日程に入る旨の宣告
───────────────────────────────────────
○藤田博之 議長 これより日程に入ります。
───────────────────────────────────────
△日程第1
一般質問
───────────────────────────────────────
○藤田博之 議長 日程第1,昨日に引き続き
一般質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
49番
都志見信夫議員。
〔49番
都志見信夫議員登壇〕(拍手)
◆49番(
都志見信夫議員) おはようございます。
市民連合の都志見でございます。先日の酒入議員の質問に続きまして
一般質問をさせていただきます。
一般質問の最終日でお疲れとは思いますが,しばらくの間,御清聴をお願いをいたします。
まず,平和問題についてお伺いをいたします。
唯一の被爆国として世界の
核兵器廃絶に向けて先頭に立って行動をする責務があるとした衆参両院での初の
核兵器廃絶決議は,行動と被爆国の責務を全会一致で決議されたことは画期的なことであります。広島にとっては,やっとここまで来たのかという思いがいたします。当然,日本政府が
国際会議等で果たす被爆国として果たさねばならない責務だと思います。
数年前から,
核兵器廃絶への動きは,
オバマ大統領の
プラハ演説や全米での
平和市長会議への加盟都市の急激な増加など,広島にとってうれしい状況の展開があります。今こそ
被爆地ヒロシマが果たす役割,唯一の被爆国としての内外ともに果たさなければならない役割は大きくなっていますが,国に対して
具体的行動を求める取り組みはあるのでしょうか。
秋葉市長は,ことしもニューヨークでのNPT再
検討会議の
準備委員会,
全米市長会議に出席をされましたが,その会議での成果,NPT再
検討会議に向けての前進につながる動き,スピーチの中で賛意を得たオバマジョリティーの具体策はどうお考えでありますか。多くの市民一人一人が行動に参加できる
核兵器廃絶ワッペンなどをつくって各家の玄関にでも張れるようにするなど,広島での取り組みへと発展をさせることもあわせて具体策をお聞かせください。
全米市長会議での核不拡散・核軍縮に関する
国際委員会への決議,
オバマ大統領への2010年NPT再
検討会議での要請決議は重要な動きだと思いますが,その内容と認識についてお聞かせください。
平和市長会議加盟都市は134の国と地域2,926都市にまでなりました。ヒロシマ・
ナガサキ議定書への賛同署名は664都市,国内では199都市となっています。国内での加盟都市や賛同都市はふえているのですが,昨年度から始められた幹部職員による出張時等の要請行動もされていると思いますが,
政令指定都市への加盟の働きかけはどうされているのでしょうか。広島では,被爆者を初め,広島市民の
オバマ大統領来広への期待大なるものがあります。訪米前に
オバマ招請の場面もあるのかと伝えられていましたが,どんな状況でしたでしょうか。直接のことでなくても,それに関連をする動きも含めてお聞かせください。
核不拡散・核軍縮に関する
国際委員会──川口順子元外務大臣,ギャレス・エバンス元
オーストラリア外相を共同議長とする2010年5月のNPT再
検討会議に向けて4回にわたり開かれるものでありますが,その第3回目の会議が先日モスクワで開催をされ,市長は出席をされ帰ってこられたばかりですが,その成果などについてもお聞かせください。特に,秋の広島会議に向けて,来年のNPT再
検討会議に向けて期待を持って見守っていた広島に御報告をいただきたいのであります。
次に,ごみゼロ社会を目指すと言われますが,ごみは減っているのでしょうか。ごみの排出量を見ますと,
事業系ごみは減少傾向にあるものの,家庭系の可燃ごみは一向に減少傾向にはありません。中工場など焼却工場での焼却処分されている量をいかに減らすかが課題だと思いますが,いかがですか。廃プラ系の減量,
リサイクル系の増加は歓迎すべきことでありますが,可燃ごみの減少化への課題とどう取り組まれるのですか。これまで食用油の
リサイクル化や
廃プラごみも
実験プラントでの実証までされていましたが,実行段階には至っていません。他都市での
ガス化実験も視察した記憶がありますが,
実験プラント段階から進んでいないのが現状のようであります。生ごみ処理は,焼却処分が主流で,堆肥化,
リサイクル化するなどの努力はされているのでしょうか。
学校給食での残食,残菜は業者による収集で他のごみと一緒に焼却処分されているようですが,1995年,平成7年からモデル校での堆肥化が取り組まれているようですが,現状はどのようになっているのでしょうか。堆肥化の方法,10年余りのモデル校の取り組みでつかんだ教訓や課題など,できるだけ詳しくお答えください。これらの課題を克服して,大量の可燃ごみの中から学校の可燃ごみを減量,堆肥化すること,農家と連携して地産地消にまで発展させることは教育面からも重要な意味を持つのではないでしょうか。全国的にも岡山県津山市や呉市での取り組みに加え,今年度からは岡山市でも学校給食の残食,残菜を堆肥化し,地元農家と連携し収穫した農作物を給食の食材とするなど,
モデル化事業が予算化をされておると聞きます。広島市は13年前からモデル化をして先進市だと思っておりましたが,後退している感があります。いかがですか。
次に,
AED設置についてお伺いをいたします。
「心肺停止だ,急げ」など,ネットを見ていると多くのAEDを使った一般市民の
救命行動事例を目にすることができます。2004年7月より,
医療従事者だけでなく一般市民でも使用できるようになり,病院や診療所,救急車はもちろんのこと,空港,駅,
スポーツクラブ,学校,公共施設,企業等,人が多く集まるところを中心に設置されています。広島市でも市立の中・高等学校は全校で設置,他の公共機関,民間機関などを含めると,相当の数になると思います。広島市ではそれを掌握をし,設置を促進するのか,市行政としての強力な推進・指導体制が必要と思いますが,どのようにされているのでしょうか。
お聞きしますと,施設を主管する部署にお任せのようでありますが,成人,高齢者の利用,多くの人が集まるところへは早急な整備が必要ではないでしょうか。中でも
校庭開放事業で地域の成人,高齢者も利用する機会の多い小学校あるいは地域の公民館などは設置を急ぐべきです。市営住宅など
集合住宅群ではどうするのか。JR各駅,
アストラムライン各駅など交通機関での人の集まるところも余り設置をされていません。他の都市,他府県ではイベント時の
AED貸出制度などを設けているところもあります。市は
イベント貸し出し用として
区政振興課に各1台整備されていると聞きますが,
区民スポーツ大会など数会場にわたるイベントなどを考えただけでも不十分です。どう対処されるのですか,お伺いをいたします。消防局のまとめによりますと,家庭以外の公共の場での心室細動に陥った患者は,これまで47%と半数近くに達しています。設置場所も中・高の例を見ますと,
体育館入り口など校庭開放時の活用も考慮すべきと思われますが,いかがですか。
次に,
地球温暖化についてお伺いをいたします。
温暖化対策行動元年として2008年度,昨年1年間やってきてどのような成果,それを踏まえて2009年度,ことしは前進させるために何をどうされるのでしょうか。昨年は本庁舎,北庁舎の一部で壁面緑化に取り組まれるなど,種々な取り組みがされていますが,それに関して市民や職員の間にどのような反応が広がり,一人一人の
温暖化対策への意識の広がり,ことしへの取り組みの広がりはどうなのか,お伺いをいたします。
ことしは本庁舎だけでなく,公民館,学校や区役所でも壁面緑化に取り組まれているようですが,
役所内対抗コンクールもおもしろいと思います。また,ことしは一般向け「緑の
カーテンコンクール」が始まるようですが,広く宣伝をして職員自身も率先して参加し,みずから広告塔の役割を果たすような気概でやってほしいものですが,いかがお考えですか。
マイカー乗るまぁ
デーくらぶの取り組みは,毎月22日だけから,2日,12日,22日に拡大をして会員登録をして取り組みをするということのようですが,登録数,
取り組み報告などはどれほどまで進んでいるのですか。ことしの取り組みの拡大や新たな取り組みなどで
温暖化防止の前進へと進めるべきですが,いかがですか。
次に,雇用対策についてお伺いをいたします。
定年退職となり,
ハローワークに通いながら紹介をされて行った
職業訓練学校,定員の数倍の応募者,
ハローワークの紹介だから入れるだろうと思っていたら,若い現役世代の失業者,派遣切れ,雇いどめの人たちであふれ,入れない。いろいろ調査をしてみると,団塊の世代の退職と派遣切れ,雇いどめが重複して,その定員は余りふやされていない。雇用対策を本気でやろうとしてるのか,疑問になってまいります。市として,国に対して今後どのようにしていこうとしているのか,お伺いをいたします。
次に,過疎対策についてお伺いをいたします。
広島市も今,
人口減少時代に入り,過疎化,
限界集落化がますます進むのではないかと心配をいたします。一定の地区では,新学期に1年生が入学してこない,学校の
あり方検討がされておる,などは,この心配に拍車がかけられています。そんな地域には空き家が点在をし,
耕作放棄地があちこちにあります。鳥獣被害も広がり,人間がネットや金網の中で生活をし,鳥獣が伸び伸びと野山をはね回るといった状況です。そこでお尋ねをしますが,
空き家活用策を具体化しなければならないと思いますが,いかがですか。
周辺地区では若者は都会で働き,残る父母や祖父母は
後期高齢者という状況で,大きな家に高齢者の母が
ひとり暮らし,祖母が
ひとり暮らしの家が多くあります。
限界集落化が進んでいます。そんな山合いに古民家が空き家になっているところが,あちこちの谷合いにあります。そんな空き家を借り受けて,都会から若者・
定年退職者向けの定住計画,定住者には
耕作放棄地も借り受けて
野菜づくり計画,あわせて鳥獣対策も示し,行政が知恵を出し,計画を示して初めて地域の人たちとの話の接点ができ,共同のテーブルでスタートに立つことができるのだと思います。そんな
定住支援メニューを示してください,いかがでしょうか。他の自治体の例を見れば,Iターン,Uターンの家族などへの
支援金制度,優遇制度で希望者を募る,空き家を確保して必要なら手を加えて募集するなどさまざまですが,まずそんなメニューを示し,該当の地域へのアプローチをしてみることからではないかと思いますが,余り気負わずに踏み出すことをお願いをしたいと思います。
次に,
球場跡地利用計画についてであります。
新球場が4月からオープンをして,紙屋町周辺のにぎわい,本通りや旧球場周辺の景気動向はどんな様子でしょうか。跡地活用の具体化のための予算が削られたことで進んでいないようですが,今後どうするのでしょうか,お伺いをいたします。これまで議会等で出された具体的な提案に対してどう検討してこられたのですか,お答えください。跡地活用の
具体的意見を聞くための
イメージパースをつくるのは,市立大学にお願いをして,金を余りかけずにやる方法でつくるのも選択肢ではありませんか。また,余り評判のよくない
折り鶴ホールも単なる展示場でなく,イベントにも活用したり,名前を変えたり,場所を移動するなど,検討する余地はないのですか。
公園にするなという意見もありますが,それは可能なのですか。
県立体育館や
消防出初式の会場あるいは
広島城周辺,
中央図書館,
ひろしま美術館などの範囲まで中央公園の位置づけの中で,1957年,昭和32年に市民球場が完成したものであります。公園以外の活用方法では,国から土地を購入することになるのではありませんか。秋には解体予算を上げて当初予定どおり壊すのですか。子供など市民への開放,今のまま球場として使用すれば,
維持管理費は幾ら必要なのですか。数千万円の
維持管理費を,補正予算を計上することになるのでしょうか。今後の方向もあわせて示していただきたいのです。
一方では,跡地利用などで中心部ばかり予算をつぎ込むなの声もあることも考え合わせて早く方向を出すべきだと思いますが,いかがですか。今のまま活用方向が出ないままであれば,紙屋町周辺の落ち込みが進むことは必至であります。周辺の駐車場を経営をしている方など,早く方向を出してほしいと言われていましたが,
商工会議所ビルも移転,建てかえの方向かと思いますが,このままでは身動きがとれないままではないかと思います。どう打開策を打ち出されますか。
次に,地域医療などについてお伺いをいたします。
今,医師不足が顕著になり,特に産科・小児科の医師が少ないこと,全国的に問題となっています。広島でもこの問題に加え,医師不足により過重労働が問題となりました。そもそも医師不足は医療費を抑制する目的で国によって医師の増員が抑えられてきました。1980年代前半から,人手不足から激務が常態化していたことにあわせて,新
臨床研修制度によって大学は地域に派遣していた医師を引き揚げ始めました。このことで地域での医師不足が一気に進んだのであります。これらの課題に広島市としてどう取り組むのでありますか。国は今,わずかに医学部の定員増をやるかのような動きにありますが,実を上げることになるのは何年後でしょう。10年も20年も以降のことではないかと思われます。
私は,数年前に
広島市民病院で救急医療の研修会の案内をもらって聞きに行き,福井医大の先生のお話を聞いたことがあります。
北米型ER救急医療について話され,人材が必要なこと,地域や行政の理解が大切であることなどを聞きました。今,少しずつ市民病院でされているようですが,これには
ERドクターが数人必要であることなど医師が少ない,行政・地域の理解や患者・市民の理解で医師や制度を育成しなければならないことが前提になります。
千葉県立東金病院では,月1回,東金病院の医師と地域の開業医を招き,一緒に
症例検討会を開催,夜7時半からイブニングカンファとして行い,病院の技術の一部を診療所にも移し,診療所でもある程度の
専門的医療を行えるようにする目的で行った,IT活用の「わかしお
医療ネットワーク」を構築し,2005年には県立病院全体で自前で医師を育てる
病院群方式の
初期臨床研修プログラム,
後期レジデントシステムをつくった,前者は,八つの県病院を1カ月から
数カ月単位で各病院を回り,高度医療から地域医療まで学べる仕組みをつくり,後者の
後期レジデントシステムは,2年間の初期研修の後,希望者にはさらに3年から6年で専門性を磨く
後期システムで,自前で専門医を育てる仕組みをつくったと報告をされています。
京都市の音羽病院では,2002年,地域の救急難民を一人も出さないを目標に
ER型救急を始めました。
ERドクターが常駐して,救急搬送されてきた患者はすべて初期診療が行われ,各科の専門医に引き継がれ,軽症者は簡単な手当てで帰宅してもらうのだそうです。ER医師の不足,医療者の間での理解,医師や看護師の信頼を得ることなど多くの課題があったようです。
いずれも医療関係者の努力と行政,患者,市民の理解が進まなければなし得ないことだと思います。広島市として医師不足や医療危機の解消のため,どう取り組むのでしょうか。市民の安心医療の確保をどう進めるつもりかについてもお伺いをいたします。
以上で,私の質問を終わらせていただきます。
答弁次第では再質問をさせていただきますので,よろしくお願いいたします。(拍手)
○藤田博之 議長 市長。
〔秋葉忠利市長登壇〕
◎秋葉忠利 市長 都志見議員の御質問にお答え申し上げます。
最初に,平和問題についての御質問がございました。
来年5月のNPT再
検討会議は,人類の命運を左右すると言っても過言ではない重要な会議になると考えています。この会議に向けて,本年5月にニューヨークで開催されたNPT再
検討会議準備委員会に出席いたしました。続いて6月にプロビデンスで開かれた
全米市長会議,モスクワで開かれた核不拡散・核軍縮に関する
国際委員会──ICNNDと呼ばれていますが,この委員会に出席し,スピーチや政府,首長,NGO等の関係者との会談等を通じ,2020年までの
核兵器廃絶の必要性を訴えてきました。
まず,5月のNPT再
検討会議準備委員会に
平和市長会議加盟都市等の13都市1団体による市長代表団を組織して出席しました。同
準備委員会のNGOセッションで行ったスピーチでは,核兵器のない世界を目指す
オバマ大統領を支持し,
核兵器廃絶を求める世界の多数派の思いを共有できる言葉として,オバマジョリティーを提案しました。また,
核兵器廃絶という目標の実現には,明確な期限を定めて取り組むことが必要であることから,それを定めたヒロシマ・
ナガサキ議定書の2010年のNPT再
検討会議での採択など,
平和市長会議の取り組みへの理解と協力を要請しました。あわせて佐々木禎子さんと折りヅルの話を紹介し,子供たちが戦争の被害者として折りヅルに生きる願いを託するようなことが再び起こらない世界をつくるよう,強く訴えました。各国政府代表者や出席したNGO関係者からは,この趣旨に賛同の声が寄せられました。
また,会議の合間を縫って,2010年NPT再
検討会議で議長となるカバクチュラン・フィリピン大使やデスコト第63回国連総会議長を初め,クシニッチ下院議員など米国連邦議会議員,国家安全保障委員会不拡散担当部長など米国政府関係者にも面会し,2010年NPT再
検討会議でのヒロシマ・
ナガサキ議定書の採択や2020ビジョンの推進,さらには
オバマ大統領の被爆地訪問への理解と協力を要請しました。皆さん,熱心に耳を傾けてくださり,
平和市長会議の取り組みへの協力や期待を表明されました。とりわけデスコト議長は,本年8月に長崎市で開催する
平和市長会議総会にもできるだけ協力したいとの意向を示されました。
以上のとおり,5月のNPT再
検討会議準備委員会等への出張では,各国の政府代表やアメリカ連邦議会議員,平和関連NGO関係者との面会を通じ,国政レベルでも市民レベルでも
平和市長会議に対する期待が大きいこと,また,その果たすべき役割が重要であることを改めて確信いたしました。
続いて6月にアメリカの都市,約1,200が加盟する
全米市長会議の第77回年次総会に出席しました。全体会合のスピーチでは,全米の市長が2020年の
核兵器廃絶に向けた交渉の早急な開始を求めていることを
オバマ大統領に伝えるよう訴えるとともに,アメリカの市長が中心になって世論を高め,
オバマ大統領が明言した包括的核実験禁止条約──CTBT批准の実現に向け,尽力するよう求めました。また,
平和市長会議により多くのアメリカの都市が加盟してくださるよう要請するとともに,
オバマ大統領の広島訪問が実現するよう全米の市長の協力を求めました。
会議以外でも,昼食会やさまざまな行事の場などにおいて多くの市長に直接
平和市長会議への加盟を呼びかけました。その場で10人の市長が加盟のサインをしてくださったほか,多くの市長が地元に持ち帰って前向きに検討すると言ってくださるなど,アメリカでの加盟都市を拡大することができました。
全米市長会議は,これまで
平和市長会議の活動に賛同し,4回の支持決議をしてくださっています。今回の総会においても,重要な決議を満場一致で採択していただきました。内容は多岐にわたりますが,特に重要な点として一つ目は,ICNNDが
核兵器廃絶の目標年次を2020年とするよう勧告しています。二つ目は,ICNNDが
核兵器廃絶に向けた都市と市民の活動の重要性を認識するよう求めています。最後に三つ目は,来年のNPT再
検討会議で,
オバマ大統領が2020年までの
核兵器廃絶に向けた多国間協議の開始を発表するよう勧告しています。このことは,今後のアメリカ国内の核兵器のない世界に向けた取り組みへの大きな後押しになるばかりでなく,ICNND等の国際的な活動の進展にも影響を与える重要な成果となりました。
最後に,モスクワでのICNND第3回会合に出席いたしました。この会合は,チャタムハウス・ルールという,会議の内容を口外しないルールで行われました。同委員会の各国政府等の委員及びNGOアドバイザーに対し,2010年NPT再
検討会議でのヒロシマ・
ナガサキ議定書の採択に向けた取り組みや,さきの
全米市長会議で採択された決議を踏まえ,ICNNDによる
核兵器廃絶の目標年次を2020年とするよう強く訴えました。また,さきのNPT再
検討会議準備委員会のスピーチでも紹介したオバマジョリティーや世界じゅうから広島に寄せられる折りヅルに込められた子供たちの平和への思いを伝え,ヒロシマの心を訴えました。
本年10月に広島市で開催されるICNNDの最終会合を前に,
平和市長会議や広島市の取り組みを説明する機会を得たことは,広島での会議を実り多いものとする上からも大変有意義でした。今回の出張の成果を踏まえ,本年8月に長崎市で開催する第7回
平和市長会議総会において,2010年NPT再
検討会議に向けた具体的で実効性のある行動計画を策定し,10月の国連総会やICNNDの最終会合等の場を通じ,理解と賛同を求めるなど,ヒロシマ・
ナガサキ議定書が2010年NPT再
検討会議で採択されるよう全力を尽くしたいと考えております。
その他の御質問につきましては,担当局長から御答弁申し上げます。
○藤田博之 議長 市民局長。
◎皆本也寸志 市民局長 それでは,平和問題と雇用対策についての御質問にお答えいたします。
まず,政府に対する
具体的行動の要請についてでございます。
昨日,市長が皆川議員に御答弁申し上げましたとおり,本市はこれまでも日本国政府に対して一貫して
核兵器廃絶に向けた積極的な外交を展開するよう求めてきました。先日,衆参両議院において日本国政府に
核兵器廃絶に向けた取り組み強化を求める決議が採択された際には,市長コメントを発表し,報道機関を通じて,政府が世界的な
核兵器廃絶に向けた流れをより確実にする一歩を踏み出すことや,2020年までに
核兵器廃絶を実現するための主導的役割を果たすことを求めました。本市といたしましては,引き続き国要望や平和記念式典などの機会に政府に対し,本市が
平和市長会議とともに取り組む2020ビジョンを全面的に支持することや,
核兵器廃絶に向けた積極的な外交を展開することなどを要請してまいります。
次に,オバマジョリティー・キャンペーンの具体策についてでございます。
アメリカの
オバマ大統領が掲げる核兵器のない世界という目標は,世界の大多数の市民や国家の声でもあります。この目標を実現するには,
オバマ大統領に期待するだけではなく,私たち自身が,いわば
オバマ大統領を担いで努力していかなければなりません。そうした私たち
核兵器廃絶を目指す世界の多数派をあらわす言葉として市長が提唱いたしましたのが,オバマジョリティーでございます。このオバマジョリティーを
核兵器廃絶を求める世界の大多数の市民の合い言葉としてヒロシマから世界に発信するため,広報・啓発活動の強化を図るキャンペーンを実施いたします。オバマジョリティーという合い言葉を通じて2010年のNPT再
検討会議でのヒロシマ・
ナガサキ議定書の採択と,2020年の
核兵器廃絶の実現に向けた国際世論を一層盛り上げたいと考えています。
キャンペーンの内容といたしましては,オバマジョリティーという言葉の周知を図るため,ウエブサイトの開設を初め,広報紙やホームページへの記事掲載,記者会見用の背景パネルの作成などに取り組み,本市や
平和市長会議の広報媒体等を通じた広報活動を強力に展開してまいります。また,オバマジョリティーのロゴ入りTシャツの作成・販売,ロゴ入り記念品,PRソング,観光客の記念撮影用に
オバマ大統領の等身大の写真パネルを制作することや議員御提案の
核兵器廃絶ワッペンなど,市民が気軽にキャンペーンに参加できるグッズ等の検討を行います。さらに,これから広島で開催予定の核不拡散・核軍縮に関する
国際委員会──ICNND第4回会合,2010年APEC高級実務者会合など各種会議の場やドリミネーションなど各種イベントを活用してキャンペーンを展開していきます。
全市を挙げてキャンペーンの展開に取り組むため,来月上旬には庁内にNPT2010戦略推進本部を設置し,この推進本部を中心に具体的な取り組みを企画・検討しつつ,今後,市民や各種団体を初め長崎市とも連携を図りながら,できるものから随時実施してまいります。
続きまして,国内の自治体の
平和市長会議の加盟についての質問でございます。
平和市長会議が取り組む2020ビジョンキャンペーンの展開,そして当面の目標でございますヒロシマ・
ナガサキ議定書の採択に向けた活動を推進していく上では,唯一の被爆国である我が国の自治体が率先して取り組み,国際世論の醸成をリードしていくことが重要であると考えています。このため,国内都市への加盟要請として,一つには,未加盟都市に対する定期的な加盟要請文の送付,二つ目として,指定都市市長会等自治体の会合等を通じた加盟の呼びかけ,三つ目として,市長を初め職員の出張時もしくは他都市からの職員等の訪問の際の説明と資料提供などに取り組んでいます。また,市議会におかれましても,議会の出張時もしくは他都市市議会からの訪問の際に加盟要請の資料提供などの御協力をいただいております。さらに,本年1月から新たに,町村への加盟要請文の送付,そして広島平和文化センター理事長等が他都市で行う講演に合わせた加盟要請をすることとしております。この結果,国内加盟都市は,本年1月時点の181都市から,この5カ月で111都市増加し,6月時点で292都市になっております。
議員御指摘の
政令指定都市の加盟促進についてでございますけども,本年5月の市民局長会議で
平和市長会議の取り組みを具体的に紹介し,加盟を要請することといたしましたが,今後とも政令市間の会議の場や日ごろの業務上の関係等を通じ,積極的に加盟を呼びかけていきたいというふうに考えております。こうした既存の取り組みに加え,
平和市長会議の活動内容についてわかりやすく紹介するとともに,
平和市長会議が政治色や党派性を超えた全市民的,全人類的な立場からの取り組みであることを理解してもらうためのブックレット──小冊子の制作を進めています。そのブックレットを活用するなど,さまざまな取り組みを通じて加盟を呼びかけ,国内の加盟都市の拡大や都市間の連携強化に積極的に取り組み,2010年のNPT再
検討会議に向け,さらに大きなうねりをつくり出せるよう努めてまいります。
続きまして,雇用対策についての御質問でございます。
離職者に対する職業訓練につきましては,国及び広島県で実施されており,その定員について国の実施機関であります雇用・能力開発機構広島センターに確認いたしましたところ,厳しい雇用情勢を踏まえ,本年度は昨年度に比べ,同センター及び広島県の実施分を合わせまして約800人ふやすことになっています。しかしながら,昨年度と同様,全体の応募倍率は依然として2倍を超えており,希望しても受講できない方が多くおられるのも実態であると聞いております。職業訓練は,離職者の再就職を促進するために有効な方策であることから,広島労働局に対し,雇用情勢の悪化に伴って受講希望者が急増している状況に対応できるよう,予算措置と定員増等の実施について働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○藤田博之 議長
健康福祉局長。
◎三村義雄
健康福祉局長 まず,
AED設置についての御質問にお答えいたします。
AEDは,民間施設を含め各施設の管理者が施設の利用状況等に合わせ,整備の必要性を判断し,みずから整備すべきものと考えています。本市の施設については,AEDの整備を効率的かつ計画的に行うため,AED整備ガイドラインを策定し,優先順位を定めて整備を進めています。議員御指摘の小学校や公民館,市営住宅については,AEDを整備することが望ましいと考えておりますが,これらの施設より優先度の高い施設への整備も,厳しい財政状況の中で思うように進んでいない状況でございます。こうした中で,これまでAEDの寄附を受け入れての設置も進めてきており,今後も寄附の申し出があった場合には,優先順位や寄附者の意向を勘案しながら引き続き設置を進めてまいります。そのほかAEDの寄附を積極的に募ることや,例えば,企業が社会貢献の一環として実施しているAEDつき自動販売機の導入など,さまざまな手段についても検討していきたいと考えております。また,今後,小学校にAEDを設置する際には,校庭開放時の利用も考慮して管理方法や設置場所についても検討していきたいと考えています。
次に,貸し出し用AEDの取り扱いについてでございます。
各区役所
区政振興課に1台ずつ配備をしております貸し出し用AEDについては,同じ
区で複数の利用申請があった場合には利用のない他の区役所のAEDを貸し出すことにしておりますけども,現在利用がほとんどない状況でございます。これについては,区役所でAEDの貸し出しを行っていることが市民に十分には知られていないことが原因であると考えておりますことから,広報の充実に努めてまいります。
次に,地域医療体制の確立と医師不足対策についての御質問にお答えいたします。
医師不足対策や医療面における市民の安心の確保は重要な課題であり,広島県や医師会,広島大学等の関係機関と密接な連携をとり,広島県地域保健対策協議会や広島市連合地区地域保健対策協議会などを通じて協議を続けております。こうした協議の結果,広島県では,平成20年度,2008年度から,本市を含む県内全域を対象として県内への就業を条件とした奨学金制度や,県外医師の招聘を支援する市町交付金制度を創設するとともに,インターネットで県外医師に広島の情報や求人情報を提供する「ふるさとドクターネット広島」を開設するなどの取り組みを行っております。また,本市においては,医師不足により十分な救急医療体制の確保が困難となっている状況があるため,広島市連合地区地域保健対策協議会で救急医療機関の勤務医の負担軽減を図る方策の検討を行ってまいりました。その検討の結果,今年3月,地域の開業医が交代で準夜帯の軽症患者の診療を行う広島市医師会千田町夜間急病センターの開設に至りました。同センターが,内科,眼科の軽症患者を受け入れることにより,重症患者等を受け入れる救急病院の負担軽減につながっております。さらに,入院を要する患者の受け入れを担う病院群輪番制病院の負担軽減を図るため,今年度から運営補助金を増額いたしました。
本市としましては,引き続き広島県や広島大学,医師会等と連携し,医療機関の現状を踏まえた適切な医師確保対策を推進するとともに,救急医療を初めとする地域医療の確保に努めてまいります。
以上でございます。
○藤田博之 議長 環境局長。
◎堀内雅晴 環境局長 ごみの減量についての御質問にお答えします。
まず,家庭系の可燃ごみの減量についてでございます。
ごみの総排出量は減少傾向にあるものの,家庭ごみの約3分の2を占める可燃ごみはここ数年,少しふえてきており,その減量対策が必要になっております。このため,これまでの取り組みに加え,地球
温暖化対策やごみの分別,減量について,市民に一層の協力を呼びかける110万人のエコ講座を実施いたします。また,生ごみ処理機等の購入補助制度を新設し,生ごみの減量を進めるとともに,できた堆肥は野菜づくり等に活用していただくことで食の循環を図ってまいります。
次に,生ごみの堆肥化,リサイクルについてでございますが,まず堆肥化につきましては,先ほど申し上げましたように,生ごみ処理機等の購入補助制度の新設により取り組むことにしております。また,議員御紹介のように,バイオガス化等のリサイクルにつきましては,解決すべき課題があることから専門家などによる検討会を設置し,技術的な検討などを行うことにしております。
以上でございます。
○藤田博之 議長
環境局エネルギー・
温暖化対策担当局長。
◎
渋谷祐二郎
環境局エネルギー・
温暖化対策担当局長 地球
温暖化対策の取り組みと市民や職員の意識の広がりについて御答弁いたします。
本市では,平成20年度,2008年度を
温暖化対策行動元年と位置づけて新たに設置したエネルギー・
温暖化対策クロスセクションを中心に,省エネ電球キャンペーンなどの各種キャンペーンや太陽光発電等の補助の創設,地球
温暖化対策等の推進に関する条例の立案など,数多くの取り組みを実施しました。また,市の率先行動として市立大学への大規模な太陽光発電システムを導入,本庁舎や学校等の壁面緑化なども実施しました。
こうした取り組みにより市民の温暖化問題に関する意識は大変高くなり,省エネ行動を実践する動きが広がってきています。例えば,省エネ電球は月1万個のペースで普及しています。また,昨年度に安佐南
区や安佐北
区の一部で開始したレジ袋の有償提供実証実験では86%もの市民の方が買い物袋を持参しています。市役所本庁舎等の壁面緑化についても,来庁者に行ったアンケート調査の結果では,地球
温暖化対策や緑化の大切さについて考えるきっかけになったと回答した人の割合が83%に上っており,実際,壁面緑化に取り組む市民や企業がふえてきております。
また,職員に対しても,さまざまな機会を通じて省エネ行動の率先を呼びかけております。例えば,マイカー乗るまぁ
デーくらぶには1,100人を超える職員が登録するなど,率先行動は広がってきています。
本年度におきましては,こうした市民の意識をさらに高めて具体的なCO2削減につなげるため,新たに,110万人のエコ講座や省エネを積極的に行う中小事業所を認定・表彰するエコ事業所認定事業など,市民,事業者の身近なところからさまざまな取り組みを進めてまいります。また,市民,事業者に対するインセンティブとして,家庭用生ごみ処理機等の購入や民有地の緑化事業に対する補助制度などを創設し,既に一部運用を開始しております。市の率先行動としては,市民球場など本市公共施設への太陽光発電システムの導入拡大,グリーン電力使用,道路照明灯の省エネ化の推進,テレワークの試行など市の事務事業におけるCO2排出量の削減に一層取り組みます。
今後とも市民,事業者と一体となって,より多くの効果的な施策の推進に取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○藤田博之 議長
都市活性化局長。
◎片平靖
都市活性化局長 過疎対策について,農山村地域における
空き家活用策についての御質問にお答えします。
農山村地域の総合的な振興を図るため,今年度,里ライフ創造施策クロスセクションを設置いたしました。このクロスセクションにおいて,農山村地域を対象に自然環境や伝統文化など地域の魅力を積極的に評価し,活用しつつ,地域が抱える人口減少や高齢化の進展などの課題も踏まえ,経済,コミュニティー,交通など多くの分野の施策を地域住民と連携しながら総合的に推進し,豊かで魅力的な里ライフの創造に取り組みます。
御提案の空き家の活用については,農山村地域への定住を促進し,地域の活性化を図るための有効な手段の一つであると考えています。空き家の活用を図るためには,まず農山村地域における空き家提供に関する住民の意向や提供可能な空き家のある地域と戸数,また定住を希望する人や定住先に求めるニーズなどを把握する必要があります。さらに,これらの空き家情報を収集し,広く提供を行い,空き家の提供者と定住希望者をマッチングさせる仕組みづくりも必要です。今後,空き家の活用については,クロスセクションにおいて地域の住民の意向を把握した上で他の施策との組み合わせにも留意して検討していきたいと考えています。
次に,球場跡地利用についての数点の御質問にお答えいたします。
まず最初に,これまで議会等から出された具体的な提案としてサッカー場がございますが,この検討経過と跡地利用の考え方についてです。
旧市民球場跡地利用については,平成17年,2005年以降4年近くにわたり市民等の意見を聞きながら手順を踏んで検討を進めてきました。これまで市民や民間事業者からも球場跡地をサッカー場や野球場として利用する提案もありましたが,サッカー場としての利用については,学識経験者で構成する
検討会議において,サッカースタジアムは市民が日常的に利用するのが難しく,大規模で閉鎖的な空間が出現することになり,平和記念公園と中央公園の連続性が分断され,回遊性の向上が図られないなどが指摘され,選定されませんでした。こうした経緯等から,サッカー場を球場跡地に整備することは考えておりません。
旧市民球場跡地利用については,本年1月に利用計画を作成,公表いたしました。この利用計画では,球場跡地の中央部分に多くの人が利用できる市民広場を整備し,さまざまなイベントを実施することにしています。こうしたイベントの実施や劇場などの新たに導入する施設の整備などにより,旧市民球場跡地に年間を通じたにぎわいを創出したいと考えています。
次に,
イメージパースの作成を市立大学に依頼してはどうかということについてです。
利用計画の具体化に当たっては,視覚的にわかりやすい跡地全体の
イメージパースを作成し,市民等と球場跡地利用のイメージを共有することが必要です。
イメージパースは,緑地広場等の整備内容の具体的な検討をもとに市民等の意見を聞きながら修正していく必要があります。このため,緑地広場の整備等に関する専門的な知識や
イメージパースの作成についての高度な技術が必要であるだけでなく,数カ月にわたって作業を行うことも必要になります。こうしたことから,市としては,専門の業者に業務を委託して緑地広場等の具体的検討と並行して作成する予定です。御提案の市立大学に
イメージパースの作成を依頼することについては,それが学生にとってすぐれた教材となり得る可能性もあることから,例えば,現在の利用計画に示した整備イメージ図をもとに簡易な
イメージパースを作成するなど,協力いただける部分があるかどうかについて,今後,市立大学事務局と協議を行っていきたいと考えています。
次に,
折り鶴ホールの位置等の見直しについてです。
折り鶴ホールは,音楽などのアートを中心としたさまざまなイベントの実施や,折りヅルの展示を通して平和への思いや明るい未来を実感してもらう施設であり,これが平和記念公園から連続した空間である球場跡地に整備されれば,新たな人の流れが生まれ,都心部の回遊性の向上や都市としての魅力の向上に大きく貢献するものと考えています。旧市民球場跡地の活用については,本市では,跡地の中央部分に設ける市民広場でさまざまなイベントを実施することにしており,今後,
折り鶴ホールについて,イベントの実施に支障とならないよう位置や規模の見直しについて柔軟に検討するとともに,名称についても事業予定者と協議したいと考えています。
次に,公園以外の活用方法なら土地を購入することになるのではないかという御質問についてです。
旧市民球場のある中央公園は,戦災復興のシンボルとして整備された都市公園であり,都心部における貴重な公共空間としてその役割はますます重要になるものと考えています。このため,本市では,旧市民球場跡地は引き続き都市公園として利用することを前提に検討を進めてきました。現在,
商工会議所ビルの移転について検討を進めており,この移転が実現できれば,移転先用地は公園区域から除き,現在の
商工会議所ビルの敷地を公園区域に加える手続が必要となりますが,基本的に球場跡地については都市公園としての位置づけを変えることは考えておりません。仮に都市公園として利用せず,市が他の用途として利用する場合には,球場跡地は国との無償貸し付け契約が解除され,国有地を購入することになります。
最後に,旧球場の解体と仮に球場を残した場合の経費,また今後の方向についてです。
旧市民球場については,保存する外野ライト側スタンド等の一部を除き,今年度中に解体工事に着手する予定にしています。このため,現在,解体工事費の算出など必要な調査を行うための準備を進めております。旧市民球場は,ことし10月末までは野球場として利用する予定であり,その間の7カ月間の管理運営費の予算は5154万4000円です。仮に今年度末まで野球場として利用する場合,その経費は詳細には検討していませんが,単純に現在の予算額をベースに試算した場合,追加の管理運営費として約3000万円が必要になると見込まれます。旧市民球場跡地の利用については,都心のにぎわいを創出する観点からも速やかに利用計画の具体化を進めていく必要があります。このため,現在,商工会議所と,
商工会議所ビルの移転に向けた具体的な方策や今後の進め方などについて協議を行っております。
以上でございます。
○藤田博之 議長
都市整備局長。
◎荒本徹哉
都市整備局長 地球
温暖化対策についてのうち,緑の
カーテンコンクールへの職員の参加について御答弁申し上げます。
ヒートアイランド対策や地球
温暖化対策を推進する上で市民や企業が取り組みやすい壁面緑化は有効な施策であり,これを普及させるためには市民の意識啓発が必要でございます。このため,現在,本庁舎で壁面緑化を実施しており,さらに,市民にとって身近な公民館においても70館のうち35館が取り組んでおります。緑の
カーテンコンクールは,市民や企業などのすぐれた取り組みを表彰し,広く市民に紹介することにより壁面緑化を普及させることを目的として,財団法人広島市動植物園・公園協会が今年度から新たに実施するものでございます。
議員御指摘のとおり,市民,企業,行政が協働して壁面緑化の取り組みを広げていくためには,職員が緑化の必要性を十分認識し,率先してこのコンクールに参加することが大変有効であると考えております。このため,「ひろしま市民と市政」やホームページでのPRに加え,庁内LANでも積極的な参加を呼びかけてまいります。こうした取り組みの積み重ねによりまして緑豊かな都市環境の形成を図り,ヒートアイランド対策や地球
温暖化対策の推進につなげていきたいと考えております。
以上でございます。
○藤田博之 議長
道路交通局長。
◎木時誠
道路交通局長 地球温暖化について2点の御質問にお答えいたします。
まず,マイカー乗るまぁ
デーくらぶの登録者数,
取り組み報告についてです。
マイカー乗るまぁデーは,
地球温暖化防止に貢献する取り組みとしてより多くの市民の参加を促すため,平成20年,2008年7月から,毎月2日,12日,22日の3日間に実施日を拡大するとともに,車の利用を控えた
取り組み報告がいつでもできる常設型ウエブサイト,マイカー乗るまぁ
デーくらぶを開設しました。このマイカー乗るまぁ
デーくらぶの登録会員数は,本年3月末時点で2,135人,団体登録数は64団体,
取り組み報告の総数は約2万900回に達しています。その結果,約72トンのCO2の排出量──これは杉5,700本が1年間に吸収するCO2に相当します,その排出量の削減が図られるなど,一定の効果を上げることができたと考えております。
次に,今年度の取り組みの拡大や新たな取り組みなどについてです。
本年度の新たな取り組みについては,マイカー乗るまぁデーを道路交通情報センターの交通情報の中でPRすることや,企業や大学などの広告に掲載することなどにより,市民の参加をより広く呼びかけることにしています。また,取り組みの拡大については,より多くの市民が楽しんで参加していただけるようウエブサイトをリニューアルするとともに,手軽に会員登録や
取り組み報告ができるよう携帯サイトを開設するなど,マイカー乗るまぁ
デーくらぶの充実強化を図ります。こうした新たな取り組みや取り組みの拡大を行うことによってより多くの方に環境に優しい交通行動の実践と継続を促し,CO2排出量の一層の削減を目指したいと考えております。
以上でございます。
○藤田博之 議長 教育長。
◎濱本康男 教育長 学校における生ごみの堆肥化モデル校の現状についてお答えをいたします。
生ごみ堆肥化装置につきましては,平成7年度,1995年度,生ごみ減量のモデル校として小学校1校に設置したのが最初で,その後現在までに小学校25校に設置しております。しかし,モデル校での取り組みにおきまして,生ごみ堆肥化装置ですべての生ごみを処理できないこと,生成された堆肥を活用し切れていないこと,堆肥化装置の維持管理のために多額の修理費を要すること,臭気,騒音等が地域とのトラブルになることなどの問題点があったため,平成14年度,2002年度を最後に設置しておりません。現在14校でこの堆肥化装置が稼働しておりまして,これらの学校では,生成された堆肥で学級菜園や校内の花壇等で植物を育てたり,収穫した野菜を給食の食材にしたりするなど,環境教育の面から取り組みを進めております。
次に,ごみの減量,堆肥化についての考え方ですが,学校給食から生じる生ごみにつきましては,環境教育の面からも農作物の肥料や家畜の飼料に加工し,有効活用することは必要なことであると考えております。御指摘の生ごみを堆肥化することや地産地消の観点から,堆肥を有効活用することにつきましては,モデル校での実践上の課題を踏まえ,今後,関係部局とも協議しながら市内における加工業者の確保や加工品の活用の仕方などを調査・研究してまいりたいと考えております。
以上です。
○藤田博之 議長 いいですか。
それでは次に,15番米津欣子議員。
〔15番米津欣子議員登壇〕(拍手)
◆15番(米津欣子議員) おはようございます。
公明党の米津欣子でございます。このたびの
一般質問のトリを務めさせていただきます。御清聴のほど,よろしくお願いいたします。
最初に,追加提出されております女性特有のがん対策について質問させていただきます。
がん対策について公明党は,2004年1月22日の衆議院代表質問で神崎──当時の代表ががん対策の推進を求め,翌日の参議院代表質問でも浜四津代表代行が乳がんの早期発見へマンモグラフィーの導入推進を主張いたしました。それらの主張が大きく反映され,2006年6月,がん対策基本法が制定されました。また,女性特有のがん対策についても,公明党女性局が127万2637人分の署名を添え,要望書を本年3月27日に東京都知事に提出,4月1日に厚生労働大臣に申し入れを行いました。このたび2009年度補正予算の成立を受け,女性特有のがん検診推進事業がスタートすることになりました。これによって全国で乳がん,子宮頸がんの無料検診が実施されることが決まりました。
皆様も御存じだと思いますが,我が国では年間約1万1000人が乳がんで亡くなっています。乳がんは,2センチ以下でリンパ節など他に移転がない早期の場合,90%以上の治癒ができます。何よりも早期発見が大切です。また,子宮頸がんは,子宮の入り口にできるがんですが,原因のほぼ100%がヒトパピローマウイルス──HPVの感染によるそうです。80%以上の女性が一生のうち一度は感染するそうですが,感染は一時的で多くの場合,免疫力によってウイルスは自然に消えてしまうということです。しかし,感染が長く続きがんに進行する場合があり,特に最近は,20歳代後半から30歳代の若い女性に急増しています。進行がんになるまで自覚症状がなく,発見がおくれ,国内で年間1万5000人以上が発症し,3000人近くが亡くなっています。感染した細胞が,がん細胞になるまで5年から10年以上かかります。がん細胞になる手前の異形成──前がん状態の段階で発見し,治療を行えば,がんにはならないし,妊娠,分娩も可能だそうです。ですから,子宮頸がんは,定期的に検診を受ければ,万一発見された場合も小さな手術で100%治すことができる病気です。検診が最大の予防法と言えます。しかし,日本の子宮頸がんと乳がんの検診受診率は,英米の7から8割に比べて2割程度という状況で,先進国では最低のレベルです。今回の無料クーポン券を契機に受診率の向上が期待されます。
このたび乳がん,子宮頸がんの無料検診の対象となる女性は全国で約760万人だそうです。乳がんの場合,対象は昨年の4月2日からことし4月1日までの間に40,45,50,55,60歳に達した女性,子宮頸がんの場合は同時期に20,25,30,35,40歳になった女性が対象です。私は対象外です。対象者には,市区町村から,順次,無料検診のためのクーポン券と検診手帳が届けられ,40歳の人には両方のクーポン券が配布されるそうです。
そこでお伺いいたします。
早期発見すれば完治する可能性が高く,政府は,5年以内に検診受診率50%以上を目標に掲げています。本市における現在の受診率とこれからの目標,取り組みをお伺いいたします。
厚生労働省は,市区町村に休日,早朝,夜間の検診実施など,対象者が受診しやすい環境をつくるよう求めています。山口県では他県に先駆け,土・日曜日や平日の夜に検診をする医療機関への支援を始めたとの報道もなされています。また,厚生労働省のがん検診促進企業連携事業などを利用して,職場においては上司から女性社員に対して,がん検診に行くよう促してもらう,配布用のティッシュなどにがん検診を勧めるチラシを入れるなども受診率向上につながるのではないかと思います。
山梨県甲府市では,無料クーポン券の対象外となる超音波──エコー検査の自己負担分を市が独自に負担するそうです。本市としてのお考えをお聞かせください。
岩手県紫波町は,6月15日に全国に先駆け,無料クーポン券を対象者あてに発送し,23日検診開始,岐阜県安八町は19日,鳥取市は26日,広島県竹原市でも7月配布の予定だそうです。本市でも一日も早い実施をお願いしたいと思います。また,国は単年度事業としておりますが,本市としての来年度以降の取り組みをお伺いいたします。
受診率が向上することが女性の命を守る上で非常に大きな意義があると言えます。健康で生き生きとした女性が頑張っていけば,明るい社会になっていくと信じています。
次に,校庭の芝生化についてお伺いいたします。
環境対策として進めるスクール・ニューディールの一環として学校の校庭などを芝生化する取り組みが全国的に広がっています。我が会派は,6月1日,北広島町の豊平西小学校と都谷保育園で芝生化された校庭と園庭を見学し,北広島町教育委員会の方から経緯など説明を受けました。今まで芝生がいいと思ってはいても,芝生は高尚で維持管理が大変,校庭に芝生を植えたら生えるまで外で遊べない,踏んではいけないと思っていました。ところが,鳥取大学農学部の中野先生の研究やNPO法人グリーンスポーツ鳥取代表でニュージーランド出身のニール・スミス氏の実践に基づく鳥取方式は,植えつけ,維持管理とも従来の10分の1以下の経費でできる方法です。確かに芝生は生き物ですから子供たちが遊べば芝生は傷むし,雑草も生えます。しかし,刈り込み,施肥,散水をすれば,ほとんどの状態は回復するそうです。豊平西小学校でも芝生を植えたからといって校庭を使用禁止にせず,いつもと変わらず使ったそうです。また,発想の転換で,雑草も芝生との考えから,あえて雑草を取り除くことはせず,芝生と一緒に刈るだけだそうです。そのため,年間の維持費は1平方メートル当たり100円程度とかなりの低コストになります。1年目の費用は1,000平方メートルの場合,12万円余りで,学校の校庭の平均は5,000から6,000平方メートルなので,数十万から100万くらいでできるということです。グラウンドに移植してから約3から4カ月で芝生化が完成するそうです。
芝生化のメリットは,子供たちが芝を植え,大切に育てることによる情操教育,保護者や地域住民が加われば触れ合いや地域力の向上となる,転んでも痛くないので,思い切って遊ぶことができ,運動が好きになり,元気になる,少々の雨なら走り回って遊べる,土ほこりがなくなり,気管支の弱い子たちもグラウンドで遊べる,地球
温暖化対策として地面から1メートルの高さで約3度温度が違うヒートアイランド現象の抑制につながる,はだしで走る子がふえ,体の発育が変わってくるなど数多く挙げられます。
この鳥取方式は,2003年,鳥取市でスタートし,現在,36都府県,144自治体で実施されているそうです。2008年までの芝生化は,校庭や園庭,公園などを含め全国188カ所に及んでいるそうです。広島県でも尾道市や北広島町など低コストで芝生化する取り組みが広がっています。PTAや地域の方を巻き込んで見守り活動や地域のコミュニティーの場にもなっているようです。子供の成長と環境問題を考えたとき,芝生化の普及は大切だと思いますが,当局のお考えをお聞かせください。
次に,非常勤の行政委員の報酬についてお尋ねいたします。
このことにつきましては,ことしの1月,滋賀県の大津地裁において,県が労働・収用・選挙管理委員会の各行政委員に毎月,定額の報酬を支給することは,勤務実態を前提とすれば地方自治法の趣旨に反するとして,その支払いを違法と認定し,支出差しとめを命ずる判決が下されたことを受け,3月の予算特別委員会においても,我が会派の平木委員を初めとする複数の委員がこの問題を取り上げ,広島市としての今後の対応なりについて市当局の見解を確認されたわけでございます。そのときの論点としまして二つあったように記憶しております。一つは,当然,本市においても見直しを図っていくべきではないかということ,そしてもう1点が,こうした行政委員は市職員のOBの天下り先になっているのではないかという指摘であったと思います。そうした委員からの指摘に対して,市当局からは,行政委員会のあり方については自治体の役割の変化に応じて見直しを行わなければならないと思っている,他の自治体,
政令指定都市等の動向も見ながら適切に対応していきたいといった答弁がありましたので,文字どおり適切に見直しに向けて検討が進められるものと期待をしておりました。しかし,そうした中で5月11日の新聞に,「非常勤の行政委員報酬,『月額制』進まぬ見直し,広島県・市など」という見出しで市の姿勢を問う内容の記事,皆様もごらんになっておられると思いますが,そうした記事が掲載され,それを見まして,市民感覚として市の姿勢には首をかしげざるを得ないものを感じましたので,改めてこの問題について取り上げ,市のお考えを確認させていただければと思います。
まず一つが,行政委員への月額報酬支給の妥当性の検証についてです。
行政委員に対する報酬の支給に関して地方自治法では,その勤務日数に応じてこれを支給するという原則を規定した上で,確かに,条例で特別の定めをした場合はこの限りではないと,日額以外の方法も認めていますが,これはあくまでも例外的な措置ではないでしょうか。法律の解説書を見ましても,勤務の実態が常勤職員とほとんど同様になされなければならないものがあり,その報酬も月額あるいは年額をもって支給することがより適当であるものも少なくなく,常にこの原則を貫くことが困難な場合も考えられるので,条例で特別の定めをすれば,勤務日数によらないことができるものとされているということが述べられていることを考えますと,報酬の支給をなぜ月額制にしたのか,それぞれの行政委員の勤務実態等から明確に説明できなければならないと思いますが,いかがでしょうか。
広島市には現在,教育委員会,選挙管理委員会,人事委員会,農業委員会,固定資産評価審査委員会,そして監査委員の六つの行政委員会がありますが,固定資産評価審査委員会以外はすべて月額制になっていますが,それぞれについて,勤務実態と,月額制とした根拠をお答えください。
次に,今後の見直しに関してです。
先ほど紹介しました新聞記事には,市担当者の談話として次のようなことを言われていることが掲載されていました。市民目線で見直しを行わなければならないが,他都市の動向を見ながら対応したいと述べるにとどまったと,皆さん,この談話を聞かれて少しおかしく思われませんか。これでは他都市の動向がまず大切で,その後に市民目線での見直しということになってしまいますが,皆さんはどのように思われますでしょうか。その真意を明確にお答えいただきたいと思いますし,まずもって市として主体的にこの問題に取り組むことが必要であると考えます。百年に一度の経済危機だと言われる今こそむだをなくし,常識で考えておかしいことは,どこがやらなくても,まず本市が先頭を切って改革すべきではないかと思いますが,当局のお考えをお聞かせください。
最後に,市職員のOBの天下り先になっているのではないかという指摘に対する今後の対応についてです。
市民の視点で照らし合わせて理解が得られるような検証が必要ではないかと思いますが,あわせて当局のお考えをお聞かせください。
最後に,軽度発達障害についてお伺いいたします。
こうした新聞記事がありました。どうしても言うことを聞かない小学生の長男を車に押し込み,山に置き去りにした,山道を500メートルほど下って停車し,号泣したそのお母さん,全力疾走で追ってきた息子の顔は恐怖にゆがんでいました,後に発達障害と診断されたそうです。待ち望んで生まれてきた子供のことで口げんかが絶えなくなり離婚,小学校にはたびたび呼び出される,本当は優しくしたいのにどなり,手を上げる,孤独な日々が続き,疲れ果てた母親がとった行動でした。大きくなった今も母の自責の念は消えないとのことです。
落ちつきがない,突発的な行動をする,これは幼少期の特徴の一つで,本来成長するにつれて軽減していきます。しかし,年齢を重ねてもこうした特徴を強く持ち続ける場合があります。これが発達障害の一つです。単調な作業を長時間できない,忘れっぽい,ささいなミスをする,考えずに行動する,落ちつきがない,多弁で時間や物の管理ができないなど主な特徴があります。小学校三,四年になると,自分はほかの人と何か違う,みんなが簡単にできることができないという不安と生きづらさを感じるそうです。ほかの友達が集中して授業を聞いているのに私は集中できず,十分に気をつけているのに忘れ物が日常茶飯事,障害があると気づかれにくいので周囲の人たちの無理解な言動に苦しめられます。忘れ物が多いと,おっちょこちょい,集中して物事に取り組めないと,わがままなどと言われ,苦しみます。幾ら努力をしてもしかられ続け,本人はどうしたらよいかわからず,次第に自信を失い,根深い劣等感を抱える,うつ状態や自暴自棄な考えに陥り,いじめ,不登校,自傷,暴力,薬物依存,引きこもりなどの二次障害を発生するおそれがあります。
当事者で,NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子さんは,早期に専門家に相談すると具体的なアドバイスをもらえ楽になる,だめな子ねと言う前に,まず子供の気持ちに注目する,不完全な自分を認め,愛し支えてくれる仲間がいれば,障害があっても前向きに生きられますと言われています。
厚生労働省の軽度発達障害に対する気づきと支援のマニュアルの中に,最近,特に精神遅滞,自閉症,注意欠陥多動性障害,学習障害といった状態の子供たちが多く小児科などの外来に受診してきます,そして,これらを背景として学校不適応を起こしている,学齢期に起こしてくる二次的な不適応を防ぐには,幼児期のうちに保護者や保育士などが子供の特性に気づき,適切な支援策を講じることが何よりも大切であろう,とあります。では,発見に適した時期はいつなのでしょうか。遅くとも就学時には,保護者にも指導する側にも子供の発達特性に対する認識とその対処方法が備わった状態であることが望ましい。実際の問題として,ADHD──注意欠陥多動性障害やHFPDD──高機能広汎性発達障害の幼児では,3歳児健診の後,保育所や幼稚園で集団生活をするようになってから急激にさまざまな問題が指摘されるようになります。多くは,集団行動がとれない,自分勝手な行動が多い,指示が入りにくい,一人遊びが多いなど集団生活を始めるようになって初めてクローズアップされる3歳児健診以降から小学校に入学するまでの間,例えば,5歳児健診あるいは発達相談を行うのがよく,3歳児健診を最終とする現行の乳幼児健診システムでは適切に発見することができていないというデータも得られています。
1,000名を超える5歳児を小児科医が診察するという確度でもって,軽度発達障害児の発生頻度が8.2から9.3%であると推定されました。5歳児健診を行えば,小中学校で把握される軽度発達障害児のほとんどを5歳の段階で発見できる可能性があると考えられます。軽度発達障害児に気づくための場として5歳児健診が極めて有効であり,現行の健診体制では十分に対応できないことが判明いたしました。私が5歳児健診について質問するのは,これで何度目でしょうか。きっと皆様の周りにも発達障害のお子様で苦しんでいる方がおられると思います。一人でも多くの方に子育てがうまくいくように,子供も保護者も笑い声であふれるような家庭がふえてくれれば,こんなにうれしいことはありません。
この4月に大阪府の堺市で障害をともに考えるセミナーが開催されました。この中で,大阪大学医学部の講師2名より発達障害そのものについての研究報告と,堺市における発達障害支援研究報告がありました。最初にあったのは,発達障害そのものについての紹介であり,この障害は,適切なときに適切な治療を受ければ飛躍的に能力が伸びるということです。広汎性発達障害とは自閉症などのことですが,定型発達と発達障害にははっきりとした境界はないそうです。過去の有名人では,ニュートンやエジソン,アインシュタインなどは発達障害であったと言われています。社会に貢献する人が多くいます。
発達障害の原因は,胎児,乳児期における神経発達,ネットワーク形成の異常が挙げられています。親の育て方の問題ではありません。こうした状況は,不適切なかかわり方で悪化し,また適切なかかわり方で改善もします。先ほど来申し上げていますように,早期の段階で不適切なかかわり方をすると二次障害を起こします。そうなると,うつ,引きこもり,触法行為など社会参加を阻む二次障害となってしまいます。そのためにも発達障害に対する早期の対応が重要になってくるということを繰り返し申し上げてきました。5歳児健診の重要性を訴えているのは,こうした理由からです。
講演の中で,発達障害支援に必要なことと題して,堺市における取り組み事例の発表がありました。前半の主張と重複しますが,その内容を少し紹介させていただきたいと思います。
発達障害については,親が子供の異変に気づいてから診断を受けるまで3から4年と長いようです。その結果,養育者の思いとしては,障害に気づかせてほしかった,診断まで不安があった,専門的な療育を受けたかった,いつでも相談に乗ってくれる場所が欲しいなどの意見が寄せられているようです。この結果,相談窓口の必要性と早期発見,高度に専門的な療育の必要性が指摘されています。堺市においては,このような状況を踏まえて5歳児の発達相談事業を始めています。発達障害は,1歳半,3歳の健診のときには見つかりにくい障害であり,厚生労働省の研究レポートでも明らかになっています。その原因を探り,対応策が講じられていますが,一つは,診断機関の不足であり,そのために市立病院に発達障害外来を設置し,二つ目は,マンパワーの不足が指摘され,専任のコーディネーターを設け,三つ目は,理解不足が挙げられ,保健師向けのセミナーを開催しました。このような中で5歳児相談が実施されました。これは対象となる全員に通知をし,希望者のみ電話予約を受けるというものです。当日,医師や心理士による診察などが行われ,精密検査が必要な人には医療機関を紹介するなど,必要な支援機関につなぐこととなっています。診断を受けた結果,27人のうち59%が障害を持ち,26%は養育上の問題という報告がありました。まとめとして,養育者への支援の必要性,専門的な支援,相談機関の充実などが挙げられました。
以上,申し述べましたように,5歳児相談の必要性を一層感じたセミナーとなりました。
これまでも主張してまいりましたが,広島市としても,こうした事業を行っていくべきであると考えますが,いかがでしょうか。現在の相談体制はどのようになっているのか,お伺いいたします。
以上で,
一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○藤田博之 議長 市長。
〔秋葉忠利市長登壇〕
◎秋葉忠利 市長 米津議員の御質問に御答弁申し上げます。
女性特有のがん対策についての御質問がございましたので,私から基本的な考え方と取り組み状況を答弁させていただきます。
女性特有のがんの現状として,まず乳がんについては,昭和40年代から増加の一途にあります。現在,我が国の女性のがん罹患の第1位となっており,年間約4万2000人が罹患し,約1万1000人が亡くなっています。乳がんの発症には,高齢初産,閉経後の肥満やアルコールの過剰摂取などが関与していると言われ,近年の女性のライフスタイルの変化により今後も増加することが予想されます。また,子宮頸がんについては,年間約1万5000人が罹患し,約2,500人が亡くなっており,20歳代後半から30歳代の若い年代の罹患率が増加しています。子宮頸がんの発症要因としては,性感染症を引き起こすウイルスが関与していることが明らかになっており,性活動が活発となる若い年代に対してのがんに関する正しい知識の普及啓発が重要となっております。がんの発症には,生活習慣等が大きく影響しており,その改善ががんを予防するために大切であると言われております。また,乳がん及び子宮頸がんは,御指摘にありましたように,早期発見,早期治療により治すことができる病気です。
こうしたことから,女性特有のがん対策においても予防や早期発見の取り組みが重要です。
本市の健康づくり計画である元気じゃけんひろしま21の中でも,がん対策を主要な項目の一つとして掲げ,がん予防のためのよりよい生活習慣の普及啓発や,早期発見のためのがん検診受診率向上対策などの取り組みを行っています。具体的には,がん予防の観点から,保健センターにおいて,がんに関する正しい知識の普及啓発や,肥満などを改善するため,食生活や運動などの生活習慣を見直す生活習慣病予防教室などを実施しています。また,早期発見の観点から,休日検診の導入などによる検診を受けやすい体制づくりや,ピンクリボンキャンペーンなどを通じた受診意識向上のための啓発を行っています。
今回,補正予算案に計上しております女性特有のがん検診推進事業においては,受診率を国の目標数値である50%と見込んでいますが,50%に満足することなく,より多くの市民に受診していただくために事業所等と連携し,企業で働く女性も受診しやすい環境を整えます。こうした取り組みは,女性の健康支援だけではなく,未来への投資につながる子育て支援にもなることから,今後とも女性特有のがん対策を積極的に推進してまいります。
その他の御質問につきましては,担当局長から御答弁申し上げます。
○藤田博之 議長
企画総務局長。
◎湯浅敏郎
企画総務局長 非常勤の行政委員についての御質問にお答えいたします。
まず,勤務実態と月額制とした根拠,そして月額報酬の見直しについてでございます。
教育委員会,選挙管理委員会,人事委員会,農業委員会及び監査委員の昨年度の会議の開催回数は11回から26回であり,各委員は会議への出席等によりその職責を果たしております。これら行政委員会等の委員報酬については,それぞれの行政委員会等の性格や他の
政令指定都市との均衡などを考慮して,広島市報酬並びに費用弁償条例の規定に基づき月額として定めております。
月額としている趣旨は,これら行政委員会等は,地方自治法上,首長と同様,地方公共団体の独立した執行機関として位置づけられており,執行機関の附属機関である審議会等とは異なり,みずからの責任において判断し,意思形成を図るものであること,その行政委員会等の委員は,当該委員会等の会議に出席し,議案の審議等を行うとともに,日常的に所掌業務に関して事務局に対し意見を述べたり,情報収集や自己研さんを行っていることなどから,それに見合う報酬を月額とすることが適当と考えたことにあります。
議員御指摘の月額報酬の見直しにつきましては,今後,それぞれの行政委員会等の意見も聞きながら,また他都市の動向等も参考にしながら,より望ましい委員報酬の方法のあり方について検討したいと考えております。
次に,市職員OBの行政委員会等委員への就任についての御質問でございます。
行政委員会等の委員のうち,市選挙管理委員会及び各区選挙管理委員会の委員については,地方自治法の規定に基づき議会における選挙により選任されていることから,それ以外のものについてお答えをさせていただきます。本市の行政委員会等の委員は58人おりますが,このうち本市退職職員は,教育委員会委員,人事委員会委員,監査委員各1人の合計3人でございます。行政委員会等の委員については,それぞれ法律に任命または選任の要件が定められており,それに従い,すぐれた識見を有し,本市の実情にも詳しい本市退職職員を任命または選任したものでございます。
今後とも,行政委員会等の委員に適任者を人選するよう意を用いてまいります。
以上でございます。
○藤田博之 議長
健康福祉局長。
◎三村義雄
健康福祉局長 女性特有のがん対策についての御質問にお答えします。
まず,本市における現在の実施率と受診率向上の取り組みについてでございます。
がんによる死亡率を減少させるためには,がん検診の受診率を大幅に引き上げることが何よりも重要でございます。本市の平成20年度,2008年度の受診率は,乳がん検診が12.8%,子宮頸がん検診が13.9%でした。この受診率を向上させるため,受診しやすい環境づくりと啓発の充実に特に力を入れてまいります。
まず,受診しやすい環境づくりの面では,本市で行うがん検診は,平日には,公民館や集会所などを検診車で巡回する集団検診,最寄りの医療機関及び広島市健康づくりセンターのいずれでも受けられるようにしております。また,休日にも地域で集団検診を行っており,実施場所には,子育て応援イベントの会場を選んだり,託児コーナーを設けるなど,できるだけ多くの女性に検診を受けてもらえるよう工夫をしております。さらに集団検診で使用する子宮がん検診車には,股関節が不自由な方であっても検査を受けていただきやすい検診台を載せております。
次に,啓発の充実という側面では,町内会,自治会等に受診勧奨チラシの回覧をお願いしたり,バスの窓ガラスに啓発ステッカーを張っております。さらに大学や専修学校の学生を対象としたがんに対する講演会の開催やリーフレットの配布を行っております。今後はこれに加えて,事業所等との連携により,企業で働く女性も受診しやすい環境を整えるとともに,受診意識向上のための啓発も行ってまいります。
次に,甲府市において,超音波検査を実施し,受診料負担を市が負担していますけども,本市はどうなってるのかという質問でございます。
議員御指摘の乳がんの超音波検査は,本市が健康増進法に基づいて実施している乳がん検診の対象にはしておりません。国は,がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針で,乳がん検診は,視触診とエックス線検査──マンモグラフィーでございますけども,これを併用することとしております。マンモグラフィーに比べて検査の有効性が十分には確認されてない超音波検査を採用することは,今の段階では考えておりません。
それから,今回の女性特有のがん検診推進事業について,来年度以降はどうするのかという質問でございます。
今回の女性特有のがん検診推進事業は,平成21年度,2009年度の国の経済危機対策の一環として実施される今年度限りの事業でございます。国は,平成22年度,2010年度以降の実施については,今年度の事業の成果を検証の上,検討していく予定としております。この事業は,広く市民に対し,がんに関する正しい理解と定期的な検診の受診を促すものであることから,本市としては,国に対して,継続的にこの事業が実施されるよう働きかけていきたいと考えております。
┌─────────────┬─────────────┐
│ 款 │ 項 │
├─────────────┼─────────────┤
│ 7 土 木 費 │ │
└─────────────┴─────────────┘
第2条 第2表 債務負担行為補正のうち
追加中
┌──────────────────────────┐
│ 事 項 │
├──────────────────────────┤
│佐伯区の観光振興促進業務委託 │
└──────────────────────────┘
2 第 86号議案 平成21年度広島市広島市民球場特別会計補正予算(第1号)
3 第 93号議案 広島市都市計画関係手数料条例の一部改正について
4 第 95号議案 広島圏都市計画(広島平和記念都市建設計画)地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正について
5 第 99号議案 公の施設の指定管理者の指定について
6 第101号議案 市道の路線の廃止について
7 第102号議案 市道の路線の認定について
△(参照2)
平成21年6月26日
議 員 各 位
広島市議会議長
藤 田 博 之
請願・陳情の受理について(報告)
下記のとおり請願・陳情を受理し,請願は関係常任委員会に付託したので報告します。
記
請願
┌────┬───────────────┬────┬────┬──────┐
│ 受 理 │ 件 名 │受 理│付 託│ 付託委員会 │
│ 番 号 │ │年 月 日│年 月 日│ │
├────┼───────────────┼────┼────┼──────┤
│ 25 │国民健康保険に関することについ│21. 6.23│21. 6.23│ 厚 生 │
│ │て │ │ │ │
├────┼───────────────┼────┼────┼──────┤
│ 26 │生活保護の「母子加算」復活を要│21. 6.24│21. 6.24│ 厚 生 │
│ │求する国への意見書の提出を求め│ │ │ │
│ │ることについて │ │ │ │
└────┴───────────────┴────┴────┴──────┘
陳情
┌────┬───────────────────────────┬────┐
│ 受 理 │ 件 名 │受 理│
│ 番 号 │ │年 月 日│
├────┼───────────────────────────┼────┤
│ 65 │義務教育費国庫負担制度を堅持するための意見書提出を求め│21. 6.19│
│ │ることについて │ │
├────┼───────────────────────────┼────┤
│ 66 │義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書提出を求める│21. 6.19│
│ │ことについて │ │
└────┴───────────────────────────┴────┘
───────────────────────────────────────
議 長 藤 田 博 之
署名者 森 本 真 治
署名者 安 達 千 代 美...