広島市議会 2019-06-19
令和 元年第 2回 6月定例会−06月19日-03号
令和 元年第 2回 6月定例会−06月19日-03号令和 元年第 2回 6月定例会
令和元年
広島市議会定例会会議録(第3号)
第 2 回
広島市議会議事日程
令和元年6月19日
午前10時開議
日 程
第1 市長の施政方針に対する質疑及び一般質問
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会議に付した事件等
開議宣告(終了)
会議録署名者の指名(終了)
日程に入る旨の宣告(終了)
日程第1 市長の施政方針に対する質疑及び一般質問
休憩宣告(終了)
開議宣告(終了)
市長の施政方針に対する質疑及び一般質問(続行し,明日も続行)
次会の開議通知(明日午前10時開議を宣告)
散会宣告(終了)
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出 席 議 員 氏 名
1番 岡 村 和 明 2番 川 本 和 弘
3番 田 中 勝 4番 並 川 雄 一
5番 川 村 真 治 6番 石 田 祥 子
7番 川 口 茂 博 8番 水 野 考
9番 平 岡 優 一 10番 椋 木 太 一
11番 吉 瀬 康 平 12番 山 本 昌 宏
13番 山 内 正 晃 14番 碓 氷 芳 雄
15番 海 徳 裕 志 16番 木 戸 経 康
17番 山 路 英 男 18番 森 畠 秀 治
19番 石 橋 竜 史 20番 平 野 太 祐
21番 定 野 和 広 22番 伊 藤 昭 善
23番 桑 田 恭 子 24番 近 松 里 子
25番 大 野 耕 平 26番 西 田 浩
27番 渡 辺 好 造 28番 豊 島 岩 白
29番 宮 崎 誠 克 30番 八 條 範 彦
31番 母 谷 龍 典 32番 三 宅 正 明
34番 馬 庭 恭 子 35番 竹 田 康 律
36番 藤 井 敏 子 37番 中 原 洋 美
38番 太 田 憲 二 39番 若 林 新 三
40番 今 田 良 治 41番 佐々木 壽 吉
42番 元 田 賢 治 43番 谷 口 修
44番 永 田 雅 紀 45番 金 子 和 彦
46番 木 山 徳 和 47番 沖 宗 正 明
48番 中 森 辰 一 49番 碓 井 法 明
50番 山 田 春 男 51番 中 本 弘
52番 児 玉 光 禎 54番 藤 田 博 之
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欠 席 議 員 氏 名
33番 八 軒 幹 夫 53番 木 島 丘
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職務のため議場に出席した
事務局職員の職氏名
事務局長 重 元 昭 則
事務局次長 石 田 芳 文
議事課長 小 田 和 生
議事課課長補佐主任事務取扱
吉 川 和 幸
議事課主幹 沖 原 義 文
外関係職員
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説明のため出席した者の職氏名
市長 松 井 一 實 副市長 谷 史 郎
副市長 岡 村 清 治
危機管理担当局長行 廣 真 明
企画総務局長 及 川 享 財政局長 手 島 信 行
市民局長 政 氏 昭 夫
健康福祉局長 古 川 智 之
健康福祉局保健医療担当局長 こども未来局長 松 井 勝 憲
阪 谷 幸 春
環境局長 和 田 厚 志
経済観光局長 日 高 洋
都市整備局長 中 村 純
都市整備局指導担当局長
胡麻田 泰 江
道路交通局長 加 藤 浩 明 下水道局長 倉 本 喜 文
会計管理者 長 敏 伸 消防局長 斉 藤 浩
水道局長 友 広 整 二
監査事務局長 岩 崎 学
財政課長 沖 村 慶 司 教育長 糸 山 隆
選挙管理委員会事務局長 人事委員会事務局長
橋 場 聡 子 柴 田 吉 男
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午前10時03分開議
出席議員 51名
欠席議員 3名
○山田春男 議長 出席議員51名であります。
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開議宣告
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○山田春男 議長 これより本日の会議を開きます。
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会議録署名者の指名
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○山田春男 議長 本日の
会議録署名者として
6番 石 田 祥 子 議員
34番 馬 庭 恭 子 議員
を御指名いたします。
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日程に入る旨の宣告
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○山田春男 議長 これより日程に入ります。
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△日程第1 市長の施政方針に対する質疑及び一般質問
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○山田春男 議長 日程第1,昨日に引き続き市長の施政方針に対する質疑及び一般質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
13番
山内正晃議員。
〔13番
山内正晃議員登壇〕(拍手)
◆13番(
山内正晃議員) 市民連合の山内正晃でございます。会派を代表いたしまして一般質問をいたします。しばらくの間,御清聴をどうぞよろしくお願いいたします。
まず,
会計年度任用職員制度についてお伺いします。
昨年12月の一般質問におきまして,我が会派の若林議員が臨時・
非常勤職員の処遇改善について取り上げ,市長からは,
地方公務員法等の一部改正により,臨時・
非常勤職員の任用の厳格化と処遇改善のために,
会計年度任用職員制度の導入を図っていくことになったとの答弁がありました。来年4月からの
会計年度任用職員制度の導入を控えて,広島市においても臨時・
非常勤職員制度の抜本的な見直しを行うことになるものと受けとめました。
広島市には,現在,多くの臨時・
非常勤職員の方々が本庁や区役所,学校,保育園,児童館,
放課後児童クラブなど,さまざまな職場で勤務をされています。そうした職員の方々は,臨時・
非常勤職員制度の抜本的な見直しということになると,まずは来年4月以降も働き続けることができるのだろうかといった不安を持つことになるのではないかと思います。また,そうした職員の現状を見ると,ボーナスも十分でないという問題があり,同一労働・同一賃金の考え方からしても,処遇改善が急務であると思います。
そこで,
会計年度任用職員制度について,数点お伺いをしたいと思います。
まず,1点目ですが,
会計年度任用職員制度の導入に当たっての本市としての基本的な考え方についてお答えください。
次に,現在働いておられる臨時・
非常勤職員の任用についてでございます。
これまで臨時・
非常勤職員の方々は広島市の行政運営の一翼を担ってこられ,長年勤務を続けておられる方もたくさんいらっしゃいます。
会計年度任用職員制度の導入により,そうした方々が雇いどめとなるようなことは決してあってはなりません。現在の臨時・
非常勤職員を
会計年度任用職員に移行することとなる場合には,新たな職に任用することとなるために,本人の意向を確認することが重要になると思います。現行の臨時・
非常勤職員に対する意向確認や選考方法など,
会計年度任用職員への移行に向けて,現在の
取り組み状況と今後の予定についてお答えください。
次に,
会計年度任用職員の処遇についてでございます。
会計年度任用職員の処遇については,職務経験を考慮した給与決定や期末手当,
退職手当等の支給,休暇制度などの改善に向けて,関係者とも十分に協議をしながら検討を進めているとのことでした。この議会に上程をされている関係条例の一部改正案は,臨時・
非常勤職員の方々の処遇の改善について関係者と十分に協議を重ねた成果が反映されているということを期待をするものでございますが,お尋ねをします。現行制度と比較して,
会計年度任用職員の給与や期末手当,時間
外勤務手当など,各種手当はどのように改善されるのか,また,育児休業などの休暇・休業制度や
福利厚生制度はどのように改善をされるのかお答えください。
次に,
フルタイム勤務の
会計年度任用職員の導入についてです。
フルタイム勤務の
会計年度任用職員の給与水準は類似する職務に従事する正規職員の初任給並みとされ,退職手当も支給されることになっており,大幅な処遇改善が可能となるものです。広島市では,
フルタイム勤務の
会計年度任用職員の導入についても検討していきたいとのことでしたが,その後の検討を踏まえて,
フルタイム勤務の
会計年度任用職員の導入についてどのように考えておられるのかお答えください。
最後に,
会計年度任用職員制度の導入に伴う財政への影響についてです。
現在の会計処理では,臨時職員には物件費として賃金が,
非常勤職員においては人件費として報酬が支払われるようになっておりますが,
会計年度任用職員においては人件費として賃金が支払われることになります。国の制度改正により,人件費として措置をされるようになることは極めて妥当なことと考えますが,問題はその財源確保が図られているかどうかということだと思います。まず,処遇の改善を確実に行い,さらに
フルタイム勤務を導入していくための財政負担について,十分な対応を行えるようにしておかなければならないと考えます。
会計年度任用職員制度の導入に伴う財源確保に向けて,今後どのように取り組もうとされているのかお答えください。
続きまして,防災の推進についてお尋ねをします。
西日本豪雨災害の発生から間もなく1年が経過しようとしております。被災各地には,いまだ災害による傷跡が生々しく残っています。本格復旧並びに改良復旧,そして復興へ向けて被災地の期待は大きく,広島市においても着実な事業の実施が求められることは論をまちません。
さて,昨年7月の
西日本豪雨災害を振り返り,避難勧告,避難指示など,適切な情報提供の重要性が改めて認識をされたと思います。本市では,平成30年7月豪雨災害における
避難対策等検証会議を設置し,昨年12月末にその検証会議から提言を受けました。提言項目は32項目に及んでおりますが,提言の中身を見ると,私が実感をしているものと同じ方向性の指摘も多く,特に避難情報の発令については,よりきめ細かく,より正確に発信をしていくことが必要であるとされています。
そこで,まずお尋ねします。避難情報の発信について,検証会議での議論や提言を受けて,本市はどのように改善に取り組んでいかれるのかお尋ねします。
あわせて,本市は,今月7日にも
避難勧告等を発令されましたが,その対応はどうであったのかお尋ねします。
また,さきの2月議会での答弁によりますと,
モデル地区を設定して,
ライブカメラの設置や小学生等を対象とした避難所での宿泊体験などに取り組むと答弁をされています。
モデル地区に指定されているのは馬木地区,
口田南地区,矢野地区,上瀬野地区の4地区です。死者や行方不明者など,人的被害が発生した地区が
モデル地区として選定されているようですが,こうした
モデル地区においては,災害の傷跡は特に痛々しく,また,その傷跡も色濃く残っている状況です。こうした地区におきましては,市が推進しております防災施策に対する御理解や御協力も比較的得やすいと思われることから,各種の施策を強く進めていただくことをぜひともお願いしたいと思っているところです。
モデル地区のうち
口田南地区では,5月下旬に地元説明会を開催して,
防災まちづくり事業の全般的な説明があったとお聞きしており,今後,地域が主体となって具体的な取り組みを進めていく。そして,それを行政が支援をしていく必要があると思います。
そこで,お尋ねします。
モデル地区における防災施策は,現在どのように取り組まれておられるでしょうか。
また,
モデル地区では,河川など本復旧まで至っておらず,大型土のうを置くなど,応急復旧の箇所もあります。このような箇所の住民は特に早く避難をする必要があると思っております。梅雨を迎えるに当たり,このような応急復旧の箇所の住民に対しまして,災害時における早期避難について,どのような取り組みをされようとしているのでしょうか,広島市の考えをお尋ねします。
続きまして,被災地の復旧・復興についてお尋ねします。
8.20豪雨災害において被災をされた安佐南区の梅林学区,八木学区,そして安佐北区の新建地区では,発災から2年目から4年目にかけて
復興まちづくりプランを策定された結果,
地域コミュニティーのきずなが深まり,人口流出も想定していたよりも抑制され,災害前と比較しても活気のあるまちになりつつあると地域の住民の皆様からお伺いしております。
西日本豪雨災害における被災各地におきましても,
復興まちづくりプランをぜひとも策定していただきたいと私は考えております。基本的には,
復興まちづくりプランは行政計画ではなく,地域主体で策定されるプランであり,例えば,新建地区では自治会,梅林学区では地区社協,八木学区は
連合町内会が中心となって
復興まちづくりプランを策定されたようです。このたびの
西日本豪雨災害においては,8.20豪雨災害に比べて被災地域は広範囲にわたりますが,ぜひともこうした被災地におきましては,8.20豪雨災害のときと同様に,多くの地区で
復興まちづくりプランの策定が実施されるようにと私としては願っているところです。
そこで,お尋ねします。このたびの豪雨災害においても,被災地においては,
復興まちづくりプランの策定が進むように,市にも努力をしていただきたいと思います。市の考えをお聞かせください。
私の地元,安佐北区は,前回の8.20豪雨災害に続きまして,昨年7月の
西日本豪雨災害と短い期間のうちに連続して大きな被災を受けました。
西日本豪雨災害は8.20豪雨災害と比べて死者数は少なかったものの,被災地区が広範囲であり,広島市内における
被災箇所数と被害の額は8.20豪雨災害を上回っているようです。具体的に市の
公共土木施設災害査定を受けた件数と金額で比較をしてみますと,2014年8.20豪雨災害におきましては,河川,道路,橋梁,下水道,公園を合わせた
災害査定合計件数が143カ所で,
災害査定金額が24億1415万4000円であるのに対しまして,昨年2018年7月の豪雨災害においては,
災害査定箇所数は344カ所で,金額は98億7708万6000円と金額ベースでは3倍以上になります。これまでの議会での答弁をお聞きしますと,3年間で確実に復旧ができるよう,必要な人材を区役所などに配置をして,全庁挙げていくという趣旨の御答弁であります。今回の災害からの復旧については,崩落した橋梁,損壊した道路が多数あるほか,また,治山・砂防堰堤の建設,そして主要河川の改修,こうしたところは国や県が主に担われますが,それに伴う改良復旧,例えば山から出る雨水の排水経路の確保や既存水路の改修など,単なる復旧にとどまらずに改良復旧が求められている被災箇所が多くあるというふうに私は認識をしております。こうした状況におきましては,たとえ本市が十分な体制を整えたとしても,関係機関との調整,あるいは業者における人材確保,こうしたことの要因により,復旧がおくれる可能性があるのではないかと危惧をしております。
そこで,お尋ねをします。発注時期の集中による入札不調や不落により,復旧事業がおくれる可能性もあると思いますが,本市としてはどのような対策を考えているのでしょうか。
また,2014年に発生した8.20豪雨災害からの復興においては,高陽可部線など
広域避難経路の建設を初め,橋梁のかけかえ,市道の拡幅など,地域の再建において
復興工事事務所が大きな役割を担っていただいたと私は認識しております。地域の住民の皆様からも,
復興工事事務所に対しては,当初はさまざまな要求や意見が寄せられたものの,8.20豪雨災害から5年近くが経過した現在では,よく取り組んでいただいたという高評価が多いように感じています。こうした復興に当たって培われてきたノウハウをこのたびの
西日本豪雨災害からの復旧・復興においても,ぜひとも生かしていただきたいと思っております。また,
西日本豪雨災害においては,8.20豪雨災害で策定された
復興ビジョンは策定をされないということなのですが,やはり地域住民としては,復旧・復興がどのように進んでいくのか大変危惧をしております。できる限りわかりやすい情報提供が必要であると考えます。
そこで,お尋ねをします。被災地の不安を軽減していくためにも,災害査定を終えた被災箇所や工事発注の状況などをホームページなどで示していただきたいと思いますが,どのようにお考えでしょうか。
続きまして,平和行政の推進についてお尋ねします。
3年前の2016年5月には,
オバマ大統領の広島訪問が実現をし,また,それから1年後の2017年7月には,
核兵器禁止条約が国連で採択をされるとともに,ICAN──
核兵器廃絶国際キャンペーンが
ノーベル平和賞を受賞するなど,市民社会では
核兵器廃絶に向けて大きな動きがありました。一方で,その後,米国が
イラン核合意を離脱したことや米国ロシア間におけるINF──
中距離核戦力全廃条約がことし2月に破棄されるなど,核兵器をめぐる世界の情勢は緊迫感が強まっているとも言えます。
そうした中で開催されたことし4月下旬から5月上旬の
NPT運用検討会議第3回
準備委員会においては,各国の溝の深さが見られたという報道もあります。
平和首長会議が提唱してきた2020ビジョンにおいては,核兵器を廃絶するという最終ゴールには至ることが難しいと想定されるものの,
核兵器禁止条約の国連での採択という一つの目標に到達しております。市民社会の大きなうねりをつくっていくために,本市は被爆地としてたゆまぬ努力を続けていくほかにありません。
そこで,まずお尋ねします。市長は,ことし5月にニューヨークで開催された2020年のNPT再検討会議の
準備委員会に出席をされ,各国の要人や関係団体に対して,精力的に活動に取り組まれたと伺っております。その活動の内容と成果についてお尋ねをします。
被爆地ヒロシマの悲願である
核兵器廃絶に向け,各国間の核兵器をめぐる情勢が厳しい状況であるからこそ,市民社会による連携を深め,しっかりと行動していくことが必要です。そのためにも,本市が会長を務めております
平和首長会議は大切にしなければならない枠組みと私は考えます。
平和首長会議は国内99.5%の市町に加盟をしていただき,世界でも7,764都市に達しました。さきのNPT再
検討会議準備委員会においても,
平和首長会議が
共同アピールを発信するなど,各国の関係者からも
平和首長会議を初めとする市民社会の活動に大きな期待が寄せられているとも伺います。
平和首長会議の理念に賛同し,行動をともにしていただいている海外都市,国内都市の皆様に敬意を表するとともに,次世代の平和を構築していく人材を各都市と連携して育成していくことが大切であり,その上では,若い世代に向けた平和教育が大事であると私は考えます。教育といっても難しい学問ではなく,平和や命の大切さ,こうした全人類共通のテーマを世界のユース世代,若い世代が考える機会を提供するという意味での平和教育です。世界各国の都市が加盟する
平和首長会議だからこそ,効果的に取り組めるのではないかと思います。
お尋ねをします。こうした平和の大切さを考える機会を各国の若い世代に提供していくということにつきまして,
平和首長会議会長都市である本市としては,どのように取り組まれていくのでしょうか。
また,忘れてはならないのは,
平和首長会議は
核兵器廃絶にとどまらず,飢餓,貧困,難民問題,人権,環境と多様な国際問題に取り組むプラットフォームであるということです。「Hiroshima」という名前は国際的に非常によく知られているということは多くの市民が知るところだと思いますが,
平和首長会議も同様に国際的な知名度が高まっていると伺います。一方で,少し残念なのは,この
平和首長会議の取り組みについての広島市民の中の認知度について,まだまだこれから高めていかなければならないところがあるのではないかということです。すなわち,飢餓,貧困,難民問題,人権,環境など,世界全体が抱える課題に対して,
平和首長会議が取り組んでいるのだということ,そして広島市がそのリーダーシップをとっているだということが,肝心の地元の広島市において十分に認知をされていないのではないかということです。
そこで,お尋ねをします。この
平和首長会議は4年に1度,広島市と長崎市で交互に総会を開催しています。来年2020年は2020ビジョンの最終年に当たりますが,広島市で
平和首長会議の総会を開催される予定と伺っております。ちょうど
東京オリンピックの開催と時期が重なるころになるのではないかと思っております。広島市におきましても,来年の
平和首長会議の総会について,市民の参加を呼びかける,例えばボランティアを募る,あるいは会議への傍聴を呼びかけるなどの取り組みをしていただきたいと思いますが,どのようにお考えでしょうか,市の考えをお尋ねします。
続きまして,子供の貧困対策,子育て支援についてお尋ねします。
国により,2014年に子供の貧困対策に関する大綱が策定されました。大綱の策定を受けて,各都市でも子供の貧困対策に取り組まれており,また,国のほうでは,この間の取り組みの成果を検証しつつ,より子供の貧困について改善が図られるよう,大綱の見直しに向けた作業が進められているところです。本市においても,子供の貧困対策に取り組んでおられると思いますが,まず初めに,子供の貧困問題について,本市としてどのように認識し,どのように取り組みを行っているのかお尋ねします。
本市では,国の地域子供の未来応援交付金を活用し,2017年7月に子供の生活に関する実態調査を実施されました。小学5年生の子供1,313人,中学2年生の子供1,274人及び小学5年生の保護者1,320人,中学2年生の保護者1,289人から回答を得て調査結果をまとめられています。この調査においては,低所得,家計の逼迫,子供の体験や所有物の欠如の三つの要素から生活困難度を大きく生活困難層,非生活困難層に分類し,生活困難層については,さらに三つの要素のうち二つ以上の要素に該当する生活困窮層といずれか一つの要素に該当する周辺層とに分類をしています。見かけの世帯収入が多くても,実際の家計は火の車という世帯もありますので,複合的な視点から世帯を分類されているようです。
この調査結果を読み解くとさまざまなことがわかります。例えば子供の授業の理解度について,中学2年生の回答結果を見ると,生活困難ではない非生活困難層は,わかると答えた生徒が90.0%であるのに対し,生活困難層では,わかると答えた生徒は79.3%と低い傾向にあります。学習面の理解度において差が出ている結果となっています。いわゆる貧困の連鎖については広く知られているところですが,本市が実施したこの調査結果においても,それが示されていると言えます。
続きまして,具体的な施策についてお尋ねします。
子供の貧困をめぐる対策としては,保護者である大人向けの雇用対策や経済的な支援,あるいは幼児教育費の無償化などの政策と,スクールカウンセラーの充実配置や放課後の子供の居場所づくりなど,子供自身に,より密接に寄り添っていく事業と大きく分けて二つの種類があると思います。このうち貧困の連鎖を断ち切っていく上では,やはり教育の充実が欠かせません。ひとり親家庭の学習支援事業を国の補助金を活用しながら本市でも進めていただいているところでございます。現在のところ,市内8区,合計10カ所で事業実施をしていただいております。この事業についてお尋ねします。
利用定員や事業実施の箇所数の増加などの拡充を求めたいと思いますが,本市の考えをお尋ねします。
加えて,情報の伝え方にも工夫が必要であると思います。調査結果を読み解くと,生活困難層と非生活困難層では情報へのアクセスのしやすさにおいて違いが生じているようです。例えば,経済的な理由のため世帯にないものという設問に対し,小学5年生の回答結果を見ると,生活困難層では新聞の定期購読が回答のトップであり,40.0%に上ります。つまり,生活困難層の半数近くの世帯が新聞の定期購読をしていないということになります。対して非生活困難層においては,経済的理由で新聞の定期購読をしていないのは11.9%にとどまっています。また,本市の生活困窮世帯学習支援事業について,小学5年生,中学2年生とも制度を知らないと回答した人の割合は,生活困難層が70%,非生活困難層が約60%であり,本来,制度を利用していただきたい生活困難層のほうが非生活困難層に比べて制度の存在を知らない傾向にあるという結果も出ているほか,県や市町の窓口の利用経験という設問における中学2年生の回答結果を見ると,非生活困難層においては相談する方法や窓口がわからなかったとする回答が3.8%と低いのに対し,生活困難層では11.3%と高く,相談しようにも相談する窓口や方法がわからないとする世帯が生活困難層のほうに多くいらっしゃるということが示されております。例えば,新聞折り込みやインターネットによる周知だけでは,本来支援が必要な世帯には十分には情報が伝わらないのではないかと懸念をしております。調査結果を見ると,子供関連の情報の入手方法としては,小学5年生,中学2年生とも,また生活困難層,非生活困難層ともに学校からの紙のお便りという回答が圧倒的に多く,約90%を占めております。一方で,LINEやツイッターなどSNSからの情報入手はまだ割合としては低いのですが,今後の方向性としてはスマートフォンを活用して情報を入手する人がふえていくと思います。子供に関する情報の提供については,スマートフォンを効果的に活用していくことが必要と思いますが,本市としてはどのようにお考えでしょうか,お尋ねします。
最後の設問でありますバス路線の再編実施についてお尋ねします。
高齢者による運転事故が増加する中,高齢者の運転免許の自主返納が奨励される一方で,たとえ高齢になっても産業の担い手として働いていただいたり,あるいは地域のコミュニティーの担い手として活動していただくことがますます必要になってきております。そうした中,自家用車にかわる移動手段として公共交通,とりわけバス路線の充実は社会的に欠かせない課題ではないかと考えます。本市では,3年前に地域公共交通網形成計画を策定し,昨年は再編実施計画(第1版)を策定しました。その中で,都心循環線「エキまちループ」を位置づけ,昨年5月から運行が開始されました。再編実施計画においては,国や事業者等と協議を行い,具体化したものから順次計画に追加しながらバス路線の再編に取り組むと伺っておりますが,着実に進めていただきたいと思うところです。
まず,お尋ねします。再編実施計画(第1版)で実施された都心循環線「エキまちループ」の利用状況はどのようになっているでしょうか。
また,これに続く再編実施計画(第2版)では,どのような再編を計画し,その調整の状況はどのようになっているのでしょうか,お尋ねします。
次に,郊外部の再編に向けた取り組みについてお尋ねします。
私は都市計画マスタープランに掲げられている拠点地区である高陽,可部,緑井,船越においては,それぞれの拠点活性化とともに拠点間を結ぶ公共交通網の充実が必要であると申し述べてまいりました。郊外部においては,可部駅の西口広場がこのたび改修され,待合施設が新たに整備されました。JR可部線とバス路線並びに今後展開が想定される可部駅を拠点とするバス路線のフィーダー化に向けて一つの重要な拠点ができたものと思っております。とりわけ高陽,可部,緑井は広島市北部の拠点地区であり,このあたりを生活圏域とする住民の利便性の向上におきまして,この3地区が連携する施策は重要であると考えております。
そこで,お尋ねをします。郊外部の再編について今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか,また,高陽,可部,緑井など,拠点間の交通の重要性についてはどのように考え対応しているのでしょうか,お尋ねをします。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○山田春男 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 山内議員から御質問のあった
会計年度任用職員制度についてのうち,制度の導入に当たっての本市としての基本的な考え方についての御質問にお答えいたします。
臨時職員及び
非常勤職員に関しては,これまで臨時的任用,特別職,一般職など,地方公共団体ごとにさまざまな形で任用が行われていました。こうした非正規職員の任用について,基本的には会計年度任用に一本化し,その厳格化と処遇の改善を図るために,国において
地方公務員法等の改正が行われ,来年度から全ての地方公共団体で
会計年度任用職員制度が導入されることになっています。こうした中,本市においても
会計年度任用職員制度を導入することになったことを機に,本庁や区役所のみならず,学校,保育園などさまざまな職場で勤務し,本市行政の一翼を担っている多くの臨時職員及び
非常勤職員が安心して仕事に取り組むことができる職場環境を整えるためにどのような取り組みをすべきかという視点に立って,検討を加えてきたところであります。その結果,本市においては,この
会計年度任用職員制度の導入にあわせて,全ての臨時・
非常勤職員について,職の再設定を含む抜本的な見直しを行い,効率的な執行体制を構築することとしたところであります。
具体的には,現行の臨時・
非常勤職員が担っている業務を正規職員が担うべきものと非正規職員である
会計年度任用職員が担うべきものに役割分担し,政策の企画立案などに該当する業務は正規職員が,また,補助的な事務あるいはルーチン業務の実施などに該当する業務は
会計年度任用職員がそれぞれに担うべきものとして整理したところであります。また,会計年度任用に一本化された後の職員の処遇については,国から示された考え方を踏まえつつも関係者との協議結果を十分考慮し,職務経験を考慮した給与の格付や昇給,期末手当,時間
外勤務手当等の支給,休暇制度,社会保険の適用など,その勤務条件が大幅に改善されるようなものにしております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○山田春男 議長
企画総務局長。
◎及川享
企画総務局長 会計年度任用職員制度についての御質問のうち,4点の御質問にお答えいたします。
まず,現行の臨時・
非常勤職員について,
会計年度任用職員への移行に向けての
取り組み状況と今後の予定についてです。
現行の臨時・
非常勤職員である方に対しては,
会計年度任用職員としての任用を希望するか否かについて,意向調査を実施しているところでございまして,それに基づいて,希望者に対しましては順次面接試験等を実施した上で,年内に任用予定者を決定することといたしております。その後,欠員が生じた場合は,公募による採用試験を実施し,年度内に任用予定者を全て決定することといたしております。
次に,現行と比較して
会計年度任用職員に移行した場合の処遇の改善についてです。
会計年度任用職員の給与は,その職員が担当することになる業務の種類に応じまして,現在その業務を担っている臨時・
非常勤職員に支給されている年収等を勘案して設定するようにしております。また,昇給制度は現行の臨時・
非常勤職員にはありませんが,年度を通して任用された
会計年度任用職員については,再度任用する際に,16年目までは1年ごとに昇給するようにします。
次に,手当についてです。
現行の臨時・
非常勤職員については,
非常勤職員には増額報酬を支給しているものの,期末手当としての支給はありませんが,
会計年度任用職員には正規職員と同じ2.6月分の期末手当が支給されるようにいたします。また,現行の
非常勤職員には時間
外勤務手当等を支給する制度はありませんが,
会計年度任用職員には正規の勤務時間を超えて勤務した場合,時間
外勤務手当等が支給されるようにします。さらに,現行の臨時・
非常勤職員には退職手当の支給はありませんが,
フルタイム勤務の
会計年度任用職員には退職手当が支給されるようにいたします。
次に,休暇・休業制度についてです。
現行の臨時職員には育児休業や特別休暇の制度はありませんが,
会計年度任用職員には原則として子が1歳に達するまで育児休業を取得することができるとともに,夏季休暇,結婚休暇,忌引などの特別休暇の制度が適用されるようにいたします。
最後に,
福利厚生制度についてです。
社会保険や労働保険については,各種法令に基づき
会計年度任用職員の勤務時間や月の勤務日数等に応じて適用されるようになります。
次に,
フルタイム勤務の
会計年度任用職員の導入についてです。
フルタイム勤務の
会計年度任用職員については,業務内容から見てフルタイムでの勤務の必要性が高いものについて,正規職員との役割分担を明確にした上で導入することを基本といたしております。こうした考え方のもと,例えば保育園の保育士については,正規職員は保育計画の企画立案等を行うクラス運営の責任者としての役割を担い,非正規職員である
フルタイム勤務の
会計年度任用職員は保育計画に基づく日々の保育を実施する役割を担うとするなど,正規職員との役割分担を整理した上で,
フルタイム勤務の
会計年度任用職員を導入したいと考えております。
最後に,
会計年度任用職員制度の導入に伴う財源確保に向けての取り組みについてです。
会計年度任用職員制度の来年度からの導入に備えて,現在,国において地方自治体が新たに支給することになる期末手当等の所要額の調査が行われており,その調査結果をもとに来年度の地方財政措置のあり方が検討されることになっております。したがいまして,財源確保については,地方財政措置のあり方が明らかになっていない現時点では,その内容を確定することは難しいですが,本市としては,昨年11月,新たに生じる財源を確実かつ十分に措置するよう,全国市長会を通じて要請したところであり,今後も大都市人事主管局長会議等を通して国に対して強く働きかけていきたいと考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長 危機管理担当局長。
◎行廣真明 危機管理担当局長 防災の推進についての2点の御質問にお答えします。
まず,避難情報の発信について,検証会議の提言等を受けて,本市はどのように改善に取り組んでいくのか,あわせて市は今月7日に
避難勧告等を発令したが,その対応はどうであったのかについてです。
昨年行った平成30年7月豪雨災害における
避難対策等検証会議では,わかりやすく効果的な避難情報の発令のあり方についての議論がありまして,報告書において現在の発令基準については,国の動向を踏まえつつ,必要に応じ見直しを行うこととされております。このような中,本年3月29日に国の
避難勧告等に関するガイドラインが改定されたため,これを踏まえ,本市の発令基準の見直しを行いました。具体的には,これまでの発令基準は,警戒レベル3の避難準備・高齢者等避難開始では,これから2時間後の状況を踏まえて判断していたものを,3時間後の状況を踏まえて判断するよう前倒ししました。また,警戒レベル4の避難勧告についても,1時間後の状況を踏まえて判断していたものを,2時間後の状況を踏まえて判断するよう前倒しし,さらに警戒レベル4の避難指示(緊急)の発令は大雨特別警報等の気象庁が発表する情報で判断していたものを実際の降雨等の状況を踏まえて判断するようにいたしました。
次に,検証会議において,屋外スピーカーの音声を明瞭に伝えることは技術的にも限界があり,サイレン機能に重点を置くような運用方法について検討すべきとの提言がありました。これを受けまして,屋外スピーカーで避難情報を放送する際には,音声放送をより簡潔にし,サイレンの吹鳴に重点を置いた運用を行うこととし,サイレンが聞こえたときにはテレビやラジオ等で情報を確認することを住民の皆様に意識を持っていただくよう取り組んでいるところです。さらに,防災情報メールによる避難情報の発信は,行政区単位で発信しているため,登録者が必要とする小学校区以外の情報も受信され,本来必要とする情報を見逃すおそれがあるとの提言もありました。これを受けまして,住民自身が避難情報を受け取りたい小学校区を任意に選択し,必要とする情報を入手できるようにシステム改修を行っており,10月をめどに運用を開始する予定となっております。
次に,今月7日の避難情報の発令は,発令するタイミングを従前よりも早くした発令基準による初めての運用となりましたが,全ての区役所と協力し,防災行政無線や防災情報メール等を通じて漏れなく速やかに行うことができたと思います。また,避難情報の発令に伴う避難場所の開設につきましても,自主防災組織を中心として円滑にできたものと考えております。
今後,発令の運用を重ねる中で,住民の皆様からの意見等がありましたらしっかりと受けとめ,必要に応じ改善を図っていきたいと考えております。
次に,
モデル地区における防災施策はどのように取り組まれているのか,また,
モデル地区では大型土のうを置くなどの応急復旧の箇所の住民に対し,災害時における早期避難についてどのような取り組みをしようとしてるのかについてです。
昨年7月の豪雨災害で人的被害が発生した東区馬木地区,安佐北区
口田南地区,安芸区矢野地区,安芸区上瀬野地区を
モデル地区と定め,各
モデル地区に区の担当者を割り当て,区と地域住民とが一体となってわがまち防災マップの作成支援や防災訓練の実施,防災
ライブカメラの設置,地域の防災リーダーの養成など,総合的な防災対策について年間スケジュールを設定して取り組んでいるところです。
具体的には,わがまち防災マップにつきましては,東区馬木地区では既に完成しており,また安佐北区
口田南地区では,6月16日にまち歩きを行うなど,作成に向けた取り組みが進められております。防災訓練につきましては,秋に実施すべく少人数でのかけ声避難訓練や子供を対象とした防災体験学習を含めた具体的な訓練内容が検討されています。防災
ライブカメラの設置につきましては,3年間は地元負担が生じないようにした上で,土砂災害の前兆がわかる場所等への設置について,自主防災組織と協議を重ねており,6月末までに設置することを目途に取り組んでいるところです。さらに,地域の防災リーダーの養成につきましては,地区ごとに二,三名が新たに防災士になっていただくよう調整中です。
次に,本復旧まで至らず,大型土のうを置くなどの応急復旧の箇所の住民に対しては,砂防堰堤の設置が完了するまでの間,降雨時の土砂災害の危険性が通常より高まっているため,本市では避難準備・高齢者等避難開始等の発令基準を通常より早めた暫定基準の運用により,早期の避難を呼びかけることとしております。これらの地区も含め,避難情報を発令する地域には,防災行政無線などを活用し避難を呼びかけるほか,各消防署や消防団が必要に応じ巡回し,近隣住民の方々に避難の呼びかけなどを行うこととしております。
また,国が土砂災害の工事現場に設置しましたワイヤーセンサーが異常を感知した場合には,警報メールを受信した消防局では,直近の消防隊が現場の状況を確認し,異常が認められる場合には,住民の方々の避難誘導等を実施するなど,必要な対策を行うこととしております。
以上です。
○山田春男 議長
都市整備局長。
◎中村純
都市整備局長 被災地の復旧・復興について2点の御質問にお答えをいたします。
まず,平成26年8月豪雨災害の被災地では,地域が主体となって
復興まちづくりプランが策定されたと伺っているが,平成30年7月豪雨災害においても被災地において
復興まちづくりプランの策定が進むよう市にも努力してほしいが,市の考えはどうかについてお答えいたします。
議員から御紹介のありましたように,平成26年8月豪雨災害では,被災の大きかった3地区において,発災後2年目から4年目にかけて復旧・復興事業が進む中で,被災地域の住民がみずからの手で地域の安全・安心なまちづくりのためのプランを作成したいという機運が盛り上がったことから,本市として
復興まちづくりプランの作成を支援したという経緯があります。平成30年7月豪雨災害の被災地では,現在,基盤施設の本格的な復旧事業が始まっている段階ですが,ここにおいても平成26年8月豪雨災害における
復興まちづくりプラン作成の際と同様の取り組みが進められるように,区役所とも連携をとりながら地域の声を伺い,しっかりと支援していきたいと考えています。
次に,災害復旧工事の入札不調や不落への対策についてお答えいたします。
本市では,昨年7月の豪雨災害からの復旧工事を円滑に進めるため,国,県,市,業界団体等で構成する広島豪雨災害復旧工事情報連絡会議に参加するなどにより,災害復旧工事における入札不調・不落対策や労働者の確保等の課題について,関係機関等との情報共有を図るとともに,入札不調・不落を回避するためのさまざまな対応策を実施しているところです。具体的には請負金額が3500万円未満の災害復旧工事の主任技術者等の兼務制限の緩和や工事着手日選択型契約方式の試行,遠隔地からの労働者確保や建設資材調達のための費用の計上などの取り組みを実施しています。今後,災害復旧工事の発注が本格化することから,引き続き関係機関等との連携を図り,さらなる対応策を検討するなど,入札不調・不落対策に取り組み,災害復旧工事の円滑な執行に努めていきたいと考えています。
以上です。
○山田春男 議長 下水道局長。
◎倉本喜文 下水道局長 被災地の復旧・復興についてのうち,被災地の不安を軽減するために,災害査定を終えた被災箇所や工事発注の状況などをホームページなどで示してはどうかとの御質問にお答えいたします。
公共土木施設の災害復旧の公表につきましては,これまで工種や箇所数,金額を示した査定結果のプレスリリースを行ったり,工事着手前の地元住民に向けた工事案内の配布などを行ってまいりました。議員御指摘である被災箇所における復旧の進捗状況を公表することは,復旧状況を広く周知するとともに,被災地における地域住民の方々の不安軽減に一層つながるものと考えています。このため,災害査定を受けた344カ所について,工事の発注や完了の状況などをホームページなどを活用し広く周知していきたいと考えております。
以上です。
○山田春男 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 平和行政の推進についての三つの質問にお答えいたします。
まず,市長の2020年のNPT再検討会議第3回
準備委員会での活動内容とその成果についてでございます。
市長は,今回のニューヨーク出張において,さまざまな発信活動を行いました。2020年NPT再検討会議第3回
準備委員会では,NGOセッションで
平和首長会議の会長である広島市長としてスピーチし,被爆者の
核兵器禁止条約の早期発効と核軍縮の具体的な進展に対する切実な思いを伝え,
平和首長会議は被爆者のそうした思いを受けとめ,世界中のパートナーとともに為政者を後押しする環境づくりを進めていくので,核保有国を含む全ての国が真剣に対話して知恵を出し合い,対決的安全保障を協調的安全保障に転換するための為政者のイニシアチブを要請すると訴えました。
また,核保有国の英国の大使を初め,
核兵器禁止条約推進国であるオーストリア,ニュージーランドの大使のほか,日本の軍縮大使,
準備委員会議長,国連の中満上級代表と個別に面会し,核軍縮の今後の進展について忌憚のない意見交換を行いました。複数の方々からは,
平和首長会議の取り組みに信頼を寄せており,今後も市民社会における世論の醸成・拡大により,各国政府を核軍縮に向けて後押ししていくよう期待しているとの言葉をかけていただいたほか,総じて今後も連携していくことを確認しました。
さらに,核超大国の米国に住む高校生約130名に対して,被爆の実相を伝え,ヒロシマの心を伝える講演を行いました。非常に熱心に耳を傾けてくれた高校生に対し,市民社会は被爆の実相を認識した上で,核兵器は決してあってはならないものだとの信念を持ち,それを実践してくれる為政者を選ぶ力を身につけていくことが必要であると伝えました。
このように,市長が被爆地の声を各国政府代表や核保有国に住む若い世代に発信したことやさまざまな方と面会し,連携を確認できたことが大きな成果であると考えています。
準備委員会での各国政府間の議論は,厳しく対立的なものでしたが,各国の為政者がそうした状況にあるからこそ,世界の市民社会が違いを乗り越えて連帯し,
核兵器廃絶に向けて大きな潮流をつくり,為政者の政策転換を促し,後押ししていくために担う役割は非常に大きいと考えています。今後とも市民社会の幅広いパートナーと協力し,為政者を後押しする環境づくりをたゆまず進めていきたいと考えています。
次に,平和の大切さを考える機会を各国の若い世代に提供していくことについて,
平和首長会議の会長としてどのように取り組んでいくのかについてです。
議員御指摘のとおり,
核兵器廃絶に向けて国際世論を醸成・拡大していくためには,若い世代の平和意識の高揚を図っていくことが大変重要です。そのため,2017年に策定した行動計画では,次代を担う若い世代の意識啓発を目指す平和教育の実施を重点取り組み事項に掲げ,今後,平和活動を担っていく青少年の育成を推進しているところです。
具体的には,青少年「平和と交流」支援事業に
平和首長会議の国内外加盟都市の青少年を招聘し,被爆の実相を学ぶとともに,広島や他の加盟都市等から参加した青少年とともに,自分たちはどのような平和貢献ができるかや相互理解を図るための交流についての議論を行う機会を提供しています。また,昨年新たに各都市における平和教育の振興を図るため,二つの事業を始めました。一つは各加盟都市において実施されている平和教育の好事例を収集し,
平和首長会議のニュースレターやウエブサイトで紹介することで,各都市間の情報交換及び各都市における取り組みの広がりを図っています。もう一つは,全加盟都市の子供たちを対象とした平和のまちをテーマにした絵画コンテストで,子供たちが平和なまちとはどんなまちかを考える機会をつくるとともに,平和教育の重要性についての認識を広めるため,最優秀作品を
平和首長会議のクリアファイルのデザインとして採用し,国連の会議や加盟要請時の資料配付などに活用しています。こうした事業を通じ,青少年が世界恒久平和の実現に主体的にかかわっていけるよう育成していきたいと考えています。
最後に,来年の
平和首長会議総会に関して,例えばボランティアの募集や会議傍聴の呼びかけなどを行ってはどうかということについてです。
本市で開催した2013年の総会においても,ボランティア通訳者のほか,大学生,高校生の方々にもボランティアとして会議運営に御協力いただきました。また,2017年に長崎市で開催した総会では,長崎市のボランティアに加え,広島市立大学の学生ボランティアにも運営に協力してもらいました。また,いずれの総会でも会議の一部を除き市民が傍聴できるようにしていました。
2020年以降の次期ビジョン等を策定する来年の総会では,これまでより多くの加盟都市からの参加者も見込まれることから,市民ボランティアの参画は欠かせないと考えています。また,多くの市民に会議を傍聴していただくことは,
平和首長会議が今後どのように世界恒久平和の実現に向けて取り組んでいくのかを知っていただくよい機会になると考えています。市民ボランティアには次代を担う広島の青少年みずからが平和記念公園を訪れる外国人に対して被爆の実相を英語で伝えるユースピースボランティアを参画させたいと考えていますが,より多くの市民にボランティアとして参画していただいたり,会議を傍聴していただくために,効果的な広報について検討したいと考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長
こども未来局長。
◎松井勝憲
こども未来局長 子供の貧困対策,子育て支援についての御質問に順次お答え申し上げます。
まず,子供の貧困の問題についての市としての認識とこれまでの取り組みについてでございます。
貧困状況にある家庭の子供は,学習や生活面においてさまざまな機会が奪われ,学力や健全な成長に悪影響を受けるとともに,進学や就職における選択肢が狭められるなど,将来にわたって困難な状況が生じやすいとされております。
子供の数が減少している中で,生まれ育った環境だけで子供の可能性の芽を摘むことなく,その能力を最大限に伸ばしていくことが社会に求められており,本市といたしましても適切な支援を行う必要があると考えております。
このため,本市では,現行の子ども・子育て支援事業計画の重点施策として,子供の貧困の問題に対する総合的な施策の推進を掲げておりまして,子供とその保護者に対し,教育の支援,生活の支援,就労の支援,経済的支援に関する施策を展開しているところでございます。
具体的には,教育の支援といたしましては,生活困窮世帯やひとり親家庭の児童生徒を対象とした進路相談等を含む学習支援事業などを,生活の支援といたしましては,ひとり親家庭等の子供や保護者を対象に,食事支援や学習支援等を実施する団体への補助を行うひとり親家庭等居場所づくり事業などを,就労の支援といたしまして,暮らしサポートセンターにおける生活困窮者自立相談支援事業やひとり親家庭の保護者を対象に就労情報の提供や相談,職業紹介等を行う母子家庭等就業支援事業などを,経済的支援といたしまして,市民税非課税世帯等の保育料の無料化や小・中学校におきます学用品等の負担軽減を行う就学援助,ひとり親家庭等に対する児童扶養手当の支給などをそれぞれ実施いたしております。
次に,個別の事業のうち,ひとり親家庭の学習支援事業について拡充が必要であると思うがどうかというお尋ねについてでございます。
ひとり親家庭学習支援事業については,子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう,また,貧困が世代を超えて連鎖することのないよう,教育の機会均等を図る上で重要な事業であると考えております。この事業は平成26年度にひとり親家庭の小・中学生を対象として市内3カ所,計41名から開始しておりまして,平成29年度までに実施箇所を全区に拡大いたしました。平成30年度は対象者に新たに高校生を加え,議員からも御紹介いただきましたが,8区10カ所で計104名の利用が30年度はございました。本事業につきましては,今後も利用実績や利用者アンケートの結果等を踏まえつつ,募集定員や実施箇所数の増加など,その支援内容について充実方策を検討してまいります。
最後に,子供に関する施策の情報提供について,スマートフォンを効果的に活用していくことが必要と思うがどうかという点についてでございます。
本市では,子育て世代の多くが日常的に利用しているスマートフォンで子育てに関する情報を取得できるひろしま子育て応援アプリを昨年10月から導入し,現在約3,600名の方が登録されております。このアプリでは,子供の成長記録など母子健康手帳の補完機能を利用できるほか,児童手当等の各種手続や子育て関連イベントの案内など,妊娠・乳幼児期における子育て支援情報を発信しております。また,ひとり親家庭を対象とした子育て支援情報の発信も行っており,今後とも発信内容の充実を図ることとしております。加えて,本年度は子育て世代を対象としたイベント等に出向きまして,本アプリの登録者に対して広島広域都市圏地域共通ポイントを付与する取り組みを行っておりまして,登録者数の増加に向けた広報活動にも引き続き努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長
道路交通局長。
◎加藤浩明
道路交通局長 バス路線の再編実施について,3点の御質問に順次お答えいたします。
まず,都心循環線「エキまちループ」の利用状況についてです。
昨年5月に運行を開始した都心循環線「エキまちループ」の利用者は,運行開始以降,増加傾向で推移しており,本年3月の1日平均利用者数は平日が約3,800人,休日が約1,800人でした。利用者は運行開始時と比べ2割以上増加しており,事業者からはおおむね順調と捉えていると聞いています。また,利用者からは,運行便数も多く,広島駅などに早く到着できるため便利になったという声や,平和大通り沿いの路線が今まで余りなかったので,日常的に使いやすくなったといった声をいただいています。
次に,再編実施計画(第2版)では,どのような再編を計画し,その調整の状況はどうなっているのかについてです。
再編実施計画(第2版)については,都心循環線「エキまちループ」に続き,デルタ内の移動を強化するため,広島駅を起点とし,広島大学病院や県立広島大学,八丁堀地区の商業施設など,デルタ内の主要な施設を連絡する新たな循環線や広島大学病院を経由して広島駅と広島港を結ぶ新たな路線などについて検討しており,中国運輸局や関係事業者等と最終的な調整を行っているところです。
最後に,郊外部の再編について,今後どのように取り組むのか,また,高陽,可部,緑井など,拠点間の交通の重要性についてはどのように考え,対応しようとしているのかについてです。
郊外部から都心へ至るバス路線は,都心に近づくに従い,路線の重複により過密な運行となっています。バス運転手の不足などの課題に対応し,需要に見合った効率的な運行を実現するためには,基幹バスとフィーダーバスの組み合わせによるネットワークを構築する必要があります。この再編の実施に向けては,基幹バスとフィーダーバスを乗り継ぐ場合に,直通と同程度の運賃となる乗り継ぎ割引の拡充や待合環境の整備が重要であり,こうした点を前提に,中国運輸局や関係事業者,また運行路線に関係する市町と協議を行っています。
次に,拠点間の交通についてですが,本市では,都心と拠点地区に多様な都市機能を集約し,それらを公共交通等で連携する集約型都市構造を目指しており,その実現のためには公共交通のさらなる充実強化が重要と考えています。このような考え方から,高陽地区や可部地区,緑井地区など,郊外部の拠点間を結ぶネットワークについては,平成28年12月に策定した地域公共交通網形成計画の中で,都市の骨格形成に寄与する基幹バスで対応するものとして位置づけています。こうした拠点間を結ぶバス路線については,バス路線の再編を進めていく中で一定以上の利用者数が見込まれるような路線の設定等によって確保するよう,バス事業者に働きかけていきたいと考えています。
以上でございます。
○山田春男 議長 13番山内議員。
◆13番(
山内正晃議員) 幾つかお尋ねさせていただきまして,御答弁いただきましてありがとうございます。子育て支援,子供の貧困対策,学習支援事業を拡充する方向で検討していただけるということでしたので,ありがとうございます。ぜひとも取り組んでいただきたいというふうに思っております。
また,被災地の災害査定の状況をわかりやすくできるだけホームページ等で広報していただきたいということもこれから取り組んでいただけるということだというふうに理解しましたので,ぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。
一点だけ再質問させてください。こども未来局にお尋ねをします。先ほど情報提供についてスマートフォンを活用してはどうかという私の質問に対して,アプリを今2018年10月に導入しましたと。それで今その登録者数をこれからふやしていく取り組みをしていらっしゃるということなんですけれども,私も今そのアプリをちょっと使ってみているところです。使ってみますと,なるほど母子手帳の機能がアプリに入っているということで,母子手帳を一々書かずにそのアプリを使ってつくっていける。写真の登録とかもできて子供が初めて歩いた記念日とかを登録するとか,そういったことができるようになっていて,なるほど使いこなしていけば楽しいアプリかなと。そこのアプリの中でいろんな情報提供を広島市のほうでされるので,それを見ていただけるという仕組みになっているというふうに理解したんですけれども,私が今回の質問で話をさせていただいたポイントは,趣旨は,小学校とか中学校とかあるいは高校生のお子さんをお持ちの世帯においても,やはりこの学習支援の情報がしっかりと伝わっていかなければいけないというふうに思っております。私はこのアプリは今使っている範囲では,どちらかというと乳幼児のお子さんをお持ちの世帯向けなんではないかなというふうに思っています。そういった意味では,このアプリをもう少し内容を充実していくということが必要だというふうに思っているんです。こうした私が申し上げた小・中・高生といったそういった世帯に向けての情報,そういった方が使っていただきやすくユーザー層がふえていくようにしていただくには,コンテンツ的な,内容的な工夫が必要になっていくんではないかというふうに思っているんですけれども,この点について広島市の考えをお尋ねしたいというふうに思います。
○山田春男 議長
こども未来局長。
◎松井勝憲
こども未来局長 子育て応援アプリにつきまして,より幅広い方に利用していただけるように改良していくべきではないかというお話でございます。先ほども答弁の中でも申し上げましたけど,現状においてもアプリの中でひとり親家庭を対象とした支援情報というような発信を一応いたしておりまして,そちらについてはその内容の充実というのは努めてまいりますし,御指摘を今いただきましたような支援を必要とされております幅広いユーザーに利用していただけるようなコンテンツとなるように,今後も効果的な情報発信のあり方などについて検討もしてまいりたいと考えております。
以上です。
○山田春男 議長 13番山内議員。
◆13番(
山内正晃議員) 情報を幅広く出していただきたいという思いもありますので,これは割と全市的といいますか,いろいろな部署に取り組んでいただいたほうがよりよいのではないかとも思っております。そういうこと申し添えまして質問を終わります。
○山田春男 議長 次に,36番藤井敏子議員。
〔36番藤井敏子議員登壇〕(拍手)
◆36番(藤井敏子議員) おはようございます。日本共産党の市会議員の藤井敏子です。日本共産党市議団を代表して一般質問を行います。よろしくお願いします。
まず初めに,市長の政治姿勢について二点伺います。
2月にアメリカが臨界前核実験を行っていたことがトランプ大統領の来日中の5月26日に判明し,被爆者団体初め,世界から非難と抗議の声が上がっています。長崎県平和運動センターの川野浩一議長は,臨界前核実験の問題が日米首脳会談の話題にもならない,一体日本の総理は何をしているのか,そういう悔しい思いをしているのは被爆者団体だけではないと思いますと,アメリカの核政策を非難する一方,日本政府に対しても被爆国として核兵器反対の立場を貫くよう求めました。
核兵器禁止条約への署名もせず,アメリカの核実験にも抗議しない日本政府に対して,とりわけ被爆地広島の市長の態度が問われています。
2017年の7月に
核兵器禁止条約が国連でやっと採択された年,広島市の平和宣言では,日本政府に対し,核保有国と非核保有国との橋渡しを求めるだけでした。また,昨年2018年の長崎市の平和宣言が,日本政府に対して,唯一の戦争被爆国として,
核兵器禁止条約に賛同し,世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求めたのに対し,広島市の平和宣言では,核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調への役割を求めるだけでした。このことは,
核兵器禁止条約に早期署名を求める被爆者や市民からの期待を裏切るものになったと言わざるを得ません。松井市長はことしの平和宣言についても,既に記者会見で,
核兵器禁止条約を政府に求めることはないと述べられています。
核兵器禁止条約については,
平和首長会議の一員としてやっている,政争の具にしたくないという理由でした。しかし,平和宣言は市長だけのものではないはずです。被爆者や市民の願いを反映させてこそ,広島の平和宣言になるのではないでしょうか。
そこで伺います。広島は世界で最初の被爆都市です。世界的に著名な平和都市です。そして,広島市民を代表して世界に一日も早い
核兵器廃絶を訴え続けてきた特別な地位にある都市,いわゆるヒロシマの市長として8月6日に平和宣言を発し行動することと,
平和首長会議という団体の会長として行動することとの違いについて,松井市長はどのようにお考えでしょうか。
また,市長は,みずから
核兵器禁止条約採択のために努力をされてますが,日本政府がこの条約をないがしろにしていることをどのように受けとめておられますか。
日本がアメリカの核の傘のもとにあり,その核の傘を積極的に活用しようとしていることを市長はどのように受けとめておられますか。
また,唯一の戦争被爆国である日本の政府がこのような行動をとることについて,広島市長の責任としてはっきりと批判の声を上げるべきではないでしょうか。改めてお答えください。
ことしの平和宣言の中で,日本政府の
核兵器禁止条約への態度を批判し,同条約への署名を要請されるべきです。どうされるかお答えください。
次に,市長はこのたびの市長選挙の公約の第1番に,広島を大改造すると開発推進方針を掲げられました。他方で,市民の暮らしに関しては,この間,市長や当局の答弁から見えてきたのは,国がやる以上のことはやらない,自治体によってサービスの種類や水準が違うのは不公平になるという姿勢です。安倍政権になって社会保障制度の分野で負担ふやしと給付削減が次々と進められてきました。介護保険制度では要支援が保険制度から外され,利用者の間でも事業者の間でも不安と危機感が広がっています。しかし,広島市は国の方針どおりに制度運用を変更しただけです。障害者福祉の分野では,65歳になったという理由だけで介護保険サービスに移行させられ,一律の負担が持ち込まれましたが,これも国の方針どおりです。安倍政権は生活保護基準を2度にわたって下げ,人間としての尊厳が大きく損なわれているのに市は何もしていません。高齢者公共交通機関利用助成制度は国がやる以上のことの典型ですが,広島市は本来の目的に沿った使い方ではないと無理やり理屈をつけて廃止しようとしています。広島を大改造するために大規模開発を推進しようとすれば,当然そのための大きな財源が必要になります。しかし,広島市の財政にそのような余裕などありません。松井市政の,国がやる以上のことはやらないという政治姿勢は,大きな開発事業につぎ込む財源を確保するために,市民生活から出てくる要望に応えたくないということではないでしょうか。この点についてはっきりお答えください。
憲法第92条は,地方公共団体の運営は地方自治の本旨に基づくとし,地方自治法第2条では,法律や政令に基づくもの以外では,国の事務以外のことを行うとしています。地方自治の本旨とは,住民の意思により,国から独立した団体がみずからの意思と責任のもとで行われるものであるとしています。すなわち,地方自治体は,国から独立した団体としての責任において,住民の意思に基づいて事務を進めていくものです。国が行う事務は全国一律の基準に基づいた共通の事務ですが,それは地域の特別な事情などは反映しないいわば最低基準です。しかし,地域によって実情も違うし,そうした実情に基づいて住民の要望の種類も,その大きさも違うのは当然です。つまり,地域ごとの実情や住民の要望に沿って,国がやらないことや国がやることに上乗せしてやるのが地方自治体の本来のあり方です。そのための費用として,市民は地方自治体に税金を支払っています。その結果として,住んでいる自治体によって行政サービスの内容や水準が異なるのは当然なことであり,それは不公平などではありません。特定の行政サービスが全国の地方自治体で実施され,多数の自治体でその水準が高まっていったときに,それは国が実施するべき最低基準のサービスとして行われるようにしなければなりませんが,そうなっていない段階で住民の要望が強いにもかかわらず,実施しないとしたら,住民の意思に沿わない行政だということになります。以上について,市長はどのようにお考えかお答えください。
次に,被災者支援について伺います。
5年前の8.20の豪雨災害に続いて昨年7月の豪雨災害発生から丸1年を迎えようとしています。改めてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに,被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
建物被害は3,000棟,そのうち全壊,半壊が合わせて1,061棟と今も多くの方が仮住宅で困難な生活を余儀なくされています。復興の基本は被災者が安心して暮らせる地域と以前の暮らしを一日も早く取り戻すことです。広島市として,災害から命を守るまちづくりとともに,被災者に寄り添い最後の一人までもとの暮らしに戻れるようになるまで責任持った対応が求められています。被災地では,この梅雨を前に崩れた谷がまた崩れてくるのではないかとの不安な思いで過ごされています。
そこでお聞きします。昨年7月の豪雨災害に伴い,国や県が計画している砂防堰堤は何基か区ごとに教えてください。また,いつまでに完成させる予定かもお答えください。
被災者の生活再建への道は始まったばかりです。特に住宅の再建は国の支援金は300万円と少なく,8.20のときよりも義援金も格段に少ない状況の中で,再建はより困難な状況が予想されます。また,長期化する避難生活で過労や心労で体を壊したり持病を悪化させる方もいます。国の国保の一部負担減免措置で何とか必要な治療を受けてこられた方にとっては,この被災者支援はまさに命綱です。ところが,国は6月で打ち切る方針を示しています。国は介護保険や国民健康保険の保険料や一部負担金の減免措置を,ことし2月に,6月まで延長し,国が財源措置をしてきました。引き続き再度の延長を国に求めるべきだと思うがどうかお答えください。
また,5年前の8.20の豪雨災害において,八木地域で土石流の直撃で住宅が破壊され,現地での再建を諦め,何とかほかの地で生活再建しようと5年目を迎えようとしている方から,被災直後に更地になった宅地はいまだにレッドゾーンのまま,計画されている砂防堰堤も排水処理施設もまだ最終的な完成に至っていません。売りたくても売れないこんな状況の中で,これまで減免されてきた固定資産税について,突然何の説明もなく減免が打ち切られ,納税通知書が届けられて納得ができないという声が寄せられました。減免を打ち切られた理由と根拠をお答えください。また,安全だと言える状況になっていない地域については,これまでの固定資産税の減免を延長すべきだと思うがどうでしょうか。
また,8.20の災害に関して,2018年まで減免措置の対象となっていた方と2019年度から減免措置の対象でなくなった方はそれぞれ何人か。また,昨年の
西日本豪雨災害で被災住宅用地に対する課税標準の特例の適用対象となった方が何人いらっしゃるかもお聞きしておきます。
広島県は土砂災害危険箇所が一番多く,災害から命を守るためには,土砂災害防止法の一つの柱にもあるように,危険な場所になるべく住宅は建てないことです。しかし,既に住宅が建てられた地域に後から警戒区域の網がかけられても,個人負担が大きいため移転はなかなか進まないのが実態です。レッドゾーンにある住宅の移転,改修の補助制度はあるが,実績は県内では1件のみとほとんど活用されていません。広島市としてもっと使いやすい補助制度の拡充について考えるべきだと思うがお答えください。
次に,広島高速5号線トンネル工事について伺います。
広島高速5号線二葉山トンネル工事は,掘削を開始した75メートルの地点でマシンのカッターが破損し,昨年の12月10日に工事が中断して以来,約5カ月後の5月8日に工事再開となりました。懸念されていたマシンの修理費用は県民や市民ではなく,大林などの共同企業体── JVが負担することになりましたが,肝心の契約額の増額問題については解決できていません。契約額200億円にコンクリートの内壁,いわゆるRCセグメントなどの材料費が入っていないとして,JVが公社に増額を求めてきた問題に関して,事実関係の調査を行った第三者委員会の委員長の二國則昭弁護士は,不適切な価格交渉があったとの認識を示しました。
再発防止を目的に立ち上げた第三者委員会がどんな調査をされたのか,調査結果はどうだったのかをお聞きします。市は第三者委員会の報告内容をどのように受けとめておられるのか,再発防止に向けた具体的な対策をされたのかもお聞きします。
また,工事の完成に必要な費用が契約金額に含まれていなかったとの指摘が第三者委員会から正式に示されたのですから,一旦現在の契約を破棄し,本来の事業費総額をきちんと明らかにすべきです。マシンの修理が完了したからといって,安易な工事の再開は,市民からの増額批判をかわすアリバイとして第三者委員会を立ち上げたのではとの批判を免れません。工事を始めてから増額を言い出すというのは非常識であり,世間では通用しません。公社が了解していたわけですから談合です。新幹線のトンネル工事の契約に携わってきたという市民からは,どこを掘るかで事業費は大きく違う,特注ということでゼネコンの言いなりになりかねない,県,市は価格交渉をしっかりしてほしいとの意見が寄せられています。調査報告は公社とJVの間で事業着手後に契約額を増額するという確たる約束はないとしており,増額の義務はありません。にもかかわらず,なし崩し的に事業を進めることは,ゼネコンの要求どおりに当初の契約額300億円の事業費へと残り100億円の追加を認めることになります。不適切な契約をそのままにした増額は認められません。200億円でできない事業なら,中止すればいいのではありませんか。市の見解をお聞きします。今後どのように100億円の増額が認められていくのか,誰がその是非を決めるのかもお尋ねしておきます。
報告書では,200億円で契約しても,契約後に契約内容を変更して増額するというやりとりがあったことも明らかにしています。公社とJVが示し合わせてRCセグメントを含む材料費を契約額から削除したということがうかがわれます。これは何を意味するのでしょうか。なぜ100億円を減額した契約にしなければならなかったのか,その理由をお聞きします。
現時点での広島高速5号線工事の費用対効果は1.01ですが,100億円を増額した場合,費用対効果は幾らになりますか。市長は事業を継続するかどうかは費用対効果だけではなく,総合的に判断すべきものだと予算特別委員会で発言されましたが,費用対効果が1を下回れば事業着手が困難になるからこそ,事業費を100億円少なくして200億円で契約せざるを得なかったのではありませんか。とにかく事業に着手するため,費用対効果はあるとの裏づけをつくれとの圧力,締めつけが県と市から公社に課せられていたとしか思えません。広島高速5号線の有料道路事業総額は949億円です。事業費総額を超える事業費の増額になれば,整備計画の見直しが必要になり,議会に賛否を諮ることになります。
現在,事業費総額に対して幾らの事業費を使っているのですか,その割合も教えてください。また,5カ月間の事業中断により,当初の工程計画にどのような影響が出ていますか。供用開始日におくれは出ないのかお聞きします。
そもそも広島高速5号線は不要,不急,不採算な事業です。その上,二葉山トンネルは対面通行で事故の危険性も高く,自然災害を誘発しかねない事業です。増額後の費用対効果が1を下回るのであれば,この事業は中止すべきです。どうしてもやるというなら,トンネル工事の是非を問う市民投票もすべきではありませんか。
次に,高齢者公共交通機関利用助成の拡充について。
ことし1月18日締め切りで,高齢者のもとに高齢者いきいき活動ポイント事業に関するアンケートが届きました。主として,ポイント事業への参加者にその効果や意見を聞くもののようです。その質問の中で,高齢者公共交通機関利用助成を廃止していきいき活動ポイント事業一本にするという市の方針が示されていました。そうした記述を見た高齢者からは,廃止されては困るという声が寄せられています。市によれば,事業対象の70歳以上18万人の高齢者のうち,14万人が公共交通機関利用助成を受けており,ポイント事業に参加し手帳を市に返送された高齢者は約5万人でした。つまり,約9万人の高齢者は半額に減額された交通機関利用助成だけだったわけです。こうした公共交通機関利用助成を受けている高齢者が多いという実態をどのように認識しているのですか。こうした実績でも廃止するつもりですか。
広島市は高齢者の公共交通機関利用助成を廃止する理由として,主に買い物や通院に使われているので,社会参加の促進という事業の目的に沿わないとされてきました。高齢者が地域で生き生きと暮らせることは,健康寿命を長くすることにつながります。買い物,通院は高齢者の生活を豊かにし,地域経済へ波及効果も大きく,年金が削減される中でこの制度を廃止すれば,閉じこもる高齢者をふやすことにつながりかねません。富山市はことし,公共交通と高齢者の医療費の連関性の調査の結果をまとめました。敬老パスを使っている人は使っていない人よりも歩数が多く,医療費も少ないということがわかったとしています。また,公共交通で中心市街地に来た人の滞在時間は,それによると平均2時間58分で,自家用車の利用者の2倍だったとの結果も発表しました。地域経済への波及効果も大きく,結果的に税の増収にもつながるのではないでしょうか。公共交通機関利用助成制度は廃止ではなく買い物,通院でも利用できるこれまでの制度の拡充こそ検討すべきだと思うがどうかお答えください。
次に,学校給食の見直しについて伺います。
心と体が成長する思春期の食育は重要であり,教育としての給食は,単におなかがいっぱいになればよいというだけではありません。学校給食は行き届いた食育ができる安全な自校調理の温かいおいしい給食であることが求められています。ところが,広島市はこれまで見直しに当たっては,民間の大規模センター化を有力な選択肢と考えていると議会で答弁されています。しかし,学校給食の大規模集約化はさまざまな問題が指摘されています。つい最近では,横浜市立小学校153校7万7000人分の給食の御飯を納入している炊飯工場内でネズミの死骸が発見され,当分の間,御飯が出せない事故が発生したことが報道されました。大規模センター方式は食中毒など事故発生の場合,その被害が広範囲に及びます。そのほかにも,1,料理が冷めやすく形が崩れやすい,2,調理時間が制約される,3,加工食品や冷凍食品が多くなる,4,献立の調理が学校の希望を反映しにくい,5,センター第一主義になりやすいなどの問題点があることをかつての文部省も早くから認めていました。しかも,デリバリー給食や民間のセンター給食では,栄養士は国の財政措置がされません。学校給食の歴史の中で,大規模給食センターは給食の質の劣化を招くものであり,学校給食にふさわしくないということが実践的にも結論が出ています。
一方,自校調理方式は万が一事故が起きても影響は最小限に抑えられます。ほか,1,できたての温かくておいしい給食が提供できる,2,個々の生徒へのきめ細かい食物アレルギー対応ができる,3,給食を通して各学校で生きた食育が実践できる,4,各学校に栄養士を配置できる,5,中学校は震災時の避難所,防災拠点に指定されており,食事の炊き出し施設になる,これらの優位性とともに,地域経済の影響でも,各学校への調理場整備は地元建設業の仕事起こしになる,調理員の確保は地元の雇用創出になる,地域密着で地産地消が推進でき,市内農家や地元商店から食材を購入され,経済効果が期待されるなど,多くの面で自校調理方式がまさっています。
全国的には,さいたま市がセンター方式から自校調理方式に変え,生徒や保護者,教師の反応が大変よかったと言われています。自治体や新たに中学校給食を始めるのにいろいろな提供方式を検討した結果,自校調理給食の実施を決める自治体もふえています。広島市がこれから学校給食を見直すに当たっては,経費削減を理由に民間の大規模センター化を目指すのではなく,栄養教諭もきちんと国から財政措置がされる小学校や一部中学校が現在実施している自校調理方式の拡大こそ進めるべきだと思うがどうかお答えください。
学校給食の見直しに当たっては,市内部だけで決めるのではなく,児童生徒や保護者や栄養教諭などの専門家なども交えた検討会で議論されるべきだと考えますが,どのようにされるのかお答えください。
最後に,
放課後児童クラブについて伺います。
放課後児童クラブは保護者,指導員の長年の運動で1997年に児童福祉法に放課後児童育成事業として明記され,その後,子供の安全を守るためにも基準を設けるよう運動が積み重ねられ,2015年の法改正によって,今まで基準がなかった学童保育に従うべき基準として1クラスに2名以上の支援員を置き,1人は放課後支援員の資格を持つ者と決められました。1クラスの定員もおおむね40名とされ,対象学年も6年生まで拡大しました。現在,広島市で約1万1000人の子供が利用し,約500名の指導員の先生が支えています。
ところが,国は,法が施行されてわずか5年もたたない来年4月から,職員の数や資格基準を従うべき基準から拘束力のない参考基準に緩和することにしました。このことによって,今,現場や保護者の間でも常時複数体制が崩されるのではないかと不安の声が広がっています。子供たちはいじめや虐待,貧困など,さまざまな困難な中で生活しています。友達とけんかをした,先生に叱られたなど,言葉にならない思いをたくさん抱えて学童保育に通っています。そこには専門的な知識を持った指導員がいて,しかも集団で対応するからこそ,必要なら学校と相談し,保護者に直接働きかけ,子供の心に寄り添い自立を支えていけます。基準が廃止されれば,専門性のない大人が1人で何十人の子供でも見ることが可能になりかねません。安全性の問題だけでなく,子供が育つ学童保育ではなくなります。そもそも従うべき基準は,学識経験者,自治体,学童指導員など,さまざまな立場の関係者が厚生労働省の社会保障審議会児童部会の専門委員会で議論を積み重ねて,学童保育の質の確保,事業内容の向上のために,不十分な点を残しながらも確認されたものです。今の2人体制でも十分な外遊びの保障ができないと,保護者や指導員からは3人体制を求める要望も出されています。子供の安全な保育を保障するためにも,現行の児童福祉法で定められた指導員の資格要件や常時2人以上という配置基準は守るべきだと考えます。改めて当局のお考えをお聞きします。
もう一つは指導員の確保が困難な問題です。国が基準緩和を行った背景には,指導員の確保が困難だという地方からの声に応えたということも挙げられています。しかし,指導員確保が困難だからと基準を緩和すること自体,本末転倒です。現場では,毎年の増設で勤続5年未満の支援員が全支援員の5割を超える状況になっています。課題を抱えている子供にどう対処していいのかわからない,自分のやっている保育に確信が持てないなど,さまざまな理由で職場を離れていく指導員が後を絶ちません。昨年度は1年もたたないうちに1割の新規採用者が退職されたと聞いています。1人では休みもとれない上,危険が格段に増すのは明らかです。指導員不足は安定して働き続けられる環境の整備と処遇改善抜きに解決できないと考えます。
最後に聞きます。今より配置基準が引き下げられるようなことになれば,ますます指導員確保は困難になるという認識はないのですか。どう考えておられるのかお答えください。
また,今年度,指導員の募集状況と欠員状態のまま新年度を迎えたクラブは幾つあるのか,今後どう対応されるのかをお聞きして以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○山田春男 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 藤井議員からの御質問にお答えします。
市長の政治姿勢についてのうち,国と地方の役割についての御質問がございました。
憲法第25条では,全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること,また,国は,全ての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないことが定められており,地方自治法第1条の2では,全国的な規模で,もしくは全国的な視点に立って行わなければならない事業などを実施することが国の役割であると規定されております。
このように,社会福祉や社会保障等に関する国の役割は,法令上,明確にされていることから,私としては,国がその役割を果たすことを前提に,本市としての役割をしっかりと果たしていく必要があると考えているところであります。したがって,国において行うべき制度の充実など必要なものは指定都市市長会などを通じて要請してきているところであります。その上で,市民ニーズや必要性,緊急性等からナショナルミニマムを超えて本市で対処する必要があると判断されるものについては,独自に措置をしてきております。例えば,骨髄ドナー助成の事業化やこども医療費補助制度の拡充などについて取り組んできたところであり,地方自治法第1条の2に規定している住民の福祉の増進を図ることを基本として,地域における行政を自主的かつ総合的に実施することという地方公共団体の役割を適切に果たしてきているものと考えております。
ところで,これから取り組むことになる大型プロジェクトに関しましては,それにつぎ込む財源の多くは国費,すなわち国からの手当てと,その後,数十年間にわたり分割して手当てすることができる市債の発行によって賄われることになっていることから,そのための財源の確保がその時点で社会保障の充実を妨げることになるといったような関係にはなっておりません。また,大規模プロジェクトそのものは,その完成に向け新たな投資を呼び込み,都市の活力を生み出し,またそれが完成した後は,将来の市債返済の財源となる税源を涵養する都市の活性化といったことにつながるといった関係にあります。
現在は,過去,いわば集中的かつ大量に発行してきた市債を着実に返済しながら,各種施策の充実に努めているところでありますが,今後は取り組んでいくことになるプロジェクトの進度調整を的確に行うことにより,市債の返済の平準化が図られるようにしつつ,社会保障のための義務的支出と将来に備えた社会資本整備等の裁量的な支出がバランスのとれたものとなるような財政運営を行っていくことで,地方自治体としての役割を引き続きしっかりと果たしていきたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○山田春男 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 市長の政治姿勢についての御質問に順次お答えいたします。
まず,ヒロシマの市長として8月6日に平和宣言を発し行動することと,
平和首長会議という団体の会長として行動することとの違いについてでございます。
昨日,市長が田中議員に御答弁いたしましたとおり,
被爆地ヒロシマの市長としては,被爆者の体験や平和への思いが広く市民社会に共有されるように,平和宣言を初めとして発信する努力を重ねること,その基礎となる被爆の実相を守り,広め,伝えるための努力も同時に重ねていくことが重要であると考えています。
平和首長会議の会長としては,共有された市民社会の思いを実現していくため,市民の安心で安全な生活を守る責任を担っている首長と連帯して,世界の為政者の世界恒久平和の実現に向けた動きを後押しする環境づくりを進めていくことが重要であると考えています。
これまで,こうした二つの立場を活用しながら平和施策を進めているところです。今後もこうした考え方のもとで,
核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
次に,市長は
核兵器禁止条約のために努力しているが,日本政府がこの条約をないがしろにしていることの受けとめについてです。
日本政府は,
核兵器廃絶という目標を共有した上で,核保有国や
核兵器禁止条約支持国を含む国際社会における橋渡し役を果たすための取り組みを進めていくという立場であることから,被爆者の思いを受けとめた上で,その役割をしっかりと果たしてもらいたいと期待しています。
次に,日本が核の傘を積極的に活用していることの受けとめと,日本政府の行動について批判の声を上げるべきではないかの2点についてです。
被爆地ヒロシマは,核兵器の使用が人類にとって凄惨な結末につながることをみずからの体験を通じて知った被爆者の,こんな思いをほかの誰にもさせてはならないとの思いをもとに,
核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を目指さなければなりません。そのためには,基本的には国家レベルで取り組まなければならない安全保障に係る問題である
核兵器廃絶への思いが,市民社会共通の価値観となり,為政者を動かすものとなるようにすることが重要であることから,世界で7,700を超える都市が加盟する
平和首長会議加盟都市の首長と連帯して,核保有国や我が国を含む世界の為政者に対して,引き続きしっかりと市民社会の総意としての平和への願いが届くように取り組んでいきたいと考えています。
最後に,ことしの平和宣言についてです。
毎年の平和宣言では,被爆者の体験や,こんな思いをほかの誰にもさせてはならないという被爆者の思いが広く市民社会に共有されるよう,被爆の実相をしっかり伝えることを主眼に置くとともに,世界恒久平和の実現に向け,世界の為政者及び市民社会共通の価値観を形成するため,
核兵器廃絶に取り組むために必要な行動理念を提示してきたところです。今後も,こうした考えのもとで平和宣言を発信し続けていくことが重要だと考えています。
多くの被爆者が,
核兵器禁止条約が日本を含む全ての国により締結されることを待ち望んでいることは十分に受けとめています。
核兵器禁止条約は核兵器のない世界の実現に向けた重要なステップとなるものと認識しており,昨年の平和宣言において日本政府を含む全ての為政者に対して,
核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚とするための取り組みを進めていただきたいと求めました。ことしの平和宣言については,
核兵器禁止条約への被爆者の思いをどのように反映するか,平和宣言に関する懇談会での御意見もお聞きしながら,検討することとしています。
以上でございます。
○山田春男 議長 財政局長。
◎手島信行 財政局長 被災者支援についてのうち,固定資産税の軽減に係る2点の御質問にお答えをいたします。
まず,8.20豪雨災害により,住宅が滅失した土地の固定資産税について,説明もなく減免が打ち切られたという声が寄せられたが,減免が打ち切られた理由と根拠は何か,また,安全だと言える状況になっていない地域については減免を延長すべきだと思うがどうかについてでございます。
固定資産税等が軽減されていた土地について,それまであった住宅が災害によって滅失した場合には,被災後の2年度間は,その土地についての固定資産税等を軽減することができる特例措置が地方税法に規定されており,平成26年の8.20豪雨災害の際には,平成27年度及び平成28年度の2年度間,この特例措置を適用してまいりました。
そのような中,8.20豪雨災害の被災地における砂防堰堤の整備などの緊急事業が平成28年に完了したことから,平成30年度までの2年度間は条例に基づき,それまでと同様の軽減措置を実施することとし,結果として,被災後4年度間にわたって固定資産税等を軽減する特例措置を適用してきたところでございます。
このように,固定資産税等を軽減するための特例措置は,被災者が住宅再建に着手し得る状況,すなわち砂防堰堤の整備などの緊急事業が完了し,安全性が確保された状況になってから2年度間は支援するという観点に立って,被災後から平成30年度までの間に限り行うこととしたものですが,このことにつきましては,平成28年12月に条例に基づく軽減措置を設けた際や,平成29年度と平成30年度の各年度の軽減申請についての御案内を行った際に,対象となる方全員に対してお知らせをしているところでございます。
次に,8.20豪雨災害に関して,2018年度まで減免措置の対象となっていた方と,2019年度から減免措置の対象でなくなった方はそれぞれ何人か。また,昨年の
西日本豪雨災害で課税標準の特例の適用対象となった方は何人かについてでございます。
2018年度,平成30年度において,条例に基づく固定資産税等の軽減措置の対象となっていた方は,納税義務者数で100人です。このうち緊急事業が2016年,平成28年に完了し,安全性が確保されて,住宅再建に着手し得る状況になり,2019年度,平成31年度から軽減措置の対象にならなくなった方は98人です。なお,2019年度,平成31年度においても,まだ2人の方が軽減措置の対象となっていますが,これは一部の地域で緊急事業の完了が2017年,平成29年となり,他の地域よりも1年おくれて住宅再建に着手し得る状況になったことから,2019年度,平成31年度まで軽減措置を継続しているものでございます。
また,昨年7月の
西日本豪雨災害において,被災後2年度間に適用される被災住宅用地に対する課税標準の特例措置の対象となった方は,納税義務者数で169人でございます。
以上でございます。
○山田春男 議長
健康福祉局長。
◎古川智之
健康福祉局長 被災者支援についてのうち,介護保険料や国民健康保険料等の減免措置の再延長を国に求めてはどうかとの御質問にお答えいたします。
平成30年7月豪雨により被災された方の介護保険の保険料や利用料,国民健康保険の保険料や一部負担金の減免については,このたび国から再度の延長は行わない旨,通知があったところですが,当該減免措置は一時的な救済制度であることや,これまでの災害による被災者支援とのバランスを踏まえると,やむを得ないものと考えております。
このため,国に対して再度の延長を求めることは考えておりません。
以上でございます。
○山田春男 議長
都市整備局指導担当局長。
◎胡麻田泰江
都市整備局指導担当局長 被災者支援についてのうち,レッドゾーンにある住宅の移転改修の補助制度がほとんど活用されていないので,補助制度の拡充について考えてはどうかという御質問にお答えします。
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律,いわゆる土砂法は,土砂災害から国民の生命を守るため,土砂災害のおそれのある区域を明らかにし,警戒避難体制の整備,住宅等の新規立地の抑制,既存住宅の移転や改修を推進しようとするものです。
したがって,法に基づき県が指定する土砂災害特別警戒区域にお住まいの方々には,居住地の危険性を十分に認識していただくことが重要であり,そのことがみずからの積極的な避難行動や土砂災害に備えた既存住宅の移転や改修につながるものと考えています。
議員御指摘の既存住宅の移転や改修の補助制度については,これまでも県による土砂災害特別警戒区域指定の説明会で直接対象住民に情報提供を行ってきたところですが,今年度,土砂災害特別警戒区域にお住まいの方々に対し,個別に居住地の危険性について通知することとしておりますので,あわせて当該補助制度があることの周知を図り,移転,改修をお考えの方の利用促進をしていきたいと考えております。
なお,今年度,住宅の除去に要する費用については,補助限度額を引き上げるなど,制度の充実を図ったところでございます。
以上でございます。
○山田春男 議長 下水道局長。
◎倉本喜文 下水道局長 被災者支援についてのうち,昨年7月の豪雨災害に伴い,国や県が計画している砂防堰堤は何基あり,いつまでに完成させる予定なのかとの御質問にお答えいたします。
昨年7月の豪雨災害に伴い,国及び県において整備が計画されている砂防堰堤は41基であり,その内訳は東区が10基,南区が3基,安佐北区が6基,安芸区が22基となっております。このうち,土砂災害により発生した渓流に残されている不安定な土砂に対応するため,緊急事業として全体の約半数に当たる20基について,今年度末までに整備が完了する予定です。
引き続き,再度災害の防止として,緊急事業の20基の堰堤のかさ上げや渓流保全工,管理用道路等,また,残る21基の砂防堰堤等の整備を令和5年度末を目標に進めていくと聞いております。
以上でございます。
○山田春男 議長 この際,皆様にお願いをいたします。
間もなく12時となりますが,このまま会議を続けさせていただきたいと思います。いましばらく御協力ください。
道路交通局長。
◎加藤浩明
道路交通局長 広島高速5号線トンネル工事について,5点の質問に順次お答えいたします。
まず,第三者委員会について,どのような調査をしたのか,また,市は調査報告書の内容をどのように受けとめているのか,再発防止に向けた具体的な対策を行ったのかについてです。
第三者委員会では,弁護士2名と土木分野の学識経験者1名の委員により,シールドトンネル工事の契約に関して,当初契約時における認識の違いが生じた経緯や原因の分析及び原因分析を踏まえた再発防止策の提言などの事項についての調査が行われ,本年3月16日に報告書が取りまとめられました。
公社では,この調査報告書を受け,再発防止策の取りまとめを進めているところであり,本市としても委員会の指摘を真摯に受けとめ,広島県とともに公社が再発防止に向けた取り組みを確実に実施していくよう指導を徹底していきます。
次に,200億円でできない事業なら中止すべきと思うが,市の考えはどうか,今後どのように100億円の増額が認められ,誰がその是非を決めるのかについてです。
第三者委員会の報告書において,シールドトンネル工事の契約金額の見直しを協議することには相当の理由があるとされており,現在,公社とJVで増額協議が進められているところです。
見直し後の契約金額については,契約当事者である公社とJVの協議の中で決定されるものですが,増額費用については本来的に高速5号線の完成に必要なものであり,建設費を通行料金で賄う有料道路事業の枠組みの中で対応すべきものと考えています。
金額の確定については,その増額幅によって関係者が異なることから,今後明確になった段階で議会に説明をさせていただく予定です。
次に,公社とJVが示し合わせてRCセグメントを含む材料費を契約額から削除したことが伺われるが,なぜ100億円を減額した契約にしなければならなかったのかについてです。
第三者委員会の報告書により,6項目の工事費用を契約変更により増額する旨の合意があったとまでは認められないとされていることに関しての議員の御質問は,報告書の内容と異なるものであり,本市としてはお答えのしようがありません。
次に,5号線の有料道路事業費の総額949億円のうち,現在どれぐらいの事業費を使っているのか,その割合はどうか,また,5カ月の中断の影響により,5号線の供用開始におくれは出ないのかについてです。
高速5号線の平成30年度末時点での予算ベースの投資済み額は843億円であり,有料道路事業費949億円に対して89%の進捗となっています。高速5号線の供用については,昨日御答弁いたしましたとおり,公社は5カ月の中断期間を取り戻すことは厳しい状況としており,掘削再開後の状況を踏まえながら,今後の工程を検討していると聞いております。
最後に,増額後の費用対効果が1を下回るのであれば,この事業は中止すべきであり,継続するなら是非を問う市民投票をすべきではないかについてです。
高速5号線の費用対効果については,公社とJVの協議が調い,工事費が確定した段階で,その時点の最新データ等を用いて算出することになります。したがいまして,現時点で費用対効果の結論が出ていない高速5号線については,本市の都市活力向上のため大きな役割を担う道路として,引き続き早期完成に向けて取り組んでまいります。
以上でございます。
○山田春男 議長
健康福祉局長。
◎古川智之
健康福祉局長 高齢者公共交通機関利用助成制度についての2点の御質問にお答えいたします。
まず,多くの方が交通費助成を受けている実態に対する認識,また,ポイント事業の現状の実績を踏まえても,交通費助成を廃止するのかとのお尋ねについてです。
このたびアンケート調査などにより,ポイント事業1年目の効果検証を行ったところであり,その中では事業による参加者の社会参加や健康づくり,介護予防などへの効果が認められました。現状では,交通費助成を受けている方が多くなっていますが,こうした効果を多くの高齢者に波及させるためにも,今後さらにポイント事業への参加促進を図っていく必要があると考えています。
効果検証では,身体的状況を分析する必要があるものの,参加が困難な方が一定程度おられることも認められたことから,交通費助成からポイント事業への移行を確実かつ着実に行っていきたいと考えております。
次に,交通費助成を廃止するのではなく,その制度を拡充することこそ検討すべきとの御質問についてです。
現行の交通費助成の制度を買い物,通院でも利用できるものにすることについては,この制度本来の目的に沿ったものではないことから,制度拡充ではなく,制度創設として,また,少子高齢化の一層の進展が見込まれる中での必要性や費用対効果といった観点に立って,慎重に判断する必要があると考えています。
以上でございます。
○山田春男 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 学校給食の見直しについてお答えをいたします。
まず,経費削減を理由に,民間の大規模センター化を目指すのでなく,多くの面でまさっている自校調理方式の拡大を進めるべきではないかという御質問についてです。
平成29年4月に開設した民設民営の五日市地区学校給食センターの給食提供状況を確認したところで申し上げますと,まず,衛生管理状況については,当該センターはHACCP支援法の認定を受けており,極めて高度な衛生管理体制が整備できているという第三者機関からの評価を受けております。
また,御指摘のあった温かくておいしい給食の提供という面で申し上げますと,同センターは二重食缶により自校調理校と同様,温かいものを温かい状態で子供たちに提供しているほか,昨年11月に実施した同センターの独自献立では,児童生徒からのおいしいとの声が多く上がるとともに,残食が減少しているところです。
さらに,食物アレルギー対応については,栄養士資格を有する者が細心の注意を払って行っていると承知をしております。
また,本市における給食の自校調理方式については,小・中学校合わせ120ある調理場の約4割が建築後40年以上経過し,老朽化が進んでいることから,今後,改修,建てかえ等が必要になるだけでなく,衛生管理体制や暑さ対策のための環境整備も必要になり,多大な財政負担が課題になってまいります。
こうした状況を踏まえるならば,市全体の給食の提供体制を考えていくに当たっては,デリバリー給食において十分な対応ができていなかった食育の充実や,おいしい給食の提供,老朽化する自校調理場への対応,より安全で,より効率的かつ持続可能な提供体制の構築といったさまざまな課題をトータルで解決することを目指していく必要があると考えております。
次に,提供体制の見直しは,児童生徒,保護者,栄養教諭など,専門家を交えた検討会議で議論されるべきではないかという御質問についてです。
このたび学校給食の提供体制のあり方を検討するに当たっては,御指摘のあったような検討会を設置するまでもなく,本年1月に食に関するアンケート調査を実施し,児童生徒,保護者及び教職員,約2万2000人から現在の給食内容に対する評価や,学校給食で重視または期待する点などについて聞いております。
また,民設民営の学校給食センターの衛生管理状況等を検証する際にも,食品安全・食品衛生全般に知見を有する方の意見を聞くなど,必要に応じ,専門家の意見を取り入れて検討を進めているところでございます。
次に,
放課後児童クラブについてお答えをいたします。
まず,子供の安全な保育を保証するためにも,現行の児童福祉法で定められた指導員の資格要件や常時2人以上という配置基準は守るべきだと考えるがどうか。また,今より配置基準が引き下げられることになれば,ますます指導員の確保は困難になるという認識はないのかということにお答えをいたします。
放課後児童クラブの指導員については,現在,国の,従うべき基準において,1クラス当たり2人以上配置し,うち1人は保育士や教員などの一定の資格等を有する者を充てることとされています。
これに対して,本市が運営する
放課後児童クラブでは,1クラス当たり2人の有資格者を配置し,さらに出席児童数が多い場合や配慮を要する児童が在籍している場合などには,必要に応じて臨時指導員を加配し,
放課後児童クラブが安全・安心な居場所となるよう努めてきました。本市としては,来年4月から施行される児童福祉法の改正を踏まえつつ,安全・安心の確保に配慮し,他都市の動向も注視しながら適切に対応していきたいと考えております。
最後に,今年度,指導員の募集状況と欠員状態のまま新年度を迎えたクラブは幾つあるか,今後どう対応するかという御質問についてです。
今年度,4月採用の試験については,募集90人に対して51人の応募がありましたが,受験辞退等もあり,合格者は41人でした。この状況を受けて,定年退職者のうち希望者24人を再び採用するなど,正規指導員の確保に努めましたが,その後,採用辞退などもあったため,結果として年度当初には31のクラブで各1人の欠員が生じました。この正規指導員の欠員については,臨時指導員を配置して対応するとともに,直ちに追加の採用試験を実施して,6月1日付で11人を採用し,現在,今年度2回目の採用試験を実施しているところです。引き続き,正規指導員の欠員を早期に解消するため,必要に応じて追加の採用試験を実施することにしており,その際には,より多くの方々に応募していただけるよう,市の広報紙や民間求人誌,カラー刷りのチラシなどによる広報に加え,大学のキャリアセンターとの連携強化などにも取り組むことで,人材の確保に努めてまいります。
さらに,来年度から
会計年度任用職員制度が導入され,これに伴って指導員の処遇改善が図られます。このため,指導員募集に当たっては,その旨を十分周知し,人材確保につなげていきたいと考えております。
以上でございます。
○山田春男 議長 36番藤井敏子議員。
◆36番(藤井敏子議員) どうも,答弁いただきました。三つの項目だけ,少し要望も含めて言わさせていただきます。
高齢者公共交通機関利用助成制度については,ポイント制に移行をもっとさせるというような話がありました。でも一方では新しい制度の創設も検討していくいうような答弁もありました。やはり今,高齢者の交通事故,車の交通事故が社会問題にもなっていますけれども,こうした制度っていうのがあれば車の免許証を自主的に返納する人もふやすことにもつながると思うんです。社会参加を進める,こういうポイント事業とは別に,やっぱりきちっとした,自由に使える,買い物するのにでも可能というのを,これはぜひ検討を進めていただきたいということを要望しておきます。
それと,学校給食の見直しですけども,今の五日市のセンターが安全面ですばらしいということは以前から言われております。ですけれども,相対的にきちっと自校調理の給食の利点もあわせて,ちゃんときちっとした検討をしてもらわないと,それがいいから全てそうするっていうのは,私たち市民としては納得できないということを言いたいんです。
それで,アンケートも行ったというのも聞いてます。その中身も聞きました。でも,そのアンケート自体も,児童生徒,保護者,先生へのアンケートですけども,自校調理の給食がいいかどうかという,そういう選択肢にはなっておりませんでした。そういった点では,これはそういう,だけで聞いたとか,そういうふうには言えないと思うんです。
それともう一つ,建てかえも言われますけども,建てかえに費用がかかるとか,それは当然学校自体が40年以上になれば建てかえは必要であるし,それは当然予想されることです。給食室だけでなく,学校全体もきちっと一緒に建てかえて自校調理をやっていくという,こういう方針も持つべきだと私は主張しています。これはまた委員会で引き続いてやります。
最後に,被災者支援についてですけれども,この答弁,国に延長を求めないということを言われたわけですけれども,私は本当にこういうことを市が判断して勝手に言えたのかというのがとても冷たいなというふうに思っています。熊本でも被災者の方,直接地震で亡くなった方が50名ですけども,その後,災害関連死の方が200人を超える4倍だとも言われています。避難生活をしている人たちのストレス,心労,過労,これがいかにひどいかということにもあらわれていると思うんです。何とか1年間,医療費を払わずに,どうしても必要な人が受けれてきたというのは,本当にこの命を守ってきたわけですから,今切る理由が本当にあるんでしょうかね。まだ2年たってもいない,もとにも戻れない,いまだにそういう仮住宅でまだ1年過ごすわけですから,最低でもそこの間はしっかりと医療費も補助をするという,助成を国がするということを言ってるわけですから,まず要望を出すことを,この被災地が言わなければ国は動かないのは当然なんですね。そういう点では,私,最後,もう一回これ聞きますけど,県に対して要望があることを伝え,延長するよう,まあ,求めないと言われたんですけども,これは,この結論は被災者の健康調査とか声を聞いた上の結論だったのかどうか,このことを1点お伺いします。
○山田春男 議長
健康福祉局長。
◎古川智之
健康福祉局長 先ほど御答弁いたしましたように,この減免という制度につきまして一時的な救済制度であり,また,例えば広島市でも8.20の豪雨災害のときに同じ期間減免をしていたというような,こういうバランスもございます。
そもそも国の財源等を活用して,基本となる被災者支援のベースとなる仕組みを構えてるということでございまして,この制度の問題として,これまでの災害のバランス,災害の被災者支援のバランスを考慮して,この期間を判断していくということについては妥当性があるというふうに理解をしておりまして,こういう国の期間は既に1年ということで,再度の延長を行わない旨の通知があったということで,このことについてはやむを得ないものと本市としては判断しております。
以上でございます。
○山田春男 議長 36番藤井議員。
◆36番(藤井敏子議員) それは市の内部で判断をされて,聞いてないいうことですよね,被災者の状況は。被災者健康調査をいつするんかと聞いたら,まだ今からするということを言われました。でも,8.20のときにも被災者の健康調査を1年後にやってますよね。それを見ても,1年たっても健康不安ということを言われている方が,普通よりも多いということを結論で出されているんですよね。こういうことをやってきたからこそ,この広島県に対しても,広島市としてもやはり延長は必要ではないかと,こういうことを被災者の立場に立ったら要望するべきだったと思うわけです。
それで,今,広島県に聞いたら,自治体が要望出せば国に言いますと,こういうことも検討すると言われているんです。三原市も出されていますし,今,坂町なども検討されてます。広島市も一番被害も多いし,この利用者,この制度を利用できた人たちも400人を超えていると言われていますから,やはりこれをもう一度,再度県に要望していくよう求めますが,再度聞いても同じようであれば要りませんけれども,要望して終わります。
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休憩宣告
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○山田春男 議長 この際,暫時休憩をいたします。
午後0時15分休憩
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午後1時16分開議
出席議員 47名
欠席議員 7名
○八條範彦 副議長 出席議員47名であります。
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開議宣告
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○八條範彦 副議長 休憩前に引き続き会議を開き,市長の施政方針に対する質疑及び一般質問を行います。
17番山路英男議員。
〔17番山路英男議員登壇〕(拍手)
◆17番(山路英男議員) 皆様,お疲れさまでございます。自由民主党・市民クラブの山路英男でございます。会派を代表して一般質問させていただきますので,しばらく御清聴のほどよろしくお願いいたします。
まず最初に,昨夜発生いたしました山形県沖を震源とする地震により被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
それでは,質問に移ります。幼児教育と保育の充実について質問させていただきます。
昨年9月の第4回定例会において,我が会派の海徳議員が幼児教育の充実についてお尋ねしたところ,私立,公立を問わず,本市全体の幼児教育・保育の質の向上を図ることが重要であるとの答弁をいただいております。そして,本年4月にはこうした取り組みを牽引するものとして,乳幼児教育保育支援センターが設置され,幼児教育・保育にかかわる調査研究や啓発活動,人材育成などを行うとともに,幼稚園,保育園,認定こども園等を訪問し,幼児教育・保育の内容や幼稚園教諭,保育士等の育成などについてアドバイスを行う乳幼児教育保育アドバイザーが配置されています。
私は,この中でもアドバイザーの活用に大きな期待を寄せています。幼児教育や保育に関する豊富な経験や専門的な知見を持つアドバイザーが,園の実態に応じたアドバイスを行うことにより,園の先生方がその内容に基づき自信を持って業務を行うことや,円滑な園運営につながるものと考えています。そして,それは近年増加する私立保育園等全体のレベルアップにつながると思います。さらに,こうしたアドバイザーの活用により,発達障害のある子供などに対し,就学前の早い段階で適切な支援につなげる体制を構築することも可能になると考えています。
そこでお尋ねいたします。幼児教育保育アドバイザーを配置した乳幼児教育保育支援センターを活用して,今後どのように幼児教育と保育の質の向上を図っていこうとしているのかお答えください。
現在,広島市内には,公立幼稚園が19園,私立幼稚園が67園あり,公立保育園が88園,私立保育園が102園あるとのことです。そのほか,認定こども園は公立が1園,私立が37園ですが,既存の私立幼稚園等が認定こども園に移行する事例も増加していると聞いてます。
近年,女性の社会進出などを背景に,本市の保育需要は増加し続けており,今年度も待機児童の解消に向けて保育園を新たに整備される予定ですが,一方で,広島市の5歳以下の乳幼児の人口そのものは,既に減少し始めており,今後の人口推計を見ても,近い将来,保育需要が頭打ちから減少に転ずることは避けて通れないと思います。
そこでお尋ねいたします。私は,今こそ乳幼児の減少を見据えた長期的な視点に立って,公立,私立,幼稚園,保育園といった枠組みを超えて,全体として効果・効率性の高い幼児教育・保育の提供体制を考えるべき時期に差しかかっているのではないかと思いますが,市はどのように考えておられるのか,お尋ねいたします。
次に,市長がおっしゃっている経営改革の観点からすれば,幼児教育・保育全体の提供体制を考えるに当たっては,市民に対する量的・質的サービスの充実を図ることを中心としつつ,経費面でも削減を図っていくという一石三鳥の立場を目指すべきであると考えます。
ここで私の持論を申し上げますが,近年,保育需要増の受け皿として中心的な役割を担ってきたのは私立保育園です。平成20年には公立90園,私立71園であったものが,現在は公立88園,私立102園となっており,もはや民間なくして本市の保育需要を賄うことはできません。また,提供されている保育サービスの内容を見てみますと,例えば,保育園における延長保育については,公立では4割の36園で実施していますが,延長時間は1時間までと限られています。
一方,私立ではほとんどの園が延長保育を実施し,公立では行っていない2時間以上の延長を行っている園も32園あります。このほかにも,私立においては,公立では行っていない入園児以外の一時預かり,御飯やパンといった主食の提供など,保護者のニーズに沿って多様なサービスが提供されており,量的な面だけではなく,サービスの面においても私立保育園は大きな役割を担っています。私は,こういう実績から見て,今後は保育サービスの中心的な役割は私立に担ってもらうべきではないかと考えています。そして,それにより,市の財政にとっても大きな改善効果が期待できると思います。
その一方で,公立は,例えばこども療育センターへの派遣等を通じて,障害児保育等の専門知識やノウハウを身につけた保育士がいることを生かして,各区において,特に専門的な支援が必要な乳幼児の受け入れを行ったり,私立の進出が見込めない中山間地域における乳幼児の受け入れを行うなど,地域のセーフティーネットとして担うべき役割を絞った上で存続し,それぞれの長所を生かした役割分担をしていくことが必要ではないでしょうか。
また,全市的に幼児教育と保育の質の向上を図っていく上でも,例えば,先ほどの乳幼児教育保育支援センターだけではなく,各区において幼稚園,保育園等を指導・支援する体制を構築するといった役割も公立が担っていくべきではないかと思います。
そこでお尋ねいたします。幼児教育・保育の充実を効果的かつ効率的に図るためには,公立と私立の役割分担を進めていく必要があると考えますがいかがでしょうか。また,その中では当然,ことし2月の包括外部監査の報告でも触れられていました公立保育園の民間移管を進めていくべきだと考えますがいかがでしょうか,お答えください。
次に,学校給食について質問させていただきます。
広島市の中学校給食は,学校内の調理場で調理するもの,給食センターで調理し配送するもの,民間の弁当工場で調理し配送するもの,いわゆるデリバリー給食の3通りの方式で提供されています。この経緯を少し調べてみたところ,広島市の中学校給食は,もともと広域合併に伴い,旧町村時代の給食調理施設を引き継いだ地域だけで実施されていたものが,社会情勢の変化に伴い,未実施の地域において,給食を求める保護者の声が徐々に大きくなったことを受け,家庭からの弁当持参にこだわる保護者はいたものの,経費面の問題などを総合的に勘案して,弁当との選択制によるデリバリー方式が導入され,現在の提供体制に至っているということでした。
こうして始まったデリバリー給食ですが,現在,この給食について,保護者等からさまざまな声が上がっていると聞いています。新聞報道等では,冷たいとかおいしくないという意見があるとのことであり,実際,デリバリー給食は導入時には約80%あった申込率が,現在では約35%まで下がってきていると聞いております。
その背景として,共働きの世帯がふえ,各家庭における弁当づくりの負担がより大きくなっている中で,給食を求める声はありながらも,食生活を取り巻く環境の変化などに伴い,おいしさ,量といった給食内容に対する子供の嗜好や保護者の要求レベルが高度化してきていることがあるのではないかと考えています。
また,過去の経緯があるからというものの,市内の中学校がデリバリー給食と食缶方式に分かれ,温かい給食を食べられる生徒と,そうでない生徒がいるのも問題だと思います。
そこでお尋ねいたします。デリバリー方式について,現在,子供や保護者からどのような声が上がっているのでしょうか。また,市としてどのような受けとめをしているのでしょうか,お答えください。
私は,中学生全員が温かい給食を食べられるようにすることを第一に考えていく必要があると考えています。デリバリー給食については,その導入を決定した当時は,増加する給食を調理するために,新たな給食施設を整備しようとすると費用が膨大になるなど,経費面での課題があったために,民間の施設を活用する方式であるデリバリー給食になったと受けとめています。したがって,デリバリー給食を解消していくためには,そのための整備費用をいかに捻出するかが大きな課題です。
一方で,小学校給食も含めた学校給食の提供体制を見ると,自校調理場での提供が大半を占めていますが,その多くは老朽化しており,近々建てかえ等が必要となります。私はこうしたハード整備のための経費面での課題について,昨年9月議会で,我が会派の宮崎議員が提案しましたように,民設民営の給食センターを中心とした提供体制に切りかえていくならば,そのことで現在の給食にかかわる経費の水準を維持しつつ,デリバリー給食の解消に必要な調理場の整備を進めることができるのではないかと考えます。
その民設民営の五日市地区学校給食センターについては,3月の文教委員会において大規模センターならではの調理機器を使用した独自献立の満足度が高かったとの報告がありましたが,私自身,本市の給食では初めてという豚肉のショウガ焼きを試食し,大変おいしいと思ったことを覚えています。
また,衛生管理についても,私が衛生管理システムやペストコントロールなどの食の安全にもかかわる仕事をしていることもあり,HACCP支援法の認定を受けているこのセンターについて,当初から安全面での取り組みに注目しておりました。文教委員会で,第三者機関からお墨つきを得たと報告がありましたが,私自身も実際に調理場内を視察させてもらう中で,安全で安心な給食を提供するために,まさに万全の体制で調理が行われていることを実感したところでございます。
少子高齢化と人口減少が進む中,市民サービスの充実とコスト削減の両立は避けて通れない課題であり,その課題解決のための方策として,この民設民営の給食センターのように,民でできるものや民で行うほうが効果的なものは民に任せていくことが必要ではないかと考えております。
一方で,デリバリー給食をやめるということになると,現在,デリバリー給食を提供いただいている業者の方たちとの調整が必要になると思います。また,民設民営のセンターの立ち上げの際には,従前のパン供給業者と調整がつかず,1年間,冷凍パンを子供たちに提供せざるを得ないという事態が生じたほか,当該センターの運営事業者が野菜等を独自に調達することについて,市場関係者から強い不満の声が上がったとも聞いており,このたび提供体制を見直すとした場合に,再び同様の事態が起こりかねないかと危惧しております。さらに,このように給食提供体制の大きな見直しに当たっては,食育の充実ということをベースに置いた上で進めていかなければならないと思います。
そこでお尋ねいたします。市は今後,どのような給食の提供体制を目指していくお考えでしょうか。また,その見直しに当たって,これまで学校給食の運営に協力して来られた関係者に及ぼす影響をどのように認識し,今後どのように進めていこうとされているのかお答えください。そして,その中でいかに食育の充実を図っていくお考えなのかもあわせてお答えください。
いずれにしても,食育の充実は極めて重要な課題であり,それを実現していくという観点に立って,全ての児童生徒に等しく安全でおいしい給食を提供し,心身の成長を促すとともに,その子供たちが生涯にわたって健全な食生活を送るために必要な資質・能力を育むことができる体制を構築できるよう,ぜひとも早急に見直しに向けた検討を進めていただくことをお願いしたいと思います。
また,市が検討を進めるに当たっては,途中段階で市議会に情報提供をいただき,我々の意見なども取り入れていただきながら進めていただくようお願いいたしまして,学校給食に関する質問を終わります。
次に,
放課後児童クラブについて質問させていただきます。
御承知のとおり,
放課後児童クラブは,保護者が就労などで昼間家庭にいない小学生のために,放課後や夏休み,冬休み等長期休業期間などの居場所として開設されているものです。授業のある日は放課後から18時半まで,長期休業日は8時半から18時半までが
放課後児童クラブが利用できる基本的な時間,いわゆる基本時間となっており,無料で利用することができます。
さて,近年の少子化の流れの中で,本市でも小学校の児童数は横ばいで推移しておりますが,
放課後児童クラブを利用する児童の数は,女性の就業率の増加や,従来3年生までだった
放課後児童クラブの対象学年が平成27年度に6年生までに拡大されたことなどを受け,毎年1,000人規模で増加しており,本年度の5月1日時点では1万1599人となり,過去最高の利用者数と聞いております。
こうした中,本市では,昨年7月から希望者を対象として長期休業中の朝の開設時間の延長サービスを有料で実施しています。これは有料でもよいから実施してほしいという保護者ニーズが高かったことを受けて開始したそうですが,この利用状況はどのようになっているのか,また,利用している保護者からはどういう声が上がっているのかお答えください。
放課後児童クラブについては,設備運営基準を定めた基準条例の来年度からの本則適用に向け,主に量の面での受け入れ体制の充実に努めていると聞いていますが,これだけ利用者が増加していることからすれば,これからは質の面にも目を向け,サービス向上を図っていく段階なのではないかと思います。
このたびの延長サービスでも見られたように,多少の利用者負担をしてもサービス向上を求める方は保護者の中にもふえてきているのではないでしょうか。一方,
放課後児童クラブの利用者の増加に伴い,事業運営に要する経費も増加しており,決算額で見ると,平成25年度から平成29年度の4年間で約2倍になっています。国の考え方によれば,
放課後児童クラブの運営費については,本来その2分の1を利用者が負担し,残りを国,県,市で3分の1ずつ負担することが基本となっておりますが,本市では利用者に負担を求めていないことから,その分,市の単独の持ち出しとなっており,財政負担が非常に大きくなっています。
こうしたことを踏まえれば,今後は行政経営の視点に立ち,保護者のニーズに応えてサービス向上を図るとともに,この事業が将来にわたって安定的,継続的に運営可能となるように,あるべき全体像を念頭に置きながら見直しを行っていく必要があると考えます。
具体的には,
放課後児童クラブについては保護者のニーズを十分把握した上で,満足度がさらに高まるようなサービス向上策を検討すべきであり,その際,現在無料となっている基本時間部分についても,受益者負担の考え方に立ち,利用者に対して負担を求めることも検討すべきであると思います。
そこでお尋ねいたします。昨年から開始した有料の延長サービスの例を踏まえれば,サービス向上を図りつつ,一定の利用者負担を求めることについては,保護者の理解は得られるのではないかと考えますが,市の見解をお答えください。
なお,広島市では,
放課後児童クラブの利用者の増加に対応するため,小学校の余裕教室の活用や校庭等へのプレハブ整備による市直営での対応に加え,民間事業者の活用などさまざまな手法を組み合わせて
放課後児童クラブのクラス増を行っていると聞いています。このうち,全体のクラス数の15%強を占めている民間事業者は,市直営のクラブでは閉会日となっている第2土曜日の開会や平日の開設時間の延長などのほか,民間ならではのノウハウを生かした体験活動を実施するなど,特色のある運営を行っているところもあるそうです。このように,民間事業者であれば市直営のクラブよりもさらに柔軟な運営ができ,利用する児童や保護者にとってもメリットは大きいのではないでしょうか。
そこでお尋ねいたします。今後クラスをふやしていく場合には,民間事業者を一層活用していくべきだと思いますがいかがでしょうか,お答えください。
最後に,8050問題について質問させていただきます。
2020といえば,2020年のオリンピックということは皆さんすぐに思い浮かぶと思います。では,8020運動は聞いたことがありますでしょうか。これは,80歳になっても20本以上,自分の歯を保とうという運動です。そして,今回質問する8050問題とはどういう問題のことでしょうか。それは,ひきこもりの子を持つ親が高齢化し,親が80代で50代の子供の生活を支えており,こうした家庭が社会から孤立し,生活も困窮しているケースが多くなっていることをいい,大きな社会問題となっています。
その背景にあるのは,子のひきこもりです。ひきこもりは社会的つながりの弱さがもたらす問題であり,社会全体の問題です。本人のせいでもなく,家族のせいでもありません。本人の自助努力で解決することは困難であり,家族や職場,地域社会の変化がこの問題を増加させていることを考えると,社会の責任において取り組むべき課題であると捉えるべきだと私は思います。
これまで内閣府はひきこもりは若年層の問題として捉え,平成21年度と27年度に15歳から39歳を対象に調査を行い,それぞれ69.6万人,54.1万人と推計しました。しかし,ひきこもりの問題が顕在化した1980年代から90年代にかけてひきこもりとなった若者がそのまま社会に出ることができず,それから30年経過した現在,子供が40代,50代に親が70代,80代となり,親子が社会的に孤立し,生活困窮となるなど,深刻な社会問題となっています。このようなことから,平成30年12月,内閣府はひきこもりの長期化による全体像を把握するため,初めて40歳以上の調査を行い,40歳から64歳までの中高年のひきこもりが61万3000人との推計結果を発表され,若年層と合わせると約115万人となることがわかりました。
今回,内閣府の調査結果は出ましたが,これは単なる推計であり,ひきこもり家庭の実態を確実に把握するものではありません。といいますのも,ひきこもりの家庭では親が子育てに責任を感じて引きこもる子の存在を隠したり,子の問題を個人や家庭の道徳的な問題だと捉えている社会風潮もあることから,当事者は声を上げにくい状況に置かれ,問題が潜在化し,支援ニーズをキャッチすること自体が困難になっています。
例えば,自身の介護が必要になるなど必要に迫られ,初めてひきこもりの子供の相談に来るケースや,介護が必要な高齢者宅をケアマネジャーが訪問したら無職の中年の子供が一緒に暮らしていたなど,中高年のひきこもりの実態が見えにくいのがわかります。
また,ひきこもりが長引いている家庭は,親や本人の行き詰まり感は尋常ではなく,腫れ物にさわるような問題や他人に知られたくない問題を表沙汰にしたくないと思われても当然のことと思います。さらに,親子が同居していると,単身者と違って家族がいるから安心と周りから誤解され,地域の見守りの対象にもならないケースもあります。これらのことからもわかるように,ひきこもりの長期化により,問題も深刻化,多様化,複合化し,さらに潜在化することで,行政の支援から遠ざかっています。
これらの問題を解決するためには,まずは本市においてもひきこもりの人数など実態調査をしなければいけないと思いますが,どのようにお考えかお答えください。
ちなみに中国地方では,島根県が平成25年度に40歳以上の方を含めて,鳥取県が平成30年度に59歳以下の方までと,年長者も含めた実態調査を行っていることから,本市においても年長者を含めた実態調査を早急に実施すべきだと思います。仮に実態調査を実施したとしても,相談窓口にもたどり着けない人や家庭が確実にいらっしゃいますので,その掘り起こしや訪問活動を通じた見守り,ひきこもりに対しての理解や普及啓発の活動が重要だと考えます。
まずは,その一つの対策として,ひきこもりの理解と普及啓発活動の一環としてサポーター制度を創設し,地域でひきこもりサポーターの養成講座などを実施してはどうかと思いますが,いかがお考えかお答えください。
また,仮に勇気を出して相談に行っても,暴力を振るわれるのはあなたにも原因があるのではないかとか,選ばなければ仕事は幾らでもあるのではないかなど,当事者にとっては日常の中での裁きとも受け取れるような対応に落胆し,結局,相談・支援から遠ざかり,継続支援につながらないケースもあるようです。
広島市も広島ひきこもり相談支援センターを設置していますが,ここでの相談実績を見てみますと,平成28年度から30年度の相談実人数の平均は359人となっており,また,そのうち新規の相談者数の平均は約254人で,相談者数の中の新規相談者数の割合は約70%となっています。この数値が意味するところは,継続して相談に来られていないということではないでしょうか。また,相談者の年齢構成を見ましても,内閣府が調査した結果と大分相違があり,中高年のひきこもり状態の方への支援が十分なされていないことがわかります。
そこでお尋ねいたします。これらのことから,ワンストップでの包括的な支援体制,言いかえれば1人の相談者に1人の専門的知識を持った担当者がつき,各種機関への連絡や連携など相談しやすい環境や継続的な支援をできる環境をつくる必要があります。また,相談者数自体も少ないように思いますが,どのようにお考えかお答えください。
次に,川崎市が2018年度に行ったひきこもりの調査では,どこかの時点で不登校を経験された方が半数以上との調査結果や,厚労省のひきこもり地域支援センター設置運営事業に関する報告でも,ひきこもり状態にある本人のほぼ半数は不登校歴があると書かれています。不登校歴のある生徒の中には高校に進学しない生徒もいると思いますが,進学しても何らかの理由で退学する生徒もいると思います。そのような生徒が再度チャレンジするために通うのが通信制高校です。
本市においては,広島県立西高等学校が,これまで公立の高校としてその役割を担ってきましたが,平成30年4月に開校した広島市立広島みらい創生高等学校がその役割を引き継いでいます。文部科学省初等中等教育局児童生徒課が行った調査では,平成29年度の全国の通信制高校の中途退学者は8,814人,中途退学率は4.9%であり,広島県内の公立の通信制高校の中途退学者は50人,中途退学率は2.5%であると報告されています。ある調査結果の中に書かれていましたが,ひきこもりから抜け出された理由として,高校を卒業して自信がついたというケースがある一方で,ひきこもりになったきっかけとして,高校中退というケースも多くありました。
そこでお尋ねいたします。こうしたことから,通信制課程を設置している広島みらい創生高等学校の役割として,入学してきた生徒はできる限り卒業させて自信をつけさせることが必要だと思いますが,どのようにお考えかお答えください。また,卒業に向けてどのように指導や支援をしているのかお答えください。
次に,ひきこもり地域支援センター設置運営事業に関する報告には,高校,専門学校,大学などの離学者や卒業生に対する継続的な支援が必要であるとまとめられていますので,卒業後も引き続き悩んだり困ったことがある場合,気軽に相談できるようにすることが必要です。広島みらい創生高等学校は開校して2年目であり,まだ卒業生はいませんが,履修によっては3年で卒業が可能であると聞いており,今のうちから卒業後も引き続き相談できる体制を構築しておく必要があるのではないでしょうか,どのような体制をとっているのかお答えください。
また,私立の通信制高校も含め,ひきこもりがちな生徒や卒業生が悩みを相談し,支援も受けることができるような体制づくりが必要と考えますがどうでしょうか,あわせてお答えください。
最後に,内閣府の調査にもありましたが,40歳から64歳までのひきこもり状態の方のうち,8.5%が生活保護で生計を立てられていると回答されています。一方,ひきこもり状態以外の方の生活保護受給率は0.7%ですから,ひきこもり状態の方の生活保護受給率は一般の方の約12倍に上ります。また,今後,親の年金を頼りに暮らしている方が,親が亡くなり,収入が途絶えると生活保護受給者に移行することが予想されます。ひきこもりの人を個人や家庭の問題として放っておけば,福祉など社会保障費の増大につながる可能性があることから,その対策を早急に実施する必要があると思います。今後のひきこもり対策のスケジュールの見通しをお答えください。
以上で終わります。ありがとうございます。(拍手)
○八條範彦 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 山路議員からの御質問にお答えします。
幼児教育と保育の充実についてのうち,将来を見据えた提供体制と公立・私立の役割分担についての御質問がございました。
本市における幼稚園と保育園のあり方については,それぞれに将来的な地域ごとの園児数の見通しや公立施設の老朽化等を踏まえ,公立幼稚園については,一部の園を閉鎖・統合することとし,一方,公立保育園については,保育ニーズへの柔軟な対応も考慮し,一部民間移管することを基本方針として取り組んでまいりました。
こうした中,議員御指摘のとおり,急増する待機児童の解消に向けた量的な拡充と多様な保育ニーズへの対応が急務となってきたことから,国においては,幼児教育・保育を一体的に捉えて,質の向上を図るために子ども・子育て支援新制度が開始されるなど,幼児教育・保育をめぐる諸課題が大きく変わってまいりました。
私としては,このような経緯等を前提としつつ,近い将来,保育需要が減少するようになったとしても,その質については保護者のニーズに的確に応えられるものにしていく必要があると考えております。
また,その際には,公立幼稚園・保育園ともに,今後,更新時期が次々に到来することを踏まえ,公立であるか私立であるかを問うことなく,保護者のニーズに柔軟に応えつつ,効率的に運用できるようにしていく必要があると考えます。そのために,これまでのように幼稚園と保育園を別々に考えるのではなく,いわば全体最適という視点に立って,我が市における幼児教育・保育の持続的な提供体制を再構築していく必要があるとも考えております。
このため,今後,保護者のニーズ把握や私立幼稚園・保育園の運営者,さらには有識者からの意見聴取なども行いながら,幼児教育・保育の充実に向けての長期的なビジョンを策定していきたいと思います。
なお,そのビジョンの策定に当たっては,公立保育園の民間移管等も含め,改めて公立と私立の担うべき役割についての整理を行っていくことになると考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○八條範彦 副議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 幼児教育と保育の充実についてお答えをいたします。
まず,アドバイザーを配置した乳幼児教育保育支援センターを活用し,今後どのように幼児教育と保育の質の向上を図っていくのかという御質問についてです。
本市では,幼児教育・保育の一体的な質の向上を図るため,平成28年度から文部科学省の委託を受け,幼稚園,保育園,認定こども園等を訪問し,各園の実情に応じた支援を行う幼児教育アドバイザーの活用などについて調査研究を行ってまいりました。このアドバイザーを派遣した園等からは,教育・保育に関する知識・技術の理解が深まった,園運営の参考になった,家庭教育の重要性が理解できたなど,高い評価を受けたことから,引き続きその充実を図っていく必要があると考えております。
こうしたことを踏まえ,本年4月に設置した乳幼児教育保育支援センターでは,豊富な経験や知識を持つ元公立幼稚園長,元公立保育園長,大学の教員,公認心理師など,24名を乳幼児教育保育アドバイザーとして委嘱し,各園等の抱えている課題解決に向けた支援や保護者の子育てに対する助言などを行っております。
また,特別な支援が必要となる子供に係る関係機関との連携,調整等についても,支援センターの重要な業務であると考えており,引き続き各園の情報をもとにアドバイザー等の活用,こども療育センター等へのつなぎ方などについて検討を進めてまいります。さらには,小学校との円滑な接続に向けたカリキュラムや教材の研究開発,教育・保育の現場における実践の好事例の収集及び普及啓発などに取り組んでまいります。
今後とも,こうした支援センターの機能を最大限活用して,全ての幼稚園,保育園,認定こども園等において,広島の子供たちが質の高い幼児教育・保育を受けられるよう努めてまいります。
次に,デリバリー給食の改善と学校給食の民営化について何点かお答えをいたします。
まず,デリバリー方式について,子供や保護者からどのような声が上がっているのか,市としてどのように受けとめているのかという御質問についてです。
教育委員会では,本年1月に小・中学校の児童生徒,保護者等を対象に,食に関するアンケートを実施し,約2万2000人から回答をいただいたところです。これによりますと,デリバリー受配校における給食の味,温度,献立の評価は,保温が可能な食缶方式による自校調理校や給食センター受配校の評価に比べて低く,特に温度については,よくないと答えた生徒の割合が57%と,自校調理校,給食センター受配校が10%以下であるのに対し,著しく低い評価になっております。また,デリバリー受配校では,教員から食育における役割を果たせていないとの指摘も多くなっています。希望する給食の提供方式については,保護者では,食缶方式が87%,デリバリー方式が5%となっており,食缶方式を選んだ理由として,温かくておいしい給食を食べさせたいからが最も多く,次に多彩な献立が提供され,適切な栄養摂取ができるからが多いという結果でした。
これに対し,児童生徒では,食缶方式が40%,デリバリー方式が31%とデリバリー給食か持参弁当を選択できるデリバリー方式を望む声が一定程度あり,その理由としては,自分に合った味つけや量の弁当が持参できるからが最も多くなっております。
こうした状況からすれば,全ての中学生に対して適切な栄養摂取の必要性なども含めてた食育を行うため,子供たちの意見も取り入れながら,温かくておいしい成長期に必要な栄養摂取が可能な給食を提供していくことが重要であると考えており,そのような観点から,デリバリー方式から食缶方式への見直しについて検討する必要があると考えております。
次に,市は今後どのような給食の提供体制を目指していくのか,また,その見直しに当たって,これまで学校給食の運営に協力してこられた関係者に及ぼす影響をどのように認識し,今後どのように進めていこうとしているのか,その中でいかに食育の充実を図っていくのかという御質問についてです。
市全体の給食の提供体制を考えていくに当たっては,デリバリー給食において十分な対応ができていなかった食育の充実や,おいしい給食の提供,より安全で効率的かつ持続可能な提供体制の構築,老朽化する自校調理場・給食センターへの対応といったさまざまな課題をトータルで解決することを目指していきたいと考えております。その際,議員の御提案のとおり,民設民営の給食センターを中心とした提供体制への転換は有力な選択肢になると考えております。
こうした考えに基づいて現行の提供体制を見直すことになれば,議員も懸念されるように,デリバリー給食の調理業者のほか,米飯やパンなど,主食の供給業者や野菜等の調達にかかわる市場関係者などにも影響する可能性があります。これらの関係団体の方々については,本市の給食の安定的な提供に御尽力いただいたことや,全ての提供体制を見直すにはかなりの期間を要することなどを踏まえ,見直しに当たっては丁寧に協議・調整を進めていく必要があると考えています。その上で,学校給食の提供体制にかかわる方針を検討していきたいと考えております。
次に,食育に関してですが,栄養摂取の偏りや朝食欠食といった食習慣の乱れなどが,子供たちの心身の健康に大きな影響を及ぼしている中,食に関する知識や食を選択する力などを育む食育はますます重要性を増しております。このため,全ての学校において給食を活用して子供たちに望ましい栄養バランスについて指導するとともに,家庭に対しては,献立を通してさまざまな食品の効能や望ましい食習慣などの情報を発信することにより,子供たちの食生活を確かなものとしていくことが必要です。
こうしたことから,学校給食の提供体制の検討にあわせ,全ての学校の食育を充実していけるような方策についても検討していきたいと考えております。
次に,
放課後児童クラブのサービスの向上と基本料金の有料化についてです。
長期休業中の朝の延長サービスの利用状況はどうか,また,利用している保護者からはどういう声が上がっているかという点についてお答えいたします。
本市では,昨年7月から市直営の全ての
放課後児童クラブにおいて,希望者を対象に長期休業中の平日の朝8時から8時半まで,開設時間を延長するサービスを実施しています。昨年度の延長サービスの利用者は2,454人であり,市直営の
放課後児童クラブの利用者全体に占める割合は約26%でした。今年度の利用希望者は4月1日時点で既に3,324人と全体の約34%に達しており,これは前年度に比べ1.3倍以上の増加となっており,利用が進んでおります。
また,保護者からは,子供が家を出る時間がふだんと変わらないので助かっているなどの声が届いております。
それから,次に,現在無料となっている基本時間部分について,昨年から開始した有料の延長サービスの例を踏まえれば,サービス向上を図りつつ,一定の利用者負担を求めることについて,保護者の理解は得られるのではないかという御質問についてです。
本市では,保護者のニーズを把握した上で,
放課後児童クラブ事業における一層のサービス向上と利用者負担のあり方を検討するため,昨年11月に保護者アンケートを実施したところです。その結果,現在利用している
放課後児童クラブの満足度について,8割が肯定的な回答をしていますが,さらに9割近くが一層のサービス向上を求めていることが明らかになりました。
また,利用者負担の面では,約7割超がサービスの維持・向上のためには,一定の利用者負担もやむを得ないと考えている一方で,1割超はサービスの維持・向上に関係なく,利用者負担を求めるべきでないと考えていることがわかりました。
こうした結果を踏まえ,今後は,保護者のニーズに応えることで満足度がさらに高まるようなサービス向上策を検討する中で,経済的な理由で利用が困難になる世帯が生じないよう配慮しつつ,基本時間部分の利用者負担のあり方について検討していきたいと考えております。
最後に,今後クラスをふやしていく場合には,民間事業者を一層活用していくべきだと思うが,どうかという御質問についてです。
本市では,
放課後児童クラブのクラス増設に当たり,小学校の余裕教室を活用した市直営により対応することを優先し,これが困難な場合には民間事業者等により対応することにしているところです。
その理由としては,余裕教室の場合には利用する児童が放課後に学校外へ出ることなく移動できる安全上のメリットがあることや,実施場所を迅速に整備できること,さらには余裕教室を活用した市直営クラブと民間のクラブとで運営を比較した場合,現時点では市直営のほうがコストが低いことなどが挙げられます。
近年,学校によっては余裕教室の活用が困難なケースもあることから,クラス増設に当たっては,学区ごとの状況も踏まえつつ,運営コストについても勘案し,早期整備が可能な手法を採用していきたいと考えております。
以上でございます。
○八條範彦 副議長
健康福祉局長。
◎古川智之
健康福祉局長 8050問題についての4点の御質問にお答えいたします。
まず,ひきこもりの方の実態調査についてです。
ひきこもりは,その長期化により家族の自責の念が強まり,社会的に孤立することで,相談支援を受けることに消極的になる状況があります。こうした世帯を埋もれさせることなく支援につなげるためには,地域包括支援センターや民生委員・児童委員等の地域の支援の支援関係者からひきこもりの方がいる世帯の情報を収集することなどにより実態を把握し,相談機関等につなぐことが必要であり,まずは地域と連携した実態把握に取り組みたいと考えております。
次に,ひきこもりサポーター制度の創設等についての御質問でございます。
ひきこもりの問題を抱え,社会的に孤立している世帯をより多く相談支援につなげるためには,相談窓口や支援機関に関する情報をしっかり世帯に届けていく必要があると考えております。
議員御提案のひきこもりサポーター制度は,ひきこもりの相談支援に関心のある方に対して,ひきこもりに関する基本的な知識や支援方法等の検証を行った後に,ひきこもりサポーターとして登録して訪問相談への同行のほか,地域でのひきこもりに関する勉強会の開催等による普及啓発などを行うものです。
現在,本市では,広島ひきこもり相談支援センターにおいて,ホームページで相談窓口等に関する情報発信を行うとともに,区保健センター,社会福祉協議会等の窓口でチラシを配付していますが,ひきこもりサポーター制度を活用した地域での普及啓発などを含め,ひきこもり世帯に対し,より効果的に相談支援窓口等の情報を伝える方法等について検討したいと考えています。
次に,ひきこもりの方の相談しやすい環境や継続的な支援をできる環境づくりなどについての御質問がございました。
広島ひきこもり相談支援センターでは,1人の相談者に対して,臨床心理士,社会福祉士等の専門職を含む同一の相談員が継続的に対応しています。具体的には,2年から3年をかけて面接や訪問支援を繰り返し,悩みに寄り添いながら本人の状況に応じて精神保健,福祉,医療,就労などの支援を行う関係機関へのつなぎを行っています。また,支援が途切れた方に対しては,担当の相談員が定期的に声かけや訪問を実施し,継続的な支援につながるよう働きかけていますが,結果として継続的な支援につながらないケースもある状況です。このため,より多くの方を支援につなぐことができるよう,広島ひきこもり相談支援センターの相談支援体制のあり方等について検討したいと考えています。
最後に,今後のひきこもり対策のスケジュールの見通しについてでございます。
本市では,来年度から東区で先行的に実施している保健師の地区担当制の全市展開を図るなど,地域共生社会の実現に向けた取り組みを着実に進めていくこととしています。
こうした取り組みを進める中で,ひきこもり対策については,地域包括支援センターや民生委員・児童委員,家族会等の地域の支援関係者と連携し,問題を抱えている世帯を少しでも早い段階で必要な支援につなぐことができるよう,実態把握や相談窓口等の情報提供などの対策の充実を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 8050問題についてお答えをいたします。
まず,通信制課程を設置している広島みらい創生高等学校の役割として,入学してきた生徒はできる限り卒業させ,自信をつけさせることが必要と考えるがどうか,また,卒業に向け,どのように指導・支援をしていくのかという御質問についてです。
広島みらい創生高等学校には,中学校時代に不登校であった生徒や,他の高等学校を中途退学した生徒などさまざまな背景を持った生徒が在籍をしております。こうしたことから,一人一人に寄り添ったきめ細かな指導や支援を行い,基礎的な学力やコミュニケーション能力を十分に身につけさせるとともに,中途退学させることなく卒業させ,自信をつけさせることが必要であると考えております。
このため,当該校では,入学から卒業まで1人の教員が担当するチューター制度を導入し,人間的交流を深めながら,継続的に丁寧な指導・支援を行うことにしています。
広島みらい創生高等学校は,令和2年度末に初めての卒業生を送り出すことになりますが,教育委員会といたしましても,生徒が充実した高校生活を送り,社会的に自立するために必要な力を身につけて自信を持って卒業することができるよう,学校をしっかりと支援してまいります。
最後に,広島みらい創生高校は今のうちから卒業生も引き続き相談できる体制を構築しておく必要があると考えるが,どのような体制をとっているか,また,私立の通信制高校等も含め,ひきこもりがちな生徒や卒業生が悩みを相談し,支援を受けることができるような体制づくりが必要と考えるがどうかという御質問についてです。
広島みらい創生高等学校では,今後出てくる卒業生に対しては,在校生にとっている相談体制を利用して,引き続き丁寧な対応をしていくこととしています。
具体的には,当該校では学習や生活,進路に関することなどの相談については,担当するチューターを中心として親身になって応じるとともに,体,心に関することなどの相談については,2名配置しているスクールカウンセラーにより随時応じることができるようにしております。
また,各階に複数の相談室を,1階に2部屋のカウンセリング室を配置するなど,周りの目を気にせず相談しやすい環境を整えております。さらに,必要に応じ,広島市青少年総合相談センターや広島ひきこもり相談支援センターなどの専門機関と連携して対応するようにもしております。これらを活用し,卒業生を支援してまいります。
一方,私立の通信制高校等については,ひきこもりがちな生徒や卒業生等から相談があった場合,広島市青少年総合相談センターや広島ひきこもり相談支援センターなどの専門機関と連携して対応できるようになっていることについて,各通信制高校等への周知を徹底してまいります。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 17番山路議員。
◆17番(山路英男議員) 御答弁ありがとうございます。
デリバリー給食ですけど,僕はセンター方式がいいなと思って今回御質問させていただきましたけど,HACCPの認証施設というのは本当にすごい施設で,皆さんわかりやすく言うと,在来線と新幹線ぐらい安全性が違うと。在来線もすごい安全に気を使ってやられておりますけども,その安全性のレベルと新幹線の安全性のレベルってはるかに違いますよね。専用の軌道敷があって,本当に安全を第一に考えているような,そういう施設がHACCPの認証工場であるということなんですね。
もともとそのHACCPという概念は,NASAが宇宙食をつくって,宇宙飛行士に絶対食中毒を起こしちゃいけないということで開発されたのがHACCPというシステムで,これの認証工場でつくられたものっていうのは本当に安全でおいしくてあったかい食事がとれると。一番の問題点は,やっぱり冷たい食事を,しかも,いわゆるおいしくないという声が多いということですけども,そういう子供たちがいる一方で,ちゃんと温かい食缶方式で食べれる子供がいるって,やっぱりここは一番に何をしないといけないかというと,やっぱりデリバリー給食の改善をしないといけないと。その中で一番いいのがやっぱり民設民営で,整備コストを考えてやる方法のセンター方式がいいなと。その後,自校調理っていうのも,今からもっともっと古くなってやっていくときに,その整備費用っていうんですかね,改修費用のことを考えたら,やっぱりより安全なHACCPの認証を取った工場で一律的につくるというのが,子供たちの安全のことも含めていいかなというふうに思っております。
それから,8050問題,私この質問つくるときに,これは個人とか家庭の問題ではないんだと,社会の問題なんだということを念頭に質問をつくったんですけども,最近,高齢ドライバーの事故が非常に問題になっていますけども,これも一義的には高齢者の操作ミスとか,そういうものが原因で事故が起きてるんだと思うんですが,やっぱりその背景にあるのは社会問題で,例えばまだ車に乗らないと生活ができないような社会構造であったり,どうしても買い物に行ったりするためには自家用車がないとだめだと,そういうような社会問題でこういうものが起きてるんだろうと。多分,認知症もそうだと思うんですね。認知症も本人がなりたくてなってるわけじゃないですけど,年とったら認知症になると。でも,その家族が別に悪いわけでもない,本人が悪いわけでもない,ただ,社会の問題として認知症という問題があると。それらの問題と,この8050,ひきこもりの問題は一緒なんじゃないかなというふうに思ってまして,こういう問題をやっぱり社会の問題として捉えれば,しっかりとした法的な支援を投入して,こういう家庭を少しでもなくしていく。
それから,学校の問題を申し上げたのは,やっぱり不登校の経験者が50%いるということは,ここをきちっと押さえればひきこもりになる数も少なくなるんじゃないかなという意味で,今いる,今のひきこもりの家庭と,それから入り口となる不登校の子供たちを少なくするということが今できることなのかなというふうな思いで質問させていただきました。
大体いろいろ検討していただくというような答弁でございましたので,これからも引き続きよろしくお願いいたします。
終わります。
○八條範彦 副議長 次に,32番三宅正明議員。
〔32番三宅正明議員登壇〕(拍手)
◆32番(三宅正明議員) 皆様,こんにちは。自由民主党・保守クラブの三宅正明でございます。
せんだって行われました本会議における松井市長さんの3期目の施政方針に対する質疑及び一般質問を行わせていただきます。しばらくの間,御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
施政方針の中で,市長は,広島市の持続的な発展を目標に,人口減少,少子高齢化という課題に対して新たな枠組みを構築していくことが重要であると述べられました。そして,市長が初当選以来掲げられている,活力とにぎわいのまち,ワーク・ライフ・バランスのまち,平和への思いを共有するまちという目標に対して,それぞれの方向性を示されました。
その中で共通するキーワードは,市民,議会,国や県,近隣市町,地元企業などの関係者との信頼関係を強固にし,その上での協力,一体化,連携という言葉が多数出てまいります。また,限られた経営資源のもとで着実に実行していくために,ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を有効に活用し,トップマネジメントで抜本的な経営改革を推進すると述べられました。
広島市は,平成15年10月に財政非常事態宣言を発令して以来16年間,毎年の決算報告においてもわずかな黒字を出す,つまり厳しい財政運営が続いております。市長の言われる持続的な発展を地域や民間と協力,連携し,厳しい財政状況のもと進めていくときに,広島市の現状,地域の現状,民間の現状の三つの面を捉えて質問してまいりたいと思います。
まず,広島市の経営資源についてお伺いいたします。
平成26年8月及び昨年の7月に起こりました豪雨災害は,私たちに一人一人の防災意識の大切さを教えてくれるのと同時に,避難場所としての箱物,砂防ダムや河川,橋梁,道路などの生命と財産を守ってくれるインフラ資産の大切さを再認識させてくれました。箱物もインフラ資産も広島市のものとして既に存在する経営資源であり,そのほとんどを先人たちが将来の我々も利用することを前提に市債を発行し,建設してきたものであります。
広島市の持続的な発展を目標とする上で,少子高齢化による社会保障費がふえることは財政的に大変インパクトがありますが,一方で公共施設の維持管理費も同時にインパクトがございます。そのような中,広島市は,平成29年2月に広島市公共施設等総合管理計画を策定いたしました。策定の動機は多分に国の意向がございますが,財政負担の軽減,平準化を図るためにも取り組みを着実に進めることが必要と考えます。私は常日ごろから計画なきところに事業なしと考えていますが,一方で,計画があっても事業化できない案件が多数存在していることも事実でございます。
そこでお伺いいたします。この計画が策定されまして数年たちますが,現在の
取り組み状況はどのようになっておられますか,お答えください。
私は,公共施設等総合管理計画策定時における議論の中で,既存の箱物を除去する場合,地域の合意を得ることは大変難しいと指摘してまいりました。それは地域にあるものをなくすことに対して,その設置経緯や地域での役割があり,簡単ではないと感じているからです。具体的には,自分の町内にある集会所を,余り使ってないですよね,なくしていいですかと言われて,いいですよと言う方がいないということです。
そこで,私は計画を進めるとき,箱物を毎年地域ごとに分け,これからの地域のまちづくりを見据えた形で進めてはどうかと考えます。広島市8区の中でモデルケースをつくりながら進めれば,ノウハウの蓄積も行うことができます。地域ごとに分ける理由は,箱物と一言で言いましても,例えば集会所には学区集会所,補完集会所,老人集会所がございますが,それぞれその担当部局は市民局であったり健康福祉局であったりというように異なることがあります。その取り組む方法が,局が変われば若干微妙ですが違ってまいります。その微妙な違いは地域に持ち帰りますと,あちらはいいのに,なぜこちらはだめなのかということが起こりやすくなります。つまり,取り組む方法が若干違えば,地域が混乱すると考えるからでございます。
また,箱物を軸として地域のまちづくりを地域で考えることが
地域コミュニティーの再生にもつながると考えます。市民の要望や市政の課題は無限にあり,一方で,広島市の経営資源は有限であります。公共施設の維持管理には今後も多額の管理経費が必要となります。公共施設等総合管理計画に書かれている財源不足は,年間で
478億円であります。限られた経営資源の中で,そのことについてどのように考えておられるかお答えください。
次に,共助についてお伺いいたします。
市長は,持続的な発展のために
地域コミュニティーの活性化が欠かせない,自分たちのまちは自分たちでつくるという考え方のもと,地域住民が主体的にまちづくりを進めていくことが重要であると述べられました。そして,積極的に取り組む
地域コミュニティーを支援し,そこにより活動を支える財源の確保が図られると言われました。これは頑張ろうとする意思を持った地域に対して,補助金や助成金を給付するものと拝察いたします。
私は,
地域コミュニティーの活性化と同時に,
地域コミュニティーの再生化が重要であると考えます。なぜなら,広島市には頑張ろうとする意思を持った地域ばかりではなく,頑張ろうにも頑張れない地域もあるからです。地域には町内会・自治会を初め,地区社会福祉協議会,老人クラブ,子供会など,さまざまな団体が存在し,住民同士の支え合いである共助の主体として,福祉や防災,まちづくりを初めとするさまざまな地域活動を担っています。しかし,これらの団体の加入者数は年々減少し,役員は高齢化し,活動の担い手の確保も難しくなっています。
例えば,町内会・自治会の組織状況は,松井市長が初当選された平成23年度では,組織数1,971,加入率64.9%であったものが,平成30年では組織数1,936,加入者数58.4%と減少しております。また,広島市が補助金をお渡しする団体,財政支援団体である老人クラブでは,その会員数が高齢社会にもかかわらず,平成25年度3万8030人が平成29年度は3万4963人となっております。また,子供会も加入者数は平成25年度2万5238人が平成29年度2万609人となっております。ライフスタイルや価値観の多様性により,加入者数が減少することはございますが,行政の地域に対する従来型の補助金・助成金制度は,確かにそれらの地域団体にとっては財源的な裏づけができることは事実であります。しかしながら,区の魅力づくり事業における3年間の助成期間が終了したと同時に,事業自体が終了してしまうケースも多々ございます。
地域コミュニティーの活性化は,開始した事業が助成期間が終わっても継続し,初めて効果があります。ここに,私は従来の行政手法の補助金・助成金制度の限界があると考えます。
私は,共助の主体となる団体において,財源の確保と同様に,担い手不足が大きな課題であると思います。市長も施政方針の中で,人的インフラの確保を述べておられますが,広島市としてはこれら共助の活動を担う組織の現状についてどう認識されているかお答えください。
私は,地域においてお金と人の両方が不足していると考えます。そして,共助の主体として地域活動を行っておられる方々は,程度の大きさに違いはあるにしろ,行政に対して,我々共助の主体に財政的,人的支援を求めているのではないかと推察いたします。昨今はボランティアやNPOなどの担い手によるさまざまな社会貢献活動が展開されております。平成26年8月20日の豪雨災害では延べ4万4485人の方が,平成30年7月6日の豪雨災害では延べ3万513人の方々が災害時の援助活動をしてくださいました。これはもちろんボランティアセンターに登録された方だけですから,これ以上も多くの方に参加していただいております。
平和記念資料館のピースボランティアの方や社会的弱者へ支援を行っておられる方,または里山の森づくりを行っておられる方など,さまざまな分野で大きな力を発揮しておられます。私はこのような市民活動団体や活動者と手助けを必要とする地域団体とをマッチングし,人的支援を得られる仕組みがあれば,地域活動の衰退を食いとめる手だてになると考えます。
ボランティアであれば,現在,ひろしま情報a−ネットというホームページがございますが,広島市社会福祉協議会やまちづくり市民交流プラザに相談窓口があります。しかしながら,それらは福祉の分野,まちづくりの分野などと分野ごとに設置しておられ,一元的な相談窓口はございません。さらに,それらの窓口も全て部局が違います。行政の強みは,その社会的信頼性にあります。厳しい財政状況の中,限られた財源で地域の共助を厚くしなければ,地域がこれからも継続して発展することは大変難しいと考えます。
そこで,ボランティア団体やNPOの情報を一元的にストックし,活動への支援や必要とする地域団体からの相談に応じ紹介する窓口を地域団体に身近な区役所に置いたらどうかと考えますが,いかがでしょうか,お答えください。
ボランティアや,そういう活動していらっしゃる方々は,一つ一つは大変小さな団体です。それぞれに社会的な背景がございません。それを広島市が後押ししてあげることで,それを地域につなげることで地域の共助が厚くなるのではないかと考えますので,お答えいただければと思います。
最後に,民間活力についてお伺いいたします。
広島市の持続的な発展を目指すため,このたびの施政方針はもとより,広島市のさまざまな施策において民間活力を活用するという言葉が多く出てまいります。豪雨災害からの復旧・復興を目指す現場では,さまざまな場面で入札の不調・不落が起きております。原因は,人不足ももちろんでありますが,需要と供給のバランスが崩れ,結果として地域の復旧が進みにくい現状がございます。
現在の広島市の民間活力の活用は,大きく分けて三つあると考えます。
まず一つ目は,行政サービスを民間事業者に行ってもらう指定管理者制度です。この場合,市民サービスに直結しておりますので,継続性が重要となります。本年5月28日に西新天地駐車場の指定管理者の取り消しが発表されました。幸い市民サービスに影響はなかったものの,広島市は当てにしていた収入を得ることができませんでしたので,機会を損失してしまいました。
二つ目は,福祉分野における民間の参入です。待機児童対策として,広島市は民間の認定保育園の建設を推し進めています。また,特別養護老人ホーム等の福祉施設も社会福祉法人により運営されております。これらの福祉施設の運営に当たっては,保育士や介護士の人手不足で苦しみながらも運営をされておられます。
三つ目は,まちづくりの分野における民間活力の活用です。施政方針では,紙屋町・八丁堀地区の都市再生緊急整備地域やサッカースタジアムの建設などを挙げられています。私は,民間の投資行動として,景気減退局面になれば継続的なまちづくりが厳しくなるのではないか,また,規制緩和,税制優遇のみの活力は民間の利益の最大化になり,まちづくりが画一的となって,結果として都市ブランドが低下するのではないかと考えます。簡単に言いますと,ほとんどがマンションになり,他都市との差別化が有意性を失い,都市のブランドが低下することによって活力が失われるという意味です。
そこで,重要となるのが,市がまちづくりや行政サービスの方向性を持つこと,また,厳しい財政下において,官民の関係へ大変厳しい指摘があることから,行政と民間事業者とのつき合い方が重要であると考えます。東京一極集中が叫ばれて久しい中,東京でのまちづくりにおける民間活力の手順は,まず民間が提案し,次に行政が協力し,そして地域が合意してまちづくりが進められています。
例えば,日比谷にあります東京ミッドタウン日比谷は民間が提案し,行政が道路を廃止した上で公共空地を民間が施行し,歩行者空間をつくることで回遊性とにぎわいをつくっております。また,ホテルオークラの建てかえでは,これも民間が提案し,行政と協議を重ね,公園の面積を5分の1にすることで,その公園整備を民間が行い,行政に寄附し,土地の有効活用を図っておられます。
一方,広島市のまちづくりは,まず行政が提案し,次に民間のノウハウを使いまちづくりを進めます。まさに行政主導でありますが,地方都市だからいたし方ないのでしょうか。私は,民間事業者のノウハウ,資金を市が一方的に活用する取り組みになっていると思います。
そこでお伺いいたします。市として民間活力を活用するに当たり,どのように考えておられますか,お答えください。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○八條範彦 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 三宅議員からの御質問にお答えします。
民間活力についての御質問がございました。
市政を展開していく上で,その対象者には,市民のほかに民間事業者も当然含まれております。その民間事業者は,企業活動を行うといったことのほかに,例えば,まちづくりのための寄附や災害発生時の支援等も行う存在でありまして,地域社会における共助を担う構成員にもなる存在でもあります。また,今後,市政を展開していくに当たりましては,限られた経営資源のもとで地域共生社会の実現を目指し,いかに効率的・効果的に運営を行っていくかがますます重要になってまいります。
そのため,本市が保有する力のみならず,民間事業者がこれまでも培ってきたすぐれた技術やノウハウ,資金といった民間の力を有効に活用していくということが不可欠になると考えております。
こうした認識のもとで,今回の補正予算におきましても新中央市場の建設や旧市民球場跡地の活用について,いわゆるPPP/PFI手法を用いた民間の力の導入に向けた調査に要する経費を計上しているところであります。
民間の力の活用による事業展開は,例えば,私は今回の所信表明において,広島商工会議所ビルの移転と市営基町駐車場周辺での再開発事業等を一体的に行うプロジェクトを,その後の民間によるビルの建てかえや再開発などを促すということにつなげると述べたように,地域の活性化をもたらし,ひいては民間事業者にとっても新たなビジネス機会や雇用機会が創出されるなど,お互いにとってのウイン・ウインの関係が成り立つものと考えております。
また,これまでの取り組みにおきましても,例えば指定管理者制度については,昨年度,指定管理候補を選定する際に,それまでの施設管理の取り組み実績を評価することができるよう,評価基準を改めることによって良質な事業者による運営を継続できるようにしたところであります。これは,本市及び民間事業主の双方にとってメリットのある見直しになったものと考えているところであります。
今後とも,こうした民間の力をハード面・ソフト面を問わず,積極的に引き出すような状況をつくっていき,それを活用することによって市民サービスの充実と本市の持続可能性の確保の両立を果たしていきたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○八條範彦 副議長
企画総務局長。
◎及川享
企画総務局長 広島市の経営資源について,2点の御質問にお答えいたします。
まず,公共施設等総合管理計画の現在の
取り組み状況についてです。
平成29年2月に策定・公表しました公共施設等総合管理計画において,箱物資産の更新については,施設の機能・サービスの向上を図ること,財政状況を踏まえて更新料を調整することなどを基本方針に掲げております。現在,この方針に沿って箱物資産の中で最も数が多く,市民に身近な施設である公民館や集会所等の中・小型汎用施設について,施設ごとの更新案の検討を行っているところでございます。
更新案の検討に当たっては,機能が類似している施設の複合・集約化を検討する一方で,より一層市民にとって使い勝手のよい施設になるよう,対象者を限定している規制の撤廃なども検討をしております。また,地元対策や合併引き継ぎ,合併建設計画によって設置した施設の更新の方向性についても検討を行っております。
今後,施設の更新を進めていく上では,施設を利用する地域住民の理解を得ることが重要なことから,地域住民との協議に向け,できるだけ早急に更新案を取りまとめたいと考えております。
次に,箱物資産等公共施設の維持管理には,今後も多額の管理経費が必要となるが,限られた経営資源の中で,そのことについてどのように考えているのかについてです。
本市の公共施設等総合管理計画においては,先ほども御答弁したとおり,更新に関する基本方針の一つに,財政状況を踏まえて更新量を調整するということを掲げております。この方針に基づき,施設の更新に当たっては,改めて機能・サービスを検証した上で,施設数・規模の見直しを行うとともに,県,近隣市町等の施設や民間活力の活用の検討を行い,更新費の軽減を図ることとしております。
また,同計画には,維持保全に関する三つの方針を掲げております。一つ目は,施設の部位の劣化が及ぼす影響の度合い等に応じた維持保全を行う予防的な保全の取り組み,二つ目は,法令等に基づき専門家が実施する定期点検に加え,施設管理者が実施する日常点検により,施設の部位等の劣化状況を把握して,適宜,修繕等を行う適切な点検の実施,三つ目は,建築年度等の基本情報,定期点検結果等の情報をもとに作成する建物カルテを活用し,効率的な維持保全につなげる維持保全に関する情報の活用です。これらの方針により,早目に劣化状況を把握して修繕費を抑制するとともに,施設の長寿命化を図ることとしております。
次に,共助についての2点の御質問にお答えいたします。
まず,市として町内会・自治会,地区社会福祉協議会など,共助の活動を担う組織の現状をどう認識しているのかについてです。
議員御指摘のとおり,町内会・自治会は少子高齢化の進行,人口減少社会の到来,また,個人の価値観やライフスタイルの変化などにより,加入率の減少や担い手不足が年々進んでおります。このことは,地域共生社会の実現や災害に強いまちづくり,地域のにぎわいづくりなどを確実に進め,広島広域都市圏の推進力たらんとする本市において,的確に対処しなければならない最重要課題の一つとなっております。
そして,地区社会福祉協議会や老人クラブ,子供会など,共助の活動を担うさまざまな地域団体自身においても,その存否に係る共通の課題であることから,本市と関係団体等が一体となって取り組むことが不可欠になっていると認識をいたしております。
最後に,地域団体が活動への人的支援を得る仕組みとしてボランティア団体やNPO等の情報を一元的にストックし,支援を必要とする地域団体からの相談に応じ,紹介する窓口を地域団体に身近な区役所に置いたらどうかと考えるがいかがかについてです。
価値観の多様化やライフスタイルの変化などにより,複雑化する課題を抱える地域において,それらの課題の解決に向けた取り組みが進むようにするために,NPO等や,またボランティア団体がそれぞれの持っている特技,ノウハウ,あるいは人材を生かして,町内会や自治会などの地域団体を支えていけるようにすることは,地域における人材不足が顕在化している現状では重要なことであると考えます。
そこで,現在,地域における高齢化問題を初め,さまざまな問題について総合的に対応が行えるようにするための地域包括ケアシステム構築を目指している本市においては,NPO等やボランティア団体を,システムを構築する要素として取り込み,それらによる活動がシステム全体の機能を向上させ,ひいては
地域コミュニティーの活性化につながるようにするための方策について,現在検討を進めているところでございます。
議員御提案の件については,現在,本市が検討を進めているこうした方策の中で実現を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○八條範彦 副議長 三宅議員。
◆32番(三宅正明議員) 私が今回質問させていただきたかったことは,施政方針に対する質疑ではありましたが,行政と地域,あるいは民間との関係をどのようにしていくのがよいのだろうかということが今回の質問の趣旨でございます。
昔はといいますか,例えば行政がかなり力の強かった時代,多くのお金を使って道路やまちをつくり,あるいは社会の施設,あるいは社会の政策を打ちながら地域を支えるというか,お上といいますかね,行政のほうが全てやるということでやってた時代というのはもう幻想の時代であって,今現在は,行政はもう財政的にも大変厳しいです。人もそんなにいるわけではありません。そして,さらには自分たちだけでできることが限られているので,地域のことは地域でやってください,民間のことは民間でやってくださいというふうになる方向になっております。
その中で,市長さんはこの3期目の任期を始めるに当たって施政方針をされたわけでございますが,地域の現状というのは年々そんなによくはなっていない。民間の状況というのは,どちらかというと行政から言っていただけるのを待っているような状況。この状況が広島市の,これから市長の言われる持続的発展をしていこうというときに,どういうふうになるだろうかという疑問点から質問をさせていただきました。
まず,地域のことから言います。先ほど山内議員が被災の御質問をされて,危機管理担当局長さんが,それぞれの被災地域で防災訓練をしますというふうに力強く言われましたが,実はその選ばれた地域の中で防災訓練をしようと思ってお話に行きましたら,その地域は,申しわけない,それを実行できる人がいないので,うちは勘弁してくださいと言われます。そうすると,政策としては,その被災地で防災訓練をするということにはなりますし,その地域の近くではやるわけですから,結果としては防災訓練をしたという結果は残りますが,それは市が意図した政策とは少しも,二つも,三つもずれていってしまうということが地域で実際起きてしまいます。つまり,地域に流せばそれでいい,あるいは,補助金を出せばいい,助成金を出せばいい,手続が間違ってなければ出すしかないというやり方,あるいは,政策としてこれやるからやってくださいと言ったらやるのが当たり前というのは,恐らくもうきかないところがたくさん出てくる。その場合,行政はどうすべきなのかということが一つの問題意識でございます。
次に,民間の活力の活用についてですが,例えば松井市長は,紙屋町・八丁堀地区を都市再生緊急整備地域に指定して,税制的な優遇と計画の,いわゆる規制緩和をすることによって,点としてサッカースタジアム,あるいは旧市民球場跡地,あるいは基町の駐輪場といったものに対しては,行政主導でその施設を考えていきましょう,そして,それらの地域全体は規制緩和をして民間の投資をやっていただきましょうと。つまり,行政が風を送って,民間がそれに呼応する形であの地域を発展させようと,もう一度持続可能な広島市をつくっていこうというお話であったと思いますが,広島市中区の今の現状を言いますと,1996年,今から約25年前,広島市中区の小売店の売上高は350億円でした,年間。今現在,25年たって,今,中区の小売店の売上高は100億強でございます。坪面積当たりの効果額は25年前,1坪1カ月38万6000円だったものが,今現在は25万円を切っております。市内中心部における小売の金額が4割になっております,25年間で。通常の都市であれば,これは中心市街地はシャッター通りになるはずです。しかし,それがなっていないのは,広島市が人口規模があるからであろうと思います。これを何とか解決しない限り,建物が変わっても点が変わるだけですから,それが回るということを考えねばなりません。
それを広島市は,今まで考えておりました。道路交通局がつくった紙屋町・八丁堀の歩行環境の社会実験と案というのは今から随分前につくられました。その案も計画もあるのはあるんですけれども,それをじゃあ行政としては同時にそれをやっていこうということはまだ言われておりません。今まで広島市がつくってきた強みは,それら,その地域に対してどういうことをするべきなのかということは今までさんざん考えてきたはずです。それをこのたび松井市長が3期目を迎えるに当たられ,そして都心部の再生を訴えられるんであれば,それは過去のさまざまな知恵を同時に使ったほうがいいのではないかと私はまず1点,そう思います。
それと,もう一つ,中心市街地の活性化をやろうと思いましたら,当然郊外に対しては規制をかけなければ難しいことが起こります。市場原理主義で郊外にどんどんどんどん拡大していきますと,間違いなく車による郊外店に市内中心部は勝つことができません。市内中心部を,その郊外では逆立ちしても負けないぐらいの中心部にするために,必要なことは回遊性であろうと思います。それを既に広島市は計画として持っておられますから,ぜひそれもこのたびやられるんであれば,ぜひ検討していただければと思います。
以上,言わせてもらって終わります。
○八條範彦 副議長 本日はこの程度にとどめ,明日引き続き市長の施政方針に対する質疑及び一般質問を行います。
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次会の開議通知
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○八條範彦 副議長 この際,御通知申し上げます。
明日は,午前10時より議会の会議を開きます。
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散会宣告
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○八條範彦 副議長 本日は,これをもって散会いたします。
午後2時48分散会
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議 長 山 田 春 男
副議長 八 條 範 彦
署名者 石 田 祥 子
署名者 馬 庭 恭 子...