるわけではなく,その背景のいろいろな部分。今回の答弁でも,希望を持つことができる魅力あるまちっていう答弁を頂戴しましたけども,例えば,社会基盤整備ですとか福祉の部分を本当に詰めていっても,それ以上にまた一ついろんな方法があるんじゃないか。それはひょっとしたらユニークであるまちかもしれませんし,そういった意味では,全国に1,700以上もある自治体の中で,今回は都市マネジメント懇談会の話に触れましたけども,こういうのを行っているとこって,でも,本当にごく一部で,まさに先進的に本市がそういう意見を取り込むべく取り組んでいるところでありますので,こういった部分は,まさに今後も確立していただきたいですし,何より私は,今回,本当に,最も訴えたかったのは,我々がある種,自縄自縛というか,もう人口減少に絶対なっていく。確かになっていくんですけど,社人研の報告などでもそうですが。なっていくんですけども,もうそれを我々がやっぱり簡単に宿命として受け止めてはいけないと思うんですね。
だから今,仮にですが,出生率が爆発的に回復しても,その効果が現れるのは20年後,30年後になるかもしれませんが,20年後,30年後に現れないよりましなんだと思います。そういった意味でも,ひとつ今回は出生数と,それから,まさに結婚の部分,婚姻件数という部分を最初に触れさせていただいて話を展開させていただきました。引き続き,今回はオフィスの広域化の部分も対処というか,そういった形で本市も進めていただけるということなので,まさに本当に,魅力があり,また希望をつなげる,そういうまちを皆さんでつくっていければと思います。個別具体的なところは,また今後も予算特別委員会などが控えておりますので,そちらに回したいと思います。
私の発言,以上といたします。
○八條範彦 副議長 本日はこの程度にとどめ,明日引き続き総括質問を行います。
───────────────────────────────────────
次会の開議通知
───────────────────────────────────────
○八條範彦 副議長 この際,御通知申し上げます。
明日は午前10時より議会の会議を開きます。
───────────────────────────────────────
散会宣告
───────────────────────────────────────
○八條範彦 副議長 本日は,これをもって散会いたします。
午後2時24分散会
───────────────────────────────────────
議 長 山 田 春 男
副議長 八 條 範 彦
署名者 西 田 浩
署名者 馬 庭 恭 子...