┤
└至第 58号議案
包括外部監査契約の締結について
┌自第173号議案 平成26年度広島市
一般会計補正予算(第7号)
┤
└至第187号議案
変更契約の締結について
(
総括質問)
───────────────────────────────────────
○
碓井法明 議長 日程第1,第1号議案から第58号議案及び第173号議案から第187号議案を一括議題といたします。
昨日に引き続き,
総括質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
36番
沖宗正明議員。
〔36番
沖宗正明議員登壇〕(拍手)
◆36番(
沖宗正明議員) 昨年度の
ノーベル物理学賞で効果的な
青色発光ダイオードで3人の
日本人科学者が受賞されました。世界的な照明事情を一変させるであろうこの偉大な発明を日本人として誇らしく思います。
その一方で,この
青色発光ダイオードの危険性も指摘されています。それは,網膜と
体内時計への悪影響です。
青色発光ダイオードの光は網膜障害を引き起こして,
加齢黄斑変性症の原因になることが懸念されています。
加齢黄斑変性症は洋画の字幕で有名な
戸田奈津子さんを引退に追い込んだ病です。長時間テレビや
パソコンに向かうときには,サングラスなどで予防することが必要だと思います。
また,
メラトニンというホルモンは,
体内時計に働きかけて,睡眠と覚醒を切りかえて自然な眠りを誘い,
別名睡眠ホルモンとも呼ばれます。
青色発光ダイオードは,
メラトニンの分泌を抑制して,
体内時計を狂わせます。眠れないときに,テレビやスマホを見ると,ますます眠れなくなる可能性が高まります。若者たちの
体内時計が狂わされないように願っています。
何事も,いいことばかりではないということでしょう。政治も同様に,市民のために一方に偏らず,
バランス感覚を持って当たらなければならないことを感じました。
まず最初の質問は,
少子化対策についてです。
人口減少社会については,さきの定例会で
永田議員が質問されています。昨日は,
中本議員が
地方版総合戦略について質問なさいました。私は,別の切り口で論じます。
昨年5月に
日本創成会議によって
消滅可能性都市という新しい概念が打ち出されました。
消滅可能性都市とは,少子化や人口移動に歯どめがかからず,将来的に消滅する可能性がある自治体を言います。具体的には95%の子供を産む20歳から39歳の女性の数が2010年から2040年にかけて5割以下に減る自治体を指します。
現状のままで地方からの
人口流出が続けば,全体の約5割の市区町村が
消滅可能性都市に該当し,このうち,人口が1万人を切って,さらに消滅の可能性が高い自治体は約3割となっています。我が広島市とて,例外ではありません。本市の人口は2010年の117万人から2040年には8万人減少して109万人になると予測されています。私の住まいする安芸区の人口とほぼ同じ数がすっぽりなくなる計算です。本市では安佐北区が
消滅可能性都市にカウントされています。
人口減少の大きな要因は二つあります。出生率の低下と東京への
一極集中です。
この国の人口は,縄文時代の25万人に始まって,弥生時代の60万人,平安時代700万人,室町時代に1000万人を突破し,
江戸時代初期の1500万人を経て,明治維新のころには3000万人となり,それから140年かけて1億2800万人のピークを迎えました。
合計特殊出生率は終戦直後に4.0を超えたこともありましたが,晩婚化・晩産化,意識の変化などで2005年には,これまで最低の1.26まで低下しました。
政府はおっ取り刀で
少子化担当大臣をつくって,回復に努め,一昨年は1.43にまで回復しました。しかし,肝心の生まれる子供の数は一貫して減っています。出生率が上がっても,文字どおりの母数である母親の数が減っているからです。この程度の回復では子供はふえません。第1次ベビーブームには,毎年270万人の子供が生まれましたが,昨年は辛うじて100万人を超えるところまで減少しています。
世界的な人口爆発が問題となっていた1974年に
日本人口会議が開かれました。この大会宣言には,子供は2人までに抑えることを
国民的合意にしようと呼びかけています。結婚しない若者が急激にふえたという誤算があったにしても,今となっては,我が国でこのようなことがあったことが信じられません。
一方で,出生率を上げた国があります。昨年総務省が発表した
ストップ少子化・
地方元気戦略の中にも出生率は政策展開によって変わり得るとして,
フランスと
スウェーデンを挙げています。確かに,出生率だけを見ると,
フランスでは2.01,
スウェーデンでは1.91です。1995年に出生率が1.66まで低下した
フランスでは,出生率を上げるためにGDP比3%にも及ぶ膨大な予算を投入しました。日本の1%弱と比べて驚くべき数字です。
フランスがとった政策は二つあります。一つは,
移民受け入れです。アフリカから大量の移民を受け入れ,
フランス国籍を与えて子供をふやしました。二つ目は,破壊したとも言えるほど婚姻制度を変えたことです。婚外子の権利を完全に保障しました。
ちなみに,日本では女性の
初婚年齢の平均が29.0歳,第1子出産は30.4歳です。これに対して,
フランスでは逆で,
初婚年齢が32歳台で,第1子出産は28歳台です。結婚よりも第1子の出産が先となっています。出産しやすい社会とは言えるでしょうが,そこまでしても2.0程度が限界です。
フランスの政策は文化の異なる日本にとって見習うべきものではないと思います。
2番目の要因,東京への
一極集中とは,全ての機能・金・人・物が東京に引き寄せられるものです。これまでの国の政策もこれを助長してきました。東京圏への人口流入は19年連続し,昨年度は約11万人に達しています。東京圏以外で転入が転出を上回ったのは宮城,愛知,福岡の3県だけであり,名古屋圏,大阪圏でさえ2年連続で転出超過となっています。2020年の
東京オリンピックを控えて,この傾向はさらに加速するでしょう。
一昨年の
都道府県別の出生率で断トツに低いのが東京都の1.13です。地価や家賃を初め,物価や教育費などの育児に要する費用が高いために,子づくり,子育ての
モチベーションが湧きにくい。その一方で,介護が必要でありながら施設に入れない
待機介護高齢者が4万3000人もいます。出産,子育てに最も不向きで,高齢者にも住みにくく,その上に
直下型地震の危険性が高い東京がブラックホールのように,人口を吸い上げています。
社会保障を守るためには,
人口急減社会は避けなければならない。
昨年成立した,まち・ひと・し
ごと創生法の理念の中には,地方からの
人口流出を防ぎ,東京への
一極集中を解消し,結婚・出産・育児について希望が持てる社会をつくらなければならない。しかし,結婚・出産は個人の決定に基づくものであると書いてあります。実際に,地方にUターンしたい,あるいは地方に住みたいと考える若者は3割に上り,これは若い年齢層ほど高くなっています。
その一方で,不安・懸念としては,働き口が少ないことと日常生活や公共交通の利便性を挙げる人が多くあります。中央と地方政府の本気度が試されています。どこまで踏み込めるかが問われています。
とはいうものの,我が広島市がミニ東京になっては意味がない。中山間地域,島嶼部を犠牲にしてはなりません。まだまだ国の具体的な施策が明らかにはなっていませんが,地方にはそれを待っている余裕はありません。本市には,
乳幼児医療費補助のように,政令市で最もおくれたレベルのままの施策もあります。
人口減少社会への対応として,広島市としてどう取り組んでいくのかお聞きします。
また,他都市と横並びでなく,子ども・
子育て支援,
高齢者施策についても広島市独自のものとして胸を張れるものにはどのようなものがあるのでしょうか。
新生児の
聴覚検査について伺います。
子育て支援の一つとして,新生児の
聴覚検査の質問です。
聴覚は,五感のうちで生存する上において最も重要な感覚と言われています。人類が誕生して間もないころには,視覚よりも,むしろ聴覚のほうが我が身を守ることでは重要であったことは,想像にかたくありません。聴覚は母親の胎内にいるときに最も早く獲得し,命を終えるときには,最も遅くまで残るとも言われています。視覚は血圧60程度に低下すると失われますが,聴覚は血圧が30でも残っていることがあります。私の友人医師の実体験ですが,自分の患者の血圧が30程度に下がったときに,家族に「もうだめです」と告げました。しかし,その患者は奇跡的に回復しました。彼が退院するときに,生死をさまよいながら,「もうだめです」という言葉を聞いたと冗談まじりに話したそうです。
早期の療養が必要な中等度以上の
聴覚障害の発生率は,1,000人に1人ないし2人で,非常に高い確率です。平成18年に厚労省が行った調査では,日本全国で
聴覚障害者の数は,18歳以上で34万3000人,18歳未満で1万6000人にも上っています。
放置された
聴覚障害は,生後二,三歳になって,言葉の発達が遅いことで見つかることがほとんどです。
言語障害には臨界期があり,早期に発見し,補聴器を用い,
言語発達援助を行うことで患者と家族のQOLを高めることが可能です。発見年齢が早いほど確実に
言語性IQが上がり,
言語レベルは健常者に近くなり,普通教育さえも可能になります。生後1カ月で発見し,生後3カ月までに
精密検査,6カ月までに言語訓練を始めるのが理想です。
検査は,音に対する脳幹の反応を電気生理学的に行うことで正確にできます。平成25年1月から12月までの1年間に
日本産婦人科医会が行った調査によると,
聴覚検査を行った新生児約70万人のうち,再検査を必要としたのは0.9%でした。全国的に新生児の100人に1人が
聴覚障害のリスクを抱えているということが推察できる結果でした。
ところが,返す返すも残念なことに,平成12年度から始まった
新生児聴覚検査事業は,平成19年度に
母子保健医療対策等総合支援事業の対象から外され,現在は各自治体の自主性に任されています。
広島市では,年間に約1万1000人の子供が生まれています。さきに述べた調査結果から推察すると,毎年100人の
聴覚障害の可能性がある子供が生まれ,中等度以上の障害を持つことになるかもしれない子供が10ないし20人生まれることになります。
検査料は平均5,000円です。広島市で生まれる全ての子供に
聴覚検査を受けさせる費用はわずかに5000万円です。こうした先進的な施策こそ若いカップルが本市で子育てをしようとする
モチベーションを助けることになると思いますが,いかがでしょうか。
続いて,
サードハンドスモークについてお聞きします。
サードハンドスモークとは,たばこを消した後の残留物から
有害物質を吸入すること を指し,3次喫煙または
残留受動喫煙とも言われます。
たばこの煙が消失した後,煙に含まれる物質が喫煙者の髪の毛や衣類,部屋のカーテン,カーペット,ソファーなどに付着し,それが汚染源となり,第三者がたばこの
有害物質に暴露されることです。ホテルの
禁煙ルームが満室で,やむを得ず
喫煙ルームを使うことがありますが,幾らクリーニングしても,たばこのにおいが消えないことは,毎回経験します。
これまで
受動喫煙は大きな問題として扱われてきました。それに比べて,
サードハンドスモークは論じられることがまれであり,認識もされていないのが現状です。たばこに含まれるニコチンが大気中の亜硝酸と反応して,
発がん物質である
ニトロソアミンをつくることがわかっています。それ以外にも,
サードハンドスモークには,
放射性崩壊元素,
ポロニウム210など11の
発がん物質が見つかっています。
ポロニウム210は,ロシアのジャーナリスト,アレクサンドル・リトビネンコの暗殺に使われたことでよく知られる猛毒です。
カリフォルニア大学の
研究グループによる推計では,
受動喫煙に比べて,
サードハンドスモークで受けるニコチンは,赤ちゃんや子供で6.8倍以上,成人で24倍以上です。さらに,
ニトロソアミンについては,赤ちゃんや子供で16倍以上,成人で56倍以上です。わずかなたばこの残留物質でも,長時間暴露されることで,
受動喫煙以上の悪影響が起こるのです。特に,小さな子供たちは,床にはったり転がることが多く,
サードハンドスモークによる危害を引き起こしやすいと考えられています。
ベランダで喫煙して,吸い終わったら部屋に入るお父さんもいるようですが,本当に御苦労さまと申し上げたいところです。しかし,その悲惨でありながら崇高な
犠牲的行為も,あくまで
受動喫煙防止に役立つだけで,
サードハンドスモークを防ぐためには,服を着がえて部屋に入らなければ意味がありません。つけ加えるならば,髪の毛についた
有害物質から家族を守るには,シャワーを浴びなければなりません。
こうした事実にもかかわらず,
サードハンドスモークの危害の大きさは認識されるに至っていないのが現状です。
サードハンドスモークに関しての市の認識と対策を伺います。
ことしは,被爆70周年です。多くの記念事業が予定されています。多くの外国人が来広します。それでもまだ喫煙者への配慮と称して,平和公園を全面禁煙にせず,公共施設にも
喫煙ルームの設置を続けるのでしょうか。
国際平和文化都市の名を汚すことになるとは思わないのでしょうか。
最後に,
タブレット型端末の導入について伺います。
私は,2年前から
タブレット型端末を使っています。とても自慢できるレベルではありませんが,通信手段だけでなく,電子書籍を読んだり,文書や画像などの管理に何かと重宝しています。
個人で使う利点は,
パソコンに比べて軽いので携帯できること,スマホと違って画面が大きく,
タッチ操作が簡単なこと,無線でインターネットに接続できることなどが挙げられます。
既にかなりの自治体で導入されています。その最大のメリットは,行政の効率化です。そのほかのメリットを挙げれば,低コストで最新の情報を交換できること,外出先でも使えること,即座に応答できること,
ペーパーレス化によって,紙だけでなく,トナーやロールなどの印刷費,配布に要する経費,資料をホチキスでとじたり,修正や差しかえの手間がなくなり,人件費などの削減につながること,大量の資料を持ち運ぶことができ,
保管スペースの必要がなくなることなどが考えられます。
パソコンが情報を発信する場面で有効性を発揮するのに比べて,
タブレット型端末は情報を受け取る場面で優位に立ちます。さらに,
ウイルス感染のリスクはほぼゼロに近く,USBを使わないので,情報の漏えいも防ぐことができます。指紋による認証を用いれば完璧でしょう。
大阪市では,橋下市長の主導で
幹部職員との会議で
タブレット型端末14台を導入し,原則として紙の資料の持ち込みを禁止することになりました。27年度当初予算には,リース料140万円を計上し,24の区長や各
局長ら幹部職員用として
ハイブリッド型パソコンを約200台配備することにしています。
ハイブリッド型パソコンは,モニター部分を取り外して
タブレット型端末と同様の使い方ができるものです。静岡県焼津市では,昨年,市長を含め,全職員672人に
タブレット型端末を配布し,紙ごみの量を前年度と比べて11%削減しました。毎年200トンもの紙ごみを出している本市としても早急に取り組むべき課題だと思います。
一部では,読みにくいとか,メモを書き込めないという批判があるとの報道がありましたが,最新のシステムでは,メモやアンダーラインも書き込めます。そのほか,何ページをお開きくださいと言われたとき,すぐさまそのページをあけるようにもなっています。
ことし1月に出された,8.20豪雨災害における避難対策等検証部会の最終報告の中に,提言として多様な発信媒体の活用という項目があります。ここでは,
タブレット型端末については一言も触れられていませんが,緊急速報メールで伝達する内容や,緊急時に住民が情報確認するためにアクセスする市役所のホームページのサーバーの増強などについては,他都市での混乱事例も踏まえ,あらかじめ検討しておく必要があると書かれています。
タブレット型端末こそ,その役割を十分に担うに足るツールでしょう。非常時に行政からの一斉連絡は電話よりもデータ通信のほうが格段にすぐれています。音声通信とデータ通信は別回線になっており,つながりにくいこともありません。
タブレット型端末は,現場の画像をリアルタイムで見ることができ,災害時には強力な媒体となります。
総務省の指針でも,災害時における通信手段として,音声通話以外にインターネットを活用したデータ通信の確保が示されています。
タブレット型端末はこの指針にも合致します。
タブレット型端末が使えれば,
消防局長から市長秘書を通じて市長へ,逆に市長から秘書を通じて
消防局長へというような伝言ゲームは必要なくなります。
タブレット型端末の導入についての市の見解を伺います。
私は,議会こそ
タブレット型端末を導入すべきだと考えています。
タブレット型端末を導入すれば,議会内で常に最新の情報が共有でき,議員の審査能力も向上するでしょう。控室の机の上に積み上げられる書類の山に閉口することもなくなります。有権者にも説明がしやすくなります。文書を文字認識機能で読み込んで,デジタル化すれば,予算書や過去の議事録のような膨大な資料さえも持ち運べます。キーワードを入力すれば,検索もできます。議会
事務局職員の負担を大きく減らすことができ,議会運営の効率化をももたらすものになるでしょう。議会への
タブレット型端末の導入では,東広島市議会におくれをとったことが悔やまれます。
御清聴を感謝して,質問を終わります。(拍手)
○
碓井法明 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 沖宗議員からの御質問にお答えします。
ストップ少子化についてのうち,まち・ひと・しごと創生についての御質問がございました。
我が国においては,
人口減少に歯どめをかけ,将来にわたって活力ある社会を維持していくことが喫緊の課題であるとの認識のもと,地方創生の重要性は高まっております。昨年末には,まち・ひと・し
ごと創生法を初めとした関連法が整備され,まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されました。
これを受けて,各地方自治体においても,産・学・金・労などで構成する推進組織において審議するなど,広く関係者の意見を反映しながら地方版の総合戦略を策定することが求められている状況です。
本市では,国の地方創生の提唱に先駆け,昨年6月に経済団体や大学の代表者で構成する「広島の拠点性強化に向けた懇話会」を立ち上げ,産・学・官の連携をこれまで以上に強化しつつ,広島の強みを生かし,その拠点性を強化する取り組みについて検討しているところであります。
今後,国の要請にもかなうこの懇話会を活用し,幅広い意見を聴取しながら,広島版総合戦略を策定したいと考えております。
また,広島の実情に合った地方創生を展開するために,国による新しい広域連携の仕組みであります連携中枢都市圏制度を活用し,市域を超えて経済面や生活面で深く結びついている16の近隣市町と都市連盟を結び,圏域の資源を生かした経済の活性化と200万人超の圏域人口の維持を目指したいと考えております。その中で,やりがいのある安定した仕事につくことができる環境づくり,子供を産み育てやすい環境づくり,人を引きつけるまちの魅力づくりを強力に推進していきたいと考えております。
こうした取り組みを着実に推し進めることで,
人口減少社会の到来という従来の発想に基づく予測を打ち破り,圏域全体の持続的な発展を実現してまいりたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○
碓井法明 議長
健康福祉局長。
◎糸山隆
健康福祉局長 ストップ少子化の中で,本市の
高齢者施策について独自の施策として胸を張れるものはどのようなものがあるのかというお尋ねについてです。
今後,高齢化がさらに進展していく中で,高齢者一人一人が生き生きと住みなれた地域で安心して暮らせる社会を形成するためには,地域包括ケアシステムの構築が不可欠です。
このため,平成27年度から29年度までを計画期間とする次期
高齢者施策推進プランでは,団塊の世代が全て75歳以上となる「2025年を見据えた地域包括ケアシステムの基盤づくり」という目標を掲げました。その上で,この目標達成のために,特に力を入れて取り組むべき重点施策として,健康づくりと介護予防の促進,高齢者を見守り支え合う地域づくり,在宅医療・介護連携の推進の三つを掲げるとともに,これらに具体的な数値目標を設定しました。
これにより,重点施策の達成状況を適宜評価し,必要な対応を行っていくことにより,2025年に向けた準備を盤石なものにしていきたいと考えています。
プランの中での本市の特徴的な取り組みとしては,地域における身近な介護予防拠点の整備や,高齢者を見守り支え合う地域づくりの促進など,さまざまな形での住民の参加を促す取り組みを積極的に進めたいと考えています。
本市としては,このような取り組みなどを通じて,高齢者になっても,生き生きと住みなれた地域で安心して暮らせるまちづくりを推進し,都市の魅力づくりにつなげていきたいと考えております。
以上でございます。
○
碓井法明 議長
こども未来局長。
◎藤田典子
こども未来局長 続きまして,
ストップ少子化についてのうち,広島市の子ども・
子育て支援について,独自の施策として胸を張れるものになっているかという御質問にお答えします。
本市では,未来を担う子供の育成こそが,これからの広島の発展の礎になることから,全ての子供が健やかに育つための環境づくりや,安心して子供を産み育て,子育てに喜びを感じることのできる環境づくりを進めるため,今年度,平成27年度から31年度を計画期間とする広島市子ども・
子育て支援事業計画を策定することとしています。
この計画においては,全ての子供と子育て家庭を対象として,妊娠・出産期から就学後までの切れ目のない支援,多様で良質な子ども・
子育て支援,地域コミュニティーの中での子育てなどに力点を置いて,子ども・
子育て支援施策を推進していくこととしています。
施策の推進に当たっては,本市が独自に,また,他都市に先駆けて行ってきた小児難病についての相談室の開設に加えて,地域での相談の充実,小・中学校における広島型カリキュラムの推進,青少年支援メンター制度等を引き続き実施するとともに,新たに母子保健コーディネーターによる妊娠期からの包括的な支援などに取り組むこととしています。
本市としては,この計画に掲げた施策を着実かつ積極的に推進することにより,若い人が住み続けたいというまちの実現につなげていきたいと考えています。
次に,新生児の
聴覚検査について,検査費用を助成すべきではないかという御質問についてですが,本市としても,
聴覚障害を新生児期に発見し,早期の療育を行うことが言語機能の向上等に効果があることについては認識しています。
そのため,広島市民病院耳鼻咽喉科医師やこども療育センターの言語聴覚士等をメンバーとする聴覚発達検討会議での検討結果を踏まえて,
聴覚障害の早期発見と対象家庭への適切な支援に資するよう,母子健康手帳や乳幼児健診質問票に聞こえに関する項目を設けるとともに,乳幼児健診に従事する保健師等を対象とした研修会を開催しています。
こうした本市の取り組みと合わせ,市内の産婦人科医療機関において検査機器の導入が進んだことから,本市の新生児のうち
聴覚検査を受けている新生児の割合は,平成23年度は82.0%,24年度は85.9%,25年度は91.0%とふえています。
本市としては,
聴覚障害を早期に発見して適切な療育につなげていけるよう,引き続き,新生児期の検査の必要性について周知を図りながらも,今後の
聴覚検査受診率の推移を見つつ,他の検査とのバランスなども考慮して,必要な対応を検討したいと考えています。
以上でございます。
○
碓井法明 議長
健康福祉局長。
◎糸山隆
健康福祉局長 サードハンドスモーク対策についてお答えをいたします。
まず,市の認識と対応についてです。
本市では,健康の保持増進と疾病予防の観点から,たばこ対策を推進しており,健康づくり計画「元気じゃけんひろしま21(第2次)」においても,
受動喫煙防止対策は重要な柱に位置づけています。
サードハンドスモークの概念は,平成22年2月の厚生労働省健康局長通知に添付された
受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書で初めて示され,それには,
受動喫煙防止対策の推進に当たり,残留たばこ成分等の新しい概念等の情報提供も重要であると記載されています。
これを受け,本市では区の保健センターにおいて,成人を対象とした禁煙教室や,大学生等を対象とした喫煙防止教室等の機会を通じて,
サードハンドスモークについても情報提供を行っています。
また,今年度改定予定の広島市
受動喫煙防止対策ガイドラインの中にも,
サードハンドスモークの情報を盛り込み,施設管理者等に周知を図ることとしています。
今後も,さまざまな機会を通じ,
サードハンドスモークについて,広く市民に周知を図ってまいります。
次に,被爆70周年で多くの外国人が来訪するが,公共施設に
喫煙ルームの設置を続けるのかという御質問についてです。
本市が所管する施設における
受動喫煙防止対策については,昨年6月現在,827施設のうち811施設,98.1%は禁煙となっていますが,12施設は分煙,4施設は対策が不十分な状況となっています。
この分煙や対策が不十分な施設については,入所施設や宿泊施設等では利用者の中に強く喫煙を希望される人がいることへの配慮が必要という事情,そのほか,合築施設のため
喫煙ルームが設置されている,周辺の状況などから屋外に喫煙場所が確保できないなどの理由があると聞いています。
しかしながら,市が所管する施設については,全面禁煙を目指すべきであると考えており,各施設を管理する所管課等に対し,引き続き粘り強く指導してまいります。
以上でございます。
○
碓井法明 議長
都市整備局長。
◎西岡誠治
都市整備局長 私からは,
サードハンドスモーク対策についてのうち,平和記念公園を全面禁煙にしないのかという,お尋ねについてお答えいたします。
平和記念公園は,原爆死没者の慰霊とともに,世界の平和を祈念する場であり,修学旅行の児童・生徒を初め,国内外から数多くの人々が訪れる本市を代表する観光地でございます。
利用者の健康被害を未然に防止し,平和記念公園にふさわしい環境を整えるため,公園内にあった55基の灰皿を順次撤去するなどの
受動喫煙防止対策を進めるとともに,公園利用者の御意見を伺いながら,全面禁煙も視野に入れた同公園の禁煙環境のあり方について検討を進めてまいりました。
平成20年度から始めた公園利用者へのアンケート調査の結果では,当初,全面禁煙に対する賛成が反対を上回っていましたが,公園内の灰皿を5基まで削減した後の平成25年度には,反対が賛成を若干上回りました。
こうしたアンケート調査の結果を参考にしながら,たばこを吸いたいという方もおられるという現実も考慮し,残っていた灰皿5基も一旦撤去した上で,現在は分煙と景観に配慮して,主な園路から離れた場所に喫煙ブース1基と灰皿3基を設置しています。
今後も,平和記念公園の喫煙環境のあり方について,利用者等の御意見を伺いながら検討してまいります。
以上です。
○
碓井法明 議長
企画総務局長。
◎竹内功
企画総務局長 タブレット型端末の導入についての御質問のうち,
ペーパーレス化など,行政の効率化を一層図るために,市でも導入してはどうかということについてお答えいたします。
本市では,これまで住民記録,市税,福祉情報などの住民窓口業務システムや,文書管理,庶務事務などの内部管理業務システムの導入により,事務処理時間の削減や
ペーパーレス化など,行政の効率化に取り組んできました。
現在,こうしたシステムの操作や資料作成等の事務処理は
パソコンを使用して行っておりますが,最近では,
ペーパーレス化を一層推進していく観点から,他都市の中には,
タブレット型端末を使った会議の開催なども見受けられるようになっております。
持ち運びやすく,操作が容易である
タブレット型端末を利用することで,より業務の効率化が図られるものもありますので,今後,セキュリティーやコストの面も含めて,他都市における導入事例を調査研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○
碓井法明 議長
消防局長。
◎滝澤宏二
消防局長 災害時の通信手段として
タブレット型端末の導入についての御質問がございました。
消防局では,災害現場からの情報収集や消防隊への活動指示などは,消防・救急無線や携帯電話を使い,基本的に音声により行っています。
しかし,昨年8月20日の豪雨災害では,土砂災害が同時多発したことや,音声だけでは被害状況を正確に伝えることが困難であったことなどから,現地の様子など,消防隊の活動に必要な情報や詳しい被害状況等についての情報共有に時間を要したところもあると考えております。
このため,音声に加え,災害現場の映像や図面等の情報をリアルタイムに送受信できる機能を有する
タブレット型端末を,まずは各消防署の指揮調査隊と消防局通信指令室に導入して運用を始めたいと考えており,そのための経費を新年度予算に計上しているところでございます。
以上でございます。
○
碓井法明 議長 36番沖宗議員。
◆36番(
沖宗正明議員) まず,タブレットにつきましては,導入が予定されてるというのは予算書から読み取れなかったもんで,今回質問に取り上げたというのがありますが,非常に役に立つと思いますので,まだ数は非常に少ないようで,各消防署に一つとかありますが,ぜひとも拡充していくべきだと思っております。
それから,
企画総務局長の答弁で,
ペーパーレス化が,いろいろ,云々がありましたけども,あくまでもこれは
ペーパーレス化を目指しているわけではなくて,行政の効率化ということを目指して導入をしていただきたいというように思います。
それから,
こども未来局長が
聴覚検査につきまして,受診率が9割を超えてきたということをおっしゃっていました。それは確かに,親としては受けさせたいでしょう。だけど自費でやっているということです。だから,受診率が上がったことをもってよしとするというのは,全く私は感覚が違います。だからこそ,無料化にしてこそ,子育ての
モチベーションが上がると考えて,きょう質問したわけですから,受診率が上がったことをもって満足せずに,ぜひともそういう補助を入れる方向で検討してほしいと思います。
そういうことを言って,受診率が上がってよしとするんであれば,県内で一番受診率の悪いメタボ健診なんて,全く落第であるということしか言えないわけですから,ぜひともそれを検討してください。
それから,
都市整備局長の答弁で,いろいろ検討して,徐々に進んでいるというのがありました。しかし,この禁煙対策というのは,オール・オア・ナッシングだと思います。平和公園で55が,灰皿が五つに減ったからよしとするということにはならない,やっぱり100かゼロ,あるかないかということまで突き詰めていくべきではないかと思ってるんですが,例えば,合築があって,喫煙者に配慮するということもございますけれども,実際に吸えない場所では,やっぱり我慢してますよ。新幹線とか,飛行機の中では。ですから,本当にもうだめなんだと言えば,どんな合築であろうと,公園であろうと我慢すると思います。ぜひともオール・オア・ナッシングのナッシングを目指してやってください。画竜点睛を欠くことになりますので。
それから,最初に市長の答弁にございましたが,先ほどの最初の質問は,どうしても総論的なことしか今は論じられませんので,こういった質問に終わったわけですが,ぜひとも広島版の総合戦略をよりよいものにというより,最高のものにしていただきたいということをお願いして終わります。
○
碓井法明 議長 次に,38番中原洋美議員。
〔38番中原洋美議員登壇〕(拍手)
◆38番(中原洋美議員) おはようございます。日本共産党市会議員の中原洋美です。市議団を代表して
総括質問を行います。
戦後70年のことし,日本は憲法9条に基づく国か,いつでもどこでも自衛隊を海外派兵する戦争する国か,日本の進路が根本から問われる年になっています。そうした中,核兵器廃絶とともに,戦争という過ちを繰り返してはならないと訴える被爆地ヒロシマの果たす役割は大きくなるばかりです。その立場から認識を伺います。
安倍首相は8月に発表する戦後70年談話について,過去の植民地支配と侵略を謝罪した戦後50年の村山談話などの文言は下敷きとせず,新談話を出すと述べています。総理は,これまでにも植民地支配と侵略を行ったことを認めず,侵略の定義は定まっていないと言い放ち,靖国参拝という村山談話の精神を踏みにじる行動を平然と行って,恥じるところがありません。
慰安婦問題でも,旧日本軍の関与と強制を認めた河野談話も事実上否定する言動を公然と行っており,安倍首相自身のゆがんだ歴史観は隠しようもありません。
ドイツ連邦共和国の6代大統領であったワイツゼッカー氏は,過去に目を閉ざす者は,結局のところ,現在にも盲目となると述べていますが,まさに安倍総理に当てはまる言葉ではないでしょうか。
戦後の世界秩序はファシズムと軍国主義による侵略戦争の断罪の上に成り立っています。それを否定する者は,世界でも,アジアでも生きる道はありません。戦後70年の年に当たり,村山談話,河野談話に対する,平和都市広島の首長として,市長の歴史認識を伺います。
過激組織イスラム国による日本人人質事件は,最悪の事態となりました。総理の外遊先での発言など,国会で検証が進められていますが,総理は米軍などの空爆へ自衛隊の支援が憲法上可能と述べ,邦人救出を名目にした自衛隊の海外派兵拡大を検討しています。テロ集団による蛮行を機に,海外で戦争をする国づくりを進めることは絶対に認められません。
日本が,米英などが主導する有志国連合と連携し,後方支援とはいえ,イスラム国に自衛隊を派遣して武力行使に加われば,自衛隊員が戦闘に巻き込まれ,日本が報復テロの標的になってしまいます。最近では,有志国連合の軍事作戦に参加しているデンマークでは,イスラム系過激派によるテロも相次いでいる状況です。安倍政権が進める積極的平和主義は,第二次世界大戦以降70年をかけて築き上げてきた日本への信頼を台なしにする危険な暴走です。
市長は,これまでにも集団的自衛権行使に関する認識を問いますと,外交は国の仕事と答弁されてきましたが,もはや国任せにはできません。先日の安倍総理の所信表明演説は,この道しかないと,戦争への道を突き進むファシズムの暴走宣言とも言うべきものでした。被爆地の市長として,平和憲法を守り,集団的自衛権に関する閣議決定は撤回し,戦争をする国づくりの具体的な法整備はやめるように求めるべきではありませんか。
市長は,世界に誇れる広島の実現をスローガンに市政運営をされてまいりましたが,果たしてこの4年間,我が広島市が世界に誇れるまちになれたのか,松井市政の4年を検証するとともに,自治体に求められる役割発揮を求めて質疑をいたします。
まず,迎える平和についてです。
昨年12月,オーストリアのウィーンで開かれた核兵器の人道的影響についての国際会議には158カ国が参加し,無差別的な破壊力を持つ核兵器は人道的に受け入れがたい結果をもたらすと強調し,廃絶に進むことを訴えました。先日,オーストリアは各国に核兵器禁止文書の賛同を求めましたが,日本政府は賛同しないとしています。被爆国日本政府が核抑止にしがみつき,世界に広がる核兵器廃絶の流れに後ろ向きであることはまことに恥ずかしい限りです。
これまで市議団は,日本政府の核抑止の立場を批判し,被爆国が核兵器廃絶のイニシアチブをとるべきだと,市から国への働きかけを求めてきましたが,市長は国とけんかはしたくないと言って尻込みされてきました。被爆70年の今春開かれるNPT再検討会議の成功に向け,核兵器禁止条約の具体化に向けたリーダーシップをとるよう,国に働きかけるべきではありませんか。お伺いをいたします。
核兵器が人類と共存できない非人道的兵器との国際認識を広げてきたのは,被爆者の被爆体験を初めとして,あの日,ヒロシマで何が起こったのか学べる場があったからです。世界の若者を受け入れ,ユネスコから平和学習センターとして表彰された世界に誇るべきユース・ホステルを市長は赤字を理由に廃止されました。これは,迎える平和の逆行です。廃止されて2年が経過しましたが,この間,市内のホテルにおいてどのような平和学習がされてきたのでしょうか。現在,ユース・ホステルは更地になっているようですけれども,跡地活用はどうされるのかも聞いておきます。
被爆70年の記念事業として,約4億5000万円の予算を使い,21の新規事業が計画されていますが,単年度のイベントに終わらせるのでなく,ユース・ホステルでの平和学習・交流の取り組みの成果を踏まえながら,現在の取り組みを検証し,広島を訪れる,特に若い旅行者が交流できる場の創出を検討されるよう求めておきます。
次は,カキ船移転・新設についてです。
1月29日,日本イコモス国内委員会は,かき船「かなわ」が原爆ドームから200メートルの場所に移転・新設することは,原爆ドームの精神的価値を低める大問題として,カキ船の移転場所の見直しを求める意見を市に提出されております。市はこの懸念表明をどう受けとめていらっしゃいますか。
2006年にも高層マンション建設で原爆ドームが世界遺産リストから登録抹消されるのではないかとの問題が発生しました。このとき,世界遺産周辺の良好な環境を保護するための地域,バッファーゾーンに関して勧告が出され,世界遺産遺跡として登録された文化遺産の完全性を失わせずとも,それを損なう建設行為が問題となると明言しています。カキ船の移転・新設を強行すれば,原爆ドームが世界遺産から削除されることもあり得ます。市は,06年のイコモスの勧告をどのように教訓化されてきたのかお尋ねしておきます。
元安川は,多くの被爆者が水を求め,飛び込み,亡くなっていった,まさに地獄絵の様相を呈した場所であります。ここにお酒の場を設けることは,核兵器の非人道性を追体験し,核兵器廃絶への祈りと原爆犠牲者への鎮魂の場としてのバッファーゾーンの環境を壊すものです。カキ船は,高さ9.49メートル,幅8.17メートル,長さ22メートルで,まさに3階建てのビルに相当する構造物であり,原爆ドーム周辺の景観にもマイナスです。市が原爆ドームの環境に影響なしと判断された経緯をお聞きします。広島市は原爆ドームが危機遺産になっても構わないとお考えなんでしょうか。
カキ船文化やカキを使った観光でにぎわいをつくることも必要ですが,にぎわいのために世界遺産原爆ドームの価値を下げることがあってはなりません。市長の政治姿勢は迎える平和でなく,稼ぐ平和だと率直に指摘しておきます。
移転計画が新聞報道されて以降,別な場所に移転すべきとの声が一気に上がっております。市民に知らせず,水面下で移転計画を進め,市民の合意を得る姿勢が欠落していることは重大です。市に反省はないんでしょうか。1月29日には,かなわから国交省中国地方整備局にしゅんせつ・くい打ち工事の許可申請が出されたと聞いております。まさに心配な事態であります。
今後,広島市はどのようにこの問題を解決されるのか伺います。
黒い雨の降雨地域拡大についてお尋ねします。
国は,県と市が実施しました調査に対し,科学的根拠がないと被爆地域拡大の願いを退けました。黒い雨の体験者は,この無責任な国に抗議するため集団訴訟を準備されています。黒い雨の降雨地域の拡大を求めた集団訴訟は被害者にも苦渋の決断ですが,市は,どのように受けとめておられますでしょうか。
一昨年から黒い雨体験者の相談事業が始まりました。しかし,話を聞くだけで,何の意味があるのかと失望の声も寄せられ,既にことしは相談利用者が半減したと報じられております。このままでは,国の委託である相談事業そのものが打ち切りになりかねません。被爆地に求められるのは,この相談事業において,黒い雨を浴びた被爆者の体験や病歴をしっかり聞き取り,残留放射線の健康影響を解明する資料として役立つ取り組みにすることであり,拡大に向けて力を注ぐことです。相談事業の実施状況と効果についてもお聞きしておきます。被爆70年の節目の年に,黒い雨地域拡大の一刻も早い政治的解決が図られるよう,国にどう働きかけられるのかお伺いをしておきます。
次は,国の暴走政治から市民生活を守る防波堤の役割の発揮を求めて質疑します。
昨年12月,OECDが発表した,格差と成長と題する報告書の分析によれば,日本の経済成長率は,ここ20年間で5.6%押し下げられ,安倍政権が最大の売り物としておりましたアベノミクスは,深刻な格差拡大をもたらしたと批判しています。大企業や富裕層がもうかれば,いずれは庶民の暮らしに回るというトリクルダウン,滴り落ちるという意味のようですが,この経済論は誤りだと指摘されています。
確かに,アベノミクスが人為的につくり出した円安・株高は大企業や資産家のもうけをふやしました。新年度予算でも,円安により輸出大企業が最高益を得たことにより,市税収入が1.1%増加し,税収はふえております。しかし,肝心の市民の暮らしと地域経済は,消費税増税と円安による物価高,実質賃金の低下で,苦しくなるばかりです。
特に,子供の貧困率は16.3%と過去最悪を記録し,6人に1人が貧困世帯という状況は深刻な社会問題です。幾ら株が上がっても,これらの子供の家庭に恩恵はありません。アベノミクスで市民の暮らしや中小企業に効果があったのか,市長の見解をお尋ねします。
安倍政権は,財政が大変と言いながら,285兆円もの内部留保がある大企業に,今後2年間に1兆6000億円もの大減税をしようとしています。一方,社会保障のためと言って,消費税を8兆円も増税しながら,社会保障費の自然増削減で,介護,年金,医療,生活保護などの制度を手当たり次第に切り捨てています。
この国の悪政を市民の暮らしにそのまま持ち込ませず,市民生活を守る防波堤の役割を果たすことが求められます。暮らし・福祉・子育てを守り,地域の中小企業を応援する予算をふやしてほしい,これが市民の願いです。その立場からお尋ねをいたします。
新年度予算では,法人市民税はふえたものの,法人税割の税率の引き下げにより,減収分を含んだものとなっております。法人税割の税率引き下げがなければ,市税は幾らふえていたのでしょうか。
また,新年度は,被爆70年を踏み台にし,被爆100年に向けたまちづくりの先導などと称して,巨大開発にアクセルを踏み,借金を膨らませ,前年と比べ約92億円も多い786億円もの市債発行となっております。校舎の耐震化・空調整備,災害復興など必要不可欠な事業を実施するために借り入れをふやすことはやむを得ないと考えますが,広島駅前の再開発や広島駅南口から新球場までのペデストリアンデッキの整備など,広島駅周辺開発に昨年の約2倍の事業費が充てられていることは問題です。
平成27年度末までに,実質的な市債残高を7449億円から6853億円へと8%減少させるという市の財政運営方針は目標を達成できていません。市債残高は目標と比べ幾らふえたんでしょうか,市民1人当たりの市債残高が幾らふえたのかも聞いておきます。市にとって財政運営方針は守らなくていいものなのでしょうか。見解をお尋ねします。
市はこの4年間,市民向けには,後世に負担を残さない,収支不足を解消するとして事務・事業の聖域なき見直しを強行し,障害児,遺児,高齢者など弱い立場の市民の予算を削ってきました。結局,市長の市政運営は,市民の命と暮らしは削るが,大型開発なら借金に目をつぶるという,後世に大きな借金を残す市民犠牲の政治です。巨大開発が財政を圧迫しているという認識はないんでしょうか。
市長は見直しの影響が大きい四つの事業,乳幼児等医療費補助,ひとり親家庭など医療費補助,高齢者公共交通機関利用助成,留守家庭子ども会事業は引き続き検討するとしておりますが,再選を果たされたときには,大型開発に邁進しながら,これらの事業の廃止,縮小,負担増,有料化へと見直しを強行されるのか,お聞きしておきます。
子供の医療費補助について伺います。
行政の仕事は,市民の命と財産を守ることです。
人口減少に歯どめをかけるためにも,不要・不急の巨大開発をやめて,
子育て支援に大きく財政出動するときです。広島高速5号線建設は地元住民が工事の中止を求めて裁判中ですが,市は地元の合意がないまま,新年度予算では,二葉山トンネルの入り口となる中山道路整備に23億円の事業費を計上しています。災害の危険も大きい高速5号線建設関係に貴重な税金を使わずに,この予算は子供の医療費補助の年齢拡充のために使うべきです。広島市の子供の医療費補助制度は政令市で最下位であります。とても恥ずかしいことではないでしょうか。子供の命を守れる自治体になってこそ,世界に誇れるまちになるのではありませんか。市の考えをお尋ねします。
現行の一部負担金及び所得制限のままで,小卒,中卒まで年齢拡大するには幾らの予算が必要でしょうか。
中小企業支援について伺います。
新年度予算では,大企業呼び込みのための企業立地補助金は昨年の1.5倍の予算で約14億円,一般財源が約6億円も使われます。一方,中小企業支援の充実として取り組まれた一般財源予算はわずかに30万円。スズメの涙ではありませんか。余りに大企業支援に偏った予算です。これで地域経済が活性化するとお考えでしょうか。
経済の主役は中小業者です。地場の中小業者の経営と発展のために行政が本腰を入れるべきではありませんか。中小業者の人材と仕事確保のための中小企業振興条例や住宅・商店リフォーム補助制度など,地域の力を生かす取り組みこそ実施すべきですが,お考えをお聞きします。
とりわけ,階段室型の公営住宅のエレベーター整備は,中小企業の仕事をつくってきましたが,事務・事業見直しで中止され,中小企業の仕事を奪っただけでなく,整備を待ちわびていた入居者に失望を与えました。公営住宅のバリアフリー化に向けて事業の復活をすべきですが,どうお考えでしょうか。
国も格差拡大の政策では経済成長はできないと判断し,地域住民生活等緊急支援のための交付金を創設いたしました。この交付金は,増税や物価高に苦しむ住民の生活と地域経済を支援する財源となるべきものです。
地域消費喚起・生活支援型の交付金11億7500万円を使い,プレミアムつき商品券を発行するとしています。なぜ,商品券にされたのか,どのような事業で,具体的にどんな消費喚起効果があるのかお聞きをしておきます。
介護保険について伺います。
第6期介護保険事業計画の中で,介護保険料の改定が行われています。高い介護保険料の軽減は待ったなしの課題ですが,安倍首相は消費税10%の先送りを口実に,来年度は最も所得の低い層だけを対象にわずかな減額にとどめました。
国の計画どおり,所得別の第1段階から第3段階までの介護保険料を予定どおりに軽減するには,広島市では幾らの財源が必要でしょう。
これまで国は,一般財源は減免に使えないとしてきましたが,一般財源を4分の1投入する軽減策を検討するとしています。国が実施するまで,広島市が一般財源を使い,高い介護保険料の軽減に踏み出すときではないでしょうか,お考えをお聞きします。
政府の社会保障審議会が全体で2.27%の介護報酬の引き下げを承認したため,特養は過去最大規模6%の減額となります。介護報酬引き下げの理由は,特養を経営する社会福祉法人には,内部留保がある,利益率が中小企業より高いというものですが,その多くは建てかえの積み立てなどであり,3割が赤字経営です。国は,職員の処遇改善費を1万2000円分確保したと言いますが,月給が上積みされても賞与が削られるなど,人件費引き下げにつながることは避けられません。
その上,広島市は,来年度から本市独自の職員給与改善費2%を廃止するとしており,国と市のダブルパンチで人件費にしわ寄せとなります。報酬単価引き下げは,介護現場の離職率を高め,広島県内の介護職員の求人倍率2倍以上という人手不足に拍車をかけることは明らかです。実際に東京では,人手不足のため,特養ホームが閉鎖となった事例も発生しております。まさに介護難民を激増させるものでしかありません。本市は,第6期介護保険事業計画の3年間で670人分の特養老人ホームの増床を計画していますが,職員が集まらず,多くの待機者がいながら,入所できないという深刻な状況になるのではないでしょうか,お考えをお聞きします。
次は,国民健康保険料についてです。
高過ぎる国保料の引き下げは切実な願いですが,国は国保への公費支援をやめさせ,国保料のさらなる引き上げを狙う,都道府県化を進めようとしています。その中身は,都道府県が過去の実績から医療費の見込み額を算定し,県に納める分賦金や収納率目標と標準保険料率を示します。市はこれを参考に保険料を決めて市民から徴収し,県に納付します。お聞きしますが,国保の都道府県移管により,これまで国が言ってきたように,市町村ごとの保険料の格差は解消されるのでしょうか。
高齢者,自営業者,非正規労働者など,低所得者が多く加入している国保には,負担軽減に向けた市町村の一般会計繰入は不可欠ですが,都道府県が運営するようになれば,国保料軽減策や医療費の窓口一部負担減免制度など,命を守るための市独自の事業ができなくなるのではないでしょうか。
滞納者の増加で,市町村が分賦金の必要額を集め切れなかった場合,一体誰が補填されるんでしょうか。
さて,国保料の過誤徴収では,多くの世帯が請求金額に驚き,とても払い切れないと悩み苦しみ,いかにやりくりしても払えないと滞納を余儀なくされてきました。市は先般,過誤徴収を見逃した職員を減給とする処分をされましたが,これで決着は図れません。第1に,最高責任者である市長と局長は,なぜ戒告処分なのでしょうか。職員だけを減給にして済ませるのですか。
第2に,市は,間違って請求した多額の国保料に対し,14%の延滞金を付加しています。これは不当利益ではないんでしょうか。ある市民は訴えます。本来の保険料は払います,しかし,過大請求された保険料に対する延滞金は払わないとの言い分です。間違った額の保険料を請求したのは広島市です。なのに,払えない市民が悪いかのごとく,過大請求した保険料の延滞金を市民から取り立てるのは,納得できないとの主張です。
市は延滞金まで差し押さえされるのでしょうか。市のミスで滞納に追い込んだ責任をとり,過誤請求した世帯への延滞金は徴収しない特例措置をとるべきではありませんか。お考えをお聞きします。
次は,教育についてです。
国は,国民的な世論に押され,2011年に法律を改正し,小学校1年生で35人学級を実現,翌年12年からは小学校2年生でも予算上の措置をしてきましたが,安倍政権の2年間はストップしております。そして昨年は,財務省が予算削減のために40人学級に戻せと求めておりました。教職員の多忙化の解消は待ったなしの課題であり,これ以上の教育条件の後退は許されません。市は,これまで中学校1年生まで進めてきた少人数学級をどう評価されているでしょうか。
毎年320億円の政党助成金の無駄遣いをやめ,大企業への減税をやめれば,財源は確保できます。国は百年の大計である教育にお金をかけるべきです。市は国に対し40人学級に後戻りせず,国の責任で少人数学級を推進すべきだと要望すべきではないでしょうか。本市における中学2年生,3年生の少人数学級はいつ実施するかお尋ねしておきます。
来年度から教育委員会制度改革が行われ,各自治体に首長と教育委員会で構成する総合教育会議が設置され,首長は,教育の目標や施策の根本的な方針となる大綱を策定し,教育施策に関する方向性を明確にします。つまり,来年度から首長の教育行政への関与が強まるのであります。
そこでお聞きします。大綱策定においては,教育の自主性・自律性を維持し,子供の学習権等を確保するため,教育の中立性,継続性・安定性等の確保が不可欠ですけれども,どのような大綱を策定されるのかお尋ねをしておきます。
最後に,災害に強いまちづくりについてです。
8.20の広島土砂災害から半年がたちました。被災者にとって,生活再建の基本は住宅再建です。市は,この3月末までに復興まちづくりビジョンを策定するとして,被災地域で説明会を開かれておりますが,急ぐ余りに,被災者の願いに寄り添うまちづくりになっていないのではないでしょうか。砂防堰堤やそれに伴う立ち退きなどが進められようとする中,被災者は今後の生活や住宅の再建で困難に直面されております。
具体的には,新たに就職相談会や介護技術競技会等を行う介護フェアを開催する。また,中核的な人材育成・定着を図る介護マイスター養成支援事業などを実施する予定としています。
今後,こうした取り組みの効果的な展開を図ることにより,介護事業所において必要とされる人材の確保や,質の高い人材の育成・定着を促進していきたいと考えています。
最後に,国民健康保険について,数点お答えをいたします。
国保の都道府県移管により,市町村ごとの保険料の格差は解消されるのかとのお尋ねです。
国は,国民健康保険の都道府県単位化に向け,平成30年度から都道府県が財政運営の主体となって,中心的な役割を担うなどの方針を示したところです。
都道府県単位化後の保険料については,都道府県が域内の医療費の見込みを立てた上で,市町村ごとに,医療費水準及び所得水準などを踏まえ分賦金を決定するとともに,市町村に対し標準保険料率を提示し,これを参考に各市町村が保険料を定めて賦課・徴収する分賦金方式が示されています。
また,地域の実情に応じて2次医療圏ごと,あるいは都道府県ごとに保険料率を一本化することも可能な仕組みとすることが示されています。
こうした中,広島県の市長会・町村会においては,昨年7月に県内市町の国民健康保険の一体的な運営を目指して,当初から同一保険料を定めることについて,国に提言しており,本市としては,今後,国の動向を注視しつつ,同一保険料も含めた保険料のあり方について,県及び県内市町と協議を進めていきたいと考えています。
次に,都道府県が運営するようになると,市独自の事業ができなくなるのではないかとのお尋ねについてです。
国民健康保険の都道府県単位化における役割分担では,市町村は地域住民との身近な関係の中,被保険者の実情を把握した上で,賦課・徴収,保険給付,保健事業などを担うこととなっています。
市町の独自措置の取り扱いについては,国民健康保険の都道府県単位化に伴う各市町の被保険者の負担と,それが市民の生活に及ぼす影響等を踏まえながら,広島県や他の市町と十分に協議・調整を行っていきたいと考えています。
次に,分賦金の必要額を集め切れなかった場合に誰がどのように補填するのかですが,これに関しては,市町村の保険料が収納不足になった場合の具体的な処理方法については,まだ決まったものがございません。
最後に,過誤請求した世帯への延滞金は徴収しない特例措置をとるべきではないかとの御質問です。
保険料の算定につきましては,正しい保険料を再計算した上で,昨年11月に新たに納入決定通知を行いましたが,それ以前の納期分,すなわち10月納付分までは,既に賦課されている保険料が有効となります。したがって,保険料を一定期間以上滞納された場合には,制度上,延滞金がつくことはやむを得ないものと考えています。
なお,仮に最高限度額の世帯が滞納された場合でも,過大に賦課していた部分の保険料に着目をして試算しますと,その部分ということであれば,本年度内であれば,その部分に対する延滞金が発生することはないという結果になっておりました。
以上でございます。
○
碓井法明 議長
経済観光局長。
◎谷本睦志
経済観光局長 アベノミクスについて,市民の暮らしや中小企業に効果があったのか,その見解を聞きたいとの御質問がありました。
アベノミクスの効果について広島市の状況を見ますと,景気は緩やかに回復しており,円安が進行したことを背景に,製造業,とりわけマツダ関連企業の集積する本市においては,全国的にはマイナスとなっている実質賃金がプラスとなっております。また,企業倒産件数は減少し,有効求人倍率は増加傾向にあるなど,一定の効果があったものと考えています。
しかしながら,食品加工業などの製造業や小売・卸売業は,円安の影響を受け経営が依然として厳しく,従業員の賃金も十分に上がっていないことから,個人消費が伸び悩んでおり,百貨店やスーパーの売上高は引き続き低調な状況にあります。
こうした中,国において,結婚・出産・子育てや中小企業の支援等に取り組むとともに,地方が行う,まち・ひと・しごと創生に係るさまざまな事業に対する支援を切れ目なく展開することとしていることから,これを踏まえ,景気の回復が市域全体に行き渡るよう地方創生を柱に諸施策に取り組んでまいりたいと考えております。
次に,新年度予算では,企業立地補助は14億円など,大企業支援に偏った予算ではないか,これで地域経済は活性化すると考えているのかという御質問がありました。
来年度予算案における産業振興に関する予算の総額は約247億円で,このほとんどが中小企業支援に関するものです。
その主な内容ですが,中小企業融資制度について,昨今の円安基調で厳しい経営環境にあることを踏まえ,景気対策特別融資の要件緩和を行っています。
また,中小企業の抱えるさまざまな問題解決のための窓口相談や専門家派遣,販路拡大のための見本市への出展補助,既存企業の新成長分野への進出を支援する補助を行っています。
さらに,より多くの創業を生み出すための事業計画策定から実行段階に至るまで専門家による継続支援などの支援策にも取り組んでいます。
このように,地場産業の大半を占める中小企業への支援を行うことにより,地域経済の活性化を図ることとしています。なお,企業立地補助の約14億円,これが大企業にというお話がありましたけども,14億円のうち約11億円は中小企業に関するものでございます。
次に,中小企業の人材と仕事確保のための中小企業振興条例や住宅などの補助制度を実施すべきであると思うがどうかという御質問がありました。
議員御提案の中小企業振興条例の制定については,現在においても,条例制定に向けた機運の醸成はなされていない状況にあることから,広島県中小企業家同友会における事例研究等の状況等を踏まえながら対応していきたいと考えています。
また,住宅等リフォーム補助制度については,本市では,住宅耐震診断,高齢者や障害者のバリアフリー改修等に対する補助制度を行っているところであり,これによる一定の経済的波及効果があることから,基本的にはこの仕組みを守っていきたいと考えています。
最後に,国の地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用してプレミアム商品券を発行するとあるが,なぜこの事業にしたのか。どのような事業で,どんな消費喚起効果を見込んでいるかとの御質問がございました。
国は,地域住民生活等緊急支援のための交付金── 地域消費喚起・生活支援型と言いますけれども── この活用について,市町村に対しては,地域内での消費喚起効果が高いプレミアム商品券を推奨しています。
また,商店街や商工会等の関係団体に協議したところ,地域経済活性化のために,ぜひ実施してほしい旨の賛同が得られたことから,本事業を実施することにしたものです。
具体的な内容については,今後,決定するものですが,例えば,1万円で1万2000円分の買い物ができるプレミアム商品券を発行し,市内の小売店や飲食店などで,商品券を用いた商品の購入を促すことが考えられます。
消費喚起効果については,プレミアム商品券は,値引き効果があることから,多少高額の買い物をしやすくなる,あるいは多目に買い物をしてみようという気になるといった効果が期待できます。
また,商品券の発行に合わせた消費拡大キャンペーン等に取り組むことで,顧客の拡大などの効果も期待できるものでございます。
以上です。
○
碓井法明 議長
都市整備局長。
◎西岡誠治
都市整備局長 私からは,災害に強いまちづくりについて2点お答えいたします。
まず,復興ビジョンに被災者の生活再建という視点がないとの声がある。また,復興計画は住民合意を図りながら丁寧に進めることが不可欠だと考えるがどうかという点についてでございます。
本市では,このたびの被災地域を災害に強い安全なまちによみがえらせることを基本方針とし,避難路等の骨格的な施設整備や今後の防災・減災まちづくりなどの実施方針を示す復興まちづくりビジョンの策定に取り組んでおり,今後,このビジョンに沿って着実に復興を進めることが,被災者の生活再建にもつながるものと考えております。
策定に当たりましては,昨年12月2日にビジョン案の第1版を公表し,地区ごとの説明会や町内会等の要請による意見交換会を開催してまいりました。その結果を反映した第2版を今月6日に公表した後は,担当職員が地元公民館等に一定期間詰め,面談方式による説明の場を地区ごとに順次設けております。こうしたきめ細やかな対応により,被災者の思いを受けとめ,しっかりと話し合うことで,地元の理解を深めながらビジョンを取りまとめることといたしております。
また,被災者に提供している仮住宅の入居期間につきましては,安心して生活再建に取り組んでいただけるよう,引き続き個々の事情を丁寧にお聞きし,対応していきたいと考えております。
今後,年度末までにビジョンを策定し,復興事業のスタートを切ることになりますが,その後も,地元の声に耳を傾け,合意形成を図りながら,生活の場であるコミュニティーの再生に取り組むなど,地域住民と行政の協働による復興まちづくりを進めてまいります。
次に,長年整備されてこなかった都市計画道路長束八木線について,必要性については十分な検証が必要なのではないか。また,その整備費はどの程度なのかというお尋ねがございました。
長束八木線については,議員御指摘のとおり,昭和43年に八木・緑井地区まで延伸する都市計画変更が行われて以来,当地区の整備に長年着手できていない状況でございました。
こうした中で,土石流による甚大な被害が発生したわけですが,被災地を安全なまちによみがえらせるためには,国の砂防堰堤の整備に加えて,まちの骨格となる避難路が必要であること,豪雨時の出水を処理する雨水排水施設が必要であること,また砂防堰堤完成後の管理道が必要であることなどの課題がございました。
これらの課題への対応等を総合的に検討した結果,既に都市計画決定されている長束八木線を広域避難路として整備し,あわせて道路の下の空間に雨水排水施設を整備することが,最も合理的であると判断したものでございます。
長束八木線の事業費につきましては,ビジョン策定後に調査設計等を行うことで明らかになりますが,集中復興期間の整備に係る事業費は,現段階の概算で約46億円と見込んでおります。
以上でございます。
○
碓井法明 議長
都市整備局指導担当局長。
◎佐名田敬荘
都市整備局指導担当局長 私のほうからは,中小企業支援についての御質問のうち,階段室型市営住宅のエレベーター整備を復活し,市営住宅のバリアフリー化を進めるべきではないかとの御質問でございます。
エレベーター整備事業につきましては,設置スペースが確保できる住棟が限られていることなどから,平成25年度から廃止することといたしましたが,この廃止にかえて,住みかえ制度の拡充を図り,階段室型中層住宅に居住されている上下移動が困難な高齢者等の方々が,1階やエレベーターが設置されている住宅へ住みかえできるよう取り組んでいるところでございます。
また,市営住宅のバリアフリー化につきましては,住戸内部の段差解消,手すり設置等を行う,高齢者等対応住戸改善事業の実施戸数の大幅な増加を図ったところでございまして,引き続き,こうした取り組みにより,バリアフリー化に対応した市営住宅の整備に努めてまいります。
以上でございます。
○
碓井法明 議長 間もなく12時になりますが,会議を続けさせていただきます。
消防局長。
◎滝澤宏二
消防局長 災害に強いまちづくりについて,今後の取り組みについての御質問がございました。
災害に強いまちづくりには,災害時に被害を最小限に抑えることができるよう,自助・共助・公助が,それぞれの役割に応じて有効に機能する仕組みづくりが必要となります。
行政は,防災情報を適切な時期に適切な内容で住民に発信し,地域では住民一人一人が,自分の住んでいる場所の危険性や防災情報を理解して,必要な行動をとることが重要であると考えています。
また,住民皆が安全に避難することができるよう,日ごろから,情報伝達や避難の際に住民同士が支え合う地域のつながりをつくっておくことが大切であると考えています。
このため,本市からの防災情報の発信については,地域の危険性や災害時の避難方法等を事前に周知するほか,危険度に応じてふさわしい内容を段階的に発信することや,伝達手段の充実等に取り組むこととしております。
また,地域の取り組みについても,区役所と消防署,消防団等が連携をして支援を行い,要配慮者の参加も呼びかけながら,地域の実情に即した避難訓練や研修会の実施,ハザードマップの作成などの取り組みを促進することにより,着実に地域の防災力の向上を図り,災害に強いまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○
碓井法明 議長 教育長。
◎尾形完治 教育長 教育についての御質問にお答えいたします。
まず,少人数教育について,少人数学級の評価,少人数学級を進めるよう国への要望,中学校2年生,3年生にも35人以下学級を導入すべきと,この3点についてお答えいたします。
本市では,平成20年度から,1学級35人以下の少人数学級を実施しており,集団生活への適応や基本的な生活習慣の確立,個に応じたきめ細かな指導が実現できる環境が整ってきていると考えております。
また,国に対しては,35人以下の少人数学級編制がより一層可能となるよう,新たな公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の早期策定,円滑な実施に向けて,従前から要望を行っており,今後とも,引き続き働きかけてまいります。
中学校2・3年生につきましては,国語・数学・英語の教科を対象として,学級生徒数の平均が30人を超える場合に,非常勤講師を配置し,生徒一人一人の習熟の程度に応じた少人数指導を実施しております。
今後,学級編制及び教職員定数の改善に係る国の動向等を踏まえ,適切に対応してまいりたいと考えております。
次に,教育委員会制度改革について,教育行政の中立性,継続性・安定性等を確保しなければならないと考えるが,どのような大綱を考えているのかとの御質問でございます。
このたびの教育委員会制度改革につきましては,新しい制度においても,教育委員会を執行機関として存続させ,教育委員会の職務権限は従来どおりとされていることから,今後とも,教育の政治的中立性,継続性・安定性は確保できるものと考えております。
この前提のもと,大綱の内容については現段階で定まってはおりませんが,首長と教育委員会が総合教育会議において協議・調整を行った上で,首長が地域の実情に応じて,地方公共団体の教育に関する総合的な施策の根本となる方針を大綱として定めるものでございます。
以上でございます。
○
碓井法明 議長 38番中原議員。
◆38番(中原洋美議員) 昼を超えましたので1点だけ質問をさせてください。
先ほど,市長は今春に行われるNPT再検討会議の成功に向けて,国に対しては必要に応じてヒロシマの思いを伝えるというふうにおっしゃいました。
まさにその方向性を期待するものでありますが,オーストリアが核兵器の禁止文書を各国に賛同を求めておりましたが,日本政府はこれを拒否しております。やはり,今,こういうときに市長がおっしゃったように,ヒロシマの思いを伝える絶好のチャンスではないかと思うんですが,今,新聞報道によりますと,被爆地ナガサキとどのようにするか,連携と対応を検討するということでありますが,まずは初動体制が大切ですが,抗議をしてヒロシマの思いを伝えることが必要だと思いますが,その点,1点,どうされるのかお聞きして終わります。
○
碓井法明 議長
市民局長。
◎及川享
市民局長 オーストリアが提案しております核兵器禁止文書についての御質問ですが,マスコミ報道では,日本政府が拒否するような報道がなされておりますが,私どもが外務省に確認したところでは,まだ検討中であるとの回答を得ております。それで,新聞報道に出ましたように,この問題に対しては,長崎市とも本市が連携して,必要に応じて,対応が必要であれば対応していくという考えでおります。
今,まだ決めてない段階でということで,事を構えるつもりはございません。
以上です。
○
碓井法明 議長 38番中原議員。
◆38番(中原洋美議員) そういう弱腰がだめなんですよ。被爆地ヒロシマなんですよ。被爆70年,戦後70年,まさに日本と世界が,被爆地がどう対応するのか,やっぱり着目しております。
世界はこういう核兵器廃絶,非人道的な兵器だということで,それをなくそうというような動きがある中で,それにすぐに乗っかって,核兵器廃絶へリーダーシップをとるというのが被爆国の役割だと思いますが,検討してるような場合じゃないんですよ。やはり,今こそ一緒になって,よくやってくださったといって,本当なら日本がしなきゃいけないんですから。やるべきだと思います。だから,今こそ検討してる場合ではないと。やはり,各国と一緒になって核兵器禁止文書の広がりに向けて頑張ろうということをお言いになるべきじゃないでしょうか。もう一度,再答弁を求めます。
○
碓井法明 議長
市民局長。
◎及川享
市民局長 まだ日本政府が決めてない段階での対応をするつもりはございません。ただ,必要があれば,長崎市と連携して対応したいということでございます。
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休憩宣告
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○
碓井法明 議長 この際,暫時休憩いたします。
午後0時04分休憩
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午後1時04分開議
出席議員 45名
欠席議員 7名
○熊本憲三 副議長
出席議員45名であります。
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開議宣告