広島市議会 2001-02-23
平成13年第 1回 2月定例会−02月23日-02号
平成13年第 1回 2月定例会−02月23日-02号平成13年第 1回 2月定例会
平成13年第1回
広島市議会定例会会議録(第2号)
広 島 市 議 会 議 事 日 程
平成13年2月23日
午 前 10 時 開 議
日 程
第1┌自第1号議案 平成13年度広島市
一般会計予算
┤
└至第63号議案
包括外部監査契約の締結について
(
総括質問)
──────────────────────────────────────
会 議 に 付 し た 事 件 等
開議宣告(終了)
会議録署名者の指名(終了)
日程に入る旨の宣告(終了)
日程第1 ┌自第1号議案 平成13年度広島市
一般会計予算
┤
└至第63号議案
包括外部監査契約の締結について
(
総括質問)
休憩宣告(終了)
開議宣告(終了)
総括質問(続行し,2月26日も続行)
次会の開議通知(2月26日午前10時開議を宣告)
散会宣告(終了)
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出 席 議 員 氏 名
1番 松 坂 知 恒 2番 沖 洋 司
3番 元 田 賢 治 4番 永 田 雅 紀
5番 山 田 春 男 6番 母 谷 龍 典
7番 平 木 典 道 8番 谷 口 修
9番 宮 本 健 司 10番 増 井 克 志
11番 今 田 良 治 12番 大 原 邦 夫
13番 若 林 新 三 14番 中 原 洋 美
15番 村 上 厚 子 16番 酒 入 忠 昭
17番 村 上 通 明 18番 佐々木 壽 吉
19番 熊 本 憲 三 20番 大 野 芳 博
21番 水 野 なつ子 22番 倉 本 忠 宏
23番 橋 本 昭 彦 24番 金 子 和 彦
25番 井 口 聰 26番 木 山 徳 和
27番 沖 宗 正 明 28番 太 田 憲 二
29番 田 尾 健 一 30番 中 森 辰 一
31番 多 田 敏 治 32番 仲 津 幸 男
33番 土 井 哲 男 34番 碓 井 法 明
35番 児 玉 光 禎 36番 谷 川 正 徳
37番 松 平 幹 男 38番 福 島 和 宏
39番 平 野 博 昭 40番 種 清 和 夫
41番 宗 像 俊 昭 42番 下向井 敏
43番 都志見 信 夫 44番 皆 川 恵 史
45番 石 川 武 彦 46番 藤 田 博 之
47番 前 本 一 美 48番 松 浦 弘 典
49番 月 村 俊 雄 50番 中 山 忠 幸
51番 戸 田 満 52番 鶴 見 和 夫
53番 浅 尾 宰 正 54番 木 島 丘
55番 伊 藤 稲 造 56番 鈩 谷 君 子
57番 柳 坪 進 58番 中 本 弘
59番 兼 桝 栄 二 60番 海 徳 貢
──────────────────────────────────────
欠 席 議 員 氏 名
な し
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職務のため議場に出席した
事務局職員の職氏名
事務局長 原 田 尚 武
事務局次長 大 島 和 夫
議事課長 浜 中 典 明
議事課主任 田 村 直 樹
議事課主査 重 元 昭 則
外関係職員
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説明のため出席した者の職氏名
市長 秋 葉 忠 利 助役 森 元 弘 志
助役 小 田 治 義 収入役 伊 藤 利 彦
企画総務局長 守 田 貞 夫
財政局長 北 谷 重 幸
市民局長 三 宅 吉 彦
社会局長 藤 井 克 己
環境局長 斉 藤 末 男 経済局長 長谷川 順
都市計画局長 高 村 義 晴
都市整備局長 米 神 健
道路交通局長 前 原 恒 泰
下水道局長 田 嶋 紘八郎
市立大学事務局長 消防局長 久保田 浩 二
中 本 信 雄
水道局長 中 岡 隆 志
広島市民病院事務局長
松 井 正 治
安佐市民病院事務部長 監査事務局長 長谷川 典 夫
三 上 勝 義
財政課長 稲 原 浩 教育長 池 原 資 實
選挙管理委員会事務局長
久保井 美登里
人事委員会事務局長
繁 野 勝 元
代表監査委員 山 田 康
──────────────────────────────────────
午前10時06分開議
出席議員 54名
欠席議員 6名
○
平野博昭 議長 おはようございます。
出席議員54名であります。
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開 議 宣 告
──────────────────────────────────────
○
平野博昭 議長 これより本日の会議を開きます。
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会 議 録 署 名 者 の 指 名
──────────────────────────────────────
○
平野博昭 議長 本日の
会議録署名者として
5番 山 田 春 男 議員
30番 中 森 辰 一 議員
を御指名いたします。
──────────────────────────────────────
日 程 に 入 る 旨 の 宣 告
──────────────────────────────────────
○
平野博昭 議長 これより日程に入ります。
──────────────────────────────────────
△日程第1┌自第1号議案 平成13年度広島市
一般会計予算
┤
└至第63号議案
包括外部監査契約の締結について
(
総括質問)
──────────────────────────────────────
○
平野博昭 議長 日程第1,第1号議案から第63号議案を一括議題といたします。
これより
総括質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
24番
金子和彦議員。
〔24番
金子和彦議員登壇〕(拍手)
◆24番(
金子和彦議員) 皆さん,おはようございます。
21世紀の最初の年でありますこの平成13年第1回定例会において,
トップバッターとしてこの席に立たせていただくことを,皆さんにまずもって感謝申し上げ,会派を代表して
総括質問に入りたいと思います。
まず,本市における
都市基盤整備のあり方,考え方についてお尋ねいたします。
今さら申し上げるまでもなく,本市の置かれておる
財政状況は,市債残高は全会計で1兆6,000億円を超え,基金も底をつき,当分税収の増加も期待できない厳しい状況にあります。しかしながら,110万市民に対し,安全で快適な生活のための
まちづくり,すなわち,
都市基盤の整備や市民に対する行政としての最も重要な責務であることも紛れもない事実であります。現時点でも,市民,地域の要望,
都市機能充実のための
整備計画など,これらを実施に移すべき案件は山積しております。このような状況のもとで実施計画を立てるとき,特に注意すべきことは,現在の
財政状況だけを考え,予算を縮小するためだけを考えて,中途半端なものにならないよう気をつけるべきであろうと思います。
また,実施に当たって,緊急性,投資効果等十分に考慮し,しっかりとした計画のもとで優先順位をつくり,集中的に投資を行い,よいものをつくることが大切であると思います。なぜなら,一度つくったものは簡単にはつくりかえることはできません。例えば,理想的なものをつくるためには100億円必要であるという状況の中で,現在の
財政状況だけを考え,規模を縮小し,また,質を落として仮に80億円で実行したとき,中途半端なものができ,使いづらいもの,また,利用率の低いものとなった場合,10年,20年先の市民から批判を受けることになり,せっかくの80億円がむだになります。
また,現在のような厳しい経済状況も,今後10年,20年続くとは考えられません。必ず好転するものと確信しております。いわゆる,安物買いの銭失いと言われることのないよう最大限の注意が必要と思いますが,当局のお考えをお聞かせください。
次に,
広域合併についてお尋ねします。本市は,昭和37年に策定された
全国総合開発計画において,全国7大拠点の一つと位置づけられ,その後,昭和42年には,
広島広域都市圏推進協議会が
広島広域都市圏建設基本構想を策定し,これがもとになり,広島市を中心に周辺19カ町村との合併地区が設定されました。昭和45年には,対象の19カ町村に対し文書で合併を申し入れ,協議に入り,昭和46年4月1日の安佐郡沼田町の合併を皮切りに,昭和60年3月20日の佐伯郡五日市町との合併まで,14カ町村との合併が完了したところでございます。この間,昭和55年4月1日には,本市の大きな目標であった
政令指定都市への移行も実現し,今日に至っております。
その後,平成7年の法改正により,自治省,現在の総務省より,新たな
広域合併の指導がなされました。この背景には,現在既に施行されている
地方分権一括法による地方への権限委譲の受け入れが可能な地方自治体の規模にすることが,大きな目標であるように思います。
そのため,平成11年に
合併特例法をさらに充実改正し,合併の機運高揚が図られているところであり,これを受けて,県より合併区域の案が提示されたところであります。県から提示を受けた各自治体は,それぞれの立場の違いからいろいろな反応が出ているところです。
本市の
合併構想の対象で,未合併1市4町についても,受け取り方,反応はさまざまです。各市町村のその後の発言がマスコミでも紹介されておりますが,皆さん大体に共通して感じられることは,まだその機運にはないと言われておるように思います。また,未合併町の中には,広島市さんは本当に合併を望んでおられるのか,最近では,以前のような熱意が見えないというようなことも聞きます。
私は,
広域合併は,
住民ニーズの広域化,高度化に的確に対応し,効率的な行政運営や質の高い
行政サービスを提供し,また,地域の特性や歴史など,その実情に応じた施策を選択しながら,
分権型社会にふさわしい行政体制の整備を図るには最も重要な要素であろうと考えております。
合併特例法は,平成17年3月末までを有効期限とする時限立法でございます。この時期を逸し,この法の適用を受け入れられなくなったとき,その時点で合併することになっては,その自治体の損失ははかり知れないものがあります。
そこでお尋ねします。本市としては,合併についてどのように思っているのか。また,実現を望んでいるのなら,今後どのような行動でその意思表示をしていくのか,お答え願います。
次に,教育についてお伺いします。21世紀が幕開けした今日,少子・高齢化の進行や科学技術の
飛躍的進歩,国際化,情報化の進展,地球規模での環境問題の深刻化など,社会の状況も大きく変化してきており,今の
子供たちの生き方,価値観に多大な影響を与えています。こうした状況のもと,これからの時代を担う
子供たちには,多くの豊かな体験を通じて,社会の変化に主体的に対応し,夢や希望を持って,未来に向けて人生を切り開いていく力を育成していくということが求められております。
あらゆる
社会システムの基盤である教育について,その改革への期待が一層高まっています。こうした教育の現状や課題を踏まえ,国においては
教育改革国民会議において,昨年12月22日に
最終報告が取りまとめられました。この
最終報告では,人間性豊かな日本人の育成,一人一人の才能を伸ばし創造性に富む人間の育成,新しい時代の新しい
学校づくり,
教育施策の
総合的推進のための
教育振興基本計画の策定,新しい時代にふさわしい
教育基本法の見直しなど
教育各般にわたって提言されています。
現在,国においては,
最終報告の提言を踏まえた各般にわたる必要な取り組みを進めていくため,このたび,
教育改革のための具体的な施策や課題を取りまとめた21
世紀教育新生プラン,7つの重点戦略を策定したことは御承知のとおりでございます。
こうした中,
教育委員会においては,21世紀を展望した
本市教育のあり方について検討を進めるため,有識者からなる21
世紀教育改革推進総合プラン検討会議が設置され,
教育行政や学校のあり方などについて,13回にわたって幅広く議論を行ってこられましたが,先般,本
検討会議から,広島らしい新しい教育を推進するためにと題して提言が出されました。
この提言では,心身ともにたくましく,思いやりのある人を基本理念とし,
子供たちに,生きるための基礎・基本をしっかり身につけさせ,規範性,感性,体力,
コミュニケーション能力の4つの力をバランスよく備えさせるために,学校,家庭,地域の,いわゆる町ぐるみではぐくんでいきたいという教育の方向性が示されています。言うまでもなく,教育は社会の営みと無関係に行われる活動ではありません。今日の
教育荒廃の原因は,究極的には社会全体にあると言えます。
しかし,学校が悪い,家庭が悪い,社会が悪い,市民の意識を変えろというだけでは,責任の所在があいまいになり,結局だれも何もしないという無責任な状態になってしまいます。私は,
教育改革を実行あるものにしていくためには,学校,家庭,地域の3者が壁を乗り越えて,まさに,三位一体となった教育への営みを積み重ね,広島の
子供たちをはぐくんでいくことが重要であると常々考えておるところであります。しかし,学校,家庭,地域の三位一体とは言いながら,現実には言葉だけが先行し,3者がただ集まっているだけの,いわば形だけのものとなっているのが現状であります。
私は,学校,家庭,地域が子供を中心に据え,それぞれが
教育機能を発揮し,相互に重なり合いながらともに考え合い,ともに取り組んでいく姿勢が大切であり,これが本来の三位一体であると思います。
こうした状況となるためには,学校が,子供,保護者,地域とつながり,ともに学び育ちあう地域のセンターとなるべく再構築するとともに,学校情報の公開,教職員の意識改革などに取り組んでいくことが必要であろうと考えております。
そこでお尋ねしますが,
検討会議の提言でも,学校,家庭,地域の一体化が言われておる中,
教育委員会としてはこのことをどのように認識し,今後どのように対応していこうとしているのかお伺いいたします。
次に,
原爆特別養護ホームと
社会福祉施設の充実についてお尋ねします。
現在,
原爆特別養護ホームの待機者が約370人もおり,申し込んでから入所できるまで,約2年から3年かかる状況だそうであります。これは,一般の
特別養護老人ホームと比較しても長い待機期間であります。第三
原爆特別養護ホームの整備については,かねてから市当局もその必要性を認めてこられておりますが,適地がないということを理由の一つとして何年も経過してきております。被爆者は減少してきているとはいえ,現在本市に約9万人もおられます。しかも,年々高齢化が進んできており,平成12年3月末で,平均69.4歳となっている現状等を考えると,待機者はますます増加することが予想されます。適地の選定云々で,いたずらに時間を費やしている場合ではないと思います。
また,一般就労の困難な障害者に対して,働く場所を提供することを通して,人間として豊かに成長できることを願って運営されてきている施設に,障害者の
小規模作業所があります。これらは,障害児を持つ保護者や,地域の人たちが自主的につくってきているものですが,障害者の
社会参加にとって欠かせない役割をこれまで果たしてきております。近年,こうした作業所が社会福祉法人化して,運営基盤のしっかりとした法定の
授産施設にしていきたいという動きが出ております。その際に課題となってくるのが,施設を整備するための土地の問題であります。本市にも,このような施設には土地を無償貸与する制度があります。この二つの
施設実現の最大の障害が土地の問題であります。
そこで私は,これらの施設を,私の地元安芸区矢野の
世代間交流拠点施設用地に整備を検討いただいたらどうかということでお尋ねをいたします。この土地は,平成9年3月に
土地開発公社による
先行取得がされたものであります。
世代間交流拠点施設の目的は,子供から高齢者に至る幅広い年齢層の交流を通じて,子供の
社会生活能力や,自主性の向上などを図るとともに,高齢者,障害者の
社会参加,または,
自立促進を図ることとなっております。高齢化のさらなる進展や,
ひとり暮らし高齢者の増加など,高齢者の
生きがいづくりや
自立促進の必要性はますます高まり,また,子供をめぐるさまざまな問題が生じていることなどを考えると,当初の
施設整備の必要性は高まりこそすれ,後退はしていないはずです。それにもかかわらず,具体化の作業が進展していないのは大変残念であります。来年度予算を見ましても,この用地に関する予算は
ねんりんピック関連以外見当たりません。市当局は,進展しない理由として,
財政事情の厳しさを上げますが,
財政事情の厳しいのは,今の日本や本市の経済情勢からすると,ここ数年で解消するとは思われません。
財政事情が理由では,いつまでたっても放置されたままになってしまいます。だとするならば,財政負担への影響,少なくとも小さく1つずつ,徐々にやっていくという工夫も必要ではないでしょうか。
そこで,もともとこの土地を
先行取得する際に策定された平成9年の
基本構想や,平成11年の
基本計画を改めて見ますと,
世代間交流施設本体のほかに,
高齢者福祉施設や
障害者福祉施設をあわせ整備する計画となっております。この土地は,上段と下段の2段に分かれ,その上段部に
福祉施設を整備し,施設の入所者や利用者と,いろいろな世代の市民との間で交流を図っていこうということになっているのです。
土地開発公社が保有する大規模未利用地の問題は,全国的にも,いわゆる塩づけ土地をどう処理するかということで,
地方公共団体の大きな課題となっています。
土地開発公社による用地の
先行取得は,改めて言うまでもなく,先行して取得する必要性,再取得の見通し,事業の
実施効果等を十分勘案して検討をすべきものでありますが,既に保有している土地については,速やかな利用計画の策定を行い,公社による長期保有は避けるべきであります。こうした土地は,再取得までの間,利子を払ってでもということで
先行取得したものであり,その活用の必要性は,いろいろな行政需要がある中でも高いはずであります。本市においても,塩づけまでとは言わなくても,未利用で実現化のめどの立っていない大規模未利用地が幾つかあり,
世代間交流拠点施設用地もその中の一つです。
私の地元でも,この土地の無償貸与を受けて
施設整備をしたいと望んでいる障害者の
小規模作業所があり,市長にも,昨年9月に要望書が提出されておるところでございます。これを読んでみますと,整備しようとしている
授産施設で,ジャム,クッキーなどの食品加工やパン製造をしていきたいといったところまで合意し,そのための研修,試作,販売を既に始めており,大きな期待を膨らませているところです。彼らは,
施設整備のための財源も,みずから準備して,2002年中の実現を目指して,一刻も早い
授産施設の整備を望んでおります。
また,先ほど申し上げました第
三原爆特養の整備についても,仮に今
施設整備を始めると決めても,設計や建設にはまだ何年もかかることも考えられ,早急にこの場所に整備する決意をしていただきたいと思います。
これらの障害者や被爆者の
福祉施設は,いずれ整備しなければならないものであり,市当局もその必要性は認めておいでなのです。また,これらの施設を先行整備し,そこで地域などとの交流を広げていくことで,将来の
世代間交流施設の整備にもつながっていくものと考えられます。土地を有効利用せずに遊ばせて,金融機関に毎年多額の金利を払い続けるのでは,無責任に負担を後代へ先送りするだけです。一遍にとはいかないまでも,必要性が具体化され,緊急性の高いこれらの施設について,
世代間交流拠点施設用地にはっきりと位置づけをし,早急に整備に入るべきと考えます。なお,本用地は,
ねんりんピックがことし10月に開催される際には,ペタンクの会場として使用されます。当初の予定からすれば,新しい施設のお披露目も兼ねて開催される計画のはずでした。
ねんりんピックの開催を将来に結びつけていくという意味からも,あとは,本来の
施設整備に結びつけるべきであろうと思いますが,当局の前向きなお考えをお聞かせください。
最後に,
畑賀病院についてであります。
畑賀病院は,昭和8年,
広島市立畑賀病院として結核患者を対象に発足し,昭和22年,厚生省に移管され今日に至っております。その間,時代の流れとともに一般病棟に変わり,地域住民の頼りとする病院となりました。
ところが,昭和61年に,厚生省の方針として,
国立病院療養所の再編成の全体計画が公表され,その中に
畑賀病院が含まれておりました。その後,地元を中心とした市民の病院存続という強い思いを受け,本市議会でも本会議,また,
常任委員会等で議論を重ね,途中紆余曲折はあったものの,平成12年,施設は広島市が引き継ぎ,運営は広島市医師会へ委託することで合意決定したことは,皆さん御承知のとおりでございます。
平成13年度当初予算にも,
畑賀病院関連で約16億2,000万円が計上され,
施設整備の面では,外来棟建てかえを手始めに,平成17年完成を目標に事業開始となり,また,診療科目の面では,小児科の新設,
施設整備完了後には,人口透析及びホスピスも開始されるという計画が発表されたところです。現在の本市の
財政状況を考えると,この方針決定は大英断であり,地元住民の一人として大変感謝する次第でありますが,将来にわたっての地域の基幹医療施設としては,診療科目の増加,診療時間の延長,また,いろいろな面で期待するところ大であります。関係者のこれまでの御努力に対しては敬意を表するところでありますが,これで終わりではなく,さらなる充実に向けての努力を地元は大変期待をしております。この
畑賀病院についての答弁は求めませんが,前段の4項目については,誠意ある御答弁を期待いたしまして,私の
総括質問を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○
平野博昭 議長 市長。
〔秋葉忠利市長登壇〕
◎秋葉忠利 市長 金子議員の御質問にお答え申し上げます。
最初に,
都市基盤整備について,安物買いの銭失いとならないよう心すべきではないかとの趣旨の御質問がございました。
都市基盤は,御指摘のように,都市において機能的な都市活動を維持し,質の高い都市環境を形成していく上で必要不可欠な施設でございます。しかも,一般的には,これも御質問の中にありましたように,相当の長い期間にわたり我々の生活や地域に多様で多大な影響をもたらします。
近年,
都市基盤をめぐる状況は大きく変化してきており,厳しい財政の制約により,一層効率的な整備が求められる一方で,自然環境との調和,水と緑を生かした美しい都市景観の実現,地域社会との調和などの要請もさらに高まってきております。
御指摘のように,
都市基盤は短期的な視点でとらえるのではなく,中長期的な観点から本市の将来方向も見定め,大局的に優先順位を設定した上で整備を進めることを基本に据える必要があります。短期的な事業効率を追い求めるあまり,結果として低水準の施設となることは望ましくないと考えております。投資効果の高い事業への優先的,重点的な予算配分やコスト縮減,PFIに代表される新たな整備方策の検討,事業の一体的な実施による高付加価値化や費用対効果分析に基づく実施等の施策に,総合的,積極的に取り組んでいく必要があります。このような基本認識のもとに,総合的な施策に取り組みつつ,土地基盤の整備に努め,潤いと活力のある国際平和文化都市を形づくっていきたいと考えております。
次に,
広域合併についての御質問がございました。本市においては,日常生活面で特につながりの強い地域は,一つの行政体として一元的な都市経営と
行政サービスを提供することが地域の発展と住民福祉の向上に寄与するとの観点から,昭和45年,1970年以来,周辺19カ町村に
広域合併を呼びかけてまいりました。これまでに,14カ町村との合併が実現しておりますが,残る未合併地区についても,より一体的な都市づくりのためには,引き続き合併に向けた取り組みを進めていくことが必要であると考えております。
特に,安芸地域の一体的な整備と発展を図るためには,安芸郡4町との合併は重要課題であると考えており,既に海田町とは事務的なレベルでの研究会を設けて,合併問題の調査研究等を行っております。現在,市町村の合併の特例に関する法律──
合併特例法でございますが,この改正や,広島県の市町村合併推進要綱の策定等により,市町村合併に対して,これまで以上に手厚い支援策が講じられ,県内各地において合併問題に関する議論が活発化しております。
こうした状況の中で,本市未合併地区においても,合併機運の高揚が図られることを期待しております。本市といたしましても,
合併特例法の有効期限である平成17年,2005年3月末までの合併を一つの目安として,安芸郡4町との相互理解の増進を図るとともに,合併問題あるいは
まちづくりにかかわる調査・研究を呼びかけるなど,積極的に合併に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては,担当局長から御答弁申し上げます。
○
平野博昭 議長
社会局長。
◎藤井克己
社会局長 原爆特別養護ホーム等
福祉施設の充実についての中で,
世代間交流拠点施設用地に,
障害者福祉施設を早急に整備すべきだが,どうかという点につきまして御答弁申し上げます。
世代間交流拠点施設の用地については,幅広い年齢層の交流を通じて,子供の
社会生活能力及び自主性の向上を図るとともに,障害者及び高齢者の
社会参加や自立などを図ることを目的といたしまして,
世代間交流施設と
障害者福祉施設及び
高齢者福祉施設を整備するため,広島市
土地開発公社において
先行取得しております。
しかし,本市の厳しい
財政状況のもと,現在まで施設を整備するには至っておりません。こうした中,御指摘のようにこれらの施設を,
財政状況を勘案しながら準備の整ったものや緊急性の高いものから徐々に整備していくような工夫も必要だというふうに考えております。
まず,
障害者福祉施設につきましては,現在安芸区の三つの
小規模作業所が,平成15年度中の開設を目標に,法定の通所
授産施設の整備に向け準備を進めております。本市といたしましても,障害者の福祉的就労の場である通所
授産施設の整備は,緊急かつ重要な課題であると認識しておりまして,その整備に当たっては,これまでも市有地を無償貸与していることから,当該通所
授産施設を
世代間交流拠点施設における
障害者福祉施設として位置づけ,早期に整備してまいりたいと考えております。
次に,新たな
原爆特別養護ホームの整備についてでございますが,
原爆特別養護ホームの整備場所については,これまで種々検討してまいったわけでございますが,御指摘のように入所待機者が多く,その待機期間も長いことに加え,被爆者の高齢化も一段と進んでいるといった状況を考えますと,早急に決定する必要があると考えております。
御提案の用地につきましては,
世代間交流拠点施設の予定用地の中で,
高齢者福祉施設用地として既に位置づけられており,また,
原爆特別養護ホームの立地条件として必要な敷地規模,地域バランス,住環境としてふさわしいことといった要件を満たしており,さらに,先ほど御答弁申し上げましたように,
障害者福祉施設の
整備計画を具体化していく中で,隣接する
高齢者福祉施設用地の利用計画もあわせ検討していく必要が生じたことなどから,当該
高齢者福祉施設用地を
原爆特別養護ホームの有力な候補地として,今後具体的な整備手法等について検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○
平野博昭 議長 教育長。
◎池原資實 教育長 21世紀の教育についてお尋ねがございました。
議員御指摘のとおり,21世紀の教育におきましては,教師の教育活動を中心としていたこれまでの学校から,学校,家庭,地域が三位一体となり,相互の信頼と支援を得て学校教育の質や内容を大きく発展をさせ,いわば,町ぐるみではぐくんでいくという教育へ転換をする必要があるという認識でおります。これらを実現していくためには,各学校が教育情報を積極的に公開をし,地域の教育力を活用した授業や,特別活動等を推進するとともに,学校運営や教育活動に,地域の協力・支援を受けるためのシステムづくりが重要であると考えております。
このため,新年度から,これらを総合的に取り組むための施策といたしまして,学校協力者会議の設置や,地域人材の活用,さらには,学校の情報を公開するためのホームページを開設するなど,学校,家庭,地域が一体となって,学校教育を推進するための基盤づくりに努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○
平野博昭 議長 24番。
◆24番(
金子和彦議員) おおむね,質問の趣旨を御理解をいただいて,御答弁をいただいたように思いますが,細部にわたって,もう少しお聞きしたいことがございますが,予算特別委員会を控えての
総括質問の場でございますので,あとの質問は予算特別委員会の方へ譲りたいと思います。
○
平野博昭 議長 7番平木典道議員。
〔7番平木典道議員登壇〕(拍手)
◆7番(平木典道議員) おはようございます。
市議会公明党を代表いたしまして,平成13年度当初予算案に対し
総括質問をさせていただきます。
秋葉市長が就任されましてから,実質的に2度目の予算編成になるわけでありますが,市長としても,みずからの独自色を出すべく努力をされていることと思います。新年度予算案については,21世紀最初の予算として相当自信を持って編成されたようですが,さまざまな閉塞状況を脱するために,どのような手だてを施されたのか,この予算案で広島がどのように変わっていくのか,わかりやすく市民に御説明いただきたいと思います。
続きまして,
財政事情についてお伺いをします。市税収入はなかなか回復傾向に至らない景気の現状を反映し,本年度も,対前年度比マイナスとなる状況であります。貯金となる基金については,新年度末にはほとんど底をつく状況であり,また,借金である市債残高は,全会計で1兆6,000億を超え,大変厳しい状況が続いていることに変わりはありません。財政の弾力性を示す経常収支比率も90%を超え,いわゆる健全とされる80%をはるかに超えており,新しい政策に使える予算がほとんどないという硬直化した深刻な状況にあります。市当局としては,財政健全化計画を立て,市の財政の立て直しのため,尽力をされているところでありますが,財政健全化計画の達成は,現状において可能であるのか,景気の動向により見直しを迫られることはないのかお尋ねするとともに,財政構造改革への新たな取り組みがあるとすれば,それをお伺いします。
財政問題に関連して,出島地区埋立地の購入についてお伺いします。
先日,県知事と会談され,2001年度内の一括取得を決定されました。結果的には,昨年取得すべきところ,1年間この土地の購入を延ばしたわけでありますが,一体そのことにより何を得ることができたのかお伺いしたい。
昨年の購入の先送りにより,県は態度を硬化させる一方,市への補助金カットをちらつかせるなどの混乱を生じさせたことも事実であります。昨年の購入延期の判断が正しかったと言えるのかどうかお伺いしたいと思います。
メッセ・コンベンション施設の建設については,昭和58年から検討されていますが,当時の経済状況も社会状況も大きく変化しており,とりわけ,市の財政は当時予想もできなかった厳しい状況にあります。
施設整備の具体的スケジュールは立っておらず,また,これまでも事業の見直しについてはさまざまな議論がなされておりますが,事業遂行の見通しはあるのか,また,政策,事業の見直しは考えていないのかお伺いします。
この用地の取得価格は150億とも言われており,これは,とりあえず
土地開発公社が
先行取得することになります。現在,公社が広島市の債務保証を受け,民間の金融機関から借り入れている額は約430億あり,これに,先ほどの金額を合わせると600億近くになり,公社の借入資金,債務保証金の限度額700億に迫ることになりますが,今後広島市の事業計画に支障を来すことにならないのかお伺いしたいと思います。
次に,行財政改革についてお尋ねします。財政を健全化させるための第一の条件は,出るを制することであり,そのためにも,公共事業の見直しやコスト縮減,その他の事業の整理合理化等を一層強力に推し進めていかねばなりません。その方策の一つとして,行政評価制度の導入が上げられます。かねてより,行政改革を進めるためにも,行政評価,政策評価の制度を導入し,より市民の求めるサービスを実現するべきであると機会あるごとに主張してまいりました。当局におかれましても,行財政改革推進本部の中に行政評価制度検討部会が設置され,導入に向けての検討がなされているやに伺っております。しかし,導入に向けてのスケジュールを拝見したところ,実質的に動き出すのは平成14年度以降となっておりますが,14年度には確実に動き始めるのでしょうか。いずれにしても,改革のスピードはもっと速くすべきではないかと思います。効率的な行政を実現するためにも,速やかな行政評価制度の導入を図るべきと考えますが,いかがでしょうか。
私は,行政改革の最大のポイントは,職員一人一人の自覚であると思いますが,この制度を導入する上での留意点をどのように考えているのかお尋ねします。また,評価の計画が予算に反映される仕組みにすべきと考えますが,いかがでしょうか。
次に,歳入についてお尋ねします。出るを制する次に来るのは,入るをはかるということになります。税収がふえるには,まず景気が回復することが第一ですが,今回の予算案の中で,景気回復に配慮された点があればお示しください。
歳入に関しては,市債発行の抑制,市税や国民健康保険料などの収納率の向上対策,公共施設駐車場の有料化の検討など使用料の適正化,未利用地などの売却促進や有効活用,国,県支出金の積極的確保など,さまざまな分野でその歳入増に努力をしておられるところだと思います。しかしながら,これらの方法だけでは,財政の改善はなかなか難しいでしょう。そこで,現在,各自治体で検討されているのが課税自主権の活用であります。既に御存じのとおり,東京都は大手金融機関へ外形標準課税を導入し,これにより大きな弾みがついたと思われます。また,横浜市では,場外馬券場に課税する条例案が議会で可決され,東京都の文京区でも同様の検討がなされており,実施へ大きく踏み出しております。広島市としても,独自に課税自主権の活用について調査研究をされているようですが,場外馬券場への課税も含め,どのような検討がなされているのかお伺いします。
昨年春施行されました
地方分権一括法において,地方自治体の自主財源拡充を目的に創設されました法定外目的税は,税収が一般財源に繰り入れられる従来の法定外普通税に対し,税収の使途を自治体が独自に定められる制度となっております。地域の行政需要にこたえ,受益と負担の関係を明確化し,税負担の増加について,住民の理解を得ながら行政を推進していく上で,有効な手段になるとの期待もあります。また,法定外目的税の導入要件が,国の許可制から同意制へと緩和されたこともあり,独自財源の確保に向けて新税を導入する動きが自治体の間でも強まっていると聞いています。
中でも,活用の対象としてクローズアップされているのが,環境保全対策のようです。広島県では,産廃搬入税について,今後1年以内に結論を出す方向のようですし,三重県では,産廃の減量とリサイクルの促進を目的とした,産業廃棄物に係る税の検討がされているようであり,また,神奈川県では,水源地域の環境施策の充実を目的とした水源環境税の導入を目指していると聞いています。その他,ごみ処理税や環境税など,環境対策強化を目的としたさまざまな案が各地であるようです。
広島市は4月より大型ごみが有料化され,市民に一定の負担を求めることになっておりますが,環境対策を目的とした環境税については,どのようにお考えかお伺いをします。
次に,教育問題について何点かお伺いをいたします。
国においても,
教育改革の必要性を感じ,
教育改革国民会議等でその検討がなされており,21世紀に入り,ますますそのあり方が問われていると思います。青少年の犯罪は,その凶悪さはエスカレートする一方で,その現実の前に,我々大人はなすすべもないといった実情ではないかと思います。また,教育現場においては,学級崩壊,不登校,いじめなど数々の問題の前に,
子供たちに直接かかわる親や教師だけでなく,多くの心ある人々が,その状況に心を痛めているのが現実でしょう。このような状況に至った原因は数々上げられると思いますが,大きな原因の一つには,いわゆる勉強のできる人,社会に役に立つ人間をいうあまり,子供の人格の形成をないがしろにしてしまったところにあるのではないかと思われます。21世紀という新しい時代に入った私たちは,人間は教育により人間になるという原点に戻り,社会や国家のための教育から,子供を幸せにするための教育,すなわち,教育のための社会という教育機関の転換を迫られていると思います。こうした視点から,これからの教育を考えていかねばならないと思いますが,市長の御所見をお伺いします。
次に,読書運動についてお伺いします。
子供たちの荒れた内面を耕し,緑滴る沃野へと変え行く古今変わらぬ回路は,豊かな精神性を養うことであり,そのためには,芸術作品や良書に接していくことではないかと思います。コミュニケーション不全の社会に,対話を復活させるのは,まず言葉に精神性,宗教性の生気を吹き込み,活性化させねばなりません。その活性化のための最良の媒体となるのが,古典や名作などの良書ではないでしょうか。近年,さまざまな形で読書運動が全国の学校で積極的に行われるようになっています。
今,全国の小・中・高あわせて4,000校を超える学校で,「朝の読書」が実施され,大きな教育効果を生んでいると聞いています。広島市でも,小・中あわせて195校中75校が実施しています。これは,毎朝,全校一斉に10分間自分の好きな本を黙って読むということを続けるのですが,実施している学校からは,1日のスタートが静かな雰囲気で始まることで,学校生活に落ちつきが生まれた,わずかな時間を見つけては本を読む子供が増えた,読書の週間が身につき始めているなどの報告があるようです。文部科学省も,この「朝の読書」に注目していると聞いています。
ある意味で,古典や良書というものは簡単に読めるものではありません。しかし,苦労して読んでこそ,その内容が自分の血肉となっていくのではないでしょうか。じっくり本を読むということも,ときには必要です。読書の習慣を身につけることは,若いときにこそ,子供のときにこそ必要ではないかと思います。
ぜひ,この「朝の読書」を,市内の全校で実施してはどうかと提案するものであります。
また,
教育委員会としては,児童生徒の本離れ,活字離れにどう取り組んでおられるのか,今後の取り組みがあればお伺いをします。
次に,児童生徒の不登校対策についてお伺いします。去年8月文部科学省の発表によると,小・中学校を30日以上欠席した不登校の児童生徒は,昨年度過去最高の13万人に達したと言われております。特に,中学生は10万4,000人で,40人学級ならクラスに1人という深刻さであります。この不登校対策の一つとして,平成7年度から実施されているのがスクールカウンセラー制度であります。現在,全国で2,250校,広島市においても12校に配置をされ,来年度には20校に拡大されるようです。スクールカウンセラーが配置された学校では,不登校の増加率が抑えられているとの成果もあると聞きますが,広島市では,具体的にどのような成果が上がっているのか,また,この制度の拡充をどのように考えているのかお伺いします。
不登校対策として,ボランティア大学生を家庭に派遣する事業や,学校内の空き教室に適応指導教室を開放するなど,独自の対策により一定の成果を上げている自治体もありますが,広島市としての取り組みをお伺いします。また,どのような成果が上がっているかもあわせてお伺いをします。
次に,LD児──ラーニング・ディスアビリティーズという,いわゆる学習障害児対策についてお伺いします。LD児とは,基本的には全般的な知的発達におくれはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する,または推論する能力のうち,特定のものの習得と使用に著しい困難を示す児童と言われております。発達に偏りが見られるため,行動がほかの子とちょっと違うとか,ゆっくりさせると漢字も書け,計算もできるのに,すぐまた同じ間違いを繰り返すなどの状態から,知能面や身体面での障害と混同され,周囲から怠けているととられたり,情緒障害などと誤解される場合もあり,学校での対人関係,不登校の問題に発展するケースもあるようです。LD児は,早期発見し対応することがより重要であると言われておりますが,岡山市においては,LD児を判断・実態把握するための基準づくりをし,教師が早期に発見し,対応できるようにしていると伺っております。広島市においては,LD児対策について,どのような対応をとっておられるのか確認したいと思います。
また,教員研修の中で,LD児対策についての講義を取り入れたり,また,LD児教育の効果などを研究していくことも大事と思われますが,今後の取り組みをお伺いします。
次に,学校施設についてお伺いをします。平成11年の6月議会で初めて一般質問をさせていただいたときに,私は,学校の空き教室の活用について質問をさせていただきました。保育所の待機児童の解消に空き教室を利用してはどうかという提案でしたが,全く取り合っていただけませんでしたので,新たな提案を申し上げたいと思います。
今回は,高齢者との交流の場に空き教室を活用してはどうかということです。現在,広島市の小・中学校の空き教室の状況は,小学校で15校45教室,中学校で11校36教室,計26校81教室となっています。また,多目的教室などに整備,転用予定のものは446ありますが,この中にも,空き教室として転用可能なものが出てくる可能性もあると思われ,かなりの施設が活用できるのではないかと思います。
全国的には,空き教室の高齢者施設への転用は1980年代後半から始まり,98年度には,全国23の小・中学校で行われております。空き教室をデイサービスセンターに転用した学校は,高齢者と子供の交流会を開いて,その成果も上がっているようです。
また,空き教室を老人福祉センターに転用した自治体もあり,児童と高齢者が互いに交流し,いわば建物全体が世代間交流の拠点になっているところもあります。
核家族化で,
子供たちと高齢者のつながりが希薄になっていると言われる現代社会です。教育現場で地域の高齢者との連携が深まることは,
子供たちが高齢化社会がどんな社会かを学ぶ機会になり,高齢者のために積極的に行動する意欲をはぐくむことにもつながるのではないでしょうか。実際に接してみないと,年をとって体が不自由になるということはどういうことかわからないと思います。こうした交流から,高齢者を大事にする心が育つのではないでしょうか。大きな施設をつくり,そこを活動拠点とすることも大事だと思いますが,
財政事情が逼迫している中,いろいろな知恵を出しながら,こうした交流を進めていくことも考えなくてはならないときが来ているのではないでしょうか。社会局,
教育委員会双方の御見解をお伺いします。
また,高齢者との連携を進めるための学校施設の
整備計画があればお示しください。
次に,人事についてお伺いします。先日新聞に,民間出身で教員免許を持たない校長が,全国で初めて東京の都立高校に誕生するとの記事が掲載されておりました。学校教育法の施行規則が昨年4月に改正され,校長の登用の要件が緩和されたことによるものです。
広島でも,県教委が今春から公立小,中,県立高校の校長に,民間人数人を起用するため準備を進めているようで,大阪府でも同様の検討がなされているようです。こうした動きに対しては,一部反対の意見もあるようですが,先ほども申し上げましたような教育現場の混乱を立て直すためには,新しい風を導入するのも一つの方法かもしれません。さまざま言われている教育の荒廃は,これはもちろん教師だけの責任ではありません。むしろ,子供の内面に気づかず,画一的な対応しかできなかった
社会システム全体に原因があるといってもよいと思います。それゆえ,多くの人々の知恵,能力を借りながら,教育現場に新風を送ることができればと思うのは私だけでしょうか。
こうした試みを広島市としても取り組んでみてはと思いますが,当局の御見解をお伺いします。
次に,少子化対策の一環として,不妊専門相談センターの整備についてお伺いします。
近年,医療技術の発展により,不妊に関する研究・診療は大きく進歩し,さまざまな情報が明らかにされつつあります。しかしながら,十分な不妊相談を実施できる専門的な機関は少なく,相談を受けたい不妊に悩む男女に対して,必ずしも十分な対応が行われているとは言えません。不妊治療の大変さ,精神的なケアの不足,産むのが当たり前という社会のプレッシャーなど,不妊治療は高度化する一方で,当事者の抱える悩みはより深まっているようにも見えます。
また,不妊治療は保険適用を受けない診療が多く,ある調査によると,医療機関に支払った費用が10万円から50万円かかった人が最も多く,中には200万円以上支払った人も5人に1人となっております。
私ども公明党としても,不妊治療の保険適用を国に要望しているところであります。政府としては,平成8年に不妊相談センター事業が創設され,不妊に悩む夫婦に対し,不妊に関する医学的な相談や,心の悩みの相談を,医師やケースワーカー等により行っている都道府県,
政令指定都市等に助成しているところであります。平成13年度で8,800万が予算要求されており,全国30カ所において事業の実施が実現する運びとなっています。
広島市においても,ぜひこの事業を実施され,不妊専門相談センターを設置されるよう要望するものですが,お考えをお伺いします。
関連して,出産育児一時金についてお伺いします。この一時金については,私ども公明党としても,機会あるごとにその増額を訴えてまいりましたが,現在では,支給額は30万円となっております。しかし,この一時金は,出産後に支給されるため,手続から支給まで相当待たされるケースもあります。このため,出産費を病院に支払わなければならない退院時に一時金の支給は間に合わず,本人が立てかえねばなりません。出産にかかる費用は,現在,妊娠中の検査費などを含めると40万から50万とも言われ,申請すれば30万の一時金が支給されるとはいえ,病院の支払いは全額を個人で工面しなければならず,子づくりを希望する夫婦にとっては大変な負担であります。一時金が支給されるまでの間,無利子で貸し付けをする制度を導入するなど,出産費の負担解消を図ることが大切になってくると思いますが,お考えをお伺いします。
次に,環境問題についてお伺いします。一つは,環境会計の導入についてであります。昨年,循環型社会形成推進基本法と関連の法律が成立しました。企業にとっては,今まで以上に環境経営が促されるものと思われます。そのためのツールとして,環境会計が重視されております。環境省も,昨年5月に,環境会計システム導入のためのガイドラインを発表していますが,企業だけでなく,自治体でもこの会計を導入しているところも出ております。今後,環境会計は循環型社会を形成する重要な評価手法になると思われます。大阪府水道部は,昨年,環境会計を試行的ではありますが導入し発表しました。これによりますと,環境保全や資源循環など,平成11年度に環境保全活動にかけた主なコストは約6,000万となっています。これらの取り組みにより,主な環境負荷の低減効果として,電力使用量が約450万キロワット時,排水量が約28万立方メートル,廃棄物が約2.3万トン削減され,その結果,約1億6,000万の経費節減につながったという結果であります。また,東京都水道局は,本年度の予算ベースで省エネ推進費など環境対策費約48億円。これに対し,省エネやリサイクルなどによる経費節減効果約65億円で,約17億円の黒字となると発表しております。広島市におきましても,ぜひ環境会計を導入することで,これまで行ってきた環境活動をわかりやすく整理公表し,事業活動の透明性を高めていく必要があると思いますが,当局のお考えをお伺いしたいと思います。
続きまして,ごみ問題についてお伺いします。
先ほども申し上げましたが,ことし4月から大型ごみの有料化が広島市でも実施されます。ごみ問題を解決していくには,今までの大量生産,大量消費,そして大量廃棄という流れを立ち切り,循環型社会を構築していくということが大事になってくることは言うまでもありません。ここで最も重要なことは,市民一人一人が極力ごみを出さないようにしようという意識改革ではないかと思います。
今回の有料化により,お金がかかるからごみを減らそうということでなく,ごみを減らして環境を守ろうという気持ちを持つことになればと思います。アフリカのことわざに,「地球を大事にしなさい。それは,親から与えられたものでなく,
子供たちから預かっているものだから」という言葉があります。次の世代に,負の遺産を残してはいけません。環境を守るためには,まず身近なところから始めることが大事でしょう。廿日市市は,ごみの減量化を進めるため,買い物時のマイバック運動を始めたと聞いております。そして,ペットボトルで再生した手提げ袋を約1,500個作製,市民に無料配布したようです。家庭から出るごみの容積の40%がプラスチック類で,そのうちレジ袋が20%を占めており,ごみ全体の10%に当たると言われています。安佐北区では,買い物袋を持参しようとの住民運動があるようです。
こうした市民の身近なごみ減量化への取り組みを今後拡大していくためにも,スーパーや商店,さらには住民が協力してごみ減量化を推進する仕組みづくりについて,行政が積極的に対応していく必要があると思いますが,いかがでしょうか。
まず,隗より始めよという言葉がありますが,少なくとも市の関係者からごみゼロ運動を心がけてはどうかと思います。
また,1人1日100グラムというごみ減量のスローガンがありますが,日常生活の中で,具体的にどのようなことを心がければごみの減量につながっていくのかということを例示していくことも大切だと思いますが,当局のお考えをお伺いします。
最後に,介護保険についてお伺いします。
介護保険がスタートして1年がたとうとしています。おおむね順調に推移しているように見えますが,現場ではさまざまなトラブルも浮かび上がっているようです。国民生活センターは,昨年11月に,介護保険に係る相談の実態を発表していますが,この制度を改善する上で参考になるのではないかと思います。
特に今回の調査では,申請,認定などに関することより,業者との契約に対して大きな不満を抱いていることが明らかになっており,その割合は9割を超しています。例えば,介護事業者による契約拒否などです。多忙を理由に契約に応じなかったり,介護計画の作成を利用者の要請にもかかわらず応じなかったり,また,計画作成だけを依頼した場合,作成を断られる事例もあるようです。また,ホームヘルパーの対応に不満があるなどの苦情も少なくないようです。
広島市が,この制度の改善策を幾ら重ねても,一部の業者が悪質な行為を続ける限り,利用者が納得できるサービスは提供されないでしょう。そうしたことを防ぐためにも,弱い立場にある高齢者に,適切なサービスが提供されているかチェックする必要があると思います。神戸市では,介護サービスの利用者が,事業者を選択するために必要な情報を提供するため,また,事業者がみずからのサービスの質の向上に役立てるようにと第三者機関を設け,昨年9月より,事業者,ホームヘルパー,利用者を対象に調査を実施,その結果を公表しております。こうした介護サービスの客観的な評価を公表することで,利用者が自分に合ったサービス提供先を探すことができるほか,ケアマネジャーが事業者を紹介する際活用したり,事業者自身もサービスの見直し,質の向上に役立てることができるとしています。
そこで,お伺いします。広島市としては,介護保険利用者に対してどのような情報を,どのような形で提供されているのか。また,利用者がより安心して事業者を選べる工夫はしているのかお伺いします。サービスを客観的に評価,格づけするためにも,第三者による事業者の評価も大切になってくると思われますが,そのための手だてをお考えかお伺いします。
以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○
平野博昭 議長 市長。
〔秋葉忠利市長登壇〕
◎秋葉忠利 市長 平木議員の御質問にお答え申し上げます。
最初に,新年度予算案についての御質問がございました。本会議初日の提案説明でも申し上げましたとおり,新年度の予算は,新世紀を広島の時代とするため,その表現にふさわしい都市の姿を実現するためのスタートの予算と位置づけ,大変厳しい
財政状況ではありますが,
基本計画や実施計画に基づき,明るい未来の展望につながる施策を中心に,限られた財源を重点的に配分しながら予算を編成いたしました。
その中でも,私が特に意を用いた施策について説明しますと,まず,科学技術を真に人間的目的のために利用する広島らしい情報化を実現するため,庁内LANの整備を初めとしたIT,あるいは,e−市役所関連の事業を推進いたします。
また,新しい時代を担う
子供たちを,たくましく,心豊かにはぐくむために,21
世紀教育改革推進総合プラン検討会議,ここでつくっていただきました提言を踏まえ,個に応じた指導や,学校,家庭,地域の一体化など広島らしい教育の推進に努めたいと考えております。
さらに,急速に進む少子・高齢化や環境問題への対応として,子育て支援や介護保険制度の充実を図るとともに,廃棄物を社会全体でゼロにしていくゼロエミッション社会の実現に向けた取り組みを進めます。
また,依然として厳しい状況にある経済情勢を踏まえ,中小企業金融対策や中小企業向けの事業の確保などによる景気対策や,広島経済を活性化するための新たな産業の創造,あるいは都市型観光の振興にも取り組みます。
そのほか,広島高速道路の建設や市街地再開発事業などの
都市基盤整備,また,核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向けた取り組みにも,今までにも増して積極的に努めていきたいと考えております。
また,昨年に引き続き,世紀の転換点を契機として,新世紀における希望と期待の先駆けとなる2000年─2001年記念事業いわゆるミレニアム事業を実施してまいります。今後とも,依然として厳しい
財政状況のもとではありますが,社会経済情勢の変化を十分に見きわめながら,市民のニーズを的確に把握し,全市一丸となって,21世紀を広島の時代にするため,市政の推進に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
次に,環境会計の導入についての御質問がございました。
今日,地球規模で深刻化する環境問題は,このままでは人類社会が永続できないことを警告しております。高度に工業化された国に住む私たちも,みずから率先して,環境への負荷の少ない持続可能な経済社会を築き上げていかなければなりません。特に,経済活動に大きな地位を占めている企業等においては,それぞれの事業活動の中に,環境保全という目的意識を明確に織り込んでいくことが,この経済社会の構造転換にとって大きな原動力となります。
御指摘の環境会計とは,環境保全への取り組みを効率的かつ効果的に推進していくことを目的として,事業活動における環境保全のためのコストと,その結果として得られる効果を可能な限り定量的に把握し,分析し,公表するための手法の一つであり,企業等が自主的な環境保全活動を推進していく上で,有効な手段であると考えております。
このため,本市においても,先駆的事例などを参考にしながら,まず,水道局等の公営企業への導入について検討したいと考えております。次の段階としては,平成12年度から全庁的に進めている広島市役所環境保全率先行動計画等に環境会計的な考え方を導入していくことについても検討していきたいと考えております。
済みません,この,ちょっとミスプリがありまして,全庁的に進めている環境保全のための行動計画,その中に,この環境会計的な考え方を導入していきたいというふうに考えております。
その他の御質問につきましては,担当局長から答弁させます。
○
平野博昭 議長
企画総務局長。
◎守田貞夫
企画総務局長 行政評価制度につきましての数点の御質問について御答弁を申し上げます。
行政評価制度につきましては,議員御指摘のとおり,効果的,効率的な行財政運営の実現,そして,行政の説明責任の確保の手段であると考えておりまして,行財政改革を進めるためにも,早期に導入すべきであると認識をいたしております。
まず,制度導入に当たりましての留意点でございますけれども,一つ目は,職員の意識改革,要するに,もう一度仕事の目的を問い直すとともに,生み出された結果によりまして,仕事を評価する姿勢を徹底することである。
二つ目につきましては,行政評価制度の内容をどれだけわかりやすいものにするかということでございます。
三つ目は,仕事のための仕事をつくらない。いわゆる,制度運用に当たりまして,事務量の増大を極力抑えることが重要であるというふうに考えております。
また,導入のスケジュールにつきましては,今年度から来年度にかけまして,施策目標の指標を確定させる作業を行いますとともに,各局一つの施策につきまして,施策評価,事務事業評価を試行的に実施をいたしまして,評価表の設計等を行う予定にしております。これらの作業を行った上で,平成14年度,2002年度に第四次広島市
基本計画に掲げます全施策に対して目標値の設定を行いまして,平成15年,2003年度にその評価が行えるよう取り組んでいきたいと考えております。
このように,行政評価制度は,職員の意識改革を図りながら,段階的に導入することといたしておりまして,既に制度導入に着手をしておると,このように認識をいたしております。
また,制度の構築に当たりましては,先ほどの制度導入に向けての留意点を踏まえまして,議員御指摘のとおり,評価内容が予算編成に活用できるものになることや,また,実施計画の進行管理等に役立つものとなることを十分念頭に置きまして,効率的で実効性のある制度になるよう全庁一丸となって取り組んでまいりたいと,そのように考えております。
以上でございます。
○
平野博昭 議長
財政局長。
◎北谷重幸
財政局長 13年度予算について,財政健全化の達成は現状において可能であるのか,景気の動向により見直しを迫られることはないのか,また,財政構造改革への新たな取り組みがあるのかというお尋ねでございますが,まず,新年度の予算編成に当たりましては,議員御指摘のような厳しい
財政状況を踏まえ,まずは,財政健全化計画の達成を図ることを念頭に置きながら編成してまいりました。
その結果,新年度予算については,人件費を初めとした消費的経費の抑制や投資的経費の縮減,市債の発行の抑制など,ほぼ財政健全化計画に沿った予算編成ができたものと考えております。
次に,今後の景気の動向等の社会経済情勢の変化などにより,計画の見直しの必要性が生じた場合についてでございますが,仮にそのような事態が生じれば,財政の健全化を図るため,適宜その時点で計画の見直しを行っていきたいと考えております。
また,財政構造改革への新たな取り組みに関しましては,まずは,昨年2月に改定いたしました財政健全化計画の着実な達成を図ることを第一と考えておりますので,現在のところ特に考えておりません。
今後とも,21世紀の広島の都市づくりを支える行財政システムを構築することを目指しまして,行財政改革に積極的に取り組むことにより,財政の健全化を着実に進めていきたいと,このように考えております。
次に,メッセ・コンベンション施設用地の
土地開発公社での
先行取得についてのお尋ねでございますが,御指摘のとおり,メッセ・コンベンション施設の用地を
土地開発公社で
先行取得すれば,公社が市の債務保証を受け,民間金融機関から借り入れる額は約600億円近くなります。現在,
土地開発公社の債務保証限度額が700億円で,今後の市の事業計画に支障を来すことにならないのかとのお尋ねでございますが,基本的に,実施計画に掲上されている事業で,今後大規模な用地を
先行取得するものはないことから,その懸念はないものと考えております。
次に,予算案の中での景気回復に配慮した点についてのお尋ねでございますが,御承知のとおり,本市を取り巻く経済情勢は,昨年7月のそごうグループの倒産の影響や,本市の基幹産業である自動車産業の核となるマツダ株式会社における経営合理化計画が昨年11月に発表されるなど,予断を許さない状況にあります。このため,新年度予算におきましても,引き続き景気に配慮した予算について,限られた財源の重点的配分を行っております。
具体的に申し上げますと,まず,中小企業金融対策につきまして,過去最大の融資枠を確保するとともに,貸出利率について,全制度一律0.1%の引き下げを実施いたします。
また,景気対策特別融資の適用期間を延長するほか,新たにIT利用促進融資制度や,ISO9000シリーズ認証取得資金融資制度を創設し,融資制度の充実を図っております。
さらに,地場の中小企業向けの事業の確保として,生活道路,公民館等の市民生活に密着した公共施設の一般整備,一般補修や下水道の面整備の事業費の確保に努めております。また,これからの広島経済を,元気で活力あるものとするため,IT,福祉,環境関連などの新たな産業の創造にも積極的に取り組んでまいります。
次に,課税自主権についての御質問にお答えいたします。
まず1点目の,課税自主権の活用について,場外馬券場への課税を含め,どのような検討を行っているのかというお尋ねについてでございます。
地方分権一括法による地方団体の課税自主権の拡大を契機といたしまして,税源確保等の観点から,本市においても,税務職員による広島市課税自主権研究会を設けまして,法定外税についての調査研究を行っております。これまでの状況といたしましては,税務職員から提案された多数の課税客体をもとに,複数のグループに分かれまして,法定外税についての事例研究を行い,現在その過程で出てきたさまざまな課題や問題点を整理しながら,調査研究を進めているところでございます。
そうした中,横浜市では,日本中央競馬会の場外馬券場に課税する条例案が可決され,現在,総務省に同意を求めているところですが,本市といたしましても,国や他の地方団体の動向を見きわめながら,他の研究項目とあわせまして検討を進めてまいりたいと考えております。
また,2点目の,環境施策を目的とした環境税についてでございますが,昨年7月の政府税制調査会の中期答申におきましても,国内外での議論の進展を注視しつつ,国,地方の環境施策全体を視野に入れた,幅広い観点から検討を行っていくこととされております。国や他の地方団体においても検討が進められていますので,その動向も踏まえながら,慎重に研究していきたいと考えております。
今後とも,法定外税の導入につきましては,市民の理解が得られるとともに,ある程度の税収が見込め,かつ多くの徴税経費を要することのないような課税客体,そういったものを見出すべく,引き続き,問題点等を整理しながら調査研究を進め,有識者等の御意見も伺った上で,平成13年度中には法定外税の活用について何らかの方向性を打ち出せるようにしていきたいと,このように考えております。
以上でございます。
○
平野博昭 議長
社会局長。
◎藤井克己
社会局長 最初に,教育問題の中で,高齢者との交流の場に,学校の空き教室の活用をしてはどうかという点でございますが,御答弁申し上げたいと思います。
高齢者にとって,
子供たちとの交流は,
生きがいづくりや
社会参加活動につながる大切な取り組みであると,また,
子供たちにとっても,教育上有意義なものと考えております。本市においても,学校や公民館を使った地域レベルでの世代間交流が行われてきているところでございますが,地域でこうした交流を拡大していくことは,身近に暮らす
子供たちと高齢者の方が,日常的に触れ合い交流できることから,より望ましいものというふうに考えております。
御提案のように,世代間の交流場所の一つとして,学校の空き教室を活用していくことも重要な視点として認識しておりまして,今後,
教育委員会等との関係部局と連携し,関係団体などとともに協議,調整していきたいというふうに考えております。
次に,少子化対策の中で,不妊専門相談センターの設置についての御質問でございます。不妊で悩む夫婦は,不妊治療の内容や効果,治療を受けるべきか否かなどさまざまな悩みがありますが,自分の悩みを相談し,専門的な情報を得る場の提供が必要なことから,国においては,新エンゼルプランの中で,不妊相談を専門的に行う窓口として,不妊専門相談センターを,平成16年度までに全国で47カ所設置することといたしております。
広島市内においては,広島市民病院,広島大学病院及び数カ所の診療所において,不妊専門の相談治療を実施しておりますが,そのほか,産婦人科等の医療機関においても,一般的な不妊相談は行われております。不妊についての,気軽に相談し,専門的な情報を得ることができる相談機関の設置について,広島県では,「こども夢プラン21」の実施計画の中で,平成16年度までに,不妊専門相談センター1カ所の設置を目標といたしまして,広島県地域保健対策協議会の中で調査検討しているところでございます。本市といたしましても,この協議会の委員として参画しており,そこでの調査検討を踏まえまして,今後研究してまいりたいというふうに考えております。
次に,出産育児一時金の支給は時間がかかるので,無利子での貸付制度を導入したらどうかという点でございますが,本市の国民健康保険における出産育児一時金は,出産費用の家計負担を軽減する趣旨から,逐次支給額を引き上げておりますが,現在は30万円を支給しております。この支給方法といたしましては,原則として口座振込の方法で行っておりますが,議員御指摘のように,申請から支給まで時間がかかっております。
また,退院時での病院への支払いが必要なため,現金支給を希望される方には,申請当日窓口での現金支給も行っております。しかしながら,申請当日窓口での現金支給が十分周知されていないという点もございますので,今後は,市民と市政や国保のしおり等で積極的なPRに努めてまいりたいと考えております。また,口座振込での支給については,可能な限り早期に支給できるよう努めてまいりたいと考えております。
最後に,介護保険の中で,事業者の情報をどのような形で提供しているのか,また,サービスを,第三者の評価など何らかの手だてを考えてはどうかという点でございますが,介護保険は,利用者が事業者を選択した上でサービスを利用する制度であることから,利用者が事業者に関する必要な情報を入手できることが,特に重要であるというふうに考えております。事業者の情報については,これまで本庁及び区介護保険室の窓口やインターネットのホームページにおいて,事業者の名称,所在地及び連絡先に関する情報を提供してまいりましたが,このたび,本市及び周辺市町村に所在する,約750の事業者について,従業者数,営業日時,費用負担,苦情や事故への事故発生への対応といった,さらに詳しい情報を掲載したガイドブックを3月中に刊行する予定にいたしております。このガイドブックは,サービス計画作成の際,利用者に事業者の選択の参考にしていただくことを目的にしたものでございまして,本市に所在するすべての指定居宅介護支援事業所に無償配布するほか,希望される方には有償で配布することにいたしております。
また,サービスの評価に関しましては,本市も重要な課題であると認識しておりまして,今年度設置いたしました介護保険運営協議会においても検討を行っておりますが,来年度には,広島県において第三者評価機関の設置のための予算措置が講じられているというふうに聞いております。こうした,県における第三者評価機関の取り組みの中で,今後,本市としても必要な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○
平野博昭 議長 環境局長。
◎斉藤末男 環境局長 環境問題の中で,ごみの減量化に関しますお尋ねが2点ございました。
まず,1点目は,ごみの減量化の仕組みづくりについてでございますけれども,ごみの減量化・資源化を推進するためには,御指摘のとおりスーパーや商店,あるいは事業者と市民が一体となって実施することが重要であるというふうに考えております。このため,来年度,その新たな仕組みづくりの一つとして,「リサイクル
まちづくり推進モデル事業」,これを実施したいというふうに考えております。この事業は,モデル地区として認定いたしました商店街を拠点として実施されますごみの減量化・資源化事業に対しまして,経費の一部を補助することにより,地域における市民,事業者の主体的な取り組みを促進するものでございます。
具体的な内容でございますが,ポイント制などを活用した買い物袋持参運動。フリーマーケットなどのリユース運動を初め,空き缶回収機,生ごみ処理機などの環境機器を活用した運動など,地域住民を巻き込んだ減量化,資源化の活動を想定しておりまして,このモデル事業の実施によりまして,実際の活動における住民との協力体制や管理運営上の問題点等を検証しながら,ゆくゆくは幾つかの商店街への拡大を図りたいと考えております。
次は,ごみ減量につながる具体的な例示をすべきではないかということでございますが,一人1日100グラムのごみ減量を推進いたしますために,きょうから始める我が家のごみシェイプアップといたしまして,買い物袋持参運動や衣類のリフォームなどの例示を掲げまして,各種パンフレットや広報紙,講演会などを通じて,ごみの減量化,資源化の推進を訴えてきたところでございますけれども,家庭における工夫をさらに身近に実践できる具体的な方法等をわかりやすく例示をする必要があると考えまして,家庭ごみの減量化・資源化の手引書を現在作成しているところでございます。この手引書には,トレー等の店頭回収や,買い物袋持参者にポイント制等を実施しております店の紹介を初めといたしまして,フリーマーケット情報や衣類,家具の具体的な再生利用の仕方,市内のリサイクルショップやレンタルショップなどの一覧表を掲載することにいたしております。この手引書を公民館や町内会等へ幅広く配布をいたしまして,日常生活の衣・食・住に加えまして遊──遊びを加えました一人1日100グラムのごみ減量の方法等を,よりわかりやすく紹介することにより,市民の具体的なごみ減量の行動につなげていきたいと考えております。
以上でございます。
○
平野博昭 議長 経済局長。
◎長谷川順 経済局長 メッセ・コンベンションに関する御質問にお答えを申し上げます。
まず最初に,メッセ・コンベンション基本施設等の用地について,昨年の購入延期の判断が正しかったのかという御質問でございます。
本市の
財政状況が大変厳しい中にありまして,財政健全化計画の確実な実行が課題となっていることから,やむなく県に対し,平成12年度の購入の延期を申し入れたものでございます。しかしながら,県との約束事の履行,これは大変重要なことであると考えておりまして,購入延期の申し入れ以降も,引き続き事務レベルで取得時期等について精力的に協議をしてまいったところでございます。
その結果,埋め立てに至った経緯や取得に関する県・市間の約束,さらには,県,市それぞれの
財政事情などを総合的に勘案いたしまして,平成13年度に,広島市
土地開発公社によりまして,一括して取得するということにしたものでございまして,御理解を賜りたいというふうに思っております。
次に,事業の見通しでございますが,メッセ・コンベンション施設は,国際会議や大規模な見本市,展示会等の開催会場といたしまして,国内外から,人・物・情報が集まり,交流施設でございまして,地元産業の振興と地域経済の活性化を図るとともに,本市の国際化を推進し,世界に開かれた情報発信の機能強化を図るため,
整備計画を進めているものでございます。本市の厳しい
財政状況の中で,財政健全化計画の期間中に,
施設整備に着手するということは困難な状況にございますけれども,メッセ・コンベンション基本施設等は,本市の第四次
基本計画におきましても,世界に開かれた活力ある都市づくりを進めていく上で,重要な施設の一つというふうに位置づけております。今後とも,整備手法との検討を行いまして,できるだけ早い時期に整備できるように努力していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○
平野博昭 議長 教育長。
◎池原資實 教育長 教育問題について,数点の御質問がございました。
まず,これからの教育についてお尋ねがございました。教育は,人格の完成を目指して行うということと,平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成をするということを目的として行われるものであります。人間は,教育によって,それぞれの個性や才能を開花させるとともに,社会の一員として,これまで培ってきた文化,伝統を継承し,発展させ,創造していくことの大切さを学ぶものであると考えます。
こうした考えのもと,これからの教育におきましては,ゆとりのある教育活動を展開する中で,児童生徒一人一人に,人間として生きていくための基礎・基本の確実な定着を図るとともに,多様な個性や才能を伸長させたり,豊かな人間性をはぐくむ教育をより一層充実させていくことが重要であります。
今後におきましては,広島市21
世紀教育改革推進総合プラン検討会議の提言を踏まえまして,学校・地域社会の連携によります総合的な教育力の再構築,さらには,新たな時代の教育を推進するためのシステムづくりなど,広島らしい新しい教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
次に,児童生徒の読書についてお尋ねがございました。現在の
子供たちの読書の状況は,情報環境の変化や,ゆとりのない生活などから,本離れ,活字離れが進んでいることが指摘をされております。こうした中にあって,
子供たちが読書に親しむことは,基本的な学力や考える習慣を身につけることとともに,豊かな感性や創造力をはぐくむ上で重要であります。
子供たちの読書意欲の喚起や読書の習慣化を図り,さらには,知的好奇心や探求心を高めていくための,創意工夫ある取り組みが大切であると考えております。
本市
教育委員会におきましては,こうした考えのもと,司書教諭の養成や図書館ボランティアの活用,読書指導の研修講座の開設,さらに,「朝の読書」の推進に努めているところでございます。
今後は,他の図書館等とのネットワーク化を図り,幅広い図書情報が提供できるようにするなど,
子供たちが読書への関心,興味を高めていくことができる読書環境づくりの充実に努めてまいりたいと考えております。
それから,不登校児童生徒への取り組みについての御質問がございました。
まず,スクールカウンセラーの配置につきましては,いじめや不登校の問題の解決に資することを目的として,平成7年度から,文部科学省の委託を受けまして,今年度は,小・中・高等学校12校に配置をいたし,実践的な調査研究を行っておるところでございます。その成果といたしましては,不登校傾向の児童生徒や問題行動を示す児童生徒へカウンセリングを実施することによりまして,対人関係が改善をされ,安定した学校生活が送れるようになったことが上げられます。
また,保護者や教員にとりましては,児童生徒の接し方などの助言が得られますことで,精神的な不安が解消され,児童生徒への適切な援助が行われるようになったなど,不登校等の課題解決に有効であると認識をいたしておるところでございます。
次に,今後このスクールカウンセラーの配置につきましては,文部科学省におきましては,来年度から順次事業の拡大を検討していることから,本市といたしましても,この計画にのっとりまして,事業が円滑に実施できるよう,スクールカウンセラーの確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
次に,不登校児童生徒への総合的な取り組みについてでございますが,学校に行くことはできるが,教室に入ることができない児童生徒の居場所づくりといたしまして,小・中学校全校にふれあい広場を設けますとともに,学校へ行くことができない,いわゆる不登校児童生徒の社会的自立や学校復帰への支援のために,ふれあい教室を市内3カ所に開設をいたしております。さらに,今年度から,家庭に引きこもっている生徒に対しましては,地域の人材を生かしたふれあい訪問員や,臨床心理士でありますふれあいカウンセラーを家庭に派遣をいたしまして,引きこもりの生徒や,その保護者へのカウンセリングや援助機関の紹介等の支援を行う,「ふれあい訪問事業」を実施いたしておるところでございます。
これらの取り組みの成果といたしましては,平成11年度,ふれあい広場にかかわった不登校傾向の児童生徒の約2割が教室に復帰をし,ふれあい教室に通った児童生徒の3割強が学校に復帰をいたしております。また,「ふれあい訪問事業」におきましては,引きこもりの生徒がふれあい広場に登校できるようになったり,カウンセリングの過程で医療機関などにつなぐことができたりしたことなど成果が挙げられます。
不登校児童生徒への取り組みは緊要な課題でございます。今後とも施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に,学習障害児対策についてお尋ねがございました。
学習障害児の指導等につきましては,現在さまざまな課題が提起をされておりますが,国におきましては,平成12年度,岡山県など15県で,学習困難児に対する指導方法に関する調査研究が行われておりました。
さらに,平成13年度から,すべての都道府県で,障害のある子供のための教育相談体系化の推進と,学習障害児に対する指導体制の充実を内容とする,「特別支援教育推進事業」が実施されることとなっております。こうした中で,現在,本市
教育委員会といたしましては,教育センターの講座等で学習障害に関する教員研修の機会を設けましたり,学習障害についてのリーフレットを各学校に配布したりするなど,その理解,啓発に努めているというのが現状でございます。
今後は,国の調査研究の動向を踏まえながら,教育相談体制の整備や学習障害児の指導のあり方について,研究を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
それから,高齢者と児童生徒の交流についてお尋ねがございました。
高齢者と児童生徒との世代間交流につきましては,これまでも各学校におきまして,高齢者の方の話を聞く会,あるいは昔の遊びを通した交流,文化祭等の学校行事への招待,給食の時間を活用した地域のお年寄りとの交流会,
高齢者福祉施設等の訪問による活動など,さまざまな機会を設けているところでございます。
これらの交流をより充実していくためにも,また,地域に開かれた
学校づくりの一環といたしましても,学校施設を高齢者等地域の方々と
子供たちとの交流の場として活用していくことは,
子供たちの豊かな人間性をはぐくむ上で,大変有意義であると考えております。
このため,昨年の1月でございますが,
教育委員会と関係部局で構成をいたします学校施設活用調整会議を設置いたしまして,地域の実情に応じた空き教室の有効活用や,
社会福祉施設などとの複合化について協議を行っているところでございます。
今後,議員御指摘の点も踏まえまして,引き続き関係部局と協議,検討を行ってまいりたいと考えております。
最後に,校長,教頭への民間人登用についてのお尋ねでございます。
これからの学校が,より自主性,自立性を持って,校長のリーダーシップのもと,組織的,機動的に運営をされ,幼児,児童,生徒の実態や地域の実情に応じた特色ある
学校づくりが展開されるよう,このたび,校長,教頭の資格要件が緩和され,幅広い人材から登用ができることとなったところであります。
本市
教育委員会といたしましては,現在,教職員の人事管理システムを検討いたしておるところでございます。この中で,管理職登用につきましても,この趣旨を踏まえながら研究していきたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
○
平野博昭 議長 7番。
◆7番(平木典道議員) 2点ほど,要望と言いましょうか,一つは,先ほどのメセコン用地の取得の件なんですけれども,なかなか非常に苦しい御答弁だったような気がするんですけれども,結果として,1年延ばすことにより財政危機をあおるという意味では,非常に効果があったんではないかと思うんですが,もともと仲がよくなかった県との関係が,さらにこれによって悪化したんではないかという懸念もあるわけなんで,今後信頼関係を取り戻すべく努力をお願いしたい,このように主張させていただきます。
もう一つは,空き教室の件なんですけれども,これ,前回も質問させていただいたときに,検討していただくというような御答弁だったいうような気がするんですけれども,この件については,もっと詳しく,今度委員会の方でまたお尋ねさせていただきたいと思います。
以上です。
──────────────────────────────────────
休 憩 宣 告
──────────────────────────────────────
○
平野博昭 議長 この際,暫時休憩いたします。
午前11時49分休憩
午後1時06分開議
出席議員 52名
欠席議員 8名
○鶴見和夫 副議長
出席議員52名であります。
──────────────────────────────────────
開 議 宣 告
──────────────────────────────────────
○鶴見和夫 副議長 休憩前に引き続き会議を開き,
総括質問を行います。
27番沖宗正明議員。
〔27番沖宗正明議員登壇〕(拍手)
◆27番(沖宗正明議員) 新自民クラブを代表して,
総括質問を行います。
昨年11月の衆議院本会議で,保守党の松浪健四郎議員が,口汚いやじに激昂してコップの水をまきました。あのときの彼の心境はいかばかりであったかと今想像いたしておるところです。幸いに,我が広島市議会では口汚いやじを聞くことがありませんので,水をまくことはないとは思いますが,しばしの間の御清聴を,特に3列目,4列目のやじ将軍と言われる方にお願いいたしておきます。
さて,私が昨年の末京都に遊びました折に,ある寺院を参詣いたしました。侘助の咲く日本庭園をそこはかとなく眺めておりますと,黄色いチョウチョウが二羽,少し離れて一羽舞っておりました。そのとき,ふと,「凍チョウ」なる言葉を思い出しました。「凍チョウ」というのは,凍えるチョウチョウと書きますが,立冬を過ぎてもまだ飛んでいるチョウを言う冬の季語であります。改めて,日本語の繊細さに感動を覚えました。いずれは消えていく言葉ではありましょうが,できるだけ後世に伝えたいものであります。
それでは,質問に入ります。今回の質問の動機は,現在行われているリサイクルが果たして本当に正しいのかという疑問を抱いたことにあります。以前,こんなジョークがありました。道端に落ちている1円硬貨を拾ってはならない。なぜなら,拾うのに3円のエネルギーが必要になるからというものです。
さて,現在のリサイクルが,1円を拾うのに3円を持ってするがごときものではないか。本当に社会に貢献しているのか,本当にエネルギーを節約しているのか,本当にごみの減量化に役立っているのか,さまざまな疑問がわいてまいりました。種々の書物を読むにつれて,現在のリサイクルは決して環境に優しくない,というより,むしろ誤っているとの私なりの結論に達しました。
以下,許された時間の大半を割いてその論旨を述べます。反論をお待ちいたします。
まずは,ペットボトルについて述べます。ポリエチレンテレフタレートと,いわゆるペットボトルは,石油を精製して得られたポリエステルからつくられますが,1リットル用のボトルで約7円の製造コストがかかっております。消費者が1回使ってそのまま捨てるとした場合,廃棄物の処理費用を含めて9円から10円という計算になります。これがペットボトルを使い捨てにした場合の,物質やエネルギーの消費量と言えます。
次に,リサイクルに出した場合を考えてみます。小売店などで一次分別され,ビニール袋に入れられ,トラックに乗せられてリサイクル工場に運搬されます。これまでの余分なコスト約26円と計算されています。現在は,食品衛生法で禁止されておりますが,ペットボトルを洗浄してもう一度使うことができたとしたら,洗浄と乾燥のコスト約1円と,回収費用の26円を合わせて27円程度で再使用できることになります。それでも,リサイクルボトルは,新しいボトルの約3倍のコストとなります。回収費用26円と申しましたが,ある学者は55円と計算しております。この場合は新品のボトルの6倍のコストとなります。つまり,再使用することは,新しいボトルを使うより3倍から6倍環境に負荷をかけることになります。
これを石油資源という観点から見ますと,新品のペットボトルが消費者の手元に届くまでに消費される石油は約40グラム,これに対して,ペットボトルのリサイクルに要する石油は150グラムと計算されております。現在では,ペットボトルは再使用されず,シャツや防寒服の綿などの繊維製品に再利用されます。
しかし,無理をして再生されたポリエステルの糸は繊維が短く,品質はよくありません。繊維製品の材料としては魅力に乏しいとしか言いようがありません。価格も新品に比べて2倍以上となっており,需要が少ないのも道理でありましょう。ペットボトルの再利用に無理があることは,再処理工場に山積みされたペットボトルが如実に物語っております。確かに,ペットボトルをリサイクルすると,ペットボトルの形をしたごみは少なくなります。しかし,現実には,ペットボトルのリサイクルに伴ってさまざまなごみが発生いたします。例えば,運搬用のトラックそれ自体の老朽化,トラックのタイヤ,トラックの燃料や,燃料をつくるときに出る廃油,運転手の弁当の容器,回収のための袋などがごみとなります。また,リサイクルするためには管理費がかかります。事務所,事務机,書類,エアコン,コンピューターなどがごみになります。
ペットボトルの形をしたごみを少なくした代償として,形を変えたごみが約3倍から4倍発生すると試算されております。最終処分場の寿命を延ばす目的で行っていることが,逆にその命を縮めております。私は,ペットボトルは燃やすべきであると考えます。ペットボトル自体は,ハロゲンを含んでおりませんのでダイオキシンは発生いたしません。大型の焼却炉でカロリーを適度に調節し,煙突で吸着すればもはやダイオキシンは問題ではありません。ダイオキシンは78種類の化合物の総称であって,それぞれの毒性は明確ではありません。また,生物の種によっても影響が異なります。確かに,ベトナム戦争での枯葉剤で奇形児が多発いたしました。これは,とんでもない量の科学物質にさらされれば,ダイオキシンでなくとも奇形児発生の危険性が高いということでもあります。
ダイオキシンの害を言うならば,たばこの煙に含まれるダイオキシン濃度は5,000ナノグラムパーノルマ立米以上であり,有機塩素系廃棄物や廃棄物を燃やしたときの実に35倍,除草に用いる農薬の230倍から5,000倍という恐るべき濃度であります。妊婦の喫煙が胎児に与える影響は推して知るべしでありましょう。
ともすれば,我々はエアコンのきいた場所でさわやかな飲料水を飲んだ後で,ペットボトルを分別して出したという,ただその1点だけで,リサイクルを終えた錯覚に陥っているのではないか。運送する運転手の苦労をおもんぱかる姿勢があるか,リサイクルセンターでは,人力で分別し,手間がかかることも知らずに,親切心ではめられたキャップを外している苦労を考えているか,改めて問い直すべきが来たと思います。
現在,我が国の石油の年間使用量は約3億キロリットルであります。そのうちの多くを電力用や輸送用としてそのまま燃やしております。そして,約5%がプラスチックとして利用されておりますが,これがほとんど燃やされることなく埋め立てられております。しかし,プラスチックは,エネルギーから見れば,まさに石油そのものであります。したがって,プラスチックを埋めることなく燃やせば,石油の節約につながります。この石油の節約分は,理論的には二酸化炭素の発生量1,500万トンに相当いたします。さらに,年間約5億トン発生する一般ごみの平均発熱量は,キログラム当たり約3,000カロリーであります。5億トンのうち,プラスチックが有する発熱量は約3分の1と試算されておりますので,一般ごみを燃料と考えて,焼却してエネルギーの回収を図れば,輸入原油の約15%が節約できる計算になります。ただし,石油を直接燃やすより熱効率は落ちますので,10%程度の節約と考えられます。これは,すなわち3,000万キロリットルの原油の節約ということになります。つまるところ,プラスチックを燃やすことは原油の節約であり,決して二酸化炭素の増加にはつながりません。そして,埋め立てるごみの量も大幅に少なくなることを強調しておきます。
膨大なエネルギーを秘めたまま,半永久的に土中深く埋められるより,燃やされることによって,内包する石油エネルギーを放出して命を全うするならば,プラスチックにとっては,もって瞑すべしでありましょう。
次に,紙のリサイクルについて述べます。
紙の使用量は文化の程度に比例すると言われており,我が国の紙の使用量は,世界全体の約12%と推計されます。そのうち約半分が再生紙と言われており,紙に関してのリサイクルがうまくなされているかのごとく思われます。環境保護団体の一部で次のような説がまかり通っております。いわく,割り箸は木材のむだ遣いである。割り箸10万本で木造住宅が1軒建てられるというものです。私にとっては,たちの悪いジョークとしか思えません。くずダイヤは幾ら集めても1級品のダイヤにはなりません。同じく,粗悪な木材は何10万本,何100万本集めても建築材料にはなりません。割り箸は,むしろ廃材の有効利用であります。また,紙を使うと森林が破壊されると言われます。しかし,実際には,パルプに利用される木材はほとんど先進国の森林から伐採されておりますが,その先進国での森林面積は,最近15年間では約3%増加しております。
一方,途上国のそれは,確かに15年間で約6%減少しておりますが,途上国の森林はほとんど紙には使われておりません。減少の原因は,現地の人がまきとして使ったり,焼畑農業を行うためであります。日本の紙の消費量と熱帯雨林の現象は相関関係にないことを指摘いたしておきます。
さらに,紙をリサイクルすると,新しい紙を使うより余計に資源を消費しているという現実があります。紙を回収し,それをトラックで運搬し,さらに紙からインクを除去しなくてはならないなどのコストがかかります。また,一口に紙と言っても,表面が加工されてあったり汚れていたり,ホッチキスで閉じられていたりで,リサイクルできない紙も多く,その選別に多大の手間を要します。再生紙のコストが,新しい紙のそれより高くなるのも当然であります。
つまり,現在行われている紙のリサイクルとは,再生可能な森林資源を守るために,再生不可能な石油資源を浪費しているのが現状であります。まさに本末転倒であり,冒頭に申しました,1円硬貨を拾うのに3円のエネルギーを持ってするがごとき逆説であります。
紙についての私なりの結論は,石油資源を節約するためには,紙は埋め立てても燃やしても構わないと考えます。ただし,紙は裏表に書き,さらに物を包むなど精いっぱい使い切る努力が必要なことは論をまちません。
夏にエアコンをかけることによって,室内は冷えて快適な環境が提供されます。しかし,同時に室内を冷やした熱と,それに要した電力の熱が戸外に放出されます。つまり,エアコンは,室内にあっては確かに冷房機器です。しかし,環境にとっては間違いなく暖房機器となります。文明社会の中で,我々は環境に対して決して小さくない負荷をかけながら生活しております。もはや地球が数億年かけてつくり出した石油資源をむだにすることはできません。
そこで質問ですが,新たな最終処分場の建設計画が進まない現状で,埋立地を長らえさせるために,また,石油資源を保つためにも,ペットボトルを含む廃プラスチックはすべからく燃やすべきと考えますがいかがでしょうか。
同様に,紙のリサイクルも,もはや環境への負荷を考えるとマイナスであると考えますが,当局のお考えやいかに。
茨木市では,ごみ処理に溶融炉を使用しております。これは,極端に言えば,自転車さえもそのまま溶融炉に放り込んで溶かすものであります。有毒ガスを吸着した後,重金属を回収します。最後に排出された鉄分とスラグは,舗装用土木資材や路面化粧用のブロックなどに利用されますので,最終的に埋め立て処分が必要となるのは,少量の溶融飛灰のみとなります。本市の場合,埋め立て処分量の重量の約45%,容積の約60%が廃プラスチックで占められております。本市の現状と比較してどちらがよいか,言うもはばかられます。溶融炉による処理は,早急に導入すべきと考えますが,検討されておりますでしょうか。
昨今のワインブームで,再利用しにくい緑色の空き瓶が山積みされている光景をよく目にいたします。瓶はリサイクルするごとに不純物が混じり,品質は低下いたします。ガラスは,科学的に珪素と酸素が結合してできていますが,資源の枯渇の心配がない珪素を,なぜリサイクルしなくてはならないのか理解に苦しみます。リターナブル瓶については,比較的容易に再使用ができるメリットがありますが,運搬,選別,洗浄,乾燥,消毒などの余分なコストと品質の劣化を考えれば,大きな意味があると言えないのは,これまで述べたとおりであります。
そのほか,家電製品やパソコンなどのOA機器などのリサイクルについても,バーゼル条約により輸出が禁じられているため,国内で高いコストをかけてリサイクルしなくてはならないなど,大きな矛盾をはらんでおりますが,今回は言及いたしません。
私は,リサイクルの目的は,再生不可能な石油や鉱物資源を倹約することにあり,これが環境に優しいという意味であると解釈いたしております。環境に優しいということについての当局の御見解を伺います。
次に,広島市民病院について質問いたします。同病院には,社会保険という冠が付せられておりながら,広島市が経営いたしております。これは,昭和27年8月1日に,当時の大原博夫広島県知事と濱井信三広島市長が交わした契約が根拠となっております。この場合,県は,国の代理人として契約を交わしております。
この契約の第1条には,政府の管理する社会保険広島市民病院の経営を,県知事が市長に委託するとなっております。
第2条では,政府の管掌する健康保険被保険者及びその被扶養者の診療を他の者の診療より優先し,懇切丁寧に診療するものと書かれております。国民皆保険制度を定着させるためとは言い条,今となっては,全く時代錯誤も甚だしい内容であります。
また,第4条では,病院の建物の拡充及び多額の費用を要する補修は,県が国の指示に基づいてその指揮監督を行って施行し,その費用は,国において負担するものとなっております。
そこで質問ですが,約230億円と試算される南病棟と中病棟,その他の建てかえは,この第4条に照らすと,本市が負担しなくてもよいと解釈できますが,本市独自に行う理由は何でありましょうや。先ほど述べました第2条についても,企業の組合健康保険や,国民健康保険の患者はないがしろにしてもよいともとれるような内容であり,破棄すべきものと考えますが,いかがでしょうか。
また,社会保険病院であることの財政的メリットとしては,次のようなものが上げられます。なお,数字は,平成11年度決算ベースを採用いたしました。
1番目は,本市が社会保険庁に対して貸与している土地の地代収入387万円,病院賠償責任保険の4分の1助成金237万円,全国社会保険協会連合会からの助成金472万円,社会保険庁からの検診用医療機器の供与1,680万円,これは,具体的には平成11年度はX線テレビ装置1台となっております。合計2,776万円の収入であります。
これに対してデメリットは,全国社会保険協会連合会の特別会員の会費負担が,4,224万円であり,差し引き1,448万円のマイナスとなります。現在,国内の社会保険病院は54施設でありますが,このうち50施設が全国社会保険協会連合会の直接の経営であり,市などが経営を受諾しているのは,本市を含めてわずかに4施設しかありません。南病棟などの建てかえが終われば,総床面積のうちで国有財産が占める割合は,現在の16%から4%に低下いたします。約1億数千万円分の医療機器や建物など,国有財産を無償で使用できる利点があるにしても,広島市民病院においては,社会保険庁の果たす役割は終わったと考えます。したがって,社会保険なる冠を外すべきであると思いますが,いかがでしょうか。
さらに,ことし12月には,国立療養所
畑賀病院が市民病院となります。広島市民病院と安佐市民病院は,地方公営企業法の全部適用,舟入病院は地方公営企業法の一部適用,
畑賀病院は同じく一部適用で,かつ公設,民営と,それぞれに異なる形態の市民病院が混在することになります。
これを展望して,病院事業局の新設が,新年度の機構改革にうたわれております。病院事業局新設の理由と経緯を伺っておきます。
これに関連して,国立療養所
畑賀病院について質問いたします。同病院についての質問は,これまでに何度も行っておりますので,重複を避けて新たな問題だけに絞って伺います。平成13年度の当初予算には,同病院はことし12月1日をもって,広島市医師会運営・安芸市民病院へ移行することがうたわれております。秋葉市長の公設民営という決断によって存続させ得たことは,高く評価いたします。
そこで,まず地元住民,また地元医師会の希望であるところの,救急医療体制について質問をいたします。
舟入病院における平成11年度の年間の時間外救急患者数は,内科が2万3,952人,小児科が2万7,764人,合計5万1,716人の多きに上っており,まさにパンク状態と言えます。特に小児科については,患者の重症度,病気の種類,責任などを考慮すると,舟入病院の当直当番に参加する小児科開業医にとっては,余りにもハードな任務となっております。さらに,当番が義務ではないため,一部の開業医には不公平感が漂っていることも事実であります。そのため,平成9年10月には,広島市小児科医会は,広島市医師会からの舟入病院救急外来当番の要請を返上したこともありました。当時の当番表を見ると,それも無理からぬことと思えるハードなものでありました。幸いにも,さきの大晦日と正月三が日は,初めて四つの公的病院,すなわち,県立広島病院,広島赤十字・原爆病院,広島市民病院,安佐市民病院の協力がなされました。さらに,安芸地区医師会,安佐医師会も在宅当番医を置いたことにより,両者相まって舟入病院の患者集中が緩和されました。小児科患者に限ると,昨年度の年末年始4日間1,625人から,今年度の1,323人に減少しております。特出すべきは,待ち時間が昨年度の平均約3時間から,今年度平均約1時間に短縮されたことであります。しかしながら,小児科の絶対数の減少や,小児科開業医の高齢化などを考えると,舟入病院の救急患者数は急には減少いたしません。舟入病院の救急医療機能の集中を緩和し,本市の東部地区の救急医療体制を充実させるために,安芸市民病院が果たす役割は大きいものと期待されます。同病院の救急医療体制の充実は,最優先課題の一つであると考えますが,いかがでしょうか。あわせて,舟入病院の今後の救急医療体制に関してのお考えを伺います。
また,新年度予算の中に,
畑賀病院の取得費として10億5,200万円が計上されております。国立療養所の譲渡に関する特別措置法によると,職員の2分の1以上引き継ぐ場合は無償となり,3分の1以上で2分の1未満を引き継ぐ場合は80%引きで取得でき,3分の1未満を引き継ぐ場合は50%引きで取得できることとなっております。現在の同病院の資産価値は約22億円でありますので,10億5,200万円の取得費が示すのは,職員の3分の1未満しか引き受けない,場合によっては,全く引き受けない可能性もあると解釈できます。職員の引き受けに関しての考えをただしておきます。
また,
畑賀病院は,平成10年から救急指定病院になり,年々搬送が増加しておりますが,病院玄関が低く狭いため,救急車が直接横づけできません。何らかの対応が必要と思いますがいかがでしょうか。
さらに,同病院は車以外のアクセス手段が限られていることが上げられます。バスは,紙屋町のバスセンターからの1路線しかありません。JR海田市駅や安芸中野駅からの路線を検討すべきではないでしょうか,御意見を伺います。
最後に,オウム真理教について質問いたします。この質問を通告したところ,おまえオウムの信者かと何人かに聞かれました。信心深くはありませんが,私は安芸門徒の端くれであることをお断り申し上げておきます。
一昨年の12月29日,私は広島空港におりました。周囲にはただならぬ緊張感が漂っておりました。教団幹部の上祐史浩元受刑者が広島刑務所を出所して東京へ向かうためでありました。あの警戒の物々しさは,今でも忘れることができません。
オウム真理教は,現在,ヘブライ語の最初のアルファベットであるアレフと名称を変えておりますが,これまでその信者の居住について,付近の住民とトラブルを起こしていることは,マスコミの報じるところであります。
また,平成11年4月26日に,茨城県三和町が信者24人の転入届の受理を拒否して以来,これに倣う自治体が続き,昨年末の集計では,全国で109人の転入届が受理されておりません。東京都世田谷区では,昨年12月19日に,19人の転入届を受理した後で,信者と判明したため,これを取り消し,住民登録を削除いたしました。政令市では,横浜市と名古屋市が不受理としております。この109人は,住民票がないため,国民健康保険に加入できず,また,生活保護を受けられない事例も出ております。当然のことながら,該当する自治体の多くは,教団と信者から訴訟を起こされております。
ことし1月24日には,日本弁護士連合会は,転入届の不受理は人権侵害であるとして,19の自治体に是正を勧告いたしました。しかし,該当する自治体の反応はおおむね冷ややかなようであります。千葉県流山市では,住民が教団幹部の住居を約半年間にわたって監視を続けており,同市議会は,全会派一致でこの幹部の退去を求める決議をした上,同市は,監視小屋建設などに資金援助を行っております。柏市では,教団の村岡達子代表が転入したアパートを監視するために,同市が建設した監視小屋に職員の派遣までいたしております。
また,平成11年7月8日には,長野県松本市が,教団信者の子供については,入園,入学を拒否する方針を打ち出しました。これは翌日撤回されましたが,同年9月4日には,埼玉県都幾川村が教育現場の混乱を避けるための超法規的措置として,麻原彰晃被告の子供二人の小学校入学を拒否いたしました。これについては,訴訟の末,平成12年3月に入学を許可することになりました。埼玉県では,川口市に教団の拠点施設があるため,平成12年5月現在の時点で,県内92市町村のうち90市町村が転入届の不受理を,84市町村が家族の転入学拒否の方針を決めております。
私は,アレフを擁護する気はさらさらありません。憎むべきテロ集団であるにもかかわらず,破壊防止法により解散命令を出さなかったことが禍根を残したと思っております。当時破防法の適用に反対した小沢遼子女史のほか,いわゆる進歩的文化人は,この問題について黙して語ろうとはいたしません。現在の心境を明らかにしてほしいものであります。
泥縄式ではあるものの,平成11年12月には,無差別大量殺人行為を行なった団体の規制に関する法律,いわゆる団体規制法が成立し,教団としての活動は困難になったとは思われます。とはいえ,我が国の憲法では,居住の自由と教育の機会均等は保障されており,自治体の転入届不受理も,就学の拒否も,住居を監視するなどの反対運動も,法を逸脱した行為であると言わざるを得ません。もし,本市でアレフに関しての同様な事例が発生した場合,当局はいかなる対処をなすのか,考えをお聞かせ願います。
卒業式,入学式が近づいてまいりました。君が代,日の丸に反対する一部のやからが騒ぐことが危惧されます。当局の強い指導を望みます。
口汚いやじのない御清聴に感謝申し上げて,質問を終わります。(拍手)
○鶴見和夫 副議長 市長。
〔秋葉忠利市長登壇〕
◎秋葉忠利 市長 沖宗議員の御質問にお答え申し上げます。
まず最初に,リサイクルについて,大変広範な御質問がございました。この御質問は,今後本市のリサイクルの方向性を検討する上で,非常に参考となるものであり,興味深く拝聴させていただきました。
現在の地球的規模の環境問題や資源の枯渇に対する危惧は,我々人類が限りない豊かさを求めて,大量生産,大量消費,大量廃棄の社会に浸ってきたことによる結果であり,この問題の解決のためには,社会経済システムを環境への負荷の少ない社会に転換していくことが不可欠で,昨年制定された循環型社会形成推進基本法においても,その精神がうたわれております。こうした精神に基づき,現在さまざまなリサイクル関連法が制定されております。これらの法律の趣旨は,大量廃棄された廃棄物を,大量にリサイクルすることを目指したものではなく,いわゆるEPR──拡大生産者責任,この原則に基づいて,リサイクルに要する経費を事業者にも負担させることにより,製造段階から廃棄物になりにくい,または,リサイクルしやすい製品が製造される
社会システムが構築されることを究極の目標としたものでございます。
御指摘のプラスチックの処理については,全国的な課題でありますが,新しいアイデンティティの一つとして,ゼロエミッション社会──廃棄物ゼロ社会を掲げる本市といたしましては,ペットボトルを含めた容器包装プラスチックについては,廃棄物の発生抑制を最終の目標とした容器包装リサイクル法にのっとって,適切にリサイクルしていくべきであると考えております。
また,紙類のリサイクルについては,古紙を再生する場合,立ち木から製紙する場合に比べて,要するエネルギーは3分の1で済むというデータもあり,今後ともリサイクルを進めていきたいと考えております。したがって,当面の現在的な対応といたしましては,
社会システムとしてリサイクルルートが確立された廃棄物については,経済性,効率性も考慮してできるだけリサイクルし,それ以外の廃棄物については,リサイクル技術の動向や本市の清掃工場の処理能力等も勘案しながら適切に処理していきたいと考えております。
こうした取り組みをもとに,環境に優しい社会,すなわち,環境に与える負荷を軽減し,将来にわたって持続的に発展する社会の形成に向け,今後ともさまざまな角度から検討を続けていきたいと考えております。
次に,安芸市民病院,あわせて舟入病院の救急医療体制を中心にした病院についての御質問がございました。私は,市民の生命や健康を守ることは,非常に重要な課題であると考えており,この考えから,国立療養所
畑賀病院を本年12月1日に引き継ぎ,市立病院として新たに小児科の新設やホスピスの整備等を順次行い,市東部の地域医療の充実を図る方針を打ち出しております。
議員御指摘の安芸市民病院での救急医療の役割につきましては,現在の救急告示医療機関としての役割に加え,開設と同時に,新たに土曜,日曜,祝日の19時から23時ごろまでの──これを準夜と言うんだそうですが,準夜の内科の外来を実施し,市東部の救急医療の充実を図るとともに,舟入病院の夜間救急を補完する機能を持たせたいと考えております。
次に,舟入病院の救急医療体制についてでございます。
本市の救急医療体制につきましては,初期救急は舟入病院と在宅当番医制,2次救急は安佐市民病院を含む病院群輪番制と救急告示医療機関,3次救急は広島市民病院,県立広島病院,広島大学医学部附属病院で行う体制を整備してまいりましたが,さらなる充実を図るため,平成12年4月から,舟入病院における準夜の診療体制の充実や夜間の診療時間を拡大するとともに,本年度の年末年始においては,新たに4つの公的病院の協力を得て,小児救急医療体制の拡充を図りました。本市といたしましては,安芸市民病院や舟入病院も含め,広島市域全体の救急医療体制の一層の充実に向けて,今後とも努力してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては,担当局長からお答え申し上げます。
○鶴見和夫 副議長
企画総務局長。
◎守田貞夫
企画総務局長 病院事業局の新設についての御質問につきまして,御答弁申し上げます。
平成13年度,2001年度の組織改正におきましては,地方公営企業法の全部を適用しております広島市民病院及び安佐市民病院を再編いたしまして,病院事業局を新たに設置することを予定いたしております。これは,両病院で別々に行っておりました企画,人事,予算等の事務を,病院事業局の事務局に一本化いたしまして,両病院の管理運営を一体的かつ効率的に行うという考えによるものでございます。
また,これにあわせまして,病院事業局の
事務局長を社会局の理事に併任いたしまして,社会局で所管しております舟入病院,及び本年12月に開設を予定しております安芸市民病院の管理運営も担任させることにより,4つの市立病院の連携をより緊密なものといたしたいと考えております。さらに,将来的には,この4病院を一体的に管理運営できるような方向での検討を行ってまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長
市民局長。
◎三宅吉彦
市民局長 オウム真理教信者と転入届の問題に関する御質問にお答えいたします。
住民基本台帳への登載は,選挙,国民健康保険,就学等,住民の重要な権利の基礎となるものであることから,住所の要件が整う限り,特定の宗教の信者であることのみを理由として転入届を不受理とすることはできないものであります。
一方で,議員御指摘のように,全国の自治体で転入届の不受理や就学拒否といった事例が発生していることも承知いたしております。これらは,住民基本台帳制度に当然精通しているそれぞれの自治体において,個々に独特な事情があり,それらを検討した結果,やむを得ずこうした措置をとられたものと思われます。したがって,現在具体的な対応についての御答弁はできませんが,本市において同様の事例が発生した場合には,信者及びその家族の権利と,転入が地域社会に与える影響などを慎重に検討し,適切に対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長
社会局長。
◎藤井克己
社会局長 安芸市民病院についての中で,職員の引き受けに関しての考え方についての御質問にお答えいたします。
現在,国立療養所
畑賀病院で勤務する職員は国家公務員であるため,
畑賀病院が東広島市の国立療養所広島病院に統合された時点で,国において近隣の国立病院で受け入れることになるというふうに聞いております。
安芸市民病院は,適正な医療の提供やホスピス,人工透析,小児科,救急機能の充実など新たな医療機能の整備とともに,経営改善の観点から,効率的な経営を図る必要があります。職員の採用につきましては,こういう考え方のもとに,受託者である広島市医師会が,組織や業務の外注化などを勘案しながら,人材を広く求め,採用することになります。
次に,病院の玄関が狭く低いため,救急車が直接横づけできないが,何らかの対応を考えたらどうかという点でございますが,先ほど市長が答弁いたしましたとおり,安芸市民病院での救急医療の充実は必要でございます。御指摘の点につきましては,現有施設でどのような方法がとれるか検討してまいりたいと思っております。
また,外来棟の建てかえを予定しており,これが完了する平成17年度には,救急専用の出入り口,処置室等の確保など救急機能のさらなる充実を図っていきたいと考えております。
最後でございますが,海田市駅や安芸中野駅からのバスの路線を検討すべきではないかという点でございますが,安芸市民病院は,公共交通の利便性がよくないことから,病院利用者の利便を図る必要があるというふうに考えております。今後,どのような方法があるのか,関係局と協議しながら検討していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長 環境局長。
◎斉藤末男 環境局長 リサイクルについての御質問の中で,溶融炉による焼却を考えたらどうかというふうな御質問がございました。
御指摘の溶融炉は,プラスチックや金属類などの多種多様なごみの処理が可能な点においてすぐれておりまして,ごみの焼却と灰の溶融を一つの炉の中で完結をさせまして,コークスを使った高温燃焼によります灰の溶融にかかる熱エネルギーの削減という大きな特徴があると言われております。しかしながら,実用化の例が今のところまだ少ないことから,1炉当たりの規模や運転技術の安定性,さらに,ランニングコストなどについて十分検討が必要なものと考えておりまして,現在建設中の吉島の新中工場では,焼却灰の溶融固化から手がけてまいりたいというふうに考えております。
今後,整備する清掃工場につきましても,この溶融炉の実用化の動向を勘案しながら,導入について検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長
広島市民病院事務局長。
◎松井正治
広島市民病院事務局長 市民病院に関して御質問がございましたので,お答え申し上げます。
まず,市民病院の南病棟の建てかえ費用を国が負担せず,市単独の事業として行うのはなぜかということでございます。社会保険庁と契約をいたしております広島市民病院の経営委託契約書におきましては,議員御指摘のとおり,病院の建物の拡充及び多額の費用を要する補修費用は,国において負担するものとするとされておりますことから,病院といたしましても,平成7年度以降,社会保険庁との間で南病棟の建てかえ費用の一部負担について協議を行ってまいりました。しかしながら,社会保険病院を整備するための原資でございます
政府管掌健康保険財政が悪化していることなどから,社会保険庁としては,当病院整備に対しまして,一部負担できる状況にないとの回答を得ておるところでございます。
一方,当院の実情といたしまして,南病棟は,建築後ほぼ50年を経過いたしておりまして老朽化が著しく,また,耐震性の問題もあることから,早期の建てかえが必要であるという実情がございます。このようなことから,国の費用負担は期待せず,市単独の事業として建てかえ整備を進めることとしたものでございます。
次に,広島市民病院は,社会保険広島市民病院と社会保険の冠がついているが,これは外すべきだと思うがどうかということでございます。現在,社会保険病院は,全国に54病院が配置されておりますが,その運営につきましては,全国社会保険協会連合会などの民間公益団体や
地方公共団体に運営委託するという方法をとっておりまして,広島市民病院もその一つでございます。
社会保険病院は,必要な保険診療の確保や地域医療の向上などに大きな役割を果たしてきましたが,民間医療機関の整備が進み,社会保険診療の確保という当初の目的は,おおむね達成したのではないかという指摘もございます。こうした環境変化の中,広島市民病院の場合,国有建物の割合は,全国に54ある社会保険病院のうち最も低い15.7%で,このたびの建てかえ整備を行いますと,さらに約4%にまで減少することになり,社会保険病院としての性格が一段と希薄になることになります。
このようなことから,建てかえ整備を機に社会保険の冠をとることも含め,現在,社会保険庁と協議を行っているところでございます。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長 27番。
◆27番(沖宗正明議員) おおむね,いい答弁をいただいたと,一部を除きまして思います。重ねて申し上げますが,
畑賀病院,公設民営で残していただいた市長の決断,高く評価いたします。それからまた,藤井局長,前安芸区長としてさすがという答弁を聞かせていただきました。
また,土,日,祝日,準夜の当直を置いていくということで,住民も大変期待申し上げているところでございます。
それから,守田局長には,病院事業局の件,これ非常にすっきりしていい方向だと思います。
オウムの件につきましては,きょう問題提起ということで出しました。よそもそういうものが出ておりますので,広島として準備をおさおさ怠りなくやってほしいという意味で出しました。
それから,溶融炉につきましては,ランニングコストという話が出ました。ですが,私思いますには,今の白木町の最終処分場,大変に時間とお金をかけながら余り進んでいないということがありまして,それを考えるならば,狭い土地で,結局安くつくんではないかなという気は私なりにしておるわけで,それをぜひ考えていただきたいと思っています。
それから,一番大きいリサイクルの件ですが,古紙は新しい紙の3分の1程度で済むという意見に,私は賛成しかねます。やはりバージンパルプが一番安いと思っています。
あとは,プラスチックにつきましては,究極的にはリサイクルしやすいというより,それもあるんですが,埋めても分解されるような素材を開発すべきでありましょうし,また灰を取るべきでありましょうが,これはもう当分実現しそうにないことでありまして,現時点では,国の方針もありますので,今のような答弁しかできないとは思いますけれども,恐らく本心では私とほとんど変わっていないことを考えておられると思いますので,ぜひ期待して終わります。
○鶴見和夫 副議長 13番若林新三議員。
〔13番若林新三議員登壇〕(拍手)
◆13番(若林新三議員) 若林でございます。会派を代表いたしまして,
総括質問をさせていただきます。理事者の皆さんは,前向きな御答弁をいただきますようお願いを申し上げます。
秋葉市長から提案された予算案について,概括的に述べてみますと,市長の思いが少しずつ見え始めたものと思われます。
IT革命と言われる情報通信技術は,目を見張るほど進展してきました。重点施策の一つとしてIT・ e−市役所が上げられていますが,行政事務の簡素化と市民福祉の充実に向けて,大きく寄与するものと思います。
また,
教育行政においても,小学校6年生と中学校1年生の学級を対象に,20人以下の学級に分けて少人数学習を行う実践教育や,小学校1年生については,複数教員による学級指導を研究するなど,私たちの求めていた少人数学級の実現に近づいてきたものであります。評価できます。
医療,福祉関係では,安芸市民病院の開設にこぎつけられたことも特筆されます。国立
畑賀病院を存続させるものですが,国や医師会との協議が成功したこと。また,ホスピスを20床整備できたことも評価すべきものと思います。
しかし,一方では,多心型都市づくりを強調し,重点的に整備が行われる反面,基本的な整備ができていない地域が取り残されているという現状もあるなど,不十分な面もあると言わざるを得ません。
そうした認識に立って,以下,具体的に質問をしたいと思います。
最初に,財源の確保と財政健全化についてお伺いします。一般会計は,4年連続のマイナス予算となっていますが,歳入の中心となる市税については,2.4%,48億円の増額が見込まれています。これは,企業活動が回復してきているものと思われます。
また,広島市の財源不足は,地方交付税で賄われてきましたが,今回は,財源不足のうち50億円が地方交付税ではなく,臨時財政対策債という市債によって賄うことになっています。いわゆる,不足分を借金で賄うということです。この臨時財政対策債は,25年ぶりの赤字地方債となり,建設地方債を中心としたこれまでの市債のあり方を変えるものです。国の赤字国債の増大が懸念されていることは大きく取り上げられているところですが,地方も,赤字地方債の発行を余儀なくされることになり,いわゆる借金が雪だるま式に膨れ上がることは大きな懸念材料です。
この臨時財政対策債の元利償還金は,地方交付税で措置されることになります。しかし,地方への税財源委譲の議論いかんによっては,交付税そのものが十分に確保されるかどうかも疑問です。いわゆる,良質の市債は,来年度末で約3,300億円となる見込みですが,確実に交付税措置されるのかどうか,財政当局の考えをお聞かせください。
また,私は,財政の健全化に向けて,利率の高い市債については,なるべく早く返済できるよう国に働きかけるべきであると求めてきました。これまで,繰上償還も行ってきましたが,今回利率7%以上の地方債について,特別交付税措置がとられています。引き続き,高金利の地方債に対する負担軽減策をとっていただくよう,国に求めていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
次に,平和行政についてお伺いします。
広島市は,これまでヒロシマの心を世界に届けることを基本に平和宣言の普及や原爆写真展の開催など,さまざまな取り組みを行ってきました。こうした動きと連動して核軍縮も行われてきたものと思います。
オランダのハーグで行われたNGOの国際会議では,核軍縮を世界に呼びかけるとともに,国連本部で開かれた2000年核拡散防止条約再
検討会議,いわゆるNPT会議の最終文書には,核兵器保有国による核兵器廃絶の明確な約束を盛り込むなど,大きな流れができてきました。しかし,ここに来て,その流れがとまってしまったように思われます。臨界前核実験は引き続いて行われていますし,アメリカ議会は,包括的核実験禁止条約の批准を否決しました。カットオフ条約の交渉も暗礁に乗り上げています。こうした中,ことし8月に,第5回世界平和連帯都市市長会議が広島市で開かれ,核兵器を初め,平和を阻害する問題の解決に向けた取り組みを協議されることになっています。
特に今回は,先ほど述べたとおり,核兵器廃絶に向けた動きが行き詰まりを見せていることなどを考えると,重要な会議となります。秋葉市長は,この会議の意義と目標をどのように考えておられるのでしょうか。
また,事務局体制を強化することが,今後の活動の重要なポイントとなります。どのように考えておられるのか,あわせてお聞かせください。
さらに,事業費の確保についても,昨年9月議会で,田尾議員の質問に対して具体的な検討を進めるとの答弁でしたが,検討状況についてお答えください。
一方,国内では,非核自治体宣言を行う市町村も多く,県内でも,広島市を初め86市町村すべてが宣言をいたしています。全国的には,約3,300ある自治体のうち,実に2,518の自治体が非核宣言を行っていることは,ヒロシマの願いが広がっていることの証でもあり,大切にしていかなければなりません。こうした全国的な非核自治体宣言の取り組みに対して,どのように評価されておられるのでしょうか,考えをお聞かせください。
そうした自治体に,広島市が情報をもっと発信することができれば,核兵器廃絶に向けた大きな流れができるのではないかと思います。特に,広島県内の自治体との連携も強めていく必要があります。非核政策の推進や意識の啓発など,広島市がリードしていくことも大きな使命であると思いますが,いかがでしょうか。
また,このたび,空席となっていた平和研究所の所長がようやく決まりました。今後,研究体制も充実し,被爆体験の思想化,被爆の学問的整理を進める体制が整うことになりますが,今後の方向性についてお聞かせください。
次に,
教育行政についてお伺いします。
広島県
教育委員会が設置している広島県教科書用図書採択
検討会議は,ことし1月26日に,教科書採択のあり方についてをまとめました。教科書採択の地区と採択方法について提言をしたものです。それによると,教科書の採択の地区を現在の8地区から35地区に変更するもので,各市や郡単位に分けるというものです。また,教科書採択の方法についても示されています。
このことについてお伺いします。教科書採択に当たっては,直接
子供たちに教えている教員の意向が尊重されることは言うまでもありません。国際的には,すべてのサミット参加国を初めとして,多くの国で,教員の教科書採択権は当然のこととして保障しています。さらに,ILO・ユネスコ共同の教員の地位に関する勧告でも,教員は,児童生徒にもっとも適した教材及び方法を判断するために,特に資格を与えられた者として規定されています。
また,97年には,教科書採択の調査研究に,より多くの教員の意向が反映されるよう求める閣議決定もされています。今回の提言の中にもこのことが触れられています。
そこでまず,現在の広島市では,どのような手続で教科書採択が行われているのでしょうか,お伺いをいたします。
また,教科書の採択に当たっては,先ほども述べたとおり,主たる教材として使用し,
子供たちを直接教える,より多くの教員がかかわることが重要であると思いますが,いかがお考えでしょうか。
次に,採択地区について,広島市は,8採択地区に細分化することを検討するよう提言しています。しかし,区単位での採択となると,同じ広島市の小学生や中学生が,それぞれ違った教科書を使って勉強することにもなります。また,例えば,西区に居住する児童が中区の小学校に通学している場合,中区の実態に即した教科書を使用することとなり,生活圏とは異なったものを使用するという矛盾も生じてきます。
さらに,教員の研修においても,区によって異なった教科書を使用する場合,同一の教材についての研究協議が不可能となり,広島市の研究会としてまとまりに欠ける研究組織になるおそれもあります。今後採択地区の細分化について,どのように対応されるのかお伺いします。
可部線についてお伺いします。
可部線の存続が大きな岐路に立っているところですが,昨年11月から104日間,存続させるかどうかを見きわめるための試験運転が取り組まれ,今月の12日に終了しました。可部線がなくなるということは,中山間地の過疎化に悩む沿線自治体にとって,過疎に拍車がかかることや,通勤,通学に大きな影響を与えるため,沿線自治体や広島市を中心に,JRに強く存続を求めてきました。試験期間中,広島市を初め関係自治体や沿線住民による,「可部線に乗って残そう」という運動が大きな盛り上がりを見せたことは,マスコミなどでも報道されているとおりです。この期間,広島市長が会長となっている可部線対策協議会も,平日と休日の計6回,担当者が列車に乗り込み,利用状況を確認してきました。対策協議会独自の調査によると,JRの昨年の公表値と比べて,平日が1.4倍,休日が2倍との結果も出ています。利用者が大幅に増加したことがうかがえます。
私は,この取り組みを通じて,幾つかの課題も明らかになっていると考えます。
その一つは,利便性の向上にさらに工夫が必要ということです。広島駅からの下りは,加計駅での接続が32分というものや,上りは加計駅で最大54分待ちというものもあります。これでは,利用したくてもできないというのが実情のように思えます。スピードアップを図るための改善も必要なのではないでしょうか。現在は,いろいろな分野においてスピード化が図られています。電話つきパソコンとも言われる携帯電話も登場するなど,IT革命の時代を迎えるとともに,交通関係を見ても,自動車道の整備が進み,鉄道も時速300キロの時代に突入しています。こうした中で,不便さを残したまま一向に改善がされなければ,ますます利用しにくくなり,客足が遠のいてしまうことは当然の帰結とも言えます。もう一度,公共交通を担う使命があるとの発足の観点に立って,利便性を向上させるためのJRの努力も必要なのではないでしょうか。
そこでお伺いします。昨年11月からの試験運転について,広島市としてどのように評価されておられるのでしょうか。また,試験運転終了後,国土交通省や国会議員に要望されたようですが,どのような趣旨で要望されたのでしょうか。
さらに,沿線住民はもとより,多くの人が存続を望むと同時に利便性の向上を求めています。JR西日本に対して,存続はもちろんのこと,スピードアップやダイヤの改善などを図っていただくことを要望するとともに,バスなどの駅への接続も工夫する余地があると思いますが,いかがでしょうか。
一方,国は,JRの株式をすべて上場して,純粋な民間企業とすることに伴って,国がローカル線の維持などをJRに勧告できる制度を設ける方針を固めたことが,マスコミ報道でも明らかになりました。旧国鉄の資産を引き継いだJRは,私鉄よりも公共性が高いとの判断によるものとされています。こうした観点を踏まえ,国に対してもさらに働きかけを強めていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
広島西飛行場の有効活用についてお伺いします。
広島西飛行場は,1993年,新広島空港が誕生したことにより,それまでの広島空港を全国初の都市間コミューター小型機専用の飛行場としてスタートしました。広島市の中心地から至近距離にあるという地理的な条件から,昨年度8路線,10万2,876人が利用しています。今回,機種の変更により,50人乗りのコミュータージェット機の広島西飛行場への乗り入れが検討されました。広島市は,南観音,観音新町の住民を対象に説明会を行うとともに,南観音小学校区の住民に対して,ジェット機就航に関するアンケートを実施。また,就航に反対されている住民の皆さんとの協議なども行ってきました。そして,アンケートの結果,84%の方が就航を認めるとの回答を踏まえ,地元住民の大方の理解が得られたとの見解に立って,広島県知事にコミュータージェット機の就航を要望し実現したものです。
ジェット機の就航については,幾つかの考慮しなければならない課題があります。その第1は,空港周辺の騒音の問題です。これまでの関係住民を交えた議論の経過を見ても,最重要課題と位置づけなければなりません。広島市は,コミューター機がジェット化される際,飛行場周辺の騒音はほとんど変わらないと市民や議会にも説明してきました。そして,今回,新しいコミュータージェット機の騒音調査を実施されたところですが,その調査結果をお聞かせください。
第2は,西飛行場を今後どのように有効活用していくかというビジョンです。これに関連して,広島県は,このコミュータージェット機の着陸料を,広島空港と競合する路線にあっては,通常の3倍に当たる6万6,400円を提示しました。通常は2万2,133円であり,最も高い成田空港の5万7,600円をも上回る,世界一高額な料金となっています。明らかに突出しており,全国的にも例がありません。広島空港は,滑走路の3,000メートル化も実現し,今や300万人を超える利用者数まで発展しているのに対して,広島西飛行場の利用者数は,30分の1の10万人程度にとどまっています。広島空港の拠点空港化を脅かすとは到底思えません。中枢都市として発展している札幌市には,新千歳空港のほかに,札幌市の中心部からわずか6キロの至近距離に丘珠空港があります。北海道内の稚内,釧路,函館,女満別,中標津が路線となっており,利用者は,昨年度が33万人,すべての路線が新千歳空港と競合しています。しかし,新千歳空港とのすみ分け論はないと聞いています。
広島西飛行場の着陸料を高額に設定し,広島空港との路線の競合を避けさせようとすることは,利用者の利便の向上を図る観点から,需給調整規制の廃止を目指し,自由化の方針に立っている国の考え方にも逆行するのではないかと思いますが,いかがでしょうか。この措置によって,広島西飛行場からの発着便数が抑制されることが考えられることや,ジェイ・エアが広島から撤退,あるいは拠点をほかに移す可能性も否定できません。
また,通常の3倍という着陸料が,利用者の運賃に転嫁されることも考えられます。そうなれば,利用者が不便になるばかりか,広島市のイメージダウンは避けられません。広島西飛行場の管理運営費の2分の1は広島市も負担をしています。この問題に対して,県に対してどのような姿勢で対応してこられたのかお聞かせください。
さらに,西飛行場の有効活用は,県と市の双方にとって有益であると考えます。着陸料の減額を要望するとともに,西飛行場の今後の活用方策について,県とさらに協議を深めていく必要があると思いますが,いかがでしょうか。
次に,消防署所の適正配置についてお伺いします。
私は,これまで,消防力の乏しい三入地区に消防出張所を整備すべきであることを求めてきました。当局もこのことは認め,設置に向けて十分検討するとの答弁をいただいているところです。さらに,99年度には,消防署所の適正配置についての基礎調査も行われ,三入地区への出張所の配置が指摘されています。そして,今回,消防力が劣っている安佐北区に救急隊を加えることが提案されました。この措置は,消防力の均衡化を図る上で,一歩前進として受け止めています。しかし,それでもなお大きな格差があることは否定できません。消防局の試算でも,現場までの到着時間は,安佐北区とそれ以外の区とでは,歴然と差が残っています。
97年12月に,私の住む地域で,高校生が運転する車が電柱に激突して炎上し,二人が死亡するという痛ましい事故がありました。将来の活躍が期待されている若い人たちの突然の不幸に大きな衝撃を受けたのは私だけではありません。心から冥福をお祈りしたいと思います。
ここで,消防局として見落としてならない大きな問題がありました。高校生が亡くなった直接の原因は事故死ではありませんでした。衝突後,しばらくして車が炎上し,その炎によってとうとい命が奪われたのです。その地域に消防署があれば,かけがえのない若い命を落とさずに済んだ可能性が大きかったことを強く指摘せざるを得ません。私は,かねてより,消防車や救急車の到着がおくれる地域は,そこの住む人たちの命が相対的に軽い状態に置かれているということを指摘してきました。私の懸念がまさに現実となってしまったことが残念でなりません。こうした状態を長く放置しておくことは,到底認められるものではありません。
この点,今回,安佐北消防署に救急隊が新たに増設されることによって,一定程度救済されることは,一歩前進であることは先ほども述べたとおりです。しかし,根本的な解決には至っていないことは明らかです。
改めてお伺いします。三入地区は,消防出張所が必要な地域であることは,これまでの答弁や基礎調査の結果からも明らかとなっています。設置に向けて,今後どのように努力されようとしているのかお答えください。
最後に,市北部の道路網の整備についてお伺いします。
私は,これまで,幾度となく市北部の道路整備がおくれてきていることを指摘してきました。特に可部地域については,可部と言えば渋滞と連想するほど道路整備がおくれているのが実情です。一昨年12月議会での私の質問に対して,市当局は,整備の必要性は十分認識していると答弁され,早期整備を図る意向を示されました。しかし,その進展はなかなか見られません。本来,可部のように基本的な整備がおくれている地域については早急に整備を図り,均衡ある広島市の発展を目指す必要があると思いますが,いかがお考えでしょうか。
市北部の道路計画のうち,可部バイパスについては,太田川橋から上根バイパスまでの延長9.7キロメートルを整備するものですが,そのうち2.8キロメートルが部分開通しているに過ぎません。2年後には,191号から南原口までの1.4キロメートルがようやく開通する見通しとなっています。1981年に都市計画決定され,ことしでもう20年を迎えてしまうことになりました。沿線には団地も開発され,当時は,もうすぐ開通するとの説明を受けて入居された方も少なくありません。しかし,いまだなお,激しい渋滞の中を通勤せざるを得ない状態です。可部バイパスについては,2002年度,平成14年度に南原口まで,2007年度,平成19年度には山倉まで開通させるとの予定ですが,沿線住民の願いを改めて認識していただきまして,一日でも早く開通するよう広島市の努力をお願いいたしますが,いかがでしょうか。
また,可部バイパスと同様に,重要な幹線になるのが都市計画道路の可部大毛寺線と高陽可部線となります。将来的には,新たに整備される寺山公園のふもとで二つの路線が接続されることになっていますが,これが接続されると高陽方面へスムーズに抜けることができることになります。可部の渋滞緩和が大いに期待される路線です。できるだけ早く接続させる必要があると思いますが,いかがお考えでしょうか。
山倉線,川東線も重要です。この二つの路線の進捗状況と今後の見通しについてお伺いします。
以上で,私の
総括質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○鶴見和夫 副議長 市長。
〔秋葉忠利市長登壇〕
◎秋葉忠利 市長 若林議員の御質問にお答え申し上げます。
まず,世界平和連帯都市市長会議についての御質問がございました。
戦争の世紀と呼ばれた20世紀が終わり,私たちは新たな世紀の一歩を踏み出しました。20世紀が,それまでの他のどの時代とも異なるのは,人類の生存そのものを脅かす核兵器と地球環境の破壊という具体的な危険を,科学技術の力によってつくり出してしまったことです。こうした問題を解決するためには,私は,科学技術を人間的目的のためにのみ活用するような社会を構築していく必要があると考えております。
一方,世界の多くの都市の共通認識として,次代を担う若者たちをめぐり,戦場では少年兵の問題があり,また,日常的にも,青少年が暴力的犯罪の被害者あるいは加害者となるなど,危機的状況が広がっていると考えられております。
こうした状況の中,8月4日から9日まで本市と長崎市において,「人類が21世紀を生き延びるために」副題が「人類と科学技術の和解を目指して」こういう基調テーマのもと,第5回世界平和連帯都市市長会議を開催し,今世紀を平和な世紀とするために,都市は何をなすべきかなどについて議論いたします。
具体的には,全体会議において,「核兵器のない21世紀とするために,市民は何をなすべきか」,これと,「子供社会に平和の文化を─暴力文化の撲滅を目指して─」などについて議論をするとともに,分科会では,「被爆体験の思想化」,「紛争の平和的解決」,「地球環境問題」,「核兵器廃絶に向けた国際的連携」,などのテーマについて幅広く議論し,その成果を「ヒロシマ・ナガサキアピール」として広く内外に訴えかけてまいります。
また,昨年の理事会での決定を受けて,既にインターネットを活用し,会議のテーマを初め各都市が抱える諸問題についての日常的な情報交換や意見交換を進めておりますが,さらに,ことしの総会では,市長会議の今後の日常的な取り組み内容を定める行動造計画も策定することにしております。
こうした日常活動の活発化を通じて,市長会議の活性化を図り,核兵器の廃絶と世界平和の実現を求める国際世論を醸成するとともに,都市連帯と相互理解を深めてまいります。
次に,平和研究所の所長決定に伴って,平和研究所についての御質問がございました。
平和研究所は,新年度から福井治弘教授が所長に就任し,新たなスタートをすることになりました。福井教授の豊かな研究業績と,海外での長い研究活動で培われたグローバルなネットワークや大学運営のノウハウを生かされ,国の内外から高く評価される研究所に育て上げていただきたいと考えております。
福井教授は,研究方針として,広島平和研究所
基本構想を踏まえつつ,当面は,「平和の理論と平和研究の方法論」,それから,「広島,長崎の被爆体験」,次に,「核兵器を初めとする兵器の軍縮廃絶に至る研究」,最後に,「アジア太平洋地域における平和の構築,平和思想や平和文化,平和運動」等に重点を置いた研究を念頭に置いておられます。
これまで,平和研究所では,研究体制の不備から取り組みがなされていない被爆体験の思想化などについても,理論構築等の面からの研究に強い意欲を示しておられます。
なお,この点につきましては,平和文化センターにおいても,実践の面から取り組みをしております。
また,こうした研究を進め,世界水準の研究所になるためには,独創的で世界に通用する高い水準の研究を行うことのできる能力と意欲を持った人材を確保することが必要不可欠とのお考えであり,現に福井教授の御指導のもとで,広く国内外に向けて研究員公募を進めております。
私としては,今後,研究体制を整備しながら研究成果を蓄積することにより,平和問題に関する広島市のシンクタンク的な役割を果たすとともに,その研究成果を,市民はもとより全世界に広く公開することを通じて,核兵器のない平和な世界への未来の展望を開く役割を担っていく研究所にしたいと考えております。
その他の御質問については,担当局長からお答え申し上げます。
○鶴見和夫 副議長
企画総務局長。
◎守田貞夫
企画総務局長 広島西飛行場の有効活用についての御質問につきまして,御答弁申し上げます。
まず,コミュータージェット機の騒音調査の結果についてでございます。航空機騒音実態調査につきましては,広島市が毎年2回,広島西飛行場周辺の航空機騒音の現況を把握し,環境基準が達成されているかどうか確認をするために行っているもので,今回につきましては,コミュータージェット機を含めて実施をいたしております。
その結果,調査地点9カ所の騒音値は,すべて広島西飛行場周辺地域について定められております環境基準値75WECPNL以下となっております。
また,広島西飛行場の有効利用と着陸料に関します御質問についてでございますが,昨年2月の航空法の改正によりまして,需給調整規制が廃止され,航空事業者の路線設定は,原則として届け出制となりまして,航空事業者の自主的な決定にゆだねられております。したがって,行政の意向によりまして制限を加えることはできなくなっております。これは,路線の設定を事業者の自主的な決定にゆだねまして,事業者の創意工夫によるサービス向上と,効率的な経営を促進するという考え方に基づくものであると理解をしております。
しかし,広島県が,広島西飛行場へのジェット機導入に伴いまして設定をしようとしております着陸料は,国が設置し管理する飛行場における現在の料金率の3倍を原則といたしまして,路線によっては減額をするというものでございます。議員御指摘のように,広島空港と競合いたします路線につきましては,結果的に減額されない高額な着陸料となります。
本市といたしましては,高額な着陸料の設定につきましては,航空事業者の事業展開を阻害し,利用者の利便性を損なうとともに,広島西飛行場の有効活用を図る方針に反するものとなりますので,県に対しこれまで,他の空港に比して不利とならないよう,現在の国の水準に準じて定めることを要望してまいっております。
今後とも,この要望を続けていきますとともに,設置管理者でございます広島県とも協議しながら,規制緩和の流れの中で,広島西飛行場が航空事業者の立場からも,さらに魅力ある飛行場となるよう努力し,その有効活用を図ってまいりたいと,そのように考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長
財政局長。
◎北谷重幸
財政局長 財源確保と財政健全化についての御質問にお答えいたします。
まず,地方交付税措置が予定されている市債は,確実に地方交付税措置されるかとのお尋ねでございますが,地方交付税制度は,財源の均衡化と地方行政の計画的な運営の保障を目的に,法律に基づいて設けられている制度であり,将来的にも必要額は確保されるものと考えております。
一方で,議員御指摘のとおり,地方交付税で措置される市債であっても,あくまでも借金でございます。今後とも,事業を厳選し,市債残高や公債費の動向も勘案しながら,その適正な発行に努めてまいりたいと考えております。
次に,高金利の地方債に対する負担軽減策についてのお尋ねでございますが,御指摘のとおり,公債費の金利負担の軽減は,
地方公共団体にとって大きな課題であり,従来から本市も他の
政令指定都市と共同で,国に対しまして繰上償還等を認めるよう要望してまいりました。その結果,平成11年度限りの臨時特例措置といたしまして,繰上償還の制度が創設され,また,高金利の地方債の利子負担に対する特別交付税措置が,平成11年度,平成12年度と実施されております。本年度も,
政令指定都市が共同で行う平成13年度大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望,いわゆる,青本の中で,繰上償還や借りかえについての要望を行ってまいりましたが,その結果,平成13年度も,高金利の地方債の利子負担に対する特別交付税措置が継続されることとなりました。
今後とも,さまざまな機会をとらえまして,金利負担軽減策について,国に対して働きかけてまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長
市民局長。
◎三宅吉彦
市民局長 平和行政のうち,まず市長会議の事務局体制の強化,また,事業費の確保に関しましてお答えします。
世界平和連帯都市市長会議については,設立後20年近くの年数が経過し,冷戦終結後の国際情勢の変化などを背景に,加盟都市のこの会議に対するニーズも変化しつつあります。
こうしたことから,市長会議の新たな活動方針を策定する必要が生じており,ことしの8月に開催する第5回総会において,市長会議の活動の指針となる総合的な構造計画を策定することにしております。
こうした新たな活動を進めていくためには,議員御指摘のとおり,執行体制の強化等事業費のさらなる確保が不可欠です。このため,執行体制の強化については,新年度から市長会議を担当する専任の常勤職員を配置するように考えております。
事業費の確保については,ことしの総会から,宿泊費の一部を本人負担とするとともに,会議参加者負担金を見直します。また,資金援助団体からの総会開催経費の援助についても,米国のNGOの協力を得て具体的な折衝を進めております。
次に,非核宣言自治体に関連した御質問にお答えいたします。
広島県下の全自治体を初め,全国の自治体の4分の3以上が非核自治体宣言を行っていることは,被爆県あるいは被爆国の自治体として,核兵器の廃絶に取り組む熱意のあらわれであり,こうした取り組みの積み重ねが,核兵器の廃絶を願う国際世論を醸成し,核兵器廃絶の実現につながるものと考えております。
また,国内の非核宣言自治体との連携強化につきましては,全国組織である日本非核宣言自治体協議会の役員に,今年度から長崎市と本市とが,それぞれ会長,副会長として就任するなど,被爆都市として積極的に関与し,活動の強化に取り組んでおります。今後とも,本市が会長都市を務める連帯都市市長会議と,長崎市が会長都市を務める日本非核自治体協議会を,核廃絶と恒久平和の実現に向けた自治体の活動の両輪として位置づけ,長崎市と連携して引き続き積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長
道路交通局長。
◎前原恒泰
道路交通局長 まず,可部線の存続についての中でございますが,104日間の取り組みについて,市としてどのように評価しているかについてでございます。
可部線については,実験的なダイヤ増便が実施された昨年の11月1日以来,沿線自治体,商工会等官民が一体となって,観光・レクリエーション資源の発掘や,鉄道志向型のイベントの開催など、さまざまな利用促進策に取り組んでまいりました。この104日間の取り組みによりまして,日常生活や都市と中山間地域との連携,交流の両面で利用者が増加しました。本市としては,鉄道事業者と地域住民及び行政が一緒になって知恵を出し合えば,鉄道の利用促進と地域の活性化が図れることが証明できたものと評価しております。
なお,可部線の利用者数ということで,具体的に申し上げますと,可部線対策協議会で1カ月ごとに実施した平日3回分及び休日3回分の調査によりますと,可部・三段峡間の1日当たり平均乗車人員は,平日で1,121人,休日で1,626人となっております。また,調査日各1日当たりで輸送密度を試算し,単純平均しますと,平日で629人,休日で1,391人となりました。104日間トータルの最終的な輸送密度は,JRからの公表を待つしかありませんが,可部線対策協議会による調査結果から見ると,相当なレベルに達しているものと思われます。
次に,国土交通省や国会議員にどういう趣旨の要望をしたのかについてでございますが,可部線対策協議会としましては,104日間の取り組みで,可部線の利用促進に一定の成果が得られたことから,2月12日の決起大会において,JRに対し存廃の判断を保留し,どうすれば存続できるかという視点で協議するよう求めていくことを確認いたしました。2月14日に行った要望は,国土交通省及び広島県関係国会議員に対し,その協議が早期に実現できるよう働きかけたものであります。
次に,JRに対し,単なる存続ではなく,利便性を向上させる工夫を要求すべきだと思うがどうかということでございますが,104日間の実験期間においては,通勤通学等の日常利用に対しては,朝夕の列車の延長運転や増便が図られ,週末の観光・レクリエーション利用に対しては,スピードアップされた快速電車が1往復増便されました。
現在,可部線対策協議会では,ダイヤ増便による利用実態等を踏まえ,存続を前提とした,より便利なダイヤのあり方について検討しております。要望しているJRとの協議が実現すれば,駅へのバス接続を含め,鉄道利用がトータルでより便利になるよう,あわせて協議していきたいと考えております。
次に,公共性の高いローカル線の維持のあり方に,JRだけでなく,国に対しても働きかけを強めたらどうかということでございますが,現在,国においては,JRの完全民営化に向けたJR会社法の改正が検討されております。その中で,不採算のローカル線を廃止するに当たり,国がJRに指導・勧告できるような仕組みの制度も検討されているようであります。
こうした動きをとらえ,可部線対策協議会では,可部線の存続に向け2月14日に行った国等への要望活動の中で,JRに対する国の勧告制度の早期実現についてもあわせて要望しました。全国的にローカル線と中山間地域の活性化が失われつつある現在,可部線の存続への取り組みは国も関心を持っており,今後とも国に対し存続に向けての支援を働きかけたいと考えております。
次に,市北西部の道路整備について,その中で,まず,可部地区の道路整備がおくれており,早急に整備する必要はあるか,どのように考えているかということでございますが,都市計画道路の整備率を見ましても,可部地区は本市の平均を下回っております。整備の必要性は十分認識しております。こうしたことから,非常に厳しい
財政状況ではございますが,可部大毛寺線,川東線などの道路整備に鋭意努力しているところであります。
次に,可部バイパスについてでございますが,可部バイパスは,国土交通省三次工事事務所により,現在国道191号から,可部トンネル(仮称)までの区間において順調に工事が進められております。このたび,可部トンネルにも着手されているところでございます。また,可部トンネルから市道山倉線までの区間につきましても,順次用地買収は進められております。
完成時期につきましても,国道191号から県道南原峡線までの区間は,予定どおり平成14年度,2002年度末に完成する見込みであります。
また,県道南原峡線から市道山倉線までの区間は,平成19年度,2007年度末の完成予定でしたが,現在の状況からまいりますと1年近く早まり,2007年度の早い時期に完成する見込みであると聞いております。本市といたしましても,一日も早く供用できるよう,用地取得などの事業に協力するとともに,今後とも国土交通省に対し強く働きかけてまいりたいと考えております。
次に,可部大毛寺線と高陽可部線を早期に接続させる必要はあるかということでございますが,都市計画道路可部大毛寺線と高陽可部線は,可部地区の重要な幹線道路でございます。可部大毛寺線は,現在可部商工会館から可部火葬場までの区間について,順次用地買収を行っているところでございます。それに続く区間につきましても,寺山公園整備などのスケジュールを踏まえながら整備を進めてまいりたいと考えております。
次に,高陽可部線は,現在,根の谷川右岸から安佐市民病院までの区間について,平成10年台後半の完成を目標に整備を進めているところであります。議員御指摘のように,可部大毛寺線と高陽可部線を接続させることによりまして,可部の中心部と高陽地区は連絡され,地域交通の利便性が大きく向上するものと考えております。厳しい
財政状況でございますが,現在整備中の区間に引き続きまして,この2路線を接続する区間に着手したいと考えております。
最後に,山倉線,川東線の進捗状況と今後の見通しについてでございますが,山倉線は,現在三入二丁目の桐陽台団地入り口交差点から,三入七丁目までの延長1,450メートルについて整備を進めているところでございまして,この3月末には,桐陽台入口交差点の改良工事を終え,この交差点から可部バイパスまでの区間,延長300メートルについて供用を開始することとしております。
また,可部バイパスから,600メートル先の現市道との交差点までの区間につきましては,用地買収をほぼ終えまして,平成14年度末の完成を目指しております。残る区間の延長555メートルにつきましても,早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に,川東線は,現在三入四丁目の桐陽台団地の進入路から大林二丁目のガラスの里までの延長1,250メートルを1工区として整備を進めているところであり,今年度は,かねてより懸案となっておりました用地買収は完了したことから,平成13年度末には完成する予定であります。この川東線の北への延伸につきましては,引き続き用地取得を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長 消防局長。
◎久保田浩二 消防局長 消防署所の適正配置についての御質問に御答弁申し上げます。
安佐北区は,管内面積は広範で,消防署所管の距離が遠いこと,また,慢性的な交通渋滞などから,他の行政区と比較いたしまして,119番通報を受けて,消防隊,救急隊が現場到着するまでに長時間を要しており,特に人命に直結する救急業務について早急な対応が必要なことから,来年度,安佐北消防署に救急隊を1隊増隊し,救急体制の強化を図ることとしております。
また,消防出張所の設置につきましては,多くの人員が必要であり,行財政改革が継続実施されている現在の状況下においては,人員増が極めて困難となっておりますが,安佐北区に消防出張所を増設することにつきましては,重要な課題であると,このように認識をしております。
今後,全市的観点から消防力の均衡化等を考慮し,適正配置について既設署所の統廃合等を含め,組織の見直しによってその対応策を引き続き検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長 教育長。
◎池原資實 教育長 教科書採択についてお尋ねがございました。
まず,教科書採択の手続についてでございますが,教科書採択の手続につきましては,まず
教育委員会事務局におきまして,指導主事によります専門的な調査研究を行いますとともに,各学校において,校長を中心とした教科書調査研究委員会を設けまして,地域,学校,児童生徒の実態に沿った教科書の調査研究を行わせまして,その結果を報告させております。こうした調査研究結果や,県
教育委員会が作成いたします選定資料等による指導助言をもとに総合的に判断をいたしまして,種目ごとに1種を選定し,広島市
教育委員会教科書採択審議委員会へ諮問を行いまして,その答申を得て採択教科書を決定いたしておるところでございます。
次に,教科書採択に当たっての,教員による教科書の調査研究についてお尋ねがございました。学校教育活動におきましては,各学校が,地域や学校,児童生徒の実態等を十分踏まえ,特色ある教育活動を展開することが求められております。
こうしたことから,議員御指摘のとおり,教科書採択に当たっては,実際に教科書を使用して,指導に当たる教員が,地域,学校,児童生徒の実態に沿った教科書の調査研究を行うことは大変重要であると考えております。
最後に,教科書採択地区の見直しについてお尋ねがございました。
広島県
教育委員会は,現在,1採択地区としております本市の採択地区を,行政区単位の8採択地区に細分化することにつきまして,本市
教育委員会に対し意見を求めているところでございます。本市
教育委員会におきましては,こうした県
教育委員会の採択地区の設定につきまして意見を述べるべき,現在検討をいたしておるところでございます。
以上でございます。
○鶴見和夫 副議長 13番。
◆13番(若林新三議員) 可部線についてですが,マスコミで,南谷社長が,消えゆくローカル線のさよなら運動という,そういうことを発言をされたようであります。これは,地域に住む人たちの心を踏みにじることであります。およそ,公共交通を担う責任者とは思えない言葉でありまして,ぜひとも存続に向けて力を改めて入れていただきたい,そう思います。
可部バイパスについてですが,1年近く早めていただくということになりました。関係者の皆さんの努力に敬意を表し,感謝を申し上げたいと思います。引き続いて,よろしくお願いをいたします。
それと,教科書採択について,答弁にもありましたが,やはり
子供たちと一番接している教員の調査研究がどれだけできるかということが大切なことだと思いますので,そのことをよく勘案をして制度をつくっていただきたいと思います。
消防局,最後になりますが,いろいろ努力をいただいたということは理解をいたします。それにしても,三入に早く出張所をつくっていただきますように,改めて要望いたしまして,私の質問を終わります。
○鶴見和夫 副議長 本日の
総括質問は,この程度にとどめたいと思います。
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次 会 の 開 議 通 知
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○鶴見和夫 副議長 この際,御通知申し上げます。
26日は,午前10時より議会の会議を開きます。
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散 会 宣 告
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○鶴見和夫 副議長 本日は,これをもって散会いたします。
午後2時47分散会
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議 長 平 野 博 昭
副議長 鶴 見 和 夫
署名者 山 田 春 男
署名者 中 森 辰 一...