次会の開議通知(明日午前10時開議を宣告)
散会宣告(終了)
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出席議員氏名
1番 水 野 なつ子 2番 大 原 邦 夫
3番 増 井 克 志 4番 村 上 通 明
6番 橋 本 昭 彦 7番 熊 本 憲 三
8番 永 田 雅 紀 9番 沖 宗 正 明
10番 木 山 徳 和 11番 大 野 芳 博
12番 若 林 新 三 13番 太 田 憲 二
14番 山 田 春 男 15番 中 森 辰 一
16番 谷 川 正 徳 17番 松 平 幹 男
18番 福 島 和 宏 19番 金 子 和 彦
20番 佐々木 壽 吉 21番 酒 入 忠 昭
22番 土 井 哲 男 23番 井 口 聰
24番 児 玉 光 禎 25番 宗 像 俊 昭
26番 碓 井 法 明 27番 田 尾 健 一
28番 上 岡 勲 30番 皆 川 恵 史
31番 中 山 忠 幸 32番 戸 田 満
33番 鶴 見 和 夫 34番 藤 田 博 之
35番 仲 津 幸 男 36番 平 野 博 昭
37番 種 清 和 夫 38番 下向井 敏
39番 伊 藤 稲 造 40番 藤 川 武
41番 月 村 俊 雄 42番 坂 根 喜三郎
43番 都志見 信 夫 44番 鈩 谷 君 子
45番 石 川 武 彦 46番 前 恵 介
47番 浅 尾 宰 正 48番 前 本 一 美
49番 木 島 丘 50番 兼 桝 栄 二
52番 村 岡 節 吾 53番 松 浦 弘 典
54番 海 徳 貢 55番 今 田 智
56番 牧 里 重 喜 58番 中 本 弘
59番 宮 本 正 夫 60番 瀬 川 吉 郎
61番 柳 坪 進
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欠席議員氏名
5番 倉 本 忠 宏 29番 松 尾 好 子
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職務のため議場に出席した
事務局職員の職氏名
事務局長 河 野 康 文
事務局次長 原 田 尚 武
議事課長 和 田 国 雄
議事課長補佐主任事務取扱
浜 中 典 明
議事課主査 田 村 直 樹
議事課主査 重 元 昭 則
外関係職員
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説明のため出席した者の職氏名
市長 平 岡 敬 助役 上 川 孝 明
助役 荻 原 達 朗 助役 大 田 晋
収入役 若 狹 武 治
企画総務局長 山 田 康
企画総務局理事村 川 博 敏 財政局長 伊 藤 利 彦
市民局長 黒 川 浩 明
市民局理事 三 宅 吉 彦
社会局長 松 浦 洋 二 環境局長 池 原 資 實
経済局長 吉 中 康 麿
都市計画局長 横 山 良 三
都市整備局長 北 谷 重 幸
道路交通局長 小 田 治 義
下水道局長 田 島 孝 二
市立大学事務局長
中 本 信 雄
消防局長 中 岡 隆 志 水道局長 山 岡 俊 英
広島市民病院事務局長 財政課長 皆 本 也寸志
繁 野 勝 元
教育長 森 元 弘 志
選挙管理委員会事務局長
久保井 美登里
人事委員会事務局長 代表監査委員 堀 部 尚 雄
金 山 達 郎
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午前10時03分開議
出席議員 41名
欠席議員 18名
○中本弘 議長 おはようございます。
出席議員41名であります。
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開 議 宣 告
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○中本弘 議長 これより本日の会議を開きます。
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会 議 録 署 名 者 の 指 名
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○中本弘 議長 本日の
会議録署名者として
27番 田 尾 健 一 議員
32番 戸 田 満 議員
を御指名いたします。
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日 程 に 入 る 旨 の 宣 告
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○中本弘 議長 これより日程に入ります。
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△日程第1
一般質問
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○中本弘 議長 日程第1,前回に引き続き
一般質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。30番
皆川恵史議員。
〔30番
皆川恵史議員登壇〕(拍手)
◆30番(
皆川恵史議員) おはようございます。
日本共産党市議団を代表して質問いたします。
まず最初に,市長さん,今期限りでおやめになるとのことですが,
大変御苦労さまでした。
我が党市議団は,唯一の野党として,平岡市政に対して厳しく臨んでまいりました。あなたも頑固ですが,住民が主人公という点では我が党も頑固です。
今,景気も市民の暮らしも本当に大変なときです。きょうもその中の幾つかの問題を取り上げますが,残された任期中に市民が希望の持てる方向を打ち出していただくことを期待して,以下質問させていただきます。
まず,平和問題についてですが,米軍が世界のどこかで武力行動を行ったら,日本も自動的に参戦するという新ガイドラインのもとで,広島市周辺でもきな臭い動きが強まっています。県東部の沼隈港には,米軍の
物資補給艦が居座り,呉港には外国艦船の入港に加えて自衛隊の
上陸用舟艇──L─CAKが配備され,県北部では米軍による超低空飛行が我が物顔で行われています。
住民の安全を守るのは,市長の重大な仕事です。広島港に核艦船が入港するなどということは,将来にわたって絶対にあってはならないことですし,
核兵器廃絶を唱える市長の理念とも相入れないはずです。来年は,
広島平和記念都市建設法施行50周年を迎えます。被爆40周年に議会で満場一致決議された
広島平和都市宣言には,広島市は,核をつくらず,持たず,持ち込ませずの非核三原則を守るとあります。広島港に今後大型船の入港も予想されている今こそ,被爆地の市長として核艦船の広島港への入港を拒否する意向を内外に示していただきたい。市長にそのお考えがないかどうかお伺いします。
次に,
元大正屋呉服店,現レストハウスの保存問題についてお伺いします。
昨年,文化庁は,市の
地上部解体計画に対して,地上部も解体せず保存の方向で再検討してほしいと要請しました。これに対して市は,昨年9月議会で,これまでの検討に引き続き
関係機関と協議し,慎重に検討したいと答弁したまま,解体方針を決定した
企画関係者会議も
被爆建物等保存継承検討会議も開くことなく,1年間が経過しました。このような市の不誠実な態度に,市民は強い不信を抱いております。
お伺いしますが,
関係機関と協議しと答弁されてきましたが,
関係機関とは一体どことどこか答えていただきたい。
文化庁の意向を生かされるのか,それとも無視されるのか,一体どっちの立場なんでしょうか。
保存を求める10万3,000名を超す署名,
各界有識者の要望,文化庁の要請にこたえて,地上部を解体せず保存する方向で検討することを明らかにして,保存活用の具体的な計画の検討を早急に進めることこそ市の良識ある対応ではありませんか。市長の納得できる答弁を求めます。
次に,
景気対策についてお伺いします。
消費税増税と
医療費改悪で,国民に9兆円の負担増を押しつけた
自民党政治の失政で,日本列島総不況となっています。
さきの
参議院選挙で,多くの国民が
自民党政治にノーの審判を突きつけたのは当然です。ここまで冷え切った景気を立て直すには,国民の暮らしを直接温める対策がどうしても必要です。国民の6割が,
景気対策の第1に消費税の減税を挙げており,
参議院選挙後もIMF──
国際通貨基金や中曽根元首相も最も有効な方策だと発言するなど,将来の税制についての意見の違いを越えて,それを求める声は広がっています。
そこで,市長にお伺いしますが,改めて政府に
消費税減税を求めていただきたい。また,当面,市の公共料金への消費税の転嫁は凍結していただきたいと思うのですが,いかがでしょうか。
景気対策の第2は,公共投資の流れをゼネコン型から生活密着型,地域循環型に思い切って改善することです。とにかく仕事がありません。1カ月にたった1週間しか仕事がない,中小の建築業者などでは,こうした話は普通になっています。ところが,4月に発表された政府の
景気対策の中の
公共事業の
前倒し増額というのは,相変わらず
ゼネコン向きを中心にした従来型の
公共事業の
積み増し計画であります。もし市がこれに右へ倣えするなら,ゼネコンと一部企業が潤うだけの対策になり,月に何日も仕事がないという中小企業には何の助けにもなりません。だから,そうならないように我が党は,去る2月議会,6月議会で生活密着型の公共投資に重点を移すよう求めてきました。ところが,今回提案された補正予算を見ると,
景気対策費190億円のうち,その大半が従来の
大型事業の前倒し分となっており,やっぱり政府に右へ倣えした中身となっております。
2月の本会議で我が党は,広島市の
産業連関表に基づいて,同じ1,000億円の投資でも,
社会保障部門への投資の方が建設部門よりも雇用効果は9,000人対2万1,000人と2倍以上,
生産波及効果は1,500億円対1,700億円と200億円も上回ることを示して答弁を求めました。局長は,基本的にこの数字を認められました。しかも,そのとき,
大型事業の場合は建設資材などは市外に発注せざるを得ず,地元への効果が弱いことにも言及されました。そのように認められるのなら,今回なぜそういう予算編成に努力されなかったのでしょうか,答弁を求めます。
その上で改めて当面,緊急にやっていただきたい
景気対策として,四つの提案をさせていただきたいと思います。これらはいずれも市長がその気になればできるもので,市民に喜ばれ,しかも多額の予算を伴うものではありません。
地元中小業者にも確実に仕事が回ります。
その第1は,
市営住宅の修繕に思い切った予算をつけて,小規模の仕事をふやすことです。とりわけ老朽住宅の畳,ふすまの取りかえを,この際一気にやっていただきたいと思います。この要求は切実です。大体20年も30年も畳やふすまがぼこぼこでそのままということは,普通の住宅では考えられないことです。耐用年数の過ぎた建具類の取りかえは,家主の責任です。担当課ではそれはわかっていても,予算が少ないためにどうしようもありません。しかし,
県営住宅の方はちゃんとやっています。私の地元の基町団地でも,県営の方ははるか以前に済んでおります。同じ公営住宅でありながら対応が違うのはおかしいと,住民は怒っています。
昨年度,県が行った熊野町の
県営住宅の例で計算しますと,畳とふすまの取りかえで1戸
当たり平均20万円あったらできます。仮に1億円あったら500戸ができます。2億円で1,000戸ができます。実は,こういう小規模な仕事が今,
中小業者には本当にないのです。私の知っている例でも,住宅改修で20万仕事で3人,100万仕事で4人が働いており,雇用効果も抜群です。今回の
景気対策予算の中から,せめて1億円でもこういうところに回していただきたい。いかがでしょうか。
第2は,障害者,高齢者,子供たちなど,いわゆる交通弱者のための道路整備にも思い切った予算を投入していただきたい。
昨年,建設省の委託で行った国道の実態調査でも,歩道の段差解消,点字歩道,
交通安全施設など改善を要する箇所が相当数ありました。ぜひ県道,市道でも国道と同様の実態調査をしていただきたい。その上で思い切った予算を投入して,急いで整備していただきたいと思います。歩道の改良は,ちなみに普通1メートルが5万円ぐらいで行われております。1億円あれば2,000メートル分の改良ができます。地元に仕事が落ちます。対応をお伺いしたいと思います。
第3は,
特養ホームの建設促進のために,公共用地の無償提供を積極的に行っていただきたいということです。
福岡市では,
特養ホームの
適正配置計画に基づいて,市有地,福岡市の持っている土地の無償提供の要綱をつくり,一番不足していた都心部に,今年度と来年度で3カ所の
特養ホーム建設のめどが立ちました。
広島市の
老人保健福祉計画にも,
特養ホームについてこのように書いてあります。住みなれた地域で家族等と接触を保ちつつ生活することができるよう施設の適正配置に努める,市街地への設置を促進するため市有地の活用,
市営住宅等他の公共施設との合築等を検討すると書いてあります。
介護保険導入まで時間がありません。急いでこれを具体化していただきたいと思いますが,対応をお伺いします。
第4に,商店街の活性化のために,空き店舗や空き地を利用した公共施設をぜひ導入していただきたいと思います。
山口県の宇部市では,空き店舗や空き地を活用した
借り上げ方式の
市営住宅を建てることを決めて,商店街から非常に喜ばれております。私は,ホーム
ヘルパーの
ミニステーションをぜひ地域の商店街の中につくっていただくことを提案したいと思います。
現在,
福祉サービス公社には約400人の
公的ヘルパーがいますが,市内五つの
ヘルパーステーションに分かれて,1チーム約20人の
チーム運営方式で地域を分担して働いておられます。全部で25チームあります。ところが,広い地域に
ヘルパーステーションがたった1カ所しかありません。そのためにいろんな不都合が出ております。例えば北部地域は安佐南,安佐北の二つの区を5チーム約100人の
ヘルパーさんでカバーしておりますが,これだけ広い地域で
ステーションは
緑井出張所1カ所だけです。可部や安佐町の方から一々帰っていたら仕事になりません。中央地域も中区,東区,南区の3区を12チーム約240人の
ヘルパーがカバーしておりますが,
ステーションは
市役所北庁舎の一角だけです。チーム全体でその地域のお年寄りを支えるわけですから,
ヘルパー同士の連絡や情報交換は不可欠ですが,現状では週1回のミーティングをする場所もなければ,昼食,休憩をとる場所もありません。そこで,
チームごとの
ミニステーションを地域の商店街の中につくれば,常に20人前後の人が出入りして,商店街の活性化にもつながり,地域の人にも喜ばれるでしょう。
介護保険になれば,
福祉サービス公社は一指定業者となってしまって,必要な投資も困難となるでしょう。血の通った
ホームヘルプ事業にしていくためにも,今のうちに必要な支援をしていただきたいと思います。
また,これからはこういう在宅福祉の
ネットワークづくりが非常に大切になってきますが,そのためにも各地域にこのようなセンターが求められてきます。ぜひ御検討いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
次に,
中小企業融資についてですが,これまで我が党は,
中小業者への借りやすい無担保・無保証の融資制度の創設を一貫して求めてまいりましたが,今回
景気対策として,これに沿う制度が新しく創設されたことは,不況に苦しむ
中小業者にとって大きな朗報となりました。改めて関係者の皆さんの努力に心から敬意を表したいと思います。今後,この制度が本当に困っている業者に活用されるよう,周知徹底を早く,そして広く行っていただきたい。また,金融機関の窓口にも,この制度の内容を徹底していただきたいと思うのですが,どのようにお考えでしょうか。
また,
申し込み窓口は,当面金融機関と
信用保証協会となっていますが,今後市役所や区役所でも受け付けできるように御検討を要望しておきます。
次に,
広島カキの被害の真相究明と救済策についてお尋ねします。
赤潮による
広島カキの被害は極めて深刻です。ことしは過去最高の被害状況だと言われています。業者の間では,このままでは来年の仕込みが恐ろしいと,このように話されております。
広島カキは,広島市にとって最大の地場産業,そして貴重な観光資源でもあります。これが今壊滅状態に直面しているときに,漁協の共済とは別に被害業者への市独自の救済策をとるのは当然です。
また,昨年も問題にしましたが,
一体広島湾に今何が起こっているのか。国,県,市がばらばらです。一体となって本気で原因を解明する体制をなぜつくらないのか,私は不思議でなりません。市として国や県に働きかけて,そういう体制をぜひつくっていただきたい。そうしないと,このままでは来年も再来年もと,同じことが繰り返されて,そのうちに
広島カキはだめになってしまいかねません。本腰を入れた対応策をお伺いしたいと思います。
老人医療費助成制度の見直しについてお尋ねします。
昨年の医療制度の改悪によって,国民の
医療費負担は一挙に2倍になりました。金のない者は医療にかかれない。容易ならない事態が進んでいます。医療や社会保障,福祉の制度は,国民の生活を支える共通の土台です。この土台が次々に崩される中で,今多くの国民が生涯設計が成り立たなくなっております。支出を削って貯蓄に回すのは当然です。ところが,こうした状態に追い打ちをかけるように行ったのが,県と市がこの8月に行った
老人医療費の助成の大幅な打ち切りです。今,市民の怒りは本当に頂点に達していると思います。広島市にも苦情が殺到しているはずです。私どものところにもいろんな問い合わせが来ています。例えば,江波に住むある男性の方は,糖尿で片目を失明し,奥さんが働いて生計を維持されておりますが,65歳になれば奥さんに気兼ねをせずに医者にかかれると,これまでずっと我慢をして,やっとこの7月末に日赤に入院されました。そこへ8月1日の突然の
打ち切り通知です。この方は,これ以上妻に迷惑はかけられないと,とうとう8月3日には退院をされました。背骨も痛めて,家にもはって入るような方です。
また,私がこの間訪問した,ある
ひとり暮らしで寝たきりのおばあさんは,今一番してほしいことは何ですかと聞くと,早く死にたいと言うのです。寂しくて寂しくて,夜中に大声を上げて泣きたいことがある,何ぼたたいてものぞいてくれる者もいない,こうして死ぬのを待つしかない,今さら生きとうはないが,自殺したんじゃ親類に迷惑かけるし,自然に息切れるのを待つのもしんどいもんよと,こういうように胸の内を語ってくれました。長生きが喜びではなくて苦痛にしかならない。こういう世の中とは一体何でしょうか。市長さんは,よく思いやりを口にされますが,こういうお年寄りの生活実態を本当に御存じなのでしょうか。もしこういうお年寄りのところへ一度でも回って話を聞いていたら,その人たちにとって命綱とも言えるものを断ち切るようなことは,私はできないと思います。ここまできたら,生存権の侵害に等しいやり方です。他の
大型事業を少々我慢してでも,もとに戻すべきです。納得できる答弁をお願いします。
介護保険についてお尋ねします。
介護保険も今のような考えで導入されると,介護の分野でも大問題が起きると思います。40歳になると,毎月2,000円から3,000円の保険料が強制的に徴収,介護を受けたいときは認定してもらわないと必要な介護はしてもらえない。それだけでなくて,毎回1割の利用料を払わなくてはなりません。何から何まで金がつきまとう。金のない者は介護も受けられないような社会になりかねないのであります。こんな重大なことが間もなく行われるというのに,肝心の市民の多くはまだ何がどうなるのか,さっぱり知らされておりません。制度が複雑でわかりにくいのも確かにありますが,私は最近市がまとめられたある資料を見て,
介護保険になったらこういうことになるのかとびっくりいたしました。それは,広島市がことし1月から3月まで,厚生省の
モデル事業として行った
特別養護老人ホーム入退所計画の実践報告です。こういう本です。(皆川議員,本を掲げる)この事業は,介護は
介護保険導入後に
特養ホームの入退所をどうスムーズに行うか,その問題点を探るという目的で,ある
特養ホームであらかじめ選定された入所者の1割,待機者の1割の人を対象に行われたものですが,入所している人に対して退所計画及びその実施状況はどうなったか,詳しくこれに書いてあります。例えば
対象者番号9の人と,この方は81歳,女性の方です。書いてあるとおりを読みます。本人は,尼崎市で
阪神大震災に遭い,このショックから痴呆症状が出たことから,妹のいる広島市に転居した後,施設に入所と。現在,施設内では状態も安定していることから,退所してデイサービス週1日利用の計画を作成,家族としては妹74歳がいるが,高齢でみずからも介護を受けていること及び現状でも対象者本人を外泊させると,精神的に不安定になるということで了承が得られず,計画の実施は中止したと,こう書いてあります。この人のほかにも,脳梗塞で寝たきりの人,家族が病弱で見る人がいない人などについても退所計画が行われましたが,そのいずれも計画実施は中止せざるを得なかったと書いてあります。問題は,この人たちは,今は
モデル事業ですから退所を迫られることはないかもしれませんが,
介護保険になると,まずこういう人たちが真っ先に対象になります。
こういうやり方でいったら,重度の人でも6カ月ごとに認定が繰り返されて,その都度,在宅介護は可能とされてホームを追い出される人が続出することになってしまいます。帰る家のない人や,帰っても家族が病弱の人まで
特養ホームから出ていかざるを得ない。これは普通の神経ではとてもできないことではないでしょうか。恐らくこの
モデル事業に携わった方々も,仕事とはいえ余りにひどいやり方に胸を痛めながら,報告書をまとめられたのではないかと思います。
そこで,私は市長にお伺いしたい。
介護保険が導入されても,帰る家のない人が追い出されたり,金の払えない人が介護からも排除されるような事態は,この広島市で絶対に起こさないと,ここでぜひお約束していただきたいと思うのですが,いかがでしょうか。
その上で,数点お伺いします。
その1は,まず基盤整備,とりわけ
特養ホームについてであります。ことし8月末で待機者は何人になっていますか。恐らく1,400人前後と思いますが,市の計画では
介護保険導入時までにあと335名分しかつくらないことになっております。そうすると,1,400引く335,ざっと1,000名以上の待機者は,一体どうしようと考えておられるんでしょうか。待機者の中には,緊急避難的に老人病院やショートステイを転々とされている方もいますが,そういう人も含めて全員が今すぐ入所が必要な人ばかりです。
岡山市では,この9月議会の中で,
特養ホームの整備目標数値をさらに100人追加して上方修正をしております。これを人口比で計算すると,広島市でこの岡山市並みにするには,さらに390人,今の計画にさらに390人,少なくとも8施設を追加しなくてはなりません。入りたくても入れない状況がわかっている以上,岡山市のように整備目標を今のうちに上方修正すべきではないかと思います。対応をお答えください。
なお,この際お聞きしますが,これ以外にも原爆特養の待機者の方々がおられます。8月末で何人ぐらいでしょうか。新しい原爆特養は,一体いつ建つのか,その見通しと厚生省はどう言っているのか,教えていただきたいと思います。
介護保険の2番目は,低所得者対策についてです。
現在,
特養ホーム入所者の50%の人が,年収50万円以下の方々です。現在は無料ですが,
介護保険が始まると,こうした方々もたとえ5年間の猶予期間があるとはいえ,保険料プラス1割負担プラス食費プラス日常生活費,これでざっと月に七,八万円以上のお金を払わなくては,ホームにいられなくなります。また,在宅でホームヘルプサービスを受けている方々の約9割が現在無料です。これも有料となります。保険料と利用料を払わなければ見てもらえなくなります。
介護保険の最大の問題点は,こうした低所得者への対策がほとんど考えられていないということです。現在の利用者の所得実態から,払いたくても払えない人が急増することは,国保の例を見ても間違いありません。この状態をどう救済するのかが
介護保険の最大の問題だと思います。そうならないために,所得基準を設けて保険料,利用料ゼロの階層を単独市費で考えていただきたい。いかがでしょうか。
また,広島市がそうした場合に,市に対して国のペナルティーがあるのかどうか,お聞かせいただきたいと思います。
三つ目に,保険が適用されない他のサービスはどうなるのかという問題です。
現在,広島市が行っているサービスで,
介護保険が適用されなくなるものはどんなものがあるのか,
介護保険導入後,それらについてどのように考えておられるのか,お答えいただきたいと思います。
また,それらを保険とは別に市独自で従来どおり行うには,幾らの財源があったらできるのか,教えてください。
四つ目に,こういう
介護保険が導入されたら,国と自治体の公的な負担部分が減るはずです。昨年6月に,厚生省から試算マニュアルが示されました。それによると,広島市の持ち出しは約35億円減ることになりますが,この数字に間違いはございませんか。
最後に,市民への周知についてです。
初めにも触れましたように,多くの市民にこれほど重大な負担をもたらす保険を導入しようというのに,肝心の市民にはほとんど知らされておりません。市民は知る権利があります。行政は知らせる義務があります。市としては,各区1カ所程度の説明会しか予定していないと聞きますが,その程度で市民の理解が得られると考えておられるのでしょうか。これだけ大きな仕事をわずか9人の職員でやるというのは,どだいむちゃな話です。担当職員を臨時的にも大幅にふやして,市民への周知に努めていただきたいと思います。対応をお伺いします。
最後に,動物保護行政について取り上げたいと思います。
9月20日から動物愛護週間が始まりました。ペット愛好者がふえる一方で,年間に70万匹の犬,猫が保健所に持ち込まれるなどして処分をされています。私も市の動物管理センターで,ガスによる殺処分を見させていただきました。処分を待つ悲しそうな瞳の犬やおびえ切った猫,人間に何かを訴えるような瞳に,本当に胸を打たれました。こういう不幸な犬や猫をこれ以上市内でふやさない。これを社会問題としてとらえて,不妊手術の費用補助を実施する自治体が,今非常にふえております。
東京都は全区で,また政令市も名古屋や横浜など五つの市で行われておりますが,名古屋ではこの10年間で,保健所で引き取る犬,猫の数は2分の1に半減しています。こういう施策が効果を上げているとはいえ,今なお多くの動物が捕獲,引き取りで処分され,殺したりいじめたりする事件が後を絶たないのも事実です。
広島市でも,市の動物管理センターで殺処分されている犬,猫は,年間5,000匹にも上っております。これ以上不幸な動物をふやさないためにも,飼い主への啓発とともに,他都市のような不妊手術への補助制度を検討していただくことを要望いたしまして,私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
○中本弘 議長 市長。
〔平岡 敬市長登壇〕
◎平岡敬 市長
老人医療費助成制度の問題についてお答えを申し上げます。
21世紀の本格的な少子・高齢社会に向けて,保健・福祉の分野では高齢者介護や子育て支援など,今後取り組むべき課題が山積しております。
一方,本市の財政状況が依然として厳しい中で,従前の施策を維持したままで,これらの諸課題に対応して施策の拡充を図ることは,大変難しい環境にあるものと認識をいたしております。こうした状況を踏まえて,限られた財源で最大の効果が上げられるよう,既存事務事業についても時代の変化に対応した見直しを行うなど,スクラップ・
アンド・ビルドも導入しながら,施策全体の充実を図っていく必要があります。
老人医療費制度につきましては,制度創設以来二十数年を経過し,この間の高齢者を取り巻く環境,例えば年金や福祉サービスの充実などが進む中で,昨年11月に策定をいたしました広島市行財政改革大綱の趣旨に沿って,ただいま申し上げたような観点から見直し,今後山積する諸課題に対応していくための必要な措置であったと考えております。
今後とも少子・高齢社会への対応に十分に意を用い,限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努めてまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては,関係局長が御答弁申し上げます。
○中本弘 議長 財政局長。
◎伊藤利彦 財政局長
景気対策について御答弁を申し上げます。
9月補正の
景気対策予算の考え方についてでございますけども,初日の本会議で市長から提案説明もございましたように,今回の補正のうち,
公共事業費につきましては,国庫補助金に関連する事業を中心に,11年度に計画しております事業のうち,下水道,道路,街路など,本市にとって早期に整備を要するものを繰り上げて実施いたしますほか,特に民間社会福祉施設,保育園などの福祉施設や小・中学校などの教育施設の整備に配慮いたしますとともに,下水道の面整備,集会所や公民館などの公共施設の小規模整備など,地場の中小企業向け事業の確保に意を用いたところでございます。
続きまして,消費税の関係の御質問がございましたが,消費税の税率や公共料金への転嫁につきましては,本市としては国政の場で議論の上,決定された方針に従いまして,適正に対処すべき立場にございますので,税率の引き下げを求めたり,公共料金への転嫁を凍結するということは考えておりません。
以上でございます。
○中本弘 議長 はい,
市民局理事。
◎三宅吉彦
市民局理事 広島港への核艦船入港を拒否する宣言を内外に示す意思はないのかという御質問にお答えいたします。
外国艦船の我が国への寄港につきましては,国からこれまでに次のような見解が示されております。すなわち一般国際法上,一国の艦船の外国港湾への寄港につきましては,当該外国の同意が必要とされるものであること,また外国艦船の我が国への寄港に同意を与えるか否かは,憲法第73条第2号にある外交関係の処理であり,国がこれを決定すべきものであることとするものであります。また,日本政府は国会の場などで従来から非核三原則を堅持するとの意見を重ねて表明しておりまして,仮に米国の核積載艦船が核持ち込みをしようとする場合においても,日米安全保障条約上,事前協議の対象とされていることから,その際には政府として常にこれを拒否するとの意思が明らかにされております。加えて,本市は広島港を直接管理する立場にもなく,こうしたことから本市として議員御提案の宣言を行うことは考えておりませんので,御理解を賜りたいと思います。
以上でございます。
○中本弘 議長 社会局長。
◎松浦洋二 社会局長 私の方から
景気対策,それから
介護保険についてお答えをさせていただきます。
まず,特別養護ホームの建設促進のための公共用地の無償提供についてでございますが,社会福祉事業を行うために必要な土地は,社会福祉法人が所有しているか,または国もしくは地方公共団体等から貸与を受けていることが必要となります。
本市においても
特別養護老人ホームの整備については,社会福祉法人が整備用地を確保することを原則としておりますが,中区江波の
市営住宅,江波沖住宅と合築整備した
特別養護老人ホーム「悠悠タウン江波」など,特別の理由及び必要性があるものについては,
特別養護老人ホームの整備に当たり市有地の貸与を行っております。
特に市街地においては地価が高く,土地確保が難しいことも現実でありますので,今後そのような方策についても検討する必要があるのではないかと思っております。
次に,
ミニステーションについてでございますが,御質問の
ミニステーションとは地域サービス公社の訪問介護員,つまりホーム
ヘルパーですが,派遣世帯でサービスを終えた後,次の派遣世帯でのサービス開始までの間に休憩をしたり,昼食をとる場所のことと思いますが,これにつきましては
ミニステーションが一定の時間帯に限って利用されるものであることから,現在は公民館等を利用させていただいているところであります。
ミニステーションを本市において確保することについては,
介護保険制度導入後に
福祉サービス公社において,それだけの財源収入を得る見通しが立っていない現時点では,非常に困難であると考えております。
次に,
介護保険についてでございます。
介護保険制度は,国民の共同連帯の理念に基づき,老後の最大の不安要因である介護の不安を解消するため,介護を社会全体で支え,利用者の希望を尊重した総合的な介護サービスを受けられるようにする仕組みを創設するもので,
介護保険事業に要する費用を公平負担することを基本的な考えとして掲げ,保険料とサービス利用料の1割の額を利用者に負担していただくことにしているものであります。こうした枠組みの中で,低所得者の方に対しては,保険料の設定に当たって所得に応じた適切な負担となるような仕組みが講じられることとなっておりますが,これらの具体的な内容が政令等にゆだねられており,現時点では明らかになっていないことから,国に対して十三大都市民生主管局長会議を通じて,低所得者の方の介護サービスの利用が制限されることのないよう要望をしているところであります。
また,退所させるのではないかという御懸念についてでございますが,
介護保険制度における施設サービスは,限られた社会資源を有効活用する観点から,常時介護を必要とする人が利用するという基本を踏まえつつ,あくまでも要介護認定を受けた方と施設との間で,本人の心身の状況や置かれている環境等に基づき,適切な介護サービスが提供されるものでありますので,御理解をいただきたいと思います。
次に,特別養護ホームの待機者でございますが,平成10年7月1日現在で1,382人であります。
特別養護老人ホームへの入所希望者,いわゆる特養待機者の中には,
介護保険導入後は
特別養護老人ホームと同様に
介護保険施設として位置づけられている老人保健施設や療養型病床群,いわゆる老人病院に入っている方も多数おられます。したがいまして,特別入所を希望されていて,現在入れてない在宅の者は約500人程度ではないかと思っております。
今後,仮に施設入所希望に沿えない場合においても,在宅サービスの充実を図ることにより,可能な限り居宅において自立生活が継続できるようにするという
介護保険制度の理念に立ち,必要なサービスが提供できるよう努めてまいりたいと考えております。
なお,現在,平成12年度からの
介護保険事業計画及び
老人保健福祉計画の策定作業に入っており,新たな整備目標の策定については,待機者等の状況等も勘案しながら,この中で検討をしてまいりたいと考えております。
次に,原爆特別養護ホームの待機者数でございますが,平成10年8月末で472人となっており,待機期間も長いことから,できるだけ早く新たな原爆特別養護ホームを整備するように努めてまいりたいと考えております。
次に,低所得者等の保険料についてでございますが,低所得者に対する配慮につきましては,先ほど御答弁を申し上げましたように十三大都市民生主管局長会議を通じて,低所得者の保険料や利用者負担の減免について対象となる範囲や額を明らかにし,その減免等に要する費用については国費で措置するとともに,低所得者の介護サービスの利用が制限されることのないよう,実態を踏まえた基準とすることを国に要望しているところであります。
次に,現在本市が実施しているサービスのうち,
介護保険の給付対象とならないものは配食サービス,施設入浴サービス及び寝具等の乾燥消毒です。平成12年度の所要見込額については,推計はしておりませんが,平成9年度の決算額では,配食サービスは2区で半年間実施した状況ですが,1,195万2,000円,施設入浴サービスは年間で1,215万6,000円,寝具の乾燥消毒は同じく年間で418万1,000円となっております。
介護保険導入後においても,これらのサービスに対する需要はあるものと見込まれており,国庫補助の動向等を勘案しながら,今後とも適切なサービス提供を行うよう努力してまいりたいと考えております。
次に,市の独自の負担が減るということでございますが,議員御指摘の負担の減額については,平成9年度に厚生省が示した負担変化を粗く推計するワークシートに基づき,平成7年度の保健・医療及び福祉サービスの決算額などにより試算されたものと思われますが,このワークシートについては,単価の伸び率の設定の問題,事業費の算定の基礎には一部の介護サービスしか組み込まれていないこと,そして国民健康保険特別会計に一般会計からの繰り入れが加えられていないことなど,幾つかの前提を置いたあくまでも試算上の数字であると認識をしております。したがいまして,本市の財政負担が具体的にどのように変化するのかは,ただいまやっております高齢者実態調査の結果に基づく要介護高齢者の人数,介護サービスの需要,介護サービスの提供事例,国から示される介護報酬などをもとに,
介護保険事業計画において行う平成12年度から平成14年度までの3年間の保険給付額の見込みなどを通じて判明するものでありますので,もう少し時間をいただきたいとお願いいたします。
最後に,市民に対する説明等のPRについてでございますが,議員御指摘の
介護保険制度の広報については,広報紙「市民と市政」での広報を初め,各種団体の会合等での制度説明など,あらゆる手段を通じて実施しているところでありますが,今後とも市民の理解を一層深めていくため,広報活動に力を注いでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○中本弘 議長 経済局長。
◎吉中康麿 経済局長 経済局関係で3点の御質問に順次お答えいたします。
まず最初に,レストハウスの保存についてでございますが,
関係機関と協議しというふうに答弁しているけれども,
関係機関とはどこかということ,それから文化庁の示している意向,それを生かすのか,あるいは無視するのか,その点についてまずお答えをいたします。
レストハウスにつきましては,これまでの検討に引き続きまして,現在も市内部で慎重に検討を行っているところでございます。協議を行うべき
関係機関は,検討をした結果によってどのような整備を行うかにより決まってくると考えておりまして,まだその協議をする段階には至っておりません。したがいまして,これまで協議を行ってきた
関係機関は,文化庁のみでございます。
それから,文化庁の意向を生かすのか,無視するかについての御質問でございますが,文化庁の見解を視野に入れて,現在検討を行っているところでございまして,市内部での検討結果がまとまった段階で,さらに文化庁とも協議を進めてまいりたいと考えております。
それから,
景気対策について,新制度について市民への周知徹底を広く急いでいただきたい,また金融機関の窓口担当者にも周知徹底していただきたいという御質問でございますが,今回創設をすることとして御提案を申し上げております小規模事業者特別資金につきましては,広報紙の「市民と市政」を初めラジオ番組,あるいは中小企業ニュースなどにより積極的にPRすることとしております。
また,金融機関の窓口担当者についても,支店向けの文書によりまして周知徹底を図っていくこととしております。
最後に,
広島カキの被害の原因究明と救済策についてでございますが,一つは被害漁業者への市独自の救済策をとるべきではないか,あるいは国,県,市が一体となって原因解明をする体制をつくるよう,国,県に働きかけるべきではないかについてお答えをいたします。
今回のヘテロカプサ赤潮によるカキの被害につきましては,議員御指摘のように過去に例を見ない被害であると推測をされ,本市の特産
広島カキの存続にかかわる重大な状況であるというふうに認識をしております。このため,9月14日に広島市とカキ養殖業者とで構成する「広島市カキへい死被害緊急対策協議会」を急遽設置いたしまして,赤潮の発生状況,またカキの被害状況の把握等について協議をしたところでございます。この協議に基づき,現在被害の実態調査を行い,正確な被害状況を把握するとともに,赤潮の発生状況,水温や溶存酸素などの漁業環境調査を継続拡大し,国,県との情報交換を密にしながら,カキ養殖業者への養殖技術指導等を強化することとしております。
なお,カキ養殖には共済制度がございまして,本市ではこれまでカキ養殖共済加入促進補助事業を実施し,加入を促進してきたところでございます。現在,被害の実態調査を進めているところでございますが,今後の対応につきましては,県と情報交換を密にして考えてまいりたいというふうに思っております。
それから,ヘテロカプサ赤潮による被害を防止するためには,赤潮の発生機構,発生予測技術及び被害発生防止技術などの基礎的な研究が必要でございます。このため国や大学におきましては,現在これらの基礎的な研究に取り組んでおりまして,また広島県ではへい死の解明に取り組むなど,カキ生産量の回復を目標として調査研究が行われているところでございます。
本市におきましては,広島湾の漁業環境調査を実施いたしまして,このデータを国,県に提供するとともに,国,県の試験・研究の最新情報を入手して,カキ養殖業者への指導の参考としているところでございます。今後とも国,県との情報交換を密にいたしまして,国,県,市がそれぞれの役割の中で一体となりまして,ヘテロカプサ赤潮の被害防止に向けて取り組むこととしております。
以上でございます。
○中本弘 議長
都市計画局長。
◎横山良三
都市計画局長 景気対策についてのうちで,
市営住宅の修繕に思い切った予算をつけてはどうか,特に老朽住宅の畳,ふすまの取りかえをこの際一気に行ってはどうかという件についてお答えいたします。
市営住宅の修繕に当たりましては,市と入居者の負担区分を設定いたしまして,畳の表がえ及びふすまの張りかえにつきましては,原則入居者の負担としておりますが,経年劣化によります畳,ふすま本体の修繕を伴うものにつきましては,その劣化状況等を考慮しながら,市において対応いたしておるところであります。最近では,平成8・9年度に180戸の畳の取りかえ,また平成9年度では30戸の畳の取りかえと398戸のふすまの取りかえを行っておりまして,また本年度におきましても326戸のふすまの取りかえを計画いたしておるところであります。この際,一気に取りかえてはどうかとの御提案でございますが,厳しい財政状況でありますことから,限られた予算内で今後も緊急性等高いものから順次対応してまいりたいと思っているところであります。
以上でございます。
○中本弘 議長
道路交通局長。
◎小田治義
道路交通局長 交通弱者のための道路整備についてのお尋ねにお答えいたします。
高齢者や障害者を初めとしまして,市民のだれもが活動しやすく,安全で快適に生活できる道路整備は,重要な課題であるというふうに認識しております。このため平成7年度からスタートしました福祉のまちづくり環境整備事業の中で,障害者が日常生活する上で,利用頻度の高い施設と公共輸送機関の最寄りの駅を結ぶ道路や,施設周辺の道路について,歩道の段差解消や透水性舗装などの整備に取り組んでいるところでございます。
また,本年3月には,本市が管理します市街化区域内の国道につきましても,車いすを使った実態調査を行い,改善箇所の抽出を行ったところでございます。
今後も引き続き,福祉のまちづくり環境整備事業を進めますとともに,県道,市道につきましても順次実態調査を行い,緊急性を勘案しながら,順次整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○中本弘 議長 30番
皆川恵史議員。
◆30番(
皆川恵史議員) 一々なぞりませんが,平和問題で私は市長さんの御見解が当然返ってくるもんだろうと思っていたんですが,広島港にもしガイドラインがもとでですね,今各地でいろんな動きが出ているからあえて聞いたわけですけれども,今後広島港に外国艦船が入港するという場合にも,被爆地でありながら何も求めないのかどうか,ここの点をお尋ねしたいと。そういう点でどういうふうに思っておられるのか。
それから,
景気対策の問題は,
景気対策として緊急に今やらんと効果はないわけですね。そういう点で幾つか挙げたわけです。今の答弁のパターンでしたら従来どおりのやり方でしか対応できないというように聞こえたわけですけれども,広島市独自でですね,もっと仕事をふやすという点で,私はこれは緊急に庁内で各局を挙げてですね,
景気対策本部をつくって,縦割り行政でなくて,今どういうところでどういう必要性があるのかと,必要な手だてをぜひつくっていただきたい。わずか1億円でですね,もう住宅の畳,ふすまは500戸分,一遍に仕事が500件できるわけですから,そういう点ではぜひ対応していただきたい。
住宅の問題,一言言っておきますが,こういう状態を放置しておくこと自体は,これは契約関係ですから,家賃を払って,家賃取り立ては厳しいと,家主の責任はなかなかやらないというのは,これは契約違反だというふうに私は思うんですよ。しかも,公有財産ですから,30年間も畳,ふすまをほったらかしにするということは,これは適正な財産管理の怠慢にも当たるというふうに思うわけです。県と比べて余りにも格差がひどいので,これはぜひ緊急の経済対策として再度御検討していただきたいというふうに思います。
最後に,今のこの景気,不景気の中で,さらに市民の暮らしに対して本当に大変な改悪が次々に行われているわけです。医療費の問題でも,2倍,3倍にはね上がっております。こういうお年寄りの方々の実態をですね,私は市長さん,余り知られとらんのじゃないかと思うんです。知っとったら,あんな簡単な答弁で済ませられないと。ぜひこういうお年寄りの方々の声をじかに聞く,そういう機会を持っていただきたいというふうに思うんですが,いかがでしょうか。
以上,お尋ねしたいと思います。
○中本弘 議長
市民局理事。
◎三宅吉彦
市民局理事 将来の核艦船の入港に関してという仮定の御質問でございました。
先ほども御答弁申し上げましたとおり,仮に米国の核積載艦船が持ち込みをしようとする場合には,日米安全保障条約上,事前協議の対象とされておりまして,その際には政府は常にこれを拒否するということを明らかにしております。
それから,本市としましては,また繰り返しになりまして恐縮でございますが,これが外交上の事務であること,また広島港を直接管理する立場にないということから,宣言を行うことは考えておりませんので,御理解をお願いいたしたいと思います。
○中本弘 議長 社会局長。
◎松浦洋二 社会局長 皆川議員御指摘の老人医療については,この8月に見直しをいたしましたときに,確かに大変な苦情が入ってきたということは,私どもも認識をしております。したがいまして,ここらの苦情の処理につきましては,区役所等の福祉相談の総合窓口がありますので,ここらの苦情の状況等も十分私どもも把握してですね,適正な対策をとりたいと考えております。
○中本弘 議長 30番
皆川恵史議員。
◆30番(
皆川恵史議員) ちょっと大事な点を落としておりましたので。
介護保険についてね,公的負担がどれぐらい減るかというので,私,35億円間違いないかという質問をしたんですが,これは間違いないんですか。
それから,今のこのお年寄りのいろんな話を聞く場,これはぜひどこかで持っていただきたいと。市長を囲む会というのもあるわけですから,特別にこういう場を設定していただきたいということは,これはあえて要望しておきます。
○中本弘 議長 社会局長。
◎松浦洋二 社会局長 先ほど市の持ち出しが35億円少なくなるんではないかということですが,これは先ほども答弁させていただきましたように,いろんないわゆる条件がついておりますので,現在の額ではございません。ただ,平成7年度に先生が試算された額としてはですね,その辺の額ではないかと思いますが,先ほど答弁いたしましたような形で,もう少し時間をいただいて,国の介護報酬等が出てきたら,今の時期では来年の早い時期にそういうものが,ある程度市の負担等についてですね,保険料,それから市の負担額の減等についてもですね,ある程度の数字が算出できるのではないかと思っております。
○中本弘 議長 2番大原邦夫議員。
〔2番大原邦夫議員登壇〕(拍手)
◆2番(大原邦夫議員) おはようございます。
無所属の大原でございます。
私も,先日の市長の突然の不出馬の表明に驚いた一人であり,平和行政の推進,さらには都市づくりに対する高い理念など,平岡市政には評価できる面が多かっただけに,極めて残念に思っております。
ただ,表明が質問通告の後だったために,きょうの質問に対して私の意欲も多少そがれた面がいたしておりましたが,おとといの
一般質問の冒頭,市長からは来年2月まで残された任期について,全力を尽くすという決意の表明がありました。それに意を強くいたしまして,以下,通告に従って当面する市政の課題について質問いたします。
まず,緊急の課題として,市政の根幹である財政問題からお聞きいたします。
御承知のとおり経済企画庁は,今年度上四半期の国内総生産──GDPが,前の四半期に比べて0.8%減,年率に直して3.3%のマイナスとなったと発表いたしました。日本経済がこのまま推移すれば,2年連続のマイナス成長となる可能性が強まっております。当然長引く景気の低迷は,財源のかなりの部分を占める市の税収に大きく影響をいたします。既に明らかにされている広島県の昨年度,平成9年度の決算では,年度当初予算に比べて1.4%マイナス,額にして40億円の税収不足となっております。これに対して広島市の場合,昨年度の税収は何とか確保できる見込みのようですが,今年度は年度当初で1.4%増と見込んだ市税収入を確保できるかどうかは,極めて厳しい状況と言わざるを得ません。
そして,何より大きな影響を受けることが確実になっているのが,来年度の税収です。先日の来年度予算の編成方針をめぐる谷川議員の質問に対し,市側は,こうした厳しい財政事情を認識しながらも,事業の優先度に応じての予算の重点配分と効率的な執行,それに徹底した行財政改革という,これまでどおりの方針を繰り返されております。事態はそうした漠然とした対策では機能しなくなる勢いで進行しております。何よりも懸念されるのは,景気の低迷から脱出するために広島市も思い切った財政出動に踏み切るべきだという声が強まっていることです。確かに,かつてないほどの金融緩和策の結果,市債の発行条件は利率が2%台まで下がり,以前では考えられない条件で発行できます。こうした条件がいいときに市債を思い切って発行し,経済の回復に努め,先行き税収が伸びたときに余裕を持って返済すればよいという意見もあります。しかし,財政出動,つまり
公共事業の拡大がすぐに景気の回復に結びつくかどうかは,最近の事例に照らし合わせても甚だ疑問であります。また,節度のない市債の発行は,すぐにでも市財政の破綻を招きます。
そこで提案したいのが,去年策定した財政健全化計画の収支見通しを,予算編成の前にまず見直すことであります。この財政健全化計画は,平成15年度を目標に,市債残高が増加しない広島市財政の体質改善を目指して策定されたものでありますが,今後の市税収入の伸びなどを政府の日本経済の中期見通しであるGDPの名目成長率3.5%で計算しており,早くも大幅な狂いが生じております。
こうした一方で,先ほども述べたとおり,市債の利率は予想より大きく下回ったまま,今後も推移する可能性が高まっております。15年度には市債残高を起債制限のレッドゾーンすれすれで減少に転じさせ,市財政の将来の破綻を回避するという方針は堅持しながら,こうしたマイナス要因とプラス要因を計算し直し,健全化計画をより現実に近づける必要があります。行政の単年度主義は,往々にして場当たり的な対応,より厳しい表現をすれば視野狭窄的な行動に陥りがちであります。それを避けるためには,中・長期の見通しのもとに確たる目標を立て,それに向けて努力する必要があります。実際,財政健全化計画を公表したことによって,今年度予算はふえ続けるのが当たり前と考えられていた投資的経費を,各部局の協力のもと,縮減することが可能となりました。健全化計画の見直しによって,目標達成のためには,来年度さらに厳しい歳出抑制が必要なら,その結果を明示して,一層の努力を各部局に対して求める姿勢が必要であります。そうした意味から,財政健全化計画を来年度の予算編成方針を出す前に見直し,公表するお考えはないか,お聞きいたします。
あわせて,今年度の税収見通し,でき得れば来年度についてもわかる範囲で報告をいただきたいと思います。
いずれにいたしましても,来年度の財政事情はより一層の厳しさを加えるものと予想されます。投資的経費ばかりでなく,義務的経費についても,より厳しい切り込みが必要となってくるでしょう。その中で指摘しておきたいのが,総額で600億円にも上る市の各施設の維持管理費です。ほとんどが外郭団体の管理委託費として計上されていますが,外郭団体といっても実質的には市政の一翼を担う役割を果たしております。その意味で,厳しい財政事情に対する共通の認識がなければなりません。自分の団体だけは別という考えではなく,市の財政事情を理解した上で,各団体みずからが管理委託費の圧縮に努めるよう,強く求めておきます。
続いて,基本構想について数点お伺いいたします。
今回の基本構想は,前回に比べ,字数はおよそ8,600字と半分近くになるなど,都市の基本法と言われる基本構想にふさわしく,簡潔な記述となりました。また,国際平和文化都市を目指すという都市の目標を引き継ぎながら,広島らしさを強調した都市づくりを進めていくという新しい考え方を取り入れたことも,高く評価できる点です。そして,何よりこの構想の中に,随所に散りばめられているのは,都市は行政だけがつくるものではなく,市民みずからが考え,みずからが参加しながら形づくっていくものだという平岡市長の都市づくりに対する基本理念でありましょう。
では,広島らしさや住民参加によるまちづくりという理念を,どうやって具体的なものとして実現していくのか。6月議会での答弁は,さまざまな表現ではありましたが,来年4月を目標に,現在策定作業が進められている基本計画の中で明らかにしていきたいという一言で済まされていたように思います。しかし,日本の行政は利益調整型と言われ,住民から数限りなく寄せられる要求を調整しながら,行政の手で優先順位をつけて実現を目指すという手法がとられてきました。これに対して住民参加によるまちづくりは,住民が自分の住む町にとって本当に必要な行政サービスは何かを考え,それを行政の力も入れながら実現しようというものです。突き詰めて言えば,利害調整を行政ではなく住民の手にもゆだね,総意として絞られた要求に行政はこたえていくという手法であります。従来の手法の大転換であり,理念実現のためには,行政,住民双方の意識改革が必要であります。そのためには,例えばこれから策定される基本計画の記述方法についても,大幅に見直す必要があると思います。これまでの利益調整型の行政であれば,何であの事業が採用されて,この事業は採用されなかったのだなどという反発を避けるために,基本計画は住民からの要求が強い事業についてほとんど網羅する,いわゆる総花的な記述になりがちでした。しかし,利益調整型の行政からの脱却を目指すならば,限られた財源の中,将来どんなに必要な事業であっても,必要性や実現可能性の高い事業から優先順位をつけて明記するという姿勢が必要であります。こうした意味から,次の基本計画策定に当たって,記述方式を従来の形式から大幅に変更するお考えはないかどうかお聞きいたします。
また,住民参加のまちづくりを実現するためには,行政ばかりでなく,住民の側の意識の転換も必要であります。そのために何ができるのか。まず,都市生活のあり方について正しい知識を持ってもらうことが大切であり,そのためには学校教育の活用も一つの手段であります。例えばまちづくりに避けて通れない問題として,都市計画法に定めた用途地域の指定があります。昭和60年代から平成の初めにかけて,全国各地で用途地域を無視した強引な地上げが行われ,地価高騰と市街地中心部の空洞化が進みました。こうしたことは,都市自治に長い伝統と歴史を持ち,厳しい用途地域の制限がある欧米諸国では考えられないことでした。住居地域にオフィス用の建物を建てることは,厳しい規制から事実上不可能なことで,逆に業務用地に住居を建てることも常識外のこととされております。このため政府は,平成7年に用途地域のあり方を大幅に見直しました。しかし,残念ながらと言うべきでしょうが,住民が正しい理解を持ち,自分たちのまちづくりに生かしているとは言えません。
去年,広島市内の準工業地域で民間の保育所が,隣のマンション建設計画に対して反対するという問題がありました。用途地域の趣旨からすると,極めて不思議な現象としか言えません。準工業地域は,本来工場などが立地すべき地域として指定され,商店や工場に通う人たちの住居が混在することも,環境がほかの住居地域より悪いことを承知の上でなら認めるというものであります。本来ならば,静ひつな環境が必要とされるマンションはもとより,保育所などが立地するはずのない地域でありました。ここで最大の被害者は,工場の経営者だという声もあります。というのも,マンションが建てば,早晩騒音などを理由に,そのマンションの住民による苦情や運動で,出ていかざるを得なくなるからだというわけであります。
都市は大きくなればなるほど人々が密集して住み,それだけ住民間のトラブルは発生しやすくなります。こうしたトラブルを避けるためにも,さまざまな取り決めや法律があります。用途地域の指定もその一つですが,まちづくりにとってこれほど重要な用途地域でも,住民が学ぶ機会は全くといっていいほどありません。
こうした教育を文部省に求めることはできません。文部省の全国画一の教育方針では,大都市だけで必要とされる知識は教育対象になりません。であるならば,都市生活者にとって必要な基本的知識は,大都市共通の教材の形でまとめ,学校教育の場で教えるというのも一つの工夫であります。都市計画はその一例にしかすぎませんが,都市生活に必要な基本知識は,そのほかにも環境の問題,福祉の問題,水道の問題,消費生活の問題などさまざまであります。
教育委員会では,個別の問題を「ゴミのおはなし」や「わたしたちと環境」といった副読本の形でまとめ,学年に応じて教えていますが,それを一歩進めて,都市で生活していくために必要な基本知識を1冊の副読本にまとめるというお考えはないでしょうか,お聞きいたします。
重ねて申し上げますが,住民みずからが参加するまちづくりは,言葉で表現するのは簡単でありますが,行政,住民双方の大きな意識改革が必要であり,そのための方策を各部局が取り組まなければ,せっかくの基本構想の理念を実現化するのは,極めて困難であると指摘しておきます。
さらに,この基本構想に関連してもう一点質問いたします。
それは,新規軌道系についてです。
この問題は,これからの広島市の都市骨格を決める極めて重要な問題であります。そこでお伺いしますが,新規軌道系のルート及び輸送手段などについて,来年4月に策定する基本計画に明示されるつもりでしょうか。私といたしましては,平和大通りの再整備計画ばかりでなく,ほかのあらゆる都市基盤整備にかかわる問題だけに,当然のことながら基本計画に盛り込むべきだと考えております。そして,基本計画に盛り込むとしたら,ほかの都市基盤整備計画との整合性を図る意味からも,できるだけ早く結論を出す必要があると思います。議会の論議にかかっている以上は,その論議が一定の方向性を出すのを待つべきとは思いますが,市としては基本計画の策定作業とにらみ合わせて,いつまでに方向性を出すお考えなのかお聞きいたします。
そして,要望でありますが,新規軌道系を基本計画に盛り込む場合,これまでに調査特別委員会に示された路面電車,バスも合わせた総合的な,広島市の公共交通機関のあるべき総合的な計画についても,より実現可能性に近づけた形で示すことが必要であり,関係諸機関との調整を急ぐよう要望しておきます。
さて,この夏明らかになった呉市の第三セクター「呉ポートピアランド」の経営破綻は,県内関係者に大きな衝撃を与えました。官民共同出資の第三セクターの設立は,昭和50年代後半に民間活力の活用をうたい文句に活発となり,その後のバブル経済も追い風となって,全国各地で次々に設立されました。しかし,民間の調査機関の調べでは,ことし1月から6月の半年間だけで経営破綻を来した地方の第三セクターは,全国で13社に上り,既に去年1年間の5社を大幅に上回っております。急速に第三セクターをめぐる経営環境は悪化しております。その背景には,長引く景気の低迷もさることながら,官民寄せ集めによる経営の無責任さ,そして何より下関の第三セクター「日韓高速船」の経営破綻で,補助金支出が市長自身の責任として問われたケースに見られるように,相次ぐ住民訴訟によって安易な補助金支出ができなくなったのが直接の引き金になっていると指摘する声もあります。呉ポートピアの経営破綻も例外ではなく,採算面での見通しの甘さとともに資金調達の行き詰まりから破綻に追い込まれました。負債総額は113億円,呉市にとっては出資金5億円が戻らない上,借入金のうち返済のめどが立っていない48億円についても,そのうちの相当額を債権者から請求されるおそれが強まっております。いずれも市民の税金であり,ポートピアが地域経済の活性化に幾ばくか貢献したとしても,大きな負担を市民に強いることになります。こうした第三セクターの経営破綻の根本原因は,設立に当たって明確な基準を持たず,あいまいな意思決定のもとで事業を進めたことにあると言われております。
では,第三セクター設立の基準とは何か。その第1に挙げられるのは,事業目的の公共性でしょう。その事業が地域生活や地域経済に不可欠のものであれば,ある程度の補助金支出は認められます。ここで取り上げました外国人旅行客を当て込んだ日韓高速船やレジャー施設のポートピアが,地域生活や地域経済に不可欠なものだったかどうかは甚だ疑問が残ります。
2番目に挙げられるのは,官民のリスク負担を事前に明確にしておくことです。収入を利用料金に頼る事業は,必ず景気の動向に左右されます。事前に十分検討したとしても,採算面で赤字が生じる事態を予測しなければならず,そうした事態が発生した場合,どういった割合で官民が負担するか,事前の取り決めが必要です。その割合は,事業の公共性に応じて,つまり公共性が高ければ官のリスク負担を大きく,また公共性が低ければ民の負担を大きくしておくべきでしょう。
そして第3は,情報公開です。事業を開始するに当たって,こうした経営条件やリスク負担を公開し,広く参加企業を募らなければなりません。もし中心企業となることを希望する企業が複数の場合は,競争入札で決定するというのも一つの方法であります。また,参加を希望する企業が1社もいないということであれば,事業そのものの採算性に問題があるということで,事業計画を見直さざるを得なくなるのではないでしょうか。いずれにいたしましても,今日の第三セクターの相次ぐ経営破綻は,設立についての明確な基準を持つことなく,ただバブル経済のブームに乗って各地の自治体が安易に取り組んだ結果であり,今後は許されることではありません。私は,行政への民間活力導入そのものを否定するものではありません。今後とも第三セクターやPFIといった手法を導入した方がよい事業もあると考えております。それだけに事業に民間活力を導入する場合の明確な基準をつくっておくべきだと思います。市は,第三セクターのあり方をどう考え,今後民間活力導入に当たっての統一した基準をつくる考えはないかどうかお聞きいたします。
各地で経営破綻が続く中,広島市でも幾つかの第三セクター方式による事業が進められております。本市における第三セクターのあり方を考える意味で,一つの事業に絞って質問をいたします。
それは,広島駅南口再開発のBブロックについてであります。
御承知のように,広島駅南口の再開発については,
Aブロック,Bブロックともに広島市が51%出資した広島駅南口開発株式会社が深くかかわっています。設立の目的は,駅南口周辺地区を広島市の陸の玄関口としてふさわしいものにするためというものであります。この第三セクターの設立がなければ,駅前の再開発は一歩も進まない状態が続いており,設立目的の公共性は一応確保されております。そして,
Aブロックでは,キーテナントとしてデパートの福屋が入居し,南口開発はビル全体の管理を担当するだけです。万一デパートの採算がとれなくなった場合でも,それは全額デパートのリスク負担であり,撤退という事態になっても,それはそれでまた大変なことではありますが,別のデパートを探すことになります。事業の公共性に応じた適正なリスク負担といえます。
これに対してBブロックでは,一歩踏み出し,南口開発株式会社が出資して新たな会社をつくり,ホテル経営に乗り出します。Bブロックでは,当初出店を予定していた西武百貨店が経営不振を理由に撤退を表明した後,多少の曲折を経て,日本航空系のジャルホテルズがキーテナントとして入居すると発表されました。しかし,南口開発と再開発組合,それにジャルホテルズとの間で交わされた基本合意によりますと,ホテルを経営するのはあくまでも南口開発が設立する別会社です。ジャルホテルズ側は,ジャルホテルという看板とホテル経営のノウハウ,それに宿泊客の紹介をするだけで,その見返りとして運営委託料を毎年受け取るという,いわゆる運営委託方式での参画であります。つまりホテルの経営責任の多くの部分が,南口開発株式会社の設立した別会社が負うことになります。これを先ほどの三セク事業の基準から見ると,疑問点が多くあります。広島市の場合,ホテルは既に過当競争の時代に入っており,どこに公共が資金を投入して設立した第三セクターが,間接的にとはいいながらホテル経営に乗り出す公共性が見い出せるのでしょうか。また,リスク負担という面からも大きな疑問であります。経営責任のほとんどを第三セクターが設立,運営する別会社が負い,ジャルホテルズ側は運営委託料として確実に収益を確保しながら,リスクの負担はなしということになります。さらに,情報公開という面から見ても,なぜジャルホテルなのかという疑問が残ります。このジャルホテルズへの委託は,Bブロックの再開発組合が数社から条件を提示させた上で決めたということですが,組合は清算が終われば自動的に解散する組織であります。将来のホテル経営に全くといっていいほど責任を負えません。その意味で,多くの経営責任を負うことになる南口開発株式会社が,組合の判断とは別に改めてホテル事業について,収支を含めた事業の成立性とホテル側の適正なリスク負担のあり方について,しっかりと検討をしておくべきであります。
そこでお伺いいたします。
ジャルホテルの出店は,ホテル側が経営リスクを伴わない運営委託方式であり,しかも市が出資した三セクである南口開発株式会社が,間接的とはいえ経営に参画することになっていますが,この点についてどうお考えになっているのかお聞きします。
また,ホテルを核にしたBブロックの収支が成り立つのか疑問があります。場合によっては,
Aブロックを含めた南口開発全体の事業収支にも影響を与えかねません。その点についてどう考えているのかお聞きします。責任ある答弁をお願いいたします。
最後になりましたが,もう2点ほど簡潔に質問いたします。
まずは,外部監査制度についてです。
この制度は,自治体の行財政を自治体と契約した外部監査人がチェックする新しい制度で,全国の自治体で相次いだ官官接待やカラ出張などの公費の不正支出問題をきっかけに,地方自治法が改正されました。改正自治法によると,設置が義務づけられるのは都道府県と政令都市,それに中核都市であります。また,設置時期は来年4月1日からの設置が義務づけられており,自治体の判断次第では来月1日から設置してもよいことになっております。その意味で,広島市にとっても導入時期は目前に迫っていますが,今のところ何らの説明もありません。
広島県では,ことし4月,監査事務局の中に外部監査課を設置し,知事も今月の定例会見で,できれば年内にも導入したいとして,12月定例県議会に提案できるかどうか検討していることを明らかにしています。もちろん全国の自治体には,既に監査委員制度があり,広島市でも優秀な同僚議員2人が加わって,4人の委員が監査に当たっております。今回の外部監査制度が屋上屋を重ねるものであってはなりません。制度の導入に向けて導入時期など,どういった方向で検討が進められているのかお聞きいたします。
もう一つは,県立沼南高校の事件に関連した質問であります。
この事件は,1年生の男子が同級生などからの金品の要求や暴力に耐えかねて自殺したもので,その後の警察の調べでは,加害者の同級生たちも校外の暴走族から現金を脅し取られ,その金は暴走族から暴力団へ渡っていたということです。今回の事件の特異性は,これまでのいじめなどによる校内暴力と違って,外部の暴力団などが関与していた点で,教育現場の管理能力をはるかに超えた問題となっております。小遣いというには多額の現金を持ち歩くようになった高校生,資金源の先細りからそれに目をつけた暴力団,事件の背景としてはさまざまなことが考えられますが,一たん暴力組織が目をつければ,どの学校でも起こり得る事件であります。こうした事件を未然に防ぐためには,教育現場の教職員が生徒の実態をよく把握し,外部の力に対しては警察の協力を得ながら,毅然たる態度をちゅうちょなくとる必要があります。広島市内の中学校,高校では,こうした事例は報告されていないとのことですが,市教育委員会として,こうした事件を未然に防ぐためにどういった対策を実行しているのか,お聞きいたします。
いずれにいたしましても,教育現場をめぐる問題は複雑多岐にわたり,従来の発想では対応が難しい事態が次々に発生しております。市教育委員会を初め教育関係者の一層の努力を要望いたしまして,私の
一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○中本弘 議長 市長。
〔平岡 敬市長登壇〕
◎平岡敬 市長 中・長期の財政収支見通しを立ててから,新年度の予算編成に取り組むべきではないかと,こういう御質問でございまして,お答えをいたします。
本市におきましては,今日の大変厳しい財政状況の中で,21世紀の都市づくりを支える簡素で効率的な行財政システムの構築を目指しまして,昨年11月に行財政改革大綱と財政健全化計画を取りまとめて,現在これをもとに全庁挙げて行財政改革を推進しているところでございます。
10年度予算につきましても,市税収入の伸び悩みなど大変厳しい財政環境の中で,この大綱や健全化計画の中期財政収支見通しを踏まえながら予算を編成いたしました。新年度の予算についても,引き続き大変厳しい財政環境となることが予想されることから,中期的な財政収支見通しを勘案しながら,予算編成に取り組まなければならないと考えております。
国においては,
景気対策を優先をして,行財政改革を先送りというような形になりました。しかし,市の将来の財政状況を考えるとき,国と同じような方策がとれるのかどうかと,こういうとこは大変悩ましい状況に,今立ち至っております。
昨年策定いたしました中期財政収支見通しにつきましては,市税等の歳入を見込むに当たりまして,平成9年1月に出された国の財政の中期展望,これは平成8年度から12年度までありますが,ここにおける名目経済成長率3.5%を採用し,それをもとに推計を行ったものであります。しかしながら,その後景気の長期低迷を反映して,国においては経済成長率の見直し,1.75%,これもどうかという感じがいたしますけれども,そういうことが行われて,本市におきましても税収の伸びが期待できないなど,これを見直す必要性が生じてきております。ただし,歳入の半分近くを占める市税や地方交付税につきましては,国が考えております税制改正,それから地方財政計画等によりまして,大きく変動いたしますので,中期の財政収支見通しにつきましては,今後の国の税制改正や地方財政計画の動向を踏まえまして,新年度の予算編成に向けて見直していきたいと,このように考えております。
その他の御質問につきましては,関係局長が御答弁申し上げます。
○中本弘 議長
企画総務局長。
◎山田康
企画総務局長 私の方から2点,お答えをさせていただきます。
まず第1点は,第三セクターの設立に当たって統一した基準をつくるべきではないかという点でございます。
御承知のとおり,本市におきましては従来から限られた財源を有効に活用しつつ,活力に満ちた魅力あふれる都市づくりを推進するために,公共的分野への民間のすぐれた経営能力,人材,技術力の活用,それから民間資金の活用と,そういった観点から積極的に民間活力の活用を図ってきたところでございまして,その中でも民間と共同して行う方がより効果的に事業展開が図れるものにつきましては,第三セクター方式により積極的に事業を推進してきたところでございます。
第三セクターの設立に当たりましては,個別の事業ごとに公共性や事業採算性等を見きわめるとともに,これら事業の実施に必要な情報の提供を行いまして,関係者の理解と協力を得ながら,これを推進してきたところでございます。
今後も個別事業ごとに公共性等も異なることから,基本的にはそれぞれの観点に立って,必要に応じて第三セクターの設立について検討を進めていくこととなりますが,統一した基準の作成につきましては,基準という以上,ある程度具体性が必要であると思います。これにつきましては,この基準を考える場合に抽象的になりがちというようなことが予想されますので,大変難しい作業とは思いますが,今後勉強させていただきたいというふうに思います。
それから第2点は,外部監査制度についてでございます。
地方分権の推進に伴う国と地方の役割分担の見直しによります分権型行政システムへの転換に対応いたしまして,新たな役割にふさわしい地方行政体制の整備・確立が求められておりまして,こうした中で予算執行の適正化,監査機能の強化等,地方公共団体みずからのチェック機能の向上を図ることが必要となっております。
監査制度の強化につきましては,近年行政監査の権限の付与,あるいは退職職員──OB職員でございますが,これの選任の制限,監査委員の一部常勤化等が行われてきたところでございますが,さらに監査機能の専門性,独立性の強化,それから住民の信頼を高めるという観点から,平成9年6月の地方自治法の改正によりまして,外部監査制度が新たに創設されたものでございます。
外部監査制度は,地方公共団体の組織に属さない外部の専門的な知識を有する者と契約を締結することによりまして,当該外部監査人が地方公共団体の監査を行うものでございます。外部監査には,包括外部監査と個別外部監査の2種類がございます。包括外部監査というのは,毎会計年度,外部監査人が特定のテーマを設定し,財務監査を行うというものでございます。都道府県,指定都市,中核市に平成11年度から導入が義務づけられておりまして,また個別外部監査といいますのは,住民監査請求等において監査委員の監査にかえて外部監査人が監査を行うことができるというものでございまして,条例を定めることにより導入することができるものでございます。
改正地方自治法の公布後,自治省において本制度の具体的な導入方法について検討が行われまして,去る7月23日に政令が,それから8月5日に省令が公布されたところでございます。さらに,先般,これは8月31日でございますが,制度の導入に当たりまして必要となる外部監査契約のひな型,あるいは個別外部監査等を導入する場合の条例準則等が示されたところでございます。
本市におきましても,平成11年度からの導入に向けまして,他の政令都市とも情報交換を行いながら,外部監査人の選定方法,外部監査契約の内容,制度を円滑に実施するための効果的,効率的な執行体制のあり方,個別外部監査の必要性等について,監査事務局とも協議・調整を進めながら検討を進めているところでございます。本市といたしましても,本制度の導入に当たりまして,ある程度の成案を得た段階で御説明を申し上げ,御理解を得ながら諸準備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○中本弘 議長
企画総務局理事。
◎村川博敏
企画総務局理事 基本構想についてのうち,基本計画については限られた財源の中,必要性や実現可能性の高い事業から優先順位をつけて明記するという姿勢が必要である,基本計画の策定に当たって記述方法を従来の形式から大幅に変更する考えはないかという御質問に御答弁申し上げます。
基本計画は,基本構想を達成するための施策の大綱を総合的,体系的に定める長期計画でございます。新しい基本計画については,新たな時代の潮流を見きわめながら,ハード,ソフトの両面で施策のバランスのとれた成熟社会にふさわしい都市づくりを進めていくこととし,現在総合計画審議会や各区のまちづくり懇談会の御意見をいただきながら,平成22年を目標年次とする第4次広島市基本計画の策定を進めているところでございます。
基本計画においては,さまざまな分野における施策の大綱を盛り込むこととあわせまして,市民等へのわかりやすさに配慮しながら,都市づくりを主導していく重点施策を明記することなどにより,できるだけめり張りのある計画となるよう努めていきたいというふうに考えております。
また,基本計画の策定後,平成11年度末までに基本計画の実施のために必要な事務・事業の計画などを定める中期的な計画として,広島市実施計画を策定いたしまして,市民ニーズに対応した具体的な施策の展開を図っていくこととしております。この実施計画の段階で,行財政改革大綱や財政健全化計画との整合に留意しながら,施策の優先性を勘案した計画づくりを行ってまいりたいというふうに考えておりますので,御理解を賜りたいと思います。
以上でございます。
○中本弘 議長 財政局長。
◎伊藤利彦 財政局長 10年度と11年度の市税収入の見通しにつきまして御答弁申し上げます。
10年度の市税収入見通しにつきましては,個人市民税が特別減税の実施によりまして,また法人市民税につきましても製造業を中心とした全体的な落ち込みなどによりまして,極めて厳しい状況にございまして,現時点では約35億円程度の歳入不足が生じるのではないかと考えております。
なお,この歳入不足額につきましては,減収補てん債等により対処したいと考えております。
次に,平成11年度についてでございますが,景気の低迷が引き続くことが予想され,これに加えまして不透明ではございますが,個人市民税を中心に大幅な減税が予想されておりますことから,今年度以上の厳しい状況が予測されております。